事務所休憩室

　柚　「比奈さん誕生日おめでとー！」

晶葉　「おめでとう」

泰葉　「おめでとうございます」

あやめ「おめでとうございます！」

比奈　「いや～どうもどうもッス。こんなに祝われたのは久しぶりッスよ」

モバＰ「ふはは。スケジュールを調整した俺に感謝するといい」

比奈　「あざーッス」

モバＰ「……いやまあいいけどさ」

比奈　「冗談でス。ちゃんと感謝してまスよ」

晶葉　「……しかし最近は忙しかったからな。ろくなプレゼントが用意できなかった」

比奈　「いやいや。お気持ちだけで嬉しいッス。それに」

泰葉　「それに？」

比奈　「中間発表で柚ちゃんとあやめちゃんがランクインしてた事。これが何より嬉しいでス」

　柚　「そ、そう？」

あやめ「なんだか抜け駆けしたようで気が引けるのですが……」

比奈　「何言ってるんスか。二人のランクインは凄い励みになるッス」

あやめ「……そう言って頂けるのならあやめも嬉しいです！」

比奈　「この人のプロデュースでもいいんだなって安心出来たッス」

モバＰ「え、ひどくない？」

比奈　「冗談でス」

コンコン

晶葉　「ん？」

泰葉　「誰か来たみたい。私見てきますね」

智絵里「こ、こんにちわ」

泰葉　「智絵里ちゃん？どうしたの？」

智絵里「えっと、今日は比奈さんの誕生日だから、その、プレゼントを」

晶葉　「比奈。君をご指名のようだぞ」

比奈　「う、うス」

晶葉　「君まで緊張してどうするんだ」

モバＰ「律儀な子だねえ」

あやめ「はい。わたくしたちなどよりもずっとご多忙でしょうに」

モバＰ「……待てよ？」

　柚　「Ｐさん？」

モバＰ「いい事思いついた」ﾆﾔﾘ

　柚　「Ｐさんすごい悪い顔してる！」

あやめ「Ｐ殿、いったい何を？」

モバＰ「まあ見てろって」

モバＰ「やあ、智絵里ちゃん、こんにちわ」ﾇｯ

比奈　「うお！いきなり後ろから！」

智絵里「あ、モバＰさん、こんにちわ」

モバＰ「折角だから何か食べてく？」

智絵里「え、でも、悪いですし……」

モバＰ「そんなこと全然ないって」

比奈　（これは）

泰葉　（何か）

晶葉　（企んでるな）

智絵里「でも、その、これからラジオの収録で。ごめんなさい、折角誘って下さったのに」

モバＰ「そっか、それじゃあしょうがないね。……じゃあ記念に写メでも撮っていく？」

智絵里「写メ、ですか？」

モバＰ「うん。今日の誕生会の様子を比奈のブログに載せる予定なんだけど、もし智絵里ちゃんが良ければ、皆で写ってる画像を使おうと思うんだ」

泰葉　（……なるほど）

智絵里「私が入っていいんですか？これはモバＰさんのユニットの集まりなんじゃ……」

モバＰ「いいのいいの。なあ比奈？」

比奈　「あ、はい、そうでスね？」

モバＰ「ね？」

智絵里「じゃあ……はい。お願いします」

モバＰ「イエス！！」

智絵里「」ﾋﾞｸｯ

モバＰ「ああ、驚かせてごめんね。それじゃ時間の事もあるしすぐに取ろう。柚ー！。あやめー！。こっちこーい！」


モバＰ「じゃあ智絵里ちゃんと比奈を中心にして……智絵里ちゃん、ちょっと表情が硬いよー？」

智絵里「何か緊張しちゃって……」

モバＰ「リラックスリラックス。それじゃあ取るよー。故人の写真はー？」

５人　「いえい☆」

智絵里「え？え？」

ﾊﾟｼｬ

モバＰ「智絵里ちゃんは少し困惑した様子でラジオの収録に向かった」

比奈　「あんな掛け声、絶対初見じゃ通じないッスよ」

モバＰ「そうか？」

晶葉　「むしろ何故通じると思うのだ」

　柚　「ところでＰさん。さっき言ってたいい事って何？」

あやめ「智絵里さんと写真を撮っていただけのようですが」

泰葉　「それでいいの。ですよね、Ｐさん」

モバＰ「流石に泰葉は気付いていたか」

　柚　「？　どういう事？」

泰葉　「昔犬が喋るドラマが流行った時。その時の子役の子達がすごく取り上げられたよね」

　柚　「うん」

あやめ「ありましたね」

比奈　「……何の話ッスか」

晶葉　「分からん」

モバＰ「お前らはもうちょっとアンテナを拡げような」

泰葉　「それから少しして。その子役の子達と仲が良いアピールをする子役が現れたの」

あやめ「そういえばそんな方も」

　柚　「そうだったカナ？」

比奈　「それでこの時期に流行ってたアニメが」

晶葉　「ほうほう」

モバＰ「諦めるなよ」

泰葉　「そうする事で、『今旬な子役に詳しい子役』みたいな扱いでお仕事をもらったり、時には本当に共演したりしてたの」

　柚　「ふーん」

あやめ「なるほど」

二人　「大体分かった」

モバＰ「ホントに？」

比奈　「早い話が智絵里ちゃんの人気にあやかろうって腹でスよね」

モバＰ「なんだ。本当に分かってるじゃないか」

晶葉　「しかしＰよ。さっきの画像は比奈のブログに載せるのだろう？元々比奈のブログに来るような人達はそもそも我々のファンなんじゃないのか？」

泰葉　「ブログに来る人はそうかもしれないけど……今はそこからツイッたーとかで拡散されていくから」

モバＰ「業界関係者とかの目に留まって企画とか立ててもらえれば儲けものだ」

泰葉　「それに仲良しアピールはやり過ぎない限り、マイナスにはならないもの」

比奈　「……何か私の誕生日がえらく打算にまみれたものになったッス」

モバＰ「バースデーライブとかだって要は自分の誕生日を口実に商売してるだけだろ？」

比奈　「ドライ過ぎまス」

あやめ「これが、大人の意見ですか」

　柚　「あうー。大人になんてなりたくないよー！」

泰葉　「大丈夫。すぐに慣れるから」ﾌｯ

　柚　「泰葉さんが達観した笑みを浮かべてる……」

あやめ「たった一つしか年は違わないというのに……」

比奈　「いやあ、年上の私でもあの笑みは出てこないッスよ」

晶葉　「ふむ。話は分かったが……それならやはり智絵里のブログに我々が登場した方が効果は高いのではないか？」

モバＰ「そりゃそうだが、さすがに智絵里ちゃんのブログの内容までは干渉できんぞ？彼女はＣｕＰの担当なんだし」

晶葉　「分かっている。だから彼女が自主的に、取り上げたくなるエピソードを提供する」

晶葉　「具体的に言えばこれだ」ﾄﾞﾝ

モバＰ「これは」

あやめ「クローバーですね」

　柚　「しかも四葉だー！」

泰葉　「確かに智絵里ちゃんと言えば四葉のクローバーですね」

比奈　「……でもこれ何か変じゃないスか？妙にテカテカしてるというか」

晶葉　「よく気付いたな。これはただのクローバーではない。遺伝子組み換えクローバーだ！」

モバＰ「……何？」

晶葉　「遺伝子組み換えクローバーだ。私の専門ではないから苦労したぞ」

モバＰ「ていうか何であるのこんなの」

晶葉　「こんなこともあろうかと思って」

モバＰ「便利な言葉だな」

泰葉　「これ、遺伝子を組み換えて何が変わったんですか？」

晶葉　「うむ。まず第一にこれは基本的に四葉以外には成長しないようになっている」

あやめ（ありがたみがないような……）

晶葉　「そしてサボテンの特性を組み込み、水の供給が途絶えても一年は枯れる事がない」

　柚　「クローバーってそんなに長く咲いてるっけ？」

晶葉　「さらにすぐにクローバー畑が作れるようにミント並の繁殖力を持つようにした」

比奈　「それヤバいんじゃないスか？」

晶葉　「隣家から除草剤が飛んできたらいかんからな。スーパーウィードクラスの農薬耐性も持たせた」

泰葉　「打つ手がありませんね」

晶葉　「これをプレゼントすれば」

モバＰ「号泣必至だな」

晶葉　「ダメか？」

モバＰ「ダメ」

晶葉　「……やはり専門外のことは難しいな」

モバＰ「常識は専門外とか勘弁してくれ」

『緒方智絵里のクローバーラジオ』

　柚　「あ、智絵里さんのラジオだ！」

泰葉　「もうこんな時間なんですね」

あやめ「そろそろお開き、といった所でしょうか」

比奈　「で、結局どうするんスか？」

モバＰ「あーとりあえずさっきの画像を上げてくれればいいよ。効果があればラッキーぐらいで」

泰葉　「そうですね。それぐらいの心構えでいた方がいいと思います」

晶葉　「私のこれも喜んでくれたらラッキーぐらいで」

モバＰ「絶対ダメ」

『今日は、同じ事務所の荒木比奈さんの誕生日です。お祝いのメッセージを募集します』

比奈　「おおっ！？」

モバＰ「頼んでもいないのに自主的に……」

晶葉　「これが天使と称される所以なのか」

泰葉　「……」ﾌｯ

　柚　「泰葉さんその笑い方止めようよ！」

泰葉　「体系は似ていても中身は、ふふっ」

あやめ「Ｐ殿！泰葉さんが危険な感じに！」

モバＰ「あ～よしよしよしよし！」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

『私も少しだけ誕生日会に参加させてもらいました。その時に写真を撮ったんですけど、その時の掛け声が少し変わっていて』

モバＰ「お？」

比奈　「おお？」

　柚　「おおお？」

晶葉　「これは」

あやめ「まさか」

泰葉　「ふえ？」

『故人の写真はー？いえい☆　……あ、あれ？』

全員　「「やっちゃったー！！！」」

おわり

おまけ

ＣｕＰ「お前を故人にしてやろうか！」

モバＰ「いやほんとに悪かったって」

ＣｕＰ「ふざけんなお前！今がどれだけ大事な時期か分かっｔ」

モバＰ「」ｽｯ

智絵里とＣｕＰに似た二人がにゃんにゃんする薄い本

ＣｕＰ「まあ、何だ！ここからが俺の腕の見せ所よ！」

モバＰ「おう！頑張れ！」

泰葉　「大人なんて……」ﾌｯ

　柚　「また泰葉さんがぁ！」

おわり

元チエリストとして上位争いは智絵里を応援する所存であります

依頼だして寝ます