錬金術師「経営難に立ち向かう事になった」女店員「その2!」(865)

前作:錬金術師「面倒だけど経営難に立ち向かう事になった」
錬金術師「面倒だけど経営難に立ち向かう事になった」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1396693939/)
の続編になります。

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――――【 1週間後 】


…ボー

錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師「…」


錬金術師「暇…だな」

ポリポリ…モグモグ…

錬金術師「ふーむ…」

錬金術師「とりあえず店員らが帰ってくるか、客来るか…それまで暇だな」

…ポリポリ

錬金術師「この美味いバターピーナツが、今の俺のささやかな楽しみか」ポイッ

ポリッ…ゴクンッ

…ガチャッ!!

錬金術師「おっ!?客ですか!?いらっしゃいませー!」ガタッ


女店員「私でした」

銃士「ただいま」

新人鉱夫「ただいまです!」


錬金術師「あっ、君らでしたか。で、どうだった?」

女店員「一週間もかかったけど、私がやってきた業務の説明は一通り終わりかな?」

錬金術師「1週間も説明がかかるくらい俺の知らない所で営業してたのに、この客足だ」プッ

女店員「バターピーナツ作るやつ、壊そうかな♪」

錬金術師「女店員さん、さすがですわ。俺の知らないところでの営業努力、賞賛ものですわぁ…」スリスリ

 
女店員「よろしいっ」


錬金術師「…」

錬金術師「まぁいいです…。でさ、銃士と新人鉱夫…ちょっと来て」

銃士「ん?」

新人鉱夫「何でしょう?」


錬金術師「今更なんだけど、これ雇用契約書。目通しといて」ペラッ

銃士「やっとか!どれどれ…」

新人鉱夫「えーっと…」


錬金術師「ぶっちゃけ、今のうちじゃソレが最低金額。あとは歩合制にするつもり」

 
銃士「最低15万…、充分だよ」

新人鉱夫「もっと少ないのかと!」

錬金術師「あ、よーく見て。営業厳しいとき色々変動するような契約書だから。"今のうち"ってのは、本当に今のこと」


銃士「何…」ペラッ

銃士「…」

銃士「な、なるほど。最低金額の誤差が起きるが、その誤差はゼロまであると…」ピクピク


錬金術師「まぁ逆に、伸ばす時も無限大って考えくれ」

錬金術師「適当な経営な部分もあるし、君らが働いた分、還元はするつもりだし」

 
銃士「ふふっ、なるほど。今までの私の仕事とそう変わらないわけだ」

新人鉱夫「僕もそうですね」


錬金術師「君らにやってもらう事も今までと変わらないつもりだ」

銃士「わかった。素材収集だな?」

新人鉱夫「僕は鉱石採掘…と」

女店員「私は店長の補佐かな」


錬金術師「ま、そうだな。俺が欲しい物があるときはそれをメインで集めてもらうことになると思うが」

錬金術師「あと、えーと…そうだ。君たちに渡すものがある」ゴソゴソ

 
銃士「渡すもの?」

女店員「変なのじゃないでしょうね」

新人鉱夫「なんでしょうかっ」


錬金術師「まずは新人鉱夫。自由採掘許可証はお前に預けとく」ポイッ

新人鉱夫「あ、はいっ!」パシッ

錬金術師「あと、このパーツを自動採掘機に繋げろ。前の時間の1,5倍、採掘の魔力が持つようになる」

…ゴトンッ!!

新人鉱夫「本当ですか!?」

錬金術師「パワーも微量にあがるし、使いやすくなると思うぜ」
 
新人鉱夫「わかりました!ありがとうございます!」

 
錬金術師「んじゃ次は銃士。これ、作っといたぞ」

ゴソゴソ…、カチャカチャッ

銃士「これは?」

錬金術師「氷結弾、火炎弾、雷撃弾。それぞれ100ずつ準備したから遠慮なく受け取っちゃって」

銃士「おぉ…ありがとう!」

錬金術師「あと、足りなくなりそうなら幾らでも作るから」


女店員「無駄に準備いいんだから…」

錬金術師「無駄て」

女店員「いい意味でね♪でも、そういう所は店長の良いところだと思うよっ」

 
錬金術師「ふっ…もっと褒めろ。敬え、わが前にひれ伏すがいい!!」

女店員「バターピーナツ生成のやつを壊…」

錬金術師「申し訳ございませんでした。あとな、お前にはこれをやるよ」ゴソゴソ

女店員「えっ、私にも何かっ?」ウキッ

錬金術師「くく…これだ!店長補佐のネームカード!」バッ

女店員「いらない」


錬金術師「…」

銃士「おぉう…一刀両断…」

新人鉱夫「…ひぃぃ!」

 
女店員「…」ハッ

女店員「う、うそうそ!ありがとう!きちんと付けるから!」


錬金術師「まぁ…これは冗談なんだけどな」ポイッ

女店員「」

錬金術師「ははっ!さすがにこんなの使い道ねーしな!」


女店員「やっぱりバターピー…」

錬金術師「ごめんってば!!本当はこっち、これだから!」スッ

ジャラッ…キランッ!

女店員「何、これ…?ネックレス…?」

銃士「うわっ、キレイな石が付いてるな」

新人鉱夫「それは、ロッククリスタル!…ですよね?」

 
錬金術師「新人鉱夫、正解。よっぽど高いもんじゃねーが、俺が精錬したやつだ」

錬金術師「ボーナスとまではいかんが、新しい店員も迎えて、その何だ…、初代店員記念で一番力をいれた」ハハッ

キラキラ…

銃士「凄いな…、さすがの腕前だ店長」

新人鉱夫「ロッククリスタルは透明度が高い分、割れやすくて難しいんですよ…」


女店員「これ、私がもらってもいいの…?」


錬金術師「お前の為にだっつーの。正直、使い道のあるプレゼントが思い浮かばなかったから、アクセにした」

錬金術師「普段お前はネックレスとかつけねーし、どうしたもんかと悩んだんだが…」

 
女店員「嬉しい…ありがとう…。大事にするね…」ギュッ

錬金術師「ネームプレートはいらない?」

女店員「うん、いらない…」

錬金術師「」


銃士「…あははっ!」

新人鉱夫「はは…」


錬金術師「…無理やり付けてやる!」グイッ!!

女店員「きゃーきゃー!」

 
錬金術師「ぐっ、この!」グイグイッ

女店員「ちょっ、どこ触ってるの!!変態!!ばかぁぁ!!」ブンブン

ギャーギャー!!


銃士「…仲のいいことでね」

新人鉱夫「…」

銃士「…」

新人鉱夫「…いいなぁ」ボソッ


銃士「…」

銃士「新人鉱夫クン、お姉さんにも同じことやってみる?」ニヤッ


新人鉱夫「え、えぇぇ!?」

 
銃士「赤くなって、ウブだねぇ!」


錬金術師「ん?ウブ?」ピタッ

銃士「ん?」


錬金術師「銃士、お前さ…そう言ってるけどさ」

錬金術師「あの時、服を脱がさないでーとか暴れ…」


銃士「わーっ、わーっ!!今後はお姉さまキャラで通すつもりなんだから!」

錬金術師「くくく…」


女店員「もーっ!!何なんですか、このお店はぁぁ!」


錬金術師「…こんな感じが俺の店、なんじゃねーの?」ハハハ!!

女店員「…はぁ。賑やかで、少し楽しくていいとは思うんですけどね…」

錬金術師「ん~…まぁ、仕事は仕事でやるけどな。さて、一息いれたところで早速の業務でも言い渡すかねぇ」ペラッ

 
銃士「…おっ、いよいよ仕事だね」

新人鉱夫「何でも言ってください!」

女店員「…」


錬金術師「では、仕事の内容のはっぴょ…!!」

…コンコン!!


錬金術師「…」

錬金術師「…」


…コンコン!!

 
銃士「…お客じゃないのかな」

女店員「何てタイミングの悪さ」

新人鉱夫「こういうのを、持っているっていうんですよね!」


錬金術師「ぐ…」ブルブル

錬金術師「はい、どうぞ!開いてますよ!!」


…ガチャッ!!

???「失礼します」

 
???「失礼する。ここに銃士という女性がいるはずなんだが」

錬金術師「銃士?確かにいますが…銃士!」

銃士「私?どなた…って!あぁっ!!」

錬金術師「知り合いか?」


銃士「し、知り合いというか…。ギルド長というか…」

錬金術師「…ギルドマスター!?」

新人鉱夫「もしかして銃士さんが所属してた、中央国のですか?」


ギルド長「初めまして、みなさん」ペコッ

 
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女店員「お茶をどうぞ」コトッ

ギルド長「有難うございます」


銃士「ギルド長、一体どうしてここに…」

ギルド長「誰かがギルドを抜ける際は、こうして私が挨拶に伺うんですよ」グビッ

銃士「わざわざ私のために…」

ギルド長「というかギルドルールにもあったはずなんですが…。本来ならそちらから一声欲しかったです」


銃士「うっ…申し訳ありません…」

銃士「ですが、所属していたグループやギルドリーダーに話をした時に、ギルド長が不在だったもので…」

 
ギルド長「あぁ、それなら仕方ないですね」

銃士「…」

ギルド長「聞きましたよ。鉱山での失敗で、ケジメのためにも脱退したと」

銃士「…」

ギルド長「銃士さん」

銃士「…はい」


ギルド長「戻ってきなさい。別に、貴方がうちに迷惑をかけたなんか思っていません」

銃士「!」


ギルド長「貴方は善意で事故に巻き込まれたと聞きました。それを責める事なんかしませんよ」

銃士「で、でも!」

ギルド長「そこまでうちは心は狭くありません。それに、親の道を継ぎたいと願っていたのは貴方でしょう?」

銃士「うっ…」

 
ギルド長「この場所が悪いと言っているのではありません」

ギルド長「貴方が目指す夢に一番近いのは、冒険者ギルドだった。それを一時の感情に身を任せていいのですか?」


銃士「そ、それは…」

ギルド長「すぐに答えが出るとは思っておりません。自分で、しっかり考えて決めてください」スクッ

銃士「あ…も、もう行くんですか?」

ギルド長「要件は済んだので。あ、お茶有難うございました。美味しかったですよ」

女店員「い、いえいえ!」


ギルド長「そうだ…それとあと1つ。銃士さんの行きつけだった、東部の喫茶店わかりますよね?」

銃士「そ、それはもちろんです。最後に一杯も飲んで、もうしばらく来れないかもと伝えました」

ギルド長「あそこのマスター、店員共々"『いつでも来てくれ、いつでもあの味で待っている』"だそうです」

銃士「…」

 
ギルド長「では、失礼します。皆さんもお元気で」ペコッ

錬金術師「あ、どうも…」

ガチャッ…バタンッ!!
 
 
銃士「…」

錬金術師「…」

銃士「はぁ…まさか、ギルド長自らが来るなんて思わなかった」

錬金術師「自分が思ってるより、ギルドにとってよっぽど大事な存在なんじゃないのか?」

銃士「ううん。あの人は、ああいう人なだけだと思う。ギルド長の中じゃ異質って言われてるから」

錬金術師「異質?」


銃士「あの人が率いるのはかなりの人数を誇る、中央東ギルド」
 
銃士「私みたいな下っ端一人を気に掛けるなんて、普通はあり得ないんだよ」

 
錬金術師「…へぇ。"長"っていえば、当たり障りなく普通にこういう事するもんだと思ってた」

銃士「人数が少ない所だと普通なんじゃないかな。でもうちは大所帯っていうか…ね」

錬金術師「ふーん…」


女店員「銃士さん、喫茶店のあの味とか言ってましたけど、どういう事なんですか?」 


銃士「あぁ、ギルドのある東部側には"冒険者が訪れる喫茶店"っていうのがあってさ」 
 
銃士「よく仲間と一緒に、ギルドに戻るついでによく足を運んでたんだ」


女店員「へぇ~冒険者の喫茶店かぁ」

錬金術師「うちだって、万人の為の錬金用品店だぞ」フンッ

女店員「その結果が親に弱みを握られたと」

錬金術師「ソウデスネ」

 
銃士「まぁとにかく!私は私が決めて辞めたまで。今更、戻りたいと駄々はこねない!」

錬金術師「…それでいいならいいんだが」

銃士「ほら、いいからさっさと仕事を教えてよ!」

錬金術師「ん、んむ。えーっとな…」

ペラッ…


錬金術師「とりあえず、銃士には付近の自然で適当な素材集め」

錬金術師「倒せる物なら倒して、採取できそうな物は採取。出来るだけ"モノ"を残してきてくれ」


銃士「あいっ、了解!」

女店員「…モノってなんですか?」

銃士「オブラートに包んでいえば、魔物の中身のこと」

女店員「」

 
錬金術師「血肉はやはり、新鮮かつカタチがそのままのほうが色々使えるしな」

錬金術師「あっ、でも…その場で崩したほうがいいものやらは分かってると思うし、その辺は任せる」


銃士「わかった。今はまだ、魔物や自然採取の種類に関しては特に指名はないってことでいいの?」

錬金術師「この付近での探索のお願いだし、そこまで強いのはいないし素材は限られてる。任せるよ」


銃士「わかった。周辺で自由に採取して来いって事ね」チャキンッ!


錬金術師「そういうこと。時間に関しては、できれば17、8時くらいまでに戻ってきてくれれば嬉しいかな」

銃士「把握したっ。それじゃあ…行ってきます!」

ガチャッ…バタンッ!


錬金術師「えーと次は、新人鉱夫」

新人鉱夫「はいっ!」

 
錬金術師「さっきの許可証使って、自分の判断で17,8時までに採れる鉱石とってきて。以上!」

新人鉱夫「わぁ~シンプルですね…」


錬金術師「鉱石に関しては、やっぱりお前のほうが目利き出来るし、どうにも言えん」

錬金術師「それに銃士は別の業務任せたし、深い階層もいけないだろう?」


新人鉱夫「自分の判断で、いける場所で採掘しろって事ですか?」

錬金術師「そうそう。いいだろ?」

新人鉱夫「わかりました。目に適う原石を、採掘してきてみます」ペコッ

錬金術師「うむ、気を付けてな」

新人鉱夫「はいっ。いってきます!」

ガチャッ、バタンッ…

 
錬金術師「…ふぅ」

女店員「な…何だかんだで、きちんと店長と店員ぽくなってきた気はする!」

錬金術師「気を使うのは好きじゃないんだが」

女店員「私にも、もっと気を使ってもよろしいのでは!」

錬金術師「気を使うくらいなら、雇ってなど…」

女店員「ちょっと」


…コンコン

女店員「!」

錬金術師「っと、今日はよく来客がいらっしゃる。どうぞ~」


ガチャッ

郵便屋「ちわーっス。お手紙預かってますので、お届けに参りましたー」

 
錬金術師「手紙?」

郵便屋「はい。こちらになりまっス」スッ

錬金術師「はいどーも。ハンコは?」

郵便屋「普通の手紙なんでいらねッス。ではこれでー」ペコッ

ガチャッ…バタンッ…


女店員「お客さんかと思ったら、郵便屋さんか」

錬金術師「つーか俺に手紙なんて珍しいな。誰だ?」ペラッ


"錬金術研究機関"


錬金術師「…ふむ」

 
女店員「あれ?この機関って…」

錬金術師「出した場所も隣町みたいだし、俺のいたところだな。錬成師いたとこだよ。行っただろ?」

女店員「うん」


錬金術師「錬成師からの手紙じゃなくて、研究機関としての手紙だな」

錬金術師「一体何の手紙だ。良い予感はしねえんだが…」


女店員「とりあえず開けてみたら?」

錬金術師「そうだな…」

ビリッ…ビリビリッ…、パサッ

 
錬金術師「えーと何よ…」

錬金術師「…」ジー

錬金術師「…」

錬金術師「…えっ」


女店員「何て書いてあるの?」

錬金術師「…ま、前さ…俺らが仕事ないか聞きにいったじゃん」

女店員「うん」

錬金術師「仕事出来たから来いっていうんだけど…」

女店員「えっ!いいことじゃない!」

 
錬金術師「いえ、いいことじゃないの」

女店員「えっ」


錬金術師「ん~となぁ…どっから説明するべきか…」

女店員「…?」


錬金術師「まず、研究機関ってのは世界にいくつも存在する」

錬金術師「それのトップが"中央国"にある"中央軍"の直属である"中央錬金術研究機関"なんだ」


女店員「ふむふむ」


錬金術師「中央にあるエリート学校を卒業すると、研究機関には滑り込んで入ることができる」

錬金術師「んで、そこの先生が1人倒れたから、教諭として手伝ってほしいらしい」

 
女店員「…はぁ」

錬金術師「…お前、意味わかってる?」

女店員「とりあえず、先生が倒れたから、代わりに入る的な…」

錬金術師「そう」

女店員「仕事なら、するっきゃないでしょ!」フンッ


錬金術師「店はどうするのよ」

女店員「あっ」

錬金術師「いつまでするかわからねーし、長いことやることになったらどうする?」

女店員「お店の経営が…」

錬金術師「さすがに店の面倒見つつ、先生の仕事なんかできねーぞ」

女店員「しかも中央国なんだよね…。かなり遠いし…」

錬金術師「悪いが今回の仕事はお断りだ。それに先生なんてガラじゃないもんね」

 
女店員「あはは…」


錬金術師「んーと、とりあえず…16時くらいまではアイツらも戻らないし」

錬金術師「ちと高いが、高速移動の馬車借りて断りをいれてくるわい」


女店員「そんな急いで返事出すの?」

錬金術師「こういうのは早いほうがいいの。そうした方が、機関としてもすぐに他の人にも連絡いれられるっしょ」

女店員「うん」

錬金術師「んじゃ店番頼むわ。サっといってくる」

女店員「はーいっ」

ガチャッ…バタンッ…

 
女店員(…先生、かぁ)

女店員(確かに腕だけ見たら超一流だし、向いてるとは思うんだけど…)

女店員(お店の切り盛りもあるし、店長がいなかったら"ただの雑貨店"になっちゃうからなぁ)

女店員(…上手く断れればいいんだけど)

女店員(まっ、店長がやりたいっていうなら…うん…)

…………
………
……

本日はここまでです、ありがとうございました。

皆様有難うございます。投下、開始致します。

 
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――――【 隣町・錬金術研究機関 】

…ガチャッ!!

錬金術師「うーっす」

錬成師「こんにち…って、先輩!」

機関長「おう、久しぶりだ」


錬金術師「機関長サマまでいらっしゃいましたか。っつか、アンタの手紙で来たんだけど」

機関長「あぁ、そうだったな」


練成師「…手紙?」

錬金術師「あぁ、お前は知らないのか。えっとな…」

 
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錬金術師「…っていうわけ」

錬成師「なるほど、中央のエリート学校錬金科の臨時講師ですか…」

錬金術師「俺には無理だから断りに来たの」


機関長「断るのか?報酬金…賃金も中央軍、つまり政府から出るし、悪くない仕事だぞ?」

錬金術師「俺には店があるっしょ。それにもう公的機関に属してないんですよ俺は」

機関長「短期間らしいし、経営に困ってると聞いたから悪くないと思ったんだがな」

錬金術師「すんませんね。他ぁあたって下さい。錬成師とかどうだ?」ハハハ

錬成師「か、勘弁してくださいよ、下手したら僕が教わる立場かもしれないんですから!」

錬金術師「ははっ」

 
機関長「ふーむ、てっきり受けてくれるとばかり思ってたが」

錬金術師「アンタがいくのはダメなのか?」

機関長「俺は俺で、政府に別途仕事がある。普段から留守にしてるだろう」

錬金術師「副機関長とか、上級錬成師とかもいるんじゃないのか?」

機関長「あいつらに勤まると思うか…」

錬金術師「無理っすわ」キッパリ

機関長「…だろ」
 
 
錬成師「やっぱり、先輩がやるしかないんじゃないですか!」

錬金術師「だから別に仕事あるだから無理なんです!断っといてね機関長」

機関長「ふーむ…困った」

錬金術師「人がいなくて困るのは、向こうの都合だし知らん」

機関長「いや、そうじゃなくてだな…」

錬金術師「ん?」

 
機関長「実は、お前の経営がひどすぎると聞いたので」

機関長「二つ返事で、君を推薦して、来ると伝えてしまっていてな…」


錬金術師「…何だって」


機関長「すまん!」

錬金術師「…一度、引き受けてしまったと」ピクピク

機関長「うむ…」

錬金術師「手紙で断りを済まそうとしたけど、直接出向いて断るべきですな…」ハァ

機関長「時間を取らせるようなマネをして本当にすまん…」

錬金術師「はぁ~…。まぁ、機関長も俺の事を思ってですし、仕方ないっすな」

機関長「本当にすまんかった…」

 
錬成師「先輩みたいのが先生なら少し面白い気もするんですけどねぇ」

錬金術師「無理無理。俺面倒くさがりなの知ってんだろ」

錬成師「はは、確かに」

錬金術師「つか、直接中央に行くとなると…だいぶ時間もとられるな」フゥ

錬成師「その間、お店は一時クローズですか?」

錬金術師「それなんだが…。少し前に改装工事で一旦閉じてるし、店員増えたし、閉めたくないのよ」

錬成師「店員も増えたんですか!それじゃ閉めるのも厳しいですね…。どうするんです?」


錬金術師「…」

錬金術師「機関長、錬成師を2日に1回、こっち側に貸してもらえませんかね。費用は機関もちで」


錬成師「へっ?」

機関長「な、なぬっ?」

 
錬金術師「もとはといえば、機関長がオーケーしてしまったこと。いいでしょ?」

機関長「ふーむ…そうだな…」


錬金術師「錬成師、悪いんだが2日に1回くらい、店に顔出してくれるか?」

錬金術師「店員が増えて、精製物やら錬成モンが増える予定なんだ。出来る事なら、手伝ってくれないか」


錬成師「えぇ、僕は構いません。機関長、よろしいですか?」

機関長「仕方なかろう。いいぞ」

錬成師「はいっ。では、お店のお手伝いに顔を出させていただきますね」

錬金術師「うむ、すまん」

錬成師「いえいえ」

 
錬金術師「んじゃ、俺はさっさと戻って店員らに報告するかなぁ」ウーン

錬成師「はい。一応、明日の朝からご挨拶には伺いますよ」

錬金術師「ん、頼んだ」


機関長「はぁ…、すまなかったな」

錬金術師「いいですって。それに中央本部とか久々ですし、錬金術の研究がてら行ってきますよ」

機関長「うむ…気を付けてな」

錬金術師「へいっ。では自分は店に戻るんで」ペコッ


錬成師「はい、気を付けてください~」

錬金術師「おう」

ギィィ…バタンッ!

………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 夜・錬金術師の店 】


錬金術師「…っていう事になった。突然の話ですまん」
 

銃士「…なるほど。中央に一回行かないとダメ、と」

新人鉱夫「本当にお話、受けなくていいんですか?」

女店員「はは…」


錬金術師「お話受けなくてイイも何も、店があるし、無理なモンは無理」

錬金術師「明日の朝、中央国に出発して、1週間くらいの期間を目安にして直接断りをいれてくるわ」


女店員「1週間か…結構かかるけど、戻るまでのお店はどうするの?」

錬金術師「まぁ店番だけならお前ができるだろうし、いいんだけど…」

女店員「だけど?」

錬金術師「修理やら錬金術の専門的なことに関しては未熟だし、何より免許すらねェ」

女店員「うん」

 
錬金術師「俺が留守の間、錬成師のやつが2日に1回くらいのペースで来てもらうことにした」

錬金術師「わからないことがあったら、そいつに聞いてくれ」


女店員「なるほど。うん、わかった」

銃士「錬成師?」


錬金術師「俺の属してた錬金術研究機関の後輩」

錬金術師「腕はそれなりだし、採取してきたもんも基本は保存とか製錬できるし。安心してくれ」


銃士「わかった。じゃあ、店長が離れている間…私は何をしていれば?」

新人鉱夫「僕も何をすればいいんでしょうか」


錬金術師「今日とやることは変わらないな。さっき言った通り、錬成師は基本なら商品クラスのものは作れるし」

銃士「わかった」

新人鉱夫「了解しました!」

 
錬金術師「じゃあ、よろしく。んでさ、今日採ってきた獲物とか見せてくれ」

銃士「私は外にあるよ。見に来て」

新人鉱夫「僕のは基本、鉄鉱石をメインにとってきたので倉庫にいれときました」

錬金術師「んじゃ、銃士のだけチェックしておくか」

ガチャッ、ギィィ…


銃士「えーとこれだね。小型のアウルベアがいたから、仕留めてきた」

銃士「あと、群生したのを見つけたんだけど…使えるかどうかは分からないから、アカノミとアオノミが1個ずつ」


錬金術師「群生した天然のアカノミとアオノミだと?」

銃士「山を切り分けて進んだんだけど、小さな水辺があって。そこに生ってたんだ」

錬金術師「…まじか。ただ、問題は味と質だな。条件によっては質が大きく落ちる」

銃士「だから1個ずつ。食べてみてよ」

 
錬金術師「そうだな。どれどれ」スッ

カリッ、シャリシャリ…

錬金術師「…」モグモグ

錬金術師「んぐ…ふむ…」ゴクンッ


銃士「どう?私も1個食べたんだけど、悪くはないかなって」

錬金術師「最高級品とまではいかないが、甘みは強いな」ペロッ

銃士「使えそう?」

錬金術師「充分。少しずつこれを精製して、ポーションやらにするのにもいいな」

銃士「よしっ!」

 
錬金術師「それじゃ今日は一旦、ここで解散。明日からいないが、各々よろしく頼むぞ」

銃士「うんっ」

新人鉱夫「はいっ!」

女店員「わかった!」


錬金術師「では、お疲れ様でした。俺はこのアウルベアの保存できるようにしてから帰るから」

銃士「手伝う?」

錬金術師「いや、いい。すぐ終わるしな」

銃士「そっか」


女店員「えーとそれじゃ、銃士さん、帰りましょうか?」

銃士「う、うん。シェアに少しずつ慣れてきたけど、少しまだこそばゆいな」ハハハ

女店員「えへへ、私も少しなんか変な感じです」

 
新人鉱夫「店長さん、僕は晩ごはんでも作っておきますよ」

女店員「あ、そっか。新人鉱夫くんは店長とシェアだもんね」

新人鉱夫「はいっ」

女店員「じゃあ…店長、新人鉱夫くん、また明日~!」


新人鉱夫「はーい!」

錬金術師「うい~」

…………
……

  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日・早朝 】

錬金術師「んじゃ、朝早いけど行ってくるわ。みんなによろしく言っといてくれ」

新人鉱夫「はい。気を付けて行ってきてくださいね」

錬金術師「うむ…」


タッタッタッタ…

女店員「はぁ…はぁ…、待って~!」

銃士「おーい!」

錬金術師「…おう?」


タタタタッ…ピタッ

女店員「はぁ~はぁ~…」

銃士「よかった、間に合ったな」

 
錬金術師「お前ら、朝早くわざわざ見送りに来てくれたんか?」

女店員「…当たり前でしょ!店長補佐の私が、見送りしないでどうするの!」

銃士「新人たるもの、店長が出かけるとなれば朝の早起きは当然…」
 
錬金術師「ははは、確かにそうだな!ありがとさん!」


女店員「それと…はいっ」ズイッ

錬金術師「ん?」

女店員「お弁当!朝ごはん!作ったの!」

錬金術師「…まじで」


女店員「どうせ朝ごはんも、バターピーナツとコーヒーとかで済ませようとしてたんでしょ!」

女店員「しっかり食べて、身体に気を付けてね!」


錬金術師「お、おう。悪いな…ありがとう」

女店員「うんっ」

 
錬金術師「んじゃ、行ってくるわー!」

女店員「いってらっしゃい!」

銃士「いってらっしゃい!」

新人鉱夫「いってらっしゃいませ!」

ザッザッザッザッザッ…

ザッザッザッ……

……………
………

……



………
……………


銃士「ふむ…行ってしまった、か」

女店員「うん」

銃士「はてさて、どうなることやら」

 
女店員「店長のことだし、うまく口車に乗せられて臨時職員とかになりそうだけど…」

銃士「そうなったら、しばらく会えなくなるんじゃないか」

女店員「まぁ店長だから…」

銃士「あぁ…」


新人鉱夫「僕は僕のできる事をしてるだけですっ」

女店員「私もかな。錬成師さんとやらも来るみたいだし、二人とも素材集めとか色々任せたからねっ!」

銃士「わかってるさ。日々鍛錬のもと、もっともっと凄い素材を採ってきて店を盛り上げようじゃないか」

新人鉱夫「少しずつ強くなって、一人で鉱石採掘も深く潜れるようになりたいなぁ」


女店員「少しでも成長して、お店を頑張って、店長を驚かせよっか!」アハハ

 
新人鉱夫「そうですね、頑張りましょう!」

銃士「そうだなっ!」

女店員「うん!」


…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・
・・・
・・

本日はここまでです、ありがとうございました。

皆様ありがとうございます。短めながら投下させていただきます。


女店員がじわじわデレてくるのが可愛いw

 
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――――【 2日後・中央軍直属・特待制 錬金師 養成学校 】

キーンコーンカーンコーン…

ザワザワ…ガヤガヤ…

錬金術師「さぁて、遠い道のりでしたが、やってきました特待学校!!」

錬金術師「…でけぇ!!」

錬金術師「けど…」チラッ


生徒たち「今日の授業難しかったな。製錬学自体は楽だけど、実践になるとなぁ」

生徒たち「生物学よりマシだろ。未だに生き物のエキスの抽出とか慣れねぇわ…」オエッ

生徒たち「金属加工は、下級鉱石と上級鉱石だとやっぱり差って大きく出たりしちゃうよなぁ。そこの差をさ…」

ザワザワ…ワイワイ…


錬金術師「…少し懐かしい気もするな。さっさと教員室探すかぁ」ウーン

 
トコトコトコ…

錬金術師「しかし広いな。道に迷う前に、仕方ねぇが…すいませーん!そこの君~!」

生徒「はーい?」
 
錬金術師「ちょっと聞きたい事があるんだけど、教員室はどこかな」

生徒「職員室ですか?それなら、北校舎の入口から入ってすぐ右ですよ」

錬金術師「おっ、ありがとう」

生徒「いえいえ。それではこれで」ペコッ

タッタッタッタッ…


錬金術師「北校舎ねぇ…」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 北校舎 教員室 】

…コンコン 

先生「どうぞー」

ガチャッ

錬金術師「失礼します。えーと…」

先生「はいはい、どうしましたか?」

錬金術師「臨時職員の件に関してなんですが、分かる方はいらっしゃいますか?」

先生「あぁ!校長室なら隣です!」

錬金術師「なるほど…、すいません失礼しました」

先生「いえいえー」


…バタンッ

 
錬金術師「校長室ね…えーと…」

トコトコ…ピタッ

錬金術師「ここね」

…コンコン


校長「どうぞ」


…ガチャッ

錬金術師「失礼します」

校長「おや、どなたですかな」

錬金術師「臨時職員の件について、お話をさせていただこうと思いまして」

校長「…あぁ、それじゃあなたが機関長のおっしゃっていた!」

 
錬金術師「そう…だと思いますけど、話を受けにきたわけじゃないんです」

校長「受けにきたわけではない?」

錬金術師「えぇ、今回のお話、お断りさせていただこうと」

校長「…お座りください」


錬金術師「失礼します」


………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


錬金術師「…というわけです。お店もあり、お話はお受けできません」

校長「なるほど…そういうことでしたか…」

錬金術師「申し訳ない」

校長「いえいえ、そういう事情なら全然かまいません」

錬金術師「そうですか、ご理解頂きありがとうございます」ペコッ


校長「しかし参ったな…」

錬金術師「やはり人手不足と?」

 
校長「いえ、国に申請を出して職員をもう1度募集してくるのが1週間前後かかるんですよ」

校長「先生はそれなりにおりますが…」


錬金術師「1週間か…。ちなみに、自分が担当するのは何でしたか?」


校長「総合分野を担当していた方だったので、ほぼ全ての分野を網羅しておりました」

校長「ですので、そこまでの人材となると募集にも時間がかかり…」


錬金術師「確かに全分野を抑えるには錬金師としてもそれなりのグレードが必要ですね」


校長「…1週間だけ、どうかお手伝いをしてもらえませんか」

校長「その後は別の臨時職員が来るよう手配しますので、どうか…」

 
錬金術師「1週間か…しかし…」

校長「そちらの機関長に聞いた話では、あなたは素晴らしい方で、右に出る者はいないと聞いていました」

錬金術師「…」ピクッ

校長「ぜひ、働いてほしかったのですが…。本当に誰よりも、美しい腕を持つと聞いていたので…」

錬金術師「…」ピクピクッ


校長「…お願いできませんでしょうか。どうか、1週間だけでも」ペコッ


錬金術師「い…1週間程度なら構いませんよ?」フフン

校長「本当ですか!」

錬金術師「…ですが!こほんっ、確認したいことがいくつか」チラッ

校長「何でしょうか」

 
錬金術師「自分はもう公的機関には属しておりません。それでもいいですか?」

錬金術師「もう1つは労働費用について。店の経営も考え、やや多めに費用も請求したい」

 
校長「機関長が推す人物ですし、国から認められたのも一緒、問題ないです」

校長「2つ目は、1週間で100万…いかがでしょう」


錬金術師「300万」

校長「!」


錬金術師「元とはいえ、マスターランクの遠征講演での1回の平均費用は100万」

錬金術師「それを考えれば安いこと、どうですか」

錬金術師(高いっつって止めてもらってもいいし、ふっかけとこ)

 
校長「…」

校長「…わかりました」


錬金術師「えっ」


校長「国からもお金が出ていますし、元々1か月300万の支払い予定でした」

校長「1週間では痛手ですが…、せっかく来ていただきましたので、お支払いします」ペコッ


錬金術師「…そ、そうだとも。そのくらいの心意気があってこそだと思います」


校長「いえいえ、マスター様があってこそです」

錬金術師「…あっ、そうそう。もう1つ条件があります」

校長「はい?」

 
錬金術師「俺がマスターだったって事は伏せて紹介してください」

錬金術師「国に認可されて特別に総合授業をできるみたいな紹介でいいんで」


校長「しかし、それは…」


錬金術師「機関に属していないマスターなんて、マスターじゃない」

錬金術師「それを飲めないなら、引き受けられません」


校長「…そうですか。わかりました、マスターとしては紹介はやめましょう」

錬金術師「頼みます」

校長「いえ、そのくらい」

 
カチッ…キーンコーンカーンコーン…


錬金術師「おっ」

校長「始業開始のベルですね。先ほどまで生徒は外にいましたでしょう」

錬金術師「あぁ、なるほど」


校長「本来、来てくれた日から授業は請け負う事になってたので…」

校長「今日から早速紹介、授業に入ってもらってもよろしいでしょうか」


錬金術師「いきなりですね。ん~…、っていうか、そうだ!!」ガタッ

校長「!?」ビクッ

錬金術師「俺、先生とかしたことないですよ!」

校長「あぁ…」

錬金術師「挨拶だのなんだの、授業開始とかわかりませんし!」

 
校長「それなら、サポート役の先生も付けます」

校長「授業の開始、終了はその方に従い、あとは教科書通りに進められるようにしましょう」


錬金術師「…なるほど、それなら出来そうだ」


校長「では早速。次の授業から担当して頂きましょうか」

校長「今、サポート役の方をお呼びしてきますので、授業内容について聞いてください」


錬金術師「わかりました」

校長「では、少しの間、お待ちください」ペコッ

ガチャッ…バタンッ!!

 
錬金術師「…」

錬金術師「どうして、こうなった」

…………
………

本日はここまでです、ありがとうございました。

>>73
…お早い!
ありがとうございますっ。

皆様有難うございます。
投下いたします。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ガチャッ!

校長「お待たせしました!」


術士先生「こ、こんにちわです」ペコッ

錬金術師「あ、どーも」


校長「こちらが貴方をサポートして頂く術士先生です」

校長「中央機関に属し、現在のランクは高位錬金術師になりますね」


錬金術師「ほぉ、高位ですか。女性ではあまり見かけませんよ、素晴らしいですね」

術士先生「い、いえいえ!そんな!」パタパタ

 
校長「術士先生、こちらは錬金術師の位をもつ…えー…」

錬金術師「店長です、よろしくお願いします」ニコッ

術士先生「店長さんですか?よろしくお願いします」ペコッ


校長「位は貴方より低いですが、国には認められた方です」

校長「総合の担当をして頂きますので、短い期間ですが仲良くやってください」


術士先生「はいっ、よろしくお願いします!」

錬金術師「よろしくおねがいします」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 北校舎2階 】

カツ、カツ、カツ…


錬金術師「きれいな校舎ですね」

術士先生「そうですね、生徒も素晴らしい子ばっかりで。私なんかすぐ抜かれちゃいそうです」

錬金術師「やはり特待生ということで、エリートばかりが?」

術士先生「はい。世界から集まってますが、2年生になると残っているのは20名くらいでしょうか」

錬金術師「…残る?」


術士先生「錬金師だけに限らず、冒険者や鍛冶の分野なども、中央特待学校はありますよね」

術士先生「全て蹴落とし式なので、万年1年生の子や、辞める子も大勢いるんです」

 
錬金術師「あぁ…」

術士先生「ですが2年生になると、選び抜かれた子たちですからねぇ…」

錬金術師「知力共々高い、と」

術士先生「そういうことです!」

錬金術師「2年生で合格点を貰うと、卒業なんですか?」

術士先生「そうですっ」


カツカツカツ…ピタッ

術士先生「えっと、ここが担当の教室になります。アシスタントはしますので、頑張りましょう!」


錬金術師「"総合学"の教室ねぇ…」

錬金術師「ってことは、俺は基本的にここにいて、来た生徒に教えればいいんですかね」

 
術士先生「総合は、実践から普通授業からありまして」

術士先生「他の教室に赴くこともありますが、日割り担当はえーと…こちらになります」ペラッ


錬金術師「…」

錬金術師「上位製錬学、上位生成学、属性理論、歴史学、実践Ⅱ、Ⅲ…」


術士先生「総合学教室ですからね、あとヘルプで呼ばれる事もあるかも…」

錬金術師「ちょっと待って、総合学科の担当する先生って、学校の地位だとどんくらいなんですかね」

術士先生「学校での地位ですか?」

錬金術師「校長が一番偉いなら、次に副校長とか、教頭とか…そういうやつです」

 
術士先生「政府に属している学校ですからねぇ…」

術士先生「総合学は、機関でもエースクラスが必要ですし、校長くらいありそうな…」


錬金術師「だと思った…。かなり、責任重大な立場な気が…」

術士先生「多分そうじゃないでしょうか」

錬金術師「…」

術士先生「ま、まぁ大丈夫ですよ!それじゃ、生徒も待ってますし教室に入りー…」

錬金術師「ま、待って待って!もう1つだけ!」ガシッ

術士先生「わわっ、何でしょうか?」


錬金術師「授業は、基本的な進め方とかあります?」

錬金術師「それとも…完全に俺任せですかね」

  
術士先生「1年生や2年生毎に授業と、今までやってた内容は違います」

術士先生「どこまでやってたかは、そのつど教えますので、あとは店長さんに任せますよっ」


錬金術師「そうですか、わかりました」

術士先生「では、入りますね。今の時間は2年生…エリートな子たちですよ~」

…ガラッ!!


錬金術師(一体俺は、ここで何をしてるんだろうか…。断りに来たはずだったんだが…)

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 教 室 】


術士先生「こんにちわー」

錬金術師「ちわー…」


生徒「起立!礼!」

ガタガタッ!!

生徒たち「…よろしくおねがいします!!」

生徒「着席!」

…ストンッ!


錬金術師「おふっ…」

 
術士先生「はい、えーとですね。先日、この総合教室を担当していた先生が抜けましたが」

術士先生「短い期間だけ、こちらの先生が担当することになりました」

術士先生「ご挨拶してください」


生徒たち「よろしくお願いします!」

錬金術師「よ、よろしく~…」


術士先生「私はサポートにつきますので、授業はこちらの先生に進めてもらいます」

術士先生「先生、ご挨拶を」


 
錬金術師「あ、えーと…」

生徒たち「…」

錬金術師「名前は…まぁ、店長先生とでも呼んでくれ…とか…?」


生徒「て、店長…ですか?」

錬金術師「うむ。あ~…そうだな、店長さんとでも呼んでくれ。先生とか堅苦しくなくていい」

生徒「し…しかし…」

錬金術師「つーか、重い空気は苦手なんで、軽い感じで!」


生徒たち「…」


錬金術師(…)

錬金術師(…この空気、なんとかしてくれ)

 
術士先生「て、店長先生とでも、店長さんとでも、自由に呼んでくださいね!」

術士先生「店長先生、今の授業は、こちらの教科書にありますこのページの…」


???「ちょっと待ってください!」ビシッ


術士先生「どうしました?えーと…」

白学士「白学士です。店長先生とやらに、ご質問したいことがあります」

術士先生「白学士さん、どうしました?」

錬金術師「俺に質問だ?」


白学士「…あなたは、本当に総合学担当なのでしょうか」

白学士「総合学は、"先生"として教える立場の少なさを補うために設けられた場所」

白学士「あらゆる分野に精通してこそ、できると存じます」

白学士「ですが、その…軽すぎる挨拶。そこまでの実力はあるように思えませんが…?」

 
錬金術師(はぁ~面倒くせぇ。どこにでもいるんだねぇ、こういうやつ…)


術士先生「こ、こら白学士さん!先生に向かって…」

白学士「貴方には聞いておりません」

術士先生「なっ、それが先生に…」


錬金術師「まぁまぁ術士先生。確かに俺への質問みたいだし、俺が答えましょう」

白学士「…よろしくお願いします」


錬金術師「まぁ、ぶっちゃけ俺の錬金師としての公式ランクは、公的機関じゃ存在しない」

錬金術師「あえてあげるなら…"錬金術師"だ」

 
…ザワッ!!
 
生徒たち「!」

白学士「なっ、れ…錬金術師!?ただの…ですか!?」


錬金術師「そうそう。そこのおっとりした術士先生より下なの」

白学士「ふ…ふざけてるんですか?」

錬金術師「あん?」


白学士「少なくとも、高位錬金術師クラス以上じゃないと授業は出来ないはずです!」

白学士「それをただの中位錬金術師が…出来ると思ってるんですか!」

白学士「人手不足とは聞いていましたが、まさか中位程度で総合学の担当なんて!」

 
錬金術師「…中位程度で悪かったですね!」

白学士「術士先生、本当にこの人が総合学の担当なんですか!?」ビシッ

術士先生「え、えぇ…。校長先生からも認可されて…」


白学士「あ…あり得ない…」

白学士「中央軍の、政府から直属を受けているこの特待学校で貴方のような…!」


錬金術師「じゃあみんな、教科書をひらいてー。次の項目これっすよね、術士先生」

術士先生「え、あ…そ、そうですけど」


白学士「は、話を聞いていない!!ちょっと!!」クワッ!


錬金術師「…はいはい。何よ今度は」ハァ

白学士「先生と認められません!術士先生に授業進行の立場を代わってください!」

 
錬金術師「いや無理だろ。確かに代ってもらいたいほど面倒だけど、仕事だもの」

白学士「め、面倒くさい!?」

錬金術師「あ、やっべ。…聞こえた?」ナハハ


白学士「み、みんな聞いたか!?今、僕らの授業を面倒くさいと!!」

ザワザワ…ガヤガヤ…

生徒たち「聞こえたぞ…俺らの事なんだと思ってるんだよ…」

生徒たち「やっぱり臨時講師なんてろくなもんじゃない…」

ワイワイ…


錬金術師「あらら…」

術士先生「ど、どうするんですかぁ~…」

錬金術師「はぁ…」

 
白学士「すみませんが、貴方の授業という限り、我々は授業を受けたくなど…!」

錬金術師「まぁ~待て。落ち着け。わかった」

白学士「…むっ」


錬金術師「面倒といったのは謝る。だから、授業としてやらせてくれ」

錬金術師「これでも仕事は仕事、やるときはしっかりやらせてもらうつもりだ」


白学士「…やる気があっても、所詮中位では授業の内容を把握出来ないんじゃないですか」フン

錬金術師「うん…そうだ、うん、そうか。わかった」

白学士「?」

錬金術師「この中で一番、今日の授業内容の"上位製錬学"、出来る奴は誰だ?」

 
ザワザワ…
 
生徒たち「一番出来るやつ…?」

生徒たち「やっぱ白学士かねぇ…」


白学士「…僕だと思いますよ、それが何か?」

錬金術師「白学士クンな。わかった。上位製錬学における質問を、俺にぶつけろ」

白学士「はい?」

錬金術師「全部答えてやる。その代わり、俺を先生と認めて、全員で授業を受けろ」

白学士「ふふん…答えられなかったら?」

錬金術師「今すぐ授業をやめて、出てってやるよ」

白学士「…いいでしょう」

本日はここまでです、有難うございました。

経営編、学園編パラレルワールドの話として2つやっても面白そうだな

>>126 に感化されて。

本日の更新はない予定でしたが、先ほどふと思いついたので、
某CM風にパラレルワールド的な展開で、1コマ作品を作ったので投下しておきます。

 
【 番外編 】


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2年A組\店長先生!/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


錬金術師「あー…」

錬金術師「えーと…、なんだ、その…」

錬金術師「面倒くさい、自習!!」


生徒「」


・・・・・・・・・・・・・・・

生徒A「この学校、大丈夫かな」

生徒B「俺も心配になってきた」


\初春によく合うレッドポーション、さわやか風味、出た!/

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2年A組\店員先生!/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


女店員「今日は、製錬の実践を行います」

女店員「まず、簡易かまどに火をつけます。えいっ、火炎魔法っ!!」パァッ


カッ…ドゴォォン!!!!


生徒「」


・・・・・・・・・・・・

生徒A「俺、これ以上服を燃やしたら親に怒られちゃうよ…」

生徒B「俺もだよ。気にすんな」


\真夏をぶっ飛ばせ、イエローポーション、出た!/

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2年A組\銃士先生!/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


銃士「生き残る為には、己の力を鍛えることが重要だ」

銃士「先ずは校庭30週!その後、銃の手入れからだ!」


生徒「」


・・・・・・・・・・・・・

生徒A「…錬金術、関係なくね?」

生徒B「俺、この学校もうやだよ…」


\食欲の秋といえば、ブルーポーション、新発売!/

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2年A組\新人先生!/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


新人鉱夫「あの…その…これで…」カァァ

新人鉱夫「えっと、まず…」ボソボソ

新人鉱夫「鉱山に実験材料を…採掘しに行きましょう…」ボソボソ


生徒「」


・・・・・・・・・・・・・・

生徒A「いや、それ俺らのやる事じゃないよね」

生徒B「そもそも声ちっちゃくて聞こえねえよ」


\真冬の季節はコタツで一杯、パープルポーション、発売!/

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
全校生徒\親父校長/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


親父「人生とは戦いだ。誰かを蹴落とし、勝利する。その為だけに生きていると思え!!」

親父「容赦をするな、友を裏切れ!そうした先に、本当の勝利がある!!」

親父「俺の学園から脱落してみろ…、家族共々…この街から消してやる…」ニタッ


生徒「」


・・・・・・・・・・・・・・

生徒A「母さん、夜逃げの準備進めてたよ」

生徒B「偶然だな。うちもなんだ」


\全ての季節を締めくくる、レインボーポーション、飲んでね!/




【 E N D 】

短めネタですが、ここまでです。ありがとうございました。

皆さま有難うございます。投下致します。

 
生徒たち「おぉ、いいなそれ!倒しちまえよ白学士!」

生徒たち「ボロボロにしてあげたら!」


白学士「…これでも上位製錬学は、1年の頃に先に勉強をしていて…」キラッ

錬金術師「いいから早く言えよ」


白学士「…」

白学士「じゃ、じゃあ!製錬学において、1.12硝酸塩に分類されている鉱石は!」ビシッ


錬金術師「重晶、天青、硫酸亜鉛、硬石、石膏、タンバン、シャリ」

錬金術師「アントレライト、ミョウバン、鉄ミョウバン、グリヴ、ポリィ」


白学士「ぐっ…正解です…」

錬金術師「ほら、次っ」

 
白学士「ギリシアにて生まれた、四大属性の相互変換理論と、もう1つの理論は何!?」ビシッ

錬金術師「"星と金属との照応思想の成立"」

白学士「…正解です」

錬金術師「基本じゃねえか。つーか上位精錬学関係ねえぞ」

白学士「むむ…」


錬金術師「しかしまぁ、お前…口だけじゃなくてそれなりに勉強はしてるみたいだな」

白学士「当たり前です!というか、ここにいる全員が基本という基本はやりつくしていますよ」


生徒たち「…」ゴゴゴ

 
錬金術師「ん~そうか。基本が出来てるか…」

錬金術師「…ふむ、よし」

…パンッ!!

錬金術師「うむ!わかった、戦いっつーのは疲れるし、ちょっと面白い話でもするか!」


白学士「面白い話?っていうか、勝手に話を変えないでー…」

錬金術師「…三原質、四大元素、七金属…お前らは知ってるよな?」


白学士「全く聞いてない!!」

白学士「それは…ギリシアにおいて思想し、現在の錬金術にも多大な影響を与えている流派の基本ですね」


錬金術師「正解。確かに、その3つは、ギリシアにおけるヘルメス学流派となって、今の基本だ」

錬金術師「だが…それが生まれた事で大きな問題も生じているんだ」


白学士「…問題ですか?」

 
錬金術師「ヘルメス学は基本と始祖にして最高峰。これが今、新たなカタチとして生まれ変わろうとしている」

白学士「新たなカタチ?」

錬金術師「"王者の法"というものは、聞いた事がないだろう」


白学士「王者の…」

術士先生「法…?」


錬金術師「王者の法というのは、現代における新たな"流派"の1つなんだ」


白学士「…聞いたことないですね」

術士先生「私も知りませんよ、何ですかそれ…?」

 
錬金術師「"エリクサー"、"黄金変換"」

錬金術師「この2つは錬金師としての最大の禁則事項…これは知ってるな」


白学士「当たり前です。人体実験が絡み、黄金の練成は著しく市場を破壊する。禁術ですよ!」

錬金術師「この禁術は、今も研究している団体がいる。」

白学士「は?そんなバカな…そんな団体が存在するわけ…」フン


錬金術師「"アルス・マグナ"」


白学士「…アルス・マグナ?」


錬金術師「現代錬金術としてエリクサーと黄金変換の2つを目標にし」

錬金術師「あらゆる非道を繰り返してきた思想団体、それがアルス・マグナだ」

錬金術師「そのアルス・マグナの考案した、エリクサーを含む現代錬金術…」

錬金術師「その新たなる思想と、技術の基本を示した流派こそ"王者の法"!」

 
白学士「…で、でたらめもいいとこですね!」

白学士「禁術の目標とした団体、アルスマグナ?その基本流派の王者の法?」

白学士「あはは…そんなものあるわけない、聞いたことないです!」


錬金術師「くく、そりゃ当たり前だ。表舞台にゃ絶対に出ない団体だしな」

白学士「…それが本当だして、なぜ貴方がそんな事を知っているんですか」

術士先生「私も、そんな話聞いたこともないですよ…」


錬金術師「だってこれ、基本的にマスターランクの技術を持つ人間しか参加できない機密事項でな…」

錬金術師「…」

錬金術師「…あっ。やべぇ、そうだった!!…ごめん、みんな。今の忘れて…」ハハ…

 
白学士「え…えぇぇっ!」

…ザワザワッ!!

生徒たち「な、なんだって!?」

生徒たち「聞いたかよ今の!」


術士先生「そ、それは言っちゃいけない話だったんじゃ!!」

錬金術師「だから忘れてって!俺、本当に追放されちゃうから、こんな話したってバレたら!!」

白学士「待ってください、マスターとか、本当に追放とか、あなた一体何なんですか!」

錬金術師「え、えっとそれは~…」タジッ

 
ガヤガヤ…

生徒たち「…本当なのか今の?」

生徒たち「あの人がマスター!?それにアルスマグナとか…一体…」

ザワザワ、ガヤガヤ…


錬金術師「あ~…やばいかね」ポリポリ

 
術士先生「…店長先生…。店長…錬金術師…、店長…」

術士先生「…!」ハッ

ゴソゴソ…、ペラペラペラッ!!

術士先生「!」ピタッ

術士先生「…」ジー

術士先生「…ッ」

術士先生「そ、そういうことでしたか…っ」

術士先生「…て、店長先生っ!!」プルプル


錬金術師「ん?」

 
術士先生「握手してください!!!」ギュウッ

錬金術師「おふっ?」


術士先生「まさか店長先生があの、最高純度96%のオリハルコンの精錬をし…」

術士先生「最年少でマスターになった、あの方だったなんて!!」


錬金術師「な、なんでそれをっっ!?」

術士先生「精錬学の教科書、150ページ!精錬学の歴史!!」ズイッ


錬金術師「な、なに!?」

錬金術師「ん~…?」シー゙ッ


"オリハルコンの最高純度の精錬を行った記録は、96%であり、とある青年が行った記録である"

"天才として名高く、最年少マスターとなった彼だったが、今は小さな錬金術の店をどこかで…"

 
錬金術師「…俺のことだーーー!?!?」

術士先生「すごいです!すごすぎます!!」


…ザワッ!!ガヤガヤ!!

白学士「ほ、本当にあの伝説が、店長先生なんですか!?」

生徒「まじかよ!!本物!?」

生徒「すげぇぇ!最初っから只者じゃねえなとは思ってたんだ…」


錬金術師「はは…やべえな」


白学士「…信じられない」

…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 校 長 室 】

ザワザワ…ガヤガヤ…

生徒「見える?あそこに座ってる人がそうなんだって!」

生徒「すげぇぇ…俺らにとって神様じゃん…」

生徒「凄いよね、あとでサインもらっちゃおう!」

ワイワイ…


錬金術師「…不味った…」ハァァ


校長「あなたが、まさかあのオリハルコンの方だったとは…」

校長「素晴らしい腕前をお持ちだったとは聞いておりましたが…」

校長「こうしてお会い出来て、本当に光栄です」ペコッ

 
錬金術師「いやそんな堅っ苦しい挨拶せんといてください」

術士先生「も、もう一度握手してください!」

錬金術師「はは…」

ギュッギュッ


校長「写真など見たことありませんでしたから、言われるまで気づきませんでした」

錬金術師「そりゃそうでしょうね、自分は極力、表に出ないようにしてましたから…」

校長「貴方のような方が臨時職員とは…、非常にうれしく思います」

錬金術師「いえいえ。でもこの騒ぎ…、うるさいのは苦手なんですがねぇ…」

校長「…そうですね。それぞれの先生方に、落ち着くように言うように指導してもらいましょうか」

 
錬金術師「んー…。いや、一々そんな事も言わなくていいでしょう」

錬金術師「そのうち収まるとは思いますし、1週間程度しかいませんからね」


校長「そうですか…」


錬金術師「はは、気にしないで下さいな。それじゃ、次の授業に行きますか」クルッ

術士先生「あっ、はい!」

錬金術師(やれやれ、どうなるんだか…)

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

カツ、カツ、カツ…

術士先生「…」キラキラ

錬金術師「…」

術士先生「…」キラキラ

錬金術師「…」タラッ

術士先生「…」キラキラ

 
錬金術師「…術士先生、そこまで見られると恥ずかしいんですが…」

術士先生「あっ、す、すいません!」

 
錬金術師「はぁ~不味い騒ぎになっちまった…」ブツブツ

術士先生「でも、尊敬しますよ!凄い方なんですから!」

錬金術師「…別に凄くなんかないですよ。それに、実質…社会的地位は貴方より下ですし」

術士先生「マスターさんが謙遜しないでください!」

錬金術師「もう、ただの中位錬金術師ですから」

術士先生「実力があれば、元とはいえ、マスターさんには変わりません!」


錬金術師「…」

錬金術師「…やっぱり、術士先生もいつかマスターランクを狙っているんですか?」


術士先生「出来る事なら、なりたいですよねぇ」

 
錬金術師「…いいもんじゃないですよ」

錬金術師「見えなくていい物も見える。いや、知ってしまう…見えない幸せだってある…」ハァ


術士先生「…え?」

錬金術師「あ、いや何でもないです!」

術士先生「…?」

錬金術師「はは…」


術士先生「…そういえば、さっき言ってた、アルスマグナって本当に存在するんですか?」

錬金術師「…」

術士先生「でも店長先生の言うことだし、本当なのかも…」

 
錬金術師「…術士先生。噂になるのはいい。ですが、貴方のような力のある人が、表であまり口にしちゃいけない」

術士先生「えっ?」

錬金術師「…」

…カツカツカツ…

術士先生「あ、待ってください!」


カツカツッ…

錬金術師(…くそっ、調子に乗りすぎた…)

………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 17時 】

キーンコーンカーンコーン…

生徒「起立!礼っ!」

生徒たち「ありがとうございましたっ!!」


錬金術師「はい、お粗末サン」

術士先生「皆さん、これで最後の授業でしたね。気をつけて帰るんですよ」


生徒たち「はいっ!」

生徒「さすがの授業でした、明日もよろしくお願いします!」

生徒「店長先生、タメになるお言葉の数々…ありがとうございましたぁっ!!」

 
錬金術師「へいへい」

ザワザワ…

ガヤガヤ…

………
……


……
………

…ストンッ!

錬金術師「はぁ~…全員帰ったか。一日終わった…。慣れないことしてドっと疲れた…」

術士先生「お疲れ様でした♪」

錬金術師「えーと…明日は何時にどこに来ればいいんです?」

術士先生「校長先生に挨拶をしたら、あとはココで待機でいいんじゃないでしょうか」

錬金術師「了解っす」

 
術士先生「店長先生、初めての授業とは思えないくらいに生徒の心を掴んでましたねぇ…」

錬金術師「多少有名だからって、面白がってるだけですよ」

術士先生「いえいえ!授業内容もしっかりわかりやすくて、独特の観点というか…」


錬金術師「実践は好きでしたけど、こういう頭に入れるのは嫌いでしてねぇ」

錬金術師「面倒くさくて、どうすれば楽に覚えられるかってのだけに絞ってたんで」ハハハ


術士先生「それって凄いことのような…」


錬金術師「って、あぁっ!!もう17時か…やばっ!!」ガタッ!

術士先生「!?」ビクッ

 
錬金術師「校長によろしくいっといてください!ちょっと急いで外出ます!」

術士先生「ど、どうしたんですか!?」

錬金術師「用事を思い出しました!では、明日もよろしくお願いします!」

術士先生「あ、は…はいっ!」

錬金術師「それでは!」

タッタッタッタッタッ…、ガラッ、バタンッ!!

術士先生「…」


…タタタタッ、ガラッ!!

錬金術師「…ただいま!」

術士先生「お、お帰りなさい?」

錬金術師「…忘れもの!!」

 
術士先生「あはは…何か忘れたんですか?」


錬金術師「…今日は有難うございました!サポート役が凄い楽で助かりました!」

錬金術師「その言葉を忘れてました!ありがとう!…ではっ!」ビシッ


術士先生「えっ!」


ガラッ、バタンッ!!タッタッタッタッタッ…


術士先生「…」

術士先生「素敵な、人…」ホウッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央都市 】

タタタタタッ…

錬金術師「はぁ…はぁ…。やばいやばい、もう夕方じゃねえか!」

錬金術師「泊まる場所…宿泊施設とか何も考えてなかった!」

錬金術師「今から泊まれるところあるか…、宿場はどこじゃああ!」

タッタッタッタッ…


錬金術師「学校から近いほうがいいし、連泊できる場所探さねぇと…」

錬金術師「くっそ、校長にでも聞いてきたほうがよかったか」

 
タタタタッ…

錬金術師「えーと…どこかいい場所は…」キョロキョロ


カツカツカツ…スッ…

???「…」

…チャキンッ

錬金術師「…ん?」

 
???「振り向かないで。動かないでください」


錬金術師(この感じ、銃か)

錬金術師「…何の用かな。金でもほしいのか」


???「まさか、中央に来ていただけるとは。だが、思ってた事とは違うようですね」

錬金術師「…何のことですかね。人違いでは」

???「てっきり、仲間になると思ってたんですけどね」

錬金術師「…だから、何のことだ」

???「まさか特待学校で、我々の存在を表に出すとは思いませんでした」

錬金術師「…お前、アルスマグナの下っ端か。情報が早いことで」ハァ

 
???「別に言われたからといって、どうもしませんけどね」

錬金術師「じゃあ背中に向けてる銃は何よ。怖いんだけど」

???「念のためですよ。我々は、貴方を決して軽く見たりはしませんから」

錬金術師「あぁそうですか。じゃあ早く銃をおろしてください。早く宿場見つけたいんで」

???「…」


錬金術師「…まだ、俺を仲間にしたいのか?」

???「貴方の腕と知識があれば、"エリクサー"は必ず出来る」


錬金術師「…アルスマグナに入会するのは断ったはず。その為に、マスターの地位も返還したはずだぞ」

錬金術師「つーか、そんな事に誘われるなら元々マスターの地位なんか断ってたんだけどね」

 
???「気は変わりませんか」

錬金術師「…気は変わらん。人体実験なんざ、気持ちが悪くてヘドがでる」

???「ふふ…この状態で強気な口を聞けるとは、さすがですね」

錬金術師「いいから宿場探させてくれ。今日のは悪かった、口が滑っただけだ」

???「もし、貴方が全てをしゃべっていたら問答無用で殺していた。その性格、直したほうがいいのでは」

錬金術師「余計なお世話だ!」


???「…中央に来た、それだけで我々は貴方を常に監視している」

???「下手な動きはしないことです。何もしなければ、命は保障する」

 
錬金術師「俺は本当に、特待学校の先生の手伝いをしにきただけだ」

錬金術師「お前らに手を貸すつもりもなければ、何をする気でもない。信じろ」


???「…信じますよ。貴方ほどの人間、殺すには惜しいですから」

錬金術師「銃を向けながら言うセリフですかね」

???「…まぁいいでしょう。それでは…」スッ


錬金術師「…」

錬金術師「…待て。お前、考えたら…」クルッ


街人「えっ?な、何ですか?」ビクッ

錬金術師「…人ごみに消えやがったか。すまん、何でもない」

 
街人「…そうですか。では…」


錬金術師「…」

錬金術師「うーん。穏やかじゃないねぇ…」ポリポリ


…カァ、カァ…

錬金術師「…やべっ!マジで暗くなってきた、早く宿場見つけねえと!」ダッ

タッタッタッタッタッタッ…

タッタッタッ…

……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 宿 場 】

…ドサッ!!

錬金術師「はぁ~!」

錬金術師「…」

錬金術師「疲れた一日だった…」


ゴソゴソ…トクトク…

錬金術師「お茶でも淹れて、少し休むか…」

 
カチッ、ゴォォォ…グツグツ…

錬金術師(しかし…、余計なことしてしまったな…)

錬金術師(調子に乗るの悪い癖、直さねぇと…本当に殺されかねん)


グツグツ…

錬金術師(…)


錬金術師(なんだか…火を見てると落ち着く…)

錬金術師(…眠ぃなぁ…)

錬金術師(ふぁ…)

錬金術師(…)

………
……

 
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本日はここまでです、ありがとうございました。

皆さま有難うございます。投下致します。

 

……
………
…………… 
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――――【 数年前・錬金術機関 】


マスター(店長)「…おい、早くもってこい!」

見習師(練成師)「先輩、待ってくださいよぉ!」

機関長「おいおい、大切な新人なんだから丁重に預かってくれよ」


マスター「見習師とか、適当に扱ってなんぼだろ」

マスター「そうじゃねえと、成長するもんもしねえっしょ」


機関長「しかしな…」

 
見習師「でも先輩…僕、最近…あまり寝てなくて辛いんですが……」

マスター「あぁっ!?」

見習師「ひぃっ!なんでもないです!」

マスター「さっさと言われたの持って来いっての!」

見習師「は、はいぃ!」

タッタッタッタッ…ガチャッ、バタンッ…


マスター「ふん」


機関長「…」

機関長「なぁ…」ハァ


マスター「何すか」

機関長「お前だって、何も知らない時期があったんだ。もっと優しくしてやれないのか?」

  
マスター「…」

機関長「どことなく、親父に似てきたな」

マスター「…はぁ!?あんなクソ親父と一緒にするんじゃねえよ!」

機関長「一緒じゃないか。下の者には厳しいばかりで」

マスター「親父とは違うだろうが!あいつは、厳しいばかりで…下に必要なことは教えないんだぜ!」

機関長「…それを見てきたのに、同じように騒ぎ、こき使うのか」


マスター「だから、違うっつってんだろ!俺は必要な事は教えてる!」

マスター「早く持ってくるのは当然のこと…、後輩に必要な技術を教えてるだろうがよ!」

マスター「親父は出来ない奴は切り、その間違えも教えなかった!俺とは違うだろ?な?」


機関長「…お前が俺の下についた時、あんな風に怒鳴り散らしても平気だったか?」

マスター「あ?」

 
機関長「お前が機関に入って2、3年足らずでマスターの地位まで上り詰めた」

機関長「親の血もあるんだろうが、悪いほうも引いているようだな」


マスター「…んだと」

機関長「俺から見れば、お前も親父も変わらん。お前の声…姿勢…全てが親父にそっくりじゃないか」

マスター「あ…あんなクソ野郎と一緒にすんなつってんだろうが!!この野郎!!」

ダダダダッ…、ブンッ!!!


???「…待ってください!」

…バキィッ!!

???「う゛あ゛っ!」

ドォンッ!!


マスター「…」

マスター「…!」

 
機関長「お、お前…」

 
見習師「…いたた…」

見習師「…」タラッ

見習師「あ、鼻血…」


機関長「だ、大丈夫か!何で出てきた!」ガバッ


マスター「…」


見習師「機関長が僕の代わりに殴られることなんてありませんから…」ニコッ

見習師「少し前から聞いてまして…ご、ごめんなさい…」

 
機関長「…っ」

マスター「…」


見習師「き、機関長、先輩には…教えてくれることは教えてもらってます」

見習師「僕がトロいのが悪いんですし…、そんなに先輩を咎めないでください…」アハハ…


機関長「お前ってやつは…」

マスター「…」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
親父「口答えするな!」ブンッ!!

社員「うあっ!」

親父「貴様が悪いのは明白、俺の会社に傷をつけやがって…。お前がトロいのが原因だ!」

社員「…も、申し訳ございません…申し訳ございません…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 
マスター「…」ギリッ

マスター「…ちょっと外に出てくるわ。機関長、見習師のこと頼んだ」クルッ


見習師「あっ、先輩!」

機関長「いいんだ」

ガチャッ…バタンッ…


見習師「先輩…」

機関長「見習師君は、もう少し怒ってもいいと思うんだがな」フム

 
見習師「尊敬する先輩ですし、さっき言った通り、教えてもらう事は教えてもらってます!」

見習師「僕のせいだというのなら、僕が殴られるくらいが丁度いいんです」


機関長「…やれやれ、大物になるぞお前は」

見習師「えへへ…」

…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ヒュウウッ…カァ、カァ…

マスター「…」

マスター「教えてるだけ、違うと思ってたが…まるで一緒じゃねえか…」

マスター「…」

マスター「…情けない」

マスター「手が出るまで、気付けなかったのか。何がマスターだ、親父と違う道に進んだというのに!!」

…ヒュウウッ!!


マスター「所詮、蛙の子は蛙ってか!」ハハハ!

 
マスター「はぁ…」


カツ、カツ、カツ…

マスター「ん…」

???「隣、いいですか」

マスター「…どーぞ」

???「ありがとうございます」

マスター「…見ない顔だな。客か何かか?」

???「まぁ、そんな所です」

マスター「ふーん…」

 
???「…用事があるのは貴方なんですけどね」

マスター「俺?」

???「はい」

マスター「何の用事だ」

???「ぶっちゃけて言いますと、スカウトです」

マスター「スカウトだ?」

???「はい」

マスター「錬金関係か」


???「貴方の出来る事といえば、それしかないでしょう」

マスター「失礼な奴だな。…どこのスカウトだ?いくつか来た事はあるが、お前は初顔だろ」

 
???「はは、そりゃ私は表舞台には顔を出しませんからね」


マスター「…表舞台だ?」ピクッ

マスター「何者だ、お前…」


アルス副機関長「…失礼。私は、機関"アルス・マグナ"に属し、副機関長をやっているのですが…」

マスター「アルスマグナ?」


アルス副機関長「ご存じないのも無理ありません。先ほど言った通り、表には出ない機関ですからね」フフッ

マスター「あぁ、全く聞いた事がないな」

アルス副機関長「…話、聞いて頂けますか」

マスター「いいぜ、話せ。暇つぶしくらいにはなりそうだ」クイッ

アルス副機関長「ありがとうございます。単純にいえば、我々の目的は"禁術"に挑むこと」

マスター「…何?」ピクッ

アルス副機関長「どうです?この一言で、興味がそそられるでしょう?」

 
マスター「…冗談だろ。闇魔術じゃあるまいし、監査の厳しい今、禁術を研究するのは無理だ」ハハハ!

アルス副機関長「無理なのは、"一般の機関"の話でしょう?」

マスター「…詳しく話せ」

アルス副機関長「…ふふ、興味をお持ちになったようだ」

マスター「一般機関の言い回しはどういう事だ。禁術の研究とは、黄金とエリクサーのことか!」

アルス副機関長「まぁまぁ、落ち着いてください」


マスター「…全部、聞かせてもらおうか」


アルス副機関長「勿論、そのつもりでしたから」

アルス副機関長「…我々アルスマグナは、実は…」


マスター「…」

……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

 
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――――【 中央都市・宿場(学校生活2日目) 】

モゾモゾ…ガバッ!!

錬金術師「…アルスマグナ、この野郎ぉっ!!」

錬金術師「ん…」

錬金術師「…」

錬金術師「夢、か…」

錬金術師「…くっそ、嫌な事思い出させやがって…」ハァ


シュウ…シュウ…


錬金術師「…」

錬金術師「お茶飲むためにお湯かけっぱなしで寝ちまってたのか」

錬金術師「安全装置がなかったら、大火事だったところだ。くそ…」

 
錬金術師「…」

錬金術師(つうか、よく考えたらおかしいんだよな。俺の情報が教科書に載ってるなんて…)

錬金術師(確かに機関の殿堂入りはしたが、名前も残さないように申請していたはず)

錬金術師(んーむ…)


…コンコン

錬金術師「あん?はーい、どーぞ…宿の人かね」

スッ…ペラッ…

錬金術師(ドアの隙間から、手紙?)

トコトコ…スッ

錬金術師「えーと…」


"神の手を持つ、錬金術師様へ。"アルス・マグナ...副機関長""


錬金術師「!」


 
ダダッ、ガチャッ!!

錬金術師「アルスマグナ…!そこか、この野郎!!」クワッ!

お客「!」ビクッ

錬金術師「…あっ」

お客「ひ、ひぃ…、な、なんでしょうか…」ビクビク


錬金術師「…」

錬金術師「ごほん。という、お芝居の練習です。迫真の演技でしたでしょう?」ニコッ


お客「は、はぁ…」ビクビク

錬金術師「失礼しましたぁ~…」

…バタンッ!!


錬金術師「…恥かかせやがって、アルスマグナの野郎!!」クワッ!!

錬金術師「…」

 
錬金術師「手紙とか…何だっつーんだよ!くそっ!」

ビリッ…

錬金術師「つーか、夢の次は現実かよ。悪夢の続きだわ…」ハァ

ビリビリッ…

錬金術師「えーと…」


"お久しぶりです。午後18時に、3丁目西側にある地下カフェにて待ちます"


錬金術師「…」

 
錬金術師「ちっ…、面倒くせぇな…」

錬金術師「…」

錬金術師「…そうじゃねえ。違うだろ、今の俺は」


錬金術師「あらら、面倒くさいことになっちゃって…」

錬金術師「くく…そうだな、うん」


モゾモゾ…パサッ

錬金術師「…とりあえず、学校に行きますかぁ…。すっかり仕事人だな、俺」

…………
……

本日はここまでです、有難うございました。

皆様有難うございます。投下いたします。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 特待錬金術学校 】


ガヤガヤ…ワイワイ…


術士先生「はいはーい、みなさん静かにしてください~」

錬金術師「まぁ多少うるさいくらいが丁度いいんですって」

術士先生「そ、そうなんですかね?」

錬金術師「いえ…冗談ですよ…」

術士先生「あ、じょ、冗談ですか!あはは…、みなさん静かにしてくださーい!」


生徒たち「はいっ」


錬金術師「えーと、今日の授業は…どこからでしたっけ術士先生」

 
術士先生「今日のは製錬実践ですね。簡易かまどがありますし、店長先生のはこちらです」グイッ

…ドスンッ!

錬金術師「なるほど。製錬する鉱石は?」

術士先生「それぞれ既に配布は終わってます。今日はクォーツですね」


錬金術師「ふむ。えーと…クォーツを製錬したことある人、挙手~」

生徒たち「…」シーン


錬金術師「…」

錬金術師「…いねぇの?」


???「…」スッ

 
錬金術師「おっ、なんだいるじゃん。えーと…」

白学士「…はい」

錬金術師「お前かよ!」

白学士「な、何ですかお前かよって!」

錬金術師「あ…いや。お前、クォーツを製錬したことあるのか?」

白学士「はい。少しですけど自分で準備して…」

錬金術師「製錬密度は?」

白学士「70%前後だと思われます」


錬金術師「なるほど。はーい、みんな拍手ー。さぁ白学士くん、前に出て製錬の手本おねがいしまーす」

白学士「ちょ、ちょっと!」

錬金術師「…できないのか?」

白学士「い、いえ出来るとは思いますけど…」

 
錬金術師「じゃあやってくれ」

白学士「こういうのは普通、先生が見本でやるもんじゃないんですか!」

錬金術師「えー…」

白学士「何て先生だ…。確かに僕がやってもいいですが…」

錬金術師「…が?」


白学士「元とか関係なく、マスターであった貴方がやる事で、もっと皆はやる気出すと思います」

白学士「…僕も、店長先生の製錬実践を見てみたいですし」


錬金術師「…そうなの?」

白学士「だと思います」


生徒たち「見てみたいです!先生!」

 
術士先生「店長先生、ここは是非!」

錬金術師「マジで」

術士先生「マジです!」

錬金術師「え~…、俺の製錬見たい人~」


生徒たち「はいっ!」

生徒たち「ぜひ!」

生徒たち「当たり前じゃないですか!」

白学士「…はい。見たいです」


錬金術師「…俺のこと、尊敬してる人~」

 
生徒たち「はいっ!」

生徒たち「当たり前です!」

生徒たち「目標の一人です!」

白学士「…悔しながら」


錬金術師「…」ピクピク

錬金術師「いいかお前ら。俺のことを幾ら尊敬し、褒めたとしても!!」

錬金術師「滅多に本気の製錬なんざ、見られないんだから、心して見ろよ!この野郎!」


術士先生「店長先生、嬉しそうな笑みが溢れんばかりの顔になってます…!」


生徒たち「ぜひ、見させて頂きます!!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
錬金術師「…まず、火をつけます。火炎魔法っ」ポウッ

ボォンッ!!ゴォォ…

錬金術師「クォーツの製錬は、その質によって最初に放つ火量が大きく違う」

錬金術師「教科書には"大きい物ほど火量は強くしろ"とあるが、原石の大きさじゃなくて"質"で変える」


生徒「質とは、その鉱石に含まれている、不純物と比べた時のクォーツ自体の割合でしょうか?」


錬金術師「正確にいえば、純度から大きさから、あらゆる観点から考察してこそなんだが…」

錬金術師「この鉱石は、お前の言った通り、大きさよりも"原石に含まれているクォーツ自体の割合を重視"で良い」


生徒「はい!」

 
錬金術師「さて、普通は"光るタイミング"によって製錬を終えるのは知ってるな?」

錬金術師「だが、この鉱石の場合は、光るタイミングまで待つと、脆く…崩れてしまう」

錬金術師「光る寸前を見極めること。それは体で覚えるしかないんだが…」
 
錬金術師「個体の大きさで、鉱石がとろけ出す瞬間を見定めろ。例えば俺のコレなら…」


…パチンッ

錬金術師「ここだ」

コロンッ…コロンコロン…、キランッ

錬金術師「…これで純度95%前後の製錬だ。キレイなもんだろ」

 
ザワザワ…

生徒たち「おぉ…すげぇ!」

生徒たち「でも、溶け出す前ってかなり難しくねえか…聞いたことねえよ…」

白学士「溶け出す前だったのか…。道理でいつも失敗してたと思った…」


錬金術師「この教科書にも、"溶け出して輝く瞬間"と、基本にあるが」

錬金術師「無限に存在する鉱石に、その全ては当て嵌まらん」

錬金術師「どうせこれも、この教科書を作った団体が、その答えに気づくかどうかの試験のつもりで書いて…」


術士先生「…店長先生?じゃあ、これって"生徒への問題"ですよね」

術士先生「言っちゃいけない事だったんじゃ?」

術士先生「っていうか、教員用の教科書には、ここは"問い"として出題しろって書いてありますが…」ペラッ


"クォーツの製錬に関し、課題として教授する"


錬金術師「…あっ」

 
術士先生「」

生徒たち「」


錬金術師「…教科書が間違っておる!こんな教科書なぞ役にたたんっっ!!」ビシッ


術士先生「教科書の存在を、根本から否定した!!」


生徒たち「すげえな、店長先生!」

生徒たち「さすがの生きる伝説だ!」

ザワザワ…!!

白学士「はは…むちゃくちゃだ…」

 
錬金術師「あ~…まぁ、問題の解答しちゃったし、コレも教えるか」

錬金術師「溶け出す前、見定めるのは難しいが、実は慣れるのに少し簡単な方法がある」


白学士「あるんですか?」


錬金術師「本来ならダメだが、棒か何かでつついて、柔らかさを見ろ」

錬金術師「そうすりゃ、タイミングもおのずとつかめてくる。色合いとか、そういうのもな」


白学士「いいんですか?つついたりしたら、製錬純度落ちますよ」


錬金術師「どうせなぁ…元々お前らは何も知らない状態だし、失敗しまくるんだろうが…」
 
錬金術師「だったら答えを見つけるために、犠牲をとってもいい」

錬金術師「意味のある犠牲を作ればいいんじゃないの、ってね」

 
術士先生「成功は失敗の母、ですね」


錬金術師「そうさな。一番やっちゃいけないのが、無駄に労力やらを使うことかねぇ」

錬金術師「最初から何でも出来る奴なんかいねえし…」

錬金術師「1回の失敗で覚える奴もいれば、1000回やっても覚えねえ奴はいる」

錬金術師「1000回全部を意味のある失敗にしろっていうのは変だが、」

錬金術師「自分の集中が続く限り、自分がどうすれば覚えるかって事を考えながらやることだな」


生徒たち「はい!」


錬金術師「実技でも、勉強でも、その中でどう上手くやれるかを考えつつやるといいんじゃねえかな」


白学士「…でも、先生」

錬金術師「はい、白学士クン」ビシッ

白学士「上手くやれる考えが簡単に出たら、苦労はしないと思うんですけどね…」

 
錬金術師「…バカか?」ハァッ

白学士「なっ!」

錬金術師「だから、俺らがいるんだろうが」

白学士「え?」


錬金術師「お前らの目の前にいるのは、術士先生やら、機関に属した"実績のある先輩"だぞ?」

錬金術師「何の為に学校にいる。何の為に先輩がいる。何の為に先生がいる」

錬金術師「アシストしてやるために、俺らはいるんだ。どう考えればいいか分からなかったら、聞けよ」


白学士「…」

生徒たち「…」


錬金術師「俺ぁ面倒くさがりで、少しできると粋がってたような人間でな」

錬金術師「まぁ人間らしい人間だと思う。だから、教えられると思う。面倒なことがわかってるから」

錬金術師「あっ…全員が面倒臭がりだとは思わないし、俺より立派な人間もいるのは分かってるがな」

 
術士先生「…」


錬金術師「ん~とな、まぁ、俺らを頼れ!ってことだ」

錬金術師「だけど、自分で考えるのはやめるな」

錬金術師「自分で考えるのをやめた時、そこで成長は終わる」

錬金術師「誰かの下について命令通り動くのは簡単だし、"学業"と"働く"ってことは、命令を聞く事だが…」


錬金術師「先生の言う事聞いて、ただ言われるがまま勉強する」

錬金術師「上司の命令を聞いて、ただ言われるがまま働く」

錬金術師「だけどな、そういう命令を聞くだけなら誰でもできる。だろ?」


錬金術師「命令に従っていれば、人は慣れるし、慣れも成長とは言える」

錬金術師「だが…」

錬金術師「"慣れ"だけの成長と、"慣れと自分の考え"を持った人間には、絶対に成長の差が生まれる」

錬金術師「当たり前の事を言ってると思うが、その当たり前に気付けないんだぜ、人間は」

 
術士先生「…当たり前の幸せには気付けないってことと一緒ですね」


錬金術師「まぁな。あと、成長するには…行動を起こさねばダメだ!という話をよく聞くが…」

錬金術師「ぶっちゃけ俺は、意識してるかしてないかだけでも、成長の度合いはすげー違うと思う」

錬金術師「あっ、今までのは全部、俺の考えだからな?適当に聞けよ?」


錬金術師「"実行してなんぼだ!"っていう人もいるが、実行するためには意識がいるべ?」

錬金術師「だから俺は、その"自分で考える事を常にどこかで意識する"ことが一番大事だと思う」

錬金術師「まぁ…お前ら全員、無意識にでも、その当たり前に気付いたから…」

錬金術師「この場所で、俺の話をこうして聞けているんだろうがな」ハハハ


生徒たち「…」

術士先生「…」


錬金術師「まっ、当たり前を意識して行動できるかどうか。今一度考えてみたらいいかもな」

 
錬金術師「だけどさぁ…もう1回いうけど、お前らも凄いと思うぜ。こうしてここで、俺の話を聞けていることとか…」

錬金術師「胸を張ってもいいんだぜ!?…なんてな」ハハハ

錬金術師「…っつーか、俺は何を言ってるんだ!!いってる俺もワケわかんなくなってきた!」

錬金術師「本題本題!ほら、さっさと実践しろ。自分で考えて、わかんねーことは聞け!」

錬金術師「…開始っ!」


生徒たち「…」

生徒たち「…はいっ!よろしくおねがいします!!」


錬金術師「!?」ビクッ

錬金術師「…ど、どうしたんだみんな…」


術士先生「…」クスッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

生徒たち「…小火炎魔法っ!」

生徒たち「もっとゆっくりやってみよう…」

ザワザワ…ワイワイ…


錬金術師「…」

術士先生「さすがですね、店長先生」

錬金術師「いや、俺は何もしてないんですけどね。適当にしゃべっただけで」

術士先生「…すごいですよ。羨ましいくらいの才能です。人を惹きつけるその才能…」

錬金術師「いえいえ!」

 
術士先生「店長先生、本当に素敵だと思います」

錬金術師「ははは!お世辞でもうれしいです、ありがとうございます!」

術士先生「…」


…………
………

  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 放課後 】

キーンコーンカーンコーン…


ガタガタッ…

生徒たち「お疲れ様でした!」

錬金術師「ういー」

術士先生「気を付けて帰ってくださいねー」

 
錬金術師「あ゛~…今日も1日が終わった!」

術士先生「店長先生はもう、完全に生徒たちの心はつかんでますね!」

錬金術師「いやいや。ん~、しかし…」

術士先生「どうしました?」

錬金術師「1年も2年も授業やりましたけど、ここから何人も蹴落として卒業なんですよね?」

術士先生「そうですね…」


錬金術師「…勿体ねぇな」ハァ

錬金術師「才能の差とか、できない子が現れるのは仕方無いとは思いますけど…」

錬金術師「選ばれた子供から更に選び、落とすなんて勿体ないお話ですわ」

 
術士先生「はい、私も本当にそう思います…」

錬金術師「まぁ抜けた子たちは抜けた子たちで、どっかに入れる実力あるんで大丈夫でしょーけどね」

術士先生「はい、そうですね…。心配も尽きませんが、仕方ないことですし…」

錬金術師「はは…、それじゃ俺もこれで帰ろうかな」ガタッ


術士先生「…」

術士先生「あ、あのっ!」


錬金術師「んあ?」

術士先生「この後、お暇なら、色々お話聞かせて頂きたいので…その…どこか…」モジモジ

錬金術師「あ~…」


術士先生「や、やる事があったり何か用事があったらいいんです!」

術士先生「あっ、やる事も用事も一緒ですね…あはは…」

 
錬金術師「…すんません。俺もお話したいんですけど、ちょっと用事がありまして」

錬金術師(これからアルスマグナの奴とお茶会なんていえるわけねぇ)


術士先生「あっ…そ、そうですよね…。すいません…」シュン

錬金術師「いえいえ、こちらこそ申し訳ない。ではっ」

術士先生「お疲れ様でした…」


カツカツカツ…

ガチャッ…バタンッ…


術士先生「…」ハァ


…ガチャッ!!

錬金術師「あっ、術士先生!そうだそうだ」

術士先生「ひあっ!?は、はい!」

 
錬金術師「今のところ、明日の放課後は予定ないんで、明日ならお付き合いしますよ」

錬金術師「…ではっ!」ビシッ

…バタンッ!!


術士先生「…」

術士先生「素敵な人…」ホウッ


…………
………

本日はここまでです、ありがとうございました。

>>230
成功が失敗の母になったらダメだと思う、、、

おふっ…ありがとうございます。
>>248
大変申し訳ないです。
>>230 「失敗は成功の母」ですね。ご指摘ありがとうございます。

>>249
>>239
最後は術士でいいんだよな?

皆様有難うございます。投下いたします。
>>250
申し訳ない…、店長のほうになります。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【  18時・中央都市 3丁目 地下カフェ 】

ガチャッ、ギィィ…

錬金術師「こんちわー。今、開いてるか?」

店主「いらっしゃい。と、言いたいけど…ここは20時からだよ」

錬金術師「…えっ?」

店主「すいませんね。あと2時間潰して、また来てください」


錬金術師「…」


店主「…どうしたんだい?」

 
錬金術師「…ここに、先に客人が1人来ていないか」

店主「何?」

錬金術師「いるはずなんだが」

店主「…どんな人物だい」

錬金術師「…錬金術師機関に属してる、副機関長だ」

店主「なるほど。もしかしてアンタ、店長サンかい」

錬金術師「…」ピクッ


店主「わかった、聞いてるよ。入りな、奥の扉だ」クイッ

錬金術師「まいったな、俺は有名人になっちまったのか」

店主「…ここはそういう場所だ。気にしなさんな、周りには漏らさんよ」

錬金術師「そうしてくれ」

 
カツカツカツ…

錬金術師「…ここだな?」

店主「あぁ」コクン

錬金術師「…」

…コンコン


「どうぞ」


ガチャッ…

錬金術師「…」

アルス副機関長「やぁ、待ってましたよ」ニコッ

錬金術師「…」

 
アルス副機関長「ふふ…嫌だな。久々に会ったのに、そんな顔しないでくださいよ」

錬金術師「こんな場所に呼んで、何の用事だ」

アルス副機関長「とりあえず座ってくださいよ。何か飲みます?」

錬金術師「…」

トコトコ…ストンッ


錬金術師「んじゃコーヒー。あと腹減ったからつまめる物、メニューどこよ」キョロキョロ

アルス副機関長「…相変わらずですね。肝が据わっている」

錬金術師「いやー内心ビクビクだわ。俺のこと調べ過ぎだろ」

アルス副機関長「…少し、丸くなりましたか?以前のトゲトゲしさがない気がします」

錬金術師「年取ったんじゃねえかな」

アルス副機関長「絡みやすくていいですけどね。以前の貴方は、いつも他人を寄せ付けないオーラがあった」

 
錬金術師「いいから腹減ったからメニューよこせ。おーい、店主!ドア開けて入って!」

…ガチャッ

店主「…ずいぶんな客人だな」

錬金術師「サンドイッチとか何かくれ。あとコーヒーね」

店主「わかったよ」

バタンッ!


錬金術師「ふん…」

アルス副機関長「ふふっ」

 
錬金術師「で、何の用事なの。俺は忙しいの」

アルス副機関長「久々に近くまで来てたようですし、会いたくなっただけですよ」

錬金術師「あっそ。で、本題は何」

アルス副機関長「…本当に会いたくなっただけですよ。それと…」

錬金術師「…それと?」


アルス副機関長「あなたのお店、立派でしたね。可愛い店員さんがいて…」

錬金術師「…」ガタッ

アルス副機関長「お店の切り盛り、大変そうでした。ですが、他の2人と力を合わせて、頑張ってるようでしたよ」

錬金術師「…調べたのか。何もしてないだろうな」グイッ

アルス副機関長「ただ、貴方の現状を知りたかっただけです。何もしませんよ」

錬金術師「てめぇ…あいつらに手出したら、本気でころ…」

 
アルス副機関長「おや?やっぱり、貴方の気の強さはそのままのようですね」

錬金術師「…っ」


アルス副機関長「落ち着いて座ってください」

アルス副機関長「ふふ、無駄ですって。自分の性格なんか、簡単に変わるもんじゃないんですから」


錬金術師「…そうかもな」ストンッ


アルス副機関長「親の血を嫌い、己を憎み、抑え、我々アルスマグナに翻弄されてマスターを降りた」

アルス副機関長「あなたの人生は、前途多難…、暇のしない人生そうです」


錬金術師「余計なお世話だっつーの」

アルス副機関長「ふふっ、申し訳ありません」

 
錬金術師「そのクソ機関は、まだ…禁術に挑んでるんだろ」

アルス副機関長「当然です。我らの目的は、それ以外にありません」

錬金術師「…」

アルス副機関長「でも、良かったですね」

錬金術師「あん?」


アルス副機関長「いえ、貴方が我らの機関名を漏らした話です」

錬金術師「…それの何が良かったんだ」

アルス副機関長「貴方が、我々の"根本"をうっかり口にしていたら、今、この世にはいなかったかもしれませんね」
 
錬金術師「"ねもと"…ね」

 
アルス副機関長「まだ覚えておりますか?私が貴方に会って、言ったこと」

錬金術師「なぜ監査が厳しい今の世界で、お前らが禁術が出来るのか…だろ」

アルス副機関長「考えれば簡単な話なんですけどね」


錬金術師「…まさか、アルスマグナが"中央政府の軍"の直接傘下だとは思わなかったぜ」


アルス副機関長「世界の中心である、政府の直属だったら…我々の思想も禁術ではない」

アルス副機関長「そういうことです」ニコッ

 
錬金術師「…何言ってやがる!人体実験も、金の生成も、社会を崩すだけだ!」

アルス副機関長「その社会を作っている中央政府の方針です」

錬金術師「腐ってるな…」

アルス副機関長「必要悪なんじゃないですか」

錬金術師「勝手に言ってろ」


アルス副機関長「まぁ少し話は変わりますが…」

アルス副機関長「我々の仲間になると思ってた貴方が、まさかマスターの地位を捨てるなんて思いませんでした」


錬金術師「…世界中に設けられた機関、地位の確立」

錬金術師「錬金術を安全に使う為、錬金術をもっと世に出す為の存在。嘘っぱちもいいとこだったな」

錬金術師「本来の目的は、政府が考案した、禁術を研究するのに優秀な錬金師を探すための手段だったってわけだ」

錬金術師「その真実を聞いたから、俺はすぐに機関をやめたんだ。…どうせ知ってるんだろ?」

 
アルス副機関長「…あなたが今教えている、その学校の生徒もいつか入るかもしれませんねぇ」

錬金術師「さぁな。俺は入らない、それだけだ」


アルス副機関長「…残念です。あなたほどの腕がありながら」


錬金術師「…」

錬金術師「機関長だから、マスターの地位だからと言って、アルスマグナに誘われるわけじゃないんだろ?」


アルス副機関長「…そうですね。実力さえあれば、地位には関係なく引っ張りますよ」

錬金術師「俺の実力は当時からそれなりだったはずだが、お前らはスカウトに来なかったな」


アルス副機関長「貴方の実力を知り、駆け付けた頃にはマスターだった…」

アルス副機関長「それだけです」

 
錬金術師「…」

アルス副機関長「…」


コンコン…ガチャッ

店主「ほらよ、コーヒーとサンドイッチだ」コトンッ

錬金術師「うい、有難うさん」

店主「…ごゆっくり」

ガチャッ、バタンッ!


錬金術師「愛想わりぃ店主だな。潰れるんじゃねえの」

アルス副機関長「ご心配なく。我々の行きつけのカフェですので。それに一般人にも人気もあるんですよ?」

 
錬金術師「…」グビッ

錬金術師「…なるほど、うめぇ」プハッ


アルス副機関長「…でしょう」ニコッ

錬金術師「まぁ俺はこれ食ったら帰るぜ」モグモグ

アルス副機関長「…あなたは今、こちらの手の中にいる事を忘れないでください」

錬金術師「脅しだな。わかってるよ」

アルス副機関長「貴方がそこまで間抜けとは思いませんが、貴方の存在は本当に怖いのです」

錬金術師「消そうとはしないのか」

アルス副機関長「怖い以上に、その腕は消すのに勿体ないということです」

錬金術師「だったら自由にさせろっつーの。何回言うんだよ」ハァ

 
アルス副機関長「…それとこれは別ですから」

錬金術師「あぁそう。んじゃ…食べ終わったし…ごちそうさん」ペロッ

アルス副機関長「…気が変わりましたら、いつでもココへ」

錬金術師「変わらねぇよ」

アルス副機関長「ふふっ、まぁいいですよ」

錬金術師「それじゃ。もう俺に構うんじゃねぇぞ…」

ガチャッ…バタンッ…


アルス副機関長「…」ニコッ

……………
………

 
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・・・・・・・・・・・・・
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・・・・
・・・
・・

本日は短めになりますが、ここまでです。ありがとうございました。

皆さま有難う御座います。投下致します。

 
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――――【 次の日(学校生活3日目) 】


錬金術師「3日目か…、ふわぁ…眠っ…」

…ガチャッ

術士先生「あっ、おはようございます!」

錬金術師「あ、おはようございます。早いっすね」

術士先生「この時間にはいるかなと思って。朝の授業の準備、お手伝いします♪」

錬金術師「お~助かります」

術士先生「このくらいっ」テレッ

 
錬金術師「…えーと。今日の放課後、どこかで話をしたいんでしたっけ?」

術士先生「えっ、あっ、じ…時間があれば!」

錬金術師「えーと…予定もないですし、行きましょうか。ただ、この辺の店とか俺、知らないですよ」

術士先生「じゃあ私が決めても、い…いいですか?」

錬金術師「あぁ是非。期待してますよ、なーんて」アハハ

術士先生「ひえっ!は、はいっ!」


ガチャッ…

錬金術師「ん?」

白学士「おはようございます」

錬金術師「白学士か。どうした、お前の今日の授業は6時限目だったはずだし…まだまだだぞ」

白学士「…聞きたいことがありまして」

錬金術師「聞きたいこと?」

 
白学士「この間、言ってくれたじゃないですか。"頼れ"って」

錬金術師「あぁ…。そうだったな、どうした」

白学士「その通り、先生に教えてほしい事が。どうすればもっと勉強ができるか、聞きに」

錬金術師「なんだって?」


白学士「…今の自分では、到底、貴方のような腕もなく、知識も持てないと思います」

白学士「貴方のように、何でも出来るような知識と腕が欲しいんです!」


錬金術師「ふむ…」


白学士「だから、どうすればもっと勉強がうまくいくのか」

白学士「どうすればもっと、貴方のようになれるのか。…頼らせてください」

 
錬金術師「俺のようになりたいって?」

白学士「…はい」

錬金術師「はっはっは、そりゃやめとけ。俺なんて適当に生きてる、面倒な人間だ」

白学士「でも、その実力は、誰もが認めるところじゃないですか!」

錬金術師「実力だけは俺みたくなりたいってか」

白学士「…は、はい」


錬金術師「ん~…。ん゛~…」ムムム

白学士「…どういう勉強をすれば、あなたの様に…なれるのでしょうか」

錬金術師「じゃあ…そうだな」

白学士「は、はい!」

 
錬金術師「…」
 
錬金術師「…やっぱ思い浮かばねーわ」タハハ


白学士「」


錬金術師「…俺の実力って言っても、人より少し知識があって、技術があるくらいだ」
 
錬金術師「そんなに敬うような存在じゃないと思うんだがなぁ」


白学士「…あなたのような実力があれば、僕も夢に近づけると思うんです」

錬金術師「夢?」

白学士「人の為に、役に立ちたいモノを作ってみたい」

錬金術師「…へぇ?」

白学士「そ、その…」

錬金術師「ん?」

 
白学士「う、うちの家系って、本当に出来る人が多かったんです」

錬金術師「…?」


白学士「僕には、2人の兄がいるのですが、兄は中央政府の部署で働いています」

白学士「…母、父ともに共働きで、同じく政府の部署で働くエリートで…」

白学士「物作りが好きで、よく家族にバカにされてました」


錬金術師「…」


白学士「だけど、僕は好きな道を進みたくて…家族の反対を押し切ってココへ来ました」

白学士「…友達には才能あるよと言われてますけど…。才能なんかないんですよ」

白学士「店長先生にも、よく出来ていたと褒められましたが…見てくださいコレ…」スッ


錬金術師「あん?」

術士先生「…?」

 
ボロッ…

白学士「…ッ」

ズキン…ズキン…


錬金術師「!」

術士先生「あっ…!」

錬金術師「な、なんて手だ…。これは火傷か…」

白学士「好きなことを続けるには、人よりも努力するしかなくて…」

錬金術師「…」

白学士「こんな僕ですけど…、僕は、僕の道で、人の役にたち…家族に認めてもらいたい!!」

錬金術師「…っ」

白学士「店長先生、お願いします。僕に、教授してください!」

 
錬金術師「…」

錬金術師「…焦らなくていいんじゃないか。お前には、あと1年近くの時間がある」


白学士「でも、店長先生はもう5日もいないじゃないですか!」

錬金術師「…お前さ」

白学士「はい!」
 
錬金術師「実力ってのは、すぐに身につくものじゃない。わかってるだろ?」

白学士「…そ、そうですけど」

錬金術師「焦らなくていいと思うぞ」

白学士「…」

錬金術師「それに、俺以外に優秀な先生はいるんだぜ?」

白学士「え?」

 
…ポンポン

術士先生「ひゃっ!」


錬金術師「この術士先生な、おっとりしてるが実力はあるし、生徒もよく見てると思う」

錬金術師「何事にも真剣に答えてくれると思うぞ」


術士先生「っ…」ヘナヘナ

錬金術師「あら?」


白学士「…術士先生は、確かに凄い方だと思いますけど…」

錬金術師「どうしても俺に教授願いたいってか?」

白学士「…」

錬金術師「失礼な奴ですねぇ、術士先生?評価下げちゃいますか?」ハハハ

術士先生「そ、そうなんですか?」

 
錬金術師「い、いや冗談ですよ…」

術士先生「あっ…あはは…」


錬金術師「ま、まぁ…白学士」ゴホンッ

白学士「はい」


錬金術師「実は俺もさ、お前と似たような境遇でな。家族はエリートなんだ」

錬金術師「だが、大嫌いだった父親と違う道を進むために、母親の錬金師としての道を選んだ」


白学士「…!」


錬金術師「だから、気持ちはわからんでもない」

錬金術師「そして、だからこそ焦るなといっているんだ」


白学士「…」

 
錬金術師「ハッキリ言って、お前と俺の違いは、"経験の差"があるだけだ」

白学士「経験の差…」


錬金術師「こればっかりは埋まるもんじゃない。学生の道なら、まずはしっかり学生としての仕事を果たせ」

錬金術師「あとな、俺もよく火傷を作るくらい熱中してたし、俺とお前は似てるかもしれんな」

錬金術師「いずれ俺のようになるかもしれんぞ?」


白学士「…」

錬金術師「…火傷することが良いとは言わないが、その努力で充分だ。お前は成長するぜ、きっと」

白学士「本当ですか…?」

 
錬金術師「…」

錬金術師「…さぁ」


白学士「!?」

術士先生「!?」


白学士「ちょ、ちょっと!?そこは普通、"あぁ、そうだ"とかじゃないんですか!」


錬金術師「よく考えたら、努力は嘘をつかないって言い切れないし…」

術士先生「ちょっ、店長先生!」


白学士「」


錬金術師「どっちかっつーとさ、"努力は人を裏切らない"っていうのが俺は好きなんだなぁ」

白学士「努力は人を裏切らない、ですか」

 
錬金術師「すっげー努力してさ、誰よりも努力したとして…だ」

白学士「はい」

錬金術師「それでも、それでも自分より凄い奴が出てきた。そしたらお前はどうする?」

白学士「自分の努力が足りなかったんだなと思います」

錬金術師「そう、納得するか?」

白学士「それしかないでしょうし…」


錬金術師「…努力は嘘をついたな。負けたんだから」

錬金術師「だけど、納得できた。次のステップアップの階段の道は開いた、だろ?」


白学士「あ…」


錬金術師「人の考えによっては"努力に裏切られた"かもしれんが」

錬金術師「少なくとも、次の自分のレベルアップへの道は開かれた。決して裏切ってはいない、そう思える」

錬金術師「まぁ、俺理論だから勝手な解釈だけど」

 
白学士「努力は人を裏切らない…か」


錬金術師「…俺だって、学校は少し悪くないなとは思ってるよ」

錬金術師「だけど、店には大事な仲間がいる。戻らなくちゃいけないわけだ」


白学士「そうですよね…。わかってたんですけど、どうしても教えてほしくて…。我侭言ってごめんなさい…」


錬金術師「…上手く言えたもんじゃねぇが、お前はお前自身、努力でそのまま進めば良い」

錬金術師「それは裏切ることはないはずだからな」

錬金術師「俺が見た限り、お前は結果は伴っている。俺も認めてるよ」


白学士「…はいっ」


錬金術師「じゃ、そのペースで頑張れ。俺は授業の準備すっからよ。早朝は俺らも大変なの!」

白学士「お時間取らせました。失礼します」

錬金術師「おう」

 
ガチャッ…バタンッ…

術士先生「…な、なんか、凄いやり取りでしたね」

錬金術師「いやいや、何を言ってるんですか。あんなの誰かの受け売りですって」ハハハ

術士先生「凄いと思います。でも、彼が納得する答えをよく導きましたね」

錬金術師「まぁ…」

術士先生「私なんか、教科書出して…どこがわからないの?って聞きそうでした」


錬金術師「問題がわからなかったら教科書を持ってくるでしょう」

錬金術師「それに表情が硬すぎた。何か真剣に相談してるなって思いましたし」


術士先生「なるほど…」

 
錬金術師「あ~、でも!アイツじゃなかったら、将来の展望まで…きちんと、答えてたかもしれないですね」

錬金術師「あんな投げやりな答えじゃなくて」ハハ


術士先生「えっ?白学士クンにも、将来的な部分まで答えてあげてもよかったんじゃないですか?」

錬金術師「だから、答えなかったのはアイツだからですよ。アイツ、バカなところあるんですよ」

術士先生「ば、ばか?」

錬金術師「何か指南したら、俺に全部従いますよ、アイツ。バカに素直なんですよ」

術士先生「!」


錬金術師「俺が禁術は良いぞ、すばらしい!…とか言ってみたら、どうなると思います?」

錬金術師「"なるほど、じゃあ目指します!"ってなるでしょうよ」

錬金術師「ああいう技術を持ち、立派な志がある人間には、俺は深く干渉したくないだけです」

 
術士先生「でもやっぱり、店長先生のような方が干渉してあげたほうが…」


錬金術師「…はは、どうしても指南したいなら、心から彼に向き合って、そうしてあげて下さい」

錬金術師「俺は、自分の駄目さも分かってるからこそ、深くまでは入りたくない。距離を置きたい」

錬金術師「今、先生としての仕事をしている身ですから…生徒のことも考えてそうしたんです」


術士先生「…」


錬金術師「ま、機関に属せなかったとか、万が一のことがあったら…」

錬金術師「俺が手助けするかもしれませんが」ハハハ


術士先生「白学士クンのこと、お気に入りなんですね」クスッ

錬金術師「いや苦手です」

術士先生「」

 
術士先生「そ、それにしては気にかけてらっしゃいますね?境遇が一緒だったから…ですか?」


錬金術師「いえ…確かに俺と境遇は一緒で、心にくる部分はありましたが…」

錬金術師「それとは別に、ある種、俺と間逆だから…ですかね。気にしたくないのに気にしてしまうのかも」

術士先生「え?」


錬金術師「気にしないでくださいな!…さっ、今日も1日頑張りましょう!」

術士先生「え…、あっ、はいっ!よろしくお願いします!」


…………
………

 

………
…………

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 放課後 】

キーンコーンカーンコーン…

ザワザワ…

術士先生「はーい、今日もお疲れ様でした。気を付けて帰ってくださいねー!」

生徒たち「はい、また明日よろしくお願いします!」

錬金術師「ういうい、お疲れサン」

ガチャッ、バタンッ…


錬金術師「はぁ~終わった終わった!」

術士先生「今日もお疲れ様でした」

  
錬金術師「そうですなぁ…。んじゃ、約束してましたし、行きますか?」

術士先生「!」

錬金術師「約束してたでしょ、放課後。どこかに一緒に行くって…してましたよね?」

術士先生「そ、そうですね!してます、してますしてます!!急ぎましょう!」

錬金術師「あ、いや…そんな急がなくても…」


術士先生「急いで荷物まとめたり、書類しまってきます!外で待っててください!」

術士先生「れ、レストランの予約をとったので…!」パタパタ


錬金術師「はは…了解っす」

…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央都市 中央通り 】


ガヤガヤ…ザワザワ…


錬金術師「ふわぁ~…眠い…。しかし、1日はあっという間ですねぇ」

術士先生「私は今日は落ち着きませんでした…」

錬金術師「どうしてです?」

術士先生「こうして一緒に歩いたり、食事とか、話出来るとか、本当に楽しみで…」

錬金術師「はは!そんなに緊張しなくていいですよ!」

術士先生「き、緊張しますよ~っ!」

錬金術師「俺なんか、ただの適当な人なんで。軽くいきましょ、軽く」

 
術士先生「うぅ…」

錬金術師「…えっと、どこに行くんですか?」

術士先生「あ、えーと…さっきも言いましたが、あそこの料理店の2階の予約をとっておいたんです」

錬金術師「あそこ?…あの、でかくて高そうなレストラン!?」


"Ristorante country town"


術士先生「だ、だめでしたか…?嫌ならすぐにでもキャンセルを…」アワワ


錬金術師「あっ、術士先生には似合いますけど、俺みたいなのに似合うかなーってことです」ハハハ

錬金術師「全然嫌とかじゃなくて、めっちゃ楽しみですよ、行きますか!」


術士先生「あっ…はい!」パァッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 レストラン カントリータウン・2階 】


ウェイター「どうぞ、こちらの席になります」ペコッ

…ストンッ

錬金術師「うおっ、窓際か。きれいなところですねぇ」

術士先生「ですねぇ…」

錬金術師「なんか立派に写真とか飾ってあるし。すげえな」

 
ウェイター「恐縮ながら説明させて頂きますと、あちらの写真は初代コック料理長になります」

ウェイター「今は2代目の名前を継いだコック料理長が務めておりますが」

ウェイター「元は小さな田舎町から始まり、現在は世界でも有名な料理店まで成長致しました」

ウェイター「隣に飾られてます写真が、初代料理長と2代目、そして最初の料理店になります」


錬金術師「田舎町…、だからカントリータウンって店名なのか」

ウェイター「…」ペコッ

錬金術師「すげぇ歴史ある店なんだな」

術士先生「高級そう…」


ウェイター「最高の味と、最高の時間を楽しんでいただきたくは思っておりますが…」

ウェイター「何を隠そう、当時は大衆食堂として開店をしておりました」

ウェイター「値段も当時のままですので、ぜひ、メニューをご覧になってください」スッ

本日はここまでです、有難う御座いました。

<Tips!>
今回、「アルスマグナ」という名称が出てきておりますが、
こちらは実際に『神秘的錬金術』の思想や、自らを神になるという思想のもとの錬金術です。
神話にしろ、史実にしろ、賢者の石と密接な関係にあり、
こちらを原案として使用してるため、他作品と類似してくる部分があります。

また、アルスマグナは
コンピュータの基礎になったという話や、ファンタジーには色濃く残る秘密結社の存在等が関連したりしています。

失礼しました。

皆さま有難うございます。投下致します。

 
錬金術師「どれどれ」ペラッ

錬金術師「…ほう。確かに優しい値段だ」


術士先生「…わっ、難しい料理ばっかりなのに値段が優しい」

錬金術師「えーと、何を頼みます?」

術士先生「店長先生が好きなものに合わせたいです」


錬金術師「えーと…んじゃ、ウェイターさんおすすめのコース料理とかあります?」

ウェイター「本日はこちらにありますディナーコースがお勧めになっております」

錬金術師「んじゃそれで。術士先生、ワインはどうします?」

術士先生「あ、お…お任せします!」


錬金術師「それじゃ、このコースの値段以下のワインでオススメあったらお願いします」

ウェイター「かしこまりました。少々お待ちください」ペコッ

カツカツカツ…

 
術士先生「…慣れてますね」

錬金術師「いやー全然ですよ。マナーというか、こういうのも叩き込まれたし…はは…」

術士先生「?」

錬金術師「あ、いやコッチの話です。で、何かお話しましょうか」


術士先生「そ、そうですね!えっと…」

錬金術師「…」ジー

術士先生「その…」

錬金術師「…」ジー

術士先生「あの…」

錬金術師「?」


術士先生「…っ」ボンッ!

 
錬金術師「ど、どうしました?」

術士先生「ちょっと恥ずかしすぎます!え、えっと、えっと…生徒とかで気になってる子とかいますか!」

錬金術師「生徒ですか?」

術士先生「こ、こんな時まで仕事の話とか花ないですよね!ごめんなさい!」


錬金術師「ははは、いえいえ。いやー生徒か…。思った以上に皆、出来る子ばっかでスゲェなぁと」

術士先生「店長先生から見ても、やっぱり出来る子が多いですか」

錬金術師「平均年齢15から17歳くらいですよね?若いのに凄い子ばっかですよ」

術士先生「そうなんですよねぇ…。店長先生はそのくらいの年齢の時、何してました?」

錬金術師「機関に属して、丁度マスターになったくらいだったかな~…」


術士先生「」


錬金術師「?」

 
術士先生「あはは…。そうでしたね、マスターさんになったくらいでしたね…。やっぱりすごいです…」

錬金術師「いや、すぐに辞めちゃったし、すごくもなんともないですよ」

術士先生「なぜ、お辞めになったんですか?」

錬金術師「…色々ありましてね。まっ、面倒くさいからが一番合ってるでしょうが」ハハ

術士先生「面倒くさいから地位を捨てるって…」


錬金術師「その頃はもっと、何ていうだろ…」

錬金術師「こう、喧嘩上等!みたいな熱血…いや、ただのバカか。そんな感じでしたね…」

錬金術師「もう社会なんて俺を中心に回ってるんだろっていう考えしか持てなかったっつーか…」


術士先生「若い頃から実力があったら、仕方無いと思いますよ」


錬金術師「仕方ないで済めばいいんですけどね。まぁ、機関をやめてから…」

錬金術師「機関のあった町から引越して、小さなお店を作ったんです」

 
術士先生「お店を?あぁ、だから店長さんでしたね!」

錬金術師「そうです。錬金術を生かした生活用品とか売ったり、たまたま来た冒険者の武器防具の修理をしたり」

術士先生「わぁ…楽しそうですね」

錬金術師「立ち上げのも理由があったんですが、女性を一人雇って、二人でのんびり2、3年くらいやってました」


術士先生「女性…ですか」ピクッ


錬金術師「俺が面倒くさがりで、外回りとか営業全部任せてたりしたら、よく怒られて」ハハハ

術士先生「…仲、いいんですね。お付き合いなんか…とか…ですか…」

錬金術師「はっはっは!まさか!俺のこと邪険にしてるような奴ですよ!」

術士先生「えっ、じゃあただの店長と店員の関係ですか?」パァッ


錬金術師「可愛らしい所も結構ありますけど、お互い、そこまで意識してないんじゃないですか」

錬金術師「っていうか…そんな事になったら雇った理由も話す事になるし、俺の事を恨むだろうし…」ボソッ

 
術士先生「えっ?」

錬金術師「あ、いや…何でもありません。まぁ…そんな感じで、お店も経営してる~ってことです!」ハハハ

術士先生「な、なるほど」


錬金術師「…術士先生も、凄いと思いますよ」

術士先生「えっ、私ですか?」

錬金術師「ここで先生をやって、しかも高位錬金術師とか…マスターも視野に入るじゃないですか」

術士先生「いえいえ、好きな事として、一生懸命やってきたら…この立場にいただけですよっ!」

錬金術師「充分、凄いことだと思います」

術士先生「そ、そうでしょうか…えへへ…」テレッ


錬金術師「術士先生は中央国出身なんですか?」

術士先生「あっ、えーと…そうですね。幼い頃からずっと中央国の中央都市に住んでます」

 
錬金術師「錬金術を始めたきっかけは?」

術士先生「昼間の白学士クンと一緒で、昔からモノを作るのが好きで、錬金術という技術があるのを知って勉強を…」

錬金術師「ってことは、今まで独学ですか?」

術士先生「子供の頃はそうでしたけど、途中でこの特待学校に入学したんです」

錬金術師「!」

術士先生「実は、この学校は母校で…。恩返しをしたくて、先生として入ったんです」エヘヘ


錬金術師「なるほど。尊敬致しますよ」

術士先生「そんな…」テレッ

錬金術師「ははっ」

 
術士先生「…そうだ、店長先生」

錬金術師「はい?」

術士先生「昼間に言ってた、白学士クンと"間逆"ってどういう意味ですか?」

錬金術師「あぁ…」

術士先生「急にお話が変わってしまって申し訳ないですが、少し頭に残ってて」


錬金術師「簡単ですよ。真っ白だからです」

術士先生「真っ白?」


錬金術師「俺は少なくとも、元々別の色に染まっていた人間だった」

錬金術師「その上で、技術や知識を得た。だから、他の事に興味が持てなかった」

錬金術師(…親父に従いたくなくて、一心不乱に前だけを目指した)

錬金術師(性格は真っ黒になって他人に関心も持てず…、挙句に後輩を殴りましたなんて言えねぇ)


術士先生「彼が真っ白、ですか」

 
錬金術師「あぁそうです。俺とアイツは違う」

錬金術師「確かに境遇は似てます。ですが、あいつは真っ白な状態のまま、技術と知識を得ている」

錬金術師「誰かが声をかけて、影響を与えたらすぐにその色に染まるでしょう」

錬金術師「…俺色に染めたくないだけですよ」


術士先生「そういう意味だったんですか…」

錬金術師「これでご理解頂ければ有難いです」ニコッ

術士先生「はいっ…」


カツカツカツ…スッ

ウェイター「失礼します。お待たせいたしました」

コトッ…コトッ…

トクトクッ…

 
錬金術師「ワインか。ありがとう。さっ…術士先生」スッ

術士先生「…はい」スッ


錬金術師「こんな素敵な場所に招待してくれて、有難うございます」

術士先生「私のほうこそ、色々聞けて本当にうれしいです」


錬金術師「俺たちも、素敵な夜になりますように…乾杯」

術士先生「乾杯っ…」ホウッ

…チィンッ…

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 その頃・錬金術師のお店 】


女店員「は…はっくしょん!」

女店員「さ、寒気が…」ゾワッ


銃士「風邪?今日は早くあがったほうがいいんじゃない?」

女店員「大丈夫です。今日はお客さん来てくれましたし、売り上げも上々ですし、頑張らないと」フンッ


銃士「店長がいなくなってから、妙にお客さんが増えたよねぇ…」

銃士「でもさ、忙しい時こそ、身体は資本なんだから…辛かったら休んでいいんだよ?」


女店員「このくらいっ!」フンッ

 
ゴソゴソ…

錬成師「僕にも、手伝える事があったら言ってくださいね」

銃士「充分役立ってくれてるよ。ライフポーション、マナポーションの生成もしてもらったし」

錬成師「これでも、先輩に比べてまだまだなんですけど」ヘヘッ

銃士「はは、確かに店長は凄いもんね」


タッタッタッ…

新人鉱夫「えっと、みなさん!」


女店員「どうしました?」

錬成師「?」

銃士「?」

 
新人鉱夫「勝手に店長さんの道具使ったんですけど、鍋をご用意したので食べませんか?」

錬成師「!」

銃士「へぇ、鍋か」

女店員「お夕飯代が浮く…じゃなくて、いいんですか?」


新人鉱夫「店長さんがいない間、力入れて頑張ろうって意味で作ったんですけど…生意気でしたかね…」アハハ…


銃士「何が生意気だ!嬉しいに決まってるじゃないか!」

グイッ…ポンポンッ

新人鉱夫「あわわ…」カァァ

 
女店員「皆さん、有難うございます。皆さんがいなかったら、どうなってたか…」

銃士「…これも縁のあるところ。みんな店長に惹かれたんじゃないかなぁ」

錬成師「きっと、そうじゃないでしょうか」

新人鉱夫「ですねっ…」


女店員「う~ん…じゃ、私も休憩しようかなぁ…」ググッ

女店員「よ~っし、いただこうかな!新人鉱夫くんの手料理♪」ガタッ

女店員「うん…」ハッ

女店員「…」


銃士「…ん?」


女店員「あ、いえ…。私がここに座っていても、やっぱりなんか変な感じですね」

女店員「立ち上がって周りを見渡す時、もう3日にもたつのに、まだ慣れませんよ」

 
銃士「…私もやっぱり、店長がいないとな変な気がするよ」ハハ

女店員「あはは、そうですね…マスコットですもんね」クスッ

新人鉱夫「早く帰って来るといいですね!」

錬成師「先輩…、何してるんだろうなぁ」


女店員「早く戻ってこーい、店長~!…な~んて…」


銃士「ふふっ、じゃあ倉庫側で食べようか」

新人鉱夫「お肉いっぱいですよ!」

女店員「楽しみですねぇ…」

錬成師「わぁ…」

………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央国・中央通り 】


錬金術師「へ…へっくしょん!!」

術士先生「風邪…ですか?大丈夫ですか?」

錬金術師「まだ梅雨前だというのに…夏風邪でも引いたかね。まぁ大丈夫ですよ」ズズッ

術士先生「そうですか…。なら、いいんですけど…」


錬金術師「それにしても、美味しかったですね。最高の時間でした」

術士先生「…お支払いとか、良かったんですか?私が予約したり、お願いしていたのに…」

錬金術師「その手間をとらせた分ってことで」ニカッ

術士先生「店長先生…」ホウッ

 
錬金術師「さて、俺の宿泊してるのはこっちなので…」

術士先生「あっ…は、はい。お疲れ様でした」

錬金術師「いえいえ。それじゃあ、明日もまた頑張りましょうね」

術士先生「はいっ!」

錬金術師「では~」ペコッ

術士先生「お疲れ様でした」ペコッ


トコトコトコ…

錬金術師「…」

 
トコトコ…

錬金術師「…」

錬金術師「…あっ」ピタッ

錬金術師「やっべ、明日の実践に必要な道具聞くの忘れてた…。術士先生、まだそこまで遠くに行ってないよな」クルッ

タッタッタッタッタッ…

錬金術師「どこにいった、術士先生…」

錬金術師「えーと…」キョロキョロ


術士先生「♪」


錬金術師「あ、いたいた。術士先生~!」

術士先生「…」

トコトコ…

 
錬金術師「…声届いてないのかね。仕方ねぇな…」

タッタッタッタッ…


術士先生「…」

トコトコ…スッ…


錬金術師「あっ…やべっ!裏通りに入ってったら見失う!」ダッ

タタタタタタッ!!

錬金術師「…いつっ!」ズキンッ

錬金術師「くそっ、スライムの傷も完治してないっちゅうに…」ズキズキ

 
タタタタタッ…クルッ

錬金術師「えっと、この通りに入ってったな…。つーか見覚えある通りだな…って」ハッ

"3丁目"カランッ

錬金術師「さ…3丁目…。嫌な場所に入ってくな、おい…」


ボソッ…


錬金術師「ん…」

ボソボソ…

錬金術師(術士先生の声か?ずいぶん小さな声でしゃべってるな…)スッ


術士先生「…で、…だから…」ボソボソ

???「ふむ、なるほど」


錬金術師(あれは術士先生と…誰だ…?随分とコソコソと…)

本日はここまでです、ありがとうございました。

皆さま有難う御座います。短めですが、投下致します。

 
術士先生「…で、はい。そうです」

???「ありがとうございます」

術士先生「…入手はしていません」

???「しかしまぁ、上手く聞き出せないものですね」

術士先生「…」


コソコソ…

錬金術師(あんま聞こえねぇな。だけどなんか妙に聞き覚えのある声が…。って!!)


術士先生「…かもしれませんけど」

アルス副機関長「ふふっ、そうかもしれませんね」


錬金術師(…あ、アルス副機関長!!)

 
術士先生「はい…そう、ですね」

アルス副機関長「ふむ…」


錬金術師(な、なんで術士先生とアルス副機関長が一緒に…)

錬金術師(…)

錬金術師(まさか…、まさかとは思うが…)


アルス副機関長「それじゃ、まだ引き続き頼みますよ」

術士先生「はい」

アルス副機関長「何としても、彼の情報をもっと引き出してください」

術士先生「…はい」

アルス副機関長「そうですね、彼をあきらめるには惜しい存在だ…ふふっ…」

術士先生「店長先生は本当に凄い方です。で、でも…」

 
錬金術師(っ~…!!)

錬金術師(やられた、迂闊だった…!まさか、学園内部までスパイがいるとは…!!)

錬金術師(そうか、考えたらおかしいはずだ。何で俺がアルスマグナの機関名を言ったのが初日にバレていたか…)

錬金術師(…待て、あの時間とあの速度…、あの日の俺を襲ったやつは…もしかして…)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…チャキッ

術士先生「…動かないでください」

錬金術師(この感じ…銃か…)

術士先生「アルスマグナです…」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 
錬金術師(そういうことか、そういうことか…!?)ドクンッ

錬金術師(い、いつからだ?これはいつから仕組まれていた…)

錬金術師(あのクソ機関は、あれでも副機関長を含めて頭がいい…)

錬金術師(…)

錬金術師(恐らくかなり前、俺がここに来るように考えて行動していたはず…)

錬金術師(と、すると…あいつらの作戦が始まったのは…)


アルス副機関長「貴方を、臨時講師として呼んだ時からですよ…先生」フフッ


錬金術師「!!」ゾワッ

ダダダダッ、コツッ、ズザザザァ!!ドシャア!!


アルス副機関長「うっわ、嫌ですね。そこまで驚かなくても…泥だらけじゃないですか」

術士先生「て、店長先生!?」

 
錬金術師「くっ、貴様ら…!」スクッ

アルス副機関長「…騙すつもりはなかったんですけどね」ハァ

術士先生「うっ、あう…」ブルッ


錬金術師「何が騙すつもりがないだ!!…俺としたことが、上手く乗せられてきたみたいだな」


アルス副機関長「貴方のお人好しは究極的だ。面倒面倒と言っても、やってくれますからね」

アルス副機関長「臨時講師のお話もこちらで準備したこと。あっ、貴方の機関長はそのことは知りませんよ」

アルス副機関長「…機関の研究で詰まって進めない所があったので、どうしても来てほしかったんです」

 
錬金術師「その事より、術士!今日のや、いつも積極的に話をしてきたのは、俺の弱みを握る為の策か!」

術士先生「そ…その…」グスッ


アルス副機関長「そりゃそうですよ、ねぇ?この人も忠実な、我らの仲間なんですから」ニコッ


錬金術師「…見損なったぞ、術士。学校への恩返や、生徒への思いは全部ウソだったんだな!」

錬金術師「くそっ…、自分が情けねえ…」

錬金術師「調子に乗って、こんな事にすら気づけなかったなんて…!」

 
術士先生「…っ」ダッ

タッタッタッタッ…


アルス副機関長「はぁ、申し訳ありません。ですが、やっぱり諦めきれないのです!」

アルス副機関長「貴方の弱みを握り、こちら側に従わせたかった!」バッ


錬金術師「…ぜってぇに俺は従わんぞ。反吐が出る…」

アルス副機関長「あと1歩…あと1歩なんです。貴方の力があれば、それができる!」

錬金術師「やらねぇよ!!」

アルス副機関長「女店員、新人鉱夫、銃士、錬成師…。ふふっ…」

錬金術師「…ッ」


アルス副機関長「…どうしますか」

錬金術師「…」

 
アルス副機関長「最近、貴方のお店は少し繁盛しているみたいと言いましたよねぇ?」

アルス副機関長「お客さんもいて、売り上げもあるみたいだし…ふふっ」


錬金術師「…」

アルス副機関長「いかがなさいますか?答えは分かっているでしょうが」

錬金術師「…」

アルス副機関長「…さぁ、どうしますか!」


錬金術師「…」

錬金術師「…俺はやらない。それだけは変えるつもりはない!!」

 
アルス副機関長「…残念です」

錬金術師「悪いな。人質だとか、そういうのに縛られる俺じゃねえんだよ」

アルス副機関長「…」

錬金術師「…」

アルス副機関長「本当に、残念ですよ…」クルッ


錬金術師「…待て」

アルス副機関長「なんでしょうか」

錬金術師「今回の先生の話、全部お前らが仕組んだことだったなら…降りても問題ないな?」

アルス副機関長「仕事を途中で降りるというのですか」

錬金術師「お前らが何する気かは知らないが…、仲間がピンチになりそうな時に先生をやると思うか?」

アルス副機関長「…強がりを言っても、やはり仲間は心配の様子ですね」

錬金術師「心配はするに決まってるだろうが。だが、お前には従わん」

 
アルス副機関長「…カマをかけただけです。何もしません。我々は、美しさをモットーに立ち回っておりますから」

錬金術師「何言ってやがる…犯罪集団が…」

アルス副機関長「本当に何もしません。残りの時間で、生徒たちを精一杯教えてあげてください」

錬金術師「…」


アルス副機関長「だから、何もしませんてば。貴方を動かせるかとカマをかけただけです」

錬金術師「…」

アルス副機関長「あと3,4日ですよね。がんばってください」

錬金術師「…ねぎらいの言葉、ありがとよ」


アルス副機関長「…では。失礼します」

アルス副機関長「ッッ…」ギリッ


カツカツカツカツ…

カツカツ…

 
錬金術師(…悪いが、お前らが一般人に手を出さない、出せないのは知っている)

錬金術師(カマなんかに乗らねぇよ。そして、残った時間、先生の仕事もしっかりさせてもらう)

錬金術師(術士先生…、残念だ…)

…………
……

  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

本日は短めながら、ここまでとなります。有難う御座いました。

皆様有難うございます。投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日・担当教室 】

…ガチャッ!

錬金術師「おはようございまーす」

錬金術師「…」

シーン…

錬金術師「やっぱり、いないか」


…コンコンッ

錬金術師「はい、どーぞ」

 
ガチャッ!

校長「どーもどーも!」

錬金術師「あっ、おはようございます」

校長「ちょっとお伝えすることがありましてね」

錬金術師「何スか?」

校長「今日から、術士先生は休暇を頂くそうなので、残りの日数は一人でやってもらっても?」

錬金術師「…」

校長「…」


錬金術師「…構いませんよ。まぁ、こうなるとは思ってましたし」


校長「そうですか!」ニコッ

校長「ありがとうございます、それでは残りの日数もよろしくお願いしますね!」

錬金術師「うい」


ガチャッ、バタンッ…!

 
錬金術師「…」

錬金術師「…"そうなると思っていた"って言葉に、反応はなしか」

錬金術師「真っ黒だな。笑えてくるくらいに」ククク


…ガチャッ!!

校長「あっ、そうでした言い忘れてました」

錬金術師「ふぁいっ!?」ビクッ


校長「残りの日数、頑張ってくださいね」ニコッ

錬金術師「…は、はぁ」

校長「…別にこちらから大きく仕掛ける事はありませんから」

錬金術師「…」ピクッ

 
校長「と、伝えてくれと言われますしたので」ニコニコ

錬金術師「…そうかい」

校長「では、先生として貴方の腕を期待しておりますよ」ニコニコ

錬金術師「はいよ」

校長「ではっ」

ガチャッ…バタンッ…


錬金術師「…」


…………
………

 
――結局、最後まで術士先生が姿を現すことはなかった。

だが、それからは何が起きるわけでもなく…

店長の学園生活の日々は、静かに、静かに過ぎていった。


そして、すべてが終えた8日目の朝…

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央国 8日目 】


ガチャッ…ギィィ…

錬金術師「失礼します」

校長「おおっ、店長先生!今日まで本当にお疲れ様でした!」ニコッ

錬金術師「…いえ」

校長「それでは約束の300万ゴールド…準備させて頂きました。どうぞ」

…ドンッ!


錬金術師「どーも」スッ

校長「…」ニコニコ


 
錬金術師「…ところで、術士先生はまだ休暇を?」


校長「あぁ、彼女ですか!彼女は家の都合で、しばらく休んでいるそうですよ!」

校長「お伝えしていませんでしたっけ?」


錬金術師「…そうでしたね」

錬金術師(適当なこと並べやがって…。ま、彼女をどうするわけでもないんだがな)


校長「…」ニコニコ

錬金術師「んじゃ、これで失礼します」ペコッ

校長「いやはや、また縁があれば、是非、我が校においでください!」

錬金術師「…」


カツカツカツ…ガチャッ…

 
バッ…バババッ!

生徒たち「…ありがとうございました!!」

錬金術師「おふっ」


生徒「本当に短い時間でしたが、店長先生との授業はとても分かりやすかったです」

生徒「僕らも将来、先生のように立派な錬金師となってみせます!」

生徒「ありがとうございましたぁ!!」

白学士「…ど、どうもでした…」ペコッ


錬金術師「…おう。励んで頑張れよ」


カツカツカツ…

>>370
言われますしたので?

 
白学士「…」

白学士「あ、あの…店長先生!!」


錬金術師「あん?」クルッ

白学士「先生はもう先生じゃなくなりますけど、分からない事が出来たら…また、聞きにいってもいいですか…」

錬金術師「お前それは面倒…」


生徒たち「…」ジッ

白学士「…」ジッ


錬金術師「なんかじゃねーわな。俺の店ぇいつでも来いよ!」バッ


白学士「!」

生徒たち「!」

 
錬金術師「待ってるぞ、生徒諸君。プロになって、俺の最高の後輩となれ…なぁんて…」


生徒たち「…はいっ!!」

白学士「はいっ!!」


錬金術師「…」

錬金術師「ま…先生も悪くなかったかな…」

錬金術師「ははっ…」

…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
その日…

店長は複雑な思いを噛みしめつつも、馬車に揺られて自分の店へと戻って行った。


そして―――…

本日はかなり短めでしたが、ここまでです。有難うございました。

>>375
申し訳ない、ご指摘感謝します。
校長「いわれましたので」 ですね。修正対象としておきます。

皆さま有難うございます。投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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――――【 朝 錬金術師のお店 】

…ガチャッ!

錬金術師「ただいま~」


女店員「!」

銃士「!」

新人鉱夫「!」


錬金術師「…ん?」


女店員「お帰りなさい、店長っ!!」ワッ!

銃士「お帰り、店長」

新人鉱夫「お帰りなさいです、店長さんっ!!」

 
錬金術師「お、おう」

カツカツカツ…ポンッ

女店員「…お帰りなさい。店長♪」ニコッ

錬金術師「…うむっ」


女店員「1週間くらいって話は聞いてたけど、少し長かったね。でも、先生の話はきちんと断ったんだ?」

錬金術師「え?」

女店員「え?」


錬金術師「…」

女店員「…」


錬金術師「…あぁ!!そうか!!」ポンッ

女店員「?」

  
錬金術師「いや、俺さ…。臨時講師やってきたんだよ」

女店員「!?」

銃士「!?」

新人鉱夫「!?」


女店員「ちょ…えっ!?先生をしたの!?」

錬金術師「1週間だけやってくれって言われてさ。金も積まれたし」

女店員「…そ、そんな気はしてたけど」

錬金術師「ほいっ」

ゴソッ…ドサッ!!


女店員「なぁに、これ?」

 
錬金術師「300万ゴールド」

女店員「…え?」

錬金術師「300万ゴールド」

女店員「さっ…」


錬金術師「袋に入って少ないように見えるけど、金貨だし大丈夫」

女店員「す、凄い…」

錬金術師「結構大変だったしなぁ…」ポリポリ

女店員「先生って、本当に店長が生徒教えたりしたの?ちゃんと出来たの?」

錬金術師「…どういう意味でしょうか」

 
銃士「はは…驚いたな」

新人鉱夫「でも、こうして戻ってきてくれてよかったです」

錬金術師「おう。新人鉱夫、俺の留守の間に店の開け閉めとかはやってくれたのか?」

新人鉱夫「鍵は女店員さんも管理してましたけど、寝泊りしてる倉庫の掃除とかはしておきました」

錬金術師「ふむ…」


女店員「みんなで鍋食べたり、楽しかったよ。ね~?」

銃士「うむ」

新人鉱夫「練成師さんも混ざって、楽しかったですよね」

 
錬金術師「何それずるい!俺には!」

女店員「へへーん!」

錬金術師「く、くそ~!」


新人鉱夫「今度つくりますからっ!」

錬金術師「ぜひ!」

新人鉱夫「任せてくださいっ!」


錬金術師「くそ~…。あっ、そうそう、話は変わるけど、今回手に入ったお金の使い道なんだけどさ」

女店員「何に使うんですか?」

錬金術師「ピーナツのさ…」

女店員「何に使うんですか?」

錬金術師「改造を…」

女店員「何に使うんですか?」

 
錬金術師「…」

女店員「…」


錬金術師「つ、使い方の予定は、新人鉱夫の為に少し倉庫イジって…」

錬金術師「ちゃんと休めるように、寝やすくするのも有りかなーと…ね?」

錬金術師「ぺったんこの布団だし、硬いし、寝にくいだろ」


新人鉱夫「そ、そんな事しなくても!」

錬金術師「だってさ、鉱員って疲れるし…寝泊りできる場所とかはしっかりほしいだろ?」

新人鉱夫「そ、それは~…」

錬金術師「はっはっは、任せとけ!」


女店員「うん、それがいいんじゃないかなっ」

女店員「…」

女店員「…あっ、そうだ!店長!」


錬金術師「ん?」

 
女店員「…見て、これ!」ズイッ

錬金術師「あん?」

女店員「収支!店長がいない間、お客さん来てくれて、売り上げも伸びたんだから!」

錬金術師「あ~…それは…」


女店員「…」キラキラ


錬金術師「…すげえな!俺じゃここまでのお客呼び込めないわ~」

女店員「えへへ、でしょおっ!」

錬金術師(アルスマグナがスパイの為に訪れてたんだろうが、この笑顔じゃ言えないわなぁ)

 
銃士「凄い頑張ってたよ、女店員」

新人鉱夫「毎晩遅くまで出納帳を書いたり、錬成師くんが使う道具の準備を進めたりしてましたね」

銃士「途中で風邪ひいたりしちゃってたけど、私たちも凄く楽だったなぁ」

新人鉱夫「全部仕事の分担を決めてもらってたし、店長は改めて凄い事してたんだなって褒めてましたよ!」


錬金術師「…」

女店員「ちょ、ちょっとみんな…」

錬金術師「…すげぇ頑張ってくれてたんだな。ありがとな、女店員」ポンッ

女店員「い、いえ!」

錬金術師「頭ナデナデしてやろうか」

女店員「な、なんでっ!」

 
錬金術師「まぁ、だが!俺が戻ってきたからには、安心してお前らも働くがよい!うははは!」


銃士「…」

女店員「…」

新人鉱夫「…」


錬金術師「…なんだお前ら、黙るなよ」


銃士「いやなんか…」

新人鉱夫「…ですね」

女店員「やっと、お店が戻ってきたって感じがしただけ♪」

 
錬金術師「…そ、そうか」

女店員「そうだっ。今回の先生のお話とか色々聞かせてよ!」

銃士「おっ、それは面白そうだね」

新人鉱夫「何かつまめるもの用意して、少しお話しましょうか!」

錬金術師「…久々にバターピーナツが食いてぇな。用意してくれるか?それと、話はあまり面白くないぞ?」

女店員「それでも聞きたいの!」


錬金術師「お、おう」

錬金術師(つっても、アルスマグナの事とかは言えねぇし、生徒との事とかさくっと話すかねえ)


女店員「…」ワクワク

 
錬金術師「んーとな、俺が最初に担当した生徒の中に、白学士ってやつがいてな…」

新人鉱夫「あっ、僕も聞きたいんですから、バターピーナツ準備してる間はまってくださいよう!」


錬金術師「それが面白いやつで…」

新人鉱夫「うぅ~っ!」

女店員「あはは…!」

銃士「ははっ…」

錬金術師「んでな…」

…………
………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
【 現時点でのお店の経営収支 】

■収入
・販売関連400万ゴールド
・臨時講師300万ゴールド


■支出
・バターピーナツ生成器40万ゴールド
・倉庫拡張費用70万ゴールド
・鉱山のバイト代10万ゴールド
・ポーション素材(アカノミの花/アカノミ)3万6000ゴールド
・火魔法耐性の金属片16万4000ゴールド

■収支合計
・710万ゴールド
(前回よりプラス360万ゴールド)

 
【 現時点でのお店の経営情報 】

■お店
・平屋1階建て
・少し広い倉庫

■店員関連
・店長補佐1名
・ハンター1名
・鉱石採掘師(鉱員)1名

■販売物
・採掘道具20万ゴールド
・鉱石類(鉄鋼1000、銀5万、エレクトラム20万ゴールド)
・ライフマナ回復ポーション5000ゴールド
・バターピーナツ(サービス)
・装備類の修理等(時価)

 

…………
………………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日 】


女店員「す、素敵っ…」キラキラ

錬金術師「ん~?」

女店員「見てよ、この収支…。大幅なプラス…」

錬金術師「あぁ…」

女店員「はわぁ…」キラキラ

錬金術師「まっ、これも俺の努力の賜物であってだな…」フンッ

 
女店員「だねっ!さすが店長っ!」

錬金術師「おふっ?…いつもの叱咤はないの?調子に乗るな!とか」

女店員「こればっかりは、店長が店長自身で得たものだし、文句の言いようもないよ」ニコッ


錬金術師「…」プルプル

錬金術師「う…うははは!思い知ったか、これを機に俺を敬うがよい!崇めるがよい!」

錬金術師「これこそ俺の本気…、つまり本気を出せばしばらく働かなくてもいいのだ!だから昼寝をするぞ!」


女店員「…」ニコッ

錬金術師「…」

女店員「…」

トコトコ…、ゴソゴソ


錬金術師「…女店員さん?」

 
女店員「…よいしょ」グッ

錬金術師「あの~…それは、かまど修理用の巨大ハンマーで…」

女店員「バターピーナツ生成するやつ、どこだったっけ」

トコトコ…

錬金術師「わーわー!!嘘です、働きます!!!冗談です!!」バッ

グイッ、ズリズリ…!!


女店員「ちょっ、服にしがみ付かないで!!ずり落ちる!!」

錬金術師「だったらハンマー離して!冗談だって、働くって!!」

女店員「離すから離して!!下着が見える、ちょっ、こらーーー!」ズリズリ

錬金術師「うおおお、離さねえぞ!!」

女店員「きゃー!!きゃーーー!!!」

 
…コケッ

女店員「あっ」

ドォン!!

錬金術師「おあぁっ!!」

女店員「きゃあっ!!」

モクモク…


錬金術師「あいててて…」

女店員「もーっ!!何すんの!」

錬金術師「お前がハンマー持ち出すからだろうが!」

女店員「ちゃんと働かないっていうからぁ!っていうか、覆いかぶさらないでよぉ!」

 
錬金術師「し、仕方ないだろ!今どけるっつーの!」ググッ

女店員「っていうか…あっ…」ハッ


錬金術師「あん?」

錬金術師「…」

錬金術師「…おふっ」


女店員「ズ、ズボンが落ちて…る…」

錬金術師「…ほほう。いいご趣味で…」ジー

女店員「この…天誅っ!!」クワッ!

ブンッ…ボゴォッ!!

錬金術師「ぐほっ!?」

…ドサッ

 
女店員「きゃあっ!重い!」

錬金術師「お、お前…みぞおちは反則…」ビクンビクン

女店員「上に乗らないで、暴れないでよぉ!」カァッ

錬金術師「おま…え…が…」プルプル

女店員「ズボンも穿けてないし、ちょっ…」


…カタンッ!!


女店員「…はっ!?」

女店員「…」

女店員「…」チラッ


銃士「…」ジー

新人鉱夫「…」ジー

 
女店員「…」

錬金術師「…あ、ハロー」


新人鉱夫「な、何やってるんですかアレ…」カァァ

銃士「…頼まれた買い物は終わったけど、また外に出ようか」クルッ

新人鉱夫「そ、そうですか!」クルッ


女店員「あ、あぁぁ!待ってぇぇ!違う、誤解ぃ!!」

錬金術師「行ってらっしゃ~い」フリフリ

女店員「こらぁぁ、店長!!」

………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

女店員「朝からドっと疲れた…」ゼェゼェ

錬金術師「はっはっは!」

女店員「うぅ…」


銃士「なんか、たった10日前後だったのに、今みたいなやり取りが凄い懐かしく感じたよ」

新人鉱夫「…」モジモジ

銃士「…新人鉱夫?」


女店員「どうしたの?」

 
新人鉱夫「な、なんでもないです…」

錬金術師「…女店員の、あられもない姿が目に焼き付いちゃった?」

女店員「なっ…」カァッ


新人鉱夫「ち、ちがっ!」

錬金術師「男の子だからねぇぇ、仕方ないよねぇ」

新人鉱夫「うぅ…」


女店員「あ…あはは…。ご、ごめんねぇ」

新人鉱夫「い、いえ…」

 
錬金術師「まぁいいじゃないの、減るもんじゃないし!」

女店員「それ私のセリフ」

錬金術師「さて!改めて、おはようございます諸君!」

女店員「聞きなさいよ」


銃士「おはよ~」

新人鉱夫「おはようございます!」

女店員「はぁ…おはよう」


錬金術師「今日からは俺が、ビシバシ仕事を指示するんでよろしく!」

 
銃士「期待してるよ!」

新人鉱夫「指示してください!」

女店員「はぁ…」


錬金術師「では…」スゥゥ

錬金術師「まず、最初に…!」

…コンコン


錬金術師「」ズルッ

 
銃士「おや、お客さんかな」

女店員「いつもより早いお客さんだ…最近来てくれてた人じゃないのかな?」

新人鉱夫「錬成師さんじゃないですか?」

錬金術師「いつものパターンですね!…はいどーぞ!!いらっしゃいませ!!」


…ガチャッ、ギィィ…

???「失礼します…」


錬金術師「!」

錬金術師「あっ…?お、お前…」


???「…」


女店員「…どなた?」

本日はここまでです。有難うございました。

皆様有難うございます。投下致します。

 
錬金術師「…し、白学士…!お前、どうしてここに…」

白学士「店長先生…」

錬金術師「お前、学校はどうしたんだ…。何でココにいる!?」

女店員「白学士って、昨日、店長が言ってた?」

錬金術師「そ、その白学士だ…が…」


白学士「て…店長先生!!」

錬金術師「どうした」


白学士"「…術士先生を、助けてください!」"

 
錬金術師「…あん?」

白学士「ごほっ、ごほごほっ!」

錬金術師「…落ち着け、白学士。女店員、お茶を頼む」

女店員「う、うん」


錬金術師「白学士、こっちだ。倉庫側だが、椅子を出す。少し休んでから話をしてくれ」

白学士「は…はいっ…」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

グビッ…コトッ

白学士「…」

錬金術師「落ち着けたか」

白学士「…はい。ありがとうございます」


錬金術師「一体どういうことだ。話してくれ」

白学士「え、えっと…その…」

錬金術師「ゆっくりでいい。何があったか、教えてくれ」


白学士「は、はい。店長先生が帰った日のことです」

白学士「僕は、錬金術の道具を買いに裏通りを通ってたんです。そしたらその時…」

 

……
………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

トコトコ…

白学士「…」

…ボソボソ

白学士「…おや?」

白学士(話し声…。誰か怒鳴ってる?)


術士先生「…もう嫌なんです!」

???「だからと言って、逃げる事はないでしょう」

 
白学士(あれって…術士先生!しばらく休むって校長が言ってたけど…なんでこんな所に…)


術士先生「て…店長先生には嫌われるし、子供たちにも会えない!自由にさせてください!」


???「落ち着くまでは、本部の中にいてください」

???「生活自体の不自由はさせないですし、その辺の高級宿よりよっぽどいい部屋ですよ」


術士先生「これ以上、自由を奪うなら…私は組織を抜けますよ!アルス副機関長!」

アルス副機関長「…それは困りましたね。ですが、ルールはルール。従ってください」


白学士(一体…何の話…。アルスマグナって聞こえたような…。っていうか副機関長!?)


術士先生「アルスマグナには、私の求めるものはないんです!」

アルス副機関長「なかったとしても、我々には関係ない。これからも組織の為に尽くしてください」

術士先生「私は学校に恩返しをしたいだけです!」

アルス副機関長「学校に先生として認める代わりに、貴方はアルスマグナに入ることを承諾した。そうでしたよね?」


白学士(アルスマグナって…術士先生が…!?)

 
術士先生「そ、そうですけど…っ」

アルス副機関長「確かに先生の仕事だけで充分でしたが、貴方の店長への想いは危険すぎる」

術士先生「そんなんじゃっ…!!」

アルス副機関長「…」

術士先生「…話しすら、かけられなくなったんですよ…」

アルス副機関長「それは仕方ないでしょう」


術士先生「だから、私はもう1度あの人と話したいんです!!」

アルス副機関長「店長さんの事ですか」

術士先生「私は、綺麗な人間として…また、あの方に会いたい!」

 
アルス副機関長「ふふっ…あの店長が、一度汚れに手を染めた人間を認めるとでも思っているのですか」 
 
アルス副機関長「彼自身、汚れた血として嫌っている親と同じ…、いや、それ以上に嫌いなアルスマグナの人間を」


術士先生「それでも!」

アルス副機関長「とにかく、貴方は我々からは逃れられない。いえ、逃さないですよ」

術士先生「…も、元々私は先生の仕事だけやって、形として機関に属してくれって言われてたんですよ!?」

アルス副機関長「形だろうがなんだろうが、属してるのには変わりませんからね。同胞ですよ」

術士先生「そ、そんな…」


アルス副機関長「それに貴方が教えてた生徒は世界へ旅立ち、実力を磨き、やがてココへ戻ってくる」

アルス副機関長「貴方は我々の仲間の育成を補助している存在なのです」


術士先生「…学業として、教えているつもりです。先生の仕事だけではアルスマグナの手伝いをしてるわけじゃ!」

アルス副機関長「まぁ確かに、他の一般学校の卒業した子供らも属したりはしていますからね」

術士先生「だったら、別に私がアルスマグナの補助をしている事にはならないでしょう!」

 
アルス副機関長「我々の存在を知ったうえで、貴方はそれを承諾し学校へ入った」

アルス副機関長「それでも、補助していることにはならないと?」


術士先生「…っ」ブルッ


アルス副機関長「学校に恩返しをしたい。それは立派な心がけでした」

アルス副機関長「ですが一般の方らから見れば、全てを知り、子供らを育成していたら"同罪"ですよ」


術士先生「だ、だからこそ!私は…ココを抜けて、別の学校でやり直したいんです!」

アルス副機関長「それでは母校の恩返しにならないじゃないですか」

術士先生「…改めて、店長さんと一緒に仕事を見て、私は先生としていれるだけでいいと思いました…」

 
アルス副機関長「ふふっ、何をどう言おうと貴方が我々から逃す事はありません」

術士先生「…!」

アルス副機関長「さぁ、来てください。もっとしっかり見張ってもらわないといけないですかねぇ…」グイッ

術士先生「い、嫌っ!」


アルス副機関長「…いい加減にしてくださいよ。よいしょ」グイッ

術士先生「むぐっ!」

クラッ…ドサッ

アルス副機関長「軽い痺れ薬ですよ、安心してください。さて、店長を引き込む新たな策を考えないと…」ハァ


………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

白学士「…」

錬金術師「…なるほど。だからこうして、急いで俺の場所へ来た…と」

白学士「きっと学校の先生たちは、みんなアルスマグナに絡んでると思ったから…」

錬金術師「さすがだな。恐らくそうだろうよ」


女店員「…?」

銃士「何の話だ?」

新人鉱夫「さ、さぁ…」

 
白学士「…店長先生、術士先生を助けてあげてください!」

錬金術師「…断る」

白学士「どうして!!」


錬金術師「あいつはアルスマグナの人間だ。俺はそれを絶対に許すことは出来ない」

錬金術師「…助ける気にはならん」


白学士「…術士先生は、いい人なんです!」

錬金術師「生徒からの信頼があるだろうが、あいつはアルスマグナの人間には変わりない」

白学士「でも、抜けたがってるんですよ!」

錬金術師「関係ない」

白学士「店長先生なら、きっと助けてくれるって!」

 
錬金術師「…術士が、俺に銃を突きつけた。そして、俺の話もアルスマグナへと漏らしていた」

白学士「!」


錬金術師「あいつがアルスマグナを優先している証拠だ」 
 
錬金術師「それに、あいつらは頭がいい。お前がこうして、俺を中央に戻す手段として使ったのかもしれん」


白学士「ま、まさか!」

錬金術師「俺がお前によく絡んだのは知っているし、それを知っているのは…誰だ?」

白学士「そ、それは一番近くにいた術士先生ー…」ハッ


錬金術師「だろ。実は、俺が術士と話してる中で、よくお前の話題がでた」

錬金術師「俺はお前の事を認めてるし、それを知っていた術士が、副機関長と共に罠を仕掛けたのかもしれんぞ」

 
白学士「…」

白学士「で、でも…っ」


錬金術師「…アルスマグナは禁術の組織。どれだけ言っても、わからないか?」

白学士「…ッッ」 
 
錬金術師「分からないなら、分からなくて結構。金は出すから中央に戻れー…」


ビュッ…ゴツンッ!!!

…ドサッ!!


錬金術師「」

 
銃士「お、女店員!?」

女店員「さっきから聞いてれば、な…何なのその態度!!」

錬金術師「…お、お前そのハンマー…」ドクドク


女店員「アルスマグナとか、よく分かんないけど!」

女店員「生徒が必死に助けを求めてるのを、先生が無視していいの!?」


錬金術師「い、いやだから、アルスマグナが…」ドクドク

女店員「…店長」ギロッ

錬金術師「はい」ドクドク

女店員「一から全部説明して」ニコッ

錬金術師「…はい」ドクドク

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

錬金術師「これが今の国の体制、錬金術階級の本質、アルスマグナの全て…だ」


銃士「…国家絡みの問題だったのか」

女店員「店長が錬金術師マスター時代からの顔なじみ…か」

白学士「…」


錬金術師「…だから、俺が動けない理由は分かるだろう」

錬金術師「それに、奴らと俺には因縁がある。お前らにも迷惑がかかるし……な」


女店員「…」

 
錬金術師「…白学士、わかってると思うが、話した事は"本当の"機密事項だ」

錬金術師「お前の理解を得る為の言葉…お前だから言ったんだ」

錬金術師「そして、お前たちもな。口外するんじゃないぞ。俺ら一人消された所で、どうにも出来る奴らだしな」


女店員「…」コクン

銃士「…うん」

新人鉱夫「…はい」


白学士「全部お話頂き、ありがとうございます。…そういうことでしたか」

錬金術師「わかってくれたか」

 
白学士「店長先生は、国が相手だから怖いということですね」

錬金術師「」

白学士「…それじゃ仕方ないですもんね…」

錬金術師「お前、俺の話聞いてた?」ヒクッ

白学士「もちろん聞いてました」

錬金術師「だから、俺が彼女を助けないのは国家だからとかそういう事じゃなくて、アルスマグナの人間で…」


女店員「ごめんね、白学士くん。この人、国家権力は怖いんだって」

白学士「そうですよね…」

銃士「うむ、私とて国の力は怖い。仕方ないことだ」

新人鉱夫「あわわ…」ブルブル

 
錬金術師「お前ら、俺の話をだな…!」

白学士「…」

錬金術師「…はぁ。もういい。何でもいい…俺はアルスマグナと付き合う気はない…それだけだ…」


女店員「…負け、ね」

錬金術師「負け?」

女店員「結局、アルスマグナに負けて、中央から戻ってきたってわけでしょ?」

錬金術師「…俺のことか?」

女店員「店長以外いないでしょ」

錬金術師「お、俺が…負けただぁ!?そもそも、あいつらとは勝負すらしてないわ!」ガタッ!

 
女店員「先生として中央に行ったところから、掌で動かされていたってのは、負けにはならないの?」

錬金術師「うぐっ…」

女店員「…それに、本当に術士先生さんて人が、その組織を抜けたがっていたら…?」

錬金術師「それは別だ」

女店員「店長が助けてあげれば、それは一つの勝利になると思わない?」

錬金術師「…」


女店員「確かに組織に入り、犯罪に手を貸した人だったかもしれない」

女店員「でも、店長と白学士くんの話を聞いた限り…それは、本音だったと思うよ…」


錬金術師「…何で術士の気持ちが分かる?ただ、演じてるだけだったかもしれないだろう」

女店員「…同じ女性、だから」

 
錬金術師「…女性?」

女店員「女性だから。同じ、女だからだよ」

錬金術師「…はぁ?」


銃士「…好意を持ったってことだろう」


錬金術師「…へ?」

銃士「そういうことだろう、女店員」

女店員「…」コクン


錬金術師「こ、好意って、俺にか!?」


銃士「恋って意味だけじゃなくて、憧れって意味もあるだろうけどね」

銃士「なぁ、店長はさ…、人を見るのは得意なほうか?それとも、苦手か?」

 
錬金術師「…得意なほうだと思うぜ」

錬金術師「昔から色々教えられたのもあるが、お前らも、全員信用してるからさっきの話を言ったんだ」


銃士「じゃあ、術士先生と色々と話をしたのはどういう事だろうか」

錬金術師「う…」

銃士「人を見る目があるなら、そもそも距離を置いてたと思うよ」 
 
錬金術師「…」


女店員「店長…、本当にその人を見捨てていいの…?」

錬金術師「…」

 
新人鉱夫「て、店長さん…」

錬金術師「ん?」


新人鉱夫「し…白学士くんを信じて話をして、その白学士くんが一生懸命に話をしているじゃないですか!」

新人鉱夫「店長さんが信じた白学士さん、そして白学士さんが信じている術士先生は、きっと抜けたいと思ってると思います…」

新人鉱夫「か、過去は過去として、認めてあげてもいいんじゃないでしょうか!」

新人鉱夫「それに…その…、銃士さんが言った通り、店長さんは術士先生を信じたから、色々話もしようとしたんですよね…?」


錬金術師「…っ」

銃士「新人鉱夫…」

女店員「新人鉱夫くん…」

新人鉱夫「あ、あわわわ…、ご、ごご…ごめんなさいぃぃ!」


錬金術師「…なんだよ、お前ら…。なんなんだよっ…!」

 
白学士「店長先生…お願いします…。術士先生を救ってください…」


錬金術師「…」
 
錬金術師「危険になるのは、俺だけじゃねえんだぞ…」


女店員「…わかってる」

銃士「わかってるよ」

新人鉱夫「…うぅ」ブルッ


錬金術師「…いいんだな?それでも」


女店員「…店長なら、大丈夫だって信じてるから」

銃士「私らを信じてくれたようにね」

新人鉱夫「…うぅ」ブルブル

 
錬金術師「…」


女店員「天下無敵の店長だもん!大丈夫だよ!」

銃士「最高の頭と腕を持つ、私たちの憧れ!」

新人鉱夫「そ、それが…」

白学士「店長先生、です」
 
  
錬金術師「…」ピクピク

錬金術師「…ふっ」

錬金術師「仕方ねぇな、お前らっ!!」ニヘラッ

錬金術師「…少しばかりの反撃と行こうか!」ビシッ!

本日はここまでです。ありがとうございました。

皆さま有難うございます。投下いたします。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

シャアアッ…

女店員「…うん、こっちは閉じた」

銃士「こっちもオーケー」

錬金術師「全部のカーテンは閉めたな。一旦、倉庫に来てくれ」


カツカツカツ…

ゾロゾロ…


錬金術師「…よし。じゃあ…えーと…」

女店員「作戦会議ですね!」

錬金術師「声がでかい」

女店員「あうっ…すいません…」

 
錬金術師「まだあいつ等が見張ってる可能性だってあるからな」

白学士「…どうするんですか?」


錬金術師「その前に…」ゴホンッ

錬金術師「んーと、悔しいことだが…女店員が言う通り、確かに俺はあいつらに負け続けてきた…と思う…」


女店員「…」 
 

錬金術師「だから、今度は俺が勝利する形で救出しようと思うんだ」

女店員「勝利…?」


錬金術師「あいつらは、俺に永遠の命を与えるであろう"エリクサー"を生成して欲しいらしいんだが…」

錬金術師「どうも、詰まっている部分があるらしくてな。それを逆手に取ろうと思ってる」


女店員「つまり?」

 
錬金術師「…大体どこで詰まっているかは、少し考えれば俺には分かる」

錬金術師「それをエサにして、術士先生を交換してもらうつもりだ」


白学士「そ、それって店長先生が禁術に手を貸すってことですか!?」

錬金術師「話は最後まで聞け」

白学士「あ、ごめんなさい…」

錬金術師「確かに手は貸すが、何も、"本当"に貸すわけじゃない」

白学士「まさか…ブラフですか?」

錬金術師「そう。あいつらが必要にしているモノを、似させた全く別のモノでやってやるってことさ」ニタッ


新人鉱夫(え、笑顔が怖いです!)

 
白学士「なるほど…!で、その別の物とは…。彼らが足りないと言ってる物とは…何ですか?」

錬金術師「それはな、怖いぞぉ…この世の物じゃねえのさ…」ククク

白学士「え?」


…ゴツンッ!

錬金術師「」


女店員「真面目にやって」

錬金術師「…真面目だよ!!」

女店員「え、そうなの…?」

錬金術師「だから、話は最後まで聞けっつーの!」

女店員「こ、声が大きいんじゃないかなー…」アハハ

錬金術師「…」

 
女店員「で、その足りない物モノって一体何?」キリッ


錬金術師「…」

錬金術師「その前に、ちょっと基本を教えておきたい」


女店員「基本?」

錬金術師「白学士、魔石の種類はどれくらいあるか言ってくれないか」

白学士「え、えっと…属性毎に分類すると、風、雷、炎、水、土に加えて特殊系の氷に…」

錬金術師「う、うん、そこまででいい。と、まぁこれくらいの話ならみんなも知ってるだろ?」


銃士「うん」

女店員「それくらいなら」

新人鉱夫「僕らも採掘するときの基本になりますからね」

 
錬金術師「じゃあ…お前らは、"黒魔石"っていうのは知ってるか?」

白学士「くろませき…?」

錬金術師「知るわけないよな。これは、魔石の中でも超異質な存在なんだ」

白学士「…詳しく教えてください」


錬金術師「黒魔石は、そもそもこの世に存在してない魔石だ」

錬金術師「ここではない世界…、"魔界"と呼ばれる世界にだけ存在した魔石なんだよ」


白学士「ま…魔界!?」

銃士「…冗談だろう」

錬金術師「冗談なんかじゃない。ちなみに黒魔石の特質は、一般な錬金師にすら認知されてはおらん」

白学士「ど、どんな効力があるんですか…?」

 
錬金術師「単純に言えば、魔力を蓄えることが出来るんだ」

白学士「え?そ、それは…他の魔石もですよね?」


錬金術師「違うんだなぁ」

錬金術師お前のいう他の魔石は、魔力が結晶化して出来ているから…の、"蓄える"という意味だろう?」


白学士「はい」

錬金術師「そうじゃなくて、意図的に吸い込み、蓄え、放出できる。全ての属性の魔力をな」

白学士「…そんなこと、出来るわけ…!」

錬金術師「知らないのも無理はない。さっき言った通り、一般的な認知はほとんどない」


白学士「し、信じられません…。魔界とか、黒魔石とか…」

白学士「どんな参考書とか、歴史の本でも見たことないですよ…?」

 
錬金術師「はは、でもな…この世界にも黒魔石は存在してる場所があるんだぜ?」

白学士「そ、それは?」

錬金術師「魔界への扉と言われてる、"魔力の塔"って場所がある。星降町に存在する、負の遺産さ」

白学士「あっ、知ってます!千年以上前に起きた、戦争時代に作られたという塔ですよね」


錬金術師「そうそう。塔の存在は絵本やら、伝説として語り継がれているがな」 

錬金術師「で、黒魔石はそこの塔を形成する一部として使われているワケさ」


白学士「そこまで有名な塔を形成してるのに、認知されていないって凄いですね」

錬金術師「まぁ軍が封鎖してる最上階付近にあるらしいし、国が情報操作すりゃ一発で隠蔽工作だってできるっしょ」

白学士「…そこまで貴重なものが、エリクサーを作るために必要なものなんですか」

錬金術師「そう。だが、アルスマグナもバカじゃない。とっくに試してはいるだろうな~」

白学士「じゃあ、それを持って行ってもブラフにはならないんじゃ?」


錬金術師「…"死んだ魔石を使っても、エリクサーは出来ないよなぁ"って、ことさ」ククク

白学士「…え?」

 
錬金術師「とっくの昔に、塔を形成する黒魔石は死んでいる。使い物にならないんだ」

白学士「…!」

錬金術師「だが、仮に"生きている黒魔石"があれば、それでエリクサーの完成に大きく貢献できるだろう」

白学士「黒魔石を、店長先生は持っているというんですか…?」

錬金術師「ある」

白学士「…っ!」ゴクッ


女店員「それは…どこにあるの?」


錬金術師「お前らも知ってる…これさ」

女店員「…えっ!?こ、これって…」

 
ウ…ウィィィィン!!ガコンッ!!

…コロンッ

錬金術師「…」

スッ…パクッ!ポリポリ…


錬金術師「うん、うまい!」


女店員「ば…」

白学士「バターピーナツ…?」

銃士「生成…」

新人鉱夫「きぃ!?」

 
錬金術師「内部に、生きてる黒魔石を設置してあってな」

錬金術師「大気中にある、結晶化する前の魔力を吸収し、バターピーナツをあらゆる属性の魔力からー…」


女店員「ば…バッカじゃないの!?!?」

錬金術師「」

女店員「そ、そんな人類の遺産みたいな貴重なモノを、こ…こんな…」

錬金術師「お前な、黒魔石は人にとって、とてつもないモノなんだぞ。大変貴重なものだ」

女店員「それを聞いて分かったからこそ、今、びっくりしてるんじゃない!!」


錬金術師「だからこうして、あり得ないと思えるような造りにしてあるんじゃないか」

錬金術師「パーツには数十万かかったが、過去にも何度か似たようなのにして、形を変えて作ってたんだぜ?」


女店員「そういや今考えれば、少し前は妙に、焼き落花生ばっか食べてたような…」

錬金術師「うむ」

 
白学士「た、確かにこれなら黒魔石とは気づかれにくい…」

女店員「でもさ…。もっと、まともなもの作れなかったの…」

錬金術師「あのな、これは本当に危険な代物なんだぞ…。俺だからこうして平和な産物として使えてるんだ」


銃士「…貴重なものだというのは分かった。だけど、何でそれを店長が持ってるんだ?」

錬金術師「うちの母親が代々、錬金術師として栄えた家系だって言ったのを覚えてるか?」

銃士「あの落盤事故の時の話だよね、覚えてる」


錬金術師「うちの、すっげぇぇぇ遠い先祖が、魔界へ行った冒険者と知り合いで…」

錬金術師「その時に研究に役立つようにと受け取ったのがこの黒魔石だったらしいぜ。家宝っていうところだな」


女店員「…ご先祖も泣いてるでしょうね。家宝がバターピーナツ生成器やら焼き落花生生成器て…」

 
錬金術師「うっせぇな、もう!いいだろ、好きなんだから!」

白学士「店長先生、黒魔石の存在、その効力…それはわかりました」

錬金術師「ん」

白学士「それで、これがどんなブラフになるんですか?」


錬金術師「奴らは"エリクサーまであと少し"と言っていた」

錬金術師「俺が思うに、魔力を閉じ込めておく技術があれば、エリクサーを作る鍵の1つだ」

錬金術師「アルスマグナには、その閉じ込める技術がどうしても作れないのだろう」


白学士「なるほど…」


錬金術師「あとは簡単だ。黒魔石に似せた、魔力を一定期間閉じ込めておけるモノを作る」

錬金術師「もちろん、一定期間たったら壊れるようにして、奴らにはエリクサーなんか作らせないがな」

 
白学士「…それで術士先生を救えたとしても、問題があると思うんですけど…」

錬金術師「ん?」

白学士「突然装置が壊れたら、彼らは激昂しして、店長先生や術士先生、仲間たちに何かしませんでしょうか…」

錬金術師「やつらは一般人には手を出さない。現に、俺や仲間には直接手出しはしてないだろ?」

白学士「た、確かに…」


錬金術師「機関の存在が公になるリスクがある。情報操作もできるだろうが、簡単なことではないからな」

錬金術師「だからこそ、助け出したら考えはある」

錬金術師「彼女が乗るかどうか分からんが、それなりの案はな」


白学士「…わかりました。信用します」コクン

錬金術師「うむ。で、ここからは君たち全員にも手伝ってもらうことがある」クルッ

 
女店員「えっ?」

銃士「私たちも手伝うことだって?」

新人鉱夫「なんでしょうか!」


錬金術師「いつも通り、働いてほしい。奴らがまだスパイとして来る可能性がある」

錬金術師「その時、偽黒魔石の生成を知られたくないからな。その時、普通に店の営業をして、普通の生活に見せてほしいんだ」


女店員「…任せて!」


錬金術師「で、白学士はこの倉庫で少しの間、偽黒魔石の生成を手伝ってもらおうか」ニカッ

白学士「ぼ…僕が…?」


錬金術師「少しだけ学校は休んどけ。偽魔石の生成を手伝ってもらう代わり、ワンツーマンの個人授業をしてあげるからよ」

錬金術師「それで…どうだ?」

 
白学士「貴方の…店長先生のお手伝いを出来るなら…。目の前で技術を見せてもらえるなら…!」

錬金術師「…決まりだな。ありがとな」

白学士「い、いえっ…!」

錬金術師「じゃあ皆。そういうことだ…よろしく頼んだぞ!」


銃士「…うん!」

女店員「わかった!」

新人鉱夫「頑張ります!」


錬金術師「それじゃあ…作戦開始だっ!」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 同時刻・アルスマグナ本部 】

ゴゥン…ゴゥン…


術士先生「…」


アルス副機関長「…どうしても、逃げたいのですか?」

術士先生「あたりまえです。私は、私の生活に戻りたいんです…」グスッ

アルス副機関長「…」

術士先生「お願いします…」

 
ウィイイン…ガチャッ、…トコトコ…

研究員「…失礼します」

研究員「…失礼致します」


術士先生「…だ、誰ですか…?」


アルス副機関長「ここから出るという事は、我々への裏切りです」

アルス副機関長「これ以上の裏切りを許してはいけません…、残念ですが、お別れになるでしょう」


術士先生「!」ビクッ


研究員「さぁ、こっちにきてください」

研究員「裏切り者には、最後の仕事が待っておりますから」

グイッ…

 
術士先生「ちょっ…離して下さい!」

アルス副機関長「…連れていきなさい」


研究員「はい。さぁ、こっちへ来るんだ」

…グイッ!!

術士先生「嫌だ、離して!」

研究員「おとなしくしろ!」


術士先生「嫌あぁぁっ!た、助けてください!!」

術士先生「や…嫌…、離してぇぇ…!店長先生ぇぇ…っ…」


ガチャッ…

…バタンッ…!!

 
アルス副機関長「…」


…シーン…


アルス副機関長「…」

アルス副機関長「…」

アルス副機関長「ふふっ…」


…………
………

本日はここまでです。有難うございました。

>>477

マンツーマンだろ~w

アルス副機関長「…(今の術士先生…)」
アルス副機関長「…(エロかったな…)」
アルス副機関長「ふふっ…」

アルス副機関長「...」

アルス福機関長「...」

アルス副期間長「ふひっ」

皆さま有難うございます、投下致します。

>>488
そうでしたね…、申し訳ありません。修正として後日出させて頂きます。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 夕方 錬金術のお店 】


ギィィ…バタンッ!

女店員「今日も、一日お疲れ様でした!」

銃士「うん、お疲れ様」

新人鉱夫「お疲れ様です!」


女店員「今日の売り上げはイマイチだったな~」ポリポリ


銃士(アルスマグナの面子が来てたんだろうけど…今日は来なかったってことかな)

新人鉱夫(まぁ…そうなりますよねぇ…)

 
女店員「あっ、それより店長たちはどうしただろ」

銃士「ずっと倉庫でぶつぶつ言いながら勉強教えたり、怪しい物体だしてカチャカチャしてたよ」

女店員「どんな事してるんだろ…」


トコトコ…


女店員「てーんちょ♪」ヒョイッ

 
カキカキ…

白学士「はい、普通の魔石の雷魔力と魔法で大気中から使用する場合は、微妙な差が生じると」

錬金術師「まぁ俺が気づいた些細な差だが、大気中に浮いてる魔力は密度が違うらしい」

白学士「でも…それによって引き起こされる力には差がないんですよね?」

錬金術師「そうそう。だけどな、雷撃の差は少ないんだが、水魔石の場合は大きく違う部分があって。特に分解の…」


女店員「」


白学士「…あっ」ハッ

白学士「…えーと…、女店員さん!」


女店員「ど、どーも~」ヒラヒラ


錬金術師「んっ…、おぉ。仕事終わったのか?」

女店員「終わったけど、朝から今までずっとやってたの!?」

錬金術師「あ、もう18時か。時間はあっという間だな」

女店員「…」ヒクッ

 
錬金術師「少しだけ勉強教えるつもりが、こんな時間に」ハッハッハ

女店員「早く黒魔石の生成しないと、術士先生が危険なんじゃ…」

錬金術師「それを作る為に、魔石の基本を叩き込んでたところだ」

女店員「あ、そうなんだ…」


白学士「すっごいわかりやすくて、知らないことたくさん教えてくれるんですよ」

錬金術師「お前の吸収力も異常だよ」

白学士「へへっ」

錬金術師「まぁ今日の夜から3日くらいの予定で作り上げるぞ」スクッ

白学士「はいっ!」

 
女店員「そんなに早く出来るんだ」


錬金術師「元々、黒魔石の特性は俺が知ってるからな」

錬金術師「それを基盤に作り上げていけば、遅くても1週間以内には出来る…はず」


白学士「僕が手伝えることはあるんでしょうか?」

錬金術師「飲み込みが早いし、思わぬ発想も期待するし、魔力抽出をやって貰おうと思う」

白学士「わかりました!」

錬金術師「重要な接合とか、難易度が高いのは俺がやるから安心しときなさい」

白学士「はい!さすがですね、店長先生…!」

錬金術師「くくく…、俺をうやま…!」


タッタッタッ…

新人鉱夫「今日は、鍋にしましょう!!」バッ

 
錬金術師「…」

錬金術師「…鍋ね」


新人鉱夫「店長さん食べたいって言ってたし、準備しますよ」

錬金術師「うむ」

新人鉱夫「材料買ってきますね」

錬金術師「気をつけてな」

新人鉱夫「はいっ~」

タッタッタッタッ…、ガチャッ、バタンッ…


銃士「私も心配だから着いていってくるよ」

錬金術師「すまないな、頼んだ」

 
銃士「うん」

タタタッ、ガチャ、バタンッ…


錬金術師「ふぅ~…さすがに肩こったな」コキコキ

白学士「一日中、ありがとうございました」

錬金術師「本番は夜だし、これからが大変だぞ?」

白学士「いえ、全然いけます。やらせてください」

錬金術師「…そうか」


…ググッ

錬金術師「おふっ」

女店員「ほら、力抜いて。うっわ、岩みたい」グググッ

 
錬金術師「マッサージとは珍しいな…、いてて…」

女店員「頑張ってたみたいだし、ね」グリグリ

錬金術師「少し、力もついてきたか?」

女店員「鉱石とか素材運び手伝ったり、いろいろ歩いてたし…体力ついたのかも」

錬金術師「あ~…なるほどな」

グリグリ…ゴキゴキッ…


白学士「…」

白学士「…お二人は、付き合ってるんですか?」

 
錬金術師「ん?」

女店員「!?」

白学士「なんか長年付き添った夫婦みたいな貫禄が…」


女店員「そそ、そんなわけないでしょ!!ずっと一緒に店やってて、こんなバカでちょろい店長なんか!」

女店員「確かに付き合いは長いけど、こんな変態みたいな店長でちょろくて…」


錬金術師「なんでちょろいと二度言ったのかな?」

女店員「本当のことでしょ」

錬金術師「うっせ!」

女店員「えへへっ」

 
白学士「…楽しそうですね」クスッ

女店員「まぁ、少しね」フンッ

錬金術師「少しか」

女店員「店長といると、楽しいより大変だよ」

錬金術師「そうか。俺はこの店が楽しくて、好きだけどな」

女店員「…っ」


錬金術師「親父との因縁があったり、客も来なくて大変なことも沢山あるが…」

錬金術師「それ以上に、お前とか、新しい店員たちに囲まれて楽しいぜ」

錬金術師「もう俺の居場所はここなんだなって、臨時講師やって戻ってきてから、改めて思ったよ」

 
女店員「わ、私だって…うん…」

錬金術師「はっはっは」

女店員「…少し、店長が中央に行った時に、戻って来ないんじゃないかなって不安にもなったんだよ」

錬金術師「はぁ?」

女店員「先生って仕事が、店長に合ってる気がしたし…、もし断れなかったらどうしようって」

錬金術師「お前が店長代理になるって意気込んでたのにな」ククッ

女店員「そりゃ店長がいなかったら、私がやるしかないでしょ!」フンッ

錬金術師「その意気だ。お前にゃ弱気は似合わねー。憤慨してて丁度いい」ハハハ!


女店員「ちょっ、酷い!私だって一応女性なんだから!か弱いところだってあるんだから!」

錬金術師「知ってるよ。冗談だ」

女店員「!」

錬金術師「よく頑張ってくれたな。知らない間に危険な事に巻き込んでても悪かった」

 
女店員「べ、別に…いいよ…」

錬金術師「よく頑張りました!」

…ポンポンッ

女店員「あ、頭をポンポンしないでよっ!子供じゃないんだから!」

錬金術師「はははっ!!」


白学士「…」

白学士「…」ドキドキ


女店員「ほら、見られてるでしょ!」

白学士「あ、いや…僕のことは気にしないでください!」

錬金術師「だってさ」

女店員「気にするから!!」

 
錬金術師「お?白学士がいなければ、ポンポンしてほしいのか?うん?」


女店員「…っ!」

女店員「ち、ちがっ…!」

女店員「この~…!!天誅ぅぅっ!!」


…ゴツンッ!!!


…ドサッ


…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
――それから。

店長たちは隠れての偽黒魔石の生成を。

女店員たちは店の経営に専念した。


一見、順調に進んでいた偽黒魔石の生成だったが、

思った以上に生成の難易度は高く、偽黒魔石は難航した。


しかし、予定から遅れた6日目の夜中。

ついに完成の目処が立ち――…

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 6日目 夜中 】


…バチバチッ、ゴォォ

白学士「ダメです…眠い…」クラクラ

錬金術師「無理しなさんな。寝ていいぞ」

白学士「いえ…頑張ります!店長先生と一緒に作業できるなんて…!」

錬金術師「もう6日目の徹夜作業だ。それに完成も間近、大丈夫だぞ」

白学士「やらせてください…!」


カチャカチャ…、ゴォォォ…


錬金術師「…」フゥッ

 
…コンコン


錬金術師「…」

錬金術師「…あぁん?」


白学士「誰か、来たみたい…ですね?」

錬金術師「…ちょっと様子見てくる。お前はこのペースで作業続けててくれるか」

白学士「はいっ」

錬金術師「うむ。んじゃ、ちょっと見てくる」ガタッ


カツカツカツ…


錬金術師(もう0時過ぎてるんだぞ…。この時間に客…まさかアルスマグナか…?)

 
ソ~…

錬金術師(カーテンの隙間からだと外が暗くて見えずらいな…誰だ…)


女店員「…」ジー


錬金術師「」


カチャンッ、…ガチャッ!!!

錬金術師「…お前かよ!」

女店員「あっ、やっぱり起きてた」

錬金術師「アルスマグナの面子かと思ったわ!」

 
女店員「あっ…。ご、ごめんね」

錬金術師「まぁ違くて良かったが…。どうしたんだ、こんな時間に…。何かあったのか?」

女店員「…んっ!」ズイッ

錬金術師「あん?」

女店員「…夜食!」ズイッ


錬金術師「…や、夜食?」

女店員「今日は夜通しやるっていってたし、大変かなと思って持ってきたの」

錬金術師「お…おう。ありがと…」ガサッ


女店員「…じゃあ私は」クルッ

錬金術師「お、おいおい!待てって、送るっつーの!」ダッ

………
……

本日はここまでです。
それと、ご報告なのですが、明日に自分がこのSS深夜で投下を始めて1年を迎えます。
今日まで提供を出来たのは、ひとえに皆さまのお陰です。
改めて感謝の意を、有難う御座いました。

皆様、本当に有難うございます。沢山のお言葉、とても嬉しく思います。

1年目記念としまして 剣士「冒険学校…!」の連載を開始致しました。
剣士「冒険学校…!」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1402489389/l50)

全ての作品の「エピソード0」というべき作品で、少しご紹介しておきます。
錬金術師に関しましては、明日以降に連載は継続致します。同時連載とはなりますが、
機会があればご覧になってください。失礼致しました。

皆様、改めてありがとうございました。
こちらの更新も引き続き同様のペースでは行うので、本日分、投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 女店員の帰路 】 


ホウ…ホウ…

錬金術師「…」

女店員「…」


ザッザッザッ…


錬金術師「…」

女店員「…」


ザッザッザッ…

 
女店員「…ねぇ」

錬金術師「ん?」

女店員「術士先生って、いい人だったの?」

錬金術師「術士先生?」

女店員「うん」


錬金術師「…今となっちゃ分からないが、俺が見てた中では生徒想いって感じだったな」

錬金術師「妙に人当りが良くて、ついつい余計な昔話までしちゃうところで…少ししたんだけど」


女店員「…」

錬金術師「…?」

 
女店員「私も、店長の昔話…聞く」

錬金術師「話すことなんてないぞ」

女店員「聞きたいの!」

錬金術師「夜中に大声出すな、バカ!」

女店員「店長だって大声出してるじゃん、バカ!!」


錬金術師「はぁ…」

女店員「聞かせてよ」


錬金術師「仕方ねぇなぁ…。だけど、その前に一つ」

女店員「何?」

 
錬金術師「もう差し入れはいい。夜中に来るな」

女店員「邪魔、だった…?」シュン

錬金術師「邪魔じゃない。嬉しい」

女店員「…じゃあ」


錬金術師「危ねぇだろうが。夜道も危ねぇし、アルスマグナの面子だって見張ってるかもしれん」

女店員「あっ…」

錬金術師「だから、夜中に出歩くな。出来るだけ銃士と一緒にいてくれ」

女店員「…ごめん」

錬金術師「何で謝る?」

女店員「心配かけた…」


錬金術師「謝る必要なんかない。お前は大事な存在だし、心配するのは当然だろ」

女店員「…」テレッ

 
錬金術師「…んで、何?昔の話って…何を聞きたいんだ」

女店員「…どこまで見送ってくれるの?」

錬金術師「そりゃあ家までだろうが」

女店員「じゃあ、家に着くまでに終わる話がいいな」

錬金術師「…難しい事言うやつだな」

女店員「何でも出来る店長なんだから、それでお願いしますっ」


錬金術師「ん~…」

錬金術師「よし、わかった。俺の機関に属していた時代のちょっとした話をしてやろう」


女店員「うんっ」


錬金術師「あれは、どのくらい前だったか…」

……………
………

 

……
……………
………………………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 数年前(機関時代) 】


機関長「…ついに、か」

C.マスター(錬金術師)「だから言ったでしょ、余裕だって」

機関長「マスター候補官(Master candidate officer)までくるとはな…」

C.マスター「大体、試験が簡単すぎるんだよな」

機関長「お前、簡単と言っても…俺がなるのに20年もかかってるんだぞ…」


C.マスター「そりゃアンタだからな」

機関長「…もっと口の慎みを覚えたほうがいいんじゃないか」

C.マスター「実力社会なんだから、出来るやつが上に行くのは当然っしょ」

 
機関長「そりゃそうだが…」

C.マスター「あ、でもさ。俺が正式なマスターに受かっても機関長にはならないから」

機関長「何だと?」

C.マスター「だって自由じゃなくなるじゃん。申請すれば、世代交代しなくていいんでしょ?」


機関長「だが、正式なマスターに選抜されれば自分の機関を持つか…」

機関長「既に所属している機関で、機関長をしなければならないのは伝統のルールだ」


C.マスター「そしたら、アンタの立場になるわけでしょ俺」

機関長「そうだな。俺は引退するかな」

C.マスター「いやだ」

機関長「だがな、これはルールで…」

C.マスター「俺は自由がいいんだって。マスターの地位は欲しいけど、機関長は面倒くせぇ」

 
機関長「お前な!!」

C.マスター「…俺に出来ると思ってんの?」

機関長「…」

C.マスター「無理ムリ。だから機関長はしないっていう申請を中央本部に出すわ」

機関長「本部の連盟に所属する団体が、許すと思うか?特例とは認められんぞ」

C.マスター「最年少でマスターになりうる、錬金術の未来を担う若者の頼みを聞かないわけないでしょ」

機関長「やれやれ、その自信はどこから出てくるのか」ハァ

C.マスター「はははっ!」


機関長「…まぁ、試験に合格するのは祈ってるさ。我が機関の自慢となるようにな」

C.マスター「そうそう、祈っててくれよな、オッサン!」ハハハ

機関長「はぁ~…」

 
…コンコン

C.マスター「おっ?」

機関長「客か…。はい、どうぞ」


ガチャッ…!

???「あ、あの…こんにちわ…」ペコッ

C.マスター「誰?」


見習師「こ、この度この機関へ配属されました!階級は見習師、新人です!」

見習師「機関長さんに今日、ココへ来るように言われてたので…」


C.マスター「…あん?」ギロッ

見習師「ひっ…」ビクッ

C.マスター「オッサン、俺こんな話聞いてねーんだけど」クルッ

 
機関長「言ってないからな」

C.マスター「人少ねぇ機関なんだから、後輩来るなら、教えとけや!!」グイッ

機関長「あ、あだだだっ!離さんか、バカもの!」

C.マスター「つーか、雇うなら俺にも候補者見せろっつーの!機関のエースなんだぜ俺は!」

機関長「お前に見せたら、性格云々の前に"使えるやつ"しかとらんだろうが!」


C.マスター「そりゃ当然で…」

C.マスター「…ん」


見習師「…」ビクビク


C.マスター「…」

見習師「…」ビクビク

C.マスター「…お前さ」

見習師「は、はいっ!」

 
C.マスター「何ビクビクしてんの?」

見習師「えっ!」ビクンッ

C.マスター「何で?」

見習師「そ、その…」

C.マスター「…」


機関長「新人をいじめるんじゃない!やめんか!」


C.マスター「…」

見習師「そ、その…あの…」

C.マスター「何?」

見習師「…から、です…」ボソッ

 
C.マスター「あぁ!?聞こえねぇよ!」

見習師「…あ、憧れた人が目の前にいるからです!!!」

C.マスター「!?」

機関長「!?」


見習師「ぼ、僕たちみたいな錬金術の世界じゃ、貴方の存在はそれなりに有名で…」

見習師「だからココへきて、会いたくて…。で、でも緊張して…」ビクビク


C.マスター「…俺に会いたかった、だ?」

見習師「…」コクン

C.マスター「…そりゃ確かに有名なほうだと思うが、俺以外にも有名な奴なんざいっぱいいるだろ?」

見習師「お、覚えてないかもしれないですけど、僕は貴方と1回会ってるんです…」

C.マスター「あ?」

 
見習師「3年前のこと、覚えてますか…?」

C.マスター「3年前?俺がまだ、クソ親父の経営を目の前で見てた頃だがー…」


見習師「…うちの父の働いていたお店が買取りされて、たくさんの人がクビになりました」

見習師「その時、貴方とそちらの社長さんが家に来て、うちの父を引き抜こうとしたんです」


C.マスター(…そんな事、沢山あったから覚えてねえよ)


見習師「父が断りをいれると、それ以降、どこの仕事場でも父は働くことが出来なくなってしまいました」


C.マスター「おい。…3年前は、俺が親父と一緒に経営術を学んでいた時だ。そんなこといくらでもあった」

C.マスター「てめぇ、ココへ入ってきて親父の仕返しをしようとでも企んでー…」


見習師「…でも!」

C.マスター「むっ」

 
見習師「貴方は、罵倒される父の隣で泣いていた僕に、静かに話をかけてくれたんです!」

C.マスター「…あ?」

見習師「覚えておりませんか!?泣いて弱いと思うなら、強くなってみろって!」

C.マスター「…」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
少年「…えっ?」

―…こうなってしまったのは仕方ないと思ったほうがいい

少年「…」グスッ

―…悔しいだろ?だったら、俺たちを見返すくらい強くなってみればいいんじゃないか

少年「…!」

―…お前がずっと、そのままでいたいと思うならいいんだがな

少年「やだ…、見返したい…」

―…そうか、その意気だ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 
C.マスター「…」

C.マスター(…俺の相手する家は、子持ちも多かった)

C.マスター(どの家の子にも、声をかけずにはいられなかったんだよ)


見習師「…あの日から僕は沢山勉強して、自分に合うと思ったのがこの錬金術でした」

見習師「そして、貴方の存在を知った。その日から僕の目標は貴方に変わったんです」


C.マスター「…ふん。どれだけ頑張っても二流では俺を見返す事なんかできないわな」

見習師「だから、ここへ来たんです!」

C.マスター「…なんだと?」

見習師「あの日から、貴方の言葉を胸に、生きてきました」

C.マスター「…」

見習師「目標は貴方に追いつくことです。そしてあの日の言葉のように、見返すこと!」

 
C.マスター「…出来るのか」


見習師「この道を選んだ時から…、目標となり、尊敬している貴方に追いつくこと。そして…見返す事。」

見習師「それが僕の今の夢です。きっと叶えます」


C.マスター「…」

見習師「よろしくお願いします!」

C.マスター「…来い」クルッ

見習師「あっ、ど、どこへ…?」

C.マスター「…機関長、こいつ、俺が借りるよ」


機関長「…お前が面倒を見るというのか?」

C.マスター「将来の敵を育てるのも、面白いじゃないかなと思ってね」ククッ

機関長「…」

 
C.マスター「おい、見習師!!」

見習師「は、はいっ!」

C.マスター「俺の事は先輩と呼べ。そして、敬え。俺の指示には従え」

見習師「…!」

C.マスター「…返事!」

見習師「はいっ!!」


C.マスター「俺の下に付くんだ。一生をかけても、俺を追い越す気で励むことだな。出来るか知らねえけど」フワァ

見習師「…はいっ!!」

C.マスター「んじゃ、ついて来い。まずは俺の生成術を手伝ってもらうぞ」タッ

見習師「あ、待ってください…!」

…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 女店員のアパート前 】


ザッザッザッ…

錬金術師「…って感じ」

錬金術師「昔を思い出すと本当に顔から火が吹きそうになるし、気分が悪くなる…」ハァ


女店員「今は錬成師クンと仲はいいよね?」

錬金術師「色々あったしな。アルスマグナとの関係にしろ、自分の性格を直そうとしたにしろ」

女店員「…私は、店長は店長だと思うから、店長のままでいいと思うっ」

錬金術師「ややこしいわ!」

女店員「えへへっ」

 
錬金術師「ま…そういうわけ。その後、マスターの試験があったりして…お話はこれでおしまい」

女店員「え?」

錬金術師「もう、お前のアパートだ。約束だろ?これで話は終わりだ」

女店員「…全然、区切りよくないよ。マスターの試験とかさ…続き、気になる」

錬金術師「続かなくていいのか?」

女店員「えっ?」

 
錬金術師「…また、続きはこうして、次の機会に聞かせてやるよ」

女店員「また、こうやって一緒に歩いてくれるの?」

錬金術師「どういう意味だかは、自分で考えることだ」ハハハ

女店員「…」


錬金術師「…本当に誰にも言った事ない俺の話だ。恥ずかしいからいうんじゃないぞ!」

女店員「…うんっ」

錬金術師「さ、明日も仕事なんだから早く寝とけよ」

女店員「ありがとう、店長…」

錬金術師「いえいえ。んじゃな~」クルッ


女店員「おやすみなさい…」

ガチャッ…バタンッ…

 
錬金術師(危なかった。また調子に乗ってい色々言うところだったわ…)

錬金術師(…)
 
錬金術師(…って!やべぇっ、白学士を放置したまんまじゃねえか!!)

錬金術師(急いで戻らねぇと、次の接合部分は俺がやらないといけないからな…)

タッタッタッタッタッ…

………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 お 店 】

タタタタッ…バッ!!

錬金術師「すまん、めっちゃ遅れた!」

錬金術師「どこまで作業進めた!?次の接合は俺が…」


白学士「…」スヤスヤ

新人鉱夫「…」クゥクゥ


錬金術師「…寝てた、か」

錬金術師「さすがに疲れたかねぇ…、んじゃ俺はもうひと頑張り…」

…キランッ…

 
錬金術師「…あら?」

…キラキラ…!


錬金術師「…」

錬金術師「か、完璧に接合されてる…」

錬金術師「まさか…」チラッ


白学士「…」スヤスヤ


錬金術師「…しか、いないよな」

白学士「…」グウグウ

錬金術師「マジかよ…」

 
白学士「…むにゃ」

モゾッ…

白学士「…ふぇ」パチッ


錬金術師「…あ、起こしちまったか」

白学士「あっ!ご、ごめんなさい…寝ちゃってました…」バッ

錬金術師「いやそのまま横になっていい。ただ、ちょっと教えてくれ」

白学士「ふぁい?」

錬金術師「この接合…お前がやったのか?」

白学士「あっ…勝手にごめんなさい」シュン

 
錬金術師「いや、怒ってるんじゃない。褒めてるんだ」

白学士「えっ!」


錬金術師「…ここまでキレイに出来る奴は中々いないぞ」

錬金術師「魔力が抜ける隙間もないし、上手く馴染んでいる」


白学士「本当ですか…嬉しいです」テレッ

錬金術師「…本当に誇っていいと思うぞ。あとは…任せろ」

白学士「あっ、じゃあ僕もお手伝いを…」

錬金術師「いや、お前はいい。寝ていろ」

白学士「でも…」

錬金術師「もうすぐ完成する。もう俺一人で大丈夫だ、よくここまで頑張ってくれたな」

白学士「…はい」

 
…ゴロンッ

白学士「…」スヤッ


錬金術師「…寝るの早っ」

錬金術師「…」

錬金術師「まぁ、そうか。さすがに疲れたろうな…、本当に助かったぜ」


白学士「…どういたしまして…」ムニャッ

錬金術師「!?」ビクッ

白学士「…」クゥクゥ

錬金術師「…本当に寝てるのかよこいつ」

 
白学士「…」スヤスヤ


錬金術師「…」

錬金術師「ふわぁ…、俺も眠ぃけど…。もうひと頑張りっちゃな…!」

錬金術師「さぁて、先にこの部分の調整からっと…」

バチッ…バチバチバチ…

バチンッ…バチバチッ…

 
錬金術師「…ん?」ピタッ

ゴソゴソ…バキンッ!

錬金術師「…」

錬金術師「…!」

錬金術師「…ッ」


錬金術師「そうか…」

………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

本日はここまでです、有難うございました。

皆さま、ありがとうございます。投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日 】


ガチャガチャ…ガチャッ!

女店員「おはよう~!」

銃士「おはよう」


…シーン


女店員「…あれ?」

銃士「誰もいない?」

 
トコトコ…ヒョイッ

女店員「てーんちょ…?」


錬金術師「…」グオー!

白学士「…」スヤスヤ


新人鉱夫「あっ、おはようございます。今、朝ごはんの準備してました」ボソボソ

女店員「二人とも寝てるの?」ボソボソ

新人鉱夫「昨晩も遅くまでやってたみたいですしね」

女店員「…そっか。じゃあ、起こさないようにしないとね」

銃士「なるほどね。今は休ませておこう」

 
…ジリッ、ジリリリリリ!!!

女店員「!?」

新人鉱夫「!?」

銃士「!?」


…バシッ!

錬金術師「むぐ…、朝か…」ムクッ

白学士「ふわぁ…!」ムクッ


女店員「あっ、お…おはよう…?」

銃士「おはよ…う?」

新人鉱夫「びっくりした…、おはようございます…」


錬金術師「…目覚まし時計かけたんだよ。つーか全員集合だな」ポリポリ

白学士「あ、みなさんおはようございます…」ムニャッ

 
女店員「もっとゆっくり寝てても良かったのに…」

錬金術師「そうもいかねぇんだよなぁ。全員いりゅし、教えておくことがありまふっ!」ビシッ

女店員「口がまわってないよ店長」


錬金術師「…昨晩、ついに偽黒魔石が完成した!」


女店員「!」

銃士「!」

新人鉱夫「!」

 
錬金術師「ってなわけで、今日の午後から中央へ向かおうと思う」

女店員「…今日!?」

錬金術師「うむ」

女店員「い、いきなりだね…」

錬金術師「完成次第とは思ってたし、早いほうがいいだろう?」

女店員「…うん、そう思うけど…」


錬金術師「白学士、疲れているところ悪いんだが、午後から出発の準備をしてくれるか?」

白学士「はいっ!」

錬金術師「そのまま着いたら、アルスマグナ本部に突っ込む」

白学士「…危険じゃないんですか」

錬金術師「大丈夫だ。それに、正面から乗り込んだほうがインパクトがあるだろう」ハッハッハ!

 
白学士「さ、さすがです!」

錬金術師「うむ!それでは、新人鉱夫の朝飯を食べたら出発の準備だ!」

白学士「はいっ!」

錬金術師「女店員らも、また、今日から俺はいなくなるが…よろしく頼むぞ」


女店員「うんっ」

銃士「もちろん」

新人鉱夫「はい!」


…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 昼 過 ぎ 】

錬金術師「…さぁて、出発するかぁ」ノビノビ

白学士「ですね、急ぎましょう」

錬金術師「急いだって、馬車の速度は変わらねぇよ」

白学士「あっ、そ…そうですね…」

錬金術師「早く助けたい気持ちは分かるがな」ニカッ

白学士「は、はいっ」

 
トコトコ…スッ

女店員「…はいっ、じゃあこれいつもの差し入れ。お弁当!」ズイッ

錬金術師「お、おう」ボスッ

女店員「…帰って来てね」

錬金術師「…おいおい。俺の居場所はここだっつっただろ」

女店員「うん…」


錬金術師「じゃ、行ってくる」


女店員「いってらっしゃい!」

銃士「いってらっしゃい、店長」

新人鉱夫「いってらっしゃーい!」

 
錬金術師「おーう!」

白学士「皆さん、お世話になりました。行ってまいります」ペコッ


ザッザッザッザッ…

ザッザッザッ…

………

 

…………

……ザッザッザッザッ…


錬金術師「…あぁ、そうそう」

白学士「はい?」

錬金術師「ちょっと、寄り道してから行くぞ。隣町の錬金術機関で欲しいものがあるんだ」

白学士「欲しいもの?」


錬金術師「…」ニタァ


白学士「…何の、笑顔なんでしょうか」

錬金術師「まぁまぁ」

白学士「…は、はぁ…?」

…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・

 
―――それから数日。

店長は再び、白学士とともに中央国の地を踏んだ。

今度は、彼らを負かす為に。


…そして、その日の夜…。


あの"3丁目の地下のカフェ"へと足を運ぶ――…。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 3丁目 地下カフェ 】


…ガランガランッ!

コツ…コツ…コツ…

錬金術師「やぁ、店主さん」

錬金術師「今はお店…やってるかい」


店主「もう少ししてからオープンだよ。あとで来てくれるかい」カチャカチャ

錬金術師「…やってるかい」

店主「…だから、まだ店は開いてー…な…い…」ハッ


錬金術師「…やってるだろ?」

店主「…お前!」

 
錬金術師「アルスマグナ本部に用事がある」

店主「知らないね」

錬金術師「…知ってるはずだ」

店主「知らないよ」

錬金術師「…恐らく、この店のどこかが入口なんじゃないか」

店主「…本部はどこにあるか、知らないよ」

錬金術師「いや、ここのはずだ」

店主「違うっつうに!」


錬金術師「…ちょっとカウンターに入らせてもらうぞ」

カツ…カツ…カツ…、ゴソゴソ

 
店主「おい、勝手に困るよ!」

錬金術師「…白学士!!」

…ガチャッ!

白学士「はい!」

店主「…仲間!?」


タタタタッ…ガシッ!

店主「あ、おい!離せ!」


錬金術師「そいやっ!」バッ

店主「ふむぐっ!」

 
錬金術師「…」

白学士「…」


店主「…」トロン


錬金術師「…よし、効いたな」

白学士「うわ…本当に強力ですねこれ…。一瞬で堕ちた…」

錬金術師「これで自白してくれるはずだ。相変わらず、サイの実の催眠効果はヤベェな。機関から持ってきて良かったろ?」

白学士「強すぎですよ…。公式機関だと、このくらいの薬品持ってるんですね…」


錬金術師「さぁて、店主殿。アルスマグナの入り口はどこかなー?」


店主「…」

店主「…そこの、積んである酒樽の…隣に…」ボソボソ

 
錬金術師「うんうん」

店主「ドアが…隠れてる…。そこから…」

錬金術師「はい、どーも」

店主「…」

錬金術師「あとは寝ちまうだろうし、放っておこう。行くぞ」クルッ

白学士「あ、はい」


カツカツカツ…ピタッ

錬金術師「ここか」

…ググッ!!

錬金術師「む…重いな…!ふんぬっ!」ググッ


白学士「ち、力ないですね。よいしょ」ゴロンッ

白学士「よしっ。これでいけると思いますが…」

 
錬金術師「…」

白学士「…店長先生?」

錬金術師「こ、これで勝ったと思うなよ」

白学士「え?」

錬金術師「…何でもない!行くぞ!」

白学士「あ、待ってくださいよ!」

ガチャッ…バタンッ…


店主「…」

店主「…ふぅ」

店主「…これで、いいんだったかね」

店主「アルス副機関長に言われなかったら、開店時間過ぎても寝てる所だったよ」

…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 アルスマグナ 本部 】


ゴウン…ゴウン…


錬金術師「でけえ…」キョロキョロ

白学士「全面ガラス張りで、最新の錬金道具がたくさん…」

錬金術師「ふむ…。よしっ、白学士」 

白学士「はい?」

錬金術師「これ着ろ」バサッ

白学士「これは?」


錬金術師「錬金機関に属している人に渡される白衣だ。久々だわこれ…」バサッ

白学士「…ちょっと嬉しいですね」パサッ

 
錬金術師「どうせ、ここにいる人間たちは互いに干渉もしていないし、顔も覚えてないのが多いだろうし」

錬金術師「白衣さえ着てれば、見つかっても同胞だなとしか思われないはずだ」


白学士「なるほど。でも、忍び込む必要はないんじゃ?」

白学士「アルス副機関長に声をかけたほうが早いような…」


錬金術師「少しでも現状を調べておきたいからな」

白学士「…そうですね。どれくらいの技術を持っているのか、僕も気になります」

錬金術師「そういうこと。よっぽど、顔なじみくらいの奴と会わない限りは、アルスマグナの面子に俺らの存在はバレん」


カツカツカツ…

アルス副機関長「ふふっ…、いらっしゃいませ、店長さん」ニコッ

錬金術師「こういう風にバレなけりゃ、大丈夫だ」

白学士「て、店長先生…」ヒクッ

本日はここまでです。有難うございました。

ぶっちゃけ連載頻度かなり落ちてるのに2本同時はきつくね?

皆さま有難うございます、投下致します。

>>594
更新量は下がっておりますが、2日に1回、
できるだけ20台更新は心がけてます。増減の差は出ておりますが、
投下は変わらず行うので、読んで頂ければ嬉しい限りです。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 アルスマグナの一室 】

ウィイイン…

アルス副機関長「…さて、こちらで休んでください」

アルス副機関長「今、上のカフェから飲み物を持ってこさせています。コーヒーでしたね」


錬金術師「…とてもいい待遇だな。ま、話が早く通りそうで助かるけどな」

アルス副機関長「店長さんとなれば、丁重に扱いますよ」

錬金術師「…」

アルス副機関長「何故、急にお越しになったんでしょうか?」

錬金術師「術士先生の件だ」

アルス副機関長「…彼女が、どうかしましたか?」

錬金術師「彼女はどこだ」

 
アルス副機関長「…おやおや。彼女が気に入ったのですか?」

錬金術師「まぁ何でもいい。彼女はどこへやった」

アルス副機関長「…」

錬金術師「…」

アルス副機関長「…助けたいから、ココへ来たわけですか」

錬金術師「そうだ」

アルス副機関長「…なるほど」

錬金術師「…」


アルス副機関長「別に、あの女性一人を渡すのは簡単です」

錬金術師「そうか、有難い」

アルス副機関長「でーすーがー…」

錬金術師「…」

 
アルス副機関長「それはフェアじゃない、ですよね?」フフッ

錬金術師「…」

アルス副機関長「どういう経緯で助けたくなったかは知りませんが、こちらだけ損は出したくないんですよ」

錬金術師「損も何もないだろう。ただの先生だぞ」

アルス副機関長「と~っても重要な、中央国の錬金術特待学校の先生ですから」

錬金術師「…動けないように監禁に近い事をしたんだろう?それなのに重要だ?何言ってやがる」

アルス副機関長「ふふっ…まぁ、いいじゃないですか」


錬金術師「…彼女を渡せ」

アルス副機関長「うちに得がありません。拒否します」

錬金術師「ただ監禁していても、得はないだろう」

アルス副機関長「…ありますよ?」

 
錬金術師「…何の得になるっていうんだ」

アルス副機関長「…"実験素材"」


錬金術師「!」

白学士「!」


アルス副機関長「知っているでしょう?うちが、人体実験をしていることくらい」

錬金術師「まさか…!」ガタッ

アルス副機関長「…えぇ、そうです。彼女もエリクサーの対象にさせて頂きました」


錬金術師「…」

錬金術師「…させて、"いただいた"?」


白学士「…っ!?」


アルス副機関長「…はい」ニコッ

 
錬金術師「…殺したのか!」

アルス副機関長「…死んでるようなもんじゃないでしょうか?」

錬金術師「こ…この野郎がぁぁ!」

…グイッ!

アルス副機関長「…おぉ怖い」

錬金術師「てめぇ…!!」

アルス副機関長「ふふっ…昔の顔に戻ってますよ、店長さん」

錬金術師「知ったことか…!まだ、生きてはいるんだろうな!?おいっ!!」

アルス副機関長「…自分で見てみますか?」

錬金術師「案内しろ…クソ野郎が!」ググッ

 
アルス副機関長「…では、手を放してください。苦しいんですよね、これ」ギリギリ

錬金術師「…ちっ」バッ


アルス副機関長「有難うございます」ニコッ

アルス副機関長「…それでは、ご案内しますよ」


錬金術師「…」

白学士「そ、そんな…」ブルッ


…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 実 験 室 】


カツカツカツ…

アルス副機関長「…こちらの部屋です」

錬金術師「…」

白学士「…」ブルブル


アルス副機関長「店長さんはともかく、白学士君には少しショッキングかもしれませんね」

錬金術師「…どういう意味だ」

アルス副機関長「…エリクサーの実験に行う段階はご存じですか?」

錬金術師「…話は聞いたことはある」

アルス副機関長「…エリクサーの実験は、レベル毎に分かれています」

 
錬金術師「実験段階のことだろう!」

アルス副機関長「そうです。まぁ、うちでやってるのは…世間一般では拷問と呼ばれる類に近いかもしれません」

錬金術師「何だと…」


アルス副機関長「元々、完成度は低いですが、エリクサーの試験薬はある程度出来ているのは知ってますよね」

アルス副機関長「ですので…それを投与し、あらゆる観点から人体実験を行います」

アルス副機関長「…簡単にいえば、暴力など」


錬金術師「…!」

白学士「ぼ…暴力って…」


アルス副機関長「傷の回復、痛みの程度、とにかくあらゆる検査が必要なのです」

アルス副機関長「彼女に投与したのは、この度完成した新しいエリクサーの試験薬」

アルス副機関長「…今までのよりは具合がよく、思った以上の成果はあがってますよ」

アルス副機関長「ですので、あと一歩と前に話をしたでしょう?」

 
錬金術師「…ふざけやがって!!」

アルス副機関長「まぁ安心してください。レベル3は行っておりません」

錬金術師「レベル3だぁ!?」

アルス副機関長「…実際に殺してみる実験のことです」ニタァ


錬金術師「…この野郎!!」グイッ!!!

アルス副機関長「…っ!」

錬金術師「さっさと開けろ!」


アルス副機関長「勢いよく締め上げるから、口の中を切ったじゃないですか」ゲホッ

アルス副機関長「…そう慌てないでくださいよ。離してください、開けられません」


錬金術師「…」パッ

 
アルス副機関長「…では、開けます」

カチャカチャ…ガチャッ…!!

ウィイン…

アルス副機関長「どうぞ、ご覧になってください」


カツ…カツ…カツ…


錬金術師「…」

錬金術師「…ッ!!」


白学士「あっ…あぁ…!!」

 
術士先生「…」


アルス副機関長「…あら。少しばかり…傷が癒えてない部分がありますね」

錬金術師「…」


アルス副機関長「回復速度が遅いですね、前回の内容が少しやりすぎたのでしょうか」

アルス副機関長「足の付け根と、胸から背中の部分を見てください。この下にある臓器へのー…」


錬金術師「…っ」

…ダッ!!

錬金術師「…術士先生、聞こえるか」

術士先生「…」

錬金術師「…おい、術士先生!聞こえないのか!」

術士先生「…」


アルス副機関長「店長さん、無駄ですよ。意識を飛ばしてますから」

 
錬金術師「…なに?」


アルス副機関長「…人の体は不思議でしてね。あまりにも辛い事があると、その記憶を飛ばしたり…」

アルス副機関長「別の人格の形成を行うのは知ってますよね?」

アルス副機関長「ですので、そうなったら困るので1回の実験を行う度に意識を飛ばし、実験前にスクロールするのです」

アルス副機関長「まぁ人格が変わったら変わったで、何か変わった結果も得られるかもしれませんが、困るので、念のためです」


錬金術師「…っ!」

アルス副機関長「彼女にとっての目覚めは、ずっと"今から実験体にされる"というままになりますので…ふふっ…」

錬金術師「お前ら、本当に人間か…!!」

アルス副機関長「…便利な技術ですよね」

錬金術師「…ゴミクズどもが…!」


白学士「…な、何で…こんな…」ブルブル

アルス副機関長「おや、白学士君。どうしましたか?」

白学士「なんでこんな…ひどいことを…」

 
アルス副機関長「…ひどい?何がですか?」

白学士「だ…だって…!こ、こんな…こんなこと…!!」


アルス副機関長「興味がお有りですか?なんなら、実験に参加しますか?」ニコッ

アルス副機関長「店長さんもいかがですか?あそこに実験記録がありますし、何をしてるか読みますか?」


錬金術師「…」ドクン…

錬金術師「…」ドクン…

錬金術師(お…抑えろ…!抑えろ!ここで暴れたら台無しになる…!)

錬金術師(そうだ…、そう…。まだ彼女は生きている。意識も戻る…、なら…!!)ドクンッ!


アルス副機関長「…店長さん?」

錬金術師「…きだ」ボソッ

アルス副機関長「はい?」


錬金術師「…取引を、しないか」

 
アルス副機関長「…取引、ですか?」

錬金術師「あぁ」

アルス副機関長「…どういうことでしょうか」

錬金術師「俺は彼女を助けたい。だが、それはフェアじゃないんだろう」

アルス副機関長「そうですね」

錬金術師「なら、フェアにいこうじゃないか」

アルス副機関長「…どういう意味でしょうか」


錬金術師「…」

ゴソゴソ…スッ

錬金術師「これが何か、分かるか」

 
アルス副機関長「…真っ黒な、玉…宝玉…でしょうか」

錬金術師「…」

アルス副機関長「…」

錬金術師「…」

アルス副機関長「…ま、まさか」ピンッ


錬金術師「わかるよな。お前らが探し求めてるモノだ」

アルス副機関長「…なぜ、貴方がそれを…!」

錬金術師「秘密っ」ニヤッ

アルス副機関長「ですが、それが本物という確証はありません!」

錬金術師「使ってやろうか?」

アルス副機関長「是非…見せていただきましょうか」

 
錬金術師「…」カチャッ

ギュッ…ギュウウウンッ!!!ビュウウッ!!


錬金術師「…ッ!」ビリビリ

アルス副機関長「…こ、これはっ!」

ビー!!ビー!!

アルス副機関長「部屋の魔力値が極端に減少していく…!警告音が!」

錬金術師「まだやるかい!」

アルス副機関長「…充分です!」

錬金術師「…っ」

カチッ…ヒュンッ…


錬金術師「少し、息苦しいか…?」ゼェゼェ

アルス副機関長「部屋の魔力が急激に下がったんです…と、当然でしょう…」ハァハァ

 
錬金術師「なら、今度は放出か!」

カチッ、ブオォォォッ!!!!

錬金術師「ぐっ…!」ビキビキッ

アルス副機関長「か、体に魔力が戻って行く…何て感覚ですかこれは!」ビキビキッ!


バチッ…ヒュンッ…

錬金術師「はぁ…はぁ…。これで吸い込んだ魔力は全部放出したぞ…。どうだ?」

アルス副機関長「す…素晴らしい…!」

錬金術師「これと交換でどうだ。悪い話じゃないだろう!」

アルス副機関長「…確かに、いい話です」

錬金術師「…彼女を解放してもらおうか」


アルス副機関長「…えぇ、いいですよ。ただし…」

錬金術師「ただし…?」

 
アルス副機関長「その偽物ではなく…、本物の黒魔石とでしたら、ね」ニコッ


錬金術師「そうかい」

錬金術師「…」

錬金術師「…は?」

錬金術師「…な、何っ?」

 
アルス副機関長「…その偽物ではなく、本物が欲しいといっただけですよ?」

錬金術師「本物だぜ、これは」

アルス副機関長「ウソはいけませんよ店長さん。それじゃフェアじゃありませんよ」

錬金術師「仮に偽物だとして、なぜ…それを知っている?」

アルス副機関長「ふふっ…」

錬金術師「…」


アルス副機関長「…そりゃ、知ってますよ。ねぇ…、白学士君?」バッ

白学士「…!」ビクンッ


錬金術師「…」

本日はここまでです、有難うございました。

趣味でやってることなのに投稿者に催促する奴が最近多すぎんよー
オマケに指摘すると逆ギレする奴も多いし餡子脳かって言う

皆さん有難うございます。投下いたします。
>>624
自分としては嬉しい事であると思っているので、お気になさらずです。

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 術士先生がさらわれた日 】


アルス副機関長「…」

アルス副機関長「…」

アルス副機関長「…ふふっ」


…クルッ

アルス副機関長「出てきなさい、そこの君」


白学士「!?」

アルス副機関長「全部聞いてたのは知っています」

白学士「…っ」

…ザッ

 
アルス副機関長「…盗み聞きはよろしくありませんねぇ」

白学士「よ、よくも術士先生を…!」

アルス副機関長「仕方ないことですよ。あなたは、術士先生の教え子でしたね。確か…白学士くん」

白学士「…っ」


アルス副機関長「…ふむ、なるほど」フフッ


白学士「な…何がおかしい!」

アルス副機関長「…君、あの先生の事が好きなのですか?」

白学士「なっ…!」


アルス副機関長「態度に出てますよ」

白学士「ち、ちがっ!」

アルス副機関長「…違うのですか?」

白学士「…そ、それは…」

 
アルス副機関長「君も、ずいぶん可愛い顔をしていますけどね」ペロッ

白学士「…!」ゾクッ

…バッ!

アルス副機関長「おや、私はお嫌いですか?」

白学士「…気持ち悪い!」

アルス副機関長「私は、男でも女でも可愛い人には好きなんですよ」ニコッ

トコ…トコ…

白学士「く、来るな!」


アルス副機関長「ひどい言われようですね…。少しショックですよ」ハァ

 
白学士「…っ」

アルス副機関長「…しかし、君は中々私好みの顔をしていますし、ここは見逃しましょう」クルッ

白学士「…」ホッ


アルス副機関長「…」

アルス副機関長「…何て言うと、思いましたか?」クルッ

ダッ…ダダダッ!!


白学士「…う、うわっ!!」


アルス副機関長「…何てね。ふふっ、冗談です。その驚いた顔…いいですねぇ」グイッ

白学士「…き、気持ち悪い!寄るな!!」ブンッ!

…バシィッ!

アルス副機関長「…」

アルス副機関長「痛いですねぇ…」

 
白学士「はぁ…はぁ…!」
 
 
アルス副機関長「…ま、悪ふざけが過ぎました」

アルス副機関長「貴方の顔を見て思い出して、少しやってほしい事が出来たので、その取引といきましょう」


白学士「…僕に、やってほしいこと?」

アルス副機関長「貴方、店長先生の下でお気に入りだった子ですね?」

白学士「お気に入りだったかどうかは知らない…けど」 

アルス副機関長「…貴方に、ちょっとやってほしいことがあります」

白学士「僕が、アルスマグナの言う事に素直に従うと思ってー…」


アルス副機関長「術士先生を、貴方のものにしたくないですか?自由にしたくはないですか?」

白学士「えっ…?」

アルス副機関長「…ふふっ」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


錬金術師「…」

アルス副機関長「…」

白学士「…」


アルス副機関長「…少し前に、手紙でそれが偽物だと話は聞いています」

アルス副機関長「ずいぶん素晴らしい出来でしたが、本物としか交換するわけにはいきません」


錬金術師「…白学士」


白学士「申し訳ありません…店長先生っ…」ブルッ

白学士「で、でもこれで術士先生を助けられるって思って…!」


錬金術師「…」

 
アルス副機関長「…さぁ、本物を出してください」

錬金術師「…出すと思うか?」

アルス副機関長「では、彼女を渡すわけにはいきませんね」

錬金術師「…」

アルス副機関長「…」

錬金術師「…」

アルス副機関長「さぁ、渡してください!」


錬金術師「その前に…白学士、今の話は本当なのか……」


白学士「…っ」

白学士「そ、それは…」


錬金術師「本当なんだろ…?」

 
白学士「…は…はいっ…」

白学士「で、でも!僕は術士先生をどうしても救いたくて!!」


錬金術師「…黙れ。お前が口を開く資格はねぇよ。俺を裏切ったことには変わりはねぇだろ!」

白学士「…店長先生!」

錬金術師「俺を先生と呼ぶな!!」

白学士「…っ」


アルス副機関長「仲間割れですかねぇ」


錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師「…アルス副機関長」


アルス副機関長「何でしょうか?」

 
錬金術師「悪いが、ナシにしてくれ」

アルス副機関長「…はい?」


錬金術師「白学士までアルスマグナに心を売るとは思わなかったよ…」

錬金術師「…」

錬金術師「今ので気が変わった。許すことは出来ねぇ…」


アルス副機関長「…どういうことでしょうか」

錬金術師「白学士の願いだった、術士先生は諦める。お前らに本物の黒魔石を渡すわけにはいかない」

アルス副機関長「…!」

 
錬金術師「俺は帰る。白学士…お前は残っていい。二度と俺の店に顔を出すな。話かけるな」

アルス副機関長「…それでいいんですか!」

錬金術師「いい。お前らに黒魔石は絶対に…渡さない」

アルス副機関長「ま…待ってください!それは予想とは違う…!」

錬金術師「俺に手出しするか?」

アルス副機関長「…ぐっ!」


錬金術師「できるわけないよな。一般に手出ししない美学もあれば、黒魔石の詳細もわからなくなる」

錬金術師「便利な機関ルールだ…ははっ」

錬金術師「…じゃあな」


カツカツカツ…

ウィイン…バタンッ…

 
アルス副機関長「…!」

アルス副機関長「ま、まさか、彼女を見捨てるとは…!」

アルス副機関長「ここに来るまでは予測通りだったというのに…!」


ダッ…タタタタッ…グイッ!

白学士「…アルス副機関長っっ!」

アルス副機関長「…どうしました、白学士くん。苦しいですよ」ググッ

 
白学士「約束が…違う!僕が戻るまで、術士先生には手出ししないといっていた筈なのに!」

アルス副機関長「"一般人"なら、です。彼女は一般人じゃありませんから」

白学士「そんな…!」


アルス副機関長「…しかし、まぁ約束は守ってくれましたし」

アルス副機関長「彼女を、貴方の自由にしてもいいですよ」

アルス副機関長「…この部屋で、ですけどね」ニコッ


白学士「なっ!」


アルス副機関長「彼女に会いたいなら、この部屋に来てください」

アルス副機関長「ほら、目の前に大好きだった彼女がいますよ。自由にして結構です」


白学士「そ、そういうことじゃないっ!」

アルス副機関長「…そういうことじゃない?何を言ってるんですか?」

白学士「な、何って…!」

 
アルス副機関長「…言い訳はよしましょうよ」

カツカツカツ…ムギュッ

白学士「むぐっ!」


アルス副機関長「貴方のような若い子が、心の底から"愛せる"人が出来るわけないでしょう」

アルス副機関長「今、そこに横たわる裸体の彼女を見て、"傷が酷い""好き"以外の感情は浮かんでおりませんか?」

アルス副機関長「…貴方の心の奥底にある本当の感情は、"愛"ではない。そうですね…当ててみましょうか」

アルス副機関長「いうなれば、彼女の身体をだー……」


白学士「違うっ!!」

白学士「…僕は…そ、そんなんじゃ!」


アルス副機関長「本当ですか?」フフッ

白学士「ち…ちがう…!」


アルス副機関長「では、この部屋を暗くしましょう」

アルス副機関長「…それと少しばかり、貴方を一人にしますか?」

 
白学士「…ッ」

アルス副機関長「…ほぉら、心が揺らぎましたよね…?」

アルス副機関長「別に悪いことではないんですよ?それが普通の気持ちだと思いますから」


白学士「…う、うるさい!!僕から離れろ!!」ドンッ!

アルス副機関長「おっと…」

白学士「はぁ…はぁ…」

アルス副機関長「…白学士くん、僕は素直な子が好きです。正直な気持ちでいいんですよ?」

白学士「…うるさい、うるさい!!」


アルス副機関長「…どうですか?彼女の肌…もっと近くでご覧になっては?」

ソッ…

白学士「…術士先生に、触るなぁぁっ!」ダッ!!

 
タタタタッ…!!

アルス副機関長「…おっと、危ない」ヒョイッ
 
白学士「あっ!」

…ズザッ…ドシャアッ!!


アルス副機関長「…さてと、私はやる事があるので失礼しますよ」

アルス副機関長「そのまま、彼女を自由にして結構です。素直になればいいんですよ」

アルス副機関長「では、失礼いたします」

ウィィン…バタンッ…


白学士「ぐっ…ぐうぅっ…!」グスッ

術士先生「…」

白学士「術士先生ぇ…」ギュウッ…

…………
………

  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

カツカツカツカツ…

アルス副機関長「…」


研究員「副機関長、お疲れ様です」ペコッ

研究員「黒魔石を手に入れる計画…どうなりましたか」


アルス副機関長「…失敗です。まさか、店長さんが彼女を見捨てるとは」

研究員「…本当に見捨てたのでしょうか」

アルス副機関長「いえ…、そんな事はないはずです。彼はこのような状況でも、見捨てるような人間ではない」

研究員「ずいぶんと、彼のことをかっているんですね」

アルス副機関長「…店長さんですからね」

 
研究員「しかし、こちらとて簡単に実験素材は渡せませんよ。彼にどんな考えがあろうとも」

アルス副機関長「…不思議なんですよね。店長さんといえども、この場面でいい案が浮かんでいるものなのか…」

研究員「まさか、正面切って何かを仕掛けてくるつもりとか」

アルス副機関長「そうですねぇ…、考えはあるのでしょうが、まとまらなかったから逃げたのでしょうか」

研究員「あの子供はどうします?変に動かれたら困るのですが」

アルス副機関長「…思春期の子供は難しい。欲望に負けるんじゃないでしょうか」

研究員「…実験素材に対してですか?」

アルス副機関長「私らから見たらただの実験素材ですが、白学士くんにはとても大事な存在でしょう」

研究員「そこまでわかっているのに、あの子にあの実験素材の姿を見せたのですか、ひどい人だ」ハハハ

アルス副機関長「…ふふっ」


カツカツカツ…ピタッ

アルス副機関長「…ん?」

 
…グビッ

錬金術師「お帰り。…相変わらず美味いコーヒーだな、アルス副機関長」


アルス副機関長「…店長さん!?」

研究員「…店長!」


錬金術師「コーヒーを持ってくると言ってたし、置いてあったのを勝手に飲ませてもらってたぞ」ゴクッ

アルス副機関長「どういうつもりですか…」

錬金術師「ただ、美味いコーヒーを飲まずには帰れなかっただけだ。すぐ帰るさ」


アルス副機関長「…また、交渉といきませんか」


錬金術師「俺がコーヒーを飲みきるまでならいいぜ」

アルス副機関長「…いいでしょう」

カツカツカツ…ストンッ

アルス副機関長(あと…コーヒーの量は…半分程度)

 
錬金術師「で、何だ」

アルス副機関長「率直にいいます。本物の黒魔石を渡してください。持っているのでしょう?」

錬金術師「…断る」

アルス副機関長「…彼女は解放しませんよ」

錬金術師「だからもういいって。白学士にも落胆した。、術士先生も助ける気もねぇ」

アルス副機関長「貴方の今の顔は…昔の顔、ですね。どちらかが本心ですか…はたまた両方か」

錬金術師「知るか。もう、俺は中央の人間は信じねぇ。二度と中央にも来ねぇよ」

…グビッ


アルス副機関長「…っ」

アルス副機関長「何があれば、渡していただけますか」


錬金術師「何をしても、もう渡さん」

 
…グビッ…ゴクッ…


アルス副機関長(あと3分の1…)


錬金術師「…」

アルス副機関長「…わかりました。お金を渡しましょう…どうですか」

錬金術師「ほう」

アルス副機関長「…ご希望の金額を、いくらでも」


錬金術師「…」
 
錬金術師「100兆ゴールド」


アルス副機関長「なっ…」

錬金術師「ビタ一文まけないぜ」

 
アルス副機関長「ぐっ…」

錬金術師「…♪」

…グビッ

アルス副機関長(あと…一口分…!)


錬金術師「…さぁ、どうする」

アルス副機関長「分かりました、貴方の望む事なら、出来る範囲でやらせて頂く!」

錬金術師「へぇ?」

アルス副機関長「望みを言って下さい…」

錬金術師「…」

アルス副機関長「…」

 
錬金術師「…そんな必死こいた顔、お前にゃ似合わねぇな」ククク

アルス副機関長「こっちとて、本気ですから…!」

錬金術師「…わかった」

アルス副機関長「!」


錬金術師「その前に…俺が目の前の人を見捨てる人間だと思うか?」

アルス副機関長「…見捨てるわけがないでしょう。そこも評価しているのですから」


錬金術師「お前のような人間にモテても、嬉しくもなんともないんだがな」

錬金術師「だが、その通りだ。先ず、術士先生の解放。それと、彼女に二度と手を出すな」


アルス副機関長「…やはり、あの時は白学士くんに激昂して実験室を出ただけですか」

錬金術師「あいつの話はするな」

アルス副機関長「も、申し訳ございません!」

 
錬金術師「そして…俺らの身内全員には関わるな、二度と!」

アルス副機関長「は、はい!」


アルス副機関長「わ、わかりました…」

錬金術師「本当は助けたくないが…、術士先生のためだ…。白学士にも…関わるな」

アルス副機関長「…承知しました。それ以外は…」

錬金術師「…お前自身が、実験体になれっていうのはどうだ?」ククッ

アルス副機関長「…!!」
 

錬金術師「冗談だよ。お前が欲しいのはこれ…だろ?」

スッ…キラッ!

 
アルス副機関長「そ、それは…!」

錬金術師「使い方は俺しか知らねぇ。お前らじゃ暴走させる可能性がある」

アルス副機関長「つ、使い方も教えて頂きたいのですが」

錬金術師「全ての約束を守ってくれるなら、考えないこともない」

アルス副機関長「…分かりました」


錬金術師「一旦、さっきの部屋に戻ろうか」ガタッ

アルス副機関長「…有難うございます」

…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 実 験 室 】

ウィイン…

アルス副機関長「…」

錬金術師「…」


白学士「あっ…。て、店長さん…!」

タッタッタッ…

錬金術師「俺に近づくな」

白学士「!」

錬金術師「お前も自由にはしてやるが、二度と俺に話かけるんじゃない」

白学士「そ…その…僕…」

 
錬金術師「アルス副機関長、まずは彼女の解放だ」クルッ

アルス副機関長「彼を完全に無視ですか。関係ありませんけどね」

白学士「…っ」


錬金術師「早く解放しろ」

アルス副機関長「…わかりました」

カチャカチャ…ブゥゥン…


錬金術師「記憶と意識はどうなる」

アルス副機関長「…今までしてきた、全ての事の記憶を戻すことは可能ですが」

錬金術師「それはやめてくれ。何もなかった…そうしてくれないか」

アルス副機関長「…何かをきっかけに思い出すかもしれませんよ。それこそ非道ではないでしょうか」

錬金術師「その時は、その時だ」

アルス副機関長「…」

 
ブゥゥン…バシュウ…

アルス副機関長「…これで、意識の解放は終わりました」


錬金術師「…裸じゃかわいそうだ」スッ

術士先生「…」

…パサッ

錬金術師「彼女はどれくらいで目覚める?」

アルス副機関長「…数時間後には」

錬金術師「わかった」


アルス副機関長「…」

アルス副機関長「…もう、連れて帰って結構です。だから、約束のものを…」

 
錬金術師「…渡すと思うか?」

アルス副機関長「…約束が違うでしょう」

錬金術師「俺は"約束"はしていない。考えるといっただけだが?」

アルス副機関長「…!」

錬金術師「さぁ、術士先生…帰ろう…」クルッ


アルス副機関長「…待ってください。それは少し違いますね」

錬金術師「違わないはずだが」

アルス副機関長「約束が違うというのは、一番私は嫌いなんですよ」

錬金術師「…どうする?」

アルス副機関長「店長さんだからといって、逃がすわけにはいきませんね」

錬金術師「…」
 
アルス副機関長「…」

 
錬金術師「…くそっ。また術士先生を危険な目に合わすわけにはいかない…か…」

アルス副機関長「…素直にしてください」

錬金術師「欲しいのはこれだったな」

…キランッ


アルス副機関長「…そうです」

錬金術師「これは…」

アルス副機関長「…約束ですから!!!」クワッ

…ガシッ!!

錬金術師「!」


アルス副機関長「ふ…ふふっ…!!これは貰いますよ!」

 
錬金術師「貴様…使い方は分かるのか!」

アルス副機関長「…教えてくれなければ、他の方たちに手を出させていただきますよ?」

錬金術師「…ッ!」

アルス副機関長「ふふっ…どうしましょうか?」


錬金術師「…」

錬金術師「つ…使い方は…、単純だ…」

錬金術師「魔力の結晶化を施す術で、吸収効果。放出は、他の魔石と同様だ…」

錬金術師「だ、だが…限界点がある。魔力の吸い込みは緑魔石純度99%以下と同等だ…これでいいか…」


アルス副機関長「…充分!!」

アルス副機関長「これで、もう…これでエリクサーは完成する!」

 
錬金術師「…完成させるかよ!奪われたままにすると思うか!」

アルス副機関長「研究員たちっ!!」パチンッ

ウィインッ!!ダダダダッ…!


研究員たち「…大人しくしろ!」

研究員たち「静かにしろ!」

…ガシッ!!


錬金術師「な…何だコイツら…離せっ!!」ギリギリ

白学士「うぐっ…!」ググッ

 
アルス副機関長「ふふっ…店長さん♪」

錬金術師「…ッ!」

…ツンッ

アルス副機関長「一度受け取ったものは、返しませんよ。もう約束通り、関わりませんから…」

アルス副機関長「…もう、いつでもエリクサーは出来るんですから♪」


錬金術師「絶対にさせねぇぞ!!」


アルス副機関長「彼らを外へ連れて行ってください!あ、術士先生も一緒に連れてって貰って構いません」

アルス副機関長「…約束は私は守りますから」フフッ


研究員たち「…はっ!」

グイッ!!

錬金術師「くっ…!!」

 
アルス副機関長「…」

アルス副機関長「…」ピクンッ

アルス副機関長「やはり…ちょっと待ってください」バッ


研究員たち「…どうしましたか」

アルス副機関長「少し、上手くいきすぎてる気がします」

研究員たち「と、いうと…?」

錬金術師「…っ!?」ビクッ


アルス副機関長「こんな簡単に、黒魔石が手に入る…ものでしょうか。相手は店長さんです…」

錬金術師「…だったら、それを返してもらおうか!」


アルス副機関長「…」

アルス副機関長「…研究員さんたち、店長さんの"偽物"のほうを取り上げてください」

 
錬金術師「!」

錬金術師「そ、それはいらないんじゃないか!俺の作ったものだし、俺のモノとしておきたい!」


アルス副機関長「…おや?どうしました?」

錬金術師「…い、いや!」

アルス副機関長「…」

錬金術師「…」

アルス副機関長「…やはりですか。本物と見せかけたほうが、偽物ですね?」

錬金術師「そ、そっちが本物だ!」

アルス副機関長「…研究員たち!」


研究員「大人しくしろ、別のほうも寄越せ!」グイッ

錬金術師「やめろっ!」

コロンッ…カキィン…、コロンコロン…

 
…ガシッ

アルス副機関長「…こちらが本物、じゃないんですか?」

錬金術師「…っ」

アルス副機関長「…答えてください」

錬金術師「ち、違う!」


アルス副機関長「…」

錬金術師「…」


アルス副機関長「…わかりました。では…また、術士先生に実験素材になっていただきましょう」

錬金術師「…何!?」


アルス副機関長「こっちの貴方が"本物という方"で、エリクサーを作り直す」

アルス副機関長「そして、それを使ってレベル3の実験をしましょう」

 
錬金術師「なっ!」

アルス副機関長「…だって、こっちは本物なんですよね?だったら完成するはずです」

錬金術師「ぐっ…!」

アルス副機関長「…私らは本気ですよ。"店長"」ギロッ


錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師「…ほ、本物は…、さ…最初の…ほう…だよ…っ!!」


アルス副機関長「…やはり、ですか」

アルス副機関長「まぁどっち道、二つとも実験素材にあてれば問題ないんですけどね」

 
錬金術師「お前ら…!」


アルス副機関長「…これでもう、本当に店長さんには用事はありません」ニコッ

アルス副機関長「さっさと外へと連れて行きなさい!」

 
錬金術師「く…くそぉぉ!!離せぇぇぇっ!!」

白学士「…ッ」

ウィイイン…バタンッ…


アルス副機関長「…ご苦労様でした、店長さん」

アルス副機関長「これで完成は間近です。数時間もあれば…出来るはずですよ…。ふふっ…」


…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 3丁目 路地 】

…ゲシッ!!ドシャッ!

錬金術師「がふっ!」

白学士「うわっ!」

術士先生「…」



研究員たち「…二度とここへは来るな」

研究員たち「…ふん」


ガチャッ…バタンッ…

 
錬金術師「…」

白学士「…」

術士先生「…」


白学士「…店長先生…あの…」


錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師「…」ニカッ

白学士「!」

錬金術師「良~い演技だったぜ、白学士!!」

白学士「あ、有難うございます!」

 
錬金術師「…っと、術士先生の傷も治さないといけないし…まずは宿だ」

白学士「術士先生…大丈夫なんでしょうか…」グスッ

錬金術師「…今はとにかく、休ませよう。宿で横にしてやらないとな」

白学士「…はい」


ポツ…ポツポツポツ…

錬金術師「ん…雨か…」

ザァァァ…!

錬金術師「やっべ、本降りが早い!走るぞ!」

白学士「…は、はいっ!」


タッタッタッタッタッ…

………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 宿の一室 】


術士先生「…」


錬金術師「まだ…意識は戻らないか…」


白学士「…」

錬金術師「心配すんな。きっと大丈夫だ」

…ポンッ

白学士「はいっ…」ブルッ

錬金術師「しかし、よくやってくれた。一人にして悪かったな」

白学士「それくらい…」

 
錬金術師「でも、術士先生と二人っきりの時間は少し良かったんじゃないのか?なーんつって…」

白学士「や、やめてくださいよ!アルス副機関長にも似たような事言われて…」

錬金術師「…すまん」

白学士「いえ…」

錬金術師「でも、お前は本当によくやってくれた」

白学士「…あれくらい!」


錬金術師「作戦通りだった…」

白学士「ここまで上手くいくとは思いませんでした」


錬金術師「あの流れから、"どちらも偽物"だとは考えなかっただろうな…、ははは!」


………………
…………
……

本日はここまでです、有難うございました。

皆さま有難うございます。
予想がどうあれ、読んで頂き、こうなっているだろうなと物語を考えて頂ける所は
非常に嬉しく思っております。

それでは、投下開始致します。

 
……
………
………………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央へ向かう道中(錬金術師機関へ向かう最中) 】


ザッザッザッザッ…

錬金術師「…」

白学士「…な、なぜ、中央の馬車に乗る前に、隣町の錬金術機関に?」

錬金術師「少し、欲しいものがあってな」

白学士「そ、そうですか…」

錬金術師「…」

白学士「…」

 
錬金術師「…なぁ白学士」

白学士「は、はい」

錬金術師「…俺を出し抜こうとしても、無駄だぞ」

白学士「え?」

錬金術師「…昨晩、最後の仕上げ中に、わずかな音で気付いた。お前、偽黒魔石を勝手にいじったな」

白学士「!」


錬金術師「お前の接合部分を開けさせてもらった」

白学士「…っ!!」


錬金術師「中には本物の黒魔石が入っていた」

錬金術師「…俺が外に出てる間に、本物の黒魔石を取り出して組み込んだだろう。なぜ、こんな事をしたんだ」

白学士「…そ、それ…は…」

 
錬金術師「…何か隠しているだろう」

白学士「…ッ」

錬金術師「お前、アルスマグナの副機関長と何を話した」

白学士「えっ!な、何でそれを…!」

錬金術師「恐らくそうだな…、何かを条件に、俺の情報を売れと言ったんじゃないか」

白学士「…」


錬金術師「図星か。また、アルス副機関長にはしてやられたな。勝負仕掛ける前に負けるとは思わなかったぜ」ハァ


白学士「…」

白学士「…僕が、裏切ったのに、こうして一緒に中央へ行くんですか…?」


錬金術師「まぁ、話を聞け。お前が裏切っていたのを見抜けなかった理由がある」

白学士「何でしょうか…」


錬金術師「お前が、術士先生を助けたいという気持ちが本心から伝わって来たからだ」

錬金術師「…アルス副機関長と交換した条件は…術士先生を自由にしていいとか、そういうことだろう?」

 
白学士「…」

白学士「全部、お見通しなんですね…。その通りです…」


錬金術師「…人助けしたいのは悪いことじゃない。だが、奴らに手を貸すことは許さない」

白学士「…は、はい…」

錬金術師「もう、情報は売ったのか?」

白学士「…手紙で、偽物を作ってると…」


錬金術師「…」

白学士「…」

錬金術師「…」グイッ


白学士(…殴られる!)

白学士「ひっ…!」

 
…ポンッ、ワシャワシャ

錬金術師「…ったく。やれやれだ」

白学士「…え?」

錬金術師「お前は本当に真っ白な人間だよ。術士先生はそんなに好きだったか?助けたかったか?」

白学士「店長先生…?」


錬金術師「お前が進む道は、そっちじゃねえ。かといって、俺のところじゃねえ」
 
錬金術師「人の為に、お前はもっと、正しい道を行くべきなんだ。その技術、その腕はそのためにあるはずだ」

錬金術師「俺をもっと信頼しろ。俺に任せろ。俺が必ず術士先生は救ってやる」


白学士「…っ」

錬金術師「お前はまだ、本当の間違いを犯したわけじゃない。軌道修正するんだ」

白学士「でも…もう、僕は店長先生のことを…」

 
錬金術師「気にするな、逆に好都合だ。それを逆手にとる。お前は"偽物を作っている"と伝えたんだろう?」

白学士「はい…」


錬金術師「もう、俺はこの偽物をすぐにでも作れる。これを今から行く機関でもう1つ作る」

錬金術師「今度は完成度が高く、質感もより本物に近づけたものをな」


白学士「えっ!?で、でも、とてもそんな時間は…!」

白学士「それに、作ってどうするつもりなんですか…?」


錬金術師「作れるさ…任せろ。理由は後で話す」

白学士「…」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 隣町・錬金術師機関 】


カチャカチャ…ゴォォオ!!

バキィンッ!バチバチッ…

錬金術師「…」


白学士「す…凄い…!どんどん形が組みあがっていく!」

錬成師「さすがですね、先輩」

機関長「急に来たと思ったら、厄介なことに巻き込まれおって」ハァ

 
錬金術師「うっせー!つーかさ…」

機関長「うん?」

錬金術師「新しい人手、欲しいとは思わない?」

機関長「どういうことだ?」

錬金術師「そこにいる白学士、雇ってやってくれないかな」


白学士「…えっ!」

機関長「な、何っ!?」

錬成師「!?」


錬金術師「そいつさ、一度、真っ黒な道にそれようとしてた人なんだよ」

錬金術師「でも、まだまだ真っ白で純粋な心は残ってる。だから、機関長に道を示してほしい」

錬金術師「…いつかの俺のように」

 
白学士「…ぼ、僕なんかとても!」


錬金術師「俺の推薦だ。あんな学校にいる価値はねぇ…お前は、お前自身を見つめなおせ」

錬金術師「俺じゃ、今のお前が進もうとした黒い道を完全に防ぐ事は出来ない」

錬金術師「そこの機関長だったら、また…お前の道を正しくしてくれるはずだ」


機関長「…」

白学士「そ、そんな…迷惑を…」


機関長「はぁ…お前はいつもそうだな。台風のようなやつだ」

錬金術師「頼んだよ、機関長」ニカッ

機関長「仕方ないのぅ…」ハァ

 
白学士「えっ!?」

機関長「店長の紹介じゃ、断れんよ」ハッハッハ

白学士「ぼ、僕が機関に…入れるんですか!?」

機関長「たーだーし!悪い道へ進むようなら、容赦なく制裁するからな」

白学士「…っ!」


錬金術師「俺のお勧めの機関だぜ、白学士」

錬金術師「勝手に決めたことだが…、嫌だったら断っていい。俺の後輩になっちまうしな」


白学士「こんな僕が…入ってもいいんですか…。貴方の後輩になってもいいんですか…?」

機関長「構わん」

白学士「ぜひ…お願いしますっ!!」

 
錬金術師「…」フッ


機関長「…それにしてもなぁ、この店長はな、昔は本当に手が付けられない暴れん坊でな」

錬成師「僕もよく怒られましたし」

錬金術師「…そこまでにしてくれないかなぁ…?折角、新しい後輩が出来たところなんだから…」

機関長「はっはっは!」

錬成師「ご、ごめんなさい!」


白学士「あはは…。ところで、店長先生」

錬金術師「あん?」

白学士「何で、ブラフを作るんでしょうか。偽物が2つ、本物1つになりますし…、数がわけわからなく…」

錬金術師「…くく、本物はもう…店に置いてきた」

白学士「えっ!?僕が外せないようにしっかり溶接したんですよ!」

 
錬金術師「俺にあのくらい外せないと思ってるのか?」

白学士「さ、さすがです…」

錬金術師「で、偽物を2つ持ってく。片方は今、俺がもっとしっかり作って…より本物に近づけるけどな」

白学士「でも、どっちも偽物って…意味ないんじゃ…」

錬金術師「だからだろ」

白学士「?」


錬金術師「昨晩の作業内容的に、お前が伝えた詳細はこうじゃないか?」

錬金術師「お前はどうにかして本物を持っていくか…、偽物を準備していると手紙で送ったんだろ?」


白学士「…は、はい。その通りです。偽物を準備しているといいました。チャンスを見計らって偽物を本物にすり替えるとか…」


錬金術師「だとすると…恐らく相手は、"偽物のほうが本物なんでしょう?"とか言ってくるはずだ」

錬金術師「そうすれば、どっちも偽物だったら困らないわけだ」


白学士「…!」

 
錬金術師「んでもなぁー…少し心配なこともあってな…」

白学士「何が心配なんですか?」

錬金術師「お前がずっと裏切っていたままでいるかを、信用してるかだ」

白学士「あ…」

錬金術師「相手が相手だ。俺と白学士がこうしていることも見破っているかもしれん」

白学士「じゃあ…どうすれば…」

錬金術師「…お前、演技は上手いか?」

白学士「演技、ですか?」


錬金術師「…」

白学士「…?」


錬金術師「…ちょっと、外にいこう」

白学士「は、はい」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

白学士「…どうしましたか?」

錬金術師「機関長と錬成師がいる場所で話にくいんだ。…主にお前のことだからな」

白学士「はい」

錬金術師「お前、本当に術士先生は好きなのか?」

白学士「え!?い、いやそんな!それは先生として…!」

錬金術師「…割と本気で聞いてるから、答えてくれ」


白学士「…」

白学士「好き…、です…」

 
錬金術師「うん、そうか」

白学士「…」

錬金術師「よし…。さて…」

白学士「?」


錬金術師「作戦の1つ目を教えておく」

錬金術師「お前はまだ、アルス副機関長の手先になっているフリをしてほしい」


白学士「そ、そのほうがいいですよね。わかりました」

錬金術師「何があっても、それは貫き通せ。そうすれば、なるようになるはずだ」

白学士「…そうなんですか?」

錬金術師「とにかくお前はまだ向こうの手先、それだけは忘れず行動しろ」

白学士「…はい」

 
錬金術師「そして2つ目。こっちもかなり重要でな、ずっと俺を信じていてほしい」

白学士「えっ?そ、そりゃ信じますよ!」

錬金術師「1つ目と同じく、何があってもだ」

白学士「…何があっても?」

錬金術師「そうだ。意味は行けばわかる」


白学士「はい…わかりました」


錬金術師「うん、それでいい。頼んだぞ」

白学士「…」コクン

 
錬金術師「…さて、お前の行動はその2つ。単純だろ?」

白学士「はい。逆にあっさりしすぎてて怖いくらいですけど…」


錬金術師「大丈夫大丈夫!任せておけ!」ハッハッハ!

錬金術師「お前はとにかく、その2つだけ通して行動しろ。いいな」


白学士「…はいっ」

錬金術師「…」

………
……

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 時間は戻り― 宿の一室 ― 】


錬金術師「…」

白学士「…」


錬金術師「ここまで上手くいくとは思わなかったが…」

白学士「本当に出し抜けましたね。2つとも偽物だって疑わなかったんでしょうか」


錬金術師「ん~…」

錬金術師「偶然も絡んだからだろうなぁ」


白学士「どういうことですか?」

 
錬金術師「言うなれば、ラッキーが絡んでたっつーこと。あいつの失敗は俺に珈琲を用意させたこと、か」

白学士「コーヒーが?」

錬金術師「それと、アルス副機関長が俺を信用していたこと。それが一番の仇となったんだろうが」

白学士「ど、どういうことですか?」


錬金術師「俺らの作戦と、あいつの考えを、俺の予想で簡単に言うとだな…」

白学士「はい」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

――アルス副機関長は、白学士を操り、俺を出し抜く作戦だった。

もちろん、お前が裏切ることを考えたうえで、だ。

お前が送った手紙で、奴は

"偽物を作っている"
"本物も持ってくるかもしれない"

という2つの情報を得たが、ここでは、どちらも信用してなかったはず。


白学士「えっ?」


そりゃそうだろ。偽物を本当に作っているかは実際に見るまでわからないし、

最初に言った通り、お前が既に俺の味方について、その情報も偽装しているかもしれないと考えたからだ。


白学士「…なるほど」

 
そして当日、俺が見せた黒魔石を見て、奴は確信した。

"偽物を作っていた"と。

ここで、奴の考えは『白学士はまだ、コチラ側の可能性が高い』と考えた。

そしてここに来て手紙の内容にあった"偽物"があるなら"本物がある可能性も出てきた"と思ったんだろう。


その少し前に、お前が術士先生に見せる熱意で、益々お前がまだ『裏切っていない』とでも考えたんじゃないか?


その後、実験室を俺が出たあと、部屋にいた俺を見つけてアルス副機関長は交渉を持ちかけた。

そして、俺が持ちかけたのは"交渉はコーヒーを飲みきるまで"という言葉。

これによって相手も焦り、俺が人を見捨てる人間ではないと思っていても、少しの不安の種となる。


…そこで出したのが、2つ目の偽物だ。

そこまできて、やっと"本物"があるのではないかと、疑っていたアルス副機関長の思いが

"これなら本物だ"と、わずかに積もっていた不安の種が早くも芽生えつつ、期待感を経て、

…より"これが本物"という『確信』へと近づいた。

 
んで、最後。俺とアルス副機関長がまた実験場へ戻った時のこと。

奴は…自ら墓穴を掘った。


白学士「墓穴ですか?そんなように見えませんでしたけど…」


実は、本物が逆なのではないかと聞いただろ?それだ。


白学士「それが墓穴ですか?」


そう。奴が"こちらが偽物ではないか?"と聞いた時、俺はわざと驚いてやったんだ。

実はどちらも偽物だと見抜かれないか内心、ヒヤヒヤしてた。

だが、それのおかげで、最初の偽物も"本物"へと見せかける事に成功した。

あれがなければ、どっちも偽物ってバレてた可能性もあったかもしれん。


白学士「…!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 
錬金術師「…とまぁ、こんな感じだ」

白学士「心理戦ですね、まるで」

錬金術師「…そんな大それたことじゃないさ。お互いに出し抜こうとして、バカ見ただけだ」

白学士「…」


錬金術師「とにかく、明日の朝にはここを離れる」

白学士「…」

錬金術師「落ち着くまで、あの機関へ身を潜めるといい」

白学士「…はい」

錬金術師「さて、明日も早いし…俺らも寝ようか」フワァ

白学士「術士先生…大丈夫でしょうか」

錬金術師「…大丈夫さ。きっと」

白学士「…はい」

 
錬金術師「…」

白学士「…店長先生、最後に1つだけ」

錬金術師「何だ?」

白学士「僕のこと、どうして許してくれたんですか」

錬金術師「…術士先生を救いたいと思った気持ちが、本心だったからだ」

白学士「…アルスマグナに手を貸したのに、ですか」


錬金術師「…本音を言えば、許せることじゃない」

錬金術師「だが、何ていうのか…」

錬金術師「お前の気持ちが勝っちまった。見ててわかるんだよ、お前が術士先生を思ってることが」


白学士「えっ…、そ、そんなにですか…」

 
錬金術師「先生一人のために、わざわざ遠くの俺の店に来るやつがいるかよ」

…コツンッ

白学士「…!」

錬金術師「…さ、早く寝ろ。明日も早いんだ。…灯り、消すぞ。おやすみ」

白学士「…おやすみなさいです、店長先生…」


…カチッ

錬金術師「…」

白学士「…」

 
錬金術師(…本当は、お前を危険な目に合わせたくなかった)

錬金術師(話を聞いた後、一人でも術士先生はどうにかするつもりだった)

錬金術師(…たまたま、色々と運がこっちへ向いたと思ったから利用しただけなんだよ…)


錬金術師(俺はお前を術士先生を助けるダシにしたんだ…くそっ!)


錬金術師(…こんな俺だから、お前の黒い道を直せるわけがないんだ)

錬金術師(あとは、機関長が何とかしてくれるはず…きっと。今は、ゆっくり休んでくれ…)

錬金術師(俺も…眠い…)


…………
………

 

………
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


モゾモゾ…ムクッ

錬金術師「…といれ」

パサッ…、トコトコ…

錬金術師「…まだ、夜中か…」ムニャムニャ


ガチャッ…

錬金術師「…」

錬金術師「…ふぅ」ブルッ

 
錬金術師(しかし、いずれは偽物とバレるよなぁ…)

錬金術師(その前に術士先生を機関に入れれば、あいつらも手出しはしないはず)

錬金術師(それがモットーだし、とにかく中央から出して、一般機関へ移籍させれば安全だろう)

錬金術師(…)

錬金術師(…ん?)ゾクッ

錬金術師「…何だ?」

…クルッ


術士先生「…」ユラッ


錬金術師「ぬおっ!?」

 
術士先生「…」


錬金術師「…じ、術士先生…!?」

術士先生「…」

錬金術師「…」

術士先生「…ぃ」ボソッ


錬金術師「…?」

術士先生「…」

本日はここまでです。有難うございました。

有難うございます。投下いたします。

 
錬金術師「じ、術士先生…、気が付いたのか?」

術士先生「…」

錬金術師「…」


…パサッ、パサパサッ…

錬金術師「…ちょっ!?な、何服を脱いで!」


術士先生「…」

術士先生「店長、先生…」ボソッ


錬金術師「な、何だ…?」

 
術士先生「私…」

術士先生「…何で…」

術士先生「こんな…」

術士先生「傷…が…」


錬金術師「…え?」


術士先生「毎日…」

術士先生「毎日……」

術士先生「毎日…………」

術士先生「たった2週間が…………、永遠のようで…………」

 
錬金術師「…!」

術士先生「…」

錬金術師「まさか…、術士先生…き、記憶…が…?」


術士先生「何が実験素材…。毎日……毎日……っ!!」

錬金術師「…術士先生!しっかりしろ!アルス副機関長の野郎、記憶を戻しやがったのか!!」

術士先生「そうだった……。分かりますか?入れ替わり…身動きがとれないで……」

錬金術師「術士先生!!気をしっかり持ってくれ!!壊れてしまう!!」


術士先生「……痛いと言ったのに。痛いと何度も言ったのに。やめてと言ったのに……」

錬金術師「術士先生っっ!!」

術士先生「そりゃ…ね…。わかってた…」

 
錬金術師「…ッ」


術士先生「毎日が怖くて、痛くて…、暗闇に沈むと明日には覚えていない…」

術士先生「だから、いいように使われた…」

術士先生「店長先生…、私ってモノですか…?ただの…道具なんですか…?」


錬金術師「…違うっ!あなたは、立派な…先生だ!!それに、もう、その地獄は終わったんだ!!」


術士先生「…」クスッ

術士先生「その迫力…。男の人って、予想以上に怖いんですねぇ」

術士先生「実験素材っていうわりには、実験の他にも…たまたま来ては…、わかりますかぁ?」


錬金術師「やめろ…術士先生…」

 
術士先生「昼過ぎに来る2人は、こんなにイイ女なのに、勿体ないなぁとか言ってくれるんですよ?」

術士先生「…助ける気もない、くせに。ただ、自分の欲望を満たす為のだけの、くせに…!」ギリッ!!


錬金術師「やめてくれ…」


術士先生「何で、私がこんな目に合わないといけないんですか…?」

術士先生「そうそう、毎日、夜に記憶を失わせられるんですよ。その日にあった事が吸い込まれるようにして消えていくんです」

術士先生「暗闇の中に、深く…深く…」

術士先生「でも、それが心地よかった。全部、忘れられるから…」

術士先生「…」

術士先生「…そのまま、死ねばよかった。こんな思い出が刻まれたまま、生きる事になるのなら…!!!」


錬金術師「待て…それは違う、それは…絶対に違う!!生きているからこそ…!」

術士先生「…何!?生きているから、何!?」

 
錬金術師「…ッ!」

術士先生「貴方は味わってないから、分からない!!」

錬金術師「…っ」


術士先生「どんな事があったか、全部話すから、聞いて!これでも、生きていたほうがいいと言えるの!?」

…めろ…

術士先生「…最初は、数人の男たちに地下に閉じ込められた!身動きを取れない状態で、数人の…」

…やめろ…

術士先生「そこから地獄が始まったの!それから、地下から実験室へ移動させられた…」

…やめてくれ…!…

術士先生「研究員たちは、それでも私を…。そこに毎日、死んだほうがマシといえる実験…」

…やめてくれ!やめてくれやめてくれ…

 
術士先生「…で…そこから……。そして…」


やめてくれ…やめてくれ…!!

やめてくれやめてくれやめてくれ…やめてくれ…!!!


術士先生「…聞いているの…!?」


やめてくれ、もうそれ以上は言わないでくれ!

俺のせいなのか、俺が見捨てたから!?

…もう、俺に語り掛けないでくれ…!!



術士先生「…聞いているの?」


術士先生「"店長先生"」ニコッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 朝 】


錬金術師「あ…うあぁぁぁっ!!!!」バッ!!


…ゴツンッ!!!


錬金術師「ぬがっ!?」

錬金術師「いっ…つぅぅ~~…!!」ズキズキ

錬金術師「な、何だ…?」ハッ


術士先生「い…いたぁい…」グスッ

 
錬金術師「…!!」

錬金術師「や、やめろぉぉっ!!」


術士先生「…え?あ、あの…。ご、ごめんなさい!」


錬金術師「…」
 
錬金術師「…えっ?」


白学士「て、店長先生、どうしたん…ですか…?大声あげて…」


錬金術師「…あれ?」 

…チュンチュン…
 
錬金術師「明るい…。朝…か?」


白学士「そうですけど…」

 
錬金術師「…ゆ、夢…?」

白学士「何か、悪い夢でも見たんですか…?」

錬金術師「…」チラッ

術士先生「て、店長先生…?」


錬金術師「じ、術士先生、目が覚めたんですか…」

術士先生「はい…。ついさっきですが…」

錬金術師「身体、大丈夫ですか?痛むところとか…」

術士先生「げ、元気です!大丈夫です!」

錬金術師「…」


術士先生「あの…助けていただいたんですよね…。白学士クンに聞きました。

術士先生「…ありがとうございました」ペコッ

 
錬金術師「記憶は…」

術士先生「全く覚えてないんです…。折角助けて頂いたのに、本当にごめんなさい!」


錬金術師「…そ、そうですか」

錬金術師(夢…か…)


術士先生「はい…」


錬金術師「最後に覚えていることは、何ですか?」

術士先生「それがほとんど覚えてなくて、他の研究員たちに連れてかれた後から全然…」

錬金術師「…」

術士先生「…」


錬金術師「本当に身体は大丈夫なんですか?」

術士先生「はいっ!それは大丈夫です!」

 
錬金術師「それなら…良かった」ニコッ

術士先生「…あっ」

錬金術師「…どうしました?」


術士先生「…」グスッ

錬金術師「ちょ、ちょちょっ!何を泣いて!」

術士先生「うぇ…」グスグス

錬金術師「し、白学士!何とかしてくれ!」


白学士「ちょっと宿にある購買に行ってまいります」

錬金術師「おいこら!」

ガチャッ…バタンッ…

 
錬金術師「俺をこの状況で一人にするなぁぁ!!」

錬金術師「あぁぁっ…ど、どうしたんですか!術士先生!」


術士先生「…っ」ダッ

…ギュウッ

錬金術師「…おふっ」

術士先生「うぇ…ひぐっ…」ギュウゥ


錬金術師「…どうしましたか。落ち着いてください」

術士先生「また、店長先生の笑顔を見れるとは思ってなくて…。ご、ごめんなさい…」

錬金術師「…俺も、その場その場で酷い事を言ってしまいました。…すみませんでした」

術士先生「私が悪いんです…、私のせいなんです…。店長先生は全然悪くないんです…」グスグスッ

 
錬金術師「…」

術士先生「…」ギュウッ…


錬金術師「助けるのが遅れてしまって…。あなたには酷いことを…」

術士先生「…大丈夫です、私は。"あのまま"死んでいたかもしれないのに、助けに来てくれるなんて…」


錬金術師「…大丈夫と言ってくれるなら、少しは俺も気が休ま…」

錬金術師「…」

錬金術師「待ってください。今…何て…」


術士先生「…え?」

錬金術師「今、"あのまま"と言いましたか?」

術士先生「…あっ」ハッ


錬金術師「術士先生、まさか記憶が!?」

錬金術師(ま…正夢なのか!?)

 
術士先生「…」

術士先生「…」

術士先生「…」コクン


錬金術師「…ッ!!」

錬金術師「き、記憶が戻っていたのに……、平気な顔をしていたんですか…っ!!」


術士先生「店長先生に、これ以上迷惑をかけたくなかったからです…」

錬金術師「~っ…」

術士先生「私は大丈夫です…。大丈夫ですから…」

錬金術師「大丈夫なもんか…。大丈夫なわけがないだろうが…っ!」

グイッ…!ギュウッ…!

術士先生「!」

 
錬金術師(あの夢は、本当だったのか…。だけど、彼女は、俺が思う…それ以上に強かったのか…)

錬金術師(この人をあの時に見捨てなければこんな事には…ならなかったんだろう…。俺のせい…だ…)


術士先生「て、店長先生…恥ずかしいです…」

術士先生「それに傷がひどくて…。わ、私は抱きしめられる価値なんか…」


錬金術師「傷がひどい…?俺にとっては、こんな傷程度だから…」ソッ

術士先生「…っ!」ピクン

錬金術師「君は決して、抱きしめる価値のない人間なんかじゃない。誰よりも強い心を持ってると思う」

術士先生「…店長先生…、ま、まだ私こういう事したことないので…、優しく…」

錬金術師「!」

術士先生「ごめんなさい…その…」

 
錬金術師「術士先生、貴方…実験対象になった時には…」

術士先生「…た、沢山殴られたり…切られたりしました…。けど、そういう事は…」

錬金術師「…!」

術士先生「だから…まだ恥ずかしくて…」


錬金術師(ってことは、夢の中は俺の勘違い!?)

錬金術師(っつーか、そういう事を考えて寝てたってことなのかな…)

錬金術師(自分で自分を追い込んで、アホみてぇだよ…)ハァァ

錬金術師(でも傷つけられてたのは本当だし、ど、どういう顔すればいいんだ…。こんな夢見てたなんていえねえ…)


術士先生「…店長先生?」

錬金術師「いっ…!」

 
術士先生「いっ…?」


錬金術師「いっ…いっ…、い…」

錬金術師「いや…、その…」


術士先生「…?」


錬金術師「い…癒える事のないキズなんかないさ…!」

錬金術師「心へ深く残ったキズが、俺の腕の中で少しでも癒えるなら…俺をいつでも頼ってくれ」キリリッ


術士先生「…!」
 
術士先生「て、店長先生…!」カァァッ


錬金術師(…)ハァ

 
術士先生「店長先生…、もう1度…抱きしめてくれませんか…」

術士先生「先生の腕の中、胸の鼓動が…、安心するんです…」


錬金術師「…怖かったよな。安心するなら、いくらでも…。これでいいか…?」グイッ

ギュウッ…

術士先生「…っ」グスッ

錬金術師「…」


…ガチャッ!

白学士「そろそろいいでしょうか…、ただいまです」

 
錬金術師「…あっ」

術士先生「…!」

白学士「」


術士先生「し、白学士くん!?ちょ、ちょっとこれには訳が…」


白学士「…店長先生、術士先生…」

白学士「お幸せにっ!」

ダッ…タッタッタッタッタッ…!
 

錬金術師「ま、待て!誤解だ、おい、おーーーい!!」

…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 同時刻・アルスマグナ 】

…ゴウンゴウン…

コポコポ…


アルス副機関長「…いきますよ」

ザシュッ!!…ポタ、ポタ…

アルス副機関長「さぁ…私の腕を見てください、みなさん」

シュウ…シュウ…


研究員たち「おぉ!?」

研究員たち「き、傷が凄い速度で治っていく!」

研究員たち「今までの比じゃないぞ…!」

…ザワザワ!!

 
アルス副機関長「…ふふ、ふふふっ…!!エリクサーの力ですよ!!」

研究員「凄いですね…」


アルス副機関長「店長さんには感謝しませんといけませんねぇ…!」

アルス副機関長「個人的にさっきまで検証していましたが、この力はまず間違いなく本物の黒魔石…!」

アルス副機関長「それを上手く生成した今回のエリクサー試験薬は、ほぼ完成したといって差し支えないでしょう!」


研究員「早速、この成果を報告しにいきましょう!」

アルス副機関長「…待ってください。これを本物のエリクサーとするには、これからが本番なんです」

研究員「え?」


アルス副機関長「死に匹敵する傷でも、本当に治癒するのか試さなければ」

研究員「あぁ、そうですね。では、実験素材を連れてまいりましょう」

アルス副機関長「…ま、それはいらないでしょう」

研究員「どういうことですか?」

 
アルス副機関長「…今、この場で私の首を掻っ切ってください。自分でやるのは少し嫌なので」

研究員「…俺がですか?」

アルス副機関長「…じゃ、貴方にお願いします」

研究員「まぁ、今の回復速度的には余裕でしょう」

アルス副機関長「では、ナイフをどうぞ」スッ

研究員「…じゃ、いいんですね?」スチャッ


アルス副機関長「…どうぞ。いっぺん、死というモノを体験してみますよ」

アルス副機関長「どんな感覚だったか教えるので、レポートをお願いしますね」


研究員たち「わかりました、どんな状況から復活したのか、詳細の全てを記録しますね」

アルス副機関長「そうですね、それがいいでしょう」

 
研究員「では、首を切りますよ?痛み止めはどうしましょうか」

アルス副機関長「痛みも知ったほうがいいでしょう。では、どうぞ」


研究員「はい。では…いきますよ」


アルス副機関長「ふふっ…店長さん。約束は最後まできっかり守らせて貰いましたからね」


……ビシュッッ!!…

………

……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 宿 ロビー 】


白学士「それにしても、黒魔石をどうやって薬に変化するつもりだったんですか?」


錬金術師「膨大な魔力を聖魔術に変換し、薬のような錠剤に固めこむ。それがエリクサーの原型なんだが…」

錬金術師「黒魔石はその狙った魔力を抽出、吸収するのに必須だったってわけだ」


白学士「でも、店長先生が作ったのは偽物とはいえ、相当な出来ですよ?」

白学士「下手すればエリクサーが完成してしまうんじゃ…」

 
錬金術師「そりゃ最上位クラスの回復錠剤レベルはな」

白学士「え?」

錬金術師「さすがに致死量の毒だの、ダメージを受けたら死んじまうよ」

白学士「あぁ…」


錬金術師「黒魔石自体は、魔石検証くらいじゃバレるレベルじゃない位の出来はある」

錬金術師「即効の裂傷回復やら、ある程度の重症までなら即治すくらいのもんなら出来るかもしれん」


白学士「…それ以上は無理ということですね」

錬金術師「ま、そうだな。そこまでのモンはさすがに本物を使わないと無理だろう」

 
タッタッタッタッ…コトンッ


術士先生「アイスコーヒー持ってきました。どうぞっ」

錬金術師「お、どーも」

白学士「有難うございます!」


術士先生「これから、どうするんでしょうか。私は先生として…もう、やっていけないのは分かってます…」


錬金術師「…貴方が錬金術学校で先生をやる限り、貴方は例の機関からもう、逃げる事は出来ない」

術士先生「…はい」コクン

錬金術師「だから、少し考えがあるんだが…着いて来てくれますか?」

術士先生「考えですか?」

錬金術師「…はい。俺を信じて、着いてきてください」

 
術士先生「…店長先生がついてきてほしいというのなら、どこへでも…」


錬金術師「お、おう…」


白学士「むぅ…」


…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

本日はここまでです、有難うございました。
また、次回が最終回となります。

皆さま、ありがとうございます。最終回、投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 3日後 隣町・錬金術師機関 】

…ガチャッ!

錬金術師「たのもーーー!!道場破りじゃーい!!」バァンッ!


機関長「!」ビクッ

錬成師「!」ビクッ

…ボトッ、ボワッ!!!


機関長「あっ、ば、ばかもん!!!お前の声にびっくりして、火魔石落としてしまっただろうが!!」

ゴォォォッ!!

錬成師「か、火事ですよ、火事ぃぃっ!!!」

 
錬金術師「あ…」

白学士「店長先生…」

術士先生「あわわ…!」


機関長「み、水魔石!早く!」

錬成師「倉庫ですぅぅ!」

機関長「早く持ってこんか、店長!!」

錬金術師「俺かよ!」

機関長「早くせんかぁぁ!!」


錬金術師「…へい」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

シュウウ…ボワボワ…


錬金術師「…消えたな、これでいいんだろ?」

機関長「全部焼けると思って、寿命縮んだぞ…」

錬金術師「縮むほど残ってるか?」

機関長「ふんぬっ!」

…ゴツッ!!

錬金術師「あいだぁ!」


錬成師「…先輩、戻ってきたってことは…全部終わったんですか?」

 
錬金術師「そ、それなんだが、実はもう1人雇ってほしい人ができた」ズキズキ

機関長「なぬっ!?」

錬成師「また増えるんですか!?」

機関長「さすがにこれ以上は無理だぞ…、維持費もかかってしまう」

錬成師「後輩出来るのはうれしいんですけど、僕も教わりたい事があったり…」


錬金術師「…こちらの、高位錬金術師の術士先生を入れてほしいんだが」

術士先生「あ、こ…こんにちわっ!」ペコッ


機関長「美人さん…オーケー!」グッ

錬成師「お世話になります!」ペコッ


錬金術師「お前らぶっとばすぞ」

 
術士先生「わ、私なんかがいいんですか…?」

錬金術師「いいさ。あのー、それとさ…」

術士先生「はい…?」

錬金術師「すっげー俺の小さな考えで悪いんだけど、やっぱり教師っていう道は諦められないと思うんだ」

術士先生「…っ」


錬金術師「ここだとさ、錬成師と白学士の二人が…君の生徒ってことで…」

錬金術師「小さな小さな学校気分とか…、なるかなぁとか思ったんだよ…ね…」


術士先生「…!」

錬金術師「機関長も、少しは休めるだろ?」

機関長「む…」

 
錬金術師「確かに今までより、全然規模も小さくて、先生ともいえないかもしれないけど…」

錬金術師「この二人を生徒として、先生のままで教えてやれる…とか…、なんていうか…」ンー


術士先生「…」ニコッ

術士先生「本当に、店長先生…いえ、店長さんは優しい方なんですね」


錬金術師「…少しでも、喜んでくれたなら嬉しいんだがな」ポリポリ

術士先生「本当にうれしいです。有難うございます…」グスッ

錬金術師「…うむ」


術士先生「本当に…大好きです、店長さん」


錬金術師「…うむ」

錬金術師「…うむ?」

 
術士先生「憧れだけじゃなくて、私を助けてくれて…、心配してくれて…、優しくて…」

術士先生「だから、大好きですっ!」ニコッ


錬金術師「…」

錬金術師「…そうか。ありがとうな」


術士先生「…」ペコッ


錬金術師「…んじゃ、あとは機関長、全部頼むわ」

機関長「な、なぬっ!?もう行くのか?というか、今のやり取りは…」

錬金術師「いいんだよ!」

機関長「…」

 
錬金術師「んじゃ、全員…励めよ!」

錬金術師「また顔出しに来るわ。あとの調整とか、色々大変だろうけど、全部…機関長、よろしく~♪」

錬金術師「ばいば~い」

ガチャッ…バタンッ…!


錬成師「…行ってしまった」

白学士「まるで台風ですが、本当に凄い温かい人ですよね…」

術士先生「店長さん…」

機関長「…仲間もどんどん増えていくな。改めて、歓迎会もせにゃな!」ハハハ!

 
…ガチャッ!

錬金術師「…ただいま!」

機関長「むっ?」

錬金術師「ごめん…忘れてた!」

機関長「どうした?」


錬金術師「俺も、大好きだよ術士せーんせ」ニカッ


錬成師「!?」

白学士「!?」

術士先生「!?」

機関長「!?」

 
錬金術師「じゃ、今度こそ、ばぁい」フリフリ

…ガチャッ、バタンッ…


錬金術師「…」

トコトコ…

錬金術師(しかし、大好きって…。俺も術士先生の強さ知ったし、人として好きにはなったし…うむ)

錬金術師(彼女も、俺の救出の力強さに対して、大好きって言ってくれるとか…嬉しいねぇ)

錬金術師(さぁて、お店も頑張って…、経営者としても好かれるように努力してみっかな)

錬金術師(…面倒くせぇけどな!)ハッハッハ!


………………
…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
――――店長と中央機関"アルスマグナ"との因縁の鎖。

店長の知らぬところで、ひっそりと、地下深くで…決着がついた。


ようやく店長には、"日常"が帰ってくる。

彼自身、忘れていただろうが…、親父との決着は未だに着いていないのだ。


そして今日も――…

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 錬金術師のお店 】


女店員「こら~~っ!」


錬金術師「…んぬっ」

女店員「仕事始まったんだから、いきなり寝ない!」

錬金術師「眠いんだよぉ…」


女店員「新人鉱夫くんも、銃士さんも…頑張って素材採りにいってるんだから!」

女店員「お客さんが来て、そんな姿見たら帰っちゃうでしょ!」


錬金術師「はっはっは、どうせ誰も来ねぇよ…」

 
女店員「…」

女店員「…」

ゴソゴソ…スッ


錬金術師「…その巨大ハンマーをどうするおつもりで?」

女店員「壊す」

錬金術師「…な、何を?」

女店員「…」ニコッ


錬金術師「…バターピーナツ器なら、もうないぞ」

女店員「えっ!?」

 
錬金術師「白学士のやつが黒魔石外す時に、重要なところにキズつけてなぁ…」

錬金術師「仕方ないから使えないパーツ分解して、ゴミ出ししといた」


女店員「そ、そんなぁ…。せっかくの店長を働かせる為の素材がぁ…」

錬金術師「…」ククッ

女店員「…何が可笑しいの」ムッ

錬金術師「俺が、バターピーナツ器を壊されてそのままにすると思うか?」

女店員「…ゴミ出ししたって言わなかった?」

錬金術師「そうじゃなくて、仕事中のたしなみであるバターピーナツを壊されて、そのままにすると思うか?と」


女店員「…また、作り直したの?だったらハンマーでー…」

錬金術師「違うんだなぁ…」チッチッチッ

女店員「?」

 
錬金術師「倉庫においで」クイッ

女店員「う、うん」

トコトコトコ…


錬金術師「えーと…、これこれ」

ゴソッ…ゴトンッッ!!


女店員「…何これ」

錬金術師「バターピーナツに代わる、新たな自動生成器だ!!」クワッ!

女店員「…何を生成するの?」

錬金術師「くくく…これこそ新たに進化を遂げたピーナツ生成器…!」

女店員「またピーナツ」

 
錬金術師「…その名も、ワイドレンジピーナツ生成器!!」バッ!!

錬金術師「W.R.Pと呼ぶがいいっ!」


女店員「わ、わいどれんじ?」


錬金術師「今までのものは、バターピーナツに絞られていた」

錬金術師「だが、俺の素晴らしい腕によって、そのピーナツ生成器は新たに生まれ変わったのだ…」

錬金術師「そう…。今回のピーナツは…」


女店員「ピーナツは…?」
 
 
錬金術師「お馴染みのバター!そして、ノーマルのロースト!」

錬金術師「更に、シュガー!バニラ!スモーク!バリエーションにとんだ味を楽しめるのだ!」


女店員「…」

女店員「…へぇ」

 
錬金術師「…は、反応薄いっすね」

女店員「すっごい美味しそうなのは分かるの。うん。シュガーとか食べてみたいし」

錬金術師「はい」

女店員「でも、すごい気になったことが一つあるの」

錬金術師「何でしょうか」


女店員「…出納長、見せて貰える?」


錬金術師「えっ」ドキッ

女店員「見せて」ニコッ

 
錬金術師「…」

女店員「…」


錬金術師「なぜですか」ダラダラ

女店員「はやく」

錬金術師「なぜでしょう」ダラダラ

女店員「はやく」

錬金術師「そ…その…」ダラダラ


女店員「…口頭で伝えて貰っても構わないけど?」


錬金術師「…」

錬金術師「…怒らない?」

 
女店員「…結構なパーツ費用がかかってるのは分かってるから」ハァ

女店員「今回は店長の頑張りから得た物だし、怒らないから教えてくれる?」


錬金術師「…怒らないのか!」

女店員「うん。だから早く」


錬金術師「…ルド」ボソッ


女店員「えっ?」


錬金術師「…万ゴールド」ボソッ

 
女店員「…」

女店員「…」

女店員「…本気でいってるの?」ヒクッ


錬金術師「…はい」


女店員「…」

錬金術師「…」

女店員「…」

錬金術師「…」

 
女店員「これって、パーツ分解したらそれなりに売れるよね」ゴソッ

錬金術師「!!」


女店員「大型ハンマーを持つのも、少し慣れてきたかも」ググッ!!


錬金術師「…ちょ、ちょちょちょちょ!!!」

女店員「パーツを売って、少しでもお店に収支をっ!」


錬金術師「待って、待って待ってっ!!ちょおっ!otituite!」ダッ!


…ガシッ!!ギュウッ!!

女店員「…ちょっ!」

 
錬金術師「やめてくだせぇぇぇ!落ち着いてぇぇ!」

女店員「し、しがみ付かないでよ!!またズボンずり落ちるでしょ!!」

錬金術師「今後は考え直すから、これだけは勘弁おぉぉ!!」

女店員「こらぁぁ!!」ズリズリ

錬金術師「ぬぅぅ!」ギュウウッ


女店員「変なとこ触って…ちょっ…!」

錬金術師「壊さないでやって!またその子は生まれたばかりの可愛い子だから!!」ギュウウッ!!

女店員「ち…ちょっ…!」カァァ

錬金術師「心入れ替えるからっ!本当!」

 
…ギュッ…ギュウウッ…!!グニッ…


女店員「~っ!」

女店員「て…店長…っ!」


錬金術師「お…?」

女店員「て…天誅~~っ!!」ブンッ!

…ゴチィィンッ!!!


錬金術師「!?」


…ドサッ!

 
錬金術師「…」ピクピク


女店員「抱きしめてくれるなら……のに…」ボソッ


錬金術師「な、何?今、何て…?」ドクドク


女店員「~っ!」カァァ

…ブンッ!!


…………ゴツッ!!ドサッ!

  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
【 現時点でのお店の経営収支 】

■収入
・販売関連400万ゴールド
・臨時講師300万ゴールド
+700万

■支出
・バターピーナツ生成器40万ゴールド
・倉庫拡張費用70万ゴールド
・鉱山のバイト代10万ゴールド
・ポーション素材(アカノミの花/アカノミ)3万6000ゴールド
・火魔法耐性の金属片16万4000ゴールド
・ワイドレンジピーナツ生成器260万
・3人の給料(新加入後1ヶ月目分)合計60万
-460万

■収支合計
・プラス240万ゴールド
(前回よりマイナス320万ゴールド)

 
【 現時点でのお店の経営情報 】

■お店
・平屋1階建て
・少し広い倉庫

■店員関連
・店長補佐1名
・ハンター1名
・鉱石採掘師(鉱員)1名

■販売物
・採掘道具20万ゴールド
・鉱石類(鉄鋼1000、銀5万、エレクトラム20万ゴールド)
・ライフマナ回復ポーション5000ゴールド
・バターピーナツ(サービス)
・装備類の修理等(時価)

 
It is not time to close a shop!
―――――――――――――――――――――――
錬金術師「面倒だけど経営難に立ち向かう事になった」

女店員「その2!」
―――――――――――――――――――――――
Continues to the next story....Don't miss it!
 
 
【 E N D 】

■あとがき
ここまで読んで下さって、有難うございました。
物語の1つとして、"店長のエピソード"を重点的にあてた作品にし、
心理戦に近い、少し今までの作品と変わったモノになったのではないかなと思います。

少々このような心理戦等は描いた事がなく、矛盾や薄く内容もなりつつあったのですが、
挑戦できたのはいい機会だったなと思いました。

今回は経営物語とは呼べない展開でしたが、きちんと店長もお店に戻ったことで、
これからようやく商売が繁盛していくと…、思います。多分。店長ですので。

それでは、有難うございました。

 
【 修正 】
>>230
術士先生「成功は失敗の母、ですね」

術士先生「失敗は成功の母、ですね」

>>370
校長「と、伝えてくれと言われますしたので」ニコニコ

校長「と、伝えてくれと言われましたので」ニコニコ

>>477
錬金術師「少しだけ学校は休んどけ。偽魔石の生成を手伝ってもらう代わり、ワンツーマンの個人授業をしてあげるからよ」

錬金術師「少しだけ学校は休んどけ。偽魔石の生成を手伝ってもらう代わり、マンツーマンの個人授業をしてやるよ…」

皆さま、沢山のお言葉、有難うございます。
第三幕とはいきませんが、店長たちが遊ぶようなので…短編のお話です。
(埋めネタです)

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 錬金術師のお店 】


…ガチャッ!

女店員「店長!」

錬金術師「…」グゥグゥ

女店員「…」

錬金術師「…」グゥグゥ


女店員「ピーナツ器、壊すかな…」ボソッ


錬金術師「はい、いらっしゃいませ!」ガタッ!

  
女店員「おはよう、店長」ニコォッ…

錬金術師「…お、おはようございます」

女店員「全く…、営業終わったからね」

錬金術師「あ、ご、ご苦労さん!」

女店員「それで、ちょっと面白いモノ貰ってきたんだけど…」

ゴソゴソ…ゴトンッ!


錬金術師「…なんじゃこりゃ?」

女店員「魔法のゲームなんだって」

錬金術師「魔法のゲーム?」

女店員「営業まわってたら、魔法師の人が作ったんだけど…強力過ぎて処分に困ってたらしくて」

錬金術師「怪しいものを…」

 
女店員「うちの店長なら、何とか処分できそうだからといって貰ってきたんだけど」

錬金術師「面倒くさい、勘弁」

女店員「処分代金は受け取り済みでーっす♪」

錬金術師「…いくら」

女店員「…30万ゴールド」

錬金術師「たかっ!」

女店員「よっぽどなモノらしいよ」

錬金術師「どんなゲームなんだ?」


女店員「…すごろく」

錬金術師「はい?」

女店員「魔法のすごろく…だって」

 
錬金術師「魔法のすごろくて…」

女店員「4人でプレイ出来るものらしくて、内容はきかなかったなぁ」

錬金術師「お前な、きちんと詳細聞いてから受け取れよ」

女店員「…私の代わりにきちんと営業してほしいんだけど」

錬金術師「30万なんて立派なお金!素晴らしいわぁ…、さて、みんな来たら教えましょう!」

女店員「…」


…ガチャッ!

銃士「ただいまー。素材手に入れてきたぞー」

新人鉱夫「ただいまです。今回の鉱石はあまり良いモノが手に入りませんでした」

 
錬金術師「お、全員そろったか。んじゃちょっと集まって、話があるから」

銃士「…ついにお店がつぶれるということ?」

新人鉱夫「えええっ!?」


錬金術師「いや違うから。落ち着いて」


…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


錬金術師「…っていうわけ」

銃士「魔法のスゴロクね…」

新人鉱夫「"強力すぎる"ってどういう意味なんでしょうね」

錬金術師「大方、現実世界にも影響が及ぶのも作っちまったってことじゃねえの?」


女店員「とりあえず、箱開けてみたら?」

錬金術師「あぁ、そうだな」

ゴソゴソ…カパッ

 
女店員「…」

錬金術師「…」

銃士「…」

新人鉱夫「…」


錬金術師「確か4人用っつったっけ。この色のついた小さなコーンが4つあるから…これがコマだな」

ゴソゴソ…

女店員「ん~、何の変哲もない…すごろくだね」

銃士「すごろくの盤は、昔ながらのみたいだし…」

新人鉱夫「魔法のすごろくっていう割に、なんか…普通ですね?」キョトン

 
錬金術師「お前、本当にこれ強力なやつなの?」

女店員「ほ、本当だもん!そう言ってたし!」


錬金術師「…説明書はないし、とりあえず普通のルールでやってみる?」

女店員「危険なものかもしれないのに!?」

錬金術師「だって4人いるし、丁度いいじゃん」

女店員「えー、でも…」

錬金術師「時間もあるしさ。どういう動きするのか、実際に試さないと処分方法もわからんし」 
 
女店員「まぁ、そういうことなら…」


錬金術師「じゃ、はい。俺は白いコーン使うから」スッ

女店員「じゃあ私は桃色」スッ

銃士「では、私は緑色かな」スッ

新人鉱夫「じゃ、僕は青色で」スッ

 
…チクッ!!

錬金術師「いっ!?」

女店員「いたいっ!」

新人鉱夫「な、何ですか指先が…」

ツー…ポタッ…

銃士「…血が滴ってる」ズキンッ


錬金術師「…」

錬金術師「おい、これちょっと不味いかも」


女店員「ど、どういうこと?」

 
錬金術師「こりゃ簡易の血の契約だ…。お前、これ…どこの魔法師から貰ってきた…?」

女店員「この町から少し離れにある、お婆ちゃんがやってる魔法堂のだけど…」

錬金術師「…あのババァ、何作りやがった」

女店員「え、知り合いなの?」


錬金術師「錬金術師の店開く時に、一通り挨拶はしてな…。その時から顔は知ってる奴なんだが…」

錬金術師「あまりよろしくない道具ばっかり作ってて、極力近づかないようにしてたんだよ」


女店員「じゃ、じゃあ…このすごろくって…?」

錬金術師「…今更気づいたんだがな、このスゴロクの盤面…魔法陣の形だわ」

女店員「!」

錬金術師「それと血の契約だろ…、これはおそらく…」

 
ギュッ…ギュウウウゥゥゥンッ!!!バチバチッ!!


錬金術師「げっ!!」

女店員「な、何!?きゃあああっ!!」」

銃士「天井に…亀裂!?す、吸い込まれる!」

新人鉱夫「あ…う、うわあああぁぁっ!!」


ギュウウウンッ…!!!ヒュンッ、ヒュンッ!!!


錬金術師「あーらら…面倒くさいことに…」


ギュウウッ…!!バチッ、バチバチバチッ…!!!

バチバチバチッ…バチッ…!!


…プチュンッ…

 
……
………

……

…………


…コンコン、ガチャッ!


お客さん「あのー、すいません!」 
 

…シーン…


お客さん「…」

お客さん「何だ、誰もいないのか…」


………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
――――【 ? ? ? 】

…ウウゥゥゥンッ!!!

ドサドサドサッ!!


錬金術師「いでっ!」

女店員「あいたっ!」

銃士「いたっ!」

新人鉱夫「い、いたい…!」


錬金術師「いてて…、皆いるか?大丈夫か…」

女店員「うん…何とか」

銃士「大丈夫…」

新人鉱夫「こ、腰を打った…」ズキズキ

 
…スクッ

錬金術師「さぁて…」

女店員「わ、私たちどうなったの?っていうかココ…どこ…?」

錬金術師「参ったね…」


ギャアッ、ギャアッ…!!!バサバサッ!

ヒュウウッ…サワサワッ…


女店員「…も、森?」

銃士「こんな森、近くじゃ見たことないよ。どこかへ飛ばされたのかな?」

新人鉱夫「なんかザワザワしてますね…、怖い…」

 
錬金術師「恐らく、あのスゴロクのせいだな」ハァ

女店員「ど、どういうこと?」

錬金術師「大体の状況は把握した。お前ら…よく、自分の服を見てみろ」


女店員「…」

女店員「あれっ!?」


銃士「あっ!」

新人鉱夫「う、うわっ!?」

 
女店員「…こ、これって何?可愛い服になってる!」ファサッ

銃士「それは魔法使いの服だね。魔力を高めるようになってる服だよ」


新人鉱夫「僕のこれは…?」

銃士「…うちのギルドに似たような服があったけど、ビギナー…つまり新人冒険者の服だよ」

新人鉱夫「えっ」


銃士「私はそのまま…だけど、装備が違うかな。銃がかなり古いタイプの練習用の銃になってる」カチャッ

銃士「銃弾は…、これもオールドタイプのか…」チャリッ


女店員「じゃあ、店長のそれは…?」

錬金術師「…剣士じゃないか。ご丁寧に腰に鉄剣まで刺してあるぞ」チャキンッ

 
女店員「全員、冒険者ってこと?」

錬金術師「…だな」

女店員「じゃあ、ここはいったいどこ…?」

錬金術師「恐らく、あの盤面から吸い込まれた先…そのババアの言ってたスゴロクの世界じゃないのか…」

女店員「えぇぇっ!」


錬金術師「まぁ、ゴールでも探せば出れるんじゃねえか?」

女店員「わぁすごい楽観的~…」

錬金術師「始まったもんは仕方ねーだろ!とりあえずゴールを探そう」

グッ…ググッ

錬金術師「あれ?」

…グッ、グググッ!!

 
女店員「…どうしたの?」

錬金術師「動けん」

女店員「歩くのが面倒だからって、そんな事言わないでよ。じゃあ私が先にー…」

…ググッ

女店員「…歩けない」


銃士「本当だ」ググッ

新人鉱夫「あ、足が地面とくっついてるみたいです…」ググッ


錬金術師「さぁて…どうするんでしょうかね」

女店員「スゴロクってことは…サイコロ投げるの?」

錬金術師「サイコロ…」

 
…ギュ、ギュウウンッ!!ボフンッ!!

女店員「きゃあっ!何!?」

錬金術師「で、でけぇサイコロが空から振ってきたぞ!?」


コロンッ…コロンコロンッ…

女店員「…あ、転がって…」

…コロンッ

"2"


…グワッ!!

女店員「ちょっ!?あ、足が…!」

ググッ…スタッ、スタッ!!

 
錬金術師「…なるほどね」

女店員「…えええ、そういうルール!?」

錬金術師「とりあえずコレでゴールしろってことか」

女店員「ど、どうなってんのこれー!」


銃士「じゃあ次は私が」スッ

ボフンッ!!

銃士「おっと、手をあげただけでサイコロが出るのか」


コロンコロン…"4"


スタスタスタスタッ…


銃士「…へぇ、凄いな。本当に勝手に動く…。これも血の契約ってやつのせい?」

錬金術師「まぁ~、呪いに近いからなぁ…」

 
新人鉱夫「じゃあ、僕が次振ります!」スッ

ボフッ!コロコロ…"3"

スタスタスタッ…ドシャアッ!!

新人鉱夫「うわぁっ!?」


"落とし穴に落ちた、1回休み"


錬金術師「おぉ…。く、空中に文字が…」

女店員「新人鉱夫くん、大丈夫ー!?」

新人鉱夫「な、なんとか~…!」

 
銃士「これと冒険者の服装ってことは…、店長。そういうこと?」

錬金術師「予想は大体つくが…」

銃士「女店員、私、新人鉱夫で振ったし…最後は店長だね」

錬金術師「おっし、任せろ!」スッ


コロコロ…"6"


錬金術師「はっはっは!どうだ!!」

スタスタスタスタスタスタ…

 
ブッブー!!

錬金術師「ん?」


"魔法の扉を見つけた!しかし、罠だった!スタートへ戻る"


錬金術師「」

ヴンッ!!…ドシャアッ!!


錬金術師「ぐっ…く、くそ!」ムクッ


女店員「…ゴールが見えないんだけど、どれくらい先なんだろう」

錬金術師「いてて…。つーか、これちょっとやばいな」

女店員「何が?」

 
錬金術師「差が開きすぎると、お互いに情報がとれなくなる」

女店員「あ…」

錬金術師「一歩一歩が小さいのは救いだが、それにゴールも明確じゃねえし…」

銃士「うーん…」


ザッザッザッ…

???『まぁ、それについてなら心配いらないけどね~』


錬金術師「あん?」


???『君たち、ゲームスタートするの早すぎ。少し遅れちゃったじゃン』


錬金術師「…誰かな、君は」

女店員「お…女の子?」

 
ゲームマスター『まぁ…簡単にいえばゲームマスターかな。ゲームの説明する前に、始めちゃうんだもン』


錬金術師「…ご丁寧に、魔法堂のババア…こんなものまで…」

ゲームマスター『こんなものとは失礼だな~』

錬金術師「まぁいいよ。で、このスゴロクの目的は?」

ゲームマスター『スゴロクって言ったら、そのまんまでしょ?知らないの?』

錬金術師「…そういうことじゃなくて、なんか特別なルールとか」

ゲームマスター『特にはないかな?楽しんでもらえればそれでいいと思うよ~』

錬金術師「…」


新人鉱夫「お、女店員さーん…!僕ずっと穴の中いやなので…サイコロ回してくださいぃ!」

女店員「あ、ごめんね!今回すから!」スッ

…ボフンッ!コロコロ…"5"

 
スタ…スタスタスタ…

女店員「よいしょっと」スタッ


ビー!

"魔キノコが現れた!"

魔キノコ『ゲヒッ』


女店員「へっ?」


魔キノコ『ゲッ!!』ブンッ

…バキィッ!!

"魔キノコの攻撃!女店員に1のダメージ!"


女店員「いたぁっ!!」

 
錬金術師「女店員っ!」


女店員「えっ、これ何…なんなの!?」

女店員「って…、手が!」ググッ

パァッ!!…ボォンッ!!

"女店員は火炎魔法を唱えた!魔キノコに6ダメージ!"

魔キノコ『』ブスブス

…ドシャアッ!


テッテレー!

"女店員は10の経験値を手に入れた!レベルが1あがった!100G手に入れた!"


女店員「…?」

 
錬金術師「…」

銃士「…」

新人鉱夫「な、何ですか今の音!店長さん、銃士さーん!!」


ゲームマスター『おー!おめでとう~!』


錬金術師「おい、今のは…」

ゲームマスター『戦闘だけド~?』

錬金術師「そうじゃなくて、今のなんだって」

ゲームマスター『だから、戦いでしょ~?』


錬金術師「そういうことじゃなくて、普通のスゴロクじゃねえだろこれ!!いや最初っから分かってるけど、この服装とか!」

錬金術師「大体予想はついてたけど、しっかり説明しろ!」

 
ゲームマスター『あぁ、そういうこと』

ゲームマスター『これは冒険スゴロク。あんな風な戦いとかしながら、レベルを上げていくんだヨ~』


錬金術師「…やっぱりか。ゴールはどこにある?」


ゲームマスター『このスゴロクは、全4エリアで構成されていてね…』

ゲームマスター『1エリア毎に休憩場所も用意はされてるよ~』

ゲームマスター『最深部にいるボスを撃破すればゴール扱いになるヨ!』


錬金術師「全部…4エリアのマップクリアが必要ってことか?」

ゲームマスター『勘がいいネ!』

錬金術師「あともう1つ聞きたい」

ゲームマスター『なぁに~?』

 
錬金術師「この世界で死んだら、どうなる?」

ゲームマスター『あははっ!…わかってるんでショ?』

錬金術師「…まじか」

ゲームマスター『念のため、君たちのステータス…見てみル?』

錬金術師「ステータスだと?」


ゲームマスター『ステータスおーぷん!』

バッ…バチバチッ!!

 
…ヴンッ!!

■女店員(魔道士)
☆体力15
■Lv2
■所持金100G


■銃士(銃使い)
☆体力20
■Lv1
■所持金0G


■新人鉱夫(ビギナー)
☆体力5
■Lv1
■所持金0G


■錬金術師(剣士)
☆体力10
■Lv1
■所持金0G

 
錬金術師「…ほう」

ゲームマスター『サイコロの振る順番の表示だヨ。体力がぜろになったらゲームオーバー。気を付けてネ』

錬金術師「ここからはゴール以外出れないってことか?」

ゲームマスター『察してヨ~』

錬金術師「わかった。では…休憩エリアとはなんだ?このマップをクリアすればいけるのか?』


ゲームマスター『サイコロなしで歩けて、商店街や宿、色々出来るエリアなんだ』

ゲームマスター『あと、全エリアにつながってるんだヨ~』


錬金術師「なるほどな、冒険エリアがスゴロク、休憩エリアが町。本当の"ゲーム"なわけか」

ゲームマスター「…もう、質問はなイ?早く進めないと、いつまでも出れないヨ~?」

錬金術師「わかった。じゃあ…銃士、さっさと回してまずは休憩エリアを目指そう!休みたいし…」

 
銃士「任せて!」スッ

ボフンッ!!コロコロ…"6"

スタスタ…


銃士「よし、6歩目。ここだな…」スタッ


ビー!

"森に住む妖精がイタズラしてきた!くすぐられて1回休み"


銃士「へっ?」


ポワポワ…

妖精たち「わぁぁい!」

 
コショッ…コショコショコショッ!!!

銃士「あ…あははははっ!!ちょ、ちょっと待って!!」

妖精たち「わああい!」

銃士「ほ…本当まっ…!そこよわい…あははははっ!ははははっ!」

ゴロゴロ…!!


女店員「うわぁ…」

錬金術師「…」


銃士「早く回してぇぇっ!あははははっ!し、死んじゃう!!」

銃士「って、どこさわって…はぁぁっ!」ビクンッ

銃士「だ、だめだって…あはははっ!」ビクビク

 
女店員「み、見てないで、早くサイコロ回してあげてよ!」

錬金術師「お、おうそうか、新人鉱夫は1回休みで俺の出番か」スッ

コロコロ…"6"

…ブッブー!!"魔法の扉を見つけた!しかし罠だった!スタートに戻る"

錬金術師「あら」

女店員「」


銃士「あはっ…あうぅっ…!」ビクビクッ


女店員「は、早くしないと!私の出番ね!」スッ

コロコロッ…"3"

女店員「えっ」

 
スタスタスタッ…

ビー!!"森に住む妖精がイタズラしてきた!くすぐられて1回休み"

女店員「冗談でしょ…」


ポワポワ…

妖精たち「わぁぁい!」

女店員「ちょっ、やだっ!逃げたいのに身体が動かなー…」

コチョコチョコチョコチョッ!!コショコショッ!

女店員「あ…あはっ!やめ…あははははっ!やめてぇぇ!」ビクビクッ


錬金術師「うわ~お」


コチョコチョッ!

銃士「はっ、はうぅ!!お、女店員まで…!」ビクッ

 
妖精たち「銃士お姉ちゃん、反応うすくなってきたよー。つついちゃえ!」ツンッ
 
銃士「は…はうっ!?」

妖精たち「じゃあこっちの人にも!」ツンツンッ

女店員「ちょっ!それっ、反則っ…!やぁっ!」


錬金術師「おっほ…」ジトー

錬金術師「…銃士1回休みだし、新人鉱夫の出番だぞ、早く振れ!穴から出てこい!面白いモノが見れるぞ!」


新人鉱夫「え!?じゃ、じゃあ…はいっ!」スッ

コロコロ…"5"


ザッ…スタスタスタスタ…

新人鉱夫「はぁ~…やっと穴から出れました…」ザッ

 
錬金術師「新人鉱夫、あれあれ」

新人鉱夫「?」チラッ


妖精たち「つんつん!」

妖精たち「つーんつん!」


銃士「…あうぅ…や、やめて…」ビクッ

女店員「は…はぁ…!もうだめだってばぁ…!」ビクンッ


新人鉱夫「!?」

錬金術師「どうかね、男になれそうかね」

新人鉱夫「…な、なんですかぁぁこれ!」カァァ

錬金術師「はっはっはっ」

新人鉱夫「で、でも早く助けないと!次は…店長さんですよね!」

 
錬金術師「うむ。では…」スッ

…コロンッ

"6"スタートに戻る

錬金術師「」


銃士「休み解除!!つ、次は私だぁぁ!それぇぇ!」スッ!

コロコロコロ…"1"

銃士「よ、よしっ!」スタッ!

銃士「はぁ~…はぁ…!!い、1でも、あの地獄から抜け出せただけ…まし、だ…」

…ドシャアッ!

 
新人鉱夫「じゅ、銃士さんが倒れた!」

ゲームマスター『…あれは、笑い疲れと…色々一気に押し寄せたネ』アハハ

新人鉱夫「あ、あはは…。じゃあ僕の出番だね」スッ

コロンッ!"6"

スタスタスタスタッ…

新人鉱夫「よし、何もないや。で、でも…目の前…」


ツンツン…

女店員「も、もう嫌ぁ…!あうっ…!」ビクンッ!ビクッ!


新人鉱夫「…」カァァ

 
錬金術師「俺の番だな!」スッ!

"6" スタートへ戻る

錬金術師「クソゲーじゃねえか!!」


女店員「や、やっと私…!え…えぇいい!!」スッ

コロコロ…"2"

女店員「あ…や、やった…!抜け出せたぁ…あ、あうぅ…」グスッ

ズリズリ…

女店員「はぁ…はぁ…。やっと、助かった…。汚されちゃったよぉ…」

…ドシャアッ!

 
錬金術師「…」

銃士「…」ハァハァ

女店員「…」ゼェゼェ

新人鉱夫「や、やっとみんな落ち着きましたね」


ゲームマスター『あっはっはっ!最初っから面白いね、君たチ!』

ゲームマスター『今はこんな感じかナ』スッ


■女店員 :12マス目
■銃士  :11マス目
■新人鉱夫:9マス目
■錬金術師:スタート位置

 
錬金術師「なんで皆、そんなにすすめんの?」

女店員「なんで…そんな進めないの…」

銃士「店長、さすがだ…」

新人鉱夫「早く追いついてくださいよ!」

錬金術師「ま、待ってろ!くっそ!」


銃士「次は私だが、サイコロ、振りたくないな…。あんなの二度とゴメンだ…」 

女店員「ど、同感…」

銃士「だが、振らねば出れないんだろう…。分かってるよ…」スッ 
 

コロンッ…コロコロ…"4"

…パンパカパーン!♪

 
銃士「…うん?良い音がしたけど」

ゲームマスター『あっ!おめでとう、すぺしゃるマスだヨ~!』

銃士「すぺしゃる?…」

ゲームマスター『全員、サイコロ振って。一番出た目が高い人、その後3回まで同じ出目で進めるんだ!」

銃士「なるほど、私が5で一番高かったら、今後、3回まで5マスずつ進めると」

ゲームマスター『うん!早くふってヨ~!』


銃士「…ほい、3か」コロンッ

女店員「い、1…」コロッ

新人鉱夫「あっ!5だ!」コロッ!

錬金術師「…6」


ゲームマスター『おオっ!おめでとー店長!」

 
錬金術師「…」

新人鉱夫「…」

銃士「…」

女店員「…」


錬金術師「俺はいつからスタートから出れるんだ?」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

 
――その後、様々なマスに振り回されながらも、

全員は一丸となって、冒険スゴロクを着実に進めていった。


長い時間を要したが、店長パーティ一行はいよいよ最終エリアへと突入する。


最終エリアの難易度は、今までの比ではなかったが、

大きくステータスを伸ばしていた彼らは、ボロボロになりながらもボスに到達。


そして……!

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 290時間後 】


錬金術師「…おらぁぁっ!」

…ズバァンッ!!


ボスドラゴン『ギャアアアッ!!』

ドシャアッ!!ズズズゥン…!!


錬金術師「はぁ…はぁ…!」

女店員「や、やった!」

銃士「おぉぉ!」

新人鉱夫「つ、ついに!」

 
ゲームマスター『…驚いたナ。本当にクリアしてしまうなんて…』

錬金術師「アイツを倒せば、ゲームクリアだったな!!」

ゲームマスター『そうだヨ。その前に…』


"店長パーティがボスドラゴンを討伐しました!"

"報酬として、1,000,000,000Gと、5.000,000経験値が贈られます!"


シュワシュワシュワッ…!!!


ゲームマスター『それと、最終的な君たちのステータスはこれだヨ~!』

…ヴゥン!

 
■女店員(魔術王)
☆体力99
■Lv99
■所持金1,004,500,000G


■銃士(ガンマスター)
☆体力99
■Lv99
■所持金1,009,000,000G


■新人鉱夫(超新人)
☆体力99
■Lv99
■所持金1,200,000,000G


■錬金術師(\犬歯sx)
☆体力1%%$S
■Lv)SD"3
■所持金55$S!s

 
錬金術師「あれ?おい、俺のステータスだけおかしくね?バグってね?」

ゲームマスター『…これで終わるの寂しいけド…』

錬金術師「聞いてる?」

ゲームマスター『皆、楽しかっタ。またネ…!』

錬金術師「あの、感動のラストなんだからさ」


ギュッ…ギュウウウンッ!!!バチバチバチィッ!!!


錬金術師「おいこら、納得いかねえぞ!!うおおおおい!!」

ゲームマスター『ばいばい…!』

 
女店員「…やっと帰れるうぅぅ!」

銃士「色々と…辛かった…」

新人鉱夫「また、お店で働く日々が戻ってくるんですね…!」

錬金術師「おい、俺のステータス!最後こんなん納得できねえぞおおぉぉうおおおい!!」


ギュウウウンッ…!!バチバチッ…

……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 錬金術師のお店 】


バチッ…バチバチバチッ!!

ギュウゥゥゥウンッ!!…ドサドサッ!!


錬金術師「ぬぐあっ!」

女店員「いったぁっ!」

銃士「っ!」

新人鉱夫「いたいですっ!」


モクモク…


錬金術師「ってて…ヒドイ目にあった…」

 
女店員「凄く長い時間、スゴロクの中にいたけど…現実だとどれくらいたってたんだろ」

錬金術師「んー、女店員その前にちょっと指見せろ」グイッ

女店員「?」

錬金術師「…よし。新人鉱夫と銃士も見せてくれ」


新人鉱夫「…は、はい?」スッ

銃士「どうしたんだ?」スッ


錬金術師「…うし。血の契約は大丈夫だな、止まってる」

女店員「あぁ、そういうこと」

錬金術師「これで解除されてなかったら、またスゴロク始まるからな」

 
女店員「それにしても、こんな危ないもの…」

錬金術師「燃やしたほうがいいな、こんなの」

女店員「じゃあその間に、今の時間はどれくらいなのかちょっと外見てくるね」

錬金術師「おう、じゃあその間に処分の準備を…」

…チクッ

錬金術師「おふっ」


女店員「え?」

銃士「えっ?」

新人鉱夫「え?」

 
錬金術師「…やばーい」タラッ


女店員「ちょっ…まさか…」

錬金術師「コマを片づけようとしてたら…」

女店員「…どうするの」

錬金術師「…行ってきます」

ギュウウウンッ!!!バチバチバチィッ!!


女店員「!」


錬金術師「うおおぉぉおおっ!くそおぉぉ!!」

ギュウウウウウンッ…プチュンッ…

 
女店員「あーあ…」

銃士「どうするの…」

新人鉱夫「…」


女店員「…このスゴロク、燃やす?なーんて…」アハハ…

銃士「や、やめとこう!!それは疑似的な殺人に…!」クワッ

新人鉱夫「て、店長さんを殺さないであげてくださあい!!」グスッ


女店員「じょ…冗談だからぁぁ!!」

 
 
 
【 END 】

 
お休みでしたので、久々の昼間投下となりました。

それでは、有難うございました。

こちらにもちょっとご挨拶いたします。
皆さま、有難うございます。

こちらに関しましては、時間がなく、現在、
剣士「冒険学校」
剣士「冒険学校…!」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1402659716/)

を同掲示板内で連載しておりますので、こちらが終了に伴ってこちらも
再開をしたいなと思っているところです。
わずかながら、

すでに彼らは新たな経営策を打ち出しているようです。
また、彼らが近々また少しドタバタするようなので、そちらもよろしくお願いいたします。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年05月28日 (水) 23:37:27   ID: ysI7G0go

続きはよ

2 :  SS好きの774さん   2014年06月01日 (日) 00:55:18   ID: okgF5nfe

そんな術師先生...

3 :  SS好きの774さん   2014年06月28日 (土) 20:56:51   ID: 4dFSVUzi

その3期待!

4 :  SS好きの774さん   2015年10月29日 (木) 22:09:09   ID: vKq-3Q0k

面白かった

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