貴音「ひとりぐらし」 (181)
貴音さんが一人暮らし? をするようです
※書き溜めあり
※山は特になし
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貴音「貴方様」
P「ん……っと。はい、なんでしょうか?」
貴音「折り入ってご相談が」
P「大事な話? みたいだな」
貴音「ええ」
P「わかった。音無さん、ちょっと応接室使います」
小鳥「あ、はい。大丈夫ですよ」
……
P「えーっと、それで?」
貴音「実は引っ越しをしようと考えておりまして」
P「ほー、なんでまた?」
貴音「諸事情により」
P「……ふむ」
P「じゃあこれには答えてくれ。今住んでるところで何か問題があったから引っ越すのか?」
貴音「はて? それはどういう」
P「例えば火事が起きたとかさ。空き巣に入られたとか、ストーカーに付きまとわれているとか」
貴音「そのようなことはございませんが」
P「そうか」
貴音「どうしたのですか?」
P「いや、事情はシークレットでも構わないけど、困ったことになっているわけではないんだな?」
貴音「……ふふ、貴方様はお優しいですね」
P「アイドルのことだ。心配するのは当然だろう」
P「後そういうことを真顔で言うな。照れる」
貴音「失礼しました」
貴音「聞いたところによると世間では環境を変えるという意味で引っ越しをする方もいるとか」
P「ああ、いるかもな」
貴音「それに似たようなものと理解して頂ければ」
P「そうか」
P「いや、何もなければいいんだ。それで?」
貴音「はい。それで、貴方様にご助言頂けないかと思いまして」
P「……助言」
貴音「ええ。私自身まだまだ若輩者だということは重々承知しております」
貴音「なのでここは経験者にあどばいすをいただくべきかと」
P「なるほどね。もちろん構わんぞ」
貴音「ありがとうございます。このような頼みごとはおそらく本来のぷろでゅーす業とは関係のないものとわかっては……」
P「てい」ムギュ
貴音「……あなたひゃま?」
P「水臭いこと言わないの」
貴音「もぅひわけありまひぇん」
P「あとお礼を言うなら最後に一回でいい」パッ
貴音「……ふふふ、わかりました」
……
P「さて、それで貴音なりに何か考えてるのか?」
貴音「何か、とは?」
P「予定とか」
貴音「私のすけじゅーるは貴方様の方が把握していると思いますが」
P「ああ、そうじゃなくてだな」
P「いついつまでには引っ越したいとかさ、この仕事が終わったタイミングでとか」
貴音「特に考えておりません」
P「貴音って結構見切り発車なとこあるよな」
貴音「みきりはっしゃ?」
P「いいや。じゃあぼちぼち考えてくってことでいいな?」
貴音「ぼちぼちというのはよくわかりませんが、貴方様にお任せします」
P「了解。ではちょっとスケジュールを確認しますのでしばしお待ちを」
貴音「お願い致します」
……
P「ふむ」
P「貴音さんや」
貴音「はい」
P「とりあえず3日後の夕方に少し空き時間があるんだが、その時に賃貸業者に当たってみるのはどうだろうか?」
貴音「構いません」
P「あ、そう」
P「えっと、ちなみに貴音さんはパソコンでインターネットは使えるかい?」
貴音「……」
P「わかった。何でもない。直接行ったほうが早そうだ」
貴音「……すみません」
P「だー!」
貴音「!?」
P「謝るの禁止。次謝ったらもう手伝わんからな!」
貴音「そ、それは困ります!」
P「じゃあ変な気を使うな」
貴音「……では、ありがとうございます」
P「とにかく3日後にスケジュールとして入れとくからな」
貴音「じ、事前の準備などは?」
P「どんなところに住みたいかぼんやりとイメージしとけ。おやつは300円まで」
貴音「おやつにかっぷらあめんは入りますか?」
P「……別に入れてもいいが、お湯をもらえるところに立ち寄る予定はないぞ」
……
――3日後 車内
貴音「貴方様、ぐみをどうぞ」
P「グミか……それで? どんな新居がいいか考えたか?」
貴音「はい。考えたのですが」
P「ほう」
貴音「風情のある建物がいいですね」
P「……もう少し詳しく」
貴音「私、時折響のまんしょんにお邪魔するのですが」
P「うん」
貴音「なかなか綺麗で新しい建物でして」
P「ほうほう」
貴音「それは結構なのですが、お部屋に備え付けられている最新機器にはどうも今だに慣れません」
P「……最新機器?」
貴音「貴方様はいんたーふぉんなるものはご存じですよね」
P「……うん」
P「……うん」
貴音「あとは、お風呂が」
貴音「詳しくはわからないのですが、響がある操作をするとお風呂自身が準備が出来たことを知らせてくるのです!」
P「……」
貴音「それと鍵ですね。
おーとろっくなる機能と、あとは、鍵を使わずとも番号を押すだけで鍵を開けることができるのです!
なんと面妖な!」
P「……」
貴音「はっきり言ってそのような最新機器は使いこなせる気が致しません。
どうやら私は昔ながらの質実剛健な建物の方が好みのようです」
P「……うん」
貴音「やはりおかしいでしょうか?」
P「いや、いかにも貴音っぽくていいと思う」
貴音「そうですか。それは安心いたしました」
P「そうだなあ。ただそういった機能が付いてないマンションは……古いやつ探せば……」
貴音「やはり今は最新機器の時代でしょうか?」
P「っていうかオートロックもナンバーキーもインターフォンも最新機器ではない気がするけどな」
貴音「なんと」
P「そういったとこになるとアパートかなぁ」
貴音「……奥が深いですね。引っ越しとは」
P「まだだいぶ浅いとこにいるけどな。おし着いた」
……
P「こんにちは」
貴音「失礼します」
スタッフ「いらっしゃいませ! 本日はどのようなご用件でしょうか」
P「部屋探しです」
ス「ありがとうございます! ご新規様でしょうか?」
P「そうですね。調べてきてはいないので物件を探すところから相談させて頂ければと」
ス「それではまずこちらのシートに希望条件をご記入してお待ちいただいてもよろしいでしょうか?
記入できるところのみで結構ですので」
P「はい」
P「さてと、3時間でちゃんと終わるかなー?」
貴音「それほど時間がかかりますか」
P「まあな。実際見に行ったりすると結構かかるな」
P「でもまあ今日で決めなきゃいけないわけでもないし、貴音がイメージをつかんでくれればとりあえずはいいかな」
貴音「そうですか」
P「ふむ……あまり書くつもりはなかったが希望条件だけ聞いとくか」
貴音「?」
P「貴音、ここにこだわり条件ってのがあるだろ?」
貴音「はい」
P「この中でこういう部屋がいいなってのがあったらチェックしてみてくれ」
貴音「わかりました」
……
貴音「貴方様」
P「ん?」
貴音「この『せぱれーと』というのは?」
P「風呂とトイレが別々に分かれてるってこと。ホテルとかだと時々風呂とトイレがくっついてるだろ?」
貴音「そうですね」
P「くっついてるのがユニット、離れてるのがセパレート」
貴音「なるほど」
貴音「ではこの『角部屋』というのは?」
P「まあ文字通り角の部屋だな。角部屋だと隣に住んでる人が片方しかいないだろ?」
貴音「そうですね」
P「まあ共同住宅だとなにかと隣人に気を使うからな。角部屋がいいって人もいるんだ」
貴音「なるほど」
貴音「えあこん……はえあこんですね。ふろーりんぐ……」
P「そういえばさ」
貴音「はい?」
P「すんごい基本なんだけど、大体の場所は決めてるよな?」
貴音「場所……ですか」
貴音「事務所からそう遠くなければどこでも構いませんが」
P「家賃は?」
貴音「家賃……お金ですね」
貴音「幸いなことにたくさんお仕事を頂けるようになりましたので、お金に関してはあまり考えておりませんでした」
P「贅沢っすなぁ」
貴音「ふふ、貴方様には感謝してもしきれません」
P「ちなみに一般的に負担にならない程度の家賃は収入の3分の1以下らしいぞ」
貴音「なるほど」
P「貴音って今月収いくらぐらいなんだ?」
貴音「貴方様は知らないのですか?」
P「経理は音無さんがやってるからな」
貴音「おおよそですがひと月――万円くらい頂いておりますが」
P「」
ス「お待たせいたしました!」
貴音「おや。貴方様、どうやら呼ばれているようですよ」
P「」
貴音「貴方様?」
……
アドバイザー「お待たせいたしました。本日担当させていただきます――と申します」
貴音「よろしくお願いいたします」
P「……はっ!? よ、よろしくお願いします」
ア「本日は新規の物件をお探しということでよろしかったでしょうか?」
P「はい」
ア「お二人様で?」
P「あ、いえこの子の一人暮らし用の物件です」
ア「失礼しました、お一人様ですね」
貴音「よろしくお願いします」
ア「……××駅まで通勤時間30分圏内……路線は特にご希望なしで?」
P「そうですね」
ア「ご予算の方はおいくらぐらい」
P「極端に高くなければ大丈夫です」
ア「そ、そうですか」
ア「間取りの方のご希望は?」
P「あ、それなんですけど」
ア「はい」
P「希望としてそれなりに築年数が経っている物件を紹介していただきたいのですが」
ア「なるほど」
P「その条件の上で、あれば1LDK、2DKあたりが希望ですかね」
ア「最近いらっしゃいますよ。新しすぎない物件を探してますという方」
P「え、そうなんですか?」
ア「そうですね。では幾つか出させていただきます」
P(……貴音以外にも変わり者がいるもんだ)
貴音(……やはり変わり者だと思ってたのですね)
P(でも他にもいるみたいだからな)
貴音(ふふ、人には様々な趣味嗜好があるものです)
P(っていうか予算考えてないなんて初めて言ったよ。驚いてたな)
貴音(そうでしたか?)
P(そりゃ女の子の一人暮らし、しかも東京の物件で「そんなに高くなければ大丈夫」なんてよっぽどだからな)
貴音(ふふふ、貴方様が払うと思われているかもしれませんよ?)
P()
ア「お待たせいたしました。ご希望の条件ですと例えばこのような物件を取り扱っております」ピラ
P「ほら、見てみろ」
貴音「……ふむ」
貴音「まったくわかりませんね」
P「……」
……
貴音「外見はやはりこのようなものしかないのでしょうか?」
P「貴音はどういうのがいいんだ?」
貴音「どーん、というのではなく、こう、ひっそりしているものが」
P「……」
……
P「これはなんでダメなんだ?」
貴音「きっちん、というのがあまり」
P「いやキッチンだろ」
貴音「いめーじですが『台所』といった風情のものがいいですね」
P「難しい……」
……
貴音「『べらんだ』ではなく『縁側』がある建物はないのでしょうか?」
P「……」
貴音「大きなお部屋も『りびんぐ』ではなく『居間』がいいですね」
ア「……」
……
P「……」
ア「……」
貴音「……申し訳ございません。贅沢ばかり……」
P「贅沢というか……こだわり? 結構あるな……」
P(ただなんというか……マンションは全部ダメな気がする)
P(マンション……アパート……)
P「あ」
P「すいません、戸建ての物件ってないですかね?」
ア「は……戸建て、ですか」
貴音「戸建て?」
P「一軒家だよ。東京庭付き一戸建てとか言うだろ?」
P「今まで聞いたイメージだと、多分貴音のイメージを満たすのは戸建てしかないんじゃないかな」
……
ア「お待たせしました。いくつかありましたが……」パサ
P「はい」
ア「やはり家賃の方はお高くなってしまいます。
それと、現在の戸建ての物件は主にご家庭の持ち家を貸し出しているものになっておりまして」
P「はい」
ア「一例ですとご主人の転勤に家族全員がついて行く場合などですね。
空家にしているのももったいないということで、私どもが仲介して貸し出しを行なっている場合が多いです」
P「なるほど」
ア「ですので、家主が急に戻ってくるとなった場合、すぐに解約していただくなどの条件がございます」
P「そうなんですね」
ア「お家賃と緊急の場合。この二つの条件にご納得頂ければいい物件だとは思いますよ。
それと一人で住むにはいささか広いかと。その点が気にならなければ問題は――」
貴音「貴方様!」
P「うおっ!?」
貴音「こ、これはどうでしょうか!?」
P「びっくりした……気に入ったのがあったのか?」
貴音「はい!この物件は私のいめーじにおおよそ合っています!」
ア「お、お気に召したものがあれば内装を見ることができるか確認いたしますが?」
P「……貴音」
貴音「はい!」
P「これ……築年数……」
……
ア「こちら……ですね」
P「……」
貴音「風情のある外観ですね。好みです」
P「そう……」
ア「な、中もご覧になりますか?」
貴音「お願いいたします」
ア「は、はい。よっ……っと」
ガチャガチャ……ガラガラ
貴音「玄関が広いですね。そして持ち運びのできる鍵。素晴らしい」
ア「そうですね」
P「ち、築年数はいってますけど綺麗ですね」
ア「定期的にクリーニングはしてありますので」
貴音「失礼します」スタスタ
P「庭付きだな」
貴音「いいですね。縁側があるというのがまたいい」
P「……もしかして結構気に入ってるのか?」
貴音「わかりますか?」
P「……」
貴音「照明もいいですね。紐がついています」
P「据え置きなのかな? ふつうは自分で買うもんだと思うが」
貴音「響のお部屋ではこう、りもこんで点けたり消したりするなんとからいとというものでしたが」
P「シーリングライトだな。たぶん」
貴音「まさに『居間』と『台所』」
P「縁側付きの庭付きだしな」
ア「お、お部屋はあちらになりますが……」
貴音「見てみましょう、貴方様」
P「あ、ああ」
……
貴音「……ふむ」
P「1階には何部屋あるんでしたっけ?」
ア「えー、1階が5LDK、2階は……10ですね」
P「……」
ア「えーと、以前はなにかの施設だったようで」
貴音「貴方様! なんとここから屋根の上に!」
P「やめなさい」
……
P「もう大浴場ですね」
ア「そうですね……」
貴音「広々としています。開放感がありますね」
貴音「貴方様、ここにしましょう」
P「そうだな……えっ?」
ア「えっ?」
……
――翌日
P「いえ、とりあえずは強引に帰ってきたんですけどね。一晩考えろって」
小鳥「そ、そうですか」
律子「はあ、今だにわからないことが多いわねー」
P「うん……」
律子「合わせて15LDKね。広いにしても」
P「限度があるよなー」
律子「まあ面積で考えたら家賃は安いんでしょうけど」
小鳥「ちょっとお高めのマンション借りてるのと同じくらいですよね」
P「古いからな。ぱっと見幽霊屋敷――」
貴音「おはようございます」ガチャ
律子「おっと、おはよう」
小鳥「おはよう、貴音ちゃん」
貴音「おはようございます」
P「おす。早いな」
貴音「ええ。昨日のことで」
小鳥「あ、あははー……」
P「さっそくか。それで?」
貴音「ええ、一晩考えたのですが」
貴音「貴方様も一緒に住みませんか?」
P・律子・小鳥「」
……
P「ちょっと なにいってるか わからないです」
律子「貴音ちゃん?」
貴音「はい?」
小鳥「だ、だったら私も住む!!」
律子「落ち着いてください。これ以上めんどくさいのはごめんです」
貴音「小鳥嬢はおーけーなのですね」
小鳥「そんなこと言わないで! 私だって一緒に……って」
律子「へ?」
貴音「律子はどうですか? 広いですよ」
律子「……」
P「貴音さんや」
貴音「はい」
P「ちょっと順番に説明していただいてもよろしいでしょうか?」
貴音「もちろんです」
……
貴音「そうですね、結論から言うとやはり引っ越しをしようと」
P「あの建物に?」
貴音「はい」
P「……まあいい。続けて」
貴音「金銭的にも問題はなさそうでした。物件の条件については言わずもがな」
P「めっちゃ古いけどいいの?」
貴音「趣があっていいと思います」
P「あ、そうなんだ」
貴音「ただ少し気になったのは、やはり一人で住むには広すぎるということでした」
P「うん、そうだね」
貴音「ならば、みなで一緒に住めばどうかと。幸いにも部屋はたくさんあります」
P「そうきたかー」
律子「……ちゃんと考えてくださいよ」
P「いや、もう無理だろこれ。貴音の中で引っ越すことは確定事項になってるもん」
律子「だからって丸投げは許しませんよ! ちゃんと最後まで面倒見てください!」
P「わ、わかってるって。えーと、貴音」
貴音「なんでしょうか」
P「貴音は引っ越すんだな?」
貴音「ええ」
P「うん。で、さっきみんなで住みたいというようなことを言ってたな」
貴音「はい」
P「みんなって誰?」
貴音「まずは一人暮らしをしている皆を誘ってみようかと」
P「さっきの感じだと音無さんも入ってたな?」
貴音「ええ」
小鳥「ど、同棲に誘われるなんて……初めての経験……!」
P「律子は一人暮らしじゃないんだが?」
貴音「律子は以前、一人暮らしをしようか考えていると言っておりましたので」
P「へ? そうなの?」
律子「え、ええ。言ったことありましたけど」
P「なんでまた」
律子「それは、いつまでも実家で世話になってるわけにもいきませんからね」
P「んー、まあそうか」
貴音「そのことを思い出しましたので、ならば一緒にどうかと」
律子「……一人暮らしじゃなくなってるんだけど」
貴音「律子が言っていたのは育った家を出て自立する、ということなのではないのですか?」
律子「え? まあ……そういうことかしらね」
貴音「そういった意味では共同生活でも意味合いは同じではないかと」
貴音「もし本当に一人になりたいというのなら別ですが、完全に一人で暮らす前にまずは親元を離れ、違う環境で生活してみるのもいいと思うのですが」
律子「……」
貴音「それに、私としても律子がいてくれると頼りになりますし、安心します」
小鳥(く、口説きにかかってる?)
P(ですかね? まあ律子もまんざらでもなさそうですし)
律子「た、貴音の考えはわかったわ。とりあえずプロデューサー殿との話を進めてちょうだい」
P「ん? ああ」
P「えーっと、他には?」
貴音「響、あずさ、千早も一人暮らしです」
P「そうだな。えっ? 誘うの?」
貴音「無理にとは言いませんが、声は掛けてみるつもりです」
P「律子に音無さん。あずささん、響、千早、それと貴音か」
P「……想像するとシュールだな」
小鳥「『……我那覇さん、ワニ子が私の部屋にいるのだけれど』」
P「『うああっ!? ご、ごめんだぞ千早ぁ!!』」
律子「そういうのいいですから」
P「すまん」
P「えーっと、なんか大事になってきたけど……これ社長に許可取らなくて大丈夫ですかね?」
小鳥「え? そ、そうですね。のちのちはわかりませんけど今は引っ越しすらまだしてないんですし……」
律子「そうですね」
P「なんにせよ引っ越しはするんだな?」
貴音「はい、そう考えております」
P「そうか。じゃあ手続きに行くのと、あとは実際の引っ越しか」
貴音「お手数をおかけしますが、よろしくお願いします」
P「じゃあ空き時間見つけ次第動こう。それでいいな?」
貴音「はい」
……
小鳥「いやー、びっくりですね」
律子「引っ越し先で驚いてる場合じゃなかったですね。ほんと予想の斜め上の一歩先を行く子だわ」
小鳥「で、どうします? 実際」
律子「どうしますって……」
小鳥「まあ今日はともかく引っ越ししたらもう一回誘われますよ、きっと」
律子「そうですね。小鳥さんはどうするんです?」
小鳥「あ、質問返しはだめですよ! 私が先に聞いたんですから!」
律子「ぐっ……」
小鳥「ふふふー、さっきまんざらでもない顔してたじゃないですかー」
律子「ま、まあ選択肢としてはなくもないかなって思いましたけど」
小鳥「おお、好感触」
律子「実家から出るとしたら私だって初めての経験になるわけですから。
いきなり一人暮らしより何人かでルームシェアするっていうのも、その……」
小鳥「うふふ」
律子「こ、小鳥さんこそどうなんですか!?」
小鳥「そうねー、実際建物自体見てないから何とも言えないですけど」
小鳥「ただ広いにも程があるだろ、ってくらい広いですからねー。本当に寂しくないのかしら?」
律子「どうですかね。貴音ですから」
小鳥「そこなんですよー。例えば伊織ちゃんが一人暮らしすることになって」
小鳥「『ぜ、全然寂しくなんかないんだからね!』」
小鳥「とかだったらわかりやすいんですけどねー」
律子「分かりやすすぎますよ、その例」
小鳥「でも、ちょっといい機会かもしれませんね」
律子「そうですかね?」
小鳥「いつまでこうしていられるかわかりませんから」
律子「……そうですね」
小鳥「……」
律子「……」
小鳥「今ふと思ったんですけど」
律子「なんですか?」
小鳥「たぶん、知られたらめんどくさいことになりそうな子が数名いますよね」
律子「同じ顔の2人を筆頭に、ですね。わかります
――1週間後
P「とりあえず手続きは済んだな」
貴音「ああ、ついにあの家が私の家となったのですね!」
P「借家だけどな」
貴音「むぅ」
P「はは、悪い悪い」
P「引き渡しはクリーニングが終わり次第連絡がいくそうだから、ちゃんと知らない番号でも電話に出ろよ」
貴音「承知致しました」
P「次は引っ越しか。ちゃんと荷物まとめたりしてるか?」
貴音「はて?」
P「……まあ半分位は予想してたが」
貴音「荷物はほぼありませんので」
P「え? そうなの?」
貴音「はい。必要があれば新居で買おうかと」
P「でも服とか生活用品とか細々したもの考えるとそこそこになるんじゃないか?」
貴音「いえ。おそらく旅行鞄に入るくらいで済むと思います」
P「へー」
P「ってことは今住んでるところの引き払いとかも考えなくていいのか?」
貴音「はい。問題ありません」
P「今の生活についていろいろ聞きたいんだが」
貴音「とっぷしーくれっとです」
P「だろうな。わかってた」
貴音「……」
貴音「……その、貴方様?」
P「あー、じゃあ当日は買い物しなきゃだな」
貴音「……」
P「貴音のことだからなー。適当なタイミングでぷいっと引っ越ししようとしてるだろ?」
貴音「……はて」
P「大きい買い物があるなら午前中にしないとな。さてなんででしょう?」
貴音「なんででしょうか?」
P「夕方に買い物すると当日に配達してくれないからな。
引っ越ししていざ寝ようと思ったら布団とかベッドがない! なんて嫌だろ?」
貴音「……なるほど」
P「車はもちろん出すけど、家電まで買うとなるとさすがに車だけじゃ無理だ。
配達してもらわんと」
貴音「……ふふっ」
P「それでオーケイ?」
貴音「もちろん、おーけいです」
P「よし、なら午前中と荷物を受け取る夕方以降スケジュールが空いてる日を作らないといけないな」
貴音「よろしくお願い致します」
P「さてと。じゃあそろそろ事務所戻るかー」
貴音「はい、貴方様」
……
――10日後
貴音「おはようございます」ガチャ
P「お、来たか」
小鳥「おはよう貴音ちゃん。ふふー、今日はいよいよ引っ越しらしいじゃないの?」
貴音「ええ。ついにあの風情のある新居に住むことができるのです……!」
P「はいはい。じゃあさっさと行くぞ」ガチャ
貴音「はい。よろしくお願いします」
小鳥「いってらっしゃーい」
……
P「さて、買わなきゃならないものはちゃんとリストアップしてきたか?」
貴音「もちろんです」
P「よし」
P「あ、そうだ。クリーニング完了の連絡が来てから行ってみたりした?」
貴音「いいえ。連絡を受けてからというもの少し忙しかったもので」
P「やっぱりか。じゃあまずは家に行ってその荷物置いてこよう」
貴音「やはり邪魔になりますか?」
P「いやその荷物を置く以外にも家には用があるんでな」
貴音「わかりました。どちらにしろ私は貴方様に従うのみ」
P「いやそんな大げさなもんじゃないが……ところで」
貴音「はい」
P「荷物って、マジでそれだけなのか?」
貴音「そうですが?」
P「……地方ロケに行く時と同じくらいだネ」
貴音「ええ、そのぐらいしか入っておりません」
P「……そう」
……
P「おお、朝日を受けて輝いててもボロいな」
貴音「失礼ですよ。今日からここが私の家なのです」ガチャガチャ
P「すんません」
貴音「さあどうぞ」ガラガラ
P「おじゃましまーす」
P「中は変わってないな。そりゃそうか」
貴音「それで、ここに来た理由とはなんなのでしょうか?」
P「ああ、ほらしばらく来てなかったから中がどういう感じだったか忘れてるんじゃないかと思ってな」
ゴキブリとかのチェック、風呂場のカビ、ドアの立て付けと引っ越しは大変だ
>>65 そうなんだよねー
ただ今回はそこまで書きません。
……のちのち貴音が困ることになるかもしれませんね。フヒヒ
P「買うもの買ってもサイズが合わなかったりしたら最悪だろ?」
貴音「なるほど……確かに」
P「カーテンとかな。丈がどのくらいかとか把握しておかないと店で困る羽目になる。
店では何cmとかしか書いてないからな」
P「あとはガスコンロとか、洗濯機とか。買ったはいいが設置したい場所に入らない! とか笑い話にもならん」
P「まあ大体でいい。俺もだいたい覚えるから、2人で覚えとけば問題ないだろう」
貴音「ああ……! 貴方様から後光が差して見えます……!」
P「実際朝日差し込んでるから」
……
P「さてと」
P「家電量販店とインテリアショップ、あとはホームセンターでも回れば一通りのものは揃うだろ、たぶん。
姫様、ご希望は?」
貴音「近いところからで構いません」
P「了解」
……
――某大手家電量販店
P「家電は最低限冷蔵庫、洗濯機かな。あとは?」
貴音「てれびも買いますよ」
P「うん、まあな」
貴音「あとはがすこんろ」
P「コンロね。貴音って料理とかするのか?」
貴音「ふふふ、実は……」
P「するの?」
貴音「私は響いわく『たべせん』だそうです!」
P「たべ……ああ、食べ専ね……つまり料理はしない、と」
貴音「今日響がおそばを作りに来てくれるそうです」
P「引越しそばか」
貴音「ええ。なので調理器具一式は揃えなくてはなりません!」
P「でもゲロゲロキッチンでそこそこ普通に作ってたよな?」
貴音「もちろん淑女の嗜みとして作れなくはないです」
貴音「ですが、なぜからあめん以外はあまり作ろうという気になりません。なぜでしょうか?」
P「なぜでしょうね」
貴音「あとはそうですね、人のために作るというのならば作る気も起きますが」
貴音「……ふふっ、ですから貴方様、例えば貴方様に――
P「あ、冷蔵庫あった」
貴音「……」
P「うーむ、冷蔵庫もいろいろ進化してそうだなぁ」
貴音「ふむ。どれがいいでしょうか?」
P「貴音の好きなのでいいんじゃないか?」
貴音「ではこれですね。もし」
スタッフ「はい?」
貴音「これをください」
P「早いなおい!?」
貴音「あまり時間もないのでしょう?」
P「い、いやまあそうだけど……」
ス「ありがとうございます。ではあちらの方で……」
P「あ、すいません横から」
ス「え? はい」
P「この子まだまだ買うので付いてきてもらってもいいですか? 最後にまとめてお会計しますんで」
ス「」
……
P「テレビ」
貴音「このくらいの大きさでどうですかね?」
P「ん……あそこのリビングに置くんだよな?」
貴音「居間に置きます」
P「じゃあ大きさはいいんじゃないか? あとは機能が……」
貴音「これお願いします」
ス「は、はい! ありがとうございます!」
P「4倍速とか……」
貴音「次は洗濯機でしょうか?」
P「……」
……
P「ドラム式ね……洗濯機はよくわからん」
貴音「なんと。貴方様でもわからないことが……」
P「そうそう買うものでもないしな、洗濯機なんて」
P「まあ全自動でそれなりに機能が充実してればいいんじゃないか? いいやつだと乾燥機能とか」
貴音「これですね。もし、これをください」
ス「あ、はい……」
P「……」
……
貴音「電子れんじ」
P「うん」
貴音「貴方様、あどばいすを」
P「これ良さそうだなあ」
貴音「ではこれをください」
ス「はい」
P「お、ガスコンロだ。大きさ的にこのぐらいがいいんじゃないか?」
貴音「響にとって使いやすそうですか?」
P「……うん」
貴音「ではこれもですね」
ス「はい……」
……
貴音「炊飯器」
P「お、削り出しダイヤモンド釜だって。すごそう」
P「へぇー保湿もできるのか。炊飯器も進化してるな」
貴音「これもお願いします」
ス「は、はい……」
……
貴音「……!」
貴音「貴方様!」
P「な、なんだ?」
貴音「土鍋を買います」
P「え? いやいいけど……ホームセンターでも」
貴音「いえ、今買うべきかと。買わなければならない気が致しました」
P「……そう」
貴音「この大きな土鍋、いいですね。これも買いましょう」
P「……ならIHのクッキングヒーターか一口コンロも買ったほうがいいんじゃないか? 鍋食いたくなったんだろ?」
貴音「さすが、貴方様は敏腕プロデューサーですね」
P「……」
……
貴音「ひいたあ」
P「ひ……? ああ、ヒーターね」
P「ヒーター!? 今必要か!?」
貴音「必要ないですか?」
P「ま、また寒くなった時に買えばいいんじゃないか?」
貴音「そうですか。ではこたつとえあこんも今回は買わないでおきましょう」
P「エアコン付けるとしたら取り付けからだろうなぁ」
……
貴音「掃除機」
P「ダイソンかな」
貴音「もし、だいそんかなという掃除機をお願いします」
ス「ダイソンですね」
貴音「いえ、だいそんかなです」
P「すいません」
……
貴音「あいろん」
P「お前アイロンとかかけるの?」
貴音「あいろんをかけれるようになるのがわんらんく上のお嫁さんへの第一歩だと小鳥嬢が」
P「……一理あるから腹立つな」
……
貴音「どらいやーとへああいろん」
P「そのへんはマジでわかんない」
貴音「ふむ。ではこれとこれをください」
ス「は、はい」
P(しまった……誰か一人ぐらいアイドルを連れてくるべきだったか)
……
貴音「加湿器と除湿機」
P「……うん」
貴音「加湿器は千早のあどばいすです。除湿機は小鳥嬢のあどばいすです」
P「除湿機はわかる。加湿器はいかにもアイドルらしいアドバイスだな」
貴音「では……」
P「ただ加湿器は少し待とうか」
貴音「はて? なぜでしょう?」
P「除湿機は大体固定で置いとくもんだけど加湿器は貴音のいる場所に置かなきゃ効果がないだろ?」
P「今はまだ部屋自体が出来上がってない状態だからな。
加湿器はどこに置くかによって買う機種も変わるんじゃないか?」
貴音「なるほど。では加湿器はまた今度にしましょう」
P(ふう……ただついて回ってる置物みたいになってたからな。我ながらナイスアドバイス)
……
貴音「さて、こんなものでしょうか」
ス「い、以上でよろしいでしょうか?」
P「あ、すいません」
ス「はい」
P「今買ったものの中で電池が必要なものがあったらその分の電池もお願いします」
ス「は、はい」
P「貴音、あと延長コードも二つぐらい買っとけ。便利だから」
貴音「なるほど。わかりました」
P「あ、あとすいません。コンロだけは持ち帰りで」
ス「わかりました」
P「それと洗濯機の取り付けとか……」
……
ス「えー、お会計の方が××万と××円になります」
P「」
ス「お会計の方はカードで――」
貴音「現金で」
P「まじかよ!?」
……
ス「はい。それでは本日の18時以降にお伺いします!!!」
貴音「よろしくお願いします」
ス「お買い上げありがとうございました!!!またのお越しを!!!」
P「あ、ありがとうございました……」
貴音「さて、次に参りましょうか」
……
P「ふぅ……」
貴音「貴方様? お疲れですか?」
P「いや肉体的には問題ないんだが……」
貴音「精神的に疲れたのですか?」
P「ちょっとね……あの、つかぬことをお伺いしますが」
貴音「はい?」
P「今日おいくらぐらい現金をお持ちになってるんでしょうか?」
貴音「持ってきたのは200万円ほどですが」
P「芸能人か!!
あ、芸能人だった!!」
貴音「貴方様? やはり少し休まれたほうが……」
P「いやいいんだ……大丈夫だよ」
……
P「さて、気を取り直していこう」
貴音「そうですね」
P「ここは最低限寝具とテーブル……」
P「あの、貴音さん」
貴音「はい?」
P「今日買うものは最低限のものにしてもらっていいすか?」
貴音「構いませんが」
P「はは、悪いな。ちょっと時間も押してるもんだからさ」
P「キッチンの家具とかは今度律子とか音無さんについて来てもらって一緒に選んだほうがいいな、うん」
貴音「わかりました」
P(ちょっと自分基準で考えすぎてたな……このままじゃ男の一人暮らしみたいな家になってしまいそうだ)
P(インテリアなんかはやっぱ女性同士で相談しながら選んだほうがいいだろ)
貴音「……ふふっ」
……
P「貴音って寝るときはベッドなのか? 布団?」
貴音「ふふ、それはとっぷしーくれっと」
貴音「と言いたいところですが今から買うものを隠しても仕方ありませんね。
主にべっどで寝ております」
P「そうか。まあどっちでも『ぽい』よな」
貴音「そうですか」
P「貴音は不思議だよな。和風も似合うし洋風も似合う」
P「ベッドで寝てても布団で寝てても違和感なさそうだもんな」
貴音「ふふ、ありがとうございます」
P「ま、好きに選んでくれ。家電と違ってあんまアドバイスできることもなさそうだし」
P(家電でもロクなアドバイスしてなかったが)
……
――20分後
貴音「さて、では次に参りましょうか」
P「今回も早かったなあ」
貴音「申し訳ありませんがあまりこだわりなどはありませんので」
P「そうなの。配達時間は?」
貴音「先ほどと同じく18時以降でお願いしてまいりました」
P「よし。あとはホームセンターで生活雑貨買ったらとりあえずはひと段落だな」
貴音「お願いいたします」
……
P「さて、ラストだな」
貴音「ええ」
P「いざ生活してみたら結構あれ足りないこれ足りないってなるからな、生活用品は」
貴音「一応めもは用意してきたのですが」
P「ふむ。じゃあ俺からもひとつアドバイスを」
貴音「おお! 久々のあどばいすですね!」
P「久々のって……まあいいや」
P「生活用品を買うときは一日の生活を朝からたどっていくといい」
貴音「生活を?」
P「そ。例えば貴音は朝起きたらまず何をする?」
貴音「まずはしゃわーに」
P「ふむ。ということはシャワーに必要なものは買わなきゃならんな」
P「それは忘れないだろうが、じゃあついでに風呂周りのことも考えておく」
P「お風呂掃除の道具からバスタオル、バスマット、それらを置いておくラック等々」
貴音「なるほど……」
P「それらを一通り考えたら次に行く。シャワーから上がったら次は何をするんだ?」
貴音「らあめんを食べます」
P「」
貴音「冗談です」
P「冗談に聞こえなかったわ」
……
貴音「さてさて」ガラガラ
P「俺が押すよ、それ」
貴音「そうですか?」
P「うん。なんか貴音にやらせてると俺が悪い奴のような気がしてくる」
貴音「ふふ、ではお願いします」
P「はいよ」ガラガラ
……
P「えーと」
P「食器、調理器具、バス用品……」
貴音「あ、てぃっしゅも」
P「あとは?」
貴音「時計も必要ですね」
P「備え付けのクロゼットはあったが、それ以外の衣服はどうするんだ?」
貴音「そうですね。落ち着いたら箪笥も買おうと思っておりましたが」
P「まあそれまではなんとかなるか?」
貴音「では一応この収納ぼっくすも買っておきましょう」
P「……」
貴音「あとはお米を入れる謎の箱」
P「米びつ……とは今は言わんのか?」
……
貴音「こんなところでしょうか……」
P「すげえ何か買い忘れてる気がするよな」
貴音「はい……」
P「たぶん買い忘れてるぞ」
貴音「なんと! あ、貴方様は何を買い忘れているかご存知なのですか?」
P「いや」
P「でも大抵『あ、あれがない!?』って後から出てくるもんなんだよ」
P「……今思い出した。ゴミ箱買ってないよな?」
貴音「はっ!?」
P「な? 警戒してても何かしら買い忘れてるものがあるんだよ」
貴音「ご、ごみ箱を持ってまいります!」
P「あとなんかあったかな……」
貴音「持ってまいりました!」
P「ゴミ袋もだな」
貴音「」
……
P「……ぐはー! 大量だな」
貴音「ありがとうございます、貴方様」
P「なんの。こういう時のためにいるようなもんだからな」※職業:プロデューサー
P「さてと、じゃあ戻るか。さっきやんなきゃいけないこと思い出したし」
貴音「なんでしょうか?」
P「ガスの開栓頼まなきゃならなかった」
貴音「がすの開栓?」
P「ああ。ガスを使い始める時はガス会社の人に開栓作業をやってもらって、居住者の立ち会いが必要なんだ」
P「電気と水道は電話するだけで良かったから油断してたな。まあ多分今日中に来てもらえるとは思うが……さて」
貴音「そうなのですね」
P「ちゃんと覚えておけよ。次の引っ越しの時は一人でやらなきゃならないんだから」
貴音「はい。わかりました」
……
P「――よろしくお願いします。失礼します」ピッ
貴音「どうでしたか?」
P「さすが大都会東京だな。今日の4時くらいに来てくれるってさ」
貴音「それは助かりました。響が来てもがすが使えなくては……」
P「はは、そばが食えなくなるところだったな」
貴音「その通りです」
P「さて、先にご飯食べに行かないか?」
貴音「そうですね。ところで貴方様、お時間の方は?」
P「ん? ああ、あとちょっとだな」
P「だからメモ帳持ってきてくれ。最終確認はご飯が来るのを待っている間にしよう」
貴音「わかりました」
……
P「地鶏のチキンカツセット、ご飯大盛りで」
貴音「和風御膳のせっとをお願いします」
<カシコマリマシタナノー
P「……貴音、ラーメンじゃなくていいの?」
貴音「どうも貴方様は偏見があるようです。私とてらあめんばかりを食しているわけではありません」
P「悪い悪い。それで確認だけど」
P「この後の予定はどうなってる?」
貴音「4時になりましたらがすの方が、6時以降に今日買ったものが、そして7時以降に響が来ます」
P「ん、ちゃんと覚えてたな」
P「えーっと、まずガスについてだが、ついでにコンロも設置してもらうといい。多分やってくれるはず」
貴音「なるほど。それでこんろだけは持ち帰りにしたのですね」
P「ガスはやっぱり専門家にやってもらわないとな。なんとなく」
P「だから4時までにはコンロをダンボールから出しておくこと」
貴音「わかりました」メモメモ
P「それと風呂場とシャワーの使い方も聞いとけ」
貴音「お風呂場……ですね」メモメモ
P(説明読めばわかるとは思うが……俺も見たことないタイプだったからな、あの風呂)
P「あとは俺は多分6時までには行けないと思う」
貴音「はい」
P「洗濯機と冷蔵庫のセッティングは頼んでおいた。業者さんがやってくれる」
貴音「なんと! いつの間に」
P「会計の前に確認した。買った金額が金額だったから無料サービスになったな」
貴音「そうなのですか」
P「ああ。ぶっちゃけ自分で買うんだったら商品も完全に値切ってたと思うが」
貴音「値切り?」
P「まあそれはいい。だから大型の家電は問題ないだろ」
P「テレビとかは俺が行くまでいじんない方がいいだろうな。配線とかできる?」
貴音「できません」
P「だよな。じゃあテレビとかはほっておけ」
貴音「わかりました」
P「そんなところか。あ、ベッドの組み立てとかも一人だと危ない……」
響『ベッドの組み立てくらい簡単だぞ! 自分完璧だからな!』
P「……二人でも危ないから、絶対に俺が行くまでいじるなよ」
貴音「べ、べっどとはそれほど危険なものでしたか……!」
P「……うん、まあ時と場合によってはな」
P「だから大きいものはあんまりいじんないほうがいいな。
今車に入ってるホームセンターで買ったもののパッケージを開けたりしとくといい」
貴音「わかりました」
P「なにか質問は?」
貴音「今のところは大丈夫かと」
P「そうか。まあ何かあったらメールしてくれればいい」
<オマタセシマシタナノー
P「お、きたきた」
貴音「私もお腹が空きました」
P「よし、じゃあ確認は終わり! いただきます!」
貴音「いただきます」
……
――貴音宅前
P「じゃあ俺は行くからな」
貴音「はい、お仕事の方がんばってください」
P「……なんか奥さんみたいだな」
貴音「なっ……!?」
P「ははは、じゃあ行ってくるな」
貴音「……はい、行ってらっしゃいませ。貴方様」
ブロロロロ……
貴音「……さて」
貴音「まずはこんろでしたね」ガラガラ
……
バリバリ
ガサガサ
貴音「これでいいでしょう」
貴音「ふう……」
貴音「そういえばくっしょんを買ったのでした」
ガサガサ
貴音「これですね」
貴音「値札を切……」
貴音「……」
貴音「……はさみがありませんね」
貴音「仕方ないですね。こんびにへ行きましょう」
……
チョキチョキ
貴音「これでよし」
貴音「ごみを」
貴音「……ごみ箱も出していませんでしたね」ガサガサ
投下ちょっと休憩。残り3分の1くらい
……
<スイマセーン
貴音「……来ましたか」
貴音「はい」
ガス会社社員「あ、××ガスの○○ですー」
貴音「どうも。よろしくお願いします」
ガ「失礼しますー」
貴音「ええ。こちらへどうぞ」
……
カチカチカチ……ボウッ
ガ「大丈夫ですね。ガス漏れもチェックしましたし」
貴音「ありがとうございます」
ガ「えーと、後は検知器を……」
ガ「すいません、この近くにコンセントないですか?」
貴音「こんせんと……」キョロキョロ
ガ「あ、こちらに……ちょっと遠いなあ」
貴音「大丈夫です!」
ガ「!?」
貴音「世の中には延長こーどというものがございます! 少々お待ちを!」
ガ「は、はあ……」
……
ガ「まずはここをONに」
貴音「……」メモメモ
ガ「次はここを押しながらひねると、ここの小窓から……」カチカチ
ボッ
ガ「火がつくのが見えます」
貴音「見えます」メモメモ
ガ「これでお湯が出ますよ。使い終わったらどちらも元に戻して終わりです」
貴音「……どちらも……元に」メモメモ
……
ガ「はい、では以上ですね。こちらの方にサインいただけますか?」
貴音「さいんですか? はい」サラサラ
ガ「えっと……」
ガ「ただのご署名でよろしいんですけど……」
貴音「……」
……
<シツレイシマスー
貴音「これでがすの方は大丈夫ですね」
貴音「……」
カチカチカチ……ボッ
貴音「……」
カチカチ……ボウッ
貴音「……ふふふ」
……
貴音「疲れましたね……」
チラッ
『17:11』
貴音「電化製品などが届くまであと1時間」
貴音「……響が来るまであと2時間ですか」
貴音「……」
貴音「……」ウトウト
……
ガンガンガン
貴音「……ん」
ガンガンガン
<タカネー!!
貴音「……は!」
貴音「しまった……! 少々お待ちを!」トタトタ
貴音「お待たせいたしました!」ガラッ
響「……」
美希「あ、ほんとに貴音なの」
貴音「面妖な!?」
響「なんで!?」
……
響「びっくりしたぞ」
貴音「……申し訳ない」
美希「あはっ、眠くなっちゃう気持ちはよくわかるの」
貴音「よ、予定では響より先に宅配物が来る予定でしたので」
響「あはは、予定より早く終わったからな!」
貴音「しかし、なぜ美希が?」
美希「むー、ミキが来たらダメだった?」
貴音「そうではありませんが、聞いていなかったものですから」
響「ああ、話したら行きたいって言い出したから一緒に来たんだ」
貴音「そうですか」
美希「まあまあ! 細かいことは気にしないの!」
トントン
<サーセーン
貴音「おや?」
響「そういえばインターフォンはともかくチャイムすらないんだな」
貴音「そうです。風情があるでしょう」
響「風情かなあ?」
貴音「はい」
ガラガラ
ス「あ、××電気です。商品お届けに上がりましたー」
貴音「ご苦労様です」
響「す、すごい量だぞ……」
ス「……っていうか四条貴音さんと我那覇響ちゃん!?」
響「あ」
……
ス「あ、ありがとうございました! あと頑張ってください!!」
貴音「ご苦労様です」
ガラガラ
響「いい人たちだったね」
美希「冷蔵庫でかいの」
貴音「そうですね」
美希「これ2人で運んでたもんね。すごかったの」
響「自分たちじゃ3人でも無理だぞ」
ガンガン
<コンニチワー
貴音「……?」
響「あ、真たちかな!? はーい!!」
……
真「広いですね!」
雪歩「こ、これ引っ越しのお祝いです。真ちゃんと私から」
貴音「ありがとうございます」
貴音「ところで、どうしてこの場所が?」
雪歩「あ、響ちゃんから聞いたんです」
真「引っ越しするなら教えてくださいよ! お手伝いに来たのに」
貴音「ふふ、そうすべきでしたね」
真「くぅ~! いいなあ新生活! 引っ越し!」
美希「ねー貴音。クッション足りないよ?」
貴音「そうですね。こんなに来客が来るとは……」
<ガンガン
スイマセーン
美希「また誰か来たの」
貴音「おそらく家具ではないかと」スタスタ
貴音「はい」ガラッ
スタッフ「あ、どうもインテリアの○○のものです。商品を……」
ス「し、四条貴音さん!?」
貴音「そうです」
……
ス「それでは失礼します!」
貴音「ご苦労様でした」
真「さっきまでガラガラだったのに」
雪歩「ダンボールだらけになっちゃいましたね……」
ガンガン
<タカネー?
貴音「……」
響「来客多いなあ、貴音」
……
律子「えー……?」
小鳥「な、なんでこんなにいるの!?」
響「引っ越しそば作りに」
真「引っ越し祝いをしに」
雪歩「ま、真ちゃんと同じく……」
美希「遊びに来たの」
貴音「私の家ですので」
律子「いや貴音はわかるから」
……
小鳥「まあそのうち知れ渡ることだしね」
雪歩「あ、律子さん。私のクッション使ってください」
律子「いいわよ気にしなくても」
美希「あはっ。律子、さんがフローリングにそのまま座ってるところなんてなかなか見れないの!」
律子「……美希、あんたのクッションよこしなさいよ」
美希「嫌なの」
真「でもずっと床にダイレクトに座ってるのもキツイですよね」
貴音「では布団でも開けましょうか」
小鳥「ふ、ふとん?」
貴音「ええ。5せっとほど買いましたので」
……
律子「布団というか、マットレスね」
響「今度はリビングが布団だらけに」
雪歩「これもあんまり見れない光景ですぅ」
美希「こんなことされたら……眠くなっちゃうの……あふぅ」
貴音「して、律子と小鳥嬢はどうして参られたのですか?」
律子「あ、私たちは聞いてたしね。引っ越しのこと」
小鳥「さらに響ちゃんが引っ越しそばを振舞うということも聞いていたので……」
小鳥「じゃ~ん! スーパーで天ぷらを買い占めてきました!」
真「おぉー! やりますね小鳥さん!」
小鳥「でしょでしょ!?」
律子「やりますねじゃないわよ。誇張じゃなくほんとに買い占めたのよ? 天ぷら」
雪歩「え、えぇ~!?」
律子「いい大人が……買い占めた理由なんでしたっけ?」
小鳥「そのほうが面白いから!」
響「……」
律子「あとはプロデューサーから頼まれたのよ」
貴音「……プロデューサーから?」
律子「ええ。ちょっとだけ仕事が押してるんだって」
律子「貴音があんな広いとこで一人かも知れないから、行ってやってくれってね」
貴音「……そうですか」
律子「ま、だから ボフッ
律子「……」貴音「……」
真「負けないよ! それっ!」
美希「あはっ、やっぱり真君は強敵なの! えいっ!!」
小鳥「ま、枕投げなんて青春の遊び……! 参加するしかないわ!!」
雪歩「て、天ぷらが~……あうボフッ
響「あはは! 雪歩、油断大敵さー!」
律子「……こぉらぁ~~!!!」
真「わぁ!? 律子が怒ったぁ!?」
美希「響! 律子を集中攻撃なの!!」
響「がってん! くらえ、クッション爆弾!!」
小鳥「律子さん! 大人の力を ボフッ
貴音「……」
貴音「ふふっ ボフッ
……
ガラガラ
貴音「……お待ちしておりました」
P「なんでそんなにヘロヘロなの?」
貴音「……今まで戦場にいましたゆえ」
P「面妖な」
千早「四条さん?」
春香「だ、大丈夫ですか?」
貴音「おや」
……
P「どうしてこうなった」
律子・小鳥・雪歩「」
真・響「あ、プロデューサー!! お疲れ様……ですっ!!」
P「」バフッボフッ
美希「Zzz」
春香「うわー、なんかすっごい楽しそうだった空気が」
千早「……律子が気を付けをしたままうつ伏せで伸びてる……」
P「……はぁ」
千早「……っ……っ!」
春香「ち、千早ちゃん、いっそ声出して笑ったほうが」
響「プロデューサー達で最後なのか? だったらそば作っちゃうけど」
貴音「最後でしょうか?」
P「多分な。さすがに9時過ぎてるしもう来ないだろ」
響「よっし、じゃあ作るぞ!」
春香「あ、じゃあ手伝うよ。貴音さん、台所借ります」
貴音「はい」
P「はあ……まあいいや」
P「貴音。ベッド、そば食ってからでいいか? 腹減ったよ」
貴音「あ、それなのですが」
貴音「組み立ては設置する場所で行うのですか?」
P「え? まあ……そうだな。組み立ててから持ち運びはできないだろうし」
貴音「では、今日はできません」
P「……ん?」
貴音「確認不足でした」
貴音「夕方に見に行ったところ、個室の方には照明がありませんでした」
P「あ」
貴音「ですのでここ以外は今は闇に包まれております。その中で組み立て作業はできないでしょう」
P「……しまった。そうか」
貴音「私も確認不足でした。ですがしばらくはここで布団で寝ようと思いますし、大丈夫です」
貴音「組み立ても自分で頑張りますので」
P「……まあ確かに今日は無理だな。遅くなりすぎたし」
P「でもそのうちちゃんと組み立てに来るよ。俺がやるって言ったしな」
貴音「貴方様……」
P「しかしローテーブルの方はさっさと作らんとな。
新居での最初の晩餐を、床にどんぶり置いて食べるのはさすがに寂しすぎる。真、手伝え」
真「あ、はい!」
貴音「私も手伝います」
P「そうか」
P「じゃあそこで伸びてる奴らを正気に戻してくれ。千早含めて」
千早「……っ……っ!」
……
響「できたぞー!」
千早「運ぶの手伝うわ」
律子「起きなさい、金髪毛虫が」グイグイ
美希「んむ……」
貴音「……おにぎり」
美希「ふぁ……あふぅ。おにぎりは?」
春香「おいなりさんならあるよ」
P「なんとか間に合ったか。真、ナイスサポート」
真「へっへー。エビ天一本でいいですよ!」
P「伊勢海老でもいいならそこに……」
律子「オイ」
雪歩「あ、お茶用意してきます」
小鳥「」カシュ
P「おい!?」
小鳥「えっ?」
……
P「はい、じゃあ貴音から一言」
貴音「私ですか?」
P「主役だろ」
貴音「そうですね……」
貴音「本日は私の引っ越し祝いに来て下さり」
P「そば伸びるから短めに」
律子「ちょっとプロデューサー!?」
響「自分で振ったくせにひどいぞ!!」
貴音「ふふふ」
貴音「そうですね。では」
貴音「……今日は真、良き日でした。皆に感謝します」
貴音「それではいただきましょう」
『いただきまーす!』
ズルズル
律子「あ、おいしい」
千早「ほんとね」
真「プロデューサー、エビ天」
P「まだそこにいっぱいあるだろが!」
美希「おいなりさんも好きなの。手がベトベトしなかったらおにぎりに匹敵すると思うな」
雪歩「これ私たちが持ってきたおそばも使ってるの?」
響「うん。自分こんな人数分は用意してなかったら助かったぞ」
春香「かぼちゃの天ぷら美味しいですよ!」
小鳥「あ、かぼちゃ選んだの私」グビグビ
P「音無さん、もう少し気を使いましょうよ。俺に対して」
小鳥「プロデューサーさんも飲めばいいじゃないですか。勤務時間外なんだし」
律子「ダメですよ。アイドルの前で」
P「音無さんはいいの?」
響「だからダメなんじゃないの? ピヨ子は」
律子「響よくわかるわね」
小鳥「……」
P「もうなくなった」
貴音「同じく」
響「台所にまだあるぞ。茹でたそばとめんつゆ」
P「貴音俺のも」
貴音「わかりました」
……
美希「Zzz」
P「寝るの早いよ。なんだこいつ」
千早「ごちそうさま、春香、我那覇さん。美味しかったわ」
響「そば茹でただけだけどな。でもどういたしまして」
春香「私もおいなりさん作っただけだけどね。どういたしまして」
真「それより春香、電車大丈夫なの?」
春香「わぁ!? そ、そうだった!」
P「そういやそうだな。元々一目見たいって来ただけだもんな」
春香「れ、冷静に解説してる場合じゃないですよお! ま、間に合うかな?」
貴音「泊まっていっても構いませんよ」
春香「……はい?」
真・小鳥「いいんですか?」
P「おい」
貴音「構いませんよ。布団はたくさんありますし」
P「っていうかなんで布団5組も買ったんだ?」
貴音「いずれこのような事態になることもあるかと思いまして」
貴音「……まさに今日、こうなるとは思いませんでしたが」
P「ふーん……どう思う? 律子」
律子「まあ明日は土曜日ですし、仕事に支障がなくて親の許可が取れればいいんじゃないですか?」
真「あ、じゃあボクほんとに泊まってもいいですか!? 明日はオフですし!」
貴音「ふふ、構いませんよ」
小鳥「私もいいですか!?」
P「音無さん明日定時ですよね。大丈夫ですか?」
小鳥「……やっぱりやめておきます」
貴音「春香はどうしますか?」
春香「……じゃあお願いしようかな。明日のお仕事午後からだし」
響「みんないいなあ。自分もみんなのご飯ハム蔵に頼んでくれば良かったぞ」
雪歩「し、四条さん……私も、その、お泊りしていってもいいですか……?」
貴音「もちろんです」
雪歩「あ、ありがとうございますぅ!」
春香「千早ちゃんは? 一緒にお泊りしない!?」
千早「わ、私も……!?」
貴音「千早。千早がよろしければ泊まっていってください。私は大歓迎ですよ」
千早「四条さん……」
千早「……そうね。そうさせてもらおうかしら」
春香「やった!」
律子「さーて、じゃあ帰る人は帰るわよ!」
美希「Zzz」
……
響「じゃあな貴音! また来るよ!」
貴音「ええ。ごちそうさまでした」
小鳥「じゃあ、ごちそうさま。そうそう律子さんからちゃんとお話聞いてね……うふふふ」
貴音「はい?」
美希「……むぅ」
貴音「美希、気をつけるんですよ」
美希「ふぁ~い……なの。ばいばい貴音」
律子「貴音」
貴音「はい」
律子(多分、そのうち来るからね)
貴音(来る、とは?)
律子(……私と音無さんもここに住もうかなーって)
貴音「なんと!」
律子(声大きいから!)
貴音(す、すいません。真ですか?)
律子(ええ)
貴音(……そうですか)
律子(ま、いつになるかはわからないけど。詳しくはまた今度ね)
貴音「はい……ふふっ、お待ちしております」
律子「ええ。じゃあ、ごちそうさま。おやすみ」
貴音「おやすみなさい、律子」
……
貴音「さて……」
貴音「ふふ、貴方様も泊まっていかれますか?」
真「えぇ!?」
雪歩「ふぇ!?」
春香「!?」
千早「……!?」
P「アホか」
P「お前らこのあとコンビニ行きたいとか言い出さないか? 歯ブラシ買いに行こう、とか」
春香「あ」
P「……やっぱりか。もう遅いから行くんなら今だぞ。俺も早く帰って寝たいし」
真「あ、行きます! 行きたいです!」
……
――コンビニ 外
貴音「貴方様」
P「ん……終わったのか?」
貴音「ふふ、まだです。あの子達はお菓子を選んでいるようで」
P「……食べ過ぎんなよ」
貴音「ええ」
貴音「本日はありがとうございました」
P「結局夜はそば食いに行っただけになったな」
貴音「てーぶるを組み立てていただきました」
P「テレビもめんどくさくて開けなかったな。明日か、遅くても明後日までにはなんとかする」
貴音「お手数をおかけします」
P「……なあ、毎度毎度そうかしこまらなくてもいいぞ?」
貴音「貴方様の方こそ、私の感謝の言葉を受け取ってくださいませんね」
P「……わかったよ。どういたしまして。これでいいか?」
貴音「ふふっ、ええ。今後もよろしくお願いいたします」
P「なんかあったら相談しろよ。最初はホームシックにかかるかもしれんし」
貴音「そうなのですか?」
P「広い家に一人だとそうなるかもしれない」
貴音「わかりました。寂しくなりましたら貴方様に来ていただくよう頼みごとをしましょう」
春香「お待たせしましたー!」
P「ん……よし、行くか」
……
P「じゃあな。仕事には遅れるなよ。それと夜ふかしもほどほどにな」
春香「はい! おやすみなさい、プロデューサーさん!」
真「おやすみなさい!」
雪歩「お、お疲れ様でしたぁ」
千早「お疲れ様でした」
貴音「ありがとうございました」
P「じゃ」ブロロロ
……
千早「……リビングにこれだけ布団が敷き詰められているのもシュールね」
春香「千早ちゃんも引っ越しの時はこんな感じだった?」
千早「どうだったかしら?」
千早「……ただ、ガランとしたフローリングの空間は一緒。それは覚えてる」
貴音「これがしーつ、これが毛布……」
真「じゃあボクビニール破ってくよ」
雪歩「じゃあ私はシーツ掛けてくね」
真「へへー、なんだか海行った時思い出さない?」
貴音「確かに、皆で布団で寝ましたね」
雪歩「楽しかったですね」
貴音「そうだ、千早?」
千早「はい?」
貴音「千早も一緒に住みませんか?」
千早「……」
春香「」
真「」
雪歩「」
……
千早「……そうなんですね」
貴音「ええ。先ほどお返事をいただきまして」
春香「うわー! いいなあ」
真「律子と小鳥さんかぁ。なんだかすごい組み合わせ」
千早「……そういえば春香も以前言ってなかったかしら? 事務所の近くに引っ越すとか」
春香「うぇ!? あ、あはは……まあ言った……かな?」
雪歩「えぇ!? は、春香ちゃんも一人暮らしするの?」
春香「違う違う! そうしたら楽になるかもって言ってみただけで……!」
雪歩「で、でも春香ちゃんは学校がお家の近くなんじゃ……」
春香「そうなんだよね。でもほらこっちで仕事して帰るとなると、終電がどうしても、ね」
春香「だからこっちに住んで、学校が終わったらこっちに戻ってくることにすれば結局往復一回だから変わらないかなぁ……と」
貴音「……」
春香「朝と夕方なら電車の心配もしなくてもいいし、学校がない土日は移動時間も省けるし……」
春香「あ、で、でも言ってみただけだよ!?
多分やらないであろうことをこう想像して楽しむみたいな……妄想!? ない!?」
真「そ、そう……」
春香「身近に響ちゃんとか千早ちゃんがいるからね。
私も一人暮らししたらもっと活動に専念できるかもって……」
貴音「ふむ、ならば春香もここに住むというのはどうですか?」
春香千早真雪歩「「「「 」」」」
貴音「ただ、実家には荷物を残しておくのが良いでしょう」
春香「え?」
貴音「つまり引っ越しではなく、こちらにも活動拠点を置くということです。
忙しい時はこちらに泊まればいいですし、時間があるときは実家でゆっくりすればいいかと」
春香「え? えーっと……?」
千早「……突飛な話じゃないわね」
雪歩「……うん、結構便利なんじゃないかな?」
春香「ご、ごめん、話についていけてなかった」
貴音「まあ後ほどゆっくりと考えてみてください。選択肢の一つとして」
春香「あ、はい……」
貴音「千早も。食生活が偏っていると言ってましたので場合によっては」
真「ぼ、ボクも住んでいいですか!?」
雪歩「ま、真ちゃん!?」
貴音「……私は構いませんが」
春香「ま、真?」
真「だっていいじゃない! 一人暮らし」
千早「一人ではなくなってるけど……」
真「いいなあ! だって父さんを警戒することもなく女子力アップの練習が出来るんだよ!?」
雪歩「ま、真ちゃん……」
貴音「構いませんが、働いては貰いますよ?」
春香「は、働く?」
貴音「ええ。まだ私が一人で考えている段階ですが、何人か住むようになりましたら炊事や洗濯、掃除などを分担で行おうかと」
貴音「おそらく律子や小鳥嬢と相談して決めることになると思います」
千早「……働くってそういうことね」
貴音「ええ。そもそもの目的は一人で生活できる能力を身につけることですので」
春香「そうなんですか?」
貴音「それも目的の一つです」
貴音「なので真、実家にいれば炊事や洗濯など母君がやって下さるでしょう?
ここに住むということはそれを……」
真「自分たちでやるんですよね!? 大歓迎ですよ! だって花嫁修業になるじゃないですか!?」
春香「……真」
貴音「……ふふ、それをわかっていれば私は構いません」
雪歩「……つ、ついでに私も……なんて」
春香「ゆ、雪歩まで!?」
雪歩「あ、ご、ごめんなさい! なんとなく言っちゃっただけで、その……」
貴音「私は構いませんがね」
千早「……そのうち第二の事務所になってしまうんじゃないかしら? ここ」
春香「でもそうなったらそうなったで楽しいかもね! 765寮、みたいな!」
貴音「ふむ、寮……ですか」
真「寮ね。確かにこの建物年季が入ってそうだし、古い寮みたいかも!」
千早「部屋も異常なくらい多いしね」
雪歩「寮……女子寮かぁ」
貴音「さて、そろそろ夜も更けてまいりました。寝る支度をいたしましょう」
真「えー!? もう少しガールズトークをしましょうよ!!」
千早「ガールズトーク……」
貴音「ふふ、そうしたい気持ちもありますが皆明日もあるでしょう?」
春香「そ、そうですね……私も仕事午後からだけど、一旦家に帰りたいから早く起きなきゃ」
真「ちぇー、でも仕方ないか」
貴音「それに、この先もこういった機会は作れます」
貴音「いつでも遊びに来てください。ご覧のように広いですから遠慮は無用です」
真「やったぁ! ありがとうございまーす!」
雪歩「わ、私も遊びに来ても……」
貴音「雪歩、それは聞くまでもありませんよ」
雪歩「あ……ありがとうございます」
春香「よぉ~し、じゃあ歯磨きしに行こう!」
千早「……ふふ」
貴音「さて、いよいよ明日からが本番ですね」
貴音「一人暮らし。如何なるものか」
貴音「ふふ……胸が躍るというものです」
春香「消灯ですよ、消灯!」
カチッ
おわり。つづくかは未定
読んでくれた方ありがとうございました。
貴音の台詞「皆」の読みは「みな」で脳内再生よろしく。では
追記
とりあえずこのスレは落とします。続くとしたらその2とか別スレで書きます。
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