姫柊「いつもより少しだけ…」(39)
ストブラssです
ちなみに二期のエンディングの映像?が好きで少しそこを意識してみたりしてみなかったりです笑
SS書くの初めてに近いので誤字脱字や書き方のミスについては温かい目でスルーしてくださいm(_ _)m
その日の姫柊の朝はいつものような平和的な朝の迎え方ではなかった
「っ!?」
寝起きながらも自分が張っている結界が破られたことを確認し飛び起きる
ふと時計を見ると普段起きる時間より1時間も早い、この時間帯ということは不意打ちなのだろうか、そもそも自分の結界はそんな簡単に破れるはずはないのだ
「一体誰が…」
とにかく、暁先輩の護衛に向かわなければ、そう思い、隣の家へ向かおうと雪霞狼を握ったその瞬間だった
「えっ?嘘…消えた…!?」
姫柊雪菜は第四真祖である暁古城の監視役として式神をつけている、普段古城に何かがあった時もこの式神のおかげで駆けつけることができたのだが、その式神から暁古城の反応が送られてこないのだ
一瞬で消えたのだ
「先輩、まさか…
部屋を出て隣の家の扉を叩く
「先輩!先輩!暁先輩!!」
もしも、もしも先輩がいやそんなはずはないだろう、暁古城は世界最強の吸血鬼、第四真祖は不死の力を持っているのだから
そう思ってもやはり落ち着けない、相手は一瞬で結界を破った人間なのだから
ガチャ
扉が開く、雪菜は警戒心をあげ雪霞狼を密かに準備する
「あれ?雪菜ちゃん?こんな時間にどうしたの?」
出てきたのはパジャマ姿の凪沙である
「暁先輩は今どこにいる!?」
「あ~、古城君なら今日は補習授業が授業前と放課後に入ってるみたいなの、それで古城君の寝坊癖を知ってる南宮先生があっという間に連れて行ったの、いやー、毎日南宮先生がいてくれれば私も苦労しないで済むのかな~」
「そ、そうだったの」
とりあえずホッとした
そう思いながら部屋に戻った時携帯が鳴る
from:暁古城
件名:無題
本文:今日は補習授業があるから先に学校に行かせてもらう、放課後ももし待つのが面倒だったら先に帰ってくれ
全く、先輩は私が監視役だということをわかってるのだろうか
先輩がちょっといなくなるだけで私がどれだけ心配しなければならないかわかっているのだろうか
何も知らない暁古城に対してさすがに少し雪菜は不機嫌になる
「………はぁ、先輩あとでおしおきしないとダメですね」
授業も終わりほとんどの生徒が帰った頃、夕日が窓から差し込まれた教室の中で一人机に宿題を広げているのは姫柊雪菜だった
「はぁ、終わった~」
明日提出の宿題が終わり満足感に追われてるのも一瞬でため息が出る
なぜ、こんな時間まで一人で教室に残っているかと言うと自分の監視対象である暁古城が補習授業を受けているからである
「早く終わらないかなぁ…先輩」
思えば今日は朝からあんなことがあったせいで先輩にまだ会っていないのだ、こんなに会っていないのなんて初めてではないかと思うほどに
昼休みに先輩のところへ叱りに行こうとしたものの先輩につけていた式神がないため場所がわからないため会えなかったのである
一応教室へ行ったもののいなかったみたいだし……仕方がないので式神を古城机につけてることにより、古城にまた式神をつけることにした、このことを古城は知らないだろうが
先輩の居場所はわかってるし安全だ、私がいなくとも今は古城は空隙の魔女南宮那月といるのだ
監視の必要などいらないくらい安心できるはずなのに、何かこころが落ち着かないのはなぜか自分でもよくわからない
自分は監視役なのだからこれでいいのだと言い聞かせても心は落ち着かない
たった1日近く会ってないだけなのに数時間後に会えるはずなのに先輩に会いたい気持ちが我慢できなくなりそうだ
「はぁ…」
何度目かわからないため息をつきながら机をまくらにする
今日朝早かったせいか、少し眠気も残っていたのだ
気持ちも落ち着かないことだし少しだけと目を閉じる
夕暮れの教室、黒髪の美少女は自分が恋してるとも知らずに恋に悩んでいたのだった
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「はっ」
目を開けると教室は先ほどよりもだいぶ暗くなっている
時計の差してる時間からしてもう先輩は帰ってしまっただろうか
「もう~」
せっかく先輩に会えると思ってたのにという気持ちが自分の中にあるのを感じてしまう自分が恥ずかしくなる
雪菜はまたため息を尽きながら式神を使って先輩を視る
視えたのは先輩の家のリビングでも先輩の部屋でもなく、そして外でもなく
自分の後ろ姿だった
自分の後ろ姿だった
ゆっくり振り返ると机の上に座って暇そうにしている先輩と目が合った
「お、起きたか、姫柊」
先輩の声が懐かしい、優しさに包まれた声が自分をホッとさせたのを感じる
「いやー、朝はごめんな、声かけてから行こうと思ったんだけど、那月ちゃんがいきなり上がり込んできて俺を学校に空間転移させたもんだから」
今まで忘れていたが、朝のことを思い出し少しムカっとなる
「ホントです!先輩がいきなりいなくなった時の私の心配を返してください!」
言われると先輩はポカンとしながら聞いてくる
「心配してくれたのか?」
「あ、当たり前です!監視対象がいなくなったらびっくりしますし、…それに…心配です」
「そっか、ありがとな、嬉しいよ」
そう言いながら頭を撫でてくる先輩は本当にズルい吸血鬼だと思う
しかし悪い気分はしない
むしろ少し心地よい気すらする
「罰として先輩の監視強化しますから!」
「き、強化だと?」
先輩は少し焦っているが気にせず姫柊は立ち上がり荷物をまとめカバンを持ち、雪霞狼を背負い…そして先輩の指に自分の指を絡ませて頭を先輩の肩に預ける
「ひ、姫柊さん?」
驚いた先輩が離れようとするけれど私はぎゅっとホールドする
「先輩がまたどこかに勝手にいかないようにするためですから」
「いやいや、誰かに見られたら変な誤解をもたれちゃうかもしれないだろ?」
「それでもいいです!先輩は嫌ですか?」
強気な姿勢の雪菜に先輩は押され困っているようだ
「さすがに冗談です、ですけど少しだけ、少しだけこうしながら帰っちゃダメですか?」
雪菜はそう言いながら古城の目を見ようとするため必然的に上目遣いになっているが本人は気付かない
「まぁ少しだけならいいけど、誰かに見られそうになったら離れた方がいいぞ?姫柊が俺なんかとの変な噂が立つの嫌だろ?」
「嫌じゃないですけど」
そう小声で言うと先輩が聞き返してくるが無視をする
手をぎゅっと握りしめ雪菜は先輩に話しかける
「さ、先輩、帰りましょ?」
「そ、そうだな、でもじゃあ正門出るまでだからな!」
「はい、それで構いません」
優しく笑いながら歩く速度を合わせて歩き始める
いつもより少しいれなかった分だけそう心の中で言い聞かせる
何時もより少しだけいれなかった分だけいつもより多く一緒にいたいのだ
私は、先輩の監視役なのだから、そして先輩のことが…
そこから先は考えるのをやめる
やめて今のこの時間の幸せさを味わうことにしたのだった
短いですがこれでおしまいです
もし感想など頂けたら嬉しいですm(_ _)m
このSSまとめへのコメント
うまい。