師匠「鬼退治…だと…」(23)

昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ芝かりに、 

爺「────刈れ」ザシュシュシュ

おばあさんは川へ洗濯に行きました。

婆「────水天逆巻け」ジャバァァァ

おばあさんが川で洗濯をしていると、ドンブラコ、ドンブラコと、大きな苺が流れてきました。

「おや、これは良いおみやげになるわ」

 おばあさんは大きな苺をひろいあげて、家に持ち帰りました。

 そして、おじいさんとおばあさんが苺を食べようと苺を切ってみると、なんと、中から上半身に比べて下半身が貧者過ぎる男が飛び出してきました。

師匠「届かぬ牙に 火を灯す

あの星を見ずに済むように

この吭を裂いて しまわぬように 」

爺「!?」

TITE.001『Death & Strawberry』

婆「まさかアンタは!?」

師匠「あぁ、集英社から派遣されたしがない漫画家さ」

この一帯の村は鬼たちよって苦しめられていました。そこで村人たちは集英社に派遣を要請したのです。

爺「こりゃあ、てぇへんだ。すぐにみんなに知らせにゃ」

師匠が派遣されたという報せは、瞬く間に村中を駆け巡りました。

村人A「本当に本人が来たっぺか!? また偽物じゃねぇっぺか!?」

村人B「んだんだ! この前も村長が金をケチって変な作曲家が来ただよ!」

村人C「でも最初はみんな信じてたッぺ!?」

村人D「そっくりだったっぺ! 仕方ねぇべ! 質問にもハキハキ答えてたっぺよ!」

師匠 ザッザッサッ

村人A「来たべ!」

村人A「おめぇさん、本当に本物だっぺか!?」

師匠「あァ、そうだ。俺が────TITEだ」

TITE.002『I AM THE TITE』


村人A「本物だったら黒棺の完全詠唱することができる筈だっぺよー!」

師匠『滲み出す混濁の紋章
不遜なる狂気の器 湧きあがり・否定し 痺れ・瞬き 眠りを妨げる
爬行する鉄の王女 絶えず自壊する泥の人形
結合せよ 反発せよ 地に満ち己の無力を知れ
       破道の九十 黒棺 』

村人B「お、おったまげただー! この滲み出すオサレ度、不遜なる上半身、間違いねぇ! 本物の師匠だっぺ!」

村人C「疑って済まなかっただ! 師匠」

師匠「なぁに、最近巷で俺の偽物が横行していてな。疑われるのは慣れているさ」

村人E「昨年の紅白見てただよ! 金沙羅っぽい舞踏団引き連れてて、格好良かっただよ!」

師匠「……」

TITE.003『REVO TITE』

村人D「師匠、あのー、サインくれねぇなかな?」

師匠「名前と好きなキャラを教えてくれ」

村人D「あい! 名前はイモ山で、好きなキャラはジャズ・ドミノだっぺ!」

師匠 キュキュキュ

師匠「できたぜ」

イモ山さん「ありがとう、師匠! これで娘も喜ぶっぺよー!」

師匠「さて、早く帰ってJスターズで愛染使ってネット対戦で無双してぇから、とっとと鬼退治といこうか」

そして、おばあさんにきび団子を作ってもらうと、鬼ヶ島へ出かけました。

旅の途中で、イヌに出会いました。

犬「どこへ行くのだ? 師匠よ」

師匠「鬼ヶ島へ、鬼退治に行く」

犬「それでは、腰に付けたきび団子を1つ貰えないだろうか? さすればお供しよう」

師匠「これか?」ボロン

犬「──かたじけない」

 イヌはきび団子をもらい、桃太郎のおともになりました。

TITE.004『HERT OF WOLF』

そして、こんどはサルに出会いました。

猿「師匠、どこへ行くんだ?」

師匠「鬼ヶ島へ、鬼退治に行くんだ」

猿「じゃあ、腰に付けたきび団子を2つくれよ。おともするぜ」

師匠「ほらよ」ボロロン

TITE005.『人は皆、猿のまがいもの

神は皆、人のまがいもの 』

そしてこんどは、キジに出会いました。

キジ「師匠はん、どこへ行きなはるんです?」

キジ「鬼ヶ島へ、鬼退治に行く」

キジ「お腰に付けたきび団子を1つ下はいな。ワイは空の戦士や。おともするで」

師匠「戦士が物乞いをするもんじゃあないよ」スタスタ

キジ「ちょっとまちーや!」

師匠「──さようなら、空の戦士。どうか僕を許さないで欲しい」スタスタ

キジ「許す許します! せやから頼んます! 腹が減って力がでんのや!」

師匠「仕方ないな」ボロロロロロロロロン

キジ「うひょおおおあ!」バクバクバク

キジ ゲェプウウウ

師匠「わりぃな。8個じゃ少し足んなかったろ」

TITE.006『Sky Warriar』

こうして、イヌ、サル、キジの仲間を手に入れた桃太郎は、ついに鬼ヶ島へやってきました。

しかし鬼ヶ島には巨大な門があり、中に入ることは叶いません。

犬「キジよ。貴公が空を飛び、門の向こうの鍵を解錠するのはどうだろうか?」

キジ「ゲェェェェプ…… ボクの飛行能力、さっきお伝えしましたね? すんません、あれ、うそ言いました。
言うたほど長く翔べません…。言うたほど迅く翔べません…」

猿「てめーが団子食いすぎたせいだろうが! なーにが空の戦士だ! 食の戦士(フードファイター)にでも転職しろや、ハゲ!」

キジ「は、禿げてへんわ!」

犬「しかし、師匠一体どうするのだ?」

師匠「一旦、最寄りの村に寄るぞ。俺に考えがある」

鬼は付近の村一帯に貢ぎ物を強制していました。師匠一行はその貢ぎ物の中に隠れ、門の中に入ることにしたのです。

TITE.007 『獅子身中のTITE』

村人「今月の貢ぎ物だっぺよ」

鬼門番「よぉし、こちらへよこせ」

鬼門番 ゴソゴソ

鬼門番「なんだ!? このデカイ苺は!?」

村人「今年一番のできだっぺ。鬼頭さんも喜んでくれる筈だっぺよ~」

鬼門番「いいだろう。この調子で来月も頑張るんだな」

師匠は流れてきた時の巨大な苺を隠し持っていたのです。その中に、一行は身を潜めているのです。

鬼門番「よぉし、門を開けるか」ガガガ

鬼は何やら複雑な手順で門を開け始めました。

キジ「プププ、 門番は門開けるためにいてんのとちゃうやろww」

猿「静かにしろ! バレちまうだろ!」

キジ「すんません、一回言うてみたかったんです…」

犬「中に入ったようだな。師匠、正義の鉄槌を下すときが来たようだ」

師匠「──戦争なんて始めた瞬間からどっちも悪だよ」

ドカカカカ

鬼たち「なんだぁ!? いきなり苺からグラサン男が出てきやがった!?」

~~~~

鬼「頭、敵襲です!」

鬼頭「心配無用。此の儂が居る。それに勝る警備などない」

鬼たち「であえ、であえ! 敵襲だぁ!!!」

師匠「ハッ、敵襲時には紅茶を淹れるくらいの余裕は持つべきだな」ズバッ

鬼「ぐへぁ!!」

鬼たち「くっ、やろう、ぶっ潰してやるぜぇ!!」

師匠「── あまり強い言葉 を遣うなよ 弱く見えるぞ」オオオオ

鬼たち「霊圧にあてられて、か、体が動かねぇ…」ギリギリ

師匠「────チャドの霊圧になりてぇ奴からかかってこい」

鬼たち「ヒィィィィィ!」ガクガク

エリート鬼「 人ノ生キル上で最モ重大ナ其ノ感覚ノ名ヲ氏ヰルカイ?」

師匠「あん?」

エリート鬼「 ソレハ恐怖ダ。 恐怖ハ経験デ乗リ越エラレル、戦イニ慣レタ強者程ソウ錯覚スる。
理由ノ在ル恐怖ハ優シい。
其レハ意志ヤ経験デ止メル事ガ出来ル、理由サエ在レバソノ源ヲ断チ切レバソノ恐怖ラシキモノハ拭エル。
ダガ真の恐怖ニハ理由ガ無イ、其レハ感情デハ無ク本能ダカラだ。
真の恐怖トハ理由も無ク際限モ無ク只々体ヲ這イ上ル夥シイ羽虫ノ様ナモノ。
吾々ハ本能カラハ逃レラレナイ」

師匠「読みにくい」ズバッ

エリート鬼「グアァ」バタッ

師匠「 戦いに必要なのは恐怖じゃない
そこからは何も生まれない
かわすのなら“斬らせない”!
誰かを守るなら“死なせない”!
攻撃するなら“斬る”!!!
ほら 見えませんか
アタシの剣に映った
“キミを斬る”という
“覚悟”が」
 
キジ「“自分の握る剣に怯えぬ者に 剣を握る資格はない”
俺はそう教わった」フッ

猿「テメーは黙ってろ」ゴン

鬼たち「うおおおおお!!」

猿「────モンキーパンチ」ドゴォォ

鬼たち「ぐへぁぁぁ!」

犬「────人間ドッグ」

鬼「な、なんだ!? いきなり人間になりやがった!?」

犬「人化の術。きびだんごを捧げることで一定時間不死身となる」

犬「アオーン!!」ドガガガガ

キジ「────バードウォッチング」ギラッ

鬼「ひぇぇ!」

鬼「……?」

鬼たち「こいつ、見られてるだけだぞ!! 潰せ!」ドドドドド!!!!!!

キジ「ほげええええ!!」ガクッ

猿「キジ!?」

キジ「猿?  ああ……強い眼になった。良かった、今の君になら……任せて……いける……」

猿「うっせー! さっさと起きやがれ!」ドコォ

キジ「キェー! 鳥使いの荒いやっちゃなぁ!!」バサバサ

~~~~

鬼幹部「──貴様が師匠か」

師匠?「……」

鬼幹部「────海流(シードリフト)」サパパパ

鬼幹部「────火山の使者(プロメテウス)」ゴゴゴゴゴ

師匠?「……」

鬼幹部「くくく、オレの術はまやかしだ。
だが人の心を奪うのはいつだってそのまやかしなのさ。

オレの操るものは音楽、貴様の耳に鳴り響くそのまやかしの旋律が貴様の心を奪ってゆく!」

師匠?「効かねぇよ」サングラス スチャ

鬼幹部「───貴様は!?」

~~~~

鬼頭「あっちの幹部のところにもテメェがいる? どういうことだ!?」

師匠「───オレのお供が三人だといつから錯覚していた?」

鬼頭「何ぃ……?」

師匠「────佐村河内は私の部下だ」

~~~~

鬼幹部「そうか、この術が効かねぇのはそういう訳だったのかよ」

佐村河内「フッ、やっと理解したか」

鬼幹部「ならオレと口話をしようじゃないか」

佐村河内「は!?」

佐村河内「あの、そういうふざけたことは止めてもらえますかね?」

佐村河内「もういい。喰らえよ 交響曲第1番」

鬼幹部「ぐあああ!!」

佐村河内「貴様の術と同じ原理さ。恨むなよ? 曲に罪はねぇ」

鬼幹部「こんなもの!」耳を塞ぐ

鬼幹部「ぐわぁぁ! 何故、まだ効く!?」耳を塞ぐのを止める

佐村河内「本当にいい曲ってのは耳を塞いだ程度じゃ聞こえなくはならん。なぜだかわかるか?」

鬼幹部「ま、まさか!?」

佐村河内「そう、名曲ってのは心で聴くもんだ」

鬼幹部「
          心か      
                」

師匠「さぁ、こっちも決着をつけようぜ」

鬼頭「 私はお前を蔑如する!!
お前ほどの力がありながら、何故あんなものに従っていられるのだ!! 看板落ち(プリバロン)の名を背負ってまで!」

師匠『“あんなもの”…?
集英社の事っスか…?
…そうか、アナタは見たんスね。
“集英社”は“楔”なんス。
集英社を失えば、容易く崩れる。
世界とは、そういうモノなんスよ」

鬼頭「 勝者とは常に、世界がどういうものかではなく、
どう在るべきかについて、語らなければならない!!!!
私は────」

師匠 ザシュ

鬼頭 ガクッ

鬼頭「くっ、殺せ!」

師匠「負けを認めて死にたがるな!
死んで初めて負けを認めろ!
負けてそれで死にそこねたら、そいつはテメェがツイてただけのことだ」

鬼頭「フッ、厳しいねアンタ……。もうオレたちゃ悪さはしねぇよ」

師匠「まだ悪さをするようなら、何度だって俺が叩き直してやるさ」

こうして鬼たちは改心し、村に平和が訪れた。

爺「もう帰るのかい?」

師匠「あぁ、締め切りが迫ってるんでな」

婆「はい、きびだんご! 疲れたときに食べるんだよ!」

師匠「すまねぇな。また何かあったら呼んでくれ」

村人たち「師匠~!! ホントに助かっただ~! また来てくんろ~!」

犬・猿・キジ・佐村河内 ゾロゾロ

師匠「お前らもついてくるのか?」

犬・猿・キジ・佐村河内 コクリ

師匠「フッ、アシスタント不足で困っていたところだ。特記戦力として期待をしているぞ」

キジ「給料はきびだんごで頼んます!」

猿「オレはバナナで」

犬「儂はゴン太のほねっこを」

佐村河内「私は名誉で」



師匠一行の今回の度はこれにてお仕舞い。

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