唯「あずにゃんにレッドブルをあげようよ!」 (34)

律「なるほど、翼をさずけるわけか……」

唯「きっとよろこんでくれるよ!」

澪「そうだな……梓ならきっと!」

紬「じゃあわたし、レッドブルをダンボール箱いっぱいに買い占めるわ!」

律「ちょっと待ったムギっ! ……レッドブルって何種類あったっけ?」

澪「たしか水色っぽいのがあったような……」

紬「今ケータイで調べてみたら、水色の方はシュガーフリーみたい」

唯「あずにゃんには甘いものが必要だよ!」

律「次は梓が受験生だ。糖分摂取して、頭回転させてもらわないとな!」

澪「さらにちょっと待った。『梓への贈りもの』が本当にレッドブルでいいのか……?」

唯「え、どういうこと?」

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律「澪は私たちが卒業した後も、梓に元気でいてほしくないのかよ!」

澪「いや、そうじゃない。落ち着け。他にもドリンクはあるだろ? どうせなら他のやつも検証してみないか?」

律「なるほど……それはそうだな……」

紬「じゃあ、みんなで他のエナジードリンクを飲み比べてみよっか!」

唯「帰りに駅前のスーパーとドラッグストアに寄ろう!」

律澪紬「おーっ!!!」

唯「あずにゃんにバレないようにしないとね」

澪「お金のムダ使いを避けるために、今からでも候補を絞っておいた方がいいかもな」

紬「候補は3つくらいかしら?」

澪「そうだな……」

ガチャ

梓「遅れてすいません」

唯「あっ、あずにゃん! 待ってたんだよ~!」

梓「いきなり抱きつこうとしないでくださいよ」

唯「え~……あずにゃんつめたい……」

<ドラッグストア>

唯「お待たせ~!」

律「よし、唯も来たことだし中に入ろうか!」

澪「ドリンクコーナーはこっちだな」

紬「わ~いっぱい並んでるわ! 全部効くのかしら……」

唯「全部買う気なの!?」

律「ムギストーップ! 買う飲み物の候補はさっき決めたんだ」

唯「え、なになに?」

澪「『リポビタンD』、『MONSTER』、『レッドブル』の3つにしたんだ」

唯「へえ、本当に効くのかな?」

律「だから飲んで確かめるんだろ」

唯「あ、そっか」

紬「今飲んでもだいじょうぶなのかしら?」

律「え?」

紬「わたしたち、今あまり疲れてないし……」

澪「そっか……じゃあ、ある程度疲れた状態で飲まないとな」

唯「疲労ってどれくらい?」

律「そうだ! 寝不足の状態で飲むのはどうだ?」

澪「え、それはきつくないか?」

律「馬鹿野郎! 最高品質の商品を梓に贈るのが、私たちが先輩としてできる最後の使命だろ!」

澪「そ、そうだな……私が間違っていたよ!」

唯「その意気だよ、りっちゃん!」

澪「まあ、唯が一番先にダウンしそうだけどな……」

紬「じゃあ、明日のお昼部室で一緒に飲むってことでいい?」

律「それでいいか」

澪「三年生は授業が終わっていてよかった……」

唯「みんな、夜更かし忘れちゃだめだよ!」

律「唯には言われたくないな……」

紬「夜は本読みながら、紅茶たくさん飲むからだいじょうぶ!」

澪「いやいやそこまでしなくても……」

紬「え、そうなの?」

律「とにかく、目当ての商品買っていこう」

翌日 <部室>

キーンコーンカーンコーン

紬「…………」

澪「…………」

律「ね、眠い……眠すぎる……」

唯「眠たいね~……」

律「お前は昼寝のそれだろ!」

唯「いや~お風呂入った後、ベッドで横になってたらいつの間にか寝ちゃっててさ」

澪「当たり前だ……」

紬「澪ちゃんのツッコミにも覇気がないわ……」

律「よし、こんな時の『リポビタンD』だ。みんな、準備はいいか?」

唯「ファイトーいっぱーつ!」ゴクゴク

澪「とにかく、今日はこれにすがろう……」ゴクゴク

紬「タウリン1000mgの力を信じよう!」ゴクゴク

律「…………」ゴクゴク

唯「ぷはー。あんまりおいしくはないね」

律「まさに、ドリンク剤って味だな」

澪「味よりも効能じゃないのか?」

紬「味がおいしくないと、なかなか飲みづらいと思うわ」

唯「飲まないと意味ないしね」

律「効果はどうだ? 効いてるか?」

唯「うーん……どうなのかな」

澪「そんなすぐにはわからないんじゃないか?」

紬「あ、でも少しだけ元気になってるかも」

律「あっ、なんか頭の回転が速い気がする」

唯「フタはできるのは便利だね」

律「よーし! 実験第一号は終了だな!」

澪「チャイム鳴ったからビンは片付けないといけないな」

紬「とりあえず、ビニール袋にまとめよっか」

澪「ありがとう」

律「唯、こっちに来い! ファイトー!」

唯「いっぱーつ!」

ガチャ

梓「コンスタントにこんにちはー!」

律唯「あっ」

梓「えっ」

唯「え?」

梓「何かあったんですか……?」

唯「ベ、ベツニ……?」

梓「入る直前に『いっぱーつ!』って聞こえたんですけど……」

唯「ナニモナイヨ?」

紬「え、えっと、私たち大学に全員一発合格できたから、改めてよろこんでたの!」

梓「そ、そうだったんですか」

律唯「ふう……」

梓「ん? 何かこの部屋匂いませんか?」

唯律澪紬「!!!!」

梓「これは……」

澪「あ、梓! 今から紅茶淹れるよ!」

紬「今日は全員バナナタルトよ!」

唯「あずにゃん、バナナ好きだもんね!」

梓「あっ、うれしいです。ありがとうございます」

唯律澪紬「(あぶなかった……)」

梓「タルトおいしいです!」

唯「あずにゃんはバナナーだからね~」

翌日 <部室>

唯「昨日はあれからどうだった?」

律「ああ、家帰った後もまだ余力はあったよ。いつも通りだったらなら、晩ご飯の前に寝る勢いだったけどな」

紬「わたしも平気だったわ。ちょっと眠たかったけどね」

澪「じゃあ、リポビタンDについて検討しようか」

唯「やっぱりあんまりおいしくなかったね~……」

澪「昨日も言ったけど、ドリンク剤ってのはそういうもんじゃないのかな?」

律「いや、おいしい方が飲みやすい。飲まないと始まらないからな」

紬「ビンが小さいから持ち運びには便利ね!」

澪「飲んだ時の匂いも重要な課題だな」

律「ああ、昨日は危うくバレるとこだったな……」

紬「今日は先に紅茶とケーキ出しておこっか」

唯「匂いには他の匂いで対抗だね! あずにゃん早く来ないかな~。ケーキ目の前にするとお腹空いちゃった……」

律「……じゃあ、梓が来る前に済ませようか。実験第二号『MONSTER』!」

澪「改めて、結構量が多く見えるな……」

紬「缶が細長いせいかしら?」

律「それじゃあ、かんぱいといくか。梓の健康を祈って、かんぱーい!」

唯澪紬「かんぱーい!!!」

唯「んっ!」ゴクゴク

律「ぷはぁ~! うまいなこれ!」

澪「エナジードリンクというよりは炭酸ジュースみたいだな」ゴクゴク

紬「リポビタンDよりも飲みやすいわ!」ゴクゴク

律「なるほど、飲みやすさでは……うっぷ」

唯「どうし……うっぷ」

澪「……ゲップが出やすいなうっぷ」

紬「炭酸だから仕方なうっぷ」

律「ど、どうだうっぷ……効果は?」

唯「炭酸強いから目が覚めちゃった!」

澪「冷やすとより効果的だな。メモしとかないと……」

紬「気持ちだけど、ちょっと量が多いかな」

律「なるほど、たしかにゲップばっかするわけにはいかないもんな。あ、空き缶袋にまとめようか」

唯「残るはレッドブルだね!」

澪「ああ、明日で決まる……」

律「ガオー! モンスターだぞー!」

紬「きゃー!」

唯「オオカミ人間だね!」

ガチャ

梓「こんにちは晴天なりー……って、今日は何してるんですか?」

律「ゔゔゔゔゔ……私はモンスターだ……」

梓「は、はあ……」

律「ゔぁぅっ!」

梓「オオカミですか?」

澪「(ごくろうさま……)」

翌日 <部室>

律「実験第三号、いよいよ最後の『レッドブル』だ!」

澪「いよいよ最後だな……」

唯「昨日より量少ないね」

紬「『MONSTER』は355ml。『レッドブル』は250mlよ!」

澪「なるほど、それなら短い時間でも一気に飲めるな」

律「それじゃあ飲むか……寝不足が続いてちょっと疲れてるんだ……」

唯「それこそ、レッドブルで解決だよ!」

律「梓の健康を祈って、かんぱーい!」

唯澪紬「かんぱーい!!!」

唯「っ!」ゴクゴク

律「こっちもうまいな!」ゴクゴク

澪「量もちょうどいいし、オロナミンCと味が似てる!」ゴクゴク

紬「ちゃんと冷やしてたからおいしいわ!」ゴクゴク

唯「はぁ~……おいしかった……。空き缶片付けるね」

律「おっ、サンキュー。それで、どれにする? 3つの中で」

澪「レッドブルでいいんじゃないかな」

紬「レッドブルはリポビタンDとMONSTERのいいところを兼ね備えているわ!」

唯「おいしいしね!」

律「決まりだな」

澪「……レッドブルは私たちにも翼をさずけてくれるのかな?」

紬「くれるはずよ……きっと」

ガチャ

梓「こんにちわんこそばー!……って、みなさん目瞑って何やってるんですか?」

唯「あっ、あずにゃーん!」ギュッ

梓「わっ! どうしたんですか?」

唯「みんなで演奏しようよ!」

梓「えっ?」

唯「今日は元気なんだ! ねっ、みんな?」

律「ああっ!」

澪「やろうか!」

紬「やろうやろうー!」

梓「……はいっ、やりましょう!」


──
────




卒業式の日 <部室>

梓「卒業しないでよぅ……」

唯「……あずにゃん、泣かないで!」

澪「梓、見てほしいものがあるんだ」

紬「梓ちゃんのために、みんなでプレゼントを用意したの!」

律「受け取ってくれ、梓!」

唯「私たちからあずにゃんへの贈りものはなんと!」バッ

梓「これは……」

唯「『レッドブル』! 私たちからあずにゃんに翼をさずけるよ!」

澪「250ml×365本……文字通り一年分だ!」

紬「これで梓ちゃんは天使になれるわ! おめでとう!」

律「おめでとう、梓!」

澪「梓は頼もしい先輩になって、新しい学年でもがんばってな!」

唯「これ飲んで元気になって、受験も部活もがんばってね!」

梓「……はい、ありがとうございます! もっともっとすごい軽音部にしてみせます!」

数日後 <部室>

梓「うーん……新歓どうしようかなあ……。一人で演奏ってのもさびしいし……」

カラン

梓「あっ、レッドブル……。もうこうなればレッドブル連続一気飲みで頭をフル回転させないと!」ゴクゴクゴクゴク

ガチャ

純「やっほー! 梓、一人でさびしいんじゃないの~? ここでなんとビッグニュース!」

憂「私たち軽音部に入部しまーす! ……って、梓ちゃん?」

梓「」

純「おーい、梓! しっかりしなってば!」

憂「純ちゃん! ひょっとして梓ちゃん、机の上にあるレッドブル全部一人で飲んだんじゃ……」

純「一人で四本も!? 梓、戻ってこーい!」

梓「……二人とも、話はちゃんと聞こえたよ」

純「呼びかけたら戻ってきた! 一気飲みなんて……どうしてこんな無茶なことを……」

憂「あっ、梓ちゃんの背中から白い翼が……!」

梓「さあ、憂と純のメンバー加入で新生軽音部が誕生だよ! 部長はわたし、中野梓!」シャキーン

純「もう決まったの!?」

憂「って、梓ちゃん宙に浮いてるよ!?」

梓「じゃあ二人とも! わたしについて来て!」バサッ

憂純「わっ、待ってよ~!!」

梓「わたしが憂と純をまだ見たことのないようなとっても楽しい世界に連れて行ってあげるから!」

純「……頼んだよ、梓!」

憂「新しい後輩も一緒にね! みんなで新歓がんばろう!」

梓「もちろん! じゃあ、いこっか!」

憂純「おーっ!!」


おわり。

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