モバP「俺ってプロデューサーに向いてないのかな……」 (91)

P(アイドルとプロデューサー。お互いを支え合い、認め合い……)

P(パートナーとして未来を見据え、歩いていく……)


P「……そんな風になれると思ってたんだけどなぁ」

P「俺ってプロデューサーに向いてないのかな」

P「いまだにアイドルとの距離感も測り兼ねてるしなぁ……」

P「……はぁ…………」


     ガチャッ……

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1395219867

??「…………」


P(……と。もう事務所に誰かいる?)

P「えっと……おはようございます……」


??「あら……おはよう。紅茶にする? それとも、コーヒーかしら」

P「いえ、悪いですし……自分でいれますよ」

??「……貴方は、この姿を見てそれでも奉仕を禁止する気?」

P「そういわれても……」

??「なるほど……望む姿とは違うということかしら。姿が、心を象る……望みは奉仕者ではなく、支配者?」

P「……とりあえず。ひとつだけいいですか」

??「貴方の望みなら、ひとつとは言わない……言の葉に乗せてみなさい。そして初めて響くでしょう」

P「なんでメイド服なんですか。のあさん」

のあ「…………?」


高峯のあ(24)
ttp://i.imgur.com/Bp7KpPT.jpg

のあ「……偶像とは、奉仕者。私を滅し、奉公する――ならば、捧げる覚悟を姿に現す」

のあ「間違っていたかしら?」

P「……そもそもの出所が間違ってる気もします」

のあ「そう………」

P「…………」

のあ「……………」

P「………………」

のあ「……………フッ」


P(なんで今笑われたんだ……? あぁちくしょう、空気が重い……どうしろっていうんだ……)

    コンコン…   ガチャッ


P(誰か、来た……? ち、ちひろさ――)


ヘレン「ヘーイ!」
ttp://i.imgur.com/cLlLkMB.jpg


P「」

ヘレン(24)
ttp://i.imgur.com/vhfZY0p.jpg



P(なんで、よりにもよってこのタイミングで……!?)


ヘレン「あら。先に来ていたようね……のあ」

のあ「ヘレン……えぇ。経験しなければわからないこともあるでしょう?」

ヘレン「フッ……なるほど。メイド・イン・メイド……奉仕者の気持ちになるというわけね」

のあ「……話が早くて助かるわ。どうやら、間違っていたようだけれど」

ヘレン「間違い? 違うわ、それは経験と呼ぶの……血となり、肉となり、骨となる。貴女が立つ足となる」

のあ「そう……」

ヘレン「踏み出すための一歩。準備はできたかしら?」

のあ「問題ないわ」

ヘレン「それでこそ私のユニットメンバーよ……オーライ!」

P(俺の担当アイドル2名。どちらも24歳……)

P(年が近い方がやりやすいだろう。2人とも大人だし、わからないことも支え合えばいい)

P(……そんなことを言ってくれた社長の目。今思うと、不自然にやさしかったなぁ。知ってたんだろうなぁ)



ヘレン「さぁ、今日のナンバーをかけなさい。P!」

P「はい?」

のあ「時の流れは残酷よ。戸惑うその一瞬が重なるだけで……あっという間に手遅れとなる」

P「ておくれ、って……あっ、そうだ! 今回の撮影は早めに入っておいた方がいいんですよ。いきましょうか」

のあ「えぇ。雨垂れが石を穿つよりも早く……刻まれた意思が過ぎ去る前に」

ヘレン「安心しなさい。私が立つ場所がすなわち標準時刻よ!」バッ

P「ん? なんだ思ったより余裕……が……」

P「その腕時計時間ずれてるじゃないですか!?」

ヘレン「……フッ。時間すら置き去りにしてしまったようね」

P「いや、いいから! あぁもう。買い換えましょうよそれ!」

――――

――

P(ああ……正直しんどい。2人とも実力はあるもんだからなおさらタチが悪い)

P(もっとこう、キリっとした……しっかりしたプロデューサーがついたほうがいいんじゃないかなぁ)

P(というか、本当にプロデューサー必要なのか……? 俺の仕事、ほとんどない気もする……)



カメラマン「素晴らしい……! まるでギリシャの彫像のようだ……」

のあ「………」

カメラマン「ヘレンさんもお美しい!」

ヘレン「イッツ・ワールド・ワンダフル……でしょう?」

カメラマン「なんだかわからんが、すごい自信だ!」

のあ「……刻みましょう。私たちの時を」

カメラマン「もちろん!」

P(撮影も一発オッケーか。やっぱり綺麗なんだよなぁ……2人とも……)

P「反省会……とかするべきかなぁ」

のあ「……反省?」

P「ぅおっ!?」ビクッ

P(い、いつの間に後ろに……!?)

ヘレン「なるほど。改める……進化する。私たちのさらに先を見ているということね」

P「え、いや」

のあ「流石ね……」

P「ぇー………」

ヘレン「歩みましょう。その先へと!」

P(俺になにをしろって言うんだ!!)

P「あー、いや……えーっと……」

ヘレン「どうしたの? あなたの見た景色を私たちにも聞かせてくれるはずではなかったかしら」

P「…………は、反省会……は、えーっと……」チラッ

のあ「……相応しい場所がある。相応しい時がある。そう言いたいのかしら?」

P「え? はぁ、まぁ」

のあ「なるほど……『時』と『場』ね……今は天へと太陽も身を登らせている。休息を取り、再び降り立つ……か」

ヘレン「ならば私が用意しましょう。その機会を……その舞台を!」バッ!

P「え、機会と舞台って……」

のあ「食事にしましょう、P。省みるためにも、余裕は必要よ」

P「しょく、じって……」


P(あれ……反省会って名目でたかられる……!? この2人ととか、やたら高級なレストランとかに連れていかれるんじゃ)

以前、のあ・雪見・蘭子のプロデューサーのSS読んだけどそれ以上に、ハードだ...

P(――で。連れられてきた先がここ)

のあ「……」モグモグ

ヘレン「地中海が見えるわ」ズビズバー

P「サイゼリアかよっ!」

のあ「口に合わなかったかしら」

P「いや、いえ……なんというか。もっとこう……すごいものを食べようと言われるのかと」

ヘレン「愚かね……この時の素晴らしさを理解できないなんて」

のあ「P……何を食べるかが重要というわけではないわ。誰と共に過ごすのか……それが、最も大切なこと」

P「あ、はい」

のあ「……さぁ、P。反省会といきましょう」

P「あぁ、そういえばそういう名目でしたね……」

ヘレン「今日の私はどうだった?」

P「……綺麗だったと思いますよ」

ヘレン「そう……『思う』レベルね……」

P「え、なにか?」

ヘレン「私もまだ、一歩届かないといったところかしら? 次は感じさせてあげる」

P「……はい?」

のあ「……流石ね、ヘレン」

ヘレン「私が望むのは世界よ……臨むためには、登らねばいけないの」

のあ「Pも。貴方が言うのなら間違いないのでしょう……信じるわ」

P(よくわからないけど褒められたのかな、うん)

のあ「……貴方の瞳に。私はどう映った?」

P「のあさん? ……のあさんも、いつもみたいに綺麗でしたけれど」

のあ「そう……」

P「ただ、やっぱり……イメージが強いぶんありきたりかなー、なんて……」

のあ「…………」

P「……あは、はは………ごめんなさい」

のあ「いいえ……そう。やはり、まだ足りない……か」

ヘレン「お互い、まだまだね。このままではピースが欠けたまま」

のあ「フッ……それを埋めるためにも、いきましょうか」スッ

P「え、あ」

ヘレン「支払いは任せなさい。キャッシュで一括よ」ピッ

P「……ごちそうさまです」

― レッスン場 ―


ヘレン「――その胸へ刻みなさい。世界のステップを!」ズバァーン!

トレーナー「なんて荒々しく力強いステップ……ダンサブルなナンバーも完璧にこなしてる!」


のあ「人の身ならば、摂理へは逆らえない。でも偶像は――理想は、人を超える。そうでしょう?」スゥッ…

トレーナー「ムーンウォーク……! いえ、本当に重量がなくなっているみたい!」


ヘレン「ヘーイ!」

のあ「……」キンッ!

トレーナー「ブラボォー!!」


P(あの2人、ダンスも歌声も曲調もまったくそろってないのになんであんなバランスとれてるんだろう……)

のあ「…………」

P(……ん? 何やってるんだ?)

ヘレン「……のあ?」

のあ「ヘレン。手を」

ヘレン「そう……つまり、そういうことね」スッ…

P「あの、2人とも何を――」

のあ「……」ズダァンッ!

P「!?」

ヘレン「――世界に私が縛られるのではない。私が、世界を縛るのよ」スゥ…

P(ふ、二人のステップの質が入れ替わった!?)

P(力強く、荒々しいステップを踏んで自身を主張するのあさん)

P(まるで流れるみたいに、重力から……世界から解き放れたようなヘレン……)

P(……すごい。新鮮だ……こんなこともできるのか)



     ――ッターン!

のあ「……ふぅ」

ヘレン「見事よ、のあ。なかなかにダンサブルなナンバーだったわ」

のあ「流石はヘレンね。世界レベルは伊達ではないということかしら」

ヘレン「当然よ」

トレーナー「……ェエークセレンッ! 素晴らしい! 私が口をはさむ暇もなかったですよ」

のあ「そう。感謝するわ」

ヘレン「……フッ」

P(……やっぱり俺、いらないんじゃないかなぁ)

P(トレーナーさんも言ってたけど口をはさむ暇もない……というか、何か言えるレベルじゃない)

P(綺麗で……かっこよくて……憧れる)


P「……ん? あの、のあさん」

のあ「………なにかしら?」

P「少し息あがってませんか……? 無理、してないですか」

のあ「息……あぁ、慣れないことをしたせいかもしれないわ。いつもよりも大きく、息を……酸素を、エネルギーを必要としただけ」

P「そ、そうですか。心配いらない、ってのはわかってますけど……でも。のあさんが肩で息してるところなんて初めて見た気がして」

のあ「……そう。確かに……そうかもしれないわ」

ヘレン「フッ……大げさね。飼い犬が届くのは鎖の範囲だけ」

のあ「それでも。貴方へと新しい私を捧げられた……悪くない気分よ」

P「え、いや……あはは……」

ヘレン「P。私への言葉はないのかしら?」

P「……飛んでるみたいですごいなーとは思いましたけど」

ヘレン「世界へと飛び立つのなら、日本の空程度は制覇しないわけにはいかない。そうでしょう?」

P「え、そういう理屈……じゃ、なくて。綺麗でそういうのもありかなとは思いました。思いました、けど」

ヘレン「けれど……何?」

P「でもなんだかんだ言っても2人とも普段のスタイルがしっくりきてるんだなぁと……やっぱり大地を踏み鳴らして、どっしり構えたほうが似合ってます」

ヘレン「そう……」

P「いや、悪い意味じゃないですよ? 確かにミステリアスなのもいいけれど……世界から切り離されてる感じがして」

ヘレン「私はやはり、世界レベルということね」

P「あ、はい。たぶんそういうことです……たぶん」

のあ「……フッ」

のあ「つまり私は世界から切り離されているということかしら?」

P「あー……のあさんがこう、浮世離れした雰囲気してるとは思ってますけれど……悪い意味じゃなくって……」

のあ「…………フフ。やはり、不思議ね? 悪くない」

ヘレン「いきましょう。やはり私が制すべきはこの地……そして世界よ」

のあ「ならばそれ以外は私かしら?」

P「えっ」

ヘレン「世界征服……悪くない響きね」

のあ「成しましょうか……そして、超える。あなたも共にね」

P「えっ?」

――――

――


P(……2人ともエンジンがかかったみたいに順調だ)

P(俺は特にいうべきこともないから基本的に腕組みしながら眺めてるぐらい)

P(正直、心配いらないから営業に力が入れられるし)

P(2人とも実力はあるしビジュアルも強いから……仕事も次々持ってこられる)


P「……でも俺、必要かなぁ?」

P「実力はある。需要もある」

P「むしろ声がかかるようになってきてる……」

P「下手に俺が方向性決めるぐらいならセルフのほうがいいんじゃないかなぁ……」

P「………なーんて」

P「まぁ、もしいらなくたって……頑張る権利ぐらいはあるか」

P「本気でいらないと思われたら、直接言われるだろうし。たぶん」

P「だから気にしない、気にしない………」スタスタ…


  ガサッ

       のあ「…………にゃん」

― 翌日 ―


P「おはようございます。2人とも今日は――」

  ガシッ

P「ひょ?」

ヘレン「話は聞かせてもらったわ」

P「え、何が? 何の話ですか」

のあ「……迂闊ね。真に隠したいのならば、言の葉に乗せるべきではないの」

P「隠し……って、え?」

のあ「これは鎖……貴方ならば、『約束』という鎖を外すことはできない」

ヘレン「……だから、受け取りなさい。そして待ち続けなさい……その時を!」ビッ

P「え? え? チケット? なんですかそれ?」

のあ「ポケットマネーよ」

ヘレン「キャッシュよ」

P「あ、はい? ……遊園地?」

ヘレン「では、いきましょうか……今日も世界が私を待つわ!」

のあ「…………自分を偽る。自分を曲げない。矛盾しているようで、両立も可能……実に興味深いわ」

P「え、これ……なんですか? ちょっと、2人とも!?」

のあ「……秘密よ」

ヘレン「トップシークレトよ」

P「いや。8割がた正体が割れてますけど?」

のあ「察しがいいのね……流石よ」

ヘレン「それでも、まだ足りない。その2割があなたを悩ませるの」

P「あ、はい」

ヘレン「安心しなさい。時間はまだあるわ」ビシィッ

P「その腕時計は壊れてるんでしょうが!」

ヘレン「……そうだったかしら?」

のあ「……誤差はおよそ20分程度といったところね」

P「朝には致命的ですよ! あぁもう、聞くのはあとにします。いきましょう!」

――

ヘレン「ふむ……商店街。昔ながらの土地、といったところね」

ヘレン「悪くないわ……この風。この空気」

ヘレン「そしてこのコロッケ…・…」

おばちゃん「あらあら、外人さんかねぇ……きれいだねぇー」

ヘレン「当然よ。あなたは太陽に向かって『今日も光っていますね』というの?」

おばちゃん「あらぁー……そういえば光ってるねぇー」

ヘレン「だから、そういうこと」

おばちゃん「そういうことかい、なるほどねぇー……」


P(……仕事は順調なんだよなぁ。まったく意味がわからないけれど)

――

P(ヘレンのほうは大丈夫そうだったし……のあさんのほうはどうなってるかな)

P(えっと……? ん、休憩中か? 誰かが駆け寄って……)


のあ「………」

みく「のあちゃん! この前あげた猫耳はどうしたのかにゃ?」

のあ「……みく? 久しぶりね」

みく「そこまで久々ってわけじゃないにゃ。使ってみた?」

のあ「そうね、つけていたわ」

みく「そっかー! のあちゃんはきっと似合うってみくは確信してたにゃ♪」

のあ「………」スッ

みく「あ、つけるの? えっへへー、のあちゃんは優しいにゃ…・・・あ?」

のあ「………………ぴょん」ピョコッ

みく「ふにゃあああああ!? な、なんでウサ耳なのにゃ!?」

のあ「みく。あなたに会うよりも早く……私は既に宇宙-ソラ -へ……触れているの」

みく「そ、そんな……みくの猫耳が負けるなんて……」

P(ウサミミ……あぁ、そういえばこの前の撮影で安部菜々ちゃんといっしょになったんだっけ)

P(でも特に勧められてなかったような……というか、あの可愛い路線とうちの写真は違ったような)

P(いや、気のせいか。気のせいだよな……たぶん)


※参考
ttp://i.imgur.com/pZQFUsB.jpg



みく「……ま、それは置いとくとしてにゃ」

のあ「そう……貴女にとっての猫耳はそれでいいの?」

みく「いいの! 大事だけど、もっと大切なお話が先でしょー!」

のあ「………大切、ね」

みく「うん! この前話してたの……遊園地、誘えたかにゃ?」

のあ「…………」

みく「え、失敗?」

のあ「わからないわ。まだ……その時が来るまでは、確定した出来事なんてものは存在しない」

みく「ふにゃぁ……まーたのあちゃんは難しいこと言って……」

のあ「そうかしら?」

みく「そーだよ! んもー、しょうがないにゃあ……いい、まずこうしてー……」ゴニョゴニョ

のあ「………なるほど……………?」


P(遊園地? 誘う? ……ひょっとして、今日の……?)

P(……聞いちゃマズかったかな。うん、忘れてちょっと外回ってこよう)

P(俺ってば、間が悪いなぁ)



のあ「……みく」

みく「ん、どうしたのかにゃ?」

のあ「今日の私の弁当はアジフライよ」

みく「え?」

のあ「安心しなさい。食べやすいサイズにしてあげる」

みく「ちょ、ちょっとのあちゃん!? みくはお魚は食べられないの!」

のあ「えぇ。だからよ」

みく「ふにゃああああ!!」

――

P(……そろそろいいかな。えーっとのあさんの楽屋は……)

のあ「来たのね」スッ

P「うおぁっ!?」

のあ「……何を驚いているの?」


P「いや、だって……その……」

のあ「………………にゃん」
ttp://i.imgur.com/4hFkvyK.jpg


P「なんですかその格好!?」

のあ「衣裳よ」

P「トーク番組で!?」

のあ「……」

P「……あの」

のあ「……これも私よ。貴方が見つけた、私」

P「え?」

のあ「ただ孤高であればいいのならば。この姿も必要はないのでしょう」

のあ「でも……P。私は今ここにいる……この姿とこの色で、今という時を生きている」

のあ「これは望まれたからだけではない。私自身が……そして、ヘレンが。貴方が望んだ理想のひとつ」

のあ「どう、今でも『ありきたり』かしら?」

P「……は、はは。いや、ぶっ飛んでて素敵ですよ」

のあ「そう……それが聞けたら、十分よ。後で会いましょう、感傷に浸るのは……それから」クルッ


P(……猫耳サイバーメイドがあんなにカッコよく見えることはこれまでもこれからもないだろうなぁ……)



P(……遊園地、か。そうだな、本音で話す機会になるかもしれない)

P(俺だって……2人のプロデューサーなんだから。頑張らないと)

P(さて、そうと決まればヘレンを迎えに………んん?)


    \ヘーイ!/  \ダンサボォー!/


P「……人ごみ?」

ヘレン「あら……P?」

P「ヘレン……いや、何やってるんですかあんたは」

ヘレン「何……そうね。私はただ、心の赴くままに……世界の導くままに、舞ったまでよ」


P「……後ろのギャラリーは?」

ヘレン「一流を知るものは、一流に惹かれる……といったところかしら? フッ、貴方も自然とここへ足が向かったでしょう?」

P「収録終わっただろうから迎えにきたんですけれどね」

ヘレン「なるほど。宴も終わりね……」

おばちゃん「おや、だんさぶるなお姉さんはお帰りかい?」

ヘレン「えぇ。あなたとのひと時……悪くなかったわ。何かあったらここへ来なさい」

おばちゃん「あらぁ……すまないねぇ……」

ヘレン「私の決定は世界の意思よ。安心しなさい……再び会いまみえる時を楽しみにしているわ」

おばちゃん「えぇ、今度は私もすてっぷを踏めるようになるから待っててちょうだいね」

ヘレン「フフ、楽しみだわ……行くわよ、P!」

P「え、あぁはい……」

P「何やってたんですか」

ヘレン「収録も終わったことだし、少しばかり世界の風を動かしていたの」

P「あぁ、うん……なるほど。わかんない……」

ヘレン「フッ……貴方なら望めば届くでしょうに。そこがまた、私を奮い立たせる」

P「はい?」

ヘレン「全てを決めるには、今は惜しいわ。あなたに本当のワールドワイドを見せる時……また伝えるとしましょう」

P「あー……今日は帰ると」

ヘレン「そうね。楽しみに待ちなさい」

P「じゃあ送りましょうか」

ヘレン「フッ……必要ないわ」スッ…

P「……?」


ヘレン「ヘイ、タクシー!」

P「」ズコー

――――


――



P(……結局、2人には励まされて)

P(俺、ひょっとしたら必要とされてるのかな)

P「はは……幸せ者だなぁ……」

      ピンポーン

P「ん? はいはーい、どちらさま……」ガチャッ

のあ「………」

ヘレン「ハァーイ」

P「……すみません間違えましたー」ギィ…  

  ガシィッ!

P「!?」

のあ「安心しなさい。取って食おうというわけではないわ」ギリギリギリ…

P「え、いや……顔とセリフと行動があってないですよ!? 今、夜!」

ヘレン「つまり、太陽すら消えた中に燦然と輝く光があるというわけね」

P「ちくしょう話が通じねぇ!!」

のあ「……ふぅ」パッ

P「うわっ!?」

   \どんがらがっしゃーん/


ヘレン「さて。あがらせてもらうわ」

P「いや、いやいや……なんで?」

のあ「チケット……内容は確認したかしら?」

P「チケット? いや、あれは遊園地の……こんな時間じゃ、しまってるんじゃ……?」

ヘレン「フッ、甘いわ。今日あなたが目撃するのは……『世界の裏』よ」

P「はい?」

のあ「……多くを語るのは、得意ではないわ。それに、言葉は人の心を……目を、曇らせる」

ヘレン「言ったでしょう? あなたに本当のワールドワイドを見せると」

P「……わかった、わかりましたよ。ついていきますから」

P(まったく、なんなんだ? そりゃあ、心配してくれるのは嬉しいけれど)

P(遊園地のこと、知っちゃったからヤケになったとかか……あぁ、そうだとしたら申し訳ないな)

P(……しかし、まだ夜は寒い。2人とも結構な薄着だし……)


P「……よければ着てください。似合わないかもしれませんけれど」

のあ「……これは………コート?」

P「ちょっと外へ出るんでしょう? いや、こんな時もアイドル然としてる2人はすごいですけれど……寒さとか、ファンとか対策に」

ヘレン「たとえ雲が空を覆い隠そうと、そこにある星々は消えることはない……それでも、知らないものは光を想像することもできない。そういうことね?」

P「……そういうことじゃないですか、たぶん。嫌ならいいんですけれど」

のあ「……フフ。あなた自身から受け取った以上、どんな姿だろうと見せるわ」

ヘレン「私が身に着けるのは常に一流……いいえ、世界級。ワールドオーダーよ? 安心しない、貴方の持ち物のレベル、この私が保証するわ」

P「あっはい」

>>71
安心しない、って何よ
安心しなさい、なの

三点リーダミスも多くてごめんね

― 夜の遊園地 ―


P「………ここ?」

ヘレン「えぇ。チケットの準備はオーケー?」

P「まぁ、持ってますけれど」

のあ「なら……いいわ。一晩限りの夢の国を見せましょう……」

P「夢の国って……どの乗り物も電源落ちてますし、勝手に入ったら」

ヘレン「………ヘイ、カモン!」パチンッ!

  ~~♪
        パァ…

P「!?」

P「か、勝手に動き出してる!?」

のあ「言ったでしょう。一晩限りの夢の国と」

ヘレン「私たちは世界へ届く器。ならば国のひとつ程度用意できないとでも?」

P「うわぁ、まったく理屈がわかんないや」

のあ「……これは、貴方への礼よ。貴方は不器用で、優れたプロデューサーというわけでもなかった」

P「うっ」

のあ「それでも、人として。私たちのことと向き合おうとした。それで十分」

P「……でも、もう俺はいらないんじゃないかって思うんですけどね。仕事なら舞い込みますし、それを逃がさない実力もある」

のあ「そうね……私たちの道を、舗装するのはもう必要ないかもしれない」

P「でしょう? なら――」

ヘレン「ならば、どうする? 決まっているわ」

のあ「その先の景色まで、共に歩めばいい」

P「え?」

ヘレン「私は……私たちは世界へ届く器と言ったわ」

P「まぁ……うん。大口をたたくだけじゃなく、魅せる方法を知ってるし……嘘じゃない、と思う、けど」

ヘレン「しかし、それでも足りない。私たちはまだ『世界』よ……その先が、ある」

P「その先?」

のあ「……」スッ…

P「うえ……空……?」


ヘレン「――そう。宇宙よ」


P「……ハ、ハハハ。宇宙って、そんなの……・…」

ヘレン「ありえないと、断じる? それともそこへ思いをはせ、届かせてみせると誓う?」

P「…………参ったなぁ。2人のこと、見すぎたんですかね? なんだかできる気もしますよ」

のあ「そう……やはり貴方は面白いわ」

P「おかげさまで……この遊園地、夜に貸し切って。こんなことまでして……放っておいたら暴走しそうですしね」

ヘレン「問題ないわ」

ヘレン「貴方が私たちの『プロデューサー』ならば。私たちを導く必要はない」

のあ「望む時を、臨む世界を。踏み越えるために手を取ればいい」

ヘレン「……間違えることもあるでしょう。間違えなくとも、歪むこともあるでしょう」

のあ「それでも手を放さないと誓って欲しい。これは……私の、私たちの願いよ」

P「……プロデューサー、か。いや、向いてないかもしれないですね」

のあ「……」ピクッ

P「導く必要がないって言われても。頼りにされてるって実感があるなら……」

P「やっぱり、俺が前に立ちますよ。でもそうしたらプロデューサーじゃないんでしょう?」

のあ「……フッ。やはり貴方は愉快ね」

ヘレン「プロデューサーではない存在……ならば、宇宙へ導く者として……」

のあ「……宇宙への乗組員。私たちも含めて……アストロノーツね」

P「アストロノーツ……しゃれた呼び名だなぁ……」

ヘレン「私たちのユニット名にするのも悪くない……宇宙への第一歩よ!」

P「気が早いんじゃないですかね、少し」

のあ「……そう。P」

P「なんです? あぁ、なんかスッキリした……俺、悩みすぎてたんですかね」

のあ「ひとつだけ。ワガママを言ってもいいかしら?」

P「ひとつ? ……基本的に、いろいろと聞いてきた気もしますけど」

のあ「野暮ね。こういう場でのひとつは……何を捨てても叶えたい願いという意味よ」

P「……それって、いったい?」

のあ「……私たちは飾らない。貴方はもう、一方的な関係者ではない。ならば、貴方も飾る必要はない」

P「……えーっと、つまり……」

ヘレン「もう少し、フランクに話しなさい。P……私たちと対等な仲ならば、それが普通でしょう? 貴方もまた、宇宙への乗組員なのだから!」

P「あー……敬語を、やめろと。そういうこと……だな?」

のあ「……そうね。その方がいい」

P「……照れくさいし、慣れるまで時間がかかるかもしれないが……許してくれよ。のあ」

のあ「……フフ。安心しなさい……貴方だけの感覚ではないのだから」

ヘレン「P?」

P「あぁ、ヘレンも……んん、ヘレンには遠慮なくいろいろツッコんでいくからな?」

ヘレン「そう。それは楽しみだわ……あなたからの刺激で、私はまた一つ上のステージへ押し上げられる!」

P「それは結構……なんだが、さっそくひとついいか?」

ヘレン「遠慮はいらないわ。さぁ、来なさい!」


P「なんで2人は夜の遊園地でメイド服と水着なんだ!!」


のあ「?」
ttp://i.imgur.com/g3o8mHb.jpg

ヘレン「?」
ttp://i.imgur.com/DXv58p7.jpg



おわりん☆

@おまけ


P(まぁ、でも……俺も気負いすぎてたのかもしれないなぁ)

P(あの2人は大人だし。ちょっとばかり意思疎通がアレだけど)

P(実力も確かにあるし……だからこそ、俺にできることをしっかりやって……)

P「いつかは宇宙、か……」

P「そのためのユニット候補生が3人ね……若い子みたいだし2人にはもう少し落ち着きを持ってもらおう」

P「どんな子かなぁ。素直な子たちだといいなぁ……」



  ??「クックック……魂が猛るわ!!」

      ???「ふわぁ……たましーがぁー……たけるのー……」

         ???「にょっわぁー! きゃわわー! うぅー、いっしょにはぴはぴできるよーにぃー、きらりんぱわー☆まっくすでがんばるにぃ!」

以上、お粗末

うちのヘレンがのあさん混じってるって言われたの思い出したので
最初は蘭子も入れようと思ってたけれど
>>21とか、幸子・蘭子・きらりでも書いたのもあったから今回はお休み

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