まどか「ほむらちゃん黒猫説?」(815)


まどか「酷いよ……こんなの、あんまりだよ!」

QB「仕方ないよ、彼女一人では荷が重過ぎた」

QB「でも君ならこの運命を変えられる」

QB「どうしようもない不条理も、避けようのない悲劇も」

QB「君なら覆せるんだ」

まどか「ほんとに?」

QB「本当さ。君にはその力がある、だから」

QB「僕と契約して――――」





「まどか。起きなさい」

まどか「えっ?」

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~まどかの部屋~

まどか「むにゃ……」

「まどか、起きなさい。もう朝よ」

まどか「あ……あれ?」

「目が覚めた?」

まどか「……なんだ、夢だったのかあ……」


「くすっ、随分と残念そうな顔ね」

「そんなに楽しい夢だったの?」

まどか「うーん、楽しいっていうのとは違うけど」

まどか「……あ、まだ言ってなかったね」

「ん?」

まどか「おはよ、エイミー」

エイミー「うん。おはよう、まどか」


~ダイニング~

タツヤ「おはよ、ねーちゃ、エイミー!」

まどか「おはようタツヤ」

エイミー「ニャー」

知久「おはようまどか、朝ごはん出来てるよ」

知久「もちろんエイミーの分もね」

まどか「ありがとうパパ!」


まどか「今日はママは?」

知久「急ぎの仕事があるとかで、早くに出ていったよ」

まどか「そーなんだ、大変だね……」

知久「まどかも遅刻しないようにね」

まどか「えへへ、まだ大丈夫だよ」

まどか「エイミーが早めに起こしてくれたもん」

知久「ふふ、そっか。いつもありがとうエイミー」

エイミー「…………」モグモグ

タツヤ「ねこかん、おいしい?」

エイミー「ニャッ」


~通学路~

まどか「ん~っ、今日もいい天気だね~」

エイミー「そうね、お昼寝したら気持ち良さそうだわ」

まどか「あはは、いいねぇ」

まどか「……私も学校サボってお昼寝しちゃいたくなっちゃうなあ」

エイミー「あらダメよ。平日のお昼寝は猫の特権なんだから」

まどか「むー、ずるい!」


さやか「おっはよー、まどか!」

仁美「おはようございます、まどかさん」

まどか「あ、さやかちゃん、仁美ちゃん。おはよー」

さやか「おっ、今日もエイミーが一緒なんだ」

仁美「エイミーさん、おはようございます」

エイミー「にゃー」

さやか「むっふっふ、今日こそ抱っこさせろー」

エイミー「……」フイッ

さやか「ありゃ」

仁美「ふふ、嫌みたいですわね」

さやか「まだダメかー、残念!」

まどか「あははっ」


さやか「それにしてもエイミーってば賢いよねー」

まどか「……うん、そうだね」

仁美「そうですわね、毎朝こうして学校まで着いてきて……」

仁美「しかもちゃんと校内には入らないですし」

さやか「まるであたし達の言葉が分かってるみたいな時もあるよねー」

まどか「あ、あはは。そんなわけないよー」

まどか「そ、そうだ! 今日ウチのクラスに転校生が来るらしいよ?」

さやか「ああ、そーらしいね! どんな転校生かなー」

エイミー「…………」


エイミー《まどか、この後のことだけど》

まどか《うん? なあに、エイミー》

エイミー《今日は少し気になることがあるから、私も校内にいるわ》

まどか《えっ? どうしたの急に、気になることって?》

エイミー《ごめんなさい、今はまだ説明出来ないの》

エイミー《とにかく敷地内にはいるから、何かあったら呼んで頂戴?》

まどか《うーん? よくわかんないけど、わかったよ》

まどか《みんなに見つからないようにね?》

エイミー《もちろんよ》


~朝のHR~

和子「……と、いうわけで女子の皆さんは気をつけること!」

まどか「あはは……」

さやか「……またダメだったかー」

和子「はい、それじゃあホームルームは終わりです。中沢くん、号令をお願い」

まどか「……あれ?」

さやか「……ん?」

中沢「あのー、先生?」

和子「なあに、中沢くん?」

中沢「今日は転校生が来るって噂を聞いてたんですけど……」


ザワザワ...

和子「うーん、やっぱりみんな知ってたのね」

和子「でも残念だけれど今日は転校生は来ないの」

さやか「えー、なんでですかー?」

和子「先生も詳しくは知らされていないから説明出来ないけど……」

和子「どうやら転校が先延ばしになったみたいですよ」

さやか「ふーん……」

和子「さ、この話はおしまい。皆さんは授業に集中してくださいね」


~お昼休み~

さやか「転校生イベントは延期かあ」

仁美「そんなお祭りみたいな言い方、良くありませんよ?」

まどか「どーしたんだろうね、転校生さん」

さやか「体調不良とかかなあ。あたしの聞いた話だと入院してたらしいし」

まどか「私も保健係だから先生から聞いてたんだけど……心配だね」

仁美「お見舞いにでも行ったほうが良いのでしょうか」

さやか「いやー、さすがにそれは大袈裟でしょ」


エイミー《まどか、今いいかしら?》

まどか《うん、大丈夫だよ》

エイミー《……貴女のクラスに、転校生は来た?》

まどか《あれ、エイミーも知ってたの? 転校生のこと》

エイミー《少し小耳に挟んだのよ》

エイミー《それで、転校生は来た?》

まどか《来なかったよ。なんか転校が先になったみたい》

エイミー《そう……なら良いわ》

まどか《……転校生がどうかしたの?》

エイミー《ええ……ちょっとね》

エイミー《詳しい話はまた今度でいいかしら? 説明すると長くなるから……》

まどか《うん、いいよ》


~放課後・教室~

さやか「まどか、今日もCD見にいこーよ!」

まどか「うんいいよ。また上条くんの?」

さやか「えへへ……そんなとこ」

まどか「ふふ。偉いね、さやかちゃんは」

さやか「仁美は行く?」

仁美「ごめんなさい、私はお稽古がありますので……」

さやか「そっか、んじゃまたね」





まどか《……そういうわけなんだけど、いいかな?》

エイミー《了解よ。今日はショッピングモールを見回りね》


~CDショップ~

まどか「♪~♪~」

《助けて…… 》

まどか「えっ?」

まどか《エイミー? 何か言った?》

エイミー《いいえ、私じゃないわよ》

まどか《じゃあ今のって》

《助けて、まどか……!》

まどか《また聞こえた! これってもしかして私達と『同じ』……!?》

エイミー《かも、しれないわね》


さやか「どしたの、まどか?」

まどか「あ、えっと……」

まどか「……ちょっと、おトイレ行ってくるね」ヒソヒソ

さやか「おおっと、そーいうことね」

さやか「んじゃ行ってらっしゃーい」

まどか「ごめんね、ちょっと待っててね?」


まどか《声がしたのは改装中の区画の方だね!》

まどか《行くよ、エイミー!》

エイミー《分かったわ。すぐに合流する》

エイミー《それと、念のため言っておくけれど……》

まどか《?》

エイミー《油断はしてはダメよ。相手が何者なのかまだ分からないのだから》

まどか《う、うん》


~改装中区画~

《助けて……助けて……》

まどか「こっちだよ、エイミー!」

エイミー「近いわね……それに、この気配」

まどか「……私も感じるよ、嫌な感じ」

エイミー「心の準備は出来てるかしら?」

まどか「うん……!」

まどか「……あ、あれ! あそこに居るのって!」

QB「うう……」

エイミー「…………」


まどか「ひ、酷い怪我! ねえ、大丈夫!?」

QB「助、けて……」

エイミー「この傷……どうやらハサミか何かで切り付けられたみたいね」

まどか「ど、どうしよう! このままじゃこの子が」

エイミー「大丈夫よ、落ち着きなさい。見た目は酷いけれど命に関わるような怪我ではないわ」

エイミー「それよりも……来るわよ!」

まどか「!」


使い魔『……おや、悪い花が咲いているよ』

使い魔『ちょん切ってしまわないと』

使い魔『女王様に怒られる!』

ジャキン! ジャキン!

まどか「使い魔……!」

エイミー「囲まれたわね……」

まどか「エイミー! お願い!」

エイミー「ええ、行――――」


ダァンッ! ダァンッ!!

エイミー「!?」

使い魔『ぎゃっ』

使い魔『ひぎっ』

まどか「きゃ! 銃声……!?」



マミ「――――危ないところだったわね?」



まどか「え、あ、貴女は……?」

マミ「大丈夫? 怪我はないかしら?」

まどか「は、はい。私は大丈夫です」

マミ「そう、良かった」ニコッ


マミ「……あら? 貴女がその子を助けてくれたのね」

まどか「えっ、あ、はい。助けて、って声が聴こえて」

QB「うぅ……」

マミ「ありがとう、その子は私の大切なお友達なの」

マミ「自己紹介、といきたいところなんだけれど……」

使い魔『魔法少女?』

使い魔『魔法少女だ!』

マミ「その前に、一仕事片付けちゃうわね!」


マミ「魔弾の舞踏――――その目に焼き付けなさい!」

ヴン...

まどか(わっ、て、鉄砲がたくさん出てきた!)

マミ「いくわよ!」

ダンッ! ダンッダンッ!!

使い魔『ひぎぃ!』

使い魔『ぎゃふ!』

マミ「さあ次! 来なさい!」


まどか《す、すごい……! どんどんやっつけちゃってる!》

エイミー《……私達の出る幕はなさそうね》

まどか《でも見てるだけなんて……あっ!?》

ズズズ...

魔女『…………』

エイミー《いよいよお出ましってわけね》

まどか《エイミー! やっぱり私達も!》

エイミー《そうね、加勢しましょう》


魔女『…………』

マミ「魔女……!」

マミ「……マズイわね……使い魔に囲まれて、しかも女の子を庇いながらとなると……」

マミ「ここは一旦退くしか……」

まどか「あ、あの! 私達も手伝います!」

マミ「っ!? だ、ダメよ動かないで!! 危険だわ!」

まどか「大丈夫です! 私も……私達も戦えますから!」

まどか「エイミー! お願い!」

エイミー「ええ、始めましょうか」



まどか・エイミー「――――『ハイパー☆ネコミミまどかモード』っ!」



マミ「!?」


――――説明しよう!

『ハイパー☆ネコミミまどかモード』とは、

まどかとエイミーが不思議な力により合体した状態のことである!

具体的には、魔法のドレスに変身したエイミーをまどかが身に纏って戦うのだ!

ついでにネコミミが生えるが、外見だけでなく身体能力も猫のように俊敏になるぞ!



まどか《……なるぞ!》

エイミー《……まどか、やっぱり変身する度に脳内で解説するのは止めたほうがいいと思うわ》

まどか《えへっ》


キラキラキラ...

マミ(な、何? 黒猫と女の子が、光に包まれて……)

まどか「んぁっ……ふ、ふにゃあ……!」

エイミー「あ、んっ……!」

エイミー「いくわよ……まどか……!」

まどか「きて、エイミー……!」

ピカッ!


マミ(眩しっ……! い、いったいどうなってるの!?)

まどか「…………っ!」

マミ「あ……」

マミ(あの子の服が変わった! 黒いドレス……に、ネコミミ?)

マミ「貴女、まさか魔法しょ」

まどか「――――悪い魔女にはねこパンチっ!」

マミ「!?」

まどか「魔法少女まどか、参上だよっ♪」キュピーン☆

マミ「……え、えーと」


まどか「お待たせしました! 一緒に魔女をやっつけましょう!」

マミ「ちょ、ちょっと待って! 貴女って何!? 魔法少女なの!?」

マミ「それに、さっきまで居た猫はいったいどこに……!?」

まどか「えっと、それは」

エイミー《落ち着きなさい、説明なら後でするわ》

マミ「え……?」

マミ(べ、別の女の子の声が……テレパシー?)

エイミー《今は魔女を倒すことが先決。そうでしょう?》

マミ「!!……そうね、聞きたいことは色々あるけれど」

マミ「まずはあいつを片付けてしまいましょうか!」

まどか「はい!」

次回へ続きます。

ふたりはまどキュア!
このあとすぐ!


マミ「じゃあ早速、貴女の実力を見せて貰おうかしらっ……《レガーレ》!」

シュルルッ!

魔女『……!』

まどか「わっ……!」

マミ「魔女は私のリボンで拘束したわ! 決めちゃって!」

まどか「わ、わかりました! いきますっ」

まどか「エイミー、武器をお願い!」

エイミー《了解よ。このくらいの敵なら……弓一つで充分ね》

キランッ

マミ(あ、武器は弓なんだ。……猫パンチじゃあないのね)


まどか「えいやっ!」

バシュンッ!

魔女『……ギッ!?』

まどか「まだまだいくよっ!」

バシュッ! バシュンッ!!

魔女『ギャッ...アアッ!!』

マミ(……中々の威力、ね。それに魔法を使い慣れている感じだわ)

マミ(こんなコがこの街にいたなんて……)


魔女『オ、お、ぉ……』

まどか「よーしっ、これでトドメっ!」

まどか「――――ハイパー☆まどかビームっ!」キュピーン

魔女『……!』

まどか「そいやっ」

ちゅどーん☆

マミ「きゃっ……!」

魔女『アアアア……!!』

マミ「す、すごい破壊力ね……」


パアアア...

まどか「魔女の結界が消えてく……ってことは」

まどか「……やったあ! 今日は上手にやっつけられたよ、エイミー!」

エイミー《そうね、良い一撃だったわ》

まどか「……あ、いけないっ!」

エイミー《?》

まどか「――――バイバイ魔女さんオヤスミ猫ちゃん♪」バキューン☆

マミ(……決め台詞?)

エイミー《でも、上手く勝てたのもあの人が手伝ってくれたおかげよ、感謝しないとね》

まどか「うん!」


まどか「あの、ありがとうございました! 助けてもらっちゃって!」

マミ「いえ……そんな大したことはしてないわ」

マミ「むしろ私がいなくても充分だったんじゃないかしら?」

まどか「そ、そんなことないですっ」

エイミー《ええ、すごく助かったわ》


エイミー《この子、力の加減が下手だから……すぐバテちゃうのよ》

エイミー《貴女の援護があったから今日は上手く倒せたけれど》

エイミー《普段はもっと格好悪く……》

まどか「も、もぉ! 余計なことまで話さないでよエイミー!」

マミ「……くすっ、変わった魔法少女ね、貴女って」


マミ「改めて、自己紹介させて貰うわね」

マミ「私は巴マミ。貴女と同じ見滝原中学の三年生で……」

マミ「貴女と同じ、魔法少女よ」

まどか「わ、私は鹿目まどかです!」

まどか「見滝原中の二年です、よろしくお願いしますっ」

マミ「ええ、よろしくね」ニコッ

マミ「……さっき一緒にいた猫ちゃんにも御挨拶したいのだけれど?」

まどか「あ、はい! 今変身を解きますね」


ピカピカリーン

まどか「……ふうっ」

エイミー「お疲れ様、まどか」

まどか「エイミーも、ありがとうね」

マミ「成る程……貴女とその猫ちゃんは一体となって戦っていたのね」

エイミー「……ええ、そうよ」

エイミー「私はエイミー。まどかのパートナーよ」

エイミー「まどかを守る鎧であり、まどかを守る武器でもあるの」

まどか「そして、大事なお友達なんです!」


マミ「ふうん……かなり独特なスタイルの魔法少女なのね、貴女たちって」

まどか「えっ? わ、私達って独特なの?」

マミ「少なくとも私は見たことがなかったわね、猫と合体して戦う子なんて」

まどか「そーだったんですか……てっきり皆そうなのかと思ってました」

まどか「私、エイミーと契約してから、他の魔法少女に会ったことがなかったので……」

マミ「え? 貴女……この猫ちゃんと契約をしたの? キュゥべえとじゃなくて?」

まどか「キュゥべえ?」

マミ「……あ! そういえばあの子ケガしてたじゃない」

マミ「ごめんなさい、ちょっとだけ待っててくれる?」

まどか「あ、はい」


QB「うう、誰か助けて……」

マミ「ごめんなさいキュゥべえ、待たせちゃって」

マミ「今治してあげるからね?」

パアアア...

QB「う……」

マミ「傷は塞がったわ、動ける?」

QB「……うん、もう大丈夫。助かったよマミ」

マミ「ふう、よかったあ……」


まどか「その子、元気になったんですね!」

マミ「ええ、無事に治療が終わったわ」

マミ「これも貴女達が守ってくれたおかげね、ありがとう」

QB「ありがとう鹿目まどか。君は僕の命の恩人だよ」

まどか「えへへ……」

まどか「ってアレ? どうして私の名前を?」

QB「うん、実はね、お願いがあって君のことを探していたんだ」

QB「ねえまどか、僕と契約して魔法少女になってよ!」

まどか「え? 私、もう魔法少女なんだけど……」

QB「えっ」


エイミー「生憎だけど、魔法少女の契約なら私と結んでいるの」

エイミー「他を当たってくれるかしら」

QB「君は……?」

まどか「この子はエイミー、私のパートナーだよ」

マミ「鹿目さんは、この猫ちゃんと契約を結んで魔法少女になったそうなの」

マミ「詳しくはまだ私も聞いてないんだけれど」


QB「まさか。そんなことありえないよ」

QB「僕以外で魔法少女の契約を交わせる存在なんていないはずだ」

エイミー「あら、どうして断言出来るのかしら?」

エイミー「『宇宙』は貴方達が把握している以上に広い、ただそれだけのことでしょう?」

まどか「宇宙?」

マミ「ふふっ、宇宙だなんてスケールの大きな例えね」

QB「……君は、もしや」


マミ「ねえ、こんなところで長話をするのもなんだし、場所を移さない?」

まどか「はい、そうですね」

まどか「それに……ここ立入禁止でしたし……」

エイミー「早く出ないと怒られちゃうかもしれないわね」

マミ「くすっ……それは困るわね、じゃあ行きましょう?」


まどか《……ね、エイミー? 私達って、もしかして変わってる魔法少女なの?》

まどか《なんだか話が噛み合ってない感じがするっていうか》

エイミー《そうね。私達はどうやら彼女とは違う系統の魔法少女みたい》

まどか《違う系統?》

エイミー《ええ。詳しく話を聞く必要がありそうだわ》

エイミー《……出来れば協力関係になれるといいのだけれど……》

まどか《うん。魔法少女の知り合いっていなかったし》

まどか《お友達になれるといいなあ……えへへ♪》


エイミー(………………)

エイミー(……問題はこれからね)

エイミー(ここまでは上手くいっているけれど……)

カツンッ

エイミー(あら? これは……)

エイミー(……血まみれの、ハサミ……)

『1人だけ』日曜朝8:30のノリ、という表現がピッタリだと思ったので投下時刻も日朝にしてみました。
と、いうところで次回へ続きます。


~CDショップ~

さやか「ええ~、なにそれ~?」

電話『ゴメンねさやかちゃん! ほんっとにゴメン!』

電話『どうしても外せない用事なの、だから……』

さやか「うーん、まあ分かったよ。その代わりに、埋め合わせはちゃんとしてよね?」

電話『うんっ、なんでもするよ!』

さやか「約束だぞっ? ……んじゃ、また明日ね」

電話『ごめんね……また明日ね、さやかちゃん!』


さやか「はぁ……フラれちまったい」

さやか(まどかが帰っちゃうなんて予定外だったなあ)

さやか(この後どーしよ? まだわりと時間あるし……)

さやか(そーだ、恭介のトコにでも行こっかな)

さやか「……ん?」

女の子「うう……ココどこなのぉ……?」キョロキョロ

さやか(なんだありゃ?)


さやか(三編みおさげの女の子が半ベソかいてウロウロしてる……)

さやか(しかもパジャマにカーディガン羽織っただけの格好で)

さやか(どーかしたのかな、迷子? それにしちゃあ服装がヘンだけど)

さやか(うーん……)

さやか(……どうせ暇になったコトだし、人助けでもしますかね)


さやか「ね、あんた。どーしたの?」

女の子「きゃっ……!」

さやか「あはは、そんなに驚かないでよ。食べたりなんかしないからさ」

女の子「あ、貴女は……?」

さやか「ただの通りすがり。何か困ってるぽかったから声をかけたんだけど」

さやか「迷子か何かなの、あんた?」

女の子「い、いえ、その、あの……ご、ごめんなさい!」ダッ!

さやか(あ、逃げた)

女の子「きゃあっ!?」ドサッ

さやか(あ、コケた)


女の子「うう……」

さやか「大丈夫? 立てる?」

女の子「は、はい……」

さやか「良く見たら……あんたスリッパじゃん。しかも片方無いし」

さやか「いきなり走ったらそりゃコケるよ」

女の子「ごめんなさい……」

さやか「やだな、責めてるわけじゃないって。謝んないでよ」


さやか「……ん? そのスリッパ、見滝原中央病院のだね」

女の子「ご、ご存知なんですか?」

さやか「知ってる知ってる。……幼なじみが入院してるからね」

さやか「でも……つまりあんた、あの病院から歩いて来たわけ? その格好で?」

女の子「は、はい……たぶん」

さやか「たぶん?」

女の子「え、えと……その」

女の子「私……気が付いたらココに居たんです……」

さやか「……うん?」


女の子「病室にいたはずなのに、どうしてこんな場所にいるのか覚えがなくて……」

女の子「こんなカッコで……恥ずかしいし、わけ分かんないし……ぐすっ」

さやか「ああほら、泣かないでよ」

さやか「大丈夫、大丈夫だから。ね?」

女の子「ぐすっ……はい……」

さやか(……この子、夢遊病ってヤツなのかな? それともちょっとオカしい子なの……?)

さやか(いやいや、あんま失礼な想像しちゃダメだよね)


さやか「ま、とにかくあんたは迷子って訳よね? 病院に帰りたいの?」

女の子「うう……はい、そうです……」

さやか「んじゃ、このあたしが病院まで送って行ってあげよう!」

女の子「えっ……?」

さやか「実はあたしも用事があったんだよね、病院」

さやか「タクシーでも拾ってさ、ちゃちゃっと移動しちゃお」

女の子「で、でも、私お金持ってなくて」

さやか「うん、まあそのカッコ見たらわかるわ」


さやか「タクシー代くらいあたしが払うって。気にしなくていいよ」

女の子「そんなっ、そんなの悪いです!」

さやか「裸足の迷子ちゃんを放っておくほうがよっぽど悪いじゃん?」

女の子「でも……」

さやか「いいからいいから! ほら行こう!」

女の子「は、はい」

さやか「通りまで歩ける? おんぶした方がいい?」

女の子「お、おんぶは恥ずかしいです……」

さやか「あはは、そっか。じゃあタクシー拾えるトコまで、少しだけ頑張って歩こ」


さやか「っとその前に……自己紹介がまだだったね」

女の子「あ……そ、そうですね」

さやか「あたしはさやか、美樹さやか」

さやか「遠慮せずさやかちゃんと呼んでくれたまえー」

女の子「へ……? さ、さやかちゃん、ですか……」

女の子「そんな、会ったばかりなのに馴れ馴れしく『ちゃん』付けで呼ぶなんて私……」

さやか「……ノリで言っただけだから、あんま真剣に考えないでほしーんだけど」

さやか「ま、いいや。そんで、あんたのお名前なんてーの?」

女の子「は、はい……わ、私は」





ほむら「暁美、ほむらです」

メガほむキターーー!!

あとこんなを見つけたよ。あんまり関係ないけど
ttp://livedoor.3.blogimg.jp/otaku_blog/imgs/c/7/c7855edd.jpg


~病院前~

さやか「ほい、無事とーちゃくっと!」

ほむら「あ、ありがとうございました、私なんかに付き合ってもらっちゃって」

ほむら「……その、何て御礼を言ったらいいか……こ、この御恩は必ずお返しして」

さやか「はは……やめてよもー、大袈裟だなあ」

ほむら「何か差し上げられるものがあればいいんですけど、この格好だから何も……」

ほむら「そうだ、後で私の部屋に来てもらっても」

看護婦A「あ! 居たわ、暁美さん!」

看護婦B「暁美さん!? こんなところにいたのね!?」

ほむら「あ……」

さやか「おっと、お迎えかな?」


ほむら「あ、あの、ごめんなさい、私、その」

看護婦A「みんな心配していたのよ、さあ早く病室に戻りましょう!」

ほむら「は、はい……分かりました」

ほむら「み、美樹さん、えと」

さやか「んじゃ、またねっ、ほむら!」

ほむら「あ……はい! また、お会いできると嬉しいです」

看護婦A「暁美さんほら、早く! 貴女は安静にしてないといけないんだから!」

グイグイ

ほむら「わ、わわ……」


さやか(連行されるみたいに連れてかれちゃった……)

さやか(そんなに身体が悪かったのかな、あの子)

看護婦B「あなたが暁美さんを連れてきてくれたのね?」

さやか「あ、はい」

看護婦B「ありがとう、助かったわ。でも大丈夫だった?」

さやか「ええ、別に具合悪そうな感じはなかったですよ」

看護婦B「いえ、そうじゃなくて……」

看護婦B「――――あの子に、何かされなかった?」

さやか「え……?」


さやか「それって、どういう」

看護婦B「……何もなかったならそれでいいわ」

看護婦B「それじゃあね」

スタスタ...

さやか「あ……」

さやか「何か、されなかった? って……」

さやか(うーん……?)

さやか(……ま、いっか。あまり詮索するのも良くないよね)

さやか(それより恭介に会いにいこっと)

ふたりはまどキュアはおやすみだったよ

>>83
シャイニングブレイドですね
http://shining-world.jp/blade/chara/rinrin.shtml

ふたりはまどキュア!
このあとすぐ!


~朝・通学路~

まどか「あう~っ、完全に遅刻だよぉ~!」タッタッタ...

まどか(私、鹿目まどか!)

まどか(身滝原中学に通う中学2年生!)

まどか(自分で言うのも難だけど、勉強も運動も平凡な、ごく普通の女の子です!)

まどか(でも人よりちょっとだけお寝坊さんなのが特徴かな……えへっ)

まどか(今日も起きられなくて遅刻しちゃって……)

まどか(あーあ……もしも魔法が使えたら、ひとっ飛びで学校まで行けるのになあ)


まどか「はあはあ……」タッタッタ...

まどか(……って、あれ? この道ってこんな景色だったっけ?)

まどか(おかしいなあ、道まちがえたかな)

グニャリ...

まどか「えっ……」

まどか(景色が、歪んで)


~魔女の結界~

まどか「きゃっ!? こ、ここドコ!?」

まどか(一瞬で周りの景色が変わった……?)

まどか(カラフルで、まるでおもちゃ箱の中みたいな)

使い魔『ブゥーン!』

まどか「ひゃっ!? こ、今度は何?!」

使い魔『ブゥンブゥン』」

まどか(ら、ラクガキが飛び回ってる!?)


使い魔『ブゥン?』

まどか「あ……」

使い魔『ブンシャカ?』

まどか「こ、こんにちわ」

使い魔『ピガッピガッ!!』

まどか「きゃああ! な、何で怒ってるのぉ!?」


使い魔『ブブブーン!』

まどか「いやっ! こ、来ないでよぉ!」

まどか「誰か……誰か助けてー!」



黒猫「ウニャァッ!!」



まどか「えっ……!? 猫ちゃん!?」

ガブッ!!

使い魔『ギャア!?』

まどか(ね、猫ちゃんがラクガキに噛み付いた……!!)


使い魔『ブゥンッ!』

黒猫「くっ……!」

黒猫《っ……そこの貴女、早く逃げなさい!》

まどか「えっ!?」

まどか(頭の中に声が! もしかしてコレ、猫ちゃんの声……!?)

黒猫《そうよ、私がテレパシーで話し掛けているの!》

黒猫《早くここから離れて! 危険よ!》

まどか「で、でも猫ちゃん、貴女はどうするのっ?」

黒猫《私のことはいいから……!》

使い魔『ブンブンッ!』ガスッ!!

黒猫「きゃあっ!」


まどか「猫ちゃん!」

黒猫「く、うう……わ、私に構わないで! 貴女は逃げなさい!」

まどか「そ、そんな……」

使い魔『ブゥーン!!』

黒猫「あいつが私を狙っているうちに、早く!」

まどか「そんなこと……出来るわけないよ!」

ヒョイッ

まどか「私が抱っこしてあげるから、一緒に逃げよう!」

黒猫「なっ……!?」

まどか「いくよっ、ちゃんと掴まっててね!」


タッタッタ...

まどか「はあっ、はあっ……!」

使い魔『ブブーン!!』

まどか「や、やっぱり着いて来てる……もおっ、来ないでよぉ!」

黒猫「私を下ろしなさい! 私が囮になれば貴女だけでも逃げられるわ!」

まどか「ぜったいヤダ!」

黒猫「なっ……」

まどか「私、良く分かってないけど……あのラクガキは悪いコで」

まどか「貴女は私を守ってくれたんだよね?」

まどか「だったら、貴女を見捨てて逃げるなんて、出来ない!」

黒猫「……貴女は……優し過ぎるわ……」


使い魔『ブーン!』

使い魔2『プップー!』

使い魔3『ポッポー!』

まどか「きゃっ……!? か、囲まれた!!」

黒猫「くっ……!」

黒猫「貴女の気持ちは嬉しいわ、でもこのままじゃ二人とも助からないの」

黒猫「せめて貴女だけでも逃げて……!」

まどか「わ、私は諦めないもんっ! 私は……私は……!」

ピカァァ...

黒猫「!?」

まどか「きゃっ……な、何?」

まどか「猫ちゃんの身体が光り輝いて……あったかい……」

黒猫「私達の魂が共鳴している……?」

黒猫「魔力の流れが交わるのを感じるわ、これなら、もしかしたら……!」


黒猫「まどか! 貴女の願いを教えて!」

まどか「えっ?」

黒猫「貴女の強い想いが、願いがあれば、私はこの窮地を脱する力を貴女にあげられるの!」

まどか「ち、力を……!?」

黒猫「だからお願い、貴女の願いを言葉にして、強く祈って!」

まどか「そ、それならっ、私はっ!!」





まどか「私は、貴女を守りたい! 貴女を守れる私になりたい!」


キラキラキラ...

黒猫「く……ううっ!?」

まどか「んっ、ひあっ……!?」

まどか(何? あ、熱いのが、私の中に入ってくるよぉ……!)

黒猫《拒まないで、受け入れて!》

まどか《っ! 入って来てるのは、貴女なの?》

黒猫《ええそうよ……一緒に、戦いましょう!》

まどか《う、うんっ!》

ピカァァァッ!


まどか「っ……!! な、なにこれ、服が変わった!」

黒猫《上手くいったみたいね……》

黒猫《契約は成立したわ、これで貴女は今から――――》

黒猫《魔法少女、鹿目まどかよ!》

まどか「魔法、少女……!」

使い魔『ぶ、ブーン?』


黒猫《戦い方は私が教えるわ、さあアイツらを片付けましょう!》

まどか「う、うん! わかった!」

まどか「よーし! それじゃあまずは!」

まどか「――――ねこねこ☆マジカル☆ネコまっしぐら!」

エイミー《!?》

まどか「魔法少女まどか、いっきまーす♪」ニャニャーン

エイミー《……ええと》








~マミの家~

まどか「……それで、私は魔法少女になったんです」

マミ「そうだったの……使い魔に襲われて……」

マミ(私と同じで……願いを選んでいる余地なんてなかった、って感じね)

エイミー「魔法少女に変身したまどかの一撃は本当に凄かったわ」

エイミー「使い魔を蹴散らしただけでなく、魔女もビックリして逃げ出してしまうほどだったのよ」

マミ「それは……凄いわね」

まどか「え、えへへ」


エイミー「……まあその結果、魔力の使いすぎで倒れちゃったんだけれどね」

マミ「ああ、『すぐバテちゃう』とか言っていたものね」

まどか「はい……でも最近はエイミーが指導してくれたおかげで、魔力の使い方にも慣れて」

まどか「倒れることも少なくなったんですよ!」

マミ「ふうん……成る程ね。結構戦い慣れているように見えたけれど……」

マミ「全部猫ちゃんの指導の賜物だったわけね」

エイミー「もちろんまどかの努力があったからこそ、だけれどね」


QB「……だいたいの事情は理解出来たよ」

QB「でもやっぱり、君達は僕の知る魔法少女とは違うね」

まどか「え……?」

マミ「ちょっとキュゥべえ、何を言ってるの?」

QB「否定的な意味で言っているわけじゃあないよ」

QB「ただ、もっと詳しく君達のことを知りたいと思ってね」

QB「ねぇまどか、君の身体を調べさせてもらってもいいかな」

まどか「か、身体を? それはちょっと……」


QB「うん? どうしてだい?」

まどか「だって、恥ずかしいし」

QB「大丈夫、少し調べるだけだよ。ほら見せてごらん」

まどか「や、やだっ、止めて!」

マミ「ちょ、こらキュゥべえ! 女の子に無理矢理迫るなんてダメよ!」

エイミー「…………えっち」

QB「……わけが分からないよ」


QB「じゃあエイミー、君で良いや。君の身体を見せて」

まどか「だ、ダメぇ!! エイミーに変なコトしないで!」

QB「変なコトなんてしないよ、ちょっと触るけれど」

まどか「触っ……!? エイミー離れて! 近づかないで!」

マミ「キュゥべえ……貴方って子は……!」

エイミー「…………最低」

QB「……わけが分からないよ」


QB「僕は別にやましい感情なんて抱いてないよ、ただちょっと先っぽで……」

マミ「もうっ、貴方はちょっと黙ってて!」

QB「むぎゅっ」

マミ「ごめんなさいね、鹿目さん。この子には厳しく言い聞かせておくから」

まどか「は、はい。お願いします……」

QB「もごもご」


マミ「ええと、キュゥべえのせいで話が逸れちゃったけど」

マミ「次は私が話す番ね」

エイミー「ええ、お願いするわ」

マミ「そもそも、私達は魔法少女に対する認識が異なっているみたいだし」

マミ「キュゥべえと契約を結んだ魔法少女がどんな存在なのか、まずは説明させてもらうわね」

まどか「はい、ぜひ聞かせてください!」

マミ「最初に……この宝石、ソウルジェムのことなんだけれど……」





QB(……よし、マミが話に気を取られているウチに……)

エイミー《…………噛み殺すわよ》

QB《…………》

実は日朝の女児向けアニメっておとぎ銃士赤ずきんくらいしか見たことないんです、
といったところで今回はここまで。


~深夜・マミの家~

マミ「……ふぅっ」

マミ(久しぶりに沢山お話ししたから疲れちゃった)

マミ(鹿目さん……それに、エイミー)

マミ(ちょっと変わった魔法少女みたいだけど、凄く良い子達だったわね)

マミ(本当に良かったわ……)

マミ(あの子達とお友達になれて)








~数時間前~

マミ「……と、まあ魔法少女に関しての説明はこんな所ね」

マミ「何か質問はある?」

まどか「んーと……いえ、大丈夫です!」

エイミー「ありがとう、良く分かったわ」

エイミー「……思っていたよりは、魔法少女のシステムに差異はないみたいね」

まどか「うん、そうだね」


まどか「……ねえエイミー、私考えたんだけど……」

エイミー「私も同意見よ、まどか。貴女の好きなようにしなさい」

まどか「えへへ、ありがとっ」

マミ「……何の話?」

まどか「あ、えっと……その、マミさんが良ければ……」

まどか「私達と、一緒に戦いませんかっ?」

マミ「え……」


まどか「魔法少女の仕組みはちょっと違うみたいですけど、魔女を倒すっていう使命は同じですし」

まどか「私達でチームを組んで、一緒にこの街の平和を守りましょうよっ?」

マミ「それは……その」

まどか「……ダメ、ですか?」

マミ「いえっ、そんなことはないわ」

マミ「その……私からも同じことを提案しようと思っていたところだったから、ちょっとビックリしちゃっただけ」

まどか「じゃあ……!」

マミ「ええ、これからは……一緒に戦いましょう、鹿目さん?」

まどか「はいっ!」


まどか「えへへ……魔法少女コンビ、結成ですね!」

マミ「ふふっ、よろしくね」

エイミー「酷いわまどか、『コンビ』だなんて……私を仲間外れにする気?」

まどか「あっ! ち、違うよエイミー、そんなつもりじゃ!」

エイミー「…………」プイッ

マミ「あらあら、拗ねちゃったみたいよ?」

まどか「う、うわ~ん! ごめんねエイミ~!」

マミ「うふふっ……」

エイミー「……くすっ」








マミ(私と一緒に戦える、ってだけであんなにはしゃいじゃって……)

マミ(とっても純粋なのね、鹿目さんは)

マミ(…………)

マミ(……大丈夫……大丈夫よね)

マミ(またあの時みたいになったりしないわよね)

マミ(……佐倉さん……)


~翌朝・通学路~

さやか「あたし凄く傷付いたよ! もう絶対許さないよ!」

まどか「ご、ごめんなさいっ、駅前のクレープ奢るから許してください!」

さやか「よし許す!」

エイミー「…………」

仁美「ふふ、何なんですの、今のは?」

まどか「えっと昨日ね、私に急な用事が入っちゃって」

さやか「まどかがいなくなって、あたしは一人さみしい想いをさせられたんだよー」

仁美「それで今のやり取りだったわけですか」


テクテク...

さやか「まあでも、昨日はそのおかげで貴重な体験が出来たんだけどね」

まどか「貴重な体験?」

さやか「うん、言うなれば……運命の出会いってヤツかな!」

仁美「まあ! う、運命の出会いですの?」

まどか「まさかさやかちゃん、男の人と……!?」

さやか「……ううん違うよ、まどか。あたしが出会ったのは女の子なんだ」

仁美「女の子と運命の出会い……!? い、いけませんわっさやかさん! それは禁断の恋ですわ!」

さやか「嗚呼っ、止めないで仁美! これは私の運命なのっ」


さやか「……という冗談は置いといて」

仁美「はい」

さやか「あたし達と同い年の子でね、なんか迷子になってる子がいたんだよ」

さやか「そんで病院まで連れていってあげたんだ」

まどか「病院?」

さやか「うん、その子……夢遊病か何からしくてさ」

さやか「意識がないまま病院を抜け出しちゃって、道に迷って、帰れなくなってたんだわ」

さやか「だから病院まで連れていってあげたわけ」

仁美「そうだったんですか……」

まどか「……それって、私と別れてすぐ? その子と会ったのはショッピングモールの近く?」

さやか「うん、そーだよ」

まどか(…………)


まどか《もしかして魔女の口づけに操られてたのかな、その子》

エイミー《……どうしてそう思うの?》

まどか《だって意識がなくて結界の近くまで来てたってことは、そういうことなんじゃない?》

エイミー《……偶然でしょう》

まどか《うーん、そうかなあ……ちょっと心配だなあ》


仁美「でも、どうしてそれが『運命の出会い』なんですの?」

さやか「ふふふ、聞いて驚けー、なんとその子が……」

さやか「あたし達のクラスに来る、噂の転校生だったんだよ!」

エイミー「っ!?」

まどか「えー! すごい偶然だね!」

仁美「まあっ、それはまさしく運命の出会いですわね」


さやか「病院まで送ってあげた後、顔見知りの看護婦さんからたまたま聞いたんだ」

さやか「その子……暁美ほむらっていうんだけどね」

さやか「ほむらは本当ならもう退院してて、見滝原中に通い始めてるはずだったんだって」

まどか「へぇ~、びっくりだね」

さやか「うん、マジ驚いたわ。世間って意外と狭いもんだよねぇ」

仁美「転校生との運命的な出会い……まるで恋愛小説の一部みたいですわ」

仁美「……はっ!? まさかここから本当に禁断の恋が芽生えて……!?」

さやか「あはは、そりゃねーわ」


まどか「ね、さやかちゃん! 私その子に会ってみたいな!」

エイミー《なっ……まどか!?》

まどか《?》

さやか「うーん、そいつはムツカシイかもよ?」

まどか「えっ、何で?」

さやか「絶対安静とか言われてたし、面会も出来なさそうな感じだったんよ」

まどか「そうなの……」

仁美「私もお見舞いに伺おうかと思ったのですが……それでは無理のようですね」

さやか「まあ元気になったら学校で会えるでしょ」

さやか「そん時は温かく迎えてあげよーじゃん!」

仁美「ええ、そうですわね」


まどか《絶対安静……ますます心配だね》

まどか《やっぱり魔女に何かされたのかも、様子を見に行ってあげないと!》

エイミー《……私は反対よ》

まどか《え……? どうして?》

まどか《正義の魔法少女として、困ってる人は助けてあげるのは当然でしょ?》

エイミー《魔女が原因と決まったわけじゃないわ》

エイミー《単に病気なだけかもしれないし、あまりプライベートなことに首を突っ込むのは……》

まどか《でもエイミー、昨日は転校生のこと気にしてたじゃない》

まどか《あ! そういえばその理由を聞かせて貰ってなかったよ!》

まどか《後で教える、って言ってたのに!》

エイミー《それは……仕方がないじゃない。昨日は巴さんと会って忙しかったんだから》


まどか《……ね、エイミー。ちゃんと教えてほしいな、転校生のこと》

まどか《何か知ってるんでしょ?》

エイミー《…………》

まどか《……エイミー?》

エイミー《…………はあ》

エイミー《分かったわ、今度こそキチンと話す》

エイミー《私が彼女を気にかける理由と、会いに行くのを反対する理由》

エイミー《全部、ね》

まどか《うんっ、ありがとう》


エイミー《じゃあ昼休みに時間をもらえるかしら。場所は……そうね、校舎裏で》

まどか《分かったよ。昼休みだね》

エイミー《あと、巴さんも呼んでおいて貰えるかしら》

まどか《マミさんも?》

エイミー《この話は魔法少女に関することだから……彼女にも聞いておいてほしいの》

まどか《そーなんだ……うん、任せて。声をかけておくよ》

エイミー《お願いね》








~校舎裏~

マミ「ごめんなさい、待たせちゃったかしら」

まどか「いえ、私達も今来たところですから大丈夫ですよ」

エイミー「私のほうこそごめんなさい。いきなり呼び付けたりなんかして」

マミ「いいのよ、大事な話があるんでしょう?」

マミ「大体のことは鹿目さんから聞いたわ。転校生のことで話があるとか……」

エイミー「……ええ」


マミ「その子、魔女に何かされた可能性があるのよね?」

マミ「だったら様子を見に行ってあげた方が良いと思うんだけど」

まどか「やっぱりマミさんもそう思いますよね?」

エイミー「……でも、そんな単純な話ではないのよ」

エイミー「私は可能な限り、彼女を刺激したくないの」

エイミー「特に……私やまどか、巴さんは彼女に会うべきではないわ」

まどか「会うべきじゃない……?」

マミ「それって、どういう意味なの?」

エイミー「……まどかのクラスに転校してくるはずだった女の子、暁美ほむら」

エイミー「彼女は――――」





エイミー「元、魔法少女なのよ」

次回へ続きます。

エイミー「実はあの暁美ほむらって人は私のお母さんなの」

まどか「えっ」

エイミー「お母さんは色々あって猫と結婚して私を産んだのよ」

マミ「なにそれ怖い」





     *      *
  *     +  うそです
     n ∧_∧ n
 + (ヨ(* ´∀`)E)
      Y     Y    *

ふたりはまどキュアマックスハート!
このあとすぐ!


マミ「元……魔法少女……?」

エイミー「ええ、そう……暁美ほむらはかつて、魔法少女だったの」

エイミー「でも魔女との戦いで酷い怪我を負ってしまって……」

まどか「……それで魔法少女を辞めちゃったの?」

エイミー「いいえ、少し違うわ。怪我自体は魔法で何とか完治したの」

エイミー「ただ……心は治らなかった」

エイミー「精神を病んでしまって、戦えなくなってしまったのよ」

まどか「そんな……」


エイミー「そして彼女は魔法少女としての力を失い……」

エイミー「同時にその記憶も失ってしまった」

まどか「記憶も?」

エイミー「契約のこと、魔女のこと……魔法少女に関する全てのことを忘れてしまったの」

まどか「……そっか、ヒトは辛い記憶を封じ込めて自分の心を守る、っていうもんね……」

エイミー「今の彼女に残っているのは……元々病弱だった身体と」

エイミー「『魔法』へのトラウマだけ」

エイミー「だから……」

マミ「……成る程ね。彼女のトラウマを刺激したくないから、私達は会うべきではないと」

エイミー「そういうことよ」


マミ「事情は分かったわ」

マミ「でも、どうして貴女はそんなことを知っているの?」

エイミー「……それは……」

マミ「疑うわけじゃないけれど……赤の他人の話にしては詳しく知りすぎでしょう」

マミ「貴女と転校生はどんな関係なの?」

エイミー「…………」

まどか「たしかに……私もそこは気になるな」

まどか「教えて、エイミー?」

エイミー「……彼女は」

エイミー「彼女は……私が以前に契約した魔法少女なの」


まどか「エイミーと契約してたの? 私よりも前に?」

エイミー「ええ、そうよ」

まどか「わあっ、てことは……私の先輩なんだねそのコ!」

エイミー「先輩、と言うほどのものではないと思うけれど……間違ってはいないわね」

エイミー「私はかつてあの子と一緒に戦っていた。今のまどかと同じようにね」

エイミー「まあとにかく、そういう事情から彼女のことは良く知っているの」

エイミー「分かって貰えたかしら?」

マミ「…………」

まどか「……マミさん?」


マミ(……何だろう)

マミ(嘘はない、と信じたいけれど……)

マミ(何か、引っ掛かるような気がする……)

マミ(……そもそも、『元』魔法少女って言っていたけれど)

マミ(魔法少女ってそんなに簡単に辞められるものなの?)

マミ(そんな話、聞いたことない)

マミ(エイミーとの契約だから? キュゥべえの契約とは別物だから?)

マミ(……そうだとしたら……)

マミ(いつか、鹿目さんも……?)


まどか「あの、マミさん?」

マミ「えっ、ああ、ごめんなさい。ちょっと考え込んじゃって」

エイミー「まだ何か疑問がある?」

マミ「……ううん、分かったわ。ありがとう」

マミ「そういうことなら、その子に接触するのは止めておきましょう」

マミ「下手に関わると傷付けてしまう恐れがあるわけだから」

まどか「で、でも、魔女に何かされたかもしれないんですよ?」

まどか「私、やっぱり気になります!」

マミ「そうね……その点は不安が残るわよね」


エイミー「それならこうしましょう」

エイミー「今夜、私が病院に忍び込んで彼女を見てくるわ」

マミ「ええっ!? し、忍び込むって貴女……」

エイミー「下手に刺激しないようにするためには、寝ているところを狙うしかないでしょう?」

マミ「まあ一利あるけれど……大丈夫なの? もし見つかったりしたら」

まどか「……あ、そっか! エイミーの魔法ならそれくらい簡単に出来るよね」

マミ「えっ?」

エイミー「そういうことよ」


マミ「エイミーの魔法なら簡単に忍び込めるって……どういうこと?」

まどか「えへへっ。エイミーは凄いんですよ、なんと……」

エイミー「まどか。それはまだ内緒よ」

まどか「っと、そうだったねゴメンゴメン」

マミ「……隠されると気になるんだけど」

まどか「ごめんなさい、でもエイミーが……内緒にしておいた方がカッコイイって言うので!」

マミ「そ、そう……じゃあ仕方がないわよね……」


エイミー「じゃあ転校生の件に関しては、私が調査するということで良いかしら?」

まどか「うん、任せるよ」

マミ「とりあえずはそうするしか……なさそうだものね。お願いするわ」

エイミー「ありがとう。任せて頂戴」

エイミー「それじゃあこの話はこれくらいにして、私はそろそろ……」

まどか「あ、待って。せっかく三人で集まったんだし、放課後の打ち合わせもしちゃおうよ!」

まどか「ちゃんと打ち合わせしておいて、私たちチームのデビュー戦、バッチリ決めちゃいましょう!」

マミ「それは良い考えね。いざ実戦で上手く動けないんじゃ問題だものね」

まどか「はい!」

まどか「それじゃあまずは――――」


エイミー(……大丈夫、嘘は殆どついていないわ)

エイミー(ただ……聞かれなかったから答えなかっただけ……)

エイミー(…………)

エイミー(聞かれなかったから、か)

エイミー(アイツと変わらないわね、今の私は……)

日朝成分がちっとも足りてない、
というところで次回へ続きます。

お正月はみんなでまどキュアを観よう!ふたりはまどキュア、3レススペシャル!


まどか「どうしよう、このままじゃワルプルギスの夜にかてない!」

ワルプル「えへへ」

おりこ「あきめるのは早いわ、まどキュアちゃん!」

まどか「あ、あなたはおりキュアちゃん! どうしてここに!」

おりこ「だって、あなたとの決着をつけるまえにいなくなるわけにはいきませんから!」

まどか「おりキュアちゃん……!」


かずみ「わたしもいるよ!」

まどか「かずキュアちゃん! 無事だったんだね!」

かずみ「まどキュアちゃんが私のために祈ってくれたからだよ!」

かずみ「だから私はプレイアデス軍団をやっつけることができたんだ!」

まどか「かずキュアちゃん……!」


まどか「これなら負けるきがしないよ!」

おりこ「みんなのソウルジェムの輝きを合わせて!」

かずみ「ワルプルギスの夜を一緒にやっつけちゃおう!」

ワルプル「うふふ」

まどか「よーし、いっくよー!!」





  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           O 。
                 , ─ヽ
________    /,/\ヾ\   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_   __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/'''  )ヽ  \_________
||__|        | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从  | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\  /   ::::::::::::ゝ/||   ふたりはまどキュア、3レススペシャル!
────────(~~ヽ::::::::::::|/           ☆ おしまい ☆

今年も宜しくお願いします。

うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああやっちまったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああかずみマギカあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああオチがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


~放課後・駅前~

まどか「それじゃ、私達のデビュー戦……始めましょう!」

まどか「今日からよろしくお願いしますね、マミさん!」

マミ「……ええ。でもあまりはしゃぎ過ぎないのよ?」

マミ「ちょっとした油断が命の危険に繋がるんだから」

まどか「はい、気を引き締めていきますっ」

エイミー「そうね……油断しないようにしましょう」


マミ「まずは魔女を探すところからだけど……」

まどか「マミさんは『ソウルジェム』っていうのを使って、魔女を見つけるんですよね」

マミ「そうよ、こうやって手の平に乗せて……」

パアア...

マミ「ジェムの輝きを見て、魔女の居場所を察知するのよ」

まどか「わあ……カッコイイですね! いいなあ……」

マミ「そ、そうかしら? 割と地味だと思うんだけど」

まどか「そんなことないですよ、いかにも魔法って感じで素敵です!」


まどか「私が魔女を探す時なんか、エイミーの後ろに着いていくだけですから……」

エイミー「私達のほうがよっぽど地味よね」

マミ「成る程……でも、変に目立つこともないから良いんじゃないかしら」

まどか「はい、それはそうなんですけど、やっぱり憧れちゃうっていうか」

エイミー「……まあ良いじゃないそんなことは」

エイミー「それよりも早く行きましょう? モタモタしていたら日が暮れてしまうわ」

まどか「あ、うん!」

マミ「…………」

マミ(……憧れちゃう、か)

マミ(そんな良いものじゃないのにね、魔法少女なんて……)


~繁華街~

まどか「……うーん、なかなか見つからないね、魔女」

マミ「良いことじゃない、街が平和な証拠だわ」

まどか「でも、それじゃあ……」

マミ「物足りない?」

まどか「えっ?」

マミ「ダメよそんな考えじゃ、不謹慎だわ」

まどか「そんな! 違います、私はただ……」


エイミー「っ!! 二人とも、あれを見て!」

まどか「どしたのエイミー?」

エイミー「あそこにいるOLさんの首筋に……」

マミ「あれって……魔女の口づけ!?」

まどか「いけない、正気を失ってるよ……!」

エイミー「行きましょう!」

まどか「うん!」








~喫茶店~

さやか「はあ……まーたまどかにフラれちゃったなあ」

仁美「先輩と用事があるっておっしゃってましたけれど、何の用件なんでしょうね?」

さやか「さあ? 部活の先輩じゃあないらしいけど」

さやか「まさかオトコか? オトコが出来たのかぁ~!?」

仁美「ふふ、お嫁さんが取られちゃうかもしれませんわね」

さやか「くぅ~、まどかはあたしの嫁なのに~」


さやか「……それにしてもさ、あたしら二人だけっていうのも珍しいよね、意外と」

仁美「そうですね、いつもならまどかさんも一緒ですものね」

さやか「今日は仁美も時間あるんでしょ? この後どーする?」

仁美「うーん、そうですわね……」

仁美「…………」

さやか「仁美?」

仁美「あの……もし良かったら病院に行きませんか?」

さやか「病院? ああ、例の転校生に会いに行ってみたいの?」

仁美「えっ? あ、ええ……そうですわ」

仁美「会えるかどうかは分からないみたいですけれど、一応お見舞いをと思いまして」

さやか「うんオッケー、んじゃ行ってみよっか」


~病院・ほむらの病室~

ほむら(……退屈だなあ)

ほむら(昨日は美樹さんと知り合えて、色々お話しして、楽しかったけど……)

ほむら(今日は全然やることがないや……どうしよう?)

ほむら(あんまり出歩かないように言われてるし、お散歩はダメだよね)

ほむら(勉強は……あんまりやる気になれないし)

ほむら(……美樹さん、会いに来てくれないかな)


ほむら(またお話ししたい。御礼もちゃんとしたい)

ほむら(……でも、来てくれるわけないよね)

ほむら(一度会っただけの、赤の他人だもんね)

ほむら「はあ……」

コンコンッ

ほむら(あ、誰か来た?)

ほむら「はい、どうぞ」

ガラッ

さやか「看護婦さんかと思った? 残念、さやかちゃんでした!」

ほむら「えっ……!?」


さやか「おーっすほむら、元気してた?」

ほむら「み、美樹さん? ホントに会いに来てくれたんですか?!」

さやか「うん、昨日は慌ただしいお別れになっちゃったしね」

さやか「それにあたしの友達があんたに会ってみたい、って言うからさ」

ほむら「友達?」

仁美「初めまして、暁美さん。志筑仁美と申します」

ほむら「え、あっ、は、初めましてっ、暁美ほむらです」


さやか「仁美はあたしと同じクラスなんだよー」

ほむら「そうなんですか……よ、よろしくお願いします」

仁美「はい、よろしくお願いしますね」ニコッ

ほむら「あの、えと……志筑、さんはどうして私に会いに……?」

仁美「ふふ、そんなに固くならないでください」

仁美「私はただ、未来のクラスメイトに御挨拶しようと思っただけですから」

ほむら「未来の……クラスメイト?」


さやか「ああ、そうそう! ほむらってさ、見滝原中に転校する予定なんでしょ?」

ほむら「そうですけど……あれ、私話しましたっけ?」

さやか「たまたま看護婦さんから聞いたんだよ、ほむらのコト」

さやか「そんでさ、あんたが転入するのが、あたし達のクラスになるっぽいんだよね」

ほむら「そ、そうなんですか……!?」

さやか「ホントほんと。いやー、面白い偶然もあるもんだよねー」

ほむら「わあ……! 嬉しいです! 美樹さんと同じクラスになれるなんて」


ほむら「えと、志筑さんも、ありがとうございます。わざわざお見舞いに来てもらっちゃって」

仁美「いえそんな、御礼を言われるようなことではありませんわ」

仁美「むしろ急にお邪魔してしまって……迷惑じゃありませんでしたか?」

ほむら「め、迷惑だなんて思ってませんよ! 本当に嬉しいです」

ほむら「……あっ、そうだ! カステラ食べますか? お見舞いに貰ったんです!」

さやか「いいの? んじゃ喜んで頂こっかな!」

ほむら「お茶もあるので、良かったらゆっくりしていってください」

ほむら「色々、学校のこととか……聞かせて貰えますか?」

仁美「ええ、喜んで」








さやか「でね、センセーったら目玉焼きが原因で別れちゃったのよ!」

さやか「今回は三ヶ月ももったのにねー」

ほむら「ふふっ、HRでそんな話をしちゃうなんて……面白い先生なんですね」

仁美「本人にとっては死活問題なんでしょうけれどね……クスッ」


ほむら「いいなあ……私も早く退院して、美樹さん達と学校に通いたいです」

さやか「退院はいつ頃になる見込みなの?」

ほむら「具体的な日付は、まだ……」

さやか「ふぅん。でも元々はもう退院出来てるハズだったんでしょ?」

さやか「そもそもなんで退院が延びたの?」

ほむら「……それは……」

仁美「あの、さやかさん……あまりそういったことは聞かないほうが……」

さやか「あ、ゴメン……無神経だったね」

ほむら「いえ……美樹さんには昨日のことで殆ど知られちゃってますし」

ほむら「せっかくだから話させてください。私も、誰かに聞いてもらいたい気分ですから……」

さやか「……うん」


ほむら「美樹さんはもう気が付いてるかも知れないですけど……」

ほむら「私は時々、夢遊病みたいな状態になるみたいなんです」

ほむら「無意識のウチに歩き回ったりしちゃうらしくて……」

さやか「だから昨日もCDショップにいたんだね」

ほむら「はい……でも昨日はまだマシなほうで」

ほむら「酷い時は、その、暴れることもあるって、先生が」

仁美「まあ……」

ほむら「そのせいで手術したトコがまた開いちゃって……退院が延びちゃったんです」

さやか「手術?」

ほむら「ええ、元々私は胸の病気で、手術するために入院してたんですよ」


ほむら「手術自体はそれほど難しいものじゃないって言われてて」

ほむら「すぐに退院出来るはずだったのに……」

ほむら「どうしてこうなっちゃったのかな……」

ほむら「……私、今まで夢遊病になんてなったことなかったんですよ?」

ほむら「なのに……手術の後から、急に、こんなことになって……」

ほむら「夢の中で、自分が何をするか、分からなくて」

ほむら「自分で、自分が、怖くてっ……」

ほむら「どうして、っていう気持ちと、怖い、って気持ちでグチャグチャでっ……!」

ほむら「私……わたしっ……!」グスッ

さやか「ほむら……」


さやか「……落ち着いて、ほむら……大丈夫だよ」

ほむら「でもっ……」

さやか「ダメだよ、不安なるのは分かるけど、自分を疑っちゃダメ」

さやか「信じなきゃ、絶対治るって! ほら、病は気からって言うじゃん!」

さやか「治るって、信じなきゃダメだよ……」

仁美「さやかさん……」

ほむら「……はい……」

さやか(……そうだよ、信じなきゃダメなんだ)

さやか(絶対治るって……)


ほむら「…………」

仁美「…………」

さやか「…………」

ほむら「……ごめんなさい、私のせいで雰囲気悪くしてしまって……」

さやか「ううん、いいって。ほむらは話したかったんでしょ?」

仁美「そうですわ。心に溜め込んだままにしておくより、吐き出したほうが良いに決まってますもの」

ほむら「……ごめんなさい……ありがとう、ございます……」


さやか(……ほむら、凹んじゃってる)

さやか(何とか元気づけてあげたいなあ……なんかないかな)

さやか(……そーだ!)

さやか「ねえほむら! ほむらは猫って好き?」

ほむら「……えっ?」

さやか「あたしの友達でさ、猫飼ってるコがいるんだけどさ」

さやか「その猫ちゃんがスゴイ賢くてスゴイ可愛いのよ!」

さやか「だからさ、今度会わせてあげるよ!」

ほむら「は、はあ……」


さやか「会えばきっと可愛い過ぎて、ほら、なんつーか和むし」

さやか「アニマルセラピー的なアレで元気になるに違いないし!」

さやか「今度ここに連れてきて……」

ほむら「み、美樹さん……お気持ちは嬉しいんですけど……」

仁美「その……病院に猫は無理があるんじゃありません?」

さやか「……あ」

ほむら「私もまだ外出禁止ですし……猫ちゃんに会うのはちょっと難しいかと……」


さやか「あ、あははー、ご、ごめんね、あたしってホント馬鹿」

ほむら「い、いえ! お気持ちはとっても嬉しかったです!」

ほむら「私を……励まそうとしてくれたんですよね? ありがとうございます」

さやか「う、うん……」

ほむら「うん……私、がんばります。自分を信じて、治るようにがんばります!」

ほむら「その猫ちゃんに会うことを目標に、張り切って治りますから!」

仁美「……ふふっ、それは良い考えですわね、さやかさん?」

さやか「え、あ……そーだね! うん、目標を持つことはいーことだ!」

さやか「元気になったらゴホービで猫ちゃんに会わせてやろうっ」

さやか「だから頑張るんだよ、ほむらっ」

ほむら「……はいっ!」








~魔女の結界~

魔女『わんわんお!』

まどか「マジカルにゃんにゃん☆猫派になあ~れ♪」

魔女『にゃー!』

チュドーン!!

マミ「きゃっ……!」

マミ「あ、相変わらず凄い威力ね鹿目さん……」


まどか「やったあ! 勝てたあ!」

エイミー「なかなか良かったわね、まどか」

エイミー「巴さんとの連携も上手く行っていたし、これなら満点ね」

まどか「え、えへへ……」

マミ「鹿目さん、エイミー、お疲れ様」

まどか「はい! お疲れ様でした!」

マミ「今回の魔女はグリーフシードを落としたわ。先に使わせて貰っても良いかしら?」

まどか「あ、どうぞ」


シュゥゥ...

まどか「ソウルジェムが綺麗になってく……」

マミ「……ふう、これで良しっと」

マミ「鹿目さん達もグリーフシードを使うのよね? はい、コレ」

まどか「ありがとうございます。はいエイミー、あげる」

エイミー「ありがとう、頂くわ」

シュルンッ

マミ「……え? グリーフシードが、消えた……?」


エイミー「これも私の魔法の一つ。……何処に行ったかは秘密よ」

まどか「いつも何処かにしまってるらしいんですけど……」

まどか「詳しいことは私にも教えてくれないんですよ、エイミーってば」

マミ「そう、なの……」

エイミー「……まあ、その辺りはあまり気にしないで貰えると助かるわ」

エイミー「とりあえず、魔力を回復するのに使っているという点は貴女と同じよ」

マミ「同じ……」

マミ(……本当に、同じなの……?)


まどか「あ、そだ! マミさん、一緒に決めポーズを!」

マミ「…………」

まどか「……マミさん? あの、決めポーズ……」

マミ「あ、ごめんなさい。何かしら?」

まどか「い、いえ……やっぱり何でもないです」

マミ「?」


まどか《マミさん、何か悩んでるみたいだね……》

エイミー《流石の貴女も空気を読んだのね》

まどか《あ、なにそれエイミー酷い! 普段は空気読めないコ、みたいに言わないでよ!》

エイミー《…………》

まどか《どうしたのかな、マミさん……私で力になれれば良いんだけど……》

次回へ続きます。


~マミの家~

QB「……成る程、ありがとうマミ。良く分かったよ」

QB「鹿目まどかにエイミー、そして暁美ほむらか……」

マミ「……ねえキュゥべえ、貴方の考えを聞かせてくれる?」

マミ「やっぱり、鹿目さんは……私とは全く別の……?」


QB「そうだね、同じ魔法少女を名乗ってはいるけれど……」

QB「マミとは完全に異なる存在だと考えて良いと思う」

マミ「…………」

QB「契約した相手、魔法少女のシステム……差異はいくらでも挙げられるけれど」

QB「何より君にとって重要なのは、君とは『覚悟』が違うということだろうね」

マミ「……それってどういう意味?」


QB「君から聞いた話では、エイミーとの契約は破棄出来るそうじゃないか」

QB「僕の契約とは違ってね」

マミ「ええ……」

QB「嫌なら何時でも辞められる。そう考えているまどかに、君と同等の覚悟があると思うかい?」

マミ「……!」

QB「もしかしたら彼女は……お遊びか何かのつもりで、魔法少女をやっているのかもしれないよ」


マミ「お遊び……」

QB「そう、辛かったら止めてしまえ、くらいのね」

マミ「……確かにあの子からは、魔女と戦い続けることへの悲壮感は伝わってこないわ」

マミ「むしろ活躍出来ることを無邪気に楽しんでいるようなところはある」

QB「そうだね、変身時の意味のない台詞などからもそのことは伺えるよ」

マミ「トドメを刺すときにも技名を叫んだりしているわよね……まるでアニメや漫画のように」


マミ「……彼女にとって、本当に魔法少女がお遊びに過ぎないのであれば……」

マミ「一時の娯楽でしかないのであれば……」

マミ「……私は……あの子と戦い続けることなんて……信頼することなんて……」

QB「でもねマミ、もしかしたら彼女も被害者かも知れないんだ」

マミ「えっ……被害者?」

QB「そう。だからまどかに対する判断を下すのは少し待ってほしい」

QB「彼女を、鹿目まどかを救えるのはマミしかいないかも知れないんだから」


マミ「ちょ……ちょっと待って! 何の話!?」

QB「そのことを説明する前に、話しておかなければならないことがあるんだけれど……」

QB「実はね、僕は例の暁美ほむらに会ったことがあるんだ」

マミ「ええっ!? は、初耳よそんなこと!?」

QB「言わなかったからね。まあそれは良いとして……」


QB「僕は暁美ほむらに会った。彼女からも魔法少女の素質を感じたからね」

マミ「でも、魔法へのトラウマがあるとか……どうだったの、会ってみて」

QB「僕を見た瞬間、彼女は正気を失って暴れ出したよ」

マミ「っ!?」

QB「近くにあったハサミを手に取って、僕に襲い掛かってきたんだ」

マミ「なっ……そ、そんなに酷いトラウマを抱えているってこと?!」

QB「いいや違うよ。アレは、トラウマなんてものじゃない」

QB「どちらかと言えば……何者かに操られているようだった」

QB「まるで、魔女の口づけを受けたみたいにね」

マミ「……!?」


QB「エイミーとの契約を破棄した彼女が、何者かに操られている可能性がある」

QB「そしてエイミーは恐らくその事実を知りながら、君達を暁美ほむらから遠ざけようとしている」

QB「……怪しいとは思わないかい?」

マミ「そんな、じゃあまさか、エイミーが何か企んでいるって言うの?」

マミ「鹿目さんのことも……騙しているって言うの?」

QB「断言はしないでおくよ」

QB「でも、もう一つ。エイミーには疑わしい点がある」

マミ「……それは、何?」


QB「まどかはソウルジェムを持たないんだろう?」

QB「そしてエイミーも、グリーフシードを使用するそぶりを見せなかった」

QB「……ソウルジェムを持たず、グリーフシードの恩恵を必要とせず……」

QB「だというのに、魔法の力を行使出来る」

QB「……それは魔法少女と言うよりもむしろ、もっと他の存在に近いんじゃないかな」

マミ「他の存在って……まさか!?」

QB「そう、僕もキミも良く知っている、魔法少女とは対照的な存在」

QB「人の命を食らうことで、絶望を振りまくモノ達」

QB「エイミーはもしかしたら……」





QB「――――魔女なのかも、知れないよ」

おやすみなさい

~深夜・暁美ほむらの病室~

エイミー(まどかとの約束だから一応様子を見に来たけれど)

ほむら「すぅ……すぅ……」

エイミー(正直、特に出来ることもないのよね)

ほむら「すぅ……すぅ……」

エイミー(良く寝てる……)

エイミー(何も問題なんてなさそうな、安らかな寝顔……)


QB《やあエイミー。暁美ほむらの具合はどうだい?》

エイミー《……今晩は、キュゥべえ。何の用かしら?》

QB《僕もその子の様子が気になっていてね。ちょっと見に来たのさ》

エイミー《せっかくの魔法少女候補者だから、元気になってもらいたい……といったところかしら?》

QB《大体そんなところだね。否定はしないよ》

QB《それで、暁美ほむらの様子はどうだい? 君の意見を聞かせて欲しいんだけれど》

エイミー《……何も異常はないわ。貴方が気にするようなことなんて、ない》

QB《本当かい? 僕には彼女が、悪い魔力の影響を受けているように感じるよ?》

エイミー《…………》


ほむら「ん……」

QB《……うん、やっぱり。何らかの力の影響下にあるのは間違いなさそうだ》

QB《これが問題ないだなんて、どうかしているよ》

エイミー《……ああ、言われてみれば確かに感じるわ》

エイミー《私、見落としていたみたい。すごいわキュゥべえ、私より感度が良いのね》

QB《……成る程、君はそういう態度を取るんだね》

エイミー《何のことかしら?》


QB《まあいいさ、それより――――》

QB《っ!?》

エイミー《魔女の気配が……近いわ!?》

QB《マミ! 聞こえるかい、近くに魔女が現れた!》

エイミー《巴マミが来ているの?》

QB《うん、彼女も暁美ほむらの様子を見に来てたんだ》

QB《ただ、病室までは来られなかったんだけど ね》

エイミー《?》


~病院・正門前~

警備員「まったく……困るんだよね、病院は遊び場じゃないんだよ?」

警備員「命を預かる場所なの、わかる?」

マミ「はい……」

警備員「やれやれ、最近の子供はこれだから……」

マミ「……すみません……」

警備員「一応反省してるみたいだから今回は警察は呼ばないけど、次はないからね」

マミ「はい……ごめんなさい」

警備員「ほら、帰りなさい。もう不法侵入なんてことするんじゃないよ」

マミ「はい……すみませんでした……それでは」


マミ(はあ……こってり絞られちゃったわ)トボトボ

マミ(キュゥべえは暁美さんとエイミーに会えたのかしら)

QB《マミ……マミ!!》

マミ《キュゥべえ? どうしたのそんなに慌てて》

マミ《まさか、本当にエイミーが何かしていたの!?》

エイミー《失礼ね、私は何もしていないわ》

マミ《あっ……! エイミー……》


マミ《えっと……その、今のは違うのよ、別に貴女を悪く言うつもりは》

エイミー《……聞かなかったことにしておいてあげるわ》

エイミー《それよりも今は、貴女の力が必要なの》

QB《病院のすぐ傍に魔女が現れたみたいなんだ! 急いで来てくれるかい?》

マミ《なんですって!? 分かったわ、すぐ行く!》

QB《場所は病院に隣接している駐輪場の辺りみたいだよ》

QB《マミが来るまで僕が見張っておくからね!》

マミ《お願いね、キュゥべえ!》


~ほむらの病室~

QB《……そんなわけだから、僕は行くよ》

QB《君はどうするんだい?》

エイミー《私も手伝うわ》

QB《……そうかい、じゃあ行こうか》

エイミー《ええ》

タッタッタ...





ほむら「…………」


~駐輪場~

マミ「はぁっ……はぁっ……キュゥべえ、魔女はっ?」

エイミー「大丈夫、まだ移動はしていないわ」

マミ「っ……エイミー」

QB「どうやらコイツは孵化したばかりの魔女みたいだよ」

QB「反応が鈍い。今なら比較的楽に叩けるかもしれないね」

マミ「……分かったわ。じゃあキュゥべえ、行ってくるわね!」

QB「頼んだよ、マミ」

マミ(今日は夕方に続いて二連戦ね……ちょっとだけ、キツイかも)


エイミー「待って巴マミ、私も行くわ」

マミ「えっ……貴女も?」

エイミー「ええ。直接戦うのは無理だけれど、サポートぐらいなら出来るから」

マミ「……ありがとう、でも」

QB「いいじゃないか、協力してもらいなよマミ」

QB「『味方』の能力を把握しておくことも、戦いでは重要な要素だよ」

マミ「……!」

マミ「そうね、そうよね……じゃあエイミー、一緒に行きましょうか」

エイミー「……ええ」


~魔女の結界内部~

マミ「…………」

エイミー「…………」

マミ「思いの他、静かね」

エイミー「孵化したばかり、というのは事実みたいね」

エイミー「結界内がまだ活性化していない。使い魔も寝ぼけているんでしょう」

マミ「そうね……」

エイミー「…………」

マミ「…………」


エイミー「……さっきの貴女の発言」

マミ「?」

エイミー「私が暁美ほむらに何かした、とか何とか言っていたわよね」

マミ「あっ……あれは、その」

エイミー「別にいいわ、言い訳なんてしなくて」

エイミー「貴女が私を不審に感じるのも仕方がないことだと思うし……」

マミ「…………」

エイミー「……私は隠し事が多すぎるものね」


エイミー「でも、キュゥべえに何を吹き込まれたのかは知らないけれど」

エイミー「私は人間を害するようなことはしないわ、決して」

エイミー「もちろん貴女と対立するつもりもない」

マミ「……エイミー」

エイミー「……こんなこと、口で言っても信用できない?」

マミ「……ええ、ごめんなさい。悪いけれど……」

エイミー「なら、この戦いで示すわ。私が信用に足る存在だってこと」

マミ「…………」

マミ「……そう、分かったわ」

マミ「期待してるわね、エイミー」


~魔女の結界・最奥~

魔女『………』チーズタベタイ

マミ「あれが此処の魔女? 随分と可愛らしいお人形さんね」

エイミー「……やっぱり、あの魔女だったか……」

マミ「知っているの?」

エイミー「以前に同種の魔女と戦ったことがあるわ」

エイミー「お菓子だらけの結界の雰囲気からもしかして、とは思っていたけど……厄介ね」


魔女『………』チーズノニオイ?

マミ「注意すべき点は?」

エイミー「アイツの得意技は脱皮よ。攻撃すると皮を脱ぎ捨てて反撃してくるわ」

エイミー「口から飛び出して来る本体に気をつけて」

マミ「了解よ」

魔女『………!』チーズダ!

マミ「っと、気付かれたみたいね!」


使い魔『チーズだ!』

使い魔『クルクルチーズ発見!』

使い魔『すごいチーズくさい!』

エイミー「……使い魔も集まってきたみたいね」

エイミー「私はこっちを相手するわ。まあ陽動程度しか出来ないけれど」

マミ「それで充分よ。さあ、始めましょう!」

マミ(……エイミーの情報を完全に信用したわけじゃないけど)

マミ(まずは様子見、簡単な攻撃から……!)


~駐輪場~

QB「…………」

QB(どうやら戦闘が開始されたみたいだね)

QB(さて、これでエイミーの手の内が少しでも分かればいいんだけれど……)

ガサッ...

QB(おや? 誰か来た……?)

QB「……君は!」

ほむら「…………」

QB「っ……しまっ……!」





――――グチャッ

次回へ続きます。

ちなみにこのスレでは展開予想や考察などは好きにしてもらっていいですよ。

                   ,===,====、
                   _.||___|_____||_
..               ∧_∧  /||___|^ ∧_∧
..               (・ω・`)//||   |口| |ω・` )
.             ./(^(^ .//||...||   |口| |c  )

.....            ∧_∧ / //  ||...||   |口| ||し  
.......        (・ω・`) //....  ||...||   |口| ||        楽しく使ってね

         /(^(^ //  ....  .||...||   |口| ||        仲良く使ってね
 ""    :::'' |/   |/ '' "  :::  ⌒  :: ⌒⌒⌒ :: ""  `
 :: ,, ::::: ,, ; ̄ ̄ ̄  "、 :::: " ,, , :::   " :: " ::::  "

ふたりはまどキュアファイブ!
このあとすぐ!


QB「…………」

QB(やれやれ、また暁美ほむらに殺されてしまったよ)

QB(これで二度目だ。代わりはいくらでもあるとはいえ、勿体ないね)

QB(……どうやら彼女も結界に入っていったみたいだけれど)

QB(さて、どう動くのかな?)








ほむら(ここ……どこだろう)

ほむら(頭がふわふわする)

ほむら(夢の中なのかな……)

ほむら(うん、きっとそう、だってこんなお菓子の山、現実じゃあありえないもの)

ほむら(もしほんものだったら……美樹さんにお土産にもっていくのにな……ふふっ……)

ほむら(…………)

ほむら(……足が、勝手に動いてる)

ほむら(……わたし、どこにむかって歩いてるのかな……)


~魔女の結界・最奥~

魔女『お口の中からコンバンワ』

マミ「……なるほど、これが本体ってわけね」

マミ「でも予め知ってれば、いくらでも対処できるわ!」

マミ「レガーレ・ヴァスタアリア!!」

シュルルルッ!

魔女『もがっ』

マミ「物騒なお口は、ぐるぐる巻きよっ!」

魔女『もがもが……』

マミ(……よし、これなら脱皮も出来ないわね……)

マミ(エイミーの様子は?)


エイミー「ほらこっちよ、お前たちの好物は」

使い魔『チーズだ! あの猫チーズもってる!』

使い魔『お願いして分けてもらおう!』

エイミー「……まさかまたこの戦法が通用するとはね……」

エイミー「まあ今の私には都合が良いから助かるけれど」

使い魔『お願いします! ご主人様がチーズを欲しがってるんです!』

使い魔『チーズください! なんでもしますから!』

エイミー「ほらほらチーズよ着いて来なさい」


マミ「……なんかチーズ撒いてる」

マミ「どこから出してるのかしら、あれ……」

マミ(魔法で出しているの? じゃあまさか)

マミ(エイミーはチーズを作り出す魔女ってこと……!?)

魔女『もがもが』

マミ「……っと、今はそれよりもこっちが優先ね」

マミ「動けないところ悪いけれど、確実に仕留めさせてもらうわよ」

――――ダァンッ!!


エイミー(……堅実な戦いぶりね)

エイミー(リボンで拘束し、無駄な大技は使わずにダメージを与えていっている)

エイミー(……地味過ぎてまどかは喜ばなそうだけれど……賢い戦い方だわ)

エイミー(でも……隙を見せないようにしているのは、魔女を警戒しているからだけではなさそう)

エイミー(時折こちらを見ている。私を警戒しているってことね……きっと)

エイミー(……やっぱり、簡単には信用してもらえないか……)


魔女『うごごごご……』

マミ「なかなかタフね……でも、これで終わりにさせてもらうわ!」

マミ「千の魔銃で、貴女を撃つ!」

ヴォン...

マミ「一斉射撃、いくわよ!」

マミ「――――発射!」

ダダダダッ!!


エイミー(無数に召喚したマスケット銃で蜂の巣に……)

エイミー(結局、どうしてもやることが派手になるのね……巴さんは)クスッ

エイミー(まああの様子なら問題なく片付いて……)

エイミー「……っ!?」

エイミー《巴さん後ろっ!!》

マミ「――――!!」


ほむら(……あれ……?)

ほむら(だれか、いる?)

ほむら(きれいな、女の子)

ほむら(なにか、ひかって)

ほむら(まるで、魔法みたいに)

ほむら(魔法……)

ほむら(――――ああ、そうだ、わたしは)


 巴マミに油断は無く、その反応は極めて迅速だった。

 エイミーの声が届くのとほぼ同時。

 背後から現れた気配に気が付いた瞬間、何丁かのマスケット銃をそちらへ向けて連射した。

「――――!」

 連続して放たれた発砲音が、何者かの呻き声を掻き消す。

マミ(当たりねっ)

 視線を向けるよりも先に、命中を確信するマミ。


 確かな手応えを感じ、ほんの少しの昂揚感を味わいつつ振り向き――――

 そして、見る。



ほむら「ぅ……あッ……」



 ――――魔弾に腹を貫かれ、その身を鮮血で染めてゆく黒髪の少女の姿を。

 ベチャリ、と音を立てて、一人の少女が倒れる光景を。

マミ「…………え?」


エイミー「なんて、こと……!」

マミ「……嘘」

 倒れた少女はピクリとも動かない。悲鳴をあげることもない。

マミ「嘘……!」

 だがそれも当然のことだろう。

マミ「わ、私っ……そんな、違っ……!!」

 彼女――――暁美ほむらは。

 魔女をも滅ぼす巴マミの魔弾に穿たれたのだから。

 生身の人間が、無事で済むはずが、なかった。

マミ「い……いやああああッ!!」

じかいもとってもにちあさ!
ふたりはまどキュア、またみてね!


マミ「あああ……嫌あああ……!」

エイミー《巴さん、落ち着いて!》

マミ「わ、私、そんなつもりじゃ」

マミ「使い魔の気配だと思って、わ、私……!」

エイミー《巴さ……っ!?》

使い魔『チーズ下さい!』ワラワラ

使い魔『チーズ!』ワラワラ

エイミー「くっ……邪魔よ、お前達! 離しなさいっ」


マミ「エイミー……わ、私っ、あの子を撃って……殺し……!」

ほむら「ぅ……」

マミ「……!」

マミ「まだ、生きて」

マミ「っ!」ダッ

エイミー《待って巴さん! その子に近づいちゃ……!》


 少女に駆け寄り、マミは改めてその惨状を目の当たりにする。

マミ「うっ……」

 一面に広がる血の海。

 仰向けに倒れた少女の腹部からは大量の血液が溢れ続けていた。

 このままでは数分もしない間に命を落とすだろうことは間違いない。

マミ「待ってて、今治してあげる……!」

 そう言うとマミは少女の傍にしゃがみ込み手をかざした。

マミ(お願い、治って……!)

 手の平から金色の光が溢れだし、少女の身体を包み込んでいく。

 瞬く間に傷口は塞がってゆき、そして――――








ほむら(――――変な夢)

ほむら(お菓子の国で、魔法の鉄砲に撃たれちゃった)

ほむら(なのに全然痛くない……あ、そっか、夢だもんね)

ほむら(…………)

ほむら(……なんだっけ……)

ほむら(わたし、なにかをおもいだしそうだったような……)

ほむら(そんな気がするのに……)

ほむら(もう、わすれちゃった……?)


ほむら(……ううん、わすれてない)

ほむら(おもいだせないけれど、わすれてない)

ほむら(約束が……願いが……悲願が……)

ほむら(私にはあったはずだわ……)

ほむら(…………)

ほむら(……それにしても、へんなゆめだなぁ)

ほむら(どうして、わたし――――)





ほむら(しらない女の子に、キスしてるんだろう)


 柔らかな、唇の感触。

マミ「んむっ……!?」

 治療の最中、不意に起き上がった少女に唇を奪われ、

 マミはただ、目を見開いて硬直することしか出来なかった。

マミ(なに、これ、私、キスされて……!?)

 マミの力であれば、力ずくで引き離すことも容易ではある。

 しかし相手が重傷を負った少女だということもあり無理な抵抗は出来ず、

 しっかりと首に抱き着かれて、されるがままにキスを受け入れてしまった。


ほむら「ちゅっ……れろっ……」

マミ「っ!?」

 ヌルリ、と何かが侵入してくるのと同時に、鉄の味が口腔内に広がる。

マミ(血っ……!?)

 口移しで送られて来たものは少女の血液。

 流石にこれ以上は堪えられない、とマミは少女を突き飛ばそうとするが、

マミ(……!? ちからが、はいらなっ……!)

 既に、遅かった。

マミ(あつい……からだがっ……いきが、苦しい……!!)

 内側から焼けるような熱に苛まれ、呼吸もままならず、身動きも取れない。


ほむら「……ぷは」

 少女は唇を離し、虚ろな目で満足げに微笑んでみせ――――

ほむら「……うふ……あはは……」

マミ「っ……!?」

ほむら「あは……は」

 そしてそのまま、渇いた笑い声を残して、意識を失った。

マミ「っ……あなたっ……!?」

 完全に脱力し、マミにもたれ掛かる。

 身体の自由が利かないマミに成す術はなく、二人は抱き合うようにして地面に倒れ込んだ。

マミ「う……くッ……!?」








使い魔『チーズ! チーズ!』

エイミー「ちっ……しつこいわねっ……!」

エイミー「そんなに欲しいなら、とっておきをくれてあげるわよ!」

カランッ...

使い魔『なにこれ?』

使い魔『チーズ?』

エイミー「あげるのはチーズじゃなくて――――」

エイミー「お手製の爆弾だけれどねッ!」

...ボンッ!!


エイミー(ふぅ……なんとか撒いたわね)

エイミー(巴さんの様子は?)

エイミー(……!?)

エイミー(二人とも、倒れて……!?)

エイミー(くっ……まさか、何かされたの!?)

エイミー(急がないと……!)

ダッ!


マミ「うっ……くぅっ」

エイミー「巴さんっ! 無事!?」

マミ「えい、みー……わたし、からだ、が」

エイミー「何をされたの? 立つことは出来る?」

マミ「っ……」フルフル

エイミー「くっ……マズイわね……」

マミ「はあっ……はあっ……」


魔女『ぐぬぬ』

エイミー(っ! 魔女が……拘束が解けかけている!)

エイミー(巴さんは戦える状態じゃないみたいだし、このままじゃ……!)

エイミー(…………)

エイミー(……こうなったら使うしかない、か)

エイミー「巴さん、ごめんなさい」

マミ「……?」

エイミー「貴女のこと、『収納』させて貰うわよ」

マミ「え……」

――――シュルンッ


QB「……驚いたな。それが君の能力かい?」

エイミー「っ! ……のぞき見とは良い趣味してるわね、キュゥべえ」

QB「マミが一瞬で吸い込まれていなくなった。『収納』と言っていたけれど何処にしまったんだい?」

エイミー「……此処よ」プニ

QB「ふむ、左手……の、肉球かい?」

QB「なるほど確かに奇妙な魔力の流れを感じる。それにその模様は……」


エイミー「悪いけれど貴方の話に付き合っている余裕はないの」

エイミー「早く脱出するわよ」

QB「うん? こっちの……暁美ほむらはどうするんだい?」

ほむら「ぅ……」

QB「マミが治療したおかげで殆ど傷は癒えているようだけれど……」

QB「まさか魔女の結界に置き去りに?」

エイミー「…………」

エイミー「そんなわけないでしょう。彼女も収納して連れていくわ」

――――シュルン








~駐輪場~

エイミー「……無事に逃げ切れたわね」

QB「ご苦労様、エイミー」

ヴン...

エイミー「結界が閉じる……」

QB「どうやら逃げられてしまったみたいだね」

QB「でもまあ、魔女を倒せなかったのは残念だったけれど……」

QB「その代わりに君の能力が見れたのは収穫だったよ」

エイミー「…………」

QB「それに暁美ほむら。彼女の――――」

エイミー「――――私は暁美ほむらを病院まで運ぶわ」

エイミー「巴マミはここに出しておくから、貴方が様子を見ていてあげて」


...ドサ

マミ「う…………」

QB「肉球からマミが出て来た……なかなか面白い光景だね」

QB「でもどうして此処でマミを出してしまうんだい?」

QB「せっかくなら家まで運んだほうが」

エイミー「この中、死ぬほど酔うのよ」

QB「……なるほど、分かったよ。マミは僕が見ておく」

エイミー「頼んだわよ」

タッタッタ...


QB「…………」

マミ「う、あ……キュゥ、べ……」

QB「よかった、気が付いたんだね」

マミ「ここ、は……私は……」

QB「魔女の結界の外だよ。君が戦える状態じゃなかったから逃げて来たんだ」

QB「でもお手柄だったよマミ。君のおかげで彼女らの正体も掴めそうだ」

マミ「……それって、どういう」

――――ドクンッ

マミ「っ!? ……あ……ぅあああっ!?」


QB「どうしたんだいマミ?」

マミ「ん、あっ……! な、なに、これ……う、あっ……!!」

マミ「わたしっ、からだが……くっ、んんんっ……!!」

QB「身体が? 痛むのかい?」

マミ「んっ、はあっ……ち、違っ……」

マミ「からだが、あついのっ……!」

マミ「ムズムズして、疼いて、こんな……こんなの……んひっ!!」

QB「なんだって?」


マミ「はあっ……はあっ……あは、あはあっ……」

QB(……顔は赤く、発汗も多く、呼吸も荒い)

QB(明らかにこれは異常だ。まさか暁美ほむらが……?)

マミ「んぁっ、あは、これ、わたし、あたま、おかしくなっちゃうよぉっ……」

マミ「こんなっ、こんなのっ、たえられないぃぃ……!!」

QB(だが単純に熱に浮かされているのとは異なるようだ)

QB(今のマミはまるで発情期のブ……)

マミ「おねがいっ……キュゥべえ、わたし、もうガマンできないのっ」

マミ「したいの、したいのぉっ……!」





マミ「――――あなたのこと、殺したいのぉっ!!」





QB「なるほど、そう来たか」








マミ「…………」

エイミー「……巴さん! 起きていたのね」

マミ「あ……エイミー」

マミ「ええ、今起きたところよ」

エイミー「身体は大丈夫? おかしな所はない?」

マミ「えっ?」

エイミー「さっきは立つことも出来ない状態だったじゃない。もう平気なの?」

マミ「…………」

マミ「ええ、何も異常はないわ」

マミ「何も、ね」

エイミー「……?」

じかいもとってもにちあさ!
ふたりはまどキュアファイブ、かぞくみんなでみてね!


う~ん。
アニメで表現されると小さなお子様は軽いトラウマになりそうな内容かも・・・?

考察OKだっけ?

エイミーは魔女、若しくは「まどかを守る猫になりたい」と願ったほむらの「本体」?
この異常な「暁美ほむら」は魔女エイミーの使い魔、若しくは何らかの魔術で文字通りゾンビ化したほむらの抜け殻?







マミ(嫌っ……!)

マミ(お願い、もう止めて……!!)

マミ(こんなの、私……わたしっ……!)

マミ(誰か助けて……)

マミ(誰か、私を止めて……!)

マミ(止めることができないなら――――)

マミ(いっそ私を殺して……!!)


 魔法少女ネコミミ☆まどか、前回のお話は!

 暁美ほむらちゃんの様子を見に行ったエイミーだったんだけど……

 なんとそこへ、ほむらちゃんを狙う悪い魔女が現れたの!

 エイミーは駆け付けてくれたマミさんと一緒に、何とか魔女を追い払ったよ。

 でも、いつまた現れるか分からないし、とっても心配!

 またほむらちゃんが狙われる前に、しっかりと魔女を懲らしめてあげないとね!

 よーしっ、今日もマジカルねこパンチでにゃんにゃんしちゃうぞ☆



まどか《……しちゃうぞ☆》

エイミー《まどか……私から聞いた話をあらすじ風にまとめるのは止めて……》

まどか《えー、だってー》


~放課後・病院付近~

まどか「だって、私だけ暁美さんに会えてなくて……」

まどか「なんだか仲間外れみたいな気分なんだもん」

まどか「だから気持ちだけでも、こう、一体感を出したくて」

エイミー「そ、それで『あらすじ風』なの?」

まどか「うん!」

エイミー「その発想は良く分からないわ、まどか……」

まどか「えー、そうかなあ」

マミ「ふふっ……私には良く分かるわよ、鹿目さんの気持ち」

エイミー「……は?」


マミ「何て言ったって私達は魔法少女なんですもの、あらすじでおさらいはお約束よね」

まどか「ですよね! わあ、マミさんに分かってもらえるなんて嬉しいです!」

マミ「それにやっぱりあらすじは決まり文句で締めないとダメよね」

まどか「はいっ、そうです! そうですよねっ」

マミ「後は……次回予告も大事だと思うわ」

まどか「……!」

マミ「ここでも決めセリフを挿入出来たら魔法少女として一人前な気がするじゃない?」


まどか「な、なるほど……! 次回予告かぁ……」

エイミー「ちょ、ちょっと巴さん。変なこと吹き込まないで」

マミ「あら、変なことなんかじゃないわよ」

マミ「ねー、鹿目さん?」ニコッ

まどか「ねー」ニコッ

エイミー「……貴女、そんなキャラだったかしら」

マミ「……うふふっ」


エイミー「……まあ確かに、私達だけじゃなくて美樹さんや志筑さんも暁美ほむらに会ったらしいし」

エイミー「まどかだけ会えてなくて疎外感を感じるのは分かるわ」

まどか「でしょでしょ?」

エイミー「でも、我慢して頂戴? 事情は昨日も話したでしょう?」

まどか「……うん、仕方がないよね。トラウマなんだもんね」

エイミー「昨夜は私も巴さんも彼女に接触してしまったけれど、状況が状況だったからだし」

まどか「うん。大丈夫、分かってるよ」


まどか「会ってお話したい気持ちはあるけど、今はそれより……」

まどか「私達がするべきことは、これ以上暁美さんが苦しまないようにちゃんと魔女をやっつけることだよね」

エイミー「……ええ、そうね」

まどか「うん、私頑張るよ! エイミーのお友達は私のお友達だもん」

まどか「絶対魔女をやっつけて、絶対守ってあげるんだ!」

エイミー「ありがとう、まどか」


マミ「ふふ……やっぱり鹿目さんは魔法少女としての素質がバツグンねっ」

まどか「ふぇっ?」

マミ「お友達を大切に思う優しさ。何よりも重要なコトだわ」

マミ「きっと鹿目さんは最高の魔法少女になるわね」

まどか「そ、そんな、私なんか全然ダメダメですし」

まどか「マミさんのほうがずっとカッコイイですし、スゴイ魔法少女だと思います!」

マミ「あら、そうかしら? お世辞でも嬉しいわ……うふっ」

エイミー「…………」


エイミー「……そろそろパトロールを再開しましょうか」

エイミー「この辺りには魔女の気配もないみたいだし」

まどか「あ、うん。そうだね」

まどか「すぐ見つかると良いんだけど……」

マミ「大丈夫よ。昨日の魔女の魔力は良く覚えているから」

マミ「私がちゃんとエスコートしてあげるわ、魔女のおウチまでね」

マミ「大船に乗ったつもりで……ううん、豪華客船に乗ったつもりでいて頂戴♪」

まどか「くすっ……お願いしますね、マミさんっ」


エイミー《……巴さん、大丈夫?》

マミ《うん?》

エイミー《その……今日の貴女、妙に明るく振る舞っている感じがして》

マミ《…………》

エイミー《昨日は魔女を取り逃がしてしまったし……》

エイミー《まどかには伏せておいたけれど、『あんなこと』もあったし……》

エイミー《無理、してるんじゃないの?》

マミ《……ふふ、大丈夫。大丈夫よ。私は何も問題ないわ》


マミ《もちろん無理なんかしていないわよ》

マミ《だってこれが私の――――》

エイミー《え……?》

まどか「エイミー、マミさん、どうかしたの? ボーッとしちゃって」

エイミー「あ……いえ、何でもないわ」

マミ「ええ、ちょっと内緒話をしていただけよ」

まどか「内緒話?」

マミ「鹿目さんは可愛いなあ、って話♪」

まどか「ふぇっ?!」








~魔女の結界・最奥~

魔女『Zzz...』

マミ「……居たわ。あの魔女よ」

まどか「ホントにすぐ見つかっちゃった……スゴイですマミさん!」

マミ「ふふ、ありがとう」

マミ「でもここからが本番よ。気を引き締めてね」


マミ「さあ、変身しましょう!」

まどか「はいっ」

まどか「よーっし、それじゃあエイミ……」





マミ「――――『ぷりんちぺっさ☆まーじこ☆マミマミ』っ! お姫様になあ~れっ♪」





まどか「!?」

エイミー「!?」


『恋の☆マジカル☆舞踏会』

(作詞:巴マミ 作曲:巴マミ)

ドレスに着替えて

魔法の舞踏会へ向かうの

今日のお相手は

貴方がしてくれるのね

でも私のダンスはちょっぴり過激よ?

貴方のハートを 撃ち抜いちゃう

魔弾の舞踏だから☆


そんなノロマなステップじゃ

私の想いはかわせないわ

熱く激しい魔弾を感じてほしいのよ

一撃を魅せつけてあげたい♪





マミ「――――さあ、舞踏会の幕開けよっ♪」

きらりらりーん☆


エイミー「……あの、巴さん? 今のは……?」

マミ「うふふっ、何かしら?」

エイミー「何かしら、じゃないわよ。なんかいつもの三倍くらい衣装が派手になってるじゃない」

エイミー「しかも妙な歌が何処からともなく流れて来たし」

まどか「…………」

エイミー「ほら、まどかも唖然としちゃって……」

まどか「す……すごーい!!」

まどか「素敵ですマミさん! とっても輝いてました! カッコイイです!」

マミ「ふふっ、そう言って貰えると嬉しいわ♪」

エイミー「えー?」


まどか「ドレスもスゴイ可愛いです! まさにお姫様っていうか、プリンセスモードっていうか!」

マミ「ふふ、その通りよ鹿目さん。この衣装はお姫様をイメージしたものなの」

マミ「どう? 似合ってるかしら?」

まどか「はいっ、とっても!」

まどか「さっきのテーマソングも素晴らしかったです! 胸がキュンキュンしちゃいました!」

マミ「うふふっ、ありがとう」

まどか「ああ~、良いなあ……ねえエイミー、私たちもお姫様になろうよ!」

エイミー「…………」


まどか「まずは衣装とテーマソングを考えて……」

エイミー「……それはまた今度ね。今はそんな余裕なんてないわよ、ほら」

まどか「えっ?」

魔女『おはよー』

マミ「あら、お目覚めみたいね?」

エイミー「急いで変身するわよ」

まどか「う、うんっ」

まどか「はいぱー☆ねこみみまどかモードっ!」

キラキラキラ...


~数分後~

魔女『もうダメぽ』

マミ「さあ、舞踏会はこれでお仕舞いよっ☆」

マミ「――――ティロ・フィナーレ!!」

まどか「悪いネズミさんは食べちゃうぞっ☆」

まどか「はいぱー☆まどかにゃんにゃんびーむ!!」

魔女『はわわー』

ちゅどどーん☆


マミ「ふぅ……キマったわね、鹿目さんっ!」

まどか「はいっ、お疲れ様でした!」

エイミー「…………」

マミ「エイミーもお疲れ様。おかげで最高の舞踏会だったわ♪」

エイミー「……そう。よかったわね」

ズズズ...

まどか「あ、魔女の結界が消えてくよ」


~夕方・公園~

まどか「わぁーっ、綺麗な夕焼けー!」

マミ「結界の中だと分からなかったけれど、もうこんな時間だったのね」

まどか「戦いが終わって夕日がお出迎えしてくれるなんて、素敵ですねっ」

マミ「ふふっ、そうね」

エイミー「……ねえ巴さん。少し聞いてもいいかしら」

マミ「なあに、エイミー?」

エイミー「どうして今日はあんな恥ずか……いえ、派手な戦い方をしたの?」

エイミー「わざわざ衣装まで変えたりなんかして……一体どういう心境の変化?」

まどか「あ……それは私もちょっと気になります」


まどか「何か、理由があるんですか?」

マミ「…………」

まどか「マミさん?」

マミ「……私ね、鹿目さんみたいな魔法少女に憧れてたの!」

まどか「えっ?」

マミ「可愛くて、明るく元気で、皆を守るために戦うヒロイン」

マミ「ずっと、そんな女の子になりたいって思ってたわ」

マミ「だから、鹿目さんの真似をしてみたんだけれど……駄目だったかしら?」

まどか「いえっ、そんな、ダメだなんてことないですっ!」


まどか「ていうか、私はマミさんに憧れられるようなコじゃないですし、その」

まどか「マミさんのほうがずっとカッコイイですし、スゴイ魔法少女だと思います!」

まどか「……ってアレ? これさっきも言ったような……」

マミ「くすっ……あははっ、ホントに貴女は素敵な女の子ね♪」

まどか「は、はあ……」

マミ「貴女に会えて本当によかった……嬉しいわ」

マミ「ねえ鹿目さん、これからも私と一緒に戦ってくれる?」

マミ「ずっとずっと、仲良くしてくれる?」

まどか「あ……は、はい! もちろんです!」

まどか「魔法少女として、友達として……一緒に頑張りましょう!」

マミ「うふふ♪ ありがとう、鹿目さん」


マミ「……ねえエイミー?」

エイミー「……なにかしら」

マミ「昨日は沢山迷惑かけちゃったし、貴女に失礼なことも言ってしまったわよね……」

まどか「?」

マミ「本当にごめんなさい」

マミ「でもこれからは、貴女とも仲良くしていきたいの」

マミ「その……良いかしら?」

エイミー「…………ええ、そうね」

エイミー「これからは一緒に頑張りましょう」

マミ「……うふふっ、ありがとうエイミー!」


マミ「そうだわ! せっかくだからキメポーズで今日はシメましょう!」

マミ「私達が本当にお友達になれた記念の意味も込めて!」

まどか「わあ、良いですね! そうしましょう!」

マミ「じゃあ準備は良い? せーのっ」

マミ『貴方の瞳にっ、ティロ☆フィナーレ!』バキューン☆

まどか『バイバイ魔女さんオヤスミ猫ちゃん☆』ニャーン

エイミー「…………」

エイミー「……物の見事に息が合ってないわね」

マミ「……ぷっ」

まどか「くっ……あははっ!」

マミ「あははっ♪」


 初めてのキメポーズはぜんぜんバラバラで、ちっともカッコ良くなかったけど……

 私たちにとっては、とっても素敵な思い出になりました。

 ……マミさんが急にイメチェンした理由は、正直良く分かりません。

 たぶんきっと昨日、私が知らない所でエイミーが頑張ってくれたから、

 マミさんが心を開いてくれたんだろうなあ、って思ってます。

 ありがとね、エイミー♪

 これからもエイミーとマミさんと、みんなで仲良く魔法少女を続けられたら……

 それはとっても嬉しいなって、思うのでした!


 ――――でもそんな私たちの前に、突如謎の人物が現れるのです!

 貴女はいったい何者!? 敵なの? それとも味方!?

 次回、魔法少女ネコミミ☆まどか、『謎の魔法少女A子ちゃん登場!』

 よーしっ、この次もマジカルねこパンチでにゃんにゃんしちゃうぞ☆



まどか「……しちゃうぞ☆」

エイミー「まどか……適当な妄想を次回予告風にするのは止めた方が……」

まどか「えー、だってー」

マミ「うふふ、鹿目さんたらはしゃいじゃって!」

エイミー「…………」


エイミー(――――明らかに、異常だわ)

エイミー(昨日までの巴さんと態度が違いすぎる……)

エイミー(私やまどかに抱いていた不信感のようなものも完全に何処かへ消えていっている)

エイミー(それに、暁美ほむらを誤射してしまったことを気に病んでいる様子も全く見られない)

エイミー(誤射のことをまどかに隠している、っていうのに……それも全然気にしていないみたい)

エイミー(生真面目な彼女だったらもっと引きずってしまっていてもおかしくないのに……)

エイミー(……やっぱり昨夜なにかあったんだわ)

エイミー(私が目を離していたほんの少しの間に、何か……)








~展望台~

杏子「ふーん……随分と楽しそうじゃんか、マミのヤツ」

杏子「ちょっとばかしウゼェけど……アレの何処が異常事態なのさキュゥべえ?」

QB「気が付かないかい杏子? 君なら分かるはずだよ」

QB「今の巴マミを蝕んでいる力は……君にとっても馴染み深いものなんだから」

杏子「んだと……?」


杏子「…………」ジーッ

杏子「っ……!? おい、あれは……まさか!?」

QB「そうだよ。君にも見えたみたいだね」

杏子「ああ……恐ろしく巧妙な魔法、アタシでなきゃ見逃しちゃうね」

杏子「……くそっ、マミのヤツしくじりやがったな!?」

杏子「気にいらねー……気にいらないね、ああクソ……!」


QB「さて、どうするんだい杏子?」

杏子「…………」

杏子「ふんっ……別にマミがどーなろーと関係ないけどさ」

杏子「まあここで恩を売っておくのもいいかもね」

QB「というと、つまり?」

杏子「ああ」

杏子「マミをあんなふうにしたヤツを、ブチのめしてやるよ」

次回へ続きます。

スマイルまどキュア!寝坊したけどこの後すぐ!


~病院・恭介の病室~

さやか「……ってなわけで、昨日はほむらとおしゃべりしてたんだ~」

恭介「あはは、やっぱりさやかはスゴイね」

さやか「えっ?」

恭介「出会ったばかりでそんなに馴れ馴れし……じゃなかった、親しく出来るなんて」

恭介「一つの才能だと思うよ」

さやか「……なんか今、失礼なこと言いかけてなかった?」

恭介「き、気のせいだよ」

さやか「……ま、いいけどさ」


恭介「ところで今日はその暁美さんの所には行かなくていいのかい?」

さやか「んー、それがね? 今日は具合良くないらしくて会えなかったんだ」

恭介「あ……そうなんだ。ちょっと心配だね」

さやか「うん……」

恭介「暁美さんは何の病気なの?」

さやか「……それは内緒にしておこっかな。プライバシーに関わることだし」

恭介「ああ、そうだねゴメン。良くないよね、詮索しちゃ」

さやか「うんうん」


さやか「ま、とにかく恭介も退院したら一緒のクラスになるわけだし」

さやか「今度ほむらを見かけたら挨拶くらいしてあげてね?」

恭介「うん、分かったよ」

恭介「……退院、か」

恭介「いつになるんだろうね……」

さやか「あ……」

さやか「……ゴメン」

恭介「ううん、いいんだ」

恭介「…………」

さやか「恭介……」








~夜・さやかの自室~

さやか「はあ……」

さやか(失敗だったなあ……)

さやか(恭介に『退院』は禁句だよね、フツーに考えて)

さやか(あたしってホント馬鹿だ……)

さやか(今日はほむらにも会えなかったし……)

さやか(これはアレだね……何やっても上手くいかない日なんだね、きっと)

さやか(そーいや授業でもミスしたし先生に小言言われたし、昼はオカズ落としたし飲み物こぼしたし)

さやか「厄日、って奴なのかな……なんて思うのでした」


コンコンッ!

さや母「さやか、居る?」

さやか「んー? なーに母さん」

さや母「ちょっとお使い頼まれてほしいんだけど……」

さやか「ええー? 今からぁ?」

さや母「明日のお弁当にどうしても必要なものがあるの、買ってきてくれる?」

さやか「しょうがないなあ……何買ってくればいいの?」

さや母「お醤油よ。宜しくね」

さやか「あーい」

さやか(……やっぱり厄日だ)


~コンビニ前~

店員「っしたー」

さやか(……しかもこんな日に限って醤油売り切れてたし)

さやか(コンビニで醤油がないってありえないでしょ……んもー)

さやか(いやまあ、ありえなくはないけどさ)

さやか(なーんでこんなツイてないかなあ)

さやか(……ん?)

「っ……!」タッタッタ...

さやか(あれ、今あっちを通ったのって……)

さやか(――――ほむら?!)


~路地裏~

タッタッタ...

さやか「はあっ、はあっ……」

さやか(ここを曲がったよね、あの子……!)

さやか「……ほむらっ、あんたなのっ? 居るのっ?」

さやか(暗くて良く見えないけど……)

ほむら「……美樹、さん……?」

さやか「……ほむら! やっぱりあんただったんだ!」


ほむら「美樹さん……ど、どうしてここに……!」

ほむら「まさか、私を追って……!?」

さやか「追って、って……んなわけないでしょ」

さやか「たまたま近くを通っただけだよ、そしたらあんたを見掛けて」

ほむら「たまたま……?」

ほむら「……ううん、違う……私、無意識の内に美樹さんを探って……?」

さやか「……? 何言ってんのさ?」


さやか「んなことより、どーしてこんな時間に出歩いてんの?」

さやか「もしかして、また夢遊病で?」

ほむら「こ、来ないで下さいっ!」

さやか「……え?」

ほむら「私に近づいちゃダメですっ!」

ほむら「今、傍に来られたら、私……何をするか……!」

さやか「ほむら……?」


さやか(良くわかんないけど……下手に刺激しないほうが良さそうだ……)

さやか「うん……うん、分かったよ、そっちには近付かない」

さやか「でもさ、こんな時間にこんなトコでウロウロしてたら危ないよ?」

さやか「病院に戻ろうよ、またこの前みたいに送ってあげるからさ」

ほむら「……ごめんなさい」

ほむら「わたしは病院には戻りません……」

ほむら「戻れないんです……」

さやか「どうして?」


ほむら「わたし、わかったんです、夢遊病の正体……それに、私の身体のこと」

さやか「えっ……?」

ほむら「わたしは、此処にいちゃいけないんです……」

ほむら「だから、これ以上、だれかを傷つける前に、いなくならなきゃ……!」

さやか「誰かを傷つける?」

さやか「いや、それより、いなくなるって……まさかあんた!?」


ほむら「…………」

さやか「ば、馬鹿なことは止めなよ! 自分を粗末にしちゃダメだって!」

ほむら「でも、しょうがないんです……私じゃもう止められない」

ほむら「だってわたしは……」

ほむら「わたしのお腹には――――!」





杏子「……成る程ねぇ、そーいうことか」


ほむら「!?」

さやか「だ……誰!?」

杏子「でもそーなると厄介だな……ぶっ殺せばイイって訳でもないし」

杏子「んー……どーするかな」

ほむら「あ、あの……?」

さやか(何この子、何かブツブツ言ってる……?)

さやか(なんかガラ悪いし、もしかして、ふ、不良!?)


杏子「……仕方がない、か。虎穴に入らずんば、って言うしな」

さやか「な、何よあんた! なんか用なワケ!?」

杏子「あん? アンタにゃ用はないよ、黙ってな」

さやか「なっ……!」

杏子「ねぇ、ええと、そっちのメガネのほう」

ほむら「は、はいっ?」

杏子「アンタが暁美ほむらだよね?」

ほむら「え、ど、どうして私の名前を……!?」

杏子「悪いんだけどさ、アンタ――――」





杏子「アタシに、ちゅーしてよ」





さやか「は?」

次回へ続くよ!やったねエイミー!

ドキドキまどキュア!また寝坊したけどこの後す


杏子(三編みおさげで、眼鏡をかけて、根暗そうな……)

杏子(……妙な魔力を纏った女の子)

杏子(たしかに此処まではキュゥべえに聞いてた通りだ)

杏子(でも、どうもコイツからは『コッチ側』の匂いを感じない)

杏子(妙だとは思ったけど、さっきの発言から察するに……そーいうワケなんだろーな)

杏子(なら、もっと詳しく知る必要があるだろーし)

杏子(ちょっと危険だけど、マミと同じことをされてみるしか……ないよね?)


ほむら「え、えっ、あ、あのっ、ちゅーって……!?」

杏子「ほらほら、良いから早くちゅーしてよ。アタシは抵抗しないからさ」

さやか「ちょっ、何言ってんのさあんた!」

杏子「あん?」

さやか「いきなり現れていきなり、ちゅ、ちゅーしろだなんて……!」

さやか「あんたナニ?! ソッチ系の人間なの!?」

杏子「ソッチ? ああ……そっか、なるほどね」

杏子「アンタ、アタシが何者なのか察してるってワケだ?」

さやか「……!! ってことはアンタ、マジで……!」

杏子「そうさ、アタシは魔――――」


ほむら「……あ、あのっ! 私とちゅーをしたいって、何でですか?」

杏子「あん?」

ほむら「それに、何で私の名前も知って……貴女の目的は、いったい」

杏子「……アタシはアンタのコト詳しく知りたいんだよね」

ほむら「私のコト……?」

杏子「そ、正確には……アンタの身体の『秘密』を知りたい、だけど」

ほむら「身体の『秘密』って……!! 貴女は、もしかして……!」

さやか「身体が目当てってコト!? が、ガチじゃんかホンモノじゃんかぁ!!」

杏子「ホンモノ? 当たり前だろ、アタシは正真正銘の魔ほ――――」


さやか「ほ、ほむらに近づくなよ! アタシの友達に手を出したら承知しないぞ!」

ほむら「み、美樹さん……!」

杏子「はぁ……なんなのさ、さっきから口挟んで」

杏子「アンタさあ、ちょっとは事情知ってるみたいだけどフツーの人間でしょ?」

さやか「当たり前でしょフツーだよ! アンタみたいなソッチの人間とは違うんだから!」

杏子「……ウザいんだよねぇ、そーいうの。分かった気になって首突っ込んじゃってさあ」


さやか「そりゃ首も突っ込むわよ! 友達が無理矢理そんな酷いコトされそーになってたら!」

杏子「無理矢理ってわけでもないんだけどね……なぁ、暁美ほむら?」

さやか「はぁ?!」

杏子「アタシは聞いてるよ? アンタが昨日、マミにちゅーしたんだってこと」

ほむら「……!?」

さやか「え……?」


さやか「ま、マミって誰よ? それに、ほむらがその子にちゅーしたって」

さやか「ナニ変なデタラメ言ってんのよ! そんな嘘言ったって……」

ほむら「マミって、まさか昨日の女の人……!?」

ほむら「な、なんで、貴女がそのことを知って!?」

さやか「え……ほ、ほむら?」

杏子「どーして知ってるかなんて説明する義務はないね」

杏子「それよりも重要なのは、アンタがマミにちゅーしたって事実さ」

ほむら「ち、ちがっ……! あれは、私の意思じゃ……!」


杏子「意思じゃなくても、それがアンタの内に秘めた本性、本能ってことだろ?」

杏子「それをアタシにも見せてよ。ちょっと確かめたいことがあるんだ」

ほむら「い、嫌です! そんなことしたら、貴女まで……!」

杏子「なぁに平気さ。アタシは結構場数踏んでるしね」

杏子「アンタのちゅーぐらいでどうにかなったりはしないよ」

ほむら「でも……でも! またあんなことしたら、きっと私、もう戻れなくなっちゃう!」

ほむら「そんなの怖いっ……わたし、いやです……!!」


さやか「……ねえほむら、まさか、あんたホントにちゅーしたの? その、マミってコと」

さやか「あんたも……ソッチの人間なの……?」

ほむら「あっ……! ち、違います! その、確かに私は、でも、美樹さん、信じてください!」

さやか「…………」

ほむら「み、美樹さん……信じて……うう……」

杏子「ふん、よーやく五月蠅いのも黙ったみたいだね」

杏子「んじゃ、さっさと始めようか?」


ほむら「え、や、ダメ! 来ちゃダメです!」

杏子「往生際が悪いぜ、暁美ほむら」

ほむら「嫌っ……いやぁ!!」

杏子「ほら、ちゅー……」

さやか「……!」

さやか「に……逃げて、ほむらっ!」

ガシッ

杏子「うわっ!? なんだよ離せ!」


ほむら「み、美樹さ……!?」

さやか「こいつはあたしが食い止めるから、ほむらは早く逃げるんだよ!」

ほむら「え、で、でも、その」

さやか「昨日のコトってのは知らないけどさ、あんたはコイツとちゅーなんてしたくないんでしょ?!」

さやか「だったら逃げて! 早く!」

ほむら「美樹さ……」

ほむら「ご……ごめんなさい、美樹さんっ……!!」

ダッ!

杏子「あ、おい待てよ!!」


さやか「ほむら……」

杏子「……ホンット、うぜえなテメェ。どんだけ邪魔なんだよ」

杏子「もー頭来た、シロートならほっといてやろうと思ってたケド……」

杏子「ここまで口出されて邪魔されたんじゃ、ちょっと痛い目合わせないとダメだよね」

さやか「な、何をする気よ……!」

杏子「想像はつくだろ? コッチの世界に首を突っ込んだんだ」

杏子「……コッチのルールってモンを思い知らせてやるよ」

さやか「ひっ……!?」


さやか「ふ、ふん! そんな脅しになんて屈しないんだから!」

杏子「へえ……良い根性してるじゃんか」

杏子「いいさ、たっぷりその身体に教え込んでやるよ」

杏子(――――ホンモノの魔法少女の怖さってモンを、ね!)

さやか(怖い……でも!)

さやか(――――あたしは絶対強姦魔なんかに負けたりしない!)キッ!

次回、「やっぱりさやかちゃんは勝てなかったよ…」
デュエルスタンバイ!


杏子「さーてまずは、これでも喰らいなッ!」

ジャラジャラ!!

さやか「きゃあ?! なにこれ……鎖!?」

さやか(巻き付いて、動けない……!)

さやか「あ、あんたが出したのコレ!? いったいどーやって!」

杏子「はっ、こーいうのは初めてかい?」

杏子「これくらいコッチの人間なら朝飯前だよ? 驚くようなモンじゃないさ」

さやか「そ、そーなの……!? なんて恐ろしい世界なんだっ……!」


杏子「今更ビビっても遅いよ。たっぷり思い知らせてやるからね……」ニヤリ

さやか「くっ……!」

さやか「く、来るなら来なさいよ! 変なコトしよーとしたら噛み付いてやるんだから!」

杏子「ふん、その威勢がいつまで保っ……」

さやか「あ、あたしは強姦魔なんかに屈しないんだからあ!」

杏子「…………ご?」


杏子「ちょ、ちょっと待て! いまなんつったよ!?」

さやか「あたしは屈しないって言ったのよ!」

杏子「そこじゃねえ! なんか変な単語が出たじゃんか!」

さやか「……?」

杏子「ご、強姦魔……とか、なんとか……」

さやか「何がおかしいってのさ! あんたのことでしょ強姦魔!」

杏子「ち、違う! アタシは強姦魔なんかじゃない! なんでそうなるんだよ!」


さやか「強姦魔じゃない……? じゃあレイプ魔?」

杏子「変わってないだろソレ!」

杏子「そーじゃなくて、アタシは、ご、ごーかんなんて……」

さやか「まさか……強姦なんてしないって言うわけ?」

杏子「そーだよ!」

さやか「『すぐにアンタのほうからおねだりするようになるさ……これなら強姦じゃなくて合意の上だろ』って言いたいのね!?」

杏子「そーじゃないよ!」


杏子「そもそもなんでアタシが、ご、ごう……なんだよ!」

さやか「なによ白々しい! 嫌がるほむらにちゅーしようとしたくせに!」

杏子「ば、アレはそーいうんじゃねーし!! アタシは魔法少女としてだな……」

さやか「はあ? 何が魔法少女よ! 馬鹿にしてんの?!」

杏子「えっ……?」

杏子「……もしかしてアンタ……知らないの、魔法少女のコト」

さやか「あたしそーいう系のアニメ興味ないし!」

杏子「なるほど……最初っから勘違いしてたってことかよ……!」


杏子「で、でも! ちゅーくらいで犯罪扱いするなんて頭おかしーだろアンタ!」

杏子「ちゅーなんて家族とだってするじゃんか!」

さやか「赤の他人とはしないわよ!」

さやか「それに、それだけじゃなくて身体が目当てって自分で言ってたじゃん!」

杏子「身体が……ってそれも違う! そーいう意味じゃない!」

杏子「アタシはただアイツの身体の具合を確かめたかっただけだ!」

さやか「具合……って、締め付け具合とか感じやすさの具合とか……!?」

杏子「何言ってんのかわかんねーけどゼッテー違う!」

杏子「あーもー、何なんだよオマエは……!」








~深夜・ほむらの病室~

エイミー(……いない)

エイミー(また、なのね……)

エイミー(いったい何処へ行ったの……?)

エイミー(今日は近くに魔女の気配もないし)

エイミー(私や巴さんが接触したわけでもない)

エイミー(なら……)

エイミー「暁美ほむらがいないのは……貴方の仕業かしら、キュゥべえ?」

QB「…………」


QB「……心外だなぁ、僕は何もしていないよ」

エイミー「本当に? 疑わしいわね」

QB「本当だとも。彼女がいなくなったのは僕のせいじゃない」

QB「今回は自分の意思で出て行ったみたいだったよ」

エイミー「見ていたの? 病院を抜け出す所を」

エイミー「なら止めてくれれば良かったのに」

QB「そんなことをしようとしたらどうなるか、分かってるんだろう?」

QB「君も人が悪いね」

エイミー「…………貴方に言われたくはないわね」


エイミー(……しくじったわね)

エイミー(魔法関係のものさえ近くに寄らなければ、問題ないと思っていたのに……)

エイミー(見込みが甘かったかしら)

エイミー(でもキュゥべえの言葉を信じるなら……自分の意思で出ていったらしいし)

エイミー(まだ、望みは……)

QB「ああ、でも……」

エイミー「?」


QB「確かに暁美ほむらには何もしていないけれど、少しだけ介入はさせて貰ったよ」

エイミー「どういう意味かしら」

QB「隣町の魔法少女に、暁美ほむらのことを話したんだ」

エイミー「なんですって……!?」

QB「そう、見滝原には……」

QB「――――『魔女』の力を持つ少女がいる、とね」

エイミー「……!」

QB「きっと彼女は今頃、魔女退治の真っ最中なんじゃないかな?」


~深夜・路地裏~

杏子「だーかーら! アタシはヘンタイなんかじゃないんだって!」

杏子「アンタを……れ、レイプ……だなんてしないんだよ!」

さやか「そーなんだ……あたしあんたのこと誤解してた」

さやか「そのことは謝るよ、ゴメン」

杏子「わ、分かってくれたか」

さやか「要するにあんたは、ほむらと純愛ラブラブせっくすがしたいんだね!」

杏子「……は」

さやか「そうだよね、愛のカタチなんて人それぞれだし、あたしがどうこう言う資格なんてないよね……」

さやか「強姦魔だなんて言ってゴメンね。でもやっぱり無理矢理はいけないと思うんだ」

杏子「埒があかねー……」


杏子「もーコイツ簀巻きにして捨てちまうかな……」ボソッ

杏子「でも変に放っておいてケーサツ呼ばれても困るし……」

杏子「うう~、どーすっか――――」



――――ゾワッ



杏子「……! この、感じ……!?」

さやか「……? どしたのさ?」

杏子「感じる……こりゃあ魔女の気配だ」

杏子「まさかアイツ、暁美ほむらが……!?」


さやか「ほむらがどーしたってのよ」

杏子「ちっ……馬鹿やってる暇なんてなかったか!」

ダッ!

さやか「え、ちょ、待ってよ! どこ行くのさ!」

杏子「アンタはそこで大人しくしてな!」

さやか「えええ!? 放置プレイ!? やめてよ、せめて鎖ほどいていってよー!」

タッタッタ...

さやか「……行っちゃった」

さやか「何これ……どうしよ、厄日ってレベルじゃないよ……」

次回あんこちゃんがあんあんします


~深夜・病院~

エイミー「くっ……!」

QB「行くのかい、エイミー?」

エイミー「ええ、もう貴方に用はないもの」

エイミー「さよなら」

タッタッタ...

QB「…………」

QB「……平静を装っているつもりだったみたいだけど」

QB「やはり君にとって暁美ほむらは重要な存在のようだね、動揺が見て取れたよ」

QB「それなら……充分に利用させてもらうとするよ、エイミー」


~深夜・病院付近~

タッタッタ...

エイミー(隣町の魔法少女……キュゥべえが言っていたのは十中八九、佐倉杏子でしょう……)

エイミー(好戦的な彼女のことだわ、きっと手を出してしまうに違いない……!)

エイミー(急がないと……!)

エイミー(お願いだから迂闊な真似はしないで、佐倉さん……!)








~深夜・公園~

ほむら「はあ……はあ……」

ほむら(誰もいない……これなら、一息ついてもいいよね……)

ほむら(ベンチ……座っちゃおう)

ほむら「…………ふぅ」

...ドクンッ

ほむら「っ……!」

ドクン...ドクンッ...

ほむら「だっ……ダメッ……出て、こないで……!」


ほむら(私のナカで暴れてる……!)

ほむら(熱い……痛いよぉ……!)

ほむら「お願、いっ……やめてっ……」

ほむら「もう、私の身体で……酷いことしないで……!」

ほむら「う、くぅっ、うううっ……!」


ほむら「はあっ、はあっ、はあっ……」

ほむら(お、治まった……?)

ほむら(でも、きっと一時的なことだよね……)

ほむら(……やっぱり、私はこんなとこにいちゃいけないんだ)

ほむら(早く何処か遠くへ行かないと……人がいない、誰にも迷惑をかけずに済む所へ)

ほむら(じゃないとまた――――)

杏子「よーやく見つけたよ、暁美ほむら」

ほむら「っ……!!」

ドクンッ!!


杏子「やれやれ、手間かけさせてくれちゃって」

ほむら「あ……あああ……!!」

ドクンッドクンッドクンッ

杏子「……その感じ、そーとーキテるみたいだね」

ほむら(だ、だめ、こっち来ちゃ、ダメ……!!)

ほむら「……にげ、て……!!」

杏子「逃げやしないさ」

ほむら「う……うあああああああ……!!」





ほむら『――――あ、はぁっ……♪』

杏子「見せて貰うよ。アンタの中身」


ほむら「あは……あはは……!」

杏子(成る程、こりゃあ……)

ほむら「あははははははははははは!」

杏子(わざと口づけを受けて様子を探るつもりだったけど)

杏子(その必要はないな。魔女特有の嫌ァな感じがプンプン漂ってきてやがる)

杏子(アイツの腹の辺り……いや、正確には)

杏子(アイツの脇腹に開いた『穴』……そっから魔力が漏れ出てる感じだ)


杏子(あの穴はなんだ? 背中まで貫いて、まるで銃でぶち抜いたみたいな……)

杏子(銃……マスケット銃?)

杏子(……まさか、な)

杏子「……ま、なんにせよ間違いなさそーだね」

杏子「アンタの腹のナカには……」





杏子「魔女の結界が、出来てやがるんだ」


杏子「その影響で魔女に意識を乗っ取られちまうんだね、アンタは」

ほむら「あはっ、あはは、はあっ、うふふふふ……」

杏子「……ちょーど、そんな感じにな」

杏子「しっかし、どーしてそーなったのさ? グリーフシードでも食べちゃった?」

ほむら「うふふ……ふ……」

ほむら「う……ううう……!」

杏子「……あん?」


ほむら「だ、めっ……」

杏子「!」

ほむら「にげて、くださ……っ」

杏子「……ははっ、まだ意識があるんだ? しかもアタシの心配してる?」

杏子「……強いね、アンタ」

ほむら「う……ああああ!!」

杏子「心配すんなって、すぐに楽にしてやるよ」

杏子「んじゃ、まずは……」

杏子「――――アンタのナカ、入らせてもらうよ」


~深夜・まどかの家~

QB「まどか……まどか起きて!」

まどか「むにゃ……? なあに、キュゥべえ?」

QB「起きるんだまどか! エイミーが大変なんだ!」

まどか「えっ……!? エイミーが!?」

QB「一人で魔女を追いかけていってしまったんだ!」

QB「いくらエイミーでも君の力がなければ……!」

まどか「……!!」

まどか「キュゥべえ、案内して!」

次回へ続きます。

>>1は映画のプリキュア診断やったらキュアハートちゃんだったよ!








杏子「ほええ~っ、遅刻しちゃうよ~!」

 アタシ、佐倉杏子!

 見滝原●学校に通う×年生だよ!

 得意な科目は体育!

 でも他のお勉強はちょっとニガテかなぁ。

 お父さんにも「もっと勉強しろ!」って怒られちゃうくらいだし……えへへっ。

 でも、そんなアタシだけど実はみんなには内緒の、すっごいヒミツがあるんだ!

 それは……。


QB「大変や佐倉! グリーフカードの気配がするで!」

杏子「えっ! ホントに、キュゥべえ!?」

QB「間違いないで! 急いでむかうんや!」

杏子「わかったよ! よ~し!」

杏子(そう、アタシはごくフツーの小学生なんかじゃなくて、実は……)

杏子(カードキャプター佐倉杏子なんだ!)


QB「ここやで佐倉! この公園の池からグリーフカードの気配がしとる!」

杏子「池……じゃあカードは水の中ってこと?」

QB「そうやろな、水中戦になるで!」

杏子「う~……服が濡れちゃうのはヤダなあ」

QB「なんやて佐倉!」

杏子「ただでさえ遅刻してるっていうのに、服が濡れちゃったら学校行けなくなっちゃうよ」

QB「せやかて佐倉!」

仁美「お困りのようですわね佐倉ちゃん!」

杏子「あっ、仁美!」


仁美「そんなこともあろうかと、佐倉ちゃんのために衣装を用意してきましたわ!」

杏子「わあ、可愛い衣装! スクール水着みたい!」

仁美「いいえ、ただの水着ではありませんわ!」

仁美「競泳選手の水着にも使われている最先端技術を駆使したハイテクスク水なんですの!」

杏子「すごいや!」

QB「これなら水中でも戦えるで! 早速着替えるんや!」

杏子「う、うん。でも公園で水着になるなんて恥ずかしいな……」

QB「心配いらん! ワイが魔法で結界を張っておくからな!」

杏子「そーなの? ありがと、キュゥべえ!」

杏子「よーし、着替えるよ!」ヌギヌギ


杏子「着替えたよ!」

仁美「可愛いですわ佐倉ちゃん!」●REC

QB「似合ってるで佐倉! 馬子にも衣装ってヤツやな!」

杏子「もぉキュゥべえ! 一言多いぞ!」

魔獣「ガオー」

QB「とかなんとか言ってるあいだにグリーフカードの魔獣が現れたで!」

杏子「よし、いっくよー!」

杏子「汝の有るべき姿に戻れ……グリーフ・カード!!」

ちゅどーん!

魔獣「ヤラレター」

仁美「きゃー! カッコイイですわ佐倉ちゃん!」●REC


キラキラキラ...

ゆま「あ! グリーフカードだにょ!」

杏子「やったあ!」

仁美「これで学校のプールに起きていた不思議な現象は止まるんですのね」

杏子「うん! よかったあ、プール開きが延期になったらどーしようかと思ったよ!」

仁美「あらあら、今日こんなに泳いだのにまだ泳ぎ足りないんですの?」

QB「ワイはもう水泳はこりごりやー!」

仁美「まあ、キュゥちゃんたら!」

杏子「あははっ」


杏子「あははっ……」

杏子「……っていや待てよオイ!! なんなんだよこの茶番は!?」

仁美「?」

QB「?」

杏子「くっそ、アタシを幻惑魔法にかけるなんて……やるじゃんか」

ヒトミ「ドウシマシタノ サクラチャン」

キュゥベエ「ドウシタンヤ サクラ?」


杏子「ふんっ……悪いけどお遊戯はオシマイだよ」

杏子「消え失せな、幻影」

ヒトミ「…………」

シュウウウ...

杏子(景色が変わっていく……)

杏子(よーやくいつもの結界らしくなってきたじゃんか)

杏子「……さーて、本番はこっからだね」

杏子「来なよ魔女、アタシが相手だよ!」








杏子「ふええ~っ、遅刻しちゃうよ~!」

 アタシ、佐倉杏子!

 見滝原●学校に通う×年生だよ!

 得意な科目は体育!

 でも他のお勉強はちょっとニガテかなぁ。

 お母さんにも「もっと勉強しなさい!」って怒られちゃうくらいだし……えへへっ。

 でも、そんなアタシだけど実はみんなには内緒の、すっごいヒミツがあるんだ!

 それは……。


QB「大変だキュ! グリーフシンドーイが暴れてるキュ!」

魔獣『シンドーイ!』

杏子「えっ! ホントに、キュゥべえ!?」

QB「間違いないキュ! 急いでむかうキュ!」

杏子「わかったよ! よ~し!」

杏子(そう、アタシはごくフツーの小学生なんかじゃなくて、実は……)

杏子(伝説の戦士、マギキュアなんだ!)

ドキドキマギキュア!またみてね!

>お父さんにも「もっと勉強しろ!」って怒られちゃうくらいだし……えへへっ。
>お母さんにも「もっと勉強しなさい!」って怒られちゃうくらいだし……えへへっ。

(´;ω;`)むしろ実際のあんこの現状と比較して心底鬱になる


(私は繰り返す)

(何度でも、なんどでも……この世界を繰り返す)

(貴女を救うためなら、私は永遠の迷路に閉じ込められたって構わない)

(私の『悲願』……貴女を救うためなら……)

(貴女を……)

(…………)

(『貴女』は、誰?)


(『貴女』って、誰だったかしら)

(この赤毛の子が『貴女』だったかしら)

(よく、わからない……)

(私はたしか、魔法少女のあの子を……)

(そうだ、困った時はあの人に聞こう)

(優しくて、カッコいい、私たちの先輩に)





マミ(……呼んだかしら?)








杏子「ピンクのハートは桜の花びら! キュアチェリーブロッサム!」

モモ「ピンクのハートは桃の天然水! キュアピーチウォーター!」

杏子&モモ「二人揃って、ドギマギマギキュア!!」

QB「ふん、出たねマギキュア! 今日こそお前たちをやっつけてやる!」

QB「さあいけ、グリーフシンドーイ! 世界をしんどい感じに染め上げろ!」

魔獣「シンドーイ!!」

モモ「いこっ、おねーちゃん!」

杏子「…………」

モモ「……おねーちゃん?」


杏子(なんだろ……なんかおかしいような気がする……?)

杏子(アタシっていつからこんなコトしてたんだっけ)

杏子(それに……よくわかんないケド、何か同じコトを繰り返しているような……)

モモ「おねーちゃん! おねーちゃんってば!」

杏子「えっ? あ、ああゴメン」

杏子「グリーフシンドーイを急いでやっつけないとね!」

モモ「うん!」








~深夜・公園~

エイミー(……居た!)

ほむら「う…………」

エイミー(あんなところで倒れて……何があったの?)

エイミー(……意識は、なさそうみたいね)

エイミー(それに周りにも誰も居ない……)

エイミー(佐倉さんには会わなかったのかしら)

エイミー(……もう少し近づいて、様子をみないと)


ほむら「う……ううう……」

エイミー「……!?」

エイミー(結界が、こじ開けられた跡が……!)

エイミー(くっ、佐倉さんね!? 遅かったか……!)

エイミー(……既に佐倉さんは中に入ってしまったとみて間違いないでしょう)

エイミー(このまま放っておくわけにもいかないわね)

エイミー(私も行くしか……)

まどか「エイミーっ!!」

エイミー「っ!?」


タッタッタ...

まどか「よかった、すぐ見つかって!」

エイミー「まどかっ……どうして此処に!?」

まどか「えっとね、キュゥべえが案内してくれて」

エイミー「キュゥべえが……!?」

QB「やあエイミー、手伝いに来たよ」

エイミー「…………」

QB「君一人では大変だろうと思ってね」

エイミー「……白々しい」

まどか「?」


まどか「それよりその子はっ? も、もしかして魔女に襲われて!?」

エイミー「え、ええ……どうやらそうみたいなの」

エイミー「いま安全な所へ連れていこうと……」

QB「待ちたまえエイミー」

エイミー「!?」

QB「その女の子……暁美ほむらから魔女の気配を感じるよ?」

QB「早急に対処してあげたほうがいいんじゃないかな」

エイミー「っ……!」

まどか「え……?」


まどか「暁美ほむらって……じゃあこの子が噂の転校生なの!?」

まどか「それに、魔女の気配って!?」

まどか「暁美さんを狙ってた魔女は今日倒したんじゃ……」

エイミー「…………」

QB「残念だけれどそれは別の魔女だったようだね」

まどか「そ、そんな……」

QB「……どうやら彼女の身体には魔女が取り付いているようだよ」

QB「正確には、彼女の体内に魔女の結界が出来ているみたいだ」

まどか「身体の中に……!? そんなコトありえるの!?」

QB「僕も初めて見るケースだよ、これは」


QB「通常、魔女は結界に人間を誘い込んで捕食するものだ」

QB「でも、体内なんかに結界を作っては獲物を捕らえることも出来なくなってしまう」

QB「普通ではありえないことだよ、人間の身体に結界が作られるなんて」

まどか「そっか、身体の中にやってくるヒトなんていないもんね……」

まどか「そんなところに結界なんて作らないよね」

QB「そうだね。でも……」

QB「……誰かが意図的に、彼女の身体に魔女を『仕込んだ』のであれば話は別だけれどね」

エイミー「……!」

まどか「……? と、とにかく、このままじゃこの子が危険だよ! 急いで魔女をやっつけてあげないと!」

まどか「行こうエイミー! 結界の中に!」

エイミー「……いえ、まどか。貴女はここで待っていて頂戴」

まどか「え……?」


エイミー「結界の中には私一人で行くわ」

まどか「なんで!? そんなのおかしいよ、私も行く!」

エイミー「駄目よ。だって結界はこの子の身体の中にあるのよ」

エイミー「貴女の強力すぎる攻撃に耐えられないかもしれないでしょう?」

まどか「そ、それは……そうかもしれないけれど、でもそれなら私もちゃんと加減するし」

まどか「それに、エイミー一人じゃ魔女に勝てないよ、危ないよ!」

エイミー「…………」


QB「……なるほど、エイミーの言い分ももっともだし、まどかの主張も理解できる」

QB「そこで僕に提案があるのだけれど、どうかな?」

まどか「提案?」

エイミー「……キュゥべえ、貴方まさか!」

QB「ねえまどか。彼女を救いたいのならば……」

QB「僕と契約して、魔法少女になってよ!」

エイミー「!!」


まどか「え、ちょ、ちょっと待ってよキュゥべえ。どうして私が貴方と契約すると、この子を助けられるの?」

QB「魔法少女の契約を結ぶ代わりに、僕はどんな願い事でも叶えてあげられるからね」

QB「その願い事で暁美ほむらを助けてあげればいいんだ」

まどか「なるほど……でも、私はもうエイミーと契約してるし」

QB「その点は問題ないよ。君が交わしたエイミーとの契約は、僕との契約とは無関係だからね」

QB「二重契約、という形になってしまうけれど僕は全然構わないよ」

エイミー「構わない、じゃないわよ……! 私が許さないわ、そんなこと!」


QB「どうしてだい? この方法なら間違いなく暁美ほむらを救えるのに」

エイミー「ふざけないで! その代償にまどかがどうなるかくらい、私は知っているのよ!」

まどか「代償……? それって、どういう――――」



「ドーレースにー着替ーえてー♪」



まどか「ふえっ?」

エイミー(っ!? な、なに……!? なんか聞き覚えのある歌声が……)

QB「これは……不味い!」ダッ!


マミ「魔法ーの舞踏会へ向ーかーうーのー♪」

まどか「まっ……マミさん!?」

マミ「あら? まあエイミー、それに鹿目さん! 奇遇ねこんなところで会うなんて」

エイミー「え、ええ……」

マミ「いえ、奇遇なんかじゃないわよね。此処にいるってことは貴女達も呼ばれたんでしょう?」

まどか「呼ばれた……って、誰にですか?」

マミ「決まってるじゃない……私たちの『女王さま』に!」

まどか「……へ?」

エイミー「貴女、何を言って」

マミ「うふふっ」


マミ「急におよばれしちゃってビックリしたけど……」

マミ「今夜は新しい仲間が出来たんだそうよ、さっき聞いたの」

まどか「ええと、それも……」

エイミー「……女王さまから?」

マミ「ええもちろん。聞いた話だと、新入りの子は赤毛の女の子なんですって」

エイミー「!」

マミ「ふふ、私ね、心当たりあるんだあ。きっとあの子だと思うの」

エイミー(佐倉、杏子!)


マミ「って、こんなところで長話してちゃダメよね。早くしないと遅刻しちゃうわ!」

マミ「ほら、『門番』さん? 門を開けて下さらない?」

ほむら「う……あああ……」

ズズズ...

まどか「暁美さんのお腹に、結界の入口が……!?」

まどか「ていうか、門番って……」

マミ「さあエイミー、鹿目さん? 行きましょうか、私達の国へ」

マミ「魔法少女の王国へ!」

まどか「え、ええと……」


まどか《ど、どうしようエイミー……なんかマミさんの様子がおかしいよ》

エイミー《そうね……昼間も少し様子がおかしかったけれど、今はもっと変だわ》

エイミー《それにあの眼。明らかに正気ではない……》

まどか《もしかして、魔女に操られて……!?》

エイミー《十中八九、そうでしょうね》

エイミー《だからこそ、暁美ほむらの結界の中にすすんで入り込もうとしているんだわ》


まどか《……エイミー、やっぱり私も結界の中に行くよ!》

まどか《暁美さんを放っておくことも、こんな状態のマミさんを放っておくことも出来ないよ!》

エイミー《……そうね、こうなったら仕方がないわ》

エイミー《貴方を置いてけぼりにして、キュゥべえと契約されても困るし……》

エイミー《一緒に行きましょう。暁美ほむらの体内、魔女の結界へ》

まどか《うん!》

まどか《……ごめんね暁美さん、貴方のナカに入らせてもらうね》

まどか《でも、すぐに助けてあげるからね……!》

エイミー《…………》





まどか《……あれ、そういえばキュゥべえは?》

エイミー《テーマ曲が流れ出した辺りで逃げ出したみたいだったけれど》

ほむらちゃん@おなかいっぱいな次回へ続く


~魔女の結界内部~

マミ「♪~♪~♪~」

まどか「こ、ここがマミさんの言う『魔法少女の王国』なんですか?」

マミ「ええ、とっても素敵な町並みでしょう?」

まどか「え、えーと」

まどか(確かに、遠くにお城っぽいのもあるし……城下街みたいに見えないこともないけど、でも)

まどか「……どう思う、エイミー?」ヒソヒソ

エイミー「……魔女の結界にしか見えない、とは言わないほうが良いでしょうね」ヒソヒソ

まどか「うん……」


まどか「あのー、マミさん? 『女王さま』に呼ばれたって話でしたけど……」

まどか「その女王さまってどこにいるんですか?」

マミ「ふふ、慌てない慌てない。すぐにお会い出来るわよ」

マミ「それよりまずは新入りさんを迎えに行きましょうか」

まどか「は、はい」

エイミー「……とりあえずは巴さんに従いましょう、まどか」

まどか「え?」


エイミー「恐らくは『女王さま』とやらが彼女を操っている魔女なんでしょうけれど……」

エイミー「今は下手に刺激しないで、案内して貰うのが得策だと思うわ」

まどか「そうだね……わかったよ」

エイミー「周囲に注意しニャがら進みましょう」

まどか「うん。……うん?」

まどか「エイミー、今なんか変なコト言わなかった?」

エイミー「え? そうかしら……」


まどか「ところでさ、エイミー。さっきの話なんだけど……」

エイミー「さっき?」

まどか「キュゥべえと契約すると、代償がどうとか言ってたよね?」

まどか「あれって何のコトだったのかな、って思って」

エイミー「それは……」

マミ「ああ、鹿目さんは知らなかったのね?」


まどか「マミさんは知ってるんですか?」

マミ「勿論よ」

マミ「キュゥべえと契約した魔法少女はね、魔女になって死ぬ運命なのよ」

まどか「へー、そうなんで……って、ええっ!?」

エイミー「ッ!?」

エイミー「巴さんっ、ニャんでそのことを知って……!?」


マミ「ふふ、これも女王さまに教えてもらったのよ」

マミ「あの子……キュゥべえが本当は私達の世界の住人じゃなくて」

マミ「ある目的のためにやって来た悪の魔法生物なんだ、って」

マミ「私達を欺いて絶望に追いやる存在なんだ、って」

エイミー「……!!」

マミ「だからね、私はキュゥべえを見つけたら殺すようにしてるのよ、うふふっ」

まどか「殺っ……!?」


まどか「そんなっ……ほ、本当なの、エイミー!? マミさんが言ってるコトって!」

エイミー「……そうニャ。巴さんの話は間違っていないニャ」

まどか「!?」

エイミー「キュゥべえは私達を欺いて陥れる悪魔のようニャ存在なのニャ」

エイミー「ヤツと契約した子は最終的に魔女になってしまうのニャ……」

まどか「え、ちょ、ちょっとエイミー? なんだか口調が」

エイミー「え? あ、あれ、何か変ね……ニャんでかしら」


まどか「えと、それよりも……魔法少女が魔女になるってことは」

まどか「じゃあマミさんもいつか魔女になっちゃうっていうの……!?」

マミ「ええ、そうよ。このままなら必ず魔女になるでしょうね」

まどか「そ……そんな……!?」

マミ「でも大丈夫なの! だって女王さまが教えてくれたんだもの!」

マミ「生きる希望さえ捨てなければ、私達は何度でもやり直せるんだって!」

マミ「どんな運命も恐れる必要はないんだって!」

エイミー「やりニャおせる……?」


杏子「おーい、マミさーん!」タッタッタ...

マミ「あ! 佐倉さん!」

エイミー「!」

まどか「え、誰?」

マミ「やっぱり貴女だったのね、女王さまが言ってた新しいコって!」

杏子「うん! こうして会うのも久しぶりだね……えへへ」

マミ「ええ、また会えて嬉しいわ♪」


マミ「鹿目さん、紹介するわね」

マミ「このコは佐倉杏子さん。私達と同じセーラー戦士なのよ」

杏子「佐倉杏子だよ、よろしくね!」

まどか「あ、はい、よろしく……って、セーラー戦士?」

エイミー「これでセーラー戦士も三人にニャったわね」

マミ「あはっ、どんどん賑やかになっていくわねー」

杏子「そのうち何十人とかになったりしてね! あはは」

エイミー「うふふふ……いいじゃニャい。頼れる仲間が増えれば心強いニャ」


まどか《エイミー! ちょっとエイミー!? なんの話!?》

エイミー《どうしたニャ、まどか?》

まどか《セーラー戦士ってなに? 私、セーラー服なんて着たことないよ!》

エイミー《……そういえばそうね。セーラー戦士って何かしら》

まどか《ねぇエイミー、さっきからなんかおかしいよ、口調も変だし……》

まどか《もしかしてエイミーも魔女に操られかけてるんじゃ》

エイミー《そんニャはずはニャいと思うニャ》

まどか《ぜんぜん説得力ないよぉ!》


まどか(ど、どうしよう……なんだかエイミーの様子がおかしいよ)

まどか(マミさんもセーラー戦士とかよくわからないこと言ってるし)

まどか(会ったことない子が急に現れるし)

まどか(それに、魔法少女が魔女になるって……ホントにホントなの?)

まどか(魔女に操られて変なこと言ってるだけかもしれないけど……)

まどか(……ううん、今は余計なことは考えないでおこう)

まどか(とにかく、ここの魔女をやっつけることが先決だよね)

まったく山場がなかったけど次回へ続く

269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] :2013/01/19(土) 08:43:15.12 ID:oJvG+tZro [専ブラ]
SSスレで考察()しちゃう人って寒い
下手したら>>1のネタ潰してやる気無くさせるかもしれんのに

だな
>>1が許可したとかスレが荒れるとかどうでもいいんだよ
考察()するようなゴミクズは俺たち正義派によって打倒されるべき

ふたりはまどキュア!~2ndシーズン~
このあとすぐ!


~魔女の結界内部・城門前~

マミ「さ、着いたわ! 此処が女王さまのいらっしゃるお城よ」

まどか「こ、ここがですか?」

マミ「素晴らしいお城よね、豪奢で、荘厳で……鹿目さんもそう思うでしょう!?」

マミ「すぐ後ろに雄大な河もあってロケーションもバッチリだし!」

まどか「え……は、はい」

杏子「ねえマミさん、お城ってことはやっぱりご馳走が出るのかな!」

マミ「まあ、佐倉さんたら!」

まどか「あ、あはは」


まどか「ねえエイミー、このお城どう思う……ううん、どう見える?」

エイミー「うん? どうって、傍に河が流れてる立派なお城に……」

エイミー「…………?」

エイミー「この城、砂で出来ているじゃない……!?」

まどか「うん。まるで砂浜で砂遊びして作ったお城を、とっても大きくしたみたいな……」

エイミー「あなたに言われるまで全く気がつかニャかった……いや、意識出来ニャかったわ」

エイミー「こんなの、一目見ればすぐ分かることニャのに……」


エイミー「貴女の言うとおり……私も魔女に操られかけているのかも知れニャいわね」

エイミー「改めて気を引き締めることにするわ」

まどか「うん!」

エイミー「……ねえまどか。もしも私が、貴女の手に負えないほどおかしくニャってしまったら、その時は貴女だけでも逃げ……」

まどか「大丈夫! その時は思いっきりつねって目を覚ましてあげるから!」

エイミー「つ、つね?」

エイミー「……くすっ、それは怖いわね。絶対に操られないように気をつけるわ」

マミ「二人とも、さっきから何を話しているの? 気になることでもある?」

まどか「あ、いえ。なんでもないです」

マミ「そう? ならいいけど……」


~砂の城内部~

まどか「やっぱり中も砂で出来てるんだね……」

エイミー「そうね……砂の壁、砂の階段、砂の扉……」

まどか「どうして崩れないんだろう……不思議だね」

まどか「まるで、時間が止まってるみたい」

エイミー「時間が……止まった砂」

エイミー「やっぱりここは……」

まどか「え?」


マミ「さあさあみんな、この扉の向こうが謁見の間、女王さまがいらっしゃる部屋よ」

杏子「おー、いよいよ女王さまと会えるのかー」

マミ「ふふ、くれぐれも失礼のないようにね、佐倉さん?」

杏子「はーい」

エイミー「気をつけるのよ、まどか。中で待っているのは恐らく……」

まどか「……魔女だよね、きっと」

エイミー「ええ……」

まどか「なにが起こるかわからないし、今のうちに変身しておこっか」

エイミー「…………そうね」


エイミー(……でも)

エイミー(今の私がまどかと合体しても平気なのかしら?)

エイミー(なんだか様子がおかしいのは変わらニャいままだし……)

エイミー(まどかに悪影響を与えないとも限らない)

エイミー(とはいえ……生身のまま、まどかを魔女と対面させるわけにもいかないわよね)

エイミー(少し危険な気もするけれど、仕方がないわ)

まどか「……エイミー? どうかしたの?」

エイミー「いえ、なんでもないわ。それじゃあ行くわよ、まどか!」

まどか「うん、お願い!」

『ハイパーネコミミまどかモード!』








(きっともうすぐ、ぜんぶ思い出せる)

(あの人が、きっと答えを持ってきてくれる)

(そんな予感がするの)

(まだかな……)

ガチャリ...

(あ……きた?)

(きた……来た!!)

(とびらがひらく)

(運命のとびらが!)


マミ「女王さま、巴マミ、只今参りました」

マミ「皆を連れてきましたわ」

杏子「初めまして、女王さま!」

まどか(あれが……あそこにいるのが)

エイミー(この結界の魔女。そして私の……!)


 玉座に腰掛けてにいたのは、『女王さま』という言葉のイメージからはかけ離れた黒衣の女だった。

 女は鍔の広い、腐りかけたカラスのような色をした帽子を目深に被っており、

 まどか達からは表情を伺い知ることは出来ない。

 ただ、女の全身から溢れ出す禍々しい気配だけは、厭でも伝わってきた。

 その異様は、女王などではなく────まさしく魔女と呼ぶに相応しい。

まどか「あなたが……女王さま? 此処の、主なの?」

 まどかが警戒心を露わにしつつ声をかけると、

《オ...オオオオオオオ...!!》
 
 魔女はうなり声を挙げ、不釣り合いな玉座から立ち上がり……

 そして、黒の帽子を脱いだ。

 その、露わになった顔は────

まどか「……え?」








(嗚呼……嗚呼!!)

(そうだ、思い出した、私は……あなたを救うために……!!)

(やっと、やっとあえた、嗚呼……嗚呼!!)

(さあ、はじめましょう! あなたを、魔法少女を救済するこの世界をはじめましょう!!)

(それこそがわたしの悲願! この救いようのない此岸から臨むわたしの悲願!!)

(それがわたしの存在する意味!!)

(わたしがあなたを守るわ……)

(─────まどか!! わたしの最高の友達!!)


まどか「……うそ……」

エイミー「……!?」

まどか「じょ、女王さまって……なんで!?」

エイミー「貴女が女王さまだって言うの……!?」

エイミー「そんなまさか、なんで、なんで貴女が……!?」





さやか「────可愛い女の子かと思った? 残念、クイーンさやかちゃんでした!!」


まどか「そ、そんな! まさかさやかちゃんがじょおうさまだったなんて!」

さやか「ごめんね、まどか。実はあたし、魔法少女の国の女王さまなの!」

まどか「なんで……どうしていままでおしえてくれなかったの?!」

さやか「敵の目をあざむくためには仕方なかったんだよ」

さやか「悪の魔法帝国……きゅっぷいランドにあたしのことをきづかれちゃマズかったから!」

エイミー「そうか、なるほどね……それならしかたがニャいわね」

まどか「でも……」


マミ「鹿目さん、女王さまのことを責めないであげて?」

まどか「マミさん……」

マミ「女王さまはいつもおっしゃっていたわ。一番の友達の鹿目さんに本当のことを伝えられなくて辛いって」

マミ「女王さまも苦しんでいたの。だから……」

さやか「ごめん、本当にごめんねまどか。あたしのこと……嫌いになった?」

まどか「そんなわけないよ! さやかちゃんがじょおうさまだってわかっても、わたしたちゎ……ズッ友だょ……!!」

さやか「まどか……!! ありがとう!!」


どかーん!

まどか「きゃ! な、なに?」

エイミー「大変よ! ついにきゅっぷいランドの兵隊が攻めてきたみたい!」

さやか「とうとうきたわね、きゅっぷいちゃんたちめ!」

まどか「でもおそれることなんてないよ!」

エイミー「そうね、わたしたちみんなが力をあわせれば、どんな敵も怖くないわ!」

マミ「みんなの友情パワーを見せてやりましょう!」

さやか「おー!」

杏子「…………」

まどか「あれ? どうしたの、さくらちゃん?」





杏子「……ばっかじゃねーの?」





まどか「……え?」


 魔法少女まどっちまどキュア! 来週のお話は!

 さやかちゃんがじょおうさまだってわかって、みんながなかよくしていたところに、

 いよいよきゅっぷいランドがせめてきたよ!

 でもだいじょうぶ、わたしたちみんなで力をあわせてやっつけちゃおう!

 ……え? あれ、どうしたのさくらちゃん、なんでわたしたちに武器を向けるの!?

 次回、第666話『うそうそ! さくらちゃんが敵になっちゃった!?』

 来週もまたみてね!

まどか(またみてね!)

エイミー(すばらしいニャまどか、かんぺきな次回予告ニャ!)

まどか(えへへ、ありがとうエイミー!)

Yes!スマイルまどキュアファイブGOGOスプラッシュスター! 次回もまたみてね!

ご心配おかけして申し訳ありません、諸事情によりお休みしておりました。
今後も不定期更新になる可能性が高く、皆様にはご迷惑をおかけするかと思いますが
必ず完結はさせますので何卒宜しくお願い致します。


QB「キミキミ! そう、そこの君だよ! ティロっときた!」

QB「僕と契約して魔法少女になってよ!」

幸子「ボクが……魔法少女にですか?」

QB「そう! 君からは物凄い才能を感じるよ! 君なら最高の魔法少女になれるはずだ!」

幸子「ふふん! そんなの当たりまえでしょう! カワイイボクは魔法少女だって完璧にこなしてみせますよ!」

スマイルまどキュア! 第3話 ~幸せな笑顔は苦痛に歪み死に絶えた~
このあとすぐ!








杏子(……あれ、あの女王さまって……)

杏子(どっかでみたような?)



さやか『なによ白々しい! 嫌がるほむらにちゅーしようとしたくせに!』

杏子『ば、アレはそーいうんじゃねーし!! アタシは魔法少女としてだな……』

さやか『はあ? 何が魔法少女よ! 馬鹿にしてんの?!』



杏子(……ああっ?!)

杏子(そーだ、そーだよアイツは、さっき会ったボンクラじゃんか……?!)

杏子(つーことは、あの女王さまってのは……)

杏子(……なるほどね、そーいうことか……)


どかーん!

まどか「きゃ! な、なに?」

エイミー「大変よ! ついにきゅっぷいランドの兵隊が攻めてきたみたい!」

さやか「とうとうきたわね、きゅっぷいちゃんたちめ!」

まどか「でもおそれることなんてないよ!」

エイミー「そうね、わたしたちみんなが力をあわせれば、どんな敵も怖くないわ!」

マミ「みんなの友情パワーを見せてやりましょう!」

さやか「おー!」

杏子「…………」

まどか「あれ? どうしたの、さくらちゃん?」

杏子「……ばっかじゃねーの?」

まどか「……え?」


杏子「ちょーっと呑まれかけてて危ないトコだったケド……」

杏子「女王さま役に、その馬鹿の幻影を持ってきたのは失敗だったね」

杏子「おかげでバカバカしいこと思い出して、正気に戻れたよ」

さやか「なんだとー! さやかちゃんは馬鹿じゃないぞ!!」

マミ「なんてことを言うの、佐倉さん!!」

まどか「ともだちのことをバカなんていっちゃいけないんだよ!」

杏子「はいはい。悪いけど、もう付き合ってやる気はないよ」

杏子「このくだらないお遊戯会も終わりにしようじゃんか」


まどか「い、いったいどうしちゃったのさくらちゃん……?」

さやか「……わかったわ! 杏子、あんたはきゅっぷい帝国の悪の魔法使いに操られているんだよ!」

さやか「あたしたちをケンカさせて、友情パワーをうばおうという作戦にちがいないわ!」

エイミー「そっか! そうだったんだニャ!」

まどか「なんて卑怯なの……! おねがいさくらちゃん、正気にもどって!」

マミ「私達マギキュアの絆は、悪い魔法なんかに負けないはずよ!」

杏子「……はあ」


杏子「……アタシは佐倉杏子だ。カードなんちゃらでもなんちゃらキュアでもない」

杏子「馬鹿な願いで家族をぶち壊した、馬鹿な魔法少女なんだよ」

杏子「マミなら、わかるだろ?」

マミ「うーん? なんのはなし?」

杏子「……ちっ」

杏子「こりゃダメだわ。完全に操られてるね、マミ」


杏子「…………」

杏子「……せっかく再会するなら、こんな状態じゃないマミさんに会いたかっ……」

杏子「って……あー、もう! なんでこんなこと言ってんだよアタシは!」

マミ「……?」

杏子「さっさとカタをつけるよ! んでもってマミ! 正気に戻ったら嫌みの一つでも言ってやるからな!」

杏子(くっそ、チョーシ狂うな……! これも全部魔女のせいだ!)

杏子(こーなったらとことんボコボコにしてやる!)


杏子(……とは言っても……このままじゃ、アタシに勝ち目はない、ね……)

杏子(マミと、あともう一人の奴も、魔女に操られているみたいだし……)

杏子(そもそも、未だに魔女の本体の居場所が掴めていない)

杏子(あの『女王さま』……さやかとか言ったか? アイツは単なる幻影だろうから、ブチのめしても意味はないだろうな)

杏子(ここはなんとかして魔女を誘き出さないと……)

杏子(でも、どーすれば魔女を誘い出せるんだ?)


杏子(この結界の魔女は、どうもアタシらを子供向けのアニメみたいな世界に閉じ込めたいらしいけど……)

杏子(それなら、真逆のことをすれば、魔女が嫌がることをすれば、腹を立てて出てくるかもしれない?)

杏子(……ガキが観るようなアニメや絵本とは、全く別の……例えば?)



『あ、あたしは――――なんかに屈しないんだからあ!』



杏子(……あ)

杏子(いやいや待てよ、流石にそれは引くっていうか)


さやか「良くわからないけれど……杏子がきゅっぷい帝国に操られているのは間違いないよ!」

さやか「二人とも、杏子を捕まえて正気に戻してあげよう!」

マミ「わかったわ! じゃあ鹿目さん! ここは力をあわせて!」

まどか「はい! いきましょうマミさん!」

エイミー「素敵な魔法で元通りにしてあげるニャー」

マミ「だいじょうぶ、こわくないわ」

まどか「きっともとのなかよしなさくらちゃんにもどれるよ……てぃひひ!」

杏子「っ……!」

杏子(くっそ、他の案を考えてる余裕はない!)

杏子(一か八か、試すしか……!)


杏子「あー……こほん。その前にさ?」

杏子「ちょーっと聞いて欲しいことがあるんだケド……いいかなぁ?」

マミ「……? なに? どうしたの佐倉さん」

まどか「もしかしてマギキュアのきずなを思い出してくれたの?!」

杏子「なーんかアタシさ、さいきん物足りないっていうかー? よっきゅーふまん、なんだ?」

エイミー「うん……? なにを言い出すんだニャ?」

杏子「だからさ、アンタ達のこと……その、えと……うう……」





杏子「む……ムリヤリ襲ってエッチなコトしちゃうけど、良いよねっ☆」





マミ「えっ」

次回もとってもニチアサ!
幸子は出ないよまた見てね!


マミ「え、えーと……佐倉さん?」

まどか「えっちな、って……!?」

さやか「ちょっとアンタ! ふざけたこと言ってんじゃ……!」

杏子「あー、えーと……うん、アタシ?」

杏子「実はソッチ系のオンナのコだったんだよねー?」

杏子「だからもう我慢できなくて? したくなっちゃった、っていうか?」


まどか「ソッチって……」

杏子「よーするにぃ……アンタらの身体を狙ってるってこと! えへへー!」

エイミー「んにゃっ!?」

杏子「んー、まずは鎖で……こうだ!」

ジャラジャラッ!

マミ「きゃあ!?」

まどか「ひゃん?!」


まどか「や、やだ! 離して!!」

マミ「何をする気なの、佐倉さん!」

杏子「何って、ご……ゴーカンに決まってんじゃん、ふふーふ」

エイミー「や、やめニャさい! 強姦なんてやめるニャ!!」

まどか「そ、そーだよさくらちゃん! こーいうのは好きな人とじゃなきゃダメなんだよ!」

杏子「う……ええと……」


杏子(……き、キツい!)

杏子(アタシこんなキャラじゃないし!! え、エッチなことなんてよくわかんないし……)

杏子(この方向性は間違ってたかも……)

杏子(で、でも今更後には引けないよな)

杏子(あのバカが口走ってたことを思い出して、なんとか演じきらないと……!!)


杏子「……なーに、すぐにアンタのほうからおねだりするようになるさー」

杏子「これなら強姦じゃなくて合意の上だろ、うふ、うへへ」

マミ「ひっ……!?」

杏子「それじゃあ早速……ちゅ、チューしちゃおっかな!!」

杏子「あんたらの具合を確かめさせてもらうよ、どんな味がするかなあ……う、うへへ」

まどか「や、やだあ!! こんなの絶対犯しいよ!!」


杏子「よーしまずはそっちのツインテちゃんから……!」

さやか「……やめて……」

杏子「……ん?」

さやか「やめて……こんなの、私の願った世界じゃない!!」

さやか「こんな世界望んでない!! まどかが嫌がることなんてしないで!!」

まどか「……さやかちゃん?」

杏子「ふーん……なるほどね」


杏子「うへへー、そーいうことならまどかちゃんをたっぷり可愛がってやろうかなー」

まどか「きゃあっ! さ、さわらないでよお!」

さやか「やめて……やめてよ、やめなさい!!」

杏子「可愛がっちゃうぞー……ええと、具体的には、その、可愛がっちゃうぞー」

さやか「やめろ……ヤメロ……!!」



サヤカ「まどカに────手ヲ出すなァアアアアアア!!」



まどか「ひっ……!?」

マミ「えっ、じょ、女王さま……?」


「────この世界は! まどかを幸せにするためにあるのよ!!」

「まどかのために繰り返す永遠の世界! 魔法少女たちの幸せな世界!」

「救いようのない此岸から渡る彼岸!!」

「それを妨げると言うのであれば、この世界を汚すのであれば……!!」

「貴女を────殺してやる!!」


 さやかの幻影が闇に飲み込まれていく。

 やがてその姿が完全に包み込まれると、入れ代わるようにして闇の中から別の人影が生み出される。

《オ...オオオオオオオオオオ!!》

 現れたのは、黒衣の魔女。

 彼岸に楽園を求める哀れな魔女。

 永遠の迷路に閉じ込められた、ある少女の────成れの果て。


マミ「な……なに? いったいなにがどうなって」

まどか「さやかちゃん……じゃない。魔女……?」

杏子「いい加減目を覚ませボンクラども!!」

まどか「!!」

杏子「見りゃわかるだろ! ここは魔女の結界で、アイツはただの魔女だ!!」

エイミー「あ……。ああ、そうだ、あれは……!」

杏子「あんなのさっさとやっつけて、ここから出るぞ!」

マミ「佐倉、さん……!」


マミ「そう……そうだわ、こんなところで遊んでちゃダメよね!」

まどか「うん……なんだか楽しい気分になってたけど……」

まどか「魔女をやっつけて、暁美さんを助けてあげなきゃ! ね、エイミー!」

エイミー「ええ……少し不覚をとったけれど、そろそろ反撃といきましょうか」

まどか「うん!」

杏子「……ふんっ、よーやく正気に戻ったみたいだね」

ジャラッ!!

まどか(あ、鎖、ほどけて……)


杏子「んじゃ、あのムカツク魔女をボコボコにしてやろうじゃんか!」

まどか「あ、はい……」ススス...

マミ「え、ええ」ススス...

杏子「……ちょっと。なんでアタシから距離を取るんだよ」

マミ「だって……ねえ?」

エイミー「貴女、ソッチの人なんでしょう?」

まどか「え、えっちなコトとか、されたら嫌だし……」

杏子「はあっ?!」


杏子「ば、バカ! 何言ってんだよお前ら!」

まどか「ご、ごめんね? 私、そーいう趣味ないから……」

マミ「しばらく会わない間に何があったのか知らないけれど……その、私はちょっと……ごめんなさい」

エイミー「えっちなのはいけないと思うわ」

杏子「だー!! もー! 違うってば!! さっきのあれは演……!」

魔女《────ガアアアアアアアアアアアア!!!!》

マミ「っと、それどころじゃないわね! 鹿目さん、魔女の動きに注意して!!」

まどか「はいっ!!」


杏子「ちょ、話を聞けよ!!」

マミ「それは後で。ね? ……で、でも、あんまりえっちな話はダメよ?」

杏子「ちが、だから……あークソぉっ!!」

魔女《アアアアアア!!》

杏子「魔女てめー、ボコボコじゃ済まさねーかんな!!」

次回もとって(ry

おジャ魔女えいみー、このあとすぐ!

私は繰り返す……

何度でも、何度でも。

何度でも、何度でも、何度でも。





何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも────

杏子「てりゃあああ!」

 気合いと共に繰り出された槍が、魔女の身体を切り裂く。

魔女『アアアアッ...!!』

 苦痛に身を捩らせながら悲鳴をあげる魔女。

 その隙を魔法少女たちは見逃さない。

マミ「ティーロ!」

 魔法で生み出されたマスケット銃が風穴を開け、

まどか「まどかアロー!」

 まどかの放つ矢が、魔女を張り付けにした。

魔女『ッ...!!』

杏子「どうだっ!?」

マミ「手応えはあったけど……」

魔女『オ...オオオ...』

 銀色の光の粒子が魔女の全身を包み込む。

 すると瞬く間に────。

まどか「っ……! 見て! 魔女の傷が……!」

マミ「えっ……!」

 切創、銃創、刺創……全ての傷痕が塞がっていく。

 さらには肉体の外傷のみならず、身に纏う装束も修復され完全に元通りとなった。

 最後に、抜け落ちたまどかの矢が霧散し消滅する。

魔女『オオオオオオオ...』

 結果として残ったのは、変わらぬ姿の魔女のみ。

魔女『オオオオオオオ...!!』

まどか「こ、こっちの攻撃が全然効いてない!?」

マミ「ううん、違う……効いていないんじゃなくて、ダメージがすぐに回復しているんだわ」

杏子「ちっ、メンドーだね……まあでも、回復する魔女なんて珍しくもないし」

杏子「さっさと片付けちまおうよ!」

マミ「……え、ええ。そうね……」ススス...

まどか「うん……」ススス...

杏子「さり気なく距離を置くな!」

マミ「回復能力に長けた魔女は、強力な一撃で仕留めるのが定石だけれど……」

まどか「だ、ダメですよ! だってここは暁美さんのお腹の中なんですよ?」

マミ「……そうだったわね。この魔女の結界は、あの女の子のお腹の中に出来ているんだったわよね」

マミ「……私が、撃ってしまったあの子の……」

まどか「えっ?」

杏子「でも、じゃあどうすんだよ、チマチマ攻撃してたんじゃコッチがバテちまうよ?」

まどか「うーん……エイミーは何か作戦思いつかない?」

エイミー「……やっぱり、あの魔女は……」

まどか「エイミー?」

エイミー(あれは、回復能力じゃない)

エイミー(こぼれた砂が巻き戻るのを感じた)

エイミー(間違いない。アイツは時間を操作している……)

エイミー(このまま攻撃を繰り返しても無駄だわ。ヤツは『何度でも繰り返す』でしょうね)

エイミー(…………)

エイミー(なら、私がするべきことは……)

エイミー「まどか。それに巴さん、佐倉さん。ここは私に任せてくれないかしら」

まどか「えっ?」

マミ「任せるって……」

杏子「……ていうかさっきから気になってたんだけどこの声ってどっから聞こえてんの?」

まどか「あっ、これはね。私のパートナーのエイミーが」

エイミー「……私の話は後にして頂戴」

エイミー「ヤツの回復能力は私が封じ込めるわ。その隙を巴さんと佐倉さんで突いてほしいの」

マミ「封じ込めるって……出来るの?」

エイミー「ええ」

杏子「そんな話を信用しろってのか。会ったばっかで手の内も分からないよーなヤツの話を」

エイミー「なら信用しなくてもいいわ。貴女はいつも通り魔女を倒してくれれば良い」

杏子「……ふん、ヤることはいつもと変わらないってことか。まあいいさ」

まどか「えと、私は?」

エイミー「まどかは下がっていて頂戴。いま変身を解くわ」

まどか「えっ、ええっ!?」

パアア...

杏子「おわっ、なんだ?」

マミ「鹿目さんの服が元通りに……!?」

まどか「な、なんで!? ホントに変身を解いちゃったの?!」

エイミー「仕方がないでしょう。合体したままじゃアレが使えないんだから」

まどか「……あ! そっか、あの魔法を使うんだねエイミー!」

エイミー「そうよ。私の魔法なら、ヤツの回復能力を押さえ込めるはずだから」

マミ「……あの魔法って?」

エイミー「巴さんには前に少しだけ話をしたわね」

エイミー「私の奥の手。見せてあげるわ」

マミ「……!」

杏子「何の話?」

エイミー「……巴さん、佐倉さん。変身を解いたまどかは完全に戦闘能力を失うわ」

エイミー「悪いけれど、この子を守ってもらえるかしら」

マミ「分かったわ、任せて」

杏子「気が向いたらな。……死なない程度には見ておいてやるよ」

まどか「ごめんなさい、迷惑かけちゃって……」

マミ「いいのよ、気にしないで?」

エイミー「ありがとう、二人とも……」

エイミー「────まどかを、よろしく頼むわね」

まどか「……? エイミー、なんだか……」 

エイミー「どうかした?」

まどか「う、ううん。なんでもないよ」

まどか「……エイミー、無理はしないでね?」

まどか「あの魔法ってエイミーの身体に良くないんでしょ?」

エイミー「……大丈夫よ。心配はいらないわ」

エイミー「……ねえ、まどか。私ね、貴女に隠していることがまだたくさんあるの」

まどか「……うん、なんとなく、そんな気はしてたよ」

エイミー「ごめんね、まどか」

エイミー「でも、だから……この戦いが終わったら、全部話すわ」

エイミー「私の隠し事、全部」

まどか「……本当に?」

エイミー「本当よ。約束するわ」

まどか「……うん、約束だよ?」

エイミー「……ええ」

エイミー「さあ、始めるわよ。準備はいいかしら」

マミ「私の方はいつでも平気よ!」

杏子「ナニをする気かは知らないけど……お手並み拝見といこうじゃんか」

まどか「わ、私は何もできないけど……がんばってくださいね、マミさん、佐倉ちゃん!」

マミ「ええ……今度は、しくじらないわ……!」

杏子「その呼び方はやめろよ……」

エイミー「……それじゃあ、行くわよ!」

 ────ガチャリ、と。

 時計の針のような音が、歯車が噛み合わさるような音が……エイミーの身体の中から響いた。

 次の瞬間、世界は灰色に染まり、すべてが凍りつく。

 鹿目まどかも、巴マミも、佐倉杏子も……指一本動かず、瞬きすらしなくなる。

エイミー「……この光景も久しぶりね」

 灰色の世界の中で変わらず動いているものは、エイミーただ一匹のみ────ではなく。

『オオオオオオオ...』

 黒衣の魔女もユラユラと身体を揺らしながら、呪詛にも似た声を漏らしていた。

エイミー「……やっぱり、お前も動けるのね」

魔女「オオオオオオオ...!!」

エイミー「予想はしていたけれど……まあ当然よね」

エイミー「だってお前は────」

次回もとってもウミアサ!(海の日朝8時30分の略)
また見てね!

おジャ魔女えいみーナ・イ・ショ 
第三話「夏だ! 海だ! 水着回だ!」

このあとすぐ!


~某県・海岸~

さやか「夏、真っ盛り! いやー、絶好の海日和ですなあー!」

まどか「えへへ……さやかちゃんたら、はしゃいじゃって!」

杏子「ったく、テンション高すぎて見てるこっにが疲れるよ……ところで此処って、焼もろこし売ってないの?」

仁美「ごめんなさい、ここは志筑家のプライベートビーチですから。そういった売店のようなものはありませんの」

杏子「ちぇっ、なーんだ……」

仁美「でもバーベキューの道具は一式揃っていますから……」

仁美「後でトウモロコシも買ってこさせますわ」

杏子「マジで!? やった!」

マミ「ふふ、よかったわね佐倉さん」


ほむら「あの……ところで、水着って何処で着替えればいいの?」

まどか「え? あ、そっか。ほむらちゃんは海初めてなんだよね」

マミ「着替えなら海の家で……って、ないわよねそんなの」

まどか「うーん、私もプライベートビーチなんて初めてだからよく勝手がわかんないや」

仁美「ああ、お着替えでしたらあちらの別荘で……」

さやか「うへへ、こーいう海で着替えるときはね。その辺の砂浜で裸になるんだよ」

まどか「え……!?」

マミ「ちょ、美樹さん?!」


ほむら「そ、そうなの? みんな大胆なのね……」

さやか「夏はヒトを開放的にするんだよ! だからみーんな恥ずかしがらずに脱いじゃうのだ!」

ほむら「成る程……わかったわ、じゃあ私も早速」

まどか「わああー! だ、ダメダメ! ダメだよほむらちゃん!!」

マミ「じょ、冗談に決まってるじゃない! 脱いじゃダメ!」

ほむら「私も冗談だから安心して」

まどか「ふえっ?」

さやか「あはは、なーんだ。信じたのかと思ったよ」

ほむら「流石の私もそこまで非常識なことはしないわ」

仁美「……残念ですわ、ほむらさんの霰もない姿が拝見できるかと思いましたのに」

ほむら「……えっ?」

仁美「ふふ、私も冗談ですわ」


杏子「やれやれ、ナニやってんだか……あ、そーだ、かき氷ってないの?」

仁美「ええと……確か、かき氷器も別荘にあったと思いますけれど」

さやか「杏子ちゃんもさっきから食べ物の話ばっかだねー」

ほむら「食欲旺盛ね」

まどか「育ち盛りなんだねっ、ふふ♪」

マミ「私なんて夏バテ気味で食欲ないから……元気な子が羨ましいわあ」

杏子「なっ……こ、子供扱いすんなよな!」

仁美「イチゴとブルーハワイ、どちらが良いですか?」

杏子「イチゴ! って、あ……」


さやか「ぷっ……」

ほむら「……くすっ」

杏子「ああーっ、もうっ!! かき氷は良いからさっさと泳ごうよ、ほら早く!」

マミ「はいはい」

仁美「じゃあ早速、別荘の方へご案内致しますわ」

まどか「はーい♪」

ほむら「よろしくお願いするわ」


~着替えを終え、再び海岸~

さやか「おっ待たせー♪」

まどか「わあーっ、さやかちゃんの水着かわいいー♪」

さやか「へへ、そーでしょそーでしょ? いやー、あたしもこの水着見たときビビッと来てさー」

仁美「さやかさんがお美しいから、尚更ステキに見えるんですわね♪」

さやか「うんうん、そのとーり! さやかちゃんが美人だから水着の良さも引き立つのだ!」

杏子「そーだなー、やっぱりさやかは美人だよなー」

ほむら「スタイルも良いし羨ましくなっちゃうわ」

まどか「モデルさんみたいだよね! うふふ♪」

さやか「ちょ、やめて、さすがに恥ずかしくなってきたわ……」


ほむら「私達は率直な感想を言っているだけよ。ねえまどか?」

まどか「ねー? さやかちゃんが美人さんだって、ホントのことを言ってるだけだよねー?」

杏子「ビーチの視線を釘付け! 魔性のオンナだよなー」

仁美「恭介さんがヤキモチを妬いてしまいそうですわねー」

さやか「もうやめて! ほら、あ、あたしなんかよりもっとスゴい人がいるでしょ! 現役アイドルのあの人が!」

さやか「……ってあれ? マミさんは?」

ほむら「そういえばまだ来てないわね」

まどか「着替えに時間がかかってるのかな?」


マミ「……あのー」

まどか「あっ、噂をすれば。遅かったですね、マミさ……ん?」

さやか「あれ、私服のまんま? 水着はどーしたんですか?」

杏子「あ、もしかして忘れたのか?」

マミ「う、ううん。そうじゃなくて……その、ね、水着は持ってきたんだけど……」

マミ「……む、胸がキツくて、着られなかったの……」

仁美「まあっ……!」

さやか「うはー……」

ほむら「マミ……貴女って人は……」

まどか「マミさん……」

杏子「あー、太ったのか」

マミ「ち、違うわよ! 太ってなんかいないわ!」


マミ「ただ、その、お仕事が忙しくて水着をじっくり選んでるが暇なくて!」

マミ「マネージャーさんに無理を言って頼んでおいたんだけど、ちょ、ちょっとだけ小さかったみたいで……!」

ほむら「…………」

まどか「そ、そうですか……」

さやか「あー、うん、わかりましたよ。でもどーするの? マミさんだけ泳げないんじゃ……」

仁美「ふふ……大丈夫ですわ!」

まどか「あ、何か良い考えがあるの、仁美ちゃん?」

仁美「ええ実は……そんなこともあろうかと、皆さんの分の水着は余分に用意してありますの!」

ほむら「何それ怖いわ」


仁美「長期滞在するのに水着が一着じゃ飽きてしまうかと思いまして……」

仁美「もちろん水着は皆さんの最新のデータに合わせて選びましたから、サイズもピッタリですわよ!」

杏子「へー、セレブってスゴいんだなー」

さやか「つ、ツッコむべきところはそこじゃないと思うけど……」

マミ「ま、まあ、何にせよ水着があるなら……ありがたく貸して貰おうかしら」

仁美「ええ、どうぞご遠慮なく♪」


マミ「……ホントにピッタリサイズだったわ」

仁美「まあ! お似合いですわ巴さん!」

まどか「な、なんかちょっと腑に落ちない気もするけど……」

まどか「でもこれで皆泳げるね、よかった!」

ほむら「そうね、仲間外れがいたんじゃ寂しいし……」

ほむら「心の底から思い切り楽しんで、素敵な思い出を作りたいものね」

まどか「うんっ!」

まどか「今日から一週間、いっぱいいっぱい遊ぼうね、ほむらちゃん!」

ほむら「ふふっ……ええ、そうしましょう、まどか」


…………。

さやか「あたしの水鉄砲が火を噴くぜー!」ドピュ!!

杏子「うわっ、しょっぱ! 口は狙うなって!」

さやか「ふははー、勝負の世界は非情なのだ!」ドピュドピュ!!

杏子「こっのぉ……そっちがその気なら、アタシだって!」

杏子『ロッソ・ファンタズマ!!』

さやか「ええっ!? 何それズルい!!」

杏子「おらっ、食らえ!!」バシャア!!

さやか「ひゃああ!?」


マミ「ふふ、楽しそうねあの子たち」

仁美「こっちも負けていられませんわね巴さん! というわけで……えいっ!」バシャア!!

マミ「きゃあ! もうっ、やったわね!」

仁美「うふふっ、鬼さんこちらですわ♪」

マミ「こら志筑さん! 待ちなさーい!」

仁美「きゃー! さやかさん助けてー!」

さやか「うん? よっし、援護射撃は任せろー!」

マミ「佐倉さん、捕まえて!」

杏子「はんっ……良く分かんないけど貸しだからなマミ!」


~砂浜~

ほむら「……ふぅ」

まどか「休憩かな? ほむらちゃん」

ほむら「ええ、少しね」

まどか「ふふ。じゃあちょっとだけお話ししよ?」

ほむら「いいわよ」

ほむら「……私も、貴女と話したいことがあったから」

まどか「えっ? なになに、なにかな?」


ほむら「その……ありがとうね、私なんかを誘ってくれて」

ほむら「おかげで私、とっても楽しめてるわ」

まどか「えへへ、喜んで貰えているなら何よりだよ」

まどか「でも一番感謝しなきゃいけないのは仁美ちゃんに、だよ?」

まどか「仁美ちゃんが『ワルプルギスの夜から見滝原を救ってくれた御礼に!』って……」

まどか「プライベートビーチに招待してくれたんだから」

ほむら「ええ、そうね。志筑さんにも感謝しているわ」

ほむら「後で個人的にも御礼しにいく予定よ」

まどか「うん、それが良いよ! 仁美ちゃんはすっかりほむらちゃんのこと好きになっちゃってるみたいだし」

まどか「きっとスッゴく喜んでくれるよ♪」

ほむら「ふふっ」


さやか「おーい二人ともー! なーにイチャイチャしてんのさ!」

まどか「っ……そ、そんな、イチャイチャだなんて!」

さやか「皆でビーチバレーするよ! ほむらもまどかも来てよー!」

ほむら「ええ、わかったわ」

まどか「もうっ……さやかちゃんたら……」

ほむら「行きましょうか、まどか?」

まどか「うんっ♪」


~夜・別荘の一室~

マミ「ふああ……」

さやか「おっ、マミさんの貴重な欠伸シーンだ。写メ撮っちゃえ」

マミ「や、やだ、やめてよ恥ずかしい……」

杏子「今日は一日中遊んだからなー、さすがのマミも疲れたか?」

マミ「そうみたい……ふぁ」

仁美「ふふ、それでしたら明日の朝はのんびり起きましょうか」

まどか「……!?」

さやか「それもいいねー、九時とかそんぐらいで」

ほむら「そうね、たまには遅めに起きるのも……」


まどか「わ、私は早起きしてもいいかな?」

ほむら「えっ?」

まどか「その、ちょっと、したいことが……」

さやか「んー……? あ、そっか! 明日って日曜日だっけねー」

仁美「日曜日……ラジオ体操ですの?」

まどか「ち、違うよ、えっとね、わたし……テレビが観たいの!」

まどか「朝、8時30分からの……」

マミ「8時30分からのテレビ? それってもしかして……」

ほむら「女の子向けの、魔法少女アニメ?」

まどか「う……うん……」


杏子「なんだ、アニメが観たいのか? まどかは子供だなー」

まどか「うう……やっぱりそう思うよね……ぐすん」

ほむら「そ、そんなことはないわ。ええ、いいじゃない、アニメを観たって」

まどか「ほむらちゃん……」

マミ「ふふ、私もそう思うわ。可愛らしい趣味で良いじゃない?」

まどか「か、可愛らしい……ですか……」


仁美「でも、どうしてそんな子供向けのアニメをご覧になっているんですか?」

仁美「あ、いえ、馬鹿にしているわけではないのですけれど……」

まどか「それは、えっと」

さやか「まどかは昔からそーいうアニメ好きだったんだよねー」

ほむら「へえ、そうなの?」

まどか「うん……それで、なんだかもう習慣になっちゃってて」

まどか「でも、理由はそれだけじゃなくて……」

ほむら「?」


まどか「アニメのなかの魔法少女のみんなってスゴいんだよ」

まどか「いつだって元気いっぱいで、誰かのために戦ってて」

まどか「辛いことや悲しいことがあっても諦めない。希望を捨てたりなんてしないの」

まどか「だから……ね、私、憧れちゃうんだ」

まどか「今はまだ半人前の魔法少女だけど……」

まどか「いつか私もこんなふうに、夢と希望でいっぱいの魔法少女になりたいな、って」

まどか「……えへへ、やっぱり子供っぽい理由だよね」

ほむら「まどか……」


さやか「あははっ、良いじゃん。まどからしい理由でさ」

さやか「……うん、あたしも早起きして観てみよっかな、そのアニメ」

杏子「……そーいやアタシも最初はそーいうのに憧れてたっけ」

杏子「愛と勇気が勝つ、正義の魔法少女の物語ってやつにさ」

杏子「……ま、悪くないんじゃない?」

マミ「ふふ、じゃあ初心に戻って、私たちも一緒に観ましょうか?」

仁美「じゃあ決まりですわね、明日は朝のアニメ鑑賞会といきましょう♪」

まどか「みんな……!」


ほむら「……くすっ」

まどか「あ、ほむらちゃんはやっぱり子供っぽい、って思う?」

ほむら「え?」

まどか「だって今、笑ってたし……」

ほむら「ああ、違うわ。そういう理由で笑ったんじゃなくて……」

ほむら「今まで知らなかったまどかの秘密を知ることが出来て……嬉しいなって思って」

まどか「あ……え、えへへっ。なんか……そんなふうに言われると照れちゃうよ」

さやか「ちょっとちょっとー、なにまた二人の世界に入ってるのさー」

仁美「ズルいですわ、まどかさんばっかり!」

まどか「そ、そんなんじゃないよっ!」

ほむら「ふふっ」


ほむら(まどかがアニメ好きだなんて……今までの時間軸じゃ知ることもできなかった)

ほむら(普通の女の子みたいに趣味の話をする暇なんてなかったものね……)

ほむら(…………)

ほむら(……こんな気持ちでのんびりしていられるなんて、夢みたい)

ほむら(ずっとワルプルギスの夜を倒すことだけ考えてきたから……)

ほむら(魔法少女として、平穏な人生なんて諦めてたから……)

ほむら(……幸せ過ぎて、怖いくらい……)

ほむら(でも、良いんだよね? 私は、私達だって、楽しんだって良いんだよね?)

ほむら(……これからは、まどかと一緒に、同じ時間を歩んでいけるんだよね……?)

──────

────

──






まどか「────どうしてさやかちゃんを殺したの?」





──────

────

──

QB「いやあ、まどかがこれほどの魔女になるなんて予想外だったよ」

ほむら「…………」

QB「でもおかげでノルマも達成できた。この星はまどかによって滅んでしまうだろうけれど……」

QB「君たちの犠牲のお陰で宇宙は僅かに延命された。ありがとう、感謝しているよ」

ほむら「…………」

QB「……聞こえてないみたいだね」

QB「さよなら、暁美ほむら。最後の魔法少女」


ほむら「どうして……」

ほむら「どうしてこうなってしまうの……?」

ほむら「やっと、やっと、未来を掴むことが出来たと思ったのに……」

ほむら「こんなのってないよ……」

ピシッ...

ほむら「っ……」

ほむら「私も……もう、終わりなのね……」


ほむら(砂時計はもう、とっくに止まっている……)

ほむら(時間遡航は出来ない……やり直すことは出来ない……)

ほむら(もう……私に出来ることなんて……ない……)

ほむら(なら……このまま、魔女になってしまったって……良いよね……)

ほむら(ごめんね……まどか……)

ほむら(あなたを……守れなかった……)

────バギンッ


ほむら(嗚呼、でも、もしも)

ほむら(もしも奇跡が起こるならば、どうかお願い……)

ほむら(私が私でなくなってもいい。どんな形でもいいから……)

ほむら(私は────)





ほむら「────私は、まどかとの出会いをやり直したい」





『────私は、まどかを永遠の迷路に閉じ込めたい』

次回もとってもニチアサ!
おじゃ魔女エイミー、またみてね!

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