咲「兵庫県代表…SOS団?」(449)

ハルヒ達SOS団を咲の麻雀のIHに出してみたかったので。

ミス等どんどん指摘お願いします。

基本不定期更新でだらーりとやっていきますのでお暇であればお付き合いください。
構想も結末も考えてあります。文章化には至っていませんが。
あとごく希に(人がいれば)安価をとります。

最後に一言。

劒谷高校は犠牲になったのだ…

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1352725581

21世紀、世界の麻雀人口は一億人を超え、我が国日本でも大規模な大会が毎年開催され、プロに直結する成績を残すべく、
高校麻雀部員達が覇を競っている…らしい。

タン。 タン。 タン。

静まりかえった部室内にこの音のみが響く。
外からかすかに聞こえる運動部の奴らのかけ声も、長門がページをめくる音も、この部室の静寂の一部となったかのようだ。

定位置で読書中の長門を除く俺たちSOS団四人は、いつもの長テーブルではなく、小さな正方形のテーブルを囲むように座っていた。

わずかに部室の空気を揺らすのは、俺たちの右手がわずかな距離を往復する動作と、時折発せられる短い声のみ。
俺は神経を集中し、卓上を見つめながら思考を巡らす。

頭の中にいくつか選択肢はある。今はどれをとるのが得策か?

これは戦いであり、気を抜けば一気に奈落の底へ転落することは目に見えている。
俺は頭で弾き出した選択に従い、手元の小さな直方体を掴み、テーブル中央付近に置く、と

「ローン!19800!あんたのトビね!」
くそ。山越しかよ。悔しがる俺にとどめを刺すように対面のニヤケ面男が口を開く。

「貴方はもっと放銃を少なくするべきでしょう。」
黙れ古泉。てめぇはさっきからずっとベタオリし続けてるだけだろうが。

「ばれましたか。」

「キョンくん、どんまいです~」
ああマイエンジェル朝比奈さん。この状況下では貴方だけが俺の精神的支柱ですよ。

「まるで成長してないわね。キョン。そんなんじゃ出場しても赤っ恥かくだけよ?長孝してるふりだけは様になってたけど。」
うるさいわい。つい数日前までルールすら忘れかけていた状態だったんだ。お前が俺ばかり狙い撃ちするからだろうが。山越しで和了りやがって。

「ふん。あんたがうかつに合わせ打ちなんかするからでしょ。」
あーはいはい次からは善処いたしますよ団長さん。いいからさっさと洗牌しろ。こら爆弾積みしようとすんな。

まるで格ゲー上級者の俺TUEEEEEに付き合わされているような心境である。モチベーションはだだ下がりだ。

もうおわかりと思うが、俺たちが今やっているのは麻雀である。

なぜ去年の夏休みに孤島でやったっきりの麻雀を、いまさら部室でやっているのか。話は数日前に遡る。回想モード、スタート。

周防やら藤原やらの一件が、過去の俺にプレゼントを渡させるという最後のミッションを達成したことで完全に終わった後、数日経ったある日の放課後のこと。
俺はいつものように部室へと足を運んでいた。一人で。
なぜ一人かというと、HRが終わるなりハルヒが重大な発表があるから先に行っててと言い残し教室から飛び出していったからだ。
この手の発表をすることが俺に事前に知らされるとは珍しいなと思いつつ、部室のドア前に立ち、ノック。

「はぁい」
うーん、いつ聴いても癒やされるね。自然と顔がにやける。ドアを開け、部室に入るとそこには見慣れた光景が広がっている。

「お茶いれますねー」
椅子に座った俺に朝比奈さんが笑いかけながら言う。
よし、これで今日も禁断症状に悩まされずに済む。もはや俺の体の水分の殆どは朝比奈さんの煎れるお茶だと言っても過言ではないね。

「ありがとうございます。ところで今日はハルヒが重大な発表があるとかいってましたが知ってました?」
「ううん。私も初耳。」
朝比奈さんも知らないのか。珍しい。

しばらくすると、音高くドアを開けて我らが団長が部室に入ってきた。入ってくるなり
「麻雀のIHに出るわよ!」

と、資料と思しき書類を俺たちに突きつけながら叫んだ。誰も口を開かないので俺が返答する。

「なんだって?麻雀?IH?つまり高校生の麻雀大会ってことか?」

「そうよ!今年からルール改正があって、男女別だったのが統合されたからあたしたちでも出られるようになったのよ!
というわけで、私たちSOS団は高校麻雀部員一万人の頂点に君臨すべく、IHに出場します!」

「ウチの学校に麻雀部があったらどーすんだ」

「無いわよ。だからモーマンタイ!」
……いつぞやの野球大会を思い出す。あのときもこんな風だったよな確か。つーか一万人って。たいした規模だな。

「古泉くん、一時的に私たちSOS団は麻雀部として活動することになるわ。その辺の申請とかはよろしく!」
申請先は生徒会なんだろうな。こいつがネゴシエーターとして出ればまぁ大丈夫だろう。

「かしこまりました。閣下。」

「キョン、あんたは大会ルールを簡潔にまとめてホワイトボードに書いておくこと。後でミーティングするときに使うからね!」
俺が返答する暇も与えず、

「有希、みくるちゃん、あたし達は麻雀牌を買いに行くわよ!さぁ!さっさと着替えてみくるちゃん!」

「わひゃあ!脱がさないでください~」
俺と古泉はハルヒがさぁ!と言ったあたりから既に部室のドア付近に移動しており、外に出た。
あいかわらず俺たちの意見は聞かず、か。まあ承諾はせども拒絶することはあり得ないんだけど。ハルヒもそこら辺は分かっているのだろう。

部室のドアに背中を預けつつ、俺はとなりのニヤケ面に訊いた。

「今回もお前の差し金か?」

「いえ。違います。涼宮さんがご自分で見つけられたのでしょう。」

「それにしても麻雀大会とはね。そんなもんが開催されていること自体知らなかったぜ。しかも結構規模がでかいんだろ?ハルヒが言うには。」

「はい。テレビ中継もされていますからね。」

「知名度で言うとどれくらいだ?」

「甲子園と同じくらいでしょうね。」
知らなかった。我が家は俺以外麻雀のまの字も知らないからな。確か従姉妹には麻雀やってるやつがいたが。

「入っていいわよー。ほら有希。いくわよ。」
ドアの向こうから許可が下りたのでドアを開けると至近距離にハルヒの顔があった。

「んじゃ行ってくるわ。二人とも作業よろしくぅ!」
三人娘の後ろ姿を見送った後、俺は古泉とともに部室に戻る。

「大会要綱はこの書類でしょうね。僕は生徒会長の所へ行ってきます。」

「おう。」
部室には俺一人になった。さてさて、任務を果たしましょうかね。
えーとなになに…前大会からの変更点。まずはこれを見るとするか。
この規定をまとめると次のようになった。

(このSS内でのIHのルールです。原作との相違点には※をつけます。)

※今大会は、男女混合とする。ただし、男子のみ、女子のみのチームも可能とする。

※各校は、試合ごとにオーダーの配置を変更しなければならない。また、一度配置されたオーダーに再び配置することはできない。
 (先鋒に外国人をオーダーしてはならないという制限は取っ払います。じゃないと臨海がカタカタしてしまうので。)

 この制限は、県予選大会、全国大会それぞれに適用される。予選から全国へ勝ち抜いた場合は、オーダーの制限がリセットされる。

赤ドラ四枚入りルールを採用する。

包あり。

大明カンからの嶺上開花は責任払いとする。

云々。

知らない単語が沢山あるんだが…まぁおいおい思い出せばいいだろう。
こんなもんか。あとは書類に書いてある、で済まそう。そうしよう。
しばらくすると古泉が戻り、申請はおそらく受理されるであろう旨を俺に伝え、またしばらくするとハルヒ達が戻り、ミーティングやらルールの確認やらやったあと、つつがなく団活は終了した。

はい、回想終わり。そんでもって今、我々SOS団は北高麻雀部として、活動しているということになったわけだ。
「キョン何ぼーっとしてるの。さっさと始めるわよ。」
はいはい。ちょっとは手加減してほしいね。なんせ今まで南入したことが一度も無いんだからな。お前が起家だったら東一局で終わっちまう。
「うるさいわね。その状況をどーにかして切り抜けなさいよ。SOS団の一員ならね!あ、天和。」
「………」

とりあえずここまでがプロローグ。
キリがいい上に文章を精査し直したいので、ここでいったん切ります。
(文章がまだ書けていないというのもありますが。)
それでは。

乙です
この時点で阿知賀は奈良代表校?

>>53
はい。その通りです。第71回IH奈良県予選は6月1日~5日のいずれかに行われており、
今の雀荘でのキョンと阿知賀の面々の邂逅の時期はその節の冒頭にあるとおり六月下旬の日曜日で、
阿知賀女子の面々が土日を利用して各県の二位を倒しに行っている時期です。

とりあえず書けたところから再開します。以下本文。

※対局中は、各キャラクターの独白を()で、その他の事象を三人称視点での地の文にしていきます。
 牌の表示はワンズがm ピンズがp ソーズがs で、字牌はその字です。鳴いた牌は()でくくります。赤ドラの場合はその牌を【】でくくります。

※ミスが発生する蓋然性が最も高い場面です。お許しください。

対局開始


東:キョン 南:Cさん 西:Aさん 北:Bさん

東一局 親キョン ドラは9p

(一巡目)
キョン(理牌完了。またいつものような配牌の悪さ。さて、この配牌でどうしろと言うんだろうね。)

キョン手牌:北北南發白1p3p7p4s6s8s2m9m ツモ東

――打、東


Cさん(おお~これは好配牌!)

Cさん手牌:3m4m5m【5s】7s8s2m3m5m北南發發 ツモ南

――打、北

Aさん(あれ、急に配牌が良くなった。さっきまで全然ダメだったのに。)

Aさん手牌:9m9m1s5s7s1p2p5p8p7p9p中中 ツモ3p 

――打、1s


Bさん(配牌で対子4つ!状況に応じて手代わりもできそう!これは和了りたい!)

西西1m4m8m4m6s6s4s9s8s9s東 ツモ2p

――打、1m

(二巡目)

キョンのツモ:西

キョン(…俺はタンヤオを和了りたいんだがなあ。)

――打、西

(三巡目)
キョンのツモ:中

キョン(……いい加減にして欲しいね)

――打、中

Aさん「ポン」

Aさん手牌:白1p2p4p5p6p7p8p9p1m發(中中中)

――打、1m

Aさん(さっきから字牌ツモ切りばっかりだなこの人…)

(数巡後)
キョン(なんだこれ。さっきから殆どツモ切りしかしてねえ。それに俺は流し満貫なんか狙っちゃいねえぞ。)
キョンツモ:白
キョン(だからいらねぇっつってんだろ)
――打、白。

Aさん「ロン。8000。」

Aさん手牌:1p2p3p4p5p6p7p8p9p白(中中中)

キョン(あらら。幸先悪いな。)「はい。」
Aさん(……字牌が殆どあの人から出てるから思い切って愚形の単騎にしたんだけどまさか本当に振り込んでくれるなんて。こいつ、ザコ?あんまり素人とはやりたくないんだけど。)
Cさん(ありゃーもしかして素人さんか。)
Bさん(私も麻雀始めた頃はあんなんだったなぁ…)

点数:キョン17000 Cさん25000 Aさん33000 Bさん25000

東二局 親Cさん ドラ發

Cさん(配牌いい!憧みたいに早上がりで連荘コース!)
發發6s7s8s5m6m7m2p3p6p9p3p ツモ8m
――打、9p


Aさん(………!?偶然…かな…?)タンッ
1s3s4s6p4m6m7m7m9m南中中白 ツモ白
――打、南


Bさん(よし!さっさと上がって流す!)タンッ
1m2m3m9m6s7s8s9s1p3p5p西南 ツモ1m
――打、9m


キョン(八種八牌ってやつかこれ………)
北南白發西1p1m9p8p6m2m4s7s ツモ7s
――打、發

Cさん「ポン!」
――打、2p

Cさん(うっしドラポン!)

Aさん(穏乃がドラポン…私なら絶対にさせないけど…)
――打、9s

Bさん(う…速さなら負けないわよ!しず!)
――打、北

(数巡後)

キョン(三連続でいいツモが来た。一向にピンズがこねえし、とりあえずこれはいらねぇかな。)
――打、8p

Cさん「ロン!12000!」
6m7m8m6s7s8s6p7p3p3p(發發發)

キョン(あーあ。ま、仕方ないな。)「はい。」
Aさん(また振り込んだ…普通中張牌なんてこの状況じゃ切らないでしょ…しかもノータイムで。ハルちゃん早く戻ってこないかなあ。)
Cさん(うーん簡単に和了れるのはいいんだけど手応えが…今のはツモる気でいたし。)
Bさん(雀荘にくるにはちょーっと実力不足かな?この人。)

A、B、Cの三者、互いに目配せをし、小さく頷く。
(((さっさとこの人トバして終わらせよう……)))

点数 キョン5000 Cさん37000 Aさん33000 Bさん25000

すみません。

ここまでです。

正直力尽きました。

麻雀描写はこんなにも難易度が高い物だったとは。
キョンと共にレベルアップしていけるよう全力を尽くします。

それでは。

東二局一本場 親Cさん

Cさん(あれれ??なんだこの配牌…)

Aさん(これは…またピンズがない…和了れるかどうか…)

Bさん(ひどい配牌…これじゃ鳴けない…)

キョン(……俺、日頃の行い別に悪くないよな……?)

四者、お互いの必要牌を手牌に持ち合い、裏目るなどして誰も鳴けず遅々として手が進まぬまま流局へ。

Aさん(ん?)
Bさん(え?)
Cさん(お?)
キョン(あ。)

キョン捨牌:1p9p北白北北北
      9s1m9s發南南中
      中白發

A、B、C(((流し満貫…!)))

キョン「…あー…2100・4100です。」(……和了は和了なんだけど記念すべき初和了がロンでもツモでもなく、流し満貫ってどうよ。素直に喜んでいいものか…ま、結果的に首はつながったしいいか。)

点数 キョン13300 Dさん32900 Aさん30900 Mさん22900

東三局 親Aさん ドラ3p

(一巡目)
Aさん(……安定しないな…この人が来てから良くなったり悪くなったりめまぐるしい。)
東西白2p3p5s6s7s8s2m3m9m9m ツモ3p
――打、白

Bさん(そろそろ和了りたいなーでもあんまりいい配牌じゃないなー)
1s1s2s3s4s5s5p7p9p南東發中 ツモ白
――打、白

キョン(うーむ、どれを切ればいいんだこれ…わかんね。)
1p4p4p7p8p5s6s7s8s2m4m南北 ツモ西
――打、西

Cさん(うーん配牌がさっきの局の尾を引いちゃってるかな-?)
6p9p2m2m7m8m1s5s7s北北中西 ツモ7p
――打、西

(4巡後)
Aさん(よしできた。ワッシャー待ち!どうなるかと思ったけど持ち直した!ここまでムダヅモ無し!リーチなしでも十分な手だ。)
2p3p3p3p4p5p6p2m3m6s7s8s東 ツモ4m
――打、東

Bさん(……)
――打、9p

キョン「チー」
1p2p4p4p9p9p5s6s7s2m4m(7p8p9p)
――打、2m
キョン(………あ、やべ。やっちまった。タンヤオの目を潰してしまった。仕方ない。えーっと確か非面前でも和了れる役でここから近いのは染め手とかか…?)

Cさん(なんだろう…今の鳴き…)
――打、1m

(さらに数巡後)

Aさん(そろそろツモれてもいい頃なんだけど…穏乃と憧は分かってるだろうから捨ててくれないし、あの人の鳴きからツモが悪くなった…)
――打、6s

Bさん(チー材もポン材も来ない…)
――打、9p

Cさん(最悪!もう次にかける!)
――打、9s

キョン(面白いくらいにツモがいいな今回は。テンパイしたぞ。)
1p1p1p2p2p3p4p4p7p7p7p(7p8p9p)
――打、3p

Aさん(く、惜しい…)


(さらに数巡後)

Bさん「ツモ。400・700」

Bさん(配牌ボロボロだったけど和了れてよかった…オーラスに賭ける!)
2m2m7m8m9m1s1s1s(5s6s7s)(北北北)

Aさん(結局あれから一度もピンズをツモれなかった…)

キョン(とほほ。結局あがれずか。ま、切り替え切り替え。)

キョン、手牌を表にした上、卓中央の穴へ牌を流し込む。

Aさん(!…私の和了牌…殆どあの人に抱えられてたんだ……そういえば確かあの人、序盤ツモ切りで私が張ってからは殆ど手出しだったから、おそらく私が張ってからあの手に進んだって事。意識的にやってないだろうけど、三巡目のあの鳴きで私の良ツモを喰いとった…)

点数:キョン12900 Cさん34400 Aさん30200 Bさん22500

東四局 親Bさん ドラ東

Bさん(早和了で連荘目指す!)
2m3m1p6p2s3s4s4s6s9s白白中 ツモ9s
――打、1p

キョン(配牌で対子5つ。たしかこれは七対子の一向聴だったはず。しかし逆転手ではないよな…染めるしかないか…)
南南6p6p7s7s9p9p4m4m1p5p北 ツモ3p
――打、7s

Cさん(よっし!この配牌ならドカンと高い手狙える!)
1m2m2m4m5m7m8m8m9m北4p9s白 ツモ4s
――打、9s

Aさん(う…まぁ悪くはないか。それにしてもまたピンズが少ない…面前三色狙いで行こう。)
1m3m4m6m8m1p7p8p1s5s8s南北 ツモ7s
――打、1m


(数巡後)

Bさん(一向聴!まずは連荘!)
――打、中

キョン(これは…ひょっとするとひょっとするかもな。ハルヒがアレを和了るのは嫌と言うほど見せつけられてきたもんだが…)
南南南6p6p6p7s9p9p4m4m5p3p ツモ9p
――打、7s

Cさん(よし一通確定!字牌よ来い!)
――打4p

Aさん(うーん…やっぱり来ないな。)
――打、南

キョン(っと、確かあの捨牌でカンできるよな。でもテンパイしていないし、やめておいた方が良さそうだな。)

(2巡後)

キョン(さて…次ツモは…)
南南南6p6p6p9p9p9p4m4m7s5p ツモ9p

キョン(ん?これは…今度こそカンができるな。せっかくだしやるか。しっかしこんなにツモが良かったのは初めてだ。)

キョン「カン」

Aさん(え?二人にテンパイ気配がするのにここでカン?)

新ドラ表示牌は8p。つまり新ドラは9p

Aさん(私の待ち牌が片方潰れた!?しかもドラがモロ乗り!?)

南南南6p6p6p4m4m7s5p(■9p9p■) ツモ4m

キョン(おおう。テンパイ。確か暗カンしてもリーチは出来るよな。)


キョン「リーチ」


A、D、M(((!!!)))

Bさん(ここでリーチ…高い手なんだろうね…オリではないけど現物っと。)タンッ
Aさん(あの捨牌…あからさまな対子系…ドラ絡みの三暗刻とか…?捨牌にピンズは無いしワンズも少ないからピンズかワンズの染め手かな…?それにしても今回もピンズが全然来ない…)タンッCさん(うう打点高そうだな……安牌だし対子崩しで回そう…)タンッ
Cさん(うう打点高そうだな……安牌だし対子崩しで回そう…)タンッ



が、しかし。そのまま卓は動かず、流局。


Bさん「あーー!シズなんかに負けるなんて-!ノーテン!」

Cさん「なんかってなんだよアコ!テンパイ!」

キョン「テンパイ」(………あー…なんだ。ま、所詮単騎待ちだしな。和了できないことの方が多い。うん。)


A、B、C(((!!!……す…四暗刻単騎…))))

Aさん(しかも待ちは5p単騎……キング……)

Aさん「…テンパイ」

キョン(あーあ。負けちまったか。ハルヒが知ったらどんな風にどやされるやら。)

Aさん「………」

Aさん(この人…何?この人が卓に来てからおかしい。あそこまで私にピンズが集まらなかったのは本当に初めてだ。今まで若干の多い少ないはあったけど三局連続であの集まりの悪さ…東三局でのあの鳴きも、私が張ってから私の和了牌を連続でツモりだしたのも…上がれなかったとはいえ今の5p単騎も…この人のビギナーズラックと言えばそれまでかもしれないけれど…考えたらもっと不思議な事もある。
配牌の善し悪しがあんなに局によって変化した例も今まで経験してないし、対局の中でのみんなの調子の変化も激しかった……憧があんなに鳴いてないのも、天江さんとの対局以外では初めて見るし……でも東一局に関してはまったくなんの異変も起こってないんだよね……)

BCさんが小言を言い合う中、Aさんは黙し、思考する。

Aさん(普通じゃないような気配に敏感な玄はあっちで普通に大人と打ってるし、ハルちゃんもなんらリアクションを起こしてなかったし……それに、天江さんみたいに相対しただけで私でも強いプレッシャーを感じるとか、そういうのは全然無い…まだ普通の人だと決まったわけじゃ無いけど……興味が出てきた。確かめたいし、経験の為にももっとこの人と打ちたかったけど…)

Aさん、キョンをじっと見つめる。

Aさん(見たところ学生なんだろうな。けど、兵庫県予選の試合の映像にはこんな…って言ったら失礼か。この人は居なかったから少なくとも麻雀部レギュラーというわけじゃないんだろうけど。)

対局終了。

点数:キョン13900 四位  Cさん35500 一位  Aさん31200 二位  Bさん19500 三位

力尽きましたので今日はここまでとさせてください。

それでは。

書き込みありがとうございます。

まだ麻雀パートまで行けませんけど、再開します。

鶴屋さんとはまた違ったご令嬢の人間力を感じつつ、そんなことを考えているとさっきの部屋の前に着いた。
中にハルヒ達がいるらしい。いざ萩原さんがドアを開けようという時に、隣にいた衣が真剣な表情をして呟いた。
「……やはり、ここまで来ても何も感じぬ。」
あ?何をだよ。
「気配だ。」
気配?それはアレか、プレッシャーとか、闘気とかか?いきなりなにいってんだこいつ。毒電波でも受信したのか。

てーのは嘘で。

あれほどの異常な和了を連発するようなヤツだから、少なくとも確率外の事象を起こす何らかの能力とか、力を持っていることは想像できる。
長門が言うには地球人の持つ能力の範囲内の、な。
今まで宇宙人やら未来人やらハルヒやらが起こす非日常の出来事にさんざ東奔西走してきたんだから、
俺が直面してきたそれらの規模を考えると、今のコイツの発言は一般人からしたら電波じみてんだろうが俺はそれを否定するのは憚られる。
今の俺は、コイツは少なくとも麻雀に関しては、いわゆる「オカルト」な力や感覚を持っているんだろう、なんてことなどたやすく信じられるさ。
実際に牌譜を見たってのもあるし。
古泉に言わせれば、「分かってしまうのだからしょうがない」ってヤツだろう。
というか、こいつさっきとは明らかに雰囲気が違うな。

「向こうから異様な気配は感じる。三つのそれぞれ異なったものだ。だが衣が想像していた涼宮ハルヒのものとは違う。」

三つ?それはSOS団のメンバーの事を言っているのかね。
ハルヒとは違うと言っているんなら古泉長門朝比奈さんしか居ないわけだが…というかそれしか考えられないか。
ん?確か前にも似たような事があったよな。
まさかコイツ、いつかの中河みたいに長門のパトロンの姿が見えるとか、そんなヘンテコな力を持っているんじゃなかろうな。
こいつが長門に一目惚れするなんてのはありえんだろうけど。
そうだとしたら長門が真っ先に動いているはずであるが、長門はこの屋敷に来てから何らアクションを起こしていない。
俺にも誰にも知らせずに既に消去なりなんなりを実行に移している可能性も無くは無いが、
ま、そこんところは今はどうでもいいな。
とすると、俺には分からない麻雀打ち特有の感覚なんだろう。

「清澄の咲や、ノノカの後輩や、去年全国で相見えた者達……常人ならざる力を持つ者から、衣は力を感じ取ることができる。」

衣はさらに続ける。

「衣は涼宮ハルヒの試合の映像を見た。かの者の力は満月の衣に勝るとも劣らぬものであった。
あれほどの支配を敷く剛の者の気配を衣が感じ取れぬはずがないのだが……それが床を出たときからずっと気にかかっていた……」

途中から独り言になったなこれ。
色々突っ込みたいところがあったのだが、俺は返事をしなかった。するとコイツは俺をまっすぐ見つめ

「お前からは何も感じぬ。驚くほどな。」

そうか。感じ取られても困るが。俺は古泉が太鼓判を押す普遍的一般人だからな。
いまさらミステリアスな属性は欲しくない。今のままで十分だしこれ以上何も望んでいない。
ただ最後の「驚くほど」っていうのが気になるが。

短いですが以上です。対局パートがある程度書けたら投稿します。

では

再開します。以下本文

対局開始

東:キョン 南:福路美穂子 西:天江衣 北:龍門渕透華

東一局 親:福路美穂子 ドラは中

<初巡>

透華(まずまずの配牌ですわね。衣が様子見をしているうちに和了っておきたいのですが…)
1m2m2m3m8p9p1s2s3s4s南南中
――打、南

美穂子(……キョンくんはまだ分からないけど、天江さんと龍門渕さん相手では、初めから全力で行くしかないわね。)
4m6m7m1p4p2s3s5s5s6s7s8s東西 ツモ9s
――打、西

福路美穂子、開眼。

キョン(勝てる可能性はごく小さい。生き残るためにも、まずは和了らんとな。)
1m2m3m5m6m8m2p7p8p9p西北4s ツモ2p
――打、4s

美穂子(…初巡からそれを切るの?いい手なのかしら…)

衣(…まずは様子見だ。)
1m5m7m1p1s2s3s南西北北白 ツモ白
――打、西

<12巡目>

透華(張りましたわ…。高目で満貫以上ですしダマで構えましょう。)
1m1m2m2m3m7p8p9p9p1s2s3s中 ツモ中
――打、9p

美穂子(……河の状況から考えると、龍門渕さんは張ったみたいね。私も張っているけど。)
1s2s3s4s5s6s7s8s9s東東5p5p ツモ1s
――打、1s(ただしツモ切りでなく手牌の1sと入れ替え)

キョン(さて、安牌候補としてとっておいた東を切ればテンパイな訳だが……字牌があんまり場に出てないってことは結構危険牌だったりするんだろうな…)
1m2m3m5m6m7m7p8p9p東(7m8m9m) ツモ4m

キョン(…もうすぐ局が終わるし、ノーテン罰符は嫌だ。切っちまえ。)
――打、東

美穂子「ロン。5200です。」
1s2s3s4s5s6s7s8s9s東東5p5p 東

キョン(あらら。素直に罰符払いに甘んじておけば良かったのか。)

点数 キョン:19800 福路美穂子:30200 龍門渕透華:25000 天江衣:25000

美穂子(キョンくんは打牌の度に理牌し直し、次に切る牌の候補をあらかじめ手牌右端に置いておく癖がある。
前巡に手牌右端に置いた牌は、順子の最後か頭か字牌としか考えられない位置から動かされていた…
その私の読みが的中した結果ね。)

透華(この状況下での生牌の字牌切りはまずいですわよキョンさん…)

衣(……此奴、真の凡夫のようだな。)

透華(……個人戦一位福路さんの実力は県内随一。私も県内上位ですし、特に衣は合同合宿以降、特定の相手への高打点直撃や、
一向聴地獄からの海底といった、相手の心を折りに行くような打ち方に拘らなくなり、戦術の幅が広がったことでさらに強くなった……
キョンさん……厳しいことを言うようですがこの程度では、東場オーラスまで生き残れるかどうか、微妙といわざるを得ませんわ。)

各自が思考を巡らす中、SOS団団長、ハルヒの大声が部屋に響く。

ハルヒ「さーて、やっとこ、あたしの親ね!!」

衣(!!!)

透華(なっ…)

美穂子(えっ…)

三人とも、同時にハルヒの方を向く。大声に驚いたわけではない。
理由は離れていても感じる事のできる圧倒的な、プレッシャー。神に等しい能力の、その片鱗。
麻雀における異能の力への強い感応性を持つ衣はもとより、オカルトとは縁遠い福路美穂子さえも戦慄させるほどのものであった。
途端に、部屋全体が水を打ったように静まりかえった。

ハルヒ「え?何?どしたのみんな?」


衣(なるほど。卓につかぬうちは感じ取らせぬと言うことか。先刻力を感じ取れなんだのはこのためか。
しかしこれは……どうやら涼宮ハルヒ、衣はお前を見くびっていたようだ…)

透華(………未だかつて、これほどの気を放つ者には出会ったことがありませんわ…)

美穂子(……私でも感じ取れた………)

キョン(こいつらはなんで三人そろってハルヒの方を見てるんだ?もしかしてさっき天江が言ってた、力ってのを感じ取ったのかね。
俺は何にも気づかなかったが。ただ毎日近くにいるせいで慣れちまってるのかもな。ところで、誰か何か言ってやれよ。あいつに)

古泉「何でもありませんよ。さ、皆さん、続けましょう。」

古泉の一言で皆は麻雀を再開した。




東二局 親:龍門渕透華


キョン、配牌から好形の一向聴だったが和了できず、
九巡目、龍門渕透華、リーチ・一発・ツモ・タンヤオ・平和で満貫のツモ和了。2000・4000


点数 キョン:17800 福路美穂子:26200 龍門渕透華:33000 天江衣:25000

今日はここまでとさせて下さい。では。

再開します。

東三局 親:天江衣 ドラは2p

衣(こちらも衣の親番だな。……さて、御戸開きと行こうか。)
北北1s3s4s6s8s9s3p6p1m2m9m ツモ5p
――打、5p

放たれる魔物の力。これまで幾多の雀士を悉く屠ってきた圧倒的な場の支配が、始まった。

透華(…来ましたわね。様子見は終わりと言うことですか。衣。)
2p4p4m7m中9m5m7p8p9m2m8s2s ツモ西

美穂子(!…配牌が…天江さん、始まったようね…)
2m6m9m5p白1p8p3s5s9s9s西發 ツモ南
――打、2m

キョン(あーくそ。喉渇いたな。なんか飲んどけば良かった。)
3m6m2p4p4p6p6p6p1s2s9s西發 ツモ東
――打、東


その後、一向聴地獄の名の通り、誰も鳴けず、有効牌を引けず、為す術も無く水底へ引きずり込まれてゆく。

透華(まだ午前中だと言うのに、この支配…。一年前の満月の衣よりも強いですわ。)

美穂子(…この局は和了れないわね。)

キョン(さっきからなんなんだ一体。俺は滅多に鳴かないプレイスタイルだけどさ。全く鳴けもしないわいい牌は来ないわ散々だ。これが一向聴地獄ってやつか。まぁ俺はまだ三向聴なんだけど。牌譜では見たが、実際に体験してみるとこうも精神すり減らすもんなのかね…)

そして、最後の巡、衣が海底牌を手にする。

衣「ツモ。」

1s2s3s4s5s6s7s8s9s1s(北北北)ツモ1s

衣「4000オール。」

キョン(へぇー…これがあの有名な天江衣の海底ね。確かに海底牌が何か分かっていないと無理だわなこんな打牌。

キョン(……というか、点数がやべえ。半分切ってんじゃん。)

点数 キョン:13800 福路美穂子:22200 龍門渕透華:29000 天江衣:35000

東三局一本場 親:天江衣 ドラは發

衣(…キョン以外のSOS団の四人は、それぞれが違った異質な気を放っている…。ことに涼宮ハルヒは。しかし此奴―キョンは全くの凡夫。以前の衣ならば、此奴など歯牙にもかけず壊していただろうが……分からぬのは、なぜあれほどの奇怪な手合いの中に、ただの凡夫が一人混じっているかと言うことだが……いや、衣の考えが過ぎていると言うのもあるのか…)

衣(いずれにせよ…この親で連荘して討ち果たすつもりで行く。お前がただの凡夫か、そうでないのか……そうでないのなら、衣に示して見せよ。キョン。)
1m1m2m1p2p3p8p8p3s7s8s8s東 ツモ2p
――打、東

透華(……衣の打点の高さを考えると、この局で終わるかも知れませんわね。)
4m6m9m3p3p5p3s8s8s東東北西 ツモ4s
――打、9m

キョン(うっわ。なんだこれ。)
1m4m9m1p3p7p8p1s5s9s西發白 ツモ3s
――打、白

美穂子「ポン」
1m2m4m5m7m3p4p7p1s6s9s(白白白)
――打、1m

美穂子(一向聴地獄から抜け出すには、独力では無理。他家を上手く利用しなきゃと思ってたけど…私にとってはいい打牌だったわよキョンくん。)

美穂子(これはチャンス…天江さんの親…早く流さないと。)

<三巡目>

衣(………)
――打、3s

透華(引けませんわね…ツモ切りですわ。)
――打、9p

キョン(…!)「チー」
1m9m1p1s2s5s9s發發西4m(7p8p9p)
――打、4m

衣(む…)

透華(…よく鳴けましたわね。しかしあまり有効な鳴きとは思えませんわね…。)

美穂子(……序盤からその形をとるの?余りにも不用意な鳴き…何をしようとしているの?キョンくん……)

キョン(ツモが悪い時は意味が無くっても鳴けば何かが変わるかもしれない。って聞きかじったもんでね。ナントカ殺法ってやつさ。)


美穂子(あのポンからツモはからっきしだったけど……いい所を引いたわ。)
2m4m5m3p4p7p1s6s9s(白白白)ツモ3m 
――打、9s

異常を発見したのでここで止めます。修正したらまた投下します。それでは


>>211の福路美穂子の手牌が間違っていたので修正版を改めて書き込みます。



<三巡目>

衣(………)
――打、3s

透華(引けませんわね…ツモ切りですわ。)
――打、9p

キョン(…!)「チー」
1m9m1p1s2s5s9s發發西4m(7p8p9p)
――打、4m

衣(む…)

透華(…よく鳴けましたわね。しかしあまり有効な鳴きとは思えませんわね…純の真似かしら。)

美穂子(……序盤からその形をとるの?余りにも不用意な鳴き…何をしようとしているの?キョンくん……)

キョン(ツモが悪い時は意味が無くっても鳴けば何かが変わるかもしれない。って聞きかじったもんでね。ナントカ殺法ってやつさ。)

美穂子(あのポンからツモはからっきしだったけど……いい所を引いたわ。)
2m4m5m7m3p4p7p1s6s9s(白白白) ツモ3m
――打、9s

<四巡目>

美穂子(…あら、また…)
2m3m4m5m7m3p4p7p1s6s(白白白) ツモ7s
――打、1s

<五巡目>

美穂子(これで一向聴ね。)
2m3m4m5m7m3p4p7p7s6s(白白白)ツモ2p
――打、7m

<六巡目>

衣(……)
――打、3s

透華(……)
――打、西

キョン(……)
――打、中

美穂子(……張れたわ。)
2m3m4m5m2p3p4p7p7s6s(白白白) ツモ5s
――打、7p

衣(四巡連続の手出し……なっ、点は低いが張っているのか…?)

<七巡目>

美穂子(……キョンくんの初巡の白打ちと、無意味にも見えたあの鳴きのおかげかしらね。)

美穂子「ツモです。400・600」

2m3m4m5m2p3p4p5s6s7s(白白白) ツモ2m

衣(……差し込みで親を流された事なら県予選大会の時もあったが…夜ではないとはいえ衣の支配下で自摸和了だと?)

透華(衣の支配下で普通のツモ和了ですって?珍しいですわ…)

キョン(結局鳴いても俺のツモが良くなって状況が好転するわけじゃなかったな……ま、天江の親が流れただけでも良しとするべきだろう。)

点数 キョン:13400 福路美穂子:23600 龍門渕透華:28600 天江衣:34400

トラブって申し訳ありません。今日はここまでです。では。

これからはageる程の更新量では無いものはsageで投稿します。今日がそれです。少なくてすみません。

東四局 親:龍門渕透華 ドラは6s

<初巡>

透華(………)
5m9m3p6p9p1s1s4s6s7s西西中 ツモ發
――打、發

衣(先ほどの和了…衣の支配を破っての物では無い。荒目の網から雑魚が抜け落ちるが如く、衣の支配の僅かな隙間を縫っての和了と考えるのが自然か。ならば二度は起こるまい。咲のように槓材を察知し、衣の支配の及ばぬ王牌から和了するなら兎も角だが、槓などそうそうできる物では無い。)
2m3m4m1s3s5s6s9s9s1p3p5p9p ツモ1m
――打、4m

キョン(うーむ……)
9m2p4p4p8p2s3s3s6s西白發中 ツモ東
――打、發

美穂子(………)
1m3m5m5p8p1s2s6s8s9s東南南 ツモ7m
――打、東

<九巡目>

透華(………)
5m4m3p6p5p1s1s4s6s7s西西西 ツモ9s
――打、9s

衣(今のところ誰も鳴けず手も進まず、といった所か…)
1m2m3m1s3s6s9s9s9s1p3p5p9p ツモ北
――打、北

キョン(さっきと同じだ。鳴けねえし有効牌もこねー。チー材でもポン材でもいいから誰か捨ててくれよ。)
2p3p4p8p9p2s3s3s6s8s西白發 ツモ南
――打、南

美穂子(さっきの和了は本当に僥倖だったようね…)
1m2m3m5m5p4p1s2s6s8s9s南南 ツモ南
――打、5m

<17巡目>

衣「リーチ。」
1m2m3m1s2s3s2p3p9s9s9s1s1s9p9p9p ツモ白
――打、白

キョン(ラスト一巡でのツモ切りリーチ…)

美穂子(鳴けないわ…)


<18巡目>

衣(先刻のミホコの和了…もしや衣の支配が及んでおらぬのかと思ったが今はそうではない……現に皆手が進んでおらず、今こうして衣が海底を手にする。)

1m2m3m1s2s3s2p3p9s9s9s1s1s9p9p9p ツモ 4p

衣(なっ……ド安目!?)

衣(……衣の感覚が間違っていた時はあった。咲たちと戦った県予選決勝の時だ。しかし今はそれとは違う。あのとき来たのは不要牌だったが、これは有効牌だ。)

衣(今回も、感覚を一つの選択肢として選び、ここまで手を作った。打点が高いことは半ば確信していたのだが…。)

衣(釈然とせぬ。感覚が完全に合っている訳でもなければ完全に間違っている訳でもない……)

衣「……ツモ。2000・4000」

キョン(うひー。親でなくて良かったぜ。なんとか一万点を切らずに済んだ。)

透華(…………)

美穂子(天江さんにしては打点が低い。不調なのかしら?)

衣(む、透華の様子が……。涼宮ハルヒの力にあてられたか。だが完全にあの状態になるまでには至っていないようだ。)

点数 キョン:11400 福路美穂子:21600 龍門渕透華:26600 天江衣:42400

書き込んでから気づきました。
>>225の17巡目と18巡目の天江衣の手牌が誤っています。正しくは

<17巡目>

1m2m3m1s2s3s2p3p9s9s9s1s1s ツモ白
――打、白

<18巡目>

1m2m3m1s2s3s2p3p9s9s9s1s1s ツモ4p

です。間違えてしまい申し訳ありません。それでは。

改めて読み返してみたらミスの多さに辟易してしまいました。ここに修正点を列挙します。

・最初の席順は 東:キョン 南:福路美穂子 西:天江衣 北:龍門渕透華 ですので起家はキョンです。
 よって東一局の親はキョン、東二局の親が福路美穂子、東三局の親が天江衣、東四局の親が龍門渕透華です。
 これについては書き直せないので脳内補完でお願いします。

・東四局について、親を終えたはずの天江衣が何故か二番目にツモっています。親を終えた人は次の局では北家になるはず で、ツモ巡は最後になりますので間違いです。東四局についてはこれから全体的に書き直します。ですが和了者も点数も 変わりません。

・他にもミスなどありましたら、ご指摘の程お願いします。

以上です。これから書きますのでしばらくお待ち下さい。

>>225の修正版です。

東四局 親:龍門渕透華 ドラは9p

<初巡>

透華(………)
5m9m3p6p9p1s1s4s6s7s西西中 ツモ發
――打、發

キョン(うーむ……)
9m2p4p4p8p2s3s3s6s西白發中 ツモ東
――打、發

美穂子(………)
1m3m5m5p8p1s2s6s8s9s東南南 ツモ7m
――打、東

衣(先ほどの和了…衣の支配を破っての物では無い。荒目の網から雑魚が抜け落ちるが如く、衣の支配の僅かな隙間を縫っての和了と考えるのが自然か。ならば二度は起こるまい。咲のように槓材を察知し、衣の支配の及ばぬ王牌から和了するなら兎も角だが、槓などそうそうできる物では無い。)
2m3m4m1s1s3s5s6s1p3p9p東白 ツモ1m
――打、4m

<九巡目>

透華(………)
5m4m3p6p5p1s1s4s6s7s西西西 ツモ9s
――打、9s

衣(今のところ誰も鳴けず手も進まず、といった所か…)
1m2m3m1s3s6s9s9s9s1p3p5p9p ツモ北
――打、北

キョン(さっきと同じだ。鳴けねえし有効牌もこねー。チー材でもポン材でもいいから誰か捨ててくれよ。)
2p3p4p8p9p2s3s3s6s8s西白發 ツモ9p
――打、9p

衣「ポン」
1m2m3m1s1s3s6s1p3p東白(9p9p9p)
――打、6s

キョン(鳴かせちまった……しかもよく見たらドラだし……すまん。)

美穂子(キョンくん……)

<18巡目>

衣(先刻のミホコの和了…もしや衣の支配が及んでおらぬのかと思ったが今はそうではない……現に皆手が進んでおらず、今こうして衣が海底を手にする。)

1m2m3m1s2s3s2p3p1s1s(9p9p9p) ツモ 4p

衣(なっ……ド安目!?)

衣(……衣の感覚が間違っていた時はあった。咲たちと戦った県予選決勝の時だ。しかし今はそれとは違う。あのとき来たのは不要牌だったが、これは有効牌だ。)

衣(今回も、感覚を一つの選択肢として選び、ここまで手を作った。打点が高いことは半ば確信していたのだが…。)

衣(釈然とせぬ。感覚が完全に合っている訳でもなければ完全に間違っている訳でもない……)

衣「……ツモ。2000・3900」

キョン(うひー。親でなくて良かったぜ。なんとか一万点を切らずに済んだ。)

透華(…………)

美穂子(天江さんにしては打点が低い。不調なのかしら?)

衣(む、透華の様子が……。涼宮ハルヒの力にあてられたか。だが完全にあの状態になるまでには至っていないようだ。)

点数 キョン:11400 福路美穂子:21600 龍門渕透華:26800 天江衣:42300

南一局 親:キョン ドラは6p


キョン(この親でなんとか稼ぎたいもんなんだが……リアルの麻雀では殆ど和了できないんだよな俺。まぁ、練習相手が練習相手だし仕方ないのかもしれんが…)
――打、1m

美穂子(ここで稼ぎ負けているようでは、この先に憂いを残してしまう。勝たないと。)
――打、東


透華(………)
――打、6p


衣(トーカ…衣の支配を抜け出したな。トーカの手牌から危険な香りがする…)
――打、北

<九巡目>

キョン(さて、ご令嬢のリーチがかかっちまった訳だが…)

透華捨て牌:6p東7p9m西1p4s8p(リーチ)

キョン(俺の手牌の中には現物はあるにはあるが…面子になってるから捨てたくねぇし、ソーズは切りにくい。
それにこれ、久々にいい手になりそうだし。ここはスジだな。)
1s5s3s3s中中7s8s9s9s2p3p4p ツモ5p
――打、4p

透華「ロン。」

キョン(……あれ?)

美穂子(…多分スジで打ったんでしょうけど、スジは両面待ちのみにしか安全と言えないのよ。キョンくん。)

2p3p4p2s3s4s2m3m4m5s5s5s4p 4p

キョン(は?単騎??そんなんアリかよ。……つかこれ、えーと……リーチ、一発……タンヤオ……三色…満貫かよ。裏ドラ次第で俺トバね?)

美穂子(キョンくん……)

衣(モロヒッカケ…普段の透華ならば絶対にしないであろうな。)

透華の手が裏ドラをめくりに王牌へ伸びる。それほど緩慢な動きでは無かったが、キョンにとっては異様に長く感じられた。

キョン(俺がこうなって欲しくない…って願ったときって大抵起こるんだよな…そういうこと…さて、覚悟を決めるか。)

裏ドラ表示牌:4p

キョン(!!…あ、5pか。)

透華「裏は無し…8000…ですわ。」

点数 キョン:3400 福路美穂子:21600 龍門渕透華:32700 天江衣:42300

キョン(なんとか皮一枚でつながったか。5sに赤が混じってなくて助かったぜ。さらに危険な状態になってしまったけど。)

美穂子(ギリギリ残ったわね。それにしてもキョンくん、ずいぶんと落ち着いた表情してるわね…こういってはかなり失礼だけど、慣れているのかしら?)

衣(表情だけは一丁前か。こんなところで終わっていては衣はつまらんぞ。キョン。)

疲れたのでここまでとします。

早く阿知賀の連載が読みたいです。
個人的に淡の能力は宇宙のようなエフェクトから重力っぽい物を連想して
相手の手を重くしてテンパイ速度を遅くしたり、軽くして安い手しか和了れなくする、それでいて自分は高打点
とか妄想しています。

それでは。

南二局 親:福路美穂子 ドラは5m


美穂子(この親で稼ぎたいけど…この配牌じゃ勝負にならないかも知れないわね…。)
發西2p3p7p8p1m2m5m9m1s6s9s ツモ1s

――打、中

衣(な…これは……)
3m8m1p2p9p1s赤5s8s9s西東白中 ツモ發
――打、發

透華(………)
1m6m9m1p3p5p9p9p2s6s8s南北 ツモ1s
――打、北

キョン(おお。配牌いい。つってもな…直撃なら3900から、ツモなら倍満以上で即死だ。張ってもリーチはせんでおこう。直撃だけは避けねばならん。逆にいっそこともう開き直ってノーガードでいこうかね。いや冗談だけどさ。)
1m2m2m5m6m5p7p1s2s7s7s8s9s ツモ西
――打、西

<八巡目>

美穂子(まずいわ…来る牌が全然かみ合わないし…鳴けもしない…)
發西2p3p7p8p1m2m5m9m1s6s9s
――打、5s

衣(手が全く動かぬ…自らの刃に貫かれた気分だ…)
1m3m1p2p1s1s赤5s7s8s9s西中 ツモ東
――打、東

透華(……)
1m6m8m9m1p3p5p9p2s3s8s南南 ツモ7s
――打、9p

キョン(おっと、初めて張れたが…いつでもオリられるようにダマテンにとろう。)
1m2m3m赤5m6m4p5p6p7p1s2s7s7s ツモ3s
――打、4p

しかし、キョンは和了れず、結局この局は流局となった。

美穂子(流局…この面子で流局があるなんて。)

透華「…ノーテン、ですわ。」

美穂子「ノーテン、です…」

キョン「テンパイ」

美穂子(その手でダマテン!?結局和了れなかったわけだけど私ならそれを張ったら即リーするわね…)

衣「むぅ…ノーテンだ。」

衣(しかしその手でリーチをかけぬとは…臆したか。キョン。)

キョン(和了れなかったが…これで3000点ゲット。5200の直撃まで耐えられるぜ。)

衣(それにしても衣がノーテンだと……ノーテンなど何時ぶりだろう…)

美穂子(天江さんがノーテンだなんて……)

透華(………)

点数 キョン:6400 福路美穂子:20600 龍門渕透華:31700 天江衣:41300

南三局 親:天江衣 ドラは北


衣(配牌一向聴…。前局とは大違いだ。なんだったのだ前局は…)
――打、南

透華(………)
――打、白

キョン(あと二局…トバずにいけるかね。)
――打、9s

美穂子(……天江さんとの卓だとは思えないほどのいい配牌ね。単騎だけどこれはリーチしましょう。)
5p6p7p5s6s7s6m6m7p8p9p1s西 ツモ5m

美穂子「リーチ」
――打、西

キョン(おーこわ。読めるわけねぇ。幸い手牌に西あるから良かったよ。とりあえず一発はねぇ。)

衣(何?衣の支配は衰えておらぬぞ。ミホコに衣の支配を単独で破る術は無いはず…だのにダブリーだと!?)

訂正。>>240の福路美穂子の手牌が誤っていました。正しくは

5p6p7p5s6s7s6m7m7p8p9p1s西 ツモ5m

で西切りのダブリーです。

<次巡>

衣(……危険。手牌に字牌は無し。ならばこれだ。)
1s3s7s8s9s5p5p5p2m3m4m5m ツモ5s
――打、1s

美穂子「…!ロン。……裏無し。8000です。」

衣(なぁ……っ!この衣が…一発で放銃だと……)

美穂子(よし。これでまだ分からなくなったわ。)

キョン(天江衣が一発で放銃、か…これは珍しいものが見られたな。)

点数 キョン:6400 福路美穂子:28600 龍門渕透華:31700 天江衣:34300



※また訂正で申し訳ありません。>>240で天江衣は配牌二向聴でした。こちらもタイプミスです。

南四局 親:龍門渕透華 ドラは發

<初巡>

透華(……)
1m1m2m3m2p7p1s2s3s6s南白白 ツモ中
――打、中

衣「ポン」
2m3m3m2p4p5p4s8s東西(中中中)
――打、西

キョン(オーラス…三人の邪魔はできんな。配牌も良くねえし大人しくしてよう。悲しいけど。)
南西北1p4p7p9p6m6m9m8s9s9s ツモ發
――打、發

美穂子「…!ポン」
1m2m6m1p3p5p9p7m7s9s白(發發發)――打、白

透華「ポン」
1m1m2m3m2p7p1s2s3s6s南(白白白)
――打、南

キョン(俺以外全員が役牌を鳴いた…)

美穂子(これで最低三ハンは確保。3900以上を天江さんに直撃させるか、7700以上を龍門渕さんへ直撃させるか、ね。1300・2600以上のツモでも勝てるわ。)

衣(キョン以外では先に和了った者が勝つ。そんな気がする。故に支配は捨てて速攻で行く。)

透華(………)

>>245美穂子さん發ドラ3で四ハン確定だから和了で勝ちだね

<九巡目>

透華(………)
1m1m2m3m4m6m1s2s3s6s(白白白) ツモ1m
――打、6s

キョン(うーむ…塔子になるが……どうしようか……うーん、頭はあるし、アンコができてるからここはスルーだ。)
2m3m4m4p5p6p9p5m5m9m9m9s9s ツモ6m
――打、6m

美穂子(張った……8sは待たずシャンポンに受けましょう。)
7m8m9m7s7s9s北(3p4p5p)(發發發)ツモ北
――打、9s

キョン「ポン」
2m3m4m4p5p6p9p5m5m9m9m(9s9s9s)
――打、9p

衣(くっ、小癪な。衣のツモが飛ばされた…おそらくキョン以外が張っているこの状況下では一巡の差が勝負を分けるというのに…)

>>248 役牌の存在を失念しておりました。ご指摘ありがとうございます。
福路美穂子の台詞ですが、書き直せないので脳内補完をお願いします。


キョン(さて、役無しの形式テンパイ。少しでも高い点数で終わりたいからな。仮に流局するとしても罰符支払は嫌だ。)

美穂子(9sポン…形式テンパイ狙い?狙いに行くにしてもこの巡目では少々早すぎないかしら…)

7m8m9m7s7s北北(3p4p5p)(發發發)ツモ7s

美穂子(…来た!)

美穂子「ツモ。2000・4000です。」

7m8m9m7s7s北北(3p4p5p)(發發發)ツモ7s

透華(………!)

キョン(ん、図らずもあいつの和了をアシストした形になったなこれ。………はぁ。焼き鳥か。しっかしすげえな俺の従姉妹は。終わってみれば天江衣を押さえての一位。さすが長野県個人戦優勝者。)

美穂子(よかった……)

衣(衣も張っていたのだが…くっ、競り負けたか!)

透華(………)

対局終了

点数 キョン:4400 四位 福路美穂子:36600 一位  龍門渕透華:27700 三位  天江衣:31000 二位

sage更新にもかかわらず複数人がいらっしゃるのには驚きました。ありがとうございます。
何も言わず去ろうと思っていましたが、挨拶まで。
今日はここまでです。
対局パート、やっと半分いきました。次更新はいつになるか分かりませんが、がんばって書きたいと思います。

あと、蛇足ですが雑談です。
阿知賀の連載で淡の能力が判明しましたね。個人的にはまだ先がありそうと思っているんですけど、どうなんでしょうか。

何にせよ楽しみですね。本編は次号休載らしいですけど……。

それでは。

対局再開 

東:キョン 南:福路美穂子 西:天江衣 北:龍門渕透華


西一局 親キョン ドラは中

キョン(トバされてやるもんか。意地でも絶対生き残ってやる。)

キョン(……運命がカードを混ぜ、我々が勝負する。ってね。運命とやらを信じている訳じゃ無いが、もしそういうもんがあったとしたら、今の俺に対して少しでも良く作用してくれることを祈るぜ。それ、ポチっとな。)

賽の目は2・5。

各々山から牌を取り始めた。
山から手牌をとりつつ、天江衣は思考する。

衣(なにやら奇怪な事になっているが…。それはひとまず置いておこう。)

衣(それよりも先ほどの半荘。一発で放銃した事やノーテンだった事など衣は殆ど…いや全くと言っていいほど無い。
なぜ今日に限ってこのような事が起こるのか…未だ全ては分からぬ。)

衣(確かな事はある。トーカとはほぼ毎日打っているし、合同合宿でミホコとも沢山打った。
しかし、先刻のようなことは一度も起きなんだ。今までと、この今のと、異なる要素があるとしたら……)

衣(SOS団の存在だ。涼宮ハルヒとキョン以外の面子の実力は推し量れぬが、キョンの実力はただの凡夫以外の何物でも無い。明確に言えば弱者よ。
咲や涼宮ハルヒのように何か常人ならざる力を感じぬからだ。技術を磨けばそれなりにはなるであろうが、お前が常人の枠から離れることは決して無いと、衣は断言できる。
だが、お前は衣やトーカ、ミホコという強者がいる中半荘一回をトバずに生き残った。)

衣(お前は知っているか?昨年の全国では今よりも弱い衣でさえ二回戦で全国出場校三校の大将を同時にトバして勝った。あの状態のトーカは、屈指の強豪臨海女子の選手も恐れた存在だ。また、先刻はお前は結果的にミホコの和了の助けとなった事をしている。
それはジュンが用いる技術の一つと、結果は違えど酷似している。ましてやお前は初心者だ。衣やこの状態のトーカを相手にトバなかったという事自体が異常。)

衣(それか、一連の現象は涼宮ハルヒの影響であると考える事もできる。彼の者の力は強大。その作用は未知。かの者の力が卓を越え、こちらにも何らかの作用をもたらした可能性も否定できぬ。
全国には、二人で一つの力を共有し発動する者達もいると聞く。今回の事もそれに属する現象であるという可能性は否定できぬ。)

衣(ノノカならこう言うであろうな。このような事が連続で起こる確率は決してゼロではない。そのような現象は偶然の重なりであり、そこに原因などは存在しない、と。)

衣(たしかにそれは一般的に見れば真実と言えよう。麻雀で起こりうることは全て確率、という言葉で説明することができる。低確率で起こる事象であるならば特に偶然、と言われたりもする。
しかしそれはあくまで外から観測した結果にすぎぬ。無論、ノノカのようにそれのみを信じ、打つことも一つの立派な打ち方だ。それを否定するつもりは毛頭ない。)

衣(しかし、実際に卓を囲み、麻雀を内から観測するとき……衣には、例えば咲が嶺上牌を察知でき、嶺上牌で和了できる事のように、外からはかなり低確率で起こるとされている事象を起こす事ができる力が、感じられるのだ。)

衣(要するに衣は、前の半荘で起きた、衣が今まで打っていた時には全く起きなかった事が起きた事に何らかの原因がある、という可能性を捨てきれぬのだ。それがSOS団の存在なのか、涼宮ハルヒの存在なのか、偶然の重なりなのか、はたまたキョンの持つ技なのか、それとも衣が予想だにしない全く別の原因なのか。未だ分からぬが。)

衣(それを確かめたい。確かめられなかったとしても、もう少し見ていたい。)

衣(此度の事は、試合の後半に多く起こっている。前半と後半で明確に違っていた事といえば点数だ。特にキョンの点数は著しく減少していた。今回も同じような事が起こる保証は無いが、点数をご破算にしなかったのはそのため。)

衣(この試合を終わらせ、また一からやり直すと、その原因が消滅してしまうやもしれぬ。なれば、終わらせず続行するに如かず。)

透華(………)

<初巡>

キョン(さてさて、親番なんだけどなんだこれ。)
發白北南9m9m6m2m2s5s5s8s5p ツモ西
――打、西

美穂子(私が知ってるキョンくんならこの悪条件での試合は絶対拒否すると思ったんだけど………正直言って意外だわ。)
9m1m1p2p5p7p8p2s3s4s白發南 ツモ5m
――打、南

透華(………)
南中東白白9m7p9p2p3p4s3s1s ツモ2s
――打、南

衣(トーカ…完全に仕上がっているようだな。この状態のトーカは衣の支配も咲の支配をもものともせず、唯々淡々と手を進める。さながら静水の如く。そして、時にそれは濁流と化し、奔流となりて我々を飲み込み、蹂躙する。見境無しにだ。さて、誰にその力の矛先が向けられるか…。)

<五巡目>

透華「リーチ」

透華捨て牌:南中9m1s東(リーチ)

キョン(早っ!確かご令嬢、一巡目からずっと手出しだったからムダヅモが全くなかったってことじゃねーか。こちとら配牌から向聴数が進んでないってのによ。読めるかこんなもん。)

美穂子(この状況下で読むのは難しい。当たったら事故だと思いましょう。)

<六巡目>

キョン(とりあえず現物っと。)
――打、中

美穂子(これかしら……)
――打、9s

透華「ロン」

白白7p8p9p1p2p3p1s2s3s9s9s 9s

美穂子(――!!)

キョン(あれは…チャンタってやつだったか。早すぎだろ。比較的できにくいんじゃなかったけ。)

透華「裏は……無し。8000。」

美穂子「…はい。」

キョン(従姉妹が振り込むとは。しかしこれは誰が振り込んでもおかしくない状況だったよな。たまたま俺じゃ無かっただけだ。……これであと七局。)

衣(県予選決勝先鋒戦では全く振り込むことの無かったミホコが振り込んだ…。この状態のトーカはそれほどの手合いなのだ。)

点数 キョン:4400  福路美穂子:28600   龍門渕透華:35700   天江衣:31000 

今日は以上です。

リアルで言われて気づいたので一応明言させていただきますと、私が書き込んでいる最中にレスを書いていただいても一向に構いません。むしろ歓迎します。

みなさま良いお年を。それでは。

本当なら日付が変わってから5・5・5の定型句と共に更新するつもりでしたけど、BSフジで0時から新海誠監督のアニメ映画「秒速5センチメートル」、「ほしのこえ」、「星を追う子供」とが三本連続で放映されるとのことで、私はそれが死ぬほど見たいので今更新します。

以下本文

西二局 親:福路美穂子 ドラは4s

<六巡目>

透華「リーチ」
1p1p6p6p7p7p7p9p9p東東西西 ツモ白
――打、7p

美穂子(くっ、早い……しかもおそらくあれは一巡待ってのリーチね。でもこちらも追いつきそうだわ。)
赤5s6s7s赤5m6m7m1p6p9p南南9s9s ツモ7p
――打、9p

衣(早い…が衣も手は進んでいるぞ。)
中中中發發1m3m5m北東7m8m9m ツモ2m
――打、5m

美穂子(無スジど真ん中を迷い無く切ってる…さすが天江さん、というところね…。)

キョン(だから早いって。こちとらまだ三向聴だっつーの。)
1s4s5s8s6p8p9p4m5m8m9m西西 ツモ7m

キョン(お、いいとこ引いた。とりあえず現物な。)
――打、西

<七巡目>

美穂子(親番だし、この手で降りるという選択肢はないわ。ダマでもよさそうだけど、ちょっと欲張っちゃおうかしら。)
赤5s6s7s赤5m6m7m2p6p7p南南9s9s ツモ5p

美穂子「こちらもリーチです。」
――打、2p

衣(追っかけ……押しているな。それにしても僅か一巡差で三人がテンパイとは……衣のこの手も打点十分。当たり牌も場に一切出ておらぬ。衣ならばツモれる。ダマでも良いが、衣も皆と戯れようぞ。)
中中中發發1m2m3m北東7m8m9m ツモ北

衣「衣もリーチだ!」
――打、東

キョン(楽しそうだなコイツ……)

美穂子(天江さんまで。珍しいわね…。)

衣(さて、キョン。この状況下で、どのような手管を見せる?)

透華(………)

キョン(三人がリーチってなんだよこの状況。それにオリきるには手牌が心元ないことこの上ない。なんかみんな点数が高そうな気がするしツモられるのも嫌だ。ここは……)
1s4s5s8s6p8p9p4m5m7m8m9m西 ツモ3s

キョン(……どうしよう。とりあえず現物。)
――打、西

キョン(いや、冗談冗談。ちゃんと考えはあるぜ?って、俺は誰に言ってるんだろうね。)

<八巡目>

美穂子(一発ならず……)
――打、東

衣(こちらも一発は無い…か。)
――打、1s

透華(………)
――打、中

キョン(一向聴。おりゃ。通れ。)
1s3s4s5s8s6p8p9p4m5m7m8m9m ツモ3m
――打、8s

美穂子(キョンくん……ツッパっているわね。高い手なのかしら。)

<九巡目>

キョン(よっし。来たぜ。さて、全体的に点数が高そうな場で申し訳ないんだが……)
1s3s4s5s6p8p9p3m4m5m7m8m9m ツモ7p


キョン「リーチ」
――打、1s

美穂子(え?)

衣(む?)

透華(………)

キョン「流局だな。」

全員手牌を明らかにする。


福路美穂子:赤5s6s7s赤5m6m7m5p6p7p南南9s9s

キョン:3s4s5s6p7p8p9p3m4m5m7m8m9m

天江衣:中中中發發1m2m3m北北7m8m9m

龍門渕透華:1p1p6p6p7p7p9p9p東東西西白


キョン(やっぱりな……三人とも高い手を張っていたようだ。いやー悪いね。ここまでやられっぱなしだったから、少し仕返ししてやった気分だぜ。もっとも……)

キョン(失った点棒は全員1000点で平等だから、点棒の上では仕返しにも何にもなっていない上にむしろ俺のトビが近づいたんだけどね。)

キョン(………って、6pも9pも死んでたんじゃ無いか。そしてよく7p引けたな。だけどもっと他の状況でこの鬼ヅモを発揮しろよな俺。)

美穂子(リーのみのゴミ手……)

衣(ふむ……四家立直。それにキョンの待ち…空聴か。点数も最低。このような手に潰されるとは。しかし残り一枚の7pを引いてくるとは…。)

点数 キョン:3400  福路美穂子:27600   龍門渕透華:34700   天江衣:30000

西三局 親:天江衣 供託4本 積み棒1本 ドラは發

<七巡目>

透華「ツモ。300・500は400・600ですわ。」
4s5s6s7s(9p9p9p)(2s3s4s)(中中中) ツモ7s

衣(親を蹴られた…配牌二向聴で高めの手を作っていたのだが、察知されたか。捨て牌を見るに配牌が悪く良い手が作れぬ故、衣の親を流すことに重きを置いた、そんなところか。)

キョン(残り5局……)

点数 キョン:3000  福路美穂子:27200   龍門渕透華:39100   天江衣:29400

今日の分はこれで以上です。では。

>>293
キョン:リーチ、ドラ1

家族にテレビを奪われ、見たい番組が見られないのでその怒りをぶつけるようにもう一局だけ更新します。

>>297
たしかにドラ1でしたね。ではその局のドラは4sではなく北ということにします。

西四局 親:龍門渕透華 ドラは東

透華「リーチ。」
東東東西西5s6s7s2p3p4p5p6p ツモ北
――打、北

キョン(げえっ。親のダブルリーチ。)
4m8m9m9m1p4p4p7p9p4s5s5s9s ツモ北

キョン(ほっ。字牌ツモれて良かった……)
――打、北

美穂子(現物、ね。)
1m4m4m5m6m1p7p1s2s5s北西西 ツモ7s
――打、北

衣(北が三連続……む、これは。)

天江がツモった牌は、北。

衣(ふっ。偶然か。それとも流れるべくして流れるのか……)

衣(もちろん流さぬこともできる。衣次第だ。なれど……清澄の部長ではないが、ここでこの牌を引いた、或は引かされた意味が、もし"そう"であるならば……なおさら、"そう"だ。)

キョン(何笑ってんだあいつ。)

僅かに唇の端を歪めつつ、キョンを一瞥する天江衣。目が合った。

キョン(??)

天江衣、打――北。

衣「流局だ。」

透華(――!)

キョン(おお。四風連打。儲けた。これであと4局。)

美穂子(北入……キョンくん、この面子相手にここまで初期点数4400点で生き残っている……なかなかしぶといわね。)


福路はキョンの表情を伺うが、やはりその顔からは緊張や焦燥といった感情は読み取れない。麻雀で培った技能により、人の表情を読み取ることには精通していると内心自負していた彼女でも、である。


美穂子(……再会してから思ってたけど、少なくとも最後に会ったときの彼と比べると、表情とか、佇まいとか、漂わせてる雰囲気とかが……なんというか、重厚というか、深淵というか……。余裕がありそう、という表現が一番かしら。)


美穂子(人間、経験を積んでいない物事に対しては往々にして不安を抱き、ストレスを感じる。そしてそれが表情――目の動きや口元――に出る。それ以外でも、例えば発汗があったり、手足が震えたりするものだけど……この局を通して一度も、彼にはそれが見られない。)


美穂子(かなり場数を踏んでいないとあのような厳しい状況で涼しい顔なんてできない。ポーカーフェイスは一朝一夕で身につくものじゃ無いわ。来る日も来る日も練習して、大会に出て勝ったり負けたりして、長い期間をかけて経験を積むことである種の余裕が生まれ、そのことで自然と身につくもの。)


美穂子(彼はまだ麻雀を初めて数ヶ月。経験を積むにはあまりにも期間が短すぎる。だとすると、かなり厳しいこの状況下でも平静を保っていられる程胆力がつく経験を麻雀以外で培った、ってことかしら。)


美穂子(とにかく、最後に会った時から彼は驚くほど変わっている……最後に会ったのは一昨年の夏。会わなかった期間は日数にして約二年間。その間、キョンくんは一体どんな経験をしてきたのかしら。)


点数 キョン:3000  福路美穂子:27200   龍門渕透華:40100   天江衣:29400

もう不貞寝することにします。

あと、遅ればせながら皆様あけましておめでとうございます。このスレを見て下さってありがとうございます。
今年も不定期更新というスタイルは崩さずにだーらだーらやっていきたいと思いますのでお暇であればお付き合い下さい。

あと>>294の龍門渕透華の点数が誤っていました。正しくは>>301にあるものです。

それでは。

北一局 親:キョン 積み棒1本

キョン(さてさて………ここまで嬉しくない親番は初めてかも知れねえ。なんせ7700以上をツモられたら即死だからな。かといって俺が和了っても局は進まず、ましてや安手で和了っても焼け石に水で、高い手を目指して手を進めるとますますツモとか俺の放銃で和了られる可能性が高くなる。しかも俺一人がノーテンだった場合、0点になっちまう。この場合はトビじゃないけどさ。)

キョン(……うーむどうしようか。どうにもならんな。ここから先どうなるかは神のみぞ知る。God knows……うわ。いかん、去年の文化祭後のあの事件の時みたいにまた頭の中でリピートし始めたぞ。しかもメロディーだけじゃなくハルヒのボーカル付きで。確かこういうときは頭の中でリピートしている歌を歌えばリピートが解消されるとか妹が言ってたっけ。ええい今はこんな事考えている場合ではない。)

キョン(さて配牌は……中張牌が多めだが見事にかみ合ってねえなおい。何を切るか一番困るパターンじゃねえかこれ。)
1p1p1p3p7p2s2s6s6s9s發發 ツモ中
――打、中

美穂子(今まで和了れていない。そろそろ和了っておきたいところなんだけど……)

衣(………今日は驚くことがまっこと多いな。配牌でこのような手になったのは始めてだ。面白い。九種九牌だが今回は流さぬ。まさか、己の弱点となっている手を目指す事になるとは……)
東南西北中1s4s6s2p9p1m3m9m ツモ2p
――打、2p

衣(国士を目指すのであれば必然的に鳴きが不可能になる。自ら必要な牌を呼び込むような所作はできぬ。完全に天の采配に従う形になるが……これもまた一興よ。)

キョン(さっきからなにニヤニヤしてんだ天江は。)

透華(………)

<15巡目>

美穂子(天江さんの捨て牌……おそらくあれはチャンタ系か国士ね。)

衣捨て牌:2p5p4s5s3p6s
1s東3m2p9m7p
7p2m

キョン(さてさて……来るツモ来るツモまったくかみ合わずに此処まで来ちまったわけだが……)
1p1p1p3p7p2s4s6s7s發發發 ツモ1p

キョン(うーむ決めちまっていいかな。追加ドローもできるし。)

キョン「カン」
5p7p2s4s6s7s發發發 (■1p1p■) ツモ8m

新ドラ:發

美穂子(え?ここでカン?天江さんの捨て牌は字牌やヤオチュー牌も無いわけじゃ無いけどおそらく国士系よ!?……通ったわね。)

衣(な……)

美穂子(天江さんの表情が動いた……ということはやっぱり…。)

キョン(何の意味も無いカンだったなこりゃ。)
――打、8m

美穂子(表情から察するに天江さんの手は死んだようね…。なら安心して切れるわ。)
――打、發

衣(嶺上開花ではなかった。咲ではあるまいし当然か。……仕方あるまい。どうにかテンパイまでには持って行きたいが……)
東南西北北1s9s1m9m9p白中 ツモ中
――打、中

この局は驚くほど淡々と進行し、あげく流局となった。

キョン「ノーテン」

美穂子「ノーテン」

衣「ノーテン」

透華「…ノーテン」

衣、美穂子(む(え)??)

キョン「へ?あ、いや、すまん。何でも無い。」

衣(……お前が驚くのも無理はあるまい。衣も驚いている。さすがにここまで来ると、まるで………いや、早計かもしれぬ。そうだと断ずるのはこの局が終わってからだ。)

衣(それにしても……新鮮な気分だ。国士を狙いにいった事など初めてよ。)

美穂子(全員ノーテン……)

点数 キョン:3000  福路美穂子:27200   龍門渕透華:40100   天江衣:29400

短いですけども今日は以上です。

全然関係ないですけど、ダンガンロンパがアニメ化するという情報を得て小躍りして喜びました。楽しみです。
これまた蛇足な話ですけど、IHチャンピオンの宮永照あたりなら「超高校級の雀士」として呼ばれても不思議ではなさそうですね。

では。

北二局 親:福路美穂子 積み棒1本 ドラは8p

キョン(おっ。これはいい配牌っぽいか?理牌っと。)

キョン(……テンパイしてる……な。もしかしたら地和もある…のか?それでないにしても、さらにトビが近くなるけどここでリーチをかけないやつはおらんだろうよ。)

美穂子(………)

衣(………)

透華(………)

キョン(さてさて、第一ツモは?)

ツモ:北

キョン(……ま、そう上手くは行かないのが世の常だよな。例外を一人ばかり知っているが。)
2p3p4p3m4m赤5m5s6s7s7m8m8p8p ツモ北

キョン「リーチ。」
――打、北

キョン(実はダブルリーチをかけたのはネトマ以外ではこれが初めてだったりする。)

透華「ポン」
――打、中

衣(ここに来てテンパイ速度が上がるのか……高そうな手であるな。12000くらいか…。)

美穂子(ダブリー……)

<六巡目>

透華「ロン。1300。」
6m7m1p2p3p7s8s9s(7p7p7p)(北北北) 8m

衣「うむ。」

キョン(あれ?あっさり流されちまった……リーチかけ損じゃねーか。)

衣「キョン。」

キョン「ん?何だ。」

衣「手牌を見せてくれないか。」

キョン「?……まあいいが。」

衣(メンタンピンドラ3……)「……すまない。もういいぞ。」

キョン(??今のコイツの行動に、なんの意味があるんだ。…っと、そんなことは別にどうだっていい。あと二局だ。点数守ってできれば和了ってやる。)

衣(………)

天江衣は自身の前にある王牌を卓中央の投入口に押し入れる際、ドラ表示牌の裏をさりげなくめくる。

7p

衣(最後の7p。ふむ……)

点数 キョン:2000  福路美穂子:27200   龍門渕透華:41400   天江衣:28100

北三局 親:天江衣 ドラは8p

衣(親番……他の事に気をとられ今まで気づいていなかったが、このままでは衣は焼き鳥ではないか。なんとしても和了りたいところだ。)

キョン(うーむ。この配牌じゃ難しいか。)
1s7s8s5m5m2m2p3p4p北白發中 ツモ白
――打、發

透華(………)

美穂子(今まで和了れていない……途中流局が二回あったからまだ妥当な範囲内ではあるんだけど。)
5s7s8s9s1p3p4p8p8p3m4m6m東 ツモ5s
――打、東

<四巡目>

キョン(………)
――打、8p

美穂子「ポン」
5s5s7s8s9s1p3p4p3m4m6m(8p8p8p)
――打、6m

キョン(げ。またドラ鳴かせちまったよ。)

<次巡>

キョン(………)
――打、5m

美穂子「チー」
赤5s5s7s8s9s1p3p4p(3m4m5m)(8p8p8p)
――打、1p

キョン(また鳴かせてしまった…一応念のため言っておくが、コンビ打ちしてるわけじゃないぞ。)

<さらに次巡>

美穂子「ツモ。2000・4000です。」
赤5s5s7s8s9s3p4p(3m4m5m)(8p8p8p) ツモ2p


衣(テンパイしていたが、美穂子の方が一巡早かったか……)

キョン(……あーあ。ついに来ちまったよこの瞬間が。実際目の当たりにすると凹むなこれ……。点棒ぴったりボーナスとか某カードゲームかっつーの。ま、慣れてるんだけどね。この場合得意げになっていいのか。なわけないわな。)

衣(此奴の点数は文字通り風前の灯火。さて、次の局で決まるか……)

透華(………)

点数:キョン:0 福路美穂子:35200 龍門渕透華:39100 天江衣:24400

北四局 親:龍門渕透華 ドラは9p

キョン(さて………0点だ。日々の練習の中でこうなる事がほぼ毎日である俺にとってはあんまり動揺するようなことじゃないと思ってしまう自分が情けない……あ、いつもは手積みでやってるから電光表示で0点を見るのは初めてか。ま、些末な違いだからどうでもいいか。)

各自、前局に使った牌を投入口に流し入れ、親の龍門渕透華により賽のボタンが押された。
山がせり上がってくる音が、局の開始を告げる。

衣(ッ―――!)

衣(何だ……この感覚は……)

己の内側から、己の意図せざる強さの何らかの力が、無限に湧き出る。奇妙な感覚だった。これまで感じ取ってきた自分の力の上昇は、自身の鍛練や時間帯の変遷によるもののみであったのだが、今回は違った。なんの前触れもなく、突然、である。

衣(トーカに破られて以降は発動させていなかった衣の支配の力が……己の中で増しているのがわかる。これまでに無い程に。満月の夜であったとて、これほどまででは無い…。)

衣(感覚の傀儡となる事は県予選以降は潔しとせなんだが……どういうわけかこれほどまでに増したのだ。今回は身を任せよう。)

衣(さぁ……御戸開きぞ。)

――――――――――!!!

美穂子(ッ!何これ…なんだか………寒い………手が…震える…)

透華(―――!?)

衣(……視える……自らが和了牌を手にする光景…それに至るまでの軌跡が……これほどまでに鮮明に視えたことは未だ嘗て無い。)

キョン達は対局に集中していたため未だ気づいていないが、彼ら以外の者は既に全員半荘二回の対局を終えていた。その者達は雑談に興じたり、再び対局したりしていたが、そのうち何人かは各々キョン達の後ろで見に回っていた。そのもの達の間に、戦慄が走る。

純(なんだ……これ……こいつ、本当に昼間の衣か!?満月の衣よりも強いんじゃねーのか!?)

ゆみ(県予選決勝……そして合同合宿で打った中で感じたものとは段違いに強いものを感じ取れる……!この天江と卓を囲んだ上でこれを目の当たりにしたら、さしもの私でも冷静ではいられなくなるかもしれん。)

一(それに、透華が……この状態の時は無表情で淡々と打つはずの透華が…驚いている…?)

数絵(天江衣の力…まさかこれほどとは。)

純(それに、なんか表情が……前の衣と同じになったな……それでいて、力は依然と段違い……。)

一(なんだろう……ボクが初めてここに来たときに衣と打って感じたものと同じ……それでいてさらに強いプレッシャーを感じる……)

驚愕する周囲。そしてそれは天江と卓を囲む者達も同様であった………ただ一人を除いては。


キョン(トビませんようにトビませんようにトビませんように)

<初巡>

透華(………)
1s6s6s9s9s2p7p3m8m白發中北南 ツモ7m
――打、1s

キョン(悪い配牌ではないな。しかし……ラス確定の小さな和了をするのは気が引けるっつうかタブーだよな。よし。できるだけ高い手を目指すぞ。これならトバされても雄々しく散ったことになるんじゃないか。多分。うーむこっからだと……)
1m1m1s1s2s3s4s5s7s1p1p西南 ツモ3s
――打、3s

純(衣の支配下にしちゃあ伸びそうな配牌だなコイツ……)

美穂子(八種八牌…中張牌もかみ合ってない。おそらく勝負にならないわね…)
5p8p3s5s3m9m9m北南東發中白 ツモ中
――打、中

数絵(鳴かない!?天江衣の手牌はドラもあって打点十分のはず。なぜ……)

衣(今までにないほど感覚も冴え渡っている……ここはこうだ。)
2p3p赤5p赤5p6p7p9p9p8m9m中中 ツモ3p
――打、3p

ゆみ(中見逃しの上にこの手牌で3pをツモ切り…?何を考えている。天江。)


福路美穂子、龍門渕透華の両名の手牌は、配牌の時点で和了からはほど遠く、ほぼ死に体を晒していた。
言うまでも無く、不明な原因により著しく上昇した天江衣の絶対的な支配の影響である。
ツモはかみ合わず、塔子や対子すらも作ることはほぼ敵わず、為す術無くツモ切りを続けていた。
しかし、例外が一人いた。

<15巡目>

透華(………)
――打、南

キョン(さてと、ムダヅモのオンパレードだったがなんとかここまで来たぜ。)
1m1m1m1s1s1s2s3s4s1p1p西南 ツモ西

純(テンパイしやがった………衣の支配が効いてないのかコイツ!?)

キョン(ツモり三暗刻、運が良ければ三色だ。ここでリーチをかけて、裏に期待するしかねえ。さて、リー………あ。)

キョンは自分の点数表示を確認する。点数を告げる赤い電光表示は、無機質に、ただ事実のみをキョンの目に叩きつける。
それは、わざわざ引き出しを開けて点棒の存在を目で確認するまでもなく……0点である。

キョン(あちゃー…………)

キョン(……リーチ、できないじゃん。)


長くなるので今日はここで切ります。

本編の連載を読みました。有珠山高校の先鋒の子、可愛いですね。他の面子も。私は北海道在住なので彼女らを応援します。
一昨日ワカサギ釣りにいってきたのですけど、そのときに有珠山高校の面子とワカサギ釣りしたいなーとか考えてました。ちなみに釣果は爆釣でした。

余計な話ですが、臨海の留学生達は、麻雀での発声は日本語で行うんでしょうかね。

ダヴァンなら、普段は日本語での会話を行うけども試合の時は英語で「tsumo!!! forty thousand all!!!」とかいいそうです。かっこいい。
中国人のミョンファは、中国麻雀の発声が出ると予想します。中国麻雀はツモの時もロンの時も和了宣言の時は「和(フー)」と発音するそうです。

なんかだんだん透華終了宣言の書き込みが私の日記みたいになりつつありますが、ここはそんなことをいう場所ではないので、この辺で。

それでは。

見に回っていた一同、騒然。

数絵(え!?)

純(はぁっ!?何考えてんだコイツ!?和了ってんだぞオイ!!)

ゆみ(確かに和了ってもラスだが……残り一巡だぞ?できることはないと思うんだが……)

美穂子「………」

透華「………」

衣「………」

衣(手出しだったのが気になるが……嶺上開花ではなかった……妥当だろう。衣の支配下でそんな芸当ができるのは……衣の知る限りでは、咲のみだ。)


キョン(通った……みたいだな。)

キョン(ま、海底牌を抱えてテンパイを崩さなければならないわけだから、結局俺はノーテン罰符で飛んじまうんだけどさ。和了られて飛ぶよりはまあ……端から見たら五十歩百歩だろうが多少はマシだ。俺の心情的にな。)

キョン(どや。天江衣。山椒は小粒でもピリッと辛いんだよ。………少々調子に乗りすぎたな。すまん。)

衣(………此奴……これまで、トーカにも美穂子にも放銃していたし、衣の支配にも呑まれていたが……今だけは確かに、この衣の感覚を超越した……)

険しい表情でキョンを見つめる天江。しかしキョンはあくまで平然としている。

キョン(そんな顔で睨まれても、俺には妹がへそ曲げて頬を膨らませてる顔と同じに見えるね。あのくそったれな未来人野郎にも一応感謝しておくか。他人に睨まれてガチで恐怖を感じた度合いの人生の中での最大瞬間風速はタクシーの車内で奴に凄まれた時だ。そんときに比べりゃ今の天江の可愛い事可愛い事。)



ゆみ(天江は間違いなく、確信を持って今まで打牌してきたはずだ。他家の捨て牌、そして自分のツモに至るまで……奇妙な捨て牌がそれを物語っている。しかし、盲点があったんだろう。)

ゆみ(おそらく……天江は嶺上牌が何だったのか、分からなかったんだ。)

ゆみ(でもそれは些末なこととして無意識のうちに切り捨てていたんだろう。)

ゆみ(そして天江のあの表情……彼の手牌が自らの脅威となることを察知することもできなかったんだ。)

ゆみ(嶺上牌を察知しているとしか思えない打牌を見せたのは私の知る限り一人だけ……)

ゆみ(そう。宮永咲だ。)


ゆみ(卓上を完全に己の掌中に収めていたかのような力を感じ取れたし、実際天江はそのような打牌であった。それに彼以外の他家の手は死んでいたが……天江の力が異様に増していたこの局でさえ、宮永の持つ力の範疇まではカバーしきれていなかったということか。)


ゆみ(そして偶然か否か……いや、この状態の龍門渕すら完封しているこの局の天江の半ば絶対的な支配の中で偶然が発生する蓋然性はおそらくほぼゼロだろうが……定かでは無いが彼はそこをピンポイントで突いた、ということだろう。)


ゆみ(天江の支配に対し真っ向から対抗し越えたのは、私の知る限りでは清澄の宮永咲、そして合同合宿の時の龍門渕透華…そしてほんの一時的とは言え彼、か。しかも彼は県予選や合同合宿での天江よりもさらに強い状態の天江の支配を越えた、ということになるな。)


ゆみ(なかなかどうして……見たところ妹尾にちょっと毛が生えたくらいの素人だが、妹尾と同じく一筋縄ではいかなそうな打ち手では無いか。彼は。胆力もありそうだし、よい指導者に巡り会えば、存外、化けるかもしれないな。)

大変長らくお待たせしました。忙しい合間を縫っての執筆だったのでかなり後れてしまいました。すみません。

>>324から全面的に書き直しました。では投下します。


北四局 親:龍門渕透華 ドラは7p

キョン(さて………0点だ。日々の練習の中でこうなる事がほぼ毎日である俺にとってはあんまり動揺するようなことじゃないと思ってしまう自分が情けない……あ、いつもは手積みでやってるから電光表示で0点を見るのは初めてか。ま、些末な違いだからどうでもいいか。)

各自、前局に使った牌を投入口に流し入れ、親の龍門渕透華により賽のボタンが押された。
山がせり上がってくる音が、局の開始を告げる。

衣(ッ―――!)

衣(何だ……この感覚は……)

己の内側から、己の意図せざる強さの何らかの力が、無限に湧き出る。奇妙な感覚だった。これまで感じ取ってきた自分の力の上昇は、自身の鍛練や時間帯の変遷によるもののみであったのだが、今回は違った。なんの前触れもなく、突然、である。

衣(トーカに破られて以降は発動させていなかった衣の支配の力が……己の中で増しているのがわかる。これまでに無い程に。満月の夜であったとて、これほどまででは無い…。)

衣(感覚の傀儡となる事は県予選以降は潔しとせなんだが……どういうわけかこれほどまでに増したのだ。今回は身を任せよう。)

衣(さぁ……御戸開きぞ。)

――――――――――!!!

美穂子(ッ!何これ…なんだか………寒い………手が…震える…)

透華(―――!?)

衣(……視える……自らが和了牌を手にする光景…それに至るまでの軌跡が……これほどまでに鮮明に視えたことは未だ嘗て無い。)

キョン達は対局に集中していたため未だ気づいていないが、彼ら以外の者は既に全員半荘二回の対局を終えていた。その者達は雑談に興じたり、再び対局したりしていたが、そのうち何人かは各々キョン達の後ろで見に回っていた。そのもの達の間に、戦慄が走る。

純(なんだ……これ……こいつ、本当に昼間の衣か!?満月の衣よりも強いんじゃねーのか!?)

ゆみ(県予選決勝……そして合同合宿で打った中で感じたものとは段違いに強い……!この天江と卓を囲んだ上でこれを目の当たりにしたら、さしもの私でも冷静ではいられなくなるかもしれん。)

一(それに、透華が……この状態の時は無表情で淡々と打つはずの透華が…驚いている…?)

数絵(天江衣の力…まさかこれほどとは。)

純(なんか表情が……前の衣と同じになったな……それでいて、力は依然と段違い……。)

一(なんだろう……ボクが初めてここに来たときに衣と打って感じたものと同じ……それでいてさらに強いプレッシャーを感じる……)

驚愕する周囲。そしてそれは天江と卓を囲む者達も同様であった………ただ一人を除いては。

キョン(トビませんようにトビませんようにトビませんように)

<初巡>

透華(………)
6s6s8s9s9s2p7p3m8m白發中北南 ツモ7m
――打、北

美穂子(っ……いえ、鳴くのはやめておきましょう。手が狭まりすぎる。)

キョン(悪い配牌ではないな。しかし……ラス確定の小さな和了をするのは気が引けるっつうかタブーだよな。よし。できるだけ高い手を目指すぞ。これならトバされても雄々しく散ったことになるんじゃないか。多分。リーチはできないし、うーむこっからだと……)
1m1m8m8m1s1s2s4s5s7s1p1p南 ツモ西
――打、西

純(手牌が見づらい……こいつ壁打ちしてるからなー。配牌は…可も無く不可も無い感じだな。)

一(マナー的にはあんまり良くないよねあれ……)

美穂子(七種九牌…中張牌もかみ合ってない。おそらく勝負にならないわね…)
3p8p1s3s5s3m9m9m北北南發白 ツモ中
――打、中

数絵(鳴かない!?天江衣の手牌はドラもあって打点十分のはず。なぜ……)

衣(今までにないほど感覚も冴え渡っている……ここはこうだ。)
2p3p赤5p赤5p6p7p9p9p8m9m中中 ツモ3p
――打、3p

ゆみ(中見逃しの上にこの手牌で3pをツモ切り…?何を考えている。天江。)


福路美穂子、龍門渕透華の両名の手牌は、配牌の時点で和了からはほど遠く、ほぼ死に体を晒していた。
言うまでも無く、不明な原因により著しく上昇した天江衣の絶対的な支配力の影響である。
ツモはかみ合わず、塔子や対子すらも作ることはほぼ敵わず、為す術無くツモ切りを続けていた。
しかし、例外が一人いた。


<10巡目>

透華(………)
――打、3s

キョン「!っ、チー。」
1p1p1s1s1s4s東南1m1m1m(1s2s3s)
――打、4s

数絵(やはり三色チャンタに決めていましたか。ミスター麻雀が最も好む役ですね。しかし、頭候補がこの牌だと残念ながら和了れそうにはありませんね……。)

数絵(ですが私は、配牌からの高い理想型を狙うその心意気や良し、と評価できます。手役決め打ちは前時代のスタイルであるとはいえ、まだまだ色あせていません。おそらくおじいさまもあの配牌だとそう決め打つでしょう。この状況だと私もそう打ちます。今は北場ですが、半荘だと南場にあたりますからね。)

美穂子(鳴いた…?海底を押しつけられた形になるわね。こちらとしても、キョン君が天江さんに鳴かれて海底をツモられるよりは、私が直接抑えられるから悪いことでは無いけど。)

ツモ:東

――打、東

キョン(げ。東だ。ちくしょうこれで東は死んだ。頭どうしよう……いや、まだ南がある。っつっても南も二枚切れてるんだけど。)

キョン(くそ。一巡……二巡か。遅かった。)

キョン(……つーか、今鳴かなきゃあの東は俺に入ってたじゃねーか。仕方ないこととは言え、余計な事しちまったぜ。)


~そのとき面子の背後では~

一「純君、純君」

純「あん?」

一「しーっ……ついてなかったね彼。ボクもよくあるよ。こーいうこと。」

純「オレならこんなミスは犯さないけどな。」

一「例の場の流れってやつ?」

純「そ。お前はどうだ?」

数絵「わ、私ですか?南場ならば絶対にしませんが…」

一(やっぱりボクにはオカルトはわからないなあ。)

こんな会話が繰り広げられていた――――――――――

未だ10巡目。

ゆみ(いや……全く意味の無い鳴きだったわけでは無い。これでツモ巡は一つずれて海底牌をツモるのは福路になった…。)

ゆみ(そして、今までは彼からポンすれば海底をツモれたのが、海底をツモるには福路からポンしなければならなくなった……しかし、彼女ならそうそう簡単には鳴かせない。結果的に今のチーは天江衣の海底を抑止する結果になったといえるだろう。)

美穂子(悔しいけど、私、蚊帳の外ね……)

衣(………)

2p3p赤5p赤5p7p7p7p8p8p8p9p9p9p ツモ4p

しかし、天江衣は口元に僅かに笑みを浮かべ、盲牌後即ツモ切り。打、4p。

一(……え!?和了拒否するの?)

純(ん?どうしたんだ国広く……和了拒否かよ!?昔の衣じゃあるまいし……)

ゆみ(そうするとつまり……海底狙いということか。今和了ってもトップになるだろうに。)

数絵(やっていることは違えど……風越の大将をジャスト0点にしたときと似た意図を感じざるをえませんね…。)

<11巡目>


透華(………)
――打、南

ゆみ(はは………これは。)


キョン(げ。これで東も南も死んだ。)
1p1p1s1s1s東南1m1m1m(1s2s3s)ツモ1p


南は初巡に龍門渕透華が、9巡目に福路美穂子が、そして今龍門渕透華によって切られたことで死に、東も2巡目、9巡目に天江が、10巡目に福路によって切られたことにより死んでいた。


キョン(1p……来るのがおせーよ……もう一巡早くテンパイしていれば……)
――打、東

キョン(あーあ。配牌の時点で判断をミスったかな。もっと手軽な役にしとけば良かったかも。)

一(うわー……これはきっついなぁ。)

ゆみ(…次のツモでまだ死んでいない牌が来るに賭けるしかないな。。)

<16巡目> 山の残り枚数は11枚。

福路美穂子と龍門渕透華の手は相変わらずの死に体であり、この局は事実上天江とキョンの一騎討ちのような様相を呈していた。

透華(………)
――打、7s

キョン(とりあえずだ。何でもいいから今ツモったやつを南と入れ替えで、ワンチャンを狙うぞ。幸い役はあるんだ。ロンでもツモでも和了ってやる。)


ツモ:1m


キョン(………まぁ、悪くはない。ココはこうだろう。)

キョン「カン。」

美穂子(暗カン……)

1p1p1p1s1s1s南(■1m1m■)(1s2s3s)

新ドラ:5p

衣(やはり来たか…衣の手が肥えたわ。)

キョン(さてさて、嶺上牌は……)



ツモ:西


一(あー……)

数絵(よりにもよってそれですか。とことんツキに見放されていますね…。)

ゆみ(西か……西は一枚切れ。他の字牌も三元牌も序巡に殆ど切られている中、誰の手牌にも無く唯一生き残っている字牌でもあるのだが……)

加治木はキョンの河に目をやる。



西5p8m8m7s3m
5m5m5s4s東白
中發8m



ゆみ(彼は初巡に西を切ってしまっている。つまりフリテンだ。もちろん、純カラとなっている南よりはマシであるが……残りは二巡。これはかなり厳しいと言わざるを得ないだろう。)

ゆみ(それに、今のカンで海底牌が一つずれたことにより、海底をツモるのは彼になった。鳴かれて海底コースに持って行かれないように注意しなければならないぞ。)

ゆみ(……いや、もっと大切なことは他にもある。天江の表情だ。)

加治木は天江の表情を伺うが、そこには戸惑いや焦燥といった感情は読み取れない。むしろ今キョンによってカンが行われるのを最初から分かっていたかのような、そんな余裕すら感じさせる表情だった。

ゆみ(カンが行われると海底牌は王牌へと取り込まれてしまい、今の海底牌の上にある牌が新しい海底牌になる。)

ゆみ(最初の海底牌に合わせて手を作っていたのなら天江は今のカンで戦略を失うことになるが……)

ゆみ(あの表情をみる限り、このカンが行われることを予期した上で手を作っていたのか……。)

キョン(…泣いていいか?俺?いや南持つよりは幾分マシなんだけど。)
――打、南

美穂子(………)
――打、3p

衣(………)
――打、2p

<17巡目>

透華(………)
――打、5m

キョン(何でもいいからいいやつ来い!)


ツモ:5p


数絵(……ついてないときはとことんついてないものですね……)

キョン(あーもう。またフリテンかよ。どっちを残そう……)

キョン(もし5pを残して和了れたとしたら三色だけ。西で和了ったら三色にチャンタがつく。和了れる可能性は極々低いにしても、どうせ和了るなら高い手がいいよな。それにピンズも場に安いし。よし。5p切るか。)

キョン、5pをツモ切り。

一(あ。)

ゆみ(いけない!それを切ったら……)


キョンが5pを切った直後、彼が牌の表面から指をどける前に天江が厳かに声を発する。

衣「ポン。」

これで天江衣は清一対々三暗刻ドラ5のテンパイ。数え役満確定手である。

2p3p7p7p7p8p8p8p9p9p9p(赤5p赤5p5p)
――打、2p

キョン(あーあ。)

美穂子(キョンくん……)

数絵(やってしまいましたね……)


山に残る枚数は先ほどのキョンのカンで一枚減っているので残り四枚。ツモ順は透華→キョン→美穂子→衣となる。
つまり、今のポンで海底コースへと持って行かれてしまったのである。

純(おそらく、切る牌の危険度を考えることもせず、打点が高いという理由だけでの5p切り……自分が和了るより、他人に和了らせないことの方が、麻雀に於いては重要なんだぜ?俺みたいな戦術をとる奴にとっては特にな。そこんとこ、まだ分かってないみたいだなコイツ。)


一(うーん…。この人、全国屈指の激戦区、兵庫県の代表選手、なんだよね……うーん。)


純(……SOS団ってのは、智紀が集めた情報によれば涼宮ハルヒのワンマンチームだっていうのがもっぱらの評判だ。確かに大会の映像を見ても涼宮以外は今日来てない鶴屋ってやつを除いては全然ぱっとしなかったし、実際にその中の一人であるもう一人の男…名前忘れた…と打ったけど、はっきり言って弱かった。他の二人も今日の対局を見る限りでは全然強くない。大会当日調子が悪かったからぱっとしなかったわけではなさそうだ。)


純(こいつ……キョンだっけ?……については、衣と透華、風越のキャプテン相手に飛ばないってことは一定の評価に値するけどな。一方的にやられているようではIH全国レベルの選手相手には全く刃が立たないと断言できる。少なくとも善戦くらいできなきゃ、はっきり言って無理だ。)


純(こいつらは結成僅か二ヶ月でIH全国出場した事で注目を浴びてるけど、涼宮以外は全体的に肝心の麻雀の力量が圧倒的に足りないと言わざるを得ない。)


純(総合力で言えば、この前打った阿知賀の連中の方が…いや、ちょっと辛辣だが、こいつらは比較対象にもならねえ。)


純(評判は事実に即している。と認めざるを得ないかもな。今のままだと、涼宮が出た後、または出る前にトバされて、初戦敗退が関の山だろ。)

<18巡目>

最終巡である。山の残り枚数は四枚。ツモ巡は前述の通り透華→キョン→美穂子→衣。
衣のファイナルドローの前になんらかの対処をしなければ、キョンのトビが確定する。

透華(………)

――打、西


残り枚数、三枚。海の底が近づいてくる。そして今し方切られた牌は西。キョンの唯一の和了牌である。



キョン(う……マジか……)



数絵(これで西は二枚切れ。自身で一枚切っていますから……)



ゆみ(フリテンの上、地獄単騎待ち……)



一(究極の悪待ちだね……清澄の部長を越えるんじゃない?)



透華の河から目を離したキョンは目を閉じ、深く息をすって思考を巡らした。



キョン(敗色は死海に含まれる塩分濃度よりも濃厚だ……


そういや、ハルヒのやつにはいっつもトバされてるけど、今までハルヒ以外の奴にトバされたことはなかったっけ……。



負け……か……。


痛感する。これが全国レベルなんだってな。



………………



………………


俺の圧倒的なまでの実力不足は仕方ない。まぎれもない事実だからな。



しかし、しかしだ。



本当に、このままでいいのか?



このまま何を思うことも、何も考えもせず、諾々と結果を受け止めるか?



否。



たとえ現実がそうであっても、納得できない、割り切れない感情ってのが、俺の中にはあるんじゃないのか?

つまりこうだ。

さっきの半荘、俺は負けて、悔しいと、露ほども思わなかったのか?

そして、

この半荘……いくら点数が引き継ぎありだったといっても、一荘だとしたら一試合だ。


この試合に負けたとして……俺はまあ仕方ないさと、思考停止したまま漫然と次の試合に向かうのか?



思い出せ。俺。さっきの半荘が終わったあと、焼き鳥だったって事を思い返したとき、感じたのは実力不足だからこれが予想通りだっていう諦めの感情だけだったか?

さっきは「団活の一部だから楽しむ」なんて言葉で上手くごまかしたつもりだろうが、俺の感情の深層にあるわだかまりを認知していなかったわけではないだろう。


それにだ。


周りの奴らを見てみろ。全員が全員、日々己の技を磨いて、一年に一度しか無いIHに全てを賭けてきた連中だ。そして多くは敗北という辛酸を舐めさせられ、なお折れず、リベンジを誓っている奴らだ。


そんな思いっきりガチな連中しかいない中でだ、楽しむ?バカを言え。


さっき、この部屋に入るまでにご令嬢が言ったあの言葉、あれはただのリップサービスに過ぎんはずだ。俺の緊張を和らげる為のな。

おかげ様で心置きなく打てたさ。感謝するよ。だが、あやうくその言葉に甘えちまう所だったぜ。


今回の団活…麻雀のIH出場。宇宙的、未来的、超能力的要素は皆無ではあるが、これは今までの団活とは違う。まるっきり。


100%白か、100%黒か。勝ちか負けか。それしか存在しない世界へ飛び込んで行くものだ。


なのにだ。俺は日々何を思って練習していた?ただのいつもと同じ、ルーティーンの中の一部としてしか思っていなかったんじゃないのか?
そして今回、半荘でぺしゃんこにされて、俺は何を思った?


甘い。甘すぎるぜ俺。こんなんじゃハルヒにも、みんなにも軽蔑されちまう。それは、今の俺にとっては何にもまして耐え難いものだ。


考えを改めろ。これはれっきとした勝負の世界だ。負けは必要ない。必要なのはただ勝利のみ。少なくとも、負けないようにするべきだ。

罰ゲームが嫌だから負けたくない?アホか。そんなのは関係ねえ。今回の試合の結果に付随するものでしかない。


結果が全てだ。

思えば俺はそういったことを避けて此処まで生きてきた。

勝ちも負けも存在しない、ぬるま湯の日常の中でな。確かにSOS団での日々は特殊だった。だがそれと純粋な勝負の世界とは違う。

全くとんだ甘ちゃんだぜ。俺は。従姉妹はとっくにそういう世界で何年も生きてきてるってのによ。

一年間SOS団をやってきたから俺は他の奴らよりは色々な経験がある、なんて自惚れは捨てろ。


……色々言ったが、コレ一言に尽きる。


今まで、俺は勘違いをしていた……って事だ。


さて、気合いを入れ直したところで……今のこの状況を振り返ってみよう。


残りの山の枚数は三枚。そしてこのまま何もできなければそのままノーチラス号で海底二万海里へれっつらゴーだ。夏が好きな俺としちゃあ、ネモ船長みたいに一生涯を海底で過ごすなんてまっぴらごめんだし、行きたくも見たくも無いね。


それはさておき、
この状況を打開するには……ま、そんなに手段は多くないけどさ。他家が鳴いてくれそうな牌を出すとか……くらいしか思いつかねえ。はっきり言って望みは薄だろう。


だが………負けない可能性は完全に潰えたわけではないんだ。俺がツモった牌を河に置くまでは分からん。腹をくくるにはまだ早い。)


…………………


美穂子「キョンくん……?どうしたの?」

キョン「……ああ。すまねえな。すこしぼーっとしてた。」

美穂子(いえ、そういう意味じゃないんだけど……キョンくん、少し表情が変わったわよね…?)

衣(ほう……今までは能面のような無表情であったのが、生気が宿ったかのようだ。)

透華(………)


透華はキョンに顔を向けると、うっすらと微笑んだ。まるで、やっと分かったんですわね。とでも言いたげに。


キョン(なんか……やっとこここに居る奴らと同じラインに立って麻雀を打てるようになったのかもしれんな。もちろん、実力的な尺度でいうと遥か後方に置いて行かれているとしても。)


ゆみ(彼、雰囲気が変わったか……?具体的にと言われると答えられないが……)

数絵(…………風を……感じます。私やおじいさまのものとも全く気色が異なりますが……)



キョン(うっし。いざいざ。)


66枚目の牌に、手を、伸ばす。

キョンはいつも牌をツモる時、人差し指と中指で側面を抑え、親指の腹を表面につける。そのまま眼前まで持って行き、親指をずらし、盲牌する。

そして牌を手牌の上に横向きに置くことはせず、手の中に収めたまま切る牌を考え、打牌する。

この数ヶ月幾度となく繰り返してきたその動作。今回も同じように、ツモった牌を眼前に掲げ、盲牌。


キョン(…………)

ゆみ(1p……まだ諦めるには早いぞ。)



ツモった牌は、1p。

キョン(まだだ。)


キョン「カン!」


キョンが行った今日一番の声量のカン宣言が、部屋に響く。


1s1s1s西(■1p1p■)(■1m1m■)(1s2s3s)


新ドラ:1m



一(モロ乗り!?)

美穂子(ッ!びっくりした……それよりも。)

衣(なん………だと……)

ゆみ(これで天江の海底は…なくなったな。)




キョン(~~~~~~ッ!!ガラにもなくちょっと叫んじまった。やべえ。めちゃくちゃ恥ずい。

……いや、構うもんか。
今の俺はノってる状態なんだ。それくらい許されていいだろう。冷静なる別の俺よ。今から数分間だけお前に暇を出してやるぜ。自嘲的で現実的な能書きは、今は必要ない。俺だってたまには、戦隊ヒーロー物の定番みたいに、必要ないし時間の無駄にしかならない技名の詠唱を、気合いを入れてするくらいいいだろ。まあもっとも今のは二文字で、おまけに必要な発声だったけどさ。)



衣(なんだ……このような光景……こんなものは視えなかったぞ。ただの幻想だったというのか!?

いや、だとしたら今までの衣の打牌はどうなる。全て的確だったし、海底に持って行くこともできたではないか。この凡夫は、一時的にせよ衣の感覚を越える程の力を持っているというのか。それも、今回は著しく上昇した衣の力おや、だ。)


一(衣……呆然としてる……。でもまだ終わってないよ。嶺上牌がなんなのか…まだ分からない。)


キョン(よし。さっさとツモって、西と入れ替えでテンパイ流局だ。どうだ。負けてねえだろ。

……そりゃ。)

さきほどと同じ動作で、嶺上牌を、ツモった。その牌は……





西




純(………へぇー。太いツキ、もってんじゃねーか。コイツ。強い弱いは兎も角として、早くこいつと打ちたくなってきたぜ。)

キョン(………和了っ……た……?のか……?)

これは予想の範囲の埒外にあったのか。今更…本当に今更…彼の手は震え始め、嫌な汗が噴き出した。

興奮。喜び。戸惑い。様々な感情が入り交じり、彼の心はオーバーワークを強いられる。

キョン(あああえーとえとえと…まずあれだ。えーとなんだっけ。とりあえず。)

キョン「…ツッ…ツモ。」


1s1s1s西(■1p1p■)(■1m1m■)(1s2s3s)西


……………

キョン(おいいいいい何たった二文字の言葉いうだけで噛んでんだよ俺。どんだけ焦燥状態だよ。)

美穂子(え……フリテン地獄単騎!?上埜さんでもこんな待ちしないわよ!?)

衣(………)

驚いたのは周囲の人間だけでは無い………ちなみに、一番驚いていたのは彼のその言葉を遠くで真っ先に聞きつけた、キョン曰くデビルイヤーの持ち主。
インターバルの時間を再び対局に使っていたハルヒが、やにわに椅子から立ち上がりずかずかと近づきながらまくし立てる。


ハルヒ「え??ツモ??キョン。あんた今……ツモって言った??本当?嘘じゃ無いわよね?」


キョン「あ?……いや、嘘じゃねーよ。俺が和了って悪いかよ。」


ハルヒ「べっつにー。ただ、あんまりめずらしいもんだから。」


一(珍しいんだ……)


キョン「はは…まぁそうだわな。」


キョン(コイツは……相変わらずの地獄耳だ。そのうち10メートル先で落とした針の音とかも聞き取るかもしれん。

……あれ、なんかさっきまでの鉄火場みたいな俺の精神状態が、いやに平静に戻ってきてるぞ。ハルヒと話しただけでか?
おいおい、常にスーパーハイテンションを貫いているようなコイツとはなしただけで落ち着くってのは……いや事実そうなったわけで……って顔が近い近い。)


ハルヒはキョンの座っている椅子の背もたれに手をかけ、上体をキョンの方に寄せて彼の肩口に顔を寄せる。キョンが横を向けば、至近距離で見つめ合うことができるような、そんな距離で。
ハルヒはキョンの手牌を一瞥し、横を向いてキョンに笑いかけた。


ハルヒ「あ、ホントだ。しかも結構高いじゃない。そうだ。さっきあんたがやたらと大っきい声でカンって言ったときはびっくりしたわよ。」


キョン「悪かったな。」


ハルヒ「ともあれ。やったわね。キョン。」

…………

キョン「…………」


ハルヒ「何よ?あたしの顔になんかついてんの?」


キョン「別に。」



キョン(……もしかして、ハルヒに労いの言葉をかけられたのって、これが初めてじゃないか?それに…和了った時には確かに嬉しかったけど、コイツに今の言葉を言われた時の方が…その、なんだ。嬉しいと感じちまったのはなんでだろ。)


キョン(そして、なんだ。従姉妹。その何とも言えない、自分の所を巣立つ小鳥に親鳥が向けるような、少し寂しげにも見える視線と微笑は。何を思ってるかは知らねえが、俺は別に何もこいつに含む所は無いぞ。いや、マジでマジで。)


キョン(はぁ……なんかもう……いいや。とにかく、点数計算せにゃ。)


キョン「対局中なんだろ。とっとと戻れい。」


ハルヒ「言われなくても。もーすぐ終わるけどね。」


そう言ってハルヒは離れていった。


キョン(さて、気を取り直して。)


キョン「すまねえな。これ……点数計算は少し怪しいんだが、三色とチャンタで1300・2600か?」


純(全然ちげえ。)


数絵「違いますよ。さっき涼宮さんが言われていましたが、もっと高いです。」


衣「倍満だ。」


キョン「倍満?あー……18000?」


一「16000。三色、チャンタ、三暗刻、ドラ4、嶺上開花で10翻。4000・8000だね。」


ゆみ「惜しくもキミのラスは動かなかったけどな。よい和了だった。この状況では、困難ではあったがこれが最高点の和了だっただろう。それを成し遂げたんだ。誇って良いと思う。」

キョン「ああ。どうも。」


衣(………ふ……焼き鳥か………)


衣(二人は気づいておらぬかも知れぬが……この一荘戦の中で、衣、美穂子、透華は満貫より上の手を和了れていない。)


衣(唯一それを成し遂げたのは、今し方倍満を和了した……キョンのみ。)


衣(今の試合……間違いなく衣の力の範囲、強度、精度……あらゆる面が普段よりも上昇していた。原因は分からぬが。

その支配下での嶺上開花……成し遂げた事の困難さでいえば間違いなく咲を上回るだろう。)


衣(今までの対局でも……滅多にない途中流局が二度あったり、なにより衣が焼き鳥であったり……ほんに、衣の思い通りに事が進んだことが殆ど無かった。)


衣(原因の詮索は抜きにして……まっこと……対局が自分の思い通りに行かなかったというのは……本当に……)


衣(……楽しかった! 良い対局だったぞ!)

対局終了。
点数:キョン:16000 四位 福路美穂子:31200 一位 龍門渕透華:31100 二位 天江衣:20400 三位

以上です。

ちなみにキョンは、大方の咲キャラみたいに大げさに腕を振り上げてツモったり、引きツモしません。

鳴いた牌を卓の右端にずらすときに勢いをつけてずらしたりはませんし、右腕を大きく横に広げることもしません。当然ズラした牌が卓の縁にぶつかって煙を出すこともありません。役名を申告することもありません。リーチ棒は投げませんし立てません。

また、彼の手牌には雷とか爆発のエフェクトも発生しません。ツモった牌がなぜか発光することも当然ありません。

彼は嶺上開花を和了しましたが当然花びらなんかでません。

宮永咲みたいにどや顔しながらツモりません。

目とか手に炎や雷が宿ることもありません。

淡々とツモって淡々と捨てます。

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