八神マキノ「ダンコンロンパ」 (29)

モバP「いやあ、ようやく企画がまとまってよかった」

マキノ「お疲れさま。書類、片付けておくわね」

P「ん。ありがとな、わざわざ手伝ってもらって」

マキノ「いえ。私が好きでやっていることだもの」

マキノ「それに、次の仕事の情報は得ておきたかったから」

P「そうかい。…あ、それも片付けて大丈夫な」

マキノ「ええ。…これは?」

P「おう、それも」

マキノ「分かったわ。あとは…っと」

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P「――ふぃーっ。あとは、こっちを……」

マキノ「じゃあそれも直しておくから。……あ、そうそう」

P「んー?」

マキノ「いえ、作業しながらでいいんだけど。少しPに頼みたいことがあって」

P「頼みたいこと?」

マキノ「ええ、聞いてもらえるかしら」

P「まあとりあえず聞いてからだな」

マキノ「そうね、まあ流石に急な話だからすぐには難しいと思うのだけど…」

P「おう」

マキノ「もちろん断るのなら断ってくれて構わないし、一応ね?」

P「ん」

マキノ「そうね、今週どこかのタイミングでいいからPのおちんちんを握らせてほしいの」

P「おう」

マキノ「ええ、おちんちん」




P「!!?」

マキノ「いえ、別に時間が空いてる時でいいから」

P「いや、いやいやいやいやいやいやいやいや…」

マキノ「ん、まあそうよね」

P「何言い出してんだお前」

マキノ「それは駄目よね。ええ、了解」

P「んっ、ああ、そうか…。いや諦めるならそれでいいが…」

マキノ「フフッ」

P「…ったく」

マキノ「……あ、ところでP」

P「今度は何だ」

マキノ「たとえば、この話って肘ならいいの?」

P「肘?」

マキノ「ええ、おちんちんではなく肘」

P「…まあそれなら別に構わないが」

マキノ「あ、ホント? ちょっと触らせてもらえるかしら」

P「……ん」スッ

マキノ「失礼」サワッ

マキノ「……ああ…ふむ…なるほど」サワサワ

マキノ「ふむ…ありがとう」

P「……」

マキノ「でも、おちんちんを触るのは駄目なのよね?」

P「そりゃあな」

マキノ「いえ、それはまあ仕方ないのだけど……その代わりに駄目な理由を教えてもらってもいいかしら?」

P「は?」

マキノ「ええ、おちんちんを握らせてもらえない理由」

P「いや、そりゃお前普通駄目だろ」

マキノ「いえ、この場合一般論はどうでもいい。P個人がおちんちんを握らせてくれない理由を聞かせてほしいの」

P「いや、だから――」

マキノ「何事にも論理性は必要よ。物事には必ず理由というものが存在している、当然よね?」

マキノ「さっき肘は触らせてくれたでしょう? これに対しておちんちんを触るのが何故いけない事なのか」

マキノ「私が知りたいのはその『理由』。挙げてもらえるかしら」

マキノ「具体的な理由。ほら、挙げてみて?」

P「具体的な理由だ?」

マキノ「ええ。たとえばほら、私に対して『顔も見たくないほどの激しい嫌悪感がある』とか。それなら仕方ないわよね?」

P「…そんな訳あるか」

マキノ「ええ。他でもない貴方が私をアイドルとして誘ってくれたのだものね」

マキノ「それに肘は触らせてくれたし」

P「肘はな」

マキノ「では『嫌悪感』は理由ではない、と」

マキノ「それじゃあ『衛生面』が原因かしら?」

P「…衛生面?」

マキノ「ええ。たとえば接触感染による病気を懸念している…それなら触らせたくないと考えても不自然ではない」

P「いや、別にそれは」

マキノ「この点については安心してくれて構わないわ」スッ

P「…診断書?」

マキノ「ええ。万が一この場でおちんちんを握らせてもらえた場合に備えて事前にあらゆる検査を受けておいたの」

マキノ「提出おくから目を通しておいてちょうだい。もちろんアルコール消毒もするし――」

P「だから別に衛生面に関しては…」

マキノ「あらそう。そうよね、肘は触らせてくれるんだもの」

マキノ「そうね、他に理由は…」

P「……」

マキノ「……あ、もしかするとPはおちんちんを握ることを『性的な行為』として捉えているのかしら?」

P「…当たりだ」

マキノ「そうよね。ええ、それが確実と見ていいでしょうね」

P「ようやく話が通じたか」

マキノ「と、いうことはPは『おちんちん=性行為』という方程式ができあがっているということね」

P「まあそういうことだな」

マキノ「だとしたら、それはあくまでただの『固定観念』に過ぎない」

マキノ「何故なら私は、ただ単純に、シンプルに『おちんちんを握りたい』ワケ」

マキノ「私にとっておちんちんは『スタート』であり、『ゴール』なの。その先に進むことも後に退くこともないわ」

P「いや…つったってだな」

マキノ「そこに性的な意味合いは無いのよ? 肘は触らせてくれたでしょう?」

P「だから、それは肘だからであって」

マキノ「肘には『性的なもの』は無いからよね? それと一緒」

マキノ「私はこのおちんちんを握りたいという願望に対して『性的なもの』を抱いてはいない」

マキノ「つまり、『おちんちんを握る』という行為=『肘を触る』こと。肘を触ることと『同じ感覚』で私はおちんちんを握る」

P「……そういうことに、なるのか……?」

マキノ「ええ。『性的な行為になるから』という理由は成立していない。他に理由は?」

P「……」

P「そもそも、俺のを握ることに何のメリットがある?」

P「こう言っちゃあなんだが、性的な理由を除いた場合のメリットは何だ」

マキノ「……なるほど、論理的ね。実にスマートな理由だわ」

マキノ「たしかに、私が貴方のおちんちんを握ることにはメリットは無いわ」

P「だろうな」

マキノ「ただ一つ考えてほしいのだけど」

P「……なんだ」

マキノ「肘よ」

P「肘?」

マキノ「既にPは私に対して肘を触らせるという行為の『許可』を出している」

マキノ「肘を触らせることにメリットは存在した?」

P「…無い」

マキノ「ええ。何のメリットも無しに貴方は肘を触っていいという『許可』を出している」

マキノ「つまり、貴方にとって『メリット』の有無は判断基準にはなり得ないということ。他に理由は?」

P「……正直、そんなの恥ずかしいだろ」

マキノ「『恥ずかしい』……なるほど納得のいく理由ね。実に正しいと思う」

P「当然のことだ」

マキノ「ところでこれは『私に対して』恥ずかしいと思うってことでいいのかしら」

P「…ああ」

マキノ「当然ね。今この会議室には私と貴方しかいないのだから」

マキノ「けど、そういうことなら大丈夫よ」

マキノ「今私の方が貴方よりよっぽど恥ずかしいことをしているのだから」

P「……」

マキノ「当然よね。18歳の、それも現役アイドルがひたすらおちんちんの話をしてるのだもの」

マキノ「それに比べたら今のPの恥ずかしさなんて小さなものじゃない」

P「……それもそうか」

マキノ「いい? P、恥というのは相対的なものなのよ」

P「相対的?」

マキノ「ええ。たとえば一つ聞くけど、『外で全裸になる』という行為は恥ずかしい?」

P「ああ」

マキノ「当然よね。この場合、『Pだけが』裸でいるのだから」

マキノ「じゃあ『温泉で裸になる』のは?」

P「恥ずかしく……」

マキノ「ない、わよね? この場合、場にいる『皆が』裸なんだもの。皆が『平等に』恥ずかしい状態にあるのだから。論理的ね」

マキノ「この差は何か、考えたら分かるわね? P、貴方は『他人より恥ずかしい』ことが恥ずかしいの」

マキノ「今この場でより恥ずかしいのは、どっち?」

P「…マキノ、だな」

マキノ「ええ、そういうこと。つまり今、貴方は『恥ずかしくない』。オーケー?」

P「……」

マキノ「『恥ずかしい』は理由として成立しない。…他に理由は?」

P「……」

マキノ「P?」

P「……」

マキノ「ほら」

P「……」

マキノ「……」ペロリ

マキノ「P?」

P「……」

マキノ「ねえ、P?」

P「……」

マキノ「もしかすると、だけど」

P「……」




マキノ「もう、理由は無いんじゃない?」

マキノ「もう理由は無いわよね?」

P「……」

マキノ「無いわよね?」

P「……」

マキノ「つまりそういうことよ」

マキノ「最初からおちんちんを握らせない理由なんてものは『存在していない』」

マキノ「おちんちんは『握らせていい』ものなの」

P「……」

マキノ「だというのに、巷には何故か『おちんちんを触らせてはいけない』という曖昧かつ非論理的な風説が流れている。今この場ではっきり証明されたでしょう? そんな常識はただの『幻想』に過ぎない。P? 私のプロデューサーならそんな非論理的なものに惑わされては駄目。あなたは幻想にとらわれているの。皆が触らせてはいけないと言っているからなんとなく触らせない。一流のプロデューサーは、はたしてそれでいいの? 『理由は存在していない』というのに。『嫌悪感』も『衛生面における懸念』も『性的な行為だという概念』も『一方的なメリット』も『羞恥心』も全てが否定されたの。理由はある? 無いわよね。あるなら挙げて? 既に今考え得る限りの理由が全て挙げられていると思うのだけど」

マキノ「つまりおちんちんは『触らせていいもの』なの。『触らせるべきもの』なのよ」

P「……」

マキノ「さて、P。改めて聞かせてもらえるかしら」







マキノ『おちんちんを、握ってもいい?』

P「……分かった」

マキノ「ありがとう。では、失礼して……」




かちゃかちゃ


じーっ


ぼろん


さわ


さわさわ


ぎゅーっ


すっ


もみゅん


さわさわ




BGM:もののけ姫
https://www.youtube.com/watch?v=WQZZkKJSnVs

マキノ「光栄だわ」

P「……いや、こちらこそ」

マキノ「ありがとう、まさか今日触れるなんて思ってなかったものだから」

P「いや、いいんだいいんだ。そっか、そりゃよかった」

マキノ「ふふっ……ああ、そうそう」

P「?」

マキノ「いえ、もう一つちょっとしたお願いがあって」

P「そうか、聞くだけ聞いてみよう」

マキノ「ええ。今度おちんちん咥えていいかしら?」



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