「提督さんにとって――」 (49)

「提督さんにとって、私は何人目の私かしら?」

 彼女は執務室を見渡すとそう問いを投げる。

 そして、彼はその問いに答えた。

「君で――二人目だ」


 そして、ここで物語の時間を撒き戻そう。

 これは彼女との物語ではなく、彼女との物語なのだから。

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言う必要もないかもしれませんが 艦隊コレクションのSSです

1. >>1が面倒くさがりなのでルビをふりません。
2. >>1が面倒くさがりなので台詞前に名前を入れません
3. >>1が面倒くさがりなので提督に台詞はありません
4. >>1が面倒くさがりなのでかなり短いうえに……

「陽炎型駆逐艦、初風よ。あなたにとって私は……ま、一人目よね」

 彼と彼女の最初の会合はとても淡白な物だった。

 此処、横須賀鎮守府に配属された右も左もわからない一人の提督に、一人の艦娘。

 その馴れ初めについて、語ることは特にないだろう。

「……見てるだけよ? いけないの?」

 彼から見て、ダンボール箱を挟んで正面。

 両肘を立て頬を突いている彼女と目が合う。

 しかし、その容姿はまるで少女と言っても過言ではない。

 そして彼は好奇心の余りに手に取っている書類を置き、彼女に手を伸ばした。

 彼の指先は彼女の柔らかな頬を突いた。

 彼女は突然のことで一瞬何をされたかわからなかったが、そのことを理解した彼女の対応は早かった。

 顔を朱に染めながら彼から距離を取り、口をわなわなと震わせてから口を開く。

「ちょっ! 何触ってんのよ! ぶつわよ! 叩くわよ! 妙高姉さんに言いつけるわよ!」

 そう一息で言い放った彼女は、彼に触られた部分に手を置いて、頬を赤らめたまま彼を睨む。

 彼は予想外の反応だったのか、申し訳なさそうにしながら素直に謝った。

 興味本位だった、と。

 彼女は複雑そうな表情を浮かべながら一息おくと、彼と視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。

「ま、いいわ。それで自分の仕事は把握できたかしら?」

 彼女はダンボール箱に置かれた指令書に視線を落とすと、再び彼を見る。

 そして、彼からの肯定の意を受け取ると口を開きながら立ち上がる。

「それじゃ此処を案内するわ。少し待ってて」

 そう言うと彼女は執務室に保管していた自身の艤装に手を伸ばす。

 敢えて彼女が迂闊だったところを挙げるなら、艤装を取るために背を向けた所である。

 そして彼は好奇心の余りに再び手を出し、彼女は顔を赤くして彼を叱るのだった。

 彼女はまだ知らない。

 この日から彼からの軽度のセクハラを受け、その度に顔を染めて叱る日々が続くことを。

 それが、彼女に忍び寄る運命のあの日まで続くことを。

という消化不良な話だったのさ
それでは駄文失礼しました

え、終わり?

続きはよ

終わりなら終わりでいいけど、HTML化依頼出しなさいよ
板ルールであり最低限のマナーでもあるから

これで止めるんなら初風アンチじゃないかってくらい酷いなおい

>>12
やってやる。やればいいんだろ!
……ちょっと待ってください。後少しで演習終るので

あっ、今日更新するなら夜間に更新します

 司令室のドアが数回ノックされ、扉が開かれた。

 そこから入ってきた彼女は少し拗ねたような口調で声を掛ける。

「……建造終了よ」

 彼にとって初めての建造が無事に終わり、思わず頬が緩むがすぐに引き締め、声を掛けた。

「そうか。そこにいるのか?」

 彼女はそれを肯定し、執務室のドアに彼の視線を誘導させると一人の女性が指令室の中に入りってきた。

「俺の名は天龍……フフフ、怖いか?」

 そう問われ、彼は表情こそ変えないが内心では困惑する。

 天龍と名乗る女性も初風と同じ艦娘であり、見た目は普通の女性と差はほとんどない。

 敢えて彼女を艦娘と認識しえる事柄を挙げるとするならば、彼女が背負う艤装である。

 確かに一般の人から見ればその艤装は恐怖の対象になり得るだろうが、彼は訓練を受けた軍人である。

 故にその問いに困り、彼女の方を見て助けを求める。

「……」

 しかし未だに拗ねている彼女は彼の視線に気づきながら、気づかない振りを続ける。

 どうしたものかと視線を落とすと、彼の目に先程まで目を通していた書類が写る。

 そして彼は言葉を選ぶとその口を開いた。

「正直に言おう。天龍、今の君にその問いの答えを考慮する価値はない」

 その答えに天龍も、そして彼の方を向こうとしない彼女も聞き耳を立てる。

「少なくても上はそう判断するだろう。勿論、考慮する価値がないのは私も同じだ」

「何故なら私は、私達はまだ何一つとして戦果を稼いでいない」

「だからこそ、君に一つ依頼を任せたい」

 そして彼は書類に手を取ると立ち上がり、それを天龍に手渡した。

「鎮守府正面海域を守れ……?」

 天竜はその見出しの文面を読み上げると彼は頷く。

「詳細は省くが、そこには君たちが戦うべき相手――即ち敵がいる。君にはその迎撃を任せたい」

「おいおい、敵がもうそこまで攻めて来てるのかよ!? 戦況は大丈夫なのか、おい?」

「大丈夫とは聞かされているが、実際はどうだろうな。――強敵である、と言うことは間違いないようだ」

「それでも一人でやれるか、天龍?」

 その一言に聞き耳を立てていた彼女が反応し、口を割りこませた。

「天龍さん一人で行かせるつもりなの?」

「ああ、その予定だが?」

「…………わかったわ」

 彼女は納得がいかないといった表情を見せるが、すぐに天龍に向き直り声をかける。

「天龍さん、一人で大丈夫ですか?」

「たりめーだろ!俺を誰だと思ってるんだ?」

 天龍が不敵にそう笑うと、彼女は自分の艤装を指さしながら口を開く。

「よければ私の装備を使ってください。天龍さんのは……その、少しだけ旧式ですから」

「なるほどな、そういうことなら少しの間だけ借りるぞ。ありがとな」

 天龍は彼女に笑いかけながら髪を撫でると、10cm連装高角砲と61cm四連装(酵素)魚雷を受け取って司令室を後にする。

 そして少しの間沈黙が流れ……彼女から口を開いた。

「それで、説明してもらえるかしら?」

 彼は彼女から視線を逸らしながら何についてだと問い返すと彼女は声を荒立てる。

「全部よ! 全部! 言う事聞かないで建造に大量の資源をつぎ込んだり! 建造したての子を一人で戦場に送り出したり!

 少なくても私が付いていけ……」

 付いていけば。そう言いかけて彼女は口を閉ざす。

 そのことに彼は敢えて触れず、彼女の疑問に答えようと口を開く。

「建造については反省してる。次からは君の忠告通りにやるとするよ」

「天龍の事については……少し考えがあってのことだ」

「聞かせてもらっても?」

「資料を見ると正面海域に来ているは駆逐級の偵察隊のみ。なら軽巡洋艦の天龍一人で大丈夫だろう」

「結果としてこの海域を彼女一人で圧倒できるなら、彼女を旗艦とした水雷戦隊でも同じかそれ以上の戦果をあげることもできるだろう」

「そこで彼女とその随伴の子達に経験を積ませ、練度をあげる」

「結局のところ、俺はまず君たちの力がみたいんだ。君たち艦娘の力を、その可能性を」

「……だそうよ」

 此処にいる彼に言うでもなく彼女は目を閉じて、口角をあげながらそう言った。

 彼は不振に思うも彼女は意に介した様子もなく更に言葉を続ける。

「そういう事ならしかたねーな。さくっと倒してくるから、そこで待ってろよ……だそうよ」

 その言葉は彼女のものではない。

 彼女の最初の言葉は天龍へ、そして天竜の言葉を彼へ。

 そのことに気付いた彼はゆっくりと口を開く。

「ならここで待ってるとするよ。帰ってきたら、みんなで飯でも食べに行こう」

 そういうと彼女は一つ間をおいて声を荒立てる。

「……ちょっと!? 私を子供扱いしないでよ!」

 そこまで口にして彼女はハッとした表情を浮かべる。

 彼が彼女に何を言われたのかと問いかけても、彼女はそっぽを向くだけで答えることはしなかった。

昨日、夜に更新すると言ったな。あれは嘘だ。
そして提督が喋らないと言ったな。あれは嘘になった。

後、独自の設定(妄想)というか
別に書き忘れたとかじゃないんだけど、秘書艦=第一艦隊の旗艦じゃないとか
実は秘書艦と旗艦の子は通信というか通話できる小型の機器を持って耳に嵌めてるだとか。
それも初風は天龍に渡していただとか……

そういうの全部話しに盛りこめよってのは無しの方向で
こんな感じでもいいなら続けますん?

いいから書け。期待

次の次の話なんだけど艦娘の安価
軽巡(阿賀野型以外)二隻、駆逐(島風、雪風を除くレア駆逐以外)九隻
下のレスから、1レスにつき軽巡1駆逐2まで可
安価で埋まらないようなら1-1で出撃して出てきた子を使います

ルール守れてない場合、そのレスの子は全員無効で

天龍が俺を出せ言ってる

……安価先を言っていないミス
まぁこのレス↓からで


天龍さんもう出てるじゃないですかヤダー

そうだねぇ
名取、白露、村雨で行ってみようか

夕張
夕立

五十鈴
雷、電

川内
五月雨、涼風

 天竜が出撃し、彼が着任して初めての夜が訪れた。

 昼間の戦闘で天龍が挙げた戦果は素晴らしいものであった。

 駆逐級二隻撃沈、一隻大破。

 その天龍は今、情報にない軽巡を旗艦とした艦隊に夜戦を仕掛けているところである。

 そして天龍が所属している指令室にて彼と彼女は天龍が知らせる戦況を報告書に纏めていた。

「軽巡洋艦一隻、轟沈……後は随伴艦だけね」

「それにしても二時……かぁ。そろそろ寝ないの?」

 彼女は彼にそう問いかける。

 しかし彼は静かにかぶりを降った。

「彼女は今、俺の命令で一人で戦っている。どうして自分だけが休めようか」

 彼がそう言うと、彼女は少し残念そうな声色でそうとだけ答えた。

「と言っても君はもう休んでくれ、あとは一人でも大丈夫だ」

 その時の彼女の表情は誰がどう見ても眠たげであった。

 だから彼は彼女に休眠を申し出たし、彼はそれを了承すると思っていた。

 だが、結果は彼の予想とは異なっていた。

「いやよ。私は提督さんの秘書艦なのよ」

 彼女はそう告げると、敢えて立ち上がって一つ伸びをする。

 彼はその様子を見てどうしたものかと頭を捻り、声を掛けた。

「初風、ちょっとこっちに来てくれ」

「ん? なに」

 彼女は伸びを解いて再びダンボールを挟んで彼の対面に座り込むもうとするが、彼が一言かけて抑制する。

「こっちの方に来てくれ」

 彼女は僅かに首を傾げながら立ち上がると彼が座っている方に向かい、彼の真横に立つ。

 すると彼は姿勢を変えて胡坐をかき、手で太ももを叩き此処に座るようにと誘導する。

 勿論、彼女は顔を赤くして反論するが、彼は頑なに座るように促す。

 そして彼女は覚悟を決めたのか彼に腰を下ろすと直ぐに体に手を回されるが、彼の右手だけは報告書との格闘を再開させていた。

「……どういうつもりよ」

 彼女は手を払い除けようともせずにただ、そう、呟いた。

「このままでも仕事はできるだろ?」

 彼女は埋まっていく報告書を眺めるとそうね、と呟く。

「すまないな。お前が座れる椅子も用意できなくて」

 彼女は目を閉じて小さく息を吐くと、体の力を抜いて彼に体重を預ける。

「そうね。でも椅子だけ買っても駄目よ? 他の家具も買って、誰が見ても恥ずかしくない部屋にしないと」

 例えば机とか、とダンボール箱に手を添えながら彼女は言う。

 それを見た彼は一つ感嘆を打って再び報告書に手を付ける。

 彼女はその様子を観察するが、眠気が来ているのか、徐々に徐々に瞼が落ちていく。

 彼女は眠気に抗うが、その抵抗も虚しく終わった。

 抵抗すること十数分後、彼の腕の中で寝息を立てる彼女の姿がそこにはあった。

「妙高……姉さん……」

 彼女が漏らした寝言に彼が反応する。

「ああ、出来るだけ早く会えるように頑張るよ」

 そう言って彼は彼女の頭を静かに撫でる。

「その為にもしばらくは資源を溜めないとな」

 現在彼の司令部に資材がないのは、彼女の忠告を無視して回したためであり、言うなれば自業自得である。

 しかし、彼は後悔などしていない。

 そのおかげで天龍に会えたのだと。

 そしていつか、彼女が慕う姉を迎えるのだと……彼はそう決意する。

 その時、不意にくしゅんと彼女は可愛らしいクシャミを立てる。

 彼は報告書に走るペンを止めて指令室を見回すも、ブランケット等勿論置いてはいない。

 それどころか家具すらも置いていない寂しい部屋が彼の目に映る。

 やはり家具を揃える方が先だよな、と彼は腕の中で眠る彼女を見ながらため息をついた。

軽巡は夕張と名取
駆逐は白露、村雨、夕立、雷、電、五月雨、涼風

2隻足りないので後少ししたら1-1に出撃して駆逐を集めてきます。
報告前にレスがあればそちらを優先しますが

皐月ちゃんオナシャス

漣をできれば

意外!それは圧倒的寝落ち!
皐月と漣ね。把握した。
そらにしても白露村雨夕立と来て時雨がいないのかw

後軽巡は後で出るので外れた子は早い段階で入れます

「作戦から艦隊が帰投したわ」

 彼は報告書を作成する手を止め、ソファーに座って座る彼女を見る。

 最初の出撃を終えて三日が経った。

 あれから数十回の出撃を経て、彼の艦隊は確実に充実している。

 軽巡洋艦三人、駆逐艦十人、計十三人。

 艦隊全体の練度も上がり、正面海域で苦戦することはほとんどなくなった。

 艦隊の遠征や、提督同士の演習も認められ、上からの評価も多少は良くなったようだ。

「帰ってきたのは天龍達か?」

「ええ、名取さん達は……帰投までに後40分は掛かるそうよ」

 現在、彼は艦娘を三つの班に分けている。

 軽巡洋艦を旗艦に随伴艦に駆逐艦を三人ずつ。

 その班で出撃、遠征、休息をローテーションさせている。

 艦娘たちの休息が少なすぎる。

 彼はそう思うがその為には、艦隊に所属する艦娘が些か以上に足りていない。

 更に艦隊全体的な練度不足とそこから生じる遠征の失敗。

 練度を挙げる為の出撃、そして艦娘の艤装の修理。

 加えて言うなら彼自身が不慣れで、鎮守府から見ても最高水準の練度を持つ初風が彼に付きっきりという点が"大きかった"。

「天龍達を指令室に来るように言ってくれ。それと演習が決まったから待機している夕張の班を30分後に集まるように言ってくれ」

 時刻はまだ夕暮れ前、太陽が沈みかけ執務室の窓から茜色の空が覗き込んでいる。

 各提督に課せられている仕事をほとんど終え、更に余剰の出撃の分まで報告書も作成済み。

 秘書官である彼女は僅かであるが、口角を挙げてほくそ笑む。

 彼女は決して彼に指示するわけでなく、助言するわけでなく。

 彼の意思で行動を決定し、彼の力で提督としての仕事を捌き切ったみせた。

「どうした初風?」

 なんでもないわ、と彼に表情が見えないように顔を伏せて問いに答える。

 彼女は純粋に彼の成長を喜んでいた。

 不慣れから生じる不手際がなくなり、仕事だけなら他の艦娘が秘書官でも問題がないレベルである。

 後は艦隊の規模が大きくして、艦隊全体の練度、そして装備の開発さえ順調に進めば――彼女は未来を見据えていると、ある人物と一瞬彼が被り、かぶりを振る。

 彼はアイツと違う道を歩ませる――黒い感情が彼女の胸に再び燃え上がる。

 絶対にアイツとだけは――憎しみを抱きながらその男を思い出し、拳を強く握りこんだ。

「……」

 彼女の様子の変化を彼はただ眺めている。

 口にするか否かを考えるも、結局口を開くことはなかった。

 触れぬ神に祟りなし。口は災いの元。

 彼女が考えているのはおそらくあの男のことだろうと当りを付け、彼は気づかない振りを続ける。

 その男と彼とでは立場が違い過ぎた。

 新人提督である彼と、鎮守府の中で艦隊期幹或いは第一主力艦隊にて最前線で身を落とすあの男とでは。

5/13
 提督の方々、イベントお疲れ様でした
 我鎮守府ではついに計9人目の初風を獲得し、
 未改造、改造、改2×(99lv+婚約用)+遠征旗艦三隻という体制の礎が出来ました。

PS.
 今更ながら>>1がフロム患者な部分がありますのでご注意ください。
 後初風の設定についてですが、フロム患者の方でなくても察しがついてると思います。
 この初風は最初、元帥である"あの男(名称未設定)"の艦隊に所属していたとなっております。
 未プレイ提督の為に補足しておくと、艦隊期幹と主力艦隊第一群とは、
 艦隊これくしょんの各サーバーの戦果ランキングの1位~3位、4位~20位であることが条件となっております。

PS.のPS.
 全員とはいいませんが上位の元帥の一部はえげつないプレイングを行う事があります。
 所謂ブラック鎮守府――ですが、一般的なブラックより黒いです。
 その黒さはバイト艦(*1)などが可愛く見えるほどで、試しにやってみた友人は心痛さに通話中に左手が震えたそうです。

*1バイト艦
 海域からドロップ、工廠で建造したlv1の艦娘を使い倒すこと
 基本的に補給をすることはなく、出撃できなくなった艦娘は艤装の解体や近代化改修に回される模様

コジマは……不味い……

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