ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ


希「んー？宅配便かな？」


希「はいはーい」


ｶﾞﾗｯ


穂乃果「………」ﾑｯｽｰ


希「穂乃果ちゃん…？」


希「どうしたん？そんなふてくされた顔して」


穂乃果「……希ちゃんごめん今日泊めて」


希「ホントどうしたんよ？」


穂乃果「………」ﾑｯｽｰ


希「まあ、何があったか知りたいし、とりあえず中に入って」

希「はい、お茶」ｺﾄ


穂乃果「……ありがと」


希「んで、何があったん？」


穂乃果「………雪穂が」


希「雪穂ちゃんが？」


穂乃果「………雪穂が穂乃果のプリン食べた」

希「プリ…………ぷっ」


希「あはは！」


穂乃果「ちょ、希ちゃんそんなに笑わないでよー！」


希「ご、ごめんな……ふふっ」


希「でー、雪穂ちゃんにプリン食べられて、ふてくされて家出したと？」


穂乃果「うん」


希「……ぷっ、うんて……ふふっ」


穂乃果「も、もー！」

希「ご、ごめんて……。な、謝っとるやろ？」


穂乃果「……ふん」ﾌﾟｲ


希「あ、そうや！冷蔵庫にプリン入ってるから、それ食べる？」


穂乃果「え？う、うん！」


希「正直やね。持ってくるからちょっと待ってな」

希「ほら、持ってきたで穂乃果ちゃん」


穂乃果「わーい！希ちゃんありがとう！」


穂乃果「いっただっきまーす！」


希「さて、ウチは今のうちに電話しとこうかな」

――――――――


希「ええと、穂乃果ちゃん家の電話番号は…‥‥」ﾋﾟｯﾋﾟｯﾋﾟｯ


希「ほのかちゃ……ええと高坂さんの家ですか？」


希「あ、穂乃果ちゃんのお母さん。はい……そうです……そうです一晩…はい」


希「あっ、そんな別にええですよ！……そんな、…はいわかりました。それでは」




ｶﾞﾗｯ


希「穂乃果ちゃん、ちゃんと連絡入れたから今日は泊まってええよ」


穂乃果「ふぃい、ご馳走様でしたー」


希「既にゆっくりしとるな」ｱﾊﾊ

希「と、そろそろお夕飯のお買い物に行ってくるから、穂乃果ちゃんお留守番お願いな」


穂乃果「ん、穂乃果もついていくよ！」


希「そんな大荷物にならんし平気やで。なんか食べたいもんある？」


穂乃果「穂乃果もついていくー」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ


希「……なんか今日の穂乃果ちゃん子供っぽいような気がする」

――――――――――――


『いらっしゃいませー』


穂乃果「わーい、おっかいものー」


希「あはは。それじゃあ何食べたい？」


穂乃果「ん～………オムライス！」


希「ほほう、オムライス……ね」ﾌﾌｯ


穂乃果「ん？どうしたの？」


希「いやね、予想しとった通りやねって」


希「穂乃果ちゃん、オムライスかハンバーグで悩んだ？」


穂乃果「な、なんでそれを…！？」


希「ふふっ、やっぱりね。ウチはエスパーやからね」

穂乃果「まずは卵だね！」


希「おっと、穂乃果ちゃん。奥のやつ取ってくれる？」


穂乃果「え？いいけどどうして？」


希「奥の方が新しい場合が多いんや。まぁ例外もあるけどな」


穂乃果「へぇー。希ちゃん物知りだね」


希「ウチはエスパーやからね」


穂乃果「関係ないよね？」


希「まあねー」

希「よし、こんなもんやね」


穂乃果「………」ｼﾞｰ


希「穂乃果ちゃん？」


穂乃果「あっ、えとなに？希ちゃん」


希「なに見とったん？」


穂乃果「ううん、なんでもないよ？」


希「ってそれ……またプリン食べたいん？」


穂乃果「う、ううん、なんでもないよ！」


希「………まあいいけど」


希(雪穂ちゃんのこと気にしとるんかな)

――――――――――――


希「それじゃあウチ用意してくるから、穂乃果ちゃんはゆっくりしときな」


穂乃果「えー、穂乃果も手伝うよー」


希「なんか本当、今日は駄々っ子やな」


希「それじゃ、お米炊いてくれる？」


穂乃果「はーい！…………ってあれ、このお鍋…」

希「ああ、今日はお鍋の予定やったんよ」


穂乃果「もしかして穂乃果が……」


希「ええよええよ。一人鍋なんていつでもできるし」


希「むしろ穂乃果ちゃんには感謝してるかな」


穂乃果「感謝…？」


希「せやで。誰かが泊まりにくるなんて滅多にないし」


希「こうして、一緒にお夕飯を作ってる」


希「今日はこれだけでもすごく嬉しいんよ」

穂乃果「希ちゃん………」


希「さ、はやく支度しよか？」


穂乃果「ねぇ希ちゃん」


希「ん～？なに？」


穂乃果「今日だけ、今日だけでいいから希ちゃんの事、お姉ちゃんって呼んでいい？」


希「えっ！？」


穂乃果「呼んじゃだめ…？」

希「べ、別にええけど…」


穂乃果「えへへ。希お姉ちゃん」


希「なんか恥ずかしいな…」


穂乃果「おねーちゃん！」


希「も、もう…！///」

――――――――――――


穂乃果「ごちそうさまでした！」


希「ごちそうさんでした」


穂乃果「あー。美味しいかった」


希「さっきからそればっかりやん」


希「美味しい美味しいって」


穂乃果「だって本当に美味しかったんだもん」

穂乃果「ゆきほ―、おちゃー………はっ！」


希「ふふっ、帰る？」


穂乃果「か、帰らないよ！」


穂乃果「穂乃果は怒ってるんだから！雪穂が謝りにくるまで帰らないんだからね！」


希「それはそれで困るんやけどな…」ｱﾊﾊ

希「さ、洗いもんさっさと片付けるから、穂乃果ちゃんゆっくりしとき」


穂乃果「はーい」


希「満腹で動けんか」ｱﾊﾊ


希「後でお茶持ってくるわ。テレビでも観といてな」


穂乃果「希お姉ちゃん一緒に観ようね！」


希「ええで、さっくり片付けるわ」

ｻﾞｰ


希「ふふっ、やっぱりひとりで食べるより、誰かと食べた方が美味しいなあ」


希「本当、穂乃果ちゃんには感謝やな」


希「………今度、ウチから誘ってみようかな」


希「せや、μ'sのみんなでお泊りなんてええかもな」


希「って、それ合宿やん」ﾌﾌ


希「………お揃いの食器9人分買っておこうかな」

――――――――――――


『って、なんでやねん！』


穂乃果「あはは！」


希「くすくす」


『また来週ー！』


穂乃果「あー、面白かった」


希「せやね。やっぱりこの番組面白いなあ」

穂乃果「と、もうこんな時間だね」


希「ホントやね。お風呂沸いてるから、先に穂乃果ちゃん入っておいで」


穂乃果「うん！お姉ちゃん一緒に入ろうね！」


希「え？いや、穂乃果ちゃん入って――――」


穂乃果「ええー。希お姉ちゃんと一緒じゃなきゃ嫌だー」


希「駄々っ子せんと――――」


穂乃果「一緒に入ろー！」


希「ほの――――」


穂乃果「それじゃレッツゴー！」ｸﾞｲ

――――――――――――


穂乃果「いい湯だねぇー」


希「………せやね」


穂乃果「はぁー。気持ちいいなぁー…」


希「穂乃果ちゃん狭くない？」


穂乃果「全然平気だよ。いつも雪穂と入ってるし」


希「へぇー。雪穂ちゃんと入ってるんやね」

穂乃果「でもさ、最近は一緒に入ってくれないんだよね」


穂乃果「別に恥ずかしがることないのにね」


希「仲ええんね」


穂乃果「うん………って、違うよ！今すごく仲悪いんだよ！？」


希「あー、はいはい。分かってるって」ﾌﾌ


穂乃果「仲悪いんだってばー！」

――――――――――――


穂乃果「ふぃー……、いい湯だったー…」


希「ふふっ、穂乃果ちゃんおっさんぽいて」


希「はい、苺牛乳」


穂乃果「おおー！ありがとう希お姉ちゃん！」


穂乃果「手を腰にあてて…」ｺﾞｸｺﾞｸ


穂乃果「ぷはぁ～…。体に沁みるねぇ～…！」


希「ホントなんでも幸せそうにするね」


希「穂乃果ちゃんおいで、髪とかしたるよ」

希「ふむふむ…。やっぱ穂乃果ちゃん髪綺麗やな」


穂乃果「………うん」


希「穂乃果ちゃん？」


穂乃果「………」ｺｸｯｺｸｯ


希「おねむの時間かな」ｱﾊﾊ


穂乃果「べ、別に眠たくなんか………ふぁ」


希「もう少しで終わるから、終わったら寝ようか？」


穂乃果「………うん」

希「それじゃ明かり消すよー？」


穂乃果「はーい」


希「………なんか元気になってるね」


穂乃果「いざ寝るとなると目が冴えてきちゃって」


希「じゃあ、もう少し起きとく？」


穂乃果「ううん、明日も学校だし寝よっか」


希「了解や。じゃあ消すよー」


ｶﾁｯ

穂乃果「ねぇ、希お姉ちゃん」


希「んー？どうしたん？」


穂乃果「そっちで一緒に寝てもいい？」


希「え？」


穂乃果「ダメ……？」


希「え、ええけど、なんで今日は甘えん坊さんなん？」

穂乃果「えへへ。お邪魔しまーす」ｺﾞｿｺﾞｿ


穂乃果「んとね……お姉ちゃんがいたらなー、って思ってたから、かな？」


穂乃果「んふふ。希お姉ちゃん温かぁい……」ｷﾞｭ


希「ちょ、ほ、穂乃果ちゃん…！？///」ｱｾｱｾ

穂乃果「はぁ…。本当、希ちゃんがお姉ちゃんだったらなぁー…」


希「穂乃果ちゃん、嬉しいけどさ――――」


穂乃果「高坂希…とか」


希「！？」

穂乃果「東條穂乃果でもいいかも…」


希「え、ちょ、ほ、穂乃果ちゃん！？」


穂乃果「えっ？どうしたの希お姉ちゃん？」


希「あっ、いや、なんでもないで？」


希「ちょっと勘違いしただけや。気にせんといて」


穂乃果「勘違い？」


希「気にせんといて！いや、忘れて！」

穂乃果「う、うん……」


希「あっ、でも、あれやで」


希「ウチが穂乃果ちゃんのお姉さんってのは嬉しいよ？」


希「ウチ、一人っ子やし」


希「こういうのも、たまには悪くないなぁ、って」


穂乃果「そうなんだ」

希「また泊まりにきてな？」


希「あ、海未ちゃんやことりちゃんと一緒でもええよ」


穂乃果「うん、ことりちゃんたちに聞いてみるよ」


希「さ、明日も早いから寝よか？」


穂乃果「うん、おやすみ希お姉ちゃん」


希「おやすみ穂乃果ちゃん」


穂乃果「………すぅ」ｽﾔｽﾔ




希「……ウチも、穂乃果ちゃんみたいな弟か妹が欲しかったな」

――――――――――――

ﾁｭﾝﾁｭﾝ


希「ふぁ………。よく寝たなぁ」


希「んー……！」


希「穂乃果ちゃん……？」


希「帰ったんかな？」

ｶﾞｼｬｰﾝ


希「！？」


希「台所から物音が…」


希「行ってみよう」


ｶﾞﾗｯ


穂乃果「あわわ、どうしよう……」


希「穂乃果ちゃん…？」

穂乃果「希ちゃんごめん、お皿が…！」


希「ええって。ケガはない？」


穂乃果「大丈夫だけど…お皿が…」


希「形あるものいつかは壊れるよ。だから気にせんといて」


穂乃果「希ちゃん…」

希「さ、片付けよう？」


穂乃果「うん」


希「ってあれ、なんか焦げ臭いような…」


穂乃果「え？………ああーっ！」

希「見事に真っ黒けやな」


穂乃果「本当にごめん……」


希「んー……どれどれ」ﾊﾟｸｯ


穂乃果「ああ、食べなくてもいいよ…！」


希「ちょっと苦いけど、いけるやん」


希「さ、お皿片付けて朝ごはんの準備しよ？」


穂乃果「希ちゃん怒ったりしないの……？」


希「んー？お姉ちゃんなら、妹が失敗してもそう簡単に怒ったらあかんで？」

穂乃果「でも…………あっ」


穂乃果「………希ちゃん」


希「んー？」


穂乃果「穂乃果謝ってくる！」


希「うん、入っといで。ごはん作って待っとるから」


穂乃果「うん！行ってきます！」ﾀｯ


希「いってらっしゃい」


希「いってらっしゃい………か」ﾌﾌｯ

ｶﾞﾗｯ


穂乃果「雪穂！」


雪穂「うわっ！？お、お姉ちゃんどうしたの？」


穂乃果「雪穂ごめん！」


穂乃果「プリンなんかで怒って！」


雪穂「………別にもういいよ」


雪穂「私も勝手に食べちゃってごめん…」

雪穂「その、プリン…」


雪穂「プリン買ってきたの、食べて」


穂乃果「雪穂……」


穂乃果「うん！『一緒』に食べようね！」


雪穂「え、ええっ！？」


穂乃果「あ、でも希ちゃん待たせちゃってるから、今日の夜に食べようね！」


穂乃果「穂乃果、希ちゃんのとこ行ってくる！」ﾀｯ

――――――――――――


絵里「へぇー、そんなことあったの」


希「うん。せや、今度エリちも泊まりにくる？」


絵里「いいわね。考えておくわ」


穂乃果「絵里ちゃーん」


絵里「あら、穂乃果」

穂乃果「絵里ちゃんおはよー。あ、希お姉ちゃんもいたんだ」


絵里「え？」


希「ちょ、穂乃果ちゃん…///」


穂乃果「なに話してたの？希お姉ちゃん」


絵里「え？……え？」

絵里「……………お姉ちゃん？」


希「ほ、穂乃果ちゃんそれもう終わったはずやん！？///」


穂乃果「ぬふふ」ｷﾞｭ


絵里「希……これどういうこと？」

希「エリち、こ、これはな…！」ｱｾｱｾ


穂乃果「穂乃果、希ちゃんの妹になったの！」


希「ああ……うう……///」


絵里「希……嬉しそうね」


希「は、恥ずかしいんよ！///」

希「も、もう！穂乃果ちゃんええ加減にせんと怒るよ！」


穂乃果「お姉ちゃんならそう簡単に怒ったらいけないんだよね？」


希「えっ！？」


穂乃果「むふふ」ｷﾞｭｰ


希「え、エリちぃー………」


絵里「ふふっ。なら私も希お姉ちゃんって呼ぼうかしら？」


希「も、もうー！///」




おわり