インターハイ・決勝 先鋒戦 後半 南3局
照「ツモ 4000オール」
恒子「あーっと、チャンピオン宮永照!ここへきてトドメの満貫ツモ!!」
恒子「これで4位の清澄高校が飛び終了!!なんと、決勝戦は先鋒で決着がついてしまったぁ!!」
健夜「前半戦で宮永照の親番が最後だったのが他の3校にとって厳しい結果に繋がりましたね」
健夜「打点が上がってからのチャンピオンの連荘を止めるまでに点を失いすぎました」
タコス「うぅ……何もできないまま終わったじぇ……」
恒子「これで王者白糸台の3連覇!宮永照は無敗のままインターハイを終了!まさに、インターハイはこの人のためにあった!!」
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大会終了後 対局室廊下
照「……」カツカツカツ
咲「お姉ちゃんっ!!」
照「……ッ!!」ビクッ
咲「待って!お姉ちゃん! 私、お姉ちゃんに会うためにここまで来たの!」
咲「……お姉ちゃんと、もう一度……昔みたいに話がしたくて!」
照「……」
照「……麻雀で負けた者と無駄話する時間はない」ググッ
咲「そんな……お、ねえ、ちゃん……」グスッ
照「……」カツカツカツ
照(すまない、咲……でも、咲が私に麻雀で勝てるくらいにならないと、父さんと母さんは私が咲と一緒に暮らすことを許してくれないんだ)ウルウル
照(抵抗できない咲の貞操が危ないから、だってさ……)ウルウル
照(少しでも話すと、後で辛くなるから……どうせ一緒に暮らせないなら、話さない、ほうが、いい……)グスッ
咲「うう……お姉ちゃん……私と直接戦ったわけじゃないのに……」グスッ
咲「でも、お姉ちゃんのあの口振りだと、麻雀で勝ったら話してくれるはず」
咲「……こうなったら、あれをやるしかない」キッ
咲「急いで家に帰らないと」タッ
宮永家 物置
咲「」ゴソゴソ
咲「……あった!」
咲「宮永家に代々伝わる血まみれの雀卓!」
咲「半分くらいは、お風呂上りにお姉ちゃんと打った時に、お姉ちゃんが出した鼻血だけど」
咲「あれからだなぁ……お母さんとお父さんがお姉ちゃんと私を別々に連れ出し始めたのは……」
咲「さて、この雀卓の前で、代々伝わる呪文を唱えると……」
咲「カン! イーシャンテンリャンシャンテン! キルゼムオール、リンシャンカイホウ!!」
ズググググ
キイイイイイン
初投下です。
※作者は麻雀のルールを知りません。よって、闘牌シーンなどは皆無です。
一応読んだことある麻雀漫画→咲、アカギ、ムダヅモ、凍牌、ギャグマンガ日和、ハクミ
安福「いけるよね……?」
咲、中3、3月
咲「ふう……えっと、今の日付は……?」
咲「すごい! ほんとに時間が戻ってるよ!」
咲「よし! これで、ここから最強のメンバーを集めなおすんだ!」
咲「優希ちゃんたちは大好きだけど、お姉ちゃんに勝つには……こうするしかないよね……」
清澄高校 職員室
教師A「これが、新入生の一覧と、新クラスの名簿のデータか。これを大きな掲示用に直さないとな……」
咲(よし、狙い通りのタイミングだよ!他に先生は……いない!)
咲(ゴッ倒す!!)ボッ
咲「カン!!」
教師A「ぐわっ」
咲「よし!今のうちに」カタカタカタカタ
咲「次は電話電話っと……もしもし、風越女子ですか?こちら清澄高校の――」
――
咲「――では、そういうことでお願いします」
咲「これで、元清澄メンバーの処遇は完璧だよ!」
咲「次は新メンバーのための下準備を……まず呼ぶべきはあの人とあの人かな?」
咲「あ、もしもし、宮守女子ですか? はい、こちら長野県清澄高校麻雀部の宮永と申します――」
咲「え?牌符を? はい!すぐに送ります!はい!はい!」
――
咲「ひとまず、今日はここまでかな」
咲「新学期が楽しみだよ!」
4月 清澄高校 新学期開始日 校門付近
優希「なんで別の学校にいかないといけないんだじぇ!」
和「そうですよ!」
教師「しかし、3月下旬に家庭の都合で他の学校に入学するとの連絡が……」
教師「転入先の学校からも転入手続き完了の連絡も来ておりまして……」
久「それで、私達はどこの学校に行くことになってるのかしら?」
教師「えーっと、片岡さんが奈良、晩成高校。原村さんが鹿児島、永水女子。染谷は風越女子。そして、竹井、お前は大阪、姫松高校だ」
まこ「何だか麻雀強豪校ばかりじゃのう」
優希「うぅ……奈良なんてそんなオカルトありえないんだじぇ……」
和「今度は鹿児島ですか……もしかして急に父の転勤が決まったんでしょうか?」
和「最近話す時間もありませんでしたし……」
久(困ったわね……急に大阪なんて……ウチにそんな金銭的余裕は……)
咲(……)
咲(……みんな、ごめんなさい)グスッ
咲(でも……全国大会出場常連校ばかりだから、全国で会おうね……)グスッ
咲(……まこ先輩はお店の関係で長野県内しか選択肢がなかったよ。県予選でゴッ倒さなきゃ)
清澄高校麻雀部部室
咲「さて、気を取り直して!」
咲「とりあえず、3人、今日から清澄高校に来てくれるように手配したから。そろそろ来てくれるはずだよ!」
???「」カツカツカツ
???「ここが麻雀部の部室だね」
咲「来てくれた!」
???「りっぱな卓があるじゃないか」
咲「来てくれてありがとうございます」ペッコリン
咲「熊倉トシさん!」
トシ「あんたが宮永咲だね。牌符見させてもらったよ」
咲「それで、入部していただけるんでしょうか?」
トシ「あんな牌符見せられたら来ないわけにはいかないよ」
咲「それじゃあ?」
トシ「今日から清澄の臨時教師に来ることになってるよ」
咲「やったぁ! これで白糸台に一歩近づいたよ!」グスッ
トシ(こうして見ると普通の可愛い子供だねぇ)
トシ(でも……雀力は……79万!!)ピピ
トシ(この雀力にあの牌符……間違いなく宮永照の親族……!)
トシ(宮守女子にはもう教えることは全部教えた。あの子たちなら間違いなく全国大会に出場してくれる)
トシ(年寄りの最後のワガママとして……この素質の行きつく先を見届けたい……!!)
トシ「それで、まだメンバーはあんた一人かい?」
咲「いえ、トシさんを含めて3人、今日から来てくれます!」
咲「なので後1人揃えば団体戦に出場できます!」
トシ「ん? 私とあんたを含めて4人? じゃあ必要なのはあと2人じゃないのかい?」
咲「? どうしてですか?私とトシさんと、今日来るはずの残りの2人そしてあと1人で5人ですよ?」
トシ「」
トシ「ま、待ちない!」
咲(待ちない?)
トシ「ま、待ちな! あんたそれ、正気で言ってるのかい?」
咲「? マジですよ? おおマジですよぉ?」
トシ「」イラッ
トシ「わたしが団体戦に出られるわけないだろう」
咲「え?」
トシ「明らかに60歳以上の私が団体戦にエントリーできるはずがないでしょうが」
咲「あ……」
咲(しまったよ……強さと、その人がメンバーから抜けても、地区予選の結果に影響を与えないようにメンバーを選んだから……)
咲(思わぬ盲点だったよ……)
咲「せ、せせ、制服を着ればなんとか」アタフタ
トシ「本気で言ってないだろうね……? ま、落ち着きなさいな」
トシ「顧問は喜んで引き受けるさね。メンバーを集める時間はたっぷりあるからね」
咲(そうだよね……それにこの人ならうまいことメンバーを集めてくれそう)
トシ「ま、ひとまず一服しようかね。ドリンクは?」
咲「あ、じゃあ、お茶を」
トシ「おや、冷蔵庫のなかに、何か……ポンカンジュース?」
???「それは、鹿児島産のポンカンを搾り取って作った100%のポンカンジュースですよ」
???「お土産として朝一番から冷やしておりました」
咲(2人目が来てくれたよ!!)
???「鹿児島、永水女子から転入して参りました。石戸霞です」
トシ(おんやぁ、これまた大物だねぇ……)
咲「麻雀部員の宮永咲です! ようこそ!清澄高校麻雀部へ!」
霞「こちらこそよろしくお願いしますね」
霞(ふんふむ……)
霞(急な転校は間違いなく何らかの“魔”の力が働いた結果だと思って来てみたけれど……)
霞(普通の女の子にこんな大がかりなことができるのかしら?)
霞(害を為すようなものなら払う必要もあるけれど……)
咲(うぅ……何だか疑われてるよぉ……)ウルウル
トシ(雀力45万……恐ろしい子達だねぇ、まったく)
霞「宮永さん、ちょっとよろしいかしら」
咲「!?」ビクッ
???「あのう……麻雀部の部室はこちらでよろしいのでしょうか?」
咲「あ、あー、はい!ここです!」
霞(あら、ごまかそうとしちゃって)クス
???「ああ、よかったわ……まあ、素敵なお部屋!」
???「あ、私は今日からこちらに通うことになりました。福路美穂子です」ニコッ
咲「新入生で麻雀部の宮永咲です!よろしくお願いします」ペッコリン
美穂子「あらあら、こちらこそよろしくお願いしますね」
霞「石戸霞と申します」
トシ「今日から顧問の熊倉トシだよ」
霞「私も今日から部員です」クスッ
美穂子「あら、皆さん今日からなのですか?」
霞「ええ」クスクス
咲「」ビクッ
霞「それで、どうして私達を集めたのかしら、宮永さん?」
咲「」ギクッ
美穂子「あら? この子が?」
咲「な、何のことですか?」
咲(完全にバレてるよぉ……)ウルウル
霞「場合によっては怒らないから、正直に話して下さいね」ニコッ
トシ(雀力が上がった!?)
咲「う、うぅ……」グスッ
美穂子(よくわからないけれど、何だか少しかわいそうね……)
美穂子「よしよし」ナデナデ
咲「えっ?」
美穂子「ちゃんと説明してくれたら石戸さんも怒らないから、ね?」ニコッ
咲(こ……こんなに優しい人を、自分の都合だけで……)
咲「ご、ごめ……ごめん、なさい……うわぁぁん」
咲「――それで、お姉ちゃんともう一度仲良くなりたくて、そのためには全国大会にでて白糸台を倒す必要があって――」グスッ
美穂子「白糸台!? その、お姉さんというのは、まさか――?」
咲「はい、宮永照です」
美穂子・トシ(やっぱり……!?)
霞(ふんふむ……)
霞(“魔”の力を使ってやりたい放題ならこらしめようかと思ったけれど……)
霞(願い自体はとても純粋なものみたいね)
霞(それに、白糸台を倒すとなると一つの高校に集まるメンバーだけじゃ厳しいわよねぇ……)
咲「……ごめんなさい。私、お姉ちゃんと会うことしか考えてなくて……」
咲「そのために他の人を転校させたりして……」
咲「ごめんなさい……」
「……」
美穂子「顔を上げてください、宮永さん」
咲「」ビクッ
美穂子「確かに、急な話でしたけれど、最後に決めたのは私自身ですよ」
咲「え?」
美穂子「私は最近考えていたのです……風越のキャプテンとしてチームを引っ張って来たけれど……レギュラーで3年生は私一人だけ……」
美穂子「もしかしたら、3年生の私がいることで、残りのメンバーが遠慮してしまっているのではないかと……」
美穂子「そう思っていた矢先の、今回のお話でした」
美穂子「高校生活は一度きりだわ。たまには視点を変えてみるのもいいかもしれない。そう考えて、私は、自分で、清澄高校を選択しました」
美穂子(それに、長野県内のどこかの高校に、きっと上埜さんがいるはず……)
美穂子「だから、咲さん、私の力を必要としてくれてありがとうございます」ニコッ
美穂子「一緒に全国を目指しましょう!」
咲「ふ、福路さん……」
美穂子「もうチームメートなんだから、美穂子でいいわ」ニコッ
咲「うわああああん」ガバッ
美穂子「よしよし」
トシ(雀力20万……塞より少し少ないくらい、か。でも、まだまだ余力があるねぇ)
トシ「……私はあんたの牌符を見て興味を持ったからね。喜んで顧問させてもらうよ」
咲「トシさん……!」
霞「あんな話聞かされたら協力しないわけにはいかないわよねぇ」クス
咲「石戸さんも……?」
霞「霞でいいわよ。……ただ、一つ困ったことがあるのよねぇ……」
咲「?」
霞「私、鹿児島から来たから、これから住む場所が無いのよねぇ……」
咲「……!!」
咲「だったら……あの、もしよければ……ウチで暮らしますか?」
霞「咲ちゃんの?」
咲「はい! ……お父さんはずっと出張中で、お母さんとお姉ちゃんは家を出て行って……最近、ずっと一人ぼっちだったから……」シュン
霞「そうねぇ……宮永さんがよければ、お世話になろうかしら?」クスッ
咲「は、はい!ぜひ来てください!あ、あと……咲、でいいです! 福、いや、美穂子さんとトシさんも」
霞「ふふっ。よろしくね、咲ちゃん。あと皆さんも」
美穂子「はい!」
トシ「はいよ、よろしくねぇ」
???「へぇ……」
???「転校を取り消してもらおうと思って戻ってみれば」
???「何だかおもしろそうなことになってるじゃない?」
咲「え?」
美穂子「この声……?」
久「その話、私も加えてくれないかしら?」
支援どうもです
咲「部、部長!?」
久「あら、私がこの部の部長だったって知ってるの?」
咲「あ、はい……その、去年、こっそりと部室を見に来たことがあって」アタフタ
久「へぇ……」
久(この子が、あの宮永照の妹、ね。確かに近づいて見ると、異常なオーラを感じるわね)
美穂子「あ、ああ……」
久「ん?」
美穂子「あなたは……う、上埜さん……ですよね?」
久「あら? 私の旧姓を知ってるの?……どこかで見た顔ね……」
美穂子「あの……私、福路美穂子って言います……」スゥ
トシ(両眼が明いた途端、雀力が倍以上に……!?)
久「その眼……!?中学のとき戦ったことがあるわね」
美穂子(覚えていてくれた……!!)ウルウル
美穂子「美穂子です……福路、美穂子。ずっと……あなたを探してました……上埜さん」
久「私も再会できてうれしいわ。もっとも、もう上埜じゃなくて、竹井だけどね。竹井久」
久「一応清澄高校麻雀部の部長でした。4人ともよろしくね」
トシ(この子の雀力は30万……しかもまだなんか隠してるね。いったい長野はどうなってるんだい?)
トシ「幸先よく4人もそろったし、今日はこのくらいで解散しないかい? 本格的な活動は明日からにしてね」
「はいっ」
咲「じゃあ、霞さん、うちに案内しますね」
霞「ええ、よろしくね」クス
咲・霞「」スタスタスタ
美穂子「……」ジッ
トシ「じゃあ、私も帰るからね」スタスタスタ
美穂子「……」
美穂子「あ、あの、上埜さん……」
久「もう上埜じゃないし、ややこしいから、久でいいわよ?どうしたの、美穂子?」ニコ
美穂子「」カァァ//
美穂子「実は、私も、風越から急にこちらに来たので、その、まだ暮らすところが決まってなくて……」
久「あら、そうなの?」
美穂子「それで、その、私、家事全般は得意なので……もしよかったら、その……」
久「ウチにくる?」
美穂子「!!」
久「狭いところだけどね」
美穂子「い、行きます!行きます!むしろ狭い方がいいです!」
久「そ、そう……?狭い方がいいなんて、変わってるわね」
久「じゃあ、行きましょうか?」
美穂子「ハイッ!」
――
宮永家
咲「ここが客間なので自由に使ってください」
霞「わかったわ」
咲「お布団もありますけど、もしベッドがよければ、お姉ちゃんの部屋のベッドを自由に使ってくださいね」
霞「私はいつも布団だから気にしないでいいわ」
咲「そうですか! では、お夕飯の支度しますね」
霞「私も手伝うわね」エプロンソウチャク
咲「え? そんな、悪いですよ」
霞「いいのよ。これからしばらく一緒に暮らすことになるんだから、お客様気分じゃ落ち着かないでしょう?」
咲「えっと、じゃあ、一緒にお願いします」ニコッ
霞「ええ」クスッ
キッチン
霞「~~♪」
咲「」ジー
霞「……?」
霞「どうしたのかしら?」
咲「えっと、その……」
霞「?」
咲「霞さん、何だか、お母さんみたいだなぁって……」カァァ
霞「……」ピシッ
咲「」テレテレ
霞(祖母上様、今、アレを使います)ゴゴゴゴゴ
霞「咲ちゃん、何みたいだって言ったのかしら?」ニコニコ
咲「ヒッ」
咲(お、お姉ちゃんが怒った時くらい怖いよぉ!?)ブルブル
霞「ねぇ?」ゴゴゴゴゴ
咲「そ、その、お姉ちゃんみたいだなって」
霞「あ、そうよね? お姉ちゃんよね? だって私まだ高校生なんだもの」ニッコリ
咲「は、はい……」ガタガタ
咲・霞「……」トントン コトコト
咲「でも……昔は、こうしてお母さんと一緒に料理して、お姉ちゃんが後ろで見守ってて、父さんが料理の完成を楽しみに待ってて……」
咲「あったかい家だったのに……どうして、バラバラになっちゃったんだろう……」シュン
霞「咲ちゃん……」
霞(恐ろしい力を持っていても、中身は普通の15歳の女の子なのよね……)
霞「……」
霞「咲ちゃん」ギュ
咲「え?」
霞「しばらくは私がいるから、一人ぼっちにはならないわよ?」ナデナデ
咲「霞さん……」ギュッ
咲(やわらかくてあったかい……)ギュ
霞(ふふっ何だか小蒔ちゃんと春ちゃんが一人になって私の妹になったみたいだわ)
霞(私がこの子を支えてあげれば、“魔”が暴走することもないでしょうねぇ)ナデナデ
霞「さ、そろそろお夕飯、食べようかしら?」
咲「ふぁっ、は、ハイ!」
照(イヤな予感がして東京からここまで来て見れば……)
照(なんだあの推定年齢30才の胸に脂肪の塊をつけた物体は)ゴゴゴゴゴ
照(私の咲になんてこと……全国で、潰す!!)
雀力とか超適当に言ってるだけなんで気にしないでください。
次の日
麻雀部部室
トシ「さて、当面は5人目を探すとするかね」
久「そうだけど、私が去年、一昨年とメンバーを集めようとしても、集まったのはマコ一人だったのよねぇ……」
美穂子(久さん……私が気づいてあげられれば、すぐにでも転入してきたのだけれど……)
霞「ということは、新入生、もしくは転入生を中心に探すことになるわねぇ」
咲(……)
咲(……あと、一人。なんだか、今の私なら行けそうな気がするよ!)
咲「」スゥゥゥ
咲「カン!」
キィィィィン
テレレレン♪ テレレレン♪
美穂子「何でしょうか、この軽快なイントロは?」
久「何だか、頂点まであと一息あがリーチオーライな曲ね」
咲(成功したかもだよ!)
???「あたしは小3の頃からマメすらできない……」コツコツコツコツ
???「」ガラッ!!
小走「ニワカは相手にならんよ!」
咲(成功、なのかな?)
トシ「入部希望者かい?じゃあ、とりあえず卓についてみるかい?」
小走「」ニヤッ
東一局 親 小走
小走(ドラ筋の三面張……)
小走「お見せしよう」
小走「リーチ!」
小走「王者の打ちしゅぢを!!」
咲・トシ・久・美穂子・霞(このリーチは……!!?)
咲(この人……なんて綺麗なリーチをするんだろう……!)
トシ(こんなに綺麗な回転を見たのは晴絵以来だねぇ)
久(リーチ棒のちょうど真ん中が回転の中心になっていたわ……!)
美穂子(まるで、リーチ棒の中心が固定されたかのような回転……!)
霞(これが……)
咲・トシ・久・美穂子・霞(王者の打ちしゅリーチ……!!!)
対局終了
咲±0 久+10 美穂子+35 小走-45
小走「ニワカッ!?」
トシ(雀力は2万……まあ、普通なら県上位校のエースくらいだけど……周りが凄すぎるね)
トシ(でも、基礎はしっかりできている。こういう子こそ鍛えがいがあるってもんだよ)
小走「奈良最強の高校のエースだった私が通用しない……?」
トシ「……大丈夫。あんた、まだまだ強くなれるよ」
小走「!?」
美穂子「全力でお相手しないと失礼かと思ったのだけれど……どうかお気を悪くしないで下さい」
久「そうよ!麻雀が好きな人ならどんな人でも大歓迎よ!ようこそ、清澄高校麻雀部へ!」
咲「歓迎しますよ」ニコッ
霞「ふふっ」
小走「す、す……」
小走「すばらっ」
「……」
――
???「あ、あのう……麻雀部ってこちらでしょうか?」
咲「!?」
久「あら、また入部希望者かしら」クスッ
???「初心者なんですけど、興味があって……」
咲「あなたはっ!? 妹尾さんっ!?」
妹尾「ふぇっ!? どうして私の名前を?」
咲「!? あ、いや、同じ一年生だから、何となく分かったんだ」
咲(どうして妹尾さんが清澄に!? もしかしてさっきのカンで何かが変わってしまったのかな?)
久(咲が意識するほどの相手……ね?)
トシ(初心者ねぇ……一応雀力は……)スチャッ
トシ(!?)ゾクッ
トシ(-10万~90万!?どういうことだい!?)
霞(ふんふむ……なんだか小蒔ちゃんと通ずるものがあるのかしら? 不思議な子ね)
美穂子「これだけメンバーが揃えば大会も万全ですね!」
久「こんなにうまくいくなんて……去年までが嘘みたいだわ……」
トシ「じゃ、じゃあ、本格的に活動開始しようかね」
トシ(これは思った以上に責任重大だねぇ)
とりあえずメンバー集め編はここまでです。
予想以上に長くなってしまいました。
――
トシ「とりあえず、やえと佳織はなるべくたくさん対局するように。美穂子、久、霞は二人の相手を頼むよ」
美穂子「はい、よろこんで」
霞「わかりました」
久「こんなメンバーと練習から打てるなん最高じゃない」ニカッ
美穂子「久さん……」カァァ
咲「あのう……トシさん、私は?」オドオド
トシ「咲は、しばらくネット麻雀をやってみなさい」
咲(!?……すごい。まだ出会って間もないのに、もう、部長と同じ考えに辿り着いた! やっぱり、この人はただものじゃないよ!)
霞「咲ちゃん」
咲「はい?何ですか?霞お姉ちゃん」ニコッ
久・美穂子(霞お姉ちゃん!?)
霞「その時に大明槓じゃなくて、加槓をねらうようにしてみたらどうかしら?」
咲「加槓を?」
霞「ええ。きっとあなたの力になると思うわ」
咲「わかったよ、霞お姉ちゃん!」ニッコリ
久(ものすごくなついてる!?)
美穂子(一晩の間にいったい何が!?)
美穂子(そのやり方がわかれば……)
美穂子(私も久さんともっと近づけるかもしれない……!!)ジー
霞「あら、みなさん、どうかされました?」クスクス
それから県予選まで過酷な練習の日々が続いた……!!
小走「王者の打ちしゅぢを……!!」
久「ロン 16000」
小走「ニワカッ!?」
小走「王者の打ちしゅ」
美穂子「ロンです。24000ですね」
小走「ニワカッ!?」
小走「王者の」
霞「ロン 32000お願いしますね」
小走「ニワッ!?」
小走「お」
佳織「ろ、ロン! なんかすごいヤツです」
美穂子「まぁ!国士無双だわ」
久「うわーしかも、佳織は親じゃないの」
霞「えっと、それならやえちゃんは48000点支払になるのかしら」
久「あちゃー」
小走「」
咲(みんな楽しそうでいいなぁ……あ、これポン)カチカチ
咲(でも、霞お姉ちゃんの指示通りに練習してたら何か強くなってきた気がするよ!)
咲(今ならできるかもしれない……! 嶺上開花を越えた嶺上開花……!!)ゴッ
トシ・久・美穂子・霞・佳織(!?)ゾクッ
小走「」ブルブル
長野県予選 初日
美穂子「あら、今年は試合ごとにオーダーの変更ができるのね」
久「どれどれ……ほんとだわ。今年だけルールが変わるなんて不思議ね」
トシ「色々なオーダーが試せて好都合じゃないかい。これなら佳織の出番も作れそうだね」
佳織「ふぇぇ!?私も出場していいんですか?皆さんにご迷惑をかけるんじゃ……」
霞「チームでの戦いだから、みんなで勝てばいいのよ」
小走「ま、心配しなさんな」
咲「がんばろうね、佳織ちゃん!」
佳織「は、はい!」
トシ「じゃあ、オーダーを発表するよ。先鋒 やえ、次鋒 佳織、中堅 久、副将 美穂子、大将 霞」
トシ「オーダー変更できるみたいだから、龍門淵と戦うまで咲は温存しておくよ。それと、久、美穂子!」
久・美穂子「はい」
トシ「できるだけあんたたちのどちらかまでで他校をとばして欲しいんだ」
久「決勝までは、出来る事なら霞も隠しておきたいってことね」
トシ「そういうことだよ」
霞「あらまぁ」
美穂子「全力を尽くしますね」
一回戦 先鋒戦
小走「」ニヤッ
控室
咲「ねえ、トシさん」
トシ「何だい? やえが先鋒で不満かい?」
咲「いえ、そうじゃなくて……、やえさんがつけてるモノクル、あれ、トシさんのですよね?」
トシ「そうだよ」
咲「何でつけているんですか?」
トシ「ああ、それがねぇ、やえの髪型って左右非対称じゃないかい?」
咲「ええ。片方だけドリルですね」
トシ「それで、片眼鏡を掛ければバランスがとれそうだと思ってねぇ」
トシ「昨日かけさせたんだよ。その時、ちょっとした遊び心で言ってしまったんだよ」
咲「?」
トシ「“このモノクルは不思議な力があって、かけると、今まで見えなかったものが見えるようになる”って」
咲「はぁ……?」
トシ「あの子、思い込みが強そうな子だろ?」
咲「え、ええ……」(自分の事王者とか言ったりするもんね)
トシ「そのあと一局打ったら、何か見え出したって言い出したんだよ」ププッ
咲(トシさん笑い堪えてるよ……)
美穂子(やえさん……不憫な子……)
トシ「でも、そしたらほんとにあるものが見えるようになっててねぇ」
咲・美穂子・久・霞「!?」
佳織「?」
トシ「見てればわかるよ」ニヤ
対局室
やえ「お見せしよう」リーチ
やえ「王者の打ちしゅぢを!!」
控室
咲「相変わらず……」
久「リーチ棒の回転が綺麗ね」
美穂子「スローモーションでみると本当に棒の中心が回転軸になっているのが分かるわね」
佳織(やえ先輩は今日もかっこいいなぁ)ポケー
霞(さて、何を見せてくれるのかしら)
対局室
やえ「ツモ。リーチ一発、タンヤオドラ2 2000・4000」
控室
咲「リーチ一発……」
トシ「ふふ……」
対局室
やえ「リーチ」
やえ「リーチ一発ツモ対々三暗刻役牌。8000オール」
控え室
久「また一発!?」
対局室
やえ「リーチ」
やえ「リーチ一発ツモ平和純全三色一盃口ドラ3の一本場は16100オール」
控え室
美穂子「また!?」
咲「トシさん……まさか、見えるようになったって……!?」
トシ「そう」ニヤ
トシ「あの子が見えるようになったのは……一巡先!」
霞「あらまぁ……」
「先鋒戦、終了!」
清澄190500(+90500)
小走「ニワカは相手にならんよ!」
――
「次鋒戦 終了!」
佳織「ふえぇ……緊張しました」
咲「すごいすごい!佳織ちゃん、初めての対局でトップだよ!」
佳織「でも、自分でも何をあがったかわかりませんでした」エヘヘ
霞(九連宝塔なんて小蒔ちゃん以外で初めて見たわ)
トシ(誰も気づいていないが、この子は練習の時から、三日に一回のペースで役満をあがってたからねぇ)
久「これは私も負けてられないわねぇ」
美穂子「久さん、頑張ってください」
久「美穂子は休んでていいわよ」ニヤリ
久「この試合に、副将戦は……存在しない!」
美穂子(素敵……!)
――
「中堅戦終了!清澄高校、竹井久、他の3校を同時にとばすという離れ業をやってのけた!」
「初出場の清澄高校、いずれの区間でも断トツトップ! 今大会のダークホースとなるか!」
その後も清澄は順調に勝ち続け、決勝進出を決めた。
竹井家
美穂子「いよいよ明日が決勝戦ですね」
久「ええ……そうね……」
美穂子「どうかしたのですか?」
久「ん?」
美穂子「何だか元気がないように見えたので……」
久「うん……」
久「今が……今が楽しすぎてね」
美穂子「え?」
久「今までは大会に参加する事すらできなかったのに……」
久「気づけば、決勝戦……一人で過ごしていた家には、今では美穂子がいてくれて」
美穂子「えっと……///」
久「もし、明日負けたら、こんな日々もおわっちゃうのかなって考えたら、ね……?」
47>oh……やっぱり聞き覚えのある単語並べるのは危険でしたw ご指摘ありがとうございます
美穂子「久さん……」
美穂子「私は……あなたさえよければ……ずっと……」
久「え?」
美穂子「い、いえっ!そのっ……」
久「ん?」
美穂子「わ、私は明日で終わるつもりなんてないですよっ!」
美穂子「明日勝って、全国へ行って!そして……優勝して……」
久「ええ」
美穂子「それからも毎日、久さんや咲さんと部室で対局して……」
久「ええ……」
美穂子「そのうち、卒業が来てしまっても……それで、終わりなんて、ないですよ……」
久「……美穂子?」
美穂子「ずっと探してて……ようやく……会えたのに……大会に参加する時しか一緒にいれないなんて……そんなのって、あんまりですよ」ポロポロ
久「美穂子……」
美穂子「うぅ……」
久「そうね」フッ
久「少なくとも、あなた、清澄いいる間は、住むところないものね」
久「好きなだけ居させてあげるわ」
美穂子「へ?」
久「だから……」
久「……だから、私を一人にさせないでね」ギュッ
美穂子「あっ……//」カァァ
美穂子「……はい……はい!」ギュッ
さて、書き溜めがとっくに尽きてるのでこっからはゆっくりになりそうです。
断トツの語源知らんかったw
姉帯「ちょーためになったよー」
トシ(明日の決勝……問題は天江衣をどうするかだねぇ)
トシ(副将までで他校を飛ばすってのが一番な気もするが……)
トシ(気になるのは龍門淵透華……あの子がまだ何かを隠し持っていたら……)
トシ(やっぱり天江に咲を当てるのがベストなのかねぇ)
トシ(そうなってくると、鍵を握るのはあの子だねぇ……)
小走(……むむ!?)
トシ(石戸霞!)
宮永家
咲「ごちそうさまでした。今日の洗い物、私の番だね」
霞「……せっかくだから、今日は一緒に洗いましょうか」
咲「はいっ!」
咲「エヘヘ」
霞「ふふっ楽しそうね」
咲「ええ……家に人がいるのって、こんなにあったかいんだなぁって……」
霞「あらあら、咲ちゃんは寂しがり屋さんね」クス
咲「私、ここまで寂しがりじゃなかったのに……」カァァ
咲「霞お母、あ、いや、霞お姉ちゃんのせいだよ……」
霞「困った子ねぇ」クス
咲「でも、こんな日々を終わらせないためにも……」
咲「明日は龍門淵を ゴッ 倒す!!」
霞(この子……)ゾクッ
霞(もし、明日負けたら、暴走するかもしれないわね……)
霞(たぶん、私一人じゃ抑えられない……)
霞(明日は負けられないわね……!!)
決勝戦当日
トシ「今日のオーダーは、先鋒 美穂子、次鋒 やえ、中堅 久、副将 霞、そして大将は咲、これでいくよ」
佳織「みなさん、頑張って下さいね~」ポケー
久「頼んだわよ! 美穂子」
美穂子「はい!」
決勝 先鋒戦 後半
清澄・福路 風越・文堂 龍門淵・井上 鶴賀・津山
美穂子(そろそろいいかしらね……)
美穂子(久さんが見てくれている……)
美穂子(恥ずかしいところは見せられない……!!)スゥ
トシ「開眼したね」
美穂子(視点移動がウンタラカンタラ)
美穂子「ツモ」
美穂子「ツモ」
美穂子「ロン」
美穂子「ツモ」
美穂子「ロン」
井上「」
文堂「」
津山「うむ」
「先鋒戦終了――! 清澄・福路の完全な一人浮き!」
清澄142000 風越 88900 龍門淵 87700 鶴賀 81400
美穂子「ありがとうございました」ニコッ
――
小走「ふふっ次は私の番だね」
小走「私の新しい力をお見せしよう……」
咲「新しい、力? トシさん?」
トシ「どうも、昨日の夜から見えるものが変わったらしいんだよ」
久「へぇ~、おもしろい子ね」クスクス
美穂子(久さんが興味を!?)
咲「それで、今は何が見えてるんですか?」
トシ「他人のあがり牌が分かるんだとさ」
久「なぁーんだ、なんかちょっと拍子抜けねぇ」
美穂子(よしっ!)
霞「それなら、あまり大きな失点は心配しなくてもよさそうね」
咲(この前の未来が見える、ってやつのほうがよかったなぁ……)
トシ「だから、次鋒に持って来たのよ。幸いそんなに強そうな子はいないからね」
次鋒戦
清澄・小走 風越・染谷まこ 龍門淵・沢村 鶴賀・吉留未春
咲(まこ先輩が風越の次鋒だよ……元気そうでよかったなぁ……)シミジミ
咲(そして、佳織ちゃんが抜けた鶴賀の次鋒に風越の吉留さんが移ったんだね)
次鋒戦 後半
アナ「ここまで、先鋒戦と順位、得点ともにほとんど変わらず! 清澄・小走、安定した打ち筋で福路のつくったリードをきっちり守っています」
アナ「解説の三尋木プロ、初出場の清澄の健闘が目立ちますね」
咏「んーと、まだわかんねー」
アナ「……」
まこ(さて、そろそろいかせてもらおうかの)スチャ
控室
咲「まこ先輩が眼鏡を外した!?」
久「!?……おどろいた。あなた、まこのことも知っていたのね? それも去年の見学で?」
咲「あっ、えっと、まぁ」
久「でも、大丈夫。小走さんみたいな人には眼鏡を外したまこは天敵だけど、危険牌がわかるなら問題ないはずよ」
対局室
智紀(風越が眼鏡を外した……)
智紀(だったら……)スチャ
未春(龍門淵の人も眼鏡を……!?)
未春(私も、出遅れるわけにはいかない……!!)スチャッ
控室
美穂子「三人とも眼鏡を外して、どういうつもりなんでしょう?」
久「さあ、残りの二人は気分転換じゃないの? あら、龍門淵の子、眼鏡をとると可愛いわね」
美穂子(!?)
咲(いやな予感がするよ……)
対局室
小走(全員眼鏡をとった……!?)
まこ「……」ジッ
未春「……」ジッ
智紀「……」ジッ
小走(三人とも私を見ている……!?)
まこ(眼鏡をとると、対局者の表情が見えんのが問題じゃのう……)
未春(勢いでとったけど相手の表情がよく見えません……)
智紀(清澄の人のモノクル、かっこいいな……)
小走(三人とも、私になにか言いたげだねぇ……)
小走(仕方ない……)ニヤァ
小走(ここからは……飾らない私で行く……)スチャッ
咲「ダメ! ダメ!やめて! 小走先輩!!」
小走(本当の私の打ち筋をお見せしよう)ドヤァ
アナ「さて、清澄高校・小走も変な眼鏡を取りましたねぇ」
トシ(変な眼鏡……)
アナ「全員、眼鏡を外しての対局。何か意味があるのでしょうか?」
咏「いや、知らんし」
控室
久「あちゃー」
美穂子「……大丈夫、なのでしょうか?」
霞(困ったことになりそうね……)
佳織「小走先輩、頑張れ~」ポケー
対局室
小走「王者の打ち筋を!」
まこ「悪いのう、それ、ロンじゃ!」
小走「!?」
小走「王者の打ち」
未春「ロンです!」
小走「王者の」
智紀「ロン」
小走「」
咲「あ、ああ……」プシュー
アナ「次鋒戦、終了~」
アナ「大失速! 清澄・小走、先鋒の福路が作ったリードをほぼすべて吐き出してしまった!」
清澄100000 風越 100900 龍門淵 99700 鶴賀 99400
咏「キッチリだったな」ニタァ
少し休憩します。
24時くらいまでにはある程度書き溜めて再開したいところ。
小走「おまたせっ」
あんま書き溜めできませんでしたが、再開させていただきます。
ゆっくりですが進めていきます。
休憩中に気付いた。かおりんって2年生だったかも……ま、いっか
小走先輩ちょーかわいい
次鋒戦終了後 控え室
小走「おまたせっ」ガチャ
久「お、お疲れ様~」
霞「……お茶でもいかがかしら」スス
美穂子(責めるつもりなんて毛頭ないけれど、全く慰める気になれないなんて。不思議な人だわ)クス
咲「は、はは……」
小走(ん?なんか微妙な空気だな?……はは~ん)ピキーン
小走「あれかぁ?次鋒戦の対局相手かい?」
咲・トシ・久・美穂子「?」
小走「ありゃ、相当打ってる」ドヤァ
咲・トシ()イラッ
佳織(小走先輩はいつも堂々としてるなぁ)ポケー
久「ま、まあ、4校とも差は0に等しいから、今からが本番よ」フフッ
久(この子、ほんとにおもしろい子だわ……)プッククッ
久「じゃ、行ってくるわね」ガチャッ
美穂子「待って!」ガチャッ
久「ん?」
美穂子「久さん、これ、持って行ってください」
久「これは?」
美穂子「ハチミツレモンです。昨日急いで作ったんですけど……」
美穂子「あんまり、量が作れなくて……久さんの分しかないから控室だと私辛くて……」
久「昨日遅くまで何かしてると思ったら……」グイッ
美穂子(顔が近いわ……)カアァァ
久「クマが出来てるじゃないの……」
久「……うんっおいしいっ!」
美穂子「ほんとですかっ!?」
久「ええ。対局室に持ち込ませてもらうわね」クス
美穂子「え、ええっ!ぜひっ!」
久「行ってくるわ」
美穂子「はい……」
久「あ、そうだ。美穂子」クルッ
美穂子「?」
久「東京行ったらどこを周るか考えないとね」ニコッ
美穂子「あ!……は、はいっ!!」パァァ
対局室
久「まこ」
まこ「おお、あんたか! 結局、転校せんかったんじゃのう?」
久「ええ、何だか面白そうなことになってたのよ!」
まこ「……」
久「不思議ね……」
まこ「ん?」
久「ずっと立ちたかった舞台にあなたと立ってる。しかも、それが別々の高校なんてね……」
まこ「……」
まこ「……すまんかったのう」
久「え?」
まこ「転校の話が来た時、わしが別の高校に行けば、あんたも部員がいっぱいの高校に移って大会に参加できると思ったんじゃ……」
久「まこ……」
まこ「去年、あんたが個人戦に参加せんかったんは、わしがおったせいじゃけぇ」
まこ「これで思う存分打たせてやれると思うた」
まこ「けど、あんたはその道を選ばんかった……ほんとは、わしも一緒に残るべきやったんじゃ……」
久「まこ……」
久「……まこは、風越にいて楽しくないの?」
まこ「え?」
久「わたしは今、とっても楽しいわよ?」
久「それに、今だけは敵だとしても、あなたがこの決勝の対局室にいることが、すんごくうれしい」
まこ「あ……」
久「ま、清澄は負けないけどね」ニカッ
まこ「ふ、ふふんっ……勝つんは風越じゃ」
まこ「じゃあの……」スタスタ
まこ「……風越の次に応援しとるけぇの」
久「まこ……ありがと……」
中堅戦
清澄・竹井久 風越・南浦和絵 龍門淵・国広一 鶴賀・ワハハ
久(さて……中堅戦だけど、得点差はほぼ0)
久(ここは……少しでも稼いで次につなげる)
久「リーチ」
一(早い……!?)
南浦(東場はなるべく失点を防ぐ……)
蒲原(ワハハ~)
久「ツモ」
――
久「リーチ」
南浦(これは通るか……)
久「」ニタァ
久「残念、通らないわ」
一(あの捨牌でこのあがり……!?……おもしろい人だなぁ)クスッ
一(僕も負けてられないな)
――
一「リーチ」
蒲原(ワハハ。安牌ないぞ……)
久「」スチャ
蒲原(あれが通るならこれもいけるか……?)
久「」ニヤリ
久「ロン!」
蒲原(ワハ!?こっちがロン!?)
休憩中
久(このハチミツレモン……甘さが控えめでおいしいわね)
久(隠し味は……ショウガかしら……?)ハムハム
蒲原「」ジー
一「」ジー
久「あら?」
久(……こんなにおいしいんだから、他の人にも分けてあげたいわね)
久(美穂子にはあとでまた作ってもらおうかしら)
久「いかが?」
蒲原「いいのか!?」キラキラ
一「僕にもくれるの!?」キラキラ
久「ええ、私の親友が作ってくれて、とってもおいしいのよ?」
蒲原「ワッハハ。うまいなーこれ」ハムハム
一「何だか力が湧いてくる気がする」ハムハム
南浦(南場で一度もあがれなかった……)ショボン
久「あなたもいかが?」
南浦「えっ?」
久「ずっと怖い顔してたから、おなかすいてるんじゃない?」
南浦「あ、じゃあ、一ついただきます」ハム
南浦(これは……)カッ
ヒュオオオオ
一(急にあったかい風が?)
蒲原(ワハハッ。室内なのに風が吹いたぞ?)
久(あっら~余計なことしちゃったかしら?)
後半戦
南浦(東場なのに体が軽い……!?)
南浦「ツモ」
一(何だかいい配が集まってくるようになった気がする……!?)
一「ロン!」
蒲原(ワハハ。いい牌が引けるようになったぞ)
蒲原「ツモだぞーワッハハ」
久(相変わらず引きはいいけれど……四人全員がそんな感じね……)
久「ツモ!」
アナ「中堅戦、終了!清澄高校・竹井久前半戦で稼いだリードによって頭一つ抜けたか!?」
咏「後半戦はみんなアガリが早かったねー。知らんけど」
アナ「はい、後半戦は一度も流局が無く、四校の力が拮抗した白熱した勝負でした!」
中堅戦終了時
清澄124300 風越 90900 龍門淵 95700 鶴賀 89100
久(このメンバーでこの成績なら上出来かしらね)
一(結局トータルマイナスだったよ……)
一(まあ面白かったからいっか)
南浦(未熟でした……あの、ハチミツレモン……あれのレシピが分かれば……)
蒲原(ワッハハ……)
蒲原(“撃ち落とせばいいんだろ? 風越を――!!” ワッハハ……そんな発言はなかった!)
蒲原(ワハハ……)
蒲原(すまない……モモ、ユミちん……)ウルウル
控室
久「あー楽しかった」
咲「部長! お疲れ様です!」
美穂子「はい、これタオルです」
久「ありがと」
久「美穂子」
美穂子「はい?」
久「ごめんね! アレ、他の人にもわけちゃった」
美穂子「いえ……いいんです。私が久さんにあげたものですから……」シュン
久「あんまりおいしかったから、多くの人に食べてもらいたくなっちゃったのよねぇ~」
美穂子「え?」
久「また作ってね」ニィッ
美穂子「は、はい……」パァアア
咲(何だか完全に二人の世界だよぉ……)
佳織(竹井先輩はかっこいいですね~)ポワポワー
トシ(ここまでは順調だね……)ジー
小走「?」
小走「監督、どうかしたのかい?」
トシ「いや、何もない……」
トシ(まあ、順調さね……)
トシ「霞」
霞「ようやく出番かしら」
咲「おかあ……霞お姉ちゃん! 頑張ってね」ギュ
霞「ええ」ナデナデ
久「ずっと聞きたかったんだけど……咲はどうして霞お姉ちゃんって呼んでるの?」
咲「えっと……それは……」
咲(ほんとはお母さんって呼びたいんだけど……そう呼ぶと怖いから)ガタガタ
咲「……お姉ちゃん、だと、本物のお姉ちゃんの方と紛らわしいから」
咲「だから、霞お姉ちゃんって呼んでるんです」
久「なるほどね~」
咲「えへへ」テレテレ
霞(この子の願いを叶えてあげないとね……)
霞(でも何だか、宮永照に逢うのが願いって、釈然としないものがあるわね……)ナデナデ
霞(情がうつってしまったのかしら?)
咲「えへへ」スリスリ
霞()ドキッ
東京都予選会場 白糸台高校 控室
照「ハッ!?」ガバッ
菫「……どうしたんだ、急に立ち上がって?」
照「何かとんでもない寒気を感じた……咲が危ない気がする……」
菫「妹さんに好きな人でもできたのか」
照「!?」
照「そんなオカルトあり得ない」スタスタ
菫「ちょっと、待て、どこに行こうとしてるんだ!?」ガシッ
照「長野」
菫「今から決勝だろう!?お前は先鋒だから、今いなくなることは許さん」グググッ
照「……分かった」
菫「そうか!」ホッ
照「一瞬で終わらせる」ゴゴゴゴゴ
菫()ゾクッ
菫(日頃のこいつを知ってる私でも……目の前に立つと足が震える……)ブルブル
照「……行ってくる」スタスタスタ
菫(他校の先鋒は今日が最後の麻雀になるんだろうな……)
蒲原「……」グスッ
???「らしくないっすよ~蒲原先輩!」
蒲原「モモ!? いたのか?」
蒲原「ワ、ワハハ……泣いてなんかないぞー」ゴシゴシ
モモ「大丈夫っすよ! 先輩が見立てた予想よりもずっと接戦っすよ」
モモ「むっちゃん先輩とみはるん先輩、そして蒲原先輩ががんばってくれたおかげっすよ!」
蒲原「でも……」
モモ「先輩はうちの部長なんすから胸を張ってて下さい!」
蒲原「モモ……」
モモ「あとは、このステルスモモにおまかせっす!」
蒲原「モモ……うぅ」ギュッ
モモ「わ、わわぁぁっ」
モモ「先輩っ……嬉しくないこともないっすけど、私にはもう心に決めた人が」アタフタ
蒲原「ははっ」
モモ「あっ」
モモ「もう大丈夫みたいっすね」
蒲原「ああ。一年生に慰められるなんて情けない部長だよなぁ」
モモ「そんなことないっす!」
モモ「それよりも早く控室に戻ってください」
モモ「先輩が、蒲原先輩をどうやって慰めようか、オロオロしてたっすよ」
蒲原「ユミちんが?」
モモ「はいっす!」
モモ「だから早く戻ってあげてくださいっす」
蒲原「ワッハハ。そんなユミちんの姿滅多に見れないよなぁ」ニヤリ
モモ「先輩、悪い顔になってるっす……」
モモ「じゃ、副将戦行ってくるっすよ」
蒲原「ああ……」
蒲原「モモ……」
モモ「?」
蒲原「いや、何でもない。頑張れよ」
モモ「はいっす!」
蒲原(ありがとう。モモ)
とりあえず今日はここまでです。
やっぱり最後まで書き終えてスレ立てるべきでした。
予想以上に時間かかってしまいました。すいません。
読んで下さった方、ありがとうございます。
初めてこういうの書いたんで、色々不手際もあったかと……
小走先輩に関してはあるところまではこんな感じかなぁと……
また明日同じくらいの時間に書ければ……とりあえず県予選まで書けたらな~
>>1
お疲れさんや!
このSSを待ってる人がおるから頑張ってな!
乙でした!
小走先輩を出すとはわかってるな……!
応援してます
>>106-109
ありがとうございます! では、また!
>>110,112,113 どうもありがとうございます!
遅くなりましたが再開させていただきます。
今日中には大将戦が終わりそう……にないです。
とりあえず副将戦だけでも終わればなぁ……
副将戦は原作と展開的にはあんまり?変わんないんでちょっと中だるみかも……
※これまで通り手牌を書いたりするような麻雀描写は一切ありません。
しかし、原作コミック10巻時点ではまだ微妙に明かされていない霞さんの能力に軽く触れてます。
コミックス派でネタバレが困る方は避けた方がいいかもです……
では5分後くらいから投下します。
副将戦
清澄・霞 風越・深堀純代 龍門淵・透華 鶴賀・東横桃子
霞(副将戦……気を付けるべきは……龍門淵の子ね)
霞(去年の全国大会……一度だけ纏った恐ろしい空気)ジッ
透華(何ですの!? 清澄のあの胸!? この私より目立つなんて許せませんわ!)
霞(あれを出させないためには、龍門淵透華を追い込みすぎてはならない)
霞(序盤に稼げるだけ稼いで、後半は適度に龍門淵に差し込むのがベストかしらねぇ……)
霞(そのためには……)
霞(最初から全力で行かせてもらおうかしら……!!)ヒュオオォォォ
透華・純代・モモ「!?」
――
霞「ツモ 3000・6000」
透華(いきなりそんな高い手ですの!?)
霞「ツモ 4000・8000、お願いしますね」ニコッ
モモ(清澄のおっぱいさん……序盤はもう少し抑えてほしいっすよ)
霞「ツモ 1000・2000」
純代(トップに走られるのは困るのに……)
透華(私より目立つなんて……ゆるせませんわ……!!)
透華「リーチですわ!」
霞(一色独占状態の私よりも早くリーチできるなんて……)
霞(適度に差し込むなんて思いあがりも甚だしかったかしら……)クス
透華「一発ツモですわ! 4000・8000!」
透華(ここから一気に追い抜きますわ!)
霞(あらあら……まだ、普通の状態なのに……ふふっ、恐ろしい子……)
霞(でも、負けてあげられないわよ)クス
霞「ロン3200」
透華(くっ)
透華「いらっしゃいまし!ツモ! 1600オール」
霞「ツモ 1000・2000の1100・2100お願いしますね」
透華(キィー!!)
――
純代「ろ、ロン 2000」
モモ(あちゃー振り込んじゃったっす……まだ消えてないっすか……)
霞「ツモ700・1300の800・1400ですね」クス
透華(キィー!また親番で削って差し上げますわ!)
――
透華「リーチですわ!」
桃子「ロン 5200っす」
透華・霞・純代(!?)
透華(いつの間にリーチしてましたの……!?)
桃子「前半戦 終了っすね」
副将 前半戦終了時
清澄157200 風越 75800 龍門淵 93200 鶴賀 73800
桃子(結構削られたっすね……おっぱいさんのあがりの親かぶりが痛かったっす)
桃子(でも……前半戦最後の局、もう誰も私を見てなかったっす……)
桃子(ここからはステルスモモの独壇場っすよ……!!)
副将戦 後半
桃子「いいんすか? それドラっすよ? ロン8000っす」
透華「またですの?」
霞(ふんふむ……鶴賀の子の捨てた牌が意識の外に……そんな不思議があったりするのかしら)
霞(独占色を切り続けていれば直撃は避けられるのだけれど……)スチャ
モモ(トップから削りたいとこっすけど……なかなか振り込んでくれないっすね……)
モモ(だったら……)
モモ「ロンっす!3200」
純代(え? リーチしてたの?)
モモ(残りの二人から親番で削り取り続けるっすよ)
モモ「それロンっす 3900」
透華「また!? あなたちゃんとリーチしてますの?」
モモ「してるっすよ?」
透華(何なんですのぉ~~!?)
モモ「ロンっすね 7700は8000っす」
純代(また……!?)
モモ「それもいただきっす 9600は10200っす」
透華「……」ヒュォォオオ
霞(これはまずいわね……ここは……)スチャッ
透華「……ハッ!ロンですわ! 24000は24900ですわ!」
透華「ここからは華麗なる私の独壇場ですわ」
霞(これでなんとか防げたかしら……? ……それにしても、覚醒直前でもここまでとは、困った子ねぇ……)
モモ(龍門淵をのせるのもよくないっすね)
モモ(負けないっすよ……!!)
――
「副将戦、終了!中堅戦同様前半は清澄・石戸霞の一人舞台。後半は鶴賀と龍門淵の壮絶な稼ぎ合いでした! 名門・風越は少し厳しい展開となったか!?」
咏「清澄の子は見た目通り、大人の麻雀をしてたねー。知らんけど」
アナ「?」
副将戦終了
清澄130700 風越64600 龍門淵 97600 鶴賀 107100
透華「わ、私が……こんな地味な成績なんて……」
一「で、でも、一番大きなあがりをしたのは透華だよ!」
透華「一……」
純「一番大きな振り込みもな」
透華「」
一「こ、こらぁ~ 純!!」
モモ(追いつけなかったけど、いい位置で先輩につなげたっす!)
大将戦導入部くらいまで行きます。
こっからかなり適当な発言が続きますが、華麗に聞き流して下さい
控室
久「お疲れさま~ハイ、お茶」
霞「あら、どうも」
久「いよいよ咲の出番ね」
咲「はい!」
美穂子「大丈夫? 緊張してない? ちゃんとおトイレ行った?」
咲「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
久「ふふっ。何だか美穂子はお母さんみたいね」
美穂子()ドキッ
美穂子「私が、お母さん……だ、ったら……その、お父さ……は……ゴニョゴニョ」
久「ん?どうしたの美穂子?顔が真っ赤よ?」
咲「では、行ってきます!」
霞「待って咲ちゃん! はい、今日の分よ」
久「?」
咲「ありがとう!何だかもう、これがないと落ち着けなくなっちゃったよ」
咲「じゃあ、いってきます!」ガチャ
久「今のは……夏みかん?」
霞「いえ、鹿児島産のぽんかんです。久ちゃんもお一ついかが?」クス
久「あら、ありがと。どうして、ぽんかん?」モニュモニュ
霞「……ゆず湯ってご存知ですか?」
美穂子「冬至にお風呂にゆずを入れる、アレですか?」
久「確か、風邪予防になるとかいうアレよね?」
霞「ええ。元々あれは、禊で体を清める際に行われるものだったんです……」
久「そういえば、あなたって前は巫女服着てたんだっけ……?」
霞「はい。それで、鹿児島ではぽんかんが多く作られているので、私達はそれで体を清めておりました」
久「ふーん。じゃあ、ゲン担ぎってこと?」
霞「ええ……まぁ……」
霞(これらの本来の目的は運気を呼び込むことではなくて、厄を払うことですけどね……)
霞(大将戦……何事も起こらなければいいのだけれど……)
大将戦
清澄・咲 風越・池田 龍門淵・天江衣 鶴賀・加治木ゆみ
咲(もう一度ここまで来たよ……お姉ちゃん)
回想
咲 「リンシャンカイホー? 何それ」
照 「麻雀の役の名前だよ。山の上で花が咲くって意味なんだ」
咲 「咲く? おんなじだ!あたしの名前と!」
照 「そうだね。咲。 森林限界を超えた高い山でさえ可憐な花が咲くこともあるんだ。咲、お前もそんな花のように強く咲けば―――」
大将戦開始
咲(お姉ちゃん見ててね)
咲「カン ツモ 嶺上開花 1600・3200」
アナ「いきなり嶺上開花だぁ!」
ゆみ(清澄の大将……まったくデータがないが、どんな打ち手なんだ)
――
咲「ポン」
ゆみ(こんどはポンか)
咲「カン!」
ゆみ(ポンした次順ツモで加槓!?まさか……!?)
咲「ツモ 嶺上開花 4000オール」
ゆみ(バカなっ!?)
アナ「二連続嶺上開花だぁ!こんなことがあり得るのか!!」
観客席
ワーワー
照(えらいぞ咲! すごいぞ咲! かわいいぞ咲!)ワーキャー
観客A「ねぇ、あれって……宮永照じゃない?」
観客B「まさか!今日は東京も予選の日なんだから、こんなところにいるはずないでしょ?」
観客A「それもそうか……」
照(がんばれっ……咲!)ギュッ
東京予選 決勝戦対局室
卓に伏せて泣き続ける少女が一人。そして、椅子から一歩も動けない少女が二人。
白糸台:221600 他校A:-21600 他校B:101000 他校C:99000
白糸台控室
菫(あれほど一校を狙い撃つのはやめろといったのに……)
菫(東二局から得点はウチともう一校の間でしか動かずか……)
菫(というか、アイツ、どこ行ったんだ?)
長野 決勝 会場
咲「ポンッ!」
ゆみ(またポン!? しかし……この手牌なら……あと一歩で槍槓が狙える手になるが……)
咲「カン!」
ゆみ(また、次順ツモで加槓だと……間に合わない……)
咲「ツモ 嶺上開花 2600オールの一本場は2700オール」
アナ「なんと、3連続嶺上開花だぁ!!」
ゆみ(……)
ゆみ(ふぅ……化け物は一人じゃなかったということか)
ゆみ(どうする……? 天江衣と清澄の大将、どちらがより危険なんだ?)
ゆみ(前半戦は我慢して、休憩中に突破口を見つける……!!)
ゆみ(とにかく、早く前半戦を終わらせる……!!)
衣「ククク……」ゴゴゴゴゴ
咲(来た……!)
衣「今年も無聊を託つ局になるかと思えば……」
衣「少しは楽しませてくれそうな獲物がおったか……」ゴゴゴゴゴ
衣「だが、清澄の……ただの人間には犯してはならぬ領分があるぞ……」
衣「さあ、はじめようか……」ゴゴゴゴゴ
咲(前はこれ以降、前半は手も足もでなかったけど……今日は ゴッ 倒させてもらうね。衣ちゃん)ボッ
全然進まなくて申し訳ありませんが、今日はここまでです。
副将戦は今日アニメ版の決勝戦を見直してたせい?で、なんだか原作とあんまかわらないような展開になってしまいました。
明日には完結させます……きっと。
乙
>>138-140 どうもです!
では、再開させていただきます。
大将戦、完結させます。
語彙力が無さ過ぎて衣ちゃんの口調を再現するのは不可能でしたw
――
ゆみ(まったく手が進まない……!?)
衣「リーチ」
ゆみ(ラスト一巡でツモ切りリーチ……!?)
咲(来る……!)
衣「海底撈月 4000・8000は4200・8200」
次局
衣「ポン」
池田(これでまた天江が海底コース……!?)
衣「リーチ」
ゆみ(またラスト一巡でツモ切り……!?)
衣「海底撈月 4000オール」
アナ「2連続海底!決勝戦、大将戦は3連続嶺上開花の次は2連続海底撈月!!」
ゆみ(どうなっている……海底もそうだが、この手の進まなさはなんだ……!?)
咲(さすがだね……でも……)ボッ
咏「……気づいてたかい?」ニヤ
アナ「何ですか?」
咏「さっきの二局とも風越と鶴賀は面前じゃどうやってもあがれない配牌だったんよ」
咏「……でも、清澄だけは二局とも聴牌してた」ニヤァ
咲「カン!」
衣(何!?)
咲「ツモ 嶺上開花のみ 300・500は400・600」
衣(衣の支配が及んでいない……!?)
衣(く……)
――
衣「海底」
衣「海底」
咲「嶺上」
衣「海底」
衣「海底」
ゆみ「」
ゆみ(だめだ、考える事を止めるな……!!私みたいな凡人が勝つにはとにかく考えるしかないんだ……!!)
ゆみ(しかし……私一人では限界がある。ここは……)チラッ
池田(うう……どうなってるんだよ……天江にリベンジすることだけを考えて、ここに来たのに……)
池田(清澄のやつ、邪魔すんなよぉ……)
ゆみ(風越の……気づいてくれない、か……)
ゆみ(だったら……)
池田(……)スチャッ
ゆみ「ポンッ!」
池田(え……鶴賀の大将、なんであんな鳴き……!?)ハッ
ゆみ(風越の目が生き返ったか……さて……このあたりか?)スッ
池田「ポン!」
ゆみ(よし!)
衣(!?)
池田(鶴賀の大将に感謝しないとな……)
ゆみ(風越の待ち……これか?)
池田「ロンだし! 2600は2900!」
咲(前は私も鶴賀の人に助けてもらったなぁ)
咲(けど、今日は関係ないよ!)
咲「カン!ツモ!嶺上開花1000・2000」
――
アナ「前半戦終了! 大将戦前半戦は風越の池田があがった局を除けば、嶺上開花と海底撈月のみ! これは異常な事態だ!」
大将戦前半終了時
清澄:144200 風越:39100 龍門淵:139300 鶴賀:77400
会場廊下
照(天江衣は去年もかわい……強かった。咲が落ち込んでなければいいけど……)
照(心配だ。様子見に行こう)ツカツカ
照(それにしても、咲も天江衣もかわいいな……天江を咲の妹にしたい……)ツカツカ
――
咲(ふぅ……やっぱり衣ちゃんは強いなぁ……だいぶ追いつかれちゃったよ)
咲(おかあ……霞さんにもらったこれ、食べよっと……あっ……)コロコロ
咲「あ、待って~」
――
咲(転がりすぎだよ~)
照(もう少し先に咲の反応)ピコーン
咲(待って~)
照()ツカツカ
照()グニュ
照(何か踏んだ……みかん……?)
咲「あ、ああ……」
照(咲!?)
照(落ち着け、私。……どうする? 抱きしめて頬ずりするか。それとも頬ずりして持って帰るか……難しい)ムム
咲「お、お姉……ちゃん……」
咲(どうしてお姉ちゃんがここに……?)
咲(それに、怖い顔してる……私が衣ちゃんに勝ててないから?)
咲(……チームが強くなっても私自身が強くならないといけないのかな?)グスッ
照(咲が泣いている!?……まさかっ!?)
照(この、果物か?これを踏んだから……?)
照(何か近くに果物は?)キョロキョロ
咲(お姉ちゃん……もう、顔も合わせてくれないんだね……グスッ)
照(!!……咲がもっと泣きそうな顔に……)
照(そうだ!長野名産の果物といえば……)ダッ
咲「あっ……」
咲「一言も話してくれないまま行っちゃった……」
咲「私が弱いから……」グス
咲「……もっと強くならなきゃ」
咲?「モット……ツヨク……」ゴッ
――
アナ「いよいよ大将戦も後半戦。泣いても笑ってもこの一局ですべてが決まります!」
サキ「……」
控室
霞「いけないっ!」
久「どうしたの? 急に立ち上がって」
霞「咲ちゃんの様子がおかしいわ! すぐに対局を止めさせないと!」
久「待ちなさい」ガシ
美穂子「対局が始まると対局者以外は入室できませんよ」
霞「でも、このままじゃ、あの子は……!!」
久「取り乱すなんてあなたらしくないわね……それほどの事態なの?」
霞(取り乱す……私が?)
霞(少し情が移りすぎたのかしら……)スゥ
霞「……いえ、画面越しだからはっきりとはよく分らないけれど……」
久「だったら、もう少し見守ってみましょう? 見守るのも先輩の役目よ」
霞「え、ええ……」
霞(でも、何なのかしら、この胸騒ぎは……)
対局室
東一局 親 咲
咲、脳内
咲 「リンシャンカイホー? 何それ」
照 「麻雀の役の名前だよ。山の上で花が咲くって意味なんだ」
咲 「咲く? おんなじだ!あたしの名前と!」
照? 「そうだね。咲。 森林限界を超えた高い山でさえ可憐な花が咲くこともあるんだ」
テル?「咲、どうしてそんなところに花が咲けるか知っているカ?」
テル?「ソレハね、周りの草木カラ養分を奪いとってイルカラ」
サキ「ダカラこの花はキレイなんだネ?」
テル?「ソウ。ダカラ、サキ、おまえも、マワリをカテにしてツヨク咲きホコレ」
サキ「ワカッタヨ、オネエチャン」
サキ「」
―ー
衣(何だ……この清澄の気配は……先ほどまでとは明らかに違う……!?)
池田「」チャッ
サキ「ロン12000」
池田「」ビクッ
ゆみ(嶺上以外であがった……!?それも風越を直撃だと?)
池田「うう……」
ゆみ(風越が危うすぎる……!!)
衣(コイツ……まさか……)
――
池田「」スッ
サキ「ロン18300」
池田「え……」ガクガク
池田「うう……」チャッ
サキ「ロン2100」
池田(なんなんだよ……)
サキ「ロン6700」
池田「え……」
アナ「大将戦・後半戦はトップの清澄高校宮永咲の4連荘ではじまったぁ!!」
咏「これは、まずいねー」
アナ「え?」
咏「風越の点数を見てみろよ」
アナ「!」
風越 0
衣(やっぱり……)
衣(こいつ……)
サキ「」ニヤァ
衣(衣がやろうとしたことを……許せん!)
衣(……もしかして……これが、“麻雀を打たされてる”というやつか?)
衣(衣もこんな風に見えていたのかなぁ……)
サキ「マージャンッテ、タノシイヨネ?」ニヤニヤ
衣「」ゾクッ
衣(あんなのは……ゴメンだ!)ポワァ
ゆみ(何だ……? 天江の体が光ってる……?)
――
衣(この状況を打開するには――!)
池田(みじめだなぁ……今さら倍満を聴牌してどうするんだよ)
衣(清澄の前半戦を見せてもらった今ならできるか――?)
衣「カン!」
衣(どうだ……?風越の……?)
池田(だめだ……槓ドラのらず……)
衣(くっ……やはりそう上手くはいかんか……だったら……)チャッ
ゆみ(天江の不自然なカンの後のあの捨て牌……やってみるか……)
ゆみ「カン!」
衣(大明槓!鶴賀の!気づいてくれた!)
池田(暗刻の中が槓ドラに!)
衣(よし……!)
衣(ここで……)チャッ
池田「ロン!25200!」
衣(風越の……こんなのはこれっきりだぞ)フッ
衣(さて、ここからは、衣が清澄の警戒を一人で受ける)
衣(曲がりなりにも決勝まで来たのだ……独力で何とかするがいい)
――
池田(何だかようやくいつも通りの麻雀が打てる気がする)
ゆみ(手が進むようになってきた!!)
サキ「アマエ……リンシャン、サセロォォ……」
衣「フンッ」
衣(怖くない怖くない……怖くなんかないぞ)グスッ
池田(清澄は天江以外眼中になしか……だったら……)
池田「リーチだし!」
サキ「フンッ」チャッ
池田「ロン!12000!」
サキ「キサマ……」
――
サキ「」チャッ
ゆみ「それは通らないな! ロン12300!」
サキ「」
衣(決勝まで来ただけはある。ただの雑魚ではなかったか)クク
衣(これで衣も動きやすくなった)
サキ「アマエッェェ」
衣(ふんっ)
衣「クククッ、ロンだ!24000」
サキ「アアアァッ」
衣(こ、怖くないぞ……)グスッ
サキ「ウセロ!ボンゾクッ! カン! リンシャンカイホウ! 2100・4100」
サキ「マージャンッテ、タノシイヨネェ」ニヤニヤ
衣(うう……)グスン
――
サキ「ポン!」
衣(また、支配力が衣を上回った?)
サキ 次順ツモ
サキ「」ニヤァ
サキ「カン!」ニヤニヤ
ゆみ「ロンだ」
サキ「リンシャ……!?」
ゆみ「先にロンと言った。その嶺上……成立せず!!」
ゆみ「槍槓 ドラ3 12000」
衣(鶴賀の!)パアァァ
衣(よーし! 衣も負けられない……!)パァァァ
ゆみ(また天江の気配が強まった……どこまで底なしなんだ……)
ゆみ(だが、簡単に諦めるわけにはいかないな)フッ
サキ「ナンデ……ナンデ……」
衣「沈め、清澄」
衣「海底撈月 4100・8100」
アナ「大将戦、後半戦東4局まで終了!ここへきて龍門淵・天江が抜け出してきた! 残すはあと南場の4局のみ!」
清澄:118400 風越:31000 龍門淵:150300 鶴賀:91500
サキ「マダダ……モットモットチカラヲ……」
霞「もうだめ! あの子が……あの子じゃなくなってしまうわ……」
久「たしかに……明らかに咲の様子がおかしいわね……」
霞「いそがないと……」ダッ
久「霞……?」
美穂子「霞さん、泣いてました、よね……?」
――
サキ「モットチカラヲオオ!!」バリバリバリィ
スッ
アナ「あーっと!照明のトラブルか?対局室の電気が消えてしまった」
霞(だめだわ……間に合わないっ!?)
???「破ぁっ!!」
神社生まれ?のTさん「間に合った」ポリポリ
霞「あ、ああ……」
滝見春「霞ちゃん……久しぶり……」ポリポリ
霞「春ちゃん……」
霞「来てくれたのね……」ポロポロ
春「魔を祓うのが私の役目……」
春「魔の気配あればどこにでも現れる……」
春「それが自慢……」ニコリ
アナ「対局室の照明が復旧するまで大将戦は中断されます。選手は控室に戻るようです」
回想
咲 「リンシャンカイホー? 何それ」
照 「麻雀の役の名前だよ。山の上で花が咲くって意味なんだ」
咲 「咲く? おんなじだ!あたしの名前と!」
照 「そうだね。咲。 森林限界を超えた高い山でさえ可憐な花が咲くこともあるんだ。私はそんな花はとても美しいと思うんだ。なぜなら――
咲(う、ん……私何してたんだろ……えっと大将戦の前半が終わって……)
???「おい、おっぱい、そこかわれ。咲を膝の上で寝せるのは私だけの特権」
???「誰のことをいってるのかしらねぇ?」ゴゴゴゴゴ
???「ま、まあまあ、宮永さん、妹さんが心配なのはわかりますけど、今は動かさないほうがいいわ」
咲(ん……? さっきお姉ちゃんの声が……?)
咲「ん……」
咲「あ……おかあ、霞……さん……?」
霞「咲ちゃん……よかった……」ギュッ
咲(やわらかい……)
久「ちょ、ちょっと、宮永さん、あなた何、持ってきた木を振りかぶってるのよ!?」ガシッ
照「離せ。咲についたおっぱいの亡霊をこの聖なるリンゴの木で祓うんだ」
久「ちょっとあなた、さっきから言ってることがめちゃくちゃよ」ガシッ
美穂子(こんなに変な人だったなんて……宮永照といえども、普通の人の子……いえ、人の姉でしたのですね……)クス
照「離せ。年増に用はない。私を抱きしめていいのは咲だけだ」
美穂子「あぁんっ?」ピシッ
照「へ?」
美穂子「おい、今、久さんになんとおっしゃいましたか」グイッ
照「」
久「ちょ、ちょっと……美穂子」
美穂子「若くて、こんなに素敵な久さんに、今、あなたはなんとおっしゃいました、か?」グイッ
照(く、喰われる……)グスッ
久「美穂子、いいのよ。別に。……それに怒った顔よりあなたは笑顔のほうが似合うわよ?」
美穂子「久さん……」パッ 照ドスン
照「グエッ」
咲「お姉ちゃん!?」
照(お姉ちゃん おねえちゃん オネエチャン オネエチャン……)
照「咲―!」ダキッ
咲「えっ?」
照「ごめんよ。お前が楽しみにしてた果物を私が踏んでしまって……」
咲(そうか……霞さんからもらったあれ、お姉ちゃんが踏んじゃったんだ……それから先の記憶がないよ……)
照「そ、それで……代わりになる、果物を探してたんだけど」ゴソゴソ
久「あなた、さっきから持ってたその木……まさか、このために!?」
照「この時期に長野で収穫できるりんごがあって、それを農家の人から麻雀で奪いと……いただいて来たんだ」
照「ほら、この木に、なってるだろ?」
咲「わぁっちっちゃくてかわいいね!」
照「このりんごの名前は“姫小町”咲にぴったりの名前だろ」テレテレ
美穂子「このリンゴ、よくリンゴ飴とかにされる種類のやつですね……」
久「リンゴ飴か……そろそろ縁日の時期ね。大会終わったら行きましょうね、美穂子」
美穂子「はい!」
春「リンゴ飴……」
久「あなたも行きたいの?」
春「……」コクコク
久「じゃあ、あなたも来る? 黒糖といい、甘いもの好きなのね」クス
春「それが自慢……」ニコリ
咲「そっか、お姉ちゃん、私の麻雀に呆れて帰ったんじゃなかったんだ……」
照「後半戦は呆れたぞ」
咲「え?」
咲(後半戦、記憶がまったくないよ……)
霞(春ちゃんが祓った時に記憶もきえちゃったのかしら……でも、あんな記憶は思い出させたくない……)
霞「咲ちゃん……」ナデナデ
照「この、おっぱい、一度ならず二度までも姉の特権を……」
霞「いい加減その呼び方やめて下さらないかしら……」ニコッ
霞「」ゴゴゴゴゴ
照(!?)ビクッ
照(怖い……ここは話を元に戻す)
照「何だ、あのさっきまでの、後半戦の東場は。あんな周りを踏みにじるような麻雀をしてはいけません。お姉ちゃん許しませんよ」
――
東京
菫(何故だろう……なんか照がものすごく不快なことを言っている気がする……)
――
咲「そっか……やっぱり、私の麻雀はダメなんだ……」シュン
照(おい、咲が落ちこんだぞ、どうしてくれる)グイッ
霞(どうみてもあなたのせいじゃないかしら)イラッ
照(これだから、姉力に欠けるやつは……)ヤレヤレ
霞()イライライライラ
春「霞ちゃん、黒糖あげるからこのおばか相手に怒らないで……」
霞「春ちゃん……ありがとう……気が利くのね」ナデナデ
春「それが自慢……」
照(なかなかこの子も妹力が高いな)
照「咲、前半戦はとてもいい対局だった」
咲「え?」
照「あの時山の上で言ったこと……覚えていてくれたんだな」ニコ
咲(お姉ちゃんだ……あの、時の、優しいお姉ちゃんだ……)ポロポロ
咲「お姉ちゃんっ」ギュッ
照(っ!?)
照(ああ、私は、もう死ぬんだな……だが、咲の胸に抱かれて死ぬなら本望だ……わが人生一片の悔いなし……!!)
アナ「照明が復旧しました。大将戦、各選手は対局室にお戻りください」
照()イラッ
ところでカツ丼さんじゃなくて咏がいるのは何か伏線だろうか
小走「ほんとにもう大丈夫なのかい?」オロオロ
咲「はい!先輩、ありがとうございます」ニコ
トシ「すまんが、私からは何も助言してあげられそうにない。あとはあんた次第だよ」
咲「ハイッ」
咲「じゃあ、お姉ちゃん、言ってくるね!」
照「ああ……でも、さっきみたいな他人を蹂躙するような麻雀はだめだ。何故山の上で咲く花が美しいか……」
トシ(宮永照……雀力125万……これが高校の頂点かい……)ゴクリ
咲「うん。わかってるよ、お姉ちゃん。全部思い出したから」ニコ
霞(結局、あの子の魔が根っこから祓えるのは実の姉だけだったみたいね……少し寂しいわね……)
咲「いってくるね、霞お姉ちゃん、お姉ちゃん!」ニコッ
霞(あら、まだ、私もお姉ちゃんとよんでくれるのね……)クス
照()
対局室
衣「清澄の正気に戻ったか」
咲「そうみたい」
衣「ならばもうお前に勝ち目はないぞ。クックック」
咲「みなさん、さっきまではすいませんでした」ペッコリン
池田・ゆみ・衣(!?)
咲「ここからは楽しんで麻雀をします」ニコ
咲「みなさんも楽しみましょうね!」ニコ
衣(さっきまでよりも段違いに強い……!?)ゾクッ
大将戦 南四局
ゆみ(最終局……だが、親は私だ。上がり続ければ十分逆転できる点差だ)
池田(テンパイして流局を続ければ、カナちゃん奇跡の大逆転優勝だし!)
衣(さて……じっくりと観察させてもらったが、南3局まで清澄はあがらず……か)
衣(この局も清澄から感じる気配は乏しいが……)
衣(さっきの気配は衣の勘違いか?)
――
衣(聴牌直前で生牌を掴んだか……)
衣(今感じている気配を信じれば、問題ないが……)
衣(……)ジッ
咲「ん? 麻雀って楽しいよね?」
衣・ゆみ・池田(ビクッ)
咲「え?どうしたの?」
衣・ゆみ・池田(本人に悪意はなかったのか……こっちはトラウマだっていうのに)
衣(でも……さっきまで、は確かに楽しかった。今まであんなに考えて麻雀を打ったことはなかったから……!)
衣(麻雀を楽しむなら……ここは自分の感覚を信じて、聴牌を目指す……!)チャッ
衣「……あがるか?」
咲「ううん……これで上がったら私の負け……でも……カン!」
咲「もいっこカン」
回想
咲 「咲く? おんなじだ!あたしの名前と!」
照 「そうだね。咲。 森林限界を超えた高い山でさえ可憐な花が咲くこともあるんだ。私はそんな花はとても美しいと思うんだ。 なぜなら、それらの花は誰にも頼らずに自分自身の力で咲いているから。だから咲、お前もそんな花のように強く咲けるように―――」
ゆみ(暗槓した牌がそのまま槓ドラに!?ここまで清澄は一度もドラがのらなかったのに――!?)
咲「もいっこカン」
ゆみ(また――? 点差は、31900点。ドラ8大明槓責任払いならこれだけで逆転確定――さらに三暗刻三槓子嶺上だと……どこまで削る気だ?)
咲「ツモ三暗刻三槓子嶺上開花ドラ8です」
衣(な……)
アナ「決着! 長野県予選、優勝は、初出場、清澄高校だぁ!!!」
咲「ありがとうございました」ペッコリン
衣「……清澄の」
咲「衣ちゃん、また一緒に麻雀しようね!」
衣「……!?」
衣「あ、ああ!次は負けぬぞ」
衣「今日は……楽しかったぞ、清澄!」ニコ
咲「えへへ」
控室
照(おめでとう、咲……)スタスタ
霞(あら?)
霞「待って」
照「?」
霞「咲ちゃんに逢わずに行くつもりかしら?」
照「ああ……長野代表になった以上、今から私達は敵同士だからな……」ゴゴゴ
霞(やはり……宮永照……大会の事となると別人ね)タラー
照「それに……それに……これ以上咲といると離れた時の禁断症状がひどくなる」ウルウル
霞(……)
照「全国大会が終わるまで、咲を頼む」
霞(え……)
照「咲はお前になついているようだ……私の次にな……」
霞「……」
照「お前を咲の義母だと認めてやる」
霞「」ドンッ
照(壁に穴をあけた……)ブルブル
照「……あなた様を咲のいとこのお姉ちゃんくらいの関係として認めさせていただきたく存じ上げる」
照(やだ。このおっぱい怖い……)
霞「……全国大会が終わったら、あの子の所に戻るのかしら?」
照「……」
照「……可能ならば、私を倒してくれ」ニヤ
霞(!?)ゾクッ
照「そしたら私はあの家に戻ることが出来る」スタスタスタ
霞(……)
霞(なんてプレッシャーなの……足が震えてるわ……)
霞(あの子もまた、魔に憑かれた一人なのかしら……)
咲「霞さんっ! あら、お姉ちゃんは?」
霞「全国大会で待ってるって言い残して帰ったわ」
咲「そんなぁ……」
霞「大丈夫よ。またすぐ会えるわよ。とりあえず今日は家に戻ってお祝いね」
咲「はいっ」
春「案内して……」
咲「?」
霞「春ちゃん、あなた、宿泊場所のこと考えずにここまで来たのかしら。相変わらず無鉄砲ね」
春「それが自慢……」
咲(あれ、確か霞さんも……)
霞「どうしたのかしら……咲ちゃん?」ニコ
咲「いえ、何でもないです」ガタガタ
霞「じゃあ、帰りましょうか。あなたの、いえ、私達の家に」
咲「はいっ!」
おわり
清澄高校 職員室
コンコン
トシ「おや、何だい?」
???「これはもういらん」スチャ
トシ「いらないのかい?」
???「……こんなもので強くなっても、私自身が強くなるわけじゃない……」
トシ「そうかい……」ニヤ
???「私は奈良に居た時は、一度も勝てない相手なんていなかった」
???「小3の時からマメすらできないほど打って来たんだ……」
???「それが、長野に来てからは格の違いを思い知らされるばかりだ」
???「バカみたいに虚勢をはっていても力の差くらい分かってるさ……」
???「何より、決勝戦、私がもっとちゃんとしてれば……いや、私自身がもっと強かったら、後輩が気を失うまで追い込まれることもなかった」
???「私は……強くなりたい……」
トシ「大丈夫……あんた、強くなれるよ。だから、泣かないで、顔を上げて……やえ……」
小走「うう……」
佳織(先輩……)
トシ「その言葉を待っていたんだよ」ニヤ
小走「え……?」
トシ「いい方法があるよ……」ニヤリ
To be continued …
とりあえず県大会編終了です。
予想以上の長さになりました。
書き始めたときは白糸台との戦いしか考えてなかったんでまさか、こうなるとは……
今度は最後まで書き終えてから投下するんで、しばらく時間あけます。たぶんスレを新しく立てると思います。
読んで下さった方々、ありがとうございました。
>>177
咏が出たのは作者の好みという壮大な伏線回収の結果です。
副将戦で、「牌の由来っておっぱいなんだよねー」って言わせようとしましたが、さすがに自重しました。
乙かレジェンゴ
ここは依頼出すか3ヶ月くらい放置しないと落ちないし
スレだいぶ余ってるからここでやれば?
>>190
3か月も持つんですか?
それなら、大丈夫ですね。では、こちらでやらせていただきます。
>>191
ごめん放置は2ヶ月だわ
確か作者が定期的に書き込めば強制依頼も出されなかったはず
>>192-195 どうもありがとうございます
期間が空きましたが、全国編書き終わったので投下させていただきます。
※ここからも完全原作無視です。勝ち上がり校すら適当です。
照以外の白糸台メンバーの能力も好き勝手に書かせてもらいました。
テンポをよくするため、清澄メンバー以外は基本的に空気です。
まともな麻雀は有り得ません。
では、3分おきくらいで投下していこうと思います。
鹿児島 永水女子
初美「あら、はるる、帰ってきたのですねー」
春「……」ポリポリ
巴「お帰りなさい。急にいなくなって心配しましたよ……」
初美「どこに行ってたのですかー?」
春「長野」
小蒔「!? 霞ちゃんにあったのですか?」
春「うん」コクコク
春「お土産」
小蒔「私に……ですか?」
春「姫小町っていうりんご……姫様にぴったり……」
小蒔「まぁ……」
巴「りんごっていうか……木、一本まるごとじゃない? 良く持ってきたわね……」
春「それが自慢……」
初美「こんな木、どうやって手に入れたのですかー?」
春「宮永照が持って来て、その妹が霞さんと暮らしてて、霞さんからもらった」
巴「宮永照!?」
春「食べれば宮永照みたいになれる……」ニヤ
???「そんなオカルトありえません!」
小蒔「あら、のどかちゃん」
和「滝見さんも戻ってきましたので、ばかなこと言ってないで早く練習しましょう。全国に向けて!」
小蒔「は、はいっ!」
巴(全国有数のオカルトな麻雀部のウチに、よくこんな子が入ってくれたわねぇ……)
――
全国大会
久「いよいよ来たわね、東京」
美穂子「はい!」
ゆみ「わたしたちも応援してるからな」
透華「無様な負け方は許しませんわよ!」
一「透華ったら、応援の準備張り切ってたもんね~」
透華「なっ、何を言っておりますの!?」
まこ「うちも応援頑張るけぇのぉ」
久「まこ……それに、みんなも……ありがとう」
咲「それにしても……人がいっぱいだよ~」
霞「はぐれないようにね、咲ちゃん」
咲「うん。じゃあ、霞さんに掴まってるね」
霞「あらあら」
霞(結局、宮永照に会ってからは呼び方が霞さんに戻っちゃったわね……少し寂しいわねぇ……)
大会初日
トシ「さてと、オーダーを決めるかねぇ……」
久「県予選と同じように試合ごとにオーダーを変えられるのね」
トシ「やえが間に合っていない以上、佳織にがんばってもらうよ」
佳織「は、はいっ! がんばりますっ!」
咲「小走先輩は?……別メニューで特訓中だっていってましたけど?」
トシ「大丈夫。ちゃんと日程は伝えたよ……決勝戦の日程をね」ニヤリ
久・美穂子・咲「!?」
霞「あらあら」
久「これは……なおさら負けられないわね」
佳織「がんばりますっ!!」
――
一回戦
久「ごめんなさいね、ロンだわ」
――
二回戦
美穂子「ツモです」
――
小蒔「ロン」
佳織「あわわ……」
――
久「ツモ!」
――
咲「嶺上開花。8000オール」
アナ「終了! 清澄高校副将宮永咲、最下位の高校をとばして2位通過を決めたー」
二回戦 終了後
佳織「うう……私が足を引っ張ってしまいました……」
久「大丈夫よ。神代小蒔相手に少しのマイナスで済んだんだから大したもんよ」
久「ねぇ、霞」
霞「え、ええ……」
霞(オーダーを自由に変えていいとはいえ、小蒔ちゃんが次鋒とはね……大将は知らない1年生だったけれど……)
――
準決勝
咲「嶺上開花」
咲「嶺上開花」
咲「嶺上開花」
小蒔「ロン」
小蒔「ロン」
咲「嶺上開花」
控室
久「す、すさまじいわね……」
佳織「あの二人と一緒には絶対に打ちたくないですぅ……」
美穂子「永水の直撃が一校に集中しているせいで、先鋒戦なのに最下位の高校が大変なことに……」
トシ「これは……長くても次鋒までだねぇ……」
久「佳織」
佳織「は、はいっ!?」
久「咲がいっぱい稼いでくれたから大丈夫よ。ノビノビやってきなさい」
佳織「はいっ!」
――
次鋒戦
初美「ツモ 8000・16000ですよー」
久「この対局で二度目の四喜和……」
美穂子「最下位の高校がとんでしまいましたね」
トシ「ま、なんにせよこれで決勝進出さね。霞も温存できたし万々歳じゃないか」
咲(いよいよだよ……お姉ちゃん!)
インターハイ・決勝戦 前日 夕方
咲「霞さん、一緒にお散歩しませんか?」
霞「ええ。いいわよ。じゃあ、行きましょうか」クス
咲「はいっ!」
久「相変わらず仲よしねぇ……」
美穂子(私も、久さんともっと……)
美穂子「あの、久さん、私達も……」
ガラッ
テル「お邪魔するゾ」
久「あなたはっ!?」
――
霞「だいぶ遠くまで来たわね」
咲「はい。思わず歩きすぎました……」
咲「ふぅ……いよいよ明日が決勝戦ですね! 霞さん!」
霞「そうね……」
咲「お姉ちゃんに勝ったら、また一緒に暮らせるようになるかなぁ……」
霞「……」
霞「大丈夫よ」ナデナデ
霞「実は県大会の後、宮永照が、白糸台を倒せたら咲ちゃんと一緒に暮らせるようになるって言っていたのよ」
咲「ほんとですか!?」
霞「ええ……ほんとうよ」ニッコリ
咲「よかった……あの頃の優しいお姉ちゃんが、うちに帰ってくるんだ……!!」
咲「よかった……よかったよ……」グス
霞「咲ちゃんはほんとにお姉さんが好きなのね」ギュッ
咲「はい……とっても優しいお姉ちゃんだから……」
――
テル「ロン 32000」
テル125000 久0 美穂子100000 佳織100000
久「うそ、でしょ……」
美穂子「そ、そんな……」ガタガタ
テル「次はおまえダ」
佳織「ひっ……」
1時間前――
久「宮永照? ごめんなさいね、咲ならちょうど出かけたわよ」
テル「勝負シロ」
久「え?」
テル「私ト麻雀で勝負ダ」
久「何言ってるのよ……明日対局する高校のメンバー同士が勝手に戦っていいはずないでしょ」
美穂子「久さん……何か様子が変ですよ……」
テル「三対一でイイ。それも私は25000点、お前らは100000点ダ。お前らの誰かが一位だったらお前ラの勝ちデいい」
久「なっ!?」
テル「そのかわリ。私が三人全員をとばしたラ、明日の決勝は棄権シロ」
久「何ですって!?」
美穂子「そこまで舐められると、黙っているわけにはいきませんね」
テル「ふフ……」
納得
すいませんでした
>>212 いえ、雰囲気で適当に書いてるんで気にしないで下さい
さらに1時間前 病院
照「千里山の人……」
怜「宮永照……!? わざわざ来てくれたんか?」
照「決勝、千里山が棄権したってきいたから……」
怜「うち、病弱やから。気にせんといて……」
照「でも……私のせいで無理させたから」
怜「そうや。あんたが強すぎるから、無理せなあかんかったんやで」
照「じゃあやっぱり……」ウルウル
怜「ま、ぜんぶ、無茶した自分のせいやから」ニコ
照「でも……このままじゃ気がすまない……」
怜「……」
怜「そやったら……明日の決勝、今までで一番強いあんたを見せてや」
照「一番、強い?」
怜「そや。そしたら、うちが限界を超えてまで戦った相手は、身を削ってまで戦わなあかんくらいの化け物やったって、みんな理解できるやろ」
怜「決勝……楽しみにしてんで……」
照「分かった……じゃあ失礼する」
怜「ほな、またな~」
照「」テクテク
照(一番強い私……)
照(宮永の血に棲みつく魔物……ずっと……押さえつけてたけど、今日と明日だけ解放するか……)
照(たぶん、制御できるだろ……)
照「ポン!カン!ツモ!」ゴッ
照?「……」
てる?「くっくっく……」
テル「制御できるワケないダロ……ふふふ……全員 ゴッ 潰ス」
現在
テル「さテ、残りは二人ダ」
美穂子(そんな……久さんの点数をちょうど0にするなんて……許せないわ!!)
久(宮永照……中継で見たよりももっと桁違いの強さ……寒気がするわね)
テル「さきにお前をとばそウ……」
佳織(ひっ!?……こわい……こわいこわい……)
ガラッ
???「その対局ちょっと待ちな……!」
テル「?」
美穂子「あ、あなたは……」
久「戻ってきたのね……」
佳織「あ……ああ……」グスッ
小走「おまたせっ!」
佳織「こ、ごばじりぜんぱぁい……」ポロポロ
小走「佳織。あんたには大変な思いをさせたね……もう大丈夫だよ」
小走「さて……宮永照、いや、そこのお前、佳織の代わりに私が入るよ。いいね?」
テル「だれガ来ても一緒ダ」
小走「今のあんたじゃぁ、わたしは相手にならんよ」
小走「さぁて……お見せしようかね……」
小走「ニワカの打ち筋を……!!」ゴゴゴ
――
小走「ロンだよ 7700」
テル「ば、ばかナ!?」
美穂子・久(はじめて宮永照以外があがれた!?)
小走「だから言ったじゃないかい? わたしじゃ、強すぎて、相手にならんよって」
小走「普段の宮永照なら、私も厳しかったけどね」
テル「ウッうう……」
小走「お? 戻りそうだねぇ?」
照?「ん……」
照「ここは……」
照「そうか……私はアイツを制御しきれなくて……」
久(宮永照が前会った時の雰囲気に戻ったわね)
照「うう……すまない……迷惑をかけてしまった……」
小走「ま、心配しなさんな。私はもう、マメすらできない」バッ
照(やっぱアイツに好き勝手させるのはよくない……反省……)
菫「照!?」ガラッ
照「菫……」
菫「こんなとこにいたのか……さっさと戻るぞ! うちのが迷惑かけたな。すまない……」
菫「さあ!」
照「菫、首を掴んで運ぶのはやめてほしい……」
菫「うるさい」
照「しょんぼり……」
菫「お前……ほんとに反省してるのか? まあいい。さっさと帰るぞ」
美穂子「待って下さい!」
久「美穂子?」
美穂子「このまま何もなく帰られるのは納得できません!」
美穂子「久さんは宮永照に酷い目にあわされたんですよ!」
久「ちょ、ちょっと、美穂子、私は別に……」
美穂子「久さんが良くても、私は許せません!」
菫「……おい、照。お前のせいだぞ……」
照「面目ない」
菫「それで……どうしたらいいんだ?」
美穂子「私と久さん、そしてあなたと宮永照の2対2で対局して下さい!」
菫「やれやれ……時間もないから、全員の親番一回ずつ、連荘はなし、それでいいなら受けるが?」
美穂子「かまいません」
菫「照……おまえはこの対局、何もするな」
照「なぜ?」
菫「このルールだと一局目を上がらない上に徐々に打点を上げるお前じゃ、一局目のあがり次第で決着がついてしまう恐れがあるからな」
照「ぶーぶー」
菫「それに……私一人で十分だ」
美穂子・久「!?」
美穂子「ばかにして……」
久「流石にちょっとカチンときたわねぇ~」
久「美穂子」
美穂子「はい」
美穂子・久(二人がかりで弘世菫を叩く……!!)
――
菫「ロンだな。これで終了だ」
美穂子「そ……そんな……」
久(二人がかりで一度もあがれなかったわ……完敗ね……)
菫「退屈だな」
菫「天江衣を倒した清澄高校の獲得点数ツートップだと聞いていたが、この程度とは……」
菫「はっきり言って拍子抜けだな……」
美穂子「どうして……」
菫「お前、他人の打ち方を観察して場を上手くコントロールするみたいだが……自分が読まれることを考えたことはなかったのか?」
菫「二人で協力することしか考えてなくて、読みやすいんだよ」
菫「団体戦とはいえ、戦ってる間は一人だ」
久(確かに……美穂子と力を合わせることばかり考えていたけど……こうも完全に封じ込められるなんて……)
菫「そろそろ戻ってもいいか?」
小走「拍子抜けはこっちのセリフだよ」
菫「なに!?」
小走「王者・白糸台の3年生だと聞いていたが、この程度とはね」
菫「何とでも言えばいいさ。この二人と同じチーム。それだけでたかが知れる」
小走「……」
小走「さっきの対局がこの二人の実力だと本気で思ってるんなら、さらに拍子抜けだね」
菫「何が言いたいんだ?」
小走「」ニヤリ
小走「王者は相手にならんよ!」
菫「……明日、私は副将だ。対局後に同じ台詞を吐いてみろ……では、失礼する」
小走「……明日が楽しみだねぇ」ニヤリ
美穂子「……」ダッ
久「美穂子っ!? どこに行くの? 待って!」
――
霞「かなり遅くなってしまったわね。そろそろ戻りましょうか」
咲「霞さん……」
霞「?」
咲「霞さんは、大会が終わったら鹿児島に戻ってしまうんですか……?」
霞「……どうしてそう思うのかしら?」
咲「霞さん……何だか、お姉ちゃんが戻ってくるまでの代わりを務めようとしているみたいだから……」
咲「私は、霞さんをお姉ちゃんの代わりだなんて思ったことありませんよ……」
咲(抱き着き心地も全然違うし……)
咲「だから、それが分かって欲しくて、県予選以降は霞お姉ちゃんって呼ぶのを止めたのに……」
霞(あらまぁ……この子なりに色々考えていたのねぇ……)
咲「だから、明日、もし、うちが優勝できたら、お姉ちゃんが帰ってくる代わりに、霞さん、鹿児島に戻っちゃうのかなぁって……」
咲「わがままだって分かってますけど……そんなのは……ヤだなぁって……」
咲「うぅ……」
霞(予想以上に懐かれちゃったわねぇ……しかも、それを嬉しいと思っている自分にもビックリねぇ……)
霞「顔をあげて、咲ちゃん」
咲「うぅぅ……」ウルウル
霞「そうねぇ……転校なんて、そんなに簡単にできるものじゃないから……咲ちゃんさえよければ……少なくとも高校卒業までは、家においてほしいのだけれど……」
咲「え……」
霞「やっぱり、迷惑かしら?」
咲「いえ!まったく!全然!」
霞「じゃあ、もうしばらくお世話になろうかしら?」クス
咲「霞さんっ!!」ダキ
霞「ふふ……咲ちゃん」
咲「はい?」
霞「明日の試合、頑張りましょうね……」
咲「はいっ!」
――
決勝戦当日
トシ「オーダーを発表するよ。先鋒・咲。真っ向からエース対決だよ」
咲「はい!」
咲(今日は負ける気が全くしないよ……お姉ちゃん!)ゴッ
トシ「次鋒・久。やれるね?」
久「当然。高校最後の対局だもの。楽しまなきゃ損だわ」
トシ「中堅・美穂子。頼んだよ」
美穂子「は、はい……」
トシ「副将・やえ。成長したあんたの姿、楽しみにしてるよ」
小走「ま、心配しなさんな」
トシ「そして……大将・霞。まかせたよ」
霞「ええ」
霞「咲ちゃん。気楽に打っておいで」
咲「ハイッ! じゃあ。行ってきます!」
――
決勝戦:先鋒戦
清澄:宮永咲 白糸台:宮永照 永水:原村和 阿知賀:松実玄
前半戦 東1局 親:宮永照
恒子「いよいよ高校生の頂点を決める、決勝戦スタートです!」
咲(お姉ちゃんとの対局はいつ以来かな……)
咲(昔は±0を目指してたことがお姉ちゃんにバレバレだった。でも、お姉ちゃんはトップしか見ていなかったから私に好き勝手させてくれていたけど……)
咲(今日はそうもいかないはず……)
咲(でも、一局目で今日も±0を目指していると錯覚させて、お姉ちゃんの親番で一気に削ることが出来れば……)
咲(その為に、試しておくことは……)
咲「カン!」
咲(槓ドラは……のらない……最近は暗槓した牌がそのまま槓ドラになっていたけど……)チラッ
玄(ドラが増えたよ!……よーし!)
咲(やっぱり。奈良代表の人のドラに関する支配力は私よりもずっと上だよ……)
咲(お姉ちゃんの親番だし、ここはこれを利用させてもらうよ!)
咲「もいっこカン!」
玄(ドラドラドラドラドラドラ……ドラが凄い事になったよ……!?)
玄(あ……きちゃった……あがっても……いいんだよね……?)
玄「えーっと、ツモ 三暗刻ドラ10 8000・16000です。エヘヘ」
恒子「いきなり数え役満だぁ!! 阿知賀・松実玄。ドラ10の大爆発これぞまさに……」
恒子・咏「阿知賀のドラゴンロードだ!!!!」
恒子「三尋木プロ、もう一度行きましょうか」ニヤリ
咏「ふふっそういうことやるのか、アナウンサー」ニヤリ
恒子「せーのっ」
恒子・咏「阿知賀のドラゴンロードだぁ!!!!」キャーキャー
健夜「ふ、二人とも、ちょっと落ち着こうよ~」
えり(決勝は特別に4人での解説……でも、この2人が揃うと10人分くらいうるさい)
悪い見間違えた
――
照(いきなり数え役満の親かぶりか……奈良代表め……でも妹だから許す……大会が終わったら咲の姉で私の妹として迎えたい)
照(じゃあ……始めるか)ゴゴゴコゴ
咲・玄(来たっ……照魔鏡!?)
照(ぐへへー大事なものを見てやるぞー)
照(阿知賀の妹ちゃんは……相変わらずドラが来るのか……ドラで妹……ドラミちゃん……)ププッ
照(ちょー可愛い咲ちゃんは……±0を目指してるのか……?)
照(そして、鹿児島の魔乳は……)
照(なん……だと……!?)
>>233 いえ、こちらもミスとか多分いっぱいあるんで気にしないで下さい
東2局 親:原村和
和「ツモ ピンフのみです」
咲(お姉ちゃんが上がれなかった!?)
東2局 1本場
和「ツモ ピンフのみ」
咲(まただよ……何だか私の知ってる和ちゃんとはだいぶ違うなぁ……)
玄(あがりが園城寺さんよりも早いよ……)
東3局 2本場
和「ツモ ピンフのみ」
咲(また!?)
照(やはり……間違いない。この乳の力は……!)
東4局 3本場
和「ツモ ピンフのみ」
恒子「4連続和了! 永水・原村和、チャンピオンのお株を奪う連続和了だ!」
咏「牌に愛されてるねー」
えり「どうもこの原村選手、非常に平和で早アガリするケースが目立ちますが……どう思われますか? 小加治プロ?」
咏「む……」
健夜「そうですねぇ……地区予選の結果を見る限り非常に高い確率で平和を聴牌することが多い選手ですね……」
咏「ふっふーん。この子、神代小蒔と薄墨初美の影に隠れてたけど、地区予選では6順目までには100%平和を聴牌してたんよ」
えり「そうなんですか!?」
咏「どうだい、えりちゃん? ちょっとは私のこと見直したかい?」ニヤ
えり「あーはいはい見直しましたから……でも、その割には飛び抜けた和了率ではありませんが……」
咏「この子は完全なデジタルっぽいからねー」
健夜「おそらく、平和の得点とそこから派生しそうなアガリの点数とその確率を比較して、より期待値の高い手を選んでいたのでしょうね」
恒子「なるほど……ん?選んで……いた?」
咏「相手が宮永照だからねー」
健夜「恐らく、チャンピオンの連続和了を警戒して早アガリを選択しているのでしょう……」
咲(早い段階で確実に平和を聴牌する和ちゃん……)
照(早い段階で確実に平和を聴牌するおっぱい……)
咲(そんなオカルトあり得ないよ……!!)
照(そんなおっぱいあり得ません……!!)
和(永水の先輩方と打ち始めてから、よく平和の手が完成するようになりましたね……すごい偶然ですね……)
照(私にとってはかなりやっかいな相手だな……)
照(でも……)
照「ツモ。1300・2600は1700・3000」
照(それならもっと早くあがってやればいいだけ……)
咲(お姉ちゃん、一回目にしては打点が高いよ……!?)
照「ツモ 3000・6000」
照「ツモ 4000・8000」
恒子「今度は宮永照が三連続和了だぁ!」
えり「宮永照にしては、連荘開始時から打点が高いですね……」
咏「誰かさんに打点が低いって言われたからねー」ニヤリ
健夜「えぇぇ~私のせいなのっ!?」
南1局 親:宮永照
恒子「前半戦は南場に突入!チャンピオンの二度目の親番だ!」
健夜「次は最低でも18000以上……ここは、他家は連続和了を止めたいところですね……」
咲(ここだ……お姉ちゃんの親番!!)
咲(ここで削る……!!)
照(咲の気配が変わった……!?)
咲「カン……」ゴッ
咲「もいっこカン!」
和(この選手……やたら嶺上開花が多い選手でしたが……)
咲「ツモ。嶺上開花 6000・12000」
照(かわいいなぁ咲は……いや、今は対局中だ……)
照(どうやら咲も勝ちを放棄してるわけじゃなさそうだな……)
照(もう一回覗いとくか……)ゴゴゴゴゴ
咲・玄(二回目の照魔鏡!?)
照(やはり勝つつもりだったか……でも、簡単には負けてあげられないな……私も宮永の人間。やるからには、勝ちを目指す……!!)
照「ツモ 2000・4000」
照「ツモ 3000・6000」
照(さて……咲はどう出てくる……?)
和「ツモ」
照(あ、おっぱいのことを忘れていた……)
恒子「前半戦、終了~!!」
――
先鋒戦・後半戦
咲(やっぱりお姉ちゃんは強いなぁ……!!)キラキラ
照(咲が熱い眼差しで私を見ている……だめだ、咲、私達は姉妹。子づくりは出来ても結婚はできないんだ……)
咲(でも、私だって全国大会まで何もしなかったわけじゃないよ!)
回想――
長野 決勝進出校4校合同合宿
ゆみ「私ならこういう相手にはこうする」
池田「お前は一人でなんとかしようとしすぎだし」
まこ「卓には4人おるんじゃ。全員が敵とは限らんし、3人を敵に回すとやっかいじゃろ? 上手く立ち回るんが重要なんじゃ」
咲「うーん……でも、急には難しいなぁ……」
池田「大丈夫。お前の身近にいいお手本がいるし」
ゆみ「ああ、そうだな」
咲「?」
池田「キャプ……福路先輩がいるだろー? うらやましいことに……」
ゆみ「県決勝で見せた、前半は沈黙し、他家を利用して龍門淵を抑え、最後は一人だけ浮上」
ゆみ「あれが、理想的な立ち回りだな」
咲「でも、私にそんな器用なマネできないよぉ……」
衣「清澄の」
咲「衣ちゃん?」
衣「案外考えて麻雀を打つのも悪くないぞ」
衣「決勝戦、衣はお前たち3人と対局して本当に楽しかった」
衣「それに……お前を見て、麻雀を打たされてはダメなんだと気づかされた」
咲「私を?」
衣「確かに、打たされていた状態のお前の気配は圧倒的だった」
衣「だが、同時に脆くもあった。だから衣たちは打たされていた状態のお前を容易に屠ることが出来たのだ」
衣「だから……打たされるのではなく、麻雀を打ってくれ。全国の舞台で、衣達の分まで!」ニコ
咲「衣ちゃん……」
――
咲(大丈夫だよ。今の私は、もう自分を見失うことはない)
咲「カン!」
玄(ド、ドラがいっぱ~い!!)
咲「ポン!」
照(この鳴きは? ツモ順をずらすため?)
玄「ツモ! 6000・12000です!」
咲(みんなの教え……ちゃんと生きているよ!!)
咲(よーし!次は私があがらないとね!)
咲「ツモ 6000オール」
咲(ここから親の連荘で……)
和「ツモ 4000・8000は4100・8100」
咲(そ、そんな……)
咲(和ちゃんが一番オカルトだよ……)
照(こんなに私が上がれないのは久しぶりだな……)
照(おもしろい……)
照(最近は打点を上げるように組み替えてたらいつのまにか勝っているような試合ばかりだった……)
照(最初から高い得点を狙うなんていつ以来だろう……)
照(……これが普通の麻雀だよな)
照(ありがとう……かわいいかわいい咲。あと、ドラミちゃんとおっぱい)
照(私も全力で麻雀を楽しむとしようか)フフッ
照「ツモ 2000・4000」
――
咲「カン。嶺上開花 2000・4000」
恒子「先鋒戦終了! オーラスのあがりで最下位だった清澄高校がトップに浮上!」
咏「四校とも競ったいい対局だったねー」
えり「はい、すばらしい対局でした!」
恒子「高校三年間、一度もトップを譲ったことが無かった宮永照を辛くも倒したのは、清澄高校……宮永咲!! あたらしいインターハイの申し子なのかぁ!?」
健夜(宮永……間違いなく親族ですね……)
先鋒戦終了
清澄:104900 白糸台:100900 永水:98800 阿知賀:95400
玄「ありがとうございました!」
和「玄さん、そして宮永さん達も。ありがとうございました」
咲「また打とうね!」
和「は、はいっ!」
和「では、失礼します……」
照「……」
咲「お姉ちゃん……」
照「咲……」
咲「……」ビクビク
照「強くなったな」ニッコリ
咲「う、うぅ……」
咲「お姉ちゃーん!!!」ダキッ
照「よしよし」ナデナデ
咲「お姉ちゃん、おねえちゃんおねえちゃん!!!」ギュギュウ
照「さ、咲……ちょっと苦しい……」
照(ここにあったのか……天国……!!)
咲「ふわぁっ!? ごめんなさいっ!!」
照「ふふ」
照「ほんとは持ち帰って、隅々までなでなでしたいけど、これは団体戦だから……今はまだ私達は敵同士だ……」
咲「あ……」
照「私は白糸台を、咲は清澄を、応援しないと」
咲「うん……」
咲「あの、お姉ちゃん……」
咲「清澄が勝ったら……うちに、帰ってきて、くれる……?」
照「……」
照「ああ」
咲「わかったよ!じゃあ、またあとでね、お姉ちゃん!!」ダッ
照(あ、行ってしまった……)
照(個人の収支で咲に負けたから、もう家に戻れると思っていたけど……違うのか?)
――
咲「戻りました!」
霞「咲ちゃん!」ギュ
咲「か、霞さん……?」
霞「よく……よく頑張ったわね……」
咲「ハイ!!」
トシ(僅差とはいえ……ほんとうにあの宮永照を倒すとはねぇ……)
久「お疲れ様。次は私の番ね……美穂子、後は頼んだわよ……」
美穂子(久さん……)
――
次鋒戦
清澄:竹井久 白糸台:亦野誠子 永水:神代小蒔 阿知賀:松実宥
久(さて……今、私がやるべきことをしましょう……)
美穂子(久さん……)
昨夜――
久「待って……美穂子……こんな夜に外出しちゃ危ないわよ」ガシ
美穂子「離して下さい……」
久「いやよ。泣いているあなたを離すわけには行かないわ」グイッ
美穂子「久さん……うぅ……ぐすっ……」ギュゥ
久「いやぁ……二人揃ってこっぴどくやられちゃったものねぇ……」ナデナデ
美穂子「私は……麻雀が怖いと思ったのは初めてでした……」
久「あら、あんなに負けたのは初めてなの……?」
美穂子「違いますっ! 目の前で……目の前で久さんの点数が減っていくのに、何も出来ませんでしたから……」
久「……」
美穂子「そして、二人で一緒に倒そうとした弘世菫にも歯が立ちませんでした……」
美穂子「私は……」
久「……私達、“二人で”ってことに拘りすぎたのよ」
美穂子「え?」
久「弘世菫も言っていたでしょう? 協力しようとしていたから手が読みやすいって」
久「私達は知らない間に互いに依存しすぎていたのよ……お互いにもたれかかって動きにくくなっていたのね」
久「私は、美穂子の実力はあんなものじゃないって思っているわよ?」
美穂子「わ、私も久さんの強さはあんなものじゃないって知っています!」
美穂子「でも、私は……私は、二人がよかったんです……二人で、一緒に……」
久「ええ、もちろん」
美穂子「え……?」
久「私達は二人で白糸台に挑むのよ」ニヤリ
美穂子「どういう、ことでしょうか……?」
久「近くにいるんでしょ? ゆみ、はじめ!」
「……」
ゆみ「やはり気づかれていたか……」ガサッ
一「久は鋭いよね~。ほら、透華も、もう隠れる必要ないよ」
透華「わ、わたくしは散歩に来ていたら偶然はじめを見つけただけですわ」
一(よく言うよ……久と福路さんが落ち込んでるって聞いて大急ぎで出発したくせに)クスッ
ゆみ「ここに、龍門淵透華が集めてくれた白糸台の過去2年分のデータがある」
透華「わ、私の麻雀の参考にしようと集めていただけですわ」
ゆみ「私なりに分析した結果、あることに気付いた……」
ゆみ「白糸台には宮永照と大星淡を除けば、あるスタイルが存在している」
ゆみ「教科書通りのお手本のような麻雀スタイルを相手に合わせて応用する、まさに合理的なプロの打ち筋といったところか……」
ゆみ「そして、その打ち方を最も体現しているのが弘世菫だ」
ゆみ「しかし、この弘世菫も最初からそのような打ち方が出来たわけではない」
ゆみ「白糸台入学後、時が経つにつれてこのようになっていった……つまり……」
久「弘世菫のスタイルが白糸台の育成スタイルってことね」
ゆみ「そうだ。そして、その証拠に、2年生レギュラーの亦野と渋谷の牌譜は、2年次の弘世菫のそれとそっくりだった」
ゆみ「福路、君の力があれば、そこにつけこむことができる」
美穂子(まさか……)
久「明日、私が次鋒、美穂子が中堅で行くようにトシさんに頼んだわ」
久「私が美穂子になったつもりで打つわ。そしてそれをしっかりと目に焼き付けて頂戴」
美穂子「そんな!? そしたら久さんは……」
久「私達は二人で勝てばいいのよ。団体戦だからほんとは五人だけどね」ニッ
美穂子「二人で……」
久「そうよ。もたれかかるような関係じゃなくて、背中を託す関係になりたいから……」
久「だから、明日の次鋒戦、私の姿を目に焼き付けてちょうだい!」
現在――
次鋒戦 対局室
久(ここは……美穂子ならきっとこうするわね……)
久(同じ部活になってからずっと見ていたからわかる。あの子ならどう打つか。あの子ならどう考えるか……これは、私にしかできない役目……)スチャ
亦野「ロン」
久「あらら」
亦野(弘世先輩の行った通り、清澄は大したことない)
亦野(残りの2校のほうがやっかいだな)
久(美穂子になら喜んで背中を預けられるわ)
亦野「ロン」
小蒔「ツモ」
宥「つ、ツモ」
久(……でも、このままやられっぱなしってのもちょっと癪ね)
久(もう十分よね、美穂子)
久「」バシュッ
久「ツモ!!」バンッ
恒子「次鋒戦、終了。初出場、清澄高校、少し厳しくなったかぁ!?」
咏「清澄の子今までと別人だったねー。知らんけど」
えり「?」
健夜(最後の局以外の打ち方はむしろあの子じゃなくて……)
次鋒戦終了時
清澄:79600 白糸台:109600 永水:111000 阿知賀:99800
――
トシ「どうだい……やれそうかい?」
美穂子「ええ……十分過ぎるほどです……」ググッ
トシ(これは……怒気だね……)
トシ(この子、久が打ってる間ずっと両眼をあけていたんだね……少しも視線を逸らさずに……)
トシ(あんなに強く手を握り締めて……)
美穂子「行ってきます」
――
中堅戦
清澄:福路美穂子 白糸台:渋谷尭深 永水:狩宿巴 阿知賀:新子憧
渋谷(弘世先輩と亦野ちゃんが言ってた通りなら……ここは清澄を狙い撃つのが得策)スチャ
渋谷(あとは、阿知賀の子かな……永水は全体的にオカルトだから避けたい)
美穂子「ロン」
渋谷(……え?)
渋谷(偶然?)スチャ
美穂子「ロン」
渋谷(また?)
渋谷(……)
憧「ポン!」
憧「ポン!」
憧「ツモ!」
渋谷(阿知賀の子はいつも通りね)
渋谷(ここはいったん阿知賀を狙って様子見を……)スチャ
美穂子「ロン」
渋谷(な、なんなの……)キッ
美穂子「」ギロッ
渋谷(うっ……)
渋谷(対局中の宮永先輩くらい怖い……)グス
渋谷(うぅ……)スチャ
美穂子「ロン」
渋谷(もう、やだ……)
――
恒子「中堅戦、終了! 清澄高校福路、白糸台を圧倒!!」
えり「白糸台が最下位なんて異常事態ですね」
咏「女の恨みってのはこわいねー」
健夜「清澄のアガリは全部白糸台への直撃だったよぉ……」オロオロ
中堅戦終了時
清澄:121700 白糸台:57900 阿知賀:106300 永水:114100
――
久「美穂子!」
美穂子「久さん!」ダキッ
美穂子「私……やりました!」
久「ええ……ありがとう……」
美穂子「次鋒戦と、中堅戦の合計収支でもトップですよ……私達二人が、トップなんです……」
久「ええ! あなたは本当に、よくやってくれたわ!」ニコッ
美穂子「でも……」
久「ん?」
美穂子「でも、やっぱり……こんなやり方はもう嫌です……」グスッ
久「美穂子……」
美穂子「私は……久さんと心の底から笑いあいたかったです……こんなに辛い勝ちは……」
美穂子「う、うぅ……」ポロポロ
久「辛い役を押し付けてごめんね……」ギュッ
久「私達……二人でもっと強くなりましょう」
美穂子「はい……はい……!!」
対局室
菫「すまなかったな」
渋谷「うぅ……先輩……」
菫「私が余計なことを言ったせいだ」
菫(少し清澄を舐めすぎていた……)
菫(私が取り返さないと)
小走「ふふ……だから言ったんだよ。あんまりウチを舐めない方がいいと……」
菫「お前!?」
菫「いや、確かに、昨日の発言は撤回しよう。私の失言だったよ」
小走「おや、案外素直だねぇ?」
菫「なぁに、今から私が勝つからな。少しは良い思いをさせてやろうと思ったんだ」
小走「面白い……見せてもらうよ、王者の打ち筋を……!」
――
副将戦
清澄:小走やえ 白糸台:弘世菫 永水:滝見春 阿知賀:鷺森灼
小走(平静を装ってはいたが、弘世菫は相当頭にきてるはずだ)ジッ
菫()キッ
小走(睨んでる睨んでる)
小走(そんなに表情に出しちゃだめじゃないか)ニヤリ
回想――
県予選終了直後
トシ「いい方法があるよ」ニヤリ
トシ「明日の朝、できるだけ長い日数生活できるだけの荷物をもってここにおいで」
小走「それで強くなれるんだな?」
トシ「あんた次第さね」ニヤリ
次の日
トシ「さあ、ここから乗り換えるよ」
小走(東京に来たと思ったら次は空港かい?)
トシ「搭乗するよ」
小走(まさか……海外!?)
たかみーを虐めたな!?これは訴訟辞さない
あとファッキューキャップ
ブラジル リオデジャネイロ
トシ「着いたよ」
小走「コーチ!? いったいこれは……」
トシ「今日から全国大会前日まで、あんたにはここで生活してもらうよ」
小走「どうしてこんな……」
トシ「リオデジャネイロ東風フリースタイル、この言葉に覚えはあるかい?」
小走「確か、小鍛治プロが銀メダルをとった大会……」
トシ「そう。日本のプロ史上最年少八冠を達成したあの子でさえ、金メダルじゃなかったんだ」
トシ「世界は広い。長野で勝てないとか、高校生の大会で勝てないなんかで足踏みしてちゃあ頂点なんて見えっこないねぇ」
小走「」ゴクリ
小走「強く……なれるのかい? ここで生活すれば?」
トシ「言っただろ? あんた次第だよ」
トシ「やるかい? もどるかい?」
小走「やらない……わけがない!!」
トシ「その言葉を待ってたよ」ニヤ
トシ「これが当面の軍資金と、宿泊地の地図だよ」
小走「コーチは……?」
トシ「私は全国まで残りのメンバーの面倒をみなきゃねぇ」
トシ「でも、大丈夫。龍門淵透華に頼んで、腕利きのSPをよこしてもらったから、身の安全とかは心配しなくていいよ」
小走「わかった……コーチ、みんなに伝えてくれ」
トシ「なんだい?」
小走「全国大会決勝で会おうってね」ニヤリ
トシ「わかったよ」ニヤリ
――
現地民A「ヘイヘイ! えらいハリキリガールがやってきたじゃないか?」
現地民B「ここのルール知ってるのかねぇ?」ニヤニヤ
小走(言葉がわからない……)
ハギヨシ「通訳は私めにお任せください」
小走「あんたは!?」
ハギヨシ「龍門淵家に仕えるものです」
ハギヨシ「彼らは言っています。ここは何か欲しければ麻雀で奪い合う世界だと。まず、あなたが持っている食料をかけて戦えと」
小走「さっそくかい」ニヤリ
小走「いいよ……やってやろう!」
――
小走「ぐわあああぁぁ」
A「へっへまたワタシの勝ちだな」
B「おいおい、もうコイツ、今夜の食糧ないんじゃねぇの。ハッハッハ」
小走「くっ……」
A「今日はこのくらいにしといてやるか」
B「ま、仕方ないか。この国じゃ、麻雀弱いヤツの事を“日本人みたい”って言うくらいだからな」
A「はっはっは、その言葉は正しかったな」
小走「くそう……ちくしょう……」
ハギヨシ「小走さま……こちらに予備の食糧が……」
小走「いや……いい……」
小走「そんなんじゃみんなのところに帰れない……」
――
小走「ぐわあああああ」
A「何度やっても無駄だって……いつも食糧もらって悪いね」
B「ただで食糧めぐんでくれるなんて最高だねぇ。HAHAHA!」
――
小走「ぐわああぁっぁ」
A「お、おい……お前大丈夫か」
B「もう、何日食べてないんだよ……もう、食糧はお前のものでいいから、ほらっ食えよ」
小走「い、いらん……それよりも、もう一局だ……」
A「おいおい……」
――
小走「ろ、ロン……だ」
B「おおお!」
A「お前、やったな!!!」
小走「へへ……み、たかい……」バタッ
A「お、おいっ!」
B「早く、医者に!!!」
>>265 心を鬼にして尭深ちゃんには犠牲になってもらった。亦野ちゃんだと誰にもかばってもらえなさそうだったんでw
――
小走「ん……?」
A「気が付いたかっ!?おい、B、アイツが気が付いたぞっ!!」
B「本当か!? おー、クレイジーサムライガール!!よく起きてくれた!!!」
A「よかった……!!」
小走「あんたら……どうして……」
A「そんなことはいいから、ほらっ食え!」
小走「これは……」
A「お前が麻雀で勝ち取った権利だ」ニカッ
小走「じゃあ……」パク
小走「うっ……」
B「お、おい……急に食べたから胃が受け付けないか?」
小走「う、うまい…うぅ……ひっく……」ポロポロ
小走「食べるって……こんなに……うぅ……」ポロポロ
A「……うまいだろ」ニカッ
B「うぉおーん」ポロポロ
A「なんでお前も泣くんだよ……」
A「サムライガール、気に入ったぜ。気の済むまでここにいな。麻雀もお前は強くなりそうだ!」
B「ワタシも歓迎するぜ」
小走「は、はははっ」
ハギヨシ(随分といい顔で笑われるようになりましたね)フッ
現在――
小走(私があそこで学んだこと……)
小走(いい牌がきたときこそ注意深く……)
小走(常に悪い方向に考える事)
小走(牌に一喜一憂しないこと)
小走(あそこでは麻雀は生活の一部だった……生きる事に直結した麻雀……)
小走(娯楽でやっている連中とは必死さが違う)
小走「お見せしよう……ニワカの打ち筋を!!」
小走「ツモ 1600・3200」
菫(オーソドックスな打ち手……だが、気配が読みづらいな……)
小走「ツモ 700・1300」
トシ(あの子は、いい手が来たときは多少強引でも手を進めがちだった……県予選では通用しても全国レベルだと致命傷になりかねなかったからねぇ……)
小走「ツモ」
トシ(それがどうだい? 今では、どんな手が来ても表情一つかえずに……よっぽどあっちでもまれてきたんだねぇ)
菫(確かに強い……が、そろそろ捕まえられそうだ)
菫「ツモだ」
小走(流石だねぇ……)
小走(でも、あそこでは、毎日スタイルを変えるくらいでないと生きていけない……)
菫「」スチャ
小走「ロン」
菫(なにっ!?)
菫(1局毎に別人みたいに……!? これが、ニワカの打ち筋ってことか……?)
菫(くっ……だめだ、私ではコイツは追い切れん……稼げるところでかせぐしか……)
滝見「」スチャ
菫「ロン」
灼「」スッ
菫「ロン」
小走(流石白糸台の三年……引き際をわきまえてるね……)
小走(だが……)
小走「ツモ」
小走(ニワカは相手にならんよ!)
副将戦 終了時
清澄:141600 白糸台:74000 永水:88800 阿知賀:95600
――
佳織「先輩」
小走「おや、佳織、どうしたんだい? 廊下で待ってるなんて」
佳織「お、おかえりなさいですっ、先輩!」
小走「そんなことを言うために待ってたのかい……?」
佳織「は、はいっ!」
小走「ふふっ、しょうがない後輩だねぇ」
――
霞「じゃあ、そろそろ行こうかしらね……」
咲「霞さん……」
霞「咲ちゃん、家事当番の表、書きなおさなきゃいけないわね」
霞「私と咲ちゃんと、宮永照の三人分にね」
咲「は、はいっ!」
霞(少しはりきってみようかしら……)グツ
大将戦
清澄:石戸霞 白糸台:大星淡 永水:薄墨初美 阿知賀:高鴨穏乃
淡「ロン 32000」
霞(きゃあ~!?)
恒子「大将戦、トップを走る清澄に、いきなり白糸台高校大星淡の役満が直撃!!」
健夜「石戸霞選手は、元々守りのうまい選手ですが、大星選手の聴牌が早すぎて予想は難しかったでしょうね……」
えり「これで四校全てが2万点差以内になりましたね」
咏「ようやくバイオレンス感が足りてきたねぃっ」ニヤリ
霞(前半は様子見のつもりだったけど……そうも言ってられないわね……)ゴゴゴゴ
穏乃(長野のお姉さんの雰囲気が変わった?)
初美(霞さん、本気になりましたねー)
淡(ふふふ……)ズズズズズ
霞(この寒気は……!?)ゾクッ
霞(あら……なんでしょう? 目がかすれ……いえ、牌がぼやけて見える?)
穏乃(なんだか、牌がよく見えない……なんだ、これ……)
淡「ふふふ……淡く光る星を掴むのは……ただの人間には過ぎたこと」
淡「身の程を思い知らせてあげますよ……」
霞(自分の牌が見えなくなる……そんな不思議がありえるの……!?)
初美(こういう相手は和ちゃんにまかせるべきでしたねー)
穏乃(だめだ……牌がはっきりしないからあがることができない……!?)
穏乃(どーなってるんだよ!?)スチャ
淡「ロン 3900」
穏乃「そんな……」
淡「ツモ2600オール」
途中経過
清澄:107000 白糸台:117700 永水:86200 阿知賀:89100
霞(ふんふむ……絶一門状態なら振り込むことはなさそうだけれど……それじゃあ、優勝はできないわよね……)
初美(霞さんが気づいてくれればなんとかなるのですよー)
霞(牌が全く見えなくなるわけではなくぼやけて見える……だから、色に関しては区別がつく。三元牌は一番わかりやすいわね)
霞(あとは、筒子の1と8、索子の1は分かるかしら。だったら……)
霞(絶一門の状態のもっと高みを……!!)
霞(字牌を優先して、残りは筒子の絶一門……!!!)
次局
霞(予想通り、三元牌は区別がつくわ……ただ問題は風牌の区別が……)
霞(風牌……!?そうだわ!!)チャッ
初美(気づいてくれましたねー)
初美「ポンですよー」
淡(なんですって!?)
霞(さすが初美ちゃんね)
淡(三元牌ならともかく、どうして風牌で鳴けるの!?)
初美(私には風牌はなんとなく区別がつくのですよー)
霞(なるほど……副露の牌はハッキリ見えるようになるようね……)
霞(また風牌だわね)チャッ
初美「それもポンですよー」
初美(さて、聴牌しました。白糸台から削るためには……)
淡(何かいやな感じ……)チャッ
初美「ロンです、32000は32300ですよー!」
淡(くっ……!?)
霞(あらあら? 赤牌は区別がつきやすいから白糸台はきってこないと思っていたけれど……1年生だから、まだ、隙があるのかしらね?)
霞(だったら、いかせてもらおうかしら)
霞(咲ちゃん……あの子の力になってあげたい)
霞(筒子の1待ちで……)
霞「ツモ 大三元だわ」クス
初美(相変わらず穏やかな顔でえげつないですねー)
淡(なんなのよ、もう……)
穏乃「むむむむ……むぁー!!!」
淡()ビクッ
霞・初美(!?)
穏乃「チー!」
淡(え?)
穏乃「ポン!」
霞(あら、まあ……字牌でも、赤牌でもない牌の区別がついてるなんて……)
穏乃「ツモ!」
淡「どうして……あなたには牌が見えるの!?」
穏乃「さっきまで見えなかったけど、叫んだら思い出したんです」
淡「な、何を……?」
穏乃「私、視力4.0なんです!」
初美(そういう問題なのですかー?)
淡(そういう問題じゃないのに~)
淡(もう、こーなったら……ここからは普通の麻雀してやりますよ!)
霞(面白い子達ねぇ……)
霞(でも、負けてあげられないのよ……初美ちゃんにもね)
初美(結局一番手強いのは霞さんですねー)
――
霞(さて、咲ちゃん、私達の家に帰りましょうかしらね)
霞「ツモ 1600・3200、お願いしますね」
大将戦 終了
恒子「大将戦……インターハイ、決勝戦……、白糸台の無敗記録を止めたのは……初出場、清澄高校!! 私たちはここに、新たな伝説を目撃したぁ!!!」
咏「牌に愛されてたねー」
えり「結局、大将戦までのリードをきっちり守り切りましたね」
健夜「最初の直撃をものともせずにお見事でした」
清澄:147000 白糸台:67300 永水:100000 阿知賀:85700
――
穏乃「負けたーーー!でも、楽しかった!!!」
淡「くやしいですけど……まだまだ未熟でした……」
霞「ふふっ」
初美「流石に霞ちゃんは強いですねー」
霞「初美ちゃんこそ、結局トップだったじゃない。私は副将戦までのリードがあったから勝てたのよ」
初美「そう言ってもらえるとうれしいのですよー」
バンッ
咲「霞さん!!」
霞「咲ちゃん」
咲「霞さん!!ありがとうっ!!!」ダキッ
霞「あなたが宮永照に勝てたから、この結果になったのよ」クス
咲「いえ、私なんて、一人じゃ全然だめで……部長に美穂子さん、佳織ちゃんにトシさんに小走先輩がいたから……そして、霞さんがいてくれたから……」
霞「よかったわね。これでまた、宮永照と暮らせるわね」
咲「はいっ!そして……その……霞さんも……」
霞「ええ。まだまだ一緒に居させてもらうわね」
咲「はいっ!」
照「ジ・エンド・オブ・おっぱい!」ギュルル
久(抱き合う咲と霞を一瞬にして切り離した!?)
霞「……」イラッ
照「超絶かわいい咲ちゃんは私のものだぞ」ギュッ
照「咲ちゃんを抱きしめるのは実の姉の仕事。居候は家政婦は見たごっこでもしてろ」
霞()イラッ
霞(咲ちゃんとはまだ一緒にいたいけど……コレと暮らすことに耐えられるかしら……)ゴゴゴ
初美(霞ちゃんが激怒してるのですよー……すっごい怖い!)
咲「お、お姉ちゃん……」
霞「いえいえ、あなたまだ、白糸台で手続きとかがおありでしょう? それまで私がしっかり咲ちゃんに尽くすのでご心配なく」ダキッ
照(私の手元から咲を奪い返しただとっ!?)
照(くっ……コークスクリューツモ!)
咲「ふわぁっ!?」
美穂子(また咲ちゃんを奪いかえしましたね……)
霞(くっ……許せないわ)
霞「トシさん……この後、決勝戦終了後のミーティングでしたよね?」
トシ「へ?」
霞「で・し・た・よ・ね?」
トシ「あ、はい」
霞「と、いう事なので、控室に戻りましょうか。部外者はしばらくまっていて下さいね」
照「そんな……」ショボン
初美(霞ちゃんが黒いですねー。霞どころか黒い霧ですねー)
照「うぅ……」
霞(少し……可哀そうだったかしら……後で謝らないといけないわね……)
照「あ、でも、咲のお姉ちゃんだから部外者じゃなくて、関係者だ」
霞(前言撤回)
照「よし、行こう。咲」
菫「どこにいくんだ」ガシ
照「菫……首を掴むな」
菫「ばかやってないで行くぞ……」
照「どこに?」
菫「私達の控室だ! 反省会だ!」
照「えー……反省したって、私達もう関係ないじゃん」
菫「うるさい」ズルズル
照「あーれーー」
美穂子「連れて行かれましたね……」
久「ほんとに……嵐みたいな人ね」
咲「あ、あはは……でも、私にはとっても優しいんですよ?」
久「あーうん……なんとなく、わかる、かな? は、はは……」
霞「……」
霞「……じゅあ、咲ちゃん、帰ろうかしらね。私達の家に」ニコッ
咲「は、はいっ!」ニコッ
カン!
最後唐突ですが、ここで終了です。
しばらく期間空けた上に、ぐだぐだと長くなりましたが読んで下さった方々ありがとうございます。
実際の白糸台はもっと強いと思うんでこんな扱いでいいのかと思いましたけど、まあ、ここではこんな感じで。
ありがとうございました。
おまけ
ピンポーン
咲「はーい」
久「お邪魔するわよ」
咲「部長、美穂子さん」
美穂子「はい、これ」
咲「これは……?」
美穂子「手ぶらでお邪魔するのもなんでしたので、みんなで食べられるものを作ってきました」
咲「わぁ、ありがとうございます!」
久「おいしさは私が保証するわ」
美穂子「まあ、そんな……//」テレテレ
久「それで、あの子はもう、来てるの?」
咲「あ、あはは……」
霞「だから、あなたはどっか邪魔にならない所にいてくれないかしら」
照「いやだ。ここは私がきっちりともてなして、家主としての威厳を見せる」
照「だから、何か手伝わせろ」
霞(悪意がないのが本当に面倒だわ……どうしたものかしら……)
霞(配膳をまかせても半分くらいお皿割っちゃうし……料理させるととんでもないものができたものねぇ……)
照「てーつーだーうー」
霞(……)
久「……」
久「どういう状況なの……」
咲「それが、お姉ちゃんの引っ越し祝いなのに、お姉ちゃん、手伝うって聞かなくて……」
久「あら、手伝わせたらいいじゃないの?」
咲「それが……」
咲「前に、お姉ちゃんに手伝わせた結果が霞さんのトラウマに……」
久「あら、そうなの……」
久・美穂子(トラウマになる家事って……)
霞「わかったわ……じゃあ、あなたに重大な役目を授けます」
照「よし、どんと来い」
霞「この紙コップをそれぞれの席に並べてきて頂戴」
照「わかった」
照「」モクモク
照「できた」
霞「よくできました」
美穂子・久(母親と幼稚園児みたいだわ……)
咲「霞さん、準備ありがとうございます」
霞「いいのよ、今日は私の当番だから」
照「咲、私は?」
咲「うん。お姉ちゃんもありがとう」
照「ふっふーん」ドヤァ
霞「」イラッ
霞「それじゃあ、始めましょうか」
咲「はいっ!……お姉ちゃん、ほら、ここに来て」
照「」テクテク
咲「それじゃあ、お姉ちゃんの長野への復帰記念のお祝いです。カンパーイ!」
咲「お帰りなさいっ! お姉ちゃんっ!!」
今度こそ カン!
みなさまありがとうございます。
最後の最後のところで誤字に気づいたので悔しいのでおまけ投下。
こんどこそ本当に終わりです。
ありがとうございました。
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