まどか「さやかちゃんが可愛すぎて息ができない」(1000)

inお風呂


 かぽーん


 じゃぶじゃぶ


さやか「あちち」ザバァ


さやか「……」ゴシゴシ

さやか「……」ジャブジャブ

さやか「~♪~♪」


さやか「めざめたこーころはー……はしりーだしたー……」

さやか「ふふふふ~ん、ふふふふん……」ザブザブ


 じゃあじゃあ


さやか「……」ガタゴトッ


 ざぶんっ


さやか「ふはぁ~……」




まどか「さやかちゃーん?入るよー」ガラガラッ

さやか「えっ!?」ビクゥッ


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1355670957


まどか「えっ……だめだった?」

さやか「いやいやいやいや、そっちじゃなくって」


まどか「じゃあ……」

さやか「いや、ちょっとまってほしい」

まどか「どうしたの?寒いんだけど……」

さやか「ちょーっとだけ質問。何でここにいるの?」

まどか「えっ、だってここ私のお家だし……」

さやか「じゃなくって!」ザバァン!

まどか「!!」

さやか「なんで一緒に入ること前提みたいになってるの!?」ザブッ ジャバッ

まどか「!?えっ、普通一緒に入らないの?」

さやか「えっ」

まどか「えっ?」


まどか「あっ、いやぁほら、えっと、私いつもたっくんと一緒に入ってるから……」

さやか「あぁなるほど……いや、なるほどでもないけど……」


まどか「とりあえず寒いから入れてもらうね?」

さやか「あ、あぁうん、もうお好きにどうぞ……」


 ざぶざぶ


まどか「~♪~♪」

さやか「……」ジャブン


 ぶくぶく あわあわ

 ざばぁ

 じゃぶん


さやか「……」

まどか「~~♪」

さやか「……~♪」

まどか「!~♪」


さやか「~♪……もうな~にがあって~もぉ~」

まどか「くじ~け~ぇ」

まどさや「「な~い!」」ザブン!


まどさや「「……」」


まどさや「「えへへへへ」」


 ざばぁ

 ふきふき


さやか「ねぇまどか」

まどか「なぁにさやかちゃん?」

さやか「一緒にお風呂はいるのって、楽しいね」

まどか「えへへ、そうでしょ?」

まどか「また、一緒にはいろうね」

さやか「うん!」


 あはははは

 ティヒヒヒヒ




おわり

みたいな事をひたすら不定期に書き続けるスレです。

次回 「マフラー」


杏子「へっくちっ……ずびび」

さやか「……」

杏子「さむっ……」ブルブル



数日後



さやか「あんた、コレ」ガサッ

杏子「んあ?なんだこれ?」

さやか「いいから開けてみて」

杏子「なんだよ……くだらないものだったら承知しねーぞ」

さやか「……」ドキドキ


 まふら~


杏子「真っ赤な……マフラー?」

さやか「えへへ、かわいいでしょ。商店街で見つけて衝動買いしちゃった」

さやか「だけど、あたしマフラーは今のがあるし。仕方が無いからあんたにあげる事にしたの」

杏子「なんだよそれ……」

さやか「いーからいーから。巻いてみて」

杏子「仕方ねーな……よいしょっと」


 巻き巻き

杏子「……どうだ?」

さやか「あは、予想通り。ばっちり似合う」オッケー


杏子「……ま、余ってるってんならもらわない意味もないしな。暖かいし、これで冬も越せそうだよ。サンキューな」

さやか「ん。じゃあ、あたしこれから用事あるから。またね」

杏子「おう、またな」


 ばいばい




杏子(……)

杏子(……コレ)

杏子(どう見ても手編み、だよな……)


杏子(…………)


杏子「あったけー、な……」ボソリ

おわり


以上で本日の分は終了とさせていただきます。
1週間以内にはまた書きたいと思います。

次回 未定

一本書けたので投下します。

タイトルは、「転校生」


ほむら「……美樹さやか。話があるわ」

さやか「何よ、”転校生”」

ほむら「……」

さやか「……」イライラ


 ぴりぴり


まどか「あわわ……」


 おろおろ


まどか「さ、さやかちゃん……ほむらちゃんも、喧嘩はだめだよぉ」

さやか「あたしはそのつもりだけど。ま、転校生次第ってやつ?」ガタッ

ほむら「……まどか。ちょっと話をするだけだから、喧嘩なんかじゃないわ」

まどか「ほむらちゃん……」


さやか「……」

ほむら「……」


 ぴりぴり


まどか「あわわわわ……」オロオロ


放課後inバーガーショップ


さやか「でさー、結局話ってのも要領を得ないし……わけわかんないよ、ったく」


 ぱくぱく もぐもぐ


まどか「さやかちゃん……」

仁美「さ、さやかさん……それはちょっと言い過ぎでは……」

さやか「まーた仁美はそんな事言って……万が一そうだとしても、あの転校生とあたしはどうあっても相容れないの」


 ぱくぱく もぐもぐ


まどか「……っ」


 ぐっ


まどか「あっあのね、さやかちゃん」

さやか「ん?何、まどか?」


まどか「その……あのね、提案、なんだけど……その”転校生”って呼ぶの、やめない?」

さやか「え?」


まどか「いやあのね、ほむらちゃんにはほむらちゃんってちゃんとした名前があるんだし、転校してきてからもう随分経ってるし……」

まどか「だからね、転校生って呼ぶのはちょっとなぁ、って……」

さやか「……」

まどか「だめ、かな……?」


 ごくり


さやか「――ごめん、まどか。まどかのお願いでもそれはちょっと無理かな……」

まどか「……っ」

まどか「理由を聞いても、いいかな……?」

さやか「理由、ねぇ……さっきも言ったけど、あいつとあたしはもう相容れないわけよ。水と油なの、水と油」

まどか「でもっ……」


さやか「……でもまぁ、まどかの言う事にも一理はあるし……努力はしてみるよ」

まどか「さやかちゃん!」


 ぱぁっ


さやか「あのね!?努力はするけど確実じゃないからね!?」

まどか「それでも嬉しいよぉ!ありがとう、さやかちゃん」


次の日


さやか「ちょっと、ほ、ほむっ……転校生」

ほむら「何かしら、さ、さやっ……美樹さやか」

さやか「なにそれ。嫌味?」

ほむら「いいえ、違うわ。それより用件。時間が惜しいから早く言いなさい」


 ぴりぴり



まどか「あぁっおしい!」

仁美「……まどかさん、暁美さんにも何か仕込みましたね?」

まどか「うん、あのね……一応、ほむらちゃんにもさやかちゃんをフルネームで呼ぶのをやめるようお願いしてみたんだけど……」

仁美「なるほどですわ……この一幕、どうなるのか見物ですわね」


 どきどき



さやか「それで、昨日の件だけど。一応、あんたの態度次第では引き受けてあげないこともないわよ」

ほむら「――そう。じゃあ、早急に頼むわね、さ、さやっ……美樹さやか」

さやか「……ねぇ。あんたそれわざとでしょ」

ほむら「違うと言ったはずよ」

さやか「じゃあ、なんで真似なんてするのさ!」ドンッ

ほむら「あなたの真似なんてしていないわ」


 ふぁさっ


さやか「……ッ」イラッ


まどか「あちゃあ……さやかちゃん顔真っ赤だよぉ……」

仁美「よく見ると暁美さんも顔が赤らんでいらっしゃいますわね」


さやか「……転校生。ちょっと屋上まできてくれる?」

ほむら「断るわ」

さやか「逃げるの?」

ほむら「どうとでも思いなさい、美樹さやか」

さやか「~~~~ッ!!」イライラ


 ぴりぴり


放課後inバーガーショップ


さやか「ゴク……ゴク……ゴク……――くあーーーーッ!!転校生の奴、腹が立つッ!!」ドンッ

まどか「さ、さやかちゃん……コーラの一気飲みは体に毒だよぉ」

さやか「そんな事言ってられるかってんだあん畜生めっ!!」

仁美「さやかさん、随分と荒れておられるのですね」

さやか「仁美ぃ~聞いてくれる?転校生がさぁ、ちょっと間違ったからってさぁ……ず~っとネチネチ真似してくるんだよぉ……」


 ぐだぐだ


仁美「あら、それは大変ですわね……」

まどか(これアルコール入ってないよね……?)

仁美「でも、もしかしたら暁美さんにも何か事情があるのかもしれませんよ?」

さやか「事情ぅ~?あの転校生にぃ?まっさかぁ~」


 あっはっはっはっは


仁美「さやかさん。誰にだって、事情はあるものですわ」

さやか「……そう、なのかなぁ……?」

仁美「そう、なのですわ。諦めずにもう一回チャレンジしてみたらどうでしょう?」

さやか「でもなぁ……」

仁美「さやかさんにも、何かご事情が?」

さやか「事情というか、なんというか……まぁ、たいしたことじゃないんだけど……」

仁美「わたくしでよろしければ相談に乗りますわよ?」

さやか「……えっとね、あのね……」


 てれてれ


さやか「なんていうか、今更っていうか、なんだけど……」

さやか「転校生の事、名前で呼ぶの……ちょっと気恥ずかしくって……」テレッ

仁美「あらあらまあまあ。それは大変ですわね」


さやか「その、何を今更ーって思われそうだし……」

仁美「そんな事ありませんわ。お互い名前で呼び合うのはとっても素敵な事だと思いますわ!」

さやか「でも、転校生がそう思ってるかどうかなんてわかんないし……」

仁美「きっとそう思ってらっしゃいますわ。ええ、そうですとも。名前を呼び合うことから始まるロマンス!羽ばたく蝶、百合の園!あぁ、なんとすばらしい、輝かしい未来ではありませんか!!」


 きらきら


さやか「おーい仁美ー?」


 もしもし


さやか「どうしようまどか……」

まどか「あちゃあ、仁美ちゃん完全にモード入っちゃってるよ……」


仁美「その為にっ!!」ガシッ

さやか「うわぁっ!?」

仁美「まずは練習ですわ!」

さやか「れ、練習?」

仁美「昔の方は言いました。習うより慣れろ、と。ですわ」

さやか「仁美?口調がわけわかんなくなってるよ!?」


仁美「と、とにかく!」


 ごほん


仁美「わたくしを暁美さんだと思って!さん、はい!」

さやか「え、えーっと……ほ、ほむ……ほむ……転校せっ!?」


 ばしぃっ


仁美「減点1ですわ!全くなっておりません!」

さやか「まどかぁぁ……助けて……」

まどか「ごめんさやかちゃん。今の状態の仁美ちゃんはもう止まらないよ」

さやか「まどかぁぁぁ!!」ブワッ

仁美「ほら、なにをしてらっしゃるのですか。もう一度です、さん、はい!」


 ほ、ほむ……転こっ!?

 だめだめですわーっ! バシィ

 …………

 ……


さやか「あの!ちょっとあんた、いい!?」

ほむら「何。屋上なら行かないわよ」

さやか「~~ッ!――あ、あのね、てんこ……ほ、ほむ、ほむほむ……ほむ、ほむらっ!!」

ほむら「ッ!?」ビクッ


 びくうっ


さやか「ほむら、昨日は、言いすぎた。ごめん。あんたにも何か事情が、あったんだよね」


 ぎくしゃく


ほむら「え、えぇ……別にあなたをいじめたくて言った訳ではないわ……その、み、さ、さや……さやか」

さやか「!!」


仁美「あらあらまあまあまあ」

まどか「二人とも、顔真っ赤」ティヒヒッ

仁美「でも、昨日とは別物の赤さですわ」

まどか「うん、このまま仲良くなってくれたらいいねぇ」

仁美「そうですわねぇ」


まどか『ほむらちゃん!』テレパシー

ほむら『まっ、まどか!?私、ちゃんと言えたわよね!?』ビクッ


 あせあせ


まどか『うんうん、ほむらちゃんとっても上手に言えてたよ!練習した甲斐があったねぇ』


 ほわほわ


まどか『だから、最後にもう一つだけ。さやかちゃんと、握手してみない?』

ほむら『握手!?』

まどか『さやかちゃんの手、とぉってもやわらかいんだよぉ?』

ほむら『べ、別にそれはどうでも……』

まどか『どうでも良くないよ!仲良くなるためのワンステップだよ!』

ほむら『私は別に、み……さやかとなんか仲良くなりたい訳じゃ……』

まどか『私は二人に仲良くなってもらいたいなぁ。ほむらちゃん、だめ……?』

ほむら『……仕方ないわね』ハァ


 すっ


さやか「ひょえっ!?」ビクッ

ほむら「……握手」

さやか「……なんですと?」

ほむら「……いいから。握手」グイッ

さやか「……!」


 ちらっ


仁美「……っ!」グッ


さやか「……はぁ……」

さやか「仲直り、なのかな」

ほむら「たぶん、そうなるわね」

さやか「……じゃあ。仲直りの印に」

ほむら「……ええ」


 ぐっ


仁美「来ましたわー!!」

まどか「ちょっと握力が強そうだけど……」


ほむさや「「……」」グググッ


 ぷるぷる


さやか「……ぷっ」

ほむら「……なっ、なによ!?」

さやか「あんた、握力強すぎ!どんだけ魔力込めてんの?」ケラケラ

ほむら「あなたにだけは言われたくないわ、さやか」

さやか「おー?言うねぇ、ほむら!」

ほむら「……ふふっ」


さやか「――なんか、あんたの事勘違いしてた気がする。今までごめんね」

ほむら「……いいえ、こちらこそ、よ。これからよろしく、さやか」

さやか「ん!よろしくね、ほむら!」


 キマシタワー





おわり

以上であります。
レスありがとうございます、大変励みになります!
ではまた近いうちに。

乙であります。
さやかとほむらの距離感がいい!
ところでほむらは何を頼んだんでしょうか?

>>28
乙ありがとうであります。
ほむほむの頼み事は一体何なのでしょうね。
近いうちに明らかにできたらと思います。

さて、本日の投下です。
タイトルは、「雪」


inとある魔女の結界


魔女「――!!」

さやか「とやっ!」


ザシュッ


魔女「ギィッ!?」ドサッ

さやか「マミさんっ!」

マミ「美樹さんナイス!いくわよ、――ティロ・フィナーレッ!」


 ドンッ


魔女「ッ……!――…………」


 ザァァァ……


 ――からんっ


さやか「ふぃーっ……やっつけたぁ……」


 どさっ


マミ「美樹さん、お疲れ様。とても上手だったわ」

さやか「へへ、ありがとうございます!日頃のマミさんの指導のおかげで……――あ」

マミ「?――あら、」


 ちらちら はらはら


さやか「雪、だ……」


 ちらちら はらはら


マミ「どうりで寒いわけね……」


 ちらちら はらはら


さやか「は、は……ぶぇっくし!」ブルブル

マミ「あら、大丈夫?ほら、鼻水出ちゃってるわよ。はいティッシュ」

さやか「ありがどうございまず……」


 ちーん


マミ「……そうね、ここからなら私の家が近いし、一回家に来て暖まって行かない?」

さやか「いいんですか!?わーい!あっ、あたし久しぶりにマミさん特製ココア飲みたいです!」

マミ「うふふ、いいわよ。じゃ、行きましょうか」

さやか「はいっ!」



 ちらちら はらはら


 ちらちら はらはら

おわり

次回、「歯磨き」


さやか「……」


 しゃこしゃこ


さやか「……」


 しゃこしゃこ


さやか「……ぐえっ」


 しゃこしゃこ


さやか「……」シャコシャコ

さやか「……あ」


さやか(しまった。昨日歯ブラシ新しいの出したんだった)

さやか(ついクセで古いの使っちゃうんだよなぁ……まぁいっか)


さやか「……」


 しゃこしゃこ


さやか「……」ガッ


 ジャー

 がらがらがら、ぺっ


さやか「ふぅ……おかーさーん、洗面台空いたよー」


 <はーい


さやか「さて……ゲームでもしてねよっかなぁ」

さやか「……あ」


さやか(宿題)

さやか(…………)


さやか(……明日仁美に見せてもらおう)

さやか「おやすみなさーい」


 <おやすみー




おわり

本日の投下は以上です。
今日もお付き合いいただき、ありがとうございました。

こんばんわ、本日の投下に参りました。
タイトルは 「頼まれ事」


 見滝原駅前にて


ほむら「……」イライラ


 ちらっ


時計「14時05分」

ほむら「…………っ」イライライライラ


さやか「ごっめーん遅れ――」

ほむら「遅い!!!!」


 ずびしぃっ!


さやか「うわぁっ!?ご、ごめんってば!」

ほむら「わかってるならちゃんと行動で示しなさい!」

さやか「はいはい、わかりましたー」

ほむら「全く……」イライラ


さやか「――で、大体の目星はついてるわけ?」

ほむら「ええ、やっぱり無難にアクセサリーなんかが良いんじゃないかとは思ったのだけれど……」


 とことこ


さやか「アクセサリー?」

ほむら「やっぱり、ちょっと重いかしら……?」

さやか「うーん……値段によると思うけど……」

ほむら「値段ね……物にもよるけれど、予算は大体千円くらいってところかしら」

さやか「ふむ、千円ね……あ、そうだ。最近できた小物屋さんがあるんだけど知ってる?」

ほむら「いいえ、知らないわ」

さやか「商店街の端っこに椅子屋さんがあるでしょ、あの隣に店舗が入ってね。そこそこの値段で可愛い物が多いって今話題なんだよ」

ほむら「ふむ……」

さやか「あそこなら気軽に使えるネックレスとかも置いてると思うから、行ってみない?」

ほむら「ええ、案内お願いするわ」

さやか「ふっふーん、まかせんしゃーい!ほむほむ一名様ごあんなーい!」

ほむら「」イラッ


 ごすっ


さやか「痛いっ!?無言で肘打ちは痛いですほむら様!!」

ほむら「あなたって人は……一体何度忠告されれば気が済むのかしら?」

さやか「さやかちゃんの辞書に学習という言葉はありませ――げふぅっ!?」ゴスッ バタリ

ほむら「さ、ふざけてないでさっさと行くわよ」


 ずるずる


さやか「」きゅう


 inお店


ほむら「なるほど。確かにここならまどかの好きそうな物もたくさん売っていそうね」

さやか「でしょ?最近クラスの女子の間でも流行ってるんだよ」

ほむら「そうなの……全然知らなかったわ」


さやか「……ほむらはさ、クラスでももうちょっと態度を崩してもいいと思うんだけどなぁ。みんなも気にはしていても、話しかけ辛いみたいだし。もっと笑わないとせっかく美人がもったいないよ」

ほむら「何をまた急に……そうは言われても、この性格は素なのよ。――ね、これはどうかしら」

さやか「うーん、ちょっと子供っぽいかな?――まぁ素でなんでもさ、みんなとわいわい騒ぐのは楽しいよ?そりゃあ放課後は魔法少女やってて忙しいけど……。休み時間とかさ、他愛無い話で盛り上がるのもいいもんだよ」

さやか「それに、急にじゃなくてもいいんだって。大体さ、あたしとほむらがこういう風に話していられる関係にすらなれたんだから。きっとできると思うんだけどなぁ」

ほむら「……今急に悪寒が走ったわ」ブルッ

さやか「酷っ!?」ガーン

ほむら「だってあなたが酷く真面目な事を話すんですもの」

さやか「あたしだってたまには真面目な事くらい言うよ!?」

ほむら「――そう、ね……まぁ確かに、中学卒業までくらいなら、クラスでの友好を深めてみるのも、いいかもしれないわね」クスッ

さやか「!」


さやか「あんたがしっかりなじめるようになるまで、あたしが架け橋になるからさ。大船に乗ったつもりでついてきたまえー!」ドーン

ほむら「むしろ泥舟じゃないのかしら」シレッ

さやか「また酷っ!?」ガーン


ほむら「――あ」

さやか「?」


ほむら「これ、どうかしら?ネックレスなのだけれど」


 ちゃらっ


さやか「お、いいねぇ。ピンク色の宝石ってまどかのイメージにもピッタリだし」

ほむら「……あら、これも可愛いわね。ね、どっちのがいいかしら」

さやか「うーん、これは悩むなぁ……あ、でもたぶんまどかはこういうのの方が好みっぽいかな?ピンクゴールドってやつ?」

ほむら「ほんと?じゃあこっちにしようかしら。――そういえば、まどかのソウルジェムもこんな形だったわね」

さやか「ほえー、涙型かぁ……意外かも。でも、うんうん。いい感じ!きっと似合うよ。せっかくだし、ラッピングもしてもらえば?」

ほむら「ええ、そうするわ。ちょっとお会計してくるわね」

さやか「はーい」


さやか(クリスマスかぁ……)

さやか(――恭介、どうしてるかな)

さやか(っと、いかんいかん。つい郷愁に浸ってしまった)

さやか(あいつは結局、しばらくはバイオリンが恋人なんだっけか)

さやか(まったく。こーんな美少女二人から言い寄られたってのに、頑固な奴)クスッ


 ――か。――やか!


さやか(ん?呼ばれた……ような?)


ほむら「美!樹!さやか!!!」

さやか「どっひえ!?」


 びっくーん


ほむら「何を呆けているのよ、もう」

さやか「ははは、つい妄想に耽ってました、はい……」

ほむら「ラッピング、綺麗に仕上げてもらったわ。ほら」

さやか「おー、かわいい!箱に入れてくれたんだね」

ほむら「……ねぇ」

さやか「ん、なーに?」


ほむら「泣いてるの?」

さやか「!!」ビクッ


ほむら「まったくあなたって人は……どうせクリスマスの気にあてられたんでしょう」

さやか「……むぅ。ほっといてよ」

ほむら「――ほっとけないわよ、そんな顔して。ほら、ちょっとこっち向きなさい」


 ふかっ


さやか「むぇっ!?」

ほむら「泣き跡。拭いてあげてるの」


 ふかふか


さやか「ど、どうも……」ズビ

さやか(ほむらってこんな性格だったっけ……)


ほむら「……なに人の顔見て怪訝そうな顔してるのよ」

さやか「えっ!?いやぁ、ほら、ほむらってこんな性格だったかなぁ、って……」

ほむら「……私だって好きでやってるわけじゃないわよ。ただ、あなたが魔女化したらまどかが悲しむから」プイッ


さやか「……ふふっ」

ほむら「な、なによ!?」

さやか「ううん、なんでもない!そっかそっか。ま、せいぜい魔女化しないように気をつけますって!」

ほむら「……そう。わかってるならいいわ」

さやか「ふふふっ」

ほむら「何よ気色悪いわね」

さやか「なーんでもないっ!――あ、そうだ。この近くにケーキのおいしいカフェがあるんだけど、寄っていかない?」

ほむら「ケーキ?」

さやか「マミさんに教えてもらったんだ。ね、行こうよ!」

ほむら「……はぁ。仕方がないわね……少しだけよ?」

さやか「!よーし、それじゃあカフェに向けていざしゅっぱーつ!」


 ――ちょっと、往来で絡まないでよ!!

 ――いいじゃないか~ あたしとほむらの仲じゃんか~

 ――私はそういう仲になったつもりは微塵もないわよ?

 ――酷っ!? ガーン




おわり

以上になります。
クリスマス、か……(遠い目)

こんにちは、クリスマスイブですね。
自分は今年は自宅でさやかちゃんとまったり過ごす予定です。
本日の投下は前編・後編に分けて投下したいと思います。

タイトル「クリスマスーパーティー」


マミ「冬だ!」

杏子「クリスマスだ!」

さやか「パーティだ!!」


 「「イェ~イ!!!」」ドンドンパフパフ


まどか「な、なんかみんなテンションがおかしいよぉ……」

ほむら「まどか。気にしてはいけないわ」

まどか「ほむらちゃん……」

さやか「ハイそこ二人の世界に入らなーい」

杏子「マミー、この皿もう運んでいいかー?」ガチャガチャ

マミ「ちょっとまってー、もうちょっとで焼けるとおもうからー!」

杏子「おう、わかったー」


 わちゃわちゃ がやがや


まどか「わはー!にぎやかでいいねぇ、さやかちゃん」

さやか「やっぱりさ、なんだかんだ言ってもせっかくのクリスマスなんだから騒がなくっちゃね!」


 ぱーん!


マミ「きゃっ!?」

杏子「にししー、驚いた?クラッカーだよ!」

マミ「もうっ佐倉さん!めっ」


 でこぴんっ


杏子「いてっ!?」

さやか「あはは、杏子のおでこ赤くなってる!」


 ちーん♪


マミ「さ、料理ができたわよー!」

まどか「わぁー……いい香り」

さやか「七面鳥の丸焼きなんて、本物は初めて見たよ」

ほむら「意外に大きいのね……食べきれるかしら」

さやか「杏子がいるから大丈夫だって!」

杏子「おう、今日は食うぞー!」

まどか「うぇひひっ、杏子ちゃん気合ばっちりだね!」

マミ「じゃあ美樹さん、切り分けをお願いできるかしら?」

さやか「まーかせてください!さやかちゃんにかかればー……」


 しゅぱぱぱっ


杏子「マミ!切り分けたぞ!食っていい?食っていい??」

さやか「ちょ、杏子ー!?あたしの見せ場!!」

まどか「あはは……出番とられちゃったねぇさやかちゃん」

さやか「むぅー……あとで覚えてろよぉ……」


マミ「それじゃあ、みんな揃って」


 「「いただきます!」」


――――

――


さやか「ふぅ……食べすぎたぁ……」

まどか「もうおなかぱんぱんだよ……」

杏子「てめーら!まだブロッコリーが残ってんぞ、食うか寄越すかしろ!」


 ばくばく もぐもぐ


まどか「杏子ちゃん凄すぎ……おねがい、このブロッコリーも食べてぇ」きゅう

杏子「おう!むぐぐ……ぱくぱく……ごっくん。ごちそうさまでしたっ!」

さやか「おぉう、完食……はんぱねぇー」

マミ「これだけ食べてくれると作った甲斐があるってものね……」


ほむら「…………」

まどか「ほむらちゃん……大丈夫……?」

ほむら「ええ……大丈夫よ、まどか……ちょっと食べ過ぎたみたいで苦しくて……」

さやか「あ、そういえばキャ○ジン持ってきてたんだった。いる?」

ほむら「ひとつ……もらおうかしら……」

まどか「さやかちゃん準備いいねぇ」

さやか「想定の範囲内だよ」ゴソゴソ


杏子「さ、ケーキ、ケーキ♪」

マミ「ちょ、ちょっと待って。今は死屍累々だからもうちょっとしてから食べましょう?ね?」

杏子「ちぇーっ」

さやか「」ゾクッ


まどか「そうだ、お腹がこなれるまでみんなで人生ゲームしない?」

さやか「お、いいねぇ」

まどか「じゃあまずは順番決めからだね、それっ」


------------------

マミ「あら、パイロットになれたわ。幸先がいいわね」

------------------

さやか「うそん、離婚マスとかあるの!?」

------------------

杏子「なんかすげー子沢山なんだけど……」

さやか「車に乗り切れてない子がいるね……」

------------------

まどか「やったー!一番乗り!」

ほむら「おめでとう、まどか」

------------------


さやか「はぁー、だいぶお腹が楽になったよ」

杏子「お!じゃあそろそろ……」

マミ「はいはい、ケーキね」

まどか「楽しみだなぁ、マミさんの手作りケーキ」

さやか「なんだっけ、びゅ……びゅっすどのえる?」

ほむら「ビュッシュドノエル、ね」

さやか「そう、それそれ」


マミ「お待たせしました、びゅっす……ビュッシュドゥノエルです!」

さやか(噛んだ)

まどか(噛んだ)

杏子(噛んだな)

ほむら(噛んだわね……)

マミ「もうっみんなそんな顔で見ないでよっ!」


 まっかっか


さやか「あははっマミさん可愛い!」

マミ「美樹さんったら、茶化さないでっ」プンスカ

まどか「マミさんかーわいいー♪」

マミ「鹿目さんまで!?」


 わいわい


杏子「……」

ほむら「杏子?」

杏子「あ、いやわりぃ。考え事してた」

ほむら「……そう」

杏子「……――なーんつーかさ。いいな、こういうのも」

ほむら「……そう、ね。こんなゆるいクリスマスも、ありなんじゃないかしら」

杏子「ふふっ。あいつらみてるとさ、なんかこっちまで元気がわいてくるような気がするんだ」

ほむら「奇遇ね。私もよ」

杏子「……あははっ」

ほむら「ふふっ」


さやか「あっ!ほむら!なーに笑ってるの?」

ほむら「なんでもないわ」

杏子「そうそう、なんでもねーよ。それより早いとこケーキを切ってくれよ。見せ場なんだろ?」

さやか「さっきその見せ場を奪ったのはどこの誰でしょうねー!?」

杏子「さぁな?」フフン


マミ「美樹さん、厚さは大体2cmくらいでお願いできるかしら?」

さやか「任せてください!……まどか、2cmってこんくらい?」

まどか「うーん、もうちょっと左かな?」

ほむら「正確にはその1.5mm左ね」

さやか「おっ、さすが弾道計算マニア!」

ほむら「」イラッ

さやか「うおっ!?無言で机を揺らすのはやめてぇぇ!」

ほむら「さっさと切り分けなさい、さやか。杏子が飢えた獣の目であなたを狙っているわよ」

さやか「は、はいぃっ!!一番!美樹さやか、行きます!」


 しぱぱぱっ


 「「おおおお~……」」


さやか「ふふんっどうだ!」

ほむら「……これは、厚さ3cmね」

マミ「――あっ、で、でも!ほ、ほら見て!断面はとっても綺麗よ!?」

さやか「」ガーン

杏子「そんな事はどうでもいいからさっさと食おうぜ!どうせおかわりすんだろ?」

マミ「はいはい、今取り分けますからね」


 かちゃかちゃ



さやか「あ、ねぇ。そういえばさ、ケーキ食べる前になんか歌とか歌わないの?」

まどか「さやかちゃん、それは誕生日だよ」

さやか「そうだっけ?じゃあ街中で流れてるあれは?」

ほむら「ただの雰囲気作りね」

さやか「なーんだ、そうだったのかぁ……」

杏子「ま、確かに歌うと言えば歌うが、ケーキとは全く関係ないな」

さやか「!」


マミ「さ、ケーキがお皿にとれたわよ。いただきますしましょうか」

さやか「~~♪」

まどか「!~~♪」

杏子「諦めてなかったのな……」


さやか「うぃーうぃっしゅゆーあめりーくりすます♪」

まどか「ウィーウィッシュユーアメリークリスマス♪」

マミ「ウィーウィッシュ・ユー・ア・メリークリスマス♪」

サヤカ「あんどぁ」


 「「ハッピーニューイヤー♪」」




つづく

以上で一旦中断させていただきます。
続きはまた今夜に。


------------------------

---------------


さやか「はぁーさっぱりしたぁ」


 ほかほか


まどか「マミさん、お風呂先失礼しました」ホカホカ

ほむら「……」ペコリ

マミ「おかえりなさい、冷蔵庫にコーヒー牛乳とフルーツ牛乳が入ってるわよ。――じゃ、佐倉さん。私達も入りましょうか?」グイッ


 ぐいぐい


杏子「ゲッ!マジだったのかよ!?」

マミ「当たり前じゃないの。光熱費だってバカにならないのよ?」

杏子「チッ……仕方ねーな、今日くらい一緒に入ってやるよ」

マミ「うふふ、じゃあ行きましょうか」

杏子「――ったく……」


さやか「まどか、牛乳とってくるけどコーヒーとフルーツどっちがいい?」

まどか「あ、私フルーツで!ほむらちゃんは?」

ほむら「フルー……コーヒーで」

さやか「あいよ、コーヒー2のフルーツ1ね」

まどか「ありがとー!」

さやか「――~~♪」ガチャガチャ

ほむら「……」


ほむら「――ねぇ、まどか」

まどか「なぁにほむらちゃん?」

ほむら「これ、日ごろの感謝を込めて……メリークリスマス」


 がさっ


まどか「わぁ……!もしかしてプレゼント?ありがとう、ほむらちゃん!――ねね、開けてもいいかな?」

ほむら「もちろんよ」

まどか「わーい!何だろうなぁ……」ガサゴソ


 きらんっ


まどか「……!わぁ……素敵なネックレス……!」

ほむら「その……どうかしら?気に入ってもらえるとうれしいんだけど……」


 おずおず


まどか「もちろんだよほむらちゃん!私、すっごくうれしい!綺麗だなぁ……」

ほむら「よかった……」ホッ


まどか「あっ」

ほむら「っ!?な、何かあったかしら!?」ビクッ

まどか「あっ!?ごめんね、そういうわけじゃなくって……ただ、私は何も用意できてないから、その……」

ほむら「あぁ、そういう……別に気にしないで。ただ、日ごろの感謝を示すのにちょうどいい機会だと思ったから……」

まどか「ええー、私何かできてたっけ?」

ほむら「できてたわ、とってもたくさんの事。だから、改めてありがとうを言わせて欲しいの」

まどか「てへへ……なんだか照れちゃうなぁ……」

さやか「たっだいま~!はい牛乳……ってなんだかいい雰囲気じゃん二人とも。なんかあった?」

まどか「てへへ……実はね、これほむらちゃんにもらっちゃった」


きらきら


さやか「おー、綺麗じゃん!似合う似合う、よかったねぇまどか」

まどか「うん!」


杏子「あー、さっぱりした……ってなんだなんだ、プレゼント大会か?」

さやか「うん、ほむらからまどかへ愛のプレゼントだってさ!」

杏子「おっ、やるねぇ!ひゅーひゅー!」

ほむら「ちょ、ちょっと杏子――」

マミ「あら、恋人がこの中に潜んでるの?妬けちゃうわぁ」

ほむら「マミまで!?」

さやか「そんなけしからん奴らは、こうだーっ!」

まどか「きゃーっ♪」

ほむら「ひゃ、やめ、くすぐった……!」


 わーわー きゃーきゃー


マミ「うふふ、仲がいいわねぇ」

杏子「羨ましいんなら混ざればいいのに」

マミ「わかってないわね。こういうのははたから眺めながらフルーツ牛乳を頂くのが乙ってものなのよ」

杏子「ふーん、そういうもんなのか」

マミ「そういうもんなのよ」


 わーわー きゃーきゃー


 ――きゃはははっ

 ――ちょっと、呼吸が――

 ――……

 ……


 朝。

 チュンチュン


さやか「……んあーっよく寝たっ!」


 のびー


さやか「あれ、みんなまだ寝てるのか……でもカーテン開けちゃおっ」


 シャッ


さやか「……うおおおおおっ!?」

さやか「ねぇ、みんなちょっとほら起きて!起きて!」

ほむら「ふわぁ……今何時だと思ってるのよ……」

まどか「んねむぅ……どうしらの、さやかひゃん……」

さやか「窓の外見てみてよ!ベランダに雪積もってるよ!」

まどか「えっ!?」


 がばっ


まどか「うわぁ……!ほんとだ、真っ白!」

マミ「一晩にして随分積もったわねぇ」

ほむら「……?あら……足跡?」

マミ「えっ!?」


ほむら「ほら、あの端っこ、室外機の前あたり。だいぶ雪に埋もれてるけど、確かに足跡が残ってるわ」

マミ「ちょっとどういう事!?まさか、泥棒……!」サーッ

杏子「……!おい、ちょっとこっちきてみろよ!愉快なことになってるよ!」

マミ「えっ、ちょ、何、どうしたの!?」ドタバタ


マミ「――あっ」

さやか「クリスマスツリーの下に……」

まどか「プレゼント……?」

杏子「昨夜律儀に置いておいたクッキーと牛乳も、しっかりなくなってるぜ?」ケラケラ

ほむら「ちょっと、サンタクロースでも来たって言うの?」

杏子「その方が夢があるだろ?あたしたちはまだ中学生なんだしさ」

さやか「……ねえ、もしかして、もしかしたらさ。案外サンタさんってのも、どこかの魔法少女が叶えた希望だったりしてね」

まどか「世界中の人に夢を与える希望かぁ……」

マミ「私はあの足跡が不審者の物じゃなければ何でもいいわ……」

まどか「あはは……」

杏子「ま、そんな事はどうでもいいとして!折角なんだからとりあえず開けてみようぜ?」

さやか「賛成!」


 わいわい ばりばりばりぃっ

 がさがさ ごそごそ

 きゃーっ!これ欲しかったのぉ……!

 あはははは、マミさんもはしゃいじゃって!

 ――――……

 ……




おわり

以上になります。
では、また近いうちに。

いつも乙をありがとうございます、とても励みになっております!
本日の投下に参りました。

タイトルは、「ホームベーカリー」


さやか「……」

ホームベーカリー「」ウィン ウィン


 うぃん うぃん


さやか「……」


 うぃん うぃん

 うぃん うぃん

 うぃ……


ホームベーカリー「」シーン


さやか「あれ?止まっちゃったよ?」

まどか「今はね、生地を寝かせているんだよ」

さやか「ふーん……」

ホームベーカリー「……」

さやか「……」じーっ



ホームベーカリー「ガッタン!!バッタン!!!」

さやか「ッ!?」


 びくぅっ


さやか「な、なななに今の!?脅し!?」

まどか「あはは、あれはね、ドライイーストを生地にまぶした音だよ」

さやか「ふーん……なにさ、驚かせやがって!」

ホームベーカリー「……」シーン

さやか「あれ……混ぜないの?」

まどか「しばらくはドライイーストに湿り気を与えるためにまた寝かせておくんだよ」

さやか「ふーん……なる、ほど……?」

ホームベーカリー「……」


ホームベーカリー「……ガッ ガッ ガッ」


さやか「お?」

まどか「また捏ね始めたね」


 ガッ ガッ ガッ

 ガッ ガッ ガッ


さやか「えらく乱暴に混ぜるよね、この子」

まどか「でも地は繊細なんだよ?」

さやか「そっか、機械だもんね」

まどか「そうそう」


ホームベーカリー「ガッ ガッ ガッ」


 ガッ ガッ ガッ

 ガガガガガガガガガ


さやか「うおー、スピードアップした」


 ガガガガガガガガガ

 ガガガ……――


ホームベーカリー「……」

さやか「……?」



ホームベーカリー「バッコン!!」

さやか「ッ!?」


 びくっ


まどか「今のはレーズンを入れた音だよ」

さやか「いちいち心臓に悪いわ……」ドキドキ



ホームベーカリー「ガッ ガッ ガッ」

さやか「……」


 ガッ ガッ ガッ

 ガッ ガッ ガッ


さやか「……」


 ガッ ガッ ガッ

 ガッ ガッ ガッ


さやか「……」


ホームベーカリー「ガッ ガッ……」シーン

さやか「……」

さやか「…………」

まどか「あれ……さやかちゃん、もしかして眠い?」

さやか「ん……」

まどか「ほら、こっちのソファおいで」


 隣ぽんぽん


さやか「うん……」


 ふらふら

 ぽすっ


まどか「ふふっ、ひざまくらだよ。おやすみ、さやかちゃん」

さやか「すー……すー……」


――

――――


――――

――


さやか「――はっ!?まどか、パンは!?」ガバッ

まどか「あ、起きた?パンは今ちょうど焼けたところだよ」

さやか「よかったぁ……」ホッ

まどか「さ、蓋を開けてみてよ!」

さやか「う、うん!」ドキドキ


 ぱかっ


 ふかぁっ


さやか「うおおおお!なんかすごい膨らんでる!!」キラキラ

まどか「てぃひひ、うちの子すごいでしょ?」

さやか「うんうん!!……ところでこれ、どうやって出すの?」

まどか「あ、ちょっと難しいからやってあげるね」

さやか「ん、お願い」


 がちゃがちゃ カコン ぽこっ


まどか「それで、このパンケースから取り出せば……」

パン「ふかふかっ」

さやか「ふぉぉぉぉぉ……これが噂のホームベーカリーのパン……!」


さやか「ねねまどか、あれやっていい?CMの、手でフカァって割るやつ!」

まどか「うん、もちろんいいよ!熱いから気をつけてね?」

さやか「では……いきます!」

パン「ふかふかっ」

さやか「あちちっ!!うおお、存外に熱いなこれ!でも負けない!」

さやか「むしって、ほい!何これ超柔らかい……!うわぁぁぁいっただっきまーす!」

まどか「どうぞ、召し上がれ!」

さやか「はむっ、はふっはふっ……」

さやか「……」

まどか「……?」

さやか「……うまい……うますぎるでしょうこれ……!」

さやか「今まで食べてたパンってなんだったの!?ってくらいおいしいよまどか!!」

まどか「うぇひひっ、気に入ってくれた?」

さやか「うんっ!」パクパク モグモグ


さやか「ぷぅ……おなかいっぱい!ご馳走様でした」

まどか「お粗末さまです。余ったパンは袋に入れておくね」

さやか「何から何までありがとう、まどか」

まどか「さやかちゃん、いつもがんばって街を守ってくれてるんだもん。お安い御用だよ」ティヒヒッ

さやか「あはは、照れますなぁ~」テレテレ


さやか「それじゃ、そろそろお暇させてもらおうかな。パトロールの時間なんだ」

まどか「そっか……気をつけてね?」

さやか「ん、大丈夫だって!ほむらもマミさんもいるんだし!」

さやか「じゃ、行ってくるよ」

まどか「いってらっしゃい!」


  ――また明日学校でねー!

  ――おーう!またねー! ブンブン




おしまい

以上になります。
では、また近いうちに。

こんばんわ。今日の投下に来ました。

タイトルは、「さんぽ」


――――……

 ひゅうううう


さやか「う、寒っ……」


 てくてく てくてく


さやか「はぁ……息が白いや」


 てくてく てくてく


さやか「……」


 てくてく てくてく


さやか「……あ。まどかんちだ」

さやか「慣れって怖いな……」


 てくてく てくてく


さやか「……」テクテク

さやか「そうだ。商店街の方も見て行こうかな……」


 てくてく てくてく


さやか「……ん。たまにはこっちの道から……」


 てくてく てくてく


さやか「……」

さやか「あー。DSもってくればよかった。すれ違い通信……」

さやか「……ま、いっか。明日こっそり学校に持っていこう」


 ――商店街


 わいわい がやがや


さやか「お、今日は小松菜が安いな」

さやか「でも買わない」

さやか「なんたってお財布持ってないからね」


 てくてく てくてく


さやか「……家具屋さん、セールしてる」

さやか「なんてこった。財布持ってきてないよ……」

さやか「……」

さやか「ふーん、明日までやってるのか」

さやか「……」

さやか「……はっ」

さやか「いかんいかん。これ以上椅子を増やしてどうする気だあたしは」

さやか「今ある椅子を大事にするんだ……」


 てくてく てくてく


さやか「……後ろ髪引かれる気持ちってこういう事なのか」

さやか「あー。中だけでも見てくればよかったな……」

さやか「……はっ」

さやか「だめだ。物欲が止まらない」

さやか「……」


さやか「……あれっ?あれってマミさん?」

さやか「それにしてはちょっと小柄なような……」

さやか「……」ドキドキ

さやか「…………あ」

さやか「なんだ。やっぱり別人か」

さやか「声かけなくてよかった……」


さやか「それにしても結構いるもんなんだな、ああいうクリクリした髪型にしてる人」

さやか「かわいいけどセットにすごい時間使うんだよね……」

さやか「……」

さやか「あたしはしばらくは今のままでいいや」

さやか「だって朝ギリギリだし」

さやか「……はぁ。こんなだから男っぽいって言われちゃうのかなぁ」


 てくてく てくてく


さやか「……」

さやか「おや、猫だ。にゃーお」

さやか「……あ」

さやか「行っちゃった。なんだよー、返事くらいくれよぉ……」

さやか「……はぁ」


 てくてく てくてく


さやか「賑やか商店街を抜け出すと、そこには数々のビルが立ち並んでいた」

さやか「っていうかオフィス街なだけなんですけどね」


 てくてく てくてく


さやか「見滝原中心街。もとい、魔女のるつぼ」

さやか「なぜなら、ちょっと脇に出ればすぐ歓楽街があるから」

さやか「……ん。今の時間帯はまだいないかな」


 てくてく てくてく


さやか「……」


 てくてく てくてく


さやか「公園。夜になると虹色に光る噴水がある」

さやか「今は子供達が走り回ってる。土曜日の昼間だしね」

さやか「……あ。あの子、危ない――!」


 ぱしっ


さやか「――ほい、キャッチ。噴水に登っちゃだめでしょ!めっ」

さやか「もう……あ、お母さん?……ああ、いえいえ、とんでもない。それじゃあ、さようなら」


 てくてく てくてく


さやか「……」


 てくてく てくてく


さやか「……川辺。特に何もない」


 てくてく てくてく


さやか「……」


 てくてく てくてく

 ひゅうぅぅぅっ


さやか「う、さぶっ……」


 ぶるぶるっ



 ――――……

 ぴっ ぴっぴっぴっ ぴっ

 びー ……ばたん


 ぴんぽーん がたん

 ぐいーん……

 ぴんぽーん


 かつん こつん かつん こつん かつん こつん

 かつん……


さやか「……はー。鍵、鍵……どこやったかな……」


 がそごそ


さやか「ん。あった」


 がちゃちゃっ がちゃっ

 ぎっ


さやか「ただーまー。あー寒かった……」


 ばたん。





おしまい

以上になります。いつもお付き合いいただきありがとうございます。
では、また!

しまった。明日学校に行こうとかいったそばから今日は土曜日とか言っちゃってるけど華麗にスルーしていただけるとうれしいです\(^o^)/

あけましておめでとうございます!今年もよろしくおねがいします。
本年初投下になります、「ナスビ」です。
ではどうぞ。


 上条宅


 ――~~♪


上条「~~♪」

さやか「……」


 ~~♪


上条「~♪――、……ふぅ……」


 ぺこり


さやか「……凄い、凄く良かったよ恭介!」


 ぱちぱちぱちぱち


上条「あはは、照れるな。ありがとうさやか」

さやか「あたしが言うのもあれだけど、ずいぶん上達したんじゃない?」

上条「おかげさまでね。最近、有名な先生がついてくれるようになったんだ」

さやか「本当!?凄い!」

上条「うん、そうなんだけど……」

さやか「……?どうしたの?」


上条「その事でなんだけど……ちょっと相談があるんだ」

さやか「……何?」


上条「……実は今度、本格的に先生の下で修行するために……しばらく静岡に行くことになったんだ」


さやか「えっ……」

さやか「――っ、よ、よかったじゃん!しっかり教えてもらっておいでよ!」

さやか「あー、ついに恭介も出世かぁ!あははは、さやかちゃんも尽くした甲斐があるってもんよ!あは、あははは……」


上条「うん……よかったよ。……それでね、えっと……もう一つ、あるんだけど……」

上条「その、お願いというか……さやかさえよければ、なんだけど……」

さやか「うん?なんだなんだ、さやかちゃんに言ってごらん?いっ、今ならなんでもきくよ?」


上条「……うん、その、……えっと、」

さやか「……」ゴクリ


上条「さやかさえよければ……――僕と一緒に静岡へ来てくれないか?」

さやか「……え……?」


上条「もう一度言うよ。僕と一緒に静岡に来てほしいんだ」

さやか「それって、どういう……」

上条「幼なじみとしてじゃない。恋人としてついて来て欲しいんだ。さやか」


上条「僕と一緒に富士山の麓で生活してくれないか」


さやか「……っ」

上条「……やっぱり、今更だよね……ごめん、忘れ――ってさやか!?」


 たたたっ

 ぎゅっ


さやか「……っく、ひっく……ぎょうずげの、ばがぁ……」

上条「な、な、な……抱きつっ……泣きっ……!?」


さやか「ごどわるわげ、ないじゃっ……だいす――」


仁美「ちょっと待ったーッ!ですわ!!」


 がしゃーん!!


さやか「ひ、仁美!?ちょ、まさかっ――」

仁美「上条君!抜け駆けは許しませんわッ!!」


 つかつかつか


さやか「えっ?」

上条「ぐっ……志筑さん!?」

仁美「さやかさんは!」

仁美「既に!わたくしのものでしてよ!」

さやか「……えっ」


仁美「わたくし、毎日毎日来る日も来る日も、晴れの日も雨の日もさやかさんを見守って参りました」

仁美「そう、獲物を狙う鷹のように、鋭く、じっくり、いつも、いつまでも……」


仁美「あぁ、わたくしさやかさんの事情は総て把握しておりますわ。朝起きる時間、着替えの時間、夜な夜な正義の為に戦う時間……」

さやか「!?」


ぞくっ


仁美「ですので、上条君の入る隙間など既に無いも等しいのでございます!」

上条「――志筑さん、まさか君は……」

仁美「ええ、お察しの通りですわ」


仁美「わたくし、ずーっと前からさやかさんをお慕い申しておりますの」

さやか「……えっ!?」


仁美「もちろん、さやかさんもわたくしの事を好いていて下さるに違いありません!」

仁美「なにせ、わたくし以上にさやかさんを想っている人間なんて……」


仁美「存在していては、いけないのですから」


 すっ

 どさっ


さやか「ちょ、仁美!?」

さやか「っ!!やめっ、あたしの上からどいてぇ……っ!」

仁美「嗚呼、わたくし何度も何度もさやかさんとこうしたいと夢見ておりました」ウットリ


 ぐいっ


さやか「ひゃあっ!」

仁美「さあ!今こそわたくしのこの熱いナスビを!そのかわいいお口で受け止めて下さいまし!!」

さやか「!?な、なにそのナスビッ!?や、やめっ……」


 うわあああぁぁぁぁ……

 ぁぁぁぁぁ……

 ……


――

――――


まどか「……」

仁美「……」


さやか「うーん……らめぇ、そんな……むにゃ……」


まどか「さやかちゃん、なんか凄いうなされてるね……」

仁美「さっきまで随分幸せそうな寝顔でしたのに……」


さやか「んにゃ……むにゃ……ひゃ、な、ナスビはだめぇぇッ!!」


 ガバッ


まどか「あ」

仁美「おはようございます、さやかさん」

さやか「ハァ、ハァ……ッ!!ひ、仁美ッ!?」


 びくぅっ


仁美「ちょ……なんか傷付きますわ……」ガーン

さやか「あれ……夢……?」

まどか「んもー、さやかちゃんったら寝ぼけちゃってぇ」


まどか「仁美ちゃんと一緒にあけましておめでとうを言いに来たんだけど……あまりにも幸せそうな寝顔だったからずっと起こさないで待ってたんだよ?」

さやか「そ、そうなんだ……ハァ、夢でよかったぁ……」


仁美「ナスビ」ボソッ

さやか「!?」


 びびくぅっ




おしまい

以上になります。いつも乙をありがとうございます!
さやかちゃんかわいいナスビしたいなすび

こんばんわ、投下に参りました。
本日のタイトルは、「暇」です。
では、よろしくおねがいします。


 川原


すずめ「ちゅんちゅん」


さやか「……」

まどか「……」

すずめ「ちゅんちゅん」


さやか「……なんてゆーか……」

まどか「うん……」


さやか「暇だ……」

まどか「暇だね……」

すずめ「ちゅんちゅん」


さやか「……」

まどか「……」


さやか「……あー」

まどか「?」

さやか「川が流れてるね……」

まどか「そうだねぇ……」

さやか「水、つめたそうだね」

まどか「つめたそうだねぇ……」


さやか「……」

まどか「……」

お日様「さんさん」


さやか「太陽があったかいや……」

まどか「あったかいねぇ……」

お日様「さんさん」


さやか「……」

まどか「……」


さやか「……あー」

まどか「?」

さやか「あれ、あれなんてゆーんだっけ」

まどか「あれってどれ?」

さやか「あのいっぱい生えてて白くてくるくる回ってるやつ」

まどか「……風力発電?」

さやか「あ、それそれ」

まどか「風力発電機がどうかしたの?」

さやか「んーん、特になんにも……」

まどか「そっか……」


さやか「……」

まどか「……」


風力発電「くるくる」

さやか「……」

まどか「……」


杏子「……ん?あれ?あんたらこんなとこでなにしてんだ?」


さやか「あー、杏子だー」

まどか「ほんとだ、杏子ちゃんこんにちはー」

杏子「随分とまぁ……だらけてんな……」

さやか「あはははー、どーにも暇すぎてさー」

まどか「杏子ちゃんはどうしたの?」

杏子「アタシはただ……その、通りかかっただけだよ」フイッ


 がさっ


さやか「!あんた、それもしかして……」

杏子「ちょっ、がっつくなよ!……あーもう、バレちまったもんは仕方ねーな……一本だけだぞ?」

まどか「わーい焼き芋ー♪」


 がさごそ


さやか「んー甘ーい……んひひ、ほくほく~」

まどか「おいひーねぇしゃやかひゃん」

杏子「やっぱこの芋だよ、はるばる見滝原まで買いに来た甲斐があるってもんだ……あちちっ」


 ほくほく もぐもぐ

 ほくほく もぐもぐ


さやか「……あー生き返るわぁ……ありがとう杏子」

杏子「どういたしまして」モグモグ

まどか「それにしても杏子ちゃん、よく食べるねぇ」

杏子「まーな、それだけ動いてるしな」モグモグ


 ほくほく もぐもぐ

 ほくほく もぐもぐ


さやか「ごちそうさまでしたっ」

まどか「すっごく美味しかったです!」

杏子「おー、どうもどうも。今度はそっちが何かおごってくれよな?」

さやか「まっかせといてよ!」

杏子「よし、アタシはもう行くよ。じゃあな」

まどか「またねー!」


 ばいばい



さやか「あー、お芋美味しかったね」

まどか「美味しかったねぇ……」


さやか「……」

まどか「……」


さやか「……暇だ」

まどか「暇だねぇ……」

すずめ「ちゅんちゅん」




おしまい

以上です。
本日もお付き合いいただきありがとうございました!

こんばんわ、今夜の投下に来ました。
寒い日の焼き芋は最高だと思います。

今回は、「紙ひこうき」です。よろしくおねがいします。


 学校の屋上にて


さやか「――そーいえばさ、まどかは考えたことない?」

まどか「んー、何を?」

さやか「こっから思いっきり紙ひこうきを飛ばしたらさ、どんくらい飛ぶのかなーって」

まどか「あー」

さやか「あの大きい家くらいまでは行くかなぁ」

まどか「もうちょっといきそうじゃない?」

さやか「じゃああのビルくらい?」


 ちまっ


まどか「う、うーん……流石にちょっと遠くないかなぁ」

さやか「んー……あ、そうだ!」

まどか「?」

さやか「こういう事は、やっぱりほむらが詳しそうじゃん?」

まどか「あ、確かに得意かもしれないねぇ」


さやか「と、いう事でっ」


 じゃじゃんっ


ほむら「……」

さやか「突発☆放課後紙ひこうき大会~!」

まどか「わー」


 ぱちぱちぱちぱち


ほむら「全く……なんてアホらしい事を考え付くのかしら……」

まどか「まあまあ、ほむらちゃんお願い、ねっ?」

ほむら「……はぁ。仕方がないわね……今回限りよ?」

さやか「やっりぃ!さすがほむらさぁん!」

ほむら「」イラッ


まどか「と、ところでほむらちゃんの見立てではどれくらい飛びそうだと思う?」

ほむら「そうね……この風なら大体あの瓦の屋根の屋敷くらいまでかしらね」

さやか「うーん?……ほぉ~、結構飛びそうだねぇ」

ほむら「もちろん紙ひこうきの出来にもよるわよ?」

さやか「そこらへんは任せてよ!」


 えっへん


さやか「じゃあ早速、この折り紙で……」


さやか「じゃ~ん。薄紫の暁美号~」

まどか「さやかちゃん随分手馴れてるねぇ」

さやか「んふふ、まぁねぇ。じゃあほむらさん、お願いします!」


ほむら「風向きからすると……ん、若干上向き修正ね……」

さやか「どきどき」

ほむら「……いくわよ」


ほむら「――えいっ!」


 ぶんっ


まどか「あっ」


 ぐわん ぐわん


        ぼてっ



ほむら「~~~~っ!?」プルプル

さやか「ど、どんまい!よっ……よくある事さ!」

ほむら「……」ズーン

さやか「よ、よーし!さやかちゃんも紙ひこうき飛ばしちゃうぞー!?」


さやか「じゃーん。水色のさやかちゃん号~」

まどか「ほ、ほむらちゃん……大丈夫?」

ほむら「うぅ……さやか、手の角度はもうすこし右寄りにしなさい……そう、それくらい……はぁ……」

さやか「おぅ、予想以上の沈みっぷり……」


さやか「よし、飛ばすよー!」

さやか「えいっ!」


 すっ


まどか「おぉー……あっ!?」


 すこんっ

        ぼてっ



さやか「この柵……っ!柵にぶつかった……っ!!」ガンッガンッ

まどか「さやかちゃん!柵にあたらないで!壊れちゃう!」


さやか「――まどか!」キッ

まどか「うんっ!?」ビクッ

さやか「こうなったらまどかが最後の頼みだよ!思いっきり飛ばしてちょうだい!」

まどか「えぇー!?」

さやか「まどかには、ええと……これだ!」


さやか「じゃーん。一枚だけ入ってた金色のまどか号~」

まどか「す、すごい輝いてるねぇ……」

さやか「やっぱりさ、金色ってなんか特別感あるじゃん!飛びそうじゃん!」

ほむら「あなたって本当に……いえ、何も言わないわ……」

さやか「さ、まどか!すいーっと飛ばしてちょうだい!」


ほむら「まどか、もうちょっと手首を……そう、それくらいね、上手よ……そのままよ、滑らせるように飛ばしてみて」

まどか「う、うん!」


まどか「いくよぉっ……」

まどか「えーいっ!」


 すっ


さやか「お……おぉーっ!これは行くか?」


 すいーっ


カラス「カァー」


 ぱしっ


「「「あっ!?」」」



 カァー カァー



まどか「……」

さやか「……」

ほむら「……」


 カァー カァー……



その後、三人は金色の紙ひこうきをくわえたカラスが見えなくなるまで、呆然と佇んでいたという。


おしまい

以上です。
本日もお付き合いいただきありがとうございました!
では、また近いうちに。

こんばんわ。
意外に見てくれている方が多いようで驚いております。
なるべくたくさんの方に満足していただけるよう、これからも努力していきたいと思います。
つたない文章ではありますが、どうかよろしくおねがいします。

では、今日の投下です。
「美術」「おしるこ」の二本立てです。


さやか「うーん……」

マミ「どうしたの美樹さん?」

さやか「あ、マミさん。それがですね、実はさっきの美術の授業で……」

マミ「何か問題があったの?」

さやか「ちょっと、というかだいぶというか……」

マミ「……?」

さやか「課題がですね、”ダイナミックな構図で描いてみよう”ってやつだったんですけど……」

マミ「あぁアレね。私も去年描いたわ。屋上からの見下ろし図だったかしら」

さやか「あ、マミさんも描いたんですね。それで、その授業で……あたし、ダイナミックな構図って言われて最初に頭に出てきたのが魔女結界だった訳でして」

マミ「まさか」

さやか「……そのまさかです」


マミ「描いたの?」

さやか「……はい」

マミ「……どれを?」

さやか「この間やっつけたアレです。虫みたいなやつ。巨大な草むらみたいな結界だったから、大丈夫かなぁって……いわゆる小人視点みたいな?」

マミ「……それで、なんていわれたの?」

さやか「いやぁ、怒られはしなかったんですけど。なんかすげー心配されましたね、病気とか」

マミ「当たり前じゃない!あぁもう、一般人には結界なんて理解できるはずないのに……」

さやか「あはは……失念してました」

マミ「もう……描いちゃった物は仕方ないわね、ちゃんと先生にフォロー入れておくのよ?」

さやか「はぁい」



おしまい


杏子「なーさやかー、おしるこ食いたいんだけど、なーなー」


 ゆさゆさ


さやか「ちょっ、揺すらないでよ!つーかあたしんちにそんな都合よくおしるこなんてあるわけないでしょ」

杏子「おしるこ食いたい、おーしーるーこー」


 ゆさゆさ


さやか「外でて自分で買ってくればいいじゃん!」

杏子「やだ。めんどくさい」

さやか「あんたねぇ……」

杏子「外寒いし。というか正直コタツから出たくない」ゴソゴソ

さやか「ちょっと!?頭まで潜り込まないでよ!……あーもう、仕方ないなぁ……」

杏子「おっ?」ヒョコッ


さやか「えーと、確かここら辺に……」ガサゴソ

杏子「なんだなんだ、もしかして作ってくれるのか?」

さやか「先に言っとくけど、マミさんのみたいなのを期待しないでよ……と、あったあった」

杏子「なんだそれ?」

さやか「あずき缶。これを……」


 ぱかっ

 ざばー


さやか「お鍋にあけて、いい感じになるまで水で薄める」

杏子「おぉぉ?」

さやか「そしたらお鍋を火にかけて……あんたお餅はいくつ入れる?」

杏子「ふたつ食う!」

さやか「じゃあ合計みっつのお餅を焼いて、と」

さやか「しばし待つ」

杏子「どんくらい?」

さやか「お餅が焼けてあずき缶汁があつあつになるくらい」

杏子「ほぉ」


 ちーん♪


さやか「いい感じに焼きあがりましたー」

杏子「おー」

さやか「お椀に入れて、あつあつのあずき汁をかけて」


さやか「ほい、さやかちゃん特製おしるこー」ジャーン

杏子「よっ、待ってました!」

さやか「それでは、手と手を合わせて」

杏子「いただきます」


杏子「うひょー、おしるこおしるこー!」

さやか「もぐもぐ……適当に作ったけど、結構それっぽいでしょ?」

杏子「くぅー、体の芯まであったまる……んまい!サイコー!」

さやか「あはは、ありがと」

杏子「もちもち、もぐもぐ……ごっくん。――ん」ズイッ

さやか「……?」

杏子「おかわり!」ズイッ

さやか「あんたはどこの亭主だ」ペシン

杏子「なんなら、アンタの亭主になってやってもいいぜ?」

さやか「丁重にお断りします。っていうか餅くらい自分で焼きなさいよ!」

杏子「ちぇーっ」


杏子「さやかも餅おかわりするかー?」

さやか「あたしはおなかいっぱいだからいいやー」

杏子「了解、じゃあ3個かな」ゴトゴト

さやか「あんたどんだけ食べるのよ!?」

杏子「いいじゃねーかうまいんだから」

さやか「……もう、後悔してもしらないよ?」

杏子「だいじょーぶ、だいじょーぶだって♪」

さやか「本当、羨ましい体質してるわ……」

杏子「にひひ」



おしまい

以上です。
本日もありがとうございました。

こんばんわ、投下にやってきました。
声援をありがとうございます!とても励みになっております。

今回は、「探索」です。


さやか「おー、きれいなお月様」


 びゅうううう


さやか「うっ……寒っ……」ブルブルッ

さやか「さーてと……今日も気合入れて頑張りますかっ」



さやか「――と、いうわけで繁華街に来てみたわけですが」


 わいわい がやがや


さやか「いやー、夜だというのに相変わらず人が多いねぇ」


 わいわい がやがや


さやか「ん……ここまで魔女反応は無し」

さやか「実に平和だ」


さやか「……!やばっ!」バッ

警察官「おや?そこの君――」


警察官「――ってあれ?いない……確かにさっきまで中学生くらいの子がいたような気がしたんだけどな……」


さやか「……あー、危なかったぁ……」ホッ

さやか「しっかし……急とはいえ屋根まで跳ぶのは脚にくるなこりゃ」

さやか「そういや杏子のやつは毎回こんな事してるんだよね」

さやか「あんだけ食べても太らないわけだ……」


さやか「さーて、せっかくだから屋根伝いにぽんぽーんって飛んでいくアレ!」

さやか「アレやっちゃう?やっちゃう?」

さやか「よーし、やっちゃおう!」

さやか「せーのっ」


 ぽーん

  どしんっ!


さやか「うおっ!?」

さやか「結構すごい音がしてしまった」

さやか「逃げろ逃げろ」


 ぽーん

  どしんっ

 ぽーん

  とすんっ

 ぽーん

  すとんっ


さやか「結構慣れてきたかも」


 ぽーん ぽーん ぽーん


さやか「よっ、ほっ、ほいっ」


 ぽーん ぽーん ぽーん


さやか「よっ、こら、しょっ、と!」

さやか「ふぅー……結構遠くまで来たぞ」

さやか「北の住宅街らへんかな?」

さやか「ちょっとここらでひとやすみ、っと」ストン


さやか「んー、いい屋根だ」

さやか「雨どいがスラッとしていて……屋根瓦がこう、ひやっとしていて……うぶぶ、さぶっ」ブルブルッ

さやか「……――はぁー、星が綺麗だなぁ……」

さやか「雲一つない晴れ空ってやつ?」

さやか「……」


さやか「さてと、そろそろ行こうかな」ポンポン


 <ガタゴト


さやか「!」


箒を構えた男「――なんだ、何もいないじゃないですか。奥さんの見間違いじゃないんですか?」

鍋を被った女「あれー?おかしいですね……さっきまで確かにお宅の上に人影があったんですけど……」


さやか「……ふぅー、またしても危なかったぁ」

さやか「そりゃまあ屋根の上に人影はもろ不審者だよね……ちゃんと道を歩くことにしよう」


 てくてく


さやか「行けども行けども反応がない」

さやか「今日は平和だなぁ……いい事なんだけどさ」


さやか「さて、今度はどっちへ向かおう」

さやか「試しにちょっと横道に入ってみようかな?うーむ……」

さやか「どーちーらーにーしーよーうーかーな」

さやか「ん、こっち!」


 てくてく


さやか「――お?これは……」

さやか「むむむ」

さやか「もうちょい右」


 てくてく


さやか「……」

さやか「行き過ぎたか……」


 てくてく


さやか「……」


 てくてく


さやか「……んむ」


 てくてく ……ぴたっ


さやか「――みつけた」


さやか「さて……今夜もいっちょ、平和を守ってくるとしますか!」



おしまい

以上です。
ではまた、近いうちに。

こんばんわ、投下に参りました。
今回は「紺色に水玉模様」です。
つたないものですが、楽しんでいただけたら幸いです。


先生「~~であるからして、ここの問題は――」


さやか(はぁ……ゆうべのテレビ、おもしろかったなぁ……)

さやか(最近、魔女狩りの後の深夜番組が意外と面白いって事に気がついちゃったんだよね)

さやか(やばいなぁ……ただでさえ寝不足気味なのに)


さやか「ふぁ……」


さやか(っと、危ない危ない。この先生いつも厳しいんだよ)

さやか(それにしても……眠いなぁ……)


先生「じゃあ、この問題を……暁美。やってみろ」

ほむら「はい」


さやか(お。ほむらが当てられてる)

さやか(いたずらしてやろう)


さやか『ほむー、ほむほむー』テレパシー

ほむら『いきなり何よ、鬱陶しいわね』

さやか『ひひひー。なんでもない』

ほむら『なら電波飛ばさないで。集中できないわ』

さやか『集中なんてさせるもんか!ひひひ、ほむー、ほむほむー』

ほむら「……ッ」イライラ


 ボキッ


先生「お、おい……ペンが折れたが大丈夫か?」

ほむら「すいません、大丈夫です……なんでもありません……」

さやか『うひょー、ほむほむ怪力ぃー!』

ほむら「~~~~っ」イライライラッ


ほむら「できました……答えは、x=14.3,y=5.2です」ゼーハー

先生「うん、合ってるな。席に戻っていいぞ」


さやか『さすがほむほむ!頭いいなぁ~』

ほむら『本ッ当にうっさいわね!!一体なんのつもりなの!?』

さやか『ちょっとしたいたずら心だよー。ほら、かわいい子をみるとついいじりたくなる事あるじゃん?あれだよあれ』

ほむら『…………』

さやか『ちょ、無言でドン引かないでよ!?ごめんってば!ちょっと眠かっただけなの、許して!』

ほむら『あなたって、本当に……いえ、なんでもないわ……』

さやか『ほむらァー!?』


 ――き、みき!美樹さやか!


さやか「……ほえ?」

先生「美樹さやか!おい、聞いてるのか!?」

さやか「ひゃ、は、はいっ!?」

先生「さっきからずっと一人でニヤニヤと楽しそうだなぁオイ?」

さやか「えっ、あ、あのっ……すいませんっ!」

先生「ハァ……それで、宿題くらいはちゃんとやってきたんだろうな?」

さやか「……あっ!?」

先生「お前ってやつはまた……廊下に立ってなさい!」

さやか「は、はいぃぃっ!」


 あははは…… くすくす……


先生「お前ら静かにしろー、続き始めるぞ」


先生「……で、ここがこうなるから、このxは――」


 ざわっ……


まどか(……?おかしいなぁ、いつもはすぐに静かになるのに……)

まどか(――あれ……?なんだろう、廊下の方を見てる子達がいる……?)


 ざわ ざわ


まどか(うーん、他の子の頭が邪魔でよくみえないよぉ……)


まどか『ほむらちゃんほむらちゃん』

ほむら『まどか?どうしたの……くくくっ』

まどか『さやかちゃんの方に何かがあるみたいなんだけど、この席からだとよく見えないんだ。ねぇ、そっちからなら見えないかな?』

ほむら『ぷくくっ……ごめんなさい、わからないわ』

まどか『ほむらちゃん……?』

ほむら『ひひっ……もうだめ……ふ、ふふふふっ』


まどか(ほむらちゃんまで、どうしたんだろう……?)


さやか『まどかー、まどかー』

まどか『あっ、さやかちゃん』

さやか『まどかー、暇だよぉー』

まどか『ね、さやかちゃん。なんか廊下の方をみて笑ってる子達がいるんだけど、そっちからなにか見えない?』

さやか『うぇ?特になにもないけどなぁ……?』

まどか『ほむらちゃんにも訊いてみたんだけど、教えてくれないの』

さやか『ほむらがまどかにも教えないって?そりゃーなにかありそうだなぁ』

まどか『なんかすっごい気になるよぉ』

さやか『……うーん、伸びてみても特に何もわからないぞ……?』


まどか「――っ!?あぁっ!!」


 ガタッ


先生「鹿目?どうしたんだ?」

まどか「い、いえっ……なんでもありません!」


さやか『まどかー?どうし――』

まどか『さやかちゃん!スカート!スカート!!』

さやか『え?』

まどか『スカートの裾が!パンツに!挟まってる!!』

さやか『えっ、だ、誰の!?』

まどか『さやかちゃんの!!』


さやか「えっ……うぇぇぇええええええ!?」バッ


まどか『あっ……そんな大声出したら――』


 ざわざわざわっ

  ちょっとあれ…… うわぁ、丸見え……美樹さんドンマイ……

   クスクス…… ざわざわ……


まどか(あぁぁぁ……)


さやか「もうお嫁に行けない……」ズーン

ほむら「いい気味だわ」ペッ



おしまい

またタイトルを名前欄に入れ忘れた……
今回は以上になります。
読んで下さりありがとうございました!

こんばんわ、投下に来ました。

今回は「みかん」です。


 もぐもぐ


さやか「……」モッモッ

まどか「……」モッモッ


 むきむき

 もぐもぐ


さやか「……」モッモッ

まどか「……」モッモッ

さやか「ん……もう無いか。補充してくる」


 もそっ のそのそ

 がさごそ ごそ


さやか「……あ」

まどか「?」


さやか「みかん箱の中身があと半分しかない」

まどか「えっ」

さやか「どうしよう……」

まどか「もうそんなに食べたっけ?」

さやか「食べた食べた」

まどか「そっか……じゃあ仕方がないね。今あるのを大事に食べよ」

さやか「そだね」


 ずりずり

 もそもそっ


さやか「ふあー……こたつ暖かいわぁ」

まどか「チャンネル変えていい?」

さやか「どうぞどうぞ」


 ピッ ピッ


TV<帰○ま10!


まどか「あー、これこれ」

さやか「なんだっけこれ?」

まどか「ランキングを当てるやつ」

さやか「あー」


 むきむき もぐもぐ

 むきむき もぐもぐ


TV<8位~!ウオー!

まどか「あははは」

さやか「おー、当たった当たった」


 むきむき もぐもぐ


まどか「見てるだけでおなかいっぱいになっちゃうねぇ」

さやか「そうだねぇ」


 むきむき もぐもぐ


 <ピンポーン


さやか「あれ?誰だろう……はーい」


 ぱたぱたぱた

 ガチャッ


杏子「よっ」

さやか「杏子!どうしたのこんな時間に?」

杏子「ちょうど近くまで来たから寄ってみた」

まどか「あ、杏子ちゃんいらっしゃーい!」

杏子「なんだ、まどかもいんのか」

さやか「一緒にTV見ながらみかんパーティしてたとこ」

杏子「ぷっ、なんだそれ」

さやか「杏子の分もお茶淹れてくるから先に手を洗ってきちゃいなよ」

杏子「おう」


 ごそごそ


杏子「おぉ暖かい……体が温まるわー……」

さやか「はいお茶。よかったらみかんもどうぞ、まどかが持ってきてくれたんだよ」

杏子「おー、悪ぃな」

さやか「まどかー、やっぱ残りのみかんも出しちゃっていい?」

まどか「もちろんだよ」


 むきむき もぐもぐ

 むきむき もぐもぐ


杏子「このみかんうめぇな……」モグモグ

さやか「なんたってまどかのみかんだからね」モグモグ

まどか「てへへ、喜んでくれてよかったよ」

杏子「やっべ、止まらないわ……もう一個」

さやか「あたしも」


 むきむき もぐもぐ

 むきむき もぐもぐ


 むきむき もぐもぐ

 むきむき もぐもぐ


さやか「……」モッモッ

まどか「……」モッモッ

杏子「……」モッモッ


 むきむき もぐもぐ

 むきむき もぐもぐ


さやか「……あー」

まどか「?」

さやか「なんかソウルジェムが浄化されてきた気がする」

杏子「マジで?」

さやか「マジマジ」

杏子「みかんパネェな」

さやか「ほら、見て見て」


 きらきら


まどか「ツヤツヤだねぇ」

杏子「あ、でもこの辺なんか黒くね」

さやか「マジで?」

杏子「マジマジ」

さやか「みかんの皮でこすったら綺麗になるかな」

杏子「……やってみれば?」

さやか「やってみる」


 きゅっ きゅっ


さやか「うーん……だめっぽい」

杏子「そりゃそーだ」

さやか「でもめっちゃいい香りする!」

杏子「みかんだからな」

まどか「みかんだもんね……」


 むきむき もぐもぐ

 むきむき もぐもぐ


さやか「……」モッモッ

まどか「……」モッモッ

杏子「……」モッモッ


さやか「む」


 のそっ もそもそ

 がそごそ ごそ


さやか「……あ」

まどか「?」

さやか「みかんがあと数個しかない」

杏子「マジで?」

さやか「マジで。ほら見てみて」

まどか「うわー……すごい量食べちゃったねぇ」


さやか「そういえば、結構おなかいっぱいかも」ケプッ

まどか「おいしかった?」

さやか「うん、最高!」

まどか「ふふ、ならよかった。また見つけたら持って来るね」

杏子「そん時はアタシも呼んでくれよ?」

さやか「ふふっ……はいはい」


杏子「……で」

さやか「うん……」

杏子「どうするよ。机の上の、この皮の山」


 どっさり


さやか「これだけあるとなんか勿体無いよね」

まどか「んー……お風呂に入れてみるとかどう?」

さやか「あ、それいただき!」


さやか「ふー……投入してきたよ」

まどか「おつかれー」

さやか「みかんの皮だらけで水面が見えないくらいだったよ」

まどか「かなりあったもんねぇ」

さやか「折角だから、まどかもお風呂はいってく?」

まどか「わーい!いいの?」

さやか「もちろん!杏子も一緒にどう?」

杏子「じゃあ頂いていこうかな」

まどか「ふふ、杏子ちゃんと一緒に入るのは初めてだねぇ」

杏子「……ん?」

まどか「え?」

杏子「もしかして……一緒にって、3人同時に入るのか!?」

まどか「そうだよ、どうして?」

杏子「いやいやいや」


さやか「遠慮しないの!なんたってこのさやかちゃんちのお風呂は!」

さやか「聞いて驚け!ふふーん、なんと、ハイパージャグジー付きのデラックス風呂なんだぞー!」デデーン

杏子「いや、そうじゃなくってだな……」

さやか「あ、広さなら大丈夫!マミさんちにも負けてないよ?」

杏子「だーっ!だから――」

まどか「私は杏子ちゃんとも一緒に入ってみたいな……杏子ちゃんは嫌?」


 うるうる


杏子「うっ……し、仕方ねーな……今回限りだぞ?」

さやか『まどか、ナイスフォロー!』パチン

まどか『ふふ、イエーイ』パチン


杏子「あっ、てめーら!?何ハイタッチしてんだよ!まさか……謀ったな!?」

さやか「ふふーん。さーて何のことだろーねー?」

まどか「さ、そろそろお風呂沸くだろうし杏子ちゃんも一緒に行こう?」

杏子「うおおお……今に見てろよぉ……」ズルズル



おしまい

以上です。読んで下さりありがとうございました。
では、また近いうちに。

こんばんわ、投下にやってきました。

今回は「ドッジボール」です。


 ザッ


さやか「――仁美。まさか、こんな形で戦う事になるとはね……」

仁美「いずれこうなるのはとうにわかっていた事。今は正々堂々と戦いましょう」


 ザッ


ほむら「まどか。あなたとは戦いたくなかった……」

まどか「えっと……お手柔らかにお願いします?」


 がやがや ざわざわ


外野モブA「赤組がんばれー!」

外野モブB「白組ー!負けるなー!」


 わいわい ざわざわ


ほむら(まどかとさやか以外の赤組選手は全員、ボールを当てて外野に追い出した)

ほむら(白組のこちら側も同様、残っているのは私と仁美だけ)

ほむら(外野にボールを回しても、さやかなら簡単に受け止めてしまうでしょうね)

ほむら(2対2のドッジボール。いえ、あちら側で実質的に動けるのはさやかのみだから――……)


ほむら「仁美、仁美」ヒソヒソ

仁美「?どうされましたか?」

ほむら「さやかは必ずまどかを守るように動くはず。だから、二人を引き剥がして――狙いを――」

仁美「なるほど。でしたら、まずは――」


 ひそひそ


さやか「おーい、早く投げてよー」

まどか「ねえさやかちゃん、私はどうしよう?」

さやか「まどかは一歩後ろに下がって身を守ってて。あたしが前で守るから」

まどか「さやかちゃん……わかったよ」

さやか「がんばろうね!」

まどか「うん!」


仁美「さやかさん、いきますわよっ!」バシュッ

さやか「よしきたぁ!」


 バシンッ


仁美「ふふっ。流石に受けますわね」

さやか「へへーん。こんなんじゃ当たらない、よっ!」バシュッ


 ガシッ


ほむら「狙いが甘いわ。それっ」バッ

さやか「おおっとぉ!」バシン


 シュッ バシッ

 ベシンッ ビシュッ


まどか「うわわわ……ボールが早すぎて……目で追えないよぉ」


 バシッ ガッ

 ドシッ バシュッ


ほむら(まどかとさやかの間に距離ができ始めた。誘導は上手く行っている)


 シュッ バシッ

 ベシンッ ビシュッ


ほむら(……そろそろね)


ほむら「……」チラッ

仁美「……!」コクリ


ほむら「まどか、ごめんなさい!」シュッ

まどか「――きゃっ!?」


 ぺちんっ


さやか「まどかっ!?」


さやか(まどかに当たったボールが跳ね上がった!)

さやか(まだ地面には落ちていない……今ならまだ……!)


さやか「間、に、合、えぇぇっ!!」


 だだだだだっ


ほむら「――まさかっ!?」


 ザッ

  パシッ!

 どさっ


 <おぉぉぉ~……


外野モブC「ちょっと、今2メートルくらい跳ばなかった……?」


 ざわざわ


さやか「と、取れたぁ……」

まどか「さやかちゃん……!」キュン


仁美「今のはっ……!きま、きまし……っ!!」プルプル

ほむら「仁美!悶えるのは後よ……来るわ!」


さやか「ちょっと、あんたたち卑怯よ!」ブンッ

ほむら「戦いに卑怯もなにもあるもんですか」バシッ

さやか「むきー!」

まどか「さやかちゃん、ごめんね……」

さやか「まどかは悪くないよ!ちくしょー、こうなったら何が何でも当ててやる……!」


 シュッ バシッ

 ドシッ シュッ


さやか「こなくそっ」シュッ

仁美「当たりませんわ!」


 バシッ ガッ

 ドシッ バシュッ


ほむら「――きゃっ!?足がもつれて……!」

仁美「ほむらさん!大丈夫ですか!?」

さやか「……っ!もらったぁぁ!」


 ブンッ

  バシィッ!


先生「暁美ほむら、アウトー!」


ほむら「ちょ、あなた卑怯よ!」

さやか「戦いに卑怯もなにもあるんもんですか!べろべろばぁ~」

ほむら「~~っ!」プルプル


 ピ、ピ、ピピーッ


先生「試合終了!残り2対1で赤組の勝ち!」

ほむら「え……っ!?な、何故ですか!?」

先生「時間よ。もうチャイムが鳴るわ」

ほむら「……あっ!?気がつかなかった……っ!」


さやか「っしゃあ!」グッ

まどか「さやかちゃん、やったね!」

さやか「へへっ」


仁美「さやかさん、まどかさん。お見事ですわ」

さやか「仁美!あんたも随分がんばったじゃん!」

仁美「ふふっ。……わたくし、お二人の愛をみくびっておりましたわ」

さやか「……へっ?」

仁美「2メートル近い高さの大ジャンプ。あれはまさに愛の力!嗚呼、なんて素晴らしいのでしょう!!」

仁美「わたくし心の中で叫んでしまいました!あれこそが愛!まさに愛!!きま、きまし……っ!」

さやか「あ、あー……うん、まぁ、あれはその、そうだね、うん……」

まどか「あれは私もときめいちゃったなぁ。すっごいかっこよかったよ!」

さやか「お、マジ?へへっ。そう言って貰えると、さやかちゃんも嫁のために頑張った甲斐があるってもんよ!」


 てれてれ


仁美「~~~~ッ!!」プルプル

さやか「ちょ、仁美ーっ!?正気に戻って!帰ってきてーっ!」


 きゃーきゃー


ほむら「なんて、なんて事……今度こそ私とまどかが同じチームになるように……」ブツブツ

まどか「――ほむらちゃん?」


 ひょこ


ほむら「……っ!まっ、まどか!?」ビクッ

まどか「ほむらちゃんも頑張ったねぇ。ボールを投げてる姿、とってもかっこよかったよ」

ほむら「まどか……!私……あなたを狙ってしまった……ごめんなさい……!」

まどか「えぇっ、なんで謝るの!?」

ほむら「だって、私……っ」

まどか「もー、ほむらちゃんは考えすぎ。てへへ、今度は同じチームで戦えるといいね」

ほむら「……うん!」


さやか「まどかぁー!ほむらぁー!助けて、仁美が鼻血吹いて倒れた!」

まどか「えぇっ!?もぉー、さやかちゃんったら煽り過ぎだよぉ……」

ほむら「仕方が無いわね。抱えて保健室連れて行くわよ。ほら、そっち持って」

仁美「キマシ……キマシ……」


 わいわい がやがや

 わいわい がやがや



おしまい

以上です。
本日もありがとうございました。

こんばんわ、投下にやってきました。
少し短めですが、楽しんでいただけたら幸いです。

本日のお題は「添え物」です。


 ファミレスにて


さやか「ハンバーグうめー」

杏子「だろ?ここのは意外といけんだよ」

さやか「さすがよく知ってるね」

杏子「まーな」


 もぐもぐ むしゃむしゃ


さやか「杏子、パセリ食べる?」

杏子「ん、食う」

さやか「はいどーぞ」

杏子「んむ」


 もぐもぐ むしゃむしゃ


さやか「んー……ハンバーグのソース余っちゃった」

杏子「じゃあくれ。ご飯にかけて食べる」

さやか「あいよ」

杏子「サンキュ」


 もぐもぐ むしゃむしゃ


さやか「はぁー、おなかいっぱい」ポンポン

杏子「さやか、メニューとってくれ」

さやか「何、あんたまだ食べんの?」

杏子「デザートだよ、デ・ザ・ァ・ト」

さやか「お、いいねぇ!やっぱあたしも食べようかな」

杏子「何だよ、腹いっぱいなんじゃなかったのか?」

さやか「甘いものは別腹、ってね。何にしよっかなー♪」


 数分後


さやか「うほぉ!きたきた、あたしのプリンサンデーちゃん!」

杏子「おい、手を叩くのはやめろよ恥ずかしいだろ……」

さやか「いいじゃんいいじゃん!いっただっきまーす」

杏子「はぁ……いただきます」


 もぐもぐ むしゃむしゃ


さやか「プリン超うめー!」

杏子「んむ、こっちのチョコパフェもうめぇぞ?」

さやか「マジで?一口ちょうだい」

杏子「そんかわりプリン一口くれ」

さやか「あいあい」


 ぱくっ


さやか「んー……しあわせぇ」

杏子「ほんっとにウマそうに食うのな」ケラケラ

さやか「仕方ないじゃん美味しいもんは美味しいんだから」

杏子「いや、悪くねぇよ?むしろ良いと思うけどな」

さやか「でしょ?ふふん、美少女さやかちゃんの笑顔をとくと見るがいい!」


 えっへん


杏子「はは、馬鹿め」

さやか「ちょ、鼻で笑うとか酷い!」

杏子「調子に乗りすぎっといつか痛い目にあうぞ?お?」

さやか「だいじょーぶだいじょーぶ」

杏子「本当にかぁ?」

さやか「んふふ、いざとなったら皆に頼るし!」

杏子「うっわこいつ他力本願野郎だ」

さやか「なによー、杏子は助けてくれないってわけ?」

杏子「ギリギリまでは見捨てる」

さやか「なにそれ酷い」

杏子「アンタのが酷いわ」

さやか「それもそーか」


 もぐもぐ むしゃむしゃ


さやか「杏子、ミントの葉っぱ食べる?」

杏子「ん、食う」モグモグ

さやか「はいよ」

杏子「サンキュ」


 もぐもぐ むしゃむしゃ


さやか「ね、ぶっちゃけミントって美味しいの?」

杏子「んー……慣れればウマい」

さやか「慣れないと?」

杏子「ただの植物」

さやか「ぷっ、なにそれ」

杏子「所詮パフェに乗ってる奴なんてちっこいからな。もっと量があれば別なんだけど」

さやか「あ、お茶とかあるんだっけ?」

杏子「だな。あれもまぁ……慣れないとウマくないけど。慣れればウマい」

さやか「そんなもんなのか」

杏子「ん、そんなもんだ」



おしまい

以上です。さやかちゃんかわいい
ではまた近いうちに!

こんばんわ、投下に参りました。
今回は「添い寝」です。


 鹿目家 まどかの部屋、ベッドにて


さやか「ふ、ふとんに包まってるのに……さぶい」

まどか「今夜は一段と冷え込むねぇ……うぅぅ、お布団もう一枚出してくればよかったなぁ」

さやか「ちょっとでも動くとキンキンに冷えた布団が体にあたって……」


 ぶるぶるっ


さやか「さむっ」


さやか「あー、湯たんぽほしい……」

まどか「湯たんぽ、あったらいいねぇ……」


まどか「……そうだ」

さやか「?」

まどか「さやかちゃん、もうちょっとだけこっちに寄って?」

さやか「こう?」ゴソゴソ

まどか「うん!でね、こう――」


 ぴとっ ぎゅっ


さやか「ひゃっ!?まどかの手、冷たい!」

まどか「あっご、ごめんね!でも、しばらくこうしていれば……」

さやか「……なんか暖かくなってきた気がする」

まどか「でしょ?」


まどか「ふふ、人間湯たんぽー」

さやか「いい事考えるねぇまどかは」

まどか「えへへ」


 ほかほか


さやか「……へへっ」

まどか「?どうしたの?」

さやか「あたしもいい事思いついちゃった」

まどか「……?」

さやか「まどか、ちょっとだけ頭を持ち上げてみて?」

まどか「えっと、こうかな?」ゴソ

さやか「そうそう。んで、腕をこうして――」


さやか「腕まくらー!」

まどか「!」



さやか「へへ、一度やってみたかったんだっ」

まどか「もー、さやかちゃんったら大胆なんだから」

さやか「いいじゃないかーいいじゃないかー。ぎゅ~!」ギュッ

まどか「きゃー♪」


 ぎゅー


さやか「……」ジー

まどか「……」ジー

さやか「……」

まどか「……ふふっ」

さやか「あははっ」

まどか「えへへ」



まどか「……さやかちゃんの心臓の音が聞こえる」

さやか「あたしも。まどかの音が聞こえる」

まどか「トクトクいってるよ」

さやか「まどかのも。とくん、とくんって」

まどか「生きてるんだねぇ……」

さやか「うん、生きてるんだ……」

まどか「さやかちゃんの体、暖かぁい……」

さやか「まどかの髪、シャンプーのいい香りがする」

まどか「えへへ。さやかちゃんに洗ってもらったからね」



さやか「こんなところ、ほむらの奴がみたら嫉妬するんだろうなぁ」

まどか「そしたらほむらちゃんも入れて三人でぎゅーってしようよ」

さやか「仁美は?」

まどか「もちろん仁美ちゃんも」

さやか「じゃあ四人だね」

まどか「うん。四人で」

さやか「あ、あとマミさんと杏子も」

まどか「じゃあ六人?上条君は?」

さやか「んー……あいつはバイオリンとでも添い寝してればいいよ」

まどか「あはは。かわいそうな上条君」

さやか「自業自得だよ、あいつの場合」



まどか「……」

さやか「……」


 うとうと


まどか「さやかちゃん、眠いの?」

さやか「うん……ちょっと眠い……かも……」

まどか「私も……まぶたが重いや」

さやか「ん……まどかぁ」

まどか「なぁに?」

さやか「んむにゃ……おやす……まど…………すー、すー……」

まどか「……」

まどか「……くすっ」

まどか「おやすみなさい、さやかちゃん」



おしまい

今日はここまでです。
いつも乙をありがとうございます、とても励みになっております。
では、また近いうちに。

こんばんは、投下にやってきました。

今回は「巻き髪」です。


マミ「~~♪」クルクル


 巻き巻き くるくる


さやか「……」


 じーっ


マミ「~~♪~……?」

さやか「……」ジーッ

マミ「……美樹さん?」

さやか「ひゃ、ひゃいっ!?」ビクッ


マミ「どうしたの?こっちをじーっと見つめて」

さやか「えっ!?えっと、あの、えっとその……」ツンツン


マミ「あ、もしかして」

マミ「美樹さんも巻いてみたいの?髪の毛」


さやか「っ!なんでわかったんですか!?」

マミ「ふふ。遠慮しなくていいのに」

さやか「で、でも……あたし、そんな、その……」ツンツン

マミ「んー……ね、ちょっとこっち来て」

さやか「は、はいっ」


 すすす


マミ「ここ座って?」ポンポン

さやか「えっ?で、でもっ」

マミ「どうしたの?」

さやか「その……変じゃないですか?」

さやか「あたしなんかがそんな……女の子っぽい、事……」


マミ「あら?美樹さんは十分可愛い女の子だと思うけれど?」

さやか「ふぇっ!?」ドキッ

マミ「ふふ。まずは下準備からするわね」

さやか「えっと、あの……よろしくおねがいします!」

マミ「任せて!とびっきり可愛く仕上げちゃうんだから」

さやか「……」ドキドキ

マミ「さーて、まずは霧吹きからね――」


 数分後


マミ「んー……こんな感じかしらね。さ、鏡をどうぞ」

さやか「は、はいっ!」ドキドキ


さやか「……!?っこれ、あたし……!?」


マミ「うふふ、腕によりをかけちゃった」

さやか「すごっ……凄い!凄いですマミさん!」フワフワ

さやか「うわー、ふわふわ!超ふわふわ!ふわふわでくるくるだー!わお!」フワフワ


 ぴょんぴょん


マミ「喜んでもらえたようでなによりだわ」ニコッ

さやか「わー、ほんと、うわー、うわー!あははっすごーい!」ピョンピョン

マミ「うふふ……あ、そうだ」

さやか「?」

マミ「ちょっと待ってて。いい物持って来るわ」


マミ「ね、これどうかしら?」

さやか「これ、マミさんのお花髪飾りの……」

マミ「そ。ヘアピンバージョン」

さやか「これってもしかして、もしかしなくてもお揃いっすか!?」キラキラ

マミ「ええ。こっちはあまり使ってなかったんだけれど……ごめんなさい、嫌だったかしら?」

さやか「ええっ!?まさかぁ!」ブンブン

マミ「よかったぁ」ホッ

さやか「でも、借りちゃっていいんですか?」

マミ「もちろんよ!ね、着けてみて?」

さやか「では早速……」ドキドキ


さやか「じゃーん!」キラリン


マミ「きゃー、美樹さん可愛い!」

さやか「えへへ……照れますなぁ」テレテレ

マミ「ふふ、なんだかこうしてると妹ができたみたいで嬉しいわ」

さやか「……!ね、マミおねーちゃん♪」

マミ「あら、どうしたのさやかちゃん?」

さやか「あたしマミおねーちゃんだーいすき!」

マミ「うふふ、私もよ♪」ナデナデ


さやか「おー、アグレッシブですね」

マミ「っ!?ちょ、ちょっといきなり素に戻らないでよっ!?」

さやか「あはは、マミさん照れてるー!」

マミ「んもう!あんまりからかわないで?あー、顔が暑いわ……」パタパタ

さやか「照れてるマミさんも可愛いですなぁ」ニヤニヤ

マミ「美樹さんったら……もうっ」プイッ

さやか「へへへっ」


マミ「ね、こうなったら思いっきりおめかししてどこか一緒に出かけない?」

さやか「いいですねそれ!いっぱい洋服見たり、お茶してみたり」

マミ「うふふふ、楽しみね」


さやか「あっそうだ!マミさん、写メお願いしてもいいですか?」

マミ「ええ、もちろんよ」

さやか「ふふー。まどか達にも見せてあげなくちゃ」


マミ「……って私も写るの!?」

さやか「もちろんですよ!じゃあ撮りまーす」

マミ「あっ、えっと、ぴ、ピース!」


 <ピローン♪


マミ「大丈夫かしら?私、目はつぶってないわよね?」

さやか「えーと……はい、バッチリです!ありがとうございます!」

マミ「よかったぁ……」ホッ

さやか「もしかしてマミさんって目をつぶっちゃう派なんですか?」

マミ「そうなのよ……今回はちゃんと撮れてよかったわ」


さやか「あはは。じゃあまどかと一緒だ」

マミ「鹿目さんも?」

さやか「そうなんですよー。あの子と写真とるといつも半分くらい寝てますね」

マミ「あー、あるある。で、撮り直しても――」

さやか「また寝てるとか」

マミ「ありがち過ぎて怖いわ。うふふ」

さやか「共通の悩みなんですねぇ」

マミ「ほんと、いやになっちゃうわ」


 <ティローン♪



さやか「あ、返信きた!なになに……」


【From】暁美ほむら
【Sub】Re:
----------------------------
馬子にも衣装ね(猫絵文字)
中々いいんじゃない?


さやか「うまこ……?ばし……?にも衣装……うーん?」

さやか「……読めないや」

マミ「どうしたの?」

さやか「あ、これってどう読むんです?」

マミ「えーと、なになに……あら、うふふ」

さやか「?」

マミ「まごにもいしょう、ね。暁美さんからなら褒めてくれてる感じじゃないかしら」

さやか「あ、褒め言葉なんだ!」

マミ「うーん……時と場合にもよるけどね?」

さやか「ふーん……?あ、また返信きた」


【From】鹿目まどか
【Sub】Re:
----------------------------
きゃ~ヾ(*≧∇≦*)ノ"(キラキラ絵文字)
なにこれ、なにこれぇ!きゃー!凄い!きゃー(ハート絵文字)
すっごくかわいい~(ハートの絵文字x2)
ねね、お出かけに私も一緒について行ってもいいかな?(ドキドキ絵文字)



さやか「あはは、まどかったらはしゃぎすぎ!」

マミ「ふふ、仲がいいのね」

さやか「そりゃもう!なんてったってあたしの嫁ですから」フンス

マミ「あらあら。羨ましいわ」

さやか「お、じゃあマミさんも嫁に来ます?」

マミ「えっ?」

さやか「なんとさやかちゃん王国は一夫多妻制なんですよ!」

マミ「あらそうなの?じゃあ私もお嫁に行っちゃおうかしら」

さやか「マジですか!?っしゃー、嫁ゲットォー!」

マミ「うふふ。随分と可愛いらしい旦那様ね」

さやか「へへへっ」


さやか「ハッ!?って事はあたしはこれから両手に嫁でお出かけって事!?」

マミ「んー、確かにそうなるわね」

さやか「うはー!これは来ちゃってますねぇあたしの時代がっ」

マミ「ふふ、じゃあ鹿目さんを待たせちゃうといけないしそろそろ行きましょうか?」

さやか「はーいっ」



おしまい

以上です。
では、また近いうちに!

こんばんは、今夜も投下致します。
お題は「椅子」です。


 商店街 家具屋


さやか「……」ウィーン


 <いらっしゃいませー


さやか「えーと……あれは確か……」キョロキョロ

さやか「こっちだったかな?」


 とことこ


さやか「んー……あ」

さやか「あったあった!よかった、残ってた……」ホッ


さやか「……」


さやか(さて)

さやか(この椅子を、今。買うべきか、買わざるべきか……)


さやか(値段は……前と変わらず)

さやか(値引きはされていない模様)


さやか「……」


さやか(この値段だと……)

さやか(クラシックCDだったら8枚くらい、DSソフトだったら2本買えるのか)

さやか(……)

さやか(っていうか今あたし椅子って何脚持ってたっけ?)


さやか(えーと)

さやか(ベッド横の3脚でしょー、あと鏡を置いてるやつと……それから……)

さやか(6脚くらいかな……?)

さやか「……あ」

さやか(そういえば年末にもう1脚買ったんだった)

さやか(つーことは計7脚か……)

さやか「……」


 うろうろ


さやか(8脚はちょっと多いよなぁ)

さやか(でもこの椅子、シルエットが凄くいいんだよなぁ……)

さやか「……」

さやか(特に背もたれのシュッとした感じがドツボに来るわぁ)

さやか(あの椅子をあっちにおいて、これをあの辺りに置くとする)


 もくもく


さやか「……っ」

さやか(くぁー、痺れるぅ!)

さやか(あぁ……でもなぁ、でもなぁ……)


さやか「……うぅぅ」

さやか「んぁ~……悩む……!」ガシガシ

さやか「ぐぅぅ……、……お?」


 すすすっ


さやか(このクッション……可愛い!)

さやか(これ、ベッド斜め横のあの椅子に似合うだろうなぁ)

さやか(雰囲気的にもバッチリだし、手触りは……)


 ふかふか


さやか(……んー、もうちょっと弾力性が欲しかったかも)

さやか(でもこの値段だとこんなもんかなぁ)


さやか「……お?」

さやか(これ、一割引じゃん!)


さやか(あぁでもなぁ、今は椅子を買いに来たんだよなぁ)

さやか(つっても椅子も悩んでるわけだけど……)

さやか(もちろん両方買うなんて予算は無いわけだし)

さやか「……」

さやか「……」

さやか「もういっぺんさっきの椅子を見てこよう」


 とことこ


さやか「……」

さやか(やっぱり……いいシルエットだよなぁ)

さやか(でもCD8枚、ソフト2本分のお値段)

さやか「……」

さやか「やっぱりクッション見てこよう」


 うろうろ


さやか「うぅー……」


 うろうろ


さやか「でもなぁ……」


 うろうろ うろうろ

 うろうろ うろうろ


さやか「ハァ……どうしよう……」

さやか「……」ウロウロ

さやか「……あ」ピタッ


さやか(っていうか今のあたしって完全に挙動不審の不審者じゃん!)

さやか(どうしようどうしよう)

さやか(あの店員さん絶対こっち見てるよぉ……)

さやか(怒ってるのかな……)

さやか(うっわ見てる超見てるじーっと見てる。っていうか目が合いそうで怖い)

さやか(でもごめんなさい、一介の女子中学生にとっては凄く大事な局面なんです)

さやか(お年玉だってほらもうこんなに残り少ないし)

さやか(お小遣いだって頑張って溜めたんです)

さやか(いつも見滝原を守ってる分悩ませてください)


店員「……」じーっ

店員(眠い)


さやか(うあぁぁぁ)

さやか(大丈夫です万引きなんてしませんし放っておいてくださいお願いしますマジで)


店員(暇だなぁ)

店員(商品の整理でもしてこよう)


 とことこ


さやか(あれ……店員さん、どっか行った)

さやか(思いが通じたのかな?)

さやか(これで存分に悩める)

さやか「……」

さやか(あぁでも、でもなぁ……)


 うろうろ うろうろ


 数分後


 <ありがとうございましたー


さやか「……」ウィーン

さやか「……はぁ、空が青い」


 ガサッ


さやか(結局、全然違うクッションを買ってしまった)

さやか「……」

さやか「あたしって、ホント馬鹿」トホホ



おしまい

以上です!
では、また近いうちに。

こんばんは、投下でございます。
今回のテーマは「あーん」です。


さやか「仁美、あーん」

仁美「あーんっ」


 ぱくっ

 もぐもぐ


仁美「む……っ!こ、これは……!?」モグモグ

さやか「ふっふっふ。どうだいさやかちゃんのは?」

仁美「さ、さやかさんの……っ……ぁ、熱くて、大きくって……!」モグモグ

仁美「わたくし一体どうしたらいいのか……っ!はふはふっ」

さやか「仁美ぃー、顔が赤いよ?」

仁美「そ、そんな事言わないでくださいまし!」カァァ


さやか「そんなに慌てちゃってぇ。どうしたんだい、んー?」ニヤニヤ

仁美「……」モジモジ

さやか「そんな黙って見つめられてもさやかちゃん困っちゃうなぁ」

仁美「あのっ!わ、わたくし……」

さやか「ん?」

仁美「もう一つ……もう一つ欲し、ぃ、ですわ……」ゴニョゴニョ

さやか「んんー?聞こえないなぁ?」


仁美「わたくし、わたくし……その、欲し、……っ!」

さやか「もっと大きい声じゃないとわからないなぁ」


仁美「あぁっ!わたくし、もう一口欲しいですわ!さやかさんの、ポテトフライがっ……!」

さやか「よく言えましたー。しっかり言えたいい子にはお芋さんをあげようね。はいあーん」

仁美「早く!早くわたくしのお口に……!あーんっ」


 ぱくっ


仁美「はぁぁっ……美味しいですわ……」モグモグ


さやか「この新商品なかなかイケるね」モグモグ

仁美「想像以上ですわ」モグモグ


さやか「そころでさ、仁美……」

仁美「どうされましたのさやかさん?」モグモグ

さやか「あのね、あの、そろそろ……あたしも欲しいかなって」


 そわそわ


仁美「あら、何がですの?」

さやか「えぇっ!?仁美のいじわるっ」

仁美「何のことでしょう?さっぱりわかりませんわ、うふふ」


さやか「その、あのね……実はさっきからずっと気になってたんだけど……」モジモジ

仁美「ふむ?」

さやか「ひ、仁美の……白くってとろけるような、その……ぁい、す……」モジモジ


仁美「んー、よく聞こえませんわね」

さやか「仁美ぃっ!?」

仁美「さあ、正直に言いなさって?一体何が欲しいんですの」

さやか「う……その、ひ、仁美の真っ白な……アイスクリーム、です……っ!」


仁美「ふふ。そのアイスクリームをどこにどうして欲しいのかが全くわかりませんわ」

さやか「ふぇっ!?」

仁美「しっかり言えるまではお預けですわよ」

さやか「ぐぅっ……その、仁美の、白くって、立派なコーンのアイスクリームを……っ!」

さやか「あ、あたしのお口の中に……っ……、く、下さ、ぃ……っ!」

仁美「んー……まぁいいですわ。よく言えました、はいあーん」

さやか「あーんっ」

仁美「……」


仁美「やっぱりまだお預けですわ」


 ひょいっ


さやか「えぇっ!なんで!?あたし、あたしもう待ちきれないよぉ……っ」カァァ

仁美「うふふ。ごめんなさい、この表情が見たかっただけなんですの」

さやか「んもー、仁美のいけず!ねぇはやくちょうだい……?」


仁美「では改めて。はいあーん」

さやか「あーん」


 ぱくっ


さやか「んー……おいひい」モグモグ

仁美「うふふ、わたくしのアイスクリームはいかがですか?」

さやか「仁美のアイス、甘くってとっても冷たくって……あたしとろけちゃいそうだよぉ……」

仁美「うふふふ」

さやか「あははは」


 いちゃいちゃ


ほむら「……」


ほむら「……ハァ」


ほむら「あなた達、一体何をしているのかしら」


さやか「え?あーんしあってるだけだけど」

仁美「愛を育んでいるのですわ」

ほむら「端から聞いているとただの卑猥な会話に聞こえるのだけれど?」

さやか「えー?そんな会話してないよぉ」

仁美「通常運転ですわよね」

さやか「ねー」

仁美「ねー」

ほむら「……そう」


さやか「むしろどこらへんが卑猥なのさ?」

ほむら「は?それはもちろん全体的にに決まってるじゃない」ピクッ

さやか「んー、ちゃんと具体的に口で言ってくれないとわからないなぁ?ねぇ仁美?」

仁美「全くですわね」

ほむら「ぐっ……!?そ、その……」


ほむら「熱くって大きい……だとか、白いの、だとか……その……ぇぇ、と……」モジモジ

ほむら「ってあなた達何を言わせるのよ!」カァァ


さやか「えー、今のって卑猥!?」

仁美「ただ事実を述べているだけですわよねぇ」

ほむら「!?」

さやか「あ、それともまさか……!?」

仁美「……はっ、まさか!?そんな、そんな発想だなんてっ」

さやか「キャー!ほむらちゃん卑猥!」

仁美「キャー!ですわ!」


 キャーキャー



ほむら「…………」


 ドンッ!


さや仁「」ビクッ


ほむら「全く……まどかがいないからって暴走しないでよ……はぁ」

さやか「まどかがいてもいつもこんな感じだよねぇ」モグモグ

仁美「ええ。意外とノってきて下さりますわよね」モグモグ

ほむら「!?」



おしまい

以上です。
本日もお付き合いくださりありがとうございました。

こんばんは、今日の投下に参りました。
今回は2本組みとなります。
まずは「調理」です。


さやか「~~♪」トントントン


 トントントン


さやか「ふんふんふ~ん♪」トントントン

さやか「~~♪」トントントン

さやか「~♪」


 トントン、トントン


さやか「ふんふんふ~ん♪っと……こんなもんかな」

さやか「よし、シチューの材料は切れた!」

さやか「心なしか刃物の使い方が上手くなった気がする」


さやか「さて、手を洗って……」ザー

さやか「えーとなになに……"まずは鍋に油をしいて熱します"」

さやか「ふんふん、油……っと」


さやか「そしたら、"熱した所に鶏肉を入れ炒めます"」


 ジュー


さやか「うわ、油めっちゃはねる」ジュゥ

さやか「うぉあっちぃっ!」


さやか「ええと次は……"人参、玉ねぎ、ジャガイモを入れ炒めます"……?」

さやか「……あ」


さやか「ジャガイモ切り忘れた」

鍋「ジュージュー」


さやか「んー……芋だけ後から入れてもいいのかな……」

鍋「ジュージュー」


さやか「……ん、なんか書いてある」


 "ジャガイモの形崩れが気になる方は、別茹でして最後に加えてください"


さやか「よし、後入れにしよう」


さやか「"鍋に水を入れて煮立てます"」ザバー

さやか「お水よーし。そしたら鍋を放置して」

さやか「じゃがいもを切ろう!」

芋「ごろごろ」


さやか「……ふむ。ただ切るだけじゃ芸が無い気がする」

さやか「今なら刃物の扱いも上達しただろうし……」

さやか「……野菜彫刻でもやってみようかな?」

さやか「出た野菜くずはポタージュにでもして再利用すればいいよね」


さやか「さて題材は何にしようかな……」

さやか「"マミさん"」

さやか「……」ウーン

さやか「……髪の毛の辺りが難しそうだからやめよう」



さやか「となると、誰がいいかなぁ……」

さやか「……」ウーン

さやか「……よし、まどかを作ろう!」


さやか「えーと、まずは大まかに削り出すんだっけ?」


 サクサク サクサク


さやか「ん、こんな感じかな」

さやか「そしたら細部を切り出す」ショリショリ

さやか「……むむむ」


さやか「なかなか難しい……」ショリショリ

さやか「……」ショリショリ


 ショリショリ


さやか「……ん、できた!」


まどか芋「」デーン


さやか「……」


さやか「なんか違う……?」

さやか「やっぱり全身を作るのは無理があったかな」

さやか「次は頭部だけにしてみよう」


 サクサク サクサク

 ショリショリ ショリショリ


さやか「できた!」


まどか芋2「……」デーン

さやか「……」


さやか「……やっぱりなんか違う」


さやか「もう一個やろう」


 サクサク サクサク

 ショリショリ ショリショリ


さやか「でき……た?」


まどか芋3「」

さやか「……もう一個」


 サクサク

 ショリショリ


まど芋4「」

さやか「……」


まど芋5「」

まど芋6「」


 ・ ・ ・


 数分後


まど芋1~16「……」


さやか「……」

さやか(どうしようコレ)


さやか「……でも、おかげでイマイチな理由がわかった!」

さやか「刃物の扱いとか、そんな話じゃなかったんだ」

さやか「ただ……」


さやか「ただ圧倒的に美術的センスが足りなかったんだ……」ガクッ

まど芋1~16「……」



おしまい

以上です。
続いて「味見」


 屋上

さやか「ほむらー!こっちこっち」

ほむら「あなたから用事とはめずらしいわね」

さやか「へへ。実は昨夜料理の練習をしてみたんだけど、その味見をしてほしくって」

ほむら「なら、私より杏子のほうが適役なような気がするのだけれど……」

さやか「あぁ、杏子には杏子の分があるから大丈夫。ちょっと作りすぎちゃったんだ」

ほむら「……?ずいぶんと大量に作ったのね?」

さやか「へへへ……ま、とりあえず食べてみてよ」ゴソゴソ


 ぱかっ


ほむら「あら、お芋の煮付けね?色は中々いいじゃない」

さやか「でしょー。本に書いてある分量じゃ煮汁が足りなかったから、苦労したんだよ」

ほむら「ふーん……?」


さやか「ささ、とりあえず一個ぱくっと」

ほむら「ま、いいわ。いただきます」パクッ


 もぐもぐ もぐもぐ


ほむら「うん、香りも味付けもまあまあね……思ったより悪くないわ」

さやか「ほんと?」


ほむら「ただ、この見た目はなんとかならなかったのかしら?」

ほむら「煮崩れるとかそれ以前にこんな角だらけのゴロゴロした形は良くないと思うわよ」


さやか「あ、それ実はまどかの頭なんだ」

ほむら「ゴフッ!?」


ほむら「ゲホッ、ゲホゲホッ……げほっ!」

さやか「ご、ごめんごめん!ほらお茶飲んで!」

ほむら「げほっ、んむ、ゴク……ゴク……ハァ、ハァ……」

さやか「ごめんね、別にまどかの頭そのものってわけじゃないよ。驚かせちゃったね」

ほむら「そういう、ゲホッ、事じゃないでしょ!あなた人の頭を何だと思ってるのよ!?」

さやか「いやあ……ただ、お芋で彫刻をやってみようと思っただけなんだけど……えへへ」

ほむら「笑ってごまかさないで!」ビシッ

さやか「いてっ」



ほむら「――で」

さやか「うぅ……」

ほむら「あなたは食べ物で遊んだ挙句、処理しきれなくなった芋を人に食べさせようと企んだ訳ね」

さやか「はい……その通りでございます……」シュン


さやか「あっ、で、でも!ちゃんと削りカスは今夜のおかずにするよ!ほんとだよ!?」

ほむら「当たり前じゃない!」

さやか「あうぅ」

ほむら「大体あなたね、やっていい事と悪いことがあるの。わかってる?」

さやか「はい、存じております……」

ほむら「ハァ……本当にあなたって人は……」

さやか「ごめんなさい……」



 <ガチャッ


まどか「あ、二人ともこんな所にいたー!」

ほむら「!?」

さやか「!?」


まどか「……あれ?そのお弁当箱――」


さやか(やばい)


まどか「わー、凄い量の煮っ転がし!もしかして、さやかちゃんが作ったの?」

さやか「う、うん。まあね。昨夜試作を作りすぎちゃったから、ほむらにも食べてもらってたんだ」

まどか「すごーい!ツヤツヤしてておいしそう!」


さやか『ねぇ、どうしよう』

ほむら『私は知らないわよ』

さやか『えぇぇ……本気でどうしよう……』


まどか「ねぇさやかちゃん」

さやか「う、うん?」

まどか「私も一個食べてみていいかな?」


さやか(そらきた)


さやか「あ、で、でも、味はあんまり良くないっていうか、その……」

まどか「えー?こんなに美味しそうなのに」

さやか「形だってゴツゴツしてるし」

まどか「大丈夫だって。十分きれいだよ?ね、ほむらちゃん」

ほむら「え、えぇそうね……味は悪くなかったわ」

まどか「でしょ?さやかちゃん、私も食べてみたいなぁ」キラキラ

さやか「うっ」

さやか(純粋な眼差しが苦しい……)


さやか「じゃ、じゃあ一個だけ……」

まどか「ほんと!?わーい、ありがとー!いただきまーす」

さやか「……」ドキドキ


 ぱくっ もぐもぐ


まどか「ん、おいしー!味が良くしみてて最高!」

さやか「ほんと?そっかー、よかったなー」ドキドキ

まどか「うん、このお芋の表面にある溝から味がしみこんだのかな?」

さやか「ふ、ふーん?そうなのかな?」ドキドキ

まどか「もぐもぐ」

ほむら「……」


まどか「もぐもぐ……ごくん。あーおいしかったぁ!」

さやか「えへ、えへへ。喜んでもらえたようでなによりですハイ」

まどか「んもー、そんな謙遜するような味じゃないとおもうんだけどなぁ?」

さやか「いやぁ……へへへ」ドキドキ

ほむら「……」



おしまい

以上です。
本日もありがとうございました!

こんばんは、少し間が空いてしまいましたが本日の投下です。
「キャンディー」


さやか「んーっ……やっと終わったぁー!」


 のびー


まどか「お疲れさまー」

さやか「ほんっと疲れたよ……脳みその糖分全部持っていかれた感じ……」

まどか「あはは」


さやか「ねぇ、なんか食べるもん持ってない?」

まどか「あ、飴ちゃんならあるよ!」

さやか「おー、一粒めぐんで下されまどか様ぁ!」

まどか「どうぞ!色々あるから好きなの選んでね」

さやか「サンキュ!」


 ごそごそ


さやか「なんか随分色んなのが混ざってるね」

まどか「えへへ、新商品を見つけるとつい……」

さやか「あーあるある。季節限定ー!とか書いてあるとつい買っちゃうよね」

まどか「ね」


さやか「よし、これにしよっと。いただきまーす」

まどか「はーい。定番のレモン味だね……私はこれにしようかな」

さやか「……のど飴?」

まどか「うん。こののど飴おいしいんだよ!」

さやか「相変わらず渋い選択だねぇ」

まどか「えー、一回食べてみなよぉ」

さやか「うーん……あたしはいいや」

まどか「えー」


 ころころ ぺろぺろ


さやか「……」コロコロ

まどか「……」コロコロ


さやか「……そういえばさ」

まどか「?」

さやか「まどかって、噛み砕く派?それとも自然消滅派?」

まどか「あとちょっと!って所で噛み砕く派」

さやか「あー。プチプチ系ね」

まどか「さやかちゃんは?」

さやか「少し小さくなってきたら噛み砕く派」

まどか「それでいつも食べ終わるの早いんだ!」

さやか「なんかさ、最後までなめてるだけってのが違和感あって。やっぱ噛みたいじゃん」

まどか「あー、あるかも」

さやか「でっしょー?」


さやか「……」コロコロ

まどか「……」コロコロ


さやか「……」

まどか「……」


さやか「……」ガリッ


 しゅわっ


さやか「!?」ビクッ

まどか「?」


さやか「最後にしゅわってする系だった」

まどか「あー」


さやか「飴ちゃんもう一個もらってもいい?」

まどか「どうぞー!」

さやか「どれにしよっかなーっと」

まどか「……」カリッコリッ


さやか「あ、今噛み砕いた?」

まどか「えへへ、わかっちゃった?」


さやか「……」コロコロ

まどか「……」コロコロ


さやか「そういやさ」

まどか「うん?」

さやか「杏子ってもろ噛み砕く派っぽいよね」

まどか「あー、わかるかも」

さやか「口に入れてすぐにガリゴリィーッ!って感じ?」

まどか「ワイルドだねぇ」

さやか「だろぉ?」


まどか「逆にほむらちゃんは最後までぺろぺろしてそうだね」

さやか「あー、深追いするタイプだねありゃ」

まどか「マミさんはどっちだろ……」

さやか「意外と噛み砕くの早かったりして」

まどか「うーん……」


さやか「飴ちゃん一つでも意外と奥が深いもんだね」

まどか「ね」


 ぺろぺろ


さやか「……」コロコロ

まどか「……」コロコロ


さやか「……」

まどか「……」


さやか「……」ガリッガリゴリッ

まどか「……」コロコロ


さやか「ふー」

まどか「……」カリッコリッ


まどか「はー」

さやか「お、息さわやか」

まどか「ふぇっ!?そ、そんなつもりじゃ……」

さやか「あはは、冗談だって。まどかの息はいつも爽やかだよ」

まどか「さやかちゃん?」

さやか「ごめんごめん」



おしまい

以上です。
さやかちゃんぺろぺろしたい。

こんばんは、いつも乙やコメントありがとうございます!
すごくすごく嬉しいです。割と本気で悶絶してます。
4コマ漫画みたいな感じは結構意識して書いているので、グヒョオ!とか変な声でました。

今回のお題は「押し花」です。


さやか「ねーねーほむらー」

ほむら「……?何か用かしら?」

さやか「あのさ、今あんた英和辞典なんて持ってない?」

ほむら「英和辞典?確かに持ってるけど……まさかまた宿題やってこなかったの?」

さやか「そ、そんなことはないですよっ!?」ドキッ

ほむら「…………」

さやか「あは、あははは…………すいません、本当はやってないですハイ……」

ほむら「全く……」ハァ


さやか「でさ、そんな訳で悪いんだけどちょーっとだけそれ貸してくんない?ね、お願いします!この通り!」

ほむら「別にいいけど……変な単語にマーカーとか引かないでよね?」


さやか「ギクッ」


ほむら「……」ジトー

さやか「あ、あっははは!そんなまっさかぁ!思春期の男子じゃあるまいし!」ダラダラ

ほむら「……ハァ……まあいいわ。はいこれ」

さやか「ありがとーございますっ!!」


さやか「えーと、まずはこの単語……なんて読むんだこれ」


 ぱらぱら


さやか「A……c……あ、あったあった。えーと次は……ふむ……」


 ぱらぱら


さやか「げっ。和訳の漢字が読めない」


 ぱらぱら ぱらぱら


さやか「だんだんめんどくさくなってきた……」


 ぱらぱら


さやか「……ぐぅ」


 ぱらぱら

 ぱらぱら、ぱら

   ……ひらっ


さやか「……ん?」

さやか「なんか挟まってる」


 ぴらっ


さやか「クローバーの……葉っぱ……?」


さやか「あ、これ四つ葉のクーローバーか!」

さやか「なんか女の子らしい事してんじゃん」

さやか「ふふっ。予想外だわこりゃ」


 ぱらぱら

 ぱらぱら ぱらぱら

   ……ひらっ


さやか「またなんか挟まってる」

さやか「今度はなんだろう……」ピラッ


さやか「橙色のお花かぁ」

さやか「……ふむ」


 ぱらぱら

   ……ひらっ


さやか「ほー、今度は随分でっかい花びらだね」


 ぱらぱら

   ……ひらっ


 ぱらぱら

   ひらっ


 ぱらぱら、ぱら

   ひらっ ひらっ

   ひらっ ひらひらっ


さやか「……」


さやか「なんかこの辞典すげーいっぱい挟まってる……」


さやか(小ぶりの木の葉、野草っぽいお花、イチョウの葉っぱ、見覚えのあるお花、他多数)

さやか「てゆーか改めて横から見てみると色々挟まりすぎて本が膨らんでる……」

さやか「……」

さやか「記念とかにしちゃ多いよね、これ」


さやか「……」


さやか(むむむ……)

さやか(…………)

さやか「……――あ」


さやか(そういやあの子って――)


さやか(……)

さやか(……)

さやか(――そっか)


さやか(もしかして……なんとなく、だけど。憶測でしかないけど……)

さやか(もしかして、もしかしたら。懐かしかったのかな?)

さやか(それか……初めてだったのかもしれない)


さやか(夏に生い茂る花々も、紅く色付いた木の葉も)

さやか(あたし達が普段気にしないような野草でさえ)

さやか(この学校に来る前までずっと入院してたあの子は、それを間近で見る機会すら少なかっただろうし)

さやか(何度も何度も同じひと月、同じ季節を繰り返して)

さやか(何度も、何度も……)



さやか「はー……」


ほむら「どうしたの溜め息なんかついて」

さやか「ひえっ!?」ビクッ

ほむら「何驚いてるのよ……それで、宿題は終わったの?」

さやか「あ、あぁうん!宿題ね!終わった終わったよありがとー!!」

ほむら「……?」


さやか「……はー……」

ほむら「……?」

さやか「あっ……ごめんごめんなんでもない!……はぁ……」

ほむら「本当にさっきからため息ばかりね。何か悩み事でもあるの?」

さやか「えっ?あぁ……悩みといいますかなんといいますか……ってゆーか今日のあんた、やけに優しいね」

ほむら「……あなたが悩んでいるとまどかが知ったら、彼女は気に病むでしょうから」

さやか「あー」

ほむら「だから先に手を打っておきたいだけ」

さやか「なるほどね……」

ほむら「それで、一体何を悩んでいるの?」


さやか「んー……なんつーかさ……」

ほむら「なんというか?」

さやか(どうしよう)

さやか(…………)


さやか「……あ、そうだ!」

ほむら「?」


さやか「あのさ!春休みになったらみんなでどっか遊びに行かない?」

ほむら「何を……」


さやか「遊園地で遊びまくったり、水族館でイルカショーとか見たりさ」

さやか「美味しいもの食べ歩いたり、面白いもの探してみたり」

さやか「でさ!せっかくだから温泉とか入っちゃったりして!綺麗な景色をいーっぱい見て」

さやか「普段じゃできない事をたくさんやって」

ほむら「……」


さやか「その間、見滝原を留守にしちゃうのはまぁちょっと気になるけど……一泊二日とかならいいんじゃないかなって」

ほむら「あなた……」

さやか「んー?」

ほむら「……いえ、なんでもないわ」

さやか「せっかくだしさ、真面目に考えてみようよ。魔法少女春の慰安旅行ー!なんつって」

ほむら「……はぁ」


さやか「ちょっとー、ため息つかないでよぉ」

ほむら「頭が痛いわ」

さやか「えぇー……でもさぁ、いい案だと思わない?ねー、行こうよー」

ほむら「……留守中の対策が思いついたらね」

さやか「!」

さやか「約束だよ?絶対だかんね!まどか達にも話は通しておくからねー!」

ほむら「いちいち騒がないでちょうだい。ほら先生が来たわよ」

さやか「へへへ……まずはどこ行こうかなぁ……」

ほむら「聞いちゃいないわ……」



おしまい

以上です。
では、また近いうちに。

こんばんは。さやかちゃんに誤飲されてからの体内をめぐるツアーに出かけたい。

タイトルは「デラックス」


さやか(――それは例えるなら、白銀の荒野だった)

さやか(白い白い大地を目の前に、あたし達二人は手を休めずにひたすら地を穿っていた)

さやか(絶望。あるいは、迂闊に踏み入ってしまった者への懲罰)


さやか(あたしもマミさんもとっくに限界を迎えていた)


さやか(でもここで止めるわけにはいかない。いかないんだ)

さやか(ただひたすらに白い”それ”を、あたし達は――)



さやか「なんで、なんでなんだよぉっ……こんなのってないよ……ふざけないでよ……!」

マミ「はあ……はあっ…………ぐっ――!?」

さやか「マミさん!?」ガタッ

マミ「っはあ……大丈夫、まだ戦えるわ……」

さやか「でも、顔色が……それに、手がこんなに震えて!」

マミ「平気平気!それに、後輩にばっかり任せる訳にはいかないしね」ニコッ

さやか「マミさん……」


マミ「……美樹さん。ごめんなさいね、私のせいで……」

さやか「そんな、謝らないで下さい!それにマミさんだけのせいじゃないです!」

さやか「あの時同調したあたしにも責任があります。まさかこんなにヤバい奴だったなんて……」

マミ「美樹さん……」

さやか「一緒にこいつをやってけようって言ったじゃないですか!」

マミ「……ごめんなさい」

さやか「だから謝らないでくださいって」

マミ「でも……っうぐっ!」

さやか「マミさん!?む、無理しないでください!」

マミ「うぅ……」

さやか「杏子……なんで連絡がつかないのよぉっ……!」


マミ「ぐっ……正直、迂闊だったわね……」

さやか「あたしも、あんま深く考えずになんとなくイケるだろうとか思ってました……」

マミ「……」

さやか「……」



 “デラックス☆ジャンボパフェ 食べ切れたら5000円!(残したら1万円頂きます)”



デラックスパフェ「どーん」


さやか「はあ……」

マミ「はあ……」


さやか「全ッ然減らないですねこれ……」パク

マミ「さっきから食べ続けているはずなのに……表面がまだ盛り上がってるわ」

さやか「永遠に表層から抜け出せない気がする……」

マミ「縁起でもないわ……」パク


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


さやか(最初の頃は良かった)

さやか(山盛りのクリームにテンション上がっちゃって、色とりどりの果物を楽しんで)

さやか(とりあえず写メ撮ってみたり)

さやか(あーんとかしあってみちゃったり)

さやか(ほっぺにクリーム付いてますよ、とか)

さやか(こっちのアイスも美味しいですよ、とか)

さやか(この乗ってるやつってどうみても市販のパイの実ですよね、とか)

さやか(すっごく楽しかったし……美味しかったよ)

さやか(なのに……なのにっ)


 ぱくっ


さやか「うぇぇ……もう生クリームは嫌だよぉ……ぐすん」

マミ「私、こんなにも生クリームを恨めしいと思ったのって生まれて初めて……」


さやか「空気を含んでる分、余計に……うぇっぷ」

マミ「これ絶対胃袋の中でクリームがぷかぷか浮かんでるわ」

さやか「やめて下さい想像したくありません……」


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


さやか「やっと表層が平らになってきた」

マミ「まだまだ一面生クリームだけどね……」

さやか「うぐぅ……」


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


マミ「だんだん味がわからなくなってきた……」

さやか「甘いってなんでしたっけ」

マミ「さあ……なんだったんでしょうね……」

さやか「油っぽいよぉ……」


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


さやか「……あっ」

マミ「何、どうしたの?」


さやか「イチゴだ……」


マミ「イチゴ!?」


 ガタッ


さやか「……やっぱりイチゴだ!この辺り!ほらイチゴの泉ですよ!!」ザックサッ゙ク

マミ「赤い!赤いわ!」

さやか「赤いですねマミさん!久々の赤ですよ!!」

マミ「あぁぁぁ、爽やかな酸味が生き返るわ……」パクパク

さやか「生クリームと合わせて食べても美味しい!」

マミ「効率的な消費ができるわ!」

さやか「効率的とか消費とか言っちゃってる時点でかなりアレですよね!」

マミ「現実なんて見えないわ!」

さやか「あははは」

マミ「うふふふ」


さやか「……」

マミ「……」


さやか「イチゴ、無くなっちゃいましたね」

マミ「無くなっちゃったわね」

さやか「今度は目の前にはカスタードクリームの海ですね」

マミ「カスタードクリームと、ちょっとだけの生クリームしかないわね」

さやか「ところどころ赤いですね」

マミ「イチゴの遺した痕跡ね」

さやか「果汁ってすごいんですね」

マミ「そうね」


さやか「……」

マミ「……」


さやか「甘そうですね……」

マミ「本当に、甘そうね……」

さやか「……」

マミ「……」


さやか「やりますか……」

マミ「そうね……」


 ぱく ぱくっ 


さやか「甘い」

マミ「甘いわね」

さやか「イチゴで酸味に慣れていた分余計甘い」

マミ「甘い……甘いわ……うふふ」

さやか「……マミさん?」

マミ「うふふふふ、うふふ、うふふふ」


 ゆらゆら


さやか「マミさん!?マミさん!!」

マミ「うふっ、うふふふうふふ甘い甘い、うふふふ」ユラユラ

さやか「マミさん!マミさん帰ってきて!」


 ゆっさゆっさ


マミ「うふ、ふふ、うふふっ……ちょっ、やめ、あんまり揺すらないで!うおぇっぷ……はっ!?」


さやか「マミさん……」

マミ「ごめんなさい、ちょっとトリップしてたわ……」

さやか「……おかえりなさい」

マミ「ただいま……」

さやか「マミさん、もしいつかあたしも旅立ってしまったら……その時はよろしくお願いします」

マミ「ええ、任せてちょうだい……」


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


さやか「……」

マミ「……」


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


さやか「……」


マミ「……あっ」


さやか「!?」ビクッ

さやか「な、なんですか!?」



マミ「生クリームだわ……」


さやか「……えっ?」

マミ「生クリーム……」

さやか「すいません、よく聞こえませんでした」

マミ「白いの……白いのよ……」

さやか「えっ……えっ!?まさか……」ソロリ


生クリーム「来ちゃった☆」


さやか「……」

マミ「……」


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


さやか「……」

マミ「……」


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


さやか「……」

マミ「……」

さやか「……?」

マミ「……」カチャカチャ


さやか(あ)

さやか(今さりげなくスカートの留め具を外した)

さやか(真似しよう)


さやか「……」カチャカチャ

マミ「……」

さやか「……」


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ……カリッ


さやか「!?」

さやか(この音……食感……手触り……まさか!)バッ


マミ「美樹さん?」

さやか「あぁぁあぁぁぁ……」

マミ「美樹さん!美樹さんどうしたの!?」

さやか「ついに……」

さやか「ついに突破しましたよ……!この白い悪魔を!!」

マミ「えっ!」

さやか「見てくださいこれ!コーンフレークですよ!」

マミ「なんて事……!本当にやっつけたの……?」

さやか「もう一息!もう一息で生クリーム地獄も終わりです!」

マミ「ああぁぁぁぁぁ……」

さやか「あぁぁぁぁぁ……」


 カリカリ ザクザク

 カリカリ ザクザク


さやか「軽くておいしいですねぇ」

マミ「ちょっと顎が疲れるのが難点だけどね」

さやか「あははは」

マミ「うふふふ」


 カリカリ ザクザク

 カリカリ ザクザク

 カリカリ ……とろり


さやか「……とろり?」

マミ「何?どうしたの!?」

さやか「いえ、なんか感触に違和感が……なんだろう」ザクザク


さやか「あっ……ああぁぁぁぁぁっ……!?」ヘナヘナ

マミ「なに?一体今度は何が出たの!?」ガタッ


マミ「――えっ」

マミ「なによ、なんなのこれぇっ……!」


さやか「これって……なんで、あたし達が何をしたっていうのよ……!」

マミ「…………設計ミスでしょこれ……!」


マミ「溶けた3色アイスが融合して泉を創ってるだなんて……っ」


さやか「……」

マミ「……」

さやか「マミさん」

マミ「……?」

さやか「もし、あたしが倒れたら……搬送よろしくおねがいします」

マミ「――!?美樹さんあなたまさか……!」


さやか「へへっ……正直もう限界だけど……最後まで戦い抜いたって」

さやか「そう胸を張っていたいんです」

マミ「待って、美樹さん!それはだめ!あなた、一体自分が何をしようとしているのかわかっているの!?」

さやか「わかっています。それが、女としての矜持だとかそういった物を一切合財捨てることになるって事も」

マミ「なら……!」

さやか「でも!」

マミ「っ!」

さやか「やらなきゃ、いけない。そんな気がするんです。……うぇっぷ」

マミ「美樹さん……大声なんて出すから……」


さやか「……マミさん。サポートお願いします」

マミ「後悔は無いのね?」

さやか「無いって言ったら嘘になりますけど……でも、大丈夫です」ニコッ

マミ「美樹さん……」


さやか「器の下の部分持っててください」

マミ「こ、こう?」

さやか「そうそう。じゃあいきます……」

マミ「せーのっ」


 ぐいっ


さやか「ごくっ……ごくっ……」

さやか(一息で飲み干す……!)


 ごく ごく ごく


さやか「ごくっ……ごくっ……」

マミ「おーえす!おーえす!」

さやか「ごっ……!?げふぉ、がっ……ごくっ……!

マミ「美樹さん!?もう一息よ、がんばって!」グイグイ

さやか「んぐーっ!?ごふ、がふっ……ごくっ!」

マミ「もうちょっと!もうちょっとよ!」


さやか「むぐー!ごく、ずず、ずぞぞぞぞ、がはっ、ずぞぞっ」

マミ「すごい!すごいわあと一口よ!」


さやか「ずずっ……ぷはっ!」

マミ「飲みきった!飲みきったわ!ほら、もう器を放して大丈夫よ……」ゴトッ

さやか「はーっ、はーっ、はーっ……げほっ」


マミ「本当によくがんばったわ。お茶よ、ゆっくり飲んで」

さやか「あ、ありがとうござ……げほっ」

マミ「背中さするわね。ひっひっふー」サスサス

さやか「ひっひっふー……ひっひっふー……」

マミ「顔中アイスまみれね……すいませーん、お絞りください」

 <今お持ち致しますー


さやか「マミさん……あたし、輝いてましたか?」ハァハァ

マミ「とびっきりに輝いてたわ!まるで超新星みたいに!」

さやか「へへっ……ならよかっ……うぐっ」

マミ「美樹さん!?」

さやか「すいません、お水ください……」ハァハァ

マミ「お水、水でいいの!?あったかいお茶もあるわよ!?」

さやか「じゃあお茶で……大丈夫ですから焦らないで……ありがとうございます……」

マミ「どうどう……どうどうどう」サスサス

さやか「はぁ……はぁっ……ありがとうございます……だいぶ落ち着きました」


 カランコロン

 <ありがとうございましたー


さやか「……」

マミ「……」


さやか「二人で割ったら2500円ずつですね」

マミ「そうね……」

さやか「なんか、頑張った割りに……」

マミ「それ以上は言っちゃいけないわ。むなしくなるから……」

さやか「……はい」


マミ「……」

さやか「……」

マミ「……次からはもっと警戒しましょうね」

さやか「えっ、次あるんですか!?」

マミ「あっ!ないない、ないわ!もう二度と大食いチャレンジなんてやりたくないわ……」

さやか「同感です……おなかが苦しい……」



おしまい

ここまでです。
では、また近いうちに。

こんばんは、というかおはようございます。
投下であります。

「デラックス2」


 公園にて


さやか「ふー、お腹すいたなぁ……そろそろお家帰ろうかな」

さやか「……ん、あれ?あれってもしかして」


さやか「杏子ー!」

杏子「……ん?っと、さやかじゃねーか。何してんだこんな所で」

さやか「杏子!実はさ、昨日今日となんも食べてないからお腹がすいちゃって。なんか食べ物持ってない?」

杏子「はぁ!?いやマジで何してんだよ、極端なダイエットは体壊すだけだぜ?」

さやか「別にダイエットって訳じゃないんだけど。色々あってさ……」

杏子「ふーん……もしかしてなんか悩み事?話くらいなら聞けるよ」

さやか「んー、悩み事って訳でもないんだな」

杏子「……???ますますワケわかんねーなオイ」


さやか「それがさー、この間マミさんと喫茶店でデラックスパフェってのを食べたんだけど……」


 かくかくしかじか


さやか「――ってのが一昨日の話で」

杏子「くくっ……ひひひっ……」プルプル

さやか「……杏子?」

杏子「だ、だめだ……ひひっ……」


杏子「ぶわっはっはっは!ひーっ、ひっひひ……」

杏子「はははっ、くっくくくくっ……あはははははっ!」


さやか「ちょっと、そんなに笑うことないじゃん!」

杏子「これで笑うなとか無理言うなっつーの。くひっ、ひひひひ……」プルプル

さやか「マジで大変だったんだよ!?あれから絶食状態なんだからね!?」

杏子「自業自得だばーか」

さやか「ぐぬぬ……」


杏子「つーかさ、本当に食べ切れなかったらどうするつもりだったんだよ」

さやか「……あの量は予想外だったんだもん。もっと軽くいけると思ってたのに……」

杏子「はぁ……これだから甘ちゃんは」

さやか「なによそれ!?」

杏子「本当なら食い物で遊ぶんじゃねぇよ!って怒るところだけど?」

さやか「ぐっ……そ、それは……」


杏子「ま、アタシもたまにチャレンジしてる分強くは言えないな」

さやか「ふーん?あんたはジャンボなんちゃらってよく食べたりするの?」

杏子「本当にたまーにな。あんまり何度も挑戦できるようなもんじゃねーし」

さやか「そうなんだ」

杏子「あと言っとくけど、アタシは今まで食い残したことなんてねーからな?」

さやか「あはは、あんたが残してるとこなんて想像できないし」

杏子「ふふん」


さやか「ところで杏子は今何してたの?」

杏子「別に、やること無いから飯でも――」

杏子「…………」


杏子(――閃いた♪)


 にやり


さやか「杏子?どうしたの?」

杏子「わりぃ、ちょっと考え事してた」

さやか「考え事?」

杏子「ああ。これからちょっと一稼ぎしてこようかと思ってさ」

さやか「ふーん。バイトしてたっけ?」

杏子「いいや、ちょろーっと食べて遊ぶだけの簡単なお仕事」

さやか「……え?」

さやか(そ、それってもしかして……)


さやか「……ねぇ、そのお仕事ってどこらへんでやってるの?」

杏子「そうだなー……まぁ大体は繁華街が多いかな」

さやか(繁華街!やっぱり……)


さやか「時間はどれくらい?」

杏子「大抵30分~1時間くらい。たまに無制限とかもあるけど」

さやか(なんか話が生々しくなってきたぞ)


さやか「に、人数は?」

杏子「この辺だと一回につき一人ってのが多いな。時々三人までオッケーってのもあるけど」

さやか(うわぁぁ)


さやか「やってる人ってどういう人が多い?」

杏子「やっぱり男が多いかなぁ。たまに女もいたりするけどね」


さやか「あとさ、そういうのをやってるお店とかってどうやって探すの?」

杏子「最近はインターネットとかでも探せるみたいだけど、あたしはやっぱ自分の足で探すかな」

さやか「……!!」


さやか(こ……これってやっぱりアレだよね……)

さやか(食べて、遊んで、お金を貰えるって……どう考えたって……)


さやか(援助交際……!)


杏子「なんだ、もしかしてアンタも参加したいのか?」

さやか「!」


さやか(ど、どどどどうしよう)

さやか(やりたくはないけど……でも万が一杏子がそういう事をしてお金を稼いでるんだとしたら)

さやか(止めなくちゃ……!)


さやか「う、うん……その、やり方とかはよくわかんないんだけど……」

杏子「大丈夫大丈夫!アタシがやさしく手ほどきを教えてやるよ」

さやか「そ、そう?じゃあお願いしちゃおうかなーなんて……」

杏子「なんだよまさか緊張してんのか?」

さやか「えっ!?やっぱりそりゃあね。抵抗とか色々あるし……」

杏子「あぁ、確かにこういうの苦手っぽいもんなぁ」

さやか「うん……」

杏子「ま、大丈夫だって!店選びとかはアタシに任せときな」ポン

さやか(全然大丈夫じゃないよぉ!)


 繁華街


さやか(着いちゃったよ……どうしよう)


杏子「~♪」


さやか(……やっぱりなんか慣れてる様子だ)

さやか(……よし)

さやか(いざとなったら力ずくで……)


杏子「……チッ」

さやか(!?)


ホスト「モブ子ちゃん次どこいきたい~?」

モブ子「えっとねぇー、モブ子はホスト君のいるところならどこでもいいよぉ~」

ホスト「よっしゃ!じゃあ俺のとっておきに案内しちゃおっかな~」

モブ子「キャー楽しみぃ~!」


 いちゃいちゃ


杏子「おーおー見事に酔っ払っちまって。まだ空が明るいっつーの」

さやか「……」


杏子「どうした、こういうとこ来んのは初めてじゃねーだろ」

さやか「そりゃ魔女追いかけて来たことはあるけどさぁ」

杏子「ならさっきのみたいのだって見た事くらいあんだろ」

さやか「まあね……」

杏子「落ち込むなよ、世の中にゃあんなのばっかじゃねーんだからさ」

さやか「う、うん……」


さやか(でもこの緊張にアレはちょっとキツイよぉ……)


杏子「さてと、着いたぞ」

さやか「……ここ?なんか普通の定食屋っぽいけど」

杏子「意外とこういうとこでもやってるもんなんだって」ガラガラ

 <らっしゃい!


さやか(うわぁお客さんがおっさんだらけだ……もしかしてこの中から選んだりするのかな)


杏子「すいませーん、今って超特盛りデラックスカレーってできますかぁ?」


さやか「……えっ?」


店員「はい、大丈夫ですよ」

杏子「じゃあそれで。2名ね」

さやか「えっ?あの……」

店員「制限時間は30分となっております」

杏子「はいはーい」

さやか「えっ……えっ……?」


杏子「さーて、それじゃあ――」

さやか「杏子!聞いてないよこんなの!!」

杏子「えぇー、アタシはちゃんと言ったはずだけどなぁ」

さやか「言ってない!」

杏子「言ったよ、”食べて遊ぶだけの簡単なお仕事”だって」

さやか「そもそも仕事じゃないじゃん!」

杏子「ジョークだよジョーク」

杏子「ってかさ、質問にもちゃんと答えたはずなんだけどなぁ」

さやか「ぐっ」


杏子「っつーかアンタは一体何を想像してたのさ?」ニヤニヤ

さやか「……ううぅぅ」

杏子「まさかいかがわしい事とか考えてたワケないよな?」

さやか「そ、そんなワケないじゃん!」

杏子「ふーん。じゃあデラックスカレーだってわかってたんだ」

さやか「も……もちろんに決まってんじゃん!」

杏子「ならいいじゃん。今更文句いうとかナシだからな」

さやか「わかってるよ!!」

杏子「一昨日からなんも食ってないんだろ?じゃあいっぱい食べられるよな?」

さやか「あーあーそうですね、カレーが来るのが楽しみだなぁー!うぅぅ……」

杏子(ひひひひ)



おしまい

以上です。
おやすみなさい。

こんばんは、たくさんの乙そして感想をありがとうございます!
すごい勢いで励みになっております。
さて、今回は2本投下したいと思います。

タイトルは「ブラックで」


さやか「……」ドキドキ


 ずずっ


さやか「うぇぇ……」


ほむら「あらいい香り」

さやか「あぁほむらか。今ちょうどコーヒー淹れたんだけど飲む?」

ほむら「そうね、ありがたくいただこうかしら」

さやか「ほいほーい」カチャカチャ


さやか「砂糖とかはナシでいいんだよね?」

ほむら「ええ。ありがとう」

さやか「どういたしましてー」

ほむら「いただきます」ゴクッ

ほむら「……ん、良い味ね」

さやか「…………」ドキドキ


 ずずっ


さやか「ぶぇぇ」


さやか(やっぱどう考えても苦いだけだわ)


ほむら「あら、あなたコーヒーはブラック派だったの?」

さやか「ううん。やっぱり砂糖とミルクをたくさん入れたほうが好きかも」

ほむら「……?お砂糖ならまだあったと思うけど……」

さやか「あぁ、そうじゃなくって」

ほむら「なら何故?ブラックは苦手なのでしょう」


さやか「えっと……実はね、このあいだインターネットで遊んでたらさ」

さやか「"中学生の頃にやって後悔した事"っていう記事にね、"コーヒーをブラックで飲む"ってのがあったの」

ほむら「……ふむ」


さやか「でさ、いっくら考えても後悔の理由がわかんなくってさ」

さやか「だったらいっその事実践してみよう!と思い立ったわけ」

ほむら「なるほどね」


さやか「んで、せっかくならとこうしてコーヒーを淹れてみたんだけど……」


 ずずっ


さやか「いっくら飲んでみても理由はわからず仕舞い。うぇぇ、苦い……」

ほむら「ふむ」


さやか「このやたら苦いってのが後悔した理由なんかな?」

ほむら「……どう説明したらいいのかわからないけれど、違うと思う」

さやか「あんたは理由わかるの?」

ほむら「一応ね。なんだかんだ言って私は年長者のようなものだから」

さやか「年をとるとわかるの?」

ほむら「人にもよるけどね」

さやか「ふーん……?」


さやか「……ううぅ、苦い……ちょっと砂糖取ってくるわ」

ほむら「はいはい」



さやか「はぁー……やっぱり甘くてまろやかなのが落ち着くや……」

ほむら「そうね。無理してまで飲むものじゃないと思うわよ」

さやか「だよねぇ」


さやか「……あっ!?」

ほむら「どうしたの?」

さやか「もっ、もしかしてあたし将来後悔することになんのかな!?」

ほむら「え?」

さやか「だってほら、ちょっとだけだけどブラックで飲んじゃったし!やだなぁ……」

ほむら「……今回のあなたのような場合なら、別に後悔したりするパターンじゃないと思うから大丈夫よ」

さやか「ほんと?」

ほむら「ええ」

さやか「統計的に?」

ほむら「……統計的に」

さやか「ふーん……ならよかった」

ほむら「…………」



おしまい

続きまして、「バス」


さやか「でさー、そん時マユミがさー」

まどか「あはは」


 ぺちゃくちゃ


運転手『発車しまーす』


 プシュー……

 ブロロロロ


さやか「ほんとさ、もう何回目だってくらいだよねぇー」

まどか「うんうん――ひゃっ!?」フラッ

さやか「まどか!」


 ガシッ


さやか「っと。大丈夫?」

まどか「あっ、ごめんねさやかちゃん」

さやか「人も増えてきたしもう少しだけ奥に詰めよっか」

まどか「うん、そうだね」


さやか「……、……」

まどか「……~~!」


 わいわい

 ぺちゃくちゃ


さやか「はー……やっぱりあいつはすごいんだなぁー……」

まどか「もうほとんど尊敬だよねぇ」

さやか「あたしもあれぐらいできたらなーっていつも思うよ」

まどか「今日の体育の時も、シュってやってスパーンって!」

さやか「あー!あれはかっこよかった!」

まどか「憧れちゃうなぁ……」

さやか「あれで元は病弱だったんでしょ?考えられないわぁ」

まどか「ねー」


まどか「私もかっこよくなれたらいいのになぁ……」

さやか「んー、まどかの場合はかっこいいってよりも可愛いのが似合うと思うけどな」

まどか「そうかなー……」

さやか「ま、まさかこれ以上可愛くなってあたし以外の伴侶を探そうってか!?まさかのイケメン狙いかー!?」

まどか「ふぇっ!?」

さやか「そんなのこのさやかちゃんが許さないぞー!うりゃりゃりゃ」

まどか「きゃぁー!あははは」

さやか「へへへへー」


モブ「……チッ」


さやか「へあっ!?」ビクッ

まどか「ご、ごめんなさい!」

モブ「……」


まどか「……うぅ……怒られちゃった」ヒソヒソ

さやか「ごめん、バスの中って事すっかり忘れてたよ……」ヒソヒソ


 ブロロロロロ


さやか「……」

まどか「……」


さやか(暇だ……)


 ブロロロ……


さやか「……」

まどか「……」


さやか「……」

まどか「……」


さやか「……あっ」

さやか(今、かすかにソウルジェムに反応が……?)


 ブロロロロロ


さやか「……」


 <曲がりまーす


さやか「っ!」

さやか(また反応!)


さやか(つまり今この辺りに魔女が……?)

さやか「……」ソワソワ

まどか「……」


まどか「さやかちゃんさやかちゃん」ヒソヒソ

さやか「んっ?ど、どうしたのまどか?」

まどか「バス、降りる?」

さやか「え?」

まどか「なんとなく、だけど。なにかあったんでしょ?」


さやか「……でも、そしたらまどかが約束に間に合わなくなっちゃう……」

まどか「そこはほら、後でさやかちゃんが私を抱えて走ってくれればいいからさ」

さやか「むむむ……」

まどか「ほらもうすぐ次のバス停だから、ね?」

さやか「……うん。ありがとう」


さやか「ってゆーかまどかを抱えて走るの?あたしが?」

まどか「うん!一度はお姫様抱っこされてみたいって思わない?」

さやか「思うけど!思うけどさぁ!相当揺れると思うよ?」

まどか「だいじょーぶだいじょーぶ」

さやか「うーん……ま、とりあえずこの魔女をのしてから考えよっかな!」

まどか「えへへ、がんばって!」

さやか「おう!」



おしまい

あ、またタイトル入れ忘れた……
以上であります。
ではまた近いうちに!

こんばんちゃ。
投下にやってきました。

タイトルは「冷え込み」です。


 鹿目家、まどかの部屋


まどか「はーい焙じ茶お待たせー」コトッ

さやか「サンキュ!ずずっ……あぁー、あったかいわぁ……」

まどか「急に冷え込んで来たねぇ」

さやか「ねー。これで明後日辺りからまた暖かくなるらしいよ、最高気温20度越えだって」

まどか「うわぁ……」

さやか「マジ意味わかんないよね」

まどか「はー。今夜辺り油断して風邪ひく人多そうだねぇ」

さやか「寒暖の差がヤバいもんね……」

まどか「ね」


まどか「さやかちゃんお茶のおかわりいる?」

さやか「まだあるから大丈夫ー」

まどか「はーい」


さやか「……あれっ?」

まどか「どうしたの?」

さやか「ちょっと、外雪降ってない!?」

まどか「えぇっ!?」

さやか「ほら、なんか白っぽいのがチラチラしてる!」

まどか「んー……よく見えない……」

さやか「ちょっとだけ窓開けてみよっか」

まどか「う、うん」


 ガラガラッ


まどか「……わぁ」


 ちらちら ひらひら

 ひらひら ふわふわ



まどか「ほんとに降ってる……」

さやか「ふえっくしっ」

まどか「だ、だいじょうぶ?」

さやか「うん……ふぇ、へっくしっ」

まどか「あわわ、早く窓閉めよう?」

さやか「ちょっと待って!せっかく雪降ってるんだし……」

まどか「……?」

さやか「みててね……」


 すっ


さやか「……よっしゃ!ほら雪の結晶!」

まどか「えっ?つ、捕まえたの?」

さやか「へへへ。久しぶりの雪なんだからまずは捕獲しなくっちゃ」


 キラキラ


さやか「えへへ」

まどか「…………」ジーッ


まどか「すぅー……ふはぁ~」フワッ

さやか「まどか?息なんて吹きかけて……ってあぁっ!?ちょっと、結晶溶けちゃったじゃん!」

まどか「ご、ごめんつい反射的に……」

さやか「もー、せっかく捕まえたのに……」


まどか(むくれるさやかちゃんもかわいいなぁ)


さやか「……まどか?どしたの?」

まどか「えっ!?あ、あのね、雪の結晶溶かしちゃってごめんね……」

さやか「いや別に謝らなくてもいいんだけどさ……まだいっぱい降りそうだし」


まどか「えいっ!えいっ!」


 ひらっ ふわっ


さやか「なにしてんの?」

まどか「雪捕まえてるの。さやかちゃんの雪溶かしちゃったから……」

さやか「……捕まる?」

まどか「なかなか捕まらない……」グスン


さやか「そうだなぁ……雪を捕まえる時はね、自分から動いちゃだめなんだよ」

まどか「どうやるの?」

さやか「こうやるの。見てて」

さやか「まずは洋服の袖を手の辺りまでぐいっと伸ばして……そのまま腕を突き出す」


 すっ


さやか「んで、雪が降りてくるのをじっと待つ」

まどか「ほえー……」

さやか「……ほいキャッチ」

まどか「おぉー。なるほど」

さやか「ね、簡単でしょ?」

まどか「うん、やってみるね!」


まどか「……」

さやか「……」


 ひらひら ふわふわ

 ふわふわ ふわっ


まどか「……!捕まえた、捕まえたよさやかちゃん!」

さやか「ナーイスまどか!」パチン

まどか「いえーい」ペチン

さやか「なかなか上手じゃん!」

まどか「えへへ、さやかちゃんが教えてくれたからだよ」

さやか「結構おもしろいでしょ?」

まどか「うん!」



 ――――ガサッ


さやか「……!?」

まどか「ね、ねぇ……今何か音がしなかった……?」

さやか「うん……なんかガサっていった。野良猫ってサイズの音じゃないよね」

まどか「あの茂みの辺りから聞こえたような……」

さやか「雪は降ってるけど風は無いし……まさか不審者!?」

まどか「えぇっ!?や、やだぁ!」


まどか「……」

さやか「……」


まどか「音、しないね」

さやか「息を潜めてるのかも……ちょっとあたし見てくる」

まどか「さ、さやかちゃん!?危ないよ、パパ呼んでくるから待ってて!」

さやか「大丈夫。いざとなったら叩き斬ってやるんだから!」

まどか「そ、それもだめぇっ!とにかくここで待ってて、すぐに呼んで――」


 <へっくちっ


まどか「!?」

さやか「!?」


 <……


まどか「さやかちゃん、今のって……」

さやか「うん、女の子のくしゃみだよね……」


まどか「……」

さやか「……」


さやか「やっぱあたしみてくるわ」グイッ

まどか「う、うん……無理しないでね」


さやか「そこにいるのは――」


 ずかずかずか


さやか「誰だッ!!」


 がさっ ずぼっ


ほむら「きゃあっ」ズルリン


さやか「……」

まどか「……」

ほむら「……」


ほむら「違う、これは違うの……」


 ふるふる


さやか「ほむら、あんたまさか……」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「違うの、本当に誤解なの……」

さやか「誤解ってあんた……」

ほむら「ただ通りかかっただけなの……魔女を探していて、その……偶然……」

さやか「……」

まどか「……」

ほむら「本当に本当なの……誤解なのよ……お願い、信じて……」


まどか「……なんで茂みの中にいたの?」

ほむら「その……パトロールしてたら急に雪が降ってきて……偶然この家の前を通りかかったら話し声が聞こえて……それで……」

さやか「……」

ほむら「あんまり寒かったものだから、なんとなく賑やかな声につられて、ふらふらと……」

ほむら「しばらくじっとしてたんだけど、くしゃみが出そうになっちゃったから慌てて手で押さえたらバランスが崩れちゃって」

ほむら「それで転んじゃって、思いきり生垣に突っ込んでしまって……」

ほむら「そうしたら、不審者って言われちゃって……怖くなってじっとしてたらまたくしゃみが……」

ほむら「だから、だから違うの……お願い……不審者じゃないの……」

さやか「あんた……なにしてんのよ本当に……」

まどか「ほむらちゃん……」


ほむら「ふぇ……ふぇっくちっ!ふぇぇ……くしっ!うぅぅ……」ブルブル

まどか「えっと、とりあえず部屋に上がる?寒いでしょ」

ほむら「いいの……?」

まどか「うん。あ、靴はどうしようかな」

ほむら「窓の外に置いておくわ……っくしゅん!」

まどか「だめだよ、雪が中にはいっちゃうよ!えーと……そうだ!このコンビニ袋の上に置いておこっか」

ほむら「本当にごめんなさい……」

まどか「いいからいいから。さ、入って」

ほむら「ええと……お、お邪魔します……」

さやか「はい焙じ茶。熱いからゆっくり飲むんだよ」

ほむら「ありがとう……」


 ずずっ


まどか「そういえばほむらちゃん、夕飯は?」

ほむら「……カロリーメイト、チョコレート味……」

まどか「……」

さやか「……」

ほむら「……そんな哀れんだ目で見ないで」


まどか「ちょっと待ってて。確か冷蔵庫にビーフシチューがあったはずだから」ガタッ

ほむら「そ、そんな迷惑はかけられないわ!これを頂いたらすぐに帰るからっ」

さやか「そんな状態で帰せるかっての。大体あんた風邪引きかけてるじゃん」

ほむら「うぅ……」

さやか「はぁ……とりあえず暖まってから考えようか」

ほむら「ごめんなさい……」

さやか「謝られても困るんだけど。ってかあんた手冷たすぎ!」

ほむら「……ずっと外にいたから……」

さやか「何やってんのよホントに……今度から夜に見回りする時は連絡してよ、一緒に行くからさ」

ほむら「で、でも!」

さやか「まどかの事が心配で?」

ほむら「……そうよ。悪い?」

さやか「悪かぁないけどさ……ま、とにかく。今度からは連絡ちょうだいね?あたしがしたくて言ってるんだからさ」

ほむら「だけど……あなただって時々一人でパトロールしてるじゃない」

さやか「流石にこんな遅くまで見回ってはいないわ」

ほむら「うっ」


さやか「大体さ、あたしに独断先行はするなって言ったのはどこのだれなんだか?」

ほむら「うぅ……」


さやか「それに」

ほむら「……?」

さやか「まーた深夜に不審者じみた行動とられても困るしー?」

ほむら「だっ、だからそれは違うと言っているでしょう!」カァッ

さやか「ひひっ、どうだかなー?あんたのまどかへの執着心はすごいからなぁ」ケラケラ

ほむら「ほんとに違うのに……」

さやか「ほんとかー?顔が赤いぞー?うりうりっ」

ほむら「そ、それはあなたが煽るからっ!」


まどか「お待たせー!ってどうしたのほむらちゃん。顔赤いよ?」

ほむら「ふぇっ」

さやか「実はね――」

ほむら「やめなさい、嘘を吹き込まないで!」

まどか「どうしたの?」

ほむら「な、なんでもないわ!」

まどか「……?」



おしまい

以上です。さやかちゃんぺろぺろ
本日もお付き合いいただきありがとうございました!

こんばんは。
ちょっと日付がはみ出ちゃったけど本日は3月8日でした。いやむしろ今が3月8日の27時半だよね?

と、いうわけで「3月8日」です。


 朝、美樹家


さやか「ふぁぁぁ……朝か、んむ……」

さやか「……ぐぅ」

さやか「はっ!危ない危ない、今完全に寝てたわ……ふわぁ」ゴシゴシ

さやか「起きなきゃ……今何時……」

さやか「…………」

さやか「……えっ?」


時計「10時です」


さやか「寝過ごしたぁあああああああッ!?」ガバッ


さやか「っつーかマジ何!?目覚まし鳴ってないしマジで!」

さやか「おかーさーん!何で起こしてくれなかったのー!?」

さやか「ってもう仕事行っちゃってていないし!うっひゃあああ」バタバタ


さやか「あぁぁ着替え着替え……って引き出しに靴下無い!こっちにも無い!」バタンバタン

さやか「どうしよう物干しにぶら下がってるかな……」


さやか「っしゃ!あった靴下!若干生乾きだけどこの際仕方ないわ」ゴソゴソ

さやか「カバンに教科書詰めて、ノート、ノート……えーと金曜日だから数学と――」


さやか「――あれ?金曜日?」


さやか「今週の金曜日ってなんかあったような……」

さやか「…………」


さやか「……あぁぁぁぁっ!!」


さやか「今日休みだったんだ!」


さやか「……拍子抜けしちゃった」

さやか「とりあえず顔でも洗おう……」


 ザー……ザバー

 ジャバジャバ キュッ


さやか「ふぅ……」フキフキ


さやか「……ってゆーか。改めて鏡でよく見てみると」

さやか(寝癖だらけの頭、よれたシャツに生乾きの靴下……)

さやか(おまけにリボンは曲がってるし、ヘアピンがすごいところに付いてる)

さやか「酷いありさまだなぁ、あたし……」ボロッ


さやか「…………」

さやか「あはは……はは……」

さやか「…………はぁ」

さやか「……なんかすっごい疲れた……」

さやか「朝ごはん何かないかな……」


 ごそごそ


さやか「冷蔵庫、なんも無いなぁ……」ゴソゴソ

さやか「もうトーストだけでいっか」バタン

さやか「あとはお湯を沸かしてインスタントスープでも食べようかな」

さやか「……はぁ」


さやか「なんかすっごく侘しい……」

さやか「あったかいスープが侘しさを倍増させてる気がする。やたらインスタントな味するもんこれ」ズズッ

さやか「…………」モグモグ

さやか「一人暮らしっていつもこんな気分なのかな……」

さやか「あたしにはとてもできる気がしないや」


 <ピンポーン


さやか「……ん?」

さやか「こんな時間に誰だろう」


 とことこ


 ガチャッ


まどか「やっほーさやかちゃん!」

仁美「おはようございます。突然おじゃましてしまって申し訳ありません」

さやか「あれ!?二人ともこんな時間にどうしたの?ってゆーかその大荷物は一体」

仁美「うふふ、それはまだ秘密ですわ」

さやか「んー……?まぁいいや、上がってよ!」

まどか「おじゃましまーす」


まどか「あれっ、さやかちゃんご飯食べてたの?」

さやか「あぁ……実はさっき起きたばっかなんだ」

仁美「うふふ。せっかくのお休みですものね」

さやか「あは、あははは……それが実はね……」


 かくかくしかじか


まどか「なるほど、それで制服着てるんだね」

さやか「もうすっごい慌てちゃってさぁ!みてよこの靴下、生乾き!超湿っぽいの!」

仁美「それは大変でしたわね」

さやか「ほんっとーに!あんなに焦ったの久しぶりだわ」

さやか「そんなわけで悪いんだけどさ、これ食べ終わるまでちょっと待っててくんない?」

まどか(……!)


まどか「その必要は無いわ」


 ふぁさっ


さやか「ごふっ!?」ブフォッ


さやか「げほっ!げほごほっ」

仁美「さやかさん!?せ、背中さすりますわね」

まどか「ごめんねさやかちゃん!大丈夫!?」

さやか「気管支に入っちゃった……ゲホッ、ゲホッ。ありがと仁美、もう大丈夫……げほっ」


さやか「あー……落ち着いてきた。まどか、それってもしかしてほむらの真似?」

まどか「うん!」

さやか「すっげー似てた!やばい!本人に見せるべき!」

まどか「そ、そうかな?えへへ」


まどか「でね!ご飯なんだけど」

さやか「うん?もうちょっと待ってね」

まどか「じゃなくって……ちょうどいいかなって」

さやか「……?」

仁美「じゃじゃーん!」


 ドン!


さやか「……うん?サンドイッチ?」

まどか「これだけじゃないよ!ほら、からあげ!サラダ!あとねー、春巻きと野菜炒め!」


 ドン!ドン! ドンドンッ!


まどか「あとねあとね」

仁美「シフォンケーキですわ!」


 どーんっ


さやか「うおお、何!?一体どうしたのこのご馳走!?ってゆーかもしかして全部手作り!?」

仁美「うふふ、今朝早起きしてまどかさんと一生懸命作ってきたのですわ」

さやか「えっ!?な、何故に?」

まどか「さやかちゃん。今日って何月何日だ?」

さやか「今日……?えーと、3月の……8日だけど。なんかあったっけ?」

まどか「なんかあるんだよぉ」

さやか「ええぇぇ?カレンダーには特に何も無いし……強いて言えば学校がお休みってくらい?」

仁美「甘い……甘いですわさやかさん」


さやか「えぇー?全然わかんない……3月8日でしょ?金曜日……は、関係ないか」

まどか「えへへ」

さやか「ちょっと、本気でわからないんだけど」

仁美「いつも自信たっぷりなさやかさんらしくないですわ!」

さやか「え、あたしってそんなキャラだっけ?」

仁美「ですわ」

さやか「うーん?それっていいのか悪いのか……」


まどか「で、どう?わかった?」

さやか「全くわかんない!降参!」

まどか「仕方ないなぁ」


仁美「さやかさん、3と8を別の読み方にするとどうなります?」

さやか「3と8?さんぱち?みやっつ?さんやっつ……?」


まどか「そう!さん、やっつ……さん、や……さや……そう、さやの日!」


仁美「つまり、さやかさんの日ですわ!」


さやか「えっ」


まどか「えっ?」

仁美「えっ?」

さやか「……えっ?」


まどか「……」

仁美「……」

さやか「……」


まどか「ど、どうしよう仁美ちゃん……やっぱり無理やり感があったかなぁ……」オロオロ

仁美「わかりませんわ……いいアイデアだと思ったのですが……」オロオロ

さやか「えっと、その……えーと……」オロオロ

まどか「ふぇぇ……どうしよう、企画倒れなのかなぁ……さやかちゃんに迷惑かけちゃったかも……」

さやか(!?)

さやか(ええい、ままよ!)


さやか「わ、わーい!そっかぁ、さやかちゃんの日か!全然気がつかなかったけどそりゃめでたいわ、一本とられたなー!あははは!」

まどか「!」

仁美「さやかさん……」ホロリ


さやか「ってゆーか気持ちだけでも嬉しかったのに、こんなご馳走まで作ってもらっちゃって」

まどか「あのね、パパに教えてもらいながら作ったから味は保障するよ!」

仁美「お口に合えばよろしいのですが……」

さやか「そっか、二人とも頑張ってくれたんだね」

さやか「ありがと。本気で嬉しいかも」

まどか「……えへへ」



 ぱくぱく もぐもぐ


さやか「んー!この春巻き美味しい!」

まどか「ほんと?よかったぁ」

仁美「その春巻きは特に苦労したんですのよ」

まどか「そうそう。なかなか綺麗に巻けなくって、失敗して中身が出てきちゃったりして」

仁美「長時間揚げすぎてしまったりして大変でしたのよねー」

まどか「ねー」

さやか「ふふっ、そんなに一生懸命作ってくれたと思うと尚更美味しく感じるねぇ」

まどか「いっぱいたべてね!」

さやか「んー。言われなくとも勝手に箸が進んじゃうわ。さやの日最高!」

仁美「うふふ」



おしまい

と、いう訳でさやの日でした。
来年もさやかちゃんに会えますように。

こんばんは、投下にやってきました。
今回は二本立てです。

「ねこ」


 夕方、見滝原工業地帯


さやか「夢中で使い魔を追いかけてたら、いつの間にかこんな所まで来ちゃった」

さやか「ずっと結界の中にいたから気がつかなかったけど、日も沈みかけてるし」


 てくてく


さやか「あーあ、なーんか結構遠くまで来ちゃったっぽいなぁ」

さやか「この辺りは道もわかんないし……」

さやか「お財布も心許ないからタクシーってわけにもいかないし……」

さやか「どうやって帰ろっかな……」

さやか「はぁ……」


 てくてく


 にゃあ!


さやか「……お?猫?野良かな」

子猫「にゃあ!」

さやか「あはは、人懐っこい子だなぁ!よーしよしよし」ナデナデ

子猫「ゴロゴロゴロ……」

さやか「可愛いなぁ……荒んだ心が癒されていくよ」


子猫「にゃん!みゃーう、ゴロゴロ」

さやか「なぁに、あたしとおしゃべりしたいの?でもごめんね、流石に猫語はわかんないや」ナデナデ


子猫「にゃーお!」

子猫「にゃん!みゃあ、にゃあ!」

子猫「みゃうにゃん、にゃーう」


さやか「ぐいぐい来るね君」

子猫「みゃお」


さやか「う、うーん。そうかそうかー、にゃーん!で、みゃーお!なのかー」ナデナデ

子猫「みゃう、にゃーお」


さやか「ふんふん、それでー?」ナデナデ

子猫「みゃあ、なーうにゃーう」

さやか「ほほう。それは大変だったねぇ」

子猫「にゃんにゃあ、みゃーう、ゴロゴロ」

さやか「そうかー。うんうん、その子の言う事にも一理あるよね」

子猫「にゃーうみゃん、みゃあ」

さやか「ふむふむ」

子猫「にゃあみゃーお」

さやか「なるほどねー……そりゃあ世知辛いわ」

子猫「にゃーう」

さやか「でもさー、それってアレでコレがソレじゃん?」

子猫「にゃう」

さやか「でしょ?だからさ、どっかで折り合いつけなきゃだめなんだって」

子猫「なーう……」


さやか「だけどあんたはそれを見逃せなかったわけね。あはは、あたしと同じだ」ナデナデ

子猫「にゃん?」

さやか「んー?なんでもないって」ナデナデ

子猫「にゃーう、にゃあ」

さやか「ふぅん、にゃーおでにゃーうなのね」

子猫「みゃあ!みゃーう」

さやか「みゃーう?」

子猫「にゃーう!にゃーご!」

さやか「みゃうにゃーご?」

子猫「なーお!にゃあにゃう!」

さやか「あはは、ゴロゴロゴロー!」ナデナデナデナデ

子猫「ゴロゴロゴロ……」


杏子「にゃう、にゃーご?」ボソッ


さやか「にゃ……なう゛っ!?」ガタッ


さやか「えっ!?あっ、きょ、きょーこ!?」


 かぁぁっ


杏子「よう。まっさかアンタが猫と話せるとはなー」ケラケラ

さやか「ど、どこから見てたの!」

杏子「ぐいぐい来るね君、の辺りからかな」

さやか「それってほとんど全部じゃんかぁぁぁああ!」

杏子「くっくっくっ。にゃお、にゃーん?」

さやか「やめてぇっ!ぐああ、まさか見られてたとは……しかもよりによってあんたとか!」

杏子「みゃーうでにゃーうがにゃーんなんだよなぁ、さやか?」

さやか「ちょっと、恥ずかしいからやめてよ!」

杏子「わっかんないなー。そんな恥ずかしくないよなぁ、猫ちゃんよぉ?」

子猫「にゃーう!みゃう、みゃあ!」

杏子「お、子猫の割にはアンタも言うじゃん。ほらもっと言ってやれよ!みゃーう」

子猫「にゃあにゃん!にゃーお!」

さやか「ぎゃああああぁぁぁぁっ」ゴロゴロ



おしまい

以上です。
続きまして、「いぬ」


さやか「この間は酷い目に遭った……」

さやか「杏子ったらみんなに言いふらしちゃうんだもんなぁ」

さやか「目が合えば"にゃん"とか"みゃーお"とか言ってくるし」

さやか「ジェムが無駄に濁るっつーの」


 てくてく


さやか「そして今日も魔女の反応は無し、と……」

さやか「うーん平和だ」


 てくてく


さやか「ふー……」

さやか「そろそろ歩くのも疲れたし、そこの公園でちょっと休憩しようかな」


さやか「おっ」

さやか「自販機あるじゃん!あったかいミルクティー飲もっと」


 ピッ ガコン


さやか「あちちちっ」

さやか「よっ、ほっ」プシッ

さやか「…………」ゴクゴク

さやか「……ふー……」

さやか「……」

さやか「……お、ベンチ発見」


さやか「よっこらせっと」

さやか「ふいー……」ノビー


 わいわい きゃっきゃっ

 きゃ~!きゃはははっ


さやか「……」ボーッ

さやか(子供達は無邪気でいいなぁ……)

さやか(あたしにも、あんな時代があったんだよな……)

さやか「……」

さやか「……」


さやか「……ん?」


犬「わんっ」

さやか「びっくりしたぁ、でっかい犬だな!あんたご主人は?」

犬「くぅ~ん」

さやか「ちゃんと首輪ついてるから飼い犬だよね」

犬「わん!」

さやか「お、名札も付いてる……ふーん、あんたポチっていうんだ」

犬「わふん」

さやか「いまどき古風な名前だねぇ」

犬「ばうっ!!」

さやか「な、なんだよぉっ!ポチって名前、そんなに気に入ってるの?」

犬「わうん」

さやか「ふーん。そっか」ナデナデ

犬「わんっ!はっはっはっ」フリフリ


さやか「あんた犬種は?」

犬「わおん」

さやか「わかんないか」

犬「くぅーん」

さやか「ってゆーか本当に飼い主の人はどこ行っちゃったの?」

犬「わんっ!」

さやか「だから犬語はわかんないんだって」

犬「きゅーん……」

さやか「そんな落ち込まないでよ……なんか悪いことしたみたいじゃん」

犬「わうん」

さやか「……」ナデナデ

犬「!」クンクン

さやか「ん?ミルクティー?」

犬「わんっ」

さやか「これはダメだよ、甘いもん」

犬「くぅん……」

さやか「だから、あからさまに落ち込まないでよもー!」


犬「わんわんっ」

さやか「あのね、これをあんたが飲むと体に毒なの。だからダメ」

犬「わおん?」

さやか「うーん……ポチ、これ、飲む。お腹痛くなる。わかった?」

犬「わんっ!」

さやか「よーしいい子だ」ナデナデ

犬「わふん」ペロペロ

さやか「あはは、くすぐったい!」

犬「くうーん!わんわんっ」ペロペロペロペロ

さやか「くはっ、あははははっ!だ、だめだって!あははは」


 ぺろぺろ ぺろぺろ

 ぺろぺろ ぺろぺろ


さやか「あはは、あは、耳はだめっ、ひゃはははっ」

犬「ハッハッハッ」ペロペロ


 ぺろぺろ ぺろぺろ

 ぺろぺろ ぺろぺろ


さやか「くはっ!ひゃはははは!ポチ、やめっ、あはははっ」

犬「ハッハッハッ」ペロペロ


 ぺろぺろ ぺろぺろ

 ぺろぺろ ぺろぺろ


 ぺろぺろ ぺろぺろ

 ぺろぺろ ぺろぺろ


さやか「ふひっ、も、もうやめて、くすぐったっ……ひゃっ……」

犬「ハッハッハッ」ペロペロ


 ぺろぺろ ぺろぺろ

 ぺろぺろ ぺろぺろ


さやか「くぁっ……~~っ!……ポ、ポチやめっ……!」

犬「わふん」ペロペロペロペロ

さやか「うぁ……~~っ!」ビクンッ

犬「ハッハッハッ」ペロペロ

さやか「はぁっ、はぁっ……も、もうやめっ……!」


「こら、ワンちゃん!めっ」ペチッ


犬「きゅうん!」

さやか「はあ、はあ……」グッタリ


 「大丈夫ですか?」

さやか「ん、誰……?ありがとうございます、たすかりました……」

仁美「わたくしですわ、さやかさん――本当に大丈夫ですか?」

さやか「仁美か!ありがとう……酷い目に遭ったよ」

仁美「ずいぶんとペロペロされてましたわね」

さやか「うん……なんかやたら懐かれちゃって」

犬「わんっ!」

さやか「うわっ、顔中べったべたじゃん!後で洗おう……」

犬「わふん」

さやか「ポチやりすぎ!」

犬「くうーん」

さやか「媚びてもだめなものはだめ!わかった?」

犬「わんっ」

さやか「はー……ほんとにわかったの?」

犬「ハッハッハッ」

さやか「怪しい……」

犬「くうーん」


仁美「くすっ」

さやか「はっ!またやっちゃった」

仁美「また、ですか?」

さやか「え?あっ!?」

仁美「前にも何かありましたの?」

さやか「恥ずかしいから言えない!だめ!」

仁美「えぇー。知りたかったですわ」

さやか「なんだよー!言いたくないんだよー!」

仁美「でしたらまどかさんに訊いてみようかしら」

さやか「それもだめぇ!」

仁美「うーん、せっかくワンちゃんから助けて差し上げたのに」

さやか「うっ……そ、それとこれとは別!とにかくだめ!だめなものはだめなの!」

仁美「ぶー」



 <ポチー!


犬「!」

犬「わん!わんわんっ」


 たたたっ


さやか「あ」

仁美「あ」



飼い主「こらっポチ!勝手に走って行っちゃだめって何回も言ったでしょ!」

犬「きゅーん……」

仁美「ワンちゃんの飼い主の方ですのね」


飼い主「ごめんなさい、うちの犬が迷惑をかけたみたいで……」

さやか「いえ、大丈夫です……よかったねポチ、飼い主の人が迎えに来てくれて」ナデナデ

犬「わん!ハッハッハッ!ペロペロッ」

さやか「うわっ!?ちょっと!誰かポチを止め、うわぁあああ!?」



おしまい

以上です。
では、また近いうちに。

ごめんねごめんね、もっと上手に書けるよう精進します……orz

本日のお題は「ホワイトデー」です。


さやか「んふふ~ん、ふ~ん♪」

さやか「~~♪」


 るんるん


まどか「さやかちゃんご機嫌だねぇ」

仁美「ちょっと前まで随分沈んでらしたのに、何かあったのでしょうか」

さやか「ふんふ~ん♪」


まどか「さやかちゃんさやかちゃん」

さやか「んー?なーに?」ルンルン

まどか「もしかして、何か良いことあったの?」

さやか「あは、やっぱりわかっちゃう?」

仁美「とっても幸せそうに歌ってらしたもの」

さやか「えへへへ」

まどか「ねぇねぇ何があったの?」


さやか「どうしよっかなー、言っちゃおうかなー」テレテレ

まどか「なになにー?」

さやか「うーん、別に口止めされてる訳じゃないしいいかな」

さやか「あのね、実は昨日ね――」

仁美「……」ドキドキ

さやか「恭介にー、これもらっちゃったんだ!じゃーんっ」


 ふわっ


仁美「!?」

まどか「わ、かわいいハンカチ!」

さやか「でしょー!あたしにはちょっと可愛過ぎちゃうかなって感じだけど……」

まどか「そんな事ないよ!とっても似合うと思うよ?」

さやか「そ、そうかなぁ?変じゃない?」

まどか「全然!色もさやかちゃんっぽくて素敵だと思うけどなぁ」

さやか「ほんと?」

まどか「うんうん」

さやか「うーん、まどかがそう言うなら……」


まどか「そういえば、これってもしかしてバレンタインのお返しに?」

さやか「うん。昨日の夕方、恭介に呼ばれて家に行ったんだけど」

さやか「そしたらさ、"ホワイトデーには間に合わなかったけど、よかったら受け取って欲しいんだ"って!」

まどか「きゃーっ///」

さやか「べ、別に期待してた訳じゃないけどさ?やっぱり何かしら貰えたら嬉しいじゃん?」

まどか「うんうんっ」

さやか「それでつい舞い上がっちゃってたってワケ。へへへへっ」テレテレ

まどか「えへへ、よかったねぇさやかちゃん」

さやか「うん!」

仁美「…………」

さやか「……仁美?」

まどか「どうしたの仁美ちゃん、顔が怖いよ?」

さやか「……もしかしてあたし、やっちゃった?」

仁美「いえ、さやかさんのせいではありませんわ。……これを見て下さい」


 ふわっ


さやか「緑色のハンカチ?ってコレって……!」ハッ

まどか「さやかちゃんがもらったのと同じ柄だ!」


仁美「昨日、上条君からいただいたのですわ」

さやか「えっ?」


仁美「なんとなくさやかさんに言うのは気がひけたので黙っていたのですが……」

さやか「……」

仁美「実は昨日の昼ごろに上条君に招かれて、お家にお邪魔したのです」

仁美「そうしたら、先ほどさやかさんが仰っていたのと全く同じ言葉と共に"女の子の好きそうな物はよくわからないけど、喜んで貰えたら嬉しいな"とこれを下さったのです」

さやか「えぇっ!?それあたしも全く同じ事言われたんだけど!」

仁美「やっぱり……」

まどか「えっ?えっ?」


さやか「……ハンカチ渡される時に色についてなんか言われなかった?」

仁美「ええ。"一目見て志筑さんに似合いそうな若草色だって思ったんだ"、と」

さやか「……"一目見てさやかに似合いそうな空色だって思ったんだ"って」


仁美「…………」

さやか「…………」

まどか「えっと、あの……」オロオロ


仁美「……もしかしてその後一曲プレゼントされませんでしたか?」

さやか「えっ!?ひ、仁美にも曲弾いてくれたの?」

仁美「…………」コクリ

さやか「……まさか、曲名は――」


さや仁「「"亜麻色の髪の乙女"」」


さやか「マジで!?うっわ!うっわ!!ないわー!うっわ」

仁美「本当にまさかの事態ですわ……」

まどか「ど、どういう事?」

さやか「恭介の奴、あたしと仁美に全く同じプレゼントをしてたのさ!セリフまで同じで!」

仁美「バレンタインのお礼にとブランド物のハンカチを、その後に物だけじゃ悪いからとバイオリンで一曲」

さやか「しかも、"君だけに贈る一曲"とか言っちゃって」

仁美「聴衆が一人だけって意味でしたのね……」

まどか「うわぁ……上条君……」

さやか「あんにゃろ、まるで乙女心ってやつをわかってないわ!」

仁美「確かにやっていることは間違ってはいない、いないのですが!なんというかこう、モヤモヤしますわ……」


さやか「……ねぇ、一発殴り込みに行かない?」

仁美「良い案ですわね」

まどか「えっ!?」

さやか「あたしがこうシュッっと行ってガッとホールドするから」シュッ ガッ

仁美「そこにわたくしが一発お見舞いするわけですわね」ブンッ

さやか「腕と顔はヤバいから腹部でよろしく」グッ

仁美「合点承知ですわ」グッ

まどか「ふ、二人とも落ち着いてぇっ!?」

さやか「大丈夫、あたしは至って冷静だよ?あは、あははは」

仁美「うふふふ」

まどか「あわわわ……」オロオロ


さやか「…………」

仁美「…………」


さや仁「「はぁ……」」


 がっくり


まどか「――ふぇっ?」


さやか「ごめんごめん。本気で殴りこみに行く訳無いって」

仁美「ほんの冗談ですわ」

まどか「よかったぁ……二人とも目が本気なんだもん」ホッ


さやか「なんにせよ、あいつに悪意が全く無いってのが一番厄介なんだよなぁ」

仁美「本人は善かれと思って行動していますものね……」

さやか「そうそう。一発殴った所で乙女心を理解できるようになるわけでもないし」

仁美「でもせめて選曲くらいはもう少し慎重になって欲しかったですわ」

さやか「あいつの事だから、きっと二曲練習するよりも一曲に絞った方が熟練度が上がっていいとか思ったんだろーね」

仁美「なるほど……」


さやか「てゆーかさ」

仁美「はい?」

さやか「正直、バイオリン演奏してもらった時は"勝った"と思わなかった?」

仁美「……思いましたわ」

さやか「だよねー。あんな事言われたらどう考えてもそうなっちゃうよねー」

仁美「今思えば随分あさはかな考えでしたわ……」

さやか「いやあれは仕方ないよ。真顔だもん。ぶっちゃけカッコよかったじゃん」

仁美「確かに……あれは卑怯ですわ」

さやか「あいつさ、バイオリン弾くとき表情がキュッと変わるじゃん」

仁美「変わりますわね、特に眉の辺りが」

さやか「そうそう。あれヤバくない?」

仁美「全面的に同意致します」


さやか「やっぱり!?あとさあとさ、腕がスッて上がる時!」

仁美「わかりますわ!指がシュルッとなりますわよね!」

さやか「だよね!仕草の一つ一つが輝いて見えるってゆーか」

仁美「その動きの一つ一つが一曲に込められているのかと思うと」

さやか「なんかキュンと来るものがあるよね!」

仁美「その気持ち、とてもわかります」

さやか「……」

仁美「……」

さやか「……はぁ」

仁美「……ふぅ」

さやか「……なんつーかさ」

仁美「……はい」

さやか「これってやっぱり、惚れた弱みって奴?認めたくないけど」

仁美「……でしょうね。なんだかんだで全て許せてしまう気になってしまいますわ」


さやか「あ゛ー!でもなんか気持ちの収まりがつかないっ!!」バンバン

仁美「かといって何もできないですし……」

さやか「うーん……」

さやか「……そうだ!」

さやか「ねぇ、なんか甘い物食べに行かない?」

仁美「! いいですわね、どこに行きます?」

さやか「とりあえず駅前うろついてみようよ。今なんかイベントやってたはずだし」

仁美「了解ですわ。でしたらついでに洋服も見ていきましょう」

さやか「賛成ー!まどかは?」

まどか「……へっ!?な、なんだっけ?」

さやか「もー。駅前行って甘い物食べたり、洋服探しにいくの」

まどか「あ、うん、オッケー。いいよ!」

さやか「ちょっと、大丈夫?」

まどか「ごめんね、ちょっとボーっとしちゃった。大丈夫大丈夫!えへへっ」

まどか(惚気大会になったあたりから覚えてないや)


さやか「んじゃ、駅方面に向かって、しゅっぱーつ!」

仁美「ごーごー!」



おしまい

以上です。
本日もお付き合いいただきありがとうございました!

こんばんは、投下に参りました。
地味に飯ネタばかり増えつつある現状を打開しようと抗いましたが無理でした。飯食ってるさやかちゃんかわいいんだもん……

本日は「玉子焼き」です。


さやか「~~♪」


 てくてく


さやか「んー、いい朝だ!」

さやか「空は晴れてるし気温も暖か、すっかり春って感じだね」テクテク

さやか(あとはこの角を曲がってまっすぐ行ったらマミさんのマンションに到着、っと)


さやか「――あれ、あたしちゃんとアレ持って来たよね?」

さやか「……」ガサ

さやか「うっし。しっかり持ってきてる」

さやか「これ忘れちゃってたら意味ないもんね」

さやか「へへへ。楽しみだなぁ」


 てく、てく、てく


さやか「着ーいた!」ピョン

さやか(昨日、古本屋でCDを探してたら、前にマミさんが欲しがってたレシピ本見つけちゃったんだよね)

さやか(タイトルがあやふやだったけど内容的にはこれであってる……はず。というかあってないと困る!)

さやか「くふふふ……マミさん喜んでくれるといいな」


 ピンポーン


さやか「……」ドキドキ


 <はーい、どなた?


さやか「!」


さやか「マミさーん!さやかちゃんですよーっ!お届け物に来ました!」

マミ「あら、美樹さんいらっしゃい!こんな時間にどうしたの?」

さやか「へへ、朝早くすみません。どうしてもマミさんに早く渡したいものがあって」

マミ「渡したい物?」キョトン

さやか「はい!きっとマミさんも驚くとおもいますよ」

マミ「あらなにかしら、楽しみね」

さやか「へへっ」

マミ「うふふ。立ち話もなんだし、とりあえず上がって?」

さやか「はーい!おじゃましま――」


 <マミー!トイレ詰まったー!


さやか「すぇっ!?」ビクッ

マミ「ちょっ、佐倉さんっ!?」カアッ


さやか「きょ、杏子もいるんですか?」

マミ「え、ええ……ゆうべからうちに泊まっているのだけど――」


杏子「おーい!どーすりゃいいんだこれ!」


マミ「ああもうっ!佐倉さん、そんな大声ださないで!……美樹さん、悪いけどドア閉めて上がって待っててくれる?」

さやか「は、はーい……」

杏子「マーミー!」

マミ「はいはいはい、今行くわ! 全く、そんな叫んだらご近所さんに迷惑でしょっ」


 ぱたぱたぱた……


さやか「あ……」


 ぽつーん


さやか(おいてかれちゃった……)

さやか「……」


さやか(靴、脱ご)


 ごそごそ


さやか「おじゃましまーす……」ボソ

さやか「…………」


 とことことこ


――リビング


 キィ……パタン


さやか「…………」


 <きゃあっ!何よこれ!?

 <へへっ、わりぃわりぃ

 <ああもう、トイレのスッポンはどこにやったかしら……


 きゃいきゃい


さやか「…………」

さやか(せっかく朝早く来たのに、なんか色々台無しだよ……)


さやか「……あ」


さやか(テーブルに朝ご飯の器が出しっぱなしだ)

さやか(…………)


さやか(……2人で一緒に食べてたんだ)

さやか(いいなあ、マミさんの手作り朝ご飯)

さやか(最近はあんまりマミさんちにお泊りする機会も無かったし……この光景も久しぶりだなぁ)

さやか「……」ジッ


さやか(あ)

さやか(玉子焼きがひと切れ残ってる)

さやか「いやしかし、勝手に食べちゃだめだよね……?」

さやか「…………」


 じーっ


さやか「…………」


 <マミー、そっち無いか?

 <ううん、やっぱり確かこの辺に……

 <一体どこにやっちまったんだよ……

 <知らないわよ!あんなの滅多に使わないんですもの!


 ガタゴト ガタゴト


さやか「…………」

さやか(玉子焼き、食べちゃおうかな)

さやか(このまま放っておくのもなんだし)

さやか「……」キョロキョロ


さやか「……」ドキドキ


さやか「……よし、食べちゃう!いただきます!」

さやか(マミさんの玉子焼きはとっても甘くて美味しいんだよね)

さやか「へへ……あーん」


 ぱくっ


さやか「ッ!? げふっ、げふっ!!」

さやか「しょ、しょっぱい!?」

さやか「ああびっくりした。それにしても、なんで――」ハッ


さやか(あ)

さやか(もしかして)

さやか(きょうこ……?)


さやか(確か杏子はしょっぱい方が好きだって言ってた。前にそれで言い争いになったからしっかり覚えてる)

さやか(あの時、確かマミさんはあたしたちを見て苦笑いしてたっけ……)

さやか(結局、どっちが美味しいのかって結論は出なかったんだよね)

さやか(そりゃそーだよね。ただの好みだもん)


さやか(でも……マミさんはあの時の事覚えてたのかな)

さやか(だから、今朝の玉子焼きはしょっぱくて)

さやか(それとも――)

さやか(――いつも、わざわざあたしに合わせて甘く作ってくれてたのかな……)

さやか(だとしたら、あたし……マミさんに無理させちゃってた?)



さやか(今朝だってあたしが早くコレを渡したいってだけでこんな時間に、しかもノンアポで来ちゃったんだし)

さやか(マミさんの事だから、テーブルの上がちらかった状態なんて見られるのはきっと嫌だったと思うのに)

さやか(やっぱり、迷惑だったかな……)

さやか(もちろんそんな事はないんだろうって思うけど……なんだか考えちゃうよ)

さやか「…………」


さやか(……あー)

さやか(今日のあたし、なんか変だ。どうしちゃったんだろ)

さやか「…………」

さやか「…………」ギュッ


杏子「ふいー、やっと流れたよ」トコトコ

マミ「もう、今度からは気をつけてよ?」

杏子「はいはい」

マミ「全く……美樹さんごめんなさい、放置しちゃって――って」

マミ「どうしたの、クッション抱えてそんな隅っこで」

さやか「マミさん……」

杏子「よう。朝っぱらから何拗ねてんだよ」

さやか「……杏子」ギュッ


杏子「――ああっ!?」

マミ「な、なに!?」ビクッ

杏子「あたしの玉子焼きが無い!最後にとっといたのに!」

マミ「食べて忘れちゃったんじゃないの?」

杏子「いいや、トイレに行く前まではここにあったんだって!」

さやか「……」

杏子「さやか、あんた食っただろ?」

さやか「っ」ビクッ

さやか「……し、知らないっ!」プイッ

杏子「怒らないから言ってみろよ」ツンツン

さやか「や、やめてよ……うぅ、謝るから……」ショボン

杏子「なんだよ随分としおらしいじゃねーかオイ……」


さやか「ごめん、余ってるともんだと思ったからつい……」

杏子「まぁ、一つくらい別にいいんだけどさぁ……はーあ、楽しみにしてたのに……」

マミ「そんなに責めないの。玉子焼きくらいまた作ってあげるから」

杏子「約束だからな?」

マミ「はいはい」

さやか「…………」


 じっ


杏子「なんだよ人の顔じろじろ見て」

さやか「べっ、別に見てない!」

杏子「んー?なーんか様子がおかしいな」

マミ「そうねぇ……何かあったの?随分元気がないようだけど……」

さやか「だ、大丈夫ですって!あたしは通常運転です、ほらこの通り!」ピョンピョン

杏子「ますます怪しい」

さやか「うっ」


マミ「美樹さんたらどうしちゃったのかしら」

杏子「なーんか態度がひっかかるんだよなぁ……」

マミ「そうねぇ、さっきまであんなに元気だったのに」

杏子「うーん」

さやか「……」ショボン


マミ「……あ」

杏子「ん?」

マミ「もしかして、玉子焼きがしょっぱかったから寂しくなっちゃったの?」


杏子「はぁ!?なんだそれ!?」

マミ「だってほら、前に佐倉さんと美樹さんで言い合いしていたじゃない。あれから二人には別々の玉子焼きを作るようにしていたのだけれど――」

さやか「……ふぇ……」ジワ

杏子「んなっ」

マミ「ちょ、ちょっと美樹さん!?」

さやか「マミさ……ご、ごめんなざっ……あたし、あたし……!」

マミ「よくわからないけど落ち着いて!ええと、オレンジジュースでいいかしら?」アワアワ

さやか「ふぇぇ……ひっく……ずいまぜん、あたじ……っく、ゴク、ゴク……」

マミ「落ち着いて、なにがあったのかゆっくりでいいから話して?」

さやか「……あの、あたし……マミさんにいつも迷惑かけでばっがりで……玉子焼きも、マミさんに負担……かけでだじ……」

マミ「ふ、負担?そんなに負担なんてかかってないわよ?」

さやか「でも、わざわざ2種類作りわけさせちゃってたみたいで……今朝だってこうしておしかけて来ちゃったりとか……」

マミ「別に誰もおしかけて来たなんて思ってないわよ。いつだってこうして家に来てくれるのは嬉しいわ」

さやか「マミさっ……っく、ふぇぇ……」

マミ「だからもう、泣かないで?いい子いい子」ナデナデ

さやか「うぅ……ぐすっ」

杏子「……」


杏子「さやか、ちょっとソウルジェム見せてみろ」

さやか「ソウルジェム……?――あっ」

マミ「!? ちょっとこれ随分濁ってるじゃない!」

さやか(そういえばゆうべ狩りしてからそのまま寝ちゃったんだった)

マミ「どうして浄化しなかったの!ああもう、グリーフシードグリーフシード」ガサゴソ

さやか「あっ!あの、その、GSは大丈夫です!ゆうべ魔女狩った時に拾ったやつがありますから!」

マミ「あ、あるの?ならなんで――」

さやか「やっつけるのに時間かかっちゃって……それで家帰ったらすぐ眠くなっちゃって、つい……へへへ」

マミ「へへへ、じゃないわよもう!」

さやか「ご、ごめんなさい……」


 コツン しゅうううう


さやか「あ゛ー、生き返るぅ……」

マミ「全く……今度はGSを拾ったら即座にSGを浄化する事。いいわね?」

さやか「はーい……」

杏子「こんなの基本中の基本だろ。本当に馬鹿だなぁ」

さやか「返す言葉もないです」シュン


マミ「はぁ。でも美樹さんが元気になってよかった」クスッ

さやか「ほんっとーにご迷惑をおかけしましたッ!!」ガバァ

さやか「おかげさまでさやかちゃん完全復活!です!」

杏子「ま、次は気をつけろよ?」

さやか「はい!気をつけます!」ビシィ

杏子「急に元気になりすぎだろ……気持ちはわからなくもないけどさ」

マミ「くすくす」

さやか「……へへ」


さやか「あっ!そうだ!マミさん、これ!」

マミ「?」

さやか「へへへ、驚かないで下さいよー?」


 ごそごそ


さやか「じゃーん!」

マミ「!? こ、これって!」

さやか「前、探してるって言ってましたよね?」

マミ「確かに言ったけど……覚えててくれたの?」

さやか「昨日CD探してる時に見つけたんです。古本なんですけど……よかったら受け取って下さい!」

マミ「いっ、いいの!?」

さやか「はい!」

マミ「うわあ、ありがとーっ!この本、絶版になっちゃってるから手に入らないと思ってたのに!」

マミ「とっても嬉しいわ!本当にありがとう、美樹さん」


 にっこり


さやか「!」

さやか「えへへっ」


マミ「早速何かこの本に載ってるお菓子作っちゃおうかしら」

さやか「マジすか!?やったぁ!」

マミ「うふふ、どれにしようかなー」


 ぱらぱら


マミ「んー……どれも美味しそうで迷っちゃうわ。ねぇ美樹さんならコレとコレのどっちがいい?」スッ

さやか「うーん、あたしはこっちかな?」

マミ「そう?じゃあこれを作ろうかしら。張り切っちゃうから期待しててね!」ギュッ

さやか「はいっ!」


マミ「~~♪」トトトッ


杏子「さやか、さやか」

さやか「ん、なーに?」

杏子「あんたもマミと一緒に菓子作りしてきたらどうだ?」

さやか「えっ?あたしなんかが手伝っても足手まといなだけだからいいよ!」

杏子「本当にいいのかー?早くしないとマミの事だからさっさと作り終えちまうぞー」

さやか「……っ」

杏子「ほら、早く行って来い」

さやか「だから別にいいって!」

杏子「強情なやつだなぁ。いつもは"マミさん、マミさん"ってべったりなクセに」

さやか「なっ!」

杏子「あーあ、さやかが行かねーならあたしがマミと一緒に菓子作りしてきちゃおっかなー」

さやか「!! だ、だめっ!杏子はそこで待ってて!」

杏子「おう、行って来い」


さやか「マミさーん!あたしも手伝います!」

マミ「あら、美樹さんも一緒にやる?」

さやか「はい、是非!」

マミ「うふふ。なら、――……」


杏子「……ふふ。本当に自分に素直じゃない奴だな、さやかは」



おしまい

以上です。
いつもありがとうございます!これからも頑張ります。

こんばんは。
また間が空いたしまいました……すみません。
三日に一編を目指してはいるのですが、目指すだけで追いつけていない現状をいつか打破したいと思いますさやかちゃん可愛い。

今回は「お花見」です。


 桜の咲く道にて


さやか「うはー……見渡す限り桜、桜、桜、桜!」

さやか「ね、これってもしかしてもしかしなくても満開ってやつ? すっげー!」


 くるくる ぴょんぴょん


まどか「あはは。さやかちゃんたらはしゃぎ過ぎ」

ほむら「あまり走り回らないでちょうだい、周りの人に迷惑でしょう」

さやか「こんなにたくさん咲いてるのにテンション上げるなっつーほうが無理でしょ! ってゆーかほむらももっとはしゃぎなよ、さっきからそわそわしっぱなしじゃん!」

ほむら「別にそわそわなんてしていないわ」ソワソワ

さやか「ほんとーかなー?」ジトー

ほむら「ぐっ……」

仁美「うふふ。実際は八分咲きといった所でしょうが、実に見事なものですわね」

ほむら「こ、これで八分咲きなの!?」

まどか「えへへ、満開になったらまた見にこようね!」

ほむら「ええそうね……これが更に咲くとどんな風になるのか気になるわ」


さやか「でも天気予報だと、明日から天気が崩れて花が散っちゃうかもって言ってたよ?」


ほむら「えっ……」


まどか「そんな……せっかくこんなに綺麗に咲いたのに!」

ほむら「…………」


さやか(まずった)

さやか「あー、ええと、その……ほら、全部が全部散っちゃう訳じゃないだろうし? 大丈夫だよ、たぶん」

さやか「だから二人とも元気だして! ね?」

まどか「うん……」

ほむら「…………」

さやか「……」ダラダラ

仁美「天候には誰も逆らえませんもの、仕方がありませんわ」

仁美「だけど、きっとまた来年も咲くでしょうから今年は今年で目一杯楽しみましょう?」

さやか「!」

ほむら「……そう、そうよね。来年も咲くのよね」

さやか「さっすが仁美、いいこと言うじゃん!」

仁美「うふふ」


まどか「ね、みんなその木の前に並んでこっち向いてー!」

さやか「おー、記念撮影?」

まどか「うん! ママにデジカメ借りてきたんだ」

さやか「ならちょっとそこの人に頼んで撮ってもらおうよ」

まどか「えー、声かけるの怖いよぉ」

仁美「ならわたくしが頼んできましょうか?」


ほむら「その必要はないわ」


まどか「え?」

さやか(おお、久しぶりにマジモンを聞いた気がする)


ほむら「三脚があるからこれを使いましょう」

まどか「わ、すごい! こんな立派なの借りちゃってもいいの?」

ほむら「もちろんよ。少し大きいけど安定性は保証するわ」


さやか「この三脚ミリタリー色がすごいんだけど」

ほむら「気のせいよ」


まどか「ええと、カメラのこの部分を……あれ? これどうやって取り付ければいいんだろう」

ほむら「ちょっと貸して?」

まどか「あ、うん! お願いします」

ほむら「ツマミを開いて、この部分をこっちに回して……はい完成」

仁美「鮮やかな手つきですわ」

さやか「慣れてるねー」

ほむら「まぁ、ね。それより撮るわよ」


まどか「みんな並んでー!」

さやか「じゃああたし真ん中!」

仁美「ではわたくしはこちらに」

ほむら「私は……まどかが間に入るから、この辺りかしらね」

さやか「何言ってるの、まどかも真ん中! んで二人はこうだっ」グイッ


 ぎゅっ


ほむら「きゃあっ!?」

仁美「なるほど、流石ですわ」


----------------

  さやか
 仁美 ほむら

----------------


さやか「にひひー。両手に花」


ほむら「ちょっと、この体勢は腰が痛いんだけど!」

さやか「こら動かないの!まどか、このくらいで皆写る?」

まどか「うーん……もうちょっと詰めてもらえるかな」

さやか「はーい」グッ

ほむら「ひゃっ!」

まどか「それくらいでオッケー!ちょっとだけ動かないでね」

ほむら「わ、わ、わ」

さやか「まどかは仁美とほむらの間、あたしの前にちょっと屈んで入って」

まどか「らじゃー!」


まどか「タイマー10秒、撮りまーす!」タタタッ


 ピ ピ ピ ピ……

   カシャッ!


----------------

  さやか
 仁美 ほむら
  まどか

----------------



さやか「どおー?」

まどか「ばっちりみたい! もう動いていいよー」

ほむら「ふー……」

さやか「あはは、お疲れ」

ほむら「まったく、心の準備ってものがあるのよ?」

さやか「ごめんごめん。にひひ」

ほむら「…………」


仁美「まどかさん、今撮ったのを見せて下さる?」

まどか「うん! これなんだけど、どうかな?」

さやか「おー、桜も綺麗に撮れてるね」

まどか「でしょ?」

ほむら「さすがまどかね。構図が素敵だわ」

まどか「ほむらちゃんの三脚のおかげだよ。ありがとう!」

ほむら「……どういたしまして」

さやか「あ、照れてるー」

ほむら「照れてないわよ」フイッ

さやか「あははは、バレバレだってば」

仁美「いじらしいですわっ」

ほむら「うぅ……」


さやか「それにしてもすごい咲き様だねー」

まどか「ねー」


 てくてく


まどか「わ、コレみてみて」

ほむら「?」

まどか「この桜、幹から花が出てるよ!」

さやか「うわっ」

仁美「生命の神秘ですわねぇ」

ほむら「ここまで密集していると少しグロテスクに見えてくるわね」

まどか「一箇所からみっしりだもんね……」

さやか「言わないでよ、ちょっと意識しちゃうじゃん!」


まどか「あっちの方も見に行ってみよ!」

さやか「うん! ……うわっ!?」

仁美「風が――」


 ひゅうっ!


 ぶわっ


   ふわ ふわ ひら ひらひら

  ひらひら ひら ひら


 ひら    ひら ひら


ほむら「わ……」

仁美「まるで桜吹雪ですわ……」



ほむら「あ」

さやか「?」

ほむら「さやか、ちょっと屈みなさい」

さやか「なに?」

ほむら「いいから」

さやか「んー?」

ほむら「よいしょ……っと。はいとれた」

さやか「あ、花びら」

ほむら「頭にくっついていたから」

さやか「なーる。ありがと、ほむら」

ほむら「……別に感謝されたくてやったわけじゃないわ」

さやか「あはは……もっと素直になればいいのに」

ほむら「あなたにだけは言われたくないわ」

さやか「えー」


さやか「! よっ……と」パシッ

仁美「あら、桜の花ですか?」

まどか「綺麗な形のまま落ちてきたんだね」


さやか「はい、ほむら」

ほむら「え?」

さやか「花びらとってくれたお礼。これ押し花にしておいてよ」

さやか「確か木から採るのはダメだったからさ、落ちてきたやつならいけるかなって」

ほむら「……そうね。ありがとう、大切にするわ」

さやか「そうそう、素直が一番!大切にするがいいー」

ほむら(…………なんか複雑)


仁美「……」プルプル

まどか「仁美ちゃんドウドウ」



おしまい

今回は以上になります。
ではまた近いうちに!

こんばんは、本日の投下であります。

「暇・2」


 川辺


すずめ「ちゅんちゅん」


さやか「……」

まどか「……」

すずめ「ちゅんちゅん」


 そよそよ そよそよ


さやか「……」

まどか「ふぁぁ……暖かぁい」

すずめ「チチチチ、ちゅんちゅん」


さやか「……」

まどか「……」


さやか「ぐむ……」モゾ

まどか「……?」

さやか「……」モゾモゾモゾ


さやか「ぶあッ!!」ガバッ


すずめ「チッ!?チチチ!チュン!チュン!!」


 ばさばさばさ


まどか「どうしたの?」

さやか「まどかっ!」

まどか「なぁに、さやかちゃん」

さやか「ヒマ!」

まどか「暇だねぇ」

さやか「ひま、ひま、暇だーっ!!」ジタバタ


さやか「なんもやることない」ボスッ

まどか「やることないねぇ」


さやか「……」

まどか「……あー、陽射しがあったかいねぇ」

さやか「うん……」

まどか「ひなたぼっこ、気持ちいいね」

さやか「……うん」


まどか「……」

さやか「……」


さやか「……あれ?」

まどか「どしたの?」

さやか「ねぇ、あれってなんてゆーんだっけ」

まどか「あれってどれ?」

さやか「あの現代的風車みたいなやつ」

まどか「……風力発電機?」

さやか「あ、それだ」

さやか「あれさ、なんか前より数が増えてない?」

まどか「えー?そうかなぁ」

さやか「増えた増えた。あの辺りはなんも無かったはずだもん」

まどか「そっかぁ……まだ開発の余地があったんだね」

さやか「ね。びっくりだね」


さやか「……」

まどか「……」


さやか「なんだっけ、前にもこんな会話があった気がする」

まどか「そうだっけ?」

さやか「うん」


まどか「……」

さやか「……」


まどか「心当たりが多すぎてどれの事だかわからないや」

さやか「あー、ね」


まどか「……」

さやか「……」


まどか「……」

さやか「……」ゴロン


さやか「うおっ!?」ビクッ

まどか「な、なになに!?」

さやか「ちょうど手を置いた所にツクシが生えてた……」

まどか「んもー、びっくりしたぁ」

さやか「ごめんごめん」


まどか「ツクシなら、よくみるとたくさん生えてるよ」

さやか「マジで?」

まどか「ほら、この辺とか」

さやか「んー?」


ツクシ達「やあ」


さやか「ほんとだ」

まどか「結構あるでしょ」

さやか「春って感じだねぇ」

まどか「ねー」


お日様「さんさん」


さやか「……」ゴソゴソ

まどか「……」


さやか「……」モゾモゾ

まどか「……」


さやか「……うぐ、ここもか」

まどか「?」


さやか「……ダメだ!意識しだすととまらないわ」

まどか「何かあったの?」

さやか「ツクシ。やたら生えててなんか気持ち悪い」

まどか「あー、確かにね」

さやか「はたから見てる分には別にいいんだけどなぁ……」


さやか「……」モゾモゾ

まどか「……」

まどか(ちょっといたずらしちゃおう)


まどか「さやかちゃん、さやかちゃん」

さやか「何?まどか。今あたしはツクシの触れない体勢を探すのに必死なんだけど」


まどか「この緑の植物がね、ツクシの本体なんだよ」

さやか「はい!?な、何を言い出すのさ急に!」

まどか「えへへ」

まどか「スギナっていってね、地下でツクシと繋がってるんだって」

さやか「あは、あははは……またまたご冗談を」ダラダラ

まどか「ほんとだよぉ!このあいだ授業でやったじゃない」

さやか「そうだっけ?」

まどか「そうだよぉ」

さやか「マジかよ……全然覚えてないわ」

まどか「さやかちゃん寝てたもんね」

さやか「そうだっけ」

まどか「そうだよぉ」


さやか「って事はさ」

さやか「このスギナとやら、イコール、ツクシなわけね?」

まどか「だねぇ」

さやか「うわ、うわぁ!微妙に嫌な真実を知っちゃったよ」


さやか「……これ全部毟っちゃおうかな」

まどか「それは流石にかわいそうだよさやかちゃん」

さやか「う……まどかがそう言うなら……」


まどか「それにね、ツクシって一応食べられるからそんな事したら杏子ちゃんに怒られちゃうよ」

さやか「食べるの!これを!?」

まどか「うん。佃煮とかにするんだって」

さやか「……あんまり想像したくないかも」

まどか「あはは、食べてみたら意外とおいしいかもよ?」

さやか「あたしは遠慮しとくわ」

まどか「そっかぁ」


さやか「逆に訊くけどさ、まどかはコレを採って食べたいって思う?」

まどか「……あんまり思わないかも」

さやか「だよねー」

まどか「ママはお酒によく合うんだって言ってたけど、私はまだ飲めないし」

さやか「ふーん……お酒なぁ」

さやか「なんか、まだまだずーっと先の事って感じ」

まどか「だねぇ」


さやか「……」

まどか「……」


 ちゅんちゅん チチチチ

 そよそよ そよそよ


さやか「暇だ……」

まどか「暇だねぇ……」

お日様「さんさん」



おしまい

以上であります。
乙やコメントありがとうございます!少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

こんばんは、投下であります。
今回は2編です。

「待ち合わせ」


さやか「今日はみんなでショッピング~♪」

さやか「天気もいいしそこそこ暖かいし買い物日和だねこりゃ」


 てくてくてく


さやか「~~♪」


さやか「とうちゃーく!お待たせ――って、あれ?」

さやか「ええと、待ち合わせは駅の東口であってるよね」キョロキョロ

さやか「時間も早すぎず遅すぎずちょうどいい感じだし……」

さやか(大抵ほむら辺りが15分前にはスタンバってるんだけどなぁ)

さやか「…………」

さやか「今日はまだ誰もきてないのかな……」

さやか「とりあえずここで待っててみよっと」


モブ1「わいわい」

モブ2「きゃっきゃ」


さやか「……」


モブ3「うふふふ」

モブ4「やぁだモブ5ちゃんったらもう」

モブ5「あははははは」


 きゃははは

 わいわい がやがや

 ざわざわ ざわざわ


さやか「……」ポケーッ

さやか「……あ、メール確認してみよう」パカッ

さやか「……」カチカチ

さやか(メルマガしかきてないや)

さやか(あれ、あたし日にちとか間違ってないよね?)


さやか「それにしてもヒマである」

さやか「携帯ゲームもほとんどスマホに移行しちゃったし」

さやか「やっぱ機種変するべきなのかな……」カチカチ

さやか「……」カチカチ


モブ6「でさー、モブ7がさ……」

モブ8「あるあるー!あの子っていつもそうだよね、あははは」


さやか「……」

さやか「……」チラッ

さやか「あ」

さやか(いつの間にか待ち合わせの時間になってた)


さやか(相変わらず誰も来ないし。みんなどうしちゃったんだろう……)シュン


さやか「よし。こっちからメール送ってみよ」

さやか「……送信」

さやか「……」ドキドキ

さやか「……」


携帯<ヴィー!ヴィー!


さやか「ちゃ、着信!?――はいもしもし!」

まどか『さやかちゃん!?今どこにいるの?』

さやか「え、東口だけど。まどかは?」

まどか『えっと、私達も今東口にいて……そうだ近くに何か目立つものはない?』

さやか「んー……宝くじの売店と、ドン○ホーテが目の前にあるよ」

まどか『ああっ!やっぱり!!!』

さやか「うぇっ!?」ビクッ


まどか『そっちは東口は東口でも、"南東口"なんだよ!』

さやか「えっ、みなみ、えっ!?なにそれ!?」

まどか『ああと、えっと、ちょっとまってて!――あのね、今さやかちゃんが――』


さやか(東口っていくつもあるもんなの!?)

さやか(反則だよそんなの!)


まどか『ごめん、おまたせ!あのね、今からみんなでそっちに行くからちょっとそこで待っててもらってもいいかな?』

さやか「う、うんわかった」

まどか『じゃあ一旦切るね!』

さやか「はーい」ピッ


さやか「……」

さやか「南東口……」


 チラッ


さやか(看板には"東口"って大きく書いてある)

さやか「東口が複数あるとかマジふざけんなよ……ダンジョンじゃないんだからさぁ」

さやか「絶対罠でしょこれ」


まどか「さやかちゃーん!おまたせー!」ブンブン

さやか「まどかぁー!みんなー!ごめん、思いっきり間違えてたわ」

仁美「やはりこの駅は迷いやすいですわよね」

さやか「だよね!看板だけ見てたら絶対わかんないよこれ」

ほむら「ちゃんと下調べしていればすぐにわかるわよ」

さやか「そんな細かいとこまで調べ込むのはあんたくらいだって」


まどか「ごめんね、もうちょっとわかりやすく集合場所を言えばよかったね……」

さやか「ううん、気にしないで。これで次からは絶対大丈夫だし!待たせちゃってごめんね」

仁美「いえ、お気になさらないで下さい。待っている間に予定を立てることもできましたし、ね?」

ほむら「そうね」

さやか「おっ!どこか行きたいとこあった?」

まどか「えっとね、結局パンフレットだけじゃよくわかんなかったからとりあえず2階の洋服辺りから見て回ろうかーってなったの」

さやか「いいねぇ。春物?」

まどか「うん!ほむらちゃんが見たいんだって」

さやか「ほおー、ほむらがねぇ……」

ほむら「……なによ、悪い?」

さやか「いや全然。自分から言い出すなんて珍しいなって思っただけ」


さやか「んじゃ行こっか!」

仁美「はい!」



おしまい

続きまして、「漫画」


さやか「あたしが買ってきたんだから先に読むの!あんたは後!」

杏子「なんだよ、いいじゃんかおつかい頼んだはあたしなんだし」

さやか「でも実際買ってきたのはあたしじゃん!」

杏子「先に読むって言ったのはあたし!単行本が出てるって知ったのもあたしが先!」

さやか「確かに言われるまで気づかなかったけどさぁ」

杏子「ほーら、やっぱりあんたの思い入れはそんなもんなんじゃないか」

さやか「でもレジに持ってくまでに読みたい感がブワってなったし!前回続きめっちゃ気になるとこで終わってたじゃんコレ!」

杏子「だからこそあたしが先に読むの!こちとらずーっと続きが気になってしかたなかったんだよ」

さやか「あたしだって読みたい!」

杏子「あたしが先!」

さやか「あたしだってば!」


さや杏「「むむむむむ……」」


杏子「お?なんだやんのかオラ」

さやか「いいよ、ここじゃなんだしちょっと外出ようか」


まどか「ふ、二人とも!!」

さやか「何?」

まどか「喧嘩はだめだよ!お互いに武器を向け合うなんて……」

杏子「んな事言ってられっか!あんたはすっこんでな」

さやか「そうそう。これはあたしと杏子の問題なの」

まどか「だけど…………あ、そうだ!!」

さやか「?」


まどか「あのね、二人で同時に読むっていうのはどうかな?」

さやか「同時に?どういう事?」

まどか「教科書を忘れちゃった時みたいな感じで、二人で横に並んで一人がページを捲って一緒に読むの」

まどか「それならどっちが先っていうのもないし、仲良くできるかなーって」

杏子「……ふーん」

さやか「えー、それ滅茶苦茶めんどくさそうじゃん!」

まどか「やっぱりダメかな……」

杏子「でも確かにそれなら問題ないかもな」

さやか「え、あんた賛成派?」

杏子「おう。要は本を読み聞かせする時みたいにやればいいんだろ?」

まどか「そうそう!私もよく弟と一緒に絵本読むんだ」

杏子「なら簡単じゃねーか」

さやか「ええぇぇぇ……」


杏子「あたしがページを捲るからさ、読み終わったら合図くれよ」

さやか「わかったよ……」


杏子「んじゃまずはカバー裏から――」

さやか「ちょ、ちょっと待って!」

杏子「なんだよ」

さやか「いきなりカバー裏は無いでしょ!せめて本編読んでから……」

杏子「えぇー」

さやか「えぇーじゃない!ネタバレしちゃうかもしんないじゃん!」

杏子「仕方ねぇなぁ……じゃあ表紙裏は最後な」

さやか「うい。……あ、ちゃんと巻頭の作者コメント欄も見せてよ!」

杏子「はあ!?あんなもんこそ最後だろ!?」

さやか「いいじゃんあの部分はそうそうネタバレしないし!」

杏子「そりゃそうだけどさ……これでいい?」

さやか「…………うん。読み終わったし捲っていいよ」


杏子「本編いくぞー」

さやか「ちょ、待って!!!」

杏子「な、今度はなんだよ!?」

さやか「巻頭カラー」

杏子「ああ……なるほどな」


さやか「ほうほう、今回もいい仕事してますなぁ」

杏子「相変わらず動物描くの妙に上手いな」

さやか「あはは、確かに」

杏子「……今度こそ本編行っていいか?」

さやか「オッケー!」


 ペラッ


さやか「……」

杏子「……」


さやか「……ん、おっけー」

杏子「あいよ」


 ペラッ


さやか「ぶふぉっ!?」

杏子「ごふぉっ!!」


さやか「なにこれいきなり反則でしょ!まだ2ページ目よ!?」

杏子「つーかこいつ生きてたんかよ!」

さやか「うわー、うわー……」

杏子「……」


さやか「……うん、次行っていいよ」

杏子「おう」


 ペラッ


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……おっけー」


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……いいよー」


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……はい」


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……はい」


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……はい」


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……は――」


杏子「あのさ」


さやか「何?」

杏子「いちいち言うのもめんどくさいから、読み終わったら指あげてくんない?」

さやか「あーい」


杏子「……」

さやか「……」スッ


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……」スッ


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……くっ」スッ


 ペラッ


杏子「ふ、くひひ……ひひっ」

さやか「……」スッ


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……」スッ


 ペラッ


杏子「ぶはっ!!」


杏子「あは、あははは!!はははははっ!!」

さやか「えっ、これ笑うとこ!?」

杏子「むしろなんで笑わないでいられんだよ!ひひひっ……」

さやか「ふーん……」スッ


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……」スッ


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……~~っ」スッ


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……」スッ


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……」スッ


 ペラッ


さやか「ぶはっ!!」


杏子「えっ?」

さやか「あははは、サイッコー!!」バンバン

杏子「これ笑うとこなのか?」

さやか「あったり前じゃん!あーおかしい」スッ


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……」スッ


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……」スッ

 ペラッ


杏子「……」ドキドキ

さやか「……」スッ


 ペラッ


杏子「あっ」

さやか「あっ」


杏子「……死んだ」

さやか「死んだね」


さやか「えっと、次いこ次!」

杏子「お、おう」


 ペラッ


杏子「……」

さやか「……」スッ


 ペラッ スッ

   ペラッ スッ

 ペラッ

   ペラッ


 ペラッ ペラッ

 ペラッ ペラッ


杏子「……」

さやか「……」


杏子「はぁー……」

さやか「終わった……」


さやか「お疲れ様、ページありがと」

杏子「おう、おつかれ」


杏子「いやー、今回もいい意味で予想を裏切ってくれたな」

さやか「全くだよ」

杏子「今度こそカバー裏行っていいか?」

さやか「うん、オッケー!」




 ぺらり


さや杏「「ぶっ!?」」


さやか「なにこれ!なにこれ!!」

杏子「これはいくらなんでもやばいだろ!」


杏子「本編前に見なくてよかったわ……」

さやか「でしょー?ネタバレどころの騒ぎじゃないよこれ」

杏子「本当に毎度予想斜め上いくよな」

さやか「ね」


まどか(えへへ、平和的に済んだみたいでよかった)



おしまい

おう、またタイトル入れ忘れた
今度こそまた近いうちに!

こんばんは、また近いうちじゃなくなっちゃったけど今夜もペロペロしながら投下です。

「深夜」


 ――深夜、さやかの部屋


さやか「zzz……zz……」

さやか「まどかぁ……ジョウロは美味しくないよ……むにゃ」

さやか「……」

さやか「飲み込んじゃだめ……飲み込んじゃだめだってば……」

さやか「だめ……だぇ…………ぐぅ」ゴロン

さやか「すぅ、すぅ……」

さやか「…………」


さやか「…………」

さやか「……」ムズムズ

さやか「……ふぇ――」


さやか「ふぇっくしっ!!」


さやか「ふぁ……あれ、夜だ」ゴシゴシ

さやか「眠……今何時ぃ……」

さやか「とけー、時計無い……携帯でいいか」

さやか「ねむ……ふわぁぁ、むにゃ」

さやか(あれ?時計ってどうやって見るんだっけ)カチカチ

さやか「……」カチカチ

さやか「あぁ、逆さまらった」


さやか「午前2時ぃ?眠いわけだわ」

さやか「何でこんな時間に目が覚めちゃっ――寒っ」ブルッ

さやか「なんなのよこの寒さは……」

さやか「……」ボフッ

さやか「……」モゾモゾ


さやか(布団をかぶってもなんか薄ら寒い。こんな事なら敷き毛布仕舞わなきゃよかったなぁ)

さやか「ふぇ……っくしっ!」


さやか(どうしよ、もう一枚上着着た方がいいのかな)

さやか(取りに行くのも面倒だけど)

さやか(……)

さやか(うぅぅ)


 ごそごそ もぞっ


さやか「ふわぁ……よいしょっと」バサッ


 がしゃん!


さやか「ぶえっ!?」

さやか(なんか落とした!)


さやか「暗くてなんも見えない……電気の紐も全然掴めないし」オロオロ

さやか「さっきのやつ壊れてなければいいんだけど」

さやか「何か明かりになるものは――お?」


さやか「おー、ソウルジェム明るいじゃん!」


 ぴかーっ


さやか「へへ、ちょうどいい感じ」

さやか「えーと、さっきの音はこの辺りから……ああ、目覚まし時計が落っこちたのか」

さやか「普通に動いてるしたぶん大丈夫だよね。よしよし」


さやか「……あれ?あたしなんで布団から出たんだっけ」

さやか「…………」

さやか「……寒っ!」ブルブルッ

さやか「あー、そうだ上着だ」

さやか「電気つけるのも面倒だしこのままソウルジェムの明かりでいっか」



さやか「半纏ゲットー!」

さやか「さてもう一眠り――」


さやか「――あれ、待てよ」ピタ


さやか(ソウルジェム、光る、深夜)

さやか(しかも物がくっきり見えるくらい強く)

さやか(そもそもこの嫌な感じって……あれ?)

さやか「――――」


さやか「魔女だ!!!」


さやか「何で気がつかなかったんだ、あたしの馬鹿馬鹿!」

さやか「つーか相当近いじゃんこれ!方角は――まどかんち方面なのは偶然じゃないよね、ああもう!」

さやか「このまま変身して直行、着替える時間ももったいないわ」

さやか「深夜だし大丈夫っしょ!」


 ピカッ


さやか「うっし、いくぞ!」

さやか「……ちょっと怖いけど、窓から」ドキドキ

さやか「飛ぶ!」


 がちゃ

   たんっ


さやか「ひょおおおおおお!」

さやか「うちって意外と高いとこにあったんだなぁぁぁあああっと」


 すたんっ!


さやか「っしゃあ!着地!」

さやか(屋根から屋根へ跳ぶ練習しといてよかったー!マジで!!)


さやか(このまま一気に屋根伝いで……!)


 ぽーん すとんっ

 ぽーん たんっ


さやか「よっ ほっ とっ!」


 ぽーん とんっ

  たんっ とんっ たんっ


さやか「……気配が濃くなってきた」

さやか「やっぱりまどかの家方面だ……間に合ってくれよぉ」


 すとんっ ぽーん とんっ

 だんっ ザッ たたたっ


さやか「はぁ……はぁっ」

さやか「あと少し……!」


 だんっ どんっ

 ザッ ダンッ


さやか「はあ、はぁっ――――っ!?」


 ザッ


さやか「……っ!!」

さやか「……魔女の気配が……消えた……?」



 てくてく


さやか(誰かが先に狩ったのかな)

さやか(でも……こんな時間帯だし、気づくかなぁ)

さやか(魔女が移動したって感じでもなさそうだし)

さやか(一体……)


さやか「……んっ」

さやか「まどかんちの屋根の上に誰かいる……!?」

さやか「暗くてよく見えないな……」

さやか「……よし」ドキドキ

さやか(一応声をかけてみよう)


 ぽーん

   すとんっ


さやか「あのー、そこの人――って」


ほむら「あら、あなたも来たの。一足遅かったわね」

さやか「ほむら!」


さやか「なんだぁ、あんたも来てたんだ」

ほむら「魔女はもう私が狩ったわよ。取るに足らない相手だったわ」

さやか「マジ!?よかったぁ、あたしついさっき気がついたから焦っちゃってさ」

ほむら「礼には及ばないわ。当然の事をしたまでよ」


さやか「ところでまどかは大丈夫?訊くまでもないだろうけど」

ほむら「万が一被害があったとしたら私がこうして平静でいられると思う?」

さやか「だよねぇー」


さやか「はぁー、それにしてもマジびびったわ……あんたはいつ頃気づいたの?」

ほむら「1時過ぎかしらね。気配を消してじわじわ近づいてから、一気に飛び出したって感じだったわ」

さやか「そっか……使い魔上がり?」

ほむら「恐らくね」


さやか「……なんでまどかってこう、ヒロイン体質なんだろね?よく敵に目をつけられるってゆーかさ」

ほむら「そうね……素質の所為で魔女にとっても美味しそうな香りがするとかかしらね」

さやか「はぁー、マジか……美味しそうな素質ってなんだろ」

ほむら「知らないわよ」

さやか「やっぱイチゴの香りかなぁ」

ほむら「食べ物じゃないんだから……」

さやか「でもさ、実際まどかっていい香りするじゃん」

ほむら「……否定はしないわ」

さやか「でしょ?シャンプーの香りとも違う、なんかこうフワってする香り」

さやか「抱きつくとすごくよくわかるんだけどさ、あれ嗅ぐとなんとも幸せな気分になれるんだよね」

ほむら「……あなたって変態?」

さやか「ちょっ、違うよ!別に嗅ごうとして嗅いだ訳じゃないし!ってゆーかあんたも感じたこと無いの?」

ほむら「…………」

さやか「ねえったら」

ほむら「……一応、あるけれど……」

さやか「でっしょー!あれ癖になるよねぇ」

ほむら「……ああ、だからしょっちゅうまどかに抱きついているのね。変態だものね、納得がいったわ」

さやか「だからそういうんじゃないってば」

ほむら「信用できないわね、変態」

さやか「ぶー」



さやか「はぁ……あ。ねぇねぇ」

ほむら「?」


さやか「ちょっと空見てよ、星がすっごい事になってるよ」

ほむら「……そうね、よく晴れていて綺麗に見えるわね」

さやか「よっこらしょっと」ゴロン

ほむら「ちょっと、こんな所で寝転がったら服が汚れるわよ」

さやか「変身してるから大丈夫だって!ほむらも座って座って。ちょっと休んでいこうよ」

ほむら「全くあなたって人は……はぁ」パサッ ストン

さやか(あ、ハンカチを広げてから座るのね)


ほむら「…………」

さやか「……あー、あれってもしかして北極星?」

ほむら「たぶん……?」

さやか「あれめっちゃ明るいね」

ほむら「そうね」

さやか「……」

ほむら「……」

さやか「……あ、飛行機だ」

ほむら「…………」


さやか「……午前、二時ー、ふみきりーにー」

ほむら「……?」

さやか「望遠鏡を担いでったー♪」

さやか「べるっとにー結んだーラジオー」

ほむら「……ねぇ」

さやか「あーめーはー……何?」

ほむら「いきなり何を歌っているの」

さやか「いやぁ、ほらシチュエーションがさ。似てると思わない?」

ほむら「時間帯しか合ってないじゃない」

さやか「んもー、つれないなぁ」

ほむら「……はぁ」


さやか「ねぇほむら」

ほむら「何かしら」

さやか「どれがデネブ、アルタイル、ベガなの?」

ほむら「だから星は知らないわよ」

さやか「そっかぁ」

ほむら「……」


さやか「ねぇねぇ」

ほむら「……何?」

さやか「流れ星って全然無いんだね」

ほむら「そうね……そうそう頻繁に見られるものでもないと思うわよ」

さやか「そっかぁ」

ほむら「運がよければ、って物じゃないのかしら」

さやか「ふーん……」


ほむら「そろそろ帰りましょうか」

さやか「えー」

ほむら「何よ」

さやか「ねぇ、帰るのめんどくさいからこのまままどかんちに泊まっていかない?」

ほむら「……は?」


さやか「あたしさ、焦ってたもんだから変身解いたらこの下パジャマなのよ」

ほむら「えっ……」

さやか「このまま変身維持しながら帰るのもなんかアレだしさ。だったらいっそって思わない?」

ほむら「お、思わないわよ!そもそも、まどかに迷惑にかけたらどうするつもり?」

さやか「その辺は大丈夫だって!」

ほむら「その自信は一体どこから来るのよ……」

さやか「だからほら、一旦下に降りてまどかの部屋の窓からお邪魔させてもらおうよ」

ほむら「私に友達の家に不法侵入する手助けをしろというの?」

さやか「不法侵入とは人聞きが悪いなぁ」

ほむら「人聞きも何もないと思うけど」


さやか「あーあ、パジャマで歩いて帰ったら風邪ひいちゃうかもなー」チラッ

さやか「今日は一段と冷え込んでるし、風が寒いんだよなぁ」

さやか「もしかしたらまどかも寒くて凍えてるかもしれないなぁ、心配だわー」

さやか「それに変身維持するだけでも魔力使うしなぁ、GSがもったいないなぁー?」チラッ

ほむら「…………」

さやか「あたしは外から鍵開けられないからさ、ここは一つ頼むよ!ね、お願い!」

ほむら「……今回だけよ?」

さやか「やった!恩に着ますほむら様ー!」

ほむら「もしもまどかに迷惑をかけてしまうと判断したら、即刻引き返すわよ。いいわね?」

さやか「はーい!」


ほむら「ここが、こうなっていて……こっちに回せば」カチャカチャ

さやか「おぉぉ……」ドキドキ


 ガチャガチャ カチャン


ほむら「開いたわ」ガラガラ

さやか「よっしゃ!暖かい布団だー!」

ほむら「ちょっと、声が大きいわよ!まどかが起きてしまったらどうするの」

さやか「おっとごめんごめん」

ほむら「全く……」


さやか「んじゃ早速変身を解いて、っと」パアッ

ほむら「…………」パァッ

さやか「あれ?」

さやか(ほむらも変身を解いたら……パジャマ?)


ほむら「な、何よぉ……」

さやか「あんたも下はパジャマだったんだなーって」

ほむら「私だって急いでいたんだもの、仕方がないじゃない」カァッ

さやか「ふーん?」ニヤニヤ

さやか(やっぱほむらも焦ったんだ、お揃いだねこりゃ)

ほむら「ニヤつかないでよ、失礼ね!大体あなただって人の事――」

さやか「あんま大きい声ださないでよ、まどかが起きちゃうじゃん」

ほむら「っ」

さやか(ひひひ)ニヤニヤ


さやか「ほむらどっち側がいい?」

ほむら「べ、別にどちらでも構わないわ」

さやか「そお?じゃああたし壁側ね。あんたまどかの左でよろしく」

ほむら「ええ……わかったわ」


さやか「ではお隣失礼」モゾモゾ

まどか「zzz……んぅ……」

さやか「ほら、ほむらもはいんなよ」

ほむら「……まどか、ごめんなさい……悪魔にそそのかされてしまった私を許して……」モゾモゾ


さやか「んふふ、暖かぁい……」ギュッ

まどか「すぅ、すぅ……zzz」

ほむら「……」ドキドキ

さやか「ふわぁぁ……安心したら眠気がやばいわ」

ほむら「そ、そうね……安心するわね」ドキドキドキ

さやか「んじゃおやすみぃ」

ほむら「お、おやすみなさい……」ドキドキドキ


さやか「ぐぅ……すぴー」

まどか「zzz……」

ほむら「……」


 ドキドキ


ほむら(こ、これは)

まどか「んにゅぅ……すぅ、すぅ……」


ほむら(眠れない……ッ!!)ドキドキ


 ドキドキ ドキドキドキドキ



ほむら(落ち着いて、落ち着くのよ私)

ほむら(そうだ羊を数えましょう。羊が一匹、羊が二匹……)

ほむら(――羊が63匹、羊が64……ああ、柵にぶつかってしまったわ、一から数えなおさないと……)


ほむら(羊が35匹、羊が36匹、羊が37匹――)

まどか「むにゃ……」


 ゴロン


ほむら「!?」

ほむら(近い近い近い!近い、顔が近いわまどか!)ドキドキ

ほむら(いつからあなたはそんなふしだらな子になってしまったと言うの!?)

ほむら(そんな簡単に人に顔を近づけて……っ!ああ、まどか……)


ほむら(うぅぅ……羊が何匹だったか忘れてしまったわ、また一から数えなおさないと)

ほむら(羊が一匹……二匹……にひき……ひつ、じ……)

ほむら「…………」

まどか「すぅ、すぅ」


ほむら(あぁ、なんだかとても心が暖かくなるような……この香りは)

ほむら(まどか……)

ほむら(さっきさやかが言ったように、シャンプーとは違う、でもとてもいい香り)

ほむら(嗅いだ事のあるような、ないような……だけどとても懐かしい……)

ほむら(こうしているだけでとても安心するような……不思議な…………)


ほむら(…………)


ほむら「…………すぅ、すぅ……」


ほむら「…………」スヤスヤ

まどか「えへへ……しゃやかひゃん……むにゃ」

さやか「zzz……」


――――――――――――
――――――


 朝。


まどか「ふわぁ……」パチッ

まどか「ん……朝かぁ……」


まどか「夕べはとっても暖かくて良く眠れた気がするよ」

まどか「さ、起きてママを起こしに――」グイッ

まどか「――あれ?動けな」


さやか「すぴー」右腕ギュッ

ほむら「zzz……」左腕ギュッ


まどか「え?」

まどか「……えっ?」



おしまい

以上であります。
ではまた!

こんばんは、レスありがとうございます!
帰路について考えてたら止まらなくなったので、そんな感じで「お着替え」であります。


 朝、まどかの部屋


さやか「――かくかくしかじか、という訳でありまして……あはは」

ほむら「ごめんなさい、ごめんなさいまどか。私、あなたを困らせるような事はしたくなかったのに……!」

まどか「ほ、ほむらちゃん!?べ、別にそんな謝らなくても大丈夫だよ!」

ほむら「でも、でも!うぅ……グスッ」

さやか「ほーら、泣かないの!まどかが大丈夫だって言ってるんだから平気だって!」

ほむら「あなたは黙ってて!ああ、私は、私はなんて事を……いつも迷惑かけてばかりで……」

まどか「ほむらちゃん、本当に大丈夫だから泣かないで。それに迷惑だなんて思ってないよ、夕べだって暖かくしてくれたお陰ですっごく良く眠れたもん!」ナデナデ

ほむら「まどかぁ……」

さやか「あはは、ほむらは泣き虫だなぁ」

ほむら「ッ!!」キッ

さやか「!?」ビクッ


まどか「あー、えっと。私、パパに朝ごはん二人分増やしてもらえるよう頼んでくるね!」

ほむら「いえ、そこまでしてもらう訳にはいかないわ。今すぐにでも窓からお暇させて――」

まどか「いいからいいから!ここで待ってて、ね?それに、せっかく来てくれたんだからゆっくりしていって欲しいし」

ほむら「まどか……ええ、わかったわ。あなたがそう言うのなら……」


 キィ パタン


ほむら「……」


さやか「さーて、今のうちに着替えちゃいますか」

ほむら「え?着替えるって」

さやか「え?……あっ」


ほむら「……あなた、それ天然?」

さやか「割と……」

ほむら「そ、そうなの……」

さやか「…………」

ほむら「…………」


さやか「ここでですね!驚きの事実そして提案があります!」

ほむら「大体読めるから言わなくていいわ」

さやか「えっ!?」

ほむら「どうせまどかの服を借りるとかいうのでしょう。私はまだサイズが合いそうだけど、あなたはどう考えても体格が違いすぎて入りっこないわよ」

さやか「んー、半分正解だけど半分ハズレかな」

ほむら「……?」


ほむら「! ちょっと、あなた勝手に人の家のクローゼットを漁ったり――って、それ」


さやか「じゃーん。この服なーんだ」


 ぴらーん


ほむら「……まどかにしては随分可愛げの無い服ね。それに、どこかで見たような……これってもしかして、さやかの服?」

さやか「ちょ、酷い言い様だなぁオイ!」

ほむら「事実じゃない」

さやか「さらりと言わないでよ……まぁ、そんな訳であたしの服はまどかんちに一着だけ置かせてもらってあるのでございます」

ほむら「どういう訳よ、全然説明してないじゃない」

さやか「えぇーめんどくさい……」

ほむら「あなた夕べからなにかと"めんどくさい"で済まそうとしてない?」

さやか「チッ、バレたか」

ほむら「」イラッ


さやか「ほら、あたしって何かとちょくちょくまどかんちに泊まるじゃん」

ほむら「そういえばそうね。認めたくない事実だけれど」

さやか「うちの両親とまどかの両親が親しいのは知ってるよね?」

ほむら「ええ」

さやか「それを踏まえた上で、条件その1。うちの両親は共働きで出張が多い」

さやか「条件その2、年頃の女の子を一人で家に置いていくのは心配である。よって、あたしは頻繁に鹿目家に預けられているってわけ」

ほむら「なるほどね」

さやか「そしてそして、条件その3!あたしは何かと色んな物事を忘れがちである!」


 ふんすっ


ほむら「なんでそんな自慢そうに言うの……」

さやか「つまり、結論!あたしが着替えを忘れすぎたために採られた措置として"常に一着予備を置いておく"という事になったのだー!」

ほむら「」


ほむら「……さやか、あなたって本当に――」

さやか「んー?」

ほむら「いえ、何でもないわ……あぁ頭が痛い」ハァ

さやか「え、大丈夫?癒そうか?」

ほむら「余計に悪化しそうだから遠慮しておくわ」


さやか「さやかちゃんの貴重な着替えシーン」


 脱ぎ脱ぎ


ほむら「別に貴重でもなんでもないじゃない」

さやか「こういうのは言ったもん勝ちなんだよほむら」

ほむら「あなたは一体何と戦っているの……」


 <ガチャ


まどか「二人ともお待たせー! ってさやかちゃん!?そ、そんな、ほむらちゃんと二人っきりの間に、脱いで、その、し、下着……っ!!」ワナワナ

さやか「あ、これ?この間新しいの買ったんだ、可愛いでしょ」

まどか(正直堪らないよ)


 「――か、まど――」

まどか「……」

ほむら「まどか!」

まどか「はっ!?」

ほむら「まどか、どうしたの?やっぱりダメだったとか……?」

まどか「あっ、ううんなんでもないよ!大丈夫大丈夫、ちょっとびっくりしちゃっただけ」


さやか「んでさ、まどか。ほむらの着替えなんだけど……まどかー?聞いてるー?」

まどか「……はっ!な、なにかなさやかちゃん?」

さやか「あたしは着替えがあったからいいんだけど、ほむらのは無いからさ。悪いけど何か貸してやってもらってもいいかな?」

まどか「あ、なるほどね。それはもちろんだよ!でも私の服で身体入るかなぁ」

さやか「その点は心配ないと思うよ、ほむらって細身だし」

ほむら「何から何までごめんなさい……」シュン

まどか「そ、そんな縮こまらないで!そうだなぁ、どんなのが似合うかなー」


 ゴソゴソ


さやか「そういえば、靴は置いてないから部分的に魔法少女の衣装を使っちゃおうと思うんだけどさ」

まどか「じゃあロングスカートがいいかな?ほむらちゃんの靴って特徴的だし」

さやか「ふむふむ……そしたらトップスはこれかな」ピラ

まどか「もうちょっと落ち着いた感じのが似合いそうじゃない?これとか」ヒョイ

さやか「あ、いいねぇ!」

まどか「これにカーディガンを羽織って、ベルトはこれで」


 ひょい ひょい


さやか「カーディガンはこっちのが似合いそうじゃない?」


 ひょい


まどか「そしたらスカートはやっぱりこの色のほうが」


 ひょいひょい


ほむら「あわわ……あっという間に服が山のように」

さやか「でさ、それならこれとかこれとか――」

まどか「可愛い!あ、これも似合うかも――」


 きゃいきゃい

 ひょいポイ ひょいポイ

 ひょいポイ ひょい ひょい ひょい


ほむら「あわわわわわ」ガクガク


さやか「おー、可愛いじゃん!それならベルトはこれか……それともこっちかを合わせるのはどうだろう」

まどか「それならこのブローチなんかいいんじゃないかな」

さやか「いいねぇ!じゃあ、コーディネートはこんな感じでいいかな」

まどか「うんうん、ばっちりだよ!――ほむらちゃん」

ほむら「ひゃ、ひゃいっ!?」ビクッ

まどか「これとこれとこれ、あとこのブローチとその他諸々を着てみてくれないかな?」

ほむら「これ全部!?」

まどか「うん!ほむらちゃんに似合うといいんだけど……」

さやか「あたしは絶対に似合うと思う!」

ほむら「ま、まどかの見立てなら間違いないわ!今すぐ着替えるからちょっと待ってて」

まどか「わくわく」



 数分後


ほむら「ど……どうかしら」ドキドキ


さやか「……まどか」

まどか「なぁに、さやかちゃん」

さやか「やっぱ地が違うとヤバいね」

まどか「うん、言いたい事はわかるよ」

ほむら「ふぇっ……?」


さやか「あぁもうなんでこう美少女ってズルイかなぁ!思わず抱きついて頬ずりしたくなっちゃうじゃん!!」

まどか「せっかくだから写メ撮ってもいいかな!?一枚だけ、いちまいだけだから!」

ほむら「!?」


 <まどかー!さやかちゃんにほむらちゃんも、朝ごはんできたからおいでー!


まどか「あっ、はーい!今いきまーす!」

ほむら(助かった……)ホッ


さやか「おはよーございまーす」

まど父「おはよう、さやかちゃん。ゆうべは空を飛んできたんだって?」

さやか「はい!ほむらと二人で夜空をすっ飛んできました!」

ほむら「!? ちょっとあなた……!」

さやか「痛っ!?やったなこのやろー、さっきまであんなしおらしかったのにっ!」

ほむら「誰のせいよ、誰の!」


 ぎゃあぎゃあ


まど父「あははは、仲が良くて羨ましいよ。ほむらちゃんもゆっくりしていってね」

ほむら「あ、ひゃ、はいぃっ!!」

さやか(あ、噛んだ)

まどか(噛んだ)

まど父(噛んだね)



おしまい

私服の内容は好みがあると思うので、そのへんはふにゃっと妄想してくださると助かります。

個人的にはやっぱりさやかちゃんは基本ボーイッシュだけどどこか乙女チックなのが似合うと思うけどなんだかんだでさやかちゃんは何着ても可愛いという結論に至りました。
ではまた!

まだちょっとだけ続くのじゃよ
サーバーが復活したようでよかったです。

「鍵開け」


 ――放課後、屋上へ通じる扉の前


 がちゃ ズドン!


さやか「……? あれ、開かない」


 がちゃ がちゃがちゃ

 ドンドンドン がちゃがちゃ

 ガンガン ゴン! がちゃ ゴスン!


さやか「うっわ、マジで!?嘘でしょ!」

まどか「もしかして鍵閉まってる?」

さやか「うん……せっかく階段上ってきたのにないわー」ハァ

まどか「昼休みは開いてたのにね……」

さやか「くっそ!開け、開けよこのー!」


 がっちゃがっちゃ


まどか「そ、そんなに乱暴に回したら壊れちゃうよぉ!」

さやか「ぐぬぬ……」


まどか「私鍵取りに行ってこようか?」

さやか「いいよ、わざわざ職員室まで降りるのもなんだし。あーあ、ほむらがいればピッキング頼むんだけどなー」

まどか「今日は先に帰っちゃったもんね」


まどか「うーん、今日は屋上はやめて芝生行こっか」

さやか「でもなんかこのまま戻るのも悔しいし――あ」

まどか「?」

さやか「そうだ、いいこと思いついちゃった」

まどか「なになに、どうしたの?」


さやか「じゃーん!ヘアピンー!」


まどか「わ、普通の黒いやつも持ってたんだ!」

さやか「へっへー。この間机の近くに落ちてたから拾ってポケットに入れたのを思い出したのだ!」

まどか「あー、ヘアピンってなんかよく落ちてるよねぇ」

さやか「なんなんだろうねあの現象」


さやか「よーし、それじゃ早速一肌脱いじゃいますか!」チャッ

まどか「えっ、さやかちゃんそれできるの?」

さやか「やったことないけどたぶんいけるっしょ」

まどか「えっ」

さやか「こうやってピンを鍵穴に突っ込んで、くるっと回せば……」


 すかっ


さやか「……全く手ごたえがない。もちろん鍵も開いてない」

まどか「当たり前だよ……」

さやか「でもでも、映画とかだと余裕っぽくやってるじゃん!」

まどか「きっと大人の都合ってやつだよ」

さやか「えぇー」


さやか「もう一回!もう一回だけ!」

まどか「仕方ないなぁ」


さやか(ピンを突っ込んで回すだけじゃダメなのか。だとしたら加えられる手は何だ?)

さやか(そもそも鍵穴の構造は……だめだ、さっぱり思いつかない)

さやか(悔しいけどこういうところはほむらや杏子には勝てないんだよなぁ。何気にマミさんもリボンで鍵造ったりして開けられそうだし)

さやか(……はっ!だとしたら開けられないのってもしかしてあたしだけ!?ますますダメじゃん!)

さやか(これはやっぱりヘアピン鍵開けを練習しなきゃいけないって事だよな、うんうん)

さやか(映画だとどうやってたっけ?確かピンを挿しいれてドアに耳をつけて、くるくるっと――って)

さやか(そうか、音を聞かなくちゃいけないんだ!)

さやか(金庫開けとかでも聴診器つかってるもんね、きっとそうだよ。あたしって頭いーっ!)


まどか(さやかちゃん考え込んじゃった……)


さやか(そうと決まったらまずは実行!とりあえず突っ込んで音を聞いてみよう)


 すっ


まどか「!」

さやか「むむむ……」カチャカチャ

さやか(中々いい感じの手ごたえがないなぁ)


 <カチャ


さやか「おっ」

まどか「お?」

さやか(なんか本格的っぽい音がした!)

さやか(しかも手ごたえアリ、これは確実に何かに引っかかってるはず!)カチャカチャ

まどか「……」ドキドキ


さやか(ここからが肝心だぞ、慎重にピンを捻って……)


 ぐぐぐ


さやか(あれ?意外と固いな……もう一回捻ってっ)


 ぐぐ


さやか(ひ、捻……)


 ぐぐぐぐっ


さやか(むぎぎぎぎぎ)


 ぐいっ ぐぐぐぐぐ

 ぐぐぐぐぐっ


さやか「ぜっ……」


さやか「全然回らーんっ!!」ゼーハー

まどか「さやかちゃん!?」


さやか「予想以上に固いよ!なんなのこれ!」

まどか「さやかちゃん落ち着いて!」

さやか「こうなったら全身全霊を持って相手してやろうじゃないか!うおりゃあああああ!」


 ぐいっ ぐぐぐぐぐ


さやか「ふんぬぬぬぬ」

まどか「さやかちゃん、ピンがすごいしなってるよ!?」

さやか「だいじょー、ぶっ……! 今、開くから……っ!」

まどか「うわわわ……」ドキドキ

さやか「ちくしょーっ、負けるもんかぁーッ!!」


さやか(魔力を筋肉に循環させて!ヘアピンの硬度を上げて――今だ!!)


さやか「ま、わ、れぇぇぇ!」


 ぐぐぐぐぐっ――


      ボキンッ



さやか「ふひゃっ!?」ドスン


まどか「さやかちゃん!大丈夫!?」

さやか「痛ててて……尻餅ついちゃったよ――あっ」

まどか「あわわ、保健室に――? あっ!?」


元ヘアピン「ぽっきり」


さやか「…………」

まどか「…………」


さやか「……折れた」

まどか「折れちゃったね……」


さやか「…………」

まどか「…………」


さやか「破片その辺に落ちてない?」

まどか「うーん……ちょっと見当たらないかも」

さやか「って事は、まだ鍵穴の中に……」

まどか「……もしかしたら壊れちゃった、かな……」


さやか「…………」

まどか「…………」
さやか「……ず」

まどか「ず?」


さやか「ずらかるぞおおおおおっ!!」

まどか「あわわわわ」



 ……後日


先生「先日、屋上の扉の鍵が破壊されるという事件が起きました」

さやか「」

まどか「」

生徒達「ざわざわざわ……」




先生「内部には強い力を加えた跡と、小さな鉄片が残されていたそうです」

先生「常識では考えられないくらいの負荷だったそうなので、犯人は男子生徒の可能性が高いそうです」

先生「男子の皆さん、この様な蛮行を行った生徒は素直に申し出るように!女子の皆さん、公共の物を大事にしないような男とは交際しないように!」


仁美「まあ怖い、一体誰がそのような事を……」

さやか「あは、あははは」

まどか「こ、怖いね……あははは」

ほむら「…………」


ほむら『美樹さやか』

さやか『ふひゃいっ!?ご、ごめんなさい!あたしが壊しました!!』ビクッ

ほむら『やっぱり……あなたはどこまで愚かなの!?』

ほむら『あれほどまどかを巻き込むなと言ったでしょう!』

さやか『そっち!?』

ほむら『大体あなたは軽率な行動が多すぎるのよ、この間の事にしても今回の事にしても――』クドクド

さやか(うえぇぇぇ……)



おしまい

以上です。
生きのいいさやかちゃんも死んだ魚の目をしているさやかちゃんも可愛いと思います

こんばんは、投下です。
乙などなどいつもありがとうございます!

「雨」


 ――見滝原住宅地、雨。


 ザァ ザァァァ


さやか「うへぇ……嫌な天気」

さやか「あちこち水溜りだらけだし。せっかく久しぶりに三人でパトロールだってのに!」

マミ「本当にね。それに少し寒いわね……うぅ、もうちょっと厚着してくればよかった」

さやか「ゆうべからずーっとですもんね、この雨」

マミ「お陰で洗濯物が干せなくて困るわ」

さやか「ははぁ、そういう悩みもありますか」

マミ「一人暮らしは結構大変なのよ?ね、暁美さん」

ほむら「そうね、あまり楽ではないのは確かね」

さやか「ふーん……」


 てくてく てくてく


マミ「っくしゅん!」

さやか「! マミさん大丈夫ですか?」

マミ「ええ、ありがとう……ちょっと身体が冷えちゃったみたい」

さやか「そうだ、あたしの上着貸しますよ!へへ、こういうの一度はやってみたかったんだ」ヌギヌギ

マミ「ええ!?そ、そこまでしなくても大丈夫よ!」

さやか「え、せっかく脱いだのに」

マミ「ごめんなさいね手間かけさせちゃって」

マミ「でもそれで美樹さんが風邪ひいちゃったら私も困るわ、だから気持ちだけ受け取っておくわね」ニコ

さやか「そうですか……」シュン

ほむら「……」


ほむら「今日のパトロールは早めに切り上げましょう」

ほむら「風邪をひいてしまっては元も子もないわ」

さやか「あ、さんせー!あたし早くマミさんちであったかいお茶飲みたい!」

マミ「ふふ、美樹さんったら……でもこういう日は魔女も出やすいから、一応気は引き締めておくのよ?」

さやか「はーい」


 ザァザァ ぴちゃぴちゃ てくてく

 ザァァ……


ほむら「こことあと1地区回ったら、杏子と合流して終わりね」

さやか「あいつ今日は風見野だっけ?」

ほむら「いいえ、パトロールではなくてアルバイトだそうよ」

さやか「バイト!?中学生ってバイトできたっけ!?」

マミ「そこら辺はなんとか誤魔化してやっているみたいね」

さやか「ほへぇー、器用だなぁ!」

マミ「あの子の場合は必要に迫られたっていうのが大きいでしょうね」

さやか「あっ……そう、ですよね……」


マミ「私のところで暮らしてくれてもよかったんだけど……頼りきりになりたくないからって断られちゃった」

さやか「え」

ほむら「私もよ。"あんたの両親にまで世話はかけらんねぇ"ですって」

さやか「そんな事が……あたし、全然知らなかった」

マミ「まったく、佐倉さんったらいつも心配ばかりかけさせてくれるわ。本当に……」


 ザァ ザァ


さやか「……」トコトコ

マミ「……」トコトコ

ほむら「……」トコトコ


 ザァ ザァァァ……



さやか(く)


三人(((空気が重い……!)))


マミ「そっ、そういえば!美樹さんのその傘ってもしかして新品?」

さやか「! そ、そうそう!そうなんです、わかります?これ先週買ったばっかなんです!」

マミ「あ、やっぱり!可愛い水玉模様ね」

さやか「えへへ、ありがとうございます」


マミ「それにしても随分大きな傘ねぇ」

さやか「でしょー!なーんと直径110cm、しかも超撥水加工、レア物ですよ!」フンス

マミ「へ、へぇ……?ええと、普通の直径はどれくらいなの?」

さやか「そうですね、普通の女性用だと1mより小さめのが多いですね」

ほむら「へえ、良く知ってるわね」

さやか「まぁ店員さんの受け売りなんだけどね」

ほむら「ああ……」

さやか「むー、なんだよその納得顔!」


マミ「超撥水加工っていうのは?」

さやか「なんかこれ、表面にテフロンが塗ってあるらしいですよ」

マミ「テフロン!?ってフライパンとかの?」

さやか「そうそう、あのテフロン。良く見ると表面についた水が玉になってコロコロ転がり落ちてるんですよ」

さやか「だからゲリラ豪雨が降ろうと泥水が降ろうと弾いてくれるんだそうです。かっこいいでしょ!」

マミ「ど、泥水……そうね、かっこいいわね?」ニコリ

さやか「えへへ」


さやか「しかも、グリップの形もこだわってて握りやすいし、濡れても滑りにくいラバー製!」

ほむら「……それも店員さんから?」

さやか「もちろん!色々詳しく説明してくれてとってもいい人だったよ」

ほむら「そう、それはよかったわね。ちなみに値段は?」

さやか「えーと、2500円くらいだったかな?」


マミ(高いのか安いのか判断に困るわね)

ほむら(思ったより現実的な値段でよかったわ……もっとぼったくられてると思ったけど)

さやか(ほむらも欲しいのかな?でも結構遠いお店だったしなぁ)


 てくてく ぴちゃぴちゃ


マミ「……ふぅ」

マミ「これで最後の地区ね。結局使い魔が一匹出ただけだったわね」

さやか「むー、魔女が出たら一発でっかいのかましてやろうと思ってたのになぁ」

ほむら「あなたね、それこそ浪費というものよ」

さやか「あたし何か浪費したっけ」

ほむら「……色々とね」

さやか「?」


さやか「そうだ、杏子との連絡は?」

ほむら「順当よ。道中も魔女反応はゼロ、もうすぐ合流地点に着くそうよ」

さやか「そっかぁ……平和なのかな、一応」

マミ「なら私達も急がなくちゃね。この雨の中待たせるのは悪いわ」


 ザァザァ ぴちゃぴちゃ

 てくてく てくてく


マミ「今日は帰ったらどのお茶を淹れようかしら」

さやか「あたしマミさんの淹れてくれたお茶ならどれも美味しいから大好きです!」

マミ「あらあら、褒めすぎよ。うふふ」

さやか「くぅ~っ!照れた顔もまぶしいっすマミさん!雨も晴れ上がる勢いですよもう!」

マミ「美樹さんったらもう……ふふ」


ほむら「……」


さやか「んー?どうしたのほむら、もしかして嫉妬しちゃったり?」ニヤニヤ

ほむら「 は?」


 ゴゴゴゴゴゴゴ


さやか「ご、ごめん」

ほむら「わかればいいのよ」

マミ(暁美さんってあんな表情もできるのね)


ほむら「さて、この道を抜けた先を右に曲がったとこのパン屋さんが合流地点よ」

さやか「パン屋!ねぇ、覗いていってもいい?」

マミ「佐倉さんはもう既に何か買い食いしてそうね」

さやか「あはは、確かに」


 ざぁざぁ てくてく


さやか「――ん」

さやか(車が道に入ってきた。あーあー、結構スピード出してるなアレ……雨降ってるっつーのにさぁ)

さやか(まあ、道は広いし歩道もあるから大丈夫だろうけど)


マミ「~~♪」

ほむら「……」トコトコ


さやか「……あっ!」

さやか(車道に水溜り!!)


車「ブロロロ」


さやか(どうする、このままだと確実に水が跳ね上がる。しかも結構派手に)

さやか(あの車は遠慮ナシに突っ込んできそうだし)

さやか(位置的にマミさんにダイレクトヒットするだろうな……マミさん本人も水溜りに気がついてなさそう)

さやか(こ、この流れはまさかアレをやるしかないのか!?)


さやか「――くっ!」


 だっ


マミ「美樹さん?急に走って来てどうしたの」


車「ブロロロロ」


さやか「この傘なら……あたしの傘ならきっとできるッ!!」バッ

マミ「えっ? 何、何!? そ、そんな事したらあなたが濡れて――!」


さやか(傘を横に構えて、盾に――!)


車「ぶおおおお」


 すばしゃああああああ!


さやか「うおおおおお!」

マミ「きゃああっ!?」


マミ「……」

ほむら「……」

さやか「……」ポタポタ


さやか(傘の縦幅が足りなかった)


ほむら「……読みが甘かったわね」

さやか「気がついてたんなら助けてよ」ポタポタ

ほむら「マミならあの程度どうって事無いと踏んでいたのよ」

さやか「え」

マミ「そ、そうね……あのくらいの跳ね上げならリボンでなんとか、って」

さやか「」

マミ「あ、ありがとう美樹さん!あなたのお陰で助かったわ!水溜りなんて全然気がつかなかったし、これ以上濡れたりして寒くなったら私はきっと風邪ひいちゃっていただろうし、本当にありがとう!かっこよかったわよ!」

さやか「いいんです、そんな気を使わないで下さい……」

マミ「……美樹さん」

さやか「へへ、盾にもなれないなんてあたしゃ前衛失格ですよ」ドヨン

マミ「そんな!今回は運が悪かっただけよ、だから元気を出して? ね?」

さやか「大丈夫、いいんです本当に、あたしって……あー、靴ん中水入っちゃったなこれ」ジャボジャボ


マミ「……」

ほむら「マミ」ポン

マミ「暁美さん」

ほむら「あなたは悪くないわ」

マミ「でも……」

ほむら「全ては間と天気とあの車が悪かったのよ……」

マミ「……そうね……」


さやか「……」ジャボジャボ


杏子「よう、遅かったじゃねーか……って」

さやか「あー、きょうこー。おまたへー」


 びっちょり


杏子「一体何があったってんだよオイ……ずぶ濡れじゃねぇか!」

マミ「……」フイッ

さやか「……」プルプル

ほむら「ごめんなさい、今は訊かないであげて」

杏子「……はぁ。まぁいいや、さっさとマミんち行こう」

さやか「おー」

杏子「の、前に。あんたはこれ着ときな」


 ふわ


さやか「……おー?うわぎ?」

杏子「前側が透けてるぞ、色々と」

さやか「へっ?マジで!?」

杏子「気がついてなかったのかよ!?」

さやか「ぜんぜん。あ、チャック閉めとこ」

杏子「ハァ……これだからこいつは、全く手間のかかる」

ほむら「同感ね」



おしまい

以上であります。
ではまた!

さやかちゃんのスケスケしましま
600目指してがんばります。

「掃除」


 佐倉の教会 居住スペースにて


さやか「ふぅ、ふぅ」

さやか「よいしょ……っと。風呂掃除も楽じゃないな、ったく」


 ゴシゴシ きゅっきゅ


さやか「……ふぅ」

さやか(お、終わりが見えない……)


 ゴシゴシ ゴシゴシ

 ゴシゴシ ゴシゴシ


さやか「しっかし腰にくるなコレ。この年でぎっくり腰とか冗談じゃないわ」

さやか「……はぁ。ちゃっちゃとやってさっさと終わらせちゃいますか」


 ゴシゴシ ゴシゴシ


さやか「あっ」

さやか「まーた洗剤空になった。これで2本目か……今度から薄めて使おうかな」

さやか「環境に優しくないったらありゃしないよ」

さやか「つーか、こんだけやってまだ半分も終わらないとかどんだけ汚いんだよこの家!」


さやか「……はぁ」

さやか「ま、仕方ないか」

さやか「少なくとも2年は放置されてたんだからこれくらいで済んでよかったほうだよね、きっと」


 ゴシゴシ ゴシゴシ

 ゴシゴシ ゴシゴシ



さやか(木製の壁にひび割れたタイルの床。蜘蛛の巣はそこらじゅう張ってるし、カビは生え放題)

さやか(正直、こんなに荒れてるとは思わなかったよ……)

さやか(いっそ壁は全部張り替えた方が早い気がしてきた。っていうか実際そうじゃね?これ全部綺麗にするのは無理だって)

さやか(うんうん、我ながらいい考え!後で提案してみよ)


マミ「美樹さーん!そろそろお昼になるから休憩してご飯たべましょ!」

さやか「マジっすか!?待ってましたぁっ!ひゃっほーい!」


 がばっ

  ズキン!


さやか「っととと、急に立ったら腰がっ……!」

マミ「だ、大丈夫!?」

さやか「あっハイすいません大丈夫っす!今いきま――ったい!痛い!」

マミ「美樹さん!」ガシッ

さやか「ぜぇ、はぁ……すいませんちょっと手ぇ貸してもらえますか……」

マミ「無茶しすぎよ、もう。ほらつかまって?」

さやか「ほんとすいません……」



マミ「それじゃあ佐倉さんも呼んでくるから、ここでちょっと休んでてね」

さやか「はーい」


さやか「んーっ……いててて、背中ぼきぼきいってるよ」

さやか「はーあ、風呂桶磨きに集中しすぎた……」

さやか「これじゃまた杏子に"加減を覚えろ"って説教されちゃうよ」

さやか「同い年なのに説教とか冗談じゃないよ、全く」ブツブツ


さやか「――しかしまぁ……」


 きょろきょろ


さやか(この居間だけは綺麗なんだよなぁ、驚いたことに)

さやか(前から一人で着手してたんだっけ)

さやか(あいつ本気でここに住むつもりなんだな……)

さやか(マミさんちに掃除道具を借りに来た時はびっくりしたけど、なんだかんだでそれなりに片付いてるじゃん)



マミ「お待たせ。もうすぐ降りてくるそうだから先に始めちゃいましょ」

さやか「あ、はい!」

さやか「えへへ、久しぶりにマミさんのお弁当だ!」

マミ「うふふ。今日はサンドイッチにしてみたわ」


 ぱかっ


さやか「わぁー……!すごい、マジでバスケットに入ってる!漫画みたい!」

マミ「もう、さっきも見たでしょ?」

さやか「さっきは外見しか見てませんし!こうして改めて中を見てみると、感動的っすよマジで」

さやか「ほら、この大きいパンを丸ごと一個くりぬいて使ったサンドイッチとか!お約束的存在だけにワクワクもぶっちぎりですよ!」

マミ「そ、そう?そう言ってもらえると頑張った甲斐があるわ」テレ


さやか「わ、この水筒は紅茶なんですね」

マミ「甘めのミルクティーにしてみたわ。美樹さんこれ好きでしょう?」

さやか「! だ、大好きです!でもあたしマミさんにその事言ったっけ……?」

マミ「うふふ、それは鹿目さんから――」


まどか「さやかちゃん!!!」バターン


さやマミ「「!?」」


さやか「ま、まどかぁ!?なんでここにいんの!?」

まどか「さやかちゃん、今日ほむらちゃんと3人でお買い物にいく約束忘れてたでしょ」プクー

さやか「……あっ!」

マミ「あら……それは……ど、どうしましょ……」オロオロ

まどか「ほむらちゃん、本気で怒ってるよ……」

マミ「!」ビクッ

さやか「マジ!?悪いことしちゃったなぁ」

まどか「それで、ほむらちゃんがすごい勢いで探してここにたどり着いたんだけど――あっ」

さやか「まど……こ、この気迫は!?」ゾクッ


ほむら「美樹さやか。その約束すら忘れがちな残念頭脳とのお別れは済んだかしら」


さやか「ほ、ほむら……!」


 ツカツカツカ

 ドスン!


さやか「っ!」

まどか「さやかちゃん!」

ほむら「まどかとの約束すら覚えていられないようじゃ、先が思いやられるわね」ギリギリ

さやか「ぐっ……ご、ごめん……」

ほむら「謝って済むと思ってるのかしら?それほどにあなたの脳みそは残念なの?」

ほむら「あなたのためにまどかは朝からずっと待っていたのよ、わかる?」

さやか「!」

ほむら「待ち合わせ時間の30分も前から同じ場所で、何度も何度も"さやかちゃん遅いね"、"さやかちゃんまだかなぁ"、"さやかちゃん、さやかちゃん"って」ギリッ

まどか「あわわわ」

マミ(うわぁ)

ほむら「確かに私と日常会話をして暇をつぶしたりはしていたわ。でもね、まどかはずっとあなたを待っていた」

ほむら「私だけじゃダメなの!美樹さやか、悔しいけれどあなたがいないとまどかはとても悲しむ……どうしてそれがわからないの!このばか!」

まどか「ほむらちゃん!?そ、そこまで言わなくても」

さやか「ええと、あの、それって……」

ほむら「…………」

さやか「……」


さやか「……っ」


さやか「まどか」

まどか「な、なぁに?さやかちゃん」


さやか「約束すっぽかしてごめん!」


 ガバッ!


マミ「!?」

まどか「ちょっ、土下座なんてやめてよ!手が汚れちゃうよ!」

さやか「ほむらも」

ほむら「!」

さやか「約束破ったりして本当にごめん。悪気がなかったっていっても、理由にはならないよね。本当にごめん」

ほむら「……」

まどか「さやかちゃん……」


まどか「……」

ほむら「……」

さやか「……」

マミ「…………」


まどか「……なんちゃって」

さやか「へっ!?」

まどか「えへへ、驚いた?ごめんね」

さやか「何、何がおこってるの!?」

ほむら「ちょっとしたドッキリよ」

まどか「さやかちゃんたらすっかり私達の事忘れちゃってるんだもん!酷いよねーってほむらちゃんと話してて思いついたんだ」

ほむら「まさか土下座が見られるとは思ってなかったけれどね」

さやか「はい……?」

マミ「えっ、えっ!? 私は何がなんだかもうさっぱりよ……」


杏子「おーい、もう入っていいか?」

マミ「佐倉さん!遅かったじゃない!」

杏子「そりゃあいつらに頼まれたからずっとドアの前で待機してたんだよ。ホレ、預かりもん」ドサ

まどか「杏子ちゃん、待たせちゃってごめんね」

杏子「んなこた別にいいよ。むしろこれのお礼を言いたいくらいさ」

さやか「スーパーの袋?3つも……」

まどか「ほむらちゃんがここを見つけ出したって言ったけど、それって実は結構前の事なんだ」

さやか「え!?どゆこと?」

ほむら「どういう事もなにも、杏子にあなたの居場所を訊いたら一発だったってだけよ」

さやか「……はい?」

まどか「だからね、1時間くらい前にはもう見つけてたの」

さやか「マジで!?じゃあなんで連絡くれなかったのさ!」

ほむら「それってあなたが言える事かしら」

さやか「うっ」


まどか「杏子ちゃん、ほむらちゃんから事情を聞いたよ。ここに住むことにしたんだって?」

杏子「ああ。いつまでもその日暮しじゃ体も財布ももたねぇからな。寝床だけでも確保しとこうと思って。

杏子「ここなら川も近いし、電気はまぁ……なんとかなるだろ。アパート借りる金もねぇしな」

杏子「住めば都って言うくらいだし、しばらくすればここも快適になるだろうさ」

まどか「杏子ちゃん……」


杏子「なぁーにしんみりしてんだよ!それより昼飯食おうぜ!」

マミ「そ、そうね……あっ!?」

さやか「マミさん?」

マミ「ええと、あの……」

さやか「どうしたんです?何か忘れ物とか」

マミ「とても言い難いのだけれど、私、お弁当三人分しか、その……」

ほむら「ああ、それなら心配無いわ」

まどか「スーパーでお惣菜いっぱい買ってきたんです。マミさんの手作りにはかなわないけど、足しになればって……えへへ」

杏子「エビフライは?」

まどか「もちろん買ってきたよ!」

杏子「っしゃ!」

マミ「よかったぁ、佐倉さんったらたくさん食べるんだもの。これだけあれば十分ね、助かったわ」

ほむら「礼には及ばないわ」


さやか「あれ、こっちの袋は食べ物じゃないんだ?」ガサゴソ

まどか「あ、その袋はうちとほむらちゃんちから雑巾なんかをたくさんもってきたの」

さやか「ほえー……ずいぶんあるねぇ」

杏子「ああ、それあたしが頼んだんだ。用意した分じゃ足りそうになかったからさ」モグモグ

さやか「なーるほどね」

さやか「――って杏子!何あんた一人で食べ始めてるのさ!」

杏子「いいじゃん別に」

さやか「よくない!あたしも玉子サンド食べる!」

マミ「もぐもぐ……はい、どうぞ」ニコ

まどか「さやかひゃん、ハムサンドもおいしいよ!」

さやか「え?あ、ありがとうございます……なんだみんな食べてたんだ……」


杏子「ほむらー、フライのパック開けてもいい?」

ほむら「お好きにどうぞ。焼き鳥もあるわよ」

さやか「……なんか焼き鳥のチョイスが親父臭いね」

ほむら「……言っておくけど、選んだのはまどかよ」

さやか「えっ」

まどか「どしたのさやかちゃん?」

さやか「い、いやなんでも……じゃあ砂肝もらおうかな」

まどか「えへへ、砂肝おいしいよね!はいどうぞ」

さやか「あ、ありがとまどか」

杏子「レバーうめぇ」



おしまい

以上です。
では!

ゴールデンウィーク終わった!やっと連勤もおわった!久しぶりの休みだよさやかちゃん!
これだから飲食は地獄だぜェー!ヒャッハー!
……というワケでこんばんわ。おひさしぶりです。

「G]


 とある午後、ほむら宅


さやか「でさー、そん時まどかがさー!」

まどか「ちょっ、さやかちゃん!? それは言わない約束だって言ったのに!」

仁美「あらあらまあまあ」


 きゃっきゃ ウフフ

 わいわい さやさや


ほむら「…………」

ほむら(……ええと、美味しいアイスティーにするには確か……)


 カチャカチャ

  カラン、トポポポポ……


ほむら「ん、いい感じ」

ほむら「……――」チラ


 <まどかはあたしの嫁になるのだ~!

 <きゃぁぁぁぁ


ほむら(……よかった、みんな楽しそうね)ホッ



ほむら(今日はまどかにさやか、仁美の三人がうちに遊びにきてくれてる)

ほむら(友達をこの家に招くのは久しぶりだから、ちょっとドキドキするわね……)


ほむら(……正直、内装とかにはあまり自信は無いのだけれど……結局、よくあるボロアパートの一室そのままになっちゃたし)

ほむら(巨大振り子とかの魔法家具は、維持コストの面から考えて全部撤去しちゃったのよね)

ほむら(結構気に入ってたんだけど、やっぱり地震とかが多いとちょっと不安だし、仕方ないわね……ハァ)

ほむら(だから今この部屋は、巴さんの家みたいに素敵な家具があるわけでもないし、まどかやさやかの部屋みたいにオシャレな椅子が置いてある訳でもない)

ほむら(…………)

ほむら(我ながら本当に特徴の無い部屋ね……)


ほむら(せめて掃除だけはしっかりしておこうと思って、念入りに掃除機をかけたりしてみたんだけど)

ほむら(流石に全面消毒とかはしなくても大丈夫よね……?)


ほむら「…………」カチャカチャ

ほむら「……あ、そうだ。アイスティーだったら角砂糖じゃなくってガムシロップのがいいわよね」


 カチャカチャ


ほむら(よし、完成。あとはお菓子だけなんだけど……)


 ガサゴソ


ほむら(いわゆるきのことたけのこなんだけど、みんなはどっちのがいいのかしら)

ほむら(悩んだ挙句、両方買ってきちゃったのよね……)


ほむら「……この際両方一緒に出しちゃえば大丈夫かしら……?」


 ――カサ


ほむら「…………?」

ほむら「今、視界の端の方で何か動いたような――」


 カサ コソ


ほむら「……え」

ほむら(そんな、まさか――)


 カサ カサ カサコソカサカサカサ

 カサカサカサカサササササ


ほむら「――~~~~ッ!?!?」

ほむら(あああぁぁぁぁぁぁああああっ!?)


 カサカサカサカサカサカサカサカサカサ


ほむら「ひっ――!」



 きゃあああああああああああああ!!


さやか「ほむら!?」バッ

まどか「ほむらちゃん、どうしたの!?」

ほむら「ダメ、今来ちゃダメ!!こないで!!嫌あぁぁぁぁっ!」

仁美「落ち着いてくださいまし、一体何が――あっ」

さやか「えっ? あっ」

まどか「あっ――」



ゴキ「あ、どーも」


 ざわ……ざわ……

  ざわざわ…………


まどか「ごっ……!」

さやか「ごっ、ごきっ……!!」


 カサ コソ


ほむら「ああぁぁぁぁぁぁ」

まどか「嫌ぁぁぁ! 触覚が! 触覚が!!」

ほむら「さや、さや、ぁぁあなたあれ斬れない!?」

さやか「無理! あたしでもあれだけは無理!」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「やだやだやだ近づきたくないし斬りたくない!!」

さやか「斬るって結構手に感触残るんだよ!? マジで!!」

まどか「い、今ちょっと動いた! 少しこっちに来てない!?」

さやか「そういえばあいつらって正確にこっちを捕捉して追尾してくる時あるよね」

まどか「ホーミングはやめてぇぇぇぇ」


ほむら(そんな、念入りに掃除したのに……っ)

ほむら(何故……何故今、このタイミングで!この季節ならまだ大丈夫だと油断していたツケだとでもいうの……!?)


 カササササササササ


ほむら「きゃあああああ!?」

まどか「嫌あぁぁぁぁ!!」

さやか「こ、腰が……!」


 サササ……カサ……


ほむら「ああぁぁぁ……っ」


仁美「――――」スッ

さやか「ひ、ひとみ……? あんた、スリッパなんて持って――」

ほむら「あなた、まさか……!?」


仁美「ふッ!」


 パシンッ


ゴキ「ッ!?」プチッ


まどか「わ、一発――――っあああああ!?」

さやか「ぎゃああああああ」

ほむら「ぎゃああああああ」

仁美「!?」ビクッ


さやか「ひ、ひ、ひ、引っくり返っ――!!脚が……っ!」

まどか「うわぁぁぁ……」

仁美「ほむらさん、新聞紙などはあります?」

ほむら「し、新聞紙?広告の紙でよければ玄関に――ちょっと待って、今足が震えてうまく立てないわ……」ブルブル

仁美「じゃあわたくしが取ってきますので、ちょっと待っててくださいね」

ほむら「ごめんなさい、お願いするわ……下駄箱のとこにある紙袋にまとめて入ってるから……」


 しばらくして


仁美「……ふぅ、これで大丈夫ですわ。一応、死骸の入った袋は外に置いておきますのでゴミの日に忘れずに出しておいて下さいね」

ほむら「仁美、本当にありがとう……消毒までしてくれて助かったわ。正直あのスリッパはもうダメだと思ったもの」

仁美「うふふ、お役に立てて光栄です」ニコ

まどか「仁美ちゃんすごいね……私、なにもできなかった」

さやか「うんうん、すっごいカッコよかった!あたしだってまだ手が震えてるよ……」

仁美「通っている道場でよく目にするもので、もうすっかり慣れてしまいましたわ」

まどか「ほええ……」

さやか「そんなにいっぱい出るの?」

仁美「稀によくあるというやつですわ」

さやか「なるほどなぁ」


ほむら「……」

まどか「ほむらちゃん?」

さやか「どしたの?顔が暗いよ?」

ほむら「みんな、今日はごめんなさい。まさかゴキ――が出てきてしまうなんて、とんだ失態だわ……」

さやか「なぁに、あんたそんな事気にしてたの?」

ほむら「だって、せっかく楽しそうにしていたのにあれで一気に雰囲気が……」

仁美「ほむらさんのせいではありませんわ。これからの季節、仕方が無い事ですもの」

仁美「それに、おかげでちょっぴりいい姿を見せることだってできましたしね?」

まどか「あはは」

ほむら「ふふっ……ありがとう」



さやか「それよりおやつ食べようよ!マミさん直伝のアイスティー淹れてくれるんでしょ?」

ほむら「! そうよ、アイスティーよ!すっかり忘れていたわ、結構時間が経っちゃったけど大丈夫かしら……」


 たたたっ


ほむら「……よかった。氷もあまり溶けてないし、大丈夫そうね」ホッ

まどか「わぁ、いい色! 飲むの楽しみだなぁ」

さやか「お茶菓子はこれー?」

ほむら「そうそう、箱のまま持ってきてもらってもいい?」

仁美「あら、たけのこも……? きのこだけでよろしいんじゃなくて?」

さやか「……は?」

仁美「……ほう?」

ほむら「えっ?」

まどか「仁美ちゃんってきのこ派だったの?」

さやか「ちょっと何言ってるのかわかんないなぁ」

仁美「今まで言う機会がありませんでしたが……わたくしはきのこ派です。まさか、さやかさんがたけのこ派でしたとは……ぷ」

さやか「……あんた、さっきちょっとイイ所見せたからって調子乗るんじゃないわよ?」


 ばちばちばち


仁美「まどかさん!まどかさんはどちら派ですの!?」ガバッ

まどか「わ、わたしはどっちも好きかなぁ?」

さやか「ほむらは!?」

ほむら「私も、別に拘りとかは……強いて言うならロッキーかしら……?」

まどか「あ、ロッキー美味しいよね! 私あれのアーモンドがついてるやつ好き!」

ほむら「まどかも? 高級感があって美味しいわよね」

まどか「ね!」


 きゃっきゃ


仁美「……」

さやか「……」



さやか「なーんて言ってはみるけどさ」

仁美「正直、甲乙付け難い存在ではありますわね」

さやか「どっちかってゆーとたけのこの方が好きってだけだし」

仁美「期間限定物だったりすると、その時によって両方買ってみたりしますしね」

さやか「ね」


まどか「あれ、二人とも仲直りしたの?」

さやか「そもそも喧嘩なんてしてないよ」ケラケラ

仁美「あれは一種のプレイですわ」

ほむら(プ、プレイ……?)

まどか「なーんだ、そうなんだ。よかった」

さやか「さ、はやく居間に戻ってお茶にしよ!緊張したりなんなりで喉渇いちゃった」

仁美「はーい」


 ガサ


さやか「……ちょっとまった」

仁美「はい?」

さやか「なんできのこの方だけもっていくのさ! たけのこは!?」

仁美「あら、たけのこなんて必要でしたかしら?」

さやか「は?」

仁美「あら?」


 ばちばちばち


ほむら「……あれもプレイ、なのよね」

まどか「あの二人って時々にああやって遊ぶんだよね。まるでさやかちゃんとほむらちゃんみたいに」

ほむら「え?」

まどか「ううん、なんでもないよ! 気にしないで?」

ほむら「……そう。まどかがそういうのなら」

まどか「えへへ、仲良しっていいなぁ」



おしまい

本日はここまでです。
ではまたの機会に。

A子「暁美さんて前はどこの派閥だったの?」
B子「きのこ派?たけのこ派?」
ほむら「……クランキー派よ」
というシーンがあったので自分はラミー派

ばんちゃ。個人的にはアルフォートとコアラが大好きです。

「暑い」


さやか「…………」

まどか「…………」


 ぐでーん



さやか「暑い」

まどか「暑いねぇ……」

さやか「まどかは長袖でも暑くないの?」

まどか「暑いよ」

さやか「じゃあ脱げばいいじゃん」

まどか「うん……」ゴソゴソ


まどか「ふはぁ」

さやか「おー、可愛いキャミ」

まどか「えへへ。ありがとう」

さやか「へへ…………暑い」

まどか「暑いね……」


 ごろり


さやか「半袖でも暑い」

まどか「……さやかちゃんも上脱いじゃえば?」

さやか「そしたら下着になっちゃうんだよねぇ」

まどか「そっかぁ……」


さやか「…………なんか飲み物とってくる」

まどか「はーい」


 とててて


まどか「…………」グデーン


 <まどかー!


まどか「あ、なぁにー?」

さやか「まどかは麦茶とジュース、どっちがいい?」ヒョコ

まどか「ジュースは何があるの?」

さやか「カルピスと……えっと、アセロラ?みたいな何かのジュース」

まどか「アセロラじゃないの?」

さやか「うん。アセロラっぽいけど何かが違うんだよね、これ」

まどか「ふーん……?」

さやか「飲んでみる?」

まどか「うん、ちょっと気になるかも」

さやか「あいさー」


さやか「お待たせ」コト

まどか「ありがとー。これが例の?」

さやか「うん。アセロラって書いてあるけど決定的な何かが違うジュース」

まどか「うーん、色はアセロラっぽいよねぇ」

さやか「まあとりあえず飲んでみてよ」

まどか「うん、いただきます」ゴク


まどか「…………?」

さやか「どう?」

まどか「……なんか違う」

さやか「でしょー? なーんか違和感あんだよねぇ」

まどか「味というか、香り?はそれっぽいのに、決定的な何かが違う……」

まどか「味覚自体はこれはアセロラだ! って主張してるのに、頭がそれを否定するの!」

さやか「うんうん」

まどか「どっちかというとりんごジュースみたいな、柑橘系っぽいような……なんなんだろう」

さやか「ほんとなんなんだろうね」ゴク


さやか「別に不味くはないんだよね」

まどか「普通に美味しいね」

さやか「ね」


まどか「パッケージにはなんて書いてあるの?」

さやか「もちろん "アセロラドリンコ" って」

まどか「……ドリンコ?」

さやか「うん、ドリンコ。ちなみに果汁5%未満らしい」

まどか「へぇ……」


さやか「やっぱ値段の問題なのかなぁ」

まどか「へぇ、いくらだったの?」

さやか「1リットルの紙パック入りで50円」

まどか「えっ!?」

さやか「ね、ね! やっすいっしょ? びっくりしてつい2本も買っちゃった」

まどか「ほえー、50円……」

さやか「だからまだたくさんあるから遠慮しないで飲んでってよ」

まどか「う、うん。ありがとさやかちゃん」ニコ


さやか「はぁー、冷たい物っていいねぇ」

まどか「だねぇ。はふぅ」

さやか「ちょっとは涼しくなったような気がしない?」

まどか「う、うーん……それはどうだろう……」

さやか「だめかぁ。気温がこれだもんなー」


 じわじわじわ……


さやか「ちくしょー太陽め、あっついっつーの!! もうちょっと加減してよぉ!」

まどか「もうちょっと日が沈めば涼しくなるんだけどねぇ」

さやか「最近日が長いからなぁ……うぅ」

まどか「まだ5月なのにね」

さやか「って事は、もうすぐ梅雨か」

まどか「えっ、もう梅雨!? うわぁ、雨降るのやだなぁ」

さやか「だけど、梅雨があけたらもう夏休み目前だよ!」

まどか「なつやすみ!!」

さやか「そう、夏休み! なんて甘美なひ・び・き」

まどか「えへへ、楽しみだねぇ」

さやか「ねえねえ、今年は何する?」

まどか「私、海行きたいなー」

さやか「海行っちゃうー?」

まどか「行っちゃおうよー」


さやか「皆で太平洋にダイブしちゃおっか!」

まどか「うんうん!」

さやか「よーし、さやかちゃん飛び込んじゃうぞー! そぉれっ!」

まどか「えっ、ここで!? きゃあああっ」


 ぼふーっ


まどか「ひゃぁああはははっ、さやかちゃんくすぐったいよぉ」

さやか「ひひひひ、どうだ参ったか!」

まどか「んもー、今度はこっちからいくよ! 太平洋ダイブー! ざぶーん」

さやか「うわぁー! 水しぶきならぬまどしぶきがぁー!」

まどか「ざぶーん! どーん!」ギュッ

さやか「あははは、まどかもやるじゃん!」

まどか「私だってやられてるだけじゃないんだよっ そぉれ!」

さやか「渦潮に飲み込まれるぅー! ははははっ」

まどか「こちょちょちょちょ」

さやか「ひゃふっ!? そ、そこは反則だって!」

まどか「さやかちゃんこそ脇はだめだってばぁ! えいっ!」

さやか「うおっ! やったな、渦潮アターック!」


 きゃいきゃい ドタバタ


まどか「きゃはははっ」

さやか「あはははは」


二人「「えへへへへ」」


さやか「…………」

まどか「…………」



さやか「なにやってんだろうね、あたし達……」

まどか「ちょっとよくわかんないや……」

さやか「あたしもわかんない……どうしてこうなったんだろう」


さやか「ごめん、密着すると暑いからちょっと降りてもらってもいい?」

まどか「うん、人肌も暑いね……」



 じわじわじわ……


さやか「暑い……」

まどか「暑いね……」


さやか「まどか、アセロラドリンコもう一杯飲まない?」

まどか「飲むー……」


さやか「変に運動したら余計暑くなっちゃったね」

まどか「本当、さっきのテンションってなんだったんだろうね……」

さやか「たまに変なスイッチ入るとああなっちゃうんだよねぇ」

まどか「ほぇ」

さやか「あはは、なにその気の抜けた返事」

まどか「ほぇ……」

さやか「……まどか?」

まどか「ほぇ」

さやか「まどか!? ど、どうしたのまどか! しっかりして! ねぇまどかったら!」

まどか「ほぇ」


さやか(どどどどどどうしよう!? まどかが変になっちゃった!)

さやか(まさか魔女の口付け!?)

さやか(だけど魔力反応は全然無いし……)

さやか(とりあえずほむらに連絡を入れるか……? でもなんて説明すれば……っ)

まどか「ほぇ」

さやか「――――っ!」

さやか(とりあえず今はまどかに声をかけ続けるしかないか……!)


さやか「まどか! 正気に戻って! ねぇ、あたしの事わかる?」

まどか「ほぇ」

さやか「さやかだよ、美樹さやか! ねぇまどか、帰ってきて!」

まどか「ほぇ」

さやか「まど――ああもう、ほ、ほええぇぇぇ」

まどか「!?」

さやか「ほぇ、ほぇぇ!」

まどか「ほ、ほ……ぷっ」プルプル

さやか「!?」

まどか「あははは、さやかちゃん焦りすぎ!」


さやか「まどか! あんた、一体全体どうしちゃったのさ!」

まどか「ごめんね、別になんでもないの。さやかちゃんの反応が面白かったからつい続けちゃっただけ」

さやか「なんだよそれぇ……」

まどか「えへへ、心配した?」

さやか「そりゃ心配するよ! まどかってばただでさえ魔女に狙われやすいんだから」

さやか「ってゆーかもうほむらに救難信号出しちゃったし」

まどか「……え?」


 <ぁぁぁぁぁああああ


まどか「!?」

ほむら「まどかぁぁぁぁぁ!!!」ガタンッ


さやか「おー、ベランダから来たか」

ほむら「まどかは、まどかはどうしたの!?」ガラ

さやか「いらっしゃーい」

ほむら「あなたは何のん気にしているの! まどかはどこ?」

まどか「ほむらちゃん、ごめんなさい!」

ほむら「まどか!! あなた、暑さで壊れちゃったって聞いて――私、とりあえず家にあった保冷剤とかアイスとか色々もってきたんだけど――」

まどか「ええと、あの、その……」

ほむら「とりあえず氷枕をタオルに包んだから、これを脇に当てて横になって」

ほむら「あとはアイスがあるから、食べて体力をつけて――ああそうそう、バニラとチョコと抹茶と苺があるのだけど、どれが好みかわからなかったから全部持ってきたから選んでね。もちろん、体が楽になってからでいいわ」


 ガサゴソ ドン!

 ドン ドン ドン!


さやか「わ、すげぇ量」

まどか「わわわわ……」


まどか「あのね、ほむらちゃん!」

ほむら「どうしたのまどか、苦しいの? クーラー、持って来ましょうか?」

まどか「えっ!? いや、あの、大丈夫だから!」

ほむら「何が大丈夫なの、熱中症を甘く見たらあなた死ぬわよ!?」

まどか「!?」

さやか「あのー、ほむらさん」

ほむら「さやか。症状を詳しく教えてくれるかしら」

さやか「それがさ、どうも遊んでただけだったらしくて」

ほむら「……は?」

さやか「だから、熱中症は大丈夫なんだって」

ほむら「だけどあなたさっき "まどかがうわ言しか言わなくなった" って」

さやか「うん」

ほむら「……冗談だったの?」

まどか「えっと、その……ごめんね、本当に……」

ほむら「…………はぁぁぁぁぁ」


さやか「あははは、お疲れー」

ほむら「お疲れー、じゃないわよ全く」

まどか「ほんとにごめんね、心配かけちゃって……まさかここまで信じ込まれるとは思ってなくて……」

ほむら「……別にいいわ、家でヒマだったし」


さやか「アイス一個もらっていい?」

ほむら「どうぞ。残りは冷凍庫に入れておいてもらえるかしら」

さやか「あーい。まどかはどれにする?」

まどか「えっと、じゃあ苺を……ありがとう、あと本当にゴメンね……」


ほむら「ところでうわ言ってどんな感じだったの?」モグモグ

まどか「ほぇっ!? そ、それは――」

さやか「ああそうそう、今のみたいな感じ。これをもっと無気力にしたようなやつ」

さやか「んで、ひたすら "ほぇ" って言ってたんだよ」

ほむら「なるほどね、大体わかったわ」

さやか「話が早くて助かるよ」

まどか「あぅぅ……」


さやか「あ、ほむらもアセロラドリンコ飲む?」

ほむら「……ドリンコ?」

さやか「そう、ドリンコ。1リットル50円也」

ほむら「何よその怪しい飲料……」

さやか「是非とも飲んで感想を教えて欲しい」

ほむら「……まどかも飲んだの?」

まどか「う、うん」

ほむら「まさか、それが原因でおかしくなったとか……?」

まどか「え!? そ、そこまで変じゃなかったかな?」


さやか「お待たせー」カラン

ほむら「ふむ、見た目は普通のアセロラジュースね」ジッ

ほむら「香りも別に変な所は無い……」

ほむら「魔力反応も無しね。一応安全な飲み物とみていいのかしら」

さやか「まま、とりあえずぐいっと」

ほむら「そうね」


 ゴクッ


ほむら「!?」

さやか「どう?」

ほむら「何……何なのよこれは……!」


さやか「うーん、やっぱりなんか違うんだよねぇ」ゴク

ほむら「違和感はあるのだけれど、その違和感の正体は全くわからない……」ゴゴゴゴ

ほむら「どういう事なの……!?」

まどか「不思議な飲み物だよねぇ」ゴク

ほむら「決して不味いワケじゃない、だけど美味しいかって訊かれたら少し躊躇ってしまうような、そんなギリギリのライン」

ほむら「まさに "普通に美味しい" の体現者……!」

ほむら「まるでグラウンドに引かれた細い一本の白線上を歩くかのような、そんなアンバランスな――」

ほむら「――」ブツブツ

さやか「まどか、もう一個アイス食べる?」

まどか「え、いいのかな?」

さやか「いいんじゃない、こんだけあるし」

まどか「じゃあ今度はバニラにしよっかな」

さやか「んじゃあたし抹茶」

ほむら「ねえ」

さやか「な、何?」ビクッ

ほむら「これ、どこで買ったの?」

さやか「すぐそこのスーパーだけど」

ほむら「後で買いに行ってもまだあるかしら」

さやか「すごい量積まれてたからまだあんじゃない?」

さやか「もしかして、あんたもコレ癖になった感じ?」

ほむら「この奇妙な違和感について少し興味が湧いただけよ」

さやか「そっかぁ」


さやか「あ、そういえば」

まどか「?」

さやか「いつの間にか日が沈んで、すっかり涼しくなったね」

まどか「ほんとだ! 気がつかなかったよ」

ほむら「アイス食べたりしてたからかしらね」

さやか「あれで結構助かったよ」

まどか「えっと、本当にごめんね……ありがとう」

ほむら「礼には及ばないわ」クス



さやか「ほむらは夕飯どうすんのー?」

ほむら「別に予定はないけど」

さやか「じゃあウチで食べてかない?」

ほむら「いいの?」

さやか「ほむらさえよければ。これからスーパーに食材買いに行くし、ついでにドリンコも買い足してこよう」

ほむら「もしかして、まどかの手作り!?」

さやか「いえ~す!」ビシッ

ほむら「……仕方ないわね、いただいていくわ」

さやか「あんたも手伝うんだよ?」

ほむら「もちろんよ。炊飯器の監視は任せて」グッ

さやか「お、おう」



おしまい

謎の白くない液体の正体とは!?
次号へ続かない!

スレタイで損してる

こんばんは、いつもながら乙やレスなどなど本当にありがとうございます!気がついたら1週間たってました、ゴメンナサイ……
暑さを耐えるために虚空に向かってさやかちゃんを連呼してたら同僚に怪しい目で見られたでござる

>>608
実は前にスレ立てた時も同じことおわれた記憶があるので、次回こそ改善したい題目の一つであります。ありがとうございます!


今回はほんのちょっと長め、「失敗談」


 ――マミ宅


さやか「」キュウ


ほむら「まさか試験勉強程度でこうなるとは……」

まどか「さ、さやかちゃん大丈夫……?」

さやか「もうダメ。死ぬ、あと一問でも解いたら死ぬ。っつーかあと数秒で魔女化して死ぬからあとはヨロシク」フラフラ

まどか「さやかちゃーんッ!?」


ほむら「冗談言ってないで早く起き上がりなさい、さやか。あと数問じゃないの」

さやか「無理」

ほむら「……頭を踏まれたいの?」

さやか「むしろご褒美です」

ほむら「」ゲシッ

さやか「痛い!!」

ほむら「叫べるだけの元気があるじゃない」

さやか「叫ぶのと勉強するのとじゃ使う元気が違うのぉー、もうダメなのぉー!」ゴロンゴロン

さやか「もう勉強したくないー!ケーキたべたいぃー!」


 じたばた


ほむら「暴れるんじゃないわよ、みっともない」

さやか「別にみっともなくてもいいもん!あたしゃもう勉強なんて嫌なんだぁぁ!」

杏子「ああもうウッセェなぁ!! 集中してテレビ見れねぇじゃねーか!」


さやか「きょおこぉー、あたしもテレビ見てゴロゴロしたいぃぃ」

杏子「泣きついてくるんじゃねーよバカ! あたしからしてみりゃ試験勉強程度で泣き喚くとか贅沢極まりねぇっつーの!」

さやか「うっ」


ほむら「ほら、気が済んだらさっさとこっちへ戻ってきなさい」

さやか「ぐぅぅ……これが "万事休す" か……」

まどか(あ、さっき勉強した言葉だ)


さやか「――はっ! そうだ!」ガバ

ほむら「!?」ビクッ

さやか「そういえば今日はアレを持ってきたんだった」ガサゴソ

まどか「アレってなに?」

さやか「へっへっへー。見て驚かないでよ?」

さやか「じゃーん!」


さやか「リポ○タンD!」


ほむら「!」

さやか「さやかちゃんリサーチによれば、これを飲めば元気百倍! まだまだ頑張れるぜヒャッハー! ってなれるらしい」

まどか「私もCMで見たことある!」

さやか「へへ。前から気になってたんだよね、コレ」

ほむら「……」

さやか「よーし、いくぞっ」


さやか「ファイトォーッ!」

まどか「いっぱーつ!」


 グイ、 プシッ


さやか「んぐ、んぐ……」

さやか「ぷはーっ!」

さやか「~~っ、くぅーっ! キクぅー!」


まどか「さやかちゃん大丈夫? 元気出てきた? 崖上れる?」

さやか「今ならイケる気がする」

まどか「おおー」


さやか「お待たせほむら! あと数問、終わらせちゃおう。ついでに次の教科まで行っちゃう?」

ほむら「あら、随分と余裕そうね」

さやか「なんたって今はリ○D飲んでるからね!」

ほむら「……そうね、その余裕がずっと続くことを祈っているわ」

さやか「んー……?」

さやか(なんかひっかかるけど、まぁいっか)



 ――しばらくして


さやか「」キュウ


さやか「もうダメ……ぜんぜん解けない……数学なんて嫌い……滅びればいいのに……」ブツブツ

さやか(っつーか凡ミス続きとかありえないでしょ……マジでわけわかんないし、もうヤダ……あたしもうお嫁行けない……きっともうお箸も持てないしお母さんのごはんも食べれないんだ……)

さやか(待っててください先輩魔法少女の皆様……あたしもそろそろ、そちらへ向かいます……)


まどか(机に突っ伏したまま動かなくなっちゃった)


まどか「さやかちゃん、また萎れちゃったね」

ほむら「この程度でヘトヘトになるなんて情けないわね」

さやか「この "程度"!?」ガバッ

さやか「そうは言ってもさぁ、こんな連続して勉強し続けるなんてありえないよ普通!」

ほむら「たかが8時間じゃない」

さやか「"たかが" じゃないっつーの。あたしゃあんたみたいに勉強が得意じゃないんですー」ベー

ほむら「褒め言葉をどうもありがとう。ほら、赤点取りたくないなら文句を言わないで手と頭を動かしなさい」

さやか「ぐぬぬ……」

ほむら「ペンはちゃんと持つ。逆さまじゃないそれ」

さやか「あれ!? あー、どうも書きにくいと思ったんだ」

ほむら「えっ? 素だったの?」

さやか「うん」

ほむら「そ、そう……それは重症ね……」



 カリカリ カリカリカリ


さやか「……」カリカリ

ほむら「だから、この問題はそもそも――ここはこの部分が公式に当てはめられるから――」

さやか「……」カリカリ

ほむら「――、――――」

さやか「うぅぅぅ……」カリカリカリ

ほむら「そうしたらあとは順番に解いていけば……」


 カリカリ カリカリ


さやか(ふむ……ここがこうなって、こうなると……? うん? あれ? なんだこれ?)

さやか(んんんんん? ……あ、もしかしてこの部分が答えっぽいかな)

さやか「……できた」スッ

まどか「私も解けたよ!」

ほむら「じゃあ答え合わせするわよ」

さやか「どんとこいだ!」


ほむら「……ふむ、ふむ」

さやか「どう? 今度こそ合ってると思うんだけど」

ほむら「まどかは正解ね。途中式もよくできてるわ」

まどか「ほんと!? 自信なかったんだけど、よかったぁ」

さやか「あたしは?」

ほむら「ぜんっぜんダメね」

さやか「マジで!?」

ほむら「そもそも途中で論理が崩壊してるじゃない。使っている公式も的外れ」

さやか「え、でもさっきあんたが言ってた説明だと、教科書137ページの2番目のこれだって――」

ほむら「何言ってるの、それの一個下のやつよ。ちゃんと指差してまで言ったじゃない」

さやか「えええええ!? マジ!?」

まどか「さやかちゃん、本当に大丈夫……?」

さやか「……もうだめかも。リ○Dとは一体なんだったのか」

ほむら「……ああいうのはね、眠気や元気はどうにかなるけど、結局のところ実際に体力が回復した訳じゃないから集中力は落ちたままなのよ」

さやか「えっ」

まどか「そ、そうなの?」

ほむら「残念な事にね」

さやか「じゃあファイトー、いっぱーつ!ってやつは嘘なの!?」

ほむら「別に嘘ではないわ。実際元気は湧いた訳でしょう?」

さやか「それは、そうだけど……」


ほむら「一時的に目を覚ましたりするのにはいいけれど、疲れてグダグダの時に回復目的で使用するのはあまりオススメできないわね」

さやか「えぇぇ……嘘でしょ……」

まどか「ほむらちゃんも飲んだことあるんだ?」

ほむら「最近はめっきりだけど、昔はよくね」

さやか「へぇー。もしかしてそれで何かやらかしちゃってたり?」

ほむら「っ…………」

さやか「あれ、マジで?」

杏子「なんだなんだ、なんか面白そうな話してんな」

ほむら「べ、べつに面白い話じゃないわよ」

さやか「えぇー、気になるなぁ。あんたってば普段は完璧だから、どんな失敗したのか想像もつかないよ」

さやか「まどかも気になるよねぇ?」

まどか「うん、ちょっと気になるかも」

ほむら「う……」


ほむら「……そうね、じゃあ分かりやすい話を一つ」

さやか「おー! 待ってました!」パチパチ

ほむら「静かにしてないとやめるわよ」

さやか「ゴメンナサイ」


ほむら「あれは、ずっと昔の事だわ。――ずっと前のループでの事だと意味だけど」

ほむら「あの頃の私はワルプルギス討伐に向けてひたすら武器を量産していた」

ほむら「作っても作っても消費に追いつかなかった。それに学校の勉強もしなくてはならなかったし、そもそも一般常識すらてんでダメだったのよ」

ほむら「放課後は材料の調達と調合に加え、魔女の情報集めに明け暮れる日々……毎日が戦いだったわ」

さやか「…………」


ほむら「そしてある日、どうしても次の日までに大量に仕上げたい爆弾があったの」

ほむら「作成自体は手馴れたものだったのだけれど、数が多いとどうしても時間がかかってしまう」

ほむら「その日までに少しずつ作り溜めてはいたのだけれど、それじゃ到底間に合わなかった」

ほむら「だから、私は飲んだ」

ほむら「結局その日は徹夜しての作業になったわ……」


ほむら「そして、次の日の朝が来た」

ほむら「朝日に照らし出されたそれをみて、私は驚いた――」

ほむら「――……」

さやか「ど、どうしたの? 続きは?」


ほむら「……結果から言うと、アパートとその一帯は吹き飛んだわ」


まどか「へっ!?」

ほむら「配線にミスがあったのよ。それも全部とかじゃなくって、まちまちに」

杏子「うわ、えげつねぇな……」


ほむら「気がついたときには手遅れだった。100個近くある爆弾を1つずつ解体して修正なんてしてるヒマはなかったわ」

ほむら「思えば、完成品を適当に床に転がしておいたのも悪かったわね」

ほむら「1つが爆発した瞬間、他のに着火して……そこからは一気よ」

さやか「うわぁ……」

ほむら「ワルプルギス前だというのに、その一帯だけ丸ハゲの荒野になってしまった」フッ

ほむら「爆風で何人もの人が命を失ったわ……たちまちニュースやら新聞やらで大変な騒ぎになった」

ほむら「……爆心地が特定されるのに時間はかからなかった」

ほむら「結局、その週は警察から逃げるだけでおわってしまったわ……」

ほむら「――以上よ」


まどか「……」

さやか「……」チラッ

杏子「……」


ほむら「ちょ、ちょっと黙ってないで何か言ってよ! それは確かにすごく悪いことしたと思っているわ、だけどそれも何年もずっと前の話で――って実際には1年くらいなんだけど、もう上書きされて消え去ったはずの出来事だし――あの時爆死させてしまった人たちも、今はちゃんと生きてるし……反省も、したし……」

さやか「……ほむら、あんた……」

杏子「想像以上に苦労してきてるんだな……」

ほむら「ふぇっ?」

さやか「ゴメンね、軽い気持ちで辛い事聞いちゃって。もっと笑える系なのかと思ってたよ……」

ほむら「え、え?」

まどか「私もごめんね……ほむらちゃん、すっごく苦しんだんだよね」

杏子「よかれと思って行動した結果が、お尋ね者でサバイバル生活だ。しかも人死にも出てる」

さやか「ずっと責任感じてたんだよね。話してる時、あんたすごく辛そうな顔してた」

ほむら「……」

ほむら(どうしよう、想像以上に重い空気になってしまった)


マミ「みんな、お菓子が焼けたわよー!休憩に――」

マミ「――って、みんなそんな暗い顔してどうしたの。美樹さん達も試験勉強は終わったの?」

ほむら「ッ!!」バッ

ほむら(この素晴らしいタイミング――! これはもうマミに助けてもらうしかない!)


ほむら「マ、マミは何か失敗談とか無いの!?」

マミ「えっ!?」

ほむら「今私の失敗談を話してたんだけど、あなたも聞いていたわよね?」

マミ「き、聞いてな――」

ほむら「聞、い、て、い、た、わよね!?」ズイッ

マミ「!?」


ほむら『マミ! お願いだから話を合わせて!』テレパシー

マミ『ちょっと、一体何がどうなっているのかさっぱりよ』

ほむら『お願い、この重い空気をどうにかしたいの! 訳は後で話すから』

マミ『もう、後でちゃんと教えてよ?』


マミ「――き、聞いていたわよ、もちろん! ええと、失敗談だったわよね?」

ほむら「そ、そうよ。あなたは何か失敗した時の面白おかしい経験なんてないの?」

マミ「そうねぇ……それじゃあ、ちょっと昔の話になっちゃうけど」


ほむら「昔ってどれくらい昔?」

マミ「佐倉さんと知り合って間もない頃ね。あの頃の私は、料理がそう得意って訳でもなかったんだけど」

杏子「そういや最初は酷いもんだったなぁ! 菓子作りならそこそこ上手かったけど、和食となるとてんで駄目な方向に向かってたな」

ほむら「そう、あなたにもそんな時代が……」

マミ「んもう、誰だって最初は初心者なのよ? ……それでね、佐倉さんたらすごく美味しそうにご飯を食べるじゃない」

ほむら「そうね。あの食べっぷりは見ていてすがすがしくもあるわ」

さやか「あるある! なんか餌付けしてるような気分になりますよね」


マミ「それで、せっかくなら佐倉さんにもっと美味しいものを食べさせてあげようと思って、一人で料理の練習をしていたの」

マミ「そうなると、やっぱりどうしても大量の料理が出来上がってしまうのよ」

マミ「和食だけじゃなくって、お菓子とかパスタとか、とりあえず目に付いたものは片っ端から練習していたから冷蔵庫はいつも満タンだったわ」

マミ「それでね、ここからはちょっと恥ずかしいんだけど……」カァ

さやか「おぉう、赤面するマミさんいただきましたッ!」

マミ「美樹さんったら、茶化さないでよもう!」ペチン


マミ「出来上がった料理やお菓子を捨てるわけにもいかないから、一人で黙々と食べるのよ。そうすると、自然と体重も、その……ね? クレッシェンド、というか……わかるでしょ?」

さやか「ク、クレッシェンドですか」

ほむら「杏子に食べてもらえばよかったんじゃないの?」

マミ「あの頃の私はウブだったの! 佐倉さんには、カッコイイ先輩で貫き通したかったから……うぅ///」

さやか「だってさ、杏子。どう思う?」

杏子「ば、バッカじゃねーの!? そんな料理を失敗したくらいであたしが幻滅するとでも思ってたのかよ?」

マミ「っ!?」カァァァ


さやか「おやおやまあまあ」ニヤニヤ

まどか「これは仁美ちゃんがいたらキマシタワーって叫んじゃう展開?」

さやか「だねぇ。仲良きことは美しきかな、うんうん」

ほむら「仲直りできてよかったわよね、本当」

まどか「ね」ニコ


マミ「さ、佐倉さんは失敗談ないの? 私が話したんだからあなたにも話してもらうわよ!」

杏子「げっ、そういう流れかよ!?」

マミ「つべこべ言わないの! 私今すっごく恥ずかしいんだから」

杏子「えぇぇ……なんかあったかなぁ……」

さやか「なんか笑える話を頼むよ」


杏子「そうだなあ、笑えるかどうかはわかんねーけど、最近の話な」
 
さやか「おっ」

杏子「これはまぁ、いわゆるあるある系だとおもうんだけど」

杏子「その日もいつもみたいに、コンビニでおにぎりを買ったんだよ。んで食べようとして袋開けて、海苔巻くだろ」

杏子「右手には海苔の巻かれたおにぎり。左手にはおにぎりの入ってた袋」

さやか「あー、なんとなく読めたかも」

杏子「だからあるあるだって言ったろ? ……んで、まぁ袋を捨てようとして、間違えて右手に持ってたおにぎりをゴミ箱に投げ込んで、左手の袋を口に突っ込んじまったってだけの話」

さやか「あははは、口に突っ込むとこまてやっちゃったの?」

まどか「それ私もやったことあるー」

杏子「疲れてるとたまにやらかしちゃうんだよなぁ」

ほむら「それで、結局そのおにぎりはどうしたの?」

杏子「三秒ルール」ブイ

ほむら「ああ……」


杏子「うし、あたしも話したから次はさやかな!」

さやか「えぇっ!?」

マミ「ここまできて話さないっていうのはナシよ?」

さやか「マミさんまで!? え、ど、どうしようありすぎて選べない!!」

杏子「えっ」

さやか「ちょっとタンマ! 脳内選考にかけるから先にまどかヨロシク!」

まどか「うぇぇえ!?」

ほむら「ちょっと、指名されたのはあなたでしょう美樹さやか!」

まどか「べ、別にそんな怒らなくても大丈夫だよほむらちゃん」


まどか「うーん、失敗談か……」


まどか「……そうだ。それじゃあ、この間の話ね」

杏子「ほうほう」

まどか「この間ね、初めてサブ○ェイでサンドイッチを食べてみようとおもって買いに行ったんだ」

ほむら「サブ○ェイ?」

まどか「サンドイッチ屋さんなんだけどね、パンの種類とか、具材とかを自分の好みに合わせてカスタマイズできるんだよ」

ほむら「へぇ……面白そうね」

まどか「でしょ? 前から気にはなってたんだけど中々行く機会がなくって」


まどか「それでね、意を決して一人で買いに行ったのはいいんだけど、まずメニュー表みたいなのが見当たらなくって焦ったのが一つ目」

まどか「あわてて辺りを見渡してみたら、他の人たちはなんか呪文みたいに色々唱えてるし、私怖くなっちゃって……」

まどか「そうしたら偶然、日替わりサンドイッチみたいなののポスターが目に入ったから、もうこれでいいや!ってなって、とりあえずそれを注文してみたの」

さやか「ほうほう」


まどか「そしたらね、店員さんが急にすっごい早口で "パンは逃走しますか?" って訊いてきて」

杏子「は?」

まどか「だよね、"は?" ってなるよね! 私も理解が追いつかなくって、そのままオウム返しに "と、逃走ですか?" って訊きかえしちゃった」

さやか「ぷっ」プルプル

まどか「そうしたらやっぱり "はい、逃走はどうしますか" って。そこでもうワケわかんなくなっちゃって」

まどか「仕方ないから "逃走はいいです" って断ったんだけど、店員さんは普通の顔で "じゃあ逃走せずにおつくりしますね" って」


まどか「それから店員さんがサンドイッチを作る工程を眺めてたんだけど、ふと気になって私の次のお客さんが注文してる会話を聞いてみたの」

まどか「そしたらね、そのお客さんは逃走する方向で注文してて、その注文を受けた店員さんが徐にパンをトーストしはじめて――」


まどか「そこでやっと気がついたの。"逃走しますか" は、 "トーストしますか" っていう質問の空耳だったんだって」

まどか「私もう恥ずかしくって! 顔から火が出るかと思っちゃった……」

さやか「あひゃひゃひゃ、すっげー空耳!」ケラケラ

まどか「さやかちゃん、そんな笑わないでよぉ! 話したのは私だけどさ」

さやか「だけど逃走は無いわ! どうやったらそんな単語になるんだっての」

ほむら「まどからしい可愛い失敗だったじゃない。誰に迷惑をかけたわけでもないし、そんなに恥ずかしがることないと思うわよ?」

まどか「ほむらちゃん……」

マミ「サブ○ェイ、私も気にはなっていたのよね。今度一緒に行ってもいいかしら?」

まどか「わぁ、それは是非! そしたら今度こそちゃんと注文するんだ!」

マミ「うふふ、それは楽しみね」クス


杏子「で」

さやか「うっ」

杏子「そろそろ覚悟は決まったんだろ?」

さやか「い、一応考えはまとまったけど」

杏子「パス回してまでタメを作ったんだ、期待してるからな?」

さやか「あははは、そりゃどうも……」タラ


さやか「それじゃあね、これは去年の暮れぐらいの話になるんだけど」

杏子「ほうほう」

さやか「あたしね、まぁちょくちょく恭介の家に遊びに行ったりしてるんだ」

さやか「バイオリンの練習を横から聴いてみたり、一緒に音楽を聴いたり、宿題やったり……ほんとに他愛無い事しかしてないんですけど」

マミ「あらまあ」ニヤニヤ

まどか「マミさん、顔がにやけてますよ」ニヤニヤ

ほむら(そういうあなたもよ、まどか……)


さやか「それでさ、ある日晩御飯を頂く事になったんだ」

さやか「確か魚料理だったかな。それと一緒に飲み物をいただいたんだけど」

さやか「あたしがジュースだと思って飲んだやつが、実はチューハイ?っていうお酒だったみたいでさ」

まどか「ぶっ」

さやか「本当は恭介のお父さんの分だったらしいんだけど、思いっきり間違えちゃって」

さやか「あたし、お酒なんて飲んだこと無かったから一杯飲んだだけでもうベロンベロンに酔っ払っちゃってさぁ!」


さやか「よくお酒を飲むと気が大きくなるとかきくけど、あたしはそんなこと全然なくって。ふわふわ~ってしていい気分になったとおもったら次の瞬間眩暈がガーンッてきて」



さやか「んで気がついたら恭介のベッドで寝てた」


杏子「はぁ!?」

まどか「――――ッ!?」

マミ(まさかの既成事実なの!? ご両親もいるというのに、なんという大胆さ……!)

ほむら「そ、それでそれから――いえ、それって、まさかその――」カァァァ


さやか「……? なんでそんな慌ててんの?」

まどか「当たり前だよさやかちゃん!」

ほむら「あなたは一体自分が何をしたかわかっているの!?」

さやか「何って……ただ好きな人の前で思いっきり酔っ払って、ぐーすか寝てただけだけど」

杏子「……本当にただ寝てただけなんだろうな」

さやか「なんか含みのある言い方だね」

杏子「ったりめーだろ、年頃の男なんてのは性欲の塊みてーなもんなんだぞ!? そいつの前で腹出して寝ててみろ、あっというまに食われちまってもおかしくねぇだろ!」

さやか「は!? べ、別に恭介はそんな野蛮な奴じゃないし! ってゆーか恭介になら、別にかまわない、けど……」

杏子「バカいってんじゃねーよ、婚前交渉はありえねぇだろ普通! 貞操くらい守れよバーカ! バーカ! このびっちー!」

さやか「婚前交渉してないですしー! 貞操とかバリバリ守りまくっちゃってますしー! びっちじゃないですしー!」ベー

杏子「――へっ?」


 ぱちくり


さやか「……何よ」

杏子「襲われなかった、のか?」

さやか「……襲われるわけないじゃん、ばか」

杏子「マジかよ……心配して損した」ハァ

さやか「心配?」


杏子「っつーかさぁ。酔って寝てる自分に好意を寄せてる女が目の前にいて、なおかつ自分のベッドに寝てるっつーのに何もしないとかさぁ」

杏子「もうそいつ無能じゃねーの?」

さやか「ちょ、確かに恭介はバイオリン馬鹿だけどさぁ! 勉強だってそこそこできるんだし、無能は言いすぎ!」

杏子「!?」


ほむら「……」

杏子「……なぁ」

ほむら「何?」

杏子「こいつ、ぜってー意味わかってないよな」

ほむら「何のことかしら」フイ

杏子「オイ」

さやか「……?」



おしまい

本日はここまでです。
ではまた!

こんばんは、お、おひさしぶりであります。コメントありがとうございます!!
ってかスタバとか怖えぇぇよ!店内を覗き込んだだけでしどろもどろになるレベルだわ!

「らんじぇりー」


 見滝原 とある店


さやか「~~♪」ガサゴソ

さやか「おっ」

さやか「これ可愛い!」


 ぴらっ


さやか「ほうほう、上下セットで1600円か」

さやか「うむむ……」

さやか「……あ、でもよくみたらパンツがあんま可愛くないないな」

さやか「どうしてこんなゴテゴテにしちゃったんだろ」カチャ


 がさごそ がさごそ


さやか「ふーむ、この形もアリか……」

さやか「……いや、待てよ。やっぱこの色はナシでしょ」

さやか「なんてゆーかあたしのカラーじゃないってゆーか……」

さやか「…………」

さやか「……でもこのフリフリが可愛いんだよなぁ」

さやか「色違いとか無いのかな」


 がさごそ


さやか「うーん、これと黒とピンクのしかないっぽいなぁ」

さやか「……やめとこ」


仁美「さやかさん、さやかさん」ヒョコ

さやか「お、仁美。なんかいいのあった?」

仁美「それが、どうにもしっくり来るものは少なくて……さやかさんのほうは?」

さやか「ビミョーかも」

仁美「それは残念ですわねぇ」

さやか「ねー、せっかくちょっと遠出して来たっていうのにさ。ため息出ちゃう」

仁美「何かひとつくらい戦利品がほしいですわよね……あら?」


 ごそ


仁美「これ、さやかさんに似合うんじゃありません?」

さやか「あぁそれ? あたしもそう思って手に取ったんだけどさ、なんか色が微妙じゃない?」

仁美「そうですか?」

さやか「なんつーか、なんとなくあたしっぽくないじゃん」

仁美「ああ、それは確かにそうかもしれませんわね」

さやか「色違いもその紫か黒かピンクの三択しかなくってさぁ」

仁美「そうなんですか……デザインは可愛いのに残念ですわね」

さやか「ねー」


 がさごそ


さやか「はぁーあ。悩むなぁ」

仁美「あら、これ素敵じゃありません?」

さやか「あ、可愛い! フロントホックだし着けやすそう。サイズは?」

仁美「ええと……あ、ちょうどいいのがありそうですわよ」

さやか「どれどれ」

仁美「試着してみます?」

さやか「うん! 仁美、悪いけどちょっとついてきてもらってもいい?」

仁美「うふふ、もちろんご一緒しますわ」


 試着室にて


さやか(ほうほう。なかなかいい感じじゃーないですか?)

さやか(流石にパンツは試着できないけど、まあいいよね)

さやか(よーしっ)

さやか「仁美ー! 着替え終わったんだけどさ、これどう思う?」ガチャ

仁美「ふぉっ……クラクラするほどお似合いですわッ」グッ

さやか「あはは、ありがと。フロントホックは初めてなんだけどさ、見た感じ違和感ない?」

仁美「そうですわね……では、ちょっと失礼して」


 すっ


さやか「……んっ」

仁美「前はちゃんと閉まっていますね。サイドもちょうどよさそうですし、良いんじゃないでしょうか?」

さやか「ふむふむ、ありがとう! んじゃ元のに着替えちゃうから、もうちょっとだけゴメンね」

仁美「うふふ、ごゆっくりどうぞ。お待ちしておりますわ」


 ガチャ

  バタン……



 ――ちょっと離れたところ


ほむら「……あぁっ!?」

ほむら(せっかく遠出してきたっていうのに何であの二人がここにいるのよ!?)


まどか「ほむらちゃんどうしたの?」

ほむら「な、なんでもないわ。それよりまどか、もうちょっとあっち側の棚を見に行かない?」

まどか「あっちはさっき見たよ?」

ほむら(うっ)

まどか「ここのも大体探し尽くしちゃったし、今度は向こうの方を見に行ってみたいなぁ」

ほむら「む、むこうはだめっ!」ガッ

まどか「ひゃっ!?」

ほむら「ご、ごめんなさい! でも、ええと、ほら……サ、サイズが大きめの人向けみたいだから、きっと合う物は無いと思うのよ」

まどか「そ、そうかなぁ?」

ほむら「そうなのよ。だからもうちょっとあっちを見に行きましょう?」

ほむら(あの二人に気づかれない、もしくはまどかが気がつかないうちに――)


まどか「――あっ!」

ほむら「!?」


まどか「おーい、さやかちゃーん! 仁美ちゃーん!」

ほむら(あああぁぁ!?)

さやか「まどか! それにほむらも!」

仁美「あらまあ、お二人もこちらへいらしていたんですの?」

ほむら(終わった)


さやか「ってゆーか、あんた達そろってあたしの誘いを断ったとおもったら黙ってデートしてたのかぁっ!?」

まどか「デ、デートだなんてそんな」

さやか「頬を染めて恥らうなんてけしからん! そんな子は胸を揉みしだいてワンカップ大きく成長させてやろうっ」

まどか「ちょっ!? さやかちゃ、こんなところでっ! あははは、くすぐったいよぉ!」

仁美「ッ!!」ピクッ

ほむら(どうしようどうしようどうしよう……)


さやか「んで、二人はいい物あった?」

まどか「それがね、どれを選んでいいのか悩んじゃって……」

さやか「ふーん?」

まどか「っていうのもね、今日は私のを買いにきたんじゃなくって――」

ほむら「まどかッ!!」

まどか「はっ!?」


ほむら「は、恥ずかしいから秘密にしてって言ったのに」ヒソヒソ

まどか「あっ!? ごめんついうっかり……」


 ひそひそ


さやか「ふむふむ」ジー

仁美「なるほどですわね」

ほむら「ちょっと、何を納得しているの!」

さやか「いいや、別にぃ?」

仁美「なんとなく事情は察しましたわ」

さやか「確かに最初のうちは恥ずかしいかもしれないけど、そのうち慣れるから大丈夫だって! あたしたちも選ぶの手伝うからさ」

仁美「それに女性なら皆通る道ですし、そんな緊張しなくても大丈夫ですわ」ニッコリ

ほむら「うぅぅ……」カァァ

まどか「あ、あはは……ごめんね、ばれちゃったみたい」


さやか「んで、ほむら。サイズは測ったの?」

ほむら「……さっき、まどかに計ってもらった」ボソリ

仁美「!?」

さやか「ほうほう、んじゃカップはOKか。初めてだしワイヤーは入ってないほうがいいかな?」

まどか「うん、その方がいいと思う」

ほむら「ワイヤー?」

さやか「ブラジャーって一口に言っても色々あんのさ」

ほむら「……?」

さやか「見てもらったほうが早いかな。例えばコレとか」


 ひょい


さやか「ほら、カップの下の部分が硬いでしょ?」

ほむら「……ほんとね」サワサワ

さやか「こういうのは形が崩れにくくていいんだけど、やっぱゴツゴツするから好き嫌いが分かれやすいんだよ」

ほむら「へ、へぇ……」

さやか「あとは……判断基準のひとつにすんなら、どんくらい盛ってるかとかかなぁ」

さやか「やっぱそれなりに盛ってる奴は生地が分厚くなるから、これからの季節ちょっと暑いんだよね」

ほむら「ふぅん、そっ……そういうのもあるのね」プルプル


さやか「ってゆーかほむらはなんでそんな声震えてんの?」

ほむら「恥ずかしいからに決まってるじゃない、馬鹿っ!」

さやか「あははは、初心だなぁ」

仁美「下着を手に持って照れるほむらさん……アリですわッ!!」

まどか「仁美ちゃん落ち着いて」

ほむら「うぅっ……」

ほむら(こうなるからまどかにだけこっそり頼もうと思ったのに……)


さやか「あ、そーだ」

ほむら「?」

さやか「ほむら、ちょっとこっち来て!」

ほむら「え、ちょっと!? あんまり急に引っ張らないでよ」


 ぐいぐい


まどか「なんだろう?」

仁美「ああ、もしかしてさっきの?」ポン

さやか「んふふー。大正解! 絶対似合うと思うんだよね」

仁美「なるほど、確かにあれは似合いそうですわね!」

ほむら「なによ、一体なんなの!?」

さやか「へへー、それは見てからのお楽しみ。……あった、これこれ!」


 じゃーんっ


まどか「あ、それかわいい! 絶対ほむらちゃんに似合うって!」

さやか「ね、まどかもそう思うよね! 色合いもデザインもいい感じだし、しかもノンワイヤーだから初心者にもぴったり!」

仁美「せっかくですし、サイズ等の確認に一度ご試着されてはいかがでしょう?」

ほむら「ちょっとあなた達何を勝手に――」

まどか「ほむらちゃん。黒と紫とピンク、どれがいい?」


 ずいっ


ほむら「うっ」

まどか「私的にはやっぱりピンクが可愛いと思うんだけど、ほむらちゃんって紫色も好きみたいだし……ああだけど黒も似合うだろうなぁ」

さやか「紫はレース部分も色を合わせてるのがさりげなくていいよね!」

まどか「うんうん! 甘すぎず辛すぎず、それでいてセクシー。みたいな?」

さやか「あははは、なんかすげーそれっぽい!」

まどか「えへへ。実はママがね、この間似た感じの事を言ってたの」テレ


さやか「ねぇほむら、とりあえず1回試着してみなよ! ね?」

まどか「ほむらちゃん!」

仁美「ほむらさん! 是非ッ!!」


 きらきらきら


ほむら(何よ、なんなのよこの輝くような期待の眼差しは!? まぶしすぎて断れないじゃない……っ)


 試着室


ほむら「……」

ほむら(勢いで試着してしまったわ……)


さやか「大丈夫ー? もしかして着け方わかんない?」コンコン

ほむら「わかってるわよ、今出るから少し静かにしててちょうだい!」

さやか「あーい」


ほむら(――で)

ほむら(結局、着け方ってこれであってるのかしらね?)

ほむら(鏡で見た感じでは問題なさそうだけど……)


 くるくる


ほむら(……)

ほむら(よし)


さやか「まーだー?」

ほむら「あなたはもうちょっと引っ込んでて! まどかだけ、入って来てくれないかしら?」

さやか「えー」

ほむら(万が一間違ってた場合あなた相手だといろいろとめんどくさいのよ!!)


まどか「それじゃほむらちゃん、入るね?」

ほむら「え、ええ」


 ガチャ


 バタン


さやか「ちぇっ、まどかだけ羨ましいなぁ」

仁美「ほむらさんはまどかさん大好きですから」

さやか「はは、ありゃ大好きってレベルを越してそうだけどね」

仁美「あらま、嫉妬ですの?」

さやか「別にぃ。仲が良いのはいい事だと思うし?」

さやか「ただちょっと寂しいなって思っただけ」

仁美「うふふ。そうですわね」

さやか「なんでニヤニヤするのさ」

仁美「別にぃ、ですわ」

さやか「んむぅ」


仁美(お二人は最初はお互いあんなに嫌い合っていましたのに……うふふ)

仁美(……――)

仁美(まどかさんにさやかさん、ほむらさんの三人はわたくしの知らない秘密の何かをたくさん知ってらっしゃる)

仁美(なんとなく疎外感を覚えたのは何度になりましょうか)

仁美(さやかさん、あなたは今ほむらさんにまどかさんをとられた様な気分になって落ち着かないのでしょうが、わたくしだって寂しいのは同じですのよ?)

仁美(いつだってまどかさんはさやかさんの事が大好きで、さやかさんはそれと同じくらいまどかさんの事も、ほむらさんの事も大切にしていて)

仁美(それこそ、わたくしも嫉妬を覚えてしまいそうになるくらい……)

仁美(……でも、まあ)


仁美「だからこそ第三者目線での妄想が捗るという物……ッ!!」めらめらめら

さやか「!?」ビクッ


仁美(百合の花園は禁断の領域ッ! そうやすやすと踏み入ってはならない場所!)

仁美(しかし……だからこそわたくしは……わたくしはぁッ!!)


 めらめらめら


さやか「ひ、ひとみー? おーい、聞こえるー? 仁美さーん?」ヒラヒラ

仁美「ハッ!?」

さやか「おっ、おかえり」

仁美「申し訳ありません、少々トリップして参りました」

さやか「何か得るものはあった?」

仁美「それはもう存分に」

さやか「そ、そっか」

仁美「…………」シュン

さやか「…………」

さやか(ふむ)


さやか「ねぇ、仁美」

仁美「はい?」

さやか「この後、よかったら家に寄ってっておやつ食べてかない?」

仁美「あらあら、それは魅力的な提案ですわね」

さやか「この前ね、先輩に美味しいパンケーキの焼き方を教わったんだ」

さやか「しかも流行の分厚いやつ! 頑張って練習したんだよ」

仁美「それは……! 是非とも食べてみなければなりませんわ!」

仁美「ちょうど今日は習い事もお休みですし、ゆっくりしたいと思っていたところですわ」ニコ

さやか「そりゃよかった! 久しぶりに飲んで食べて騒ごうじゃーないか!」

仁美「うふふ。楽しみにしてます」


 ガチャ


まどか「ふたりとも、お待たせ!」

さやか「おう、どうだった?」

まどか「ばっちりだよ! 何もかもがぴったりって感じ」

さやか「そっかそっか。そりゃよかった」


 ガチャ


ほむら「待たせたわね」

仁美「いえいえ。それで、どの色になさいますの?」

ほむら「そうね……それが実はまだ決まらなくて」

仁美「あらあら」

まどか「黒も紫もすっごくよく似合ってたんだけどね」

さやか「いっそ全部買っちゃえば?」

ほむら「それも考えたんだけど……とりあえず1つだけ買って試してみようと思って」

さやか「なーるほど」

ほむら「むむ……」


ほむら「……ねえ、あなただったらどの色がいいと思う?」

仁美「わたくしだったら、ですか?」

ほむら「ええ」

仁美「そうですわねぇ……わたくしでしたら……」


仁美「……ピンクなんてどうですか?」

ほむら「!?」

さやか「えー、ピンクぅ?」

まどか「でも私もピンクが一番可愛いと思うな」

仁美「それに、ピンクはまどかさんの色ですしね」

ほむら「ッ!! そ、そこまではわわわ私も考えてはいなかったわっ!!」

さやか「何動揺してんのさ……」


ほむら(な、なんで私の考えている事がわかるの!?)

仁美(その大人びた風貌からシックな色合いの下着だろうと見せかけて、実はまどかさん色のピンクでフリフリな下着を着けているほむらさん……いい、すごくいい!)


仁美「うふふふ」


 うっとり


さやか「あーあ、またトリップしちゃったよ」

まどか「あはは……仁美ちゃーん、帰ってきてー」ヒラヒラ

ほむら(志筑仁美……恐ろしい子ッ!)



おしまい

ここまでです。
さやかちゃんマジ可愛いかわいいかわいい

こんばんは、いつもコメントや乙をありがとございます!
さやかちゃんは地味に胸が大きくて、仁美ちゃんはさやかちゃんとどっこいどっこいか少し大きいくらいだったと思います。たぶん。資料少なすぎるんよ……

「そうるじゃむ」


さやか「んふふふ、おいひー……しあわせ」サクサク

マミ「うふふ、まだまだたくさんあるから遠慮しないで食べてね」

さやか「もぐ……ん~っ、やっぱマミさんの手作りクッキーは最高っす!」

マミ「そう言ってもらえると作り甲斐があるわ」ニコ

マミ「ああ、紅茶のおかわりはいかが?」

さやか「いただきます!」


 こぽこぽこぽ


さやか「それにしても、今回は随分凝った形にしたんですねぇ」

さやか「お花の形したクッキーの真ん中に黄色いツヤツヤしたジャムが詰まってて……手間がかかってますなぁ」


 ぱく


さやか「んひひひ、うまうま」モグモグ

マミ「ふふ……美樹さんったら」

マミ「今回はね、前から欲しかったジャムが手に入ったからつい頑張っちゃったのよ」

さやか「むぐ、にゃーるほど。このジャム、酸味が利いててすごく美味しいです!」

マミ「でしょ? アプリコットジャムっていうのよ」

さやか「ほー、アプリコット……?」

さやか(ってなんだろう)モグ


さやか「でもなんか可愛すぎて食べるのがもったいなくなっちゃうなぁ」

マミ「ありがとう、ディテールには結構こだわったのよ」

さやか「さっすがマミさん、細かい加工もお手の物ですね。このフチの部分とかすごく綺麗だと思います」モグモグ

マミ「それね。実は私のソウルジェムの形を参考に作ってみたの」

さやか「っはいッ!?」

マミ「魔法少女に変身した時のアレよ。ほら、似てるでしょ?」

さやか「……ああ、そういえば確かに……」

マミ「名付けて "ソウルジャム☆クッキー" 、なんちゃって」テヘ

さやか「ソウッ!!」ブッ

さやか(ソウル――ジャム!? 今のって聞き間違いじゃないよね!?)


さやか「そ、そうるじゃむですか……まさかマミさんがそんなギャグを言う日が来るとは……」

マミ「えっ!? もしかしてソウルジャムはだめ? アウトなの!?」アワアワ

さやか「いっ、いぃぃいえ!? べべべ別に大丈夫だと思いますッ!?」ドキーッ

さやか(マジだったーッ!!)

さやか「アウトだとかそんな事はないんですけど、普段のマミさんからするとなんか意外だなぁーって。へ、へへへ……」

マミ「うふふふ、そうかしら」

さやか「あは、あははは……」



おしまい

続いて、「雨乞い」


さやか「つい先日梅雨に入ったと思ったら……」

まどか「あれから全然雨降らないね……」

さやか「つーかめっちゃ暑いし……」


 ぐでん


まどか「もう夏になっちゃったのかなぁ」

さやか「うえー、まだ六月入ったばっかだっつーのにやめてよ……」

まどか「あはは……ほんと笑えないよね……」


さやか「そういやあたし達って定期的にこういう会話してるね」

まどか「そういわれてみればそうだねぇ」

さやか「なんか他に話すことないのかーって感じだけど」

まどか「実際、毎日一緒にいるとネタも尽きちゃうんだよね」

さやか「ね」


さやか「あーあ、なんか楽しい事ないかなー!」

まどか「うーん……何かあるかなぁ」

さやか「……雨乞いでもしてみよっかな」

まどか「えっ?」

さやか「魔法少女の雨乞いだよ? なんか効きそうじゃん?」

まどか「う、うーん……?」

さやか「それにもしもこのまま雨が降らなかったらさ、見滝原は水不足になっちゃうかもしれないしさ。最悪断水とかありえるし」

まどか「なるほど。それは確かに嫌かも」

さやか「でしょ? 結果的に町のためにもなることなんだよ、これは! さすがあたし、いい発想してるわー」

まどか「えーと……とりあえず1回やってみる?」

さやか「おう! 他にやることないんだしさ、早速やってみようよ!」


 数分後


ほむら「……まどかが呼んでるからって聞いて来たんだけど……」

さやか「まぁまぁまぁ、とりあえずお茶の一杯でも」

ほむら「しかも雨乞いって、あなたは一体何を考えてるの?」

さやか「特に何も? 強いて言うなら暇つぶし、ついでに水不足の危機から脱して一石二鳥。いえーい」

ほむら「……はぁ。毎度ながら頭が痛くなるわ」


ほむら「それで、いきなり雨乞いといわれても何をすればいいのか全くわからないんだけど」

まどか「うーん、私も雨乞いなんてしたこと無いから分らないなぁ」

さやか「ぶっちゃけあたしもよくわかってないんだけどさ、とりあえず何か祈っておけばいいんじゃね?」

ほむら「……は?」



 案その1


さやか「ほら、漫画とかでよく焚き火を囲んでドンドコドンドコやってる奴あるじゃん」

ほむら「焚き火なんて嫌よ、余計暑くなるじゃない」

さやか「うーん、それは一理あるか……」

まどか「じゃあ焚き火案はボツだね」

ほむら「あなた達、言いたくないけど計画性無さすぎよ……」

さやか「計画も何もついさっき思い立っただけだし」

まどか「ね」

ほむら(それを計画性が無いっていうのよ)



 案その2


さやか「じゃあ生贄とか」

まどか「えっ」

ほむら「悲劇が起こる前に正直に言っておくわ。やめときなさい」

さやか「だよねぇ……じゃあこれもボツか」



 案その3


さやか「インターネットで調べて見た所によると、水場に何か放り込んだりするらしい」

まどか「そういうオカルトチックなのはちょっと……」

さやか「うーむだめか。ボツっと」

ほむら「もうちょっとまともな案は無いの、まともなのは」


 案その4


さやか「そうだ、古典的に逆さま照る照る坊主とかどう?」

まどか「それ平和的でいいね! 私、照る照る坊主作りたい!」

ほむら「まどかがいいなら私も賛成するわ」

さやか「おーし、じゃあこれで決まり!」

さやか「材料はティッシュだけで大丈夫かな」

まどか「ええと、あとぶら下げるのに糸か輪ゴムが必要かな?」

さやか「ほうほう。んじゃお裁縫セットに入ってた糸でいっか」ゴソゴソ

まどか「あー、それって授業で買わされたやつだね」

さやか「そ。こいつがなかなか減らなくってさぁ」

まどか「授業以外で使う機会ないもんね……」


さやか「せっかくだしついでに中身に何か仕込んでおく?」

ほむら「仕込むってあなた、一体何を仕込むつもりよ……」

さやか「……生贄的に桜海老とか?」

まどか「さやかちゃん、食べ物系は虫がわいたりしたら危ないからやめておこう?」

ほむら「ひっ」ビクッ

さやか「あー、そっか。じゃあ中身はナシだね」



さやか「――でーきたっ!」


 じゃんっ


まどか「えへへ、結構可愛くできたね」

さやか「見よ、この苦悶の表情! 雨が降ること間違いなし!」

ほむら「そうね、魔女化寸前のあなたによく似ているわ」

さやか「地味に心が痛む表現はやめてよ……」


まどか「ねね、ほむらちゃんの照る照る坊主もみせて!」

ほむら「わ、私の? 別に特別な物じゃないわよ、ほら……」


ほむ照る坊主「」


さやか(予想以上に普通だ……)

まどか「わぁ可愛いー!」

ほむら「そ、そうかしら?」テレ

まどか「うんうん、すごく上手にできてると思うよ!」


さやか「ええと、そしたら後は首のところに糸を巻きつけて吊るすだけなんけど……どうやって吊るそう」

ほむら「カーテンレールに結ぶだけじゃだめかしら?」

さやか「やっぱそれしかないよなぁ……」

まどか「あ、そうだ」ポン

さやか「ん?」

まどか「画鋲なんてどう? 窓の上の壁に刺して、そこに糸を結んで吊るすの」

さやか「おおっ、それいい! ナーイスまどか!」パチン

まどか「えへへ、ハイタッチ!」パチン


まどか「そうだ。私の照る照るさんの首にリボンつけちゃおうかな」キュキュ

さやか「おー……なんかすげー加護のありそうなリボンだね」

ほむら「ふふ、すごく可愛いわ」

まどか「ありがとうほむらちゃん。えへへ」


 ぷらーん


さやか「うーっし、流石に三匹並べば多少は降るでしょー!」

まどか「効き目があるといいねぇ」

ほむら(……逆さまに吊るされた照る照る坊主のフォルムに若干既視感があるのだけど、なるべく気にしないようにしましょう……)

さやか「なんかこうして逆さまにぶら下がってるのを見るとワルプルギスの夜を思い出すなー」

まどか「あはは、確かに似てるかも」

ほむら「フヤッ!?」

さやか「あははは、ちょっとなにその声――ってほむら? ほむらァーッ!?」

ほむら「――――……」ユラ


 ふらふら


まどか「ほむらちゃん! ほむらちゃんっ!!」

ほむら「……はっ!」

まどか「ほむらちゃん、大丈夫……?」

ほむら「だ、だいじょうぶ、大丈夫よまどか……少し懐かしい感じのする嵐を呼びそうな魔力を感知しただけだから……」

まどか「ほんとに? 息は苦しくない? ちょっと横になる?」

ほむら「本当に大丈夫よ、だから――」

さやか「あ」

まどか「え? ――あっ」


 ぽつ ぽつ

   ぽつ   ぽつぽつぽつ

 ザアアァアァァァァ


ほむら「……本当に降ったわね……」

まどか「……小規模だけど、嵐を呼んだみたいだね」

さやか「ワルさんすげー……」



おしまい

以上であります。
さやかちゃんのソウルジェムぺろぺろしたい……

やばいよ!二週間近く投稿できてなかったよさやかちゃん!
お久しぶりであります、ゴメンナサイ(土下座)そしてありがとうございます!

「しゃぼん玉」


まどか「しゃーぼんだーまーとーんーだ~♪」

まどか「屋根ーまーでー飛んだー♪」プワワ


 ぷわわわわ


さやか「楽しそうだねぇまどか」

まどか「えへへへ、お風呂でしゃぼん玉って久しぶりだから楽しくなっちゃって」

さやか「そういや最近しゃぼん玉で遊んだ記憶ってないなー」ゴシゴシ

まどか「でしょ? 小学生の頃はよく一緒に遊んだよね」

さやか「あったあった! 飛んでるしゃぼん玉を捕まえようと必死になったりしたねー」

まどか「あははは、やったねー」

さやか(あ、そうだ)ピコーン


さやか「まどか、みてこれ!」

まどか「どうしたのさやかちゃん」

さやか「ほーら、シャンプーしゃぼん玉~」プクー

まどか「わっ! なにそれ!」

さやか「へへーん。昔恭介に教えてもらったんだ」

さやか「あんまりずっとしゃぼん玉ばっかり作って遊んでたもんだから、冷えて風邪ひいたりしたっけなー」

まどか「へぇ、上条君に教えてもらっ――あれ、上条君と風呂場で遊……? って……つまり、えっと……えっ!?」

さやか「小さい頃はよく一緒にお風呂入ったりしたんだけどねー」

まどか「!?」

さやか「ほれほれ、もう一個飛ばしちゃうぞー」プクー

まどか(そんなっ……確かにそんな気はしてたし知る覚悟はしてたけど急すぎるよぉっ!)

さやか(あ、シャンプーなくなりそう)


さやか「みてみて、これ超でっかくない? ほんとあたしって天才だわ」キャッキャ


まどか(さやかちゃんは男の子と一緒にお風呂に入ったことがあるんだ……こんなのってないよ……あんまりだよ……!)

まどか(幼馴染特権っていうやつなのかな? だったら私だって親友特権で小さいころのさやかちゃんと一緒にお風呂入りたかったよ!!)

まどか(いやらしい気持ちなんて少しもない。ただひたすら大切な親友の色んな顔を見てみたいっていう、純粋な感情なんだ)

まどか(そう、これはそういう感情なの。ほむらちゃんが私に向けてくれるような、本当に純粋な "大好き" っていう気持ち)

まどか(だから――だから決して、私が見るよりずっと前に異性にさやかちゃんの裸が見られちゃって悔しいなんて、そんな気持ちは……ぜんぜんないんだから……!)

まどか(それにさっき "小さい頃は" って言ってた。やっぱりそうだよね、小さい頃は一緒に入ってたけど成長してからは入ってないって事だよね。……確認しなくちゃ)


まどか「さや……さやか、ちゃん……?」プルプル

さやか「どしたの、まどかもやってみる?」

まどか「その――かみじょくんと……一緒にお風呂、はいった事があるの?」

さやか「うん」

まどか「っ」ブワッ


さやか「つっても本当に小さいころだけだけどね。それこそ小1とか小2とか」

さやか「しかし懐かしいなー、あいつの家のお風呂っていつもレモンやら柚子やらが浮かんでるんだよね」

まどか「そっか……最近は上条君ちではお風呂入ってないの?」

さやか「はあっ!? ないない、流石に中学入ってからは遠慮してるよ!」

さやか「っつーかそもそも意識しちゃって無理! 万が一そうなったら鼻血噴出して死ぬわ、仁美には殉職扱いされそうだけど」

まどか「あはは、そう、そうだよね。よかったぁ……本当に……よかった」

さやか「な、なにが?」

まどか「ううんなんでもない。えへへへ」

さやか「うん……? 変なまどか」

まどか「えへへへへへへ」


まどか「すぅ……ふーっ」


 ぷわわわわ


さやか「お、しゃぼん玉再開?」

まどか「うん! まだ半分くらい残ってるんだ」

さやか「結構入ってるもんだねぇ」

まどか「ふぅーっ」


 ぷわわわ


まどか「しゃーぼんだまー飛んだー♪」

さやか「屋根ーまーでー飛んだー♪」


 ふわふわ


まどか「屋根ーまで飛んでー♪」

さやか「っがぁ!?」

さやか(目に石鹸がぁぁぁ!!)

まどか「こわれて♪――あっ」


 パチンッ


まどか「こわれて 消ーえーたー……」

さやか(やっぱ痛覚遮断便利だわ)


 ざばー


さやか「ぷはっ」

さやか「かーぜ かーぜー、吹くなー♪」

まどか「……」ブクブク

さやか「しゃーぼんだーまー飛ーば……まどか?」

まどか「…………」ブクククク

さやか「……まどかー? どしたの急に黙り込んだりなんかして。容器から泡が溢れて凄いことになってるけど」


まどか「さやかちゃん……」

さやか「それにあんたなんでそんな沈んだ顔してんのさ。さっきまであんなにご機嫌だったってのに」

まどか「う……だってなんとなく……本当になんとなくなんだけど……つい考えちゃって」

さやか「考え? って何を?」

まどか「さや――魔法少女の皆もこうやってうまれて、飛んで、風に吹かれて壊れて消えちゃうのかなって……」

さやか「ああ、つまりしゃぼん玉と魔法少女を重ねちゃったワケね」

まどか「うん。そんな事にはならないはずだって信じてるけど、時々どうしても考えちゃうの。悪いクセだよね」

さやか「うーん……ま、どっちにしろこんなお風呂場じゃ屋根まで飛んでなんていけないけどね。よくて天井、悪けりゃそのまま落ちて床にへばりつくのがいいとこだよ、あははは」

まどか「……」

さやか(あ、これはまずった)


まどか「さやかちゃん」

さやか「は、はい!」

まどか「背中に泡ついてるよ。ちょっとシャワー貸して」

さやか「えっ……ああ、うん、おねがいします?」

まどか「……」

まどか(さやかちゃんはもうちょっと自分を大切にするべきだって何度も言ったのに、どうしてそんな風に下非しちゃうんだろ)

まどか(例え無意識だとしても私はちょっと悲しいな……もしもさやかちゃんがいなくなっちゃったら、私……)


 ざばばば


さやか(無言が怖いんですけど)

まどか「……」

さやか(沈んだ表情も相変わらずだし、何か話題を……そうだ)

さやか「まどかってさ、やっぱり感情豊かだよね! しゃぼん玉から魔法少女の発想とか凄いなーって思うわ。ほむらがよく褒めてるよ」

さやか「あたし国語とか美術とか苦手だからさぁ、そういうの全然思いつかないんだよね。想像力に欠けてるってやつかな、あはは。音楽なら多少はわかるんだけどねー」

まどか「……さやかちゃん」

さやか「はいっ!?」

まどか「さやかちゃんはさ、私をいじめてるのかな?」

さやか「は!?」ビクッ

まどか「ごめん嘘。からかってみただけ、おかえしだよ」テヘ

さやか「ちょ、ちょっとそれやめて! トラウマ級だしシャレにならないわ!!」

まどか「えへへ、ごめんね?」

さやか「まだ心臓バクバクいってるよ……」


さやか「まどかって時々いじわるだよねぇ」

まどか「えっ!? ご、ごめん! 全然そういう気持ちはなかったんだけど……もしかして傷つけちゃった?」

さやか「そりゃもう大いに傷ついたよ!ソウルジェム滅茶苦茶にごったし!」

まどか「うぇぇぇ、本当にごめん!!」

さやか「もうだめ、具体的に言うならソウルジェムが魂だって判明した時くらい傷ついたし」

まどか「どどどどうしよう……私どうすればいい? なにしたら許してくれる?」

さやか「罰としてお風呂上りのハーゲン○ッツを半分よこすべし!」

まどか「クッキー&クリームとマカデミアナッツ、どっちがいい?」

さやか「マカデミア!」

まどか「じゃあ私のクッキー&クリームを半分あげるね」

さやか「許す」フンス

まどか「よかったぁ」

さやか「えへへへ」

まどけ「えへへへ」



さやか「仲直り記念にあたしにもしゃぼん玉やらせて!」

まどか「もちろん! 湯船に浸かりながらあそぼう」

さやか「え、暑いからいいよ」

まどか「だめだよ! 小さいころだってしゃぼん玉で遊びすぎて風邪ひいちゃったんでしょ、さっき言ってたじゃない」

さやか「うぐ」

まどか「ちゃんと肩まで浸かって10数えるんだよ」

さやか「わかったよまどかおねーちゃん」

まどか「わかったならよろしい」


 ――風呂場の外


杏子「あいつら全然でてこねーなぁ」

マミ「随分と長い間はいってるけど大丈夫かしら……」

ほむら「あいつ……まどかをのぼせさせたりしたら承知しないわよ……ッ!!」モグモグ

杏子「鬼気迫るなぁオイ、って何食ってんだあんた」

ほむら「冷凍庫にあったマカダミアナッツ」

杏子「おー、ずいぶんいい趣味したもん置いてるじゃねーか。あたしも食べよっと」

ほむら「あとクッキー&クリームしかなかったわよ」

杏子「マジかよ!? ……まぁいっか、それでもうまいもんはうまいし」


さやか「マミさーんお風呂上りました!」

まどか「さやかちゃん、ちゃんと頭乾かさなくちゃだめでしょ! こっち来て!」

さやか「ドライヤーは暑いから自然乾燥でいいってば!」

まどか「だめだよ、乾かさないとアイスあげないよ?」

さやか「うぅ……わかったよ」


杏子「アイスうめー」

ほむら「やっぱりマカダミアナッツは一味違うわね」モグモグ

マミ「……っ!? な、何か今嫌な予感が……」



おしまい

本編より先の時間を想定してちょっとだけ成長したさやかちゃん達を妄想しながら書いてるので、性格が若干軟化してたりするのはたぶん脳内物質のせいです。

とりあえず書きかけのネタを書き上げるまでは終了したくない……ので満足いくまでさやかちゃんペロペロしつくすまで地味に投下してると思います。
ゲリラ的に数レス分だけ投下とかするかもしれません。いつも読んでくださりありがとうございます!

しゃぼんって掃除大変なんすか!知らなかったんだぜ……カーチャンごめんな
5レス分だけ

「ほぞん」


さやか「そういや杏子んちって冷蔵庫ないけど食べ物とかどうしてんの?」

杏子「冷蔵庫? んなもんあっても電気がなきゃどうにもならねぇしいらねーよ」

さやか「いやいやそれくらい必要――ってここ電気もきてないの!?」

杏子「数年前からずっと止められたまんまだよ。電線の整備もしてないし物理的に不可能だろうな」

さやか「うっわマジかよ……これからの時期絶対腹壊すよあんた」

杏子「だいじょーぶだいじょーぶ」

さやか「本当に大丈夫なのかぁ~?」

杏子「つーか食い物の保存なんて魔法があればちょちょいのちょいなんだだし、下手に気を抜くよりむしろ安全だろ?」

さやか「え」

杏子「え?」

さやか「あんたそんな事に魔法つかってんの?」

杏子「生活に必要なんだから仕方ねぇじゃん」


杏子「っつーかそもそもアタシの魔力なんだし何に使おうと勝手だろ」ツン

さやか「いや別にそれはいいんだけどさ……ってゆーか、魔法ってそんなこともできんの?」

杏子「は?」

さやか「え?」

杏子「も、もしかしてさやかはこんな初歩的な事すらできねーのか!?」

さやか「初歩的って、あたしからすりゃ十分応用的なんですけど」

杏子「マジかよ! あんた今までマミから何を教わってきたってんだよ……」

さやか「……魔女と戦うにあたっての心構えとかおいしい紅茶の選び方とか?」

杏子「ああ、そっち方面ね……」

さやか「な、なによ」

杏子「べっつにー? いいんじゃねぇの、それで今まで不便は無かった訳だし」

さやか「そりゃそうだけどさぁ」

杏子「だろ?」


さやか「……でもさ」

杏子「なんだよ」

さやか「その顔、あたしの事絶対バカにしてるでしょ」

杏子「してねーよ」

さやか「してる」

杏子「だからしてねーって」

さやか「だったらなんでニヤニヤしてんのさ!」

杏子「気のせいだろ。シュークリームやっから落ち着けよ」ニヤニヤ

さやか「ぐぬぬ……」


さやか(あれっ?)


さやか「あのさ」

杏子「なにさ」

さやか「これ賞味期限切れてんだけど」

杏子「最初に言ったろ、魔法で鮮度保持してるからイケるって」

さやか「え、でも」

杏子「人体の鮮度保持よかずっと楽勝なんだから大丈夫だって。信用しろよ」

さやか「……そういやあんた、ずっと昔にあたしの身体の保存しててくれた事があったっけ」

杏子「おう。だからあんたの身体に関しては結構自信があるよ」

さやか「なにそれちょっと変態チックなんですけど」

杏子「しかたねーだろ必要に迫られてたんだし」

杏子「だからまぁ……ホクロの数から骨盤の歪み、各種筋肉の発達の度合いまで熟知してるのは当然の産物ってやつだな」


 ふふん


さやか「な、ななななっ……あ、あんたって奴はッ!?」カァァァ


 べちん!!


杏子「ちょっ、なにすんだよバカ!」

さやか「バカはあんたよバカ! 変態!!」

杏子「冗談だって。流石にあの時より随分成長して変わってるだろうしな」

さやか「そういう事じゃないわよ……」



杏子「うーん……そうだなぁ」

さやか「なにさ」

杏子「明日、放課後にここの裏庭集合な」

さやか「は?」

杏子「魔法の練習だよ練習。ここなら色々と便利だからさ」

さやか「はああっ!?」

杏子「基礎からみっちり叩き込んでやっから覚悟しときなよ」

杏子「あたしゃマミみたいに甘くはないぜ?」

さやか「うえぇぇぇぇ!?」

杏子「っつーか体術とかも前から気になってたんだよな。あの辺から鍛えなおすか……いや、でも魔法の性質の根本がなぁ……」ブツブツ

さやか(ヤブヘビっちまった……)



おしまい

さやかちゃんの1/3ドールが本日午前10時より予約開始ですって!でも6万は高いよさやかちゃん、財布が干上がるよ!買うけどさぁ!

「雨」


 ざあざあ


さやか「はぁぁ……」

さやか「まーた今日も雨か」

さやか「ここんとこ不定期に降ったりやんだりで嫌になっちゃう」


 ざあざあ ざあざあ


さやか「入梅宣言直後は降らなさ過ぎて心配になった事もあったっけなー」

さやか「……そういやあの時の逆さてるてる坊主はまだ吊ったまんまだったっけ?」

さやか「家帰って忘れてなかったら撤去しよ。これ以上降らされたらたまったもんじゃないわ」


 ざあ ざあざあ


さやか「それにしても……」

さやか「魔女、いないなぁー!」

さやか「かといってパトロールやめるワケにもいかないし」

さやか「マミさんは用事で遠出してるし、杏子はバイトみたいだし」

さやか「ほむらはほむらで "お買い物" に行ってくるらしいし」

さやか「かといってまさかまどかを連れまわすわけにもいかないし……なんとなく雨の日は強い魔女が出やすい気がするんだよね」


 ざあざあ ざあざあ


さやか「あーあ、一人でパトロールすんのも久しぶりだなー」

さやか「…………」

さやか(今更心細いだなんて、思わないし)

さやか「ちょっと前まではよくあった話じゃん! だいじょーぶだいじょーぶ、あたしならできる!」

さやか「杏子のスパルタレッスンだって受けてるんだし、今更魔女の一匹や二匹くらい余裕っしょ!」

さやか「うっしゃー、やったるどー!」


さやか「っと」


 <ざわざわ……


さやか(うおお、勢いで叫んじゃった……なんかみんなこっち見てるよ、恥ずかし)カァ


さやか「さてさて」

さやか「そそくさと逃げ出して次の地区へ来てみたワケだけど」

さやか「雨足は弱まるどころか強まる一方だし、相変わらずジェムに反応は無いし、道は水溜りだらけだし」

さやか「おまけに微妙に寒くて視界は悪いしで若干濁るわぁ……」


 ざあざあ ざあざあざあああああ


さやか「うえぇ、靴下びしょ濡れだよ」

さやか「靴の中がじゃぶじゃぶして気持ち悪い……」

さやか「ぴっちぴっち、ちゃっぷちゃっぷ、らんらんらん、ってか」ジャブジャブ

さやか「何がちゃっぷちゃっぷだよ……どっちかっていうとジャブジャブで気分悪いよ……」

さやか「ん?」


幼女1「きゃははは、幼女2ちゃんへんなカサーっ! ひっくりかえってるの!」

幼女2「ここをね、こうやってぐいーってやるとばさーってなるんだよ」

幼女3「だけどさ、だけどさ! それじゃカサにお水たまっちゃうじゃん! へんなのーっ!」

幼女2「へんだけど、おもしろいよ! こうやってね、こうやってぐいってやって」

幼女1「わーかったってば」

幼女2「むー」

幼女3「みなさーん! 幼女2ちゃんのカサがへんでーす!」キャッキャ

幼女2「3ちゃんやめてよ、はずかしいよぉ」


幼女1「あ! かたつむり!」

幼女2「わぁ、でんでんむしさんかわいいねぇ」

幼女1「ねーっ、つやつやしててかわいいねぇ! 3ちゃんほら、かたつむりだよー」

幼女3「嫌あああ! こっちこないでぇ!」


 わいわい きゃっきゃ


さやか「……」

さやか(あたしにもあんな頃があったっけなぁ)

さやか(あーあ、そんな素手で触っちゃって。そいつら意外と汚いんだぞー)

さやか(…………)

さやか「あっ!?」


さやか「ちょ、ちょ、あんたたち! カタツムリの殻をひっぱっても取れないから! かわいそうだからやめたげて!」

幼女1「えー、なめくじにならないの?」

幼女2「だから言ったのに。おうちは取れないんだっておにーちゃんが言ってたもん」

さやか「そうそう、そのおにーちゃんが正しい。そいつらはナメクジとは根本的に違うんだって」

幼女3「ってゆーかお姉ちゃんだれ?」

さやか「うぐ」

幼女3「……」ジー

さやか「た、ただの通りすがりだよ。んじゃあたしはもう行くけど、あんまりその子をいじめないであげてね」

幼女1「はぁーい」


幼女達「ひそひそ……」


さやか「……」

さやか(すっげー警戒されてしまった)


 てくてく

 ざあざあ


さやか「いやー通報されなくてよかったわぁ」

さやか「なんだっけ、声かけ事案だっけ……前にあったよな」

さやか「"見滝原市某公園にて、帰宅途中の女児らが中学生に話しかけられる事案が発生" 、なーんて」

さやか「冗談にならないわ……」


 てくてく


さやか「いまだSGに反応はなし。至って平和なり」

さやか「ついに中心街か……ずいぶん回り道で来たもんだ」


 てくてく


さやか「ここから更に歩いてオフィス街に抜けるか、道を反れて繁華街行ってみるか……」

さやか「……この天気だしなぁ。あっちはあんまり人いないだろうからこのまま突っ切ってオフィス街方面かな」

さやか「おーし、道順けってーい。もう一息頑張っていこ」


さやか「ひゃ!?」


 どんっ


男「おっとすいません」

さやか「い、いえ」

男2「なんだよお前ちゃんと前見ろよー。すいませんねお嬢さん」

さやか「べっ、別に大丈夫です。それじゃ……」


男「最近めっきり視力が落ちちゃいましてねー、あはは」

男2「ははは、お前もいい加減いい年だもんな」

男「それにしても、今日は売り上げ上がったりですねぇ」ハァ

男2「そりゃあ雨の日はなぁ……宅配は増えてたとしても、今日は全く駄目だな」

男「今週ちょっと厳しいっすね」

男2「だなぁ……報告どうするかなー」

男「人件費削減だけはやめてくださいよ店長」

男2「わぁってるよ」


 すたすた


さやか「……」


 ざあざあ ざわ

 ざわざわ


モブ「今後は会社の方針として――」

モブB「部署が減ったとして……あの人は相変わらずだし――」

 「モブ美、ひさしぶりー! 元気だった? そっちの上司は――」

  「きゃははっ! それが最悪、もーやだぁ! それでさ――」


 ざあざあ ざわざわ ざわ


さやか「……」


 ざわざわ ざわざわ


 「うちの嫁、飯が不味くて――そうそう、それが――プリンとうどんに醤油をかけて――」

  「ほんと嫌になっちゃうよ、外回りも楽じゃないのに――」

 「モブ子ちゃん、それ携帯変えた?」

  「美容室でーす、よろしくおねがいしまーす」

 「うげっ、雨降ってる!?」

  「そうなんです、娘がもうすぐ5歳で――幼稚園が――可愛くて可愛くて――」

 「おかーさん、あれ欲しい!」

  「ふんふんふーん、らんらんらーん」


 ざあざあ ざあざあ ざわ

  ざわざわ ざわざわざわ


さやか「……」


 ざあ ざあ


さやか(いろんな人がいて)

さやか(いろんな事を話してて、日常があって)

さやか(それぞれ積み重ねてきた人生があって)

さやか(…………あたしは、それを守ってるんだ)


 ぐっ


さやか「……なーんちゃって」

さやか「あたしにシリアスは似合わねぇっつーの、まったく! あはははっ」

さやか「はぁ……」

さやか「誰もいないってのに何かっこつけてんだか」


さやか「あーあ、雨やまないかなー」

さやか「傘さしてると避けて歩くのも面倒なんだよね」

さやか「……っと、避けきれな――っ!? すいませ」ドンッ

モブ「……」そそくさ

さやか「何か一言くらいいいじゃんかよぉ……」


さやか(意外とみんなガンガンぶつかって来るんだよな)

さやか(傘の水が服についたりするし、もうちょっと気をつけろっての)


幼児「まてぇーっ!」

幼児2「ぎゃはははは」


 ずだだだだ


さやか「ぐほっ!?」


 べしんっ



幼児「ぶつかってやんの、ダッセー!」

幼児2「今のは事故だし! ノーカン!」


 ぎゃいぎゃい


さやか「うっせぇぇぇ! まずぶつかったら何か言う事あんでしょあんた達!」

幼児「やっべ」

さやか「ちょっとまちなさいよ!」


さやか「逃げられた……くっそ、思いっきり傘押し付けられたわ」

さやか「あの悪ガキどもめ、今度見つけたらただじゃおかないんだから」


さやか「……濡れたとこが寒い」

さやか「靴の中は相変わらず沼地状態だし」

さやか「いい加減レインブーツ買わないとだめかなぁ」

さやか「ちくしょ、どっかお店でも入って休憩しようかな……」

さやか「お砂糖たーっぷりのすっげー甘いコーヒーの一杯でも飲んでリフレッシュしちゃおっかなー!」

さやか「お一人様ご来店でーすってやっちゃおうっかなー!! こうなりゃやけコーヒーってか!」

さやか「そうだなぁ、ケーキもいいなぁ。そういえばあのチェーン店が新しいメニュー出したんだっけ」

さやか「えへへへ、行っちゃおうっかなー、どうしよっかなー」

さやか「――――あ」ピクッ

さやか「ジェムが反応してる」


さやか「近いな……ってかこれってもしかして今孵化したばっかり?」

さやか「となると確実に魔女か。ちょっと厄介だな」

さやか「この辺りでこの方角だと――たぶんあっちだ!」


 たたたっ


さやか(うげ、走ると靴の中めっちゃビチャビチャいってるよ……水吸って重いわ……)

さやか(そういえば抜けられる道がたしかこっちにあったはず)

さやか(うし。ここを通って、被害が出る前に――)


杏子「お、さやかじゃねーか」

さやか「杏子!?」ビチャビチャ

杏子「反応でたからバイト抜け出してきた。今孵化したばっかみてぇだな」

さやか「あんた職場この近くだったんだ?」ビチャビチャ

杏子「今日は偶然な。ビラ配りだから色んなとこ行くし」」

さやか「ああ、そのオレンジ色の制服ってコンタクトレンズのアレだっけ」

杏子「そうそう。ま、あたしらにゃ縁がないとこだよ」

さやか「まぁね」ビチャ


さやか「ってかこの雨の中ビラ配りしてたの?」

杏子「辛うじてちっせぇ屋根がある場所あるだろ? あそこで配ってたんだよ」

さやか「ああ……大変だね」

杏子「まぁな。もう慣れたけど」


杏子「――ここだな」


さやか「さーてと、いっちょやりますか!」シュパッ

杏子「GSドロップしたらはんぶんこな」シュパッ

さやか「あいよっ」

杏子「使い魔はなるべく一纏めになるよう意識しながら叩くんだぞ」

さやか「わかってるって!」

杏子「ついでに昨日教えた連携の実践でもやってみるか」

さやか「はいはい――えっ!?」

杏子「なんだよ練習したろ? まさかもう忘れたのか!?」



さやか「いやいや、忘れてないけど! なんでそんな当然だしやってみようぜっぽい流れになるのさ!」

杏子「フォローしてやっから大丈夫だって。動きは指示してやっからさ」

さやか「やってみるけどさぁ……自信ないんだよなぁ」

杏子「結界に突入するぞ、気ぃ引き締めな」

さやか「ちっくしょ、こうなりゃヤケでもやってやらぁ!」


さやか「あっ」

杏子「ん?」

さやか「魔法少女の衣装、靴の中が濡れてなくて快適! これいいわ!」

杏子「お、おう……そうだな、よかったな……」

さやか「帰りも靴だけ履き替えてこっと。へへへ」



おしまい

梅雨が明ける前に。
いつも乙ありがとうございます、励みになります!

こんばんは、レスありがとうございます!
とうとう夏本番だねさやかちゃん! くたばりそうだよ!

「ホラー映画」


 マミ宅 映画鑑賞中


さやか「…………」

マミ「…………」


 <デロデロデロデロ(怖いBGM)


さやか「……あんま怖くないっすね。グロいばっかりで」

マミ「そうね……なんだか見慣れた光景っていうか」

さやか「お、きたきた」


 <キャーッ!!

 <ギャアアアアア ガシャーン


さやか「あー、やられちゃった」

マミ「やっぱり恋人がいるパターンは危険よね」

さやか「登場の時点から危ない感じが漂ってきてたもんなぁ」


杏子「ういーっす」ガチャ

マミ「あらいらっしゃい」


 <貴様敵か!?

 <撃たないで、私は人間よ!


杏子「……何観てんの?」

さやか「ホラー映画。一昨年くらいのやつ」

杏子「ふぅん。面白い?」

さやか「そこそこ」

マミ「あまり怖くはないわね。どちらかといえばスプラッタ系なのかしら」

杏子「ふーん……隣いいかい?」

さやか「どうぞー」


 ぽすん


杏子「お、ミートパイあるじゃん」

マミ「残り肉で作った物だけれど、よかったらどうぞ」

杏子「ありがたくいただくよ」アム

さやか「……」


さやか「マミさんコーラ開けてもいいですか?」

マミ「どうぞー」モグモグ


 <ギャアアアアア!!


杏子「ほんとにスプラッタだな」モグモグ

さやか「うっわー、痛そ」プシッ

マミ「それにしても随分と飛び散り方が不自然ね」

さやか「どちらかというと爆破系?」

杏子「だな」

マミ「抉りこんでから爆散……いけるかもしれないわね。今度使い魔に遭ったら試してみようかしら」

さやか「あははは、マミさん残酷ー」

マミ「うふふふ」


 <これは……サムの腕!? なんて事なの……


さやか「うっへぇ、結局バラバラ死体か」

杏子「つーかミートパイうめぇな」モグモグ

マミ「うふふ、今第二弾を焼いてるからたくさん食べてね」

杏子「どんだけ肉余らせてたんだよ」

マミ「し、仕方ないじゃない安かったんだから!」

杏子「昔っから買い込んじまうタイプだもんなーマミは」ケラケラ

マミ「うぅ……」


さやか「そういえばなんかいい香りしてきた気がする」

マミ「パイが焼けてきたのね」

杏子「ちょうど映画でもゾンビを燃やしてるな」

さやか「こいつらだって元仲間でしょうに、容赦ないなぁ」

杏子「弔いの意味も兼ねてるんだろ」

さやか「ふうん……?」

マミ「もしも美樹さんが魔女になってしまったとして、友達だったからといって倒されずにそのまま呪いを振りまき続けたいと思う?」

さやか「それは……確かに嫌かも」

マミ「でしょう?」

杏子「心配すんなよさやか、そうならないためにみんなで毎日頑張ってるだろ?」

さやか「うん……そうだね。大丈夫、だよね」

杏子「そうそう。緊張しながら戦うより少しくらい気楽に構えとく方がずっといい結果がでるもんだよ」

マミ「そうね、私もそう思うわ――と、パイが焼けたみたいね」

杏子「待ってましたっ!」


マミ「焼きたてよ。熱いから気をつけて食べてね」

杏子「はふはふ」

さやか「ねぇ杏子」

杏子「んー?」

さやか「ゾンビ見ながらミートパイ食べるのって抵抗ない?」

杏子「別に」モグモグ

さやか「そう……」

マミ「佐倉さんはいつも何か食べながら魔女狩りしているものね」モグモグ

さやか(そういえばマミさんも普通に食べてるな)

杏子「最近はそこまででもないけどね」

マミ「そうなの?」

杏子「仕事中に食ってると怒られるからな」

マミ「なるほどね」クスッ

さやか(もしかして抵抗があるのってあたしだけなの!?)



おしまい



「怪談」


さやか「そんなワケで」

マミ「夜の見滝原中学校にやってきました」

杏子「肝試しなんてバカバカしい……」


 こそこそ ひそひそ


マミ「いいじゃない、夜の学校なんてそうそう入れるものじゃないわよ?」

さやか「実は最近かなりうわさになってる事があってさ、ちょっと気になってたんだ」

マミ「そういえば私も聞いたかもしれないわね。技術室の亡霊だったかしら」

杏子「なんだそりゃ」

さやか「その名のとおり、夜になると誰もいないはずの第二技術室から物音がするっていう噂なんだけど――」

さやか「第二技術室って半地下になってる教室なんだけど、窓には鉄格子がはまってるし、床はコンクリートむき出しでなんかボコボコしてるし、見た目からしていかにもーって感じなのさ」

杏子「へぇ。見た感じ他の教室は近代的なのにな」

さやか「そうなんだよ! あそこも去年まで普通にタイルのはられた綺麗な床だったのに、ある日突然ごっそりはがされちゃってて!」

杏子「誰かのいたずらとかじゃねーの?」

さやか「それにしては規模が大きすぎるって」

杏子「それもそうか」

さやか「それでさ、当時からいろんな説が立てられたんだけどその中でも一際有名になったのがあってね」


 てくてく


さやか「これは本当の話なんだけど。3年生に不登校の生徒がいたんだけどね、性格が目立ちすぎるのもあってかちょっとイジメみたいな事になってたんだって」

マミ「…………」

さやか「その生徒は登校してきたと思っても毎回保健室に引きこもってたらしい。先生達も何度か話をしたんだけど、全く聞く耳持を持たなかったらしい」

さやか「だけどある日から突然その子は毎日登校するようになった」

さやか「性格も打って変わってよく喋るようになったし、実際すごく明るくなったらしいよ。相変わらず他人を遠ざけるような事はあったみたいだけど」

さやか「噂だと恋人ができて変わったとか、お金持ちと付き合い始めたとかそんな感じだったね」

マミ「……そうね、確かそうだったわね。彼女は "大切な恋人ができたんだ" って言っていたわ。すごく嬉しそうだった」

さやか「もしかしてマミさんその子の事知ってるんですか!?」

マミ「ほんの少しだけだけどね。ちょっとだけ話したことがあるの」

さやか「ほえー」


 カツ コツ

 カツ コツ


さやか「その子ってどんな子だったんですか?」

マミ「とても一途な子だったわ。一度落し物を一緒に探してあげたんだけど、恋人からもらった大切な物だったみたいで」クス

杏子「ふぅん。すぐ見つかったのか?」

マミ「ええ、すぐそばの植え込みに落ちていたの。そしたら彼女、私の事を "愛を救ってくれた恩人だ!" って」

さやか「んな大げさな」

マミ「本当にね」クスクス

マミ「……だけど、その後――」



さやか「噂だと、技術室で喉を裂いて自殺していた、って」

マミ「ありえないわ」


 カツンッ


さやか「……」


マミ「だって、だって……あんなに嬉しそうに恋人の事を話してくれたのに!!」

マミ「彼女ね、事あるごとに "愛は無限に有限だよ" っていうのが口癖だったのよ」

杏子「ずいぶんとまあ強気な……中二病ってやつ?」

マミ「かもしれないわね」

マミ「どちらにせよ彼女の恋人に対する意識は相当な物だったわ」


 カツ コツ


さやか「だからこそ自殺するのはありえない、と」

マミ「ええ。もし噂どおり酷く振られていたとしても、彼女は恋人に対して尽くし続けていたでしょうね」」

さやか「だけど噂だと……」

マミ「その子――呉キリカっていうんだけど――彼女は技術室で自ら喉を切り裂いて死んでいた。その際おびただしい量の血痕が床にこびりついてしまい、洗っても洗っても落ちなかった……だったかしら」


マミ「そんな事、ありえないわ。あってたまるものですか」



さやか「だけど実際その子はそれから一度も姿を見せていないんですよね」

マミ「そう、なのよね……でも私は彼女が生きていると信じてるわ」

さやか「マミさん……」


 カツ コツ

 カツ コツ


  カツン――


杏子「……ここか」

さやか「第二技術室……」


杏子「やっぱ鍵がかかってんな。解錠するぞ」

マミ「待って! 中から物音がするわ」

杏子「ん? ――確かに金属音が……誰かいるのか?」

さやか「ううん、この時間は誰も居ないはずだよ。例の怪談だと、亡霊が探し物を求めてうろついてるらしいんだけど」

マミ「どっちにしろ魔女や使い魔の類じゃないのは確かみたいね」

杏子「じゃあ不審者か」

さやか「わざわざ中学校の技術室に? 何の用で?」

杏子「知らねぇよ。そいつをとっ捕まえて訊いてみりゃ済む話だろ」

マミ「そうね。もしかしたら呉さんについて知る手がかりになるかもしれないし、私としても是非話をきいてみたい所ね」


杏子「よし。鍵開いたぞ」

マミ「さすが佐倉さんね、見事だわ」

マミ「それじゃあ……開けるわね」

さやか「……!」ゴクリ


 キィィィ



マミ(暗くてあまりよく見えないわ……)ヒソヒソ

さやか(マミさん、あそこに人影が!)ヒソヒソ

マミ(! 本当、あれは……機械を動かしているの?)

杏子(それにしても鉄くせぇな)

さやか(電気つけますね)

マミ(おねがいするわ。いざとなったら拘束魔法で――)

さやか「……」コソコソ


 ぱっ!


マミ「そこまでよ、動かないで!」

「きゃあっ!?」

さやか「観念しなさいよ不審者――ってあんたなにしてんの!?」

ほむら「いたた、びっくりして手を挟んで――なあっ!? な、なんでこんなところにあなた達が!」

杏子「おいおいおいおい、なんつー量だこいつは」

ほむら「予備の銃弾や砲弾、それに各種爆弾の外皮よ……爆弾の中身はこれからだけど」


マミ「これ、まさか暁美さんが自分で!?」

ほむら「そうよ、全部手作りよ」

さやか「ほーむめいど銃弾ってか」

ほむら「黙りなさい」

さやか「ごめんなさい」


マミ「それにしても驚いたわ……まさか暁美さんが怪談の元だったなんて」

ほむら「私も今驚いているわ。そこまで話が大きくなっているとは思わなかったもの」

さやか「一部女子の間じゃかなり広まってるよ、あんた技術室の亡霊だってさ」ケラケラ

ほむら「それは不本意ね」



杏子「それにしてもあんたの武器が全部手作りだったとはなあ」

ほむら「試行錯誤する時間は十分にあったから」

さやか「でもなんでわざわざ学校なんかで作ってんの?」

ほむら「慣れていて通いやすかったのもあるし、なにより何故かこの技術室には必要な機材が全部揃っていたから……」

さやか「じゃあさ、もしかしてあんたあの噂の真相とか知ってたりする?」

マミ「!」

ほむら「噂? 何のことかしら」

マミ「呉さん――呉キリカさんの事よ」

ほむら「"呉キリカ"」

マミ「もしかして彼女の事を知ってるの? 何でもいいから知りたいの、お願い!」

ほむら「知っている、もちろん知っているわ……彼女とは何度も衝突したことがあるから」

さやか「衝突!?」

マミ「まさか彼女と喧嘩でもした事があるの? 確かにいちいち含みのある話し方をする子だったけれど――」

ほむら「呉キリカ。彼女は魔法少女よ」

マミ「……ッ!!」


ほむら「安心してちょうだい、彼女は今は他の町で平和――かどうかはわからないけれど、ちゃんと生きているわ」

マミ「ほん、と?」

ほむら「嘘を言う必要がないじゃない」

マミ「よかったぁ……!」ホッ

さやか「よかったですねマミさん!」

マミ「本当によかったわ! じゃあ恋人さんとは上手くいっているのね」

ほむら「恐らくはね」

マミ「住所とかは知らないの? お手紙を送ってみたいわ」

ほむら「残念ながらそこまでは知らないわ」

マミ「そうなの……でも安否を知れただけでもよかったわ。ありがとう、暁美さん」

ほむら「どういたしまして」クス


さやか「ところで、ほむらはこの教室のタイルがはがされた理由とか知らない?」

ほむら「もちろん知ってるわ」

さやか「へえ! なになに、知りたい!」

ほむら「…………」

杏子「……まさかまた悲惨な失敗談じゃねえだろうな」

ほむら「ち、ちがうわよ! 少なくとも被害者は出ていないし――」

さやか「えっ」

ほむら「あっ、ち、ちがっ、そうじゃなくってその……ええと……何といったらいいのかしら」

ほむら「……~~」


 ごにょごにょ


さやか「なーにー、きこえなーい」

ほむら「~~っ! ちょっと、鉛をこぼしてしまっただけよ! ただそれがほんの少し取り返しのつかない量だっただけで……」

マミ「あらまあ」

ほむら「ついでに失敗作の弾が数個転がっていたみたいで……学校側は完全に隠蔽の方向に走っているけど」

杏子「そりゃあ自分とこの教室で銃弾が造られてました、なんて冗談にならねぇもんな」

マミ「だけどそれじゃあここのセキュリティも上がったりしたんじゃないの?」

ほむら「魔法少女の前ではこんなセキュリティなんて穴だらけよ」

マミ「なるほどね。確かに私達がここに来るまで何も障害はなかったものね」

ほむら「でしょう? 私がここにいる間は全て無効化してあるから」

さやか「意外に器用だねあんた」

ほむら「一応、機械操作は私の固有魔法だもの」

杏子「へぇ、便利だな」


さやか「それにしても随分たくさん造ったねー。もしかしてここで鋳造してんの?」ヒョイ

ほむら「素手で触らないでッ!!」

さやか「!?」ビクッ

ほむら「……貸しなさい」


 ひょい ふきふき


さやか「」

ほむら「全く、指紋が残ったりしたらどうするの。さやかが逮捕されて一番悲しむのはまどかなのよ」ブツブツ

杏子「どうせ結界と一緒に消えちまうんだからいいんじゃねーの?」

ほむら「ダメよ! 万が一という事があるかもしれないじゃない!」

杏子「ふーん」

ほむら「万が一、つまり0.01%は意外とよく起こるのよ。よく覚えておきなさい」

さやか「う、うん……そうするよ」



おしまい

ずんずん暑くなってまいりましたので水分塩分糖分カリウム等々にはお気をつけください。
今度こそちかいうちに!

6レスほど。

「ちょっと蒸れる」


さやか「まーどかっ」

まどか「ん」


 ぎゅうっ


まどか「どうしたの急に」ナデナデ

さやか「別にぃ、なんとなく。最近まどかに抱きついてない気がしてさ」

まどか「そうかなぁ?」

さやか「そうなんだよ」

まどか「そっか」

さやか「ん」


 なでなで


さやか「う~ん……やっぱりまどかが一番落ち着くわ」

まどか「えへへ、ほんとに? うれしいな」

さやか「むぎゅー」

まどか「いいこいいこ」


 なでなで


さやか「むはー……しあわせ」

まどか「さやかちゃんったら」クスッ

さやか「杏子じゃこうはならないんだよなぁ」

まどか「ふうん、どうして?」

さやか「確かに落ち着きはするんだけどさ、なーんか軽くあしらわれてるような感じがして」

まどか「あはは、杏子ちゃんらしいね」

さやか「シリアスな時はすげー懐が広い感じになるのに。普段との差はなんなんだろうね」

まどか「杏子ちゃんはちょっぴりシャイだからだよ、きっと」ナデナデ

さやか「マミさんもふわふわでナイスおっぱいなんだけど、何故かいやらしい事してるような気分になっちゃうし」

さやか「ほむらは抱きつきなんてしたら即殺されそうだし、仁美はたまにノリが良すぎて怖くなっちゃう」

まどか「仁美ちゃんは本当に凄いよね」

さやか「色んな意味でね」


さやか「う~ん……やっぱりまどかが一番落ち着くわ」

まどか「えへへ、ほんとに? うれしいな」

さやか「むぎゅー」

まどか「いいこいいこ」


 なでなで


さやか「むはー……しあわせ」

まどか「さやかちゃんったら」クスッ

さやか「杏子じゃこうはならないんだよなぁ」

まどか「ふうん、どうして?」

さやか「確かに落ち着きはするんだけどさ、なーんか軽くあしらわれてるような感じがして」

まどか「あはは、杏子ちゃんらしいね」

さやか「シリアスな時はすげー懐が広い感じになるのに。普段との差はなんなんだろうね」

まどか「杏子ちゃんはちょっぴりシャイだからだよ、きっと」ナデナデ

さやか「マミさんもふわふわでナイスおっぱいなんだけど、何故かいやらしい事してるような気分になっちゃうし」

さやか「ほむらは抱きつきなんてしたら即殺されそうだし、仁美はたまにノリが良すぎて怖くなっちゃう」

まどか「仁美ちゃんは本当に凄いよね」

さやか「色んな意味でね」


 ぎゅう


さやか「……あれ?」

まどか「どうかした?」

さやか「まどか、制汗剤変えた?」

まどか「ふぇっ!? なんでわかったの!?」

さやか「んへへへー、嫁の事は全て把握しているのだー」モゾモゾ

まどか「さやかちゃんったらもう……あのね、今度はグリーンアップルにしてみたんだ」

さやか「へぇ、思ってたよりすっきりしてていい香りだね」

まどか「でしょ?」


さやか「あたしもそろそろ新しいの買おうかなー」

まどか「うんうん、たまには香りが違うのをつけるのも気分が変わっていいと思うよ!」

さやか「何かオススメとかない?」

まどか「オススメかぁ……」

さやか「まどかはりんごでしょ、ほむらは確か桃の香りで、仁美はラベンダーだったかな」

まどか「じゃあシトラス系とかは?」

さやか「定番すぎて飽きてきちゃったんだよねぇ」

まどか「そっか……うーん」

さやか「ま、今度薬局に寄ったときでも見てみるよ」

まどか「やっぱり実際に嗅いでみないとわかりにくいよね」

さやか「だね」



さやか「それにしてもまどかは柔らかいなー」

まどか「そうかなぁ? さやかちゃんもいつもふわふわで柔らかいと思うんだけどな」

さやか「あはは、あたしなんかが柔らかくたって意味ないじゃん」

まどか「そんな事ないよっ!!」

さやか「そ、そう?」

まどか「うん。絶対」

さやか「……そっか。ありがと」ギュ

まどか「えへへ」


まどか「ところでさやかちゃん」

さやか「んー?」

まどか「もしかして、また胸成長した?」

さやか「へっ?」

まどか「あれ、気がついてなかった?」

さやか「全然! でも確かにそういわれたらそうかもしれない!!」



まどか「ちょっと触ってみてもいい?」

さやか「じゃああたしはまどかのを」

まどか「ん」

さやか「…………」

まどか「…………」


 もみもみ


さやか「……」

まどか「……やっぱり前より大きくなってるよ」

さやか「まどかは相変わらずみたいだね」

まどか「うん……」ショボン


 もみもみ もみもみ


さやか「……ねぇ」

まどか「なぁに?」

さやか「あたしら今何やってるんだろうね」

まどか「相互身体測定じゃないかな」

さやか「また新しいジャンルを発掘してしまったのか」

まどか「えへへ、ほむらちゃんに見られたら誤解されそうだね」

さやか「いやあいつじゃなくても誤解すると思う」



おしまい


やべ、二重投稿してしまった。
なんだよもうIDがロックされたとかびっくりしたじゃないかばかぁ!みんなだいすき!

もうすぐ8月とか……
さやかちゃんキューポシュ化決定おめでとう!

「かき氷」


さやか「あ」

まどか「どしたのさやかちゃん」

さやか「なんか今すっげーかき氷食べたい気分」

まどか「かき氷?」

さやか「そう、かき氷! ガガガーッと削ってだばーっとシロップかけて、勢いよくザックザック食べて頭がキーンってなるやつ!」

さやか「あれ食べたい」

ほむら「かき氷ねぇ……」

さやか「やっぱシロップはイチゴに練乳かな。でもブルーハワイも捨てがたいんだよなぁ」

さやか「キーンと冷える氷に爽やかなレモンの風味、メロンのあの独特の香り!」

まどか「想像したら私も食べたくなってきちゃったかも」

仁美「でしたらわたくしは宇治抹茶を提案させていただきますわ」

さやか「あ、抹茶味ならあんこも乗ってるやつがいい!」

仁美「でしたら一緒にアイスクリーム等も乗せてみたらいかがでしょう」

さやか「ちょっとやめてよ軽い拷問だよそれ……っつーか今からかき氷パーティーしようよ」


まどか「うーん、かき氷機うちにあったかな」

さやか「うちにあったやつは錆びてたから捨てちゃったんだよなぁ」

ほむら「私も持って無いわね」

仁美「わたくしも家にあったかどうか……なんでしたら今から買いに行きます?」

さやか「よし行こう!」


 がばっ


まどか「わっ、さやかちゃん急に起き上がらないで!」

さやか「ああごめん脚枕してたんだっけ」

まどか「んもー」

ほむら「……」


 見滝原デパート


さやか「結構種類あるねー」

仁美「手動式、電動式、キャラ物、ペンギンさん……それにガリガリ君専用機なんていうものもありますわ」

ほむら「思っていたより安いのね」

さやか「ふーむふむふむ、こりゃペンギンさん一択ですな」

まどか「そうだね、私もペンギンさんが一番可愛いと思う」

仁美「これは手動式のようですが大丈夫でしょうか?」

さやか「うん。電動式は高いし、これで十分だよ」

ほむら「だけどこの製品は刃が良くないわ。これはかき氷機に於いて致命的ではないのかしら」

さやか「その辺もだいじょーぶ。修行の成果を見せたげるよ」

ほむら「あなたまさか」

さやか「にひひー」

ほむら「あのね、だから無駄遣いは――」

さやか「ま、これも魔法付与の練習の一環って事で許してよ」

ほむら「はぁ……」



さやか「さーて本体はペンギンさんに決まったところでシロップはどれにしよっかね」

まどか「私イチゴミルクがいい!」

ほむら「わたしはまどかと同じ物がいいわ」

さやか「んじゃこの赤いのと練乳ね」


 ひょいひょい


さやか「他にはーっと……おっ」

まどか「?」

さやか「ねえねえ、これラムネ味だってさ。こんなのもあるんだね」

まどか「ラムネ味なんてあるんだ! 私ブルーハワイかと思ったよ」

さやか「だよねぇ。青色のかき氷とはラムネですか、ブルーハワイですか!? はい志筑さん!」

仁美「はあ、どちらでもよろしいのではないでしょうか」

さやか「その通り! 皆さんも青色のシロップはブルーハワイ以外考えられない等という男性とは決して付き合わないようにッ」


 バン!


さやか「似てた?」

仁美「ふふ、とてもお上手ですわ」


さやか「お、ぶどう味あるじゃん。これも1本買っとこ」ヒョイ

仁美「レモン味も置いていますのね」

さやか「んじゃそれも」ヒョイ

まどか「そんなに食べきれるかなぁ……」

さやか「シロップって結構長持ちするからさ、この夏一杯かけて食べていこうかなって思って」

まどか「なるほどー」

ほむら「あらかじめ言っておくけど食べ過ぎておなかを壊さないようにするのよ」

さやか「はいはいわかってますよー」

さやか「っと、抹茶味とアズキ缶も買わなきゃね」

ほむら「……冷えに胃腸薬って効くのかしら」


さやか「おーし、こんくらい買えば大丈夫でしょ!」


 どっさり


まどか「いっぱい買えてよかったね、さやかちゃん」

さやか「うん! これだけでしばらくは楽しめそう、へへへっ」

仁美「早速家に着いたらいただいてみましょうね」

さやか「うーん、昨日多めに氷作っといてよかったわぁ」

ほむら「あら、あなたはすっかり計画済みだったというわけ?」

さやか「いや別に。アイスコーヒーでも飲もうと思って作ってただけだよ」

ほむら「そういう事」

まどか「この季節になると氷の減る速度がすごいよね」

さやか「そうそう、いくらあっても足りないって感じ」

ほむら「確かにうちも製氷機が追いついていないわね」

さやか「でしょ?」



 ――帰り道


さやか「……」ガッチャガッチャ

ほむら(ペンギンさんは意外と大きくて持ちにくいわね)


 ミーンミンミンミーン ジーワジーワジーワ

 じりじり じわじわじわ……


さやか「重い! 暑い! 疲れた!」

さやか「っつーかなんでシロップっていちいち瓶に入ってるわけ!? 軽量化しろよ! 時代を見ろよばーかばーか!」

ほむら「八つ当たりはよしなさい、みっともないわよ。大体あなたが後先考えずに買い過ぎるからいけないの」

さやか「ねぇあんた袋片方持ってよ」

ほむら「嫌よ、既にかき氷機本体を持っているもの」

さやか「薄情者ーっ」

ほむら「大体シロップ類を全て持つと言い出したのはあなた自身じゃない。発言に責任くらい持ちなさい」

さやか「ぐぬぬ」

まどか「さやかちゃんほむらちゃん待ってよぉ」

仁美「陽射しが暑くてたまりませんわ」フラフラ

さやか「おそーい、先に行ってるよー!」ガッチャガッチャ

ほむら「まどか、あのバカは放っておいてゆっくり行きましょう」

まどか「ふええ……」

仁美「さやかさーん、先に着きましたらクーラーをかけておいてくださいねー」

さやか「はいよー」ガッチャガッチャ


ほむら「まどか、缶詰は重くない? 大丈夫?」

まどか「大丈夫だよほむらちゃん、ありがと」

仁美「でもアイスが溶けてしまいそうで心配ですわ」

ほむら「そうね、保冷剤があるとは言っても完璧ではないし……これもさやかに持たせてしまえばよかったわ」チッ

まどか「さやかちゃんってばすごい勢いで歩いて行っちゃったね」

仁美「よほど楽しみなのでしょうね」クス

ほむら「というより、重くてたまらないから早く荷物から開放されたいのだと思うわ」

仁美「あら、それなら言ってくだされば少し分けて持ちますのに」

ほむら「無駄なところで意地を張り過ぎなのよね、あの子は」

まどか「でもそれがいいとこでもあるんだよ?」

ほむら「時と場合によるけどね」

まどか「あはは……」


さやか「へっくしっ!」

さやか「やべ、確か夏風邪はバカがひくんだよな。気をつけなきゃ」ズズ


…………


 シャリシャリシャリ

 シャリシャリシャリ


さやか「かっきごおり~♪」

まどか「かっきごおり~♪」


 シャリシャリシャリ


仁美「うふふふ、かっきごおり~♪」

ほむら「か、かっきごおりー……」

さやか「もっと大声出して!」

ほむら「ねえ、これって本当に歌わなくちゃいけないものなの?」

さやか「まどかも歌ってるじゃん」

まどか「かっきごおり~♪」

さやか「ほら」

ほむら「うぅ……」

ほむら「か、かっきごおりー! かっきごおりぃー!」

さやか「ごめん冗談」

ほむら「えっ」


まどか「それにしても随分綺麗に削れるねぇ」

さやか「まあね。刃物は任せてよ」ガリガリ


 シャリシャリシャリ


さやか「できた!」


まどか「最初はどれにしようかなー」

さやか「まどかはどれがいい?」

まどか「私? 私はえっと……やっぱり定番のイチゴミルクがいいかな」

さやか「うっしゃ任せといて!」

まどか「作ってくれるの?」

さやか「愛情込めてつくったげる」

まどか「えへへ、楽しみだな」

仁美「あら羨ましいですわ」

さやか「んじゃ仁美の分もやったげる! 同じのでいい?」

仁美「おねがいします」

ほむら「ついでに私のも頼んでいいかしら」

さやか「はいよっと。イチゴミルク4人前ね」


さやか「おまたせーい」

まどか「わあー!」

仁美「ふわっふわですのね。まるで淡雪のよう」

さやか「そりゃもうふわっふわだよ、さやかちゃん謹製だからね」

ほむら「複数食べる事を見越して小さめに作ったのね」

さやか「へへーん。頭いいでしょ」

ほむら「そうね、あなたにしてはよく考えた方だと思うわ」

さやか「これって褒められてるのか?」

ほむら「さ、溶ける前に食べましょう」

まどか「いただきまーす!」

仁美「いただきます」


 シャクッ


さやか「……あれ?」

まどか「うーん?」


さやか「なんかいつものと違う」

仁美「イチゴ風味というよりは、さくらんぼ……?」

さやか「!? まさか――」


 "氷シロップ チェリー"


さやか「やっちまったあああぁぁああ」

ほむら「哀れね」フッ

まどか「わ、わたしはこれも美味しいとおもうけどなぁ。ね仁美ちゃん?」

仁美「ええ、これはこれでいけますわね!」シャクシャク

さやか「赤い、確かに赤いよ……だけどこんなのってないよ、あんまりだよ……」

ほむら「浅い経験の上に胡坐をかいて油断した結果がこれよ。注意に注意を重ねてもミスというのは発生するものなのよ、いい教訓になったわね」

さやか「どんだけ辛辣なのさ」

ほむら「事実を言ったまでよ。まあかき氷自体の味はいいからそこは安心していいわ」

さやか「泣きそう」

仁美「ドンマイですわ」


さやか「確かにこれも美味しいけどさぁ」

まどか「えっと、その、むしろなんで今まで誰も広めなかったんだろうってくらい美味しいと思うよ?」

さやか「ありがとうまどか。慰めはいらない、イチゴシロップをくれ……」

仁美「さやかさんさやかさん」

さやか「なに?」

仁美「チェリーみるくのお味はいかが?」

さやか「ちょっとしょっぱい」グスン

仁美「じゃなくって」

さやか「それ以外って……後悔の味とか? つーか嫌味?」

仁美「それでもなくって! ああもう、なんだかもう話を振ったこちらが恥ずかしくなってきましたわ、忘れてくださいまし」カァァ

さやか「恥ずかしいってなんで――あっ」

仁美「いやん」

さやか「ちょっ、ひと、仁美!? あんたばかぁ!?」

仁美「な、何のことでしょうか!」

さやか「しらばっくれるんじゃないわよこのむっつりすけべ!」

仁美「言ってくれますわねこのオープンすけべ!」



さやか「じゃああんたちょっと口開けてみてよ、今からあたしのチェリーみるくをぶちこんでやるわ」

仁美「望むところですわ」

さやか「はいあーん」

仁美「あむ」

さやか「どうだうまいか!」

仁美「さやかさんの手作りの愛情を胸いっぱいに感じますわ!」

さやか「そおか! もう一口くえ!」

さやか(うぁ声裏返った)

仁美「あーん」

仁美(まずい、口を大きく開けすぎてしまいましたわ)


 ぱく


さやか「いい食いつきっぷりだ!」

仁美「ああ、美味しい、美味しいですわ! さやかさんのチェリーみるく!」

さやか「よーしいい子だ、ご褒美にもう一口くれてやろう!」

仁美「どうかこれ以上はご勘弁を! わたくしの頭がキーンとなってしまいますの!」

さやか「ひゃはははは、もっと、もっとだ!」

仁美「あーれー」

さやか「……」

仁美「……」

さやか「ねぇ、あたし達なにやってんだろうね」

仁美「わたくしもさっぱり」

さやか「もうだめだ暑さで脳みそ完全溶けてるわ」

仁美「うぅ……///」


ほむら「この二人はバカなのかしら」

まどか「徐行運転だったのに急発進しすぎてブレーキが利かなかったんだね」

ほむら「もう止める気力も起きないくらい暴走してるわね」

まどか「面白いからもう少しみてよっか」

ほむら「賛成」



おしまい

チェリーミルクは意外とちゃんと美味しいと思うので機会があったら是非。

乙・コメントありがとうございます!!これでしばらく現実と戦える……
少しだけ投稿。

「蝉」


 深夜 さやか宅


さやか「くっそ暑……」

さやか「タオルケットが纏わりついてめんどくさ」

さやか「ちくしょ……早く冬になればいいのに」


 ごろん


さやか「……」

さやか「…………」

さやか「……喉渇いた」


 ごそごそ むくり


さやか「麦茶、まだあったかな」


 ガチャ


さやか「……」ガチャガチャ

さやか「無い」

さやか「ジュースは太るだろうし」

さやか「……結局水道水かぁ」


 キュ ザァァ

  キュッ


さやか「…………」

さやか「っぷはぁ」

さやか「水道水うめぇー!」

さやか「ただやっぱり冷たさが足りないな……」

さやか「氷足してみるか」カラン

さやか「……」

さやか「うん、なかなか」

さやか「……」

さやか「真夏の深夜、窓辺にて街並みを眺めつつタンブラーを傾ける」

さやか「なんかイケてるじゃん、あたし!」

さやか「にへへ」


さやか「~~♪ ~♪」

さやか「~♪ ……あれ?」


 <ミーンミン


さやか「蝉鳴いてる」

さやか「とうとうあいつら頭いかれちゃったか」

さやか「ここんとこずっと暑かったもんなぁ……かわいそうに」


 <ミーンミンミーン


さやか「哀愁ですなぁ」


 <ミーンミーン

  <ミーンミンミーン


さやか「……」


 <ミンミンミーン

  <ミーン ミィィ……


さやか「ふぁぁ……眠くなってきた」

さやか「そろそろ寝よ」


さやか「窓閉め――」


 バ チ ン !


さやか「!?」

セミ「ミ゙ミ゙ミ゙ミ゙ミ゙」

さやか「なっ――なんっ!?」

セミ「ミ゙ミ゙ミ゙ミーンミーンミンミーン」

さやか「なにこれ、蝉ぃ!? 網戸にくっついてんの!?」

セミ「ミーンミンミーィィィ」

さやか「つかもう本当びっくりしたぁぁ! 驚かせないでよ全く、なんかと思ったよ!」

セミ「ミーンミ゙ンミ゙ンミ゙ィィン」

さやか「これどうしよ、どう考えても近所迷惑だよな」

セミ「ミーンミンミーン」

さやか「でもこいつらせいぜい1ヶ月しか生きられないんだよな……」

さやか「かといってここで鳴き続けても嫁が見つかるとは思えないし」

さやか「だけどこいつ本人の意思としては精一杯鳴いてみたいだろうし」

さやか「なんか魔法少女になってからあんまり無碍にできなくなっちゃったんだよなぁ、こういうの」

さやか「前なら "うるせぇ!" って網戸叩いて追い払ったりしたんだろうけど」

セミ「ミーンミ゙ーンミ゙ーン」

さやか「はぁ……ま、少しだけならいいか」

さやか「……」

さやか「改めてまじまじと見ると結構きもいな」


セミ「ミーィィィィ」

セミ「ミ゙ッ!!」

さやか「あっ」


 ブブブブブ


さやか「どっかいっちゃった」

さやか「元気で暮らせよー、しっかり鳴いて嫁探しがんばるんだぞー」

さやか「……暗いけど大丈夫だよね、きっと」

さやか「さーてと、改めて窓閉めて寝るかぁ」

さやか「よっこら――」


 バ チ ン !!


さやか「!?」

セミ「ミ゙ミ゙ミ゙ミ゙ミ゙」

セミ「ミ゙ミ゙ミ゙ミーンミーンミンミーン」

セミ「ミ゙ミ゙ミミミィィィィ」

さやか「うっせぇ!!」ベチン



おしまい

なんか最近の研究だと、飼育環境がまともになって自然に近い寿命(2週間~一ヶ月)を観察できるようになったらしいです。
前はセミが一週間で死ぬとされていたのは、観測時の環境が合っていなかったからだそうです。
かがくのちからってすげーなって思いました。

若干セミが静かになってきた今日この頃。あれ、もう8月後半だよさやかちゃん……?
ちびネタを2.5個ほど。

「こんにゃく」


さやか「道端にこんにゃくが落ちてたんだけど」

杏子「どういう事だよオイ」

さやか「誰かが肝試しにでも使おうと思って持ち歩いてたんじゃないの?」

杏子「何も袋から出さなくてもいいじゃんかな」

さやか「ね」


杏子「……んで」

さやか「うん」

杏子「なんでそいつをアタシんとこに持ってきた」

さやか「?」

杏子「いやいやいやいや」

さやか「え、だってこんにゃく」

杏子「流石に食わねぇよ」


杏子「……そんなすげーショック受けたみたいな顔すんのやめろよ」

さやか「これどうしよう……」

杏子「知らねえよ馬鹿、自分で拾ったもんくらい自分でどうにかしろ」


杏子「……だからそんな絶望したみたいな表情はやめろって」

さやか「うん……」

杏子「……」

さやか「……」

杏子「……あー」

杏子「とりあえず、埋めとくか」

さやか「そだね」


 ザクザク さっさっ


  "こんにゃくのお墓"



おしまい

「海」 「続・海」


さやか「うーみー!」

まどか「うみー!」


 ざばーん


まどか「やっぱり見滝原の海は澄んでて綺麗だね」

さやか「みてみて、そこにワカメ落ちてた!」

マミ「あら美味しそう。後でお味噌汁にしましょうね」

杏子「最近は色んなものが落ちてるんだな」

ほむら「そうね。私もたまに物を拾いに来る時があるわ」

杏子「……あんたが拾い物って言うとなんかゾクッと来るから深くは追求しない事にするよ」

ほむら「そう?」


 ざっ ざっ ざっ


さやか「ひゃははは、砂があっついわぁー!」

まどか「さやかちゃーん、待ってー」

さやか「捕まえてごらーん」

まどか「あはははっ」

ほむら「二人とも、裸足は危ないわ。このビーチサンダルを履いて!」

さやか「うわ、ほむらも追いかけてきた!」

まどか「きゃーっ」

ほむら「待ちなさいったら! もし注射針なんか踏んだら大変な事になるのよ!?」

さやか「逃げろー!」

まどか「さやかちゃん足速いよぉ」

ほむら「ちょっと、はあ、はあ……まどか、さや、か、待ちなさいっ……」


 きゃはははは

 うふふふふ ぜーはーぜーはー


杏子「あいつら元気だなぁ」

マミ「私も参加してこようかしら」

杏子「スポーツドリンクでも持って追いかけるのか?」

マミ「そうね。そろそろ暁美さんも辛そうだし、止めてあげましょう」

杏子「がんばれよー」ヒラヒラ


マミ「ほら三人とも、そんなに勢い出しすぎたらすぐバテちゃ――」

ほむら「っまどか、捕まえた!」ガシッ

まどか「ひゃあ!?」

さやか「ちょっ」

マミ「!?」ビクッ

マミ(あの一瞬で抱えあげた!)

ほむら「さ、さや、ぜぇはぁ、さやかぁァァ! そこで止まりなさい、今すぐに!」ザッザッザッ

まどか「きゃあぁぁぁぁ!!」

さやか「うわああああああ!!」

さやか(まどかを抱えながらすごい形相で追いかけて――!!)


 ドザザザザ

 がしっ


さやか「ぐはっ!」

ほむら「やっと捕まえた……ほら、これ履いて」ゼーハー

さやか「あたしゃ砂浜の漂着物よりあんたのがよっぽど怖いよ」ハァハァ

まどか(ちょっと楽しかったかも)ドキドキ


マミ「うぅ……」トボトボ

杏子「お、おかえり」

マミ「勢いが凄くて声をかけられなかったわ……」

杏子「マミはよく頑張ったよ」

マミ「あの時の暁美さん、後ろから見ただけでもちょっと怖かった……」

杏子「よしよし」ナデナデ

マミ「ぐすん」



おしまい



 ざばーん

 ざざぁ


杏子「……」


 きゃあきゃあ あははは

 ざばーん ざざぁ


杏子「……お、ヤドカリ」

さやか「きょーこっ」

杏子「ん? あぁさやかか」

さやか「一人でなにしてんの」

杏子「貝拾い」

さやか「か、かい」

杏子「そう、貝。これはヤドカリが入ってるやつ」

さやか「ふーん……泳がないの?」

杏子「……あたしはいいよ、ここで貝拾ってるから」


さやか「そんな、せっかく海来たんだから泳がないともったいないじゃん!」

杏子「いいよ別に」

さやか「何ぶすくれてんのさ」

杏子「ぶすくれてなんかねーし」

さやか「ほーら、こっち来なって。浮かんでるだけでも楽しいよ!」

杏子「おいそんなに引っ張るなっつーの!」


 ざぶざぶ


さやか「へへっ、この辺りは波が穏やかでのんびりしやすいから――あれ?」

杏子「……」

さやか「……あんた若干水面に浮いてない?」

杏子「浮いてない」

さやか「そ、そうだよね……ごめん、変な事きいた」

杏子「おう」


 ざばざば


さやか「でね、もうちょっと沖に行くと結構魚が泳いでたりして面白いんだ」

杏子「ふーん」

さやか「ここはクラゲもあんまりいないし」

杏子「へぇ」

さやか「知る人ぞ知る海水浴場ってゆーか……」

杏子「ほー」

さやか「……」

杏子「……」

さやか「あんたそんなに身長高かったっけ」

杏子「成長期だからな」

さやか「いやその言い訳は苦しい」


さやか「水、苦手?」

杏子「別に」

さやか「そっか。あの、あたしでよかったら教えてあげるけど」

杏子「……うん。でも海じゃなくて川とかのもっと浅い所がいい」

さやか「……じゃ、今日は貝拾いに戻ろっか」

杏子「砂浜で城造りでもいいぜ」

さやか「それじゃあさっき集めた貝を飾りにして砂遊びでもしようね」

杏子「そうだな、それがいい……」

さやか「……」

杏子「……水面に立つ方法、後で教えてやるよ」

さやか「うん。どうやったらそんな奇跡が起こせるのか、あたしもちょっと興味があるかな」



おしまい


まどか「仁美ちゃーん! おはよ!」

仁美「おはようございます、まどかさん。それにさやかさんとほむらさんも」

さやか「うっす、久しぶり! 元気にしてた?」

仁美「ええ、少しばかり時差ボケはありますがもうへっちゃらですわ」

ほむら「時差ボケ? ということは、どこか海外へでも行っていたの?」

仁美「それが、父に無理やりロンドンへ連れて行かされまして……」

まどか「ほえー、ロンドン! いいなぁ、かっこいいなぁ」

さやか「ロンドンってどこだっけ」

ほむら「イギリスよ」


さやか「ほほう! って事はさ、もしかしてお土産とかないの?」

仁美「それは放課後のお楽しみにしておいてください。とはいっても大した物ではありませんが……」

まどか「わあ楽しみ!」

さやか「ねね、ロンドンって何か美味しいものあった? なんか紅茶が有名なんでしょ?」

仁美「お料理はあまり印象には残りませんでしたが、確かに紅茶はすばらしい物ばかりでしたわ」

仁美「ただ、それに合わせるお菓子が少々残念な面もありましたが……それを差し引いても十分楽しめたかと」

ほむら「なるほど」

さやか「いいなーイギリス、あたしも行ってみたいなー。んで現地で壮大なラブロマンスー、とかどうよ!」

ほむら「高望みはしないほうが良いわ。だってあなた全然英語話せないじゃない」

さやか「うっ」

仁美「ふふ、確かに英語しか通じなくて困る場面も多くありましたね」

まどか「英語かぁー……私も自信ないな」


さやか「そういや皆、英語の課題図書って読んだ?」

まどか「えっ?」


 ざわっ


ほむら「……質問の意図を測りかねるわ」

さやか「いや、あれってインターネットで検索して適当に感想文書くだけの課題じゃなかっ……あれぇっ!?」

ほむら「美樹さやか、あなたはどこまで愚かなの!」

さやか「ひえええ」

仁美「さやかさん、流石にそれは反則かと……」

まどか「そこまで苦手なら言ってくれれば一緒にやったのに」

さやか「だって、あんな長いの読む気すら起きないってゆーか、うぅ……意外と皆ちゃんとしてんだ……」

ほむら「まあ、どうせ早乙女先生には一発でバレるでしょうけど」

仁美「今日提出したとして週末までには確実にお説教があるでしょうね」

さやか「勘弁してくれよぉ」

ほむら「自業自得よ」



おしまい


 りん りん りん


まどか「あれ、鈴?」

さやか「うん! ほらこれ、髪留めに付いてるやつ」

まどか「へえー、可愛い! すごく似合ってるよ」

さやか「へへ、ありがと。色々整理してたら発掘しちゃってさ、もったいないから着けてみた」

さやか「歩くと音がするんだよ」


 りん りん りん


まどか「わ、素敵! なんか楽しくなっちゃうね」

さやか「ねー」


 喫茶店


まどか「えーっと……あ、いた!」

さやか「おっすほむら、お待たせ」

ほむら「2分遅刻よ」

さやか「ごめんごめん、ちょっと掃除しだしたら止まらなくなっちゃってさ」


 りん りん りん


ほむら「……何の音?」

さやか「鈴だよ。ほら」

まどか「凄く可愛いよね!」

ほむら「そ、そうね……耳元で鳴り続ける点を除けばとても良い思うわ」


さやか「ねえねえ」

ほむら「何?」

さやか「この髪留めの鈴さあ、桃色だしなんかまどかっぽくて可愛いと思わない?」リンリン

ほむら「……どこで買ったの、それ」

さやか「さあね。忘れちゃった」

ほむら「そう。ならいいわ……」シュン

さやか「欲しい?」

ほむら「……ちょっとだけ」

さやか「へへへ、あーげないっ」リンッ

ほむら「なによそれ」


店員「お待たせしました。こちらアイスコーヒーの単品と、ケーキセット二つでございます」

ほむら「ありがとうございます」

さやか「きたきたーっ! いっただっきまーす」

まどか「ほむらちゃんはケーキとか食べないの?」

ほむら「私はコーヒーだけで十分よ」

さやか「そう言っちゃって、本当は食べたいクセにぃ」

ほむら「だってこの後クレープも食べに行くんでしょう?」

さやか「それはそれ、これはこれ! 別腹ってやつよ」

ほむら「太っても知らないわよ」

まどか「ひっ」ビクッ


さやか「だいじょーぶ、若いから運動すればすぐ減るって!」

ほむら「さてどうかしらね」

まどか「……さやかちゃん、これ少し食べない?」

さやか「マジで! いいの?」

まどか「う、うん! はいあーん」

さやか「あーん」


 ぱく


さやか「うんまーいっ。幸せー」

まどか「えへへ、よかった。もう一口食べない?」

さやか「食べるー」

まどか「どうぞ!」

さやか「あーんっ」


 ぱくっ


さやか「うまうま」

まどか「もう一口どう?」

さやか「なんかあたしばっかり悪いなぁ。こっちのケーキ少し食べる?」

まどか「ううん、大丈夫。クレープの分のお腹もとっておかなきゃって思ったから」

さやか「なるほどね」

まどか「はいあーん」

さやか「あーん」


 ぱく


さやか「んひひ、やっぱりまどかに食べさせてもらうケーキは格別だわ」

まどか「喜んでもらえてよかった」テレ

ほむら「……」

まどか「もう一口どう?」

さやか「ごちになります!」

まどか「はいどうぞ」

さやか「わーい」


 ぱくっ


さやか「――あれ?」

ほむら「……」モグモグ

まどか「どしたの?」

さやか「いや何か今うまく食べられなかったみたいで……別に落ちてないし、おかしいなぁ」キョロキョロ

まどか「とりあえず最後にもう一口、どう?」

さやか「う、うん。あーん」


 シュバッ


さやか「あっ!?」

ほむら「……」モグモグ ゴクン


さやか「ほむら、あんた今――」

ほむら「何かしら?」

さやか「……いや別に」

まどか「どうしたの?」

さやか「ううん、なんでもない。ご、ごちそうさまでした!」

まどか「こちらこそ!」

ほむら「……」ケプ



おしまい

上条君はネタが思いつけばでてくるだろうけど、出たとしても恐らく出番はかなり少ないと思います。
レス・乙などなどありがとうございます!


さやか「あれ通行止めだ」

まどか「ほんとだ。何だろ?」

さやか「ちょっと看板見てくるね」

まどか「はーい」


 とてとて


まどか「……あ」

まどか「工事の人となんか話してる」

まどか「……」

まどか「手振ってる。来てって事かな」


 とことこ


さやか「これから車道の脇に通路作るから、そこ通っていいってさ」

まどか「はーい。ところでこれって何してるの?」


 ガガガガガ ゴゴゴゴゴ


さやか「水道の工事だってさ」

まどか「え? ごめん聞こえなかった」


 ガガガガガガガ ドドドドド


さやか「あのね、水道管を修理するから、しばらくこうじするんだってさ!」

まどか「ごめん、よくきこえない!」


 ゴガガガガガ


さやか「だーっ! すいどーかん、しゅうりする、こーじ!」

まどか「どかんのこーじ!?」

さやか「ちがう、すいどうかんの、こうじー!」

まどか「すいどー!」

さやか「そう、すいどー!」


 ズガガガガガガ


 ドガガガガガ


まどか「けっこう長い距離、やるんだねー!」

さやか「なに言ってるのか、ぜんぜん聞こえない!」

まどか「ながいきょり、工事するんだねー!」

さやか「そうだねー、来週までかかるってー!」

まどか「そうじゃなくって、きょ、りー!」

さやか「きゅうりー!?」


まどか『距離だよ』

さやか『こいつ直接脳内に』



おしまい

もう一丁

「こんにゃく・続」


杏子「この間こんにゃく埋めただろ」

さやか「埋めたね」

杏子「あれからさ、墓に水をかけ続けた結果なんだけど」

さやか「なにその無意味な行動」

杏子「まあ聞けよ。とにかくさ、水をやったんだよ。干からびないように」

さやか「ふーん。それで?」

杏子「芽が出たから収穫した」

さやか「は?」



杏子「どうにもあのこんにゃくはおでん種だったみたいでな」

さやか「ちょっと待った」

杏子「?」

さやか「色々突っ込みたいところはあるけど、まず芽が出たって」

杏子「そりゃ種に水をやれば芽くらい生えるだろ」

さやか「いやいやいや」

杏子「??」

さやか「まず埋めたのってこんにゃくだよね?」

杏子「ああ」

さやか「こんにゃくって調理された物だよね」

杏子「基本的にはそうだな」

さやか「だったらそれを埋めても芽が出るわけないじゃん!」

杏子「でもおでん種だぜ?」

さやか「いやだからさぁ」


杏子「ちなみに収穫したのがこれな」

さやか「なにこれ」

杏子「あれイトーヨー○ドーのおでん種11種類詰め合わせセットの一部だったみたいでさ」

さやか「はあ」

杏子「紀○じゃなくって残念だったな」

さやか「いやそれは別にどうでもいいんだけど」

杏子「どうでもよかねーだろ!」

さやか「いやこの際どうでもいいよ」


さやか「それで、そのおでんの芽とやらはどうなったのさ」

杏子「だからもう収穫しちゃったんだって。これだよこれ、目の前のパックに入ってるだろ」

さやか「はい?」

杏子「??」

さやか「……まあいいや、写メとか無いの?」

杏子「スケッチならしたぜ!」

さやか「そんなんじゃソースにはならんでしょ!」

杏子「おでんにはソースよりカラシだろ」

さやか「は?」

杏子「うん?」


さやか「ちょっと待ってて。マミさんに電話して訊いてみるから」

杏子「訊くって何をだよ」

さやか「そりゃおでん種についてに決まってるじゃん!」

杏子「ふーん」

杏子(マミにはとっくに協力要請済みだっての)クックックッ


 プルルル


さやか「――あ、もしもしマミさん? いやあのですね、おでん種って――はい?」

さやか「はい、はい。はあ……」

さやか「あ、はい。わかりました、伝えときます……はい、じゃあまた後で。はーい」

杏子(いひひひっ)


さやか「マミさん、もう鍋とかの用意して待ってるって……」

杏子「だから言ったろ?」

さやか「なーんかおかしい。タイミング合いすぎじゃない?」

杏子「そりゃマミには芽が出た時点で収穫予定日を教えてたからさ。前から楽しみにしてたって言ってなかった?」

さやか「言ってたけどさぁ、なんか納得行かないっつーか、うーん……」

杏子「怪しいもなにもないってのに」

さやか「……まどかにも訊いてみる」

杏子「はいはい、好きにしな」


 プルルル


さやか「――もしもし、まどか? あのさ、急で悪いんだけどおでん種って埋めるとどうなるの?」

さやか「えっ? ……はあ」

さやか「へぇそうなんだ、知らなかったわ……ああ、なんか杏子が育てたみたいでさ」

さやか「え、まどかんちも? へぇ!」

さやか「ああうん、わかった。じゃあマミさんちで待ってるから」

さやか「うん、また後で。はいはーい」

杏子(もちろんまどかも押さえ済みだ)


さやか「まどかんちでも時々育ててるんだって言ってた……」

杏子「へえ、あいつもやってんのか」

さやか「だけどあたしあの家でそういう怪しい植物見たこと無いんだけど」

杏子「おでんの芽は成長が早いからな。たまたま収穫後だったんだろ」

さやか「うむむむ」


さやか「ちょっとダメ押しでほむらにも訊いてみる」

杏子「はいよ」


 プルルル プルルル


さやか「……あー、もしもしほむら? 質問があるんだけどさ、あんた生物って得意だっけ」

さやか「へ? ……ああうん、うん……それでさ、おでん種なんだけど――はぁ、なるほど」

さやか「つまりおでん種は生物じゃなくて家庭科の分野だと」

さやか「世の中にはそういうのを知るための育成ゲームもあるのか。……なるほど、へえ」

さやか「じゃあもしかして柿の種とかも――ふーん、そうなんだ! 全然知らなかったわ」

杏子(まどかと一緒におでんパーティーだって言ったらすぐに了承してくれたぜ)


さやか「ふんふん、それでつまりそういうわけなわけね、ははあー。勉強になったわ!」

さやか「うん、うん……わざわざ詳しくサンキュ! ――ちょっとそんな気味悪がんないでよ失礼な」

さやか「はいはい、んじゃマミさんちで6時過ぎに。ん、また後で」


 ピッ


杏子「あいつはなんだって?」

さやか「おでん種とかの生態は高校で習う範囲なんだって教えてくれた」

杏子「へえ」


さやか「……あのさ」

杏子「なに?」

さやか「疑ってごめん。あたしが無知だったみたい」

杏子「は!? 何がどうなっていやがる……さやかが自分から謝るなんて」

さやか「ちょっとほむらといいあんたといいさっきから失礼過ぎない?」

杏子「そうは言ってもだな――いやしかしこいつは――へぇぇ、さやかも素直になったもんだなぁ!」

さやか「あたしだって成長くらいするよ!」

杏子「マジかよ知らなかったわ」

さやか「ふざけんな」

杏子「いやまあ……そうだな、とりあえずマミんち行くか」

さやか「ん!」



おしまい

本日は以上であります。
閲覧ありがとうございます!

コメントありがとうございます!二次元に行く方法ねぇかなぁ、傍から見てるだけでいいんだ……
ちょっとずつですが、じわじわと進みます。

「缶詰め」


さやか(物置の整理をしていたらとんでもないものを見つけてしまった)

さやか「鯖の水煮缶。賞味期限、1993年5月迄」

さやか(どうしようこれ)


さやか「……」ツンツン

さやか「……」コンコン

さやか(なんか微妙に膨らんでる?)

さやか「……」


 ちゃぱちゃぱ


さやか「振ると水音がするとかこれマジやばいんじゃね」


さやか「急に爆発とかしそうでやだなぁ」

さやか「ありえなくはないよな、この膨らみ具合だし」

さやか「つまり普通にゴミに出すのも危ない、かもしれない……?」

さやか「……ゴミが破裂して1名軽症とかなったらどうしよう」

さやか「……」

さやか「あそーだ」

さやか(今度魔女の結界に放置してこよっと)



おしまい

もうひとつ

「髪型」


まどか「あれ、さやかちゃんもしかして髪切った?」

さやか「お、目の付け所がいいねぇ! 昨日美容院行って切ってもらっちゃった」

まどか「やっぱり! さっぱりしててとっても似合うと思うよ」

さやか「へへ、ありがと」

ほむら「本当に切ったの? 全然見分けがつかないんだけど」

さやか「ほむらもまだまだだねー」

ほむら「仁美、あなたはわかる?」

仁美「恥ずかしながら全く……毎回まどかさんに言われてから気がつくんです」

さやか「二人とも普段どこ見てんだよー」

ほむら「生憎そんなに髪の毛ばっかり凝視してられないのよ」

仁美「あ、わかりました! 今回は前髪の左側辺りを短くされましたのね」

さやか「ぶっぶー、はずれー」

仁美「あらま」


さやか「結構短くしたんだけど、わっかんないかなぁ」

ほむら「切ったこと自体気づかないのにわかる訳ないでしょう」

まどか「私わかるよ、後ろ髪でしょ?」

さやか「アタリ! さすがあたしの嫁は冴えてるわー」

まどか「えへへっ」

仁美「後ろ髪ですか……言われてみると確かに心なしか短くなっているような、なってない、ような……?」

ほむら「流されてはダメよ、少なくとも一般人には誤差レベルの差異なのは間違いないわ」

さやか「ちょっとちょっと、ショートヘアーを維持するのは意外と大変なのだよ君達」

ほむら「知らないわよそんなの」

さやか「それになんといってもこの斜めカット! 伸びてくるとなんか見分けつかなくなっちゃうんだよね」

ほむら「ふうん」

さやか「無感動だなぁ……あとさ、髪の毛長くなってくると動きにくいしなんか首筋が蒸れる気がして」

まどか「あ、それわかる! 私もいつも二つに結ってるから急に下ろすとちょっと暑いんだよね」

仁美「なるほど、それは確かに経験がありますわ」

ほむら「そういえば、私も髪を下ろしたての頃は気になって仕方がなかったわね……」


さやか「あんたも髪の毛あげてた時期があるんだ?」

ほむら「ええ、昔は三つ編みにしていたの」

まどか「へぇぇ! みて見たいな、ほむらちゃんの三つ編み姿」

ほむら「そんなに良い物じゃないわ。ただ邪魔だったから編んでいただけだもの……」

さやか「写真とかないの?」

ほむら「実家にはあるでしょうけど、私の部屋には一枚もないわね」

まどか「そっかぁ……」


 しょぼん


ほむら「……まどかが言うなら、今度三つ編みにしてきてもいいわよ」

まどか「ほんとっ?」パァ

ほむら「ええ。久しぶりだから上手くできる自信はないけれど」

まどか「わぁ、約束だよ? 明日の朝楽しみにしてるからね!」

ほむら「わかったわ」



おしまい


「秋」


 教室


 わいわい がやがや

 ざわざわ


さやか「なんかさぁ、最近ちょっとずつ涼しくなってきてない?」

まどか「だんだん秋っぽくなってきたって感じだね」

さやか「今年は何の秋にしようかねー」

仁美「食欲の秋は基本ですわよね」

さやか「そりゃモチロンよ!」

ほむら「あと何があったかしら……」

まどか「読書の秋!」

さやか「えー、それあたしヤダ」

まどか「ダメ?」


さやか「本読んでるとさ、眠くなるんだよね……」

まどか「じゃあ同時に音楽の秋も開催して、BGM聞きながら読むとか」

さやか「ますます安眠できそうなんだけど」

まどか「そうかなぁ」

ほむら「あなたってどんな本を読んでいても気がつくと寝ているんじゃない」

仁美「この間なんてわたくしのノートを写しながら寝ていましたのよ。おかげでちょっとページがよれてしまいましたの」

ほむら「本ですらないじゃない、災難だったわね」

仁美「全くですの」

さやか「うう……まどかぁ二人がいじめるー!」

まどか「よしよし、いいこいいこ」


さやか「どうせあたしは年中睡眠の秋だい」グスン

仁美「寝る子は育つ、ですわね」

さやか「そう、それ! あたし今成長期だから!」

ほむら「そう言っていられる内が華よ」

さやか「へ?」

ほむら「食欲の秋と睡眠の秋。同時開催したら一体どうなってしまうのかしらね」

さやか「うぎゃああああ!」

仁美「ふふっ」

まどか「なんにせよ、とりあえず色々と開催してみようね」

さやか「うん……ああ運動の秋も予定に入れといて」

ほむら「私は運動はちょっと遠慮したいのだけど」

さやか「出たインドア派!」

ほむら「何よ」

さやか「せっかく外が涼しいんだからさ、おもて出ようよ!」

ほむら「嫌よ、暑いときは "せっかく夏なんだから外に出よう" とか言ってたじゃない」

さやか「それはそれ、これはこれよ」


ほむら「はあ……」

さやか「本格的に秋になっちゃったら雨ばっかで外遊びなんてあんまできないんだからさ、今のうちに遊んどかないと!」

ほむら「それは……そうだけど」

さやか「よし決定」

ほむら「ちょっと!」

まどか「あはは……」

仁美「でしたら山歩きなんてどうでしょうか」

さやか「それなんかばばくさくない?」

仁美「ならハイキング」

さやか「うん、それならいい!」

まどか「名前しかかわってないよ」


さやか「洋語にするだけで雰囲気とか意気込みとかが変わるっつーか、響き的に若い感じになるしさ」

仁美「せっかくなら紅葉の綺麗な所に行きたいですわ」

ほむら「紅葉……」

さやか「おー、興味ある?」

ほむら「ちょっとだけ」

まどか「ならさ、見滝原山なんてどうかな!」

さやか「あそこってなんかあったっけ」

まどか「……木とか?」

さやか「それしかないじゃん!」

まどか「でもでも、紅葉するととっても素敵なんだよ! 小川も流れてるし、おうちから近いし!」

さやか「そりゃ遠いより近いほうがいいけどさー」

まどか「むー」


ほむら「私はどこでもいいわよ」

さやか「それが一番悩むんだよ!」

ほむら「ふむ」

まどか「私は良いと思うんだけどな、見滝原山……」

ほむら「ならさやかは放っておいて3人で行ってきましょ」

仁美「ああ、それもいいですわね」

さやか「うおーい!?」

ほむら「冗談よ。いいじゃない見滝原山、近いところから歩き慣れしていった方が良いだろうし」

さやか「それもそっか……じゃああの山でいいよ」

まどか「うん!」

仁美「お弁当作って遊びに行きましょうね」

まどか「私も一緒に作ってもいい?」

仁美「ええ、もちろんですわ」



おしまい

続けて、

「蚊」


さやか「――――!!」


 瞬間、身体に稲妻走る。


さやか(――痒い!)

さやか(どことは言えないような、内腿の付け根が――痒い――!)


まどか「どしたのさやかちゃん」

さやか「な、なんでもないよ! あははは」

さやか(やべえええええ)

さやか(これは言えない、恥ずかしいし絶対笑われる!)


さやか(この場所はちょっとおいそれと掻けないな……掻いたら色々とアウトな予感がする……)

さやか「ううぅぅぅ」

さやか(痒い!!!)


 もじもじ


まどか「本当に大丈夫? お腹痛いの?」

さやか「ううん、お腹は大丈夫……お腹は……」

さやか(むしろ尻が……)

まどか「さやかちゃん、汗が凄いよ……ねえ、我慢しないで保健室行こう?」

さやか「だ、だいじょーぶだって! 本当に心配しないでいいから」

まどか「ほんとに……?」

さやか「へーきへーき、このとおり!」

まどか「うーん……」

さやか(あああああ!!)

仁美「でも顔色も優れないようですし、一応保健室へ行かれたほうがよろしいかと」

さやか「いや大丈夫だから!」


さやか(さりげなく触ってみた限りだと蚊に刺されたみたいな感じになってる)

さやか(どこのどいつだあたしの貴重な血液を吸いやがったばかたれは!!)

さやか(いや吸ってもいいけど痒くするのはマジでやめて)

さやか(嫌がらせかってんだよどういう進化してきたんだってのマジで)


 ……ィィ……ン


ほむら「あっ」

まどか「?」


 パチン!


ほむら「殺ったわ」

まどか「すごーい!」パチパチ



仁美「既に誰かの血を吸った後みたいですわね」

ほむら「私は吸われてないけど……まどかは?」

まどか「私は刺されてないよ」

仁美「わたくしも今のところ痒いところはございませんわ」

まどか「さやかちゃんは?」

さやか「……」

仁美「さやかさん?」

さやか(こりゃダメだ)

さやか(我慢……できない……!)


まどか「さやかちゃん……?」

さやか「……し」


 もじもじ


まどか「し?」

さやか「尻……ってゆーか、腿?のかなり際どいとこ刺された。今めっちゃ痒い」

仁美「腿ですか?」

さやか「ここらへん。指でさすのも気がひけるんだけど」

まどか「ぶっ」

ほむら「み、美樹さやか……哀れね……」プルプル

さやか「ほらやっぱりそうやって笑うー!」

仁美「いやでもその位置は……色々と……」プルプル

さやか「あたしだって好き好んで刺されたわけじゃねーんだよ!」

さやか「痒いけど掻けないし! 掻いたら痴女認定されかねないし!!」

ほむら「そ、そこは確かに……ちょっとね」

さやか「うわーん!」


さやか「保健室行ったからってなんとかなるわけじゃないし、どうすりゃいいってんだよ!」

まどか「でも保健室にはムヒとかあると思うよ」

さやか「先生にムヒ塗ってもらうっての? いやだよこんな場所」

仁美「保健室……お尻……先生、ムヒ……っ!!」プルプル

さやか「ほらやっぱりエロ本みたいな展開想像する!!」

仁美「"恥ずかしがらないで患部を出して。すぐにムヒをたっぷり塗りこんであげるわ……" なんて! なんて!」

さやか「やめてよ!」

ほむら「先生が女性でよかったわね」

さやか「全然よくない!」

まどか「じゃあ私が代わりに」

仁美「」ガタッ

さやか「落ち着け」


さやか「痒い、かゆい! ばーかばーか!」


 バシバシ


ほむら「急に尻をたたき出すなんてとうとう気でも狂ったの」

さやか「なんとか治めようと必至なんだよ! 理解しろよ!」

仁美「もしかしてそちらの気があったのかと」

さやか「微塵もねぇよ!」

まどか「っ!! さ、さやかちゃん」

さやか「今度は何!」

まどか「あの、クラスの皆が……男子も聞いてたみたいで……その……」

さやか「!?」


 ヒソヒソ

  尻……? いや腿だそうだ……

 蚊に刺されたとか言ってたよ……

  すげぇなオイ……


さやか「あああああああああああ」

ほむら「ご愁傷様」



さやか(今この瞬間、あたしは死んだ。社会的に死んだのだ)

さやか(いやもしかしたら直ぐに魔女を産み本当の意味での死を遂げるのかもしれないが)

さやか(とにかく、あたしは死んだのだ。南無)


 チーン


まどか「さやかちゃん……」

ほむら「仕方ないわね」ゴソゴソ

仁美「?」

ほむら「はい、ミニムヒ。トイレにでも行って自分で塗ってきなさい、効果は保障するわ」

さやか「うおおおお」

ほむら「残りも少ないしボトルごとあげる。思う存分染み込ませなさい」

さやか「ありがとう! ありがとう!!」

ほむら「まあ、痒みは消えても噂は消えないでしょうけど」プルプル

さやか「」


さやか「とりあえず塗ってくるわ……」

まどか「大丈夫? 自分で塗れる?」

さやか「微妙だけどがんばる……」

仁美「あの部位ですと、腕を捻ってこんな感じになって……その上でボトルを縦にするとなると筋がおかしくなりそうですわね」

さやか「……うまくできなかったら諦めて掻き毟ってくる……」

ほむら「それだと痒いのが再発するわよ」

さやか「うううぅぅ」

まどか「やっぱり私が」

さやか「いやだけど恥ずかしいし」

仁美「でしたらわたくしがやりましょうか?」

さやか「そういう問題じゃないんだよ!」

ほむら「だったらどういう問題なのよ」

さやか「プライドの問題だよ!!」


さやか「あ、やばい……尻の筋肉が攣りそう……」

ほむら「下手なプライドは捨てなさい。じゃないと蚊に刺されが痒すぎて死ぬことになるわよ、あなた」

さやか「そんな死因やだ……」

ほむら「ならさっさと楽になる事ね。冗談で済まなくなるわよ」

仁美「そんなまさか」

ほむら「本気の本気よ」

さやか「……」

さやか「……ごめん、まどか」

まどか「なにかな!」

さやか「ちょっとついて来てもらってもいい?」

まどか「うん、何でもするから言ってね! 私保険係だから!」


ほむら「行ったわね」

仁美「うふふふふ」

ほむら「さて、断末魔を聞きに行きましょうか」

仁美「うふふっ――? だ、断末魔ですか?」

ほむら「あのムヒ、すっごく良く効くけどすっごく良く滲みるのよ」



 <ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛



 おしまい


「夜長」


 深夜、まどかの部屋――


まどか「ふぁぁ……」

さやか「お布団最高。もう一生離さない」モフモフ

まどか「やっとクーラー付けないで寝られるようになったね」

さやか「うんうん、快適になってくれて本当助かったわ」

まどか「この間まで暑くて寝られなかったもんねぇ」

さやか「全くだ……ふわぁぁあ」

まどか「眠い?」

さやか「少しだけ。けどまだ寝ない」

まどか「そっか」


さやか「……」

まどか「……」

さやか「……」

まどか「あ」

さやか「?」

まどか「一番上のボタン、外れてるよ」

さやか「え? あ、ホントだ。ありがと」

まどか「どういたしまして」クス


さやか「……」

まどか「……」


さやか「……ねぇまどか」

まどか「ん~……なぁに?」

さやか「ちょっと耳貸して?」

まどか「なになに」


さやか「……あの、その、ええと…………ごほん。あたし、まどかの事大好きだからね」コソッ

まどか「へ?」

さやか「うひゃー!! ああもう、恥ずかしいぃぃぃ!」ゴロンゴロン

まどか「え? ……えっ!?」

さやか「あ、ああもちろん友達としてって意味だからね!?」

まどか「え、あ、うん、それはもちろんわかるよ。さやかちゃんは上条君一筋だもんね?」

さやか「う、うん……それはそうだけど……ってゆーかそれ今関係ないし!」

まどか「ふふふっ」


さやか「うぅ、眠い勢いと雰囲気だけで言っちゃったけどやっぱやめときゃよかったかな……」

まどか「ううん、言ってもらえて凄くうれしかったよ」

さやか「そ、そう……?」

まどか「うん! えへへへっ」


まどか「だけど急にどうしたの?」

さやか「なんとなく?」

まどか「なんとなくかぁ」

さやか「こうしてまどかの事じっと見てたらさ、なんか言いたくなっちゃって」

まどか「そっか」

さやか「だからといって特になにって訳じゃないけど、なんとなく今伝えておかなきゃって感じたからさ。ホラあたしってば直感に正直じゃん?」

まどか「さやかちゃんは正面衝突まっしぐらだもんね」

さやか「言ったなこのやろー」

まどか「きゃははは」

さやか「えいっえいっ」ツンツン

まどか「あはは……」

まどか「……――」

さやか「どしたのまどか」

まどか「……さやかちゃん、ちょっと耳かして?」


さやか「んー?」

まどか「私もさやかちゃんの事、大好きだよ」

さやか「ん、ありがと」

まどか「だからね」

さやか「うん?」

まどか「……また急にいなくなったりなんて、絶対にしないでね」

さやか「あはは、当ったり前よ」

まどか「私も、仁美ちゃんも、ほむらちゃんも、マミさんも、杏子ちゃんも、クラスのみんなだって……さやかちゃんの事、大好きなんだから」

さやか「マジで?」

まどか「マジだよー」

さやか「そうかぁ、マジかぁ……」

まどか「……」

さやか「……」

まどか「……ふふふっ」

さやか「あはははっ、あーあ、愛されちゃってますねぇあたし!」

まどか「愛されちゃってますよー、えへへ」

さやか「しかし改めて言われるとなんかこう……滅茶苦茶照れるね」

まどか「でしょ? おかえしだよっ」クス

さやか「うー、いじわる」

まどか「えへへ」

さやか「はー顔が熱いわ」

まどか「……」


まどか「……ね、さやかちゃん」

さやか「ん?」

まどか「もうちょっとそっち行っていい?」

さやか「んー」

まどか「わーい」


 もぞもぞ

 ぎゅ


さやか「……外、風凄いね」

まどか「嵐かな。ちょっと怖い……」

さやか「大丈夫だよ、あたしがついてるじゃん」

まどか「えへへ、そうだね」

さやか「いざとなったらあたしが守ってあげるから」

さやか「だから、まどかは安心してて」

まどか「……うん」コク

さやか「それにさ、万が一何かあってもまどかが呼べばほむらの奴が超特急で駆けつけてくるだろうしね」

まどか「あはは、ほむらちゃんだったらありえそう」

さやか「でしょ?」



さやか「……だんだん風収まってきたみたいだね」

まどか「よかったぁ」

さやか「ふわぁぁ……もう11時か」

まどか「明日は学校から帰ってきたら庭を掃除しなくちゃ」

さやか「庭持ちは大変ですなあ……ふあぁぁああ」

まどか「眠い?」

さやか「少し……」ゴシゴシ

まどか「そろそろ寝よっか」

さやか「やだ、あたしまだ話したい」

まどか「だめだよ、しっかり寝なくちゃ大きくなれないよ?」

さやか「やーだー、まだ寝ないのー」ジタバタ

まどか「もうさやかちゃんったら……仕方ないなぁ、子守唄歌ってあげるからちゃんと寝るんだよ?」

さやか「えー」



まどか「まだ弟以外には歌った事ないんだから。さやかちゃんだけ特別だよ」

さやか「期待してる」

まどか「それじゃあ……、~~♪」

まどか「ねーんねーん、こーろりーよー♪」

まどか「おころーりよー♪」


 とん とん


まどか「~~♪」

さやか(歌と合わせて、あたしと重ねた手をやさしくポンポンと叩いて)

まどか「ぼうやはいいこだー♪」

さやか(それに相まって絶妙な音程のまどかの歌が……頭に……響いて……)


 とん とん


まどか「ねんねしなー♪」

まどか「~~♪ ~~~……♪」

さやか(ねむく――)

さやか「ふわぁぁ……」


 うとうと


まどか(うん、よく効いたみたいだね)

さやか「……んぁ……」ウトウト

さやか(だめだ、まぶたが勝手に――)

まどか「おやすみなさい、さやかちゃん」

さやか「おやすみ、まどか……また、明、日…………すぅ、すぅ……」


まどか「……さやかちゃんったらすごくいい笑顔で寝ちゃって」

まどか「あ、よだれ垂れてる」クス

まどか「……」


 じー


まどか「ん」

まどか「そろそろ私も寝ようかな」

まどか「また明日も良い日になりますように」

まどか「おやすみなさい」ギュ



おしまい


「トリートメント」


さやか「ぎゃあああ!」

さやか「しゃ、 シャンプーが目に」

杏子「バカだなー、ほらシャワー」

さやか「いててて……サンキュ」

杏子「おう」

さやか「……あれ?」

杏子「どうした?」

さやか「あんたいつの間にいたの」

杏子「アンタが頭を洗い出した直後くらい?」

さやか「え、全然気付かなかった」

杏子「そんなんじゃいつ寝首かかれっかわかんねーぞ?」

さやか「いやそんな予定ないから」

杏子「ま、アタシにゃ関係ないからいいんだけどさ」


 かぽーん


杏子「あったけぇー……癒されるわぁ」

さやか「あんたんちお湯出ないもんね」

杏子「そろそろ対策しないといけないかもしれないな」

さやか「そうなるとやっぱ焚き火とかすんの?」

杏子「そこなんだよ、どうすっかなー」ハァ

さやか「あんたさえよけりゃ毎日うち来て入ってってもいいんだけどさ、ちょっと遠いでしょ?」

杏子「いや遠くはねえんだけどめんどくせえ」

さやか「そっちか」

杏子「んー……」

さやか「……」


 かぽーん


杏子「……あのさ」

さやか「ん?」

杏子「前々から気になってたんだけどさ、なんでさやかの家の風呂ってカポーンって音がすんの?」

さやか「しらない。つーかあたしもそれ疑問に思ってた」

杏子「探ってみる?」

さやか「めんどくさいからいいや」

杏子「それもそーか」

さやか「ん」


杏子「そろそろ頭洗うかな」

さやか「よーし、それじゃあ久しぶりにさやかちゃんが洗ってしんぜよう」

杏子「いいよ自分でやるからさ」

さやか「遠慮しないでいいって。さ、座って座って」

杏子「いやホントに、アンタに頼むとトリートメントまでされるしめんどくせえし」

さやか「えー、髪の毛くらいちゃんと手入れしなさいよ」

杏子「まだ若いから大丈夫なんだよ」

さやか「若い内から手入れしないとってまどかのママさんも言ってたよ?」

杏子「そんな髪の毛バサバサになるまで長生きできると思う?」

さやか「あー……」

杏子「だろ?」

さやか「いやいや、だからってその理屈は通らん!」

杏子「なんだよ」

さやか「あたしゃアンタの孫の顔を見るまで死なないってまどかと約束したんだ!」

杏子「他人の事勝手に巻き込んでんじゃねーよ!?」


さやか「~~♪」

杏子(結局洗われてるし……はーあ、めんどくせ)


 わしゃわしゃ


さやか「はい目ぇつぶってー」

杏子「ん」


 ざばー


さやか「おーし次」

杏子「もういいだろ?」

さやか「まだダメ! トリートメント塗ったら3分は放置しないと」

杏子「めんどくせええええ」

さやか「女の子は大変だんだよ?」

杏子「……鳥肌立った」ブルッ

さやか「ひでーやつだな」


杏子「もういーい?」

さやか「まだだよ」

杏子「なあ」

さやか「まだ」

杏子「……」

さやか「……」

杏子「……」

さやか「よしっ」

杏子「!」

さやか「流すよー、目閉じて」


 ざばー


杏子「ぷはぁー!」

さやか「うん、よく我慢できました」

杏子「全く酷い目にあったわ」

さやか「頭洗われるのそんなに嫌?」

杏子「嫌ってワケじゃねーけどさぁ……」

さやか「よし、それじゃあ今度からもう一種類追加ね」

杏子「げっ!?」

さやか「あはは、冗談だよ」

杏子「びびらせんなよ……」


さやか「ちなみにこれ、マミさんのオススメのやつ」

杏子「そういやどっかで嗅いだ匂いだと思ったらそれか」

さやか「髪の毛さらさらー、ふわふわーになるんだって!」

杏子「ふーん」

さやか「あははは、すっげー興味なさそう」

杏子「だって割とどうでもいい分類だし」

さやか「そんなんじゃいつまで経ってもモテないぞー?」

杏子「シャンプーの種類以上にどうでもいいわ」

さやか「またまたー」

杏子「うっせ、つつくな」

さやか「つかあんた肌ツヤツヤしてんなー。何使ってるの?」

杏子「魔力」

さやか「ああ、なるほど……」



 おしまい

もうひとつ。

「お月見」


さやか「月、まるいねー」

まどか「まんまるだねー」

マミ「満月なのね」

さやか「風流ですなぁ」

マミ「うちのベランダからこんな素敵な月が見られるとは思わなかったわ」

さやか「しかしまぁ、こう月を見ているとやっぱり欲しくなる物がありますよね?」

マミ「あら何のことかしら」

さやか「んもー、マミさんったらわかってるくせに!」

マミ「うふふ、残念。今日は用意してないのよ」

さやか「えええっ! そんなぁ」

まどか「なになにー?」

さやか「お月見といったらやっぱりお団子っしょ! ちぇー、楽しみにしてたのになー」

マミ「そうそう、お団子の用意はないけど――」


マミ「じゃーん」

さやか「なんすかそれ」

マミ「白玉粉よ。一緒に作ろうと思って待ってたの」

さやか「あたし白玉って作ったことないや」

マミ「あら、それならちょうどよかったわ。白玉作りってとっても楽しいのよ」

さやか「ふーん……?」

マミ「百聞は一見にしかず、とにかくやってみましょ?」

まどか「はーい!」


マミ「まずはよく手を洗って」

さやか「洗いました」

マミ「そしたらボウルに粉を入れます」

さやか「全部いっちゃっていいんですか?」

マミ「全部やっちゃっていいわよ」

さやか「はーい」


 ばさー


マミ「そうしたら、分量のお水をちょっとずつ加えながらこねます」

さやか「ふむふむ」

まどか「お水いれまーす」

さやか「ほいきた」


 こねこね


さやか「なんかずっげーツブツブしてるけど大丈夫なのこれ?」

マミ「そのうち馴染んで消えるから平気よ」

さやか「はーい」


 こねこね こねこね


さやか「あ、なんかまとまってきた感じ!」

まどか「そしたらもうちょっとかな?」

マミ「大体耳たぶの硬さになるまでお水を加えるのよ」

さやか「み、みみたぶ……耳たぶってどれくらい?」

まどか「もうちょっと柔らかめかな?」

さやか「ううむ、わからん」


 こねこね


さやか「まどか、みみたぶ触ってもいい?」

まどか「ん」


 ぷに


さやか「ふーむ……もうちょっとかな」


 こねこね


さやか「ごめん、もう一回いい?」

まどか「うん」

さやか「ありがと。意外と難しいな」

マミ「……くすっ」

まどか「ほえ?」

マミ「美樹さん、鹿目さんの耳に粉が付いてるわ」

さやか「え? ……あっ! ごめんまどか、あとでちゃんと拭くから!」

まどか「あはは、そんな慌てなくても大丈夫だよ」

マミ「ちょっとじっとしててね」ゴシゴシ

まどか「んー」

さやか「ほんとゴメンね」

まどか「いいんだよさやかちゃん、白玉作りではよくある事だから」

さやか「そ、そうなの……?」

まどか「うん! えへへ」

まどか(ほんとはあんまりないんだけどね)

マミ(あんまりないわよね)


さやか「できた! どうですこの耳たぶ!」

マミ「とっても上手よ、美樹さん」

さやか「へへー」

マミ「そしたら沸騰したお湯で茹でましょう。熱いから気をつけてね」

さやか「はい!」

マミ「まずは小指の先くらいの大きさの塊をとって」

マミ「こうして手のひらでまんまるに丸めます」

さやか「こ、こう?」コロコロ

マミ「そうそう、上手よ」

マミ「丸くなったら指の先でちょっとだけ真ん中を押しつぶして、お湯に入れます」


 ちゃぽん


マミ「お湯が跳ねるから気をつけてね」

まどか「そーっとだよ」

さやか「ほいほい。こういう作業は慣れてるから大丈夫!」

まどか「へぇ、何作ったの?」

さやか「イワシのつみれ」チャポン

マミ「随分渋いもの作ってるのね」


さやか「そして茹で上がった物がこちらになります」

まどか「おいしそー!」

さやか「何つけてたべよっかねぇ」

マミ「餡子も黒蜜もあるわよ」

さやか「おおお、さっすがぁ!」

まどか「もしかしてこれ手作りなんですか?」

マミ「ええ、昨夜茹でておいたの」

さやか「すげぇ、餡子手作りしてる人とかあたし初めて見た」

まどか「私もだよ」



 <ピンポーン


さやか「あ、誰か来た?」

マミ「きっと佐倉さん達ね。ちょっと開けてくるわ」


杏子「よう、待たせたな」

ほむら「頼まれた物、取ってきたわよ」

マミ「いらっしゃい! わざわざありがとう、大変だったでしょう?」

杏子「それほどでもねーよ。それより白玉、白玉!」


まどか「一袋分作ったのはこういう事だったんですね」

マミ「そ、せっかくなら大勢でお月見した方が楽しいじゃない?」

さやか「それもそうですね」

ほむら「マミ、これはどこに置けばいいの?」

マミ「こっちの花瓶にお願いしてもいいかしら」

ほむら「わかったわ」


 がさごそ


さやか「おおー!?」

まどか「すごい、ススキだ!」

ほむら「ふふ、立派でしょ? 杏子の家の庭に生えていたススキの一番いい所をとってきたのよ」

杏子「こいつすっげー厳選しやがってさ、それが一番時間食っちまった」

ほむら「あんな雑草だらけのをそのまま使えるわけ無いじゃないの」

マミ「うふふ、お疲れ様。今お茶を淹れるから座ってて」

まどか「私も手伝います!」

さやか「白玉何味で食べよっかなー」

杏子「やっぱまずは餡子からだろ!」

さやか「ひひひ、あんた餡子好きそうな顔してるもんね」

杏子「どういう意味だよそれ」

さやか「なんとなくだよ、なんとなく」


 ――――


まどか「はぁー……おいしかったぁ」

さやか「あたしおなかいっぱい。しあわせ」

マミ「そういえば、お月見って言いながら全然月を見て無かったわね」

さやか「ああそういわれてみればこれってお月見でしたね」

杏子「んじゃこれから見ればいいじゃん」

さやか「なんて安直な」


まどか「満月にススキに星空に……うん、とっても素敵」

ほむら「そうね……月が綺麗だわ」

まどか「えへへ、いつもより明るくて綺麗だねぇ」

マミ「夜空にぽっかりと浮かんでいるようでとても絵になるわね」

さやか「すっげーまんまるだねー」

杏子「まるいなー」

さやか「まるいねー」

杏子「ああまるいまるい……お茶うめぇー」ズズズ

さやか「やっぱ熱いお茶最高」ズズズ

マミ「あなた達……」

杏子「マミ、おかわりー」

さやか「あ、あたしも!」

マミ「全くもう。今お湯を沸かしてくるからちょっと待っててね」クス



おしまい

映画まであと一月!
本日もありがとうございました。

滑り込めてない。
乙や感想等々ありがとうございます!

「誕生日」


さやか「ハッピバースデー トゥー ユー」

ほむら「ハッピバースデー トゥー ユー」

仁美「ハッピバースデー、ディアまどかさーん」

マミ「ハッピーバースデー トゥー ユー♪」

さやか「ひゅーひゅー、イエーイ!」

杏子「おめでとー!」

まどか「えへへへっ。みんなありがとう!」

ほむら「誕生日おめでとう、まどか」

仁美「おめでとうございます」

マミ「おめでとう!」

まどか「ありがとう、本当に……ありがとう……!」グスッ

さやか「なーに泣いてんのさ。ほら早くろうそく消して」

まどか「泣いてないよぉ」

さやか「はいはい」ナデナデ

まどか「ううぅ」


さやか「はやくしないと蝋がケーキに垂れちゃうぞー」

まどか「あっ! そ、そうだよね! それじゃあいきます……すー、はーっ」

杏子「そういやさ」

まどか「ほえっ!?」ビクッ

ほむら「ちょっと杏子?」

杏子「あ、急にごめんな」

さやか「んで、そういえばどうしたの?」

杏子「いやちょっと思い出したんだけどさ。ケーキのろうそくを一息で消せると願い事が叶う、って迷信」

さやか「なにそれうさんくさっ」

杏子「だよなぁ。今となっちゃそう思うけど、小さいころは必死に消したもんだよ」

仁美「わたくしも聞いたことがありますわ。でも夢があって素敵だとは思いません?」

さやか「うーん……確かに夢と希望は溢れてるけど現実味がなぁ」

ほむら「願いが叶うなんて売り文句はいただけないわよね」

仁美「いいではありませんか、一年にたった一度の誕生日なのですもの」

マミ「そうね、とっても素敵だとは思うわ」

仁美「ですわよね!」

まどか「えっと、あの……」ドキドキ

仁美「まどかさんはどう思います?」

まどか「え?」


仁美「もしこのろうそくを吹き消せた事で何か1つだけ願い事が叶うとしたら、まどかさんは何を願いますか?」

まどか「願い事……」

さやか「ちょっ」

杏子「……」

マミ「……」


 シーン


仁美「あらっ……わ、わわわたくしもしかして何かNGな事を」アワワ

さやか「NGどころか下手したら世界が終わるよ!?」

仁美「ええええっ」

ほむら「まどか……」

まどか「ううん、大丈夫だよほむらちゃん」


まどか「そうだなー、もしも何か1つだけ願いが叶うとしたら、かぁ」

仁美「いえまどかさん、わたくし知らずとは言え無礼な事を……答えて下さらなくて結構ですから、なにとぞ」

まどか「えへへ、いいんだよ仁美ちゃん。だからそんなに慌てないで」

仁美「ですが……」

まどか「……うん、決めた」

ほむら「……」

まどか「もしも、もしもだけど。たった1つだけ願いが叶うとしたら――」

まどか「――とびっきりのご馳走と、最高のケーキを頼んじゃおうかな!」

ほむら「へ?」

まどか「それで、皆でパーティするの。ついでに皆が仲良くしてくれたら嬉しいかもなー、なんちゃって」

マミ「それって――!」

まどか「えへへ。マミさんは覚えてますか?」

マミ「忘れるわけないじゃない、というかそんな前のことなんで覚えてるの!? 鹿目さんったら、ああもう!」カァァ

さやか「え、なんかあったんすか?」

マミ「いいの忘れて! ああもう昔の私ったらなんて事を」


杏子「ま、そこそこ実現しやすそうだしいいんじゃない? 何よりアタシにも恩恵がありそうだし」

ほむら「そうと決まったら明日の夜もお祝いパーティを開かなくちゃいけないわね。メニューは何がいいかしら」

マミ「今日はクリームシチューがメインだし、少し重めにステーキなんてどうかしら」

ほむら「なるほど、だとしたら和牛ね……ここは奮発して良い物が欲しいわね」

まどか「わ、楽しみだなー!」

さやか「うんまあそれはそれでいいんだけどさ」

まどか「ほえ?」

さやか「そろそろケーキのろうそくが大変な事になってきてるんじゃないかなーって」

まどか「えっ? あ、あああああ!! 蝋が!」

杏子「おいやべぇぞ早く消せ!」

まどか「う、うん! すぅーっ」


まどか「ふぅーっ」

さやか「がんばれー!」

まどか「ふぅぅぅ」

マミ「あとちょっとよ、がんばって!」

まどか「ぅぅぅ」

ほむら「あと一本……!」

まどか「ぅ――!」

仁美「ほむらさん、扇風機は仕舞ってくださいます?」

まどか「――っ……はぁ、はぁ」

まどか「な、なんとか消えたかな……ふはぁ」


 パァン! パァン!


まどか「ひえっ」

さやか「おめでとー!!」

マミ「おめでとう!」

仁美「おめでとうございます!」

ほむら「おめでとう」

まどか「びっくりしたぁ……ありがとう!」

杏子「っしゃあ、これで明日も旨い飯が食える!」

まどか「あはは、杏子ちゃんったら」


ほむら「……」モジモジ

まどか「ほむらちゃん?」


ほむら『さやか、やはりこのタイミングかしら?』

さやか『だね。今を逃したらケーキを食べた後になっちゃうしいいと思うよ』

ほむら『じゃあ……出すわよ』

さやか『よろしく!』


ほむら「あの、まどきゃ!」

まどか「!?」

ほむら(噛んだぁぁ!)

仁美(噛みましたわね)

さやか(ドンマイ)

まどか「ほむらちゃん大丈夫!?」

ほむら「心配には及ばないわ……」プルプル


ほむら「それでね、あの、その、えっと」

まどか「うん、うん、大丈夫だからゆっくり落ち着いて話そう?」

ほむら「ご、ごごごめんなさい私ったら」

まどか「大丈夫だよ、ちょっと深呼吸しよっか」

ほむら「すうー、はあー」

まどか「落ち着いた?」

ほむら「だいぶ……ちょっともう一回」

まどか「うん、もう一回深呼吸しようね。焦らなくて大丈夫だよ」

ほむら「すうー、はあー……」

まどか「よしよし」ナデナデ

ほむら「……うん。まどか!」

まどか「なにかなほむらちゃん?」

ほむら「誕生日おめでとう! それで、こ、これ誕生日ぷぷぷプレゼント、受け取ってもらえるかしら!」

まどか「……軍用通信機?」

さやか「落ち着けほむら、それは違うやつだ」

ほむら「ああああ! ごめんなさいごめんなさい!」


まどか「わぁ可愛いラッピング!」

ほむら「ゆうべ一晩かけて包んだの」

まどか「そんなに……ありがとねほむらちゃん」

ほむら「礼には及ばないわ! 私がしたくてやった事だから!」

さやか「まどか、はやくあけてみてよ」

まどか「うん!」

マミ「気に入ってくれるといいんだけど」

まどか「ええと、このリボンがこうなってて……あれ? こっち?」

さやか「ああもうじれったいなぁ。ガバッとやっちゃいなよ!」

まどか「ダメだよ、せっかく綺麗に包んでくれたんだから」

ほむら「あわわわ」


まどか「うん、綺麗にとれた」

ほむら「ごめんねまどか、あなたの手を煩わせてしまったみたいで」

まどか「えへへ、謝ることじゃないよ。それにしても可愛いリボンだなぁ、とっておこっと」

さやか「ねえねえはやくはやく!」

まどか「はいはい、それじゃああけてみるね」

ほむら「……!!」ドキドキドキ


 かぱ


まどか「え……えっ、すごい、なにこれすごい!!」

まどか「フリフリなピンクのワンピースだ! わぁああ、すっごく可愛い……!」

さやか「あとね、その下にブラウスも入ってるよ」

まどか「え? うわぁこっちも可愛いー!! あはははっ、すごいすごい!」

さやか「ちなみに、それとあわせてクリスマスにほむらがあげたネックレスを着けるとまどかが思い描いた感じのファンタジーな装いになるんだってさ」

まどか「え? ……わ、わ、わ、ほんとだ! 怖いくらいぴったりだよ! 可愛いなぁー!」

マミ「皆で3週間かけて選んだのよね」

杏子「大変だったなぁ、そいつを探し出すのは」

仁美「何度もデパートに通いつめましたね」

さやか「その度に買い食いしてたから財布と体重がピンチだわー」

仁美「それは自業自得です」

さやか「うっ」


まどか「皆ありがとう。私今とっても幸せ、というよりも幸せすぎて困っちゃうくらいだよ」


 にこっ


さやか「あはは、そりゃよかった」

ほむら「……っ! ひっく……えぐ、ふえぇ」

まどか「え!?」

さやか「ちょっとなんであんたが泣いてるの!?」

ほむら「まどか、まどかぁ……私、今こうしてあなたの笑顔を見られて」

ほむら「ほんとうに……本当に……うぅぅぅぅ」

マミ「あらあら」

ほむら「嬉しい……嬉しいよ……あぁどうしよう、涙が止まらないわ」ポロポロ

まどか「ほむらちゃん……ありがとう」ギュッ

ほむら「まどかぁ……」


まどか「落ち着いた?」

ほむら「ええ、もう大丈夫。取り乱してしまってごめんなさい」

まどか「えへへ、そんな事気にしないで」

さやか「それじゃ、改めてパーティと行きましょうか!」

杏子「そうだな、ケーキ食うか!」

マミ「紅茶の用意はバッチリよ」

さやか「じゃあ1番美樹さやか、切りまーす」

杏子「切り口はしっかり観察させてもらうからな」ニヤリ

さやか「ほえっ!?」

杏子「あんだけ色々練習したんだから前より綺麗に切れるようになってるだろ?」

さやか「ええええ!? いや今は仁美とかいるし、ね?」

杏子「それも踏まえての実践だよ」

さやか「マジかよ……」

仁美「どうかされましたか?」

さやか「いやなんでもないから気にしないで!」


マミ「ちなみにこれ、中心がミルフィーユになってるから切りにくいわよー?」

さやか「ちょっとマミさんまで鬼畜すぎません!?」

マミ「うふふ」

まどか「さやかちゃんがんばってー!」

さやか「ああんもう……どうにもなれだ!」


 しゃきん!


仁美「あら、今心なしか包丁が少し伸びたような」

さやか「気のせい!!」

仁美「うーん?」

さやか「よっしゃあ、切るぞー!」

ほむら「ちなみに今回は6等分よ」

さやか「ろっ!?」


 ざくっ


まどか「こ、これは……」

マミ「見事な7等分ね。逆に凄いわ……」

さやか「ちょっとあんた急に言うのやめてよ!」

ほむら「ごめんなさい、どうしても注意しておかないとと思って」

ほむら「だけどどっちにしろ中途半端な数だから注意はいらなかったわね」

さやか「ぐぬぬぬ」

まどか「……ぷっ」

仁美「ふふ、ふふふふっ」

さやか「ちょっと笑わないでよぉ」

まどか「だけど、さやかちゃん凄い顔して……あははは」

杏子「くくく」

さやか「杏子まで!」

仁美「7等分って、一体どうやったら……ふふ、ふふふふっ」

杏子「だよな、普通割り切れないよな!」

仁美「光る才能を感じますわ」


さやか「そ、そう? あたし才能ある?」

杏子「あるある、絶対ある!」

さやか「やっぱりー? 常々思ってたんだよねぇ」

杏子「中途半端な数に等分する才能がな」

さやか「ちょっと杏子ぉ!」

マミ「うふふふ」

まどか「あははっ……ははは、あはははは!」

さやか「ちょっとまどか、そんなに笑うなんて酷くない?」

まどか「だけど、顔に、顔にチョコついてて、それがなんとか麿の眉毛みたいで……あははは!」

さやか「えっ?」

マミ「あら本当。切ったとき手に付いちゃってそれで顔を触ったのね」

杏子「うお、マジで眉毛みてぇ!」

ほむら「に、似合ってるわよ。ふふふ」

さやか「~~~~っ!!」ゴシゴシ

まどか「あははっ、ああもう……さやかちゃんが可愛すぎて息ができない」

さやか「ううぅ///」



おしまい


「お弁当」


 昼休み、屋上にて


さやか「お昼だー!」

まどか「ご飯だー!」

さやか「今日のあたしは焼きそば弁当、見たまえこの天才的な弁当を!」


 ぱかっ


仁美「ひえっ」

まどか「なにこれ!?」

ほむら「半分焼きそば、半分ご飯ってあなた……全体的に茶色くて食欲が……」

さやか「焼きそばパンってあるじゃん? あれをごはんでやったら美味しいかなって閃いちゃったんだよね」

ほむら「それとこれとは違うと思うのだけれど」

さやか「大体一緒じゃん」

まどか「全然違うよ!」

仁美「わたくしも違うと思います」

さやか「えー」


ほむら「あのね、もっと野菜を摂らないとダメよ」

さやか「そういうあんたの弁当は緑色すぎんのよ」

ほむら「……だって、昔カロリーメイトばかり食べてたら怒られたから」

さやか「誰に?」

ほむら「あなたに」

さやか「え、そうだっけ」

ほむら「あなた自身は全く覚えてないかもしれないけどね」

さやか「ふーん……? ま、あたしってば記憶力が無いことに関しては自信あるからね!」

ほむら「……バカね」フッ

さやか「うお、鼻で笑われた」


まどか「そういえば仁美ちゃんとマミさん達っていつの間知り合ってたの?」

仁美「ええと、最初にお会いしたのは一月ほど前の駅前でしたかしら」

さやか「そうそう、ほむらと仁美とあたしの三人で例のプレゼントを探しに行った時偶然会ってさ」

仁美「それでプレゼントの事を話したら一緒に探してくださることになりまして。噂には聞いていましたが、実際会ってみると思っていた以上に優しくて素敵な方で驚きました」

まどか「えへへ、マミさんいい人でしょ?」

仁美「ええ、とっても」

さやか「まあ結局その日はしっくり来る物がなかったから普通にお茶して帰ったんだけどね」

ほむら「あの喫茶店のケーキは中々だったわね。今度はまどかと一緒に行きたいわ」

まどか「わー、いくいくー!」

さやか「じゃあさ、4人で放課後行かない?」

仁美「わたくし今日は習い事があるので……」


まどか「明日は?」

仁美「明日はまた別の習い事が……しくしく」

さやか「あんたも大変だねぇ」

仁美「全く、親の都合ばかり押し付けて! わたくしももっと皆さんと遊んだりしたいのに」

ほむら「親としては娘に教養を身につけて欲しくてやっているのでしょうけれど、本人はたまったものじゃないわね」

仁美「わかってはいるつもりですが、時々無性にサボってしまいたくなりますわ」

まどか「ほええ……」

さやか「隙あり!」ヒョイ

ほむら「あっ!? 私のたこさんウィンナー!!」


さやか「うまうま」

ほむら「……」


 ずーん


さやか「……ご、ごめん」

ほむら「……別にいいわ。もう1つあるから……」

さやか「焼きそば、食べる?」

ほむら「……いらないわ」


まどか(さ、さやかちゃん……)ヒソヒソ

さやか(どうしようまどか、マジ凹みしちゃった)ヒソ

仁美(今のはどう考えてもさやかさんが悪いですわね)

さやか(うへぇぇ……やっちまった)


さやか「……あっ、あたし! 飲み物買ってくるね!」ガタッ

まどか「ほえっ!?」

まどか(逃げるの!?)

さやか「ねぇ、ほむらはなんか飲む?」

ほむら「麦茶があるからいいわ」

さやか「そうきたか」


ほむら「……」

仁美「……」

まどか「あわわ」

さやか「……ほむら!」

ほむら「何」

さやか「ごめん、本当にごめん! 明日あたしたこさんウィンナーたくさん作ってくるから、あの、ホントにすいませんでした!!」


 がばあッ


ほむら「……私ね、今朝早起きしてたこさん作ったんだ」

さやか「はい」

ほむら「まどかと1つずつ食べようと思ってまず2つ作ったの」

さやか「はい」

ほむら「だけどどうしても足がうまく作れなくて、結局5個も作ったのよ」

さやか「はあ」

ほむら「……頑張ったんだけどなぁ」

さやか「……ゴメンナサイ……」


ほむら「……」

ほむら「……なんてね」

さやか「は」

ほむら「軽い冗談よ。たこウィンナーなんて簡単に作れるに決まってるじゃない」

さやか「は?」

さやか「はああああ!?」

ほむら「二人とも緊張させちゃって悪かったわね」

仁美「全くもう、息が詰まる思いでしたわ!」

ほむら「ごめんなさい。でもこの子には一度わからせないとと思って」クス

さやか「ちょ、わからせないとってあんた」

まどか「はぁぁ、よかったぁ……もう心臓ドキドキだよぉ」

ほむら「心配かけてごめんね、まどか」


まどか「だけどほむらちゃんもそういう冗談が言えるようになったんだねぇ」

ほむら「まどかと一緒に食べようと思ったのは本当だけどね」

ほむら「でも明日さやかがたくさん作ってきてくれるみたいだから期待していましょう」

まどか「わーい!」

さやか「えっ、なにそれ」

ほむら「さっき自分で言ったじゃない。それとももう忘れてしまったのかしら」

さやか「いやでもそれは――」

まどか「楽しみだなー、さやかちゃんのたこさんウィンナー!」

仁美「きっと黒ゴマで目も付けてきてくださるんですよね」

ほむら「あらそれは楽しみね」

さやか「ちょ、ちょっと待ってよ!」

まどか「さやかちゃんさやかちゃん」

さやか「う、うん?」

まどか「楽しみにしてるからね!」

さやか「まどかぁー!?」



おしまい

本日は以上です。
いつもありがとうございます!

乙ありがとうございます!

「切欠」


 ――――

 ――4年前 身滝原市、上条宅



さやか「――でさ、そのまどかって子がもうめっちゃ可愛くて!」


上条「へぇ、さやかがそんなに入れ込むなんて珍しいね」

さやか「そうかなぁ?」

上条「うん。僕のイメージだと、さやかはもう少し浅く広くって感じだったから」

さやか「それって良いイメージなの?」

上条「よくも悪くもさやかっぽいって事じゃないかな」

さやか「ふーん……?」

上条「ところでなんだけど」

さやか「うん?」

上条「そろそろ練習を再開してもいいかな? 曲のイメージをかためておきたいんだ」

さやか「あっ、ごめんね邪魔しちゃって!」

上条「別にそんなに気にしなくても大丈夫だよ」

さやか「う、うん……ありがと」


 ――~~♪


上条「~~♪ ――~~♪」

さやか「……」


 ~~♪


さやか(やっぱ恭介は凄いなぁ……あたしなんて全然かなわないや)

さやか(いい音色……練習を重ねるごとに上手になるのがあたしでもわかるくらい……)

さやか(…………あたし、こんな凄い子と幼馴染でいいのかな)

さやか(やっぱりあたしも何か1つぐらい芸を磨いておかなきゃいけないような気がする)

さやか(恭介がバイオリンならあたしはピアノとかかなぁ。いやそれとも全然別の方向で攻めた方がいいのかな、こういうのって)

さやか(わかんないなー……ぜんっぜん思いつかない)

さやか「はーぁ……」


恭介「♪~~……? あぁ、ごめん退屈にさせちゃったかな」

さやか「え? あっああいや違う違う! 関係ないから気にしないで」

恭介「つまり僕は君に全然関係ないことを考えさせてしまうような演奏をしていた訳だ」

さやか「えっ、あっ、その」

恭介「うーん、やっぱり人の心を掴むのは難しいな……やっぱり音に対する解釈が浅いかぁ」

さやか「じゃなくって!」

恭介「うん?」

さやか「あたし、こうして座って聴いてるしかできないじゃん。それがなんか申し訳ないなーなんて」

さやか「ピアノが弾けたら合わせの練習とかもできたんだろうけど、あたし音符なんて読むので精一杯だし……」

さやか「練習の手伝いもさ、なんだかんだ言って結局楽譜を探すとか椅子を運ぶとか、まあそれくらいじゃん」

さやか「さっき言ってたカイシャクってやつも全然わかんないし。あたしなりに何かできることがないか考えたんだけど――」

恭介「だけど?」

さやか「なんも思いつかなかった」ガクッ

恭介「あはは」


恭介「僕としては聴いてくれる人が居てくれるだけでも嬉しいんだけどね」

さやか「それだけじゃあたしの気が済まないの!」

恭介「ふうん?」

さやか「例えばさ、おいしいお菓子が作れたら差し入れとかできるわけじゃん!」

恭介「そうかもしれないね」

さやか「だけどあたし掃除とかすら苦手だし、さっきみたいに楽譜整理する時も難しい英語だと読めないし……」

恭介「ああ、あれは英語じゃなくてラテン語だったから仕方がないよ」

さやか「ラテン語?」

恭介「ヨーロッパの古い言葉なんだって」

さやか「ふぅん……?」

恭介「僕だってタイトルを読む程度しかできないんだから、さやかじゃ読めなくて当たり前だよ」

さやか「なんだよそれー!」


恭介「それじゃあさやかもバイオリンを弾いてみるかい?」

さやか「えっ、いいの!?」

恭介「もちろんさ。うまく教えられる自信はないし、教えられても基礎程度だけど」

さやか「だけど、それじゃあ恭介の練習時間が……」

恭介「基礎の反復自体は毎日やっているから平気さ」

さやか「基礎の反復?」

恭介「音階だとか、どうやって音を繋ぐのかとか、いつも最初にやってるやつだよ」

さやか「ああ、あれね」

恭介「だからその部分だけでいいなら。一緒にどうだい?」

さやか「やるやる、やってみたい!」

恭介「それじゃあまずはバイオリンの持ち方からだね。ちょっとこっちに来て」

さやか「ん!」


恭介「ここに座って」

さやか「はい」

恭介「背筋を伸ばして」

さやか「こうですか」

恭介「もうちょっと全体をリラックスさせて」

さやか「はい」

恭介「うーん、硬いな……息を吸ってー」

さやか「すー」

恭介「はいてー」

さやか「ふー」

恭介「吸ってー」

さやか「すー」

恭介「吸ってー」

さやか「すぅぅぅ」

恭介「吸ってー」

さやか「す――っ、ぶはっ! ゲホッゲホッ」

さやか「なにやらすんじゃい恭介のばか!」

恭介「ごめんごめん、ついうっかり」

さやか「うっかりじゃないよ、全くこれだから男子は……」

恭介「あれ、さやかは男子じゃなかったっけ?」

さやか「違うわい!」

恭介「おかしいなぁ」


恭介「それじゃあ改めて」

さやか「今度は真面目にやってよね」

恭介「はいはい。それじゃ、まずは弓を持ってみようか」

恭介「こう持って、こう。僕と同じ手の形が作れる?」

さやか「んー……こう?」

恭介「そうそう、上手だね」

さやか「まぁね、このさやかちゃんですからこれくらい朝飯前だよ!」

恭介「よし。それじゃあ和音を出してみようか」

さやか「!?」

恭介「冗談だよ」

さやか「冗談キツイっすよ……」

恭介「それじゃあ弓は持てた事だし今度は構え方だね」

さやか「うん!」


さやか「こう?」

恭介「もうちょっと顎を引いて」

さやか「……こう?」

恭介「そうそう。流石だね」

さやか「へへっ」

恭介「そうしたら指でこことここを押さえて――」

さやか「ん――ほわっ!?」


 ――~~♪


恭介「こう弾くと、ほらドの音だ。わかった?」

さやか「う、あ、えっと、うん?」


さやか(後ろから、急に、あいつの手が、あたしの手と重なって、すぅーって音が鳴って)

さやか(なんだこれ……なんだこれ!?)


恭介「うーん、やっぱり僕の感覚だけじゃ難しかったかな……もう一回やってみよう」

さやか「~~~~っ!」

さやか「いやわかった、十分わかったから大丈夫!!」

恭介「そうかい? それじゃあ次の音を出してみようか」

さやか「あい!」


 ――

 ――――現在、見滝原。バーガーショップ


さやか「――なーんて事があった訳さ!」

まどか「ほええ……なんかロマンチックかも」

ほむら「昔からそんな気障で鈍感だったのね」

仁美「ぐぬぬぬ」

さやか「おっと仁美さーん、もしかして嫉妬してらっしゃる?」

仁美「いいえ、何のことだかさっぱり! ですわ!」

さやか「ふふーん」

さやか「んでまぁそれからしばらくあいつと基礎練習してた訳だけど、いやぁ~、あいつの手って繊細そうな見た目のクセして、実は関節とか筋肉とかすごいのなんの!」

さやか「指の皮は弦を押さえるので分厚いし、だけど力加減は失ってないってやつ?」

さやか「実際触れてみて初めてわかるってゆーか、感じる……っていうのかな?」


 ふふんっ


仁美「あぁぁぁああ!!」

まどか「仁美ちゃん落ち着いて!」

ほむら「無意味ね」


仁美「そ、そこまでされてもご自身の感情にすら気づけないとはなんと鈍感な!」

さやか「うっ」

ほむら「まあそれはそう思うわよね」

まどか「なんていうか、少女漫画でありそうなパターンだよね」

仁美「しかもそのレッスンは途中でやめてしまったのですよね?」

さやか「ああまあ、うん。そうなるかな」

仁美「かわいそうな上条君……暇つぶしに練習に付き合わされて、あげくには無理だからとすぐにポイ! ああおいたわしや」

さやか「いやそれにはちょっと事情がありまして……」

仁美「ほう?」


さやか「あたし、ヘマしちゃって練習用のバイオリン一個壊しちゃったんだよね」

さやか「んでそうしたらまあお金絡みやらなにやらが色々あるじゃん?」

さやか「そこから練習も親にバレて、うちの父親が "上条君の貴重な時間を削るなんてなんちゅーことを!" って。まあ当然といえば当然なんだけどさ」

まどか「あ、そういえばなんか聞き覚えがあるかも」

さやか「まどかには話したかもしんないね」

ほむら「親に黙ってやっていたの?」

さやか「うん。偶然いつも親が家に居ない時間帯にやってたから、なんとなくそうなっちゃったんだよね」

仁美「わかりますわ。二人きりの秘め事とはなんとも甘美な響きではありませんか!」

さやか「でしょー?」

仁美「でもそれとこれとは話が違いますッ!!」

さやか「えぇー……」


仁美「そもそも他人様の物を壊すとは何事ですか!? ましてやバイオリン、上条君のバイオリンですのよ!」

さやか「うぅぅ……もう反省してるんだからそんな言わないでよ……」

ほむら「ところで何故壊してしまったの?」

さやか「それがさぁ、練習を始めようとした時恭介が何かに躓いて転びそうになっちゃってさ」

さやか「とっさに受け止めたのはいいものの、偶然楽器があたしのお尻の下になっちゃってバキボキーっと……」

仁美「あらっ……」

さやか「いやあ、あの時の尻の痛さは忘れないよ。うん」

まどか「トゲが刺さらなくてよかったねぇ」

さやか「まったくだ、あっはっはっは」

さやか「ははは、はぁあ……」

仁美「はぁぁぁ……全くあの方は……」

まどか「ふ、二人ともどうしたの?」

さやか「ねぇ、仁美……」

仁美「はい……」

さやか「なんであいつはいつまで経っても返事をくれないんだろうね……」

仁美「そうですわね……あの鈍感っぷりからすると今年の冬はあきらめた方が良いのでしょうか……」


さやか「あたしゃ悲しいよ。あんなに盛りだくさんなイベントをこなして、幼馴染で、王道展開を全力で駆け抜けてきたってのになんなのよもー!」

仁美「わたくしだって実はひっそりと合同コンサートや晩餐会等で何度か一緒になっていますし、少しくらいポイントを稼いでいると思っていたのですが」

さやか「あー、やっぱり?」

仁美「ごめんなさい。黙っているのもどうかとは思いましたが、やはりそこは幼馴染というアドバンテージには対抗するべきだと思いましたので申し上げてはおりませんでしたの」

さやか「いやなんとなく気づいてたから大丈夫」

仁美「うふふ、流石ですわね」

さやか「えっへっへっへー」ヘラヘラ

仁美「うふふふっ」


まどか「どうしようほむらちゃん、二人とも壊れちゃったよ」

ほむら「放っておきなさい、そのうち勝手に再起動するわ」


さやか「……」

仁美「……」

さやか「あー」

仁美「?」


さやか「あたしあれ食べたい。ミ○ドの新しいやつ」

仁美「期間限定の」

さやか「そう、期間限定の。10種類くらいあったっけ」

仁美「……行きますか」ガタッ

さやか「うん。なんか無性に腹が立ってきた」ガタッ


ほむら「ね?」

まどか「あははは、いつもどおりだね……」


さやか「まどかー、ほむらー。置ーいてくぞー」

まどか「はいはい、あんまり食べ過ぎないようにね」

仁美「軍資金は十分ありますのでご心配なく」

ほむら「そっちじゃないわよ」



おしまい

叛逆まであとちょっとだよさやかちゃん!
ではまた近いうちに。

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