京太郎「麻雀部か……」(314)

・京太郎が主人公。京太郎が空気で構わんという方はブラウザバック推奨。

・更新は亀。ちょこちょこ書き溜めたら投下していきます。

・主人公運用なので話の展開上、女の子との絡みも多い。

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第1局 入部




 春の陽気うららかな四月。

 長野に多数存在する高校の一つ、清澄高校の校舎と校門を繋ぐ道。

 程良い日差しに照らされたその道を、下校中の生徒に混じって金髪の少年が歩いていた。

 平均よりも背は高め、整っている部類に入るだろう顔立ちは、自前のものである金髪のせいか少し軽い印象を与える。


「ふ……わ、ぁ――――思ったよりも暇だな、高校って」


 今年四月、晴れて高校生となった須賀京太郎を待っていたのは、なんとも説明のしにくい退屈さであった。


「今年から俺も高校生。中学の時にできなかった学生らしい青春を謳歌してやるぜー、って決意してたんだけどな……」


 やはり待っているだけでは、心躍るイベントというのは起きないのだろう。



「つってもなー……」


 何をすればいいのやら。

 頭に手を当てて唸ってみても、いいアイデアは浮かばない。


「空手部に入ってー! 俺たちと一緒に全国を目指さないかー!?」

「女の子にモテたいなら、やっぱりサッカー! 初心者でも大歓迎~!」

「文化祭には自分たちで本を作って販売したりしま~す! お話を考えたり、本を読むのが好きな人は是非文芸部に!」


 まだバーーーローー年生が入学したての時期。

 放課後は至る場所で部活の勧誘が続けられていた。


「手始めに部活でも始めてみるかー?」


 学生+青春=部活動と、お粗末な式ではあるが、チョイスとして間違ってはいないはずだ。


 ではどの部に入ろうか。


「……ダーメだ、なーんも思いつかねえ」


 運動部に入って汗を流したい気分ではないし、かといって文芸部に入って読書に勤しみたいわけでもない。


「本も嫌いじゃねえけど、咲みたいに年がら年中読んでたいってほどでもないし……」


 咲、と呼んだ中学からの知り合いである女友達がいれば、一人で考えるよりもマシなアイデアの一つも授けてくれそうなのだが、「今日は楽しみにしていたほんの発売日だから!」と言い残して終業のチャイムと共にドロンしている。


「あー、なんかねーかなー面白いこと!」


 ほんのひとつまみでいいから、日常にピリリとした刺激が欲しい。

 漫画の読みすぎだろ、と自分にツッコミを入れたくなるぼやきを叫んでみるが、それで何か行動を起こす気になることもなく。


「…………帰るか」



 ほんの少し負け犬になったほろ苦さを感じながら、おとなしく帰宅部に入部届けを出そうとする京太郎だった――――が。


「おい、そこの金髪!」

「…………俺ぇ?」


 自分を指差しながら振り返った先にいたのは、貧乳・低身長・童顔・ツーサイドアップの髪型と、その手の趣味を持つ者には垂涎ものの少女であった。


「お前以外にそんな派手な髪の毛した奴はいないじぇ!」

「派手で悪かったな。地毛なんだからほっとけよ……」


 全体的にチンマリした少女に進行方向を塞がれて、渋々足を止める。


「で、何か用?」

「フッフッフ、聞いたじぇ。お前、さっき面白いことないかなー、って言ってたな!」

「人の独り言聞いてんなよ……」

「ちっちぇーことに拘ってたら大物になれないじぇ!」

「ちっちぇーのはお前だし。別に大物になりたくもねーし」

「あっ、待て、ちょっと待て!」

「だーかーらーなんだよ、俺もう家に帰るんだよ」


 相手をするのも面倒になって、脇を通り抜けようとした京太郎の学制服の裾を慌てて少女が掴んだ。



「ひ、人の話はちゃんと最後まで聞けって親に教えられなかったのか!?」

「おもちがCカップ以下の女の子は相手にすんなっていうのが、祖父ちゃんの遺言だったんだよ……」


 少女の抗議に沈痛の面もちで返す。

 ギョッとして、握りしめていた学制服の裾を少女が離して頭を下げる。


「そ、そうなのか……悪かった、そんな事情があるなんて私、知らなくて――」

「もちろん嘘だけどな」

「オイ!?」

「まあ、個人的に相手するならおもちがC以上の子がいいっていうのは本当だけどな」

「お、女の子をおもちの大きさで差別しちゃいけないんだぞ!?」

「ハイハイ、そうですねそれじゃさようなら」

「だーかーらー、私を無視して帰ろうとすんなー!」

「ちょっ、ひっつくなよ暑苦しいっ!」



 実にしつこい。

 逃がしはしないと、胴に腕を回して体を拘束してくる少女が鬱陶しくて、つい声を荒げてしまう。


「いきなり出てきてなんなんだよっ! つーか誰だよお前、いい加減なんの用かぐらい教えてくんねえ!?」

「お、お前が帰ろうとしなきゃ、こんなことしないじぇ……!」

「……わーったよ、話は聞いてやるから」


 ここで意地になっても仕方がない。

 根負けして話を聞く姿勢を取った京太郎に、ようやく少女が拘束を解いた。


「まったく、誰かさんのせいで本題に入るのが遅くなったじぇ」

「はいはい、悪うございました」

「むー、退屈そうにしてたから声かけてやったのに……まあいいか」


 コホン、と咳払いを一つ。


「先に自己紹介しとくな。私は片岡優希! 優希ちゃんって呼んでくれて構わないじぇ!」


「優希ね。俺は須賀京太郎……一年生」

「おお、奇遇だな私も一年だ!」

「タメかよ……まあ、間違っても先輩ではないって思ってたけどさ」


 とても同い年とは思えないこじんまりした少女――優希を見下ろして嘆息。

 容姿そのものは十分可愛いと言っていいものだが、とにかく小さい。

 その手の趣味嗜好を持っている者にはたまらないのだろうが、出るところが出て、引っ込むところが引っ込んだ異性がタイプの京太郎からすると、優希は物足りないことこの上なかった。


「むー、なんかすっごく屈辱的なこと考えられてる気がするけど、ひとまずそれは置いとくじょ」

「おぉ、そうしとけ」

「そうしとくじぇ!」


 早くお家に帰りたい。

 空を見上げて夕食のメニューは何か考え始めた京太郎に、優希がズズイと身を寄せて提案してきた。



「それでな京太郎、ここで会ったのも何かの縁! これからウチの部見に来ないか!?」

「……はい?」

「よーし、いい返事だ! さあ、そうと決まれば善は急げ!! さっそく部室に行こうだじぇ!!」

「ちょっ、さっきのは返事じゃね……つか引っ張んなっ、こ、こける……!」

「タイムイズマネーだからなっ! ほら、ちゃきちゃき走れ!」

「だーっ! なんなんだよ一体……!?」


 話なんて聞こうとせずに、徹底的に無視して帰ればよかった。

 改めて後悔しながら校舎を走らされ、階段を上らされる。

 そうしてたどり着いたのが、旧校舎の一番上――屋根裏に位置する部屋の入り口。


「着いたじぇ!」

「ここって……」


 年季の入った、というには劣化の目立つ木製の扉を指さして質問する。


「こんな辺鄙な場所で何やってんの、お前?」

「フフフ、それは部室に入ってからのお楽しみ――」

「ふんふむ、麻雀部……」

「ちょっ」



 変に勿体ぶる優希を無視して、扉横に張り付けられたプレートの文字を読み上げる。


「へー、清澄にも麻雀部ってあったんだ」


 何がどうしてそうなったのか、大麻雀時代と呼んで差し支えないほど麻雀が流行してしまっているこの時代。

 どこにいても、やれどこそこの選手が強いといった話題が持ち上がり、テレビをつければプロ雀士の対局や麻雀講座が放送されている。

 そのことを踏まえて考えれば、清澄高校に麻雀部はあるのは当然のことと納得できた。


「ウチの麻雀部はまだ無名だからな、知らなくてもしょーがない。けど、それも今年限りの話だじぇ!! この優希ちゃんとのどちゃんが期待の新人として入部したんだからな!」


 ドン、と薄い胸を叩いて自慢げに優希が語る。


「ほうほう、腕に自信ありって感じだな」

「まあな! それじゃ覚悟はいいな? みんなー、入部希望者連れてきたじぇ~!!」

「いやいや、いつの間に入部希望になってんの俺? 入んねーよ? なんか部活したいなーとは思ったけど、麻雀とかルールのルの字も知らねーんだから……!」



 ここまで強引に引っ張ってきた挙げ句、勝手に入部希望者として部室にいる仲間に紹介しようとする優希の手を振りほどこうとして――――


「ゆーき、やっと帰って……お客様?」

「そうだじぇ! なんか暇そうにしてたから連れてきた!」

「で、でかい……」


 視線の先、部室の中央に設置された全自動卓の前に、ピンク髪をツインテールに結った少女が座っていた。

 同年代と比べて浮ついたところのない、澄ました雰囲気の少女。

 美少女と呼ぶに値する容姿。それをさらに引き立てるある部分に、京太郎の視線は釘付けになっていた。


「入部希望の方ですか? 麻雀部へようこそ」

「は、や……」


 座ったままは失礼だと考えたのか、席を立って側までピンク髪の少女が歩いてくる。

 一歩、また一歩と近づく度に、京太郎の視線が上下に揺れる。

 彼女の胸部――制服を押し上げる、人並み外れた豊満なおもちが震えるのに合わせて視線を揺らしながら、京太郎は質問していた。

 何も言わずにおもちに注視していると気取られるのを恐れての、でまかせのような質問だった。



「えー、っと、ま、麻雀ってお、俺みたいな奴でもできるのかな……ですか?」

「ええ、もちろんです」


 ニコリと微笑みながらの肯定。

 それだけで、ツンと澄ましたよそ行きの雰囲気が一気に和らいで感じる。


「まだ部長や先輩が来ていないので……すみませんが、しばらく待っていただけると」

「お、おう……じゃなかった、はい!」

「ぁ、私もゆーきと同じ一年生なので、そんなにかしこまらなくて大丈夫ですよ」

「そ、そうかー、ハハハ……」


 ガチガチに緊張しながら返事する姿に、和がクスリと笑う。


「そういえばお名前、まだ聞いてませんでしたね」

「あ、お、俺は須賀京太郎。えーっと、君は……?」

「君って、カッコつけ過ぎだじぇ」

「うっせ、ほっとけ!」

「うぶぶ、ほっぺひっぱるなー!?」



 できるだけ紳士に振る舞おうとするのを、ニヤニヤしながら茶化す優希を黙らせて和の言葉を待つ。


「私は……原村和といいます」

「な、なるほど原村和……い、いい名前だな!」

「あ、ありがとうございます……?」

「なーんか私の時と対応が違いすぎて腹立ってきたじょ……」

「ったりめーだ。俺の紳士さは相手を選ぶんだよ」


 主におもちの大きな美少女に対してのみに使われるのだから、優希の扱いがぞんざいになるのは当然のこと。


「差別してる時点で紳士もなにもあったもんじゃないんですけどー」

「フン、紳士に対応してほしいなら、そのちんまいナリをどうにかするこったなー」

「うぅー、のどちゃ~ん、イジメられた~」

「きゃっ、ちょっとゆーき……!」

(お、おぅ……優希が抱きつくことで原村さんのおもちが実に興味深い形に変化……!)


 優希が抱きついたことで押し潰され、変幻自在に形を変える和のおもちに、京太郎の胸は高鳴るばかりだ。



「やっほー、お疲れ~」

「すまん、遅ぅなったの」

「お、部長のお出ましだじぇー」

「や、やっと離れてくれた……お疲れさまです」

(あれ、あの人って……)


 ドギマギしながら、京太郎が和のおもち百面相の鑑賞を続けていると、部室の扉が開いて二人の少女が現れた。

 長めの髪を、さりげない感じに整えた茶髪の少女と、緑色の癖っ毛を肩辺りで切りそろえた眼鏡の少女。

 その内の片方――学生でありながらやり手のキャリアウーマンのような雰囲気を持つ茶髪の少女に、京太郎は見覚えがあった。


「生徒会長……?」

「ノンノン、学生議会長よ」


 ささやかな拘りでもあるのか、顔の前で指を振りながら訂正される。

 ……美人がやるとサマになって得だなぁ。

 ぼんやりとそんな感想を抱いた京太郎を、茶髪の少女は内面までつまびらかにするように、上から下まで視線でなぞっていく。



「ふんふむ……君、一年生かな」

「あ、はい、そっすね。今年、清澄に入学しました」

「なるほどなるほどー……体も丈夫そうだし、これなら力仕事もお願いできそうね」

「ん?」

「ううん? なんでもない、何も言ってないわよ?」

「あ、そうですか……」


 一瞬、にやりと小悪魔が微笑むのが見えたのは気のせいらしい。

 腑に落ちないまま納得する京太郎に、「見た目の割に性格も純朴そうね」と内心、ほくそ笑みながら茶髪の少女が言った。


「ここに来たってことは、入部希望ってことよね。ようこそ、清澄高校麻雀部へ。部長として歓迎するわ!」

「え、あ……は、はあ、どうも……?」

「私の名前は知ってるかもだけど、竹井久……三年。あっちは染谷まこで、二年生」

「よろしくのっ」

「よ、よろしくお願いしますっ」


 勢いに押されて返事した後で、おかしいなと首を捻る。



「あれ、これってもう入部決定しちゃった感じ?」

「そうだなー。もうちょっとゴネるかと思ったけど、案外あっさり決まってよかったじぇ」


 してやったりとサムズアップする優希。


「フッフッフ! 女子じゃないのは残念だけど、これで生徒議会長の権限抜きに部を名乗っても恥ずかしくない人数が集まったわね!」

「さらっと職権乱用してるって言った……」


 どうやらここの麻雀『部』という肩書きは、生徒議会長の権限をフルに利用して存続させていたらしい。

 旧校舎の屋根裏部屋にひっそり居を構えているのも、その辺りの事情が大きいのだろう。


「ホンに長かったのぉ。これであと一人、女子が入ってくれたら団体戦だって可能になるんじゃが……それはさすがに高望みしすぎか」

「諦めちゃダメよ、まこ。今週の私のラッキーカラー金色だったの――――見て、彼を」

「染めた感じはせんし、地毛だとすると見事な金髪じゃのぉ」

「でしょう? きっとあの金髪が、すぐに次の入部してくれる子を呼んでくれるに違いないわ!」

「そう言われると、あの金髪は御利益がありそうな感じがしてくるの。いっちょ拝んでおくか」

「そうしときましょ」

「あ、ダメだこれ、実は無理矢理連れてこられただけで、入部する気なんてありませんって言える空気じゃねえ」



 よほど長い時間、堪え忍んできたのだろう。

 どうかあと一人、女子の部員が増えますようにと手を合わせて拝んでくる先輩二人の姿に、今更入部しませんと言えるはずもなく。

 ……まあ、こういうきっかけで部活をやるのも面白い、かな?

 金髪の少年は自分なりに納得できる結論を出して、部の面々へ頭を下げた。

「えーっと、今日から麻雀部に入らせてもらいます、須賀京太郎です! ぶっちゃけ麻雀はルールも知らないド素人だけど、頑張って覚えるので……よろしくお願いします!!」


 後になって振り返れば、ずいぶんと適当に決めた入部だが――


「どうだ京太郎、ここなら面白いものありそうだろ?」

「だったらいいんだけどなー」

「むぅ、連れない反応だじぇー」

「そうでもないさ、意外と面白くなりそうだなって思ってるぜ?」


 優希の同意を求める言葉に素っ気なく返す。
 しかし、胸の内で膨らみ始めた「これから何か始まる……かもしれない」という期待感に、金髪の少年の口元には確かに笑みが浮かんでいた。

ぶっちゃけ京太郎ってどういう経緯で入部したのよ、って考えたら出来てた。


主人公運用だし、展開的に女の子と出会う話も書く予定だから普通に強くもなるんじゃないかな。

みんなが頑張ってるのを見つつ、自分も頑張ろうのスタンスでいくはずだから本筋には影響ないかもだけど。

まあ男の対局相手どうするのよって問題はあるけど、その辺は適当で。


第2局 体験


「えーっと、和了るには四面子一雀頭の形が必要で? 点数は役の飜数と符の二つを合わせて決まる……」

「点数は何符何飜何点っていうのが決まってるから、対応表を暗記しちゃえば簡単だじぇ!」

「ああ、イチニーザンクーとかいう奴か……ツモった時の点数がややこしいな、これ」

「その辺はやってるうちに覚えられるから心配すんな! あと京太郎は初心者だから、最初の内は門前なら平和、鳴く時も両面の待ちが残るように意識したら、和了れる確率が和了るじぇ!」

「ふーんふむ、なるほどなるほどー」

「ウムウム、いい返事だ。その調子で精進するんだじぇ」


 麻雀の基本ルールを書いたホワイトボードを、指し棒でカンカン叩く優希の顔は満足げである。

 初心者ということで、何を教えられても水飲み鳥のように首を振る京太郎の反応が嬉しいらしい。



「フフ、調子に乗ってるわねー」

「同学年ですけど、麻雀歴は優希の方がずっと長いですから。きっと先輩気分を味わってるんですよ」


 先輩風を吹かせる優希に久と和が苦笑する。

 律儀に優希の言葉に頷きつつ、麻雀の基本的な内容を筆記している京太郎に、真面目じゃのお、と呆れ半分にまこが話しかけた。


「貰った使い古しの教本があるんじゃから、わざわざノート取る必要はないと思うがのー」

「いや、気分ですよ。こう、俺勉強してるって気分になると覚えやすいですし」

「そんなもんか。まあ……本を見ればいいや、で覚えようとせんよりはいいか」

「ですです」


 結局のところ、なんとなくノートを取っているだけなのだが。

 それで覚えがよくなれば儲けもの。その程度に考えておく。



「うんうん。結果に結びつくかつかないかは関係なしに、地道な努力は大切よね。だいたいは無駄になるけど」

「人生って厳しいですね」

「そうよねー。みんながダラケて生きられる世界になればいいんだけど……」


 嫌だ嫌だと疲れた感じにため息をついた後、久がポンと京太郎の肩に手を置いた。


「とりあえず、麻雀の基本的なルールは理解できた?」

「ええ……まあ。とりあえず三つを四組と二つ一組作れば和了れるとか、そういう基本中の基本は」

「そう……」


 場のノリと勢いで麻雀部に入部することが決定した京太郎。

 そんな彼を待っていたのは、


「それじゃ、さっそく一局打ってみましょーか!」

「うえっ!?」


 習うより慣れよのスタンスで行われた練習試合であった。



「なんだって経験よ。須賀君にはまず麻雀がどんなゲームか、身をもって体験してもらいます!」

「あ、あの部長、いくらなんでも無茶ぶりしすぎですって。勝てるわけないじゃないですか」


 いくらなんでも急すぎやしないか、と待ったをかけた京太郎に、久は麻雀部部長としての顔でこう答えた。


「確かにね、まったくのど素人な須賀君に打たせたところで、私たちの養分になるのは目に見えてるわ」

「養分……食物連鎖の底辺レベルってことですね」

「そうねー、ピラミッドの頂点にたどり着くまでどの位かかるのかしら」


 さすがに真正面から弱肉扱いされるのは嫌だったのか、顔をしかめた京太郎を気にせず話を続ける。


「ルールや役を知ってるだけじゃ、よっぽど運でもよくない限り勝つのは難しいわ。っていうか、まず負けるでしょうね」



 きっぱりと断言して一呼吸置いた後、でもね、と久は続けた。


「須賀君は男の子だし、ロールプレイングで遊んだことあるでしょ?」

「まあ……人並みには」

「そう、ならわかってくれるんじゃないかな。攻略情報を何一つ知らない状態で話を進めていく時の、ワクワクした気持ち」


 次はどんなイベントが起こるのか、どのように話が展開するのか……それを固唾を呑んで見守る楽しさ。


「以外と麻雀もロールプレイングに似てるのよね。たった一巡で予想もしてなかったハッピーエンドになったり、信じられないバッドエンドになっちゃったりで」


 ……それを余すことなく楽しんでもらうために、須賀君には必要最低限の知識だけ持った状態で打ってほしいの。

 そう言って、久はニコリと微笑んだ。



「ここにいるみんなも、最初は須賀君と同じど素人の状態から始めて……そういう場面を何回も見て、体験して上手くなってきたんだから。負けて君のことを馬鹿にするような子はいないし、胸を借りるつもりで、ね?」

「…………部長」


 勝ち負けに拘らず、まずは心の底から麻雀を楽しむことを覚えてほしい。

 そんな久の説得に胸を打たれたのか、京太郎は目を輝かせながら返事をした。


「わかりました! みんな相手にどの程度やれるかわかんないけど……俺、精一杯楽しみながら打ちます!」

「ええ、その意気よ須賀君!」


 力強い宣言に、よくぞ言ったと久がサムズアップして見せる。


「それじゃ……そうね、今回は私、まこ、和、須賀君の四人で打ってみましょうか」

「じぇ~……私は見学かー。ま、しゃあなしだな!」

「えっと、悪いな優希」

「気にすんな。部長の言った通り、まず麻雀の楽しさを覚えてもらわなきゃだじぇっ」



 ガタガタと、部室の隅に置いてある丸椅子を自動卓の近くに運びながら優希が笑う。


「場所は風牌の掴み取りで構わんよな?」

「ええ、そうね」

「掴み取り……?」

「一番簡単な席の決め方ですよ。今回は東南西北の風牌四枚だけ使って、親や席順を決めます」

「な、なるほど、ありがとな原村さん」

「どういたしまして」

「ほい、それじゃあ須賀君から選んじゃってねー」

「あ、はい――――えっと東です」

「そ。じゃあ須賀君、好きな場所に座っていいわよ」

「俺が選んでいいんですか……」


 久に言われて、おっかなびっくり一番近くにあった席へ腰を下ろす。


「あっさり飛ばされないよう頑張れ!」

「おお、ありがとな、頑張るよ」


 作戦:「命を大切に」な優希の激励に礼を言って、生まれて初めとなる麻雀牌の触り心地を確かめる。



「これが麻雀牌か……。意外とツルツルしてるし、ひんやりしてて気持ちいいかも」

「わかります。夏場、牌をツモる時とか、ほんの少しだけ暑さが和らぐような気がしますね」


 配られる前の牌の背を指で撫でてその感触を楽しむ京太郎に、彼から見て左側……上家に陣取った和が同意する。


「じゃ、親決めといこうかの。そこのスイッチ押してみんさい」

「は、はい」


 まこに促されて、自動卓中央のスイッチを押す。

 カラカラと乾いた音を立ててサイコロが回転する。

 一度目は4・6で合計10。久が仮親。京太郎に続いて久がサイコロを回す。

 二度目は2・5で合計7。


「……私が親ですね」


 和が「東」と書かれたプラスチック板を自分の右脇に置く。

 そこから二度サイコロが振られて山が決まり、王牌のドラ表示牌がめくられてようやく対局の準備が済んだ。


「この時点でなんかもう疲れてきたんですけど……」

「アハハ、慣れたらすぐ済むようになるわよ」

「そんなもんですか。えーっと、9索だから……ドラは1索だな。な、なんか緊張してきた」



 ぎこちない手つきで京太郎が牌を並べていく。

 丁度その時だ、久がニコリと微笑みながら告げたのは。


「あ、そういえば言い忘れてたけどうちの部、対局で最下位になった子が雑用をするっているルールがあるの」

「え、そうなんですか?」

「そうなの、罰ゲーム的なものがあった方が気が引き締まるしね。まあ、雑用っていっても、使った道具の手入れとか簡単な買い出し程度だから安心して!」

「なるほど……わかりました、頑張ります!」

「ええ、ガンバッテネ!」


 疑いもせず、久の言葉に頷いた京太郎は知らなかった。

 ガンバッテネと励ました直後、久が「計画通り」と顔を俯かせてほくそ笑んでいたことを。


(悪い顔しとるのぉ)

(部長、須賀君に雑用させる気満々ですね)

(悪女だじぇ)

「?」


 それと同時に、清澄高校麻雀部の面々が同情の目を向けていたことも。

 京太郎にとって生まれて初めての麻雀。

 その内容がどうなったのかというと――――


 東4局 ドラ:4筒


「ゴメンね須賀君、その2筒ロンよ!」

「にょわっ!?」


 2筒を切った京太郎がギクリと固まる。


「容赦ないのぉ……いや、冗談抜きで」


 ロン宣言と共に倒された久の手役を見て、まこが渋い顔をした。

 久の手役は、

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「立直・平和・断ヤオ・三色……裏なし、8000!」

「アハ、ハハ…………ハィ」


 消え入りそうな笑みを浮かべながら、残り少なくなった点棒を支払う。



「トホホ……残り1000点しかねえよ」

「ま、まだ一回立直できるって考えるんだ! 大丈夫だ、最後まで勝負を諦めちゃダメだじぇ!」


 ガックリと肩を落とす京太郎を、彼の後ろで対局の見学をしていた優希が励ます。


(とはいえ、これはもうダメかもしれないじぇー……)


 むしろここまでよく粘った方だとさえ思う。

 東1局、断ヤオ・平和・赤2を聴牌して立直をかけた後、久の追っかけ立直七対子ドラ1索地獄単騎にツモ切りで跳満の洗礼を貰い。

 東2局は5萬を鳴いた後に切った8萬で、久のカンチャン待ち789の鳴き三色ドラ1に放銃。

 東3局こそ放銃は免れたが、4-7筒待ち平和赤2で立直した直後に久の切った1萬でまこが中ドラ3を和了ってしまい、1000点を拾われてしまった。

 そしてトドメと言わんばかりの、さっきの久の和了りである。



「いやー、思ったように和了れないもんなんだな、麻雀って」

「毎局毎局、思ったように和了れるほど上手くはいきませんよ。というか、染谷先輩や部長の立直に突っ張ってまで目指すのは無謀すぎです」

「そりゃそうなんだろうけどさ。和了りたかったなー、うん」

「さっきの2筒はツモ切りだったが、手牌はどーいう形なんじゃ?」

「えっと、こんな感じです……」

「……ほーぅ、なるほどの」


 京太郎が開いて見せた牌の並びに、まこが一瞬顔を曇らせた。

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「わしの立直の後、現物の7索を切っとったが、お前さん7萬引いて55667索の形から7索を切ったんじゃな?」

「は、はい、なんとなく置いとこうかなーって。あの、もしかしてチョンボとかいう奴ですか?」

「いやいや、ちょっと聞きたかっただけじゃよ」

「どしたのまこ、なにか気になることでもあった?」

「いやいや、なんでもなーで」


 怪訝な顔をする久に、ニヤリと口元を吊り上げる。


(わしの和了り牌を止めとったのはこいつじゃったか)


 久の当たり牌こそ止められなかったようだが……


(鍛えればそれなりに打てるようになるかもしれんなー)


 南場に進むためにまこが手牌を崩す。


 22(5)6m(5)66778p234s


 4-7萬待ちの立直・平和・断ヤオ・ドラ1赤2。裏ドラ3索の親跳18000の手。

 序盤に4萬が二枚切られ、久の手の中に残り二枚の4萬があったため、実質和了り牌は7萬しかなかったわけだが、この手はどうやっても和了れないものだったらしい。

 偶然か、それとも虫の知らせ的な直感だったのかは置いとくとして――


「さあ、南場に突入じゃ。そろそろお前さんにも和了れる流れが来るかもしれんぞ!」

「は、はい……?」


 まこのテンションの高さに引きつつ、京太郎がコクコクと首を振る。


「流れなんて、そんなオカルト的な考えを初心者の人に教えないであげてください」

「まあそう言うな。初めての麻雀なのに焼き鳥で飛び終了なんぞになったら、京太郎も面白くないじゃろうし」

「それは……確かにそうかもしれませんけど」


(そうだよな、せっかく初めて打つ麻雀なんだから一回ぐらい和了りたいよ)


 まこに抗議している和の隣りで、ぎこちなく理牌しながら次こそ和了ってやろうと決意する。


「大丈夫か京太郎、ヤケ打ちだけはしちゃダメだからな?」

「しないって、そんなこと。いや、そもそもヤケ打ちがどんなのかも知らないけど」

「まあ、東場のお前の打ち方も大概だったけどな!」

「うーるせー、初めてなんだからどの牌が危ないとかもわっかんねーんだって」

「まっ、その辺はまた今度ゆーきちゃんが教えてやるから安心して飛んでいいじょ!」

「いや、そこは飛ばないように応援しろよ!?」

「アハハハ!」


 京太郎の抗議に優希が笑う中、南場が始められた。



 南1局 ドラ:8索


(お……赤ドラ引いてテンパった)


 8巡目。

 今度こそ和了ってみせる、という京太郎の意気込みの賜物か。赤5索を引いての聴牌であった。

 99m345p45(5)667s白白


(えーっと、これって9萬と白待ちのシャンポン待ちとかいう奴だっけ?)


 この手、立直をかけなければ白でしか和了れない。


「えっと」

「うん? どしたの、待ちがわからない?」

「いや、そういうわけじゃなくて……」


 待ちはできるだけ両面で待てと優希に教えられたのだが、立直をかけてもいいのだろうか。

 最後の1000点棒の使いどころに困り、チラリと後ろで見学している優希の顔色を窺う。



(もう後がないんだから、後先考えず即リー一択だじぇ!!)

(そ、そうか、やっぱそうだよなっ)


 ビシッ、と親指を突き立てるゴーサインをもらって腹を括る。


「り、立直……!」

「その2索、チーね」

「あ、はい……」


 2索をチーして久が切ったのは河に三枚出ていた南。


「一発消しまでやるんかい……」

「ア、アハハ、念のためよ、念のため」


 この外道が、と言いたげなまこの視線に久が目を逸らす。

 しかし、まこ、和が現物を切った後の京太郎のツモ番――


「あ、ツモった?」

「なぬ!?」


 京太郎のツモ宣言に久がギョッとさせられる羽目になった。



「立直・ツモ・白・赤1……あ、裏ドラが4索だから――――えーっと……?」

「2000・4000な。おめでとさん、なかなか大きな初和了だのう」


 役を指折り数える京太郎の前に点棒を置きながら、まこが彼の初めての和了を褒める。


「親被りは痛いですけど……おめでとうございます」

「やったな、これで飛ばないで済むかもしれないじぇ!」

「あ、ああ……やったぜ!」


 続いて和、優希に祝福されて、ようやく京太郎にも和了れたという実感が湧く。


「うーん、一発消ししたのが逆に助けになっちゃったか」

「ナイスサポートじゃったの」

「なにそれ、皮肉?」

「初心者から点棒かっぱいだバチでもあたったんじゃろ」


 ジト目で見てくる久に軽口を返して、さて、と呟く。



「あの和了りで勢いづくかもしれんし、次からわしもちょいと気を引き締めていこうかの」

「え、ちょっとまこさん、何か笑顔が怖いんだけど?」


 不敵な笑みを浮かべるまこに、久は嫌な予感がする、と口元を引き攣らせる。


「ロン! 1000点」

「え、ちょっと山越し!?」

「今テンじゃよー、今テン」


 久の嫌な予感が現実のものとなるのに、そう時間はかからなかった――――



「ロン。立直・赤1……お、裏2で満貫じゃ」

「ちょっ……」


 南2、南3局と連続で久からまこが和了り、

 まこ:40000

 久:30000

 和:21000

 京太郎:9000

 で迎えたオーラス。ドラ:5索

 13巡目――――


「よ、よーし、立直!」

「え、ちょ、ちょっと……」


 自分の立直に対して突っ張ってきた京太郎に、久が青ざめる。

 例によって例の如くの悪待ち。

 3筒のペンチャン待ちをしていた彼女がツモしたのは7索。



「ぅ……」

「ほれほれどうした、和了り牌でないならツモ切りせんかい」

「わ、わかってるわよ――――!」


 久の表情の変化からこの局の結末がわかったのだろう。

 ニヤニヤしながらまこに促されて、久が7索を切った。

 直後、


「す、すみません、それロンです……」

「ですよねー…………って、うぇ!?」


 倒された京太郎の手牌、それを見て久が息を呑む。

 11155m777999p(5)6s



「おお、こいつは……」

「え、えっと、これって確か――」

「三暗刻ですね。立直・一発・三暗刻・ドラ1・赤1……跳満です」

「跳満って12000点かー……あれ、ってことは?」

「ええ、須賀君の考えている通りですよ」


 あることに気付いて、はて、と京太郎が首を傾げる。

 京太郎の疑問に、和がニコリと微笑んだ。


「須賀君のさっきの和了りで、染谷先輩・須賀君・私・部長の順番でこの半荘は終了です。やりましたね、初めての対局で二着ですよ」

「ビギナーズラックとはいえ、このメンバー相手に快挙だじぇ。よかったな、京太郎!」

「優希、褒めるんならもうちょっと素直に褒めてくれ……」


 楽しそうに雑談を始めた一年組を横目に、まこがガックリと肩を落としている久へ声をかけた。


「そういやぁ、最下位になったら雑用をせにゃならんっちゅう決まりがこの部にはあるそうなんじゃが……ふーむ、わし、急に喉が渇いてきたのう」

「ううぅ……お茶淹れてきますぅ」

「アッハッハ! 悪いことはできんもんじゃのー」


 ケラケラと笑いながらまこがからかう。


「反省してるわよ……ああ、もう初心者相手に一発で振り込んで最下位なんて笑えないわ~」


 そう言いながら席を立った久の顔は、しかしそれなりに楽しそうな笑みが浮かんでいた――――

今回はこれで終了。実際にあった牌譜を弄りながらで無駄に長くなった。

今後、対局は大きなもの以外は省く形で。

面白い牌譜があったら教えてほしい。使えるかどうかは未定だけど。


次の更新は来週予定。咲さん登場……のはず。

霞「咲の魅力はキャラクターの多さなの」

霞「様々な人が、色々なキャラクターを好きになっているわ」

霞「それを欲望のために汚すような行為は、当然反感を買うことになるのよ」

小蒔「じゃあ、こんなしょうもないSSのために永水女子を使ってファンの感情を汚していいんですか!?」


霞「そう。ちょうど今これを見ている永水女子が好きなお方は、相当な不快感を感じているでしょうね」

霞「それと同じ感情を京太郎スレで感じる方が多くいるということを知って欲しいのよ」

初美「ふんふむ」

>>1です。相変わらず亀の歩みですが更新です。

今回、部長の扱いが「そんなん考慮しとらんよ」です。







「それじゃ部活始めるけど……須賀君はそうね、今日は優希の後ろで対局を見学してくれる?」

「えー、優希ですか……了解です」

「むー、なんだその反応は。私じゃ不満なのか?」

「いや、そーいうわけじゃないけど」


 芳しくない返事をした京太郎に、優希が口を尖らせる。

 どうせなら、麻雀の勉強ついでに目の保養もできる和の方が嬉しい。そんな京太郎の胸中を余所に、優希が起用された理由が説明される。


「普通の打ち方もできないこともないけど、それでもやっぱり私は悪待ちの傾向が強い。まこは実家が雀荘な分、相手の力量に合わせることはできるけど……なんて言うのかな、経験則? そういうのを下敷きにした打ち方は、須賀君にはまだ理解できないだろうし。そんでもって和は――」

「私がどうかしましたか?」

「……麻雀始めたばっかで和の完全デジタル打ちを参考にしようとすると、須賀君の中で何切る問題がゲシュタルト崩壊起こしそうだし、ね」

「いくら私でも、初心者相手に自分と同じレベルを求めたりはしませんよ……」


「(和が先生やると、須賀君いろんな意味で集中できなくなりそう、って言うのはさすがにかわいそうか……須賀君が)念には念を、よ」


 県予選までに知識として必要になるのは確かだが、まず麻雀を打つことに慣れなくてはならない初心者。

 なので、当面は良くも悪くも真っ直ぐな優希の打ち筋を学んでもらいたい。


「さすがに東場の優希みたいな聴牌速度と打点の高さは求められないけどねー」

「当たり前だじぇ! 東場の私を真似するなんて、トーシロの京太郎には荷が勝ちすぎてるからな!」

「えっらそうに……壁のくせに」

「壁? 私が壁……クフフ、そーかそうかっ、優希ちゃんという壁を乗り越えられるよう精進するんだじぇ、京太郎!」

「いや、俺が言ったのは立場的な意味じゃなくて、体型……まあいいや」


 京太郎に対してふんぞり返っている優希に、すっかり打ち解けているな、と久が微笑む。


(ついでに須賀君の手本になるってことを優希が意識して、それで東場が終わった途端に失速するスタイルが少しでも改善されたら最高よね)



 東風戦なら問題ないが、大会は基本東南揃った半荘戦。

 南場でもある程度、好調を維持することを心がけてくれるようになるとありがたい、という考えが久にはあった。


「それじゃ対局始めるわよー」

「おーっ、だじぇ!」
「はい」

「さて、今回も前みたくトップ取らせてもらおうかの」

「そうは問屋が卸さないわよ。雪辱、果たさせてもらうんだから」

「とくとお見せするじぇ、優希ちゃんの王道の打ち筋を!」

「おい、それ漫画とか映画の『やったか?』とか『俺、この試合に勝ったら』と同じ匂いがすんぞ」

「じぇ?」

「油断するなよ、と言ってくれてるんですよゆーき」

「おお、そうか! フフフ、師匠の心配をするなんて京太郎もなかなか健気な奴だじぇ」

「誰が師匠だ、誰が」





 京太郎が見学する中、始められたレギュラーメンバーの対局。


「いいか京太郎、お前にだけこっそり優希ちゃんの必勝法を伝授してやるじぇ」

「え、麻雀ってそんなのあるのか? 貰った教本にはそんなの載ってなかったぜ」


 必勝法という言葉に目を丸くする京太郎に、優希はチョイチョイと指を動かして「耳を貸せ」とジェスチャーする。


「な、なんだよ、マジで人に聞かれたらヤバい必勝法があるのか……」

「いいか、一回しか教えないからよっく聞け」

「お、おう」


 声と共に耳朶をくすぐる優希の吐息を感じながら、彼女の言う必勝法とやらが明かされるのを待つ。


「ズバリっ、親番は聴牌即リー! とにかく攻めて攻めて攻めまくれ!」

「…………それだけ?」

「それ以上なんて必要ないじぇ! 攻撃は最大の防御だ!」

「お、おぉ、すっげーわかりやすいっ。なんか俺でもできそうな感じだし!」


 作戦名:ガンガンいこうぜ。

 単純明快で実にわかりやすい必勝法に、京太郎の口から感嘆が漏れた。



「おい久、止めんでええのか」

「聴牌即リーも間違いじゃないとは思うけど……ちょっとだけ後悔してる。それやってどうにかなるのは、正直優希だからだろーし」

「じゃなあ……。優希みたいな打ち方そのまんま真似すんのは、京太郎にはちっと難しいじゃろ」

「放銃しまくってぶっ飛ぶ須賀君が見えるわ……」


 卓に突っ伏しながら呻く久に、やれやれとかぶりを振ってまこが提案した。


「京太郎の指導、わしの方でも協力してやれんことはないぞ?」

「ん~……まこの店でアルバイトでもさせるの?」

「いんや。うちをご贔屓にしてくれとるプロの思いつきでな、今度初心者メインの麻雀教室を開くんじゃよ」

「なにそれ面白そう」

「フフフ、そうじゃろそうじゃろ! 今は細かいスケジュールの調整をしとるとこでな、上手くいけばゲストさんも来てくれるそうじゃし、久々に気合はいっとるよ」

「お話もいいですけど、そろそろ対局を始めましょうよ……」

「すまんのお、ちっと横道にそれてしもうた。この話はまた後でじゃな」

「アハ、ゴメンゴメン。それじゃ、改めて始めましょうか!」

「今日の私は絶好調な予感がするじぇー!」

「え、えーっと、みんな頑張れー」





 和の苦言を受けて、一同が気持ちを入れ替えて始めた清澄麻雀部レギュラーメンバーの対局。

 その内容はというと――――



【東1局】 親:優希 ドラ:2萬


「先んずれば人を制すのポン!!」

「む、もう鳴くんか……」


 一巡目、まこの切ったオタ風の西をポン。


「そいつもポンだじぇ!」

「走ってますね、ゆーき」


 さらに二巡目、和の切った白をポン。


(ほい来た、ダブ東!)


 その次の巡に東を揃えて――――


(んー、優希は染めかな。こっちは發暗刻のドラ3赤1……まだ中は通る? 嫌な予感はするけど、この手とこの巡目でオリってのもなんだし――――押しちゃえ)

「ロン! ダブ東・対々・白・中・混一……240000だじぇー♪」


 77p東東東中中 (白)白白 西(西)西 中


「にゅっ!?」


 久の口から変な声が漏れた。



「……積み込みか」

「自動卓ですよ」


 まこの呟きに、和が冷静につっこみを入れる。


「わかっとるが、それでも言いたくなったんじゃ」

「……部長、ご愁傷様です」

「フ……フッフ、まだよ、諦めない限り逆転のチャンスはあるんだから……!」


 正直な気持ち、もう投了しても許されそうな状況なのだが、曲がりなりにも自分は部長。

 しかも、すぐ傍には入部したばかりの少年もいる。


(この程度でメゲてたら……麻雀の楽しさを教えてあげられないじゃない!!)


 部長の誇りに懸けて、ここから奇跡の捲りを見せてみせる。

 そう決意して挑んだ東1局1本場――――


「フッフッフ、今日の私はノリノリだじぇ! リーチ!!」

(本当にこれ積み込みなんじゃなかろーか)

(ふむ……さすがに読めませんね)

(あ、これダメなパターンだ)



 優希の立直宣言から2巡後――――


「ツモ! 立直・ツモ・七対子で……裏ドラはサービスだじぇ! 3200オールは3300オール!!」


 66m2288p88s東東西西白 白


「――――」

「久、お疲れ」

「お疲れ様です」

「なんか私、この間からイイトコなしじゃない……?」


 『考える人』のように顎に手を当てたポーズで、どうしてこうなったと呟いた久の声は――――ほんの少し震えていた。







「えーっと、もう対局終わったんだよな?」

「おう! どーだ、勉強になったか京太郎!」

「いや、うん……まあ、うん」


 ニコニコしながら聞いてくる優希に肯定の頷きを返しながら、心の中で京太郎はこう思っていた。


(まったくもって参考にできる気がしねー)

 ――――と。


「俺、ホントにここでやっていけんのかな……」

「大丈夫ですよ、須賀君。ゆーきだって毎回こんなに調子がいいわけじゃないですから」


 あまりに圧倒的な試合展開を見て、今後の部活が少し不安になった京太郎の胸中を察した和が声をかけた。


「麻雀は偶然の要素も高いゲームなので。一回二回の勝負ではなく、長期的なスパンで勝てるように頑張っていけばいいんですよ」

「焦らず地道に努力しろってことか」

「必ずしも努力が報われるというわけではないですが……その辺りも含めての麻雀の面白さだと私は思っています」


 努力が必ず報われるわけではない、という和のシビアな言葉に、麻雀というのは奥が深いのだなと感心する。


「なるほど、ありがとな原村さん。自分なりに上手くなれるようにいろいろ試してみるよ」

「はい、頑張ってください。わからないところがあれば、遠慮せず聞いてくださいね」

「(うは、元から可愛いけど笑うとさらにレベルが上がるぜ!)そ、それなら行き詰まった時にお願いしようかなー、なんて……ハハ」



 所詮は社交辞令だと頭で理解しながら、こうして微笑みかけられるのはやはり悪い気はしない。

 可愛い子に弱くない男なんていないのだから、鼻の下が伸びるのは不可抗力というやつだ。


「なーんか私とのどちゃんに対する態度が違くてムカツクじぇ」


 そんな京太郎の反応が面白くなくて、優希が不満を漏らした。


「せっかくいいとこ見せてやったのに、微妙な顔してたし……。まったく、京太郎は私に対する敬意が圧倒的に不足してるじょ!」

「んなこと言われてもなー」


 ふくれっ面で怒りを表現する同級生にどう敬意を払えというのか。


「だいたい、呼び方からしてえこ贔屓してるじぇ。どーしてのどちゃんはさん付けで、私は最初っから呼び捨てなんだ!」

「じゃあ、お前のこともさん付けで呼ぶか?」

「うむ、一回呼んでみてくれ」

「ああ、いいぜ。コホン――――なあ片岡さん」

「…………せ、背中を虫が這ったような寒気がしたじょ」

「じゃあどうすんだよ、もー」


 さん付けで呼ばせておきながら、腕に鳥肌が出たと見せてくる優希に、お手上げですと京太郎が嘆息する。



「どうするもなにも、京太郎が私とのどちゃんで差別するのをやめれば済むだけの話だじぇ」

「だーから差別してねーって。なんで原村さんって呼び方してるのが差別になんだよ、まったく」


 和のことをさん付けしているのに明確な理由などない。

 強いて挙げるなら、やはりその同い年らしからぬ落ち着きと一部の発育の良さからだろうか。


「う~、のどちゃーん京太郎がイジメるじぇー」

「む、そうなんですか須賀君?」

「ちょ、人聞きの悪いこと言うなよ!? 誤解だ原村さん、俺そんなことしてないから!」

「……プッ、フフ、わかってますよ。少しゆーきに乗ってみただけですから」


 無実を証明しようと慌てる京太郎の様子が面白かったのか、堪え切れずに和が吹き出す。


「でもそうですね、このままゆーきを拗ねさせたままにするのはどうかと思いますし……さて、どうしましょうか」


 べったりと引っ付いてくる優希をあやすように頭を撫でながら黙考すること十秒。

 つ、と伏し目がちにしていた瞳を京太郎に向けて、至極真面目な顔で和が提案する。


「この場合、須賀君の私の呼び方が問題になっているわけですし……ここは一つ、ゆーきと同じ呼び方にするというのはどうでしょうか?」

「どうでしょうかって……」


 それはつまり、さん付けをやめて名前を呼び捨てにしろということでしょうか……。

 パッと見た感じ、和がふざけている様子はない。本気で言っている。


(もしかして原村さんって、ちょ~っと天然なトコある……?)



 キリッ、と擬態語が付きそうな引き締まった表情に気圧されながら、念には念を入れて確認を取る。


「えーっと、つまり原村さんのことも優希と同じように呼んでいい……ってことでしょうか」

「ええ。同じ一年生ですし、苗字でも名前でも須賀君の呼びやすい方でどうぞ」

「じゃあ、の……和?」

「はい?」

「あ、呼んでみただけです」

「む、そうですか」

(ハハ、やっぱりー)


 ただのお試しにも律儀に返事をしてくれる和に、『原村和やや天然説』は証明された。


(まあ、名前で呼んでもいいですよー、なんてのは意識されてないからなんだろうけど……)


 それでもこうして名前呼びが許されるというのは、関係が一歩前進したようで気分がいい。


(イケてるっ、俺イケてーる!)


 麻雀部に入ってからこっち、いいこと続きな気がする。

 こっそりガッツポーズを取った京太郎だが、浮かれた彼はすっかり忘れていた。


「…………」

「どうしたんですか、ゆーき?」

「なんでもないじぇー」


 だから問題はそこじゃねーよ、と半目を向けている優希の存在を。







「ローン! 親ッパネ3本付け!!」

「ぐわぁああああああっ!?」


 部室に、優希の怒濤の連続和了で点棒をかっぱがれた京太郎の悲鳴が響いた。


「また飛ばされたのー」

「まあ須賀君相手に優希が本気でやったら、こうなるのが普通よね。……よかった、仲間ができたわ」

「ハッハッハッハ! 弱い、弱すぎるじぇー♪」

「初心者ッ、俺初心者だから! ちっとぐらい手加減してくれませんかねー!?」

「やる以上は本気で打たないとダメだからなー、残念ながらその要求は却下だじぇ!」

「それにしても、程度というものがありますけどね」

「そうだそうだ和の言う通りだ!!」

「でも、須賀君も早く押し引きの判断ができるようにしましょうね。明らかに手の高そうな親リーに無筋の生牌切りは無謀ですよ」

「あ、ハイ、スミマセン」

「さあ、もう一半荘いくじょ~」

「ええぇぇぇぇ……」

今回はこれでおしまい。

次は……咲さん麻雀部に、な話の予定。

初心者のための麻雀教室、ゲスト誰がいいかぐらいは聞くかもしれないです。

ちなみに今回の対局は実際にあった体験を元に再現しています、という奴です。

東1で親倍和了った時点で「あ、終わったわ」と思いました。

あ、なるほど0が一個多いのか。失礼しました

>>146
全部悪い。
ここでその発言はスレチ、それが君の意見なんだろうがここでは言うのは間違ってる、自分の意見として心の中に納めておきなさい。
今後一切コピペしないように。

>>148
スレチだろうがなんだろうが別にいいんだよボケが
てめーは百合作品に汚ねえヘテロ持ち込むな糞が

京豚はキモいんだよ 神聖不可侵である百合漫画の咲に手を出すんじゃねえ チンポ脳どもが
百合は神聖なもので 男は汚いの わかる? お前らのしてることは いちゃついてる女の子達に うんこ投げつけて喜んでるようなものなんだよ

あと 咲が百合漫画じゃないとか言ってる奴はアニメ見てないだろ 麻雀興味ないから 原作は知らないけど あんな百合百合してる素晴らしいアニメの原作が百合漫画じゃないわけがない それに 作者も百合好きらしいし 咲が百合漫画だというのは 紛れもない事実

それに 百合が世間ではマイナーだとか 言ってる奴がいるけど そんなわけ ねーだろ なのはやゆるゆり らきすたがどれだけ人気だとおもってんだよ こんな当たり前のことも理解できずに 性欲のためだけに喚き散らすから京豚は馬鹿にされるんだよ

同性愛って気持ち悪いって思われるのが当たり前(確信)
自分の性癖を他者に押し付けるなんてホモセクシャルの風上にもおけない(憤怒)
そもそも、ネットの二次創作なんて自分から探して見に行かない限りは無視出来るのにわざわざ来るあたり>>150は真正のドM(断言)

>>164
はは?はははあ?百合は綺麗なんだが?
特に二次元で百合が嫌いな男子はいません
お前最古野郎だろ?

ヘテロクズはスイーツ()と頭の構造が同じさもしい奴だ
荒らし?ふざけるな。正当な主張だ
百合好きが客観的に観ればどちらが荒らしかは一目瞭然

は?

二次元の話しなのに三次元持ち込むな

霞「咲の魅力はキャラクターの多さなの」

霞「様々な人が、色々なキャラクターを好きになっているわ」

霞「それを欲望のために汚すような行為は、当然反感を買うことになるのよ」

小蒔「じゃあ、こんなしょうもないSSのために永水女子を使ってファンの感情を汚していいんですか!?」


霞「そう。ちょうど今これを見ている永水女子が好きなお方は、相当な不快感を感じているでしょうね」

霞「それと同じ感情を京太郎スレで感じる方が多くいるということを知って欲しいのよ」

初美「ふんふむ」

相手するバカがいるスレしかいかねーんだよこの手のキチガイは
奇怪綺譚とかカブトとかの勢いのあるスレには絶対いかない腰抜けなんだから
いいからスルーしとけ

は?おれは京豚スレは無差別に叩いている

同性愛っていうのはメジャーな物じゃないからな、生物的にも反しているし。

まあそれでもそういう人がいるのは事実だししょうがない所もあるだろう。だけど決して世間から完全に容認されている訳じゃない。

そんな中で>>165みたいな偏った思想を押し付けて意見の違う奴は叩き潰す、そういう考えを周囲にばらまく奴がいるから余計に周囲から非難されるようになるし嫌悪感をもつ人間が増える。
ID:2+tp0ipHoは犯罪者のような思想を止めて迅速に病院に行くことをおすすめする。

そもそも「百合は綺麗」、「百合が嫌いな男子はいない」と言いきる>>165が一番気持ち悪いし汚く汚らわしい。
全く男のキャラがいないならまだしも咲には京太郎というキャラがいる以上それでどう二次創作をしようがお前にそれを比定する権利は一切ない。
ここはテレビではなくインターネットだということを忘れるな、ここにいる人達は京太郎スレを見たくてここにいる、百合が見たければ別のところに行け、存在自体が許せないってた意見は絶対に通じないし許されない。
それが許されるなら個々での ID:2+tp0ipHo の存在も許されないしやってる行為も許されない、それはいまたたかれているって事実があるから間違いない事。

そして男がでるのは汚らわしいと言いはるのなら、男は百合を見てはいけないってことになるな。
ID:2+tp0ipHoの言う綺麗な百合作品を汚い男が見るのはおかしいって言ってるような物だな。
俺はそうはおもわないから見るけど ID:2+tp0ipHoはもう見るなよ? 汚いんだから
どうせ粗末な物をしごきながら見てたんだろうな、汚らわしい奴だ。
そんな奴に京太郎スレを比定する資格はない。

>>174
無意味で稚拙な長文乙
ざっと読んだけど、こんな稚拙なロジックは百合スレで大昔に論破されてるわ
完全論破するの面倒いし過去にも重複するので割愛するけど

霞「咲の魅力はキャラクターの多さなの」

霞「様々な人が、色々なキャラクターを好きになっているわ」

霞「それを欲望のために汚すような百合豚の行為は、当然反感を買うことになるのよ」

小蒔「じゃあ、こんなしょうもない百合豚の妄想のために永水女子を使ってファンの感情を汚していいんですか!?」


霞「そう。ちょうど今これを見ている永水女子が好きなお方は、相当な不快感を感じているでしょうね」

霞「それと同じ感情を百合豚の節操のない[田島「チ○コ破裂するっ!」]で感じる方が多くいるということを知って欲しいのよ」

初美「ふんふむ」

まあ、一つだけ論破するけど動物も同性愛するんだが?
特に知性の高いホモサピエンスなら同性愛は珍しくない
なにが生物的に反しているのか?
しかも、二次元は別なんだよ

>>172
>奇怪綺譚とかカブトとかの勢いのあるスレには絶対いかない腰抜けなんだから
>いいからスルーしとけ
ふーん、じゃあ咲はヘテロってVIPで言って来いよ
そう叩きになるよ多分
京豚は外では何も言えないんだよね(むしろ外に出るな)

うぜえ

別に此処で叩いてる奴らは咲を否定しているわけじゃないよ

お前を否定してるんだよ。
因みに生物的におかしいって言ってるのは性別の意味が異性同士で子供を作るためにあるってことだからね、同性同士じゃ子供作れないって事だよ? わかる?

>>183
>別に此処で叩いてる奴らは咲を否定しているわけじゃないよ
子よ糞が
>お前を否定してるんだよ。
人格批判乙
>因みに生物的におかしいって言ってるのは性別の意味が異性同士で子供を作るためにあるってことだからね、同性同士じゃ子供作れないって事だよ? わかる?
iSPでそのうち男はお払い箱だよ

特オタにもケンカ売ってんのかマジで子ねばいいのに…
京太郎ごときが天道とか烏滸がましいにも程があるわ

どうせVIPの京太郎スレに湧いてた自動保守くんだろう
無視安定

>>186
VIPから京豚スレが消えてスッキリしたわ
スレ立て依頼無視されていた京豚w

お前ら真人間になれよ
あー、京豚だからむりかw眠いから寝るわ

完全勝利した
京豚ざまあw

なるほどホモだったから女に京太郎を取られたくなかったんだな(納得)

>>204
レズもホモなんだが?

咲スレはvipでやれよ
どこ行っても荒れてるじゃねえか

>>210
小蒔「じゃあ、どうすればいいんですか!?みんなが幸せになる方法はないんですか!」

霞「速報でやれ」

小蒔「え?」

霞「速報で子ね」

霞「速報からも消えなさい」

霞「彼らはね、咲のSSが好きなのではないのよ」

霞「自分の姿を須賀くんに重ね、咲キャラたちと絡みたいだけなの」

初美「そうなんですかー?」

霞「そうよ。須賀くんはかわいそうだわ。京豚の、自己投影の犠牲になってしまったせいでいろいろな人に嫌われてし亦野だから・・・」

霞「京太郎SSの『京太郎』を、『俺』に置き換えて御覧なさい」

霞「ほとんどのSSで、違和感なく話が進むはずよ」

初美「うわー・・・ほんとうなのですよー」

霞「こういったスレにはね、ただちにふんふむを召還しなくてはならないの」

霞「『悪』をのさばらせてはいけないのよ」

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