上条「無限に続く世界の果てに」 (83)

新約9巻のif
原作のような超絶メンタルではない

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魔神オティヌスはその強大な力で何度も世界を塗り替えた。俺を死へと追い込むために。
一体どれほど繰り返したのか、なんてのはもう覚えてなどいなかった。俺は一介の平凡な高校生であり、これほどの絶望に何度
もさらされてまだ平気でいられるほど強いわけじゃない。
現に、俺の心は壊れかかっていた。いや、すでにもう壊れているのかもしれない。そこらへんの判断もままならなかった。


今俺が立ち尽くしているのも、オティヌスが塗り替えた世界だ。一体どんな世界なのかを考えるのが怖くて無意識の内に心の隅
に追いやった。
とりあえず周りを見渡す。見たところ、ここは俺の見知った学園都市だ。変わっているところは特にない。
ここでじっと立ち尽くしていたところで、俺が望んでいる元の世界へと帰れるわけでも、オティヌスが諦めてくれるわけでもな
い。俺はふらふらと歩きだした。とりあえず自分の住んでいる、いや、住んでいるはずの学生寮へと向かった。
すると、どこからともなくオティヌスが目の前に現れた。もう何度も体験しているためさすがにこの程度では驚いたりしない。


オティヌス「ふん、相当参っているようだな」

上条「……」

オティヌス「所詮お前の覚悟なんてこんなものだったんだ。この程度で挫かれるほどの覚悟だったんだよ」

上条「……」

オティヌス「なぁ、今何回目の世界か覚えているか?」

上条「……」


オティヌスは嘲るように尋ねてきたが、正直今の俺にとって回数なんてどうでもいいことだ。なぜなら、俺の目的はただ一つ。


それは…………



なんだっけ……?


俺はどうしてこんな地獄を必死で耐えてるんだっけ……ああ、そうだ。『元の世界』へと帰るためだった……



上条「……さっさと家に行ってみよう……」フラフラ



オティヌス「……………」


オティヌス「お前は……この世界で限界かもな。『幸せな世界』を見せるまでも無い……」


オティヌス「所詮、人間なんてこんなものか……」


オティヌスが背後で何かを呟いていた気がしたが、内容は聞き取れなかった。ただ、何故か酷く暗くて悲痛な声だった。それが
どうしてか、なんてのを考える余裕なんて今の俺にはあるはずもなかった。


上条(…さて、この世界は一体どんなものなのか……)


この世界に来てようやく考える余裕が出来た。辺りを見回しても特にこれといったものは無い。一体これから何が起こるのか
想像もつかない状況だ。


上条(どんなことが起きようとも、俺の目的は…………えっと、そうだ。元の世界に戻ることだ……)


俺は朦朧とする意識の中でそう言い聞かせた。こうでもしないと、膨大な数の世界を体験していく中で自分の目的を忘れてしま

いそうなのだ。実際、今の俺は時々自分がなんでこんな目に合っているのか分からなくなってしまう時がある。今のところはな

んとか思い出すことが出来ているが、いつまで持つかどうか……。


俯き加減にふらふらと道を歩いていると、前方から軽快な足音が聞こえてきた。
ふと顔を上げてみると、白い修道服を着たシスターが俺に向かって駆け寄ってきているのが見えた。


上条(い、インデックス……)ドクン


全身から嫌な汗が噴き出す。長い長い地獄での体験のせいで、知人を見ただけで拒否反応を示すようになってしまった。
今まで俺が味わってきた地獄の世界では、決まって知人からは冷たく扱われたりすることが多かった。
もはや俺は、知り合いにたいして恐怖の感情しか抱いていないのかもしれない。


鼓動が加速する。呼吸が荒くなる。身体が震える。


上条(く、来るな……来ないでくれ……)ガクガク


だが俺の願いとは裏腹にインデックスは無邪気な表情でどんどん近づいてきた。インデックスから逃げたくても足が震えで動か
ず逃げることが出来ない。そしてついにインデックスは俺の目の前まで来てしまった。


禁書「とうまー!」


上条「ひっ!!」ビクッ


禁書「どうしたの?そんなに震えて。お腹が痛いの?」


上条「………え?」


なんだ……?


なぜこいつは俺を心配してくれてるんだ?


なぜこいつは俺を傷付けようとしないんだ?


なぜこいつは俺に優しくしてくれるんだ?


ありえないことだった。オティヌスの用意した世界では、『俺』に対して優しいインデックスなんて見たことが無かったからだ
。いや、最初は優しい時もあったが、そういう時は決まって後から凶暴で残忍な本性をむき出す事が大半だった。それはインデ
ックスに限った話ではなく、知人全員に言えることであった。


上条「……お、俺を……」


禁書「どうしたのとうま。調子が悪いのなら安静にしてなきゃダメなんだよ?」


上条「あ……その……ごめん……」


俺は今だに警戒心を解けないでいた。でも、信じたい、信じさせてほしいという気持ちも湧いてきた。
このインデックスはもしかしたら、俺の知っているインデックスなのか……?


禁書「さぁ、家に帰ろうとうま」


インデックスが俺の手を取って元来た道へと歩き出す。その小さな手はとても温かくて優しい。


上条「………ここは、俺の知っている世界なのか………?」


思わずそう呟いた。このインデックスは今まで体験してきたどんな世界のインデックスよりも優しい。もしかしてここは俺が元
々居た世界なのではないかという考えが浮かんだ。


禁書「ん?何か言った?とうま」


上条「いや……なんでもないよ、インデックス」




オティヌス「……………」


ここが本当に元の世界かはまだ確証が持てないが、俺の手を握るインデックスの温もりがガチガチに固まった警戒心を溶か
していくのが自分でも分かった。


禁書「まったく、調子が悪い時はちゃんと言って欲しいんだよ」


上条「あ、ああ、悪い」


御坂「あれ?アンタ達、こんなところで何してんの?」


上条「み、御坂……」ビクッ


俺は知人との再会にまたも恐怖を抱いた。そのせいで足がすくむ。だが、御坂美琴は俺に嫌悪感を一切示すことなく心配そうな
表情で尋ねてきた。


御坂「ちょっと…アンタ顔色が悪いわよ。どうかしたの?」


こいつもインデックスと同じように本気で俺のことを心配してくれてるのがすぐに分かった。俺は警戒心を幾分か和らげる。


禁書「とうまは調子が悪いみたいだから早くおうちで休まなくちゃいけないんだよ」


御坂「え!?大丈夫なの!?」


上条「あ、ああ……大丈夫だ」


御坂「本当に大丈夫なんでしょうね!?病院に行った方がいいんじゃないの?」


上条「い、いや、いいって……」


御坂「そう?困ったことがあったらなんでも言いなさいよね。この娘だけじゃ不安だし」


禁書「むー!酷いんだよー!」プンスカ


御坂「それじゃあねー!身体に気を付けなさいよー!」


上条「お、おう」


……あの御坂は何も悪い事なんて考えていない。100%の善意で言ってくれていたことはすぐに分かった。やはり、ここは俺がずっと求めていた世界なのか…?


そうして俺達二人は無事に学生寮に着いた。玄関の扉を開き、ゆっくりと部屋全体を見回す。俺が元いた世界と何一つ変わらない、正真正銘俺の部屋だ。


禁書「とうま、調子が悪い時は外に遊びにいっちゃダメなんだよ」


インデックスは穏やかな口調で俺を諭す。この世界が元いた世界かはまだ分からない。でもこのインデックスはまぎれもなく俺の知っているインデックスだ。俺が元いた世界と同じインデックスなんだ――。


禁書「う~ん…お薬あったかなぁ…それともやっぱり病院に行った方が…」ゴソゴソ



ぎゅっ



禁書「っ!?////と、とうま!?////」



俺は思わずインデックスを後ろから抱きしめていた。久しぶりに本当のインデックスに会えたのだ。嬉しくないわけがない。
今までの孤独と苦しみから解放された気がして、涙が頬を伝って落ちた。


上条「イン……デックス………」ポロポロ



上条「ただいま……」ギュッ



禁書「………うん。おかえり…」





オティヌス「………」

とりあえず終わり
深夜にまた来るかも

投下します


夜が明け、俺はパチリと目を開いて起き上がる。そうして自分の体をくまなくまさぐってみるが、腹から血が出ているわけでもどこかの骨が砕けているわけでもなかった。


上条(この世界に来てからまだ一度も酷い目に合ってない……やっぱりこの世界は、俺が元いた世界なのかも)


とりあえずインデックスを起こしに行った。スヤスヤと眠っているインデックスを見て思わず笑みがこぼれる。


上条(そういえば……純粋に笑ったのって……いつ以来だろう?)


途方もない地獄を味わってきたせいで最後に笑ったのがいつかもう思い出すことは難しかった。でも、今はこうして笑えている。すべてインデックスのおかげだ。


いろいろ思いに耽っているとインデックスがもぞもぞと動き始めた。


禁書「う~ん……おはようとうま」ムニャムニャ


上条「ああ、おはようインデックス」


禁書「うう……眠い…お腹減った……」


上条「ははは、相変わらずだなぁお前は」


禁書「え?相変わらずってどういうこと?」


上条「あ、いいや…なんでもないんだ。気にすんな」


禁書「ふーん?まぁいいんだよ」


俺はその時妙に違和感を感じた。
インデックスの追及があまりにも軽すぎる気がする……
いつものあいつなら「なんでもって何ー?」くらいは聞いてきそうなものだが…気を使ってくれたのだろうか?


とにかく気を取り直して、インデックスに笑いながら声を掛けた。


上条「ほらインデックス。早く顔を洗って着替えろよー朝飯にすんぞー」


禁書「はーい」トテトテ


インデックスを軽く見送った後、俺はキッチンで朝食の用意を始めた。色々ごそごそしていると、顔を洗い終わったインデックスがキッチンまで駆け寄ってきた。一体何をしに来たんだろうと不思議に思っていると、次の瞬間、インデックスは驚愕の一言を放った。



禁書「今日は何を手伝えばいいの?」ニコッ


一瞬、思考が停止した――


上条「もう一度、言ってくれないか?インデックス」


違う。インデックスがそんなことを言うはずがない。俺の知っているあいつはそんなことは言わない。きっと聞き間違えたんだ。


禁書「今日は何を手伝えばいいの?」キョトン


聞き間違いなどではなかった。自身の中で先程感じた違和感がどんどん濃くなっていくのを確かに感じる。
これは、到底無視できるようなものではないことだということを長年の勘が言っている。


上条(そうだ……思い出せ…!昨日の御坂は、今思えば俺の知っている御坂美琴じゃなかった!!)


昨日の御坂との会話を思い出す。俺の体調についてオーバーと思えるほど心配しており、何度も気遣ってきた。


上条(あいつはあんなに過保護な奴じゃなかったはずだ!そして『この』インデックスも、普段のアイツなら絶対に言わないようなことを言っている……)


俺はいても立ってもいられなくなり、玄関の扉を乱暴に開けて外へと飛び出した。後ろからインデックスの声が聞こえたが構わず全力で走った。


上条「はぁ…はぁ…はぁ…」ダダダ


とにかくがむしゃらに走っていると、俺のことを呼び止める白い人影が前に現れる。


一方「オイ、どうしたンだ三下。そンな薄着で走ってたら風邪ひくぞォ」



一方通行―――?いや…



上条「違う…!!!」


一方「あァ?」キョトン


上条「お前、そんなんじゃないだろ!!!」


上条「お前は、本当のお前は、そんなんじゃなかった!!!こんな、こんなの、おかしいだろうがっ!!!!」


オティヌス「何がおかしい」


いつのまにかオティヌスが俺の背中にぴったりと寄り添う形で立っていた。そして、悪意のこもった声でこう呟く。


オティヌス「本当のお前はそんなんじゃなかった、だと?何をほざいている。アイツはまぎれもなく本物だ。お前は自分が世界の中心にでも立っているつもりか?お前の知らない側面を見たからと言って偽物扱いするな」


上条「黙れぇぇ!!!!」ブンッ


振り向きざまに殴り掛かったが、オティヌスはすでに俺の背後から消えてしまっていた。
我に返って正面を向くと、目を見開いて驚いている一方通行の顔があった。


一方「い、一体どうしちまったンだ?」


この一方通行もまた、インデックスや御坂と同じように本気で俺を心配してくれているのが分かった。分かってしまった。


上条「……っ!!ちくしょう!!!」ダッ


一方「オ、オイ!三下ァ!!」


上条「くそっ!!くそっ!!くそぉっ!!!」


上条「何が本当の世界だ!!!何が俺の知っている世界だ!!!馬鹿か俺は!!」


思いつく限りの悪態をつきながら俺はひたすらに走った。走ったところで何がどう変わるわけでもないというのに。


さすがに走り疲れ、ぜぇぜぇと喘いでいると常盤台中学の制服を着たツインテールの女の子が俺に声を掛けてきた。


黒子「あら、上条さんじゃありませんの?どうなさったんですかそんなに汗だくになって」


上条「げほっ…はぁっ…白井……」


白井は他の奴らと同じく俺に何の嫌悪感も示さずにスタスタと近寄ってハンカチで額の汗をせっせと拭い始めた。


黒子「汗をかいたまま放っておくと風邪を引いてしまいますわよ?」


言葉が出なかった。白井黒子という女の子は、決して俺にこんなことをする人ではなかった。そのはずだった。


黒子「もしや、誰かに追われているんですの?でしたらジャッジメントにお任せを…」


上条「いや…違うんだ……そうじゃないんだ……」


俺は独り言のように呟きながら立ち上がる。そして無理矢理笑顔を作って白井に嘘を吐いた。


上条「ただの体力づくりなんだ。心配かけて悪かったな」


黒子「あら、そうでしたの?もう、あまり心配させないでくださいな」


上条「…………ああ。ありがとう。じゃ…」


黒子「お気を付けて」

俺は白井に背を向け、再び走り出した。


上条(白井も……違う!!!)ギリッ


それからも様々な人に出会った。
土御門、吹寄、姫神、青髪ピアス。何故か学園都市にいるステイルに神裂、レッサーやバードウェイ、神の右席にグレムリン。
その誰もが例外なく、汗だくの俺に優しく声を掛け、優しく微笑み、体調を心配してきた。


上条(違う!違う!!違う!!!)


上条(何だよこの世界は!!何なんだよ!!)

また明日

投下します


上条「はぁっ……はぁっ…」


走りつかれた俺は歩道にぐったりと座り込み、荒々しく呼吸を繰り返していた。
もう日は落ち始めており、周りには俺以外の誰もいない。


オティヌス「よお、体力作りご苦労だな」


道路を挟んだ向こう側の歩道に、俺と向き合うようにして現れた魔神オティヌスは、いやらしく笑みを浮かべながらそう言った。


上条「オティヌス……テメェ…」


オティヌス「随分とご立腹だな。そうカッカするな」


上条「ふざけてんじゃねぞ!!なんだこの世界は!!」


オティヌス「とっくに気付いてるんじゃないのか?お前なら、もうこの世界がどんな世界か分かっているはずだ」


オティヌス「言ってみろ、お前自身の口から。この世界がどんな世界なのか。答えはもう出ているはずだ」


俺は、そんなオティヌスの目をじっと見つめた。その目は何故か哀れみに満ちていて、まるで俺の苦しみを全て知っていると言
わんばかりの表情だった。コイツは一体なぜこんな表情をしているのか、今の俺には知る由もない。


上条「この世界は……」


上条「俺に……上条当麻に優しい世界……」


オティヌス「………そうだ。この世界は、上条当麻という存在に異常なまでに優しい世界」


オティヌス「お前を助けるためなら、お前のお仲間は何でもするだろうさ。何でもな」


オティヌス「お前のような人種にとっては……ここは……今までで一番の地獄だろう」


オティヌス「十分堪能してくれよ?」


無表情のまま、オティヌスはパッと消えた。
俺は呆然と呟く。


上条「堪能……だって?」


立ち尽くしていると、前方からギャリリ!!という嫌な音が響いた。
この音は一体――?
恐る恐る顔を上げて確認してみると、一台の車が歩道にいる俺に猛スピードで突っ込んできているのが見えた。
眠っているのかペダルを踏み外したのかは分からないが、このままでは激突してしまう。


上条(でもまだ距離はある!走れば避けられる――!!)


そう、まだ時間には余裕があった。今から全力で走れば避けられる自信がある。
だが、


ガクン


上条(やば…!!足が絡まって……!!)


極度の精神的疲労と肉体的疲労が重なったせいで足が絡まり、見事にずっこけてしまう。急いで体勢を立て直して走り出すが、
すでにもう―――




「とうまっ!!!」





ドン!!





上条「え」




突き飛ばされた、と理解出来たのは、辺り一帯に耳をふさぎたくなるような音が響いた後だった―――


俺はこれでもかと目を見開いたまま、頬に飛び散った血を右手で触れた。
そして、その血の持ち主を、ぐったりと横たわる小さな女の子を確かに見た。


上条「あ…ああ………」



なんで……なんで……なんで!!!!



上条「インデックスぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」



俺が一番守りたかった少女が、俺を守ったせいで血塗れになっている今の現実があまりにも受け入れがたくて、ただただ絶叫した。


禁書「う……あ……」


上条「インデックス!!大丈夫かインデックス!!ちくしょう、今すぐ病院に連れてってやるからな!!」


インデックスの血まみれの手を握って必死に呼びかける。出血量が半端ではなく、まだ生きていることが不思議なくらいだった。


禁書「とうま……」


上条「インデックス、喋っちゃダメだ!!」


禁書「ううん……言わせて…」


禁書「とうまを守れて良かった…」


上条「…え……?」


この状況で……こいつは……何を言っているんだ……?


禁書「とうまが死ぬのだけは……絶対にダメなんだよ………」


禁書「とうまが死んじゃうくらいなら……私の命なんて惜しくない……」



その声は。


その言葉は。


その笑顔は。


俺の何かを狂わせた。



禁書「さようならとうま……今までいっぱい迷惑かけて…ごめんね………」



聞きたくもない謝罪の言葉を告げたきり、インデックスはピクリとも動かなくなった。


俺は目をカッと大きく見開いたままその場を動くことが出来なかった。
するとその静寂を打ち破るように二人の魔術師がこちらに向かって駆け寄ってきた。


ステイル「どうした!?」


神裂「大丈夫ですか!?上条当麻!」


上条「す、ステイル!神裂!!大変なんだ!インデックスが、インデックスがっ!!」


上条「俺を、俺なんかを助けるために……!!!」


激しく取り乱す俺をよそに二人は冷静にインデックスの脈をとり、静かに首を振った。


ステイル「これはもうダメだね。この子も君を守ることができて本望だったと思うよ」


神裂「ええ。それにしても良かった。あなたが無事で」


上条「………なに……を……?」


この二人が、インデックスの死に対してあまりにも軽すぎる。歪んでいる。こんなのは絶対に歪んでいる!!


ステイル「この子の処理は僕たちがしておくよ」


神裂「あなたはどうやらかなり疲れているようですから、早く家に帰ってゆっくり休んで下さい」


上条「何を言っているのか……分かってんのかよ……」


上条「なぁ……ステイル……」


上条「なぁ……神裂……」


神裂「……?何かおかしいことを言ったでしょうか?」


ステイル「どうした?そんなに恐い顔をして」





この二人の、俺の言っていることが心底分からないというような表情を見た瞬間。







俺の中で、何かが壊れた。






上条「……あは」



上条「あはははははっ!!!!はははっ!!あははははっ!!!」



上条「あはっ……あひゃひゃひゃっ……あひゃっ……」フラフラ



神裂「か、上条当麻?どうしたのですか?」


ステイル「お、おい。ちゃんと家に帰るんだぞ?」



上条「ぐひっ……ぐひゃひゃ……あひゃ…」フラフラ



上条「あひゃひゃ…ぎひひひひ……うひゃひゃ」



上条「おーい、インデックスー……インデックスー……どこにいるんだー」フラフラ



上条「もう晩飯の時間だぞー……ぎゃひゃひゃひっ……」



上条「インデックスー……どこ……だ……」ポロポロ



上条「あは……はははははは……あははははははは!!!!」



オティヌス「…………」



オティヌス「この程度だったか」



オティヌス「私は、一体あの男に何を期待していたんだろうな」



オティヌス「……いや、もうすべて過ぎたことか」



オティヌス「元の世界に戻っても、私が求めているものは見つからないことはもう分かっている。だから…」



オティヌス「私は進む。『次の世界に』」




END

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