木場真奈美「付き合ってくれないか?」 (40)

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P「えっ?」


P「……」


P「ええ、俺で良ければ」



――トレーニングジム


木場真奈美「どうした、息が上がってるぞ」タッタッ


P「はぁっ……はぁっ……真奈美さんと一緒に、しないでください……っ!」ゼェゼェ


真奈美「だらしないな……まだ一時間じゃないか」タッタッタッ


P「トレーニングなんて、高校以来ですからね……っ!」ゼーハー


真奈美「ペースが乱れ気味だぞ、休憩するか?」ニヤッ


P「いえ、まだまだ……!」




真奈美「……中々頑張ったじゃないか。さすがはPといったところだな」


P「伊達にプロデューサーやってませんからね……」ゼーハー


P「しかし、なんでまたジムなんですか?」


真奈美「ああ、最近新しく出来たジムだそうでな」


真奈美「何より事務所から近いから、時間があればレッスン帰りに寄ろうと思っているんだ」


真奈美「今日はその下見だったんだが……丁度運動不足そうな人を見つけたものでね」


P「……否定はしません」


真奈美「鍛えておいて悪いことはないぞ?」


真奈美「営業に走り回るにも、体力があってこそだろう」


P「確かに……体力があれば、ドリンク剤に頼ることも少なく済みそうですね」


真奈美「そういうことだ。何より健康的だしな」


真奈美「さて、次は背筋だ。姿勢が悪いと、より疲れてしまうぞ」


P「へっ?まだ休憩じゃ……」


真奈美「さあ立て、P!ビシバシいくぞ!」


P「わっ!?ま、待ってください!」


――――――――――――――――――――




真奈美「なあ、P」


真奈美「付き合ってくれないか?」





P「……ええ、いいですよ」


P「俺で良ければ」




――公園


P「ってな訳で、最近筋肉痛なんだ……寝させてくれ」グデー


喜多見柚「えーっ、ダメだよPサン!ちゃんと働かなきゃ!」


P「ほら、そこの鞄にレジャーシート入ってるから広げて」


柚「はーい……って、柚一人じゃ広げられないよーっ!」


P「じゃあ裕美でも呼ぶかー……」


柚「裕美チャンは真奈美サンとお弁当作ってるから、まだ無理じゃないカナ?」


P「えー……仕方ないなぁ」ヨイショッ



P「しかし花見かー。久しぶりだなぁ」


柚「確かに!一年ぶりくらい?」


P「毎年やってるんじゃないか」


柚「てへっ」


バサッ


P「よし、下ろすぞー」


柚「はいはーいっ」


P「そう……これでよし」


P「あ、重石になりそうな石拾ってきてくれ。俺寝てるから」バタリ


柚「おっけー……って、Pサン!寝ちゃダメだよっ!」ユサユサ


柚「ほら起きて起きて!」バシバシ


P「真奈美さん達が来たら起こしてくれー」ゴロンッ


真奈美「……そうか、さあ起きろP。それとも、か弱い女の子に重労働をさせるつもりかい?」


関裕美「ダメだよPさんっ、柚ちゃんがかわいそうだよ!」


P「うへぇ……いつの間に。分かりましたよ」


柚「えっへん!どうだ、参ったかぁ!」ドヤァ


P「参った参った」


P「たまにはいいですね、こういうのも」


真奈美「だろう?ここは柚と裕美が見つけたんだ」


柚「そうだよ!へへっ、Pサン褒めて褒めて!」


P「そうかそうか、偉いな裕美」ナデナデ


裕美「わっ……!あ、ありがとう、Pさん」エヘ


柚「もーっ、Pサン柚に冷たくない!?」プンスカ


P「よしよし、ごめんな柚。柚も偉いぞー」ナデナデ


柚「えへへー♪」ニパッ


真奈美「ははは、仲がいいのは良いことだが……」


真奈美「時には今しかできないことをしようじゃないか。二人とも、ジュースでいいね?」


柚「もちろーんっ!」


真奈美「では大人はこれで……乾杯」


P「柚も作れるようになったほうがいいと思うぞー」


柚「そうかなー?」


P「そうだぞー。おっ、この卵焼きもうまそう……」パクッ



P「……!」



P「ああ……なんだか、懐かしい味がする……」ジーン


裕美「ど、どうしたのPさん?」


P「これも裕美が作ったのか?」


裕美「ううん、それは……」


真奈美「私が作ったんだが」


P「!!」


真奈美「どうした、P?口に合わなかったか?」


P「い、いえ……そんなことは」


P「昔の、子供だった頃を思い出すような……美味しかったです、とても」


真奈美「そうか。それならよかったんだが」


柚「おおっ、それじゃ柚も柚もっ!」パクッ


裕美「わ、私もっ!」


真奈美「こらこら、そんなにがっつくんじゃない」ハハハ



P「……」


――――――――――――――――――――




真奈美「そうだ、P」


真奈美「付き合ってくれないか?」





P「いいですよ」


P「……俺で良ければ」



――テーマパーク


柚「おおーっ!テーマパークなんて久しぶりだよ!」


裕美「私も……でも、皆で来れてよかったな」


P「偶然みんなオフに出来たからなー」


真奈美「偶然、でテーマパークのチケットを貰ってきたのか?」


P「まあ、そんなところですよ。去年イベントさせてもらった所ですし」


柚「PサンPサン、柚はジェットコースターに乗りたーいっ!」


裕美「私はメリーゴーランドとか……ちょっと子供っぽいかな?」


真奈美「私はあまり詳しくはないからね……二人に任せるよ」


P「それじゃ、皆行くぞー」


P「さーて、どこから回るんだ?」


柚「ジェットコースター!」


裕美「メリーゴーランドがいいなっ」


柚「!」


裕美「!!」


真奈美「まあまあ……こんなこともあろうかと、くじでも引いてペアを決めようじゃないか」スッ


真奈美「時間もあるようだし、最初は二人ペアで動いたほうがいいと思ったんだが……どうだい?」


P「……いつも持ち歩いてるんですか?」


真奈美「ふふ……想像に任せるよ。さあ、早く引くといい」


柚「柚はこれカナ!」ヒョイッ


裕美「じゃあ、私は……これっ」スッ


柚「あっ、色付きだ!」


裕美「私も……えっ?」


P「あれ、決まっちゃいましたか?」


真奈美「そのようだな……ほら、私達は無地だ」


裕美「……どれに乗るかじゃんけんで決めようよ、柚ちゃん!」


柚「恨みっこなしだからねっ、裕美チャン!」


P「おいおい……大人が付いてなくて大丈夫か?」


柚「柚は平気だよー?」


裕美「何かあったら、二人に連絡するから……だめ?」


真奈美「まあ、たまにはいいだろう。な?」


P「……そうですね。じゃあ、2時間後にゲート集合だぞー」


P(って、ちょっと待って。待って待って)


P(ま、真奈美さんと二人きり……?!)


P(落ち着け。落ち着くんだ……)



P「えっと……真奈美さん、どこから回ります?」


真奈美「そうだな……例えば、あれなんてどうだ?」


P「……バイキングですか」


真奈美「面白そうじゃないか。さあ、行くぞ」


P「……はい」




真奈美「はははっ、中々スリル満点だったな……ん?」


P「うげぇー……」ゲッソリ


真奈美「おいおい、大丈夫か?」


P「いえ、まだまだ……!」


真奈美「次は……あれがいいな」


P「フリーフォール……!」



真奈美「ふむ、これも面白そうだ」


P「か、回転ブランコ……!!」



真奈美「そういえば柚が気になっていたが……乗ってみようじゃないか」


P「ジェットコースター……!!!」




真奈美「ふふっ、楽しいじゃないか……ん、どうしたP」


P「い、いえ、これしきのことで……」ゼェハァ


真奈美「……もしかして、苦手だったのか?」


P「そ、そんなことは……」


P「……ありがとうございます、だいぶ落ち着きました」


真奈美「すまなかったな……何せ、テーマパークなんてのは初めてだったからね」


P「そうだったんですか?」


真奈美「ああ。年甲斐もなくはしゃいでしまったよ」


P「はしゃぎすぎですよ……」


真奈美「ははは、許してくれ。そうだ、君のリクエストを聞いていなかったな」


P「リクエスト?」


真奈美「ああ。どれか乗りたいものはないのか?付き合ってあげようじゃないか」



P「そうですね……では」


――観覧車


真奈美「ふむ……中々にロマンチックだな、君は」


真奈美「それとも、こういうのが好きなのか?」


P「いえ、真奈美さんがずっと絶叫系ばかりに興味を惹かれてましたから」


P「時にはゆっくりしたものでもいいじゃないですか」


真奈美「そうか……?まあいいだろう」



真奈美「こうして見ると、中々絶景だな」


P「そうですね……悩みなんかも忘れられそうな程に」


真奈美「ほう?何か悩んでいるのかい」


P「それは……」


真奈美「ふふ、言えないこともあるだろう。余計な詮索はやめておくよ」


P「そう、ですか」


真奈美「二人きりならば切り出しやすいかと思ったが……そういう訳でもなさそうだな」


真奈美「だが、隠し事というわけでもなさそうだからな。そのうち聞かせてもらうことにしよう」


P「……ありがとうございます」


真奈美「そんな顔をするんじゃない。私は君に、感謝しているんだからな」


P「感謝ですか?」


真奈美「ああ……おかげで、こんなに充実した生活を送れているんだ」


真奈美「あの頃が懐かしいよ。向こうにいた頃は、生きるのに精一杯だったからな……」


真奈美「ところがどうだ、こんな私が今では事務所のお姉さんで、アイドルだ」


P「真奈美さん……」


真奈美「退屈しない日々を送れているのは君のおかげだよ、P」


真奈美「まあ……時々頼りないのが玉に瑕だがな」


P「精進します……真奈美さんに似合う男になれるように」


真奈美「ははは、そうだな。未来のトップアイドルのプロデューサーはそんなしけた顔では務まらないぞ?」


P「……もちろん。ほら、見てくださいよ」


真奈美「本当に……ここぞという時にしか頼りがいがないんだな」


P「ここぞという時に頼れる男ですから」


真奈美「ほう、自称するのか」


P「……やっぱり、訂正を」


真奈美「はははっ。なるべく近いうちに頼れる男になってくれよ?」




P「……ええ、もちろんです」


柚「遅いよPサン!柚達ずっと待ってたんだよー?」


裕美「二人ともどうしたのかなって、心配したんだよ?」


P「悪い悪い、着信も気付かなかった」


真奈美「ふふ、大人には事情があるからね」


裕美「事情?」


P「気にしなくていいぞー。真奈美さんも何言ってるんですか」


真奈美「冗談だよ」


柚「それより、まだ時間あるよねっ!みんなで何か乗りたいなー」


裕美「あ、でもびっくりするのは、ちょっと……」


P「うんうん、そうだよな裕美。絶叫系はちょっとなー」


裕美「だから、もう一回メリーゴーランドに乗りたいな、って」ニコッ


真奈美「ほう……おっと、逃げるんじゃないぞP」


柚「ささっ、Pサンこっちこっち!」


P「うへぇ……」



――――――――――――――――――――


真奈美「それで、だ」


真奈美「付き合ってほしいのだが……いいかい?」




P「……」


P「ええ、もちろん」



――居酒屋



ゴユックリドウゾー


真奈美「さて……今日もお疲れ様。乾杯」


カンッ



P「……んっ……ぷはぁ」


真奈美「おいおい、最初から飛ばしてるな……大丈夫か?」


P「いいんです、どうせ明日はオフですし」


P「それより……どうしたんですか?こんな居酒屋じゃなくても、場所くらい……」


真奈美「ああ、楓に頼まれてね。女子会の下見だよ」


P「で、暇してた俺が呼ばれたと」


真奈美「暇していた訳ではないだろうが……まあ、積もる話もあるだろうからな」


P「俺の話ですか?」


真奈美「ああ。前は教えてくれなかったからね」


P「あー……そんな、大した話でもないですよ」


P「もっと、自分に自信が持てればなって、思っただけです」


真奈美「……こうして何人、何十人ものアイドルをプロデュースして、そんなに自分に自信がないのが不思議だよ」


P「色々あるんですよ」


真奈美「その色々を聞きたいんだがな……まあいい」


真奈美「ゆっくりと聞き出すことにするよ」


P「そうですか」


真奈美「そういえば、この前楓が事務所に凄いソファを持ってきてたんだが――」


P「あー、あれ楓さんのだったんですね……」グビッ




真奈美「そうそう、一昨日の夜中に明かりの付いていたスタジオを見に行ったら、瞳子がずっと練習してたんだ――」


P「瞳子さん、誰よりもストイックですからね……」グビッ




真奈美「この前裕美が、自分からボーカルレッスンを私に頼んできてな――」


P「裕美、アイドル凄く楽しそうですよね。見ててこっちも頑張ろうって思えますよ……」グイッ




真奈美「皆に頼まれて女子寮でケーキを作っていたんだが、柚が後ろから来てたのに気付かなくて――」


P「柚はつまみ食い好きですからねー……」グビッグビッ


真奈美「そうだ、昨日実家から電話が来てな」


P「へぇー、どんなお話をー?」ヘラヘラ


真奈美「他愛ない世間話だよ……ああ、結婚はまだか、なんて聞かれたな」


真奈美「まあ、まだ私はトップどころかようやく駆け出しから上がった程度だからな……」


真奈美「まだまだ縁はなさそうだな」ハハハ


P「そうですかぁー……ですよねぇー……へへへ」グデー


真奈美「……随分酔ったようだな。大丈夫か?」


P「大丈夫ですから、ほらぁ、話の続きをー」フラフラ


真奈美「……酒はそれきりだからな?」


真奈美「まあ、そんなことを言っても……アイドルだから、元々出会いも少ないだろうからな」


真奈美「スキャンダルを起こすのは良くないし……難しいだろうよ」


P「そうですよぉー……スキャンダルは、駄目、ですからねー?」ハハッ


真奈美「……元々、こんな容姿だしな。元から期待しちゃいないさ」


真奈美「女性人気が高いのは、それこそ学生の頃から知っていたし……」


真奈美「ははは、私にも引き取り手がいてくれたら安心なんだがな」



P「……真奈美さん」


P「……駄目ですよ、そんなに謙遜しちゃあ」


真奈美「P?どうしたんだ、いきなり」


P「こんなにスタイルがよくて、顔立ちも整っていて」


P「歌も上手、料理もプロ並み」


P「運動神経抜群で、痴漢の退治も余裕だなんて……」


P「どう考えても、引く手数多でしょう!?」バンッ


真奈美「おいP、落ち着け」


P「なんたって、この俺が見惚れた女性なんですよ……」グスッ


P「そりゃあ誰だって真奈美さんに惚れますよ、好きになりますよ……!」


真奈美「すっかり出来上がってるな……ほら、水だ。飲めるか」


P「いつもいつも、ヒヤヒヤしてるんですからね……何の悪気もないんでしょうけど」グビッグビッ


P「毎度毎度あんな事言われたら……誰だって、俺だって……勘違い、しそう、ですよ――」



フラッ


バタンッ



――翌日、事務所



P「はぁぁぁぁぁぁ……なんて醜態を……!!」ズーン


真奈美「まあまあ、気にするな。周囲に迷惑をかけたわけじゃないんだから」


真奈美「……どこまで記憶があるんだ?」


P「真奈美さんにあれこれ言ってたあたりまでは……」


真奈美「そうか……君が酔いつぶれて、タクシーで家まで運んだ。それだけだ」


P「そうですか……本当に申し訳ありません、何から何まで任せてしまって……」


真奈美「いいんだ。私が誘ったんだしな」


P「いえ、これでは俺の気が済まないので……」


真奈美「だったら、これからの働きで返してくれればいいさ」


P「……はい」


P(それから、しばらくして)


P(ようやく、決心が付いた)




P「あの、真奈美さん」


P「……付き合ってください」



真奈美「……ああ、いいよ」


真奈美「それで、何に付き合えばいいんだ?」


P「……っ」


真奈美「君の頼みだ、なんだってやろうじゃないか」


P「……」



P「……実はですね」


P「積もる話もありますし、一緒に食事でもと思いまして」


真奈美「ふむ。いいぞ」


P「○○ホテルのレストラン、フルコース二人分予約取ったんですよ」


P「というかレストランごと予約取りました。貸し切りです」


真奈美「ほう……ん?」


P「日程ですが、何が起こってもスケジュールが狂わないほどには予定合わせましたので」


P「ああ、そうだ。レストランにふさわしい衣装も用意してますから。特注です」


真奈美「随分用意周到だな……?」


P「まあ、今回はレストランの下見みたいなものですから」


P「この先多分、年に一度くらいは行くことになるでしょうし」


真奈美「……?どういうことだ」


P「その日になれば分かりますよ」



P「で、もう一度お聞きしますが……」



P「……真奈美さん。付き合っていただけますか?」





真奈美「ああ……何だかよく分からないが、君の頼みだ」



真奈美「付き合ってあげようじゃないか」


以上で終わりです。

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