上条「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」(73)




このスレは「とある魔術の禁書目録」と「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」のクロスです。



・原作、キャラ、世界観、色々壊れてます。

・桐野が「とある理由」から、初期にも拘らずそこまで上条さんに嫌悪を抱いていません(せいぜい俺妹原作後半くらい)

・上条さんはイケメン(作者補正)

・俺妹原作における「京介→上条」と言うキャラの置き換えではありません。

・舞台は学園都市です。とある成分大目。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372402011






序章   とある従兄弟の苦悩  The_Imagine_Breaker_younger_sister_is_a_nerd. 














わたくし、上条当麻には妹がいる。








そう誰かに言った場合、返ってくるであろう反応は「ふーん」という素っ気無いものであることが多い。当たり前だろ?兄妹姉妹なんて人間社会において珍しくもなんともないしな。



そして



わたくし、上条当麻には容姿端麗な妹がいる。



こう言った場合も、返ってくる反応は前者とあまり変わらない。まあ中には「シスコン乙ww」的なニュアンスを含めて言ってくる奴も多少は出てくるだろうが、それでもちょっとした話の種にしかならない程度のものだ。



だが



わたくし、上条当麻には容姿端麗学業優秀運動万能の妹がいる。



ここまでくると、一気に意見が「え?何こいつシスコン?」的なものへと傾く。馬鹿にする奴、ドン引く奴。反応は様々だろうが、クラスメイトの馬鹿な男子どもからは「自慢か?自慢なんだなこの野郎!」と言う敵意ある視線が投げかけられる事になるわけだ。



とどめに



わたくし、上条当麻には容姿端麗学業優秀運動万能モデルまでやっている「義妹」がいる。


もうクラスの女子達からは間違いなく引かれ、男子共(約一名除く)からはフルボッコという壮絶な洗礼を食らうことになる。当然といえば当然かもしれない、というかとある金髪グラサンが初めてメイド育成専門学校に通っている義妹の自慢(三十分以上続けた)をした時は、俺だってクラスの男子達に混じって金髪を足蹴にしたからな。



―――が、それも中学時代までの話。



今となっては、あの時は少し悪い事したかもな。と反省している。


金髪の義妹に会って初めて分かったんだけど、あいつの言っていた通り、彼女の作る料理は高級ホテルのバイキングに出てくるようなそれだったし、作法や礼儀を(一応)キチンとこなす、まさにメイドの鏡のような少女だった。

金髪は、別に義妹のことを変に針小棒大にして謳ったり、話の種にしたいが為に自慢したんじゃない。彼女のことを心から可愛い、自慢の義妹だと思っているからこそ、ついつい抑えきれず誰かに自慢してしまいたくなっているのである。





………まぁ、公私混合をするわ、掃除用のドラム缶ロボに乗っているわ(なぜか手足のように操れる)となんというか色々と独創的な部分もある義妹だったけどな。







まぁ、そんな金髪グラサンの義妹自慢(&男子共からの暴力の嵐)も、今やすっかりクラスの名物として定着したわけだが………



はっきりと言おう。軽い、軽すぎる。そんな義妹(もん)、俺の義妹と比べればなんと言う事はない。

ん?テメェも妹自慢かこのヤロー!だぁ?
………ふふっ、いいぜ………テメェらが妹がいることが、義妹という存在がいる事自体が幸福に繋がるとでも思っていやがるなら、まずはそのふざけた幻想をぶちこr………ってああ!?わりぃわりぃ、ルビがふって無かった。言い方が悪かったな。



正しくは





そんな義妹(もん)、俺の義妹(不幸)と比べればなんと言う事はない。





だ。


思春期に入った妹がいる、もしくは妹がいた奴ならだいたい分かるだろ?俺の言いたい事が。


生意気だわ要求が激しいわツッコミ(暴力)に一切の容赦がないわ義理とはいえ兄である俺を「あんた」呼ばわりするわ(まぁこれだけは少しばかり理由がある)………おまけにそんな不躾極まりない対応をされるのは家族内では俺(兄)だけときたもんだ。

もうね、一度味わった奴だったらなかなか忘れられるもんじゃありませんのことよ?「兄」に対しての「妹」と言う人種の理不尽さは。

そりゃあ世の中には「とても仲がいい兄妹」ってのがいる事は知ってるけど………(実例が隣の部屋に住んでることだし)そんなのほんの一部だろ?この世に存在する「兄妹」その一割にもおよばないんじゃねーのか?

まぁ「思春期」だからってのもあるんだろうけどさ。誰にでもあるよな、やたらめったらイライラして誰かに当り散らしちまうような時期が。
だがそれを差し引いてもとにかくその時期の「妹」って奴のムカつきようってのはもう半端じゃないわけで………っと、話が逸れたな。つーか俺の「困っている事(不幸)」は『それだけじゃないんだ』つーか、状況だけでいえば比べ物にすらならないかもしれない。



もしもこの事が自分達兄妹以外の誰かにバレたら、それだけで終わる。俺の、上条当麻という一人の男子高校生の日常が、人生が、世界が、一瞬で終わりをつげてしま―――



「―――なにボサッとしてんのよ。ほら、さっさと始める!」



頭を抱えて唸っていると、ガシッ、と言う音と共に、ガラステーブルの前にあぐらを掻いて座っている俺の背中が軽く蹴り飛ばされる。犯人は言わずもがな、人のベットに勝手に腰掛けている件の「義妹」である。



「て、テメェ………」

「あんた、さっきからなに唸ってんの?もしかして頭沸いた?あ、それはいつもの事か。じゃあとうとうIQ80(サル並)に成績が落ちたか………」

「こ、んのヤロォ。人が真剣に悩んでるってのに………しかもお前のことで!」

「はぁ?あんたが私の事で何を悩む必要があるってのよ、キモっ。妹の心配してる暇があったら自分の成績の心配でもしたら?」

「………じゃあ今すぐ勉強初めていいんだな?」


それはだめ!キッパリと断言された。自慢じゃないがこちとら全教科赤点獲得という不名誉な称号をGETすることが出来るレベルの落ちこぼれだというのに!!正直こんな事をしている暇があったらとっとと今日の宿題を終わらせてしまいたいが、ベットの上に座る俺の義妹がそれを許してくれそうにない。

「ほら、早く始める!」もう一度そう言ってきた義妹に、はぁ、とため息をついて俺はガラステーブルの上に置かれた一台のノートパソコンに顔を向け、マウスを操作してとあるゲームソフトを起動させた。





(………これが普通のゲームだったらなぁ)


まだマシなのに。と思考する俺の脳内を差し置いて、軽快で明るい音楽と共にOP(オープニング)画面がパソコンの液晶へ表示された。


















『妹と恋しよっ!!~学園都市限定ver~10万三千人の妹~』


















可愛らしい少女のタイトルコールに義妹は「キタ━━━━(≧▽≦)━━━!!」と体を震わせ歓声の声を上げる。


「何だこのふざけたタイトルは」と思った方もいるだろう。「ああ、そういうゲーム(やつ)か」と一瞬で状況を把握できた方もいるだろう。




これはこの都市(まち)「学園都市」限定販売のR-18ゲーム………所謂「18禁」………つまるところ「エロゲ」だ。




当然、妹はおろか、俺ですらまだ十八歳には至ってねぇ………まぁ健全な男子高校生がこういうソフトを一本も持ってないのか?と問われれば言葉に詰まる奴は多いんだろうけどさ。例の金髪や、クラスメイトの青髪ピアス(通称「青ピ」)なんかは確実に(加えて大量に)持ってるだろうし。



問題は、基本18才未満はプレイしてはいけないゲームを「俺達兄妹(義理)が」なぜか「(ほぼ)一緒に」プレイしているというこの状況である。



一応断っておくが、俺が妹にこういうゲームを無理やりやらせていると言う訳ではない、断じてない。私こと上条当麻は義理の妹をエッチなゲームにはまらせようとするド変態ではないのだ。
つーか俺はつい数ヶ月前までこういったエロゲの一つも持っていなければ、エロ本すら所持していなかった。(かなり際どいのはあったけど………)






逆だ、逆だよ。妹「が」俺「に」エロゲをプレイする事を強要しているんだ!一体何の罰ゲームでせうかこれは!!







どんなに心の中で叫んでも、世界は何も変わらない。


目の前の光景は幻想などではなく、ノートパソコンの画面にはヒロインであろう女の子たちが可愛く映っていて、ここは俺の部屋(しかも男子寮)で、俺は今義理の妹と(無理やり)エロゲをプレイしようとしている。



「さ、さぁ、早く始めなさいよ!はやく、はやく!はやく!!」


待ちきれなくなったのか、妹の手が俺の肩を掴んでギリギリと締め付けてきた。その目は獲物を前にした肉食獣のように煌き焦点が合っておらず、口元から透明な液体(ただの唾液である)が垂れ落ちそうになっている。
笑顔といえば笑顔なのだろうが、ぶっちゃけキモいし怖い。



まぁ、ここでなに言ってもこいつの意見は変わらないだろし、フルコンはともかく、とりあえずクリアしてエンディングを見ない限り宿題を始められそうにない。




俺は諦めたようにため息をつくと、マウスを操作してカーソルを移動させ―――――










「んじゃ、はじめるとしますか!」










『start』←
『Load』
『Config』
『CGmoed』
『Exit』











そのボタンを、押した。


















私、上条当麻には容姿端麗学業優秀運動万能(スポーツ万能)モデルまでやっている「義妹」がいる。









名前は「上条桐乃」









『旧妙』「高坂桐乃」









わたくし、上条当麻のとの関係は「従兄妹」のはずだった、とある少女が―――――














~OP~





『irony』





~そんな優しくしないで どんな顔すればいいの~

~つみかさねた言葉で みえないよ君のよこがお~









すみません「旧妙」→「旧名」です。なんだよ「旧妙」って………

もう一つのスレとの関係もあり(つーか向こう優先(場合によっては考えますが))基本遅くなります。



次回の展開安価


①序章に至るまでの過去(俺妹一巻の再現をある程度含む)
②現状(上条当麻の日常)
③とある一巻の再現



今後の方針安価


「あ」 シリアス(安価少な目)
「い」 コメディ(安価多め)
「う」 「あ」「い」半々



黒猫について


A リアル中二病(科学サイド)
B リアル中二病(魔術サイド)
C 無能力者



それではまた次回………



















あ、京介も出ますよ?いや一応ね。(特に「う」の場合出番多め)




すみません間違えました。京介の出番が多くなるのは「う」ではなく「あ」です(つーかどうしてもやりたいことがある)

アンケートにご協力、ありがとうございました。
集計結果の途中発表ですが



「あ」2
「い」2
「う」0


「A」1
「B」3
「C]0


となっています。

このままいくと、「あ」と「い」が相殺しあい、結果的に「う」に。
黒猫が「B」の魔術サイドルートに所属します。

(いい忘れましたが、黒猫が魔術ルートに行った場合、メインを張る回がありますが、桐乃との絡みは少なくなります。(設定的に当然といえば当然ですが)科学サイドルートの場合、桐乃との絡みは必然的に多くなりますが、メインを張る回が無く、とあるメインストーリーにも絡みません)


よろしいですか?(明日までに変動しなければこれで書き溜めていきます)

ご協力、ありがとうございました。



集計結果


「あ」4
「い」6
「う」0


「A」2
「B」8
「C」0



黒猫が魔術師になりました。
コメディと安価が多めになりました。(シリアスが無くなったわけではありません)


それではこの設定で書き溜めていきます。



PS・あやせと加奈子の処遇をどうするか悩み中………何回脳内シュミレートしてもあやせが病んだ場合上条さんに問答無用でぶっ飛ばされる場面しか浮かばない件………

ぎゃああああ!すみませんミスりました。


集計結果 (訂正)


「あ」5
「い」6
「う」0


「A」2
「B」9
「C」0










始まりと、それに至る経緯~The cousin who became my younger sister~









『当麻、お前に義妹(いもうと)が出来た』



は?………は!?
いやいやいやいやちょっと待て。と父親からの第一声に思わず携帯をそのまま床に落としそうになった上条当麻は慌てて意識を覚醒させる。


妹?いもうと??イモウト???


頭が混乱する、上手く言葉が出てこない。
落ち着くだけで数秒。ようやくまともな思考を取り戻した上条の口から今度は洪水のように言葉が溢れてきた。



「お、おいちょっと待てコラァ!テメェ今何歳だと思ってんだ!?いや「そういうの」に年齢とかは関係無いのかもしれないし子供が口を挟むような事じゃないのかもしれないけどあんたこの歳になって母さんと―――――――――!!?」

『あ、いやすまん。「そういうの」じゃないんだ。いや私としては「そういうの」でも良いんだが………』


さらっと聞き捨てならない事を言いやがった親父を追及しようと口を開いた上条だが、それより先に携帯のスピーカーから、今度こそ、本当に意味不明な親父の言葉が聞こえてきて―――――――――








『当麻。お前に………いや、お前の『従兄妹』が『義妹(いもうと)』になった』









は?………………………は?








ポカン、と馬鹿みたいに口を開け続けることおよそ六十秒。







上条当麻の口から、今まで出した事もないような大絶叫が吐き出された。











そう、今思えば。ずっと前からこうなる事が決まっていたのかもしれないとすら錯覚させる。










都市部の交通機関の一部が停止する程度には雪が降り積もっていた、一昨年の一月。
ちょうど今から二前。当時まだ中学二年生だった学園都市に住む上条当麻は、本来従兄妹だったはずの「彼女」との関係が「義兄妹」になった。

経緯は呆れるほど単純で、彼女「高坂」家の人間が、彼女の家族が、一人残らず死んでしまったからだ。
「とある事故」が原因らしいと聞かされてはいるが、詳しい詳細は不明らしく。その時は興味すら抱かなかった。

四人家族の中で唯一生き残った、少女。当時まだ小学六年生だった彼女の処遇をどうするか、母方の実家である「龍神」家で相当揉めたらしい『事故、と同じく理由不明』が、なんか上条の父親がほぼ強引に家へ引き取ることを決めてしまったらしい。






従兄妹として久しぶりに。義妹として初めて彼女に会ったのが、去年の一月。





『新しい家族と初顔合わせ』と称して歓迎会をする、と言う理由で両親に呼び出された上条は学園都市を出て実家へと向かっていた。


『学園都市』の外に出るために必要な外出許可書の発行と手続きに戸惑り(『学園都市』は外より科学技術が二十年以上も離れた『科学の都市』であり、その優れた科学技術と機密を守るため、中に住んでいる学生や職員は、『外』に外出する際いちいち許可を取らなければならない)一時間ほど遅れて実家へと帰郷した上条を玄関で出迎えたのは、彼の両親である上条刀夜と上条詩名―――――



「………って、あれ?「アイツ」は?」


そう、今回の『主役』。上条の『元』従兄妹である彼女の姿がないことに疑問を投げかけた上条を見て、刀夜と詩名は少々困ったような顔をした。
?と頭がクエスチョンマークで染まる上条だったが、両親はそれには答えずに口を戸惑わせるばかりだった。まぁ玄関で話すのもなんだしとりあえず、といった風に刀夜は上条をリビングへと招き入れる。



玄関を抜け、リビングへと続く扉を開けて中に入った刀夜に続いて詩名。最後に上条がそれに倣って………




―――――え?



上条は食卓に並ぶ光景を見て、愕然とした。目の前の光景を疑った。



食卓にあるテーブルには、4人用の少し小さめのイチゴのショートホールケーキを中心に、明らかに高級ですと言わんばかりにネタがキラキラと輝いているお寿司。大きなボウルには新鮮な野菜で作ったであろうサラダが入っていて、挙句の果てにはオレンジやパイナップル、マンゴーといった果物が飾り切りで皿の上に並べられている。


上条家ではめったにみないような豪華な食事(といっても上条が実家で食事をする事自体久かったりするが)だが、問題はそこではない。上条の目を、思考回路を奪ったのは、そんな脇役なんかじゃない。






丸いテーブルを囲むように存在する四つのイスのうちの一つに「彼女」は座っていた。



ライトブラウンに染めた髪の毛、両耳にはピアス。
長く伸ばした爪には鮮やかにマニキュアを塗っていて、スッピンでも十分目を引くだろう端正名顔を、入念なメイクでさらに磨きを塗っている。



正直とても小学生には思えない大人な雰囲気を纏っている美少女が、そこにいた。



そこには、上条が知っている思い出の彼方に存在する「従兄妹」としての面影は全くと言って良いほど無かった。



上条「………えと、その………『桐乃』………なのか?」

桐乃「………」


ようやっと言葉を発する事ができた上条に、彼女は小さく頭を下げて「………どうも」と呟いた。











これが、上条当麻と、その元従兄妹で義理の妹となった桐乃の、最初の出会いだった。
















~二年後~


~上条の部屋~



上条「ふ、ふぁわぁぁああああ………」


大きな欠伸と共に上条当麻は自分のベットからノソノソと芋虫みたいに這い出そうとしていた
正直眠い。宿題に深夜までかかっていしまい、ほとんど力尽きるようにベットに倒れてしまった。



上条「だけど今日は………」




①学校だ
②悪友と遊びにいく約束だ
③暇だ、やる事がない

↓3



上条「当然のように学校です、本当にありがとうございました―っと」


上着とズボンを適当に脱ぎ捨て、冬の冷気に凍えないようにさっさと学生服へと身を包む。
朝食は、食パン二枚と牛乳一杯。正直もの足りないが、昨日買ってきたはずの食材はスキルアウトとの抗争に巻き込まれて全ておしゃかにしてしまったのだからしかたない。(逃げに徹していた上条に追いついて食材をぶち壊してくれやがったスキルアウト三人はコテンパンにノシてやったが)

はぁ、とため息をつきながら玄関のドアを開け、誰もいないはずの部屋に「いってきまーす」と声を掛けてみる。当然、返事は返ってこない、虚しい。

北風が寮の通路を吹きぬけ、あまりの寒さに思わず身を震わせた拍子にくしゃみが出て、その煽りで学生鞄が手からするりと滑り落ち、中に入っていた勉強道具の数々を地面にぶちまけた………不幸だ。











学校へと向かうために朝の大通りを走る上条は、自分を陸上競技の選手並の速さで追い抜いた少女に見覚えがあることに気づき、足を速めた。



桐乃「………」

上条「………ああ、やっぱ桐乃か。なにやってんだ、お前も遅刻しそうなのか?」



桐乃の上条さんへの「この時点での態度」(好感度ではない)


00~49 低(最低でも俺妹原作後半)
50~74 中 原作よりちょっとだけ高め 
75~89 高 社会人としての礼儀が「一応」出来る
90~99 極高 (何度でも言うが好感度ではない)

↓2




桐乃「………何か用ですか?」

少しばかり嫌そうに目を細めて視線を向ける上条を見る桐乃をみて、上条は疲れたように笑った。
兄に対してこんな表情向けるか普通!?と言う意見を持つ人がいるかもしれないが、それは恐らく兄妹とか従兄妹とかそういう関係の「妹」と呼べる人がいない人の台詞だと上条は思う。
思春期の女子中学生の身内に対する態度なんてこんなもんだと思っているし、これでも一応の礼儀を保って接し、無視もしないあたりそんじょそこらの兄妹関係なんかよりは幾分とマシではないか?

………まぁその「一応の」礼儀にしたって「養ってもらっているうちの長兄(他に兄妹なぞいないのだが)だから」と言う意味合いが強いように感じる。


①それは、少し寂しい
②ま、それも仕方ないか
③しょうがないとは思うけどさぁ、もう少しその嫌な態度隠そうとしろよ


↓3




まぁ、それも仕方がないとは思う。


小学生にして家族を亡くし、自分の意思を告げる暇も、力も、そもそもこれからどうすれば良いかも当然のように分からず、ほとんど「気がついたらこの家に引き取られる事になっていた」であろう彼女にとって、今の家族など、ほとんど他人同然の存在に過ぎないのかもしれない。

上条の家に引き取られる事になったのだって、彼女の本心からの願いだとはとても思えない。上条の父親が、彼女の事を放っておけず、ほとんどなし崩し的に引き取ったに過ぎないのだ。(………まぁそこで「放っておく」「関わらない」ということだけはない辺り、上条は刀夜を少しだけ誇りに思っているのだが)



ひどく勝手な想像ではあるが、もしかしたら二年前に負った彼女の傷は少しも癒えていないのかもしれなかった。



桐乃「何も用が無いんならとっとと学校行きたいんだけど」

上条「あ~、いや。学校に行く途中で偶然、見かけたからさ。お前って通学路こっちだったっけ?」

桐乃「………………………一応、そうだけど」


簡潔に説明した桐乃は、もう良いですか?といわんばかりに上条を睨みつけてきた。「目は口ほどに物を言う」ということわざの説明にこれ以上適切な状況が果たしてあるのだろうか?
そんな彼女に対して上条も「お、おう………気をつけてな」としか言えなくなってしまう。

桐乃は、本当に小さく頷くと、上条にクルリと背を向けて歩き出す
制服姿とは言え、彼女の歩く後姿は本当にさまになっていて、まるでファッションモデルか何かのウォーキングを想起させた。



上条(………『高めの女子』って奴かねぇ?まぁ分かるけどさ。普通に『かわいい』分類に入るだろうし、ファッションとかそういうのにも詳しそうだし………でもなんつーか昔会った時はもっと――――――――)





あれ?そういえばどんな子だったっけ??と上条が遥か昔に思いを寄せようとしたところで、気づいた。





上条の先を歩く彼女が横断歩道を渡ろうとしている事に
その横断歩道の横に添えられている信号は間違いなく青も筈なのに、横から結構なスピードでスクーターが接近してきている事に。
そしてそのスクーターの運転手が、一向にそのスピードを緩める気配が無い事に――――――――ッ!!



上条(―――ッ!?)


瞬間、わき目も振らずに走り出していた。
上条がたどり着くまであと少しといったところ桐乃もスクーターに気がついたようだがもう遅い。と、いうかあまりに唐突な出来事に脳が追いついていないのか、彼女は動揺したようにその場から動こうとしない。



上条は彼女を………



①突き飛ばして助けた
②引き寄せて助けた
③スクーターを蹴り飛ばした

↓2




上条「桐乃――――――――ッ!!」


グイッ!と、かなり強引に彼女の手を引き、そのまま自分をクッションにして堅いコンクリートから守るように自分を下にして仰向けに倒れこむ。



上条「っ~~~~ッ!おいちょっと待てそこのスクーター通学野郎!!」


ドザッ!と言う衝撃が上条の背中を襲い、彼は苦痛の表情を浮かべつつもスクーターの運転手に怒鳴るが、当然のようにスクーターは上条と桐乃には目もくれずに走り去っていた。



上条「痛ってて………おい大丈夫か」

桐乃………と言おうとして、上条は口を噤んだ。





桐乃「………」




桐乃は、固まっていた。
呼吸すらせずに、固まっていた。

一瞬動揺しすぎておかしくなったかとも思ったが、ちがう。
瞳孔は大きく見開かれ、心ここに在らずといった印象を抱かせる桐乃はまるで夢遊病患者にでもなったかのようにボーッ、としていた。





上条「桐乃?おい大丈夫か!?」

桐乃「………あ………ッツ!!?」


目に光が戻り、ようやく正気に戻ったかと安心したのもつかの間。
桐乃はあろう事か地面に倒れている上条をさらに突き飛ばすようにして距離を取った。



上条「お、おい桐」


テキパキと、上条が声を掛ける暇すらないほど勢い良く桐乃は倒れこんだ時の衝撃で地面へ散らばったポーチバッグの中身を回収していく。
全て回収し終わったのか、桐乃は上条の方を向いて「………どうも」と初めて義妹として会った時と同じ言動(社交辞令にも見える)をすると、さっさと学校へと行ってしまった。



上条「………嫌われてんのかねぇ」


ボリボリと頭をかきながら呟いてみる。
よくよく考えてみれば近頃の女子中学生は好きな男の子以外の男子との接触を極端に嫌う節があるというし、あの状況ではそれ以外手が無かったとは言え、彼女を抱きしめるようにしてしまったのも事実。嫌がられて当然なのかもしれなかった。


上条「まったく、母さんの「なるべく面倒見てあげてね」って約束もほとんど守れてねーよなぁ………」


さて、俺もそろそろ学校へ行かなくては本格的に遅刻になってしまう。と上条はゆっくりと重い腰を上げようとして………





グニッ、という感触と共に、何かを尻で踏んづけている事に気がついた。






それは、白いケースだった。
DVDビデオとかが入っているそれなのだが、問題はパッケージ表面のイラストとタイトルで………













上条「ほしくずういっちメルル………???」














この時、上条当麻は知らなかった。
このDVDを放置しなかった結果。今までの人生でトップレベルのとんでもない不幸に巻き込まれるのだという事に。

ここまで。

続き




高校~上条当麻が通うクラス



上条(………で、マジでなんなんだこれ?)

上条は机の横にある鞄掛けに掛けられている自分の学生鞄。正確にはその中にしまってあるとあるDVDを思い浮かべる。
今朝、あの大通りでスクーターに轢かれそうになった桐乃を助けた直後。自分の尻と道路の間に挟まっていた『星屑☆うぃっち メルル』とかいう子供向けアニメっぽい(正直主人公が(当然女)着ている服はどう考えても『大きなお友達』向けだと思う)作品のDVDを、上条はなんとな~く拾って学校まで持ってきてしまった。

学校での授業が終わり、改めてそのDVDが気になった上条はゴソゴソと鞄を開けてそれを取り出してみる。
ちなみに教室で堂々とそんな命知らずな真似ができるのは、もう教室に上条以外の人間が残っていないからだ。ついさっきまで補修を受けていたのだ。

タイトルはどこかで聴いた覚えがあるような気がするのだが、どうにも思い出せない。上条が見るアニメといえば、もっぱら『その時大流行しているアニメ、見ないとクラスの話題にすら置いていかれる』ような物のみだ。



上条(………青髪や土御門なら知ってんだろうけど………)


メルルの事を誰に聞く?↓3

①青ピ
②土御門
③ggr先生





やっぱり青ピだよな。こういうのはあいつに聞くのが一番だ。


携帯を手に取り青髪ピアスに連絡を入れ事情を説明(メルルのDVDを拾った事は伏せて)する。
するとどうだろう。青ピの野郎、まるで水を得た魚のように『星屑☆うぃっち メルル』の事を語りだしたではないか。その一部分が


青髪『星屑☆うぃっち メルル』いうんは毎週○曜午後△時に放送されてる魔法少女アニメでな?あ、今二期まで放送されてるんやけど、これがまた魔法少女会の常識を覆す代物でさぁ!主人公の赤星めるちゃんっちゅー小学四年の女の子がこめっとくんいうウサギみたいなマスコットキャラの力を借りて魔法少女になって魔星物と戦うっちゅう、まぁここまでは在り来たりなんやけど、展開やストーリーがもうハチャメチャで、で、ハチャメチャな割にはキチンと成立してるんよ!!主人公の友達が怪物によって操られた時は操ってる怪物ごとぶっ飛ばしたり、アメーバみたいな魔星物が都市を覆ったときは全壊魔法で都市一つ壊滅させたり………第一期の最終回なんかもう神作画すぎて僕なんかもうテレビの前でマジ泣き!これに対抗できる魔法少女アニメなんて早々無いと思うは、せいぜい『超機動少女カナミン』くらいちゃう?あれはメルルとは違って王道中の王道を貫いたシリアスもので………』


色々と耐えかねて途中で携帯を切った。このままでは何時間青髪のオタク話に付き合わされるか分かったものではない。



上条(要するにやっぱ魔法少女アニメなのね………)


しかし誰がこんなものを………と、思考しながらパカッ、とDVDケースを開けた上条を


上条「ぶぶっ!!?」

更なる衝撃が襲った。




上条が「なんとなく」と言う感覚に駆られながらもメルルのDVDを学校へと持って来れたのは、見られた所でこのクラスの連中じゃ大したダメージは無いだろうと言う打算と、そもそも自分のではないという第三者的感覚があったからだ。
もし先生に見つかって没収されたところで損は無いし、そもそも上条はこういう魔法少女ものなど興味が無い。

そのため、「なんとなく」と言うひどく曖昧な感情に従う事ができたのだが………


これは違う。こんな物が入っていたと知っていれば上条はこのDVDを学校へ持ってくるなどという暴挙はしなかった。


DNDケースに入っていたのはメルルのDVDではなく『妹と恋しよっ!』と言うタイトルが書かれたゲームのソフトだった。
で、問題はそのDVDソフトの表面に『R―18』という、とんでもない文字が書かれていたことだ



上条(これはまさかっ………DVDシャッフル!!?いや俺も良くやっちまうけど、なんでアニメのDVDの中に18禁のパソコンゲームソフトが入って――――――――!?)

小萌「はーい、上条ちゃん。まだ残って………なにしてるんです?お腹押さえて床に倒れこんだりして。具合でも悪いんです?」

上条「べ、別に何にもありませんのことよ~。あ~、もうこんな時間か~。上条さんはそろそろ帰宅させていただきますですさよならまたあした~」

半分以上棒読みになりながら上条はDVDケースを腹に抱えたままひったくるように鞄回収して猛スピードで教室から逃げる。
やばい、本当にやばい。アニメのDVDならともかく、こんなソフトを持っている所を教師に目撃などされたら社会的に死ぬ。間違いなく死ぬ。


やっぱりこんなもの持ってくるんじゃなかったか!?不幸だー!!



上条が学校内から脱出するまで、およそ百二十秒。





これから上条が向かう先は………↓2


①今朝の事故現場
②自室
③ネカフェ



ここまで。(短くてすみませんが毎回この程度だと思ってください)

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         /     ´ ,.!_;;;:r''..   ` 、
      ,...-‐'   _,....-‐'"  `'-、::    ` 、
     /..  ,....―'"        `ー、__  `l
    /_;::::-'"            /::::::::::::::::ノ
 ,.../._r'"               ヽ`''「 ̄ ̄

(__ノ'                 \_\


        カツオのTバック乱舞!



          ____                         _____             
_|_|_|_   |_|_|          |     ○              /  _/_
  |  |_|    |_|_|  ____  |――――  __       / /     /   \
  |        /| | \         |          |      /      / ___|
  |___    ノ |           ヽ___   __|_   /        (_ノ\

      ζ

   ./ ̄ ̄ ̄ ̄\           .lii,
  /         \         .'lll           iil  lii,
  /\    ⌒  ⌒ |   .l!!!!lllllllllllllllliliillill!       .,,,,,lll,,,,,,,,llll,,,,,,、  .liiii,,,,,、
 |||||||   ?  ?  |       .,,,iilllll′        ゙゙゙゙!lll゙゙゙゙゙゙lll゙゙゙°   .゙゙゙゙!!!l     ,iii、
  (6-------◯⌒つ |   ,,,,,,,iiiil!!゙゙゙lll|   .liii,lllii,,, .lll   '!!"  lll               ,,ill!′
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