後輩「佐賀の良いとこ教えてください!」
先輩「なんもなか」
後輩「えっ」
先輩「なんもなか」
後輩「なんもないことはないですよね?」
先輩「いや、申し訳なかばってんが、なか」
後輩「先輩が思い当たらないだけじゃ…
あ、上司さーん!」
上司「ん?どがんしたとね?」
後輩「佐賀の良いとこ教えてください!」
上司「え?うーん…なか、かな」
後輩「」
佐賀県民に佐賀の良いとこはと聞いたら、基本なにもないと言う
後輩「いやいやいやいや、ご謙遜を…」
先輩「だって…ねぇ?」
上司「ねぇ?」
後輩「なんですか!」
先輩「20年以上住んどるばってん、正直なんもなか」
上司「なんかすっないまわりの県に行った方がよか思いのでく」
後輩「えー?例えばどんなですか?」
先輩「嬉野温泉武雄温泉のあるばってん、温泉ないば湯布院の近くにあっ」
上司「海に幸ないば呼子のイカのあっばってん、それ以外は長崎の方がうまか」
先輩「買い物すっないば福岡行った方がよかもんの安う買ゆっ」
後輩「あ、有明海があるじゃないですか!」
先輩「あれは佐賀だけやなし、福岡も長崎も熊本も所有権ば主張しよる」
上司「まぁ、別に有明海のあってん佐賀のよかとこては言えんやんね」
基本的に佐賀県民は卑屈
後輩「わかりました!」
先輩「なんの」
後輩「私が佐賀の良いとこを探します」
先輩「うん、頑張りんしゃい」
後輩「なにいってるんですか先輩!先輩と一緒にですよ!」
先輩「えっ」
後輩「次の休みに二人で出かけましょう!デートですっ!」
先輩「」
後輩「まずは観光地のようなとこから調べましょう!ネットです!」
先輩「観光地とかないと思うよ」
後輩「なにいってるんですか!あと、緊張しないっ!」
先輩「佐賀、観光地で検索っと」
後輩「無視しないでくださいっ!」
先輩「あ」
後輩「お、早速なにか見つけましたねっ!?どれどれ~」
----巨石パーク----
後輩「…なんですか、これ」
先輩「えっと…大きな石が沢山ある公園だね」
後輩「」
先輩「よく釣りにいったなー」シミジミ
佐賀には巨石パークという巨大な石が沢山ある観光地がある
後輩「次いきましょう次!」
先輩「巨石パークはなしか」
後輩「当たり前でしょ!デートで石見てどうするんですか!」
先輩(目的が良いとこ探しからデートに変わってる…)
先輩「あ」
後輩「今度はなんですか!?」
----佐賀市大隈記念館----
後輩「」
後輩「修学旅行じゃないんですから!お願い!」
先輩「ご、ごめん」
先輩(修学旅行系がダメないこいもダメかなー…)カタカタ
先輩(こいも、こいも、こいも…)カタカタ
先輩(あれ?佐賀県て修学旅行向けのとこの妙におおかな)カタカタ
先輩「で、で、で、デートなら普通にモラージュとか佐賀ゆめとか大和ジャスでいいんじゃ…」カタカタ
後輩「佐賀以外にもあるからダメです!」
先輩「」
後輩「あ、ここ良いじゃないですか!」
先輩「え…ここぉ?」
----吉野ヶ里遺跡公園----
後輩「さ、休みになりました!」
先輩「誰に言ってるの?」
後輩「まぁまぁ良いじゃないですか!早速行きましょう!」
先輩「車は出すよ」
後輩「りょーかいです!」
今日はここまで
おやすみなさい
誰か見てたら嬉しいな
<吉野ヶ里遺跡公園>
後輩「なんの寄り道もせずにつきました!」
先輩「寄り道する場所がないだけだけどね」
後輩「まぁたそんなこと言って!卑屈にならないでくださいよー」
先輩「卑屈じゃなくて、正直なだけだよ」
後輩「緊張してるんですか?標準語になってますよ?」
先輩「で、今日はここでなんばすっとや?」
後輩(スルーされた…)
「今日の体験は勾玉作りと火起こしですね」
吉野ヶ里遺跡公園では毎日のように弥生時代の体験学習のようなものが開催されている
ここで凡ミス
吉野ヶ里遺跡公園じゃなくて吉野ヶ里歴史公園ですた
これも脳内補完おなしゃす
----勾玉作り----
係員「はい、頑張って削ってくださいねー」
後輩「え?もしかしてこのブロックから削り出すんですか?」
先輩「ブロック言うなブロック」
後輩「ここからあの綺麗な勾玉の形にするのってだいぶえらいですよ」
先輩「こんなん自己満足だから大丈夫だよ」
後輩「自己満言わないでください」
勾玉作り 縦5センチ横3センチ程の長方形の勾玉の原石を砥石で削って勾玉の形を作る
完成品は持ち帰りok
----一時間後----
後輩「できました!」
「我ながらなかなかの出来だと思うんですが、先輩どうですか?」
先輩「」黙々
後輩「せ、先輩?」
先輩「ん?あぁ、ごめん集中してた」
「あ、できたんだ!なかなか上手いじゃん!」
後輩「へっへーん!先輩はできましたか?」
先輩「まぁ、一応」
後輩「どれどれー…うっ」
先輩「?」
後輩(でら上手い…だと…!?)
後輩「先輩、上手すぎじゃないですか?」
先輩「あー…偶然だよ、ぐーぜん」ニコニコ
後輩「ぐ、ぐーぜん…」
先輩「そうそう、ぐーぜん」ニコニコ
後輩「…気を取り直して、火起こしに行きましょう!
先輩「おー!」
----火起こし----
係員「これで火を起こしてくださいねー」っ道具
後輩「おー、だいぶ本格的ですねー」
先輩「って言ってもかなり楽につけれるようにはなってるけどね」
後輩「もー!夢のないこと言わないでくださいよー」
先輩「ん、ごめん」
後輩「では、さっそくやりましょう!」
五分後
後輩「(´・ω・`)」シュコシュコ
先輩「」シュコシュコ ボッ
十分後
後輩「σ(`・ω・)」シュコシュコ シュー
先輩「」メラメラ
二十分後
後輩「(*´ω`*)」ボッ
先輩「」プシュー
後輩「やっとつきました!先輩はつきました…か…?」
先輩「あ、おめでとう」
後輩(もう燃え尽きてる…だと…!?)
----帰路----
後輩「先輩、今日輝いてましたね」
先輩「え、そうかな?」
後輩「そうですよ!勾玉もまあ上手かったですし、火起こしも早かったですし!」
先輩「あー…実はね、結構よくきてたんだ、あそこ」
後輩「吉野ヶ里ですか?」
先輩「うん。実家がここら辺でさー。小学校も中学校もここら辺だったから、一年に一回課外授業で行っててさ、もとが手先が器用だったこともあって、上手くなってっちゃって…」
後輩「そ、そうだったんですか」
先輩「引かれたかな…?ちょっと地味すぎるよね」
後輩「そんなことないですよ!」
「手先が器用ってうらやましいです!火起こし」はやいって、もし遭難したら役に立ちますし!
先輩「そんなに無理にフォローしなくても…」
後輩「無理じゃないです!今日の先輩、でらかっこよかったです!」
先輩「!?」
後輩「え、いや、その…私なに言って…」
先輩「…そう、ありがとうね」ニコッ
後輩「っ」
先輩「さ、せっかくの休みなんだからはよ帰ろうか」
後輩「…はい」
後輩「ばか」ボソッ
先輩「?」
後輩(佐賀にはいいところがたくさんある
まだ行ったこともないところがたくさんあるけど、きっとどこも良いとこなんだろう
彼らはそれに気付かないだけなんだと思う
近くにあると大事なものには気付かないものなんだと、私は今日気付いたから)
先輩「?」
後輩(この人は手先が器用で、物わかりが良いくせに、女の子に弱くて、変なところで不器用で、気付かないふりをして…本当に気付いてないだけかもしれないけど)
先輩「どうかした?」
後輩(でも、私はそんなこの人のこと、ちょっと…ちょっとだけ、振り向かせたいのかもしれない)
後輩「なんでもないですよ!ってか、そろそろ緊張するのやめて、方言で喋ってくださいよ!」
先輩「ははは…そのうちね、そのうち…」
おわり
変な終わり方で申し訳ない
スマホしかないから書き溜めができないのがネックですわ…
他のスマホ投稿者はどうやって書き溜めしてるんでしょうか…
読んでくれてありがとうございました
またの機会がありましたらよろしく
このSSまとめへのコメント
生粋の佐賀県民です。勾玉懐かしいw