鋼鉄のサバイバー(19)
十年前、この世界では大きな戦争が勃発した。
西のジェスタ王国、東のトールード連邦。
二大国家がお互いの土地や資源を奪う為に正面衝突したのだ。
ディフォルアームズという20m大の操縦ロボットを用いた戦いは、
否でも応でも周囲の国を巻き込み、戦乱は世界中にまで広がった。
これが後に、機甲大戦と呼ばれる戦争だ。
戦争が残した傷痕は、十年が経過しても消えること無く――。
戦後は数多くの国で物資が不足。国民は住居・家族を失い、細々と生活していた
軍の作った塹壕を利用し生活する者、泥棒で生計を立てる者、暴力団などに所属し金品を強奪する者なども登場した
ヤクザ、半グレなどの集団は破棄された操縦ロボットのパーツを用い、新たな兵器を作り始めた
なんと、そこに目をつけた企業が存在した!
ジョン・ルーミック率いるサイバス工業という企業である
サイバス工業はディフォルアームズの残骸を使いサイボーグ技術を発展させた
電気信号を感知し動く義手・義足。聴力を補佐するイヤポッド。その他数々の製品を生み出した
身体障害者などには大好評であり、サイバス工業は国民から信頼を受け、世界有数の企業となった
また、サイバス工業の機械にはネットワーク通信機能が備わっていた。パソコンや携帯を使わずともインターネットから楽に情報を引き出せる、夢のような機械であった
が
ジョン・ルーミックには野望があった
大統領「・・・卑劣なる神々のくびきから人類を解放する?」
ルーミック「ええ」ズズ…
大統領「・・・具体的には?」
ルーミック「例えば・・・です。中国雑技団・・・ご存じですよね?」
大統領「ああ。それが何か?」
ルーミック「彼らは非常に柔軟な体をしている。しかし、人間に不可能な向きに関節を曲げることはできない」
ルーミック「これが、神々のくびきです」
大統領「つまり貴方は・・・」
大統領「人間の肉体を進化させたい、と?」
ルーミック「んー・・・近いですね」
大統領「近い?」
ルーミック「神々のくびき・・・先程の例のようなちっぽけな話だけではありませんよ」
ルーミック「『死』。『物理法則』。『空間』。『時間』。『宇宙』。『世界』。『次元』。『全』・・・」
ルーミック「これらは全て神々のくびきです」
大統領「・・・」
ルーミック「ま、この中で一番突破が簡単なのは『死』でしょうね。金属のボディに脳を埋め込めば済む話です」
ルーミック「ああ。あとは『種』というくびきもありますが・・・これは生物が自力で突破したくびきでしょうね」
ルーミック「生命が誕生してからの数十億年と言う膨大な時間。生物は進化してきたわけですから・・・」
ルーミック「中には『死』を突破した生物もいます。ベニクラゲという生物は、年をとるとポリプ・・・赤ちゃんに戻ってしまうそうです」
ルーミック「面白いですね」
大統領「では・・・貴方の狙うくびきは、一体何なんですか?」
ルーミック「・・・全部です」
ルーミック「全てのくびきを突破します」ニヤ
大統領「それはそれは・・・」ハハハ
大統領「で、どうすのですか?どうやってくびきを突破するのです?」
ルーミック「宇宙の中の存在が宇宙を突破する・・・これは漫画の中の登場人物が作者を殺そうとするのと同じです。作者が同レベルまで降りてくれなければ意味がない」
ルーミック「つまり、到底不可能」
ルーミック「しかし、この世界にはまるで異世界から伝来したかのような科学があるのです」
大統領「科学?」
ルーミック「ええ。まさか、魔術でくびきを突破するわけにはいきませんよ」
ルーミック「おっと・・・すみません、砂糖のおかわりを」
ルーミック「いいですか?この国はかつてはドイツと呼ばれていました」
大統領「・・・そのくらい、小学生で学習すると思いますが」
ルーミック「ハハハ。そして、隣国のジェスタ王国。これはフランスと呼ばれていました」
大統領「ええ」
ルーミック「まあこれはどうでもいいです。重要なのはドイツ・・・昔の我が国の方です」
大統領「・・・」
大統領「ナチス・ドイツのことか?」
ルーミック「ええ」ニコリ
ア,サトウアリガトウ
ルーミック「偉大なる総統閣下・・・と呼ばれていたアドルフ・ヒトラー。彼はいろいろな研究をしていますよ」
ルーミック「魔術。占星術。錬金術。超能力・・・錬金術は『物理法則』『宇宙』などを突破するものですし、他も様々なくびきから解放されています」
大統領「しかし、不可能でしょう。そのようなことは」
ルーミック「・・・可能にする科学が存在するのですよ」
大統領「・・・何だと?」
ルーミック「言いましたよね?まるで異世界から伝来したような科学!それがあると・・・」
ルーミック「ま!異世界や異次元レベルでは突破できないくびきもあるのですが・・・」ズズズズズ…
ルーミック「」コトリ
ルーミック「さて、その科学というのは・・・何でしょうかね?」
大統領「・・・」
ルーミック「ナチス・ドイツの話と大いに関係がありますよ」
大統領「・・・知りませんね」
ルーミック「・・・そうですか」
ルーミック「・・・」
ルーミック「・・・石仮面」ボソリ
大統領「」ピクッ
ルーミック「アステカで発見された、謎の古代人の科学・・・」
ルーミック「他にも様々な道具が発見されていましたよね。毒の入った指輪・・・毒の種類は現代にはないものでした」
大統領「・・・」
ルーミック「他にも、見かけよりも内部が広い謎の建造物・・・」
大統領「・・・やめていただけませんか、そんな絵に描いた餅のような・・・」
ルーミック「地球には存在しない・・・いえ、物理学で考えると宇宙にも存在しないような物質もありました」
大統領「・・・やめないか」
ルーミック「当時のドイツ軍と、アメリカに存在していた財団はこれを全力で隠蔽していたようでしたが・・・」
大統領「やめろと言っている!!!」ガタッ
ガシャァアアーーーン
ルーミック「おやおや、せっかくのティーカップが」
大統領「・・・!!!」プルプル
ルーミック「・・・何ですか?その緊張した構えは?」ズズッ
ルーミック「第二次世界大戦前に出現した究極生命体は、エイジャの赤石という石を石仮面に使い進化しました」
ルーミック「また、21世紀初め頃、イタリアのギャング組織での権力争い・・・そこでは石の矢を使いレクイエムという能力を持った少年が出現」
ルーミック「神々のくびきから脱出している」ニィ
大統領「貴様・・・!いつの間に我が国のトップシークレットを・・・」
ルーミック「また、ヒトラーもエイジャの赤石と石仮面で永遠の命を手に入れようとしていた」
ルーミック「・・・しかし、それは無理な話です。神々のくびきから脱出するには、他の存在とはワンランク違う存在になっていなくてはならない」
ルーミック「ここからが本題です」
ルーミック「私の目的は!卑劣なる神々のくびきから人類を解放することッ!」ガタッ
ルーミック「人類全員を・・・私を含め。くびきを突破できる素質を持つ存在・・・アステカやエジプトに伝わる石仮面や矢!のような未知の科学に耐えられる存在にする」
ルーミック「そうしなければ私の夢は達成できない」
大統領「人類全員を?ハハッ・・・不可能だ!血迷ったかァッ!!気でも違ったかァアッ」
ルーミック「いいや。至って冷静だよ・・・人類全員を次なるグレードへ導く!」
大統領「人類全員?導く?君は!」バッ
大統領「この惑星の最高責任者にでもなったつもりか!?神にでもなったつもりか!?いいや!貴様は神ではない!そして、1つの企業のリーダーに過ぎない!!!」
ルーミック「神?神?」
ルーミック「神は私が!私たち人類が突破すべき存在!倒すべき存在!!・・・ですが」
ルーミック「全人類があらゆるくびきから解放された時、私は教祖。皆は神と呼ぶだろう!!!」クワッ!!
大統領「――ッ!!」ギリギリギリ
大統領「貴様はトップシークレットに足を踏み入れすぎたな・・・!!」ジャキッ
ルーミック「おッと・・・拳銃ですか」
ルーミック「銃を下ろしてください」
ルーミック「・・・・・・そうですね・・・撃ちたいのであれば、私の演説を聞いてから撃てばいいです」
大統領「」チャ…
ルーミック「・・・」
ルーミック「」ハァ…
スゥッ
ルーミック「バカ者がァッ!!くびきを克服したいと思わないのかッ!神をも支配したいと思わないのかッ!」
大統領「」ビクッ
ルーミック「あらゆる恐怖をなくしたいと思わないのかァーーーーーーーーーーーッ!!」
大統領「・・・」
大統領「」ハッ
大統領「遺言はそれだけか!!!」ジャキッ
ルーミック「・・・」
ルーミック「では」
ルーミック「滅びよ」
ジャッ!!!
ポチッ
バチバチバチッ
大統領「!?」バチバチバチ
大統領「ぐ・・・ッ」バヂバヂバヂバヂ
大統領「ぁ・・・」バヂバヂバヂバヂバヂ
ルーミック「大統領!サイバス工業の製品を毎度お使いいただき、ありがとうございます」
ルーミック「大統領含め、VIP用の製品は特注ですからねェ・・・こんな仕掛もあるんですよ」
大統領「」バヂバヂバヂバヂ
ルーミック「・・・死にましたか」
ルーミック「お邪魔しました、大統領」ザッ
ルーミック「」ザッ ザッ
ルーミック(大統領、私が目指すのは鋼鉄の時代です)
ルーミック(金属のボディに脳だけをはめ込み、永遠の時を生きる)
ルーミック(これでもう『死』のくびきからは解放されます・・・)
ルーミック「ククク・・・」
この続きはドクター・フーで見よう!!閲覧ありがとうございました!!
(なんでジョジョ要素が入ったのか自分でも分からん・・・)
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