上条「学園都市の平穏は」御坂「わたしたちが」白井「守りますの!」 (34)



白井黒子が風紀委員じゃない世界線。
正義感の強い三人が結束して事件に立ち向かう誰得ss
時系列とかおかしいかも



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上条「あー…」


燦々と照りつける夏の日差しに、上条当麻は弱りきった声を上げた。彼の額を大粒の汗が伝う。

七月頭の本日、学園都市は真夏の熱気に覆われていた。汗でピッタリとおでこに張り付いた前髪がなんとも間抜けである。

上条は半袖のカッターシャツでおもむろに汗を拭い、地面に置いていたカバンを持ち直した。

彼がこの炎天下の下目指しているのは、とあるファミリーレストラン。二人の後輩少女といつも利用するお店だ。

今日は前回解決した銀行強盗事件の打ち上げ、という名目で集まることになっている。

もっとも、そんな建前などなくてもいつも三人集まっているのだが…。

ファミレスまで後三分ほどの地点に辿り着いたところで、胸ポケットに仕舞ってあった携帯が聞き慣れた通知音を奏でた。

歩みを止めることなく二、三操作すると、御坂美琴からメールが届いていた。



from:御坂美琴
to:上条当麻
sub:何やってんのよ

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待ち合わせ10分過ぎるてる
んだけど、アンタ一体どこ
で何やってるわけ?

こちとら30分も前からずっ
と待ってるんだっつーの!

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大したことのない内容に、思わず笑みが溢れる。


上条「上条さんも全力で急いでおりまーす」


伝わるはずもないが、上条はとりあえず呟いて答えた。あと三分もしないうちにたどり着くのだ、返信する必要もないだろう。

上条は携帯を胸ポケットにしまうと、歩幅を広げて目的地を目指した。






御坂「無視かっ!あのバカ!」


携帯を離そうとしない美琴に視線をよこしながら、白井黒子はそっと溜息を付いた。

彼女の敬愛する御坂美琴は、上条当麻が絡むといつもこの調子だ。夢中になりすぎるというか、周りが見えなくなるというか…。

現に、携帯に向けて怒鳴りつける美琴に店内の注目が集中していた。無論美琴は気づきもしない。


白井「そんなすぐに返信が来るはずないですわ…お姉さまったら」


白井の声にハッとした美琴は、ようやく自分の世界から帰還した。周りの注目に苦笑で答え、カエルを模した携帯を閉じる。

仕舞えばいいのに、美琴は両手で携帯を大事そうに握っていた。もう慣れっこなので、白井は苦笑だけで済ませる。

最初こそ上条に食ってかかっていた白井だったが、今では美琴が彼を想う気持ちが何となく理解できるようになっていた。確かに、あの少年には他人を寄せ付ける魅力がある。

揺るがない正義感、底なしの優しさ、距離を感じさせない気さくさ…。

(ハッ!いけませんの!わたくしまであの殿方を~~ッ!!)


白井は自らの思考を否定するように首を振る。上条当麻のことは嫌いではなかったが、白井にも最低限の意地やプライドがある。

さんざん嫌ったような素振りを見せつづけてきた彼に対して、今更素直になるのは少し難しかった。


御坂「またなんかトラブルに巻き込まれてたりして…」


まさか、といいかけた白井だったが、確かに考慮すべき可能性には違いなかった。

こういう点で、あの少年は他人とは違う。少しばかり待ち合わせに遅れた人間を、普通こんなふうに心配したりはしない。

しかし不幸の化身たる彼は、一日に一回はトラブルに巻き込まれているといっていい。

(なんだかわたくしまで心配になってきましたの…)

が、上条はそんな素振りを全く見せず、普通にやって来た。


上条「悪い悪い。ちょっとHRが長引いちまってさ」


言いながら、上条は二人の少女の向かい側の席につく。傍から見れば少し妙な光景だろうか、と白井は考える。

学園都市中の誰もが知る名門中学のお嬢様二人を相手に、普通に同席する男子高校生がそこにいた。

鞄からタオルを取り出し汗を拭う上条に美琴が、

御坂「今日、アンタのおごりだから」

上条「は?」

汗を拭いていた上条の手がピタリと止まる。何を言っているのかわからない、上条はそんな表情を浮かべていた。

御坂「遅刻したんだから当たり前でしょーが!」

上条「ふざけんなッ!こちとらお前らお嬢様と違って貧乏人なんだよ!無能力者(レベル0)舐めんなッ!」

白井「そこ、威張るところですの…?」

御坂「そんなの関係ないわ!つーか、だいたい私はアンタが無能力者ってコト自体が気に入らないんだから!」



確かに、と白井は思う。美琴のセリフには、「私より強いクセに」が含まれているのだから当然だ。

美琴は学園都市に七人しかいない超能力者で、その実力は手ぶらで軍隊と渡り合えるほどのもの。

そんな彼女に無傷で勝ってしまう男が無能力者だというのは大分説得に欠ける。美琴のプライドはそれが許せないのだろう。

白井は白井で、チートじみた能力を持つ上条をこの街が不当に扱っているようで気に入らなかった。


上条「それは学園都市に文句を言ってください」

御坂「とーにーかーく!今日はアンタのおごり、これ絶対だから」

上条「し、白井さん…?」


上条のすがるような視線に、白井は意地の悪そうな笑みを浮かべる。彼女の答えは既に決まっていた。


白井「ごちそうさまですの♪」


直後、不幸だ―ーーーという断末魔の叫びが店中に鳴り響いた。これもまた、いつも通りの彼らの日常だ。

投下終了ですの。地の文は原作意識しまくりですの。




上条「で、本当にやりますか…?」


随分財布の軽くなった上条当麻は、今にも消え入りそうな声で呟いた。場所は変わって、第七学区のとある河川敷。

陽の堕ちた河川敷は薄暗く、橋の上の街灯に照らされている状態だ。約一〇メール離れた位置にいる美琴の影が、上条の足元にまで届いていた。


御坂「当たり前でしょ!二五戦中〇勝二五敗〇引き分け…こっちはプライドがズタボロなんだから!」


ビシッと上条を指さし、美琴が高らかに吠える。セリフの割には嬉しそうな声色だ。プライド云々のことも本当なのであろうが、きっと美琴は上条と戦うことが楽しいのだろう。

白井は少し離れた位置で二人の様子を眺めながら、ふとそんなことを思った。

(わたくしではお姉さまの相手は務まりませんから…)

両者の間に一触即発の空気が流れる。どちらかが少しでも動けば、その瞬間に戦いは始まるのだろう。

通常なら、能力者同士の抗争は止めなければならない。特に正義感の強い白井だけでなく、美琴や上条も同じ考えだろう。

だが、この二人だけは別だった。それは、美琴の力加減が上手いことよりも上条の能力によるところの方が大きい。

危険過ぎる第三位の能力も、上条が触れた途端に無効化されるのだから当然だ。周りへの被害は最小限に抑えられる。


というより…、

(欲求不満のお姉様の漏電のほうがよっぽど危険ですのッッ!!)

そういうわけで、二五回に渡る能力者の喧嘩はこっそりこの河川敷で行われてきた。


考え事をしていた白井の視界が、一瞬パッと光り輝いた。真っ白になった視界が晴れるまで、五秒ほどの時間がかかる。

この様子だと、先に動いたのは美琴の方らしい。もっとも、接近戦しか手札のない上条が先手を打つには、互いの距離は離れすぎているのだが。

五秒ほど経ち、ようやく回復した白井の両目が捉えたのは、至近距離で放たれた電撃の槍を上条が打ち消した場面だった。

花火のように煌めいた紫電が、飛び散るように消え失せた。美琴が悔しそうに歯噛みするのが見える。

電撃の規模から見て、今の一撃は五億ボルトを優に超えていた。真っ当な人間が浴びていれば、今頃真っ黒状態で感電死しているだろう。

改めて白井はこの戦闘のレベルを思い知らされる。


当然上条当麻は無事だった。むしろ、次の一撃を予期したかのように横に大きく跳んでいる。

直後、直前まで上条が立っていた場所に電撃の槍が叩き込まれた。ズビジビリジリィィという轟音の後、地面に大きな傷をつけた稲妻が行き場を求めて辺りに散らばる。

上条は無傷だ。美琴は、『全く予備動作を見せていなかったのに』。

同じような場面を何度も目にしてきたが、未だに有り得ないと白井は思う。あれではまるで予知能力だ。

能力者にとって、上条の右手は相当厄介な代物だが、本当の脅威はあの予知だ。

(前兆の感知…。わたくしの空間移動もあれで防がれましたの)

確実に当たると思っていたのか、美琴も苦しそうな顔を見せた。


上条「ったく!相変わらず遠慮ってものを知りませんねぇ!」

御坂「うっさいわね!今日という今日は絶ッッ対負けないんだからっ!」


言い終わると同時に、美琴の周囲に黒い竜巻が発生する。とんでもない速度で成長するそれは、三秒も経った後には約六メートルもの高さにまでなっていた。

黒い粒子の正体は、砂鉄。美琴は磁場を操り、河川敷の砂の中からありったけの砂鉄を集めていた。

規模はさすが超能力者といったところ。学園都市中の電撃使いが結束したところで、ここまでの規模には達し得ないだろう。



上条「なんだ…それ…っ」


渦を巻いていた砂鉄は、まるで磁石に引き寄せられるかのように美琴の右手に集まり始めた。

あれだけの量の砂鉄が、一振りの棒きれのようなサイズにまで凝縮される。目を凝らせば、形をなした後も黒い粒子が動いているのがわかる。

美琴の頬に笑みが、上条の顔に恐怖が現れる。


御坂「磁場を操って作った砂鉄の剣、ってとこかしら」

御坂「砂鉄がチェーンソーみたく振動してるから―――


まるでその威力を誇示するかのように、どこからか舞い降りてきた木の葉が砂鉄の剣に触れ、直後両断された。

上条の体温が一瞬で氷点下にまで下がった。


御坂「触れるとちょっと血が出たりするかもねッッ!」


大地を大きく踏み込んだ美琴が、跳ねるように上条に飛びかかる。対する上条は恐怖に出足が遅れ、いよいよ剣先が彼の頬をかすめた。

(アレ…ちょっとまずいですの…)

危機感を感じたのは、どうも白井と上条だけらしい。当の美琴は勝利への執念で剣を振り回し続ける。

交わすのに必死だった上条は、不意をつくように地面の砂利を蹴りあげた。一瞬反応が遅れるも、美琴は額から飛ばした電撃ですべての砂利を弾き飛ばす。

が、舞い上がった砂埃までは防げなかった。『うっ』と苦しそうに呻いた美琴が左手で両目を抑える。

仮にも女の子に向かってする攻撃とは思えないが、相手が美琴ならば仕方ないだろう。

しかし、白井の好感度は上条に一、美琴に九九と偏っている。当然こんな攻撃が許されるはずもなく―――…、

白井「…」

上条「ひー、危なかった。俺の勝ちだなビリビ―――ッ!?」

涙目の美琴に右手で触れ、勝利の余韻に浸っていた上条は、何故か金属矢で地面に縫い付けられた。


その日、少年は野宿を余儀なくされたという。


評判悪いですがもう少し頑張ってみますの

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