一夏「ISなんて俺は認めない」(412)

一夏「(ISなんて俺は認めないぞ)」

一夏「(なんであんな非効率でふざけた兵器が兵器として戦闘機や戦闘車両を代替するんだよ)」

一夏「(だいたい女しか使えないとか言うふざけた仕組みとその数。たった1機か2機のIS程度、総力戦になったら即撃ち落されて終わりだっつの)」

一夏「(じゃあ世界中の戦争がISファイトで決着つくってのか?ふざけんな)」

一夏「(そして俺がつい一ヶ月前そのISを起動させて、男で唯一ISの操縦者育成校にいるってのが一番認められん)」ワナワナ

一夏「(しかも全寮制だからめったに外に出られないというのも痛い。本屋で雑誌立ち読みも出来んしあの基地やこの基地の開放にも行けん。しかもそれらを犠牲にしてえるのは俺が認めないISの操縦技術……)」

一夏「(いつか絶対にスキを見て退学しもともと行く予定だった学校に再入学してやる……)」ワナワナ

千冬「おい織斑。話聞いてるか?」ゴスッ

一夏「ってぇ!」

キャーチフユサンヨー ワタシチフユサンニアイタクテキタキュウシュウカラキタノー

一夏「(北九州……)」

一夏「(なぜいなくなった新田原と百里のF-35Jぇぇぇぇぇぇ!!!)」グシャグシャ

箒「(なんか、久々にあったと思ったら一夏が変だ……)」

千冬「何考えてるのか知らんが自己紹介、お前の番だぞ」

一夏「あ、そういうことか(ちょうどいい。今のうちに退学時の口実でも作っとくか)」

一夏「織斑一夏。趣味は読書とプラモと絵画とインターネットで愛読誌は丸とJ翼、一番好きな帝国海軍群艦は妙高型重巡、好きなエースはゲルハルト=バルクホルンです」

全員「……」ボーゼン

一夏「(はい、すべてを話して孤立の口実出来上がり。こりゃあと三ヶ月で出ていけるな)」ニヤリッ

箒「(絶対におかしい……)」


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箒「おい一夏」

一夏「お、箒か」カキカキ

一夏「去年剣道の全国大会優勝したんだってな。おめでと」

箒「……なんでそれを知って!?」

一夏「『むらさめ』退役のニュースと一緒に新聞に乗ってて、たまたま地方面めくったらあった。それだけだ」

箒「……っ!」バギィ

一夏「つつ……なんで殴るんだよ(しかし退学の口実はまた一つできたな)」

箒「(なんでああなったかを聞くのを忘れたが、仕方ない……)」

―休み時間―

一夏「(授業の内容は丸とJ翼で死ぬほど読んだ内容しかやらんのでつまらん……)」

一夏「(仕方ないのでノートの裏面に何か描こう……)」

一夏「(さて何を描こう……)」

セシリア「ちょっとよろしくて?」

一夏「あい?あんた誰?」

セシリア「わたくしを知らないと?このセシリア=オルコットを?イギリスの代表候補生にして入試主席のわたくしを?」

一夏「あー……そういや丸の特集で見たような……興味ないからさらっと読んだだけで終わったけど」

セシリア「さっきから見ていればなんですのあの態度は?男で唯一ISを動かせるからって花にかけておりませんの?」

一夏「(鼻にかけてんのはどっちだよっと)」

セシリア「だいたいうんぬんかんぬん……」ギャーギャー

一夏「(……おっし、九六式陸攻描こう。それじゃなきゃアルゼンチン空軍のシュペルエタンダール。ロイアルネイビーなんざ叩き潰せ~)」

千冬「ではクラス代表者を決めるぞ。自薦他薦問わずどんどん出てこいよ」

一夏「(はいはい、誰か自分から立候補してくれる奇特な奴を希望しますっと)」

女子「織斑くんを推薦しまーす」

女子「私もそれがいいでーす」

一夏「(はいはい、織斑くんかわいそうでしたね……っと)」

一夏「って!織斑って俺じゃねーか!」ガタッ!

千冬「うるさいぞ、織斑」スコンッ

千冬「ちなみに推薦されたものに拒否権はない。覚えておけ」

一夏「(畜生やばいぞやばいぞやばいぞ、もし引き受けるなんてことになったら俺の退学&再入学ライフへの道が遠ざかる……)」

セシリア「待ってください!納得行きませんわ!」バンッ!

一夏「(おお!天は俺を見放さなかった!)」

一夏「(ここで奴にすべて押し付けてこの場を切り抜ければ俺は晴れて自由への第一歩を踏み出せる!)」

セシリア「そんな人選認めません!クラス代表が男なんていい恥さらしですわ!うんぬんかんぬん」ギャーギャー

一夏「(おーしおしおし、そのまま独演会を続けてやってくれ……そうすりゃみんなめんどくさいお前のほうを取らざるを得なくなり、俺は候補から外れる……言ってることはむかつくがな)」

セシリア「だいたい文化的にも後進的な極東の辺境の島国で暮らさなくてはならない事自体、私にとっては耐え難い苦痛で……」

一夏「(その極東の辺境の島国に自慢の戦艦二隻も沈められた挙句東南アジアの植民地ことごとく占領されたどこの国だよ」

女子「え?」

セシリア「え?」

一夏「え?」

セシリア「あっあああ、あなた!私の祖国を侮辱しましたねええっっ!!!」

一夏「(やっちまったああああああああああああああ!!!俺の再入学ライフがああああああああああああ!!!)」ガックシ

セシリア「決闘ですわ!こうなったら!」

― 一夏の部屋―

一夏「大見栄切ってハンデ無しとか言っちまったのはいいが、どうすりゃいいものやら……」ポリポリ

一夏「とりあえず過去号のJ翼と丸と2chの軍事板漁って相手の性能を調べよっと……軍事機密の塊だからどこまで正確だかわからんが」ポリポリ

一夏「でも一人部屋ってのはいいな……同室の奴を気にせず趣味の物を部屋いっぱいに広げられるし、有機溶剤使い放題だ」

一夏「さてさて、軍事板はどうなってるものやら?」

箒「……一夏、入っていいか?」

一夏「おう。いいぞ(打鉄弐型また製造遅れてるのかよ。本当にあいつはすべての意味でF-35Jの後継機だな)」

一夏「(……って、誰だ?)」

箒「入るぞ」ガチャ

一夏「……箒だったのか。まあ、茶は出せないが好きにくつろいでけ」

(本棚の中は軍事雑誌と資料と兵器系のプラモと一部ガンプラでいっぱい)

箒「一夏、お前私の知らない間に変わってしまったな……」

一夏「そうか?」

箒「お前に軍事趣味があったなんて知らなかった」

一夏「小学校6年の時にレトロゲーのフライトシューティングに嵌って、それ以来こうなっちまった」

一夏「出た出た、ブリテンスレを検索したら案の定出てきたぜ。」

一夏「脳波感応式自立機動兵器……おいおいストフリかνガンダムかよ」

箒「で、その、だ。アレほど大見栄切ったんだ。勝算はあるんだろう?」

一夏「あんまないな。だから対策を立ててる」

箒「それなら……私と特訓しないか!?」

一夏「特訓……?」

箒「私はお前より長くISに乗ってるから、IS操縦時のクセなんかも詳しく教えられる。だから、損はないと思う……ぞ」

一夏「……オーケー。俺も実は二回しか乗ったこと無いしな。剣の稽古の方も最近は片手間だったし」

箒「片手間?……いったい中学の三年間何してたんだ?」

一夏「忙しかったぜ。帰宅部に基地めぐりに大戦略にプラモに……」

箒「……一夏。今すぐそのパソコンの電源を落とせ」

一夏「あい?」

箒「今すぐ鍛えなおすっ!5分でジャージに着替えて中庭にに出てこい!」バンッ

一夏「あい……」

―数日後 アリーナ―

一夏「(うああ、疲れた……)」トボトボ

一夏「(だが対策は講じれたし、箒から打鉄のクセは聞けた。あとはこの対策プランを試せば……)」

山田「織斑くん!おまたせしました!」

一夏「あい?」

山田「織斑くんの専用機が届きました!」

一夏「良かったですねー……そうか、専用機かー」

一夏「って!専用機!?打鉄じゃなく!?」

千冬「そうだ。これがお前の専用機、第三世代型IS『白式』だ」ピッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴ デンドンデンドンデンドンデンドン

一夏「おお……こいつが……俺の……」

一夏「で、こいつの兵装は?」スイッ

山田「えと……近接専用の長刀『雪片弐型』です」ペラリッ

一夏「ほかは?」

山田「……それだけです」

一夏「え?」

一夏「はああああああああ!!!???これ第三世代だろ!その刀バススロット幾つ使ってんだよ!」ゴオオオオオオオ

山田「えっと、これは特殊な武器でして、その……」

一夏「それならその刀外して今すぐアメリカ製のグレネードランチャー付きチェーンライフルと超振動カーボン刀つけてくださいよ!あるんでしょ!?ここ!?」ゴオオオオオオオオオオオ

千冬「武装換装などしてる時間があるか。黙って使え」

一夏「俺の考えた対策があああああああああ!!!」ゴオオオオオオオオ

箒「(なぜだろう……一夏の後ろにきつい眼にツインテールの少女の姿が浮かんでいる……)」

一夏「……仕方ない。もう主兵装の換装と対策案は諦めるとして……先生。スモークディスチャージャーのスロットくらいは開いてますか?」

山田「それくらいなら……」

セシリア「あら、逃げずに来ましたのね」チャキン

一夏「不本意ながら、な」チャキン

一夏「(奴の機体は『ブルー・ティアーズ』……長距離レーザーライフルと自立機動兵器ユニットが装備されてる典型的な支援型の機体……英国にしちゃ常識的な性能と外見の機体だ)」

一夏「(近距離一辺倒のコイツでもファンネルを潰して懐に入りこめば、あるいはいけるかも知れない)」

セシリア「最後のチャンスをあげますわよ?今ここで謝るなら全てを水に流してもいいですわ」

セシリア「さあ。イェスか、ノーかですわ?」

一夏「イギリス人が山下将軍の真似かよ。それならISなんて乗ってないでシベリア鉄道で殺人事件でも解決してろよ」

セシリア「それでは交渉決裂みたいですわね!」バシュッ!

一夏「うっ……!」ズガンッ

一夏「(やべえな……初実戦でももうちっとなんとかなるとは思ってたが……体が機体反応に追いつかねえ)」

一夏「(そう考えると体の反応が機体に追いつかなくなるミリアルドとかアムロとかってどんだけの超人なんだよ)」

セシリア「よそ見していると死にますわよ」バシュバシュバシュ

一夏「そうだったな!」シュビアッ

セシリア「……そろそろですわね」

セシリア「お行きなさい!『ブルー・ティアーズ』!」グワァッ

一夏「(来たな!)」

セシリア「さあ、踊りなさい!このわたくし、セシリア・オルコットと『ブルー・ティアーズ』の奏でるワルツで!」

バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュッッ!!

一夏「おいおい、なんとか回避とガードはしたがシールドエネルギー残量三分の一は削られたぞ!」

一夏「(……だが、三分の一犠牲にしてわかったのは、『ブルー・ティアーズ』自体には自前のセンサーは積んでないってことだ。軍事雑誌に載ってない機密事項教えてくれてありがとうな、セシリアさんよ)」チャキンッ

一夏「(自前の攻撃系統とセンサーがないなら操作してるのはセシリア本体)」

一夏「(そこをあざむいて一瞬で蹴りをつければ……頼むぜ、白式)」

セシリア「そこですわっ!!」ビシュビシュッ

一夏「チッ……!」シュビアッ

一夏「(あとはこいつにスキが出来るのを待つだけ……ビット操作は集中力が必要そうだが、こいつの性格からしてそうそう集中力が続くはずがない。絶対にどこかでボロが出る!)」ゴオオオオオオオオオオ

セシリア「かかりましたわね」バシュッ

一夏「……っ!?」

セシリア「『ブルー・ティアーズ』が4機のみと誰がおっしゃいました?さあ、狩ってしまいなさい!」バシュシュッ

一夏「(『ブルー・ティアーズ』は6機搭載されてたのか!?嘘書きやがってイ●ロス出版の野郎!!)」

一夏「(しかも……あれはレーザーでなくミサイルタイプ!!万事休すか!?)」

ドゴオオオオオオオオオオ

セシリア「ちょろいですわね……」

――フォーマットとフィッティングが完了いたしました。

一夏「……!?まだ、立てるのか?俺……」コオオオオオ

セシリア「なっ……一次移行!?あなた、初期状態であそこまでの戦闘を!?」

一夏「……なんだか知らんがチャンスってことか。ちょうどいい、ペイバックタイムだ!」キンッ

プシュウウウウウウ

セシリア「ゲホッ!ゲホッ!なんですのこの煙は!?」


千冬「なるほど、このためのスモークディスチャージャーか……」

山田「IS選手というより、完全に実戦派ですね。織斑くん」

千冬「あいつがただの兵器スペックマニアだと思ったら大間違いだ。ISに関する技術や経験はないが、知識とそれを応用した対応能力、そして作戦は確かだ」

千冬「ただし、それがどこまで体についていけるかが問題だがな」


セシリア「赤外線センサーに切り替え完了……これでもう煙に紛れてもまるわかりですわよ!」

セシリア「(真正面に熱源反応!)」チチチチ

セシリア「正直に真ん前から突っ込んでくるなんて、無謀にも程がありますわ!!」バシュバシュバシュ

セシリア「……これで、勝ちましたわ」フフッ

ガラーン

セシリア「なっ……!」

一夏「お前の後ろだよ」スッ

セシリア「……!?いつの間に後ろを取って!?」

一夏「スモークを焚いたら絶対に赤外線センサーを使ってくるって踏んでたからな」ジャキン

一夏「一旦白式の出力を全開にして、フェイクの熱源を作ってから今度は出力を一気に下げて失速させた。木の葉落としアンド質量を持った残像ってわけさ」キュウウウウン

セシリア「そんな……そんなことって……!」

一夏「さぁて、シールドエネルギーが切れる前にカタをつけさせてもらう……いくぜっ!」キュウウウウウウウンン

一夏「おらあああああああああっっ!!!」ドバシュアアアア


箒「あの突きの構え……平突き?」

山田「からの……薙ぎ技……!」

千冬「大昔の漫画に影響されたか、はたまた戊辰戦争の戦史まで読み漁ってたか……どちらにせよ真剣では次の隙を与えないいい手ではあるな」


――残存シールドエネルギー12、勝者・織斑一夏

一夏「……うわ、すっげえギリギリ」

一夏「しかもノリで俺勝っちゃったけど、これって俺の退学&再入学プランに反しちまってるような……」

突き普通に躱されててワロタ

>>42 かわされたわけでなく、ただのダメ押しです。

千冬「もっとエネルギーに余裕を持たせろ大馬鹿者、エネルギーを消費する武装を展開しながら中で長々と相手に余計な説明などするな」バシンッ

一夏「はいはい……」ヒリヒリ

千冬「あと先程の会話は効かせてもらったが、お前がこの学校を退学できるなどと思うなよ」

一夏「……げ」

千冬「もしお前が退学したとなったら、世界中の政府と軍が一斉にお前を攫いに来るだろう。流石に各地の基地公開は見に行けないだろうが、ここにいるほうが絶対に安全だと思うぞ」

千冬「それに、ここにいればお前は世界中の最先端の軍事技術に触れられる」

一夏「……え?」

千冬「お前がISそのものでなくISの運用法を認めていないだけで、その技術には興味があるというのはもうわかっている」

千冬「なにもこの学園を卒業したもの全てがISドライバーになっているわけではない。技術者や運用者のほうが圧倒的に多い」

一夏「成る程、全部お見通しってわけか……」

千冬「そう言うことだな」

一夏「それ聞いてもう少しここにいても良いかなって思ってきたよ。俺自身も」

でも脅迫から飴での懐柔方法はさすがにドン引きです

>>44 すませんwww

― 一夏の部屋―

一夏「さあて、セシリアに勝って気分もいいし、今日は『足柄』の張り線作業を行わせてもらいますか……」カチャカチャ

一夏「前にスラバヤ沖海戦時のは作ったから、今回のはジョージ六世戴冠観艦式時の再現だぞっと」カチャカチャ

コンコン

セシリア「一夏さん、よろしくって?」

一夏「誰だか知らんがどうぞ。茶は出ませんが」

セシリア「失礼しますわ」ガチャ

一夏「って、セシリアか。文句言いにきたなら帰ってくれよ?」

セシリア「違いますわ。さんざん失礼なことを言ったことをお詫びしたくて」シュン

一夏「ああ、そのことね……あのくらいなら2chで散々言われて慣れてるから別に良いよ」

セシリア「それでは私の気が済みません」

一夏「俺だって煽るようなこと言ってきたし、おあいこってことでいいんじゃないかな?」カチャカチャ

セシリア「……なにしてるんですの?」

一夏「張り線作業。コレとデカールの満艦飾飾る作業が終わったらやっと完成なんだよ」

ブラック企業なみに悪どい

>>46 酷い言われようだwwwww

セシリア「この艦、なんていう名前なんですか?」チョイチョイ

一夏「帝国海軍妙高型重巡洋艦『足柄』。英国国王ジョージ六世戴冠観艦式参加時の再現だ」カチャカチャ

一夏「こいつの直後の高翌雄型が好きってやつも多いけど、俺は妙高型のほうが精悍で好きなんだよ」カチャカチャ

セシリア「なんというか、無骨な艦ですね。猟犬のような……」

一夏「イギリス人の報道記者は『飢えた狼』って呼んでたな」カチャカチャ

セシリア「確かに、言われてみればそんな感じもしますわね」

セシリア「でも、不思議な美しさと高貴さ、それに力強さがありますわ……一夏さんの『白式』のような」

一夏「そうか?」カチャカチャ

セシリア「はい。どこか似ていると思います」

一夏「……そっか」カチャカチャ

一夏「(そういや妙高型も夜間水雷戦って肉薄攻撃のための巡洋艦だったな。確かに似てるかもな)」カチャカチャ

一夏「そうだ、セシリア。お詫びの代わりに今度模擬戦付き合ってくれよ」

セシリア「へ?別にいいですけど……」

一夏「スモークがいつまで通じるかもわからねーし、少しでも対遠距離戦のバリエーションを増やしておきたいと思ってさ」カチャカチャ

セシリア「それならば喜んで」ニコ

一夏「千冬姉、寮でドーベルマンを飼いたいんだけど…」

千冬「却下だ」

>>73
一夏「仕方ない、俺がドーベルマンになろう」

姉 「なぜ脱ぎだす」

一夏「武器を持っていないことを証明するためさ」

一夏「いやあ、皆すまん!ついうっかり学園内で手榴弾を落としたみたいで」

―数日後 教室―

一夏「ああ畜生。今日の朝の模擬戦でもセシリアに勝てなかった……」ガックシ

箒「今朝の模擬戦で一勝五敗か。情けないな」

一夏「それを言わんでくれ……」

セシリア「と言うより、やはり近距離戦専用機という事自体が大きなハンデとなってますわね。わたくしのブルー・ティアーズ相手では白式の武装では余程のことがない限り接近戦に持ち込むのは不可能かと……」

一夏「……最初の一戦はまだ小細工できたから済んだが、次からは戦闘機動で近づこうとして撃ち落されるってパターンばっかりだからな」

一夏「射撃で相手を怯ませてからの接近戦ができたらどんなに楽なことか……」ガックシ

セシリア「武装の換装は申請したんですわよね?」

一夏「したさ。したらかなり強引に雪片の回路が白式に強引にねじ込まてることが判明してな」

一夏「癒着というかなんというか外せない状況で、俺はもうアレ一本で戦わなきゃいけない状況らしい……」ガックシ

セシリア「なんとまあ……」

箒「だが千冬さんは雪片一振りでモンデ・グロッソを優勝したのだろう?」

一夏「真似はしてみたさ。Gで体がイカれて吐きそうになったところをブルー・ティアーズ四機にタコ殴りにされたけどな」

一夏「あんなのできて平気なのはグラハムとゼクスと千冬姉だけだっつの……」

セシリア「なんにしても時間がありませんわ。クラス対抗戦は三日後に控えてますから」

箒「それまでになんとかして白式での対遠距離戦闘方法を確立しないとな」

セシリア「私も代表の座を譲った分、勝ってもらいませんとね」

一夏「(ちなみに俺はセシリアに代表勧めたんだけど凄い勢いで押し切られたんだよな)」

一夏「でもまあ、どうせクラス代表の専用機は俺以外だと4組しか持ってないみたいだし、遠距離戦番長のブルー・ティアーズはともかく、汎用型の第二世代機の武装程度ならもう少し楽に戦えるかもな」

鈴「その情報、古いよ」

鈴「2組も専用機持ちが代表になったの。そうそう簡単には優勝できないわよ?」

一夏「ん……?どっかで見た覚えのある顔だな……」

鈴「中国代表候補生、凰鈴音よ。今日は宣戦布告にやってきたわ」

一夏「ああ、思い出した。中共のリンリンだ」

鈴「なんでそうパンダみたいな妙な呼び方するのよ!だいたい何よ中共って!」

箒「一夏……」

セシリア「この方は?」

一夏「俺の幼馴染。正確には幼馴染Mk.2。箒の転校と入れ替わりに来て、中二の時に中共に帰ってったんだよ」

セシリア「そうなんですか(さっきから一夏さんが連呼してる中共ってなんですの?)」

箒「……そうなのか(中国の古い呼び方だ。昔は台湾と区別するためにああ呼んでたらしい)」

一夏「ってことはアレか。お前とバトることになるのか。俺は」

鈴「そういうことになるって言いにきたんでしょ!?聞いてなかったの!?」

一夏「誰だか思い出してて絶妙に聞いてなかったな。それより、あの爺ちゃん元気か?」

鈴「……去年大往生したわよ。99歳で」

一夏「ちゃー……そんなことならもうちっと話聞いときゃよかった…………」

箒「話についていけん……」

―昼休み―

箒「なるほど、鈴は中華料理屋の娘でお前は鈴の家の料理屋に度々食べに行っていたと」ムグムグ

セシリア「そしてお店を仕切っていた鈴さんのひいお祖父様が元中国空軍の轟炸機の乗組員で現役時代の話を聞きに何も食べずとも鈴さんのお店を度々訪れていたと。で、轟炸機ってなんですの?」ムグムグ

鈴「日本語の爆撃機、英語のBommerって意味よ」ムグムグ

一夏「いやあ、ちょうどこっちの趣味にはまりかけた頃だったからあの爺ちゃんの話が面白すぎて、暇な時もよく話聞きに行ったりしてさ。むしろああの頃は鈴がオマケだったな」ムグムグ

鈴「オマケで悪かったわねオマケで!」ガーッ

鈴「ところで、一夏。あの話覚えてる?」

一夏「あい?」

鈴「私の料理の腕が上がったら、毎日酢豚を……」

一夏「なんじゃそりゃ?」

鈴「え゛?」

一夏「爺ちゃんと轟炸6型の飛行映像送ってもらうって約束はしてもらったの覚えてるんだけどな……」

箒「(……なんとも不憫に)」

セシリア「(一夏さんって基本趣味に生きてますからね……おおかたひいお祖父様の約束のほうが魅力的だったのでそちらばかりを覚えていたんでしょう)」

一夏「あ、そういや中共のIS試験データ収集機って轟炸6型使ってるんだよな。今度飛行映像くれ……」

バキャアッ!

鈴「知るか馬鹿!」

一夏「……殴られたんだが。俺は事実を言ったまでだぞ?」

箒・セシリア「自業自得だ(ですわ)」

―その晩・一夏の部屋―

一夏「結局放課後もセシリアに完封されて終了と。こりゃ最初から接近パターン立て直す必要があるかな……」

一夏「しかし中共のISか……第二世代までは『いつものごとく』ロシアのコピー品に各国技術をぶち込んでたみたいだが……第三世代機はモックアップしか雑誌にゃ載ってないからな」

一夏「ありとあらゆる掲示板の中国軍スレを漁ってみるか……」

箒「入るぞ」

一夏「おー。今日は番茶も入ってますよっと」

ガチャ バタム

箒「いつもの情報収集か?」

一夏「ああ。相手さえわかってりゃ機体の特性調べて対策立てることもできるからな」

一夏「敵を攻めるならまずは情報戦からだ。」

箒「変わったな、お前は。昔なら何も考えずに真っ正直に突っ込んでっただろうに」

一夏「そうか?俺はよくわからないけどな」

一夏「っとと、出たぞ出たぞ」

箒「なんだこれ……海外のサイトか?」

一夏「アメリカ人の軍事バカが作った掲示板だ。ここは世界中から書き込まれてる分の情報はどこよりも速い」

一夏「成都で基地の外から撮られた運用写真か……キャプションによれば艦載運用能力は無し、ただし燃費特化の持続タイプであることは確か……か」

一夏「燃費特化ってあたり、長距離航行が可能って匂わせて台湾やインドへの牽制球にしてるってわけだな」

箒「それだけでよく分かるな……」

一夏「ISはどの兵器よりも国の思惑が形になって出やすいからな……どれ、こっちは武装運用試験の写真か?」

箒「青龍刀型のダブルブレードに、この浮翌遊型のアンロックユニットにも何か仕込まれてるか……」

一夏「だろうな……隠し玉の正体は流石に書いちゃいないが……」

一夏「ただ中距離攻撃手段はあると踏んで間違いない。俺の白式並に狂った機体じゃなきゃな」

一夏「さあて、対策の時間だ……!」

―クラス対抗戦本戦直前・アリーナにて―

一夏「武装ポートに雪片弐型、サブポートにはスモークディスチャージャー3発と夜間戦闘用の速攻型照明弾が1発」

一夏「オーケー。いけるぞ」

セシリア「本当にさっき話した作戦で?」

一夏「ああ。あいつの中距離武装はなんだかわからないが、鈴が俺とセシリアの戦闘の話を聞いてるのは確かなはずだ」

箒「そしてお前が同じ手を二度と使うマヌケだと思わせ、鈴が先を読んで赤外線センサーを作動させたところに照明弾を上げて目を潰し、その隙に接近して雪片のシールド無効攻撃で攻撃……か」

一夏「本当は音響手榴弾も欲しかったんだけど、IS用の音響手榴弾なんてないからな」

箒「正々堂々とは程遠いな。トラップで勝負をつけるなど」

一夏「機体のハンデを頭で埋めてるだけだ。そもそもこんなチンケなトラップ、引っかかるほうが悪いんだよ」


一夏「さて、勝たせてもらうぜ!」

鈴「負ける覚悟はできた?一夏」キュウウウウ

一夏「そりゃこっちのセリフだっつの」キュウウウ

――試合開始

鈴「はぁっ!」ブゥン!

一夏「ぐっ……!」ガギイイン!

一夏「(こいつはやべえな。距離をとって、そこからジグザグ機動で近づきながらブラフのスモークを……)」ギュンッ

鈴「何考えてるのかは知らないけど、距離をとっても無駄よ!」バシュウウウンッ!

ズガッ!!

一夏「がふぅっ!」バンッ!

一夏「……なんだ……?今の衝撃波は。アンロックユニットが開いたと思ったら、いきなり……」

鈴「今のは軽いジャブよ?ここからはもっと楽しませてもらうわ!」バシュウウウンッ!

一夏「二度はやらせるかよおっ!」シュビンシュビン!!

鈴「あら、よく『龍咆』から逃げられてるわね。流石軍事オタクの一夏じゃない」

鈴「でも、逃げてばかりじゃ私に傷ひとつ与えられないよ!」バシュウウウンッ!

一夏「(悔しいが、そのとおりなんだよな……って、なんだこれは)」

一夏「(……センサーの大気密度が増大してる?)」

一夏「(なるほど。わかったぜ……)」

一夏「無砲身タイプの空間衝撃砲!ノースロップ・グラマン社が第二世代ISに搭載しようとして失敗したアレだ!中共の諜報部が設計図や理論をパクったってのは聞いたが、まさか自力で完成させてたなんてな!」

鈴「人聞きが悪い言い方しないでよ、アメリカが捨てた技術をリサイクルしただけよ!」

一夏「……となると、あの作戦はもう使えないな。スモークは大気圧に吹き飛ばされる」

一夏「そして弾丸は不可視……となればやることは一つしかないか」シュィンッ!!

鈴「なっ……加速!?」

一夏「(瞬時加速と高度な戦闘機動を組み合わせて接近する!)」

一夏「(馬鹿正直すぎる攻撃方法だが、予測照準の隙を与えねー超機動は千冬姉の十八番で白式の正しい戦闘法のはず)」

一夏「(それにこいつはレッドアウトにならなきゃ確実にセシリアから一本取れた戦法だ。途中で衝撃砲を食らうか、俺が意識を失うか、一本取れるか、派手なギャンブルになりそうだがな!)」

鈴「嘘!?こんな狭いアリーナで800km/h級の巡航速度戦闘!?それにこんな機動、空軍の戦闘機標的でだって見たこともない!?」バシュゥ!バシュウッ!

一夏「ったりめーだ。古今東西ありとあらゆる戦闘機動をぶっこんだのをアレンジして射撃番長相手に1週間も試しまくったんだ。クロスレンジ特化機にはこうするしかねーからな」シュンシュンシュン

一夏「しっかし……この狭さでこの速度だと旋回かけるだけで意識が飛びそうだ。ゴースト相手にドッグファイトしてたガルドの気持ちがよく分かるぜ」シュンシュンシュン

鈴「く……間合いがどんどん詰められていってる!」

一夏「行くぜ……!瞬時加速開放っ!」バシュンッ!

鈴「っ!」ギュンッ!

鈴「(なんだ、加速しすぎて通りすぎていっちゃったじゃない……とんだマヌケね!)」

一夏「からのぉ……」ギュンッ!

鈴「なっ……!」

一夏「ハンマーヘッドッ!」

鈴「……っっ!!」

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオンンッ!!

鈴「……勝負……あった!? の割りには全然シールドエネルギーが減ってないけど……」

一夏「違う……」

鈴「一夏!?」

一夏「俺も最後の一撃を邪魔されたんだよ……何なんだよ一体!」

――ステージ中央に熱源。ISと判明、ロックされています。

一夏「はぁ!?アリーナの天井の特殊シールドぶち破ってきたっつーのか!?」

鈴「ゴタクはいいから逃げなさいよ!お互いロックされてるわ!射撃が来るわよ!」

ビシュビシュビシュッッ

鈴「ビーム兵器!?」

一夏「しかもとんでもねー熱量だ……ジェネラルエレクトリックの戦略ISの高出力レーザー砲並の威力だぞ」

鈴「戦略兵器級の威力……当たればIS展開中でも即お陀仏ってわけ?」

一夏「だな!できるだけ散ったほうがいい!」

シュウウウウ

一夏「(煙が晴れた……チッ、なんだあの機体は!?)」

謎IS「」キュイイイイ

一夏「(細部はロッキード・ボーイングの機体に近いが……どこの会社や技術局のISにも似てないな。フルスキン機なんて聞いたこともねーし、それにあんな異形が出回りゃあの掲示板がお祭り騒ぎになるはずだ)」

一夏「(とりあえず検証用にビデオ作動させておくか……)」

バシュウワッ!

一夏「(武装は戦略級の威力を持つ高出力レーザー……近接武器はわかんねーが……動きに妙なクセがある)」シュンッ

一夏「(このクセ、どっかで見たような気もしなくないが……どこだ?思いだせ!)」シュンッ

山田『ふたりとも聞こえますか!?今すぐアリーナから脱出してください!今から先生たちがISで……』

一夏「先に観客席の人間の避難お願いできますか!?こいつのレーザーは戦略級みたいですから人間が当たれば一瞬で跡形もなくなります!」

山田『ダメですよっ!生徒さんにもしものことがあったら……』

一夏「鈴、できるだけ時間を稼ぐぞ。そうだな、全エネルギー回して15分くらいは持ちそうか?」

鈴「舐めないでよ。こっちは超長距離航行実験やってるんだから。エネルギーも逃げまわるだけなら十分残ってる」

一夏「よし、観客席を背に飛ばないように、できるだけ低く飛ぶぞ!」

鈴「オーライ!」

セシリア「先生!わたくしに出撃許可を!」

千冬「無理だ。エマージェンシーレベル4のロックがアリーナ全体にかけられてる。あいつの電子戦攻撃が原因だろう」

千冬「ハッキングは20分は」

千冬「それにお前はそもそも連携訓練を受けてないだろう。スタンドプレーと連携戦は全く違う。お荷物どころか混乱やフレンドリーファイアを起こしかねない」

セシリア「……っ!」

一夏『今の話……本当か?』

千冬「いつから聞いてた?織斑」

一夏『ほとんどだよ、先生。つまりコイツの目的は俺と鈴をぶっ[ピーーー]ってことなんだな』

箒「一夏……!」

千冬「多分そのとおりだろうな」

千冬「部隊が突入まで最低でもあと30分はかかると思う。粘れるか?」

一夏『30分は待てない。さっきの高機動戦闘で結構エネルギーを食っちまってる』

一夏『それならあいつをぶちのめしたほうが確実だと思う』

山田「無理です!織斑くんのシールドエネルギーはギリギリですし、相手は戦略レーザーを持っているんでしょう!?」

一夏『……先生。ISの拡張武装って、他人が使うことも可能ですよね』

山田「……はい!基本武装以外は使用者が展開中なら誰でも使えます!」

一夏『ならいける!セシリア!今から言うことを聞いてくれ!』

セシリア「は、はい!」

鈴「何話してたわけ!?」シュンシュン

一夏「とっておきの聖剣(エクスカリバー)を借りれるかってな!」シュンシュン

ビュンビュンビュン ビシュワアアアアア

一夏「っと。あいつはなんだ!?コマか!?カトルくんの乗ってるウィングゼロか!?」

鈴「何よそれ!?」

一夏「……でも、なんとなくだけどこいつの正体がわかりかけてきた」

一夏「こいつの攻撃パターンな、何かに似てると思ったらアメリカ陸軍がIS普及前に試作した無人自走砲台そっくりなんだよ!」

鈴「無人砲台って……戦闘機や戦闘車両と違ってISは人が乗ること前提の兵器よ!?」

一夏「俺もそのくらいはわかってる。だがな、篠ノ之束クラスの馬鹿野郎が世界にもうひとりいるとしたらその無理が覆るかも知れねえ!」

一夏「それに、仮に無人機だとしたら。相手を[ピーーー]だけの攻撃だって遺憾なくぶっ放せる」

鈴「で、どうするわけ!?」

一夏「聖剣が届くまでは今までどおり散って逃げまわる!届いたらお前はひたすら衝撃砲で援護!そこを俺がとどめを刺す!」

ビュンビュンビュン ビシュワアアアアア

シュンシュンシュンシュン!!

箒『一夏!』キィーーーンッ!

セシリア『一夏さん!』

一夏「来たか箒っ!早くあいつを!」

箒「わかってる!受け取れ!」ブンッ

一夏「サンキュっ!」パシッ

鈴「聖剣て……ただの竹刀じゃない!」バシュバシュッ!

一夏「まあ見てろ!」シュインッ!

ビュンビュンビュン ビシュワアアアアア

一夏「もう『瞬時加速』は使えないが……まだ最初のトラップは十分残ってる!」ピィン

一夏「鈴!攻撃をやめろ!」

鈴「いっちょまえに命令してんじゃないわよ!」ピタッ

一夏「おっし……スモーク全点火っ!」プシュウウウウウッッ!

プシュウウウウウウウ

謎IS「」キュウウ

一夏「(チャフ入りスモークが濃すぎて通常のアクティブハイパーセンサーから赤外線センサーに切り替えたな……今だ!)」ピィン

パアアアアンッッ!!

鈴「照明弾!?」

一夏「これで眼は完全に奪った!あとはコイツをかますだけだ……!」キィインッ

一夏「『零落白夜』展開!全装甲エネルギーを雪片に回させてもらう!」キュイイイイイイイイイイイ

一夏「だりゃあああああああああああっっ!」ギイイイイインッッ

バキイイイイイインッッ!!!

一夏「決まったな。今の平突きでてめえのシールドはもう無くなった」

鈴「でも、一夏のシールドももう残値ゼロでしょう!?まだあいつのシールドは破られただけで武装は健在……」

一夏「言っただろう、俺にはまだ聖剣が残ってるのさ!」ジャキイイインッッ!!

鈴「それって……!」

箒「拡張武装の遠隔展開。軍事用ISがチームでのミッションを行う際に限られた武装で柔軟な展開が行えるように、自分の拡張武装を他人のISへ直接展開する高度な技術……」

箒「確かに今、一夏の白式はかろうじて展開できるだけのエネルギーしか残っていないが……」

セシリア「箒さんの竹刀をマーカーに展開したわたくしのスターライトMk3は十分生きてますわ!」


一夏「そういうこった。地獄に落ちな、ベイビー!」キュイイイイイ

バシュウウウウウウウウウウウッッ!

鈴「敵機の消滅を確認……やるじゃない!」

一夏「ふぅ……色々ありすぎて、疲れちまった……な……」ドサッ

箒「一夏!?」

セシリア「一夏さん!?」

鈴「一夏!?」

千冬「問題ない。ただ疲れて気を失っているだけだ」ザッ

千冬「今はあいつのことは休ませておけ」

―保健室―

一夏「……だるい。ひたっすらだるい。そして体中が痛い」

千冬「当たり前だ。普通の男が付け焼刃で軍のIS部隊並の荒業をいくつもやってのけたんだ、体が持たなくて当然だ」

千冬「まあ、なんにせよ無事でよかった。こちらも家族に死なれたら寝覚めが悪いからな」

一夏「心配かけてゴメンな」

千冬「大丈夫だ、お前がこの程度で死ぬとは毛頭思ってない。なにせ、お前は私の弟だからな」

一夏「あっそ……」


一夏「あー……日差しが心地良い」

鈴「ちょっといい?」シャッ

一夏「とか言いつつ入ってくるなよ」

鈴「ほら……これ」スッ

一夏「……ディスク?」

鈴「お爺ちゃんの約束の飛行映像。あと私の試験の時のデータ収集機の写ってた映像全部引っこ抜いたデータ写ってる奴」

一夏「ああ、あれか。ありがと」

鈴「お礼なんかいいわよ。あげなきゃ爺ちゃんが困るだろうしね」

一夏「あとさ、鈴。あの酢豚の件さ……」

一夏「今は答えられない」

鈴「え?」

一夏「今回のことで思い知った。IS学園がいくら安全とはいえ、俺はやっぱ世界で唯一ISを展開できる男ってわけで、いろんな連中に狙われてるみてーだ」

一夏「だから今俺となんて付き合ったら、お前まで危なくなるかもしれない」

一夏「俺も地に足ついて普通の生活送れるようになるまで、死亡フラグだけは立てたくないからな」ハハハッ

鈴「何よそれっ!」バシンッ

一夏「……ごめんな」ヒリヒリ

―教室―

一夏「んーむ……やっぱり長距離武装と中距離武装、あとグレネードは欲しいな……」カキカキ

箒「なんだ?そのノートは。『雪片改造計画』?」

一夏「ああ。機動自体は慣れてきてはいるんだけど、そもそも機動が単調ってことで鈴相手にも負けが混んできたからな」

一夏「戦術を組み立てるのもいいけど、武装の改善を図るのも課題だなって思い始めて、雪片を改造できないかって考えてるんだよ」

箒「そんな真似が一学生にできると思ってるのか?そもそもどうやって一つの武器に複数の機能を詰め込む気だ?」

一夏「ご安心を。そこらへんの基本プランはきちんと手を打ってある。軍事オタクの知識量を舐めるんじゃないぜ」

一夏「それにお前の姉ちゃん何歳でIS開発してたと思う?」

箒「……あの人はそもそも普通の人間じゃない。別次元の存在だ」

一夏「(おいおい、実の妹にそう言われるとかあの人人望なさすぎだな。俺も実言うと嫌いだけど)」

山田「みなさ~ん、ホームルームをはじめまーす」

山田「今日は転校生を紹介しますね」

ガララ

シャル「シャルル・デュノアです。よろしくお願いします」ペコリ

セシリア「男……」

箒「だと……」

一夏「(おいおいおいおい、どういうこったコレは!俺だけじゃねーのか!?世界でIS使える男ってのはよお!)」

一夏「(確かにエンジニアコースには男もいるはずだけど……エンジニアコースはそもそもここと校舎違うはずだろ!)」

―――
例の掲示板(会員制・セキュリティはアメリカ国防総省クラス・同時通訳可能・中の人はいわゆる関係者と筋金入りのオタクだらけ)

Name:One sumer (Japan)
大ニュースだ。世界でISを使える男が二人に増えたようだ。

Name:Cass(Ireland)
おいおいおいおい、なんだよその嘘は。One sumer冗談キツイよ。
世界でIS使える男なんてお前だけだろう?

Name:One sumer(Japan)
>>Cass
ところがぎっちょんだよ。今日IS学園にきやがったんだよ。今俺の後ろで授業受けてる。
国籍はフランスで名前はシャルル・デュノア。どーも代表候補生のようだ。

Name:Hei(Taiwan)
なんで今頃そんなにイレギュラーがそんなに量産されるんだよ。
あれか?お前ら「The Secret World of Alex Mack」みたく実験用化学薬品でも浴びたのか?

Name:Hyper Great General(Korea)
デュノアってデュノア社のボスの関係者かもしれねーぞ?
もしそうだったらお前の会社のブルパップ、やたら排莢不良起こすぞって言っといてくれ。

Name:Perrine est ma mariée(French)
>>Hyper Great General
それは仕様だ。嫌ならアメリカ製をライセンスして使え。

>>One Summer
五日前に代表候補生入りした。俺も自分の目を疑ったぜ。
どこの軍事雑誌だってまだ取り上げちゃいないが、軍側は相当に揉めた。だがまあ、そいつの特性の良さと政治的圧力ってー奴でゴリ押しされたんだな。
ソースは俺ことフランス国家憲兵大尉。

―――
千冬「織斑、なにやっとるか」バシイ

一夏「ごふっ」ドガア

一夏「……ふたばでIS業界の新しい情報を仕入れてました」

千冬「そういうのは個人でやれ個人で」

一夏「(あっぶねえ……でも今のうちにあいつの正体を探っとかないとな)」

一夏「(あんな事件が起こった後出し、この時期に転校生なんておかしい。あいつが超能力者でない限りな)」

―更衣室―

一夏「ったく。男子は実習のたびに開いてるアリーナの更衣室で着替えってのがめんどくせーんだよな……」

シャル「あはは……」

一夏「とっとと着替えろよ。ここから更にダッシュだからな」バササッ

シャル「わぁっ!?」

一夏「あ?どうしたよ」パンツイッチョ

シャル「は、早くISスーツ来てってば!」

一夏「……そだな。とっとと行かねーと鬼が出現する」クルリ

シャル「うん……」ホッ

シュルシュル

一夏「……」(ロッカーの鏡越しにシャルを凝視)ハキハキ

一夏「(男にしてはやけに肩が狭い……それに体の丸みがつきすぎてる)」ハキハキ

一夏「(だが、凶器らしきものは持ってないと見た)」ハキハキ

シャル「終わった?」

一夏「ああ、まあな」

一夏「(こいつがどういうつもりだか知らんが、寝首はかかせねーぞ)」

―運動場―

ズドオオンッ!

セシリア「」

鈴「」

一夏「香港コンビが沈んだか。まあ、妥当だよな」

シャル「なにそれ」

一夏「イギリス代表と中国代表だから俺が香港コンビと呼んでいる。それだけだ」

山田「えーーっと、これで終わらせちゃっていいんでしょうか?」

セシリア・鈴「まだだ!まだ終わらんよ(終わりませんわ)!」ムクッ

千冬「おいデュノア、あいつらが戦闘不能になるまでの間に山田先生の使っているISの説明をしてくれ」

シャル「はい。山田先生が使っているのはフランスのデュノア社製の第二世代機『ラファール・リヴァイヴ』です。第二世代来の中でも最も後発な部類の機体ですが、スペックは初期第三世代にも劣らず、また豊富な拡張性と使用者を選ばないくせのない操縦性が買われて、あらゆる要求にも対応できるマルチロール機です」

一夏「ついでにいうと、ドゴール級や軽空母での使用を想定した艦上運用能力と、貧弱な設備下での運用が可能な点、それに性能の割には高いコスパと経済性がウケてスペインや東欧諸国、それに中東諸国と台湾、韓国で制式採用されて、韓国のデーウー社やチェコのタトラ社がライセンスしてるんだな」

千冬「織斑。お前は黙ってろ」

一夏「……しかし、お前も詳しいな。苗字からそうかと思ったけど、デュノアの関係者か?」

シャル「一応。ね」

一夏「お前の会社のブルパップ、やたら排莢不良起こすって聞いたぞ」

シャル「……知らないよ。ボクじゃなく開発部に言ってよ。それは」

― 一夏の部屋―

一夏「で、なんでお前はここにいる?」ムグムグ

シャル「一応男子どうしってことで、同室になったみたい。あはは……」

一夏「そうか……」ムグムグ

シャル「それにしてもすごいねこの部屋……これ全部兵器のプラモ?」

一夏「フランス製はミラージュシリーズしか無いぞ。あとはクロステルマン中尉仕様のテンペストとフランス軍仕様のパンター戦車くらいだ」ムグムグ

シャル「なんかよくわかんないや……そのへんは全然」

一夏「クロステルマン中尉を知らんとは。俺の知り合いのフランス人憲兵にはったおされるな」ムグムグ

一夏「とりあえず俺は箒の作った夕食と鈴からおすそわけしてもらった酢豚を食うのと、あと内職に忙しいので……まあそのへんで適当にくつろいでてくれ」ムグムグ

一夏「腹が減っているのなら冷蔵庫の上にこの前買ったスパム缶と角食があるから、それで適当にスパムサンド作ってくれ。あとお茶はスパム缶の横だ。番茶とセシリアからもらったオレンジペコがある」ムグムグ

シャル「あ……そう」ペコ

シャル「ねえ、シャワー使っていいかな?」

一夏「オーケーだ」

シャル「じゃあ、借りるね」


一夏「さて、奴がシャワーに入ってるうちに掲示板をチェックするか。あのフランス人憲兵はどんな情報を掴んだんだ?」カチカチ

一夏「……ふむふむ、成程な。デュノアの社長を含む経営陣の家族で、公表されてる中ではシャルルなんて男は存在しない、と」カチカチ

一夏「それにデュノアはフランス政府からの補助の打ち切りを受ける寸前……でもって……?」カチカチ

一夏「ありがとよ。ペリーヌは永遠にお前の嫁だぜ憲兵大尉」カチカチ

ちなみに一夏の知り合いのフランス人のHN「Perrine est ma mariée」は仏語で「ペリーヌは俺の嫁」です

―翌日・教室―

一夏「(にしても、このプランを展開するにあたってはいずれデュノアの技術は必要になるな……)」シャーペンクルクル

一夏「(アレの中で一番完成度の高かったのはデュノアの『プロジェクト・ミステール』だ。グラマンは中途半端な出来でとっとと投げ出したしな)」クルクル

一夏「(まあ、意外に早くこの問題は解決するかもしれん……それよりも戦闘機動の改善も急務だな)」クルクル

一夏「(戦闘機時代の直線的なマニューバじゃ実戦級の高速戦ならともかく競技での低速戦闘じゃ役には立たない。だからっつって鈴の時みたいなバカ機動は体が持たないし、集中力が続かないとこっちが壁にぶつかって死んじまう)」クルクル

山田「あ……あの。きょ、今日も転校生です」

ラウラ「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

山田「あ、えっと。ラウラさんはドイツの代表候補生で……」

一夏「(あの眼の冷たさと鋭さ……『本職』か?)」

一夏「(にしてもドイツだからで乗馬ズボンってのは……本国だったら捕まるぞ)」

山田「それではラウラさんの席は……」

ラウラ「…………」スタスタ

パシーン!

一夏「……大層な挨拶だな。ドイツ軍名物ブリッツクリークか?」

ラウラ「私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか」

一夏「……そういう事か。だが認めようと認めなかろうと事実は事実だ」

一夏「(あのSS女はおそらく千冬姉の生徒……)」

一夏「(千冬姉のモンデ・グロッソ最終戦直前に俺がどこぞのアホに誘拐された事件。横須賀の無人島に数日ほど閉じ込められた俺は決勝戦すっぽかした千冬姉に救出され、千冬姉は大会二連覇をふいにした)」

一夏「(その時にドイツ軍の情報部とGSG9が動いた見返りに、千冬姉はドイツ軍のIS部隊教官を1年務めることになった)」

一夏「(思えば……俺が軍事に詳しくなったり、あのアングラ掲示板の会員パスを得たのも、半分この時の反省の自衛目的もあるんだよな)」

一夏「(まあ、それにしてもあのSS女は好かん。俺はドイツ国防軍派だし、SSは基本好かんのだ)」

一夏「(あー。結局あのSS女のことで頭いっぱいでろくに本来考えることが出来なかった……ちっくしょ。帰ったらパンフロでファイアフライ使って武装SSのティーガー血祭りにあげてやる)」

シャル「何考えてるんだろ……あれは」

箒「ほうっておけ。どうせろくでもないことだ」

乗馬ズボン=ナチの制服っぽいので。という意味です。まあ、一夏の発言はかなり誇大化されてますが、ドイツの軍人といえばナチスの貧弱な発想はもういらないです。全盛期の車田正美じゃあるまいに

>>160
お馬さんになった邪武の事かー!!

>>164
スコルピオン総統閣下のことです

まじで完結させてくださいお願いします

>>167
ゆるゆる福音戦まで書く予定です。

ちなみに私はこのワンサマさんは宮野真守でもいけると思っています

―放課後 アリーナ―

一夏「……」ゴオオオオオオ ジャキン

一夏「……」バシュバシュバシュバシュバシュ

一夏「……」チャッ

セシリア「どうですか?一夏さん」

一夏「うん。大分撃ち方のコツがわかってきた」

鈴「凄い……速度は低いとはいえ移動しながらでほとんどターゲットに命中してる……」

セシリア「本来スターライトMk.3は狙撃翌用の補助センサーを使用して撃つのですが、普通に撃ってこの精度は……」

一夏「基本はスナイパー本で読んだことがあるし、ISはセンサーで移動中の射撃補正もつくからな」ゴオオオ

鈴「それにこいつ自分の家の庭や神社の裏の林でエアガン使って色々訓練してたからね。そりゃ上手くいくわよ」

箒「そんなことしてたのか……」

一夏「こら!鈴!箒にその事バラすなって言ったろ!!」

鈴「あ、秘密だったの?これ」

一夏「せっかく俺の格好いいとこ見せようと思ってたのに……」ハァ

一夏「でもこれでコイツの使い方は掴んできた。いざとなれば俺がこいつを使うこともできる……」

箒「いざと言う時、か……」

シャル「あ、みんなここにいたの?」パタパタ

鈴「こいつが件の『二人目』?」

一夏「そうなるな。シャル、こっちは凰鈴音。略して鈴。二組の代表で『中華人民共和国』の代表候補生だ」

シャル「よろしく、鈴さん」

鈴「こちらこそ」

セシリア「(わざと正式名称で呼ぶ当たり、一夏さんの『中国』と呼びたくないという思いがありありと伝わってきますわ……)」

箒「(停戦協定は結ばれたとはいえ、台湾と中国、どちらが正当な『中国』なのかは未だ争ったままだからな)」

シャル「何してたの?」

一夏「ちょっとセシリアのライフルを使わせてもらってたんだ」

シャル「遠距離装備を?一夏の白式は近距離専用機でしょ?」

一夏「敵の攻撃法を知るのもまた生き残るための方策さ。ここのところ負けがこんでたから、戦術転換の一環としてな」

一夏「それに遠距離戦武器を使う機会もいずれできるだろうから、その時のためにってのもある」

シャル「でも確かその……『雪片』って言ったっけ?それがバススロットの領域全部を埋めてるんでしょ?」

一夏「第一段階で固有アビリティを発動できるっつ―ありがたいのかありがたくないのかわからねー特性のお陰でな。しかもその特性も自分の命を削って敵に大ダメージを与える、いわばカミカゼ武装だ」

一夏「でも遠隔展開とかで他人の武装を使用する機械はあるし、まだ途中だけど射撃武装を突っ込む方法は考えてる」

一夏「しかもひどかったのは白式そのものも完全に近接特化機っぽくセッティングされてたせいで、射撃補助すら入ってなくてな。仕方ないから第二世代用のロシア製の補助センサーのプログラムいじってねじ込んでるんだよ。今も射撃に切り替えるたびにキリル文字が浮かんでしょうが無い……」

セシリア「……え?母語以外の言語であれを実現?」

一夏「射撃補助なんて基本は数字と距離とモード表示くらいだからな。たいていの単語を覚えればどこの国のも使える。ただイギリス連邦系の国とアメリカはフィート・インチ表示だから選ばんかったが」

箒「(…………というか、そもそもそれらは一学生が行えることなのか?)」

一夏「そうだシャル。お前の専用機もちょっと見せてくれ。何かの参考になるとは思うんだ」

シャル「さっきから気になってたんだけど、そのシャルって?」

一夏「シャルルだとどうしてもCV若本の皇帝陛下やドゴールのほうが浮かぶから、こうした」

シャル「ふーん……」

キュウウウウウウン

シャル「これでいい?」

一夏「ラファール・リヴァイヴの改造機か……通常競技用のリヴァイヴカスタムを更に改造した機体ってとこか?」

シャル「凄い、なんでそんなのわかっちゃうの!?」

一夏「着艦フックと艦上運用用の強化脚が備わってないし、でかいリアスカートと推進ウィングはリヴァイヴの売りのメンテナンスフリーって特徴を殺しにかかってる。それにリヴァイヴカスタムは一回チェコの代表機を見たが、こんな豪華な仕様じゃなかったしな」

一夏「ところでその機体、いったい幾つバス積んでんだ?見た感じかなりの基本兵装降ろしてるみたいだが……」

シャル「えっと……20くらいは量子変換してるね」

一夏「一挺分けろ。デュノア純正ブルパップ以外で」

シャル「それは流石に無理だってば……でも、貸すくらいならできるよ。はい」スッ

一夏「……イスパノスイザの55口径アサルトライフルか。こいつなら接近戦術の開拓も出来そうだな」チャキッ

一夏「ちょうどいい。鈴!一回模擬戦やるぞ!」

鈴「都合のいい時だけ話しかけないでよ!あんた本当に人を何だと思ってるのよ!」

一夏「今度なんかで埋め合わせするから!シミュじゃ感覚つかめないんだ。頼むよ!」

鈴「……一回だけだからね!」キュウウウウウウン


女子「ちょ……あれみてよ」

女子「あれってドイツの最新型でしょ?まだトライアル中の……」

女子「ウソ……?」

セシリア「一夏さん?あそこに人溜まりができてますわよ?」

一夏「ああ。なんかあまり聞きたくない単語と一緒にな」

ラウラ「……」ガションガションガション

ラウラ「貴様も専用機持ちなのだろう?ならば私と戦え」ジャキン

一夏「(やっぱりだ……)」

一夏「戦えねー。俺には戦う理由すら無いからな。つーかこんだけギャラリーがいる中でどう戦うんだよ」

ラウラ「どうにでもなる。それに私にはその理由がある」ジャキィン

一夏「血の気が多いんだよ武装SS。とっととディルレヴァンガー旅団にでも帰れ」

ラウラ「……誇り高きドイツ軍人とあのような下衆な集団を一緒にするな」

一夏「そうか?なら訂正するぜ。誇り高き『アルゲマイネSS』にな」

ラウラ「…………ッッ!!」

鈴「(あれ、どういうやり取りなの?)」

シャル「(SSって言うのはナチスの親衛隊のことで、いろんな戦争犯罪を起こした悪名高い集団なんだよ。ドイツの軍人にとっては一番一緒にされたくない人達だね)」

シャル「(特に今一夏が言ったアルゲマイネSSって言うのは曲がりなりにも戦ってた武装SSとと違って、本物の戦争犯罪者集団って感じなんだ……)」

箒「(売り言葉に買い言葉とはいえ……度が過ぎないか?)」

一夏「それがわかったらプリンツ・アルブレヒト通りにでも帰れ。お前にもお仲間がいるんだろう?」ニタリ

ラウラ「きっさまぁぁぁぁぁっ!!!」バゴオオンッ

鈴「っ!避けて!一夏!」

一夏「避けねえよ!避けたら一大事だ!」

箒「一夏を信じろ!鈴!」

ドガアアアンッッッ

一夏「はいセーフ。回りにも被害は出てないみたいだし、これでオーケーだ」シュウウウウウウ

鈴「雪片で、弾丸を防いだ……?」

一夏「ったく。なんでSSはこうも血の気が多いのかね。」ジャキンッ

プリンツ・アルブレヒト通り→当時ベルリンの親衛隊本部があった通りの名前です。

館内放送『そこの生徒!何をしてる!?学年と組みと学籍番号を言いなさい!』

ラウラ「ぐ……」

一夏「仕掛けてきたのは全部お前だぜ。俺はお前の砲弾を受けた『だけ』だ」

一夏「あばよ。説教タイム楽しんでこいよ」ヒラヒラ

ラウラ「……許さんぞ!織斑一夏っ!」

一夏「生憎敵作るのと命狙われるのは慣れてんだよ」

鈴「ねえ……アレほっといていいの?」

セシリア「ここで暴れたら怪我人が出て彼女のプライドに傷がつくだけですわ。それこそ彼女の一夏さんが蔑んで言った武装SSと一緒になってしまいます」

箒「(本当に変わったな……一夏)」

― 一夏の部屋―

シャル「……最初からあれが狙いだったの?それでわざと逆上させるような台詞を言って攻撃を誘って……」

一夏「買いかぶるなよ。半分憂さ晴らしだ」カチカチ

一夏「それにお前も。SS女が撃ってきたあのとっさで重機関銃を展開してたろ?その展開力の速さと判断には恐れ入るぜ」

一夏「本当に恐れ入る。『シャルロット・デュノア』」カチカチ

シャル「……っ!!」

一夏「どうしてそれを?って顔だな。そりゃ」

一夏「生憎と俺には無駄な知識と世界中の同好の士と、命を狙う謎の集団がついててな。お前の素性は調べさせてもらった」

一夏「ISを動かせる男がもう一人出てきたらもっと大騒ぎになってるはずなのに、世界のメディアの扱いはあくまで静かだった」

一夏「それにお前の代表決定から転入までの期間がやたら短いってのも気にかかった理由だな」

一夏「それでツンツンメガネが嫁のフランス人に探りいれてもらったらすぐにお前の素性は割れたよ。フランス国内でしか流れなかったデュノア社長の女性スキャンダル事件の、国がデュノアの圧力でパパラッチから取り上げた裏情報ってのにお前の写真と名前があった」

シャル「……全部バレバレだったのか。凄いや、一夏は」

シャル「認めるよ。ボクは女だよ。そして、デュノア社長の愛人の娘だ」

一夏「何が目的だ?俺の命か?」カチカチ

シャル「違うよ。一夏と、白式のデータ」

一夏「それはお前の手に負えるものじゃないだろ……?」

シャル「これでもデュノアのテストパイロットだし、一応はISエンジニアの端くれだよ。多少のデータくらいはわかるよ」

シャル「一夏なら、デュノアの経営難は知ってるよね」

一夏「まあな。第三世代開発に手間取ってるデュノアの弱みに付け込んでEEとロッキード・ボーイングが売り込みしかけてボロボロなんだろ」

一夏「それに欧州各国ご自慢の軽空母の運用限界が近づいて、どこも代替艦の建造も足踏みしてる。それで艦上運用可能ってリヴァイヴのアドヴァンテージもなくなりつつ有る」

シャル「本当になんでも知ってるね……それに加えてデュノアは欧州連合の次期主力ISトライアルから外されたし、フランス軍の要求した第三世代機はまだ完成しないしで本当にふんだり蹴ったり」

シャル「それで客寄せパンダと一夏のデータスパイを命じられて、男って身分での転入につながったわけだよ」

一夏「そりゃとんだ災難だな」

一夏「大体開発できるわけ無いだろ。デュノアじゃなくても開発できるか」

シャル「え?」

一夏「フランス軍の開発要求見てみろよ。あいつら第三世代に艦上運用能力と経済航行能力と戦闘能力両立させる馬鹿みたいな要求してるんだぜ」

一夏「それもニミッツ級やフォード級ならいざしらず、軽空母や強襲揚陸艦で運用できる機体にそんだけの能力をもたせようとするほうがおかしいんだっつの」

一夏「リヴァイヴだって軽空母での運用制約さえなきゃあと3年は早く配備できたはずだし、艦上運用可能なISじゃ世界最高クラスの配備率だぜ」

一夏「海軍や海兵隊が欲張り言って開発が遅れまくって政府が脅すなんて業界の常識だ常識。あのF-35だってそうやって生まれてるんだし、F-14とF-15だってF-111でマクナマラがアホな真似したから生まれたんだ……」

シャル「そんな楽観視しないでよ!軍事マニアの勝手な推測と違ってこっちはかなりの問題なんだよ!?次の欧州連合でのトライアルに外れたら……!」

一夏「軍用機トライアルなんて3年してもカタつかないことだって有るんだ。日本の第四次F-X選定なんて5年かかったつーし、軍事雑誌見てると欧州連合トライアル参加機はどれも相当尖ってる」

一夏「それにどいつも艦載不能なシロモノだ。各国海軍は艦上運用能力がどうとか騒いでるみたいだしであと5、6年はかかるはずだぜ」

一夏「で、その揉めてる間に艦上機のデュノアが全部掻っ攫うってのもいろんな奴が考えてるシナリオだ」

一夏「うっし、ケーニヒスティーガー撃破!これで多少はすっきりしたぜ!」カチカチ

シャル「で、ボクの正体をバラす?」

一夏「当たり前だ。性別詐称されたままで俺がいつお前のことおそうかわからんからな」

一夏「まあ、フランス政府にバレて代表候補生は降ろされるとしても、この学園にいる間はまず大丈夫だろ。この学園はどこの政府もちょっかい出せない仕組みなんだ」

一夏「その間にIS用の画期的な新型武装とかでかいモノ完成させて、あとはそれ使ってアメリカの軍産複合体にでも持って行って亡命&就職でもすりゃいいだろ。お前もデュノアには満足してないみたいだし、テスト戦の相手はごまんといるし、武装開発に必要な設備程度ならここにもある」

一夏「それにアメリカの軍産複合体や軍事集団なんて言うなら脛に傷持った連中の集団だからな。ドイツ人の技術者が居なきゃアポロは月に飛ばなかったし、ナチスの諜報機関員引きぬかなきゃCIAだってあそこまで成長しなかったろうによ」

シャル「……どこまでも楽観的なんだね。ボクにそんな力はないよ」

一夏「あるとは思うぜ。俺の機体の秘密スパイできるくらいの技術力があるなら軽いだろうよ。それに俺のデータもくれてやる」

シャル「一夏……」

一夏「ただ、取引したい。俺の持ってる軍産複合体への人脈と俺のデータの代わりに」

一夏「俺への協力と、『プロジェクト・ミステール』のデータが欲しい」

一夏「『学年別トーナメントで優勝したら俺と付き合える?』なんだそのデマは」

シャル「知らないよ。ただそういう噂が流れてるのは確かだよ」

一夏「あとでデマ流したやつ突き止めて締めあげてやる。何のために鈴の告白断ったっと思ってんだ俺が」

シャル「え?断ったの?」

一夏「これでも命狙われてる身だからな。相手の安全も考えてそういうのは片っ端から断ってる」

シャル「ふーん……」

一夏「とは言え、俺も箒に比べりゃまだまだだけどな」

シャル「え?箒ってそんなに危ないことになってたの?」

一夏「あいつっつーか、10割あいつの姉ちゃんのせい」

シャル「箒のお姉さんって……篠ノ之束博士か……。それならそうだよね」

一夏「世界中の軍事機関と軍産複合体とリストラ職業軍人とミリオタの怒りの矛先向けられてる女だからな。そのとばっちりだよ」

一夏「あいつは言わないが、あいつ自体何度もテロやら何やらやばい眼にあってるらしいし、重要人物保護プログラムってやつで世界中飛び回らせられてたらしい」

一夏「あいつがIS嫌いにならなかったのが不思議でしょうが無い。俺は手紙であいつの境遇を知ったせいでより一層IS嫌いが加速したけどな」

シャル「みんな大変なんだね……」

一夏「ここもアメリカの軍産複合体と同じように、脛に傷持った連中ばっかりが集まってくるのかもな……」

一夏「……と、ちょっとトイレ行ってくる」

一夏「もっと教室の近くのトイレを男子使用可能に改装しろよ……たく、昔のWACの気持ちがよく分かるぜ」ダダダダダッ

一夏「(ん……?ありゃ千冬姉と……件のSS女か)」

ラウラ「なぜこんなところで教師など!」

千冬「はぁ……」

千冬「何度も言わせるな。私には私の役目がある。それだけだ」

ラウラ「お願いです教官、我がドイツで再びご指導を。この極東ではあなたの能力は半分も生かしきれてません」

千冬「どういう意味だ?それは」ピクッ

ラウラ「この学園の多くの生徒は意識が甘く、危機感に疎く、ISをファッションか何かと勘違いした連中ばかりです。そのような連中に教官が時間を割かれるなど……」

千冬「そこまでだ。小娘」

ラウラ「!?」ビクッ

千冬「少し見ない間に偉くなったものだ。15歳でもう選ばれた人間か?」

ラウラ「わ……私は」

千冬「それに先日の悶着で貴様、織斑に勝負を振った挙句SS呼ばわりをされて逆上したらしいな」

千冬「その程度の安い挑発に振り回されるような小娘に割く時間のほうが私には無い。わかったか」

ラウラ「……!」プルプル

千冬「とっとと教室にもどれ。授業が始まる」

ラウラ「……」クルッ

千冬「…………で、いつまで聞いているつもりだ007?」

一夏「……バレてたか。いっそあいつの言うとおりドイツ行ってGSG9にでも再就職したらどうかな?」ヒュッ

千冬「下らないこと言う暇があったらお前も教員にばれない程度に走るんだな。授業開始二分前だ」

―放課後―

鈴「今日はお互い二人で特訓ってわけね」

セシリア「そうなりますわね」

鈴「この際だからこの前の実習のことも含めてここでどっちが上か決着付けない?」チャキン

セシリア「望むところですわ」チャキン

???「では……」

ボゴオオオオオン!!

セシリア「……っ!」

鈴「誰よ!今いきなり撃ってきたのは!」

ラウラ「……私だ。文句はないだろう」

鈴「……いきなり大砲ぶっ放すなんていい度胸してるんじゃないのよ」

ラウラ「ふん……英国のブルー・ティアーズに中国の甲龍か。データで見たほうが強力に見えるな」

セシリア「あらあら。頭に血が上りすぎてまともな判断ができてないようですわね。いっそ頭を冷やしにスターリングラードにでも行ったらどうですか?」ジャキン

鈴「セシリア、それは季節外れよ。冬本番じゃないと名物の冷凍ドイツ兵はできないじゃない」ジャキン

ラウラ「成る程。それは全てあの男の受け売りだな」

ラウラ「しかし、量産機に二人がかりですら負けるような貴様らが専用機持ちとはな。よっぽど人材不足が深刻なようだ……所詮は眠ったままの獅子と老いた巨像と言うわけか」

ラウラ「来い。二人まとめて相手してやる」ジャキン

セシリア・鈴「上等(ですわ)!」ゴアッ!

一夏「~♪」

シャル「何吹いてるの」

一夏「軍曹ソング。流石に声に出して歌えない内容だしな」

オイオイダイジョウブカヨアレ! スゴイコトナッテルヨ! ダイジョウブカナー?


鈴「何こいつ!全然攻撃が効かない……!」ググググ

セシリア「……せめて、ライフルさえ取りに行ければ……」ググググ

ラウラ「あれ程言っておきながらこのザマか。笑わせるな」ニタァ

ドバシュッ!

鈴「一夏……」

セシリア「あれは……わたくしのスターライトMk.3……」

ラウラ「……来たか。織斑一夏」

一夏「ったりめーだ。ここはアウシュビッツでもなけりゃベルゲン・ベルゼンでもねえぞ。私刑ならてめえの国で家畜相手にやってろSS女」ジャキン

一夏「まずは二人を離せ。でなきゃ地獄の総統閣下に会わせてやるか?」

ラウラ「次から次へとよくそうも口が回るものだな。お前はユダヤ人団体の差金か何かか?」

一夏「ただの口の回るミリオタだよ」シュバッ!

ラウラ「来るか!?」ドサッ ジャキンッ

ズバキィィィィンッッ!!

ラウラ「どうした?私を地獄に送るんだろう?」ググググ

一夏「バアカ。お前は要求どおりにもう二人を離してるだろうが」ググググ

シャル「鍔迫り合いやってる間に勝手に二人は回収させてもらったよ」パンパン

一夏「大丈夫なのか?」

シャル「気を失ってるだけ。命に別条はないよ」

一夏「そうか。じゃあ二人を頼む。どうも俺は退けそうにないみたいだからな!」

シャル「オーケー。任せといて」シュバッ!

一夏「さて……前言撤回だ。総統閣下にサインもらってくる準備はできたか?」シュバッ!

ラウラ「抜かせ……貴様こそ八つ裂きにしてくれる」ガシャン!


一夏「(奴の機体は『シュヴァルツ・レーゲン』……ドイツ系らしく重装甲高火力のウルトラハイスペック機。欧州連合コンペじゃ英国のティアーズ級やイタリアのテンペスタⅡ級を抑えて最強クラスのスペックを有する……)」ゴオオオオ

一夏「(だがその分メカが複雑すぎて整備性や稼働率はコンペ参加機中最悪っつーネックがある。特に駆動系は『ガラスの靴』なんて呼ばれてるくらいに繊細で、少しダメージを受ければどこかに不具合をきたすって噂だ)」ゴオオオ

一夏「(なら足を重点的に狙って作動不良を起こさせる!瞬時加速オン!)」バシュウウッ

一夏「チェストオオオオオオオオオッッ!!」ズガンッ!

一夏「おし……これで駆動系は殺し……」

ラウラ「ていないぞ。その程度か?織斑一夏」

一夏「……なっ!」

ラウラ「これで終わりだな。お前こそボヘミアの伍長に会ってくるんだな」グワッ

一夏「ぐ……」

ガキイイイイン!!

千冬「たく……これだからガキの相手はつかれるんだ」

ラウラ「……教官!?」

一夏「(IS用の近接カーボンブレードを素手で……やっぱ我が姉ながらこの人は本物の化物だぜ)」

千冬「模擬戦をやるのはいいが、アリーナのバリアを傷つけ、あまつさえ死人や重傷者を出すような真似は教師として黙認しかねる。お前たちも今日は帰って学年別トーナメントで決着をつけろ。いいな?」

ラウラ「……教官がおっしゃるなら」パシュン

一夏「そうさせてもらいます。先生」パシュン

―保健室―

鈴「っつつ……!カッコ悪いとこ見せちゃったわね」

セシリア「ざまないですわ……」

一夏「まあ、命に別条はないとは家、ISはのダメージレベルが撃墜レベルまでいたぶられてるんだ。今回は素直にそこで休んでおけ」

一夏「あいつは俺がやってやるからな。ほら、茶だ」コポコポ

セシリア「……一夏さん。淹れ方がなかなかわかってますわね」

一夏「イギリス人を唸らせるとは。俺の紅茶淹れるテクモまんざらじゃないみたいだな。卒業したら喫茶店でもやってみるか?」


一夏「ふむ……学年別トーナメントはペアでの参加ね」

シャル「どうする?」

一夏「まだ世間的にはお前は男ってなったままだしな。バレたら困るってのもあるし、俺的にはお前と組みたい」

シャル「……え?」ドキッ

一夏「SS女相手に俺の無茶に付き合ってくれてる時、意外に呼吸もあってたしな。それにリヴァイヴカスタムのバススロットの多さも戦術的に魅力だ」

シャル「……やっぱり一夏は合理的というか、あんまりロマンチックじゃないね」

一夏「悪かったな。無駄にときめかせて」

シャル「でも、ボクで良ければ、いいよ」

シャル「で、作戦はあるの?」ニヤ

一夏「あるさ。ドイツの重装甲(ティーガー)にはイギリスの砲(クロムウェル)をってね」ニヤ

一夏「学年別トーナメントまであと二週間。その間に『クロムウェル』を輸入させてもらうのさ」

イギリスの砲(クロムウェル)でなくイギリスの砲(ファイアフライ)でした。すいませんです

―――――
Name:Angelica(U.K.)
届いた?必殺の聖剣は?

Name:One summer(Japan)
ばっちりだ。受取人オルコット候補生名義で英国空軍から送られてきたから怪しまれなかったぜ。ありがたく使わせてもらう。
ところで、例の無人機の件は?

Name:Gomer Pyle(U.S.A)
例のビデオをうちのラボで回し見したけど、結局わからずじまいだ。あんなのがあるなら我がアメリカ海兵隊にも一機欲しいとこだぜ。

Name:Perrine est ma mariée(French)
しかしお前、なんでクロムウェルなんてブツ持ち出すつもりだ?戦艦ミズーリでも相手する気か?

Name:One summer(Japan)
似たようなもんだ。シュヴァルツ・レーゲンの息の根止めるんだよ。

Name:morphine plump(Germany)
シュヴァルツ・レーゲンって、まさかあのチビ少佐と殺り合う気かよ。
正気じゃねえぞ。あいつにゃクルップとAEGの新兵器が積んであるんだよ……

Name:One summer(Japan)
あいつ少佐かよ……
ってかクルップとAEGの新兵器ってなんだ?たしかに一度やりあって攻撃が通らなかったが、アレか?
―――――

一夏「なるほど……やっぱりあの時ダメージが入らなかったのはそういう訳か。確証が持てた。感謝するぜ国家元帥殿」

シャル「戦術はできた?」

一夏「まあな。大体完成した」

今回チャットに登場した人物の解説
Gomer Pyle→ゴーマーパイル。同名アメリカドラマの主人公、転じてFMJの日本名『微笑みデブ』

morphine plump→モルヒネデブ。ゲーリング国家元帥の通称。

一夏「さて、一回戦。やらせてもらうか」キュッ

シャル「相手は……誰だろうね」キュッ

一夏「今出た……と?」

一夏「『篠ノ之箒&ラウラ・ボーデヴィッヒ』……」

一夏「あいつらが組むとは思えんからハブ物同士だろうが、楽しいことになりそうじゃねえか」グッ

一夏「一回戦からメインイベントだ。いけるか?シャル」

シャル「もちろん」

―アリーナ―

ワーワーワーワーワー

一夏「一回戦でぶち当たるとはな。勝ち上がる手間が省けたぜ」

ラウラ「それはこっちの台詞だ。貴様の顔が苦痛にゆがむのを楽しみにしてるぞ」

一夏「はっ。SSはこれだから趣味がわりい」

―――試合開始

一夏・ラウラ「「ぶっ潰す」」バシュッッ!!

一夏「らあああああああああああっっ!!!」グアアアアアアアアアアア!!

ラウラ「見え見えの先制攻撃だな」シュッ

一夏「……っ!ぐぁ、なんだこれは……腕が……動かない!」

ラウラ「その程度で私を倒せると思ったか?お前はもっと賢いと思ったがな」

一夏「なあんてな」ドシュッ!

ラウラ「……っ!」バシュ

ラウラ「……間抜けを装って最初から量子変換で武器を持ち替える算段だったか!」

一夏「てめーのマジックは全部お見通しなんだよ。AEG製のアクティブ・イナーシャ・キャンセラーが積んであるってドイツ空軍からのタレコミのお陰でな」

一夏「アクティブ・イナーシャ・キャンセラーはようは自分の好きなように慣性力を操るんだ。使いようによっちゃあ相手を捉えるワイアーにも、物理攻撃から自分を守る盾にもなる」

一夏「セシリアと鈴が手こずってたのもそのせいだ」

一夏「だがな、武器を持ってなかった左手が遊んでることくらい見抜けよ。少佐殿」

ラウラ「舐めた真似をッッ!!!」

ラウラ「だが、この体勢から逃げられると思ったか!?」ジャキンッ

一夏「……お前。頭に血が上りすぎて、この戦闘を勘違いしてないか?」ハァ

一夏「今回は……」

シャル「チーム戦なんだよね!」ドギュンッ!!!

ラウラ「ぐぅっ!ちょこざいな!」ガキュッ

シャル「一夏!ライフル使って!」パシュッ

一夏「オッケー!受け取ったぜ!」パシッ

シャル「くらえっ!」パラララララララッ!

箒「私を忘れてもらっては困るぞ!」ジャキィィンッ

一夏「忘れてるわきゃねえだろうが……よっ!」ガッキイイイインッッ!!!

箒「……!」

シャル「そして接近戦なら、やっぱりコレ(ショットガン)だよね」ジャキンッ

ドガンッ!

一夏「……は?箒が……消えた?」

シャル「違う!あれ!」

ラウラ「邪魔だ」ポイッ

箒「あぐっ!」ズシャアッ

ラウラ「取った」ガギインッ

一夏「……てめーはベジータかよ。そういう真似する奴は早死にするぜ!」ガギインッ パララララッ!!

ラウラ「防戦一方の割にはいうことの威勢がいいな!」

一夏「(ワイアーアンカー!?)」

一夏「よけろっ!シャルッ!」

シャル「っ!」シュンッ

一夏「(まあ、確かにSS女は手強いが、あいつはハナからこれがタッグ戦とは考えてない。2対1のハンデ戦としか受け取ってないと見た)」

一夏「シャル、すまないが箒を片付けてくれ。俺はコイツを引き付ける」

シャル「オーライ」ジャキン シュバウッ

箒「っ!」ガッキィィィン!!

シャル「一夏じゃなくてごめんね!」ジャコッ

ドガァンッ!

箒「……そんな、戦闘不能」ドサッ

シャル「あの距離でショットガンを食らえば、重戦車だってお陀仏だよ」クルリッ

バゴォォンッ!

一夏「この攻撃……箒をやったか!」

シャル「おまたせ!だいぶ苦戦してるみたいだね」

一夏「まあな。だが、D-Dayが来たぜ!『零落白夜』開放っ!」

ラウラ「固有アビリティを使うか。だが、それは聞くところによれば自分のシールドエネルギーを攻撃に回す諸刃の剣」

ラウラ「私を倒す前に貴様のシールド残値が持つか?」

シャル「だからさ、ボクがいること忘れないでよね!」パラララッ

ラウラ「忘れてなど居ないぞ。最初からな」バッ

シャル「(来た……AIC。でも今だよ一夏!)」

一夏「でいやぁぁぁっ!!!」ガギンッ!

一夏「おっし、入った!」

ラウラ「だが、お前もこれで終わりだっ」バッ ジャギインッ

一夏「シャルッ!」

シャル「はいはい」パパパパパッ

ラウラ「ぐあっ!」ガキュキュキュキュ

ゴアアアアアアアアアッッッッ!!!



一夏「ぐ……っシールドエネルギーが……っ!『零落白夜』もこれでおしまいかっ!!」シュンッ

ラウラ「力量も考えずに長時間展開したのが運の尽きだったな!」バシュバシュッ

一夏「仕方ないが、切り札なしで責めさせてもらうぜ!」ジャキィィンッ!!

ラウラ「知れたことっ!」バッ

ラウラ「そしてこうしてお前を足止めしている隙に来るもう一匹も!」シュワッ!

シャル「ぎゃんっ!」ズシャアアアアアア

シャル「からの……」

パパパパッ!!!

ラウラ「ぐっ……投げ出された状態から攻撃……!」

一夏「俺が同じ攻撃を何度も出し続けてたわけがわかるか?お前をハメるためだよ!」

シャル「一夏っ!ブルパップ!」シュンッ

一夏「あいよっ!」パパパパパパパパパパパパッッ!!!

一夏「(デュノアのブルパップ……シャルが仕掛ける前に排莢不良起こさなきゃいいがな!)」

ラウラ「遠隔展開を何度も何度も……!鬱陶しいっ!」バシッ

シャル「ありがと一夏。おかげで間合いに入ることはできたよ」

ラウラ「だからどうした!貴様の第二世代機ごときの武装でこのシュヴァルツ・レーゲンは落とせない……」

ラウラ「まさか!」

シャル「そのまさかっ!」シュバッ!

シャル「69口径パイルバンカー、通称『盾殺し』!」バギャンッ!

ラウラ「ぐは……っ」ズガアンッ!

シャル「勝負あったね」

ラウラ「それはどうかな!」バシュッ!

シャル「く……っ!」

ラウラ「これで動けないのはどちらも同じだ。その隙にあの死にぞこないから落として……」

一夏「死にぞこないとはひど言い方だな。まだこっちには切り札が残ってるんだよ」

セシリア「あれは……っ!『クロムウェル』!?まさか英国空軍からのあの荷物!?」

鈴「知ってるの!?あの一夏の構えてる物干し竿のこと!」

セシリア「イギリス海空軍のIS用戦術レーザー砲『クロムウェル』!わたくしのスターライトMk.3の開発母体ともなった、対艦攻撃や地上砲撃を目的とした第二世代IS用のレーザー砲ですわ!」

セシリア「ただし扱いやすさを重視したスターライトと異なって、あちらは攻撃力に特化したシロモノ……いくらシュヴァルツ・レーゲンでもあの破壊力の前には!」

セシリア「私の敵を撃つ秘密兵器とは言ってましたが、とんだ聖剣を抜いてしまいましたわね。一夏さん!」


山田「『クロムウェル』……!?あんな物どこから手に入れたんですか!?すぐに中止を……」

千冬「落ち着け、あんなものはハッタリだ。よしんば撃ったところで所詮第二世代の兵器。強固を誇るシュヴァルツ・レーゲンの装甲に受け止められて中の相手は死にはしない」

千冬「まあ、コレが終われば取り上げるのは確実だがな」


一夏「切り札っつーのは最後まで取っておくもんだぜ?セシリアと鈴の分だ。ありがたく受け取れよ」ドバシュウウウウウッ!!

ラウラ「ぐああああっっ!!」ボゴアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!

一夏「(うし……シールド残値0……これで終わりと)」

ラウラ「……ぐ……」

シャル「待って!様子が変だよ!」

ラウラ「ぐああああああああああああっっ!!!」ドオオオオオオオオオオ

シャル「ISが……溶解し始めた!?」

一夏「これ以上何か積んでるってか?そんなん聞いてないぜモルヒネデブ……!」

グジュグジュグジュグジュ

箒「再構築が終わったか……だが、アレはなんだ?」

シャル「フルスキンIS……でも、きちんと女の子とISの形」

一夏「あれじゃまるで……千冬姉のトレースじゃねえか!」

ラウラ「……」ゴォッ!

一夏「まずいっ!」バッ

ガキイイイイイン!

一夏「(……やっぱりな。この動き、千冬姉のそれだっ!)」

一夏「(……だが、今ので俺の白式は可動終了。『クロムウェル』でカタを付けるためのトリック戦法が仇となったか)」シュバアアン

一夏「ったく、向こうにも切り札があったなんてな」ドサッ

一夏「だからと言って、そこでやられる織斑一夏だと思ったか。こん畜生……!」

シャル「箒!一夏を早くどこかへ!ここはボクが引き受ける!」

箒「わかった!」

一夏「アリーナの格納庫だ!あそこにはまだアレがある!」

箒「……成る程。アレか!行くぞ!一夏!」ダキカカエッ!

一夏「……男がお姫様抱っこは絵にならねえがな」

―アリーナ格納庫―

一夏「あったあった」

一夏「空中エネルギー補給の実習に使う、IS用エネルギータンクパック!」

箒「本来やれば先生に怒られるトコだが、今は非常事態だ。きっと許されるだろ」

箒「こいつを使えば何分で充電が終わる?」ジーッ

一夏「米軍用と同規格だから約3分で満タン。ウルトラマンの逆だ」ジーッ

箒「約3分、シャルルは持つか?」

一夏「どう考えても2分が限界だろうな。ありゃモンデ・グロッソの時の千冬姉のコピーだ」

一夏「だがシールドエネルギーなんて半分ありゃ十分だ。千冬姉の戦術は熟知してるし、俺には必殺の『零落白夜』がある」

一夏「右腕のみ、一瞬の展開分で十分。ただ、お前の力を借りることになりそうだ」ブチッ

箒「頼られるのは悪くない気分だ。こっちも充電はこれで十分だろう!」ブチッ

一夏「見せてやるよ。俺、織斑一夏はそうそう好きにはされないってコトをな……!」


ラウラ「……」ビュンッ

ガキンッ!

シャル「っ!シールド残値4!?……ここが限界かな?」

シャル「悪いけど、これ以上は持ちそうにないね……」

一夏「いや、むしろよく持ってくれた!」シュバウッ

シャル「二人共!?」

箒「エネルギーパックを使わせてもらった!燃料は半分程度しか無いが、それで十分だ!」

箒「行くぞ一夏!」シュゴッ

一夏「おうよ!『零落白夜』展開っ!」シュゴッ

箒「でやあああああああああああっ!」ガキイイインッ!

ラウラ「……」ギギギギギギ

箒「今だ!」

一夏「わりいな。俺は正々堂々よりも、多少スレたやり方のほうが性に合ってんだ」ヒュン

一夏「おらあああああああああああああっっっ!!!」ズバキィィィィンッッ!!

ラウラ「グ……ガガハ…………」

ズッパアアアアアアアアアアン

一夏「地獄で総統閣下と宣伝相殿によろしくな、ベイビー」トントン

ラウラ「……はっ!」

千冬「やっと起きたか」

ラウラ「……私は」

千冬「体中に無理な負荷をかけた上に『クロムウェル』の直撃を受けたんだ。お前の体は筋肉疲労と打撲でボロボロだ。あまり無理はするな」

ラウラ「……何が起きたんでしょうか?」

千冬「(……ほう?目が澄んでるな)」

千冬「……これは重要案件の上に機密事項だが、VTシステムは知っているか?」

ラウラ「はい。過去のモンド・グロッソの部門優勝者の動きをトレースするシステム……ですがアレは国際条約で使用禁止……」

千冬「それが、搭載されてたんだ。貴様の機体にな」

ラウラ「……!?」

千冬「おおかたどこかの趣味の悪い連中が無断で入れたんだろう。近くドイツ軍や製造会社には各所からの視察や捜査が入るだろうな」

ラウラ「私が……望んだからですね」

千冬「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」

千冬「お前は何者だ?」

ラウラ「あ……私は……」

千冬「だれでもないならちょうどいい。お前はラウラ・ボーデヴィッヒとして生きるんだな。トッド軍曹と同じように、この学園でたっぷり悩んで自分が何者かを見つけろよ、小娘」ポンポン

千冬「……あと、これは織斑からの言伝だがな」

千冬「『クロムウェル』の一撃をお見舞いしといたことで、俺側の貸し借り怨恨全てチャラだ。だそうだ。ちなみに奴は正規手順を踏まない戦術級兵器の入手のカドで自室謹慎中だから、返事は治った後にでも言っておけ」ガチャッ


ラウラ「ああ……ずるい上にとことん格好いいな。あの姉弟は」クスッ

今さら言うのもなんだけど
シュヴァルツェア・レーゲンで
アクティブ・イナーシャル・キャンセラーだぞ

―教室―

のほほんさん「あ、おりむー久しぶりー。謹慎どーだったー?」

一夏「ほどよく休めたな。差し入れも多かったし、『クロムウェル』の正式な所持許可も得て、もう俺のもんだ」

箒「だがどうするんだ?あのライフルはお前のISには搭載不能……」

一夏「それをしてみせるんだよ。技術者の執念と俺の白式のポテンシャルの両方でな」

箒「……」

山田「え、えーーっと……今日は転校生というか、そうじゃないというか……と、とにかく紹介します」

シャル「シャルロット・デュノアです」

山田「えっと……シャルル君じゃなく、シャルロットさんでした……ついでに国籍もそのうちにアメリカなるそうです……」

一夏以外クラス全員「はああああああああああああああああっっ!!!」

箒「というか一夏、なんでお前は動揺してないんだ?」

一夏「俺は既に知ってたからに決まってるだろ」

セシリア「というかなんで性別を隠してたんですか!?一夏さん!」

一夏「政治というか経済というか、大人の事情ってやつだ。深く考えるな、感じるんだ」

鈴「一夏ぁぁぁぁぁっ!!!」ゴガアアアン

一夏「ドアの修理代はお前が払えよ。鈴」

鈴「なんで私の告白断ったくせに女部屋に連れ込んでるのよぉぉっっ!!」

一夏「大人の事情つってんだろうが」

鈴「知るかあああああっ!」ズガアンッ

一夏「知れよ!てめーがIS使ってんのも全部共産党の事情だろ!」

一夏「……あ?」

ラウラ「……」ググググググ

一夏「……助かったぜ、メイジャー。コレで借り一つってとこか?」

チュッ

一夏「は?」

ラウラ「……お前は私の嫁にする!決定事項だ!異論は認めん!」

一夏「あのさあ、お前には話してないけど俺は命を狙われててだなあ。そういうのは全部断って……」

ギャーギャーズドオンドゴゴゴゴゴバッキャーン バゴオオオオオン

一夏「箒。この愉快なパーティを止めるにはどうしたら良いと思う?」

箒「1.織斑先生を呼ぶ。2.織斑先生を呼ぶ。3.織斑先生を呼ぶ。のどれかだな」

一夏「やっぱそうなるよな」

>>235
すんませんでした……。なんか頭でそう覚えてたんでそう書いてました……

もうさ>>1が原作の続きかけばよくね?

>>246
それは言い過ぎですってばwww

――――
Name:Charlotte(French/Japan)
どうも。皆さんご無沙汰してます。実家とフランス政府の件はなんとかカタが付きそうです。
多分来年にはアメリカ国籍も取得できそうなので、その時はいずれお願いします。

Name:Perrine est ma mariée(French)
>>Charlotte
おめでとう。とは言えデュノアの株価が酷いことになってたな。あれはひょっとすれば本気でノースロップ・グラマンの傘下だぞ。
自業自得とはいえ自分の国のIS企業が消えるのは複雑だよ。

Name:Hei(Taiwan)
そういやなにげにNGとデュノアくっつけば最強の艦載機メーカーになるよな。あそこの第四世代ISはいっそ飛行機に変形するんじゃねえか?

Name:Hyper Great General(Korea)
>>Hei
それなんてバルキリーだよ?

Name:morphine plump(Germany)
おめーら大変だ!ドイツ空軍のIS技術研究所が跡形もなく吹っ飛びやがったぞ!
例のVTシステム騒ぎでこっちの内情がちょこっとずつ探り入れてたのに全てが無に帰りやがった!

Name: One summer(Japan)
落ち着け。テロか?

Name:morphine plump(Germany)
テロ。と言うかテロ以外にあり得ないな。研究者が帰宅してた深夜に突然ボン!だぜ。
近所の街の人間がおかしな女を見たって噂もあるし、こいつは臭うんだよ。俺は管制班だからそのへんよくわからんがな。
――――

一夏「なんとも物騒な世の中だな」

シャル「そうだね。軍事施設がテロに遭うって普通はないよね」

一夏「ところでだ。シャル」カキカキ

シャル「何?一夏」カシャカシャ

一夏「おめーのとこのルームメイトがまた俺の部屋に忍び込もうとしてたぞ。あいつの電子解錠道具取り上げろ」カキカキ

シャル「善処するよ」カシャカシャ

一夏「アメリカ国防総省並のセキュリティをくぐり抜けて添い寝しに来るなよなっつの……」カキカキ

一夏「だいたい誰だ。気に入ったヤツを『俺の嫁』と呼ぶ、とか裸で起こしに行く、とか吹き込んだ馬鹿は。見つけたら万世橋から神田川に紐なしバンジーさせてやる……」

鈴「なに?またラウラが部屋に忍び込んだの?」

一夏「ああ。今日は俺くらいの大きさに丸めた布団の横で気持ちよさそーに寝てた」

セシリア「で、一夏さんはいつものようにシャワールームで座ったまま寝てた、と」

一夏「いや、今日は横になりたくて談話室のベンチで横になって寝てた。そいでもって五時に箒に起こされて朝練付き合った」

一夏「そろそろ千冬姉に言って殴らせる予定だ」

ラウラ「何故部屋に入って添い寝はダメなんだ?私はそう教わったぞ?」

一夏「お前の日本文化は根本的に間違ってるんだよ。プロポーズの承諾もなしに人を嫁にする国なんてどこにあると思う?」

ラウラ「……今度私に日本文化を教えてくれた副官に聞いてみる」

一夏「その時は俺も同席させてくれ。そして言い分次第では重石つけたまま戦艦ビスマルクの側に沈めとけ」

鈴「ところで、この前からだけど一夏とシャルはずっと何をやってるの?」

一夏「『雪片参型』を作ってる。シャルはその手伝いだな」

セシリア「参型って……今の雪片の後継武装ですか?」

一夏「いや、単なる改造型だ。ただこのプランが実現すれば、白式の最大の欠点は解消するはずだ」

鈴「射撃武装の充実化?でもどうやって?確か白式のバススロットって雪片一本で埋まってるから射撃武器の後付けって出来上ないんでしょ?」

シャル「みんな『プロジェクト・ミステール』って知ってる?」カシャカシャ

ラウラ「名前だけなら」

シャル「そう。じゃあ説明するよ」

シャル「デュノアのラファール・リヴァイヴが第二世代最後発だったのはみんな知ってるよね。その理由は軽空母での運用能力の付与やメンテフリー性と基本性能を両立させるって無茶なプランのせいもあったんだけど、その最大の理由は別にあったんだ」

シャル「その最大の理由は当初予想してた基本武装の開発の難航と廃案。それに伴う基本武装の作りなおしなんだ」

ラウラ「確か、その当初搭載されるはずだった基本武装の名だったな。『ミステール』は」

シャル「そう。千変の剣『ミステール』」カシャカシャ

鈴「千変の剣……?」

シャル「いわゆる可変武装ってやつだよ。武器そのものが剣や銃ってその時の用途に応じた形に武器が変化するんだ」

シャル「後付け武装のバススロットを極力節約するために考えられた武器だよ。長距離航行のためのエネルギーポートのせいでバススロットが限られてた昔の艦載機に搭載しようといろんな会社が頑張ったけど、どれも物にならなかった」

一夏「唯一デュノアの『ミステール』がものになったけど、ラファール・リヴァイヴのそもそもの性能が性能で帯に短したすきに長しな、とても実戦用にも、モンデ・グロッソ用にも向かない武器になっちまった」

セシリア「もしかして……あの『クロムウェル』も?」

一夏「ああ。一旦量子化して可変形態の中に突っ込むつもりだ。使用者を俺名義に書き換えたしな」

このミステールとかって原作にある奴?

鈴「でもそんな中途半端な武器だったんでしょ?雪片の性能も落ちるんじゃないの?」

シャル「『ミステール』にはそもそも他の武器を受け入れるキャパシティがあんまり無かったんだ」

シャル「それに比べて雪片弐型には普通の機体のバススロット五個分ぐらいだけど、それを許容できるキャパシティがあるんだよ。一個は管制用のアプリに当てるとして、それでも四個分の可変形態が残る」

ラウラ「五個分のバススロットといえば、下手な第二世代の初期型機並みだぞ」

一夏「ホント。調べれば調べるほど不思議な機体だぜ。白式は」

セシリア「そう言えば、白式はどこの会社の機体なんですの?あまり聞いたことが無いですが」

一夏「三菱重工の名古屋工場ってことになってる。元は三菱と倉持技研が自衛隊向けの実証試験機として開発した機体らしいが、途中で金融ショックが起きて開発凍結してたのをそのまんま俺用に調整して流したらしい」

ラウラ「He100だな。まるで」

一夏「別にゴーストファイターってほどでもないさ。そもそもの出自が実証試験機だからな」

一夏「……そういや、もう夏か」

セシリア「来週から臨海学校ですわよ」

シャル「各国のISの拡張武装稼働試験も兼ねた、ね」

一夏「ISの拡張武装となるとでかい荷物になるってことで、世界各国の揚陸艦が見られるんだよな……ワスプ級にアルビオン級に……ふふふふふふふ、カメラの用意が楽しみだァァ」

鈴「私達も水着回にいかないとねー」

シャル「だねー」

>>268
完全俺設定です。もうこの辺りから色々と道を外れていってます

――――――
From:篠ノ之束
Title:やっほー♪

箒ちゃんへ。
元気してる?今年の誕生日プレゼントは豪華だよ~♪
楽しみに待っててねvv

束お姉ちゃんより
――――――
箒「こんなものを今頃送ってきて……」

箒「あの人は……!」

千冬「何をしてる篠ノ之?」

箒「……織斑先生。このメール、先ほど送られてきたんです」スッ

千冬「……成る程。そういう事か」

箒「あの人に悪気はないのはわかってるんです。わかってるんですが……」

千冬「自分を悪と気づいてすらいない悪というのが、最もどす黒い悪だ」

箒「は……?」

千冬「なんでもない。大昔の漫画の台詞だ」

千冬「あまり奴のプレゼントとやらを期待するな。あいつは一人で第三次大戦を起こせるような人間だ」

千冬「ひょっとすれば、それ一つで戦争の引き金になるようなものかもしれん」

――――――

Name:One Summer(Japan)
例のドイツ軍研究所爆破、こっちでもニュースでたぜ。
どうして厳重な警戒の中あんな大掛かりな真似ができたかって話題になってる。

Name:Gomer Pyle(U.S.A)
例の可変武装どうなってる?完成しそうか?
あいつは艦載機運用者機体の星なんだ。それにもし完成したらCharlotteちゃんうちで引き抜く口実にしたいんだよ!

Name:One Summer(Japan)
残念ながら、70%って言ったところかな?基本理論や突っ込む武装の量子化行程まではなんとかなりそうなんだが、実際の基本武装に色々と謎が多くて、そこの解析が、な。

Name:Pinky Rabit(Unknown)
>>One Summer
その謎、おしえてあげましょっかvv

Name:One Summer(Japan)
>>Pinky Rabit
どなたの紹介で来られたんですか?

Name:Pinky Rabit(Unknown)
>>One Summer
今夜だけなら答えられるよvv今すぐISの個人回線を開くのだ!

――――――

ガーキューピピピピ

?「やっほーん♪」

一夏「やっぱりあんたか。どういう風の吹き回しだ?」

?「いやいやいやいや。私の作品をいじくり回してるようだから、面白そうだし教えること教えようと思っといてね」

一夏「……あんたの仕業だったのか。どうりで白式の開発放棄からロールアウトまでのブランクとか、武装の解析不能な部分とか、怪しい部分が満載だったわけだ」

?「そゆことそゆこと」

一夏「今どこにいる?」

?「そりゃ教えられないなあ。教えたらどうするつもりかな?」

一夏「決まってるだろ。ぶん殴る」

一夏「とりあえず、犯す」

―海岸―
セシリア「さて、やってきましたわね」

鈴「ビーチバレーしようよー」

ラウラ「それにしても日本の海というのは本当に青いんだな」マジマジ

シャル「ドイツの海って言うと万年灰色の北海ぐらいしかないからね」

セシリア「ところで一夏さんは?」

シャル「さっきデジタル一眼レフとバズーカ抱えて揚陸艦の停泊してる辺りに走っていったよ」

セシリア「ほんっとうに通常運転ですわね」

鈴「と言うより基地祭行けなかった鬱憤ばらしかもね」

モブメス「きゃー、おりむらくんにとられちゃうー///………あれ?」

鈴「っていうか学校のあいつだけ見てるとフツーに格好いいのに、あいつの私生活って色々と残念だよね」

シャル「それはあるね。この前水着買いに行った時なんか殺し屋みたいな私服着てたし」

セシリア「廊下ですれ違いましたけど、あの皮ジャンパーとサングラスは明らかに怪しい人のいでたちでしたわね」

ラウラ「そうなのか?アレは」

シャル「ラウラは私服に無頓着だから大丈夫だろうけど、アレはさすがに引くよ」

鈴「そういやその水着買いに行った時、弾にあったんだよね」

シャル「あ、うん」

鈴「あいつどんな感じだった?」

シャル「えっと、なんかおっきいトロンボーンケース背負って、一夏と今度またやってみないかとか、群馬でいい廃村見つけたんだとか……そんな事話してた」

鈴「全く変わってないか……」

セシリア「鈴さん、どういうことですの?」

鈴「多分そのケースの中には弾御用達のアサルトライフルしか入ってないって意味。あいつは一夏の同類だから……今度またってのも多分サバゲのことだと思う」ハァ

ラウラ「成る程。廃村で市街戦を想定した模擬戦闘か。私もドイツで何度かやったことがあるな」フムフム

セシリア「ラウラさん。いっそそのゲームについていったらどうでしょうか?」ハァ


一夏「ったく……浜なんかに戻ったって何すりゃいいんだよ……」トボトボ

一夏「弾いないしMG42家に置いてきてるからオマハビーチごっこも出来ないし……」トボトボ

シャル「あれ?一夏いつの間に戻ってきたの?」

一夏「あらかたの揚陸艦撮って、次はドイツのベルリン級支援艦を狙ってたら後ろから千冬姉に殴られて」

一夏「『こんなところで艦艇を撮るな。ビーチで遊んでこい』って言われてペンタックスとバズーカを没収されてしまったんだよ……」ショボン

セシリア「お気の毒様ですわね……」

セシリア「でもそれなら良かったですわ。ちょうど今サンオイルを塗ってもらいたかったので……」

鈴「ビーチバレーしようよビーチバレー」

一夏「ちっくしょおおおお!まだベルリン級もミストラル級も撮ってなかったんだぞおおおおお!!!」バシャバシャバシャバシャ

シャル「……見事に海の方に走っていったね」

ラウラ「(ベルリン級の写真くらいなら揚陸試験の時のが結構あるんだが……)」

一夏「ちくしょおおぉぉぉぉぉぉ…………」バシャバシャバシャバシャ

ラウラ「追いかけないのか?」

鈴「あー言う場合はそっとしてあげとくのが一番なんだよ……」

一夏「……」プカア

セシリア「明らかに様子が変ですわね」

シャル「というかアレ溺れてるって!誰か助けに行かないと!」

鈴「まかせろー!」シュイイイイイイン

のほほんさん「りんちゃんりんちゃん、それ死亡フラグだってば」

一夏「うえっほ!げほっげほっ!」バシャバシャ

山田「体に別状はないみたいです。単に叫びながら泳いで予想以上に体力を使ってしまったんだと思いますよ」

ラウラ「なんと人騒がせな……ベルリン級の写真なら譲るほどあるというのに」

鈴「あげてもあんまり意味ないと思うけど。自分で撮るのが一番らしいから」

箒「……一体何があったんだ?」

シャル「どこかの誰かが揚陸艦撮れなかった腹いせに叫びながら泳いで溺れたんだよ……っていうか箒どこにいたの?」

箒「いや、少し向こうの方をぶらぶらと……」

一夏「ちくしょお……俺のミストラル級……ベルリン級……ゴホッ」

セシリア「多分これは大丈夫そうですわね」

鈴「まあ、こんなはっきりしたうわ言言えるなら大丈夫でしょ」

シャル「誰か一夏を旅館に運んでくれる人いる?大丈夫そうだけどちょっと横にしたほうがいいみたいだし」

箒「なら私が」スッ

シャル「じゃあお願いね」

―夜・旅館―

一夏「いやー……ひどい目にあった」ムグムグ

シャル「叫びながら泳ぐような器用な真似して溺れる人なんてボクも初めて見たよ」パクッ

一夏「おい、それわさびだぞ。辛いぞ」

シャル「…………ーーーっっ!!」ジタバタジタバタ

一夏「言わんこっちゃ無い……ほら、お茶お茶」

一夏「……セシリア、お前も辛いなら足崩せ。正座したままだと後々ひどい目にあうぞ」

セシリア「お気遣い……感謝しますわ……うっ」シビビッ

一夏「この鍋美味いなぁ……」ムグムグ

一夏「こっちの刺身もなかなか……特にこの鯨の刺身」ムグムグ

セシリア「え?このお刺身って鯨ですの?」

鈴「うそ、マジ?」

一夏「応」

セシリア「……そんな。わたくし、鯨を食べてしまったなんて……しかも凄い美味しい」ワナワナ

鈴「なんということ……」ワナワナ

箒「どうしたんだ?あれ。自己嫌悪に陥ってるぞ?」ムグムグ

一夏「喜べ箒。明日には地球上から捕鯨反対派がニ人減るぞ」ムグムグ

シャル「いじわるだね。一夏は」ムグムグ

一夏「シャルは普通に食べるな。鯨」ムグムグ

シャル「ボクはそういうのには寛大なの」ムグムグ

―入浴後―

一夏「……ところで、俺はどこで寝ればいいんだ?」

一夏「ロビーで雑魚寝か?それなら毛布持ってくればよかったな」

千冬「ああ織斑。お前の部屋は私と一緒だ」

一夏「は?」

千冬「は?じゃない。お前の部屋を個別に取れば女子が押しかけてきて襖やらが壊れるし宿にも迷惑がかかるだろう」

一夏「ああ。そういう事……確かに千冬姉野いる部屋に忍び込むバカはいなさそうだな……」

―教員寝室―

千冬「…………」スッ

千冬「……」ズダンッ!

ラウラ「ぎゃふっ!」ビクッ

千冬「バレバレだ。気配の消し方が下手すぎるぞ?小娘ども」

一夏「あと床下から器用に忍び込んでる奴と襖の影でコップ立ててる奴、出てこい?」

セシリア「くっ……バレましたか」

箒鈴シャル「……」

(女子五人正座大会中)

一夏「千冬姉、俺トイレ行ってくるわ」スタスタ

千冬「そうか」


スタスタスタ

ザザーン……ザザーン……

一夏「箒なら千冬姉のところだ。今行けば問答無用で千冬姉にはっ倒されるぞ」

束「そっかそっか。ちーちゃん怒らせると怖いのは知ってるからね」

束「夜中にこっそりお姉ちゃんからのサプライズ誕生日プレゼントを渡そうと思ったのに……残念」

一夏「……一体何を渡すつもりだ?」

束「いっくんも段々ちーちゃんに似てきて、怖くなってない?」

一夏「さあな。で、何を渡す気だ?」

束「箒ちゃんの専用機だねー。束さんハンドメイドってだけじゃなく、一足とびの第四世代!」

一夏「第四世代……?」

束「すごいっしょ♪まあこのんあことできるのはこの天才のラブリイ束さんだけ……」

一夏「……あんた、それがどういうものなのかわかって渡すつもりなのか?」

束「ほえ?」

一夏「その機体は箒を不幸にするだけの機体なんだぞ!?」

束「……どうしてそう思うのかな?」

一夏「あんたはラボにこもってばかりで世界の軍事情勢が全くつかめないようだから教えてやるよ」

一夏「今世界のIS技術は第三世代の成長途上にある。第二世代から第三世代に移行できずに四苦八苦してるデュノアみたいな会社だってある。そんな中に第四世代機なんてオーパーツを放り込めばどうなると思う?」

一夏「あんたがISを開発した時同様、箒は見えない敵に怯えながら暮らすことになる。それどころか、戦争の引き金にだってなりうるんだよ!」

束「あーあ、そんなこと」

束「だいじょーぶだいじょーぶ。今箒ちゃんの紅椿を倒せるのは同じ第四世代技術を積んでる白式くらいなもんだし……」

束「向かってくる敵は全部返り討ちにできるよ♪」

一夏「そういう事じゃねえつってんだろうがっ!」

バキイッ

束「……本格的にちーちゃんに似てきたね……でもいいよ。これは絶対渡してみせるからね……」

一夏「やってみろ……その時はもう一度ぶん殴るだけだ」

一夏「何度でも、あんたの息の音が止まるまでな!」

―翌日・プライヴェートビーチ―

千冬「さて……拡張武装の装着試験をはじめる」

千冬「……ん!?」

ヒュウウウウウウ

千冬「いかん!全員下がれ!伏せるんだ!!」

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオンン

一夏「こういう展開、前にもあったな……」シュイイイイイイン

千冬「……どこの政府の人間のしわざだ?」

束「にゃっほー」ピョコン

箒「……束……さん」

千冬「……!」ゲシイイイッ

ズシャアアアアアア

千冬「何の用だ?こんな大層なものをぶら下げて。危うくうちの生徒が怪我するところだっただろう」

束「こっちも怪我するトコだよぉぉぉ」モゴモゴ

千冬「貴様のなどツバ塗っとけば治る。で、改めて聞く。何の用だ?」

束「……まったく。せっかく箒ちゃんに誕生日プレゼントを届けに来たんだから」パンパン

箒「……え?」

束「ぬっっふふー。こいつだよこいつっ」ピッ

ガコン ズシャアアアアア

束「束さん特製の箒ちゃん専用機『紅椿』!性能はそこら辺で作ってるISよりもずっと上で、なんと第四世代の技術も搭載してるスグレモノだよん?」

箒「紅色の機体……私の……」

束「さあ箒ちゃん。このプレゼント受け取ってくれる?」

箒「……」スッ

一夏「その必要はない!」

パシンッ!

ところどころ網右寄りなのは頂けないが、やるべきだった事を逐一押さえてて高二心を揺さぶられるな

箒「一夏……」

束「いっくん……?」

一夏「言ったはずだよな。この機体はそれだけで箒を不幸にして、戦争の引き金にもなる機体だと!」

一夏「そこまであんたは箒を不幸にして楽しみたいのかよっ!」

束「何言ってるの?いっくん」

一夏「どうせあんたは箒の喜ぶ顔じゃなく、あんたの作品の最強ぶりを眺めるのとそのデータだけが楽しみなだけだろ!?」

一夏「あんたはいつもそうだ!世界を引っ掻き回しては、不幸な人ばかりを作り出す!あんたの気まぐれで職を失くして路頭に迷った人間が何万人いるか知ってるのか!?」

ラウラ「……」

箒「一夏……」

一夏「箒。コイツを受け取るな。お前はこんなもんを受け取らずに人生を楽しむべきなんだ」

一夏「こいつを受け取ればお前の周りからまた人がいなくなる。それどころか、俺みたいに誘拐されたり、命を狙われたりするかもしれないんだぞ!」

一夏「お前は、箒は、友達と話し合ったり俺の頭小突いたりしてる今の箒のままでいてほしいんだ!」

箒「……わかった。お前が言うなら、これは受け取らない」

千冬「だ、そうだ。こんな戦争の引き金をここに置いたままにされちゃ困るからな。お前もとっととコレ持って引き上げろ」

束「……それはどうかな?」

山田「大変です織斑先生!特命任務レベルAの事態が……っ!」バタバタ

千冬「なんだと?」

一夏「……てめえの仕業か」ギリッ

束「んっふっふ~♪どうかな~?」

>>302
なんつーか、こういう趣味してるとどうしても影響を受けてしまうのです。
しかし俺もニコでは左と呼ばれ、ここでは右と呼ばれ、実際はどうなのだろう……

>>216
これって結局どうなったの

>>321
ファイアフライは英国のシャーマン・ファイアフライ戦車のことです。アメリカのシャーマンに英国製の17ポンド砲を装備した戦車で、ドイツのティーガー重戦車キラーとしても名を馳せた車両でした。
ラウラとシュヴァルツェア・レーゲンをティーガー重戦車として見立てた比喩です。

千冬「これは……一旦課外授業はおあずけだ!宿にもどれ!」

千冬「それと専用機持ち……篠ノ之も一応ついて来い!」

箒「はい……」

―旅館・宴会場―

山田「これが二時間前にハワイ沖でアメリカ第三艦隊の手によって試験運用されていたアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代IS、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)ですが……制御下を離れ暴走、関し空域より離脱したとアメリカ海軍から報告がありました」

山田「その後アメリカ海軍によって試算した予想ルートによって今から50分後、福音がこの付近の海域を通過することが判明しました。学園上層部の通達により、私達がこの迎撃を命じられました」

千冬「一般生徒は訓練機による当該空域の封鎖の任についてもらい、諸君ら専用機持ちにはこいつの迎撃任務を頼みたい」

鈴「どして私達が?アメリカ海軍がカタつければいいのに」

一夏「アメリカ海軍が手を出せない理由ってのがあるんだろ?」

ラウラ「アメリカ海軍のIS部隊の個々の機体能力では手が出せない相手……だが、『クロムウェル』のような広域転用可能な大火力兵器を使用すれば……」

一夏「その広域兵器を使用できない理由があるんだろうな……」

一夏「その機体の詳しいスペックと暴走当時のミッション内容とオプション武装を聞きたい」

千冬「この任務のもう一つの内容に関連していずれ話す予定だったが……こいつは日米二カ国の最重要軍事機密だ。漏らしたりすれば諸君らは査問委員会による最良と最低二年の監視がつくぞ」

一夏「オーケーだ」

ピッ

セシリア「IAIとノースロップ・グラマンの共同開発してた特殊射撃型の戦略級IS……?」

ラウラ「広域殲滅用レーザー砲に核爆弾運用機能……アラブ諸国への無言の圧力と言う奴か」

鈴「ただ格闘性能はわからないってトコね」

ラウラ「戦略用ISだ。核爆弾を無事に目的地に運び込むための機体だけあって格闘系も相応の重武装はしてあるだろうな」

シャル「で、暴走時のミッションとオプション武装はなんだったんです?」

山田「……これです」

ピッ

箒「な……っ!」

一夏「核攻撃アラート訓練中の暴走……外付けの武装コンテナ内にB83水素爆弾を搭載……!?」

一夏「これじゃあ、並のISや攻撃兵器は手出しできない筈だ……!」

千冬「諸君らにはこの核爆弾を福音から切り離す任務もともに行なってもらいたい。武装コンテナはかなりの衝撃を与えない限りは中の爆弾には影響せず、また海上に落下させればじきにアメリカ海軍が回収する算段になっている」

一夏「偵察は?」

千冬「無理だ。相手はマッハ2での巡航中だ。SR-71でもなければ追いつけない。チャンスも一回しか無いんだ」

セシリア「となると、核爆弾の入ったコンテナを分離させられてなおかつ一撃必殺の攻撃力を持った機体……」

一夏「俺の白式か」

シャル「だけど問題はそれを当該海域まで運ぶ機体だね……ボクらの拡張武装はまだ準備が整ってないし」

一夏「空中補給機を随伴させて音速航行すれば……ようはある程度『零落白夜』が出せるだけのエネルギーさえ残ってりゃ落とせるかもしれないんだ」

セシリア「それならブルーティアーズが適任ですわ。デフォルト状態でも音速航行は可能な作りになっています」

千冬「オルコット?超音速での戦闘訓練経験は」

セシリア「20時間ほど」

千冬「よし、では決まりか……」

束「待った待ったー!ちょーっと待ったー!」ズルンッ

千冬「ここは関係者以外立入禁止だ。出て行け」

束「聞いて聞いて!ここは断然紅椿の出番だと思うんだよね!」

一夏「てめえ!まだそれを言うか!」グッ

千冬「織斑!こんなところで熱くなっても意味が無いだろう!」

一夏「……ぐっ!」ダンッ

箒「一夏……」

千冬「……話を聞かせろ」

束「んっとね。紅椿の展開装甲を個々をこうしてほいほいほいっとすれば、SR-71並の速度は出せるようになるよ♪」

千冬「展開装甲……それが第四世代の固有技術か?」

束「いーぐざくとりぃー♪紅椿は全身コレ展開装甲なので、パッケージ換装を必要としないで装甲の可変・展開具合で攻撃・防御・機動、あらゆる状況に応じれる即時万能対応が可能なのですよ~」

束「まあ、最初はいっくんの雪片に適当に突っ込んで様子を見てて、上手くいったから実用化したんだけどねん」

シャル「なるほど……白式と雪片のキャパシティの高さの謎にやっと合点がいったよ」

セシリア「戦争の火種になる。って言葉の意味も一緒に理解できましたわ」

ラウラ「世界各国のIS産業の努力を全て無に返してしまったのだからな……表沙汰にすればあらゆる諜報機関が紅椿を狙いにやってくるはずだ」

千冬「束。お前は本気で妹を不幸にしたいのか?この機体は明らかにやりすぎている」

束「あや?そう?熱中しすぎて気づかなかったよ」

束「それにしてもこういうノリって白騎士事件を思い出すよね♪」

一夏「(ああそうだな。アンタの仕込んだマッチポンプの世紀の茶番劇そっくりだ)」

一夏「(ISなんて俺は認めない。箒を、世界中の人間を、一瞬で不幸にしたデタラメな兵器なんてものを)」

一夏「(だが、俺はそれ以上に認めたくないものがある)」

一夏「ISを世界に認めさせて、箒と世界中の人間を不幸にし続けている、この女の所業を俺は認めないんだ」ボソッ

千冬「お前は少し黙っていろ」ズガッ

束「あだっ!」

千冬「そこで篠ノ之、お前はどうしたい?」

箒「……受け取ります」

一夏「箒……!」

箒「一夏、もしお前がしくじれば、核爆弾や殲滅平気によってもっと多くの人が不幸になるかもしれない」

一夏「ぐ……」

箒「それでなくても、お前が死ねばそれだけで不幸になる人が大勢いる。なら私がお前を守りたいんだ」

箒「お前が、紅椿を受け取るのを遮った時のように」

一夏「でも、それを受け取ればお前も俺みたく命を狙われ……!」

箒「それで私はお前と同じ場所に立てるんだろう?」

箒「なら、それは喜ぶべきことだ」

一夏「……人のことは言えないが、お前、早死にするぜ」

箒「一夏と一緒に死ねるなら、それも本望だ」

一夏「本物のバカだよ。お前」


セシリア「……負けちゃいましたわね。私達全員」

鈴「でもあの幸せそうな顔、アレなら納得できる」

シャル「命を狙われながら愛しあう恋人か。昔の映画みたいでロマンチックだよね」

ラウラ「とは言え、今は感傷にひたるよりも、二人を手伝うべきだろうな」

―午前11時 東シナ海海上某所―

一夏「会敵距離まであと三〇カイリだ。箒。済まないけど、載せてもらうぞ」

箒「構わない。今回は特別だ……いくぞっ!」

ゴオオオオオオオオオオオ

一夏「攻撃のチャンスは最低でも二回」

箒「武装コンテナ切断と、福音本体への攻撃の二回か」

一夏「そのとおりだ。核爆弾はなんとしても最初に分離させなきゃならない」

ゴオオオオオオオオオオオ

箒「見つけた!」

一夏「こっちでも捉えた!コンテナは左翼先端に装備されてるのを確認!」

一夏「まだ核爆弾への負担を考えて急旋回や無茶な攻撃は仕掛けてこないはずだ」

一夏「まずはその翼のコンテナを切り落とさせてもらうぜっ!」シュイイイイン

箒「行けっ!一夏っ!」ゴオオオオオオオ

一夏「(勝負は一瞬。コンテナを切っちまえばB-83の起爆でお陀仏だ)」ゴオオオオオオオオオ

一夏「(センサーの助けもあるとはいえ、結局全ては俺のタイミング次第)」

一夏「(南無八幡台菩薩っ……!)」ゴオオオオオオオオオ

福音「……」ゴオオオオオオオ

一夏「でやあああああああああああッッ!!」ズッパアアアアアアアアアアンッ

ドボーン!

一夏「うっし!厄介者は切り落としたぞ!」

箒「一夏!もう一撃を加えれば……」

一夏「わかってる!」

福音「B-83核爆弾紛失……自動的に巡航核攻撃モードより迎撃モードに移行。『銀の鐘』展開」ギュウウウン

一夏「な……っ!なんつーマニューバだ!」

一夏「さすがノースロップ・グラマン!可変翼機構であそこまでの精密機動性を引き出すとはな!」ゴオオオオ

箒「感心してる場合か!」

一夏「わかってるよ!『零落白夜』のタイムリミットも近いからな。ここで一瞬で封じ込め……」バッ

ジャギイイイイン

一夏「……こいつは!」

ズドドドドドドドドド

箒「一夏!」

一夏「大丈夫!まだ生きてる!」

一夏「しっかし可変翼に広域制圧用のレーザー砲まで仕込むとは……、グラマンはとことんトムキャットの栄光が忘れられないらしいな!」

一夏「やっかいだ!二人がかりで畳み掛けるぞ!」ジャキン

箒「わかった!」ジャキン

ゴオオオオオオオオオオオオオオ

一夏「なんだあれは……海上封鎖はしてあるはずなのに……漁船!?」

一夏「白式、国際VHFのチャンネル16に合わせてくれ……そこの漁船!どこの船だ!?」

漁船「+@:%&$*`+@!?」

一夏「ちっくしょ!日本籍ですら無いのかよ!なら中国語と韓国語での同時通訳フィルターかけて、そのどっちかに当てはまったほうで……」

箒「一夏!何をしてるんだ!?」

一夏「密漁船だよ!それも海外船籍のだ!もしあいつに沈められたらこの事件が表沙汰に出ることになるし、ヘタしなくても国際問題モノだ!」

一夏「ったく!何のために政府が漁場協定結んでると思ってんだあいつら!事がすんだら沿岸警備隊につきだしてやる!」

箒「……こんな時に限って!」

福音「La……♪」

一夏「やべえ!ありゃ全方位攻撃……」

一夏「漁船に当たる!」ギュンッ

箒「何をしている!」

一夏「国際問題の勃発を避けるんだよ!あいつを沈められたらIS学園のメンツが潰れて、俺達の居場所がなくなるかも知れねえ!」

箒「……なら、私がなんとかする!お前はヤツを!」

一夏「すまね!」

ドチュチュチュチュチュチュチュチュチュ

一夏「(『零落白夜』のリミットまであともって30秒。活動限界までなら50秒。それまでにカタつけるとすれば……)」

一夏「(捨て身の瞬時加速加えた突きでとどめを刺す!これしかねーか!)」

一夏「おらああああああああああああああっっ!!」ゴオオオオオオオ

ドチュチュチュチュチュチュチュチュチュ

一夏「くたばれやあああああああっっ!!」ジャッキイイイイイイン!!

箒「一夏!」

一夏「(バリアは貫通……ついでに胸も貫通!あとはこいつの活動停止までこのまま待っておけば……)」

ジャキインッ

箒「な……っ!全砲門指向……」

一夏「箒っ!よけろっ!」

一夏「(つっても間に合うわけがねえか!こうなりゃ!)」ズブッ

箒「一夏!それを抜くな!それを抜いたら……」

ギュオオオオオオ

一夏「生憎、俺は目の前の女一人守れねーようなダボじゃねえんだよ」

一夏「こいつは箒に砲門向けたお代だ。ベイビー!」ジャギン

ズッパアアアアアアアアアアン!!!!

一夏「……左腕と砲門6個は取った……!」

箒「一夏ァっ!」ギュンッ

一夏「だけど……ここで活動限界か……」

箒「お前は……私が守ってみせるっ!」ガシッ

ドチュチュチュチュチュチュチュチュチュ

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオンン

一夏「ざま……ねえや」

箒「いち……か」

ドッポーン

―旅館―

セシリア「一夏さん、大丈夫ですか?」

一夏「たいしたこたねえよ……腕と砲門少しばかりもいだ代わりに、気を失ってただけだ」

一夏「それにするなら俺より箒の方を心配してくれよ……あいつ、俺を守って広域レーザー砲ガンガン食らってたんだぜ?」

箒「私も大したことはない……悔しいが、紅椿の装甲のお陰でまだ生きてる」

鈴「で、どうする?」

一夏「決まってるだろ?」

箒「ああ」

一夏「先生の目をごまかしつつ、全員で楽しい楽しいペイバックタイムだ」

一夏「ラウラ、奴のおおよその居場所の検討はついてるんだろう?」

ラウラ「ああ。五島列島の無人島にステルス状態で停泊中だ。お前との戦闘でスラスターやシステムに異常をきたしたんだろう。おそらくシステムの自己修復モードに入っているな」

一夏「五島列島沖か……少し遠いな」

シャル「そこの配慮はしといたよ。佐世保からアメリカ海兵隊のタンカーが上がるって」

一夏「海兵隊……成る程、あいつか」

シャル「そうそう。ちょっとした重大事件に巻き込まれたからタンカー用意して欲しいって言ったら、気前よくね」

シャル「多分ツケはIS学園が払うことになりそうだけど、メンツを潰すよりはマシでしょう」

一夏「よし。奴は今厄介物の核爆弾も高速巡航能力も失ってる。だから広域兵器も長距離射撃もやりたい放題だし超音速航行無しでも十分対抗は可能だ」

一夏「ただし、面制圧を目的とした機体だから気をつけていくぞ」バサッ

セシリア「そうそう一夏さん。快気祝いに良い物を差し上げますわ」

一夏「良い物って……?」

シャル「『スターライト』と『クロムウェル』共用のアップデートパッケージだよ。雪片参型の中の『クロムウェル』はもう英国軍現行最新型のMk.4にアップデートされてるよ」

ラウラ「それと、これは傷だらけで帰還しながらまたすぐに空に上がるの撃墜王二人に、私からの差し入れだ」チン

一夏「牛乳……わかってるじゃねえか」ニッ

ラウラ「頑張ってくれよ、スーパーエース」ニッ

一夏「よし、先生方に気付かれないように五島列島沖を目指すぞ!作戦は途中で随時話していこう!」

―午後11時 東シナ海・五島列島沖―

一夏「まずは先制攻撃を俺とラウラが仕掛ける。その後俺と鈴は箒に掴まって奴に突っ込んでいく。セシリアとシャルはその援護を頼む」

シャル「オッケー。往復分のエネルギーはタンカーが回復させてくれるから、エネルギーを気にせずバカスカ撃ちまくれるよ」

セシリア「それは心強いですわね」

??『ミルヒクーよりワンサマー、応答せよ』ブブッ

一夏「噂をすれば……だ。こちらワンサマー。今どこにいる?」

??『オフで会うのは初めてだね。今は君の上空600mにいる。これより降下し、空中補給を開始する』

ヒュウウウウウウ

ラウラ「アメリカ海兵隊のヘル・ハウンド……」

海兵隊員「可愛いお嬢ちゃん達、ママのおっぱいはココだよ」プルン

鈴「……何よあいつ。むかつく……」ジーッ

ラウラ「全くだな」ジーッ

海兵隊員「地味に山田先生並ですものね。それであの台詞は確かに」ジーッ

海兵隊員「あ?気に触った?アメリカンジョークだったんだけどね」アハハ

シャル「こうして会うのは初めてだね……」ジーッ

海兵隊員「君がシャルロッテちゃん?ぜひこのままハグして佐世保に連れて帰りたいところだけど、今は我慢しとくよ」

海兵隊員「君が我が海兵隊に来てくれるまではね」

一夏「安心しろ。そう遠くはない未来に必ず行くと思うからな」

箒「なあ、一夏。この人は……」ジーッ

一夏「俺のネットでの知り合いだ」ジーッ

海兵隊員「シャーリーン・マクデン。アメリカ海兵隊大尉。今は佐世保のIS試験部隊に所属してるしがないISドライバーだよ」

シャーリーン「部隊じゃ『落ちこぼれの微笑みデブ(Gomer Pyle)』とも呼ばれてるけどね」ニコッ


一夏「うし、補給完了。帰りも頼むぜ雌牛さん(ミルヒクー)」

シャーリーン「あいよっ。帰って燃料パック取り替えて来るよっ」ヒュウウウウウウ

ラウラ「奴のいる無人島、野崎島まであと二〇カイリだ」

一夏「おし、出ろ『クロムウェル』」

一夏「昼間の貸しは返してもらうぜ」

海兵隊員「地味に山田先生並ですものね。それであの台詞は確かに」ジーッ →セシリアの台詞でした。すいません……

―五島列島・野崎島―

福音「…………」キュイイイ

福音「…………!」キュイイイ

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオンン

ラウラ「初弾命中!メインセンサーを殺した!」

一夏「拡散砲撃でスラスターもいくつか殺したはずだ。これで高速離脱はもう図れねえ!」ギュンッ

福音「…………」ズゴオオオオオオオ

ラウラ「(予想以上に早いな……だが!)」

セシリア「植民地(アメリカ)人に宗主国(イギリス)からの贈り物ですわ。一夏さんの『クロムウェルMk.4』の次はこのわたくしの『スターダストシューター』の威力をとくと味わいなさい!」バシュバシュバシュバシュバシュバシュ

福音「回避行動にシフトします」シュンシュン

シャル「センサーが潰されても意外にすばしっこいね。でもさ」

シャル「この距離からのショットガンって、結構痛いんだよ」ドガドガドガドガドガァァッッ

福音「……優先順位変更。現状空域の離脱を最優先に」ドゴドゴドゴドゴゴゴ

一夏「そうは前田のクラッカーだぜっ!『クロムウェル』、拡散砲撃モードから速射砲撃モードに移行!」ジャギイイン

ドチュチュチュチュチュチュチュチュチュ

福音「…………」

鈴「そして、一夏ばっかにいいカッコさせないんだからねっ!」ドガドガドガドガドガァァッッ

一夏「サンキュー!行くぞ箒!」

箒「もちろんだ!」キュウウウウウウウウウ

ズゴオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

一夏「雪片参型、『零落白夜』!地獄で自慢の大砲使ってインディアンでも撃ってなカウボーイ!」チャキンッ!

箒「いくぞおおおおおおおおおおおっ!!」キュイイイイイイイ

一夏「おらあああああああああっっ!!」キュイイイイイ

ジャッキイイイイイイイイイイイン!!!

セシリア「やりました!?」

シャル「いや、まだまだ!」

福音「『銀の鐘』最大稼働モード……」

ドチュチュチュチュチュチュチュチュチュュチュチュチュチュチュチュチュチュ!!!!

鈴「ああもう!うざったい!」バシュゥッ

一夏「一旦翼を奪うぞ!あれがある限り広域殲滅攻撃が続くんだ!」

一夏「さっきの攻撃で右翼の付け根が脆くなってる!もう一度『零落白夜』を叩きこめば多分もげるはずだ!」キイイイイ シュバッ

ドチュチュチュチュチュチュチュチュチュュチュチュチュチュチュチュチュチュ!!!!

箒「ならば私は奴の機動を食い止める!」シュゴオオオオオ

鈴「援護なら任せて!」ジャキンッ

セシリア「道はわたくしが作りますわっ!」ジャキンッ

ラウラ「遠距離攻撃で当該部分のダメージを増やしてみる!」ジャキンッ

シャル「みんな!ボクの防護シールドの影に隠れて!」ガコン

ドチュチュチュチュチュチュチュチュチュュチュチュチュチュチュチュチュチュ!!!!

一夏「さっすが戦略機……エネルギー底なしだな」

ガギィンッ!

箒「今だっ!一夏!」

一夏「だがっ、この一撃で終わりだっ!」キュイイイイイイイイ

ジャッキイイイイイイイイイイイン!!!

箒「やったぞ!片翼落ちた!」

一夏「んでもってコイツはオマケのハッピーセットだ!」ジャギィン!

一夏「ゼロ距離からの広域殲滅モードの『クロムウェルMk.4』。ありがたく食らうんだな」ギュウウウウウウ

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオンン

福音「」ズシャアアアアアアアアアアアアアアアドッパーン!

ラウラ「やった……のか」

シャル「アレ食らって大丈夫なのは戦艦くらいだよ。よくて半壊、悪くて全壊……」

一夏「終わったな。全部」

箒「そうだな……」

ドオオオオオオオオオオオオオ

箒「こ……これは……!」

ラウラ「まずい!セカンドシフト……」

福音「キイェェェェアアアアアアアアアアア!!!」

ドシュバアアアアアアアアアアアッッ

箒「ぐぁっ!」ズッバアアアアアン!!

ラウラ「ぎゃんっ!」ズッバアアアアアン!!

シャル「このおおおおおおおおおっっ!!」ドガドガドガドガドガァァッッ

鈴「沈めえええええええっっ!!」ドガドガドガドガドガァァッッ

福音「キェアアアアアアアア!!!」ドシュバアアアアアアアアアアアッッ

シャル「うあっ!」ズッバアアアアアアンン!!

鈴「ぎゃっ!」ズッバアアアアアアンン!!

セシリア「なんですの……!いくら戦略用ISはでもこの性能は……!」

福音「キェアアアアアアアア!!!」シュゴアアアアアアアアアアアアッッ

セシリア「なっ……この加速ぎゃふっ!」ズッバアアアアアアンン!!


一夏「おいおい……なんつー化物だよ……もう核爆弾どころじゃねーぞ」

箒「う……あ……」

福音「キイェェェェアアアアアアアアアアア!!!」

一夏「んでもって最後は俺かよ」

一夏「だけどなあ、俺にも意地とか軍オタの美学ってもんがあってだな」ジャキン

一夏「何があっても無人兵器が最強ってのは認めたくねえんだよ。今までの兵器だって、デタラメなISだって、人が乗ってこそその性能を発揮できてきたんだ」ゴオオオオオオ

一夏「ISなんて俺は認めない。特に、人の意思すらねえお前を俺は絶対に認めない!」ゴオオオオオオオ

一夏「俺が!てめえを!ぶっ潰す!」

福音「キイェェェェアアアアアアアアアアア!!!


謎の声「力を……欲しますか?」

一夏「ああ。友達を、恋人を、大事な奴全員を守れるだけの力をな」

一夏「この不条理な世界で、大事なヤツ全員を守れるだけの力を!」

謎の声「ふふ……」

謎の声「キミが育ててきた力と、僕達の持っている力、解き放つよ!」

一夏「ああ、力を貸してくれ!」ジャッギイイイイイイイン!!


箒「ん……ここは……」ガラガラ

箒「教会の廃墟……」

箒「……あの光」

一夏「てめえなんざに俺の仲間は一人としてやらせるかよっ!!かかってこいやこのモビルドール風情がぁっ!!」シュバアアアアアンッ!

福音「キイェェェェアアアアアアアアアアア!!! 」ドシュバアアアアアアアアアアアッッ

一夏「だから……うぜえつってんだろっ!」ドチュチュチュチュチュチュチュチュチュュチュチュチュチュチュチュチュチュ!!!!

セシリア「……なんですの、あの姿?」

シャル「右手のは『クロムウェルMk.4』だけど……それにあの左手のは……盾?」

福音「キイェェェェアアアアアアアアアアア!!!」ドシュバアアアアアアアアアアアッッ

一夏「少しは学習……しろっ!!」ズッガアアアアアアアアアアアンッッ!!!!!

ズシャアアアアアアアアアア

鈴「さっきのムーンサルト……踵の部分に凄い大気圧がかかってた……まさか、あれって衝撃砲!?」

ラウラ「シャルの『盾殺し』の要領で、大気圧の衝撃を使用したのか……」

福音「……キイアアアアアアアアアアア!!!」

ドチュチュチュチュチュチュチュチュチュュチュチュチュチュチュチュチュチュ!!!!

一夏「報復攻撃ってか。だが、てめえには核爆弾以外の物理攻撃機能がないっつーのはもう見え見えなんだよ!」

一夏「ビーム程度なんざ、多少エネルギーは食うがこの『雪羅』さえありゃいくらでも防げるんだ!!」ガガガガガガッ

一夏「今度はこっちの番だぜ!?」キュイイイイイ


シャル「盾が……ハープーンガンに変わった!?」

鈴「……ところで、なんかこうして戦闘眺めてるのもシャクね。私達も混ぜなさいよ!」バシュッ

セシリア「全くですわ!」バシュッ

シャル「ボク達だって、ただ守られてるだけじゃないってトコ見せてやらなきゃっ!」バシュッ

ラウラ「私たちは一夏の背中に守られるだけじゃない!一夏の背中を預かる相手だ!」バシュッ

箒「……っ!」コクッ!

一夏「(解るぜ。左手の『雪羅』の使い方。こいつは俺のイメージを具現化できる展開装甲と可変武装の融合体だ)」

一夏「(俺が知ってる範囲内で、白式でできる範囲の攻撃法ならなんでも応えてくれる。今まで俺の修羅場をくぐって、可変武装の機構を積んだ俺の相棒ならではの武器だな……)」

一夏「んでもって二段瞬時加速!そのままバインドかけさせてもらうぜ!」バシュウウウウウッ!! ボシュッ!

福音「キイアアアアアアアアアアア!!!」ジタバタジタバタ

一夏「すぐにその光の翼に切断されるんだろうが……時間稼ぎにはなるはずだ!『零落白夜』発動!潰させてもらうぜっっ!!」ゴオオオオオオオオオオオオ

福音「キイアアアアアアアアアアア!!!」ジャギンッ

ドチュチュチュチュチュチュチュチュチュュチュチュチュチュチュチュチュチュ!!!!

一夏「どうやら……あんま上手くは行かなかったようだな」

一夏「それに……おいおい、残りエネルギー10%?やっぱ飛ばしすぎなのか?この形態って……」

ドチュチュチュチュチュチュチュチュチュュチュチュチュチュチュチュチュチュ!!!!

一夏「こうなったら盾は使えねえな。地道に避けてかわすか……!」

ガギイイインンッ!

一夏「!?」

鈴「あんた……私たちのこと忘れてなかった!?」

一夏「……そうだ。そうだったな」

箒「一夏っ!」

一夏「箒……」

箒「私の手を取れ……一夏」

一夏「…………」スッ

ギュウウウウウウウウウ

一夏「こ……これは……!エネルギーが回復して……」

箒「説明は今度聞かせてやる。今は奴を倒すのが先決だ」

一夏「オーケー。次の一撃で今度こそ息の根止めてやるぜ」

一夏「雪片『零落白夜』!それに『雪羅』は『クロムウェルMk.4』対艦収束モード!」ゴオオオオオオオオオオオオオ

箒「紅椿!行くぞっ!」ゴオオオオオオオオオオ

一夏「消し飛べええええええええええええええっっ!!!」

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオンン

福音「キイアアアアアアアアアアア!!!」ズゴゴゴゴゴゴゴゴ

シャル「対艦なんて威力じゃないよあれ。あんなの食らえば大和だって沈んじゃう」

箒「いっけえええええええええええええ!!!!」ジャッキイイイイイイイイイイイン!!!

福音「キイアアアアアアアアアアア!!!」ズシャアッ

一夏「んでもって……本命!」ジャギイイイイイイイイン!!!

福音「キイアアアアアアアアアアア!!!」グググググ

一夏「プラス、二段瞬時加速と、ついでに『雪羅』の衝撃砲を使った加速もオマケだ!」

ジャッキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!!

福音「」ヒュウウウウウボチャン

一夏「してやったりだ。スウィートベイビー」ジャキン!

―海岸―

束「いやあ、よかったよかった。紅椿はあんまり活躍の場がなかったけど、万事解決した上にいっくんの白式の形態移行まで拝めちゃうなんて♪まさか可変武装なんてあんなちゃっちいシステム取り込んで独自進化するとは思わなかったよ~」

一夏「言いたいことはそれだけか?」

束「いっくんいっくん。この盾と雪片構えてる時の白式ってまるで白騎士みたいだと思わないかい?」

一夏「……なるほどな。パーソナルカラーから薄々そうかなとは思ってたが、白式のコアは白騎士のそれの流用。言うならこいつはF-86セイバーってとこか」

束「だねー。でもこの天才の束さんを持ってしてもわからないだけの進化を確実に遂げてるよ。白式は」

束「で、いっくんは何を言いにきたの?」

一夏「宣戦布告だ。あんたが俺の周りと世界を引っ掻き回し続けるなら、いつか俺があんたを潰す。ってな」

束「わお。怖いねぇ……いっくんは筋金入りの軍事オタクってだけじゃなく、モノホンのイレギュラーだしね。天才の束さんでももしかしたら勝てないかもしれないよ」

一夏「あと。俺にはアンタと違って仲間がいる。それこそ俺の周りから世界中に、一癖も二癖もあるけど頼れる連中がな」

一夏「それと、もう一つ用事の伝言だ。箒から」

束「ほえ?」

一夏「『ありがとう』」

一夏「それと、『くたばれ』だとさ」

束「二人共手厳しいよぉ。えーん」

一夏「当然の結果だ。妹を修羅道に叩き込んどいて何を今更」

束「……ねえ、いっくんは今の世界には満足してる?」

一夏「あまりしてない」

束「フフ……じゃあ………………」

一夏「……消えやがった。もっと恨み言言っておくべきだったぜ」


箒「一夏……どうしたんだ?こんなところで」

一夏「さっきまでここにいたストレンジラブ博士に宣戦布告してたんだよ」

箒「そうか……一夏」

一夏「なんだ?頼まれてた伝言なら伝えたぜ」

箒「少し……眼をつぶっててくれないか?」

一夏「…………ああ」スッ

チュッ

一夏「……これで気は済んだのか?」

箒「ああ。欲を言うと、もっといろいろとして欲しかったが……」チラッ

一夏「……成程な」チラッ

セシ鈴シャルラウ「ッ!?」ギクッ

一夏「お前ら、覗きなんて趣味悪いぞ?」

セシリア「……少し気になって見てただけですわ!一夏さんを譲ったライバルとして!」

鈴「そ……そうよ!」

シャル「まあ、本当は先生に怒られてちょっと後味悪いからみんなだけで今回の戦勝記念パーティでもしようかって誘いに来たんだけどね。ほら、お菓子は揃ってるし」

ラウラ「その途上で何やら良い感じになってたから、少し様子を伺っていただけだ」

一夏「戦勝記念パーティねえ……」

シャーリーン「で、私達もシャルロットちゃんからご招待いただきまして♪」ゴオオオ

一夏「なんだよ微笑みデブ。差し入れは何だ?ジェリードーナツか?7.62mmの鉛弾か?」

シャーリーン「いやあ、それは佐世保のPX売り切れててね。でも代わりにコーラならコカもペプシもウィルキンソンもよりどりみどりでさらにジンジャーエールも付いてきてるんだな♪」

箒「そちらの方は……」

ナターシャ「ナターシャ・ファイルス。アメリカ海軍第五艦隊の所属、銀の福音の操縦者よ」

シャーリーン「いやさあ、帰りの補給の後にうちの部隊が回収任務承っちゃって……査問委員会まで時間があるし、連れて行けって言うから連れてきちゃってさ……あはは」

ナターシャ「『あの子』を止めてくれて、どうもありがとう」

一夏「『あの子』か……あんた、あいつのこと随分大事にしてたんだな」

ナターシャ「ええ……」

一夏「色いろあるだろうが、あいつの敵は俺が討ってやるよ。あいつのコントロールを奪っただろうストレンジラブ博士に、今しがた叩き潰すって宣戦布告したところだ」

ナターシャ「そう。あの子が喜ぶかはわからないけど、よろしくお願いするわ」

シャル「ついにしたんだ。宣戦布告」

一夏「応。俺と、それに多分ひょっとしたら俺の仲間がアンタを潰すってな」

セシリア「それならいっそのこと、宣戦布告パーティも兼ねてみてはいかがですか?」

鈴「賛成!」

ヤイノヤイノヤイノヤイノ

箒「一夏……少し、こうしてていいか?」ギュッ

一夏「ああ」


千冬「全く……あの小娘共は浜辺で馬鹿騒ぎしおってからに。しかもアメリカ軍の関係者二人までやってきて……プライベートビーチでなければ近所迷惑と国際問題以外の何物でもないな」

千冬「しかし、あいつが束に宣戦布告とは……束ではないが、これから世界は少しだけ面白いことになっていきそうだ」


一夏「(……あんたが思い通りに引っ掻き回す世界なんて、俺は認めない。待ってろ、篠ノ之束)」

一夏「(いつか、俺が、俺達があんたをぶっ潰す)」

ここまで読んでいただいて本当にありがとうございました。
一夏さんが軍オタなら……と考えて書き始めて言ったら、いつの間にか一夏さんが本編とかけ離れて自分でも読み返すと凄い事になっていました。
今でもこりゃひどく質の悪いメアリー・スーなんじゃないかとビクビクしてます。
ただ、兵器オタクから見たISの矛盾点や掘り下げていきたい点、あと俺武器を幾つか書けたのは良かったかなと思ってます。

粘着してる神奈川は原作者っぽいな
こんなところみてないで仕事しろよ

>>397
こんなとこに原作者が来るわけ無いだろ

 家に着いたのは午後七時十分前。もう空には夕日の残影すら残らず、黒に限りなく近い濃紺の夜が落ちていた。

 僕は先に二人を車から下ろして、駐車スペースにメルセデスを入れようとするつもりだった。のだが、既に駐車スペースには先客がいた。

綾野「うわ、高そうなスポーツカー……あれもこういっちゃんの?」

恒一「そんなわけないよ。僕のはこれ一台きりだ」

 銀色のポルシェ・ボクスター。少なくとも僕が学校に行っている間に妻がこの車を買ったとは思えないし、ポルシェなど彼女の柄ではない。と言うよりも、メルセデスですら珍しい部類の車に入る夜見山界隈ではこんな車を乗り回す人間など一人しかいない。

恒一「あのポルシェは赤沢さんの車だ」

桜木「あ、やっぱりでしたか。そんな気はしてました」

 さすが親友。桜木さんは赤沢さんの趣味はお見通しのようだ。

綾野「でもらしいっちゃらしいけどね。ポルシェなんて」

恒一「どこかに停めてきてくれとは云ったが、わざわざこんな場所に停めるなよな」

 そう毒づいてはみたもののそれでポルシェが勝手にどいてくれるわけでもなく、仕方なしに路上駐車状態でメルセデスを停車させる。幸いにしてこの道路は見崎の家までの狭小路地と異なって広々とした道だ。メルセデスと言えどかわそうと思えばいくらでもかわせるはずだ。

綾野「こういっちゃんの家にお邪魔するのって、なにげに初めてじゃない?」

 門柱をくぐったところで綾野さんが呟く。

恒一「車の中で待たせるのも悪いからね。それに二人共うちの嫁や対策係さまにも一度合わせて話しておきたいから」

桜木「泉美、どんなふうになってるんでしょうか」

恒一「県警で今も対策係やってるよ。相手は『現象』じゃなく密輸業者らしいけど」

 また背後で泉美らしい。という声が上がる。どうやら赤沢さんは何年たってもどこまで行ってもやはり赤沢さんのままのようだ。

うわwww間違えてAnotherSS速報に投稿するの投稿してもうたwww

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