サシャ「……興味ないです」(52)

・1『サシャ「キスの味、私に教えてください」』
 2『サシャ「この味は、ウソをついてる味ですね」』
 3『サシャ「二人だけの、秘密の味です」』
 4『サシャ「とくと味あわせてあげましょう!」』
 5『サシャ「同じ味を、知りたいですから」』
 6『サシャ「味気なくなんかないですよ?」』の続きです

・たぶんネタバレなし。今回はちょっとサシャ成分薄めです

・各人の性癖は、書き手の妄想によるものです。ご注意ください


―― 夜 消灯時間前 ユミルたちの部屋

サシャ「……」カキカキ

ミカサ「……」

サシャ「……」カキカキ...

ミカサ「……」

サシャ「……」

ミカサ「……」

サシャ「……zzz」

ミカサ「サシャ、起きて」ユサユサ


サシャ「ふぁっ!? ……あ、すみません」

ミカサ「今日はもうやめにする?」

サシャ「いえ……時間ギリギリまでやります……」メモトゴシゴシ

ミカサ「わかった。なら頑張って」

サシャ「はい……また寝そうになったら、起こしてくださいね!」ガッツポーズ

ミカサ「……ところで、ユミルとクリスタはどこに行ったの?」

サシャ「そういえば、お風呂からまだ帰ってきませんね。どこにいったんでしょう……zzz」ウツラウツラ

ミカサ「サシャ、起きて」ユサユサ


―― 夜 消灯時間前 ミカサたちの部屋


ユミル「――あいつらにあすなろ抱きをさせたいんだ」キリッ


アニ「……何しに来たの? 部屋に戻れば?」

ユミル「芋女が今日は部屋で勉強してんだよ。おかげで無駄話もできやしねえ」ケッ

クリスタ「ごめんね、突然押しかけてきちゃって……」シュン

ミーナ「いいよいいよ、気にしないで! どうせ暇だもん、みんなでお話しよ!」ニコニコ

アニ「それで、あす……何だって?」

ユミル「あすなろ抱きな」

アニ「あすなろって確か……木の名前でしょ。それが何か関係あるの?」

ユミル「知らん」キッパリ

アニ「……」イラッ

ミーナ「アニ、抑えて抑えて」


クリスタ「でも、私も名前しか知らないんだよね。どういう抱き方なの?」

ユミル「どうって、ただ単に後ろから抱きしめるだけだよ。因みに『女がされたら恥ずかしいが、一度はやられてみたい抱きしめかたナンバーワン』だ。覚えておけ」キリッ

アニ「無防備に相手に背中を見せる奴の気が知れないね。きっとそいつは死に急ぎ野郎だ」

クリスタ「もう……アニったら、情緒がなさ過ぎるよ」ハァ

アニ「私は恋愛してるほど暇じゃないんだよ、悪いね」ペラッ

ミーナ「と言いながら雑誌を逆さまに持ってるアニでした、っと」

アニ「……」アタフタアタフタ


ユミル「なぁアニ、クールな顔してるけど本当は興味あるんだろ? な?」ニヤニヤ

アニ「……別にないってば」イライラ

ユミル「そういうのはな、むっつりスケベって言うんだぞ? ん?」ニヤニヤ

アニ「…………」イライライライラ

ユミル「まあ、混ざりたくなったらいつでも混ぜてやるよ。私は優しいからな」ニヤニヤ

ユミル「――というわけで作戦会議を始めるぞ。まずはシチュエーションだな。何か案があったら出すように」

クリスタ「シチュエーションかぁ……」ウーン

ミーナ「うーん……あすなろ抱きって結構難易度高いよね。私たちでどうにかできるような状態じゃない気がするなぁ」ウーン


アニ「……ねえ、疑問なんだけど。なんでそんなに必死になってるの?」

クリスタ「見たいから!」

ユミル「雑誌読むより勉強になるから!」

ミーナ「私たちは女の子だから!!」

アニ「うん。ミーナの理由だけよくわからないけど大体把握したよ。……それってハンナとフランツじゃダメなの?」

クリスタ「ダメに決まってるでしょ!」バンッ!!

ユミル「ただイチャコラしているバカップルなんざぁ見てても楽しくねぇんだよ!」クワッ!!

ミーナ「もう甘ったるい話は聞き飽きたの! 甘酸っぱい話が聞きたいの!!」ダンッ!!

アニ「ご、ごめん。悪かったよ……」ビクビク

ユミル「ったく、わかりゃいいんだよ。それじゃあ続きを――」



   「……ちょっと待った」ガチャッ...

ミーナ「ミカサ、お疲れさまー」フリフリ

ミカサ「ただいま」フリフリ

ユミル「ん? 芋女はどうした。お前が教えてたんだろ?」

ミカサ「あとは一人で頑張ると言ったので切り上げてきた」

ミカサ「というか、ユミル。……そういうのはあまり感心しない」

ユミル「なんだよ、お前もやってることだろ?」

ミカサ「私は状況は作っているけれど、直接的な後押しはしていない。こういうことは自然の成り行きに任せるべき」

ユミル「未だに本音で話せてねえ奴が、これからなんとかできると思うのか?」

ミカサ「サシャは少しずつ前に進んでいる。……横からちょっかいを出すのは私が許さない。過度な思いやりは、相手のためにはならないから」

アニ「……エレンはいいの? あんたの普段の行動は、充分過度な思いやりに見えるけど」

ミカサ「エレンは別」キリッ

アニ「……あっそ」

ミカサ「それと、東洋にはこんなことわざがある」

ミカサ「人の恋路を邪魔する奴は――」

クリスタ「――馬に蹴られて地獄に落ちろっ!」ハイッ!

ミカサ「……よくできました。クリスタに十点あげよう」パチパチ

クリスタ「わーい!」バンザイ

ミカサ「というか、最近はみんなサシャの件ではしゃぎすぎている気がする。特にクリスタ」

クリスタ「うっ、褒めてから落とすなんて……で、でも私だって恋バナしたいよ! させてよ!」ブンブン

ミカサ「気持ちはわかる。けど、サシャはみんなのおもちゃじゃない。あまりにも度が過ぎるようなら……削ぐ」ギラッ

ミーナ「ちょっと待ってよ、サシャはミカサだけのものじゃないでしょ! 私たちの共有財産であると主張します!」ハイッ

アニ(……不毛だから早く終わらないかな、この話)ペラッ

ユミル「……なあ、ミカサ。お前はそうやってすましてるけどよ……見たくねえのか? あすなろ抱き」

ユミル「それとも、エレンとしょっちゅうやってるから関係ありませんってか?」

ミカサ「……あすなろ抱きは知っているけれど、エレンとしたことはない」

アニ(へえ、ないんだ……意外)

ミカサ「それに、その抱き方を特に魅力的に感じたことはない」

ユミル「……ほお、言ってくれるじゃねえか。――よーしクリスタ、私の前に座れ」

クリスタ「え? ……何するの?」

ユミル「決まってんだろ。あすなろ抱きの素晴らしさを我らが首席様にご教授してやるのさ」ニヤッ

クリスタ「……変なことしないでよ?」

ユミル「そりゃ首席様次第だな。理解が早いと助かるんだがね」

クリスタ「よいしょっと……こんな感じ?」チョコン

ユミル「よしよし、まずはこう、後ろからギュッと抱き寄せてだな……」ムギュッ

クリスタ「きゃっ……」ポスッ

ミーナ「わ、わあ……結構身体が密着するんだね……///」ドキドキ

ユミル「それが醍醐味だからなー。あすなろ抱きの利点はこの距離感だ。それに、普段は見えない相手の隠れたところがよく見える。耳の裏とかな」ヒョイッ

クリスタ「やぁっ、ユミルってば、髪触らないでよ……くすぐったいよぉ……っ///」

アニ「…………」チラッチラッ

ミカサ「……」ジーッ

ユミル「身長差はあればあるだけいいな。……あれ? クリスタ、毛先傷んでるぞ?」クルッ

クリスタ「えっ……? そ、そうかな……?」モジモジ

アニ(指に毛先を絡めてる……///)チラッチラッ

ミーナ(なんだかとっても手慣れてるんですけど……?///)ドキドキ

ミカサ「……」ジーッ

ユミル「おっと……肌も少し荒れてるな。ちょっと夜更かししすぎなんじゃないのか?」ボソッ

クリスタ「きゃっ、ちょっと、耳元で囁かないでぇ……っ!」

ユミル「……ダメだろー? 女神クリスタ様が夜更かしなんていけないことしちゃ」ボソボソ

クリスタ「あうう……ご、ごめんなさい……///」

ユミル「わかればいいんだよわかれば」ナデナデ

ミカサ「……」ジーッ

ミカサ「……やはり、魅力的には感じられない。そもそも私とエレンの身長は同じくらい」ムー...

ユミル「そうだな、身長が近い場合は後ろの奴が膝立ちするってのもアリだな。……うりゃうりゃ」グリグリ

クリスタ「ひゃあっ! ゆ、ユミル、顎が刺さって痛いよう!」ジタバタジタバタ

アニ(…………ちょっと楽しそう)チラッチラッ

ミーナ(私もやってもらおうかな……///)ドキドキ

ミカサ「……それもスキンシップというよりは、嫌がらせにしか見えないけれど」

ユミル「わかってねぇなあミカサは。お前はこの体勢を見て他に何も思わないのか?」ハァ

ミカサ「……?」

ユミル「いいか? ――私はクリスタの顔が見えないし、クリスタは私の顔が見えない」

ユミル「お互いの相手の顔が見えないってことは、次に相手が何をするか、自分が何をされるかわからないってことだ」

ユミル「アニも言ってたが……こんなことやろうと思う奴は、やっぱりマトモじゃないんだろうよ」

ユミル「だからこの体勢、あすなろ抱きの根底には……深い信頼関係がある。それがなけりゃ成立しない」

ミカサ「深い、関係……」ゴクッ



ユミル「そう。……つまり、あすなろ抱きっていうのは、相手との信頼の深さの証でもあるわけだ。――燃えるだろ?」

ミカサ「……」

ミカサ「……」

ミカサ「…………」ゴソゴソガチャガチャ

ミカサ「……」シュッ


                                \ エレンエレーン!! /


クリスタ「…………行っちゃったよ?」

ユミル「よーし、じゃあ帰るか」スッ

ミーナ「ええ? いいの?」

ユミル「いいんだよ。はしゃぎすぎって言われた仕返しだ」ケケケ

アニ(根に持ってたんだ……)

ユミル「芋女も勉強に飽きてそろそろ寝てる頃合いだしな。ちょうどいいだろ」

ミーナ「……ところでユミル、さっきのはどこで覚えてきたの?」ジトメ

ユミル「全部雑誌に書いてあった」パラッ

ミーナ「わぁ。雑誌って便利」

ユミル「……」

ミーナ「……」

ユミル「……」

ミーナ「……やっぱりこれ、あの二人にやらせるにはちょっとハードル高すぎない?」

ユミル「言うな。話してる途中で私も気づいてたけど言うな」

クリスタ(あすなろ抱きかぁ……私も誰か男の子にやってもらいたいなぁ……///)ボンヤリ

アニ「……」ペラッペラッペラッ


―― 同刻 男子寮 エレンたちの部屋


ジャン「――妹萌えだ」キリッ


ライナー「いきなり乗り込んできて何を言ってるんだお前は」

エレン「えー……お前母親に興奮すんの?」ドンビキ

ジャン「違ぇよ妹だって言ってんだろ!! い・も・う・と!!」ダンッ!!

コニー「? どこが違うんだよ、身内じゃん」

ジャン「だから違ぇんだって!! なんでわかんねぇんだよ!!」ジタバタ



ライナー「……大変だったんだな、マルコ」

マルコ「うん、僕一人じゃちょっとね……ところでアルミンは?」

ベルトルト「あそこで本読んでるよ。邪魔はしないほうがいいと思うな」



アルミン「……」ペラッ

ライナー「……ところで、ジャンって妹好きだったのか?」ヒソヒソ

マルコ「いや、ジャンの好みはコロコロ変わるんだよ。最終的にはいつも黒髪に戻ってくるんだけど」ヒソヒソ

ライナー「……一途なのか見境がないのかわからん奴だな」ヒソヒソ



エレン「いやでも妹だろ? 家族だろ? ……ないなー」ウーン

コニー「ねえよなー」ウーン

ベルトルト「家族をそういう対象に見るのはちょっとね……」



ジャン「……」ピクッ

ジャン「おいおいベルトルト。お前がそんな態度を取るなんてなぁ、がっかりしたぜ……」ユラァ...

ベルトルト「え? ……僕?」ビクッ

ジャン「だってよぉ、お前はこっち側の人間だろ……?」



ジャン「この前お前から借りた、金髪貧乳のエロ本……妹ものだったよなぁー……?」



ベルトルト「そ、そうだったかなー……?」フイッ

ジャン「しらばっくれてんじゃねえよ……! いいか、俺とお前は仲間だベルトルト! 認めやがれ!!」ギロッ

ベルトルト「えっ……僕も仲間になっていいの……?」ソワソワ

ライナー「待て待てベルトルトそっちの道は間違ってるぞ! 戻ってこい!」ユサユサ

ライナー「……それで、ジャンはどうしたいんだ? 妹好きの仲間を増やしに来たのか?」ハァ

ジャン「ミカサに『お兄ちゃん』って呼んでもらうにはどうしたらいいか一緒に考えてくれ」キリッ

マルコ「って言われたんだけど僕一人じゃ無理だからアルミンになんとかしてもらおうと思って」

ライナー「アルミンか……」チラッ

ベルトルト「今日は無理じゃないかなー……」チラッ



アルミン「……」ペラッ



エレン「? 普通にミカサに頼めばいいだろ? 『呼んでくれ』って」キョトン

コニー「ミカサに頼めばやってくれるのか?」

エレン「やってくれるだろ。たぶん」

ライナー「お前らは……ったく、そういうことをさせるんじゃない」


ライナー「そもそも、同期の女に自分のことを兄貴呼びさせるなんて、そんな変態じみたこと――」ハッ



――……じゃあ、ライナーお兄ちゃん?

――でも色々言ってる割にやっぱり優しいですよね。ライナーお兄ちゃん?



ライナー「…………」ダラダラダラダラ

コニー「? ライナー、汗かいてんぞ? 暑いのか?」

ライナー「……ああ、ちょっと暑いな」ダラダラダラダラ

ライナー(…………やってたな…………そういえば…………)アタマカカエ

ライナー(いや、でも俺が呼べって強要した訳じゃないしな……うん……)

ライナー(一応、ジャンにはバレないように気をつけるか……)


ミカサ「エレーン!」スタッ ニンニーン

コニー「おお、噂をすればだな」

ジャン「ん……? なんだろうなマルコ、ミカサがいる気がする」メモトゴシゴシ

マルコ「ジャン、ジャン。あれはミカサだよ。もったいないからちゃんと見なよ」ユサユサ

ミカサ「エレン、エレン、お願いがある」クイクイ

エレン「もうそろそろ消灯だぞ? 帰れよー」ダラーン



ミカサ「後ろからギュッと抱きしめてほしい。そしたら帰る」クイクイ

ジャン「」

マルコ(……見せなきゃよかった)


ジャン(あ、ああ、あああああああああ、あすなろ抱きだとぉ……!?)ギリッ...

エレン「お前な、わがままを言うのも大概に――いや待った、条件がある」ニヤッ





エレン「ミカサ。……俺のこと、『お兄ちゃん』って呼んでみろ」

ミカサ「!?」



ジャン「」

ミカサ「わ、私はエレンの姉みたいなもので……決して妹などでは……」オロオロ

エレン「じゃあやらねえ」プイッ

ミカサ「ぐぅ……っ!」ギリッ...

コニー(うわ、すっげー嫌そう……)

ライナー(ありゃもう女の目じゃないぞ……?)

ミカサ「わかった、背に腹は代えられない……やろう」プルプルプルプル

ベルトルト(やるのか……今、ここで……)

マルコ(いや、あれだけ嫌がってるんだからできないんじゃ……)

ミカサ「え……、えれ……っ!」プルプルプルプル



ミカサ「えれんっ、おにいちゃん……っ!///」ググググググ



ジャン「」


ベルトルト(あれは……あの表情に浮かんでいるのは羞恥心じゃない! ……ミカサは今、屈辱を感じているッ!)ズキュウウウン

マルコ(あの眼光! 『ここに来るまでに巨人を五、六体削いできました』って感じに見えるのに……)ズキュウウウン

ライナー(涙で潤んだ瞳と上気した頬が……まるでミカサが羞恥に耐えているような錯覚を抱かせる……!)ズキュウウウン

コニー(おおー……頼めばやってくれんのか、すげえなミカサ)



ジャン「」


エレン「よーしよし、よく言えたなー」ナデナデ

ミカサ「うぅ……///」グスッ...

エレン「――ほら、なんてことないだろ? ジャン」ドヤァ

ジャン「……」ユラァ...

エレン「?」

ジャン「お前は……っ! お前はぁっ!! そんなに俺が憎いのか!? ああ!?」ユサユサユサユサ

エレン「はぁ!? なんでキレてんだよ意味わかんねえ! お前がやれって言ったんじゃねえか!」

エレン「! ――ああわかった、お前も呼んで欲しいんだな?」ポン

ジャン「はっ……!?」

ベルトルト「!? それだけはやめるんだエレン!」

ライナー「お前は平気でもジャンにとっては致死量だ!! 待て!!」

マルコ「ジャン! 今すぐ耳を塞げ!! 早く!!」



エレン「――ミカサ、ジャンのこともお兄ちゃんって呼んでやれ。ついでに『うるさいから帰れ』って言っとけ」

ミカサ「わかった」スゥッ...





ミカサ「……ジャンおにいちゃん、うるさいからかえれ」ムスッ

ジャン「」

ジャン「…………」

ベルトルト「ジャン……大丈夫?」

ライナー「おい、気をしっかり持つんだ……!」

コニー「呼んでもらえてよかったな!」

ジャン「…………」フラッ...

マルコ「ジャン……? どこに……」

ジャン「…………」スタスタ...

ジャン「…………」ガチャッ

ジャン「――幸せでしたぁぁああぁぁあああっ!!」ダッシュ

マルコ「ジャーン! ジャーン!! どこに行くんだー!?」ガチャッ

ベルトルト(ミカサの呼び方、棒読みだったのにいいのかな……?)

ライナー(まあ、ジャンのことだから自力で立ち直るだろう……たぶん)

コニー「? 走って逃げるほど嬉しかったのか?」

エレン「さあなー。よくわかんねえよな、あいつ」


ミカサ「……エレン、エレン。約束」クイクイ

エレン「わかったよ。……ほら、これでいいか?」ギュッ

ミカサ「…………///」ホンワカ

ベルトルト(すごい嬉しそう……)

コニー「でもよー、結局兄貴呼びされても興奮はしなかったなー」

エレン「だよなー」

ベルトルト「殺気は感じたけどね……」ハァ

ライナー(ミカサを抱いたままコニーやベルトルトと話し始めやがった……エレンには羞恥心がないのか……?)


ライナー(まあ……取り敢えずはジャンに知られずに済んだし、これはこれでよしとするか……)ホッ



コニー「でもミカサだけじゃちょっとわかんねえよな……他の女子になんとか頼めねえかなぁ」

エレン「うーん……アニやユミルなら、答えるより先に蹴りや拳が飛んできそうだよなー」

ベルトルト「そうだね、それとクリスタにはユミルがついてるから無理だろうし……」



コニー「――そうだ! サシャなら頼めば呼んでくれそうじゃね?」

ライナー「」ピクッ

ライナー「……いや、それはないんじゃないか?」

コニー「パンやればやってくれるだろ? サシャなら」

ライナー「……そんなに安っぽい女じゃないだろう、あいつは」

エレン「でもこの前パン一つで掃除当番代わってくれたぞ?」

ライナー「……きっと暇だったんだろうな、その時は」

コニー「試す価値はあるよなー!」

ライナー「ないない。全然ないぞ」ハハハ

エレン「そんなのやってみないとわかんねえだろ?」

ライナー「いや、やらなくても結果は見えてるな」

コニー「ああもう面倒くせえな――お前はサシャの保護者かよ!」

ライナー「そんなわけあるかぁっ!!」クワッ!!

エレン「!? なんだよ、必死になりすぎだろライナー……」


ミカサ「……エレン。そんなに気になるなら、明日サシャに頼んでみればいい」モフモフ

ライナー「!?」

エレン「そうだなー。聞くだけならタダだしな」

コニー「俺も頼んでみようっと」

ベルトルト「……ミカサはそれでいいの?」

ミカサ「たぶん、ベルトルトが思っている展開にはならない。ので、平気」チラッ



ライナー「…………」

ライナー(明日は早く起きないとな……)ゴゴゴゴゴゴゴゴ



アルミン「……ふぅ、面白かった」パタンッ


―― 翌朝 食堂

サシャ「はぅぁ……今日もパァンがおいしいです……!」ウットリ

ユミル「ここのメシで喜んでるのはお前くらいのもんだよなー」モグモグ

クリスタ「……zzz」ウツラウツラ

ミーナ「クリスタ、起きてー。時間なくなっちゃうよー?」ユサユサ

アニ「ほっときなよ、そのうち起きるだろうから」モグモグ

ミーナ「ミカサも昨日帰ってきてから機嫌悪いし……」チラッ



ミカサ「…………」モグ...モグ...

エレン「よっ、サシャ。おはよ」ポン

コニー「よくもまあ、そんなに固ぇパンうまそうに食えるよなー」ポン

サシャ「? おはようございます。エレン、コニー……朝から珍しい組み合わせですね?」キョトン

エレン「まあなー。……ところでさ、俺たちのパンやるから少し頼みがあるんだけど、いいか?」

サシャ「! パァンですか!? なんでもやらせていただきます!!」パァッ

コニー「じゃあ、俺のことお兄ちゃんって呼んでくれねえ?」

エレン「ついでに俺も」

サシャ「? それくらいなら、別にいいですけど……」

ジャン「……何やってんだあいつらは」ジーッ...

ベルトルト「昨日ジャンが帰った後にね、同期の女の子で誰ならお兄さん呼びしてくれるかって話になって」

ジャン「それで芋女のところにか……」

マルコ「気になるなら混ざってくるか?」

ジャン「……見くびるなよマルコ。俺はああいうことをやるほど馬鹿じゃねえ」ケッ

マルコ(いい奴なんだけどなぁ……)アワレミ

ベルトルト(ミカサ一筋じゃなかったらなぁ……)アワレミ

ジャン「で、芋女の保護者はどこ行ったんだよ。全然見ねえけど」

ベルトルト「ライナーなら教官に呼ばれてさっき外に……あ、戻ってきた」


サシャ「二人とも変な要求するんですねえ……それで、どっちから先にお呼びしますか?」

エレン「じゃあ俺からで!」

コニー「あっ、ずりぃぞエレン!」

サシャ「わかりましたよ、それじゃあ……」スゥッ...



ライナー「――ちょっと待ったぁっ!!」ギュムッ

サシャ「むぅっ?」モゴモゴ



ミーナ(な……!? 背後からの口塞ぎですって……!?)ガタッ

ユミル(あれは、かなりの高確率であすなろ抱きへと発展する体勢……!)ガタッ

クリスタ(もしかして、もしかしちゃうの……!?)ガタッ

アニ(おお……)ガタッ


サシャ「? むぅー……?」モゴモゴ

ライナー「……悪いなエレン、コニー。サシャは借りるぞ」ヒョイッ

エレン「なんだよ、急ぎの用事か? 俺たちの方が先に――」

ライナー「文句あるか?」ギロッ

コニー「いや、そんなに睨まなくても別にねえけどよ……」タジタジ

ライナー「そうだ、二人とも。……今日の対人格闘訓練は俺とやろうな」ニッコリ

エレン「? 改めて言わなくてもいつもやってるだろ?」

コニー「ええー……手加減してくれよなー」





アルミン(エレンが危ない)

マルコ(コニーも危ない)

ジャン「……自業自得だろ」ケッ



                             \バタンッ/


ユミル「あの野郎、芋女を抱えたまま出て行きやがった……追うぞミーナ!」ダッ

ミーナ「わかった、行きましょう!」ダッ


                      \ヒュッ...ドスッ!!/


クリスタ「きゃっ! て、テーブルに、フォークが……」ビクッ

ミカサ「……食堂にいるみんなに言っておこう」


ミカサ「――あの二人を追ったら、削ぐ」ニッコリ


ユミル「」

ミーナ「」

クリスタ「」

アニ「……」シランプリ


―― 兵舎裏手

ライナー「よし、ここまで来れば……」ゼエゼエ

サシャ「……」ジーッ

ライナー「……おい、何見てるんだ?」

サシャ「ライナーって手が大きいですよね。指がソーセージみたいです」ハムハム

ライナー「こら、食うんじゃない」ヒキハガシッ

サシャ「じゃあ舐めるだけでも! お願いしますお兄ちゃん!」ガシッ

ライナー「その呼び方はやめろ!」

サシャ「」ビクッ


サシャ「あ、その……嫌でしたか?」シュン...

ライナー「いや、その……そういうわけじゃないんだが……」

サシャ「……どっちですか? どうしたらいいのかわかりませんよ?」ムー...

ライナー「……」ジッ...

サシャ「?」キョトン

ライナー「あのな、パンが欲しいならいくらでもくれてやるから……」



ライナー「……他の奴に頼まれても、そうやって呼ぶな」ボソッ

サシャ「……」

サシャ「……わかりました。ライナーが嫌ならしません。……これで安心ですか?」ニッコリ

ライナー「……戻るぞ」プイッ

サシャ「はぁい、わかりました」トテトテ

ライナー「……わがまま言って悪いな」

サシャ「さて? 何のことでしょうかねー?」ニコニコ

ライナー「……」ムスッ

サシャ「……」チラッ

ライナー「? なんだ?」

サシャ「いいえ、なんでもありません」フイッ



サシャ「……そんなに心配しなくても、他の人には興味ないですよ」クスッ



おわり

終わりです。読んでくださった方、レスしてくださった方ありがとうございました!
あすなろ抱きについて真剣に考えてたらサシャ成分が少なくなってました、タイトル詐欺すみません……次回はちゃんと増量します!

それと、そろそろ夏イベントをいれていきます! まだまだ続くよ!&荒れるぜえええ止めてみなー!!

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