女「あなたをずっとずっとお慕い申し上げます」(150)


先生「朝のホームルームを始めるぞー」

友「よっす男、噂だと今日転校生が来るらしいぞ」ボソボソ

男「本当かよ」ボソボソ

先生「幼は休みかー?」

友「しかも転校生はボンキュッボンの美人という」ボソボソ

男「まじで!?」ボソボソ

友「それは俺の願望」ドヤァ

男「期待した俺が馬鹿だった」


先生「もう知ってるやつも居るだろうが、今日このクラスに転校生がやってくる」

オオー! オトコ!? ビジョ!? イケメーン!?

先生「こらー、落ち着けー。転校生入りづらくなるだろ。おーい、もう入っていいぞ」

ガラッ

女「はじめまして。今日からこのクラスでお世話になります女と申します。どうぞよろしくお願いします」


キャー! カワイイ~! アシホソーイ!
ウオォォォ! ビショウジョキター!

友「……ボンキュッボンの美人キター!」

男「たしかにかわいい……ってどっかで見たような……」

先生「ほらー静かにな、女さん席は」

女「男様の隣……ですよね?」

先生「様? まあ、そうだよ。なんだ知り合いかお前ら」

ザワ……ザワ……


友「どぉういうことだ男ぉぉ! 事と次第によってはお前を……」

男「いや、俺だって何がなんだか……」

女「隣失礼しますね、男様」ニコッ

男「あ、はい(どこで会ったっけな)」

先生「じゃ、みんな聞きたいことあるだろうし連絡は後でな、めんどいし。後は騒ぎすぎて他のクラスの迷惑にならないようになー」ガラッ


女子A「ねー女さん! 前の学校はどこ?」

女子B「髪きれーいシャンプーなに使ってるの?」

男子A「彼氏の有無はー?」

男子B「今日の放課後空いてる?」

友「スリーサイズは!?」

女「え、ええと……」

ワイワイガヤガヤ

幼「こらーっ! 何やってるの! その子困ってるでしょ!」


幼「あ、男。おはよ」

男「おう、寝坊か?」

幼「やっちゃった……って、あれ、その子誰?」

男「わかってなかったのかよ」

女「はじめまして、転校生の女です」

幼「あ、どうも。幼です」

男「バカっぽいのに意外と頭いいんだよこいつ」

幼「なんだとー!」


女「ああ、もしかして男様の幼馴染さんですか?」

幼「そうそう……って男様? あんたこの子になにしたのよ?」

男「な、何もしてないって!」

女「あら、忘れたのですか?」

友「男……ついに犯罪を」

男「してねえし!」

キーンコーンカーンコーン

女「あら、休み時間ですね」

友「次は移動教室だから話はまた後でにしときなよ」


女「あの、男様。よろしければ今日の授業、教科書を見せてくれませんか?」

男「ああ、まだ教科書ないのか。いいよ」

友「お前とは絶交だー!」

男「なんでだよ」

幼「わ、私の教科書貸してあげるよ!」

男「お前はどうする気だ」


先生「えー、織田信長はその昔いちごのパンツを履いてーー」

女「……」カキカキ

男「……(女さん近いって! なんかいい匂いするし、シャンプーかな)」ドキドキ

男「……いてっ」ベシッ

男「消しゴム?」

幼「(ちゃんと授業に集中しなさい)」パクパク


幼「(え。ちょっと消しゴム返してよ……あ、前向いちゃった!)」アワワ

友「幼ちゃん……消しゴム貸してあげるよ」ボソッ

男「……(女さん胸大きいな)」チラッ

幼「ふんっ!」シュッ

友「あ、ちょっ。俺の消しゴム!」


昼休み

女「男様、よろしければ学校を案内してくださいますか?」

男「え、俺?」

幼「わ、私が案内してあげよっか? ほら、女の子同士だし」

女「ありがとうございます。でも、今回は見知った仲の男様にお願いしようと思います。更衣室などはのちほど幼さんにお願いしてもよろしいですか?」

男「あ、ああ(見知った仲って)」

幼「はい」


男「ここが科学準備室で……(ってこっち見てないし!)」

女「……」

男「あのー、もしかしてつまらない?」

女「え? いえいえいえ、そんなことありませんよ! ……恥ずかしながら私、あなたの事ばかり考えてしまって……あまり男様のお話を聞く事が出来ず……あ、なんてお呼びしたらいいかも分からず、あなたと呼んでしまったり」アセアセ

男「え、ど……どうして?」カァ

女「えっと、男様に聞かれたら答えた方がいいのでしょうか……? まだその辺りに疎くて申し訳無いのですが……その、私があなたのことをお慕い申し上げているからです」


男「お慕いって……好きってことですか!?」

女「もちろんですよ」ニコッ

男「いやいやいや、何一つ長所が無いのになんでですか?」

女「そんなこと言わないでください。男様が私を助けてくださったのが何よりの証拠です。あの時、私はあなたの優しさに気づいたのです」

男「あっ、もしかして……前に車に引かれかけた女の子か!」

女「はい、危ない所を助けていただき感謝してもしきれません」ポッ


男「でも、助けたからって無理しなくても……」

女「無理などしていません。男様には申し訳ありませんが、私は助けられただけでお慕い申すことなどありません」

男「だったらなんでですか?」

女「私は気づいてしまったのです。優しいあなたの存在に」

幼「いやいやいや、つまり助けられたからってことじゃない」

男「幼!? いつからいたんだよ?」


幼「あんたがこの子に変なことしないかって見張ってたの!」

男「いや、だからしないって……」

幼「でも、まあ人助けしたんならえらいじゃない。おまけに美人さんにお慕い申し上げられちゃってさ」ムム

女「男様って女性にもてるんですか?」

幼「そんなわけないって」


女「でも、幼さんも美人さんも男様のことをお慕いしてるのでしょ?」

幼「なっ! 違うって、私はただの幼馴染」

男「あと美人さんってのは女さんのことだと思う」

女「ええ!? いえいえ、私と幼さんは競争相手にはならないでしょう」

幼「よ、余裕ってこと……?」

男「たしかに体形的には……」

幼「それを言うなーっ!」


女「ふふ、楽しそうですね」

男「んー、そうだ。もしよかったら放課後カラオケでも行かない? 友も誘って四人でさ」

幼「それいいね! 女さんどんな歌歌うの?」

女「AKBとかなら……」

幼「うっそ、意外」


友「よっす、修羅場はどうだったか?」

男「そんなんじゃねえよ」

幼「なんか放課後カラオケ行くことになっちゃった。いいでしょ」

友「男様ぁぁぁぁ! お願いがありまする!」

男「あー、最初から誘うつもりだったぞ」

友「さすが親友」

放課後

女子A「女さんカラオケ行くの!? 私たちも行ってもいいかな?」

男子A「なにー、男抜け駆けは許さんぞ」

カラオケダッテ イクイク エ、ナニミンナイクノ?

カラオケ

男「わ、悪いな。結局クラス全員来ちまった」

女「構いませんよ。むしろ皆さんと仲良くなれるいい機会ですので。あ、次は友さんですね」

友「ちっちちっちおっ○い♪」ボインボイーン

男「おいこら」


男「ドリンクバー行く人いるか?」

友「俺コーラ」

男子A「カルピス」

男子B「あ! カルピスもう一個」

男「はいはい、行ってくるよ」

女「あ、私も行きます」

幼「じゃあ、私も」

女子B「はいはい、幼は次歌うんでしょ?」

幼「しまった……」


男「女さんありがとね、1人じゃ持てなかったよ」

女「お安いごようですよ」ニコッ

男「しかし、まさかあの時の子が転校してくるとは思わなかったよ」

女「ふふ、あの後探しましたので」

男「え、すごいね(……冗談だよな)」


男「しかし探すって言ってもどうやって探したの?」

女「家の者に頼んだのです」

男「……家の者ってご両親?」

女「いえいえ、執事ですよ」


男「すごいな……(執事って実在するのか)」

女「いつか、あなたと会いたいと願うだけじゃ駄目だと思いまして」テレテレ

女「行動しちゃいました」テレテレ

男「(行動したのは執事だけどな)」


男「そういえばさっき言ってたのって……」

女「はい?」

男「いや、慕ってるとかって本当かなって」

女「もちろんですよ!」

男「……なんで、俺なのかな」

女「ふふ、運命かもしれませんね」


男「でも、女さんとじゃ不釣り合いじゃないかな……」ドキドキ

女「そう……なのかもしれませんね」

女「もし、ひと時でも時間を共にすることが出来たのなら。私は他には何もいりません。それくらい、命をかけるほど大事だと思っています」

男「女さんってなんだか詩人だよね、そんなに気にしなくていいと思うよ」


幼「……ジー」ニョキ

男「おわ! なんだ、いたのか」

幼「いたのかとはなによ、次女さんだから呼びに来たのに」

女「ありがとうございます。では、男様また後で」タッタッタッ

男「いい子だなあ」

幼「誰かさんとは釣り合わないかもね」

男「分かってるよ」


男「幼は戻らないのか?」

幼「……女さんって大胆なのにシャイな子だね。好きって言えるのに、男に好きって言う時いつも目を逸らしてる」

男「あー、俺を好きなのは一時の気の迷いだと思うけどな。でも、よく見てるな」

幼「んー、なんか気になっちゃってね。女の勘ってやつかな!」

男「でもまあ、面と向かって言うのは恥ずかしいなんて普通だろ」

幼「えー、うーん。……好き」ジー


男「え!」

幼「じょーだんだよっ! たしかに恥ずかしいかもね。相手は男だっていうのに」

男「どういう意味だよ」

幼「さぁ?」クスクス

友「……お熱いね~」ジー

男「お前ら急に出てくるの好きだな」


男「じゃそろそろ帰るか」

女「はい」

幼「女さんの家はどこらへんなの?」

女「男様のお隣ですよ」

男「隣!?」

幼「いや、隣は私だけど……」

女「逆隣ですね」

幼「え、そこ田中さんの家じゃない?」

女「引っ越されましたよ」

男「田中さんに一体なにが……」


男「女さん、別に敬語じゃなくてもいいよ?」

幼「だね、友達だし。無理しないで大丈夫だよ」

女「えーと、敬語の方が落ち着くので。それとも、あなたは敬語の方が好きですか?」

男「え? うーん……敬語も上品でいいと思うけどそうじゃない方が楽かな」

女「……」

幼「まあ、楽な方でいいんじゃないかな!」


男「じゃ、また明日。本当にお隣さんなのか」

女「はい。少しでもあなたのそばにいたいので」

幼「あー、男? 引越して間もないからきっと荷物の整理とか大変だから引き止めちゃ駄目よ」

男「引き止めてないけどな」

女「それではまた明日」


男「ふー、ただいま」

幼「ただいまー」

男「いや、なんでだよ」

幼「漫画借りにきたの、それと1人で寂しくないかなって」

男「まあいつものことだよ。親父たち今オーストラリア気に入ってあと3ヶ月位はあっちいるってさ」

幼「自由ね。あ、この漫画面白そう」

男「あー、それ推理ものだよ。お前そういうのだめだろ?」

幼「うーん、突飛なトリックじゃなきゃ分かっちゃうんだもん」


幼「あ、今日私が晩御飯作るから8時におすそ分け持ってきてあげる」

男「お、まじか。サンキュー。カレー食べたい」

幼「今言われても無理。野菜たっぷりメニューだから」

男「た、楽しみにしとく」

幼「普段不摂生なんだから全部食べないと承知しないから」


幼『普段不摂生なんだから全部食べないと承知しないから』

女「へー、男様はカレー好きなのかな?」

女「ふふ、ちょっとかわいらしい」

執事「お茶をお入れしました」

女「ありがとう。盗聴器もよく仕掛けられてるわ、さすが執事ね」


執事「カメラは設置しなくてよろしいのですか?」

女「今はいいわ」

執事「はい、今後も何かあれば申しつけください」

女「頼もしいわ。あ、今日はもう帰っても大丈夫よ。でも誰にも見つからないようにね」

執事「気をつけます、では」

女「……順調かな? 私はあなたが今もあの子と一緒なのかと思うと妬けます」

女「姿を見ることができないのが残念です」


幼『男ー。お待たせー』

男『もう腹ペコだよ』

幼『もういくつか持ってくるからお皿並べてくれる?』

男『タッパーとかそのままでいいよ』

幼『今日は私も一緒に食べるから』

男『おー、たまにはそういうのもいいな』

女「……」


幼『ねえねえ、今日の野菜炒めうまく行ったと思わない?』

男『たしかにいつもより美味いな』

幼『へへー、お母さんにコツを伝授してもらったのだ』

男『幼のお母さん料理うまいもんな』


幼『そのお母さんからの伝言。野菜は残さず食べなさい』

男『う……』

女「野菜は苦手なのかしら? ちゃんと食べないと病気になりますよ」

女「あなたにはいつも健康でいてほしいですよ」

女「まあ、聞こえていないと思うけどね」


幼『そういえば女さんの話だけど……』

女「……」ピクッ

男『うん?』

幼『男はどう思ってるの?』

男『んー美人だよな。人当たりもいいし』

女「ふふ~ん」


幼『つ、付き合いたい?』

男『まだわかんないよ』

幼『ですよねー』ホッ

男『事故から助けた吊り橋効果だけかもしんないしな』

女「そういうわけではないのです、男様」


幼『しっかし、漫画みたいだよね』

男『女さんのことか? まあ、そうだな』

幼『私もロマンチックな恋したいなー』

男『お前にはまだ早い、なぜならペチャパ……ごめんなさい、包丁はやめて下さい!』

幼『知らない! もう帰る!』

女「ふふっ」


男『ああ、待った幼。飯ありがと。うまかった』

幼『う、うん。……へへー、ちゃんと洗って返してね』

男『あいよ。郵便受けの上に置いとくな』

幼『あんまり遅くならないように! じゃね』

男『分かってるよ、おやすみ』

女「おやすみなさい」ニコニコ


女「男様、一緒に登校しましょう」

男「あれ、もしかして待ってたのか?」

幼「私も一緒にいくっ!」

女「もちろんですよ。3人で登校しましょう」

男「まあ、行き先は一緒だしな」


男「それで、昨日のテレビ見た? ライオンとイモウトとの勝負が面白くてさ」

女「はい、その後の鼻からそうめんは斬新でしたね」

幼「なにそれみたかったー!」

男「いやあ、でも女さんって意外とそういうの見るんだな。気が合いそうだ」

女「ふふ、あなたもそう思って下さったら嬉しいです」

幼「むむー」


幼「男! これ、作ったんだけど」

男「ん、弁当か? いつもと包みが違う気がするけど」

幼「これ、男の分。昨日の余っちゃったから」

男「いいのか!? いつもパンだから正直助かるよ」

幼「だから……その、今日は昼休み一緒に食べて感想聞かせて?」


男「感想って昨日食べただろ」

幼「ちょっと卵焼きとか足したの! ……いいでしょ?」

女「……私もご一緒してもよろしいでしょうか?」

男「ん、いいよな。幼」

幼「う、うん」


男「なあ、友」

友「……」

男「返事ぐらいしろよ」

友「美少女2人と登校するような裏切り者は知らんな」

男「なにも裏切ってないけど、じゃ英語の宿題見せなくていいのか?」

友「いやー! 俺たち親友だよな!」


先生「はーい、今日はこの間の続きでエプロン縫って行きましょう。えっと女さんは……」

女「あ、この布は使ってもいいものですか?」

先生「いいけど、一から作るの時間かかるよ。大丈夫?」

女「はい、裁縫は好きなので!」

男子A「お嫁さんに欲しいな」

男子B「ああ」


先生「今日はバスケだぞー。5人で1チームな」

幼「女さんよろしく!」

女子B「よろしくねー」

女「はい!」


ダムダム キュッキュッ

女子B「女さんシュートお願い!」

女「はい!」タユンッ

男子「おおーっ!」

女「やったぁ!」

幼「いや、絶対違う歓声だよね……」

女子B「悲しくなるから考えたら負けよ」


先生「じゃ今日は自由テーマで絵を描いてもらいます。ただし、実在するものではなく空想の物を描くこと。抽象画でもありね」

友「お前のそれ、なんだ?」

男「首の長いゾウだ。ついでに羽根も生やした。友は?」

友「グロいぞ。俺は俺のハーレムを全年齢に修正した絵だ」

男「あー、実在しないもんな」

友「うるせぇ」


幼「女さんはなに描いてるの? ……きゃあ!」

男「なんだ、なに描いて……うえ……」

女「えーとですね、これが世界で、こっちが世界を外から見ている人達ですね」

幼「う、うん。抽象的すぎて分からないよ……」

友「逆にその欠点が萌えるな」

男子A「ギャップ萌えだよな」


男「幼はなに描いてるんだ?」

幼「やだ、見せない」

男「なんだよ、俺のゾウさん見せてやるからさ」

幼「え!? あ、いやいらないし!」


女「ああ、綺麗な女性の絵ですね。でも、それって実在するものじゃないですか?」

幼「あ、ちょっと! ……理想のプロポーションなの」

女「あ……ごめんなさい」

幼「謝らないで」グス


昼休み

男「よし、食うか」

友「おう、ってなんだその弁当。まさか女さんのか!?」

男「いや、幼のだぞ」

友「ならよし」

幼「おかしい」


女「幼さんのお弁当美味しそうですね」

幼「あ、一口食べる? あーん」

女「え、あ、あーん。美味しい~!」

友「ああ、羨ましいな」

男「しょうがねえな、あーん」

友「ちげえよ! お前がしてどうする!」


男「幼、弁当箱洗ってから返すな」

幼「うん、ちょっと油っぽかったら洗剤つけてちょっと放置した方が楽かも」

男「あいよ、家帰るまで覚えてたらそうするよ」

友「なんか夫婦みたいだなー」

幼「ち、ちがうって!」


放課後

男「幼は今日料理部だっけ?」

幼「うん、美味しく出来たら後であげるよ!」

男「女さんはどうする?」

友「俺とデート」

女「あ、いえ。折角ですし、もしよろしければ料理部の見学をさせていただこうかと」


幼「え! 本当!? 大歓迎だよー早速行こう」

女「はい、では男様。また」

男「おう、またなー」

友「……男。どっちか1人を俺にくれ」

男「知らん」




ピンポーン

男「はーい」

幼「宅配便でーす」

女「です!」

男「あ、いらっしゃい。料理部はどうだった?」

女「楽しかったです。色んな調理器具が揃っていましたよ!」

幼「部長が無駄に拘るからねー」


幼「はい、クッキー。私と女さんからね」

男「さんきゅ、女さんも作ったのか?」

女「幼さんに勧められてそのまま……」

幼「お菓子作りは実際に作らないと楽しさが分からないからね」フフン


男「お茶位しか出せなくて悪いな」

女「いえいえ、ありがとうございます。クッキーお口に合えば良いのですが」

男「こっちのスタンダードな方が女さんかな?」

幼「正解。さ、ご感想は?」

男「美味しいよ。店で売れるくらいだ」

女「ふふっ、ありがとうございます」


男「ん、こっちはチョコ入ってるな」

幼「ちょっと工夫しちゃった」

男「こないだのも良かったけどチョコもいいな。クッキー自体は前よりも甘さ控えめって感じか?」

幼「甘すぎるの嫌いでしょ?」

男「まあな」

女「ふむふむ」


男「どっちも美味しかったよ。ありがとう」

男「お礼と言ってはなんだが再来週にスイーツパラダイスの割引き券使えるみたいなんだが行かないか?」

幼「行く!」

女「行きます!」

男「四人までだから……後一人誘えるけど」

女「友さんはどうですか?」

男「友かあ」


幼「あれ? それ何日か前に委員長に誘われたやつじゃないの?」

男「それがいけなくなったみたいでさ。あんなに楽しみにしてたのに可哀想にな」

幼「生徒会長さんは? あの人甘いものには目がないでしょ」

男「それが、最近よく分からないけど避けられてる気がするんだよ……」


幼「消去法で」

男「友かあ」

女「友さんはだめなんですか?」

男「うーん。いや、あいつ甘いの苦手だしな。多分それでも来るけど」

幼「メールで聞いたら『絶対行く』って即帰ってきたよ」

男「まじかよ」


二週間後

友「あー、今日か……」

男「嫌なら無理するなよ」

友「いや、女さんが行くなら俺も行くしかないだろ!」

男「いや、別に」


女子A「幼ちゃんと女さん今日スイパラ行くの!? いーなぁ」

女「ふふ、また今度女子で行きましょう」

女子B「いこいこー! 絶対だよ?」

幼「女子Bはダイエット中じゃなかった?」ニヤニヤ

女子B「わー! 言っちゃダメ! こうなったらカロリーが2倍になる呪いをかけてやる~」

幼「やめてよー、2倍になったら小錦になっちゃうよ!」

女「ふふっ」

キャー アハハ


男「女さんももう大分溶け込んだなー」

幼「ね。まあ、可愛いからね」

女「そんなことないですよー」

友「あるってー」

女「からかわないでくださいよー」


幼「うーん、美味しい~!」

女「バイキング形式で食べ放題なんて最高ですね!」

男「お、このケーキいいな。友は……」

友「パスタ食うわ」

男「お前は本当によく頑張ったよ、よくスイパラに来たな」


女「男様、このモンブラン美味しいですよ、あーん」

幼「!?」

男「いや、さすがに外ではな」

幼「外じゃなかったらいいんだ~へ~」

友「お嬢様方、スイーツをお持ちいたしました」

幼「わ、美味しいのばっかりじゃん! どうしたの?」

女「すごいですね、本当は甘いもの好きなんですか?」

男「お前、甘いの実は好きなのか?」ボソボソ

友「いや、俺が食べれないような甘いやつを選んできた」ボソボソ

支援ありがとうございます

女「もう食べれません。お腹いっぱいです」

幼「美味しかったねー」

男「ちょっと胸焼けが」

友「情けねえなあ」

男「パスタしか食べてない奴に言われるとは」


学校

女子B「ねえねえ、スイパラどうだったー?」

女「ティラミスが美味しかったですね」

幼「ケーキは全般的に良かったよね。あとはスイパラオリジナルのデザートとかもオススメかなー」

女子A「いいなー!」

友「パスタも美味かったぜ」

女子B「いや、スイパラでパスタは食べないし」


男「あ、委員長。割引き券ありがとうな。今度なにか……」

委員長「……」プイッ

男「お礼を……って行っちゃった」

男「避けられてる……よな」

男「なんかしたかな?」


男「ちょっと追いかけて聞いてみるか」

男「あ、後輩ちゃん。委員長見なかったかな?」

後輩「え……」ビクッ

後輩「ごめんなさい!」タッタッタッ

男「なんなんだよ……」


男「か、会長?」

会長「……」ギロリ

男「ごめんなさい!」

男「やっぱり避けられてるよな……」


放課後

女「男様、少しお時間よろしいですか? 2人きりでお話ししたいのですが」

男「ん、いいけど」

幼「……じゃ先に帰ってるね」

男「おー」


男「それで、どうしたんだ?」

女「男様は、幼さんとお付き合いされているのですか?」

男「いや、ただの幼馴染だよ。知ってるだろ?」

女「一応確認をしておきたかったので。今お付き合いされている女性はいらっしゃらないのですね」

男「いない歴=年齢だ。自慢することじゃないけど」

女「ふふっ、安心しました」


女「では、誰かに見られている、ひとり言を聞かれているなど感じたことはありませんか?」

男「はあ? えーと、特に感じたこともないけど……」

女「よかったです。変な質問をして失礼しました」

男「よかったのか……?」

女「失礼ついでにもう一つよろしいですか?」


男「ん?」

女「前にも言いましたが、私はあなたをお慕い申し上げています。もし、可能であればあなたのお返事をお聞きしたいのですが……」

男「俺は……。好きって言ってもらえるのは嬉しいけど、正直まだ分からないよ」

男「もっと知ってからでないと判断は出来ない。ずるい答えかもしれないけど、今はこれで勘弁してくれ」


女「……それは男様の答えですか? それとも別の……」

男「俺の答えだよ。さすがに人に答えを任せたりしないって」

女「……そう」ニコ

男「……!」ドキッ


男「そういう自然体の女さんの方が素敵だと思うよ」

女「え……」

男「あ、変なこと言ってごめん。じゃな」タッタッ

女「……」

女「……先に帰ったんじゃなかったんですか?」

幼「……」スッ


幼「いやー、ごめんね。ちょっと気になっちゃって」

女「2人きりで、と言ったのですが?」

幼「あ、男は知らないよ。私が後をつけただけ」

女「それで、なにか聞きたいことがあるから出てきたんじゃないですか?」


幼「ん、そういうわけでもないかなー。あるかなー?」

女「少々怖い顔をしていますよ。可愛い顔が台無しです」

幼「……うーん、勘違いだったら申し訳ないんだけどさ」

女「構いませんよ」

幼「女さんって男のこと、好きじゃないでしょ」


女「はい?」

女「先ほどの話を聞いてたのではなかったのですか?」

幼「聞いてたよ」

女「私は嘘をついていませんよ」

幼「……うーん、演技が上手いのか私の勘違いなのか分からないけどさ。それとも誤魔化されてるのかな?」


女「そうですね……。その全部だったりして」ニコ

幼「あはは、はぐらかされちゃうね。……じゃ聞くけど、なんで好きって言う時に相手を見ないの」

女「見ようとしてますよ」

幼「嘘、あなたは違う誰かを見ている」

女「……困りましたね。それだけで私が嘘つきだって言うんですか?」


幼「それだけじゃないんだけど。まあ、決定的な証拠がないからこうやって直接聞きに来ちゃった」

女「参考までに聞かせてくださいますか?」

幼「まるで犯行がバレた犯人みたいな口振りだね。……私はね。その、男が……好きなの」カァ

女「知ってますよ。気づいてないのは男様位じゃないですか?」


幼「そうだね。女さんにはバレバレなんだよね」

幼「でも学校を案内されてる時に女さん言ったよね。私達は競争相手にはならないでしょうって」

女「……」

幼「あれも嘘なのかな? 」

女「うーん、ここで嘘ついても負けな気がしますね。あれは本当ですよ」

幼「そう」


女「結局なにが言いたいんですか?」

幼「男を誰かに重ねるのはやめて。男のことが好きなら私もこんな事話さずに正々堂々勝負出来るけど」

幼「そうじゃないなら、女さんはきっと男を傷つけるから」

女「……ふふ。ほとんど正解ですよ。本当に男様の事が好きなんですね」


幼「男は無駄にモテるからね。ちょっと前まで委員長や生徒会長、後輩とかに迫られてたし」

幼「だから男のこと好きな人の気持ちはある程度分かるよ。でも女さんの考えてることは分からないの」

幼「だってあなたは男のことを見ていない。ううん、普段は見てるけど、あなたは別の人に恋してる」

幼「違うかな?」


女「ふふ、当たらずとも遠からずですね。一つ勘違いされているようですが、私は男様のこと好きですよ」

幼「……」

女「私は嘘をつきません。嘘をつく必要がありませんから」

幼「必要があれば嘘をつくってことかな」

女「少なくとも今まではついていませんよ」

幼「ほんと女さんって負けず嫌いだね。プライドが高いのかな?」

女「いえいえ、幼さんも自分が全部正しいと思わない方がいいですよ。推理小説でもないんですから」

幼「そうね」


幼「学校では今まで通り仲良く出来るかな?」

女「こちらからお願いしたいくらいです」

幼「良かった。でも男のこと変に傷つけないでね」

女「それは難しいですね。生きていれば人は傷つけあいます」

幼「普通にしてて傷つけたらしょうがないけど、男を利用したりしないでねってことだよ」


女「協力はいいですか?」

幼「……やっぱり女さんはなに考えてるか分からないよ。とにかく、それだけだから。じゃ、また」

女「……」

女「……私の恋はあなたには理解出来ないことなのですかね?」

女「まあ聞こえてないでしょうが」

女「……幼さんも感づいてきたし、もうあまり時間はないですね」


ピンポーン

男「はーい」ガチャ

幼「ふふふーお裾分けだよ。ただし野菜たっぷりメニュー」

男「あ、ありがとな……」

幼「少し味付け濃いかも。今日もお皿並べてくれる?」

男「あいよ」


幼「野菜炒めしょっぱくない?」

男「うーん、言われてみればそうかなって位だ。気にしなくてもいいんじゃないか?」

幼「薄味と比べたら?」

男「まあ、薄味の方が好みではあるな」

幼「ふむふむ」


男「ごちそうさま。タッパーとか洗ってから返すな」

幼「……」

男「幼?」

幼「あのね、ちょっと真面目な話したいんだけど」

男「なんだよ、改まって」


幼「男は女さんのことどう思ってる?」

男「どうって、今は友達だよ。これから先はどうなるか分からないけどさ」

幼「じゃ、私のことは?」

男「え……?」

幼「男……私は」

ピンポーン


男「は、はい!」ガチャ

女「こんばんは、男様。……月が綺麗ですね」

男「ん? たしかに雲もなくてよく見えるな。で、なにかあったのか?」

女「盗聴器が初めて役に立った気がしますよ」

男「は?」


女「あまり乱暴な手段は取りたくなかったのですが、許してください。……執事」

執事「はい」ガシッ

男「え、なにするんだ!」

女「そのまま車に詰め込んで」

幼「男!」


女「出して」

執事2「はい」

幼「待って!」

幼「い、行っちゃった……」

幼「警察、警察に連絡しなきゃ……」ブルブル


幼「女さんからメール?」

『学校の屋上に1人で来るように
警察には連絡しない方がいいですよ』

幼「なんで……こんなことに」

幼「……行かなきゃ」


屋上

女「抵抗なさらないんですか?」

男「……強面な執事に挟まれてたら抵抗なんてしても無駄だろ」

女「では、お話をしましょう。男様、私のモノになって……いえ」

女「利用するのはだめでしたね」

女「私に協力してくれませんか?」


男「それが素なのか?」

女「これも素です。女は恋をすると病的なまでに変わるんですよ」

女「いえ、恋も病でしたね」

男「なにがしたいんだよ」

女「あなたと結ばれたいのです」チュッ

男「……!?」


男「……無理やりこんなことしても何にもならないぞ」

女「今のはサービスですよ」ニコ

女「男様は世界の中心ってどこにあると思いますか?」

男「世界の中心? ドラマじゃあるまいし」

女「私は今ここにあると信じています」


女「都合がいいと思いませんでしたか?」

女「交通事故から助けた女の子が転校してきて、好かれている」

男「それは、女さんが探したんだろ?」

女「そうですね。最初はお礼を申し上げるつもりだったのですが、たまたま、偶然、男様は私が探し求めた人だったのです」


男「探し求めた?」

タッタッタッ

女「あら、お早いご到着ですね」

バン!

幼「はあ、はあ、はあ」

男「幼!」


幼「……ふうっ、女さん?」

女「はい」

幼「説明、してくれるのかな?」

女「いえ。まずは幼さんのご考察を聞かせてくれますか?」

幼「女さんは何考えてるのか、本当に分からないね」


幼「男がいるのにいいのかな?」

女「構いません。今お話ししようとしていたところですよ。幼さんのは外れているとはいえ近しいものですので」

幼「随分上からだね……あくまで推測だけど」

幼「男、女さんはね。男のことを好きなわけじゃなかったんだよ」

幼「女さんが好きなのは、多分男に似た誰かで。他に恋人がいるか、いなくなっちゃったか」


幼「女さんは代わりを探していた」

幼「だから、女さんが好きっていう時には必ず男ではない方向を見ていて、男と呼ばず『あなた』と呼んだ」

幼「それで男を自分のものにしたくて、車に乗せてここまで来たのかな」

女「よく考えられていますね。50点です」


幼「……」

女「無理もありません。知らない情報が多いですからね」

幼「説明してくれるんだよね」

女「先ほどの続きですが、男様。都合のいいことが多すぎると思いませんでしたか?」


女「あなたの両親は旅行中。家には一人暮らし同然。そして、男様の周りには思いを寄せる数人の女性がいます」

女「私の知る限りでは、幼さん、生徒会長さん、委員長さん、後輩さん、私」

男「いや、でも最近避けられることが多かったぞ。とても好かれているなんて……」

女「そこにも偶然がありました」


女「たまたま彼女たちの家族が私の父の会社に勤めていらしたので」

男「もしかして女さんが脅したのか?」

女「いえいえ。私はお礼をしたくて男様を探していました。しかし社長の娘が男様を探しているという噂に尾ひれがついてしまったようでして」

女「おそらく、彼女たちの家族が悲観的に捉え男様に近づかないようにと言ったのでしょう」


女「先ほども申し上げましたが男様は私が探し求めた人だったのです」

男「誰かと似てるからか?」

女「いえいえ、男様はまるでドラマや漫画の『主人公』だったからです」

男「……主人公? 現実と漫画をごっちゃにするなよ」


女「一度は考えたことはありませんか? 例えば自分が漫画の主人公なのではないかと」

幼「じゃ女さんが恋をしたのって……」

女「はい。 一個上の次元の人に恋焦がれています」

男「一つ年上みたいに言うなよ」

女「その人たちに見てもらうには、主人公の男様を通じるしかありません」

女「そう、私はずっと『あなた』だけを見ていたのです」


女「二次元の絵画が三次元の私たちを惹きつけるように」

女「私は『あなた』の興味を引くためにアピールし続けました」

女「そういう意味では委員長さんたち3人が距離を置いたのは痛手でしたが」

男「盗聴器もか?」

女「あれは興味を引くのもありましたし、男様が主人公である事の裏付けのようなものが欲しかったのです」

女「そして、ここでの種明かしですね」

女「探偵役の幼さんが予想外にいい働きをしてくれました」


女「社長令嬢に生まれ、レールに乗った人生はひどく退屈でした」

女「全部『あなた』と巡り合うため私は生きてきました」

幼「おかしいよ、そんなの……」

女「変ですか?」

女「アインシュタインだってニュートンだって変人でしたよ」

女「常識を覆すのはいつだって変人ですよ」

女「私が間違っていると言うことは誰にも出来ません」


女「男様、協力してくださいますか?」

男「俺は……」


男「協力は出来ない」

女「残念です」

女「それでも、私は……『あなた』をずっとずっとお慕い申し上げます」

女「ふふっ」スッ

男「おい? 何をする気だ」


女「『あなた』の興味を引くためにこの命を捧げます」

女「屋上から飛び降りても『あなた』が過去の私に興味を持ってくださればきっと私は救われます」

男「まてっ!」ダッ

女「さよなら、かわいそうな世界」フラッ

男「おおぉぉぉっ!」ガシッ


女「っ! ……私を選ばないのならこの手を離してください」

男「何言ってやがる!」

男「……どんな次元の男でも、軽々しく命を捨てる女に惚れるとは思えねえな」

男「それに、どうやら女さんはどうやっても死ねないみたいだぞ」

女「?」

男「下見てみろ。どでかいマットが敷いてあるぞ」


男「どうりで執事が黙って見てると思ったよ」

女「……はあ。主に刃向かうなんて……」

執事「お嬢様とはお付き合いが長いので、これくらいの事をしでかすと思っていました」

女「男様、死ねないのなら引き上げてくれますか? いくら私でもこの高さで宙吊りは恐怖を覚えます」フゥ

女「……男様?」


男「大丈夫だ。あれだけでかいマットなんだから絶対に無事に……」

女「いえ……だから、引き上げて……」サァ

男「あ、その顔かわいいかもしれない」

女「男様、じょ、冗談は……」


男「まあ、ここまで皆を振り回したんだ。怖い思い位……あ」パッ

女「ひっ、ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」ボスッ

幼「ええ!? 男、女さんは!?」

男「大丈夫だ」


男「怪我はないか?」

女「……当然です」ガクガク

男「膝が笑ってるぞ」

女「誰のせいですか?」

男「自業自得だと思うけど」

女「う……」


女「う、うー……」グス

女「うわぁぁんっ!」ダキッ

男「いや、なんで俺に抱きつくんだよ! というか、泣かないでくれ! 執事が視線で俺を殺そうとしてる!」

執事「……」アァン? テメェ ゴラァ

女「だって……だって!」ヒック


女「……涙が……涙は……」ヒック

女「女の武器ですから」ボソッ

男「……え?」

執事「……ギロッ」

男「ちょっと待って、離れて。まじ離れて。執事がギロッって言ったよ?」


男「うそ泣きだろ!」

女「マジ泣きですよ。ただ、主人公の男様が来るまで堪えてましたが」ボソッ ヒック

男「もしかして懲りてないのか?」ボソッ

執事「……コロ……コロ」スッ

男「いや、マジで離れて。執事が懐から何か出そうとしてる」


女「私で遊んだ仕返しです」ニコッ

『ひっ、ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

女「は?」

『ひっ、ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

幼「うん?」


『ひっ、ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

女「なんですか、それは」プルプル

幼「ボイスレコーダー。何かの証拠になればと思って持ってきたんだ」

幼「可愛らしい悲鳴だね」ニコッ

幼「そろそろ男から離れようか」


女「……」スッ

女「執事あれを奪いなさい」

執事「はっ」

幼「はい、どうぞ」

幼「コピーは取ってあるけどね」


女「……一つ借りておきます」

幼「はぁーい。なに頼もうかなー」

女「なんというか、たくましいですね。男様と幼さんは……」フゥ

幼「まあこれだけ振り回されたからね」


女「今日は帰ります。お二人とも乗りますか?」

男「ああ、頼むよ」

幼「うん、疲れちゃった」


翌日

委員長「こないだは無視しちゃってごめんね!」

男「いや、大丈夫だよ。理由もあったんだし」

後輩「ごめんなさい」

男「大丈夫だって」

会長「ごめんなさい」

男「会長の謝るところ貴重ですね」

会長「だって睨まなければ男君来てしまうだろ? 私のこと大好きだし」

男「いや、別に大好きとかでは……」


幼「男! 一緒に帰ろ!」

男「ああ」

幼「昨日は大変だったね」

男「本当にな、無事に終わってよかったよ」


幼「あのね、男。この際はっきりしといた方がいいかなって思うんだけど……」

幼「私、男のこと」

女「あなたが好きです、男様も好きですけど」

男「おわ! どこから出て来た!」

幼「あれ、諦めてなかったのかな?」

女「諦めるわけないじゃないですか」

女「言いましたよね。私は……」


女「『あなた』をずっとずっとお慕い申し上げます」


終わり

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