佐天「壁殴り代行業スタッフ募集かぁ」 (65)
佐天「今月お小遣い厳しいし、ちょっとやってみようかなー」
初春「大丈夫なんですか?壁を殴るだなんて…」
佐天「初春は心配性なんだからー。ほらここ、【初心者、レベル0、女性も歓迎】って書いてあるじゃない」
初春「ああ、無能力者でもいいんですか。それなら安心ですね」
佐天「うんうん……ん?初春、今なんt」
初春「じゃあ私、支部へ行きますから。あとで話聞かせてくださいね」
佐天「え?あ、うん」
佐天「…とりあえず、電話してみよう」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1394283001
佐天「すいませーん、先ほど連絡した佐天涙子ですが」
土御門「おー、待ってたぜい。俺が所長の土御門元春だにゃー」
青ピ「涙子ちゃん言うんかー、ごっつ可愛いコやん。ボクが依頼人の青髪ピアスやで」
佐天「あ、よろしくお願いします」
土御門「んじゃ早速、業務説明して初仕事といくぜよ」
佐天「い、いきなりですか!?私、まだなんにもわかってないんですが」
土御門「大丈夫ぜよ。ウチのやり方は壁ドンと壁殴りの2コース、強さは松竹梅の3つだけだぜい」
佐天「はぁ…」
土御門「やり方も簡単。依頼人からの話を聞いて、君がその想いを壁にぶつけるだけだにゃー」
佐天「……」
土御門「ま、実際にやってみるといいぜよ」
佐天「けど、わざわざあたしがやる必要あるんですか?失礼ですけど、男性なら自分でやった方が…」
青ピ「ごめんなー涙子ちゃん。ボクもそうしたいのはやまやまなんやけど、ボクの手はごらんの有り様やねん」
佐天「え?あ、両手に包帯が…」
土御門「連日、自室で壁を殴り続けた結果だにゃー」
青ピ「ボクはなぁ、ただ普通の女のコと、普通に恋愛がしたいだけなんや。けどカミやんは……そんなボクの僅かな希望も、全部摘み取ってしまうんや」
佐天「あの、あまり話が見えてこないんですが」
土御門「補足するぜよ。俺たちのクラスメイトに上条当麻ってヤツがいるんだが、コイツが一級フラグ建築士でな。知り合った女のコを次々と虜にしてしまうんだにゃー」
佐天(上条さんって……もしかして、御坂さんや白井さんとよく騒いでる人?)
青ピ「クラスのコや小萌先生だけじゃ飽き足らず、最近は常盤台のお嬢様や、ナイスバディのお姉さん、教会のシスターにまで魔の手を伸ばしてるんや!」
佐天(……うん、間違い無さそう)
土御門「まぁそんなわけで、ここの壁を一発、ガツンと殴ってやって欲しいんだにゃー」
佐天「え、ここでいいんですか?」
土御門「ここは俺の自宅兼事務所。そして奇遇にも、隣はそのカミやんの部屋なんぜよ」
佐天「……納得しました」
青ピ「涙子ちゃん、ボクの両手に代わってよろしく頼むわ」
土御門「コースは壁殴り。強さは竹レベルだにゃー」
佐天「はいっ、それじゃいきますね…………はぁっ!」
ゴスッ
佐天「いっ、、、、たぁぁぁぁぁ!」
土御門「手首を傷めたか?テーピングしてやるぜよ」
青ピ「だ、大丈夫か涙子ちゃん!」
佐天「いたたた……すみません、上手くできなくて」
青ピ「何を言うてるんや、十分やで。不甲斐ないボクなんかのために、こんなに頑張ってくれて」
土御門「お疲れさんぜよ佐天さん、今回の報酬だにゃー」
佐天「た、たったあれだけで、お金もらっていいんですか!?」
土御門「俺たちの仕事は、依頼人の想いに応えること。ただ殴るだけじゃないぜよ」
青ピ「せやで。こんな可愛いコが、自分の手を傷めてまで殴ってくれたんや。ボクは感無量やで」
佐天「……」
佐天(あたしの拳は、想いを乗せていた?)
佐天(ううん、そんなことない。あたしはただ、言われるがままに殴っただけ)
佐天(お金もらえるのは嬉しいけど、自分の心に嘘はつきたくない!)
青ピ「ありがとな涙子ちゃん。無理言ってほんとごめんなぁ」
佐天「待ってください!もう一度、もう一度殴らせてください!」
土御門「どうした?依頼は十分果たしたぜよ」
佐天「あたしの気持ちが満足してません!あたしは役に立たないレベル0ですけど、他人のために、何かができる自分でいたいんです!」
青ピ「涙子ちゃん…」
土御門(ほぉ、なかなか見所のある娘だにゃー)
青ピ「よっしゃ、ほな梅を一丁追加注文や!ただ、ケガせえへんように気をつけるんやで!」
土御門「俺からもアドバイスしてやるぜい。手首はしっかりと固定、拳は小指だけに力を集中するんだ」
佐天「小指だけに…」
佐天(あ、ホントだ。握りやすい)
佐天「青ピさん、合図をお願いします!」
青ピ「よっしゃ、ほな行くでぇ!……なんでカミやんばっかりがモテるんやぁぁぁぁ!!!」
佐天「はぁぁあっ!」
ドスン!
土御門「おー、いい音だにゃー」
青ピ「涙子ちゃん、手は大丈夫?」
佐天「はいっ!あたし、やれました!」
青ピ「嬉しいでぇ……ボクは今、めっちゃ感動してるわ!」
上条家
上条「全く土御門のヤツ、何を騒いでいるんだ?」
禁書「とうまとうま、今の衝撃でこんなものが落ちてきたんだよ」
上条「え?そ、それは上条さん秘蔵の…!」
禁書「ねえとうま、【巨乳の淫乱お姉さんスペシャル号】ってなんなのかな」
上条「あのーですね、インデックスさん。これには深ーい深ーいワケがありましてね?」
禁書「とうまぁぁ!」
ガブッ
上条「んぎゃあああああああああああ」
佐天「…というわけなのよー。初春、聞いてる?」
初春「聞いてますよ。とってもおいしいですね」
佐天「んー、まあおいしい仕事、って言えばそうだけど」
初春「ですよねー、このクリームとチョコソースのバランスが絶妙で…」
佐天「ちょっと初春?」
初春「やっぱりオゴリだと、食が進みます」
佐天「いや、あたしオゴリだなんて一言も……まあいっか」
初春「あ、すいません携帯が……支部からの呼び出しですね」
佐天「えー、まだ話終わってないのに」
初春「また夜にでも電話しますね。それじゃ、ごちそうさまでした」トタタタタ
佐天「…ジャッジメントも大変だなぁ。あ、お会計お願いしまーす」
ありがとうございます。全部で4,200円になります。
佐天「ちょっ、ういはるぅぅぅぅ!アンタどれだけ食べたのよぉぉぉぉ!」
PPPPP…
佐天「あ、土御門さんから仕事のメールだ。どれどれ?」
依頼主:白井黒子
コース:壁殴り 松
場所:土御門事務所
佐天「……白井さん何やってるんですか」
佐天「事務所ってことは、また上条さん関連かな?」
佐天「まあいいや、とりあえず行ってみよう」
佐天「こんにちはー」
土御門「おうグッドタイミング。ちょうど今、依頼人も来たとこぜよ」
黒子「ごきげんよう佐天さん。お仕事ぶりを拝見しに参りましたの」
佐天「あははっ、まだまだ見習いなんだけど…」
土御門「そうでもないぜよ?スジがいいから、すぐに一人前になれるにゃー」
佐天「おだてても何も出ませんよーだ」
土御門「まあ、判断するのは依頼人の方ぜよ」
黒子「ふふっ、それではお願い致しますの。理由は……あえて語るまでもないですわね?」
佐天「はいっ、任せてください!」
黒子「お姉さまとイチャイチャ、羨ましいですのぉぉぉぉ!」
佐天「ちぇいさー!」
ズドン!
黒子「…なるほど、素晴らしい一撃ですわ佐天さん」
佐天「いやーそれほどでも」
黒子「では、約束の謝礼ですの」
土御門「毎度ありーぜよ」
ドドドドド……バタン!
上条「おい、土御門!昨日といい今日といい、一体何をやってやがる!」
土御門「よーうカミやん。悪いが、やらかしたのは俺じゃなくて、そっちの二人ぜよ」
上条「なんだと?」
佐天「ちょっ、土御門さん!?」
黒子「あーら、お姉さまにまとわりつく、おサルさんじゃありませんか」
上条「へっ、いいぜ。お前らが他人様に迷惑かけて、そんな態度を取ろうってんなら…」
佐天「いやあの、これはですね」
黒子「学園都市壁殴り条例、第十二条2項!壁殴り代行業の業務遂行に関し、不平不満を述べてはならない!」
上条「まずはそのふざけた……えっ?」
黒子「違反者には20万円以下の罰金、もしくは2年間の奉仕活動となりますの」
上条「罰金……だと?」
土御門「最悪の場合は、奨学金の取り消しもあるぜよ」
上条「うぐぐ」
佐天「あの、ごめんなさい!あたし、よく知らずにバイト応募しちゃって」
土御門「いいってことよ。なあカミやん?」
上条「えーと、あははは」
佐天「怒って……ませんか?」
上条「ま、まあ上条さんも苦学生の置かれている状況は、よく理解しているわけでありまして……ハァ」
禁書「む、またとうまが知らない女の人と仲良くしてる」
上条「いやいや、どこをどう見たらそうなるんだ?」
黒子「全く、毎度毎度節操がありませんこと」
上条「し、白井!これ以上誤解を招くようなことを言うんじゃない!」
佐天(ふむー、これは少しからかってみるのも面白そう)
佐天「あの、上条さん」ギュッ
上条「えーっと、なにゆえ急に、上条さんの手を握っていらっしゃるのでせうか?」
佐天「あたしを許してくださって、ありがとうございます。優しい方なんですね」ウワメヅカイ
上条「ははは……か、上条さんは紳士でありますから」
土御門(あーあ、カミやんやっちまったぜよ)
禁書「とうま」
上条「お、落ち着けインデックス。俺は別に、変なことしてるわけじゃないだろ?」
禁書「がるるる…」
佐天「白井さん、ジャッジは?」
黒子「もちろんギルティですの」
上条「ちょ」
禁書「罪人に神の裁きを!」
ガブッ
上条「不幸だぁぁーーーー!」
数日後
佐天「えっ、あたし一人でですか?」
土御門「ああ、なんせ今回の場所は常盤台の女子寮。男子禁制の聖域だからにゃー」
佐天「あたしも部外者なんですけど…」
土御門「話は通してある。心配はいらないぜよ」
佐天「はぁ、わかりました」
依頼人:食蜂操祈
コース:壁殴り 松
場所:常盤台女子寮
佐天「どうもー。壁殴り代行業の佐天ですー」
食蜂「待ってたわぁ。今日はよろしくね♪」
佐天「それじゃ早速、内容を教えてもらえますか?」
食蜂「わかったわぁ。実はここの隣、御坂美琴さんの部屋なんだけどぉ」
佐天「御坂さんの?あーやっぱり常盤台のお嬢様でも、レベル5に嫉妬しちゃうんでしょうか」
食蜂「そんなことないわぁ。だって私も、レベル5なんだゾ☆」
佐天「えぇっ!?」
食蜂「でも、高レベルだからっていいことばかりじゃないのよぉ。近付いてくる人は大抵、私の名声力に魅かれてくるコばっかりだしぃ」
佐天「んー、確かに御坂さんからも、似たような話聞きますね」
食蜂「御坂さんにはあなたや白井さんのような、素敵なお友達がいるじゃなぁい?」
佐天「まぁそうですが……依頼の理由はそれだけじゃない、ですよね」
食蜂「ふふっ、頭のいいコは大好きなんだゾ☆」
佐天「学力はいまいちなんですけどねー」
食蜂「じゃあもう一つの理由を話すわ。最近、御坂さんがご執心の男の人がいるんだけどぉ」
佐天「あらら、また上条さんですか」
食蜂「そうなのぉ。私もあの人とは、ちょっとワケありの間柄でぇ…」
佐天「それだけ聞けたらもう十分ですよ」
食蜂「ええ、よろしくね♪」
食蜂「御坂さんばっかり、ずるいわぁぁ!」
佐天「ちぇすとぉー!」
ズドン!
食蜂「すごぉい。私にはとてもマネできないパンチ力だわぁ」
佐天「ありがとうございます」
食蜂「それじゃ代金よぉ。また今度、お願いするわね♪」
佐天「毎度ありー」
御坂「ちょっと、今の音は何!?」
佐天「あ、御坂さんに白井さん」
黒子「やはり……佐天さんでしたの」
食蜂「御坂さぁん、いらっしゃぁい」
御坂「食蜂!?アンタ、佐天さんに何をしたの!」
食蜂「ひどいわぁ。私はただ、壁殴りをお願いしただけよぉ」
御坂「ふっざけんなぁぁぁ!アンタの部屋はここじゃないでしょ!」
食蜂「この部屋の方が、快く貸してくれたのよぉ」
女生徒「食蜂サマノオ役ニタテテ光栄デス」
佐天(な、なにか只ならぬ気配……御坂さんと食蜂さんって仲悪いの?)
御坂「前に言ったわよね?私の友達に手を出したら、ブッ潰すって」
食蜂「私は無実なんだゾ☆」
佐天「あたし、何もされてないですよ?」
食蜂「そうよねぇ。代行業を頼んだら、たまたま御坂さんのお友達が来ちゃっただけよぉ」
御坂「アンタの言うことなんて、信じられるわけないでしょう!」
黒子「お姉さま、どうか落ち着いてくださいまし」
佐天「ごめんなさい御坂さん。一応、お仕事なんで」
御坂「……わかった。じゃあ私も佐天さんに依頼するわ。コイツの隣の部屋で、思いっきりぶん殴ってちょうだい!」
食蜂「何それぇ、ひっどーい」
佐天「すみませんが、その依頼は受けられません」
御坂「どうしてよ!」
佐天「理由が薄すぎるんですよ。単にムカつくから、というだけならご自分でお願いします」
黒子「お姉さま。壁殴りという職業柄、依頼するだけの正当な理由が無ければ、ただの嫌がらせですの」
御坂「ぐぬぬ」
食蜂「自分でやるにしてもぉ、隣の人が部屋を貸してくれたら、だけどね♪」
御坂「上等よ!壁ごとアンタをぶっ飛ばしてやるから、覚悟しなさい!」
寮監「やかましいぞ貴様等!」
黒子「げ……り、寮監様」
御坂「ちょうど良かった。隣で騒ぐこの女に、制裁を加えてください」
寮監「む……そこのお前、見ない顔だな」
佐天「毎度ー、壁殴り代行業ですー」
寮監「ああ、話は聞いている。バイトも社会勉強の一つ、結構なことだ」
食蜂「寮監様ぁ、御坂さんがひどいんですぅ。かくかくしかじかでぇ、佐天さんも迷惑してるのぉ」
御坂「ちょ、ちょっとアンタ!」
寮監「ほぉ……」ゴゴゴゴゴ
寮監「白井、壁殴り条例の十二条3項だ」
黒子「は、はいですの……前述の2項に加えて、業務遂行の妨害をしてはならない、ですの」
寮監「分かるな御坂。現状を見る限り、非はお前の方にある」
御坂「そ、そんなのアリ!?」
黒子「お姉さま、ここはどうか引いてくださいまし」
食蜂「うふふ……ところでアナタ、次回から佐天さんが来たら、また部屋を貸してあげてねぇ」
女生徒「ハイ、食蜂サマノ仰セノママニ」
御坂「食蜂ォォォォ!」
寮監「御坂、少し黙れ」ゴキッ
御坂「」
佐天(うわー、御坂さんの首があらぬ方向に曲がっちゃってるよ…)
初春「そんなことがあったんですかー」ザワザワ
佐天「御坂さんには、悪いことしちゃったかなぁ」
初春「大丈夫です。お仕事だ、って割り切ってくれますよ」ザワザワ
佐天「しかし初春、よく食べるねー。そろそろ太ってきたんじゃない?」
初春「そ、そんなことないです!ちゃんとベスト体重をキープしてますから」ザワザワ
佐天「そうなんだ。ちょっと羨ましいかも」
初春「最近は学園都市も平和ですし、佐天さんに頻繁にオゴってもらえて、私いまとっても充実してるんです」ザワザワ
佐天(充実してるのは頭のアレのような……養分吸われてるんじゃない?)
ステイル「あの子とイチャイチャするなぁぁぁ!」
佐天「でりゃあ!」
ズドン!
海原「僕だって、彼女の傍にいたかった!」
佐天「ふんもっふ!」
ドゴンヌ!
一方通行「眩し過ぎンぜェェェ!ヒィロォォォ!」
佐天「そぉい!」
ソゲブ!
佐天「いやー、千客万来だねー」
上条「」ガクガクブルブル
また数日後
佐天「毎度ー、壁殴り代行業ですー」
絹旗「超お待ちしてましたよ」
佐天「では早速ですが、依頼理由を聞かせてくれますか?」
絹旗「その必要はないです」
佐天「えっ」
絹旗「あなたが最近、こちらのシマを超荒らしてる業者ですね?」
佐天「も、もしかして同業者さん!?」
絹旗「このまま好き放題やられては、壁殴り代行業【さいあい】の超名折れです」
佐天「あたしを……どうするつもりですか?」
絹旗「レベル0相手に力づくは超簡単ですが、それだと面白くないです。ここは一つ、勝負といきましょう」
佐天「受けてたつ、しかないですよね」
絹旗「場所とかはそちらに任せます。まあどんな条件でも、私が負けるとは超思えませんが」
佐天「わかりました。では、もう一件入ってた依頼で勝負しましょう」
依頼人:御坂妹
コース:壁殴り 竹
場所:常盤台女子寮
佐天「ごめんなさい。お客さんを巻き込む形になってしまって」
御坂妹「かまいません、とミサカは一粒で二度おいしいこの状況に、思わずほくそ笑みます」
絹旗「ハンデとして私が先攻します。ただ、こちらの手の内を見せたら、やる気を超なくすでしょうけどね」
佐天「そんなの、やってみなけりゃ…」
絹旗「超窒素パンチ!」
ドゴォォン!
佐天「な……壁をぶち抜いた!?」
御坂妹「おお、これは世界を狙えるストレートですね、とミサカは惜しみない賛辞を贈ります」
絹旗「ふふん、どうですか?負けを認めるなら、私の部下として超こき使ってあげますよ」
佐天「……」
御坂妹「たとえ金属バットがあったとしても、彼女の威力を上回ることは不可能です。とミサカは情け容赦ない分析結果を伝えます」
絹旗「気にすることはないですよ。超当然のことですから」
御坂「くろこぉ……壁、穴開いちゃったよぉ」
黒子「お姉さま。黒子がお傍についておりますの」
御坂「私が何をしたって言うのよ…」
佐天「あっはっはっは、これがあなたの壁殴りですか?冗談キツイですよ」
絹旗「なんですか。負け惜しみとしても、超聞き捨てならないです」
佐天「何故あたしが最初に、依頼理由を聞くと思いますか?」
絹旗「知ったことじゃないです。依頼者に代わって壁を超ぶち抜くだけのことに、理由なんていらないですよ」
佐天「あなたのやってることはただの壁破壊です。お客さんの想いに、何一つ応えてなんかいません」
絹旗「お客さんの……想い?」
佐天「あたしが本当の壁殴りを見せてあげますよ。妹さん、お願いします」
御坂妹「承知しました。とミサカは自らの想いを、あなたに託すことを決意します」
御坂妹「お姉さまと彼がどんどん親密になっていくのを、指をくわえて見ている事しかできないのがもどかしいです。とミサカは素直な心情を吐露します」
佐天「ぶるあああ!」
ドォォン!
絹旗「!!!」
佐天「わかりますか?あたしとの違いが」
御坂妹「あなたのパンチには、何やら言葉では言い表せない、決定的な差がある。とミサカは感じ取りました」
佐天「自己満足ではなく、顧客満足こそ、このお仕事の重要なポイントなんです」
絹旗「超……目が覚めました。師匠と呼ばせてください!」
佐天「し、師匠だなんてそんな……」
絹旗「使いっぱしりでも何でもやります!弟子にしてください!」
佐天「うーん……じゃあ、一つだけお願いしていいかな?」
絹旗「はい、なんでしょうか」
佐天「あたしのことは涙子、って呼ぶこと。それが条件ね」
絹旗「わかりました師しょ、いえ、涙子!私のことも最愛って超呼んでください」
佐天「うん、よろしくね最愛♪」
御坂妹「感動の物語が一息ついたところで、ミサカは今日の出来事をミサカネットワークで宣伝拡散いたします」
佐天「どんどん行くよ、最愛!」
絹旗「超お任せください涙子!」
19090号「ではこのミサカも便乗して、依頼したいと思います」
10039号「ミサカも(ry
13577号「ミサカも(ry
14889号「ミサカも(ry
番外個体「ぎゃは☆」
テレスティーナ「ぎゃははヴァーカ!」
pぉきじゅhygtfrですぁq
御坂「あははー♪かべにあなー、おっきなあなー」
黒子「もうおやめくださいまし!お姉さまのSAN値は既に0ですの!」
土御門事務所
佐天「今日は助っ人、ですか?」
土御門「ああ、依頼人がちょっと厄介なヤツでな。他社から手伝ってくれって頼まれたんぜよ」
絹旗「超訳あり物件ってことですか」
土御門「念のため、今回は絹旗。お前が行ってくれるかにゃー?」
絹旗「了解ですよ。私の成長ぶりを、超見せつけてやります」
佐天「……」
佐天(何だろう……妙な胸騒ぎがするなぁ)
依頼人:姫神秋沙
常盤台女子寮
黒子「お待ちしておりましたわ」
上条「ああ、お前が俺を頼るなんて、よっぽどの事態だったようだな」
御坂「あー、とうまくんだー。わーいわーい」
上条「ビリビリ……いや御坂、お前…」
黒子「宿敵であるあなたに、恥を忍んでお願いしますの。どうかお姉さまを助けてくださいまし」
御坂「とうまくーん、みこととあそぼーよー」
上条「わかったよ、もう大丈夫だ。なんせ頼りになる友人を連れてきたからな」
黒子「そちらの御方、ですの?」
垣根「毎度ー、なんでも修理の【ていとくん】ですー」
黒子「では、この壁の補修と防音をお願いできますか?」
垣根「こりゃひでぇな。能力者の仕業か」
御坂「ねーねーとうまくーん、あそぼーよーあそぼーよー」
上条「御坂、危ないからちょっとだけ大人しくしててくれるか?」
御坂「おとなしくしたらあそんでくれる?」
上条「ああ、好きなだけ遊んでやるぞ」
御坂「えへへ……みこと、おとなしくまってる!」
垣根「色々大変そうだな」
上条「済まないなていとくん。対処できそうなのは、お前くらいしかいなくてさ」
垣根「いいってことよ。俺とお前の仲だ」
黒子「お二方がどうやって知り合ったのか、気になるところですの」
上条「ところで白井、報酬の件だが」
黒子「常盤台食堂でのディナー食べ放題。既に手配は済んでますの」
垣根「綺麗どころは用意してるんだろうな?」
黒子「はいですの。わたくしとお姉さま、それに婚后さん、泡浮さん、湾内さんがメイド姿で給仕いたしますわ」
上条「ていとくん、ホントにこれでいいのか?」
垣根「ああ、お前のコネがなきゃ、常盤台のお嬢様に囲まれてのハーレムパーティなんざ、夢のまた夢だからな」
黒子「全く……殿方の考えることは理解できませんの」
上条「悪いな。俺の方は、インデックスのご機嫌さえ取れたらそれでいいからさ」
垣根「それじゃいくぜ?部屋は少し狭くなるが、構わねえよな」
黒子「承知ですの」
パキパキパキパキ…
垣根(未元物質で穴を補修、さらに厚さ1mの壁を生成……)
上条「おおすげぇ、さすがだぜ」
垣根「ふう、こんなもんか」
黒子「お姉さま、ご覧くださいまし。もう壁の穴はなくなりましたの」
御坂「あな……ふさがっちゃったの?もうだれもたたかないの?」
黒子「ええ、ご安心なさってくださいな」
上条「さあていとくん、決めゼリフだ!」
垣根「OK、俺の未元コンクリートに、常識は通じねぇ!」(キリッ
『根性ォォォォ!!!』
ドガシャァァァァン!!!……パラパラパラ
御坂「」
黒子「」
上条「」
垣根「」
削板『どうだぁ!ありったけの気合いを込めてやったぜ!』
上条「あのー、ていとくン?」
垣根「……済まん。常識外のバカには無意味だったみてぇだ」
御坂「ぴえぇぇぇ~ん」
姫神「……足りない。全然。満たされない」オオオオオ…
削板「お、俺の根性がまだ足りないってのか!?」
絹旗「この想いは執念……いや、超怨念と言うべきですね。背後から聞こえるうめき声が、超怖いです」
姫神「悔しい。妬ましい。羨ましい」オオオオオ…
削板「自分の寮の壁も、転がり込んだ先生ん家の壁も、全部ぶっ壊したってのによ」
絹旗「こ、今度は私がやりますよ!」
姫神「二番目の。メインヒロインとして出てきたのに。私は。何のために。存在するの?」オオオオオ…
絹旗「超窒素パンチ!」
ドォォォン!
姫神「悲しい。ただ哀しい」オオオオオ…
削板「これでも不満なのかよ……見上げた執念、男だぜ!」
絹旗「馬鹿はさておき、このままでは超埒があきません」
姫神「中二病。似非巫女。セクハラ要員。設定モロ被りな大食い。腹裂き生け贄」オオオオオ…
絹旗「連打連打超連打ァァァ!!!」
削板「根性熱血勝利ィィィ!!!」
ドガガガガガガガ
姫神「……SSどころか。薄い本にすら。私の居場所は。ほとんどない」オオオオオ…
削板「やべぇな、だんだんメタってきやがった」
絹旗「もしもし涙子ぉぉ!超助けてくださぁぁい!」
佐天「はいはーい、あたしはここですよー」
絹旗「うわぁぁん涙子ぉぉーっ」
佐天「一応、近くに来てて良かった。嫌な予感がしたからさ」
削板「よおし、友情パワーで一気に逆転だ!」
姫神「■■。空気。スルー。モブ扱い」オオオオオ…
佐天「ありゃりゃ、これは重症だね。あたしにお話、聞かせてくれる?」
姫神「私も。無能力でいいから。あなたのような。元気系になりたかった」オオオオオ…
佐天「そっかぁ……じゃあ、その想いを込めて、一緒に叩いてみようよ」
姫神「出番ンンンンン!!!」
佐天「無能で悪いかあああ!!!」
絹旗「鎌○に超言ってえええ!!!」
削板「根性で補ええええ!!!」
……一つの依頼が終了した。
姫神秋沙はひとまずの鬱憤を晴らし終え、その姿を影に沈めた。
佐天涙子と絹旗最愛は、削板軍覇を新たに仲間に加え、一層のシェア拡大を目指す。
そして、上条当麻が新たなフラグを建てたり、新刊が出たりする度に、土御門事務所の電話が忙しく鳴り響くことだろう。
浜面「お、俺、滝壺のこと、絶対守ってやるからな」
滝壺「うん。そんなはまづらを、わたしはそばでずっと応援している」
浜面「滝壺…」
滝壺「はまづら…」
麦野「チッ、これ見よがしにイチャつきやがって」
麦野「あーもしもし代行業さん?この佐天、絹旗、削板の特盛三連コースを頼みたいんだけどー」
~完~
お疲れ様です。短編なので一気投下しました。
コメいただいた方々、ありがとうございます。
みこっちゃんはまあ、黒子の献身的介護がありますので、問題はないかとww
このSSまとめへのコメント
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