真姫「素敵なママ」 (73)
\前回のラブライブ!/
にこ「穂乃果の持つ人を惹き付ける匂い、『ほのかふれいばー』」
穂乃果『にこちゃん!』ダキッ
にこ『ふぁぁぁ…』トローン
にこ「それを調査すべく、メンバーの匂いを調べて行ったにこ達」
海未『これは…穂乃果の匂い…!』
凛『同じシャンプー使ってるもん!』
にこ「そこで、希の匂いを嗅ぐ真姫ちゃん…」
真姫『ふぁぁぁ…落ち着く』クンカクンカ
希『ちょ、ちょっと真姫ちゃん…』
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にこ「そしたらなんと!」
真姫『ママの匂い…』クンカクンカ
希『は?え、ちょっと…』
にこ「こうして、海未達の穂乃果をめぐる争いが勃発する中…」
にこ「新たな絆が生まれようとしていた!」
部室
真姫「ママぁ~」スリスリ
希「ま、真姫ちゃん…そろそろ止めてや…それ」
真姫「なんで?」
希「いや、うちは真姫ちゃんのママやないし」
真姫「…ママ」ギュッ
真姫「抱き締めて…」
希「うーん…聞いてへん」
穂乃果「真姫ちゃんと希ちゃん仲良しだね!」
穂乃果「この間も穂乃果の家で一緒に寝てたし!」
希「仲良しっていうか…」
海未「完全に希を母親だと思っているみたいです」
絵里「真姫…家にも帰ってないらしいわ」
にこ「希の家にいるんでしょ?」
穂乃果「えっ!本当に!?」
穂乃果「真姫ちゃん!ちゃんと自分のお家に帰らないと駄目だよ?」
真姫「?」キョトン
真姫「自分の家?」
真姫「帰ってるわよ?毎日」
真姫「ねぇ?ママ」
希「あのなぁ…真姫ちゃん…」
真姫「えへへ、ママ…」ダキッ
希「ま、真姫ちゃん暑いよ」
真姫「私は暖かいわ…ママ」
真姫「大好き…」クンクン
真姫「いい匂い…」
海未「幸せそうですし、これでいいのでは?」
希「よくないよ!」
希「めっちゃ恥ずかしいんやから!」
絵里「でも、真面目な話…家に帰ってないのは結構マズいわ」
希「今はうちの家にいる、で通用してるけど…」
希「長いことは無理や」
真姫「ママぁ…抱っこ」スリスリ
希「真姫ちゃん、今話し中やし…」
真姫「えぇ…」ジワッ
希「あっ…もうっ!」
ポンポン
希「ほら、膝枕したるから…」
希「ここにおいで…」
真姫「!」
真姫「ママぁ!」ゴロン
希「真姫ちゃん…よしよし」ナデナデ
真姫「はふぅ…」トローン
海未「…」
海未「穂乃果ぁ…私も…」スリスリ
穂乃果「海未ちゃんまで!?」
絵里「海未?いい度胸ね」
ことり「これ一点でいいよね」
海未「はっ!ごめんなさい!それだけは…」
凛「五点で免停だよ」
絵里「海未はもう四点でリーチかかってるから」
海未「くっ…」
希「よしよし…」ナデナデ
真姫「…」スースー
希「なあ、皆…」
希「真姫ちゃん、そろそろ家に帰さんと…」
希「絶対、親御さんに怒られるよ」
絵里「そうなったら部活的にも辛いわ」
海未「真姫がμ'sを辞めさせられるかも知れませんし」
穂乃果「!?」
穂乃果「それは駄目だよ!」
穂乃果「何とかしなきゃ!」
花陽「そもそも、何でこんな事態に…」
にこ「真姫ちゃんが希の匂いを嗅いでから、ずっとこうなのよね」
花陽「じゃあ、匂いに原因が!?」
穂乃果「希ちゃん、そんなにいい匂いなの?」
穂乃果「嗅いじゃお!」
クンクン
希「ひゃ!ちょっと、穂乃果ちゃん!…///」
穂乃果「あぁ…」
穂乃果「確かに…なんというか」
穂乃果「安心するというか…包み込まれるような…」
穂乃果「いい匂いだよ…」
絵里「でも、真姫みたいにはならないわ」
海未「きっと真姫自身に何か原因があるのでは?」
花陽「そうだよねぇ…」
にこ「やっぱり…」
にこ「…」
にこ「やっぱりこんなに母親を求めるってことは…」
全員「…」
にこ「家で母親の愛ってのをあんまり受け取ってないかも…」
にこ「…」
にこ「にこにはパパがいないから…」
にこ「少し気持ちがわかるの…」
希「にこっち…」
にこ「真姫ちゃんはお母さんがいるみたいだけど…」
にこ「きっと何年も甘えてないのよ」
絵里「だから希の母性的な匂いで、昔の母親に甘えていた記憶が甦ったのね…」
あ、にこの口調以外は漫画版基準です
希「真姫ちゃん…」
希「そうやったんか…」ナデナデ
真姫「…」Zzz
穂乃果「…」
希「なあ…皆」
穂乃果「え?」
希「うち、真姫ちゃんに母親やって思われるのが嫌なわけではないけど…」
希「この状態は絶対良くないと思うんよ」
希「だから…」
希「真姫ちゃんが元に戻れるように…」
希「いや…真姫ちゃんが母親ともっと上手くいくように…してあげたい」
穂乃果「ふふっ…希ちゃん」ニカァァ
穂乃果「穂乃果、賛成!」
穂乃果「穂乃果も真姫ちゃんの為に頑張る!」
穂乃果「皆もそうだよね!!」
絵里「当たり前でしょ?」
海未「さすがです…穂乃果」
ことり「穂乃果ちゃんの選ぶ道なら!」
凛「真姫ちゃんのために頑張るにゃ!」
花陽「頑張っちゃう!」
にこ「ニコッ!」
希「皆…」ウルウル
希「良かったなぁ…真姫ちゃん」ナデナデ
真姫「う~ん…」スヤスヤ
真姫「…」スヤスヤ
真姫「…」
~
真姫「ママ~!」ダキッ
真姫母「真姫!お帰り…」
真姫母「模試の結果返ってきたんでしょ?」
真姫母「見せて頂戴」
真姫母「真姫ちゃんは自慢の娘だもの…きっと抜群の成績なんでしょうね」
真姫「はい!」
真姫父「どれどれ…ん?」
真姫父「四教科で八割五分…?」
真姫父「九割も取れて無いじゃないか」
真姫父「何のために塾に行かせてると思っているんだ」
真姫父「そうだ」
真姫父「ピアノ教室はもう辞めよう」
真姫父「なあ?」
真姫「そんな…」
真姫母「それがいいわ」
真姫「でも!私…ピアノが…」
真姫母「ピアノなんかよりお勉強が大事だわ」
真姫母「いっぱいお勉強して、ママの自慢の娘に戻ってね」
真姫「…」
真姫「…はい」
~
真姫「…」ポロポロ
真姫「…ママ」ポロポロ
希「!」
希「真姫ちゃん…」
希「寝ながら泣いてる…」
希「怖い夢でも見てるんやろか…」
希「よしよし…真姫ちゃん…」ナデナデ
真姫「…ぅぅ」
真姫「…」
~
真姫母「真姫ちゃん?テストあったんでしょ?」
真姫「小さいやつだよ?」
真姫母「どんなのでもいいから…」
真姫母「真姫ちゃんはきっとトップの成績なのよね」
真姫母「見せて頂戴?」
真姫「…はい」
真姫母「あら…」
真姫母「八十九点…九割いってないのね」
真姫「一応トップだよ…」
真姫母「真姫ちゃん…もっと沢山お勉強しなさい」
真姫母「そうじゃないと…」
真姫「ママ?どうしたの?」
真姫「ん?」クンクン
真姫「あれ?」クンクン
真姫「何だろう…この匂い」
真姫「凄くいい匂いがする…」
真姫「とっても落ち着く…」
ボンッ!
真姫「!」
真姫「ママ!?」
希「テスト?何点なん?」
真姫「希!」
希「へぇー!八十九点!」
希「凄いなぁ…頑張ったんやね」
希「ピアノの方はどう?」
希「後でうちにも聞かせてや?」
希「真姫ちゃんのピアノ大好きやで」
希「真姫ちゃんはいっぱい才能があるなぁ」
希「自慢の娘やわ」ナデナデ
真姫「!」
真姫「希…ママ」
真姫「ママ…」
~
真姫「…」スヤスヤ
真姫「…ふふっ」スヤスヤ
希「笑った…」ナデナデ
希「今度はいい夢見てるんやなぁ…」
絵里「希」
絵里「大体作戦は決まったわ」
希「そうなん?」
絵里「ええ」
絵里「まず、私と穂乃果と海未が真姫の親御さんとコンタクトをとるわ」
絵里「そして、凛と花陽とにこに真姫の家庭の事情や昔の事を調べてもらうわ」
希「へぇ、以外とちゃんとしてるんやね」
絵里「当然でしょ?」
希「いやいや、何時も穂乃果ちゃん関連になると周りが見えなくなるやろ?」
希「うちのえりちに対する評価は著しく下がっとるんよ?」クスクス
絵里「もう!今は大丈夫だから!」
真姫「…ん」パチッ
希「あっ、起きたかな?」
真姫「ママ…」ギュッ
希「真姫ちゃん…」
真姫「好きよ…」
希「真姫ちゃん…うちはママやないよ?」
真姫「ママ」
真姫「ちょっと見て」
ゴソゴソ
希「…?」
真姫「ほら、見て」
希「これは…テストの答案?」
真姫「そうよ!」
希「…?」
希「あっ…これ百点!」
真姫「凄いでしょ!」
真姫「誉めて!」
希「…あっ!」
希「いっぱい勉強したんやね」
希「真姫ちゃんは偉いなぁ…」ナデナデ
真姫「…ふふっ」ニヤニヤ
絵里「…」
絵里(これは…)
ことり「…」
ことり「真姫ちゃんは私立の中学に通ってたみたい」
花陽「あの私立中学か…」
凛「スッゴい頭いいとこだにゃー」
にこ「へー」
ことり「そして…ことりが理事長権限を使ってあの私立中学出身の生徒を調べて来たよ!」
花陽「さすがです!」
・・・・
生徒「西木野さん?」
生徒「ああ、一緒のクラスだったよ」
生徒「あんまり喋ったことは無いかな?」
生徒「大病院の一人娘だしね」
生徒「それだけで話しかけづらいというか…」
生徒「成績もいっつも一番だったなぁ」
・・・・
凛「真姫ちゃん…病院の子だったんだ」
花陽「知らなかったの?」
凛「うん」
にこ「有名じゃない…西木野総合病院」
花陽「一人娘ということは後取りなのかな?」
にこ「きっとそうね」
ことり「真姫ちゃん…将来が期待されてるんだね」
凛「?」
凛「それなら、愛されて育つんじゃないの?」
凛「大事な後取りなんでしょ?」
にこ「愛というより、プレッシャーなんでしょうね」
絵里「ここが真姫の家ね」
穂乃果「おっきい…」
海未「ええ…」
ピンポーン
真姫母「はい」
穂乃果「あの、私…真姫さんの…えぇっと…」
海未「友達」
海未「なんですけど」
真姫母「ああ!真姫ちゃんの…お友達ね」
真姫母「あの子…お友達の家に泊まってるからって帰ってこないのよ」
真姫母「大丈夫かしら…」
真姫母「大事な後取り娘ですもの…心配だわ」
真姫母「変なお友達と付き合ってないといいんだけど…」
穂乃果「…!」ムカッ
穂乃果「あの!」
海未「穂乃果!」
穂乃果「う、海未ちゃん…」
絵里「大丈夫ですよ」
絵里「真姫さんは私達とお勉強するために泊まり込んでいます」
真姫母「お勉強?それなら…」
真姫母「あなたは?」
絵里「私は生徒会長をしています」
絵里「絢瀬です」
真姫母「生徒会長…」
真姫母「レベルの高い人とお付き合いしているのね」
真姫母「安心したわ」
真姫母「真姫ちゃんをよろしくね」
絵里「はい…」
穂乃果「…」ムッスー
海未「穂乃果」
穂乃果「なに…?」
穂乃果「穂乃果、今機嫌が悪いの!」
海未「まだ怒ってるんですか?」
穂乃果「だってあの人…」
穂乃果「真姫ちゃんの友達にレベルつけたり…」
穂乃果「真姫ちゃんのことをただの後取りとしか見てないんだもん!」
穂乃果「本当にむかつく!」
絵里「はいはい」
穂乃果「もう!何で二人とも平気なの!?」
絵里「ちょっと落ち着きなさいよ」
絵里「はい、ソフトクリーム…」
穂乃果「はっ!」
穂乃果「絵里ちゃーん!」ペロペロ
海未「穂乃果は簡単な人ですね」
希「真姫ちゃん」
真姫「なに?ママ」
希「だからママじゃないよ」
真姫「それで?」
希「ああ…今日も家に泊まっていく?」
真姫「泊まるもなにも…私達の家じゃない」
真姫「変なママ…」
真姫「ママ…そろそろ」
真姫「帰りましょう?」
真姫「手を繋いで欲しいわ」
希「…」
真姫「ママ…?」
希「…」ギュッ
真姫「~♪」
希「真姫ちゃん」
真姫「なあに?ママ」
希「うちはママじゃないよ」
真姫「もう!またそんなこと言うの!」
真姫「酷いわ!」
希「じゃあさ…」
希「うちらって昔の思い出とかある?」
真姫「…」
希「ほら…ないやろ?」
真姫「…」
真姫「…」
~
真姫母「真姫ちゃん、いつもお勉強、お疲れ様」
真姫母「アプリコットジャムを作ったの」
真姫母「食べて」
真姫「わぁ!」
真姫「嬉しいわ!」
ザザザザザザザザ
真姫「え?」
希「ジャムやったら色んな食べ方があるんよ」
希「パンにつけてもいいし、ヨーグルトにいれるのも美味しいよ」
希「ほら、真姫ちゃんはどういう風に食べる?」
希「うちが用意してあげる」
希「いつもお勉強にピアノに頑張ってるしなぁ…」
真姫「…」
真姫「嬉しいわ…」
真姫「ママ…」
~
真姫「私とママの思い出…」
希「真姫ちゃん…自分の本当の家族の所へ帰ろ?」
希「うちが説得するから、もっと真姫ちゃんと一緒に居ろって」
希「なぁ?真姫ちゃん…」
真姫「本当の家族?」
真姫「ふふっ…おかしなこと言わないでって」
真姫「私たち本当の家族でしょ?」
真姫「ずっと一緒にいましょうね、ママ」
真姫「ほら、覚えてる?」
真姫「私のピアノ教室まで迎えに来てくれた時の事…」
希「え…?」
希(思い出がある…?)
希(…)
希(おそらく、真姫ちゃんの中でどんどん母親との思い出が)
希(うちとの思い出に置き換わっていってるんや…)
希「…」テクテク
真姫「ねぇ、今日の夕食は何?」
希「えっ…あっ」
希「トマトのスパゲッティにしようかなって…」
真姫「本当!?」
希「本当や、真姫ちゃんトマト好きやろ?」
真姫「うん!」
希「材料買って帰るから」
真姫「お買い物ね!」ルンルン
真姫「~♪」
希(……)
希(真姫ちゃんにとってはこんなことさえ、新鮮で嬉しいことなんかな…?)
真姫「ねえ、苺買っていい?」
希「うん?」
希「しゃーない、一パックだけやで」
真姫「!」
真姫「やったー!」ニコッ
希(!)
希(真姫ちゃん…こんな笑顔出来るんや…)
希(普段は隠してたんかな…?)
・・・・
真姫「ご馳走さま」
真姫「美味しかったわ…ママ」
希「それは良かったよ」
希「でも、うちはママじゃないよ」
真姫「ねえ苺食べていい?」
希「…いいよ」
真姫「やった…」
真姫「はむっ…」モグモグ
真姫「あまーい!」ニコッ
希「…!」
希「ふふっ…美味しい?」
真姫「うん!」
真姫「ママも食べてみて!」
真姫「はい!あーん…」
希「んっ、あーん」
希「ん…甘くて美味しい」
真姫「でしょ!」ニコニコ
・・・・
希「…」
真姫「ママ…」ヒョコ
希「どうしたん?」
真姫「おやすみのキス…」
希「ええっ!?」
真姫「はやくー!」
希「…頬っぺたでいい?」
真姫「うん!」
希「それじゃあ…チュッ」
真姫「~♪」
真姫「おやすみなさい」
希「おやすみ…」
希(この甘えよう…)
希(まるで…今までの母親との時間を取り戻すかのような)
真姫「…」スヤスヤ
希「ふぅ…」
ブブブブ
希「おっと…電話か」
希『もしもし』
絵里『もしもし希?』
希『えりち、どうしたん?』
絵里『真姫は?もう寝た?』
希『うん、隣で』
希『なかなか寝付けないっていうから…布団に』
絵里『そう…』
絵里『一応、真姫の母親に会って来たわ』
絵里『なんというか…』
絵里『真姫を自分の虚栄心を満たしてくれるだけの存在』
絵里『そんな風に考えているように思えたわ』
希『虚栄心?』
絵里『ええ…』
絵里『言い方は悪いけど…自分のみえの為だけに真姫を育ててきた』
絵里『そう感じられたわ』
希『そんな…』
ギュッ
真姫「ママ…」
真姫「…」スヤスヤ
希「!…」
希『えりち…』
希『ここしばらく、真姫ちゃんと過ごして…』
希『真姫ちゃんの色んな所が見れた』
希『知ってる?真姫ちゃんの笑顔って凄いんよ?』
希『穂乃果ちゃんに匹敵するかも!』
希『今まで見れなかったのが惜しいくらい…』
希『あと…あの子、凄い甘えん坊で…』
希『凄い可愛くて…』
希『それやのに…それやのに…』
希『そんな親の所に真姫ちゃんを返すなんて…』
希『うちは出来ない…』
希『したくない…』ポロポロ
絵里『希…』
希『そんなわけにもいかない…ってわかってるけど…』
希『真姫ちゃんは元の家に戻って、幸せにやっていけるんやろか…』
希『もし家に返して、またそんな冷たい生活をさせることになると考えると…』
絵里『希…』
絵里『落ち着いて…』
絵里『あなたは真姫が母親ともっと上手くいくようにしてあげたい…って言ってたじゃない』
絵里『もう少し頑張りましょう?』
希『…グスッ』
希『そう…やね』
希『少し…感情に流されしまったわ…』
絵里『いいのよ…』
一週間後
部室
希「結局…何の進展もないなぁ…」
穂乃果「やっぱり…真姫ちゃんのママに直接言った方がいいよ!」
海未「言ってわかってもらえるようなら、最初からそうしてますよ、穂乃果」
穂乃果「そんなこと!口にしないと何も伝わらないよ!」
絵里「穂乃果、これはもっと根深いことなの」
絵里「慎重に動くべきよ」
穂乃果「そう…」
絵里「でも、穂乃果のそういうまっすぐな所、私は大好きよ」
穂乃果「…!」
穂乃果「絵里ちゃーん!」ダキッ
凛「ちょっと!?」
ことり「ねぇ、海未ちゃん…ラブアローいっとく?」
海未「どさくさ紛れに…!」
ギャーキャーワーワー
希「君らこんな時でもするんやね、それ」
コンコン
希「?」
『こちらに、西木野真姫がいると聞いたんですが…』
絵里「あっ!」
海未「あなたは!」
穂乃果「真姫ちゃんのお母さん!」
真姫母「こんにちは」
真姫母「真姫はいるかしら?」
真姫母「引き取り来たわ」
希「っ!」
絵里「ちょっと待ってください」
絵里「どうして、こんなにいきなり…」
真姫母「いきなりも何も…」
真姫母「私はあなたたちと真姫ちゃんが泊まり込みでお勉強してるって言ってたから、大事な真姫ちゃんを預けたのよ」
真姫母「それが…聞いてみれば、塾には行ってないみたいだし…」
真姫母「放課後はずっとアイドルの真似事して、遊んでるって目撃もあったわ」
真姫母「真姫はね、たくさん勉強して」
真姫母「東大の医学部に入って、うちを継ぐの」
真姫母「つまらない遊びをしてる時間なんて無いのよ」
真姫母「あなた達とは違ってね」
真姫「ん…ママ…」
真姫母「あら、真姫ちゃんそこにいたのね」
真姫母「帰るわよ」
真姫「!」
真姫母「ほら」グイッ
真姫「えっ…やめて」
真姫「さわらないで!」
真姫母「ママになんてこと言うの!」
真姫母「さぁ、帰るわよ」
真姫母「そしてたくさんお勉強しましょうね」
真姫母「大丈夫、二週間くらいの遅れならすぐ取り戻せるわ」
真姫母「駅前に評判の予備校があるらしいから、見に行きましょう?」
真姫「い、いや!」
真姫「ママ…!」
希(あかん…真姫ちゃんが連れてかれる)
真姫「助けて!ママ!」
真姫母「ワケわかんないこと言わないの!」
希(そんなんあかん!)
希「触らんといてください…」
希「触らんといてください!」
真姫母「はぁ?」
真姫母「失礼な子ね、貴方は関係ないのよ」
希「いや、関係あります!」
希「真姫ちゃんは…うちの子です」ポロポロ
希「うちの娘です!」ポロポロ
希「人の大事な娘に触らんといてください!」グイッ
真姫「ママ!」
真姫母「ああっ!待ちなさい!」
にこ「ダメよ!」
花陽「二人の邪魔はさせない…」
凛「ここは通さないにゃー!」
真姫母「なっ!」
真姫母「もう!なんなの!?この学校は!?」
真姫母「狂ってるわ!」
絵里「狂ってて結構です」
穂乃果「そこが、音ノ木坂の良いところだよ!」
海未「音ノ木坂に拠点を構えてるんですから、あなたも狂わないと大変ですよ?」
海未「郷に入ればってやつです」
ことり「でも、少なくとも子供を道具みたいに扱う家に居るよりはね?」
真姫母「なっ…」カタカタ
穂乃果「率直に言います!」
穂乃果「貴方は真姫ちゃんの気持ちを少しもわかってない!」
穂乃果「貴方は真姫ちゃんの母親であっても、ママじゃありません!」
穂乃果「真姫ちゃんのママは希ちゃんでーす!」ドン!
真姫母「…」ガクッ
希「はぁ…はぁ…」
真姫「ママぁ…」ダキッ
希「えらいことしてもうたなぁ…」
希「これって犯罪になるんかな…」
希「…」ブンブン
希「考えんとこ…怖いわ」
希「真姫ちゃん、帰ろうか?」
真姫「ええ!」ギュッ
希(これでええんや…)
希(もうあの人と真姫ちゃんが仲良くするなんて…)
希「真姫ちゃん?今日何食べたい?」
希「ママが何でも作るよ~!」
真姫「本当?」
真姫「じゃあママのおうどんが食べたいわ」
希「まかしといて!」
・・・・
真姫母「真姫ちゃんの気持ち…」
真姫母「そんなの…わかってるわよ」
真姫母「あの子はお勉強が好きで…」
真姫母「病院を経営している私たちを尊敬してて…」
真姫母「真面目で…清楚で…」
真姫母「ほら、この写真だって…全国模試で上位に入ってこんなに喜んでる…」
ペラペラ
真姫母「この時だって…」
真姫母「この時だって!」
真姫母「あれ…?真姫ちゃんは喜んでる…の?」
真姫母「わからない…」
ペラペラ
真姫母「!」
真姫母「この写真は…」
真姫母「真姫ちゃんがとても嬉しそうな顔をしているわ…」
真姫母「これは一目でわかる…」
真姫母「この写真は…」
~
真姫「ママー!」
真姫母「真姫ちゃん、その衣装、とっても似合ってて可愛いわ」
真姫「えへへ、ありがとう…ママ!」
真姫母「真姫ちゃんはピアノも上手なのよね」
真姫母「頑張ってね」
真姫「うん!」
真姫「ママ大好き!」
~
真姫母「そう…初めて私が見に行ったピアノのコンクールの写真…」
真姫母「一番では無かったけど…」
真姫母「頑張った真姫ちゃんが誇らしかった…」
真姫母「純粋に真姫ちゃんが誇りだった…」
真姫母「私…間違ってたのね」ポロポロ
真姫母「真姫ちゃん…ごめんね」
真姫母「あなたの気持ち…わかってなかった…」
コンコン
真姫母「あなた、お話が…」
翌日
希「真姫ちゃん、今日は何して過ごす?」
希「せっかくの休日やし、遊びに行く?」
真姫「そうね…あっ!そうだ」
真姫「学校に行きましょ!」
希「学校?」
希「休日やで?」
真姫「ふふん…いいの!」グイッ
希「あっ!ちょっと待って!」
希「まだ準備してないよー!」
・・・・
希「音楽室?」
真姫「ママ、私のピアノ聞いてくれる?」
希「…ふふっ、そういうことか」
希「うん、聞かせて」
真姫「じゃあ…」
~♪
希「…」
希「真姫ちゃん、ありがとう」
希「ピアノ、凄いよかった…」
真姫「そ、そう…//」
希「さすがうちの娘やな」
真姫「…!」ニコッ
真姫「ママ…大好き」ギュッ
真姫「ママの匂い好き…」スンスン
真姫「とっても好き…」
希「…真姫ちゃん」ギュッ
希「ずっと…うちの娘でいて…」
・・・・
希「今日はグラタンにしようかな」
希「真姫ちゃんの好きなトマトケチャップたっぷり入れて」
真姫「本当!?嬉しいわ」
希「ふふっ…うちのグラタンは絶品やで…っ?」
希「あれは…?」
真姫母「…」
希「家の前で…」
希(真姫ちゃんを連れ戻しに来たんやな…)
希(あんな人に絶対に渡せへんで…)
希「…」
真姫母「あっ…」
真姫母「東條さん…よね」
希「はい」
真姫母「真姫はあなたをママって呼んでるけど…」
希「その通りです」
希「私が真姫ちゃんのママですから」
真姫母「…」ズキッ
真姫母「あ、あの…」
真姫母「真姫と話を…」
希「…」
真姫「…」コソッ
希「真姫ちゃん、いい?」
真姫「…うん」
希「無理やり連れていったりしないって約束してくれるなら…」
真姫母「絶対にしないわ…約束する」
希「なら…」
希「真姫ちゃん…」
真姫母「真姫…」
真姫「ママはそこにいて」
希「うん」
希「いいですか…?」
真姫母「…」コクッ
真姫「それじゃあ…」
真姫母「真姫ちゃん…今までずっと…あなたの気持ちをわかってあげられなくて…」
真姫母「本当にごめんなさい…」
真姫母「私はこれまでずっと…」
真姫母「私の勝手な虚栄心を真姫ちゃんで満たそうとしていた…」
真姫母「ずっと道具みたいに…真姫ちゃんを扱ってごめんなさい…」ポロポロ
真姫母「好きなことをやらせてあげられなくてごめんなさい…」ポロポロ
真姫母「でも…」
真姫母「やっとわかった…あなたの大切さ…」
真姫母「お願い…戻ってきて…」ポロポロ
真姫母「私の大切な真姫ちゃん…戻ってきてください…」ポロポロ
真姫「…」
真姫母「また、私とやり直して…」
真姫母「おねがい…」
真姫母「もう一度ママと呼んで…」
真姫「…」
真姫「…」チラッ
希「真姫ちゃん…」
希「真姫ちゃん…うちのことはいい… 」
希「真姫ちゃんがどうしたいか、考えて…」
真姫「…」
真姫「ママ…」
真姫母「!」
真姫「いいわ…もう一度…ママと…」
真姫「やり直しましょう…」ポロポロ
真姫母「真姫…」ポロポロ
真姫母「ごめんね…ありがとう…」ダキッ
真姫母「もう絶対窮屈な思いはさせないからっ…」
真姫母「パパを説得して、真姫の好きなことやれるようにしたから…」
真姫母「ずっと…一緒に… 」
真姫「うん…」ポロポロ
真姫「ありがとう…」
希(これでいいんや…)
希(最高の展開やん…)
希(望んでた結果やん…)
希(やのに…)
希(何で涙が出るん… ?)ポロポロ
希(さよなら、うちの可愛い娘…真姫ちゃん)
希「真姫ちゃん…よかったね」
希「うちは帰るよ」
真姫「…ママ」
希「何度も言うたやろ?」
希「うちは真姫ちゃんのママやない…」
希「真姫ちゃんのママは今、真姫ちゃんが抱き締めている人や」
希「それじゃあね、また明日」
希「学校で会おう」
真姫「希…」
翌日・部室
ガチャ
希「お待たせ~」
希「あれ?」
真姫「希」
希「真姫ちゃんだけか」
真姫「何?不満?」
希「そんなこと言ってないやん」
真姫「ふふっ、からかったのよ」
希「何よ~」
真姫「ふふっ」
希「あはは」
真姫「希…ママ」
希「!」
真姫「希、私…」
真姫「やっぱり貴方が好き…」
真姫「あなたは大好きなママ…」
真姫「それだけは絶対に変わらない」
希「…」
希「真姫ちゃんは贅沢やなぁ…」
希「二人もママがいるなんて…」
真姫「だめ?」
希「ははっ、だめやないよ」
希「うちだってこんなに素敵な娘がおるんやもん」
希「贅沢やなぁ…って」
真姫「ありがとう…ママ」
希「でも、人前ではあかんよ?」
希「恥ずかしいんやから」
真姫「わかってるわよ」
希「それじゃあ、真姫ちゃん」
希「希ママが嫌になるほど、愛情注いであげるから…」
希「覚悟するんやで!」
真姫「望むところよ!」
おわり
終わる。元ネタはトムとジェリーです。
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