幽霊女「一生のお願い!ちょっとでいいから憑かせて!」(476)

男「一生のお願いって......」

霊女「男君とお姉さんの仲じゃない!」

男「と、言われても......」




ーー数ヶ月前ーー

霊女「ふーん それがスマホね」

男「......」ヌルヌルサクサク

霊女「へぇーすごーい」

霊女「本当に画面に触ると反応するのね」

霊女「いいなぁ...」

男「......」

霊女「あれれ?根暗君の手が止まっちゃった」

男「根暗で悪かったな」

霊女「!!!??」

男「視えてるし聞こえてるんだよ...」

霊女「マ、マジ!?」

男「まじ」

霊女「キャーー!君霊感強いね!」

男「...まあ」

霊女「フフフフフフ なんか怖ーい」

男「こっちの台詞なんだが...」

霊女「でもお姉さん嬉しいゾ!」

男「こっちは嬉しくはないけどね」

霊女「またまたー美人な私が気になってワザとここでスマホ弄ってたんでしょ?」

男「っっ、ち、違うシー!そんなわけねーしー!」

霊女「意外と単純ね...」

男「ていうか本当にはっきりしてるね えっと...」

霊女「霊女さんとお呼びなさいっ」

男「地縛霊さん」

霊女「失礼ね 祟っちゃうわよ?」

男「できんのそんなこと!?」

霊女「まあ無理だけどねん」

男「けっ」

霊女「ま、お姉さんはこの辺じゃ一番力あるからね」

男「だからはっきり見えるの?」

霊女「そうじゃないかしら?」

男「へぇ...」

霊女「この公園にもチラホラお仲間がいるのはわかる?」

男「うん まずあのブランコに座ってる子」

霊女「あの子ね ブランコ乗って動かしてあげると喜ぶわよ」

男「あと、砂場で寝てるオジサン」

霊女「あれはずっと寝てるだけね そのうち成仏するんじゃないかしら?」

男「公園の入り口にいるオバサンは......」

霊女「あの人は自分をひき殺した車を探してるの」

男「怖っ!!!」

霊女「20年くらい前からいるらしいけどねえ...」

男「へぇ... 霊女...さんはいつから?」

霊女「さん付けしなくていいわよ 私は...五年も経ってないくらいかしら?」

男「そのくらいからずっとこの公園にいるの?」

霊女「えぇ 気がついたら」

男「気がついたら......」

霊女「みんなそうよ 気がついたらソコにいるの」

男「?」

霊女「例えばあのブランコの子はね まだ自分が死んでいることに気付いてないの」

男「......」

霊女「霊によっては死ぬ前の記憶なんて全く無いんだから...しょうがないわよね」

男「マジスカ」

霊女「きっと思い出したくもない最期だったんじゃないかしら......」

男「あのオバサンは?」

霊女「はっきり覚えてるタイプねーあの人執念深いし」

男「色々あるんだ...」

霊女「あなた そこまで霊感強いのにあまり知らないのね」

男「まあ見えてないフリしてきたし......」

霊女「ふーん 珍しいタイプね」

男「......」

霊女「あらら?どうしちゃったの?」

男「霊感あるだなんて言っても構ってちゃん扱いされるだけだよ」

霊女「確かにそうね」クスクス

男「だったら最初から見えてない設定......ってのは当たり前だけど、霊感あるなんて自分から言わないし」

霊女「私は幽霊だけど構ってちゃんなんだから!」ドヤ

霊女「ねえねえ!また明日も来てよ!」

男「えぇっ!?」

霊女「こんなに喋ったの生まれて初めてなんだもん」

男「いやあんた死んでるでしょ」

霊女「幽霊になってからずっとずっと退屈でしょうがなかったけど......フフフフフフ」

男「ま、まあ明日も来ます」

霊女「君のお名前は?」

男「男です」

霊女「フフフ 男君、敬語はいらないよ?」


ーーーその翌日

男「(すげえ美人な幽霊だったな......)」

男「(まさか向こうから話し掛けてくるとは)」

霊女「にゃホー」

男「っ!?」

霊女「フフフ びっくりした?」

男「止めてよ... 周りから見たら1人でびっくりしてるだけなんだから」

霊女「私ったら男君に会うのが楽しみで生きた心地がしなかったの!」

男「そ、そう」




霊女「へえーバイトしてるんだ」

男「うん」

霊女「大学生だっけ?」

男「今月から大学二年生」

霊女「おぉー 私はその時期は黄金期だったなー」

男「やっぱりモテたの?」

霊女「フフフ どうだったかしら?」

男「絶対男子には苦労してなかったと思う」

霊女「ま、昔の話よ」

男「......」

僕には昔から他の人には見えない世界が見えている。聞こえない世界が聞こえている

霊感という言葉を小学生の時に知って自分が普通でないことに気付く

電柱に血を流して佇む少女がいると言っても親に信じてもらえず叱責された

ある山に遠足に行った時、腕が四本の大男に追いかけられて1人で迷子になり叱責された

中学生の時に家族にも内緒で中絶をした女子生徒がいた
そんな事を知らずに、彼女に纏わりつくモノを見て思わず「赤ん坊でも欲しいの?」と訊ねてしまった
その言葉を聞いて彼女は崩れ落ちるように膝をついて泣いた
僕自信にお咎めは無かったけど...クラスでは距離を置かれるようになった

霊女「大変なんだねー見えるって」

男「でも......こうして気楽に話せる幽霊ってのは初めてかも」

霊女「フフフ そうでしょうそうでしょう」

男「見える人って僕以外にはいなかったの?」

霊女「どうだかなー...... 少なくとも私は向こうが見えてるってわからないから」

男「あ、そっか......だから俺が話し掛けたらビックリしたんだ」

霊女「そうそう!まさか見えて聞こえてるなんてねえ」

男「そもそも霊女さんはここで何をしてるのさ」

霊女「あぁん さん 付け止めてよっ」

男「あ、いや年上っぽいから...」

霊女「失礼ね!」  

男「サーセン」

霊女「まあ私が何故この公園にいるか......は、私自身にもわからないの」

男「へえ」

霊女「そもそもこの土地自体に思い出が無いのにね」

男「それなのにこの公園に?」

霊女「さあ?たまたまじゃないかしら......周りの皆も多分そうよ」

男「居心地がいいのかな?」

霊女「あら、わかるの?」

男「んー なんとなく?かな」

霊女「さっすが霊感強いだけあるわねぇ 君も居心地いいの?」

男「いや...」

霊女「?」

男「いいのか悪いのかよくわからんな」

霊女「もしかして私たちが苦手なのん?」

男「見えてないフリするの疲れるんだもん」

霊女「フフフ 私みたいな人なつっこい幽霊もいるでしょうしね」

男「何度か憑かれかけたし」

霊女「ふぅん 憑かれてあげなかったの?」

男「当たり前でしょ!」

霊女「ケチんぼさんねえ」

男「あのねぇ......」


ーーーーーある日 【男のバイト先】

後輩「先輩!」

男「んー?」

後輩「これ、毎回毎回棚に置いといてって言ってるじゃないですか」

男「えー?でも全部棚に置いたらやりづらいじゃん」

後輩「む」

男「後輩ちゃんだって毎回背伸びしながら取ってるくせに......」

後輩「い、いいんですそれでっ!」

男「マニュアル人間だなー」

後輩「余計なお世話です!」

男「ふぅ....」

男友「毎度毎度後輩ちゃんとやり合うねぇ」

男「嫌われてんのかな?」

男友「逆だろー 気になって気になってしょうがないって感じじゃね?」

男「何か俺にだけ言い方キツいような気が......」

男友「わかるわかる!お前やっぱ嫌われてんな!」ギャハハ

男「どっちだよ」

ーーバイトが終わり 【更衣室】

男「あー疲れた」

後輩「お疲れ様です」

男「おつかれー」

後輩「......」ジロッ

男「どうしたの?」

後輩「いえ、何でも無いです」

男「えー 睨まないでよ」

後輩「睨んでませんって」

男「棚の件怒ってるの?」

後輩「別に怒ってないです」

男「?」

後輩「それじゃっ お先に失礼します」

男「(うーむ 絶対怒ってるとしか......)」

ーーー夜 公園

霊女「へぇー 可愛い後輩じゃない」

男「外見は美人なんですけどねえ」

霊女「性格がおキツいの?」

男「キツいってわけじゃないなあ 自分には他人に対して以上に厳しいし 仕事もできるし」

霊女「へえー いい子なんだ」

男「ただ俺に対してはなーんかキツいんだよなあ」

霊女「何かしたんじゃないの?」

男「いやぁ...覚えがない......」

霊女「どうだかなあ フフフフフフ」

男「いや何もしてないって!」



ある日

霊女「えっ!?エヴァってリメイクしたの!?」

男「うん 映画でだけど」

霊女「そんなぁ...死ぬほど見たいよぉ」

男「死んでる死んでる」

霊女「他にも色々教えてよー」

霊女「えっ、SMAPってまだキムタク以外未婚なんだ」

霊女「東京でオリンピックやるの?すごーい!」

霊女「消費税8%になったの?中途半端だねぇ」

霊女「ねねねスマホ見せて見せてー!」




ある日

霊女「アハハハ また後輩ちゃんに怒られたんだっ」

男「俺の反論も虚しく怒られました...」

霊女「仲良いねぇ」

男「良くない良くない!」

霊女「いやいや話聞いてて面白いもん」

男「霊女さんは実際見てないからわからないんだって」

霊女「それはしょうがないじゃーん ここから出れないんだからっ」

男「出れないの?」

霊女「出ようとしたら多分消えてっちゃうかも...」 

男「何で!?」

霊女「フフフ ここで私たち幽霊さんについてまた一つ教えてあげましょう」

霊女「そもそも私も幽霊になってわかったけど、私たち幽霊はとても脆くて弱いの」

霊女「生きている人のパワーと比べると、ね」

男「パワー?」

霊女「基本的に私もここの皆も外には出れないの」

霊女「逆に余所から移動してくるなんて幽霊もいないの」

男「う、うんそれはわかった」

霊女「じゃあ何で自由に行動できないのか それは私達にはそんな力が無いからなの」

霊女「分かりやすく言うと、ここにいる私達はこの公園に根っこを張っているのよ」

男「つまり公園からパワーを貰ってる...みたいな?」

霊女「ピンポーン 大正解!だから公園から離れられないのでしたー」

男「この公園ってそんな凄いのか?」

霊女「あの岩」

男「へ?あれ?」

霊女「あれが力を出しているみたいね」

男「ただの岩にしか見えないけどなあ」 

霊女「触ってみたら?」

男「えぇー?」

霊女「驚くくらいにパワーストーンのはずよっ」

男「どうだかなあ」タッチ

ッバチィィ!!

男「熱ッッ!?」

霊女「ワォ......君、すごいわね」

男「な、な、な...なにこれっ」

霊女「だから言ったでしょー?この岩のおかけでみんなこの公園にいれるの」

男「へぇ......」

霊女「あなたもパワーを貰ったんじゃないかしら?」

男「......?そう言われてみれば.........いや、よくわからん」

霊女「けど、この公園から出て行く方法もあるのよ?」

男「......憑くんでしょ」

霊女「ピンポンピンポーン!これまた大正解!」

男「憑くのって簡単にできるの?」

霊女「んー......難しい? かな...」

男「?」

霊女「根っこ張る相手さんの体質にもよるし、ふとした事で根っこを切られたら......ってリスクもあるしね」

男「霊女さんは誰かに憑いた事ないの?」

霊女「フフフ 実は何度か......」

男「マジ?」

霊女「公園内での話だよー」

霊女「でも小さい子だとすぐ体調壊しちゃうからさ」

男「なるほど」

霊女「君みたいな若くて元気な男の子だったらなあ」

男「......え?」

霊女「霊感もあるし」

男「あの」

霊女「優しいし...」ジーッ

男「マジで言ってます?」

霊女「......だめ?」

男「え、えっと......そんこと言われてもなあ」

霊女「お願い!私やっぱり外の世界に興味があるの!」

男「...いやぁ」

霊女「このままじゃ死んでも死にきれない!一生のお願い!ちょっとでいいから憑かせて!」

男「一生のお願いって......」

霊女「男君とお姉さんの仲じゃない!」

男「と、言われても...」

霊女「色々考慮するから、ね?」

男「考慮?」 

霊女「そう、考慮!」

男「......そもそも俺って憑かれたら悪い影響とか出るんでしょ?」

霊女「んーと、多分疲れやすくなるかも... 憑かれてるだけにっ」
 
男「......」

霊女「君の身体とかにイタズラはしないって約束するよ」

男「当たり前でしょーに」

霊女「ただ、根っこを張らせてもらってる分疲労がくるかも......」

男「うーむ」

霊女「でもさっきみたいに君ならこの岩とかパワーのあるモノに触るだけで回復するから大丈夫だよっ」

男「そ、そうなの?」

霊女「君は相当な霊媒体質だってのは断言してあげるっ ねぇお願い!」

男「............」


ーーーー 

男「......ハァ」ガチャ

霊女「へぇ、一人暮らしなんだねぇ」

男「まあ 上京してきてるから」

霊女「お邪魔しまーすん」

男「ちょっ、靴脱いでって関係ねーか」

霊女「フフフ 女の子を部屋に上げるのは初めて?」

男「まだないなあ」

霊女「コラコラ 今上げてるじゃない」

霊女「あっ、これなーに?」

男「PS3だよ」

霊女「おぉー PS3って出るとか出たとか出ないとか言われてわねぇ」

PS3「ピッ」

霊女「ふむふむ......」

男「つかもうPS4が出てるんだけどねえ」

霊女「へぇぇ... そういえば公園でたまに小学生がDSの新しいのとかやってたわね」

男「3Dの映像が浮かぶやつだね」

霊女「すごいよねえ やっぱり早死はするもんじゃないわね」

男「そうすね......」

霊女「ねえねえテレビつけて?」

男「ほい」リモンコポチーン

霊女「学生のわりには薄型のいいテレビね」

男「地デジ化の売れ残りだよ ん?......地デジは知ってるのか?」

霊女「あーなんか聞いたことあるような無いような」

男「とりあえずアンテナじゃなくて回線でテレビを繋いでるから綺麗になったんだよ」

霊女「確かにそうね......あっ、さんま!」

サンマ「ファーwww」

霊女「知らない芸人ばっかり......」

男「入れ替わり激しいからねえ」

男「お腹空いたな......」ガサゴソ

霊女「おや?」

男「これでも食べるか」

霊女「袋麺 健康に悪いわよ?」

男「幽霊さんに健康心配されてもねえ」

霊女「君は私の土壌みたいなものなんだから 健康でいてくれなきゃっ フフフフフフ」

男「なんじゃそりゃ」

霊女「にしてもいいなあ 食べれるって」

男「そういや食欲ってないの?」

霊女「無いわね」キッパリ

男「即答ですか」

霊女「眠くもならなければお腹も空かない 排泄もしなければ呼吸もしてないもの」

男「五大欲は皆無なんだ」

霊女「もちろん性欲とかも無いからねっ フフフフフフ......けど、」

男「?」

霊女「君は結構タイプかもっ フフフ」 

男「んー、一応嬉しいよ うん、嬉しいってことで」

霊女「もっと素直に喜んだらいいのにー」

男「いや霊女さんがってワケじやないけど 幽霊に好かれてあまりいい思いはしたことない......」 

霊女「にゃるほど モテ男だったわけね?」

男「ま、まぁ...」

霊女「幽霊に告白されちゃったり?」

男「告白ってわけじゃないけど通学路にいた女の子に『一緒になりたいから死んで!』って毎朝毎朝言われたりとか......」

霊女「ワォ... で、どうなったの?」

男「通学路変えて音沙汰無いかなー?」

霊女「可哀想ねその女の子...」

男「いやー毎朝はキツいっす」

男「さて......眠くなってきた」

霊女「たくさんたくさん寝てちょうだい」

男「寝ないんだっけ?」

霊女「んー 寝ようと思えば寝れる...?けどねん」

男「へぇ」

霊女「あ、わかった!添い寝してほしいんだ!」

男「いや」

霊女「可愛いなぁ フフフ」

男「とりあえず煩くしないでくれれば」

霊女「ここって静かよね 心霊的な意味で何も感じない...まるで私達にとっては更地みたい」

男「そうだよ だからこの物件 そしてこの部屋にしたんだ」

霊女「にゃるほど 君は聞こえちゃうし見えちゃうものね」

男「結構探すのに苦労したんだぜ」

霊女「フフフ まあ私はご近所さん探検してこようかな?」

男「俺から離れられるの?」

霊女「それも確かめるために移動してみようと思ってねん」

霊女「あなたの体調次第で移動範囲は可変するとは思うけど...」

男「大体どのくらいの範囲かな?」

霊女「んー、君くらいの力の持ち主だと半径50メートルくらいはいけるんじゃないかしら?」

男「意外と広いな!」

霊女「フフフ つまり私は君の命令通りに偵察ができるわけよ?」

男「.........ほぉ それは便利かも」

霊女「どう?WIN-WINでしょ?」

男「確かに... 例えばカンニングとかも」

霊女「それは厳しいかも」

男「何故っ!?」

霊女「んー 守護霊さんに邪魔されちゃう?」

男「守護霊?」

霊女「あら あなたやっぱり守護霊は見えないのね」

男「み、見たことない!」

霊女「まあ私も見えたり見えなかったりだけどねん」

男「へ? 同じ霊なのに?」

霊女「私達亡霊とはまた種類?敷居?が違うみたいなの 私達よりは力が強いし...」

男「だからカンニングさせてくれない......っての?」

霊女「んー やってみないと分からないけどねん」

男「お、俺にと守護霊って......」

霊女「いるいる 私にも見えてるわよ?」

男「マジ!?誰?誰っ!?」

霊女「......えっ し、知りたいの?」

男「イェス!」

霊女「......、軍手?」

男「おぉ!!ぐっ......ん......て?」

霊女「んー 軍手というよりボロボロの手袋?」

男「えっ 待って待て待て待って」

霊女「どうしたの?」

男「守護霊だよ?人じゃないの?モノなの?」

霊女「たまに居るわよ?人以外にも動物だったり......」

男「動物はわかる!動物はわかるけど手袋って!?」

霊女「フフフ、珍しいからいいじゃない」

男「もっと宮本武蔵とかそんなんだと......」

霊女「夢見すぎよ それにこの手袋は」
男「なんかショックだわ 寝ます......」
霊女「っ、あら おやすみなさい」

男「...zzz ...zzz」

霊女「フフフ 寝顔可愛いっ」

男「んんん......zzz」

霊女「さっ!私は探検してこよー!」




男「ん んんんん!朝か......」

霊女「よく寝れた?」

男「......あ、そっか」

霊女「何よぅ そのガッカリした顔!」

男「いや、憑かれてたんだなーってね」

霊女「色々探検してきちゃった」

男「そうなの?」

霊女「隣の隣の部屋のイケメン君は彼女と熱い夜を過ごしてたよ!」

男「そ、そう......」

霊女「イケメン君の下の階の男の子はイライラして自家発電を...」

男「止めて差し上げろ」

霊女「フフフ 楽しいなあ」

男「んー なんか本当にグッスリ寝た」

霊女「憑かれてる分疲れてるんだよ」

男「あー、今日はバイトだった」

霊女「え!?バイト!?」

男「うわハイテンションだしこの幽霊」

霊女「フフフ...楽しみいぃ」

男「邪魔しないでよ?」

霊女「役に立ってあげるって」

男「どうやって役に立つんですかね?」

霊女「ん?んー、んん......男君根暗だしバイト中話相手いないでしょ?」

男「いるわボケッ!」



霊女「イヤッホー!」

男「うるさい」

霊女「うーん 男の子とニケツだなんて青春だわぁ」

男「くそ!何でペダルが重いんだチクショウ!」

霊女「失礼ね!」

男「実際は俺しか乗ってないのに!」ゼェハァゼェハァ

霊女「おっぱい押し付けてあげようか?」

男「......現実であってもさほど無いという諸行無常」

霊女「おい」

男「あ!?やっぱりペダルが重い!」




男「ハァ...ハァ... 着いた」

霊女「お憑かれさまっ フフフ」

男「まったくだよ!」

霊女「へぇー ここが男君のバイト先かあ」

男「そうだよ」

霊女「確かに、私のお仲間は見当たらないね」

男「静かだろ?」

霊女「つまらないけどねえ」

男「おとなしくしてろ」

霊女「ふーん モスドナルドでアルバイトしてるのね」

男「上京する前もやってたから」

霊女「可愛い子...結構いるのね」


ーーー休憩室

男「おはー」

周り「ちーす」

男「後輩ちゃんおはよ」

後輩「ちゃん付けやめてください 気持ち悪いので」

男「後輩ちゅわん」

後輩「コーヒーかけますよ?」

霊女「(ふぅん)」

男「!?」

霊女「(フフフ... 驚いた?あなたにだけ直接コンタクトしてるの)」

男「なっ!?えっ!?」

後輩「・・・? 今度は何ですか?」

男「い、いやなんでもないよ......」

後輩「.........」

周り「アハハ 後輩ちゃんまた男君に怒ってるー」

男「(き、急に何さ!)」

霊女「(あら?独り言と間違えられるよりはこっちの方が都合がいいでしょう?)」

男「(た、確かに...)」

後輩「先輩」

男「(だからって急に話し掛けてこないでよっ)」

後輩「男先輩っ」

男「あ、は、はい!?」

後輩「どうかしたんですか?」

男「い、いやどうもしないよ アハハハ」

後輩「......」

霊女「(ふぅん この子が後輩ちゃんかあ)」

男「(まあこのやりとりを見てわかる通り)」

霊女「(好かれてるのね)」

男「(断じてそれはない!)」

霊女「(ふぅん......)」

男「さてと、そろそろインするか」




男「あ、後輩 それ俺やっとくからいいよ」

後輩「いえ自分でやります」

男「重いんじゃない?」

後輩「平気ですこのくらい えぃっ!」

男「......」

後輩「......くぅ」 

男「これで平気なんだー」

後輩「な、なんですかその目は 手伝わなくていいですからねっ!」

男「ここを持ったほうが持ちやすいよ こんな感じに」グイッ

後輩「あぅ」

霊女「(あら さり気なく持ってあげるなんて気を使うのね)」

男「(持つよって言われて素直に持ってもらう子じゃないしね)」

後輩「じゃ、じゃあ次からはそうします!洗うのは私がやりますからっ」

男「うん お願い」

店長「おーい男!厨房手伝ってくれ!」

男「はーい!」





男「お疲れ様」

後輩「お疲れ様です」

男「ふぅ、疲れた......」

後輩「......」ジロッ

男「な、なに?」

後輩「いぇ 何でもないです」

男「? 何でもないわりには睨まるていたような...」

後輩「気のせいですって」

男「そ、そう?」

後輩「そうですよっ」

後輩「それより先輩、何か顔色悪いですよ?」

男「そう?」

後輩「つかれてるんじゃないんですか?」

男「確かに......」

霊女「(憑かれてるもんね)」

後輩「何かあったんですか?」

男「んー?特に無いけど」

後輩「そうですか」

男「少し疲れが溜まってるのかも アハハ」

後輩「......」

男「まあ仕事には支障は出さないから心配しないでよ」

後輩「はい 先輩のことは心配してないですよ」

男「うんそれはそれで悲しい」

後輩「......」ジーッ

男「そ、そんなに見つめられると照れちゃうぜ」

後輩「睨んでるんです」

男「やっぱり睨んでるんじゃん!」

後輩「......」

男「も、もう俺帰るからね」

後輩「はい お疲れ様でした」

男「お疲れ様っ......(俺何かしたかなあ?)」

霊女「(さあ?)」




男「ふぅ なんだか今日は疲れたよ」

霊女「それは憑かれているからよ」

男「公園寄ってこうかな」

霊女「あ、待って」

男「?」

霊女「あの郵便ポストに触れてみて?」

男「あれ?」

霊女「そっ あのポストもなかなかの力を感じるわ」

男「どれ......」タッチ

ーーーッビリ!

男「おうっふ!」

霊女「フフフ どう?」

男「んー?......確かに肩が軽くなってる」

霊女「街中にもパワーを帯びている建物や置物はあるみたいね」

男「そのパワーとやらは幽霊にはわかるの?」

霊女「えぇ ただ......」

男「ただ?」

霊女「あまり触れるべきでは無いモノも存在するから気をつけてね?」

男「ま、マジすか」

霊女「具合悪くなったりしちゃうわよん?」

男「あー、たまにある......」

霊女「男君は霊感強いから影響を受けやすいのよ 良くも悪くね」

男「けどその良い悪いどころかパワーも見れないのは不便だなぁ」

霊女「そこはお姉さんに任せないっ! フフフ」

男「うむ 共存するためには色々教えてくれ」

霊女「にしても後輩ちゃんって本当に男君によくつっかかってくるのね」

男「今日は特に酷かったなぁ」

霊女「何かしたの?」

男「してないよ!見てたでしょ?」

霊女「途中で他の場所に探検に行ってたからわかんにゃーい☆」

男「どうりで静かだと......」

霊女「まあ男君のことを気に入ってるのはわかったわよ?」

男「気にいられてはない」

霊女「どうかしらねぇ」




翌日

霊女「れっつ!キャンパスラーイフ!」

男「張り切りすぎ」

霊女「大丈夫 静かにしてるからっ!」

男「うるさくても俺にしか聞こえないけど...」

霊女「にしても、男君って意外と頭いいのねー ○○大学だなんて」

男「意外でごめんね!」

霊女「フフフ」

霊女「......うーん」

男「どうしたの?」

霊女「男君、ここの門はやめておいたほうがいいわね」

男「? どうして?」

霊女「あまりいい気配を感じないの」

男「??」

霊女「あなたには感じないかもだけど...」

男「じゃあ東南門から入るか」

霊女「それがいいわね」

男「にしても何で駄目だったの?俺、いつもあの門から大学行ってるんだけど」

霊女「個人的に私にとってあまりいい気配を感じなかっただけよ ごめんね?」

男「? ま、別にいいけど」

霊女「フフフ あ、待って」

男「?」

霊女「すごいわね、この掲示板」

男「色んなサークルが募集ビラ貼ってるからね」

霊女「ワォ!オカルト研究会ですって」

男「オカルト研究会ねえ」

霊女「あなたは所属していないの?」

男「体験には行ったけど......」

霊女「へぇー」

男「オカルト研究会はちょっとその」

後輩「オカ研がどうかしたんですか?」

男「っげ」

後輩「っげ?」

男「後輩ちゃん......」

後輩「そんなに私に会うのが嫌だったんですか?」

男「ちちち違うって」

後輩「.........」

男「独り言喋ってるの見られてて恥ずかしいなあって」

霊女「(全くねぇ クスクス)」

男「(全くだよ!)」

後輩「へぇ 先輩にも羞恥心があったんですね」

男「そりゃありますって」

後輩「それで、どうしてオカ研なんですか?」

男「い、いやそのもうすぐ夏だしオカルトの季節だなあって」

後輩「ふーん」

後輩「オカ研って言っても所詮は素人の集まりですから」

男「後輩ちゃんは最近出てるの?」

後輩「えぇ、まあ」

霊女「(あら この子もオカルト研究会なのね)」

男「(まぁ... 実家が大きな寺なんだよ)」

霊女「(ふぅん)」

後輩「どうかしたんですか?」

男「い、いやなんでもないよ!」

後輩「顔色また悪いですよ?」

男「寝不足だからかな?アハハハ」

後輩「つかれてるんですよ」

男「そうかなあ?」

後輩「自覚してます?」

男「ウーん... ま、今日は早めに寝ようかな」

後輩「......」ジーッ

男「な、なに?」

後輩「今からオカ研来ませんか?」

男「へ?」

後輩「今日私しかいなくて暇なんです」

霊女「(あら、チャンスじゃない)」

男「(何のだよ)」

霊女「(可愛い後輩ちゃんと2人でイチャイチャできるんだから)」

男「(どこにイチャイチャなんて要素があるんですかねえ)」

後輩「ついて来てください」スタスタ

男「あっ、ちょっと!」

霊女「(ほら、追いかけないと)」


ーーー超常現象研究会(オカ研サークル)ーーー

男「失礼します......」

霊女「(お邪魔しちゃうゾ☆)」

後輩「今コーヒー入れますね」

霊女「(へぇー色々面白いグッズがあるのねぇ)」

男「......い、色々面白いグッズがたくさんあるね」

後輩「グッズなんて言うと他の方々が怒りますよ」

霊女「(どれも玩具じゃない)」

男「は、はぁ」

霊女「(男君)」

男「(なに?)」

霊女「(これは結構パワーを感じるわね)」

男「......ね、ねえ」

後輩「何ですか?」

男「この羽根のついたストラップって...」

後輩「あぁそれは私が実家から貰った魔除けの羽根ですよ」

男「おぉ 魔除け...」

後輩「信じて持つ事で本当に邪気を払うと言われています」

男「プラシーボみたいなもん?」

後輩「それには本当に効力はあるん......と思いますけどね」

男「えー?でも実際にわからないでしょ?魔除けだなんて」

後輩「魔除けは氣からです」

男「氣ねぇ」

霊女「(ここって普段何をやってるの?)」

男「ここって普段は何してんの?」

後輩「何って超常現象の研究や種明かしですよ」

男「種...明かし?」

後輩「最近よく耳にするメンタリストってありますよね?」

男「あぁウィッシュ!じゃないほうのね」

後輩「まあそういったホットリーディングや手品の種明かしの研究もやってる人もいますよ」

男「人も?」

後輩「ここでの活動は何でもありです 常識で説明できないことを説明して常識にしてしまうのが私達の目的です」

男「へぇ...そう聞くとなんか楽しいね」

後輩「えぇ みんな真面目に研究してますから」

男「説明できないことねぇ」

後輩「どうかしたんですか?」

男「世の中説明できないことだらけだもんね」

後輩「哲学的じゃないですか 先輩のくせに」

男「説明しても信じてもらえない事だってあるわけだし」

霊女「(うんうん)」

後輩「信じてもらえない事?」

男「えっと、例えば UFO見たー とか」

後輩「証明が出来て初めて信用が生まれますからね」

男「信用かあ」

後輩「空を飛んでいてもUFOだとは限りません」

男「空飛ぶ円盤=UFOでいいじゃん」

後輩「アメリカ軍の開発した新型の戦闘機かもしれませんよ?宇宙人が乗ってなきゃUFOとは言えないですよね?」

男「あ、あぁもう俺の負け!負けでいいです!」

後輩「まあUFOについても研究している人もいますけどね」

男「で、UFOはあったの?」

後輩「その人は『地球外生命体が操縦してこそのUFOなんだ!』ってな感じなんですよね...中に何がいるかなんて......」

男「実際攫われでもしないとわからないよな」

後輩「そもそもUFOや宇宙人なフィクションから生まれたものですからね」

男「確かに いつの間にか宇宙人=グレイ みたいな定義だもんなあ」

後輩「大人になると不思議な体験なんて無くなるものですから」

男「それは大人が悪いよ」

後輩「?」

男「心に信じたモノしか認めないのが大人だからね」

後輩「......先輩は大人ですね」

男「えっ?俺?そんなにアダルトかな?」

後輩「まあそれ以上に気持ち悪いですけど」

男「はいすいません」

後輩「先輩は無いんですか?」

男「何が?」

後輩「不思議な体験です そしてそれを信じてもらえたか信じてもらえなかったか」

霊女「(ある意味日常と化しているわよね 不思議な体験だなんて)」

男「不思議な体験かぁ......」

後輩「......」ジロッ

男「無いかなあ」

後輩「本当ですか?」

男「ん あったとしても思い出せないや」

後輩「へぇ 意外ですね」

男「意外?」

後輩「てっきりくだらない話でもしてくれるのかと思いました」

男「無いんだもん」

後輩「......そう、ですか」

男「後輩ちゃんは?」

後輩「私ですか?」

男「超常現象研究するくらいなんだからあるんじゃない?」

後輩「......特には無いです」

男「言ってみてよ」

後輩「うーん」

男「特にはって事は少なからずあるってことでしょ?」

後輩「私も実家がお寺なだけで特には...」

男「へぇー」

後輩「あっ、先輩に見せたいものがあるんです」

男「?」

後輩「えっと......」ガサガサ

霊女「(むむ...)」

男「?」

後輩「じゃーん どうです?」

男「何これ」

後輩「首飾りです」

男「ふぅーん 色々編み込んであるんだね」

後輩「これはとっても由緒正しい道具なんです?」

男「道具?」

霊女「(これは......)」

後輩「ちょっと触ってみてください」

男「へ?」
霊女「(ダメ)」

男「??」

後輩「? どうかしました?」

男「あ、いや......俺今手汚いんだった」

後輩「そう、ですか」

霊女「(絶対触っちゃダメ)」

男「(何で?)」

霊女「(何でも!ダメだからねっ!)」

男「(わ、わかったよ...)」

後輩「遠慮しなくてもいいんですよ?」

男「い、いやあ俺トイレで手を洗わなくって」

後輩「最っ低......」

男「アハハハ...スイマセン...」

男「と、言うわけで俺は講義の時間があるんだ」

後輩「そうですか」

男「また暇な時にお邪魔するよ」

後輩「えぇ 是非いらしてください」




霊女「あー、危なかった」

男「危なかったの?あの首飾りが?」

霊女「えぇ あんなの装飾したら私が消えちゃうわよ」

男「消えるっ!?」

霊女「えぇ 消えちゃうわよ」

男「じょ、成仏ってこと?」

霊女「成仏とは違うわね....」

男「でも消えちゃうんじゃないの?」

霊女「成仏っていうのはこの世に未練も残さない事よ?」

男「おぉ」

霊女「消えちゃうって言うのはナメクジに塩をかけるようなものよ」

男「未練ですか......」

霊女「フフフ こんなに若くして死んだんだから、未練タラタラよ?」

男「そりゃ俺も未練残るかも」

霊女「残さない人のほうが少ないわよ」

男「だよねえ」

霊女「あら?童貞のまま死ぬのは嫌なの?」

男「俺童貞じゃないよ」

霊女「うっそ!!?」

男「いや、そんな驚かれても事実なのは事実だし...」

霊女「これまた意外ね いつ卒業したの?」

男「高校生の時だけど」

霊女「へぇー ねぇ誰?同級生?年上?年下?それとも先生だったり?キャー」

男「な、なんでそんな事教えなきゃいけないんだよっ」

霊女「えー?いいじゃんいいじゃーん」

男「同級生だよ......」

霊女「罪な男だねぇ」

男「何でだよ......」

霊女「どうして別れちゃったの?」

男「他に好きな人ができたみたいでってか二股かけられててね」

霊女「ワォ......」

男「その子は先輩の方を選んだってワケよ」

霊女「これはセンチメンタルね...」

男「まあ当時はすごい落ち込んだなあ」

霊女「浮気されちゃったのならね」

男「知らないオッサンの幽霊に励まされたっけ」

霊女「それに男君自家発電しないよね」

男「グッ...」

霊女「もしかして遠慮してる?」

男「そ、そういうつもりじゃ......」

霊女「大丈夫だって!見てるけど黙ってはいるから!」

男「いやべつに」

霊女「出来ることなら手伝ってあげたいんだけどにゃー」

男「それは遠慮します」

霊女「おい」

霊女「まあ彼女ができてヤルってことになったら遠慮して離れた場所にいてあげるっ」

男「今はそんなことにはならないとは思うけど」

霊女「後輩ちゃんは?」

男「付き合うと思う?」

霊女「お似合いだと思うけどねん」

男「いつも怒られてるのに」

霊女「それがいいんじゃない」

男「年下の子に尻に敷かれるってのは......」

霊女「それはあなた次第でしょ?それに後輩ちゃん胸大きいわよっ?」

男「マジすか」

霊女「ブラで抑えてるわねあれ」

男「素晴らしい情報だけど黙っていてあげたほうが......」

霊女「あら、勿体ないわね せっかく幽霊が使い魔になってあげてるのに」

男「デリカシーの問題ですよ」

霊女「あの子のパンツ確かめてこい!って命令でも聞いてあげるのに」

男「なぬ?」

霊女「フフフ」

貧乳には夢も脂肪ねーだろ!!いい加減にしな!!




ある日

男「お疲れ様でーす」

後輩「お疲れ様です先輩」

男「あれ?今日後輩ちゃん入ってないでしょ?」

後輩「シフトの確認に来ました」

男「そっか」

霊女「(きっと男君に会いに来たんだにゃ)」

男「(黙ってて)」

後輩「......先輩、この後暇ですか?」

男「へ?」

後輩「明日日曜ですけど...夜は予定ありました?」

男「あー、えっと......」

霊女「(何か企んでるわねぇ彼女)」

男「(?)」

霊女「(あまりいい予感はしないにゃー)」

男「えええっと今日は予定があってさ...」

後輩「そうですか」

男「今日は少し疲れててさ」

後輩「みたいですね」

男「ごめんな?」

後輩「どうしてもつかれがとれないなら私のところにきてください」

男「?」

後輩「いえ」

男「あ、あれ帰るの?」

後輩「えぇ お疲れ様でした」

男「お疲れ様っ」

霊女「......」

男「どうかした?」

霊女「んー?どうもしないにゃ」

男「?」

霊女「フフフ さ、帰ろー!」




後輩「......」スタスタ

不良「いてっ」ドン

後輩「っ、......」

不良「ちょちょちょーい!今ぶつかったよね?」

後輩「そっちがですよね?」

不良「とりあえずさ!ぶつかったのは事実なんだしこっち来なよ、ね?」

後輩「仰ってる意味がよくわからないので失礼しまっー」

不良「セイセーイ!」ガシッ

後輩「キャッー!?」

不良「とりあえずさー一緒においでよ」

後輩「は、離してっ!」


ーーー

霊女「ねえねえ」

男「?」

霊女「この穴と吹雪の女王っての見たい!」

男「え、えぇ」

男「見てくれば?」

霊女「男君は?」

男「は?お、俺はすぐ近くのカフェにいるよ」

霊女「むぅ!男君と見たいのにい!」

男「えぇ?俺ディヅニーには興味が......」

霊女「ぶぅ!もう男君なんて知らない!」

男「えっ!?ちょ、どこ行くの?」

霊女「散歩!」

男「あ、あんまり離れちゃダメだよー!? 」




霊女「ふん!男君なんて今度ゲオで崖っぷちのポニョレンタルしてもらうんだから!」

「「離して! 」」

霊女「んんん?」

後輩「い、いい加減にしないと警察呼びますよっ!?」

不良「マジで?怖ーい(笑」

霊女「ありゃりゃ......」

後輩「だから離してってば!」

霊女「(絡んでるのは知り合いってわけじゃ...)」

後輩「やめて!」

不良「すっごい俺の好みのスタイルだよ君っ」

霊女「(赤の他人ですにゃ...)」

霊女「(んー、男君呼ばなきゃなのかな?)」

後輩「離してッ!」

不良「っ痛ぇな...!てめぇ少し可愛いからって調子こいてんじゃねーぞ?あ?」スチャ

後輩「ヒッ...(ナ、ナイフ?嘘やだ...)」ガクブル

不良「黙って言うこと聞けやッ な?」

後輩「あっ......」

不良「あ? ッーー」

男「ごめんなさい!!」ゲシッ!!

不良「ンヴェッーー!?」

霊女「ワォ!後方からのソバット決まったにゃー!」

後輩「せ、先輩...!」

不良「」

男「泡吹いてるけど平気かな?」

霊女「へーきへーき それにこの不良整形してるみたいだにゃ アゴのシリコンずれちゃってる」クスクス

男「うーむ 俺の可愛い後輩に手を出すなんて許せんな」

後輩「はぅ」

霊女「うんうん」

男「ナイフは握らせて......ん?コイツのポケットから何か出て...る......」

霊女「注射器?お医者さんなのかにゃ?」

男「クスリやってるなコイツ......」ガサゴソ

霊女「ワォ!そのビニール袋に入ってるいるのは...」

男「ビンゴだな」

後輩「......」

男「とりあえず右手にナイフ握らせて左手に注射器握らせてー」グイグイ

後輩「ちょ!な、何してるんですか!?」

男「何ってズボンを半分くらい脱がせてんだよ」

後輩「ちょッー!?」

霊女「コイツ漏らしてない?」

男「これで通報されるだろ」

霊女「お尻の穴に注射器挿しちゃえばいいのに...」

男「ていうか後輩ちゃん、怪我無い?」

後輩「無い......です......」ジロッ

男「?」

後輩「......」

男「どうしたの?」

後輩「......」

男「こ、怖かったの?」

後輩「見てたんならもう少し早く助けを呼んでくれてもよかったんじゃないんですか?」

男「へ?」

霊女「...」

後輩「ねぇ?」

男「い、いや助けをって俺はすぐに」

後輩「先輩に言ってないですよ」

男「ッ......」

霊女「なぁんだ」

後輩「その後ろの亡霊に言っているんです!!」

男「まさか......」

霊女「やっぱり見えてたのねん」

霊女「見えてるならそう言ってくれれば良かったのにー」

男「み、見えてるの?」

後輩「えぇ見えてます」

男「マジかよ...」

霊女「薄々感じてはいたけどもねぇ」

後輩「最初は先輩には霊感の類は無くて憑かれているものだと思ってました」

男「いやバリバリあるよ」

後輩「みたいですね......一体どういう了見ですか?」

男「なにが?」

後輩「何がじゃないです!そんな亡霊を憑かせるなんて!」

男「ぼ、亡霊って......」

霊女「まあ間違ってはないけどねー」

後輩「一体何が目的ですか?」

男「へ?」

後輩「自身の身体に霊を半ば憑依させるなんてっ そもそもそんな芸当並大抵の霊媒師にもできないのに!」

男「く、詳しいな......って後輩ちゃんは実家がお寺なんだっけ」

後輩「......」ジロッ

霊女「なあに?」

後輩「男先輩をどうたぶらかしたのかしらないけど、何が目的なんですかっ」

霊女「特に変なこと考えてるワケじゃないんだけどにゃー」

後輩「......」

男「後輩ちゃん誤解だって 俺も少し疲れやすい程度で悪い影響なんて出てないよ」

後輩「先輩も先輩です!」

男「へっ」

後輩「そんな亡霊を使役してっ!いかがわしい事に利用してるんじゃないんですか!?」

男「し、してないよ!」

霊女「まだしてないよねー?」

男「何だよ まだ って!」

後輩「......オホン まあ店内で覗きでもしようなら...私が見てますからね」

男「だからそんな事頼まないってば」

霊女「にしても後輩ちゃんって私の事......嫌い?」

後輩「っ......」

霊女「どうなのかにゃー?」

男「?」

後輩「別に、幽霊に対して好き嫌いありません」

霊女「ふぅん」

後輩「ただ......」

男「ただ?」

後輩「あなたからは......業を背負った霊気を感じるからです」

男「??? 業?」

霊女「......そう」

後輩「あなたが得体の知れない亡霊だと言うのが事実な限り、私はあなたを警戒します」

男「別に一緒にいても悪い人じゃないって感じだけどなあ」

後輩「男先輩はお人好しだからそう思うんです!」

男「いやぁでもさ」

霊女「ま、後輩ちゃんには好かれてないってことなのね」

後輩「それでいいです」

男「な、仲良くしよーよ!ね?」

霊女「えへーん 男くーん」

男「ちょ、ちょっと肩が何か思いんですがっ」

霊女「後輩ちゃんがいじめるよー」スンスン

後輩「ちょっと!先輩から離れてください!」

霊女「いやでぇーす」ベー

後輩「先輩もそんな亡霊を甘やかさないでくださいっ!」

男「別に甘やかしてはないけど...」

霊女「いいんだもーん 私は男君に憑いてるんだからー」

後輩「ぐぬぬぬ......!」

霊女「男君そろそろ帰ろーよー 21時からのテレビ見たいし」

男「ん、もうそんな時間か」

後輩「亡霊のくせにテレビだなんて...!」

霊女「後輩ちゃんも男君ん家来るー?」

男「また何を」

後輩「行きます!!」

男「えっ」

霊女「チャンネル優先権は私だなんねー?」

後輩「さっ、先輩 案内してください」

男「えっ?えっ!? く、来るの!?」

後輩「男に二言は無いでしょう」

男「二言もなにも一言も......」

霊女「いいじゃん別に、ねー?」

後輩「そこのふしだらな亡霊さんの言うとおりです」

霊女「霊女さんって呼んでねっ?後輩ちゃん☆」

後輩「ちゃんは止めてください亡霊女さん」

男「マジかよ...」





後輩「404号室ですか」

男「静かでしょ」

後輩「えぇ 土地や部屋そのものが邪気を除けています」

霊女「ささっ 上がって上がってー」

男「仕切るなや」

後輩「お...お邪魔します......」

男「んー てかこの部屋に女の子入れたの初めてだ」

後輩「そ、そうなんですか?」

霊女「おーい 誰か忘れてない?」

男「あぁ、母さんが来たっけ」

霊女「おぉーい」

後輩「まあ私が実質一番乗りですねっ」

霊女「む」

男「とりあえず2人とも喧嘩はしないでね?」

霊女「はーい」

後輩「......色々と質問いいですか?」

男「質問?」

後輩「ええ 男先輩にはたくさん聞きたい事があります」

男「遠慮無くどーぞ」

霊女「男君の好みのタイプは?」

後輩「っ」

男「んーと 器量が良くて、って霊女は少し黙っててね?」

霊女「はぁーい」

後輩「別にお答えして頂いても良かったんですけどね」

男「えぇ!?」

霊女「おっ らしいから答えてあげなよ男君」

男「だ、だから器量が良くて...んー......好みかあ」

霊女「外見とかはー?」

男「可愛いよりは美人系のほうが好きだなー あと幸薄な感じがいいね」

霊女「成る程成る程、私がビンゴってわけね」

後輩「幸薄どころか死んでるじゃないですか」

霊女「なぬっ 男君は胸が小さい子がタイプなんだよねー?」

後輩「!?」

男「へ?」

霊女「ねー?」ニヤニヤ

後輩「本当ですか......?」
 
男「い、いや大きい人も......」チラッ

後輩「む......」

霊女「あっ 今後輩ちゃんの胸見たでしょ?」

男「ちっ、違っ!」

後輩「やはり変態でしたか」

男「そそそんな話題出されたら視線いっちゃうって!」

後輩「間違いなく変態の視線でした....」

霊女「気にしないでよ後輩ちゃん 男君は小さいのにしか興味にゃいからっ☆」

後輩「ぐぬ... 私は別に大きくありません普通です」

霊女「どうだかにゃー」

男「もうこの話題は無しッ!次!!」

後輩「では気を取り直して」

男「うん」

後輩「まず先輩のその異常なまでよ霊媒体質はいつからですか?」

男「まあ物心がついた時には」

後輩「本当に?」

男「うん、本当」

後輩「先天的なものなんですね」

男「うん 後輩ちゃんは?」

後輩「私もそうですが環境が違いますから」

男「あぁー じゃあ家族とかは皆見えてる人だったの?」

後輩「えぇ 私はかなり体質が強いほうでした」

男「強い?」

後輩「霊感そのものが強いと解釈していただければ」

男「へぇー」

後輩「先天的な理由に男先輩の守護霊も挙げられます」

男「あー、俺守護霊見れないんだよね」

霊女「この軍手がどうかしたのん?」

男「軍手......」

後輩「これは軍手ではありません」

男「?」

後輩「恐らくは大昔に使われていた神具の一つかもしれません」

霊女「ワォ」

男「そりゃすげぇけど......なんでそんなのが俺の守護霊に」

後輩「ご両親は海外にお出かけになったことは?」

男「.........あ」

後輩「?」

男「いや、俺が生まれる半年以上前はエルサレムってところにいたらしい...」

霊女「あーそこ知ってるー!」

後輩「イスラエルにいたんですか」

男「一緒にいたらしいけど俺の妊娠がわかって帰国したんだと」

霊女「海外で種付け...フフフ」

後輩「黙っててください」

霊女「あら?」

後輩「ふしだらです」

霊女「......後輩ちゃん、ひょっとしてまだ経験無いのかにゃ?」

後輩「......い、今はしょんな話題関係ないでしょう」

男「まあまあ後輩ちゃんは女子高だったししょうがないよ」

後輩「なっ、何ですかそのしょうがないって!」

霊女「クスクス」

後輩「まるで共学なら不純な行為に及んでいたみたいな...!」

男「及んでないとも言い切れ無いよね」

後輩「あぅ...」

男「いや自信無いんかい」

後輩「別に経験の有無なんて私は気にしてません!」

霊女「恋人がいたことは無いの?」

後輩「無いです...」

男「女子校出身でまだ大学一年じゃそれが普通じゃない?」

霊女「うんうん 大体大学生活半ばには処女食べられちゃうってのがセオリーだもんね」

男「エグい話すな」

後輩「変態さんには気をつけます......」

男「何故か警戒された気がする」

霊女「ねー、男君はあの元カノ以降に誰かとお付き合いしたの?」

後輩「!?」

男「いやしてないけど」

後輩「えっ......せ、先輩彼女いたんですか?」

霊女「ねー?」ニヤニヤ

男「高校時代にね」

後輩「そ、そうですか...」ホッ

男「?」

霊女「男君モテるからなぁ」

男「俺?モテないよ?」

霊女「どうだか... 天然たらしの部分あると思うけどねん」

後輩「(確かに)」

男「天然鱈?」

霊女「ねえねえ後輩ちゃんのタイプってどんな感じなのー?」

後輩「わ、私ですか?」

霊女「そっ 後輩ちゃんの理想のタイプ」  

後輩「......えっと、年上がいいです」

男「へぇー」

霊女「それで?それで?」

後輩「私は生活がキツいと言われるので...それを受け入れてくれる人がいいですね」

霊女「ふぅん」

男「言うほどキツいかな?」

霊女「どうかしらねん」

男「言い方に棘があるだけで、性格はキツくないんじゃない?」

後輩「あぅ」

霊女「(ほら天然たらし)」

後輩「わ、私は別に......」

男「ちょっと話が脱線したね、俺の守護霊の話でしょ?」

霊女「もう!誰?脱線させたの」

男「お前や」

後輩「とりあえず先輩の守護霊ですが.....まあご両親の話を聞いて納得しました」

男「とりあえず両親が海岸にいたのが原因ってこと?」

後輩「そうですね そこで愛を誓った際に守護されたのでしょう」

霊女「なんか神秘的ねえ」

男「そのせいで俺の霊感が強いの?」

後輩「えぇ ですからおかしいな?って思っていたんです」

男「?」

後輩「視える側からすると先輩の天然での霊媒体質はかなり希有ですから」

男「そうなんだ」

後輩「おまけに女性の亡霊に憑かれてるし」

霊女「てへっ☆」

後輩「てっきり変な事に利用しているのかと思いました」

男「だからしてないって」

後輩「これからはきちんと監視しますからねっ」

男「なんで監視されなきゃアカンのじゃ」

後輩「当たり前です 自分かは亡霊を使役するなんて......」

男「あ、あのさ」

後輩「?」

男「亡霊って言い方は止めない?」

後輩「むぅ」 

男「後輩ちゃんにはどう見えるのか俺にはわからないけど...」

後輩「幽霊も亡霊も一緒です それにこの方からはやっぱり業を感じます!」

男「だからその業ってのは何なの?」

霊女「私、生前の記憶は無いからにゃー」

後輩「......何も悪人と言うわけでは無いんですが」

男「?」

霊女「?」

後輩「......悲哀を感じます」

男「だって」

霊女「そりゃそうでしょ?こんな美人が若くして亡くなったら後悔ばっかりよ」

男「悲哀かあ」

後輩「......」

男「どうかしたの?」

後輩「ま、まあ悲哀なんです」

酒入ってるかさ すまんこ

あ、また誤字になっちゃった!

酒入ってるからさ すまんな

霊女「悲哀かぁ...」

男「そんな記憶無いの?」

霊女「んーん ぜーんぜん」

後輩「......」

男「だってさ」

後輩「な、ならもういいです」

男「後輩ちゃんの見えてる世界に関しては否定はしないよ」

後輩「あぅ」

男「ただまるで悪霊みたいな言い方してるからさ...」

後輩「た、確かに私も言い過ぎました」

霊女「まあまあ当の私は気にしてないからっ」

霊女「にしても男君、随分と寛容じゃない」

男「んー......、自分では普通に見えてる世界が他人には見えないのは辛い事だってのは知ってるから」

後輩「...」

男「後輩ちゃんは守護霊とかも見えるだなんてすごいよね」

後輩「別に、凄く無いですよ...」

男「いやいや凄いでしょ!」

後輩「べ、別にしゅごくなんか...」

霊女「(照れてる照れてる)」

男「実家はお寺なんでしょ?」

後輩「えぇ、まあ」

男「じゃあ家族や親戚とか皆霊感みたいなものあるの?」

後輩「んー、あるのは父とお爺ちゃんと叔父くらいですかね?」

男「そういえば妹いたよね?妹は見えないの?」

後輩「妹は見えないですね 少し感じるらしいですが」

男「へぇー 人それぞれなんだ」

後輩「はっきり言って霊感なんてある方が異常です」

男「だよね......」

後輩「先輩ほどの霊媒体質の強い人間は家族にもいませんよ」

男「マジスカ」

後輩「イタコになれるんじゃないんです?」

霊女「あの口寄せのやつ?」

男「あの人たち胡散臭いよな」

後輩「まあ殆どがパフォーマンスですから」

男「やっぱり?」

後輩「先輩のような霊媒体質だと逆に危険なんですよ?」

男「?」

後輩「下手に霊媒体質が強いと霊に身体を壊されてしまいますから」

男「あー 悪い意味で憑かれると」 

後輩「だから心配だったんです」

霊女「私が男君に憑いてるから?」

後輩「えぇ」

男「疲れを感じる程度かなー?」

後輩「なら結構なんですが...」

霊女「へぇー 後輩ちゃん男君のこと心配してたんだー」ニヤニヤ

後輩「いえ全く」キッパリ

男「でも実は!?」

後輩「先輩は変態なので悪さしないか心配でした」

男「oh...」




しばらくして

後輩「もうこんな時間...」

男「喋りすぎたな」

霊女「へ?泊まってくんじゃないのー?」

後輩「!!?」

男「馬鹿言わないでよ」

霊女「えー?」

男「霊女さんがいるとは言え男女2人なんだよ?」

後輩「......え、えと」

霊女「後輩ちゃん帰っちゃうのー?」

男「後輩ちゃんのアパートまで送るよ」

霊女「私は後輩ちゃんともっとお話したい!」

男「えぇー だってさ どうする?」

後輩「え、えと...その......」

男「俺は寝落ちしそうだから二人で話してたら?」

後輩「(軽っ!)」

男「?」

霊女「男君、女の子一人泊めるんだからもう少し緊張しなきゃっ!」

男「でも霊女さんいるし...」

後輩「幽霊でしょう」

男「そうだけども」

後輩「周りから見れば私が先輩の部屋に1人でお泊まりしている構図ですよ?」

男「た、確かに...!」

霊女「気付くの遅っ」

男「まあ今夜は俺らだけの秘密にしておけば」

後輩「私は喋りますけど」

男「えっ」

後輩「まあ先輩が私に変な事してこなければ黙っててあげます」

男「し、しないよ...」

霊女「多分」

男「絶対!」

後輩「ふぅん」

男「とりあえず俺は眠いんだ......」

霊女「お酒飲むからよ」

男「んん...とりあえず寝る」

霊女「あらら...」

後輩「相当疲れていたようですね」

男「zzz...zzz...」

霊女「フフフ」

後輩「......」

霊女「あら?なあに?」

後輩「あなた、成仏したくはないんですか?」

霊女「成仏?フフフ 前は男君に首飾り着けさせて私を消そうとしたくせにぃー」

後輩「あ、あれはてっきりあなたを悪霊の類かと」

霊女「まあいいけどねん」

後輩「それであなたはこのまま男先輩に」

霊女「それはもちろん成仏したいわよ?」

後輩「そう...ですか......」

霊女「さっき 悲哀って言ったわよね?随分柔らかい表現をしてくれたのね」

後輩「やっぱり記憶あるんですか?」  

霊女「男君には内緒にしててもらえないかな?」

後輩「......はい」

霊女「フフフ 後輩ちゃんと私だけの秘密ねっ」

後輩「でも、このまま男先輩に憑かれたままでは困ります」

霊女「それはわかってるわ」

霊女「私が憑いたままじゃ後輩ちゃんも男君にアプローチし辛いものね」

後輩「そ、そういう事を言ってるワケでは!」

霊女「ふぅぅぅん?」

後輩「な、何ですか!?幽霊のくせにっ!」

霊女「あーあ せっかく男君の元カノを教えてあげようと思ったのになー そこにある卒アルに載ってるのになー」

後輩「ッ...!」

霊女「男君の好きなタイプ(本音ver)とかも知ってるんだけどなー」

後輩「......オホン」

霊女「フフフ」

後輩「わ、わかりました 霊女さんの記憶や秘密については黙っています」

霊女「まあでも男君の事好きではないなら知らなくても平気かなあ......」

後輩「うぅ...私が幽霊に畳み込まれるなんて」

霊女「私も協力してあげるって☆」





霊女「あ この子この子!男君の元カノ!」

後輩「むぅ...可愛い......」

霊女「後輩ちゃんのが美人だってー」

後輩「むぅ」

霊女「男君ねーおっぱい大きい子が好きなんだってー」

後輩「はぅ」

霊女「まあそんな事言ってたような言ってなかったような」

後輩「どっちなんですかっ」

霊女「ただ後輩ちゃんは絶対にブラで抑えてるって私が言ったら動揺してたよ?」

後輩「そうですか......って何言ってるんですかっ!?」

霊女「えへっ」テヘペロ

後輩「本当に日本酒かけますよっ?」

霊女「やめて!」

雪女「日本酒と塩は駄目!だと思う!」

後輩「市販のモノじゃ効果ないですよ」

雪女「専用のモノなんてあるの?」

後輩「えぇ 塩なら鞄に 」

雪女「出さなくていいからねっ」

後輩「ッチ」

雪女「まあでもー 男君って正直女っ気無いよねー」

後輩「んー掴みどころの無い人ですからね」

霊女「男君って全然自家発電しないから......お姉さん心配になっちゃって」

後輩「自家発電?何ですかそれ?」

霊女「自慰よGじゃないわよ?」

後輩「っ、そ、そういうことは黙っていてあげてください!」

霊女「隠れてこっそりしてるなかな?」

後輩「流石にお風呂とかは...」

霊女「あー私さ湿気ダメなの 髪が跳ねちゃうからねん」

後輩「あなた幽霊でしょう」

霊女「てへっ☆」

雪女は気にしないでください

後輩「まったく......真剣な話、これからどうするんですか?」

霊女「どうしてくれるの?」

後輩「......」

霊女「私はどうしたらいいんだろうね」

後輩「簡単な話、成仏したいんですか?」

霊女「いつかはね」

後輩「いつかって......」

霊女「私、幽霊になって今初めて楽しいの」

後輩「それはわかります」

霊女「お話できる異性と同性 それに今は男のおかげでお外にも出れるし」

後輩「...」

霊女「でもね、何となくわかるんだー」

後輩「...」

霊女「そんなに長く続かないんだって」
 
後輩「悲しいですが、その考えは当たっています」

霊女「やっぱり?」

後輩「......あなたのよう自我もあり、意思疎通の高水準な幽霊は今までに何度か見たことがあります」

霊女「そうなの?」

後輩「まああなたはその中でも一番に稀ですけどね」

霊女「レア?レアなのねっ?」

後輩「生きている人に話をつけて憑くなんて聞いたことがありませんっ」

霊女「それは男君と運命的な出会いをしたからにゃー」

後輩「ですが」

霊女「?」

後輩「あなた方のような幽霊は...自我が強すぎるために影響を受けやすいんです」

霊女「そうねぇ」

後輩「あなたは男先輩がいわば盾の役目をしているからまだ平気だとは思いますが」

霊女「盾...」

後輩「強ければ強いほど脆いんです」

霊女「そうなの?」

後輩「あなた、ずっと公園にいたようですね?」

霊女「うんっ」
 
後輩「それはある意味幸運だったかもしれません それと男先輩を使って移動する事もはっきり言ってナイスアイデアです」

霊女「やっぱり私って天才なのかも......!」

後輩「えっと塩は...」ガサゴソ

霊女「あぁん!冗談よぅ!」

後輩「男先輩に憑いた事に対して深い理由は無いんですか?」

霊女「無いよ?」

後輩「じゃあいつ男先輩から離れるんですか?」

霊女「えー?やっぱりこち亀が連載終了するまでは......」

後輩「せめて笑っていいともが終わるまでにしてください」

霊女「この間終わってじゃない」

男「んなこたぁない」

後輩「!?」

霊女「あらぁ?起きてたのー?」

男「いや、煩いんで...」 

後輩「い、いつから起きてたんですか?」

男「んー?自家発電のくだりで後輩ちゃん赤面するあたりくらい?」

後輩「っーーぅぅ」

霊女「で、自家発電はしてるの?」

男「オホン その件についてはコメントを控えさせていただく」

霊女「してるのねっ......」ボソ

男「思春期ですからっ!」

後輩「ぅぅ」

霊女「もうっ 後輩ちゃんって案外ウブなのねぇ」

後輩「破廉恥ですっ!」 

男「お、俺は別に」

霊女「別に破廉恥でも何でも無いにゃー」

後輩「今の話題は男先輩にいつまで憑くのかという話なんです!」

男「え?確かベイスターズがまた優勝するのを見ない限りは成仏できないって......」

霊女「せめてCSには出てくれないとねぇ」

後輩「真面目に話してるんですっ!」

男「ふーん」

後輩「な、なんですか?」

男「真面目に話してる割には俺に隠し事してるんだ」

後輩「うっ」

霊女「あらっ」

男「とりあえず本題ってのは霊女さんが成仏するかしないか、したいかしたくないかってことでしょ?」

後輩「......まあ」

霊女「成仏ねぇ そもそも出来るかって話なんだけどにゃん」

後輩「出来なかったら私に任せてください」

霊女「むっ!」

男「後輩ちゃんはそのお札をしまいなさい」

後輩「......冗談ですって」

男「で、何を秘密にしてるの?」

後輩「そ、それは......」

霊女「私のいまわの際の話よ」

男「............なるほど」

霊女「私の記憶でも曖昧と言うか継ぎ接ぎの記憶なの」

男「そっか」

後輩「......」

霊女「後輩ちゃんはその記憶を感じとったみたい」

男「そうなの?」

後輩「まぁ......」

男「ま、言いたくないならそれでいいか」

霊女「ウフフ さっすが男君」

男「いつかは聞くべき話だけどね」

後輩「いいんですか?」

男「後輩ちゃんにはどう感じたの?」

後輩「へ?」

男「霊女さんのこと」

後輩「悪い人では......無い......と思います」

男「ん じゃあ今晩は楽しく座談会ってことでさ」

霊女「そうそうっ 後輩ちゃん全然お酒飲んで無いじゃーん」

後輩「清酒ぶっかけますよ?」

霊女「ひぃ!」

男「仲良いねぇ」

おっぱい






男「寝ちゃったな」

後輩「んにゃ...zzz...」

霊女「襲わないの?」

男「わかってて聞いてるくせに」

霊女「えー?男君は酒が回ると性格変わるとかを期待してたのにー」

男「すっかり抜けちゃったよ」

霊女「ふーん」

男「にしてもビックリしたね 後輩ちゃんが見えてるなんて」

霊女「まあ何となーく気付いてはいたけどねん」

男「寺生まれって本当に凄いんだねー」

霊女「ねー」

男「まあ理解者が1人でもいると心強いよ」

霊女「うんうん」





ーーー大学

霊女「もう一つ驚いたのが、後輩ちゃんと男君って同じ大学なのね」

男「うん 学科もね」

霊女「男君はあのサークル入らないの?」

男「いやぁ、なんかあのサークルって結構みんなガチだから...」

霊女「みたいな話してたわね」

男「まあ霊女さんさえよければ顔出すよ」

霊女「私は特に何も感じなかったら平気よ?」

男「そっか まあ後輩ちゃんも霊女さん来たら喜ぶよ」

霊女「(男君が来るから喜ぶんだよー)」

男「へ?何か言った?」

霊女「ウフフ にゃんでもない」


ーーーオカルト研究会

男「どもー?」ガチャ

後輩「あっ」

男「あれ?また後輩ちゃん1人?」

後輩「また先輩方は四年生ですから」

男「就活か」

後輩「かなり忙しいようです」

男「そっか お邪魔していい?」

後輩「えぇ どうぞ」

霊女「お邪魔しまーす☆」

後輩「はいはいどーぞ」

霊女「後輩ちゃーん 私はダージリン!」

後輩「清酒ですね」

霊女「いやん!」

後輩「何かご用でした?」

男「んー?後輩ちゃんいるかなーって」

後輩「へっ?」

男「へ?」

後輩「あっ、えっと、私に何か用事があったとか...?」

男「へ?特にそういうわけじゃないんだけど......」

後輩「はい?」

男「霊女さんとさっきオカルト研究会の話題出たからさーいるかなーって」

後輩「......」

霊女「後輩ちゃん、ごめんねこんな人で」

男「?」

後輩「はい先輩の好きな熱湯です!」ゴトッ!

男「熱湯!?」

後輩「フフフ さ、召し上がれ」

男「さささ冷めてから頂きます」

後輩「私の淹れた熱湯が飲めないんですか?」

男「誰だって熱湯は飲めないよっ」

後輩「ふぅぅん」

男「な、何で怒ってるの!?」

霊女「男君が悪いのよー」

男「そ、そんな...せっかくサークル入ろうと思ってきたのに......」

後輩「!?」

霊女「れれ?そうなの?」

男「うん」

後輩「ほ、本当ですか!?」

男「だ、だからそうだってば....」

後輩「ならこの紙にサイン印鑑を!」

男「早っ!」




後輩「これで先輩もめでたくオカ研の一員ですね」

男「めでたくはないと思う」

霊女「でも何で入ろうと思ったのー?」

男「ん?霊女さんのためだよ」

霊女「私?」

男「うん 君をちゃんとした方法で成仏するためにさ」

霊女「えぇー?私まだ成仏したくないー!」

後輩「我が儘言わないでください亡霊のくせに」

霊女「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!ハンターハンターが連載ちゃんと終わるまで成仏したくないー!」

男「そんな無茶な!」

霊女「ヤダヤダヤダ!」

冨樫「再開したよ」
後輩「やったね霊ちゃん」

男「まぁまぁ とにかく今すぐにってわけじゃないんだよ」

後輩「男先輩だっていつ体を壊すかわからないんですからね?霊女さん!」

霊女「ぶぅぅー」

男「っても...成仏ってどうやんの?」

後輩「......」

男「?」

後輩「霊女さんの未練を晴らすことです」

男「未練?」

霊女「んにゃ 私の未練ね」

男「だからその未練って何!」

後輩「......」

霊女「......」

男「何この取り残された感」

霊女「ンフフフフ 男君には内緒ぉー」

後輩「ま、男先輩は取り残されたままでいいと思います」

男「ひどいや」

後輩「彼女から話す気が無いのなら私から何も無いですから」

男「うーむ」

霊女「まあまあ 時期が来たら教えてあげるからっ ね?」

男「気になるなあ」

後輩「本当にいざとなったらオカ研の総力を上げて成仏させますから」

男「おぉ頼もしい」

霊女「頼もしくなーい!」

後輩「だいたい霊女さんは男先輩に憑いて何をしたいんですか?」

霊女「んー?んー......んぇー......」

後輩「前も聞きましたけど、特に理由は無いんですね?」

霊女「まあ、うん」

男「まあ俺も1人でいるよりは霊女さんいたほうが楽しいけどなあ」

霊女「男君...」ウルウル

後輩「先輩がそうやって甘やかすからっ!」

男「まあまあ 今のところは問題ないんだし」

後輩「あってからじゃ遅いんです!」バン!

男「お、おう......」

後輩「...オホン 失礼しました」

後輩「.......少し真剣な話をします」

男「うん」

霊女「はーい」

後輩「私が小学生高学年のころに祖父のお寺にある依頼人が来ました」

男「依頼人?」

後輩「非科学的なので滅多に来ることのない依頼です」

男「わかった!除霊!」

後輩「その通りです 私も夏休みで丁度祖父の家にいたんですが、たまたまその依頼が入ってきたんです」

霊女「それでそれで?」

後輩「除霊にも色々なケースがありますが.....その依頼は対魔対人でした」

男「対魔対人?」ポカーン

後輩「簡単な話 人間に憑依した霊魂を強制的に除霊する依頼です」

男「ふむふむ」

霊女「強制的に.... 」ガクブル

後輩「そして依頼人はある霊能者....まあ正確にはその家族でした」

男「霊能者が依頼に来たの?」

後輩「取り憑かれたのが霊能者で、依頼をしてきたのがその家族です」

男「へぇ 霊能者でも取り憑かれちゃうのか」

後輩「当時は結構有名でしたよ」

男「誰!?誰!?」

後輩「プライバシーなので実名は避けますが、テレビにも引っ張りだこの人でした」

霊女「へぇー 私も知ってる人かにゃー?」

男「それでその人は仕事か何かで悪霊に取り憑かれたとか?」

後輩「仕事は仕事ですが ちょっとワケが違います」

男「???」

後輩「その霊能者は今の男さんと同様に自らに霊魂を憑依させていたんです」

男「....ふむ」

後輩「周りからは見えない霊魂と協力する事で、透視や心霊現象の解明をしていたようでした」

男「成る程、頭良いっちゃいいな」

後輩「と、思われるようですが実際はとても危険な行為なんです」

霊女「なんでー?」

後輩「霊魂というのはいくら強力な力を持っていても、生者を脅かす力を持つ霊魂は殆どいません」

男「ふむふむ」

後輩「それは生きているというだけで私達は凄まじいエネルギーを持っているからです 簡単に言うとですけど」

後輩「俗に言う【祟り】という現象も普通の霊魂には起こせない現象です」

男「普通の?」

後輩「んー....まあここらへんは少し話が脱線してしまうので省きます」

男「あら」

霊女「幽霊の私から言わせてもらえば、祟りとかを起こすのはまた別の区分の存在ってことじゃないかにゃ?」

男「??」 

後輩「その通りです」

男「ちょ、ちょっと話について行けなくなってきている!」

後輩「むー...」

男「脱線してもいいから教えてくれっ」

後輩「全く....しょうがない先輩ですね」

男「お願い後輩ちゃん!」

後輩「ちゃん付け止めてください」

後輩「....本当に話が脱線してしまいますが、」

男「全然平気 後輩ちゃんの話面白いし」

霊女「うんうん!」

後輩「オホン!そ、そんなに煽てられるのは好きじゃないんですっ」

霊女「(ちょっと嬉しそう)」

男「(うむ 可愛い)」

後輩「なんですかっ?話してあげませんよ?」

男「お願いします!後輩様!」

後輩「......話すと言っても簡単にですけど」

男「(様付けは止めろと言わないんかい)」

後輩「別の区分と言うのは....まあ一般で言う神様に近い存在です」

後輩「まあ全知全能の神であったり、宗教のシンボルとして祀られているのとは少し違います」

後輩「例えばキリスト教では神様、つまりイエス・キリストが人間や世界を創造したと言われてますね」

男「アダムとイヴね」

後輩「えぇ ですがこの話で言う神様は人が創った神様です」

男「......人が?」

後輩「えぇ て、言うか神様なんて皆そうですけど」

男「でも言いたい事はわかるかも」

後輩「例えばの話、この部屋にお地蔵様があるとします」

男「うん」

後輩「それを壊したら....」

霊女「罰が当たる!と、誰もが言うと思う」

男「うんうん」

後輩「そうでしょう?でも何でそう思うんですか?」

男「そりゃお地蔵様だからでしょ」

後輩「そこなんです」

男「?」

後輩「日本人の宗教的な概念もありますが....言ってしまえばただの石像にもかかわらず不思議と崇めてしまう気持ち」

男「だってお地蔵様だなんて言われたらそう思うじゃん」

後輩「フフフ そんなムキにならないでください」

霊女「ププ」

男「むむ」

後輩「私が言いたいのは ただの石像や、ましてや石ころであっても人間次第では神様と同等に崇められる事もあると言うことです」

後輩「先程も言ったように、人間にはエネルギーがあります」

霊女「私には無いけどね」

後輩「そのエネルギーの一つに思念というものがあるんです」

男「思念?」

後輩「怨念であったり感謝であったり....様々ではありますが」

後輩「ただの石像であっても、たくさんの人々が敬い畏れることで石像は人々の間で神様へと成るんです」

後輩「その石像を壊した人がいるとします」

男「罰が当たるの?」

後輩「普通はそんな力は働きませんよ」

霊女「なあんだ」

後輩「ですが、石像を神様と崇めている人々がそれを知った場合です」

後輩「石像自体には基本的に力はありません が、崇めていた人々の思念が祟りとして現実に起こる事もあるようです」

男「....ようです?」

後輩「ここらへんはよくわからないんです」

男「そうなんだ」

後輩「祟りのような現象が起きる時もあれば起きない時もあります」

後輩「壊した本人に罰が当たる時もあれば、無差別に天変地異の現象が起きたり....まあこんなことは科学では証明できないしされない事なのですけどね」

男「んーでも説得力あるなあ」

霊女「日本人って神様好きだもんねえ」

男「トイレの神様とかね」

霊女「なにそれー?」

後輩「結局、祟りを起こすのも人間なんです」

男「なるほど」

後輩「石像を壊した人が祟り関係無しに怪我をした場合でも、祟りだと思われたりしますしね」

男「確かにそう思っちゃうかも」

後輩「まあ色々と謎の部分も多いですけど」

男「はぇー....」

後輩「で、話が脱線しすぎましたが 憑依させていた依頼人の話です」

霊女「今の私達のケースね」

後輩「霊能者に使役されていた霊魂は霊女さんのように会話が出来たり知能もある霊魂でした」

男「うんうん」

後輩「霊能者もその霊魂を利用して名声を得ていました.......ですが」

男「?」

後輩「使役されていた霊魂はある時、ふと考えてしまいました
『自分自身がその名声を浴びたい』と」

後輩「その思いが強くなってしまいある悲劇を生みます」

霊女「悲劇?」

後輩「その霊魂は自身の欲望を抑えきれずに暴走してしまいました」

男「まさか、」

霊女「暴走?」

後輩「いちいち小ネタ挟まないでください」

後輩「本来霊魂には欲望は存在しません」

霊女「それはわかるかも」

後輩「けど霊女さんも男さんと出会ってから、見たいものや知りたいものなどあるんじゃないんですか?」

男「言われてみれば」

霊女「確かに...」

後輩「まあそのくらいなら可愛いものですけど」

霊女「可愛いだなんて...」

後輩「ですが、人間と精神を半ば共有させることで霊魂はより人間に近付きます」

男「ふむ でも何で暴走?」

後輩「本来欲望など無い霊魂が強く欲望を抱いてしまったからです」

男「......つまり抑えきれなかったと?」

後輩「えぇ 暴走した霊魂は無理やり霊能者の人格にに取り憑きます」

男「じ、人格乗っ取っちゃうってこと!?」

後輩「まあそういう事です」

男「ひぇぇ」

後輩「確かにちゃんとした手順を踏めば、人格そのものは半日程度なら霊魂に貸せる事も出来ますが」

霊女「ホントに!?」

男「うぉぅ すげぇ食い付き」

後輩「まあ暴走してますから、そのような手順なんて踏まずに無理やりに霊能者への精神へと入り込みました」

男「ど、どうなっちゃったの...?」

後輩「結果、霊能者は精神崩壊......祖父の所に来たときは既に生きた躯と化していました」

男「........」ゴクリ

後輩「霊魂だって悪気は無かったんです 霊能者と霊魂はとても親しい仲だったそうですから」

男「けど暴走しちゃったんだね」

後輩「結局、霊能者に憑依していた霊魂そのものは強制的に除霊はしましたが、霊能者自身は鬱病と判断されたままの状態です」

男「マジか....」

後輩「まあ精神持ってかれてますからね」

霊女「男君!あ、安心して!私は名声とかいらないから!」

男「いやそれはわかるけど」

後輩「お互い大丈夫だと思っていても危険なんですよ?」

男「うーむ...」

霊女「私が変な気を起こさなきゃいいだけでしょ?」

後輩「無意識に起こしても駄目なんです」

霊女「ぶぅー」

後輩「男先輩が美味しいものを食べててその味が気になったり」

霊女「あぅ」

後輩「そんなのでも糸口になるんですよ?」

霊女「あぅぅ....」

男「成る程」

霊女「欲望かぁ」

後輩「とっとと成仏すればいいだけの話ですけどね」

霊女「ひっ、ひどい!」

男「まあ俺も鬱病にはなりたくないし....」

霊女「男君までっ!?」

男「いやまあとっとと成仏しろだなんて思ってはいないけどさ」

後輩「ダラダラとしていると本当に危ないんですよ」

霊女「ぶぅー....」





そんなこんなで1ヶ月後

男「うぅ」

店長「おいおい男、顔色悪いぞ?」

男「なんか風邪みたいで....」

店長「そうか」

後輩「店長、私が一時間延びるので男先輩は先にアップさせてあげてください」

男「後輩ちゃん....」

店長「ん OK」

男「ふぅ....」

後輩「........(チラッ」

男「ありがとね、後輩ちゃん」

後輩「いえ」

霊女「平気?」

男「まあなんとか....」




ーーー帰宅後

男「寝付けん....」

霊女「大丈夫ー?」

チンポーン!

男「ん....?誰だろ」

後輩「まったく不用心ですね 鍵も掛けないなんて」

霊女「後輩ちゃんでしたー」

男「後輩ちゃん....今日はありがとね」

後輩「いえ あんな使い物にならない先輩がいても周りが迷惑しますから」

男「ハハハ...確かに......」

後輩「寝付けないんですか?」

男「......んー、まあ」

後輩「でしょうね」

男「...?」

後輩「先輩は風邪なんかじゃないです」

男「?」

霊女「?」

後輩「そろそろ、本気で成仏に関して考える時が来たようです」

男「....ふむ」

後輩「1ヶ月も憑依させてたら誰だって体調壊しますよ?ていうか凄すぎます」

霊女「........」

後輩「いい加減に男先輩も戻れないところまで体壊しちゃいまくよ?」

男「マジか....」

霊女「........」

後輩「霊女さん」

霊女「ヤダ!」

男「なっ」

後輩「むっ」

霊女「ヤダ!!私はこのまま男君と一緒にいるんだもん!」

後輩「それは男先輩の魂を持って行くと言う事ですか?」

男「えぇ!?」

霊女「そ、そんなわけじゃなくて.......」

後輩「だったら」

霊女「私はただこのまま男君に引っ付いて....」

後輩「引っ付いてたら男先輩が死ぬって言ってんのがわかんねえのかよ!!」

男「お、おぅ.......」

霊女「あぅ....」

後輩「........す、すいません」

男「まあ後輩ちゃんがマジなところ見ると...、俺もヤバいってことか」

霊女「ちょっと1人になる....」

男「あっ、ちょっと」

霊女「.......」フラー

男「隣の部屋に行っちゃった」

後輩「....」

男「平気?」

後輩「......ひ、引きました?」

男「いや引かないけど 変に心配かけてるみたいでゴメンね」

後輩「先輩事なんて心配なんてしてませんよ」

男「はいはい」

後輩「......嘘です 少し心配しています」

男「おぉ」

後輩「男先輩はハッキリしない人なので、あのまま霊女さんに道連れにされてしまいそうなので」

男「道連れ......」

後輩「生者の精神と亡者の精神は決して相容れません」

男「...」

後輩「......あ、あの先輩」

男「ん?」

後輩「そ、、その、今度の休み、私の実家に来ませんか?」

男「後輩ちゃんの実家?」

後輩「はい」

霊女「ハァ......」

男「あっ、戻ってきた」

霊女「隣の部屋のカップルH始めた......」

男「マジスカ」

後輩「と、とりあえず 男先輩も霊女さんも私の実家に来てください」

霊女「後輩ちゃんの実家ぁ?」

男「ん お寺」

霊女「ヒッ!?強硬手段!?」

後輩「そうは言ってません」

男「後輩ちゃんの実家ってどこだっけ?」

後輩「ーーです」

男「遠いなあ」

後輩「私の祖父に言えば新幹線の券を取ってもらえますから」

男「そ、そこまでしてもらわなくても」

霊女「.....」

男「霊女さん?」

霊女「私、その後輩ちゃんの実家で成仏させられちゃうの?」

後輩「......他の方法もあるかもしれないから、....実家に行くんです」

男「他の方法?」

霊女「あるの!?」

後輩「あっても延命方法くらいだと思ってください」

霊女「んもう!後輩ちゃん大好き!!」

後輩「ちょっ!抱きつかないでください!亡霊のくせに!」

後輩「で、す、が」

霊女「?」

男「?」

後輩「私の実家に行くのは一週間後です それまで霊女さんには私と一緒にいてもらいます」

男「後輩ちゃんと」

霊女「......一緒?」

後輩「簡単な話、私に憑いてもらいます」

男「だ、大丈夫なの?」

後輩「えぇ」ガサゴソ

男「?」

霊女「なあにそれー?」

後輩「今日実家から届いたんです」

男「おぉ、霊的な道具?」

後輩「はい」

霊女「ヒッ、除霊させられちゃうの!?」

後輩「そうじゃありません」

男「それを使う事で憑依されるってこと?」

後輩「えぇ」

霊女「にゃあにそれー?」

男「指輪?」

後輩「魔導輪と言います」

男「ま....」

霊女「マラドーナ?」

後輩「霊女さんは少し黙っていてください」

後輩「私の実家で作られた特殊封魔の指輪です」

男「えっと、何がなんだか....」

後輩「失礼しました まあお二人の言うとおり、この指輪を着ける事で霊女さんに憑依してもらうことができます」

男「へぇー」

霊女「それって結構すごい道具なんじゃ...」

後輩「えぇ かなり貴重と言うか......素材の一部に私の歯を使用していますから」

男「歯っ?」

後輩「特殊なチタン合金と私の歯と....まあその歯をある液体につけて作られたのがこの指輪です」

男「なるほど....後輩ちゃんの歯ってすごいんだな」

霊女「うんうん」

後輩「別に私の歯はあまり関係が無いのですが....」

男「へ?そーなの?」

後輩「本人の歯が錬成されている指輪だからこそ意味があるだけです」

男「んー、つまりその指輪は後輩ちゃんにしか効力が無いってこと?」

後輩「そういうことです」

男「それって俺でも作れるのっ?」

後輩「男性の方では作れれません」

男「えぇぇ....何で?」

後輩「そ、それはその...女性にしかできないからです」

男「??」

霊女「ある液体に漬けるって言ってたけどある液体ってにゃーに?」

後輩「秘密です」

霊女「えぇー!?」

男「ここはベタに血とかじゃない?」

後輩「っ、....秘密です」

男「ッチェ、教えてくれてもいいのに


後輩「とにかく!この指輪を装着することで一週間程度は余裕なんです!」

男「は、はい」

霊女「後輩ちゃんに憑かなきゃいけないのかー だるいなあー」

後輩「今 ここで 消してあげてもいいんですよ?」

霊女「ヒイィ!」

男「まあまあ 霊女さんは一緒にいて結構楽しいから」

後輩「む」

霊女「あぁん男くぅーん!離れたくないよー!」

男「うんうん残念ですなー」

霊女「全然残念そうじゃなーい!」

後輩「つべこべ言わずに....!ゴニョゴニョゴニョ」

霊女「られっ?」

後輩「えいっ!!」

霊女「....!!!」

男「うおっ?」

男「な....なんか肩が軽く....」

霊女「なんか居心地?が違う!」

後輩「ふぅ 完了です」

男「随分と呆気なく....」

後輩「こんな儀式 私の手にかかれば簡単です」ホッ

男「(ホッとしている....)」

霊女「んんん....この感じ......」

男「感じ?何か違うの?」

霊女「そりぁもちろん違うにゃー」

霊女「男に憑いてた時より........んんん、なんかこう....」

後輩「居心地悪いって言いたいんですか?」

霊女「むしろいいような....」

後輩「フッ まあ先輩なんかといるより私と同じ障気のほうがいいでしょう」

男「同じ女性同士だからかな?」

後輩「さ、儀式も終わった事だし帰りますよ?」

霊女「えぇぇ!?」

男「もう帰っちゃうの?」

後輩「あ、あまり長居しても迷惑ですし」

霊女「そんなことないよ!ゆっくりしていきなよ!」

男「いやお前が言うな」

後輩「体調は平気なんですか?」

男「ん なんか熱も下がったみたいだし」

後輩「回復早いですね.... 良くも悪くも霊媒体質は強いってことですか」

男「なのかなー?」

霊女「男君はね、後輩ちゃんが来た時用に冷蔵庫にアイスを置いてるんだよ?」

男「ちょっ」

後輩「にょっ」

男「にょ?」

後輩「にゃ、何でもないです」

男「まあ後輩ちゃん白くまアイス好きだから買っといたんだ」

後輩「ふ、ふぅーん 何ですか?私を家に招く予定だったとかですか?」

男「んー まあ三人でゆっくり話せるってなると俺の部屋とかしか無いわけだし」

後輩「そそそそそうやってまた私を部屋に入れるつもりだったんですか?アイスを餌に」

男「いやそんなつもりは無いけど」

後輩「先輩は知らないんですか?」

男「へ?何を?」

後輩「その、私たち....なんか噂に...なっていると言うか......」

男「噂??」

後輩「せっ、先輩の部屋に私が泊まった事とかです!」

男「ええ?でも霊女さんだっていたし」

後輩「周りから見ればか弱い後輩を悪い先輩が無理矢理に連れ込んだ構図です!」

男「えぇ!?無理矢理じゃないし悪くもないし、か弱くないじゃん!」

後輩「失礼ですねっ か弱いんですよ私?」

霊女「まあまあ2人とも痴話喧嘩なさるにゃよー」

男「それに俺は後輩ちゃんを部屋に連れ込んだ事なんて誰にも話してないけど....」

後輩「にょっ」

霊女「........ハッハーン」

後輩「見られていたらしいんですっ!えっと、なんか誰かが目撃していて!」

男「そうなの?」

後輩「そうです!」

霊女「本当は後輩ちゃんが自分から」

後輩「カルマ!」

霊女「ッー.......ふにゃぁ」

男「えぇ!?何したの今!?」

後輩「オホン 少し霊女さんを落ち着かせただけです」

霊女「力が急に抜けちゃったにゃぁ」

後輩「ま、先輩がそこまで言うのならゆっくりしていってあげてもいいんですけど....」

男「そこまで言った覚えも...」

後輩「今日は帰らせていただきます」

男「そっか」

後輩「また明日来ます」

男「明日!?」

後輩「ええ 不都合ですか?」

男「え、でも俺バイト入ってるよ?後輩ちゃんは?」

後輩「入ってないです」

後輩「ですから先輩がバイト終わってからでいいです」

男「それじゃあもう夜遅いよ?」

後輩「明後日は大学休みですよね?何か予定ありました?」

男「無いけど....」

後輩「なら夜中まで起きていても平気じゃないですかっ」

男「いやまあそうだけど」

後輩「とにかく!また明日です!」

男「(後輩ちゃんのペースに流されてしまった......)」

後輩「じゃあ先輩 私は帰ります」

霊女「じゃあね男君 」シクシク

男「うん あんまり迷惑かけないようにね」

霊女「はぁーい」ションボリ

後輩「それではまた明日」

男「うん」




 その夜

男「暇だ......」

男「なんていうか嵐が来ないというか」





後輩の部屋

後輩「汚さないでくださいね 」

霊女「失礼ねー お邪魔しまーすっ」

後輩「ハァ」

霊女「へえー 全然女の子の部屋っぽくないー!」キャハハハ

後輩「う、うるさいっ!」

霊女「まあ後輩ちゃんらしいと言えばらしいかにゃー」

後輩「それフォローになってないですから」

霊女「これから一週間は後輩ちゃんと一緒なの?」

後輩「えぇ」

霊女「こ、この一週間の間に何をされちゃうのかな....」ガクブル

後輩「とくに何かをしたり、準備をしたりと言うことは....無かったりあったりですね」

霊女「あるの!?」

後輩「ま、強いて言うならあなたの心の準備ですね」

霊女「あぅ」

後輩「実家に行ってもあなたにとって良い結果となるとは言えませんし」

霊女「それはまあ....しょうがにゃいかもだけどぉー」

後輩「とにかく、男先輩にこれ以上憑くと本当に危なかったんです」

霊女「それで男君の為にわざわざそんな立派な道具を実家から送ってもらったのね」

後輩「別に男先輩のためでは」

霊女「いつから好きなの?」

後輩「....だ、だから......」

霊女「女の子同士にゃんだから教えてよー」

後輩「うぅ......」

霊女「誰にも言わないから!」

後輩「誰にもって....」

霊女「まあ男君もねえ....鈍感なのか....鋭いのか.......」

後輩「鋭いんですか?あの人が?」

霊女「んんん、まあなんとなく」

後輩「私からしてみれば鈍感というか、ただの天然たらしな男性という印象ですけど」

霊女「あぁー それで後輩ちゃんも男君に垂らされちゃったと」

後輩「た、垂らせてないですっ」

霊女「そのお胸もいつかは垂れるのよ?」

後輩「塩撒きますよ?」

霊女「うそっ!冗談!」

後輩「霊女さん、男先輩に変なこと言ってないでしょうね?」

霊女「た、多分....」

後輩「多分?」ジロッ

霊女「変な印象持たれるようなことは言ってないからっ!」

後輩「本当に?」

霊女「多分!」

後輩「おい」

霊女「そりゃ後輩ちゃんが男君のこと好きとか間違っても言ってないよ?」

後輩「ていうか何で私が男先輩のことを好きってことになってるんですかっ」

霊女「えぇー?好きなんじゃないの?」

後輩「そ、それは....まあ、周りの男性の中ではその、....いや、気になるというのは嘘にはならないような....」

霊女「いつから気になってるの?」

後輩「そ、それは........」





一、二年くらい前

モブ『へえ、じゃあ男君もこっち来る前はモスドナルドで働いてたんだ』

男『はい でもこっちはやっぱりお客さん多いですね』

モブ『っても売り上げは下がってるんだけどねえ』

男『そうなんですか』

モブ『っと、そんなことより男君って▼▼大でしょ?』

後輩『っ』ピクッ

モブ『後輩ちゃんも確か▼▼大狙ってるって聞いたけど』

男『後輩ちゃん?』

モブ『あ、この子だよ うちの看板ガール』

後輩『変な呼び方しないでください』

男『今高校三年生?』

後輩『はい』

モブ『後輩ちゃん、男君に勉強教えてもらいなよ』

後輩『結構です 私はAOで狙いますから』

モブ『AO....』

男『あぁ 今年から▼▼大もAOを始めたみたいですからね』

モブ『いいなあ AOって受かれば受験勉強しなくていいんでしょ?』

男『受かればですけどね』

後輩『あなたはセンターですか?』

男『うん それとあなたじゃなくて男でいいよ』

モブ『男“先輩”でしょう』

後輩『根暗先輩』

男『うごっ 根暗に見えますかね....』

モブ『否定はできないけどね!』

男『そ、そうですか』

後輩『失礼しました 男先輩』

男『う、うん....』

男『後輩ちゃんは』

後輩『ちゃん付けは止めてください 気持ち悪いので』

男『えぇ!?』

モブ『アハハ 後輩ちゃんは結構キツいからさー』

後輩『....ッ』ピクッ

男『後輩ちゅわん』

後輩『ぶちますよ?』ゲシッ

男『ぶってるよね』

藤江何やってんの?こいつ一軍に上げた理由なんだよまじ





ある日

後輩『いらっしゃいませ』

酔爺『コレよこせ!』

後輩『? え、えっとフィッシュ』

酔爺『これだよ阿呆!わかんねーのか!』

後輩『す、すいません....』カチン

酔爺『おう!?早く出せよ!』

後輩『2分ほどお時間が掛かりますが』

酔爺『アァ!?』

後輩『........』チラッ

周り『ッ、....』知らんぷり

後輩『......、お持ち帰りですか?)』

酔爺『ったりメーダロ!セットな!』

後輩『セ、セットのお飲み物は』

酔爺『コーラだって何回言ったらわかんだよ!』

後輩『(まだ一回も....)し
し失礼しました....』

酔爺『ったく....でけえのはチチだけか阿呆が』

後輩『ッ....ご用意しますのでお待ちください』


モブ『わっり!後輩ちゃん!』

店員『俺らとかならキレちゃうからさー』

後輩『はぁ』

モブ『そうそうキレちゃうから頼むわっ!ごめん!』

店員『俺とかがキレちゃったらヤバいからなー』

モブ『そそ!ヤバいからね!』

後輩『(情けない人達....)』

男『どうかしたの?カウンター騒がしいけど』

後輩『む 根暗先輩には関係無いです』

モブ『いやこよフィッシュバーガーの客が酔っ払っててさ』

店員『大方そこの場外馬券場で負けたんだろうな』

男『ふーん』

後輩『........』

男『ああいった客って多いんですか?』

モブ『とうだか?あそこまで酷い酔っ払いは珍しいよ』

店員『俺だったらキレてるなぁー マジワンパンだわ、ワンパン』

後輩『(そんな細い腕で......)』

男『ふーん....』

酔爺『オラまだかー!?お客様を待たせるんじゃねーべらんめぇわ!』

後輩『だそうです 早くしてください根暗先輩』

男『まだ揚がるのに1分かかるよ』

後輩『....』

ーーー1分後

男『よし、できたできた』

後輩『遅いです』

男『いいよ 俺が出すから』

後輩『え?』

男『あの酔っ払いのでしょ?』

後輩『そ、そうですが....』

男『大変お待たせしましたー』

酔爺『てめぇ!いつまで待たせんだ阿呆!』

男『いやあどうもスイマセン』

酔爺『それでもアレか!?接客かあ!?』

男『仰る通りです(棒読み)』

酔爺『よこせ!』ブンッ!

男『うぉっ ありがとうございましたー』

後輩『........』

モブ『ハハハ 男君ビビりすぎ』

店員『俺だったら泣かせてるよ?あんな奴』

男『いやあビビったビビった....』

後輩『ビビりすぎです』

男『凄い酒臭かった....』

店員『カッコ悪いなー もー』

男『いやぁ、スイマセン本当に』

後輩『........』

男『?』

後輩『と、とっとと厨房戻ってください』

男『ハイハイ戻りまーす』




アップ後

男『お疲れ様でしたー』

後輩『あっ』

男『あれ?後輩ちゃんまだいたの?』

後輩『スケジュールを提出するので』

男『あ、そう言えば提出しなきゃ』

後輩『あなたはどこか抜けていますね』

男『そうかな?』

後輩『それとこれ、あげます』

男『おぉ!?ジュース!!』

後輩『さっき間違えて買ってしまったので』

男『喉乾いたし遠慮なくー』

後輩『えぇ どうぞ』

男『頂きます!』プシュー

後輩『(さっきはありがとうございました さっきはありがとうございました さっきはありがとうございました)』

男『ゴクッゴクッ』

後輩『あ、あの さっきはありがッー』

男『ブッフェーー!?』

後輩『ッとう........』

男『な、なにこのジュース!?ッゲホッゲホ』

後輩『......ごぼうジュースですけど』

男『ごぼう!?そんなのジュースであるの!?てかどんなチョイス!?』

後輩『ハァ........』

後輩『まったく....汚いですね、“男先輩”は........』

男『お?根暗からランクアップしてる』

後輩『マイナスからゼロに戻っただけです』

男『確かにー』ゴクッゴクッ

後輩『結局飲むんですね』

男『プハァ このごぼうの苦みと炭酸の相性が最悪ね!オェッ』

後輩『汚いです 全身にモザイクかけてください』

男『にしても....ゴクッゴクッ 夕方の酔っ払いの人やばかったね』

後輩『は、はい』

男『怖いからもう来ないでほしいなー』

後輩『先輩どんだけビビりなんですか』

男『いや、まあスイマセン』

後輩『それに出しゃばって商品まで出しちゃうし』

男『流石に女の子には対応させられないでしょアレは....』

後輩『(ありがとうございます ありがとうございますって言え私ッ!)』

男『どうしたの?』

後輩『........あ、ありが』

男『蟻?どこ?』

後輩『........気のせいでした』




霊女「ふーん....」

後輩「まあ、男先輩は天然の間の悪さみたいなのを持っていると思います」

霊女「いやいや....後輩ちゃんも結構チョロい上に奥手だねぇ」

後輩「ちょ、チョロくなんてないです!」

霊女「いやぁーどうだか」ニヤニヤ

後輩「むぅ!」

霊女「初恋はいつ?」

後輩「初恋....は、........」

霊女「あー 現在進行系ね」

後輩「....オホン」

スンマ センチネル・ストーム・コレダー

霊女「男君は押しには弱いと思うんだけどなー」

後輩「どうでしょう?」

霊女「だって私が憑かせてって懇願した時とかもOKしてくれたし」

後輩「....確かに」

霊女「まあ私が可愛かったってのも大きいかもだけどね ウフフ」

後輩「何を言ってるんですかこの亡霊は」

霊女「でも付き合ってもないのに男君の家に行ったことあるってのも変な話だよねぇ」

後輩「あの人はあまり他人の目は意識していないようですから」

霊女「つまり、後輩ちゃん以外の女の子も簡単に連れ込む可能性もあるってことだニャ」

後輩「ま、まあ男先輩に限っては.....」

霊女「何ちょっと心配になってるのー?」

後輩「む」

霊女「男君は後輩ちゃん以外の女の子とは殆ど連絡取ってないよ?」

後輩「そ、そうですか」

霊女「携帯とかもあまり触らない人だからねえ」

後輩「............」

霊女「?」

後輩「参考までに聞きますが、霊女さんって恋人はいました?」

霊女「私ー?んー、いたよー」

後輩「そうですか」

霊女「後輩ちゃんが私にそんな質問するなんて珍しー!」

後輩「....それが貴女の死の根幹であるなら気になります それだけです」

霊女「........フフフ 気になるんだ」

後輩「えぇ」

霊女「あんまり面白くないよ 話しても」

後輩「話したくないんですか?」

霊女「んんんー....」

後輩「無理には聞きませんよ」

霊女「............男君がいる時に話そうな....」

後輩「そうですか」

霊女「本当にくだらないしオチも無いしつまらない話だよ?」

後輩「別にオチも面白さも求めてはいないんですが」

霊女「そう?それに少し記憶も断片的だし....」

後輩「それでもかなり記憶や知識のある方ですよね」

霊女「んー 知識があるっていうより、見ると思い出す感じ?」

後輩「記憶が掘り起こされる....と?」

霊女「そうそう!この間もテレビに“嵐”が出てて初めて思い出したの!それまではそんなグループ頭の中には無かったのに見た瞬間にっ」

後輩「フムフム」

霊女「いつの間にか30代だなんて....」

後輩「それと一緒に当時の記憶とかも思い出すんですか?」

霊女「んー?記憶っていうかテレビでドラマ見てたなーとかは思い出せるよ?」

後輩「成る程....」

後輩「それでは、私は就寝に入りますので」

霊女「はーい」

後輩「くれぐれも煩くしないでください」

霊女「どうしよっかにゃー」

後輩「静かにさせることもできますが」ジャラッ

霊女「ハッ!?ヤバそうな数珠....」

後輩「平和的に静かにしましょうね?」

霊女「わ、わかったにゃー」







後輩「........んんん」

霊女「おはよう!」

後輩「........」ジャラッ

霊女「なぜ数珠を!?」

後輩「あっ 私が招いていたんでした....忘れていました」

霊女「わ、忘れないでね」

後輩「........」

霊女「グッスリ眠れた?」

後輩「身体的にはあまり影響は感じないですね」

霊女「身に付けてる道具のおかげ?」

後輩「えぇ」

ドスコーソ最高じゃ!

後輩「........」シャコシャコシャコ 歯磨き中

霊女「フムフム」

後輩「モグモグモグ」

霊女「なるほどパンなのね....」

後輩「バシャッ....」

霊女「ご飯の後に洗顔するんだ」

後輩「........」シャコシャコシャコ

霊女「また歯磨くのね....」

後輩「もう!うるさいですよさっきから!」

霊女「あぁん 怒っちゃヤ」

後輩「可愛い子ぶらないでください...同性相手に」

霊女「今まで男君の暮らしを見てきたから何かと新鮮でねぇ」

後輩「せ、先輩の暮らし....」

霊女「朝ご飯は基本的にご飯と梅干しと卵だけだし」

後輩「質素ですね」

霊女「“プロテイン飲んでるから平気平気ー”だなんて言ってたけど」

後輩「まあ1人暮らしの男性はどうしても偏りがちなのでしょう」

霊女「後輩ちゃんが面倒見てあげなきゃね!」

後輩「にゃっ、なんで私が........」

霊女「可愛いねぇ後輩ちゃん....」

後輩「やめてください」

霊女「フフ」

後輩「そもそも私は可愛げが無いと言われる側なので」

霊女「そんなことないニャー 男君も可愛げあるって言ってたよ?」

後輩「クッ....気持ち悪い......!」

霊女「あんま嫌そうな顔してないね」

後輩「ちなみにどんなところが可愛げがあるか、参考までに聞いてあげますっ」

霊女「(そういうところかなー....)」

後輩「なにニヤニヤしてるんですか」

霊女「ウニャニャ ごめんごめん 男君は後輩ちゃんのこと褒めてばっかりだし」

後輩「そ、それは当たり前です」

霊女「ミスして店長に怒られてシュンとなってる後輩ちゃんが一番可愛いらしいよ!」

後輩「........」





大学

男「おはよう2人とも」

後輩「おはようございます」

霊女「おはよー!よく寝れた?」

男「うん 目覚めもスッキリだった!」

霊女「良かったねん」

後輩「そもそも疲れの原因はあなたですが」

霊女「うにゃ....ま、まあそれも解決したわけだし」

男「後輩ちゃんはその霊具?のお陰で平気なの?」

後輩「えぇ まあずーっと使用できるわけではありませんが」

男「おぉ....流石の寺生まれだぜ」

霊女「昨日はガールズトークで盛り上がったもんねー」

後輩「いえ全然」

男「今日俺んとこ来るだよね?」

後輩「えぇ」

霊女「男君の部屋楽しみー」

後輩「遊びに行くわけじゃないんですよ」

霊女「ブー!後輩ちゃんはチャンネル権を譲ってくれないんだもん!」

後輩「ったりめぇです!霊女さんはもっと教養のある番組を見るべきです!」

霊女「っけ 甘々の恋愛ドラマHDに録画してるくせに....」

後輩「今日は御札を持ってきました」サッ

霊女「ごめんねっ!!!」

後輩「先輩、この御札は念を込めて霊にかざすだけで効き目があるんです」

霊女「ヒィッ....」

男「はいはい その辺にしましょうねー」

後輩「ッチ....」

霊女「ホッ........」

男「仲良しなんだね二人とも」

霊女「えへっ☆」

後輩「そう見えますか?これが?」

男「うん 見ていて楽しいよ」

後輩「先輩が面白がってるだけじゃないですか」

霊女「んにゃー 私にも妹ができたみたッ........」

後輩「誰があなたの妹なんかにっ........どうかしました?」

男「........霊女さん?」

霊女「妹........?」

後輩「........ッ」 

男「???」

霊女「うぅッ........」

後輩「....何か思い出したんですか?」

霊女「........う............」

霊女「妹........妹女ちゃん............」

男「?」

後輩「おそらく、妹さんがいたんだと思います」

霊女「....ごめんね お姉ちゃんが............あぅ....」

男「だだだだ大丈夫なのこれ?」

後輩「平気です 多分」

男「多分て」

霊女「........うぐっ............」

後輩「霊女さん?」

霊女「........ッ ん....」

てす

後輩「えいっ!」

霊女「かはっ....!」

男「ッ........」ゴクリ

霊女「あ、....あれ?」

後輩「戻ったようですね」

霊女「あれ?あれ....?私........」

男「だ、大丈夫?すごいぼやけてたよ霊女さん」

霊女「はぅ....」

男「もしもーし?」

霊女「............」

後輩「どうやら、何か思い出したようですね」

霊女「うん........」

男「!!」

後輩「!?」

霊女「....はにゃ?........ど、どうかしたの?」

男「い、いやだって」

後輩「気付いてないんですか?」

霊女「?」

後輩「あなた、泣いてますよ」

霊女「....れ 本当だ」

男「まあ後輩ちゃんが泣かせたようなもんだね ウンウン」

後輩「....オホン」ビシッ

男「あだっ!」

霊女「にゃーんで涙が....」

後輩「それは悲しいからでしょう」

霊女「....んん」

後輩「あなたのような霊は初めて見ました」

霊女「?」

男「泣くのが珍しいってこと?」

後輩「いえ そういうワケではありません」

男「?」

後輩「基本的に霊魂となった場合には、死ぬ間際の感情や環境が大きく影響に出ます」

後輩「そして霊魂として現世に残る場合にはこの世に未練がある場合が多いのは....なんとなくわかりますよね?」

男「うん まあそんなのばっかみてきたからね」

後輩「怒りや悲しみといった負の未練が “ 死” に関係した霊魂はたくさんいます」

男「ウンウン」

後輩「そして幽霊には面白いことに、一つの感情に支配された存在が殆どなんです」

男「へ?支配?」

後輩「先輩、私達のバイト先のコンビニ前にいる女性の霊を知っていますよね?」

男「あぁー 電話ボックスの前で立ってる」

霊女「あぁー あの幽霊さん無反応だよねぇ」

後輩「あの女性には感情はありません まあ恐らくですが」

男「無い....とどうなるのさ?」

後輩「基本的にはどうもなりません」 

男「ふーん」

後輩「何を想うワケでもなく、ただそこにいるだけの存在です」

後輩「そして、そういった感情の無い幽霊は現世から消えやすいんです」

男「へぇー」

後輩「しがみつくモノがある存在ほどより強く濃く現世に残ります」

霊女「私ってそんなに未練がまきい女かにゃー」

後輩「まあ」

霊女「失礼なっ!私は確かサバサバしてるって....」

後輩「自分のことをサバサバしてると言い出す女性は地雷です」

男「(確かに)」

霊女「ウッ....さ、サバ........」

後輩「?」

霊女「........サバ........」

男「ま、また記憶が!?」

後輩「....」

霊女「........んー」

男「へ、平気?」

霊女「私、鯖嫌いだったの思い出した」

男「えぇ....」

霊女「光り物は苦手で....」

後輩「ハァ....話を戻しますよ」

霊女「ごめんなさーい」

男「幽霊の感情の話だったよね」

後輩「はい 霊魂は感情に支配されている、もしくはされやすいというお話です」

男「フム」

後輩「泣いている幽霊は兎に角泣き続けます 本人達は具体的に何が悲しいかわからず泣いている幽霊がほとんどです」

男「記憶無いの?」

霊女「ある子も結構見るよー?」

後輩「勿論記憶はどの幽霊にもあります 最初から覚えていれば、きっかけを原因に感情が爆発するタイプなど........まあ様々です」

男「へぇー」

後輩「原因がわかるだけで成仏する霊魂も割と多いんですよ」

後輩「とりあえずまたまた話が脱線しかけたので戻しますが....霊女さん」

霊女「はいっ!」

後輩「あなたのように場合によって涙を流したり、笑ったり、ただをこねたりと......一つの感情に支配されない幽霊は極めて稀です」

男「なるほどねぇ」

霊女「えへへ....///」

後輩「そうやって簡単に調子に乗ろうとするところも癪に触りますね」

男「んでもって霊女さんのさっきの発作みたいなのさ」

霊女「あぅー....なんか少しだけ思い出した気がするぅ」

後輩「妹さんでもいたんですか?」

霊女「........うん いた」

後輩「なぜ、謝っていたんですか?」

霊女「....わからないよ」

後輩「........」

男「........」

霊女「なんか、思い出せそうな気もするけど........」

後輩「ま、いいです」

男「いいんかい」

後輩「幽霊はデリケートなんです こんなのでも」

霊女「ぶぅー!酷い!」

後輩「適当に記憶を掘り起こしていけば成仏するでしょう」

男「適当に....」

霊女「後輩ちゃんもしかして私のこと........好き?」

後輩「何故そうなるんですか....」

霊女「私は後輩ちゃんのこと気に入っているんだけどなぁー」

後輩「そうですか ならこの霊具も気に入っていただけると(ジャラッ」

男「またすごそうな道具を」 

霊女「びえっ」

うし





前回までのあらすじ

恐山のイタコのタエコもびっくりな霊媒体質及び霊感を持つ大学生の男
祖父の家はお寺の系譜を持つ後輩(よくよく考えると寺生まれでもなんでもない)
なんかよくわからんけど仲良くなった霊女(なんかすごい)

ここで出会ったのも何かの縁
男と後輩は霊女を成仏させてあげようと暇つぶしがてらに策を考えるのであった

後輩「それで>>243でも言っていたように、私の実家に行きます」

男「うむ」

後輩「明日です」

男「うむ」

後輩「........」

男「..........」

後輩「先輩?」

男「何も準備してなかった....」

後輩「........」

男「いやあバイトはもちろん休みにしてあるんだけどね」

後輩「当たり前です シフト出す前に私がチェックしたんですから」

男「人が足りないって店長嘆いていたなあ」

後輩「夏休みにも入るころですし平気でしょう」

男「ていうか後輩ちゃん、お休みの理由何て言ったの?」

後輩「へ?帰省ですけど....」

男「そっか」

後輩「どうかしたんですか?」

男「いや、後輩ちゃんの実家にお邪魔するって言ったら皆知らないみたいだっから........」

後輩「ッ!?」

男「えっ?」

後輩「んなッ........!そ、そんな言ったら誤解されるじゃないですか!」

男「えっ........あっ、まあ確かにそっか....!」

後輩「言ったんですか!?」

男「だから皆騒いでいたのか....」

後輩「ううぅぅぅ....帰ってきたら絶対茶化される....」

男「俺はてっきり後輩ちゃんが皆に言ってるものだと....」

後輩「ハァ......」

男「ア、アハハハ」

後輩「何笑ってるんですか」

男「ス、スイマセン」

後輩「先輩、本当に彼女いたことあるんですか?」

男「うん」

後輩「幽霊とかじゃないですよ?」

男「後輩ちゃんも卒アルで見たでしょ」

後輩「....」

霊女「アハハハ、男君元カノと後輩ちゃんどっちが可愛い?」

後輩「にゃ!///」

男「そりゃあ後輩ちゃんの方が可愛いよ」

後輩「にゃ、にゃに言ってるんですか!」

幽霊(照れてる、手れてる)

男「何って、どっちが可愛いかと聞かれて」

男「後輩ちゃんの方が可愛いと思って」

後輩「///」

皆でしあわせになろうよ(げすがお)。
つ⌒(支)

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月26日 (火) 15:56:52   ID: 9VDluKMP

おもしろいね!

2 :  SS好きの774さん   2014年12月29日 (月) 03:45:57   ID: aUEAjOID

おもろい

3 :  SS好きの774さん   2015年07月13日 (月) 20:22:57   ID: jhxkNfZ-

続きに期待してる

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom