ぼく「ぼくはある年度の就職活動に巻き込まれ、四十通以上のお祈りメールを撃ち込まれた。
頭の中にきざまれた就活の恐怖は、研究意欲を無くさない程度にとどまり、奇跡的に大学を卒業できた。
だが、就活の恐怖を取り除くのは困難で、ぼくはしばらく両親に頼って生きていくことになった。
その結果、ぼくは――――――――」
ぼく「死者のような目で話すようになった」
Z E T S U B O R D E R
ぼく「人は犯罪をしたらどうなるんだろう」
ぼく「ぼくはある刑事裁判に被告として巻き込まれ、裁判官に有罪判決を撃ち込まれた。
頭の中を反射した裁判官の言葉は、想定の範囲内にとどまり、奇跡的に法廷で泣かなかった。
だが、逆転無罪を目指すのは困難で、ぼくはしばらく刑務所で生きていくことになった。
その結果、ぼくは――――――――」
ぼく「社会的な死者と話せるようになった」
P R I S O N B O R D E R
ぼく「人は解雇されたらどうなるんだろう」
ぼく「ぼくはある会社の人員整理リストに挙げられ、リストラという名の解雇通知を告げられた。
頭の中でこだまする上司の言葉は、自殺願望が浮かばない程度にとどまり、奇跡的に再就職先が見つかった。
だが、再就職先も倒産して再び無職になり、ぼくはしばらく抗うつ薬に頼って生きていくことになった。
その結果、ぼくは――――――――」
ぼく「死者のような目で話すようになった」
Z E T S U B O R D E R
ぼく「人は24時間365日働いたらどうなるんだろう」
ぼく「ぼくはある経営者の労働観に巻き込まれて、頭に理念集を撃ち込まれた。
頭の中を反射した上司の言葉は洗脳すれすれでとまり、奇跡的に自己を保つことができた。
だが、転職することは困難で、ぼくはしばらく長時間労働とともに生きていくことになった。
その結果、ぼくは――――――――」
ぼく「死者と話せる人とだけ話せるようになった」
T O T S U Z E N N O S I B O R D E R
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