妹「また本読んでるの?」
兄「・・・?」
妹「まぁいいや、そんなことより明日、友達と遊ぶからお金ちょうだい」
兄「・・・」コクッ
タッタッタ、ズズズー。
妹「兄貴、そんな古い財布まだ使ってるの?ジッパーも開き難そうだしダサいから捨てたら?」
兄「・・・」フルフル
妹「はぁ、(小学生のときに私が使わなくなった財布。どう反応するか試しに渡したらいまだに使ってるし)」
妹(何考えてるのか分からない)
兄「・・・」スッ
妹「え?一万円もいいの?」
兄「・・・」コクッ
妹「ありがと、兄貴!」
ーーーー学校。
妹「でさー、お兄ちゃんが一万円くれたんだよねー」
妹友「なんて言うか、変なお兄さんだよねー。うちのお兄ちゃんに言ったらたぶん叩かれる」
妹友「でも、妹ちゃんのお兄さんって先輩から聞くとかなり人気らしいよー?」
妹「そうなの?」
妹友「うん、いつも本読んでて物静かなんだけど、それがすごく様になっててカッコいいんだって」
妹「へー、(家でも本読んでるのに学校でも読むのかー変な兄貴・・・)」
妹友「でも、確かにあれは様になってるなぁーって思うときはあるよ」
妹「お兄ちゃんがねぇ・・・」
ーーーー図書室。
兄「・・・」ペラッ・・・ペラッ・・・
兄友「お前もよく飽きないな、本ばっかり読んでるから運動神経悪そうなのに、運動部からかなりスカウトあるし」
兄友「昨日はテニス部だっけ?兄ゾーンでテニス部の部員全員、負かしてたしなぁ」
兄友「あれどうやったら相手の攻撃を全部自分のところに持ってこれるんだ?」
兄「・・・?」
兄友「聞いてないのね」
兄「・・・」チラッ
兄友「どした?ああ、もう時間か教室戻ろうぜー」
兄「・・・」コクッ
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たぶん、はたかれるで区切ればよかったね。ごめんよ。
ーーーー教室。
教師「で、あるからこの数式と・・・」
兄「・・・」カキカキ
女「ねね、兄君」コソコソ
兄「・・・?」
女「帰り暇かな?」
兄「・・・」カキカキ、スー
女「えーっと」
妹の夕食作る。
女「そかそか、また今度ね」
兄「・・・」コクッ
ーーーー帰り道。
友「おいおい、兄」
兄「・・・?」
友「女さんと何はなしてたんだよ?クラスの何人かすげぇ見てたぞ」
兄「・・・」
友「・・・」
兄「・・・?」
友「いやいや!最後の時間の授業の時、何か紙に書いて渡してたろ?」
兄「・・・」カキカキ、スー
友「んーと」
なう。
友「なうって何だよ!お前たまに笑いに走ろうとするなよ!なうそろそろ古いぞ?!てか古い!」
兄「・・・」ニコニコ
友「はぁ、お前がしゃべること少ないのは子供の頃からだから分かるけどよ」
友「まぁいいや、今日も妹ちゃんのご飯作るんだろ?」
兄「・・・」コクッ
友「相変わらずだな、まぁいいけどよ。じゃあ俺この道だし、またな」
兄「・・・」コクッ
ーーーー家、キッチン。
トントン、ガチャガチャ。
兄「・・・」チラッ
ーーー六時三十五分。
ーーーー食卓。
兄「・・・」ペラッペラッ、チラッ
ーーー八時。
兄「・・・?」
ーーーー通学路。
兄「・・・」テクテク
ーーーー高校。
兄「・・・?」
ーーーー駅前。
妹「カラオケ楽しかった!時間で追い出されなければもっと居たいのに!」
妹友「だよねー、前は遅くまで居られたのに店長変わってから時間にうるさいよね」
妹「それでも着替えれば少しはいられる不思議!」
妹友「あはは、だよねだよね!って、あれってもしかして?」
妹「え?なになに?」
兄「・・・」キョロキョロ
妹友「お兄さんじゃないの?」
妹「げっ兄・・じゃなくてお兄ちゃんだ」
妹友「もしかして妹探してるんじゃないの?」
妹「まさかーうち門限なんて言われたことないしー」
妹友「そうなんだ、いいなぁ」
妹「ねぇ行こうよ、帰りにご飯食べて行こうよ。奢っちゃうよー」
妹友「ほんと!?いくー!」
ーーーー家、食卓。
兄「・・・」ソワソワ
ーーー十時。
「ただいまー」
兄「・・・!」
ーーーー玄関。
兄「・・・」テクテク
妹「兄貴、ごめんおそくなった」
兄「・・・」フルフル
妹「あ、ごはんいらないからね。部活で遅れて妹友ちゃんと食べてきたから」
兄「・・・」ニコニコ
妹「今日は疲れたからお風呂に入ったら寝るね。兄貴」
兄「・・・」コクッ
ーーーー食卓。
兄「・・・」モグモグ
ーーーー妹の部屋。
妹「温まったー。えーっと携帯はー」
妹友
今日はご馳走様ー!
すごく美味しかったよ!!
妹「えへへ」
ーーーー兄の部屋。
兄「・・・」カキカキ
トントン、ガチャッ。
兄「・・・?」
妹「兄貴、今日は・・って今度はなにやってるの?」
兄「・・・」スー
妹「・・・家計簿?お兄ちゃん家計簿なんて書いてたの??」
兄「・・・」コクッ
妹「・・・お小遣い減らす?」
兄「・・・」フルフル
妹「えへへ、ならよかった!あ、今日ねありがとう!」
兄「・・・?」
妹「あ、(そういえば部活って言ってたんだ)」
妹「う、ううん、なんとなく!ありがとう!」
兄「・・・」ニコニコ
妹「それじゃあ兄貴、おやすみー」
兄「・・・」コクッ
兄「・・・」カキカキ
お兄ちゃん。
兄「・・・」ニコニコ
ーーーー妹の部屋。
妹「あー、家計簿なんてつけてるからビックリしてお兄ちゃんって言っちゃった」
妹(・・・なんで家計簿なんて書いてるんだろうー?)
妹(家にはお父さんがお金、振り込んでるはずだし・・・まぁいいかー)
ーーー午前二時半。
ピピピ、カチャッ。
兄「・・・」
ーーーー?。
?「おー兄、今日も定時だな」
兄「・・・」ペコッ
店主「兄は急に休んだり、遅れたりしないから新聞屋店主の俺としては助かるよ」
兄「・・・」フルフル
店主「あっはっは、そう謙遜するなって、今日は100部頼むな」
兄「・・・」ペコッ
ーーー七時半。
オキロー、オキロー、ガッコウナウーナウナウ。
妹「うーん、うるさいー」
ーーーーキッチン。
トントン、ガチャガチャ。
兄「・・・」ニコニコ
妹「兄貴ーおはよー」
兄「・・・」コクッ
妹「今日はなにー?」
兄「・・・」スー
妹「鮭かぁーパンがいいなぁ」
兄「・・・」コクッ
ガチャ、スー。
妹「パンは少し焦げ目つけてね!」
兄「・・・」コクッ
ーーーー食卓。
妹「うんうん、いい焼き加減だねぇさすが兄貴」
兄「・・・」モグモグ
妹「そういえばさ、兄貴って人気あるみたいなんだけど実際どうなの?」
兄「・・・?」モグモグ
妹「んーなさそうなんだけどなぁ(ほんと、何考えてるか分からないしこんなのがいいのかなぁ)」
兄「・・・」ニコ
ーーーー通学路。
妹友「おはよー妹ちゃん」
妹「おはよー」
妹友「思ったんだけど、お兄さんはいつも別だよね?」
妹「んー?だって居たってしゃべらないじゃん」
妹友「でもでも、いるだけでも癒されない?」
妹「ないない、気持ち悪いってだけだよ」
妹友「それは言いすぎだよ?すごく優しそうなんだけどなぁー」
妹「優しいかぁ・・・そういえば怒られたことないなぁー」
妹友「ほんと?うぁ~うらやましい」
妹友「昨日さぁ~遅く帰ったからお兄ちゃんに怒られたよー」
妹「うわーそれやだねー、別にいつ帰ってもいいのにさ」
妹友「まぁ連絡すればよかったんだけどねー、ご飯冷めてるって言われて」
妹友「ご飯食べてきたっていったら叩かれたー」
妹「そっかぁ(そういえば兄貴ご飯作ってたのかな?見てなかったなぁ)」
妹友「でもでも、すごく美味しかったから気にしない!」
妹「うんうん、美味しかったよね。こんど駅前のさぁーーー」
ーーーー学校。
兄「・・・」ペラッ・・
兄友「よう、おはようさん」
兄「・・・」コクッ
兄友「はは、教科書読んだって楽しくねぇだろ。それより聞いてくれよ、昨日妹のやつがさ、遅くに帰ってきたから理由聞いたらカラオケだったんだとよ」
兄友「んでさ、親が作った飯あるぞって言ったら、なんて言ったと思う?」
兄「・・・?」
兄友「ごめーん、食べてきちゃった。だとよ、イラッってしたから叩いたわ」
兄「・・・」ジー
兄友「な、なんだよ?」
兄友「ま、まぁ。叩いたことは後で謝るから睨むなって」
兄「・・・」コクコク
兄友「でも、連絡ぐらいはしてほしいと思わないか?」
兄「・・・」
兄友「半々ってことね、お前らしいな」
兄友「まぁ、部活とかで遅くなって飯食うなら分かるけどよ、遊んでて飯食べるなら連絡はほしいって言いたいんだよ」
兄「・・・」ボー
兄友「おい、聞いてるのかよ」
女「兄君、兄友君。おはよー」
兄友「おはよう・・・ございます」
兄「・・・」コクッ
女「ふふ、兄友君どうしてございますなの?」
兄友「だ、だよな。いやぁーあは、あはは(たまにお嬢様オーラが出てるからなんですよ!)」
兄「・・・」ボー
女「兄君・・今日は良いかな?」
兄「・・・」
女「・・だめ?」
兄「・・・」フルフル
女「じゃあ、いいのかしーーじゃなくていいの?」パァ
兄「・・・」コクッ
女「ならどこに行くのかしら!?」
兄「・・・」チラッ
兄友「ん?なんだ(むちゃぶり勘弁してくれ)」
兄「・・・」カキカキ、スー
兄友「んー?」
今日の夕食は?
兄友「まず昼飯考えろよ!」
女「私は一般の魚が食べてみたいですね」
兄友「答えるのかよ!しかも一般ってどんな魚だぁああああああああああ!!!」
兄「・・・」カキカキ、スー
兄友「はぁはぁ・・・今度はなんだ」
昼はアンパン。
兄友「ああ、そう・・・って突っ込みづらいわ!」
女「ふふふ、兄君面白いです」
兄「・・・」ニコニコ
兄友「はぁ、兄といると退屈はしないよ。それと女さん、口調戻ってるよ」
女「あ、そ、そうだね!兄友君ありがと!」
兄友(お嬢様学校からなんでわざわざ来たんだろうなぁ女さん)
兄「・・・」ニコニコ
----昼。
兄「・・・」モグモグ
兄友「・・・」
女「ふふ、」
兄友「・・・」
兄「・・・?」
兄友「アンパンじゃねぇじゃねぇか!弁当じゃん!!から揚げ美味しそうだな!自分でも何言ってるか分からなくなってきた!!!」
兄「・・・」モグモグ
スー。
兄友「いや、くれとは言ってないけど・・・ま、まぁくれるならもらっとくよ」ヒョイ パクッ
兄友「う、うめぇえええええ!なにこれうめぇ!てか旨いんだけどどっかで食べた気がするんだけど!」
兄友「ほら、白髪のジーさんが店の前に立ってるところの味だ」
兄「・・・」モグモグ
女「それはどういうところなの?」
兄友「ただのチェーン店だよ。たまに食いたくなるし、人によっては二日に一回の人も居たなソースは俺」
女「ソース?」
兄友「ああ、女さんは気にしないで、本当は二日に一回も行ってるのかよって言ってほしかったけどね」
女「・・・はぁ、難しいですね」
兄「・・・」モグモグ
兄友「お前はぶれないな」
兄「・・・」モグモグ
女「ふふ、」
ーーーー妹の教室。
妹「んー、から揚げの味、変わったー」
妹友「お弁当って妹ちゃんが作ってるの?」
妹「んーん、お兄ちゃん」
妹友「お兄さんが・・・思ったんだけど、家でお兄さんっていつも本読んでるだけじゃないの?」
妹「そうそう、いつも読んでるだけで気持ち悪い!」
妹友「そうじゃなくて、家事のこと」
妹「んー?ああ、掃除とかご飯とか全部お兄ちゃんだね」
妹友「へ、へー(お兄さんがお婿さんになってくれたら、実はすごく幸せになれるかも・・・?)」
妹「何考えてるの?」
妹友「う、ううん、なんでもないよ」
妹「ふーん。お兄ちゃんが気になるの?」
妹友「気になるって言うか、人気の理由が分かる気がするー」
妹「ないない、そもそも自分のことしゃべらなし、さらにもともとしゃべらないじゃん」
妹友「あ、そっか。でも、何もしてないわけじゃないんだねー」
妹「料理してるときとかいつも笑顔なんだよ?何が楽しんだか」
妹友「ふむふむ、他には?」
妹「帰ってきたら、笑顔で出てくる」
妹友「ほむほむ」
妹「遅く帰ってきても怒らない?」
妹友「へー」
妹「ちょっと目が怖いよ?妹友ちゃん」
妹友「・・・」
妹「他には、お金がなかったとき言うといつもお金くれる?」
妹友「ほぉー」
妹「ば、馬鹿にしても喧嘩にならない・・・」
妹友「妹ちゃん!お兄さん下さい!!」
妹「え?はっ?」
妹友「お兄さんマジ天使!何かの生まれ変わりなの!?」
妹「ちょ、ちょっと落ち着いて!まわりも見てるからぁ!」
妹友「落ち着いていられるかぁあああ!そんな素敵なお兄さんに気持ち悪いだってなんなのよ!!羨ましいよぉ!!」
妹「羨ましいのか怒ってるのかどっちなの?」
妹友「両方に決まってるでしょ!」
ーーー数分後。
妹友「はぁはぁ、ごめん。落ち着いてきた」
妹「よ、よかった」
妹友「もう、うちのお兄ちゃんに聞かせてあげたいよ。妹を叩かないお兄さんがいるって」
ーーーー兄の教室。
兄友「へっくしょん!」
兄「・・・?」
女「風邪?」
兄友「いや、きっとうちの馬鹿妹が噂してるんだろ」
女「兄友君、妹さんいたんだね」
兄友「ああ、ちなみに兄にもいるぜ」
女「兄君にも?」
兄「・・・」コクッ
女「羨ましいですね、私は一人っ子なので姉妹とか兄妹に憧れたりします」
兄友「いてもうるさいだけだと思うぜ?」
女「そういうものですか?」
兄「・・・」ニコニコ
女「う、嬉しそうですね」ドキドキ
兄友「兄は妹のこと大切にしてるからなぁ」
女「羨ましいですね」
兄友「え?」
女「え?あ、え??な、なんでもありません!」ドキドキアセアセ
兄友「・・・」
兄「・・・」ニコニコ
ーーーー放課後。
女「あ、あの兄君。さっきのーー」
兄「・・・」コクッ
女「じゃあ!二人っきりでそのーー」
兄「・・・」コクッ
女「じゃあ!行きましょう!すぐに!」
ーーーースーパー前。
女「あ、あれー?なにかあれー??」ダラダラ
兄「・・・」グッ
兄友「なんか・・・俺もごめん」ダラダラ
女「あ、兄君?いい物は買えたかしら・・・」
兄「・・・」コクコク
兄友「俺、いらない子だよね・・・どうしてお前の『たまご40円お一人様一個までタイムセール』に付き合わなきゃいけないんだ?」
兄「・・・?」
兄友「もう・・良いよ・・・」
女「えっと、兄君ですからって思うしか無いんですよね・・・」
兄友「期待するだけ無駄かもね」
女「わ、私は別に期待なんてしてません!」
兄友「そかそか、でも頑張って(何人か諦められない人も居るから競争力高いけどね・・・)」
女「頑張ります」グスンッ
ドンッ
女「キャ!ご、ごめんなさい」
茶髪「お、可愛い子じゃん。どうしたの?俺に何か興味ありげ?」
金髪「なわけ無いだろ、きっともう我慢できないんだろ」
茶髪「あーなるほどね」ギャハハ
女「い、いえ。そういうわけではーー」
兄友「すいません!」サッ
兄「・・・」ペコリ
茶髪「お、なんだよ!今、いいところだったのによ」
兄友「いやーホントすいません」
兄「・・・」コクコク
金髪「買い物袋とか持ってこれから集まり?俺たちも混ぜてよ」
兄友「いやいや、これは兄のものですし、集まりも無いですよ」
茶髪「あ?別にいいだろ?女だけでもいいんだけどよ」
兄友「いや、そういうわけにもいきませんよ」
兄「・・・」ペコ
金髪「さっきからおめぇだけはしゃべらないな!なんなんだよ?あ?」
茶髪「びびってんだろ?いじめんなよ」
金髪「いじめてねぇよ、なんかこいつの目どっかで見たことあるからムカつくんだよ」
茶髪「こいつがぁ?」
兄「・・・?」
茶髪「いや、弱そうだしそれは無いだろ」
金髪「そっか?まぁいい、女よぉこっちこいよ」グイッ
女「いや!離してください」
兄友「おい、やめろよ」
金髪「あ?」
兄友「似合ってねぇ金髪が数倍きもいんですけどー?」
金髪「んだとコラ!」
茶髪「なめてんのか?あ?」
兄友「それにそんなに騒いでるとほら」
ナニアレ、ツウホウシタホウガ、サイキンノワカイコハ。
兄友「馬鹿みたいに騒ぐから人が集まるんだよ、サルじゃないんだからちっとは考えろよ」
兄「・・・」
金髪「あーこれ怒らせちゃったよ、マジヤベェよ?」
茶髪「てめぇちっとツラかせよ」
兄「・・・」スー
女「え?あ、兄君」
兄友「女さん、ちょっと兄の荷物持っててくれない?せっかくの卵割れたらあれだし」
女「そ、そうですよね。で、でも二人は?」
兄友「いいからいいから」
兄「・・・」コクッ
女「で、でも」
ブオン、ガシャ!
兄「!」
女「あっ!」
茶髪「あーあ、卵入ってたんだっけ?俺らほっといて話してるから金髪がしびれ切らしちゃったじゃんよ?」
金髪「ハッ!いい感じに全部割れたっぽいな、ざまぁ」
兄「・・・」
女「い、妹さんのために買ったのに・・・」ボソッ
金髪「へぇ」
女「あ、い・・いえ」
金髪「いいこと聞いちゃったよ、おい茶髪」
茶髪「あ?」
金髪「その袋ぐしゃぐしゃにしようぜ」
茶髪「何かわかんねぇけどあいよ」
グシャッ!
兄「・・・」
女「あ、ああ・・・ひ、ひどい」
兄友「てめぇら屑だな」
茶髪「はぁ?道端に落ちてるから踏んじまったよ」
金髪「これはきっとクリーニング代が必要だから路地こいよ」
兄友「あいよ」
兄「・・・」コクッ
女「兄君、兄友君!」
兄友「いいからいいから、女さんはわりぃけどそれスーパーのゴミ箱に捨てといてもらえる?さすがにもうだめだ」
兄「・・・」ペコ
女「私のせいなのに」
兄友「いいから」ニコッ
茶髪「おら、こいよ」
ーーーー路地。
兄友「すいませんでしたー!」ドゲザ
兄「・・・」ドゲザ
金髪「は?」
茶髪「いや、マジうけるわ」ギャハハ
兄友「いや、女の子の前ではかっこよく見せたいじゃないですかいや、ホントすいません」
兄「・・・」ドゲザ
金髪「俺たち散々馬鹿にしといて許されると思ってるわけ?あ?」
兄友「で、出来れば許してほしいんですけど」
兄友「だめッスかね?」
茶髪「だめだね、オラッ」ブンッ
兄友「グッ、げほげほ」
金髪「おーエグイ蹴りだねーいいぞもっとやれ、じゃあ俺は」グリグリ
兄「・・・」グググ
金髪「だまってねぇでもうちょっと一言あってもいいんじゃねぇの?あ?」
茶髪「おいおい、そんなに踏みつけたら顔面つぶれてしゃべれねぇだろ?」
金髪「いいんだよ、金は貰うけどよ。こいつで汚れふかねぇとな」
茶髪「ひでぇなおい、笑えるからいいけどよ」ギャハハ
金髪「さっき女がよ、こいつに妹いるって言ってて、そいつのために買い物してたんだとよ。あれだあれシスコン」
茶髪「うわきめぇ」ギャハハ
金髪「こんなのが兄だったら気持ち悪いだろうし、こいつの妹もきっとクズ以下だろうな」
兄「・・・」ピクッ・・・フー、フー
兄友「・・・お、おい。落ち着け、な」
茶髪「あ?俺は冷静だぜ?」
兄友「お前じゃねぇよ」
茶髪「はぁ?じゃあ誰にーー」ゾクッ
金髪「あ?どうした?」
茶髪「いや、なんかすげぇ寒気した」
金髪「ハッ、今日は寒くねぇだろ」ガシッ
金髪「あ?」
兄「・・・」グッ
金髪「てめぇ人の足掴んでんじゃ・・・あ゛・・グッ・・・」
茶髪「・・・?お、おいどうした?」
金髪「がぁああああ」ドサッ
茶髪「おい!急に倒れてどうしたんだよ?!」
兄「・・・」
ミシッ、ペキッ。
金髪「あ、足がぁああ」
茶髪「おい!金髪の足離せよ」ダッ
兄「・・・」ブンッ
茶髪「!」ドンッ
金髪「うぐっ!」ドサッ
茶髪「(こ、こいつ・・片手で俺に金髪投げやがった)なんなんだよお前ッ!!」
兄「・・・」タッ・・タッ・・・
茶髪「く、来るな!」
兄「・・・」スー
茶髪「お、おい。何する気だ!」ハァハァ
パシッ。
兄友「おい、もうやめとけって。お前が本気出したら確実にこの二人・・だから、な?」
兄「・・・」
兄友「おい、茶髪さん?でいいか?」
茶髪「・・・」ガクガク
兄友「こいつ、ちょっといろいろあってな・・・」
兄友「だから、もういいよな?」
茶髪「・・・」コクコク
兄友「兄、もう行こうぜ」
兄「・・・」ジッ
茶髪「ひぃ!」
兄友「ほらほら行くぞー」
兄「・・・」
タッタッタッ。
茶髪「・・・き、金髪。だ、大丈夫か?」
金髪「うぐぅ・・・」
茶髪「お、お前、足が・・・」
ーーーースーパー前。
兄友「んー、女さん居ないな。待っててくれとは言ってないから帰ったか?」
兄「・・・」
兄友「・・無茶し過ぎだって。ちょっと手と腕見せてみ」
兄「・・・」スー
兄友「親指から小指まで順に動かしてみてくれ」
兄「・・・」グ、グ、グ・・
兄友「ちゃんと動くな、腕は・・・少し熱もってる感じだな」
兄友「俺は親父じゃないから詳しくはわかんねぇけど一応、後で病院に来いよ?」
兄「・・・」コクッ
兄友「痛みは感じないだろうし、でも、ひと一人片手で投げ飛ばしたんだ。ダメージがないわけないし」
兄友「それに、人が使える筋肉のリミッターほぼないんだから、下手すると自分の筋力でたぶん骨砕けるぞ?」
兄友「妹ちゃんの悪口言われてムカついたのはわかるけどよ、つまんない事で怪我したら悲しむと思う」
兄友「今まで秘密にしてこれたんだ。しゃべれる様になったら、いろいろちゃんと伝えてやれよな」
兄「・・・」コクッ
兄友「はぁ(でもまぁ、知らないほうが幸せか・・・)」
ーーーー家、兄の部屋。
兄「・・・」グッグッグ
ーーーー回想。
兄友「いいか?帰ったらもう一度ちゃんと調べとけよな」
兄友「親父には伝えておくから、握力に違いがあったらすぐに来いよ」
兄友「いつもので測ることを忘れずにな」
ーーーー兄の部屋。
兄「・・・」グッ
112kg
兄「・・・」グッ
150kg
兄「・・・」グッ
150kg
兄「・・・」グッ
error ピー
兄「・・・」
ーーーーキッチン。
兄「・・・」
妹「ただいまー」
兄「・・・」
妹「ただいま!」
兄「・・・」
妹「おーい!兄貴!帰ったよ?」
兄「!」
妹「珍しいね?兄貴が私が帰ってきても玄関に来なかったの、まぁこなくても良いんだけどね。むしろ来なくていい!」ウンウン
兄「・・・」
妹「兄貴?本当に何かあったの?」
兄「・・・」フルフル
妹「そう?ってあー!ご飯できてないじゃん!」
兄「・・・」カキカキ
妹「んー?」
買い物し忘れたから、今日は出前。
妹「え?ホント?!よしよし!何食べようかなー!ピザがいいかな?んーでも・・・」
兄「・・・」
妹「兄貴は何食べたい?!」
兄「・・・」カキカキ
好きなものでいいよ。
妹「やった!」
兄「・・・」タッタッタ
妹「・・・兄貴?」
ーーーー兄の部屋。
兄「・・・」カキカ ペキンッ
兄「!」
兄「・・・」スー、カチャ ピッ、ピッ、ピッ。
ーーーー家、兄友の部屋。
兄友「また負けたぜ」
妹友「お兄ちゃん弱すぎ!」
兄友「て、手加減してあげたんだ。感謝しろ」
妹友「えーほんとー?」
ブーブー、ブーブー。
妹友「お兄ちゃん、携帯なってるよー」
兄友「んー?ああ、」カチャ
兄
用件 なし
兄友「!」
妹友「どうしたの~?彼女?」
兄友「いねぇよ、兄だよ兄(空メールか、やっぱりな)」
妹友「え!お兄さん携帯持ってたの?!」
兄友「不携帯だけどな携帯なのによ」
妹友「そうなんだー、それで~?」
兄友「今から来るってよ、親父に言って来る」
妹友「また内緒で?」
兄友「ああ、絶対に言うなよ」
妹友「よくわかんないけど、はーい」
兄友「はぁ、そういう時だけは聞き分けよくて、可愛げあるよな」
妹友「・・・ばか、早く言ってきなよ」
兄友「あいあい、親父ー!ちょっと話がある」タッタッタ ガチャ バタン
妹友「妹ちゃんに内緒で何してるんだろう・・話したほうがいいのかな・・・」
ーーーー家、兄の部屋。
兄「・・・」
トントン、ガチャ。
妹「兄貴ーって、どっかでかけるの?」
兄「・・・」コクッ
妹「こんな時間に?まぁ良いけど、お兄ちゃんは何食べるー?時間的にスシかピザー」
兄「・・・」フルフル
妹「え?食べないの?」
兄「・・・」コクッ
妹「・・・わかった」
兄「・・・」タッタッタ
妹「・・・」
ーーーー個人病院。
医者「・・来たね」
兄「・・・」ペコッ
医者「息子から話は聞いてるよ。どうやら無茶をしたみたいだね」
兄「・・・」コク
医者「そうか、どういう理由でかは聞かないとしても」
医者「君はあの事故の時、脳の損傷で言語、神経の一部が麻痺してるのはもう分かりきってるよね」
兄「・・・」
医者「事故以来、必死でリハビリをして、力を制限する方法も身に付けた」
医者「私は伝えたはずだ、力の使い方を間違えれば君の体はすぐに壊れると」
医者「もちろん怒っているわけではないが、もう少し体を大切にしなさい。医者としての警告だ」
医者「・・だが、君のおかげで息子は余計な怪我をしなかったみたいだね、ありがと」
兄「・・・」
医者「じゃあ、右腕かな?上着を脱いで見せてくれるかい」
兄「・・・」コク スルスル、スー。
医者「・・うん、上腕二頭筋長頭腱炎つまり、力こぶのことだけどそこに陥没は見られないし他にもない」
医者「内出血も見られない。痙攣したのであれば、一時的なものだろう」
医者「結論としては大丈夫だが、もちろん二週間は安静にしなさい」
医者「君は痛みを感じないんだ。本来ならばMRI、CTで見たいところだけどお金が掛かるしね」
医者「帰りは送っていこう、服を着て良いよ」
兄「・・・」コク
ーーーー家、玄関。
ガチャ
医者「・・・なんだ、起きてたのか?」
兄友「まぁね」
医者「そうか、ちょっと付き合いなさい」
兄友「あいお」
ーーーー屋上、テラス。
兄友「いい加減、医者なんだから煙草やめろよ」
医者「フー、あの子の記憶で何か変わったことは」
兄友「聞けよ。まぁ何もないよ」
医者「そうか、忘れていたほうが好都合だがな」
兄友「事故・・・ねぇ」
医者「立ち聞きか?悪趣味に育てた覚えはないぞ?」
兄友「言っとくけど妹友が近づかないようにだよ」
医者「それは悪かった、訂正しよう」
医者「妹ちゃんはどうだ?」スー、フー
兄友「元気だよ」
医者「見た感じでは、兄君が父親と母親、お兄さんの役割をしているみたいだがね」
兄友「あいつは、ずっとあんな感じだよ」
兄友「父親と母親の代わりとしてたまに兄として接してるみたいだし」
兄友「妹ちゃんにはそれが気持ち悪く感じるみたいだけどな」
医者「そうか」
兄友「・・・事故じゃなくて『事件』、だったんだろ?」
兄友「調べてなんとなく解ってるけど」
医者「あの事は調べたぐらいじゃ分からんよ」
医者「実際に見ていないとな」フー
兄友「・・・今日、あいつさ、頭踏まれたんだ」
医者「・・・」
兄友「話し端折りすぎた」
医者「いや、いい。状況だけ教えてくれればな」
兄友「足で頭を踏まれたんだ。押さえつけられながらあいつの妹の事を言われた」
兄友「その瞬間だったよ」
医者「そうか、記憶がなくても体が覚えているんだな」
兄友「やっぱり事件と関係あるんだ」
医者「あまり詮索しすぎるのも考え物だな」
兄友「へいへい」
医者「一つだけ言っておこう」
兄友「ん?」
医者「二児の父親として、彼には幸せになってもらいたいものだ」
ーーーー家、玄関。
ガチャ、バタン。
兄「!」
妹「お帰り。遅かったね」
兄「・・・」コクッ
妹「その手、包帯?怪我したの?」
兄「・・・」フルフル
妹「ふーん、この時間って病院やってたっけ?だれかにしてもらったの?」
兄「・・・」
妹「もういい、おやすみ」タ、タ、タ、ガチャ、パタン
兄「・・・」
ーーーー兄の部屋。
兄「・・・」
「今日からあなたの妹よ。ちゃんと良いお兄ちゃんになってあげてね」
「・・・あなた?仕事は?」
「最近、お酒ばかりね。仕事のほうは順調なの?」
「お帰りなさい。それは?あぁ・・・兄!妹を早く連れて行って!」
「お兄ちゃん?どうしたの?」
「暗いところ怖いよ。どうして閉じ込めようとするの?」
「・・・かくれんぼ、もういいの?お兄ちゃん。お兄ちゃん?その赤いの・・・なぁに?」
ーーーー午前二時半。
ピピピ、ピピピ。
兄「・・・!」
ある程度書き溜めてから投下しろや
>>66 書き溜めはあるんですけど帰ってくる時間が遅くて更新できないんですよ。
ーーーー妹の部屋。
妹「・・・(兄貴のせいで全然寝れない・・・今日学校休もうかなぁ)」
ピピピ、ピピピ。
妹(兄貴の部屋から?なんで?まだ全然、朝じゃないのに)
ガチャ、バタン。
妹「・・・」
ーーーーキッチン。
カチャカチャ、チチチボッ。
兄「・・・」
妹「兄貴、何してるの?」
兄「!」
妹「まさかとは思うけどいつもこの時間に起きてるの?」
兄「・・・」コクッ
妹「なんで?」
兄「・・・」カキカキ、スー
朝ごはんの準備と昼の弁当。
妹「そ、そうなんだ(こんなに朝早くからするんだ、知らなかった・・・)」
兄「・・・」
妹「分かった」タ、タ、ピタ。
妹「兄貴ーー」
兄「?」
妹「・・・その、ありがと」
兄「・・・」ニコニコ
妹「・・・」タ、タ、タ、ガチャ、バタン。
兄「・・・」
まだ更新します、基本的にゆっくり更新です。
ーーーー妹の部屋。
妹「・・・はぁ、どうしても兄貴見ると辛くしちゃう、何でかな・・・まだ時間あるし寝ちゃお」
ーーーー玄関。
兄「・・・」カキカキ。
いってきます。
兄「・・・」
カチャ・・・パタン。
ーーーーバイト先。
店主「おう、来たな」
兄「・・・」ペコ
店主「ん?なんかいいことあったのか?」
兄「・・・」コク
店主「そうかそうか、なら今日は多めにいくか?」
兄「・・・」フルフル
店主「はっはっは、冗談だ。それよりその手は大丈夫なのか?包帯だよな?」
兄「・・・」コクッ
店主「・・・なら今日は少なめでいいよ、別のやつにふっとくから無理するなよな」
兄「・・・」ペコ
店主「いつもありがとな、雇ってる身としてはお前は頼れるからな!」バンバン
兄「・・・」
ーーーー配達帰り。
?「え!あ、えぇ?!お、お兄さん?」
兄「・・・?」
妹友「私、妹ちゃんの友達で、えっと、こんな朝早くにどうしたんですか?」
兄「・・・」カキカキ、スー。
妹友「あ、はい(本当に筆談なんだ、噂だと思ってたし妹ちゃんにも聞かなかったし)」
秘密。
妹友「ひ、秘密ですか!」
兄「・・・」シー
妹友「い、意外とお兄さんは意地悪さん見たいですね」
兄「・・・」ニコニコ
妹友「うー、別にいいですよ。妹ちゃんに朝のランニングしてたらお兄さんと会ったって言いますから」
兄「・・・」ダラダラ
妹友「私の勝ちみたいですね」ヘヘン
兄「・・・」コクッ
ーーーー近所の公園、ベンチ。
妹友「えーっと、ごめんなさい」
兄「?」
妹友「お茶、奢ってもらっちゃって」
兄「・・・」カキカキ、スッ。
気にしなくていいよ、秘密にしててくれれば。
妹友「お茶で買うつもりですか?」
兄「・・・」ニコニコ
妹友「・・・わ、わかりました(その笑顔はずるいと思います)」ドキドキ
妹友「でも意外でした。初めてお話したのに話せるので、お兄さんって女の子の扱い上手なんですね」
兄「・・・」カキカキ、スッ
そういう訳じゃないよ、妹友ちゃんの事は知ってたし。
いつも一緒に居てくれるって感謝してたからね。
妹友「・・・」ドキドキ
兄「・・・?」
妹友「な、なんでもありません」カァ
兄「・・・」ニコニコ
妹友「じゃ、じゃあ私は家に帰りますね」
兄「・・・」コクッ
妹友「またです」ペコッ タッタッタ
兄「・・・」
ーーーー朝、食卓。
妹「・・・」モグモグ
兄「・・・」モグモグ
妹「ねぇ兄貴」
兄「?」
妹「・・・なんでもない」モグモグ
兄「・・・?」
ーーーー学校。
兄「・・・」
兄友「よっ、おはようさん、今日は本読んでないんだな」
兄「・・・」コク
兄友「まぁ今は手を休めるのが一番だからな」
???「あ、あの」
兄友「おお、女さん。昨日は大丈夫だった?」
兄「・・・」カキカキ、スー。
心配したよ、無事で良かった。
女「ごめんなさい・・・昨日、助けを呼んだのですが、その・・・」
兄友「別にいいって、なぁ兄」
兄「・・・」コク
女「ありがとう、兄君、兄友君」
女「あの、お二人は大丈夫だったのですか?」
兄友「まぁ、大丈夫だったよ」
女「そうですか・・・安心しました」
兄友「しばらくはあの辺には行かないほうがいいな」
女「食材とか大丈夫ですか?」
兄「・・・」
兄友「少し遠回りだけどないことはないんだ」
女「私のせいで・・・」
兄友「気にしすぎだよ」
兄「・・・」
明日、更新しますね。
ーーーー妹の教室。
妹「おはよー」
妹友「あ、おはよ」
妹「はぁ、疲れたー」
妹友「どうしたの?」
妹「校門で先輩に声かけられた」
妹友「え?また?」
妹「うん」
妹友「今度はどっちなの?」
妹「お兄ちゃんの方だった。お兄さんの事で聞きたいことあるから後でいろいろ教えて欲しいんだって」
妹友「ほむむー、相変わらずだねぇ。妹ちゃん自身もよく声かけられるのにお兄さんもじゃ」
妹「疲れる」
妹友「あはは、災難だったねー」
妹「はぁ、お兄ちゃんはお兄ちゃんで変だし、面倒くさい!」
妹友「え?お兄さん何かあったの?」
妹「んーとね、いつも考えてるんだけどもっと考えてることがあるって言うのかな」
妹友「ほむほむ」
妹「上の空って言うのかなぁ、昨日の夜から急に変に考えてることがあるっぽかった」
妹友「そうなんだ・・・今日の朝、全然そんな気がしなかったけどなぁー」
妹「・・・どういうこと?お兄ちゃんと今日の朝、一緒に登校したみたいな感じ?」ジッ
妹友「え?あ!ち、違うよ・・・」アセアセ
妹「・・・」ジー
妹友「あうう」アセアセ
妹「へー、お兄ちゃんがねぇ」
妹友「う、うん(お兄さんごめんなさい!数時間でばれました!)」アセアセ
妹(兄貴ってそんな時間から外で何してるのかな?)
妹友「ほ、ほら私は体重気にしてだけど、お兄さんもお、同じじゃないかな?ね、ね?」
妹「残念だけど、それはないよ」
妹友「え?」
妹「お兄ちゃん175で60だから平均より痩せてるよ」
妹友「よく知ってるね」
妹「質問されまくれば覚えたくなくても覚えるよ」
妹友「そっか・・・いいなぁ」
妹「・・・」
妹友「なんでもない!なんでもないからね!」
妹「なにも言ってないよ?焦りすぎ」
妹友「うわーん!私のばかー!」
妹「・・・はぁ、兄貴のほうが馬鹿だよ」ボソ
ーーーー兄の教室。
兄「・・・」
兄友「ん?考え事か?」
兄「・・・」コクッ
兄友「考えたところで答えなんてでねぇんだからやめとけやめとけ、ソースは俺だ」
兄「・・・」カキカキ
俺がソースだ。
兄友「知らねぇよ!てか懐かしいなおい!」
兄友「いい加減古いもので攻めるのやめろよ、新しいのにしろな、な?」
兄「・・・」グッ
兄友「親指立ててそれは何の返答なのかまったく分からない・・任せろなのか・・・?」
兄友「てか、腕動かすなよ・・・」
兄「・・・!」
兄友「抜けてるのは相変わらずだな」
お休みなさい。
兄友「まぁいいや、それより女さんについてお前はどう思ってるんだよ」
兄「・・・?」
兄友「いや、俺の言いたい事は分かるだろ?」
兄「・・・」コク
兄友「お、おお・・・ホントか?いやマジで?」
兄「・・・」キリッ
兄友「いつになくまじめな顔だ・・・(女さんは先公の所だしな周りも気にしてなさそうだしーー)」
兄友(今なら聞いてもよさそうだ)
クラス女子数人「・・・」ピクッ
兄友「じゃあ教えろよ、どう思ってるんだ?」ボソボソ
兄「・・・」カキカキ、スー
兄友「・・・んー」
買い物手伝ってくれたいい人。
兄友「・・・うん、違うんだよ。俺の求めてた答えじゃないんだよ」
兄「・・・」カキカキ、スー
積極的な人?
兄友「・・・お、おお。なんだ分かってるじゃん」
クラス女子数人「・・・」ピクピク
兄友「それでどうなんだ?その意味は?」ボソボソ
兄「・・・」カキカキ、スー
進んで買い物手伝ってくれる人はなかなか居ないから、すごく良い人だと思う。
兄友「・・・だめだこれ」
専用ブラウザでの書き込み開始。
ガラガラ
兄「・・・」チラッ
女「・・・?」
兄友「なぁ兄、違うんだよ。ほら女さんってやっぱり女の子なわけよ」ボソボソ
兄「・・・」コク
女「・・・」ピクッ
兄友「男として、女の子に手伝ってもらったらどうするか分かるだろ?」ボソボソ
女「・・・!」
兄「・・・!」コクコク
兄友「女さんはすごく可愛い、正直、付き合いたいと思う」ボソボソ
兄「・・・」チラッ
女「・・・」プルプル
兄友「しかし、残念ながら女さんはお前にばかり行くんだ」ボソボソ
女「!!!」
兄「・・・」
兄友「だからこそ羨ましい。とは思うけどな」
兄「・・・」
女「・・・」カァ
兄友「俺がここまで言ったんだ。後は分かるな?」
女「・・・」プルプル
兄「・・・」フルフル
兄友「たく、この天然さんめ。俺がはっきり言ってやる」
兄友「つまり女さんはーー」
ガシッ
兄友「あ、あはは。誰だろうな俺の頭を鷲づかみする人は」ダラダラ
女「兄友君、すこし外に出ましょうか」プルプル
兄友「・・・・・・なぁ兄、俺は死ぬのか?」
兄「・・・」スー、グッ!キリッ
兄友「だから腕動かすなって・・・逝ってくるよ」
兄「・・・」カキカキ、スッ
クラスの女の子が駅前のスーパー新装開店だって教えてくれたよ!
兄友「シラネェよ!!今日一番の笑顔がそ」ズルズル
兄友「ちょ!まって、ごめんなさい!あのね、僕はね・・・」ズルズル
ガラガラ、バタン
「ちょま!箒はまずいって!」ペシペシ
「酷いです!なんであることないこと!」エイエイ
「痛い痛い!お尻が!!」パシンパシン
「バカー!」ブスッ
「あっ!入っちゃいました・・・」
「ア"ッー!!」グリッ
兄「・・・」カキカキ
ガンバレ。
兄「・・・」ニコニコ
クラス女子数人「・・・」ドキドキ
ーーーー保健室。
兄友「ヒーヒーフゥ、ヒーヒーフゥ」
先生「・・・」プルプル
兄「・・・」カキカキ
彼の校門は大丈夫ですか?
先生「・・・ブッ!わざとかね。君は意外な冗談を言う事にびっくりだが、箒を股に挟んで歩いてきた兄友にもびっくりだ」スーフー
養護教諭「深呼吸はゆっくりするといいですよ」
先生「ああ、申し訳ないです。しかしまぁこいつらが騒ぎを起こすとは本当に珍しい」
養護教諭「ふふ、そうですねぇ。正確には女ちゃんと兄友君がみたいなのですけどね」
女「・・・」シュン
先生「女、学校での箒は人を叩くものじゃないのは分かっているな?」
女「はい」
先生「だがまぁ、あれだ。久々に笑わせてもらった。落ち着いたら授業に来るように、一応来なくても出席にはしておこう」
女「ありがとうございます」ペコッ
ガラガラ、ガタン。
兄友「兄・・・それはクラスのバカ男子がする下ネタだからお前はやるな・・・」ハァハァ
兄「・・・?」
兄友「キャラじゃないって言いたいんだよ・・・ウッ」ハァハァ
兄「・・・」コク
女「あ、あの、兄友君、ごめんなさい」
兄友「いあ、俺も悪かったよ・・・あれは不幸な事故だったんだ」
兄「・・・」カキカキ、スッ
兄友が悪いと思う。
兄友「・・・だぁな、人の秘密を言おうとしたんだこれは当然の結果だ」フゥ・・・
兄友「だから女さんは謝らなくていいよ」
女「・・・は、はぁ」
養護教諭「落ち着いたのかしら?」
兄友「ああ、もう大丈夫そうですけど念のためもう少し居ます」
養護教諭「そうねぇ・・・分かった。ほら二人とも、ここは私がいるからもう教室に戻りなさい」
養護教諭「先生はああ言ってたけど、ちゃんと授業は出とかないとだめよ?」
女「はい、わかりました」ペコッ
兄「・・・」ペコッ
ーーーー保健室前。
女「失礼しました」
ガラガラ、ガタン
女「兄君、つき合わせてごめんなさい」スッ
兄「・・・」フルフル
女「教室に戻りましょうか」タ、タ、タ
兄「・・・」
グッ
女「キャ?!兄君!?どうしていきなり手を握って」ドキッ
兄「・・・」スッ
女「上・・・ですか?」
兄「・・・」タッタッタ
女「え!ちょっと待ってくだーー」タッタッタ
ーーーー屋上。
兄「・・・」
女「すごい・・・雨が降ってないのに虹が・・・」
兄「・・・」カキカキ、スッ
環水平アークって言って珍しい虹だよ。
女「そうなんですか・・・とても綺麗です」
兄「・・・」カキカキ、スー
見れた人は幸せになれるんだって、小説に書いてあったよ。
女「小説ですか・・・そういえば兄君はよく本を読んでますね」
兄「・・・」コク
女「虹と少女という小説を知ってますか?」
兄「・・・」コク
女「二年前にある方から頂いたんです。何方かは分らないのですが・・・」
兄「・・・」
女「えーっと、変な話でしたよね、急にごめんなさい。なんとなく兄君がその人と雰囲気が似ていたので」
兄「・・・」フルフル
女「私、その人を探しているんですよ。無理を言って学校を変えてまで、もちろん父には反対されましたけど」ニコッ
女「分っているのはこの町の方で同じ年齢ぐらいだという事ぐらいです」
兄「・・・」カキカキ、スー
きっと見つかると思う。この虹をきっと、その人も見てると思うよ。
女「ふふ、意外とロマンチックなんですね」
兄「・・・」テレテレ
女「顔真っ赤ですよ、兄君」
ーーーー屋上、ドア。
兄友「・・・(尻が痛いの我慢してスネークした結果がこれだよ・・・)」
ーーーー妹の教室、休み時間。
妹友「・・・」ズーン
妹「ご愁傷さま」
妹友「うー他人事だと思ってー!」ガー
妹「だって、他人だもん」
妹友「あう!ひどい!」
妹「でもそう思うでしょ?」
妹友「確かに思うけど・・・・・・やだよぉ・・・お尻に箒を刺すお兄ちゃんなんて」
妹「隠れブラコンだからねぇ」
妹友「違うもん・・・あんな変態なんて知らない!」
妹「はいはい」
妹友「ちゃんと聞いてよ!」
妹「本当なら聞きたくないことだけどねぇー」
妹友「そうだけど、女の人に箒で刺してくれって頼んだって噂が広がってるんだよ?」
妹友「それがお兄ちゃんだなんて思いたくないよ」
妹「たしかに」
妹友「本当なのかなぁ、お兄ちゃんが・・・」
妹「もし本当だったら?」
妹友「・・・お父さんにお願いして女の子にしてもらう」
妹「なにそれ?」
妹友「お父さんが私に、お兄ちゃんが変な事したらそうしてやるって言ってたから」
妹「んーいいかもね」
妹友「ひどいー!」
ーーーー兄の教室。
兄友「・・・おおぅ」ブルッ
兄「・・・?」
兄友「なんか、すごい嫌な予感がした・・・」
兄「・・・」
兄友「はぁ、しかし変な噂が広がるとは思わなかった。俺が何したって言うんだ」
兄友「・・・まぁいいや、ところで兄さ、二年前ってお前がやったアレの事じゃないのか?」
兄「・・・」フルフル
兄友「いや、お前だろ・・・あの時俺も居たんだぞ」
兄「・・・」ポンッ
兄友「お前は俺の存在をちゃんと理解してるのか?」
兄「・・・」コクコク
兄友「疑わしいけどなぁ・・・まぁ無茶しすぎなのは分かってたけどあの時ばかりは死ぬかと思ったぞ?」
兄「・・・」
兄友「えーっと・・・あれだ林間学校の時だ」
兄「・・・」
兄友「まさかの遭難で『奇跡の脱出!学校の違う中学生達が励ましあいながら樹海から生還』の見出しになったアレだ」
兄友「実際にはお前の活躍で脱出したんだけどな、変な奴が英雄気取りになったわけだし今からでも訂正したらどうなんだよ」
兄「・・・」フルフル
兄友「まぁそうだよなぁ・・・目立ちたくないってのはお前の性分って感じなんだもんなぁ」
----廊下。
女「やっぱり・・・でも、どうして兄君は黙って・・・?」
ピ、ピ、ピ・・・プルル、プ。
???「はい、執事です」
女「ちょっと調べてほしい事があるの」
執事「お嬢様、お調べしたいのはやまやまなのですが、旦那様の言いつけで今は協力が出来ません」
女「この前の事?」
執事「左様です。お嬢様が心配なのですよ」
女「だからって、じゃましないでほしいわよ」
執事「・・・・・・判りました、お調べします」
女「ありがとう。二年前のあの事調べてほしいの、もうちょっと詳しくね」
執事「では、個人まで調べるとの事ですね?」
女「ええ、本当はしたくなかったのだけど、事情が変わったわ。この学校に私を助けてくださった方が居るみたいなの」
執事「差し出がましい事を言うようですがお嬢様がそこまでする必要は・・・」
女「私はあの時、あの瞬間に死ぬはずでした。ですがあの方が助けてくださったこの命、何かしらの形で返したいのです」
執事「・・・分かり次第お伝えします」
女「ありがとう」
ピッ。
女「・・・見つけた」
ーーーー兄の教室。
兄「・・・」ジー
兄友「ん?廊下なんて見てどうしたんだ?誰か居るのか?」
兄「・・・」フルフル
兄友「お前、時々不思議な行動するよな、なんか動物的つーか野生的?そんな感じだ」
兄「・・・」ニコッ
兄友「その無駄な笑顔やめろよ。それで何人が泣いたと思ってるんだよ・・・」
兄「・・・」アセアセ
兄友「困るなよ。わーったわーった、誰も泣いてないって、な?」
兄「・・・」キリッ
兄友「わざとだろそれ」
兄「・・・?」
兄友「天然だな、わかった天然だ」
兄「???」
兄友「ちくしょう、そんな雰囲気出せるから女子が気になるんだろうよ。(母性本能くすぐられるんだろうな)」
兄友「あ、そうだ、帰りにどっか寄らないか?」
兄「・・・」コク
兄友「おお、兄もどっか寄るところがありそうだな」
兄「・・・」カキカキ
本屋で料理本見たい。
兄友「・・・」
兄「・・・」ニコニコ
兄友「たまにお前が女子だったら良かったって思うよ」
クラス女子数人「・・・」ガタッ
クラス男子「・・・」ガタッ
兄友「・・・ノーコメントだ」
兄「・・・?」ニコニコ
ーーーー放課後。
兄友「よし、帰るか」
兄「・・・」コクッ
兄友(女さんは来なさそうだな・・・なんかあったのか?)
ーーーー本屋、コミックコーナー。
兄友「んー新刊ねぇな・・・って兄の周り女の人集まりすぎだろ」
ーーーー料理本コーナー。
兄「・・・」ペラッ・・・ペラッ・・・
女子高生「・・・(かっこいい)」ドキドキ
主婦「・・・(もう少し近づいてもいいわよね)」ドキドキ
女性店員「・・・(仕事、仕事・・・もうちょっと近づけるかな)」ソワソワ
ーーーーコミックコーナー。
兄友(あいつ、気づいてんのか?囲まれてるぞ・・・)
ーーーー帰り道。
兄友「良いの買えたか?」
兄「・・・」コクコク、ガサガサ、スッ
兄友「いや、見せなくていいから」
???「あ!お兄ちゃん」
兄友「ん?なんだお前か」
妹友「なんだとはなにさ!お兄ちゃんって呼ぶ人なんて、私しか居ないでしょ!・・・って何してるの?」
兄友「何してるって帰りなんだが、お前一人なのか?」
妹友「んーん、妹ちゃんもいるよー!」
兄友「どこだ?」
妹友「あ、あれ?さっきまで後ろにいたのに?」
兄「・・・」ペコッ
妹友「お兄さん、こんばんは!その紙袋、本屋に行ってたんですか?」
兄「・・・」コクコク
妹友「嬉しそうですね!」
兄「・・・」ガサガサ
兄友「それはもういいから」
兄「・・・」シュン
妹友「あはは、なんかコントしてるみたい!」
兄友「だろ!いいコンビだろうさ」
兄「・・・」プイッ
兄友「なんでだよ!あれか本の恨みなのか?!」
妹友「あはは、っていたいた!」
妹「お兄ちゃん、何してるの?」ジトッ
妹友「こらこら、いきなり噛み付くのやめようよー」
妹「別に噛み付いてないし、てかここで何してるの?」
兄「・・・」カキカキ、スッ
本屋で買い物の帰りだよ。
妹「ふーん、別にどうでもいいけど、今日はご飯作ってよね」プイッ
兄「・・・」ニコニコ
兄友「・・・(なんつーか、報われないよな兄・・・妹ちゃんはどれだけ大切にされてるのか気付いてないのか?)」
妹友「そういうこと言わないの!ほらほら、今日、駅前の寄るんでしょ?」
妹「そうだね、早く行こう」スタ、スタ、スタ
妹友「あ!待ってよ!」ペコッ、タッタッタ
兄「・・・」ニコニコ
兄友「・・・なぁ、お前は気にしてないのか?前に同じような光景をちらっと見たけどさ、あれから全然、進歩してないぞ?」
兄「・・・」ニコッ
兄友「・・・(父親であり、母親の代わりでもある・・・か、おまえ自身の存在はちゃんと居るのか?兄・・・)」
ーーーー駅前。
妹「今日のケーキは何にしようかなー!」ワクワク
妹友「・・・」
妹「どうしたの?元気ない??」
妹友「・・・」ジッ
妹「な、なに?怒ってるの?」
妹友「もー!どうしてお兄さんにああいう態度取るのさ!」
妹「だ・か・ら!周りの目もあるんだから大きな声出さないでよ」
妹友「・・・ぐぬぬー」
妹「・・・」
妹友「・・・ぬー!」
妹「・・・はぁ、分かった分かったー、分かりました」
妹友「がるる」
妹「よしよし・・・簡単に言うとね」
妹友「うん」
妹「・・・覚えてないんだよねーお兄ちゃんの事」
妹友「・・・え?どういうこと?」
妹「私が私って理解したのが六年生の頃かな?なんか急にそれだけがはっきりして、」
妹友「ちょ、ちょっと待って・・・え?」
妹「…?」
妹友「突然で何がなんだか分からないし、だってその頃って、私と同じクラスになって…」
妹「うんうん、そうだったねー。話しかけてくれたの覚えてるよ」
妹友「…」
妹「なに深刻そうな顔してるのさ」ムギュ
妹友「かほひっふぁらなひでー(顔引っ張らないで)」ギュー
妹「別に覚えてないからって勉強ができなかった訳じゃないし、気にしてないしね」
妹友「…」
妹「あーもー、お兄ちゃん見てるとさ、なんか不安になって仕方がないの。これでいい?」
妹友「…分かった。今はそれで納得するけど、」
妹「…?」
妹友「私のことは忘れないでね」
妹「……うん、当たり前でしょ」
ーーーー家、兄の部屋。
兄友「相変わらず本だらけの部屋だな」
兄「・・・」
兄友「んで?どうしたんだ?いきなり話したいことがあるって」
兄「・・・」カキカキ、スッ
女さんにはもうばれてるかも知れない。
兄友「・・・ああ、あの時の事か?別にばれてもいいんじゃないのか、助けただけだし」
兄「・・・」カキカキ、スッ
妹に今の事を知られるわけにはいかない。
兄友「そうだな、そもそも助け方もやばかったし、落ちながら人ひとり片腕で支えて怪我一つ負わなかったってのはなんていうか・・・」
兄「・・・」
兄友「・・・まずいよな」
兄友「でも、考えたところで結局、俺たちには黙ってることしかできないぞ?」
兄「…」コクッ
兄友「女さんああ見えて勘が鋭そうだしなぁ、本当にお嬢様校から来たとは思えない行動もするし」
兄友「登校初日にセクハラしたあの禿やん(セクハラ教師のあだ名)を投げ飛ばして女子から称賛の嵐だったしな」
兄「…」コクコク
兄友「そのお陰と言うか女子と仲良くて男子からも人気がある女さんがどうしてお前に…」ギリリ
兄「…?……??」
兄友「…まぁ今はどうでもいいな、とにかく黙ってればバレないと思うんだよな」
兄「…」
兄友「なんか心配事でもあるのか?」
兄「…」フルフル
兄友「そういえば兄とあの子…いや女さん?でいいのか、どうやって戻ってきたんだ?」
兄「…」カキカキ、チョンチョン
兄友「書きながら説明するだな、あいよ」タ、タ、タ
兄「…」カキカキ
――――『過去』、森林。
兄「…」ザ、ザ、ザ
兄友「…なぁ、班長さんよ。本当にこの道で良いのか?」
班長「大丈夫だぞ、俺はこう見えて山に詳しいんだ」
兄友「…(ホントかよ)」
兄友「…おい、兄。道はあってると思うか?」
兄「…」カキカキ、スッ
間違ってるよ、ここは獣道。
兄友「いや、言えし。間違ってる時点で言えし」
兄「…」カキカキ、スッ
このまま真っ直ぐ行けば、山道とぶつかるから大丈夫。
兄友「無駄に詳しいな…」
メガネ「はぁはぁ、はぁはぁ」
兄「…」チラッ
兄友「ん?ああ、おーい、班長。メガネさん遅れてるぞ」
班長「彼女は大丈夫だ!さっき俺も聞いたが大丈夫と言ったからな!」
メガネ「はぁはぁ、はぁはぁ」
兄友「………いや、大丈夫そうに見えないよな」
兄「…」コクッ
兄友「しゃーない。兄、手ぇ貸してやろうぜ」
兄「…」コク、ニコッ
メガネ「…はぁはぁ、…もうダメ…追い付けない」
兄友「よう、大丈夫か?」
メガネ「ひぃ!」
兄友「おいおい、人の顔見て悲鳴あげんなよ」
メガネ「ご、ごめんなさい!!」サッ
兄友「頭下げるなって、それよりペース早いだろ?俺たちがいるからゆっくり行こうぜ」
メガネ「あ、いいぃ、いいぃいです。ごめんなさい。走りますからぁ!」ダッ
ドン!
メガネ「あう!」フラッ
パシッ、グッ。
メガネ「…あ、あれ?尻餅つか…」
兄「…?」グッ
メガネ「…」パタン
兄「…」
兄友「…運ぼう」
兄「…」コクン
ーーーー森林、獣道。
兄友「はぁはぁ、やばいな、暗くなってきた」タッタッタッ
兄「・・・」タッタッタッ
兄友「道が分かんなくなってきたし、はぁはぁ、ぜーはー」
兄「・・・」タッタッタッ
兄友「ちょ、ちょっと、ストップ」ハァハァ
兄「・・・」ピタッ
兄友「お前、ちゃんとメガネさんおんぶしてるんだよな?」ハァハァ
兄「・・・」スッ
メガネ「・・・フヘヘ」スヤスヤ
兄友「めちゃくちゃ寝てるがな。じゃなくて、なんで息切れしないんだよ」ハァハァ
兄「・・・?」
兄友「悪い、どうでもいいな。少しだけ息整えさせてくれ」ゼーハー
兄友(つか兄のバック俺が持つことになったはいいけどよ、何が入ってるんだ?結構重いぞ・・・)
兄「・・・」キョロキョロ
兄友「・・・道あってるのか?」
兄「・・・」フルフル
兄友「げっ!!マジか!?暗くなってきたからさすがに道をそれちまったのか?」
兄「・・・」コクッ
兄友「おいおい、まずいな・・・・・・班長もどっかいっちまうしどうする?」
兄「・・・」
兄友「・・・?そうだった、メガネさんおんぶしてたら筆談できないな。いや、どっちにしろ暗いから見えないか」
ーーー森林、???。
兄友「・・・だいぶ歩いたな、完全に真っ暗になっちまった」
兄「・・・」
兄友「メガネさんまだ起きないんだな・・・」
兄「・・・」
メガネ「・・・スースー」
兄友「メガネさんの寝息は聞こえるが、暗いから兄がどんな反応してんだかわかんねぇや」
兄友「さて、これからどうするか・・・」
ガサガサ。
兄友「!」
兄「・・・」
???「ちょっと!熊だったらどうするのよ!」
???「シー!確かめて熊だったら逃げればいいじゃない!」
兄友「・・・あん?」
???「え!?喋った!?」
???「えっホント?もしかして助かったの!?」
???「ちょ、ちょっとライトライト!」
???「う、うん。まってえーっと…えいっ!」カチッ
兄友「…ッ!眩し!」
???「ひうっ!ご、ごめんなさい!」
???「ちょっと!何やってるのよ!」
???「あうぅ、ごめんなさい」アセアセ
兄友「…(ジャージだよな?俺たちもなんだけど女の子二人で何してんだ?)えっと、学生さん?」
女の子1「そ、そうです、あ、あの…よく分かりましたね」
兄友「そりゃ、ジャージだから?」
女の子2「変態!」
兄友「なんでだよ!初対面で変態とか失礼じゃねぇ!?」
兄「…」
女の子1「あ、あのそれより…」
兄友「ん?」
女の子1「ここどこですか!」ペコッ
女の子2「そうじゃなくて道聞くんでしょ!?どう見たって森林じゃない!」
兄友「…コントか?」
兄「…」
メガネ「…スヤスヤ」
兄友「ほーお前らも迷子か」
ツインテ「お前らじゃなくて私にだって名前あるんだから」
兄友「はいはい、そりゃ悪かったな」
ツインテ「あんたムカつく」
女の子1「そんな風に怒っちゃだめだよ…それに先生に見つかったらまた怒られるよ?」
ツインテ「気弱は黙ってて!」
気弱「ひうっ!」
兄友「その子に当たるなよ」
ツインテ「あんたには関係ないでしょ!?」
兄友「…はぁ、わーったわーった、とりあえずここで喋ってても仕方がないから移動しようぜ」
ツインテ「勝手に仕切らないでよ。ほら…ライト」
気弱「う、うん」スッ
ツインテ「離れないで付いてきなさいよ」スッ
気弱「…」ギュ
兄友「…(じゃじゃ馬かと思ったらちゃんと人の心配もすんのか)」
ツインテ「あんた今、失礼なこと考えたでしょ?」
兄友「べ、別に思ってねぇよ」
ーーーー森林、歩いて三十分経過。
ザッ、ザッ、ザッ。
気弱「はぁはぁ」
ツインテ「休憩する?」
気弱「ううん、もう少し頑張る」ギュ
ツインテ「…お姉様もきっと大丈夫だから」
気弱「…」コクッ
兄「…」
ツインテ「なによ?」
兄「…?」
ツインテ「あんたさっきから一言も喋らないわよね?」
兄「…」
ツインテ「…(なんか見透かされてるようで落ち着かない…なにこの人)」ジッ
兄友「…そいつ、喋れないんだよ」
ツインテ「え?」
兄友「だから…兄は、昔色々あって喋れないんだ」
ツインテ「…」ペコッ
兄「…」フルフル
メガネ「…スヤスヤ」
ツインテ「ところで…その人はどうして寝たフリしてるの?」
メガネ「…」ビクッ
兄友「…メガネ」
メガネ「…はい」
ザッ、ザッ、ザッ。
兄友「なぁメガネ、いくら兄がかっこいいからって」
メガネ「ちょ!まままっま待ってよ!違うの、違うんだってば」オロオロ
兄「…」
メガネ「だって…だってぇ…」
兄友「…へぇ、メガネって意外と喋るんだな(まぁ気絶した原因が兄だもんな、起きたら目の前に兄の背中で思わず何も言えなくなったんだろう)」
メガネ「…だって今、…人少ないし」
兄友「なんだ、人見知りだったのか」
メガネ「ストレートに言う人ってどうかと思うなぁ!」
兄友「…普通に言い返せるじゃん?」
メガネ「うっ……意地悪だね、兄友君って」
兄友「普段からそうやって言えればクラスにも馴染めるんじゃないのか?」
メガネ「ムリムリ、絶対無理だって。って、余計なお世話だよ!」
気弱「…ふふ」ニコッ
メガネ「うっ、笑われたよ」アセアセ
気弱「ご、ごめんなさい。でもお二人が可笑しくて」フフッ
ツインテ「…」ジッ
メガネ「…」ビクビク
兄友「うちの学校の奴、威嚇すんなよ」
ツインテ「あ?なわけないでしょ、殺すよ?」ジロッ
兄友「…(こいつ、予想以上にこえぇ)」タラー
気弱「だからダメだよ…?」
ツインテ「…分かったわよ」
携帯で打ってるかパソコンで打ってるかの違いですねー
なるほど。
兄「…」
兄友「ん?どした?」
兄「…」スッ
兄友「ああ、バックか。何入ってるんだこれ?すげぇ重いんだけど」スッ
ツインテ「…」
気弱「…?」
メガネ「むむ?」
ガサガサ、スッ。
兄「…」カチッピカッ
兄友「ほーランタンライトじゃん、足元照らすのにいいよな!ってかそんなもん学校の行事で持ってきてるお前って…」
兄「…」ニコニコ
気弱「備えあれば患いなし…ですね」
兄「…」コクッ
ツインテ「珍しいわね、気弱が男の子に話しかけるなんて」
気弱「…そ、そんなのじゃないよぉ」アセアセ
兄「…」ニコニコ
兄友「他には何かあるのか?」
兄「…」ガサガサ、スッ
兄友「…袋になんか書いてある…なんだ?英語で…MRE…?」
ツインテ「…なんでそんなの持ってるの」
兄友「知ってるのか?」
ツインテ「お父様が見せてくれたことがあるけど、一般人が持ってることはないのにインターネット?」
兄友「中身はなんだ?」ガサガサ
ビリッ。
兄友「これは…食い物か?」
兄「…」コクッ
兄友「ほぉ…じゃあ、やることは一つだな!」
――――洞窟。
ザー。
兄友「はぁー走った走った。近くに洞窟あってよかったな」ハァハァ
兄「…」コクッ
メガネ「急に降ってきたね」スーハー
ツインテ「大丈夫?」
気弱「うん、大丈夫だよ」ケホケホ
兄「…」スッ
気弱「…お水、ですか?」
兄「…」コクッ
気弱「ありがとうございます」ペコッ
ツインテ「…」ジッ
兄「…?」
兄友「さー!食おうぜ!!」
メガネ「おー!お腹減ったー!」
兄友「非常食なんて食べたことないから楽しみだぜ、よし配るぞ!」
ツインテ「非常食じゃないんだけど…それよりテンション高いわね、少し静かにしたら?」
兄友「いいんだよ、溢れ出るエネルギーは我の魂にあり!」
メガネ「あはは、中二病!」
兄友「おうよ!」
兄「…」ニコニコ
気弱「…ふふ」
ツインテ「はぁ、頭痛い」
了解。
兄友「一応、全部は食わなかったけど結構腹に入ったな」
メガネ「男の子は食べるからねー!私はかなり満足だけどね」
気弱「ごちそうさまです」ペコッ
兄「…」ニコニコ
ツインテ「気楽でいいわねぇ」
兄友「まぁ…一日目だしな」ズーン
メガネ「本当は分かってるんだよ」ズーン
ツインテ「一日はまだ終わってないけど、悪かったわよ」
ザー。
兄「…」ジー
気弱「…雨は、好きですか?」
兄「…」
気弱「…色々、思い出すんですね」
兄「…!」
気弱「あ、ごめんなさい…勝手に、その…」オロオロ
兄「…」フルフル、ニコッ
兄友「…なにあれ」
メガネ「し、知らない!それより今日どうするの?」
風邪を引いてしまったのでちょっと待ってくださいorz
兄友「寝るのだよな…」
メガネ「うん、座って寝るのはいいけど、やっぱりお尻痛くなっちゃうし壁は…ほら、汚れちゃうから」
兄友「んー俺と兄は別に気にしないけど女どもはそうでもないのか」
メガネ「女どもって…兄友君!女の子にはもう少し言葉遣いを優しくするべきだと思うよ?」
兄友「クク、わりぃな俺は昔からこんな喋り方だからな」
メガネ「もう!」
ガサゴソ。
兄「…」スルスル、カタ、カチャン
兄友「って、兄、お前さっきから何やってるんだ?」
兄「…?」スッ
兄友「ん?細い鉄のパイプ?なんかの骨組みか?おいおい、これってまさか」
メガネ「どうしたの?」
ツインテ「…?」
気弱「…?」
兄友「テント…じゃないよな?」
兄「…」コクッ
兄友「…俺はお前が時々、恐ろしく感じるぜ」
兄「…??」ガチャ、カチャン
ツインテ「…」ジッ
兄友「寝るのだよな…」
メガネ「うん、座って寝るのはいいけど、やっぱりお尻痛くなっちゃうし壁は…ほら、汚れちゃうから」
兄友「んー俺と兄は別に気にしないけど女どもはそうでもないのか」
メガネ「女どもって…兄友君!女の子にはもう少し言葉遣いを優しくするべきだと思うよ?」
兄友「クク、わりぃな俺は昔からこんな喋り方だからな」
メガネ「もう!」
ガサゴソ。
兄「…」スルスル、カタ、カチャン
兄友「って、兄、お前さっきから何やってるんだ?」
兄「…?」スッ
兄友「ん?細い鉄のパイプ?なんかの骨組みか?おいおい、これってまさか」
メガネ「どうしたの?」
ツインテ「…?」
気弱「…?」
兄友「テント…じゃないよな?」
兄「…」コクッ
兄友「…俺はお前が時々、恐ろしく感じるぜ」
兄「…??」ガチャ、カチャン
ツインテ「…」ジッ
二重になちゃいましたね まとめさんに修理してもらいましょう。
兄「…」
兄友「…分かってたよ」
メガネ「ごめんね、三人でいっぱいだからってその…優先してもらっちゃって」
兄友「流石に俺だって空気読むわい」
ツインテ「意外」
兄友「…マジで泣くぞ」
兄「…」カキカキ、スッ
兄友「ん?」
一人用だけど、もう一つテントがあるから交代で寝れば大丈夫だと思う。
交代で外の見張りしよう。
兄友「あのバックは四次元ポケットかなんかなん?…まぁ了解。ってかお前がしゃべるの久しぶりだな」
兄「…」ニコッ
兄友「その値段のつきそうなスマイルやめろ、純粋すぎて俺には眩しすぎる」
ツインテ「あんたは汚れきってるからね」フンッ
兄友「絶対俺に恨みあるだろ?そうだろ?なんか言えよちくしょう」グスッ
メガネ「泣かされてる」
兄友「うるせぃ」
気弱「…」ジッ
ツインテ「はいはい、じゃあ私たちは寝るわね。いい?くれぐれも覗かないように、私これでも強いから」
兄友「気が強いよな」
ツインテ「うるさい。復讐のつもり?」
弱気「強いのは…本当ですよ。でも兄友さんならしないと信じてます」
兄友「…」
ツインテ「…本当に殺すわよ?」
兄友「うん、すいません」
メガネ「あ、あはは…それじゃあ、おやすみなさい」
兄「…」カキカキ、スッ
おやすみ。
メガネ「そのメモ、後でください」
兄「…」
ツインテ「何言ってるのよ、寝るわよ?」
メガネ「あ、はい。ごめんなさい」アセアセ
気弱「…」ペコッ
兄「…」コクッ
兄友「じゃあ俺たちもどっちが先に寝るか決めるか」
兄「…」カキカキ、スッ
先に寝てくれる?
兄友「あん?…まぁいいけどよ。お前、ちゃんと起こすつもりあるのか?」
兄「…」コクッ
兄友「……あいよ」
タ、タ、タ、ガサガサ。
兄友「(寝袋…だと…いや、流石にこんなのあったか?)」
兄「…」
――――三時間後。
ザー。
兄「…」スッ、チラッ、タ、タ、タ、
――――洞窟外。
兄「…」キョロキョロ
ザー。
兄「…」トンッ、タッタッ
?「…信じられない。あれって人間なのかしら?」ボソッ
?「なにいってんだよ、人間に決まってるだろ?」
?「…あんた寝てなかったの?それとも襲うつもりだったの?」
兄友「馬鹿言え、少しは寝させてもらったよ。多分、俺が起きたの分かってあいつ外に行ったんだろうよ」
ツインテ「…ふーん、で?」ジロッ
兄友「だから襲わないって、お前より兄の方が怖いしな」アセアセ
ツインテ「それってあの人があんたを信用してるって事よね?随分な自信じゃない」
兄友「…そうだな、あいつは俺の事を信じてくれるからこそ、俺もあいつと一緒にいるんだよ」
ツインテ「……まぁ、それについてはそういう事にしといてあげる。だけど――」
兄友「…」
ツインテ「あの人はどうして、この暗闇で手持ちのライトだけで走っていけるのよ」
兄友「さぁ、地形でも思い出したんじゃないのか」
ツインテ「…地形?何言ってるの?」
兄友「さぁな、それより濡れるぞ?さっさと洞窟に戻れよ、そして寝ろ」
ツインテ「変態」
兄友「よく言われるよ…主にお前にな」
寝ますねー。
修造鯖で遊んでるのであまり気にしませんけどね。
――――森。
兄「…」キョロキョロ
タタタ、トンッ。
兄「…!」ズザザ
何かを見つけ、急に止まったため滑りそうになるのをこらえる。止まった兄の目線の先にはまだ新しい足跡があった。
周囲を見渡すがそこに人影はない。
兄は片膝をついて靴の大きさと深さを一通り調べると立ち上がりもう一度周囲を確認する。
兄「…」
「………」
兄「…!」
声のようなものが聞こえた気がした。
すぐに周囲を見るが流石にこの暗闇で人を見つけるのは難しい。
兄はさらに注意深く見るが、どうしても見つからない。
「…」
兄「…」
兄は静かに目を閉じて、雨の音に遮られそうな聞こえたはずの声を必死に探した。
「…誰か‥」
兄「…!」タタタ
今度は聞き間違えじゃないと、兄は声の聞こえた方へと駆け出す。
兄「…」
ザー。
兄が声が聞こえたところに着くと、衰弱しきった様子の女の子が座り込んでいた。
女の子「…誰か」
うわ言のように誰かを呼んでいるようだった。
明らかに一人でいることから、何かしらの理由で動けなくなり人を呼んでいるのだと兄はすぐに理解した。
兄「…」トントン
女の子「…(肩を…叩かれた?)」
兄「…」
女の子「…人?」
兄「…」コクッ
女の子「…よかっ…た」カクン
兄「…!」トントン、トントン
――――洞窟外。
「それで?どうして貴方に従わなくちゃいけないの!?おかしいでしょ!!」
兄「…?」
――――洞窟。
ツインテ「いきなりそんな事を言われる筋合いはないわよ!」
?「いいかい?僕はこの班の班長だ。それに、その荷物は僕の班の荷物だろ?君たちは違う学校の生徒なのだから貸してもらっていることを自覚して欲しいね」
兄友「…」
メガネ「…」オロオロ
気弱「…ごめんなさい」グスッ、ポロポロ
ザッ、ザッ。
兄友「ん?おお、兄!無事だったか…って今度は誰だよ?……いや、そんなこと言ってる場合じゃなさそうだな、すぐにテントに――」
ツインテ「お姉様!」
気弱「…お姉様」
女の子「…」
ツインテ「お姉様!聞こえますかお姉様!」グイグイ
兄友「おい!落ち着けって!」ギュッ
ツインテ「放して!落ち着いてられるわけ無いでしょ!」
気弱「落ち着いて!」キッ
ツインテ「!!…なによ貴女まで」ギロッ
気弱「あ、あの…兄友さんは…お姉様の状態を見て…き、きっと、言って下さったんだと……思い‥ます」オロオロ
ツインテ「…ッ!」
兄友「兄、その女の子は大丈夫なのか?」
兄「…」コクッ、チラッ
兄友「ああ、テントだな。兄、どうせお前のことだからタオルあるんだろ?」
兄「…」コクッ
兄友「…」チラッ
ツインテ「…」
兄友「なぁ、今はそんな話してないでやることあるだろ?お前しかできないこと」
ツインテ「…うん、そうね。テントとタオル借りるわよ」
兄「…?」コクッ
兄友「兄、疑問に思うだろうが今は後にしろよ」
班長「これはみんなで分けて…これは俺が…バレないように」ブツブツ
――――少し離れた位置。
兄「…」
兄友「…どう思う?」
兄「…」コクッ
兄友「お前が来る十分前ぐらいだよ、あの馬鹿が来たのは…」
兄「…」
兄友「来た瞬間にいきなりテントの中に居た、気弱とメガネ叩き起こしやがってよ」
兄友「んでお前のバック漁ったあといきなり――」
――――兄が来る十分前。
班長「この食べ物と飲み物は俺が管理する。どうせ管理する奴なんて決めてないんだろう?なら俺がするしかないな」
兄友「おいおい、いきなり来てなにか言うことあるだろ?無事だったかとか」
班長「無事かどうかなんて見れば分かるだろう。それよりもこの食料を均等にする必要があると思わないか?」
兄友「話がぶっ飛んでてお前の言ってることがわからん(そういえばコイツこういう奴だったな…仕方なしに俺らの班になったんだっけ)」
ツインテ「なんなのコイツ?寝てる人叩き起こしといて。その上、仕切りはじめて」イライラ
兄友「耐えてください。こういう奴なんだよ」
ツインテ「私はともかく、うちの子とメガネさん叩き起こしといてくだらない理由だから腹が立ってるだけ」
メガネ「…」パァアア
気弱「…スースー」コクン、コクン
兄友「メガネ喜ぶな、気弱は小学生か…まぁ気持ちは分かるけどな…」
班長「ん?意見があるなら聞くぞ?」
ツインテ「食料は頂く立場だしテントだって同じ、文句はないわよ」
班長「…?ああ、食料とテントに関しては君たちは別だ」
ツインテ「…どういうこと?」
気弱「…?」ゴシゴシ
メガネ「…」オロオロ
班長「君たちの食料は基本的にはないよ」
兄友「おいおい、それはおかしくないか?」
班長「別におかしくはない。そもそもこの荷物は俺達の班のものだどうするかは俺達が決めてもいいだろ?」
兄友「本格的にお前の人格を疑うよ」
班長「つまりだ、俺達が食べたあと少し余ったやつなら良いんだ」
ツインテ「ふざけないで!それじゃあ私たちは恵んでもらうのを待ってろって訳?だったら最初っからいらないわよ!」
班長「君は態度が悪いね、そもそもテントだって俺達が使うものなんだ。君たちは座って寝れるだろ?テントは三人分と一人用か、俺と兄友で三人用のテント、メガネ君は一人用のを使えばいい」
兄友「今はいないが兄はいるからな」
班長「なら三人でちょうどいい」
ツインテ「…ッ!」
――――十分後、少し離れた位置。
兄友「って訳なんだ。その後も色々と言い争ってた時にお前が来たってこと、どうにかならないか?」
兄「…」カキカキ、スッ
テントの向こう側、班長君は調べてた?
兄友「いや、見てた限りではお前のバックだけだったよ」
兄「…」カキカキ、スッ
だったら、別にしておいた水と食べ物があるから、それを三人に上手く渡しといて貰えるかな?
持ち物は気弱さんの物ってしてもらえれば班長君は警戒しないだろうし。
兄友「…気弱だと見るからに弱そうだしそれに漬け込んで班長が調べるって事は?」
兄「…」カキカキ、スッ
その時は僕が止める。
兄友「本気出すなよ?お前が本気出したら死にかねんぞ?いや、むしろ今やってもいいぜ?」ニヤニヤ
兄「…」フルフル、カキカキ、スッ
気弱さんなら反抗しないと思うからみんなで守ることが出来るけど、もうひとりの人だと怒って投げつけちゃいそうだから。
兄友「言う時は本当に言うな、お前…しかしお前はこの事も予測してたのか?」
兄「…」フルフル
兄友「…どうだか」ニヤッ
おやすみなさい。
ノーカンノーカンノーカン
ツインテ「…」タ、タ、タ、ヘタッ
兄友「どうした?座り込んで…もしかしてあの女の子そんなに厳しいのか?」
ツインテ「縁起でもない…今はあの子とメガネさんが見てくれてるわよ」
兄友「大丈夫なのか?」
ツインテ「…ええ、今は大丈夫よ。……兄さん。色々と失礼なことして、本当にごめんなさい」スッ
兄「…?」フルフル
兄友「なんだいきなり」
ツインテ「振り返ってみれば兄さんにはちゃんとお礼らしいことも感謝の言葉も言ってなかったからよ…」
兄「…」カキカキ、スッ
ツインテ「…」
気にしなくていいよ。探してた人も見つかって少し気が楽になったと思うし、今は助け合ってこの状況を良くすることをみんなで考えよう。
ツインテ「フフ…貴方が班長じゃないのが不思議ね」ニコッ
兄友「…(やっべぇ、こいつが笑うと可愛いんだな…息を吐くように毒舌なのによ)」ドキッ
ツインテ「不思議ついでに、兄さんはどうして軍用の携帯食を持っていたの?」
兄「…」カキカキ、スッ
前に近くに住んでた人がくれたんだよ。
「負けたからこれをあげよう」って、賭けをしていたわけじゃないんだけど押し切られる様に頂いちゃった物だよ。
ツインテ「その人は日本人だったのかしら?」
兄「…」フルフル
ツインテ「そう、いいわ。ただ聞いただけなの。パパが軍の関係者で、賞味期限の切れていない軍用の携帯食を持っていたのが不思議に思っただけで、別にその人を探そうとか思ってないわよ?」
兄「…」コクッ、ニコ
班長「お前たち」
兄「…」
ツインテ「…」フンッ
兄友「…んだよ?」
班長「兄、お前は水の確保しとけ、兄友は雨が止んだら食料になりそうなものを探してきてくれ、それから君はあの子が起きたらテントを掃除しとくんだ」
ツインテ「…あんたねぇ」ギリッ
兄友「おい、お前、いい加減にしろよ?お前は何するって言うんだよ」
班長「俺はこの森からどう出るかを考えるのが仕事だ」
兄友「話になんねぇ、お前は動かないのかよ?」
班長「俺はいいんだよ、もし動いて目を離した隙に食料が無くなっていたら生き残れるかどうかも分からなくなるからな」
兄友「…(結局、食料だけを確保して少しでも生き残れる可能性だけ考えてやがる、まだ口に出して言ってないが俺達は完全に遭難してるんだよな…こいつと行動してて大丈夫なのか…)」
――――二日目、森。
兄友「くっそ……夕方まで探しても変なキノコしか見つかんねぇ」
兄「…」
兄友「…まぁ、水は湧き水が見つかったお陰で、なんとかなったけどよ」
兄「…」コクッ
兄友「一旦、戻るか」
――――洞窟。
ツインテ「…」
兄友「よぉ、戻ったぞ」
ツインテ「…お疲れさま」
兄友「やけに素直だな、なんかあったのか?顔色悪いぞ」
ツインテ「あなた達が行った後、お姉様の熱が上がって、たぶん風邪を引いたみたい」
兄友「風邪?」
ツインテ「私がちゃんとしてれば……こういう事にはならなかったのよ…」ボソッ
兄友(…そういえばこいつらはなんで遭難したんだ?聞くタイミング逃してたから気になるけど…まぁとにかく)
兄友「…いいか?熱は上げすぎるなよ?適度に体温を下げてやるんだ」
ツインテ「え?あんた医学分かるの?」
兄友「いや、ただ知ってるだけだ」
ツインテ「…どうすればいいのかしら?」
兄友「発汗がある程の熱なら冷たいペットボトル、またはタオルでもいい。それを脇の下か首に当ててやるんだ」
ツインテ「うん」
兄友「意識が戻ってないのなら一人は必ず見てあげてくれ、あと横向きにして回復体位にして二時間ぐらい事に右側と左側、交互に動かしてくれるといい。動かすときに辛そうにしたら、どちら側か痛そうかとか見れればベストなんだけどな(肺炎は胸の痛みとレントゲンで診断だったなそれは黙っとくか医者じゃないし)」
ツインテ「すぐに二人に伝えてくるわ。ありがと」タ、タ、タ
兄友「あいよ」
兄「…」
兄友「なぁ兄、俺達は大丈夫なのか?」
兄「…」コクッ
兄友「即答か、お前が言うなら安心できるな」
――――数分後。
気弱「…」ペコッ
兄友「ん?そっか、交代したんだな」
気弱「はい…お姉様、少し…良くなったみたいです」
兄友「そりゃ良かったよ」
兄「…」コク
気弱「あの…兄友さんは……そういうのは詳しいの…ですか?」
兄友「そんな怯えたふうに聞かなくてもいいんだけどな。まぁ親が医者でな」
気弱「ごめんなさい。でも、ありがとうございます」
兄友「あはは、変な奴だな」
気弱「ふふ、よく、言われます」
兄友「そっか、まぁ短い付き合いだろうがこの森から出るまでよろしくな」
気弱「はい、よろしくお願いします」ペコッ
兄友「ところで班長ってどこいったんだ?」
気弱「班長さんは…テントで……寝ています」
兄友「なるほど、食料の入ってたバックが無いと思ったら、そういうことか…」
ポツ、ポツ、ザー。
兄友「また雨か…」
気弱「…」
兄「…」
ーーーー三日目、洞窟。
兄友「は?食料がない?」
ツインテ「…うん」
兄友「お前たちのは?」
ツインテ「それは私たちが使ってるテントに入れて置いたおかげで無くならなかったけど…」
兄「…」
兄友「兄、腕なんか組んで考え事か?」
兄「…」カキカキ、スッ
兄友「どれどれ…」
班長の気配がない。
兄友「気配って霊圧が消えたとかじゃないんだから…お前は……」ガックリ
ツインテ「ちょっと待って、この雨の中を外に出ていったってこと?」
ザー。
兄友「あの班長、馬鹿だと思ってたがアホも追加か」
気弱「…」
ツインテ「そんなに冷静でいいのかしら?」
兄友「わかってるよ、食料も消えたって事は持ってったんだろ?」
兄「…」
兄友「まぁ班長は気にしなくてもいい」
ツインテ「探さなくて大丈夫なのかしら?」
兄友「山の雨の中を探しに行くのは自殺行為だ」
ツインテ「…」
兄友「だからこそ探すのはダメだ」
気弱「…」
兄友「だけど、あのアホはどうして一人で外に行ったんだ…?喧嘩したわけじゃないもんな…」
ツインテ「さぁ、一人でも助かる選択したんじゃないのかしら?それだったら説明はつくけど」
兄友「あいつ…仕方がない、雨が止んだら少し探してみるか…」
ツインテ「…それはいいけど」ジッ
兄友「ん?」
兄「?」
ツインテ「あんた達、ご飯は食べてるのかしら?一昨日、食べていたのを見ただけなのだけど…」
兄友「…食べてるぞ?なぁ兄」
兄「…」コクッ
ツインテ「…いつ?」
兄友「妙に突っかかるな、別にいつでもいいだろ?」
ツインテ「心配してるだけ、食べたって言うなら別にいいんだけど」
兄友「そりゃどうも」
ツインテ「…ッ」
ーーーー洞窟、少し離れたところ。
兄「…」
兄友「わりぃな、勝手に言っちまって」
兄「…」フルフル
兄友「三日ぐらいは食わなくても大丈夫だろ?」
兄「…」コクッ
兄友「…しかしなぁ、進展ないよな…もしかしてこのまま…」
兄「…」カキカキ、スッ
兄友「…ん」
捜索隊は出てるだろうし、今は雨だから捜索ヘリが飛べないだけだと思う。
ヘリを見かけたら発炎筒を使おう。
兄友「もう驚かねぇよ…まぁ、雨が止まなければ使えないな」
兄「…」コクッ
タ、タ、タ。
ツインテ「…」
兄友「どした?」
ツインテ「…お姉様が気づいたのだけど」
兄友「…ん?」
――――テント内。
女の子「…ありがとうございます、助けていただいて。座ったまま礼を言うのは失礼かと思いますが」スッ
兄友「…包帯はこんな感じか、目をやられてたなんてな。でもまぁ一時的だと思うんだけど」
女の子「雷を見てしまったのが原因かと思います。ツインテ、あの子は?」
気弱「…ここに、居ます」
女の子「そう、良かったわ」
ツインテ「申し訳ございません、お姉様。私が…」
女の子「いいのよ、状況は?」
ツインテ「偶然だと思いますが、三人の遭難者が…」
女の子「…きっと、私たちの事とは関係ないと思うわ」
兄友「…(何なんだ?この女の子)」
兄友「まぁとにかく、気がついて良かったよ」
女の子「本来ならすぐにお礼をするべきなのですが」
兄友「いいって、今の事を考えたらお礼なんてしても足りなくなるって、助かるのが先だ」
女の子「兄友さん、でよろしかったでしょうか?」
兄友「ん?名前言ったっけ?」
女「これは失礼しました。私は青峰女学院、中学部の生徒で、女と言います」
兄友「なんかどっかで聞いたことある学院だな…?」
ツインテ「お姉様、学院の名前まで言うのは避けた方がよろしいかと思います」ボソッ
女「いいのよ、それともこの方たちが危険に見えるのかしら?」
ツインテ「…」チラッ
兄友「なぁ兄貴、学院の名前どっかで聞いたことないか?」
兄「…」コクッ
兄友「やっぱそうだよな、まぁどうでもいいな、あはは」
ツインテ「…はぁ(ちょっとでも心配した私が馬鹿みたいじゃない)」
気弱「…ふふ」
女「…(この子が笑うの久しぶり。この方たちは今まで出会った中で一番安心できる人たちなのかも知れないわね)」
メガネ「…ねーねー」
兄友「おお、いたのか」
メガネ「ひどい!外見てきてくれって言ったの兄友君なのに!ってか雨なんだけどさ、すごく降る量が増えてないかな?」
兄友「まじか……兄」チラッ
兄「…」コクッ
――――洞窟入口。
ザーーー。
兄「…」
兄友「酷いなこれは、ゲリラ豪雨ってやつか?」
兄「…」スッ
兄友「げっなんだよ、俺達が来た道がなくなってやがる。土砂崩れも起きてたのか…」
兄友「…(来た道を戻ることはできなくなった。くっそ、どうすりゃいいんだよ)」
兄「…」
兄友「…」
ツインテ「男二人で外見てたって、かっこよくないわよ?」
兄友「…」
ツインテ「…」シュ
ドガッ!
兄友「…ッ!?いってぇー何するんだよ!」
ツインテ「黙ってないで何とか言ってよ」ツー
兄友「・・・移動しなくちゃならないかもな」
ツインテ「ここも危ないの?」
兄友「兄、どうだ?」チラッ
兄「・・・」キョロキョロ、タ、タ、タ
ツインテ「あの人は何をしてるの?」
兄友「さすがに兄までの知識は俺は持ってないって、様子見るぞ」
ツインテ「・・・」
兄「・・・!」
タ、タ、タ。
兄友「・・・何か分かったか?」
兄「・・・」コクッ、カキカキ、スッ
兄友「んっ」
かなり危険かもしれない。
近くの土砂崩れと斜面から出てる水と雨、出てる水の濁りを見てもここは長くは持たないと思う。
兄友「ふぅ・・・ある意味あの班長は正解だったのか多少危険だけど移動するしかーー」
ツインテ「私は反対よ!お姉様の目も見えない状態なのに、更に危険なことさせられるわけ無いでしょ?」
女「待ちなさい、私は構わないわ」
ツインテ「・・・ッ!お姉様!?」
気弱「・・・」スッ
ツインテ「・・・」
女「手を引いてくれてありがと。・・・この場所はもう危険なのですよね?」
兄「・・・」チラッ
兄友「・・・ああ、長くは持たない可能性があるってよ」
女「・・・。ではすぐにでも移動しましょう」
兄友「・・・いいので?」
メガネ「・・・あはは、変な喋り方ー」
兄友「うるせぇ、てかどこに居たんだよ?」
メガネ「えっ!?ずっと後ろに居たよぉ?」
兄友「・・・移動するか」
メガネ「・・・酷い」グスッ
ーーーー四日目、森林。
ザー。
兄友「はぁはぁ、今日も雨は止まない・・・か、ちくしょう、道がぬかるんでて歩きづらいな・・・」
兄「・・・」チラッ
気弱「・・・」ハァハァ
メガネ「・・・うー」
ツインテ「お姉様、お体の方は?」
女「目以外は大丈夫よ、みんなの様子は?」
ツインテ「歩き始めて三時間ほど経ちましたけどだいぶ疲れた様子です。どこかで休めればいいのですけど」
女「・・・そう、もう少し頑張りましょう」
ツインテ「はい」
兄「・・・」
ズルッ!
兄友「うおっ・・・あっぶねぇ、傾斜がかなりあるからここで滑ったらどこまで行くかわからねぇな・・・」
寝ます。
ーーーー更に数時間。
兄友「何時間歩いたかわからねぇ・・・足の感覚がなくなるってこういう事か、後ろのやつらは・・・」
メガネ「・・・」ハァハァ
気弱「・・・」ケホケホ
ツインテ「・・・」
女「・・・」ハァハァ
兄「・・・」
兄友「・・・(ツインテ、体力あるな・・・ほかのやつらもこの道で何時間もよく歩いたもんだ)」
兄友「・・・(だけど脱落者が出るのも時間の問題だな)」
女「・・・ッ」ズルッ
ツインテ「!!・・・お姉様、目が見えない上にこの道を歩いてるのです。少し休みませんか?」
女「・・・大丈夫・・・よ」
兄友「・・・(やっぱり、あの子か。目が見えないで歩くって言うのは数倍の体力を使う。その上、ぬかるんだ道だし、想像以上に疲れてるはず)」
兄友「少しだけーー」
ペキン!ズズズズーー
兄友「!」
メガネ「・・・何の音?」
兄友「分からん、前のほうから聞こえてきた」
メガネ「・・・動物かな?」
兄友「・・・いや、・・・?なんか地面が揺れてないか?」
ゴ、ゴゴゴゴーー
ツインテ「・・・!みんな走って!!」
兄友「土砂崩れだ!走れぇええ!!!」ダッ!
ゴゴゴゴ、ペキ、ペキペキーー
兄友「木が!避けろ!!」ダッ
女「キャッ!」ドサッ
ツインテ「お姉様!手を!!」
兄「・・・」グググ、シュッ!
女「え!?」
ツインテ「!?」
ーーーーーーーーードスン!!
「…い」
「……お……聞こ……のか!」
兄友「おい!聞こえてるのか!」
ツインテ「…ッ!」
兄友「…よし、二人も大丈夫か!?」
メガネ「うーお尻が痛いー打ったーー」
気弱「大丈夫…です」
兄友「…ひどいな、あと少し遅れてたらと思うと…ゾッとする」
メガネ「さっきまで地面あったのに…崖になってる……」
兄友「ちょうど木が境界線みたいになってるな・・・って兄!どこだ!?」
気弱「・・・!お姉・・・様?」
ツインテ「・・・お姉様!」ダッ
ガシッ!
兄友「ちょっと待てよ!崖に向かってなにダッシュしてやがる!」
ツインテ「触らないで!」ガシッ、シュッ
兄友「お、おお!う、うわあああ」ドガッ
ツインテ「・・・」
兄友「つ、痛ぅ・・・人投げ飛ばして落ち着いたか?」サスサス
ツインテ「・・・」
兄友「気持ちは分からんでもないけどな、兄もいねぇんだよ。一人で突っ走るのはやめろ、班長って呼ぶぞ?」
ツインテ「それだけは止めて・・・・・・分かったわ」
兄友「・・・(兄、頼むぞ)」
ーーーーーポタ。
女「…ん」
ーーーーーポタ。
女「水…滴………?」
女「…(視界が…ボヤけてるけど少し見える…包帯が取れてしまったのね)」
女(思考がハッキリしない…気を失ってた?それよりも何か違和感が…)
女「…なっ!(どうして浮いているの!?)」
――――ギュ。
女「…(手を掴まれた?………違う。掴んでいるから『落ちない』の…ね)」スッ
兄「…」
女「…(まだダメね、誰なのか分からない)」
女「…(不幸中の幸い?目がボヤけてるから高さも分からないから、冷静に考えられる)」
女(だからと言って私自身、ここまで冷静になれるのはどうしてなのかしら?)
女「・・・あの、」
兄「・・・?」
女「この状況は初めてなので、どうお話すればいいのか分からないのですけど・・・」
兄「・・・」
女「どうなるのかしら?(酷い質問ね・・・答えてくれるかしら?)」
兄「・・・」コクッ
女「・・・(口に出して答えてはくれない・・・でも、頷いたみたいだわ)」
兄「・・・」スー、グッ
・・・ググ、グググ。
女(もしかして・・・片腕だけの力で持ち上げてるのかしら?・・・・・・いえ、考えすぎね。きっと上に人がいて引っ張ってもらってるんだわ)
ーーーー数分後。
兄「…」
グッ、グッ。
女「…」
ーーーー数十分後。
兄「…」
グッ、グッ、グッ。
女「…」
ーーーー崖上、森林、数時間後。
兄「…」パ、パ、パ
女「…(な、なんなのこの人…どうしてそんなに余裕なの!?)」
兄「…」ニコニコ
女(片手だけで登りきるなんて、人としてどうなの…かしら…)ジー
兄「…?」スッ
女「目、ですか?先程よりは良くなりましたけどまだ少し霞んでいるのは変わりありませんわ(あの子にはああ言ったけど警戒したほうがいいのかもしれないわね)」ジー
兄「…?」
――――現在、兄の部屋。
兄友「んー、どうしても腑に落ちないんだけどよ」
兄「?」
兄友「片手で女さん支えて、両足ともうひとつの片手だけでどうやって上がったんだ?」
兄「…」カキカキ、スッ
あの時はロープを体に巻きつけてたから実際には片手だけじゃなかったんだ。
目が見えなかったせいで片手だけで上がってた風に見えたのかもしれないね。
上り方は今までに読んだ本を参考にしてみた。
兄友「あの短時間でロープとかどこから出てくるんだよ…しかしまぁ合流するまでいろいろあったけどよ」
兄「…」コクッ
兄友「無茶しすぎ」
兄「…」
兄友「とりあえず、過去の話は一旦これでやめとくか、そろそろ腹減ってきた」
兄「…」カキカキ、スッ
何か食べたいのある?
兄友「お!作ってくれんのか!?じゃあ、和風系の頼める?適当でいいからさ」
兄「…」コクッ
ーーーー数分後、リビング。
兄「…」ニコニコ
兄友「えーっと、和食だな。和食だけどな…」
兄「…?」
兄友「いや、和食なんだよ、ただな、刺身は分かる。パックの簡単だよな俺にも出来る。だがそこまでだ」
兄友「刺身は刺身でも鯛だよな?自分で切って盛ったのか?どっから買ってきた?この小鍋はどっかの旅館から借りてきたのか?鍋に入ってるのこれ松茸だよな?てかここは旅館かよ!!」
兄「…?」
兄友「うん、疑問に思うよな俺がもっと疑問に思うよ(どっから仕入れてんだよ、数分で作れる料理じゃないだろ…)」
兄友「考えることをやめよう考えても答えが出るとは思えない」
兄「…」コクッ
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かと思ったじゃねえか
兄友「はぁ…うめぇよ、ため息出るほど美味いな」モグモグ
兄「…」ニコニコ
兄友「こんな新鮮なものどっから仕入れたんだ?スーパーじゃ無理だろ?」
兄「…」カキカキ、スッ
前に教えた、内緒でバイトしてる新聞屋さんの店主から頂いたんだよ。
正社員じゃないからボーナスない代わりに個人的なボーナスとして。
兄友「へぇ、そこまで気に入られてるってのもすごいな」
兄「…」コクッ
兄友「なぁ……新聞屋で働いてて、そのお金は何に使ってるんだ?」
兄「…」カキカキ、スッ
基本的には貯金だけど。
妹がお金を欲しがったらお小遣いとしてかな、後は食費とか光熱費、貯金は全然あるんだけど。
正直、使いたくないって理由がある。
兄友「…いなくなるような感じがしてか?」
兄「…!」
兄友「いや…悪かった」
兄「…」
兄友「どっちにしろ真面目な話なんだが、妹を少し甘やかしすぎじゃないのか?」
兄「…」
兄友「まぁ、俺が言えた義理じゃないんだけどよ…なんつーか、俺も妹には甘いしな」
兄「…」
兄友「お互い妹がいるから何か言えるかなって…そんな感じだ」
兄「…」カキカキ、スッ
ありがと。
兄友「…あいよ、お互い頑張ろうぜ」
?「何語ってるのさ」
兄友「ん?」
妹友「まるでおじさんが酒飲みながら娘のことで会話してるみたい」ジトッ
兄友「なんでお前がここにいるんだよ?」
妹友「それはお兄ちゃんもでしょ?お父さんには言ったの?」
兄友「親父が俺のこと心配することないだろうよ」
妹友「むー、なんで私の時は門限とか言ってくるのにお兄ちゃんには言わないんだろう?」
兄「…」ニコッ
妹友「こんばんはーお兄さん!」ニコニコ
兄友「その笑顔をたまには俺にも向けろよ」
妹友「お小遣い制です」
兄友「金とんのかよ!」
妹友「もちもちー!」
兄「…」カキカキ、スッ
今日は泊まってく?
兄友「お?いいのか?」
妹友「あ!ずるい!」
兄友「お前は帰れ、つか着替えないのに泊まるのか?」
妹友「うぅ…一旦帰って、お泊まりセットを…」
兄友「何がお泊まりセットだ。迎えには来てくれるだろうがそのままお持ち帰りだろうがな」
妹友「その言い方、何かやだー」
兄友「まぁ、親父には俺が電話してやるよ。ダメだと思うがな」ニタニタ
妹友「うぅ…」
兄友「ん?そう言えば妹ちゃんは?」
妹友「部屋に行くーって言ったあと来ないねー」
兄友「俺がいるからか?」
妹友「まさかー」
兄友「まぁとりあえず電話してみるか」
ピ、ピ、ピ、プルルル。
医者「なんだ愚息か」
兄友「随分な挨拶だな」
医者「用はなんだ?」
兄友「妹友が兄の家に泊まりたいんだと」 「何言ってんのさーバカー」
医者「ほー、着替えが欲しいから一旦迎えに来いか?」
兄友「なんで分かんだよ」
医者「…いいだろう、少し待ってろ」
ツーツーツー。
妹友「ど、どうだったの?」
兄友「…チッ」
妹友「やったー!」ピョンピョン
兄友「暴れんな」
兄「…」ニコニコ
ーーーー数十分後、玄関前。
医者「来たぞ、早く乗れ」
妹友「はーい」
兄友「ういお、じゃあ兄、また後でな」
妹友「妹ちゃん!また後でね」
妹「はいはい、浮かれすぎて怪我しないでね」
妹友「もー私が運転する訳無いじゃん」
妹「いや、窓から落ちたりとか」
兄友「ありえるな…」
妹友「ありえないから!バカー!」
医者「どうでもいいが近所迷惑だ。それ以上騒ぐなら、今日は無しだぞ?」
妹友「…」
兄友「そういう時だけは素直だな」
妹友「…」
シュ、ドガッ!
兄友「グッ!ツ~!痛ぇな!」
妹友「…」プイッ
兄「…」アセ
医者「じゃあ、また後で」ガチャ、バタン
兄友「俺たちも乗るぞー」
ガチャ、バタン。
妹友「…」ブンブン
兄友「いや、手を振ってないで窓開けて言えよ」
医者「…フッ」ピッ
ブォォー。
兄「…」ジッ
妹(なんだろ?車見てるだけなのになんか…寂しそう?)ジッ
妹「…兄貴?」
兄「!…?」
妹「………やっぱり何でもない。…今日はご飯食べる」
兄「…」コク、ニコッ
ーーーー三十分後、食卓。
妹友「私の作ったご飯より美味しいよぉ…負けたよぉ」モグモグ
兄友「負けを認めながら食うのかよ」
妹友「食欲には勝てないの!」
兄友「よくわからん」
妹「…」モグモグ
兄友「…はぁ」
妹友「ちょっとまって!今、妹ちゃん見て私と比べたでしょ!」
兄友「よく分かったな偉いぞ」
妹友「え?本当?」パァ
兄友「単純」
妹「単純」
兄「…」ニコニコ
妹友「なにさ!」
兄友「いいから黙って食えよ、兄に笑われるぞ?」
妹友「…うー」チラッ
兄「…」ニコッ
妹友「あんまり…見ないで」
兄「…」アセアセ
兄友「クックック、こりゃ面白いな」
妹「…」モグモグ
兄友「そう言えば兄は食べたのか?」
兄「…」フルフル
兄友「なんでまた?腹減ってないのか??」
兄「…」カキカ
妹「ーお兄ちゃんはあとで食べると思います」
兄「…」
妹「そうでしょ?」
兄「…」コクッ
兄友「…?」
ーーーー兄の部屋。
兄友「風呂頂いたよ」
兄「…」コクッ
兄友「…ふぅ、もうご飯食べたのか?」
兄「…」フルフル
兄友「腹減ってないとか?」
兄「…」
兄友「まぁいいや、しかし女さんやらあの二人とか思い出すと個性あるよな」
兄「…?」
兄友「だってそうだろ?普通は出会わなそうな人種だぞあれ」
兄「…」コクッ
兄友「どう思うんだ?フラグだぜとか兄でも思うのか?」
兄「…」フルフル
兄友「まぁ、期待はしてなかったよ。」
「あはは!それって本当?」
兄友「妹友うるせぇ…女どもって基本的に煩いよな」
兄「…」コ、
兄友「プッ、今頷こうとしてやめたな」
兄「…」
兄友「まぁ怒るなって」
兄「…」
兄友「…なぁ、兄。今頃女さんなにしてんだろうな…」
兄「…」カキカキ、スッ
寝てるかもね。
兄友「まだ早いだろ」
ーーーー???。
?「で?誰にやられたんよ」
金髪「が、学生っす」ガタガタ
ドガッ!カランカランカラン。
金髪「うげぇ…」ゲホゲホ
茶髪「あ、あの金髪、怪我してるんで」
?「あ?」
茶髪「す、すいません!何でもないっす」
?「大体、松葉杖なんて大げさすぎんよぉ…馬鹿じゃねーの?」
茶髪「そ、そうっすよね」
?「てめぇにも言ってんだよ」ヒュッ
茶髪「え?」ドガッ
バタッ!
茶髪「うげぇ…」ビチャビチャ
?「きったねぇな…」
?「しっかしよぉ、学生に舐められるとか馬鹿だよなぁ」
茶髪「ヒィィ、本当にすいませんっす」
?「チッ、しゃーねぇ。俺がやってやんよ」
茶髪「ほ、本当ですか?」
?「後でなんか奢れよ?」
茶髪「あ…ありがとうございます!」
?「ハッ、出来の悪い後輩持つと先輩は苦労するぜ」
ーーーー通学路。
兄「…?」
兄友「くっそぉ、なんでお前は元気そうなんだよ…俺は寝不足なのに」
兄「…」カキカキ、スッ
いつもどおりだよ?
兄友「いや、寝たの一時間ぐらいじゃねぇーかどうしてそんな元気そうなのか聞きたい」
兄「…?」
兄友「…羨ましいな、その回復力というか睡眠時間」
兄「…」ニコニコ
兄友「あいつらもあんだけ騒いでたのにいなかったよな?」
兄「…」コクッ
兄友「寝る前に作った飯がなくなってたから先に出たんだと思ったけど実は寝てたりして」
兄「…」フルフル
兄友「まぁそうだよな、靴なかったし」
ーーーー兄の教室。
ザワザワ
兄「…?」
ツインテ「…なによ」
兄友「いや、流石に分かるだろ?」
ツインテ「分からないわね」
兄友「よし分かったはっきりと言ってやろう…なんで居るんだよ」
ツインテ「知らない」
兄友「なんかの嫌がらせか?どっちにしろあの時のことは言ってないだろな?」
ツインテ「誰かが聞いてもいいのかしら?場所を移すべきかと思うのだけど」
兄「…」コクッ
兄友「ああ、そうだな」
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ーーーー屋上、授業中。
ツインテ「チャイムが鳴ってからもここにいて良いのかしら?」
兄友「あまりにも事が事だからな、そもそもどうして俺らの教室に居るんだよ?」
ツインテ「私も訳がわからないわよ、急に編入手続きで今日は見学、もちろん単独だけどね」
兄友「気弱は?」
・・
ツインテ「あの子はお姉様の後輩だから関係ないわよ」
兄友「そうなのか、てっきり付いてくるもんだと思ったんだけどな」
ツインテ「私の場合は半強制的よ、まさか昨日今日でこの学校に来るとは思わなかったわよ」
兄友「だろうな、ホームルームでは何も言ってなかったしな」
ツインテ「そんなことより、貴方達はお姉様になにかしたの?私がここにいるって事はそういう事よ?」
兄友「心当たりはないけどな、兄は?」
兄「…」フルフル
ツインテ「変わってないわね」チラッ
兄「…」ニコッ
ツインテ「…」
兄友「まぁ男は変わらんだろうよ、女は一年でもびっくりするぐらい変わるけどなお前含めて」
ツインテ「私の胸見て言ってるなら殺すわよ?」
兄友「男=胸はやめろよ、あの時は子供っぽい顔だったけど今は大人びてるなって言いたいんだよ」
ツインテ「…あ、ありがと」カァ
兄友「んで?結局何があったんだ?」
ツインテ「貴方達が何もしていないならあの方のかしら」
兄友「あの方?」
ツインテ「お姉様のお父様、私の雇い主ね」
兄友「雇い主?」
ツインテ「本来、雇い主なんて言ったら解雇ものなのだけど私ははっきり言って嫌いだから」
兄友「ほぉ」
ツインテ「私はお姉様のレディースメイドでもあるのよ」
兄友「メイドとなんか違いがあるのか?」
ツインテ「地位が高いだけね」
兄友「メイドなんて居ないと思ってた」
ツインテ「まぁ、普通はそうよね」
兄「…」カキカキ、スッ
気弱さんは元気にしてる?
ツインテ「…はぁ、ええ、元気にしてるわよ。あの子も貴方のこと聞いてたわ」
兄「…」ニコニコ
ツインテ「嬉しい時は本当に無邪気な顔ね」
兄友「子供っぽいだろ?」
ツインテ「ええ、あなた達と会った時はその笑顔に警戒したけど、今では毒気抜かれるわね」
兄友「褒められたぞ」
ツインテ「皮肉よ」
兄友「ところであの後(遭難の件)、大丈夫だったのか?マスコミとかうるさかったろ?」
ツインテ「マスコミは来なかったわよ、もしあえてくるのが居るとしたら自殺志願者ね」
兄友「お前の周りはどんな権力持ってるのか聞きたくなくなった」
ツインテ「聞かないほうが身の為ね」
兄友「まぁあの時のことはちゃんと話せてなかったからな、連絡も取れなかったし」
ツインテ「そうね」チラッ
兄「…?」
ツインテ「あの時、お嬢様と私達を助けてくれて感謝しているわ」
兄友「…だってよ、良かったな」
兄「…」コクッ
ツインテ「それで?そもそもあなた達はこの事をお姉様に黙ってたのではないのかしら?」
兄友「…あ」
兄「…!」
ツインテ「よくわからないわね、話したいんだか隠したいんだか」
兄友「隠したいに決まってるだろ?」
兄「…」コクコク
ツインテ「まぁ…そうよね、信じられないぐらいの身体能力持っているのに世間では騒がれず。普通に高校生してるんだから」
兄友「な、なんのことだ」ダラダラ
兄「…」ソワソワ
ツインテ「協力して欲しいならちゃんと答えなさい。特に兄さん?」チラッ
兄「!」
ツインテ「こっちとしても、貴方達を信用するには情報が少ないのよ。調べたの上で兄さんに関しては全然、情報が掴めないのが怪しすぎてね」
兄「…」
兄友「あーそれについては知らない方がいいと思うぞ」
兄「…?」
兄友「わりぃ、俺は少しだけ知ってるんだ」
兄「…」
ツインテ「…(少しだけ影が出たわね、聞かないほうがいいのかしら?)」
兄「…」カキ…カキカキ
ーーーー数十分後。
ツインテ「…ッ」
兄友「…兄、悪かった。ツインテは大丈夫か?」
ツインテ「吐き気はなんとかね。聞いといて本当に失礼だと思うのだけど、聞かないほうが良かったわよ」
兄「…」ニコッ
ツインテ「気を使ってくれるのは嬉しいのだけど、私にはどう謝ったらいいかしか考えられないわ」
兄「…」フルフル
ツインテ「でしょうね、謝罪は受け取らないと思ったわよ…。もう、ほんーっと最悪、なんなの貴方の人生って、それでいいの?」
兄友「なんで責めるんだよ」
ツインテ「責めてないわよ!でも、こんなのってひど過ぎると思うわよ」ツー
兄友「…(泣くなよ)」
兄「…」スッ
ツインテ「もう!人の心配なんてしてんじゃないわよ」
兄友「…(文句言いながらハンカチ受け取りやがった)」
兄「…」アセアセ
ツインテ「兄さんはこれからどうするつもりなのかしら?お嬢様…いいえ、お姉様には伝えなくていいのかしら?」
兄「…」カキカキ
内緒にしてくれると嬉しいかな。
ツインテ「やっぱりそうよね…でも、兄さんの事を聞きすぎた代償としてはお釣りすらくるわね。お陰で思い出すだけで吐きそうよ」
兄友「まぁな、オヤジが言ってた『調べたぐらいではわからんよ』ってこの事だとはな」
ツインテ「貴方のお父様って刑事かなにか?なのかしら?」
兄友「お父様って呼ばれるようなもんでもない。ただの医者だ。兄との関係は事件の後、治療した主治医って位だな…今もだけど」
ツインテ「だからあの時、的確な指示がだせたのね」
兄友「さぁな、忘れたよ」
ツインテ「…」チラッ
兄「…?」
兄友「さて、授業をサボった俺と兄はどうするかな」
ツインテ「私が半ば強引に案内に誘ったって言っとくわよ?」
兄友「それは止めてくれ、クラスの奴ら…主に野郎どもに何されるかわからん」
ツインテ「訳分かんないわよ。ちゃんと教えなさい」
兄友「だから、お前は美人の部類に入るから俺達と知り合いってだけで野郎どもの嫉妬を全買いするんだよ」
ツインテ「…これで顔が良ければね」
兄友「うっせ、悪かったな」
ツインテ「冗談よ、それじゃあ戻ろうかしら?」
兄友「そうだな、授業も終わるだろうし、休み時間で戻るか…な、兄」
兄「…」コクッ
ーーーー休み時間、兄の教室。
ガラガラ。
クラス男子1「お、帰ってきたな!」
兄友「ん?なんだよ?」
兄「?」
クラス男子2「なんだよじゃねーよ、さっきの子とどこ行ってたんだよ?」
兄友「いや?別にどこにも行ってねーけど?」
クラス男子1「は?そんなことねーだろ?だって一緒に教室から出てったじゃねーか」
兄友「ああ、ちょっと聞かれたから場所教えただけだぞ?」
クラス男子2「嘘つけよ、だってなぁ?」
クラス男子1「おう、お前ら二人帰ってこなかったし、どう考えても一緒にいたって事だろ?」
兄友「な訳無いだろ?そもそも俺と兄で…」
女「…」ジッ
兄友「おい、兄。女さんめちゃくちゃ見てるぞ」ボソッ
兄「…」コクッ
クラス女子1「ふ、二人で!?」ガタッ
兄友「いや、呼び出しくらってたからな。そんなテンション上げるようなことはないからな」
クラス女子「…」シュン
クラス男子1「なんだよ。またなんかやったのかよ」
クラス男子2「つまんねーなぁ、あの子と知り合いなのかと思ったのによぉ」
兄友「悪かったなぁ、そんなに気になるなら直接本人に聞けばいいだろうよ」
クラス男子1「いや、いきなり話しかけた奴がいてな」チラッ
クラス男子3「…」
兄友「なんであいつ真っ白になってるんだ?」
クラス男子2「彼氏居るのかって聞いたあと無謀にも居なかったら付き合おうとか言ったんだよ」
クラス男子3「あ…あぁ…」ガタガタ
兄友「ご愁傷様だな、なぁ兄」
兄「…」アセアセ
女「…(話を逸しているのかしら?まだ…分からないわね。あの子から聞いてみるしかないわね)」ガタッ、タ、タ、タ
兄友「何事もなく出てった感じだけど、ありゃ絶対、ツインテのところに行くな」
兄「…」
兄「…」フルフル
兄友「ん?どうした?気にしない方がいいって事か?」
兄「…」コク
兄友「まぁそうだな、協力してくれるみたいだし、今は任せるしかないな」
兄「…」カキカキ、スッ
兄友「ん?…なるほど、とりあえず放課後にならないとこれは無理だ」
兄「…」コク
兄友「まぁ気長にいこうぜバレないようにするしかないんだし」
?「…」ジー
兄「…」チラッ
?「!」サッ
兄友「廊下なんて見てどうした?女さんか?」
兄「…」フルフル
兄友「まさか違う奴とかって言わないよな?」
兄「…」コクッ
兄友「マジかよ…勘弁してくれ」
?「ふはは、これは面白くなってきた」カキカキ
男子生徒1「げ、あれって新聞部のやつじゃん」ヒソヒソ
男子生徒2「おい、聞こえるぞ」
?「おやおや、そこの二人、気分がいいからお前たちのことを皆に教えてやろう。まずは男子生徒1はシスコンで妹をクラスでは呼び捨て、家では妹様と呼んでいるらしいな。しかも人には言えない事もしてるとか」
男子生徒1「グアァ!や、やめてくれぇ!!」
女子生徒1「うっそ…キモ」
男子生徒1「ち、違うんだ、聞いてくれ!」
男子生徒2「ひぃぃ、に、逃げるぞ」
?「男子生徒2は男子生徒1の妹を密かに狙ってるとか、だから仲良くしているのだが中々紹介してくれなくてつい最近、男子生徒1の妹に告白したとか」
男子生徒2「ブッ!お、おい!変なこと言うなよ!」
男子生徒1「…おい、てめぇ!妹に手を出すんじゃねぇぞ!妹は俺のだ!」
男子生徒2「いやいや!開き直るにしてもそれはダメだろう!」
男子生徒1「うるせぇ!」
「おい喧嘩してるぞ!」「ちょっとやめなよ!」「殴り合いが始まったぞ!」「うわっ」
?「おやおや、新聞のネタどうもカメラカメラ…っと」カシャ、カシャ
?「フッ、人の秘密は黙っているより話したほうがいいに決まっている…今一番の秘密を持っていそうな彼は、どんなネタをくれるんだろうね」タ、タ、タ、
「お前ら!何してる!」「先生!止めてください」
?「ふふふ、マスコミは正義だ」タ、タ、タ
ーーーー放課後。
兄友「さて、放課後だ。女さん対策に呼んだのは」
妹友「お兄ちゃんどうしたの?」
兄「…」
妹友「えへへ、あ、妹ちゃんは来ませんよー。用事あるんだそうです」
兄「…」コクッ
妹友「それでお兄ちゃん~?つまんない用事で呼んだら怒るよー?」
兄友「パフェ」
妹友「…」ピクッ
兄友「駅前のパフェを食べたいと言っていたな」
妹友「い、言ってたけどちょっと高いから今度のお小遣いで考えようって思ってたけど…なにさー」
兄友「つまり、今は金欠なんだな?」
妹友「お兄ちゃんと一緒にしないでよ!服買うために決まってるじゃん!!」
兄友「あーそかそか」
妹友「もういい!帰る!」
兄友「ちょ、ちょっと待ってくれ(女さん対策で壁に使うつもりなんだから逃げられると困るんだよ!)」ガシッ
妹友「うー!放してよ!」
兄友「わ、わかったから!もうちょっと話があるんだ!」
妹友「訳が分からないよさっきからなんなのさー?」
兄友「パフェ奢ってやる!」
妹友「えー?万年金欠のお兄ちゃんが?」
兄友「ああ、嘘じゃない」
妹友「んー…嘘でしょ」ジッ
兄友「…」チラッ
兄「…?」
妹友「あー!目をそらした!!」
兄友「ち、違う!」
妹友「そうやって嘘つくのって嫌い!」
兄友「待ってくれ」
ガシッ。
妹友「もーだから放してって言ってるの…に?」
兄「…」
妹友「…え!あ、あの…えぇ!!(お兄さんに!つ、掴まれた!!)」
兄「…」カキカキ、スッ
パフェなら兄友君がおごってくれる話だから、服は自分が買ってあげる話になってる。
妹友「ちょ!え!?お兄ちゃんに買ってもらうならわかりますけどお兄さんに奢ってもらったらクラスの人たちにいじめられますから!」
兄「…?」
妹友「えーっと、その…お兄さんは人気があるので私が服を買ってもらったってバレたら大変なことになっちゃうんですよ」
兄「…」カキカキ、スッ
内緒にしとくよ。
妹友「そうじゃないんですー!」ヒー
兄友「!(閃いた…)よし兄、そのまま掴んでいてくれ!」
妹友「なっ!」
兄「…?」コクッ
妹友「お兄ちゃん!何を企んでーー」
兄友「いいか妹よ、これはチャンスだ」
妹友「ちゃ、チャンス?」
兄友「一度でいいからデー」
妹友「うわぁああああ、言わないでよ!」ゲシッゲシッ
兄友「痛いじゃないか妹よ。ならプランBでどうだ?」
妹友「ないよ!そんなもの!ってまた私のゲーム勝手に!!」
兄友「兄よ、妹はな可愛らしい顔に似合わず。戦争物のゲームとかFPSが大好きでな」
シュッ、ドガッ!!
兄友「グベラッ!」
妹友「私の話を勝手に言わないでよ!ばかー!」
兄「…」カキカキ、スッ
大丈夫?
兄友「兄、今日の色はピンクだぜ」
妹友「!!!」シュッ
兄友「アフン…そこは…やめろよ」ガクッ
ーーーー服屋。
妹友「って今なの!?」
兄「…?」
ーーーー服屋外。
兄友「頑張るのだ妹よ」グッ
通行人「?」
ーーーー服屋。
妹友「あ、あの」
兄「…」コクッ
妹友「よ、よろしくお願いします」ペコッ
兄「…」ペコッ
女性店員1「なんだあれーすっげー負けた気分なんだけどー」
女性店員2「こーら言葉悪い」
妹友「・・・(何か良い服ないかな、あ、この服かわいい)」ジッ
兄「・・・」ニコニコ
妹友「あ・・・あの、この服どうですか!」
兄「・・・」コクコク、グッ
妹友「えへへ、って高い!?」
兄「・・・」カキカキ、スッ
値段は気にしなくていいよ。
妹友「気にしますよー彼氏彼女じゃないんですから」アハハ
兄「・・・」ニコニコ
妹友「・・・(本当にお兄さんが彼氏だったら幸せになれそうなのになぁー、でもでも妹ちゃんが怒るだろうし・・・むぅ)」
兄「・・・」ニコ
妹友「・・・もしかして、お兄さんは人の心読めたりします?」
兄「・・・」・・・フルフル
妹友「・・・で、ですよね(今の間は何さ!)」
妹友「・・・この服、どうでしょうか?」ドキドキ
兄「・・・」カキカキ
とても似合ってるよ。でもさっきのピンクの方が気に入ってたみたいだね。
妹友「よ、よく分かりましたね。すごいです」パァ
兄「・・・」ニコニコ
妹友「えへへ(いま、すごい幸せかも)」
ーーーー数分後、服屋前。
妹友「ごめんなさい、まさか両方買ってもらえちゃうなんて」アセアセ
兄友「結構、時間掛かったな」
妹友「お兄ちゃんはなんでも直感で決めちゃうからでしょ」
兄友「良いんだよ俺は、服なんてなに着たって同じだろ?」
妹友「言っとくけどこの服、お兄ちゃんの四ヶ月のお小遣いでも足りないからね」ジトー
兄友「ゲッ、お前そんなに出させたのかよ」
妹友「もちろん断ったよぉ。でもいつの間にか会計終わってたんだもん」アセアセ
兄友「あー、なら仕方ないな。兄ーお前、店員に頼んで内緒で買ったんだろ?」
兄「・・・」コク
兄友「・・・わりぃな」ボソッ
兄「・・・」フルフル、ニコッ
兄友「さて、じゃあ今度は俺が奢るぞ」
妹友「えへへ!おー!」
兄「・・・」ニコニコ
ーーーーカフェ。
妹友「おいし~!」
兄友「パフェがこんなに・・・高いだなんて」
兄「・・・」アセアセ
妹友「ところでお兄ちゃん」
兄友「なんだ?」
妹友「お兄ちゃんの教室に綺麗な人が来たってほんと?」
兄友「あのうるさい奴か」
妹友「うるさいの?」
兄友「まぁな」
妹友「そうなんだー、でも綺麗な人は否定しないんだね」ジトッ
兄友「なんで睨むんだよ」
妹友「べつに」
兄「・・・」ニコニコ
妹友「ちなみにどんな人なの?」
兄友「やけに気になるんだな・・・直接見たほうが早いだろうに」
妹友「あのねぇー上級生の教室って入りづらいんだよ?それに男子はいいかもしれないけど女子はいろいろと複雑なの!」
兄友「そういうもんかねぇ」
兄「・・・」
妹友「そういうものなの!」
兄友「うーん、そうだなぁスゲェ怖くてツインテールでクラスの中では女さんの次に・・・いや止めておこう」
妹友「なんでそこでやめるの!」
兄友「いや、今日もちょっと噂しようとしていきなり現れたからな」
妹友「?」
兄友「口は災いのもとってな」
ーーーー別の席。
ツインテ「はぁ、こればっかりは仕方ないわね」ボソッ
女「付き合わせちゃって、ごめんなさい」
ツインテ「いえ、ですがお姉様、門限までに帰ることが条件です」
女「うん、ちゃんと分かってる」ニコッ、チラッ
「もーお兄ちゃんはそれだから彼女できないんだよー」
「うるせぇよ!妹に説教される筋合いはねぇ!」
「・・・」アセアセ
女「・・・周りから見たら、とても仲良さそうね」
ツインテ「実際にクラスの方達から聞いても、よく一緒に行動してるとの事です」
女「聞いたわよ?その二人と一緒にいたらしいわね」ジト
ツインテ「それは!その・・・」
女「・・・?貴女、もしかして何か知ってるんじゃないかしら?」
ツインテ「・・・そうではありません。兄友さんがナンパして来たからです」
女「・・・!そうなの?」
ツインテ「・・・はい(後で彼に謝らなくちゃ)」
女「・・・どんな風にかしら?」
ツインテ「なッ!?お姉様?もしかして・・・」アセッ
女「ち、違うわよ!ただの興味本位です!」
ツインテ「・・・お姉様、本音が出てます」
女「・・・」アセアセ
ツインテ「・・・(でも、どうしようかしら?嘘ついたってバレたらお姉様に何されるか)」ゴクリッ
女「・・・」ソワソワ
ツインテ「・・・(いつの間にか女の子になってしまって・・・でもなにか・・・可愛い)」
ーーーー兄の席。
兄「…」ニコニコ
兄友「ったくよ、周りに迷惑だから静かにしろって」
妹友「うるさい…のはお兄ちゃんもでしょー」
兄友「ぐぬぬ」
妹友「むー!」
兄「…」チラッ
兄友「ん?あー兄、もしかしてまた誰か来たのか?」
妹友「?なんのこと??」
兄友「ああ、いや、大したことじゃないんだけどな」
妹友「ふーん、また何かしたんだー」
兄友「人聞き悪いなおい、何もしてないって」
妹友「じゃあつい最近、うちの学校の生徒らしき二人が不良に絡まれたって聞いたんだけど」
兄友「…初耳だな」
妹友「え?ってっきりお兄ちゃんかと思ったのにー」
兄友「喧嘩なんかしたことないって」
妹友「昔を振り返って言ってるんだよねー?」ニコニコ
兄友「そんな大昔の話なんて忘れた」
妹友「中学生の頃に返り討ちにあってから大人しくなったんだよねー」ニコニコ
兄友「忘れた」
兄「…」ニコニコ
兄友「おい、なにニコニコしてんだよ」
妹友「なに当たってるのさ」
兄友「フッ…返り討ちにした本人だから」ニヤッ
兄「!」
妹友「ちょ!お兄ちゃん嘘でも言っていい事と悪いことぐらい」チラッ
兄「…」オロオロ
妹友「目が泳いでる!黒!?」
兄「…」アセアセ
妹友「ど、どうことなの?本当の話?」
兄友「あれは寒い冬の話だ」
兄「…」ジー
兄友「まぁあれだ過去の話はもう無しで」アセッ
妹友「めちゃくちゃ気になるんだけど!?」
兄友「HAHAHA、辞めておけ俺の命が消える」
妹友「何言ってるのさ?」
兄友「あーあれだ冗談だよ」アハハ
妹友「…」ジロッ
兄「…」トントン
妹友「あ、はい」
兄「…」プニッ
妹友「あうっ、頬をプニってするのはダメです」
兄「…」ニコニコ
兄友「はぁ、ラブラブだねぇ」
ガンッ!
兄友「な、なんぞ」キョロキョロ
兄「…」チラッ
妹友「もう!変なこと言わないでよ」
ーーーー別の席。
ツインテ「お姉様、落ち着いてください(この青汁三倍ジュース美味しい)」チュー
女「だって!あ、あれ!羨ましい」ガンッ
ツインテ「お姉様、本音が漏れてます」
男性店員「う、う”ん」
ツインテ「あっ…お騒がせしてごめんなさい」ニコッ
男性店員「…カワイイ」
女性店員「…シネ」
男性店員「ハッ」タ、タ、タ
ツインテ「ここは公共の場です」
女「ごめんなさい」シュン
ツインテ「…(素直に謝るお姉様可愛い)」チュー、チラッ
「…」ニコッ
ツインテ「…(今の音で気づいたのかしら?それとも最初から?どちらにせよ、よくわからない人)」ハァ
「な、なんだったんだ?」
「もー、ちゃんと話聞いてるのー?」
ツインテ「・・・(気付いてるのはあの人だけみたいね)」ジッ
ーーーー兄の席。
妹友「あ、不良二人で思い出したー」
兄友「お前はどこからその情報集めてくるんだよ」
妹友「んー新聞?」
兄友「新聞?新聞に学校のこと書いてあるか?」
妹友「学級新聞っていうのかな?非公式だけどいろいろ書いてあるんだよねー」
兄友「そんなの知ってたか?」
兄「・・・」フルフル
兄友「それで?不良二人で思い出したってのは?」
妹友「えーっとね、近いうちに何かが起る可能性が大って書いてあったんだけどーそのあとまだ更新されてないから分からない」
兄友「更新?それって携帯かパソコンで配信されてる奴じゃないだろうな?」
妹友「あーそれそれ」
兄友「それは学級新聞じゃねぇよ」
妹友「違うの!?」
兄友「お前は中学生をちゃんと卒業してんだろうな?」
妹友「・・・してるもん、卒業証書だってちゃんと飾ってるし」
兄友「どうおもう?」
兄「・・・」カキカキ、スッ
飾ってます。
兄友「お前もかよ!」
兄「・・・」カキカキ
常識。
兄友「嘘つけ!」
ーーーー別の席。
女「どういうことなのかしら?」
ツインテ「裏サイト・・・だと思います」
女「裏サイト?」
ツインテ「学校のコミニティーサイトがあるとしたらその逆、非公式のサイトになります」
女「あまり良さそうではないわね」
ツインテ「その通りです、お姉様」コクッ
女「・・・」
ツインテ「よければお調べしておくこともできますが・・・?」
女「少し、気になるわね」
ツインテ「わかりました」コクッ
ーーーー兄の席。
妹友「えーっと、これだよ。その2から見て」スッ
兄友「んー」
ペンネーム:ウォッチドッグ
ーーーーその2
二人の高校生の特徴は私の通っている高校の制服と酷似していた。
偶然の現場だったため取材道具を持っていなかったのが悔やまれる。
二人の特徴を書いてもいいが憶測と取られても仕方がないので今回はやめておく。
しかし、私の考えでは何かが起こる。前触れではないかと思われる。
更新を待て。
兄友「・・・なるほどな、まぁ画像がないなら俺たちってこともないだろ?」
妹友「そうなんだけどさー、一番最初にお兄ちゃんがのことだと思ったんだよねー」
兄友「その根拠はなんだよ」
妹友「荒れてたから?」
兄「・・・」
兄友「・・・それこそ関係ないだろ」
妹友「そうかな、お兄ちゃんって意味もなくこういうのに巻き込まれそうだから」
兄友「なんでだよ」
妹友「心配だから言ってるんだよ?」ジッ
兄友「…」チッ
兄「…」ニコニコ
兄友「その笑顔やめろ」
妹友「もうッ!それだからーー」
兄「…」カキカキ、スッ
そろそろ移動する?
妹友「…」
兄友「あーそうだな」
妹友「次はどこに行くの?」
ーーーー公園。
兄友「って公園かよ!予想外だよ!」
妹友「んー別にいいと思うけどー?それよりそこで立って大きな声出さないでよ」
兄友「別にいいだろうよ、見晴らし良いんだから」
妹友「サルみたい」
兄友「ボスザルじゃねぇーよ!」
兄「・・・」スッ
コンクリートマウンテン。
兄友「遊具の名前なんて聞いてねぇーだろ!」
兄「・・・」ニコニコ
妹友「でも懐かしいなー、小学生の頃はここでいっぱい遊んでたのに、中学生になったら全然来なくなっちゃってさー」
兄友「・・・まぁ、な・・・それより兄よ。なんで公園なんだ?」
兄「・・・」スッ
今はまだ話す時ではない。
兄友「・・・」
妹友「・・・あはは、お兄さんって時々分からないこと言いますよね」アセッ
ーーーー?
女「・・・ごめんなさい、狭いわよね?」ギュウギュウ
ツインテ「いえ、密着できて嬉しいです」ギュウギュウ
女「その答えに、私はどう答えたらいいのかしら?」アセッ
ツインテ「・・・ごめんなさいお姉様、急なことで少し混乱してしまいました」
女「・・・先回りしたはいいのだけど、遊具のトンネルに入ったのは間違いだったみたいね」
ツインテ「仕方がありません、先回りして追いかけるつもりが・・・ここが目的の場所で隠れるところは無かったのですから」
ーーーー公園。
「ちょ、ちょっと!どこ触ってるのよ」
「わざとじゃありません、どうしても触れてしまうんです」
「だからって!ンっ!」
「お姉様?」
「な、なんでもないわ」
兄「・・・」ニコニコ
兄友「・・・そういうことな、話さなくても分かるわな」
妹友「・・・あーえーっと、幻聴?」
兄友「いや、明らかにこの声はそうだろ?」チラッ
兄「・・・」コクッ
妹友「声って言われても私は分からないよー」
兄友「ああ、そうか・・・」
兄友「どうするんだ?ほっとくのか?」
兄「…」サッ
本人たちは隠れてるつもりだからそっとして置こう。
妹友「えー気になるよぉ…」
兄友「お前の言ってた上級生が子供みたいに遊んでる姿を見たいのならのぞいてもいいぞ」
妹友「…やめとく」
兄友「でも、わざわざついて来たってことは何か用があるんじゃないのか?それとも(探りに来たか)」
妹友「んーでももしかしてさっき話してた綺麗な人?」
兄友「綺麗な人って言い方もへんだと思うんだけどな…美人でいいんじゃねぇの?可愛い人とかよ」
妹友「ふーん、美人さんと可愛い人ねぇ」ジトッ
兄友「睨むなよ…」
妹友「別に睨んでないし!」
兄友「いや、怒るなし」
妹友「ねーお兄ちゃん」ニコニコ
兄友「バカ、声でけぇよ!もう少しだな…」
妹友「お兄ちゃんは美人さんと可愛い人どっちが好みなのかな!」
「な、なんの会話かしら?」
「お、お姉様。あまり聞かないほうがよろしいかと」
「分かったわ、目を隠して」
「それだと意味がありません、落ち着いてください」
妹友「…ふふん(ちょっと面白いって思ったら後々怖いかなー?でもお兄ちゃんだからいいかー)」
兄友「お前、わかってて言いやがったな」
妹友「それで-どっちなのかなぁ?」ニコニコ
兄「…」ドキドキ
兄友「二人してなんだよ」
兄友「そういえば」
妹友「お兄ちゃん、話をそらさないで」ニコニコ
兄友「…話す必要ないだろ」
妹友「…」
兄「…」
兄友「女さんは綺麗だと思うよ、ツインテは可愛いと思うよ……黙ってればな」
「どういう事よ!」
「声が大きいわよ!」
「申し訳ございません」アセ
兄「…」グッ
兄友「楽しんでんじゃねーよ」
ーーーートンネル内。
女「…静かになったわね」
ツインテ「…」
兄「…」キリッ
女「…?」
ツインテ「…」アセ
女「…??」
兄友「…」
女「…!?」
妹友「噂で聞くより全然美人!ツインテールの先輩は可愛いし!なにこれ凄い!」
女「…!!」
ツインテ「…バレてたみたいです」
兄友「バレてないと思ってたのがすげぇよ」
妹友「ちょっとお兄ちゃん!紹介してよ!」
兄友「うるさいよ、トンネルの中なんだから響くんだよ…てかなーー」
ギュウギュウギュウギュウギュウ。
兄友「せめぇよ!!!」
ツインテ「やっと出れた…」ハァハァ
兄友「途中でお前がつっかえなければ出れたのに…」
妹友「うー、反対側からも出れるはずなのにどうして出ないのさ」
兄友「なんか知らんが兄が反対側に行ったらいきなりこっちにツインテが来て…」
ツインテ「それは…(お姉様が驚いて私に抱きついてきたから驚いたとか言えない…)アンタのせいよ」
兄友「俺、何かしたか?」
お嬢様「…(ナンパしたのよね?すごく聞きたい)」ドキドキ
兄友(すげぇ目線感じるけどそれ以前にツインテが睨んでるから話しかけるなって事だよな)
兄友「しかし、久々にあの中に入ったな」
妹友「お兄ちゃんなんだからシッカリしてよ」
兄友「お前も入ったろうが、一番はしゃいでたぞ」
妹友「覚えてないし」
ザザッ。
兄「…」ジッ
兄友「ん?どうした?」ボソッ
兄「…」スッ
もう一人居るみたい。
兄友「女さんの護衛とかか?」ボソボソ
兄「…」フルフル
兄友「ここを離れたほうが良さそうだな」ボソッ
兄「…」コクッ
妹友「男二人でナイショ話?」
兄「…」キリッ
兄友「ああ、大切な話だぜ」
妹友「…どうせ、ろくでもない話でしょ?」
兄友「別にいいだろうよ…さて、学生がこんな所でいつまでも話してる理由は無いから、さっさと移動しようぜ」
ツインテ「…まぁそうね(また何か隠し事してるわね)」ジトッ
兄友「…(それぐらい察してくれ)」アセッ
兄「…」ニコニコ
女「???…え、えぇ、それもそうね!」
ーーーー路地。
ツインテ「なんでこんな狭い道を歩くのよ?さっきと変わらないじゃない」ギュウギュウ
兄友「しゃーないだろ、こっちのほうが近道なんだから」
ツインテ「本当なの?変なところに連れてこうとしてないわよね?」
ドン。
女「ご、ごめんなさい。さっきからぶつかってばかりね」アセアセ
ツインテ「いいえ、大丈夫です…ありね!」キリッ
兄友「ねぇよ!どっちなんだよ、本音を隠せよ!」
ツインテ「うるさいわね、これは時と場合。一列で歩いてもいいけど密着できる方が良いでしょ?」
兄友「いや、俺の方は兄と密着してもなぁ」
兄「…」スッ
ポッ///
兄友「何がポッだよ」
妹友「アリです!」
兄友「だからねぇよ!」
妹友「私の場合はありがとうございますの方だよ~」
兄友「知らねぇよ!!」
女「私もちょっとありかな…って」ソワソワ
兄友「…」ゾクッ
兄「…」ニコニコ
ツインテ「お姉様、落ち着いて下さい」
ーーーー駅前広場。
ツインテ「ウソ…この街ってどうなってるの?」アセッ
兄友「この街の七不思議の一つだ、ってのは冗談で開発のミスとかであの狭いところを通ると駅前に続いてんだ」
ツインテ「だからビルが壁のようになってたのね」
妹友「昔は反対運動とか凄かったって言ってたけど出来てみると、反対とかすぐ無くなったって聞きましたよ」
ツインテ「現金な人たちだったのね」アセッ
兄友「騒音とか光害で戦うつもりだったらしいが、開発のミスがちょうど光害をなくすきっかけになって、騒音対策だけシッカリしたら、便利さだけが残ったって訳さ」
女「暮らす場所での開発は難しいと聞いたことがあります」
兄「…」コクッ
兄友「んだ、親父は喜んだけどな」
ツインテ「どうしてよ」
兄友「人(病人)が増えるからな」
ツインテ「どうなのよそれ」
ーーーー数分後。
ツインテ「迎えが来たわ」
女「ごめんなさい、後をつけるようなことをしちゃって」
兄「…」ニコニコ
兄友「…いや、なれてるからいいさ」
女「え?」
妹友「そうなの?」
兄友「ほらほら、ただでさえ時間が長くなってんだ早めに帰れ」
ツインテ「偉そうね」
兄友「心配してんだよ」
女「ありがとう、兄友君」
兄友「お、おう」
ツインテ「ホレたら、掘ってもらうわよ」
兄友「マジすいません、だから俺の弱点を狙わないで、てかホレてないし」
ーーーー住宅街。
妹友「結局さぁ、先輩たちはどうしたの?」
兄友「…」
兄「…」ニコニコ
兄友「お前が言うのかよ」
妹友「なんでさ!…だって話題の先輩たちがお兄ちゃん達といっしょに居るってだけでさぁ、なんか凄いじゃんさー」キラキラ
兄友「楽しんでんじゃねーよ」
妹友「いいじゃん別にさ、でも妹ちゃんも一緒にいれば良かったのに」
兄友「用事じゃ仕方ないな」
妹友「用事ってなんだったのかなぁー?」
兄友「さぁな」
兄「…」
兄友「何か知ってるんじゃないのか?」
兄「‥」カキカキ
何も聞いてないよ。
兄友「まぁそうなるな。心配だったら居ないもんな」ニヤニヤ
兄「…」カキカキ
近くにいればそれでいいからね。
兄友「どういう意味だ?」
兄「…」ニコニコ
ーーーー兄友の家前。
妹友「色々ありがとうございます!それじゃあおやすみなさいー」フリフリ
兄「…」コクン、フリフリ
妹友「えへへ」
ガチャ、バタン。
兄友「わりぃな、結局、家にまで(妹友のために)ついてきてもらってよ」
兄「…」カキカキ、スッ
気にしないで。
兄友「なんつーか今日は濃い一日だった」
兄「…」スッ
だね。でも、もうちょっと続くよ。
兄友「何がだ?」
兄「…」ジッ
兄友「ん?どこ見てんだ?」
兄「…」カキカキ、スッ。
兄友「どこに見せてんだ?」タ、タ、タ
帰ろう。
兄友「…いや、俺に見せるなら普通にそれに帰ろうじゃなくて帰えーー」
タ、タ、タ、
兄友「るよとか…って!?」
妹「…」
兄友「い、妹ちゃん…まじか、いつから」
妹「こんばんは」
兄友「お、おう。こんばんは、妹友なら今家に入ってったぞ、呼ぶか?」
妹「大丈夫です。」
兄友「…おう」
兄「…」ニコニコ、スッ
それじゃあ、僕達も帰るよ。
兄友「分かった、気を付けてな…明日にでも説明しろよ」
兄「…?」
兄友「いや、なんでもない」
ガチャ、バタン。
兄「…」
妹「…」タ、タ、タ
兄「…」タ、タ、タ
ーーーー路地。
兄「…」
妹「…ねぇ兄貴、どこから気づいてたの?」
兄「…」スッ
服屋さんの後方、四十メートル辺りからついてきてたのは気づいてたよ。
妹「他の人は全然気づいてなかったのに、兄貴は気づいてたんだ」ジトッ
兄「…」カキカキ、スッ
うん。
妹「美人さんだった」
兄「…」
妹「特にツインテの人って何者なの?外国の人?あそこまで美人なんて反則だと思うけど」ブツブツ
妹「女の人はどっかのお嬢様って感じだし、妹友ちゃんと普通に話してたけど先輩だよね?兄貴とどんな関係なの?」
兄「…」スッ
クラスメイトだよ。
妹「書かないで出すの止めてよ。なんか思考を読まれてる感じがして嫌」
兄「…」カキカキ、スッ
わかった。
妹「兄貴はさ、どっちが好みなの?」
兄「…?」
妹「いつか彼女とか出来たら家にいなくなるでしょ?」
兄「…」
妹「…なんでもない」
兄「…」カキカキ、スッ
ーーーー。
妹「…それならいいけど」タ、タ、タ、フフン
兄「…」ニコニコ
妹「…?兄貴、あの人知り合い?」
兄「…?」
?「…」ニヤニヤ
妹「明らかにこっち見てるよね?兄貴の知り合いじゃないの?」
兄「…」フルフル
妹「だったら気持ち悪いからさっさと行こ」タ、タ、タ
兄「…」コクン
?「よぉ探したぞ」
兄「?」
妹「思いっきり知り合いみたいだけど?」ジトッ
兄「…?」
妹「覚えてないの?」
兄「…」カキカキ
見たことない、初めて見た人。
?「まぁそうだろうな」タ、タ、タ
妹「…何か用ですか?」
?「用ってほどじゃねぇーよ、ただのお礼参りだからよぉ」ニヤッ
妹「…」ビクッ
兄「…」スッ
?「お?優しいお兄さんだな、まぁ握手でもしようぜ」スッ
兄「?」スッ
?「…(馬鹿だこいつ、俺の握力しらねーだろ)」グッ
兄「…?」
?「…あん?(効いてないのか?)」グググッ
妹「…あに…お兄ちゃん大丈夫?」ビクビク
兄「…」チラッ、グッ
メキッ!
?「は?…!?ツッ…ググ」アセッ
兄「…」ググッ
?「す、すいませんでした!」
兄「…?」パッ
?「…クッソ、覚えてろ」タッタッタ
妹「…何だったの?」
ーーーー?
?「だ、大丈夫っすか?」
?「はは、シャレに何ねーなアイツ」
?「嘘じゃないって分かってもらえったッスか?」
?「あ?」
?「ひぃ、す、すいません」ペコペコ
?「アイツはアレだ、家族にてっー出すとやべぇ奴だわ、せめるなら外側しかねぇな」
?「って言うとアイツの仲間をってことッスか?」
?「正直に言うとよ、あのヤバさは関わらないってのが一番だけどよ。このままじゃちとムカつくな」
?「どうするんスか?」
?「数人で囲めば行けるだろ」
?「ならダチと知り合いに連絡しておくッス」
?「ああ、アイツの周りで使えそうなのは居るのか?」
?「この前に話したやつを使えばおびき出せると思います」
?「なら任せろ」
?「うッス」
――――翌日、学校、屋上。
兄友「なにか用っすか?先輩達」
先輩A「用ってほどでもないんだけどよ、お前なにかしたのか?」
兄友「意味わかんないっすけど?」チラッ
先輩B「・・・」
先輩C「・・・」
兄友「・・・(急に呼び出されたからなにかあると思ったけど、確証が無いって感じだな)」
先輩A「いやな、知り合いの人がお前を呼び出せって言ってきたんだよ」
兄友「悪いことはしてないつもりっすけど・・・」
先輩A「まぁ・・・そうなんだよなぁ」
兄友「・・・(この人、悪い人じゃないんだけどなぁ、付き合ってる人たちがそっち系なんだよなぁ)」チラッ
先輩B「なに見てんだよ」
先輩C「調子こいてんじゃねぇぞ?あ?」
先輩A「やめろよ、恥ずかしいだろ。後輩になんで威圧的なんだよ」
兄友「・・・(いい人なんだよなぁ)」
先輩B「だってなぁ」
先輩C「ああ、」
先輩B&先輩C「こいつのクラスにすっげー美人が居るから」
兄友&先輩A「嫉妬じゃねーか!!」
先輩A「お前らが勝手に付いてきた理由ってそれかよ!」
先輩B「うん」
先輩C「一言だけでも言ってやりたかった」
兄友「・・・とりあえず行けば良いんですか?」
先輩A「あ、ああ、悪いな、なんか知らんけど呼んでこいって言われただけなんだけどよ。なんかあったら言ってくれ」
先輩B「クラスの女の子のツインテさんによろしく言っておいてくれ」
先輩C「俺はお嬢様によろしく言っておいてくれ」
先輩A「お前らなにしに来たの!?バカなの?威圧しといてなにその態度!?逆に凄いわ!!」
ーーーー三階、廊下。
兄友「もう、訳わかんねぇ…とりあえずどうするか?」
ツインテ「なにを一人でブツブツ言ってるの?キモいわよ?」
兄友「うわ!なんだ!いつから居た!?」
ツインテ「今だけど?」
?「ちょっとあなた達、ここは三年生の教室前よ下級生は静かにしなさい」
兄友「うわ、生徒会の秘書だ」
ツインテ「?」
秘書子「まったく、風紀委員は何をしているのかしら?」
ツインテ「…騒ぎ立ててしまい申し訳ございません」ペコッ
秘書子「え?が、外人の方かしら」アタフタ
ツインテ「ハーフです、お姉さま」フフ
秘書子「お、お姉さま!?えーっと私はその」
兄友「…(あの超絶キツイ秘書子さんをいとも簡単に…すげぇな)」
ツインテ「あら?」スッ
秘書子「え?」
ツインテ「肩にゴミがありました。勝手にですが、取らせて頂きました」ニコッ
秘書子「は、はわわ」マッカ
ツインテ「行きましょ、兄友君」タ、タ、タ
兄友「お、おう」
ザワザワ。
兄友「…」タ、タ、タ
ツインテ「…」タ、タ、タ
兄友「手慣れてるな」アセッ
ツインテ「お嬢様校はこんなもんじゃないわよ」ニコニコ
兄友「闇を見た気がする、それから俺はキモくないからな!」
ツインテ「気にしてたの?」
――――二階、廊下。
ツインテ「それで?何かトラブル?」
兄友「いや、呼び出しされただけだからな、特に何もないと思うが」
ツインテ「呼び出し?どういう意味なのかしら?」
兄友「あー、なんて説明したらいいんだろうな」
ツインテ「それは良い事なのか悪い事なのかでいいじゃない」
兄友「なるほど、じゃあ悪い事だな」
ツインテ「大丈夫なの?」
兄友「何だ?心配してくれるのか」
ツインテ「当たり前でしょ、クラスメイトじゃない」
兄友「…」
ツインテ「…な、なによ」
兄友「いや、感動してた」
ツインテ「どういう意味よ?」
兄友「もう少し冷・・・」
シュッ、パァアン!
兄友「いっ!?ってぇえええ」
ツインテ「だれが冷酷無慈悲よ」
兄友「そこまで言ってねぇだろ!」
ツインテ「絶対言うつもりだったわよね?」
兄友「・・・」メセンソラシ
ツインテ「…」スッ
兄友「ちょ、ちょっとまってくれ!すまなかった」
ツインテ「ふふん、なら言うことね」ドヤッ
兄友「それが狙いじゃねーか!」
ツインテ「貴方達がつまらないトラブルに巻き込まれてないか心配してるだけよ」
このSSまとめへのコメント
更新頻度はどれくらい?
続きはよ
面白い
これは良作
続きが気になりすぎて辛い
早く続き読みたいです
更新されないかなぁ
はよはよ
つづきまだかなぁ
まだかなぁ
めっちゃいいss早く続き見たい!
はよ
はよ
はやくお願いします
続きが気になる
早く続きが読みたい!
まぢ期待っす
続きまだっすか!?
早く更新を!!
更新頻度…(´・_・`)
てかいろんな方向に話飛びすぎてて綺麗に完結するのか心配
続き期待してますー
更新お願いします
こ、更新まだかな|ω・`o)
続きが待ち遠しい!
更新待ってます!
はよ書け
完結してないのに完結タグついてんだけど
更新はよぉー
更新待ってます!
更新待ってます!
また更新あるのか!
すげー楽しみだわ
すごくおもしろいです!
更新待ってます!
続きが見たいのだ!私達は!!
おもしろい!!
更新まってまーす(´・Д・)
更新はよ
風呂敷広げすぎじゃないか?
不良の先輩に新聞部、確かに広げすぎかも
更新待ってます
更新まだかああ
更新まだっすか(´・ω・`)
感動物ですね!
更新期待しています!
続きを書いてくれ~
まだかー
ハヤクー
ちょー期待です!
めっちゃ期待してます!
最新はよー
また更新されてて嬉しいぞ
めっちゃ期待してます!
更新はやく!
とても面白いです続きに(勝手に)期待させて頂きます。
更新が待ち遠しい(^∇^)
はよはよ
早く続き見たい
はよー
気長に待ちましょう
面白い
更新はよはよ
とても面白かったです(*´ω`*)
無理しないように頑張って更新して貰えると嬉しいです。
あれww何か面白いww完結タグ紛らわしいでござる
冨樫、仕事しろ
早く...続きを...!ガクッ
続きを(´・ω・`)
面白〜い、書くの頑張ってください
面白~い、続き早く書いてください
はよ〜
はよ
続き書いてほしい
良作SSだな!
更新はよ!
面白いです!
続きはよ!
面白いです!
続き期待
続きが気になる
ゲーム化間違いなし
まだか?
めっちゃ気になる!はやくはやく!
はよ〜
更新はまだなのか
続き楽しみにしてます
続きが読みたいです。
完ってことは終わったのかな?
気長に待つので完結まで頑張って下さい♪( ´▽`)
読みにくすぎつまらん
え?完結してないよね?
エタったか
まだですか?早く読みたくてたまらん
更新頑張って下さい
少しずつでも更新されていると嬉しいね(ノ)・ω・(ヾ)
中途半端ばかりのサイト
頑張って
続きを...はよ
期待
続きが…気になる…(´Д⊂ヽ
更新して下さい_| ̄|○
お願い!
続きを‥兄の秘密を知りたい
気長に待つか
はよ
こういうSS好きだわww更新はよっ(ノシ・ω・)ノシ バンバン
更新待ってます‼
更新キタァー!!!
面白いけどにねんたってるのかよ
67みたいな投稿者の都合を考えず更新を自分勝手に催促するやつ氏ねばいいよ
(*´д`*)ハァハァ♥ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙
続きを読みたい。は、早く続きを…。
オラに続きを見せてくれー
アクしろよ!
マダカナ-( ˙-˙ )
更新されたと思ったらまた完結させられてるし
気になるぅ
気にしたらダメだと思います 作者(笑)
期待
早く
1レスの内容クッソ薄いのにこの更新速度か
なろう未満じゃねえか
こういうの好きです、
更新待ってます
待ってるよー(^^)
更新待ってます(^◇^
そのなろうに浮気中なんですよ
なろうに続き書いてるん?
作品名教えてくだせぇ
元の奴が消えたね サイト移動しよう