男「そろそろダシがとれた頃かな」
男「おーい」
女「はい」
男「もう出ていいぞ」
女「フウ・・・」
ザバッ
男「うん、相変わらずの味だね」
女「どういう意味ですか」
男「特に問題は無いってことだよ」
女「あなたは頭がいかれてる、人間でダシをとるなんて」
男「つってもね、この店がつぶれたら」
女「はいはい」
女「私はあなたの忠実なシモベでございます」
男「やめろよ、そういうの」
女「でも、おかげで痩せることができた」
男「昔はデブだったもんな」
女「今はすっかりお婆ちゃんになって、やつれてしまいました」
男「それもあるか」
女「ちょっと！」
男「てっ！」
客「おい、まだか」
客「ずいぶんと手間隙かけるもんだな」
男「はい、ただ今」
男「ほら、あんた（女）は引っ込んでろよ。邪魔だ」
女「ついさっきまで・・・」
男「黙れ、さっきはさっきだろうが」
女「あー、眠い」
女「ちょっと寝てきます」
男「もう明日までずっと寝てろ」
男「こちらご注文のムカデラーメンでございます」
客「どうも」
男「こちらが餃子です」
客「あのさ」
男「何でしょうか」
客「新しいダシの味がさ、俺の、こないだ、久々にあのことをしたんだけども
、女房がさ、風呂に入ってなかったらしくて、それで舐めちまった、そん
ときの味に似てるんだよ」
男「こんな時にシモの話ですか」
客「ああ、すまんすまん」
客「何だか急に、思い起こしちまってね、悪りぃ」
女「ねえ」
男「なんだよ」
女「ムカデラーメンて何なの」
男「春の新メニューだよ」
女「全然春らしくないし」
男「なに言ってんだ、ムカデは春の風物詩じゃないか」
女「・・・・・・」
男「もう明日まで寝てろよ、ダシ」
女「私の名前はダシじゃありません」
男「うっせーな、やつれババア」
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