エレン「何事にも動じないための訓練?」(166)

エレン「なんだそれ?」

ライナー「ああ、なんでもジャンが今日中央で買ってきた本に書いてあったらしいんだが……」

ジャン「これだ、見てみろ」ズイッ

アルミン「えーっと、なになに……?」

ベルトルト「……王様ゲーム、って書いてあるように見えるけど」

ジャン「だからそれが訓練なんだよ」

エレン「王様ゲームって何だ? 知ってるかアルミン」

アルミン「聞いたことはあるけど……これが訓練に結びつくとはとても……」

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ジャン「とにかくよく読んでみろ! お前らは絶対にやりたくなるはずだ!」

エレン「なんでそんな必死なんだよ気持ち悪ぃな……」

ジャン「うるせぇ!」

エレン「チッ……読みゃ良いんだろ読みゃ」



ベルトルト「ふむ、ルールを見た限りだと」

ライナー「別にそこまでやりたくはならんぞ?」

アルミン「王様が誰かに命令を下すだけのゲーム……それじゃちょっとね」

ジャン「お前らには考える頭がないのか!? なんで俺達だけでやるって思うんだよ!」

ジャン「もっと柔軟な思考を持て! 女子も混ぜてやるんだよッ!!!」クワッ

アルミン「女子も……!?」

ベルトルト「混ぜる……!?」

ライナー「だと……!?」

***

王様『1番と2番がキス!』

クリスタ『あっ……わ、私が1番だね……えへへ』テレテレ

***

ライナー「ジャン、お前は天才だったんだな」

ベルトルト「今すぐクリスt――女子を呼んでこよう」

アルミン「素晴らしいよジャン」

エレン「お前ら何でそんな必死になってんだ……」

ジャン「るせぇ、お前もとっととミカサを連れてこいよ!」

エレン「はぁ? なんで……」

ジャン「良いから行け!」

エレン「ったく、しゃーねぇな……。おい、アルミン行こうぜ」

アルミン「うん」

アルミン「……うん?」

アルミン(ミカサが来たらまずくないか、このゲーm――訓練)

【女子寮前】

アルミン「ねえエレン、ミカサを呼ぶのは考えた方が良いかもしれない」

アルミン「場合によっては血の雨が降るかライナーが襲われるかあるいはエレンが大人の階段を登るかも知れない」

エレン「なんだそりゃ? なんでもいいけどジャンが連れてこいっつーんだから呼ぶだろ、とりあえず」

アルミン(ああエレン、君はどうしてそうお人好しな部分が散見されるのかな……)

エレン「というわけで、おい、ミカサー!」

ミカサ「なに、エレン」ザッ

アルミン(早っ! どこかでこっちを見てたとしか思えない……)

エレン「おお、なんか訓練やるらしいから来いよ」

ミカサ「行く……頼まれなくても」

エレン「いや断ったら来んなよ?」

エレン「で、他の女子はどうする?」

ミカサ「呼ぶ必要はないと思う。無理に『二人』の訓練に付き合わせては悪い」

アルミン(もうミカサの頭の中ではエレンと二人きりの訓練に補正されてるんだね……)

エレン「でも人数がいた方が効果がある訓練だって本に書いてあったぞ?」

アルミン「……あれを訓練だって信じてるの、エレン……。名前にゲームってついてるのに……」

エレン「?」

ミカサ「アルミン、どういうこと?」

アルミン「あー、いや、えーと……」


カクカクシカジカ


ミカサ「エレン、他の女を呼んではダメ」

エレン「なんでだよ?」

ミカサ「どうしても」

エレン「いいじゃねえか別に。俺達だけ訓練するのもフェアじゃねえしな」

ミカサ「エレン」

エレン「はいはいわかったわかった。……お、おいクリスタ!」

クリスタ「……エレン? どうかしたの?」ヒョコッ

ミカサ「エレン!」

アルミン(ゲッ、天使が巻き込まれてしまう……)

エレン「なんかこっちで訓練やるからよ、女子数人連れてきてくれねえか」

クリスタ「訓練?」

エレン「なんでも、何事にも動じないための訓練だと」

クリスタ「そんな訓練があるんだ……。わかった、何人か連れて行くね」

ミカサ「……」

アルミン(あぁ、これは僕の失態だ……)

エレン「つーわけで、何人か揃えたぞ」

ミカサ「…………」

ジャン「おっ、ちゃんとミカサを連れてきたな! 褒めてやる!」

エレン「偉そうだなテメェ……」

ライナー「クリスタは居ないのか?」

クリスタ「いるけど、どうかしたの?」

ベルトルト「よしっ」グッ

ユミル「私のクリスタに手ぇ出したらぶっ[ピーーー]ぞ」

サシャ「上手く行けば明日の朝食総取り出来そうな匂いがしたので着いてきました!」

アルミン「はは……サシャの嗅覚は鋭いね……」

アニ「……なんで私まで」

ジャン「とにかく、これで人数は揃ったな。それじゃあ王様ゲーm――訓練を開始するか!」

ジャン「ルールはこの本に書いてある。読んでくれ」

クリスタ「えっと、なになに……」

ユミル「はァン……?」

サシャ「王様が、番号を指定して命令出来る……」

ミカサ「指定された側はどんな命令が出ても恥ずかしがったりしてはいけない」

アニ「……!」

ジャン「わかったか!? そしてクジも準備済みだ!」バァーン

エレン「手際良いじゃねえかジャンの癖に」

アルミン(……ねぇ、ライナー、ベルトルト)ボソッ

ライナー(どうしたアルミン)ボソッ

ベルトルト(……言いたいことはわかるよ)ボソッ

アルミン(うん。下手を打てばクリスタが危ないと思う。どうしようか)ボソッ

ライナー(とりあえずは流れに任せる他はないんじゃないか?)ボソッ

ベルトルト(誰が王様になって、誰がどの番号を手にするかも判らないからね)ボソッ

アルミン(そうだね……とりあえずミカサが暴走しそうになったらどうにか宥める方向で)ボソッ

ジャン「よし、一斉にクジを引くんだ! そして全員でこう言う!」


ジャン「王様だーれだ!」


ジャン「わかったか!?」

ミカサ「わかったから早く引かせて」ギラギラ

ジャン「お、おう、悪いな……」テレテレ

アルミン(ジャン……哀れな……)

ライナー(……運が良ければクリスタと近づける、かもしれないのか)

サシャ(明日の朝食総取り目指しますよ!)

クリスタ(頑張ろう! 何事にも動じない強い兵士を目指すんだ!)

ミカサ(……エレンエレンエレンエレンエレンエレン)

エレン(ジャンのやる気は何なんだマジで)

ジャン「よし、全員引いたな! それじゃ行くぞ!」


一同『王様だーれだ!』


クリスタ「……あっ、私だ……よね?」チラッ

アルミン「 」コクッコクッ

ユミル「へぇ、クリスタが王様か……」

ライナー「ど、どんな命令にするんだ!?」

ミカサ「……王様になりたかった」

ジャン「つ、次はきっとなれるぜ、ミカサ!」

エレン「クリスタが考えるのってどんな訓練だろな?」

サシャ「え? これ訓練なんですか?」

エレン「違うのかよ?」

サシャ「さあ?」

クリスタ「うーん……そうだなあ、それじゃあ、3番と7番が……手を繋ぐ!」

一同『!』

アルミン(王様は混ぜてこないのか……)

ベルトルト(手、繋ぎたかったな……)

ライナー(くっ……!)

クリスタ「3番と7番はだれ?」

ミカサ「……3番」

アニ「……7番だね」

アルミン(うわあ……なんともいえないペアだ……)

ライナー(あ、これ後で暴力飛んでくるな)

クリスタ「王様の命令は絶対、だからね?」

ミカサ「わかってる」

アニ「……ほら、手ぇ貸しなよ」

ミカサ「……」ギュッ

アニ「……」ギュッ

サシャ「ほー、こんな具合でやるんですか」

ミカサ(……これがエレンだったらよかったのに)チラッ

アニ(…………これがアイツだったら、なんてね)チラッ

エレン「あ? なんだよお前らこっち見て」

ミカサ・アニ「!」バッ

ミカサ「……」グググググ

アニ「……」ギチギチギチ

アルミン(あぁ……水面下の争いが始まってしまったのか、これは……)

思いつきで立てました 二番煎じですねサーセン
眠いんで寝ます

ミカサ「いつまで手を繋いでいればいいの」ゴゴゴゴゴ

アニ「……次の命令の時には離してていいんでしょ?」ゴゴゴゴゴ

クリスタ「うん、それでいいよ」

ライナー(あの威圧感を正面から浴びて無事なのかクリスタ……)

サシャ「?」

エレン「どうしたサシャ」

サシャ「いえ……一瞬部屋の空気が変わった気がしたので」

エレン「なんだそりゃ」

ユミル(気付かねえのかよ)

アルミン(まぁ、いつものことだよね……)

ジャン(くっそ、次は俺がミカサと手を繋いでやるぜ……)

ベルトルト「……それじゃ、次のゲームに行こうか?」

ジャン「っしゃあ! 来い、王への片道切符!」バッ

ライナー「それが地獄への片道切符にならなけりゃいいな」

ジャン「あぁ?」

エレン「早く引けよジャン、詰まってんだろ」


一同『王様だーれだ!』


サシャ「あ、私です私! やったぁ!」

ベルトルト「サシャかぁ……」

ライナー「変なことにはならなさそうだな……」ホッ

エレン「変なこと?」

ベルトルト「エレンにはちょっと難しいかもね」

エレン「な、馬鹿にするなよ!」

サシャ「はい注目! 2番の人は明日の朝食のパンを私に献上すること!」クワッ

サシャ「これが命令ですよ、みなさん!」

一同『!』

エレン「あいつ……なんて命令出しやがる!」

アルミン(流石はサシャだ……皆が浮き足立ってるときにこの命令……)

ライナー(悪く言えば空気が読めていない……だが)

ベルトルト(良く言えば雰囲気に流されない強さを持っている……)

ジャン「ゲッ、俺2番じゃねえか!」

サシャ「ありがとうございますジャン!」

ジャン「クソッ……マジかよ……」

エレン「おいどうしたジャン、顔色が変わってんぞ」

ジャン「るせぇよ!」

ユミル「ほんっとに食いもんのことしか頭にねぇなアイツ」

クリスタ「ふふ、サシャらしくて良いと思うけど」

ミカサ「……次の命令ターンに移行するべき」

アニ「ああ、そうだね。サシャの命令は終わった。次は新しい王様の番だ」

エレン「なんだ? お前ら気が合うんだな」

ミカサ「……」チラッ

アニ「……」チラッ

アルミン「エレン……」

ジャン「ちくしょー、パン獲られた恨みだ! 次こそ俺が王様になる!」


一同『王様だーれだ!』

ジャン「っしゃああああああああ! 俺だあああああああああ!」

エレン「耳元で叫ぶなよ! 鼓膜破れちゃうだろ!」

ミカサ「……」パキッポキッ

アニ「……」シュッシュッ

ライナー(ミカサとアニが無言で戦闘体制に入った……)

ベルトルト(命令如何では血が流れるな……)

ジャン(さあ考えろよ、ジャン・キルシュタイン!)

ジャン(俺はこの時のために、今! 必死にクジの特徴を覚えた!)

ジャン(今までに出たクジの番号は2,3,7……この3つのどれかをミカサが持ってれば俺の勝ちだ、エレン!)

ジャン(仮に持っていないとしても、他の番号をコールしそのクジの特徴を意地でも頭に叩き込む!)

ジャン(見させてもらうぜ、ミカサ…………!)

ジャン「……よし、俺の命令はこうだ。王様と7番が手を繋ぐ!」

一同『!』

アルミン(露骨に攻めてきたねジャン)

ライナー(あれでミカサに当たったらあいつ死ぬぞ)

ベルトルト(クリスタでなければいいかな)

ジャン(へ、へへっ、へへへっ……ミカサの手にあるクジは7番……あの傷はあれで確定だ!)

ジャン(おいどうだエレン、俺が! ミカサと! 手を繋ぐんだよォ!)ギロッ

エレン「なんでこっち見てんだ? …………俺と手ぇ繋ぎたいのか?」ブルッ

ジャン「なわけねぇだろ! つ、つーか、7番は? なあ、ミカサ?」

ミカサ「?」キョトン

ユミル「…………っ」ワナワナ

ジャン「えっ?」

ユミル「……私が7番だよ、クソッタレ」ギロッ

ジャン「……え? は? なんでだよ!」

ユミル「知るかよ……王様の命令は絶対なんだろ、クソが」

ジャン「ちょ、なん、ええ!?」

アルミン「ジャン、君が何を目標としていたかは何となく察しが付く」

アルミン「でも認識が甘かったとしか言えないな」

ミカサ(……ジャンの目元は不自然にクジの傷を追っていた)

ミカサ(それに気がつけば、傷を増やして攪乱するのも訳はないこと……)

ミカサ(クジの傷に目をつけられれば、エレンが危ない……!)

ユミル「早く手ぇ出せよ、王様」

ジャン「……」ゴクリ

クリスタ「ゆ、ユミル、もっとにこやかに行こうよ、ね?」

サシャ「そうですよ。ジャンが気圧されてますよ?」

エレン「これが何事にも動じない訓練か……。体を張ってるなジャン」

ライナー「お前、それ本気で…………言ってるんだったな」

エレン「?」

ジャン「……」

ユミル「早く手を貸せよ! 私だってやりたかないんだよ!」

ジャン「……ッ、そ、そうだよな。悪い、今すぐにやるぜ」

エレン(おお、持ち直した……やるじゃねえかジャン!)

ジャン(とっとと終わらせてミカサと!)

ジャン「じゃあ、握るぞ」ギュッ

ユミル「いちいち報告すんな! クソッ……」ギュッ

クリスタ(きゃー……!)

ジャン「っ!?」

ユミル「……なんだよ」

ジャン「……お、おい、やべぇぞ、ユミルの手超柔らk」ドゴォォォン

ユミル「寝言は寝て言えよ」

アルミン(ジャン……君はすごいよ。僕は尊敬する)

エレン「ジャンが吹っ飛んじまった」

サシャ「ですねー」

ライナー(俺の役回りじゃなかった……よかった……)

ユミル「ほら、王様が再起不能だ。これはもう終わりで良いだろ」

ジャン「……ま、待てよユミル……」ズタボロ

ユミル「!?」

アニ「……あそこから復帰するんだ。やるね」

ジャン「まだ! 王様の命令は終了してないぜ!」クワッ

アルミン(流石だよジャン! でもここでそんな本気を出す必要は皆無だね!)

ユミル「てんめぇ……」

ジャン「何事にも動じない訓練だぜ、これは……! だってのによ、お前の態度はなんだ……?」

クリスタ(どうなっちゃうの? どうなっちゃうの?)

サシャ(朝食総取り計画は流石に悪い気がしてきました。あと3人くらいで止めときましょう)

ジャン「あと2ゲームの間、手を繋いどいて貰おうか! 平常心の練習のためにな!」

ユミル「くッ――!」

ベルトルト「なるほど……特に理由もなく吹っ飛ばされたことから、ジャンも意固地になったんだね」

ベルトルト「そして実際に握ってみたときのユミルの手、その感触が忘れられずに、相乗効果が生まれた」

ベルトルト「女子と碌に手を繋いだことがないってこともそれに拍車を掛けていそうだ」

ライナー「そうか……何気に酷いこと言ってるなベルトルト……」

アルミン「しかし気になるのは……」

ベルトルト「ああ、ユミルでもジャンが驚愕するほど手が柔らかいなら」

ライナー「……いったいクリスタはどれくらい柔らかいのか、か」

アルミン「是非、握ってみたいね……」ゴクリ

ミカサ(……クジの特徴は全て頭に……。今エレンが持っているのは8番……)ヒョイッ

エレン「ん? なんだよミカサ。今俺のクジは関係ないだろ?」

ミカサ「……ほんの確認」

ミカサ(何故……? エレンのクジが4番に……)

アニ「…………」パチンッ

ミカサ「――!」

ミカサ(いや違う! アニも気付いている――! 気付いて、傷を付けた――!)

すんませんまた抜けます

サシャ「さぁ、バンバン次行きましょう! 私のパァンのために!」

エレン「お前のパンじゃねえよ……えげつない命令しやがって」

ユミル「早く終わらせないと……」

ジャン(冷静に考えてみたら……俺は何をしてるんだ……)

クリスタ「ふふ、それじゃあ引こう?」


一同『王様だーれだ!』


エレン「……おっ、俺だ」

ミカサ「!」

アニ「!」

アルミン「……!」

エレン「さて……命令ねえ……」

ミカサ「エレン」

エレン「ん?」

ミカサ「私は1番」

アルミン(ちょ、直接いったァ――!)

ライナー(自分を指名させる心づもりが見え見えだぞミカサ!)

ベルトルト(いっそ清々しさすら覚えるよ)

アニ「……ジャン、これはルール違反にはならないわけ?」

ジャン「えっ、あ、ああ、自分の番号を伝えるのは違は……」

ミカサ「……」ジトッ

ジャン「ん、じゃないな。違反じゃない。うん」コクコク

アルミン「ジャン……」

ジャン「俺にはミカサの笑顔を曇らせることは出来ない……」

ユミル「何馬鹿なこと言ってんだ……」

ミカサ「エレン。これは訓練。粘膜同士が接触するくらいの訓練をするべき。私と」ズイッ

エレン「だからなんでそんな必死なんだよ……お前らこの訓練に命賭けてんの?」

アルミン「ある意味ではそれも正しいけどね」

ライナー「で、どうするんだエレン」

エレン「要は接触が多けりゃ訓練になるんだろ……だったら、9番が俺に膝枕」

一同『!?』

アルミン(1番を外しただけじゃなく、膝枕をぶっ込んできた――!?)

ベルトルト(しかもほとんど他意がない……! 他意がなくてこの命令だなんて……!)

サシャ「膝枕ですかー……それで、9番は?」

ミカサ(アニだったら……削ぐ)

アニ(8番……チッ)

エレン「はぁ? 何言ってんだよライナー」

アルミン「あっ……」

ジャン「ぷっ……マジかよ……」

ユミル「……ククッ」

クリスタ「も、もしかしてライナーが?」

ライナー「ああ……俺が9番だ……」ガックリ

ミカサ「ライナー、言い値で買おう」

ベルトルト「露骨すぎだよミカサ……」

アニ「ライナー。どうしても嫌なら、貰ってやっても……良いけど」

ミカサ「ッ!」ギロッ

アニ「……」

エレン「おい、訓練だろ? 王様の命令は絶対だしよ。早く膝」

ライナー「なんで乗り気なんだ……」

エレン「だって訓練だろ?」

ベルトルト「……純粋なのか、単なる馬鹿なのか……」

エレン「馬鹿馬鹿失礼だろベルトルト……」

サシャ「ライナー、諦めて膝を出すべきです」

クリスタ「平常心は鍛えられそうだけど……?」

ユミル「だっはっは! 傑作だな、オイ!」ゲラゲラ

ジャン(ミカサじゃなくて良かったぜ……)

ミカサ「…………」

アニ「…………」

アルミン(こっちはこっちで睨み合いが……)

ライナー「わかった……俺も腹をくくろう」

ライナー「さぁ来い、エレン!」バッ

エレン「おう」ゴロッ

ミカサ「エレン……っ!」

クリスタ(これは、どうなるのかな……?)


ライナー「……」

エレン「……」

ライナー「……」

エレン「ライナーの膝でけぇ。安心する」

ライナー「!?」

ミカサ「!?」

アニ「!?」

サシャ「ライナーの膝って安定感あるんですか?」

エレン「おう、少なくとも部屋の潰れた枕よりはな」

サシャ「ほう、それは気になりますね!」

エレン「サシャも寝転がってみたらどうだ? 代わってやるよ」バッ

ライナー「おい、話を勝手に進めるなよ……」

サシャ「失礼します!」バッ

ライナー「ぐおっ」

サシャ「おー……おー……! これはいいものですね……」ゴロゴロ

ライナー「やめろサシャ、膝の上で動くな」

サシャ「……」ピタッ

ライナー「今度は止まるのか」

サシャ「……ねえライナー? これから夜はずっと私の枕になってくれませんか……?」ピトッ

ライナー「――!」キュン

ライナー(……いや待て! 落ち着けライナー・ブラウン! 相手はサシャだ。俺にはクリスタがいる)

ライナー(いやしかしサシャ・ブラウスとサシャ・ブラウンって似てるな…………いやだから待て!?)

エレン「ま、俺はもう十分だし次行くか」

ベルトルト「ここまで場を掻き乱しておきながら何一つ影響を受けていないなんて……」

アルミン「それがエレンの強みというか、凄いところだよね……」

ミカサ「エレン、私の膝枕も経験しておくべき」

アニ「……私も、その……なんなら貸すけど」

エレン「いや、別に良いよ。それより次行こうぜ」

クリスタ「もう一回王様になりたいなー♪」

エレン「王様になったら何命令するんだ?」

クリスタ「何が良いと思う?」

エレン「うーん……なんだろうな? でも距離を近づけた方が訓練になるのは判ったぞ」

クリスタ「訓練?」

エレン「え? 訓練」

サシャ「次の命令ターンが終わったらジャンとユミルが手を離すんですね」ゴロゴロ

ライナー「それより早く降りてくれサシャ……」

エレン「ああ、そういやお前ら手ぇ繋いでたんだっけか。自然すぎて忘れてた」

ジャン「あァ!?」

ユミル「ざけんじゃねぇよ!!」

ベルトルト「ははは……じゃ、引こうか」


一同『王様だーれだ』


ミカサ「……!」グッ

アルミン「ま、まずい……!」

ミカサ「私が、王様……」ゴゴゴゴゴ

クリスタ(ミカサが王様……。普通に考えれば、エレン関係の命令、かな?)

ライナー(ついにこの時が来てしまったか……)

ベルトルト(エレン、君のことは忘れないよ)

エレン「ミカサが王様か」

アニ「……」

ミカサ(……冷静になれ。ミカサ・アッカーマン。喜ぶのはまだ早い)

ミカサ(王になったことは喜ばしいこと……だが)

ミカサ(アニがクジに付けた傷を全て把握するまでには、時間が足りなかった……)

ミカサ(私が今確実に番号を把握しているクジは4本……そのどれもがエレンの手元にはない)

ミカサ(…………くっ)

アルミン(ミカサ、何を考えてるんだ……?)

ミカサ(一番警戒すべきはアニ……次点で、何をしでかすか判らないという点でサシャ)

ミカサ(サシャのクジは判らない……けど、アニは判る。あれはさっきまで私が持っていたクジ)

ミカサ(アニをゲーム全体の終了時まで排除しておけば、私の優位は揺るがない)

ミカサ(しかし一人だけ遠ざけては露骨……。アニ含め二人巻き込むのが得策)

ミカサ(よってここで取るべき手は――)

ミカサ「――命令が決まった」

アニ「……」

ミカサ「……5番と6番は王様ゲーム終了まで手を恋人繋ぎにして過ごすこと」

一同『――!?』

エレン「なあ恋人繋ぎって何だ?」

サシャ「さあ?」

アルミン(こ、恋人繋ぎで……しかもゲーム終了までだって!?)

ライナー(お、俺は2番……クリスタは何番なんだ!?)

ジャン(ミカサと恋人繋ぎ出来ねぇならどうでもいいか……)

ベルトルト「ぼ、僕が5番か……」

エレン「へえ、ベルトルトが5番か。んじゃ6は?」

アニ「…………」

ミカサ「……アニ、隠していてはためにならない」

ミカサ「諦める他はない。世界は残酷だから」

アニ「アンタ……」

ミカサ「フ……」

アニ「……何言ってるの?」

ミカサ「え……?」

アルミン(こ、これは……?)

アニ「私は……1番だけど?」

ミカサ「――まさか、そんなはずは」

ジャン「…………ろく、ばん、だと……?」ギギギ

ミカサ「ッ!?」バッ

アニ「……」フッ

ミカサ(迂闊だった! ついさっきまで、似ているクジを持っていたことで慢心した!)

ミカサ(あれは私が持っていたクジじゃない……私が持っていたクジに似せた傷を付けたクジだ!)

アニ(フ……さっき持っていたクジに似た物を敢えて持つことで、油断を誘う……)

アニ(ミカサが王様にならない限りはただの予防線だったけど、今回はそれが役に立ったみたいだね)

ベルトルト「恋人繋ぎ……」

ジャン「俺とベルトルトが……」

ユミル「……アハハハハハハ!」ゲラゲラ

ジャン「テメェ、笑うんじゃねえよ!!!」

ベルトルト「……えっと、繋ごうか」

ジャン「もうどうにでもなれよちくしょー……」

ベルトルト「……悪いね、ジャン」ギュッ

ジャン「……指が絡まる……うぇ……」

エレン「へー、恋人繋ぎってあーいう繋ぎ方なのか」

サシャ「ほうほう」

ライナー「ジャンも哀れだな……」

ユミル「あーくそ、笑いすぎて腹痛ぇ……」

クリスタ「もう。ユミル、笑いすぎだよ」

ミカサ(アニばかりに注視していてはいけない……)

アニ(もう一人ばかり協力者が必要そうだね……)


ライナー「……寒気がしないか、アルミン」

アルミン「奇遇だねライナー……」

ジャン「畜生なんなんだよ……なんでベルトルトの手は大きくて微妙に安心しちまう俺がいるんだよ……」

ベルトルト「……奇遇だねジャン。僕もなんだか君を守ってあげたくなるような気持ちに駆られるよ」

ユミル「――ッ! ――――ッッ!!!」ゲラゲラ

クリスタ「ユミルが声にならない笑い声上げてる……」

エレン「コイツ大丈夫か? 過呼吸にならねぇの?」

サシャ「それより次に行きましょうよ」

ミカサ「待って。その前に外の空気を浴びてきたい」

アニ「ああ、私も」

エレン「ふーん? まあ早めに戻って来いよ」

ミカサ「もちろん。ところで……アルミン?」

アルミン「……はい、そうですよね」

アニ「ライナー」

ライナー「……仰せのままに……」

【外】

アルミン「それで、どういう訳で僕が呼ばれたのかな……」

ミカサ「……言わなくてもわかるはず。協力してほしい」

アルミン「……さっき、ミカサとアニのやり取りで判ったんだけど、つまり」

アルミン「僕もクジの番号を覚えろって、そういうことだよね」

ミカサ「そうなる。あるいはアルミンが王様になったら、私とエレンを指名して欲しい」

アルミン「……協力しなかったら……という選択肢はないよね、はぁ……」

ミカサ「今度の休日に、何か奢るから。せめてここで……優位に立つ」

アルミン「わかった……でも、あまり過激なことはしないでよ?」

ミカサ「…………、……善処する」

アルミン「沈黙が怖いよミカサ……」

***

アニ「……言いたいことはわかるね」

ライナー「……まぁ、な」

アニ「……」

ライナー「いや、しかし……おそらくミカサもアルミンに同じ事を頼んでいると思うが」

アニ「だからこそだよ。……これ以上、差を付けられたくはない」

ライナー「ん……そうか。お前がそう言うのなら、協力しよう」

アニ「……………………ありがと」

ライナー「ははは、お前からそんな言葉が飛び出るなんてな!」

アニ「五月蠅い」

ライナー「わかったわかった、早く戻るとしよう」

【王様ゲーム会場】

アルミン「今戻ったよ、って……」

ベルトルト「……」グググググ

ジャン「痛い痛い痛い痛い! ジャンいてぇよ!」

ユミル「……」ゴゴゴゴゴ

サシャ「待ってくださいユミル! 私の頭潰れちゃいますから! 痛い痛い痛い痛い!」

ライナー「おい、なんだよ……なんなんだよこれは……」

ミカサ「……敵は、アニだけではなかった」

アニ「……まさか、ね」



エレン「よう、戻ったのか」

クリスタ「……あ、みんな! あのね、これはね、えっと……」

アルミン(……部屋に戻ってきた僕たちを出迎えたのは、エレンの膝の上に腰を下ろしたクリスタの姿だった)

アルミン(しかも向かい合って。俗に言う対面座位のようなポジションで、だ――)

【時は遡り――】

クリスタ「行っちゃったね?」

サシャ「ええ、6人になりました」

ジャン「折角だから6人でやるか。エレン……お前にも地獄を味わわせてやるよ」

エレン「は? やだよ」

ユミル「いいからとっとと引けよバカ共」

ベルトルト(数が減ってる今、クリスタと近づけるチャンスは十二分にある……)

ユミル(クリスタといちゃいちゃするのは私だ――!)



一同『王様だーれだ!』

サシャ「やっほー! また私が王様ですね!」

エレン「またパン取られちまうのかよ」

ジャン「お前は取られてねぇだろうが!」

ベルトルト(残念だけど、これでよかったのかもしれない)チラッ

クリスタ「……?」ニコッ

ベルトルト(……結婚しよ)

ユミル「で? 命令はどうすんだよサシャ。つってもどーせお前は食い気しかねぇんだろうけど」

サシャ「なっ、失礼ですねユミル。今までの命令からなんとなく傾向は掴みましたよ!」

エレン「傾向?」

サシャ「はい。これは訓練らしいですからね! 私が思うに、恥ずかしいと思うようなことを命令すればいいわけです!」

サシャ「そうすれば平常心を鍛える立派な訓練になります!」

エレン「おお、ちゃんと考えてるんだなサシャ!」

サシャ「ちゃんと考えてるんですよ!」

クリスタ「それじゃあ、命令はサシャが恥ずかしいって思うことにするの?」

サシャ「そうなりますね」

ジャン「サシャが恥ずかしいと思う命令ってなんだ?」

ユミル「料理を残すこととかじゃねぇの」

サシャ「いや、まあそれもそうなんですけど」

ベルトルト「うん」

サシャ「ずばり命令は――1番の膝に3番が向かい合わせで座る、です!」

ジャン「なっ――!」

ベルトルト「そ、それは確かに恥ずかしい……!」

ユミル「なんっつー命令を……って、あれ?」

ジャン「俺でもなけりゃベルトルトでもなく」

ベルトルト「ユミルでもないとするならば……残りは……」


エレン「あ、俺1番だ」

クリスタ「……さ、さんばん……だね」

>>53

ベルトルト「……」グググググ

ジャン「痛い痛い痛い痛い! ベルトルトいてぇよ!」



の間違いでしたね。
あと再び落ちます

ユミル「おいサシャ、撤回しろこの命令!」

ベルトルト「そ、そうだ、その方が良いと思うよ」

ジャン「……いや、訓練だ。良いんじゃねえか?」

ユミル「んだとォ!?」

サシャ「撤回はしませんよ。王の命令は絶対ですからね」フフン

ユミル「何勝ち誇ってやがんだ……!」グギギ

エレン「どうするクリスタ、やるか?」

クリスタ「え、えっと…………うん、やるよ。これも訓練だしね!」

エレン「そうだよな。訓練だもんな」

ベルトルト(二人にはまったく他意がない……だからこそ眩しいのか……)

ジャン(そのままクリスタとくっついちまえ……そうすりゃミカサは……)

クリスタ「じゃ、じゃあ……膝、のるね……?」チラッ

エレン「ああ、来いよクリスタ」

クリスタ「う、うん……」

ユミル「――ッ! ――――ッッッ!!!!」ギリギリギリ

サシャ「ユミル……歯軋りしないでくださいよ」

ベルトルト「…………」グググググ

ジャン「あん? っつ、おい、ベルトルト、手がいてぇ」

クリスタ「お邪魔します……」チョコン

エレン「……ん」

クリスタ「…………っ」

クリスタ(ち、近い……男の子とこんなに近づいたの、初めてだよ……)カァァ

エレン「クリスタ、どうしたんだ?」

クリスタ「な、なんでもないよ! それよりエレン、私重くないかな? 大丈夫?」

エレン「全然」

ユミル「サシャァァァァァァァ!!!」

サシャ「ちょ、頭掴まないでくださいよ! 脳みそ零れちゃうでしょ!」

ベルトルト「…………」ギチギチギチ

ジャン「だからいてぇっつってんだろうが! 落ち着け!」

エレン「しっかし向かい合わせに座るっつーと、案外距離が近いもんだな」

クリスタ「そ、そうだね……」

エレン「なんで目ぇ逸らすんだよ?」

クリスタ「え……だって、それは、恥ずかs……」

エレン「おいおいクリスタ、これは訓練じゃねえか。しっかりしろよ」

クリスタ「あ……。そ、そうだよね、訓練だもんね……」

クリスタ「ちゃんと、しなくちゃね……!」グッ


クリスタ「……ど、どう? ちゃんと正面見たよ?」

エレン「おう、俺からもちゃんと見えるぜ」


ユミル「……サシャ、この落とし前はどうするつもりだ?」

サシャ「いや……落とし前と言われても」

エレン「クリスタって背が低いから、ちょうど目が逢うんだな」マジマジ

クリスタ「そ、そんなに見つめられると……ちょっと困るよ」

エレン「ん? そうか。悪い悪い」

クリスタ「ごめんね……?」

エレン「いや、別に良いけど」

クリスタ「…………」

エレン「…………」

クリスタ「…………」

エレン「…………」


エレン「クリスタ睫毛長いな」

クリスタ「えっ!?」


ベルトルト(今すぐにでも変身したい気分だなあ……)ギリッゴリッ

ジャン「おいベルトルさん。ちょっと? 俺の手から鳴っちゃいけない音するんですけど」

エレン「いや……真正面だから顔も良く見えるし。そう思っただけなんだけど」

クリスタ「そ、そうなんだ……あはは……」

クリスタ(そ、そんなこと言われたらなんだか意識しちゃうよ……もう)

エレン「目も綺麗だな」

クリスタ「ふぇっ!?」


ユミル「…………」

サシャ「訓練というよりは楽しんでいるようにも見えますね」

ユミル「お前のせいでな……」ギチッメシッゴリッ

サシャ「ぎゃあああああ!? 頭からいけない音が!?」

エレン「あんまじっくり見たことなかったしな。新鮮だ」

クリスタ「そ、そう……ありがと、ね」

エレン「ん? おう、どういたしまして」

クリスタ(なんだか……恥ずかしがってるのって私だけだよねこれ……)

クリスタ(どうしてエレンは平常心で居られるんだろう……)

エレン「……つーか、ミカサ達遅ぇな? なにやってんだ」

クリスタ「さ、さぁ……」

クリスタ(あれ、この状況ってちょっとまずくない……?)

エレン「…………」ジーッ

クリスタ「……?」

エレン「……」ナデナデ

クリスタ「――――ぇ」


サシャ(エレンが――!)

ジャン(クリスタの頭を撫でただと――!?)

クリスタ「ちょ、ちょっと待ってエレン、いったい何を……」

エレン「……え? あ」ナデナデ

クリスタ「と、止まってないよ!?」

エレン「っと、悪い、クリスタ。……なんかじっと見てたら小動物っぽく感じてつい……」

クリスタ「しょ、小動物って……」

エレン「なんかちまっこくてさ」

クリスタ「ちまっこい……うん、確かにそうだけど……」

エレン「あー、ごめん……気を悪くさせたなら謝るよ」

エレン「なんか勝手に手ぇ伸ばしちまったしな……」

クリスタ「あ、ううん……それは別に、いいんだけど」

クリスタ(……なんか、ちょっとだけ…………嬉しかった、のかな?)

クリスタ(なんだろう……よくわからないけど)

エレン「おいサシャ、これいつまでやってりゃいいんだ?」

サシャ「え? そうですねー、訓練終了までで」

ユミル「!?」

ベルトルト「!?」

エレン「長ぇな」

クリスタ「えっ、そんなに……?」

エレン「降りても良いぞ、クリスタ。もう十分訓練になったろ」

クリスタ「あ、うん、そうだね……」

クリスタ「そうだけど……」チラッ

エレン「?」



クリスタ(この場所……ちょっとだけ独り占めしたくなっちゃった、かな)

【――そして今に至る】

クリスタ「……というわけなの」

ミカサ「解せない。エレンは既に降りても良いと言ったはず。クリスタは即刻そこから降りるべき」

ライナー「そ、そうだぞエレン! なんて羨まし――いつまでクリスタを拘束してるんだ!」

エレン「はぁ!? 俺じゃねえって!」

アニ「……早く降ろしてあげなよ」

アルミン(ああエレン……君をとても羨ましく思うよ……)

ベルトルト(クリスタのお尻の感触……いったいどれだけ柔らかいのだろう……)

ライナー(ちくしょう、なんて羨ましい……)

エレン「だってよ、クリスタ。降りれば?」

クリスタ「ううん、これは訓練だから。私はまだもう少し、強靱な精神力を身につけなきゃ!」

クリスタ「だからもうちょっとだけ、乗らせてね?」

エレン「ああ、訓練のためだしな。いくらでも良いぞ」

ミカサ「エレン。私も精神力を身につけなくてはならない。膝に乗せて」

ジャン「だ、だったら俺の膝に乗れよミカサ!」

アルミン(ジャン、君はよくそこに吶喊する勇気があるね……)

ミカサ「……? エレンでなくては意味がない」

エレン「はぁ? 別に向かい合わせになるなら誰でも良いだろ。ライナーの膝とか良いぞ」

ライナー「俺を巻き込むなエレン!」

ユミル「そ、そうだクリスタ、向かい合わせになるなら誰でも良いんだから私の膝に……」

クリスタ「ごめんねユミル、王様の命令は絶対だから」

クリスタ「ねえサシャ、私の訓練はエレンの膝の上限定だよね?」

サシャ「え? まあ……そういうことになるんじゃないでしょうか。なんたって私が王様ですし私が正義です」

アニ「……余計な事を」チッ

アルミン(ど、どうしよう収拾が付かない……)

アルミン(ミカサは目に見えてストレスが溜まってるし、アニも舌打ちが増えてきた……)

アルミン(というかなんでクリスタはエレンの膝の上から退こうとしないの……)

アルミン(うう……ここは……ここは……)

アルミン「……ここはもう一回王様ゲームをするしかないよ……次のクジを引こう」

ミカサ「アルミン。クリスタを引き摺り下ろさなくては……」

アルミン「わかってる、わかってるよ……でも上手く行けば、ミカサもエレンの膝の上に行けるはずだよ」ボソッ

アルミン「王様になって、クリスタと場所を入れ替えることを命令すればいいんだから」ボソッ

アルミン「あるいは僕が王様になってクリスタを膝の上……じゃなくて、ミカサをエレンの膝の上につれてくとか」ボソッ

ミカサ「アルミン……アルミンはやはり天才。一刻も早くクジを引こう」

アルミン「うん、そうしようね……」

アルミン(……ミカサが王様のクジを引き当てる確率は10分の1……まず無理だ)

アルミン(ミカサが正常な判断力を失っているからこそごまかせたと言えるけど……これは……)

エレン「お、クジ引くのか」

ライナー「ああ、お前を早く天国から引き摺り下ろさなくちゃな」

エレン「何言ってんだよワケわかんねぇな」

サシャ「クリスタ、クジ引けますか?」

クリスタ「この体勢だとちょっと難しいかな……」

エレン「じゃ、支えてやるよ。ほれ」ギュッ

クリスタ「あっ…………えへへ、ありがとエレン」ニコッ

ミカサ「――――」ギリッ

アニ「――――」イラッ

アルミン(エレェェェェェェェェェェェンッ!)

ベルトルト(クリスタの腰に手を添えただって!?)

ジャン(ミカサを膝の上に……ミカサミカサミカサミカサ)

寝ます
短い投下時間でしたがお付き合いくださりありがとうございました

今日中には終わらせられる……はず……。
クリスタと結婚したい

一同『王様だーれだ!』


アルミン「……僕が王様だ」

ミカサ「……」グッ

アルミン(さて……これは身の振りをよく考えないとまずいよね……)チラッ

エレン「?」

ミカサ「……」ピース

アルミン(なるほど……ミカサは2番か……)

アルミン「よし、じゃあ僕の命令は、クリスタと2番が入れかわ――」

アニ「……」ギロッ

アルミン「ひぃ……」

アルミン「……ちょっとだけ考えさせて」

ミカサ「アルミン!?」

ジャン「何でもいいけど早くしてくれよ。俺の手が再起不能になる」

ベルトルト「す、すまない、ジャン」

ライナー「アルミン、天使を救い出すんだ」

アニ「よーく考えて命令するんだね、アルミン」

アルミン「…………」ダラダラ

アルミン(ここでミカサを指名すればクリスタは助かるがアニによって僕は刈り取られるだろう)

アルミン(逆にここでミカサを指名しなければ彼女によって僕が刈り取られるだろう)

アルミン(逃げ道は無いのか……どうすればいいんだ……)チラッ

ジャン「おいアルミン、頭抱えてどうしたよ」ポロッ

アルミン「――!」

アルミン(見えてしまった……仲間を売る非情の策への道が……)

アルミン(ここまで汚れ役をこなしてきたジャンになら……一縷の望みを賭けられる、かもしれない……)

アルミン「……すまない、ジャン」ボソッ

ジャン「あ?」

アルミン「……明日のパン、僕が奢るよ」ボソッ

ジャン「何言ってんだよアルミン」


アルミン「僕の命令は――――クリスタの位置と、4番が入れ替わる!」

クリスタ「えっ」

エレン「クリスタと入れ替わるってことは、なに、俺の膝に座るのかよ?」

ミカサ「アルミン……!」ギリッ

アニ「へぇ……」

アルミン(大丈夫、大丈夫だ……これがサシャやユミルとか女子だったら洒落にはならない)

アルミン(だけど4番は……、4番なら……!)



ジャン「4番って俺じゃねぇかァァァァァァァァァァァ!」

ライナー「ぶっ!」

サシャ「うわっ、噴き出さないでくださいよ!」

ジャン「アルミン……お前わかって指名しやがったな……」

アルミン「ごめん、でもこれしか策がなかったんだ……」

クリスタ「私とジャンが入れ替わらないといけないんだよね……ちょっと残念だな」

エレン「つーか、マジでジャンが俺の膝乗るのかよ」

ユミル「王様の命令は絶対だしな、仕方ねぇんじゃねぇの」ゲラゲラ

ライナー「天国から一転地獄だな……もう許す」

ベルトルト「ジャンと手を繋いだままの僕はどうなるのかな?」

サシャ「そのまま一塊じゃないんですか?」

アニ「……想像しただけでも酷い絵面だね」

***

ジャン「……おい、何見てんだよエレン」

エレン「んだよ? 訓練なんだから仕方ねぇだろ」

ベルトルト「ま、まあまあ、落ち着いて二人とも」

アルミン(今の状況を説明すると……)

アルミン(ベルトルトと恋人繋ぎのジャンがエレンと対面座位になっている、ってところか)

アルミン(僕のせいでこうなったとはいえあまりに酷い……)

ライナー「アルミン、なかなか酷い命令にしたな」

アルミン「クリスタを迫り来る恐怖から救い出し、なおかつ僕が助かるためにはああするしかなかった……」

アルミン「仲間を売るなんて最低だと思うけど……でも、今までずっと貧乏くじを引いてきたジャンだったら」

アルミン「この立場になっても許される空気が流れるんじゃないかって、そう思ってしまったんだ」

ライナー「……いや、事実そういう空気が流れてる。お前の策は正しかったはずだぜ」

ミカサ「…………」

アニ「文句は言わないのかい?」

ミカサ「……相手があなたならば、実力行使も考えた」

アニ「……へぇ」

ミカサ「……私には考えられないことだけど、あれはジャンにとっては過酷な訓練なのだと思う」

ミカサ「わざわざ、より辛い目に合わせるつもりはない」

アニ「お優しいことで」

ユミル「クリスタ、今度は私の膝に乗れよ、な?」

クリスタ(……もう一回エレンの膝に乗りたいな、なんて)

サシャ「あちゃー、これはもう乙女の目ですねえ」

ユミル「あぁ!? 適当言ってんじゃねえよ芋女ァァ!」

エレン「……さっきまでクリスタが乗ってたから圧迫感が違ぇな」

ジャン「……何が悲しくてお前とこんなに距離が近くなきゃいけねぇんだよ」

エレン「るせぇ。俺だってお前よりはクリスタのほうが良かったよ」

ミカサ「!」

ベルトルト「エレン……」

クリスタ「えっ、え、ええええエレン、それってその、えぇっ」

アルミン(エレン、君はこう、なんなのかな、地雷を踏むのが上手いね!?)

エレン「あ? なんか俺おかしいこと言ったか?」

ライナー「いや……正論ではあるが……腹立たしいのに変わりはないんだよなあ……」

ユミル「エレン、テメェ……羨ましいだろうが……」

サシャ「みなさん、そろそろ就寝時間も近いですし次をラストにしませんか?」

ミカサ「そんな……まだエレン分を補給していない……」

アニ「……まあ、これ以上長引かせても、か」

ユミル「……私はあそこのバカと手ぇ繋がされただけだぞ」

ジャン「好きで繋いだワケじゃねえよ!」

ライナー(いや、自分で延長してただろうが)

アルミン「結局のところ、エレンが一人勝ちしたようにしか思えないね……」

ベルトルト「どっと疲れた気がするよ……」

エレン「じゃ、引くか」




一同『王様だーれだ!』

サシャ「おや、また私ですね」

アニ「最後の命令なんだ、パンとかじゃないのにしなよ。じゃなきゃつまらない」

エレン「お前にそういう感情があったとは……」

アニ「うるさいよ、このスケコマシ」

エレン「なんだそりゃ?」

アルミン(もうむしろパンが命令で良いけどね……)

クリスタ(なんか、エレンのことばかり頭に浮かんで来ちゃうな……)

ライナー(今日は、サシャを膝枕したくらいか。……もうそれで十分だな)

サシャ「じゃあ、最後はど派手な訓練ということで」

ベルトルト「ど派手な訓練?」

サシャ「1番と9番がキスしてください!」

一同『!?』

ライナー(キス!?)

ベルトルト(キスって!)

ジャン(おい、キスってアレだよな……!?)

アルミン(サシャ、地雷原で立体機動する真似は止すんだ!)

ミカサ(……動かなくてはならない)

ユミル(や、やべぇ、とりあえずクリスタだけは守らねぇと)

クリスタ(き、キス……キスって……)カァァ

アニ(…………9番)

エレン「なんだ? 俺が1番だ」


サシャ「さあ、それじゃキスしてくださいね。ハリーハリーハリー!」

エレン「おい、9番誰だ? 俺が1番なんだけど」

アニ「……」スッ

ミカサ「させない」シュッ

エレン「あっ! おいミカサ、なんで俺のクジ奪うんだよ!」

ミカサ「……流石にキスは看過出来ない」

クリスタ「……ねえ、アニ、もしかしてそのクジ」

アニ「えっ、あ、ああ、これが……なにか?」

クリスタ「きゅ、9番、だったり……?」

ジャン「!」バッ

アニ「あっ!?」

ジャン「9番は貰ったぜ! さあミカサ、ミカサは1番のクジを持ってたよな!?」

ミカサ「っ……アルミン、パス」

アルミン「ええっ! 何で僕にパスするのさ……」

サシャ「アルミンとジャンが1番と9番なんですか? じゃあキスですね」

アルミン「ちょっと! あからさまな不正が目の前で行われてたよね!?」

サシャ「私が王様ですから私が正義です」フフン

ユミル「よこしな、ジャン、アルミン!」バッ

ジャン「あっ!」

アルミン「うわっ!」

ユミル「さあクリスタ、9番をあげるよ」スッ

クリスタ「ちょ、ちょっと待ってユミル。1番も……くれないかな?」

ユミル「え? あ、ああ……」

クリスタ「ありがと、ユミル」ニコッ

ユミル(さすが私のクリスタ笑顔も天使だ……)

ユミル「って、おいクリスタそれ何に使うんだよ!」

クリスタ「エレン! 1番のクジあげるね!」

エレン「なんだ、回り回って俺の手元かよ」

サシャ「はい、じゃあエレンとクリスタがキスですね」

ベルトルト「流石にそれは看過出来ないよエレン! 悪いけど1番は貰う!」ズッ

エレン「あっ、また俺のクジが!」

ベルトルト「サシャ、判定は!」

サシャ「あ、はい。じゃあクリスタとベルトルトがキスです」

ライナー「させるか! 悪いなベルトルト!」バッ

ベルトルト「くそっ、取られた!」

ライナー「サシャ!」

サシャ「ライナーとクリスタがキスです」

クリスタ「えっ、えっ、とりあえずアニにパス!」

ユミル(さりげなく拒絶してるよなこれ……)

アニ「……」ゴゴゴゴゴ

ライナー「……エレン、お前にパスだ」

エレン「んだよ。俺に戻すなら最初から奪うなよ」

ミカサ「9番のクジは貰う――!」シュッ

アニ「させるか……!」バッ

ミカサ「くっ、避けられた……、でも!」

アニ「……エレン! するんだったら早くしなよ!」

エレン「え?」

サシャ「キスです」

エレン「ミカサとアニが超高速で対人格闘してんだけど。あそこにつっこめってのか?」

サシャ「キスのために」

エレン「……あ、これも訓練なのか、なるほど」

クリスタ「だ、だめー!」ダキッ

エレン「うおっ!?」ガクッ

エレン「い、いきなりひっつかまるなよクリスタ……」

クリスタ「だ、ダメだよエレン、あそこに行ったらケガしちゃう」

エレン「いやでもこれ訓練だし」

クリスタ「訓練だけど……だ、だめなの」

エレン「怪我しないように突っ込んで、アニにキスすりゃいいんだろ?」

クリスタ「そ、それはそうなんだけど……いやもう、違うの!」

クリスタ「怪我はしてもいいよ、看病してあげるから!」

クリスタ「アニにキスするのはだめ!」

エレン「……?」

アルミン「え、エレンばっかりさっきからズルいよ!」

エレン「え? ああ、なんだアルミンも訓練したいのか? じゃあこのクジやるよ」

アルミン「……え、あ、どうも」

エレン「おう! なんたって俺達親友だもんな!」ニコッ

アルミン(なんか……違う……)

ミカサ「アルミン、そのクジを即刻私に渡すべき」

アニ「くっ、返せ、9番!」

ライナー「もう俺は関わるのを止めようと思う」

ベルトルト「正しい選択だね」

サシャ「アルミンとミカサがキスです! 早く早く!」

ユミル「こいつなんでこんなノリノリなんだ」

アルミン「なんかもう僕も疲れた……返すよエレン」

エレン「ん、そうか。で、9番はミカサなのか」

ミカサ「そう。早く私にキスするべき」

アニ「……あれ? ミカサ、クジがないんじゃないの」

ミカサ「え? ……な、何故……」

クリスタ「……もらっちゃった、えへへ」

ミカサ「クリスタァ!」

アニ「……何故今日になって急に……」

クリスタ「私も、欲が出てきちゃった」

エレン「で? クリスタなのか?」

サシャ「みたいですね」

とりあえず一時離脱
ジャンには悪いことをした

王様ゲームならジャンだけでなくクリスタも番号で指定じゃない?

>>127
やっべ……
そこらへんはご都合主義で流してください ご都合主義のSSですしおすし

SS絵師総合スレに支援絵を投下しました。
ここに直リン貼って良いのかローカルルールがよくわからなかったのですが、とりあえずご報告まで。

>>131
拝見しました
まさか支援絵いただけるとは思っていなかったので驚きと喜びで一杯です
ありがとうございました!

エレン「もうそろそろ夜も遅いしとっとと済まそうぜ」

ライナー(こいつの頭の中でキスの重要度はどれだけ低いんだ)

ベルトルト(エレンには邪な気持ちがないのかな……一種病的じゃないか?)

アルミン(ていうかもう、二人とも止める気ゼロなの?)

ライナー(まあ、クリスタとエレンがキスすることにはならんだろう)

ベルトルト(アニもミカサも、加えるならユミルもいるしね)

アルミン(確かに……)

アニ「元々このクジは私の物だ。だから返しな」

クリスタ「あ……」

ミカサ「9番……」

アニ「……だからさ、これは私が引いたクジじゃないか」

エレン「おいサシャ」

サシャ「ええ、アニとエレンがキスです」

エレン「なんだよアニ、お前そんなにキスしたかったのか?」

アニ「!?」

アルミン「わーお、ど直球」

ミカサ「やはりそうか……!」

アニ「いやっ、そんな馬鹿なことは……」

エレン「だったらほれ、ミカサ」ポイッ

ミカサ「えっ」

エレン「お前ら必死になってクジ追ってたし、よほどしたいんだろ」

アニ「いや、それはあんたが相手だかr――いや……なんでも、ない」

ユミル「……ぷふっ」

ミカサ「エレン、あなたは大きな勘違いをしている……。私はただ、エレンと」

エレン「おいサシャ、これ以降クジの奪い合いはなしで確定させてくれ」

サシャ「ええ、わかりました。十分動いて十分訓練になったでしょうしね!」

クリスタ「ちょ、ちょっと待って、なんかひどいことになってる気がするんだけど……」

サシャ「というわけで、9番と1番……アニとミカサがキスですね」

アニ「ちょ、ちょっと待ちな! なんだってこいつと……」

ミカサ「私も同意見。そもそも前提が……」

ジャン「ミカサのキスだと?」

ライナー「面白いことになってるな」

ベルトルト「……どうしてこうなったんだ」

アルミン「ほんとにね……」

サシャ「でも二人が一番鬼気迫ってましたし。キス出来るなら文句はないですよね?」

ミカサ「相手が違うのでは意味がない」

アニ「そ、そう、だ……」

サシャ「でも、これは訓練なんですよね?」

サシャ「兵士だったらちゃんと、与えられた命令はこなさないと」

エレン「うんうん」

アニ「……」ゴゴゴゴゴ

ミカサ「……」ゴゴゴゴゴ

クリスタ「あ、あの、二人とも……無理はしなくて良いと思うの」

ライナー(ちゃんと止めにかかるクリスタは天使)

アルミン(あの威圧感に負けないクリスタマジ天使)

ユミル(むしろ私とキスしてくれクリスタ)

ベルトルト(結婚しよう)

ジャン(ミカサのキスシーン……)ゴクリ

サシャ「さあ、キスです! キース! キース! キース!」

エレン「サシャ、テンションたっかいなあ……」

サシャ「キース! キース! キース!」

アニ「……」

ミカサ「……」

サシャ「ほらほら、王様の命令ですよ! キスですキス!」

アニ「……」フルフル

ミカサ「……」ワナワナ

サシャ「さあライナー! アルミン! ご一緒に!」

ライナー「……き、きーす、きーs」ドゴォォォォォン

アルミン(わりと理由のある暴力がライナーを襲ったァァァ!)

アニ「……」フゥ

エレン「やらないのか?」

ミカサ「……っ、アニ」

アニ「……なんだい」

ミカサ「とても不本意だけれど、サシャとエレンを納得させるにはこれしかない」

アニ「…………本気?」

ミカサ「不本意だと言った。私だってやりたくはない……」ギリッ

アニ「……まったく、何のための王様ゲームだったんだか……」

ミカサ「…………」

ミカサ「……目を閉じていて。すぐに済ませる」

アニ「え、ちょ、ちょっと、本気……?」

ミカサ「冗談は言わない」ズイッ

アニ「あ、ちょっと、あんた……」

ミカサ「目を閉じて」

アニ「……ッ!」ギュッ

ミカサ「いい子ね……」スッ

クリスタ(えっ、えっ、しちゃうの!? 女の子同士でキスしちゃうの!?)

ジャン(ミカサのキスシーンキタァァァァァァ!)

サシャ「さあ行っちゃえ! キスですよ、キース!」



ガラッ

アルミン「――!?」











教官「――――騒がしいぞ貴様ら」ギロッ









.

一同『――!?』

教官「……先ほどから私の名を連呼する輩が居るようだしな、ブラウス訓練兵」

サシャ「…………はっ、い、いえ、その……」

教官「言い訳は無用だ。だいたい揃いも揃ってこの時間まで何をして……」

ミカサ「…………」ギギギ

アニ「…………」ギギギ

教官「…………して……?」

ライナー(やべえええええ! キス直前の二人を見て教官も硬直してるぞおい!)

アルミン(こ、これは……未だかつてこのような危機があったろうか! いや、ない!)

教官「…………わからないな」

ベルトルト(僕たちもわからないです教官)

ジャン(どうなんだよこれ……)

教官「成績上位者が集まって何をしているかと思えば……」

ユミル(……うん、正論だな)

エレン(まずいな……訓練だってわかってもらえねぇかな)

教官「逢瀬はわからんところでやるものだ……」

アルミン(……え)

アニ「……、ぁ、その」

ミカサ「……逢瀬、などではなく……」

教官「同性ともなれば世間の目もあろうがな」

クリスタ(どうしよう……教官が盛大な勘違いをしてる……)

ライナー(つーか微妙に理解があるのはどういうことだよ教官……)

教官「……しかし貴様らが夜分遅くまで騒いでいたことは事実だ」

教官「罰として全員、明日は食事抜きだ」

ユミル「……ゲッ」

アルミン(それだけで済むなら……全然軽い方だよね……)

教官「……就寝時間は過ぎているぞ」

一同『ハッ! 失礼いたしました!』

ガラッ



ベルトルト「……さすがに、騒ぎすぎたね」

ジャン「だな……」

サシャ「……お開きにしましょうか」

エレン「そうだな。もう眠いし」

アルミン「…………しかし、教官も凄い勘違いをしていったね」

アニ「……な、なんっで……」ワナワナ

ミカサ「あり得ない……アニと逢瀬だなんて……」ガタガタ

ライナー「……ありゃ、明日がどうなるか……」

こうして、何事にも動じないための訓練――という名目の王様ゲームは終わりを告げた。


結局のところ得をしたのは、女神クリスタとの距離を一気に縮めたエレンだけであったが、

枯れてるを通り越して病的に鈍感なエレンにとってはクリスタと会話する機会が増えただけに過ぎなかった。




また翌日以降、盛大に勘違いしたキース教官がいらぬ気を回し、

ペアで行う訓練の際にアニとミカサを組ませまくったのは別のお話。


そして、地味に行われていたミカサとアニのエレン争奪戦に、

もう一人、女神が加わったのもまた、別のお話――。

クリスタ「……ねぇねぇエレン、またあの訓練、付き合ってくれる?」

エレン「え? ああ、あの膝の?」

クリスタ「うん……あそこは、私だけの練習場にさせて?」

エレン「別に良いけど……ジャンも座ったぞ?」

クリスタ「ふふ、それもそうだけど」

ミカサ「……」ゴゴゴゴゴ

アニ「……」ゴゴゴゴゴ


アルミン「……ねえライナー、胃が痛いや僕」キリキリ

ライナー「奇遇だな。俺は体の節々が痛いぞ」ボロボロ



【おわり】

くぅ~疲れましたww って、なんで俺くんが以下略

最後が駆け足なのは仕様です。カオスなのも仕様です。
要は王様ゲームにかこつけて女神クリスタさんを書きたかっただけですはい
教官含めキャラが崩壊してるのは大目に見てね、ということで。

二日にわたってお付き合いくださりありがとうございました。
また、>>131の支援絵もありがとうございました。

またいずれ進撃の巨人でSSスレ立てるかも知れません。その時はどうぞよろしく。

今ぼんやり見直してて気付いたけど、
>>37で1文抜けてました。


ライナー「なぁエレン……命令を変えないか。あるいは番号を変えるべきだと思う」 ←
 
エレン「はぁ? 何言ってんだよライナー」

アルミン「あっ……」

ジャン「ぷっ……マジかよ……」

ユミル「……ククッ」

クリスタ「も、もしかしてライナーが?」

ライナー「ああ……俺が9番だ……」ガックリ

ミカサ「ライナー、言い値で買おう」

ベルトルト「露骨すぎだよミカサ……」

アニ「ライナー。どうしても嫌なら、貰ってやっても……良いけど」

ミカサ「ッ!」ギロッ

アニ「……」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年11月08日 (土) 07:04:53   ID: DcczSwgY

王様ゲームで最後まで行くのは凄いと思う。

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