恒一「女子がちょろインになる現象?」 (17)
怜子「ええ、そうなのよ。だから恒一くんには気を付けて欲しいの」
恒一「そもそも、その『ちょろイン』というのがよく分からないんですけど」
怜子「簡単に言うとね、漫画とかの恋愛要素がある作品とかで」
恒一「はい」
怜子「ツンツンしてたはずなのに、その主人公にちょっと優しくされただけで大好きになっちゃうみたいな」
恒一「はぁ」
怜子「つまり主人公にあっさり惚れちゃうような『ちょろい』『ヒロイン』、略して『ちょろイン』ってことなんだけど」
恒一「なるほど……その言葉の意味は分かりました」
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恒一「つまり話を総合すると、ですよ」
怜子「ええ」
恒一「僕が来週から通う予定の夜見北中の三年三組は、年によって『とある現象』が発生する」
怜子「そう」
恒一「その現象とはつまるところ、女の子が男の子に簡単に惚れやすくなる、というもので」
怜子「正確には男の子ではなくて『現象から主人公役に選ばれた男の子』ね」
恒一「あ、そうでしたね。そして今年はその現象がある年かもしれない」
怜子「そう」
恒一「だから、なるべく女子とは関わらないように学生生活を送りなさい、と」
怜子「なるべくというか絶対ね、私も担任として協力するから。座席とか日直とか他にも色々」
恒一「……怜子さん」
怜子「なにかしら」
恒一「その……何かいろいろ本気ですか」
怜子「本気よ、恒一くん。私は大真面目」
恒一「……分かりました。その現象は実在すると仮定した上で」
怜子「仮定じゃなく、現実のことなんだけどね」
恒一「まあ、僕も怜子さんがこんな荒唐無稽な嘘を真剣に言うとは思えないので」
怜子「……うん」
恒一「多分本当だと思う……というか、そう信じたいんですけど」
怜子「ありがとう、恒一くん」
恒一「でも、そうするには幾つか疑問点があるんですが」
怜子「分かった、何でも聞いて」
恒一「では、まず一つ目なんですが」
怜子「ええ」
恒一「何故、怜子さんは僕が主人公役に選ばれると?」
怜子「え?」
恒一「いえ、最初は男子である以上僕も選ばれる可能性がある、くらいの気持ちで言ってるのかと思ったんですが」
怜子「……」
恒一「なんだか怜子さんと話してると、まるで主人公役になるのは僕だと決めてかかってる感じがしたので」
怜子「ああ、そういうこと……」
恒一「はい。どうしてなのかな、って」
怜子「それは…………現象が主人公役を選ぶのって、別に男子なら誰でもいい訳ではなさそうなのよ」
恒一「と言うと?」
怜子「主人公役に選ぶ優先順位というか判断基準みたいなものがあるみたいで」
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