幽々子「吉影様、夜風が気持ちいいですね」(748)
私の名前は『吉良吉影』 いつ・・・なぜ私が死んだのかはどうしても思い出せない。
ひとつだけ言えることは、自分は決して天国へは行けないだろうという実感があるだけだ。
これからどうするのか?それもわからない・・・
永遠に時が続くというのなら、「仕事」を「生きがい」にしておけば幸福になれるかもしれない。
今夜はどこで休もうか・・・
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前に禁書クロス書いてた人?
吉良「……分かった。今からそちらに向かう」
幽々子「妖夢~!お酒を持って来てちょうだ~い!」
妖夢「またですか!?飲み過ぎですよ幽々子様!」
幽々子「夜風が気持ちいいんだもの」
吉良「…………」
幽々子「あ、吉影様、何をボーッとしてるの?こちらに来て、お酌して」
吉良「あ、ああ……」
>>2
?
妖夢「もー、吉良さんのせいですからね」
吉良「……すまない」
妖夢「はい、どうぞ」
幽々子「ありがとう。妖夢。お酌は吉影様にしてもらうから」
妖夢「分かりました。吉良さんも、嫌なら嫌と言えばいいのですよ?」
吉良「……いや、やらせていただこう」
あの日、尼と別れた後、人が寄り付かなさそうな場所で休憩をしていると、突然凄まじい眠気が私を襲った。
そしてどういうわけか、この白玉楼というらしい屋敷の一室で目を覚ました。
今はこの屋敷の主人、幽々子様の下で庭師見習いをしている。
妖夢「どうぞ」
吉良「ふむ……、ありがとう」
妖夢「粗茶ですが」
幽々子「あらー?妖夢、珍しいわね」
妖夢「何がですか?」
幽々子「だって初めて吉影様が来た時、殺そうとしてたじゃない」
妖夢「あ、あれは、吉良さんが突然襲いかかってきたから……。今はもう、敵ではないって分かった事ですし」
幽々子「なーに言ってるのよ妖夢、吉影様、まだ私達を消す気マンマンって感じじゃない」
吉良「…………」
妖夢「な!?」
~~~~~~~~~~~~~
??「うわああああ!」
永琳「まったくうどんげ……随分うるさいもの拾って来たじゃない……?」
うどんげ「すいません師匠ー!」
??「くるな!今度はどうやって俺を[ピーーー]つもりなんだ!?」
永琳「物騒なこと言わないでちょうだい!私は一応医者よ!?[ピーーー]にしてもそするつもりならとっくに殺してるわよ!」
うどんげ「師匠がキレた……」
ああ、サゲだっけか
どうやるんだっけかな
~~~~~~~~~~~~
??「素晴らしい館だ……。ここは今日から私がもらおう……。おい小娘、そこの肉界を片付けておけ。ギリギリ生かしておいてある。曲がりなりにも同族だからな……」
妖精「あ、ああ……」
レミリア「」
咲夜「」
妖精「う、うう……」
~~~~~~~~~~
また億泰のやつを殴りやがったな……
クズめ!
形兆「はあ!」
魔翌理沙「おわ!あぶな!」
形兆「はぁ……はぁ……」
魔翌理沙「ようやくおきたぜこいつ。随分うなされてたようだけど。大丈夫か?」
形兆「…………」
>>10
E-mail欄に「sage」と入力すればおk。
これはボス総出演か?期待
あと「saga」と入れれば表現規制の解除が可能 (例)魔翌翌翌理沙→魔翌理沙
「sage saga」と入力すれば併用も可能
形兆「ここは……」
魔翌理沙「私の家だぜ」
形兆「俺は……」
魔翌理沙「ん……あー、家のまえに倒れてた。放っておくことも出来ないから看病させて貰ったんだぜ」
形兆「それは……すまなかった……」
魔翌理沙「お安い御用だぜ!」
>>13
ありがとうございます
スマン、ミスった
実際の「sage」「saga」併用はこのようになる
(例)魔翌理沙→魔理沙
あの日、グズな弟を庇って殺されたのは覚えている。
それから目覚めると、何故か小屋のように狭い部屋の少し大きめなベットの上で寝ていた。
傍にいたのは眼下が青く染まっている目を真っ赤に晴らして元気に喋る少女。
魔理沙「私は霧雨魔理沙!よろしく!」
形兆「虹村形兆だ……」
魔理沙「けーちょー?変な名前だな!よろしくなけーちょー!あはは!」
最近ジョジョSS増えたな…
まったく…
もっとやれ!
ごめん、「saga」だけでも効果はあるよ
てか>>1が本筋を投稿する際は「sage」入れない方がいい
言葉足らずで本当に済まない
それとSSwikiの「SS作者向けのガイド」の所に大体のガイドラインは載っている
>>19
激しく同意。>>1頑張って下さい
形兆「ずっと……?」
魔翌理沙「あはは、まあな!」
形兆「貴様はどこで……」
魔翌理沙「どっかそのへんだ!」
形兆「…………。そうか。すまなかった。大した礼も出来ないがそろそろオレは……。行かなくてはいけない場所がある。」
魔翌理沙「てい!」
形兆「…っ!」
魔翌理沙「痛そうだぜ?せめて痛みが引くまではここにいろ?私に気を使うなら私もベットで寝るよ」
そう言って少女は恥ずかしそうにベットに入ってきた。
今気がついたのだが自分は全身を怪我しているらしい。身体全体綺麗に包帯が巻かれている。
……明日、出よう。これ以上世話になれない。オレは親父を【治す】スタンド使いを探さないといけない。
などと考えていると少女がボソリと呟いた。
魔翌理沙「寝ている間に出て行くとかナシだからな」
あ、忘れてた
>>20
ありがとうございますね
みんな忘れかけている空気な設定だけど、吉良って由緒正しい武家の子孫なんだよな…
実家は先祖代々住んでいる武家屋敷だし、結構大きな旗本だったのかな?
~~~~~~~~~~~~~
ここは……
私はただ……植物の様に静かに暮らしたいだけなのに……
暮らしたかっただけなのに……
妖夢「大丈夫ですか?」
吉良「!」
目を覚まし少女を認識した。その次に短刀が目に入った。
それを奪い、少女に振り下ろす間に何を考えていたのか、いや、考えていない。
何も。
妖夢「……」
少女の動きは鮮やかだった。
短刀は避けてすぐさま私を押さえつけた。
吉良「まずい!制約が……!」
妖夢「……?」
吉良「大丈夫……なのか?」
~~~~~~~~~~~~
幽々子「こちらにいらして、吉影様」
吉良「…………」
幽々子「………………」
吉良「なんでしょう」
幽々子「そうねえ、妖夢は?」
吉良「お休みになられました」
幽々子「……そろそろ私達の隙を伺うのをやめてくれないかしら?」
吉良「……」
幽々子「あなた、いったい何者なの?」
吉良「さあ……私にも分かりませんね」
幽々子「……そう。そういえば、制約がどうとか言ってたけど、もしかして貴方のその魂のことかしら?その今にも崩れそうな……」
吉良「……まさか!貴様!」
幽々子「私が貴方を安定させてるわ。私から離れれば……そうね、やっぱり消えるんじゃないかしら?」
吉良「……」
幽々子「慌てないで。私はただ、飲み友達が欲しいだけなんだから。ふふふ……」
今日はもう寝ます
おやすみなさい
乙
~~~~~~~~~~~~~
ここはどこかとどこかのスキマ。
多分私以外には絶対感じることの出来ない場所。
八雲紫「あらあら、随分と奇妙な……」
今日、ここで面白いモノを七つ見つけた。
私はそれを引っ張り出して……。
八雲紫「うふふ……」
~~~~~~~~~~~~~
……あれ?
ぼくはたしか……。
霊夢「あなた、そこで何をしているの?」
??「え?ぼく?」
霊夢「他に誰かいる?」
??「……ごめんなさい。怪しいモノではないんだ。……えっと…………」
霊夢「…………。まあまあなかなか良い教育されてるみたいね。とりあえずその筋肉以外怪しいとこはないみたい。私は霊夢。あなたは里からきたの?」
ジョナサン「ぼくはジョナサン・ジョースター。……里?」
霊夢「違うの?でも普通の人間なら」
ジョナサン「ぼくは気がついたらここにいて」
霊夢「……怪しい」
ジョナサン「え?」
怪しい筋肉って、どんだけムッキムキなんだよジョナサン(笑)
インフルでちょっとダウン……
>>32
単行本を見れば納得するはず…!
エリナ、今君は生きているかい?
生きていたら嬉しいな。
ぼくは最期、鮮明に覚えている。
生涯の友人、DIOをこの胸に抱いて果てたこと。
きっとここは死んだ後の世界ですね。
霊夢「だから!ホントに名前以外思い出せないの!?何をしてたとかも!?」
ジョナサン「う、うん……」
霊夢「おかしいわね……結界に異常はないしどこから入ってきたのかしら……?」
霊夢は思い出したようにこちらに迫ってきて、とにかく厄介そうなぼくを追い出そうとした。
霊夢「まあ、いいじゃない。貴方が誰かなんて、とにかく私には関係がないんだからここに厄介事を持ち込まないで!」
そう言って、腰の辺りをグイグイ押した。
霊夢「きゃ!」
その時ッ!
予想外に思いジョナサンに弾かれてこけそうになった!
ジョナサン「あ!」
しかしこけない!
JOJO!!
既に霊夢の腰に手を回して支えている!
さらには万一のために自分のコートを地面に敷くという徹底ぶり!
霊夢「あ……ありがと……」
ジョナサン「い、いや、すまない。こちらこそ。女性の腰に手を……」
霊夢「へえ……。紳士じゃない」
ジョナサン「あ、あはは……」
霊夢「じゃ」
ジョナサン「ちょっと、ぼくのコートを持ってどこ行くの!?」
霊夢「洗うのよ。どうせ今日泊まるとこもないんでしょ?今日くらいは泊めてあげるわよ」
ジョナサン「あ……、うん」
ジョナサン(いいのかな……?)
~~~~~~~~~~~~~
お空「え?あなた人間!?友達になりたいの?」
??「ああ、ぜひ、ね」
お空「じゃあ人間の事沢山教えてよ!」
??「ああ、いいとも。その代わりここが何処でなんなのかを……」
お空「いやったぁ!……でも知らない人には付いていっちゃダメってさとり様が……」
??「大丈夫。私は人間だぞ?いざとなったら倒せばいいではないか。それとも人間も倒せない程君は弱いのかい?」
お空「うーん。それもそうだね!それじゃあよろしくね!カーズ!」
カーズ(フフフ……。必ず殺す、ジョースター!)
~~~~~~~~~~~~~
幽々子「吉影様~。吉影様~」
吉良「はい。なんでしょうか」
幽々子「ふふ、吉影様♪」
吉良「…?」
妖夢「もう、幽々子様、吉良さんにべったりですね」
八雲紫「そうねー」
妖夢「うわ!」
八雲紫「ベタベタねー。幽々子」
妖夢「いらしてたんですか…」
八雲紫「気に入ってくれて良かったわ」
妖夢「え……」
幽々子「散歩に行きましょう。吉影様」
吉良「はい」
幽々子「妖夢~!」
妖夢「はい」
幽々子「あら、紫、きてたの?」
八雲紫「ええ」
幽々子「じゃあ一緒に散歩に行きましょうか!」
八雲紫「そうね。それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらうわ」
妖夢「……っていつものように飲んでるだけじゃないですか!?」
幽々子「紫がきたらもうそれはねー。飲むしかないじゃない。ねえ吉影様」
吉良「……は、はあ」
八雲紫「散歩はどうしたの?」
幽々子「また今度~」
終わりがないのが終わり!
ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム!
??「うわあああああ!」
うどんげ「ま、また騒ぎ出しましたー!」
瑛琳「もう捨ててきなさいよソイツ……」
うどんげ「な、大丈夫ですよ師匠!」
??「はぁ、はぁ、すまない……」
うどんげ「ほ、ほら、最近コンタクトとれるようになったんですから。ねー、ディアボロさん?」
ディアボロ「あ、ああ……」
うどんげ「何度も死んじゃうよく分からない変な病気のせいでこんな世紀末よろしく奇声をあげてるだけなんですから」
ディアボロ「……」
うどんげ「それに、もうディアボロさんだって私が敵じゃないことくらい……分かってますよね?ディアボロさん」
ディアボロ「分かっている。……分かっている」
瑛琳「うーん。そんなペット感覚で人をここに置いておくのは……。でも姫様似たようなものだし……」
うどんげ「それにそれに、もしここでディアボロさんを見捨てちゃったらまたどこかで殺されちゃいますよ!」
瑛琳「仕方ないか……」
~~~~~~~~~~~~~
あの日、ジョルノに敗北してからというもの、永遠の死を与えられたディアボロは考えていた。
ディアボロ「何故私が生きている」
うどんげ「え?」
運命というものがあるならば、私はその運命どおり何度も何度も何度も何度も……。
それなのに、何故か私はこうして頭に兎の耳をつけた女二人と買い出しに行っている。
てゐ「がおー!」
ディアボロ「!」
咄嗟に身構えてしまった。
まだこの手の冗談は心臓に悪い。
てゐ「あははー!」
うどんげ「大丈夫ですよー。ディアボロさーん……。てゐも飽きないね……」
ディアボロ「く、この兎……」
ここからはオムニバス形式でそれぞれの物語をかけたらなあと思います。
それでは少し寝ます
迷いの竹林と言うらしいが、複雑な自然の迷路を抜けて人里に買い物にきた。
どうやら今日の夕食の食材を買うらしい。
うどんげ「なにが食べたいですか?」
ディアボロ「…………」
うどんげ「ディアボロさん?」
てゐ「どうした?ディアボロ」
ディアボロ「……い、いや、」
ダメだ。
人が多いこの場所では何が自分の死ぬ原因になるのか不安で不安でたまらない。
あの野良犬か、あの子供が持っている鉛筆か。
ディアボロ「ぅ…」
うどんげ「ディアボロさん……?」
ディアボロ「だ、大丈夫だ」
うどんげ「ホントに大丈夫ですか?顔色がよくないですよ?」
ディアボロ「……大丈夫、だ」
今まで通りならこの世界についた瞬間に何かしらで殺されている。
しかしここではまだ何のアクションも起きていない。
ディアボロ(運命の輪から脱する事が出来たのか……?)
てゐ「おーい」
ディアボロ「……心配かけたな。もう大丈夫だ」
てゐ「そーかい?……ガオッ!!」
ディアボロ「だから大丈夫だと言っているだろう」
ディアボロはてゐの頭を乱暴に撫でて微笑んだ。
内心死ぬ思いでビクビクであるが、今何事もない事が、【今までと少し違う】ことの証明のはずだ。
ディアボロ「久しぶりに小羊背肉のリンゴソースかけが食べたいな。昔どこかで食ったがあれは絶品だった」
うどんげ「こひつ……なんですかそれ!?そんな長い名前の料理知りませんよ……」
結局ディアボロは、その後提案した娼婦風スパゲティもよくわからないと却下され、肉ジャガという知らない手料理を振舞われることになった。
ディアボロ「……」
瑛琳「……」
ディアボロ「あの……」
瑛琳「なに?」
ディアボロ「いや、なんでもない」
瑛琳「…………」
てゐ(気まずい)
うどんげ「ふーんふふーん♪」
てゐ(早く作ってくれー!」
ディアボロ「……!」
うどんげ「ど、どうですか……?」
ディアボロ「……うまい」
うどんげ「ホントですか!?」
瑛琳「よかったわね、うどんげ」
うどんげ「はい師匠!」
ディアボロ「…………」
瑛琳「なに泣いてるのよ」
それは突然のことだった。
久しく忘れていた生の実感。
自然と頬を涙がつたった。
ディアボロ「これが……」
瑛琳「ふーん……。もっと冷酷な奴かと思ってたけど」
うどんげ「あわわ!味つけ間違ってましたか!?」
ディアボロ「いや……美味しい……美味しいな……」
てゐ「きしょいぞディアボロ…」
うどんげ「てゐー。お団子できたよー」
てゐ「きたきた」
うどんげ「ディアボロさんもどうぞ」
ディアボロ「ありがとう」
その夜、五人で月を見た。
とても綺麗だった。
輝夜「ああ、連日大声を出していたのはあなただったのね」
ディアボロ「すまない」
輝夜「いいわ。別に責めてるわけじゃないもの」
うどんげ「それにしても、ディアボロさんが元気になったようで私も安心しました」
瑛琳「そうね。明日からは何かいろいろ頼みたいわね。このままずっとただ飯っていうのも困るし」
ディアボロ「ああ。分かった」
瑛琳「せいぜい頑張ってちょうだい」
輝夜「瑛琳。いいか、ちょっと傷を見てくれないか?」
瑛琳「かしこまりました。それではあちらに……」
てゐ「結構キツイこと言うなー」
ディアボロ「仕方ないさ」
うどんげ「ディアボロさん!違いますよ!あれはあれで喜んでますって!」
ディアボロ「そ、そうか?」
~~~~~~~~~~~~~
魔翌理沙「私特製!昨日とったキノコ入りスープ!」
形兆「大丈夫なのか……」
魔翌理沙「大丈夫。傷の治癒促進と程よい笑いのつまった私のスープに不可能はないぜ!さあ飲め!」
形兆「程よい笑い……?」
魔翌理沙「いいから、飲め!」
形兆は注意しながら、口にスープを含む。
味はコンソメスープに近く、よく分からないキノコは椎茸のようだった。
形兆「ふむ……。なかなか……」
魔翌理沙「ふふ……ふふふふふ……」
形兆「ん?どうした?」
突然魔翌理沙が笑い出した。
手の平をこちらに見せて待てのポーズをしている。
形兆「……?」
魔翌理沙「あふっ、あは、あはははは……」
形兆「気でも違っ……、ふひっ、ふふっ、ふはははは」
魔翌理沙「ひい、ひい、お腹痛いぜ…。あははは!」
形兆「貴様、これのどこが程よい笑いだ!あはははは!傷に響く!あはっ、ふはははは!」
形兆「はあ、はあ」
魔理沙「いやー。笑った笑ったー!」
形兆「何のまねだ……」
魔理沙「いやー。けーちょーいっつもこわい顔してるからなー」
形兆「……そうか?」
そう言うと魔理沙は両の人差し指で目を釣り上がらせて言った。
魔理沙「いっつもこんな顔してるぜ」
形兆「……そうか。それは嫌なことなのか?お前にとって」
魔理沙「当たり前なんだぜ?こんなに可愛い女の子が看病しているんだからもっと喜んでくれ」
形兆「……ふふ。そうか」
形兆(悪いな魔理沙……。純粋に笑うには、オレはもう手を汚し過ぎている……)
ああ
なんてこったい
おやすみなさい
もう寝ます
皆さんインフルには気をつけて
~~~~~~~~~~~~~
魔理沙「魔理沙スペシャル12号!さあ形兆!飲んでくれ!」
形兆「……」
魔理沙「…………」
形兆「まずは何が入ってるのか聞こうか?」
魔理沙「傷を治すキノコだぜ?」
形兆「他は?」
魔理沙「ないよ」
形兆「…………」
訝しげな表情で、形兆はスープを口に含んで、味わって、飲み込んだ。
味はコーン・ポタージュのようにクリーミーで甘く、とても美味しかった。
形兆「…………ホントに、それだけのようだな」
魔理沙「疑うなんて酷いぜ?」
形兆「……、すまなかったな。この前のように関節が曲がらなくなるだとかの効果もあるのかと思ったのだが……」
魔理沙「今日は行くところがあるからな!」
形兆「行くところ……だと?」
魔理沙「形兆と同じ、私の大切な友達のところだ」
形兆「そうか……。……ン?待て待て、いつからオレは友達になった」
魔理沙「……?形兆は友達じゃないのか?」
形兆「いいか。オレは殺人鬼だ。どうしようもない、いわゆる、……クズだ」
魔理沙「殺人くらい気にしないぜ。私の友達には主食が人間って奴もいるんだし。それに、親父とおくやすって人のためじゃないのか?」
形兆「何故それを!?」
魔理沙「おお。やっぱり……。ここに来た時、ずうっと名前を呼んでたんだぜ?おくやす……、親父……って。何度も」
形兆「………」
魔理沙「形兆が苦しんでるのは分かる。……だからこそ、友達が必要なんじゃないか?……形兆、私と友達になってくれ」
形兆「…………」
魔理沙「……答えはまた今度でいい」
魔理沙「とりあえず、友達のとこに行こう。形兆」
~~~~~~~~~~~~~
ディアボロ「……」
うどんげ「~♪」
ディアボロ「な、なあ、これはどこに向かっているんだ?」
うどんげ「はい。咲夜さんって人に茶葉を貰いに行くんですよ」
ディアボロ「茶葉?」
うどんげ「ええ。師匠はその茶葉で作った紅茶が好きみたいで。あ、でも師匠はどこで茶葉を貰っているか知らないですから余計なことはしゃべっちゃダメですよ?師匠が心配しますから」
ディアボロ「あ、ああ……」
うどんげ「ディアボロさんもきっと気に入ると思います」
ディアボロ「そうか……」
うどんげ「はい♪」
うどんげ「着きました!ここが紅魔館です」
ディアボロ「……何か、嫌な予感が……」
うどんげ「え?」
ディアボロ(キング・クリムゾンは……ダメだ。でない)
うどんげ「どうしたんです?大丈夫ですか?」
ディアボロ「……あ、ああ」
ドンッ!!!!
うどんげ「!?」
ディアボロ「!?」
うどんげ「なんです……今の音……?」
ディアボロ「…………」
うどんげ「……ディアボロさんはここで待っていて下さい!私は中を見てきます!」
止すんだうどんげ!お前じゃ「ヤツ」には勝てないッ!
~~~~~~~~~~~~~
肩に兆と入った学ランを見に纏っている男と西洋の魔女姿の少女が二人、並んで歩いている。
男はとても読めないような字で書いてある大きく不格好な本を数冊運びながら、少女に聞いた。
形兆「こんなたくさんの本、どうするんだ」
魔理沙「私の友達のパチュリーって女の子に返しに行くんだ」
形兆「……随分ため込んだな」
魔理沙「はは、うちにはまだあるよ。それはもう全部内容を覚えたから」
形兆「……いいのか?」
魔理沙「問題ないぜ!」
男はバツの悪そうな顔をして、獣道を少女と一緒に歩く。
男は少女の部屋に山のように積まれた本の数々を思い出していた。
形兆(まさかあれ全部……。大丈夫なのか……?)
えーりん先生にスタンドを開放できるようになる薬でも作ってもらえればあるいは…
そもそもボスの精神力だけでGERは解除できるわけはないからな…
形兆「魔理沙、オレは几帳面な性格でね、人から借りた物はきっちりと返す。それはオレみたいなクズでもしっかりしておかなきゃあならないことだと思ってる」
男は右手の人差し指と中指の二本でこめかみを押さえながら、諭すように言った。
しかし、少女はそれが気に入らないといったように、頬を膨らませて言う。
魔理沙「そんなこと分かってるぜ。それに友達じゃない人に友達との付き合いをとやかく言われたくないぜ」
形兆「な……、…………」
この言葉に男は一瞬たじろいだ。
少女もしまったというような顔をした後、小さくうつむいて、歩くペースを上げた。
形兆「……すまない」
魔理沙「……!」
魔理沙(謝らないといけないのは……私の方なのに……)
しばらく歩くと、紅色の建物が見えてきた。
魔理沙「あれが紅魔館だぜ」
形兆「紅魔館……立派じゃないか」
その全貌を見ると、庭は広く、掃除は行き届いていて、紅魔館と呼ばれる西洋風の建物は、庭の中央に堂々と構えていた。
魔理沙「でも……、おかしいぜ……」
形兆「?」
魔理沙「いつもならこの門のとこで門番が居眠りしているはず……だぜ?」
形兆「門番なのに居眠り……?」
魔理沙「それだけここは平和ってことだぜ」
少女は意気揚々と門をくぐり、中に入っていった。
男も、それについて行く。
とりあえず寝ます
皆さんインフルには気をつけて
乙
冬場はパールジャムが欲しくなるな…
いや、生姜湯やおかゆに混ぜて使えば体調も戻りやすくなるかと思って書いたんだが…
説明が足りなかったかな
乙
雰囲気壊すようで悪いんだけど、瑛琳じゃなくて永琳な
>>86
あぁ……ありがとう
しくった……
魔理沙「あれ?……?」
形兆「どうした?」
少女は館に入ってからずっと辺りをキョロキョロと見回して不思議そうにしている。
魔理沙「いつもなら妖精達が動き回ってもっと賑やかなはずなんだけど……?」
そう言ってスタスタと先を歩く。
魔理沙「今日は皆留守なのか?よし、ちょっとあの吸血鬼のとこにも顔だしてみようぜ!」
形兆「吸血鬼……?」
ここで男はあるものを感じとった。
静か過ぎる……というのは初めてここに来た男にとって気になるものではないが……そう、
形兆(血の……臭い?か?これは……)
魔理沙「どこだー?レミリアー?咲夜ー?」
形兆(どんどん臭いが強くなっていく……!)
魔理沙「ここか!?」
形兆「待て!魔理沙!」
魔理沙「え?」
形兆「極悪中隊《バッド・カンパニー》!」
男が叫ぶと突然少女の目の前には小さな軍隊が綺麗な隊列を組んで現れ、その軍隊は間髪入れずに持っているライフルで部屋の中を攻撃した。
魔理沙「うわ!」
凄まじい轟音が鳴ると共に、男は走り、少女を突き飛ばして部屋の中を覗き込んむ。
??「ほう。侵入者か……。面白い、面白いぞッ!!」
形兆「ま、まさか……!」
??「貴様、恐怖しているのか?このDIOに!!ンン~実に良い気分だ。久しく忘れていたぞ。この感覚をッ!」
形兆「魔理沙ァ!逃げるぞッ!」
男は手に持っていた本をその場に捨て、突き飛ばされて床に転んだ少女を代わりに抱きかかえてからダッシュした。
形兆「何故あいつがここにいる!?!!」
魔理沙「なんなんだぜいきなり……」
男はなにも考えずただひたすらに走った。
男はどれくらい走ったかも分からないくらい走り、一つの部屋に飛び込んだ。
形兆(ここは一段と生臭いな……!)
そこは寝室だった。
中もやはり紅色で、美しい。
大きく広い割に、あるのはベッドと小さなタンス、そして……この部屋には不釣合いな黒い棺桶。
形兆「ふぅ……。ふぅ……。奥にいろ、魔理沙」
魔理沙「お、おい。敵か?なら私も戦うぞ!」
形兆「黙っていろッ!!お前の相手になる生物じゃない!!」
男は先程の軍隊《カンパニー》を扉を囲むように配置した。
その動きは鮮やかで、綺麗な幾何学模様が出来ている。
今度はヘリコプター、戦車までもいる。
形兆「攻撃態勢維持のまま休めッ!」
隊列を作った後、後ろから声がかかった。
魔理沙「形兆。なにしてんだ?」
形兆(そうか……。魔理沙にはスタンドは見えないのか……)
The World無双だな…これはマズい…
形兆「魔理沙、この部屋の物には何も触るなよ……」
魔理沙「形兆!何か困った事でも起こってるのか?」
形兆「オレが分かるもんか!」
魔理沙「……ああ、そうかい」
形兆(クソッ!ホントに何が起こっているんだッ!)
魔理沙(なんだよ、形兆の奴)
形兆(何をやっているんだ……)
魔理沙(ん?こんな棺桶紅魔館に置いてあったっけ……)
形兆(……!!)
形兆「本当に何をやっているんだッ!オレは~~~~!」
魔理沙(形兆にいじるなって言われた)
魔理沙「でも、形兆なんか関係ないぜ。友達でもないし」
「攻撃開始ッ!」
男が叫ぶのと走り出すのはほぼ同時だった。
軍隊《カンパニー》はありったけの弾を棺桶に浴びせ、男はラグビー選手がボールを守るように少女を抱いて開きかけの棺桶を背にした。
無駄ァッ!!!!!!!!!!
少女は咄嗟に目を瞑った。
軍隊《カンパニー》の攻撃は終わった。場は静まり返って、物音一つしない。
「は、ぐ…………」
少女は重いな、と思いながらゆっくり目を開いた。
「あ、ああ、そんな……」
「魔理沙、逃げろ……」
少女に覆いかぶさるように人がうなだれていた。
肩には兆の文字。
その学ランは真っ赤な血で濡れていた。
「形兆ォ!!!!」
魔理沙「うわああああ!形兆!形兆!」
形兆「奴は時間を……既にこの部屋に……冷静でいればすぐに気づけ……」
DIO「WRRRRRRYYYYYYYY!!!!なかなか勘のいい男だなァ!!殺すのを戸惑ってしまったァァァーーー!!」
ズタズタになった棺桶から現れたのは金髪の男だった。
魔理沙「あ、私の、せい……なの…か」
形兆「違……早く逃げろ…………魔理沙」
DIO「フム……。しかし何故コイツは私のスタンド能力を知っている……」
魔理沙「く、よく、も、形兆を」
形兆「ダメだ……。逃げろ……」
DIO「私が死んだ後外の世界で何かあったのか……?」
少女は胸の前で彼女の大事な大事な宝物を構える。
魔理沙「マスタースパーク!」
と、次の瞬間凄まじい巨大な光が、金髪の男に向けて放たれた。
DIO「!!!」
魔理沙「はぁ、はぁ、」
少女の肩からは力が抜けていた。
魔理沙「帰ろう。形兆」
形兆「何で……」
魔理沙「形兆?」
形兆「何で逃げなかった!」
魔理沙「!」
少女は背後から近づく足音が聞こえた。
魔理沙「そんな……」
DIO「ふむ。今の能力、太陽の光に酷似しているな……。あれを喰らえばどうなっていただろうか……」
魔理沙「くっ!」
DIO「しかしッ!!今から死ぬ貴様には関係のないことォ!!」
魔理沙「くらえ!」
DIO「無駄ァ!!」
ーーー次の瞬間、宝物を構えた少女の前で、金髪の男は腰くだけになった。
DIO「ヌゥ!?」
形兆「ナイスだ……。極悪中隊《バッド・カンパニー》……」
魔理沙(いまなら!)
魔理沙「マスター……」
「世界《ザ・ワールド》!!!!!」
そこは止まった時の中、全ての物は運動を止め、静かにその場にとどまっている。
DIO「この空間で動けるのは、このDIOただ一人!」
金髪の男は少女に近づき、思い切り腹を蹴り飛ばした。
少女の身体がくの字に曲がったところで、再度動きが止まる。
次に……。
DIO(この男……どこかで……?)
DIO「フンッ!」
DIOのスタンドーー金色に輝くその男のようなスタンドは少女を守るのに死力を尽くした男の横腹を踏み潰した。
あくまで殺さないように、再起不能ではあるように。
DIO「そして時は動き出す」
というわけでお休みなさい
欲しいスタンドはハーヴェストです
皆さんインフルには気をつけて
乙
良いことがあった後のDIO様は大体そんなもん
魔理沙「!」
形兆「!」
金髪の男がいる場所は、二人にとっては到底到達できる場所ではない。
先程金髪の男が動いていた時間は二人にはあったことさえ理解できないものなのだ。
魔理沙「が、がはっ……。ぐ、う、」
DIO「ンン…?小娘、何故貴様、生きている」
金髪の男は首を傾げて、自分の足元で瀕死になっている男を見た。
その後、少女に目を戻すと謎は解けた。
少女の周りにゴミのように散らばるのは軍人《アーミー》の残骸。
バラバラになっていたがそれはまさしくこの男、虹村形兆のスタンド、バッド・カンパニーだった。
形兆「ち、くしょ……」
DIO「おい男、ただの好奇心で聞くのだが、貴様、何故私のスタンドを知っている?」
形兆「はぁ、はぁ、」
『おお おおおおぁぁ~~~~』
最後、男の脳裏によぎったのは彼の親父 の獣のような泣き声。
家族の写真を抱いてわめき散らす、最低の負け犬の泣き声だった。
形兆(もう、疲れちまったぜ。親父……。どうやらオレも、負け犬だったみてえだ……)
魔理沙「形兆……。形兆……!」
形兆「…………」
DIO「……、ふン、死んだか」
魔理沙「……そ、んな」
DIO「次は貴様の番だ……」
金髪の男は一歩一歩進んで行く。
魔理沙「そんな……まだ……友達に……謝りたかったのに……」
DIO「謝りたかったのなら地獄で好きなだけ謝るといいッ!今すぐあの男の元へ送ってやるぞォ!!小娘ッ!!」
『兄貴ィィィィィィ!!!!!!!!』
形兆「魔理沙ァー!ボケッとしてんじゃあねーぞッ!」
大量の軍人《アーミー》が現れた。
少女の下から。
そしてそのまま少女を逃がす。
大玉転がしの要領で加速して、ドアめがけて。
DIO「無駄ァ!!」
金髪の男は追いかける。
視界の端に赤い二つの光を見た気がしたが、気にせず、少女を。
~~~~~~~~~~~~~~~
ディアボロ「きっとこれは悪い夢に違いない。こんな事が……」
スタンドはないはずなのに、見える。
自分が強大な力の前に平伏すのを。
ディアボロ「運命の輪から逃れた訳ではなかったのか」
うさ耳の少女の背中を見送りながら、ボスは思う。
ディアボロ「しかし、どう足掻いても……私には勝てない。それだけは直感でわかる」
ディアボロ(うどんげ……お前には、わかるまい)
うさ耳の少女はどんどん遠ざかっていく。
ディアボロ「うどんげ!!」
思わず、叫んでしまった。
うさ耳の少女は、一旦止まり、こちらを向いて手を振っている。
うどんげ「ディアボロさーん!ちょっと見てくるだけですからー!そこで待っててくださいねー!今日の御飯は何がいいか、決めといて下さーい!」
ディアボロ(…………………!!!)
少女は、やはり、知らない。
この館にあるとてつもない悪の塊を。
ディアボロ「あ、うあ……」
少女の背中はついに見えなくなった。
ディアボロ「う、うどんげ……」
涙が頬をつたう。
ディアボロ「ほおっておけばいいではないか!うどんげ!」
叫ぶ。
しかし、返事はない。
ディアボロ「うぐッ……!うどんげ……!」
『今日は肉ジャガを作ります!』
『お団子ですよー』
『大丈夫ですか?ディアボロさん?』
『始めましてディアボロさん!うどんげって呼んでくださいね!』
ディアボロ「……ふっ、ふっ。か、覚悟だ……」
『がおー!』
『ディアボロきしょいぞ』
『私はてゐって呼んでくれ』
ディアボロ「覚悟だ……」
ディアボロ「大丈夫。運命は、私で決める。うどんげ、てゐ、永琳、輝夜……」
ボス…ついに黄金の精神に目覚めたのか?
~~~~~~~~~~~~~~~
金髪の男は距離をつめ、少女に迫る。
そして、一撃。
それは完璧に少女の胸を捉えた。
かのように見えた。
すり抜けたのだ。
男の腕は、少女の胸を【空を切る感触で】貫いた。
DIO「なにィ……!?これは、どういう事だ……」
うどんげ「それはこちらのセリフです!」
DIO「誰だッ!?」
うどんげ「何で魔理沙さんがそんな血だらけであなたに追われてるんですか?」
男が見たのは瞳が赤く輝くうさぎの耳をつけた女の子だった。
DIO「貴様……このDIOに刃向かって生きてここからでれると思うなよ……」
うどんげ「絶対、許しませんよ……」
DIO「…………」
うどんげ「って聞こえてませんね。とりあえず魔理沙さんの手当てをしないと……」
このそう言うと彼女は真っ直ぐに少女の元へ走った。
少し浮いているのに奇妙な感触を覚えたが、彼女の魔法だろう、と思い早々に回収した。
DIO「ヌヌ……、何だこれは!?」
一方金髪の男は何もない空間にパンチを放っている。
うどんげ「大丈夫ですか?」
魔理沙「私はいい……それより部屋の奥にいる形兆を……」
うどんげ「よくありませんよ!……ってうわ!あちらの方も酷い怪我ですね……!」
うさ耳の少女は魔理沙を連れて、男の方へ。
うどんげ「しかし弱りましたね……」
金髪の男は拳をふるうのを止めてその場に立っている。
ちょうど出口を塞ぐように。
DIO「……ふむ。幻覚タイプか。それなら話は早い」
「世界《ザ・ワールド》!!!」
うどんげ「さあどうやってここをだっしゅ………
DIO「フフフ……そんなところにいたのか……」
金髪の男は後ろを向き、三人を認識した。
DIO「なかなかいい能力ではないか……。がッ!こうもまる見えではなァーーー!!!!!」
うさ耳の少女の腹に男のつま先が触れる。それはどんどん奥の方に減り込んでいき、少女の身体が耐えきれなくなってようやく足から少し離れて、動きを止めた。
男は足を元に戻すと堂々仁王立ちをする。
少女のお腹は不自然なほどへこんでいた。
DIO「このDIOをコケにした罪……痛みと悲鳴で償ってもらうぞッ!!!!!」
「そして時は、動き出す」
時間停止によるゴールド・エクスペリエンスの「感覚暴走」の再現かよ…
原作の「チェックメイト」といい、エグい処刑法ばかり考えつくなDIO様…
うどんげ「か……は……」
悲痛な叫び声と共にうしろの壁に叩きつけられた少女は、現状を把握しようとする。
魔理沙「うどんげ!」
うどんげ(なにが……まさか、咲夜さんと同じ能力……)
金髪の男は間髪入れずに少女の鼻っ柱に膝を置く。
うどんげ「つッ!」
DIO「WRRRRRRYYYYYYY!!!!!!!!貧弱ゥ!貧弱ゥ!」
何度も何度も、殺さない程度の力で。
うどんげ(痛い。痛いよ……。ごめんなさいディアボロさん……料理……作れそうに……ないかもです)
覚悟とは、暗闇の声
進むべき道を
切り開くことだッ!!!!!
先程まで足を一定運動させていたDIOは立ち尽くしていた。
目の前から人間が三人、何の前ぶれもなく消えたのだ。
「ヌヌヌ……。これはいったいッ!」
「…………」
その背後から近づくのは、一人の男。
その腕一つでギャング・キングにまで上り詰めた。
その男の名は、
「はじめまして。私はディアボロ」
「……!」
DIOがふりむくのとディアボロがスタンド、キング・クリムゾンで一撃を食らわせるは同時だった。
ただ、スタンド能力は……。
「キング・クリムゾン!時間を!ブッ飛ばせ!」
「世界《ザ・ワールド》!時よ止まれ!」
DIO、時を止めるも、ディアボロのぶっ飛ばした時間の中ではこのディアボロしか動くことはできない。
「まずはこちらが主導権を握ったな。貴様には、私の攻撃が避けられずに殴られたという結果だけが残るッ!」
「なんだ貴様はァーーー!」
覚醒ボスキターーー!
あれ、おかしいな…目から汗が…
~~~~~~~~~~~~~~~
うどんげは隣の部屋で魔理沙といた。
瀕死の重症で生きているのがやっとの状態の形兆の手を優しく握って、魔理沙は言った。
「大丈夫だぜ。まだ、生きれる」
「ディアボロさん……必ず勝って下さい」
震える両手を合わせながらうどんげが言った。
魔理沙「……絶対に、当てる……」
ドッピオと言うかむしろジョルノに近づいていっている気がする
このボスならDIOとも互角以上に渡り合えるな…
~~~~~~~~~~~~~~~
「ッ!!この帝王に土をつけるとはッ!」
「無駄ァ!」
「くゥ!エピタフ!」
「 フハハハハハ!着様のスタンド!連続して使えんようでは話にならんッ!何呼吸だ!?3か!4か!未来が読めたところで止まった時の中では意味がなかろう!」
「くらえ!世界!」
「クックックッ!見えているようだな!しかし見えている事が逆に恐怖だろう!」
DIOはナイフを数十本取り出し、ディアボロに向かって投げた。
数々のナイフがディアボロの前で止まっていく。
「そして時は動き出す」
「バカめッ!!そんなオモチャでこのキングクリムゾンに傷をつける事ができると思ったかァ!」
ディアボロはキングクリムゾンを全面に押し出して防御を図ろうとするーーが、エピタフで見えたビジョンは自分が串刺しになったビジョンだった。
「それはこの館の住人から戦利品として奪った業物だッ!そこらのオモチャとはわけが違うぞォ!ディアボロォ!」
ボスが万全の状態ではないから、キング・クリムゾンの時飛ばしも連続して使えなくなっているのか?
「クッ!時をブッ飛ばせ!キングクリムゾン!」
エピタフの俯瞰で見た未来から自分に刺さるナイフだけを割りだし、それを弾く。
「ぐゥ!」
しかし、よけ切れない。
左手に一本。
DIOをみるとずっと自分が元へいた場所を見ている。
「時をブッ飛ばす前にただ私を見ることを選択したか……」
ディアボロは血の滴る左手を握りしめ、叫んだ。
「時間の過程の中では貴様に攻撃はできない!が!」
ディアボロはそのまま左手を振り抜き、血液を、DIOの目に投げつけた。
何度も氏んで精神ボロボロの状態だから本調子じゃないとかじゃないか?
今度はポルナレフにやられたあの技を仕掛けたッ!
>>126
ボスだったから精神が崩壊していないだけじゃあないのか?
常人だったら何回も廃人になっているレベル
あれ?キンクリって連続使用出来ましたっけ?
本編では『十数秒後までの未来予知』を行えるエピタフと『時間を数十秒までの任意の秒数「消し去る」』キング・クリムゾン本体の能力を
併用して自分に不利な時間を消し飛ばすことで、擬似的な連続使用を可能にしていた。
それと、ナランチャを始末したときは明らかに何回も時を「消し去って」いたとしか思えない事態が発生していた。(荒木先生しか真実は知らないけど)
「なにィィィ!!」
目の開くことの出来ないDIOは黙った。
「……どこだ。どこにいる……」
「3」
「2」
「1」
「ディアボロォ!何を企んでいる!何の秒読みだァーーー!」
隣の部屋の少女は呟いた。
「終わりだぜ、DIO」
「マスタースパーク!」
「キングクリムゾン!」
突然凄まじい轟音と共に隣の部屋から壁を撃ち抜いて、まばゆい光が飛び込んできた。
そしてそれは最後、DIOの目に映ったのか、それは分からない。
ただ残る結果は、
【マスタースパークを受けて消滅する】
ということだけだ。
魔理沙「やったか…?」
ディアボロ「……やった……みたいだな」
うどんげ「……はい」
魔理沙「やった……やったよ……形兆」
形兆「……」
魔理沙「……?目を、覚ましてくれよ…」
形兆「……ま、りさ……」
魔理沙「! 形兆!」
形兆「おま、えは、マヌケだぜ……」
魔理沙「形兆……」
形兆「こんな、マヌケを、ひろっちまうんだもんな……」
魔理沙「もういいから……もう喋るな……。帰って治療しよう。形兆」
形兆「オレは……お前の友達、だぜ……」
魔理沙「…………いいから、喋るなよ…………。そんな、おわかれみたいな……」
形兆「俺は清々しいよ……。きっと俺は最後、光の、正義の光りの中に……………………………………」
魔理沙「………………形兆?」
うどんげ「魔理沙さん……もうその人は……。先程から脈が……」
魔理沙「嘘……。形兆……」
魔理沙「形兆」
ディアボロ「……うどんげ」
うどんげ「ディアボロ……さん……」
ディアボロ「今、かけてあげれる言葉は……」
魔理沙「ごめんなうどんげ。先、帰るぜ」
うどんげ「う、うん」
魔理沙「………………帰ろう。形兆」
ディアボロ「……」
うどんげ「……………」
幻想郷なら反魂の術もあるにはあるが…
白玉楼の主人なら実行可能か…?
「……」
うどんげは立ち尽くしていた。
それを見ているディアボロも、ただうどんげの言葉を待っていた。
「このディオが……このディオが…………」
だからなのか、瓦礫の中でまだ凶弾は生きているのに気がついていない。
残った頭部だけが、まだ生きているのに、うどんげも、ディアボロも。
DIOの眼球がペリペリとめくれ上がる。
そしてーーー
「ディアボロ、貴様も地獄へ道連れだ……」
ディオが体液を高圧で発射した。
でたっ!空裂眼刺驚ッ!
そういえばDIOって実はこの技第三部でも使える設定だったな
~~~~~~~~~~~~~~~
ここはどこだ?
何故私は階段を上がっている。
「あら、あなた、死んじゃったの?」
…………?
「せっかく終わらせてあげようかと思ったのに。面白い魂だから」
ああ、お思い出した。
「兎ちゃんのところへ戻る?」
いいや。
「どうして?」
自分で、終わらせないといけない、勝たなければいけない相手に勝ってくるよ。
「兎ちゃん悲しむわよ~?」
仕方ないさ。今のままでは、いけない気がするんだ。
「そう?それじゃ、また元に戻るけど?」
ああ、今度は、勝つさ。運命にも。
「……わかった。ほんとに終わらせたら、また迎えにくる」
ああ。頼む。
「今のあなたには……そうね、黄金の精神っていうの?あれが見えるわ」
フフフ。そうかい。
「それじゃね。ディアボロ」
ああ。さようなら。
「それで、あなたはどうするの?」
ああ、オレか?
「ええ」
さあ。どうしようか。
「あなたは……そうね、肉体がもう使い物にならないから幽霊って形でなら」
いや。大丈夫だ。
「魔女が悲しむわよ~?」
オレには関係ないね。
「あら。意外と冷たいのね」
魔理沙には友達がいるからな。時期にオレのことも忘れるさ。
「ふーん。まあ、どうでもいいけど。そういえば、あなたの弟さんが来てるわよ?」
なに?
「あ、食いついた」
……………。
「話す?」
……ああ。
~~~~~~~~~~~~~~~
「あ、兄貴……」
どこへ行くんだ億泰。
「……兄貴についていくよ」
……おまえが決めろ。
億泰……行き先を決めるのはおまえだ。
「…………杜王町に行く」
そうか。頑張れよ。
~~~~~~~~~~~~~~~
「もういいの?」
ああ。もう充分だ。
「じゃあ、今からどこ行くか閻魔様んとこ行って決めてもらうから」
分かった。
「閻魔様可愛いからってナンパしちゃだめよ?」
大丈夫だ。
「それじゃあね。あなた、今、正義の光りの中にいるわよきっと」
さようなら。ありがとう。
くぅ~疲れました!
……言ってみたかっただけです。
最後のオムニバスを退屈させちゃいけないと最初に持ってきてしまいました。
それでは寝ます。
皆さんインフルには気をつけて
兄貴…遺言ぐらい残してやれよ…
まだだ…まだボスは望みがある…!
その前に史上最強のスタンドを倒さなきゃだけどな…
~~~~~~~~~~~~~~~
ジョナサン「……もう随分と泊めてもらってるけどいいのかい?」
霊夢「なにが?」
ジョナサン「いや、不満があるわけじゃないんだ。ただ君があまりにも親切で優しいから少し確認のつもりで」
霊夢「さあ。よく働いてくれてるし、……そうね。そうだわ」
ジョナサン「どうしたの?」
大男、ジョナサン・ジョースターは日課の境内の掃除を終えて、縁側でお茶をすする霊夢と話している。
霊夢「宴よ。あなたの歓迎会をしましょう」
ジョナサン「え?」
霊夢「すぅぅぅ…………」
霊夢「萃香ぁぁぁぁ!!!」
突然大声で叫ぶ霊夢。
ジョナサン「まさか……」
遠くの山で規則的な振動音が聞こえる。
ジョナサンは咄嗟に身構えた。
ジョナサン(まさか……!今回はどこからくるんだ……!意識を集中させろ……)
その振動音は次第に音量をましていき、そしてあるところでピタリと止まった。
ジョナサン(…………上!?)
萃香「……ッナサァァァァン!!!!」
上空から降ってきたのはーー少女の鬼。
そういえばジョナサンっ鋼の輪を素手で引きちぎれるほどの腕力があったな
霊夢「ちゃんと受け止めてね。家が壊れちゃうから」
ジョナサン「オーマイガー!」
超高速で降ってくる鬼子。
萃香。
ジョナサン「波紋疾走!」
まず!先ほど集めた落ち葉で手にクッションを作るッ!
これで少女が怪我なくうけとめられる!
萃香「ふっ、着地!」
ジョナサン「~~~!」
腕、腰、足にかかる全ての衝撃は波紋で軽減!
ジョナサンは辛くも少女をキャッチすることに成功するッ!
ジョナサン「はぁ、はぁ、危なかった……」
萃香「さすがジョナサン!まず私のことを考えてくれるなんて人間の中の人間!山に連れて帰りたいわもうまったく」
ジョナサン「酷いよ萃香……。女の子があんな危ないことをしちゃダメだって何度も言ってるじゃないか……」
萃香「女の子だって!ジョナサンってやっぱ面白いね!」
霊夢(人間技じゃないけどね……)
なんか、仲の良い兄妹みたいだなこの二人って
まあ、実年齢は端から見たのと逆なんだけどね
萃香「それで、今日は何の用なの?霊夢」
霊夢「ジョナサンの歓迎会をするわ。蔵から必要な物を出して。お手伝いにジョナサンを使っていいわ」
萃香「歓迎会!?やったぁ!お酒がのめる!」
ジョナサン「………」
萃香「なーに?ジョナサン?」
ジョナサン「い、いやぁ……」
萃香「よーしよしよし。勇儀も呼ばなくちゃ」
ジョナサン「ぼくはもう腕相撲はやりたくない……なぁ?」
アイサインを霊夢に送るも無視され……
霊夢「あ、そういえば。すぅぅぅぅ………」
霊夢「文ー!」
そう呟くように……?叫んだ時、凄まじい突風が吹き荒れた。
文「あいあい。どうしました?霊夢さん?スクープですかい?」
煙の中から現れたのは射命丸文という、烏の少女だ。
文「お、ジョナサンさん。ちょっと言いにくいけどジョナサンさん。また鬼に絡まれて?」
ジョナサン「い、いえ」
ジョナサンは言えなかった。
たしかに絡まれているが好意をよせてもらっている女の子が目の前にいるのに。その事を考えると、言えなかった。
少し、困っているとは、言えなかった。
幻想郷ってやたら強いのが山ほどいるからワムウ歓喜じゃね?
出てくるかどうかは知らんけど
霊夢「ああ、文」
文「はい。なんでしょう」
霊夢は手を伸ばして太陽を指差し、
霊夢「あれが、
次に自分を中心に逆の方を指差して
霊夢「あの山に隠れる頃に宴会を始めるから、出来るだけ多くの人を誘ってきて。ジョナサンの、歓迎会をする」
文「へー。ジョナサンさんの歓迎会」
霊夢「一応ここで住み込みで働いてくれてる紳士さんだし」
文「了解しましたー。なるべく多くの人を?」
霊夢「そう。なるべく多くの人を」
文「あいあいさー」
>>159
実は……紫さんが連れてきた7人の他には……
すいません(°_°)
霊夢「じゃあ、ジョナサン。萃香の指示をよく聞いて。宴会の準備を始めてね」
ジョナサン「はい。わかりました」
萃香「がんばろーな!ジョナサン!」
ジョナサン「うん!」
霊夢「よいせっ……」
ジョナサン「霊夢さんは何処に?」
霊夢「宴会用の食べ物やら酒やら集めてくるのよ」
ジョナサン「一人で大丈夫ですか?」
霊夢「大丈夫ではないけど、あなた飛べないじゃない」
ジョナサン「ああ。そうですね。わかりました。気をつけて」
霊夢「美味しいもの持って帰ってくるわ」
萃香「ジョナサン!それこっち!」
ジョナサン「分かったよ。ここだね?」
萃香「オッケーオッケー。それを置いたら……もう終わっちゃった。どうしようか」
ジョナサン「もう終ったのかい?」
萃香「うん……。二人だと案外すぐ終わるもんね。困ったなこりゃ……。まだまだ時間はあるし……」
ジョナサン「うーん……。どうしよう。もし良かったらだけど、この幻想郷を案内してもらえないかな?」
萃香「え……」
ジョナサン「まだこの博麗神社から里までの道しか知らないし……ダメかな?」
萃香「ホント!?行こう!」
ジョナサン「危険な場所もあるって言ってたから、なるべくそういうところは避けて……」
萃香「大丈夫だよ!鬼は偉いもん!あ、私ジョナサンの肩乗るー!」
ジョナサン(大丈夫かな……?)
~~~~~~~~~~~~~~~
萃香「ここが地下への入り口!勇儀がいるよ!」
ジョナサン「勇儀さんが?じゃあ挨拶に……」
萃香「入ってからが長いから……ジョナサンじゃ日がくれちゃう」
ジョナサン「…………」
萃香「そんな悲しそうな顔しないで!勇儀は今日来るからその時挨拶すればいいじゃない!」
~~~~~~~~~~~~~~~
萃香「ここが守矢神社!多分今日の歓迎会にはここの巫女さんが来る」
ジョナサン「挨拶した方がいいかな?」
萃香「いいんじゃない?後で向こうから来るんだし」
ジョナサン「そうかい?」
萃香「そうそう」
~~~~~~~~~~~~~~~
萃香「ここが紅魔館!宴会の時はいっつもお世話になってるよ!」
ジョナサン「…………」
萃香「どうしたの?」
ジョナサン「吸血鬼の邪悪な……」
萃香「当たり前だよジョナサン!ここの主人は吸血鬼なんだから!」
ジョナサン「吸血鬼までいるのかい?この幻想郷は…」
萃香「妖怪人間神様なんでもいるよ~」
~~~~~~~~~~~~~~~
萃香「~♪」
ジョナサン「ここは?」
萃香「ここは……滝!たしか河童が住んでた」
ジョナサン「凄いね。こんなとこにも誰か住んでるんだ……。それに幻想郷がこんなに広いなんて思ってもみなかった。いっつも里に買い物に行くだけで……」
萃香「幻想郷じゃ人間が一番弱いから、魔理沙や霊夢や守矢の巫女は例外だけど、群れないと生きていけないのばっかり」
ジョナサン「萃香、……群れているんじゃなくて助けあってるんじゃないかな?
あと、一緒にいると楽しいって気持ちとか。勇儀さんと一緒にいるとき萃香は楽しくないかい?」
萃香「うん……?楽しい……よ?」
ジョナサン「それにぼくだって霊夢さんがいなかったら今生きてるかどうかも分からないんだし。ぼくは霊夢さんに助けてもらってる」
萃香「……う……ん?ジョナサンは、掃除とかがん張って、霊夢を助けてる?」
ジョナサン「うーん、そうとも言えるのかな?ほら、でもそういう気持ちが繋がって大きくなるときっとああいう里になるんだよ。だから群れてるなんて汚い言葉は使っちゃダメだとぼくはおもうな」
萃香「うん……」
ジョナサン「難しいかな?……そろそろ帰ろう。時間もいい頃だしね」
~~~~~~~~~~~~~~~
萃香「ジョナサンって、大人だね」
ジョナサン「そうかい?」
萃香「うん。私の何十分の一しか生きてないくせに、すっごい大人」
ジョナサン「そうかな……。きっと人間は、萃香みたいに長くは生きてられないから」
萃香「ほら、またそうやって難しいこと言う」
ジョナサン「そうだね。ぼくもこれは難しくてよく分からないや」
萃香「だからそういうのが難しいんだってー!」
ジョナサン「あはは、ごめんごめん」
ジョナサン(ディオ……君は……)
それではもう寝ます
好きな言葉はじょりーんの星を見ていたいってやつです
皆さんインフルには気をつけて
~~~~~~~~~~~~~~~
霊夢「…………」
博麗神社に帰ってまず見つけたのは、賽銭箱の上に渋い顔をしてイライラしている霊夢だった。
ジョナサン・萃香(ま、まずい……)
そう直感で理解した。
萃香「(……やばいよジョナサン。霊夢そうとう怒ってる……)」
ジョナサン「(……萃香。ここは素直に謝らないかい?)」
萃香「(……何が悪いかも分からないのに!?……)」
ジョナサン「(……それでも、謝らないといけないさ。それとも、そんなに霊夢が怖いのかい?)」
萃香「(……だって……ゲンコツとか……)」
ジョナサン「(萃香、痛いのが、怖いのかい?)」
萃香「(え?)」
ジョナサン「(……痛いのは、謝れないことより、怖いのかい?)」
萃香「(…………。謝りにいく)」
ジョナサン「よし。萃香は立派だね。それじゃあ謝りに行こうか」
萃香「うん!」
霊夢「…………それで、ジョナサンが萃香を連れ出して幻想郷を案内させてたってわけ?」
ジョナサン「ああ、その通りなんだ……。ホントに悪いことをした」
霊夢「まあ、準備の後に料理の仕込みがあることも言い忘れてたし、別に怒ってないけどね」
萃香「ごめんね~霊夢~」
霊夢「別にいいよ。楽しかった?萃香」
萃香「うーん、難しかった?かな?」
霊夢「?」
ジョナサン「あはは……」
霊夢「それとジョナサン」
ジョナサン「?」
霊夢「今度は私が幻想郷を案内してあげるわ」
ジョナサン「! ありがとう。霊夢」
霊夢「とりあえず、この食べ物を全部しこまないと」
霊夢の背後には、山のように食材が。
霊夢「そのまま食べれるのがほとんどだけど、生肉とかもあるから。でもまんま食べる奴とかもいるから半分はそのまま残しといて」
霊夢が指示を出していると、後ろから声がかかった。
早苗「わかりました。いつも通りですね」
文「あいあいさー!」
妖夢「はい。任せて下さい!」
ジョナサン(いつの間に……)
~~~~~~~~~~~~~~~
博麗神社の境内やら周りの森には数々の妖怪達が酒を飲み、数々の料理や果物に舌鼓をうっていた。
ジョナサン「凄い人達ですね……」
霊夢「うーん。でもいっつも騒ぐ奴が今日は随分大人しいのよねぇ……」
そう言って霊夢は西洋風の魔女姿の女の子を一瞥する。
霊夢「魔理沙ー!」
魔女姿の女の子はこちらに気がつくと、近づいてきた。
魔理沙「ああ、霊夢…」
霊夢「久しぶりじゃない。魔理沙。こっちはジョナサン、一応、今回の宴会の主役」
ジョナサン「こんにちは……。えーっと」
魔理沙「霧雨魔理沙だぜ。よろしくな」
ジョナサン「ジョナサン・ジョースターです。よろしく」
魔理沙「ジョナサン」
ジョナサン「?」
魔女姿の少女は、悲しそうに笑うと向こうに行ってしまった。
霊夢「最近何か落ち込んでるみたいね。今まで借りたモノとか色んなところ回って返してるみたいだし」
ジョナサン「……」
霊夢「ま、それもきっと時間が解決すんでしょ」
ジョナサン「…………」
萃香「ッナサーン!」
ジョナサン「げっ……」
声の方向を見ると、萃香が空の酒樽に肘をついて豪快に笑いながら誰かと酒をあびるように飲んでいる。
萃香に向かい合っているのはーー
勇儀「おお!ジョナサンじゃ~ん!久しぶり~だね!」
ジョナサン「ま、まずい。二人とも相当酔ってるッ!」
ジョナサンは直感で理解するッ!
このまま二人の元へ行っては行けない、とッッ!
ジョナサン「逃げ……」
逃げようとするジョナサンの手を掴む者が!
意外!それは……
文「どこいくんですかい?ジョナサンさん」
ジョナサン「文さん……!」
文「鬼に力くらべで勝つ人間……これは記事になる!」
ジョナサン「あ、あやさん!?」
文「二人ともー!ジョナサンさんが腕相撲したいってー!」
勇儀「よしきたー!!!」
萃香「負けたら今度こそ私達の酒飲んでもらうからなー!!!」
勇儀「今度は私が相手だー!」
ジョナサン「く……」
勇儀「前回の萃香がどれだけ本気でやってたか知らないけど……」
勇儀「本気でいくよ!」
二人はまだ開けていない酒樽の上に肘をついた。
文「さあー。みあってみあって、はっけよーい、のこった!」
勇儀「てーい!」
ジョナサン「ッッ~~~~~~~~!!」
この二人端から見れば屈強な大男とか弱い女性の腕相撲。
しかし、内容はまったくの逆である。
非力な人間と、強靭な鬼の力くらべ。
ジョナサン(あんな量のお酒を飲んだら、死んじゃうよ!)
ジョナサン「おおおおおおお!!!」
勇儀「!」
萃香「すごーいジョナサン!」
勇儀「人間風情がやるじゃないの!」
ジョナサン「くっ!?」
勇儀「さぁ~どうした?そこまでかいジョナサン?」
二人の腕相撲。
完全に勇儀が優勢だった。
二人を見守る観客はニヤニヤしながら、まるで大人と子供の腕相撲を見るように眺めていた。
ただ二人を除いて。
霊夢(…………あら、この干し肉美味しいじゃない)
萃香(バカね勇儀、ジョナサンはここからが凄いのよ!)
勇儀「あとちょ……っと。一気に決めるよ!」
霊夢「勇儀、油断したわね」
ジョナサン「おおおお!!ふるえるぞハーーート!燃え尽きるほどヒーーート!!いまだァーーーー!!」
勇儀「なッ!?」
勝ち誇った鬼の一瞬の気の緩みをジョナサンは見逃さなかった。
そこから、一気にーーーー
文「あー、勝っちゃった」
勇儀「…………うそ」
萃香「ねー。ジョナサン、強いでしょ?」
勇儀「……凄い。ああ……こんな人間初めてだ……。……決めた!やっぱりこいつは旧都に連れて帰る!」
萃香「ダメだよ!私が山に連れて帰るんだから!」
霊夢「はーいはい。勝手なこと言わないでー」
ジョナサン「……なんとか勝てた……」
霊夢「はいじゃあ勇儀に賭けてた奴はこっちに来てちょーだい」
ジョナサン「霊夢さん!?」
~~~~~~~~~~~~~~~
ジョナサン「…………」
霊夢「どう、落ち着いた?」
ジョナサン「あ、ああ、霊夢さん」
ここは神社の裏。
表ではまだ騒がしく宴が続いている。
霊夢「ちょうど良かった。アンタに合わせたい人がいるの」
そういうと、何もない空間の方を見つめて、
霊夢「いるんでしょ?紫」
暗い闇が大きく口を開けて、さらに暗い闇が現れた。
中には五人ばかりの人がちゃぶ台を囲んでいる。
紫「フフフ……初めまして、かしらね。ジョナサン・ジョースター」
ジョナサン「あなたは……」
言葉を遮って、霊夢が喋る。
霊夢「ねえ紫、あながこのジョナサンを幻想郷に連れてきたの?」
紫「フフフ……ええ、そうね。Yes、だわ」
霊夢「…………」
紫「死んだ魂なのに、まだ生きてるようにあの世とこの世のスキマの間、そのスキマとあの世の間のスキマ、そこには屈強な精神を持った魂達がうようよしてたから。適当につまんでその辺に置いてきたの。イレギュラーが二つ、紛れ込んでるけどね」
霊夢「結局、何人連れてきたのよ」
紫「私は七人、イレギュラーで二人。フフ……でももう私が連れてきたのは三人死んじゃった」
霊夢「……」
~~~~~~~~~~~~~~~
妖夢「なんだかあっちは込み入った話してますから、ジョナサンさんはこっちで一緒にご飯でも食べておきます?」
ジョナサン「あ、はい。お言葉に……甘えて」
妖夢「やっぱり気になります?」
ジョナサン「あ……いえ」
幽々子「あー、ジョナサンじゃない」
ジョナサン「これは幽々子さん……ご無沙汰してます」
幽々子「かたいわね~。ほら、吉影様、挨拶して」
吉良「…………」
ジョナサン「え、あ、よろしく……」
吉良「吉良吉影だ。よろしく……」
幽々子「ほら、仲良しの握手~」
吉良はビクリとからだを震わせてから、右手を出した。
ジョナサンは不思議に思うも、特に気にしないというようにそれにこたえる。
お互いに会釈をして、離れた。
~~~~~~~~~~~~~~~
三人はちゃぶ台から離れ、暗闇の奥へ歩いている。
霊夢「で、何が目的なの、」
紫「目的なんかないわよ。まだ生きたいって魂を生かそうってだけなんだから」
霊夢「ふーん……」
霊夢「で?あんたんとこにも誰かいるの?」
この質問には紫のドレスを身に纏った女性の後ろーー狐の尾を九本携えた女性が答えた。
藍「一人、来ています。今は橙の遊び相手を」
紫「そうそう。うちにも一人いたわね。私はあんまり話したことがないの。藍や橙はよく馬なんかに乗って遊びに行ってるみたいだけど」
霊夢「まあ……いいわ。今回聞きたかったのは紫がジョナサンを連れてきたのかだけだし」
紫「帰るの?」
霊夢「帰る」
紫「……イレギュラー二人には、気をつけてね。私が連れて来たのにも一人いたけど、幻想郷をのっとろうと頑張ってるみたいだから」
霊夢「……りょーかい」
~~~~~~~~~~~~~~~
幽々子「あ、ジョナサン、霊夢が帰ってきたわよ」
霊夢「ほら、ジョナサン、この人は八雲紫」
ジョナサン「あ、ジョナサン・ジョースターです。よろしくお願いします」
紫「フフ……。かたいわね~。よろしくね。ジョースター」
霊夢「じゃあ、帰るわよ」
ジョナサン「……?」
霊夢「もう用はすんだの。そろそろ、ね?」
ジョナサン「……わかりました。帰りましょう」
紫「ばいばーい」
ジョナサン「失礼します」
そう言ってジョナサンはお辞儀をして先を行く霊夢についていく。
それでは寝ます
好きなスタンドはホワイトアルバムです
皆さんインフルには気を付けて
~~~~~~~~~~~~~~~
早苗「ただいま帰りましたー」
諏訪子「おかえり早苗ー」
早苗「お土産ありますよー。あれ?エンポリオ君は?」
諏訪子「神奈子の膝の上……」
早苗「あはは……。またですか……」
諏訪子「もー、ずっとよずっとー!何とか言ってよー」
早苗「良いじゃないですかー。あの子が来てからというものうちに参拝すると雨が降るーって里の人皆喜んでますよー」
諏訪子「へー。そうなの?でもそんなのたまたまでしょ」
早苗「さあどうでしょうね……。もしかするとホントに……ってないですね」
諏訪子「ただの人間なんだし、さすがにないわよー」
…………。
ここは……。
どこ?
…………そうか。
僕は……勝ったんだ。
お母さん……お姉ちゃん……皆……僕……。
「あら?」
う、うう………。
「なにを泣いてるのよ少年」
え?
「あら?随分可愛い子ね。里から来たの」
ううん……、僕は……、ずっと遠い所から……。
「……なにか悲しい事でもあったのかしら?私でよかったら聞くけど」
大丈夫だよ。……大丈夫だから……。
「そうね。じゃあ、この質問には答えて。帰る場所は、あるのかしら?」
………………。
「そう。分かった」
~~~~~~~~~~~~~~~
霊夢「……ふぁあ」
ジョナサン「おはようございます。霊夢さん」
霊夢「うぅ……、頭痛い……」
ジョナサン「食事を机の上に置いておきましたよ」
霊夢「ありがと……」
ジョナサン「着替えはそこに置いておきました」
霊夢「うん……。あ、お風呂」
ジョナサン「はい。大丈夫です」
霊夢「………………」
ジョナサン「……?」
霊夢「今日は出掛けるから、準備しといてね」
ジョナサン「準備?」
霊夢「そう。異変たから、戦闘準備、しといて……」
ジョナサン「はい……」
戦闘準備。
その言葉ではなく、霊夢の語調、眼差しから遊びではないと感じ取った。
いつとは少し違う霊夢の空気を感じ取るも、戦闘準備と言われてもすることがなくて困ってしまう。
しばらく悩んで、波紋の呼吸をととのえ、身体のストレッチをして時間を潰した。
ジョナサン「……それで、どうしたんです?」
霊夢「この幻想郷に隕石が落ちた」
ジョナサン「隕石?」
霊夢「そう。隕石。本来この幻想郷に隕石が落ちるなんてことあり得ないんだけど……」
ジョナサン「……それで、調べにいくのかい?戦闘準備っていうのは……」
霊夢「ええ。まあ、一応、ね。何があるか分からないから」
霊夢(随分前の事だからどうでもいいんだけど、今になって紫が教えてきたのがどうも臭う……。イレギュラーの件もあるし)
>>1に書いておくべきでしたけど後付け設定とか裏設定とか使ったりします
あと自己解釈とかも結構入ります
なんだよそれ、とか思うところもある(あった)でしょうけど、大目にみてください!
~~~~~~~~~~~~~~~
お空「すぅぅぅぅ。はぁぁぁぁ」
カーズ「フム……。随分この幻想郷について詳しくなった……」
お空「すごい!水の上を歩けた!」
カーズ「……。貴様……翼があるではないか。それともそれは飾りか?」
お空「な!?カーズ知ってるでしょ!飛べるよ!」
カーズ「あー、分かった…分かった…」
お空「~♪♪」
カーズ(その波紋を土産に地獄に落としてやるッ!。このバカは随分利用できたッ!。フフフ……地上を制圧する先駆けとして、まずはこの幻想郷を手にいれてやるぞ……)
~~~~~~~~~~~~~~~
霊夢「ここね。多分」
ジョナサン「ここは……」
ジョナサンと霊夢は地面に出来ている直径8メートルほどのクレーターの前にいる。
霊夢「どうやら隕石が落ちて来たのは、間違いじゃないようね」
ジョナサン「…………」
霊夢「ジョナサン?」
ジョナサン「霊夢さん、これは、隕石ではないと思う。これを見て」
ジョナサンはクレーターの中心付近で拾ったそれを、持ち上げて霊夢に見せる。
それは、焦げた羽だった。
ジョナサン「もう一つ」
今度は、羽のような形をした、アルマジロの甲羅のような、石。
やはり表面は焦げている。
ジョナサン「ここに着陸したのは……多分、生物だよ」
霊夢「……なぜ?」
ジョナサン「見てごらん。ここは森の中、クレーター内部には塵一つ残っていない、なのに焦げた羽や……甲羅のようなモノがクレーター内部に残っている」
霊夢「それがどうしたの?」
ジョナサン「順番に考えると、何か落ちてクレーターを作る。その上から羽や甲羅。こうなるだろ?」
霊夢「…………」
ジョナサン「とにかく不思議なことだらけだよ。甲羅と羽を持つ生物なんてぼくは見たことがないし、ここに落ちてきたモノはどこいったのかも……」
霊夢「もうちょっと、手がかりを探してみましょうか」
ジョナサン「そうだね」
おっと……寝ます
好きなエコーズはアクト2です
インフル治って明日から学校なので書くペースはかなりおくれますが、悪しからず
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お空「おお!凄い!くっつく波紋とはじく波紋!」
木に諸手をついて地面と身体を平行にしながら喜んでいるお空を見ながら、カーズは考えていた。
カーズ(幻想郷を制圧するのにあたってやはり当面の目標は拠点を構える事だ……。紅魔館。ここならこのカーズにも相応しい。この地上を制圧してからこの下にある地霊殿をいただくとしよう……。フハハ……。待っていろ!ジョセフ!)
お空「カーズ!見て見て!水が、プリンみたい!」
カーズ(ひとまず……)
カーズ「お空、こっちに来てくれ。新しい波紋の応用を教えてあげよう」
お空「ホント!?」
お空はらんらんとした表情でカーズに近づいていく。
カーズも、次第にその表情は笑みがこぼれていった。
カーズ「フフフ……」
カーズは拳に力を込める。
お空「何をすればいいの!?」
カーズ「あそこに木の葉があるだろ……」
お空「うんうん!」
カーズ(今だッ!しねェ!お空ッ!)
カーズが拳を振り上げた瞬間。
カーズ(なにィ!)
カーズ(あれは……!ジョセフッ!!)
カーズの天体望遠鏡並の視力が捉えたのは、かれを宇宙空間に放り飛ばしたジョセフ・ジョースターそのものだった。
カーズ「貴様も生きていたかァ………!」
お空「カーズ……?」
カーズ「お空、頼みごとがあるだが……」
お空「うん……?カーズの頼みだったらなんでもきくよ!」
カーズ「そうか。偉いなぁお空は」
お空「えへへ……」
カーズ「あそこに人間が見えるか?」
お空「うん……?あの男の人?……と霊夢?」
カーズ(霊夢?あの女か。フン、一緒に消し飛ばしてしまえばよかろう)
カーズ「そうだその男の人だ。アレを君の能力で狙ってくれないか?」
お空「え……?あの人間を……?」
カーズ「そうだ……。あれは、悪い人間だ」
お空「そうなの?でも霊夢が……?」
カーズ「あの霊夢は良い人間かい?」
お空「うーん……霊夢も妖怪いっぱい倒すしなー」
カーズ「そうだろ?霊夢も実は悪い人間だ」
お空「うん!カーズが言うなら間違いないね!狙うよ」
お空は手についた筒を二人の方向に向けた。
カーズ「よく狙って……」
お空「あはは!くすぐったいよカーズ!……よーし、はっしゃー!」
しかし、発射のほんの一瞬前……
カーズ(なにィ!?あの女……目が合って……!!)
まばゆいばかりの光が二人目掛けて発射された。
それは一瞬で二人がいた地点まで到達し、凄まじい爆音を上げて爆発した。
森の木々が、消し炭となって山の一部が丸裸になった。
カーズ「……やったか」
カーズ(あの女、最後目があったか……?)
お空「カーズ!やったよ!」
カーズ「いや、しくじったな」
お空「え?」
霊夢「へえ。あんた、強いね」
ジョセフ「霊夢さん!手は離さないで下さいよ!」
カーズ「……?今日日人間は飛行能力を手に入れるまでに進化したのか?」
まばゆいばかりの光が二人目掛けて発射された。
それは一瞬で二人がいた地点まで到達し、凄まじい爆音を上げて爆発した。
森の木々が、消し炭となって山の一部が丸裸になった。
カーズ「……やったか」
カーズ(あの女、最後目があったか……?)
お空「カーズ!やったよ!」
カーズ「いや、しくじったな」
お空「え?」
霊夢「へえ。あんた、強いね」
ジョナサン「霊夢さん!手は離さないで下さいね!」
カーズ「……?今日日人間は飛行能力を手に入れるまでに進化したのか?」
痛恨のミス!
すいません!
~~~~~~~~~~~~~~~
ジョナサン「はぁ、はぁ、びっくりした」
霊夢「大袈裟よ。あれくらいで」
ジョナサン「ああ。もう大丈夫……。それにしても……」
ジョナサンはカーズを一瞥する。
そしてゆっくりと構え、戦闘体勢にはいった。
ジョナサン「なんて悪のオーラを出してるんだ……」
カーズ「ンン~~~?貴様……ジョセフではないな……?」
カーズ(こいつ……ジョセフより、はるかに強い……!)
お空「か、カーズ……?」
カーズ「お、お空!私はこの悪い人間達にいじめられる!助けてくれ!」
お空「……カーズを、いじめる!?」
カーズ「あの女……霊夢が、私をいじめるんだ!」
カーズ(このカーズ……どんな相手でも常に完膚なきまでに勝利する……。とくに、この特殊な能力が跋扈する幻想郷ではな……)
霊夢「バカな事はやめなさい。お空」
お空「許さない!覚悟しろ!」
お空「くらえ!波紋疾走!」
ジョナサン「!?」
霊夢「!」
霊夢はお空の突きを軽くいなそうとした。
が、手前で、お空の手は文字通り、伸びた。
お空「やった!成功!」
ジョナサン「何で彼女が波紋を……」
霊夢「そんなこと、どうだっていいわよ。この阿保カラス……」
喜んでいるお空に対し、霊夢は……
お空の足に、力いっぱいのローキックを浴びせた。
お空「痛ッ……」
霊夢「……ふんっ!」
蹴った足を地につけた後、踏みしめ、そのままお空の腹に
お空「痛い!痛いよカーズ!」
カーズ(ほう……あくまで自分のスキルは見せないか……。それとも何のスキルもないか……)
カーズ「お空!もういい!戻ってこい!」
お空「うあぁぁん!カーズゥ!」
カーズ「フンッ!」
お空「え……」
カーズはお空のガラ空きの頭に手刀をお見舞いする。
お空「そん……な……カーズ……?」
カーズ「グズめ…もう用無しだ」
お空は、そのまま気を失って、重力に従うままに地面に突っ伏した。
カーズ「ふむ、人間なら頭が割れているのだが……さすが妖怪!随分丈夫じゃないか!」
霊夢「ジョナサン、逃げるわよ」
ジョナサン「………………」
霊夢「ジョナサン!」
ジョナサン「ダメだ……紳士として……ここは見過ごせない……」
霊夢「ダメ!絶対勝てない!こいつは……格が違う!」
ジョナサン「…………」
霊夢「分かった……。少しの間時間を稼いで。私が……決める」
ジョナサン「ああ、でも、ぼくが必ず……倒す!」
カーズ「お話は終わったかな?終わったのなら、せんえつながらこのカーズ、本気で貴様らを始末させてもらう!」
ジョナサン「おおおお!」
ジョナサンは一気に間合いをつめ、カーズに渾身の突きを浴びせた。
ーーが
カーズ「ほう。この程度か。痒いぞ」
ジョナサン「おおおおおおおお!」
カーズ「ンン!?」
カーズの身体は持ち上がり、後方に吹っ飛んだ。
ジョナサン「………」
カーズ「素晴らしいィ!貴様、ホントに人間か!この究極生物の足を!このカーズの足を!地面から離れさせるとは!素晴らしいィ!」
ジョナサン「~~~~~~~~~~!」
カーズ「しかし、まあ、所詮人間というわけか」
カーズは立ち上がる。
カーズにとって、ジョナサンの一撃はハエが止まったのと同じレベルなのだ。
ジョナサン「うう!」
カーズ「フフフ、フハハハハ!」
今度はカーズはジョナサンを右足で軽く蹴る。
ジョナサンは防御しようと努力するが、そのパワーはいとも簡単に左腕を潰したのだ。
ジョナサン「ッ!」
カーズ「これが人間にうけ来れるか!」
おかえしというように、今度はジョナサンの身体が中に浮き、進行方向の木に衝突。
カーズ「フハハハハ!気分がいい!まったくダメではないか……フフフ、フハハハハ!」
霊夢「…………」
カーズ「おい、巫女、何をブツブツ言っている?」
霊夢「…………」
カーズ「自分の念仏でも唱えているのか?それならば……」
カーズ「すぐにあの世におくってやる!」
拳は振るわれた。
祈る、少女にむかって。
その拳は、一介の人間の頭など一撃でグシャグシャに。
霊夢の頭目掛けて、一直線に。
しかし霊夢は動かない。
ジョナサンがカーズを倒すと言ったのだ。
人間が敵うはずのない鬼を二人も打ち負かした。
土壇場で、不可能をいつも可能にしてきたのだ。
それなのだから、霊夢はジョナサンが必ず倒すと、確信している。
「まだぼくはここにいるぞォォ!!!」
ーー瞬間、カーズの横から一撃。
「くッ!またもや……」
そのあまりもの衝撃で狙いがそれ、カーズの拳は霊夢の頭の薄皮一枚削るのが精一杯となった。
「こんな少女にまで手をあげるなんて!お前はどこまで腐ってるんだッッ!」
ジョナサンの身体がまるで太陽の光のように神々しく発光する。
悪を照らす、光。
「おおおおおお!ふるえるぞハーーート!燃え尽きるほどヒーーート!くらえいィィーーーッ!!山吹色の波紋疾走《サンライトイエロー・オーバードライブ》ーーーーッ!!」
ジョナサンの右の巨大な拳は一直線にカーズに向かっていく。
しかし、カーズはただ不適に笑った。
「は もん?
【はもんしっそう】だとォーーーッ!!」
ジョナサンの拳は綺麗にカーズの顔面に当たった。
ーーーーしかし、
カーズの顔面に触れた瞬間、ジョナサンの拳はジュージューと音をたてて溶け出したのだ。
「~~~~~~~~~~~ッ!!」
「ほう、ジョセフよりは我慢が強いみたいだなァーーッ!」
それは先程ジョセフが繰り出した、太陽のパワーそのものだった。
「フハハハハ!所詮人間!この私に対峙しようということ自体おこがましいとあもわんかァーーッ!!」
「ま、まだだ……」
「まだ分からんか……人間が……。所詮人間など、ゴミなのだッ!」
カーズ。ジョナサンの命を削り取る、最後の一撃を放つ。
その拳は、真っすぐジョナサンの脳天へ。
「違う……
信念さえあれば、人間に不可能はない!
人間は成長するのだ!
してみせるッ!」
ジョナサン。
最後の一撃。
溶けた拳で、渾身の力をこめ、カーズの拳を。
砕くッ!!!
「なにィィ!?」
そして、ジョナサンの意識は……。
その微かな意識のなか、最後に聞こえたのは霊夢の感謝の言葉だった。
「ありがとう。ジョナサン。よく最後まで生き抜いてくれたわね」
~~~~~~~~~~~~~~~
ジョナサン「ここは……?」
霊夢「……空、もう少しで医者のところへつく」
ジョナサン「カーズは……」
霊夢「封印した」
ジョナサン「は、はは。敵わないな……。霊夢さん」
霊夢「霊夢でいいよ」
ジョナサン「……うん」
霊夢「もう少し寝てなよ。運んでってあげるから」
ジョナサン「でも、霊夢も、血が……」
霊夢「私は大丈夫。……ジョナサンのおかげ」
ジョナサン「そうかい?よかった。ホントによかった……」
~~~~~~~~~~~~~~~
カーズ「んん~~~~~~~~~?なんだ?急に景色が変わったぞ?」
カーズ「どこだ!ここはァーーッ!!!」
カーズ「ジョナサン!霊夢!どこへ行ったァーーッ!!!」
カーズ「…………」
【カーズは封印された。この何もない空間を一生一人で生きるのだ。そのうちカーズは……考えるのを止めた】
それではそろそろ寝ますね。
好きなタスクはチュミミ~ン
それではおやすみなさい
皆さんインフるには気をつけて
PS
いつも感想ありがとうございます
楽しく読まさせていただいています
たまに先の展開をかかれてドキリとしますが……
もう少しお付き合い下さい
次のボスで最後です
~~~~~~~~~~~~~~~
地獄。
ここはなんのためにあるのだろうか。
ただの罰のためか。
痛いだけの罰で悔いるのは犬ぐらいのものだ。
それならば罪滅ぼしのためか。
苦痛を与えられたところで罪悪感とは別次元の話ではないのか。
それならば、この場所の存在意義とは、いったいなんたなんなのだ。
無駄だったのではないか。
罪滅ぼしとはーーやはりーーーー
「そうよ。罪は、生きてこそ、償えるもの。こんなところへ来ても、何もできやしないわ。行きましょう。生きましょう?あなたの友達が、顔をぐしゃぐしゃにして待ってるわ」
…………………………………
………………………
…………
橙「藍さまー!」
藍「ああ、橙、今日はどこに?」
橙「はい!。知らない道や、知ってる道、いろんなとこにいきました!」
藍「そうですか。楽しかったですか?」
橙「はい!……途中で知らない人に襲われたのにはびっくりしました……」
藍「!?」
橙「けど、こんな丸っこいボールでばーん!って」
藍「……」
橙「だから、怪我はありませんでした」
藍「そうですか……。よかった……。それで、あの方は?」
橙「お外で馬さんの髪をブラッシングしてます」
藍「そうですか……。終わったら呼んできて下さい。後で皆で、お茶にしましょう」
橙「はい藍さま!」
橙と藍さまの立ち位置が一番分かりづらくて……苦手だ
というわけで、すいませんがインフルで休んでいた分の課題が酷いので、今日はここまでです。
今週の日曜日には完結させたいとおもっているので、皆さんお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。
また朝に書くかもしれません。
PS
8部吉良とジャイロ以外は声は良い出来だと思いました
ジャイロ…………
~~~~~~~~~~~~~~~
橙「ビザモッツァレラ!ピサモッツァレラ~!」
小さな猫又の少女。
手に饅頭を持って陽気に歌を歌っている。
橙「レロレロレロ!」
藍「ち、橙、どうしたのですか!?」
橙「ジャイロさまが教えてくれたました!元気の出る歌!」
藍「ジャイロさま……」
ジャイロ「なーにかな?」
藍「橙に変な事を教えないで下さいよ……」
ジャイロ「え!?変なこと!?」
藍「はい……、変なことです」
ジャイロ「そうかー。藍はまだオレたちのセンスに追いつけてないなー」
藍「………………」
紫「あら、私はこの歌、好きよ?ビザモッツァレラ~って」
ジャイロ「マジっすか!?」
紫「ええ」
ジャイロ「マジすか~!やっぱ分かる人には分かるもんだな~」
橙「よかったですねジャイロさま!」
紫「~♪レロレロレロ♪」
藍「紫さま……」
紫「うふふ。藍も歌ってみなさいよ」
藍「わ、私はちょっと……」
紫「そう。楽しいのに。~♪♪」
橙「~♪♪」
紫「それにしても橙は今日ずいぶん楽しそうね。なにか良いことでもあった?」
橙「はい!色んなところに連れていってもらいました!」
紫「へー。どこに?」
橙「えーと、お花畑と、広い原っぱと……」
紫「全部行ったことあるじゃない?」
橙「ジャイロさまが面白くて!勝手にお花畑に入った上にお花を間違って踏んだ時にはホントに怖かったです……」
藍「ジャイロさま!?まさかさっき橙が言ってた怖い人って……」
ジャイロ「だ、大丈夫スよ~」
ジャイロ「(橙、そのことは秘密って言ったじゃんか~)」
橙「あ!」
藍「ジャイロさま……」
紫「まあまあ藍、怪我もなかったんだしいいじゃない。橙、それで?」
橙「はい!ジャイロさまにボールを一個いただきました!」
少女はポケットから不思議な溝が入った小さな鉄球を取り出した。
ジャイロが愛用しているのよりも一回り小さく、また、少し軽かった。
紫「よかったじゃない。大事にするのよー?」
橙「はい!」
あ、普通に間違えた。
何か違和感あったんだ
許してほしい
ジャイロの口調に激しく違和感を覚える
紫「ジャイロみたいになにか出来るの?」
橙「えーと、一個だけなら……」
橙ははずかしそうに、手の平に鉄球をのせて、回転させはじめた。
紫・藍「?」
ジャイロ「~♪♪」
鉄球はただ回転するだけであったが、明らかにその勢いではあり得ない時間橙の手の平で回り続けている。
紫「へー。凄いじゃない。たいしたもんねー」
藍「素晴らしいです。橙」
橙「ありがとうございます!紫さま!藍さま!」
ジャイロ「たいしたもんよ。橙ちゃん凄い!」
橙「ありがとうございます!ジャイロさま!」
藍「……それにしても凄い。いったいどうなって……」
ジャイロ「危ねェ!まだ鉄球の回転はとまっ……」
藍「きゃあ!」
ジャイロ「オー、ノー……」
>>286
マジっすか!?の部分?
それ以外なら教えてほしい……
ほんまや
読み返してたしかに仗助っぽい
今日はここまでにしときます
課題がたまってるので……
あれ……ジャイロってどんな口調だ……
藍「…………」
橙「藍さま……ごめんなさい」
藍「大丈夫ですよ。橙のせいではありません……。私が不注意だっただけですから……」
紫「~~~~~!!」
藍「紫さま……笑いすぎですよ……」
紫「だってあなた、橙に、ふふ、橙に、」
藍「う、うう……」
ジャイロ「(藍、ちょっといいか?)」
藍「……?」
ジャイロ「(ちょっと橙を連れて外に行ってくれないか?。紫と二人きりでお話があるんだが……)」
藍「(急にどうしたのです?今日なにかあったのですか?)」
ジャイロ「(いや、どうしても納得出来ないことがある。ここで納得出来ないと、オレはここから出ていかなくちゃならない。納得は何よりも優先するからだ。分かるか?)」
藍「(……よくわかりませんが……くれぐれも粗相のないようにしてください)」
藍「橙」
橙「はい!」
藍「そのボール、外でもっとゆっくり見せてもらえませんか?」
橙「え……?」
藍「橙、私と外に外に生きましょう?」
橙「え……、あ、はい。分かり……ました……?」
紫「どうしたの~?人払いなんかして、私に何か話でもあるのかしら?」
ジャイロ「ああ。大切な話だ」
紫「……ふーん」
ジャイロ「……まず、何故いつも家にいない。どこに行っている」
紫「それは言えないわね~。なんてことはない、ただの散歩よ。なに?今日に限ってずっと家にいるから不信に思ってるの?たしかにあなたがここにら来てからずっと家を空けてたけど、それはただなんとなくってだけよ?」
ジャイロ「いや、そうじゃない。【今日ようやく家にいた】から、【ようやく話す機会を得た】からこうして二人きりにしてもらった」
紫「…………」
ジャイロ「単刀直入に言おう。アンタ、オレを避けてたろう?何を隠してる」
紫「なにか……隠してる?私がなにか……隠してる?それに、避けてるって?私が何故?そう思うの?」
ジャイロ「……ああ。証拠なんかないが分かる。教室で聞こえるヒソヒソ話が自分のことだって根拠なしに分かるように、オレはたしかに避けられてる。分かるんだ。……それに、不可解なこともたくさんある。解決できるのもあるが、この【避けてる】ってのがネックなんだ。説明してくれ。俺の疑問に。ここで納得できなきゃ……そうだ。オレはお前を敵だと思わなきゃならない。お前がただの人間ならよかった。でもな……俺にはあんたら妖怪がどうにも信じれない。特にだ。アンタは、特に」
紫「そう……ずいぶん勝手なことを……。あの花好きになにか吹き込まれたのね……」
ジャイロ「……否定はしねーのか。紫」
紫「……ええ。たしかに私はあなたを避けてたわ。意識的に。それで、……疑問だっけ?答えてあげる。……面倒ね。あなたの、その納得できなきゃ仕事も出来ない融通のきかなさ、」
ジャイロ「…………」
飯風呂落ち
もしかしたら今日は終わりかも
でもまだ更新するかも
学生は忙しいねまったく
ジャイロ「……俺は、死んだのか?」
紫「ええ……。まあ、そうね」
ジャイロ「……そ
紫「ちょっと待って。かったるく何度も質問しないでちょうだい。しようとしてたでしょ。私には分かるわ。あなたはなぜ今自分がここにいるか知りたいんでしょ?」
ジャイロ「…………」
紫「……私が、私の能力で、この幻想郷に召喚した。文句ある?」
ジャイロ「……能力……?」
紫「教えないわよ。たなみに召喚した理由は一興のため。あなた達のその能力に興味があったかし、あなた達ならこの退屈な幻想郷に刺激を与えてくれるんじゃないかと思ってね」
ジャイロ「……」
紫「それ以外に理由はないのよ?あなた達が生きてるころからずっと注目して、上手く連れてこれるタイミングで連れてきた。どう?これで満足?」
突然不快感をあらわにし、ジャイロを威圧するように、質問をしていないのにまるでジャイロの疑問が全て分かっているかのように答えていく紫。
しかし肝心の疑問はまだ解消されてはいないと、ジャイロは口を開いた。
ジャイロ「いいやまだだ。まだオレを避けてた説明がされていない。オレは聞いたんだ……あの女に。オマエは魂を回収している死神だってな」
紫「……?」
ジャイロ「今日の満月の夜、オマエはオレの魂を持っていく。そのためにオレをこの家においておいた。違うか?避けてたのはオレに余計なことを感づかれないためだ」
紫「(~~~~~~~~~~~!!)」
紫「それが、あの女に吹き込まれたことってわけね?」
ジャイロ「否定はしねェんだな……」
紫「…………」
紫「(ダメよ!こらえて!でも!だめ!もう!無理!)」
ジャイロ「おい、何とか言…………」
紫「はは……」
ジャイロ「…………やっぱr
紫「ぶっはははははッ!何それ!?ナニソレ!?私が死神!?何を吹き込まれたかと思えば私が死神!?それ、ソレ、信じたの!?ジャイロ、まさか信じたの!?ハッ、ハハハハハ!!死神ですって!月に、魂持ってっちゃうの!?止めて!お腹痛いわ!誰かこの笑いを止めて~~~~~!」
~~~~~~~~~~~~~~~
紫「……ってわけなのよ!藍、信じられる!?フフフ……。今思い出してもさすがに……」
藍「(そんなバカなことを……)」
ジャイロ「(だってよ!この幻想郷なら何が起きても不思議じゃねェだろ!?藍なら分かってくれるわずだぜ。このオレの気持ちが!)」
藍「(それでも想像力が豊か過ぎますよ。どうして私の主人が死神なんですか。紫さまはただ友人がある男性にべったりですから羨ましく思っただけですよ。それで、ジャイロさまのことをもっとよく知りたいと……)」
ジャイロ「あー……その、なんだ……紫、すまなかった」
紫「~~~~~~~~。いいわよ~。フフ、分かってくれれば、それで」
橙「藍さま?何のお話をしてるのでしょうか……。紫さまはなぜ笑ってらっしゃるのでしょう」
藍「橙は知らなくてもいいことですよ」
橙「そうですか……?」
藍「はい」
それでは寝ます
おやすみなさい
明日は学校と、夜遅くまで用事があるのでもしかすると更新出来ないかもしれません
今日はまた深夜に少し更新出来ればと思います
ジャイロ「分かった。分かった。で、紫。結局オレを避けてた理由ってのはなんだったんだよ」
紫「あ?……ああ。あなたが何を言うのか気になったから話を合わせてただけよ?」
ジャイロ「……それじゃあオレは完全にあの女に騙されてたのか」
紫「あれは花がわが子みたいなもんなのよ。その花を踏まれてあなたを助けるようなマネをすると思う?」
ジャイロ「……待てよ。もう一つだ。それじゃ、今まで何をやってたんだよ」
紫「あなた以外にもこの幻想郷に招待してるのよ。……フフ、あそこはコッチと時間の流れが違うからね……」
ジャイロ「あそこ?」
紫「そう。あそこ。まあ、どこかは秘密だけど」
ジャイロ「…………」
~~~~~~~~~~~~~~~
神奈子「エンポリオ。こっちにいらっしゃい」
エンポリオ「……いやです。神奈子さん」
ここは守矢神社の神社内、とある一室。
二人の人間が言い合いをしている。
神奈子「言うことを聞いてちょうだい。エンポリオ」
エンポリオ「衣食住全てあなたの膝の上でしないといけないなんていくらなんでも酷すぎる……」
神奈子「そんなことないわよ。ね?良い子だから言う事を聞いて」
エンポリオ「…………」
神奈子「エンポリオ……はやく、こちらに、おいで……!!」
エンポリオ「……嫌だッ!ぼくはここを、出て行くッ!」
神奈子「……絶対ダメよ」
山の神、神奈子が少年エンポリオを初めて会ってから、今までずっと軟禁状態(神奈子自身はそうは思っていない)にしていたのが言い合いの種のようだ。
エンポリオは憤り、神奈子はそれをムキになって引き止めている。
エンポリオ「とにかく、もう限界なんだ!」
神奈子「……待ちなさい。エンポリオ。これは、【命令よ】」
エンポリオ「な……ッ!?」
背を向け、ダッシュで部屋を出ようとしたその時、エンポリオの前に巨大な柱が、ーー落ちて来た。
エンポリオ「神奈子さん……!」
神奈子「ほら、逃げないで……とにかく話し合いましょう……」
ほんの足止めのつもりで攻撃を放った神奈子だが……。
エンポリオ(殺されるッ……!)
エンポリオは宣戦布告と受け取った。
エンポリオ「………………」
神奈子(あら、エンポリオの雰囲気が変わったわね……)
エンポリオ「ウェザー・リポート!」
エンポリオは叫ぶとエンポリオの後方から上半身だけの雲のような人型の生物が現れた。
神奈子「……なに?それ」
エンポリオ「…………!」
神奈子「なにそれって言ってるの」
エンポリオ「ウェザー・リポート!集中豪雨だ!」
エンポリオは柱をよけて部屋のそとへ逃げた。
その直後、凄まじい雨音がエンポリオの後方ーー神奈子がいる部屋から聞こえた。
エンポリオ「あの人も……スタンド使いなのか……?」
走りながらエンポリオは考える。
エンポリオ「でも……そんな素振りは見えなかったし、でも、浮いたり、あの柱だって……」
ーーと、次の瞬間
バゴォッ!!
大きな破壊音が鳴り響き、出て来たのはーー柱、巨大な柱だった。
神奈子「やーねー。もうビショビショ……」
廊下右側から道を塞ぐように二本の柱が現れた。
その柱の向こう。
神奈子が悲しそうな顔でこちらを見ている。
神奈子「エンポリオ……こちらに、戻りなさい」
エンポリオ「……嫌だ」
神奈子「なにが不満なのよ……」
エンポリオ「わからないのなら、話しても無駄だよ」
神奈子「人間の子供の育て方なんて、私には分からないわ……」
エンポリオ「……ッ!お前は、異常だ!」
神奈子「そんな言葉遣い、今までしなかったのに……。傷つくわね……」
神奈子はゆっくり片手をあげ、こちらに構える。
神奈子「……それでも、外は危険でいっぱいだから、絶対、私はあなたを離さない。ねえ、エンポリオ、私のこと、嫌い?」
エンポリオ「……」
エンポリオは、黙って頷いた。
神奈子「そんな……。エンポリオ!」
エンポリオ「ッ!」
道を塞いでいた柱は消え、今度は神奈子の後方から飛んできた。
エンポリオは退かず、神奈子に突進して、方向転換。
先程柱が空けた穴に入る。
エンポリオ「バーニング・ダウン・ザ・ハウス!」
神奈子「……!」
エンポリオが穴から隣の部屋に移動した瞬間、その穴は綺麗に塞がり、元のまっさらな壁に戻った。
いや、正確には、穴が塞がったように見えているだけなのだが。
神奈子は柱での攻撃を止め、その壁を見回した。
神奈子「これは……」
先程穴があった箇所に触れる……。
神奈子「感触が……ない!?」
再度、神奈子の上方から豪雨が襲いかかった。
エンポリオ「はぁ……。はぁ……」
エンポリオは、ようやく玄関まで来た。
後は扉を開いて出るだけだ。
エンポリオ「……!」
が、突然その扉は開いた。
エンポリオ「早苗……お姉ちゃん。諏訪子さん」
諏訪子「おっすー。神奈子といい子にしてたかー。エンポリオー」
早苗「あ、エンポリオくん。今日は何食べたい?」
エンポリオ「な、あの……」
早苗「ん?」
諏訪子「わあ!?何で家がこんな散らかってるの!?」
神奈子「エンポリオ……外に出てはダメよ……」
諏訪子「神奈子!?あんた何でそんなビショビショなの!?」
エンポリオ「……悪いけど、僕はここを離れるよ。さよなら。早苗お姉ちゃん。諏訪子さん」
諏訪子「神奈子あんた!?まだエンポリオに説明してなかったの!?」
エンポリオ「……?」
神奈子「子供にそんな……」
諏訪子「でも納得出来ないでしょ!?あんた、説明しなきゃただの変質者よ!?」
神奈子「…………でも」
早苗「エンポリオくん、なにも言わずに神奈子様の軟禁に答えてたから……知ってるのかとばかり」
エンポリオ「?!?、??ちょっと待って。皆がなにを言ってるのかぼくは分からないよ……」
~~~~~~~~~~~~~~~
「エンポリオ……エンポリオです。
ぼくの名前は…僕は名前はエンポリオです」
今日、散歩をしていたら子供を拾った。
怪我をしていて、とても疲れているようだった。
「いいのよ?寝てて」
その子を抱きかかえて、家まで帰る途中、そう言ってやると、疲れていたのかすぐさま寝てしまった。
「お母さん……」
「ん……?」
「お姉ちゃん……皆……
ぼくは、勝ったよ……」
しばらく歩いて、その子が涙を頬に伝わせながら言った。
寝言だった。
とても辛い思いをしたのだろう。
……その時決めた。
「私はこの子を育てる」
~~~~~~~~~~~~~~~
エンポリオ「ぼくが……死ぬ?」
神奈子「……」
諏訪子「そうなのよ。あなたを育てるって神奈子が言い出して、よしそうしよう。ってなった後ね、幸多い人生になるように、って早苗がお祈りしてたら……」
神奈子「悲鳴を上げながら消滅するあなたの姿が見えたらしいの」
諏訪子「だから、今のあなたが、早苗が見たあなたと姿が変わるほど成長するまで、家から出さないようにしよう。ってね。消滅した場所は外だったから」
エンポリオ「……そんな、……神奈子さん」
神奈子「…………ごめんなさい。エンポリオ。私、上手くあなたとの接し方が分からなくて、とにかくあなたを守らないとって……」
エンポリオ「……神奈子さん…………」
早苗「ご飯で来ましたよ~。誤解も解けたことですし、お食事にしましょう!」
その夜、エンポリオはやはり神奈子の膝の上で寝た。
神奈子「よかった…。エンポリオ、もう出て行くなんて言わないでね……」
エンポリオ「うん……うん……。ごめん、ごめんなさい……」
神奈子「ウフフ……。いいのよ。可愛い。エンポリオ……」
エンポリオ「…………」
諏訪子「早苗、あんたどう思う?」
早苗「なにがです?」
諏訪子「神奈子よ」
早苗「はぁ……??」
諏訪子「ちょっと、おかしいとは思わない?」
早苗「……ああ。神奈子様、お母さん初心者で、ちょっと今は迷走してるだけですよ。しばらくすると、神奈子様も元に戻ります」
諏訪子「そんなもん?」
早苗「はい!まあ、たしかに、今はかなり異常ですが……」
~~~~~~~~~~~~~~~
幽々子「吉影様~」
吉良「はい」
幽々子「吉影様は、運命って信じる?」
吉良「運命ですか……。そうですね……。あるんじゃ、ないでしょうか」
幽々子「そうね……。妖夢はどう思う?」
妖夢「えっと……。私は、ないと思います。結局自分の行動で周りの物事は決まってしまうので……」
幽々子は居間で夜空を眺めながら、お酒を片手に聞いた。
幽々子「私は……、そうね。神先が分からず暮らしているこの幻想郷だから運命なんてあるとは思えないけど……。そうね、あると思うわ」
吉良「…………」
幽々子「ねえ?吉影様」
吉良は最近思い出したことがある。
この幻想郷にくる前見た、枯れた桜の木のことだ。
どこで見たのかは思い出せないが、あの尼と別れた後なのは間違いない。
その枯れた桜の木を見た瞬間ーーこの白玉楼の一室で目を覚ました。
幽々子の話では突然自分の目の前に現れたそうだ。
吉良「そうですね。あの……幽々子様、お手を……」
幽々子「?どうぞ」
吉良は、自分の前に差し出された手を触り、ゆっくり撫でる。
吉良「ふ、ふふ……。手が……綺麗ですね幽々子様は……」
幽々子「ふふ、くすぐったいわ。……ありがとう」
寝ます
現実で一番使えるのはドラゴンズ・ドリームだとおもってます
おやすみなさい
~~~~~~~~~~~~~~~
妹紅「あらら、最近随分と気がたってるじゃない」
ここは竹林。
竹の細い枝の上に立って恍惚な表情を浮かべている少女は言った。
その頬には赤い線が一本、走っている。
輝夜「……うちのが皆辛気臭い顔してコッチまで気が滅入るのよ!」
下から見上げている少女は言った。
手には日本刀を持っている。
身につけている着物は、所々焦げて、その刀にはうっすらと血のりがついていた。
妹紅「へぇ……。まあ、興味ないけどな!」
輝夜「……ッ!」
妹紅は自分の目の前に頭ほどの大きさの火の玉を三つ作り出すと、それを全て輝夜めがけて放った。
輝夜「ああ!イライラする!」
その火の玉を容易くバッサリと切り捨てると、妹紅が立っている竹まで走り、これも見事に切り捨てた。
妹紅「おっと、と……」
自分の足場がなくなり、地面に降り立つ妹紅。
輝夜「もらったぁ!」
それと丁度同じタイミングで妹紅の胴目掛けて刀を振った。
妹紅「甘い甘い。よっと……」
それを上半身を仰け反らして、切られたのは薄皮一枚。
そして妹紅は手を輝夜にかざす」
妹紅「ほらほら、避けないと今度こそ死んじゃうかもよ!」
妹紅の手から放たれたのは、凄まじい火炎。
妹紅と輝夜の視界いっぱいに灼熱が広がった。
妹紅「ヨシ!手応えあり……!」
火炎がはれ、焼野原となったそこを見ると、誰もいなかった。
妹紅「…………?」
??「お嬢さん……。すまないがここはどこか教えてくれるとありがたい……」
妹紅「!?」
その者は、突然、現れた。
後ろから、突然。
妹紅「誰だ!?」
??「質問をしているのは私だ。ここはどこか教えてもらおう。この女がサムライ・ソードを所持しているとこからしてもしかするとここは……そう、日本かね?」
妹紅「……なんで輝夜がそこにいるんだ……」
??「んん?もしかすると言葉が通じないのか?しかし私は君の言う事を理解できているし、それはないだろう」
妹紅「ふざけるんじゃねーぜ……。決闘の邪魔をしてくれて……」
??「おい。君はなにを怒っている」
妹紅「ちょっとばかし、痛い目をみてもらう……」
この時、輝夜は何が起こったか分からなかった。
先程の攻撃で無傷の自分は現在奇妙な男の足元で突っ伏している。
輝夜(なにが……起こったの?何も分からない。でも……とにかく)
妹紅「くらえぇ!」
輝夜「逃げなさい!妹紅!」
??「ッ!」
永琳「はぁ……」
八意永琳は嘆息をついて竹林のいつもの場所に向かう。
負けてボロ雑巾のように捨て置かれている姫様を回収しに行くためだ。
永琳「今日は四肢全てつながっているといいのだけれど……」
しばらく歩くと、紅白の人影が見えた。
永琳「……!まだ戦闘中……?それとも勝ったのかしら」
またしばらく歩く。
紅白の人影が倒れていることが分かり、奥に紫色の着物を着た人影があることが分かった。
永琳「……!ああ、勝てたのね。久しぶりに」
しかし、少し状況がおかしいことが分かる。
目にうつったのは、倒れている紅白の人影ーー妹紅に背を向けて、構えている紫色の人影ーー輝夜の姿だった。
永琳(何をしているのかしら……?)
飯風呂落ち
永琳「……ん?」
永琳が見たのは三人の人物。
血だらけで転がっている妹紅、肩から血を流して、竹の枝を構えている輝夜。
永琳「……あなたは、誰?」
そして、無表情で、輝夜が持ってあったはずの日本刀を片手でその触感を確かめている男が一人。
??「……意外と重たいのか。これは……」
輝夜「永琳!妹紅を連れて逃げて!コイツはヤバいわ!」
永琳「いいえ。ここで逃げるべきは姫様です。ソレを持ってはやく。この竹林なら逃げられるはずです。この場は……私がもちます!」
??「……逃がさんが……逃げることを許してやらんこともない」
永琳「……」
??「質問に答えろ。ここはどこだ」
その男は刀を手から離した。
が、刀は地面に落ちることなく、その場にとどまり続ける。
永琳「……」
そして、その刀は、一度後ろに引いてから、こちらに凄まじい速さで飛んで来た。
まるで、見えない人間が、刀を投げたみたいに。
輝夜「あ!あぁ……」
その刃は、輝夜の足を地面に縫い付けた。
??「質問はまだ終わってない……いや、尋問かな?フフ……」
永琳「分かった!答える!ここは幻想郷……。たしかにあなたがさっき言った日本にあるわ……」
??「ほう、なら、この幻想郷からその日本にいくことは可能かな?」
永琳「ええ。この幻想郷の東の端か、北東の端に行けば多分……」
??「……そうか。最後に、……この幻想郷に、政治……、社会はあるのか?」
永琳「……さあ、分からないわ。多分……ないんじゃないかしら?」
??「そうか。ご苦労だったな。……もう、用済みだ。……【お前だけ】は、行っていい」
永琳「……なっ!」
永琳「卑怯者!」
??「卑怯者~~!?今、卑怯者だと言ったのか?違うな。私は卑怯者ではない。そこの女は私に刃を向けた。これは……そう、戦争なのだッ!」
男は走って永琳との距離を詰めて行く。
永琳「ッ!」
永琳は咄嗟に構え、男の初撃を待った。
??「……」
男は拳を引いた。
突きを繰り出すのだと永琳は思った。
ーーが、
永琳「痛ッ!」
輝夜「永琳!」
突然足に腹に激痛がはしり、体が持ち上がって吹っ飛んだ。
??「その様子だと貴様も見えんか……。そこの紅白の女が炎を飛ばしてくるので少し気になったのだが……どうやら、ここにはスタンド使いは存在しないらしい」
永琳は後方……輝夜と妹紅のところまで転がった。
永琳「少し我慢して下さい……」
輝夜「……!」
永琳はすぐ立ち上がり、輝夜の足に刺さった刀を抜いた。
永琳「速く走る事は出来ないでしょうが……ここは私が時間を稼ぎます。この竹林なら大丈夫でしょう。ゆっくりでもいいので、お逃げ下さい……」
輝夜「永琳……」
??「逃がさん!」
永琳「く……さっきのダメージが……」
永琳は膝をつく。
輝夜は妹紅を担ぎよろよろとその場を離れようとしていた。
男は来ていた上着を脱ぐと……
永琳に向かって、かぶせた。
??「恨んでくれるなよ……。殺すことは目的じゃない。あくまで【愛国心】にもとづき!私利私欲のためではなく行動しているのだ……。父が守った国を!今私が守るために!そして、そのチャンスがもう一度手に入ったのだ!今度こそヘマは……絶対にしない!」
永琳「ここまでね……」
??「やれ!Dirty deeds done dirt cheap(いともたやすく行われるえげつない行為)【D4C】!!!」
ヴァレンタイン「どジャアア~~ン!」
その男ーーファニー ヴァレンタインは、永琳に布をかぶせ、その布を払うと、永琳は忽然と消えていた。
前方にはよろよろとした人影。
まだ大きい。
余裕をもって追いつくだろう。
ヴァレンタイン「逃がさんぞ……」
追いかけようとしたその時、後ろから声がかかった。
??「待てよ」
男がいた。
その傍にはーー永琳。
??「…………」
永琳「……うそ」
??「永琳、早く逃げるんだ。振り返らず、あの二人を連れて、すぐに」
永琳「あなたは!今まで!どこに行ってたのよ!あの時、死んだんじゃ……」
??「永琳、逃げてくれ。時間がないんだ」
ヴァレンタイン「なんだ。仲間か」
永琳「……分かった。……いい男になって。まったく、絶対帰って来なさいよ。うどんげが、ずっと泣いてるわ」
??「永琳」
永琳「?」
??「うどんげに【戻るにはまだ時間がかかる。しかし、必ず帰る】と伝えといてくれ」
永琳「……」
永琳は悲しそうに小さく頷くと、輝夜と妹紅の元へ走った。
ヴァレンタイン「話はすんだか……。貴様、なかなかやるようだが……」
??「……エピタフで見えるのは死だけだ……。だが、時間は稼がせてもらうぞ……!」
~~~~~~~~~~~~~~~
永琳は走った。
瀕死の二人をかかえて……。
血がしたたり落ちないように応急手当をして。
先程まで騒がしかった竹林が、今は異様な静寂に包まれている。
一発の銃声と共に、静かになった。
永琳は走る。
後ろを振り返らずに。
きっともう、先程の男が自分達を見つけることは出来ないと分かった上で、
永琳は走る。
~~~~~~~~~~~~~~~
ヴァレンタイン「死体が消えた……!」
ヴァレンタインは驚いていた。
突然現れた男を撃ち殺したものの、その瞬間その男は消え去った。
ヴァレンタイン「……まあ、いい。とにかく、東に向かわねば……」
ヴァレンタインは、竹林を後にして、進む……。
~~~~~~~~~~~~~~~
萃香「私ジョナサンの右手になる~!」
あれから数日、ジョナサンはさらに萃香に懐かれていた。
ジョナサンは右拳を失ったものの、平和な日常をおくっていた。
霊夢「……平和ねー」
ジョナサン「平和が嫌なのかい?」
霊夢「んー?難しいわね……」
ジョナサン「難しい……?」
霊夢「コッチも暇なのよー」
萃香「ジョナサン!今から一緒に飲もう!」
ジョナサン「ご、ごめん萃香。ぼくは昼間からお酒は……」
萃香「そう?じゃあ私もやめとく……」
霊夢「まあ、あんた達見てると退屈もしないけどね……」
ジョナサン「は、はは……」
霊夢「ジョナサン……」
ジョナサン「なんだい?」
霊夢「……いや、なんでもないわ」
ジョナサン「……?」
萃香「ジョーナーサーン!波紋教えてー!」
ジョナサン「ああ、あっちでやろう」
萃香「うん!」
~~~~~~~~~~~~~~~
ヴァレンタインは迷っていた。
方角が分からず。
途中で目を見えなくされたり不愉快な歌を歌う少女に会ったが、全員潰してきた。
殺しまでは出来なかったが、もう100年は勝負を挑もうという気さえ起きない程には潰せたはずだ。
ヴァレンタイン「ここは……ん?」
ヴァレンタインは遠くの草原で馬に乗った二人を見かけた。
よく、目をこらして見ると……
ヴァレンタイン「あれは……」
ヴァレンタイン「そうか。あの男も……この幻想郷に来ていたか」
~~~~~~~~~~~~~~~
ジャイロ「~♪」
橙「~♪」
ジャイロ「風が気持ちいいな。橙」
橙「はい!ジャイロさま!」
今日はジャイロさまと一緒に少し遠いところまで来ています。
ジャイロさまが来てから毎日がとても楽しいです。
ボールで遊んだり、お馬さんと一緒に散歩したり……。
ジャイロさまの冗談も私は大好きです。
でも……。
今日は悲しいことがありました。
ジャイロさまと一緒に歌を歌っていると、突然大きな音がして……。
ジャイロさまが倒れました。
胸からはドクドクと血が流れていて、気を失ったのか私にもたれかかってきます。
私は急いでジャイロさまの見よう見真似でお馬さんを走らせ、家に帰りました。
途中、何度も落ちそうになりましたが、ジャイロさまが教えてくれたボールでなんとか家に着くことができました。
ジャイロさまを見た藍さまは泣いて、慌てジャイロさまを連れて何処かに行きました。きっと手当てをするのだと思います。
紫さまは……笑っていましたが、とても怖くて、……まるで……そう、ホントの死神のようでした。
今日はここまでにしたいと思います。
ホントは今日完結させたかったのですが……。
来週からテストなのでこれから更新量が減るかもしれません。
ここまでの駄文に付き合っていただきまことにありがとうございます
もうしばらくお付き合いください
~~~~~~~~~~~~~~~
紫「………………」
藍「紫さま」
紫「なによ?」
藍「焦る気持ちも分かりますが……。少しお疲れのようですので、心配して橙が干柿を……」
紫「……ありがと」
藍「まだ、見つかりませんか。ジャイロさまを撃った人物は……」
紫「…………」
~~~~~~~~~~~~~~~
橙「どうぞー!干柿ですよー!」
ジャイロ「ニョホ!その果物やっと食えんのか?」
橙「はい!甘くてとっても美味しいですよ!」
ジャイロ「ウーン、しかしアレだけ丸々してたのをこんなにショボくれさせるなんて……それに白いカビがついててばっちいな……。ホントにこれ食えるの?」
橙「はい!それは美味しさの元ですから、……絶対美味しいです!」
ジャイロ「…………!これは……たしかに……」
橙「どうです……?」
ジャイロ「かなり……うん、美味いな!」
橙「やったー!実はそれ、去年からずっと冷やしてて、とっておきだったんです!」
ジャイロ「そうか……ありがとうな、橙」
橙「はい!」
ジャイロ「紫と藍はまだ帰らないのか?」
橙「え……、はい……」
ジャイロ「そうか……」
橙「……あ!ジャイロさま!お身体の具合はどうでしょう!」
ジャイロ「橙がとっておきくれたからもう大丈夫だ」
橙「わあ……!よかったです……!」
ジャイロ「ニョホ。……じゃあ、今日の鉄球のLessonを始めるぞ……」
……………
…………………………
………………………………………
~~~~~~~~~~~~~~~
ヴァレンタイン「なるほど。妖怪、妖精、……この幻想郷に人間以外の個体が存在して、不思議な能力を持っている……。そしてその個体は、パラレルワールドにすら存在しない……。私のD4Cとは少し相性が悪いな……。しかし妙な話だ。スタンドすらろくに視認出来ないのにこれほどの力を有しているとは……」
??「よくも、花達を……」
ヴァレンタイン「マドモアゼル、這いつくばって凄まれたところで……。『滑稽』というものだよ……フフフ……」
ヴァレンタイン(今はまだ生かしておいてやる。じきにこの私の手駒となり得る個体はな……)
第二十三代アメリカ合衆国大統領、ファニーヴァレンタインは小さく笑う……。
ヴァレンタイン「しかしここにきてなかなかに日が経った……。そろそろ野宿生活にも飽きてきたな……。たしか……この近くに素晴らしいウッド・ハウスがあったはず……。あれを頂くとしよう」
~~~~~~~~~~~~~~~
妖夢「1!2!3!4!」
吉良「フンッ!フンッ!」
ここは白玉楼。
その庭で二人の男女が竹刀を持って稽古をしている。
妖夢「今日はここまで!」
吉良「ありがとうございます」
吉良は妖夢に向かってお辞儀をし、妖夢もそれに答えた。
吉良「……ふう、良い汗をかいたな……」
妖夢「急にどうしたんです?私の稽古に付き合いたいだなんて」
吉良「……!おい!それ以上その白い物体を私に近づけるなよ!消滅する!」
妖夢「……この前まで『はい』か私達の名前くらいしか喋らなかったのに、どういう風邪の吹きまわしなんです?」
吉良「だから近づけるなと言っている!幽々子がいないんだ!消滅するだろう!」
妖夢「はいはい。わかりましたよ。……まったく、幽々子様も呼び捨てにするようにもなって……。幽々子様も嬉しそうにしてたから別に良いんですけど?」
吉良「フン……。なんてことはない。少し……その……心を開いてやろうと思ったまでだ」
妖夢「それで、突然私と一緒に稽古ですか」
吉良「ああ。それと、私の生前の記憶にも興味が湧いてきた。この稽古の習慣は……そうだな。私が『数字を気にする性格』だったからかな。この通りにやれば何か掴めるかもしれないだろ……」
妖夢「はぁ……。まあ、私は二人の方が楽しいから何でもいいんですけどね♪」
吉良(あの枯れた桜の木……。いったいなんだったんだのだ……。少しでも過去の記憶を……)
幽々子「吉影~。こっちに来てちょうだい」
吉良「……なんだ」
幽々子「ほら……妖夢も呼んで。こちらにきてお茶にしましょ」
吉良「しかし屋敷の掃除がまだで……」
幽々子「屋敷の主人になにを言ってるの」
妖夢「そうですよー、吉良さん。ほら、お団子とお茶です。少し休憩しましょう?」
吉良「……分かった」
吉良は幽々子の隣に座り、妖夢はそれぞれの机の位置にお茶とお団子を置いて、幽々子と吉良の向かい側に座った。
幽々子「よかった~。吉影から歩み寄ってくれるなんて~」
吉良「……」
幽々子「ね、この白玉楼に『平穏』はある?」
吉良「ええ。まあ……」
妖夢「吉良さん?」
吉良「いや、なんでもない。幽々子がいればこんなもの、なんともないのだが……」
吉良は妖夢の傍らで浮遊している白い物に軽く触れる。
妖夢「こんなものって……」
ーーと、次の瞬間、指が崩れ去る感触が……
吉良「幽々子ッ!」
幽々子「……?」
もう一度手を確認すると、やはりいつもの自分の手だった。
幽々子を見ると、しおらしい顔で薄ら笑いを浮かべている。
妖夢「ど、どうしたんですか!?」
吉良「悪い冗談だ……」
幽々子「怖いわね~。今、一瞬だけど私と妖夢に物凄い殺意が向いたのを感じたわ~」
吉良「く……」
幽々子「私は敵じゃない。まだ本心からそうは思ってくれてはないみたいね……」
吉良「……だから悪い冗談だと言ったのだ……」
それでは落ちます。
書き溜めもできるといいんですがテストも近くかなり日が空きそうなので……
好きなキャラは億泰です
それでは皆さん良い夜を
~~~~~~~~~~~~~~~
神奈子「エンポリオ、部屋の掃除は終わった?」
エンポリオ「うん。もうとっくに終わってるよ」
神奈子「そう。えらいわね~。で、諏訪子と早苗は?」
エンポリオ「諏訪子さんは分からないけど早苗お姉ちゃんは境内の掃除をしてるよ」
神奈子「そう……」
秋。
収穫の季節には人間が里からちらほら参拝に守矢神社に来る。
巫女である早苗はその相手をしている。
エンポリオは相変わらず外には出してもらえないが、家を自由に歩き回れるくらいは許されていた。
エンポリオ「あれ?神奈子さん、どこか出るんですか?」
神奈子「ええ。最近うちに参拝に来ると神隠しに合うなんて噂がたってるから、それをちょっと調べにいくのよ」
エンポリオ「神隠し……?」
神奈子「あ、くれぐれも、外に出たらダメだからね。これは、絶対約束してよ」
エンポリオ「う、うん……。分かってるよ……」
神奈子「それじゃ、ちょっと行ってくるわ」
エンポリオ「うん。気を付けてね」
~~~~~~~~~~~~~~~
チルノ「いたーい……」
湖のほとり、お腹を押さえてうずくまる妖精がいた。
傍らには男が下を向いて立っている。
見ると靴は濡れていて、男は地面を踏んだり蹴ったりして感触を確かめた。
ヴァレンタイン「凍っているのか……?」
チルノ「しどい……」
ヴァレンタイン「……貴様がいきなり決闘を申し込んできたのだ。あまつさえ、私の腕を凍らせて」
チルノ「くぅ……最強のあたいが……」
ヴァレンタイン「フン、もう行くぞ」
チルノ「……」
男は背を向けてその場を離れようとした。
チルノ「今だ!」
ヴァレンタイン「ッ!」
チルノは叫ぶ。
叫びを合図に大統領はチルノの初動に対応する。
もとよりこのまま簡単にこの場を離れることは出来ないと思っていた。
必ず、背を向けたその瞬間、この頭の悪そうな女は何かしてくると考えたのだ。
ヴァレンタインは妖精が攻撃を放つより早く自分の上着で妖精を押さえつけた。
チルノ「わ!」
上着を持ち上げると……そこに『先程までにいた』妖精の姿は『まるではじめからいなかったかのように』消えていた。
ヴァレンタイン「どジャアア~~ン!!」
ヴァレンタインは上着を持ち上げ、ついた土をはらうと着直した。
ヴァレンタイン「運がよければこの世界に戻って来れるだろうが……。さて、もう少しでつくな……。これまで幾度となく邪魔が入った……」
「あ、あんた……」
ヴァレンタイン「……なんだ、また一般人か。……今、見られていたのか……?そうか。……色々と噂をたてられるとこちらも動きにくくなるのだよ……悪いが、……消えてもらうッ!」
ヴァレンタイン「手間をとらせるなッ!」
「誰か!助けてくれ!」
人間は全速力で逃げだす。
ヴァレンタインもあとを追った。
…………………………
……………
………
「はあ……、はあ……ここまで来れば……」
ヴァレンタイン「フフ……よく逃げたじゃないか……。なかなか、楽しませてくれる……」
「あ、あんたは!」
ヴァレンタイン「……そら!プレゼントだッ!」
「な、な……!お、おらが二人……!」
「お、おお……」
「うわああああぁぁぁぁ!!!」
~~~~~~~~~~~~~~~
神奈子「!」
神奈子は加速した。
すぐ近く、何者かの叫び声を聞いたからだ。
神奈子「いったい何事なの……!?」
その現場はちょっと行ったところですぐ見つかった。
神奈子「な……!」
「うわあああああぁぁぁぁ!」
そこには、薄ら笑いを浮かべている男と、一つになって『無数の立方体状にバラバラになって』消え失せる二人の容姿がまったく同じ人間の姿があった。
ヴァレンタイン「……んん~~?まさか……『また』目撃者かね?それは困った……『また』か……」
神奈子「……」
ヴァレンタイン「もしもし、マドモアゼル。この辺に『守矢という神社』があると聞いているのだが……。ここをまっすぐ……。おっと、もう見えるじゃないか」
神奈子「うちに……なにか用?」
ヴァレンタイン「なになに、少し借りるだけだよ。私がアメリカに戻る手段を見つけるまでの間……」
神奈子「!」
神奈子は男がいい終わる前に、太い柱を男に向かって飛ばした。
男は驚愕したが、やがて地面を背にして倒れると、柱の直撃を受けた。
神奈子「…………消えた?」
ヴァレンタイン「やはり人間ではないか……」
神奈子「な!?」
男は神奈子の後ろから突然現れると、そう呟いた。
神奈子が人間ではない。
パラレルワールドで神奈子の姿を探すも、見つからなかったためその判断に至った。
ヴァレンタイン「……!!」
ヴァレンタインはD4Cで拳を振るう。
パラレルワールドにいなかったというのは、今までどうり。
しかし、神奈子は……。
神奈子「危ない!」
男のスタンドを視認した。
ヴァレンタイン「……!?貴様、見えるのか」
神奈子「これは……エンポリオが言っていた……スタンド?」
ヴァレンタイン「そうか……その様子だと貴様は違うようだが……。何故私のD4Cが見えるのかも分からないが……。エンポリオ。そいつに聞けばなにか分かるはずだ……。守矢という神社にいるのだな?」
神奈子「……!あなた……エンポリオに手を出したら……」
ヴァレンタイン「そうか……守矢にスタンド使いが……。フフ、俄然、楽しみになってきたな……」
今日は終わりです
明後日から期末なので更新は難しいかもしれません
さようなら
....................................
..................…
………
神奈子「もらった!はぁぁあッ!」
神の鉄槌は脆弱な人間に容赦無く振り落とされた。
地面を背に、ヴァレンタインは神奈子の拳をその身に受ける。
しかしーー
ヴァレンタイン「……フン」
ヴァレンタインは忽然と姿を消す。
神奈子の手には、その感触は残されていない。
神奈子「また!?」
神奈子「ッ!」
神奈子のを中心に御柱が回転。
周りの木々をなぎ倒す。
神奈子(あいつの能力は……先程から攻撃を受けるたびに何かを背にしている……)
ヴァレンタイン「どうした?私はまだ無傷だぞ……」
ヴァレンタインは倒された木々の持ち上げ、なんの前ぶれもなく現れると、D4Cで神奈子を攻撃した。
神奈子「その程度!」
神奈子はD4Cの拳に拳を重ね、振り抜いた。
と同時に、ヴァレンタインはその攻撃を、スタンドを引っ込め自身で受けた。
先程と同じように、男の姿は消え、男の背にあった木が神奈子の拳を受けて粉々に砕けちる。
神奈子(奴の能力……地面や木々等の植物に潜れる……とか?でもさっきの人間の件が分からない……。私には使ってこないし、なにか発動条件があるのかしら……)
ヴァレンタイン「さあ、どうした。疲れてきているのか?」
神奈子「しまっ……」
男は神奈子の死角から出撃し、D4Cで拳大程の大きさの石を投げた。
神奈子「…………」
神奈子の頭から血が伝う。
ヴァレンタイン「……フフ、成る程……。正直に言うとずっと警戒していた……。その人間を超越した身体的ポテンシャル……。もしかすると、私のD4Cの攻撃が『おおよそ貴様に傷を負わせる程の代物でない』と……。そう、警戒していたさ」
神奈子「……」
ヴァレンタイン「しかし、今ので確信した。『私の攻撃は十分通用する』……。さあ、行くぞ……」
神奈子(なにか仕掛けてくる……!まさか、さっきのアレじゃないでしょうね……。まあ、いいわ。あいつはさっきからやっぱり何かを背にしてるし、現れる時は何かと何かの間……)
神奈子「そうね。そろそろ決着をつけましょうか。あなたの能力も大体見えてきたことだし」
大統領は消えた。
地面と倒れた枝の間に挟まれて。
神奈子「やっぱり……。多分、この男の能力、何かに挟まれればその物に『別のどこか』に行くことができる……もしくはその物の中に入り込める……?……とにかく!対処法は!」
神奈子は精神を研ぎ澄ます。
どこからあの男が現れても反応するために。
ヴァレンタイン「……!」
神奈子「今だ!」
ヴァレンタイン「なに!?」
男は後方より現れた。
神奈子はそれにすぐさま反応。
御柱を男の下に潜り込ませ、そのまま持ち上げるように上空に飛ばす。
神奈子「ふふ。空中なら……どうかしら?」
ヴァレンタイン「……見事だ」
神奈子「……そんな……なんで……?」
ヴァレンタイン?「ゲフッ!」
ヴァレンタインは落ちてきた。
空から地面へ。
身体はボールのようにバウンドしておおよそ無事ではないだろうというのが容易に想像できた。
それと同時に、神奈子も大きく身体をバウンドさせていた。
後ろに立っているのはーーファニー ヴァレンタイン。
傍らにはウサギの耳のをつけた人型のスタンドが拳を振り終えたポーズで静止している。
ヴァレンタイン「見事。フフ……たしかに見事だ。が、相手が悪かったな~~ッ!」
神奈子「な……なんで……」
ヴァレンタイン「貴様は私のD4Cを見切るのが少し遅かったということだ。あと少しだったな……フフ……」
神奈子「ッ……!」
ヴァレンタイン「……さて、止めを刺さしてもらおう。……ただの馬鹿力に利用価値はない。私は……早く元の世界に戻って聖人の遺体を手に入れなければいけないのだッ!」
神奈子「……少し、まずいかもね……」
ヴァレンタインが余裕をもって神奈子に歩を進める。
ヴァレンタイン「……。なんだ?妙だな。……霧?」
神奈子「こ、これは……」
ヴァレンタイン「おいッ!貴様ッ!なにをしている~~ッ!!」
神奈子は突然立ち込めた濃霧の濃い方へ這いずる。
ヴァレンタイン「ッ!……仕方ないな……。敵の攻撃かもしれない……。今は身を隠して霧が晴れるのを待つか……」
~~~~~~~~~~~~~~~
神奈子「外に出てはダメだと……」
エンポリオ「~~~~!!ご、ごめんなさい。神奈子さん……」
~~~~~~~~~~~~~~~
チルノ「うーん……。ここはどこだ……?」
チルノ「たしかに幻想郷なんだけど……。なんで誰もいないんだ……。さっきまで戦っていたはずなんだけど……」
チルノ「……そうか!きっとあいつ、あたいに恐れをなして逃げたのね!」
紫「あら?あなた……氷妖精の……」
チルノ「ん?……おわ!?スキマ妖怪!なにしに来た!?」
紫「あなたこそ、何でこんなとこいるの……?」
チルノ「え?……うーん……、この辺であたいの友達を虐める奴がいて、あたいが成敗しようとしたはずなんだけど……」
紫「……ふーん。分かった。ありがとね。あなたもここにいたら危ないから元の湖に帰りなさい」
チルノ「……うわ!?」
紫「ばいばーい」
紫「この次元に他の生物を遅れる個体がいる……?」
今日は終わりです
テスト期間なので明日もちょっと更新出来れば……と思ってます
D4Cって近距離パワー型にしてはかなり弱い方ですよね……
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ヴァレンタイン「ここが……守矢……か」
その男ーーファニー ヴァレンタインの前方には大きな木造建築の建物が構えられていた。
ちょうど建物の裏手に周る緑色の髪をした少女の背中が見えた。
なにやら慌てているらしい。
境内の石で作られた路には、一人の少年が背を向けて立っている。
もしも戦闘になって現場を目撃されるとまずいので、人払いをしようと男は考えた。
ヴァレンタイン「あー、もしもし、そこの君。今から少しこの神社に用があるから、君はもう帰りなさい」
「……」
ヴァレンタイン「…………」
「……さない」
ヴァレンタイン「……?」
「絶対に、許さないぞ……」
ヴァレンタイン「……!」
エンポリオ「お前はだけは絶対に許さないぞーーッ!!やれ!ウェザー・リポートォーーッ!」
少年が振り向くのと同時に攻撃を発した。
彼のスタンドが繰り出したのは、凄まじい突風によるパンチ。
ヴァレンタイン「なにィーーッ!?」
不意をつかれたヴァレンタインは後方にそれを綺麗に喰らって、数メートル吹き飛ばされる。
着地と同時に、痛む顔面を抑えながら急いで顔をあげ、戦闘体勢に入った……その行動が終わった時、既に濃霧がヴァレンタインの視界を覆っていた。
ヴァレンタイン「ゲホッ、ゲホッ、……クソ、……これは……さっきの……」
ゴ……
ゴゴ……
ゴゴゴ……
「今すぐここから出ていけ!」
濃霧。
前方2メートル程からもう完全に見えない。
それに先程から断続的になにやら地を響かせる音が耳の奥で聞こえる。
ヴァレンタイン「バカか……この濃霧だ。貴様も私のことは確認できまい」
「出ていかないなら……」
ゴゴゴゴゴ……
ヴァレンタイン「嫌だと……言ったら?」
「それなら……容赦はしないッ!本気で!おまえを倒すッ!」
ヴァレンタイン「D4Cッ!!!!」
ーー次の瞬間、神社の境内は完膚なきまでに破壊され、濃霧は一瞬にして晴れる程の凄まじい光が雷鳴と共に現れた。
「はぁ……はぁ……」
エンポリオ「……やったか……?」
ヴァレンタイン「……ああ。見事だ。あと少し遅ければ私も危なかったな……。しかし少年。バカみたいにあのような轟音を響かせては……そう、『丸分かり』なのだ。はっきりと……そう、分かったさ。今の攻撃は……」
エンポリオ「ッ!?」
エンポリオは男を確認すると、脊椎反射のように機械的に、男に拳を繰り出した。
ヴァレンタイン「遅い!」
それは完全な後だしで、D4Cの拳は既にエンポリオの眼前にまで迫っている。
しかし、エンポリオに攻撃は当たらない。
当たらないが、『吹っ飛んだ』。
ヴァレンタイン「……」
ヴァレンタインは不思議そうに頬を伝う血液に触れる。
ウェザーリポートの拳がかすったのだ。
ヴァレンタイン「そうか……大気だな?貴様のパンチ、ただの突きではない……風かな……。それに先程殴った感触も柔らかかった……。雷と濃霧……。大方天候を操るなんて能力だろうが……そうか君がエンポリオか。初めて会う……スタンド使いッ!」
エンポリオ「……」
ヴァレンタイン「まさか……こんな、フフ、まだ子供ではないか……」
エンポリオ「守矢神社になんの用だ。なんで神奈子さんを攻撃した」
ヴァレンタイン「……神奈子?ああ、あの女か。……答える必要はない。君じゃ、まだ理解出来ないだろうからな……」
対峙するエンポリオとヴァレンタイン。
そのエンポリオの影から迫るのは……。
もう一人の、ヴァレンタイン。
エンポリオ「……無駄だよ。ぼくにはわかってる」
エンポリオは振り向くと、繰り出したのは小さな雷。
ヴァレンタイン?「ッ!?」
後方の男は紐の切れた操り人形のようにうなだれた。
ヴァレンタイン「ほう……」
エンポリオ「おまえの能力は分からないけど……何かに挟まれなければ発動出来ないってことだけはわかる。神奈子さんが……千切れそうな声で……ぼくの名前を呼んで、伝えてくれたんだ……。千切れそうな声で……」
エンポリオ「ぼくの名前を、呼んだんだーーッ!!!!」
ヴァレンタイン「ッ!?」
ヴァレンタイン「なるほど……先程の雷。あれは私の周りの物を吹き飛ばすために……。だがな、私の能力は貴様が分かっているとおり、二つの物体で挟むだけで発動条件はそろうのだよ……」
距離を詰めるエンポリオ。
しかし、大統領は忽然と消え去り、後に残ったのは大統領の着ていたコートだけ。
エンポリオ「ッ!?」
急停止。
辺りを見回す。
ヴァレンタイン「フフ……。どこから出場するのかは、分かってはいないのかね?」
エンポリオの正面。
先程コートが落ちた場所に、再度ヴァレンタインは姿を現した。
エンポリオ「なんだってぇーーーーッ!!!!」
ヴァレンタイン「くらえッ!」
D4Cの拳はエンポリオの顔面を捉えた。
ーーが。
エンポリオ「こっちだよ」
大統領の拳は、エンポリオを捉えきれず、いや、正確には捉えたものの、エンポリオの腹を『つき抜けた』。
大統領の目から、エンポリオの像は消え、拳を振りかぶるウェザーリポートを構えたエンポリオが、その右側方に見えた。
エンポリオ「本で読んだんだ……。スイスのジュネーブ湖発見されたという報告がある、最も稀な蜃気楼のケース……。鏡映蜃気楼……」
ウェザヴァレンタイン「ま、……まず……」
エンポリオ「くらえぇーーーーッ!」
ウェザーリポートから繰り出されたのは、大振りのアッパー。
大統領の顎を粉砕し、その身体は宙に舞った。
エンポリオ「まだ終わらないぞッ!」
そのままラッシュ、ラッシュ、ラッシュ。
力いっぱい、エンポリオは大統領を空中に浮かせたまま叩きのめした。
ヴァレンタイン「~~~~~~~~~!!?!」
十数メートル大統領は宙を舞い、後方の木に叩きつけられた。
ヴァレンタイン「ウグ、……クソ、なに、か……なにかない、か……」
そのあまりのダメージに、大統領は指一本動かすのさえ出来なくなっていた。
エンポリオ「……命だけは勘弁しよう。動けるようになったら、すぐにここから出て行くんだ」
ヴァレンタイン「あ、ああ、フフ……私、はやはり、運が、良い」
次の瞬間、大統領が叩きつけられた木はの枝、たまたま腐っていた脆い枝が、ぶつかった衝撃で大統領の上方に落ちてきた。
ヴァレンタイン「D4C……」
そして、大統領の姿はその腐った枝に挟まれて消えた。
エンポリオ「……、あの傷じゃもう動けない……よね……?」
エンポリオはモヤモヤした気持ちを抱えながら、そして神奈子の容体が心配で焦りながら、守矢神社へと早足に急いだ。
今日はここまでです
いや~早く完結させたいね
ちなみにジョナサンとディオの薄い本に驚愕しました
テスト期間中に何をやってるんだろうか……
~~~~~~~~~~~~~~~
エンポリオ「早苗お姉ちゃん!」
早苗「ああ、エンポリオくん」
エンポリオ「神奈子さんは!?」
早苗「大丈夫ですよ~。もう回復し始めてます。神奈子様にここまで傷を負わせるなんて……」
神奈子「ああ、エンポリオじゃないの。どうしたの?心配した?」
エンポリオ「神奈子……さん。大丈夫なの……?」
神奈子「私を誰だと思ってるのよ。こんな怪我、どうってことないわよ。それよりエンポリオ。凄い音がしてたけど、怪我は?あんたの方こそ、大丈夫?」
エンポリオ「全然大丈夫だから心配しないでよ……」
神奈子「……ん?……ちょっと!肘のとこ擦りむいてるじゃないの!」
エンポリオ「だ、大丈夫だって……」
神奈子「まったく……。大丈夫なのは分かってるけど、外での戦闘なんて今後二度としないでよね。ものすごく心配したんだから……。……で、勝ったの?」
エンポリオ「……う、うん……」
神奈子「そう。……よかった」
コン、コン、
早苗「あ、玄関のとこに誰か来たみたいですね。私ちょっと見て来ます」
~~~~~~~~~~~~~~~
「エンポリオくーん!」
神奈子「ん?エンポリオ、呼ばれてるわよ?」
エンポリオ「……?」
早苗がこの部屋を出てから数秒、エンポリオの名前を呼んだ。
エンポリオは諏訪子さんが帰ってきたのかな……等と考えながら玄関まで出て行く。
エンポリオ「なんですか?……」
エンポリオは驚愕した。
手に嫌な汗が伝い、動機が激しくなり、眼底に力が入った。
こちらに笑顔で向いている早苗の後ろにいたのは……ファニーヴァレンタイン。
人差し指を唇の前に置いて『黙れ』のポーズをとっている。
早苗の首にはD4Cの指が見えていて、どうやら握っているようだ。
ヴァレンタイン「…………」
早苗「エンポリオくん?」
エンポリオ「あ、ああ……」
早苗「……?」
ヴァレンタイン「…………」
大統領はもう一方の手には大きな石が握られている。
ヴァレンタインは、その石を振りかぶり……。
エンポリオ「危ないッ!」
早苗「え……あ……」
早苗はエンポリオのところまで弾き飛ばされた。
鼻と耳から赤色の液体が伝っている。
ヴァレンタイン「子供だと思って完全に油断していた……。私のミスだったな。ん?」
エンポリオ「お前……お前は……」
ヴァレンタイン「フフ……。ツメが甘い……とだけ言っておこう」
エンポリオ「ウェザー・リポート!」
ヴァレンタイン「スタンドを出したか……。さあ、もう一度仕切り直しと行こう。……?なんだ?視界がボヤけるな……。それに……ッ!」
突然大統領は後ろに尻餅をついた。
本人は何が起きたか分からずに、どことも言えない方向をキョロキョロしている。
エンポリオ「……生物にとって最も身近にある「猛毒」は…………
『空気である!』…………
生き物にとって生きるためには「酸素」が必要……………
だがその濃度は空気中では40%以下でなくてはならない…………
一〇〇%純粋な「酸素」は「猛毒」で生物を死に至らしめる!!
高濃度の酸素は「鉄」なら あっという間にサビで腐食させ
炎なら爆発し!!人体の細胞分子なら電子を奪って
次々と組織を破壊していく!
大量に吸うとまず手足の先から麻痺し立つことが出来なくなる!
眼球の毛細血管が切れ失明する!」
ヴァレンタイン「……既に攻撃は始まっていたのか。フフ……初めて、会った時ならばこれで私を殺れていたかもしれんな……」
D4Cは、開け放しの玄関の扉に手をかける。
そして、そのまま閉め、ヴァレンタインを挟んだ。
エンポリオ「また……消えた」
精神を研ぎ澄ませ、周りを確認する。
エンポリオ「……!?」
と、突然玄関の扉が再度開いた。
だがヴァレンタインの姿はない。
代わりに少し遠く、違う小さな少年の影が見えた。
エンポリオはそれを目を凝らして確認する。
エンポリオ「あれは……ぼく?」
~~~~~~~~~~~~~~~
「騒がしいわね~」
神奈子は外の音を不審に思い、痛む胴を引きずりながら廊下へ這い出た。
「な……」
手前には、複数の箇所から流血して倒れている早苗。
奥にはエンポリオが外の何かを見ている。
「早苗……あんた……!ちょっとエンポリオ!誰がきたの!?」
エンポリオの向こう側を見る。
そのさらに奥にいたのは……二人目のエンポリオだった。
この時神奈子には嫌なビジョンが頭に浮かんだ。
そう、二人の同一人物が一つになって消えたあのビジョン。
「玄関を閉めて!早くそこから離れなさ……」
いい終わる前に、エンポリオは引きつけられるようにもう一人のエンポリオの元へ飛んでいった。
最後、こちらを振り返ったエンポリオの標準は、困惑の色が強く出ているようだった。
「あ……」
二人のエンポリオが接触する。
エンポリオの指先がまずスポンジのようにバラバラに……。
「エ、エン……」
そして、肘まで。
しかし、エンポリオの表情は強く引き締まったものだった。
早苗の見たビジョンでは悲鳴をあげながら、消えた……と。
その運命に抗っていたのだ。
そして……ついに肩まで。
「エンポリオォーーッ!」
神奈子は、そこで耐えきれずに目を瞑った。
~~~~~~~~~~~~~~~
そこは、何もない空間だった。
ヴァレンタインは何事かと辺りを見回す。
玄関の扉の間から出現しようと思ったのだが、気がつけばここに出た。
ヴァレンタイン「…………?」
不思議に思っていると、闇の中から声がかかる。
「ごきげんよう……」
ヴァレンタイン「……!」
紫「私は八雲紫。はじめまして」
ヴァレンタイン「なんだ……お前は……」
紫「まさかパラレルワールドの住人にあんな使い方があったなんてね」
ヴァレンタイン「何をいっている」
紫「私が直接会って連れてきたのは三人程……。後はあまり把握していないの。サラサラの状態からそれっぽく復元して連れて来て、その辺に置いてきたり……生きた人間をそのまま放り出したり……」
ヴァレンタイン「だからなんなのだと聞いている!答えろ!ここはどこだッ!」
紫「何故あなたがここにいるのか分からないけど……。ねえ、ジャイロ・ツェペリって知ってる?」
ヴァレンタイン「……!フフ……。……八雲紫だったな……。何故その名を……知っている……」
紫「……そう。やっぱりあなたね。よく、分かった。よく……ね」
今日は終わりです……
それでは……
ヴァレンタイン「フフ……彼は、まだ生きているのか?」
紫「ええ。おかげさまでね」
ヴァレンタイン「そうか……まだ、生きていたのか……」
紫「……悪いけどもう、あなたのその回転エネルギーも、スタンドエネルギーも全て把握しているるわ」
ヴァレンタイン「……回転、エネルギー?」
紫「私は……あなたを必ず、殺す」
回転エネルギー。
そう言われて初めて、ここに来て初めて、理解した。
自分の中に、あの黄金の回転がずっとグルグル音を立てて回っているのに。
『チュ……チュミミ~ン……』
ヴァレンタイン「うわァーーーッ!!!!!まだ、まだ終わっていなかったというのか!?これは!?この力はッ!?まさか!?」
紫「…………」
ヴァレンタインは恐怖した。
自分の中に潜んでいた力に。
その後で、ゆっくりその力を感じ取り、もう一度口を開く。
ヴァレンタイン「……素晴らしい」
笑っていた。
ヴァレンタイン「紫だったな……。礼を言おう。素晴らしい事に気づかせてもらった……」
かつてその身を切り裂いた力は……。
今度は大統領にその巨大な力の恩恵を授けていた。
ヴァレンタイン「D4Cが……進化する……」
ヴァレンタインは暗い闇の空間の、ある箇所を向いて、D4Cを放った。
その空間は切り裂かれ、闇の中を裂いた。
ヴァレンタイン「新たなD4Cの能力……回転のエネルギーを取り込んだD4C……素晴らしい。物に挟まれる必要もなくなった……。フフ……さよならだ。ミス、紫」
紫「ッ!」
大統領はその切り裂かれた空間の間に身を投じ、逃げた。
~~~~~~~~~~~~~~~
妖夢「……」
吉良「フンッ!フンッ!」
妖夢と吉良は、組手をやっていた。
カンッと快活な音が耳を打つ。
幽々子「二人とも頑張って~」
妖夢は児童をあやすように吉良の竹刀の威力を殺しながら立ち回っている。
幽々子「あ、後一歩で5メートル離れちゃうわよ」
吉良「なに!?」
妖夢「あ、今です」
一瞬のスキを見逃さずに妖夢は軽く吉良の頭に打ち込んだ。
吉良「………」
幽々子「あー、負けちゃった」
吉良「しまった……」
妖夢「強くなりましたね。吉良さん」
幽々子「まだまだ妖夢には及ばないけどね」
吉良「……まあいい。おい妖夢。そろそろ終わりにして朝食にしよう」
妖夢「はいはい……。まったく、偉そうですねぇ……。で、今日はどうしますか?」
吉良「む……すまない。負けて少しイライラしていた。……今日も私が作る」
妖夢「分かりました。……吉良さんが来てから私の仕事が一気になくなりましたね……」
妖夢「……出し巻き卵と味噌汁とピーマン炒めとお新香……。毎日やってるだけあって凄く美味しそうじゃないですか」
吉良「毎日考えて、意識して、全てをこなしているのだ。当たり前だろう」
幽々子「~♪♪♪♪」
妖夢「あ、幽々子様。また勝手に……」
吉良「……では、私も頂くしよう。いただきます」
妖夢「もう。……いただきます」
妖夢「………!、美味しいですね」
吉良「……フフ」
幽々子「出し巻き卵ね……」
吉良「ほう。わかるか」
幽々子「ええ。……これは、えっと、そうね……。なにかしら?」
吉良「秘密だ」
妖夢「御飯が進みますね……。太りそうです」
吉良(幽霊が太るのか?)
幽々子「このピーマンの苦味がちょうどお酒に合いそう」
吉良「……わかった。晩酌の時にでもピーマンだけ単体でだそう」
幽々子「ふふふ……。ありがとう。このピーマン、昆布……かしら。その出汁を醤油に混ぜてかけてあるわね?」
吉良「……む。そこまで当てられるとな……なんというか、悔しさにも似た感覚が湧いてくるな」
妖夢「毎日一工夫いれてもらって……。同じ料理でも飽きがきませんね。……まさに庭師の鑑です」
妖夢「はぁー。今日もとても美味しかったし満足です……」
幽々子「そうね……。あと一つお酒が欲しかったかしら……」
吉良「お前はそればかりだな……」
妖夢「あはは……」
幽々子「……それで、あなたは何か思い出した?自分の生前」
吉良「……ああ、ダメだな。何故ここに来たのかは……思い出したが、そこまでだ」
妖夢「へぇ。何故です?」
吉良「……桜だ」
幽々子「…………」
妖夢「ほうほう。それで?」
吉良「ある桜の木が……とても魅力的でね、その、近づいたんだ。枯れていたんだが、心……いや、魂を惹きつける桜の木だった」
妖夢「……………」
幽々子「…………」
吉良「その桜の木の根っこがな、突然地面を割って出現し、私を絡め取った。地中に引きずりこまれて、死ぬかと思ったよ。……それで、目を覚ますと……ここにいた」
妖夢「そうですか。不思議ですね……」
幽々子「そうね~不思議ね~」
吉良「……」
幽々子「ねえ、吉影」
吉良「なんだ」
幽々子「この幻想郷に来る前に住んでた所に……戻りたい?」
吉良「いや。そんなことは思わないな……」
幽々子「………そう」
吉良「制約もなくなるしな……。こんな風に」
妖夢「な、ちょ、頭を揺らさないでくださいよ!」
幽々子「~♪♪♪♪」
妖夢「この後どうしますか?」
吉良「妖夢は門番でもやっておくか?私は庭師としての雑務をこなすつもりだが……」
妖夢「わかりました。ではそうして下さい」
幽々子「ダメー。吉影は私と遊ぶ~」
吉良「可愛子ぶるんじゃあない。この白玉楼のための仕事だろう。それに幽々子、お前にだって仕事があるんじゃ」
幽々子「……あーはいはい!わかってるわよ!だって……、もう……」
吉良「……?……分かった。今日はなるべく早く切り上げる」
幽々子「ホント!?絶対よ?」
吉良(一体今日に限ってなんなのだ。先程からずっとにたついて気味が悪い)
妖夢「ふふ……」
妖夢(幽々子様、楽しそうですね。嫉妬しそうです)
吉良「……フン」
~~~~~~~~~~~~~~~
妖夢「~♪♪」
半人半霊の少女、魂魄妖夢は腰に日本の長さの違う長刀を携えて白玉楼へと続く長い階段を見つめていた。
妖夢「~♪♪………ふぅ」
手には少し大きめの箒。
妖夢「それにしても、もう少しで今年も終わりですね……。博麗神社が賑やかになります。今年は……。吉良さんも……」
幽々子「そうね。今年は吉影も一緒ね……」
妖夢「わ!?いたんですか!?」
幽々子「ええ。ちょっと休憩に二人の様子でもと思って」
妖夢「……」
幽々子「……妖夢は、このまま白玉楼に吉影を置いておいて良いと思う?」
妖夢「……何故です?」
幽々子「彼は根っからの殺人鬼……。死んでもその呪縛から逃れられない哀れな男よ。生前は殺人鬼……死後は殺し屋……」
妖夢「……そんな……」
幽々子「……どう?妖夢。もしかすると、私達二人とも殺されちゃうかもよ?」
妖夢「それを私に聞いて、どうするつもりなのですか?」
幽々子「……さあ。……ねえ、妖夢?」
妖夢「……なんでしょうか」
幽々子「来年も、また三人で楽しく過ごせたら素敵だと思わない?」
妖夢「……はい。そうですね」
幽々子「ええ、素敵。きっと……ね」
今日は終了です。
ようやくテストが終わりました
変わって部活がはじまりますね
それではおやすみなさい
~~~~~~~~~~~~~~~
幽々子「吉影~」
吉良「なんだ」
幽々子「吉影~」
吉良「なんだと言っている。耳が聞こえないのか?」
幽々子「よ、し、か、げ~」
吉良「ええいやかましいッ!用件があるならさっさと言え!人をおちょくっているのか!」
幽々子「あら……?ダメね」
吉良「…………今度はなんだ」
幽々子「以心伝心よ。阿吽の呼吸ってやつかしらね。とにかく、そろそろ私が名前を呼んだだけで要求が分かるようになってると思ったんだけど……」
吉良「大方晩酌の用意だろう」
幽々子「なんだ。わかってるじゃない~」
吉良「~~~~ッ!!!!」
…………………………
…………………………
…………………………
妖夢「二人とも仲良くて良いですね……。私も……」
吉良「~♪♪」
妖夢「吉良さん!」
吉良「なんだ。後にしろ。今晩酌の用意をしている」
妖夢「吉良さん!」
吉良「…………貴様もか」
妖夢「よ、し、か、げ、さん!」
吉良「…………分かった。ピーマン炒めの作り方を教えてやる。まあこんなもの手間でもない手間をちょっと加えるだけのモノだ」
妖夢「!?」
吉良「なんだ。違ったのか?」
妖夢「あ、あってますよ~」
吉良「ならさっさとこちらに来い。いいか、この昆布を……。おい、聞いているのか!」
妖夢「は、はい!」
吉良「なにをボーッとしている。らしくないじゃないか。……体調でも崩したか」
妖夢「え、あ、……いいえ。大丈夫です……」
吉良「まあどうでもいいことだ。しっかり話を聞け。……愚図め」
妖夢「す、すいません……」
吉良「……ッ、今日はどうも調子が狂うな……」
妖夢「そういえば、吉良さん」
吉良「なんだ」
妖夢「えっと、吉良さんのいつも言ってる制約って何なんですか?」
吉良「……なんてことはない。幽霊として守らねばならないルールがあるだけだ」
妖夢「それが……これですか?」
吉良「ッ!おい!ソイツをわたしに近づけるんじゃない!今は幽々子の射程外だッ!」
妖夢「これがそんなに怖いんですか?ほらほら」
吉良「ふざけるんじゃない!それは笑えない冗談だ!本気で……殺すッ!」
妖夢「え?あ……」
その時、妖夢は何もないところでつまづき、自分の半身を持ったまま吉良の方へ倒れこんだ。
吉良「…………な」
幽々子「吉影!?妖夢!?」
幽々子は二人の様子を感じ取り、台所に慌てて来た。
見ると、吉良の左手が消えてなくなっている……。
ただ、それ以上に危険なのが妖夢。
白い『幽霊』は当たらなかったものの、『半人半霊』妖夢の身体は右胸からまるごと消えていた。
妖夢は倒れたまま動かない。
吉良「くそ……なんだというのだ!」
幽々子「吉影、落ち着きなさい」
吉良「……」
幽々子「大丈夫。まだ、大丈夫」
そう言って幽々子は二人の元へ近づいていく……。
~~~~~~~~~~~~
妖夢「あ……、幽々子様……」
幽々子「……妖夢。体調はどう?」
妖夢「……はい。大丈夫です。ごめんなさい……」
布団をかぶり、妖夢が寝ている。
傍には、心配そうに幽々子が、黙って下を向いて、吉良が座っている。
二人の消滅した部分は綺麗に戻っている。
吉良「…………」
妖夢「あ、吉良さん……」
吉良「…………」
妖夢「……ごめんなさい」
吉良「…………」
妖夢「……ごめんなさい」
吉良「…………」
妖夢「……ぅ……ごめんなさい……」
妖夢が起きたのを確認すると、吉良は無言で立ち上がりそのまま居間を出て行ってしまった。
妖夢「…………」
妖夢の頬に涙が伝う。
幽々子「……妖夢」
妖夢「……はい」
幽々子「吉影は、吉影自身がルールなの。普段なんの制約がない私達でも……吉影に触れたらその制約は私達にも課せられる。覚えておいて」
妖夢「ん……は……い。幽々子、様、吉良さ、ん……怒ってます、ね……」
幽々子「ええ。大丈夫。……きっとね」
二人の様子を吉良は襖の間からその後もずっと見つめていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~
吉良「…………」
妖夢「あ、吉良さん……おはようございます……」
吉良「…………」
妖夢「あ……」
吉良「……フンッ!、フンッ!」
吉良は無言で竹刀を振った。
妖夢は居た堪れない気持ちになって、その場を離れた。
……しばらくして、吉良は素振りを止める。
吉良「……ッ」
~~~~~~~~~~~~~~~~
朝食の用意に取り掛かる吉良は、包丁で手際よく山菜を切っていた。
吉良「…………」
妖夢「…………吉良さん」
吉良「ッ!それ以上近づくんじゃあないッ!今は幽々子の射程外だ!」
吉良は包丁を妖夢に構え……すぐに我に返り、包丁を背にあるまな板の上に置いた。
吉良は、恐怖していた。
自分の腕がまるごと消え去ってしまったこと。
そして、少しだけだが確かに、妖夢が傷ついたことに。
吉良「……」
妖夢「あ……、すいません。えっと……、あの、今日も私が門番します……。すいませんでした……。失礼します」
吉良「…………クソッ」
~~~~~~~~~~~~~~~~
妖夢「……はぁー、どうしよう。吉良さん、凄く、怒ってるなー」
妖夢はまた同じように箒で白玉楼へと続く階段の周辺を番をしながら掃除している。
妖夢「ん~。もう一度しっかり謝らないと……。……はぁ」
妖夢はゆっくり箒を後方に投げ捨て、二振りの刀の長い方の鞘に手をかけた。
妖夢「…………誰か、くる」
しばらくして、白玉楼へと続く階段から、カツッ、カツッ、と規則的な足音が聞こえてくる。
「……こんにちは」
妖夢「……なんのようですか?あ、待ってくださいその一段に足をかけた瞬間切ります。脅しではありません」
「……はい?この『足』を、この『一段』にかけた瞬間、私を切るんですか?」
妖夢「ええ。そうです」
「こんな風に?」
妖夢「ッ!」
「フフフ……。素晴らしい剣さばきだ。少し前の私なら視認さえできなかっただろう」
ヴァレンタイン「だが小娘、覚えておけ。……噛み付く相手を間違えない事だ!そして、たった今!貴様は噛み付く相手を間違えたッ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~
妖夢「…………」
妖夢は鞘から刀を抜き、既に構えている。
対峙するのは23代アメリカ合衆国大統領。
ファニー・ヴァレンタイン。
妖夢「…………」
ヴァレンタイン「さあどうした。もう私はこの白玉楼に足を踏み入れたぞ」
妖夢「本気で……切ります」
刹那、ストップウォッチが数字を表すより短い時間、まばたきが長く感じられるその時間で、妖夢は大統領の後ろに移動した。
妖夢の長刀は、鞘におさまっている。
妖夢「みねうちです。痛かったでしょうが、これにこりて、もうここには近づかないようにしてください」
ヴァレンタイン「フフフ……ハハハ……。素晴らしい力だ。黄金回転の力……。反射神経、筋力、スタンドパワー……どれをとっても全て人を超えた。今の攻撃もやはり、前の私の力では当然動くことすらできなかった今の一撃も……フフ、目で追える」
妖夢「な……」
妖夢は大統領の首、胴、足、の三点を攻撃した。
しかし、ヴァレンタインに密着している、ウサギの耳のようなものをつけた人型のソレに、全て防がれているようだった。
しかも、ソレには傷一つついていない。
ヴァレンタイン「ともすれば……いつからだろうか。たしかに、この幻想郷に来た瞬間からこの身体的ポテンシャルの強化はなされていたということか……。……まあいい。おい小娘、一つ聞こう、西行寺幽々子という女はここにいるのか?」
妖夢「……あなたに答える必要はありません」
ヴァレンタイン「……そうか。ここにいるのか」
妖夢「……用件くらいは聞いてあげましょう」
ヴァレンタイン「そうか。……実はな、国へ一度戻ったのだが、……どうにも、国民は誰一人私を見る事が出来ないらしい。それどころか、私も何にも触れないのだ。誰にも、な……」
妖夢「……あなたは、何を言っているんですか?」
ヴァレンタイン「つまるところ……転生をしたいのだ。そして、私はもう一度新しい人生を始める!そして聖人の遺体を手に入れ、我が国民だけが幸運になれるように私が!合衆国を治めるのだ!ここに来ればそれが出来ると聞き出したッ!」
妖夢「……新年も近いというのに頭の中が御花畑さんですか……。相手が面倒ですね……」
ヴァレンタイン「西行寺幽々子に会わせてもらおう……」
妖夢「お断りします!」
~~~~~~~~~~~~~~~~
幽々子「どうしたの?吉影」
吉良「……なにがだ」
幽々子「……なんでもない」
吉良「…………」
幽々子「まさかあなたがそこまでビビリだなんてね……」
吉良「……」
幽々子「今日も一日中私にべったり。キャワイイベイビーじゃないんだから、甘えちゃダメよ?」
吉良「…………」
幽々子「あ、やっぱりいいかも。吉影、もっと私にべったりしてて」
吉良「…………」
幽々子「……なんてね。それじゃ、ちょっと用事を片付けに、外に行ってくるから、あなたは白玉楼の掃除を頼むわ。一人で大丈夫?」
吉良「……ああ」
幽々子「それじゃ、お願いね」
~~~~~~~~~~~~~~~~
ヴァレンタイン「どうした?威勢がいいのもはじめだけだな」
妖夢「……ッ!」
妖夢とヴァレンタインの力は拮抗していた。
……正確には、ヴァレンタインが拮抗させている。
ヴァレンタイン「私でなければ何をされたかも分からずやられていただろうがな……。相手が悪かろう。小娘」
妖夢が刀を振れば、ヴァレンタインはそれを余裕の表情で防ぎ、ヴァレンタインは妖夢の防御可能なギリギリの力で殴っては、妖夢の体力を消耗させた。
殺そうと思えばそれは容易いが、ヴァレンタインはそうはしない。
妖夢が従者と考えれば、それは、来るべき幽々子との対面の時、人質として利用できるからだ。
ヴァレンタイン「ほらほら、どうした。疲れが見えているぞ」
妖夢「……グゥッ!」
ヴァレンタイン「なかなか粘るじゃないか」
妖夢(中には……幽々子様と吉良さんがいるんです!ここでこの人は……殺す!)
妖夢「まだ、罪滅ぼしが終わってませんから」
妖夢は8割の早さから徐々に早さを下げていっていた。
遅いスピードに慣れさせるためである。
妖夢「そろそろ……」
そして、十分慣れさせたあと、妖夢は一気に全力で斬りつけた。
今度は刃を向けて、ヴァレンタインの首元に、全力で。
ヴァレンタイン「……ッ!」
その一撃は、ヴァレンタインは目で追えたものの、完全に反応は遅れていた。
喉の、半分がスッパリと切られてしまった。
だが、幸い即死には至っていない。
ヴァレンタイン「D4C!」
彼のスタンドが、目の前の空間に黄金回転のエネルギーを放つ。
すると空間は綺麗に裂けた。
ヴァレンタインはそこに身体を入れる。
裂けた空間は元に戻り……。
その空間と空間は、大統領を挟み込んだ。
妖夢「……!?消えた……!?」
ヴァレンタイン「ああ、先程の私は消えたね」
妖夢「いつの間に!」
ヴァレンタインの首の傷は完治していた。
空間の割れ目に身を投じ、消えたと思えばすぐさま背後に現れる。
その背にはやはりあの空間の割れ目があった。
妖夢「まさか……あの方と同じ能力!?」
ヴァレンタイン「誰だ?まさか……紫か?」
妖夢「……な」
ヴァレンタイン「たしかに、似ているな……。だが、私は奴の能力程汎用性は高くない。しかしな……このD4Cの本当に恐ろしい能力は……」
妖夢(…………速い!)
『チュ……チュミミ~ン』
大統領は妖夢の服に触れた。
妖夢「ッ!?」
妖夢は瞬間、上の服を全て脱ぎ捨て、後方に飛ぶ。
服は、一点に吸い込まれるようにグルグルと収束し、ぶちぶちと千切れる音を鳴らしながら、ズタズタになってしまった。
ヴァレンタイン「ほう……服を捨てたか……良い判断だ。貴様も見ただろう。これが、黄金回転のエネルギー……」
妖夢「これは……まずいですね」
妖夢「どう……打開すれば……」
ヴァレンタイン「フフフ……」
幽々子「はいはーい!そこまで~」
ヴァレンタイン「なんだ貴様はッ!?どこから現れた!?」
妖夢「幽々子様!?」
幽々子(死を誘ってみたけど……もう死んでるのねこの男……)
ヴァレンタイン「そうか……貴様が……」
幽々子「ええ。私が西行寺幽々子」
幽々子を前に、一気に闘志をなくすヴァレンタイン。
敬意を持って、直立し、姿勢よく幽々子に向き直った。
ヴァレンタイン「……ふむ。申し遅れた。私は……ファニー・ヴァレンタイン。今日は頼みがあり、ここまで来た」
幽々子「そう。ご苦労様。このままうちの妖夢が殺されちゃうのも困るし、何が目的か、教えてくれたら考えてあげてもいいわよって事で来たんだけど?」
ヴァレンタイン「……そうか。ミス幽々子、私は……転生がしたい。出来るか?」
幽々子「へえ……。まあ、出来ない事もないわよ。なんで?」
ヴァレンタイン「ただいま、外の世界では、私の元々治めていた国が、他国によってとても苦しめられている。それを、救わなければならない。父の命をかけて守った国を、私が、必ず」
幽々子「……そう。見上げた心掛けね」
ヴァレンタイン「……分かってくれるか?」
幽々子「ええ。あなたの気持ちはよく分かった。他意はないのね?」
ヴァレンタイン「信じてくれ」
幽々子「……」
ヴァレンタイン「我が心に一点の曇りなし……!全てが、『正義』だ」
幽々子「たしかに、このままだと妖夢も危ないし、吉影だって……」
妖夢「幽々子様…………」
ヴァレンタイン「……どうだ?」
幽々子「『だが断る』。私はね、自分で強いと思っている奴にNOと言ってやるのが好きなの。それに、あなたは信用出来ない。大方転生した後にここの住人をあなたの思い通りにしようとまたやって来るつもりでしょう。妖怪なんて、とっても便利だものね。人間じゃ考えられない力を有しているし」
ヴァレンタイン「……なるほど。勘だけは鋭いようだな。そうか、残念だ」
妖夢「…………!」
ヴァレンタインは、疲弊した妖夢をいとも容易く捕まえると、幽々子に投げつけた。
妖夢「…………きゃあ!」
幽々子「妖夢!」
幽々子は妖夢を受け止め、そのまま白玉楼の方へ吹っ飛ばされた。
~~~~~~~~~~~~~~~~
「騒がしいと思って来てみれば……」
吉良吉影は、言葉にあらわせれない程のフツフツとした感情を胸に感じていた。
白玉楼から一歩出ると、荒れ果てた庭。
目に涙を貯めて幽々子の名を呼ぶ妖夢、眠っているように動かない幽々子。
「なんだ……新しい住人か。安心しろ。その女はまだ殺していない」
「おい、妖夢。説明をしろ。これはどういう事だ!」
吉良は、敷地内にいる男を無視して妖夢に語りかける。
こちらに気がついたのか、涙を拭い、しっかりと口を引き締めた後、口を開いた。
「吉良さん。逃げてください。幽々子様を連れて」
「……どういう事だ」
「あなたではあいつに勝てませんから、私が時間を稼ぎます。お願いします。幽々子様を、幽々子様を」
「…………」
吉良はゆっくり首を横に振った。
「吉良さん!」
もう一度、静かに吉良は、首を横に振った。
「…………」
そして、歩き出す。
二人の前へ……。
「あいつの特徴を言え。何があって妖夢、お前がそこまでボロボロにされた」
「ダメです!逃げてください!」
「早く、二度は言わん」
「吉良さん……。……分かりました。あいつは、紫様と同じ、能力です。加えて触れると、ズタズタにされます。私の本気のスピードにも対応出来ますし……。分かりますか?勝てる可能性は……0なんですよ……」
吉良は拳を固く握ると、ゆっくりと、口を開く。
「大丈夫だ私に……任せろ」
「…………」
「話は終わったか。ヨシカゲ君」
「…………」
「死にに来たのか?貴様は」
「フウウウウウウ~~~~~~たった今、思い出した……。生前の記憶をね……。
わたしは……子供のころ……
レオナルドダビンチの『モナリザ』ってありますよね……
あの絵……画集で見た時……
あの『モナリザ』がヒザのところで組んでいる『手』……
あれ……
初めて見た時……
なんていうかその……下品なんですが……フフ……
『勃起』
しちゃいましてね……
そこに転がっている女の子達もそうなんですよ……
とてもきれいな手をしている……
とてもなめらかな関節と皮膚をせていてね……フフ…………」
「……気色の悪い男だ」
「幽々子の手なんかは……よく、『ほおずり』させてもらっていますよ……
とても落ち着くんです……」
「……………」
「ここには平穏があるんだ。『平穏』が。植物のように静かに生きたいこのわたしには……まさに理想郷と呼ぶのにふさわしい……」
「どうやら、私をコケにしているようだな……。貴様だけは、殺そう」
「いいや。死ぬのは君だ。むしろ……死ななければならない。私の平穏を壊すなら、なおさら、だ」
二人の間に沈黙が流れる……。
吉良吉影は考える。
こんなときにこそ忘れてはいけない……
こんなヒドイ時にこそ……
最悪の時にこそ!
『チャンス』というものは訪れるという教訓だ……
『追い詰められた時』こそ……
冷静に物事に対象し
『チャンス』をものにする……
勝負は一瞬……。
「……どこを見ている。キラヨシカゲ」
D4Cの能力で、完全に背後をとったヴァレンタイン。吉良は、それは当たり前の事だというように前へ転がる。
D4Cの拳が空を切る。
「わたしをなめているようだな……。そんなセオリー通りの攻撃では、わたしに 攻撃を当てることはできんよ」
「……ッ!貴様は人をおちょくるのが上手いな!やれ!D4C!」
「『思い込む』という事は何よりも『恐ろしい』事だ……
しかも自分の能力や才能優れたものと過信している時はさらに始末が悪い」
一気に勝負を決めに来たヴァレンタイン。
吉良の言った通り、ヴァレンタインは自分の能力を過信していた。
ここまで挑発し、自身の異常性をさらけ出し、ヴァレンタインからの過小評価を得た吉良吉影。
白玉楼で今まで守られていた存在とヴァレンタインの目にはうつり、なおかつここの白玉楼最強であろう妖夢が逃げろと言った吉良吉影。
だからこそ、この単調な攻撃。
吉良吉影に直接触りにくるD4C。
吉良の目には、愚鈍でマヌケなカメにうつっていた。
「君のソレは……とても僕に似ているね……」
吉良吉影は、手の平をかわし、D4Cの腕を抱きかかえた。
「なに!?」
D4Cの腕は、吉良の腕と共に、まるでプリンのように綺麗にもげた。
ヴァレンタイン本体も、一緒に腕が千切れ飛ぶ。
なおもD4Cの勢いは止まらない。
次に重なったのは、胸だった。
それから頭。
この時点で勝負は決していた。
後は……勢いに任せての重なり合い。
結局、後に残ったのは吉良の右足と、大統領の左腕だけであった……………
……………………………………
……………………………
……………………
……………
~~~~~~~~~~~~~~~~
萃香「ジョナサン!これをそっちにお願い!」
ジョナサン「うん。分かったよ」
文「いやージョナサンさん、素敵な方ですねー……。ぜひ家へ連れて帰りたい……」
勇儀「ははは!旧都が人間も住めるところだったらなー!」
萃香「ほらー。天狗も勇儀も働けー!ジョナサンは片手しかないんだぞー!」
勇儀「あーはいはい。分かりました分かりました」
文「ふふふ……わたしは皆さんを誘ってくるので……それでは!」
霊夢「何でこんなに妖怪が増えてんのよー!もー!」
にとり「……いやー、皆盟友ジョナサンに危ないところを助けていただきましたし……」
ルーミア「………ジョナサン」
ジョナサン「ごめん。ちょっとこれを運ばないと」
ルーミア「………」
霊夢「年末の宴は盛大になりそうね……。まったく……どんどん人間の参拝者がいなくなっていく……。あれ?幽々子と妖夢じゃない?どうしたの?こんなところで」
幽々子「宝物を集めてるの」
霊夢「……好きね。何か集めるの」
幽々子「あ、あったわよ!妖夢!」
妖夢「はい!幽々子様!」
霊夢「……ん?幽霊の粒?そんなの袋につめてどうするの?」
幽々子「秘密♪」
妖夢「もうなさそうですよー」
幽々子「じゃあ次のところ行こうかしら」
~~~~~~~~~~~~~~~~
魔理沙「けいちょー!霊夢を手伝いに行くぜ!」
形兆「何かあるのか?」
魔理沙「年末はいっつも博麗神社で宴会だ」
形兆「そうか……」
魔理沙「どうかしたか?」
形兆「ん?いや……なんでもねえ」
魔理沙「……おかしな奴だぜ」
紫「はいはーい!ちょっと二人とも動かないでー!」
魔理沙「うわ!スキマ妖怪!」
形兆「紫……」
紫「ん!あったあった。早く人に吸われる前に回収しないと……それじゃあねー」
魔理沙「あ、……行っちまった。……なにをとって行ったんだぜ?」
形兆「……いや、分からんな……」
~~~~~~~~~~~~~~~~
うどんげ「てゐー。霊夢さんのとこへ手伝いに行くよー」
てゐ「一人でいって来てよ」
うどんげ「…………」
てゐ「わ、分かったって」
うどんげ「まったく……」
てゐ「……元気そうでなによりだ」
うどんげ「ん?」
てゐ「いや、何でもないよ」
うどんげ「……?」
てゐ「……ああああ!!!!」
うどんげ「わぁ!……もう、急に大声出さないでよ……。ってどうしたの?」
てゐ「あ、ああ……」
うどんげ「……ん?」
ディアボロ「…………」
うどんげ「…………そんな……ディアボロ、さん……」
ディアボロ「……久しぶりだなてゐ、うどんげ」
てゐ「……おお」
うどんげ「ディアボロさぁぁん!!」
ディアボロ「うお……。お、おい……」
うどんげ「うわぁぁぁぁぁぁん!」
てゐ(泣きすぎてディアボロがビクビクしてるよー。また相当怖いめにあったんだろうな……)
妖夢「ありました!ここには沢山ありますねー」
幽々子「次行くわよ妖夢!」
妖夢「あー、待ってくださいよー!」
~~~~~~~~~~~~~~~~
早苗「エンポリオ君。博麗神社に行くよ」
エンポリオ「分かったよ。早苗お姉ちゃん」
神奈子「エンポリオ。ちょっと……」
エンポリオ「ん?あ、ごめん、早苗お姉ちゃん。ちょっと待ってて……」
神奈子「ねえ。エンポリオ。随分神事を学んだじゃない?」
エンポリオ「え、う、うん……」
神奈子「あんた、早苗の事どう思う?」
エンポリオ「え?す、好きだよ……。とっても優しくしてくれるし……何でも知ってるし……」
神奈子「やっぱりそうよね!私もそう思うわ……。早苗ももうイイトシだしそろそろ考えなきゃって……」
諏訪子「ばかねー神奈子。私達の時とは時代が違うのよ時代が。まだまだ待たなきゃ。まだエンポリオ10歳よー」
エンポリオ「え?何の話……?」
諏訪子「んー?なんでもないよ。ほら、早苗が待ってるよ」
エンポリオ「う、うん。じゃあ、行ってくるよ!」
神奈子「行ってらっしゃい」
紫「この辺にはまったくないわねーもう誰かの肺の中かしら……」
~~~~~~~~~~~~~~~~
紫「あー疲れた。藍、お茶」
藍「お疲れ様です」
紫「さすがに幻想郷全部回るのには骨が折れたわ……」
藍「珍しいですね……」
紫「なにが」
藍「いえ……」
紫「仕方ないじゃない幽々子の頼みし。私があそこで逃がさなきゃこんな事にはなってなかったんだし」
藍「はぁ……。お正月はどうしますか?やはり博麗神社に?」
紫「……いや、家族四人でゆっくりするわ。あ、お茶はやっぱりいい」
藍「分かりました」
紫「代わりにお酒を。あ、ジャイロー!コッチで呑みましょう!」
「あのうめえやつかー?」
紫「そうそう!いいから来なさいよ!」
「ニョホ。よし橙、あっちでレッスンの成果を見せようぜ」
「はい!ジャイロ様!」
紫「ふふふ……。随分賑やかになったじゃない……」
藍「嬉しそうですね……」
藍「嬉しいのよ……」
………………………………
…………………………
……………………
………………
白玉楼の庭で、二つの大きな袋を囲んで二人が立っている。
「妖夢、これで全部ね」
「はい。幽々子様。多分……これで」
「何とか新年までに間に合って良かったわ……」
「そうですね。幽々子様」
それは、ヴァレンタインと重なり、回転のエネルギーによって幻想郷中に散らばった、『吉良吉影』の残骸だった。
二人はそのとても小さい残骸を、できる限り拾い集めて、袋につめていた……。
「……ようやく、ね。妖夢。吉影の足を」
「ここにあります」
「ありがとう。それじゃあ……」
「ん?ここはどこだ?」
「おかえり。吉影」
「おかえりなさい。吉良さん」
~fin~
~番外編~
紫の連れて来た最後の一人は誰だったのか!?
紫~
エンポリオ
ジョナサン
ジャイロ
ディオ
ディアボロ
エンポリオ
???
幽々子?~
吉良吉影
イレギュラー~
カーズ
ヴァレンタイン
~紅魔館~
小悪魔「おじいさん。今度はそこの本棚の掃除をお願いします」
五部の爺さん「はいわかりましたよ~」
小悪魔「よく働きますねあのお爺さん」
パチュリー「ええ、そうね。なんでも全ての汚れが見えるらしいわよ」
小悪魔「へー。凄いですね~」
五部の爺さん「~♪♪♪♪♪」
~fin~
いやはやここまでお付き合いいただきありがとうございました。
誤字脱字や展開の説明の欠如は脳内保管してくれると幸いです。
初SSということで大目に見て下さい。
またインフルにでもかかればSSを書きたいと思います
ありがとうございました。
乙
ジャイロが遊んでただけだった件
ミスったから五部じいさんは適当ということを隠そうともしない件
>>522
プロットの段階ではジャイロちゃうくてウェカピポで加えて五部爺さんは本編に登場するはずだったのさよ(小声の言い訳)
乙ありがとうございます
日常編……
嫌う人もいるので一応書けというなら書かせていただきますが、嫌な人がいればやめておきます
番外編~爺の紅魔館日記~
みたいなのでよければ
ただ注意してほしいのはささやかなオリジナルスタンドが出てくるところです
あ、sagaすいません
間違えて……
~~~~~~~~~~~~~~~~
白い、何もない。
ただそこにあっただけの空間が、今では草木が生え、太陽が照り、動物達が笑い合う。
そんなある種の理想郷となっていた。
その草原の中心で、一人の生物は静かに足を組んで座っている。
思考は巡らず、血は通わず、ただ座しているその姿はまるでギリシアの彫刻のように美しい。
「…………」
そこに、ある女性が近づいた。
美しい髪を持ち、柔らかな物腰の女性。
だが左腕は少々不恰好。
「あなたが霊夢の言っていた生物ね。よくもまあここまで結界内を豊かにしたものだわ」
そこでその彫刻は、久しぶりに体の細胞を動かす。
「貴様は……。なんだ。なにか用か」
「霊夢がね、あなたのために使う結界の管理が結構大変だってね。それと私も『良いもの』が手に入ったから、試したくて」
「フン、なにをするつもりか知らんが、好きにしろ」
「あら?抵抗しないの?」
「……………」
その彫刻ーーカーズは考えていた。
宇宙とは違い自由なこの空間で。
楽しみとは何か。
生とは何か。
太陽を克服してどうするのか。
自分の好きなように世界を創造した後は?
そして……いつしか考えるのをやめた。
「……つまらないじゃない。せっかくこの左腕の威力を試そうと思ったのに。まあいいわ。とにかく、ここは出て行ってもらうから」
もうカーズはなにをする気にもなれなかったが、とにかく、突然閉じ込められ、少し居心地が良くなっていたこの結界内から幻想郷に放り出された。
どうしても東方>ジョジョなんすねえ。呆れ果てる
カーズ「…………」
カーズは今、どこかも分からない森の中にいる。
……いや、わかる。
お空に波紋の知識とその活用方法を教えた森だ。
波紋を覚え、空を飛べるくせに木に垂直に立って喜ぶ滑稽なお空の姿が脳裏にうつる。
カーズ「…………」
その後、映ったのは、かつての仲間、ワムウ、エシディシの姿だった。
カーズ「…………」
カーズはもう一度、思考を徐々に停止させ、一本の木になろうとした。
「カァァァァァァァズゥゥゥゥウ!!!」
その時、遠くの方でマヌケな声が聞こえたが、きっと気のせいだろう。
お空「カァァァァァァァズゥゥゥゥウ!!!」
声と声の主が近づいてきた。
カーズは下半身まで樹木らしくなったところで変身を止め、その声の主の方を見た。
大方裏切った報復をしてくるものだと考えた。
お空「うわあああああん!カーズ!カーズ!!どこ行ってたんだよ!勝手に居なくなって!さとり様やお燐にだって八つ当たりしたんだぞ!」
カーズ「……?」
お空「カーズが……私の事……嫌いになって……。私が悪い人達倒せなかったから、……うわあああああん!!ごめんなさい!ごめんなさぁぁぁぁぁ!!!」
カーズ「……お、おいキサマ……」
お空「カァァァァァズゥゥゥゥウ!!!」
カーズ「やかましいぞッ!」
お空「」
カーズ「なんだキサマは!」
お空「ま、まさか、私の事忘れて……そんな……」
カーズ「ええい!面倒だッ!!違う!何故ここにキサマがいる!」
お空「だって、ずっとここで波紋の練習してたし、さっきスキマ妖怪がここにカーズがいるって……」
カーズ「スキマ妖怪?ああ、あの女か」
お空「私が目を覚ましたらもうカーズいないし、幻想郷中探し回ったのに、やっぱりいないし、まだたくさん教えてもらいたいこと……あった、のに……」
カーズ「ええい!泣くなッ!やかましいぞお空!」
お空「?ん。泣かないよ……」
カーズ「…………」
お空「…………」
カーズ「結局、キサマはなにがしたいのだ……」
お空「もう一度、波紋を教えてよ!今度はもっと強くなって、絶対悪い人達を倒すからさ!」
カーズ「…………」
お空「カーズ……?」
カーズ「……フフン、仕方あるまい。よし、お空、ついて来い!久しぶりにキサマを訓練してやる!」
お空「……!うん!」
カーズは、下半身を人型に変えて歩き出した。
お空もそれに笑顔でついていく…………
今日は終わりー
こんな感じで短くても書けたら嬉しいなー
>>542
東方>ジョジョ?
ずっとジョジョ>東方のつもりで書いてたんだがそう見えてたかな……?
すまんかった
………………………………
…………………………
……………………
霊夢にお使いを頼まれ遠い人里まで買い物に来ていたジョナサンは、もうすっかり暗くなっている空を見て、年の終わりももうすぐだなと思った。
ジョナサン「と、とと……早く帰らないと……」
年末には宴で前回以上に忙しくなるらしい。
ジョナサン「~♪♪」
手のない方の肩にかけてある荷物についた、鈴がリンとなった。
霊夢曰く、妖怪が近づいた時のみ鳴るらしい。
ジョナサン「……だれかいるのかい」
「…………」
ジョナサン「……!」
気がつくと、本当にあたりは真っ暗だった。闇。闇。で、何も見えない。
「……絶対、食べてやる」
ジョナサン「……」
「人間、たべてやる……」
ジョナサン「君は、誰だい?」
「痛いよ……。よくも……」
ジョナサン「……ッ!」
ジョナサンは自分の肩が、刃物のような物で切りつけられたのを感じた。
ジョナサン「……どこからだ……」
「ひっく……ひっく……」
ジョナサン「……泣いているのかい?」
「…………」
ジョナサン「姿を見せてよ」
今度は首が切りつけられた。
ジョナサン「……波紋の呼吸だ……。スゥゥゥ」
「???なんで光が……あり得ない」
ジョナサン「いた。……どうしたんだい!?ボロボロじゃないか!」
闇の中にいたのは目が赤い、金髪の小さな女の子だった。片手には包丁。抑えている右手にはところどころ青い痣がみうけられる。左目の上が大きく膨らんでいた。
ジョナサン「……大丈夫かい?」
駆け寄ると、少女は力尽きたように倒れてきたので、ジョナサンは片手と途中までの腕で抱きかかえた。
ジョナサン「なんでこんなボロボロに……」
「触るな。人間め……。食ってやる……」
ジョナサン「…………」
「お腹一杯になれば……人間なんて……」
ジョナサン「……お腹が、減ってるんだね?」
ジョナサンは少女から包丁を取り上げ膝の上に寝かせると、自分のない方の腕を少し切った。
ジョナサン「波紋で痛みを和らげ止血……。ははは……、もっと腕が短くなっちゃったな……」
「……んむ。もぐもぐ……」
ジョナサン「……どうだい?」
「…………なんで」
ジョナサン「誰がこんな酷い事をしたのか分からないけど……人間を嫌いにならないで欲しいんだ……」
「……ルーミア」
ジョナサン「ジョナサン・ジョースターだよ」
「…………………ジョナサン」
ジョナサン「なんだい?」
「うふふ。ジョナサン。ジョナサン。うふふふふ。ジョナサン・ジョースター……」
~~~~~~~~~~~~~~~~
今度は滝に来ていた。
ここに住む河童は義手を作る技術を持っている……らしい。
ジョナサン「ここににとりさんって人がいるんだよな……」
「あー!人間だ!帰れ!」
ジョナサン「……背中にリュックサック、青い髪、あれがにとりさん……?」
にとり「もう人間なんか盟友じゃない!」
ジョナサン「……また、怪我をしている」
にとり「よくも、私をこんなに……体中が……痛いんだぞ!」
ジョナサン「……ごめんなさい!人間として謝らせてほしい!」
にとり「……謝ってすむもんか!」
ジョナサン「……分かった。ぼくでよかったらなんでもするよ」
にとり「おっと、それ以上近づかないでよ……」
ジョナサン「……………」
にとり「……護身用に作った『けんじゅう』だ!……この実験台になってよ。本当に謝りたいならできるよね!人間!」
ジョナサン「……ぼくは大丈夫だよ!」
にとり「……痛いぞ?」
ジョナサン「痛みより怖い事だってあるさ!」
にとり「……どうせ、避けるくせに、強がって」
パンッ!
ジョナサン「……グッ……」
にとり「……あ、あれ?ちょ、ちょっとー!?」
ジョナサン「まだ、まだ……」
にとり「あんた、大丈夫かい!?何で避けないんだよ!」
ジョナサン「良かった……。ようやくこっちまで来てくれた……」
にとり「え……」
ジョナサン「さあ、傷の手当てをしよう。にとりさん……」
にとり「え?なんで名前を……。そんなことより!早く手当てを!」
ジョナサン「大丈夫だから……」
にとり「……なんでこんな」
ジョナサン「とても痛かっただろう……。でも、ぼくは君に人間に……絶望してほしくない……」
にとり「わ、分かったから、傷の手当てをさせてくれってばー!」
~~~~~~~~~~~~~~~~
霊夢「もう……ほんっとなんなのかしらコイツ……。真性のマゾなんじゃない?」
にとり「……」
霊夢「……ほら、もう帰っていいわよ。にとり」
にとり「ひどいことを……」
霊夢「大丈夫大丈夫。コイツはほんっと丈夫なんだからー」
にとり「…………」
霊夢「で、ここ最近、いろんな妖怪達がある人間に襲われてるみたいだけど、その件は紫に任せてあるから、もう片付くわよ。きっと」
にとり「う、うん……」
霊夢「ほーら、もう大丈夫だから、さっさと帰った帰った」
にとり「分かったよ……。また、来る」
霊夢「お土産持ってきてねー」
ジョナサン「……いったかい?」
霊夢「ええ」
ジョナサン「……行かないと」
霊夢「ダメよ」
ジョナサン「……いやだ」
霊夢「なんで」
ジョナサン「にとりさんルーミアのような妖怪をもう増やさないようにするためだ!」
霊夢「つくづく紳士的ねー。だんだん腹立ってきたわ」
ジョナサン「いいかい?」
霊夢「ダメだってんでしょー!もう私の知り合いがかたをつけたから、アンタはもう寝なさい!」
ジョナサン「グッ……!」
霊夢「ようやく寝たわ……」
ジョナサン「」
霊夢「……まったく、私じゃ到底理解出来ないわ、この性格」
今日は終了です(小声)
~~~~~~~~~~~~~~~~
文「へー!凄いですねー!興味深いです」
霊夢「こっちは困ることばかりよ。治療費だってばかにならないし、ジョナサンに会いに来る妖怪が増えて人間が寄り付かなくなるし……」
文「心配するし……ですか?」
霊夢「……へ?」
文「?」
霊夢「……いや、ガラじゃないわよ……」
文「またまた~。……そういえばジョナサンさんは何処に?」
霊夢「山へ他にも傷ついた妖怪がいないか探しに行ってる」
文「ほうほう。あ、確かにいましたね。そんな感じのが」
霊夢「……?なんでそんな簡単に入れるのよアイツ」
文「結構有名ですよー。ジョナサンさんは」
霊夢「文がよく記事にしてるからじゃないの」
文「はい!そりゃもう。あんなタフな人間他にいませんから」
霊夢「……やっぱり、ただの人間に見える?」
文「違うんですかい?」
霊夢「んー……。まあいいじゃない」
文「気になりますねー……」
霊夢「……あ、そうだ。そろそろジョナサンに帰って来るように言ってきてくれない?」
文「はいはーい!任せてください。それでは!」
~~~~~~~~~~~~~~~~
ジョナサン「……うーん」
「あ、いたいた。ジョナサンさーん!」
ジョナサン「……!」
文「ジョナサンさん、ご機嫌いかがですか?」
ジョナサン「あ、ああ……文さん」
文「おやおや。リアクションがいつもより薄いですね。なにか考え事でも?」
ジョナサン「う、うん。ほら、これを見てよ」
文「はい。大っきな手の平ですね」
ジョナサン「いや、そこじゃなくて……」
文「え?」
ジョナサン「ぼくの手に絡みついているこの紫の植物のことだよ」
文「……?」
ジョナサン「実は最近、出したい時に出せて動かそうと思えば動くこの紫の植物についてずっと考えてたんだ」
文「はあ……」
ジョナサン「……見えないのかい?」
文「おや。わかりますか」
ジョナサン「やっぱり……。霊夢も見えなかったから、もしかしてって思ったんだ」
文「幻覚では?」
ジョナサン「…………」
文「ジョナサンさん?」
ジョナサン「危ないッ!文さん!」
パァンッ!
文「…………え」
「やれやれ……。数に限りのある弾を……。少し気が早すぎたな……」
文「ジョナサンさん!」
「本当は貴様を狙ったんだが、そこの男、なかなか勘が鋭い」
ジョナサン「ぼくは大丈夫……」
文「え……?弾が……」
ジョナサン「見たかい?さっき言った紫の植物で弾丸をそらせたんだ」
文「何をいってるんですか!……弾は当たってるじゃないですか……。しかも、まだ全然怪我が治ってない左腕が……!」
ジョナサン「大丈夫だよ。……今は、こんな傷の痛みよりあの男に対する怒りの方が、圧倒的に強い!」
「フフフ……。隻腕の男。キサマ、スタンド使いか。我が『進化したD4C』の実験台になってもらおうか……」
ジョナサン「お前に一つ質問があるッ!」
「…………」
ジョナサン「幻想郷の皆を傷つけているのは、お前か!」
「……皆?ああ、あの化け物達のことか。たしかに、来るべき復活の日のため、どこにどんな能力を持った妖怪がいるか、調べたりはしているが……」
ジョナサン「そうか……。やっぱりお前が……」
文「……許せませんね」
文「……」
射命丸文は、急ぐように男に攻撃をしかける。
もし自分が先に仕掛けなかったら、ジョナサンが突っ込むことになるからだ。
なにかあれば、傷がようやく治りかけていた身体が、またあの日に逆戻りだ。
文「人間には少しばかり速過ぎますか?」
「悪いが……私は既に人を超えている」
文は、人間では反応出来ない速度で男の後ろに周り込んだ。
……が
文「な…………!?」
男には、見えていた。
男の傍らには、ウサギの耳をした人型のビジョンが映っていた。
ジョナサンには見え、文には見えない。
「くらえ……」
ジョナサン「避けて!文さんッ!」
文「え?」
ジョナサン「見えてないのか……。間に合え!」
ジョナサンは、男と文の間に割って入り、射命丸文を包み込むように、抱きしめた。
ウサギの人型のビジョンは、その拳を文に繰り出した。
当然、それはジョナサンに当たった。
ジョナサン「…………」
文「な、なにが……」
「ほう……。あの速さ……こいつ、本当に人間か?」
ジョナサンの左肩から肩甲骨にかけてが、まるでミキサーにでもかけたようにえぐれていた。
文「ジョナサンさん!……また、私を庇って……。とにかく、ここは……退きます」
文はジョナサンを抱きしめ返し、そのまま最高速度で空に消える。
男は、冷静にその様子を見て、後はもうまた山の深いところへと消えた。
~~~~~~~~~~~~~~~~
霊夢「いーかげんにしなさいよ!ジョナサン・ジョースター!」
文「ああ……霊夢さん、怒らないでください……」
霊夢「このおバカが……。せっかく傷も治りかけてたのに……」
ジョナサン「ご、ごめん霊夢」
霊夢「左腕の形変わったらどうすんの?今にとりが義手作ってるの忘れたわけ?」
ジョナサン「う、うん。次から気をつけるよ……」
霊夢「気をつける……?また同じ事を言うのね」
ジョナサン「…………」
文「あ、あの、霊夢さーん……ジョナサンさんは私を庇って……」
霊夢「……ったく。文も文よー。この件は紫が片づけるから絶対触らないようにって言ったじゃない」
文「いやー、ただの人間かと思って……」
霊夢「油断したわけね」
文「……面目ない」
霊夢「……まあ、いいわ。私はまた包帯を取りに行ってくるから、文はそこのばかちん見ててちょうだい」
文「りようかいしました……」
ジョナサン「……行かないと」
文「……え?」
ジョナサン「まだ山にはあいつがいるんだ。これを見過ごしては、傷つく妖怪が増える。文さん……ぼくを……」
文「……やめてください。絶対嫌です」
ジョナサン「文さん!」
文「傷つく妖怪が……って、あなたはあなたを思う人の気持ちも考えるべきです」
ジョナサン「…………」
文「皆の事を考えるのも結構ですが、私や霊夢さんの気持ちはどうなるんですか。あなたが助けた妖怪達は?……お願いですから、大人しくしててください」
ジョナサン「……頭を上げて。文さん。それでも、ぼくは……」
文「うう……、私の、せいなんですよ。私のせいで。スクープになるからと霊夢さんがどうしてもあなたに行かせたくなかった山に、行った方が良いなんて馬鹿な進言をした、私のせいなんです。ジョナサンさん……お願いですから……もう少し、安静にしていてください……」
ジョナサン「……ッ。分かったから、もう泣かないでよ文さん……」
昨日は何故かここにはいれなくて、メンテでもしてたんでしょうか
今日は終了です
時系列がちょっとごちゃごちゃになってます
ごめんなさい
乙
これは大統領が倒される話でおk?
>>574
ただジョナサンがボコボコになっていくだけのお話です
~~~~~~~~~~~~~~~~
霊夢「ーーーーー」
幽々子「ーー!」
妖夢「ーーーー」
ジョナサン「……あれは?」
萃香「なに話してるんだろうね。あ、それはそっち」
ジョナサン「あ、うん……」
ルーミア「ジョーナサン!」
ジョナサン「なんだい?」
ルーミア「これは!?」
ジョナサン「え?……うん?萃香ー」
萃香「あ、それはこっち」
勇儀「……ジョナサン、ちょっと」
ジョナサン「なんだい?」
勇儀「こっちこっち」
ジョナサン「……」
勇儀「随分元気がないね」
ジョナサン「そうかい?そんな事はないよ……」
勇儀(最近山を騒がせてた奴か?消されたとは聞いたけど、この様子じゃ知らないみたいだな)
勇儀「まあいい。本題に入ろうじゃないか。……実はジョナサン、お前は見込みがある人間だ。そこで、博麗神社を出る気はないか?」
ジョナサン「……いや。ない」
勇儀「随分早く言い切るじゃないか。ジョナサン、別に霊夢と契りを交わしたわけじゃないんだろ?」
ジョナサン「ち、契り!?当たり前だよ……」
勇儀「ふん……。じゃあ、泊めてもらってる恩かい?」
ジョナサン「う、うん……」
勇儀「それじゃあ、恩返ししたら……」
ジョナサン「ちょ、ちょっと待ってよ!なんでそんな話なんか……」
勇儀「……なんだ?分からないのか?」
ジョナサン「…………」
勇儀「ジョナサン、少し、考えてみてくれ……」
「ダメよ」
ジョナサン「……!」
勇儀「おや、霊夢……」
霊夢「ダメよ。勇儀」
勇儀「ちぇ、見つかったか……。じゃあジョナサン、霊夢の寿命が終わった後にでも考えといてくれよ」
ジョナサン「…………」
霊夢「ジョナサン、あの山を騒がせてた奴、捕まったって」
ジョナサン「……!本当かい!?」
霊夢「ええ」
ジョナサン「良かった……」
霊夢「ほら、皆が準備してるわよ。早く行かないと、萃香が怒るんじゃない?」
ジョナサン「あ、ああ。そうだね」
霊夢「……ジョナサン」
ジョナサン「なんだい?」
霊夢「ああは言ったけど、あっちが良かったら勇儀のところに行ってもいいのよ?」
ジョナサン「……いや、ぼくは……ここにいるよ。それとも、迷惑かい?」
霊夢「……ふふ。いたいなら、もうしばらく置いといてあげるわよ」
ジョナサン「ありがとう」
~~~~~~~~~~~~~~~~
小町「おい新入り!こっちこっち!」
形兆「……なんだってこんなに忙しいんだ」
小町「じゃあ、あたいはあっちだから、頼んだよー!」
映姫「……小町。あなたという死神は……」
小町「げ、映姫様。い、いらしてたんですか!?」
映姫「……まったく。……で、彼はしっかりと働いてくれていますか?」
小町「そりゃーもう……」
映姫「随分と回転効率が上がってますからね。そうでしょう」
小町「あははは……」
映姫「あなたは彼の爪を煎じて飲んだ方が良いのでは?」
小町「そんな……」
映姫「だいたいあなたはーー」
小町「う、うう……」
形兆「そのへんにしきなヤマザナドゥ」
映姫「う、形兆……。役職で呼ぶのは止めてくださいと何度も……」
形兆「そろそろ上がっていいか?」
映姫「……ええ。きっかり22時間。今から12時間の休憩を与えましょう」
形兆「ああ、ありがとうよ。ヤマザナドゥ。それじゃあ小町、サボらず働けよ」
小町「よくあんな生活をつづけられますね……」
映姫「死んでから睡眠が娯楽になったそうですね」
小町「え、ええ……」
映姫「おや。形兆がいなくなって、今あの場には誰がいるのでしょうか?」
小町「な、形兆のやつー!」
映姫「まったく……」
~~~~~~~~~~~~~~~~
魔理沙「…………ふう。この本もそろそろ読み終わりそうだぜ」
魔理沙「最近、妙に集中出来る」
魔理沙「……そろそろ返しに行こうかな」
ガチャ
魔理沙「……誰だ!?」
形兆「お、おい、オレだぜ魔理沙……」
魔理沙「………………」
形兆「フゥ、フゥ、睡眠はいらなくなっちまったがやっぱり疲労はあるみてえだな。久しぶりに走ったせいで随分息が切れちまった……」
魔理沙「…………」
形兆「ん?随分と綺麗な部屋になったじゃねーか」
魔理沙「けー、ちょー?」
形兆「おう。久しぶりだな」
魔理沙「…………でてけよ」
形兆「…………」
魔理沙「今さら、何しに戻ってきたんだ」
形兆「……そうだな。……何しに戻って来たんだろうな……」
魔理沙「……」
形兆「…………すまなかった。じゃあな魔理沙」
魔理沙「……形兆!待ってくれ!」
形兆「……」
魔理沙「紫に聞いたんだ!形兆は生き返りたくないって。……それはいい。でも、一言だけでも残してくれても良かったんじゃないのかよ!」
形兆「……オレは、やっぱりオマエの友達にふさわしくねぇのかと思ってな」
魔理沙「そんなわけ、あるか……。じゃあ、なんで今……」
形兆「……なんでだろうな。地獄の責め苦なんてぬるいとこじゃ、償いなんてなんなねえん事に気づいてな、そんとき、紫にオメーが泣いてるって聞いて……いても立ってもいられなくなってな」
魔理沙「そうだ!泣いたぜ!めっちゃくちゃ!ずっと……ずっと待ってたんだ!形兆……私、ずっと後悔してた。形兆に謝らなきゃって……。だから、勝手にいなくなんなよ!」
形兆「……すまねえ。魔理沙」
魔理沙「……こっちも、さっきはごめん。私、またつまらない意地はってた」
形兆「魔理沙……」
魔理沙「なあ、形兆。私達、友達だよな」
形兆「もちろんだぜ」
魔理沙「……入れよ。久しぶりに、美味しいスープをご馳走してやる」
形兆「……おう!」
~~~~~~~~~~~~~~~~
映姫「おや、形兆さん随分ボロボロですね。12時間、しっかり休憩できましたか?逆に疲れがみえるようですが……」
形兆「あ、ああ……」
…………………………
…………………
…………
魔理沙「なんだよ!形兆!また出て行くのかよ!」
形兆「仕方ねえだろ魔理沙。そういう約束なんだからよ」
魔理沙「もう形兆なんか嫌いだー!」
形兆「な、いてーな!22時間後にまた戻って来るって何べんも言ってんだろーがッ!」
魔理沙「知らない!もうどこにでも行っちまえー!」
…………
…………………
…………………………
小町「お、来たか形兆。……?随分ボロボロだね」
形兆「ま、まあな……」
小町「魔理沙となんかあったんかい?」
形兆「なんでもねーよ」
小町「ありゃ。そうですか?」
映姫「それでは、二人共、頑張ってください。お正月が近づく頃には一斉休暇になりますから、ここを乗り越えれば大分楽になるでしょう」
小町「はい!ヤル気出てきたー!さあ、形兆、頑張ろう!」
形兆「お、おう!」
今日は終了です
ありがとうございました
乙
ボスまた死んでんのかな
流石にGER解除はどうかと思うんだけど
>>611
ボス自身が『あちら側でやることがある』『為し終えたら帰ってくる』的なことを言って幻想郷に帰還したんだから何らかの対策は採ったんでしょ
まぁ、てゐが『あちらでも相当怖い目に遭ってきたみたい』と言ってるからGERを撃破出来たかは怪しいけど
~~~~~~~~~~~~~~~~
ディアボロ「ここは……」
「な……誰だ!」
「貴様!どこから入った!」
ディアボロ「……綺麗な館じゃないか。エピタフで見た未来は……銃殺か。とりあえずこの二人を消しておこう……」
終わりがない旅の途中でキングクリムゾンを手に入れた帝王は、一瞬で死ぬこともあれば、最長で4時間生存し続ける事が出来た、と、その『終わらない』にも長短が出来ていた。
今回はいくら生きていけるだろうか。
などと考えながら、ディアボロは二人のスーツを着た男達に眠らせた。
ディアボロ「……奥に部屋があるな。……エピタフで未来が見えない!?」
少しの時間の一点の未来が見えるエピタフで、その未来が真っ暗な闇で覆われていた。
これは、完全な異常事態であり、嫌な汗が背を流れる。
ディアボロは危険を感じ、逃げようとしたが、奥の部屋への扉を背にした瞬間思いとどまった。
ディアボロ「……どうせ死ぬなら、得体の知れぬ恐怖とも戦ってみようではないか……フフ……私も、随分変わったな……」
そして、その扉を勢いよく開いたーー
~~~~~~~~~~~~~~~~
「誰だ!?」
部屋の中には、高級そうな椅子の上に踏ん反り返って座っている。
しかしどこか気品の良い金髪の青年がいた。
「……あなたは」
ディアボロ「……なんだ。何かのバグか?こんな事が……」
ジョルノ「…………」
ディアボロ「会いたかったぞ。この帝王に土をつけたただ一人の男……ジョルノ!」
ジョルノ「なぜあなたがここにいるのか……分からないが、……また、やられに来たのか?」
ディアボロ「フフ、リベンジと行こうじゃないか。どうせ『死にはしない死』を続ける運命なのだからなッ!」
ジョルノ「無駄な事は止めた方がいい。今、あなたが取るべき行動は逃走だ。何度も言わせないでくれよ。いいかい?逃走だ。もし戦ってもあなたはこのジョルノが座ったままの状態で負ける」
ディアボロ「…………フフ、私はな、後がないのだ。終わらせて!帰ると約束したからなッ!」
ディアボロが攻撃をしようとした瞬間、もう既に、両手を下に垂らした状態で何も考えず、ジョルノの正面に立っていた。
ジョルノ「無駄な事は嫌いなんだ。無駄なんだよ。無駄無駄」
ジョルノの後ろに拳を振り上げた、悪魔のスタンドが見える。
ジョルノ「二度目、この能力を行えば、どうなるのだろう。それは、ぼくも興味がある」
「また、会えたら、教えてくれ」
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!!
~~~~~~~~~~~~~~~~
ディアボロ「……ハッ!」
ディアボロ「ここは……どこの森だ?」
ディアボロは、次に森の中で目を覚ました。
どこか把握出来ない。
ディアボロ「ここはどこの国だ。それさえ分かれば少しは安心を……」
その時、なんとなく、エピタフで未来を見てみることにした。
そこに映っていたのは、自分が大きな腐った木の枝に喉を貫かれている場面だった。
ディアボロ「上か」
ディアボロは転がってその場から離れる。
直後、さっきいた腐った木の枝が地面に当たって砕けた。
自分が死ぬ未来を変えたのだ。
ディアボロ「……グ」
しかし、転がって避けた先には、地面から鋭く出ていた木の根があり、その先端に首が刺さって引っかかってしまった。
ディアボロ「く……クソ……引っかかった。ぬ、ぬけん!」
強く引っ張れば引っ張る程、木の根は奥へ奥へ深く突き刺さる気がする。
ーーそして、もがくのを止めたディアボロの命が尽きるまで、木の根はちょっとずつその血液を奪った。
今日のボス:木の枝を避けようとして木の根に突き刺さって死亡
…少しはマシになってきたのか…?
~~~~~~~~~~~~~~~~
ディアボロ「ッ!」
「あ、すまねえ!そんなつもりは……」
ディアボロ「な、なんだ……ここは、見覚えがあるぞ……」
「お、おら、人を殺しちまった!」
ディアボロ「」
「ど、どうしよう……。お?死体が消えたぞ!?どこいっちまった!?」
~~~~~~~~~~~~~~~~
ディアボロ「なるほど……人外の者……。ここは、幻想郷か」
「あら?足元でグシャグシャのお花達は私へ喧嘩を売ってるということでよろしいのね」
ディアボロ「……そんなつもりは……」
「問答無用!」
「あら、やり過ぎちゃった。……あれ?死体が消えた……」
~~~~~~~~~~~~~~~~
ディアボロ「そうか……段々わかってきた。ここは幻想郷。私は今度はこの幻想郷の範囲内だけで死に続けるのか。既に何十と体験した死……全て幻想郷でのみ起こった事だ」
ディアボロ「そして……ここは、見覚えがあるぞ!迷いの竹林……。あちらに、永遠亭が……。…………いいや、よそう。結局、私は『運命』に負けたままなのだ。このまま幻想郷だけの範囲で死を繰り返すなら、二度とジョルノには会えまい」
ディアボロ「……どうやら、うどんげ、私は帰れそうにないぞ……」
ディアボロ「……ん?あっちの方が騒がしいな」
ディアボロ「あれは、永琳!?輝夜も血だらけではないか。あの男は何者だ。見たところ、あの男が敵のようだな」
ディアボロ「……助けなければ」
すいません中途半端なところですけど今日は終わりです
乙
ボス、せっかく黄金の精神に目覚めたのに…何か悟っちゃってるな…
~~~~~~~~~~~~~~~
ディアボロ「……ッ!」
ヴァレンタイン「どうした?勇んで出てきた割にはノロマな亀のように動きが遅いな!」
迷いの竹林で、二人の男達は、まるで将棋でもさしているかのように攻防を続けていた。
圧倒的に優勢なのは、大統領であり、ディアボロの方はというと、調子が悪いのか、大統領の動きについていけていない。
ディアボロ「……どう足掻いても、後、三手……」
ヴァレンタイン「……?」
ディアボロ「……永琳は、もう十分逃げたか……そういえば、ここは迷いの竹林だったな。どの道、目を離した瞬間から永琳に追いつくことなど出来はしないのだな……」
ディアボロは、役目を終えたというように、身体から力を抜いて、その場に立った。
ヴァレンタイン「何を言っているのか分からんが……詰みだ」
ヴァレンタインの手に構えられた銃はディアボロの眉間を捉えている。
そして、ゆっくり引き金を引いた……。
ディアボロ「…………」
ヴァレンタイン「……!?死体が消えた……」
勝ち誇っていた大統領は、すぐに拳銃を懐にしまって戦闘体勢に入る。
死体が消えたのを何かの能力かと思ったからだ。
ヴァレンタイン「…………」
しばらくして、何もないことを確認し、戦闘体勢を解いた。
ヴァレンタイン「……まあいい。東に向かうか」
……とヴァレンタインは視界の端に赤いものを捉えた。
緑を背景にしていたため目立つわけでは決してないが。
ヴァレンタイン「……奴らの血液か。…………フン」
見れば、点、点、とそれは続いている。
大統領は考える。
とにかく自分の拠点の欲しい。
ここは永琳達を追いかけるのが得策ではないのか……と。
永琳達を追いかければ、自然とその先に奴らの家がある。
それを拠点に……。
ヴァレンタイン「…………」
大統領は自然とそっちを選んで進んでいた。
ヴァレンタイン「…………!」
ーーと、次の瞬間。
ヴァレンタイン「……なにが、起こったッ!?」
大統領は、既に目的の方向に十歩程進んでいる。
しかし、それが、大統領にとっては驚愕すべき事だったーー。
~~~~~~~~~~~~~~~
ディアボロ「…………」
ディアボロは困惑していた。
先程自分が死んだ場所から、わずか十メートル足らず。
そこに、立っていた。
ディアボロ「……!」
その後、地面を見ながら歩く大統領を認識する。
ディアボロ「…………フフ」
胸が高鳴る。
ディアボロ「まさか……、距離も近くなっていっているのか?!ここでの、死亡は……」
そのまま、能力を行使した。
大統領が歩いていく。
その間に、ディアボロは早足に大統領に近づいた。
歩き始た距離点0から、たどり着いた距離点10、その間をぶっ飛ばす。
その間を認識して動けるのは、帝王であるディアボロのみ。
何が起きたか分からず困惑する大統領。
その後ろからそっと話しかけてやる。
ディアボロ「……どこを見ている」
その瞬間、時を……ぶっ飛ばす。
大統領が振り返る間に、前に元々大統領が向いていた方向に回り込む。
ヴァレンタイン「……ッ!スタンド攻撃を受けているのか……ッ!」
ディアボロ「……ああ、その通りだ」
ヴァレンタインがディアボロを視認するより先に、キングクリムゾンは、ヴァレンタインの腹部に手痛い一撃を。
ヴァレンタイン「~~~ッ!?」
ディアボロ「……」
大統領は進んできた道を、無理矢理引き返させられた。
ディアボロ「…………」
ヴァレンタイン「……キサマ」
ディアボロ「やはり、身体が重いな……。しかし、そうも言ってられん。どうやらまだやり残した事があったらしいみたいだ」
そう言ってディアボロは、自分の腕に噛みく。
ディアボロ「…………」
しかし、顔色は一切変えない。
傷は深く、血がその手からしたたり落ちた。
ディアボロ「……ここまでくると、この命が安く見えてくる」
自嘲すると、そのまま大統領と第二ラウンドを開始した。
~~~~~~~~~~~~~~~
ディアボロ「……………」
目を覚ますと、木造建築の建物らしい天井が見えた。
上体を起こして周りを確認する。
ディアボロ「ここは……」
道場、というのをそのまま形にしたような場所だった。
そこは薄暗く、どうやら板張りの床に布団をしいて、その上に寝かされていたみたいだ。
??「あら、やっと起きました?」
ディアボロ「………」
??「まったく、返事ぐらいしたらどうなんですか?人間があんな危険な場所でお寝んねなんて、私が見つけていなかったら、すごく危なかったんですよ?」
ディアボロ「貴様は……」
??「へぇ……。命の恩人に対して貴様呼ばわり……。随分偉い立場ですね。あなた……。それに、人に名前を聞く時は自分から名乗るものでしょう?」
ディアボロ「……ディアボロだ。邪魔をしたな。礼を言う。」
華扇「私は華扇よ。……と、とと……なに帰ろうとしてるんですか。まだ話は終わってませんよ」
ディアボロ「触るなッ!」
華扇「ッ!?な、なに怯えてるんですか……」
ディアボロ「ここで介抱してくれた事は礼を言う。気絶したオレを拾ってくれた事もだ。だが……オレはすぐに出て行く。世話になったな」
華扇「……ディアボロ!そこに座りなさいよ!命の恩人に対しての口の聞き方、そしてその不遜な態度、目に余るわ!」
ディアボロ「!」
華扇「あなたという人はーーだからーーーーこうしてーーーまったくーーーー」
ディアボロ「…………」
華扇「ーーーということよ!わかった!」
ディアボロ(あれから……どうなった?たしかあの男と戦って、三度程死んだか?それから……奴を退かせたところで、記憶がない)
華扇「ディアボロ!」
ディアボロ「…………」
華扇「ディ~ア~ボ~ロ~!!」
ディアボロ「………………」
華扇「てんめぇぇぇぇえ!!」
茨木華扇は、その左の拳を握って、ディアボロの胸に向かって伸ばした。
思考に没頭していたディアボロにその拳はクリーンヒットする。
かに思えたが、凄まじい力ということはエピタフを通して見えていたので、すんでのところでキングクリムゾンが拳を止めた。
ディアボロ「…………」
華扇「な、なによ……。なんなのよその犯行的な目は……。あ、あれ?手が動かない?」
ディアボロ「…………悪かったな。今すぐ、出て行く」
華扇「…………わかった!わかったわよ。私の負け。好きにするといいわ。でも、今日一日、今日一日だけでも泊まっていきなさい。もう外は真っ暗よ」
ディアボロ「…………」
華扇「ほら、もう何も聞かないから。おやすみなさい。じゃあね!明日ま 朝早く起きても、私に一言言って出ていきなさいよ!」
ディアボロ「…………」
キングクリムゾンの拘束は緩み、茨木華扇は手を引くと、急ぎ足で彼女が来た方へ引き返していった。
そのままもう一度ディアボロは布団に寝そべり、静かに目を瞑った……。
今日のところは多分、終了なんだなも
コンフェデ杯みるからもしかしたらまた書くかもしれないけど
とりあえず一旦終了なんだなも
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ディアボロ「…………」
華扇「あら、おはよう。また随分寝たわね。こっちに来て。お昼ご飯にしましょう」
ディアボロ「………………」
華扇「出て行くの?別に止めやしないけど、宛はある?」
ディアボロ「…………!」
華扇「やっぱりないの?なら、あなたがここで住み込みで働くって形ならおいてあげてもいいよ?」
ディアボロ「おい、答えろ……。私がここに来てから何時間経った…」
華扇「は!?……えーと、さあ、一日とちょっとくらいでしょ。あなた、一昨日から昨日にかけて丸一日眠ってたし、時間に換算すれば丸二日ってとこ?」
ディアボロ「…………そうか」
華扇「納得したなら、早く食べちゃってー。片付かないから」
ディアボロ「……あ、ああ」
華扇「なに怯えてんのよ、まったくもう」
ディアボロ「…………」
華扇「……?どうしたの?」
ディアボロは立ち上がって茨木華扇の方へ歩く。
常にエピタフ発動して未来を確認しつつ。
ディアボロ「…………」
華扇「なんで止まるの?」
ディアボロ「……来るな」
華扇「え?」
ディアボロ「いいか、その箸を持ったままこっちに来るなよ!箸を置いてからだッ!絶対に箸を置いてからこっちに来いッ!」
華扇「…………」
ディアボロ「…………」
華扇「いや、あなたがこっちにくれば?」
ディアボロ「…………あ、ああ。そうだな」
華扇「変な奴ね」
ディアボロ(静か過ぎる……。私が……死なない。その気配もない)
ディアボロ「…………」
華扇「悪いわねーこんなちっちゃな丸机で。私もいつも御飯食べてるわけじゃないから、これくらいで丁度いいのよ」
ディアボロ「…………」
華扇「……何をそんなに警戒しているの?」
ディアボロ「い、いや……なんでもない」
華扇「あっそう……」
ディアボロ「…………」
華扇「いただきますぐらい言ったら?」
ディアボロ「……ああ、すまない」
そう言ってディアボロは料理の前に座って箸を取った。
華扇「……いやだから言えよ!」
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ディアボロ「…………」
華扇「食べ終わった?じゃあもう片付けちゃうから、向こう行ってて」
ディアボロ「ああ」
華扇「……それにしてもあなた、箸の使い方下手よねー」
ディアボロ「……ああ、よく言われるよ」
華扇「よく?誰に?」
ディアボロ「……!いや、なんでもない」
華扇「……あ!?」
茨木華扇は、ディアボロの食べ終えた食器類を片付けようと、皿を指から滑らせて、地面に落としてしまった。
パリーン、と大きな音をたて、皿は割れて、破片が飛び散った。
茨木華扇は突然のことに驚いて、よろけたところを丸机に足を引っ掛けて破片群に突っ伏しそうになった。
ディアボロ「……!」
ディアボロは咄嗟にキングクリムゾンを出して、茨木華扇を受け止めた。
華扇「あ……あれ?私……」
ディアボロ「……フゥ、フゥ」
華扇「……て、え?きゃあああ!」
膝を折って上半身浮いたような四つん這いになっている茨木華扇は、ディアボロのキングクリムゾンを視認した。
そして、落ちていた大きな破片を……勢い良く投げた。
ディアボロ「……な!」
キングクリムゾンはそれを弾く。
茨木華扇の予想外の行動に、ディアボロは嫌な角度で破片を弾いてしまった。
ディアボロ「……うわああああ!」
破片は運が悪く、鳩尾の柔らかい部分に切っ先を向けて飛んで来た。
ぶちぶちと嫌な音が脳内に響く。
華扇「ディアボロ!?」
そして、意識は段々と……。
華扇「うそ……ディアボロが…………消えちゃった……」
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華扇「……なるほど。つまり、あなたは『死に続ける病気のようなもの』にかかっているわけね」
ディアボロ「……ああ」
華扇「ふむふむ。ここに来てからのあなたの態度、これで大方理解が出来ました」
茨木華扇は、何度かうなづいてその後で少し怪訝な表情を作った。
華扇「でも、生き返るのが死んだ場所から近くなってるんでしょ?現に、今あなたが死んだあと、玄関に寝てたわけなんだし。それって……ある意味不死身ってことじゃない?」
ディアボロ「……そうか」
華扇「ええ。とっても良い能力と考えてもいいかもしれないけど……」
ディアボロ「運命に縛られて、死に続けるのがか?」
華扇「……卑屈ねー。まるでどっかの引きこもりみたいじゃない。まあ、常に死が近くにいる状態ってとてつもない恐怖だとは思うけど」
ディアボロ「ッ……」
華扇「あなたが強くなればいいことよ。死を受け入れて、死と共に生きるの。それしかないわ。ほら、仙人である私はそういう人を導くことにあるんだし」
ディアボロ「…………」
華扇「あなた、やっぱりしばらくうちにいなさい。なに、大丈夫よ。こっちはもう何百年か生きてる『仙人』なんだからね」
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それから……二人は想像を絶するような修行に励んだ……。
ディアボロ「な、なんだここは……」
華扇「精神力を鍛えるんでしょ?てきと……、とりあえず、滝に打たれて身を清めてみなさい!」
ディアボロ「……」
華扇「あら、意外と素直ね……」
ディアボロ「…………ッ」
華扇「どうー?って水の音が大き過ぎてきこえないかー」
ディアボロ「…………ここだ」
滝に打たれるディアボロ、しばらくして、突然キングクリムゾンで自分の上部に拳を放った。
華扇「…………たいしたものねー」
折れた枯れ木がその断面をディアボロに向けて降ってきたのを、ディアボロは上手くキングクリムゾンの拳でくだいた。
ディアボロ「…………」
華扇「あれ?もう出ちゃうの?」
ディアボロ「くだらん!少しでもキサマを信用しようと思ったオレがバカだった!」
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華扇「はい!じゃあ、今度はこの薪割りをしなさい!」
ディアボロ「……もう、私はキサマの指図は受けんと言ったはずだが」
華扇「グズグズ言わない!」
初老の男「ごめんなー。ワシも腰さえ痛めんかったなら……」
ディアボロ「何故私がこのような……」
華扇(と、言いながらもしっかりやるのね)
ディアボロ「フン!フン!」
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華扇「はい。じゃあね、今度は……ここを掃除してもらうから」
ディアボロ「ここは……」
華扇「博麗神社ってとこよ」
霊夢「あら、あなたは……」
ディアボロ「……」
ディアボロは、軽く会釈をする。
霊夢「じゃあ、お願いね」
華扇「それじゃあ、頑張ってください」
ディアボロ「…………」
ジョナサン「霊夢、あれは誰だい?」
霊夢「あの女の門下生だって」
ジョナサン「門下生?」
霊夢「そう。修行の一貫で色んなとこで奉仕活動してるらしいわ。でも……」
ジョナサン「どうかしたのかい?」
霊夢「……あの男、どっかで見たことあるのよねー」
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ディアボロ「…………」
華扇「はい今日の奉仕活動お疲れ様」
ディアボロ「……おい」
華扇「なに?」
ディアボロ「なにがしたい?なにが目的だ?」
華扇「えーっと、そうね。滝とかに打たれて精神力鍛えるってやつやってみたかったんだけど……」
ディアボロ「…………」
華扇「あなた、素晴らしい精神力を持ってるし、必要ないかなぁ……って」
ディアボロ「………………」
華扇「だからね、とにかく、あなたの死への恐怖心を和らげられたらなって思ったの。多分、他者への恐怖心を和らげられたら、自然と死への恐怖心も薄れるととか?」
ディアボロ「…………」
華扇「実際、この数日で随分心に余裕ができたんじゃない?」
ディアボロ「…………」
華扇「……ね?死ぬ頻度も随分少なくなった。ね?」
ディアボロ「……」
華扇「きっと、このまま死ぬことへの恐怖なんか綺麗さっぱりなくなるわよ。さて、今日食べたいモノって何かあったりする?」
ディアボロ「………」
華扇「……ないのね。じゃあ、こっちで勝手に……」
ディアボロ「……パスタ……いや、肉ジャガ、を頼む」
華扇「……ふーん」
ディアボロ「………………」
華扇「それじゃ、その辺で待ってて」
~~~~~~~~~~~~~~~
ディアボロ「…………おい」
華扇「…………なに?」
ディアボロ「……ここはまずい」
華扇「なに?まだ到着していないわよ」
ディアボロ「永遠亭に行くつもりだろう」
華扇「あら、知ってるの?」
ディアボロ「そこだけは……ダメだ!」
華扇「……?」
ディアボロ「私は……帰らせてもらう」
華扇「ちょ、ちょっと……」
??「あら、これは珍しい。私の見間違え?……いや、そういうわけではないみたいね」
華扇「あら、こんにちは。今からそちらに伺いに行くところで」
輝夜「そう。でも、そこの男、今帰るとかなんとか言ってなかったっけ?」
華扇「いえいえ、聞き間違えでしょうね。ね?ディアボロ……あれ?」
輝夜「彼なら全速力であっちに走っていったわよ」
華扇「え?……え?ディアボロさん!?」
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華扇「ディ~ア~ボ~ロ~!」
ディアボロ「…………」
華扇「突然逃げてどうしたというの!?」
ディアボロ「……ダメだ」
華扇「…………?」
ディアボロ「……うどんげに、まだ、合わせる顔がない」
華扇「……どうしたのよ、まったく」
ディアボロ「…………」
華扇「……分かりました。私だけで行ってきます。今日のところはお家で大人しくしておいて下さい」
ディアボロ「……」
華扇「…………」
~~~~~~~~~~~~~~~
輝夜「で?私にディアボロの境遇を教えて欲しいと?」
華扇「はい。それはもう、是非」
輝夜「………まあいいわ。実はーーーー」
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ディアボロ「…………」
華扇「ディアボロ?いる?」
ディアボロ「……ああ」
華扇「……」
ディアボロ「…………」
華扇「あなた、あの永遠亭で何かあったんでしょう」
ディアボロ「……私は、元々絶頂にいた。完全に、私一人、ただ一人、頂点にいたんだ。それが……ちっぽけなガキに負けて、運命まで握られて、敗北したのだ。この、私が…………」
華扇「……なるほど」
ディアボロ「もう一度奴を倒し、私が運命に勝って、永遠亭に戻ると約束した」
華扇「…………」
ディアボロ「今の私に……あそこに戻る資格は……ない」
華扇「……甘ったれね。ウジウジとみっともないわ」
ディアボロ「……なに?」
華扇「……相手は何人だったの?あなたの味方は?」
ディアボロ「…………」
華扇「悪いとは思ったけど、あなたの境遇をこの幻想郷で高位に位置する種族に聞いて回ったわ……」
ディアボロ「………」
華扇「ディアボロ、あなたは、強い子よ……。一人で、随分と長い間戦ったわ……。ただ一人の味方もなく、上手く立ち回って、不安の要素も見落とさずに。色んな人を利用して……」
ディアボロ「…………」
華扇「あなたに足りなかったのは、信頼と仲間よ。相手はそれを持っていた……だから、あなたは敗北した」
ディアボロ「……そんなもの」
華扇「そんなもの……に、あなたは負けたんだわ。だからね……あなたも、その二つを手に入れるべきよ。一緒に戦ってくれる仲間……。いるんじゃないかしら?あの永遠亭には。ね?」
ディアボロ「…………」
華扇「明日、永遠亭に戻りましょう」
ディアボロ「……それでも私は……」
華扇「DIO」
ディアボロ「!?」
華扇「DIOと戦った時を思い出しなさい。あなたは、どうやってあの吸血鬼に勝ったの?…………よく、考えて」
ディアボロ「…………」
華扇「それじゃあ、私は寝る。おやすみ、ディアボロ」
~~~~~~~~~~~~~~~
華扇「………おはよう」
華扇「……あら?」
朝、起きてディアボロの様子を確認しようと見ると、ディアボロの布団は綺麗にたたまれていて、その上には一枚の手紙があった。
華扇「…………ふーん。様子を見てくる、かぁ。もう、大丈夫そうね……」
手紙を折りたたんで、くずかごに投げる。
丁度そこに入った。
華扇「よし……。今日から、私も布団でねられるわー」
あっけらかんと笑うその背中には、少し寂しげな空気が漂っていた。
今、彼女は、広い部屋にぽつんと一人。
華扇「まったく、最後に挨拶くらいしていけよ……」
~~~~~~~~~~~~~~~
ディアボロ「…………」
茨木華扇に発破を掛けられ、思わず来てしまったディアボロだったが、当然のように、永遠亭の前でしりごみしてしまった。
今さら、どんな顔をして会いに行けばいいかわからない。
ディアボロ「…………」
やっぱり……と、向き直り、来た道を引き返そうとしたその時、何かにぶつかった。
輝夜「痛!」
ディアボロ「……!」
輝夜「まったく、どこ見てんのよ……」
ディアボロ「か、輝夜……」
輝夜「また、逃げるの?」
ディアボロ「…………」
輝夜「うどんげやてゐの優しさから逃げて、なにが運命と戦う、よ」
ディアボロ「………」
輝夜「……ほら、帰るわよ。あなたの家に。私は先に行ってるから。すぐ来なさいよ」
そう言って輝夜は永遠亭の方へ行ってしまった。
~~~~~~~~~~~~~~~
あれから何分立っただろう。
結局、玄関の前まで来て、あと一歩が踏み出せずにいた。
『信頼と、仲間よ』
茨木華扇の言葉が呼び起こされる。
また冷静になれば、やっぱり帝王にそんなものは不要だった。
ただ、逃げるのか?と言われて引き下がった後に、逃げた、と思われるのも嫌だった。
「小さな帝王だな」
自嘲した。
DIOと戦った時を思い出す。
あの戦い、結局自分一人の力では勝てなかった。
自分は魔理沙に助けられ、魔理沙はうどんげや刑兆とかいう男に助けられ、うどんげには自分がいた。
ほんの少し、仲間や信頼を理解出来た気がする。
だから、こうして、一歩踏み出す勇気がない時も……
ーーーーガラッ
「ってうわああああ!」
向こうから、歩みよってくれる。
ある意味で、私は、仲間を認めたのかもしれない。
え?ディアボロ編終わり!?
って感じですが終わりなんですよね
すいません駆け足で
今日中には終わりませんでしたね
とりあえず私用があるので今日は終わりかもしれません
ちなみにまた投下しようと思ったのは、この次に書きたいやつが出来たからです
とにかく、これを書き切って、大学でも受かれば次を書かせて下さいね
すいません
やはりここで完結という形を取らせて下さい
長い間待たせて本当に悪く思っています
ここまでご贔屓してくださりありがとうございました
またいつか好きな作品のクロスオーバーが書けたら嬉しいです
このSSまとめへのコメント
キラークイーン出番なし?
クロスってたいていつまらないよな
ていうか描写なしでいきなりやられてたけど、DIOが咲夜・レミリアに勝てる描写が思い浮かばないんだが…
DIOより何倍も長く時を止められ、しかも止めるだけじゃなく時間と空間を自在に操れる咲夜、その咲夜に忠誠を誓わせるレミリア…… こんな二人にどうやって勝つんだよ
ラグビーやっとった吸血鬼と少女吸血鬼ならそらラグビーやっとった方が勝つよ