モバP「アイの本質」 (80)

モバマスSSです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1397918950

前回は矛盾失礼しました。

前回に続き外伝です。

とりあえず、前回聞いた際に回答をいただいたアイドルは書きます。

あくまで、外伝という形ですが。

事務所

P「ふぅ…」

小梅「あ、あの…」

P「ん?どうした小梅」

小梅「こ、これ…飲む?」

P「お茶か?ありがとな」

小梅「え…?」

P「…小梅」

小梅「…うん」

P「なんだこれ?」

小梅「えっと…なんだろ?」

P「なんだろうな…」

小梅「うん…」

P(多分普通の栄養ドリンクだと思うけど…)

小梅「げ、元気出た…?」

P「おう。ありがとな小梅」

小梅「う、うん…」

志希「ねーねー」

P「どうした?」

志希「お仕事とかレッスンとかないの?」

P「あぁ、志希は俺と一緒に後で出かけるぞ?」

志希「そうなの?」

P「耳の早い記者がアイドルになったことを嗅ぎつけたらしい」

志希「嗅ぎつけたって言い方いいねー」

志希「アタシもキミがどこに行っても匂いで見つけられる自信はあるよ」

P「そうなのか…」

志希「うん。こんなに嗅いでるしね~」ハスハス

茄子「あの…私はどうすれば…」

P「えーと、レッスンだな。場所は分かるだろ?」

茄子「はい。問題ないですよー。了解しました」

P「えーと、小梅」

小梅「…はい?」

P「小梅は、幸子と一緒に仕事だ」

幸子「よ、よろしくお願いしますね」

小梅「…よろしく」

P「なんでも幸子はホラー系が好きらしい」

幸子「えっ」

小梅「そう…なんですね。嬉しい…」

幸子「と、当然じゃないですか!」

P「それじゃ、幸子頼んだぞ」

幸子「任せて下さいよ。小梅さん、ボクのカワイさについてこれますかね?」

小梅「が、頑張る…」

幸子「その意気です」

P「あとで送っていくから、それまでちょっと待っててな」

P(機会があれば杏とかとも組ませると面白いかもな)

泰葉「忙しそうですね」

P「あ、泰葉か」

泰葉「はい。おはようございます。無理しないで下さいね」

P「大丈夫だよ。そこまで無理はしてないから」

泰葉「ならいいですけど…」

P「あぁ、ありがとな」

泰葉「別に何もしてませんよ」

P「泰葉は…レッスンだったな。頑張ってこい」

泰葉「はい。行ってきますね」

P「さて、俺も頑張るか」

車内

志希「いやー、楽な仕事もあったもんだねー」

P「まぁ、今は物珍しさもあるんだろうなぁ…」

志希「かもねぇ」

P「あ、でも、ああいう仕事以外も取ってきてるから安心してくれ」

志希「おっ!流石だねー」

志希「しかしさ」

P「うん」

志希「こうして二人っきりでいると、匂いに酔っちゃいそうだよね」

P「換気するか」

志希「もう、釣れないなぁ」

P「そういうわけじゃないが…」

志希「キミにぞっこんなのは分かってるんでしょ?」

P「あんなこと言われたらな」

志希「ならさ、何かこう…感じるものはないのかなって? 反応したりしないのかなー?」

P「ノーコメントで」

志希「まるっきり無反応って訳じゃないんだね~にゃははは」

P「そらそうだろうに…」

志希「あ、コーヒー買ってきていい?」

P「事務所に行けば飲めるから我慢だ」

志希「そういえば、そうだね。我慢しよ」

P「事務所はどうだ?」

志希「いい感じだよねー。いい匂いもするし」

P「あぁ、そんなこと言ってたな」

志希「そうそう。でも、やっぱりこの匂いが一番いいにゃー♪」

P「…スキャンダルには注意してくれ」

志希「分かってるって」

P「着いたぞ。降りてくれ」

志希「さーんきゅっ」

P「ん?何か撮影でもやってるのか?」

志希「どこどこ?」

P「あっち」

志希「お、ホントだ。行ってみる?」

P「まだ時間あるし、行くか」

志希「あの子可愛いねー」

P「えーと誰だったかな…」

志希「知り合い?」

P「いや、初対面なんだけど…杏とかが載った雑誌に映ってた気がするんだよ…」

志希「携帯で調べればいいんじゃない?」

P「そうだな。その手があった」

P「えーと…あ、いた。佐久間さんだ」

志希「モデルさん?」

P「読者モデルらしい」

志希「その撮影をやってるんだね」

まゆ「……」ニコ

志希「あ、笑ってくれた」

P「流石慣れてるな」

カメラマン「すみません…」

P「はいなんでしょうか?」

カメラマン「あ、えっと隣の方に御用がありまして…」

志希「あたし?」

カメラマン「はい。実はですね、街で見つけた美人。という特集を組んでまして…」

志希「ふむふむ。写真撮らせてってこと?」

カメラマン「はい。よろしいでしょうか?」

志希「どうする?キミが良いって言うならいいけど」

P「別にいいぞ」

カメラマン「それでは、佐久間さんが休憩に入られたらサッと数枚」

志希「分かりましたー」

P(街角に白衣は似合わないなぁ…)

志希「似合わないかな?」

P「ん?」

志希「白衣。なんかこう出来る人っぽくない?」

P「そう見えなくもないか」

カメラマン「お疲れ様です。佐久間さん。それでは暫く休憩をお願いします」

まゆ「はい。ありがとうございました」



まゆ「……あれ?」

P「あ、お疲れ様です」

まゆ「はい。お疲れ様です。新しいスタッフの方ですか?」

P「あ、いえ、そういう訳じゃなくてですね…」

まゆ「それじゃ、どうしてここに…?」

P「知り合いがちょっと写真撮られることになりまして。ほら、あそこ」

まゆ「あ、なるほど。そうなんですね」

P「お邪魔でしたら退散しますので…」

まゆ「あ、いえ。そんなことは…」

P「……」

まゆ「……」

P(気まずい…)

志希「終わったよー」

P「お、そうか。それでは」

まゆ「はい。お疲れ様でした」

志希「お疲れ様でしたー」

P「どうだった?」

志希「特に感想もないけど…」

P「まぁ、確かにそうか」

志希「むしろアタシがそのセリフ言いたいんだけど…」

P「なんでだ?」

志希「佐久間さんとずっと一緒にいたんじゃないの?」

P「まぁ、いたけど…特に喋ってないな」

志希「そうなんだ」

事務所

P「お疲れ様です」

志希「お疲れ様でーす」

泰葉「あ、お疲れ様です」

P「泰葉とちひろさんだけか?」

泰葉「そうですね」

ちひろ「随分と遅かったですが、何か問題でもありましたか?」

P「ちょっと志希が写真撮られていまして」

ちひろ「何かの撮影ですか?」

志希「雑誌とか言ってたよ」

P「あ、そう言えば、そこで、モデルの佐久間さんに会いましたよ」

ちひろ「そうなんですねぇ」

志希「可愛かったよね」

P「そうだな」

泰葉「そんなのがこの近くでやってるんですね」

事務所
ちひろ「それではお先に失礼しますね」

P「はい。俺もすぐに帰りますんで」

ちひろ「はい」

周子「どれくらいかかりそう?」

P「すぐ終わるぞ」

杏「終わったら起こして」

志希「何か出来ることある?」

P「いや特に…」

志希「マッサージでもする?」

周子「手つきがやらしいよ」

車内

杏「着いたら起こして」

P「まだ寝るのか」

周子「一ノ瀬さん送ってから帰るんだよね?」

P「そうだな」

志希「うん?キミは二人の家から近いの?」

P「同じマンションなんだ」

志希「そうなんだ。いいねー」

周子「まぁ、オートロックだしいいと思うよ」

志希「そういうことじゃないけど…」

周子「ふぅん?」

P「そう言えば杏」

杏「……ん?」

P「佐久間さんって知ってるか?」

杏「知ってるよ。飴くれたから」

P「飴くれたのか」

杏「うん。挨拶した時に飴が好きって聞いたのでってくれた」

P「いい人だな」

杏「うん。いい人だねー。それだけ?」

P「どんな印象だった?」

杏「女の子っぽいよねー、杏と違って」

P「なるほどな」

志希「それじゃおやすみなさい」

周子「お疲れ様ー」

杏「……おつかれ」

周子「一ノ瀬さんって結構積極的だよね」

P「海外にいたらしいからな」

周子「それって関係あるのかな」

P「あるんじゃないか…?」

杏「あ」

P「どうした杏?」

杏「あそこにいた」

P「ん?あ、佐久間さんだ」

杏「だよね」

周子「女の子が一人で歩いてるの危なくない?」

P「まぁ、確かに」

P「ただ、いきなり俺が声掛けてもなぁ…」

ウィーン

杏「ねぇねぇ」

まゆ「は、はい…?」

杏「杏のこと覚えてる?」

まゆ「はい。この間はお世話に」ペコリ

P(車停めるか…)

杏「今さ、家帰る途中?」

まゆ「一応そうですけど…」

杏「車乗る?」

まゆ「え、でも…」

杏「んー、ウチのプロデューサーがさ、女の子が夜道歩いてるのは危険だって言うんだよねー」

まゆ「プロデューサーさん?」チラッ

まゆ「あ、お昼はどうも…」ペコリ

杏「なに?知り合いなの?」

P「知り合いってほどじゃないけど…」

杏「ま。なら話が早いよ。ちゃっちゃと乗っちゃって」

まゆ「でも…」

杏「もし何かしたら杏がプロデューサー訴えるから安心して」

P「何もしないって…」

まゆ「それじゃ、お願いしていいですか…?」

杏「はい。決まりー」

周子「それじゃ、あたしが助手席に移動して二人で座る?」

杏「それは面倒なんだけど…」

まゆ「あ、助手席でもいいですので…」

車内

まゆ「すみません…」

P「いえ、別にお気になさらず」

杏「そうそう気にしない気にしない」

P「杏も飴くれたお礼をしたかったみたいですし」

杏「べ、別にそういうのじゃないんだからな」

杏「ただ、なんかあったら嫌じゃん」

周子「まぁ、そうだよね」

まゆ「実は、ちょっと怖かったんです」

まゆ「暗い所も怖いことも苦手なんで…」

杏「お、これは杏のファインプレーじゃない?」

P「そうだな。褒美に飴でもあげよう」

杏「うむ。苦しゅうない」

まゆ「ふふ…面白いですね」

杏「どこか面白かった?」

周子「いや、いつも通りだよね」

まゆ「ちょっと羨ましいです」

まゆ「あ、あそこを右に…」

杏「一人暮らしなの?」

まゆ「えーっと…一応、母親とこっちに…」

杏「そうなんだ」

まゆ「えっと、次の角を曲がってちょっと行った先にあるマンションです」

P「了解しました」

まゆ「双葉さんを始め、皆さんの帰る時間を遅くしてしまって…」

杏「杏でいいよ。座りが悪いから」

周子「別にいいってー。気にしないし」

まゆ「それでは、またお仕事をご一緒する機会があったら」

杏「ばいばーい」

P「お疲れ様です」

まゆ「…はい」

車内

周子「珍しく杏が饒舌だったね」

杏「明日話す分の体力使い切ったかも…」

P「明日も仕事あるからな」

杏「うへぇ」

周子「しかし、佐久間さんだっけ?いい子だね」

P「そうだな」

杏「飴くれるし。あ、飴頂戴よ」

P「ほれ」

杏「ん。サンキュ」

P「さて、帰るか」

事務所

P「おはようございます」

P「って誰もいないけどな」

ちひろ「おはようございますー」

P「あ、どうも」

ちひろ「今日も頑張りましょうね」

ピリリリリリ

P「あ、電話だ。出ますね」

ちひろ「はい。お願いしまーす」

P「はい。もしもし――」

「あ、あの…私、佐久間と申しま――」

P「佐久間さんですか?」

まゆ「あ、はい。昨日は、その…ありがとうございました」

P「いえいえ。わざわざお電話ありがとうございます」

まゆ「はい…。それでは、朝から失礼しました」

ちひろ「誰からでした?」

P「知り合いからでした」

ちひろ「知り合いにここの電話番号を教えたんですか?」

P「いえ、そういうわけじゃ…」

ちひろ「まぁ、いいですけどあんまり私用で使わないで下さいね」

P「分かってますって」

ガチャ

美嘉「おはよー」

P「お、おはよう」

美嘉「朝からの仕事って眠いよねー」

P「まぁ、気持ちは分からなくはない」

美嘉「Pさんも朝は苦手なの?」

P「苦手ってほどじゃないが眠いものは眠いな」

美嘉「ちょっと意外かも」

P「どうして?」

美嘉「いや、ほら、Pさんって常に働いてるイメージだからね」

ガチャ

志希「おはようございますー」

小梅「お、おはよう…」

P「お、珍しい二人だな」

小梅「そ、そこで…会いました…」

小梅「こ、これお茶です…」

P「お、ありがと」

小梅「い、いえ…」

P「さて、これ飲んだら仕事行くか」

美嘉「はーい」

志希「おっけー」

車内

美嘉「今日は一ノ瀬さんとなんだ」

志希「志希でいいよー」

美嘉「あ、オッケー」

志希「美嘉はさ、どれくらい事務所にいるの?」

美嘉「結構長いよ」

志希「一番長いのって誰なの?」

美嘉「うーんと…凛か卯月だよね?」

P「そうだな」

志希「ふーん」

美嘉「しかし、入ったばっかりでこうも仕事が連続して入るって凄いね」

志希「どうなの?」

P「どうだろうなぁ。美嘉たちが頑張ってくれてるおかげで仕事を貰いやすいってのはあると思うけど」

志希「ありがとうございます先輩」ペコリ

美嘉「な、なんか照れるね…」ポリポリ

スタジオ

P「それじゃ頑張って」

志希「なんかご褒美期待してるねー」

美嘉「あ、それじゃ、アタシもー」



P(順調みたいだな…)

「こんにちはぁ…」

P「…ん?あ、佐久間さんどうも」

まゆ「はい。こんにちは」

P「今日はここで撮影ですか?」

まゆ「はい。プロデューサーさん達もここでですか?」

P「えぇ、と言っても昨日いた杏たちじゃないですけど」

まゆ「別の方ですか?」

P「そうですね」

まゆ「お一人で大変ですねぇ」

P「いえいえ、別にそこまで」

まゆ「あ、それじゃ、まゆはこれで失礼します」ペコリ

美嘉「誰かと話してた?」

P「ん?あぁ、佐久間さんと」

志希「佐久間さん?あー、あの子ね」

P「偶然、撮影が被ったらしくて」

美嘉「…誰?」

P「読者モデルの子」

美嘉「ふーん」

志希「面白くない。って顔してるね」

美嘉「別にそういう訳じゃないけど…」

志希「あ、そうだ。ご褒美頂戴」

P「え、何をあげればいいんだ…」

志希「とりあえず、ここ出てから考えるにゃ」

美嘉(にゃ…?)

車内

志希「えーと……」ゴニョゴニョ

P「うん?うん…うん。分かった」

志希「ありがとねー」

美嘉「何にしたの?」

志希「ちょっと寝ようかなって思ってスーツの上を借りることにしたよ」

美嘉「あ、そうなんだ。それじゃ、助手席行くね」

志希「あ、ありがと」

美嘉「アタシは…そうだ、美味しいクレープのお店見つけたから一緒に行かない?」

P「分かった。いつかな」

美嘉「ちゃんと守ってね★」

事務所

P「最近どうだ?」

茄子「楽しいですよー」

頼子「鷹富士さんは聡明でお話が面白いです」

文香「あと、お料理がお上手ですね…」

茄子「そんなことないですよー。作ってればあれくらい誰でも出来るようになりますってー」

P「仲良いみたいだな」

茄子「皆さま優しくてすぐに仲良くなれました♪」

P「それは良かった」

文香「あ、茶柱…」

頼子「私のも…」

茄子「お二人共縁起がいいですねぇ」

P「さて、帰るか…」

茄子「あ、お疲れ様ですー」

P「送って行こうか?」

茄子「あ、それだったら駅までお願いしていいですか?」



P「歩きで良かったのか?」

茄子「はい。そっちの方がいいんです」

P「ならいいけど…」

茄子「はい♪」

P「あ」

茄子「どうかしましたか?」

P「ちょっと知り合いを見つけてな」

茄子「お知り合いですか」

まゆ「……」ニコ

茄子「あ、行っちゃいましたね」

P「だな」

茄子「何のお知り合いなんですか?」

P「なんて言えばいいんだろうなぁ…」

茄子「…?」

茄子「まぁ、きっと素敵な出会いになると思いますよ」

P「なんでだ?」

茄子「だって、私のプロデューサーさんですから」

P「どういうことだ…?」

茄子「さぁ?」アハハ


「あ…さっきはどうも」

P「あ、佐久間さん」

まゆ「先程の方もお仕事関係の方ですか?」

P「えぇ、そうです」

まゆ「やっぱり、女性の方の知り合いが多いですねぇ」

P「まぁ、仕事柄そうなりますね」

まゆ「そうですね。あ、まゆはここで失礼しますね」

P「はい。お疲れ様でした」

事務所

P「お疲れ様です」

志希「うん…?」クンクン

P「な、なんだ…?」

志希「また佐久間さんと会ったんだ?」

P「よく分かったな」

志希「匂いでね」

ちひろ「えっ」

P「…凄いな」

志希「まぁ、今日はキミのスーツの上を貸して貰ったからね。覚えちゃった」

P「なるほどな」

ちひろ(え、どういうことなんでしょうか…?)

志希「しかし、凄い偶然があるもんだね?」

P「うん?」

志希「だって、昨日会って、今日の昼も会って、今も会ったんでしょ?」

P「そう言えば、そうだな」

志希「一日、まぁ、二日かな。そんな短いスパンで同じ人に会うことってある?」

P「まぁ、仕事が一緒の人以外だとないな…」

P(あ、茄子がそんな感じだったかも)

志希「でも、あった」

P「そうだな」

志希「あ、でも、茄子さんとかだったらありそうだけど」

P「というか実際あった」

ちひろ「ありましたねぇ…」

志希「まぁ、ああいう特別な人は除いていいけど、どうなんだろうね」

P「どうって?」

周子「意識的なんじゃないのってことじゃないの?」

志希「その通り」

P「そんな理由もないと思うけど…」

志希「そこは何とも言えないけど…」

周子「ま。何も起きてないならいいんじゃない?」

P「だよなぁ」

志希「ま。そうだよねー。ごめんごめん」

周子「それじゃ、あたしらは先に帰るから」

志希「じゃあねー」

P「お疲れ」

ちひろ「お疲れ様です」

ちひろ「しかし、プロデューサーさん」

P「なんですか?」

ちひろ「実際凄い偶然ですよね」

P「ですねぇ」

ちひろ「それじゃ、お疲れ様でした」

P「お疲れ様でした」

P「さて、どこまで終わらせるか…」

ピリリリリ

P「ん?はい、もしもし?」

まゆ「あ、あの、佐久間ですけど…」

P「はい。どうかしましたか?」

まゆ「夜分遅くにすみません。あの、出来たらでいいんですけど…」

P「はい」

まゆ「双葉さんの連絡先とか教えてくれないでしょうか?」

P「なぜですか?」

まゆ「あ、その、私こっちに友達とか全然いなくて…そのえっと…」

P(なるほどな)

P「分かりました。近い内にどこかで会いましょう。その時に本人から聞いて下さい」

まゆ「はい。分かりました」ガチャ

P「…考えてみたら杏もこっちに一人で来たんだよな」

P「いい友達になってくれると嬉しいな」

数日後

事務所

杏「帰っていい?」

P「もうちょっと待ってくれって」

ガチャ

まゆ「あ、あの…こちらでよろし――あ、どうも」ペコリ

杏「お」

まゆ「あ、こんにちは」

P「こんにちは」

杏「そういうことね」

小梅「……知り合い?」

杏「知り合いっちゃ知り合いだね」

幸子「ん?見ない顔ですね。新しく入る方ですか?」

まゆ「…こんにちは」ニコ

P「なんだかんだで楽しくやっているみたいですね」

ちひろ「杏ちゃんがあんなに話しているの久々に見ました」

凛「まぁ、いつも寝てるし」

ちひろ「さて、私達は手を動かさなきゃですね」

P「そうですね。凛も仲良くしてきたらどうだ?」

凛「ま、向こうに行ってくるね」

まゆ「皆さん、アイドルってどんなお仕事なんですか…?」

杏「そういう話は…この、渋谷の凛さんに聞いてみて」

凛「…私?」

杏「そうそう私」

凛「細かいことは分からないけど、誰かを元気づけることが仕事かなって最近思うよ」

杏「おー」

凛「私達に出来ることなんて、プロデューサーが示した道を全力で駆け上がること位なんだけどね」

杏「そこはかとなく余裕を感じますなぁ…」

凛「なんのよ…」

杏「え?それはねぇ?」

まゆ「あ、あの…」

P「はい?」

まゆ「ありがとうございました。とても楽しかったです」

P「それは良かった」

まゆ「あの、お話が…」

P「なんでしょうか」

まゆ「アイドル…やってみたいんです」

P「…はい?」

まゆ「えっと、アイドルを…」

P「なるほど…。まぁ、その話はまた後日ということで。それでは送りますね」

まゆ「あ、はい。ありがとうございます」

杏「わーお…」

小梅「爆発しちゃえ…」ムスッ

幸子「全くもう…」フン

凛「まぁ、誰からも好かれない人よりはマシかな」

まゆ「いきなりあんなことを言ってすみません…」

P「いえ、いいですけど…。ただ、事務所の関係とか色々とあると思うんですけど…」

まゆ「辞めました」

P「え?」

まゆ「実は、ここに来る前に辞めてきました」

P「それってどういう――」

まゆ「障害は全部取り除いたってことですよぉ」ニコ

P「なるほど」

まゆ「この辺りは不案内なので手を繋いでもいいですか?」

P「どうぞ」

まゆ「ありがとうございます。大きな手ですねぇ…」ギュ

P「佐久間さんの手が小さいからですね」

まゆ「もっと早く知り合ってればって今は後悔してます」

P「誰とですか?」

まゆ「プロデューサーさん達とです」

P「そこまで言ってくれると嬉しいですね」

まゆ「でも、まだ間に合いますよね?」

P「何事も遅すぎるってことはないですからね」

まゆ「うふふ…そうですね」

まゆ「あ、ネクタイがちょっとずれてますよ?」

P「本当ですか?」

まゆ「あ、動かないで…はい。直りました」

P「わざわざありがとうございます」

まゆ「ステキな柄ですね」

P「そうですか?自分で選んだで自信はなかったんですけど」

まゆ「いつかまゆも選んであげますね?」

P「アイドルをやりたいんですよね?」

まゆ「勿論、本気ですよぉ」

P「一つだけ聞きます」

まゆ「一つと言わず何個でも」

P「アイドルになりたいという言葉は、こういう状況を作り出す為の方便じゃないんですよね?」

まゆ「はい。私は…Pさんの所でアイドルになりたいんです」

P「それなら俺からは何も言いません」

まゆ「まゆはPさんが喜ぶ顔が見たくて頑張りますから♪」

まゆ「そう言えば、お仕事は大丈夫ですか?」

P「まぁ、何とか」

グッ

P「佐久間さん?」

まゆ「まゆはお話したい気分なんですけど、ダメですかね…?」

P「多少なら」

まゆ「はい♪ それじゃこっちにある喫茶店で…」

P(俺よりここら辺詳しいかもな…)

喫茶店

まゆ「うふふ…」

P「上機嫌ですね」

まゆ「それはそうですよ。だってやっと目の前に来てくれたんですから」

P「目の前に?」

まゆ「まゆはずっと待ってたんです。Pさんを」

P「白馬の王子様みたいな感じですか?」

まゆ「はい♪」

まゆ「Pさんはどういう風にまゆをプロデュースしますか?」

P「まだ、何も決めてませんけど、可愛さを全面に――」

まゆ「可愛い…ですか。嬉しいです」カァァ

まゆ「もう、まゆの人生はPさんの物ですから、まゆのことを好きにしてくれていいですからね」

P「……」

まゆ「小指の赤い糸って知ってますかぁ?」

P「運命の人と繋がってるって言うあれですか?」

まゆ「はい。まゆには初めて会った時から薄らと見えたんです」

P「誰と?」

まゆ「Pさんです」

まゆ「糸なんかじゃなくて…そう、こんなリボンみたいなのが見えるんですよぉ」

まゆ「いつか、そのリボンが二人を包んで縛っちゃうのが見えます」

まゆ「乙女だから夢見ちゃうんです♪」

事務所

P「お疲れ様です」

ちひろ「お疲れ様でした」

凛「随分長かったね」

杏「何かあったの?」

P「まぁ、簡潔に言うと佐久間さんが入ることになった」

凛「そうなんだ」

杏「驚かないんだ」

凛「まぁ、なんだかんだで一番いるから、こういうことには慣れてるし」

杏「暗に一番プロデューサーと長くいるのは私だよって?」

凛「そういうわけじゃないよ。それに一番長くいるのはちひろさんでしょ?」

杏「ほら、アイドルじゃないし…」

ちひろ(聞こえてますよ…)

小梅「友達が、増えるね…」

ちひろ「それじゃ、お疲れ様です」

P「皆帰りましたか?」

ちひろ「はい。プロデューサーさんも残業はホドホドにお願いしますね」

P「勿論です」

ちひろ「それじゃ、失礼します」

P「さてと、新しく入った人の計画を考えなきゃな…」

事務所

コンコン

P「ん?ちひろさんですか?」

まゆ「こんばんは」

P「忘れ物ですか?」

まゆ「違いますよぉ。書類とハンコを持ってきたんです。お母さんのサインも」

P「なるほど手際がいいですね」

まゆ「一刻も早くあなたのものになりたかったんですから♪」

まゆ「皆さんのプロデュースお疲れ様です」

まゆ「これ、飲みますか?」

P「わざわざどうも」

まゆ「普段は皆さんのプロデュースされてるんでしょうがないですけど、この時間はまゆの時間ですね」

P「まぁ、皆帰りましたからね」

まゆ「まゆとPさんの仲なんですから敬語は止めましょうよぉ」

P「…分かった」

まゆ「うふふ…」

まゆ「お仕事は大丈夫ですか?」

P「もう終わります」

まゆ「それは良かったです」

まゆ「まゆと一杯お話出来ますね♪」



まゆ「お隣失礼します」

まゆ「ふふふ…♪」ニコニコ

まゆ「Pさんに会ってからずっと胸がドキドキしてるんです」

まゆ「恋の病ですね」

まゆ「例え世界中が敵に回ったとしても、Pさんが全世界の人から敵視されても、まゆは味方ですから」

P「中々言える言葉じゃないな」

まゆ「それだけ本気なんですよ」

P「そこまで俺に尽くしてどうするんだ?」

まゆ「どうもしませんよぉ?」

P「愛の本質は惜しみなく奪うもの。か…」

まゆ「なんです?それ」

P「昔の作家が残した言葉だよ。愛は惜しみなく与える、無償の愛って言葉もある通り与えるものって言うイメージがあるよな」

まゆ「はい。その通りです」

P「でもな、逆なんだと」

まゆ「逆…なんですか?」

P「純粋に愛するほど、相手の価値を吸い尽くしたくなるそうだ」

まゆ「相手を愛しているが故に奪うんですね…」

P「そういうことらしい」

まゆ「つまり…全てが欲しいと思ったらそれは即ち、愛なんですねぇ」

P「そういうことになるのか…?」

まゆ「…Pさん」ギュ

P「んっ!?」

まゆ「聞こえますか?まゆの心臓の音」

まゆ「ドキッ、ドキッってもう、張り裂けちゃいそうです」

まゆ「こうやって、普通にお話してるだけでこうなっちゃうんですよぉ?」



P「な――」

まゆ「まだ、会って数日しか経ってないはずのPさんにこんなに恋慕してるか。ですかぁ?」

P「……」

まゆ「そういうモノを超えた運命的な何かがあったんです」

まゆ「量より質です」

まゆ「言葉で説明は出来ません」

まゆ「まゆは、Pさんが望むならなんでもしますよ?」

まゆ「お部屋のお掃除、服の洗濯、朝昼晩の料理、資料の整理、人の整理、お仕事のお手伝い、お茶汲みからなんでも、なんでもしますよ?」

まゆ「…こんなまゆは嫌ですか?」

P「佐久間さんは…寂しがりなんだな」

まゆ「まゆ。ですよぉ?」

P「まゆは寂しがり屋なんだな」

まゆ「…どう思って貰ってもいいです」

P「誰かに尽くすのは離れたくないから。尽くしている間は誰かに寄り添っていられ――」

チクッ

P「っ!?」

まゆ「Pさん以外にはこんなことしませんから…ね?」

P「…そうか」

まゆ「…はい♪」ニコ

まゆ「まゆ決めたんです。トップアイドルになるって」

まゆ「それで、Pさんをトッププロデューサーにしてみせるって」

まゆ「その時は…Pさんの体と心全部下さいね♪」

終わりです。
見て下さった方ありがとうございました。

解説と言う解説はありません。

強いて挙げるのであれば、ある作家と言うのは有島武郎のことです。

まゆを書いてみて思いましたが、スカウトじゃなくて入ってからの方が古典としては使い易いと思いました。

野球の方で出していたので少し迷いましたが、もうこの際気にしないでいいでしょう。

後は…未央、加蓮、蓮実でしたっけ?ちひろさんはいずれ書きます。

おお、未央だけでなくハスミンまで

未央がどういう扱いになるかちょっと怖かったりするが
今までこのシリーズを読んできて感じたもやもやが解消されるのに期待

おはようございます。

ちなみに何故外伝扱いと言うと、流石に登場キャラを把握出来なくなって、偏りが出てしまいそうだからです。

>>76
一応、その気ではありますが、古典要素は薄れていきますね…。

それでは。

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