ほむら「クジャクの舞だぁあ!」(64)




第一輪

若い命が真っ赤に燃えて




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ほむら「私は、まどかとの出会いをやり直したい」

QB「おめでとう、君の願いはエントロピーを凌駕した」

暁美ほむらは魔法少女となった。

宿命に選ばれ変わり、運命に従い進め、密命を帯びて働き、天命の下に生き、使命を冠して変えるべく彼女の砂時計は動き出したのだ。

ワルプルギス「アハハハハハハ!」

マミ「ほんと、悪趣味な笑い声ね」

マミ「余裕綽々のつもりかしら」

まどか「あはは、ちょっと疲れたかな、これは……」

強大な魔女は笑う。

全てを破壊し台無しにするように、彼女達の町も仲間も努力も知恵も素質も思いも全て砂上の楼閣と言わんばかりに。

強大な魔女は迫る。

海岸に作られたその砂山を、波が押しつぶすように。

ほむら(待っててまどか、マミさん)

ほむら(二人とも、助けるから)

ほむら(今度こそ必ず!)

ほむら「うわああぁぁぁぁ!!」

爆撃音が響いた。魔法少女として無意識に鼓膜をガードしなければ、脳まで突き抜けそうな異常な空気の衝撃。それも大量の。

マミ「あれは……戦闘機?」

まどか「まさか自衛隊とか?」

マミ「有り得ないわ、これは世間的に台風みたいなものなのよ?」

マミ「救助ヘリならいざ知らず、戦闘機なんて……」

ワルプルギス「ハハハハハハハハ!」

ミサイルを発射、そのまま特攻。同型機による、一撃離脱ならぬ一撃自殺。舞台の終焉を告げるべく、粗暴な破壊音のフルコーラスが辺りに響く。

ほむら「スティンガーミサイルもRPG7もモシン・ナガンもM16もプファイファー・ツェリスカ・リヴォルヴァーも効かないあんたでも」

ほむら「国内の新零戦全てを相手に立ち向かえると思って無いでしょう?世界最高の技術力舐めんなあああああ!」

ワルプルギス「ハハハハハハハハ、ハハハハハハハハ……」

マミ「効いてる……動きが鈍くなった…」

まどか「ひょっとして……ほむらちゃんが?」

まどかの呟きはほぼ確信。マミはそれを分かりつつまどかの肩を抱いて後退を始める。


まどか「ダメだよマミさん!ほむらちゃんが戦ってるのに!」

マミ「近くに居たら邪魔になるだけよ、次は逃げられない攻撃が来る。」

まどか「次?」

マミの視線に釣られて見た先には、巨大な要塞が迫っていた。

まどか「戦闘機の、大軍……」

マミ「違うわ、あれは爆撃機」

マミ「歴史の授業でやらなかった?この国を焼け野原にした、多分日本で一番有名な敵の機体」

マミ「B29よ」

マミ「自動操縦だとしても、どっから盗んで来たのかしらね、あの子は……」

ほむら「消え去れ、ワルプルギスの夜!」

ワルプルギス「アハハハハハ――」

ほむら「倒した……」

ほむら「やっと倒した」

ほむら「ねえやったよ、マミさん、まどか!」

巨大なグリーフシードが瓦礫の中に怪しく輝く。上空でそれを確認した直後、ほむらの心に絶望が射し込んだ。

まどか「あ…ああ……ああああ……!」

マミ「いや、私が…私で無くなってしまうみたい……!」

黄色い魔法少女と桃色の魔法少女が、小さな魔女と巨大な魔女へ相転移する瞬間を、見た。

ほむら「!?」

ほむら「どういう事…?」

心拍数が跳ね上がり、操縦桿を持つ手が震える。機体は水平を保てず、回転しながら落下を始めた。

逃げなきゃ。

警告音に従い本能が緊急脱出装置を押させる。そうして上空からゆっくり降下を始めたほむらの側へ白い現実が迫った。

ほむら「キュゥべえ、どういう事なの……」

QB「君が思っている通りだと思うよ」

QB「あの二人のソウルジェムが完全に濁ったんだ」

QB「君が駆けつけた時点でけっこうギリギリだったんだけどね」

QB「ワルプルギスの夜が倒れて気が抜けたんだろう」

ほむら「まさか、魔女っていうのは……」

QB「うん、魔法少女の末路は、生きて魔女になるか」

QB「その前に負けて死ぬかしかない」

QB「僕としては魔女になってくれないと困るけどね」

ほむら「……なさい……」

QB「ん?聞こえないけど何て言ったんだい?」

ほむら「全部説明しなさいって言ってんのよ…!!」

QB「やれやれ、何をそんなに怒っているのやら」

QB(まあ彼女のソウルジェムもそろそろ限界だ)

QB(このまま話して3人共魔女になって貰うのも良いかな)

QB「良いだろう、じゃあ包み隠さずはぐらかさず懇切丁寧に順番通り伝えようじゃないか」

彼女は全て聞いた。

キュゥべえは正しくはインキュベーダーだということ。

ソウルジェムが魂で肉体は脱け殻ということ。

魔女になった時の、希望から絶望へのエネルギーを彼らは回収し宇宙の存命に繋げている事。

洞窟暮らしをしていた程の昔から人類に関わって来たこと。

そして、インキュベーダーは「嘘は言っていない」事。

QB「深く聞かなかったから答えなかっただけだよ」

QB「君達は契約する前に聞くことだって出来た筈さ」

QB「それなのに、それを廃棄して願いに飛びついて来たじゃないか」

ほむら「じゃあ私達は、宇宙が延命治療する為の莫大な料金を払って来たって言うの……?」

QB「そういう解釈も出来るんじゃないかな?」

QB「感情の無い僕達には理解出来ないけど、自己犠牲と献身は君達には美徳なんじゃないのかい?」

QB「ならばやったね、君は全宇宙の為に素晴らしい道を選んだよ」

パンッ!

ベレッタの弾が脳天を貫き、白い肉体が地に落ちる


ほむら「この野郎…!この野郎この野郎この野郎この野郎この野郎!!」

動かぬ死体へ撃ち続ける。そうしたところで何が変わるわけでも無いのに。それでも繰り返し引き金を引く。スライドが開きっ放し弾切れとなればすかさずカートリッジを交換し白き虚像を撃つ。

ガチンと不愉快な音が鳴り銃声が止んだ時、やっと彼女の涙は止まっていた。

ほむら「ジャムった!?これだから旧式のM9は!」

QB「いくらの肉体に代わりがあるとはいえ、勿体無いから止めてくれないか?」

ほむら「こいつっ!」

QB「そんな悠長な事をしていて良いのかい?」

新たに出現した個体へ銃口を向ける。その後ろに見えたのは、二体の魔女だった。

ヤジロベエのように揺れる魔女と植物のような根を広げた魔女。いずれもこれから結界を生み出すのかそれとも生み出す必要も無いのか、生身のまま首らしき部分をガクガクと揺らしていた。

まるで眠りから覚めた人間が伸びをするかのように。

QB「言っておくけど、今の君じゃあの二人の魔女に勝てないと思うね」

QB「ワルプルギスの夜に使った戦闘機だって無いんだし」

QB「だから今更、そんなマシンガンなんかじゃ無駄だと感じるけどな」

ほむら「これはアサルトライフルよ」

QB「そうかい、それは失礼」

ほむらが向かう先はワルプルギスの夜が残した巨大なグリーフシード。汚れきった己のソウルジェムを押し付けながら、かつての戦友を睨み付ける。

ほむら「二人共、ごめんね……!」

白い白い爆発が、空間を支配する。

それはかつて、生まれたばかり大地が赤く轟き新たな緑をもたらした時に似ていた。

たまの息抜きにちまちま書きます
今夜はこれにて

『1ヶ月前』



ほむら「全く、なぜ毎度毎度このベッドなのかしら」

ほむら「時を遡る事と止める事、非常に強力な力だけれど」

ほむら「決して望ましいレベルとは言えないわね」

ほむら「己の資質を恨むわ、本当に」

血走った眼で病室を見渡してから、重い腰をあげる。

このループは今までとは違う。

起承転結で人生を語るなら、今は転。

これまでの事実も理論も全て消し炭にする為の準備期間は終わった。

後は、サッサと魔法少女達と接触しなければ。

そうして足早に、病室を跡にした。

まどか「あっ…!」

まどか「ひどい…」

QB「仕方ないよ。彼女一人では荷が重すぎた」

QB「でも、彼女も覚悟の上だろう」

まどか「そんな…あんまりだよ、こんなのってないよ」

QB「諦めたらそれまでだ」

QB「でも、君なら運命を変えられる」

QB「避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい」

「滑稽ね」

QB「なんだって?」

「今更なにを言っているの?」

「この滅びも嘆きも、根幹はその子じゃないの」

まどか「い、いや……やめて……」

「さあ全てを壊し全てを食らえ!」

数多の生物の死骸の上で、血にまみれながら睨む巨体。その奥に、恐らく口の辺りに見えた。人間。

それは紛れもなく、その巨体を従え操る存在。なんの疑いもなく、それは。

まどか「目覚めなさい!まどか!!」

まどか「いやあああああ!」

まどか「はぁ……はぁ……」

まどか「……夢オチ?」

まどか「酷い寝汗、グシュグシュするや……」

まどか「……」

まどか「なんだか今日は、嫌な日になりそう」

ほむら「どこだインキュベーダー」

ほむら「現れろ、この宇宙を守りたいのならば」

あるビルの屋上にて、なるべく広範囲にテレパシーの波長を放つ。

しかし応える者は誰もいない。

ほむら「そうか、それもまた良かろうて」

ほむら「ならば鹿目まどかは、今日死ぬ」

ほむら「貴様が契約を迫るより早く私が殺す」

ほむら「なかなか便利だぞ、爆弾というものは」

通学路の電信柱の影に、ゴミの詰まった小さなレジ袋があった。誰も気付こうともしない、無視され続ける異物。

暁美ほむらという魔法少女がそんな場所に爆弾を仕掛けたなどと、誰一人気付きはしない。

そうして、その電柱の前にターゲットのまどかが訪れるのを、非常に愉快そうに待っていた。

ほむら「あと10メートル」

ほむら「魔法少女の素質がある人間が、朝から臓物をぶちまけるのも」

ほむら「なかなか良い」

口元をニヤリと持ち上げた時、双眼鏡が白く濁った。

ほむら「遅かったな」

QB「君は何者だい?」

ほむら「感情は無くとも興味は持つか、相変わらず愉快な生き物だわ」

ほむら「分かるだろう、私は魔法少女よ」

QB「少女?君がかい?」

ほむら「何がおかしい」

QB「グレー気味のボサボサ髪にしゃがれた声」

QB「皺だらけの肉体と…」

QB「何より、なんだいそのヒゲは」

ほむら「なぁに、私自身の肉体年齢など些末な問題だ」

QB「いや、でもね……お爺さん」

ほむら「私は女子中学生だ、殺すぞ貴様」

QB「わけがわからないよ……」

一時間後

早乙女「はい、では転校生を紹介します」

早乙女「でもその前に、みんなに先に言っておく事があります」

早乙女「転校生の名前は暁美ほむらさん」

早乙女「彼女は治療不能の難病を患っています」

早乙女「でも先生は、みんながそういった事で差別をする人達じゃないと知っています」

転校生に沸き立っていたクラスが静まり返り、妙な緊張感が支配する。

さやか「ガン…とかかな?まどか」

さやか「たまにあるじゃん、抗癌剤のせいで髪の毛が無い女の子とか」

まどか「うん、そうかもしれないね」

早乙女「じゃ、入って来て」

まどか「 」

さやか「 」

入って来たのは、老人だった。

ほむら「暁美ほむらです」

ほむら「ホルモンバランスが狂ってるせいでこんなヒゲが生えていますが、女です」

ほむら「もっとも子宮も卵巣も切除したんで月経は来ないし、女の判断基準から外れてますけどね」

ほむら「あ、急速に老化をしていますが、骨や内臓機能はまだ10代だそうです」

ほむら「見た目だけ爺さんなわけです」

ほむらだけがクスクスと肩を震わせていた。

クラス中が見てはならないものを見たかのように静寂に包まれる。

ほむら「やだなあ、笑ってくださいよ」

ほむら「指差してゲテモノ扱いとかしましょうよ」

ほむら「じゃないと……」

ほむら「私が惨めでしょうに」

眼鏡の奥、グレーの厚い眉毛に隠れていた瞳が、ギロリとクラスを突き刺した。

さやか「どうすんのよ」

まどか「どうしよう」

まどか「こんなの絶対おかしいよ」

さやか「うん、おかしすぎるよ」

転校生の挨拶に対し、質問は0だった

気まずくて話しかけづらく、HRが終わっても0のままだった

さやか「ちょっと、転校生がこっち見てるよ」

まどか「知ってるけど、気付かないフリしてるんだよぉ」

オロオロともたつく2人を、顔の左右が愉快なまでに非対称な彼女は見つめていた

さやか「わ―、ヒド―い、まどかサイテ―」

抑揚が皆無で目も死んださやかがわざとらしく呟く

まどか「逆になんて話しかけるべきか分からないよ」

まどか「経験値もボキャブラリーも足りないよ、もし魔法を使えるならどうにかしたいよ」

まどか「助けて、さやかちゃん」

さやか「ねぇ知ってる?死神はりんごしか食べないんだよ」

まどか「……」

さやか「……」

二人は頭を抱えて溜め息をつきあった

ほむら「鹿目まどかさん、美樹さやかさん」

ほむら「で、合ってるかしら……?」

さやか「ひゃいっ!?」

まどか「な、なんですか!?」

ほむら「確か、そう…そうそうあなた」

ほむら「保健委員だったはず、早乙女先生から聞いたから」

ほむら「保健室へ連れて行って欲しいのよ、具合が悪くてね」

まどか「あ、うん…分かりました」

ほむら「いやはやすまないねぇ、こんな身体じゃなければ……」

ゲホゲホと咳をしながら、まどかへ一礼する老体

ほむら(おい美樹さやか、ツッコミは無しか?)

ほむら(せっかくあなた好みのボケをかましたんだけど?)

さやか「だ、大丈夫!?まどか、早く連れて行ってあげて!」

まどか「うん!大丈夫ですか暁美さん、ゆっくり行きましょうね」

ほむら(なんだなんだ、いつものループよりクラス中がざわめいているな)

このほむらの様子を見て、「おとっつぁん、それは言わない約束でしょ」なんて返しが出来る中学生など居なかった

まどか「大丈夫?休みながらでいいよ?」

ほむら(はて、いやにおどおどしているような?まあいいか)

ほむら(ここで、鹿目まどかにしっかり釘を刺しておくこう。)

まどか(あれ?なんだか前もこんな事があったような……デジャヴ?)

連れ添うように歩く。というかあまりにほむらの病状がシャレにならないと感じたまどかが一方的に肩を抱くようにしていた中、転校生は口を開いた。

ほむら「ねえ、まど…鹿目さん」

まどか「まどかでいいよ」

まどか「なに暁美さん?やっぱり速すぎたかな?」

ほむら「いいや。あと私もほむらでいい」

まどか「わかった、ほむらちゃ…さん」

ほむら(さんづけ?最初にインキュベーターと接触した故の差異?)

まどか(申し訳ないけど、同い年に見えないのにちゃんづけはちょっと厳しいよね…)

まどか(皮肉に取られたらイヤだし)

暁美ほむらが立ち止まり、相手を突き刺すように見据える。それはやはりまどかには既視感があった。

ほむら「鹿目まどか」

まどか(知ってる。私はこの先を……)

まどか(忠告されるんだ。とっても大切なことを……)

まどか(確か、『変わらない』事が――)

ほむら「人間ならやはり、今の己を、変えようと思うべきよね」

まどか「……」

まどか「えっ?」

気のせいだった。

ほむら「今の自分に満足か?」

ほむら「満足してはいかん」

ほむら「今の暮らしに満足か?」

ほむら「満足してはいかん」

ほむら「欲しろ、全てを」

ほむら「食らえ、奪え、手に入れろ」

ほむら「全ての生き物は、互いに食い合い進化する為に存在するのだ」

ほむら「ならば、進化せよ鹿目まどか!」

ほむら「宇宙などという矮小な存在すら、いくらでも食らえるほどに!人類として新化すべきだ!!」

ほむら「そうでなくては、人類が生まれた意味がない!」

まどか「あ……う、うん……」

まどか「とりあえず保健室行こうね」

まどか「みんな見てるし、廊下で騒ぐと迷惑だから、ね?」

まどか(興奮しすぎて口調変わってるよ……)

まどか(そもそも内容が意味不明だし、浮き出てる血管は切れそうだし)

まどか(まさか頭イっちゃって、なんてことはないだろうけど……)

まどか(暁美さんが、病気になってアンラッキーだなぁ……)

ほむら「そもそも人類が去るから進化したのは、宇宙から降り注いだ――」

まどか(……なんか語りだした)まどか(ああもう、保険委員にならなきゃ良かったかも)

まどか(さすがに面倒だよ、この事態は)

さやか「おかえり、遅かったね」

まどか「ただいま…はあ……」

さやか「どしたの?」

まどか「なんかね、暁美さんが『進化するんだ』『戦え!喰らえ!』とか言い出して」

まどか「生物の進化や根源について、力説された」

さやか「変わった人だね、やっぱり……」

まどか「ずーっと入院してたから、かな……」

さやか「かもね、多分コミュニケ-ション取るの苦手なんだよ」

さやか「あたしもさ、なるべく手伝うからさ」

まどか「ありがとう…さやかちゃん」

ほむら「準備は上々」

ほむら「美樹さやかは上条恭介の見舞いに入り浸ってもらい、契約をさせる」

ほむら「志筑仁美はなんとしても生き残らせ、さやか魔女化の後押し役」

ほむら「佐倉杏子には金とGSをちらつかせ、千歳ゆまをけしかける」

ほむら「鹿目まどかは、しばらくは恐怖で契約を思いとどまらせねば……」

ほむら「そのために、」

QB「巴マミに死んでもらうんだね?」

ほむら「ええ、なるべくショッキングな、無様で陰惨な死に方をね」

ほむら「だから打ち合わせどおりに、まどかを呼び出して巴マミに保護されなさいよ」

QB「僕としては、鹿目まどかさえ契約してくれれば助かるんだけどな」

ほむら「勝手なことはしない約束のはずだけど?」

QB「わかってるよ、邪魔な魔法少女を一掃し、まどかにワルプルギスの夜を倒させ、君はGSを回収する」

ほむら「あなたは魔女化したまどかからエネルギーを手に入れ宇宙を延命させ地球からサヨナラ」

ほむら「孵化直前のGSを破壊すれば最強最悪の魔女も怖くない」

QB「完全に孵化しないとエネルギー回収は不十分なんだけどね」

ほむら「不足分は他の魔法少女で補填よ」

QB「確かに十人もいれば足るだろうけどね」

QB「ああ……暁美ほむら、大切なことを言い忘れていたよ」

ほむら「なにかしら?」

QB「君、さっきからテレパシーじゃなくて声に出しているよ?」

ほむら「」

保健医「あの、大丈夫?さっきからずっと……」

ほむら「いえ、目眩と老化以外は平気です」

保健医「そ、そう……」

保健医(自虐きついって…困る…)

ほむら(うん、おちゃめキャラでなんとか凌げたわね)

ボードへ文字が走る。無言で暁美ほむらは数式を書き続ける。生徒も教師も、その異質さに息を呑む。

難問を素早く正確に解き明かしているからではない。書き続けている内容に理解が追い付かないからである。

教師「あ―…暁美、お前なにを書いたんだ?」

ほむら「この問題文は、重力素子やその遠心力により相殺される自身の重力に対する計算が除外されている。それでは時空孔異転を――」

教師「そうか!とりあえず座っていいぞ!」

爽やかな笑みと死んだ目をして、教師は着席を促す。まともに会話してられるか、という雰囲気が全身から染み出している。
クラスメート達も、深く考える作業を潔く放棄していた。そんなものだった。

ほむら「見学します」

早乙女「そうね、そうしましょう」

誰もがそう信じていた。階段の上り下りや席へ座るだけで膝や背中がパキパキと鳴っている相手に、運動しろなど言えるわけも無い。何より杖をついているわけだし。

さやか「まどか、あんた転校生の着替え手伝ってなかった」

まどか「うん、本人が引き裂こうとしてたからね」

さやか「……」

遠目で見守る二人の間に、何とも言えない沈黙が流れる。その視線の先にいる女性は、よっこいしょと古臭いかけ声と共に体育館の陰に座り込んでいた。

放課後

さやか「あれ、仁美は?」

まどか「日本舞踊のお稽古だから先に帰るって」

さやか「そっか……まどかは予定ある?」

まどかが首を横に振ると、彼女はCD屋へ誘った。いつものクラシックを探す為である。

まどか「また上条くんの?」

さやか「まあね」

軽く笑い合っていつもの大型ショッピングモールへ向かう。ちょくちょく仲間内でたむろしている馴れた場所。だがこの日は、そこに異邦人が入り込んでていた。


タ……テ…………。

まどか「えっ?」

…………タス……ケテ………。

まどか「誰、なの?」

試聴していたヘッドホンを外し辺りを見渡す。確かに聞こえたのだ、『助けて』と
 助けて!

まどか「行かなきゃ!」

まどかが走り出した直後、ショッピングモールが爆音と共に揺れた。

ほむら「死ねえぇぇっ!!」

フルオートにセットしたアサルトライフルを両手に構え、高笑いしながら彼女は走る。

インキュベーターと協力した演技。しかし攻撃は本気だった。

QB「助けてぇぇっ!早めに早めに!」

高所から飛び降りたキュゥべえを追いかけ、落下しながらRPGを取り出す。

QB(暁美ほむら、流石にそれは……)

ほむら(改造弾だし狙いは外すから安心しろ)

時間停止によりほぼ同時に十発ものロケット弾をぶち込み得物を改造拳銃を持ち代えて。暁美ほむらは笑った。

ほむら「くたばれ!インキュベーター野郎!!」

まどか「ば、爆発っ!?」

改装中により閉鎖されている一室。そこから確かに呼び声がする、頭に響いている。

しかし明らかに聞き慣れない危険な音と地響きが感じられる。だが助けをなければいけない、そんな使命感で入口を押せばそれがいた。

耳は千切れ、足はメチャクチャな方向へ曲がって、胴には穴が空いている。まさに瀕死、呼吸すら辛そうである。

まどか「あなたが私を…」

そんな事より早く助けないと。
出かけた言葉を飲み込んで手を伸ばす。

それを弾丸が遮った。

耳が裂けそうな音に縮こまるまどか。それを確かめるように靴音が近寄っていく。

QB「助けて…」

ほむら「そいつを渡してもらおうか」

まどか「ほむら、さん……?これ、あなたがやったの!?」

ほむら「良いから渡せ、害虫はさっさと駆除したいんだ」

二人の少女は目が完全に違う。怯える弱者の目と寒気を与える目。獲物を狩る目ですらない、道を踏み空気を吸うように、極めて当たり前のような行動だと。この腕の中の物体を消し去ることは、摂理だとでも言うような目。

 さやか「まどか、こっち!」

その空気を白煙が遮った。

ほむら「貴様まで邪魔をするのか、死にたいかあぁ!」

中学生の手には不釣り合いな巨大な銃を構える。殺意が噴き出す。

まどかの背中、消火器を投げるさやか。迫る赤い塊を左手で真横になぎ払い、右手の散弾拳銃をの引き金を引いた。

カチンッ

ほむら「弾切れか」

煙幕に紛れ去った事を確認し、ほむらは改めてほくそ笑んだ。

さやか「なんなの、なんなのあいつ!」

さやか「おかしいよ!」

消火器に怯まなかった事も、コスプレで通り魔をしていた事も、爆発の現場近くに居たことも、自分達に憎悪の視線を向けた事もだが。なにより、重い金属の塊を容易く片手で払いのけた事実がおかし過ぎた。

さやか自身、この異常を区分け整理して理解はしていない。しかし自分が関わった投擲という日常が非日常にねじ曲げられた不快感こそ、苛立ちを助長させ脳を掻き回していた。

さやか「つーか何それ、ぬいぐるみじゃないよね?生き物?」

まどか「わかんない。わかんないけど……この子、助けなきゃ」

抱きかかえた白い異物は、絶え絶えの呼吸をしては傷口から赤い身が見える。
弱っている事実が庇護欲を掻き立て、悪意ある外敵から守ろうと結束を強くする。

暁美ほむらイコール悪という認識が、育つ。

 やがて、二人が目指す先が行き止まりとなり空間が歪み始めた。

目指す非常口は無く、玩具箱をひっくり返したような、絵の具をごちゃ混ぜにしたような、気持ち悪い場所にすり替わって行く。

それは魔女の結界だったが一般人の二人が知る由もない。

さやか「あーもう、どうなってんのさ!」

まどかの視界が、ナニカを捉えた。

さやか「冗談だよね?私、悪い夢でも見てるんだよね?ねえ、まどか!」

それは一つではない、多数の毛玉。ヒゲが生えて目がギラつき、何やら怪音を挙げながら輪になって。所持したハサミを振りかざす。

 死。

それを意識する間も無く、黒で潰された心を、明るい光が守った。

さやか「あ、あれ?」

まどか「これは?」

マミ「危なかったわね」

彼女は天使のように舞い降りて、危機を救い賜うラッパの音を囁く。

もう大丈夫だと、二人を拐かす。

残虐なる黄色い天使は、己の意識しない内に、二人の中の善へと認識される。

マミ「あら、キュゥべえを助けてくれたのね。ありがとう」

不思議な生き物を友達と呼ぶ。つまり彼女は何かを知っている。

まどか「私、呼ばれたんです。頭の中に直接この子の声が」

マミ「ふぅん…なるほどね」

マミ「その制服、あなたたちも見滝原の生徒みたいね。2年生?」

さやか「あ、あなたは」

何を知っているのか?

いやそれよりも何を落ち着いて雑談しているのか、今も光の外からはあの怪物が迫っているのに。

マミ「そうそう、自己紹介しないとね」

だが彼女は相変わらず余裕な態度を崩さないで、その前になどと微笑みながら、

マミ「ちょっと一仕事、片付けちゃっていいかしら」

飛んだ。

予備動作を感じさせない跳躍、そして上空から数多の砲撃。

まどか「す…すごい…」

怪物達はその身を貫かれ、焼き滅ぼされて消えていく。ファンタジーか何かのように、どこかへ去って行く。

さやか「も、戻った!」

周りの脅威が消え去った時、あの吐き気を催す世界もまた去った。今はただの立ち入り禁止区域でしかない。台風一過のように晴れ晴れしている気すらする。

マミ「魔女は逃げたわ。仕留めたいならすぐに追いかけなさい」

マミ「今回はあなたに譲ってあげる」

元通りの空間で影に隠れた相手へ向けて、警告がされる。

ほむら「私が用があるのは……」

マミ「飲み込みが悪いのね。見逃してあげるって言ってるの」

影にいる主は姿を見せず、声だけで応じた。だがそれすら切って捨てて、黄色の魔法少女は立ちふさがる。

マミ「お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」

ほむら「余計なトラブルというのは……」

ほむら「私の姿とかを言っているのかしら?」

マミ「っ!?」

一歩ずつ歩む敵、その老いて歪んだ顔が光に照らされた時の衝撃はやはり大きい。魔女とは違う異質、魔法少女同士とも違う異質、不快感を塗り固めたような異質。

ほむら「あの魔女に興味は無いが、あなたの高圧的な態度は腹立たしいわ」

ほむら「だからお土産よ」

異質は、いつの間にか金属を降らせて去って行く。それが手投げ弾と気付きリボンの結界を張ることは、屈辱でもあり反省でもあった。

マミ「ムチャクチャな人ね…」

さやか「し、死ぬかと思った…」

マミ(本当に殺す気で?)

マミ(違う、私が守ると踏んでのこと)

マミ(やられたわ……)

 QB「ありがとうマミ、助かったよ」

ほむらの攻撃にへたり込む二人も、口々に感謝をする。

マミ「お礼はこの子たちに、私は通りかかっただけだから」

マミ「それより、私こそごめんなさい」

ぺこりと頭を下げた救世主に二人は顔を見交わす。

マミ「あなた達がいるのに配慮が足りなかったわ、最後の爆発は明らかに私の落ち度よ」

さやか「いやっ、全然そんな!」

まどか「そうですよ、頭をあげて下さい!」

互いに謝り合いおあいこと言うことにはしたが、マミの気は治まらなかった。
せめて罵ったり当たり散らしてくれれば、罪深き悲劇のヒロインでも気取れただろうにとすら考えていた。

そして、互いに言葉を交わせないこういった妙な沈黙は長引く程に面倒になる。

 QB「とりあえずどうもありがとう、僕の名前はキュゥべえ」

この時間の浪費は無意味だ、と判断した白き異物は、会話の停滞を打ち切りさっさとノルマの為の本題へ移る。

まどか「あなたが私を呼んだの?」

QB「そうだよ鹿目まどか、それと美樹さやか」

さやか「なんで私たちの名前を?」

調べたから、などとバカ正直に答える事はならない。暁美ほむらとのリハーサル通りにはぐらかし、契約を求める。慣れたものだ。

QB「僕、君たちにお願いがあって来たんだ」

まどか「お…おねがい?」

QB「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ」

魔法少女、何のことやらと目を丸くする二人を余所に、一人と一匹の共犯者は内心で確かにほくそ笑んでいた。



第二輪

地球に朝が来なくても



ほむら「見つけた、いつもと同じね」

日の当たる河原で黒猫がくつろぐ。それ眺めながら、彼女は習慣化した捜索の成功を喜んだ。

何回目からなのか覚えてはいないが、変化が無いということはつまり計画が滞りなく進んでいる証拠だ。ゲームにおける乱数と変わらない。同じように動けば同じように結果が出る。

軽く辺りを見渡して、盾より武器を取り出す。それは特撮に出て来る鉄砲の玩具にしか見えなかった。

銃口に穴は無く太く短い鉛筆のように尖り、その後ろにはコイルのような赤い束がチラつく。
鉛筆のような銃身二本を平行に並べて、それを繋ぐ箱にはグリップ、照準機のように揺れるさくらんぼ型のアンテナ。

引き金を引けば機械的な発射音と赤い点滅でもしそうなそれを、あくびをする黒猫へ放った。

黒猫「ジャアアアアアア!?」

おおよそ猫のあげるような声ではない悲鳴を放ち、黒猫は土塊のように変色して崩れ去る。

二つの先端から音波のように照射された細胞破壊光線で跡形も無くこの世から消え去ったのだ。

QB「おや、こんな場所で何をしているんだい?」

ほむら「あなたを待ってたのよ」

銃をしまった七秒後にそいつは現れ、毎度変わらない台詞と仕草で問うた。

QB「何故?」

ほむら「『前に』ここで会ったから」

QB「なるほどね、じゃあ僕はあとどれくらい居れば良いんだい?」

理解が早いのは助かる。
そこから腕時計をじっと眺めながらほむらは無視して歩き出した。

QB「なるほど」

QB「『初めて』ここであった時点では、どうやら僕の正体はまだ分かって居なかったわけか」

納得した様子で白き来訪者は歩き出す。最初の予定通り素質ある者を探す為。
一度だけ振り向くと手を思い切り離しながら確認している姿が見えた。老眼ならば魔法で補助すればいいものを。理解出来ない行動だったが、まあ関係ない。

ほむら(今日中に石島に接触、夜明けまでに戻れば間に合うか)

カチンと音を立てて、彼女は停止した時を走り出す。
いつものように、立った一人で。

 あすなろ市。見滝原からの遠足で来れる程度に近いこの都市にも、魔法少女やその関係者は大勢いる。

ほむら「石島美佐子巡査、いや巡査部長?そもそもノンキャリ組だったかな?」

ほむら「まあそんな事はどうでも良いか」
石島「!? あ、あなたここにどうやって」

ほむら「私が誰かもどうやって来たかも問題じゃない、あなたは女の身で権力が欲しいんだろう?」

ほむら「自分の欲の為に出世したいんだろう?個人的に気になる未解決事件を調べたいんだろう?その為にのし上がりたいんだろう?」

突然現れた不審人物、それがグイグイと本質をほざく。RPGの主人公は敵を殺したいだけだと、恋も結婚も性交も子孫を残したいだけだと、極論と理解した上でぼかし理由を付け新しい目的にすり替えている事を平然と踏みにじって。

ほむら「このメモの日時に行くと良い、爆弾魔に会えるぞ」

ほむら「失敗した時の為に、保険の『チカラ』もくれてやろう」

硬直する彼女にメモと小さな棘のような練り消しのようなものを手渡し、好きに使えと笑って老人は消えた。

茫然自失の女性は、それをゆっくりとスーツのポケットに入れる。そうしてしまうまでに、疲弊した精神だったから。

 ほむら「今回もさようなら聖カンナ、出来れば二度と会いたく無いわ」

大きめな水鉄砲のような楕円フォルムの銃を撃つ。止まった時間で放たれた弾丸は対象のこねかみで停止し、暗殺者はその場を離れた。

時が動き出した時、一家団欒の食卓は惨状に変わるだろう。命中すればゾウでも三十秒で溶かし殺す特製の科学兵器、祈りで生まれた魔法少女のコピーでも、憎しみで契約した新しい魔法少女でも、耐えられるような品ではない。

それでも念には念を入れて、外からバズーカを撃ち込む。六角形型に配置した七つのロケット弾を同時に発射しビルも一撃で消し去るそれを、容赦なく。

何度やり直したところで交渉出来ない相手には、退場して貰うしかないのだ。
雲を焦がす程の爆風を見つめながら、ほむらはそう噛み締めた。

 ほむら「この場で彼女が死ねば、存在不明であるヒュアデスに私が成り代わる事が出来る」

ほむら「双樹にもユウリにも接触し、貯蓄しておいた悪魔の実(イーブルナッツ)を与えられる」

ほむら「この託された願いの為ならば、犠牲の数など厭わない」

次は魔法少女体験コース第一弾で喧嘩をふっかけねばならない、今からならなんとか間に合うだろう。

 マミ「基本的に魔女捜しは足頼みよ」

さやか「意外と地味ですね……」

昨日戦闘した場所から、ゆっくりと歩き回る。ソウルジェムが捉える魔力の気配を辿れば、いつか会える可能性が無い訳ではないという作業。三人と一匹の少し遠い、初めての寄り道。

さやか「光、全然変わらないっすね」

マミ「取り逃がしてから一晩経っちゃったからね、足跡も薄くなってるわ」

まどか「あの時、すぐ追いかけていたら…」

マミ「仕留められたかもしれないけど、あなたたちを放っておいてまで優先することじゃなかったわ」

まどか「ごめんなさい」

マミ「いいのよ」

マミ「悪いのは、私の方だから……」

マミ(そう、傲慢だった私のせい、加減されなかったら確実にやられていた)

美樹さんは私を正義の味方だと誉めてくれるけれど、そんな高尚な人間じゃない。弱い弱いただの小娘だし……

まどか「あっ、反応した!」

ハッとして意識を戻すと、ソウルジェムは強く輝いていた。急ごう、きっとかなり近い。

 QB『おっと、昼の一件は別個体の僕だよ』

ほむら『そう、まあ良いけど』

QB『ただあの二人が君の銃を使うとは思えないな』

ほむら『威力は申し分ないのだけれどね』

QB『反動で肩が吹き飛ぶんじゃないかな?』

ほむら『なら巴マミが治療すれば良いわ』

QB『暁美ほむら、君はあの三人にどれだけ信用されていないか理解しているかい?休み時間もそうだったじゃないか』


――
――――

さやか「昨日の続きをしようっての?」

ほむら「いいえ、私としてはソイツを会わせたくなかっただけよ」

ほむら「だからそこで臨戦態勢になってる誰かさんも出て来たら?」

マミ「……」

ほむら「あなた達の事だから、どうせ魔法少女体験だのという火遊びの相談でもしてたのでしょう?」

さやか「何をぉ!」

ほむら「止めても行くのだろうからお守りをくれてやるわ、やり方は引き金を引くだけ、一発で使い魔どころか戦車も吹っ飛ぶわよ」

放り投げられた二丁の殺傷兵器が、床を滑りながらまどかとさやかの足元に届く。見た目はただのモデルガンだが、触ったキュゥべえだけはその質から本物だと確信した。

QB「小型ミサイル並みの威力のこんな小さな拳銃に圧縮したのか、発想が狂ってると言えるね」

マミ「止めなさいキュゥべえ」

ほむら「誉め言葉として受け取っておくわ」

マミ「暁美さん、悪いけれど心配は無用だわ、これは返――」

まどか「えっ、消えちゃった……?」

――――
――


ほむら『使ってマミが弱れば良し、使わないままマミに依存するも良し、よ』

ほむら『そろそろ飛び降りを止める頃ね、切るわ』

QB(本当に自殺未遂者がいて、マミに助けられた……彼女の計画通りと言うわけか)

QB(しかし、若い女性と聞いていたけれどこれは……まあ良いか)

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