メリーさん「運命です!最早、運命共同体です!結婚しましょう!」 (88)

男「いや、それは無理!」
メリーさん「はやっ!もう少し考えても……」

ってな、感じで逝きます!




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遡男は


数時間
ビジネスホテル

男「302と、ここか」

一人の男が部屋に入った。

男「一人でダブル取ったけど、
       たまには良いよなぁ」

男は携帯、財布をテーブルの上に置くとベッドに腰掛け一息ついた。

男「…手掛かりなし…か。また明日かぁ
   取りあえず、ジンさんに連絡を…」

prrrr

男の携帯が鳴りはじめた。

男「ん、ジンさんか?…いや、非通知?
         面倒だからスルーだな」

男は無視して羽織っていた上着を脱いで、隣のベッドの上に投げた。 
携帯は暫く鳴った後、突然、通話状態になった。

???「私メリーさん。今、ゴミ箱にいるの」

男「…は?今、勝手に通話になった?
   いやいや、今、メリーさんって?」
男「…マジでかぁ、別件かぁ。 
       勘弁してくれよ」

男はため息混じりに言い捨てた。

prrrr

もう一度携帯が鳴りはじめた。
非通知だ。





いきなり訂正!

遡男は ×

遡ること数時間 ○です。

すいません!

男「もしもし…」

今度は男は迷わず携帯を手に取った。
電話口から明るい声が聞こえる。

メリーさん「私メリーさん!
      今…○○交差点にいるの!」

男「○○交差点!?…って、何処だよ!
  まだ、ここら辺の土地勘ないんだよ!」

メリーさん「うふふ!もう少しよ!
      貴方のもとまで…、あっ!
        ごめんなさい、渡ります!」

そこで電話が切れる。

男「…渡ります?交差点?
  …メリーさんって歩いてくるのか?
  ってか、出先にもくるのか?
  まぁ、考えても仕方ない。地図は…と」
男「えぇと、ここが○○交差点かぁ。
  ホント、このホテルと近いなぁ」

男は手を顎に当て、暫く考え込むと支度をはじめた。
最後に、腰に隠してある「物」を確認する。

prrrr

携帯が鳴る。

男「もしもし」

メリーさん「あっ!さっきは突然切って
            ごめんなさい!」

男(なんか、話し方が砕けてきた?)

メリーさん「えぇと、ここはどこですか?
      はい?…ありがとうございます!      今、ホテルのエントランスにいる      の。」

男「おい!」

メリーさん「はい?」

男「今、誰に聞いた!?」

メリーさん「やだなぁ、受付の方に決まってま      すよ?山本さんって、
      意外とおバカさん?」

男「山本って誰だよ!?…切りやがった。
  完全に間違いじゃないか!?」
男「これで、ボランティア確実じゃないか!」

男は携帯をベッドに投げつけた。
その衝撃でバッテリーが外れる。

男「…むなしくない、むなしくない…」

男はいそいそと、携帯のバッテリーを入れ直す…。



prrrr

男はため息混じりに携帯を手に取る。

メリーさん「今、エレベーターの中にいるの」

メリーさん「私、エレベーターって好き!」

男「知らねぇよ!!」

メリーさん「あっ!ドアの前に着いちゃった」

男「流れかよ!?…また、切りやがった!」

暫く男の部屋を沈黙が支配する。
男はゴクンと生唾を飲み込む。
ゆっくりと腰の「物」に手を回す。




prrrr

携帯が鳴る。

ーついに来た!

男「もしも…」
メリーさん「ちょっと!さっき、着いたって
      言いましたよね!
  なんでドアを開けてくれないんですか!」

電話口とドアの向こうから同じ声が聞こえる。

メリーさん「聞いてます!?山本さん!」
メリーさん「開けて下さい!」

メリーさんが、ドアをドンドンと叩く。

男「…ホント、めんどくさくなってきた」

男は警戒しながらもドアを開ける。

メリーさん「私メリーさん。貴方の前にいる       の!」

男「いや、そんなドヤ顔で言われても…。」
男「ツッコミたい所が多すぎるんだが…。」

男「なぜに羊のキグルミを着ている!?」

メリーさん「え?」
男「え?」

メリーさん「私はメリーさん!」
男「うん、そうだね。メリーさんだね。
      しかし、どこに羊の要素が?」

メリーさん「♪め~りさんの~…♪」
男「分かったから歌うな!」

メリーさん「ほら、私って、 
    出オチの所があるじゃないですか?」

メリーさん「だから、インパクトが欲しくて
             着てみました!」
男「だから、ドヤ顔はいらん!」

メリーさん「所でこれ、脱いでいいですか?」
男「脱ぐんかぃ!?」

メリーさん「もぅ、暑くて暑くて…。
   春先とはいえ、キグルミは暑いですね」

男「なんか、もう、疲れた。
   また、ツッコむとこ出てきたし…」
男「なぜにメイド服!?しかも、銀髪!!」

メリーさん「え?私は、メイドタイプの
      ラブドールですし。銀髪は、
      山本さんの趣味じゃないですか」

男「ラブドール!? 
  だから、そんなにでかいのか!」
男「銀髪はオプションかよ。 
  山本さん、あんた、良い趣味してるよ!」

メリーさん「はい?」
男「いや、こっちの話」

メリーさん「所で…、」

男「今度はなんだ?」

メリーさん「…なんで、貴方は死なないの?」

そう話すメリーさんは、先程の朗らかとした雰囲気ではなく、明らかに人外のそれであった。

男「ッ!」

男の体を緊張が包む。



男はメリーさんからある一定の距離を保ちながら、着ている服のボタンを外した。
左手で首もとをひろげる。

メリーさん「…梵字?」

男「…そう、梵字。オヤジからガキん頃に入れ  られてね。」
男「これのお陰で呪いの類いは受け付けないん  だよ。だから、あんたの呪いも…」
メリーさん「凄いです!」

男「なんだと…?」

メリーさん「私の呪いで死なない人は
         貴方がはじめてです!」
メリーさん「私こう見えても、メリーさんの      中でも強い分類に入るんですよ。」
メリーさん「こんなに長い時間、
   人間と直接話したのもはじめてです!」

メリーさんの雰囲気が穏やかになっていく。
男は警戒をしたまま、メリーさんを見つめる。
そして、時間は戻る。


メリーさん「これは、運命です!」

メリーさん「最早、運命共同体です!」

メリーさん「結婚しましょう!」
男「無理!」

メリーさん「はやっ!もう少し考えても…。」

男「それは、無理なんだよ、メリーさん」

男は腰に隠していた「物」を突き付ける。

メリーさん「…それは…なんですか?」

男「ん?これはベレッタM9…」

メリーさん「名前じゃなくて、なんで
     そんなものを持ってるんですか?」
メリーさん「って、山本さんは
      銃マニアさんですか」

男「マニアではあるね。
  そして、ハンターでもある」
男「そろそろ、その山本ってのやめてくれる?  人違いだしね」

メリーさん「そうですか。ハンターさんでしたか。私はノコノコと狩られに来たんですね」

男「…今回のターゲットは別だがな。
  害になるなら排除するだけ。
  それが、ハンターだ。…知ってるよな?」

メリーさん「なら、早くして下さい!」

男「…なんだと?」

メリーさん「もういいんです。
      …もう、終わらせて下さい…」

男は距離を保ちつつ、メリーさんの眉間に照準を合わせたまま話を聞く。

メリーさん「私の持ち主は、
      私を可愛がってくれました。
      色んな服を着せてくれて、
     写真をいっぱい撮ってくれました」

メリーさんは男をしっかりと見つめ、そして話す。
まるで、助け、赦しを請うかのように…。


メリーさん「私は、私は…!
 ラブドールとしての本懐を遂げたかった!」

メリーさんは悲痛な叫びをあげる。

メリーさん「眺めるだけじゃなくて、
       抱き締めて欲しかった!」

メリーさん「ただ…愛して欲しかった…」

メリーさん「けど、もういいんです。
      もう、疲れちゃいました」

男「……」

メリーさん「さぁ、殺って下さい…」

メリーさんは大粒の涙を流しながら男に訴える。
男は警戒を解く。同時に拳銃を降ろした。

メリーさん「…なんのつもりですか?」

男は黙ったまま、携帯を手にする。

男「…あぁ、ジンさん。ちょっとハウスを
  ここの近くまで持ってきてくれるかな?」
男「ちょっと、トラブった。うん、すまん」

メリーさん「ハンターさん?」

男「…今回は別口なんだ。
  俺はボランティアで、死にたがりを
  [ピーーー]つもりはないんだよ」
男「そんな面倒くさい事できんからな」

男「取りあえず、付いて来い」

メリーさんは黙って男の後を付いていく。


男は銀髪のメイドを連れてホテルを出る。
その様子は周囲からすると、奇怪なものだったろう。

男は意に返さず歩いていく。メリーさんもその後を付いていく。
二人はその間、会話をしなかった。

暫く歩くと、大きな駐車場に到着する。

メリーさん「ここは?」

漸くメリーさんが口を開く。

男「もうちょっと、待ってな」

そう言い終わる前に、駐車場の向こう側からコンテナ車が入ってくる。

男「さぁ、付いたぞ。我がハウスだ!」

メリーさんは呆気にとられ、ポカーンとしている。

???「リュウちん。それがトラブル?」

運転席から女性が出てくる。

男「あぁ、トラブルその物だ。まいったよ」

メリーさん「その人は?」

男「彼女はドライバーの羽間瑶子。
     俺の仲間だ。中にもいる」
男「通称ハミィだ」

ハミィ「よろしくね、さぁ、中にどうぞ!」

三人はコンテナの中に入っていく。
コンテナ車は改造されており、中はさながらキャンピングカーだった。
まさに「ハウス」だ。

男「ジンさん?」

メリーさん「もう一人のお仲間さんですか?」

ハミィ「そう!ジンさん!私のだーりん!」

???「誰がだーりん!だ」

男「そこにいたのか、ジンさん」

メリーさん「イケメンさんですねぃ!
            って、犬!」

男「紹介しよう!人面犬のジン!
       通称ジンさんだ!」

ジンさん「よろしくな、お嬢ちゃん」

メリーさん「なんか、無駄にイケメンですね」

男「それはダメッ!」

ハミィ「あぁん?」

メリーさん「ヒッ!?」

男「ハミィはジンさんの元ストーカーで
  自衛隊上がりだ。
  彼女の前でジンさんの悪口は禁句な!」

メリーさん「了解しました!」





慣れてないだけです。
改行の感覚が分からないんです。


男「ジンさんは主にオペレーターをやっても らってる。」

男「見た目は犬だけど、PCも使える」

メリーさん「どうやってるんですかね?」

男「誰にも見せてくれないんだ」

男「この二人が俺の仲間だ。…なぁ、メリーさん。確か、呪いの影響で、相手が死ぬまで離れられないんだよな?」

メリーさん「はい。ハンターさんが死ぬまで私は、貴方から離れられません」

男はメリーさんからの返事を聞くと、大きく息をすい、意を決したように喋り出した。

男「俺はハンターだ。あんたを始末することはできる。けど、死にたがりをそのまま死なせてやるほど、俺は、人間できちゃぁいない」

男「そこで、だ。あんたさえ良ければ、俺達の仲間にならないか?」

メリーさん「…え?」

ジンさん「俺は賛成。ちょうど、人手が欲しかったところだ」

ハミィ「私も賛成!女成分が足りなかったしね♪」

メリーさん「私は、呪いの力は使えないんですよ?狩りになっても、役立たずですよ?」

男「役に立つかどうかは俺が決める」

男「言い方を変えようか。メリーさん、あんたが欲しい。俺のところに来い」

男は真っ直ぐ、メリーさんを見て、そして手を差し伸べた。
その姿は、声は静かだが力強く、優しく、メリーさんの心に届く。

メリーさん「温かい…ですね。妖怪になってから、はじめて言われました。こんな言葉」

メリーさん「ハンターさん。不束者ですが、よろしくお願いします!」

男「霧崎隆一だ。今後ともよろしくな」

メリーさん「はい、宜しくお願いします。マスター!」

男「マスター?」

メリーさん「私の主ですから、マスターです!」

男「まぁ、アレよりかはいいか」

メリーさん「アレ?」

ハミィ「リュウちんの前でジャックってのは禁句ね♪」

メリーさん「?」

ハミィ「霧崎、きりさき、キリサキ、○り○きジャック!」

男「…聞こえてるよ、ハミィ?」

ハミィ「ヒッ!」

ハミィ「じ、じゃぁ、私はメリーさんの歓迎会の用意をするね♪」

男「逃げたな!」

ジンさん「なぁ、リュウ。メリーさんはメリーさんのままか?」

男「そうだな、うん、メリー!メリーで決定!」

メリーさん改めメリー「はい!」

メリー「ところで、ジンさん」

ジンさん「なんだ?」

メリー「皆さんの名前…」
ジンさん「そこには触れたらダメだよ、メリー」

ジンさんは遠くを見た。
男にネーミングセンスは無かった。

それから、細やかながら、メリーの歓迎会が行われた。
女性陣は寝息をたてている。

起きているのは、男にジンさん。
二人はコンテナの外にいた。

ジンさんは器用にタバコに火をつける。

ジンさん「おまえ、あれを仲間にして良かったのか?」

男「仲間に欲しいから、そうしたまでだ」

ジンさん「おまえ、死の呪いを受けたろ?」

男「梵字があるから大丈夫さ」

ジンさん「背中の牡丹は何色だ?」

男「ッ!」

男の左胸の梵字は呪いの耐性をあたえるもの。
それと対になるのが背中の牡丹の刺青。
呪いの種類により、牡丹の花の色が変わる。
呪いの中で強力なのは、死の呪い。
死の呪いの場合、牡丹の花は朱に染まる。

死の呪いだけは、逃れる事は難しい。
花の色が朱から、黒に変わると死に至る。
逃れる為には、呪いをかけた相手を仕留めるか、愛し、愛されること。
ただ、妖怪の愛と人間の愛は大きく異なる。

男は妖怪を愛する道を選ぶ。

男「もし、死んだら、それだけの器って事さ。それは、それで悪くない」

ジンさん「どんな結果になろうが、俺はお前に付いて逝ってやるさ、親父さんとの約束もあるしな」

男「ん。ジンさんには頼りっぱなしだな」

ジンさん「さてと、ホテルには俺が代わりに泊まってやるよ」

そういうと、ジンさんは人間に変化した。
見た目は渋いオジサン。

ジンさん「お前は、彼女についててやれ」

男「ありがとう、ジンさん」

男はコンテナに戻る。そっと、メリーの横に座る。
メリーは抜けた…もとい、幸せそうな寝顔をしていた。

男「はじめて、口説かれた相手が妖怪とはね…。しかも、それを受けるとは。俺はどうしたいのかねぃ、これからさき…」

メリー「マス…ター…。うん…め…Zzzz」

男「運命…か。悪くないな…!」




おわり



初投稿でした。
お目汚しすいませんでした。

それと、ありがとうございました。

次の日

ジンさんはホテルを出て、男達に合流した。

男「おかえり、ジンさん」

メリー「おかえりなさい。イケメンさん!って、誰ですか!?」

ジンさん「すまん、すまん。元に戻るよ」

ジンさんは人間状態から元の犬に戻った。

メリー「びっくりしました!変化できるんですね!尊敬します!イケメンさん!」

ジンさん「そのイケメンってのやめてくれないか?ジンでいい」

メリー「では、ジンさま!」

ジンさん「…もぅ、それでいいよ」

ハミィ「だーりん!おかえり♪さぁ、向こうでブラッシングしましょうね!」

ジンさん「あっ、こら、離せ!ブラシは…!どこ触ってる!」

ハミィ「うふふふ…♪」

ジンさんはハミィに抱きかかえられ、コンテナの奥の部屋に連れていかれた。

次の日

ジンさんはホテルを出て、男達に合流した。

男「おかえり、ジンさん」

メリー「おかえりなさい。イケメンさん!って、誰ですか!?」

ジンさん「すまん、すまん。元に戻るよ」

ジンさんは人間状態から元の犬に戻った。

メリー「びっくりしました!変化できるんですね!尊敬します!イケメンさん!」

ジンさん「そのイケメンってのやめてくれないか?ジンでいい」

メリー「では、ジンさま!」

ジンさん「…もぅ、それでいいよ」

ハミィ「だーりん!おかえり♪さぁ、向こうでブラッシングしましょうね!」

ジンさん「あっ、こら、離せ!ブラシは…!どこ触ってる!」

ハミィ「うふふふ…♪」

ジンさんはハミィに抱きかかえられ、コンテナの奥の部屋に連れていかれた。

すいません。ダブりました!

奥の部屋からは二人の騒ぐ声が聞こえてくる。
男はそんな二人を余所に、ジンさんが持ってきた荷物を開け始めた。

男「これは、メリーのだな」

男は半ば呆れながら、キグルミをメリーに手渡した。

メリー「マ、マスター!恥ずかしいです」

メリーは俯きながら、受け取る。

男「そういえば、お前は服はその羊とメイド服しかないのか?」

メリー「そうですね。基本はメイド服ですよ。キグルミは今回だけです!そうそう、決まりました、出オチ?」

男「ノーコメントだな。人違いでヤられそうになったんだぞ!」

メリー「いやぁ、それほどでも」

男「誉めてねぇ!」

男「服が無いなら、買いに行かないとな」

メリー「え?」
男「え?」

メリー「買ってもらえるんですか?」

男「金、持ってないんだろ?今日はメリーの服を買いに行くのと、本命の探索に出掛けるか」

メリー「行きましょう!是非行きましょう!」

ハミィ「メイド服で行くつもり?」

ジンさん「ひどい目にあった」

ジンさん、ハミィが奥から出てきた。
ジンさんはげっそり、ハミィはつやつやした顔をしていた。

ハミィ「買い物行くなら私の服を貸してあげようか♪」

メリー「ホントですか!嬉しいです!」

ジンさん「すまんが、それは後にしてくれるか?本命について、話がしたい」

男、ハミィの表情が引き締まる。

男「何か掴んだのか?」

ジンさん「今回の本命は、また、場所を変えたらしい。ここから、南側だ」

男「なら、俺達も移動しよう!」

メリー「すいません、話についていけないんです。マスター、説明して下さい」

男「今回、俺達の本命は口裂け女だ」

メリー「口裂け女さん!?」


男「お!流石に知ってるか。有名人だからなぁ」

メリー「そりゃ、知ってますよ!先輩ですから…」

男「ん?先輩?」

メリー「いや、なんでも…」

ジンさん「話を続けるぞ。ターゲットは南側だ。目撃翌例が多いのが、大型のショッピングモールだ」

ハミィ「なら、そのモールの近くに移動しましょう!そのモールでメリーちゃんの必要な物を揃えましょう!」

メリー「そんな、いいんですか!?」

男「遠慮するな、俺達は仲間だ」

メリー「で、でもですね」

男「まぁ、少しずつ慣れていけばいい」
メリー「ふぁ…///」

男は困惑するメリーの、朝日に照らされキラキラと輝く銀髪の頭を優しく撫でた。

男「ッ!す、すまん、つい!」
メリー「…あっ…マ、マスター、もう少し、つ、続けて…下さい…///」

男「…///」

ジンさん、ハミィ「」ニヤニヤ

男「…ハッ!メ、メリー、早くハミィから服を貸してもらえ!ハミィ、ニヤニヤしてないで早くしてくれ!」

ハミィ「ハイハイ、じゃぁ、メリーちゃん行きましょうか♪」
メリー「あぅ///」

二人は、リビングとして使っている部屋から向かいの部屋、ハミィが自室として使っている部屋に入っていった。

男「…なんだよ」

男はニヤケ顔が止まらないジンさんに話しかけた。

ジンさん「いや、まさか、あの男がねぃ」
男「…チッ!」

ジンさん「プレイボーイでならした男が、頭を撫でるだけであの顔とはねぃ」

ジンさんはククッと笑う。

男「誰がプレイボーイだ!」

ジンさん「今まで何人泣かした…」
男「泣かしてない!」

メリー「…その話、ホントですか、マスター?」

男「!!」

男のうしろにメリーが立っていた。頬を膨らませて。
ハミィの服に身を包んだメリーに、男は見とれていた。

メリー「…マスター?」

男「い、いや、なんでもない。そんなことより、服はどうだ?」

メリー「はぐらかされた気がしますが…。そうですね、ちょっと胸の辺りが窮屈です」

ハミィ「私も自信あったんだけどなぁ」

ハミィはシュンとしながら、メリーのあとから出てきた。

ハミィは自衛隊で鍛え上げられた肉体をしている。筋肉質だが、出るところは出ており、スタイルは抜群だ。胸も巨乳である。
顔は鼻筋が通っており、可愛いより、綺麗という表現が正しい。

メリーはそのハミィを越える巨乳の持ち主だった。身長はハミィより頭ひとつ小さく小柄。
着やせするタイプのようだ。
顔は幼さが残っている童顔で、可愛いという表現が似合う。

男「と、取りあえず、今日の行動を決めておこう!」

ジンさん「このまま、リュウが困るのを見てても良いんだが、本題に入ろうか」

ジンさん「まず、いつも通りにリュウには探索に行ってもらう。そこで今日は、この眼鏡タイプのインカムを使ってくれ」

ジンさんは器用に眼鏡をくわえ、男に渡した。

男「メリーにもインカムを渡してくれ。今日は二人で動く」

メリー「私もですか?」

男「俺から離れられないんだろ?…そういえば、どれくらいの距離離れられるんだ?」

メリー「そうですね。マスターを中心にして、1?は大丈夫です」
男「広いな!?」

ハミィ「それを過ぎるとどうなるの?」

メリー「それを過ぎることはありません。そこから先に行けないだけです」

男「制約とかはないのか?例えば体を維持出来なくなるとか」

メリー「ないですよ」サラット
男「軽いな!?」

メリー「ただ、狩りとなると私は特別な能力はないです。死の呪いはマスターに使ってますから。あの能力は一人につき一回だけです」

男「まぁ、そこら辺は気にするな。俺も特別な能力なんか無い」

メリー「え!?」
男「え!?」

男「そんなに驚くなよ!ハンターとは言え、俺はただの人間だ。それ以上でも以下でもない」

ジンさん「銃マニアだがな」

男「そうそう、俺は銃マニア…って、何を言わせる!」

男はジンさんを捕まえようとするが、ジンさんは素早くかわす。

ジンさん「呪いを使えないとは言え、身体能力は人間より優れているはずだ。リュウをフォローしてくれ。俺は前線向きじゃないからな」

メリー「分かりました!全力でマスターを支えます!」

男「では、出発!」
ハミィ「あいあいさー♪」

男達を乗せて、ハウスはショッピングモールへ向けて移動する。

駐車場

メリー「ここはどこですか?ショッピングモールは過ぎましたよね?」

男「俺達のハウスはでかいからな、大型車のスペースが必要なんだ」
男「で、この駐車場はショッピングモールへの搬入やらの大型車が来るから、スペースがあるんだ」

メリー「なるほどです」

ジンさん「目撃例が多いのは夕方からだ。二人とも用意はいいな?」

メリー「大丈夫です、ジンさま!」

男「こっちも大丈夫だ」

メリー「マスター?」

男「なんだ?」

メリー「眼鏡似合っ…」
男「分かってる!…俺は、眼鏡やサングラスは似合わん!」

メリー「そんなことより、今はまだ午前中です。時間が早いです。早くから動くのですか?」

男「そ、そんなこと…」ズゥン
男「…メリー。お前の服とか必要な物を買うって言ったはずだが」

メリー「そうでした///」

男「では、行動を開始する!皆、よろしく頼む!」

ハミィ「いってらっしゃい♪」

メリー「いってきます!」

ジンさん「…メリーが来てから、場が和むな…」

男達は行動を開始した。


ショッピングモール内

男「まずは、買い物からだな」

メリー「ほぇぇ、人がいっぱいですね」

男「ん?人が多いの所に来るのは、始めてか?この前は?」

メリー「あの時は、交差点から歩きましたよ。人に道を聞きながら。まだまだ、人も捨てたものじゃないです」

男「お前に言われると、なんだかなぁ」
男「取りあえず、買い物から済ませてしまおう。あと、目撃された場所にも行くぞ」

メリー「了解です!」

男は先に歩こうとする。

メリー「あ、あの、マスター!」

男「なんだ?」

メリー「あ、あのですね。そ、その、て、手を…ですね…///」

男「…ほら///」
メリー「はぅ///」

客(…リア充めッ!)

ーモニター前ー

ジンさん「…中学生かッ!」





服屋

メリー「服屋さんですね!」

男「予算はあるが、好きなのを選んで大丈夫だ。行ってこい」

メリー「マスターに選んで欲しいです///」

男「いや、俺は…」

店員「いらっしゃいませ!(これは買う客ね)」

男「調度よかった。選んでもらってこい」
メリー「えぇ?!」

店員「ここは、彼氏さんにも選んでもらいましょう!」

メリー「だ、そうですよ、マスター」ニコニコ

男「…ぐ」

店員「こちらなんかお似合いですよ」
メリー「可愛いです!どうです、マスター?」

男「あぁ、似合う似合う」
メリー「ぶぅ、ちゃんと見て下さい!マスター!」

店員(マスターって、そういう関係かしら)


1時間後

メリー「このワンピース可愛いです!」

店員「お召しになりますか?」

男「メリー、今はその服装はやめておけ。走れるような格好がいい」

メリー「そうですよね、ズボンの方にしますね」シュン

店員「…さいてー」ボソ

男「あ、いや、買うなって事じゃなくてだな、これからの事を…あぁ、もぅ!着替えていいから、次行くぞ!」

メリー「マスター!」パァ

店員「ありがとうございましたぁ!」

男「流されてるな、俺」


ショッピングモール内

男「大体の物は買えたな」

メリー「はい!マスターに荷物を持っていただいて、すみませんです」

男「いや、これぐらいは大丈夫だ。それより…」

メリー「どうしました?」

男「…いや、なんでもない(ワンピース似合いすぎ///)」

メリー「この荷物どうしましょう?今からせん、いえ、口裂け女さんを探さきゃですよね?」

男「あぁ、それはコインロッカーに入れておけば大丈夫だ。荷物を置いたら、食事にしよう」

メリー「私、ハンバーガーが食べたいです!」

男「お前がいいなら構わんが…」

メリー「では、早速行きましょう!マスター!」スタスタ

男(…人が少なくなってる?それに、店内の雰囲気が暗い?…用心しておくか)

男「ジンさん」

ジンさん「おぅ、デートは満喫してるみたいだな」

眼鏡タイプのインカムから、ジンさんの声が聞こえる。

男「…店内の様子がおかしい。そちらも用心してくれ」

ジンさん「何か変化があれば連絡する」

メリー「マスター!早く来てくださぁい!」

無邪気に手を降るメリーの姿に、男は軽くため息をついた。



見直すと、色々誤字脱字が。
目撃翌例 ×
目撃例  ○

1?→1?
です。
記号が表記されないのかな?

やはり、記号が表記されないみたいです。

1キロメートルと書きたかったんです。
度々すいません。

ってか、読んでくれてる人いないと思うから、訂正も自己満足でしかないんだけどね…。

ハンバーガー店内

メリー「おいしそうです!」パァ

男「いただきます」
メリー「いただきます!」

メリー「はむ!」モキュモキュ

男(うまそうに食べるな)

メリー「…あの、マスター…」

メリーの声のトーンが今までと変わり、低くなる。

メリー「口裂け女さんをみつけたら…狩るんですか…?」

男「いや、狩る必要はないな。まずは、交渉だ。俺達ハンターは、何も狩るだけが仕事じゃない。」
男「なかには、交渉したり、探しものしたり…。多岐に渡る。そもそも、今回は狩りじゃないしな。交渉して、場所を移動してもらうことだからな」

メリー「…よかったぁ」

男「…先輩と戦わなくてよかったな」ナデナデ
メリー「ふぇ///」

メリー「な、なぜに先輩って」アセアセ

男「自分で言ってなかったか?」

メリー「そ、それは…」
男「話したくなった時にはなしてくれ」

メリー「…はい」

男「さぁ、食べたら目撃された場所をまわるぞ」

メリー「はい!頑張ります!」

男(…別の問題がでてきそうだけどな)

お昼を過ぎたとはいえ、明らかに人が少なくなっている。
店内にいる客も僅かだ。
男は不安を消すようにコーヒーを飲んだ。


ショッピングモール内

男とメリーは目撃例があった場所をまわった。
服屋。小物店。化粧品。飲食店。
そして、今は遊技場にいた。

メリー「あっ!マスター、今度はあれをしましょう!」ワーイ

男「…おいおい、どこまで遊ぶつもりだ」

メリーは既にレースゲームに夢中になっている。
男はメリーに小銭を渡した事を後悔していた。

遊技場について、メリーの目が輝いたのは言うまでもない。すでに遊び始めて、1時間は過ぎていた。
外は夕日がショッピングモールを赤く染めはじめていた。

口裂け女が、目撃される事が多い時間帯になっていた。

男「おい、メリー!そろそろ時間だ、下の階に戻るぞ。服屋から、もう一度まわるぞ」

メリー「あ、あぁ?負けちゃいました」シュン

男「さぁ、行くぞ!」

男はメリーを引きずって移動を開始した。
服屋があるフロアに到着したとき、明らかに空気が変わっていた。


メリー「マスター!」

メリーがいち早く異変に気付いた。

男「分かるのか、メリー!」

メリー「イヤな感じです。しかし、この感じは先輩じゃありません!」

客A「お、おい。あそこの女、顔が隠れるぐらいのマスクしてるぞ」
客B「それにあのコート、も、もしかして、噂の口裂け…」

二人の客の向こうに、ロングコートを着込んだ、髪の長い女が立っていた。
マスクで顔はよく見えないが、綺麗な目をしている。

男「…マズいな」

男の吐く息が白くなる。冬でもなく、ましてや店内でこの現象は明らかに異変だ。
男が身構える。メリーは男より早く異変を察知し、既に臨戦態勢に入る。

客A「口裂け女!?」
客B「間違いない!あのマスク![化物]だ!口裂け女だ!」

客二人の会話を聞いていたのか、みるみるうちに女の瞳に怒り、憎しみの色が滲みはじめる。
周囲の他の客も異変に気付いたのか、ざわつきはじめる。

客C「ちょっと、急に寒くない!?」
客D「向こうで[化物]とか言ってなかった?…なに、あの女!すごい顔してない!?」

どんどんコートを着てる女の様子が変わっていく。
マスクは取れ、顔は醜く歪み、大きく裂けた口が現れる。

その時、突然男とメリーの耳にジンさんの声が響く。

ジンさん『大変だ!今、依頼主から情報が入った!ターゲットは二人だ!』
ジンさん『一人は口裂け女、もう一人は…』

女が、男達の向こうにいる客二人に襲いかかった。

男「悪霊だッ!」

男が素早くベレッタM9を抜き、女に向かって発砲する。

メリー「マスター!」

メリーがいち早く異変に気付く。

男「分かるのか、メリー!」

メリー「はい!けど、このイヤな感じ。先輩じゃありません!」

客A「お、おい、あの女。様子がおかしくないか?」
客B「顔がよく分からんが、この季節にコート?マスクもでかいし…ま、まさか、噂の口裂け…」

男達の向こうにいる、客二人が一人の女を見つけた。
女はロングコートを着込んでおり、顔が隠れるぐらいのマスクをしている。
顔はよく見えないが綺麗な目をしている。

男「…マズいな…」

男の吐く息が白くなる。冬でもなく、ましてや店内でこの現象は明らかに異常だ。

客A「あの格好!ま、間違いない![化物]の口裂け女だ!」
客B「そんな、[化物]じゃないか!」

コートを着た女の体が震えだす。女の瞳に、怒り、憎しみがやどっていくのが分かる。

周囲の他の客も異変に気付きだす。

客C「なんか、急に寒くない!?」
客D「さっき、向こうで[化物]とか言わなかった?…ちょっとあの女、凄い顔してない!?」

女の顔が醜く歪み、マスクは外れ、大きく裂けた口が現れる。
もはや、女のそれは人間のものではなかった。

男は身構える。いち早く異変に気付いたメリーは臨戦態勢に入っている。
そこに、二人のインカムからジンさんの声が響く。

ジンさん『大変だ!今、依頼主から情報が入った!ターゲットは二人だ!』
ジンさん『一人は口裂け女!もう一人は…』

女が、男達の向こうにいる客二人に襲いかかった。

男「悪霊だッ!」

男は素早く、ベレッタM9を抜き、女に発砲する。
弾丸は女の顔面に命中する。

メリー「マスター!」

メリーがいち早く異変に気付いた。

男「分かるのか、メリー!」

メリー「はい!でも、このイヤな感じ、先輩じゃありません!」

客A「お、おい、あの女。様子がおかしくないか?この季節にコート着てるぜ」
客B 「それに、あのマスク。も、もしかして噂の口裂け…」

男達の向こうにいる客二人が、一人の女に気付いた。
女はロングコートを着込んでおり、顔が隠れる程のマスクをしているが、綺麗な目をしていた。

男「…マズいな」

男の吐く息が白くなる。冬でもなく、ましてや、空調の整っている店内で、この現象は明らかに異常だ。

客A「ま、間違いないよ!」
客B「あ、あの[化物]の口裂け女だ![化物]だ!」

二人の会話が聞こえたのか、女の綺麗だった瞳に怒り、憎しみが溢れてくる。

ここまでくると、周囲の他の客も異変に気付きはじめた。

客C「ちょっと、急に寒くなってない!?」
客D「なんか、向こうで[化物]って言わなかった?…ちょっと!あの女凄い顔してない!?」

女の様子が変わっていく。女は体を震わせ、髪は乱れ、顔は醜く歪み、マスク外れ、大きく裂けた口が現れる。

女の姿は既に人間ものではなかった。
あちこちから[化物]と叫ぶ声が聞こえてくる。

男は身構える。メリーは既に臨戦態勢に入っていた。
その時、二人のインカムにジンさんの声が響く。

ジンさん『大変だ!今、依頼主から情報が入った!ターゲットは二人だ!』
ジンさん『一人は口裂け女だ!もう一人は…』

女が、男とメリーの向こうにいた客二人に襲いかかった。

男「悪霊だッ!」

男は素早くベレッタM9を抜き、発砲する。
弾丸は女の顔面に命中する。

すいません。
なかなか上手く表記されなくて、三回載せてしまいました!

微妙に変わってる所がありますが、そこは生ぬるい目でスルーしてください!

発砲の音に周囲が騒然となる。

男「メリー!他の客を逃がせッ!」

メリー「し、しかしマスター!」

男「早くしろッ!」

男はベレッタM9を構えたまま叫ぶ。
弾丸が命中したはずの女が男を睨みつける。

客二人は、男が発砲したおかげで助かっていた。
メリーは二人に駆け寄り、抱え起こした。

メリー「マスター!」

男「皆をこのフロアから避難させろ!あと、塩を持ってこい!」

メリー「け、けど、一人じゃ…」
男「行け!」

メリー「ッ!分かりました!…さぁ、皆さん、早く逃げて!」

メリーの行動に、何人かの店員が我にかえり、避難誘導をはじめる。

男と女幽霊が対峙する。

女幽霊の周囲に、怒りに満ちた顔、恨みを込めた顔が浮かんでは消えていた。
先程より、禍々しさが増している。

男「…悪霊どころじゃない。こいつは悪霊の塊、レギオンだ…」

女幽霊「邪魔スルな…ッ!」

男「そうはいかないんでね。あんたの相手は俺がさせてもらうよ!」

男は再度発砲する。
しかし、弾丸は女幽霊の体をすり抜けるだけ。

男「…これは、アサルトライフル持ってくるんだったな」

女幽霊「なラ、おマえかラだッ!」

女幽霊が手をかざすと、男の体は吹き飛ばされた。

男「ぐっ!!」

その衝撃で、男はベレッタM9を落としてしまった。

男が起き上がると、女幽霊の姿はなかった。

通路

メリー「早く!逃げて下さい!」

メリーの前を最後の客が通りすぎていく。

店員「貴方も早く逃げて!」

メリー「私はマスターの所に戻ります!」

店員「しかし、私にはお客様を安全な場所に避難させる責任があります!」

メリー「…優しいんですね」ボソ

店員「はい?あっ!ちょっとッ!」

メリーは店員の制止を振り切り駆け出した。

メリー「あっ!…すみません、お塩って何処にあります?」

メリーは振り返り、店員に尋ねる。

店員「1階の食品売り場にあるわ(この娘天然かしら)」

メリー「ありがとうございます!あなたも早く逃げて下さいね!」

手を振りながらメリーは階段を降りていく。


店員「あの娘、和むわぁ」

書き込めないです。
完了になるのに…。

食品売り場

メリー「お塩、お塩…。ありました!お金は…ないですが、緊急事態です!黙って借ります!」

メリーは塩の袋を持てるだけ持ち、走り出す。
階段に差し掛かった際、不意に腕を捕まれ、壁に押し付けられる。

???「暴れないで、私よ」

メリー「ッ!邪魔しないで!って、先輩!?」

口裂け女「久しぶり、[メリーさん]」

メリー「今は[メリー]です、先輩!」

口裂け女「…あなた、本当にハンターの仲間になったのね」

メリー「…やっぱり、私達の事、見ていたんですね。気配は感じていました」

口裂け女「あなた正気?相手はハンターよ。私達を狩る側の人間よ。他の人間とは違うのよ」

メリー「…マスターは私の傍にいるって言ってくれたんです。こんな私を受け入れてくれたんです」

口裂け女「…死の呪いは?」

メリー「マスターに使ってます」

口裂け女「人間側の呪いの解き方は知ってる?」

メリーは俯き、答える。

メリー「呪いをかけた相手を仕留める事…」

口裂け女「あなた、生きてるわね。…もうひとつは?」

メリー「…愛し…愛…される…事」

メリーは目に涙を溜めながら、答える。

口裂け女「私達妖怪と、人間の愛は違う。…分かってる?」

人間と妖怪の愛は異なる。
人間の愛はご存じの通り。
妖怪の愛とは、言うなれば独占。
相手の都合など構わない。
その全てを己のモノとすること。占有すること。

妖怪とは己の欲するものに、忠実。

妖怪のそれは、愛とはことなるもの、即ち欲。
妖怪の愛とは欲望。

無償の愛とただ、ひたすら己の欲を充たそうとする想い。
相容れるものではなかった。

メリーは揺れていた。
己の欲望を充たしたい。
しかし、それは己が慕う男の死を意味する。
人間の愛は理解できない。
分からない。

そんな想いがメリーの心を乱していた…。





メリー「…分か…ら…な…いんで…す…」

メリーは堪えきれず、大粒の涙をながす。

メリー「私は…どう…した…ら。マ…スターの…お…そば…にいた…いだけ…なんで…す」

口裂け女「ごめんなさい。あなたが、そこまで、あの人間を想ってるとは思わなかった」

メリー「…せん…ぱぁい!」

口裂け女「ほら、泣きやんで。マスターを助けに行くんでしょ。私も協力してあげるから」

メリー「…ホントですか?」

口裂け女「嘘は言わない。実を言うとね、私もあの幽霊は他人事じゃないの」

メリー「…先輩?」ゴシゴシ

口裂け女「目を擦らないの。あの幽霊はね、私と風貌が似ていたから、噂の影響を受けちゃってね」
口裂け女「初めは、ただの幽霊だったの。けど、人間の噂の悪意を受けちゃってね。どんどん堕ちていったの」

メリー「そ、それは…」

口裂け女「私の責任。私がこの街に来て、人間に見つかったから…」
口裂け女「だから、私も協力させてもらうわね」

メリー「はい!先輩と一緒なら大丈夫です!」

口裂け女「もう笑ってる」

メリー「…メソメソしてたら、マスターが心配しちゃいます。…あっ!急がないと!」

メリーと口裂け女は男のもとへ急ぐ。



服屋のあるフロア

ベレッタM9を失った男は、アーミーナイフを持ち、フロアの中央に立っていた。

男「…クソッ!また、姿を消した!」

男は警戒しつつ移動する。
女幽霊は姿を消しつつ、男に攻撃を仕掛けていた。

男「あの女幽霊の正体が分かれば、執着している物が分かるのに!」

男(落ち着いて考えるんだ。このフロアに現れたのはなぜだ?なにか目的があるはずだ)

突然男の背後に女幽霊が現れる。
女幽霊は手にした包丁で男に斬りかかる。

金属音がフロアに響く。

男「うぉッ!刃がかけた!?」

女幽霊の包丁は、自らの怨念から作り上げた物。切れ味は凄まじく、ひと振りで、男にナイフで受ける事を諦めさせた。

男(どうする。あの攻撃を回避し続けるのは難しい。…詰んだか)

女幽霊が今度は、男の前方に現れる。
男を睨み付ける。

男「!!」

男は咄嗟に真横に飛ぶ。しかし、回避できず、男の体は壁に叩きつけられる。
そのまま壁に押し付けられる。

ゆっくりと、女幽霊が男に近付いてくる。
その顔に不気味な笑みを浮かべている。

男「く、くそッ!動けん!」

インカムで助けを呼ぼうにも、はじめに吹き飛ばされた際、既に無くしていた。

男「ち、ちょっと待った!」

女幽霊「…」

男「よ、よかったら、ぼ、僕とお話ししません?」

女幽霊「…」

女幽霊が手を上げた。
すると、男の体が宙に浮き、女幽霊の前でとまる。
女幽霊の顔が男の目の前に近付く。

女幽霊「…タス…けテ…」

男「ッ!」

女幽霊「…ニク…い!わたシの…かヲ…。ミニくイ!ゆルせなイ!イや!…たすケ…テ!」

男「全てが悪意に満ちてない?」

女幽霊「…ワタし…を…ミて…!」

男「あんたは誰だ!?俺はあんたを見てる!教えてくれ!あんたは誰なんだッ!?」

女幽霊「ジャまを…スルなッ!」

女幽霊が包丁を振りかぶる。

メリー「マスターッ!!」

メリーが女幽霊に体当たりした。
再び、女幽霊は姿を消した。
男の拘束は解け、倒れかける。

メリー「マスター!大丈夫ですかッ!?」

メリーは男を抱き締める。
その顔は今にも泣き出しそうだった。

メリー「マスター!」ギュウ

男「大丈夫だ、メリー」ギュウ

メリーは驚いていた。
男の顔を見ると安心した事。
男を離したくないと強く願っている事。

そして、抱き締められると、全ての想いが消え、心が充たされていく事に…。

メリー「…マスター///」

男「所で、こちらの女性は?」

口裂け女「私は[口裂け女]だ」

男「あんたが、先輩か」

口裂け女「おまえの先輩になった覚えはない」

男「なら、なんて呼べばいい?」

口裂け女「…好きに呼べ(どうせ、私はおまえ達からすれば[化物]だろ…)」

男「…では、クッチィ」

口裂け女改めクッチィ「な、なんだと!」ボッ

男「どうした、耳まで赤くなってるぞ?」

クッチィ「な、なんでもない(は、はじめて、あだ名ができた///)」

メリー「むむむ!マスター!」

男「いたっ!足を踏むな、メリー!」

クッチィ「そ、それより、話しを聞いてくれハンター」
メリー「そうです!話しを聞いて下さい!」

二人は男に女幽霊の事を説明した。

男「…そうか、あの女幽霊は悪意に飲まれてるのか。なるほど。だから〈助けて〉に〈私を見て〉だったのか…」

クッチィ「どういう事だ?」

今度は、二人に男が先程の女幽霊との会話を説明する。

クッチィ「では、あの女幽霊は全てが悪意に堕ちていないのだな」

男「そういうことになるな。…所で、メリー?」

メリー「なんですか?」

男「いいかげん離してくれ」

メリー「…ヤです」ギュウ

男「いやいや、離してくれ」

メリー「…ぶぅ」

クッチィ(やっと離れた。いつまで続けるのかドキドキした。…さっきの私との会話を気にしてるのか?)

クッチィ「女幽霊は逃げたのか?」

男「いや、それはない。ここには、憎むべき相手が3人いるからな」

メリー「…私達ですか?」

男「そうだ。はじめに、弾丸を撃ち込んだ俺。次に体当たりをして邪魔したメリー。そして…」
クッチィ「自分を悪意に堕とした、私…か」

クッチィは唇を噛みしめる。

男「…女幽霊は姿を消す度に強くなっている。次に現れる時は、メリーとクッチィを倒せるだけの力を持ってるはずだ」

クッチィ「次が…最後」

メリー「手段はあるのですか?」

男「…あまり、使いたくなかったが、炎を使う」

3人はフロアの中央に、一定の距離を取り並んで立っていた。
立ち位置は中央にクッチィ。左に男。右にメリー。手にはそれぞれ塩の袋を持っていた。

男「打ち合わせ通りに行くぞ!」

メリー「はい!」フンス

クッチィ「分かったわ!」

女幽霊がクッチィの前方に現れる。

クッチィ「やっぱり、私狙い!」

クッチィは塩の袋を男に投げ渡す。

男「クッチィ、うまく逃げてくれ!」

男とメリーは塩の袋を破り、塩を床に撒きはじめた。
二人はそれぞれ左右から、円を描くように走りながら塩を撒いていく。

クッチィ「ッ!あぁッ!」

クッチィが女幽霊の攻撃に耐えきれず、体勢を崩し、倒れてしまった。
そこに、女幽霊が包丁を振り降ろす。

メリー「先輩!」

メリーが飛び込む。間一髪、二人は転がりながら一撃を回避した。

男はその間も、塩のサークルを作るため走る。

メリー「先輩!大丈夫ですか!?」

クッチィ「私は大丈夫!あなたは!?」

メリー「私も大丈夫です!」

女幽霊は二人を標的に決める。二人めがけて走ろうとしたその時、動きが鈍くなる。

男「待たせたな、二人とも!」

男が、空になった塩の袋を投げ捨てた。
塩のサークルが完成していた。

男の作戦はこうだ。
3人のうち、標的になったものがおとりになり、その隙に残りの二人が塩のサークルを作る。
塩には霊の力を退ける効果がある。
塩のサークルは対霊において、一種の結界となる。
サークルの中に入れば、霊は中に侵入できず、危害を受けない。
逆に霊をサークル中に入れてしまえば、外に出る事ができず、簡易的に封じ込める事ができる。
霊はサークル外の影響を受ける事もできない。

今回の場合は、動きを封じ込める事と、周囲の悪意から、女幽霊を隔離する事ができた。

明らかに、女幽霊の動きは鈍くなっている。

男はジャケットの内ポケットから、木の切れ端を取り出した。

女幽霊はその切れ端を警戒した。

男「気付いたかい?この木は寺で浄められたものだ。あんたは一番触りたくないものだな」

男は別のポケットから、ライターを取り出し、切れ端に火を付ける。
火は簡単に切れ端に燃え移る。

男「…すまない。あんたを…始末する」

男は静かに、火を付けた切れ端を投げた。

女幽霊「ぎャぁァぁッ!!!」

一気に女幽霊の体に火が燃え広がる。
火は燃え広がり、炎となる。

3人は黙って炎をみつめる。




その時、スプリンクラーが働き、水がフロア一面にかけられる。

メリー「マ、マスター!水が!」

男「…大丈夫だ。既に、あの炎は霊的な意味を持っている。水をかけたぐらいでは消えない」

男が言うとおり、炎は燃え続けている。

クッチィ「…炎はいいけど、塩は流されないの?」

男「…あ…」テヘペロ

クッチィ「あんたね!?」

塩のサークルが水で流され、悪意が女幽霊に満ちていく。炎が悪意によって消されていく。

メリー「マスター!もう一度、火を!」

男「塩のサークル無しでは無駄だ!たとえ火が使えても、今の女幽霊には通用せん!」

クッチィ「なに偉そうに言ってんの!?」
クッチィ「どうするのよ、打つ手はないの!?」

男「…詰んだな」

男は顎に手をあて呟く。

メリー「マスター」ギュウ

男「メ、メリー、ど、どうした?」

メリー「これが最期なら、このまま逝きたいです」

クッチィ「ち、ちょっとメリー!(あなた本当にどうしたの!?)」

クッチィはメリーの行動に驚いていた。
妖怪なら絶対に取らない行動だったからだ。

相手を独占するためなら、どんな事でもするのが妖怪。
この状況なら、最期まで女幽霊と戦う。それができないならば、男の命を奪い、逃走する。
それが最善だった。

クッチィもメリーならば、そうすると思っていた。
二人なら敵わずとも、逃げる事ならできるはずだ。
そうしようとしていた。その矢先に、メリーの信じられない行動を目の当たりにして、クッチィは呆気に取られていた。

呆気に取られていたクッチィを、女幽霊が見逃す筈がなかった。
女幽霊がクッチィに襲いかかる。

クッチィ「しまっ…キャァッ!」

クッチィが女幽霊に押し倒される。

女幽霊「お、ヲまえダけは!ニガさなイ!」

馬乗りになった、女幽霊が包丁を両手で構える。

メリー「先輩!」
男「チィッ!」

男がナイフを女幽霊の顔目掛けて投げつける。
しかし、空しく弾かれてしまった。

女幽霊が男を睨み付ける。
注意をそらす事には成功した。
男はメリーから離れ、二人から遠くに走り出す。

女幽霊「ワたしの、カおにキずをっ!」

女幽霊は凄まじい顔で男に襲いかかる。
男は間一髪で回避する。

男(怒りで、攻撃が単調になっている?)
男(顔を攻撃されたから?そういえば、客に襲いかかった時も、顔を貶されてあとに…。なるほどねぃ)

男は女幽霊を振り返り、挑発する。

男「どうした?俺は生きてるぜ、来ないのか?」

女幽霊の顔が怒りに歪む。
女幽霊は男を追いかけはじめた。

メリー「マスター!危ないです!」

男「来るな!」

男は走っていく。

メリー「な、なぜですか!?」
メリー「な、なぜ?私が妖怪だから…?最期は…一人が…いいのですか?一緒に、…傍にいて…くれるって…言ったじゃないですか…。」

メリーは大粒の涙を流し、座り込んでしまった。

クッチィ「…立ちなさい。本当にあなたどうしたの?」

メリー「…先輩。先輩は逃げないんですか?チャンスですよ。マスターが気を引いてるうちに…」
クッチィ「馬鹿!!」

メリー「せ、先輩?」

クッチィ「よく見なさい!あれが諦めた顔に見える!?」
クッチィ「あの男は諦めてない!諦めたセリフを言ってても、頭の中では次の手を考えてる。惚れた男を信じなさい!」

メリー「…先輩」

メリー「もしかして、先輩」ゴシゴシ

クッチィ「目を擦らない。…なによ?」

メリー「マスターに惚れました?」

クッチィ「な、なにを///」

メリー「ダメです!あげません!」プクー

クッチィ「と、取らないわよ!ほら、大切なマスターはいいの!?」

メリー「ハッ!そうでした!マスター!?」

クッチィ(この娘、和むわぁ)

服屋前

男「なんとか来れたか」

男は女幽霊の攻撃を回避しながら、服屋の前まで移動してきた。

男「二人は逃げれたか?…メリーが泣いてたよ様に見えたが…。…メリー…」

男が一瞬隙を作る。
女幽霊は見逃さず、襲いかかる。

男「しまっ…うわぁッ!」

男の体が飛ばされる。

男「…なんてね」

男は更衣室へ飛ばされながら笑みを浮かべた。

男の後を追い、女幽霊が更衣室に入った瞬間。
フロアに銃声が鳴り響く。


クッチィ「銃声!?」

メリー「マスター!?」

二人は更衣室へ駆け付けた。
二人が見た光景は、顔にヒビが入った女幽霊だった。
鏡越しに確認すると、眉間に弾丸が撃ち込まれていた。

メリー「マスター!大丈夫ですか!?」ギュウ

男「大丈夫だ、メリー」ナデナデ

クッチィ「銃は1つじゃなかったの?」

男「誰が1つしか持ってないって言った?」
男「こいつは、切り札さ。しかも特別製さ」

男は切り札と言っていた.44MAGNUMを左胸のホルダーになおした。

その時、女幽霊の顔が陶器を割ったように砕けた。
正確には醜い顔が砕け、中から綺麗な、女性らしい顔が現れた。

男「はじめまして。だね」

女幽霊が頷く。その姿からは先程の悪意が感じ取れなかった。
まさに憑き物が落ちたようだ。

女幽霊「…ありがとう」

そう言うと、女幽霊は空間にとけるように、静かに消えていった。
その最期の顔は、穏やかに微笑んでいた。

女幽霊が完全に消えたのを確認すると、3人は安堵のため息をついた。

クッチィ「さてと、色々説明してほしいんだけど」

男「それはいいけど、場所を変えよう。面倒に巻き込まれたくない」

男「メリー、すまないが荷物を取って来てくれないか?俺はあちこち痛くてな」

メリー「ぶー…。仕方ないです。マスターが言われるなら、取ってきます」
メリー「…先輩、手を出したらダメですよ」

クッチィ「だ、出さないわよ!」

男「メリー!出た先の広場にいるからな!」

メリー「分かりましたぁ!」

男「…肩貸してもらえると、ありがたいんですが」

クッチィ「…ほら///」

男「助かる」

二人は外へと歩く。

男「さてと、メリーはいない。話してくれるかな」

クッチィ「…なんのこと?」

男「俺の説明はメリーが帰ってからする。俺はなぜ、あんたが、あの女幽霊に拘ってたか、知りたい」

クッチィ「…あの女の顔見たでしょ?綺麗な顔。私とは似ても似つかない顔。でもね、女は悪意に堕ちた。死んだときの姿が、噂の[口裂け女]と似ていたから…」

クッチィは淡々と話はじめた。

クッチィ「あの女は私の被害者なんだよ。私さえ、同じ姿してなかったら!…この事件は起きなかった…」

男「けど、それはクッチィは[口裂け女]として行動した結果…」

クッチィ「その結果、レギオンがうまれた」

男「なぁ、クッチィ。こうは考えられないか?」
男「今回のような事件を防ぐために、俺達ハンターがいるってさ」

クッチィ「え?」

男「俺はガキの頃から、こっちの世界で生きてる。だから、妖怪とか、裏の住人の存在は身近なんだよ」

男「だからかな、妖怪即ち悪にはならないんだよ。人間にも外道はいるしな」

男「俺は、人間だろうが、妖怪だろうが、目の前で苦しんでたら助けたいと思う」

クッチィ「…そんなの偽善よ」

男「はは!よく言われる。けど、ハンターの中にも…人間の中にも、そんなヤツがいたって良いと思わないか?」

クッチィ「…今、そんな事言わないで…。私…私…」

男「…大丈夫」ナデナデ

クッチィ「…ズルい人」ポロポロ

二人は外へと歩いていく。

ショッピングモール近くの広場

男「遅いな、メリー」

クッチィ「心配なら、一人で行かせなきゃいいのに」

男「それだと、クッチィが話してくれないかと思ってね」

クッチィ「…(あの娘は変わろうと努力してる…)私もね、変わろうと努力したのよ」

男「…ん?」

クッチィ「色んな雑誌とか見て、勉強したのよ。メイクとか服装とかね」

男「今日まわってみて、思ったよ。デートコースみたいだって」

クッチィ「私だって、綺麗に見られたいのよ!」

男「名言だからなぁ」

クッチィ「…本当に思ってるのよ。だから、あのセリフを言い続けるのよ」

クッチィ「…[ねぇ、私、綺麗?]って」

男「…綺麗だ」

クッチィ「…へ?」

男「綺麗だ!誰が否定しようが、俺は言うよ、綺麗だってね!」

クッチィ「ッ!!!」

男「その、ショートヘアもスーツ姿も綺麗だ!」

クッチィ「///」

男「だから、自信を持ちな。あんたは綺麗だよ」

クッチィ「そ、それ以上言わないで…///」

男「耳まで真っ赤になる所は、可愛いかな」

クッチィ「あぅ///」

メリー「…二人でなにやってるんですか!?」

男「うわッ!メリー、いつの間に…?」

メリー「〈自信を持ちな!〉からです!」

男「…おぉう…」

メリー「マスター!人に荷物を取りに行かせておいて、先輩を口説くとはどういうことですか!?」プクー

メリー「先輩も先輩です!まんざらでもない顔して…って、先輩?」

クッチィ「あへぇ…綺麗…可愛い…///」ホワァ

メリー「先輩っ!!」

クッチィ「ハッ!メ、メリー!いつの間に!?」アセアセ

メリー「もぅ!いくら先輩でも、マスターは渡しません!!」

クッチィ「…ちょっとぐらい良いじゃん」ボソ

メリー「…はぃ?」ニコニコ

クッチィ「なんでもない!(目が笑ってなかった)」ガクガク

男「メリー、そこら辺で勘弁な」ギュウナデナデ

メリー「ふぁ!…へへぇ♪」

クッチィ(…羨ましい…)



男「さて。メリーも来たことだし、俺も説明しようかな」

クッチィ「そうね、色々聞きたいわ」

男「女幽霊は自分の顔に執着していたんだ。執着は、あの世に逝くための道を閉ざしてしまう」

男「だから、その執着しているものを浄化するばいい。だいたいのハンターは燃やしてしまうな。火そのものが浄化の力を持っているからな」

クッチィ「しかし、なんでもかんでも燃やすのはよくない」

男「まぁな、全てを燃やすのは間違いだ。燃やせないものもあるしな」

メリー「例えば、なんですか?」

男「おいおい、分かって聞いてるだろ。お前達妖怪だよ。燃やしてもダメージにはなるけど、それが即ち浄化ではないだろ?」

メリー「そうでした」テヘペロ

クッチィ「その説明もだけど、あの弾丸はなに?霊体に打ち込める弾丸は聞いた事がない」

男「あれは、俺の切り札さ。[破邪の剣]は知ってるか?」

クッチィ「知ってるもなにも、我々の天敵ね。あらゆる闇の者共を倒せる剣」

男「あの弾丸は、その剣を造りなおした物だ」

クッチィ「…とんでもない代物ね」

男「俺は剣を扱えないからな。親父から継いだ物だけど、使えないから、弾丸にしてもらった」

クッチィ「バチあたりね」

男「そうでもないさ。宝の持ち腐れよりはマシさ。弾が尽きればまた、剣を見つけるだけさ」

クッチィ「ちょっと待った!…何本あるの?」

男「…全部把握してる訳じゃないからな。いっぱいあるのは確かだな」

クッチィ「聞くんじゃなかった…」

男「現実はそんなもんさ」


あれ?
また投稿できてないや

表記できないですねぃ

メリー「更衣室を探していたのなぜですか?」

男「それは、鏡がほしかったのさ」

クッチィ「鏡?」

男「あれだけ顔に執着していたんだ。鏡に写った状態で醜い顔をなくしたら、執着が消えると思ったんだ」

男「まぁ、顔を吹き飛ばすつもりだったんだけどな。悪意が強すぎて、表面だけを破壊しただけどな」

クッチィ「けど、そのおかけであの女は、成仏できたじゃない」

男「…だと、良いがな」

メリー「違うんですか?」

男「一度堕ちたら、道に戻るのに時間がかかるからな」

男「そこまでは、どうしようもない」

クッチィ「…そろそろ行くわ」

メリー「先輩!…行っちゃうんですか?」

クッチィ「また、別の町に流れるだけよ。今までと同じ」

男「その事なんだが、クッチィさえ良かったら…俺達と行かないか?」

メリー「マスター!」パァ

クッチィ「同情なら遠慮するわ」

男「それはない」キッパリ

クッチィ「少しはしなさいよ!」

男「俺と来い、クッチィ!」

クッチィ(あぁ…そんな真っ直ぐ見られたら///)
クッチィ「…分かったわ。色々支度するから、後から合流しましょう」

メリー「先輩!」ギュウ

クッチィ「メリー、よろしくね」ナデナデ

メリー「…マスターは渡しませんよ」ボソ

クッチィ「…その喧嘩…買うわよ」ボソ

二人「「うふふふ」」

男(な、なんか、怖い)

ハウス前

男「さぁ!ハウスに着いた!」

メリー「なぜか、随分、帰ってない気分です」

二人はクッチィと別れ、ハウスへ戻った。
クッチィには、男の名刺を渡し、連絡をとれるようにしている。

メリー「ただいまです!ジンさま、ハミィさま!」

ジンさん「おかえり!大変だったな!」

ハミィ「ゆっくり休んでね♪」

男「そうだ。ジンさん、ハミィ。仲間が増える事になった」

ジンさん「あぁ、聞こえていた」

ハミィ「楽しみだよ!クッちゃん!!」

男「向こうから、連絡があるはずだ」

ジンさん「了解だ。そうそう、浄化木の代金は、お前の財布からな」

男「へ?なんで知って…。メリー!?」

メリー「わ、私じゃないです!」

ハミィ「なんのためのインカムかな?」

男「どちらにせよ、バレてるだな」

メリー「…浄化木ってなんですか?」

ハミィ「仏像とか彫るときにでてくる、木のかけらの事ね。仏像は浄化の力が宿るんだけど、その木屑とかにも、本体程ではないけど、浄化の力が宿るのよ」

メリー「…べんきょうになります!」

ハミィ「これからは、色々教えてあげるね♪」

メリー「はい!お願いします!」

男「…財布がどんどん薄くなる。あぁ、弾代も高いのに…」

男は大きなため息をついた。
それはそれは大きなため息だった。

訂正!

バレてるだな→×
バレてるんだな→○
です。

深夜
県境の山中

男達はハウスを山中の広場に停めて、休んでいた。

ここからは、町並みがよく見えていた。

メリー「灯りが綺麗です」

男「そうだな」

男とメリーは二人、夜景を眺めていた。

メリー「あの灯り全部に、人間の生活があるんですね。暖かい灯りです」

男「…そうだな」

メリー「…ねぇ、マスター…」

メリー「私は、マスターのお傍にいても…」

男「運命」

メリー「え?」

男「俺達の出会いは運命だろ?」

メリー「…運命共同体ですよ」

男「そうだったな」グィ

メリー「マスター///」

メリー「結婚しましょう!」

男「いや、無理」

メリー「あれ!?今の空気はイエスですよ!」

男「いやいや、まだ無理!」

メリー「…ん?〈まだ〉って、事は…んン!」

チュッ!

メリー「マ、マスター///」

男(やってしまった///)

メリー「も、もういっかい!」

男「…ん」

チュプ!

メリー「…ふぁ!ふへぇ///」

メリー(マスター!いつまでもお傍に)


春の月明かりが二人を優しく照らしていた…。






  口裂け女編  完


いちお、これで終わりです!
短いのを考えてたんですが、ここまで伸びました。

お目汚し、すいませんでした。

それ以上に、ありがとうございました!


次があるなら、別の都市伝説や、妖怪なんかをやりたいですね。


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