エルヴィン「私はJR北海道社長エルヴィン・スミス」
エルヴィン「JR北海道の経営方針を政府に託された立場にある」
エルヴィン「所属JR社を選択する本日、私が諸君に話すのはやはりJR北海道の勧誘に他ならない」
誰もいなくても続ける
エルヴィン「しかし近年のJR北海道のトラブルにより諸君らは現役社員並みの経験を強いられた」
エルヴィン「かつて例が無いだろう。研修生でありながらこれ程苦情を経験したことは」
アルミン「(おかげさまでね)」
エルヴィン「既に脱線の恐怖も…己の接客力の限界も知ってしまったことだろう」
アルミン「(誰のせいだよ)」
エルヴィン「しかしだ」
エルヴィン「今回の一連のトラブルで失った物が大きいが、これまでにない程JR北海道は復活へと前進した」
エルヴィン「それは周知の通り」
エルヴィン「キハ261系1000番代の存在だ。彼と諸君らの活躍で車両不足の問題は一部阻止され」
アルミン「(むしろ一番深刻な気が)」
エルヴィン「我々はJR北海道再生のヒントに辿り着く術を獲得した」
アルミン「(嘘つけ…)」
エルヴィン「キハ261系1000番代に関してはまだここで話せることは少ない」
アルミン「(皆知っているけど )」
エルヴィン「だが間違いなく次世代の主力車両であり命懸けの働きでそれを証明している」
アルミン「(燃やすつもりかよ)」
エルヴィン「そして彼の生家がある苗穂の車両工場には」
エルヴィン「社員も知らないJR北海道再生のヒントがあるとされている」
アルミン「(まだ4月じゃないですよ)」
エルヴィン「我々はそれに辿り着きさえすれば、この25年に亘る経営安定基金の支配から脱却できる手掛かりを掴めるだろう」
ライナー「苗穂だと…」
アルミン「…」
アルミン「(いくら社員を集めたいからってその情報まで公にするなんて…)」
新人「もうそんな段階まで来てるのか…」
新人「JR北海道再生のヒントがわかればこの状況も…!!」
ザワザワ
エルヴィン「…」
アルミン「(イヤ…何か意図があるんじゃ)」
アルミン「(社長は一体…)」
アルミン「何を見ようとしているんだ?」
ミカサ「え?」
エルヴィン「ただ…」
エルヴィン「JR北海道の再生を一つ一つじっくりやるには車両不足の完全な解消が必須になる」
エルヴィン「つまり目標はこれまで通りだが、キハ183系の大半が使えなくなった今、リゾート車両を使用するしかなくなった」
エルヴィン「長年かけて築いたJR北海道の信頼もすべてが泡となった」
アルミン「(自滅でしょ)」
エルヴィン「この4年間でJR北海道の11両が廃車された」
エルヴィン「4年で11両だ」
アルミン「(半分は自己責任でしょ)」
エルヴィン「少なく見積もっても我々が再びJR北海道の信頼を取り戻すには」
エルヴィン「その5倍の廃車と20年の歳月が必要になる…現実的でない数字だ」
アルミン「(どっからその数字が出るんだ…)」
エルヴィン「JR北海道は常に人材を求めている」
エルヴィン「毎回多数の退職者が出ることによって慢性的に人手不足だ」
アルミン「(むしろ無能な人材の溜まり場になりつつある状況だと思えるけど)」
エルヴィン「隠したりはしない」
エルヴィン「今期の新人社員も一月後の合同会議に参加してもらう」
エルヴィン「早急に代替車両が必要なのだ」
アルミン「(新人が会議に出ることと代替車両の関連性がわからない)」
エルヴィン「新人が最初の研修で退職する確率は5割といったところか…」
アルミン「(失望するのかな)」
エルヴィン「それを越えた者が志の高い優秀な社員へとなってゆく」
エルヴィン「この惨状を知った上で自分のプライドを賭してもやるという者はこの場に残ってくれ」
エルヴィン「もう一度言う…JR北海道に入るためにこの場に残る者は近々殆どプライドが死ぬだろう」
アルミン「(嫌な話だな)」
エルヴィン「自分に聞いてみてくれJR北海道のためにプライドと捧げることができるのかを」
エルヴィン「以上だ」
エルヴィン「他のJR社の志願者は解散したまえ」
社員「社長、必要以上に脅しすぎではありませんか?残る者はかなり絞られるはずです」
ザッザッザッ
ジャン「(クソ…頼むぞお願いだ…頼むからこれ以上自分のことを嫌いにさせないでくれ)」
サシャ「(今…ここから動かないと…また…)」
コニー「(そうだ…俺は元々…JR東海社員になるために村を出たんだ)」
コニー「…母ちゃん喜ぶぞ…JR東海社員になったら…村の皆も俺を見直す」
ジャン「(俺たちはもう知ってる…もう見ちまった…列車がどうやって炎上するのか…)」
これからの惨状を想像中~
…
エルヴィン「君たちは死ねと言われたら死ねるのか?」
「…」
エルヴィン「どうなんだ?」
社員「社長、誰もいませんよ…」
終わり
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