承太郎「すべては愛のターメリック♪」(25)

空条家・お昼

ガチャッ

承太郎「帰ったぞ」

トコトコトコトコ・・・

徐倫「待ってたぞ! おなかへったァ~」グゥーッ

承太郎「・・・・・・」

徐倫「・・・・・・」グゥーッ

承太郎「・・・・・・ママはどうした?」

徐倫「パパが昼に帰ってくるって聞いて、ご近所さんといあんりょこうに行ったワ」

承太郎「いあんりょこう?」

徐倫「しゅふぎょうってヤツはサラリーマンより大変なんだから! って」

承太郎「・・・・・・やれやれ」

承太郎「ママはお昼を用意していかなかったのか?」

徐倫「ウーン・・・」

承太郎「・・・・・・」チラッ

台所グチャーーーッ

承太郎「Oh...」

承太郎「これは・・・・・・お前の仕業か?」

徐倫「サンドイッチを作ろうとしたんだけど」

承太郎「・・・火や刃物は使ってないだろうな?」

徐倫「使ってないワ・・・」

徐倫(・・・子供扱いして・・・失礼しちゃう!)プクーッ

承太郎「飯はまだ食ってないんだな?」

徐倫「ええ、パパを待ってたの」

承太郎「そうか」

承太郎「仕方がない。オレが作る」

徐倫「エッ!」

承太郎「・・・・・・不満か?」

徐倫「ふ、不満っていうかァ~・・・」チラッ

承太郎「?」

徐倫「・・・パパ、お料理できるの?」

承太郎「少しくらいはな」

徐倫「少しって?」

承太郎「お前よりは」

徐倫「んま」

徐倫「わたしだってお料理できるのに!」

承太郎「わかったわかった」

承太郎「とにかく、ここを片付けたら買い物に行くぞ」

承太郎「ひとりでお留守番していたごほうびだ。お菓子も買ってやる」

徐倫「いくいくーーー!!」パァァァッ

スーパーマーケット

ワイワイ

承太郎「あまり遠くへ行くなよ。あとお菓子はひとつだけだからな」

徐倫「ハァーイ」タタタッ

承太郎「走るな!」

徐倫「ハァーイ」タタタッ・・・

承太郎「・・・・・・やれやれ」

承太郎(さてと)

承太郎(こうして食料品売り場に来てみたものの・・・)

ザワザワ

承太郎(何を作るか決めてない以上、動くのは得策じゃあないな)

承太郎(カートになにも入れずウロウロしていれば、怪しい人物と思われてしまうかもしれん)

承太郎(しかし・・・・・・慣れない所に来るもんじゃあないぜ)

承太郎(徐倫がお菓子売り場から戻ってくる前に、とっとと何を作るか決めちまおう)

承太郎(簡単なモンにしよう)

承太郎(パスタ・・・・・・は今朝ホテルで食べたな)

承太郎(ラーメン・・・・・・)

承太郎(・・・・・・麺類は気分じゃあねえな)

承太郎(久しぶりに米が食いたい)

承太郎(・・・・・・)

ホリィ『承太郎、今日のお昼はなにがいいかしら? せっかくだからお外でランチしましょう』ウキウキッ

承太郎『外食かあ』

ホリィ『あら、外食いや?』

承太郎『・・・うちに帰って、母さんの作ったカレーが食べたいな』

ホリィ『マァ!』ニッコォォォ

承太郎(・・・・・・)

承太郎「そうだ、カレーにしよう」

承太郎「それも、とびきりスパイシーなやつだ」

ホリィ『いーい? 承太郎、お料理は楽しんでやるのが一番なのよ』

ホリィ『大切な人に愛情たっぷり注いだお料理を作るなら、お歌を歌いながらがベストね!』

ズンチャッチャ ズンチャッチャ♪

ホリィ『すべては愛のターメリック♪』

ホリィ『はらはらハラペーニョ♪』

ホリィ『泣かれちゃヤダもん シナモーン カルダモン♪』

ホリィ『無理か パプリカ こりごりコリアンダー♪』



徐倫「お菓子ゲット!」ババァーーーン

徐倫「さて、パパの所にもどるか」

徐倫「ン? あの人だかりはなんだろ・・・」

ザワザワ

承太郎「・・・さくらーんしてサフラン ちょこっとチョコレート♪」

徐倫「!?!?」

承太郎「今さらガラムマーサラッ♪」


承太郎『でもあーしたがあるもん♪ シナモン♪ カルダモン♪』

承太郎『おいしーいカレーの・・・』

承太郎『できあ~~~~がぁりッ♪』

チャンチャンッ

ポルナレフ『ブラボー・・・おお、ブラボー!』ガタッパチパチパチ

花京院『感動的だ・・・』パチパチパチ

アヴドゥル『素晴らしい!』パチパチパチ

DIO『アンコール! アンコール!』
パチパチパチ

ワァァァァァ・・・ッ


承太郎「」ウットリ・・・

ヒソヒソ

主婦1「いきなり歌い出したのよ・・・エアピアノ弾きながら・・・」ヒソヒソ

主婦2「あらあら、まだお若いのにかわいそうに」ヒソヒソ

主婦1「ほんとよネー。さ、危ないから離れときましょ」ヒソヒソ

主婦3「きもちわるい」ヒソヒソ

DIO「うそだろ承太郎」


徐倫(・・・・・・パパ)ヨロッ・・・

空条家

承太郎「オホンッ」

徐倫「・・・・・・」

承太郎「それでは、これからカレー作りに取りかかろう」

徐倫「らじゃ!」

承太郎「徐倫、玉ねぎの皮をムキおわったらパパに渡せ」

徐倫「いえっさあ! ・・・・・・ほかには?」

承太郎「他はオレがやる」

徐倫「エ~・・・」

承太郎「そのかわり、おまえには後で最も重大な任務があるからな」

徐倫「よっしゃ!」

徐倫「・・・・・・ちなみになに?」

承太郎「味見係だ」

徐倫「エエ~・・・」

徐倫「じょりーん、ジャガイモくらいならむけるよ! ママのお手伝いよくしてるから」

承太郎「そうか、すごいな」

徐倫「へへっ」フンスッ

承太郎「玉ねぎ早くムケよ」

徐倫「もォ~ッ!!」ダンダンダンッ(地団駄)

徐倫(このくそおやじいまにみてろよ!)

承太郎「徐倫、ニンジンも入れるからな」

徐倫「いいワよォ~」

承太郎「ン? 食べれるようになったのか?」

徐倫「わたしは日々せいちょうしてるの」

承太郎「・・・・・・」

徐倫「なあに?」

承太郎「いや・・・」

承太郎(そういえば、少し背が高くなったか・・・・・・)

承太郎(ついこの間までフローリングをハイハイしていたはずだというのに)

承太郎(時間が経つのは早いな・・・・・・)

承太郎「・・・・・・」

承太郎「剥きすぎだ徐倫。それじゃあ食べるところがなくなっちまう」

徐倫「エッ!」

承太郎「茶色い部分がなくなればそれでいいんだ。よこせ」

徐倫「それは・・・早くいってよォ~」

承太郎「常識だ」

徐倫「先に娘に教えてやらないなんてひじょーしき!」

承太郎「・・・・・・それはそうかもしれんな」

徐倫「!」

徐倫(勝った!)ニンマリ

承太郎「おまえはまだ子供だもんな。配慮が足りなかった」ニヤリ

ポンポン

徐倫「!」

徐倫(・・・やっぱり負けた!)ムッカーッ



承太郎「味はどうだ?」

徐倫「ンー、なかなかにすぱいしーよ!」

承太郎「・・・おまえは食べられそうか?」

徐倫「・・・・・・」

徐倫「・・・もうちょっと甘くてもいいカナ?」

承太郎「わかった」

徐倫「いいにおーい!」

承太郎「イモもだいぶ柔らかくなったな、もう少ししたら食べるか・・・」

承太郎「あ」

徐倫「?」

承太郎「米炊くの忘れてたぜ」

徐倫「あー・・・」

承太郎「まいったな・・・これじゃあ昼食がどんどん遅れちまう」

徐倫「!」

徐倫「・・・・・・」チラッ

承太郎「まあ仕方ないか」

徐倫「・・・・・・」

承太郎「徐倫、ルーだけでもいいか? 具も大きいし食べごたえがなくも・・・」

徐倫「あ、あのさァ~」モジモジ

承太郎「・・・?」

徐倫「ごはんのかわりに、そのォ~・・・」

徐倫「・・・パンはどうかしら?」

承太郎「パン?」

徐倫「じつはね・・・」ガサゴソカパッ

徐倫「サンドイッチ・・・・・・もう出来てるの」

承太郎「!」

徐倫「見栄えがすごく悪いから、オーブンに隠してたんだけどさァ・・・」

徐倫「・・・ないよりはマシでしょ?」

承太郎「これ・・・・・・お前が作ったのか?」

徐倫「ウン・・・」

承太郎「・・・・・・」

徐倫「パパが帰ってくるっていうから・・・・・・お仕事で疲れてるんじゃあないかと思って、作って待ってたの」

徐倫「アッ! もちろんママの許可はとってあるわよ! じゃないと台所使えないもん」

徐倫「・・・・・・パパ?」

承太郎「・・・・・・」

徐倫「怒ってるの?」

承太郎「いや・・・・・・」

承太郎「・・・・・・気がつかなくてすまなかった」

徐倫「エッ!」

徐倫「あー・・・」

承太郎「・・・・・・」

徐倫「いいのいいの! パパと一緒にお料理できたの楽しかったもん」

徐倫「・・・また作ろうね!」

承太郎「・・・・・・ああ」

徐倫「・・・・・・」

承太郎「・・・・・・」

徐倫「・・・・・・パパ、お顔が怖くなってるよ」

承太郎「・・・・・・ああ、すまない」

承太郎「・・・・・・」クルッ ゴシゴシ

承太郎「それじゃあ、飯にするか」

徐倫「ウン!」

徐倫「どう? おいしい?」

承太郎「ああ、上手いな」

徐倫「ヤッタァ! すぐにでもおよめに行けそうな感じ?」

承太郎「・・・・・・そいつはどうかな」

徐倫「エー・・・」

徐倫「パパ、カレーもおいしいわね!」

承太郎「そうだな」

承太郎「・・・徐倫、ニンジンよけるな」

徐倫「ぎくっ」

承太郎「ぜんぜん克服できてねえじゃあねえか、食え」

徐倫「ウウ・・・こいつはヘビィだわ」

承太郎「おい、電波が悪いな・・・・・・もしし?」

承太郎「・・・ああ、今は聞こえる・・・ああ、そうか・・・・・・」

徐倫「すー、すー」zzz...

承太郎「徐倫?寝てるぜ・・・ああ、食ったよ。うまかった・・・・・・」

承太郎「・・・・・・だめだだめだ。お嫁にいくにはまだ早いだろう」

承太郎「あ? ・・・・・・笑うんじゃあない」

承太郎「・・・・・・」

承太郎「・・・それで、いつ帰ってくるんだ?」

承太郎「いや・・・・・・おれはしばらく長期休暇だ。だがじじいの件で、来週から日本に行く」

承太郎「・・・そうだな」

承太郎「・・・・・・」

承太郎「・・・・・・その話はまた今度だ」

承太郎「電話でするような話じゃあない・・・」

承太郎「・・・とにかく、早く帰ってこいよ」

承太郎「・・・・・・そうだな、徐倫も寂しがってるし・・・・・・」

承太郎「・・・・・・」

承太郎「・・・カレーも冷めちまう」

承太郎「・・・・・・」

承太郎「・・・・・・じゃあお前が帰ってきたらまた作ってやる。今度は本格的なヤツだ」

承太郎「・・・ああ? わかった」

承太郎「おやすみ」

ピッ

徐倫「すー、すー」zzz...

承太郎「さて、後片付けでもするか」

承太郎「・・・・・・」


ガチャガチャ
ワシャワシャ


徐倫「・・・・・・」ソォ~

承太郎「・・・・・・」ガチャワシャ

徐倫「・・・・・・」ジーッ

徐倫(パパ、またシュッチョウに行っちゃうのね・・・)

徐倫(ずっと家にいればいいのになァ)

ゴロン

徐倫(あ~あ・・・)

スベテ~ハ アイノ ターメリック♪

徐倫「!」

徐倫(また歌ってる・・・)

ハラハ~ラ ハラペ~ニョ♪

徐倫「・・・・・・」

徐倫(・・・ばかみたい)

徐倫「・・・・・・」

徐倫「・・・・・・プッ」

徐倫「・・・・・・へんなうた」クスクスッ

チャンチャンッ♪

【完】

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年03月18日 (火) 22:36:22   ID: 790Gujhq

ブラボー!!おおブラボー!!

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