クラリス「シスタールシフェル」 (56)
モバマスのクラリスさんのSSです。ファンタジーSSです。
クラリス(20)
http://i.imgur.com/oy6I6ml.jpg
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「げほっ、げほっ……」
毎朝洗面台を自分の血で真っ赤に染めて、私の一日は始まります。日に日に血の量は
多くなり、体が思うように動かなくなっていくのを感じます。
蛇口をひねって洗面台を洗い、鏡で自分の顔を見ると、起きたばかりなのにひどく
疲れているように見えました。気を引き締めないといけませんね。
「あまり時間が残されていませんね。早く教会の掃除を終えないと……」
朝食を少しだけ食べて、私は下宿している櫻井家の部屋を出ました。いつお迎えが
来てもいいように荷物はほとんど持って来ていませんが、最期にこのお屋敷の方々に
ご迷惑をおかけするのは本当に申し訳ないと思っています。
外に出ると春の陽気に照らされて、陰鬱だった私の気持ちもいくらか癒されました。
桜並木の道を、私は杖をついて教会までゆっくり歩きます。私は日本の桜が好きです。
だから自分の最期の場所に日本を選びました。
「あまり時間が残されていませんね。早く教会の掃除を終えないと……」
朝食を少しだけ食べて、私は下宿している櫻井家の部屋を出ました。いつお迎えが
来てもいいように荷物はほとんど持って来ていませんが、最期にこのお屋敷の方々に
ご迷惑をおかけするのは本当に申し訳ないと思っています。
外に出ると春の陽気に照らされて、陰鬱だった私の気持ちもいくらか癒されました。
桜並木の道を、私は杖をついて教会までゆっくり歩きます。私は日本の桜が好きです。
だから自分の最期の場所に日本を選びました。
「この桜が今年で見納めになるのは、本当に残念ですね……」
満開の桜の花を見上げて、私はため息をつきました―――――
―――
教会に到着すると掃除道具を準備して、私はゆっくり掃除を始めます。この教会は
10年前に閉鎖されて、今は誰も訪れない場所になっています。私が最初訪れた時は
埃と蜘蛛の巣にまみれカビの臭いもしていましたが、毎日掃除をしていると少しづつ
綺麗になっていきました。
「私がいなくなった後、またここに人々が集まるようになればいいのですが」
教会の窓を全て開放して中の空気を入れ替え、床を箒で掃きます。雑巾がけをして
床掃除を終えると次は机と椅子を磨くようにしっかり拭いて、午前中は終わります。
そして午後は教会の外を掃除するのがいつもの流れです。
「自分の意志でシスターを辞めたのに最期は神に縋るとは、私はどうしようもなく
身勝手な心の弱い人間ですね……」
独り言を呟いて苦笑しながら、私はひとりで掃除を続けました。
***
「クラリス!」
「桃華お嬢様。本日は暖かくて良い日和ですね」
午後を過ぎて私が教会の庭を掃除していると、西洋人形の様な見た目をした愛らしい
少女がこちらに走って来ました。彼女は私がお世話になっている櫻井家の御令嬢です。
教会の入り口に送迎用の車が停まっているので、学校帰りでしょうか。
「何をしていますの!身体に障りますわ!」
桃華お嬢様は私から箒を奪いました。口調から察するにかなりご立腹の様子です。
「お気遣いありがとうございます。ですが私がやりたくてしている事ですので。それに
今日はいつもより体調が良いのですよ」
私が微笑むと、桃華お嬢様はため息をついて箒を返してくれました。櫻井の旦那様と
奥様に似て、彼女は本当に心の優しいお方です。
「わたくしは無力ですわ…… あなたの命を救う事はおろか、病身のあなたがこうして
毎日教会の掃除をするのを止める事すら出来ないなんて……」
俯いて微かに震える彼女を見て、私は少し心が痛みました。桃華お嬢様を悲しませて
まで、私は何をやっているのでしょう。彼女は私が心残りなく安らかに旅立てるように
何でもしてくれようとします。櫻井家の人達は皆、私などの為にそうしてくれます。
「桃華お嬢様は無力ではありません。お嬢様がこうして私の身を案じてくれるだけで、
私は幸福で身体から力が沸いてきます。ですから悲しまないで下さい」
私は桃華お嬢様にそっとハンカチを差し出しました。お嬢様はハンカチを受け取ると
目尻を拭い、私の前で気丈に胸を張ってみせました。
「わたくしも掃除をしますわ。教会の外にいる運転手とSPにも手伝わせましょう」
桃華お嬢様はそう言って、腕まくりをして掃除道具置き場に向かいました。私が遠慮
しても聞いてくれないでしょう。お嬢様に感謝をしつつ、私も掃除に戻りました。
―――
「なんですのこれはっ!? 」
しばらく掃除をしていると教会の裏から桃華お嬢様の悲鳴に近い声が聞こえたので、
私はお嬢様の運転手の方とそちらに向かいました。教会の裏に辿り着くと、そこには
教会の外壁を見ながら呆然としているお嬢様とSPの方がいました。
「まぁ、これは……」
「誰がこんな悪趣味な落書きをしましたのっ!! 」
私達が見た先にあったのは、教会の壁に描かれた大きな魔方陣でした。陣の直径は
5メートル近くあり、白いチョークでかなり緻密に文字や紋様などが描かれています。
まだ描いている途中のようですが、まるで本当に魔力が宿りそうな雰囲気でした。
「昨日見た時はありませんでしたが、夜のうちに描かれたのでしょうか?」
地面を見ると、まだ新しい脚立かはしごのようなものを置いた跡がありました。陣の
大きさと規模を見るに、一晩中描いていたのかもしれません。こんなに大きくて精巧な
魔方陣を描くのはさぞかし大変だったでしょう。
「神聖なる教会にこんな落書きをするなんて絶対に許せませんわ!櫻井家の力を全て
使って、必ず犯人を捕まえてみせます!」
桃華お嬢様は激しく憤りながら、デッキブラシで魔方陣を消そうとしました。しかし
私はそれを止めました。
「桃華お嬢様、この件は私に任せて戴けないでしょうか。この教会の現在の管理者は
私ですから、私が解決します」
私は魔方陣を見て大体の犯人像を推測していました。私が生まれ育った国の教会でも、
このような落書きや悪戯をたまに見かけました。元シスターとしては嘆かわしいですが、
神ではなく悪魔や霊の類を信仰する人間もこの世にはいるのです。
「魔方陣の筆跡をよく見ると、女性が書いたものです。それから大人ではなくて子供の
書き方です。犯人はきっと小さな女の子でしょう。そのような子を激しく叱るような
事はしたくありません」
桃華お嬢様はかなり不満そうでしたが、何度かお願いすると渋々ながら私の頼みを
聞いてくれました。そしてお嬢様と相談した解決方法は、櫻井家のSPの方に今夜は
教会に泊まってもらい、犯人を確認してもらうというものでした。
本来は言い出した私が教会に泊まるべきですが、私の身体を心配した桃華お嬢様に
強く反対されてSPの方にお願いする事になりました。ですから捕まえるのではなく、
あくまで素性を調べるだけに留めて欲しいとお願いしました。
「魔方陣もそのままにしておいて下さい。なぜ描いたのか、理由も聞かずに消しては
いけません。話を聞いた上で消さないと繰り返すでしょう」
私はそう言って桃華お嬢様達を説得しましたが、ほんの少しだけ嘘をつきました。
それは私がこの美しい魔方陣を消したくなかったのです。あってはならない事ですが、
シスターを辞めた私の心は悪魔に憑かれていたのかもしれません―――――
櫻井桃華(12)
http://i.imgur.com/QMZ9ZNO.jpg
***
「お加減はいかがですか、クラリス?」
「来てくださったのですかお嬢様。ご心配をおかけして申し訳ありません」
「いいのですそのままで。横になってなさいな」
翌日。いつものように教会の掃除に行こうとした私は、桜並木の下で意識を失って
倒れていたところを通行人に発見され、市内の病院に搬送されました。現在は点滴と
様々な機械を身体に取り付けてベッドに横になっています。
「あともう少し発見されるのが遅ければ危険な状態だったそうですわよ。次回からは
SPを道中のお供につけます。これはお父様の言葉でもありますから」
桃華お嬢様は反論は一切認めませんと仰りました。車での送迎を仰らなかったのは、
櫻井家の人達は私が桜を見ながら歩くのが好きだとよくご存知だからでしょう。皆様の
細やかな心遣いが本当にありがたいです。
「ところでお嬢様、教会に落書きをした犯人についてですが……」
私が尋ねると桃華お嬢様は私をじろりと睨み、ため息をついて教えてくれました。
「貴女の言った通り、犯人は私と同じくらいの年齢の少女でしたわ。昨晩教会に泊まった
SPが撮影した写真を元に彼女の素性を調べています。明日には報告出来ます」
桃華お嬢様はそう言って、手に持っていたバッグから一枚の写真を取り出しました。
夜中に撮影した写真なので鮮明ではありませんでしたが、そこにはショートカットの
派手な格好をした女の子が写っていました。
「壁の落書きもそのままにしてありますわ。彼女は昨日も明け方まで一心不乱になって
描いていたそうです。わたくしは一刻も早く消したいのですが」
ぷいとそっぽを向く桃華お嬢様が可愛らしくて、私は笑いました。SPさんの話では
魔方陣は今晩にでも完成するのではないかとのことです。それは楽しみですね。
「私のわがままを聞いてくださってありがとうございます。体力も回復しましたし、
明日にも退院しますので教会はもう少しそのままにしておいてください」
私がそう言うと、桃華お嬢様は首をこちらに向けました。その顔を見た瞬間、私は
驚きました。彼女は目に涙をいっぱい溜め、私を強い眼差しで睨みつけたのです。
「落書きなんて…… 落書きなんてどうでもいいではありませんか!どうして貴女は
自分をもっと大事にしないのですかっ!? 」
桃華お嬢様はあふれる涙を気にせず、私を力の限り怒鳴り付けました。
「シスターを辞めて日本に来たのは、残された時間を自分の為に使おうと決めたから
なのではないですか!? 貴女が望めばわたくしもお父様も何でもしてあげますのに、
貴女はこのまま最期まで教会の掃除だけして死ぬつもりなのですか!? 」
桃華お嬢様はそう言い残して、泣きながら病室を出て行かれました。お嬢様の涙を
見て、私はようやく彼女にひどい事をしてしまったと気付きました。日本に来てから
およそ2ヶ月、私は自分の事で頭がいっぱいで周囲が見えていませんでした。
「お嬢様はそこまで私の事を想ってくださっていたのですね……」
櫻井家の旦那様は全てを理解した上で私を受け入れてくれましたが、桃華お嬢様には
まだ少し早かったのかもしれません。桃華お嬢様はしっかりしておられるので私もつい
甘えてしまいましたが、彼女はまだ12歳の少女なのです。知り合って日の浅い私でも、
人が死ぬのをそう簡単に受け入れられないでしょう。
「でもお嬢様、どうやら職を辞しても、私は最期までシスターのようです……」
私は元々幼い頃から病弱で、医師からは20歳まで生きられないだろうと言われて
いました。両親は毎日神に私の健康を祈り、大人になった私は自然とシスターの職に
就きました。私が20歳まで生きられたのは神のご加護があったからだと思います。
しかしそれと同時に、死が近づくにつれ私は自分の神への信仰が揺らいできました。
神を信じられないシスターに存在意義はありません。両親は先に逝って天涯孤独の身
でしたし、信仰が完全に無くなる前に私は教会を離れる事にしました。
「こんなに身勝手な私は、天国に逝けないかもしれませんね……」
次第に瞼が重くなり、意識が遠のいていくのを感じました。今日はいつもと違って
色々あって疲れました。少し眠る事にしましょう―――――
***
『あら?ずいぶん眠ってしまったようですね』
目を覚ますと、外はもう暗くなっていました。時計を確認すると、夜中の2時を少し
すぎた所でした。かれこれ10時間近く眠っていたようです。
『あら……?』
ふと下を見ると、沢山の機械を身体に付けた女性が眠っていました。よく見ると、
私と同じ顔をしています。と言いますか、どこからどう見ても私でした。
『あらあら……』
私は自分の身体を確認しました。両手がうっすら透けています。そもそも私は宙に
浮いていました。そして私の下に私。これが幽体離脱というものでしょうか。
『最期は病院でひとりひっそりと…… ですか。寂しい気もしますが、桃華お嬢様を
悲しませたくなかったのでこれで良かったのかもしれませんね……』
出来ればお嬢様に謝罪したかったのですが仕方ありません。後は旦那様にお任せする
事にしましょう。私はベッド上の自分の身体を見ながら、少し泣きました―――――
―――
『さて、お父様とお母様も天国で待ってるでしょうし、そろそろ行きましょう……』
私は病室を出て屋上にやって来ました。空に近い方が天国に行ける気がしたからです。
病院の屋上から見える夜景はとても綺麗でした。
『天使が迎えに来てくれると思っていましたが、現実はひとりで行くものなのですね』
いくら待ってもお迎えが来る気配が無いので、私は自分から天を目指してみる事に
しました。屋上の柵を乗り越えて、そのまま一歩踏み出してみます。霊となった私は
空に昇る事も地に落ちる事もなく、屋上と同じ高さをふわふわ浮いていました。
『おかしいですね。天に昇るどころか、徐々に降下しているような……』
ふわふわと漂いながら、私は天国に行く方法が間違っているのかと考えていました。
ここは日本ですし、火葬してもらって煙となって天に昇るのでしょうか。
『病院に戻る事にしましょう。死んだ自分の傍にいるのは良い気分ではありませんが』
私はくるりと方向転換をして、病院に戻る事にしました。ところがその時、何か強い
力で押し戻され、私の霊体は病院とは反対方向に飛ばされました。
『え?え?え?』
状況が理解できないまま、私は風に流される木の葉のように宙を飛びました。櫻井家の
屋敷の上を通り過ぎ、毎日歩いていた桜並木をすり抜け、眼前には教会が見えて来ました。
どうやら私は教会に吸い寄せられている様です。
『へぶんっ!? 』
教会の外壁に叩きつけられ、私の身体は止まりました。いたた、霊になっても痛覚は
残っているのですね。でも病院の壁や桜の木はすり抜けられたのに、どうして教会には
ぶつかってしまったのでしょうか……?
『とりあえず離れて…… あら?とれない……』
私は教会の壁から離れようとしましたが、まるで外から強い力で押し付けられている
ように身動きが取れませんでした。なんとか顔をあげるだけで精一杯です。
『う~ん、う~ん……』
どれだけ力を入れても、指一本動かせません。まるで磔にされているみたいです。
ただしキリスト様の十字架とは雲泥の差でしょうけど。
「つ、つかまえた…、天使…… 」
『え……?』
ふと後ろから声がしたので、私は首をあげて後ろを振り返りました。するとそこには
SPさんが撮影した魔方陣を描いた女の子が立っていました。ここに来てようやく私は、
自分が『教会の外壁』ではなく『魔方陣』に磔にされている事に気付きました。
「これできっと大丈夫…。 成仏できるよ……」
魔方陣の女の子はそう言って、隣にいたもう1人の女の子に話しかけました。隣にいた
女の子はぼろぼろの和服姿で、私と同じように身体が透けていました―――――
ここまで。隠すつもりはないけど女の子の正体は次回w
***
「こんばんは、わ、私、白坂小梅……」
魔方陣の女の子は自己紹介をしました。小梅さんですか。桃華お嬢様が桃で、彼女は
梅なのですね。私は梅の花も好きですよ。
「見えてると思うけど…、この子も『こうめ』って名前…。話を聞いたらずっと昔に
病気で死んだ地縛霊だって……」
幽霊の女の子はぺこりと私に頭を下げました。魔方陣に磔にされた私を見て、彼女は
申し訳なさそうな顔をしています。小梅さんはとても嬉しそうですが……
「あのね…、天使さんに、お願いがあるの……」
小梅さんは少しもじもじしながら、私に遠慮がちにお願いしました。私に出来る事なら
構いませんが、まずはここから解放してくださらないでしょうか?
「だ、だめ…!そんなことしたら天使さん逃げちゃう…」
小梅さんは私の願いを聞き入れてくれませんでした。逃げると言われましても、今の
私にはどこにも行く場所が無いのですが……
「で、でも天使さん…、想像してたのと違う…… 見た目は天使っぽいけど、雰囲気は
幽霊みたい…。死んですぐの魂の鮮度がいいやつ……」
小梅さんは首を傾げました。魂に鮮度があったとは知りませんでした。幽霊が見える
どころか会話も出来るようですし、どうやら彼女はかなり特殊な体質を持った女の子の
ようです。神をも恐れぬ振る舞いは、まるで悪魔憑きのような……
『誤解をされているようですので申しますが、私は天使ではありませんよ。つい先ほど
近くの病院で息を引き取り、ここに吸い寄せられたのです。自己紹介が遅れましたが、
クラリスと申します』
失礼な体勢かと思いましたが、ひとまず自身の素性を明らかにしなくてはいけません。
天使と勘違いされたままでは小梅さんのご期待に添えられるかわかりませんから。
「て、天使じゃ…、ないの……?」
『はい。生前はシスターをしておりました』
小梅さんは落胆したような顔をして、そのまま頭を項垂れてしまいました。隣にいた
こうめさんが彼女を慰めています。優しい幽霊さんなのですね。
「で、でもクラリスさん…、天使捕獲用の魔方陣にひっかかった…… このまま魔方陣に
はりつけておけば、天使になるかもしれない……」
『小梅さん。ひとつ教えてさしあげましょう』
私はにこやかに優しく、そしてほんの少しの『怒り』をこめて諭しました。
『この国には『仏の顔も三度まで』という言葉があります。神も仏も天使も、いつでも
笑顔ではありません。仮に私が天使だとしても、怒る時は怒りますよ』
「ひっ……」
私はもう少し怒りをこめました。神よ、どうか私の未熟さをお許し下さい。
『私をここから解放して下さい。これで『二度目』ですよ』
「す、すぐにおろします……」
小梅さんは慌てて、魔方陣の一部を濡れタオルで拭いて消しました。次第に身体の
自由が戻って来ます。霊体でも身動きが取れなくなる事があるのですね。
『さて、これからどうしましょうか……』
魔方陣から解放されて地面に降り立った私は、ふと目の前にいたこうめさんと目が
合いました。こうめさんは何度も私に頭を下げて謝ります。私は手を伸ばして彼女の
頭を撫でようとしましたが、残念ながら触る事が出来ませんでした。
「と、とりあえず…、つかまえておく……」
『あら?』
後ろから何かに引っ張られるような感覚がしたと思ったら、小梅さんが私の服のすそを
つまんでいました。幽霊同士は触れ合う事が出来ないのに、彼女は私に触れるようです。
この世もあの世もまだまだ私のわからない事ばかりですね。
『ふふ、つかまってしまいましたね♪』
「あ……」
私は小梅さんの頭を優しく撫でました。本当に彼女は不思議な方ですね。小梅さんは
はじめは少し震えていましたが、やがてぎこちなく笑いました。
「それで小梅さん、私は何をすればよいのでしょうか?」
私は小梅さんとこうめさんを見ました。今の私に何が出来るのかはわかりませんが、
迷える小さな子羊さんの為に出来る限りの事はさせてもらいましょう―――――
白坂小梅(13)
http://i.imgur.com/dpdlK6x.jpg
ちょっと短いけどここまで。
蘭子ちゃん登場させようかな?
黒い大天使「ところでタイトルに釣られて来たのだが、私の出番はないのかな?」
白い書記官「大丈夫だ、無い」
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