モバP「まゆと愛の逃避行」 (45)

~公園~
まゆ「……Pさん」コソコソ

P「周りに人は?」

まゆ「誰もいません」

P「入って」

まゆ「パンとお茶を買ってきました」

P「ありがとう」

P「……しかし、公園の遊具に身を潜めるなんて、映画やアニメだけと思っていたが」

まゆ「ここも安全とは言えません。中を覗かれたらすぐにわかってしまいますし」


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P「うん、長居はできないよな。とりあえず腹ごしらえしよう」

まゆ「はい」

P「今後について考えてたんだけど、なるべく遠くに行こうと思う」

P「昼の間は移動して、夜は適当なビジネスホテルにでも泊まって」

まゆ「夜も移動したほうが良いんじゃ? 夜行バスとかあると思いますけど」

P「まゆに無理させたくない」

まゆ「それくらい平気ですよ。お金にも限りがありますし、まゆはPさんと一緒ならどんなことだって……」

P「まゆ……」

まゆ「ただ、お仕事関係でいろんなところに迷惑をかけてしまうのは辛いですね」

まゆ「ファンの方たちを裏切ってしまうことにもなりますし……」

P「ごめんな。俺が不甲斐ないばっかりに」

まゆ「それでも、まゆが決めたこと……選んだ道ですから」

まゆ「共に歩んでくれますか?」

P「もちろんだ」ギュッ

まゆ「Pさん」///



裕子「私のサイキック人探しによれば、この辺りにいるはずなんですよねー」



P「裕子……あいつなんでこんなときだけ勘が働くんだ」

まゆ「そこはせめて超能力って言ってあげましょうよ」



亜季「事務所からも近いですからな。まだ遠くに行っていない可能性は十分に考えられます」

真奈美「やれやれ……気持ちは分からんでもないが、逃げることはないだろうに」

裕子「亜季さん、そのバズーカって弾が出るんですか?」

亜季「いえ、捕獲ネットです。さすがに実弾を撃ってはお二人を傷つけてしまいますから」

真奈美「実弾といってもサバゲー用なら大したことはないだろう?」

亜季「それでも弾頭が大きいですからなー。……んふふふふふ」

裕子「あの、バズーカ担いで笑われると結構怖いんですけどっ」

亜季「いやー、なかなか使う機会に恵まれなかったもので、つい」



P「アカン」

P「裕子はともかくあとの二人が強敵すぎる」

まゆ「裕子ちゃんも強敵かもしれませんよ? サイキック捕獲とか」

P「本気で言ってる?」

まゆ「……もし見つかったら突破口は裕子ちゃんですね」

P(強敵ではないと認めたようなものだ)



真奈美「あのあたり、隠れられるんじゃないか?」

裕子「ドーム状のやつですね」

亜季「ブランコとか滑り台はわかりますが、アレはなんて名前なんでしょうか?」

裕子「真奈美さん、もちろん知ってますよね? 教えてください」

真奈美「えっ、なんだそれは……ネタ振りか? 大喜利なのか?」

裕子(期待の眼差し)キラキラ

真奈美「えー……とぉ……ドーム、ドーム状の……」

真奈美「…………」

真奈美「そ、そんなことより中を確かめよう!」

裕子・亜季(ごまかした)



P(そういう路線もありだな)

P(……いや、今後またプロデュースできるかもわからないのに)



ポツポツ……ザアアァ


亜季「うわあ、降り出しましたよ!」

裕子「一度事務所に戻りましょう!」

真奈美「待て、せめてここだけ確かめてから……」



P(うおお、すぐそばまで来ている!)

まゆ(物音を立てないように……!)ドキドキ



裕子「また戻ってくればいいじゃないですか」

亜季「風邪ひいてしまいますよ!」

真奈美「いや、ちらっと見るだけだから……っくしゅん!」

亜季「ほら、言ってるそばから!」

真奈美「分かった分かった、戻ろう」




P「はぁー……ドキドキしたな」

まゆ「心臓の音が聞こえてないかとハラハラしました」

P「なんだか逃亡犯みたいだな」

まゆ「どうせなら駆け落ちって言ってください♪」

P「こういうスリルと隣り合わせな感じは、俺の中では逃亡犯のイメージなんだ」

まゆ「別に犯罪をしたわけじゃないですから……逃亡犯は嫌です」

P「そうだな、ごめん。小降りになったら移動しよう」

~ビジネスホテル~
まゆ「うふふ♪」

P「なんだか嬉しそうだなぁ」

まゆ「だって、Pさんと一緒の部屋にお泊りできるなんて思ってませんでしたから」

P「非常時だからな……普通なら別の部屋を取るところだけど」

P「万が一見つかったときを考えると、一緒の方が逃げるにも都合が良い」

まゆ「お風呂も一緒に入りましょうか」

P「さすがにそれは」

まゆ「じゃあ一緒のベッドで寝ます?」

P「だから……」

P(……まゆ?)

まゆ「心細くて……どうしてこんな大事になってしまったんだろうって」

まゆ「事務所のみんな、仲良かったのに」

まゆ「親の敵みたいに、まゆ達を追いかけて」

まゆ「Pさぁん……まゆから離れないでください」ギュッ

まゆ「まゆは、あなたしか頼れる人がいないんです」

P「……」

P「……寝るのだけだぞ。お風呂は別な」

まゆ「はい、ありがとうございます……っ」




~翌日~
まゆ「あ……」

P「どうした?」

まゆ「いえ……この番組」

まゆ「本当はこの番組に、まゆが出るはずだったんですよね」

P(街頭モニターに生放送のバラエティ番組が写っている)

司会『佐久間まゆちゃんは、急病で出演できなくなってしまいました。ファンの皆さん、ごめんなさい』

司会『でもその代理として、神崎蘭子ちゃんが来てくれましたよー!』

蘭子『闇に飲まれよーっ!!』ワアアアアアーッ ランコチャーン

P(蘭子なら代理も十分務まるだろう)

まゆ「いつまでも急病でごまかせはしませんよね……」

P「ん? 黒服のSPっぽい人がたくさん……」

まゆ「こっち来ますよ!」

P「しまった、櫻井家のSPだ! 逃げろ!」

黒服「いたぞ!」

ダダダダ
P「くそっ、そこまでするか!?」

まゆ「本気で捕まえるつもりみたいですね!」

P「商店街に逃げ込む!」

まゆ「はいっ」

P「手を!」

まゆ「えっ?」

P「はぐれないようにつなぐんだ」

まゆ「は、はいっ」

P「すいません、通してください!」

まゆ(Pさんとしっかり手をつないで……こんなときだけど、嬉しい)

まゆ(周りから見たら、追手から逃げる駆け落ちカップルに見えるかしら)

「こちらへ!」

P「えっ、あなたは……!」



黒服「この辺りで見失った」

黒服「お嬢様に報告を。お前たちは捜索を続けてくれ」

部下『はっ!』



「……行きましたよ、もう大丈夫です」

P「あなたに助けてもらうとは思いませんでした、三浦あずささん」

まゆ「ありがとうございます」

まゆ「でもどうして? ほんの2~3回お会いしただけだったと思いますが」

あずさ「CGプロから765プロに連絡がありまして……」

あずさ「事情は聞かず、お二人を見かけたら教えてほしい、可能なら拘束してほしいと」

あずさ「でもどうしても気になって、教えてもらったんです」

あずさ「そうしたら、あなた達はなにも悪いことしてないじゃないですか」

P「いや、それは」

あずさ「少なくとも私は、なにも悪くないと思います」

あずさ「私も似たような経験ありますから」

まゆ「あずささん……」

あずさ「そんなわけで、少しでも力になりたいって思ったんです」

あずさ「さっきの黒服さん達が追手なんですよね?」

P「そうです」

あずさ「可能な限り引きつけますから、その間に少しでも遠くに逃げてください」

まゆ「どうしてそこまでしてくださるんですか?」

あずさ「私のようにつらい思いをしてほしくないから……って言ったらちょっとキザかしら、うふふ」



あずさ「あの~、すみません。モバPさんと佐久間まゆちゃん探してるんじゃありません?」

黒服「そうです、見かけたんですか!?」

あずさ「はい、ご案内します~」

黒服「いえ、どちらに行ったかだけ教えていただければ」

あずさ「でも私、口で説明するのが苦手で~。どうせ暇ですから」

黒服「……ではお言葉に甘えて」



黒服「バカな……っ! なぜ気づいたら新幹線に乗っているのだ!?」





ダダダダ
凛「P、まゆ! どこへ逃げても無駄だよ!」

きらり「二人共、おとなしくお縄をちょうだいするにぃー!」

みりあ「待てーっ!」

P「待てと言われて待つ奴がいるかっ!」

まゆ「Pさん、急いで!」

P「ハァッ、ハァッ」

P(毎日レッスンしてるアイドルと俺じゃ根本的な体力が違う!)

ブオオン
拓海「おらあぁぁっ!!」

P「ゲェーッ、バイクまで持ち出すなんてありかよ!」

拓海「テメェはそれだけのことをやらかしたってことだ!」

まゆ「こっちです、細い路地ならバイクでは入ってこれません!」

P「ナイス!」

拓海「へっ、甘いぜ……それくらい想定済だっての」





P「ハァッ、ハァッ、ま、まゆ」

まゆ「なんですかっ」

P「俺、もう体力の限界……っ!」

まゆ「弱音を吐かないでください!」

まゆ「この場を何とか切り抜ければ、きっとゆっくり休めますから!」

P「もし俺が捕まったら、まゆだけでも逃げてくれ……っ!」

まゆ「嫌です、絶対一緒です!」

バババババババ
桃華「Pちゃま、まゆさん! もう逃げられませんわよ」

P「ヘリだと……!!」

みりあ「取り囲んだよ、もうあきらめて!」

きらり「君達はー、完全にー、包囲されているにょわー!」

まゆ「そんな……」

P「ここまでか……」

桃華「何か言いたいことはありますの?」

P「俺達が何をしたっていうんだ」

凛「よくそんなことが言えるね!」ソウダソウダー

まゆ「仕方ないじゃないですか……っ」


P「あまりにもゴージャスセレブプリンが美味しくて、手が止まらなかったんだよ!」

『だからって、何個食べたと思ってるんだー!!』



~事務所~
法子「食べ物の恨みって恐ろしいよねー」

藍子「ねー」

卯月「私達は食べれてよかったですね」

藍子「でもあそこまで怒るなんて。拓海さんまで」

未央「いくら早い者勝ちとはいえ、普通は1個しか食べないじゃん?」

未央「あの二人いくつ食べたと思う?」

卯月「三つくらい?」

未央「その場で二個、さらにお持ち帰りで三個」

法子「それは怒るわ……」

卯月「そういえば……」

~回想~
ちひろ「ゴージャスセレブプリンを食べた人数が、買った数に対して少なすぎるんですよねぇ」

未央「Pとままゆが大量に食べてたよ」

ちひろ「なんですってぇ!!」
~回想終わり~

卯月「未央ちゃんのタレコミで事件は発覚したわけですが」

未央「タレコミってw」

卯月「未央ちゃんはどうして、そのこと知ってたんですか?」

未央「だって隣で見てたから」

裕子「ほほう」

亜季「つまり、止めなかったということでありますな」

真奈美「ならば同罪だね」

未央「マジ?」


後日、三人は食べられなかった全員にゴージャスセレブプリンをおごることになった。

以上で終了です
ズヴィズダー見てたら思いつきました

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