美琴「常盤台中出身、御坂美琴この中に―――」 上条「ははは……」(515)

サンタクロースをいつまで信じていたかーなんて
この私、上条当麻にはどうでもいいことなのだが
それでも、俺がいつまでサンタクロースを信じていたのかというと
ぶっちゃけ物心つくころにはもう信じていなかった。
元々、俺は人よりも不幸な部分があって、サンタクロースに扮した父さんが
とある失敗で正体がバレてしまった……という訳である。
……いや、これは父さんの不幸と言うべきか……とにかく
そんな訳で俺は初めからサンタクロースの存在を信じてなかった。
実際、サンタクロースに限定せず
宇宙人や未来人や超能力者、異世界人なんてものは総じて信じてなかった。
……いや、ひょっとすると超能力者ぐらいは……
なんて事を頭の片隅で考えているのかもしれない
そんなこんなで生きてきて、
中学を卒業するくらいには自分の不幸さに嘆きながら、普遍的で退屈な世界に慣れていた。

そして、俺は高校生になり―――










御坂美琴と出会った










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上条「ハァ……ハァ、な、長い……」

などと呟きながら高校生になった俺は大汗をかきながら山の上の高校を目指し、坂を登っていた。
朝から親共々寝坊し、大急ぎで支度し、出発、そしてこの山登りコースである……不幸だ
これから三年間もこの坂道を登るわけで……などと考えていると自然に何回遅刻すればいいんだ? と考えてしまう。
むしろ何回遅刻しないんだ?と考えそうになり、不幸な自分を頭の中から追い出し、坂道を早足で登る。
周りにいる新入生らしき生徒は見当たらない、これはいささかピンチなのでは?
と考え、早足の速度をさらに上げる……とそこには大荷物をもったお婆さんが!

上条「……不幸だ」



そんなこんなで、結局坂道を登るお婆さんをおんぶし、荷物を前に抱えた俺はダッシュで坂を登り、
そのままの勢いでなんとか入学式に間に合う事が出来た。
ああ、なぜ入学初日からこんなに不幸なんでせう?




親船「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます」





気品漂う女校長の挨拶も終わり、俺のクラスである一年五組にぞろぞろと入った。
担任の先生……?らしき人物である月詠小萌教諭が壇上に上がり、自らの自己紹介をしなさった。
自分は教師である事や、こうみえて成人している事や、家出した少年少女達を居候さしている事……。
うん、あの見た目でも教師であることは理解した、ぶっちゃけ10歳前後にしか見えないが……。
だが……だが!家出した少年少女を居候って……犯罪じゃねえか!!
へタすりゃ監禁罪にとわれるんじゃねえか?まぁ、親御さんに連絡をいれる等のことはしてると思うけど……。
てかしていて下さい、お願いします。



小萌「それでは、新入生ちゃん達!自己紹介してくださいなのです!」






そうして俺達の自己紹介が始まった





青ピ「とある中学出身です!青髪ピアスって呼ばれてました、青ピでええよー!ちなみに女の子大好きなんやでー!」



ああ、こいつは同じ中学出身の腐れ縁、ま、親友といってもいいんだろうな
同じクラスに知り合いがいて助かったなあ……青ピだけど



土御門「にゃー!常盤台中出身!土御門元春だぜい!あ、金髪は地毛登録してあるから問題なしだにゃー」



随分キャラの濃い奴だな、グラサンに金髪って……夏にゃアロハでも着るんじゃねえか?」
ま、おもしろそうな奴だしいいんじゃないか?と、俺の番か……なにもないといいけど……



上条「っつありゅ……」



シーン



いやぁああああああああああ!!
第一声で噛んじまったぁああああああああああああああ!!!不幸だぁああああああああああ!!
俺の高校生活がぁああああああああああああああああ!!!




青ピ「(さすが上やんやでぇ……)」

土御門「(第一声で噛むとは……不幸な奴だぜい)」


小萌「上条ちゃん、もう一回お願いするのです」

上条「あ、とある中学出身の上条当麻です、あー一年間よろしく」



噛まなきゃつつがない挨拶になってたんだろうな……と過ぎた事を思いながら着席する。
はー……どうやら俺の高校生活も中学と同じく不幸な事が多そうだ……
少々、自分が嫌になっていたが後ろの席の奴が立ち上がる音が聞こえたので耳を傾ける






「常盤台中出身、御坂美琴」






そいつは響き渡る鈴の音のような声ではきはきと自己紹介した、ここまではよかった。
そしてここから発言する言葉を俺は、生涯忘れないだろう。
こいつは、こう続けた

















美琴「ただの人間には興味ありません。この中に、宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら
   私のところに来て。以上」













それまで前を向いて、耳を傾けていただけの俺も振り向いた。そこには、
ライトブラウンの長髪に、装飾の無いヘアピンをつけている美少女、いや、えらい美人がそこにいた。
意志の強そうな目で振り向いている俺を睨んでいる





上条「……あー、よろしく」

美琴「……」ガタリ






無視された……。男の子というのは女の子に無視されるとすごく凹む
ただちにその行為はやめるんだ!御坂美琴!
と言う心の声は心にしまって先ほどの言葉の意味を咀嚼する。
……もしかして、ここ笑うとこ?考えた結論がそれだった……もしかして受け狙ったのか?
そしてこの状況……まずい、俺はこの空気を知っている。知っているからこそ、今助けるぞ!御坂!






上条「は、はははははは!御坂はおもしろいなあ!」

御坂「どこが?」






俺、入学初日で心が折れそう。
御坂美琴はマジだった、人が聞けば下らないと鼻で笑うような幻想なんかじゃなく、大マジ
のちに身を持って知ることになる上条さんが言うんだから間違いない









こうして俺達は出会ったんだ。






こうして御坂美琴は自分の存在をクラス全員に認識させたのだが……
しばらく、これといったことは無く普通の女子高生を演じていた。
この時が嵐の前の静けさだと、俺は気づけなかった。




あの自己紹介から数日後、俺は御坂美琴に話しかけた。
……だって美少女だし、男の子というのはかわいい女の子には目が無いんです!
俺も青ピの事とやかく言えないなあ……と思いながら
早くもクラスの女子の大半に絡んでいる親友を頭の中から追い出し、御坂と会話する。







上条「な、なあ御坂」

上条「あの自己紹介、どこまで本気だったんだ?」ヘヘラ







返答を待つ、不必要かもしれない笑みを浮かべながら




美琴「本気って何?」

上条「あの宇宙人がなんとか」

美琴「あんた宇宙人なの?」

上条「そうです、私が宇宙人です」

美琴「!ほんとっ!!?」キラキラ

上条「!? い、いやほんの冗談で……」ヘヘヘ

美琴「はぁ?つまんない事するなら話しかけないで」バン






会話終了、戦ってないのに負けた気分になっちまったよ……
しかし、あの私が宇宙人宣言にああも簡単に食いつくなんて……なんか心配だぞ。
ていうかマジなのか?宇宙人やら超能力者やら……





上条「?」

土御門「……」







何やら先ほどのやりとりを見ていたであろう数人が「やっぱりな」という同情の目で俺を見ている
後で分かったことだが、そいつらは常盤台中の奴らだった。



青ピ「ねえー御坂ちゃんはどんな男に惚れるん?」

美琴「知らない」

青ピ「僕やったら君の望む男になれると思うで」キリッ

美琴「うるさい」

青ピ「あ、今度遊びに行かへん?僕ええ店知って―――」

美琴「うるさい!」






……青ピを例にしたのはまずかったな、あの対処の仕方が普通に見える
しかし、御坂美琴は誰に対してもあの態度だった
孤立気味の御坂に話しかける気の利いた生徒に対しても青ピと変わらない態度だった







青ピ「でさぁ、そん時僕はこう言ったんや、「君の方がきれいやで」って」クーッ

美琴「……」





青ピの奴まだ言ってやがる……多分御坂は聞いちゃいねえな
気づけば青ピぐらいしか御坂と話していないな
そりゃあ、あんな態度とられた人とはなるべく話したくもなくなるよなあ
青ピが異常なだけで、その反応はごく一般的と言えるだろう







青ピ「そんでねーやっぱり、バニーって言うのは……」







待て青ピ、お前は女子になんの話をしているんだ?


昼休み、俺は青ピと席の近かった土御門と飯を食べることにした

土御門「にゃー上やん、この前御坂に話しかけてただろ?」


どうやら俺のあだ名は青ピから聞いたらしい、返答する


上条「まあ、会話にもならなかったけどな」

青ピ「僕は普通に話してるでー?」

土御門「お前のは会話とは言わないぜい」

上条「もはや独り言の域だぞ、あれ」

土御門「とにかく、二人とも、御坂に気があるならやめといた方がいいぜい」

土御門「あいつは中学の頃とまったく変わってねえ、常軌を逸している」

青ピ「不思議ちゃんさいこーやでー!」

土御門「そんなレベルじゃないにゃー、『校庭落書き事件』ってもんがあってな」

上条「校庭落書き事件だって?」

土御門「白線を引くやつあるだろ?あれを使って夜中の学校で謎の絵文字を書いたんだ」

土御門「なぞのかえるみたいな奴もあったな」

上条「それを、御坂が?」

土御門「驚いたぜい、朝来て見りゃナスカの地上絵もどきがボン!だからにゃー」

青ピ「それなんか新聞に載ってたねー、上やん覚えてる?」

上条「……記憶にないな」




なんとなく、なんとなくだけど、俺の頭の中で一人で白線を引く御坂が、どこか悲壮感にあふれていた
上条さんの想像だけどな。けど、もしかして宇宙人との交信やらなんやらが目的だったとしたら?
おそらく、本気だったんだろうな、高校に入ってもあんなことを言うんだ、これだけは間違いない、と思う
今、教室に御坂はいない、というより昼休みは基本的にいない。
どこでなにしてるんだか……




土御門「でもにゃー、御坂ってモテるんだよにゃー」

青ピ「ごっつうべっぴんさんやもんね!」

土御門「一時期はとっかえひっかえ男と付き合ってたにゃー、例外なく長続きしないがな」

上条「最長でどんぐらいなんだ?」

土御門「一週間。最短で五分、これは高校で更新された」

上条「……」

青ピ「ナンノコトヤロネー」

土御門「まぁ、うちの中学の連中は三年の頃にはもう誰も告白しなくなったがな」

上条「土御門は告白したことあんの?」

土御門「フッ、上やん俺は妹を愛す男、御坂なんかに興味はないぜい」

青ピ「妹萌えのシスコン軍曹かいなー、って妹おるん!?紹介して!」

土御門「絶対しないにゃー!!お前は委員長様にでも相手してもらえばいいぜい!」

上条「正確には委員長気質……だな、ま、高嶺の花だけどなー」

















麦野「やれやれ、あんた達宿題ぐらい自分達でしなさいよね」













休憩ー書いてくる

文章がくどいし中身も薄いしエンタメとして成立してない

ハルヒパロもすごい今更感あるな
まあ面白そうだから読むけど


>>16
ごめんな、地の文初めてで語彙不足はすまん、中身はこれからがんばるわ

>>17
ハルヒSS自体最近少ないからなー
もっと見たい


10時までには行きたいって事で

乙まぁ、刺し役のはむぎのんが一番適役な気は

ちょっと本文を変えてるだけなのはアレだけどとりま期待


>>23
本文はSOS団揃うまでは特に変換なしだ、と思う ごめん


っつゥ訳で行きます


土御門「麦野沈利……ありゃAAランク+だな」

上条「AAランク+?」

土御門「女子をA~Dまでランク付けして、その中でもトップのランクだ」

上条「それはどうなんだ……」

青ピ「僕ちょっと話してくるわー!いいんちょー!」ダッ

麦野「だから、委員長じゃないわよ」

上条「ぶれねえな」

土御門「尊敬するぜい」



麦野沈利……土御門がいうようにいっちゃ悪いけど容姿は他の生徒と一線引いてる
ま、美人という点では御坂も該当するな
どこか大人びた雰囲気がある、いや、決して老けているというわけではない、断じて
そう言えば、青ピだけじゃなく、麦野も御坂に話しかけてたな……結果は言うまでもないけど。
頭もいい印象があるな、上条さんが答えれなかった問題をいとも簡単に解いてたし……ちくせう
そして御坂との最大の違いが人気だ。とにかく人気がある。姉御肌というんだっけ?
同姓からの支持も厚く、男子からの人気もあり、性格もよく、才色兼備。
土御門がAAランク+をつけるのも頷ける。御坂は何ランクだろうな?
なんて考えながらぼーっと、青ピと話す麦野を見ていた。


現在四月、この頃の御坂はまだ大人しかった、まだ、な
しかし暴走までのカウントダウンは始まっていたんだ
その顕著な例はここら辺から始まっていた


その一

髪型が毎日変わる
ざっくり言うと髪の結ぶ箇所が増える、一日一つずつ
月曜日は下ろしているので結んでいないため
最終的には四箇所、学校では結んでいる
上条さん的には火曜日がよかったかな、どストライクだ


その二
常に短パンを履いている
……別におかしくない?いや!女子高生たるもの短パンなどはいらんですよ!
体育終わりの時の女子が喋ってたんです、
決して階段を登っている御坂をしたから見たら短パンを履いていたとかではないです



その三
ありとあらゆる部活に仮入部をしてる……らしい
バスケ部、ラクロス部、テニス部、おまけに野球部まで、もちろん選手で、だ
運動部、文化部から熱心に勧誘されるも全てを断っていた
一体、何がしたいのやら……あ、手芸部の勧誘だけはすこし迷ってたな
なんだ、ゲコ太が作れるだなんだ言ってたけど……なんだ?


しかし、結局御坂はどこの部にも所属しなかった
そして全クラブ仮入部という奇行によって御坂の名は全校に知れ渡った
こうして生徒先生問わず、御坂の名を知らないものはいなくなった
これが五月前、約一ヶ月で御坂は学校一の有名人になった。いい意味かはさて置いて。



御坂がいろいろしてた一ヶ月も終わり
―――五月がやってくる


水曜日だった。御坂の髪にお団子が二つ、二と言うことは水曜日だな
と、いつのまにか曜日の判断基準になった御坂の頭を見ながら席に着いた。
そして、なんでだろうな、ここで俺は御坂に声をかけたんだ
本当になんでだろうな、前にさんざん言われたのに
きっと魔が差したんだと適当に理由をつけ、御坂に話しかけた。


上条「あー御坂、曜日で髪型を変えるのは宇宙人対策でせうか?」

美琴「……気づいてたの?」


そりゃ、気づくっての、曜日の判断基準になるくらいにはころころ変わってる


上条「ああ、ちょっと前にな」

美琴「……ふーん」

上条「……あ、あのー」

美琴「私思うんだけどさ、曜日によってイメージがあると思わない?」

上条「イメージ?」

美琴「月曜は黄色、火曜は赤で水曜は青、木曜は緑、金曜はゲコ太、土曜は茶、日曜は白」

上条「(一つよく分からないものがあったような……)」

上条「で、それに数字を加えて髪型にしてたのか」

美琴「そう」

上条「上条さん的には月曜は1だなー」

美琴「あんたの意見なんて聞いてない」

上条「……ごめんなさい」

美琴「……」


やはり、女の子にきつい事を言われるのは凹むな……青ピは喜ぶだろうが
初めて御坂と会話が成立したが……ここまでかな
振り向こうとしたところで、御坂から初めて話かけられた。





美琴「私、あんたとどっかで会ったことがある?ずっと前に」

上条「御坂さんみたいな人一度あったら忘れませんことよー」ワハハ

美琴「……ふん」プイ










そうやって横を向いた顔がとても可愛らしく見えた
そうして小萌先生が教室に入ってきて、今度こそ会話は終了した。













きっかけなんてもんはどうってことない事だけどさ
まさしく、このどうってことない会話がきっかけになったんだろうな。



この会話の翌日、御坂のロングヘアはばっさりと切られており
残ったショートへアに花柄に変わったヘアピンが付いていた
……もちろん、似合ってるけど……俺が指摘した次の日に切るとは
そんなに指摘された事が癪に障ったのか?




上条「御坂、どうして髪きったんだ?」

美琴「別に」





不機嫌だ……。美琴様と呼んでやろうかこの不機嫌娘!
ま、答えてくれるとは思ってなかったけどさ




上条「全部の部活に入ったってのは本当なのか?」




初めて御坂と会話が成立して以来、ホームルーム前の
僅かな時間での会話は日課になりつつあった




青ピ「どこがかわいい女の子いっぱいおった?」

美琴「……」




御坂はどうでもいい話は無視を決め込む
会話のネタには気を使わなきゃならない




上条「どこか面白い部活あったんなら教えてくれよ」

美琴「ない」


即答かい


美琴「高校のクラブなら少しはマシかと思ったけど……これじゃ、中学と変わんないわ」

美琴「運動系から文化系までまったく普通、変なクラブの一つもありゃしない」

上条「普通のクラブじゃだめなのか?」

美琴「普通なんてつまらないじゃない」

上条「上条さんは普通が一番と思うけどなー」

美琴「ふん」






会話終了




他の会話としては



上条「付き合う男と長続きしないってのは本当でせうか?」

美琴「……唐突に何言ってんのよ、あんた」

上条「気になったもので……」

美琴「……土御門か、あいつとまた同じクラスなんてね」

上条「嫌なのか?」

美琴「嫌よ、あいつ中学でちょっと調子に乗ってたやつの弱み握って脅してたし」

上条「ええー……」

美琴「弱み握られた奴が喧嘩しかけても余裕で勝つし」

上条「強いんだ、土御門」

美琴「なんかとらえどころが無いのよね、あのシスコン」

美琴「それで……なんだっけ?付き合う話だっけ?」

美琴「多分本当よ、くだらない男ばっかだったし、名前も覚えてないわ」

上条「ようするに……普通だったてことか?」

美琴「どいつもこいつも同じ様な奴ばかり、普通以下かもしれないわ」

上条「じゃあ、どんなやつならよかったんだ?」

美琴「人間以外の何か、宇宙人かしらね」

上条「……どうして人間じゃだめなんだ?」

美琴「人間がダメなんじゃなくて、宇宙人とかの方がいいじゃない」















美琴「そっちのほうが面白いじゃないの!」










俺もそう思ってた
もしかして親友の青ピが超能力者だったり
土御門が未来からきた魔法使いだったり
麦野が別の世界からきた異世界人だったら
俺の学園生活はもっと楽しくなるだろう



だけど、そんな事はありえない
宇宙人や超能力者なんていないし
突然、俺の前に現れて自己紹介なんてしてくれるはずもない
そんなことを御坂に言うと




美琴「だからじゃない!」




御坂は叫ぶ、周りの目も気にせずに



美琴「だからこうして私は一生懸命!―――」

小萌「遅れてごめんなのですー!」




小萌先生の入室によって会話は中断した
拳を握りしめて立つ御坂の姿を見て子萌先生は驚いていたが




小萌「ホームルーム、始めますね御坂ちゃん」




御坂は着席し、ホームルームが始まった

こう、普通に進んでいく日常が御坂にとってつまらないものだったんだな
俺だってそうだ。ただただ不幸に愛される日常。
こんな日常なんて楽しめるわけがない
でもさ、御坂それが人生ってもんじゃないか?




でも、そんな御坂の生き様を俺はうらやましいって思った
俺がとっくの昔に割り切った非日常との邂逅をいまだに待ち望んでいるんだ。
しかも、ただ待っていた昔の俺と違って自分から変化させようとしてる。
昔の俺ができなかった事を今、御坂がやってるんだ。
俺があきらめた事は御坂が今やっている事……正確には
俺がやらなかった事を御坂がやっている、のほうが正しいな


土御門「上やーん」

上条「なんだよ、土御門」

土御門「お前、どんな魔法使ったんだ?」

上条「魔法?なんのことだ?」

土御門「御坂があんなに喋っているのを初めてみたぜい」

青ピ「いややなー土御門君、僕は毎日御坂ちゃんと喋ってるやん」

土御門「勘違い野郎はほっといて……これは驚天動地だぜい」

上条「んな大げさな……」

青ピ「昔っから上やんは変わった女の子が大好きやからねー」

上条「誤解だ、あいつは変じゃない」

土御門「上やんの趣味なんてどうでもいいぜい、問題は御坂と話せるってとこだ」

青ピ「上やんも変わってるから、気が合うんとちゃう?」

上条「俺のどこが変なんだよ!」

土御門「まぁまぁ、とにかく御坂との話をだな―――」

麦野「私にも聞かせてよ、その話」

上条「麦野?」

青ピ「麦野ちゃん!僕とお喋りします!?」

麦野「また今度ね、上条、御坂さんとどんな話をしてるのかしら?」

上条「普通の話だよ、とくに変わった話はしてない」

麦野「なんかコツのかあんの?」

上条「うーん……分からん、悪いな」

麦野「別にいいわよ、御坂さんと話せる友達がいるって分かってよかったわ」

上条「友達……か」

麦野「早くクラスにも溶け込めるようにしてあげてよ」

上条「ああ、努力するよ」

麦野「じゃ、頼んだわよ」

青ピ「上やん、僕ら友達やんな?」

上条「何の話だよ」



席替えがあった。どうやら月一ということになったらしい。
不幸にも遅刻した俺はクジを引けず余った席になった。
これが窓際後方二番目、残り物には福がある(上条除く)という言葉は本当だったようだ。
しかし、これも運命かな、俺のうしろには御坂美琴がいた


上条「……」

美琴「あーもう!先生が密室で殺されてたりしないかしら?」

上条「青ピが血の涙をながすぞ」

美琴「小萌先生じゃなくて、災誤の方よ」

上条「災誤でもダメだろ……」

美琴「部活もけーっきょく何部にも入らなかったしさ!」

美琴「あーもうつまんない!なにかおもしろいことないの!?」

上条「ないもんはしょうがないでせうよ」

上条「結局、高校生の身分の俺達はそこらにあるもので満足しなきゃいけないのさ」

上条「それが御坂の嫌う普通だったとしてもさ、やっぱり―――」

美琴「うるさい」






いつしか俺は普通がいいと思うようになっていた
だからこそこの日常になにも求めちゃいないし
平穏に暮らすことになんの違和感も無い
……けど、心の片隅には、刺激を求めてる部分も絶対にある、と思う






そして……






もしかしたら、さっきの会話がきっかけだったのかもな
それは突然にやってきた








早くも授業内容が上条さんの理解の範疇を超え
休息を求めた頭の指示に従い、睡魔に屈っしようと首をかくかくさせていると
後ろの席から襟首を掴まれ思い切り後ろに引かれた俺は
後頭部が机に激突。星を見た。



上条「何すんだ!」



怒りと共に振り返った俺が見たものは





御坂美琴の初めて見る、笑顔だった






美琴「気が付いた!」

上条「何に?」

美琴「ないのなら自分で作ればいいのよ!」

上条「何を?」

美琴「部活よ!」




今にも電撃を出しそうな、そんな意志の宿った瞳を俺に向けていた





上条「あーとりあえず、座ってください」

美琴「なにその反応!?もっと喜びなさいよ!」

上条「今、授業中でせう」





御坂はようやく着席した
そして俺は白衣の似合う先生に続きをうながした。
そして、さっきの言葉の意味を確かめる。







部活をつくる?









そりゃまた、不幸の予感だな




ここまで!

次は不思議探索の前ぐらいまでかな?

上条さんが留年してるのかと思った


やっぱ今日いけるとこまで行くわ

>>41-42

軸はハルヒで禁書を当てはめてる感じ
東中は名前をかえて常盤台、みたいな


行きませう


その後の休み時間、俺は御坂に連行された
どこへかって?誰も来ない絶好の告白ポイント……屋上だ
実はなにを告白してくれるのかー、なんて初めから分かっており
しかも周りは薄暗く、美術部(?)の小道具やなんやらが置かれていた。
そんな場所に連れてきた当の本人、御坂美琴はというと……




美琴「……」キラキラ

上条「あ、あのー御坂さん?」




その美術部のものであろう、デフォルメされたカエルを凝視していた
ひょっとするとこれを見せたかっただけか?と淡い幻想を抱いたのだが
その幻想はすぐにぶち壊されることになる


美琴「……ハッ!目的を忘れるとこだったわ」

上条「大丈夫かよ……」

美琴「協力しなさい」

上条「急になんだ?」

美琴「さっき言ったじゃない、部活よ部活」

上条「なんで上条さんが御坂さんの部活づくりに協力しなきゃならないのでせうか?」

美琴「嫌なの?」

上条「!」

美琴「……」

上条「そ、そりゃあ、何するか分からない部活作りに協力しろとか言われましても……」

美琴「じゃああんた、このままつまんない高校生活送るわけ?」

上条「つまんないってそりゃあお前の意見だろ?」

美琴「じゃああんたは今、充実して楽しい学校生活を送ってるの?」

上条「……分からん」

美琴「……少なくとも、私にはあんたがつまらなそうに毎日を過ごしてるように見えた」

上条「……!」


……驚いた。ここまで俺の心情を読んだことに対してもだが
こいつ……俺の事ちゃんと見えてたのか……
俺はてっきり、俺との会話なんて流してるようにしか見えなかったから
だから、御坂からこう言われた時、俺は本当はうれしかったのかもしれない
だから……


美琴「違わない?」

上条「……違わない」

上条「……分かった、協力しよう」

美琴「よし!」

御坂が笑う

美琴「これで同意は得たわ、あたしは部室と部員を確保するから、あんたは書類とか揃えて!」




そう言うと、御坂は大急ぎで階段をおり、消えていった
結局、なんの部活かわからないままに入部が決まってしまった。
断らず、協力するなんて言ったのは……やっぱり
心のどこかで非日常を望む意識があった、と理由付けしたほうがいいな
そう、自分に言い聞かせ、後に土御門らの尋問が行われる教室に向かって帰る上条さんでした




「創造的かつ活力ある学校生活を送るに相応しいもの」



御坂のいう部活の「同好会」の成立条件の一番のネックである。
他にも条件はあったのだが、それはなんとかなりそうだったので割愛
あれこれ考えている内に終業のチャイムが鳴った。
帰る準備を進めながらも思案していると袖を掴む手があった。
言うまでも無い、があえて言おう、御坂だった。
掴むやいなやぐいぐいと教室の外に引っ張り出そうとする





上条「ま、待てって、御坂!どこいくんだよ?」

美琴「部室に決まってるじゃない!放課後は部活なのよ!」





もう部室を見つけたのか?と、案外成立までは秒読みに入っているのかも知れないと思いつつ
御坂の言う部室の前まで来た。





「文芸部」





上条「……」

美琴「ここよっ!」

上条「ここは文芸部とかかれているんじゃないでせうか?」

美琴「当たり前じゃない、文芸部なんだから」


会話があきらかに噛みあってない。
なんだ?御坂は文芸部に入るのか?それとも、普通に考えて空き部屋なのか?
そう思いつつ御坂はノックしてから部室に入った、俺も続く
そこには無人の部室が……ではなく、無人とわかっている部室にノックはしない
つまり……そこには






???「……」






一人の少女が本を読んでいた


上条「なんだよ、やっぱり文芸部の部室じゃねえか!」

美琴「文芸部は今年一年生が入らないと休部になっている部活なのよ」

上条「あの子は文芸部じゃないのか?」

美琴「文芸部よ」

上条「じゃあダメだろ!」

美琴「だってあの子が部室かしてくれるっていったのよ」


そんな変わり者がいるか!と思いつつその唯一の文芸部員に目を向ける
髪は黒のセミロングといったところか……上条さん的には黒髪はOK
眼鏡をかけてるな……上条さんには眼鏡っ娘属性はありませんのことよ
本に目を落とすその少女は、日の光が当たっており幻想的に見えた
そして……一番の注目ポイントは……夢がつまったバスト!
服の上からでも余裕でわかる大きさ……エクセレント!
? ここまで見ておいてなんだが、向こう側の反応が薄い、というより無い



上条「?」

???「……」

上条「あのー……」

???「……」













???「……zzZ」クー















この人本読んでない。涎を本に垂らしながら寝てた。





上条「……寝てるぞ」

美琴「みりゃ分かるわよ」

上条「……どうするんだ?」

美琴「うーん、悪いけどちょっと起こして再確認しないとね」



そういうと御坂は文芸部員の元に駆け寄った。




美琴「ごめんねー!ちょっと起きてくれる?」

???「……ぅ」




いい迷惑だな、気持ちよく寝てたのに起こされた時の気持ちは良く分かる
授業中の上条さんにはよく分かる!
でも、人の事言えないけど、いくら一人とはいえ部活中に寝てていいのか?




???「……なに?」

美琴「あのね、さっきの事確認したくて」

???「部室なら、いい」

美琴「ねっ!」

上条「そんな簡単に……本当にいいのか?えーっと……」




















滝壺「滝壺理后」
















上条「滝壺さん、こいつはこの文芸部をわけのわからん部活の部室にしようとしてるんだぞ?」

滝壺「いい」

上条「すごーく迷惑かけるかもしれないぞ」

美琴「かけないわよ」

滝壺「別に……」

上条「そのうち追い出されるかも……」

美琴「そんな事しないわよ!」

滝壺「……zzZ」クー

上条「寝た……部室がどうなってもいいのか?」

美琴「別にどうもしないわよ、借りるだけ」





本当にいつか返すんだろうな……
それにしてもすぐに寝たな、会話中だったのに
うーむ、やはり美少女だな、眼鏡をはずすとなおよし
寝てる姿とあいまって、さながら眠り姫のようだな




美琴「これから放課後はここに来て!来ないとビリビリだから!」

上条「はいはい、わかりましたよ」


ビリビリがなにかは知らんが、来るよ
しかし、部員も部活の内容もまだ決まってないんだが……




美琴「明日、またここに来て!新しい部員を連れてくるわ!」




そうして今日は解散だった


翌日


青ピと土御門に断りを入れて、俺は文芸部室へと足を進めた
御坂は授業終わりには消えていた、終礼はきちんと受けましょう




部室には滝壺がいた。今日は起きていて、本をよんでるみたいだ


上条「おっす、なに読んでるんだ?」

滝壺「……」スッ

上条「……ジャンプ」

上条「……面白いか?」

滝壺「ユニーク」

上条「なにが好きなんだ?」

滝壺「H×H」

上条「……載ってないんじゃないか?」

滝壺「なぜか、ずっと載ってない」

上条「休載中だからな」

滝壺「そう」

上条「……そうだ」

滝壺「……zzZ」



また寝た……不思議すぎる……
文芸部ってジャンプ読んでていいのか?俺文芸部入ろうかな……
と適当に考えながら、部室のパイプ椅子に座ろうとした瞬間……




美琴「おまたせー!!ってなにしてんの?あんた?」




くっそ……このボロパイプ椅子め!座ろうとしたら壊れちまった!
不幸だ……




美琴「それより!新入部員を連れてきたわ!自己紹介お願いっ!」



ちょっとは気にかけてもらいたいと思いつつ
御坂が連れてきた新入部員さんに目を向ける





















食蜂「食蜂操祈です、よろしくねぇ☆」




















えらい美人がそこにいた






ここまで!
みくるの配役は迷ったけど、みさきちに決定しました!

長門はペンデックスさんかと思ってたんだけどなー。
となると古泉も……。


一時までには行きます


>>59
インデックスさんだとありきたりっぽかったからなぁ
と思ったらペンデックスさん……アリだったな


行きます


食蜂と名乗る女の子はそりゃもう超がつくほど美少女だった
御坂の奴……いい仕事しやがる



食蜂「ふーん、ここが部室、ねぇ、いいんじゃないかしらぁ」

美琴「でしょ?私の目に狂いはないわ!」

上条「お、おい御坂、この人が新入部員なのか?」

美琴「そう言ったじゃない、なに聞いてたのよ」

上条「そうは言ってもなあ……どうやって脅したんだ?」

美琴「脅してないわよ!合意の上!」


俺の時もいささか強引な合意だったがな


上条「えーっと、食蜂さん?なんでまたこんな部に?」

美琴「こんなってなによ!こんなって!」ムキー

食蜂「そこの子が誘ってくれたからよぉ」

食蜂「新入生の子がわざわざ二年生のとこに来てるのねぇ、って思ってたらぁ」

上条「(二年生を誘ってきたのか……)」

食蜂「私に『部活、一緒にやらない?』って言ってきたのよぉ」

食蜂「ちょうどやる事もなく退屈してたから別にいいかな、って思ってぇ」

上条「そんな適当な……」

上条「大体、御坂、なんで食蜂さんなんだよ?何か理由があるのか?」

美琴「めちゃくちゃ美少女じゃない?」

上条「は?」

美琴「私、結構萌えって大事だと思うのよねー」





なんだ?もしかして青ピの話題にもついていけたりするのか?
その割には無視を決め込んでたが……



上条「萌え……だと?」

美琴「萌えよ、萌え!」

美琴「私が求める非日常の中には必ずと言っていいほど美少女がいるのよ!」

上条「だからって三人も必要なのか?その萌え枠っつぅのは」

美琴「え?三人って?」

食蜂「あらぁ、御坂さんだって可愛いわよぉ」

上条「それにそこの滝壺も可愛いじゃないか」

上条「上条さんこのままだとハーレムですよ」ハハハ

美琴「な、な、な……あ、あんたそんな目で……」プルプル

上条「どうしたんだ?御坂?」

美琴「な、なんでもない!」プイ

食蜂「ふふふ」



まだまだよくわからん奴だ。
それにしても……御坂の奴、滝壺といい、食蜂さんといい……



上条「……」ジィー

食蜂「?」

滝壺「zzZ……」

美琴「?なによ」

上条「……いや」

御坂「なんでそんな哀れみの目でこっちみんのよ!」



伝えたらどうなるか分かってるからなぁ……
上条さん、見えてる地雷は踏みませんのことよ


食蜂「……」

滝壺「……zzZ」

上条「どうかしましたか?」

食蜂「……なんでもないわぁ、それより」

食蜂「文芸部ってなにをしたらいいのかしらぁ?」

美琴「あ、私たちの部活は文芸部じゃないの」

食蜂「?ここは文芸部室じゃないのかしらぁ」

上条「えーここは一時的に部室を借りてるんですよ」

上条「肝心の部活は名称、活動内容不明の同好会みたいなモンです」

食蜂「それで……あの子は文芸部員なのかしらぁ?」

上条「ええ、滝壺は唯一の文芸部員で、ここを貸してくれています」

美琴「……決めたわ!」

上条「何を?」

美琴「私たちの部活の名前!」











今更でせうよ、本当に。どこに部室と部員を揃えて活動目的を考える部活があるんだ
そして、今、御坂が言わんとしてる部活名は大方の予想通り
意味不明なものになった。


上条「……教えて下さい」

美琴「我が部の名前は!」




















美琴「SOS団に決定しました!!じゃじゃじゃじゃーん!!」パチパチ
























予想通り、意味不明だ
おそらく略称なんだろうけど、何故正式名称を先に言わないんだ?



上条「……正式名称は?」

美琴「世界をおおいに盛り上げるための食蜂操祈の団!略してSOS団!」

食蜂「えっ」

上条「食蜂さんの団なのかよ!!お前のじゃないのかよ!!」



無茶苦茶だ、どういういきさつでそうなったのかを知りたい、すごく
しかも、なんで団なんだ?同好会じゃダメなのか?
というより同好会未満の部活が勝手に団なんて名乗っていいのか?
もろもろのことを御坂に問いただす



美琴「食蜂操祈の団ってつけた理由?それはみーちゃんが二年生だからじゃない」

美琴「先輩を差し置いて私の名前を入れるなんて失礼じゃない」

美琴「私こうみえても先輩には敬意を示すのよ」



初対面の先輩にタメ口な挙句
勝手につけたであろうあだ名で呼んでる時点で敬意もクソもないんではないでせうか?




美琴「……他に考えてたのもあったのよ、それも略してSOS団なんだけどね」

上条「なんでそっちにしなかったんだ?」

美琴「……なんとなく、よ、気が向いたら教えてあげるわ」




そういわれると気になるのが人間だ、早く教えてほしい
とにかく、これで部活の名前が決定した
SOS団……発足である



美琴「じゃ、明日から放課後はここに来てね!みーちゃん!」



そう言い残した御坂は颯爽と帰っていった
みーちゃんは決定なんだなあ……



上条「あー、食蜂さん?」

食蜂「なにかしらぁ?」

上条「無理しなくていいですよ、勝手に名前まで使われてますけど……」

上条「やめたかったらやめて下さい、御坂には言っときますから」

食蜂「……優しいのねぇ、あなた、名前はぁ?」


そういや言ってなかったっけ?


上条「上条当麻です、遅れてすみません」

食蜂「上条くん、か……いいのよぉ、私入るわぁ」

食蜂「自分の名が使われているのに入らないなんておかしいでしょう?」

上条「ロクな事にならない気が……」

食蜂「いいのよぉ、そっちの方が楽しいじゃない」

食蜂「……それが必然なのだから」ボソリ

上条「え?」

食蜂「なんでもないわぁ、それに滝壺さんがいるのも気になるしねぇ」

上条「滝壺が気になるんですか?」

食蜂「え、あ……だってあの子ずっと寝てたわよぉ、文芸部員なのにぃ」

上条「あー、あいつはあれがスタンスだと思います」

食蜂「不思議ちゃんねぇ」

食蜂「まぁ、そういう訳でお世話になるわぁ」

上条「じゃ、放課後にでもまた」

食蜂「ええ……あと」









食蜂「私のことはみーちゃんでいいんだゾ?」ニコッ












思わず、洗脳されそうなぐらい眩しく美しい笑顔だった



とある日の御坂との会話



美琴「あと一人ね」

上条「部員か?」

美琴「そう、そしてそれは……」

美琴「謎の転校生よ!」

上条「いや、謎って……転校ぐらい普通だろ?」

美琴「新学期が始まって二ヶ月もたってないのに転校するなんて謎じゃない!」

上条「いいえ、それは謎ではありませんのことよ」

美琴「私が謎と思えばそれは世界の謎となるのよ!」




うん、世界はお前を中心に回ってないぞ!御坂!




美琴「こないもんかしらね、転校生」

上条「さあな、来たところで謎じゃないと思いますけどね」







美琴「コンピュータが欲しいわね」



ここで説明すると、この文芸部室には備品がほとんどない
いや、なかったというべきだろう
初めは長机、パイプ椅子、本棚ぐらいしかなかったはずなんだが……
御坂がどこかしらから持ってきた備品が増えつつあった
ハンガーラック、湯のみ、ラジカセ、冷蔵庫、カエルの人形etc...カエル?
御坂はどこからか持ってきた勉強机の上であぐらをかいていた
ちなみに、その机の上には三角錐に「団長」とかかれたものがある
名前は食蜂さんなのに団長はお前なんだな……というツッコミはしない




食蜂「それなら、ちょっと借りにいきましょうよぉ」

滝壺「……zzZ」

上条「借りに……行く?」



まさか食蜂さんが賛同するとはな……
なんだかんだでやっぱり自分の意思で入部してくれたようでよかったよかった
しかし借りに行く?職員室にでもいくのか?



美琴「いい意見だわ!みーちゃん!それじゃ、行きましょう!」

上条「行くって……どこに?」

食蜂「お隣よぉ」

上条「隣って……」








となりにはコンピュータ研究部、コンピ研があった






美琴「こんにちわー!パソコン一台くーださい!」バン!

食蜂「おじゃまするわぁ」





勢いよすぎだ、ここは文芸部じゃないんだぞ
いや、文芸部でもダメなんだけども!
ほら、コンピ研の人たちが不振がってるぞ
どうすんだ御坂





美琴「部長さんは誰?」



一人の男が答えた



???「僕だけど、悪いけどもう一度用件を言ってくれるかな?」




そう答えた男は立ち上がり、こちらに寄ってきた
……でかい、なんだこの人、2mぐらいあるんじゃないか!?
その身長生かしてバスケでもすればいいのに……
髪は真っ赤しかもピアスまで空けて、どうみてもパソコン弄る見た目じゃないでしょうよ
……よく見りゃ外国人か
そして、寄ってきた大男はこう言った
















ステイル「僕が部長のステイル=マグヌスだ、もう一度ふざけた用件を言ってくれるかな?」フー













美琴「あなた、外国人?珍しいわね」

ステイル「育ちは日本だよ、イギリス人だけどね」

美琴「パソコンくーださい!」ニコッ

ステイル「ダメだ、会話に隠しきれてないよ」



一蹴、ま、そうなるわな
本当にでかいな……どう見ても高校生ではないだろ……



美琴「けち!いっぱいあるんだからいいじゃない!」

ステイル「言ってることが無茶苦茶だ、大体君達はなんなんだい?」

美琴「私達はSOS団、私は団長の御坂美琴、そっちの二人は部下と先輩」


誰が部下だ


ステイル「そんな聞いたこともない怪しい連中に大事なパソコンは渡せないね」

馬場「部長、もっといってやって下さいよ」

鋼盾「お、横暴だー!」

美琴「黙りなさい」

馬場「……」カタカタ

鋼盾「……」カタカタ

ステイル「とにかく、パソコンは渡せない、以上だ」

美琴「イギリス人なら紳士の対応をみせるんじゃないの!?」

ステイル「あいにく、イギリスは紳士の国であって、イギリス人がどうと言うわけではない」

ステイル「僕は日本育ちだからね、関係ない」

美琴「なんだぁ、その屁理屈!」









ま、無茶言ってるのはこっちだから屁理屈もなにもないんだけど
さっさと諦めて引き返したほうがいいな……
喧嘩ごとになったらめんどそうだし……


上条「おい、ミサ―――」パシッ

上条「……食蜂さん?」

食蜂「大丈夫よぉ、私がなんとかするわぁ」

上条「なんとか?って……」

食蜂「御坂さん、上条くんと部室戻っててくれないかしらぁ」

美琴「ダメよ!パソコンもらってからじゃないと!」

ステイル「あげないと言っているだろう、さっさと帰ってくれ」

食蜂「いい御坂さん、私が必ず部室に持ってくからここは退いてくれるかしらぁ」

美琴「……で、でも―――」

食蜂「食蜂先輩からのお願いだゾ?」ナデナデ

美琴「あうぅ……」ナデナデ

美琴「……分かった、頼むわねみーちゃん」

食蜂「まかせてちょうだい、団長」

美琴「……じゃ、私たちは出るわよ」バァン!

上条「しょ、食蜂さん?」

食蜂「心配ないわぁ、早く行きなさい」

ステイル「君も一緒に帰ってくれないかな?」

食蜂「帰るわよ、パソコンを持ってねぇ」













そう言われた俺は御坂と共にSOS団の部室に戻った







上条「なにしてるんだろうな、食蜂さん」

美琴「さあ?でもあの部長も頑固だったわね」

上条「あれは普通だと思う……」




コンピ研の部室から出て五分だった





ガチャ





食蜂「お待たせぇ、遅かったかしらぁ?」

上条「……食蜂さん?」

食蜂「なにかしらぁ?」

上条「それって……」

美琴「みーちゃん!なにこのパソコンの量!五台もくれたの!?」

食蜂「私のお願い力ってすごいわぁ」

















食蜂さんがコンピ研部員と共にSOS団の部室に戻ってきた
コンピ研は一人一つのノートパソコン
部長のステイルさんは一番最新のものらしいパソコンを持って


食蜂「じゃ、配線とかよろしくねぇ」

馬場「ヨロコンデ」ウイーン

鋼盾「ヨシキタ」カタカタ

ステイル「ハイハハイニ」カチャカチャ

上条「……一体なにしたんですか?」

食蜂「なにもしてないわぁ、ただお願いしただけよぉ」

上条「お願いって……こんなことに……」

食蜂「女は秘密を着飾って美しくなるのよぉ」

食蜂「それに、御坂さんと約束したじゃない、必ず持って帰るって」

食蜂「私、約束は破らない女なのよ」

美琴「わぁー、五台も……」キラキラ

食蜂「……子供みたいね」クスッ

上条「ああいうところは、ですけどね」
















まるで洗脳されたかのように淡々と作業を終えたコンピ研は部室に帰っていった。
その後、隣からなにやら騒がしい声が聞こえたが……キニシナイ
食蜂さんのミステリアスな部分が少し見えたと共に
御坂に対しての、お姉さんらしい所は上条さん的にはドストライクだった。



ごめん、不思議探索どころか古泉までいかなかった……
意外と遠い、古泉登場

ここまででェす!

さてさて、今日も行くぜ!


よし、行きます!



美琴「じゃ、ちゃんと仕上げておいてね!」


御坂はそう言って帰った。何を仕上げるかって?
それは御坂がパソコンを欲しがった理由であり、
SOS団の存在を周囲に認知させるためのもの……
つまり……






上条「上条さん、ホームページ作りなんてできませんのことよ……」







SOS団のウェブサイト立ち上げ
実質、これがSOS団発足後の初任務だった
任務というか活動というか……
上条さん一人でやるわけだから、部としての活動じゃない気がするが……
こうして、上条さんサイト奮闘記が始まった






と、言ったが別に奮闘する必要はなかった
いや……本来ならなかった、と言うべきだな
コンピ研のパソコンだけあって、あらかたのアプリケーションなどは
すでにハードディスクにあり、サイトの作成のアプリもあった
これならば、後は何を書くかを決めるだけ……なのだが






上条「……なんか、いっぱいあったアイコンが消えた……」

上条「……初期化した?……何もしてませんよ?」






不幸スキル炸裂である。今まで身を潜めてたが如く
ここぞと言う時に発動する。
……不幸だ……
せっかくの昼休みだってのに……はぁ






上条「……どうしよう」










不幸を嘆きながら、考える。


仕方ない、バックアップをとってるだろうし、まあいいでせう
直し方は分からんが……
と、いうわけで、ノートパソコンの方からウェブサイト作りに入った
よし、今度は初期化されて無いぞ!ついてる!





上条「……あれ?何書けばいいんだ?」






今更気づくのも遅いと思うが……。
SOS団って何するところなんだ?目的が分からないのに何を書けばいいのか分かるはずが無い
とりあえず、SOS団のサイトにようこそ!と書いた時点で俺の指は止まった





上条「うーん……滝壺、何か書きたいことあるか?」





昼休みなのに部室に来て、しかも珍しく起きている滝壺に声をかける




滝壺「なにも」










こちらを見ずに答える。そりゃそうか
SOS団でもないのに書きたいことなんてないよな。
SOS団の俺ですらねえってのに


少し考えたのだが、やはり書くことは思い浮かばず
学校のメールアドレスを記載して
タイトルページのみでホームページをアップロードした



上条「さて、帰るか」



そう言って席から立ち上がる、特に誰へと向けた言葉ではない
独り言である





滝壺「……」

上条「うおっ!?滝壺?」



いつのまにか、滝壺は立ち上がった俺のすぐ傍に来ていた
……近くで見ると、やっぱりコイツも中々の美少女だな
完璧に無表情のポーカーフェイスを貫いてるけど……



滝壺「これ」

上条「?」

滝壺「貸すから」








そう言って滝壺は部室を出た。俺の手にはずっしりと重量感のある本があった
滝壺が何日か前に読んでいた本。
先週号のジャンプである……上条さん読んだんですけど……
できれば今週号を貸してほしかったなあ……読んだけど
そんなことを考えてると予鈴がなった。
このジャンプどうしよう……


美琴「どう?サイトできた?ってあんたなにそれ?」

上条「ジャンプ、先週のやつ、サイトは……まぁ、なんとか」

美琴「ま、今はメールアドレスさえあれば内容なんてどうでもいいわ」

美琴「あと、そのジャンプ貸してよ」

上条「ダメだ、これは滝壺から借りた本だから又貸しはしない」

美琴「ちぇっ、読み直ししたかったのに」



ジャンプはともかく、内容はどうでもいい?
それを先に言っていてほしかった。
結構考えたんですよ?五分間ぐらい




上条「メアドなら携帯のやつじゃダメなのか?」

美琴「ダメ、メールが殺到すると困るわ」



あんなサイトだれが見るんでせうか……
とてつもない自信がうらやましいな



上条「どうしたらそんなにメールが来るんだよ?」

美琴「内緒、放課後になったら分かるわよ」







不幸センサーが反応してます。上条さんの超直感でせう
次の六時間目御坂は教室にいなかった
……不幸センサー、当たってるな、こりゃ




上条「おーっす」




放課後に部室に足を運ぶのが慣れてきている。
未だに目的の分からない部へ向かって



滝壺「……」

食蜂「こんにちわぁ、上条くん」



やっぱりいる滝壺と、備品の本を読んでいる食蜂さん
いや、備品のじゃない、ジャンプだ、あれ



食蜂「やっぱりマンガのほうがいいわねぇ」

上条「食蜂さんもマンガ読むんですね」

食蜂「意外かしらぁ?」

上条「どちらかというとですけどね」ハハハ





他愛もない会話が楽しい!SOS団最高!
と、少し有頂天になる、洗脳されてないよな……?





食蜂「御坂さんは?」

上条「なんか六時間目にはもういませんでした」

食蜂「帰っちゃったのかしらぁ?」

上条「いえ、来るはずです、多分」

食蜂「どこかで、また何かを借りてるのかしらぁ?」

上条「う……またあんなことしてるのか?あいつ……」

食蜂「また協力してあげようかしらぁ、団長様に」

上条「あまりに、常識を逸脱してる行為は手伝わないようにしてくださいよ」

食蜂「私に常識力はあてはまらないわぁ」

上条「当てはめてください」



しかし、俺の忠告虚しく、食蜂さんは御坂に手を貸す事になる
……本当になに考えてるんだろな?この人
かわいいのは認めるが……
ともあれ、その原因が部室に現れた








美琴「ちぇいさー!遅れてごっめーん!」












御坂美琴が紙袋を持って登場した
怪しいオーラ、メータ振り切ってます






上条「今度はなにをするんだ?いや、させるんだ?」

美琴「させるって何よ、お願いしてるのよ」



お前のお願いは強制力しかない
パソコンがいい例だろ?



美琴「あれこそ、お願いの結果じゃない」



お願いしたときは帰れ帰れ言われただろ
持ってきたのは食蜂さんだ。……何をしたかは知らんが




美琴「過ぎた事はいいのよ、それよりこれ!」




A4のわら半紙を見せる。数は200枚ぐらい
手書きだな……六時間目はこんなことしてたのか




美琴「SOS団宣伝チラシ、印刷室で刷ってきたのよ」

食蜂「チャレンジャーねぇ」

上条「……」




よくもそんなことできるな……
上条さんがやると、ぶっちぎりの不幸で成功しないですよ……
なによりその行動力は尊敬に値するところまできてるな、すごいよ


チラシの内容はこんな感じだった

SOS団という部活ができました。
不思議なことを探してるので、見つけたり体験したら教えてね。
ただし、私たちが驚くぐらいじゃないとダメだゾ☆
メアド乗せておきまーす!



なるほど、なるほど、ようやく御坂が何のためにこの部を作ったのかが分かり始めてきた
周りの人間からでも不思議という事を体験してみたいらしい。
ぶれないな。





美琴「じゃ、配りに行くわよ」

上条「どこでやるんでせうか?」

美琴「校門、まだ生徒もいっぱいいるしね」

上条「へいへい、よっと……」

美琴「あんたはいいわよ、来るのはみーちゃん」












美琴「と、理后!」













SOS団が滝壺理后を誘った第一歩である










上条「なんで滝壺なんだよ?文芸部員だぞ?」

美琴「分かってるわよそんぐらい、お手伝いよ、ヘルプヘルプ」

上条「じゃ、なんで俺はいらないんだよ?」

美琴「ふふふ……そーれーは……じゃじゃじゃーーん!!」




御坂は怪しい紙袋をかき回し……
中身を取り出した






上条「そ、それは……」









黒いワンウェイストレッチ、網タイツ、付け耳、蝶ネクタイに、白いカラー、カフス及びシッポ

うん、バニーガールだ、これ




上条「御坂さん……それは、一体」

美琴「バニーガールよ、バニーガール!ゲコ太タイプでもよかったけど……」

上条「そうじゃなくて、誰が着るんだ?これ」

美琴「みーちゃん」

食蜂「はぁい」

上条「納得はや!?ちょっとは躊躇して下さい!」

食蜂「あら?上条くんはみたくないのぉ?」

上条「う……」

食蜂「私のバ・ニ・イ」



見たい。正直。
しかし



上条「そういうことじゃなくて、それ着て校門でビラ配りはおかしいだろ?」

食蜂「あー話そらしたぁ」ケラケラ

美琴「普通じゃない、よくバニーがビラ配ってるの見るでしょ?」

上条「お前は一体どこ行ってるんだ!?高校生が行っていい場所にバニーはいねえよ!」

美琴「いいじゃない、はいみーちゃん、サイズは合ってると思うわ」

食蜂「黒ね、いいんじゃないかしらぁ」

上条「おい……本当にやるのか?」

美琴「当たり前じゃない。理后!」

上条「!まさか……」

美琴「はい、理后はこっちね!」







手渡したバニーガールの衣装は
穢れなき、純白だった







美琴「みーちゃん一人だと寂しいしね、二人のほうがいいわ」

上条「だからってなんで滝壺にも着させるんだよ!?」

美琴「だーかーら、お手伝いだって!いいわよね?理后?」

滝壺「……いい」

上条「いいの!?バニーになってもいいの!?」

滝壺「別に」


とんだ肝の据わった文芸部員だぜ……
ていうか着てみたいのか?……まさかな
……それよりも




上条「……なぁ?」

美琴「なによ?」

上条「……お前は?」

美琴「は?」

上条「……お前は着ないのか?バニー」

美琴「……下衆ね」

上条「別に見たいとかじゃねえよ!二人にやらせといてお前はやらないのか?」

美琴「私だってビラ配るわよ」

上条「バニーは?」

美琴「着ない」

上条「なんで?」

美琴「……着ない」プイ

上条「……わかったよ」





これ以上は……やめとこう
なんかこれ以上突き詰めると泣いてしまいそうだ……
怒られるよりも辛い気分になる
女の子は笑ってたほうがいいからな










美琴「……」チラッ

食蜂「はいるかしらぁ?」

滝壺「……白いの」

美琴「……」







結論から言おう。めちゃくちゃ似合ってた
しかも、意外な事に、滝壺のほうが
もちろん、食蜂さんが似合ってたのは言うまでもないけど
バニーガール二人を抱えた御坂は校門へ特攻
上条さんは部室で待機。




30分後、バニーガール一向は戻ってきた






美琴「もー!なんなのよあの教師達腹立つ!!」

上条「止められましたか」

食蜂「まだ半分しかくばれてなかったのにねぇ」

美琴「なに考えてるのかしら!?」




至極まっとうなことだと思うよ。
そりゃバニーガールが校門でビラ配ってたら止めるよ。うん
それが生徒と分かりゃ、先生様達も頭を抱えなさっただろうな




美琴「三人とも生徒指導室に呼び出されるし、最悪!」

上条「当たり前だって、ほら先輩と滝壺にあやまっとけ」

食蜂「いいわよぉ、協力したのは私なんだしぃ」

滝壺「いい」

上条「そういうわけにもいかないんです、ほら」

美琴「分かってるわよ……」

美琴「……みーちゃん、理后……ごめんなさい」

食蜂「……いいわよぉ」ニコッ

滝壺「いい」









御坂美琴には意外にもこんなに素直なところがある。
俺は案外この素直なところがいいと思うんだがな
普段刺々しいから、なおさらな




翌日


休み時間



土御門「上やーん、一体なにをしてたんだぜい?」

青ピ「美女二人のバニーガール、さいこーやったでーっ!!」




昨日のバニー事件はすでに広まってた。
当たり前か、生徒の過半数は目撃してる訳だし
情報社会の今、生徒達の琴線に触れたものはすぐに広まる





土御門「いよいよ上やんも御坂に毒されてきてるにゃー」

上条「別にそんなんじゃねーよ」

土御門「御坂に仲間ができるとはな……世界は広いにゃー」

青ピ「なぁなぁ、僕もそのSOS団いうの入れてくれへんかな!?」

上条「御坂にスカウトされりゃいいんじゃないか?完全スカウト制みたいだから」

麦野「それにスカウトされりゃ、私も入れるわけ?」


麦野までやってきた


青ピ「麦のんのバニー……ええね!!」

麦野「着ないわよ、まったく……あんたらは何やってんのかしら?」

上条「上条さん、分からない」

麦野「学校生活を楽しんでそうなのはいいけど」

麦野「世間という目があるのを忘れないようにしなさいよ」








麦野……もう遅いとおもうな。
このバニー事件でSOS団の名は御坂の計画通り(?)
全校に広まっちまったんだから





美琴「なんであんなにビラまいたのにメールの一つも来ないのよ!」







そんな事言いながら御坂は放課後になっても怒っていた
北高生がまともな思考回路を持ち合わせてるようでよかった
あんなバニー集団を見てなにを相談せよというのか





上条「まあ、まだ一日だろ?日をおけば変わるかもしれねえぞ?」





と、上条さんフォロー。
ま、実際はそうはいかない。不幸を数々体験してきた上条さんだから分かる。
結局のところ御坂が求める非日常なんてもんはそこらに転がってたりしない。
そんな簡単に手に入るようなものを人は非日常と言わないし
おそらく、御坂だって認めないだろうな
俺にとっちゃ、バニーガールが校門にいただけでも、とんだ非日常なんだが
御坂の求める非日常はそんなレベルではなさそうだしな。
御坂、普通の事を楽しむ努力をしてみたらどうだ?
なんでもできるお前なら人並み以上に楽しめると思うんだがな
……とまぁ、上条さんの心の声は心にしまっておきませう
言ったら怒られちゃうからな、やめとこう



転校生来襲、朝、御坂がそんなことを言って来た
なんだ、本当に転校生が来たのか
ああは言ったがやはり少々珍しいな、この時期に転校というのは
どうやら御坂によると転校生は一年九組にいるらしい



美琴「これはチャンスだわ、同じクラスじゃないのがおしいけど」

上条「その転校生にはまだ会ってないんだろ?謎の転校生じゃないかもしれんぞ」

美琴「いや、私には分かるわ!絶対に謎の転校生だわっ!」



そう結論づけた御坂は一時間目の終了と共に教室を出た
大方、転校生を見に行ってるんだろうな……
授業開始のチャイムと同時に御坂は帰ってきた
それ、半分遅刻だからな



上条「謎っぽかったでせうか?」

御坂「……謎、っぽくはなかったけど」















御坂「なんか、ストーカしてるみたいな謎さはあったような……?」
















転校初日の転校生になんて評価してるんだ
お前の思考が一番の謎だ。







美琴「話してみたけど、普通だったわね」

上条「普通の転校生だからな」

美琴「いや、もしかしたら誰かの皮を被ってるだけかもしれないわ!」

美琴「転校初日から正体を現す転校生はいないだろうし……」

上条「どんな思考回路だよ」




まったく、なんだ皮を被ってるって……
ありえないだろ、しかし、
そう言われる様な非日常を御坂は求めている





上条「男?女?」

美琴「多分男」




多分って何?男だろ、普通に
皮被ってる発言から、男の皮かぶってるとかいらん想像したんだろうけど
これを聞いて少し安堵したのはいうまでもない
SOS団の男女比は1:3、もし転校生が女だったら1:4
これじゃ、上条さんにとっての非日常編スタートだ、男の転校生でよかった
しかし、転校生も不憫だよなぁ……
転校してきただけで謎の部活に入部させられるんだからな


しかし、そう簡単にいくのか?
協力する形になった俺と、意外とやる気のある食蜂さんみたいな転校生とは限らない
もしかしたら、御坂の誘いを断るかもしれない、それが普通だ
しかし、御坂はそんな普通を好んでいない、否が応でも入部させようとするだろう
転校生が本当に嫌だとしたら、俺が御坂を止めなければならない
さすがに不本意な転校生を団にいれるのはかわいそうだしな
もし、他にやりたい事があったりするかも知れないしな
だが、揃ってしまったら?転校生の入部でSOS団が認められたら?
……その時は、その時の上条さんが対処するだろうな



俺が余計な事を考えたから、と思いたい
転校生は入部することになった。先に言っておく
これでSOS団が成立したわけである





部活には毎日足を運んでいるが、特にやることもない
俺は自宅にあったオセロを持参して、食蜂さんと対戦していた





上条「負けました……」

食蜂「わぁい、私の20連勝ねぇ」



なぜだ……なぜ盤上を埋めず負ける……
上条さんが不幸だからか?食蜂さんが強いからか?
はたまた、第三者からの攻撃か?



食蜂「御坂さん遅いわねぇ」

上条「転校生が来ましたからね、勧誘に行ってるはずです」

食蜂「転校生?」

上条「九組に転校してきたんですよ、前々から御坂は転校生を渇望してたみたいで……」

食蜂「……へぇ」

滝壺「……」



ふと、視線を感じた
そちらを見ると滝壺がこちらを見ていた




上条「変わろうか?滝壺」

滝壺「……」コクッ

食蜂「……」

滝壺「……」パチ

食蜂「……」パチ



ルールは知ってるようだ、ジャンプにオセロマンガあったっけ?
ともかく、これで俺が弱いのか食蜂さんが強いのかがわかる
どうなる?




上条「……」

滝壺「……」パチ

食蜂「……」パチ

滝壺「……終わり」

上条「おお……食蜂さんの勝ちか」









大接戦だった。結論的に俺が弱いという証明にもなった
食蜂さんは最後の一手で逆転した。上条さんならありえない。
終止無言で打ち合ってたのは気になるが……相手が滝壺だからな
しょうがないのかもしれない








美琴「待たせたわねっ!!!」








団長様のお帰りだ。それもご機嫌で
ご機嫌だったところで、俺はスカウトに成功したんだな、と確信した
と、言うよりがっちりホールドしてる腕が見えていた







美琴「本日1年9組にやってきた、即戦力の転校生!その名も!」





御坂が促す







転校生は微笑を崩さずこう言った
















海原「海原光貴です……よろしく」











こういうの大好物だから応援する


ここまでっ!

古泉が海原だと誰が予想しただろか……


>>103
ありがとう!


レスどうも!明日も書くと思うんで、おねがいします!


書きます


そう名乗った男は世間ではイケメンと言われる部類の顔立ちで
どこかの理事長の息子みたいな雰囲気を出していた。



美琴「ここはSOS団!私は御坂美琴で、そこの三人は団員一と二と先輩」

美琴「つまり、あなたは四番目ね!みんな仲良くやりましょう!」



なんだその適当な紹介、ほとんど御坂の紹介だけじゃねえか
しかもちゃっかり滝壺までカウントしてやがる。



海原「入るのはいいんですが……何をするクラブなんでしょう?」



当然の質問だ、そして答えは俺も知らない。
しかし、この中で唯一、知っているかもしれない御坂美琴は
俺達を見回し、笑みを浮かべながらこう言った





美琴「教えるわ、SOS団の活動内容……それは!」















美琴「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶことよ!」



















背景のエフェクトにオレンジ色の雷が落ちたかのように思えた


という幻想はぶち殺しており、上条さんは特に動じなかった
ここまで来たら、やっぱりか、程度にしか思わなかった。
まあ、でも残りのお三方はそうもいかなかった。無理も無い。


あの食蜂さんが驚いていた。口は開けっ放しで呆然としていた。
御坂を見つめたまま一時停止していた。
滝壺は滝壺で驚いている……のか?
無表情は変わらないがこちらに興味を示しているらしく
珍しく、こちらへ首を向けていた。
転校生はというと、やはり笑みは崩していなかったが
少し、笑みが崩れているように見えた。しかし、イケメンだなぁ。




海原「……なるほど、さすが御坂さんですね」

美琴「でしょ!?」

上条「なにがだよ」

海原「分かりました、入りましょう、今後ともよろしくお願いします」





いいんでせうか?あんな説明を聞いてから入るなんて……
聞かないで入ったほうがまだ言い訳の余地があるぞ。



海原「海原です、どうぞよろしく」


海原から差し出してきた手を握り返す


上条「ああ、よろしくな俺は上条だ」

海原「……」


なんだ?握ったまま話さないぞ、いや離さないぞ?
こいつ……ソッチ側なのか?


上条「う、海原さん?」

海原「! ああ、失礼しました……」

美琴「でね、海原くん!そっちの美少女がみーちゃんで、眼鏡っこが理后!」

上条「食蜂操祈さんと滝壺理后だ」

食蜂「……よろしくねぇ」

滝壺「……」

海原「ええ……よろしく」

美琴「これで五人揃ったわ!これで部として認めざるをえないわね!」


何か言ってるが、顧問や書類等のことは考えてないらしい







美琴「いよいよSOS団のベールを脱ぐ時がきたわ!ちぇいさー!がんばっていきまっしょー!」








なにを頑張ればいいのか皆目検討がつきません


御坂が学校案内をすると言って海原を連れだし
食蜂さんは用事があるといって帰宅
残ったのは俺と滝壺だった。
ここで上条さん、スーパーのセールを思い出す。
確か卵が安かったはず、母さんがそう言っていた。



上条「悪い、滝壺俺も帰るわ」

滝壺「本、読んだ?」

上条「本?」

滝壺「ジャンプ」

上条「ああ……読んだよ、返そうか?」

滝壺「えっ……読んだの?」

上条「? 読んじゃダメだったか?」

滝壺「……ジャンプは全て読んでいる?」

上条「えーっとだな……おう、読んでるぞ?」

滝壺「それは嘘、と断じてみたり」

上条「は?」

滝壺「……ジャンGを忘れないで……」

上条「?分かったよ」







そう言って滝壺は今週のジャンプを読み始めた。
ジャンGって……それ漫画じゃなくて読者の投稿コーナじゃねえか
なんだ?先々週のジャンプはそこが面白かったのか?
そんな事を考えならスーパーへ足を運ぶ上条さんだった



そして現在午後六時三十分頃、上条さんは走っていた



スーパーのセールに間に合ったが、ゲットした卵は割れていて
返そうにも店員さんの目が怖く、割れた卵を購入。
帰宅し、母上様に謝って、ご飯を食べのんびりしていると
滝壺の言葉を思い出す。




上条「なんだ?一体どんな面白いことが……」





ページを開くと、何かが落ちた。





上条「ジャンプについているはがき?」









そしてその住所欄に

『午後7時。光陽園駅前公園で待っている』










現在午後六時二十分、時計を確認し何とか間に合うか?と用意を始める
ここで、疑問が募った。
このジャンプを受け取ったのは今日ではない。何日も前だ。
したがって、このはがきを仕込んだのは今日ではない。
つまり、このジャンプを俺に渡した日からずっと、ずっと今日まで俺を待っていたのか?
なんで直接言わなかった?いや、言えなかったのか?だからこんな分かりにくいことを……
考えてたのは十秒ぐらいだろう。一刻も早く滝壺の元へ向かうべく階段を下りる。
妹の『当麻お兄ちゃん、どこいくの?』に『駅前』とだけ答えて



上条さん、不幸スキル発動。


自宅から駅前までは自転車で二十分程度、これなら間に合ったのだが……
出発五分でパンク、家に戻る時間も惜しいので、悪いと思いながらも自転車を放置。
これは帰り道の話だが、このパンクした自転車はパクられていた。いるか?それ
そして現在午後六時三十分、上条当麻は走っていたのである。
滝壺、今行くから、待っててくれよ



午後七時十分。
十分の遅刻である。いや、性格に言えば何日と十分なんだろうけど……
木製ベンチに滝壺はいた。いてくれた。
カクカクしてる、このままだと寝てしまいそうなので側に寄る



上条「ごめん!遅れた!」

滝壺「いい」

上条「もしかしなくても、何日も待ってたのか?」

滝壺「……」コクリ

上条「今日でよかったのか?」

滝壺「……」コク

上条「学校じゃ言えない話だったのか?」

滝壺「……z」

上条「滝壺!!」

滝壺「!、そう」ビクッ

滝壺「……こっち」




滝壺が歩き出した。その後に続く。
本当に何日も待ってたのか……悪いことしたな。
俺がちゃんと読み込んでいれば……



滝壺「ここ」



そう言った滝壺が示すのは大きな分譲マンションだった。
玄関のロックを開け、エレベーターに向かう。
ボタンを押す、七階だった。



上条「どこにいくんだ?」

滝壺「私の家」

上条「なんで?」

滝壺「誰もいないから」

上条「なんで!?」



部屋の前まで辿り着く、708号室。



滝壺「入って」

上条「い、いや、やっぱり上条さんそういうのはちょっと……」

滝壺「……そう」



少し、寂しそうに見えた
滝壺にも表情があるんだな、と思ってから失礼だと反省し



上条「……お邪魔します」

滝壺「……どうぞ」









お邪魔することになった







中に入ってみると、生活感溢れない部屋が広がっていた。
カーテン無し、絨毯無し、コタツ机あり、というかそれだけ
十畳はあるフローリングにそれだけとは……


滝壺「座ってて」

上条「は、はい」



なにもない床に腰をおろす。床つめてぇ……
滝壺が帰ってくる



上条「……滝壺?」

滝壺「なに?」

上条「そのジャージは部屋着か?」

滝壺「そう」











滝壺はピンクのジャージに着替えていた
いつのまに……というか、
年頃の女の子が年頃の男の子に部屋着でいいんでせうか!?
滝壺さんはその辺全然気にしてなさそうですが……


上条「あーお家の人は?」

滝壺「いない」

上条「お出かけ中でせうか?」

滝壺「私の居場所はここだけだから……」


一番長いセリフかつ、一番意味深なセリフかつ、最も意味が分からないセリフだった


上条「一人暮らしでせうか?」

滝壺「そうともいう」

上条「……何の用でせうか?」

滝壺「まぁまぁ、飲んで」


滝壺はお茶を勧めてきた。
なんか滝壺こんなキャラだったっけ?


滝壺「おいしい?」

上条「おいしいですのことよ」

滝壺「もう一杯」

上条「いただきます」

滝壺「もう一杯」

上条「い、いただきます」

滝壺「もう一杯」

上条「こ、これでラスト」

滝壺「からの?」

上条「ほ、本題に入ろうぜ!」






お茶からそらす、というか、滝壺、本来のお前はこんなキャラなのか?





上条「学校では出来ない話なんだよな?」

滝壺「そう」

上条「内容は?」

滝壺「ジャンプの連載陣について」

上条「学校じゃできないのか?」

滝壺「してくれるの?」



これはお願いなのか?してほしかったりするのか?
いつも片隅でジャンプを読んでる滝壺もそう思ったりするのか?
滝壺も人間らしい部分があるな、人間だもの












という幻想はめでたくブチ殺されることになる










滝壺「ここで話すのは御坂美琴の事」

滝壺「それと、私の事」

滝壺「あなたに教えておく」

上条「御坂とお前がなんだって?」

滝壺「上条が分かる程度に説明できるか分からない、情報の伝達に齟齬が発生する、でも、聞いて」














失礼な事をいわれた気がする









ここまでぇ!

超きゃわいい絹旗ちゃんの出番は超ありますかね?

浜面?誰だい?それは?
そんな馬面は知らんが、一通さんは出るよ、多分

>>137
ツインテールが似合いそうですね!


書き忘れ、もっかい行くよ!


書き忘れ、今日もっかい行くよ!

行きます


滝壺「御坂美琴と私は普通の人間じゃない」


滝壺はそんなことを言い出した


上条「まあ、普通ではないよな」

滝壺「そういう意味じゃない」

上条「? 普通ってことか?」

滝壺「なぜそうなる」


滝壺の言いたい事は上条さんではわからん


滝壺「私はこの銀河を統括する情報統合思念体が造り出した対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース」

上条「?」

滝壺「……有り体に言えば宇宙人」

上条「なるほど……滝壺は宇宙人か」

滝壺「そう、そして私の役目は御坂美琴を観察し入手した情報を情報統合思念体に報告する事」

滝壺「たとえ御坂美琴が地球の裏側にいようと、私の役目は変わらない」

上条「……」

滝壺「この三年間、私はそうやって過ごしてきた」

滝壺「特に不確定要素もなく、いたって平穏だった」

滝壺「しかし、最近になって無視できないイレギュラーな存在が現れた」

上条「誰だ?」

滝壺「……あなた」

上条「上条さん?」

滝壺「……」コクリ


情報統合思念体、滝壺の親玉……らしい
すごく賢いらしい
なんでも姿形は無く、ただ情報だけが存在し、観測もできない。
宇宙の発生と共に存在した思念体は宇宙と共に膨張、拡大してきた。
宇宙ができた時から存在する情報のボスにとって地球は珍しくなかった。
そんな星は宇宙には山ほどあったから。
しかし、その中で人類に分類される生命体に興味をもった。
他の生命体には無い知性と言ってもいい思索能力を持ち始めたから。
情報統合思念体は生まれたときから、宇宙を認識できるほど完璧な存在だった。
それゆえに、進化という概念がなく、閉塞状態だった。
そこに、知性をもち、進化していく生命体があるではないか。
これは自分の自律進化に繋がるかもしれない観測をしてみよう!


滝壺「そして三年前、異常な情報フレアを観測した」

上条「?」

滝壺「……つまり、異常事態が発生した」

上条「なるほど……」

滝壺「その観測地の中心にいたのが御坂美琴」

上条「……だから御坂を観察してるってことか」

滝壺「そう」

滝壺「そして情報統合思念体は御坂美琴に自律進化の可能性を見出した」

滝壺「統合思念体は人間とコミュニケートできない」

上条「姿形がないからか?」

滝壺「簡潔に言えばそう、人間には言語以外のコミュニケーション概念を持たないから」

上条「だから……」

滝壺「私を造った、人間とのコミュニケーション手段として」


上条「……」

滝壺「……疲れた」

上条「よく話せるじゃないか、滝壺」

滝壺「必要な事だから」

上条「でも、上条さんにはさっぱりでした」

滝壺「……理解してるように見えた」

上条「言葉を間違えたな……いきなりそんな事言われても信じられねえよ」

滝壺「信じて」

上条「信じてって……」







正直、滝壺の言っていることの理解はしてた
でも、それが本当の事だとは信じれるはずがなかった。
だってさ、例えば急に私は魔術師に追われているシスターなんだよ?
とか言われても信じられないだろ?同じだ
私は実は宇宙人とか言われても信じれねえよ。


滝壺「私は情報統合思念体の伝えたいことをできるだけ言語化している」

滝壺「その中には言語で説明できない部分もある、でも、信じて欲しい」

上条「……なんで俺に言うんだ?」

滝壺「あなたは御坂美琴に選ばれた、彼女の意識は環境に影響を及ぼす」

滝壺「それが無意識にしろ、意識的にしろ」

上条「それで、上条さんが影響を及ばされた環境にいるってことでせうか?」

滝壺「そう」

上条「ねーよ」

滝壺「ある、多分、あなたは御坂美琴にとっての鍵、可能性はあなたと御坂美琴が握っている」

上条「本気か?」

滝壺「もちろん」






滝壺の顔を見る。どこまでも真摯的な顔だった。
しかし、言ってる事は電波話……どうすりゃいいんですか?
変わった奴とは思ってたけど、大分違うベクトルで変な奴だった



上条「それなら、御坂に言えばいいんじゃないか?私は宇宙人ですって」

滝壺「それはできない」

滝壺「御坂美琴が自覚してしまうと予測できない危険が起こる」

上条「絶対?」

滝壺「多分」

上条「じゃ、御坂に俺が言ったらどうするんだ?」

滝壺「……あなたの言うことは御坂美琴はあまり信じない」

上条「……否定できない」

滝壺「それと、私以外にも地球に潜伏してる宇宙人はいる」

滝壺「いろんなアクションを起こして情報の変動を起こそうとする動きもある」

滝壺「あなたは鍵と認識されている、危機がせまるとしたらまず、あなた」

上条「やれやれ……」


付き合いきれん、さっぱりだ……でも










上条「例えば、誰がその宇宙人なんだ?」













滝壺「麦野沈利」














だとさ、覚えておくよ、お茶ごちそうさま
滝壺は湯飲みに顔を落としていた。
その顔はどこか寂しそ……いや、寝てるのか




帰宅

自転車をパクられた事に凹みながらベッドにダイブ。
ベッドの端で脛をうつ、痛い。不幸だ
滝壺の話を思い出す。
私は宇宙人です、御坂を観測していて、上条さんもチェックしてます
というわけだ。
やったな御坂、宇宙人は滝壺だったぞ!近くにいるじゃねえか
なーんてな、滝壺もジャンプの影響であんな話をしたに違いない
きっと誰かに聞いて欲しかったんだろうな、その話相手が俺だっただけで。
もっと笑えばそんな話をできる相手だってできるだろうに。
絶対笑顔可愛いのになぁ……もったいない。
しかし、麦野も宇宙人だとさ、笑っちまうよな
滝壺の口からこんな冗談を聞けるなんてさ。
…………










上条「……冗談、なのか? 本当に」













ふと、思う







こんな冗談を聞かすために、わざわざ本を貸して
分かりにくい呼び出し状を挿み、何日も待った
あげくに信じられない冗談話をして……
そんなもんなのか?こんな結果でよかったのか?
目に見えていた結果をわざわざ自分で作り出したのか?
俺に変な奴だと思い込ませるのが目的なのか?
だとしたらそれは成功してる、滝壺お前は俺の変な奴ランク第三位だ。
……そんなわけねえよな、そんなことのはずねえよな。
だったら……













上条「信じてみますか、滝壺の言うこと」














少し考えて、信じることにした。
信じることぐらい別にいいだろ?夢があってさ
昔の俺ならすぐに信じてたかもしれないしな。


翌日の放課後


食蜂「おかえりなさいませぇ、ご主人様」



メイドがいた



上条「食蜂さん!?何ですか!?その格好はぁあああああ!?」

美琴「どっからどう見てもメイドじゃない」

上条「そうじゃなくて、なんでそんな格好をしてるって話だよ!」

美琴「かわいいでしょ?私があげたのよ」

上条「そして例のごとくお前は着ないんだな!?」

美琴「わ、私は団長だから!みーちゃんはSOS団のマスコットだし」

上条「先輩をマスコットにしていいのか?」




さすが俺の中の変わった奴ランキング堂々の一位。
やってることのほぼ全てが意味分からん。ちなみに二位は青ピな。




美琴「さぁーって、じゃ撮影会の開始よ!」

上条「撮影会だと?」

美琴「こーんなかわいいみーちゃん、写真に収めなくてどうするのよ!」


とんでも理屈だな


食蜂「これでいいかしらぁ?」

美琴「うーん、もうちょっと色っぽくしてみようか」

上条「どこのカメラマンだよ」

食蜂「これでいい?」

美琴「グーッド!いいねいいね!最高よ!」

上条「誰だよ」





というかメイド姿の食蜂さんも麗しゅうなぁ……
惚れてまうやろー!!


美琴「理后!眼鏡かして」

滝壺「……度は入っていない」

上条「コナン君かよ」

美琴「じゃあ、なんでかけてるのよ」

滝壺「文芸部っぽいから」

美琴「ふーん、まぁいいわ、はいみーちゃん!」

食蜂「これでいいかしらぁ?」




うーむ、似合うには似合うんだが……
上条さんにメイド属性はあっても、眼鏡属性はないんですよ
だから眼鏡をとった滝壺は魅力1,5倍増だ




美琴「かっわいいわ!みーちゃん!これからはその服を着て部活してちょうだい」

食蜂「団長様の意のままにぃ」

上条「(いいぞ、御坂)」








心の中で御坂を褒めながら滝壺を見る
いつもと変わらず、もう眠っている
昨日のことはやはり冗談か?いやいや、たとえ冗談でも信じるんだ
御坂が言ってただろ?そっちのほうが面白いじゃない!ってさ




海原「うおっと、部室を間違えましたかね」


いいところにきたな海原、食蜂さんメイドだぞ


海原「こんな素敵なメイドさんがいたんですね」

食蜂「どうもぉ」




口が達者だな、海原
コイツはモテるな、うらやましい




美琴「全員揃ったところだし、第一回、SOS団ミーティングを始めます!」




必要なのか?ミーティング




美琴「SOS団はいろいろ活動してきたわ!ビラ配ったり、HP作ったり!」

美琴「校内にはSOS団を知らない人はいなくなったわ!!」


ああ、マイナスのベクトルでな


美琴「でも、相談者や相談事のメールは一切無し」

美琴「おかしいわよ!これは!」




いいことだろ?悩んでる人がいないんだから
なんなら上条さんの不幸な話でも聞くか?
一週間あっても話たりないと思うけどな


美琴「果報は寝て待て……昔の人は言いました」

美琴「しかし、虎穴に入らずんば虎子を得ず、今はその時代なのよ!」


むしろそっちの方が昔なんじゃないか?
上条さんバカだからよくわからんけど



美琴「つまりは探せってことなのよ!」

上条「……何を?」

美琴「あんたバカぁ?」

上条「……否定は出来ん」

美琴「この世の不思議に決まってるじゃない!」

上条「……そうですか」

美琴「次の土曜日、朝九時に北口駅前に集合ね!遅れたらちぇいさるから!」






なんだその日本語




ここで一つ、食蜂さんのメイド写真だが
どうやら御坂はSOS団のHPに載せたかったらしい
食蜂さんは問題ないと言っていたが俺が阻止した
食蜂さんのあんな写真が全世界に発信されるだと!?
そんな事、上条さんがさせるわけなかろう!!
青ピに見られてるとでもなったら……
しぶしぶ了解した御坂、と食蜂さん。なんで乗り気なんですか?
これは、上条さんが責任をもってパスワードつきのフォルダに保存しときます
え?保存しないで消せって?無理です、もったいない。


休みの日に九時集合?ああ、もったいない
上条さんの惰眠の時間が失われている……
ここで問題が発生した、というかしていた
自転車が無い、滝壺に会いに行くときに無くしたままだった
それを失念していた私、上条当麻は今、走っているのである
間に合うのか!上条当麻!






美琴「遅い、ちぇいさ」






九時五分前。間に合ったのにちぇいさとはこれいかに。
上条さんの精神に大ダメージ。
むしろ遅刻しなかった上条さんを褒めて欲しい。
ところでちぇいさは遅刻したときだろ?でちぇいさってなに?





上条「遅刻してないだろ?」

美琴「たとえ遅刻してなくとも、一番最後に来た奴にはちぇいさなの」

上条「ちぇいさって何だよ?」

美琴「ちぇいさってのは……」



不幸センサー反応!左から来ます!



美琴「ちぇいさー!!」バァン!

上条「ぎゃぁああああああああああああ!!」

美琴「こういう事」

上条「どういう事だ!?ただの回し蹴りじゃねえか!」

美琴「これを食らいたくなかったら遅れないことね」

上条「だから遅れてないっての!」

海原「……遅れるとあれを食らうんですね」

美琴「そ、だから遅刻しちゃだめよ?」

海原「仰せのままに」


そういう海原の服装は制服とは違った印象をうけるワイシャツに
ジャケットをを着ていて、これまた似合っている、モデル並みだ
御坂はなんか、カエルのデフォルメが描かれた黒のTシャツに
デニムパンツを履いていた。……中学生か
食蜂さんは、言うまでも無い。
白のワンピースに、薄黄色のカーディガン、髪はなんとおさげになっていた
金髪のおさげもありだな……と新たな属性をつくるほどだった
滝壺は……いつの日かのピンクのジャージだった。
部屋着じゃないの?あれ





滝壺「ピンクジャージは万能、これ常識」

上条「はぁ」

滝壺「あなたも着る?」

上条「ペアルックですか、勘弁してください」





という訳で、ピンクジャージなのだった


なぜか奢らされた。不幸だ
遅刻したやつには罰金のシステムがあるようだ。
後付じゃないだろうな?俺が遅刻したからこうしてるように思えるぞ……
食蜂さんが遅刻した場合のちぇいさーはもしかしたら抱きつくことだったのかもしれない
それなら俺は次回から遅刻して罰金でも何でもしてもいいですよ。



美琴「じゃあくじ引いて」



御坂の提案はこうだった。
二手に分かれて不思議を探そう。
2人と3人ね、という訳でくじね。
爪楊枝に赤い印を二つつける。
俺は印入り。珍しいこともあるもんだ。
そしてもう一人は……





食蜂「よろしくねぇ、上条くん」





……俺はこれで何年分の運をつかったんだ?
不安になるほど、この運が信じられなかった。
今ならどんな不幸も幸せに思える……言い過ぎた。
ちぇいさは勘弁。


美琴「あんた、マジデートじゃないからね?」

上条「私、上条当麻!必ずや不思議を見つけて参ろう!」

海原「その、具体的になにを探せばいいのでしょう?」

美琴「不可解なもの、時空の狭間とか、自分のクローンとか、不思議な石とか」


具体的だな












勘定を俺に払わせ、いざ第一回SOS団不思議探しが始まった











マジ、デートじゃないから!
わかってますよ、御坂さん、これは不思議探しであってデートじゃない
しかし……不思議探しがこんなに楽しいものとは知らなかったなぁ!






上条「さて、どうしますか?」

食蜂「あらぁ、男の人がリードしてくれるんでしょ?」

上条「仰るとおりです、じゃ、ブラブラしましょうか」

食蜂「はぁい」



かわいい








俺達は意味も無く河川敷を北上しながら歩いていた
マジ、デートじゃないですから
よく分からない不思議を探してる変な二人組ですから


食蜂「私こんな風に出歩くの初めてなのよねぇ」

上条「こんな風に、とは?」

食蜂「男の人と二人でよぉ」

上条「意外ですね、誰かと付き合ったことはないんですか?」

食蜂「ないわよぉ、いろいろ買ってくれる人はいたけどぉ」



うん、食蜂さんの魅力なら当然だな
魅力に当てられたんならしょうがないな、うん




食蜂「でも、付き合おうとは考えたことはないわねぇ」

上条「どうしてですか?」

食蜂「それは……」







食蜂さんが口をつぐむ。
この雰囲気はつい最近体験した。
まるで、自分の知らない他人がいるような感覚。
滝壺理后と話した時のような感じだった。





食蜂「上条くん」

上条「はい」

食蜂「ちょっと、お話いいかしらぁ?」




もちろん、断る理由など無い




食蜂さんはなにやら一人で呟いていた。
「信じてもらえないだろうなぁ」とか「口下手だしぃ」とか
そして、話された第一声は……





















食蜂「実は、私はこの時代の人間じゃないの、もっと未来からきたのよぉ」


















ここまでっ!
まだ話がすすまぬ……


今日もいくよ!

古泉までいけたらいいな!


行くよ!


食蜂「いつ、どこの時間平面から来たのかはいえないわぁ」

食蜂「言いたくても言えないのぉ、そういうように制限がかけられてるから」

食蜂「過去の人に未来の事を教えるのは禁止されているからぁ」

上条「はぁ……」

食蜂「それでねぇ、時間って言うのは連続性のあるものじゃなくてぇ」

食蜂「区切られた一つの平面を積み重ねたものなのよぉ」

上条「……」

食蜂「……つまりねぇ」

食蜂「アニメって流れるように動いてるように見えるけどぉ」

食蜂「実際は何枚もの静止画を連続してみせてるだけじゃない?」

食蜂「時間も同じ、時間と時間の間には断絶があるのぉ、あってないようなものだけどぉ」

食蜂「だから時間と時間には連続性がないのぉ」

食蜂「時間移動ってのは三次元方向に移動する事」

食蜂「時間を一枚一枚の絵と考えると、私は落書き」

食蜂「連続してない時間で何をしても未来には影響されないわぁ」

食蜂「落書き一つでストーリが崩れたりしないでしょう?」

上条「……」


上条さんの頭には要領オーバーだ。ああ、食蜂さんかわいい。
現実逃避から戻ってきて……未来から来た?


食蜂「私がこの時代に来た理由はねぇ……」

食蜂「三年前」


また三年前か……


食蜂「大きな時間振動が検出されたのぉ」

上条「時間振動?」

食蜂「まぁ、そのまま時間という概念での振動と考えて頂戴」

食蜂「その原因を確かめるために三年前に飛んだのねぇ」

食蜂「そしたらそれ以上に遡れない事に気づいて驚いた」

上条「三年以上前には遡れない……?」

食蜂「そう、さっき時間と時間の断絶がどうとかっていったわよねぇ」

上条「ああ……えーっと」

食蜂「さっきはあってないようなものといったけど、結論的にその断絶が大きいってことになったのぉ」

食蜂「なんでその時代に限ってそんな断絶があるのかはわからないけどぉ」

食蜂「原因とよべるものがつい最近分かったの、私達の時代での最近ねぇ」

上条「……まさか」

食蜂「御坂さん」








予想通りだった





食蜂「時間の歪みの真ん中に彼女がいた」

食蜂「なぜ分かったかは禁則事項で話せないわぁ、ごめんねぇ」

上条「……御坂にそんなことができるとは思えませんけど……」

食蜂「私達だってびっくりしたわぁ」

食蜂「個人が時間平面に干渉できるなんて未来でも思われてなかったからぁ」

食蜂「そして、御坂さんにはその自覚が無い」

食蜂「私の役目はその御坂さんを監視する監視係みたいなもの」

食蜂「そのために、この時代までやってきたのぉ」


それで食蜂さんに出会えたんだとしたら、御坂グッジョブだ
しかし、返答が見当たらない


上条「……」

食蜂「信じられないわよねぇ、こんな話」

食蜂「私だったら絶対信じないものぉ」

上条「なんで、俺にそんな話をするんですか?」

食蜂「あなたが御坂さんに選ばれたから」









またか……不幸な上条さんが選ばれるなんてありえませんのことよ






食蜂「詳しくは言えないのぉ、禁則事項に引っかかるから」

食蜂「御坂さんのする事には全て意味がある」

食蜂「そんな彼女がえらんだのがあなたなのよぉ」

上条「じゃあ、滝壺や海原は……」

食蜂「そうねぇ……あの人たちは私と似た存在ねぇ」

上条「……御坂を監視する?」

食蜂「まぁ、そういうことねぇ」

上条「食蜂さんはあいつらが何者か知ってるんですか?」

食蜂「禁則事項よぉ」

上条「御坂のすることを放っといたらどうなるんですか?」

食蜂「禁則事項ねぇ」

上条「御坂に直接言えばいいんじゃ……」

食蜂「禁則事項だわぁ」

上条「エクレア食べます?」

食蜂「いただくわぁ、なんで持ってるのかは知らないけどぉ」











食蜂さん、エクレア好き、っと


食蜂「モグモグ……ごめんなさいねぇ」

上条「(可愛い)何がです?」

食蜂「今の私にはそんな権限がないのよぉ、煩わしい事に」

食蜂「信じなくてもいいわぁ、ただ聞いて欲しかっただけだからぁ」



……最近の女子高生はそんなSFじみたことが流行ってんのか?
先日も聞いたんだが……とあるマンションの一室で



食蜂「……ごめんねぇ」

上条「いいんですよ、それに」

食蜂「?」













上条「俺はその話信じてますよ」


















滝壺の話は信じて食蜂さんの話を信じないなんてありえないだろ?
女の子の話す事は信じるのがいい男ってモンでせうよ


食蜂「……信じるのぉ?」

上条「食蜂さんの言う事を信じない男なんていませんですよ」ハハハ

食蜂「……私なら絶対に信じないわぁ」

上条「食蜂さんだから信じるんでせうよ」ハハハ

食蜂「口が上手いのねぇ」

上条「事実ですから」キリッ

食蜂「……そう」

食蜂「……」

食蜂「……ありがと」

上条「いえいえ」

上条「あ、一つ質問いいですか?」

食蜂「なにかしらぁ?」

上条「本当の年齢はいくつなんです?」

食蜂「女性に年齢の事を聞くのはタブーなんだゾ☆」ピース













彼女は目元でピースする決めポーズをとってくれた。









その後、上条さん達は適当にぶらついた。
うん、デートじゃないでせうよ、これ
食蜂さんのファッションショーを見たり、オシャレな喫茶店で食事したり
上条さんの財布が持つか心配だったけど、
道中で食蜂さん、知らないおじ様からお金貰ってた。
……お父さんだよ、きっと、気品があって食蜂さんのお父様にピッタリです。
……食蜂さんはお父さん多いなぁ、みんなお小遣いくれるよ……
そんなことしてる内に御坂からメール





『十二時に集合。さっきの駅前のとこ』





遅れたらちぇいさなのかね?
食蜂さんもいるからちぇいさの意味も変わるかもな……
いや……普通に上条さんが二人分受ける可能性の方が高いな……


美琴「遅い、収穫は?」


十分ほど遅刻した。ちぇいさはなかった。
御坂は不機嫌に質問してきた



上条「なーんにも」

食蜂「なかったわぁ」

美琴「みーちゃんが言うならそうなのね」

上条「おい」

美琴「なかったんでしょ?」

上条「そっちは?」

美琴「……」


少しの沈黙


美琴「昼ごはん食べたら午後の部ね!」









午後もあるんですね






滝壺理后、午後の上条さんのパートナーだった。
フォーエバー食蜂さん、楽しかったです。



美琴「四時に駅前ね!それじゃ解散!」



食蜂さんと二人のときより機嫌が良くなってるな
なんだ?そんなに食蜂さんと組みたかったのか?



上条「さて、どうする?」

滝壺「……」

上条「……行きますか」


無言で着いてくる。トイレにまでついてきそうな雰囲気だ。
迷子になりそうな雰囲気もあるけど。


上条「そうだ、滝壺」

滝壺「なに」

上条「この前の話さ、信じる事にしたよ」

滝壺「……どうして?」

上条「お前が信じてって言うからだろ?だったら信じるよ」

滝壺「……そう」



適当な会話をしながら歩く



上条「ピンクジャージ以外はないのか?」

滝壺「ないこともない、がピンクジャージが一番」キラッ

上条「へぇー、他の服も見てみたいけどな」

滝壺「どうして?」

上条「滝壺ならどんな服でも様になりそうだからなぁ」ハハハ

滝壺「……青ジャージ?」

上条「……できればジャージ以外で」





どんな運命に導かれたのか、俺らが行き着いた先は……








本来なら、文芸部にはピッタリの図書館だった
こっちの文芸部員に興味があるのかは知らない。







特にすることもないので、上条さんはソファに座った。
するとどうだろうか、滝壺も横に座りだした。



上条「本、読まないのか?」

滝壺「……ジャンプが無い」



ほんとに好きだな、ジャンプ
ここの図書館は置いてませんよ、置いてるところがあるのかは知らないけど
ふぁ……ソファが気持ちよくて、眠、たく―――






上条「おわぁ!」ビクゥ






後ろのポケットの振動で起きる。
と、同時に肩に重さを感じる。


上条「た、滝壺さん?」

滝壺「……zzZ」スピー










寝てる……よく寝る奴だな、お前は
しかし、眠ってる女の子に寄りかかられるというのは中々いいシチュエーションなのでは?
など考えている上条さんが滝壺の寝息を感じドギマギしていると、
再度ポケットの振動で、今が四時過ぎであることを確認できた。
集合時間は四時、御坂からのメール……不幸だ。


上条「滝壺、滝壺、起きてくれ」

滝壺「……なに」パチ

上条「四時すぎちゃっててさ、御坂が怒ってる、行こうぜ」

滝壺「……」

上条「滝壺?」

滝壺「……あれ」

上条「あれ?」



指差す先には、絵本があった



『無題1』というタイトルだった。
タイトルが無題とはこれいかに。




上条「あれがどうかしたのか?」

滝壺「……借りたい」



珍しい……。
ジャンプ以外も読むのか……と失礼なことを考えつつ
貸し出しカードなるものをせっせと作って集合場所に急いだ。
うーん、なにが滝壺の琴線に触れたんだろうな、あの絵本。



今日の成果は0だった。
上条さんが一日で成果をあげられるほど世界は甘くないようだ。
この16年でよく知っている。



美琴「あんた今日なにをしてたの!?」

上条「お前だってなにも見つけれて無いだろ?」

美琴「うぐ……」

上条「……ま、そんな簡単に見つかっちまったら不思議じゃないだろ?」

美琴「……明後日、学校で反省会ね」

上条「はいはい」










怒り気味の御坂は帰っていった。
その他の団員も各々帰っていった。
残された上条さんは食蜂さんに言われたことを反芻する。
やれやれ、宇宙人に未来人か……となると
あとは……あいつか
頭の中でも笑っている優男を思い浮かんだ。



月曜日、珍しく御坂が始業ギリギリに入ってきた
まだ不機嫌らしかった。顔が怒ってる。
それとなく、話しかける


上条「あー御坂さん?『しあわせの青い鳥』って知ってる?」

御坂「それが何?」

上条「いや、何って訳じゃ……」

御坂「だったら話かけないで、ちぇいさるわよ」



初期御坂じゃねえか、おっかねえ



この日は一日中こんな感じで、後ろから不機嫌オーラの匂いがプンプンするぜぇ!
俺はこの空気に耐え切れず、終業後すぐに部室に向かった。食蜂さん、お待ちを。
いや、今日は別な奴に用事があるんだったな
部室のドアを開ける。置物のような滝壺がいる。
そして……










上条「お前も、俺に御坂のことでなにか話したいことがあるんじゃないのか?」



















海原「お前も、ですか、なるほど、僕が最後のようですね」
















場所を変えましょう、という提案で食堂の屋外テーブルに移った。




海原「どこまで聞きましたか?」

上条「御坂美琴は普通の人間じゃない、ってとこ」

海原「それなら簡単です、それが全てですから」

上条「……なるほどな」

上条「宇宙人、未来人ときたんだ……次は」















上条「海原……お前は異世界人だったのか!」
















海原「いえ、僕は超能力者ですが……」












二分の一を外す。上条さんに二分の一という概念はない。


ここまで!

麦のん戦くるか?

乙。
エツァ原=魔術師なので名乗るのは異世界人or魔法使い

海原=level4念動能力者【テレキネシスト】名乗るなら超能力者(広義的意味で)or大能力者

つまり本物か


>>190
いんや、もう言うけど海原だと思って書いてる
超能力者いじると収拾つかなくなるから便宜上超能力者にした


今日も行く!


行きます!!


上条「……」

海原「……」

上条「……超能力者……でせうか」

海原「はい、といっても超能力者、と断定できるものではありませんが」

上条「はい?」

海原「他に当てはめる言葉があるとしたら……魔法使い、ですかね」

上条「なに?」

海原「いえ、やっぱり超能力者でいきましょう、自分は超能力者です」

上条「……そんな適当なモンでいいのか?」

海原「名称なんてなんでもいいんですよ」










他の二人は宇宙人だ未来人だ言ってたのにな
いや、正確には鯛言うか千年単位コンタクト夜ヒューマロイドインターネットだっけ?


海原「本当はこんな急に転校してくるつもりはなかったんですけどね」

海原「状況が変わったんです。あの二人があんな簡単に御坂さんと結託するとは予想外でした」

上条「?」

海原「今までは外部から観察しているだけだったんですが」

上条「ストーカじゃねえか」

海原「自分達も必死なんです、自分達は御坂さんを守ろうとしてるんですから」

上条「そう思ってんのはお前だけだろ」

海原「……まあ、そうですけど」

上条「……通報していいか?」

海原「待ってください、まだ話したい事があります」

上条「ならこっちの質問に答えてくれ」

海原「なんでしょう?」

上条「その、超能力者ってのはどんぐらいいるんだ?」

海原「地球でも十人ぐらいの少数です」

海原「そしてその全員が『グループ』に所属しているはずです」

上条「『グループ』?」

海原「超能力者集団の事です。自分は末端なのであまり詳しくありません」

海原「構成員や実体などは、上の人が管理しているので」

上条「その……『グループ』っつぅのは何をする集団なんだ?」

海原「あなたの想像通りだと思います」

上条「……御坂をストーキング?」

海原「違います」


『グループ』の発足は三年前……やっぱりか
御坂美琴の監視を最重要事項としている。ストーカーじゃねえか。
『グループ』の潜入捜査員は他にも北高に潜入している。
あ、この潜入員も『グループ』なんだが、『グループ』は超能力者だけが構成員じゃないらしい。
そして、海原はその潜入員の追加要員……という話だ



上条「俺の周りにもいるってことだよな、土御門とかか?」

海原「さあ?それはどうでしょう」

海原「しかし、それなりの人数はいると保証します」



まったく……御坂は人気者だな!
一体何人から監視されてるんだ、本人の気づかない内にさ



海原「三年前がキーになっていることは確かです」

海原「その時に自分の中に超能力と呼べる力が発生しました」

海原「当時はパニックに陥って、『グループ』のお迎えがなきゃ自殺していたかもしれません」

上条「ダメだぞ、自殺なんか」

海原「ごもっともです」

海原「『グループ』の上のお方達はこの世界をとある少女が見ている夢だと考えている」

上条「それが、御坂か」

海原「御坂さんにとって、その夢を改変することなど容易なことです」

海原「自分達が現実と呼ぶ、夢をね」

海原「そして、そのようなことのできる存在―――御坂さんを自分達は“姫”と定義しています」

上条「やっぱりストーカーじゃねえか!」

海原「違います!断じて!!」


海原「『グループ』の面々は恐れています」

海原「姫の不満を買い、世界を滅ぼす可能性を」

海原「その可能性をなくすべくするのが我々『グループ』というわけです」

上条「つまり……御坂を怒らせないようにご機嫌をとるってことか?」

海原「これからはそうするつもりです、しかし」

海原「今まではあくまで後処理の方でした」

上条「後処理?」

海原「……それは追々話すとして」

海原「彼女はまだ自らの力を制御できていない」

海原「しかし、その世界を変える力の片鱗を見せてきているのは確かです」

上条「片鱗?」

海原「彼女が自らの願いを叶えたからですよ」

上条「……願いってのは」

















上条「宇宙人や未来人や超能力者と遊ぶこと……ってやつか」
















海原「結果的に、食蜂操祈、滝壺理后、そして自分をSOS団に引き入れた」

海原「このことから明らかに人知を超えた力を有していることは決定的です」

海原「しかし、それは偶然の力が生み出した結果です、制御したわけではない」

上条「上条さんは関係ないってことでせうか?」

海原「いえ、あなたは一番の謎なんです」

上条「謎?」

海原「失礼とは思いましたが、あなたの素性は全て調べました」

上条「おおぅ……調べられてる気はしなかったけど……」

海原「結果はシロ、普通の人間でした」

上条「それは観察不足だな」

海原「失礼、ちょっと不幸な普通の人間、ですね」

上条「大分不幸な高校生ですよ」

海原「……とにかく、我々からあなたにお願いすることは」

海原「どうか御坂さんがこの世界に絶望しないように気を配ってください」

上条「上条さんがご機嫌をとるんでせうか?」

海原「お願いします」ニコリ


上条「超能力者って言ったよな?」

海原「まぁ、一応はそういうことになってます」

上条「見せて」

海原「……ハッ!」バッサァ!


乱れ飛ぶ無数のトランプ!それはなにもない手の中から出現した!
まぎれもない!これは……超能―――



上条「それはマジックじぇねえか!」パチパチ

海原「拍手をどうも」

海原「見せてあげたいところなんですが……自分達は条件がある超能力者でしてね」

上条「条件?」

海原「その条件を満たすとき……超能力を見せてあげますよ」





今日はもう帰ります。そう言って、海原は帰っていった。
おい、トランプを片付けていかんか
しっかし……超能力者か。宇宙人、未来人よりは現実味があるな。
……本当に御坂は揃えちまったのか?


部室に帰ると下着姿の食蜂さんがいた―――
いや、いなかった、うん?いなかった?
あれ、記憶が……



食蜂「どぉぞ」

上条「?」ガチャ



メイド食蜂ここに再登場!
御坂の言ったことを実行してるらしい
そのメイドさんはお茶を入れてくれた。
……ヒマだ。結局なにもなければなにもないのだ!
と、哲学的っぽい言葉を思い浮かべる。












そして、御坂は結局部室にこなかった














ちぇいさだな









上条「なんで昨日来なかったんでせうか?反省会は?」

御坂「昨日、一人でしたわよ」



土曜に回ったコースを一人で回ったらしい。見落としが無いかだとさ



上条「……なぁ、御坂」

御坂「なに?」

上条「前も少し言ったけどさ」

上条「やっぱり、今あるものだけで満足するしかないんじゃないか?」

上条「お前が非日常を望む気持ちは分かるよ、俺だってそうだ」

御坂「……!」

上条「でもさ、やっぱり無いものねだりなんだよ」

上条「高校生らしい遊びでもしたら―――」

御坂「高校生らしい遊びって?」

上条「例えば、男の子とデートするとかさ」

御坂「……SOS団でやればいいじゃない」

上条「それじゃ俺らは遊んでることになるぞ?」

御坂「……あー!もう!うるさい!男なんてどうでもいいっての!!」ウガー

御坂「れ、恋愛感情ってのは一時的な気の迷いよ!精神病の一種!」









それはかかると幸せになる病気だな


弱気になる御坂は可愛かったのだが、午前中、その顔はずっと伏せられていた。
熟睡である。先生に見つからなかったのは……偶然だ
上条さんなら二分で見つかる。










この時、この日を境に、私、上条当麻は様々な事件に出くわしていくことになる。
そして、その遭遇していく事件の始まり……というべきだろうな。
しかし、始まりにしちゃトップクラスに派手な事件だった。
今朝、俺の下駄箱には……














『放課後誰もいなくなったら、一年五組の教室に来て』















と、雑に千切ったノートの切れ端に
女の子の綺麗な字で書いてあった。








上条さんは冷静だった。こんなことは中学時代に何度も経験している。
うらやましい?ハハハなんのことやら……
野郎から貰うラブレターがそんなにうれしいかね……
おかげで俺は大恥をかくし、なぜか分からないけど、数名の女子からビンタされた。
そんな苦い思い出しかないラブレター……だからこそ、慌てることなくしっかり受け止めることができた。
さて……誰だ?こんなことをするのは?

滝壺理后、この線はないな。前の栞との字が違うし、そもそも下駄箱に入れる発想が無いだろう

食蜂さん、……ない。食蜂さんならノートの切れ端なんか使わず、きれいな便箋でくれるだろう

御坂美琴、ない、こんな面倒くさいことしないだろう

海原光貴、ない。

土御門か青ピの犯行か?など考えたが凝りすぎ、という結論になった











じゃ、誰だ?そんなことを一日中考えていた。
……一日中考えてたのは、別に気になってるとかじゃないですから!



御坂は体調不良を理由に帰宅。俺は部室に向かった。
部室のドアを開ける。ノックしてからな。
食蜂さんと滝壺がいた。滝壺は寝てたが……


食蜂「こんにちわ上条くん、御坂さんは?」

上条「体調不良で帰りました」

食蜂「大丈夫かしらぁ?」

上条「多少弱ったところで常人よりは元気でせうよ」ハハハ

上条「ところで海原は?」

食蜂「バイトらしいわぁ、そう言って帰ったからぁ」









ま、予想通りSOS団の誰かが手紙の主ってことは無さそうだ。
で、俺達は適当に時間を潰し、滝壺が目覚めたところで部活は終了した。
着替えるからぁ、と食蜂さんに言われ俺は先に部室をでた。
向かう先は一年五組。時計は五時半。もう帰ってるかな?
そう思いつつもきっちり一年五組まで行き
引き戸を開けた―――




































麦野「遅いよ、上条」














麦野沈利だった。










『それと、私以外にも地球に潜伏してる宇宙人はいる』

『いろんなアクションを起こして情報の変動を起こそうとする動きもある』

『あなたは鍵と認識されている、危機がせまるとしたらまず、あなた』

『例えば、誰がその宇宙人なんだ?』
















『麦野沈利』
















滝壺さんよ……こんな時に、お前の言葉が引っかかちまう。
これは……そういうことなのか?


ここまで!

次こそは麦のん書くわ!


11時までには行く!はず!


行きます!






麦野「遅いよ、上条」






麦野は俺に笑いかけていた。







麦野「入ったら?」

上条「……お前か」

麦野「意外だった?」

上条「まぁ……正直」

麦野「へぇー意外に見えたんだ」

上条「……何の用でせう?」

麦野「用は確かにある、その前に」

麦野「ちょっと訊きたい事があんのよ」







俺は引き戸に手を掛けたまま、麦野の言葉を聞いた


麦野「人間ってさ、よく『やらなくて後悔するよりも、やって後悔したほうがいい』って言うじゃない?」

麦野「これ、上条はどう思う?」

上条「どう、って……」

上条「どう転んでも不幸になる上条さんに聞く問題じゃないと思うけど……」

上条「まぁ、言葉のまんまだと思うぞ」

麦野「じゃあ、たとえ話なんだけど」

麦野「現状維持の状態じゃジリ貧になることは解ってるけど」

麦野「どうすればいい方向にいくか解らないとき、アンタならどうする?」

上条「麦野……?」

麦野「とりあえず、なにかしら変えてみようと思うんじゃない?」

上条「うーん……まぁ、そう、かな?」







なんの話かさっぱりだ。














麦野「でもさぁ、上の連中は頭が固すぎてね、急な変化にはついていけないジジイなんだよ」

麦野「現状維持じゃ、よくならないことは解ってるのにさ」

麦野「だったら、現場の独断で強硬に変革を進めちゃってもいいだろ―――」

















最後まで聞く余裕は無い、もっと早くに引き返すべきだった。
急に意味の分からない話始めやがって!
引き戸に掛けた手を放し、一歩だけ踏み入れた教室から出るべく
体を捻り、走る―――











麦野「どこ行くのよ?女の話は最後まで聞くのが男よ」












机という障害物を挟みながら、5mは空いていた距離を麦野が一瞬で詰めた。
いつぞやの御坂よろしく襟首を掴まれ、投げられた。
そして……俺は、教室に入ってしまった。





上条「っつつ……」

麦野「勝手に帰られちゃ女が廃るわよ」

上条「……麦野……お前」

麦野「やーっぱり滝壺か、あいつ口が軽いわね」

上条「て、ことは……」

麦野「何を今更、最初から気づいてただろ?」














上条「お前も、宇宙人なのか?麦野、沈利……」













麦野「半信半疑だったって訳、か」

麦野「ま、信じるほうもどうかしてると思うけど」

上条「……」


上条「……なーるほど!」

麦野「あん?」

上条「ここで上条さん、閃いてしまった!」

麦野「何をだよ?」



先日のありえない話三連発に、この状況
これはもう……







上条「ドッキリでせう!」

麦野「……はぁ?」








上条「いやーまさか滝壺まで参加してるとはなー」

麦野「おい、待て」

上条「信じちゃってたよ、あーびっくりした」

麦野「だから……」

上条「どーせ青ピとか土御門が隠れてるんだろ?どこにいるんだ?」キョロキョロ

麦野「……」

上条「おーい!ネタばらしでいいぞー!」ハハハ

麦野「……何も変化しない観察対象なんて見ていてイライラすんのよ」

上条「さーって、どこにいるのか……」

麦野「つーわけで」












麦野「アンタを殺して御坂美琴の出方を見る」











爆音と共に黄緑の閃光群が放たれた。
他でもない、麦野沈利の手の平から―――

―――上条当麻に向かって


麦野「……」

麦野「よくよけたわね、感知したみたいだったわ」

上条「ゲホ……っく」




ギリギリで避けれた、というよりは奇跡的に当たらなかった
視界の外にいる麦野の攻撃を見ようとしていれば
俺の体は閃光に貫かれてただろうな。
爆音が聞こえた瞬間に尻餅をつくように伏せたおかげで
閃光は目の前を通過し、現在に至る。




上条「……冗談だろ?」

麦野「……っぷ、アハハハハハハ!」

麦野「冗談だと思う?こんなビームまで出されてさ!」

上条「……」

麦野「死ぬのって怖い?私には死の概念が理解できないわ」

麦野「最も、人間じゃない私にとって理解するに足らないものだけど」










なんだよ、この状況。
結局、滝壺のいってた通りじゃねえか。危機が迫るとしたらまず俺。
まったく、どこまでついてなけりゃ気がすむんだ。


上条「……いや、俺は何も見ていない」

上条「だから、俺はもう帰らせてもらう」


無茶苦茶だ、自分でも何言ってるのか分からない


麦野「……何それ?それが命乞いな訳?」

上条「そんなんじゃねえよ……麦野、お前は人殺しの宇宙人なんかじゃねえよな?」

麦野「はぁ?まだそんなこと言ってんのか?上条、アンタは私に殺されるんだよ!」

上条「……クソ!」



とにかく、教室からでりゃ何とかなる!滝壺だっているだろうし
背を向けるのはすごく危険な気もするが
これこそ、背に腹は変えられない。一刻も早く、外に―――














麦野「無駄だよ」














気がつけば、教室は床、壁、天井、全てがねずみ色に染まっていた。
ドアや窓も存在しない、全くの閉鎖空間。
なんなんだ……これは


麦野「この空間は私の支配化にある」

麦野「この教室の情報を少しいじればこんなことだって出来る」

上条「……嘘だろ?」

麦野「諦めな上条、結果はどうせ同じ……」






麦野「ブ・チ・こ・ろ・し・か・く・て・い、なんだからさァ!」

上条「くッ!」







……クソ!こんな事したくないけど……
変化した教室の中でまだ残っている椅子や机。
その中で椅子を掴み思い切り麦野に投げつける
怪我しないでくれよ





ゴォォォォォン!!!




 

麦野「女に椅子投げるってどういうつもり?しかも、私の支配下でなにしようが無駄なのよ」










黄緑色の閃光が椅子を打ち抜く、麦野に行き着く前に椅子は塵と化した
怪我の心配をするのは俺だったようだ。







麦野「あー面倒くさい、最初からこうすべきだったわね」






……は?体が動かない!?
ほとんど気をつけの状態だぞ!?
まさに指一本も動かせない、反則だ!チートだ!






麦野「アンタが死ねば、御坂美琴は必ずアクションを起こす」

麦野「大きな情報爆発も期待できる」


また訳の分からんことを……冗談、だったらいいんだがな

















麦野「じゃあ、死ね」キュィィイイイイン!!















どうやら冗談ではなかったらしい。
動けない俺に向かって黄緑色の鮮やかな閃光群が直進してくる。
うっ……なんだこれ?走馬灯?
……不幸なことばっかじゃねえか……こんなこと今思い出さすなよ……
せめて最後くらい、幸せなことでも考えて―――























―――私は、ここにいる―――













ドゴォォオオオオン!!!!!







なんだ、今の声……
それより……死んだ?死んじまったのか?俺
……最後まで不幸だったのか、俺
いや、美女に一撃で殺されるのは幸せなんじゃ……




麦野「……あぁ!?」



声が聞こえた。随分怒ってるようだ



麦野「どういうことだ?演算ミスッチまったのか!?」



これは……麦野か?麦野も死んだのか?
……いやいや、誰があんな奴殺せるんだよ
……てことは?














上条「あ、あれ?生きてる?」














私、上条当麻は二本足で立っていた。
まるで麦野と戦うべく腕を前に出しながら――――――


上条「な、なんで生きてるんだ?俺?さっき死んだはずじゃ……」

麦野「あぁ!?だったら何度でも殺してやるよ!!」


麦野がいくつもの黄緑色の球体を作り出す
!?足が動かない!
クソ……恐怖で竦んじまったって?情けねえ!
動け!俺の足!いっつも不幸から一緒に逃げてきたじゃねえか!
動く腕で足を殴る殴るッ!……動ける!どうやら麻痺が治ったらしい。
なら、避けれる!



麦野「オラァッ!!」ビューン!!

上条「くッ!!」


すぐ右に飛んで回避した、しかし


麦野「遠距離からプチプチやんのは性に合わないわ」ガシッ

上条「ぐッ!!」バタン!!










高速移動してきた麦野にまた襟首を掴まれた。
そのまま地面に叩きつけられる。肺の中の空気が全て抜けた。
肩を足で踏まれ身動きも取れない。


麦野「これでもう逃げられないわねえ、上条」

上条「くッ……」

麦野「じゃ」















麦野「死になさい」ビュィイイイン!!















今度は走馬灯も見れなかった。















いや、見る必要がなかったと言うべきだった。
麦野の手の平から発射された黄緑色の閃光は俺の額を貫くはずだった。







ドォォォオオオオオン!!!!





その瞬間、爆音が聞こえ、衝撃が起こった。
それが最後に聞く音と思った―――







「一つ一つのプログラムが天井……甘い」









その爆音の後に紡がれる、不思議とはっきり聞こえる声を聞くまでは。










「天井部分の空間閉鎖も、情報封鎖も甘い」










額を貫くはずの閃光はいつのまにか消え、見上げていた麦野も消えていた。
聞こえるのは、聞き覚えのある。声。


















滝壺「だから私に気づかれる。侵入を許す」

麦野「滝壺ォオオオオオオ!!!!!」





















滝壺理后。自称宇宙人が、この麦野の支配化に登場した。
上条当麻が初めて、ついている、と思えた日かも知れない。


ここまで!

ちょっと間隔空いちゃうけどごめんなさい


待たせた! 今日で麦のんは終わらせて
ちょっと進めれば……


九時までには行く!

遅れた!今から行く!


滝壺理后、北高文芸唯一の部員であり、SOS団の部室の貸し手。
そして……本人曰く、宇宙人。
一日の八割は寝てるような奴が、こんなわけの分からないところに、
しかも、絶体絶命のところで割り込んできた。
麦野と一定の距離を置き、睨み合う。



麦野「あぁ?邪魔する気か?滝壺」

滝壺「……」

麦野「コイツが死んじまえば、御坂美琴は間違いなく動く」

麦野「これ以上の情報は他じゃ得られないんだぜ?」

滝壺「……」

麦野「それに……お前は私に逆らうほど偉かったか?」

麦野「急に出てきて出しゃばってんじゃねえよ」

滝壺「……独断専行の許可は出ていないはず」

滝壺「麦野の暴走を止めるのも私の役目」

滝壺「ここは退いて欲しい」

麦野「……滝壺、もし私がそれをいやだと言ったら?」

滝壺「……」




















滝壺「ターゲットのAIM拡散力場を記憶、これより情報結合の解除を申請する」キュィイイン
















麦野対滝壺、宇宙人対決の開始だった。


滝壺が言うやいなや、麦野は行動を始めた。
すでに浮遊させている黄緑色の球体を閃光群に変え放ってきた。
俺の目の前には滝壺、直撃は免れない。
しかし、滝壺には被弾しなかった。
滝壺は両手をおろし、ただ立っていただけだった。
しかし、滝壺に当たるはずだった閃光群は手前で起動を大きく変えて
まるで、見えない壁に阻まれるようにぬるりと、滝壺の周りを通過していった。
そして、その後ろには上条当麻あり。



上条「おわぁ!!」ドォン!!

滝壺「あ……ごめん」

上条「軽い!軽いぞ滝壺!死んじまうよ!」



軽口を叩ける程度には精神面も回復したようだ。
あまり後ろにいると流れ閃光に当たるので真後ろまでこい、と
滝壺が無言で発してる信号を受け取り、移動する。





しかし、雪崩のように放たれる閃光群は終わらない。
麦野が見えないぐらい、閃光が速射されている。それた閃光の壁や床に当たる被弾音がうるさい。
そして、その全てを滝壺は流している。


滝壺「離れないで」

上条「お、おう」









離れたくもないでせう。ここまでの安全地帯、他にねえよ。


滝壺「……!」グイッ

上条「うわっ!」




滝壺が前を向きながら後ろにいる俺の首元を掴んで屈ませる。
その直後、閃光が通過した。発射点とは違う、真横から。
なるほど、麦野の奴、球体だけを移動させてから閃光を撃ってきたのか……
その結論に至るには少し遅く、気がつけば、
180度、球体が俺達の周りにフワフワと浮かんでいた。
あの乱射はこれを隠すための目くらまし……そう気づいたのも遅く、
無数に浮かんでいる球体からほぼ同時に閃光が放たれた。





上条「た、滝壺ぉおおおおおお!!」

滝壺「……」ザッ




滝壺はようやく、手を上げその片手を麦野がいるであろう閃光群の方向へ向け、
もう片手で屈んでいる俺の頭上辺りに手を伸ばした。
閃光は……俺たちに届かなかった。滝壺のバリアーみたいなモンはどこから撃たれても大丈夫みたいだ。
当たる前に閃光が手前の地面に墜落していく。
……滝壺、お前はやればなんだってできそうだな。


麦野「……チッ」

滝壺「……」



乱射が止み、麦野が確認できた。



麦野「防戦一方だな、おい」

麦野「なんだ?小手調べでもしてんのかよ?」

滝壺「……」

麦野「それなら……そろそろ終わりにしてやるよ!」






再び、球体が周りに出現した。
……麦野の奴、これが滝壺に効かないって分かってるはずなのに……
なんで同じ事をしてくるんだ?
そして、180度から閃光が発射された。
そして、やはり滝壺、そしてその足元に屈んでいる俺には届かず、閃光は曲げられていった。







上条「(なにも変わってない……どういう……)」














それは次の麦野の行動によって分かる。








麦野が俺の前に高速移動していた。
少し焦ったが、状況に変わりは無い……はず。
滝壺ならどこからの攻撃でも当たらなくすることができる。
実際、今も滝壺は無数の閃光を曲げ、落としている。
心配する要素はない。
……あれ?さっきと何かが違う。何だ?




麦野「……」

上条「……?」

上条「(なんで、麦野は撃ってこないんだ?)」」





麦野が閃光を撃ってこない。いや、もちろん周りの球体からは今も射出され続けているが……
そう考えた瞬間だった。




麦野「……ふー、こんなもんね」














麦野の前に黄緑色とはまた違う、さらに輝いているような翡翠色の球体が出現した。













麦野「さぁーって、これ撃っちゃうと私もどうなるか分からないけど……」

麦野「変革が出る代償としては安いくらいね」





依然、周りの閃光群は滝壺と俺を襲っている。
……そうか、俺がいるから滝壺は攻撃態勢に入れなかったのか……
今更だが、相当の足手まといだな……






しかし、その滝壺は足元にいる俺を蹴り飛ばし、閃光群の攻撃の届かないところまで移動させた。







上条「いつつ……滝壺!なにする―――」

















滝壺「……」ポタリ

















滝壺のお腹の部分にはぽっかりと穴が空いていた。
麦野の放った閃光によって













上条「た、きつぼ……?」

滝壺「平気」

上条「平気って……そんなわけねえだろ!!」

上条「きゅ、救急車!クソ!まずこんなところにいちゃだめじゃねえか!」

麦野「あーあ、穴空いちゃってるよ、滝壺」

上条「麦野……お前は!仲間を撃ってなんとも思わないのかよ!」

麦野「仲間?あー滝壺の事?」

麦野「誰が仲間よ、コイツは私のバックアップ、部下みたいなモン」

麦野「使えなければ、殺す、間違ってる?上条?」

上条「テメェは……ッ!」

麦野「それにさ、これ撃っちゃうと私にもダメージ来るんだよね」パタパタ





麦野の両手は焦げていた。炭化……まではいかないが火傷ってレベルでもない。
この威力は滝壺でも逸らせなかったのか……
しかし、そんなことはもろともしない様子で、あの翡翠色の球体を再度出現させた。
滝壺に止めをさすために。





麦野「これで最後にしてやるよ、滝壺」

上条「やめろ!これ以上滝壺を攻撃すんじゃねえ!」

麦野「アンタも偉そうねえ、アンタがすぐ死んでいれば滝壺はこうはならなかったでしょ」

上条「……ッ!」

麦野「冗談よ、誰だって人間は死ぬのが怖いんでしょ?分からないけど」

麦野「……さ、終わりにするか」


麦野が閃光に手をかざす。まるで、それで弾を装填したかのように
滝壺は黙って麦野を見ている。


麦野「あばよ、滝壺、次はいつ会うのか分からないけど」

麦野「統合思念体に帰属されるのならよろしく言っといて」

滝壺「……った」

上条「え?」

麦野「あぁ?」



滝壺が口を開いた。
























滝壺「終わった、AIM拡散力場の解析は終了した。言葉の重複を謝罪する」




























麦野「何が終わったって?」

滝壺「麦野のAIM拡散力場を制圧したも同義」

麦野「……血迷ったか?」

滝壺「私ならできる事を麦野は知っているはず」

麦野「……」



何の会話か全く分からない。
ただ、滝壺が優位に立っているらしいことが、麦野の表情で分かる




滝壺「今、それを撃てば私の操作によって麦野の体は閃光の暴発で消えることになる」

麦野「……」

滝壺「降参することを進める」






滝壺が……勝った、のか?
何もしてない用に見えるが……


麦野「……ここまで来て引き下がれるかよ」

滝壺「……」

麦野「アンタが本当にコントロールしてるか撃てば分かるんだろ?」

麦野「なら撃つしかねえだろ!?」

滝壺「……麦野」

麦野「あぁ?」

滝壺「麦野はもっと早くにそれを作って撃てたはず」

滝壺「そうすれば、私は情報結合が解除されていた」

滝壺「多少無理をすれば連射だって可能、しかし」

麦野「……」

滝壺「……どうして」


















滝壺「私のAIMの解析が終わるまで待っていたの?」





















滝壺がそんなことを言い出した。


滝壺「話している間にも攻撃できたはず」

麦野「……」

滝壺「周囲の攻撃を止める必要は無かったはず」

上条「!」


そういえば、周りの攻撃が止んでいる
麦野が止めたのか?



滝壺「麦野なら、私に気づかれないレベルの情報封鎖だってできたはず」

滝壺「どうしてこんな中途半端に……」

麦野「……」

滝壺「私には、麦野が何をしたいのか分からない」

麦野「……」











麦野「……それを滝壺に分かってほしかったのかもね」ボソッ

滝壺「……?」

















麦野「……滝壺ぉぉおおおおおおおおおおおおお!!」









ボォォオオオ!!!











麦野は閃光を発射した。しかし、閃光は発射されず
閃光を発射した麦野の体の崩壊が進んでいた。


滝壺「……AIM拡散力場の消失を確認」

麦野「……あーあ、本当に乗っ取られてたのか、残念」

麦野「バックアップにやられるなんてね、しくったわ」

滝壺「あなたはとても優秀、私なんかよりずっと」

滝壺「本来、私は麦野に勝てるはずなんてなかった」

麦野「勝負は時の運って言葉があるでしょうに」


麦野の手足はすでに粒子となって消えていた。
今は胴の崩壊が進んでいる。


麦野「私の負け、よかったわね生きながらえて」

麦野「でも、こんな事してくる個体が私だけと思わないことね」

麦野「私みたいな意志を持つ個体は他にもいるからね」

滝壺「……」

麦野「……何よ」

滝壺「麦野は……」
















滝壺「……麦野は私を生かしたかったの?」
















麦野「……そんなの――――――」









言い終える前に、麦野は消えた。
粒子の残滓がまだ残り、光を反射している
滝壺はただ、麦野のいた空間を見つめていた。


滝壺「……」ドサッ

上条「滝壺、大丈夫か?」

滝壺「いい、この空間を再構成する」



そう言った瞬間、幾何学的だった空間は元の教室に戻った
謎パワーはどこまでも続く。
長門の傷も治っていた。ぽっかりあいた穴も元通り。
まだ倒れている滝壺に話しかける



上条「大丈夫なのか?本当に」

滝壺「へいき」

上条「麦野は……」

滝壺「消失した」

上条「……そうか」

滝壺「あ」

上条「なんだ?」

滝壺「眼鏡の再構成を忘れた」




そう言えば、戦闘の際に壊れていたな……
滝壺に手をかしながらそんなことを思う
軽いな、滝壺。




上条「眼鏡はないほうがいいでせうよ」

滝壺「なぜ?」

上条「無いほうが可愛いからだ、眼鏡属性はないし」

滝壺「……バニー属性は?」

上条「……ノーコメントだ」


ガラッ


教室の扉が開く






土御門「NYA・NYA・NYA・忘れ物……」

上条「……」

滝壺「バニー属性……」

上条「ごか―――!」

土御門「失礼しましたぜい!明日の大ニュースだにゃー!!」ダッ

上条「テメェ!土御門!!」

滝壺「大丈夫、情報操作は得意」

上条「なら……」

滝壺「あなたのバニー属性はなしにしておく」

上条「そっちかよ!ありとも言ってません!」


結論、滝壺理后は宇宙人だった。
そりゃあんなもの見せられたら信じざるをえない。
これによって俺も不思議事件の当事者で被害者になってしまった。
しかも、滝壺が助けてくれなきゃ死んでた。
……いや、滝壺が言うにはそれでも死んでた、のか
麦野は最初から俺を[ピーーー]気はなかった、的なことを滝壺は示唆していた。
ならなぜ、こんなことをしたのか?それは、威嚇の意味を込めてたのかもしれない。
麦野は言っていた。こんな思考を持つのは自分だけじゃないと。
つまり、第二第三の麦野が現れる可能性だってあるはず。
しかし、それを迎撃できるだけの戦力があるとしたら?
それを分からせるためにこんなことをしでかしたのだとしたら?





泣いた赤鬼、という話がある。
人と関わりたい赤鬼、しかし、鬼というだけで人間からは煙たがれる。
そこで青鬼に相談した、すると青鬼は人間達を襲うと言う
それを赤鬼が止めればたちまちヒーローになるだろう、と
その作戦は成功し、赤鬼は人間達の仲間となった、しかし、
青鬼は姿を消した。人間を襲った青鬼はここには入れない、と
赤鬼は泣いた、自らの願いのために青鬼の居場所を奪ってしまったことを……





目的も動機も違うが、麦野のとった行動はこういうことなんじゃないか?
滝壺を守るため、間接的に俺を守るため、麦野は犠牲となった。
こんな考え方をするのはポジティブすぎるかも知れない。
でも、俺達は生き残り、麦野は消えた。
こうやって考えてしまうのも仕方ないのかもしれない。
なにより、俺を殺せる状況で殺さなかったのだから、目的はやはり別にあるんだと思う。
滝壺と、そして統合思念体とやらを欺くために、一人犠牲となった麦野。
滝壺は何を思ってるんだろうな。







そんなことを考えていたおかげで、滝壺がこちらを無表情で見上げていることには気づけなかった。


ここまでです!

 ない方が良いと思うでせうよって
日本語としておかしい気がする


次は、土曜日ぐらいかな?

>>274
良いでせうよ、って変換しといてくだせぇ……

ごめん!遅れた!今から投下する!


翌日、教室に麦野の姿はなかった。



当たり前か……昨日のことが夢じゃあるまいし
まぁ、そんなことを知っているのは俺と滝壺ぐらいなわけだから
小萌先生が、




小萌「非常に残念なことなのですが、麦野ちゃんはお家の都合で転校しちゃいましたー」

青ピ「なんやて!?麦野ちゃんが!?」

土御門「にゃー、急すぎるぜい」

佐天「まったくもって」

初春「ビックリです!」

小萌「先生もビックリなのです、外国に行っちゃうらしく、昨日日本を発ったらしいのです」








小萌先生もビックリしてるようだ、もちろんクラスメイトも
ん……あんなやつらいたっけ?って奴らがいる?そんなバカな
とにかく、さすがに急なことなのでクラス全体がざわついていた。
そんな中、黙るはずのない奴がいるのを上条さんはよく知っている。



美琴「これは事件だわっ!!」ドン

上条「ぎゃーっ!!肩甲骨がぁああ!!」





後ろから肩甲骨を殴ってきた御坂はランランと目を輝かせていた。
すっかり元気になりやがって……まぁ、凹んでる御坂を見るよりは100倍マシか。
さて……どうしよう。俺が悩むことは一つ。
本当のことをいうべきか……
実は滝壺は宇宙人で、その仲間が麦野で、
昨日麦野は勝手なことをしたから滝壺にやられちゃったんだよ。
……ダメだ、言えない。てか言いたくない。
どうせ言っても信じないだろうしなぁ……





美琴「海原くんに続いて、謎の転校女子まで現れたわ……」

上条「謎って……家の都合って小萌先生も言ってたじゃねえか」

美琴「アンタ、それ本気で信じてんの?」

上条「まぁ……それなりに」

美琴「そんなベタベタな理由なわけないでしょ!」

美琴「大体、なにも告げずになんておかしすぎるわ」



まぁ、確かに少し考えればおかしいことだらけだな
昨日学校に来たと思ったら何も言わずに今日転校?
これは何もないと言う方がおかしいのかもしれない




美琴「ふふふ……これは」

美琴「SOS団として不思議の解明をしなきゃね!」






……不幸だ


まったく、昨日の事件はいくら不幸な上条さんでも経験がない
あそこまでリアルに死を体験しかけたのは初めてだ。
できれば夢だと思いたい。
もしかしたら俺の頭か目がおかしくなったのかもな。
そっちの方がまだ信憑性がある……いや、滝壺の言ってることを疑ってた訳じゃないけど。
まさか……御坂が思い描く通りの世界になっているなんてさ、そんなこと思わないだろ?
本当に宇宙人や超能力者や未来人がいる非現実的な世界がココなんて、
バカな上条さんでも、それは中学生でやめましたよ。
そして高校で思い出さされた。
未だにその世界を信じてる御坂美琴によって
やれやれ……いざ直面してみると中々恐ろしいもんだな、この非現実的ってのは
悪いな御坂、先に俺は非現実的ってモンの存在を知っちまったらしい。
そして、それはまだ続く――――――――














――――――――俺の下駄箱に封筒が入っていた





















                 食蜂操祈










と封筒には書かれていた。女の子らしい字で。
……あっはっはなぁーんだ食蜂さんからかぁー
私上条当麻は綺麗に封筒をポケットにしまうと、
どこかの軍も脱帽の行進をしながら男子トイレに入り、封を切った。






『昼休み 部室で待ってます  食蜂操祈』






…………はっ!!どこかで見たぞこれ!
ていうか昨日見たし!それでやばいことになったし!
なにこのデジャブ!食蜂さんの名前みたら全てふっとんで忘れてたわ!
もしかして、青ピや土御門という可能性も……
てか、土御門の野郎……伏字で昨日の事全部号外にしやがって……
何人かは絶対気づいてるじゃん、あれ……
いや、今はそうじゃない、この封筒だ。
またのこのこと部室へ行って、実は敵だった食蜂さんにビームとか撃たれるのは嫌だ。
……だが、食蜂さんの誘いを断るのも嫌だ。
死と天秤にかけてその選択はおかしいと思うって?
天秤に掛けたのは食蜂さんへの信頼だ
俺は食蜂さんを信じてる。部室へは行く。
上条当麻、部室に行くことを決意


四時間目終了


土御門のニヤニヤ顔を無視し、青ピの哀愁ただよう空気をシカトし、
御坂の麦野調査という職員室特攻をスルーし、教室から脱出。
号外を見た佐天さんの視線がきつい。
そして、五月に吹き出る汗をうざったく思いながらも、
食蜂さんが待つであろう、部室に到着。
ノックしてもしもーし。




「はぁい」





あ、これは食蜂さんだ、間違いない。
この声を聞き間違える程俺の耳は飾りじゃないぜ
安心して入れる。
ドアノブを回して部室に足を踏み入れた。
滝壺はいない。そして―――















―――――――――食蜂さんもいなかった


















いたのは一人の女性……いや




一人の女の子だった。





黒い検査衣を着た、明らかに高校生ではない女の子。
しかし、どこか、誰かに似ている……
その女の子は俺に駆け寄り、俺を見て微笑みながら、











食蜂(小)「久しぶりねぇ、上条くん」

上条「…………食蜂さん!!?」ェエエエエ!!!!!













食蜂さんじゃないけど、食蜂さんだった。
よく見ると、似てるというか、食蜂さんの幼少期と言われればなんの疑いももたないぐらいだった。
でも、俺の知ってる食蜂さんじゃない。
男の夢は小さくなっちゃってるし、背も低い。
さっきも言ったように、どう見たって小学生から中学生がいいとこだろうな
まさか……



上条「まさか……食蜂さんの妹?」

食蜂(小)「ふふっ、私は私よぉ」

上条「……まさか、過去の食蜂さん!?」

食蜂(小)「逆よ逆、あなたの知る私より、もっと未来からきたのぉ」

上条「幼児退行しちゃってるんですが……」

食蜂(小)「禁則事項だゾ☆」






笑った顔までそっくりだ。



しかし、未来から来た?どう見ても若返ってるし……
もしかして未来ではそういう技術があるのか?



食蜂(小)「あ、信用してないわねぇ」

上条「う……まぁちょっと……」

食蜂(小)「じゃぁ、しょーこ見せてあげるわぁ」



そういうと、背伸びをして俺に顔を近づけてきた。
俺も少しかがんで顔を見てたので、近づいてくる顔に当たりそうだった。









食蜂(小)「上条くん、私の目を見て」

上条「目?」ジー









……あっ!しいたけだ!食蜂さんの目にしいたけが見える!?
あんまり気にしたことなかったけど……食蜂さん、こんな目だったのか


食蜂(小)「これで信じたぁ?」

上条「……いや、今食蜂さんの目が思い出せない……」

食蜂(小)「非道いわぁ……指摘したのは上条くんなのにぃ」

上条「え、俺そんな事言いましたっけ?」

食蜂(小)「……ぁ」




食蜂さん(小)の顔が変わる。徐々に朱に染まっていく。
まるでお母さんに怒られている時の子供みたいな焦りがあって泣きそうな顔だ。
さすが食蜂さん、どの年代でも可愛らしい。
あ、別にロリコンでSってわけじゃないからな!一般的な評価だから!




食蜂(小)「わ、忘れてぇ!今のはなしだからぁ!!」

上条「わ、分かりましたから泣かないでください!」

食蜂(小)「な、泣いてないしぃ!」グスッ

上条「せめて擬音を隠してから言ってください」

食蜂(小)「はぁー!?で、出てませんけどぉ!?」ゴシゴシ

上条「涙ふきながら言われても……」









やれやれ……あれ?未来の食蜂さんは若くて年上……
じゃあ、小萌先生って…………


食蜂(小)「と、とにかくっ!これで信じたわねぇ!?」

上条「はいはい、信じましたよ」

上条「あれ?じゃあ、この時代の食蜂さんは?」

食蜂(小)「あの子は今クラスでお弁当でも食べてるでしょうね」

上条「知ってるんでせうか?ここに食蜂さんは食蜂さんがいることを」

食蜂(小)「知らない、私は実際知らなかったからぁ」



なるほど、食蜂さんはこの時代の、この世界を歩んできたのか……
て、ことはここから起こることも……なにが起こるわけでもないと思いたいが……



食蜂(小)「あなたに伝えたいことがあって、わざわざ未来から来たのよぉ」

上条「俺のために……」

食蜂(小)「うん……まぁ、未来のためにぃ?」








そうですか……


食蜂(小)「滝壺さんには席を外してもらったわぁ」



寝てる滝壺起こしたのかな?滝壺は多分ノーリアクションだったんじゃねえかな



上条「食蜂さん、滝壺の事知ってるんですか?」

食蜂(小)「禁則事項だゾ☆」



それ、答えみたいなモンだと思いますが……



食蜂(小)「オホン……あまり長く、この時代にいれないのぉ」

食蜂(小)「だから、手短に言うわぁ」

食蜂(小)「白雪姫って知ってる?」

上条「あの、七人の小人とかの……」

食蜂(小)「そう、その白雪姫」

食蜂(小)「これからあなたが困ったときに、その言葉を思い出して」

上条「白雪姫を?」

食蜂(小)「そう、その時は御坂さんもそこにいるはずだから……」







いやな状況だな、その時点で何か起こってるってわけじゃねえか
もしくは、困った状況……か……不幸だ


上条「もっと詳しくは……」

食蜂(小)「禁則事項だゾ☆」

上条「やっぱり……」

食蜂(小)「ごめんねぇ、これが私の精一杯」

上条「……なら、覚えときますよ、白雪姫」

食蜂(小)「……ありがとう」



話し終えた食蜂さん(小)はまだ時間があるわぁ、と言って部室を見回した
メイド服を手に取り……




食蜂(小)「よく着れてたわねぇ、今は絶対ムリよねぇ」

上条「(主に胸囲的な意味で)」

上条「御坂には他のも着させられたんですか?」

食蜂(小)「禁則事項……じゃないけど、お・た・の・し・みってことで」



食蜂さんは俺に背を向けた。



食蜂(小)「もう行くわねぇ」








食蜂さん(小)はこっちを見てる。小さな体で真摯な目をして。
抱っこでもして高い高いしたほうがいいのかな?と思って抱っこしようとすると
かわされた。


食蜂(小)「最後に一つ、あまり私と仲良くしないでねぇ」

上条「なっ……」

食蜂(小)「さよなら」タッ

上条「待ってください!食蜂さん!最後、もう一つ!」

食蜂(小)「なにかしらぁ?」クルッ

上条「何歳でせうか!?」



部室からでた食蜂さん(小)はこちらを向き、笑顔で
















食蜂「禁則事項だゾ☆」
















扉が閉じていった。


追いかけてもいないだろうな、未来に帰ったっぽいし
しかし、食蜂さんの未来は幼くなるのか……んー考えられないな
食蜂さん(小)が言った『久しぶり』って……
この時代の俺と久しぶりなのか、それとも俺と会うこと自体が久しぶりなんだとすると
やっぱり、未来に帰っちまうのか……





上条「そりゃ、そうか」





未来人だから、自分のいた時代に帰るのは当然か
そしてまた未来からココに戻ってきた、ってことか
あの食蜂さん(小)が小学生または、中学生ぐらいか
こっちの食蜂さんはいくつなんだろうな?十七っぽいっちゃ十七っぽいけど


腹が減った、教室に帰ろう
そう思ったとき、滝壺が入ってきた。
眼鏡なしの。




上条「よう、さっき幼児食蜂さんと会わなかったか?」

滝壺「食蜂操祈の異時間同位体」

上条「なんだそりゃ?」

滝壺「言葉の通り……今はもういない」

上条「未来に帰ったか……なぁ滝壺?」

滝壺「なに」

上条「お前も未来に行ったりできんの?」

滝壺「無理、でも難しいことじゃない、今の時代では気づけてないだけ」

上条「上条さんもやってみたいな」

滝壺「……へぇ」

上条「ちょっとバカにしただろ、今!」

滝壺「ない」






ちょっと凹んだところで腹が減ってるのを思い出した。
時間あるのか?


上条「なぁ、滝壺、昨日はありがとな」

滝壺「いい、こっちのミスだから」

上条「そういうわけにもなぁ」

滝壺「いい」

上条「なら、麦野にでも言っとくか?」

滝壺「……そう」

上条「よろしくな」

滝壺「……」

上条「あ、それとさ」















上条「やっぱり、眼鏡は無いほうがいいな」ハハハ

滝壺「……………………」
















返答はなかった。

ここまで!空いてごめんな!

行きます!


腹をすかした上条さんが教室に戻ると
案の定御坂が廊下で待ち構えていた。



美琴「アンタどこ行ってたのよ!すぐ戻ってくると思って待ってたのに!」

上条「もうちょっとお姉さんが諭す風に言ってくれ」

美琴「な、何言ってんのよ!ちょっとこっち来て!」


と、腕をロックされて連れて行かれたのは
いつぞやの階段の踊り場だった。





美琴「さっき小萌先生に聞いたんだけど、麦野さんの転校って誰も知らなかったんだって」

上条「へー、今日になるまで?」

美琴「そう、それに何処に引っ越したと思う?カナダだってさ、カナダ」

上条「上条さん行ったこと無いな」

美琴「私も無いわよ、でね、連絡先を教えてって頼んでみたのよ」

上条「それで?」

美琴「分からないのですー、だって、そんなバカな事ってある?」

上条「ま、まぁ急だったから分かんないんじゃねえの?」

美琴「何の手がかりもなしじゃアレだから前の住所貰ってきた」

美琴「学校終わったら行くわよ!」

上条「がんばれ」

美琴「アンタも行くのよ」

上条「なんで?」

美琴「アンタがSOS団の一員だからでしょうが!!」







怒り気味でそう言った。


やれやれ……それにしても滝壺さん、大分適当じゃねえか、情報操作ってやつは
あれじゃ御坂じゃなくても不振に思う奴はいると思うな。
御坂から伝言を預かった俺は再度部室へ赴き、
滝壺に今日、御坂が来ないことを食蜂さんと海原に伝えるように言った。
しかし、寝ぼけ眼の宇宙人に全てを任すのは些か不安だったから、
部室のドアに 『SOS団 本日自主休日 御坂』 と書いた紙を張って、部室を後にした。
メイド食蜂さんが見れないのは残念だが、着替える手間を省くぐらいはしないとな。
そして、結局上条さんは昼ごはんを食べれずじまい……
うん、なれてるから大丈夫だ。


女子と肩を並べて下校する。
一部の男子にとっては都市伝説みたいな話に俺が憧れなかったのかというと
それはもちろん憧れまくっている。
で、今その憧れを実現させてる訳なんだが……
何故だ、ちっとも嬉しくないぞ?男子なら最高に幸せなシチュエーションだというのに……



美琴「どうかしたの?」

上条「いや……」


横を歩く御坂はなんとなく怒っているように見えた。
……気まずいなぁ、せっかく女子と下校だっていうのに
ずんずん坂道を下っていく御坂について行くと
見覚えのあるマンションが見えた。
麦野と同じ、宇宙人の滝壺在住の新築マンションがな。
宇宙人は随分、リッチな生活をご所望らしいな


美琴「ここよ」

上条「なるほど」

美琴「なにがよ?」

上条「いや、なんでもない」

美琴「なにそれ、ここの505号室に住んでたらしいわ」

上条「それはいいんだけど……どうやって入るんだ?鍵ついてるけど」

美琴「ハッキングできたらいいんだけどね」


物騒な事言うな。
すると、中から眼鏡を掛けた理系っぽいおば……お姉さんがでてきた
怪しげな俺達を見切りながら去って行く。
そして、空いた自動ドアが閉まりきる前に御坂が足を挟む




美琴「さ、これで入れるわ!」








ハッキングとはスマートさが違うな。
こうして。俺達は玄関ホールへ入る事ができた。
そして、エレベーターに乗り込む。目指すは505号室
当然、もぬけの殻だと思うけどな



五階、到着


御坂が口を開きながら歩く


美琴「調べたんだけどね、麦野ってこの市内の中学から北高に来たんじゃないんだって」


北高に来た……か。うーん30点。
ま、それは当然だろうな、宇宙人だし


美琴「北高は別に有名私立でもない普通の県立高校よ、わざわざ来るところじゃないわ」

上条「一応母校になるんだからあんまり悪く言うなよ」

美琴「しかも、このマンション賃貸じゃないの、分譲よ」

美琴「ここに住んでたんだとすると、ここからわざわざ市外の中学に行ってた事になるわ」

上条「あー、そうなるな」

美琴「高校に入って引っ越した可能性もあるから、いつから住んでるのか調べなくちゃ!」



ま、多分三年前じゃねえのかな?
なにかと三年前というワードは出てくるからな





しかし、御坂よ……俺はお前と違ってこの事の全貌を知ってるんだ。
なにも掴めてないお前は楽しいか?
ワケの分からない不思議にワクワクしているのか?
俺はもう、こっちの世界を知っちまったから、御坂が感じてることは分からないな。
知らないまま不思議を探すほうが楽しいのか、
知った上で不思議探しに付き合うほうが楽しいのか
今の俺と御坂には分からないな、どっちも片方の世界しか知らないんだから
早く……お前もこの世界に気づけたらいいな。



505号室、鍵が掛かっており開きません
予想通り、無駄骨だ。知ってたけど


美琴「うーん……あっ、管理人室に行きましょ!」


よく諦めないもんだな、まったく。
そこまでの探究心はやっぱすげえと思うな、俺は


上条「鍵は貸してくれないと思うぞ?」

美琴「麦野がいつから住んでたのか聞くのよ!」

上条「あんまり意味ないような……帰らないか?」

美琴「ダメ、ちぇいさるわよ」

上条「ご勘弁」







再度、エレベーターに乗り一階の管理人室へ
除くと人はいなかったが、壁のベルをならすと中から管理人が出てきた。
眼鏡を掛け、若干頬がこけている。何故か白衣を着た、白髪のおじいさんだ
ここのマンションは眼鏡率たかいのかな?


美琴「私たち、ここに住んでた麦野沈利さんの友達なんですけど」

美琴「急に引っ越しちゃって連絡先とか分からないんです」

美琴「どこに引っ越すとか知ってませんか?それといつから彼女がここに住んでたか教えて欲しいんです」


なんだ、普通に話せるんじゃねえか。
普段からそう話せばいいのにな


管理人「……」

美琴「……あのー」

管理人「……私が」

美琴「……?」









管理人「私が芸術に絶望したのは12歳の冬だった」










上条・美琴「「は?」」

管理人「ヨーロッパの建築に憧れていた。たった一つの美―――」












おいおい、じいさんが延々と語り始めたぞ……
御坂もあたふたしてやがる……どうすんだ、これ?
ボケてんのかな?


それでも、なんとか話を中断し(素晴らしい美をそって愛でたいとかなんとか)
麦野のことを聞きだした。
なんでも、麦野の引越しは管理人も知らなかったらしく(部屋が空虚と化していた)
麦野は三年ほど前にここに来たこと(三年前に『美』に出会った)
一括でマンションを購入したこと(資産家の最後はロクでもない……)
を聞き出していた、てか括弧のセリフを翻訳するとこうなる……らしい
御坂曰く。
じいさんは会話相手が欲しかったらしく


管理人「しかし、両親にあったことはなかった」

管理人「沈利……というのか、あの娘は、『美』を追求した理想像だった」

管理人「別れを言えなかったとは……二度目の絶望を味わうことになるだろう」



そろそろジジイの発言がうざくなりだしたことに御坂も気づいたらしく



美琴「ご丁寧にどうもありがとうございました」


そう言って、お辞儀をし、俺を促した。
マンションを出ようとするとじいさんが話しかけてきた


管理人「少年、あの娘はいい女になる、『美』を逃がすことは一生の後悔になる!」


わけ分からんことを……御坂も聞こえてるだろうに……
しかし、御坂はどうとも言ってこず、マンションを出た


玄関から数歩歩いたところで滝壺と遭遇した。
そう言えば、今日は部活無して言ったから早いのか。
なんかフラフラしてるけど……大丈夫か?



美琴「あれ?理后もこのマンションに住んでるの?」

滝壺「……」コクリ

美琴「奇遇ねえ、麦野のことなんか聞いてない?」

滝壺「……」フルフル

美琴「じゃ、なにか分かったことがあったら教えてね」

滝壺「……」コクリ


片方がなにも喋らずとも会話は成立するんだなあ


美琴「あれ?眼鏡どうしたの?」

滝壺「……」ジィー


……滝壺さん、こっち見られるとすごく困る
御坂が何か言ってくるのが目に見えてるんだから……
と、思ったが特に御坂は返答無しに構いもせず
滝壺の横を通りすぎた。俺も後に続き、手を振りながら別れを言う
滝壺は俺にだけ聞こえる声で















滝壺「バニー属性……」















なんの嫌がらせだ!


線路沿いを歩く、御坂のちょいと後ろを歩く俺
どこに行くのかを聞いてみる


美琴「別に」



別にってなんだよ、答えじゃねえぞ
そろそろ、帰宅時間なので、特にすることもないなら



上条「俺、もう帰っていい?」



こう切り出した。







すると御坂は立ち止まった。
ぶつかりそうになる。
顔をこちらに向け。





美琴「アンタさ、自分がこの世でどれだけちっぽけな存在か考えたことがある?」






急になんだ















美琴「私はある、忘れもしないわ」
















御坂はいつかの滝壺や食蜂さん、海原みたいに、語りだした。

ここまで!短いけど

今日行きます!

ふと思ったんだけど禁書に僕っ娘キャラとかいたっけか
青ピ以外に

>>325
娘……?娘?


行きます!


線路沿いの歩道の上で、御坂は語り始めた。



美琴「小学生のとき、マm……母と父とでね、野球見に行ったのよ」

美琴「別に興味があった訳じゃない、パp……父親が見に行きたいっていうから」


素直にパパとママでいいと思うけど
水を差すのはよしとこう


美琴「そこでね、私ビックリしたのよ、球場にいる人の数に」

美琴「一体何人いるのかしら?日本中の人がここにいるんじゃないか、ってぐらい」

美琴「父親に聞いてみたのよ、何人いるかって」

美琴「そしたらさ……満員だから五万人くらい、って言われたのよ」

美琴「愕然としたわ、だってこんなにも人がいるのにさ」

美琴「日本人口は約一億人、つまり、たった二千分の一しかいなかったのよね」

美琴「あの五万人の中のたった一人が私で、しかも五万人でさえ一掴みでしかないんだから」

美琴「それまではね、私はどこか自分が特別なんだと思ってた」







ああ、今お前はいろんな連中に特別視されてるんだぜ
しかも、お前が見つけまいとしている、宇宙人、未来人、超能力者からな


美琴「家族といても、クラスのみんなといても楽しかった」

美琴「特にクラスなんて世界中の面白い人達が集まってるんじゃないかってぐらい」

上条「……」







……御坂が言わんとしてることが見えてきた
でも、それはこの世界で御坂だけが思ったってことじゃないはずだ
それにしても、小学生時代の御坂は学校が楽しかったのか……
そのまま楽しみながら高校まで来れればよかったのにな








美琴「世界で一番楽しいと思ってたクラスも、日本の何処でもありふれたものでしかない」

美琴「日本全国全ての人間から見ても普通の事でしかない」

美琴「そう思ったとき、世界から色が消えたように感じたわ」

美琴「私が面白いと思ってたものは何処にでもある日常だったんだって」

美琴「そう考えると途端につまらなくなった」

上条「……」


美琴「でもね、別の考え方も出来たのよ」

上条「別の?」

美琴「むしろ、これだけ人がいて、全員が全員普通の日常を送ってるはずが無いって」

美琴「きっと、普通じゃない面白い日常を送ってる人もいるんだって!」

美琴「でも、それは私じゃないほかの誰か」

美琴「私じゃないのは何で?小学校を卒業するまでずっとそんなことを考えてたわ」

美琴「そうして、思いついたのよ、面白い事は待っててもやってこない」

上条「だから、自分から探しに行くってか?」

美琴「待ってるだけの女じゃないことを世界に伝えたかったの、実際にそうしたつもりだし」

美琴「で……結局、なにもなし」

美琴「それで、何も変わらないまま、私は高校生になってた」







御坂は話し終えたらしい。
なんとも言えない表情で、黙って天を仰いだ


なにか言うべきだろうか……
口を開こうとすると電車が通過した。
そのおかげで考える時間が出来た。
考える頭は持ってるのか分からないが……
電車が通り過ぎ俺は……







上条「で、でもm」

美琴「帰るわ」








……もはや、何も言えなかった。言わせてくれなかった。
御坂は俺の帰宅方向に帰っていったのだが、なんとなく『ついてこないで』
といってそうなので、ただ立ち尽くしていた。
なにやってんだか……


御坂は井の中の蛙……そう言いたかったのかもしれない
自分が楽しいと思ってたことは他人にとって単なる日常で、
それを楽しいと受け入れる自分が嫌になってたのかもしれない
……分からなくも無い。
自分が楽しいと思ってやっていることを、他人から普通のこと、と思わされるのは嫌かもしれない
しかも、その他人は誰からみても楽しいと思える人生を送ってるのかもしれない、ときたら
その人生を探すのが御坂美琴なんだろうな、それが今の御坂を作っていったんだ
そして、行き着いた答えがSOS団。
SOS団ってのは、案外、御坂からの救難信号だったりしてな













今の俺、つまり、宇宙人や未来人に会ってしまった俺から御坂に言いたい事は
……諦めるな、なんて言わない。探し疲れたならやめちまっていい。
他の楽しいと思える事を見つければいい。
だが……灯台下暗し、その過程で面白いと思えたことは覚えとけよ
それが面白いと思えたんなら、ありふれた日常を普通と思った御坂なら
その日常は、普通じゃない面白い人生になるんじゃねえのかな
御坂が望んだ世界って言うのは、そういうモンだと、俺は思う













まぁ、御坂には言わないけどさ



自宅に戻ると、母さんと海原が玄関先で会話していた



詩菜「あらあら、当麻さん、見て、一一一よ」グイグイ

海原「ですから、自分は一一一では……」

上条「人の親に何やってんだよ……」

海原「誤解です!」

海原「いつかの約束を果たそうかと思っただけです」

詩菜「約束?当麻さん、一一一と何を約束したのかしら?」グイグイ

上条「さあ?覚えてないな」

海原「御坂!さんの!ことです!」

上条「……ああ、超能力の」

詩菜「一一一は超能力使えるの!?すごいわぁ」

海原「言わないで下さい!!」








とまぁ、こういう訳で、母さんの誤解を解かずに俺は遅くなる事を伝え
上条さんならありえないタイミングでタクシーを止め、車に乗り込んだ
まぁ、タクシーなんて普段呼び止めないけどな


どこにいくのかと尋ねたら電車でいったほが安上がりの県外の大都市だった。
やりくり上手な上条さんは電車を使うけど……まぁ、払いは海原だし……




上条「別にお前一一一に似てないからな?」

海原「わざわざ言われなくても、存じていますよ」

上条「で、何を話してくれるんだ?」

海原「自分が超能力者である証明をしようと思いまして」

上条「ああ……、やっぱもう信じたから帰っていい?」

海原「そういわずに……いい機会なんですから」

海原「自分にとっても……あなたにとっても」

上条「なんだそりゃ、でも、遠くに行く必要があんのか?」

海原「条件付き、といった事を覚えていますか?場所も条件の一つでして」

上条「ふーん、で、まだ御坂を『姫』とか言ってんのか?」

海原「人間原理、という言葉をご存知ですか?」

上条「すまんが、ドイツ語はちょっと……」

海原「日本語です」

海原「『宇宙があるべき姿をしているのは、人間が観測することによって初めてそうであることを知ったからだ』という理論です」

上条「中国語も……」

海原「日本語です」

上条「お前が話すとなんでも難しく聞こえちまうんだよ」


海原「つまり、宇宙とは観測することによって初めて宇宙の存在が知られるわけです」

海原「つまり、宇宙を発見し、解析していなかったら宇宙を宇宙と呼ぶことが無くなる」

海原「宇宙とはあってもなくても同じになる、という理屈です」

上条「うーん……宇宙は宇宙だと思うけどな」

海原「その通りです、しかし、人間原理はあくまでもたとえですから」

上条「御坂と関係ある?」

海原「もちろんです」

海原「そして、ここからが御坂さんの話」

上条「お前らは本当に御坂が好きだな」

海原「……覚えていますか、自分が御坂さんは世界を変える力があると言ったこと」

上条「ん?俺のはスルー?」

海原「彼女には、願望を実現する能力がある」

上条「俺には、願望が実現しない能力がある」

海原「ちゃかさないで下さい」


海原「御坂さんが望んだからこそ、宇宙人の滝壺理后が」

海原「同様に、未来人の食蜂操祈、超能力者の自分が集まった」

海原「これは、前に言いましたよね?」

上条「あー御坂が自分が望んだ願いを自分が叶えて、力を見せたとかなんとか」

上条「でも、なんでわかるんだよ?」

海原「三年前のことです」

上条「またか……」

海原「ある日、自分はある能力が備わった事に気づいた」

海原「他にも、その能力を持つ人がいることにも気づいた」

海原「なぜかは分かりません、解ってしまうんだから仕方ないとしか」

上条「なんだそりゃ、それも御坂がやったって言うのか?」

海原「我々も信じられません、一人の少女が世界を変える力を持つなんて」

海原「いや、もしかしたら創造されたのかもしれない、なんてことを」

海原「しかも、姫はこの世界を面白くないものだと思い込んでいる、これはちょっとした恐怖ですよ」








それは、少し違うな、御坂はこの世界に面白いことがあるのを知っている
自分の周りがそうじゃないことに対して不満があるんだ。
この世界の全てをつまらないと思ってるんじゃないんだ


上条「……なんで恐怖なんだ?」

海原「世界を変える力があるなら、自分の思い通りの世界だって作れる」

海原「つまり、世界の再構築、そうすれば、この世界は終わります」

海原「もしかすると、この世界は何度か造り直された世界かもしれませんしね」

上条「また非現実的なことを……」

上条「……それなら、御坂に正体を明かして、世界を楽しいと思わせたらいいじゃねえか」

海原「それはそれで困ります、姫がそれを普通と思ってしまえば、それが日常になる」

海原「つまり、世界が作り変えられてしまう、メチャクチャになります」

上条「ならどうすりゃいいんだよ」

海原「どうにも、自分達は現に三年間、どうしようもなかったんですから」

上条「……疑問がある」

海原「なんでしょう?」


上条「御坂が望んだから滝壺や食蜂さんや、お前がいるって言ったな」

海原「はい」

上条「んじゃ、なんで御坂は気づいてないんだ?お前たちだけじゃなく、俺だって知ってることだぞ?」

上条「望んだ本人が気づかないようじゃ意味ないだろ?」

海原「矛盾のように聞こえますが、実際は姫の心が矛盾しているんですよ」

上条「さっきから、姫呼び定着してるけど、いいの?」

海原「……つまり、宇宙人や未来人がいて欲しいという希望と」

上条「無視か」

海原「そんなものがいないという常識が、御坂さんの中にあるんですよ」

上条「……」






……なんだ、やっぱあんな事言ってても常識はあるんだな、御坂
心のどっかじゃやっぱりいないって思っちまってるんだ。
それが、滝壺や食蜂さんに気づけない原因になるなんてな……
なんていうか、ジレンマだな。
絶対にいるって信じてる御坂を常識が邪魔をする。
高校生になってからじゃ遅かったんだ。小学生なら信じただろうに。
……御坂も普通の考え方を持つ一般人だったってわけか。
ただし、いろいろ特別な一般人だけどな
それを一般人というのかは微妙だけど……


海原「言動はああですが、思考形態はまともな一般的な人種なんですよ」

海原「中学生時代は砂嵐だった精神もここ数ヶ月は落ち着いていました」

海原「しかし、ここに来て、またトルネードを発生させている」

上条「なんでだ?」

海原「あなたのせいですよ」

上条「俺の?」

海原「あなたが御坂さんにおかしなことを吹き込まなければ、自分は転校してこずともよかった」

海原「怪しげなクラブを作ることによって我々は一堂に会することになってしまった」

上条「我々っつうのは」

海原「宇宙人、未来人、超能力者ですね」

上条「……俺のせいじゃねえだろ」

海原「まぁ、それだけが理由ではないのですが」

上条「?」

海原「着きました」






車が止まり、ドアが開く。
料金を払わず、車は出発した


さすがは大都市、人が多い多い。
タクシーを降りた俺達もすぐに人ごみに飲まれた
スクランブル交差点、その長い横断歩道を渡りつつ海原が話す




海原「ここまでお連れして何ですが」

海原「今でもまだ引き返せますよ」

上条「……あいにく」

上条「今は電車代ももってねえんだよ、帰りも送ってもらうからな」

海原「……すいませんが、少し目を瞑っていただきませんか?」

上条「なんでだ?」

海原「それも条件です」

上条「……」



目を瞑る
すると、海原が左手を握ってきた、やめろ
俺はノーマルだ!
抵抗しようとすると





海原「もう結構です」


手を放し、目を開く、そこには―――――――――















―――――――灰色の世界が存在した



















ここまで!

よーし、行くぞ!


灰色の世界……それはただ空が曇っているだけじゃなく、
道路が、家が、木が、全てが灰被りのような色をしていた。
そして、さっきまでうざいぐらいに蔓延ってた人の群れは消えていた。
薄暗く灰色になった世界でくすんだ信号機が点滅し、青になった。
でも、走り出す車はいない。
そして、ここにいるのは、俺と海原だけ……



海原「ここが、次元断層の隙間、自分達の世界と隔絶された世界、《虚数学区》です」

海原「ちょうど、この横断歩道の真ん中が虚数学区の壁でしてね」コンコン



海原の手が見えない壁に阻まれる、なるほどここが入り口だったわけか



海原「半径約5km、本来ならば、立ち入ることのできない空間ですが……」

海原「自分達、超能力者の持つ力の一つがこの空間に侵入する事なんです」


上条「ここは……どこなんだ?」

海原「歩きながら説明します」


海原は説明を始めた

俺達の住む世界とは少しズレたところにある世界……みたいなモンで
さっきの横断歩道の場所から次元断層?ってやつが発生したらしい
で、その断層から入り込んだってことらしい……
今でも、元の世界じゃ、人ごみはできてるし、車は走ってるとさ
そして、超能力をもたない者は本来ならここに来る事は滅多に無い。
海原は道路を渡りきる間にそう説明した



海原「この空間はドーム状で、その内部に自分達はいる、と想像してください」

海原「虚数学区はランダムで発生するので、二日連続や、一ヶ月音沙汰なしもある」

海原「ただ……一つ、明らかなのは……」



階段を登り、四階建てのビルの屋上に出る。













海原「御坂さんの精神が不安定になると、この空間が生まれるってことだけです」











上条「御坂の精神に関係してんのか?」

海原「そう言い切っても問題ないですね」

海原「虚数学区の発生は自分達超能力者は探知することができます」

海原「何故かは不明です、解ってしまうんですからね」

上条「便利な言葉だな」

海原「自分の能力はここを探知し、侵入するだけではありません」

海原「この世界が御坂さんに感染したウィルスだとすると、自分達は撲滅菌みたいなものです」

上条「……?」

海原「……まぁ、なんでもいいです、しかし、あなたもたいしたものですね」

海原「この状況を見て、ほとんど驚いていない」

上条「感覚が麻痺ってるだけじゃねえかな」







ってのもあるかもしれんが……
ま、麦野と食蜂さん(小)で慣れちまった、てのもあるかな
色々体験しちまったなぁ……


海原が顔をあげた
俺を見る……違う、俺の後ろを見ていた



海原「始まったみたいです、後ろを見てください」



言われなくても、見る















青白く発光する、葉脈のような羽をもった巨人がいた














凹凸の少ない顔、眼球は無く、目の部分が凹んでいる
マネキンみたいなもんか……めっちゃ巨大な
…………何アレ?



傍観していると巨人が手を上げた
そして振り下ろす、ビルの屋上から半分まで叩き割り、腕を振る
暴れている……のか?


海原「御坂さんのイライラの具現化と思われているものです」

海原「ようは、ストレス解消ですね、ああやって周りを壊してストレスを発散している」

海原「現実世界でやるわけにはいかない、大惨事ですからね」

海原「だからこの、虚数学区で、その内部でのみ破壊行動をする」

海原「やはり姫は常識的なところもあると思いませんか」



巨人は破壊行動をやめない、次から次へとビルを破壊している



海原「どこぞの、機動戦士じゃあるまいし、普通は立つこともできないんですが、物理的にね」

海原「まるで、あの巨人には重力が無いかのように振舞う」

海原「自分達は“天使”と呼んでいます」









姫と来て、天使か……おめでたいな


上条「で、あれはあのままでいいわけ?」

海原「いいえ、自分達の力はそのためにあるんですから」スッ


海原が指を巨人に向けた
……ん?目を凝らすと、ゴマみたいなモンが浮いている
いや、人か、人が浮いてるのか?
その人たちは巨人と戦っているようだ


海原「自分の同志……つまり超能力者です」

海原「御坂さんによって力を与えられた、“天使”を狩る者」

海原「それが『グループ』です」










狩る者……か
しかし、さっきから巨人の様子に変化はない
周りに飛んでる超能力者がなにもしてないわけないから……
…………わからん、どうやって倒すんだ?


海原「さて、自分も行かなければ」



ああ、やっぱお前も行くのか
そう言うと、海原は懐からなにやら刃物みたいな石を取り出した




海原「では、アデュー」ヒュン

上条「!!消えた!?」





一瞬にして海原が消えた?これも超能力なのか?
……いた、巨人の周りに海原はいた。
飛んでる、というよりは点滅しては別の場所に出現している、という感じだ
……てか、こんな場所で俺一人にすんなよ!


上条「……どうやって倒すんだよ」


依然巨人はノーダメージだった。
滞りなく、ビルを破壊している


上条「……お?」




誰かは分からないが、超能力者が放った光の光線みたいなモンが巨人の腕を分解?した
初めからやらなかったとこをみるに、あれは海原の能力か?
それをかわきりに、超能力者勢の攻撃が増した。
よくは見えなかったが、超能力者の一人が巨人の肩に付着し、肩を爆発させた
怖ぇえ……どんな能力だよ……
そして、またもや海原であろう奴の光が巨人の足を分解する
巨人が片膝をつく。その頭部に、ビルが出現した
……ビル?なんで出てきたんだ?
そのまま巨人の頭に落ち、巨人は地に伏した。
超能力者勢はもう飛んではいない。
破壊されていないビルの屋上に集まっていた。
そして、最後のとどめと言わんばかりに、超能力者が集まっているところから莫大な閃光が射出された
無論、巨人に向かって









巨人「っggdksべhkjhfdぇwww」シュゥゥウウウウ








巨人は塵のように分解していった


上条「SFも真っ青だな……」


一人、そんな感想を呟く。
……宇宙人にしろ、未来人にしろ、超能力者にしろ、
まったく飽きさせないパフォーマンスを見せてくれるとはな……



海原「お待たせしました」ヒュン

上条「お疲れさん」


全然疲れているようには見えないが、一応言っておく







海原「ところで、あなたにとってもいい機会、と言ったのは覚えていますか?」

上条「? あー車の中でか」

海原「その事でもう少し、あなたとお話がしたいんですよ」


海原がそう言うと同時に、空に亀裂が入り――――――












海原「超能力者と一緒に」ニコッ














――――――他の超能力者が出現した


海原「自分達はこの空間でしか超能力を使えないので、崩壊する前にこちらに来てもらいました」


亀裂はこの虚数学区を覆いつくしていた
そして、バリン……という音は聞こえなかったが
天井部分から光が降り注いできた。
そして灰色の屋根は全開した。いや、建物などのすべての灰も払拭された。
そして……元の世界が帰ってきた









「面倒くせェことはさっさと終わらせろ」







「あなたのその発言がすでに面倒くさいわよ」







「まぁまぁ、落ち着けよ、客人がお待ちだ」











海原その他三人の超能力者と共に


上条「海原……その人らって……」

海原「紹介します、自分達『グループ』の仲間達」

海原「コードネーム、左から『ロリコン』『ショタコン』『シスコン』の三人です」

「「「黙れロリコン」」」



なんだこいつら……
……!!!



上条「お、お、お前ぇええー!!!!」

「やれやれ、ちょっと気づくのが遅いぜい?」













上条「土御門!お前、超能力者だったのか!!?」

土御門「いかにも、土御門元春は超能力者だぜい」












意外と、近場にいたんだな超能力者
御坂、お前は三、四年間、超能力者と同じクラスだったんだぜ?


土御門「にゃー、上やんもここまで関わっちまうとはなー」

上条「しらねーよ、海原に連れてこられただけだ」

海原「最初の会話で超能力者ではないかと疑ってましたよね」

土御門「まじか!?上やんひょっとしてエスパー!?」

上条「それはお前らだろ!」

土御門「と、まぁ茶番はここまでだ」

上条「おい」

土御門「なにやらイライラしてる奴がいるんでな、自己紹介といこうか」








土御門「俺はコードネーム『背中刺す刃』だ、よろしく上やん」





結標「私はコードネーム『座標移動』、まぁ、結標でいいわ」





海原「自分はコードネーム『エツァリ』、これからもどうぞよろしく」



三者三様の挨拶だった
ん?三者?



「……」

土御門「おい、ロリコンのままでいいのか?」

「チッ……」










一方通行「コードネーム『一方通行』だ、よろしくゥ」

上条「よ、よろしく」











自己紹介終了


海原「今、紹介したのが『グループ』の基本的メンバーです」

土御門「大体天使を狩ってるのはこのメンバーだぜい」

上条「ふーん……で、俺に言ってどうするわけ?」

海原「……そこが核心なんですね」

上条「?」

土御門「上やん、俺らの超能力をみてどう思った?」

上条「どう、って……まぁ、すごいと思ったよ」

海原「全員同じ能力を使ってるように見えましたか?」

上条「いや、誰がどんなかはわかんないけど、違ったように見えたな」

結標「そう、超能力者の能力は皆一様じゃないの」

土御門「自らの持つ『自分だけの現実』によって能力に差異がでるんだ」

上条「へ、へー」

海原「例えば、自分なら先ほど見ていただいたように閃光を出してました」

結標「私はテレポートみたいなものね、それでこっちまでの瞬間移動ができたわけ」








海原を飛ばしたのはこの人か……つまり、海原は自分で飛んだわけじゃない
あの点滅はこの人がやってたのか……多分、土御門や一方通行の分も
落ちる前にさらに上に瞬間移動×3……
この人が一番疲れるんじゃないか?


上条「……つまり、なにが言いたいんだよ?」

海原「さっきも言ったように自分達の能力はあの空間でしか使えません」

土御門「ああいう、御坂美琴が干渉した空間だけの限定能力だ」

海原「つまりは、異能の場」

上条「……うん、分かった」

土御門「それでだ、上やん」



























土御門「お前は、超能力を使った覚えはないか?」




























上条「…………は?俺が超能力?」

土御門「ああ」

上条「ないない、不幸の上条さんが超能力者なんて!」

海原「一つ、言いたい事があります」

海原「先日、麦野沈利の襲撃が観測されています」

上条「あれ、それって滝壺が情報操作したんじゃ……」

海原「もちろん、対策済みです」

土御門「上やん、お前はそこで能力を使わなかったか?」

海原「あの場も、異能の場……間接的にも御坂さんが関わっています」

上条「だから!使ってねえ――――――」










――――――――――――――――――――――――――――――――

まるで麦野と戦うべく腕を前に出しながら――――――




動く腕で足を殴る殴るッ!……動ける!どうやら麻痺が治ったらしい。


――――――――――――――――――――――――――――――――










右手を、見る










海原「こうも言いました、超能力者同士は互いに超能力者と分かる、と」

上条「……」



――――――――――――――――――――――――――――――

海原「海原です、どうぞよろしく」


海原から差し出してきた手を握り返す


上条「ああ、よろしくな俺は上条だ」

海原「……」


なんだ?握ったまま話さないぞ、いや離さないぞ?
こいつ……ソッチ側なのか?

――――――――――――――――――――――――――――――




海原「初対面の握手で感じたんですよ、能力を」

上条「……いや、ないって」

一方通行「……ハァ」

一方通行「いつまでもグダグダうぜェンだよ」


白髪で赤眼の一方通行が、口を開いた


一方通行「決定的証拠がお前にはある」

上条「決定的……?」

















一方通行「虚数学区への侵入は超能力者しかできねェンだよ」
















上条「……え、でも海原は……」

海原「確かに言いました、滅多に、と」

海原「しかし、その滅多にの人物は例外なく、超能力者……」

海原「自分達よりも後に能力に気づいた人達だったんですよ」

土御門「ただの一般人が虚数学区に侵入したことはない」

上条「……」



俺が超能力者?この上条当麻が?
御坂によって選ばれた超能力者?
……なんの冗談だよ、大体、俺が自覚してない時点でおかしいだろうが




海原「そして、自分達超能力者は――――――」


















海原「コードネーム『幻想殺し』として、あなたを『グループ』に迎え入れるつもりです」




















思考が停止した

ここまで!ちょいと、展開を変えたよ!


ここの上条は原作と能力は違うのか?

>>368
ハルヒの原作のキョンは一般人
禁書の上条さんは幻想殺し
ここの上条さんはコードネーム『幻想殺し』なんで、禁書そのままです

次は明日か明後日にでも!


海原「コードネーム『幻想殺し』として、あなたを『グループ』に迎え入れるつもりです」

上条「……」

海原「……」

上条「……」

海原「……あの」

上条「……ハッ!な、なんだ?」

海原「いや、あなたが少しボーっとしてるようだったので」

上条「少し思考停止してただけだよ」



そう、お前が意味の分からない事を言ったからだ。
俺が超能力者?幻想殺し?グループだ?
……ははっ、ありえないな、そんなこと



上条「あー、海原?」

海原「なんでしょう?」

上条「俺はお前の言う事も信じるし、御坂の事も信じる」

海原「それは結構」

上条「だが、俺に関することだけは別だ」

海原「はい?」

上条「つまり、俺は超能力者なんかじゃないし、『グループ』なんかには入らない」


海原「そうですか……」

土御門「上やんらしいな」ニャー

一方通行「……チッ」

上条「……」

結標「で、どうするのよ」

一方通行「秘密を知った一般人は消すっつゥお決まりの展開かァ?」

海原「いえいえ、この方に関しては秘密ではありませんし」

海原「なにより、一般人ではない、でしょう」

一方通行「フン」

上条「(俺は一般人、俺は一般人)」ウンウン

海原「まぁ、こうなることは大体分かってましたがね」

土御門「上やんの場合は俺らと違うからにゃー」

結標「自覚がないってところが決定的よね」

海原「案外、認めてないだけかもしれませんよ?」

土御門「ないない、上やんにそんな演技力はないにゃー!」アッハッハ







こいつら……本人を目の前にしてなんてこと言ってやがる……


しかし、言われてみれば分かんないこともある
結標さんが言ったように俺には超能力者なんて自覚はない。
それに、いつからこの……認めたくないが、この右手……
いつから、海原達から見て、超能力と呼べるモンが出来たのかも分からん
『虚数学区』なんてもんは感知できねえし、誰が超能力者なんかも分からない。

それに、滝壺と食蜂さん。

あの人らは海原が超能力者だと知ってた、はずだ。
だけど、俺が超能力者、だとしたら、滝壺や食蜂さんの反応は海原と違ったものだった。
だから多分、滝壺と食蜂さんは俺が超能力者疑惑がかかっていることは知らないはずだ。
……でも、海原は初対面で俺が超能力者じゃないのかって思ってたらしいな……
それは海原が超能力者だから?いや、でも海原のことは二人とも超能力者って分かってたわけだし……
ダメだ……上条さんには難しすぎる……お手上げだ。
これ以上考えても仕方ない……。
今はまだ、一般人でいたいんだよ。


上条「で、これから俺をどうにかするのか?」

海原「そんなことはしませんよ、ただお話がしたかっただけです」

土御門「ま、スカウトが成功するとは誰も思っちゃいなかったさ」

一方通行「なら初めからこンな面倒くせェことすンじゃねェよ」

海原「言うと言わないとでは大分違います、これで超能力者と自覚してもらえたんですから」

上条「してねえよ」

結標「あら、強情」

一方通行「くだらねェ」クルッ

土御門「俺も帰るとするぜい、あとはよろしくにゃー」スタスタ

結標「じゃ、またね上条くん」バイバイ

上条「はぁ……」





できれば、超能力者関係では会いたくないな……
次に会うときには超能力者、上条当麻、とか笑えないぞ……


海原「『虚数学区』の拡大を放置するわけにはいけません」

海原「『虚数学区』はいずれ世界を覆いつくし、自分達の世界と入れ替わってしまう恐れがあります」

上条「何で分かる?」

海原「分かってしまうからしょうがないんですよ」

上条「便利な言葉だ」

海原「全くです」



そんな超能力者談義をしながら帰るタクシー内。



海原「自分達がなんとかできるならなんとかするしかない」

海原「そう思うのが普通ですよ」

上条「それを実行できるやつは少ないけどな」

海原「褒めてもらっていると捉えても?」

上条「どうとでも」






話はあんまり聞いてなかった。疲れたからか
いろいろあり過ぎた……非現実的なことが、か
俺が超能力者かー。俺が小さいころに望んだのは出会うことだったんだけど……
まさか自分が超能力者になるなんて……って違う違う。
俺は無能力者。そんな超能力なんて持ち合わせていないただの不幸な高校生だよ。
ただの……不幸な、な




そんなこんなで自宅着




海原「御坂さんの最近の動向はやや荒れ気味です」

海原「『虚数学区』の出現も久しぶりだったんです」

海原「これからの御坂さんのご機嫌を損ねかねないよう注意してください」

上条「それは俺に頼むことなのか?」

海原「それができることなのだとしたら……」

上条「なんとかするしかない、か」

海原「よろしくお願いします、それでは」



こんな感じで、今日の超能力者見学は終了した
俺的には吉報とは言い難いものを持って帰ってきてな。
……考えることが増えちまったな



















そして、世界の崩壊までのカウントダウンも始まっていた。


















ここまでっさ!

あ、更新遅いのはゴメンです

行きます



SOS団(世界を大いに盛り上げる食蜂操祈の団《仮》)


団長 御坂美琴

食蜂操祈の団なのに御坂美琴が団長という説明しにくいものはパス
SOS団の団長であり、絶対の権力者。そして団の創設者
宇宙人や未来人、超能力者と遊ぶという目的でSOS団を立ち上げる。
そして、御坂美琴自体は、姫であり、進化の可能性であり、時空の歪みの原因。
というのが宇宙人らの評価である。
本人は自覚なし、という笑うに笑えない状況。



団員その一 上条当麻 つまり俺だ

不幸な学生。御坂と共にSOS団を立ち上げる。
最近超能力者疑惑が掛けられている。
俺は否定している。


団員その二 滝壺理后

文芸部部長の肩書きを持つ。部活動は主に昼寝。
対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース。
つまり、宇宙人


団員その三 食蜂操祈

御坂美琴によってスカウトされたSOS団のイメージガール。
名義的にSOS団はこの人の団になっている。
正体は未来人。未来の姿はロリ。


団員その四 海原光貴

SOS団最後の団員。これまたスカウトされた謎の転校生。
転校生というだけでSOS団に入る。ムカつくことにイケメン。
実は、超能力者で『グループ』という組織に属している。





これがSOS団の実態だ。
紹介みたいになったけど、こんな感じだ。


宇宙人に未来人に超能力者……御坂が望む者はすでに団内にいる
それに御坂は気づいていない、と。
そして、三人は世界は御坂中心だと考えて、三様の理由で御坂を監視している。
これが、三人の主張なんだが……




俺は?




俺は特に御坂を監視するでもなくSOS団にいる。
超能力者が言った。自分達は御坂に望まれたからここにいる、と。
宇宙人、未来人、超能力者まではいい。御坂が望んだからな。
だが、俺がSOS団にいる理由がない。まったくもって意味が分からない……


だが、それも過去の話だ。
俺には超能力と呼べるものがある、らしい。
俺自身はまだ認めていないが、あるらしい。
よって、俺も御坂によって望まれたことになるのかもしれない。
だけど、だとしたら超能力者は二人いることになるし
しかも、俺は別に自分が超能力者だと思ってない。御坂を監視してるわけでもない。
結局の所、今現在は俺がここにいる理由について決定的なものがない。


だったら、なぜこんな不思議世界に巻き込まれているのか?




御坂、お前なのか?









なんてな。






悩んだところで低スペックの上条脳がなにか分かるわけでもない。
自分のことも分からないのにその他のことなんか分かるかよ。
御坂が不思議パワーを使おうが、それは御坂の自由だし。
俺には関係ない。



滝壺や食蜂さん、海原が俺に秘密を打ち明けたのもよく分からん。
ほんと、なんで俺に言ったんだ?
俺に言ったところで御坂をどうにかできるわけじゃないのに……



とくに、海原。
俺が超能力者とか言いやがって……
少し思い当たる節があるから余計悩んじまうってのに……
その上御坂のことを頼むだって?
俺は御坂の保護者じゃねえし、家族でもない。
団長と団員、それ以上でもそれ以下でもない!


上条「暑い……」



季節は夏前なのに体感的には夏まっさかり
汗は出る出る、坂道登る登る。
こんな調子じゃ、夏本番頃には死ぬんじゃないか?



土御門「よっ、上やん」ポン

上条「ええい!暑いのに肩をさわるな、余計暑くなるだろ!」

土御門「そうでもないと思うにゃー」


よくみると土御門はそんなに汗をかいてなかった
もしかして、それ超能力パワー?俺は出来ないから超能力者じゃないな


上条「なあ、土御門」

土御門「なんだにゃー」

上条「俺って普通の高校生だよな?」

土御門「いーやぁー?不幸な超能力者だと思うぜい?」

上条「チッ……」






聞く相手を間違えた……


土御門「ま、そうじゃなくても普通じゃなくて不幸な高校生だと思うにゃー」

上条「ま、それに関しちゃ否定はできないな」

土御門「ところでー、上やん」

上条「あぁ?」

土御門「教室で滝壺理后となにしてたにゃー!!?」

上条「テメェー!!自分から地雷踏みに来るとはいい度胸だ!!」ガッ

上条「お前あれがどうなってたか知っててやっただろぉが!!」

土御門「知らないにゃー、無人の教室で滝壺と何してたかなんてにゃー」

上条「いいだろう、地獄に堕としてやるわ!!」

土御門「上やんー、暴れると暑くなるぜい」

上条「涼しい顔して何言ってんだ!!」


土御門「まぁまぁ、落ち着いてくださいぜい」

上条「ったく……」

土御門「さっきの質問だが」

土御門「ま、SOS団に入ってる時点で普通ではないにゃー」

上条「まさに、不幸……か」

上条「……なぁ、土御門」

土御門「今度はなんだにゃー?」

上条「お前って超能力者だよな?」

土御門「何言ってんだにゃー、俺は未来人ですたい!」

上条「へいへい、なら俺は宇宙人もかもな」




んなことを話しながら学校に着いた。
汗だくです。不幸だ……




さすがの御坂も暑いらしい




御坂「ねえ、暑い」

上条「言われなくてもな」

御坂「扇いでよ」

上条「嫌だ」

御坂「じゃんけんね」

上条「ま、まて!上条さんじゃんけんは……」

御坂「じゃんけん、ポン!」

上条「くッ」ポン



―――――――――――――――――――――――――――――――


上条「……」パタパタ

御坂「みーちゃんの次の衣装なにがいいかしら?」

上条「まだあんのかよ」

御坂「みーちゃんは無限の可能性を秘めてるわ」

上条「同意する」


にしてもバニー、メイドときての、かー
…………


御坂「アホ面」

上条「うるせえ」





ああ暑い


終わらない暑さだ。
黄泉川先生の午後を丸々使ったマラソン授業……
まさに灼熱地獄。学生に死ねと?


隣のクラスで着替えて5組に戻ってくると御坂はまだ体操服だった。


上条「まだ体育したいのか?」

御坂「暑いからよ」

御坂「私掃除当番だからこのままの方がやりやすいし」

上条「そうかよ」

御坂「そうよ」


そうだ、食蜂さんには体操服のコスプレなんていいんじゃないか
ってコスプレにはならねえか、一応学生だし
しかし、体操服姿の食蜂さんか……


御坂「変な妄想してない?」

上条「し、してませんのことよ」


部室着


上条「ちわー」

食蜂「こんにちわぁ、上条くん」


部室にいたのはメイド食蜂さん
と、滝壺は寝てる


食蜂「お茶をいれるわぁ」

上条「ああ、ありがとうございます」


なるほど……メイドさんだけにか
このお茶一杯いくらで売れるかな?
そんなお茶を準備する食蜂さんを見ている内に思い出した。


御坂に支配されていた恐怖を……SOS団に縛られた窮屈を……
じゃなくて
「MISAKI」フォルダ。
それはいつの日かの撮影会時の時の食蜂さんの写真が詰まっている。
消す?いやいや、そんなことはしません。
パスワード付きのフォルダにちゃーんと残っていますのことよ。



上条「うーむ……」


その中の一枚を見る。
しいたけだ。確かにしいたけだ。
これを俺がこの時代の食蜂さんに伝えるのか……

「食蜂さんって目がしいたけですよねー」

うん、なしだ。
なんとなく女の人に目がしいたけって失礼な気がする。
あのロリ食蜂さんにしいたけって言わなくてよかったのかもな。
……星☆、星だ。星に見えなくもない。

「食蜂さんの目って星のように星の形ですよねー」

これはいいな。俺なら惚れる。これだな、言う機会があるか分からないけど。


上条「よし」

食蜂「何が良しなのかしらぁ?」ズイッ

上条「しょ、食蜂さぁぁあん!!?」


せ、セーフだよな!?見られてないはず、だ


上条「た、大したことじゃないですよ」ハハハ

食蜂「あれ?この『MISAKI』ってぇ?」


不幸スキル発動!!


食蜂「上条くん?これなにかしらぁ?」

上条「……え、なにがです?」

食蜂「いや、この『MISAKI』って……」

上条「……え、何です?」

食蜂「……へぇ」グィ

上条「ちょ、食蜂さん!?」

食蜂さんがマウスに手を伸ばす。
当然、俺はマウスを取らせまい、とする。
するとどうでしょう、マウスを追って手を伸ばす食蜂さんが俺の背中にくっついてるじゃありませんか
不幸中の幸運、というべきだろう。すばらしい。
しかし、このままではいろんなことがダメなので……


上条「ちょ、は、離れて」

食蜂「マウス貸しなさいよぉ」グイグイ















御坂「アンタ、何やってんの?」
















今日、初めて冷たいと思った瞬間だった。


上条「よ、よう御坂こ、これはな……」

御坂「アンタ、今日のアホ面、もしかして……」

食蜂「……妄想力?」

上条「ち、違う!」

御坂「じゃメイド萌えだったのかしら?」

上条「だから違うって」

御坂「着替えるから」

上条「ご自由に」ズズ

御坂「……着替えるんだけど」

上条「だからなんだよ、上に着―――」

御坂「出てけやごるぅぅぅぅぅぅあああああ!!」

上条「ふぎゃぁ!!」


蹴っ飛ばされる形で部室の外に出された。
なんだよ……どうせ上から着るだけだろ。短パンはいてるくせに。
上は……見ないから大丈夫……ってわけにもいかないか。


上条「ったく……」


せっかくさっきの恐怖で冷えたってのに湯飲みのお茶がかかってビチョビチョじゃねえか。
……気持ち悪い


食蜂「どうぞぉ」

上条「……」ガチャ

御坂「……」

上条「んだよ、結局着替えてねえじゃねえか」


御坂は体操服姿のまま机に肘をついて
こっちを睨んでいた。


御坂「わざわざ着替えてまで暑くなるわけないでしょ」

上条「はぁー……ならバニーでも着てろよ、涼しいだろ」

御坂「なっ!……着るわけないでしょこの変態!!」

上条「食蜂さんと滝壺に着せたお前が言うな!」

御坂「うるさい!」

海原「こんにちわ」

上条「今来るなよ!面倒くせえ!!」

海原「おや、御坂さん体操服ですか」

御坂「暑いのよ」

海原「ほほう……」

上条「……」ハァ


海原ガン見はやめとけ、引くぞ


御坂「みーちゃん、こっちきて」

食蜂「はいはい」


御坂が食蜂さんを椅子に座るよう指示する
イライラしてるみたいだな。
食蜂さんの髪を三つ編みにしながら唇は尖らせている。


上条「……」

海原「……象棋でもしますか?」

上条「何そのチョイス?ルールしらねえし」

海原「じゃあ将棋でも」

上条「わかったよ」







御坂は食蜂さんの髪をずっといじってるし
食蜂さんはニコニコしてるし
滝壺はジャンプ枕に寝てるし
海原は将棋のルールしらないし
俺は将棋に勝つし
……何の団体なんだろうな


この日だ。この暑い以外特に特筆することもない日。
宇宙人抗争があったり、ロリ未来人が来たり、超能力者が天使と戦ったり。
そんなことはなく、ただただ一日が過ぎていった。
意味のないようで意味がある高校生活の一日。
いずれこの一日一日を懐かしむようなると思うと……。
なにやってんだろうな。
だけど、まぁ暇ではあるがつまらなくはない。
矛盾してるようでしていない。俺はあの空間が結構好きなんだよ。



目的無しに部室に集まり、一日を過ごす。
御坂の指示に従い、食蜂さんで目の保養をし
滝壺の様子を伺い、海原とゲームをする。
それが、俺の高校生活の一部となり、満足感を与えてくれる。
もちろん、宇宙人に殺されそうになったり、未来人に会ったり、超能力者を見たり
それも俺の高校生活の一部といっても間違いない。
俺が超能力者かどうかは置いといてな。



だから、この時間が続く事に俺は一切不満なんてなかった。
あったとすれば俺じゃない。
決まってんだろ、御坂美琴だ。



特にすることもなく就寝に向かう。
割と何もない一日でも疲れたようで、俺はすぐに眠った。



詳しいことは知らないけど、人が夢を見る時間帯ってのがある。
その時間は確か、レム睡眠って時間だったはずだ。
朝になればその時間が増えて、起きると少し夢のことを覚えている……とか
そんなことは正直どうでもいい。
肝心なのは今、現在の状況だ。









御坂「ねえ、起きなさいよ!」




上条「……は?」









御坂がいた。俺ん家に?いいや、違う。
ここは学校だ。俺は家にいたはずなんだけど。おっかしいな夢遊病か?
と、もう一つ重要なことがある。





御坂「起きた?」

上条「ああ……」スクッ

御坂「これって……」

上条「……」






世界が灰色に染まっていた。











《虚数学区》の出現の証拠だ。









ここまでー

今日中に行く!


おおし、行きます!




『虚数学区』




灰色の世界。全てが一色に染められ夜の静けさとは違う静寂がある。
俺は自分の家になんていなかった。寝巻きで寝ているのではなく
こうして学ランを着て灰色の学校にいた。
おそらく、原因であろう、御坂美琴と共に。



美琴「ね、ねぇここどこなのかアンタわかる?」

上条「……いや、わからん」

美琴「私、家で寝てたはずなのに、いつのまにか学校にいて」

美琴「しかも制服で、隣にはアンタがいるし……どうなってんのよ……」



確認作業。俺は自分の体の感触を確かめる。
うむ、普通だ。夢じゃないようだな



上条「御坂、俺の頬をつねってくれ」

美琴「……」ギュゥウウウ

上条「いてててて!!!おーけー!!分かった!もういいって!!」

美琴「……ッ」チェイサー!

上条「オーバーキルッ!?」





完全に夢じゃない。痛い。


上条「御坂、ここにいるのは俺達だけなのか?」

美琴「見るかぎりじゃあね……ねえ、この空の色って……」

上条「海原を見てないか?」

美琴「え? 見てないけど……なんで?」

上条「なんでもねーよ、なんとなくだ」



海原はいないのか……
ここは確かに『虚数学区』のはずなんだが……



上条「とりあえず、学校から出てみようぜ、誰かいるかもしれねーし」

美琴「アンタ……やけに冷静ね」

上条「普段から不幸には慣れてんだよ」






冷静……か、そうでもないんだけどな。
なんで『虚数学区』にお前がいるんだ、御坂。
むしろお前はこの世界のプレイヤーであって、キャラクターではないだろ。
そして、キャラクターを努める『天使』……って奴もいねえし……



御坂と共に校門を出ようとする。


上条「んがっ!」ガンッ!

美琴「……なにやってんの」

上条「ち、違げーよ!なんかみえない壁が……」


出れない。透明な壁が存在し、行く手を阻む。


美琴「なにこれ?こんなのあったっけ?」プニプニ

上条「こんなのがあったら登校なんて一生でき……」

美琴「何よ?」

上条「……いや」





ここは『虚数学区』、俺らが住んでいる世界とはまた違う世界。

つまり、元の世界で通じる常識が通じない世界。

元の世界で出来ない事がここじゃ出来る。

それは、つまり。









『超能力』









右手を見る。
海原が言うには、俺には超能力がある。
そして、その超能力というのはこの『虚数学区』で使用できる。
俺がこの空間で超能力を使えたとすれば……



上条「……」

美琴「ちょっと、なんで黙ってんのよ?」

上条「考え中」

美琴「なによそれ……」



俺は、自分の能力がどんなものか理解していない。
けど、おそらく、能力のキーはこの右手にあると思う。直感だけど。
この右手がどんな超能力を持っているかも分からない。
というより、使った覚えが一回……ぐらいしかない。
当然か、超能力者なんて自覚なかったんだし。




麦野沈利。
あいつが襲ってきたときに超能力を使ったはずだ。多分。
なにせ記憶が曖昧だ、あの時は確か……
動けない時に撃たれた閃光に対応して右手を出した。
なんで動かせたか知らないが、それが超能力のはずだ。
……あれ?麦野って滝壺が言うに俺を殺すつもりなかったんだよな?
もし、あのまま撃たれてたら……







上条「……」カタカタ

美琴「なんで震えてるのよ!?」

上条「な、なんでもない、ぜ?」

美琴「なんでもなかったらなかったでおかしいけど……」



とにかく、やってみるしかねえ



上条「御坂、少し下がってくれ」

美琴「?」

上条「……スゥゥ」グググ

美琴「ちょ―――」

上条「おらぁああ!!!」ガァァアアアアン!!















上条「ぁぁああああああああ!!!!いってぇええええええええ!!!!」ズキズキ

美琴「当たり前でしょ!!怪我したらどうすんのよ!!」















超能力、ないの?

















上条「ふー、ふー、いててて」ズキズキ

美琴「なに訳わかんないことしてんのよ、ったく」サスサス



超能力の発動は無し……
うーん、やっぱり能力が分からないと発動の仕方が分からないな。
もしかしたらビームがでて、麦野のビームを相殺したのかもしれないしなー



上条「と、とりあえずこっからは出れないな」

美琴「ねえ、電話とか連絡とれるもの探さない?携帯もってないし」

上条「じゃ、食蜂……じゃない、職員室いくか」

美琴「どんな間違いなのよ、それ」






とりあえず、御坂に従うことにした、けど。
多分、電話なんて通じないな、この世界には一般人はいないらしいからな。
校舎に入って、職員室を目指す。



学校の電気が点いた。それだけでも結構安心した。
教室、職員室、保健室……etc
人は当然おらず、静けさは健在であった。
職員室にはご丁寧に鍵が掛かっていたので
悪いとは思いつつ、消火器で窓を割り侵入。
そしてテレフォン。



美琴「通じない……」

上条「(でせうね)」



通じてもらっちゃ困る。どこに通じるんだろうな?

御坂を連れて職員室を移動。我らが1年5組。
移動中、御坂は俺の服の裾を摘んでいた。



上条「あー、御坂さん?」

美琴「……なに?」

上条「怖いなら腕でもいいんですよ?」

美琴「……」ギュッ

上条「……」







裾の話じゃないんだけどなー。ま、いいか。
1年5組の教室は変わってなかった。本当に、なにもかも



美琴「これ……見て」

上条「……」



窓際から学校外を見る。
もちろん、学校の外は普通、というわけはなかった。
単色灰色only grey
なんのおもしろみもない世界だった。
光、ネオンなんて有彩色のものは存在しない。
あるのはあっけからんと、閉ざされたかのような世界。
これが、元の世界とは断絶された、境界線上の世界。





美琴「一体、どこなのよ……ここは」

上条「……さあな」







人っ子一人いない。消えたのではない。
人がいない世界に来たんだ。
















美琴「気持ち悪い」












ここまっで、短い!


11時ぐらいに投下しますー



部室。
結局のところここに帰ってくるわけだ。
実際行く場所も帰る場所もないから仕方ないんだけどな。


静まった部室。何かしらの安心感はあるのだがいまいち落ち着かない。
逆に落ち着けたら大したモンだけど……


上条「お茶飲む?」

美琴「いらない」


俺は飲むけどな。
うん、大してうまくない



美琴「……はぁあああ…………」

美琴「一体何だっていうのよ……」













この場合、俺が御坂に巻き込まれたのか
俺の不幸が御坂を巻き込んだのか
多分前者だと思うが、後者だったらすまん


美琴「埒が明かない、探索してくる」

上条「……気をつけて」



よくもまぁこの状況で動く元気があるもんだ。
結局のところ、御坂美琴っていうのはこういう奴なんだな。
と、考えていたらようやく









海原「どうも」

上条「遅かったな」














超能力者が現れた
重役出勤とは……偉くなったもんだな、おい


現れた海原はどこか不安定だった。
体にノイズが走り、声も聞きづらい。
まるで、出来の悪い立体映像みたいに部室の窓の外に立っていた。




上条「遅かったな、初めからいてくれてると思ったんだけど」

海原「すいません、こちらとしても異常事態でしたもので」

上条「異常事態?」

海原「お分かりでしょう、自分の姿を見ても完全ではないことに」

上条「ああ、ノイズまじりっつうか……」

海原「虚数学区への侵入は普段ならなんなく出来ますが」

海原「この異常事態、仲間の力を借りてこの形を維持するのがやっとなんです」

上条「て、ことはここにいるのはお前だけか?土御門とかは?」

海原「彼らは自分に力を借しているので……と、時間がありません」

海原「本題に入ります」








言いようのない緊張感が生まれる
海原のノイズがいっそう強くなった気がした


海原「突き詰めて言うと、恐れていたことが始まってしまった……ですかね」

上条「恐れていたこと?」

海原「御坂さんによる、世界改変」

海原「今ある世界を滅ぼし、新しい世界を創るつもりになってしまったようです」

上条「え……世界を創るって……?」

海原「現在、グループのお偉方は戦々恐々としています」

海原「新しく創造された世界が構築されてしまったら、今あるこの世界はどうなってしまうのか?」

海原「何事もなく、明日も明後日もその次の日もあるのかもしれないし」

海原「次の瞬間には滅びる可能性だって持ち合わせている」

上条「なんで……そんな」

海原「……それは、分かりません」

海原「今、あなたと御坂さんはこちらの世界から消えています」

上条「やっぱり、ここってそっちの世界とは違う空間なのか?」

海原「どちらかと言えば虚数学区に近いでしょうが……」

海原「この空間はまったく新しい時空……」

海原「差し詰め、《虚数学区・五行機関》とでも言うべきでしょうか」

上条「なんの冗談かしらんが、そのネーミングも分からん」

海原「冗談でも笑い事でもありません、大マジです」

海原「この五行機関は御坂さんが望むがままに創られている」

海原「この先どのようになるかは分かりません」

上条「…………一つ聞きたいんだが」















上条「俺はなんでここにいるわけ?」














海原「…………」

上条「お得意の不幸スキル発動とかじゃないよね?」

海原「……本当に分からないんですか?」

上条「なにそれ、俺がアホの子みたいじゃねえか」

海原「似たようなものですよ、鈍感さん」

海原「あなたは御坂さんに選ばれたんですよ、いわば伴侶です」

上条「伴侶?」

海原「元の世界から唯一選ばれた人間、それがあなたです」

海原「家族やSOS団の誰でもなく、あなたが御坂さんによって選ばれたのです」

海原「気づきませんでしたか?」

上条「いや、まったく」

海原「…………はぁ」



なんのため息だ、それは
ため息をつく海原のノイズは酷くなり、海原は消えかかっていた。



海原「どうやら限界みたいですね、やれやれです」

海原「このままでは、元の世界は滅んでしまいそうです」

上条「なんでそんな落ち着いていられるんだよ」

海原「そうなれば、『天使』を狩る必要がありませんから」

上条「案外、楽天家だな」

上条「もし、そうなったら俺はここで御坂と二人きりなのか?」

海原「人が欲しければ増やせばいいじゃないですか」

上条「テメェ」

海原「ジョークですよ、アステカンジョーク」


海原「今はそちらの方が世界と呼べるものでしょう」

海原「御坂さ_がいる世界が正dあり、いな、い世界は誤dある」

上条「なんだそれ、まるで御坂が神じゃねえか」

海原「です_ら、そう言、ているんでsよ」

上条「ったく……」



ノイズが会話の節々に大きく出始め
古泉の限界も確実に近づいてきている。



上条「俺は……俺達はもうそっちには戻れないのか?」

海原「それ、御坂さ_次第です、望み_薄いで、が」

海原「僕、としてはあnaたや御坂さんt共にSOS団_活動をもう少し、たかったので、が……」

上条「本音かよ」

海原「もちろん」

上条「あと、海原、俺は超能力者じゃなかったみたいだ」

海原「と、言われま_と?」

上条「ここは虚数学区みたいなモンなんだろ?」

上条「だけど、今俺には能力が使えない、俺はやっぱり超能力者じゃないんじゃねえのか?」

海原「あなたはイレギュラ、な、ん在ですからね、それtもその空かn自体n影響gaるのかも知れませんg」

上条「まだ、認めねえのか……」

海原「……これが最後の力です、ノイズが入らないよう努力しますのでよく聞いてください」

上条「……ああ」


海原「食蜂操祈、滝壺理后からの伝言です」

上条「呼び捨てかよ」

海原「一応、組織的なものがありましてね」

海原「では、食蜂さんからの伝言は『ごめんねぇ、私のせいで……』です」

上条「…………え!?なんで?」

海原「……滝壺さんからは」

海原「『パソコンの電源を入れて、あとジャンプは土曜日』だそうです」

上条「今、ジャンプを買える状況ではないな」

海原「dygkogじhjjo;kお@pひお」

上条「うお、ぶっ壊れた」

海原「」ジャッ

上条「消えた、か」





海原は消えた。
食蜂さんからの謝罪と滝壺からのメッセージを残して
食蜂さんが何故俺に謝る……なにかされたっけ?
それはまぁ、置いといて、パソコンをつける。
パソコンは―――立ち上がらなかった。
その代わりに……













RIKO.T>みえてる?コンチャ☆(´ゝ∀・`)ノシ
















黒い画面に白い文字が浮かび上がった。
ネット弁慶かよ、滝壺
あと、こっちはこんばんわな気分なんだよ

少ないけど、終わりー


よし、行きます


上条「……」カタカタ


『ああ』


RIKO.T>そっちの空間とこちらとの連結はまだ絶たれていない(^ω^)
    でも、時間の問題。絶たれてしまえば、それで終わり( ´,_ゝ`)プッ


上条「……」カタカタ



『顔文字をやめてくれ。心なしか少し煽ってるように見えるんだが……』



RIKO.T>……こちらの世界の異常な情報噴出は消えた。
     これで、情報統合思念体の進化の可能性は消えた( ´,_ゝ`)プッ



『だから煽るなって』



RIKO.T>御坂美琴の力を解析すれば、自立進化につながる可能性もあった。
     でも、それももう終わり



上条「終わりなのかよ……本当に……」





RIKO.T>しかし












RIKO.T>あなたはこの幻想を壊す可能性を持っている










上条「はぁ!?俺が!?」


『なんで俺なんだよ』


RIKO.T>我々としてはもう一度、こっちの世界に回帰することを望んでいる


RIKO.T>そして、その可能性を保持しているのは、誰でもない、あなた一人


『まてって!俺は何をすればいい?』


RIKO.T>わたしも、あなたには戻ってきて欲しい、と感じている

RIKO.T>…………また図書館に(-_-)



上条「滝壺……」







RIKO.T>(^o^)ノ < おやすみー








上条「滝壺ぉぉぉおおおおお!!!」






就寝の挨拶とともに、ディスプレイは元のOSの画面へと戻っていった。



上条「……どうしろってんだ」

上条「こんな、幻想……」


言い終えると同時に、ため息が出る。





それと同時に青白い光が部室を埋め尽くす





『天使』 
虚数学区に出現する、御坂のイライラの具現体。
今ここに、その具現体が召還された
おそらく、原因であろう少女も部室へ飛び込んできた。



美琴「ちょっと!!なんか出たわよ!!」

上条「……あぁ、みたいだな」

美琴「これ何?マネキン?にしちゃでかすぎる気もするけど……」



好奇心は猫をも殺す。
今の御坂に言い聞かせてやりたいな。
さっきまでの萎縮していた様子なんて微塵もなく
目を輝かせて、未知なる生物に興奮しているようだった。


美琴「宇宙人?未来人?はたまた、超能力者!?」

上条「……あんな、宇宙人や未来人は嫌だなッ!」

美琴「ちょ、なっ、なにを!」


御坂の手を取り部室から飛び出す。
そして、強い衝撃波が襲い掛かる。


上条「ぐっ……」

美琴「きゃっ!」


実際、俺達を狙われたらこんなもんじゃすまない。
衝撃の音と度合いからして、破壊されたのは向かいの校舎だろうな。
部室棟なんて狙われりゃ、一巻の終わり。バッドエンド確定だ。



と、なれば目指すのは部室棟からの脱出。
それも、驚愕してらっしゃる、お姫様をつれて


上条「行くぞ!!御坂ッ!!」

美琴「え、え……」

御坂の手を引き、階段へ向かう。
二度目の破壊音はまたしても別校舎のようだ。


階段を駆け下り、中庭を横切って、スロープからグラウンドへ



上条「ハァ……ハァ……」

美琴「……」


息一つ乱さずついてくる御坂は―――




―――少し、嬉しそうに見えた






なんとなくは分かるよ、御坂が喜ぶ理由も。俺だってそうだったんだ。
滝壺が宇宙人だったり、食蜂さんが未来人だったり、海原が超能力者だったりした時はさ
諦めてた俺だって嬉しかったんだ、滝壺のような存在がいて
それを未だに探してる御坂がそれを見つけたんだ、そりゃ嬉しくもなるだろう。
だから、御坂が自分の望んでいた世界に触れられたことってのは、御坂にとっちゃ



願望を実現したことになるんだからな



走りながら振り返ると、そこにはやはり、『天使』が存在していた
『天使』は腕を振り上げ校舎を破壊する。
四階建ての校舎はいとも簡単に破壊され、爆音が周りに響く。


グラウンドの真ん中で、俺達は止まった。
何度見ても、やっぱりでかい。
もし、写真がとれるなら、この写真をSOS団のホームページのトップに貼り付けるべきだな


美琴「ねぇねぇ!あれって襲ってくると思う?」

上条「どうだろうな」

美琴「私にはそんな邪悪なやつには見えないんだけど!」



応答しながら考える。この虚数学区出現の意味を。


御坂は元の世界に飽きた、だから新しく世界を創造することにした。
説明終わり。
……なにもかもを省略して話すとこんな感じだ。
つまり御坂は俺達が普通に過ごしている世界に退屈し
宇宙人や未来人や超能力者が日常的にいる世界を望んだ、ってことらしい
そこに、俺を組み込む……なんの意味があるんだ?
そして、それを知るのは御坂しかいない。
もっとも、御坂は自分の持つ能力を知らない。
よって、俺がここにいる理由を知るものはいない。
海原が言うには、御坂に望まれたからここにいる、か
いまいち、納得できないな、それは


美琴「なんなのかしら、あの巨人」


御坂さん、あなたが生み出したものらしいですよ
……結局、考えても俺がここにいる理由は釈然としない。
御坂に望まれたからここにいる?だからなんだ、俺は納得なんてしていない
なら、この世界は……認めてはいけない。
存在理由のない世界にい続けるのなんてごめんだ。


上条「……御坂」

美琴「なに?」

上条「元の世界に戻りたいと思わないか?」

美琴「……え?」



御坂の目が曇ったように見えた


上条「一生こんなわけのわからないところにいるものダメだろ」

上条「腹が減ってもこっからでれねえし、そもそも他に誰もいない」

上条「やっぱり、おかしいと思わないか?この世界を」

美琴「……うーん、なんかねー」

美琴「自分でもなんでか分からないんだけど、なんか、なんとでもなりそうなのよ、今」

美琴「全然余裕って感じ、来るなら来いっ!っていうね!」

美琴「それに……今、ちょっと楽しいし……」

上条「……SOS団はどうする」

美琴「……もういいのよ、だって目的は達成しちゃったし」

美琴「こんな面白いことがあるのよ?もう、不思議をさがす必要もないでしょ?」

上条「俺は戻りたい」

美琴「…………」

上条「再認識できた、俺は今までの暮らしが結構好きだったんだ」

上条「青ピとバカ話したり、土御門のシスコン話を聞いたり」

上条「SOS団での活動だってそうだ、なんだかんだでお前だって楽しかっただろ」

上条「俺は、まだあいつらといたい、まだ話す事だっていっぱいあるだろうしな」

上条「高校生序盤で思い残すことが無いほど、俺の人生は濃いものじゃないからな」

美琴「……会えるわよ、明日になれば、きっと!」

美琴「私なら分かる、明日になれば太陽だって、他の人だって出てくるに違いな―――」

上条「そうじゃない」

上条「俺は、元の世界のあいつらに会いたいんだ、こんな紛い物の世界じゃなくな」

美琴「ッ……意味分かんないッ!」


御坂は拗ねた子供のように、または、泣く前の赤ん坊のように
微妙な表情で、恐らく、怒っていた



美琴「あんただって……つまんないって感じてたんでしょ」

美琴「もっと面白いことや、不思議なことが起こってもいいって思わなかったの?」

上条「……思ってたよ」



言葉の応酬のうちに『天使』が歩を進めていた。
崩れた校舎を通り、中庭を踏み荒らし、我らが部室を破壊しながら。
青白い光は一つではなかった。二つ、三つ……両手じゃ足らないみたいだ
この世界に超能力者はいない。邪魔をするものがいない『天使』は好き勝手に破壊活動に勤しんでいた。

俺にこの虚数学区のことなんて分からない。
この世界がほっとけばどうなるかなんて知らないし、現在どれぐらいやばいのかなんてのも知らない。

でも、俺にだってできることがある。
少なくとも、御坂よりはこの世界を知っている。
宇宙人を知っている。未来人を知っている。超能力者を知っている。






そして、御坂美琴を知っている。










上条当麻を――――――知っている










上条「実はな、御坂、俺はここんとこ結構面白い目にあってたんだ」

美琴「……」

上条「お前は知らないんだけど、いろんな奴がお前を気にしてたりするんだ」

上条「世界の中心はお前だといってもいい」

上条「お前を中心に世界は面白い方向へと進もうとしてたんだ」


御坂は俺から目線を逸らし、『天使』の破壊を、当然だと言わんばかりに眺めていた。


『進化の可能性』 『時間の歪み』 『姫』


御坂を指す呼称はいくつもあるが、俺にとっては御坂は御坂だ
御坂美琴であって御坂美琴でしかない。
『進化の可能性』でも『時間の歪み』でもましてや『姫』でもない。





『天使』が振り向いた。俺たちに気づいたように。
何mあるんだ、ビビッちまうぜ、ちくせう
…………思いだせ
食蜂さんや滝壺、海原はなんと言っていた?




俺が何だと言っていた?




上条「御坂」

美琴「……なによ」

上条「確かに、元の世界はどこにでもありそうな普通の世界だったよ」



『天使』が迫る



上条「お前の望むような、不思議はそこらには無かったのかもしれない」



地響きが近づいてくる



上条「それでもさ、御坂、もう一度よく探してみようぜ」

上条「俺も手伝うよ、だから―――」






右手を――――――握る






この虚数学区に超能力者はいない、否、いなかった
超能力者であることを否定し、どこまでも不幸なだけであった
ただの一人《幻想》を除いて――――――




上条「帰ろう、御坂」




『天使』が立ち止まる




上条「もとの世界を諦めないでくれ」





『天使』が腕を振りかざす





上条「教えてやる、おまえの幻想はこんな世界にはないってことを!!!」





同じく、一人の少年が拳を握り締め、振りかぶる










上条「『超能力者』 上条当麻がなァッ!!!!」ゴォオオ!!







二つの拳が激突する










そして、全ての幻想を破壊する音が響いた









ここまでーー

     |    人      .( ( | |\
     | )  (;.__.;)      ) ) | | .|
     |_ (;;:::.:.__.;)  __(__| .\|     
     |―(;;(´・ω・`)  ――-\≒

    /∧(;∧_.: .:; _:_ :.) ∧ ∧ \  
   /(´・ω・`)      <    > \
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
   |____.うんこ風呂._____|


ラストだ、いっきまーす!


幻想の世界が崩れていく

上条当麻の放った拳によって『天使』が

御坂美琴の意思によって『虚数学区』が

元の世界に回帰するために、崩れていく――――――







上条「…………は?」





おっす、俺は上条当麻、高校一年生だ
そしてここは俺の部屋の床の上
どうやらベッドから落ちて目が覚めたらしい


上条「……夢オチ……なのか?」


外を確認する
暗いが所々明かりの点いた見覚えのある風景
この世界が改変された世界かそうでないかは確かめようが無いが
おそらく、俺は元の世界に帰ってきたんだと思う。
御坂が作り出した、“夢”の中からな




時刻は午前二時十三分
不幸な一般人、上条当麻はもう一度眠る
間違っても、姫やら天使やらでる夢をみないように―――




一睡も出来なかったけどな。



なぜだかは知らないが、変に体が疲れてるし、中途半端に起きたせいで眠れなかった。
という不幸をブチかまして、上条さんは坂道を登る
今日も今日とて暑い。これは俺の不幸がどうとかいう問題じゃない
大量の汗をかきながら、我が母校となる高校に着く。
向かうのは1年5組、俺のクラスだ。
階段を上がり、開けっ放しのドアから入ったところで立ち止まる。

御坂がいた。

ま、そりゃ高校生が学校にくるのは当然の事で別に不思議な事じゃないんだが……
まぁ、御坂を見たことで少しは気が楽になった気がした。


上条「おっす、御坂」

御坂「ああ、あんたか」

上条「なんだ、元気ねえみたいだな?」

御坂「昨日、ちょっとした悪夢をみてね」

上条「……そりゃどんな?」

御坂「そうね……なんというか、こう……」

御坂「……エキサイティングな悪夢?」

上条「なんだそりゃ」

御坂「ま、そのせいで眠れてないからね、そりゃ元気もないわよ」

上条「そうかい」


御坂の顔色を伺う
目線は窓の外、こっち見ようとはしない
あまり上機嫌ではなさそうだ
かける言葉は一つ


上条「御坂」

御坂「なに?」
















上条「おかえり、御坂」

御坂「はぁ?」


















エピローグ、というものがある



御坂は特にいつもと変わらない
少し元気がもどったような気がした


海原と出会った


海原「あなたには感謝すべきなんでしょうね」

上条「別に、なんもしてねーよ」

海原「この世界が今日も存在しているのはあなたのおかげです」

海原「とにかく、あなたと御坂さんにまた出会えて、光栄です」

上条「へいへい」

海原「ところで、あの『天使』に対してあなたが使ったのは……」

上条「んー?あーありゃあ」

上条「夢の中だからな、超能力ぐらい使えてもなんの問題もないだろ?」

上条「不幸な一般人、上条さんも夢の中なら超能力者になれるってことで」

海原「……頑固ですね、あなたも」

上条「どっちがだよ、じゃまたな」

海原「ええ、また放課後に」



長い付き合いになるかも知れませんね、と言い残し、海原は去っていった。
まだ三年もあるんだ。長いようで短い三年がな


昼休み、部室に出向くと例のごとく滝壺がいた
いや、まぁ会いにきたんだけどさ


滝壺「あなたと御坂美琴はこちらの世界で二時間三十分、存在が消えていた」

上条「へえー、そうなのか」

滝壺「そう……」

上条「なぁ、滝壺、お前があの時言ったおやすみーってのは」

上条「もしかして眠り姫のことだったのか?」

滝壺「……あの時?」

上条「ほら、パソコンのメッセージのとき」

滝壺「あれは就寝時の挨拶」

上条「なんであの状況でそんな余裕があるんでせうか!!」

滝壺「挨拶は、大事」

上条「そうなんだけどさ……」

上条「俺はてっきり、食蜂さんが白雪姫、お前が眠り姫だなんていうもんだから」

上条「姫の眠りをさます、あのお約束の展開……」

滝壺「……」














上条「王子様が魔王を倒す事って思ってたのになぁ」ハハハ

滝壺「………………」















滝壺「そんなストーリーではない」

上条「あれ?小さいときに見た記憶が曖昧なってたのかな?」

上条「まぁ、帰って来れたんだし、これが正解なんじゃねえのか?」

滝壺「……そう」

上条「というか、他にどんな方法があったんだ?」ウーン

滝壺「…………」

上条「ところで、滝壺」

上条「お前みたいな宇宙人はあとどれぐらい地球にいるんだ?」

滝壺「結構」

上条「なら、また麦野みたいな奴が出てくるかも知れないってことか」

滝壺「そこら辺は大丈夫」

滝壺「私がさせない」

上条「そりゃ頼もしい」



図書館はまた今度な


放課後の部室

消去法で申し訳ないが必然とこの人とも会うことになる



食蜂「上条くん!よかったぁ、また会えて……」

上条「ははは、まぁ、なんとか」

食蜂「本当に……よかったぁ……っ」

上条「しょ、食蜂さん泣かないで下さい」

食蜂「っ!!?」ビクッ

食蜂「な、なっ、泣いてなんかいないわよ!これは……汗が目に入って……」ゴシゴシ

上条「そんな苦し紛れな……」

上条「あっ、目と言えば……」

上条「食蜂さん」

食蜂「なぁに?」


上条「……」ジィイ

食蜂「ちょ、ちょちょちょ!か、上条くん!!?」

上条「食蜂さん、目に……」

上条「星がありますね」

食蜂「……星?」


しいたけって言えば地雷を踏み抜くような気がした


上条「はい、あの目の……」

食蜂「うん、目が生まれつきこうなのは知ってるのぉ」

上条「そうなんですか?」

食蜂「でも、この目を星っていう人はいなかったわぁ」

上条「え、なんかすいません」

食蜂「ううん、逆よ。素敵じゃない、うれしいわぁ」

食蜂「上条くん」

食蜂「ありがとう」ニヘラ

見るもの全てを恋に落としそうな、そんな笑顔だった






団長、団員はそのあと続々と集まり
食蜂さんのコスプレがどうとか、土日の不思議探索がどうとか
昨日一昨日と特に変わらない放課後だった。




「生徒社会を応援する世界造りのための奉仕団体(略 SOS団)」



これはSOS団設立に伴う必要書類に記入した文書である
海原指導の下、それらしいことをかいて生徒会に提出してやった


「世界を大いに盛り上げるための食蜂操祈の団(略 SOS団)」

これじゃ生徒会の容認をもらえそうにないからな


「学園生活での生徒の悩み相談、コンサルティング業務、地域奉仕活動への積極参加」


なんだ?コンサルティング業務って?
これは海原がでっち上げた適当な活動内容。適当に掲示板にでも貼り付けて客寄せに使うか
まぁ、SOS団に相談してどうにかなるなら、それはもう悩みと呼んでいいものなのかは分からんが……


第二回「不思議探索パトロール」

参加者 御坂美琴 上条当麻  

欠席者 食蜂操祈 滝壺理后 海原光貴 

三人が欠席という偶然が重なったおかげで、参加者は御坂と俺だけ
俺は今、改札口前で御坂を待っている状況だ



俺は結局のところ何なんだろう?



海原の言う通り、御坂の“夢”でのあれはやっぱ超能力だったのか?
それとも、それこそ御坂が無意識に俺に与えた“夢”限定の力だったのか?
……いや、海原が言うに、その限定の力こそが超能力なんだったな
でも、俺にはいまだ発生してる『虚数学区』の存在は認識できないし
自分が超能力者だという意識も無い
滝壺がいう通り、イレギュラーな存在ってのはこういう意味でのことだったのかもな

だけど、俺自身は、まだ一般人の枠を超えるつもりは無い。
ただただ巻き込まれ体質な一般人でい続けたいんだよ。
みんながみんな特殊な奴だったらだれが暴走を止めるんだ?俺しかいないだろ?


集合時間まではあと三十分もある
そして俺がこんなに早く来ているのにも理由がある
最後にきた者は罰金、これはSOS団の鉄の掟だからな。遅刻の有無にかかわらず。


そして、見覚えのある姿が見えた。
よもや、俺が三十分前に来ているとは思ってない、って顔だな
そして、俺の前で立ち止まり、やや怒り気味で足を進めていく。
俺が三十分まえにいたことへの理不尽な怒りなのか、参加率の低さへの怒りなのか
それもこれも、喫茶店で聞いてみようと思う。もちろん、御坂のおごりで。
そして、まぁ、俺から話す事と言えば……



















俺が超能力者だったらどうする?かな

















終わり!

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