上条「女の子と悪魔に魂を」(378)
本編再構成ものです。非常に拙い文章で更新は遅いと思いますがよろしくお願いします。
彼はとてつもなく不運で何でそうなのか自身も誰もわからなかった。
子供の頃から彼の周りでは大小の事故が起き、忌み子だなんだなと蔑まれ、嫌われ、結果誰も彼に近寄ることがなくなった。
加えてその不幸は彼自身にも強く作用した。例をあげればキリがない。車に轢かれ、小学校の三階から落ち、歩いていれば頭に物が落ちてくるetc....。
ただそれで彼が"死ぬ"ことはなかった。
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身体が良くてもジリジリと心は磨り減っていった。それでも彼が最後の一線を保てたのは優しい両親の存在あったからだ。
常に自分達の子どもを第一とし、なんとか彼に取り憑くそれを払おうとしていたその矢先に夫婦にそれが襲ってきたのだ。
幸いというべきなのか父親は無事だったのだが、母親は脊髄に重大な障害を抱えてしまった。医者曰く「もう歩くことはできない」と。
それが止めだった....
その後図ったかのように学園都市から案内がきて彼は躊躇うことなく行くと父親に告げた。
『別に自分のそれが治るとは思っていない。ただこれ以上この人達を傷つけたくない。』
これは不運で、そして誰よりも優しい少年の物語。
ーA.M 05:00ー
pipipi pipipi pipipi カチッ
上条「くはぁ~....朝か」
上条当麻は学園都市に住む高校生だ。ただ学校のほうは名前ばかりでほとんど出席していないのだが。
上条「布団干しますか」
ガラー
『神様に見放された者と神様に愛された者の出会いはどこにでもあるベランダだった。』
イン「お腹減ったんだよ」
ベランダにひかかってる少女は言った。
上条「何もねえよ」
咄嗟にそんな言葉がでる。
一体なんだこのシスターっぽいのは?また暗部とかいう奴らか?
イン「レトルトでもカップ麺でいいんだよ」
上条「なんでそんな上から目線なんですか!?」
イン「とりあえずお邪魔するんだよ」
上条「おいこら!」
これはマズイ!こっちは不運体質でまず普通の女の子が寄ってくることはない!つまりこいつはあの"第四位"やその取り巻きに近いもしくは同類ってことだ……
ガサゴソ
イン「ほんと何もないんだよ。あ、もやしだけある……」
上条「勝手に入った上に冷蔵庫まで見られ、あげく文句まで言われたの初めてです……」
さらに彼女の捜索は続く。
イン「これ作ってほしいな」
差しだしてきたのは昼に食べようと思ったカップ麺だ。
上条「……はぁ」
決しておねだりしてきた姿が可愛かったのでいろいろ諦めたわけではない。
イン「お腹減ったんだよ。」
カップ麺に加え、白米三合とサンマの缶詰を平らげたあとの台詞である。
上条「……。さて、お前は何者だ?暗部組織の一員か?なんであそこに引っかかってた?」
イン「アンブ⁇私はイギリス必要悪の教会所属のIndex-Librorum-Prohibitorum。長いからインデックスってみんな読んでるだよ。ごはんありがとうなんだよ。」
上条「必要悪?インデックス?」
学園都市には宗教系の組織もあったのか……?
イン「ベランダにいたのは追われる途中でビルを飛び越えようとしたら……」
上条「引っかかったって訳か。なんで、誰に追われてた?」
やはりまともな女の子じゃなかったか……。
イン「詳しくは言えないけど、私がその人たちにとって危険で重要なモノをもってるから…。」
神様ってのはとことん俺が嫌いらしい。可愛い女の子と出会っても、全身からビームと下品な単語が出る殺し屋だったり、暴力カルト宗教の運び屋だったり……。
とりあえずここまでです。飯食ったら再開します。
ちょっことあげます。初投稿なんであまり期待しないでください....
上条「……。これからまた逃げるのか?」
イン「うん。ここにいたらあなたに迷惑がかかっちゃうから。それにこの『歩く教会』があるから大丈夫なんだよ。」
上条「歩く教会ってこの修道服のことか?
」
半信半疑で彼女が纏っているその純白の修道服を右手で触ってみた。
バチィィィィ!!
上条「ッツ!」
触れた瞬間右手に激痛が走った。
上条(何が起きた!?ほんとに何かの防護服なのか?)
イン「??どうしたの?」
上条「いやなんでもない。それよりもう行け。逆俺といたら迷惑がかかる。」
イン「ふふおかしいの。それわたしのセリフなんだよ。」
上条「…うるせえ//」
彼女の綺麗な笑顔に少し照れる。
イン「うんもう行くね。」
上条「……ああ」
イン「名前」
上条「ん?」
イン「名前教えてほしいな。」
上条「……上条当麻だ。」
(自分の名前を誰かに聞かれたのは久しぶりだな)
イン「かみじょう…とうま。じゃあ……バイバイとうま。」
上条「あ」ガチャ
(引き止めたとこでどうするんだ?未練たらしくバカか俺は……。)
上条「じゃあなインデックス。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
朝の出来事から数時間経ち、上条当麻はいつもいる廃ビルにいた。
上条「ハァ……ハァ…」
トレーニングは彼の日課であり、唯一の趣味であった。不運な体質な彼にとって学園都市は戦場だった。敵は能力者やスキルアウト、最近では暗部と呼ばれる連中にも絡まれるようになった。
さらに彼はレベル0つまり無能力者だったので、そんな彼が身体を鍛え、技を学び、それを磨くの当然の帰結であった。
毎日暇があればこのビルに来た。ひと気がほとんどなく、誰にも邪魔されず、誰にも迷惑をかけないこの場所を彼はよく気にいっていた。
上条「ハァ……クソ……」
筋力トレーニング、ランニング、シャドーを終え今は空手の型に入っていたが、朝のことが頭から離れず全然集中できていない。
(ちょっと可愛いとすぐ情が移りやがって!ヤバいそうなカルト宗教に関わってるやつだぞ。だいたいこんなビルに引きこもるお前なんか誰が好きなるか!ったくこれだから童貞は!)
(………………)
上条「あー…可愛かったなちくしょう……。」
⁇「誰が可愛いですって?」
入口のほうから女性の声がした。
上条「少なくともお前のことじゃないから気にするな。」
??「女性に対して失礼ね。これだから童貞は。」
声の持ち主は10代の後半から人によっては20代前半とみるだろうか。顔が綺麗な、いわゆる美人で服装はおそらくすべて高級ブランド品だろう。それを前面に出さず着こなしてるのは彼女のセンスのおかげか。
上条「お前は可愛いっていうより綺麗だからな、"麦野"。」
麦野「………え///」
その瞬間おそらく一秒ほどだろうか、上条が一気に間合いを詰める。そして左手でコンバットナイフを持ち、麦野と呼ばれた女性の首に狙いを定める。
麦野「ちぃ!」
この一瞬の油断が命取りになった。咄嗟に前蹴りを出すがこの選択は誤りだった。
すでに間合いを詰めていた上条は前蹴りを簡単によけながら麦野の後ろに回り込み、ナイフを突きつける。
上条「動くな!……何惚けてんだよ?また胸でも揉まれたいのか?」
麦野「うるせえ‼そんな訳ねえだろ!誰がてめぇの粗末なモノを握ってる手で触られてぇか!?」
上条「相変わらず言葉遣いが……。うーんじゃあその太腿でいいや。」
麦野「じゃあもクソもあるかーー‼」
バシューー
数条の光線が上条に向かって放たれるが、彼はそれを紙一重で避ける。まるでくる位置がわかってるかのように。
上条「死ぬからやめれ。ってかどうやってここを?」
麦野「……ちぃ。暗部を舐めるな。造作もないわよ。」
上条「流行りのストーカーってやつか。初めて見たわ。」
麦野「あんたが撮ったうちの絹旗とフレンダの写真データを奪いに来たのよ!あんたのせいであの二人部屋篭って使いもんにならないのよ!」
上条「そうなのか…。いやなんか悪いことしちゃったね、ちょっとひん剥いて撮らせもらっただけなんだけど。」
全く悪びれていないのは麦野のにもはっきりわかった。
上条「けどあの写真はちゃんと使いもんになってるぞ、俺のオカズとしてな!」
バシューーーーーーー
上条「おっと危ねえ!」
麦野「何がオカズだ‼舐め腐りやがって!!もうまどっろこしいことはやめだ!奪いきたついでにこの前の御礼をしてやる。」
上条「ったくなんでこんなんがLevel5なんだよ。もうちょい大人しければストライクなんだけどな…。」
上条がそう言う前に麦野は戦闘態勢にとったが、実のところ彼女ほうが大分劣勢だ。それはなぜか。
1、 彼女の能力である『原子崩し』は威力は 優れる分、照準などの細かく素早い作業が苦手だ。
2、上条当麻は徒手格闘を含めた近接戦闘に圧倒的に強い。
3、今のこの間合い。
この三点により麦野の勝算は低いが………
麦野「……女には負けられない戦いがあるのよ。」
上条に聞こえるか聞こえない程度の声量で言う。
上条「……」
(覚悟は決めた!あとは....どうくる上条当麻!)
まだ上条は動かない。
バッ!
(きた!)
上条がまっすぐ向かって動いた。
……………………………………出口のほうへ。
麦野「えっ…………。」
本日二回目である。
上条「あーーー卵の特売が!!」
そう叫びながら彼は路地裏へ走って行った。
幻想殺し無いの?
>>17
幻想殺しはあとで出します。
麦野「ふ…ふっ……」
「ふざけんなーーーーーーー!!!!」
バシューーーー
原子崩しが空気を切り裂く音が、彼女の遠吠えのようだった。
上条「ふぅ今日はなんとか買えたか。」
彼にとって特売品は非常に重要な食料源だが、それを入手することは困難なミッションであった。
上条「これで一週間はいけるな。ったくあのビーム女俺のお気に入りの場所が。まだあのこと根に持ってんのか。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一ヶ月前
どっかの路地裏
絹旗「超なんなんですか今日の任務!」
フレンダ「結局アイテムがわざわざ出る必要なかったって訳よ。」
絹旗「まあだから超私達二人だけってことですかね。よっこらしょ。」
フレンダ「絹旗はババくさいって訳よ。」
ターゲットの研究者を拉致し、それを麦野の待つバンに運ぶ途中だった。そしてそこに現れた不運な少年。
上条「~♫~~~」
特売帰りなのか機嫌が良かったのだが…
乙。期待してる。
期待
>>20>>21
ありがとうございます。またちょっとですがあげます。
どん!
絹・フレ「「いたっ!」」
ベシャ
上条「 」
フレンダ「結局どこ見て歩いてるって訳よ!」
絹旗「超謝罪と賠償を要求します!」
上条「 」
彼女達はただ知らなくて、Level4でも暗部でもやっぱりガキだった。
上条「………………このクソガキどもがぁ」
絹旗「おっ私達と超やろうってことですか?」
フレンダ『……あ、もしもし麦野?ちょっと邪魔が入ったんで結局合流に遅れるって訳よ。うん…うん……今絹旗がむかったから~じゃ予定の場所で。』
上条「……なんだお前ら人攫いの遊びでもやってのか?」
転がってる男をみて聞いてみた。半分冗談だが。
絹旗「見られたからには超消えてもらいます。フレンダは超ターゲットを。」
フレンダ「アイマム。」
そう言って絹旗は上条目掛けて突っ込んできた。彼女の能力は『窒素装甲』。窒素を身体に纏わせ盾として使用し、また掌で制御することで車も簡単に持ち上げることができる。この能力で彼女は裏社会を生き延びることができた。
絹旗「一発で決めます!」
拳を上条に向けて打ち込む。いつもならだいたいそれで終わりだった。だが拳は届かず虚しく空を切る。
上条「女の子が暴力とは感心しないな。」
絹旗「この!」
連続で右、左と連続と出すがまるで当たらず、端から見ると兄妹でじゃれているように見える。
絹旗「ちょこまかと!」
それでも暗部。上条を壁際まで追い詰めていた。側にあった室外機をぶん投げ、それ囮してさらに前へ。
絹旗(とった!)
室外機で上条の姿は見えなかったがこの狭い路地の壁際なら退路は前にしかない。そこには自分がいる。
人間攻撃の瞬間が最も隙が大きいと誰かが言っていたような。
絹旗「えっ!?」
そこに彼はいなかった。
上条「うわ⁉黒履いてじゃん!しかも紐かよ!!」
絹旗「????」
フレ「絹旗後ろって訳よ!」
絹旗はおそるおそる後ろをむく。
上条「(`・ω・´)」カシャ!
絹旗「 」
右手で絹旗のワンピースのスカート部を持ち上げ、左手で写メを撮っている上条がいた。
ここまでコケにされたのは初めてだった。今まで以上に掌に窒素を集め、拳が出た。
絹旗「超死にやがれってんです!」
しかし上条は絹旗の攻撃をかわし、落ち着いて、そして優しく左手で彼女の目を覆い、右手を顎に添えたと同時に腰を入れた。
絹旗「あ……」カクッ
膝から前に落ち、地面に倒れた。
フレンダ「え?えーーーー!?」
絹旗「……っなん……で…?」
倒れたということよりも自分の窒素装甲がいつどうやって突破されたのほうがまず頭を占めた。
上条「不思議そうな顔してるけど教えてあげません。」
敵にわざわざ親切に教えるバカがどこにいる。
ただ彼がどうやって突破したのかというと、
まず考えなしに突っ込んでくる絹旗を見て防御に自信ある能力者であると判断。
次に攻撃を避けている最中に小石を投げみると絹旗は気づいてないが、自動で防御している。
ただよく見るとホコリや汚れなどが衣服や肌についている。
以上の点からここからは防ぐけど、これは防がないという感じの防御フィルターがあると判断し、あとは感で優しく撫でるように顎先に一撃を与えたという話だ。
上条(流石に感だけは冴えるな)
上条「さてお次は金髪のお嬢ちゃんか?」
まるで悪役のように舌なめずりしながら上条は言う。
フレ(まずいって訳よ!?結局絹旗がやられたっていうことは間違いなく大能力者以上。手持ちの武器じゃたかがしれている……。)
上条「戦いの最中にボケっとしてんなよ!」
フレ「ええぃもう!」バフッ!!
彼女は煙幕を投げ、倒れいる絹旗を連れて撤退を選択した。
フレ「ハァ…ハァ……」(上手く撒けた…?)
絹旗「超助かりました。あなたに超借りを作るとは…。」
フレ「可愛くないわね。ったく一体なんなよあの変態!?」
上条「変態じゃなくて、ただの通りすがりの高校生さ。」
絹・フレ「「!!」」
上条「まだそっちに金髪の子の写メを撮ってないからな。」
フレ「結局やるしかないって訳ね。私の下着は高いからあんたみたいな変態に見せてやるわけにはいかないって訳よ!絹旗は麦野に応援を!」
絹旗「超すいません…」
絹旗は後方に下がり、フレンダが前へ出る。
フレ(もう武器はロケット型ミサイルだけ…!結局もっと持ってくべきだった訳よ!)
フレンダは自分の格闘能力じゃ勝てないと判断し、上条が先に動くの待った。
上条(待ちに入ったか。おそらく何か仕掛けてるな。)
上条はあえてそれにのることにした。応援も来るようなので時間をかけるには得策じゃないと判断した。
ゆっくりと前に進む。
フレンダは瞼を見開き、上条動きを逃さないようにした。
フレ(来い!来い!)
麦野の応援を待つ反面、自分で仕留めたいという気持ちもあった。これだけ手こずったのだ、当然麦野のオシオキは避けられない。ここで少しでも面子を保たなければ。
そう思っていたフレンダが瞬きをしたその刹那、小さなナイフが飛んできた。あまりの早さに咄嗟によけ上条のほうをみたその瞬間には鳩尾に前蹴りが入っていた。
フレ「がはぁ‼」
フレンダの口から胃の中身が出てくる。
上条「あまり女の子の顔を殴りたくないからな。じゃあ戦利品を。」
そう言いケータイを取り出し、スカートに手を掛ける。
フレ(ぐぅ……!……まだまだぁ‼)
めくろうしたスカートの中に先にフレンダが手を延ばし、ロケット型ミサイルを取り出す。
が、上条はわかっていたかのようにフレンダの手を抑え、手刀を首に当て完全にその意識を奪った。
上条「さて、と。」
卵三パックの代わりに美少女二人の下着写メを手に入れた。
堪能した上条が帰路につこうとした。
上条(ゾクゥ‼)
何かわからなかった考えるより先に身体が動いた。
バシューーーーーーーーー
身体の横スレスレに熱い光が走った。その熱で上条の衣服が少し焦げた。
麦野「仕事を邪魔してくれた上にうちのメンバーを倒してどこに行こうっていうにかにゃーん。」
上条「……。」(なんだ今の!?ビームか?ってかにゃーんって……)
麦野「だんまりかよ。まあいいすぐにこの世とお別れなんだし。ありがたく思いなさい!Level5が直々に手を下してあげるのだから。」
上条「level5…?」
麦野「そうよ、私は麦野沈利。もっとも『原子崩し』とか『第四位』で呼ばれることのほうが大きいけどね。」
上条「……そうか。四位がきたか…。はは」
麦野「なになに?あまりの恐怖に頭がおかしくなっちゃたのかにゃーん?」
上条「そのなりでにゃんにゃん言ってるほうがヤバいだろ。」
支援ありがとうございます。遅筆ですが終わりまで頑張っていきます。
麦野「…………。ブ・チ・コ・ロ・シ・カ・ク・テ・イ・ネ。」
上条「おう!なかなか死なないからしっかり殺しきれよ!」
相手は学園都市の頂点に君臨するlevel5。本当かどうか知らないが軍隊じゃないと歯が立たない化け物ども。なのに上条はなぜか嬉しそうだった。
上条(死ぬのは嫌だ。けどこいつなら、化け物と呼ばれてる超能力者なら自分と自分の不運を[ピーーー]かもしれない。)
そんな思いが頭にあった。
数条の原子崩し、正式名<<粒機波形高速砲>>が上条に向かって放たれる。
今まで麦野沈利の前に立った敵は全てその力により崩れ去っている。どれだけ防御に優れた能力者であっても、悉く消し炭に変えられている。
当然麦野にとってはこれで終わりの簡単な殺しだった。
だが上条はその異常なまでの感の良さと身体能力をフル活用し、光線と光線の間にある僅かな隙間に潜りこみながら麦野へ向かった。
麦野「………!!まるで猿ね!」
避けられたことに若干の焦りがでる。
麦野「だけど!」
そこやはりLevel5。すぐに次の策をうってくる。右手のあたりに原子崩しを展開させる。
麦野「ビーム撃つだけがとりえじゃないのよ!」
周りの壁を削りながら上条目掛けて勢いよく右手を突き出す。
麦野(この狭い路地では避けられないはず!)
事実狭い路地での範囲攻撃、こういうのが無能力者の上条にとってもっとも苦手な攻撃だ。
上条(げぇ!?)
麦野(もらった!例え下がっても追撃をかければ…!)
上条「…………」
だが例え今死がそこに迫っても、上条は絶対に退かない。もしそこから一歩でも逃げたら自分は一生不運なナニカに縛られ続けることになる。
そいつは"何があっても死なないよ、けど不運な目には遭い続けるからね"と言っている。
そんな得体のしれないモノにこれ以上自分の人生を弄ばれてたまるものか、選択肢を奪われなるものか。
上条(そんなオカルトめいた幻想はいつか必ずぶっ殺してやる。だからこんなとこで足を後ろに引く訳にいかねぇんだよ!)
麦野「消えな!」
光球がすぐ目の前に迫る。だが上条はまだ動かない。
麦野(右を避けてもすぐに左をぶち込んでやる!)
光球は確実に上条を飲み込んだ、そう麦野は確信した。
麦野(やった!)
ただそこには炭一つなかった。しかも目の前にも姿が見えない。
麦野「どこへいきやがった!!」
上条「ここだよ!」
麦野のすぐ後ろから声した。
麦野(くっ!いつのまに!?)
原子崩しの光球が上条に当たるか当たらないかの一瞬で、壁と配管をうまく使い後ろに周り込んだのだ。
それは並外れた身体能力と絶対に後ろには退かないという信念があってこそできたもので、だからこそ攻撃の当たる瞬間という最も大きいスキをつけたのだ。
上条「もらったぁ!」
麦野「……!」(マ…マズい!!)
すぐに原子崩しで迎え撃とうとするが、そこは上条の距離だった。
両手を軽く胸の前で合わせ麦野にむかい、右足で大きく地面に踏みこみ、両の掌を前にだす。
上条「だあぁあ!」
麦野(やられた…!!)
ムニュ♫
麦野「へっ……?」
上条「……」ムニュムニュ♫
麦野はダメージを受けることはなく代わりに上条の両の掌には麦野の豊かな胸が収められ、その大きさと柔らかさを確かめていた。
麦野「い…………いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
咄嗟に原子崩しを撃つが、明後日の方向に飛んで行くだけで上条に当たらない。
麦野「あ………あんた何すんのよ!!殺し合いの最中に!!!!頭おかしいんじゃないの!!!!????」
上条「ありがとうございました!!!!」
麦野「…………死……[ピーーー]ぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
今度こそ確かな殺意をのせ原子崩しを放とうとするが、
バフッ!
煙幕が狭い路地に充満する。上条はフレンダが使用した煙幕弾を拝借していたのだ。
麦野「ごほっ…ごほっ!」
上条「じゃあな~!」
煙の先から上条の声が聞こえる。
麦野「待ちやがれ!!」
煙がある程度無くなり視界が開けてきたが、そこにはもう上条の姿はなかった。
麦野「ち……ちくしょうーーーーーーーー!!!!!!!」
夜空に向かって叫ぶが、聞いているのは浮かぶ月だけ。
麦野「…………」
「……ぐすっ」
能力者としてだけでなく、女としても初めて負けたような瞬間だった。
少ないですがここまでです。続きは二週間ほどで。
遅くなりました。少しですがあげていきます。
上条(今日は厄日なのか吉日なのか……。)
「学園都市に来て8年、やっとLevel5のお出ましか……。」
加えて彼女たちが揃えて口にしていた『暗部』という言葉、まあ間違いなくマシなもんじゃないだろう。
上条「体質は相変わらずか……。はぁ……。」
これから身に降り掛かる不運にすっかり慣れたのか溜息だけが出る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
上条「……柔らかかったな。」
あの感触を思い出しながら上条は帰路につく。
数分ほど経って自分の寮にたどり着く。部屋のあるフロアに上がると掃除ロボットが警報を鳴らしていた。
上条(だいたいこういう時はよくないことが起きんだよな……。)
それでも歩をすすめると"それ"が見えた。
始めは白いゴミ袋かなにかが落ちてるように見えた。近づくにつれ"それ"は人でありかつ見覚えのある人物だった。
上条「イン…デック………ス??」
それは今日の朝上条の部屋のベランダに引っかかっていた少女であった。
上条「おい!インデックス!!」
上条は血の池にぐったりと横たわるインデックスに駆け寄る。
上条「……っ!」(この出血量はマズい!!)
すぐに携帯を取り出し電話帳に検索をかける。
上条(あった!)
プルルプルル……ガチャ
『君から電話がくるなんて思いもしなかったよ?』
上条「急いで診てもらいたい患者いるんです!!」
『……。患者の容体は?』
上条「意識がなく、腹部を刃物で切られて大量の血がでてます。」
『これから言う処置を君が施すんだ。すぐに迎えに行かせる。場所は?』
上条「俺の寮です。」
『わかった5分で着く。僕が診るんだ安心しな?』
上条「はい……。」
その後言われた処置を行ったことでまだ危険な状態であるが、少しインデックスの顔色が良くなった。
上条「ふぅ……よいしょっと。表に運ぶか。」
??「それはちょっと待ってくれないかな。」
上条「……!」(なに!!)
作業に集中していたのか、普段なら確実に気づく距離まで人の接近を許していた。
ひどくタバコの臭いがする赤髪長身の男だった。
上条「……お前がインデックスをやったのか?」(気づけよ俺……!)
??「うーん正確には僕の仲間がね。それにしてもここに戻ってくるとは。」
「神裂のやつも派手にやって……歩く教会はなんで働かなかったんだろうか?」
「まあいずれにしてもソレの持つ魔導書は回収するけどね。」
上条(魔導書??それに歩く教会ってあの修道服だったよな……。あの時……。)
上条「その魔導書なんてどこにもってるんだよ?」
??「それがあるんだよ。ソレの頭の中に10万3000冊ほどね。彼女は完全記憶能力の持ち主でね、まあ君には意味がわからないと思うけどこれが使える連中に渡ると色々マズくてね。」
上条「だから保護しに来たというわけか……。」
??「話が早くて助かるよ。さあソレをこっちに。」
上条「……お前も一人ぼっちなんだな。」
??「うん?」
上条「話はわかった。返事は……[ピーーー]くそったれだ。」
??「....…仕方ないね。僕にはステイル=マグナスっていう名前があるんだけどここはこう名乗ったほうがいいね。」
ステイル「『Fortis931』と。」
そういうとステイルは炎を集めだした。
上条(パイロキネシスか…。)
ステイル「ーーー巨人に苦痛の贈り物を」
上条の目の前に炎が迫ってくる。
ドオオ!!!!
ステイル「少しやり過ぎたか……。まあいいアレの回収をす…ガッッ!」
廊下のベランダから現れた上条の前蹴りがステイルのこめかみに綺麗に入った。
上条「なんで能力者どもはどいつもこいつも自信過剰気味なんだ?」
ステイル「グゥ…!まさか横に飛ぶなん…ガハァ!!」
敵にいらぬ時間を与えず、そしてキチンとトドメを刺す。上条が能力者と闘う時の鉄則だ。
上条「魔導書とか訳のわからないものはどうでもいいけど、ソレとかアレとか言ってんな。イラつくんだよ。」
そう言い残し上条急いでインデックスを抱きかかえ、玄関に降りて行く。
降りたらちょうど救急車が来た。
上条「流石だな、きっちり五分。」
迎えの救急隊員にインデックスを預け、一緒に車両に乗り込む。むかうは『冥土返し』の異名を持つカエル顔の医者が主の病院へ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カエル顔「久しぶりだね?元気してたかい?」
上条「そんなことよりインデックスのほうは!?」
カエル顔「彼女のほうなら大丈夫だよ?幸い傷のほうも深くなかったし?」
上条「……そっか。」
「...........はぁ~~よかった。」
上条に珍しく安堵の顔が浮かぶ。
カエル顔「君にもそんな顔ができたんだね?」
上条「まだ人間やめてませんから。」
カエル顔「よかったよ?じゃあ僕はもう戻るから?」
上条「……本当にありがとうございます。」
カエル顔「医者だからね?」
上条「じゃあ自分は安心したんでちょっと外で空気吸ってきます。」
上条は病院にある中庭に向かった。別に空気を吸いに出た訳ではない。
上条「必要悪の教会ってのは病院で第二ラウンドを始めるほど非常識な集団なのか?」
暗闇にむかって一人で話す。
するとそこから一人分の人影が現れた。よく目を凝らせば背丈ほどの黒髪とそれ以上の長刀を持つ女性だった。
奇抜さそれだけに収まらず、片側だけしかないジーンズと限界までにTシャツを絞るそのファッションにも現れていた。
??「一応は最低限のモラルは持ち合わせいるのでご安心を。」
上条「ならよかった。もう知ってると思うが上条当麻だ。」
??「良い……真名ですね。必要悪の教会所属の神裂火織と申します。場所を……変えましょう。」
上条「……そうだな。」
病院近くの空き地に2人はいた。
神裂「ステイルが人払いのルーンを刻んでいるので周りは気にしないでください。」
上条「ご丁寧にどうも。できたらあんたも払ってくれない?」
神裂「インデックスを保護してからならすぐにでも。」
上条「あいつをその刀で切り刻んで、口から保護という言葉が出るとはね。」
神裂「……」
静かに刀に手をかけ、抜刀の姿勢をとる。
上条(この距離なら届かない……!必ず前にくる!)
いつもならより慎重になるはずなのに、ステイルに楽に勝ったことからか完全に舐めてかかっていた。
上条の生い立ちから今まで油断などするはずもなかった。
つまりは舞い上がっていたのだ。可愛い女の子を助け出し物語の主人公になれたのだと。やっと自分にもスポットライトが当たるようになったのだと。
それがわかったときにもう遅かった。
キン
ドカカカカガ!!!!
上条「グッ……!」
全身が切られた。それどころか周りの地面や建物も一緒に。
上条(たった一度で!?それになんだこの射程は!?)
キン!
上条(まずっ……!!)
ブシュゥゥ!!
さらに深く全身を切り刻まれた。自分の血で朱に染まる。
上条(クッソ!……自分の血を見るのも久しぶりだな。)
神裂「もう一度言います。インデックスを返してください。」
上条「……」(これが刀によるものじゃないとするとワイヤーか何かか……?ならあの抜刀動作はフェイク……?)
とりあえずです。
バッチリあります。
久しぶりです。少しですがあげます。
上条「ぼさっとしてんなよ!」
その一瞬のスキは上条にとっては十分すぎる好機だった。気を取られた神裂は七閃ではなく、鞘でのただの打撃により迎えうつ。当然聖人の身体能力よる凄まじい速さをもって。
上条(ビビるな!!前!!)
上条は臆することなく深く神裂に接近し、威力を殺そうと鞘の根元でその攻撃を受ける。
上条「ぐぅっ!?」 ボキボキッ
だがさすがに聖人の攻撃は凄まじく、完全には殺しきれない。
しかしそれでも上条は自分の攻撃範囲内に神裂を収めることができた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
神裂はここまで敵に接近を許したことはなかった。聖人である彼女に対峙した敵は大抵は七閃で切り刻まれるか、よくある魔術で倒されるか若しくは自分から格闘をしかけて倒すのどれかだった。
そもそも聖人に自ら近づく者など魔術サイドの常識からはあり得ないことだ。
…………だから彼女は対処に遅れる。
上条「悪いが今回は本気で行く!!」
いつも女性には気持ち手を抜いてる彼も今回だけはスイッチが入った。
まず右フックが脇腹へ。
左正拳突きが鳩尾へ。
右貫手が喉へ。
落ちてきた顎に左掌底のアッパー。
浮いたこめかみに右ハイキック。
そのまま顔を掴みアスファルトの地面に叩きつける。
胸骨を踵で踏み潰す。
再度鳩尾に右の下段突きを見舞う。
上条「……ハァハァ!!……ハァ………!」
レベル5の麦野ですらも軽くあしらう上条がここまでやったのは初めてだった。ましてや相手は実はタイプどストライクの女性。どれほど彼が危険視したのかがわかる。
上条(頼むから立つなよ!?もう…無理……!!)
出血と骨折に先ほどの怒涛のラッシュ、さすがに彼の身体も無事ではなく、地面に片膝をつく。
だが……
不運が彼の代名詞、神様はそうそうに安息を与えてくれない。
神裂「ハァ……グゥ!……ハァ…………。」
上条「マジかよ………。」
神裂「……フゥ.......フゥーーー。............ここまでされたのは初めてです。ステイルが負けた理由もわかりました。そしてあなたがどれだけあの子ことを想っているのかも……。」
上条「……」(こいつどこかインデックスに気を使っているのか……?さっきから手は抜くし、それにその気になればあの病室から攫うことできたはず。)
上条「お前はあいつの何なんだ?」
息を整えるための時間稼ぎを含めて、質問をぶつけてみる。
彼女は答える。上条が想像もしていなかった答えをもって。
神裂「彼女は……私の大事な…………親友です。」
上条(しんゆう?親友!?あれ???え?????)
上条は神裂の言葉が全く理解できなかった。そうなにせ今まで生きてきて友達などいたことなどなかったのだから。だから自分が実は悪者で彼女たちがインデックスの味方じゃないのかと思うぐらいに彼の頭は混乱していた。
だが事実はやはりそんなおちゃらけたものではなく、そして味方と敵とはっきり分かれるような簡単な話でもなかった。
ーーーーー「完全記憶能力」「10万3000冊の魔導書」「一年間かぎり記憶」etcーーーーーーー
聞き慣れない単語でてきたが、神裂が色々と話すなかでインデックスの限界はもって3日であるいうことがわかった。
そして上条にとって納得できないこともいくつか出てきた。
上条「.............アーーーーーハハハッ!!」
笑わずにはいられなかった。
神裂「何が可笑しいのですか!?」
上条「ククッいやね、最近の友達ってのは殺しにかかる威力で切りつけるもんなのかと思ってさ。だったら俺にも友達できるじゃん!!」
友達だという相手を傷つける神裂とそれでも友達だと言えることがとても可笑しかった。
神裂「あなたに私の何がわかるんですか!?」
上条「お前が自分かわいさで安全地帯にいることならな!!」
神裂「ッ!?…….....あの子は返してもらいます。」
神裂もスイッチを入れる。魔術使用しなくとも聖人ならその身体能力だけで並の軍事兵器を凌駕する。だから何の力もないただの人間が勝てるはずなどない。
気づいたら真横に鞘があり、そのまま大地が反転し、強烈な痛みが脇腹を襲った。
上条「ガハァ!!」
上条は口から血を吐き、地べたに撒き散らす。
上条「!!」
続いて腹を踏まれ、さらに吐血をする。
その血が肺に詰まりむせる。
ボコッ!
鞘で左肩を外された。
ゴリッ!
鼻も潰された。
まさに満身創痍。肺に肋骨が刺さり、鼻は腫れ上がり呼吸もままならない。左腕はぶらんと下がり重しにしか感じない。
だけど痛みは感じなかった。
ーーーーーー今上条頭の頭を支配しているのは静かな怒りだ。
別に特別インデックスに何か恩がある訳ではない。
ただ......友達ならどうしてあいつを傷つけるのか?何か救う手だてはなかったのか?憧れたけど手にすることのできなかった友達ってそんなものなのか?それって本当に友達なのか?
考えれば考えるほど怒りが湧いてくる。
上条「もし……俺がお前の立場なら友達には絶対にそんなことはしねぇ。」
「あいつが何度でも忘れるなら」
「お前から何度でも友達になれよ。」
(悪魔!近寄るな!)
(痛いよぉぉーー!!)
(あっちいけ!)
(何で学校に来るのかしら)
(うわあ上条菌がうつった!)
(……………………。) (あまり上条君仲良くしてはダメです。)
「あいつならきっと嫌がらず喜んで迎え入れてくれるだろ?」
「けどもし……その友達を信頼出来なくて、自分だけ傷つかないように逃げてる奴なんて………こっちから願い下げだ!!」
神裂「……」
「ーーーうるっせぇんだよ、ド素人が!!!部外者が偉そうに説教タレんじゃねぇ!!!!!」
今までとはまるっきり口調が変わり、鞘を振るってくる。
が、それより先に上条の右ストレートが神裂の顎先を捉えていた。
神裂「クッ!?」(いつの間に……!?)
体勢を立て直して、再度右ハイキックを放つ。
しかしすでに上条は半歩前に入っており、また顎先に拳をもらう。
神裂「!!??」
理解のできない現象が起きていた。攻撃に入ろうとすれば、もうすでに上条が攻撃をしている。彼のスピードが速くなった訳ではなく、気付いたらそこにいる……。
上条「……」
目で追うのでもない。気配で反応するのでもない。次の動作、次の次の動作、さらにその次の動作を予測しなければこいつには勝てない。
拳は思考よりも反射よりも速く、あるべきとこになければならない。
身体はすでに先を、さらに先を読んで動いてなければならない。
ーーーー心には過度な殺意や敵意はいらず、冷静な闘争心と合理的な判断力だけでいい。
上条(俺ならできるはず!!一体今までどれだけ不運な目にあったと思ってんだ!!)
上条「さっきの威勢はどうしたんだよ!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
何度やっても神裂の動きのさらにその先をいく。その度に脳が揺すられ、さすがの聖人も足にきはじめた。一旦距離をとろうとするがどうしても離せない。
苦し紛れで七閃を放つが……
神裂の長刀の柄が抜けない。
上条「ハンッ!予想通りだな。」
見れば柄の底が掌で抑えられていた。
地の文がちょっと説明口調すぎるような……?
でも楽しみにしてるよ、乙
神裂「なんで……!?」ゾクッ
もう訳がわからなかった。魔術でもなく、超能力でもない。純粋な人間個人の力、それに聖人は生まれて初めて恐怖する。
上条「俺は友達がいたことなんてねぇ!!」
右ストレートが顎先へ。
右の後廻し蹴りがこめかみへ。
上条「だから見ててとても羨ましかった!!」
左の前蹴りが鳩尾へ。
右の足刀が喉へ。
上条「まだ友達と思える相手がいるだけいいじゃねぇか!!」
右フックがブローへ
頭突きで目をくらます。
上条「それでも自分だけ傷つかないで、かわりに友達を傷つけるようなーーー」
「そんなーーー」
「そんな!!ふざけた幻想はぶち[ピーーー]!!」
再度渾身の右ストレートが顎先へ刺さり、神裂は糸の切れたマリオネットのように地面に落ちる。
神裂「 …………ウゥ!…………」
上条「ハァ………ハァ……まだ……まだ向ってくるならあいつとちゃんと"友達"になってから来い。」
神裂「………………。」
上条「そん時はいつでもリベンジを受け付けてやる。」
以上です。
>>55
なんかいい方法とかありますかね?(ーー;)
少ないですがあげていきます。
神裂「……あなたは……一体……?」
上条「ただの無能力者の高校生だよ。もっと知りたいならこんな殺し合いじゃなく、今度デートでもどう?」
誰に見せるわけでもないが冗談を入れ強がってみせた。じゃないと倒れそうだから。
神裂「……なっ!?///」
何を!?、と言いかけたがその前に上条は背を向け走り去っていた。
本当は色々言い返したいことがあったけど、今言ったら余計惨めになるだけだと思い、神裂はそれ以上は口を開かなかった……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カエル顔「最近思うんだげど、君はケガしてるほうが絵になるね?血も滴るイイ男?」
上条「ハァハァ……先生、完全記憶能力って知ってますか?」
カエル顔「君からそんな単語がでるとはね?もちろん知ってるよ?」
上条「じゃあ……その能力を持つ人は脳がパンクして、いつかは死ぬんですか?」
カエル顔「ははっまさか?僕は記憶が人を[ピーーー]なんて今まで聞いたことないね?まあ確かに完全記憶能力は忘れられない能力とも言えるからそこからくるストレスで気が狂う人もいるけどね?それは容量とは全く別の問題だからね?」
上条「……そうですか。先生もう一つだけ厄介事を引き受けてもらっていいですか?」
カエル顔「……ふぅ。患者の事以外ならお断りだよ?」
それは患者の事ならどこまで任せろとも聞こえた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
上条は事の顛末をカエル顔の医者に話した。そして彼は医学的見知からこう結論づけた。インデックスの一年限りでの記憶消去は、彼女のためのものではなく、10万3000冊の魔導書保護システムであると。
上条「……すぐに検査をお願いしていいですか?」
一体どういう思考回路であんな可愛い女の子にここまでのことができるんだ。一年毎に殺されて、敵に追われて、また殺されて……。
おまけにその敵に友達だったやつもいる……。
なんだ俺の不運なんて可愛いもんじゃねぇか。
上条の中に世界のどうしようもない理不尽さと自分がこの世で一番不運な奴だと思い込んでいたその情けなさにまた怒りが湧いてきた。
カエル顔「まあ待つんだ?これは僕らの問題ではなく彼女の問題だ。自分の知らないところで身体をいじくりまわされたら誰だっていい気持ちじゃないだろ?」
上条「あ……。」
カエル顔「まずは彼女が起きてからだね?それに君だって治療が必要だしね?」
上条「はい……。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カエル顔「それにしても今日はいつもと違って大分酷くやられたね?肋骨と鼻骨の骨折に、肩の脱臼、肺の破損etc、加えてその右手何か硬いものでも殴ったのかい?ボロボロだよ?」
カエル顔が診察室で上条の具合を慣れている様子で淡々と述べる。
上条「なんか結婚適齢期を過ぎたっぽい女ターミネーターに襲われまして、ハハ。」
カエル顔「??。まあいつもより少し時間がかかるから楽にしてなよ?あーそれと治療費はいつものようにツケにしといてあげるから?」
上条「…………面目ないです。」
親からの仕送りと雀の涙程度の奨学金じゃ学園都市での不運生活は送っていけるのがやっとだ。
こんな体質じゃアルバイトなんてできるはずもないので、治療費の支払いは待ってもらってる。一体いくらになってるのかは想像したくない……。
カエル顔「それと治療が済んだら彼女の様子を見てきてくれないかい?」
上条「……はい。」
ーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーー
上条「……失礼します。」ソー
治療もある程度終わり、カエル顔の医者に言われ上条はインデックスの病室に来ていた。
イン「すぅ……すぅ……。」
ーーーーーピ、ピという心電図の音の合間にインデックスの規則正しい呼吸音が響いている。
上条「……。」
「うーん、やっぱり可愛い。」
「けどさー魔術とか魔導書って……お前は一体なんなんだよ………ったく。」
イン「…….....本当に知りたい??」
上条「うわぁ!……起こしちまった?」
イン「ううん。とうまが来た時には起きてた……////」
上条「ってことは……………………ッハハ///」
イン「.......////あたし…………かわいい……?」
上条「顔を赤らめながらおずおずと聞くその仕草もたまりません。」キリッ
イン「あ…う……///…………あ、とうまどうしてケガしてるの……??」
上条「よくあることだから心配すんな。」
テンプレートかのように口から出てくる。
イン「…………。」
「..............うそ、魔術師と戦ったんだね?……どうして?とうまが戦う理由なんてないはずだよ……。」
インデックスは困惑とほんの少しの希望を含んだ眼差しで上条を見つめた。
上条「はぁ......。」
「俺の戦いにはいつも理由なんてねえよ………。呼んでもいないのに勝手に群がってくる。だから今回もいつものようにやっただけだ……。」
ーーーーーーーーだからそんな目で見ないでくれ。お前のその怪我ももしかしたら俺のせいかもしれないだぞ。俺なんかと出会ったから……。
だから上条はつい顔を伏せてしまう。
イン「それでも…………それでもありがとうなんだよ♩」
上条「は?」
イン「だって……とうまが戦ってなかったら、わたし今ごろどうなってかわからないだよ。ここだってとうまが運んでくれたんだよね??とうまがどう思ってるかわからないけど……」
「ーーーーーわたしはあなたに感謝してるんだよ♩」ニコ
上条「……」
「………………」ツゥー
イン「え!?とうまどうして泣くの?」
上条「??…………え?」
今日は本当におかしい。女の子がベランダにかかってるし、やたら強い女にボコボコにされるし、魔術とかいう訳のわからない言葉は出てくるし…………
ーーーーーーーなんか俺、感謝されてるし……。
上条「グスッ……わかんねぇよ。」ポロポロ
イン「とうま、泣きたい時はたくさん泣けばいいんだよ。……ここには神に仕えるシスターしかいないから気にしなくていいんだよ。」
上条「ズッー……女の前で......グスッ.......泣けるかよ……。」
イン「むーーーいじっぱり。」
上条「……ちょっと待ってろ、顔洗ってくる。」
もう限界、恥ずかしいのかよくわかんねぇ……。
初めて人に自分の心の中を見られ、どうしていいかわからず上条はとりあえず一旦逃げることにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
上条「……ふぅ。」
イン「とうますっきりしたかな?」
上条「…………お前の頭のことでとても大事な話があるから聞いてくれ。」
イン「あ…………知ったんだ。じゃあ10万3000冊の魔導書のことも?」
怒られた子犬のような顔。隠していたこと、知られたくなかったことがバレた子供のようなそんな顔。
上条「ああ。神裂という女から全て聞いた。」
ーーーーー 上条はこれまでの事のあらましを説明する。インデックスがなぜ魔術師に追われるのかその理由を。
…………
………………
……………………
上条「治療のためこの病院で検査を受けることはできる。ただしここは科学の聖地、お前のいう魔術に関して全くの門外漢だ。だからなにが起こるのか………また起こらないのか全然わかわない……。」
上条「……それでもやるか?」
イン「やる!」
上条「早いなおい!?もうちょっと考えろよ!かなり大事な話だと思うぞ?」
イン「だってこのまま待っててもどうにもならないんだよ?……それにね」
「ーーーーとうまのことは絶対忘れたくないんだよ。」
「この一年で手を差し伸べてくれたのはあなただけ。誰も危険で厄介な私と関わろうとしなかった 。その人を忘れるなんてわたしはいやなんだよ……。」
「だからその検査を受けたいんだよ。そして元気になってとうまともっともっとおしゃべりしたんだよ。」
上条「 」
………………あーーーーーやっぱり無理!!もう泣く。絶対泣くってクソ!!
上条「グスッ……お前……なに……ズッ……言って……ん……グスッ!……だよ。」
イン「あーまた泣いたんだよ。もしかしてとうまって泣き虫さん?」
上条「……うるせぇ……ズゥ!……お前の……グスッ……せいだ……」
イン「もー仕方ないなー。じゃあお礼も兼ねて……」
「とうまーおいで。」
両手を前に出し、上条の頭をつかむ。そしてそのまま胸で優しく包みこむ。
ここまでで。
全然進んでないですが、待ってください。
頭の中には3スレ分くらいあるんですが.......ww
こんばんわ。いつも通り少ないですがあげていきます(`・ω・´)
上条「なっ!?」
イン「ほらじっとするんだよ。」ギュー
上条「……グスッ……グス。」
あったかいな……。人間ってこんな熱かったんだな……。
イン「……」ポンポン
上条「……」
あーなんか懐かしい感じ.......これなんだっけ?……………………んーー......だめだ思いだせねえや……。
ーーーーーうつろうつろに感じたそれは遠い昔、今は触れることも声を聞くことをできない母上条詩菜に抱かれていた記憶かもしれない。
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
イン「落ち着いたかな?」ポンポン
上条「……ああ。」ギュー
ーーーーーこのまま眠りたい。
イン「とうまは泣き虫さんに甘えんぼさんなんだよ♩」
上条「ん。」
俺もしかして……もしかしてだけど…………
今"幸せ"かも…………??
ーーーーーーーーーーまあそれも束の間のひと時。
カエル顔「邪魔するよ?」
カエル顔「邪魔するよ?」
ミスった!!
上条「うわぁぁ!?」
イン「キャ!?…………もう~!痛いんだよとうま!」
上条「あ、すまん。」
カエル顔「病室はそういう場所じゃないんだけどね?それとインデックスくんにちゃんと話したのかい?」
上条「……はい。…………検査を受けます。」
イン「よろしくなんだよ!えーっと……?」
カエル顔「ただの先生で構わないよ?」
イン「科学のことわからないけど、お願いしますなんだよ先生!」
カエル顔「ーーーー任せなさい。検査は明日の朝になると思うからまだゆっくりしてなさい?」
ーーーーーそれなら……まあこのあたりが潮時かな……
上条「…………じゃあ俺はそろそろ帰ります。」
カエル顔「…………。せめて病院の近くにいるようにね?」
ーーーーーもう魔法の時間は終わり。もうこれ以上ここに俺がいてはいけない……。
そもそもここから先俺にできることなんて何一つない…………。
イン「え!?え??」
「なんで??いっしょに居てくれないのとうま!?」
上条「……悪い。俺はもうここにはいれないんだ……。あとは先生がやってくれるから心配するな。」
イン「とうまがいなきゃいやなんだよ!」
上条「俺がここにいたら上手くいくのもいかなくなるんだ……。インデックス、ここからお前が助かるのに俺は邪魔なんだ。」
カエル顔「……。」
イン「とうまの言ってることがわかんないんだよ!?どうしてとうまがいたらいけないの……?」
ーーーーーー言わなきゃダメか……
上条「…………俺は自分も周りの人間も不運な目にあわせてしまう訳のわかんねえ体質なんだ。親が言うには生まれた時からで、なんとかしようとしたらしい……。けどどんな手を尽くしても無理だったんだ……。」
イン「…………。」
上条「で、それをモロにくらったのは一番近くにいた両親でさ……」
「………………俺のせいで母さんはもう二度と歩くことができなくなって、父さんは夢だった自分の仕事を辞める羽目になったんだよ…………ハハッ」
「あとは逃げるように学園都市にきて、今に至るってわけ。これでさっきの理由がわかっただろ?」
イン「…………うん。」
上条「………インデックス、お前はやっと一歩前に進めるんだ。俺よりまず自分が助かれ。じゃないと俺が頑張った意味がないだろ?」
イン「もう会えない……?」
上条「……この病院にはよく世話になってるから、まあたまには顔ぐらい見せにくるよ。」
こっちに来てから嘘もだいぶ上手くなったな.....
ーーーーー救われた彼女に疫病神はいらないだろ。
イン「……約束だからね。」
上条「ああ。……あとはよろしくお願いします先生………。」バタン
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
イン「先生……。」
カエル顔「彼とはもうかれこれ5年の付き合いかな?始めのうちはほんとに酷くて、週に一回はこの病院に担ぎこまれてきたよ。能力者やスキルアウトに襲われるのは当たり前、酷いのはどこかの研究所に攫われてそのまま実験の被験体にとかね?」
イン「ひどい......。」
けどどこか似てるような気がしたんだ。始めてあった時に感じた親近感。
イン「……でも全然そんなふうに見えないだよ。」
カエル顔「…………以前彼はこう言ったんだよ
『自分は不運な目にあってるけど、絶対"不幸"じゃない。だってこうやってなんとか生きてるし、こんな自分でも両親だけは見捨てずに味方でいてくれる。これで不幸だなんて思える訳がない。』
これを聞いた時僕は神様とやらを恨んだよ?まだ生まれて11の少年にこれだけのことを言わせるのかってね。」
イン「…………。」
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
上条「はぁ……コーヒーでも買うか。」
ザリ
上条「ん?……げぇ!?まだいたのかよ?」
神裂「私達の任務はインデックスの保護・回収ですから……。やはり無理にでも取り返します。じゃないと彼女が……」
上条「あー……ちょうどいいや、お前らにも言っとくか。」
神裂「……何ですか?」
上条「ご大層に言ってたあの一年限りの記憶ってやつ、あれたぶん嘘だぞ。少し考えればわかるはずなんだよ、人間の脳ってのはいろいろな記憶を分けてるから本を10万3000冊覚えたところで別に何の支障もないんだとよ。」
変なとこで終わりますが今回は以上です。
必ず完結させるのでお待ちを。
乙
気になってるんだが、「ーーーーー」これがすごく違和感ある
ちゃんと「――――(ダッシュ)」にすると読みやすいと思う
神裂「な!?……そんなの
上条「嘘だと思うか?別に俺が気づいたわけじゃねえよ、…………学園都市一の医者がそう言ったんだ。」
……もしかしたら魔術じゃなく科学なら……彼女を救えるかもしれないと考えたこともあった。だけどじゃあどうしたのかと問われれば魔術師のプライドがそれを許さなかった…………。
神裂「…………ハァハァ!!……じゃあ一体なぜあの子が苦しまなくてはならないのですか!!??」
この話が嘘であって欲しい…………。この少年はが詐欺師かペテン師の類であって欲しい……………。
不安と焦りを誤魔化すように腹の底から声を張り上げる。
上条「ハァ…………そんなこともわかんねえからいつまでも騙され続けるんだよ。簡単な話だろ?首輪だよ、く・び・わ。」
「魔導書ってのがどれくらいヤバい物か知らないけどお前ら魔術師からすればよほどの代物なんだろ?そんなもんを持ってるやつを普通野放しにすると思うか?」
神裂「………。」
上条「だから一年ごとに記憶を消して、それまでのことをなかったことにする。大事な魔導書のとこだけ残してあとはゼロからに。逃げるからお前らに適当な理由をつけて捕獲させる。」
「まあ話の筋書きはこんなもんだろ……。こんなことを考えたヤツは大したモンだよ、ホント。」
神裂「……あの人なら…………でも……どうやって……?」
上条「とりあえずは身体の中を診るそうだ。おそらく脳のあたりに何か細工されてるとふんでいて、治療はそれからだ。」
神裂「………おそらくですが………その細工は魔術によるものです。素人が…………興味本意で手を出していいものではありません……。」
上条「ハッ今更よく偉そうに言えるもんだな。こっちだってそんなことは百も承知だよ。けどなそうやってまたあいつの記憶を[ピーーー]のか?仕方がない、危険だから、何が起こるかわからないから……。」
「ーー"虎穴入らずんば虎子を得ず"ーーって言うだろ。友達なんだろ?一緒に地獄に行ってこいよ…………俺とは違ってお前らにはそのための力も未来があるんだ、…………いい加減前見て歩け。」
神裂「…………。」
「……それなら」
上条「そこの建物の3階304号室。…………祈りと後悔はやること全部やってからやれ。」
神裂「……ありがとうございます。」
上条「……もう俺には何もできないからあとは任せたぞ、魔術師。」
そう言いそのまま自販機でコーヒーを買い、ベンチに向かう。振り返るともう神裂はもういなかった。
上条「ーーーー100回向かってくるなら100回叩き潰せ。…………俺が言うのもなんだがーーー"幸運"を」プッシュ
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ここは診察室。カエル顔の医者と二人の男女が設置されているモニターを注視している。
カエル顔「ん~これかな元凶は。」
そう言ってモニターの一部にレーザーポインターを向ける。示したのは咽喉部、そこには紋章のようなものがはっきりと刻まれていた。
カエル顔「……さて、君たちはにこれがどうみえるかな?」
神裂「はい、その画像で詳しくはわかりませんが……」
ステイル「……間違いなく魔術の術式だ。」
カエル顔「……ふむ。君たちじゃこれをどうこうできないが、私……いや科学の力ならできる。ただしそのアプローチだとどうなるかは箱を開けてみないとわからないと……。」
ステイル「……。」
神裂「…………それでも……それでもやるべきです!」
ステイル「神裂……。」
神裂「あの人が言ったんです……。祈りと後悔はやれること全部やってからしろって。悔しいですけど私たちじゃあの子を救えません。…………今まで散々あの子を傷つけてきた私に言う資格はありません。……だけど助けてあげてください!私にできることなら何だってします!」
ーーーー友達一人助けられないで何が聖人だ、何が女教皇だ…………。
もう形振りかまってられなかった。役に立たない魔術師としてのプライドはあの少年に負けた時に粉々にされた。
今は同じ魔術師でもなく必要悪の教会の仲間でもなく、まだ許されるのなら親友としてあの子を助けたい。
神裂「……!」ギュー
それは聖人でもなく、魔術師でもないただ一人の人間神裂火織の純粋な意志と願いであった。
カエル顔「こういう時はなんて言うだっけ?………………ああそうだ。」
「その言葉が聞きたかった!!…………まあ冗談はさておき、彼女の治療は引き受けよう。」
神裂「どうかお願いします……。」
ステイル「僕からもよろしく頼む…………。神裂、僕らは不測の事態に対処できるようにはしておくぞ。」
カエル顔「治療自体はこの文字の部分を切り取るだけで、彼女の脳にかかる負荷を取り除けるからいたって簡単に済む。ただしそこから先はそっちのほうは頼んだよ?」
神裂「はい。」
カエル顔「じゃあそろそろはじめようか?」
カエル顔の医者はいつも変わらない涼しい顔で、神裂とステイルの二人はまるで最後の戦場に向かうような顔で手術室へ向かった。
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
一方外のベンチでは上条がそろそろ五本目の缶コーヒーへ入るとこだった。
ピッ ガチャン アタリダヨ!
上条「アタリ……だと…………。んなバカな!?」
と咄嗟に病院の方を向く。反射ではなく頭が勝手に向いたのだ。
それと同時に光の柱が病院の建物を突き破りが学園都市の夜を貫いた。
それはあの超能力麦野沈利の『原子崩し』にも似ていたが明らかに規模が違い
ーーーー何よりとても"綺麗"であった。
上条「…………あぁぁーーー!!っくそ!!」ダッ
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
それよりちょっと前
手術室
カエル顔「じゃあ一気にいくから、あとはよろしね?」
神裂「……はい。」ゴクッ
特殊な機器を使い、インデックスの巣食う元凶を取り除く。 そして除去が完了したその瞬間、待ってましたとばがりに学園都市に神の奇跡とやらが顕在する。
「ーーーー警告、第三章第二節。Index-Librorum-Prohibitorumーーーー禁書目録の『首輪』、第一から第三までの全結界の貫通を確認。再生準備………………失敗。『首輪』の自己再生は不可能、現状、10万3000冊の『書庫』の保護のため、侵入者の迎撃を優先します。」
眠っていたインデックスの目が開き、さらに眼球に真紅の魔法陣が浮かび上がる。
「『書庫』内の10万3000冊により、防壁を傷つけた魔術の術式を逆算……失敗。該当する魔術は発見できず。術式の構成を暴き、対侵入者用の特定魔術を組み上げます。」
カエル顔「……あとは君たちの戦いだ。門外漢の僕は逃げさせてもらうよ。」
神裂・ステイル「……。」
なぜインデックスが魔術を使えないのかもう少し考えるべきでした。まさか自分自身の首輪そのものに全てを注いでいたなんて……。
「ーーーー侵入者個人に対して最も有効な魔術の組み込みに成功しました。これより特定魔術『聖ジョージの聖域』を発動、侵入者を撃破します。」
インデックスの両目の魔法陣が拡大し、顔前にそれが展開された。
神裂「…………ただこれほどまでとは……。恨みますよ最大教主!ステイル、怖いのなら引いても構いませんよ?」
ステイル「怖い!?まさか!?今僕は歓喜と怒りで奮えてるよ!やっとこのストーリーに終わりがきたんだ!!」
「 、 」
インデックスが人間では理解できない何かを歌う。
部屋一体の空間に亀裂が走り、まさにインデックスを護る"盾"の如く現出した。
ーーーーかくしてストーリーはついに最終章へ
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
私がなぜ聖人として生まれてきたのずっと疑問でした。人と違い、人に疎まれ、崇められ、たどり着いたのが魔術の汚れ仕事。自分の力は破壊することしかできないのだと思っていた…………。
神裂「だけど私はあの少年に教わりました。人間はそんな力は必要ないし、なくても意志さえあれば戦える。」
ーーーーーーだから待っててくださいインデックス…………
神裂「すぐに助けてみせます!!
ーーーーーー『Salvare000』」
ステイル「………………『Fortis931』!!」
神裂「……ステイル、引くならまだ間に合います。相手は10万3000冊の魔導書を使いこなす………………正真正銘の"魔神"です。」
ステイル「しつこいぞ!僕が時間を稼ぐから神裂は『唯閃』であの首輪とやらを破壊しろ!」
しかし魔神はそんな時間を与えてはくれない。インデックスを護る亀裂の奥から今度は"矛"が出ててくる。
神裂「!!??」
ゴッ!!
咄嗟に聖人の身体能力をフル稼働させ真横に避ける。しかしそれでも髪と足を少し持っていかれた……。
神裂「くっ!!…………『竜王の殺息』……!?」
ステイル「神裂!!大丈夫か!?」
神裂「少し足をやられました……。」
望むなくとも無慈悲に戦いは進んでいく。
戦いの中で意味なく止まっている時間などない。再び『竜王の殺息』が神裂たちを狙ってくる。
「優先目標を聖人神裂火織に設定。引き続き侵入者の破壊に入ります。」
足をやられた。もう先ほどように動けない。だから咄嗟に『七閃』を繰り出し、インデックスの足場となっていた手術台を破壊した。
ゴッ!!
再び光の柱が天に向かって伸びる。
ステイル「これほどか…………。しかし!!」
カードが嵐のように部屋一面に貼り付いていく。
ステイル「顕現せよ、我が身を喰らいて力と為せ!!…………そうだ力だ!!大事な人を救う力が欲しい!!」
「ーーーーーー魔女狩りの王ッ!!」
神裂「はあああぁぁぁぁああぁぁ!!」
神裂の奥義『唯閃』はもともと所属していた天草式の技術を基に、強大な自身の力を制御するための作られた魔術であり、綿密で正確な計算の上で組み込まれた、まさに完成した魔術だ。
ゴッ!!
バキンッ!!
『竜王の殺息』と『唯閃』『魔女狩りの王』二つの大魔術の真っ向勝。
ーーーーー神の奇跡か、人の意志かーーー
『竜王の殺息』は巨大な一つの光ではなく、その一つ一つがバラバラの性質を持っている。そこにいくら聖人の全力といえども、単一の魔術である『唯閃』が勝てる道理はなかった……。
聖人が勝てないのだ当然少し出来のいい魔術師など……
神裂「…………。」
打ち負けた神裂の目の前に浄化の光が迫ってくる。
あぁ……。何も……何もしてあげてなくて申し訳ありませんインデックス……。
苦しむ貴方を残して先に逝くことをお許しください……。
ドン!!
神裂「えっ!?」
死を覚悟し光に呑まれる瞬間、神裂の体に衝撃が走り、そしてそのまま横に押し出される形となった。
ジュウ!!
誰かに押されたのだ。
ステイル?いや彼ではない……。
では誰が?
上条「グゥッ!!………………ったくなーに勝手に諦めて死のうとしてんだよ?やっとお前主人公になれるんだぞ?まだやれるだろ?絶望した顔してんじゃねえ!!」
神裂を助けたのは上条当麻その人であった。
神裂「あぁ!腕が……!!」
上条「…………うるせぇよ。」
そう言い捨て豹変してしまったインデックスを見る。
やっぱり対策してやがったか……。だけどまあ……
…………やり過ぎだろ?
…………まさか俺の右手が吹っとぶとは…………。
身体の一部が失くなったのは初めてだった。今までどんな不運に巻き込まれてもなぜか身体が欠損することだけはなかった。
まるでそう自分に憑く"何か"がずっとそうさせなように一線だけは引いてたかのように……。
ーーーーーしかしそれが今破られたのだ。
勝ち目があるわけでもない、しかし上条はインデックスの前に静態し、彼女の白い修道服をじっと見る。
上条「ガキのころは泣く度に知りもしない神様に助けてくれって押入れで祈ったよ。」
『ぐすっぐすっ……!どうして!……僕ばっか……!』
『父さん……ぐすっ………………母さん…………!!ぐすっ…………』
「ーーーー警告、第六章第十三節。新たな敵兵を確認。現状、最も危険度の高い敵兵『上条当麻』の破壊を最優先します。」
上条「泣いても仕方がないってわかったころにはもう何も思わなかった。」
『…………』
『…………………………』
『 』
上条「…………けどよだったらなんでこう思わなかったんだろうな……?」
痛みによるものなのか急に失くなった右手側が疼きだした。同時にインデックスの前にある再び亀裂から光が覗きだす。
上条「少しでも普通になりたい、みんなと一緒がいい、そのためなら…………」
ーーーーーーー「"悪魔に魂を売ってやる。"ってね」ーーーーーー
ーーーガチリ そんな音が頭で聞こえた。
ーーー身体に奇妙な充実感が行き渡る。
ーーーボヤけいた世界に色がついた感覚だ。
ーーー失くなった右肩がひどく蠢き始める。
神裂「 」
ステイル「 」
二人の言っていることがわからない……。
まるでこの世界から弾き出されたようなそんな感じだ。
しかし身体が、頭が、
ーーーーーー魂が命じてる。
"あれを破壊しろ"と
ゴッ!!
間髪いれずに三度目となる『竜王の殺息』の強烈な光が視界を覆う。
俺はまたあいつに撫でてもらいたい。
今度は俺があの銀髪の小さな頭を撫でてやりたい。
また温かく抱きしめてもらいたい。
またあの太陽ような笑顔が見たい。
ーーーーーーそれに……また会うって約束したからな……。
上条「 だから…………こんなとこで!!死んでたまるかああぁぁぁ!!!!!」
ずりゅうぅぅ!!
さっきから蠢いていた上条の右肩から文字通り右腕が生えてきた。そしてそのまま自身の正面に右手が伸びる。
ゴッ!!
ジュウ!!
再度『竜王の殺息』と右手が衝突する。さっきと同じ鉄板で肉を焼くような音だが、上条の右手は焼かれてはいない。逆にその右手を境に光の柱が四方八方に拡散している。
上条(何が起きた!?右手!!??えっ!!??)
もはや理解を飛び越え、訳がわからなかった。
それでも……上条の心の中にふつふつとある感情が湧いてきた………。
上条「………………あーーーっはははははははははは!!!!」
本当に可笑しくて、嬉しくて仕方なく笑わずにはいられない。
なぜか??
なんだあれだけあいつを縛ってた神様の奇跡ってのはこんなものなのか……。
俺は…………これだけの災難でも死ねないのか……。
ーーーーなぜ失くなった右手がいきなり生えてきたのか、なぜその右手が『竜王の殺息』を打ち消すことができるのか……もうどうでもよかった。
上条「どうした!!??そんなもんか神様の力ってのは!!??こんな死にたがりのガキ一人殺せないのか!!!!」
頭にあるのは今自分がこの右手と共にこれからやるべきことただ一つ。
ーーーーー神様と大人の身勝手で理不尽な理由で化け物に成ってしまった……どこにでもいる可愛い女の子を助けたいーーーーー
不思議なことに『竜王の殺息』を弾いているこの右手には熱も痛みも感じてない。しかし勢いだけは殺せないのか、ちょっとでも気を抜くと後ろに吹き飛ばされそうになる。
…………しかしそれでも上条はインデックスのもとへと誘われるように足を出す。
神裂「なッ…………!!??…………一体どうやって……!?」
この学園都市に入ってから自分の理解を超えることばかり起きたが、目の前の光景だけは夢であってほしい……。
魔術を一切使えないと言われた少女は今総ての魔術師の到達点である魔神となり伝説級の魔術を駆使し立ち塞がっている。
かたや魔術も使えなければ、超能力も使えないそんな少年がステイルを手玉に取り、聖人の自分を体一つで倒し、今魔神に人間として立ち向かっている…………。
神裂「………………。」
一体自分は今まで何を見て生きてきたんだろうか………?世界に数える程しかいない聖人として生まれ、一宗派の教皇にもなった。魔術という世界の裏側のさらに深いところまで見てきたはずなのに……。
ステイル「……神裂………………それは僕だって同じ気持ちさ……!」ギリッ
使っていくうちにこの右手の力の源が別の"何か"からきているのが……なんとなくわかってきた。
もしかしたら自分の不運体質の原因と同じのかもしれない………。
しかしそれはもう上条にとっては忌むべき存在ではない。
もはや神様が作ったこの世界を望まない彼にとってこの右手は定められたルールを破壊することができる唯一の武器だ。
おそらく…………その右手だけならまだ苦しかっただろう。
しかしその奇妙な右手は"上条当麻"についているのだ。
ーーーー生まれて16年間生きることが戦いであり、常に不運に曝され続ける毎日だった。
ーーーーだけどそんな自分を見捨てずにいてくれた両親のためにも運命に呑み込まれないよう、自分だけしかいない世界の中で決して敗けないように慎重に我慢強く生きてきた。
ーーーー普通に憧れ、異常の中を進み、今初めて……ただ誰かを助けたいという純粋な想いが燃料となり、魂に火が灯った上条当麻をもはや魔神"程度"では止めれない。
ごめんね
もしかしたら自分の不運はこの時に繋がっていたのかもしれない、そんな都合のいい考えが頭をよぎった。
そんなうまい話が今まで自分になかったはずなのに、そう思えば思うほど…………腹の底から力が湧いてきた。
上条「あとッ…………少しッ!!!」
一方で『竜王の殺息』を物ともせずに迫ってくる敵に対して有効な対応策を見出すことができないでいた。
「敵『上条当麻』に発現した新たな能力をライブラリーにて検索…… ………該当無し。『上条当麻』に対して有効な手段が選択できないためこのまま『竜王の殺息』を最大出力に設定、『首輪』保護のため侵入者を駆逐します。」
その右手がなんであろうと10万3000冊の魔導書を持つ図書館は合理的な判断を選択し、侵入者を排除する。
ゴゴゴッ!!!
上条「んなっッ!!??」
今までより威力が格段に跳ね上がった『竜王の殺息』を上条の右手では完全に打ち消すことができず、ジリジリと身体が後退し始める。
それに加えて『竜王の殺息』を打ち消したところから何十枚もの羽が発生してきた。
神裂「上条当麻!!!その羽根に触れてはなりません!!!!」
言われなくてもこいつがヤバいことぐらいわかる。
羽根は花びらのようにヒラヒラと空中に舞い上がり、隙間なくゆっくりと床へと落ちてくる。
上条「っッ!!!それはかなり難しいな!!!」
処理が追いつかないのか右手がギチギチと悲鳴をあげている。身体の力を少しでも抜くとすぐ吹き飛ばされそうだ。
これはマズイ…………前と上からで完全に機動力を殺された…………。
…………しかし上条は常に周りの環境を最大限活用することでこれまで生き延びてきた。それはおかしな右手が生えたところで変わらない。
上条「神裂ィ!!!俺を横に"引け"!!!!!!」
神裂「は、はい!!」
咄嗟のことだったが、すぐに彼が自分に何を望んでいるのかが理解できた。
そして神裂は一切の躊躇なく七閃に使用したワイヤーを上条の身体に巻き付ける。
上条「かまわずやれ!!!!」
ブチッブチッ!!!
痛みと同時に身体が横に吹き飛ばされ、壁へ叩きつけられる。上条の右手という堰が無くなった『竜王の殺息』は病院の壁をぶち抜き、再び外に晒される。
上条「ぐっッ!!!」
加減されたとはいえワイヤーが浅く肉に食い込み、服が血で滲む。ズボンの袖口から血がポタポタと滴り落ちる。
長期戦は無理だな………………。
衝撃で片膝をつきながらも意識がはっきりしてるうちに上条は次の一手を仕掛ける。
上条「ステイル!!!!」
ステイル「気安く名前を呼ぶな!!!もうやっている!!!」
再び炎の巨人『魔女狩りの王』が上条を守るように前に立つ。その出現と同時に上条はインデックスに向かい走りだす。
上条「いくぞぉおおおォォ!!!!!」
奮い立たせるように腹の底から声を張り上げ、上条はインデックスのもとへ向かう。
身体が疲れてんのか痛えのか……。正直これで最後だ…………。
「ーーーー炎の魔術の術式を掌握しました。敵『上条当麻』への対処ともに対十字教用の術式を構築中…………命名、『神よ、何故私見捨てたのですか』完全発動まで12秒』
同時に今までで白銀の光を放っていた『竜王の殺息』が真紅の色に変わり、上条に襲いかかる。
ゴゴゴッ!!!!!!
上条「神裂!!」
合図と同時に再度上条の身体にワイヤーが巻き付く。
神裂「これで決めてください!!じゃないとあなたの身体が……!!」
真紅の光は上条を守っていた『魔女狩りの王』を破壊し、一気に病室の壁まで突き破る。
少しの間とはいえ『魔女狩りの王』が盾と目隠しの役目を果たし、神裂が上手く引いてくれたことで上条はインデックスの背後を取ることができた。
ーーーーあとは前に行くだけだ。
ーーーー最小の動きで躱して最速であいつのもとに行け。
ーーーーこの身体でできるか?
ーーーー理不尽なのはいつも通りだろ?
ーーーーじゃあ…………やるだけだよ!!!
人間として持てるあらん限りの力を振り絞り、足を前に踏み出す。
上条「…………神様とやらよ。」
二度のワイヤー移動により全身からの出血がさらに増し、上条の足元に血の水たまりができている。それによくみればところどころ骨まで見えている。
上条「俺のじゃねえけど…………!!!!」
インデックスは完全に不意をつかれ、全力以上の力で向かってくる上条に対応ができない。
上条「インデックスは返してもらうぞ!!!!」
ーーーー上条当麻はなぜ今日出会ったばかりの女の子にここまでするのか??
ーーーー骨は折られ、腕は吹き飛ばされ、身体を自ら切り刻み…………………。
ーーーー普通の人間ならそんなことをする前に逃げ出すか目を逸らすかのどちらかだ。
ーーーー上条当麻もまた普通ではないにしても…………
ーーーーだけど彼はまだ17歳で………………
ーーーーどうしようも無く『男の子』だったのだ。
上条「こんな可愛い女の子一人に神様のエゴを背負わせようとするんだったらーーーーー」
上条「まずは!!!」
ーーーー 「その幻想をブチ!!!!殺す!!!!!」ーーーー
展開されていた魔法陣を破壊し、とうとう上条の右手がインデックスの頭を摑む。
「ーーーー警、コク。最終……章。『首 わ』の致命的な……は…………カイ 」ブン
必要悪の教会は何重にも張り巡らした魔道図書館を護るシステムを作り、それは実際に味方をも騙せるほど機能してきた。
仲間の魔術師は図書館となっている少女のために何年も間憎まれ役を買い、自責の念に苛まれてきた。
…………もしかしたらどこか別の魔術師も魔道図書館のために、あるいはその少女のために何かをしているかもしれない…………。
ーーーー思惑、企み、諦め、希望etc
その全てをわずか17歳の少年がたった一日で"殺した"のだ。
上条「くっ!!??」
しかしストーリーをここが終わってはハッピーエンドではなくなってしまう。誰かが助かるために誰かが犠牲になるような終わりかたではダメなのだ。
まだ厄介な光の羽が残っている。
上条は倒れかけたインデックスを抱きかかえ、すぐにその場から離れようとするがこの状態で躱しきれるか自信がなかった…………。
それでも上条は諦めることも、思考を止めることはしなかった。
上条「神裂!!!床をぶち抜いてくれ!!!!」
すぐに聖人の渾身の一撃が病室の床へ叩き込まれる。
大きな亀裂が入り、コンクリート製の床が重力に従い崩落していく。神裂とステイルは下のフロアに上手く着地することができた。上条も身体をあちこちぶつけながらも意識は失うことなくなんとか着地できた。
すかさず神裂が上条とインデックスの身体を抱え、足で壁を蹴破り廊下へと退避する。
ーーーーもう脅威はなくなった。
ーーーー今度こそハッピーエンドで終わることができる。
ーーーー不運で惨めな人生から得てきた経験、技術、意志そして少しの下心により一人の少女が救われるそんなお話。
上条「………………はぁ、めちゃくちゃ疲れた………………。」
今回こんなもんで。遅くなってすいません.....
待っていた方お待たせしました。
少しずつ投下していきます。
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
カエル顔「二週間ほど入院ね?」
上条「はい……」
カエル顔「ああそれとこれ病院の修繕費用なんだけどよろしくね」ペラ
上条「はいぃぃい!!??」
ベッドに横たわる上条に渡された紙には高校生ではお目にかからないであろう金額が示されていた。
上条(ゼ……0がいち、にー、さん、しー……ごー…………ろ、ろく………………ナナ………………ハ……ハハッ)
カエル顔「これ今までの治療費につけとくからね?まあ利子は取らないから感謝してね」
上条「 」プシュー
カエル顔「……おっと、君にお客さんだ。じゃあまたあとで顔出すからね?」
ステイル「やあ乙女を救ったヒーロー、調子はどうだい?」
いきなり現れた長身赤髪の男が目の前でよくわからない管に繋がれミイラになっている上条に対して半ば皮肉をこめて聞いてくる。
上条「 」
ステイル「おい!」
上条「は!!なんだステイルか。………………病院内は全館全室禁煙だぞ」
ステイル「おっと」サッ
上条「で、何の用だ?インデックスならナースステーションで看護師達に餌付けされてるらしいから行ってみろよ」
ステイル「ああ……それなら今さっき見てきたところだよ…………。用があるのは君さ上条当麻」
上条「…………これからのことか」
ステイル「ああ。どうするつもりだい?」
上条「その前に神裂はどうした?あいつもいないとダメだろ?」
ステイル「神裂ならインデックスと会ってから行方がわからない」
上条「…………そっか。ならお前だけに先に言っとくか」
ステイル「…………」
上条「まずステイル、お前はイギリスに帰って必要悪の教会だっけ?そこの上司にこう言え『任務は失敗しました。学園都市の能力者おそらくは高能力者かもしくは超能力者クラスの妨害に遭った。その時に神裂とははぐれた。生死は不明です。』と」
ステイル「…………。神裂は彼女はどうするんだい?」
上条「………………」
「あいつには学園都市に残ってもらう」
「今回インデックス自身ことは一応決着がついたようだけど…………」
「…………インデックスに10万3千冊の魔導書がある限りこれからも色んな奴らから狙われ続けるんじゃないか??」
「だからあいつにはインデックスの側にいてもらいたい。強力なちょっとやそっとの相手では負けることのない護衛が必要なんだ」
ステイル「たしかにね……。しかし彼女がそれを了解するかい?一応彼女はうちの最高戦力の一角を担っていて、加えて天草式とかいうローカルな宗派の女教皇でもあるんだ」
上条「おそらくないと思うがもし断ったり渋るようなら………………これまで自分がインデックスという友達にしてきた罪、そこに塩を塗るような形で説得すればあいつの性格ならいやでも呑むだろう。」
ステイル「…………やっぱり僕は君が嫌いだ」
上条「ハハッ裏稼業の人間が今さら普通の人間ヅラすんなよ。それにお前にもやってもらうことがあるんだ」
ステイル「チィ………………一体僕に何をやらせようって言うんだい?」
上条「お前にやってもらうことは二つだ」
「一つ目は必要悪の教会でインデックスに関する情報の収集、分析そして俺への報告」
「………………おそらくだと思うが、インデックスの頭に関してまだ何か仕掛けがある、と俺は踏んでる」
「お前ら魔術師が恐れる魔導書が10万3千冊もあるんだ。もし俺がその管理者ならその防衛手段は二重三重にしてより安全性確実性を増す」
Q
上条「それと関係して二つ目は…………………」
「ーーーーもっともっと強くなれ、だ」
ステイル「なっ!?君に言われなくてもそのつもりだ!!」
「もう…………僕は誰にも負けるわけにはいけない………………」
「もちろん君にもだ、上条当麻!」
上条「期待してるぞ」
ステイル「ふん………………彼女のために強くなるんだ。勘違いするな」
上条「これでも頼りにしてるんだ」(首輪に代わるシステムがあってもなくてもあいつを狙ってくる敵がいる。女王を護る兵隊は強く多いほうがいい)
ステイル「これからの大まかな流れはわかったよ。一度抜けていいかな?いい加減一服したくて」
上条「もういいぞ。あーそれと神裂に会ったら来るように言っててくれ」
ステイル「わかったよ。それじゃ」バタン
上条「………………ふう。まさか必要悪の教会とか魔術師とか訳のわからない殺し屋集団に狙れるようになるなんて人生いくとこまでいくもんだな。さあてとどうしたもんか……」
愚痴るわりにはどこかそれを楽しんでしるような諦めたようなそんな顔をしている。そこに今回の話の主役であるインデックスがおずおずと部屋に入ってきた。
インデックス「…………とうま?」ヒョコ
インデックスが目を覚ました時にちょうど上条はカエル顔の医者から診察を受けている時であり、お互いにとって久しぶりであり前とはまた意味の違った再会だった。
上条「インデックス」
インデックス「先生なんて言ってたの……………?」
そのままステイルの座っていた椅子にちょこんとすわる。
上条「別に大したことねえよ、二週間入院すれば済むらしいし」
インデックス「…………ほんと?ほんとにほんと!?」
これでもかと身を乗り出し、確認をとるインデックスに少しイジメたくなる気持ちをもったのは俺がSだからだろうか?
上条「あーけどまあインデックスは覚えてないけど、あれだけ頑張ったからなー。腕は吹っ飛んで全身切り刻まれてるからなー。」
インデックス「うう~…………」ジワァ
目に涙を溜め、俯く姿にも興奮を感じる自分にもうだめだなと冷静に評価する上条だが今はそんなことをやってる場合ではない。
もともと自ら飛び込んだことなのだが、あの治療費では慈善活動でやるには割が合わない。ここで少しでも対価を得なければ。
上条「あーでもアレならすぐ元気になるなー」
要するに上条はご褒美が欲しかったのだ。
インデックス「何!?それって何!?私ができることならなんでもするんだよ!!」
上条(かかった!!)
上条「口づけ」
インデックス「え?」
上条「接吻」
インデックス「!!???」
上条「……しつこいぞ。キス…インデックス「何度も言い直さなくてもわかってるんだよ!!」」
上条「なら話は早いじゃん」
インデックス「私はシスター!!主にこの身を捧げ、清らかな身体じゃないといけないんだよ!!それをキ……キスだなんて!!」
「とうまの変態!エッチ!公衆猥褻物!!」
上条「何もそこまで言わなくても……。はあ、なんでもするって言ったのになー。俺頑張ったのになー」
上条(けどまあこの辺にしておくか……。ほっぺにキスぐらいはいけるかなと思ったけどこの反応じゃ無理だな)
インデックス「………………」
言われたインデックスはさっきよりさら俯きもうほとんど下を向いて、膝の上では小さい拳をぎゅっと握りブツブツと何か呪文のような言葉を呟いている。
上条「なーんて冗談だから顔あげろよイ」
チュ
上条「……ンデックス………………」
インデックス「///」カアァー
上条「…………お、おま、今!!??」
インデックス「////」ウツムキ
上条「………………良かったのかよ?シスター……なんだろ?」
インデックス「よくないに決まってるんだよ!神に仕えるシスターにこんな…………こんな破廉恥なこと!!」ワナワナ
「で、でもとうまに元気になってもらいたくて!会ったばかりのわたしのためにいっぱい無茶したって聞いて、だから!だから!!」ウルウル
ギュッ
上条「インデックス」
インデックス「なっ!////」
上条「言わせてくれ、俺もお前に出会えたことにただただそれに感謝しているんだ」
「ーーーーありがとうインデックス」
インデックス「ん」
「ーーーーーこちらこそありがとうなんだよとうま!」
とりあえずここまでで。
一巻部分はこれで終わりで次は絶対進化計画あたりを書きたいなと思ってます。
その前このスレでアイテムとかちょこっと蛇足でやろうかなと考えています。
皆さんはどうしたいですかね.....??
ここは病院での事件から二週間ほど経った学園都市のどこかのファミレス。客のほとんどが制服姿の学生である中で、隅のテーブル席に店の雰囲気には合わない一応見かけ"だけ"はいい四人の女性がいた。
麦野「あれ~?このシャケ弁いつものより美味
しい……?」
学園都市には暗部と呼ばれる集団が存在する。彼ら彼女らの仕事は学園都市内に潜む不穏分子の捜索や誘拐時には殺しもやる。また学園都市が主体となって行う表には出せない実験等の支援など俗に言う裏稼業をメインとして行っている。
ここの四人はアイテムと呼ばれる暗部組織のメンバーであり、リーダーに学園都市に7人しかいないレベル5の一人を据えている点で他の暗部組織とは一線を画している。
sagaってないごめん
…………しかしその割には皆顔に覇気がないのはここ最近謎の襲撃者と交戦し惨敗を喫したからだ。…………まあ一人はもとからなのかもしれないが。
絹旗「何言ってるんですか。いつもコンビニのシャケ弁と超変わらないじゃないですか」
フレンダ「じゃあ久しぶりにあたしも結局サバ缶食べるってわけよ」
麦野のよる強制リハビリ?が効をなしようやく外に復帰できた二人だが、問題のデータはまだ上条のケータイの中だ。
滝壺「フレンダたまにさばくさい」
フレンダ「はいぃぃいぃ!?どういうことよ滝壺!?」
絹旗「あ、それ私も超思いました!たまにすれ違うとなんか魚の腐った臭いがするんですよ!」
フレンダ「 」
滝壺「さばの味噌煮は臭いから」
麦野「ん~やっぱり変わらないかな~?」
これでも一応ミーティングらしい。ちなみにファミレスでコンビニ弁当と缶詰めを食べ、オーダーはドリンクバーのみという状態を店員は誰も注意しない。
麦野「ご馳走。ふぅー……じゃあミーティング始めますー」
絹旗「なんか久しぶりに超真面目な感じがします」
麦野「そりゃあんたらがヒキッてたから仕事になんなかったのよ。…………さて今日の議題はこの男についてよ!」
そう言いテーブルにタブレット端末を置き、問題の男の資料を表示する。そこには写真が付きで男の経歴、生年月日、住所などと合わせて能力の強度や種類の欄まである。
当然正規の手段を踏んで得た情報ではない。そして資料の名前欄にこう書いてある。"上条当麻"と。
滝壺「この人たしか」
絹・フレ「「ひっ!?」」ビクッ
麦野「そうあの日邪魔に入った男よ」ギリッ
仕事入ったんでちょっと投下間隔空きます。すいません(´・ω・`)
麦野「絹旗とフレンダを手玉にとって…………この私もおちょくってくれたクソヤロウよ……」
滝壺「……あれ?この人能力のとこ」
麦野「…………そうよ、最もふざけてるのがそこ。どんな高位能力者かと思えばレベル0!ただの無能力者!!これが一番舐めてるわ」
絹旗「そうなんですか……!?」
フレンダ「あり得ないってわけよ……
」
レベル0と聞いてさっきまで自分達の下半身を凌辱した男の写真を見て震えていた二人が疑いを持ちながらも興味を示す。
麦野「事実よ。身体一つでアイテムに喧嘩を売って…………悔しいけれど……本当に悔しいけれども誰も手も足もなかったのよ。…………はっきり言って異常なのが正常な学園都市においてこいつの存在は異質よ」
滝壺「学校行ってない。あと他の暗部組織とも接触してる」
上条当麻本人はおそらく気づいていないがアイテムと接触する前に他の暗部組織といさこざを起こしている。まあ理由はアイテムの時と同じだろう……。
麦野「そう、そして他の組織もこいつを注目している。おそらくだいたいが同じような目にあったはずよ」
滝壺「注目??」
麦野「雇いたいってことよ。あれだけの体術の使い手よ、能力一辺倒のこの街じゃ使い方次第では相当の戦力になると思うわ」
その言葉に上条に襲われ?二人が素早く反応する。
絹旗「思うってことは超まさかとは思いますが…………」
フレンダ「…………麦野こいつスカウトする気!?」
麦野「ええそうよ」
暗部のリーダーは二人の懸念にあっさりと答えを言う。
絹旗「超待ってください!私とフレンダどんな目あったか忘れたんですか!?」
フレンダ「全くよ!私なんて……お……お尻を……………うぅ………うわあぁああぁあんんん!!」
ムギノガチョウナカセマシタ。オーヨシヨシ。
グスン……ケッキョクムギノハジブンガナニモサレテナイカライイッテワケヨ
ギャーギャー
麦野「…………」ブチッ
滝壺「あ」
絹・フレ「あーだーこーだー」
麦野「…………まだ毛も生え揃ってないガキどもがごちゃごちゃうっせぇーんだよ!!自分だけが被害者ヅラしやがってぇえ!ああぁ!!」
「…………………………」
「私だってな!!…………私だって……なぁ……………………ぐすっ…………」
麦野沈利のことを周りの人間はこう評す。
ーーーー曰く、阿修羅、インドラ、トール、ジェノブレイカー、ラミエルなど神々?の名がその代名詞になり、その非情・冷血・傲慢・戦闘狂っぷりはこの街でも群を抜く。
そのレベル5・第4位・原子崩しの麦野沈利が泣きだすなんて誰が想像できたであろうか?
…………というか他のアイテムのメンバーは麦野が人間で女性であることなんて最初の仕事の日に記憶から綺麗さっぱり消え去っていた。
絹・フレ「「……………………い……いやぁぁぁああああぁぁぁ!!!!!」」
…二人のキャパシティは上条のことでMAXになり、今目の前の異常事態によりカンストして精神に支障をきたしてしまった…………。
滝壺「ーーーー南nna西の方gakkから信号がーーーー」
…………滝壺に至ってはレベル5をすっ飛ばし人の域を越えようとする勢いだ。
麦野「……うぅ…………ぐすっ…………うぅぅ…………」
…………揉まれたことと軽くあしらわれたことの両方でもうぐちゃぐちゃな当の本人は思い出し泣きに入ってしまい、ただのファミレスがカオス空間へ一変してしまった。
??「はい……はい……え?学校の許可ですか?…………いえそれはちょっと…………ないとだめ!?…………あーわかりましたー失礼しますー…………」ピッ
「…………これは流石に不幸だろ…………というかマズい……非常にマズいぞ!!これからどうやって三人分の生活費を稼ぐ!?」
「だいたいなんだよ学校の許可って!?学校なんてもう何年も行ってないわ!!………………はあマジどうしよ…………………………………………ん?あれはたしか…………」チラ
奥の禁煙席でテーブルに求人誌を広げ、アルバイトの募集に電話していた男がアイテムの席を見る。
??「…………よしちょっかいだすか!」
完全に八つ当たりだ。落ち込んでいた顔に少し笑顔が戻る。そしてそのまま浮足立ってアイテムのテーブルに向かう。
上条「よう!元気やってるかー?」ニヤニヤ
絹・フレ「「へ??」」
上条「ども!」ニヤニヤ
絹・フレ「「 」」プシュー
今日の二人の意識はここで途切れ、ここから先は麦野と滝壺だけとなる。次に上条の存在に気付いたのは泣きじゃくっていた麦野だった。
麦野「………うぅ…………」チラ
「………………なっ!?んでテメーがここにいんだよ!?」
上条「別にどこのいようと俺の勝手だろ。てかむしろファミレスにお前たちがいるほうが不自然だろ?何やってんだ?」
麦野「てめーには何一つ関係ねえよ!!………………………………いや少しだけあるな」
滝壺「少しじゃなくて全部なんだけどね」
麦野「…………滝壺さん?」
滝壺「何、麦野?」
上条「え?俺が強くてカッコいっていう話?」
麦野「ちげーよ。鏡家にあるのか?ちゃんと毎朝見て自分の背負った罪を確認しろよ」
上条「そこまで言わなくてもよくないですか!!??………………はあ、わかってますよ上条さん非リア非モテなのぐらい。…………で、なんの話?」
麦野(滝壺のせいで隠せなくったけがどうする?説得するにしても搦手でいくか小細工無しでいくか………………いやでもこいつに頭なんか下げるわけには……)ギリ
麦野「…………滝壺さん?」
滝壺「何、麦野?」
上条「え?俺が強くてカッコいっていう話?」
麦野「ちげーよ。鏡家にあるのか?ちゃんと毎朝見て自分の背負った罪を確認しろよ」
上条「そこまで言わなくてもよくないですか!!??………………はあ、わかってますよ上条さん非リア非モテなのぐらい。…………で、なんの話?」
麦野(滝壺のせいで隠せなくったけがどうする?説得するにしても搦手でいくか小細工無しでいくか………………いやでもこいつに頭なんか下げるわけには……)ギ
滝壺「麦野がね上条を雇いたいんだって」
麦野「滝壺さんーーーー!!??今日私何かした!?」
滝壺「大丈夫。アジトの冷凍庫に入れてたアイス食べたぐらいじゃ私は怒らないから。ちゃんと"りこう"って書いてたけど大丈夫だよ」ニコ
上条「……」麦野「……」
上条「…………暗部って言っても意外と女の子してんだな。んで俺を雇いたいっていうのは?」
麦野「…………はあ。まあいいわ…………あんたをうちで雇ってあげるから感謝しなさい」
上条「あれ?頼んですらねえのになんでそんな上からなの??」
麦野「はあ!?こんな美少女に囲まれて仕事できるなんてむしろこっちがお金もらいたいくらいだわ。ほらさっさとうんと言いなさい!!」
上条・滝壺「美"少女"………??」ハテ
上条「しかし今の上条さんにはなんてタイムリーな提案!!…………あのーできれば時給とか労働時間とか聞かせてもらえるとありがたいのですがー」
麦野「………………ひとまず首をかしげたことは置いておくわ。そうね~時間はまあちょっとわからないわ、というかケータイ渡しとくから呼び出しがあったらいつでも来なさい」
上条「うん??俺はまだやるとは……」
麦野「時給は1万円スタート+出来高。何か文句ある?」
上条「何なりお申し付けくださいませ我が主人。私は貴方の忠実な僕であり、盾であり、剣であります」
麦野「よろしく、じゃあまずはドリンクバー行ってもらおうか~」
上条「アイマム!」
そのままグラスを持ってドリンクバーへ向かう。それを麦野はニヤニヤと笑いながら見つめ、滝壺は何時の間にか寝てしまっている。
そんなこんなで上条当麻のアルバイト一日目がはじまったのである…………。
少ないですが今日はこんなもんで。
iPhoneで作るのめんどい(´・ω・`)
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
アイテムでのアルバイトももう2週間が過ぎようとしていた。仕事の内容はほとんどが小間使い、雑用の類であったがそれでも麦野はしっかり時給1万で支払ってくれた。
上条「インデックス~~~今日はすきやきだぞ~~」
インデックス「本当!?今日も肉料理なの!?」
上条「いや~なんかいいバイトがあってさ。ほら遠慮しないでどんどん食えよ」
神裂「何から何までお世話になって申し訳ありません。私とインデックスの給金を使えれば良かったのですが…………」
上条「もうその話は終わりでいいって。それに俺じゃこんなに上手く作れないからそれだけで十分すぎるよ。ありがとうな」
神裂「…………いえ///」
インデックス「…………むぅ。そんなことより早く食べるんだよ!とうまお皿とはしちょーだい」
上条「はいはい。…………じゃあ」
神裂・イン「「天に召します我が父よ……上条「いただきます!!!!」……………………」」
三人での生活は今のところ大きな問題もなく順調にいっている。神裂も上条の提案に二つ返事で引き受け、インデックスも三人で生活することに喜んでいた。
インデックスを守るという理由があるのだが、それでも家に誰かがいるというのはそれだけで嬉しかった。しかも一人は黒髪ロング巨乳で年上姐さん女房的な和風美人、もう一人は童話やアニメの世界から出てきたかのような銀髪純真無垢な美少女。
ーーーーーああ間違いなく世界は俺中心に周ってる。
………………だからたとえ
『◯◯っていう店の人気の鮭パイを買ってきて。すぐに完売するらしいから今から並んできなさい』
今夜中の3時なんですが………………。
………………俺はそっと寝袋を持って部屋を出た。
『かみじょう、今からお昼寝したいからアジトに来て荷物の受け取りしてほしい』
俺今からインデックスと神裂と買い物がてらに散歩に行くのだが…………………。
……………………バイトが入ったといいインデックスの泣きそうな顔を背にまた部屋を出る。
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーー
アイテムのアジト
上条「…………なあ麦野」
麦野「なによ?」ペラ
おそらく自分じゃ一生着ることもないであろう高級ブランドのカタログから目を離さず返事をする。
上条「いきなりだがまずは仕事をくれたことに感謝するよ。そして最初の無礼な行為を許してほしい」
そう言い終わる前に頭を下げる。
麦野「な、何よ急に!?…………ふぅ……まああんたはよくやってくれてるからあの時のことは水に流してあげるわ。けど!!あの二人の写真データはすぐに破棄しなさい!」
上条「ああ。それで相談なんが…………」
麦野「給料ならまだ上げないわよ」
上条「そうじゃねえ。…………今度俺も一緒に現場に連れってくれないか?」
麦野「…………ふーん。どうしたのよいきなり?」
上条「…………先週の火曜日さフレンダが足を怪我しただろ?あの工場跡でさ」
麦野「あれはフレンダのミスよ、別にあんたが気にする必要はないわ」
上条「けど…………なんていうかやっぱ女の子が傷ついてるのは見たくねえんだよ」
麦野「じゃああんたがいたらそうはならないのかしら?………………たしかにあんたは強い。それは認めるわ」
「絹旗とフレンダの二人がかりでも勝てなかったぐらい…………そして私でも軽くあしらわれる始末」
「レベル5でこの学園都市に7人しかいないのに、もうあんたのせいでプライドなんてあったもんじゃない!」
皮肉が込められているけどがどこか嬉しいようなそんな口ぶりで麦野は話す。
麦野「けどね、私たちは暗部なの」
「物心つく前に能力をオモチャのように扱い人を殺しきたの。ーーーーそれが理解できるようになった頃にはもう暗部から抜け出せないとこまで堕ちてた」
麦野「もうこれが"普通"なの。暗部は私たちにとって日常でそれが全部」
「だからこそ私には暗部としての意地があるのよ。この意地だけが私がまだ人いられる最後の証」
「だからそれを汚すような真似だけはしないでちょうだい」
ーーーー不真面目なんだろう。教会での懺悔のような独白をする麦野の姿に少し心が動かされた。闇の中でもがくその姿は自分の写し鏡のようだけどやはり美女のほうがいい。
きっと麦野は闇こそが彼女を最も引き立てるのだと少し詩人っぽいコトを上条は思っていた。
上条「………………わりぃ」(しかし地雷を踏んでしまった。まずいぞ…………このままクビか!?)
麦野「……………………」
上条「……………………」(ああ沈黙が重い)
麦野「………………まあいずれあんたを現場に出すのは考えてたことだし、ちょうど次の仕事いってみる?」
上条「えっ?俺クビじゃないの!?いいのか!?」
麦野「ったく、何言ってのよ。戦力になるから雇ったのよ。で、やるの?やらないの?」
上条「全力でヤらせてもらいます!!」
麦野「…………おい、なんか字が違うように聞こえたぞ?」
上条「滅相もございません!粉骨砕身、働かせていただきます!」
麦野「まあいいわ。あんたは合った時からそんなだし。…………次の仕事はある研究所の調査。詳しい内容は言えないわ」
「いつも通り絹旗とフレンダが前衛プラスあんた。そして後ろに私と滝壺」
「今回は何が待ち構えてるか不明だけど強いんでしょ。頼むわよ新入りちゃん♩」
これぐらいです(´・ω・`)
急いで用意するから待っててください。
上条「ったく…………あんまり新人をからかうんじゃねえよ」
麦野「アハハ♪」
上条「まあいいや。俺の話それだけだからもう帰るぞ?」
うん帰って風呂と洗濯をしないとな。正直あの二人じゃ機械相手に何をしでかすかわからない………………。
麦野「待ちなさい」
上条「ん?まだなんかあるのか??」
麦野「今からここ行くわよ」
そう言って彼女が指差したのはさっきまで見ていたブランドのカタログだ。
上条「…………え??」
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
とあるブランドショップ
上条「…………」ソワソワ
麦野「あんたね~もうちょい落ち着きなさい。そんなに大した店じゃないんだから」
上条「…………ここの!どこが!大したことないんだよ!値段もおかしいし、大体服買うのになんで個室に通されるんだよ!」
麦野「こんなのまだまだ序の口よ。上になるともっと凄いわよ。まず今あんたの服装じゃ入店すらできないようなとこから完全会員制のところまで」
上条「…………はあ。なんで初めて女と出掛けた先がこんな現実感のないとこなんだよ…………」
………………本当に、…………本当にショックだ。
そもそも本来ならインデックスと神裂と散歩デートができたはずだったのに…………くそぅ………
麦野「………………へ、ヘえ~あんた女と外に出掛けたことなかったんだ?」
上条「なんで嬉しそうなんだよ?…………正真正銘これが初めて、初体験ですよ!!…………けどこれじゃあな。俺が望んだのがこれじゃないんだよ!もっとこう甘酸っぱい青春チックなとこが良かったんですよ俺は!」
麦野「例えば?」
上条「…………学校に帰りに彼女と何気なくショッピングモールに行きウインドウショッピング。彼女はあるアクセサリー屋で気になるアイテムを見つける、だけど『あー今月ピンチなんだよな』と思い踏みとどまる。それを見兼ねた俺は彼女に内緒でそれを買い、そのままファーストフードでご飯を食べ帰り道の途中『ほらよ』とぶっきらぼうに彼女の手にそれ渡すんだ麦野「はいストップ」…………」
麦野「気持ちの悪い童貞君の妄想ありがとう。店員が若干引いてるからもう止めて」
店員「…………」
上条「…………」
麦野「大体あんた不登校の引きこもりでしょ?学校帰りってとこからもう無理じゃない」
上条「がはっ!!………………好きでなったんじゃないやい」
麦野「お、きたきた。………………うーん、色はいいんだけどね~。ちょっと試着室借りるわよ」
店員「はい、こちらです」
店員に案内され試着室へと消えて行く麦野。
それを涙目で見つける上条
上条「…………ナチュラルにスールは童貞にはキツいでよ麦野さん」
数分後
麦野「どう?」ガチャ
上条「ん?…………お、おう?」
麦野「何よ?感想は?」
黒のパンツに上はシャツとネックレス、靴はハイカットのブーツ。キリっしたコーディネートは彼女よく似合う。
上条「…………ああよく似合ってる。95点」
麦野「何よ100点じゃないの?」
完璧主義の麦野はこういうとこにもうるさい。
上条「少し………俯きながら『ど、どうかな?///変じゃない//?』っていえば100点満点だった」
変態主義の上条はこういうとこでも平常運転だ。
麦野「…………」ガチャ
上条「今日厳しくないですか…………?は!?女の子の日か!!」
バシューーー!!!
上条「え?あれ??」
…………いつもならある程度前兆を察知できるけど今回は本当に不意をつかれた。
上条「……………………こわっ!!」
ーーーーーやっぱり今日の麦野はちょっとヤバいと思う上条だった。
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
とある喫茶店
麦野「そういえばあんたなんで金がいるのよ?一応身分は学生でしょ?」
帰りの途中麦野が「部下を労うのも上司の務め」とのことで立ち寄った喫茶店に今二人はいる。もともと麦野の行きつけらしく落ち着きがあって、客も学生より職員や研究者であろう大人の方が多い。
上条「…………居候が二人いてな、まあそこは深く聞かないでくれ」
麦野「そう…………あんたもいろいろあるのね」
上条がとてもばつの悪そうな顔をしたのそれ以上追求できなかった麦野だがどうしても一つだけ確認したいことがあった。
上条「…………」
麦野「…………」
「………………女?」
上条「…………」
「………………ぁぁ」
麦野「……ふ、ふーん、あんたもやっぱりやるコトやってんだ」
上条「待て待て!詳しくは言えないがそういうじゃないんだ!!」
麦野「じゃあ何よ!?女と男が一つ屋根の下ならやるコトは一つでしょうが!」
上条「だからそんなんじゃないって言ってんだろ!だいたいさっき俺に童貞って言ったじゃねえか!そう!!僕はまだ童貞です!!」
麦野「童貞童貞うるせえ!!わかった!わかったから!………………私の勘違い、これでいい?」
上条「……わかってくれたのならそれでい……い…………ん…だ……」
店内の客ジィー
上条「……あ…………すいません………」ペコ
麦野「ったく」ハア
上条「もうこの話は終わりな。………じゃあ次俺の番な」
麦野「はあ?順番じゃないんだけど」
上条「そう堅いこと言うなよ。ズバリ麦野今彼氏はいるのか?」
麦野「はあ!?そんなもんいるわけないでしょ。私は仕事人間なのよ、忙しくて無理無理。だいたいレベル5と付き合える人間なんているわけないってーの」
上条「ふーん」
麦野「………何聞いてくると思えば。多分他の連中もいないんじゃない?まあプライベートまでは知らないから何とも言えないけど。…………何?あんたアイテムに気になる子でもできたのかにゃーん?まあみんな見てくれだけはいいからね~♩」
上条「全員」マガオ
麦野「………………」
上条「だから全員」チョーマガオ
麦野「ちゃんと聞こえてるわ…………あんたほんっと、ぶれないわね」
上条「まあな」キリッ
麦野「ハア……こんなのに負けた自分が情けなくなるわ。てか絹旗はさすがにアウトじゃないの!?あんたもしかして…………ロリコン??」
上条「まーたそうやって。勘違いしないでください麦野さん。絹旗はな俺にとって肩車してあげたくなる可愛さなんですよ。…………妹…………いや娘的な?OK?」
麦野「あー……わからないでもないわ。けどあんた最初何したか忘れたの?」
上条「あれは調子に乗った子供をオシオキを与えただけで、決して性の対象にした訳じゃあありません。…………てかあんな格好してる方も悪いだろ?」
麦野「まああのミニはさすがにないわー。ずっと言ってないけどないわー」
上条「なんか背伸びが一周回って痛いよな。…………だからさ、いつかあいつの丁寧語口調を変えてそこらへんのガキみたいにわがままを言わせてみたい」
麦野「あの子中身はやけに大人びてるからね~。達観って言うのかしら。…………じゃあついでアイテムのリーダーとして残りも聞いとくわ。次フレンダ」
上条「あいつはなー………うーん……多分さ、友達としては最高だろうな。何やっても喜ぶだろうから見てて飽きない」
麦野「仕事中は見てないと何しでかすかわからないけど…………ハア」
上条「けどあいつの笑顔はいいよな。なんかこっちまで笑いたくなるよ。あのキシシって感じのさ」
麦野「……怒る気が失せる時もあるの確かだわ」
上条「だろ?…………まああえて注文をつけるならあの制服みたいな服がいただけない。あいつこそ絹旗みたいな丈の短い服にブーツで合わせるべきなんだよ」
麦野「…………あの子事あるたびに自分の脚自慢するから若干イラつくんだよな」
上条「ハハそりゃあ麦野は脚がーー麦野「…………」ギロッ!!ーーーじ、じゃあ次滝壺な」
上条「…………正直あいつはよくわからないんだよな。電波系不思議ちゃんで片付けるには少し物足りないし…………うーん……」
麦野「正直あの子だけは何考えてるのか私もよくわからないわ。…………その能力も合わせてね」
上条「あいつはたしか大能力者だったよな?能力追跡っていう。中身はたしか…………」
麦野「一度AIM拡散力場記憶すればたとえ能力者がどこにいようがその位置を確実に把握可能で、本人は太陽系の外にいようがお構いなしってさ」
上条「…………それって結構すごいじゃないですか!?」
麦野「まあね。一応あの子がうちの要でもあるし」(…………ただその使用にはいろいろと制約があるんだけどね)
上条「………………実はアイテムのボスってあいつなんじゃないか?」
麦野「はあ!?リーダーは私よ。何馬鹿なこといってるのよ?」
上条「わかってる」
「リーダーは麦野、けど黒幕的なポジションにいるのは滝壺………………なんてなハハ」
麦野「あの子にそんなの似合わないわよ。見た目だって天然癒し系みたいじゃない」
上条「……まあそうだけど。けど癒し系なのは雰囲気だけだぞ」
麦野「雰囲気だけ??」
上条「あれ?一緒風呂とか入ったことないんだ。………………多分あいつアイテムで一番胸あるぞ。上条スカウターがそう言ってるから間違いない」
麦野「さらっとそういう話に持っていくな」
「…………ほんとかしら??」
上条「よし俺が確認しよう」キリッ
麦野「…………」
「…………ハア、時間も結構経ったしそろそろ行こうかしら」
上条「ちょっと待った!」
麦野「なによ?」
上条「まだ一人残ってるにゃ~ん♩」
麦野「うわキモッ!」
上条「…………いやお前……」
麦野「色んな意味であたしのコトはいいのよ。さ、帰るわよ」
ゴメンよ(´・ω・`)
ここまでで連休中にまたあげる予定(´・ω・`)
アニメのアイテム良かったですね。特にフレンダが。ではあげていきます。
上条「……わかりましたー帰りますー」
麦野「約束通りここは奢ってあげるから拗ねないの」
上条「ゴチですボス!」
テンイン<アリガトウゴザイマシター
麦野「じゃあ明後日20:00にさっきの部屋に集合。細かい事は移動中に伝えるけど戦闘があるかもしれないってことだけ頭に入れといて」
上条「了」
麦野「それじゃあね」
麦野「………………今日はそこそこ楽しかったわ」
上条「…………俺も楽しめたよ。ありがとな」
言い終わる前に麦野は街へと歩き出していた。少し顔が赤かったのは夕焼けのせいだろうか。
上条「さて俺はどうやって帰るか………………」ウーン
上条「…………うし!たまには走るか」
上条(ここから部屋まで約10kmってとこか?帰ってから試したいトレーニングがあるからちょうどいいアップにもなるな。)
上条「30分ってとこかな?まあ飛ばして行くか」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ガチャ
上条「…………ハァ……!…………フゥ……!」
上条「ただいまー…………水くれー…………」
イン「おかえ……ってとうま汗びっしょり!どうしたの!?」
上条「…………フゥ!…………久しぶりに走ったらこのザマでさ…………ハァハァ……!」
神裂「あ、あのお水です」
上条「さんきゅー……ゴクゴクッ…………あーーー!……………うめえ! 」
上条「…………ふぅー。あーそうだ神裂?今時間ある?」
神裂「え、えぇ。もう夕食の準備も終わりました……どうかしましたか?」
上条「ちょっと上いいか?」
そう言い上条は上へ指を指す。
神裂「上??」
・上条のアパートの屋上
上条「悪いな急に」
神裂「いえ」
インデックスは最近ハマっているカナミンとかいうアニメが観たいとのことで部屋に残ったままだ。
上条「いきなりなんだけど組手の相手してくれないか?」
神裂「組手………ですか?いいですがいきなりどうしたのですか?」
上条「いやさ俺ってずっと一人で鍛えてたから組手の練習とかしたことなくてさ。だから投げ技、関節技なんかほとんど使えなくて…………けどそこにちょうどお前が来たからこれを期にさ」
神裂「…………なるほど。少し悲しい理由ですがわかりました。私でよければお相手しましょう」
神裂「だだし…………聖人なものですから…………」
神裂「ーーーー加減がわかりませんよ」ニコッ
………………あ、こいつやっぱり殴ったこと根に持ってやがる。
…………意外としつこいんだな。
上条「そっちのほうがためになるから無問題!………………けどアパートは壊さないでね??」
神裂「いきます」
上条「おう!!」
こうして人知れず聖人VSレベル0の第2ラウンド?が学生寮の屋上で幕を開けた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
上条「…………おい」ボロボロ
神裂「はい♩??」ツヤツヤ
上条「…………俺組手って言ったよな?ほんとに殺す気か!?」
神裂「加減はできないと言いましたが?」
上条「だいたいなんだあのスピードは!?マッハ突きかよ!?」
神裂「あれくらい朝飯前です」キリッ
上条「なんか性格変わった……?」
神裂「元からです。お風呂湧いてますから先に入ってください。その間に夕食の準備してますから」
上条「助かります」
上条(…………多分風呂で死ぬな。身体があちこち痛え)
神裂「それと…………どんなお仕事をしているかわかりませんが………………無茶だけはやめてくださいね」
神裂「あなたにはもう"帰る場所"があるのですから」
上条「…………ああ」
上条「あいつのためにもちゃんと帰ってくるよ。約束する」
神裂「……ありがとうございます」
神裂「…………それに私だって心配しているんですよ?//」
上条「…………」
上条「ありがとな」
ガチャ
インデックス「あ、おかえり~、とうま今度はボロボロなんだよ。怪我ばっかりだとインデックス泣くからね」
上条「ハハ。大丈夫、心配すんな」ワシャワシャ
インデックス「もう!」
上条「じゃあ風呂入ってくるわ」
インデックス「…………なんか嬉しそうだったね?」
神裂「ええ//」
ーーー今日も上条家は平和で平常運転
・2日後 アイテムアジト
麦野「じゃあ全員集まったことだし行くわよ」
麦野「場所は樋口製薬第7薬学研究センター。依頼内容はある研究データの奪取及び破壊とだけ…………何度読み返しても腑に落ちないんだけど、まあいつもどおりやりましょう」
フレ・絹「「はーい」」
滝壺「うん」
麦野「それと今日から上条も出るから。……フレンダあんたとペアよ、いい?」
フレンダ「うげぇ。…………上条、あんた私の後ろにつかないでね」
絹旗「フレンダの貞操超ご愁傷様です」
滝壺「私はそんな中古なフレンダを応援してる」
フレンダ「」ダウー
上条「…………ここ最近おとなしかったんだけどな~」ボリボリ
麦野「はいはい!おしゃべりはそこまで。仕事は仕事。気を引き締めていきなさい」
ラジャー
・移動中
上条(……暇だ。麦野はパソコンと睨めっこ。フレンダは趣味の悪いぬいぐるみと遊んでる。滝壺は………あれは寝てるのか??………………てぇーことで)
上条「なあ絹旗?」
絹旗「なんですか?」
上条「ぶっちゃけなんでアイテムにいんの??」
絹旗「…………超ぶっちゃけ過ぎです。藪から棒にどうしたんですか?」
上条「いやなんか暇だったから」
絹旗「ハァー…………きっと上条は超モテないでしょう」
上条「そりゃ小学生にはモテないな」
絹旗「私は超!中学生!JCです!」
上条「いや書類上の話をされてもな」
絹旗「現実の話です!超見ればわかるはずですでしょう!?」
上条「…………え!?」
絹旗「うがあぁぁあ!!!もう超なんなんですか!?」
上条「暇つぶし」
麦野「うるせえーーー!!仕事前だっていっただろ!?上条!!!!」
上条「イエスマム!!」
麦野「次やったら…………」
「減・給・確・定」
上条「ひぃ!」
麦野「わかったら静かにしろ!!」
上条「了!!」
とりあえずここまでです。
続けは今日夕以降いけたら。
ちょこっとだけあげます。
どうしてもあの人を出したくて。
絹旗「……超ざまあです」ボソッ
上条「ふぅ……。さっきの話さ………………まあ言いたい時に教えてくれよ。無理にとは言わないからさ」ボソッ
絹旗「………………」
絹旗「………………超気が向いたらです」ボソ
ッ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
・そんなこんなで到着
麦野「フレンダ・上条は第2搬入口から。絹旗は第1から。私と滝壺は職員用と非常用通路を潰しに行く。わかった?」
フレンダ「了解ってわけよ」
絹旗「超ラジャ」
上条「ああ」
麦野「じゃあ作戦開始、あんまし無線使うんじゃないわよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・上条フレンダ組
上条「なんか薄気味悪いとこだな……」
地下を通っているのか空気が湿っていて、明かりもあまりなく、50m先になると真っ暗闇で何も見えない。
フレンダ「学園都市の研究所なんてだいたいこんなもんって訳よ」
上条「…………そうなんだけど、そうじゃねえんだ…………」
フレンダ「??」
この研究所に足を踏み入れてから得体のしれない………………悪意でも……殺意でもない感覚が全身をナメクジのように舐め回している。
上条「ハア…………あまりいい予感がしないな」ボソ
ーーーーーこういう時は今までの経験上必ず何か面倒なことがある。
フレンダ「ん?何か言った?」
上条「いいや…………頼りにしてるぜ先輩!!」
ーーーーー学園都市という魔物は常にその大きな口を開けて待っている。貪欲にあらゆるもの…………そうたとえレベル5であろうと自らの欲求を満たすため食べ尽くす。
ーーーーー知らずとアイテムは…………いやここでは上条と"麦野"は、今その胃袋に自ら飛び出こんだのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
・アイテムが到着する2時間ほど前
3名の男女が研究所の監視ルームに陣取っていた。一人は女性……いや中学生ぐらいの女子だろうか。ドレスを着、うっすらと化粧をしているがやはりどこか似合わないのがすぐわかる。
ゴーグルのようなものを頭につけている男もいる。………………これも外見からはおそらくまだ未成年であろう。
………………最後の一人は長く伸ばした髪を金に染め、ジャケット、パンツ、革靴という出で立ちだ。おそらく十人が十人彼をホストか何か水商売の類の関係者だと言うだろう。
??「やっぱりセンスがないのよね……」ハア
??「あぁ?何がだよ心理定規?」
ドレス姿の女は心理定規(メジャーハート)というらしい。彼女は金髪の男の服を見て溜息をつく。
心理定規「あなたのファッションセンスよ………」
ゴーグルの男「…………」オロオロ
??「ああん!?どういうことだよ!?これでも気をつかってるほうなんだぞ!」
心理定規「………………色よ。なんでいつも茶色とか紫一色なのよ…………」
心理定規「あなた無駄に顔をスタイルもいいんだから服もキチンときめなさい」
心理「何なら私コーディネートしてあげてもいいわよ♩」
心理定規「ーーーーーー第二位"垣根帝督"ーーーーーー」
週末またあげます。
できなかったらスイマセン.....
ごめん(._.)
垣根「うるせえよ。だいたいてめーだって胸スッカスカのにドレスとか(笑)」
心理「…………は!?」
空気が凍る音がした気がしたのはおそらくゴーグルの少年だけだろう…………。
ゴーグル「あー!垣根さん今日の仕事の内容もう一度教えてもらっていいですか!?なんかド忘れちゃって……はは」
垣根「ったく覚えておけよ。仕方ねーな……
今日はこのしみったれたどこぞ研究所でインベーダーの迎撃だ。…………ただし獲物はあの第四位のいるアイテムだ。ちったぁ気を引き締めていけよ」
ゴーグル「…………俺はいやですからね」
心理「……………パス」
垣根「お前らにさせる訳ないだろ。それに依頼も『麦野は殺すな』ときてる。つまりだ、あのプライドの高いターミネーター女を殺さずにかつ追い払わなきゃならないってコトはだ!」
垣根「ふざけた内容ではあるが、まあそんなことができるのは俺か第一位ぐらいなモンだ。…………まあサクッと遊んでやる♩」
ゴーグル「流石っすリーダー!」
心理「……死ねばいいのに」ボソッ
おちゃらけて見えるが彼らは"スクール"と呼ばれる学園都市の闇を体現している暗部の組織の一つだ。
リーダーは金髪の男、名前は垣根帝督………………いやここ学園都市では"第二位"や"未元物質"と呼ぶ方が適切かもしれない。
彼の存在が無数の組織がある暗部の中でスクールが最も際立っている理由だろう。アイテムにも同じレベル5の麦野沈利が存在するが、そこには比べること自体が無意味なほどの両者の間には深い溝が存在する。
…………これは決して麦野が劣っているのではない。彼女は230万人いる学園都市の中で5本の指に入る序列だ。それは十分に賞賛されるべきものだ。
………………ただ第一位と第二位が異常なのだ。
――――――だからこそのさっきの垣根帝督の発言
垣根「俺が第四位を相手にする。残りはお前らがやれ。命令には他のメンバーのことは書いてなかったので殺してもかまわねえ。質問は?」
ゴーグル「無し。りょーかいです」
心理「無いわ」
垣根「よし、じゃあまあしばらく待機な」
垣根「あぁ~あ…………ほんとシケた仕事だよ……」ダル
――――――今日彼はまだ短いであろうその人生の中で最も衝撃的な出会いを果たすことになる。
もしかしたら垣根帝督と上条当麻は出会わない、そんな世界があったのかもしれない。………………ただこの物語では両者は出会うべくして出会う。互いが互いを求めあうかのように。
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
麦野「3人とも問題無いようね」
麦野「さぁて~……そろそろ私たちも行こうかしらね」
滝壺「うん」
麦野「あまり陽動とかって性に合わないのよね…………けどまあ仕事は仕事」
麦野「手早く終わらせますか」
バシュゥゥーーーーーー!!!
原子崩しの光が職員用通路に繋がる分厚い扉を一瞬で消滅させる。特殊な金属製で厚さは30cmばかりになるがそんなことはお構いなしに、無意味に破壊する。
ビイイィィーーーーーーー!!
研究所に異常を示すサイレンがけたたましく鳴り響く。その音は当然監視室にいたスクールにも聞こえている。
垣根「さぁーて怖いお姉さん方のお出ましだ」
垣根「どれどれ…………第1搬入口からは一人で第2が二人。メインディッシュの第四位は職員用通路か……………………心理定規、お前は第2の敵に行け」
心理定規「わかったわ」
垣根「時間を稼ぐ程度でいい。どうせ第四位がやられたらすぐに引くだろ」
垣根「それに敵の一人は野郎だ。俺が言うのもなんだけど精々鬱憤を晴らしてこいよ♩」
心理定規「ふん…………まあいいわ」
ゴーグルの男「あの~……俺はどうすればいいっすか?」
垣根「お前も好きにやっていいぞ~」
ゴーグルの男「…………了解っす」
垣根「じゃあちゃちゃっとやるか!あーそれと君たち…………ないと思うが」
垣根「ヤバくなったら引けよ」
それまでどこか真剣味の欠けていた垣根の目つきが変わり、監視室に若干の緊張が走る。
――――――おちゃらけているが、学園都市に7人しかいない超能力者で、
垣根「俺たちにはやるべきこと、やらなければならないことがある。それを忘れるな」
――――――第二位で
心理・ゴーグルの男「「…………」」
――――――この学園都市暗部組織のリーダーなのだ。
―――――――――
――――――
―――
上条(すんなり進んでるな。…………思い過ごしだったか?)
上条「…………」タタッ
上条「なあまだ着かないのか?…………てかどっちだ??」
フレンダ「ちょっと待っててば。結局麦野からもらったデータをみれば…………あれ?これどれだっけ??」ウーン
上条(…………こうなると暇だな)
上条「…………」オシリミル
上条「…………どれ」モミ
フレンダ「あ、あったって訳………ひゃん!!??」
昨日の続きあげていきます(・ω・)
上条「…………」ジィー
喚いてるフレンダを無視し、通路の先を凝視している。
フレンダ「どうしたのよ?おじけづたの??」
フレンダ「結局こないのならこっちから行くってわけよ!!」
上条「……………お客さんだ」
フレンダ「!?」バッ
心理定規「あらあら。続けてくれて構わないのに♩まあそのままどっちかが減ってくれると助かるかしら」クスクス
心理定規「あ、でも彼は私の『恋人』だから死なれるのは困るかな」
――――――暗部の人間が何も仕掛けずにただ敵前に出るわけがない。彼女がわざわざ姿を見せた時、それはすなわちもう全てが終わっているということだ。
心理定規とは名前が表す通り、精神系の能力で、他人との心の距離感を定規を使うように自由に設定できる。
それは赤の他人を恋人にも兄弟にも、また親の仇にでも自由自在に操り、塗り替えることができる。
フレンダ「ハア??何言ってのあんた??」
だからこその今の発言。つまり上条は今心理定規の恋人ということに設定されている
上条「え、えええええぇぇっっっ!!??うそお!!!!…………マジかよ………でもいつ…………??」
心理定規「……………………」
心理定規「え!?」
…………つもりだった。
ごめんまずこっちから(・ω・)
フレンダ「なっっッっ!!??いきなり何するのよこの変態!!!!結局最近大人しくなったと思ったら………………私の魅力に耐えきれずとうとう本性を現したって訳ね!!」
上条「いや手持ち無沙汰でつい。今では反省している」モミモミ
フレンダ「ああぁああーーーー!!!!結局我慢ならないって訳よ!!もう[ピーーー]!コロシテヤル!!!!」
上条「尻ぐらいいいじゃねえか。別に減るもんじゃないだろ??」
上条「だいたいな~フレンダ………任務中とかいいながらなんだよその格好……。逆に俺を誘ってのか??」
フレンダの格好はミニスカートに膝上ソックスで絶対領域を形成している。
フレンダ「別に何着ようが勝手なわけよ!!それより死ぬ覚悟はできた!?麦野にはよくやったと伝えておくわ」
ぬいぐるみを持つ手に力が入り、臨戦体制に移る。
それに比べて上条のほうはというと…………
上条「…………」ジィー
喚いてるフレンダを無視し、通路の先を凝視している。
フレンダ「どうしたのよ?おじけづたの??」
フレンダ「結局こないのならこっちから行くってわけよ!!」
上条「……………お客さんだ」
フレンダ「!?」バッ
心理定規「あらあら。続けてくれて構わないのに♩まあそのままどっちかが減ってくれると助かるかしら」クスクス
心理定規「あ、でも彼は私の『恋人』だから死なれるのは困るかな」
――――――暗部の人間が何も仕掛けずにただ敵前に出るわけがない。彼女がわざわざ姿を見せた時、それはすなわちもう全てが終わっているということだ。
心理定規とは名前が表す通り、精神系の能力で、他人との心の距離感を定規を使うように自由に設定できる。
それは赤の他人を恋人にも兄弟にも、また親の仇にでも自由自在に操り、塗り替えることができる。
フレンダ「ハア??何言ってのあんた??」
だからこその今の発言。つまり上条は今心理定規の恋人ということに設定されている
上条「え、えええええぇぇっっっ!!??うそお!!!!…………マジかよ………でもいつ…………??」
心理定規「……………………」
心理定規「え!?」
…………つもりだった。
上条「…………いやでも……年下っぽいし…………少し派手かな…………」ボソボソ
心理定規(なんで??なんで能力が効いてないのよ!?おかしいわ!!特殊な防壁でもかけてるっていうの!?)
フレンダ「……あんた彼女いたの??というかあんな派手なのがタイプなんだ」ジトー
上条「俺は断然年上派だ!!!!それだけは確かだ!!…………だったんだ。…………ただいつの間彼女なんて…………??」
フレンダ「じゃあ麦野の貞操が危ないってわけよ…………あんた!!麦野に手を出したら許さないから!!!」ワナワナ
上条「もう乳は堪能させてもらった」キリッ
フレンダ「キイイィィーーーー!!」ギリギリ
上条「…………なあフレンダ??」
フレンダ「……あによ!?」
上条「あいつもしかしてそういう能力者なんじゃね?」
心理「ギクッ!?」
フレンダ「…………結局なんで自分でギクッなんて言っちゃうかねってわけ」
上条「ということは~♩」
フレンダ「結局敵って訳よ♩」
上条「うひょーイタズラしちゃうぞ~♩彼氏だからね~♩」
フレンダ「ボーナス、ボーナス!!♩」
心理定規「ちぃ!!」
心理定規(なんでかわからないけどこの男に能力は効かない!!…………なら!!)
上条「大丈夫、痛くしないか………グエッ!!??」
フレンダ「…………」
上条「いってぇ…………フレンダ……??……まさかさっきのことまだ根のに持ってのか?」
フレンダ「ダメ。友達を傷つけるな。そしてあなたは私の敵」
上条「あちゃー」
上条(やっぱり精神系か。…………関係性を自由に設定できるってとこか、汎用性が半端ないな)
上条(たぶん最初に俺を"恋人"役にしようとした………………けど効かなった)
上条「…………まあこの右手も大概だな」ボソ
心理定規「……あと二人でさっきの続きをしてちょうだい」
上条「ったく」ポリポリ
まず先に仕掛けたのはフレンダからでリュックに詰めていたお手製のぬいぐるみ爆弾を上条にむかって投げつける。
上条「おぉっと!」ドーーン!!
近づくには若干距離があったのですかさず通路の門に隠れてなんと爆発をやり過ごす。
上条(……ちとマズいか?距離がある上に通路ってのがな……おまけに敵の女も気になる……)
上条(うーん……)
フレンダ「次はこれ」
スカートの中から取り出したのはロケットの形をした爆弾だ。一体どこに入ってたのか……。
バシュゥゥウウゥーーー!!
ミサイルのように上条が隠れている角に向かっていく。
上条「!!」
上条「仕方ねえ!!」ダッ
上条が取った行動はそのまま前に突っ込むことだった。距離がある上に閉塞された空間での爆弾と正体がわからない敵。これだけでもう半分詰んだ状況だが………………
上条「フレンダおいて逃げたらお仕置きされちゃうからな!!」ヒョイヒョイ
近距離に使用するため爆薬の量は少なめだがそれでも当たればタダではすまない。それをくる場所がわかっているかのように紙一重で次々と躱していく。
心理定規「よく出てきたわね!……だけど!!」チャキ
小型の拳銃を取り出し上条に向け構える。フレンダもぬいぐるみに手をかけ続けて第二波の攻撃に移る。
まだ拳が届く距離ではない。だけどこのまま退いてもおそらくやられるだろうし、麦野にも怒られる…………。
それになによりフレンダにちょっかいを出していいのは俺だけだ!!
上条「レベル0の力を見してやるよ!!」
ダン!!ダンッ!!
放たれ弾丸を紙一重で右に避ける。
そのままの勢いで壁を垂直に蹴り、反対側の壁に斜めに向かって跳ぶ。
ちょうど三角形を描くように跳び、フレンダをやり過ごしそのまま心理定規の懐へ。
心理定規もすかさず銃を構え直すが、
まだ空にいる上条だが、まるで羽が生えているかのように軽やかに左足で心理定規の銃を持つ腕を蹴り、
入れ替えた右足で頭部に蹴りを浴びせ、心理定規の意識は途絶えることとなる。
上条「…………ふぅー」
上条当麻は高校生にしておそらく普通の人間が到達できる最高点にその手をかけようとしている。
しかし、それでも彼は決して満足はしないだろう 。
――――――インデックスを守るということは、これから一生負けることが決して許されない、そんな舞台に彼は己の意思で上がったのだ。
だから…………
上条「こんなとこで止まるわけにはいかないんだよ、……悪いな」
フレンダ「……ん ……あれ?あたし……?」ボー
上条「フレンダちゃん~大失態ですね~。まさか敵の手に落ちるなんて。暗部失格なんじゃないの??俺大変だったんだぜ………はあ」
フレンダ「…………え!?」ビクッ
上条「これでもし俺がいなくて、最悪アイテムの情報を敵に流したりなんてしてたら……………」
フレンダ「し、してたら…………!?」ダラダラ
上条「下半身とサ・ヨ・ナ・ラ………………だったかも」
フレンダ「ひぃ!!??」
決して体験したわけでも無いのにデジャヴュのように、いやそれ以上にまるで前世かトラウマかのように身の毛がよだつ…………
上条「ま、こうして無事なんだから結果オーライってとこで」
フレンダ「そ、そうよね!結局暗部は結果が命ってわけよ、タハハ」
上条「けど麦野黙っておくとなると、それはそれは大きな貸しになるな~…………」
上条「覚悟しておけよ」ニタァ
フレンダ「 」ダウー
上条「…………さてこっちは起きる面倒だし、縛ってその辺にでも置いとくか」
放心しているフレンダを無視して、リュックに入ってるガムテープで心理定規をぐるぐる巻きにして通路脇の消火栓に押し込む。
さらに出てこないように消火栓の扉もガムテープで固定する。
上条「おいしょっと!!……おいフレンダ!!行くぞ!」
フレンダ「…………は!ラジャーってわけよ」
ここまでです。
15巻もうだいぶ覚えてないので心理定規の能力とかよく把握してなかったりします(・ω・)
待っている人、支援してくれている人ありがとうございます。
必ず完結させるのしばしお待ちを。
申し訳ないです。
今書いてるので順次上げていきます。
ブゥーブゥー
不意にポケットの小型無線機が受信の合図を知らせてくる。
『………かみじょうっ、フレンダッ!!』
―――暗部に限らず戦闘組織は基本的に敵地においては傍受される恐れがあるので極力通信はしないのだが……
『たすけてっ!!』
…………まあ非常時は別の話だ。
普段滅多なことで声をあげたりしない滝壺が緊張感のある声でSOSを送ってきたのだ。
それも麦野と一緒に行動していたにもかかわらずだ。
『すぐ現在地をおくれ』
―――上条の対応は早かった。
『おねがいっ』
フレンダ「ちょ、滝壺!?何なのっわけよ??」
上条「……非常事態だよ、ルート変更だ。右に進んで職員通路に合流するぞ」
フレンダ「………うん」
上条「…………それと戦闘用意だ。相手は大物かもな」ダッ
フレンダ「結局ヤバいっ感じな訳よ」ダッ
上条「急ぐぞ」
上条(…………ここに入った時からいや~な感じがしたんだよな~……)
上条(はぁー……鬼がでるか蛇がでるか…………やっぱついてねえな…………)
本当に遅くなって申し訳ありません。
―――――――――
――――――
―――
・滝壺の通信から少し前のこと
麦野「このまま通路ごと奥の研究フロアごとブチ抜いていいかしら。もしかしてそっちのほうが早いんじゃない?♫」
滝壺「むぎの、かみじょうとフレンダに当たらない??」
麦野「まああの二人なら大丈夫でしょ♪」
なんと根拠も無い、と滝壺は思った。思っただけ。
ズバアァァアアァァーーーーーー!!!!!
特に気にする訳でもなく通路の先に向かって数条の原子崩しを放つ。
………………
………
…………しかしいつになってもいつもの爆発音が聞こえてこない。代わりにカツン、カツンと小気味の良い足音が聞こえてきた。
……カツン
「第四位は殺すなって話なんだけどさ、それってつまりは他のやつはどうしようが構わねえってコトだよな?」
麦野「…………」
滝壺「…………?」
…………カツン
「まあ俺のとこもそうなんだが、レベル5を抱えた組織はそこばかり注目がいく。アイテムもしかりだ」
麦野「…………」
カツン
徐々に足音が近づき、うっすらと暗がりの中から人影が見えてくる。
垣根「だが俺からすればアイテムの核心はそこじゃねえ」
垣根「"能力追跡(AIMストーカー)"」
滝壺「…………」
垣根「初めましてになるのか?」
垣根「てめえらと同じこの学園都市の闇を這いずり廻るドブネズミで、…………俺的には気に食わねえが一応第二位をやらせてもらってる」
「―――スクールの垣根帝督だ」
――――闇に蠢く学園都市暗部の中でも、とびきり最上級の大物がやってきた。
――曰く、スクールには関わるな。
――――曰く、垣根帝督に合うとういうことは死と同義である。
麦野「…………てめえが第二位の!?」
垣根「おう!あまりイケメンで驚いたか?」ケラケラ
麦野「………………ぬかせ!!」
垣根「あーあ下品な女ってやっぱないわな」
垣根「まあ今回用があるのはお前じゃなくてそっちの娘、…………滝壺理后だっけ?」
滝壺「……そうだけど」
いつもぽけ~としている滝壺も流石に警戒をしている。状況が状況だ。相手はあのスクールの垣根帝督、何が起こるかわからない。
麦野「…………」
麦野「…………滝壺逃げなさい」
麦野は庇うように滝壺の前に立つ。
滝壺「でも……」
麦野「いいから!!」
いつも自信たっぷりで、向かうところ敵なしの女王様、麦野沈利があきらかに焦っていた。
滝壺「……うん」
麦野「いい子」
けれどリーダーはリーダーだ。例え相手がどんなに強敵であっても、これ以上部下の前で情けない姿晒す訳にはいかない。
麦野「光栄に思いな。…………『アイテム』リーダー、麦野沈利があんたの相手をしてあげる」
垣根「部下思いで泣かせるね~。まあいい、遊んでやるよ第四位。少しは楽しませてくれよ」
――――超能力者同士の、残酷にも結果の分かりきった闘いが始まった。
―――――――――
――――――
―――
麦野「…………くッ!?」ハアハア
…………訳がわからなかった。
どうして急に身体動かすのがこんなにも辛いのかも、どうして呼吸が苦しくなったのかも、
………………どうして自分の原子崩しがまったく効かないのかも考えても解答を導きだすことができなかった。
垣根「おいおいどうしたんだよ??そんなヤワな攻撃じゃ俺は倒せねえぞ。」
麦野「…………うっさいわね!すぐにその粗末なモンと一緒にこんがり焼いてやるわよ」
バシューーー!!!!
…………苦し紛れに再度原子崩しを放つが垣根の顔前で跡形もなく消えてしまう。
垣根「おー怖い怖い」
垣根「…………けど諦めな。てめえの光は俺には絶対に届かねえよ。これが第二位と第四位の差、決して埋まることの無い、覆せることができない現実だ」
麦野「何を!?」
垣根「てめえ今、自分の息が上がっているのも、身体が動きづらいのも………………自分の能力が通用しないのも理解できるか?」
垣根「その気になればもうとっくに殺してるところだ……………けどよこっちもこっちでまだ上の連中に睨まれ訳にはいかねえんだ。しばらくは大人しく忠犬ポチをやんなきゃいけねえの」
垣根「…………まあそれ以外は好き勝手にやるがな。てーことだ今回はてめえの命は見逃しやる」
麦野「…………さっきから好き勝手言いやがって。一体誰が許しを請いた!?あぁ!?」
しかし麦野の罵声を無視し、冷たい声で垣根は言う。
垣根「…………ただし能力追跡の女はダメだ。ありゃあ厄介、ウザいなんてものを通り越して『脅威』でしかねえ」
―――第二位の超能力者がレベル5の原子崩しではなく、レベル4の能力追跡を脅威だと言った。
垣根「"書庫"で読んだ時からこいつはマズいと思ってた。……………………ほんと太陽系の果てまで追跡してくるとか流石の俺でも引くわ」
麦野「………………それで私がみすみす部下を見殺しにするとでも?」
垣根「まあ今の状況ならな。…………俺たちは暗部だ。使えるものは何でも使え。味方を裏切ってでも生にしがみつけ。わかっているはずだ?」
麦野「…………」
麦野「…………あの子はああ見えて優秀なの」
麦野「…………だから!!ハイそーですかと殺される訳にはいかねえんだよ!!」
咄嗟にポケットから薄い金属板を取り出す。
――――"拡散支援半導体(シリコンバーン)"
原子崩しに点ではなく面制圧効果を付与する代物で、麦野はこれを使い原子崩しを垣根ではなく、通路の天井に向け放つ。
ガガアアアア!!!!!
垣根「…………チッ、結局やることっていったら尻尾巻いて逃げることかよ」
崩落する瓦礫を未元物質で瞬時に分解しながら、残念そうにボヤく。
垣根「…………まあ無駄なんだけどな」
―――垣根は相手の能力、実力をその頭脳をして理解し、掌握していたかもしれない。しかしそれは『原子崩し』のことであって、決して『麦野沈利』のことではなかった。
麦野「誰が!!逃げるって!!??」
崩落してくる瓦礫の中、原子崩しを展開しなが麦野は垣根に向かい突っ込んできた。
………………きっと昔の私なら第二位に勝てないことをそれらしい理由をつけて逃げ出したはずだ。いやそれどころか自分のために平気な顔をして滝壺を差しだしたかも……。
垣根「!!??」
――――だけどどうにも"アイツ"の顔が浮かんじゃってね。
――――なんか、…………なんか知らないけど気が引けるのよ!!
麦野「はああぁぁあ!!!!」
真っ直ぐ最短距離で垣根へと迫る。一方の垣根は完全に虚をつかれた形で反応が遅れた。
垣根「ちぃ!!??」
掌に原子崩しを密集・安定させ、直接垣根に叩き付ける、いやこの場合削りとると言ったほうが正しいか。
麦野(これで!!!!)
反応が遅れた垣根の身体を左から薙ぎ払う。
ガガガァァアアア!!!!
勢い余ってに周りの壁ごと削ってしまい、また大きな砂埃があがり、辺りを砂塵が覆う。
麦野「ハア……ハア…………」
広範囲に原子崩しを展開して維持する、それも動きながらなんて今までやったこともなかった。
…………ほんと
…………一か八かなんて私らしくない
麦野「…………フウ~」
100%の確立の元、一切のミスも無しに任務をこなす。それが彼女の基本的なスタイルだ。
麦野(…………あー流石の私でも疲れたわ、クソ!!帰ったらとりあえずあいつをいじめてようかしら?)
麦野「まあこれであの腐れホストも終わりね」
垣根「…………だ~れが腐れホストだ!!」
砂塵が舞うなかに垣根帝督の声が響く。麦野もすかさず原子崩しを放つが効果はない。
麦野「…………しつこい男ね」
あの時たしかに手応えはあった。
垣根「はっ!あれくらいでこの俺が殺られるかよ!!」
麦野「…………」(どうして!?)
垣根「頭の上に疑問符が浮いてるぞ」ケラケラ
垣根「まあ教えてやらんでもないが…………」
垣根「…………お前はもう退場の時間だ」
ブゥンウウ!!!!
麦野「えっ?」
刹那、麦野の身体が凄まじいスピードで通路の壁に叩きつけられた。飛ばされるというよりまるで壁に吸い寄せられるように。
反応などできるはずもなく麦野はそのまま意識を失った。
垣根「これが俺の能力だ」
垣根「まあ聞こえてねーか。…………って少し遊びすぎたな、くそッ」
そう愚痴りながりも目標である能力追跡を追い始めた。もはや垣根の頭から麦野のことなどなくなっている。彼にとって第四位などその程度にしかすぎないのだ。
―――――――――
――――――
―――
上条「次どっちだ!?」
フレンダ「そこ右って訳よ!!」
上条とフレンダは走って滝壺から示された地点に向かっていた。しかしもう10分ほど走っているがまだ着かない。
フレンダ「ハア……ハア……」
上条「…………」
フレンダは決して体力が無い訳ではないのだが、上条にとって今はまさに足手まといに過ぎなかった。
上条「悪いがチンタラしてる暇はねえ!!」
上条「フレンダ、そいつを貸せ!お前はあとから来い!!」ダッ
携帯端末を奪い、まだ400mは離れているというのに全力疾走をして、フレンダを完全に置いていく。
フレンダ「ハア…………化け物って……ハア……訳よ…………」ポカン
上条「…………」(くそったれ!!間にあうか!!??)
―――――――――
――――――
―――
ザァーザァー
滝壺「…………」
滝壺「…………だめだ、全然麦野と連絡がつかない」
無機質で非情な機械音はいやでも最悪の結果を考えさせる。
滝壺「…………急がなきゃ」
―――『お前が目標だ』と垣根帝督はハッキリと言った。私を逃がすために闘ってくれた麦野に応えるためにも確実にここから逃げないと…………。
「あ?意外と早く追いついたな」
滝壺「え!?」
……どうして?…………麦野は??
続けて言いたかったのに言葉が出ない。それだけのプレッシャーがこの男から放たれている。気分一つで自分以外の全てを屠ることができる圧倒的な力をもつことを許された第二位。
垣根「なんだ?もしかしてあの第四位が俺を倒すとでも思ってたのか?……………だからこんなとこにまだいたのか?」
滝壺「違っ!」
垣根「ならさっさと逃げろよ、何してんだか」
滝壺「………………」
―――本当にその通りだ。
垣根「まあ俺としては仕事が早く片づくからいいんだがな」
―――甘えだ。闘ってくれた麦野と麦野に頼りのんびりしていた自分、そのツケがこれだ。
垣根「女をいたぶる趣味はねえ。一撃で終わらせてやるから安心しろ」
―――もう後はないんだ。やるしかないんだ。
…………滝壺のお気に入りのピンクジャージのポケットにはいつも決まったものが入っている。
それはキャンディやチョコレートなどの可愛いお菓子の類ではない、
―――"能力体結晶"、滝壺は体晶と呼んでいる、能力追跡という能力を使用するのに不可欠な劇薬
滝壺はそれを取り出し、すかさず口に含んだ。ここまでは任務でもたまにあることだった。体晶を使うのだっても慣れていない訳ではなかった。
…………ただ今日はケースに入ってる量全てを飲んだ、それだけがいつもと違っていた。
滝壺「…………クッ」
垣根「なんだなんだ♫奥の手や切り札があるなら早く出せよ。死んだら全部パーだからな」ニヤニヤ
その笑みにはまあお前が何をしても俺には通用しない、無駄だけどな、そんなニュアンスが含まれいるのだろう。
滝壺「…………」
それでも滝壺はやるしかなかった。
そんな彼女の覚悟を表すかのように言葉通り目が光始める。
垣根「おーおー派手な演出だな」
滝壺「…………眼前の対象のAIM拡散力場の検策完了まで残り時間5秒、4、3、2、1、……終了。続けて対象の能力の逆算・掌握を開始します」
垣根「…………へえ」
垣根「俺を……未元物質を乗っとろうってか!?いいじゃねえか!!こいよ!!」
滝壺は自身の能力である"能力追跡"を応用・発展させ相手つまり垣根の"未元物質"に干渉しようとしている。
そのためにあるだけ全ての体晶を摂取したのだ。
滝壺「うぐぅ……!?…………ぐうぅう!!!」
しかしそれは諸刃の剣のようなもの。そもそも"能力体結晶"とは服用者を意図的に暴走状態するものであり、たまたま滝壺は使用することでその能力をアクティブにできるが、いずれは避けられない崩壊が待っている。
垣根「!!??」ガクン
一方の垣根は自分に起きたことが理解できなかった。いや理解はできた、しかし納得したくなかった。
垣根「……この俺が…………膝を??」
滝壺「あなたの…………能力を暴走…………させる…………ぐううぅう!!!」
―――崩壊?そんなこと百も承知だ。自分にはここしか、この広く荒涼した学園都市においてアイテムしか居場所が無い。
―――それに最近になってからは上条のおかげでアイテムも、私も前よりだいぶ明るくなった気がする。
垣根「この…………くそアマァ…………!!」
こいつほんとに俺の未元物質を掌握するつもりか!?クソッタレがあぁ!!脳が頭蓋を飛び出してきそうに頭が痛え!!
―――あーー!!痛え!!!!
………………痛えけどなんでこんなに楽しいんだ??
やけヤバイってのに心がウキウキしてやがる。
滝壺「………………うぅうぅぅぅ!!!!」
恐らくは滝壺理后は『8人目』たりえた人物だったのだろう。それが薬物の力を借りることなく、まだ今よりはマシな環境で開発を行っていたらきっと…………。
垣根「があぁぁあああああ!!!!!!」
痛いのが気持ちいいのかわからないが、現状垣根はなす術がなかった。レベル5、第二位という能力が強力すぎるが故に、あっさりといともたやすく掌握されてしまった。
しかし…………しかしだ、この少年にとってはそんなことは重要で無かった。
―――無力、弱い、敗北、後悔、油断、過信etc
―――本当に俺がやられる!!??
―――こんなヤツに、こんなとこで!!??
―――まだ何も成してねえのに………………
―――まだムカつく第一位も、アレイスターのクソ野郎もブチのめしてねえのに………………
―――…………ふざけるな……、……「……ふざけんじゃねえぇえぇええ!!!!」
負けられないのは垣根も同じだ。…………いや学園都市で負けるということが最も嫌いなのはこの少年なのだ。
―――これは俺の不始末だ!!
―――舐めていた!侮っていた!!驕っていた!!!
垣根「はああぁぁぁああ!!!!!」
―――やることは一つ!!!!
―――ヤツが掌握しきない、処理が追いつかないレベルまで能力を、脳を使ってやる!!!!
垣根「……根……くら……ぎぎぃ!!…べとい……こうか…………があ!!…………へへ」
こんな時、いや自分をここまで追い込んだ敵に出会えたこと、これからそれを打破しようとする自分、こういう状況だからこそ笑っているのだ。
―――負けるのが嫌いというのは裏返せば勝負事が好きなのかもしれない。
上条当麻は生きるために、巨大な何かに押しつぶされないように強くなった、強くならざる得なかった。
垣根帝督は負けないために、自分以外の全てから押しつけられたくないから強くなった、強くなりたかった。
―――強さの理由が外か内かで、両者の違いはそんなに無いのかもしれない。
垣根「…………ま……だ…………まだーーーーーーー!!!!!!」
さらに能力を加速させて未元物質を発動させる。お互い気付かぬうちに垣根の背中からは6枚の翼が生えている。そしてそのどれもが不気味なほどに白い
垣根は一気に勝負を仕掛けつもりでいた。一歩間違えばどうなるにか想像もできない。
滝壺「…………ぎぎぃ!!…………あああああああああ!!!!!」
糸の切れたマリオネットというのを観たことは無いが、今滝壺に起きたことを表すならこの言葉がピッタリなのだろう。
どさっと冷たいコンクートの地面へとかえっていく。勝負は垣根の勝ちだ。
垣根「ハア…………ガア…………ハア……」
滝壺「……ううぅぅうう………………!!」ギロ
垣根「…ハア………」
垣根「…………フウー」(力尽きて、余力もなし。切り札も無いっていうのになんて根性だ、まだやる気か!?)
垣根「すげよ、ほんとすげえ。…………どこにそんあな力があるんだよ」
それは心からの、生まれ初めての他者への賞賛だった。この街で初めて敗北を意識させられた。
垣根「…………まさかここまで追い込まれるとはな。………………ここにきていい勉強になった」
その相手が格下の、しかも女とくればなおのことだ。敵に対してこんな気持ちになるのは初めての経験だった。
垣根「ありがとう、そして…………さよならだ。お詫びと言っちゃあなんだが綺麗な身体のままで終わらせてやるよ」
白い6枚の翼が生やしている垣根はまるで天使ようだが、今の滝壺には悪魔か死神にしか見えない。
滝壺「…………くっ!!」
―――…………ああ、だめだった。だめだったよ。
―――ごめんね麦野、ちゃんと逃げれなくて。
6枚の翼の内1枚がゆっくりと滝壺に迫ってくる。その翼はそっと優しい触れるだけで人間なんて簡単に殺せしまう、そんな雰囲気を醸しだしている。
ズバァアアァ!!!!
しかし翼が滝壺に触れようとした瞬間、ネオンのような青白い光の筋がその翼を破壊した。
歓喜の滝壺と呆れた垣根、声に出さずともこれが誰のせいなのかわかっていた。
垣根「…………大人しく寝とけよな。せっかく映画のワンシーンのような感じだったのに、ったく」ポリポリ
光の発信源に背を向けながら垣根は少し残念そうに愚痴る。
麦野「…………生憎リーダーってのはそう簡単にやられる訳にはいかないの、特に暗部組織の、アイテムのリーダーはね」
まだ強がりを言える余裕はあるのかもしれないが、しかし麦野はまだダメージが抜けておらず足元がおぼつかない。
滝壺「麦野ぉ……」
麦野「…………そんなにボロボロになるまで頑張ってちゃって。………………らしくないわねあんたも私も」
垣根「…………」
垣根「よーしわかった。…………もう上層部も命令も知ったことか!!そんなに仲よしこよしならまとめて殺してやるよ!!」
声と同時に6枚の翼が全て大きく開かれ、半分は麦野に、半分は滝壺へと向かう。
麦野「ちぃ!!」
バシュウウゥウ!!!
即座に原子崩しで応射をするも、全く手応えがない。
―――これか!さっき私の原子崩しを無効化してたのは!!
あと3から4mというところまで翼が迫ってきた。滝壺も麦野もこれ以上身体が動かず逃げることもできない。
まさに万事休す。
―――しかしだ!とびきり可愛い、それも目をつけいた女の子がピンチとなればあいつがやってこない訳がない!!
通路の分厚い非常用退避扉を蹴破り、
凄まじい、それこそ人間離れしたスピードで麦野を追い越し、
反応した垣根の翼を容易くくぐり抜けた男が一人。
―――上条当麻"レベル0"が垣根帝督"レベル5"の前に立つ
今回ここまでです。おまたせしてすいませんでした。決してモチベーションが下がったとかではなく、仕事が忙しく......
次回は上条さんと垣根くんとのガチバトルです。
遅くなるかもしれませんが来年もよろしくお願いします!
このSSまとめへのコメント
続きはよー!!!
もうヤバイぞ、まだか?
上条(悪)のパクリやがな…似すぎて笑えない
パクリだが面白い
まだなの?
まだぁ?