八神マキノ「メタル……ギア?」 (77)




※八神マキノが『METAL GEAR SOLID 5 GROUND ZEROES』に挑戦するSSです
※『MGSGZ』本編の内容に多分に抵触します
※さくさく投下します




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1399057913



事務所・応接室


八神マキノ「……え?この紗南さんのゲーム配信にゲストで?」

モバP「そうだ。今見てもらってる番組の、次回のゲストをマキノ、君に頼みたい」

マキノ「……でも、私ゲームなんてやったことないわよ」

P「見ればわかると思うが、今回のゲストののあさんもゲームに触るのが初めてだと言っていた」

P「ああいう風にアイドルがあーだこーだ言いながらゲームする姿を視聴者は観たいと思ってるんだ」

P「上手、下手は関係ない」

マキノ「……まあ、あなたが私に仕事を与えるということは……」

マキノ「あなたはその仕事が私に何らかの作用を与えると見込んでいる……そう思うことにするわ」

マキノ「……で、その詳細は?」

P「おお、やってくれるか!これがその資料だ」

マキノ「……『MTAL GEAR SOLID 5 GROUND ZEROES』……」

マキノ「『METAL GEAR SOLID 5 THE PHANTOM PAIN』のプロローグ部分を先行的に発表した作品…

…てこれ、シリーズものよね」

マキノ「こういうのって第一作目から順を追ってやらなくていいの?」

P「ああ、『メタルギア』シリーズは色々あるんだが……」

P「この『MGS5』は『METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER』と『METAL GEAR SOLID PEACE

WALKER』の続きの時間軸となってる」

P「1と2と4はこの作品より未来の設定だから、ストーリーを知らなくても大丈夫だ」

P「『MGS3』『MGSPW』に関してはノベライズ版が出てるから、それを読んでもいいだろう」

P「まあ、資料に簡単にあらすじが書いてある。それさえ読んでくれれば支障はない」

マキノ「なるほどね……」

P「あ、そうそう。一週間後の本番までなるべく『メタルギア』シリーズのゲーム画面やプレイ動画とかは見ないでおいてく

れ」

マキノ「あくまで初見で、ってことね」

P「そうだ」

P「配信の放送時間は長くて2時間。まあ、よほどのことがない限り終わるだろう」

マキノ「この作品はプロローグだから、ってこと」

P「本編でやること自体はそんなに難しいことでもないしな。ほら、資料に書いてあるだろう?このゲームは……」

マキノ「『Tactical Espionage Action(戦略諜報アクション)』を昇華させた、『潜入シミュレーター』……」

P「……この間のマキノの撮影を見て、きっと楽しんでくれると思ったんだ」

マキノ「……なるほど、そういう意図があるのね」

マキノ「この私のことを観察し、私の特性を理解した上での選出……というわけ」

P「まあ、暴力的な描写もあってあまり好んで薦めるような作品ではないことは確かなんだが……」

マキノ「それはそうね…………あ!ねえ」

P「ん?」

マキノ「……このゲーム、紗南さんの番組でやるんだったわね?」

P「そうだが」

マキノ「……パッケージの画像にCERO D指定って書いてあるんだけど、紗南さんって確か14歳……」※17歳以上対象

P「…………」

マキノ「…………」

P「……あー、うん、うん!そうなんだよ!だから紗南の番組なんだけど今回だけ特別編?番外編!ということで…

…」

マキノ(…………紙にはしっかり『MC/三好紗南』って書いてあるんだけど……)




事務所内・撮影スペース


三好紗南「それでは!『三好紗南の今日もゲーム三昧!』次回配信をお楽しみに-!」

紗南「……ふー!お疲れ様っ!」

高峯のあ「……お疲れ様」

紗南「いやー!のあさんゲーム初めてって言う割には最後のほうには魅せちゃって、すごかったですよ!」

のあ「……操作に慣れれば、手足を動かすのと同じということ」

紗南「初見プレイであそこまでされちゃうともう惚れちゃうな!」

紗南「あ!配信の都合でゲーム中断しちゃったけどもしよければ最後までプレイして下さい!」

紗南「このゲーム、クリアすると対戦モードが解禁されるんです。よかったらあたしと戦ってください!」

のあ「…………そうね、考えておくわ」

紗南「えへへっ!さーてと、そろそろPさんから次回のゲームについて送られてくる頃……おっ」


From Pさん

Sub. 次回配信について

お疲れ様。のあさん荒野乱戦初見でSS評価は驚いたよ。

次回配信のことだが、すまん。マキノをゲストに『MGS5』をやってもらおうと思ってたんだがあれCERO Dだってことすっかり忘れてた。
というわけで、代役立ててやるから紗南は一回休みってことで。



P.S. せっかくなので空いた枠にマストレさんのレッスンを入れといたぞ。
「新しい強化レッスン」をするらしいから頑張ってくれよ~ノシ


紗南「…………」

のあ「……?」

紗南「……なんで休みにしてくれないのよPさ~~ん!!!」

一次中断します

再開はお昼以降、遅くても今日中には

CERO-Zと違って販売制限かかってないんだけどね

残酷表現で気持ち悪くなるとかは別として
倫理観とかしっかりしてるなら問題にならないレベル

なんかで見たけどCEROはあくまで楽しく遊べる推奨年齢とかそんな感じだったかな

再開します

>>12
>>13
アイドルなんで、多少配慮しといたほうがいいかなーという裏事情を妄想しておいて頂ければ




配信当日
事務所・撮影スペース


P「……じゃあ代理司会、頼みましたよ」

??「まっかせてください!……って!また敬語使ってー!」

P「はいはい年下デスモノネー」

??「んもう!」

P「じゃあスタッフさん、あとは任せました」

「はい!それではよろしいですかー?本番行きまーす!放送開始5秒前、……3、2……」




安部菜々「『安部菜々の今日もゲーム三昧!』」


菜々「ご覧になってるみなさーん!こーんばーんはー!」

菜々「今日は紗南ちゃんからバトンタッチして、ウサミン星から舞い降りたこの私、安部菜々がお送りしまーす!」

菜々「ふふふ、みなさんびっくりしてらっしゃるみたいですねぇ」

菜々「何しろ今回の配信に関しては何の予告も無かったんですものね!」

菜々「番組のコメント欄を見ても驚きの声ばかりですねえ~うふふ……って!」

菜々「誰です『あべななさんじゅうななさい』とか『うわキツ』とか書いてるの!!ナナはJKですよ!17歳です!!」

菜々「……と、とにかく、今日はナナと、素敵なゲストさんとの二人でゲームをやっていきたいと思います!」

菜々「さてさて!本日のゲストをお呼びいたしましょう!この方です!」

マキノ「皆さんこんばんは、八神マキノです」

菜々「マキノさん!今日はよろしくお願いしますね!」

マキノ「……よろしくお願いします」

菜々「やっだなあー!マキノさんの方が一つ上なんですから、そんな堅苦しくしないでくださいよ!」

マキノ「え、……そ、そうね。じゃあ、菜々さん、今日はよろしく」

マキノ「……ところで、菜々さんはゲーム得意なの?」

菜々「はい!結構ゲームはやってますよー」

菜々「アイドルデビューする前にお手伝いしてたメイド喫茶でゲーム好きのお客さんが多かったので……」

菜々「ナナも色々なゲームをやってお客さんとお話してたんですよー!」

菜々「家にはファミコンからPS4まで!主要なゲームハードは網羅しています!」

マキノ「……す、すごいわね(とても年下とは思えないわ)」

菜々「はい!では早速本日のゲームをご紹介いたします!マキノさん、お願いします」

マキノ「あ、ええ、本日私が挑戦するゲームはこちら……」




事務所内・休憩スペース


P「うんうん、上手くやってくれてるな」

紗南「Pさん、ホントに菜々さんで良かったの?」

P「大丈夫だろ、菜々さんメタルギアソリッド持ってるって言ってたし、17歳だし、CERO Dも17歳ならOKだし」

紗南「……でもJKがやるゲームじゃないと思うけどなー」

P「ま、そこらへんはみんな分かってるだろ」

紗南「そんなあけすけな……ところでPさん、あたしのこの姿を見て何か言うべきことがあるんじゃないの?」

P「……いや、まさかマストレさんの新トレーニング、完成してないとはなー……」

紗南「今日の私実験台だったんだよ!?あれこれ色々なトレーニングをやらされて……」

紗南「全身が痛くて痛くてもうこのソファから動けないってのに……うぅぅ」

P「……おっ、そろそろプレイ開始か。さあ紗南はここまでなーお子様はお休みよー」

紗南「……今日のPさんぞんざい……」



事務所内・撮影スペース


菜々「……さてさて!皆さまお待たせいたしました!ここからはコントローラーをマキノさんに持ってもらって、ゲームをプレイしてもらいます!」

菜々「本日のミッションは……『メインOPS : GROUND ZEROES クリア』!」

菜々「はい、要は買ってきたゲームをエンディングまで進めよう!というわけです」

マキノ「今、タイトル画面が配信画面にも写っているわね」

菜々「今回はPS3版のものを使用して挑戦です!」

菜々「本当はPS4版でお送りしたかったんですが……ちょっと、予算の都合等もろもろありまして……」

マキノ「作者の都合というやつね」

菜々「しぃーっ!……あ、ストーリーの核心となる部分については隠してしまいますので気になる方は自分の目で確かみてみろ!」

菜々「ではマキノさん!スタートボタンを押して進んでください!」

マキノ「わかったわ」ピッ



OPムービー観賞……


マキノ「……ものすごい豪雨ね」

菜々「PS3でも顔の線まで見えそうなくらいリアルですよね……」

マキノ「……そうね」


<女は全て話した……


マキノ「……野ざらしの牢……マスクを付けられた捕虜……過酷ね」

菜々「あの子がチコですね。主人公の仲間なんですが……なぜか捕まっているようです」

マキノ「カセットテープ……時代を感じるわね」

菜々「ナナもちょっとだけ使ったことがあります。でもナナの時はもっぱらMD……」

マキノ「MD?」

菜々「……い、いや!ナンデモナイデス!!」



<十日前、パスの生存が確認された……


マキノ「今回の背景情報、というわけね」

菜々「マキノさんはメタルギアシリーズ自体初めてでしたっけ」

マキノ「ええ、そうよ。出演が決まってからこの作品の過去の物語を小説で読んだだけね」

菜々「ああ、スネークイーターとピースウォーカーの小説ですか?」

マキノ「ええ。冷戦時代下での諜報合戦……その最中で彼……スネークに課せられた師の暗殺……」

マキノ「その後BIG BOSSとなった彼が祖国を捨て、国に依存しない軍隊を作りあげて……ええ、ここまでかしらね」

菜々「諜報活動が趣味のマキノさんならこういうお話って食指が動いたりしません?」

マキノ「そうね、さすがに血を見るようなことを好むわけではないのだけれど……」

マキノ「非現実の世界だからこそ、現実世界で出来ないことが出来る……映画もそうね」



<Here's to you, Nicola and Bart~♪

<トロイの木馬が潜入した……

<海賊討伐に行くぞ!


マキノ「……それにしてもあの男の顔……」

菜々「……怖いですね……顔全体が火であぶられたように爛れて……」

マキノ「XOFという文字……逆にするとFOX……スネークが昔在籍していた特殊部隊……」



<待たせたな


菜々「さあ、マキノさんにはチコとパスの二人を基地から助け出してもらいます!」

マキノ「チコはさっきの子ね。でもパスは……?」

菜々「それではですね、こちらをご覧ください!」

マキノ「タブレット……これは、もしかしてこのゲームの地図?」

菜々「はい!このゲームでは専用のアプリケーションを現実のスマートフォンにダウンロードすることで……」

菜々「ゲーム画面とタブレット画面の二つを使って任務に挑戦することが出来るのです!」

菜々「ちなみにゲーム内でもスタートボタンから呼び出せますよ!」

菜々「当配信では右下にワイプで表示されていますね」

マキノ「すごいわね……ホログラ映像なんて……このゲーム1975年の設定なのにこんな技術が」

菜々「メタルギアの世界はいろいろオーバーテクノロジーですし……」

菜々「ともかく、メニューからミッション情報を確認できますよ!」

マキノ「ふむ……写真があるわね……パスという女性の顔は見えないけど……」

菜々「あと、地図も確認できます!」

菜々「あ!この『アイドロイド』を使用している時でも周りの時間は動いていますので、敵に気づかれない場所で使ってくださいね!」

マキノ「……この、右側で丸くマークが付いている場所が目的地ね」

菜々「東の旧収容区画だそうです」

マキノ「……うん、とにかく動いてみましょう」



<まずは双眼鏡で周りをよく見るんだ


マキノ「双眼鏡……ほう、少し観察してみましょう」ピピッ

マキノ「……正面の矢倉……敵が一人……」カシャ カシャ

菜々「双眼鏡や覗き込み、銃口を向けたりして視界に収めた敵はマーキングされて……」

菜々「画面上や端末からでも確認できるようになりますね」

マキノ「……フェンスの向こう……二人……?何か話しているようね」

菜々「ミラー副司令も言っていますが、双眼鏡に指向性マイクが付いていますので、敵の話声なんかも聞こえますよ!」

マキノ「……少し周りも見回してみましょう」

マキノ「……頑丈そうな矢倉に一人……奥の方に……2、3……4、5……ん、あとあれは……」

菜々「対空機関砲ですね。あ、あと装甲車なんかも見えました」

マキノ「奪って乗ることが出来るらしいけど……あまり無駄に命は奪いたくはないわね」

菜々「そうですね、MGSシリーズでは見つからず、敵を殺さずというのが高評価のポイントになっていますよ」

マキノ「……ふう、あらかたマーキングをし終えたわね」

マキノ「ではそろそろ行きましょうか……」



<姿勢を低くしておけ


マキノ「正面のサーチライト……あれで照らされたら丸見えね」

菜々「Xボタンの押す長さによってしゃがみや匍匐状態に移行します!」

マキノ「……ここは匍匐で行ってみましょう」ガサッガサッ

マキノ「……ん、光の線が現れたわね」キィーン

菜々「音も聞こえますね……ライトが照らしていますよーってことです」

菜々「動かなければ大丈夫ですよ!」

マキノ「ふむ、ではライトが向こうを向いたときに……」タッタッタ



<段差を登るならアクションボタンだ


マキノ「段差……上ってみましょうか」

マキノ「……ちょうど矢倉の敵が近くで見える位置についたわね」

マキノ「敵はこちらを向いていない……」

菜々「マキノさん!十字キーの下を押して麻酔銃を装備してみてください」

菜々「これを使えば敵を殺さずに無力化できます」

マキノ「麻酔銃……なるほど、そういう手が……」

菜々「頭に撃ち込めば一発で倒れますよ」

マキノ「そう……なら」ビッ

菜々「おぉ~一発で!」

マキノ「操作方法は既に頭の中よ……心配ないわ」

菜々「そうですね……このまま放っておいてもいいのですが……ここは一度あの敵兵士のところへ行ってみてください!」

マキノ「?どういうつもり?」

菜々「麻酔銃の効果は一時的なものなので、しばらく経つと起きてしまいます」

菜々「命を奪えばその心配も無いのですが……ここは『ホールドアップ』をしておきましょう」

マキノ「ホールドアップ……」

菜々「では、敵兵を一度叩き起こして、敵に銃口を向けておいてください」

マキノ「ふむ…………」テヲアゲロ

菜々「L2ボタンを押しながら右スティック下で伏せさせておきましょう」

マキノ「……」ネロ

マキノ「……せっかくだしこの『吐け』というのも」イエ



<ううっ、旧収容区画は…… The map has been updated.


マキノ「ほう……タブレットに新しい情報が」

菜々「『尋問』することによってアイドロイドに情報が追加されましたね」

菜々「こんな感じで、敵兵士を無力化していきながら、情報を集めて二人を助け出しましょう!」

マキノ「……わかったわ」

菜々「では、さっきの高台からフェンスを越えて基地に入れるので、そのまま東の目的地へ……」

マキノ「その前に……この矢倉から進行方向を偵察……」ピピッ



蛇潜入中……<ウゴクナ ネテロ

マキノ「ここを下れば目的地ね……あ、敵兵が一人前を歩いているわね……」

菜々「なるべく音を立てずに近づいてみましょうか」

マキノ「ええ、それはいいけど……ここで伏せさせるのはちょっとまずいわね」

マキノ「照明が灯ってて、他の敵兵に丸見えの位置だわ……。どこかに運ばないと」

菜々「それでは、CQCで敵を気絶させちゃいましょう!」

マキノ「CQC……Close Quarters Combatという戦闘術ね」

マキノ「敵の近くに行って……攻撃ボタンを押す」フッ


<『尋問』、『気絶』、『殺傷』……、そいつの運命はあんたの手の中だ


マキノ「ここは絞め落として……」ウグウゥぅ……バタリ

菜々「寝ていたり気絶してたり、あるいは命を落とした兵士は担いで運ぶことができます!」

マキノ「このまま敵をかついで……置く。そして……」ゲシッウゴクナフセロ

マキノ「収容施設の中にも敵がいるわね……これは麻酔銃で」ビッビッビッビッ

マキノ「……体に当たっても四発撃てば眠るのね」

マキノ「…………このまま回り込んでみましょう」タッタッタ

マキノ「…………入口に敵兵……麻酔銃で眠らせましょう」ビッ

菜々「す、すごいです……マキノさん、ここまで誰にも気づかれずに来ちゃいましたね」

マキノ「……さて、敵兵を見つからない位置に運んで……!!」

菜々「あ!そんな崖すれすれだと……」



<ウワアァァーー ザッパーン

マキノ「…………」

菜々「…………」

マキノ「……き、きっと生きているわ、たぶん」

菜々「……ちなみにMGS的にはこれ、不殺扱いなんですよね」

マキノ「……そうなの?」

菜々「ええ、シリーズの伝統です。あと、車で轢く直前に降りて敵にぶつけても事故扱いだったりします」

マキノ「……度し難いわ」

マキノ「……とにかく、このまま施設に入りましょうか」カチャカチャカチャ……ギィッ

マキノ「……ムービーにもいた袋をかぶっている捕虜もいるわね」

菜々「彼らも助けることができますが……余計に動かなければならないぶん敵に見つかりやすくなります」

マキノ「……今回は任務を優先しましょう」

マキノ「……いた、チコね。……パスは見当たらないわね」

菜々「とりあえずチコを救出しましょう」

マキノ「よし……」カチャカチャカチャ……ギィッ



ムービーを挟み……


マキノ「……いくら捕虜とはいえ、少年の足首にボルトを打ちこんでるなんて……」

菜々「アキレス腱を絶って、簡単に逃がさないようにしてるみたいですね……」

マキノ「さて、この子を助けるわけだけど……」


<マップにランデブーポイントをマークした
<そこにチコを運んでくれ


マキノ「ヘリを呼んでチコを回収する、ということね」

菜々「どうします?ヘリはこちらのタブレットからでも呼び寄せられます」

菜々「来るのに1分くらい時間がかかるので今のうちに呼んでおきます?」

マキノ「……いいえ、彼を運ぶのが先」

マキノ「……担いでいる時は両手持ちの武器に変更できないのね」タッタッタ

菜々「匍匐もできませんし段差も越えられませんので、気を付けてください!」

マキノ「……!正面から敵兵……しかも、二人」

マキノ「……ここはチコを敵の死角に降ろして……」ドサァ

マキノ「……一人ずつ、麻酔で」ビッ

マキノ「……よし、もうひと……しまっ……!」<ん?

菜々「あ!敵がこっちの方に来ちゃいます……」

マキノ「大丈夫……ここなら見つからないはず……」

マキノ「……あ!チコの方に敵兵が……」ガサッ



<ウワッ!



マキノ「!」

菜々「マキノさん、今のうちに麻酔を!」

マキノ「……ああっ!」カシュッ



<ウグゥ!

マキノ「…………しまったわ。麻酔銃とライフルを間違えて……」

菜々「……やってしまいましたね」

マキノ「……と、とりあえずこの二人を海に投げ入れましょうか……証拠隠滅……」ウワアァァーー ザッパーン

菜々「……(マキノちゃんの慌てる姿……レアいなあ)」

マキノ「…………それにしても、ちょっと生々しい光景だったわ」ポーズボタンポチー

マキノ「非現実の世界だからといって……人を殺める行為はすっとしないな」

菜々「……マキノさん、メタルギアシリーズにはいつも核兵器が話の重要部分として出てくるんです」

マキノ「そうね、3やPWでも核を搭載した兵器が出てきたわね」

菜々「あえて核兵器を使う側に立って物語を作ることにより、核兵器、ひいては戦争や軍隊というものの是非を問う……」

菜々「メタルギアシリーズにはそうした意図もストーリーに含まれているそうです」

菜々「ナナとしては、今のマキノさんのように人殺しということについても同じことが言えるんじゃないかと思うんです」

マキノ「……ディベートのようなものね」

マキノ「自身の主義思想とは別に、ある主題に対してアプローチを変えながらその是非を問う……」

マキノ「確かに、合理的な手法だわ」

菜々「でも今は……残酷描写があるからって子どもたちの目には触れさせないようにするって風潮、ありますよね」

マキノ「そうね、そういうものを見たり聞いたりすることで、犯罪行為を助長させる……そう言われてるわ」

菜々「確かに、海外ではゲームの真似をして見ず知らずの人に危害を加えるような事件もあるみたいですしねえ……」

マキノ「……これ以上この話題を続けるのはやめましょう。なんだかスタッフさんも心配そうな目で見ているわ」

菜々「……はっ!ヤダ、私素が……ああいやいや!!ウサミン星ではそういった争いも無かったもので……キャハッ☆」

マキノ「……話をゲームに戻しましょう。ところで、さっき敵に見つかった時……スーパースローの状態になったわね」

マキノ「あれが説明書にあった『リフレックスモード』……ってことね」

菜々「そうですね」

菜々「よく映画やドラマなんかで不意打ちを行おうとした敵を瞬時に返り討ちにする描写があるじゃないですか」

菜々「リフレックスモードはそれをゲーム的に再現したもの、と思ってください」

菜々「あの状態で敵を無力化できれば、見つかっていないことになるんです。つまりは救済措置、みたいなものです」

マキノ「それにしては……さっきの兵士も『コンタクトォ!』って大声出していたようだけど……あれ、他の兵士に聞こえてたんじゃ」

菜々「無力化できれば大丈夫です」

マキノ「……ゲーム上の仕様、ということね」ゲーム再開

菜々「そういうことです」



チコ搬送中……


<ヘリを呼んでくれ


マキノ「ふう、ランデブーポイントについたわ。菜々さん、ヘリを呼んでもらってもいいかしら」

菜々「はい!」ヘリヨウセイヲジュリョウシタ

マキノ「……ひとまず、任務の半分は終了というわけね」

菜々「そうですね……あとはパスを助ければ完了です」

マキノ「チコはしきりに「パスは死んだ」と言っているけど……」

菜々「死んだかどうかを確かめるためにも、もう少し探索をする必要があるみたいですね」


<こちらモルフォ、ランディングゾーンに到着!


マキノ「モルフォ……蝶の一種ね」

菜々「さあ、チコをヘリに入れて……」



ムービーを挟み……


マキノ「……あら、チコが持ってたテープが勝手に再生されてるわね」

菜々「これは……どうやらパスが連れられた場所へのヒントみたいですね」

マキノ「……とにかくもう一度基地のほうに行ってみましょう……今度はここを右に行って……」

マキノ「敵兵手前に一人と奥に一人……一人は後ろを向いているからこのまま……」CQC!

マキノ「もう一人は……あら、トラックに乗った?」

マキノ「……もしかして」バッ

菜々「お、トラックの荷台に乗りましたね?」

マキノ「都合のいいことかもしれないけど……このまま私ごと運んでくれるかと思って……」ブロロン



蛇輸送中…… マキノ「せっかくだからここから見えるものをマーキング、と」



<正面ゲートを開いてくれ


マキノ「このまま管理棟まで入れそうね」

菜々「これからどうするんです?」

マキノ「さっきのテープ……彼女が連れて行かれた時に周りで鳴っていた音……」

マキノ「それと同じような状況を、今私も辿っている」

マキノ「つまり、パスはこの中のどこかにいるということ。この中を探索してみましょう」

マキノ「……いい具合に駐車するみたいね。このまま敵の死角で降りて……」シュタッ

マキノ「ドライバーを無力化……」ウゴクナフセロイエ <The map has been updated.

マキノ「あら、この敵兵さん他の兵士の場所を教えてくれたわ」

菜々「あ、マキノさん!建物の上部を見てください……」

マキノ「監視カメラ……」ウィーン

マキノ「そうね、このまま建物の裏側を通って行きましょう」ガサッガサッ

マキノ「……少し見通しが良い……とりあえず敵兵が向こうを向いているうちに……」タッタッ

マキノ「……この建物の下、匍匐でいけそうね」

菜々「あ、その上の倉庫、鍵開ければ入れますよ」

マキノ「そう?……でも、見た限り敵兵が2人……奥にも何人かいそうね」

菜々「目の前の兵士、建物裏から奥へ行っちゃいましたね」

マキノ「……ひとまずその兵士を麻酔銃で」ビッ

マキノ「……!!」


<大丈夫か!?


マキノ「まずいわ、眠らせた兵士を他の敵兵に気づかれた……!!」

菜々「と、とりあえず元の場所に戻りましょう……」



<起床時間だ……


マキノ「……起こされただけ、か」

菜々「眠らせた敵なら起きるだけですが……」

菜々「ホールドアップした敵や気絶させた敵が起こされると警戒状態になって敵兵の警備が厳しくなります」

マキノ「……困ったわ、これじゃあ建物の下の隙間から動くに動けない……」

マキノ「……何か、きっかけが……」

菜々「……そうですね……注意を惹くというのであれば……十字キー右からマガジンを選んで、敵のむこうの地面に投げてみてください」

マキノ「マガジン……これね」ポイッカチャン


<ん?


マキノ「なるほど、敵兵の注意をそちらに向けるということね」

マキノ「よし、これで……」ビッ



ガシッテヲアゲロネロイエ
<ここの電源設備は…… The map has been updated.


マキノ「電源設備……近くにあるのね。……電気の供給を絶って照明を消してしまうということか」タッタッタ

マキノ「……これね、スイッチを押して……」カチッ ブウゥゥゥーーーン

菜々「やりましたね!これで監視カメラも……!」


<各班、こちらCP。一帯の照明が落ちた。電源設備に……


マキノ「……まあ、そうよね。このまま放っておくわけが……」

菜々「マキノさん、こんな時はですね……グレネードを適当な場所に投げちゃってください!」

マキノ「グレネード?……いいわ、やってみましょう」ポイッ  ドーン!!



<うわぁ!!

<CP、こちらズールー2……



マキノ「……とりあえず物陰に隠れましょう……」

マキノ「……これでいいの?」

菜々「はい!グレネードの方で敵兵も夢中になっているのか、電源設備の回復なんて忘れちゃうんです!」

マキノ「ええっ!?……これも、ゲームの仕様とでも?」

菜々「はい、そうですよー。ただ、グレネードを投げた場所に敵兵が来ますので、見つからないように隠れてくださいね!」

マキノ「……つくづく度し難いな」

マキノ「まあいい、警戒態勢も解除になったようだし、そろそろうご……」ウワァ!!


<コンタクトォ!!


マキノ「!」ビッ

マキノ「……油断していたわ、まさか私の死角に敵兵が……」

菜々「でも、リフレックスがあったから何とかなりましたね……」

マキノ「今度は殺さずに眠らせられたわ……。このゲーム……とても興味深い」



蛇潜入中……ウゴクナ ウゴクナ ネロ マキノ「明かりが無くなったから隠密しやすくなったわね」

マキノ「……このあたり、建物の地下というわけね……」

マキノ「ボイラーの音……あ、あそこに牢屋……?あれは……」

菜々「あ、きっと彼女がパスですね」

マキノ「……敵兵なし、今のうちに……」


ムービー挟み……


マキノ「パス……、配信の前にPWでの彼女を写真で見たが……ひどい姿だ」

菜々「チコよりひどい拷問を受けたみたいですね……」

マキノ「見つけたはいいけど……彼女を抱えて脱出すればいいのね?」

菜々「はい、チコと同じようにランディングゾーンからヘリで離脱してくださいね」

菜々「今回はランディングゾーンを自分で決めて脱出します」

マキノ「……菜々さん、ランディングゾーンってどこにあるの?」

菜々「全部で四か所ですね。えっと、チコを回収したところがそうですね。あと……ヘリ発着場に一か所あります」

マキノ「そこって、まだ敵兵が結構いる場所よね……あ、敵兵」

マキノ「マガジンをむこうに投げて……そっちの方を向いてる隙に」ウゴクナ

菜々「そうですね、その近辺をトラックで素通りしたので敵兵は普通にいるかと……」

マキノ「他には?」

菜々「倉庫区画に一か所と、スタート地点ですね」

マキノ「そう……あ、まずいわね……さっき通った道の方から敵兵が二人こっちに来てる……」

菜々「あ!しかも見てください!麻酔銃の残りが3発しかない!」

マキノ「……相手にするのも面倒ね、ここは来たところとは別のあの階段を上っていきましょう」タッタッタ

マキノ「……監視カメラ……はもう安全……扉の前の敵兵……よし、マガジンで注意を向けてから……」ビッビッビッ

菜々「あ……麻酔銃が……」

マキノ「……扉を出て……ああ、トラックで管理棟に入った場所ね」

マキノ「……敵兵は近くにいない。このまま管理棟を通って配電盤の方の出口へ行ってみましょう」

菜々「さっきこの中の敵兵を全員伏せさせましたからね、アイドロイドにも敵影なしです!」

マキノ「出口近くは……敵無し。端を通って……ヘリ発着場を出ましょう……そして」ポーズボタンポチー

マキノ「菜々さん地図を見せて」

菜々「はい!」

マキノ「……うーん、近くのランディングゾーン、危険度が高いわね……」

マキノ「……そうね、このままスタート地点まで戻りましょうか」ゲーム再開

マキノ「……前方に敵兵……でも、遠ざかっていく……」

マキノ「……もう一人、動かない……よし、ますいじゅ……そう、弾が無いのだった」

菜々「どうします?」

マキノ「パスを降ろして……マガジンを投げてからの……」ウゴクナ

マキノ「……ライフルを撃つ気は無いのだけれど、脅しにはぴったりね」

菜々「……すごいです、すごすぎですよマキノさん」

菜々「リフレックス有りとはいえここまで敵に気づかれることなく来ましたね」

マキノ「まだよ、まだ終わっていないわ」

マキノ「……このまままっすぐ……姿勢を低くして……」タッタッタッ

マキノ「フェンスの鍵を開けて……菜々さん、ヘリを呼んで」

菜々「了解です!」ヘリヨウセイヲジュリョウシタ


<CP、こちらズールー4。女の姿が見えない……


マキノ「どうやら敵はパスがいないことを今知ったみたいね」

菜々「でも、ここまで来ればもう大丈夫ですよ!」



<こちらモルフォ、ランディングゾーンに到着!


マキノ「あとは彼女をヘリに乗せ、自分も乗れば……」ウィーンガチャン


菜々「……おおぉ!す、すごい!!マキノさん、やりましたね!!」

マキノ「ええ……これで、任務完了、ね。……Aランク、か」



EDムービー観賞…… 菜々「視聴者のみなさんは少しだけ待っていてくださいね!」



マキノ「……ふう、これで終了ね」

マキノ「さっきのエンディング……続きが非常に気になるわ」

マキノ「これがきっかけでスネークたちの運命が大きく変わっていくのね……」

菜々「そうですね……、ホント、本編が待ち遠しいです……」

菜々「それにしても……初めてのプレイとは思えないほど鮮やかな動きでした!」

マキノ「菜々さんのアドバイスがあってこそ、よ」

マキノ「スタート地点の矢倉の敵も、菜々さんが言わなかったら脱出の時に起きていたかもしれないわ」

マキノ「それにしても……まだ、やり残したことがあるわ……」

マキノ「あの捕虜たち……彼らも助けてあげたかったわ」

菜々「このゲームはですね、ミッションを何度でも遊ぶことによって深みを増していくんです!」

菜々「マキノさんのように捕虜を全員救うのを目的にしたプレイとか、武器を使わずに潜入するとか……」

菜々「自分でルールを決めてプレイすることによってまた違った難易度を楽しめるんですよ!」

菜々「さらに、一度メインOPSをクリアすると、サブのOPSにも挑戦できるんです!」

菜々「マキノさん、ぜひ挑戦してみてくださいね!」

マキノ「ええ、わかったわ」

菜々「そうそう!このミッションのハードモードも解禁されましたよ!」

菜々「ハードモードでは敵兵の監視具合も強化されてます!こちらも是非!」

菜々「さあ、マキノさんがゲームをクリアしたところで、本配信も終了しようと思います!」

菜々「マキノさん、今日はどうでしたか?」

マキノ「……とても楽しかったわ。ええ、こういうゲームでの諜報活動……心地よい緊張感を味わえたわ」

マキノ「ぜひ個人的に再挑戦してみるわ」

菜々「はい!ありがとうございました!」

菜々「それではそろそろお別れの時間です!」

菜々「『安部菜々の今日もゲーム三昧!』お相手はこの私、安部菜々と!」

マキノ「八神マキノでお送りしました」

菜々「次回からまた紗南ちゃん登場しますよー!」



放送後
事務所・応接室


P「マキノ、お疲れ」

マキノ「P、今回のお仕事……確かにあなたの予期があたったようね」

P「そうか」

マキノ「ゲームというのも……面白い」

マキノ「自分の趣味嗜好に合ったからというだけでなく……」

マキノ「ゲームを複数人でするという行為、それ自体にもまた、何らかの効能を感じたわ」

P「そんな大層なことじゃなくったって、ただマキノが楽しんでくれてればそれでいいのさ」

マキノ「P……」

P「……ああ、そうだ。じゃあ撮影機材の片づけ手伝ってくるよ」

P「じゃ、また……」






事務所・撮影スペース


P「…………」

のあ「…………」


<宇宙の意思が、人類の無意識が、終末を望んでいるのだ!!


P「……あの、のあさん」

のあ「…………なに?P」

P「やりたい気持ちは分からなくもないのですが……」




P「一回片づけてからやってもらっていいですか…………?」

おわり


マキノさんアイプロ出演祝いでひと思いに書いてしまいました
MGSGZ、シリーズ経験者でも初見プレイは難しい部類に入ります
マキノさんは初見ノーアラートをやってのけましたが
もちろんそんなこと出来るわけないはずです
(作者の初見プレイ時、パス救出後アラートを起こしつつもランディングゾーンに向かって強制離脱しました……)
まあ、そこは話の都合上というわけで

……正直趣味の諜報活動ってよくわからないんですがそれは

ちなみに、このSSは実プレイを基にして作っております
GZ持ってる人はマキノさんの辿った潜入ルートを再現してみてはいかがでしょうか



直近のシリーズもの過去作3作

鷺沢文香「図書館はどこですか」
和久井留美「猫の森には帰れない」
有浦柑奈「ゆりかごの歌」


その他

【モバマスSS】僕は君が好き

何故オプスが無視されるんだ?
確かにあんまり繋がんないけどあれもビッグボスの話だと思う。

>>72
マキノに説明するにあたってそこらへんの事情を話すべきか考えたら省略したほうが早いと思いまして……
OPSは公式でも微妙な立ち位置ですよね(デジャヴミッションでも……)

あ、HTML依頼済みです

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