男「オカルト研究部?」 (10)
『オカルト研究部!新入部員募集中!一緒に未知の世界を体験しよう!美人な副部長もいるよ!』
そんな宣伝文句が書かれたファンシーなデザインの紙が、視聴覚室のドアのところに張り付けてあった。
なんだかすごく胡散臭い。
男の目は、その怪しい張り紙にくぎ付けになっていた。
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幼馴染「男―」
男「…………」
幼馴染「おーとーこー」
男「えっ、な、なに?」
われにかえって振り返ると、呆れ顔の幼馴染が腕組みをして立っていた。
幼馴染「なにぼんやりしてんのよ。相変わらずドンくさいわねー」
男「ご、ごめん……」
幼馴染「ま、いいわ。それよりわたしに付き合ってよ」
男「え?」
思いがけない言葉に男の心臓は飛び跳ねた。
まさかこんなところで告白?ムードもへったくれもないけど。
だが、次の瞬間には、その淡い期待は無残にも打ち砕かれたのだった。
幼馴染「テニス部。前から見学したいと思ってたんだあ!うちの高校って、全国大会にも出場したことがある強豪校なんだって!」
男「……え?」
幼馴染の目はキラキラと輝いている。
その目には男の姿は、ほんの一ミリたりとも映っていないようだった。
幼馴染「ほら!モタモタしてないでいくわよー!」
男「えっ、えっ?」
状況をまともに理解出来ないままに、いつのまにか幼馴染に体を引きずられていた。
逃げられないように、しっかりと腕をからめている。
腕にあたる柔らかい感触に男はどぎまぎしていた。
だが、同時に寂しい気持ちにもなっていた。
男(幼馴染はぼくのことをなんとも思ってないんだ。ただの幼馴染としか)
それがありありと感じられてしまったのだ。
喜んでいいのか、悲しんでいいのかわからない、複雑な心境だった。
全部で三日ある、部活動見学の初日はそんな感じで終わった。
家に帰ると真っ先に、男は汗でベタベタの体を洗い流すためにシャワーをあびた。
幼馴染がコートで走り回っているのを、ぼーっと見学していれば、それでよかった。
だが、男子テニス部の笑顔がさわやかな先輩に、無理やりラケットを握らされた。
その結果、男もコートを走り回るハメになった。
彼は頼みごとを断るのが大の苦手だった。
男(多分、明日には筋肉痛になるんだろうなあ……)
夕食が終わり部屋に戻ると、男は布団に潜り込りこみながら、自分の要領の悪さがつくづく嫌になっていた。
その頃には、昼間に見たオカルト研究部の張り紙のことは、完全に頭から消え去っていた。
短いですがとりあえずここまで
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