伊介「暗い部屋」 (30)

悪魔のリドルSS
のんびりやる。多分すぐ終わる

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2号室



伊介「はぁ~~~春紀ぃ~~~~♥♥」

伊介「なんであんなかわいいのかしら。反則過ぎ」

伊介「………」ギューーーー

伊介「はぁ……いい加減抱き枕を春紀に見立てるのも辛くなってきたわ……」

伊介「会いたいなぁ………」

伊介「写真を見ても、寂しさが募るだけ……」ピラッ

伊介「はぁ………………」

春紀「おいあたしここにいるだろ」

伊介「春紀、会いたい………」

春紀「マジふざけんな」


伊介「ふんっだ」

春紀「変な無視の仕方するなよ……なんで機嫌悪いんだ?教えてくれんと謝りようがないだろ」

伊介「その悪いところを指摘してもらって当然みたいなスタンスなんなの」

春紀「え」

伊介「悪いところ自分で気付いてナンボでしょ?ばっかじゃないの」

春紀「仰る通りです……」


伊介「春紀ぃ……」ギュー

春紀「だから、抱き枕を抱き締めながらあたしの名前呼ぶなって」

伊介「………」プイッ

春紀「無視かよ、そうかよ」


伊介「………」ゴロゴロ

春紀「伊介様は相変わらずだし……伊介様がこうなってる原因について考えてみるか……」

春紀「………」

春紀「……………」

春紀「…………………」

春紀「………………………わからん」

伊介「………」ピタッ

春紀「………ま、いいか」

伊介「諦めんじゃないわよ!」


春紀「お、今あたしに話し掛けてくれた?!」

伊介「ふん」ギュー

春紀「だから抱き枕はやめろって」

伊介「………」ツーン

春紀「……冷蔵庫に入ってたポッキー勝手に食べたの怒ってるのか?」

伊介「はぁ?」

春紀「ハズレ、か………」

伊介「あれは元々アンタに買っておいてあったものだし。なんで勝手に食べられて怒るのよ。ばっかみたい死ね」

春紀「死ねとな」


春紀「うー……ん、なんだろう。あ、伊介様の使用済みバスタオルとあたしのバスタオル交換してるの、バレたとか?」

伊介「………は?なにそれ?」

春紀「………………げっ」

伊介「ねぇ、なんでそんなことするのよ」

春紀「べ、別に。伊介様と交換してるのはちゃんと洗ったやつだから、汚くないから。へーき」

伊介「質問に答えろっつの」ギリギリ

春紀「痛い痛い!耳引っ張るなって!えっと、それは……ほら、いい匂いするだろ?」

伊介「うわぁ…………………」

春紀「伊介様のそんな顔初めて見たよ」

伊介「正直、轢くわぁ………」

春紀「引くんじゃなくて轢くのか。車か何かかよ」


伊介「とにかくそれ、ハズレだから」ギュー

春紀「マジか……」

伊介「っていうかこの抱き枕、本当に春紀の匂いする」

春紀「抱き枕にあたしの部屋着着せてりゃそうだろうよ」

伊介「あーあ、早く本物の春紀帰ってこないかなー」

春紀「もう無理!答え教えてくれよ!」

コンコン

春紀「?」

伊介「出て」

春紀「言われなくても」スクッ

春紀「(そんなエロい格好のアンタ、他の奴に見せる訳にいかないっての)……はーい」ガチャ

鳰「こんちわっス!」

春紀「なんだ、鳰か。こんな遅くにどうした?」


鳰「なんだとは失礼っスね!」

春紀「あたしお前のこと嫌いだからな」

鳰「そんなぁ?酷いっスよー」

春紀「あたしお前のこと嫌いだから用件あるなら早くしてくれ」

鳰「用件はないっスよー。ただお話しにきただけっスよー♪」

春紀「あたしお前のこと嫌いだから無理」

鳰「その『あたしお前のこと嫌いだから』っていう斬新な枕詞どうにかならないんスか」


春紀「もーいいから帰れよー。それどころじゃないんだっつの」

鳰「へーい。すんませんっスー」

春紀「じゃあな」

鳰「あーあー、ウチが晴だったらよかったのになー?」

春紀「……は?」

鳰「いんや?なんでもないっス。ただ、晴だったらもっと相手にしてもらえたのかなーって思っただけっス」

春紀「………」

鳰「はは、図星っスか。いーなー、晴。春紀さんに愛されててー」

春紀「ばっ!」

鳰「そんじゃ、ウチ帰るっス」ガチャ

春紀「待っt」

バタン!

春紀「…………」


伊介「……」ゴロゴロ

春紀「……」スタスタ

伊介「……?」チラッ

春紀「ごめんなさい」バッ

伊介「何がー?」

春紀「伊介様が怒ってるの、晴ちゃんのことだろ……?」

伊介「やぁーっとわかったの?」

春紀「……ごめん」

伊介「……そうよ、アンタがアイツのこと……撫でてたりするから、伊介…」

春紀「そうだなぁ。やっぱキスはまずかったのか………」

伊介「……………………………………………は?」


春紀「はぁ……伊介様にはバレてないと思ってたんだけど。なんで知ってるんだ?」

伊介「…………………何が」

春紀「だから、あたしと晴ちゃんがキスしたことだよ」

伊介「……初耳なんだけど?」

春紀「え、でもさっき」

伊介「アンタ、浮気したの?」

春紀「いや、別に浮気ってほどのことじゃないけど……」

伊介「それは伊介が判断することでしょ」

春紀「えっと……この間、晴ちゃんが王様ゲームやってみたいって言い出してさ」

伊介「はぁ?」

春紀「それでそのときに……あぁ、その場には二人きりじゃなくて番場とかも居たぞ」

伊介「………浮気したら殺すって、前に言ったの覚えてないの?」

春紀「いや、その、まさかバレると思わなくて……」

伊介「バカなの?死にたいの?死にたいんだったらこんな回りくどいことしないで伊介の手を煩わせないで一人で勝手に死んでくれる?」

春紀「ごめんって!!ゲームだし、いいかなーって………ホントごめん!!」


伊介「………」クルッ

春紀「ちょ、どこいくんだよ」

伊介「…………」ギュー

春紀「また抱き枕か………伊介様、ごめんって」

伊介「…………」

春紀「あたしが、その、そういう風に思ってるのは伊介様だけだよ。晴ちゃんとしたのは軽卒だった」

伊介「どうせ頭の中で『っべー、言わなきゃバレなかったのに余計なこと言った』とか思ってるんでしょ」

春紀「まぁ、多少」

伊介「死ね」


春紀「あたしの思い違いだったんだな、ごめんな」

伊介「……どういうこと?」

春紀「伊介様はあたしより大人だから、キスくらいで何も言わないだろうなって、ちょっと思ってた……
言わなきゃわからないんだし、あたしだけこんなこといちいち意識してたら、子供っぽいかなって……」

伊介「……はぁ?」

春紀「上手く言えないんだけど、そんな感じ。あとはその場のノリみたいなのもあった、かな……?ホント、ごめん」

伊介「………」

春紀「伊介様……?」

伊介「…これだけは覚えておいて欲しいんだけど」

春紀「な、なに?」

伊介「伊介達が大人になっても、それから老いぼれても、アンタが他人とキスするなんて許さないから」

春紀「……!」

伊介「背伸びしてんじゃねーよ、クソガキ♥」

春紀「………はい」


伊介「それに、伊介だって……さっきもっと子供っぽいこと言おうとしてたしね」

春紀「え?」

伊介「アンタがあいつの頭撫でてたから……」

春紀「晴ちゃんの頭を?覚えてないな」

伊介「わかってるわよ、アンタにとってごく自然な動作だって」

春紀「う、うん……」

伊介「ただ、そのツーショットがお似合いだったからムカついただけ」

春紀「なんだよそれ。つまりあたしと晴ちゃんが一緒にいるだけで伊介様の機嫌が悪くなるのか?」

伊介「そう思うなら伊介の機嫌が悪くならないように努めたら?」

春紀「結構面倒なんだな、伊介様って」

伊介「はっ、今更?」

春紀「……まだ抱き枕の方がいいのかい」

伊介「早くこっち来なさいよ」

春紀「ホント、我が侭」

伊介「嫌なの?」

春紀「まさか」


春紀「すごい久々に伊介様に触った気がする」モゾモゾ

伊介「はいはい。それにしても意外だったわ。アンタ、わりと寛容なのね」

春紀「なんでそうなるんだ?」

伊介「さっきのは逆に言うと、伊介が他の人とそういうことしてもアンタは怒らないってことでしょ?」

春紀「怒りは、しない。嫌だけど」

伊介「……だから背伸びすんなってーの♥嫌なことは嫌って言っていいんだって」

春紀「……」

伊介「アンタ、我慢することに慣れ過ぎてるのかもね」

春紀「う……それはあるかもな……」


伊介「アンタはもっと素直になってもいいんじゃないの」

春紀「はは、伊介様みたいにはなれなさそうだけどな」

伊介「伊介は伊介だけなの、真似すんな♥」

春紀「へいへい。あ、そうだ」

伊介「なによー」

春紀「伊介様は?浮気したことってないのか?」

伊介「あるわけないでしょ。バカなの?」

春紀「そっか、よかった。うん、やっぱあたしも嫌だな。伊介様が他の誰かに触れたりするの」ギュー

伊介「え」

春紀「え」


伊介「え。キスとかそういう話じゃなくて?」

春紀「いやそれは……うん、それも嫌だけどさ」

伊介「触るのはセーフでしょ」

春紀「さっきあたしになんて言ったか覚えてるか?」

伊介「あれはアンタとアイツって組み合わせがアウトなの。鳰がアンタの体触ろうとしてもなんとも思わないっての。ウザいけど♥」

春紀「むっ……言い返せない」

伊介「体触るくらいセーフでしょ」

春紀「………伊介様」

伊介「?」

春紀「なんか、それっぽい出来事があったのか?」

伊介「寝るわよ」モゾッ

春紀「オイ待て」ガシッ


伊介「もう何よ」

春紀「質問に答えて。まず、どっちだ?誰かに体を触らせた?触った?」

伊介「まぁ、両方……?」

春紀「誰に」

伊介「生田目」

春紀「どこを」

伊介「胸」

春紀「………あたし帰る」

伊介「ちょっと!どこよ!どこに帰るのよ!!」


春紀「伊介様………それ浮気………」

伊介「別にそういうんじゃないわよ」

春紀「しかも相手が生田目って……なんとなくアウトな相手だし、その上自動的にもう一人巻き込んでんじゃんか」

伊介「あぁ、桐ヶ谷?」

春紀「他に誰がいるんだよ……」

伊介「桐ヶ谷がどっちの胸が大きいんですか?なんて聞いてきたからそういうことになったのよ。伊介悪くないー♥」

春紀「………」モゾモゾ

伊介「え、ちょっと、春紀?」

春紀「……はぁ、伊介様、帰ってこないかなぁー……」ギュー

伊介「ちょ!それ伊介の抱き枕だっつの!!」





おわり

というわけで終わり
そんじゃ

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