未央「トップアイドルかあ……」 (26)


モバP「まだ実感が沸かないか?」

未央「ううん、トップアイドルって重いなーって思って」

モバP「それでも、喜ばないとな。掴んだものの重みを、お前は一番知っているはずだよ」

未央「そうだね。でも難しいよ、素直に喜べないや」


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モバP「振りでもいいんだ。続けていけば、いつか本当になる。トップアイドルになる過程で学んだはずだろう?」

未央「わかってるよ。でもさ、こんな歳で知りたく無かったな、そんなこと……」

モバP「辛い事だけを見たらダメだ。そうでないと、涙を呑んだアイドル達に申し訳が立たない」

未央「それ、プロデューサーだけには言われたくないな」

モバP「……未央」

未央「だってそうでしょ? 他のアイドルって、プロデューサーが辞めさせたみたいなもんじゃない」


モバP「そんな言い方をするな」

未央「私は、もっと和気あいあいとやっていけるものだと思ってたよ。しまむーとしぶりんと一緒にさ」

モバP「彼女達は自分の道を選んだんだ。それは誰にも強要はできないことだよ」

未央「違うよ。プロデューサーが道を断ったんだ」

モバP「そんなこと……」

未央「受け入れてあげれば良かったんだよ。そうすれば、みんな一緒だった。今だって、この場に居たかもしれないんだよ?
   でも、プロデューサーは、みんなの気持ちをひとつひとつ丁寧に潰していった」


モバP「俺はプロデューサーなんだ。受け入れられないのは、何度も説明しだろう。この事務所が積み上げてきたものを全て失うことになるんだぞ」

未央「理屈じゃないんだよ。受け入れなくても、少しでも希望を見せてあげれば良かった。
   そうすれば、しまむーはアイドルを辞めなかったし、しぶりんだって移籍しなくてよかった。プロデューサーが私達をバラバラにしたんだよ」

モバP「……未央」

未央「……ごめん。でも決めてたんだ。トップアイドルになったらプロデューサーに言ってやろうって」

モバP「俺への当て付けのために、その立場に上がったのか?」

未央「さあ。なんだか、わかんなくなちゃったよ。こんなはずじゃなかったのにね……」


モバP「言っていることは判る。だが、今やお前がトップアイドルだ。なら俺は判断は間違っていなかったんだろう」

未央「本気で言ってるの、プロデューサー」

モバP「どう思われようが、俺はプロデューサーとしての筋を通してきた。その結果、卯月や凛、他にも多くのアイドルが事務所を辞めていったのは事実だよ。
   でも、それがお前の心を本当に強くした。だからこそ、お前は自分の夢を叶えることができたんだ」

未央「なに、それ。私にも責任があるって言いたいわけ?」

モバP「そうじゃない。だがトップアイドルになるってことは、他のアイドルの蹴落とすことだ。それは誰よりもお前がよく知っているはずだ」


未央「わかってるよ。でも、私のしてきたことと、プロデューサーのしてきたことは全然違う。そんな理屈で自分を正当化しないで」

モバP「なら、他にどうすればよかったんだ? みんなの気持ちを受け入れればよかったのか? 
   でもそうなれば事務所もただじゃすまないし、そもそも俺はそこまで器の大きい人間じゃないんだ」

未央「受け入れなくても、理解してあげればよかったんだよ。それで十分だったのに……」

モバP「でも、俺には出来なかった。だから自分のしてきたことが間違いじゃなかったと思いたい。そうじゃないと、俺はみんなに顔向けできないんだ」

未央「プロデューサーはさ、不器用で大げさだったんだよ。1か0でしか、物事を考えなかった。だから……たくさんの人が辞めちゃったんだと思うよ」


モバP「……なあ未央。俺は、間違ってたのか?」

未央「ごめん、プロデューサーだけが悪いんじゃないって、わかってる。でも、抑えられなくて……」

モバP「いや、いいんだ……俺だって疑問に思うことはあったんだ。誰よりも正しいプロデューサーであろうとしてきて、その結果がこれだ。
   いろんな人の気持ちを踏みにじって、トップアイドルになった娘さえ悲しませている……」

未央「……」

モバP「俺は、プロデューサーになるべき人間じゃなかったのかもな」


未央「……ねえ。もしかして、プロデューサー辞めちゃおうなんて考えてない?」

モバP「すぐには辞めないさ」

未央「でも、今考えたでしょ?」

モバP「そうだな。でも、無責任に放り出したりはしない。もし辞めるときは、すべてを引き継いでから去るよ」

未央「それこそ無責任だよ。辞めていった人の気持ちや、事務所のみんな、私はどうなるの? 全部捨てていくつもり?」

モバP「仕事の全ては後任に引き継ぐさ。俺の積み上げた伝手もノウハウも全部な。問題ないだろう」


未央「ふざけないで。そんな勝手、絶対に許さないよ。辞めていった人の気持ちまで引き継げると思ってるの?」

モバP「違うんだ。未央なら判るはずだよ。俺はプロデューサーには向いてないんだ」

未央「向いてない人間が、トップアイドルを育てられると思う?」

モバP「たくさんのアイドルを傷つけた。中でも未央、お前を一番傷つけた。俺はアイドル達を、望んだ姿にしてあげられない」

未央「だから大げさなんだよ、プロデューサーは。出来るか出来ないかで考えてる。出来ないなら、出来るようにしてよ。大人でしょ?」


モバP「俺はまた同じ失敗をするかもしれない。それでもいいのか?」

未央「良いも悪いも無いよ。自分だけ楽しようなんて、そんなこと絶対させないからね」

モバP「……そうか」

未央「……」

モバP「ありがとう。もう一度、はじめからやり直すか……」


未央「私も、また一からアイドルやってみるよ。最初の気持ち、思い出したい。だって今、全然面白くないしね」

モバP「でも、もう頂上に登ってしまったな」

未央「関係ないよ。みんなで和気あいあいできて、それでファンのみんなと楽しめるなら、私はそれでいい。
   こんなこと、今更思い知ることになるとは思わなかったよ……」

モバP「……悪い」


未央「そういえば、まだ聞いてなかったね」

モバP「なんだ?」

未央「プロデューサー、私トップアイドルになったんだよ」

モバP「ああ」

未央「何か、言うことがあるんじゃないの?」

モバP「おめでとう、未央」

未央「えへへ、ありがとう。でも、やっぱりうれしくないね。プロデューサーのバカ」




FIN

凛の彼女いないよねと卯月のみんなありがとうの2つが前作であってるか
そんな『時期』ってのはつながらなそうだし別作者?

ようするにちゃんみおごりおし運営クソって話か
おもしろくなかった

>>14-16
その通りです。
単品完結でさらっと読めるようにしたかったのですが、うまくいきませんでしたね。

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