内木「と、言ったものの会長がこない…」
内木「会長のことだから麻雀部に行っちゃったのかな?仕方ない、こちらから出向くか。」
麻雀部部室
コンコン
内木「失礼しまーす。」
咲「あ、学生議会の副会長さん…こんにちは。」ペッコリン
内木「こんにちは、宮永さん。会長…竹井さんはいるかな?」
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咲「部長はまだ来てないですよ。今日は学生議会のほうに顔を出してから行くって言ってましたけど…」
内木「あれ?じゃあ入れ違っちゃったかな?」
咲「よかったらこちらで待ちます?」
内木「そうだねぇ…」
ピリリリッ(スマホ)
内木「おっ、噂をすれば会長から…」
久『あっ、副会長、ごめーん。入れ違っちゃったみたい。』
内木「みたいですね。今、麻雀部のほうに来てます。」
久「悪いんだけど、そっちで待っててくれない?」
内木「はい、わかりましたよ。では、また後で。」
咲「お茶入れてきますね」
内木「いや、お構いなく…」
咲「いえいえ、部長のお客さまですから」イソイソ
内木「宮永さんはよく気の利くいい子だねー。会長…竹井さんにこき使われてない?」
咲「そんなこと…私のほうが部長の足を引っ張ってばかりですよ。」
内木「そんなことないさ。竹井さん、言ってたよ、普段は大人しくて可愛らしいけど、麻雀部の切り札になる子だって…」
咲「そ、そんな、買い被りです…」
内木「少なくとも可愛くていい子ってのはわかるよ。」
咲「あ、ありがとうございます。」
久「はいはーい!副会長駄目よー、うちの一年生に手を出しちゃ。」
内木「ああっ!?会長!?」
咲「部長!?」
久「咲、気をつけなきゃ駄目よ。この男、おとなしそうに見えて、結構ケダモノだから…」
咲「え」
内木「何言い出すんですか!?」
久「だってこの4月にも屋上で羽交い締めにされて押し倒されて…」
咲「あわわ…」ガクガク
内木「違うでしょ!?本当は…」
一回想一
清澄校舎屋上
久(おーっ、新入生がいっぱいね。この中から麻雀部に入ってくれる子たちはいるかしら…。それにしても、やっぱここはいい景色ね。)ぽけーっ
内木「会長ーっ!」ガシッ グイッ
久「へっ?きゃあっ!」ドサッ
内木「ハァ、ハァ…」
久(え…何…私、副会長に押し倒されてる…)
内木「な…何やってるんですか!?フェンスもない屋上のふちに立って…」
久(や、やだ…お、襲われる…って、あれ?)
内木「麻雀部に人が集まらないからって、世を儚むなんて…」
久(ん?)
内木「駄目ですよっ、早まっちゃ…個人戦でも出れるでしょう?生きてれば麻雀打つ機会はいくらでも…って?」
久「……」キョトン
内木「あれ?もしかして勘違い?」
一回想終了一
内木「という理由です。飛び降りるんじゃないかって、びっくりしたから…慌てて掴み寄せたらバランス崩して…」
久「そのまま押し倒されたってわけ…」
咲「もう…びっくりしましたー。私てっきり、部長が副会長さんに凌辱されて、そのシーンをビデオで撮られて、色々強要されてる鬼畜メガネな展開なのかと思っちゃいましたー」
久「あはは、ないない」
内木「あれ…おかしいな…さっきまで宮永さんがいい子に見えたはずなのに…眼鏡が曇ってたかな?」
久「ふふっ、ケダモノっていうのは冗談だけど、さすがにドキッとしたわよ。」
内木「とんだ早とちりで面目ない…」
久「私のこと心配してくれたんでしょ?その点は感謝するわ。」
咲「副会長さん、それだけ部長のこと大事に想ってるんですね、素敵です!」
内木「えっ!?」
久「あら、そうなの?」ニヤニヤ
内木「も、もー!からかわないで下さいよ!!」
中断
咲さんにやらしい妄想させられたし、この後は久と副会長の会話になります。また後日。
久「で、用件なんだっけ?」
内木「もー!学生議会の案件ですよ。」
久「そうだったわね、ごめん、ごめん。咲、ちょっとだけ議会の仕事を持ち込ませてね。」
咲「あの…私、お邪魔みたいですから、原村さんやゆーきちゃんを呼びに行きがてら、席を外しますね。」
久「え?そこまでしなくてもいいのに…」
咲「いえいえ…」
(この場にいたらとんだお邪魔虫だもん。でも副会長さん、鬼畜眼鏡じゃなくて優男眼鏡っぽいなぁ。そうするとやっぱり目の前で部長をNTRれるのを妄想しちゃう。)ゾクゾク
咲「副会長さん、気をつけてくださいねっ!!」
内木「えっ!?何に?」
久「咲ったら、どうしたんだろ?あ、そういえば例の件はどうなったかしら?」
内木「はい、この書類ですね。作成しておきました。」
久「え…これは私の仕事だったじゃない?どうして?」
内木「このくらいはやっときますよ…いつもお世話になってるんだし。会長は、目を通してダメなところだけ教えて下さい。直しておきますから。」
久「いいの?」
内木「いいんです!その分、会長は麻雀部のほうに力を入れてくださいよ。せっかくの夢なんでしょ。まずは県大会制覇を叶えてください!」
久「…あ、ありがと…何だか照れちゃうわね。」
内木「応援しますよ。また飛び降りると勘違いして押し倒すのはごめんですから…」
久「やさしいわねー。副会長、前も…
『俺には夢はない。けど会長の夢を守ることはできる!』
って、謎の組織と戦ってくれたものね。」ホロリ
内木「照れ隠しに何を壮大な嘘ついてるんですか!?」
投下量少なくてごめんなさい。部長×副会長は咲日和3巻も参照。ではまた。
一一県大会前日
内木「あ、会長。明日はいよいよ県大会ですね。」
久「ええ、ごめんね。さすがに今日は、学生議会のことお願いするわ…」
内木「任せてください。そのかわり、不安で眠れないなんてことのないようにして下さいよ。」
久「私だって緊張くらいするわよ。」
内木「みたいですね…」ギュ (手を握る)
久「えっ!?」ドキ
内木「うん、やっぱり…手が冷たくなってますね。緊張してる証拠ですよ。」
久(な、何だ、ただの触診かぁ…)
内木「さ、深呼吸してみて下さい?」
久「うん。」すー はー
内木「お、ちょっと血が通ってきたみたいですね。その調子、その調子。」
久「ふふ、ありがと。ちょっとは気が楽になったわ。」
一一その夜
久「副会長は励ましてくれたものの、やっぱり部屋に一人でいると、不安になってくるわねぇ。」
イマ、ヒトリヒトリノ、ムネノナカー (スマホ着信音)
久「あら?メッセージ?副会長から?」
メッセージ
内木『会長のことだから、小さくなって震えてるんじゃないかと思って…』
内木『明日は楽しんできて下さいよ。楽しんで過ごせる今を、心から愛してるのが竹井会長ですからね!』
内木『じゃ、おやすみなさい。』
久「お節介なんだから…」
久「………ありがと」
一一県大会後、全国大会前
内木「じゃあ、会長、いってらっしゃい。こっちのことはお任せを。」
久「よろしくね!せいぜい派手に暴れてくるわ。」
・
・
・
内木「さて…せっかくの会長の晴れ舞台だし。もうひとがんばりしようか…」
内木「お願いします!!全国大会に出場する麻雀部員たちに、後援会の皆さんの声を届けたいんです!」
後援会長「お、おう…それは構わないが、どこでそんなこと開催するんだ?」
内木「既に学校の体育館を手配しています。職員や生徒の応援希望者も募っています。後援会の皆さんで派手に盛り上げてくれれば幸いです。後は映像をとって東京の部員に送りますので…」
後援会長「手際いいな…それにすごい熱意だ。麻雀部に惚れた女でもいるのか?」
内木「そういうことにしといて下さい。」
応援メッセージ撮影終了
内木「本日はお集まりいただきありがとうございました。皆さんの応援のおかげで、清澄麻雀部は必ずや活躍してくれるでしょう!!」
ワー、パチパチ
寺平彩乃(会計)「お疲れ、内木。いい映像とれた?」
内木「ああ、あとはこれを編集して…」
紫芝菜月(書記)「頑張りますねぇ…」
内木「会長のためだからな。」
寺平「おおう…」
紫芝「直球な返答…」
内木「もしもし会長?………これ、緊急の連絡ってことでいいですよね?」
内木(映像)『これ、緊急ってことでいいですよね!』
メッセージ映像終了
久「頑張らなくっちゃね!」
咲「部長、嬉しそうですね。」
久「そりゃあ、これだけ後押ししてくれれば、咲だって嬉しいでしょ?」
咲「そうですね。副会長さんも一所懸命頑張ってくれましたものね。」
和「咲さん?」
咲「和ちゃんも部長(と副会長さん)のこと応援してあげてね!」
和「え? 部長のことはもちろん応援しますよ?」
インハイ後、清澄高校
久「ふーっ…やっと戻ってきた感じね。」
内木「お帰りなさい、会長。」
久「おー、副会長!出迎えご苦労…なーんて。」
内木「ふふ、僕ひとりですけどね。」
久「私だってひとりよ。学生議会の仕事のやり残しを確認しにきただけ…」
内木「そうですか…それはともかく…」
内木「会長、インハイ優勝おめでとうございます!!」
久「ふふ、ありがとう。」
内木「優勝したのもすごいけど、何よりすごく楽しそうに打ってましたよね。」
久「途中で、緊張しておかしくなってたところもあったけどねー」
内木「そのくらいのほうが可愛いってもんですよ。」
久「お、かわいいかー…うれしいものねぇ、そう言われると…」
久「そうだ、後援会の方達のビデオ、ありがとね。あれ、すごく勇気湧いたわ。」
内木「それは何より…でも僕はビデオ回してただけですよ。」
久「嘘ね。」
内木「え?」
久「ホントは後援会の人達を率先して取りまとめてくれたんでしょ?」
内木「おや?わかります?」
久「あなた、そういう縁の下の力持ちな仕事は得意じゃない…一緒にいればわかるわ。」
内木「ばれてましたか…」
久「カッコつけちゃって…」
内木「何か、会長の手助けをしたかったんですよ…それだけです…」
久「十分助けてもらってるわ。私がここまで来れたのも副会長のおかげってのが大きいもの…」
内木「それは大袈裟ですよ。」
久「あなたがいなかったら、スタートにも立てなかったもの…」
内木「?」
久「4月に屋上で勘違いしたでしょ?あれ、死ぬつもりは流石になかったけど、部のことで弱気になってたのは間違ってないのよ。このまま一年生が入らなかったらどうしよう…って。」
内木「そうだったんですか…」
久「でも、あの時押し倒されたとき、吹っ切れたかな。副会長が本気で心配してくれてるってわかったから…」
内木「そう言ってもらえると嬉しいですね。」
久「副会長には、何かお礼しないとねー。もう一回押し倒してみる?今だけ許しちゃう。」
内木「…っ」ゴクリ
久「お…食いついた?」
内木「へ、変な冗談はやめてくださいよ!本気で襲ったらどうするつもりだったんですか!?」
久(それはそれで…)ボソッ
内木「え?」
久「そ、そこはほら、副会長のこと信じてるから…」
内木「もー!」
久「ごめん、ごめん。」
内木「でもお礼っていうなら、会長がこれからも側にいてくれればいいかな?」
久「ふぇ?」
内木「……」
久「……」
内木「……」
久「…副会長」
内木「…な、なんです?」
チュッ
内木「あ…」
久「お礼……よ。これからもよろしくね、副会長!」
カン
終わりです。最後甘くなっちゃった。
これじゃ、この二人がもっと深い仲になったら、押し倒されプレイが始まっちまう。
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