男「安価で5対5の能力バトル?」女「そうみたい」 (199)
―男たちの通う高校・体育館―
男「そうみたい……ってお前は誰からそのことを知らされたんだよ」
女「いや別に誰からも知らされてないけど」
男「じゃあなんでそんな適当なこと言うんだ」
女「適当じゃないよ!」
男「誰からも知らされてねえのに『そうみたい』のどこが適当じゃないっつうんだよ」
女「そんなもの、そうみたいなのはそうみたいなんだから仕方ないでしょ!」
男「んな超理論持ち出されても俺は納得出来ないんだが」
女「一応これ殺し合いみたいだから、いつまでもそうやって信じてないままだといつの間にか相手に殺されちゃうかもね」
男「相手って?」
女「そりゃもちろん5対5の能力バトルの相手……5人の敵さんたちにだよ」
男「マジで言ってるのか?」
女「これが仮に冗談だとして、私がそんな厨二妄想全開の痛い冗談を言うと思う?」
男「思わない」
女「納得してくれたみたいね!」
男「納得はしてねえけどな」
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男「能力バトルだなんて……アニメか漫画かラノベかなんかの世界じゃあるまいに」
女「私だってにわかには信じ難いけどどうにもこうにもそういうことなのよね」
男「マジで殺し合いなんてするのか?」
女「あら、さっきまで疑ってたのにずいぶん素直に物聞くようになったわね」
男「なんとなくだけど本当に能力バトルが始まるんだろうなぁ……って気になってきてはいる」
女「私の誠意ある説明と説得のお陰ね!」
男「その割には楽しんでるようにしか見えないけどな」
女「察しが良くて助かるわ!」
男「否定しろよ」
女「これは私たちが通う高校を舞台にした5対5の能力バトル。どちらかが全滅するまで戦いは続く」
男「死ぬのはごめんだ」
女「そりゃ私もよ」
男「じゃあどうすりゃいいんだ」
女「せいぜいお互い助け合って少しでも生き残る可能性を高くしないとね」
男「お腹痛くなってきた」
女「とまあそんなワケでじゃあ早速一先ず安価で男の能力でも決めて貰いましょうか!」
男の能力>>5
肉体を獣に変化させる能力
腕だけ足だけなどといった部分変化や、キマイラのような芸当も可能
キマキラ有りとか随分なチート能力だな
VIPでやってたやつか
言っちゃなんだが安価内容があっちと比べてかなりまともだなwwwwww
女「ほうほう成る程『肉体を獣に変化させる能力』か。しかも腕だけ足だけ等の部分変化、キマイラのような多種獣合成変化も可能なのね」
男「……」
女「なかなか便利そうじゃない……腕をゴリラにしてゴリラパンチした時の人間体とゴリラ体の境目の部分がどうなるか怖いけど」
男「なんとなく仕組みは理解出来たがいろいろと説明不足じゃないか?」
女「ごめんね私も安価出したあとに気付いた」
男「要は一人につき一つ安価で決まった能力を使って5対5の能力バトルをするってことなんだな」
女「そういうこと」
男「んで俺の能力が体を動物にする力か。動物に詳しいか詳しくないかで使い勝手の良さがかなり違ってきそうだな」
女「んじゃあ試しに顔だけチワワにしてみてよ!」
男「ちょっと待ってろ……せいやっ!」ぎゅにゅぅっ!
女「おおっ!」
男【顔だけチワワ】「ワンワ?(どうだ?)」
女「キモイ!」
男「そりゃそうだろうななんとなく予想出来たわ!」ぎゅにゅぅっ!
女「良い感じに男の能力も決まったしこの調子で私の能力も決めて貰いましょう!」
女の能力>>11
触れている物体の温度を上昇させる能力
最大でその物体が蒸発する温度まであげられる
安価下
女「決まりました!」
男「『触れている物体の温度を上昇させる能力』……普通にチートじゃねえかそれ」
女「どうだろうねー確かにこの能力が触ればすぐ蒸発する温度まで上げられるなら良いんだけど」
男「ああそっか、温度を上げるにしても時間がかかる恐れもあるのか」
女「もしそうだとしたら私その時隙だらけじゃね? っていう」
男「両手を挙げてチート能力だとは喜べないのか」
女「試しに男の身体に触って能力使ってみても良い?」
男「それでもし一瞬で沸点まで達したらどうすんだよ!? 死ぬのは嫌だぞ!」
女「その為の安価能力でしょ?」
男「……と、申しますと?」
女「世界最強の耐久力を持つ虫ちゃんになれば良いのよ!」
男「……了解しましたー」
女「でもどうしよう小さ過ぎて触ったら潰れちゃうよね」
男「ちょっと手の平を上にしてくれ、そこに乗るから」
女「こう?」
男「せいやっ!」ぎゅにゅぅっ!
女「……よーし能力発動!」
男【クマムシ】「……」
…一分経過…
女「……」
男【クマムシ】「……」
…五分経過…
女「……」
男「……」ぎゅにゅぅっ!
女「お、元に戻った」
男「……」
女「どうだった? 五分は経ったと思うけど」
男「……じんわり暖かくなってきた気はする」
女「そんなもんなのか」
男「で、でもほらあれだよ今俺たちがいる空間にだって『空気』っつう物に触れてるワケだろ!? だったら」
女「空気を暖めて敵を茹で上げる? そこには否が応でも私はいなきゃいけないんだよね」
男「oh……」
能力だって成長するはずだ、多分。
女「更に言うと『触れている物を蒸発させる温度まで上げる』ってことは少なからず私の手はその蒸発する温度まで高まっている物体に触れているというコト」
男「……冷静に分析してみるとなかなかに使い勝手悪そうだな」
女「ま、殺し合いの場で自分の手が可愛いから戦いたくないなんて言っちゃられないけどねー、うひひひ」
男「なんで楽しそうなんだよお前……」
女「そう見える?」にやにや
男「……で、このの能力バトルは5対5なんだろ? だとしたら他に」
???「いつまで二人でイチャイチャ喋ってんだゴラァ!」
男「ひぃっ!」ビクゥッ!
女「ナイスタイミングで怒鳴ってくれたね!」
男「サラシ姿にそのままボロボロの長ランを着て下駄を履いて口にはなんかの草を咥えている……なんて時代錯誤な格好してんだ」
女「そう! 見た目そのままこの高校を裏で仕切っている漢の中の漢、番長さんです!」
番長「ったく近頃の若い奴らは恥ずかしげも無く人前でイチャイチャしくさりやがって……全くもって硬派さが足りん!」
男「大して歳変わんねえだろ」
女「他校との縄張り争いでも無敗を誇る番長さんが味方なら心強いね! ってなワケで番長さんの能力を安価で決めて貰いましょう!」
番長の能力>>20
硬化
ケンカで無敗の番長に硬化能力なんてピッタリすぎだろ
拳を硬化させればただでさえ強いのにパンチの威力を大幅に上げられるぞ
女「決まりまりましたぁ! 番長さんの能力は『硬化能力』ですッッッ!!!」
男「テンション高いなおい」
番長「能力バトルも要は喧嘩、喧嘩はこのくらい単純な方が俺の性にあってらあ。何事も拳一つで切り抜けてきたからな」
男「かっけえなおい」
番長「フンッ! 今さら殺し合いでビビる程俺はヤワじゃねえ俺はいつだって戦いの場では殺すか殺されるかの意気で臨んでいるからな!」
男「番長すげえ頼もしいわ」
女「シンプルゆえに攻略が難しいってのは某凄い鞭でも実証されてるからねー、しかもそれが番長さんの能力ともなるとこりゃあ戦いも楽になりそうかな」
男「実証つってもあれは漫画の話だけどな」
番長「とはいってもこれは能力バトルってんだろ? 俺一人じゃ限界だってある……お前らも一緒に力を合わせて戦おう」
女「んもー番長さんったら乱暴者に見せかけて腰低いんだからー……元からそのつもりだから安心して下さい」
男(番長が番長である理由がわかった気がする)
女「それはそうとさっさとお次の仲間も紹介しないとね!」
男「お、次の俺たちの仲間は誰なんだ?」
???「……」
番長「……!? お前は確か生徒会長のとこの」
女「そう! 生徒会の副会長ちゃんです!」
男「副会長さんって女の子だったのか」
副会長「……この高校の裏を暴力で統治している番長。まさかあなたみたいな人と仲間だなんて」
番長「口うるさい生徒会長からよくあんたのことは聞かされてるよ。出来の良い後輩がいるってな」
副会長「……んなっ、あ、あなたのような乱暴者と生徒会長さんがそんな話を!?」
番長「学校の規律を重んじるあいつにとっちゃあ俺たち不良は目障りなデキモノだからな」
副会長「私たちと不良どもは敵同士です、私はあの人からそう聞かされていました」
番長「確かにいつもあいつと会えば睨み合いだが、お前の話をする時だけあいつは別の顔になっていたぞ」
副会長「……///」
番長「ハハハ、あいつのことを慕っているんだな? お前も一端の女なら素直に喜べ」
副会長「ば、馬鹿にするなぁ!」
女「はいはいはい! 仲間同士で喧嘩はダメですよお二人さん!」
男「大丈夫なのこれ?」
女「一方的に副会長ちゃんが番長さんのこと目の仇にしてる感じだね、番長さんは子供あしらう感じだけど」
副会長「私のことを子供扱いしてるのか!?」
番長「女が勝手に言ったことだろ簡単に信じるな!」
男(うーんこの拭い切れない副会長のアホの子っぽさ)
女「とまあ場も暖まってきたところで副会長ちゃんの能力を安価で決めて貰いましょうか!」
副会長の能力>>35
鼻水に生命を与える
星をも砕くレーザービーム
射程は目視できるもの全て
男「……」
番長「……」
女「wwwwwwwwwww」
副会長「生命を与えるだなんてなんだか神秘的な能力ですね」
男「そこ!?」
女「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
番長「……お前は無理して戦いに参加するな、危険があれば俺が守るから」
副会長「あなたに守られる筋合いはありません! それと私は副会長です! お前という名前ではありません!」
番長「す、すまん」
男「……鼻水に生命を与えてなんになるんだ?」
女「……知らないけど意思を持った鼻水で曲芸とか出来るようになるんじゃない」
男「どこの貿易商の御曹司だよ……」
女「ねえねえ副会長ちゃん」
副会長「なんでしょうか?」
女「その能力って自分の鼻水限定なのかな? もしよかったら男で試してみてよ」
男「いっつも実験台にされるのは俺なんだな」
副会長「やってみます!」ばっ!
男「……手を俺に向けてるけど能力の行使にはそのポーズが必須なのか?」
副会長「そうらしいです!」キリッ!
女「男も私も能力決まったと同時に大体の発動方法も雰囲気で身についてたから副会長ちゃんもそんな感じなんだろうね」
副会長「……むむむ」
番長「そんなに力まなきゃいけないのか」
副会長「集中してるから黙ってなさい!」
男「番長には厳しいんだな……ぶぇぇぇっくしょい!」
女「お?」
番長「なんだ男、風邪か?」
男「いやわかんないなんかすげえ鼻の中が気持ち悪……っぐしょん! 鼻の中で何かが蠢いて……ひあっくしょん!」
女「もしかして副会長ちゃん?」
副会長「男さんの鼻水に生命を与えて鼻の中を動き回るように命令したんです」
女「おー」
男「ちょ、ま、ぶわっくしょい! わかったわかった……っぐじょん! もういいから……やめてはっくしょい!」
副会長「はい」ぱっ
男「死ぬかと思った……」ハアハアハア
女「副会長ちゃんの任意で鼻水の生命の有無は切り替えられるのね」
副会長「私の能力でくしゃみしてる男さんとても面白かったです」ニコッ
男(この子こええええええええええええええ!)
番長「……よくもまああいつはこんな曲者を手懐けてたもんだ」
女「ちなみにその能力は喉を詰まらせて窒息させることは出来ないのかな?」
副会長「生命を与えても鼻水は鼻水ですからね、一応試みてはいたんですが無理でした」
男(試みてたのかよ!?)
女「なるほどねー、全く使えない能力ってワケでもないのかふむふむ」
番長「ま、それでもおま……副会長がまともに戦える能力でないことは確かだ、危ない時は俺の背中に隠れてろ」
副会長「あなたの手助けは無用です!」
女「私たちはなーかーまー!」
副会長「……ごめんなさい」
女「わかればよろしい!」
男「……これで四人目か」
番長「最後の仲間は誰なんだ?」
???「すみませんみなさん仲良くお話ししていてなかなか入り込めませんでした」
番長「お前が俺たちの5人目の仲間か?」
男「ああ、なんだオタクじゃねえか」
副会長「男さんの知り合いですか?」
女「私と男のクラスメイトのオタクくん!」
オタク「初めまして番長さん副会長さん! オタクと申します!」ビシッ!
番長「おう! 一緒にこの戦い生き残ろうな! ……しっかしお前そんな弛んだ体で喧嘩出来るのか?」
オタク「ふっふっふ……出来ません」キリッ!
副会長「ダメじゃないですか!」
番長「鼻水に生命を与えるだけのお前が言ってもしょうがないけどな」
副会長「うるさいっ!」
男「でもまあ最後の仲間が見知った奴で良かったわ」
オタク「僕もですよ、はー安心しました」
女「よっしんじゃあ早速最後の仲間ァ! オタクくんの能力を安価で決めて貰いましょうかァァァ!!!」
男「お前のテンション高くなるきっかけが謎だ」
オタクの能力>>52
対象と自分の位置入れ換え
漫画やアニメのキャラが使う全ての能力を行使する
オタク「ふっふっふ!」ドヤァ
女「『対象と自分の位置入れ換え能力』かぁ……これはわかりやすく強力な能力だね」
男「『人間』とかじゃなくて『対象』ってところがミソだな」
オタク「どこまでが『対象』になるかは計りかねますがね」
女「副会長ちゃんの能力もそうだけど特にオタクくんの能力の効果範囲がどこまでなのかも気になるね」
オタク「有視界であれば何でも入れ替え可能とかだったら良いんですけどね」
番長「ユーシカイ?」
副会長「目に入る場所全てってことですよ!」
番長「なるほど」
男(なんだかんだで良いコンビだなこの人たち)
オタク「対象と自分の位置を入れ替えトリッキーな戦闘を可能にする、正に僕にうってつけの能力ですね!」
副会長「なんでうってつけなんですか?」
オタク「……えっと、それは、あのー」
女「よーしこれで5人とそれぞれの能力が出揃ったことだし、ここで一先ずもう一回みんなの能力を確認しましょうか!」
女「男の能力は『肉体を獣に変化させる能力』! しかもただの獣化じゃなくていろいろと便利!」
番長「月見なくても狼男になれるのかすげえな」
副会長「感動するところがそこですか……呆れますね」
男「この能力さっきからこっそりいろいろ試してたんだけど思ってた以上に便利みたいだ」
女「ほほう、それはどういうことだい?」
男「獣化というよりも『キメラ』とか日本風に言うと『鵺』、まさしく化物染みた能力でさ……これ」ぎゅにゅぅっ!
女・番長・副会長・オタク「!?」
男【右腕巨大プラナリア】「『その動物の大きさに依存する』ってワケではないらしい」うねうねうねうね
副会長「キモッ!」
男「副会長さん本心でも言葉に出さないで傷付くから!」ぎゅにゅぅっ!
女「wwwwwwwwwwwwwwww」
副会長「ごめんなさい……」
オタク「で、でもまあ本当にそれは……強力な能力ですね」
女「番長さんと二人でこっちの主戦力だね! 頑張れ男!」
男「マジかよ……責任かかるの嫌なんだが……」
女「そしてそしてぇ! 私の能力が『触れている物体の温度を上昇させる能力』! しかも最大でその物体を蒸発させるまで上げられる!」
男「俺がクマムシになって女の能力食らってみたけど、すぐに蒸発する温度まで上がるってワケではなかったな」
オタク「敵を蒸発させれば強力な武器になるんですけど、そうなってくると隙の方が大きくてとても攻撃としては使えそうにないですね」
副会長「温度を上げるということは女さんの手も無事ではないですもんね……」
女「そこらへんはまあ時と場合によっちゃあこの手は捨てますよ」
番長「その意気は買うが無理はするなよ。女が自分の身体を傷つけることほど胸糞悪いことはねえからな」
女「番長さんったらー、そんなこと言われたら好きになっちゃうじゃないですかー、やめて下さいよもー」
番長「俺は硬派だ! そんな誘惑にはなびかねえ!」
男(面白えなこの人)
副会長「息を吐くように女さんを口説いて! この女たらし! 変態! 不潔!」
番長「そんなつもりはねえ!」
男(面白えなこの人たち)
女「そんでもって番長さんの能力が『硬化』」
副会長「……『硬化』……ッ!? 変態!」
男「副会長さん落ち着いて!」
番長「何言ってるんだお前は……」
女「番長さんの『硬化能力』はどんなもんなんだろうね」
番長「試そうにも最適な方法が思いつかんな」
女「体育館の床をブン殴ってブチ開けられるかどうかなんて派手なことは出来ないもんね」
男「その『硬化』ってのは別に鉄になるとかいうワケではねえのかな?」
番長「鉄になったら動けないだろう」
男「鉄に限ったことじゃねえと思うけど……」
オタク「でも……その『硬化能力』が鉄に変化するなどというものなら見た目で異変がバレてしまいますよね」
男「ああそうか、だとすれば見た目が変わらない『硬化』の方が奇襲には向いてるのか」
番長「? ? ?」
副会長「自分の能力なんだからしっかり把握しておきなさい!」
女(硬化能力……ねぇ、うひひひひ)ワキワキ
女「そして副会長ちゃんの能力が……」
男「……」
番長「……」
オタク「……」
副会長「『相手をくしゃみ地獄に落とす能力』!」
女「違う違う『鼻水に生命を与える』だから、ね」
番長「自分の能力ぐらいしっかり把握しとけよ」
副会長「……うぅ」しゅん……
男「正直、あの生きた鼻水が鼻の中を動き回る感覚は物凄く不快だった」
副会長「ふふんっ!」ドヤァ
番長「そんなに誇らしいか?」
オタク「ドヤ顔可愛い」
女「くしゃみ地獄には落とせるけど、窒息させるまでにはいかないんだよね」
副会長「所詮鼻水、出来ることは限られているようです……」
番長「ま、まあ、窒息させられる程の量の鼻水がいつでも誰の鼻にでもあるって方が稀だからな……」
女「そして最後! オタクくんの能力が! 『対象と自分の位置入れ換え』!」
男「効果範囲と対象範囲が謎なのが不安だな」
オタク「そこはもう僕のセンスにかかっていますね!」
副会長「オタクさんのセンス信用して良いんですか?」
オタク「しない方が良いでしょう!」キリッ!
女「試しに男を『対象』にして位置入れ替えしてみようよ」
男「また俺かよ」
オタク「おkです!」しゅいっ
男「お?」しゅいっ
番長「……入れ替わったな」
副会長「入れ替わりましたね」
男「変な感覚……」
オタク「ふっふっふー! どうですか我が能力の威力は!?」
女「凄いねー、本当にスパッと入れ替われちゃうんだ」
女「そして最後! オタクくんの能力が! 『対象と自分の位置入れ換え』!」
男「効果範囲と対象範囲が謎なのが不安だな」
オタク「そこはもう僕のセンスにかかっていますね!」
副会長「オタクさんのセンス信用して良いんですか?」
オタク「しない方が良いでしょう!」キリッ!
女「試しに男を『対象』にして位置入れ替えしてみようよ」
男「また俺かよ」
オタク「おkです!」しゅいっ
男「お?」しゅいっ
番長「……入れ替わったな」
副会長「入れ替わりましたね」
男「変な感覚……」
オタク「ふっふっふー! どうですか我が能力の威力は!?」
女「凄いねー、本当にスパッと入れ替われちゃうんだ」
女「そして最後! オタクくんの能力が! 『対象と自分の位置入れ換え』!」
男「効果範囲と対象範囲が謎なのが不安だな」
オタク「そこはもう僕のセンスにかかっていますね!」
副会長「オタクさんのセンス信用して良いんですか?」
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女「試しに男を『対象』にして位置入れ替えしてみようよ」
男「また俺かよ」
オタク「おkです!」しゅいっ
男「お?」しゅいっ
番長「……入れ替わったな」
副会長「入れ替わりましたね」
男「変な感覚……」
オタク「ふっふっふー! どうですか我が能力の威力は!?」
女「凄いねー、本当にスパッと入れ替われちゃうんだ」
大事な事なので(ry
女「そして最後! オタクくんの能力が! 『対象と自分の位置入れ換え』!」
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オタク「そこはもう僕のセンスにかかっていますね!」
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男「また俺かよ」
オタク「おkです!」しゅいっ
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男「効果範囲と対象範囲が謎なのが不安だな」
オタク「そこはもう僕のセンスにかかっていますね!」
副会長「オタクさんのセンス信用して良いんですか?」
オタク「しない方が良いでしょう!」キリッ!
女「試しに男を『対象』にして位置入れ替えしてみようよ」
男「また俺かよ」
オタク「おkです!」しゅいっ
男「お?」しゅいっ
番長「……入れ替わったな」
副会長「入れ替わりましたね」
男「変な感覚……」
オタク「ふっふっふー! どうですか我が能力の威力は!?」
女「凄いねー、本当にスパッと入れ替われちゃうんだ」
すまんwwwwwwwwwwwww
なんかすげえバグってたwwwwwwwwwwwww
ss速報の洗礼を受けたらしい
大事な事なので(ryって何回言うつもりなんじゃあーー
エラー吐いてても書き込めてるから一度更新することをおすすめするぜよ
めっちゃ恥ずかしいわマジでスマン
>>68
サンクス肝に銘じとく
番長「でもこんなにソッコーで入れ替わっちまうと『対象』との質量差はどうなるんだろうな」
副会長「んえ? え? 質量差? ふえ?」
女「番長さん意外と鋭いねー」
番長「意外とは余計だ」
男「つまりどういうことでしょうか」
番長「要は、例えば位置を入れ替える『対象』が物凄く小さい物だったとするだろ?」
男・副会長「はい」
番長「そんでもってオタクがその『対象』とあんなに瞬間的に入れ替わっちまったらどうなる?」
男「ああ、そういうことか!」
副会長「えっ!? 男さんわかったんですか!? ずるい!」
男「本来その小さい『対象』があった場所にオタクが瞬間的に移動したら起きることは『爆発』じゃね? ってことだよ」
番長「そういうこった、わかったか副会長?」
副会長「つまりオタクさんは爆弾人間ってことですね!」
男・女・番長・オタク「……」
女「でもそれならヒョロイ男と」
男「ヒョロくて悪かったな、地味に気にしてんだよちくしょう」
女「ふくよかなオタクくんでも」
オタク「女さんのその気を遣った言葉選び感謝します」
女「結構な『爆発』と『収束』は起こりそうだよね」
番長「二人ともどうだったんだ?」
オタク「いや、僕はなんとも……」
男「俺も別に……位置が一瞬で変わってちょっと気持ち悪くなったくらいだ」
女「二人の身体に負担がかからなかったってことはそういう心配はなさそうってことかな?」
番長「だな。仮に起きたのならオタクは潰れるし男は弾け飛ぶだろうしな」
男(そんな危険なことだったのかよ……)ガクガクブルブル
オタク「……」ガクガクブルブル
女「よーし取り敢えずまあこれにて改めて5人の能力の確認はオッケーね! それじゃあみんな、この殺し合い絶対生き残りましょう!」
一同「おー!」
…一方その頃…―校舎に隣接する用務員小屋―
主人公「……ごめん、もう一回言って」
ヒロイン「だーかーらー! 今から安価で5対5の能力バトルが始まるの!」
主人公「なんだそりゃ……なんですかそりゃ!?」
ヒロイン「一人につき一つ安価で決められた能力を用いて5対5の能力バトルをするのよ」
主人公「なるほど」
ヒロイン「しかもこれは殺し合い、どちらかが全滅するまでこの戦いは続くのよ」
主人公「やれやれ、また面倒なことになったもんだ。ごく普通の高校生の俺がなんでいっつもこんな目にあわなきゃならねえんだ……」
ヒロイン「ったく主人公はこれだから……少しは頼りになる姿見せてよね!」
主人公「ふわぁーあ、俺は眠いのになー」
ヒロイン「もう……たまーーに頼もしくてカッコ良く見える時はあるのに、普段の主人公は全然カッコ良くない」ぼそっ
主人公「ん? 何か言ったか?」
ヒロイン「べ、別に何も言ってないわよ!」ドゲシッ!
主人公「んぎゃああああああああああああああ!!!」
テンポ悪くて申し訳ない、切り良くはないけど一旦ここで終わらせるわ
また明日、今日スレ立てた時間くらいに書き始めると思うからその時はよろしくお願い
>>7
どうにか話が破綻しないような安価になってくれることを祈るばかりだな
レインボーブリッジを封鎖する能力
主人公「……まあ、大体は理解出来た。安価で決まった能力で殺し合いをするんだな」ボロッ
ヒロイン「そういうこと」
主人公「マジで面倒臭いな、俺は平穏に暮らしたいのに」
ヒロイン「私だってそうだよ。こんな所で死にたくなんかないもん」
主人公「お前含めた俺以外の4人で頑張って戦ってくれれば俺も楽出来るんだけどな」
ヒロイン「他力本願過ぎるでしょ……あんたには見栄ってもんは無いのかい」
主人公「見栄張って苦労するくらいなら死ぬ気で自分のこと謙らせるわ」
ヒロイン「最低じゃん」
主人公「なんとでも言えばいいさ!」
ヒロイン「……はあ。ま、こんなところウダウダしてても仕方ない。さっさと安価で能力決めて貰いましょう」
主人公「そうだな」
ヒロイン「んじゃあ先ずは主人公の能力からね!」
主人公の能力>>80
対象者を高速治癒状態にする
傷が完治するまでの対象者の行動を支配する
ただし自殺行為は不可
ヒロイン「『対象者を高速治癒状態にする。傷が完治するまでの対象者の行動を支配する。ただし自殺行為は不可』って能力だね」
主人公「つまり僧侶ポジってこと?」
ヒロイン「まあ端的に言ったら回復役ってことだね」
主人公「ほほう、直接戦わないで済むのか。そりゃラッキーラッキー」
ヒロイン「あんたねえ……」
主人公「にしても『傷が完治するまでの対象者の行動を支配する』ってのはどういうこった?」
ヒロイン「そのまんまの意味なんじゃない?」
主人公「傷が完治するまでの対象者の行動を支配出来るってことか?」
ヒロイン「多分ね。ということは、時と場合によっては敵に能力を使うって手もありえるってことね」
主人公「傷が治っちまうのにか?」
ヒロイン「それ以上に敵を支配出来るっていうのは戦局を大きく支配することに繋がるでしょ」
主人公「なるほどなー。リスクはあるがそういう使い方も可能なのか……」
主人公「お、だとしたら相手に俺の能力をかけて支配して自滅するように仕向ければ」
ヒロイン「それは多分無理でしょう」
主人公「どーしてだ?」
ヒロイン「最後に『自殺行為は不可』ってあるでしょ」
主人公「……支配出来てもそいつを自滅させることは出来ないのか」
ヒロイン「恐らくはそういうことなんだろうね」
主人公「だったら仲間を襲わせるようにすれば良いのか」
ヒロイン「うん。きっとそれは可能だと思う」
主人公「高速治癒状態ってのがどのくらい高速なのかもわからんな。リジェネ程度でないことを祈ろう」
ヒロイン「一番良いのは誰も傷付かないことなんだけどね」
主人公「女の子が傷付いてくれれば能力使って支配してあんなことやこんなことが出来るの」
ヒロイン「主人公のエッチ! 変態! バカァ!」ドゴォッ!
主人公「に゛ィィィィィ!!!」
ヒロイン「……ったく。気を取り直して次は私の能力を安価で決めて貰いましょう」
主人公「……の、能力発動(自分に)」シュゥゥゥ……
ヒロインの能力>>87
自分の口からピンク色のナマコ型生物を吐き出す能力。そのナマコ型生物は自爆できる
主人公「『自分の口からピンク色のナマコ型生物を吐き出す能力。そのナマコ型生物は自爆できる』能力だってさ」
ヒロイン「……」
主人公「……」
ヒロイン「……」
主人公「……ま、まあウニとかヒトデじゃなかっただけ良しとしようぜ」
ヒロイン「……」
主人公「お、俺は結構好きだぜ。はは、好き好き、ナマコ吐く系女子好きだから。だからそう気を落とすなって」
ヒロイン「……」
主人公「ピンクのナマコとかすげえ可愛いじゃん! しかもそれが爆発するんだぜ! すげえ強力じゃねえか!」
ヒロイン「……ぐすん」
主人公「……」
ヒロイン「……」
主人公「……」
ヒロイン「……さーて5対5能力バトル私たちの三人目の仲間はァ! この高校を裏で仕切る番長の可愛い舎弟(妹)ヤンキー娘ちゃんだァ!!!」
ヤンキー娘「えっ!? その流れで私の紹介かよ!? 勘弁してくれよ!」ドキッ!
主人公「もうヤケだな……」
ヒロイン「ごめんね、唐突に紹介しちゃって」
ヤン娘「いや別に良いけどよ……ヒロインちゃんの気持ちもわかるしさ。ちょっとビックリしっちゃっただけだから……」
主人公「誰かと思えば俺たちのクラスのヤン娘ちゃんじゃねえか。よろしくな」
ヤン娘「あ゛ん゛?」ギロッ
主人公「なんで睨むの!?」
ヤン娘「お前の噂は先輩とか後輩の女の子から聞いてんだよ! いろんな子惚れさせてチャラチャラしてんだってな!」
ヒロイン(主人公の体質のことか……ほんとに見境ないんだね)
主人公「なんだそりゃ!? 知らねえよそんなこと!」
ヒロイン(自覚無いのもどうにかして欲しい)
ヤン娘「私はお前みたいな軟派野郎認めないからな!」
主人公「仲間なんだから仲良くしましょうよ!」
ヤン娘「ふんっ!」ぷいっ
主人公(先が思いやられる……)
ヒロイン「ま、まあね、一応これから共に戦う仲間として喧嘩は無しってことでね。……ヤン娘ちゃんの能力を安価で決めてもらいましょ」
ヤンキー娘の能力>>95
虫使役
ヒロイン「ヤン娘ちゃんの能力は『虫使役』能力ね!」
ヤン娘「ひぃぃぃぃぃ!」
主人公「なんで驚いてんだよ」
ヤン娘「え、んなっ、べ、別に驚いてねーし!」
主人公「いや完全に驚いてただろ……もしかしてヤン娘虫怖いのか?」
ヤン娘「ハア!? こ、こここ怖くなんかねえに決まってんだろ!」
主人公・ヒロイン(……怖いんだな)
ヤン娘「……ハア」
主人公「にしてもこの能力は強いのか? 弱いのか?」
ヒロイン「この高校にイナゴの大群でもいればそれを使役して最強の軍勢を作れるんだけどね」
ヤン娘「イナゴの大群……」ブルブル
主人公「んなのいるわけねえし高校の敷地に生息してる虫なんざたかが知れてるもんな」
ヤン娘「ということはどういうことなんだよ……」
主人公「弱い」
ヤン娘「……うぅ」ぐすん
ヒロイン「ちょっとそんなはっきり言わなくても良いでしょ! ヤン娘ちゃん凹んじゃったじゃん!」
主人公「意外とメンタル弱いんだな」
ヒロイン「あ」
ヤン娘「ん?」
ヒロイン「ヤン娘ちゃんの隣りにあるテーブルの上見てみて」
ヤン娘「? ……? ……ッ!? きゃあああああ!」ぎゅぅっ!
主人公「ぐおおお、苦しい、ぐるし……い。いきなりなに抱きついてきてんだ、よ」
ヤン娘「クモ、クモぉ!」
主人公「落ち着け! 取り敢えず落ち着けヤン娘! 俺が苦しいから落ち着け!」
ヤン娘「……はぅあ!」ぱっ
主人公「……はあ、解放された。ん? なに眉間に皺寄せてんだ?」
ヒロイン「別にィ?」ピキピキ
主人公「お前もクモくらいでそんな騒ぐんじゃねえよ」
ヤン娘「……ごめんなさい」
主人公「で、ヒロインはなんでヤン娘にそんなこと言ったんだよ。まさかただ驚かせようとしたワケじゃないよな」
ヒロイン「せっかく近くに虫がいるんだからヤン娘ちゃんの能力試して貰おうかなと思ってさ」
ヤン娘「出来るのかな……使役」
主人公「そういう能力なんだから出来なきゃおかしいだろ」
ヒロイン「じゃあ取り敢えずそこのクモを八の字描くように歩かせてみて?」
ヤン娘「……むむむ」
クモ「……」カサカサカサ
主人公「おおっ! ちゃんと八の字描いて歩いてるじゃん!」
ヒロイン「虫の使役能力は本物ってことか」
主人公「こんな小さなクモ一匹使役したところで殺し合いにはなんの役にも立たないけどな」
ヤン娘「……」
ヒロイン「主人公言い過ぎだよー」
主人公「だから、ヤン娘は無理して戦いに参加すんじゃねえぞ」
ヤン娘「……え?」
主人公「戦闘能力無い奴に戦闘させられっかって話だよ。その分他の仲間が頑張って戦うから、お前は負い目なんて感じなくていい」
ヒロイン(……ったく息吐くように恥ずかしいこと言うんだからコイツは)
ヤン娘「……ばか」
主人公「なんで!?」
ヤン娘「お前にそんな気ィ遣われなくても私は拳一つで戦ってやるっつってんだよ! 最強の番長の舎弟ナメんじゃねえよ!」
主人公「えー!」
ヒロイン(その番長さんって人凄く慕われてるんだなー)
ヒロイン「あら? いつの間にかさっきのクモどっか行っちゃったね」
主人公「本当だ」
ヤン娘「ほんと? まだどこかに、背中とかにくっついてたりしない?」
主人公「くっついてないから安心しろよ」
ヤン娘「……よかった」ホッ
主人公「おーいヒロイン」
ヒロイン「なに?」
主人公「もうそろそろ次の仲間紹介してくれ」
ヒロイン「それもそうだねー。それじゃお次の仲間はァ! 私たちの高校を清く正しく誠実に保つことに全てを捧げる代表者ァ!!!」
主人公「だからその紹介の異様なテンションなんだよ」
ヤン娘「……ん? あっ! お前!」
ヒロイン「活躍は校内だけに留まらず彼の素晴らし過ぎる仕事振りを見習い、学びたいと他校の教員や生徒たちを招いて講演会が開かれるほど!」
主人公「ああ、誰かと思えば……」
ヤン娘「お前……番長さんの」ギロッ
ヒロイン「我らの高校が誇る最強のリーダー、生徒会長さんだァ!!!」
生徒会長「校内で殺し合いだなんて物騒なこと、本当はしたくないんだが……そうも言ってられない。よろしく、共に生き残ろう」
主人公「まさか生徒会長さんが仲間だなんてな」
ヒロイン「あの番長とも対等に睨み合える実力を持つ生徒会長さんが仲間に加わってくれるなんて最高だね!」
主人公「おい、お前それ……」
ヒロイン「ん? ……あっ」
ヤン娘「お前、いっつも番長さんを厄介者扱いしてる野郎じゃねえか!」
主人公(そりゃまあ生徒会長だからな)
ヒロイン「ヤバい、余計な事言っちゃった……」
生徒会長「君は確か……あいつのとこいたヤン娘ちゃんか」
ヤン娘「そーだよ、番長さんの舎弟だよ!」
生徒会長「君の話はあいつからよく聞かされているよ」
ヤン娘「だからどうした!」
生徒会長「……乙女なんだからもう少し女の子らしく振舞ったらどうだい」
ヤン娘「んなっ……てめぇ!」
主人公「まあまあまあ落ち着け落ち着け! 生徒会長さんが言ってることはごもっともだと思うぞ!」
ヤン娘「うるせえ余計なお世話だ!」
ヒロイン「あはははー……これ以上場が白熱しないうちに生徒会長さんの能力を安価で決めて貰いましょうか」
生徒会長の能力>>104
人の顔にモザイクかける
ヒロイン「『人の顔にモザイクかける』能力!」
主人公(果たして戦闘に使えるのだろうか)
生徒会長「……ふむ」
ヤン娘「ぷぷぷ、なんだその使えねえ能力。そんなんじゃ生き残ることなんて出来やしねえじゃねえか」
生徒会長「……」
主人公「相手の視界をモザイクにするワケじゃなくて人の顔にモザイクかけるだけだもんなー」
生徒会長「……」
ヤン娘「おいおいさっきっから黙ってるけどどうした? あまりにショボイ能力でショック受けたか?」
主人公「仮にも仲間の能力なんだから、これが使えるかどうかで俺たちの命だって左右されるんだぞ」
ヤン娘「……ぐぅ」
ヒロイン「何か策があるんですか?」
生徒会長「……申し訳ないが今は話せない」
ヤン娘「は、なんだそりゃ!? お前私たちの仲間なんだろ!」
主人公「お前が言うな」
ヒロイン「生徒会長さんがそう判断したのなら無理は言いません」
生徒会長「すまない……そして感謝する。これだけは信じてくれ、僕は君たちの仲間だ。仲間の為に僕は全力で戦うよ」
主人公「ようやく四人か」
ヤン娘「ぶっちゃけこんなんでどうやって殺し合いすんだよって話だけどな」
主人公「そこはほら、ヒロインに爆弾ナマコ吐いて貰って」
ヒロイン「ええ!? 私の能力!?」
主人公「お前くらいしか純粋なアタッカーいないんだから仕方ねえだろ」
ヒロイン「うぅ……確かに」
生徒会長「これは殺し合い……生き残るためには5人の敵を全滅させなければいけない」
主人公・ヒロイン・ヤン娘「……」
生徒会長「厳しいかも知れないが、甘えたことは言ってられない」
ヒロイン「……はい」
主人公(正真正銘の生徒会長って感じだな)
???「あのー……そろそろ私の紹介して貰ってもよろしいでしょうか……」
ヤン娘「あん?」
主人公「そういやまだ四人だったな」
ヒロイン「さあさあさあ! いよいよ私たち五人目のメンバーの紹介だァ!」
主人公「結局最後までそのテンションか」
ヒロイン「この学校を代表する委員長の中の委員長! ザ・ベストオブ委員長の……委員長ちゃんだァ!」
委員長「よ、よろしくお願いします」
主人公「ああ、確かE組の委員長さんか」
委員長「ど、どうして私のこと知ってるんですか?」
生徒会長「君の委員長としての仕事振りは僕も聞き及んでいるよ」
委員長「いえそんな……所詮一クラスのただの委員長ですし……」
主人公「随分とまあ、一人を除いて優等生揃いのチームになったもんだな」
ヤン娘「……」
主人公「……」
ヤン娘「……」
主人公「お前のことだよ」
ヤン娘「んだとコラァ!」
ヒロイン「今のは完全に主人公が悪い! 謝りなさい!」
主人公「ちょっとからかっただけじゃんかー」
ヒロイン「謝れ」
主人公「ごめんなさいでした」
ヤン娘「ったく、ちょっと良い奴かもと思ったらすぐこれだ」ぼそっ
主人公「ん? 何か言ったか?」
ヤン娘「いいよ聞こえなくて」
ヒロイン「……。よーしそれじゃあ早速最後の仲間、委員長さんの能力を安価で決めて貰いましょう!」
委員長の能力>>120
あらゆるものを『なかったこと』にする能力
ヒロイン「決まりました! 委員長さんの能力は『あらゆるものを『なかったこと』にする能力』です!」
主人公「名実共に物凄く有名なチート能力じゃねえか」
ヒロイン「『なかったことにする』なんて心地良いぐらいマイナスな能力ね」
主人公「マイナスもなかったことにしたらそれはプラスだけどな」
生徒会長「では、この戦いをなかったことには出来ないのか?」
委員長「今試してみたんですけどどうにも状況は変わってないですね……出来ないみたいです」
主人公「仕事はえー……」
生徒会長「ふむ……『あらゆるもの』とはいっても僕たちの置かれたこの状況は『なかったこと』には出来ないのか」
ヒロイン「その能力を使って死ぬか生き残るかするまで戦え、ってことか……」
生徒会長「委員長さんの能力の限界と『なかったこと』に出来る範囲を把握しておきたいな……」
ヒロイン「じゃあ試しに主人公を『なかったこと』に出来ない?」
主人公「何故そこで俺なんだ」
委員長「……それはやめた方が良いと思います」
ヒロイン「どうして?」
委員長「主人公さんを『なかったこと』にしてしまうと、その後一切みなさんも私も主人公さんの存在を『元から存在しなかったもの』として改変されてしまうんです」
ヒロイン「……」
委員長「『なかったこと』を『なかったこと』にするのは可能ですけど、『元から存在しなかったもの』と認識している以上それを実行するのは難しいでしょうね」
主人公・ヒロイン・ヤン娘「……」
主人公(なにさらっと怖いこと言ってんだこの人おおおお!!!)
生徒会長「なるほど……能力保持者間でも最初に自分の能力をどこまで把握しているかには個人差があるのか」
主人公「冷静に分析しないで下さい!」
ヒロイン「それにしても凄いね委員長さん、能力備わった瞬間にそこまで理解したんだ」
委員長「そこまでといっても所詮この程度ですよ。もしかしたら能力を行使するのにリスクや条件があるかも知れません」
ヒロイン「そこはわからない、か。仕方ないね」
主人公「……ヤン娘、お前さっきから全然喋ってないけどどうしたんだ?」
ヤン娘「……ちょっと私の頭が追い付いてないだけだ」
主人公(アホの子だったか……)
生徒会長「……一先ず、これで全員とそれぞれの能力は出揃ったな」
ヒロイン「そうですね! じゃあ改めてみんなの能力を確認し合いましょうか!」
ヒロイン「男の能力は『対象者を高速治癒状態にする。傷が完治するまでの対象者の行動を支配する。ただし自殺行為は不可』」
ヤン娘「リジェネに相手を操るのがプラスされたようなもんか」
主人公「お、なんだヤン娘ゲーム好きなのか?」
ヤン娘「弟がやってるの隣りで見てただけだよ! 別に好きじゃねえ!」
ヒロイン(RPGやってる弟の隣りでただ眺めてるだけのお姉ちゃん……)
生徒会長「これでは言葉遊びも大概のようなものだが……委員長さんの能力が傷も『なかったこと』に出来るのならば……」
主人公「俺用無しじゃん」
委員長「いえいえ、『なかったこと』には出来るかも知れませんがさすがに対象を『支配』することは出来ません」
生徒会長「それもそうか」
委員長「支配出来るのは主人公さんだけです!」
主人公「フォローありがとう」
ヒロイン(なんかエロいわねそのセリフ)
ヒロイン「で、私の能力が『自分の口からピンク色のナマコ型生物を吐き出す能力。そのナマコ型生物は自爆できる』」
主人公「唯一の純粋な攻撃要員だな」
ヒロイン「『特技はピンクのナマコを吐くことです』って言ったら就活の面接受かるかな」
主人公「おお! そんなの一も二も無く即採用だよ!」
ヤン娘「決まった時は落ち込んでたのに今はえらく開き直ってんな」
ヒロイン「殺し合いだしそんなの四の五の言ってられないと思ってね」
生徒会長「爆発の規模にもよるがヒロイン君の能力はシンプルに強力だね」
主人公「敵が五人まとまっている所に一匹吐き出せばすぐに全滅だろうしな」
生徒会長「……。みんなの能力を使って作戦を立てるのは後でゆっくりすることにしよう」
主人公「……?」
生徒会長「今はそれぞれの能力を確認するのが先ってことだ」
主人公「確かにそうか」
委員長「ヒロインさんがピンクのナマコ吐く所ちょっと見てみたいかも」
主人公・ヒロイン・ヤン娘(どんなフェチだよそれ!?)
ヒロイン「ヤン娘ちゃんの能力が『虫使役』!」
主人公「さっきのクモで能力の効果は実証されたな」
ヤン娘「イナゴの大群がいりゃあ最強の能力だったんだけどなー。あーあー残念残念」
主人公「いなくてホッとしてるだろ」
ヤン娘「し、してねえし!」
委員長「ヤン娘さんの能力はこの学校の敷地内にいる虫をここに集結させることは出来ないんですかね」
ヤン娘「集結って……ひぃっ」ぞわぞわぞわ
生徒会長「……」
ヒロイン「そう言えば確かに、それは無理なのかな?」
ヤン娘「そうだな。いるかいないかもわからねえし種類も数もわからねえ虫どもをここに集めるのはさすがに出来ねえよ」
主人公「認識下の虫たちに限るってことか……」
委員長「体育館の裏とかに行ってダンゴムシ捕まえてきますか!?」
主人公「ダンゴムシ使役してどうすんだよ……」
ヒロイン「委員長さんって意外と活発なのね……」
生徒会長(そういえば最近、生徒会でスズメバチの巣が学校にあるからどうにかして欲しいと議題に上がっていたな……)
ヒロイン「そしてそして生徒会長さんの能力が『人の顔にモザイクかける』能力!」
主人公「顔出しNGの人にとっちゃこの上なく欲しい能力だな」
ヤン娘「この上なくってのはないと思うぞ」
ヒロイン「使いようによっては応用の効く能力だとは思う。その使いようが何か私は考えられないけど!」
主人公「誇らしげに言うなよ」
生徒会長「そうだな……使いようによっては無駄な能力ではない」
ヒロイン「生徒会長さんは何か考えがあるらしいですね」
生徒会長「ああ。けれど今はその考えを言う時ではない……気がするんだ」
ヤン娘「なんじゃそりゃ」
生徒会長「仕様の無いない僕の勘だ」
委員長「生徒会長さんがそう仰るのなら私は文句ありません」
主人公「俺もそれならそれでいいや」
ヒロイン「もちろん私も信じますよー」
ヤン娘「……ちっ、仕方ねえな」
ヒロイン「そしてそしてそして最後! 委員長さんの能力が『あらゆるものを『なかったこと』にする能力』!」
主人公「もう委員長さん一人で良いんじゃないかな」
ヤン娘「とんでもなく強いもんな」
主人公「理解してんのかお前」
ヤン娘「やっと頭が追い付いた」
主人公「よく頑張った、偉いぞ」
ヤン娘「えへへ……ってバカにすんじゃねえよ!」
生徒会長「委員長さんのその能力で重要なのは、能力の及ぶ範囲がどこまでなのかということだな」
委員長「触れなきゃ『なかったこと』には出来ないみたいですね」
主人公「え? いつの間にそんなことわかったんだ?」
委員長「さっきさりげなくここの用務員小屋の窓の一枚を『なかったこと』にしてみたんです」
ヒロイン「あ、本当だ窓が一枚無いや」
委員長「案の定私も『なかったこと』にした窓は『元から存在しなかったもの』と認識してしまってます」
生徒会長「変だな……学校はおろか用務員小屋などの建物も綺麗に保っていたはずなんだが」
委員長「そうなんですよ。窓は絶対に全部揃ってるはずなのに無くなっているということはつまり」
ヒロイン「委員長さんが消したってことになるのね」
主人公「へえー」
委員長「その時私は何もない空間に手を差し伸べていたんで、この能力は触れなきゃ発動しないとわかったんです」
主人公(思った以上に仕事出来るなこの子……)
生徒会長「……なるほど、素晴らしい実験と考察だな」
委員長「ふふーん!」
生徒会長「となると敵を『なかったこと』にするにも接近しなくてはいけなくなるのか」
委員長「敵さんたちの能力も未知数な以上、迂闊に飛ぶ込むことは出来ませんね」
生徒会長「無駄に命を散らせるようなことは避けたいからな」
ヒロイン「チートって程チートってワケでもないのね」
ヤン娘「……」
主人公「無理するなよ」
ヤン娘「……うん」
ヒロイン「よし! これで一先ずみんなの能力の確認は出来たわね!」
主人公「だな」
ヒロイン「よーしじゃあみなさん! 無事に全員生き残れるように頑張って戦いましょう!」
一同「おー!」
―部屋の隅―
クモ「……」
クモ「……」
クモ(あぶねえええええええええ死ぬとこだったああああああああああああああ!!!)
展開遅くてすまん、今日はここらへんで終わりにするわ
ここからは一人で頑張る、安価参加してくれた人たちありがとう
書くペースとかすげえ遅いし適当な時間に投下するけど気が向いたら読んで下さい
>>76
あの使い方は正直後悔してるから忘れてくれ
…少し前…―体育館―
男「……」
女「……」
男「……ん? 今なんて言った?」
女「主人公くんの真似して難聴ぶっても無駄だぞー」
男「……」
女「……」
男「……俺に一人で敵本陣へ潜入してこい、と?」
女「うん!」
男「ハアアアアアアアアアア!? お、おい、ちょっと待て、ちょっと待ってくれ! マジか!? マジで言ってるのか!?」
副課長「……女さん、やっぱり男さん一人で潜入させるのはとても危険な気がするのですが」
男「ほら! 副会長さんだってこう言ってるじゃん!」
オタク「敵の能力も未知数な以上、その危険な懐に男君たった一人で飛び込んでいくのは無謀としか思えませんが……」
男「そうだそうだ! オタクもっと言ってやれ!」
女「無謀なのは百も承知!」
男「だったらそんな無茶振りさせ」
女「でもそれ以上に! オタクくんが言ったように相手の能力も未知数なの!」
男「……はい」
女「男、あんたの能力は私たちの誰にも備わってない情報収集能力がある……それを使って相手の能力を知ることが出来れば、私たちかなり有利じゃない?」
男「まあ確かに」
女「安価で能力が決まってくる以上、もしかしたら敵さんたちの中にも男を越える『目』を持った能力持ちが現れるかもしんないけど」
男「……」
女「その場合ここからの戦いはどうなってくると思う?」
男「こっちの情報は筒抜け、俺たち5人の能力の対策を練られた上で俺たちは全く未知の相手と戦う羽目になっちまう」
副会長「……そんな」
オタク「いかんともし難い劣勢というわけですね」
女「副会長ちゃんやオタクくんが男を心配する気持ちもわかるわよもちろん」
男「俺も凄く不安なんですけど」
女「でも、その逆もまた然り。こっちが相手の能力を知っていればそれだけで有利になれる」
男「もし俺が潜入して下手こいて死んだらどうすんの?」
女「その時はまあ、残った私たち四人も棺桶に半身浴状態だろうね」
副会長・オタク「!?」
男「えー……なのに俺に行かせるのかよ」
女「なのに? これは殺し合いなの。そのくらい腹括ったことしなきゃ勝てる戦いも勝てるワケないでしょ?」
男「……そうか、そのくらい無理しなきゃ5人とも下手すりゃ死んじまうのか」
番長「……決めるのは男、お前だ」
男「……」
女「私的には男に決定権は無かったつもりだったんだけどね」
男「お前なあ……」
番長「無駄に死にに行くこともないだろう、その分俺が戦えば良いだけの話しだ」
男「うっ、うぅ……番長さんあんたって人は」
女「……」
番長「で、男はどうしたいんだ? 女の提案を振ったって誰も咎める奴はいねえぞ」
女「私は文句言いますけど」
男「……」
番長「……」
男「……行ってくるよ、行きゃあ良いんだろ」
副会長「男さん、しかし……」
番長「……命を賭ける覚悟は出来ているんだな?」
男「どうせ俺が見つかって殺されたら残った仲間も劣勢になるんだ。命賭けてるのは俺だけじゃねえ、そういうことだろ女?」
女「ふふん。ま、ハナっから私は男が死ぬなんてこれっぽっちも思ってないけどね」
男「はた迷惑な信用のされかただな……わかったよ。ちょっくら敵の懐行ってさっさと戻ってきてやるよ!」
…そして現在…―用務員小屋―
男【クモ】(いやマジで死ぬとこだった! なんだよヤン娘ちゃんのあの能力マジで体の自由効かなかったぞおい!)
男【クモ】(能力でクモに変身して忍びこんだまでは良かったが、とんでもねえ奴らばっかりじゃねえか)
男【クモ】(っつうか敵さん側主人公いやがるのかよちくしょう。あいつやたらいろんな女子と絡んでて嫌いなんだよな)
男【クモ】(いやいやそれよりも何よりも……天下の生徒会長さんとヤン娘ちゃんが敵って、こっちにゃ二人と仲良い副会長さんと番長がいんだぞおい)
生徒会長「一先ず、みんなの能力の確認は出来たね。とにかく委員長君の能力は強力だ、当面の戦い方はこの強力な能力を死守する形になってくるのだろうか」
男【クモ】(そうだよそうそう。どうすんだよ、なにが『あらゆるものを『なかったこと』にする能力』だよふざけんじゃねえよ)
男【クモ】(そんなのやって許されるのなんざある程度成功した作家原作の漫画くらいなもんだろ馬鹿野郎)
主人公「まあそうなってくるんじゃないですかねー。敵を片っ端から『なかったこと』にしていけばそれだけで勝利ですもんね」
委員長「いやいやぁ、みなさんあんまり私のこと買いかぶらないでくださいよ。所詮触れないと『なかったこと』に出来ないわけですしー」
男【クモ】(生徒会長さんも委員長もめちゃくちゃブレーン的な立ち回りじゃねえか。俺たちこんな知性派部隊敵にして碌に戦えるのかよ)
ヒロイン「向こう……敵もいつ攻めてくるかわからないし、今の内に5人の能力で作戦を組み立ててすぐにでも攻めに転じた方が良いかもしれないね」
男【クモ】(うわ、マジかよ……どうする、どうする俺。このまま作戦の内容まで聞くか? いやでも作戦終わってそのまま攻めて来たら……)
男【クモ】(情報をみんなに伝えて対策を練る暇が無い……ここは今の内に戻って能力だけでも教えた方が良いか?)
生徒会長「……ふむ、そうだね。よし、ではなるべく完結に作戦会議をしよう! 進行は僕がさせてもらう。質問がある人はその都度挙手するように」
男【クモ】「……ええい! もう戻ろう! こんなおっかねえ所ずっといれるワケねえよくそ!」
―体育館―
副会長「……あっ!」
番長「おお! あいつ無事に戻って来たぞ!」
オタク「男君んんんん! 心配しましたよー!」
男「ハア、ハア、ハア……あー怖かった! すっげえ怖かった!」
番長「よく危険な仕事を全うしたな! お前は真の漢だ!」
男「……おう」
副会長「本当に良かった……男さんが死なないで本当に良かった」
男「……ああ」
女「で、隙を突いて誰か倒したりとかは出来た?」
男「お前は一っつも褒めてくれねえのかよ! かなり頑張ったんだぞ!」
オタク「まあまあ、こう見えて女さんも男君がいない間ずっと無事に帰って来るのを祈ってたんですよ」
男「……うわー全然想像つかねえ」
女「あんたが死んだらそれだけで大きな損失ですもん、そりゃあ祈るわよ私死にたくないしー」
男「どうせそんなこったろうと思ったよ!」
副会長「喧嘩は止めて下さーい!」
女「んで、収穫は?」
男「……先ず俺は体育館を出て、嗅覚の発達した犬に変身しどこに敵が潜んでいるか探すことにした」
女「そういうのはどうでもいい」
男「……。えっと、敵の顔ぶれとそれぞれの能力はわかりました」
オタク「おお!」
女「やったじゃない! これで相手の能力を基にして対策が練れるわね!」
番長「はー……女が情報得られれば有利になるとは言ったが、いざそういうのを知れるとかなり心に余裕が出来るもんだな」
副会長「どうせあなたは相手の能力がなんであろうと暴れるだけなんでしょう?」
番長「まあそうだな!」
副会長「……はあ」
女「相手はどんな面々だったの?」
男「……一応、先に言っとくが。はっきり言って番長と副会長には嬉しくない事実だと思う」
番長「どういうことだ?」
副会長「嬉しくない、とは?」
女「……っち、まさか」
男「俺たちが殺し合う敵には、番長の馴染みのヤン娘ちゃんと副会長さんがお世話になってる生徒会長さんがいる」
副会長「……!? そんな……」
番長「……」
男「二人には気の毒な情報だが……事実だ」
女「……残りは?」
男「主人公とヒロイン、そんでもって俺らのクラスの委員長だ」
オタク「んなっ!? あのベストオブ委員長さんが敵なんですか!?」
女「……っかー参ったね。生徒会長さんだけじゃなく委員長ちゃんまでいるってか」
番長「……な、なにがそんなに不味いんだ?」
女「圧倒的に向こうの知略レベルが高いんですよ」
番長「んなの、俺が拳で」
女「いや無理です」
番長「……」
オタク「……その上お二方に近しい人がいるとなると、余計戦いづらいですね」
女「それは向こうの生徒会長さんとヤン娘ちゃんも一緒よ。重要なのはどこまで非情になれるか」
男・オタク「……」
副会長・番長「……」
女「……聞かせて、敵の能力を」
男「主人公の能力は『対象者を高速治癒状態にする能力』らしい」
女「リジェネみたいなものね。高速治癒ってのがどんな程度かわからないのが怖いわね」
オタク「もしそれがとんでもなく高速だったとしたらいくら攻撃を与えてもすぐに復活してしまいますね」
女「その時は一撃で殺すようにしないとダメってことね」
オタク「oh……」
男「こいつの能力はそれだけじゃないんだ」
女「なにそれ? 高速治癒状態にされるだけでもチートだってのにまだ何かあるわけ? 欲張りにも程があるでしょ死ね」
男「この能力で高速治癒状態になった対象は『傷が完治するまでの行動を支配される』みたいなんだ」
オタク「んななななんですかそれは!?」
女「ハア!? なによそれ!? ……ということはつまり、うっわ面倒くさっ!」
男「こっちの誰かが少しでも傷を付けられれば、その瞬間主人公の支配下になっちまうってことだな」
番長「そりゃあまた……」
副会長「相手の能力がわかっても全然安心出来ませんね……」
女「くっそー……これを支配される危険があると考えるべきか、味方の傷が回復出来てむしろ良いと考えるべきか」
男「男の能力はこんなもんだ」
女「ホントね!? もうこれ以上追加効果あったら私ドロップアウトするわよ!」
男「大丈夫だよ」
女「はあ……敵の能力一人目にしていきなり絶望的なんですけど」
男「まあ後四人もいるし絶望するのはまだ早い早い」
女「なんで白目になってるのよ……」
男「アハハハハハハ」
女「不安しかねえ」
男「二人目、ヒロインの能力は『自分の口からピンク色のナマコ型生物を吐き出す能力』だ」
女「いきなりギャグみたいな能力になったね。ピンクである必要はあるのかな」
男「『吐き出したナマコ型生物は自爆できる』らしい」
オタク「なんですかそのどこぞの地球侵略を目論む生命体の地雷型みたいな能力は」
女「一見馬鹿らしい能力だけどシンプルに怖いわね」
男「本人は自分の能力嫌がってたけどな」
女「そりゃあビジュアル的にも最悪だもんね。特に可愛いヒロインちゃんともあればマイナスでしょ」
オタク「しかし、爆発物なんてそれだけでも充分僕たちを一掃する威力を持っていますし危険なことには変わりありませんねー」
男「ヒロインの奴が自分の見てくれ気にして能力使ってこなけりゃいいんだけどな」
女「向こうだって生き死にかかってるんだしそんな高望みはするだけ無駄よ」
男「ヒロインの能力はこんなもんだな」
女「ピンクのナマコってのが意味不明だけど、それが爆発するとなると油断できないね」
男「爆発に巻き込まれたらその瞬間主人公のリジェネ支配の餌食だからな……凶悪コンボだぞ」
女(爆弾ナマコを吐き出す……か、注意しとかないとなー)
男「で、えーっと次がヤン娘ちゃんの能力なんだがー……」
番長「……」
女「どうぞ、さっさと教えて」
男「『虫使役』の能力だ」
女「……それだけ?」
男「おう、それだけ。別に使役した虫が強化されたり世界中の虫を使役みたいなことはないらしい」
女「あくまで近くにいる虫をただ使役するだけってこと?」
男「そうっぽいな。本人がそう言ってたし」
女「主人公くんとヒロインちゃんに比べてショボイわね」
男「ショボイっつったってクモになって潜入した俺はその能力で操られてマジで死ぬかと思ったけどな」
女「なに? 虫に変身した男のことも使役っちゃうってワケ?」
男「そうみたい」
女「ヤン娘ちゃんの前では虫に変身するの禁止だね」
番長「……」
男「お次は生徒会長さんの能力」
副会長「……」
女「生徒会長さんは能力よりも地で備わってる統率力とか頭の回転の速さの方が怖いわね」
男「だろうな、正真正銘のスーパー生徒会長だし」
女「その言い方だと、生徒会長さんの能力はあまり脅威ではないように聞こえるけど」
男「能力自体は確かにあんまりおっかない能力ではなさそうだったな」
女「へえ、どんな能力なの?」
男「『人の顔にモザイクをかける』能力だ」
オタク「なんですかそのふしだらな能力は!?」
女「……ふーん。まあ直接私たちが痛い思いするような能力ではないみたいね」
男「そう思っておきたいな」
女「でもまあ……上手く使われたら厄介な能力にもなりそうだね」
男「そう思いたくはないけどな」
女「この高校以外の高校すら束ねる程の器を持つ生徒会長さんのことだし、警戒しておくことに越したことはないね」
男「頼んだぜ女」
女「お前も警戒しとくんだよ」
副会長「……」
女(主人公くんの能力が『対象者を高速治癒状態にする』能力。治癒中の対象は主人公くんに支配される……)
女(……主人公くんの能力が届く範囲で傷付きでもしたら一発アウトってわけか、めんどくさいなー)
女(んでヒロインちゃんの能力が『自分の口から自爆するピンク色のナマコ型生物を吐き出す』能力……)
女(一見ふざけた能力だけど敵を殺すだけならこれ以上ないほど敵した攻撃型の能力だな……問題は吐き出す速さと爆発の規模か)
女(ヤン娘ちゃんの能力が『虫使役』能力……)
女(男が言うには本人が認識した虫に対してしか使役は出来ないようだけど、だとすれば人に危険のあるような虫でもいない限り高校ってバトルフィールドの中じゃあまり脅威ではないのかな?)
女(……で、生徒会長さんの能力が『人の顔にモザイクをかける』能力……)
女(能力自体に殺傷性は無いけど、生徒会長さんの手によってどんな厄介な使われ方をされるのか考えると充分警戒に値する)
女「……」
女「……ハア、こりゃまいったね」
男「そんで最後の一人の委員長なんだがー……」
女「そうだよまだ一人残ってたんだ……」
男「あー……」
女「……何よ、その世界が破滅したかのような絶望の表情は」
男「『あらゆるものを『なかったこと』にする』能力」
女「……は?」
男「『あらゆるものを『なかったこと』にする』能力、でございます」
女「……ハ?(……ハ?)」
男「……」
女「……」
オタク「……」
番長「……」
副会長「……?」
女「……ふぅー」
男「……」
女「よし、みんなで今すぐ心中しよっか!」
男「やめろォ!」
女「やめろっつったって仕方ないでしょ何が『あらゆるものを『なかったこと』にする』能力よ! んなチート能力相手にどうやって戦うつもりよ!」
男「女が言いたいことはわかる! 絶望する気持ちもわかる! だから一先ず白目むくのだけはやめてくれ怖い!」
女「……はあ」
男「信じたくないだろうが事実だ。委員長が手で触れた物……というか『モノ』は問答無用で『なかったこと』にされる」
女「手で触れなきゃ『なかったこと』には出来ないのね、んな気休め言われたってこれっぽっちも喜べねえっつうの」
オタク「ぼ、ぼぼぼ僕たちは、そんな相手と戦わなければいけないんですか……」ガクガクブルブル
番長「……冗談じゃねえぞ、触れられたらアウトって喧嘩にすらならねえじゃねえか」
女「ま、能力バトルだしねー。腹括って戦いに臨んだつもりだけど、そんなチートを相手にするたあさすがに思いませんでしたよ」
男「……」
女「どーしますかねー」
男「今のところ圧倒的驚異の委員長はなるべく早めに退場させたいよな」
女「そりゃ相手も同じだろうね」
オタク「と言いますと?」
女「全力で委員長ちゃんを守る作戦で向かってくるってこと」
番長「そりゃそうだろうな」
副会長「つまり、委員長さんを守る形での戦い方をしてくるってことですね!」
女「そういうこと」
オタク「だとすれば僕たちはどうすれば……」
女「……オタクくんの能力を上手い具合に使わないとね」
男「……そうなってくるか」
女「察してくれたのかな?」
男「『硬化』能力の番長よりは俺の方が『それだけ』をするなら都合が良いんだろ?」
女「御明察」
番長「俺はどうすりゃ良いんだ?」
女「番長さんはその『硬化』能力がどこまで通用するかはわからないけど、一応今の段階ではディフェンダーね」
番長「おう、守りか。任せてくれ!」
副会長「えーっと……私はどうすればいいでしょうか」
女「副会長ちゃんはここぞという時に敵の隙を作るようにしてほしいわね」
副会長「ここぞという時、ですか……」
女「ま、難しければ私が指示を出すから安心して」
副会長「は、はい!」
オタク「……僕たちはここでじっとしていて良いんですか?」
番長「それもそうだな、早いとこ敵地に乗り込んじまって相手にこっちの能力を把握される前に叩いた方が良いんじゃねえか?」
女「……いや、動くのは敵さんたちだけでいい」
番長「どうしてだ?」
女「これが拳オンリーの喧嘩なら話は別だけど……いかんせん能力バトルだからね。いくら奇襲をかけても下手すりゃこっちが全滅ってこともありえる」
番長「……ふむ」
女「手堅くいきましょうよ、死にたくないのならね」
オタク「ということは僕たちはここで待つということですよね……敵は攻めて来ますかね? このままだとお互いにらみ合いが続くことも」
女「んや、敵は必ず攻めて来るわ。私たちの能力を知らない以上不安だろうし、いつ向こうから襲ってくるかも知れないという焦りもあるでしょう」
オタク「なるほど……」
女「それに……別に今から来るであろう侵攻が私たちを皆殺しにかかる本気の侵攻ってわけでもないだろうしね」
女「男! 準備はオッケー!?」
男【狐耳】「うるせえな! んな大声出さなくったって聞こえてるよ!」
女「オッケーオッケー、なんとなく聴覚が良さそうな動物で狐をチョイスしてみたけどちゃんと機能してるみたいね」
男【狐耳】「このジャンルは確かに好きだが、まさか俺自身がキツネ耳になるとは思わなかったぜ」
副会長「似合ってますよ、キツネ耳」
男【狐耳】「嬉しくねえよ!」
番長「しっかし、狐の耳にしたくらいで本当に敵が来る足音わかるのか?」
女「そればっかりは人間の私たちにはわからないけど……男はどう?」
男【狐耳】「ちょっと静かにしてくれな……んー、うーん……」
オタク「……ごくり」
女「……」
男【狐耳】「……。……うわ」
女「どうしたの?」
男【狐耳】「来る! 聞こえた、足音だ!」
番長「女の言う通り向こうからお出でなすったな!」
オタク「とうとう始まるんですね……」
女「そうらしいね……いくよみんな! さっき伝えた作戦通りに……戦闘開始よ!」
ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!
男【狐耳】「っぎゃああああああああああああああうるっせえええええええええええええええええええ!!!」ビリビリビリ
―体育館・入口前―
主人公「えーっと、お前はヒロインだよな? 胸の大きさ的に」
ヒロイン「どこ見て私のこと判断してんのよ変態!」
主人公「ああやっぱヒロインか。委員長さんとデカさが変わらないからなー」
委員長「えへっ」
ヒロイン「ったく失礼しちゃう」
ヤン娘「おい主人公コラお前……もしかして『それに比べて胸の小さい私は見分けつきやすいなー』とか思ってんじゃねえだろうな?」
主人公「ヒロインと委員長さんに比べてっつうか……誰と比べても見分けつくレベルの貧乳じゃねえかお前」
ヤン娘「よっしゃあコロス!」
主人公「なんでだよ見分けつきやすいんだから良いじゃねえか!」
ヤン娘「それとこれとは話が違うだろうがあああああああああ!」
生徒会長「はいはい君たち喧嘩は止めなさい。校舎にも外のどこにも敵はいなかったんだ、ともすれば敵は体育館……言わばここは敵前だぞ」
ヤン娘「くっ……」
ヒロイン「二人ともこれから戦闘なのにそんなんじゃダメでしょ!」
生徒会長「ではヒロイン君、もしかするとこの体育館の扉を開けた瞬間敵が待ち伏せしているかもしれない……頼むよ」
ヒロイン「はい!」
委員長「ヒロインさんの能力発動……わくわく」
ヒロイン「すぅー…………ふっ!」ビュビュッ!
ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!
っぎゃああああああああああああああうるっせえええええええええええええええええええ!!!
―体育館・ステージ上―
もくもくもく……。
副会長「ば、爆発!?」
番長「大方俺たちが扉の前に待ち伏せしてると思って扉ごと吹き飛ばしたんだろう」
女「煙が晴れてくわ! みんな敵の姿を確認してさっき決めた『位置』について!」
副会長「は、はい!」
もく……もく……。
番長「……んなっ」
副会長「あ、あれは……5人とも顔に『モザイク』がかかってます!」
女「くっそー、やっぱりそうきたか……」
番長「あれじゃあ一目で誰が誰だかわからねえな」
女「それが目的だから当然でしょうね、主人公くんと生徒会長さんの見分けつかないなー……似たような体型しやがって面倒臭い!」
副会長「女生徒の制服を着た人が三人、ヒロインさんとヤン娘さんと委員長さんでしょうか」
番長「一人だけ胸の全く無い女のモザイクが多分ヤン娘だろう」
女「オッケー、じゃあ番長さんは残り二人の巨乳モザイクに注意して! 頼むわよ!」
番長「了解!」
女「残りのメンバーは目的の敵と番長さんが重なるように番長さんの陰に隠れて!」
副会長「はい!」
オタク「お、女さーん! 大変です!」
女「どうしたオタクくんっ!?」
オタク「男君がさっきの爆発の轟音で耳をやられてしまったようです!」
男【狐耳】「あばばあばば、あばばばばばば」ぴくぴくぴく
女「ええええええ!? こんな時になんっ……いやまさか扉を爆発されるとは思わないし仕方ないか」
男【狐耳】「あばばばばばばばばばば」
女「こら男ぉ! 気をしっかり! あんたが気絶してちゃ作戦も何もないんだから!」ベシッ! ビシッ! バシッ!
男【狐耳】「い、痛いれす、痛いのらああああばばばば! ……ハッ!?」
女「意識が戻ったならさっさとその似合ってないキツネ耳消しなさい!」
男「……あ、ああ」ぎゅにゅぅっ!
オタク「男君大丈夫ですか!?」
男「まだ頭がクラクラするけどなんとか……って、え!? 敵、顔にモザイクかかってんぞ!? やっぱり女の言った通りだったのか!」
女「それはもういいから! 今は番長さんの陰に隠れるの!」
男「お、おうわかった」フラフラ
―体育館・入口扉前―
もくもくもく……。
主人公「意外とスタイリッシュにナマコ吐き出すんだな」
委員長「吐き出すというよりも発射するって感じでしたねヒロインさんの能力」
ヒロイン「……良かった絵的にひどいことにならなくて」
生徒会長「爆煙が晴れていくぞ、みんな気を抜くな!」
もく……もく……。
主人公「敵は五人全員ステージの下に揃ってるな……ん? あれってこの高校で有名な番長じゃねえか?」
ヤン娘「えっ!? な、なんで番長さんが敵なんだよ!?」
主人公「おいおいヤン娘馴染みの人が敵なのかよ……」
ヒロイン「あの三人は確か、委員長さんのクラスメイト……」
委員長「参りましたねー……ほんの少しだけ戦いづらい相手だー」
生徒会長「あそこにいるのは、副会長君じゃないか!?」
ヒロイン「……三人の知り合いが敵だなんて」
ダッダッダッダッダッ!
主人公「お、おい! 番長が一人でこっちに突っ込んでくるぞ!? どうすんだ!?」
番長「……(くそが! ああモザイクで顔隠されてちゃあ目線も何もわからねえな、『狙い』通りに引っ掛かってくれっかぁ?)」
ダッダッダッダッダッ!
ヤン娘「ばんっ……!」
生徒会長「ダメだヤン娘ちゃん! 今奴に呼びかけようものなら敵に自分の存在を知らせるだけだぞ!」
ヤン娘「……くそっ!」
生徒会長「敵は僕たちが誰なのかわかっていないはず、現状は能力だけじゃなく個人が特定されるようなことも避けるべきだろう……」
ヤン娘「……」
生徒会長「互いを深く知っている仲なら、なおさら相手によく知られてしまっている自分の弱点を曝け出すことにも繋がるからね」
ヤン娘「……わかったよ」
主人公「で、どうすんだ? このままだと番長がこっちに殴り込んでくるぞ」
生徒会長「こちらには委員長君がいるが……相手の能力も不明な以上委員長君の能力だけで安心もしていられない」
ヒロイン「……私がやります!」
主人公「大丈夫かよ」
生徒会長「そうだな……奴が近づいて来るということは逆に言えば『近づかなければ意味の無い』能力なのかもしれない」
委員長「なるほど」
生徒会長「遠距離へナマコを飛ばせるヒロイン君に、牽制の意味でも奴へ攻撃を当てるべきか……頼んだ!」
ヒロイン「はいっ!」ビュビュビュッ!
番長(きたっ! 頼んだぜ俺の能力……爆弾程度でやられんじゃねえぞ!)
ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!
―体育館・ステージ下―
女「体育館のちょうど中央で番長さんへ攻撃、今のところ作戦は順調!」
副会長「ピンクの何かを撃ってきました!」
女「みんな見た!?」
男【鷹の目】「巨乳モザイクの片方からピンク色のナマコが三匹発射された!」
女「狙い通り番長さんに当てにいってくれたわね……っていうか吐き出すってよりもあれじゃ発射じゃない、強過ぎでしょ爆弾ナマコ能力」
オタク「番長さんの陰に隠れる僕たちではなく突撃する番長さんを討とうとするのは当然といえば当然ですが……マジで助かりました」
女「安心するのはまだ早いわね……あの爆撃に番長さんの『硬化能力』がどこまで通用するのか……」
男【鷹の目】「少しでも傷付けば主人公の餌食なんだろ」
もくもくもく……。
番長「げほっ、げほっ! ……ふぅ、痛くも痒くもねえじゃねえか」
男【鷹の目】「番長の無事確認! 傷一つねえぞ!」
女「『硬化能力』すげえええええええええ!」
タッタッタッタッタ!
男【鷹の目】「爆煙の奥で番長に近づく影が一つ!」
オタク「っ!? まさか!?」
女「予想通り……なのかな? 向こうも無傷の番長さんに何らかの理由を見出したはず、だとすれば次に番長さんを消しに来るのはっ!」
委員長「……」タッタッタッタッタ!
女「ビンゴォ! 男、オタクくん、準備して!」
―体育館・入口扉前―
もくもくもく……。
ヤン娘「番長さん!」
生徒会長「直撃、したのか!?」
ヒロイン「あ、ああ……私、人を……」
主人公「落ち着けヒロイン。これは殺し合いなんだろ、どっちかがやらなきゃ終わらねえんだ。お前は何も悪くねえ」
ヒロイン「……うん、ありがとう主人公」
委員長「あれ? みなさんちょっと待って下さい……番長さん、元の形で立ってますよ!」
主人公「……は?」
もく……もく……。
番長「げほっ、げほっ! ……ふぅ、痛くも痒くもねえじゃねえか(俺の能力、予想以上に頑丈になってんじゃねえか)」
生徒会長「無傷だと……これが奴の能力なのか!?」
主人公「くっそ!」バッ!
ヒロイン「主人公!?」
主人公「……ダメだ、俺の能力が番長に通用してる気配もねえ」
生徒会長「正真正銘無傷だということかっ!」
委員長「爆発でも無傷……それが番長さんの能力なのだとしたらもう心配はいりませんね」タッタッタッタッタ!
主人公「おいあんた」
委員長「私が『なかったこと』にしてきます!」タッタッタッタッタ!
ヤン娘「良いのかよ勝手に一人で行っちまったけど!?」
生徒会長「……ああ、奴はヒロイン君のナマコに確実に当たったはずなのに無傷だった。しかし、言い変えれば『そういう類の能力』だとも言える」
ヤン娘「……?」
主人公「あのチート委員長さんを葬りされるような『攻撃系能力』ではないと」
生徒会長「委員長君はそう判断したのだろう。そして主人公君の能力も通用しない今、自分が行くしかないと動いたのだろう」
主人公「相変わらず思考と行動が早い人だな」
生徒会長「委員長君の判断は現状最も適切だ!」
タッタッタッタッタ!
主人公「向こうにいる残り四人の能力もわからねえ今、俺たちは迂闊に動けねえな……」
生徒会長「今は無事に委員長君が一人でも退場させてくれることを祈るしかない」
主人公「一番大切にしなきゃいけない能力者を斬り込み係にすることになるとはな」
ヒロイン「……え、え? ちょっと、奥の……後ろの人たち……何あれ!?」
主人公「ん? ……なんだあれ? ……なんだあれ!?」
生徒会長「男君の腕が毛深く太い腕に変化していく!? なぜだ……何故『その腕』で味方を殴りかかっているんだ!?」
シュンッ!
委員長「……えっ?」
主人公「は? 位置が……オタクと委員長の位置が入れ替わ……え?」
オタク「ふっ……」ドヤァ
番長「委員長とやらが俺を消しに来る瞬間と男がオタクを殴り飛ばす瞬間、二人の位置を入れ替える……最強の能力者を仕留める作戦にしても無茶が過ぎるぜあの女」
バキバキベキベキゴキィ!!!
―体育館・ステージ下―
女「ビンゴォ! 男、オタクくん、準備して!」
男「くっそタイミングシビア過ぎんだろこの作戦!」
女「移動後オタクくんはヒロインさんの追撃に警戒して! いつでも敵と場所を入れ替えられるように!」
オタク「了解!」
女「来るわよ男! 一撃で委員長ちゃんを殺せる攻撃をお見舞いしてやって!」
男「んー……一撃で、委員長に触れられたら一発アウト、なら攻撃力の高い尚且つ委員長と距離を空けられるような……」ぶつぶつぶつ
女「委員長ちゃんが直々に番長さんに向かってるし、やっぱ例のチート能力は触れなきゃダメみたいね……良かった良かった」
男「うわーどうしよう何が良いんだ、強くて委員長が触れられないように吹き飛ばせる動物ぅー動物ぅー」
女「男早くせんと番長消えちゃう!」
男「あーわかったわかったよ! なんとなく『コイツ』でどうにかなんだろ畜生!」ぎゅにゅぅっ!
女「オタクくん頼んだわよ!」
オタク「任せて下さい!」
男【ゴリラの腕】「本気で殴るからな! タイミングミスんなよ! うらぁ!!!」ぶおんっ!
シュンッ!
委員長「……えっ?(ここは? なんで私、へ?)」
バキバキベキベキゴキィ!!!
男「やったか!?」
女「やったか言うな不吉だから!」
副会長「うっ……」
委員長「が……っはぁ……(意識が飛ぶ……顔面を殴られちゃったのか……凄く重いパンチ……)」
男【ゴリラの腕】「……ぐぁ」ブチブチブチ……
委員長「……うぐぅ(とんでもなく重い……けど今の内に、男くんを消す? いやダメだ間に合わない……殴り飛ばされる)」
男【ゴリラの腕】(ちっくしょう痛え! ゴリラの腕と生身の境目の部分が千切れそうだ! やっぱ無理があんのか!)ブチブチ……
委員長(……だったら仕方ない、意識が飛ぶ前に……)パッ!
副会長「男さんのゴリラーパンチクリーンヒットです!」
男【ゴリラの腕】「そのネーミングやめて糞ダサいから! ……いてててて」
委員長「がはっ! うげっ!」ガッ、ドサッ、ゴロゴロゴロ
副会長「委員長さんあんなに遠くに吹き飛んで……痛そう」
女「……考えたわね男。接近状態で即死させられずに、意識のある委員長ちゃんに消されないようにノックバックさせたってワケね」
男【ゴリラの腕】「まあな、でもまああんだけ強く殴れば死んでなくとも気絶くらいはしてんだろ」ぎゅにゅぅっ!
男「これで大ボスは……」
あー、いててて……。吹き飛ばされちゃったってことは、要するにやられちゃったってことなんでしょうね、私。
副会長「……え、え、え?」ガタガタガタ
男「……マジかよ」
女「……受けたダメージも、一瞬で『なかったこと』にしやがった」
委員長「えへっ、絶好のチャンスで決められないなんて全くもって無能ですねー、私」ニコッ
男・女・副会長・番長・オタク「ッ!?」
―体育館・中央―
番長「おいおいおいおい、あれってどうなんだよ!? 殴り飛ばしたモザイク女ぴんぴんしてんぞ!?」
オタク「いや、確かに男君のパンチはヒットしたはずです! 痛い音も響いてましたし!」
番長「なんだ何があったっつうんだ!?」
オタク「……まさか、いやでも……そうするとマジでどこぞのマイナスさんみたいな能力だってことじゃないですか」
番長「ハア!?」
オタク「自分が受けたダメージを『なかったこと』にしたんですよ彼女は!」
番長「そ、んな」
オタク「であければあんなに元気なはずがありません!」
―体育館・入口扉前―
ヒロイン「あれ? え、委員長さん無事なの?」
生徒会長「受けた傷を即座に『なかったこと』にしたのか」
ヒロイン「うぇっ!? そんなことも出来るんですかあの人!?」
生徒会長「……いや、あの能力を持っていれば誰でも出来るというわけでもないだろう。ひとえに能力を発動する瞬間まで意識を保っていた委員長君の精神力があったからこそだ」
ヤン娘「あの優等生、意外と根性あんのな……」
主人公「おいヒロイン、今なら体育館の中央にいるオタクならお前の能力で倒せるんじゃないか?」
ヒロイン「あ、そうか」
生徒会長「いやそれはまずい!」
主人公「え、それはどうしてです……?」
生徒会長「委員長君の復活に敵はうろたえてはいるが、二人……女君とオタク君がこちらから目を離していない」
主人公「……うっわー」
ヤン娘「……どういうことだよ、それがなんでヒロインちゃんが攻撃しちゃいけねえ理由に」
生徒会長「オタク君はいつでも……こちらの攻撃に対して『能力』を発動してもよい体勢をとっているということだ」
ヒロイン・ヤン娘「……っ!?」
生徒会長「迂闊だった……まさかここまで冷静にこの状況に対応出来る人材が向こうにいるとは」
ヒロイン「じゃあ、もし私がナマコを吐き出していたら……」
生徒会長「その瞬間位置を交換され、僕たちのだれかが爆発の餌食になっていただろうな……」
ヒロイン「……」ぞくっ
ヤン娘「そこまであの瞬間に考えてたっつうのかよ……」
生徒会長「……」
主人公「いくらモザイクがかかってて一目じゃわからねえとはいえ、今や巨乳の一人はあっちにいるしな……」
ヤン娘「おい……いやもう争ってもいられねえけど、おい」
生徒会長「ナマコを吐き出すことにより攻撃出来るという能力が向こうに知られてしまった以上、あちらにいる委員長君がその能力を有しているとは思ってくれない」
主人公「近づいて『能力』を使おうとしちまったからな……」
生徒会長「だとすれば爆弾ナマコの能力を持った胸の大きい女生徒はここに残った一人だと……奴らに特定されてしまったというわけだ」
主人公「くっそあいつら……頭良いな」
ヤン娘「……泣いていいか?」
ヒロイン「よしよし」
―体育館・ステージ下―
女「……(向こうが攻撃してくる気配はない、さすがに気付かれちゃったかね)」
男「……委員長」
委員長「……ん? あれ? 男くん私が誰だかわかっちゃったんですか? おかしいなー、生徒会長さんがモザイクかけてくれてるはずなのに……」
女「そりゃあ、クラスメイトなんだもん声聞けば誰かくらいわかるわよ」
委員長「……それもそうですか、いやあ嬉しいですねそう言われると……でも」
女「……」
委員長「その割には全然驚いてませんね。私はクラスメイトの男くんたちが敵だってことにかなり動揺してるんですけど」
女「……(こんのバカ男! 余計なこと口走りやがって!)」
委員長「なんか、事前に知ってたみたいな冷静さですね」
男・副会長「……」ぎくっ
委員長「オタクくんの能力は『対象と自分の位置を入れ替える能力』って感じですか?」
女「……さあね、もしかしたらもっと怖い能力かもよ?」
委員長「番長さんの能力は……体が頑丈になる能力? バリア的な能力ですかね?」
女「教えるワケないでしょう」
委員長「男くんの能力は驚きましたよ。あれは……腕をゴリラの腕に変える能力? いやあまさかそんな限定的な能力ではないんでしょうね」
男・副会長(怖い! 委員長怖過ぎて下手に口出せない!)
委員長「……もしかして、いろんな動物に変身出来る能力……とか?」
女「……(っちぃ! あの一瞬でどんだけ分析すりゃ気が済むんだこの子は!)」
副会長「男さん男さん」ごにょごにょ
男「はいはいどうした」ひそひそ
副会長「今、私が能力を発動して委員長さんをくしゃみ地獄にすればその隙に男さんが倒せませんかね?」ごにょごにょ
男「……無理だろ。確かにくしゃみ地獄は良い具合に隙を作れるが、触っただけで一瞬で『なかったこと』に出来ちまう委員長相手じゃ隙にもならねえよ」ひそひそ
副会長「あぅぅ……そうですか」しゅん……
男「俺たちからは何もすることが出来ねえ」
―体育館・中央―
番長「……くそ、俺はあいつらの盾にならなきゃいけない以上下手に動けねえ」
オタク「僕も向こうにいるヒロインさんの一挙手一投足を見逃さない為にも下手に動き回れません……」
―体育館・入口扉前―
ヒロイン「この距離と角度じゃあステージ下にいる男くんたちはとてもじゃないけど狙えないわ」
生徒会長「ナマコ攻撃を当てる対象がオタク君でさえなければ『位置移動能力』による危険は避けられるのだがな……」
主人公「絶妙に番長の陰に隠れてやがるな」
ヤン娘「……相手も動かねえし、私たちも動けねえ。これじゃあ……」
―体育館・ステージ下―
男「膠着状態だな」
女「とんでもない誤算だったわね、一人くらいなら仕留められると思ったのに委員長さんが思いの外能力含めて鉄人でした」
委員長「……」
男「どうすんだよ」
女「私に聞かないでよ……」
委員長「……」ダッ!
男「ッ!? 委員長走り出して、体育館の横の扉から……まさか逃げるつもりか!?」
男「くそっ!」ダッ!
女「追っちゃダメ!」
男「でも!」
女「今委員長ちゃんを追ったらヒロインさんと番長さんの直線上から外れちゃうでしょ! ナマコ攻撃の恰好の的よ!」
男「うぐっ……そうか」
委員長「……」バッ!
パッ!
副会長「扉がなくなっちゃいました!」
女「体育館の扉が無いなんてはずがない! 委員長ちゃんが逃げる為に消したんだよ!」
副会長「あ、あんなに、本当にあっさり『なかったこと』にしてしまうんですか……」
女「くっそ、せっかくチート能力者倒せると思ったのになー」
―体育館・入口扉前―
主人公「!? 委員長さん外に飛び出そうとしてねえか!?」
生徒会長(……そうか! 相手のメンバー構成や能力はある程度把握出来たからここは一旦退却するのが得策か!)
ヤン娘「お、おいどうすんだよこの場合!」
生徒会長「ヒロイン君、ナマコを番長とオタク君の足元へ吐き出してくれ!」
ヒロイン「え、ええ?」
生徒会長「僕たちも一時撤退するんだ! 情報は充分得られた、今はこれ以上危険な状態で膠着している時ではない!」
ヒロイン「……は、はい!」ビュビュッ!
ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!
―体育館・中央―
ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!
もくもくもく……。
オタク「僕たちの手前にナマコを発射した!?」
番長「爆風で吹き飛ばされんなよ!」
オタク「ええ、大丈夫です……が爆煙で向こうが見えません!」
番長「オタクの能力は使えねえのか?」
オタク「申し訳ないのですが、対象を視認していないと発動出来ないようです」
番長「そうなのか……」
もく……もく……。
オタク「煙が晴れて……あっ」
番長「あいつら逃げやがったのか!」
オタク「……そんな」
番長「ちくしょう! 途中まで上手くいってたんだがな……」
女「オタクくーん! 番長さーん! 集合おおお!」
オタク「ああ、女さんがお呼びです……」
番長「初戦はお互い犠牲者無しで終わったのか……」
女「作戦会議するわよー!」
―用務員小屋―
主人公「ハア……ハア……はあ、なんとか無事に帰ってこれた」
委員長「本当に申し訳ありません、私の勝手な行動ばっかりに振り回してしまって……」
生徒会長「……いや、委員長君はこれ以上ない程の働きをしてくれたよ。元々『様子見』の為の戦闘だったわけだしな」
委員長「あわよくばと思って番長さんを狙いに行ったんですけど、まさかオタクくんがあんな能力を持っているとは……」
ヤン娘「……」
生徒会長「いろいろと危険な状況や予想外の展開に陥ってしまってはいたが、結果的に敵の構成メンバーと数人の能力の把握は出来た……上々だ」
ヤン娘「……」
主人公「……」
生徒会長「……しかし、まさか敵に副会長君がいるとは」
主人公「……生徒会長さん、ヤン娘」
ヤン娘「んだよ」
主人公「馴染みの人らとは、無理して戦わなくて良いんだからな」
ヤン娘「……」
生徒会長「……しかし」
委員長「……」
ヒロイン「主人公の言う通りですよ。戦いづらい相手なのに無理して戦う必要ありません」
生徒会長「……」
ヒロイン「ヤン娘ちゃんも、番長さんにはお世話になってるんでしょ?」
ヤン娘「……うん」
ヒロイン「これはどちらかが全滅するまで終わらない殺し合いだから……ほんとはこんな甘えた事言ってられないんだけど、でも、ね?」
ヤン娘「……」
ヒロイン「番長さんと副会長さんは私たちに任せて」
主人公「委員長さんもだぜ。あの三人ともクラスメイトなんだろ? だったら俺含めた四人でどうにかするからさ」
委員長「……いや、私は平気ですよ。ヒロインさんが言ったように甘えてなんていられませんし、向こうの男くんや女さんだってそう思ってるはずですし」
主人公(そういや男の奴に思いっくそ殴られたんだっけ……)
生徒会長「二人の優しさは有難いが、僕もそのつもりだよ……私情で仲間を危険にはさらせない」
ヒロイン「……生徒会長さん」
ヤン娘「私は……わた、しは……」
主人公「無理すんじゃねえよ戦いたくないんだったらそう言え、少なからず俺は文句言わねえから」
ヤン娘「うるせえ! 戦ってやるよ! 戦うっつってんだよ!」
主人公「なんかお前可愛いな」
ヤン娘「は、ハア!? バカじゃねえのお前!? ばーかばーか!」
委員長「あのー、すみません。ちょっとよろしいでしょうか……」にこにこ
―体育館―
女「いい二人とも! これは殺し合いなんだからね! 相手が誰であろうが全力で潰すのよ!」
男「どんなに可愛い後輩だろうが世話になってる先輩だろうが問答無用で殺しにかかるんだぞ!」
番長「お、おう……」
副会長「は、はい……」
オタク「いくら生き死に関わってるとはいえ醜過ぎますよ男君、女さんェ……」
女「んーな甘えたこと言ってられっかってんだ!」
男「そうだそうだ! 『馴染みある人とは無理して戦わなくても良いよ』とか言って敵に足元すくわれたらどうすんだっつう話だよ!」
オタク「まあ、お二人の言ってることも一理どころか九理くらいはありますが……」
男「キュウリじゃねえ! それどころかパ千理ぐらいあるわ!」
女「は?」
男「ごめんなさい」
女「とまあ冗談はさておいて」
オタク(冗談じゃないでしょ目がマジでしたもん……)
女「二人ともどうすんの?」
番長「……戦うしかねえだろ、仲間に迷惑かけるなんざ番長の名が廃らあ」
副会長「生徒会長さんも同じように考えるはずです……『私情で仲間に迷惑はかけられない』、と。私も全力で戦います」
女「……そう、なら良いわ(少し、この二人をナメてたみたいね)」
オタク「本当にそれで良いんですか……?」
副会長「はい!」
番長「漢に二言はねえ」
男「……よかったー」
女「……よし! んじゃまあ改めてみんなの覚悟が出来たみたいだし、さっきの戦闘の反省と今後の作戦でも話し合いましょうか」
男「そうだな」
女「ハッキリ言って! ……あの戦闘は惨敗でした、私の作戦が至らなかったばっかりに申し訳ありません」
番長「何言ってんだよ、女の考えたあの作戦は完璧だっただろ」
副会長「そうですよ! あの作戦がなければヒロインさんの能力の予想外の速度と飛距離でまとめてやられてました!」
オタク「それにその後、委員長さんが一人で向かってきたことも女さんの読み通りでしたし」
女「いやーダメダメですよ。そもそもあの作戦は最低一人でも倒さないといけないって名目の作戦だったし」
男「まあなー」
女「相手のメンバー構成も能力も把握してるっていう圧倒的有利な状況で5人とも無傷で逃がしちゃうってのは、完全に惨敗」
オタク「……あふぅ」
男「何よりも狂わされたのが委員長の存在だな」
女「……うん」
番長「委員長って奴は大した根性持ってやがるよな」
女「並みの人間ならあの時の男のパンチ……」
副会長「ゴリラーパンチ!」
男「もうその技名言わないで!」
女「男のゴリラーパンチでさっさと気絶してもよかったはずなんだけどね」
男「女も乗っかってんじゃねえよ!」
女「殴られた後もかろうじて意識を保ちながら……『例の能力』を使いやがった」
番長「あの状況で能力を使用する根性にも驚きだが、それよりもだな……」
女「まさか自分のダメージも『なかった』ことにするとはね……あーマジで思ってもみなかった」
オタク「まさしくどこぞのクマさんのような能力ってことですもんね」
女「ただし、『触れたモノ』に限定されるってのは思った以上に委員長ちゃんの能力を縛ってるわね」
男「確かにな、距離さえ空けてりゃ俺ら自身が消される心配はねえってことだ」
女「委員長ちゃんで一番注意しなければいけないのは……あの頭の回転の速さね」
男「あの女との対峙はおしっこちびりそうだったわ」
副会長「私もです」
オタク「ええっ!?」
番長「当然馬鹿ではねえだろうが、そんなにヤバいのか?」
女「あの一瞬で番長さんとオタクくんと男の能力を予想されちゃった……」
番長「……なんだそりゃ」
女「しかも、多分男の能力からいろいろな可能性を導き出してると思う。私たちが男を使って事前に情報を仕入れていたってことにも薄々勘付いてる様子だった」
番長「……おいおい」
オタク「……さすが委員長さん」
女「マジであの時仕留め損なったのは痛かった、ってことね」
番長「……」
副会長「……」
男「……さらに絶望的になっちまったな」
女「次に戦う時には相手もこっちの情報をある程度把握してる状態なんだしねー」
オタク「……どうすれば」
女「まあまあそんなにネガティブにならなくても、収穫もあったんだし良いじゃない!」
オタク「収穫、ですか?」
女「そう! オタクくんの能力の有用性と番長さんの能力の絶対性よ!」
番長「俺の能力の絶対性?」
女「うん。正直あの作戦の、『番長さんにヒロインさんのナマコを防いでもらう』ってのは無理承知の大博打だったんだけど」
番長「無理承知だったのかよ……」
男「こういう奴なんだ、諦めてくれ……」
女「ナマコ爆撃をまともに喰らって番長さんどうだった?」
番長「痛くも痒くもなかったな、爆煙にはむせたが」
女「これは最高の想定外よ。まさかここまで番長さんの『硬化能力』が硬化だったとはね」
男「あの時爆煙の先を鷹の目で見据えてたけど、主人公が何かしそうな動きをとってたな」
女「十中八九自分の能力で『回復支配』しようとしてたんでしょうね」
番長「俺は支配されてた覚えはねえぜ」
女「それが本当なら、番長さんは本当に、これっぽっちも傷を負ってないってこと」
男「……うっわそれって」
女「そう、まさに『無敵の硬化能力』だってことよ」
男「すげえな……」
番長「俺も驚きだ」
女「そうとわかれば、これからはさっきの戦闘以上に番長さんを無茶させられる……ぐへへ、これを知れたのは物凄い大収穫よ」
番長「……」ガクガクブルブル
男「……こういう奴なんだ、諦めてくれ」
女「そんでもってオタクくんの能力の有用性!」
オタク「はあ……僕の能力のですか」
女「どうにも敵さんたちに逃げられた時の様子を見る限り、見える範囲の対象としか位置交換は出来ないっぽいわね」
オタク「申し訳ないですがそのようです」
女「それでも充分有用な能力よ」
オタク「そうなんですか?」
女「ま、それはオタクくん自身が生き残るのにって限定されるけどね」
オタク「どういうことですか?」
女「オタクくんが危険だと思ったら、ひたすら相手と位置交換をし続ければ殺されることはないってこと」
オタク「……なるほど」
女「それにオタクくんの能力は敵に中途半端な『恐怖』を植え付けられたと思うわ」
オタク「恐怖とは?」
女「下手にヒロインさんがオタクくんを狙おうとすれば、その瞬間に『位置交換』をされてしまうかもしれないという恐怖よ」
オタク「ほほう」
女「これは大きなアドバンテージよ。迂闊に攻撃出来ないとわかればそれだけで身の危険も減るんだから」
オタク「……それは良いですね!」
男(良いなー、俺もオタクの能力が良かったなー)
女「それぞれの能力の使い道は考えればもっと広がりそう……まあそれは相手も同じだろうけど」
番長「……そういやあいつら全員モザイクかかってやがったな」
女「顔を見えなくして誰だかわからなくする、予想通り初っ端からそうしてきたわね」
男「番長曰くヤン娘ちゃんは貧乳だからわかりやすいんだけどな」
番長「おう、あいつは度を越えて貧乳だからな」
女「問題は主人公くんと生徒会長さん、ヒロインさんと委員長ちゃんね」
男「似たような体型だもんなー」
女「よーく見ればわかるんだろうけど、戦闘中にそこまで気を回せる余裕なんてないわよ。私たちただの高校生だし」
副会長「私は生徒会長さんの体型の特徴わかりますよ!」
女「一人だけがわかってても意味無いのよねー……」
副会長「ふぇぇ……」
オタク「だとすると、委員長さんだと思ってる人がヒロインさんだったりすると危ないですよね」
女「そうね、近づいてこられて触れられるってことに気を取られて、ナマコ爆弾の発射に反応出来ないってこともありうる」
男「やべえな……」
オタク「うーむ、同じ巨乳とはいってもどうにか胸の形の見分けがつくような――」シュンッ!
委員長「お? おお? おー、目の前に敵さん方がいるってことは無事に『なかったこと』に出来たみたいですね! あはっ」
男「……え、あ、え? は?」
番長「ッ!? んな……」
副会長「え、ええ、なんで!?」
女「ッ!?(オタクくんが突然消えて委員長ちゃんが現れた!? うっそなにそれ!?)」
男「は、ちょ、え? ええええええええ!?」
委員長「いやあ半信半疑ではありましたが、この能力も使い様ですね!」ニコッ!
番長「なんだってこいつがここにいるんだよ!?」
副会長「と、というかオタクさんは!?」
男「ああ、えっと、一体何が起こってるんだあ!?」
女(まさかそんな……でもここにオタクくんがいないってことは『それ』しか考えられない!)
女「委員長ちゃん……オタクくんにやられた『位置交換』を『なかったこと』にしてここまで移動してきたっていうの!?」
男「ハア!? なんじゃそりゃあああ!?」
委員長「では、混乱している今の内に……まとめて消えて下さい」ダッ!
―用務員小屋―
オタク「――おっぱいソムリエのスキルをみんなで磨か……な……いと」シュンッ!
主人公「うお、マジで来た!」
オタク「……あれ? どこですかここ? っていうか、え? 男さんたちは……え? えええええええええええええええ!?」
―体育館―
女「来る! みんななるべく委員長ちゃんから離れて!」
男「ヤバいヤバいヤバい! これ俺たちマジでやべえじゃねえか!」
女「私たちももちろんヤバいけど、何よりも一人向こうに送られたオタクくんが一番ヤバい!」
一旦終わらせます
一人で黙々と書いてると馬鹿らしくなってくるな
読んでくれてる人いたら良かったら何かキャラに対しての不満でもなんでも書いてくれ
それによってはそいつのこと贔屓したり早々に退場させたりするかもしれんから
男『変身動物 アニマルチェンジ』
女『蒸発温度 ハートボイルド』
番長『身体硬化 ソリッドボディ』
副会長『鼻舞踏会 ミューカスライフ』
オタク『位置交換 ポジショントレード』
VS
主人公『回復支配 マネジメントヒーロー』
ヒロイン『海鼠爆弾 シーラットボム』
ヤン娘『昆虫使役 インセクトルーラー』
生徒会長『顔面隠蔽 カバーフェイス』
委員長『結果消去 リザルトデリート』
勝手に能力名つけてみたよ
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