響「春香がヤバい?」 (44)
【ある日の夜、響宅】
響「ただいまー」
いぬ美「ばうっ!」
響「おー、いい子にしてたかー?待っててね、すぐご飯の用意するから」
響「さてと……いぬ美達のご飯は――」
――――――――――――――――――――――――――――――
響「ふぅ……自分のご飯も作らなくちゃ」
響「よし、こんな感じかな?」
響「頂きます!」
――――――――――――――――――――――――――――――
響「ごちそうさま。そろそろお風呂に入らないと……」
響「はぁ……もうくたくただぞ……」
――――――――――――――――――――――――――――――
響「あー、髪の毛って梳かすのめんどくさい……でも手入れしないと駄目だし……」
響「もうこんな時間か……早く寝よ。ふぁあ……」
響「おやすみなさい……」
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【翌日、事務所】
千早「うーん……」
ガチャッ
響「はいさーい!」
千早「あら、我那覇さん。おはよう」
響「おはよ。千早っていつもこんな時間から居るのか?」
千早「いえ、今度の仕事は遠出する必要があるから」
響「そうなの?」
千早「ええ。最悪、どこかに泊まるかもしれないわ」
響「ホントに?じゃあ、体調には気をつけてね」
千早「ふふ、ありがとう」
響「そういえば」
千早「何?」
響「さっき、何か悩んでなかった?」
千早「え?ええ、まあ……」
響「自分でよければ話くらいは聞くぞ?」
千早「そうね……じゃあ、少しだけ」
響「うん」
千早「実は、その……」
響「うんうん」
千早「……春香がヤバいのよ」
響「うんうん――うん?」
千早「だから、春香がヤバいのよ」
響「……ごめん、ちょっと意味が分からないぞ」
千早「と言われても、説明すると長くなってしまうし――あら?」
響「どうしたの?」
千早「そろそろ時間みたい。話を聞いてくれてありがとう」
響「どういたしまして。それじゃ、行ってらっしゃい!」
千早「ええ、行ってきます」
【夜、事務所】
響「ただいまー」
小鳥「あら、響ちゃん。おかえりなさい」
響「みんなは……流石に帰ってるよね」
小鳥「いえ、春香ちゃんがまだ……」
響「え?もう終電なくなっちゃうぞ?」
小鳥「ええ……どうしようかしら」
響「プロデューサーは?」
小鳥「今日は千早ちゃんに付いてるのよ。ほら、かなり遠出してるから」
響「あー……確かにそんな事を言ってたような……」
ガチャッ
春香「た、ただいま戻りました!」
響「おお、春香!おかえり!」
小鳥「おかえりなさい、春香ちゃん。終電は大丈夫?」
春香「えっと……あー、無理ですね……」
小鳥「どうする?春香ちゃんさえよければ泊めましょうか?」
小鳥「あ、でも残業で遅くなっちゃうか……うーん……」
響「そんなに遅くなるの?」
小鳥「ええ。プロデューサーさんの分もあるから、早く帰るのは難しいわね」
春香「あの、私は気にしませんよ?むしろ、泊めて貰えるだけでもありがたいと言いますか……」
響「なあ、それって自分の家じゃ駄目か?」
春香・小鳥「え?」
響「もちろん、春香がよければだけど……」
春香「……いいの?」
響「いいよ。自分、今から帰るところだし」
響「春香も疲れてるでしょ?早く休まないと明日が辛いぞ」
小鳥「そうね……響ちゃん、お願いしてもいいかしら?」
響「任せて!春香もいい?」
春香「うん。ありがとね、響ちゃん」
響「どういたしまして!」
春香「それじゃ、お先に失礼しますね」
小鳥「ええ。お疲れ様」
響「ぴよ子も頑張ってね!」
小鳥「ありがとう、響ちゃん。二人とも気をつけて帰るのよ」
響「大丈夫だって!じゃあ、また明日!」
春香「お疲れ様でした」
バタン
小鳥「さて……ぱぱっと片付けちゃいますか!」
【その後、響宅】
響「ただいま。それといらっしゃい、春香」
春香「お邪魔します。ごめんね、急に」
響「別に気にしなくていいぞ。仕事が長引いたんだから仕方ないって」
春香「うぅ……そう言って貰えると助かるよ……」
響「ちょっと待ってて。先にみんなのご飯を――」
春香「あ、響ちゃん」
響「ん?」
春香「それ、よかったら私にやらせてくれない?」
響「どうして?」
春香「実は前から気になってたんだよね、ペット――じゃなくて、響ちゃんの家族のお世話って」
響「あー、確かにワニとか珍しいもんな。いいよ、ご飯はこっちね」
春香「やったぁ!ありがと響ちゃん!」
響「はい。これがワニ子のご飯」
春香「鶏肉なんだ」
響「うん。他には魚とかかな」
響「そうそう。気をつけて欲しいんだけど、口の中に手は入れないでね。噛まれるから」
春香「噛まれるの!?」
響「正確に言うと、口の中に触れたりしたら駄目かな。反射みたいなものだから」
響「まあ、上からゆっくり食べさせる分には安全だぞ」
春香「そうなんだ……それじゃ、そーっと――」
ワニ子「パクッ」
春香「あ、食べた!食べたよ響ちゃん!」
響「あはは、見れば分かるって。春香は大袈裟だなー」
春香「むぅ、響ちゃんの意地悪……でも、これって何だか楽しいね」
響「自分も世話してる時が一番楽しいぞ。さ、他の子にもあげちゃって」
春香「うんっ。よーし、頑張っちゃいますよー!」
春香「できたよー!」
響「もうできたの?」
春香「まだ簡単なものしか作れないから……それとごめんね。冷蔵庫の中身、勝手に使っちゃって」
春香「本当はどこかで買い物できればよかったんだけど……」
響「いいって。それより早く食べようよ。自分、もうお腹ペコペコだぞ」
春香「わわ、そうだった!」
響「それじゃ、頂きます!」
春香「はい、召し上がれ♪」
響「――ごちそうさま!美味しかったぞ!」
春香「よかった。じゃあ、私は片付けを――」
響「ちょっと待った!それぐらい自分がやるぞ!」
春香「いいよ。これも含めて料理だし」
春香「洗い物はやっておくから、響ちゃんはお風呂入ってきなよ。疲れてるでしょ?」
響「まあ、そうだけど……でも……」
春香「いいからいいから」
響「そ、そうか……?じゃあ、お言葉に甘えて――」
チャプン……
響「はぁ~、生き返る……」
響「今日も疲れたな……あ、肩凝ってる……」
春香『響ちゃん、ちょっといい?』
響「なに~?」
春香『さっき、着替え持っていかなかったよね?そこにあるの?』
響「いや、無いけど……」
春香『よかったら私が持ってこようか?』
響「んー……そうだな。お願い」
春香『どこにあるの?』
響「自分の部屋のたんすだぞ」
春香『分かった。すぐ持ってくるからね』
響「ありがと~……」
響「上がったぞー。着替え持ってきてくれてありがとね」
春香「どういたしまして」
響「春香も入ってきなよ。自分の後で悪いけど……」
春香「そんな、私は気にしないよ――あ、そうだ」
響「どうしたの?」
春香「ねぇ、響ちゃん。髪の毛、梳かしていい?」
響「へ?」
春香「そんなに長いと手入れも大変でしょ?」
響「まあ、そうだけど……」
春香「それに、響ちゃんの髪って一度触ってみたかったんだ。駄目?」
響「う……いや、駄目じゃない……」
春香「よかった。ブラシは?」
響「そこの鏡台にあるの使って」
春香「えっと……あった、これだね。では――」
春香「……響ちゃんの髪ってさ」
響「ん~?」
春香「サラサラだよね」
響「そう?別に普通じゃないか?」
春香「いやいや、そんな事ないよ。羨ましいな~」
響「春香だってサラサラだと思うけど」
春香「私は……まあ、髪自体はそうかもしれないけど……」
響「けど?」
春香「これ、伸ばすと外側にはねるんだよね。だから、綺麗なストレートヘアには結構憧れてたりして……えへへ」
響「あー、そういう事か」
春香「そういう事です……はい、終わったよ」
響「ありがと。ねぇ春香、そろそろお風呂に……」
春香「そうだね。それじゃ、頂きます」
響「うん。ゆっくりしてくるといいさー」
春香「――上がったよ~。いやー、気持ちよかった」
響「パジャマのサイズは大丈夫だった?」
春香「うん。でもまあ……ちょっと小さいかも?」
響「それは言わないで……」
春香「ご、ごめんね?そんなつもりは――」
響「あははっ、冗談だぞ。ところで春香」
春香「ん?」
響「今度は自分が梳こうか?さっきのお礼って事で」
春香「あ、もうやっちゃった」
響「えー、何でさ」
春香「ショートだからねー。あんまり手入れに時間は掛からないし」
響「む……じゃあ仕方ないな」
春香「気持ちだけ受け取っておくよ。ありがと」
響「えっと、どういたしまして……?」
響「もう寝る?」
春香「そうだね。明日も早いし」
響「それじゃ、春香はベッドを使って。布団は代えてあるから安心していいぞ」
春香「響ちゃんはどこで寝るの?」
響「自分?自分は普通にソファで――」
春香「えぇっ!?そんなの駄目だよ!大体、ここは響ちゃんの家なのに……」
響「でも、布団を敷くスペースないし……まあ、自分は完璧だから大丈夫だぞ!」
春香「それなら私がソファで寝るよ!」
響「いやいやいや!お客さんにそんな事させられる訳ないでしょ!?」
春香「響ちゃんにだってさせられないよ!」
響「とはいえ、他に方法は――」
春香「……一緒に寝るとかは?」
響「はい?」
春香「こうなったら、もう一緒に寝ちゃえばいいんじゃないかな。どう?」
響「どうって……」
春香「もちろん、響ちゃんが嫌じゃなければだけど……」
響「うーん……」
春香「……駄目?」
響「分かった……じゃあ、その……そういう事で」
春香「うん。よろしくお願いします」
響「……それおかしくないか?」
春香「そう?」
響「まあいっか。早く寝ちゃおう」
春香「じゃ、お邪魔しまーす……」
響「ん……」
響(春香と一緒か……)
響(温かいな……人の体温って、こんなに気持ちいいんだ……)
響(何だか……安心、して……)
春香「……響ちゃん、起きてる?」
響「すぅ……ん……」
春香「寝ちゃった、か……」
春香「……今日はありがとね、響ちゃん」
響「んみゅ……どういたしまして……」
春香「ふふ、寝言だ……」
春香「……私も寝よう」
春香「おやすみなさい……」
【翌朝、響宅】
響「ん……ふぁ……」
響「朝か……なんかよく眠れた気がするな……」
響「何でだっけ……?昨日は確か――」
――――――――――――――――――――――――――――――
春香「響ちゃん、ご飯だよ」
春香「私が後片付けしておくね」
春香「あ、先にお風呂入ってきたら?」
春香「そうだ、私が髪の手入れしてあげる」
春香「響ちゃん、おやすみなさい……」
――――――――――――――――――――――――――――――
響「ちょっと待って?もしかして自分……何もしてない……!?」
響「だからこんなに疲れが取れて……そうだ!」
響「せめて、今日の朝ご飯ぐらいは自分が――あれ?」
響「朝ご飯、できてる……」
響「あ、手紙……えっと、なになに……」
――――――――――――――――――――――――――――――
響ちゃんへ
私は早くに仕事があるので先に出ます。
朝ご飯を用意しておいたので、よかったら食べてください。
玄関のカギはポストに入れておきます。
泊めてくれてありがとう。助かりました。
春香より
――――――――――――――――――――――――――――――
響「は――」
響「春香がヤバい……」
【翌日の昼、事務所】
ガチャッ
響「ただい――おわっ!?」
美希「ひゃっ!?」
響「ごめん、大丈夫?」
美希「うん、大丈夫。ミキこそ飛び出してごめんね」
響「それはいいけど……急いでるのか?」
美希「あ、そうだったの!もうミキは行くから――っと、響!」
響「何?」
美希「気をつけてね!それじゃ!」
たたっ!
響(気をつけろ……?何にだろ……?)
響(……まあいいか。早く事務所に入ろっと)
響「ただいまー!」
やよい「あ、響さん!おかえりなさい!」
響「あれ?やよいだけ?」
やよい「はい。皆さん忙しいみたいで……」
響「確かに美希も忙しそうだったな……やよいは大丈夫なのか?」
やよい「私、今日はオフなんですよ」
響「なら、どうして事務所に……?」
やよい「何か手伝える事があるかなーって。ご迷惑でしたか……?」
響「いやいや、そんな事ないぞ!やよいはいい子だな!」
やよい「そ、そうですか?えへへ、ありがとうございますっ!」
響「にしても、喉渇いちゃったな。何か飲み物でも――」
やよい「あ、それなら私が用意します。響さんは休んでてください」
響「え?でも、やよいに悪いんじゃ……」
やよい「いいんです。今日は皆さんのお手伝いに来てるんですから!」
響「そっか……ありがとね、やよい」
やよい「いえいえ!それじゃ、ソファで待っててください。すぐ持っていきますね」
響「分かったぞ」
やよい「それと、確かこの辺に――あった。はい、響さん」
響「これは?」
やよい「今月号のファッション誌です。待ってる間の暇潰しにと思って」
響「おお、ありがと!これ、まだ読んでなかったんだよね」
やよい「よかった。私は向こうに居ますから、何かあったら呼んでくださいね?」
響「はーい」
ペラ……
響(やよいはいい子だなぁ……自分、こんなにだらけてていいのかな……?)
ペラ……
響(まあ、たまにはいっか……うん、今日ぐらいは――お)
響「ふむふむ……こんな着こなしもあるんだな……」
響「こっちはちょっと露出多めなんだ……美希なら似合うかな?」
やよい「響さん、お茶です」
コトッ
響「お、ありがと」
やよい「お菓子も持ってきたので、よかったらどうぞ」
コトッ
響「わ、お菓子まで……ホントにありがとね、やよい!」
やよい「いえいえ。そうだ、響さんの予定はどうなってますか?」
響「自分?確か……あと1時間ぐらいで出ないと駄目だな」
やよい「なるほど、分かりました」
響「それがどうかしたのか?」
やよい「へ?いえ、別に大した事じゃないですよ」
響「そう?とにかく、お菓子とお茶ありがと」
やよい「えへへ、どういたしまして」
【30分後、事務所】
ペラ……パタン
響「そろそろ準備しないと……って、肩凝っちゃったな」
やよい「響さーん。そろそろ時間が――あれ?どうしました?」
響「あ、やよい。ずっと本を読んでたら、ちょっと肩が……」
やよい「はわっ!それは大変です!」
響「いや、これぐらいなら別に――」
やよい「無理しちゃ駄目ですよ。肩を揉みますから、少し座っててください」
響「いやいや、いくら何でもそこまでして貰うのは――」
やよい「え?これぐらい普通ですよ?」
響「普通……?」
やよい「はいっ!疲れた時は、誰かを頼っていいんです」
やよい「それに、こう見えて肩揉みは得意ですから!任せてくれませんか?」
響「やよいがそう言うなら……その、お願いします」
やよい「はい、任されました!」
響(そっか、これが普通なんだ……)
やよい「んしょ……んしょ……どうですか?」
響「うん、気持ちいい……」
やよい「よかった。それじゃ、もう少し強くしますね?」
響「はーい……」
響(そういえば、春香も色々してくれたっけ……)
響(こんなに楽なら……もう少しだけ甘えても――)
【数日後、事務所】
貴音「ただいま戻りました」
響「ん~?あ、貴音ぇ。お帰り~」
貴音「ええ……あの、響?」
響「なぁに……?」
貴音「いえ、いつもと様子が違うように思えたので……」
響「そぉ……?自分、至って普通だぞ~」
貴音「それならばいいのですが……」
響「あ、そうだ。貴音ぇ、何か飲み物ちょうだい」
貴音「飲み物ですか?」
響「うん。あとお菓子もよろしく~……」
貴音「え、ええ……分かりました」
貴音(言われるまま給湯室に来ましたが……やはり、響の様子がおかしいような……)
貴音(こんなに気だるげな雰囲気ではなかった筈です。そう、いつもなら――)
――――――――――――――――――――――――――――――
響「あっ!貴音おかえり!」
響「ねぇ何か飲む?喉渇いてるでしょ?」
響「そうだ、確かこの辺にお菓子が……あった!貴音も食べるよね?」
響「食べ終わったの?じゃあ、自分は洗い物してくるね!」
――――――――――――――――――――――――――――――
貴音(と、元気に接してくれるのに……これは一体……?)
響『貴音ぇ~、まだぁ~?』
貴音「あ、申し訳ありません。すぐそちらに向かいます」
響『はーい』
貴音「もしや疲れているのでしょうか……?ならば、今日ぐらいは……」
貴音「お待たせしました」
コトッ
響「ありがと。それじゃ、頂きます」
貴音「では、わたくしも一つ……はむ」
響「お、これ美味しいな」
貴音「ええ、真に」
響「はぁ、幸せ……そうそう、確かこの辺に雑誌が――あった」
響「…………」
ペラ……
貴音「…………」
響「…………」
ペラ……
貴音(会話がない……いつもの響なら、こんな事は――いえ)
貴音(先程『疲れているのかもしれない』と思ったばかりではありませんか。ここは堪えましょう)
響「――終わりっと」
バサッ
響「はぁ……」
響(あー……なんか眠くなってきたぞ……)
貴音「……あむ」
響(そういえば、貴音が居たっけ……よし)
響「貴音ぇ」
貴音「ふぁい?」
響「ちょっとごめんね――よいしょっ」
ぽすっ
貴音「あの……響?これは一体……」
響「これ?貴音の膝を借りようと思って」
貴音「えっと……」
響「んー、柔らかくて気持ちいいぞ……」
貴音「そ、そうですか?」
響「うん。ちょっと寝かせてね」
貴音「……まあ、少しなら」
響「ん、ありがと」
響「ふあぁ……」
貴音「……今日の響は」
響「ん?」
貴音「どこか変に思えます」
響「そぉ?」
貴音「はい。ここまで甘えてくるのは珍しいかと……」
響「えー、別に甘えてないって。これぐらい普通だぞ」
貴音「普通、ですか……」
響「それとも、自分がこうしちゃ……駄目?」
貴音「……仕方ありませんね。今日だけ、ですよ?」
響「ありがと……すぅ……」
貴音「寝てしまいましたか……」
貴音「…………」
貴音(思えば……これはいつもと立場が違うだけなのかもしれません)
貴音(響がおかしいのではなく、わたくしの認識がずれていただけ……)
貴音(そうだとしたら、わたくしは――)
【数日後、事務所】
P「千早、着いたぞ」
千早「やっとですね」
P「すまないな。遠出させてしまって」
千早「いえ、これも仕事ですから」
P「そう言って貰えると助かる。あ、千早は先に降りていいぞ」
千早「分かりました」
P「じゃあ、また後で」
千早「はい。お先に失礼します」
千早「さてと、事務所に入りましょうか……あら?」
響「あ、千早。帰ってきてたの?」
千早「ええ、ついさっきね」
響「そっか。仕事はどうだった――って、そんな場合じゃないぞ!」
千早「どうしたの?」
響「どうしたもこうしたも……春香がヤバいんだよー!」
千早「それなら注意したじゃない。『春香がヤバい』って」
響「そうじゃなくて――ああもう!見て貰った方が早いぞ!こっち来て!」
ぐいっ!
千早「きゃっ!?あの、我那覇さん!?」
響「いいから!」
千早「もう、一体何なのよ……」
響「……いい?入るぞ?」
千早「ええ」
響「それじゃ――」
ガチャッ
千早「これは……」
――――――――――――――――――――――――――――――
貴音『春香。はい、あーん』
春香『え?いやいや、自分で食べられますって』
貴音『遠慮しなくともいいのですよ。普通の事なのですから』
春香『そ、そうですか……?じゃあ――はむっ』
貴音『いかがですか?』
春香『美味しいです。あ、喉が渇い――』
貴音『お茶です』
コトッ
春香『わぁ、ありがとうございます!』
貴音『ふふ、どういたしまして。おや、口に汚れが……動かないでくださいね』
春香『あ、はい』
ふきふき
貴音『これでよし、と。はい、綺麗になりましたよ』
春香『えへへ……』
――――――――――――――――――――――――――――――
千早「は――」
千早「春香がヤバいわ……」
――END――
以上で完結となります。お楽しみ頂けましたら幸いです
書いてる途中で何かに似てるなーと思っていましたが
完全に働きアリの法則のアレですね
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