男「ペット達が人間の女の子になった」(1000)
vipから引越し。
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一応注意書き
・オリジナル
・擬人化
・不定期更新
以上
男「今、ありのまま起こったことを話すぜ……」
男「寝る前まで俺のベッドの上に茶猫が寝ていた」
男「仕方ないなと思い、起こさないようにとなんとか布団の場所に滑り込み、俺は眠った」
男「だが目を覚ますと、茶猫がいた場所に5才くらいの茶髪の幼女がうずくまって寝ていた」
男「何を言っているかわからねーと思うが……俺も何が起こっているかわからない」
男「だが幻覚や妄想なんかじゃ、断じてねぇ」
男「もっと不思議な体験の片鱗を味わってるぜ……」
男「……いかん。驚きすぎて変なことを口走ってしまった」
男「それにしても……」
茶髪「……くー……」
男「誰だ?この子?」
男「俺が寝る前は茶(名称)が我が物顔で寝てた筈なのに……」
男「……うーん……」
男「……とりあえず、起こしてみるか」
男「おーい。起きて、起きて」ユサユサ
茶髪「んん……」
茶髪「……」パチ
男「あ、起きた。ねぇ君は……」
茶髪「……うるさい」ボソ
男「え」
茶髪「……くー……」
男「……な、なんなんだこの子は」
男「どっかで見たような態度のような気がしないでもないけど……」
男「ま、まあ、取り敢えず起こして話を聞かないと」
男「寝たいかもしれないけど、ちょっと起きて、起きてってば」ユサユサ
茶髪「……うー……」
茶髪「……なに」ぶっすー
男「うん。えっと……いきなり起こしといて何なんだけど……」
男「君、誰?」
茶髪「……?」きょとん
男「あ、わからないのかな。えっと……君の、お名前は?」
茶髪「……おふざけ?」
男「お、おふざけって名前なの?」
茶髪「……」ふるふる
男「ええと……まぁとりあえず名前はいいや。どうして君は俺の部屋で寝てるの?勝手に入ってきたの?」
茶髪「……」ジト目
男(な、なんで『何言ってんだこいつ……』みたいな目してるんだ?俺がしたいくらいだよ!)
茶髪「……昨日、一緒に寝た」ハァ
男「え」
男(こ、こんな幼女とい、一夜を共に?記憶に全く無いけど、俺って、も、もしかして犯罪者?)
男(い、いや、お、落ち着け。そんな意味じゃない。恐らく言葉通りの意味だ。うん)
男(でも、こんな子寝る前なんかいなかったし……)
男「えっと、い、いつから?」
茶髪「……男がベッドに入る前から」
男「……はい?」
茶髪「……忘れた?」
男「え、あ、いや、記憶にないと言うか……」
茶髪「……」ハァ
男(だからなんでこんなに態度が不遜なんだよっ!)
男(ホントにうちの茶にそっくり……ん?)
茶髪「……くあ……んにゃ」
男(ね、猫耳……?)
男(こ、コスプレか?コスプレ幼女?猫耳コスプレ幼女?)
男(それにしても随分リアル……) ソー
茶髪「……触んないで」
男「あ、ご、ごめん」
男「ね、ねぇ、その耳ってなに?コスプレ?」
茶髪「……こすぷれ?」
男「あ、いや、なんでもないよ。あはは……」
茶髪「……今日の男、変」
茶髪「……いつも変だけど」
茶髪「……いつもよりずっと、変」
男「いつもって……俺のこと知ってるの?」
茶髪「……変」タッ
男「あ、ちょっとっ!」
男「なんなんだあの子は……俺、夢でも見てんのかな」
男「んなわけ無いかっ!ちょっと待って!」タッ
男「一階に行ったのかな……まったく」
男「親が旅行でひと月空けて家任されたって言うのに……初日からなんてこと起こってるんだよ!」
「あ、男のあにきっ!おはようございますっす!」
男「え」
「あにき!ご機嫌うるわしゅうっす!」
男(また違う幼女が……今度は赤髪?、いや、橙色?)
男「き、君は?だれ?」
橙髪「はい?なにいってるんすか?」
橙髪「ぼくっすよ!ぼく!」
男「えと、ごめんね。知らないんだけど……」
橙髪「もーあにき朝からおじょうず?なんすから!」
橙髪「三毛っすよ!三毛っ!」
男「……三毛?」
橙髪「はいっす!」
男(うちのペットの一匹と名前が同じだ)
男(あ、三毛っていうのは俺が拾ってきた三毛猫の名前ね)
男「へ、へーミケちゃんっていうんだ。可愛い名前だね」
橙髪「へへへっ!あにきにつけてもらったなまえっすし、ぼくのほこり?っす!」
男「……俺が?」
橙髪「はいっ!」
男(こんな幼女に名前を付けた覚えなんか無いぞ……)
橙髪「あにき?どうかしましたっすか?」
男「え、あいや、なんでもないよ」
橙「えへへっ!あーにきっ」ピタ
男「わっ!ど、どうしたの?いきなり」
橙「いつもみたいにっ!おんぶしてくださいっすっ!」
男「お、おんぶ?」
橙「いっつもしてくれるじゃないっすかぁーしてくださいよー!」すりすり
男(した覚えはないんだけど……)
男(でも、三毛にはしてたな……いっつもすり寄ってよじ登ってくるから)
橙「あにきーまだっすかぁ」
男(……まさか、なぁ)
「ああーー!!」
男「な、なんだ?」
「またあんた男にくっついて!ダメって言ってるでしょうが!」
橙「あ、白の姉貴、おはようっすっ!」
男「し、白?」
男(また俺のペットと同じ名前……)
男(でも目の前にいるのは白髪ロングの……少女?)
男(10歳くらいかな)
男(というか、こんな小さくて白髪てどうなってんだよ!)
男(……まぁ)
橙「?」
男(この子もそうだけど)
男「あー……あのさ、ちょっといい?」
橙「おんぶー!」
白「いい加減しないとかじるわよ!」
男「は、話聞いてってば」
「お、男兄さん」
男「こ、今度は誰だよっ!」
「ひっ!あ、す、すいません……」
男「あ、ご、ごめん。……って」
「あ、あの、その、ええと、その……」
男(また違う少女が……)
白「黒。おはよう」
橙「おはようっす!くろねぇさんっ!」
男(今度は黒髪のロング。さらに猫耳装備)
男(そして……)
黒「……お、おはようございます」ビクビク
男(でかいな、色々と。背も俺より頭一つ分くらい小さいくらいだ)
男「えっと……君は、黒ちゃんっていうの?」
黒「は、はい?そ、そうですけど……」
黒「な、なんでそんなこと、を?」
白「どうしたの?男。そんな当たり前のことなんか聞いて」
橙「おんぶ!おんぶ!」バタバタ
男「あ、後でやってあげるから、ちょっと静かにしてて」
橙「えー」
男「ええと……な、なんなのかな。君たちは」
男「どうして俺の家に?」
白「……何言ってるの?どうしてって今までずっと男と一緒に暮らしてるからじゃん」
男「え?ずっと?」
白「……?なにかおかしい事言った?」
男「いや、俺は君たちとは初対面の筈なんだけど……」
白「……どうしたの?さっきからなんか変だよ?」
橙「そうっすよねっなーんかあにきさっきから変っすよー」
黒「わ、私たちのこと嫌いにな、なったんですか?」
男「ちょ、ちょっと待って。な、なんなんだ?」
白「疲れてるんじゃない?ちょっと寝た方がいいよ」
橙「その前におんぶしてくださいっす!」
黒「き、嫌われたんだ、男兄さんに嫌われたんだぁあっ!」
男「ど、どうなってるんだ……」
「……男」
男「な、なに?って君はさっきの」
茶「……これ、まずくなった。他の」
男「これって……キャットフード?」
橙「あーっ!茶ねぇ!あそぼうっす!」
白「あら、茶」
黒「あ、茶ちゃん、おはよう」
茶「……おは」
男「ちょ、ちょっとみんな静かにしてて」
男「ええと、これ、食べたの?」
茶「……食べた」
男「ええ……?」
茶「……なんか、おかしい?」
男「いや、君人間でしょ?普通こんなもの食べないでしょ?」
茶「……やっぱり、男、変」
白「そうね。今日は確かに変ね」
黒「わ、私の所為ですかっ?だったら、あ、あやまりますからっ」
橙「茶ねぇ!あそぼうっす!」
茶「……あとで」
男「ちょ、ちょっと話聞いてって!」
男「ええと……君は白ちゃんって言うんだよね?」
白「ええ。そうよ」
男「君は、黒ちゃんで」
黒「は、はい……」
男「君が、茶ちゃん」
茶「……ん」
男「それで君はミケ、だね?」
橙「はいっす!おんぶ!」
男(なんだ?皆俺と飼ってる猫達と同じ名前……)
男(それに皆に付いている猫耳と、尻尾)
男(それに茶ちゃんが食べようとした、キャットフード)
男「……まさか」
男「君たち、猫、じゃないよね?」
白「猫よ?」
黒「ね、猫ですよ?」
茶「……猫」
橙「猫?ねこってなんすか?たべものっすかっ!?」
男「……oh……」
「……朝からうるさいな」
男「……あー……」
白「……来たわね」
黒「ね、ねぇさん……」
茶「……」
橙「あー!犬だー!」
男(俺の予想通りなら……これ以上、女の子が出てくることはないだろうな)
男(愛くるしい瞳、切りそろえられた茶色の短髪)
男(年は……猫達より年上って感じかな)
男(多分、この子は俺の家のペットヒエラルキーの最上層に居座る存在、柴犬の)
男「……柴、だよね?」
柴「ああ、そうだけど。どうした?ご主人」
男(俺を主人と呼びながら、そういう態度を見せない)
男「決定か……」
柴「どうしたんだ?ご主人は?」
白「さぁ……でも、心配だわ……」
茶「……おなかすいた」
――――
男(今ある現状を整理すると、だ)
男(うちの子たちが皆人間の姿になってしまったらしい)
男(一応家の中を探してみたが、家の子たちは一匹も見当たらなかった)
男(逃げたのかとも思ったけど、鍵は何処もしまっていて、出れる筈もない)
男(誰かが侵入して皆連れてって、代わりにこの子たちを入れさせた。ってのも考えたけど……)
男(このしっぽが)ギュッ
白「あっ!いやんっ!」ビクッ
男(どう見ても本物。暖かいし、しっかりくっ付いてるみたいだ)
男(その線は……無いだろう)
白「そ、それ以上下触っちゃだめだからねっ」
柴「ご主人聞いてないぞ」
男(そして……本人たちには何の自覚もない。今まで通り自分たちは猫、犬だと思ってしまっている)
男(さっきからキャットフードを食べたがってるし)
男(そして服は、皆白いブラウスみたいなのを着ている)
男(何でかはわからない。そしてどうしてこうなったのかもわからない)
男「どうしてこうなった……」
白「大丈夫?男」
男「ああ……うん」
白「辛かったら寝ていいからね?無理されたら嫌だし……」
男「ああ、大丈夫だよ」
黒「あ、あの……男兄さん」
男「うん……?」
黒「その……お、お腹」
橙「お腹空いたっすー!あにきー!」
柴「そうだ。お腹空いたぞ、ご主人。ご飯くれ」
茶「……おなかすいた」
男「あー……そうだね。まずはご飯にしよっか」
橙「やったぁっ!っす!」
黒「……あ」ぐぅ
白「……無理しないでね?疲れてたら、へ、部屋で一緒に……」
男「……お前のやりたいことがわかったよ。白。……大丈夫だから」
白「そ、そう……」
男「じゃあご飯用意するから、待っててね」
今日はここまで。続きはまた明日
途中まで貼ってあげようか?
まあ、中にはちょっと変更するから自分で貼る人もいるし、VIPのURL貼るだけの人もいるけど
>>37
ありがとうございます。でも大丈夫です。
いくつか修正して行こうかなと思ってますし、それに手間でしょうから……
また少し再開
男「ご飯か……」
男(あの子たち皆人間になってるし、今までのご飯じゃお腹壊すだろうな……)
男(さっき、茶もキャットフードまずいって言ってたしね)
男(人間のご飯を用意しなくちゃいけないかな)
男「手間だなぁ」
柴「ご主人?どうした?」
男「ああ、いや、なんでもないよ」
男「……柴、今日はごちそうだぞ」
柴「ごちそう?」
男(あ、尻尾が凄い事になってる)
男「まぁ、待ってて」
―――――
男「はい、みんなどうぞ」
白「……これって人間の食べ物じゃないの?」
男「うん。そうだよ」
柴「どうしていきなりなんだ?今までこんなこと無かったじゃないか。ご主人さま」
男「んー……なんとなくかな」
男(説明してもわからないだろうしね)
男(てか柴尻尾凄いな。しかも「様」付いてるし)
茶「……食べていいの?」
男「ああ、どうぞ」
橙「いいんすか!?あにきの食べてるやつはおいしいっすからね!たのしみっす!」
黒「ああ、こんな美味しそうなものを食べられるなんて……私はなんて幸せ者なんでしょう!」
男「それじゃあ……頂きます!」
男「……あ」
男(そういえばこの子たち……自分の事動物って……)
ガタンガタン! ぐちゃ!
男「あああああああ……」
―――――
男「悲惨でした……」
橙「あにきっ!おいしかったっすー!」
茶「……けぷ」
白「すっごく美味しかったっ!流石男ねっ」
黒「ああ……もう死んでもいいです……」
柴「一生ついて行きます。ご主人様」
男「喜んでもらえて何よりだよ……」
男(どうにかしなくちゃ駄目だな……)
橙「お腹も一杯になったっすからっ!茶ねぇ!遊ぼうっす!」
茶「……ん」
男「あー待った待った!みんなもちょっと動かないでっ!」
橙「なんすかあにきっ!だっこっすかっ!?」
茶「……なに」
白「どうしたの?」
黒「や、やっぱり食べちゃ駄目だったんですかっ?」
柴「どうされましたか、ご主人様」
男「みんな汚れてるだろ?だからお風呂入ろう!このままじゃ家中汚れちゃうからさ」
橙「お、お風呂っすかっ!?」
白「……うそ」
茶「……うぇ」
黒「あ、ああああああ……やっぱり食べちゃ駄目だったんだぁ……」
柴「なんでだ?ご主人。いつもはそんなことしないだろう?」
男(みんな嫌がってるな……まぁ当然か。というか柴、元に戻るの早すぎだろ)
男「今日は特別。それに久しぶりにお風呂入るのもいいだろ?」
橙「いやっす!」
茶「……や」
白「男のお願いでもそれは……」
黒「ゆ、許してください……」
柴「嫌だ」
男「……そっか。じゃあ俺の言う事聞かない子たちにはもうご飯あげない」
橙「ええええっ!」
白「男ぉ……」
黒「それだけは……あぁ……」
茶「……さいてい」
柴「鬼畜だな」
男「うっ……」
男「そ、それが嫌だったら早く入るっ!まずは三毛、茶っ!お前らからだ」
茶「……はぁ」
橙「わかったっす……」
男「他のみんなはあんまり動き回るなよっ」
―――――
脱衣所
男「ほら、二人とも早く服脱いで」
橙「あにきぃどうしても風呂入らなくちゃだめっすかぁ……」
男「だめ」
橙「うぅ……」
茶「……」そろーり
男「茶、逃げようとしない」
茶「……ちっ」
橙「あ、あにきっ」
男「うん?どうしたの?入りたくなくても入らなくちゃ駄目だからね」
橙「どうやってこれぬぐ?んすか?」
男「……え?」
男「あーそっか……知らないよな」
男「ちょっと待ってて。今脱がせるから」
橙「ういっすっ!」
茶「……触るの?」
男「少し我慢して。すぐ終わるから」
茶「……むう」
男(この年で幼女の服を脱がす事になるとはなぁ……)
男(……あれ?これ傍から見たら俺犯罪者じゃないの?)
男「……」
男「深く考えないようにしよう……」
橙「どうしたんすか?」
男「なんでもないよ」
風呂場
男(それにしても……)
茶「……さむい」
橙「なんかさむいっすねっ!茶ねぇ」
男(ホントに耳としっぽ、くっついてるんだなぁ)
茶「……はやく」
男「あ、ごめんごめん」
男「温めにしてと。……いくぞー」
橙「く、来るならこいっす!」
茶「…………ん」
ジャー
橙「うぅ……う?」
茶「……三毛、どうしたの」
橙「なんか気持ちいいっす!今までこんなことなかったのにっす!」
茶「……ほんと?」
男(あー感覚も人間になってるんだな。だから気持ち良く感じるのか)
橙「あにきっ!もっとかけてくださいっす!」
男「なんか変なふうに聞こえるからそれは言わないようにね」
橙「?」
男「……よし、終わった。次は茶だな」
茶「……」じりじり
男「逃げんなってば。多分大丈夫だから」
男「いくぞー」
茶「……」ビク
ジャー
茶「……」
茶「……ほんとだ」
橙「でしょでしょ!きもちいいっすよねっ!」
男「だから言ったろ?じゃあさっさとやっちゃうからな」
茶「……ん」
男(この調子なら、他の奴らも大丈夫そうだな)
男(あ)
男(服ないじゃん……)
―――――
居間
橙「あー!きもちよかったっすーっ!」
茶「……ん」
男(とりあえず俺の下着着せたけど……まずいよなぁ)
男(買いにいかなきゃ駄目、だよな)
男(……とりあえず保留にしとこう。今は残りの奴らを)
男「次は白、黒。二人の番だよ……って黒は?」
白「部屋の隅っこで蹲ってるわ。ほんとに小心者なんだから」
男「そっか。そうだよなぁ……黒!」
黒「ひっ」
男「行くよ。黒が風呂嫌いなのはわかってるけど……」
黒「いっ!いやですっ!お風呂だけは!お風呂だけは許してくださいぃっ!」
男「わがまま言うなってば。チビ達だってちゃんと入ったんだよ」
黒「し、知りません。私、そんなの知りませんっ!」
男「なら力づくで……って」
黒「わああああああ!」
男(お、重い……図体でかいだけはあるな)
男「柴!手伝ってくれ!」
柴「嫌だ」
男「ご主人って呼んでんだから、手伝ってくれたっていいだろっ」
柴「仕方なく呼んでるだけだ。今はお父様が出かけているからな」
男「こ、この……」
白「黒!男が困ってるでしょ!」
黒「うぅぅううう!」
男「こうなったら……首のあたりを」
男「おりゃっ!」ギュッ
黒「う」ピタ
白「やっと観念したのね。まったく」
男(人間の姿になっても効くんだな……首根っこ掴み)
※猫は首の皮を掴むと大人しくなります
男「よし、じゃあ行くよ」
黒「ううぅうううう……」
白「泣くんじゃないわよっ」
脱衣所
男「よし、二人も服の脱ぎ方解る?」
白「ふく?」
黒「入りたくないです……」
男「やっぱりな……よし、ちょっと脱がすから大人しくしててくれよ」
白「……ええ」
黒「……」ガタガタ
男「……」
男(……さっきよりは良いけどさ)
男(イケナイ事してるって感がすごいぞ)
男(二人ともチビ達より色々膨らんでるし)
男(特に黒がやばい)
男「……年上好きで良かった」
風呂場
男「よし、それじゃあ最初は白だ」
白「……ええ。いいわよ」
白「あ、男っ!」
男「うん?」
白「やさしくしてね……?」
男「何言ってんの」
ジャー
黒「ひいっ!」
白「んうっ!……ん?」
男「気持ちいいだろ?」
白「うん……本当……」
白「黒、気持ちいいわよ。怖がることなんかないわ」
黒「う、嘘です……絶対気持ち悪いですよぉ」
白「ホントよ。んーきもちいー」
黒「……うぅ」
男「白の言ってる通りだよ。……よし、終わり」
白「え?もう?もっとしてもいいよ?男」
男「いやいや、このままじゃ黒、風邪ひいちゃうから」
白「残念」
男「じゃあ……黒」
黒「ひいぃっ」
男「観念しろって。ほらいくぞー」
ジャー
黒「ひゃああっ!……え?」
白「ふふふ。黒、気持ちいいでしょ」
黒「は、はい。とっても……」
白「男も私も嘘吐くわけなんかないんだから。気持ち悪いなんてあるわけないわ」
男(俺は嘘吐くけどね)
黒「は、はい……白姉さん」
黒「あ、あの男兄さん」
男「ん?」
黒「もっとかけてください……」
男「そういう事言うのやめようね」
白「私もっちょうだいっ!」
男「だから止めようね」
居間
白「あぁ……よかった」
黒「はい。お風呂って、こんなに気持ち良かったんですね……」
白「また入りたいわね」
黒「はいっ!」
男(なんか疲れた)
男「あとは柴か。柴?」
柴「ここにいるぞ」
男「おお、早いね」
柴「チビ達から気持ちいいって聞いたからな。早く入りたいって思ってた」
男「そっか。それじゃあ行こっか」
柴「ああ」
脱衣所
男「脱ぎ方は解る?」
柴「チビ達から教えて貰った。それに今まで見てきてるから大体分かる」
男「そっか。なら安心だ」
男「柴は昔から覚えが早いからなぁ。手が掛からなくてホント助かる」
柴「褒めてもご主人を認めないぞ」
男「はいはい」ナデナデ
柴「……」
男(凄い勢いで尻尾振ってる。可愛い奴め)
柴「……なぁ、ご主人」
男「うん?」
柴「……脱げない」
男「……」
浴室
柴「……なんか寒いな」
男「そりゃ裸だしね」
柴「なんでだ?いつも私裸だろう?今まで寒くなんか無かったのに寒いなんておかしいじゃないか」
男「うーん」
男(柴なら解るかな……頭いい子だし)
男(……とりあえず今は洗おう)
ジャー
男「柴、お前なんか違和感感じないか?」
柴「んっ……違和感?」
男「うん。目線が高いなーとか、喋れてるなーとか、二足歩行出来てるなーとか」
柴「いや、特には……」
男(自覚ないのかな?それとも自覚できない?)
男(これが当たり前って思ってるのかな?)
男(ホントにどうしてこうなったんだろう……全く見当もつかないなぁ)
男「うーん」
柴「なんだ?私何処かおかしいのか?」
男「そうだね……」
男「……なぁ柴。ちょっと聞いてくれるか?」
柴「……どうした?ご主人」
男「ちょっと信じられないかもしれないけど、柴は頭が良いからわかると思う」
柴「……ああ」
男「あのな―――」
――――――――
柴「だから……私が人間になってると?」
男「そう。こうやって言葉を交わせてるのも今まで無かっただろ?」
柴「……そうだな。言われてみると」
柴「でも、どうもしっくりこない。ご主人がいくらそう言っても今までも言葉を交わしてきたという気持ちは無くならないんだ」
男「……なるほど」
男(言葉を交わした覚えはないのに、交わしていたという気持ちはある。……どういう事だろう?)
男(強い催眠か何かかな?というか人間になっている事態おかしい事だし。うーん……)
柴「……大体ご主人は私たちの欲しいもの、やりたい事は解ってくれて、与えてくれていたしな」ボソ
男「え?」
柴「……なんでもない!」
柴「で、こんなことを話して、私にどうしろって言うんだ?」
柴「所詮犬ころ一匹、何も出来ないぞ」
男「今は人間だけどね」
男(耳としっぽ付いてるけど)
男「元の姿に戻すことは出来ないだろうけど、出来る事はある」
男「とりあえず今は、俺と一緒にみんなに自分の事を人間だって理解させて欲しい」
柴「……何故?」
男「そうじゃないと色々大変だからね」
柴「色々?」
男「このお風呂とか。理解させなきゃご飯食べる度に入る事になっちゃうと思うから」
柴「……なるほど」
柴「……でも、私なんかに出来るだろうか。こんなこと、やった事がない」
男(尻尾が股の間に入ってる……不安なんだな)
男(……見えなくなって残念の様な、そうでないような)
男「……俺だってこんなことやったことない。不安でいっぱいだ」
男「でも柴と一緒なら出来る。そう思ったから話したんだ」
男「お前は賢いしな」
柴「……」
男「やってくれる?俺と一緒に」
柴「……ああ。もちろん」
柴「それに私はご主人の飼い犬。嫌なんて言えないさ」
男(そういう割には尻尾ブンブン振ってるな)
男(……あ、見えた)
男「……そっか。じゃあこれから頑張ろうな」
柴「ああ、任せてくれ」
男「やっぱり柴は頼もしいな。……よしよし」
柴「ん……」
柴「ふふふふ……」ブンブン
男(尻尾引き千切れるんじゃないのか)
脱衣所
柴「それで?どうやってあの子たちを人間だって思わせるんだ?」
男「やっぱり話すしかないね。他になにかあるわけでもないし」
柴「……それで解ってくれるのか?」
男「大丈夫でだと思う。現に柴も解ってくれたし、理解してる柴もいるんだから、説得力はあるだろうし」
柴「なるほど」
男「柴の働きが一番重要だからな。頑張ってね」
柴「ふふ。任せろ」
男「よしよし」ナデナデ
柴「ふふふふふ……」ブンブン
「うわぁあああああん!!」
男「な、なんだ?」
柴「……居間からか」
用事があるので短いけど今日はここまで。
明日は多分vipに投下した分は投下出来ると思います
それではまた明日
【壁】・ω・`)<変わらない日付はない
すいません遅くなりました。それでは続き投下
居間
白「あ、男っ!あの子たちが……」
男「ど、どうしたの?」
白「いつも通りじゃれ合い始めたのよ、そしたら茶が強く三毛にかじりついちゃって……」
橙「うわぁああああん!!」
茶「……」オロオロ
黒「み、三毛ちゃん落ち着いて……」オロオロ
男「……なるほど」
白「ど、どうしよう男……」
男「大丈夫。任せて」
男(これは良いチャンスかもしれないな)
男「三毛?どうした?」
橙「ひっく、かじ、かじられぇ、て、いだいおぉおおお!」
男「何処かじられた?」
橙「こ、ここぉ……ひっく……」
男「あー真っ赤だ。そっかそっか。痛かったね」ヨシヨシ
橙「うああああ!!」
男「茶?」
茶「……」ビク
男「こっちおいで」
茶「……怒る?」
男「怒らないから。ね?」
茶「……」コクリ
男「どうしてこうなったか。茶、わかる?」ナデナデ
橙「ひっく……ひっう……」
茶「……」ふるふる
茶「……今までこんなこと、無かった」
男「そうだね。それはね、二人の体が俺と同じになったからだよ」
茶「……男と?」
男「そう。いままでは二人の体は俺と違った。だからかじっても大丈夫だったんだ」
茶「……うん」
男「でも、もう二人とも俺と同じになっちゃったから、優しくしないといけないんだ」
茶「……どうして?」
男「茶は俺をかじる時、優しくかじってただろ?」
茶「……うん」
茶「……男、痛がるから」
男「そう。それと同じ。三毛も痛がっちゃうからね」
茶「……」
男「だから、これからは今までみたいに遊んじゃ駄目なんだ。わかった?」
茶「……でも、それだと三毛と遊べない」
男「それは俺が新しい遊び方教えてあげるから。駄目かな?」
茶「……わかった」
男「そっか。良い子だ」ヨシヨシ
茶「……ん」
男「あとね、これからの遊び以外にも覚えなくちゃいけない事がいっぱいある。それも二人は覚えなくちゃいけないんだ」
茶「……どうして?」
男「そうじゃないと、俺が三毛みたいに泣いちゃうから」
男「茶は俺のこと泣かしたい?」
茶「……」ふるふる
男「なら、覚えてね。覚えてくれたら俺は三毛みたいにいつも笑ってられるから」
茶「……そんな男、きもちわるい」
男「う、そ、そんなに?」
茶「……ん」
男「ショックだ……」
茶「……でも、わかった」
茶「……男泣くの見るのは、嫌」
男「そっか。優しいな。茶は」ナデナデ
茶「……ん」
男「三毛?」
橙「な、なんっすか……ひっく」
男「三毛、かじられて痛かっただろ」
橙「は、はいっす……」
男「こんな痛さ、他の皆にあげたい?」
橙「あげたくないっす……」
男「こんなに痛い理由は茶に言ったけど……聞いてた?」
橙「はいっす」
男「だったら皆にこんなことしちゃ駄目だよ?」
男「みんな痛がっちゃうからね」
橙「わかったっす……」
男「よしよし。三毛は賢いな」
橙「へへ……」
橙「あ、でも」
男「うん?どうした?」
橙「なんでぼく達のからだ、男あにきと一緒になっちゃったんすか?」
男「……あ、あーそれは……」
男(突然そうなったじゃ納得してくれないだろうな……。でもそれ以外に思いつかないし……馬鹿正直に言っちゃおうか)
男「それは」
柴「三毛。お前、ご主人みたいになって、おいしいもの食べたいって思った事は無いか?」
男「柴……?」
橙「あるっす!いっぱいあるっす!」
橙「パンとか、しかくいはこにはいったお肉とか!あれ、すっごくおいしかったすから!」
橙「そういえば、さいきんくれるおじさんみないっすけど、どうしたんすかねっ」
柴「……さぁな。元気にやってるんじゃないか」
男「……」
橙「そうっすよねっ!」
柴「で、だ。思った事があるんだよな」
橙「はいっす!」
柴「多分な、誰かがそのお願いを聞いてくれて、お前をご主人と同じ体にしてくれたんだよ」
橙「そうなんすか!?その人ぜいたく?っすね!」
柴「ぜ、贅沢?……あーうんそうだな」
柴「でもそうなったからには覚えなくちゃいけない事も多い。さっきの痛み然りな」
橙「え?さっきのだけじゃだめなんすか?」
柴「ああ。じゃないとまた前の体に戻されて、ご主人と同じもの食べれなくなるぞ」
橙「それはいやっす……」
柴「なら、頑張らないとな」
橙「ういっす!わかったっす!」
橙「犬!」
柴「いい加減名前で呼べ……」
橙「わかったっす!犬!」
柴「喧嘩売ってるのかこの猫っころは」
男「まぁまぁ……」
男「でもナイスだ。こうなった理由も、嘘だけど納得してくれた見たいだし」
柴「ふふ。任せろと言った」ブンブン
男「よしよし」ナデナデ
柴「くふふふふふ……」ブンブンブン
男「さて、あとは……」
白「男、どういう事?あの二人……」
黒「に、人間になったんですか?あの子たち……」
男「この二人だよな」
柴「ああ」
白 黒「?」
男「それは今から説明するよ。ここでは話せないから、俺の部屋に来て」
白「ええ……」
黒「は、はい……」
男「茶、三毛!ちょっと俺達話してくるから……ほれっ」
柴「あっ!それ私のお人ぎょ……あ」
白「……っぷ」
柴「く、くくくぅ……」
黒「ああ、ええとええと……」
男「ちょっと貸すだけだから。あと白も笑っちゃ駄目だろ?」
白「はーい」
柴「……仕方ないな」
男「二人はそれで遊んでて。あとなんかあったらすぐに呼んでね」
茶「……ん」コクリ
橙「えーぼくもいっちゃ駄目なんすか?」
男「駄目。それに来てもつまんないぞ」
男(何よりうるさいってのが原因だけど)
橙「わかったっす!それじゃあ待ってるっす!」
男「うん。いい子いい子。……それじゃあ皆行こっか」
白「ええ」
黒「は、はい」
柴「ああ」
男の部屋
白「男の部屋一番乗りぃっ!」
男「あんま走っちゃ転ぶよ?」
白「転ばないわよっ!あーやっぱりこの匂いよねー」
黒「男兄さんの部屋……久しぶりに入りました」
男「黒はいっつも父さん母さんと寝るからなぁ」
黒「は、はい。お邪魔させて貰ってます」
柴「……相変わらず臭いな」
男「あはははっ!それは柴が犬だからだよ」
男「……そうだよね?」
白「ふふ。馬鹿ね、柴。この匂いが良いんじゃない」
白「この匂いの良さがわからないなんて男のペット失格よっ」
柴「なら失格で構わない」
男「匂いの否定をしてくれよ……」
男「まぁいいや。それじゃあさっきの話の続きだ」
白「そうね。どうしてあの子たちは人間になったの?私たちは違うのに……」
男「いや、白。お前ももう人間になってるよ」
白「え?」
男「黒もね」
黒「わ、私もですか?」
男「うん。それを今から説明するから」
男「なんで皆が人間だって言えるのか。それは―――――」
――――
黒「……し、信じられないです……そんな……」
白「ふーん……本当なの?」
柴「ああ。私も信じられなかったがな」
男「やっぱりショック?」
黒「は、はい……すごく……」
男「でもこれは本当だよ。さっきの茶と三毛のやり取り見たろ?」
男「今までこんなこと無かったのに、ちょっとかじっただけで大騒ぎ」
男「猫だったらそんな事考えられなかった」
黒「そう、ですね……確かに……」
白「……ふふ」
白「ふふっふふふふっ!」
男「ど、どうした?ショックでおかしくなっちゃった?」
白「いーえー。そんな事無いわっ」
白「これが本当なら……ふふっ!」
黒「し、白姉さん……?」
柴「……放っておけ」
男「うん。とりあえず信じられないかもしれないけど、皆、人間になってるみたいなんだ」
白「ええ♪」
黒「は、はい」
柴「だから私たちは、人間の生き方っていうものを覚えなくちゃいけない」
黒「そ、そうですよね。変わっちゃったんですもんね」
白「えー……そう?いいんじゃない?別に」
白「人間になったって猫は猫なんだしっ」
黒「し、白姉さん……」
柴「それだとご主人に嫌われるぞ」
白「覚えますっ!」
柴「よし」
男「……うん。みんな理解してくれて助かるよ」
男「一応皆が戻れないか調べてみる。だからその時まで、ちょっと我慢しててね」
柴「ああ。わかった」
黒「は、はい。でも、男兄さん、あんまり無理しないでくださいね」
男「うん。ありがとね。黒。優しいよなぁ……お前は」
黒「い、いえっ!そんなっ!……へへ。えへへ……」
白「私はこのままでも良いけどね~」
男「え?良いの?」
白「ええ。色々都合がいいし、ねっ」チラ
男「……うん?」
柴「……まぁそういう事だ。お前らがしっかりしないと、下のチビ達に示しが付かないからな」
柴「しっかりやってくれ」
黒「は、はいっ!頑張りますっ」
白「柴に言われなくても解ってるわよ」
柴「……この毛玉が言うじゃないか」
白「ええもちろんよ。おばさん?」
黒「だ、駄目ですよっ!二人とも……」
男「止めてって。言葉が解ると余計怖いから」
男「じゃあこんなところだね。みんな頑張ろう!」
白「ぼちぼちとね」黒「はいっ!」柴「ああ」
がちゃ
茶「……男」
男「ん?茶?どうしたんだ?」
茶「……あのね」
男「ん?」
茶「……トイレ、小さくて、入れない」
男「うんうん」
茶「……おしっこ」
男「え」
茶「……もれる」ふるふる
男「ちょ、ま、まって!まってまってまってぇ!!」
――――
トイレ
男「危なかった……」
茶「……すっきり」
男「……よかったね」
男「あ、これからトイレここにしてね」
茶「……なんで?」
男「これも覚えなきゃいけない事だから」
茶「……わかった」
男(茶がこうだって事は他のみんなもそうか)
男(これもすぐに教えなきゃなぁ)
茶「……男?行かないの?」
男「ああ、うん。いくよ」
―――――
男の部屋
男「あー……疲れた」
男「トイレも皆に教えたし、茶と橙には黒がついてくれてるし、昼ごはんも食べさせたし、やっとひと段落ついたよ……」
男「昼ご飯はまぁ……うん」
男「今日が大学もバイトもなくてホントに良かった……」
男「……」
男「ホントにどうしてこうなっちゃったんだろう。……皆可愛いからいいけど」
男「こんなことになるきっかけなんて……あるんだろうか?」
男「……朝はなんにも無かったし、昨日も特に何もなかったはずなんだけどなぁ」
男「昨日は昔飼ってた猫の墓参りに行ったぐらいだし」
男「うーん……」
男「……」
男「……わからん!」
男「原因探りは後からにしよう。ちょっと疲れた……」
男「少し……寝るかな……」
男「……」
男「……くー……」
――――
「ご主人。ご主人」
男「ん……」
茶「……すー……」
男「また勝手に俺の上で寝て……茶かぁ……?起こしたのはぁ……」
柴「そんなわけないだろう?ご主人。起きろ」
男「ああ……柴か……どうしたの?」
柴「散歩の時間だ。連れてってくれ」
男「さんぽ……?ああ、もうそんな時間か」
男「よし……それじゃあ行こっか」
柴「はい。ご主人様」
男「……散歩のときだけ露骨に態度変わるのはその姿になっても変わらないんだね」
柴「癖ですから」
男「……まぁもういいんだけどさ。慣れたし」
男「茶、ちょっとどいて?」ゆさゆさ
茶「……すー」
男「やっぱりどかないよなぁ。ごめんよっ……と」
茶「うぐ」ゴロリ
茶「うー……」
男「ごめんね」
柴「リードです。どうぞ」
男「用意良いな……って」
柴「はい?どうかされましたか?」
男「リードはいらないな。もう柴、犬じゃないんだし」
柴「……り、リード、な、なしですか?」
男「うん。だって俺がリードしてたらおかしいでしょ?」
男「あと格好もどうにかしなきゃね。俺の下着姿で外出回るのもまずいし」
柴「わ、私は構いませんが」
男「俺……っていうか、世間が構うから」
柴「こ、これも人間として覚える事、ですか」
男「うん。そうだね。……柴はボーイッシュだから俺の服着ても大丈夫かな」
柴「わ、私はなんでも構いませんよ」
男「うーん。まぁせっかくだからね」
ぐいぐい
男「ん?」
茶「…………どっかいくの」
男「ああ茶か。裾伸びるから引っ張っちゃ駄目だよ」
茶「……ん」
男「ちょっと柴の散歩にいってくる」
茶「……いってらっしゃい」
男「うん。行ってきます」
男「はい。柴、これ。帽子もあるから、ちゃんと尻尾と耳隠してね」
柴「は、はい。ありがとうございます」
男「……着れる?」
柴「着れますっ!あまり馬鹿にしないでください」
男「……そっか。じゃあどうぞ」
柴「はい。……まったく」ボソ
柴「……これをこうして……こう」
柴「……あれ?違う?引っかかった?」
柴「あれ?こっち?こう?あれ?あれ?」
柴「……」
柴「……ご主人」
男「はいはい」
玄関
柴「ほ、ほんとにり、リードなしで行くん、ですか?」
男「うん。今の格好でしてたら変な目で見られるからね」
柴「そ、そうですか……でも、あ、あのやっぱり」
白「んー?男どっか行くのー?」
橙「あっ!あにきっ!お出掛けですかっ!?」
黒「み、三毛ちゃんっ!走っちゃ危ないよっ」
柴「あ……」
男「うん。ちょっと柴の散歩にね」
白「ふーん……なるほどね」
橙「いいなぁいいなぁ!ぼくもいきたいっす!」
黒「三毛ちゃん。駄目だよ?お外は危ないんだから……」
橙「だいじょうぶっすよ!むかしぼく外にいたんすからっ!」
黒「……それでも駄目だよ。今は心配する人もいるんだから」
男「そうそう。皆に心配かけるんだから。三毛はここで待ってて」
橙「はーい……あにきと黒ねぇがいうならしょうがないっすね」
白「いってらっしゃい。待ってるからね、男っ」
黒「いってらっしゃい」
橙「いってらっしゃーいっす!!」
男「それじゃあ行こっか。柴」
柴「は、はい……」
外
男「外は気持ちいいなぁ。柴」
柴「え、ええ。そうですね」ソワソワ
男「あ、そうだ、どんな感じ?人間の姿で外を歩くって言うのは」
柴「い、いつも通りかな、と、お、おも、思います」キョロキョロ
男「……どうしたの?いつも通りとは思えないけど」
柴「い、いえっ!そ、その、その……」
ワンワンっ!
柴「ひいぃっ!!?」
ギュッ
男「し、柴っ?ど、どうしたの?いつもならこの位で……」
柴「り、リードっ!りーどぉっ!」
男「……あ、そういえば柴、リードないと落ち着かなくなるんだっけ」
※犬は状況が変わるとひどく落ち着か無くなります(個体差あり)
男「最近そんな事してなかったからすっかり忘れてた。……ごめんな」
柴「い、いえ……」ビクビク
男「今日は帰ろうか。これ以上は難しそうだし」
柴「そ、そんなっ!せ、折角の散歩がっ!」
柴「そ、それにこれぐらいで帰ったら、下のやつらに示しが……」
ワンワンッ!!
柴「ひ、ひいっ!も、もうやだぁあああっ!!」
男「あー……どうしようか……」
男「そうだ。柴、手出して」
柴「て、手ですか?」
男「うん。早くっ」
柴「は、はいぃっ!」
ぎゅっ
柴「あ……」
男「どう?少しはマシかなって思うんだけど……」
柴「は、はい……少しだけ」
男「よかった。これで少しは歩けそう?」
柴「……大丈夫です」
男「よし。じゃ、行こうか」
男「辛かったらすぐに言ってね。戻るから」
柴「……はいっ」
ワンワンっ!
柴「っ!」ビク
男「大丈夫?」
柴「あ、ああ。大丈夫だ、です」
男「あはは……」
柴「わ、笑わないでくださいよ……」
男「ごめん。さっきまでとはずいぶん様子が違うから」
柴「し、しかたがないだろうっ。こ、こわ……慣れてないんだ、ですから」
男「うん。ごめん。……でも早く慣れると良いな」
柴「……どうしてだ、ですか?」
男「慣れたらさ、俺が付いてこなくても、ひとりで散歩に行けるようになると思うからさ」
柴「……え?」
男「だってもう柴は人間なんだ。柴だって俺とおんなじように一人で歩けるようになる」
男「そうしたら、何処にでも行き放題になるよ」
柴「一人で……」
男「うん。なかなか良いと思わない?」
男「柴がいつも行きたがる公園へも」
男「行ったこともない場所へでも」
男「俺に引っ張られることなく、一人で自由気ままにね」
男「あ、でも、その前に俺が元に戻す方法見つけたらお終いだけどね」
柴「そうか……それは確かに魅力的かもしれない」
男「だろ?」
柴「……でも、私は」
男「うん?」
柴「私は、散歩に一人では行きたくない」
柴「私と一緒に歩いて、手を引いてくれる人が……」
柴「……ご、ご主人が居るから……楽しく思える」
柴「それに一人は怖いし……だから……」
柴「私は……ご主人と散歩に行きたい」
男「……」
柴「……どうした?なんか、変だったか……?」
男「いや、柴の口からそんな言葉が出ると思わなかったから、ビックリしちゃってさ」
柴「ら、らしくないか?」
男「うん。そうだね」
柴「う、で、でも、これが私の本当の……」
男「うん。わかるよ」
男「凄く嬉しい」
柴「……そ、そうか」
男「それじゃあ柴は今の人間の姿より、いつもの姿に戻った方がいいのかな?」
柴「そ、そうだな。一人で散歩に行くぐらいなら、私は元の姿の方が……」
男「……そっか。じゃあ、元の姿に戻す方法を見つけるの頑張らないとな」
柴「ああ。私も、それまでこの姿で頑張る」
男「うん、じゃあいっしょに頑張ってくれるか?」
柴「ああ。勿論だ。……ご主人」
男「あ。そう言えば柴、元の口調に戻ってるね」
柴「あ、す、すいません」
男「いいよ。俺も、いつも通りの柴口調の方が好きだし」
柴「……そ、そうなのか?」
男「うん。違和感が凄いし、そのほうが柴に似合ってると思うから」
柴「……そう、か。うん」
男「よし。それじゃあ散歩の続きだ」
男「って……」
柴「ん?どうした?」
男「さ、散々騒いだから、周りの視線が……」
柴「ん?なにかまずいのか?」
男「恥ずかしいの。さ、行こうっ柴っ!」
柴「あ、ああ……」
柴(やっぱり、ご主人……男は、優しい)
柴(いつもこんな生意気な私や、やかましい猫たちの為に色んなことをしてくれる)
柴(……私たちが元の姿とかけ離れた姿になった、今でも)
柴(そんな男に、私は恩を返さなければならないと思う)
柴(男の家族の一員として)
柴(……男に仕える一匹の犬として)
柴(だから今は……この姿で出来ることをしたい)
柴(それが優しくて、頼りない、男に……)
柴(私の手を引いてくれる男に、恩を返す事になると思うから)
柴(私の中の暖かい何かが、そうしたいと思う事だと、思うから)
自宅
男「ただいまー」
橙「あ、あにきっ!おかえりなさいっす!」
黒「だ、だから走っちゃ駄目だってばっ!あ。お、お二人ともおかえりなさい」
柴「ただいま」
柴「……ふふ」
男「ん?どうしたの?」
柴「いや、聞く事ばかりのただいまを言うのも、面白いなと思ってな」
男「……そうかな?」
柴「ああ。……なかなか面白い」
男「う、うん……?」
白「お帰りーっ!男ぉっ!」ギュッ
男「お、おおう、どうしたの?いきなり」
白「え?いっつもやってるじゃないっ」
男「ああー……うん」
男(いっつも顔を擦りつけてくるのってこういう意味だったんだな……)※違います
茶「……おかえり」
男「白、茶。二人ともただいま」
柴「……白。ご主人の邪魔になってるだろう。どけろ」
白「なによ?いつもはそんな事言わない癖に」
柴「……今日はそういう気分なんだ。どけろ」
白「……ふーん」
白「まっいいわ」
白「男の邪魔はしたくないしねっ」
白「さ、男、疲れたでしょ?ソファへどうぞー♪」
柴「……」
橙「なんかへんっすねー!犬!」
茶「……そう?」
黒「ふ、二人ともっ!こっちで、お、お姉ちゃんと遊ぼう?」
茶「……さっきまで遊んでた」
黒「い、いいからっ」グイグイ
橙「あー!ちょっとまってくださいっすよーっ」
男「……」
男「……なんか変な空気だった気がする」
男「気のせいかな……?」
今日はここまで。結局最後まで行けなかったな……すんません。
ちょっとだけ改編したのでそこで許してくださいませ。
それではまた明日。時間は夜に更新します。
夕食後 男の部屋
男「つっかれた……」
男「家事ってこんなに大変なんだな……母さんの苦労がわかるよ……」
男「夕食は……まぁ、大分マシになったかな……」
男「特に白と柴が上達早くて、皆の手本になってる所があるし」
男「やっぱ年上って自覚があるからなのかな……」
男「まぁなんにせよ、テーブルの上が汚くなくなるのは助かるな」
男「……あ、風呂どうしよう。また皆入れた方が良いのかな」
男「評判は良さそうだったから、大丈夫だとは思うけど……」
「男?いる?」
男「ん、この声……白?」
ガチャ バタン
白「ふふ。お邪魔します」
男「どうしたの?何かあった?」
白「ううん。なにも無いわ」
男「ならどうして……」
白「ふふふ。それはね……」テクテク
男「?」
白「甘えに来たのっ!」ばっ
男「わっ!?」
ぎゅ―
白「んふふふ~おとこぉ」すりすり
男「ど、どうしたのいきなりっ?」
白「えぇ?いきなりって……いつも甘えてるじゃないっ」
男「ああ……うーん。確かにそうだね」
白「でしょ?いつもとおんなじっ!おんなじなんだからっ♪」
男「なんか違うような気がしないでもないけど……」
白「気にしない気にしないっ」
白「はあぁ……やっと甘えられるよぉ……」スリスリ
男「え?今日、白ずっと甘えてなかった?」
白「全然っ!もうずっと甘え足りなかったんだからっ!」
白「他の子たちが居るの気になって全然甘えられなくって……うー」スリスリ
男(アレで甘えてなかったんだなぁ……)
白「あ、そうだ。ね?どう?」
男「……なにが?」
白「も、もうっ!わかるでしょ?」スリスリ
男「えと……だから、なにが?」
白「むぅう!私!今!女の子なんだよ!」
男「うん」
白「うんって……な、何か感想あるでしょ!?」
男「うーん……ええと……」
白「うんうんっ」
男「……可愛いね。白」
白「ち」
白「違うわよっ♪もおぉん♪」ぺし
男(あんまり違う様に見えない)
猫達と柴は何歳くらいの姿?
白「違うんだけどっ違わなくてぇ……もおぉんっ♪」 ペシペシ
男(尻尾凄い立ってるなぁ)
※猫は嬉しいと尻尾が立ちます
男「えと……違うの?」
白「ふふっ!ふふふっ♪あ。ん、こほん。……そうだよ」
男「そうなの?うーん……もうこれ以上、ちょっと思いつかないなぁ……」
白「なんで気付かないかなぁ……もー」
白「……あのね?男は今、こんな可愛い人間の女の子にくっつかれてるんだよ?」
白「な、なんか、その、変な……気持ちになったり……しない?」
男「えっ!?ええっと……」
男(ロリコンでもない限り10歳ぐらいの女の子にくっつかれても何にも思わないって……)
男(でもそれをいったらマズイ気がする。彼女いない歴=年齢でもそれはわかる)
男「いや……うーん……嬉しい、かな」
白「嬉しい?それって……」
男「うん。大好きな白にくっつかれてるからね」
白「だ、大好き……え、えへへっ、えへへへっ♪」
白「私も好きっ♪男だーいすきっ♪」スリスリ
男(これでいいかな……あ)
男「そうだ、白、ちょっとどいて」
白「な、なに?どっかいっちゃうの……?」
男「違うよ。あぐらで座りなおして……と」
男「ほら、おいで。白、後ろから抱っこされるの好きだろ?」
白「あ……うんっ!」
白「それじゃあ遠慮なく……どーんっ!」
男「ぐえ」
白「うぅー!やっぱこれがいちばんだぁ……♪」
男「うん。小さいころからずっとお気に入りだもんな」
白「えへへっ。うんっ!」
ずっと紫だと思ってた
男「ああ、あと白、尻尾の付け根も触られるの好きだったよな」
白「あっ!あれは違うのっ!……そういうのじゃないのっ!」
男「え?違うの?あそこ撫でたらお尻上げてうっとりしてたでしょ?」
白「だから違うのっ!も、もうっ!男のえっちっ!」
男「へ?」
白「恥ずかしいところなんだから……もうっ」ボソ
※猫の性感帯です
男「もしかして……ずっと嫌な事してた?」
白「い、嫌じゃなかったよっ!嫌じゃ、ないんだけど……」
白「も、もうっ!この話はおしまいっ!」
男「う、うん……」
白「ね、男」
男「うん?」
白「他の子にはこれ、やってないよね?」
男「そうだね。白以外みんな嫌がるからね」
白「そう。この気持ちよさがわからないなんて駄目ねー」
白「でも私は解ってるからねっ!男っ!」
男「あはは……ありがと」ナデナデ
白「えへへっ」
白「ねぇねぇもっと撫でて撫でてっ」
男「うん」
白「えへへ。きもちい」
男「そっか。……よかった」
男「……なぁ白」
白「ふあ……なに?」
男「白も元の姿に戻りたいよな?」
白「……うーん……そうね……」
白「戻りたくないかな」
男「え?なんで?」
白「だって、お風呂は気持ちいいし、ご飯は美味しいもの食べられるし。戻りたいなんて思わないよっ」
男「そっか……」
白「うんっ!それに……」
男「え?」
白「まだやりたい事残ってるしねっ」
男「やりたいことって?」
白「ふふふっ。ひみつっ」
男「秘密って……俺にも言えない事なの?」
白「うん。男だから言えないって言うかなー」
男「……なにそれ?」
白「もぅ……わかんないから彼女出来ないんだよっ」
男「そうなのかな……」
白「そうだよっ」
白「ま、そのおかげで助かってるんだけどっ」
男「……どゆこと?」
白「しらな―い。私寝るっ!」
白「寝るまで撫でてねっ!いや、寝てても撫でててねっ!」
男「そんなんで眠れるの?」
白「うんっ!男の手だしっ」
男「器用だなぁ……」ナデナデ
白「えへへっ」
男「……」
男(皆戻りたいだろうって思ってたけど……戻りたくない子もいるんだな)
男(でも、それでも戻さないと……)
男(それが、普通なんだから)
――――
白「……すー……」
男「寝たね……すっと撫でてって言われてるけど、やっぱり起こしちゃうよな」
男「起こさないようにどいてっと……」
白「……ん……」
男「これでよしと。……あ、お風呂」
男「……まぁいいか。もうこんな時間だし。朝入ったし、大丈夫だろ」
ガチャ
茶「……白がいる」
男「ん……茶か、寝に来たの?」
茶「……ん」
男「それじゃあ白と一緒に寝てやって。白も一人じゃさびしいだろうし」
茶「……男は?」
男「俺は皆に布団作ってから、どっか適当に寝るよ」
茶「……茶もいく」
男「まだ寝るの時間掛かるよ?もう茶、眠たいでしょ。無理しなくていいよ?」
茶「……ねむくない」
男「でもなぁ……」
茶「……行く」
男「……わかったよ。眠くなったらここで寝ていいからね」
茶「……ん」
一階 居間
黒「……」ウトウト
橙「……くかー……」
男「あらら……ちょっと遅かったかな」
茶「……三毛、膝枕?」
男「三毛はもう寝てるとして……黒、黒、起きてる?」
黒「ん……あっ。お、男兄さん……」
男「三毛、どうしたの?」
黒「ああ、なんだか膝枕してるうちに寝ちゃったみたいで……」
男「そっか……ごめんね。もうちょっと早く来ればよかった」
黒「い、いえ、そんな……。膝枕をさそったのは私ですから……」
男「そっか、優しいね。黒は。……すぐに布団用意するから」
黒「え?そんな……い、いいですよ、私は……悪いです」
黒「ど、どこか寝れそうな場所を見つけて……」
男「駄目。猫の姿の時は良かったかもしれないけど、今は人間なんだから」
男「布団も引かないで寝ると、体痛くしちゃうよ?それに風邪もひいちゃうかもしれないし」
黒「……わかりました。ありがとうございます。男兄さん」
男「いいよ。母さん達が使ってる布団敷いて来るから、ちょっと待っててね」
黒「はい」
茶「……くあ……」
男「茶、やっぱり眠いんだろ?大人しく白のとこで……」
茶「……いく」
茶「……おとことねる」
男「……はぁ……わかったよ」
黒「……茶ちゃん。三毛ちゃんと一緒に待つ?」
茶「……黒?」
黒「まだ膝空いてるし……男兄さんが布団敷いてくれたら、起こすから」
茶「……」
男「それが良いと思うな。ちゃんと後で俺も迎えに来るし」
茶「…………わかった」
黒「うん。じゃあ、おいで?」ポンポン
茶「……ん」
男「悪いね。黒」
黒「い、いえっ。どうぞ、行って来てください」
男「ありがとう」
黒「……」
黒「人間なんだから、これくらいはしないと駄目だよね」
茶「……黒?」
黒「あ、ううん。なんでもないよ」
黒「どうぞ、茶ちゃん」
茶「……ん」
茶「……やわらかい」
黒「そっか、よかった」
茶「……なでて」
黒「ふふ。甘えんぼだね。茶ちゃんは」ナデナデ
茶「……そんなことない」
黒「ふふ。そうなの?」
茶「……そうなの」
黒「そっかぁ」
茶「……ん」
茶「…………眠い」
黒「寝てていいよ。ちゃんと起こすから」
茶「……」
茶「……すー……」
黒「……」ナデナデ
黒「……」
黒「ちょっと足痛いな……」
親の寝室
男「……」
柴「……くー……」
男「ちょっと見ないなと思ったら、なんにも敷かないでこんなとこで……」
男「柴、柴っ!起きて」ユサユサ
柴「んあ」
柴「……ごしゅじん……?どうした?ごはんか……?」
男「違うよ。それより何でこんなとこで寝てるのさ」
柴「なんでって……それはここが……私の、ねばしょだから?」
男「ああ、そういえば柴ここで寝てるもんな」
柴「……うん」
男「……柴。体痛くない?」
柴「……いたい」
男「やっぱり」
男「今から布団敷くからちょっと待ってて」
男「終わったらそこで寝ていいから」
柴「……あい」
男(寝呆けたら随分印象変わるんだな……)
男「まぁ今はそれより布団敷かなくちゃな」
男「黒たちも待ってるんだしね」
柴「……くー……」
男「ああ、寝ちゃ駄目だって……痛さひどくなるから」
柴「……んー」コックリコックリ
男「……急ごう」
―――――――
男「よし、敷き終わった」
男「柴?寝ていいよ?」
柴「……くー……」
男「もう寝てる……駄目だって言ったのに」
男「……もう起こすのも可哀想か」
男「よいっしょっ!……って重っ!……お姫様だっこできる人って凄いんだな」
柴「んふ、んふふふ……」
男「のんきに夢見ちゃってもう……」
男「そっとそっと……よいしょ」
柴「んう……うー」
男「これでよしと。さ、呼びに行くか」
居間
茶「……すー……」
橙「……くかー……」
黒「……」こっくりこっくり
黒「あっ、……いけない……寝ちゃうとこだった……」
黒「起きてなくちゃいけないのに……」
男「黒。終わったよ」
黒「あ、男兄さん……お疲れ様でした」
男「これくらい何ともないよ。それより、黒の方は大丈夫なの?」
黒「え?」
男「足」
黒「あ、い、いえ。だ、大丈夫です。何ともないです」
男「そっか。よかった」
男「さ、次は茶だけど……」
黒「……どうします?茶ちゃん凄く良く眠ってますけど……」
男「起こさなくていいよ。起こすのも可哀想だし」
男「それに、起こしても起きないだろうしね」
黒「ふふっ。そうですね」
男「じゃあこのまま二人とも移動させたら、俺達も寝ようか」
黒「はいっ」
黒「あ、でも、この子たちどうやって移動させます?」
黒「私が動いたら起こしちゃいますし……」
男「俺が起こさないように抱っこして連れてくよ。だから黒はもうちょっと待っててくれる?」
黒「え、でも、そうしたらまた兄さんが……」
男「いいから。それ以外にどうしようもないんだし」
黒「……すいません。重ね重ね……」
男「気にしない気にしない。黒だって足辛いだろうし、お互い様だよ」
黒「わ、私は……」
男「よいしょっ……と。やっぱり三毛は軽いなぁ」
橙「っす。にゅふふ……っす」
男「なんの夢見てるんだ……まぁいいや。じゃあ連れくから、もうちょっと茶の事お願いね」
黒「あ……兄さん……」
黒「……ありがとうございます」
黒「……」
黒「私も茶ちゃんの事、運べないかな……」
黒「ん……え……!?」
黒「あ、足が動かない……」
黒「な、なにこれ?どうして?」
黒「今までこんなことなかったのに……な、なんなのっ!?」
茶「……ん」
黒「あ……」
黒「こ、これ以上騒いだら茶ちゃん起こしちゃうかもしれない……」
黒「ど、どうしよう……」
男「黒。三毛の事運んできたよ」
黒「お、男兄さぁん……」
男「え、ど、どうしたの?そんな声出して……」
黒「あ、足が……」
男「足?足がどうかしたの?」
黒「う、動かないんですっ」
男「……茶を乗せてるからじゃなくて?」
黒「ち、違いますっ!か、感覚が無くて、力が入らないんですっ!」
男「あー……。なんとなく理由は解ったよ」
黒「な、なんですかっ!?私の足、どうしちゃったんですかっ」
男「何ともなって無いよ。それはただ痺れただけだよ」
黒「しび、れた?それって……」
男「ちょっと待って……よいしょっと……」
茶「……んう……」
黒「茶ちゃん?ど、どうするんですか?」
男「またこの子も運んでくる。その間、黒は出来たら床にうつ伏せに寝っ転がっといて」
男「そうしたら動くくらいにはなってると思うから」
黒「そ、そうなんですか……?」
男「うん。それは保障する」
黒「は、はい……」
男「じゃ、行ってくるからね」
黒「え、ええと……うつ伏せ?」
黒「ホントにこれで……よいしょ」
黒「……」
黒「あ、なんか暖かいものが足に……」
黒「んいっ!?」
黒「あし、う、動くけど……なんなのこれぇっ!」
黒「い、いたい?かゆい?ど、どっちも?」
黒「ああぁ……気持ち悪いよぉ……」
親の寝室
男「ずっと膝枕やってれば足ぐらい痺れるよなぁ」
男「というか、あれだけビックリするってことはやっぱり猫は足って痺れないんだな」
茶「……くー……」
男「……よしよし。ここで寝ててね」
茶「んぅ……」
男「よしと。……うーん」
柴「……くー……」
橙「……くかー……」
茶「……」
男「俺、寝れるとこあるかな……」
居間
黒「ううぅ……」
男「だいぶ良くなった?黒」
黒「あ、お、男兄さん……これが……痺れ、ですか?」
男「うん。そう。長い間さっきみたいな座り方してるとそうなるんだ」
黒「そ、うなんっ!ですかぁ……」
男「もうちょっとしたら収まるから。後少しだけ我慢して」
黒「は、はいぃ……」
男「……」
男(やっぱり足痺れてる人見ると悪戯したくなるよなぁ……)
男「……」ツン
黒「んひゃんっ!?」
黒「お、男兄さんっ!?な、何を……」
男「うーん……悪戯?」ソー
黒「だ、だだ、駄目ですっ!もう、もうだめぇっ!」
ツン
黒「んひゃぁあっ!!」
男「足がしびれると、こう言うふうに触られたら大変な事になるから、あんまり痺れさせないようにね」
男「俺みたいな人に悪戯されるから」
黒「わかり、わかりましたからっ!もう……もうっ!」
ツン
黒「んきゃぁあっ!!」
黒「はぁ……はぁ……」
男「ごめん。やりすぎた」
黒「ひどいですよ……男兄さん……」
男「あはは。ごめん」
黒「もう……」
男「でも、もう足は何ともないだろ?}
黒「あ、は、はい……」
男「あの足のツンツンは早く痺れを抜く為でもあったんだ」
男「ただ悪戯したかっただけじゃないんだよ」
黒「そ、そうなんですかっ?」
男「うん。もちろん」
男(嘘だけど)
黒「男兄さんはやっぱりもの知りですね……すごいです」
男「いやぁ……あはは……」
男「それじゃあ足のしびれも取れた事だし、俺達も寝よっか?」
黒「あ、は、はいっ」
男「立てる?」
黒「だ、大丈夫です……やっ」フラッ
ダキッ
黒「あ……」
男「おっとと。……大丈夫?」
黒「あ、す、す、すいませんっ!私、重いのに……ご、ごめんなさいっ!」
黒「い、今離れますか……わぁっ」フラフラ
男「あはは。無理しなくていいよ。それに全然重くないし」
黒「で、でも……」
男「いいから。今までこんなこと無かったんだし、こんなことなっちゃうのも仕方ないんだから」
男「あ、歩けないんだったらこのまま抱っこして寝室行く?黒の事あんまり抱っこしてあげれてなかったし、いい機会だ」
黒「い、いいですいいですっ!重いのは変わってませんしっ!悪いですっ」
男「そう?……そっか。ちょっと残念だな」
黒「え?」
男「昔から黒は他の子たちに遠慮していつも遠巻きから見てたから、全然触れてあげれなかったし」
男「久しぶりに黒のこと触れるなって思ってたんだけど……」
黒「そ、そんな……私なんか触っても……皆みたいに気持ち良くないですよ……」
男「そんなことない。猫の時の話だけど、一番手触りは好きだったんだよ?」
男「艶があって、しっとりとしてて……。他の子も気持ちは良かったんだけどね」
男「やっぱり一番は黒だったよ」
黒「……」
男「黒、髪の毛、触っていい?」
黒「は、っはい!」
男「……」さわさわ
黒「……っ」ビクッ
男「うん。やっぱり黒は今でも一番だ」
男「だから、自分のことそんなふうに言っちゃ駄目だよ」
黒「……は、はい……」
男「うん。いいこいい子」ナデナデ
男「それで、抱っこなんだけど……どうする?歩く?」
男「俺としては黒の事抱っこしたいけど」
男「あ、でも嫌なら……」
黒「い、いえっ!……あ、あの、にいさん……」
男「ん?」
黒「その、いや、嫌じゃなかったら……その」
男「嫌じゃないよ」
黒「……」
黒「……だ、だっこ……だっこ、おねが、いしても……い、いですか……?」
男「うん。もちろん」
男「……いくよ?」
黒「は、はい……」
男「よ、いっしょっ……!」
男(お、重ぉっ!柴よりは、軽いけど……ぉ!)
黒「だ、大丈夫ですかっ?重くないですかっ」
男「だ、大丈夫大丈夫……。それじゃあ寝室行くよ?」
黒「は、はいっ!」
男(た、倒れないよな……)フラフラ
黒「……あ」
黒「……」
黒「……」ぎゅっ
寝室
柴「……くー……」
茶「……すー……」
橙「……じさん……くふふ……」
男「あはは……寝相悪いな。みんな」
黒「そ、そうですね……」
男「あ、でも茶の横は空いてるな……黒、そこでいい?」
黒「は、はい。私は何処でも……」
男「うん。じゃあそこで……よいしょ」
黒「ん……」
男「これでいいな」
黒「あ、ありがとうございました……」
黒「すいません……手間かけさせてしまって……」
男「ううん。黒の事久しぶりに触れて良かった」
黒「……」
黒「あ、あの……男兄さんは、何処で寝るんですか?」
男「どうしようかな……。茶の傍にいないと駄目だろうしなぁ」
黒「だ、だったら……茶ちゃん横のもう片方少しだけ空いてますし……そ、そこで寝ませんか?」
黒「今から寝る場所探すのも、た、大変でしょうし……」
男「……うん。確かに面倒だし、そうだね。そこで寝よっかな」
黒「は、はいっ!それが良いですっ」
男「し、静かにね」
黒「あ、は、はい……ごめんなさい……」
男「いいよ。皆起きてないし」
男「じゃあ……寝るかぁ」
黒「……そうですね」
茶「…………くろ?」
黒「あ、茶ちゃん、起こしちゃった?」
茶「…………ん」
ギュッ
黒「あ……ふふ」ナデナデ
茶「……すー……」
男「やっぱ茶は黒の事大好きだよなぁ」
黒「そ、そうなんでしょうか……」
男「うん。昔からこうやって茶がくっつくのって黒ぐらいだし」
男「小さいころから世話焼いてたのがあるのかな」
黒「い、いえ、世話なんて……私は……」
男「いいや、黒はしてたよ」
男「昔から茶の遊び相手になってたし、毛づくろいも手伝ってあげてたしね」
黒「それは……そう、ですね」
男「それに、ホントに茶が小さい頃だけど……」
黒「あ、そ、それはっ」
男「乳離れしてない茶に黒がおっぱいあげてたのが凄く印象に残ってる」
男「自分の子供でもないのにそこまでするんだなって驚いたよ」
男「あと母性本能って凄いんだなって思わされた」
黒「そ、うですね……あ、あはは……」
黒「……あの時は、茶ちゃん。お母さん、お母さんって言ってたから……」
黒「それでどうにか出来ないかなって思って……それで……」
黒「な、なんか、ふわふわしますねっ!あは、あはは……」
男「ふわふわ?」
黒「ええと、顔が熱いというか、なんていうか……」
男「あー、あはは……そっか」
男「その時から……いや、その前からだけど、この子は優しい子なんだなって思ってた」
黒「……」
黒「あ、ありがとう、ございます……」
男「……寝よっか。今日は色々あって疲れたでしょ」
黒「そう、ですね……流石に、今日は……ふあ……」
男「……黒。あとさ」
黒「……はい?」
男「黒は……元の姿に戻りたいよな?」
黒「……」
黒「……そうですね。今日でさえ、こんなに男兄さんに迷惑を掛けてしまってるんですし」
黒「早く戻って……いつも通りに過ごせたらな、と思います」
男「そっか。……そうだよな」
黒「はい。……どうしてそんなことを?」
男「うん?うーん……白にも同じこと聞いたんだけどさ、白は戻りたくないって言ったんだ」
男「だから、黒はどうなのかなって思って」
黒「そうだったんですか。……白姉さんがそんなんことを……」
男「うん。てっきりみんな戻りたいものだと思ってたからびっくりしちゃったよ」
黒「……でも白姉さんの気持ち、少しだけですけど、わかります」
男「そうなの?」
黒「はい。この姿じゃなかったら、こうやって男兄さんと話す事、できなかったですから」
男「そう?……俺と話すことぐらい、どうでもいい事だと思うけどなぁ」
黒「い、いえっ!それはすごく、うれしい事です」
黒「少なくとも、私にとっては……」
男「そっか……。そう言って貰えると凄くうれしい」
黒「そ、そうですか?え、えへへ……」
男「そろそろ寝よっか。ごめんね。寝るの邪魔しちゃって」
黒「い、いえっ!……そんな、全然」
男「ありがとう。でも、嫌だったら言ってくれていいからね」
男「無理させるのは嫌だし」
黒「む、無理なんかしてないです。むしろ話せて、とっても……楽しかった……です」
男「やっぱり優しいね。黒は」
黒「い、いえっ、私なんか全然……」
男「あはは。……寝よう。おやすみ」
黒「は、はい。おやすみなさい。男兄さん」
男「……黒」
黒「……はい?」
男「俺、みんなが元に戻る方法探すの頑張るからさ」
男「黒も、不便だろうけどそれまで頑張って」
黒「……はい。もちろんです」
男「ありがとう」
黒「はい。……男兄さん」
男「……」
男「……すー……」
黒「……」
黒(……元に戻れば、今まで通りに暮らせる)
黒(そうすれば、男兄さんにも、お母さん、お父さんにも、迷惑はかけなくて済む)
黒(それが一番いい。そう思う)
黒(……でも)
男「……ぐー……」
黒(元に戻ったら、落ち着かないけど、このフワフワした気持ちともお別れなのかな……)
黒(それは少し……いや、かもしれないな)
眠いので今日はここまで。
また終わらなかった……。明日から頑張る。
また少し改編。改悪になってなきゃいいなぁ。
それではまた明日の夜にでも。
昨日更新するって言っておいてこのざまです。
今日の夜にはちゃんと更新しますんで……すんません。
【壁】・ω・`)<明日はお休みなので一気に投下です。
翌日
男「ん……良く寝た……」
茶「……すー……」
男「……この子……」
男「ああ茶か。人間になってたんだっけ……」
男「やっぱ夢じゃないんだな……」
黒「……すー……」
男「……柴と、三毛が居ない」
男「先に起きたのかな……」
男「……朝ご飯作りにいくか」
居間
橙「あー!あにきおはようっす!ごきげんうるっす!」
柴「おはよう。ご主人」
男「おはよう。二人とも」
男「結構前から起きてた?」
橙「ういっす!一番のりっす!」
柴「……私は三毛に起こされた」
男「あはは、なるほどね」
橙「あにきっあにきっ!」
男「うん?」
橙「おんぶっ!」
男「あーおんぶね。昨日してあげられなかったしなぁ……」
男「いいよ。おいで」
橙「やったぁ!っす!……とうっ」
男「うお」
橙「えへへっ!やっぱこれっすねっ!」スリスリ
男「はいはい。よかったねー」
柴「ご主人。お腹空いたぞ」
男「ああそうだね……そろそろ皆起きて来るだろうし、作らなきゃね」
男「ちょっと待ってて。簡単に作っちゃうから」
男「さ、三毛。そろそろ降りて」
橙「えーまだいいじゃないっすかーっ」
男「だーめ。降りないと、ご飯作ってあげられないよ?」
橙「それはいやっすっ!」
男「じゃあ降りないとね」
橙「それもいやっすーっ!」スリスリ
男「ええ、まいったなぁ……」
柴「三毛。降りろ。ご主人が困ってる」
橙「犬の言う事なんか聞かないっすよっ」
柴「……そうか。じゃあ、お前の事を元に戻して貰うように頼んでくるかな」
橙「ええっ!?犬、そんなこと出来るんすかっ!」
柴「ああ。それをできる奴は私の部下だからな」
橙「ほ、ほんとすか……」
柴「それが嫌だったら、すぐ降りろ」
橙「……わかったすよー」するする
男「いいこいい子。後でまたやってあげるからな」
橙「ほんとっすか!?ぜったいっすよっ」
男「うん。絶対だ」
橙「へへへっ!じゃあ待ってるっすからねっ」タタタ
男「はいはい」
男「柴、ナイスだ」
柴「ふん。当然だ」ブンブン
男「よしよし」ナデナデ
柴「ふ、ふふふふ……」
男「じゃあ作ってくるね。三毛と待ってて」
柴「あ、ご、ご主人」
男「うん?どうしたの?」
柴「私も何か手伝う事は無いか?二人いた方が作業も捗るだろう?」
柴「それに、これは人間として覚えることだろうしな」
男「うーん今日はただトースト焼こうと思ってるだけだしね……」
男「特にして貰う事は無いかな」
柴「そ、そうか……」
男「……あ、だったら三毛の事見て貰ってていいかな」
男「まだ何しでかすか解らないし」
柴「……ああ。わかった」
男「それと、トースト焼き上がったら皿持ってって貰いたいから、その時手伝って貰っていい?」
男「俺だけだったらちょっと大変だし」
柴「っ!あ、ああ!わかった」
男「頼むね。柴」
柴「ああ。任せろ」ブンブン
男(顔には出てないけど、凄い嬉しそうだな……)
―――――――――
男「よし、完成。後は柴を呼んで……あれ?」
茶「……」
黒「ち、茶ちゃんっ!あ、お、男兄さん。おはようございます」
男「二人とも、おはよう。……どうかしたの?」
黒「あの、茶ちゃんが……」
茶「……なんでいっしょにねなかった」
男「え?」
黒「あのね、だからそれは……」
茶「……男、起こすって言った」
茶「……でも、こなかった」
茶「……朝もいなかった」
茶「……うそつき」
茶「……男の、うそつき!」
男「それは……ごめんね」
男「起こしてって言われたのに、起こさなかったのは悪かった」
茶「……」
男「でもね。その時も、朝も、茶はぐっすり眠ってたから、起こすのは駄目かなって思ったんだ」
男「茶は、気持ち良く寝てた時に起こされるの嫌いだろ?」
茶「……きらい」
茶「……でも、起こして欲しかった」
茶「……一緒に、寝たかった」
男「ごめんね。茶の気持ち、わかってあげられなかった」
男「でも、今度からも、茶の事は起こさない」
茶「……なんで?」
男「茶の事が大事だから」
茶「……?」
男「猫の時はね?起こしてもすぐに寝られたし、体も丈夫だったから起こせられた」
男「でも今は人間だから、あんな夜遅くに起こされたりしたら病気になっちゃうかもしれないんだ」
茶「……なんで?」
男「三毛の時と一緒。ちょっとかじっただけでも、泣いちゃったでしょ?」
茶「……うん」
男「三毛と同じくらい今の茶の体は泣いちゃいやすいんだ」
男「だから、ちょっとしたことで病気になっちゃったりしちゃうんだ」
男「だから、俺は茶の事起こさない」
男「大事な茶が病気になんかなっちゃ足りしたら、俺が泣いちゃうから」
男「茶は俺の事泣かせたくないって言ってくれたもんな」
茶「……ん」
男「だったら……わかってくれる?」
男「ちゃんとこれからは夜に起こさないように、一緒に寝るから。ね?」
茶「……わかった」
男「うん。いい子だ」ナデナデ
茶「……ん」
男「それじゃあ朝ごはんは出来てるし、ご飯にしよう」
男「用意したいから、柴の事呼んできてくれるかな」
茶「……」コクリ
柴「もう来てるぞ」
男「あ、早いね」
柴「台所で何か騒いでたからな。何事かと思ってきた」
男「ああ……なるほど」
柴「茶。あまり我がままを言うもんじゃないぞ」
柴「もうお前は人間なんだからな」
茶「……」タタタ
柴「あ。……全く」
男「黒、茶の事見てやってて」
黒「あ、は、はいっ」
タタタ
柴「……ご主人。あまり甘やかすのはどうかと思うぞ」
柴「ただでさえご主人は下の奴らに甘いんだからな」
柴「少しはお父様を見習ったらどうだ?」
男「うーん……そうなんだろうけどね……」
男「どうにも怒りきれないというか……」
柴「全く……それだからご主人は」
男「あ、そうだ柴」
柴「な、なんだ?」
男「朝ごはん出来たから並べるの手伝って?」
男「もうみんなお腹空いてるだろうし」
柴「ま、まだ話は……」ぐぅ
柴「う……」
男「ね?」
柴「……わかった。まずは朝ごはんにしよう」
男「うんうん。それがいいそれがいい」
柴「……調子がいいんだから。……ん?」
ドドドドド
「おとこぉー!」
柴「……騒がしいのが来たな」
白「男ぉっ!」
男「おはよう、白」
白「うん。おはようっ♪……じゃなくてっ!」
白「なんでいっしょに寝てないのっ!寝てても撫でてって言ったじゃないっ!」
白「起きたら誰もいなくてビックリしたんだからっ!」
男「だって、皆の布団用意しないといけなかったし……」
白「でもっ!それでもぉっ!」
男「それに、やっぱり撫でてたら白の事起こしちゃうと思ったしね」
白「それでもよかったのっ!むしろそれが良かったのっ!」
男「え?そうなの?」
白「そうだよっ!だって……」
柴「うるさいぞ。毛玉」
白「……あら、柴いたの?」
柴「私の姿を見逃すなんて、お前の目は腐ってるのか?変えて貰った方がいいんじゃないのか?」
白「あら、見えないなら変える必要はないわね。見たくないものを見れなくても済むんですもの」
柴「……減らず口を」
白「若いものですから。ねぇ?おばさま?」
男「だからやめてって。怖いから」
橙「あにきーごはんまだっすかぁ……」
橙「もうぼく、おなかぺこぺこっす……」
男「ほ、ほら、三毛もこう言ってるしご飯食べよう!ご飯!」
柴「……ふん」
白「……ふん」
男(仲良くならんもんかな……)
―――――――――
食卓
男「用意完了っと。ありがとね。柴」
柴「やるといったしな」ブンブン
男「よしよし」ナデナデ
柴「……」ニンマリ
白「ふーん。手伝って男に撫でて貰えるなら私もやろうかしら」
柴「やらなくていいぞ、邪魔だからな」
黒「だ、駄目ですってば……」
男「はいはい。もうご飯だから止めてね」
男「それじゃあ、皆頂きますっ!」
白「ねぇ、ずっと気になってたんだけど」
男「ん?」
白「その頂きますってなんなの?いっつもご飯食べる前に言ってるみたいだけど」
男「ああ。おはようとおやすみと同じ様なものだよ」
黒「あの、なんとなく私も使ってたんですけど……」
茶「……おはようとおやすみって、なに」
橙「言われてみればそうっすねっ!それってなんなんすか?」
男「……皆、知らないで使ってたの?」
白「ええ」
黒「は、はい」
茶「……ん」
橙「ういっすっ!」
柴「……」目反らし
男「なるほど……。まぁなんとなくおかしいなとは思ってたんだけど」
男(でも、今までそんな事気にしないで使ってたよな……)
男(何で今更なんだろう)
男(まぁいいか。教えるいいチャンスかな)
男「おはよう、おやすみ、いただきますっていうのは」
―――省略―――
男「そういうこと」
白「ふーん……なるほどね」
男「みんなわかった?」
黒「は、はいっ」
茶「……ん」
橙「はーいっす!」
柴「私は解ってたがな」ブンブン
橙「そうなんすか?犬は凄いっすねっ!」
柴「当然だ。それといい加減犬は止めろ」
男(尻尾が今わかりましたって言っているのは黙っておいた方が良いんだろうな……)
男「それじゃあわかったところで……頂きますっ!」
全員「いただきますっ!」
橙「うーっ!うまいっすーっ!」
茶「……おいしい」
黒「ああ、あんまり汚く食べちゃ駄目だよっ」
白「んーおいしっ!」
柴「……やっぱり人間の食べ物はうまいな」
男「……」
男(こう見ると、みんなだいぶ食べるのうまくなったな……)
男(昨日で必死に教えた甲斐があったってもんだなぁ)
男(柴、白は覚えるの早いのは知ってたけど、黒も上達早いな)
男(昨日から一気にレベルが上がったって感じだ)
男「柴、白、黒。三人とも食べるの凄くうまくなったね。凄いなぁ」
柴「当然だ。私が上手くなくちゃ下に示しがつかないからな」ブンブン
男(嬉しそうだな)
白「ふふふ。でしょ?人間なんだからこれくらい出来ないとね」
黒「そ、そうですよね。それに、いつまでも男兄さんに迷惑を掛けていられませんし……」
男「そっか。みんな頑張ってくれてるんだね」
柴「ふ、ふふふ」ブンブン 白「えへへっ!もちろんっ!」 黒「……えへ」
男(このまま箸まで使えるようになってくれたらホントに助かるな)
男(料理の出せるレパートリーも増やせそうだしね)
茶「……あ」ぽろ
橙「あー茶ねぇ落としたっすーっ!……あっ」ぽろ
橙「あああああ……」
黒「ああもう、しっかり掴んで食べないから……」
男(茶と橙は下手のままか。……昨日の顔突っ込んで食べたのよりはずっといいけど)
男(年下って言うのもあるのかな。……まぁ二人はこれからかな)
男(……でも)
男(上手くなったとして、元に戻ったらどうなるんだろう)
男(この覚えた事も無駄になっちゃうんだろうか……)
白「どうしたの?男。難しい顔して」
男「うん?……ううん。なんでもないよ」
白「疲れてる?それなら部屋で……」
男「疲れてないよ」
白「っちぃ」
男(まぁいいや。これは考えてもしょうがないよな)
男(それより、今日は皆の服を買いに行かなきゃ……)
男(……)
男(男の俺が女性もの売り場に突撃?)
男(そして女ものを買う?)
男(……)
男(死ぬかもしれん)
黒「男兄さん、どうしたんでしょうか……」
柴「さぁ」
―――――
男(少し考えた)
男(ジャージでもいいんじゃないかなと)
男(値段も手ごろだし、あの子たちもあんまり気にしないんじゃないだろうし)
男(……でもなぁ)
男(せっかくみんな可愛いんだし、ちょっともったいない気がする)
男(それにジャージだったら俺がちょっと残念だし)
男(だからちょっとこれは保留かな)
男(それで、次の女物の服を買いに行くって案だけど)
男(恥ずかしいならだれかについて来て貰えばいいんじゃないかなと思った)
男(女の子について来てもらえれば、突入してもまだ恥ずかしくならなくなる)
男(でも、ここにいるのは皆猫耳、犬耳標準装備)
男(そして猫娘4人のうち3人は箱入り猫娘。外に出したら何をしでかすか解らない)
男(一人はそうではないけど……)
橙「なんっすか?あにきっ!」
男(いかんせん不安要素が大きすぎる)
男「そして最後の一人の犬娘はリードつけなきゃ満足に外を歩けない)
男(仮にリードつけて行ったとして、中学生みたいな子をリードつけて歩いたら確実に通報される)
男(……一人で行くしかないか)
男(一人くらい親しい普通の女の子がいればよかったんだけどなぁ……)
男(まぁいたとしても誘える勇気なんか無いわけだけど)
男「……それじゃあ三毛。俺、出かけてくるから」
橙「えー?どこ行くんすか?」
男「ちょっと皆の服をね。いつまでも俺の下着を着せとくわけにはいかないから」
橙「ふく?したぎ?……おでかけっすよねっ!」
男「うん。そうだよ」
橙「ぼくもいきたいっすっ!!久しぶりにおそといきたいっす!」
男「駄目。三毛が外に出られるのはもっと大きくなってから」
橙「えー!やだやだ!ぼくもいきたいっすぅっ!」
男「まいったなぁ……」
黒「三毛ちゃん?」
茶「……」
柴「なんだ、どうしたんだ?ご主人」
男「三毛がね。自分も行くって聞いてくれなくて」
黒「男兄さん、どこかお出掛けですか?」
男「うん。皆の服を買ってこようかなと思ってね」
柴「出掛けるのか。……なら、私もついて行こうか」
柴「もう私も人間なわけだし、そういう場について行っても問題ない筈だ」
柴「それにご主人一人で行かせるのも心配だしな」
男「どちらかというと柴が付いてくる方が俺は心配なんだけど……」
柴「なんでだ?」
男「リードつけて行かないよ?」
柴「う……そ、それぐらい何ともないさ。あまり馬鹿にしないでくれ。ご主人」
柴「そ、それに、駄目になったらまた……」
男「また?」
柴「なんでもないっ!ま、まぁそういうわけで大丈夫だっ」
男「犬の鳴き声とは比べらないくらい大きな音するよ?」
柴「そ、それがどうした?」
男「知らない人が沢山いるよ?」
柴「し、らない人ぐらい……なんともないさ」
男「一度迷ったらもう帰ってこれないかもしれないよ?ただでさえ今は鼻が効かない人間なんだし」
柴「……」ペタン
男(あ、尻尾下がった。……諦めたね)
男「三毛は今言ったの我慢できる?」
橙「よゆーっすよっ!ぼく、どこにいたとおもってるんすかっ!」
男「それでも駄目。もし三毛が迷子になったら嫌だからね」
黒「そうだよ、三毛ちゃん。昨日も言ったけどそうなっちゃったら男兄さんも、私も、みーんな心配になっちゃうんだから」
黒「お姉ちゃんと、家で待ってよ?ね?」
橙「またそれっすか……むー……」
橙「わかったすよー……家でまってるっす」
男「そっか、ありがとう。いい子だな。三毛は」
橙「むー……」
男「黒、三毛のことお願いね」
黒「はいっ」
男「それじゃあ行ってくるから」
黒「はい。お気をつけて」
茶「……いってらっしゃい」
橙「……いってらっしゃいっす」
男「……もう少し落ち着いたら一緒に外行こう。な?」ナデナデ
橙「……約束っすよ?」
男「ああ。約束」
橙「……うん!」
柴「……いってらっしゃい。ご主人」ペタン
男「ああ。柴は俺のいない間、皆の事よろしくな」
男「頼れるのは柴しかいないからさ」
柴「……ああ。任せろっ!」ブンブン
男「それじゃあ行ってくるから」
黒「はい。お気をつけて」
茶「……いってらっしゃい」
橙「……いってらっしゃいっす」
男「……もう少し落ち着いたら一緒に外行こう。な?」ナデナデ
橙「……約束っすよ?」
男「ああ。約束」
橙「……うん!」
柴「……いってらっしゃい。ご主人」ペタン
男「ああ。柴は俺のいない間、皆の事よろしくな」
男「頼れるのは柴しかいないからさ」
柴「……ああ。任せろっ!」ブンブン
男「いってきますっ!」
4人「いってらっしゃいっ」
白「ふーん。男、服買いに行くんだぁ」
白「……」
白「面白そうっ!」
一気に投下と言いつつ、今日はここまで。
今投下してしまうと、中途半端なところで止まってしまう+大きく改編したいところがあるので。
これからは区切りのいいところまで書いたら投下、という形をとっていこうと思います。
その方がすっきりして読めるのではないかなと思いますし、自分もその方がやりやすいですから。
お待たせしてばかりで申し訳ない。なるべく投下は早めにしますので。
では、次回の投下で会いましょう。
【壁】・ω・`)<お久しぶりです。区切りのいいとこまで投下です。
バス停
男「街まで……バスと電車で一時間くらい」
男「やっぱり住んでる所って田舎だよな……」
男「俺以外に乗る人いないし」
男「まぁ、空気がきれいだし、柴の散歩に困らないからいいっちゃいいんだけど……」
男「もうちょっと都会がよかったかな」
男「……ぼやいてもしょうがないか。あはは」
男「ん」
男(人来たな……独り言聞かれてないかな?)
男(一人になったらすぐ独り言する癖、いい加減直さないとな)
「やぁ」
男「へ?」
「こんにちは」
男「あ、えっと……こ、こんにちは」
どうしていきなり話しかけてきたんだろう。そんな疑念の言葉が俺の頭をよぎった。
バス停に備え付けられたベンチに腰を降ろす俺に微笑みかける目の前の女の人に心辺りが無かったからだ。
整った顔立ち、金色の様に眩い艶を持つ長い髪。少しだけつり上がった瞳、その瞳の奥にある好奇心に光る輝き。そのどれにも俺の記憶にある女性と一致しない。
というか、恥ずかしい話だけれど、その一致させれるほど女の子の知り合いが少ないというのもあるけど。
突然声を掛けられた事に固まる俺に、なにが面白いのか目の前の女の人は更に笑みを深くし、ワンピースを揺らし、被っていた帽子ごと少し頭を傾けた。
男(……なんなんだろう。この女の人)
男(こんなきれいな人、話したこともないし……)
「最近どうだい?順調かな?」
男「さ、最近?」
「うん。どうだい?」
男(じゅ、順調って……そんな事はないけど……言うわけにもいかないしな)
男「ええと……順調、ですよ?」
「そうか。それは良かった」
男「は、はぁ……」
「……」ニコニコ
男(ま、まだ笑ってこっち見てる……。き、気まずい)
男(変な人なんだろうか……。でも、そんな感じはしないし……)
「ねぇ」
男「は、はい?」
「いい天気だね」
男「そ、そうですね」
「でも、もうちょっとしたら狐が嫁に行くよ」
「気をつけてね」
男「狐が嫁……。雨、でも降るんですか?」
「くくくっ。さぁ?」
男「……はぁ」
「それじゃあボクは行くよ」
男「え?バス乗らないんですか?」
「ああ。ボクはバスが嫌いだからね」
男「そう、なんですか……」
男(だったら何でここに来たんだろう)
「それじゃあ、またね」
男「またって……あの」
「うん?」
男「えと、人違いじゃないですか?俺、貴女と話した事無いですし」
「うーん、そうだね。確かに話した事は無いね」
「話した事はね」
男「それって……会ってるってこと、ですか?」
「くくく。さぁね」
「まァなにはともあれサヨナラだ」
「また会おう。男君」
男「え、ちょっとっ!って……行っちゃった」
男「何で俺の名前知ってるんだ……?」
男「それにまたって……」
男「うーん……」
男「……」
男「まぁいいか。多分、ただの変な人だったんだ」
男「もう会う事は無いだろ」
男「……多分」
男「それより買うとこ決めないとな」
男「あんまり高いと財布が……」
男「……まぁなんにせよバイト代は飛ぶだろうけど」
男「もしかしたら貯金も飛ぶかもなぁ」
――――――――――
タタタ
白「男……どっちに行っちゃったのかな」
白「柴が服着てたから私も服着たけど、その所為で見失っちゃった」
白「それに歩きづらいし」
白「こんなことならさっきまでの格好で来ればよかったな……」※下着姿
「やぁ」
白「え?」
「探し人かい?」
白(なんだろう……見た事無いやつだけど)
白「……ええ。そうよ。だから今急いでるの」
「君が探してるのは男君だろう?だったらあっちに行くと良い。きっと会える筈だよ」
白(……信じていいのかな。……でも、今はどっちに行ったらいいか解らないし……)
白「……本当?」
「うん。本当だよ。それより急いだ方が良い。そうじゃないと間に合わなくなるよ」
白「それってどういうこと?」
「いいから。急いで」
白(ちょっと怪しいけど……信じてみようかな)
白(変なやつがここまで言うのもおかしいしね)
白「……わかったわ!ありがとうっ!」
「いえいえ。気をつけてね」
白「ええ!……待っててよっ!男っ!」
タタタ
「流石に速いなぁ」
「大変だねぇ……男君も」
「くくくっ!」
―――――――
―――――――
男「うーん……」
男「いつまでも財布の中見ててもしょうがないよな」
男「……あ、バス来たな」
バス
男(席は……適当でいいか)
男「……遠いな」
発車します。ご注意くだ
男(……あ、扉開いた。遅れてきた人いるのかな)
男「な、なんで、ここにっ!?」
白「服買いに行くんでしょ?私も行きたいと思って着いてきたのっ」」
男「つ、着いてきたって……扉、鍵閉まって無かった?」
白「かぎ?扉なら押したら開いたよ?」
男「な、なんでついてきたの……?」
白「おもしろそうだと思ったから。それと、二人きりならもっと面白くなるだろうなって思って♪」
男「……嘘だろ……」
白「うん?どうしたの?男」
男「……白」
白「な、なに?」
男「どうして着いてきた」
白「えと、その、だから……」
男「……俺、昔から駄目だって言ってたよな。外は危ないんだって」
白「で、でも……」
男「でもじゃない!!」
白「う……」ビク
男「危ないんだ外は!迷って家に戻れなくなったり、車に轢かれるかもしれないんだっ!」
男「それに今は人間だから……変な人に連れてかれたりするかもしれないっ!」
男「そんな事になったら俺は……」
白「……」
男「……お願いだからもうこんな勝手な事止めてくれ。そんな思いなんかもう俺はしたくない」
白「……ごめん、なさい……」
男「いや……もういいよ。俺も声、荒げちゃったから」
男「ごめんね」
白「う、ううんっ!わ、私が全部、悪いから……」
白「ごめんなさい……」
男「……白、俺がどうして怒ったか、わかる?」
白「……勝手に外に出たから?」
男「それもある。でもそれだけじゃない」
男「白の事が大切だから怒ったんだ」
白「……大切……」
男「白にもしものことがあったら、俺はもうどうしていいか解らなくなる」
男「それだけ俺は白の事が大切なんだ」
男「だから、怒った」
男「ずっと白が傍にいて欲しいから」
白「……」
男「……もうこういう事しないって約束できる?」
白「うんっ」
男「うん。じゃあこの話はお終いだ」
白「……いいの?」
男「うん。解ってくれたならもう言う事は無いから」
男「これから出掛けたい時は声かけて」
男「一緒に行くから」
白「……うんっ!」
男「……白?」
白「……なに?」
ギュッ
白「あ……」
男「これから人がいっぱいいて、危ないとこに行くから」
男「絶対にこの手、放さないでね?」
白「それって……」
男「あと、その帽子も脱がない事」
男「見られたら、多分大変な事になると思うから」
男「ただでさえ白は髪の毛で人目に付くから、気をつけてね」
白「……うんっ!」
男(今のところパニックにもなって無いし……大丈夫だとは思うけど)
白「……えへへっ」
男(これから大変だな……)
男(……)
男(……というか)
男(俺がこんな小さい子連れ回して大丈夫なんだろうか)
男(通報されたりしないだろうか……)
男「どうしよう……」
白「どうしたの?」
男「い、いや、なんでもないよ。あは、あはは……」
男(何かいい方法……何かいい方法……)
男(そうだ!)
男(兄妹作戦だ!これなら年齢が離れた男女でも行ける筈!)
男「白っ」
白「え?なに?」
男「出掛ける間、俺のこと『お兄ちゃん』って呼んでくれない?」
白「お、お兄ちゃん?なんで?」
男「いや、世間の事情って言うかなんて言うか……」
男「ともかく、出かけてる間だけでいいんだっ。お願いっ!」
白「い、良いけど……。私は男の方がいいんだけどなぁ……」
白「……」
白「お兄ちゃん♪」
男「よしっ!!」
白「……やっぱり男の方が良いなぁ」
男「ちょっとの間だからさ。家に戻ったらいつも通りでいいから」
白「うん。わかった……」
白「お兄ちゃん♪」
男「よし来た!」
白「……まぁ男が喜んでくれてるならいいけどさ……」
白「あ、お兄ちゃんあれなぁに?」
男「んー?あれかぁー?あれはねぇー?」
男(……)
男(今の方がよっぽど世間的に危ない人なんじゃないだろうか……)
男(考えるな。考えたら負けだ……)
―――――
駅
男(降りるとき車掌さんに凄い目で見られました……)
男(まぁあれだけ車内で騒げばそう見られてもしょうがないよな)
男(……それだけじゃない気もするけど)
白「すっごい……人が一杯だね、お兄ちゃんっ!」
男「そうだねぇー、一杯だねぇー」
白「……大丈夫?男?」
男「あ、うん。大丈夫」
白「やっぱり『お兄ちゃん』って言うのやめる?」
男「い、いや大事なのここからだからさ、嫌かもしれないけどもうちょっと頑張って」
白「……わかった」
白「お兄ちゃんっ」
男「……そ、それじゃあ行こうか」
白「うんっ!」
駅のホーム
男「ここからホントに人いっぱいになって、はぐれやすくなるからね」
男「手、絶対に離さないで」
白「う、うん……」
男「……大丈夫?怖くなったりしてない?」
白「だ、大丈夫だよっ!」
白「だって、お兄ちゃんが手を握ってくれてるんだもんっ」
男「……」
白「お兄ちゃん?」
男「あ、うん。駄目だったらすぐ言ってね。なんとかするから」
白「うんっ」
―――――
電車
男「人、増えてきたな……大丈夫?白」
白「う、うん。大丈夫……」
男(そうは言っても……あんま顔色良くないな)
男「もうちょっとで降りるとこだから我慢してね」
白「うん……」
白「ねぇおと、……お兄ちゃん」
男「うん?」
白「お兄ちゃんって、いつもこんなところに入ったりしてるの?」
男「そうだね。狭いけど、移動とかはこれが便利だから」
白「そっかぁ……お兄ちゃんって、人間って凄いんだね……」
男「白も慣れれば、何ともなくなると思うよ」
白「そうかな……」
男「うん。白も今は人間なんだからね」
白「そう、だよね……」
白「全然そんな風になれるなんて思えないけど、ねっ……」
男「俺も最初は白みたいな感じだったよ。人の多さに目を回してた」
男「でも今はこうやって、ちゃんと乗れてる」
白「うん……」
白「ねぇ、お兄ちゃん」
男「うん?」
白「着くまで、ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから」
白「抱っこ、して?」
白「……やっぱり、ちょっと怖いから……」
男「うん。もちろん」
ギュッ
白「……」
男「よしよし」ナデナデ
男(やっぱりこうなっちゃうか……だから連れてきたくなかったんだよな……)
男(でも、パニック起こして暴れないだけ全然いいかな……良くは無いけど)
白「……」
男(早く着いてくれよ……)ナデナデ
街 駅のホーム
男「着いた……。大丈夫?白?」
白「うん……」
男「……少し座ろうか。座るところ見つけるから、もうちょっと頑張って」
白「だ、大丈夫よ。このくらい……」
男「いいから。ええと……あそこが良いかな。自販機も近くにあるし」
男「歩ける?」
白「……うん」
白「……はぁ」
男「やっと落ち着いたね。……ちょっと待ってて」
白「ど、どこいくの?」
男「そこの自販機で飲み物買ってくるだけだから。白からは離れないよ」
白「う、うん……わかった」
男「うん。いい子だ」ナデナデ
男「じゃあ行ってくるから」
白「うん……」
白「……」
白(……人間がいっぱい)
白(良くみんなあの中で歩けるなぁ……)
白(……男が外に出るなって言ってた意味がわかった気がする)
男「買ってきたよ。……ふた開けてと……はい、水」
白「ありがとう、男……」
白「……」
男「……飲まないの?」
白「……どうやって飲むの?」
男「そこからか……」
男「コップで水飲んだ時と同じだよ。小さい穴に口を着けて傾けるんだ。そうしたら水が出てきて飲めるから」
白「傾けて……こうかな……んく」
白「……おいしい」
男「良かった」
男「焦らなくていいから、ゆっくり飲んでね」
白「うん」
男「よしよし」ナデナデ
白「……えへへ」
――――――――――
白「はぁ……もう大丈夫」
男「ホント?辛くない?駄目だったら……」
白「大丈夫っ!もう元気だからっ!」
白「だからっ早くいこっ!」
男「……わかった。でも辛くなったら……」
白「大丈夫だってばっ!だから早くいこっ」
白「お兄ちゃん♪」
男「よし来た!……い、行こっか」
白「ふふふっ」
白「……ね、お兄ちゃんっ」
男「ん?」
ギュッ
男「し、白?どうした?腕なんか絡めて……」
白「はぐれないようにと思ってっ♪いいでしょ?お兄ちゃんっ」
男「……うん。いいよ」
白「えへへっ」
服屋
男(問題はここからだ……)
男(ここまでは腕組んでるのもあって白は何ともなかった)
男(それどころか、凄く楽しそうにはしゃいでた)
男(それは良いんだけど……)
白「ここが服買うとこ?」
男「あ、ああ。そうだよ」
男(見事に女の子だけ。男もいるけど、当然カップルで来てる)
男(その中に行くって言うのはなんだかなぁ……)
白「どうしたの?お兄ちゃん?」
男「……なんでもないよ。いこっか」
白「うんっ!」
白「わぁ……良くわからないけど、凄いねっ!お兄ちゃんっ!」
男「あ、ああ……」
男「……」
男(……白もこんなに楽しんでるんだし、ひとりだけ引いてるのも駄目だよな)
男「……よしっ!」
白「? どうしたの?」
男「なんでもない。それじゃあ皆の服、選んじゃおうか」
白「うんっ!」
男「それじゃあまずは白から選ぼう。折角来てるんだしね」
男(……そういったものの)
男(女の子の服に詳しくない俺が選べるだろうか……)
男(案の定わからん)
男(まぁテレビで見たようなの選べばいいかな……)
男「じゃあ、白、これと、これと……これ、着てみて」
白「わかったっ!それじゃあ……」ヌギヌギ
男「ちょっ!ちょっと待って待って!」
白「へ?でも男、着てって……」
男「ここじゃ駄目なの。着替える場所あるから」
白「ふーん……私もここでも良いんだけどなぁ」
男「世間が駄目なの。だから、ね?」
白「……わかったわよー」
男「ここね」
白「この箱の中?」
男「うん。ここの中なら脱いでも大丈夫だから」
白「わかった。それじゃあお兄ちゃん、見ててねっ」
男「いや、見ないよ。というか見るわけにはいかないから」
白「え?なんで?」
男「これも世間の都合」
白「ふーん。残念」
男「はいはい。それじゃあカーテン閉めるよ」
白「え、し、閉めちゃうのっ?」
男「うん?そうだよ」
白「あ、開けたままじゃ駄目なのっ?」
男「駄目だよ……」
白「そ、そうなんだ……わ、わかった」
白「あ、あの、おと、お兄ちゃん……」
男「ん?」
白「ど、何処にも行かないでねっ?」
男「行かないよ。大丈夫だから」
白「う、うん……」
男「じゃあ閉めるから。終わったら呼んでね」
白「わ、わかった……」
白「ど、どこにも行っちゃやだよっ!」
男「いかないってば。だから安心してって」
白「うん……」
シャッ
白「……お兄ちゃん、いる?」
男「居るよー」
男「……やれやれ」
白「おと、お兄ちゃん……」
男「居るよー」
白「そ、そうじゃなくて……」
男「どうしたの?」
白「ちょ、ちょっと来て」
男「き、来て?……うーん」キョロキョロ
男「……わかったよ」
男「どうしたの、って……」
白「あ、お、男っ!」
白「どうしよう……着れないよっ」
男「……俺の服着て来れたんじゃないの?」
白「お、男のは着るの簡単だったから……」
男「なるほど……」
男「わかった。着させてあげるから、ちょっと待って」
白「う、うんっ!えへへ……」
男(ワザと……じゃないよな)
男(まぁ、それでもいいんだけどさ)
男(……それより)
男(この個室の中で幼女を着替えさせる行為)
男(見つかったらアウトなんじゃないだろうか)
男(……大丈夫だよなっ!その為に白にお兄ちゃんって呼ばせてたんだし)
男(大丈夫、だよな?)
―――――――
男「はい。出来た」
白「わぁ……さっきと全然違うねっ」
男「うん。可愛いよ。白」
白「ほ、ホント!?可愛い?」
男「うん。凄く似合ってる」
白「えへっえへへっ♪あ、ありがとっ!」
白「じゃ、じゃあ、もっと着てみていいっ?」
男「うん。もちろん」
男「それじゃあまた選んで……」
白「ねぇねぇ男っ!今度は私が選んでみていいっ?」
男「え?ああ、いいよ」
男「一人で選べる?」
白「うんっ!じゃあ行ってくるねっ!」
タタタ
男「……あはは」
男「一時はどうなるかと思ったけど、何とかなりそうだな……」
白「おと、お兄ちゃんっ!」
男「ん、持ってきた……って、ええっ、そ、そんなにっ!?」
白「え?……おかしい?」
男「い、いや。そんなことないよ」
男(買わなければね)
白「そっかっ!じゃあ着てくるねっ!」
男「もう一人で着れる?」
白「うんっ!大丈夫っ」
男「そっか。なら行ってらっしゃい」
白「うんっ!」タタタ
男「……」
男(……今まで猫だったのに一人で選んでたけど大丈夫なのかな)
男(杞憂でした)
白「ねぇねぇ!どうっ?可愛い?」
男「うん。凄く可愛いよ」
白「えへへ……それじゃあ次着てくるっ!」
男「うん」
男(俺が選んできたやつよりずっと可愛いの選んで着てる)
男(清楚なワンピースとか、ジーパンの短い奴?とか)
男(こんなに白にセンスがあるとは思わなかったなぁ……これなら他の皆のも可愛いのを選んでくれそうだ)
白「じゃんっ!どう?」
男「うん。似合ってるよ」
白「……えへへ~」
白「また着てくるからねっ!待っててねっ」
男「うん」
男(……それにしても、いつまで掛かるんだろうか)
――――――――
ありがとうございましたー
男「……寂しくなったな」
白「なにが?」
男「いや、なんでもないよ」
男(まぁ皆の可愛いのを選んでくれたし、白も喜んでくれたみたいだし、よしとしよう)
男(白が下着とか買ってくれて助かった事だし)
男(……ちょっと店員さんに変な目で見られた気がしないでもないけど)
男「白、新しい服の着心地はどう?」
白「ばっちりだよっ!男の服とは比べ物にならないくらいっ」
男「そっか。それはよかった」
白「ね、ね。……これも似合ってる?」
男「うん。凄く」
白「……えへへっ!」
白「ね、あと……ね?」
男「うん?」
白「今日は、その……」
白「ごめんなさい」
男「……」
白「今日は……その、男にいっぱい迷惑かけたから、だから……」
ナデナデ
白「あ……」
男「どうして謝るの?」」
男「白がやった事を迷惑だなんて思って無いし、怒ったのは心配だったから」
男「怒ったのはもう終わった事だし、白が謝る理由なんてもう一つもないよ」
白「……」
白「……うん」
男「それよりさ、今日は楽しかった?」
白「……うんっ!とっても楽しかったっ!」
男「そっか。それはよかった」
男「また、どっか遊びに行こっか?」
白「うんっ!」
男「今度はちゃんと俺も一緒にね」
白「え、えへへ……うん」
男「あぁ、それとも今度は皆で一緒にどっか行こうか。もう少し落ち着いて、チビ達がもっとしっかりしたら」
白「……はぁ」
男「白?」
白「駄目だなぁ……お兄ちゃんは。そんなんだから彼女が出来ないんだよ?」
男「え、い、今のが?」
白「ふふふっそうだよっ!」
男「……?」
白「おに……男っ!」
男「あ、まだ男は……」
ギュッ
男「し、白?あ、歩きにくいって……」
白「んふふ~♪…………ね、男」
男「……うん?」
白「好き」
白「大好きっ!」
男「……」
男「ありがと。白」
男「俺も白のこと、大好きだよ」
ナデナデ
白(……多分私の言ってる意味と違うんだろうなぁ)
白「……でも」
白「大好きだよっ!男っ!」
男「うんうん」
白「……あれ」
男「……雨か?こんなに晴れてるのに」
『でも、もうちょっとしたら狐が嫁に行くよ』
男「ホントに雨が……」
白「お、男っ!このままじゃ濡れちゃうよっ!」
男「あ、ああ……。急ごっか」
男(ホントに天気雨が降るなんて……)
男(あの人……まさか……)
男(天気予報で見たのかな?)
今日はここまで。少し遅れて申し訳ないです。
多分これからも2、3日周期で投下という感じで投下していこうと思います。
また遅くなりますが、次回も見てくれると嬉しいです。
【壁】・ω・`)<約束は破るためにある。宣言した周期からだいぶ遅れて投下
玄関前
男「はぁ……着いた」
白「うええ……濡れちゃった……」
男「傘買ったけど、結構激しく降ったしな……」
男「大丈夫?寒くない?」
白「うん……大丈夫」
男「そっか。でも風邪ひいたら困るから、家入ったら服着替えなよ?」
白「えー、折角可愛いの着てるのにー」
男「えーじゃないよ。……他にも可愛いの買ってきてるのあるんだから、それ着ればいいよ」
白「……うんっ!わかったっ」
男「うん。それじゃあ、家はいろっか」
家
男「ただいまー……ってなんか騒がしいな」
白「うん。どうしたのかな」
タタタ
黒「あ、お、男兄さんっ!白姉さんが……って、あれ?」
白「あら、黒、ただいま。……で、いいんだよね?男」
男「うん。大丈夫」
黒「な、なんで白姉さんと男兄さんがい、一緒に?男兄さんが出て行く時は一緒には……そ、それにその格好……」
男「あー……なるほど」
男「皆はまだ白の事探してるの?」
黒「は、はい……」
男「そっか……。それじゃあ黒、皆の事居間に呼んで来てくれる?」」
男「白がいきなり居なくなった理由と、俺と一緒に帰ってきた事と、今の白の格好の理由、話すから」
黒「は、はい……わかりました」
黒「し、柴姉さーん!茶ちゃんっ!三毛ちゃんっ!男兄さんが……」
タタタ
白「どうしたのかな。あんなに騒いで」
男「白が勝手に出て行ったからだよ」
白「え?なんで?」
男「俺が白を怒った理由と同じ」
白「あ……」
男「……おいで。居間に行こう」
男「これは白が知らなきゃいけない事だから」
白「……うん」
居間
橙「あ、あにきっ!おかえりなさいっすーっ!って、あー!!しろねぇもいるっすー!」
茶「……白」
柴「……ご主人、おかえり」
黒「あ、お、おかえりなさい。お二人とも」
男「うん。ただいま。皆」
白「……ええ。ただいま」
柴「……なんで、白と男が一緒にいるんだ?」
男「それも今から説明するから、そんな怖い顔しないで」
柴「……」
白「……」
男「……ええと、それじゃ白が居なくなった理由だけど――――」
―――――――
男「―――というわけだよ」
黒「そ、そうなんですか……でもよかった……白姉さんが無事で……」
茶「……お出掛け」
橙「しろねぇずるいっすよーっ!しろねぇだけお出掛けなんてーっ!」
柴「……」
白「……皆、ごめんね。色々と」
黒「い、いえ……白姉さんが無事なら、私はそれで……」
茶「……ん」
橙「ほんとっすよー!あにきっ!今度はぼくもつれってってくださいっすー!」
男「うん。もっと三毛が落ち着いたら、今度は皆で行こうね」
橙「はいっす!やくそくっすよっ!」
男「うん。もちろん」
橙「やったぁっすっ!絶対っすからねっ!」
男「はいはい」
柴「……白」
男「柴……?」
白「……なによ」
柴「どうしてこんな勝手な事をした?」
柴「お前は仮にも猫たちの一番上だろう」
柴「そのお前がこんな勝手な事をして、下の奴らに心配かけて」
柴「こんな事になるとは考えなかったのか!!」
白「……」
黒「っ!」ビク
茶「……し、ば……?」
橙「い、犬?な、なんで怒ってるんすか?」
柴「ただでさえ今は前と状況は違うんだ。皆大なり小なり不安を持ってる!」
柴「それをお前は」
男「柴」
柴「……ご主人」
男「白にはもうしっかり怒ったよ」
柴「……怒ったと言っても、どうせいつものように」
男「柴」
柴「……」
男「ちゃんと怒ったよ。自分でもビックリした位にね」
男「白ももうちゃんとわかってくれてる。……だろ?白」
男「もう、こんなことしないよな?」
白「……うん。もう、こんなことはしないわ」
白「男が、どんなに心配するかって教えてくれたから」
白「皆がこんなに心配するってわかったし」
柴「……」
男「……ね?だからもうそんなに怒らないで」
男「皆も柴の声にびっくりしちゃってるし」
黒「柴、姉さん……?」
茶「……」
橙「……まだおこってるんすかー……?」
男「ほらね」
柴「……わかったよ」
男「全く……柴、怒り過ぎだよ」
男「いくら白が心配だからってさ」
柴「な……!ち、違う!私はっ!上の奴が勝手な事をすれば、下の……」
白「柴……?」
柴「ちが、違うぞ!私はお前の事なんか!」
男(ほんとにそうだったんだね……)
男「……あははっ」
柴「な、なに笑ってるんだっ!私は」
男「よしっ。それじゃあ柴も許してくれたことだし、本題の方にはいろっか」
黒「本題?本題って……」
橙「なんっすかっ?ごはんっすか?」
茶「……?」
柴「ま、まだ話はっ」
男「あはは。三毛、ご飯じゃないよ。本題っていうのは……これだっ」
橙「うん?なんっすかー?それ」
茶「……袋?」
黒「あ、もしかして……服、ですか?」
柴「話は……はぁ、まったく……」
男「正解。皆の服だよ」
男「白が選んでくれたから、多分皆に似合ってると思う」
白「そうよっ!可愛いの選んできたわよっ」
柴「……白が?大丈夫なのか?」
白「なによ。嫌なら着なくてもいいわよ」
男「まぁまぁ……」
男「さ、皆、着てみて」
男「いつまでも下着姿もまずいし」
男「皆が可愛い服着てみたとこ見てみたいしね」
茶「……ん」
黒「は、はい……わ、わかりましたっ」
柴「……仕方ないな」
橙「あにきっふくって、なんすか?」
男「白の体にあるやつだよ。それを今から三毛も体に付けるんだ」
橙「なるほどっす!わかったっす!」
男「よし、それじゃあ着ようか」
男「白。皆に服の着かた教えるの手伝って」
白「うんっ!わかったよっ!」
男「それじゃ」
柴「私は着れるぞ」
男「……あはは。うん。でもなにかあったら」
柴「着れるぞ」
男「……わかったよ」
男「それじゃあ茶、三毛こっちおいで」
橙「はーいっすっ!」
茶「……ん」
柴「全く……ご主人は」
白「……柴」
柴「……どうした」
白「今日は……悪かったわね」
白「もう勝手なことはしないわ」
柴「……わかったなら、もういい」
白「……うん」
柴「これからはもうするんじゃないぞ」
白「うん」
柴「……まぁ、これからも毛玉は何するかわからんがな」
白「申し訳ありませんわ、おばさま。好奇心旺盛なんですの。若いものですから」
柴「……毛玉……」
白「……ふふふ」
黒「ふ、二人とも……ふ、服着ましょう?ね?」
柴「……ふん」
白「……ふん」
黒「ああ、あの、ええと……」
黒「あ、し、柴姉さんっ!この服がよ、よさそうですよっ!ほらっ!」
―――――――
男「よし、出来た」
男「似合ってるよ。茶、三毛」
茶「……動きづらい」
橙「なんかおちつかないっす……あにきっ!これ、とってもいいすかー……」
男「駄目。これも人間として覚えないといけない事だから我慢して?」
茶「……むー」
橙「あにきがそういうならしょうがないっすね……」
男「うん。いい子だ」ナデナデ
茶「……ん」
橙「えへへっ!」
男「さて、柴と黒は……」
白「男っ!出来たわよっ」
男「あ、出来た?……おおー」
柴「前にも着たがやっぱり窮屈だな……」
黒「あ、あの男兄さん、変じゃ……ないですか……?」
白「どうどうっ?なかなかいいと思うんだけどっ」
男「うん。二人とも凄く似合ってるよ」
柴「にあってる?」
男「可愛いってこと」
柴「……そ、そうか。なら……いい」
黒「ほ、ホントですかっ?私……」
男「うん。白い服が黒の髪を綺麗に栄やして、凄く可愛く見えるよ」
黒「は、はい……あ、ありがとうございます……」
柴「お、おい。ご主人。わ、私は……どうなんだ?」
男「うーん……ボーイッシュっぽいんだけど、すらっとした着こなしとか、女の子っぽいとこもあって綺麗に見える」
柴「……ふん」
白「男っ!私は?私はっ?」
男「白はさっき言わなかった?」
白「似合ってると可愛いしか言わなかったっ!」
白「もっと可愛いとことか詳しくっ」
男「わ、わかったよ……ええと……」
男「服のひらひらしたフリルのところとスカートが合ってて凄く可愛いよ」
白「えへへ~ありがとっ♪」
男「どういたしまして」
男「……」
男(皆似合ってて良かった……財布が寂しくなった甲斐があるよ)
男(最初はどうなるかと思ったけど、このままいけば何とかなりそうだ)
男(……)
男(あ)
男(元に戻ったら服、無駄になるじゃん)
男(……まぁ)
茶「……やっぱり動きづらい」
黒「茶ちゃん。我慢しないと駄目だよ」
橙「あははっ!犬!へんなかっこうしてるっすーっ!」
柴「なっ!ご、ご主人は似合ってるって言ってたぞ!」
白「そうねー。確かに変な格好よねー」
柴「こ、この……選んでおいて……」
白「嘘よ。う・そっ」
柴「毛玉ぁっ!」
男(皆嬉しそう?にしてくれてるし……)
男(無駄ではないよな。うん)
区切りのいいとこでここまで。少し投下が遅れてすいません。
次回はちゃんと2、3日周期で投下したいと思います。
それではまた次回。
白が見た目十歳くらいで、黒は男より頭一つぶん小さいくらいで出るとこ出てんなら
黒の方が年上じゃないかと思うんだが
>>315
黒はメインクーンという大型の猫がモデルなので、年は下ですが白より色々と大きくしてるんです。
ちゃんと顔つきは10歳前後、という事にはなってます。つまりはロリ巨乳です。
>>315
黒はメインクーンという大型の猫がモデルなので、年は下ですが白より色々と大きくしてるんです。
ちゃんと顔つきは10歳前後、という事にはなってます。つまりはロリ巨乳です。
時間がコンマ3秒早くて後……だと……
連投すいません。
【壁】・ω・`)<頬とケツが痛いが投下します。遅れてごめんね
茶「……男」
男「ん?茶、どうしたの?」
茶「……おなかすいた」
橙「あっ!ぼくもおなかすいたっす!」
柴「そうだな……朝から今まで何も食べてない訳だしな」」
男「ん……あー、もうお昼とっくに過ぎてるのか」
男「先に食べてれば……ってそんな事まだ出来ないし、そんな状況でも無かったよな」
男「皆、ごめんね」
茶「……ごはん」
橙「ごはんたべたいっすーっ!」
男「わかった。今簡単に作っちゃうから、みんなちょっと待っててね」
橙「はーいっすっ!」
茶「……ん」
柴「私はそこまで」ぐぅ
柴「……」
白「……っぷ」
柴「こ、この……!」
黒「だ、駄目ですよっ!二人とも……」
男「あはは……」
キッチン
男(でもそっか……今まではご飯を置いておけば皆勝手に食べててくれたけど、今はそうもいかないんだよな……)
男(明日から学校だし、バイトもある)
男(作る為に帰ってくるわけにもいかないし、帰ってくる時間もないしどうにかしないといけないよな……)
男(インスタント……はなんだかなぁ……)
男(柴もいるし教えれば何とかなるとは思うけど、元々猫と犬だし体に悪いのはあんまりあげたくないし……お金もかかるしなぁ)
男(やっぱり作り置きか……)
男(ちょっと面倒だけど、やるしかないか)
男(……つくづく定食屋でアルバイトしてて良かったと思うよ)
男「……ん?」
茶「……」じー
橙「……」じー
男「どうしたの?二人とも。なんかあった?」
茶「……まだ?」
橙「おなかすいったっすー」
男「ああ。あはは……流石にまだ出来ないよ」
男「もうちょっとだけ待っててね」
橙「はーいっすっ!」
茶「……ん」コクリ
男「うん。いい子いい子」
男(さ、二人も待ってるし急がないとな)
茶「……」じー
橙「……」じー
男「う……」
男「み、見てても退屈でしょ?向こうで遊んでおいで」
茶「……」じー
橙「……」じー
男「あ、あはは……」
男(や、やりずらい……)
――――――――――
食事後
橙「ごちそうさまっすーっ!」
白「美味しかったわ。男」
柴「ん。なかなかだった」
黒「とっても美味しかったです……」
茶「…………ごちそうさま」
男「はい、お粗末さまでした」
男「……ところで、皆結構食べてたけど、夜、大丈夫?」
橙「よゆーよゆーっすよっ!」
柴「大丈夫じゃないのか?」
黒「わ、私は多分大丈夫……ですよ?でも、面倒なら……」
白「うーん……私はもういらないかも」
茶「……ん」こっくりこっくり
男「意見が半々位だね……ちょっと考えておくよ。……って茶、大丈夫?眠たい?」
茶「…………ん」
男「やっぱそっか。……でも食べてすぐ寝たら太っちゃうぞ?」
茶「…………ん」こっくりこっくり
男「もう駄目みたいだね……仕方ない。俺のベッドで寝ておいで」
茶「…………男も」
男「俺も?俺はまだ眠く……」
茶「……」ギュッ
男「まいったな……」
黒「茶ちゃん。お姉ちゃんと一緒に寝よ?」
黒「男兄さんはこれから用事があるから一緒に寝れないんだって」
黒「だから代わりにお姉ちゃんと、ね?」
男「……うん。悪いけど黒の言うとおり、ちょっと用事があるんだ」
男「だから今は茶とは寝れないんだ。ごめんね」
男「夜はちゃんと茶と寝るから、な?」
茶「…………わかった」
男「うん。いい子いい子」ナデナデ
茶「……ん……」
男「じゃ、黒、悪いけど……」
黒「あ、いえ、そんな……」
黒「い、行ってきますねっ」
男「うん。お願い」
黒「は、はい。それじゃあ茶ちゃん、行こう?」
茶「……ん」
すたすた
男(後で黒にお礼言わないとな)
橙「茶ねえねちゃうんすかー……つまんないっすー」
男「三毛は眠くないの?」
橙「ぜんぜんっす!よゆーっす!」
橙「だから……あにきっ!おんぶしてほしーっす!」
男「え?おんぶ?朝しなかった?」
橙「またしてほしーっすよっ!おねがいっすっ!」
白「駄目よ、三毛。男これから用事があるって言ってたじゃない」
橙「ちょっとだけっすからっ!おねがいっすあにきー」
男「ちょっとか……」
男(まぁ用事も黒が気を利かせて言っただけでなんにも無いからいいかな)
男「いいよ。おいで」
橙「ほんとっすかっ!やったぁっす!」
白「なっ!」
橙「とうっ!……えへへっ!」ダキッ
男「わっ……も、もうちょっと静かに……」
橙「やっぱりあにきのせなかはいいっすっ!さいこうっすっ!」
男「あはは……はいはい」
白「ぐぬぬ……」
白「お、男っ!は、はやく降ろしてよねっ!」
男「え?なんで?」
白「な、なんでってそれは……もうっ!」
男「ああ、白もやって欲しいのか。ちょっと待って、三毛が終わったらやってあげるから」
橙「今はぼくのばんっすよっ!じゅんばんっすっ!」
白「ち、違うわよっ!違わないけど……違うのっ!」
男「へ?」
白「もーっ!」
柴「……はぁ」
柴「おんぶもいいが、ご主人。そろそろ散歩の時間だぞ」
男「え?もうそんな時間か」
男「……行くの?」
柴「……当然だろう」
男「でも柴、大丈夫なの?昨日は」
柴「っ!い、いいからっ!先行ってるぞ!」
タタタ
男「あ、行っちゃった」
白「どうしたのかしら?柴。なんか様子が変だったわね」
橙「あははっへんっすへんっす!犬、変っすっ!」
男「あー……どうしたんだろうね」
男(わかるけど……これは言わない方が良いんだろうな)
男「さ、そういうわけだから、三毛。降りて」
橙「いやっすっ!」
男「ええー?話聞いてただろ?」
橙「それでもいやっす♪」
男「どかないと柴に怒られるよ?私の散歩を邪魔したなって」
橙「う……」
男「それに、言う事聞かない子にはもうおんぶはしてあげないよ?」
橙「そ、それはもっといやっすっ!」ぴょん
男「よしよし。……それじゃ、白、三毛の事お願いね」
白「え?わ、私?」
男「黒は今茶と寝てるし、俺は柴と散歩行くし……三毛を一人にしとくのは不安だしさ」
男「白しか頼れないんだ。お願い」
男「あとでちゃんとおんぶするから」
白「お、おんぶいいけど……いやよくないけど」
白「わかったっ!任せてっ!」
男「よかった。三毛、白が代わりに遊んでくれるって」
橙「ほんとっすか?白ねえあそんでくれるんすかっ?」
白「ええ。そうよ」
橙「やったぁっす!それじゃあ白ねぇっ!あそぼうっすーっ!」ぴょーん
白「あ、ちょ、ちょっとまっ……いやぁあああっ!」
男「じゃあいってくるから。留守番よろしくね」
橙「白ねぇなにしてあそぶっすかっ!なにするっすかっ?」
白「ちょ、ちょっと抱きつかないでってばっ動けないからっ!」
男「あはは……行ってきます」
白「ちょ、ちょっと待ってっ!お、男ぉ!」
橙「白姉~♪」
男(頑張ってくれ……白)
玄関
男「待たせてごめん。柴」
柴「……三毛を降ろすのに時間がかかってたんだろう?気にしなくていい」
男「そっか。ありがと。柴」
柴「……ああ」
男「……本当に行く?無理だったら今日は」
柴「い、行く!」
男「……今日もリードつけて行かないよ?」
柴「わ、わかってるさ」
柴「こ、これ位乗り越えられなくては下のやつらに示しがつかない」
男「そんなに気にしなくていいと思うんだけどな……」
柴「気にするんだっ!わ。私はっ!」
男「……そっか。そこまで言うなら俺はもう何も言わないけど」
男「それじゃ、いこっか」
柴「……」
男「柴?」
柴「あ、あのな、ご主人……」
男「……やっぱりやめる?」
柴「い、いや!そう……じゃなくて、その……」
柴「あ、あの……ご、ご主人は、私がり、リードないと駄目なの知、ってるだろう?」
男「え?ああ、うん」
柴「でも、今は、人間だからリードは付けられない、んだろう?」
男「うん」
柴「でも、それがないと私、駄目、だから……その」
男「……」
柴「その、か、代わり、が欲しい。んだ。安心できる、リードの、あの、その……」
柴「昨日、は、て、手をつな」
ギュッ
男「これで大丈夫?」
柴「う……」
男「柴、ど、どうしたの?いきなり俯いて……」
柴「い、いいから!行くぞ!」ぐい
男「え?あ、ちょっ」
柴「は、はやくしろっご、ご主人っ!」
男「わ、わかったよ……」
柴「ふ、ふん……」
柴「……」
ギュッ
男「柴?どうかした?」
柴「な、なんでもないっ!」
男「……?」
公園
男「大丈夫?柴」
柴「ああ……昨日よりは大分慣れたよ」
男「じゃあ手、離しても」
柴「……意地が悪いぞ」
男「ああいや、そういうつもりじゃなくて……」
男「ずっと繋いでるから辛くないのかなって思って」
柴「…………離す方がつらい」
男「そっか、ごめんね」
柴「……別にいい」
男「……ちょっと座ろうか。話したい事あるし」
柴「え?ああ」
柴「それで?離したい事ってなんだ?」
男「うん。ちょっと俺と白が出かけてる間の事を聞きたくてさ」
男「皆、かなり心配してた?」
柴「ああ。ただでさえご主人が居なくなって不安だったのに、白までいきなり居なくなったからな」
柴「皆気が気で無かったよ」
柴「黒はひたすらオロオロしていたし、茶も落ち着きが無かった」
柴「三毛はただ不思議がっていたがな」
男「そっか……柴は?」
柴「わ、私か?私は……そうでもなかったぞ」
男「あはは、そっか」
柴「ほ、本当だぞ?私はいつも通りで皆を落ちつけるために」
男「えらいえらい」
柴「し、信じてないだろ!私は」
男(昔は家に誰もいなくなったぐらいでここまで騒がなかったんだけどな……)
男(やっぱり人になって色々変わって来てるのかな)
柴「き、聞いてるのかご主人っ!ほんとに私は」
男「柴?」
柴「な、なんだ?」
男「ありがとね」
男「俺のいない間、皆の事見ててくれて」
柴「……そ、それが一番上の私がするべき事だったことだからな。当たり前の事をしただけだ」
男「うん。でもそれはとても凄い事だよ」
男「人間がやろうとしてもできない人もいるからさ」
男「お疲れ様。凄いよ。柴」ナデナデ
柴「……ふ、ふふ」
柴「そ、それほどでもないさ」ブンブン
男「あとさ、もうひとつ話って言うかお願いがあるんだけど」
柴「お願い?」
男「うん。柴は俺が大体朝から出て行くの知ってるだろ?」
柴「ああ。いつも出てってるな。あれってなんなんだ?」
男「あれは大学ってところに行ってるんだ」
柴「……だいがく、ってなんだ?」
男「大学って言うのはいろんな事を勉強するところ。明日から俺はまた行かなくちゃならないんだ」
男(あんまり熱心には勉強してないけどね)
柴「ということは……また、家から男が居なくなるのか?」
男「そうだね。だからまた家に皆だけになると思う」
柴「そう、か……」
男「うん。だからさ、これからまた柴に皆をお願いしたいんだ」
男「今日みたいにさ」
柴「……ご、ご主人が、家にいる事って……出来ないのか?」
男「行かなくちゃいけないとこだし……それは無理だ。……ごめんね」
柴「……いや、いい無理なら、仕方ない」
男「それで……お願いできないかな」
柴「……自信がない」
柴「今日は昼に男が帰ってきたからいいけど……」
柴「これから毎日、しかも帰りが遅くなる日もあるんだろう?」
男「うん。バイトもあるからね」
柴「だろう?そうなるなら……私には出来るかわからないんだ」
男「……」
男「出来るよ」
柴「え?」
男「今日だって俺が帰ってくるまで白が居なくなってたのに皆はそれほどパニックになって無かった」
男「多分すごく大変な事だったと思う。でも、柴は皆を纏められてたんだ」
男「だから出来るよ。柴なら」
柴「そう、だろうか」
男「うん。それに……これは柴にしか頼めないんだ」
男「俺を含めた皆に頼られてる柴にしか、さ」
男「だから、お願いできないかな」
男「もちろん何かあったらすぐに戻ってくる。だから」
柴「……わかった」
男「いいの?」
柴「ああ。ここまで……ご、ご主人に頼られてるんだ。応えない訳にはいかないさ」
男「そっか……ありがとう。柴。頼りにしてる」
柴「ふふっ!任せろっ」
男「よし、じゃあそろそろ帰ろうか」
柴「え、もうか?」
男「え?もう結構外にいる気がするけどなぁ」
柴「そ、そうでもないと思うぞ。だから」
柴「もうちょっと、二人で……散歩しないか?」
男「……うん。いいよ」
男「でももうすぐご飯の用意しないといけないからちょっとだけだよ?」
柴「わかってるっ!いくぞっ!ご主人っ!」
ギュッ
男「あ、ちょ、ちょっと待ってよっ」
男(でも柴に大変な事お願いしてるし……)
男(これくらいはしないとな)
男(……そのほかにも何かお礼考えといた方が良いかな)
柴(あったかい)
柴(ご主人が私を頼ってくれる)
柴(そう思うと、凄く体がぽかぽかして……うれしい)
柴(この気持ちに応えるためにも、絶対に期待に応えて見せるっ)
区切りのいいところで今日はここまで。また遅れて申し訳ない。
最近忙しくてまとまって書ける時間が取れない状況にあります。
これからも2、3日周期を目標にしますが、また遅れてします事があると思います。
ですがちゃんと完結はさせますので、ご容赦いただけると嬉しいです。
それではまた次回。
(´・ω・`) n
⌒`γ´⌒`ヽ( E)
( .人 .人 γ /
=(こ/こ/ `^´
) に/こ(
【壁】・ω・`)<次回は31日、1日に投下すると言ったな ……>(゚∀゚ )
【壁】・ω・`)<…… ……>(゚∀゚ )
【壁】:・ω・`)<…… ……>(゚∀゚ )
【壁】;・ω・`)<……すいません 許さん>(゚∀゚ )
またキリのいいところまで書こうとして遅くなってます。明日には投下できるかと。
お待たせばかりで申し訳ないです。
. \\ ,土ヽ l 十 ├ ゝ‐、ヽ ll 尸 //
\\ (ノ ) | Cト、.Cト、 ノ l_ノ よ  ̄ ̄ ̄ (⌒/ //
..... .:_ -― ─- 、:. ......
..::⌒>.、:: ...::/::.::/::.:: ヽ::.::.\::....::x<⌒::.
::x-=≦.::.-=`ミO.:/:/:/|:./.:ハ::ヽ::`O::-=ミて`く⌒ヽ::
::, イ::ノ⌒'Z _⌒ Y彡::./V j/ヽ::ハ.::.V::Y⌒/;^)- 入 \:
::/ :/八 '(:::::':,\ トV::./⌒ ⌒ヽ.::∨/,.::'::/ /:::∧ '\::
::/ `V::/ヽ\ \ :':, 八Ⅳ __ __ jハ:::l, :':::::, ′ /:::/  ̄ ノ\::
::〈 ,.:'::/ ヽ \ \:l:ハ| 〃⌒ ⌒ヾ ハ:|::::/ ,.イ:::/ ∠.::勹::
::/ ! :.'::::∧ | ヽ \ム .::::: r ┐ ::::.,'ノ/ / /::/ |__:/::
::∠._jハ_ん:ヘ/}ノ /ヘ ヽゝ_ ヽ ノ イ/ /⌒ん'⌒)_>::
 ̄  ̄`ヽ `=≧r ‐i彡''´ /::  ̄
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::/ 〉┴r ::
::,′ /:: ::| |::
これからはあらかじめ投下できる日を言うのではなく、
確実に投下できる日の朝とかに知らせてくれると有り難い
(♯)ω(♯)<前が見えねェ……でも投下します
自宅
男「ただいまー」
柴「ただいま戻った」
黒「あ、おかえりなさい。男兄さん。柴姉さん」
男「うん。ただいま、黒」
柴「ああ。ただいま」
男「そうだ黒。茶は?」
黒「茶ちゃんは今、男兄さんのベッドで三毛ちゃんとぐっすり寝てますよ」
男「三毛も?」
黒「茶ちゃんは昼間の事で相当疲れてたみたいで……ベッドに寝かせたらすぐでした」
黒「三毛ちゃんは白姉さんと遊んだら満足したみたいで……」
男「そっか……黒、茶と三毛の事、ありがとう」
黒「い、いえそんな……私、お姉さんですし、それに人間になったんですし……この位はしませんと」
男「お疲れ様。それで……黒は?」
黒「えっ?わ……わたしですか?」
男「うん。黒は疲れてないのかなって思って。……大丈夫?」
黒「は、はいっ!私は……だ、大丈夫ですっ」
男「ホント?柴から聞いたけど、結構昼間大変だったって……」
黒「ほ、ほんとに大丈夫ですっ!だからあの……大丈夫ですっ」
男「そっか。でも辛かったら茶みたいに休んでていいからね?」
黒「は、はい。ありがとうございます……」
柴「……」ジト目
男「な、なに?どうしたの柴」
柴「……いいや。なんでもない」
柴「黒。いくぞ」
黒「あ、は、はい」
スタスタ
男「……なんなんだ?」
居間
白「うぅ……」ぐったり
柴「どうしたんだこの毛玉は」
白「毛玉言うなぁ……」
黒「あの、三毛ちゃんが白姉さんと遊んでて……その」
柴「勢いに圧倒されたと。……全くだらしない。一番下に圧倒されてどうする」
白「だって仕方ないじゃない……私、体力ないし」
白「それに私、華奢なレディですの。どこかのおばさまと違って」
柴「……その格好でも減らず口を叩くか。この毛玉が」
男「ただいまー」
白「!」ばっ
白「おかえりっ男ぉっ!」タタタ
男「あ、白ただいま」
白「えへへ♪うんっ」
黒「あはは……」
柴「……全く」
白「ね、ねっ男っ」ヒソヒソ
男「うん?なに?」
白「後でね、二人っきりになりたいんだけど……いい?」
男「なんで?何かあった?」
白「え、えっと……何もないけど……ほ、ほらっ!さっきのっ」
男「さっきの……ってなんだっけ?」
白「も、もうっ!男が散歩に行く前の……ほらっ」
男「うん……?あ、おんぶか!」
白「お、大声で言わなくていいからっ!二人に聞こえちゃうでしょっ」
男「え?駄目なの?」
白「だ、駄目だよっ!」
男「なんで?」
白「なんでって……その、だ、だって……」
白「もうっ!わからないから男はダメなんだよっ!」
男「ええ……?」
柴「……なんの話してるんだ?おんぶがどうとか」
黒「おんぶ、ですか?」
白「し、柴と黒には関係ないわよっ!」
男(うん……?)
柴「聞いたって良いだろう?それとも言えないような話なのか?」
白「そ、そうよ。男と私だけの秘密の話よ」
柴「そうか。お前からは話せない。そういう事だな」
白「そ、そうよ。だから諦めて……」
男(ああ……なるほど)
柴「ご主人。白と何を」
白「し、柴ぁっ!!」
男「うーん……」チラ
白「……」ふるふる
男「……内緒。この話は白も言ってたけど、俺と白の秘密の話だから」
白「あ……!」
柴「……ふん。ご主人がそういうなら仕方がないな」
男「そういうわけだから、ごめんね。柴」
柴「構わないさ」
柴「重要な話ならご主人が話さない訳無いからな。どうせ取るに足らない事だろう」
男「……うーん。確かに柴にはあんまり大したことじゃないかも」
柴「だろう?」
男「でも、白には多分大切な事だよ」
柴「は?……どういう事だ?」
男「そうだな……柴にも何かこだわりだとかあるでしょ?」
男「大事にしてる人形とか」ボソ
柴「っ!」
男「今回はそういうこと。柴だって、自分のこだわってる事にくだらないとか言われるの嫌でしょ?」
柴「まぁ……な」
男「だから、話の内容がわからないのにあんまり取るに足らないとか言っちゃ駄目だよ?」
柴「……わかったよ」
男「よしよし」ナデナデ
柴「……ふん」
男「それじゃあこの話はお終い」
男「晩御飯作ってくるから皆ちょっと待っててね」
白「はーいっ」
黒「いつもすいません……」ペコ
柴「ああ、頼む」
スタスタ
柴「……」
柴「……白」
白「なによ?」
黒「……柴姉さん?」
柴「……さっきは……その……」
白「……」
柴「……すまなかった」
柴「少し、無神経だったかもしれない」
白「……」
白「……べっつにー。あんたが無神経なんていつもの事じゃない」
柴「む……」
白「まぁ、確かにあんまり大したことじゃないし、あんたが言ってた事も外れてないわ」
白「だから別に気にしなくていいわよ」
柴「……そうか」
白「ええ」
黒「……」ほっ
白「……それにしても」
黒「……へ?」
白「いつも偉そうにふんぞり返ってるあんたが謝るのを見ると気分が良いわね♪」
白「もっと普段から謝ってくれてもいいわよ?お・ば・さ・ま?」
柴「……」イラッ
バシ
白「いたっ!た、叩く事無いでしょっ?」
柴「調子に乗るなよこの毛玉が」
白「わ、悪いのはあんたじゃないっ!」
黒「だ、駄目ですよっ!二人ともっ!」オロオロ
ギャーギャー
男「あはは……」
男(うーん……それにしてもあの柴が自分から謝るなんてなぁ……凄く意外だ)
男(白が面子を大事にしてることも)
男(俺と話す時と皆と話す時と、明らかに態度が違うし、おんぶの事を皆に知られたくないって言う事もそういう事だと思うし)
男(白は白なりのプライドがあるのかな……)
男(……まぁ、考えるのもここまでにして、早く夕飯作っちゃうかな)
男(あ、その前に風呂の湯張らないと)
――――
夕食後
橙「ごちそうさまっすーっ!」
柴「ん。ごちそうさま」
黒「ごちそうさまでした。……ああ……おいしかったぁ」
白「あんたたちよくそんなに食べれるわね……」
黒「え、え?だ、駄目でしたか?」
白「駄目じゃないけど……さっき食べたばっかりなのに良くそんなに食べれるなってこと」
茶「……あんまり食べれなかった」
柴「ご主人の作るご飯は美味いからな。それに出してくれたものを食べきらないのは失礼だろう」
白「それにしても、ねぇ……」
黒「す、すいません……」カァ
橙「くろねぇどうしたんすか?かおまっかっすよー?」
黒「え?ほ、ほんと?どうしたんだろう……」
男「……まぁまぁ。その辺にして、皆食べた食器片付けるの手伝ってくれない?」
黒「あ、は、はい。わ、わかりました」
白「はーいっ」
柴「わかった」
茶「……ん」
橙「はーいっすっ!わかったっすーっ!」
男「ありがとう。それでそれが終わったら皆お風呂ね」
橙「あっおふろって昨日のあったかい水のでるやつっすよねっ?」
男「うん。そうだけど……今日はちょっと違うんだ」
黒「え?違うんですか?」
男「ちょっとだけね。あったかい水が出るやつはシャワーっていうんだけど、それを使うのは同じ」
柴「だったら何が違うんだ?」
男「それは入ってからのお楽しみ」
茶「……?」
――――
片づけ後
男「よし、それじゃ最初は昨日と同じで茶と三毛からね」
橙「はーいっすっ!」
茶「……ん」コクリ
男「他の皆はテレビでも見てちょっと待ってて」
白「てれび?」
男「俺達人間がいっつも見てた光る箱の事。多分今なら映ってる意味がわかると思うよ」
白「ふーん……面白いの?」
男「それは……どうだろう。見てみないとわかんないと思う。……ちょっと皆来て」
黒「はい?」
柴「ん?」
茶「……?」
橙「あにきっ!これなんすか?」
男「これはリモコンっていうんだ。ここにあるボタンを押して電源入れて、下のボタン押すとテレビに映ってるものが変わるから。……ほらっ」ピッ
橙「あっほんとっすっ!黒から変わったっすっ!」
黒「わぁ……あの箱ってこうやって変えてたんですね……」
男「うん。そういう事だから三人とも、茶と三毛が出るまでこれで色々試してみてて」
白「わかったわっ!男っ!」黒「は、はい」柴「わかった」
橙「あー!僕もやってみたいっすーっ!」
男「お風呂入った後でね」
橙「えー!今やってみたいっすよーっ」
男「お風呂入ったらいくらでもやっていいから。今はお風呂入ろうな」
橙「ちぇー、わかったっすよー」
男「いいこいい子。それじゃ行こっか」
橙「はーいっすっ!」
男「うんうん。……あれ?茶は?」
茶「……」ピッピッ
黒「ちゃ、茶ちゃん、お風呂はいらなきゃ……」
白「茶!リモコン弄ってないで早くお風呂入りなさいっ!」
柴「全く……」
男「……」
橙「あー!茶ねぇ!ずるいっすよーっ!」
男「……茶。お風呂先ね」
脱衣所
茶「……おもしろかった」
男「……よかったね」
橙「いいなぁ……ぼくもやりたかったっす……」
男「お風呂入ったら三毛に一番に触らしてあげるから」
橙「ほんとっすかっ!やったぁっす!」
男「うん。ほんと。でも茶は触っちゃ駄目だよ」
茶「……な、なんで?」
男「先にお風呂入るって言ったのに勝手に先に触ったから」
茶「……えぇ」
男「約束破るとこう言う事になるの。今日は茶は禁止」
茶「……ほんとにだめ?」
男「駄目」
茶「……」しょぼーん
橙「茶ねぇ茶ねぇっ!後で一緒にやろうっすっ!」
茶「……いいの?」
橙「もちろんっすっ!いっしょにやったほうが絶対たのしいっすもんっ!」
茶「……うんっ」
橙「えひひ……あ、いっしょならいいっすよねっ?あにきっ!」
男「俺はそれで良いけど……でもそれだと三毛がリモコン使える時間減っちゃうよ?それでもいいの?」
橙「はいっすっ!いっしょのほうがいいっすっ!」
男「そっか。なら茶、三毛にありがとうって言わなきゃ」
茶「……ありがとう?」
男「今みたいに嬉しい事をしてくれた時に使う言葉だよ」
男「今日はホントは三毛しか使えないのに、譲ってくれた事だよ」
男「ほら、言ってみて」
茶「……ありがとう。三毛」
橙「えへへ……」
男「うん。いい子いい子」ナデナデ
男「あとそれでね三毛、こういうときは、どういたしましてって言うんだ」
橙「なんでっすか?」
男「そういう人間の決まり。礼義とも言うね」
橙「れいぎ?」
男「そう。人間として覚える事の一つで、とっても大切なことだよ」
橙「ふーん……わかったっすっ!」
橙「どういたしましてっすっ!茶ねぇっ!」
茶「……ん」こくり
男「よし、今度からこう言う事があったら、ありがとう、どうしたしましては忘れない事」
橙「はーいっすっ!」
茶「……はい」
男「うん。それじゃあお風呂はいろっか」
男「服は脱げる?」
茶「……」ふるふる
橙「ぬげないっすっ!」
男「……そっか。じゃあ今日は脱がし方教えるから、明日から自分でやれるようにね」
茶「……ん」コクリ
橙「はーいっすっ!」
男「あはは……」
男(また犯罪者気分だよ……)
男(しょうがないけど……今日までの辛抱か)
男(……)
男(残りの皆はどうなんだろう)
―――――
風呂場
ガチャ
橙「おふろっすーっ!」タタタ
男「三毛っ広くないんだ走り込んじゃ危ないって」
橙「あーっ!なんか水がたまってるっすっ!」
茶「……これ?昨日と違うの」
男「そう。今日はこれに入るんだ」
茶「…………やだ」
橙「えぇ……」
男「あはは、大丈夫。シャワーが気持ち良かったんだからきっとこれも大丈夫だよ」
橙「ほんとっすかぁ……」
茶「……」じりじり
男「茶、逃げない。ほら」ギュッ
茶「……は、はなしてっ」ジタバタ
男「ちょ、暴れないでってば……だっこして……よいしょっと」
橙「あ、あの、茶ねぇ」
茶「……ん?」
橙「ほんとにきもちいいっすか?からだおもくならないすか?」
茶「……ん」コクリ
橙「な、ならいくっすっ!いくっすよっ!」
橙「とうっ!」ぴょん
男「ちょ、三毛っ!?」
ざっぱーん
男「んぐっ!」
茶「ふぐぅ」
橙「あっ!ほんとっすっ!きもちいいっすっ!あははっ!」
男「三毛……」
橙「なんっすかっ!あにきっ」
男「今度からは風呂に飛び込んじゃ駄目だよ」
橙「へ?なんでっすか?」
男「怪我するかもしれないし、それやったら……ほら、お湯が大分無くなっちゃってる」
橙「あ、ほんとっす……」
男「だからもうやっちゃ駄目だよ?」
橙「はーいっす……」
男「わかってくれたならもういいよ。それじゃあ10数えよう」
橙「じゅう?」
男「お風呂に入った時の約束みたいなものだよ。……これを数えないとお風呂から出られないんだよ?」
橙「えっ!?そ、そうなんすかっ?」
男「あははっ、そうだよ。だから数えなくちゃ。それで数え方は……わからないか」
橙「かぞえかた?」
茶「……?」
男「やっぱりね。……それじゃあ三毛、茶。俺の言った通り繰り返してみて」
橙「はーいっすっ」
茶「……ん」コクリ
男「いくよ。……いーち」
橙「いーちっす!」
茶「……いち」
男「うん。その調子。……にーい」
橙「にーいっすっ!」
橙「……に」
―――――
男「十!」
橙「じゅうっ!」
茶「……じゅ」
男「うん、良く出来ました。それじゃあもうお風呂出ていいよ」
橙「やったぁっす!えへへっ!」
茶「……ん」コクリ
男「それじゃあお風呂も出たし、体洗おうか」
橙「あらうって……どうするんすか?」
男「たまにお風呂入った時、体泡だらけにされたでしょ?あれをやるんだ」
茶「……!」ピク
橙「あ、あれっすかっ!?ぼくあれきらいっす……」
男「それでもやらなくちゃ。人間になったんだし、二人とも女の子なんだしね」
橙「……どうしてもやらないとダメっすかぁ……」
茶「……」コクコク
男「駄目。体洗わない子は俺も皆も嫌いになっちゃうぞ?」
橙「そ、それはいやっすっ!」
男「なら体洗おうな。またやり方教えるから、次からまた自分でやれるようにね」
橙「はーいっす……」
茶「……」コクリ
男「それじゃやり方だけど、まず頭から洗うんだ。頭に昨日使ったシャワーを使って、頭を濡らす」
橙「しゃわーっすかっ?それぼくすきっすっ!」
男「あはは、そっか。それでね、しっかり濡れたら、このシャンプーを……」
男(……女の子だし、俺の使ってるやつじゃまずいか)
男(ごめん、母さんの高そうな奴借りるよ)
男(というか、洗い方も俺の洗い方で大丈夫なのかな?女の子の洗い方とかあるんだろうか?)
男(……こんなところでも年齢=彼女なしの不便が出てくるなんてなぁ)
茶「……どうしたの?」
男「あ、いやなんでもない」
男(まぁいいか。今日は俺のやり方でやって、今度調べて改めて教えよう)
男「このシャンプーとリンスを使って頭を洗うんだ」
橙「はぇ……」
男「ここを押すと洗う為の液がでてくるから……よっと」
茶「……!」
橙「わ、なんか出てきたっす!」
男「そ。これを使うんだ。これを頭につけて、手で泡立てて洗うんだ」
男「その時はちゃんと目をつぶってね。それじゃないと泡が目に入って痛くなるから」
橙「はーいっすっ!」
茶「……」じー
男「それじゃあまずはここまでやってみようか。まずはシャワーで……あ、ここ捻ればお湯出てくるから」
男「あと、二人はここ以外のやつは捻っちゃ駄目ね。火傷しちゃうかもしれないから」
橙「やけど?」
男「怪我の一つだよ。……それじゃあ三毛。ここ、捻ってみて」
橙「はーいっすっ!……あっ!出たっすっ!あったかいやつでたっすっ!」
男「うん。それでシャワー持って、あったかい水を頭に掛けるんだ」
橙「はーいっすっ!……ぬわぁ」
橙「あははっ!おもぼぼぼっ!」
男「ちょ、シャワー掛けながら喋っちゃ駄目だってっ!」
橙「ごほっ!えふっ!」
男「大丈夫かっ?三毛?」
橙「あははっ!びっくりしたっすっ!でもおもしろいっすっ!あにきっ!」
男「そ、そっか。でも、あんまりやらない方がいいよ?大変な事になるかもしれないし」
橙「はーいっすっ!……おぼぼぼ」
男「……」
男「頭濡れたね。それじゃあ次はシャンプーを……ってあれ?」
茶「……」ピュッピュッ
男「ちょっ!茶!なにしてんのっ!?」
茶「……おもしろい」
男「おもしろいじゃなくてっ!……ああっ!かなり無くなってるっ!」
茶「……あ」
男「茶……」
茶「…………だめだった?」
男「……」
茶「……うう」
男「……こう言う時どう言えばいいか解る?」
茶「…………ううん」
男「こういうやっちゃ駄目な事をしたら、ごめんなさいっていうんだ」
茶「……ごめんなさい?」
男「うん、そう。これも人間として覚えることで大事な事だよ」
茶「……わかった」
茶「……ごめんなさい」
男「うん。もういいよ」
男「教えなかった俺も悪かったし。茶も謝ってくれたしね」
茶「……ん」こくり
男「よしよし」なでなで
男(……それにしてもいくらするんだろう。このシャンプー)
橙「おぼぼぼ……んあ?茶ねぇどうしたんすか?」
男「ちょっとね。それじゃあ三毛はこのシャンプー使って頭洗ってて」
男「あと、これ押すのは二回でいいから。それ以上おしちゃ駄目ね」
橙「へ?なんでっすか?」
男「なんでも。さ、早くやっちゃおうな」
男「さっきも言ったけど、ちゃんと目をつぶってね」
橙「はーいっすっ!」
男「その間に茶は頭を濡らそうな」
男「やり方は大丈夫?」
茶「……ん」コクリ
男「ならこれ使って……あ、顔にお湯当ててる時はなるべく息しないようにね。息止めるより苦しくなっちゃうから」
茶「……」コクリ
ジャー
男「……はぁ」
男(髪の毛洗うだけでこんなに大変だなんてなぁ……)
男(まだ体も残ってるし……大丈夫かな)
橙「にゃぁああああ!目痛いっすぅううううう!!」
男「ちょっ、だから目開けちゃ駄目だって言ったのにっ!」」
橙「いたいいたいっ!あにきぃいいいっ!」
男「ああ目擦っちゃ駄目だってっ!余計痛くなるからっ!」
茶「おぼぼぼぼ……」
―――――――
男(疲れた……)
茶「……男?」
男「ああ、なんでもないよ」
男「……はい、次は体ね」
橙「はいっすっ!」
茶「……ん」コクリ
男「体はこのタオルにボディーソープをつけて、あ、さっきのシャンプーとリンスはつけちゃ駄目だよ」
橙「ういっすっ!」
男「タオルに付けたら少し擦り合わせて泡立てて、それから体を擦るんだ」
男「ちゃんとわきの下とか、目立たないところもしっかりね」
橙「はいっすっ!わかったっすっ!」
茶「……ん」
男「それじゃあやってみよう。これも押すのは二回ぐらいで良いから」
橙「はいっすっ!ぴゅっぴゅっすっ♪」
茶「……三毛、まだ?」
男(うん。これは何とかなりそうだな)
男(やっと一息つけるかな……風呂はいっとこ)
橙「うふっ!うふふっ!なんかくすぐったいっすっ」
茶「……んっ」ぴく
男「それでもちゃんとやらないと駄目だよー」
男「……」
男(同じ位だと思ってたけど、三毛の方が大きいんだな)
男(色々と)
橙「おわったっすっ!あにきっ!」
男「ん、終わった?……ちょっと背中見せてみて」
橙「はいっすっ!」
男「あーやっぱり背中出来てない。ちょっと待って、今やってあげるから」
橙「せなかっすか?」
男「うん。そこもちゃんとやらなきゃ。よいしょと」
男「ちょっと貸して。……いくぞー」
橙「はいっす!……んやんっ!あにきっ!く、くすぐったいっすよぉっ」
男「我慢我慢。綺麗にしとくにはこうしなきゃ」
橙「はーいっす……んふっ!んふふふっ!」
男(三毛がこうなら茶もそうだろうな……)
男「よし、三毛もういいよ」
男「茶は終わった?」
茶「……おわった」
男「そっか。ちょっと後ろ向いてみて」
茶「……ん」
男(やっぱりか……でも一緒に教えるいいチャンスか)
男「茶もまだ背中出来てないよ。ちょっと茶の使ってたやつ貸して?」
茶「……はい」
男「ありがと。それじゃいくよ」
茶「……んん」ビク
男「三毛にも言ったけど、背中もちゃんとやらなきゃ駄目だよ?」
茶「……や、りかたわからない」
男「茶の背中やったら教えるから。ちょっと待って」
茶「……ん」
男「……」
男(あれ?これ俺がやってあげるんじゃなくて、最初から教えれば良かったんじゃないのか?)
男(……まぁいいか……)
―――――
男「よしっこれで体を洗うのはお終いだ」
男「どうだった?嫌じゃなかった?」
橙「はいっすっ!きもちよかったしっ、おもしろかったっすっ!」
茶「……きもちよかった」
男「それは良かった。それじゃあ最後にまたお風呂に入って、十数えような」
橙「へ?またやるんすか?」
男「うん。その方がちゃんと体暖まるから」
橙「へぇー!わかったっすっ!それじゃあはいろっすっ!茶ねぇっ!」
茶「……ん」コクリ
男「飛び込んじゃ駄目だぞー」
橙「あっ!あにきもいっしょにはいろっすっ!」
男「え?俺も?」
橙「はいっすっ!みんなではいったほうがあったかいっすっ!」
茶「……男、はいろ」
男「……あはは、わかったよ」
男(のぼせそうだけど)
男「それじゃまた皆で十まで数えよっか?」
橙「はーいっすっ!」
茶「……ん」コクリ
男「それじゃあ行くよー。……いーち」
橙「いーちっすっ!」
茶「……いち」
男(ようやく三毛と茶の二人が終わったか……長かったなぁ)
男(でも後は年長組だけだから大丈夫そうかな)
男(……大丈夫……だよな?)
男「……十!」
橙「じゅうっ!」
茶「……じゅ」
区切りのいいところで今日はここまで。
長らくお待たせてしまい申し訳ない。
少し忙しさが落ち着いたので、しばらくは2、3日周期で投下が出来る……かも。
>>404
その方が投下できるタイミングをしっかりお知らせできて、皆さんの期待を背かなくて済みますしね……。
これからは2.3日周期を基本に、投下出来る日の朝にお知らせしようと思います。
それではまた次回。
| \
|Д`) ダレモイナイ・・トウカセンゲン スルナラ イマノウチ
|⊂
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♪ Å
♪ / \ キョウノ ヨル ニハ
ヽ(´Д`;)ノ トウカ デキルト
( へ) オモウヨ
く
♪ Å
♪ / \ シャク アマッタ カラ オドル
ヽ(;´Д`)ノ ランタ タン
(へ ) ランタ タンタ
> タン
|┃ | │ ┃| / / / ( / ノ⌒)
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|──────────,ノ\___ノヽ /⌒⌒`ヽ/ ./ / /
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| 〇 /(●), .| / \ ヽ' /
|________/_, )ヽ、, , .::::| ./\__.\__ノ
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└──┴──┴─ヽニ´ .::::ノ ←>>1
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/ ④ \ (_/
>>464
川´;ω;`川<投下がしたいからぁ~!僕は死にましぇ~ん!!!
すいません、また遅れました。それでは投下開始。
居間
橙「きもちよかったっすーっ!」タタタ
茶「……」トコトコ
男「三毛っ!走ったら危ないってっ」
柴「出てきたか」
黒「あ、三人ともお疲れ様です」
橙「えひひっ!だいじょうぶっすよーっあにきっ!」
橙「それより茶ねぇっ!はやくりもこんであそぼうっすっ!」
茶「……ん」コクリ
黒「もう……三毛ちゃん、楽しみなのはわかるけど。男兄さんの言う事聞かないとダメだよ?」
橙「えへへっ!はーいっすっ!」
橙「茶ねぇっ!はやくはやくっ!」
黒「ほんとにわかってるのー?もう……」
男「あはは……まぁ今日はしょうがないからいいよ」
黒「あ、男兄さん……」
男「それより次は黒と白だよ。いける?」
黒「は、はい。大丈夫です」
男「うん。……あれ?白は?白ー?」
柴「白か?白なら……ほら」
橙「白ねぇっ!はやくりもこんかしてくださいっすよーっ」
茶「……まだ?」
白「あーもうちょっとだからちょっと待ちなさいってば」
柴「ずっとテレビに齧りついたままだ。……何が面白いのやら」
男「柴はあまり面白くなかった?」
柴「くだらないことや興味の無いことばかりだったからな。見る気が起き無かった」
男「そっか。でもなんか柴らしいな」
柴「……そうなのか?」
男「うん。なんとなくそう思ってただけだけど」
男「そういえば黒は?テレビどうだった?」
黒「わ、私ですか?私も……あまり」
男「え?なんで?」
黒「ええと、その、なんだかぴかぴかしてるから……目が痛くて」
男「あははっ!そっか」
黒「え?な、なにかおかしいですかっ?」
男「いや、そんなことないけど……かわいいなって思って」
黒「かっ、かわいい、ですかっ!?」
男「うん。今時の人間でそんなこと言う人いないからさ。それで」
黒「そ、そう、ですか……」カァ
柴「……ご主人。白と黒を風呂に入れなくていいのか」じと
男「あ、そうだね。白っ!いい加減風呂行くよっ!」
橙「白ねぇーまだすかぁー?」
茶「……おそい」
白「……なるほどっ!はーいっ!今行くわっ」
白「待たせて悪かったわね。はい二人とも」
橙「やったぁっすっ!やっと触れるっすっ!」
茶「……ん」コクリ
橙「どうするっすか?なにさわるっすか茶ねぇっ!」
茶「……これ」
白「仲良く使いなさいよー」
男「白ーまだかー?」
白「あ、はーいっ!今行くわっ!」
白「お待たせっ!男っ!」
男「随分食い入って見てたね……そんなに面白かった?」
白「ええっ!面白かったわっ」
白「とっても、ねっ」
男「そっか、それはよかった。それでどんなの見てたの?」
白「ふふっ!ないしょー」
男「え?なんで?」
白「内緒は内緒なのっ!ほらっお風呂入るんでしょ?」
白「急ごう急ごうっ」ぐいぐい
男「ああ、うん。わかったから押さなくていいってっ」
黒「……白姉さん、なんで内緒にする必要があるんでしょうか?」
柴「さぁな。毛玉の考えてる事なんか私にはわからん」
白「黒ーっ?何してるの早く来なさ―いっ」
黒「あ、はいっ!今行きますっ!」
柴「それをあいつが言うか……全く」
黒「あ、あはは……それじゃあ行ってくるので柴姉さん、二人の事……」
柴「わかってる。任せてゆっくり行ってこい」
黒「はいっ。それじゃあ行ってきますねっ」タタタ
柴「……内緒、ね」
柴「『男を落とすテクニック!2012決定版!』」
柴「だったか。……くだらない」
橙「おりゃぁああっす!」ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ
茶「……三毛、てれびまぶしい」
柴「……二人ともあんまり弄ってリモコン壊すんじゃないぞ」
脱衣所
男「よしそれじゃあこれから風呂入るけど……服の脱ぎ方、白は解るよな?」
白「ええ、もちろんよっ」
男「黒は?」
黒「わ、私も多分大丈夫です。……着る時と逆の事をすればいいんですよね?」
男「うーん……大体そうだね。でもわからなくなったら白に聞けば間違いないから」
黒「はい、わかりました」
男「それじゃあ服脱いじゃおう。そうしたら」
黒「あ、あのっ!」
男「ん、どうしたの?」
白「黒?」
黒「えと……その、お風呂に入る前に、ちょっと……」モジモジ
男「……あ、なるほど。いいよ、行っておいで」
黒「ごめんなさい……い、いってきます……っ!」
タタタ
男「黒が戻ってくるまで待機だね」
白「……そうね」
白(ちゃーんすっ!)
白(後で男と二人になった時にやろうと思ってたけど……こんな早くチャンスが廻ってくるなんてラッキーっ!)
白(さっき見たテレビの情報で……男をメロメロにさせてやるんだからっ!)
白(それじゃあ早速……)
白「ふ、ふぅ……なんか暑いなぁ」
男「そう?俺はちょっと肌寒いけど……」
白「あ、暑いものは暑いのっ!」
男「え、あーうん……」
白「あ、暑いから服ぬいじゃおっかなー」
男「今から脱ぐと黒が来るまでに体冷えちゃうよ?」
白「だ、大丈夫だからっ!もうっ!」
男「……怒ってる?白」
白「怒ってないっ!」
白(くぅ……なんで?ほんとはここで男は恥ずかしそうにするんじゃないのっ)
男「……?」
白(そ、そっか。これは男が鈍いからこうなるんだよねっ)
白(もっとやれば……よしっ)
白「や、やっぱり暑いから脱いじゃおーっとっ」
男「うん。白がそうしたいなら……」
白(む、無反応……なんで?)
白「えいっ!……あ、あー涼しい」
男「寒くない?」
白「寒くないっ!」
男「そっか……」
白「……うーっ!」
白(ぬ、脱いだのに……テレビならここで顔真っ赤になるんじゃないのっ!?)
白(これも全部男が鈍いから悪いんだっ!もーっ!)
白(……でも下着姿になれば、さすがの男も……)
白「よしっ!やってやるんだからっ」
男「……白?」
―――――――
白「くちゅんっ!」
男「白?やっぱり寒いんでしょ?服を……」
白「さむくなぁーーいっ!」
男「どうしたんだよ白……」
白(し、下着だけになったのにっ!これでも駄目なのっ!?)
白(鈍すぎだよっ!もうっ!)
白(こ、こうなったら……最後の手段っ!)
白(テレビっ!信じてるからねっ!)
男「これいじょうは流石に風邪ひいちゃうって。だから……」
白「男っ!」
男「な、なに?」
白「すーっ……んっ!」
ガラッ
黒「ご、ごめんなさい。服着てるから時間掛かってしまって……」
白「あなたのハートにずっきゅんきゅん♪らぶりーきゅーてぃーさんふらっしゅ♪」ビシ
白「なんてねっ♪」
黒「……」
白「……え?あ?く、くろ?えっ?」
黒「……白、姉さん……?」
男「……」あんぐり
白「お、男、な、なんで?え?な、な、な……」
白「なんでぇえええええええええええ!!!」
――――
男「……なるほど」
黒「……」
白「……」ぐす
男「あの、な、白」
白「なによっ!」
男「えっと……テレビは凄く面白いし、為になることだって知ることが出来る」
白「だからなんなのっ!」
男「でもね、必ずしもそれがやっていい事でもないし、正しい事じゃないんだ」
男「いくらテレビが可愛く見えるって言ってもね」
白「うぅうううう……」
男「流石に今回の事でわかったと思うけどさ」
白「……」
男(多分白はバラエティを見たんだろうな……時間的にもぴったりだし)
男「あと、さ」
白「まだなにかあるのっ!」
男「白はそんなことしなくても十分可愛いんだからさ、いつも通りでいればいいんだよ」
白「……」
男「……白?」
白「……う」
男「え」
白「違うのっ!!嬉しいけどそういうことじゃないのっ!!ばかぁっ!!」
タタタ
男「あ、白っ!」タッ
黒「男兄さんっ!」
男「……黒?」
黒「今は……そっとしておいてあげた方がいいと思います」
男「いや、今行かないと白が風邪を……」
黒「私が白姉さんだったら……誰にも追ってきて欲しくないです」
黒「特に男兄さんには……」
男「……どうして、そう思う?」
黒「……わかりません。そうは思うんですけど……」
男「……そっか。白に近い黒が言うんだから、そうなんだろうな」
黒「確かとは、言えませんけど……」
男「いや、多分そうだろう。なんとなくだけど、俺も気持ちわかるし」
男「……まずはお風呂はいろっか。後に柴もいるし」
黒「白姉さんは……」
男「白は後で何とかするよ。今はお風呂に入ろう」
黒「はい……」
男「うん。……ところで黒、服は脱げる?」
黒「あ、は、はい。大丈夫です」
男「そっか。なら安心だね」
男「……」
男(白、大丈夫かな……)
黒「あ、あれ?胸の服が……」
男「……」
男「……脱がす?」
黒「……い、いえっこれは自分でやりますっ」
男「そっか。ゆっくりでいいからね」
黒「は、はい……。あ、あれ?背中の……どこっ」
黒「あれ?あれ?……あれっ?」
男「……黒。背中向けて」
黒「……はい……」
男(ブラのホックを外す初めての相手が彼女じゃなくて、飼い猫になるなんてなぁ……)
男(なんか複雑だ。……ええと、ここかな)ぷち
黒「んっ」
男「外れたよ」
黒「す、すいません、男兄さん……」
男「いいよ。慣れてないんだからしょうがないんだから。さ、早くお風呂入っちゃおう」
黒「は、はい……」
黒(な、なんだかまた顔が熱い……ど、どうしたんだろう)
浴室
男「よし、まだお湯だな。ってあれ?黒?」
黒(ど、どうしたんだろう。なんだか男兄さんに体……見られたくない)
黒(昨日は見られても何ともなかったのに……どうして?)
男「どうしたの?外に突っ立って……なにかあった?」
黒「い、いえっ!なにも……ないです」
男「それなら早くこっち来て。風邪ひいちゃうよ」
黒「は、はい」
黒「……あっ、これって」
男「そ。察しの通りこれが昨日のやつとは違うもの」
男「今日はこれに入るんだ」
黒「こ、これに……ですかっ?」
男「うん。ちょっと怖いかもしれないけど、全然危なくないから大丈夫」
黒「……ほんと……ですか?」
男「うん。というか怖いどころか、気持ちいいぐらいだよ」
男「チビ二人もそう言ってたしね」
黒「……男兄さんが、茶ちゃんと三毛ちゃんがそういうなら……大丈夫、なんですよね」
男「うん。大丈夫だよ」
黒「それじゃあ……入り、ますね」
男「どうぞ」
黒「……」
男(やっぱりデカいな……色々と)ジー
黒「あ、あの……男兄さん」
男「う、ん?どうかした?」
黒「えと……その、あまり……」
黒「こ、こっちを、私、を……み、見ないでもっ、もらえますか」
男「えっ?何で?」
黒「あ、あの、なんだか、その顔、が、熱くなって……」
黒「い、イヤなんです……」
男「え」
黒「あっ!けっ、決して男兄さんに見られるのがイヤって意味じゃなくてっ!その……なんていうか……い、今は駄目なんですっ!」
男「あ、うん、わ、わかった。ごめん……」クル
黒「い、いえ……」
男・黒「「……」」
男(いきなりどうしたんだろう、黒のやつ)
男(顔を赤くしてもじもじ……これは恥ずかしがる態度だけど)
男(昨日はそんなこと無かったのにな……)
黒(わ、私何言ってるんだろう男兄さんにいきなりこんな……)
黒(昨日はこんなこと無かったのに……男兄さんに見られてると思ったら、なんだか、顔が……)
黒(へ、変に思われてないかな。大丈夫かな)
男「あ、お、お風呂入った?」
黒「は、はい。入りました」
男「そ、そっか。どう?気持ちいい?」
黒「は、はいっ!……とても……いい、です……」
男「そ、それは良かった」
黒「は、はい……」
男・黒「「……」」
男(き、気まずいな……黒が恥ずかしがってるから仕方ないんだろうけど)
男(……でも、ここで黙ってたら余計気まずくなるだけだし……よし)
男(にっこり笑ってこの雰囲気を吹き飛ばして何か楽しい話を……)チラ
黒「……!」サッ
男(あ、ダメだこれ)
男(どうしたもんかな……)
黒「あ、あの……男兄さん」
男「ん、ど、どうかした?」
黒「え、ええと……その……」
黒「わ、私……あの、おかしくなっちゃったんでしょう、か……」
男「ど、どうして?」
黒「昨日は、こんなかっ顔が熱くなる事なんか、無かったのに……」
黒「今は、顔、すごく熱く、て……男兄さんの顔を見るのも、い、嫌じゃないけど、嫌で……」
黒「わけ、わからなくて……っ」
黒「だから私、変に……」
男「……」
男(そっか……黒は)
男「……いや。変なんかじゃないよ」
男「その変な感覚はね、恥ずかしいって感覚なんだ」
黒「恥ずかしい……です、か?」
男「そう。自分の見られたくないところを見られたくないっていう気持ち」
男「人間にしかないものだよ」
黒「……人間にしか……」
男「うん。だから、その気持ちを持つことは人間に近くなっている黒にとっておかしい事じゃないんだ」
男「だから変に思う必要はないよ。それは自分を大切にする為にとっても必要な気持ちだから」
黒「……」
男「……人間になりたくない黒には残念なことかもしれないけどね」
黒「い、いえっ!そんな……」
黒「……あの」
男「うん?」
黒「男兄さんも……こんな気持ちになるん、ですか?」
男「もちろん。こういったらなんかおかしいけど、俺も人間だからね」
黒「……」
男「その気持ちは、恥ずかしいと思う事に慣れない限り感じないってことは無いんだ」
男「あ、その、裸を見られるってことに慣れる必要はもちろん無いからね?」
黒「は、はい……」
男「それで……辛いかもしれないけど、体を洗う事を教える今日だけは我慢してくれないかな」
男「我慢してくれれば、明日からは俺なしで体洗えて、恥ずかしいって思わなくて済むからさ」
黒「……」
男「黒?」
黒「……わかりました」
黒「その……は、恥ずかしいけど……」
黒「男兄さんになら……その、私は……」
男「……そっか。ありがとう」
黒「……ぅ」コクリ
男「じゃあ体の洗いかた教えるから、風呂から出て来て貰っていい?」
黒「はい……」ざば
黒「男兄さん……」
黒「しかた……おしえて……ください……っ」
男「……うん。おいで」
男(年上好き、相手が黒でホントに良かった)
男(そうじゃなかったら今頃犯罪者になってたよ。うん)
黒「男、にいさん?」
男「あ、ごめん考え事してた」
男「それじゃあ教えるね。まずは髪を――――」
区切りのいいとこで今日はここまで。
もう2、3日周期を止めようかなと考え始めてます。ほとんど守れてないですし。
でもなるべくは早く投下を目指します。すいません。
それではまた次回。
男は常日頃(主に風呂で)おっきしてるの?
さすがに慣れたの?
手直するうちに手直しする部分が次々と……
すいません。もう少しかかりそうです
____ |
そっかー ||\ \ ̄| ̄~| | (´・ω・`)そっかー
(´・ω・`) ,|| l ̄ ̄ l |:[]/\ | _| ̄ ̄||__)_
┌‐| つつ/ ̄||/  ̄ ̄/ ,| / \| /旦|――||// /|
|└ヽ ヽ|二二二」二二二二/そっかー \ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| |
 ̄||∪∪ | || /(´・ω・`) / ̄ ̄/、 |_____|三|/
―――――――――――< ( _つ_// / >――――――――――――
\ {二二} 三三} / _______
そっかー(´・ω・`)_____ \ ̄ ̄ ̄ ̄"/ =| / / ||
/ つ _// / \ / |  ̄| l ̄ ̄ l ||(´・ω・`)そっかー
ヽ. |\// / |.\/ | =| \ ̄ \ ||¬ ⊂ ヽ/
\}===========} | [二二二二二二二
┌○┐
│で│ハハ
│き│゚ω゚)
│た│ //
└○┘ (⌒)
し⌒
大変お待たせして申し訳ない。
>>540
見た目は幼女、小、中学生、加えて男はロリコンではないのでおっきはしてません。
――――――――
浴室
男「これで体の洗い方はお終いだけど……だいたいわかった?」
黒「は、はい……わかり……まし、た……」ぐったり
男「あはは……お疲れ様」
黒「い、え……」
男「着替えとバスタオルは脱衣所に置いとくな。俺は先に出てるから」
男「パジャマ着るのは大丈夫だよね?」
黒「は、はい」
男「わかった。それじゃあしっかり体拭いて出てきてね」
男「そうじゃないと風邪ひいちゃうから」
黒「わ、かりました……」ぐったり
男「……大丈夫?」
黒「だ、大丈夫ですっ!ですから……先、行ってて大丈夫ですよ?」
黒「少し休んだら……すぐ行きます、ので……」
男「じゃあ先出てるけど……なんかあったら呼んでね」
黒「はい」
男「それじゃあお先ね」
ガチャ
黒「……」
黒「はぁ……」
黒「すごく、恥ずかしくて、すごく、疲れちゃったけど……」
黒「気持ち良かったなぁ……お風呂」
黒「……そろそろ行かなくちゃ」
黒「……」
黒「……でも、もう少しだけ……」
黒「……」
―――――
居間
橙「くー……んふふ……」
茶「……」こっくりこっくり
男「出たよー……って二人とも寝てるの?」
柴「三毛は人間が映って無いテレビを見たら早々にな。茶はまだ起きてる筈だが」
男「人間が映ってないテレビ?」
柴「映ってるのは人間なんだが人間じゃないというか……薄っぺらいというか……なんと言っていいかわからん」
男(人間だけど、薄っぺらい……アニメかな?三毛は結構好きなのかな)
柴「まぁ、それを見たあと三毛は一通りはしゃいだらすぐに寝たよ」
柴「あまり疲れてるようには見えなかったが、やはり昼間の白の件が響いてたのかもしれないな」
男「そっか……やっぱり疲れちゃってたんだね」
男「二人の事風呂の間見ててくれてありがとう。柴」
柴「……ついさっき面倒見るっていったばかりだからな。これくらいはするさ」
柴「それより、白はどうしたんだ?いきなり脱衣所から出てきたと思ったら二階に走って行ったぞ?」
柴「その上ご主人の部屋に入ったきり声もかけても出てこないし……なにがあったんだ?」
男「あー……うん。ちょっとね」
男(恥ずかしいとこ見られて、いたたまれなくなって逃げ出した……なんて言えないよなぁ)
柴「……何かまずい事でもあったのか?」
男「いや、そこまでではないけど……まぁ、ね」
男「柴にも心配かけちゃったな。ごめんね」
柴「……そ、それはいいがな。一番上の私がやらなきゃ、いけない事だしな。うん」
男「ん。ありがと。柴」ナデナデ
柴「……ふ、ふふ」
茶「…………男」
男「ん、どうしたの?」しゃがみ
男(多分一緒に寝よう、だと思うけど……)
茶「…………ねよ」
男(やっぱり)
男「あー……ごめんね。俺まだちょっとやる事あるから、まだちょっと一緒に寝れないんだ」
男「今から布団敷くから、先に寝てて?やること終わったら茶のとこ行くからさ」
茶「…………さっきもそういった」
茶「…………やること、あるって」
男「う……」
茶「…………またねてくれないの?」
男「うーん……まいったな……」
男(また黒に任せるか……いや、駄目か。……流石に続けて任せるのも気が引けるし)
男(昼間の白の件といい、さっきのお風呂の事といい黒も疲れてるだろうしなぁ)
柴「茶。またご主人を困らせる気か」
茶「……」
柴「ご主人はまだやることがあると言っているだろう」
柴「それに人間になったのだからわがままばかり言うんじゃないぞ」
茶「……やだ」
柴「茶!」
茶「……やだっ!」ギュウ
男(……)
男(……今日はしょうがないか)
男「わかった。いいよ今日は一緒に寝よう」
柴「ご主人っ!」
茶「……!」ぱぁ
男「その代わりだけど、皆の布団を敷くまでは待ってくれない?」
男「そうしないと三毛も皆も寝れなくなるからさ」
茶「……わかったっ」
男「じゃあちょっと待ってて。すぐ敷いてくるから」
茶「……うんっ」
男「よし、それじゃ柴、ちょっとついて来て。教えたい事あるから」
柴「……ああ」
寝室
男「それじゃあ教えたい事だけど……」
柴「ご主人」
男「……ん?」
柴「ちょっと下のやつらに甘すぎるんじゃないのか」
柴「あまり我儘を許し過ぎると、舐められて言う事を聞かなくなるぞ」
男「うーん……確かにね。今のも少し甘かったかなとは俺も思ってる」
柴「ならどうして厳しく言わない?我慢する事も、人間になった私たちが覚える事だろう?」
柴「それに人間以前にあいつは私たちの下だ。そんな奴に言う事を聞かせないでどうするっ!」
男「……柴。その話は後にしよう。今は茶が待ってる」
柴「……」
男「そうする理由も後でちゃんと説明する。だから今は、ね?」
柴「……わかった」
男「ありがとう、柴」
柴「……ふん」
柴「それで、私に教えたい事って言うのは何なんだ?」
男「うん。それなんだけど、柴には布団の敷き方を覚えて貰いたいんだ」
柴「布団って……私が朝寝ていたやつか?」
男「そう。俺、明日から学校もバイトあるから、皆が寝るまでに帰ってこれないかもしれないんだ」
男「だから、俺が居なくても先に寝られるように柴に布団の敷き方を教えておこうと思ってさ」
男「それに柴ならこのぐらい簡単に出来ると思って」
柴「……な、なるほどな。うん」
男「なるべくは早く帰ってこようとは思ってるけどね……」
男「悪いけど、お願いしていいかな」
柴「ああ、任せてくれて構わない」
男「ありがと、柴」
男「それとごめんね。こんな面倒な事ばっかり柴に押しつけちゃって……」
柴「……いいさ。ご主人にあいつらの事を頼まれてるしな」
柴「これぐらいはやるさ」
男「……ホントにありがとね。柴」ナデナデ
柴「……ふ、ふん」
柴「それで?布団とやらは何処にあるんだ?」
男「布団はそこの引き戸の中にあるよ。そこから出してここに敷くんだ」
柴「わかった。ここだな」がら
男「あ、出す時の注意だけど」
柴「これか。よいしょっ……とっ!」
ぐら
男「あ」
柴「あ……」
ドサドサ
柴「わきゃあっ!」
男「……考えないで引っ張ると崩れてくるよ」
柴「そ、そう言う事は早く言えっ!」
男「ごめん」
――――
居間
茶「……」こっくりこっくり
茶「…………おそ、い……」
茶「……むぅ……」
「お疲れ様、柴」
「なかなか大変なんだな……」
茶「!」
茶「……男っ」トコトコ
男「お待たせ、茶」
茶「……うんっ」ギュッ
男「よしよし。……あれ?黒は?まだ戻ってきてない?」
茶「……?」
男「……まさか」
浴室
黒「くぅ……くぅ……」
男「やっぱり……」
茶「……黒?」
柴「……黒は何でこんなところで裸で寝てるんだ?」
男「あー……たぶん、お風呂で一日の疲れが出ちゃって、眠気に耐えられなかったんだと思う」
男「気を使ったのが裏目に出たな……黒。黒っ」ユサユサ
黒「ん……あ……?」
黒「あ……男にいさん……おはようございます……」
男「寝呆けてる場合じゃないよ。大丈夫?寒くない?」
黒「はい……?」
黒「……」
黒「……っ!」
黒「わ、わたしっ……ぃっ!」サッ
男「……まずは服着よっか」
黒「うぅうううう……」
茶「……黒。どうしたの?」
柴「……さぁな」
―――――――
居間
黒「ご、ごめんなさい……」
男「いや、いいよ。一人にした俺も悪かった」
男「それより寒気とか、ぼーっとしたりとかはしない?」
黒「い、いえ……」カァ
男「大丈夫?顔赤いけど……」
黒「あ、いえっ!そうじゃなく、て……」
男「あ。そっか……ごめん」
黒「い、いえ……」
柴「不注意だぞ。黒」
黒「す、すいません……」
柴「……まぁ何もない無いなら、よかった」
黒「……はい」
茶「……黒、どうしたの?」
黒「う、ううんっ。なんでもないよっ!なんでも……」
茶「……?」
男「まぁ何事も無かった事だし、寝よっか。黒も茶も疲れたでしょ」
黒「はい……」
茶「……うんっ」ギュッ
男「それじゃ……」
橙「くかー……りもこ……くふふ」
男「よっと。……軽いな三毛は」
茶「……む」
くいくい
男「ん?どうしたの?」
茶「……茶も」
男「あはは、今は無理だよ。布団に行ってからしてあげるから」
茶「……むー。……わかった」
男「よしよし。それじゃ柴、ちょっと行ってくるから」
柴「……さっきの理由はいつ話すんだ」
男「……」手招き
柴「……ん」スッ
男「茶が寝たらすぐ戻ってくるから。ちょっと待ってて」ボソ
柴「……わかった」
茶「……男?」
黒「理由?」
男「なんでもないよ。それじゃあいこっか。おやすみ。柴」
茶「……おやすみなさい」
柴「ああ、おやすみ。……茶」
黒「あれ?柴姉さん、寝ないんですか?それに白姉さんは……」
男「柴は少しやることがあるんだって。白は俺の部屋で先に寝てるよ」
黒「そう、なんですか……?わかりました」
黒「おやすみなさい、柴姉さん」ペコ
柴「ああ。おやすみ」
柴「……」
柴「……はぁ」
―――――
寝室
男「ここでいっか。……よっと」
橙「んぐぅ」
茶「……」
くいくい
茶「……男」
男「うん。おいで」
茶「……うんっ」ギュッ
男「よしよし。……黒は寝るとこ決めた?」
黒「は、はい。大丈夫です」
男「うん。じゃあ寝よっか。今日は黒も茶もお疲れ様」
黒「い、いえ……。そ、それより男兄さんがここで寝るなんて、珍しいですね」
男「……黒。ちょっと耳かして」
黒「え?は、はい……」
黒(ち、近い……)
男「俺、茶が寝たら出て行くから。……さっき一緒に茶と寝るって約束したんだ。だから今……」ボソ
黒「あ、な、なるほど。だから柴姉さんは……」
男「うん。そういうこと」
黒(そっか。男兄さんは一緒に寝ないんだ……)
黒(……)
男「黒?」
黒「あ、は、はいっわかりましたっ」
茶「……男、何してるの?」
男「ちょっとね。内緒話」
茶「……むー」
茶「……男」
男「うん?」
茶「……おなか、ぽんぽんして?」
男「ぽんぽん?……ああ、いつも俺が寝る前にやってたやつか」
茶「……ん」
男「好きなの?」
茶「……すき」
男「ん、わかった」ポンポン
茶「……んふふ」
茶「……おとこ」
男「ん?」
茶「……今日は、たのしかった」
茶「……てれびも、おふろも」
男「それはよかった」
茶「……ん」こくり
茶「……でも、こわかった」
男「怖かった?」
茶「……白」
男「ああ……白か」
男「やっぱり急にいなくなっちゃったから?」
茶「……ん」コクリ
茶「……それと、皆も」
男「え、どうして?」
茶「……みんないつもとちがって……ちくちくしてて……」
茶「……こわかった」
黒「……」
男「そっか……」
男「でも、もう怖くないよな?」
茶「……ん」
茶「……三毛も、げんきにもどった」
茶「……黒も、やさしいにもどった」
茶「……白も、もどってきた」
茶「……それに、男もいるから」ギュッ
茶「こわくない」
男「そっか。よかった」ナデナデ
茶「……んふ」
男「……あれ?そういえば柴は?」
茶「……柴は」
男「柴は?」
茶「……こわいまま」
男「あははっ!そうなの?」
茶「……ん」コクリ
茶「……でも、白のいない時よりこわくない」
男「そっか……よかったね。茶」
男「茶は柴の事嫌い?」
茶「……んん」ふるふる
茶「……すき」
男「そっか。柴も、茶の事好きだと思うよ」
茶「……んふ」
茶「でも」
男「ん?」
ギュッ
茶「……男がいちばんすき」
男「ふふ、そっかぁ」
男「俺も茶のこと、大好きだよ」
茶「……えへへ」
茶「……おとこ」
男「ん?」
茶「……おとこも、ぎゅーして?」
男「はいはい」
ギュッ
茶「……んぅう」
男「よしよし」
男「……なぁ、茶」
茶「…………うん?」
男「茶は、昔の姿に戻りたい?それとも、この姿のままが良い?」
茶「……」
茶「…………わかんない」
男「そっか……難しかったな。茶には」
茶「……でも」
男「ん?」
茶「……おもしろいこといっぱいあるから……すき」
茶「……それと」
茶「……前より、おとこ、あったかいから、すき」
男「あったかい?昔の方が毛もあったし、あったかくなかった?」
茶「……ん」コクリ
茶「……でも、今のほうが、あったかい」
男「そう……なの?」
茶「……ん」コクリ
茶「……すごく、すき」
男「そっ、か……?うん」
男「もう寝ようか。これ以上起きたら風邪ひいちゃうし」
茶「…………ん」コクリ
男「おやすみ。茶」
茶「……おやす……み」
男「……」
男(茶は結局どうなんだろうな……戻りたいのかどうなのか良くわからなかった)
男(でも、案外この姿も気に入ってるみたいだな……)
――――――――
橙「くかー……」
茶「すー……すー……」
男「寝たな……さて」
黒「……男兄さん」
男「ん、黒、起きてたんだ」
男「大丈夫?疲れてるんだから早く寝た方が良いよ」
黒「いえ……大丈夫です」
黒「あの、男兄さん、まだ何かやること、あるんですよね」
男「うん。ちょっとだけどね」
黒「……あの、でしたら、なにかお手伝いしますか?」
黒「男兄さんだって……その、疲れてるでしょうし……」
男「……いや、大丈夫だよ。ホントに大したことじゃないから」
黒「でも……」
男「……それじゃあまた、茶と三毛の二人の事見てて貰っていい?」
男「茶が起きて俺も黒も居なかったら多分大騒ぎすると思うから」
黒「それだけで……いいんですか?」
男「うん。それとね、簡単でどうでもいいことのように思えるけどこれは大変だし大事だよ?」
男「もし茶が起きたら俺のいない理由を誤魔化さなきゃいけないし、いなきゃそれすら出来ないから」
黒「な、なるほど……」
男「うん。それじゃあお願いしていい?俺が戻るまで」
黒「……はいっ」
男(茶も疲れてるから起きてこないだろうし、黒も疲れで途中で寝るだろうけどね)
男「ありがとう。それじゃあお願い」
黒「はいっ、任せてくださいっ」
スタスタ
黒「……なにがなんでも起きなきゃ」
黒「……」
黒「……」ウツラウツラ
居間
柴「……遅いぞ。ご主人」
男「ごめん。少し話してた」
柴「全く……まぁいい。それでさっきの理由だが」
男「ごめん。もうちょっと待って貰っていい?」
柴「……またか。今度はなんだ?」
男「ちょっと白の様子を見に行きたいんだ。下着姿のまま走って行ったし……やっぱり気になるから」
柴「……はぁ。わかったよ」
柴「その代わりすぐに戻って来てくれよ」
男「わかった。……まぁ白は大丈夫だとは思うんだけどね」
柴「? どうしてだ?」
男「なんとなくかな。あ、さっきの理由と一緒にお風呂の入り方も教えたいから、先に脱衣所行ってて貰っていい?」
柴「……わかった」
男「ごめんね。さっきからお願いばっかりで」
柴「いいから。早く白の様子見て来てくれ」
男「うん。じゃあ行ってくる」
タタタ
柴「……全く」
男の部屋前
男「……今の姿になってもこれは変わらないんだな」
コンコン
男「白?入るよ」
ガチャ
男「……」
男(俺の布団が膨らんでる……やっぱりそこにいるか)
男「白、起きてる?」
「……」ビク
男「起きてるね。……寒くない?」
「…………ない」
男「そっか。寒くなったら、俺の服だして着てていいからね」
「……」
男「……また来る。後でね」
「……」
スタスタ
「……」もぞ
白「……」
脱衣所
男「ごめん。ほんとに待たせた」
柴「……いいさ」
男(怒ってるな……そりゃそうか)
男(散々待たせてた挙句、全部後回しだからなぁ……)
男「とりあえず、話は風呂に入りながらしよう。そのほうが体が暖まっていいと思うし」
柴「……わかった」
男「ぬ」
柴「脱げる!」
男「ああ、うん。わかった……」
柴「全く……」
男「……」じー
柴「な、なんだ?」
男「いや、ホントに脱げるかなって」
柴「ぬ、脱げるって言ってるだろうっ!だ、だから見るなっ!」
男「ご、ごめん……」
柴「ま、全く……」
――――
柴「ん。よし」
男「お、脱げた?」
柴「ああ!ほら出来ただろう!このくらいは出来て当然だ!」
男「うん。ホントだね。よしよし」ナデナデ
柴「……馬鹿にしてないか?」
男「え?してないよ?」
柴「そ、そうか……?」
男「うん。出来なかった事がちゃんと出来るようになったのは凄い事だし。ちゃんと脱げてるしね」じー
柴「……う……?」
柴(な、なんだ?落ち着かない……ご主人の目が……向けられるとっ)
柴「み」
男「み?」
柴「見るなぁっ!」サッ
男「ぅえ?……あ、もしかして」
柴「な、なんだっ!」
男「恥ずかしい?」
柴「は、恥ずかしい?」
男「うん。ええと……なんか顔とか、体が熱くなってない?」
柴「な、なんでわかる……」
男「やっぱりそうか……」
男(黒が恥ずかしさを感じるようになったんだから、柴もそうなっててもおかしくないよな……しまった)
柴「や、やっぱりってなんだっ!」
男「えーと……柴?」
柴「な、なんだっ!それと見るなぁっ!」
男「ご、ごめん」クル
男「その感覚なんだけどさ。それは――――」
浴室
柴「……」
男(またこうなるのか……)
男(この調子なら白もこうだろうな……)
男「……柴、お風呂はどう?」
柴「……」
男(まいったな……)
柴「……ごっ!主人……」
男「ん、どうしたの?」クル
柴「だ、だからこっち見るなと言ってるだろうっ!」
男「ごめん……」
柴「ま、全く……」
柴「……」
柴「……さっきの」
柴「……さっきの茶への態度の理由を話してくれ」
柴「下のやつの我儘を聞く理由を、我慢をさせなかった理由を」
男「……わかった」
男「柴は、我慢は人間として覚えること事だ。そう言ったよね」
柴「ああ。言った」
男「確かに我慢する事を覚えることは大事だ。人間にとってとても大事な事だし」
柴「ならっ」
男「でも、あの子たちは人間になったとは言え、まだなったばかりなんだ」
男「あの子たちが望んだわけでもなくね」
柴「……」
男「それなのに勝手に人間のルールを押しつけるのは……少し可哀想だと思う」
男「少しの間だけど、俺は人間のルールを教えてきた」
男「でもそれはあの子たちが覚えてもいいって思ってくれたから成り立ったに過ぎないんだ」
男「勝手に姿を変えられて、いきなりの事に混乱してるにも関わらずね」
男「本当なら嫌だ。って言われてもおかしくない。そしてそう言われても俺はそれに文句は言えない」
男「あの子たちは、柴は、元々人間じゃないんだから」
柴「……」
男「それなのにあの子たちは、柴は、ルールを覚えて人間として生きようとしてくれてる」
男「だから、すこしでも元の姿の時にしてた我儘に応えてあげたいと思うんだ」
男「……元の姿のとき、茶は俺が家にいる時ずっとぴったりくっついてたの柴は知ってる?」
男「寝るときにいっつも一緒に寝てた事も」
柴「……ああ」
男「そっか。……だから、その茶が元の姿にしてたしたい事、今の我儘に応えたいと思うんだ」
男「人間になってから何度も我慢させちゃったこともあったしね」
男「人間のルールを覚えてくれているお礼として」
男「……まぁそれだけじゃなくて、ただしてあげたいっていう気持ちのほうが強いんだけど」
柴「……」
柴「……もしかして」
男「……ん?」
柴「私の……散歩も、か」
男「……あはは」
柴「……」
男「……人間になったばかりの柴にはちょっとわからないかもしれない。でも今回だけは、許して欲しい」
柴「……」
柴「……ああ」
男「ありがとう。柴」
柴「……ご主人」
男「え?」
柴「……すまなかった」
柴「我儘を言っていたのは……私だったな」
男「……どうして柴が謝る?それに、我儘なんて」
柴「……私は良かれと思って自分の気持ち押しつけた。それが正しいとおもったから」
柴「ご主人の、人間の思惑も考えず、浅慮に、自分勝手に」
柴「だから……」
男「……そっか」
柴「だからすまないと……」
男「柴が謝る必要なんてないよ」
柴「……何故だ?私は」
男「だって柴は一つも間違った事なんかしてないんだから」
男「人間として、元の姿としてもね」
男「むしろ俺が謝らなくちゃならない。……ごめんな、柴」
柴「どうしてご主人が謝る?おかしいのは私で……」
男「柴はおかしくなんかない。むしろ凄く立派で……偉いよ」
柴「……何言ってる?わからない。ご主人が言ってる事、わからないっ!」
男「……そう思わせちゃってる事も俺が謝らなきゃいけない理由だ」
柴「……?」
男「多分、柴は自分が間違った事をしたと思ってるだろ?」
柴「……」
男「それは間違ってないんだ。むしろ凄く正しい事をしたんだ」
男「それなのに俺が我儘を言って、間違った事をしたように思わせて、混乱させてしまった」
男「だから俺は柴に謝らなくちゃいけないんだ」
柴「……そんな」
男「それが謝らなくちゃいけない事の一つ。そしてもう一つが」
男「俺が柴に甘えた事」
柴「……甘え、た?」
男「うん。俺は柴にさ、色々理屈並べて茶と一緒に寝た理由を言ったよね」
柴「……」コクリ
男「それは俺の甘え。俺の我儘」
男「人間のルールとしてはおかしいことなんだ。柴の言ってる事は正しかったんだよ」
男「それなのに俺は柴に我儘を言ってしまった」
男「すべきではないのに、甘えてしまった」
男「そんな状況を作ってしまった」
男「だから俺は柴に謝らなきゃならないんだよ。……ごめんな」
柴「……そんな、ご主人は……」
男「いや、これは俺の所為だ。……だから、そんな顔しなくていいんだよ」
柴「……」
柴「私は……正しかったのか?」
男「うん。そうだよ」
男「だから間違ったなんて思う必要なんかない。間違ってるのは俺なんだから」
柴「……わからない」
男「……」
柴「ご主人は、茶や皆の事、思って色々してくれてる、でもそれはおかしくて……」
柴「それをわからないで責めた私は、正しくて……」
柴「よく、わからない……」
男「……全部はわからなくていいよ。柴は間違ってないって事、自分を悪く想う必要はないって事だけわかってくれれば」
柴「……」こくり
男「よかった。……それと、わかってくれてありがとね。柴」
柴「……ああ」
男「……それと、もうない様にはするけど、またこう言う事が起こるかもしれない」
男「その時に変だって思ったら、すぐに言ってね」
男「今みたいに、柴の思ってる事、柴がどう考えてるか、解りたいし、俺のおかしい所を直したいから」
柴「……いいのか?」
男「うん。ホントはこんなことあったらダメなんだけど……わからないままで、おかしくなっていく方が嫌だから」
男「また柴に甘えちゃう事になっちゃうけどね」
柴「……」
柴「わかった」
柴「わからない事は聞く。そして、できるなら納得する。納得したい」
柴「それが、ご主人の為になるなら」
男「そっか……。ありがとう。柴」ナデナデ
柴「……っ」
柴(う、な、なんだ?また……か、顔が、体が……あついっ)
柴「……さ、さわるなっ!」
男「うえっ!?」
柴「い、いや触っていい。いやっ!やっぱり触るなっ!」
男「ええっ!?」
柴「ち、違うっ!違うんじゃないっ!い、いやっ!そうじゃないっ」
柴「さ、さわれぇええええええええ!!!」
男「ど、どうすればいいんだよっ!」
区切りのいいところでここまで。
男が説教マシーンになってる気がしないでもない。
それと、いくつかネタを頂きありがとうございます。いくつか使いたいネタがあったので、話に入れていこうと思います。
ネタはまだまだ募集中なので、気軽に書き込んでみてください。
それではまた次回。
みんなかわええな(*´Д`*)
猫って狭いとこ好きだよね?
鍋の中とか(*´Д`*)ネコナベ
言っちゃいかんかもしれんけど
ちゃんとトイレした後拭いてるのかな?
【壁】・ω・`)<壁を叩かないでください。しんでしまいます。
やっと落ち着いたみたいですね……遅れてしまって申し訳ない。
それでは投下開始。
―――――――
居間
男(体の洗い方教えたら追い出された)
男(まぁ解ってくれればいいし、その方が柴にとってもいいだろうからいいんだけどね)
男(後は白か……)
柴「ご、ご主人……出たぞ」
男「ん、お疲れ様。ちゃんと洗えた?」
柴「ば、馬鹿にするなっ!やり方さえわかれば私にだってできるっ」
男「そっか。……ちょっといい?」スタスタ
柴「な、なんだ……」
柴(ど、どうして近くに寄るっ!)
男「……」サワ
柴「……っ」
男「やっぱり濡れてる。……髪」
柴「か、髪?」
男「うん。ちゃんと拭かないと風邪ひいちゃうよ。バスタオルは?」
柴「だ、脱衣所に置いてきた」
男「そっか。取ってくるからちょっと待ってて」
柴「あ、お、おいっ」
スタスタ
柴「……」
柴「び、ビックリした……」
―――――
男「取ってきたよ。……よっと」
男「柴。ちょっと俺の横に座ってくれる?」
柴「……な、何する気だ。ご主人」
男「髪の毛の拭き方を教えるついでに、拭いちゃおうと思って」
柴「い、いいっ。やり方さえ押してくれれば自分でやるっ」
男「それでまた中途半端っだったら風邪ひいちゃうよ。それに実際にやって貰った方がちゃんと覚えられると思うし」
柴「で、でも……」
男「悪いと思ってるなら全然気にしなくていいよ。俺がやりたいって思って言ってるんだし」
男「あ、それとも……俺に触られるの、嫌か?」
柴「そっ!そんなことない、が……」
男「それなら、ね?」
柴「……」
柴「わ、わかった……」
男「うん。それじゃあ隣、どうぞ」ポンポン
柴「……」
男「じゃあ頭ちょっとこっち向けて」
柴「……ん」
男「痛かったら言ってね。すぐ止めるから」
柴「……わかった」
男「よし。じゃあ始めるよ」
柴「……ああ」
男「……」ごしごし
柴「……」
男「柴の髪。綺麗だね」
柴「そ、そうなのか?」
男「うん、凄く。やっぱり元の姿の毛が綺麗だったからかな?」
柴「さ、さぁな……。というか私、綺麗だったのか?」
男「綺麗だったよ。毛並みも良くて、さわり心地も良かったし」
柴「そ、そうか……」
男「うん。だから柴に抱きついてたりしてた。……柴は嫌そうな顔してたけど」
柴「……あれはホントに嫌だったぞ」
男「あ、やっぱり?」
柴「やっぱりって解っててやってたのか。……全く」
男「その姿も可愛くてさ。つい」
柴「……さ、最悪だな」
男「あははっ。ごめん」
男「……そうだ。柴、俺と……というか、俺たち家族と出会った日の事、覚えてる?」
柴「……なんとなくは覚えてる」
柴「変な奴らが来たなって、お父様達が来たときはそう思った」
男「あはは……変な奴らか」
柴「で、でも、今は全く違う思いになったぞ」
柴「ご主人たちは私の誇りだ」
男「そっか。そう言ってくれると凄く嬉しい」
柴「い、いや……」
柴「そ、そう言えば、どうしてあの時私を選んだんだ?」
柴「他にも私の兄妹達がいた筈なのに……」
男「あー、それはね……」
男「俺の一目惚れ」
柴「ひとめ、ぼれ?」
男「見た瞬間好きになっちゃったってこと」
柴「……ぅえ?」
男「柴と俺達が出会ったあの日。俺達は親戚の家にお呼ばれされてたんだ」
男「何かの事で父さんたちは話していたんだけど……確か誰かが結婚するんだっけな。でも俺は退屈でその話し合いから抜け出してその家を探検してた」
男「そこで偶然入った部屋に、柴たちが居たんだ」
男「可愛いなって見てたんだけど……その中にひと際可愛い子犬が居たんだ」
男「それが柴」
柴「……」
男「その時に俺は柴に一目惚れした」
男「この子と一緒に暮らしてみたい。一緒に遊んでみたいって、そう思ったんだ」
男「そこから俺は父さんや伯父さんに無理言って飼わせて欲しいって頼み込んだ」
男「伯父さんは喜んで頷いてくれたな。もともと何処かに貰われていく予定だったみたいだしね」
男「父さんはちょっとしぶってたかな。まぁそれも何とか説得したんだけど」
男「それで、柴は家に来ることになったんだ」
柴「そう、か……」
男「まぁそこまでするほど柴が可愛かったって言いたかったんだ。あはは」
柴「そ、それは言わなくていいっ」
男「いやでもそれは事実だし……実際大きくなって美人さんになったしね」
柴「ぅ……も、もういいっ!」
男「あ、うん……」
柴「ま、全く……」
男「でもまぁホントに柴を家に貰って良かったよ」
男「楽しい思い出も沢山出来たしね」
柴「……ああ」
男「そうだ、柴覚えてる?皆で車に乗って川まで行った事」
柴「ああ、覚えてるよ。凄く泳ぐのが気持ちよかったし、楽しかった」
男「ああ、やっぱりそうなんだ。泳ぎ終わった後、凄く嬉しそうだったしね」
男「でもあの時はビックリしたよ。川を見つけたら真っすぐ走っていって泳ぎ出すんだもん」
男「今まで一度も泳いだことなんてなかったのに。……あれはどうして泳げたの?」
柴「あれは……私にもわからない。川を見つけたら飛び込みたい衝動に駆られて、そのまま何も考えないで飛び込んだら泳げてた」
男「やっぱり本能とかなのかな」
柴「さぁな……。でも凄く楽しかった。また機会があれば行きたい」
男「機会があればね。……あ、今なら人間の姿だし、旨く尻尾と耳を隠せば簡単にいけるかも」
男「もっと皆が人間であることになれたら、皆で河原に行こうか」
柴「ああ!行きたいっ」
男「うん。いつか行こうな」
男(……でも、これは元の姿に戻ったら出来ない事なんだよな)
男(方法を見つける前に……いければいいかな。もうすぐ夏だし)
男「他にも色々あったよな……家族みんなで」
男「……」
柴「……ご主人?」
男「いや、なんでもないよ。はい、髪の毛終ったよ」
柴「ああ、うん……」
男「さ、柴はもう寝たほうがいいよ。今日は色々あって疲れたでしょ」
柴「わ、私はまだ大丈夫だぞっ!というか、ご主人はまだ寝ないのか?」
男「俺はまだ白の事が残ってるから。それを終わらせたら寝るよ」
柴「……何か手伝うか?」
男「いや、いいよ。疲れてる柴にやらせられないし、多分、まだまだ時間掛かるから」
柴「ご主人だって疲れてるだろう?二人でやれば早く終わるだろうし、疲れだって……」
男「気持ちは凄く有り難いけど……多分、柴が居ると逆に大変になっちゃうだろうから」
男「悪いけど、先に寝ててくれないかな?」
柴「……ご主人がそういうなら……わかった」
男「ありがとう。それと、ごめんね」
柴「いや……」
男「寝るとこは昨日と同じ所、さっき布団敷いたところでいい?」
柴「ああ」
男「それじゃあそこで。後で俺も多分行くから」
柴「……わかった。待ってる」
男「うん。それじゃあ白のとこ行ってくるよ」
男「また昔の事話そう。その時に柴の感じたこととか思った事、もっと知りたいし」
柴「ああ。……私ももっと、話したい」
男「うん。約束だ」
男「おやすみ。柴」
柴「おやすみ。ご主人」
男「……」
男「柴」
柴「ん、なんだ?」
男「寅のこと、覚えてる?」
柴「……覚えてるよ。覚えていない筈がない」
男「そっか。……よかった」
男「忘れないであげてね。……おやすみ。柴」
柴「ああ。おやすみ」
スタスタ
柴「……」
柴「寅先輩、か」
男「柴、昔の事結構覚えててくれてるんだな……」
男「それも、楽しく思ってくれてて。……よかった」
男「……うん」
男「急ごう」
男の部屋 前
男「……大分遅くなっちゃったな。白、起きてるかな」
男「ノック……は止めとくか。寝てるかもしれないし」
ガチャ
男「白?まだ起きてる?」
「……」
モゾ
白「……」
男「……起きてた?」
白「……ん」コクリ
白「……」
男「白?」
白「……おそいよ」
男「ごめん」
男「隣、座るよ。……よいしょ」
白「……」
男「ごめんね。遅くなっちゃって」
白「……別に」
白「皆、お風呂に入れてたんでしょ」
男「うん。それ以外にもちょっとあったけど」
白「……ふーん」
男「……」
白「……」
男「……そんなに、恥ずかしかった?」
白「……恥ずかしい?」
男「落ち着かなくなって、そこにいたくない……っていう感覚」
白「……それなら、そう」
男「そっか。……ちょっとビックリしたけど、あの格好、凄く可愛いと思ったよ」
白「……」
男「それに見た黒だって驚きはしてたけど、全然気にしてなかったよ」
男「風呂入ったらもうその事も忘れてたみたいだしね」
白「……」
男「だから、もう気にすることなんて……」
白「……やっぱりわかってない」
男「え?」
白「だから男は彼女が出来ないんだよ?……どんかん」
男「……う」
男「ち、違うの?」
白「気にしてない訳じゃないけど……」
白「別に今は私は男と黒に見られて恥ずかしかったことを気にしてるわけじゃないのっ」
男「じゃあ……どうして?」
白「……」
男「……白?」
白「……わ、わかってよ」
男「え?……ええと……」
男「……」
男「ごめん……わからないや」
白「もー……わからないと思ったけどさ」
男「ごめん」
白「……」
白「…………やだったの」
男「へ?」
白「く、黒に見られた事を見られたことが嫌だったのっ!」
男「……え?」
白「く、黒にかっこ悪いとこみられて、それに変な顔された事を見られたことが嫌だったのっ!」
白「も、もうっ!わかってよっ!」
男「……」
男(ああ、そっか。そういうことか)
男(白は俺が考えるよりずっとプライドが高かったんだ。だから……)
男「そっか……今、やっとわかったよ」
白「男……?」
男「ごめんな。解るのに時間掛かっちゃって」
男「しかもまた白に恥ずかしい思いさせちゃった」
白「……」
男「全然白の事わかってあげられてなかった。……ずっと一緒にいるのにな」
男「ごめん」
白「い、いいよっ!そんなに謝らなくたってっ」
白「わ、私が勝手に落ち込んで、こうなってるだけなんだからっ!」
白「あ、謝らなくたって……」
男「いや、でも……」
白「いいのっ!……そ、それより……」
白「ごめんなさい」
男「白……?」
白「……」
白「こうしてれば、男が来てくれるって思ったから、私……ここにいたの」
白「それでまた私……男に心配かけて、迷惑かけちゃったから……」
白「だから……ごめんなさい」
男「……」
ナデナデ
白「……男?」
男「迷惑なんか思ってない。心配はしたけど……」
男「今は、服着てる?」
白「……着てない」
白「男の布団、暖かいから」
男「そっか。それならよかった」
男「俺は白のやった事を迷惑なんか思ってない」
男「嫌な事があったら白が俺の布団に逃げ込むのは昔からだしね」
白「……う、うん」
男「それより白の気持ちを解ってあげられなかった事の申し訳なさが強いよ」
男「いや、違うな……申し訳なさもあるけど……それより情けなさの方が強いな」
男「今いる猫たちの中で、一番長く一緒にいるのにって」
白「……」
男「だから、俺は白に謝ったんだ」
男「自分が情けなかったから」
白「お、男は情けなくなんかないっ!」
白「す、凄く鈍いけど……私たちの為に色々してくれてっ!優しいから……」
白「だから……」
男「……ありがとう。白」
男「でも、今回のことで俺はまだまだ皆の事、知らないってわかった」
男「もっと努力して、皆の事わかりたい」
男「こう言う事が、もうないように」
白「……男」
男「今日は、もうごめんは言わない」
男「逆に白を困らせちゃうから」
白「……うん」
男「でね。白も今の事はもう謝らないで欲しいんだ」
男「俺が困っちゃうから」
白「……うん。わかった」
男「ありがとう。……じゃあ、仲直りしよう」
白「仲直りって……どうするの?」
男「白が好きな、後ろから抱っこ。させてくれない?」
男「白が布団の中に逃げたあと、いつもやってたみたいに」
白「……うんっ!」
ギュッ
白「えへへ……」
男「よしよし」ナデナデ
白「……ね、男」
男「ん?」
白「最後だから……一回だけ謝らせて?」
白「やっぱり迷惑かけたの、私だと思うから」
白「ごめんなさい」
男「……うん」
男「白は優しいね」
白「ううん。……男の方がずっと優しいよ」
男「そうかな……」
白「うん。すっごくっ」
男「……ありがと。白」
男「じゃあ俺も最後に一回だけ謝らせて。……ごめんね」
白「うんっ!」
白「ね、男っ」
男「うん?」
白「えへへ……お腹、撫でて?」
男「あれ?白あんまりお腹触られるの好きじゃないんじゃなかったっけ?」
※猫は腹が弱点の為、触られるのを嫌います
白「いーのっ!はやくはやくっ!」
男「うん……」
ナデナデ
白「んふふふっ!くすぐったーいっ!」
男「やめる?」
白「ううん。このままして?」
白「くすぐったいけど……凄く気持ちいいから」
男「……うん。わかった」
白「……ね。男?」
男「ん?」
白「私が何で男の布団逃げ込むか、わかる?」
男「うーん……俺がいつも後で来るから?」
白「……男、さっき私が言ったからそう言ったでしょ」
男「……う」
白「ふふふっ!まぁいいけどっ」
白「答えはね……半分当たり」
男「半分?」
白「うん。……何か悪いことしたり、嫌な事があってここに逃げたら、いっつも男は来てくれた」
白「だから私はここにいつも居たの」
白「でも、それだけじゃないんだー」
男「それじゃあ……どうして?」
白「ふふっ。どうしてだと思う?」
男「……うーん」
男「……落ち着くから?」
白「正解っ!」
男「お、やった」
白「じゃあどうして落ち着くと思う?」
男「え、どうしてって……せまいから?」
白「ぶっぶー」
男「え?違うの?」
白「うん。ふふっ!どーんかんっ」
男「ええ……じゃあどうして?」
白「なーいしょっ!それは男が答え、見つけてねっ」
男「なんだそりゃ……」
白「ふふふっ!」
男(やっぱりそう来たか……)
男「……何で?」
白「して欲しいからっ」
白「抱っこしてくれないと私いかなーいっ」
男「……甘えん坊だね。白は」
白「ふふふっ!そうだよ?私、甘えん坊なのっ」
白「だから、ね?おねがーいっ」
男(……まぁいいか。かなり待たせちゃったんだし、このくらいは)
男「わかった。おいで?」
白「いいのっ?やったぁっ♪」
男「うん。……よっと」
白「やぁんっ♪んふふふっ!」
白「おとこー好きだよーっ♪」スリスリ
男「あはは……俺も好きだよ」
男(二人きりになったら甘えて来てたとは言え……今日はすごいな)
男(まぁ可愛いから良いんだけどね)
脱衣所
男「はい、着いた」
白「もう着いちゃったのかぁ……残念」
男「それじゃあ服、というか下着脱いじゃって。白は……大丈夫だよね」
白「うーん……男、脱がせてっ?」
男「別にいいけど……いいの?」
男「恥ずかしくない?」
白「え?うん……?」
男(白にはまだそう言うのはないのかな?……やっぱ人それぞれなのか)
男「じゃあちょっと動かないでね。……よっと」
白「ん……」
スルスル
白「ん。……えへへっ。ちょっと寒いね」
男「風呂に入れば暖かくなるよ。……じゃ、下脱がせるよ」
白「うんっ」
目の前の少女の頷きに応えるため、男はその指を少女のショーツへと触れさせた。
幼い少女らしい丸みを帯びた華奢な腰に、男の指の感覚が伝わる。
固みを持ちながらも、弾力を持つ男の指。その感覚に白は、ぴくりと体を震わせた。
そしてその感覚と同時に、白の心臓が小さく跳ね、どうしようもなく落ち着かない気持ちにさせた。
男に触れられたい。だが、これ以上触れられたくない。そんな相反する思い。
その感覚は先程見られたくないものを黒に見られた感覚と似ていたが、非なるものだった。
跳ねた心臓は脈動を続け、大きさを増していく。落ち着かない気持ちは大きくなっていく。
男はそんな白の気持ちの変化に気付かず、ショーツの両端に指を掛け、白から下着を脱ぎ去る為に、ゆっくりと下に降ろそうとした。
「だ、だめっ!」
そこで遂に白は心臓の早鐘と、膨れて行く思いに耐えらえなくなり、小さな悲鳴と共に、男の固い手をその小さく、可憐な手で握りしめた。
白をそこまでさせた感覚の正体。それは黒、柴に芽生えた感情と同じものだった。
男「白?」
白「や、やっぱり自分でやるっ!お、男は先にお風呂入っててっ!」
男「え?ああ……うん」
男「じゃあ先に入ってる、よ?」
白「う、うん……」
スタスタ
白「……な、なにこれ」
白「ここがど、ドキドキして……顔、熱くて……」
白「……これ、恥ずかしい?」
白「でも、さっきの黒とは違うし……え、ええ?」
白「な、なんで?さっきまでこんなこと無かったのに」
白「……」
白「……でも……」
白「男になら……こんな気持ちにさせられるのも、いいって思っちゃう……」
白「な、なんなのっこれっ?」
「白ー?まだー?」
白「い、今行くっ」
白「と、とりあえずはお風呂、入らなきゃっ!」
区切りのいいとこで今日はここまで。
まだ二日目が終わらないという……
>>606
教えました。男が拭いて教えました。
またいくつか案を頂けて嬉しいです。話が広げられると>>1は大喜びしてます。
まだまだ募集中です。エロは難しいかもしれませんが……
では、また次回。
>>639の次
男「あ、そうだ。白。そろそろお風呂はいろっか」
男「もう夜中だし……そろそろ入らないと」
白「えー?やだっ♪」
白「もうちょっとこうしてよ?ね?」
白「おにーいちゃんっ♪」
男「そ、それはもういいから……」
男「と、とにかく駄目。明日も早いんだし……それにそろそろ風呂入らないと風邪ひくよ?下着のままなんだし」
白「ちぇっ。わかったわよー」
白「……あ」
男(……何か嫌な予感がする)
白「ね、男っ」
男「……何?」
白「抱っこして、お風呂場まで連れてって♪」
ご指摘感謝。それと申し訳ないです・・・
猫の目の色の描写あったっけ?
猫って同じ種類の猫でも目の色違うの?
【壁】///ω///`)<え、エッチなのはいけないと思いますっ!
という事で、このSSではガチエロは入れるつもりはありません。ラッキースケベくらいなら入れるかもしれないですが。
期待してくれていた方、申し訳ないです
地の文は気まぐれで入れました。なんとなく書きたくなったので。
たぶんもう入れないとは思いますが、どうしても表現に困ったら入れるかもしれないです。
ダニ娘「ねぇねぇ!ねぇってば~っ!」ピョンピョン
ダニ娘「むーっ!こどもあつかいす~る~な~っ!」ポカポカ ピョンピョン
すまん
\ ヽ | / /
\ ヽ / /
‐、、 投 下 宣 言 を 待 ち 望 む ス レ に >>1 の 姿 が! _,,-''
,-'"ヽ ∩___∩
/ i、 _,、 | ノ ヽ
{ ノ "'" "'"'"/ ● ● |
/ | ( _●_) ミ
/ 彡、 |∪| ミ _/\/\/\/|_
i ごめんなさい! \ ヽノ / \ /
/ `ー-ー'" } < 調子乗った! >
i' /、 ,i / \
い _/ `-、.,, 、_ i  ̄|/\/\/\/ ̄
/' / _/ \`i " /゙ ./
(,,/ , ' _,,-'" i ヾi__,,,...--t'" ,|
,/ / \ ヽ、 i |
(、,,/ 〉、 、,} | .i
`` ` ! 、、\
!、_n_,〉>
/'''7'''7 /'''7 / ̄ ̄ ̄/ / ̄ ̄ ̄ /
/ /i | / / .. ̄ .フ ./. / ./二/ / . . ____
_ノ / i i__ . ノ /__,l ̄i __/ (___ /__,--, / /____/
/__,/ ゝ、__| /___,、__i /___,.ノゝ_/ /___ノ..
という事で明日の夜には投下できそうです。12時くらいです。
27日の0時ィ……
____ / ̄ ̄ ̄\
/___ \ / ___ ヽ
/ |´・ω・`| \ / |´・ω・`| \ 投下~
/  ̄ ̄ ̄ \ / _,  ̄⊂二二)
| i ヽ、_ヽl | |
└二二⊃ l ∪ | |
| ,、___, ノ | ,、 |
ヽ_二コ/ / ヽ / \ /
_____/__/´ __ヽノ____ `´
浴場
白「……」
男「遅かったね、なんかあった?」
白「う、ううんっ!何も、無いけど……」モジモジ
男「……?」
白「な、何もないからっ!だ、だからあんまり見ないでよ……」
男(……ああ。なるほど)
男(白は柴たちよりも恥ずかしいって思うのが遅いのかなって思ったけど、そうでもないみたいだな)
白「おっ男っ!」
男「あ、ごめん」
白「もう……」
男「……」
男(これでチビたち以外は皆恥ずかしがるようになったのか……)
男(これがいいことなのか悪いことなのか良くわからないけど……どんどん人間に近づいてる事は確か、なのかな)
男(……これが人間に戻る時に、戻った後に何かの弊害にならなきゃいいけど)
白「じゃ、じゃあ早くシャワーか、かけて?寒いから……」
男「……ん。いや、今日はシャワーは後なんだ」
白「え?どういうこと?シャワーの前にやることなんかあるの?」
男「うん。今日は、というかこれからはシャワーの前に……ん、ちょっと温いけど大丈夫か」
男「これに入るんだ」
白「こ、これって……この水たまりに!?」
男「水じゃなくてお湯だけどね。皆気持ちいいって言ってたし、そんなに心配しな」
白「い、嫌だよっ!絶対に嫌!」
男「白……?な、なんで?」
白「だ、だって……私、前に……」
男「前……?」
男「……あ」
男(そういえば昔、白一回風呂の溜め湯に落ちたんだった)
男(すぐに自力で出てきたからその時は何ともなかったんだけど……トラウマにはなってたみたいだな)
白「だ、だから絶対やなのっ!絶対に絶対にや!」
白「か、体洗うならシャワーでもいいでしょっ?ねっ?」
男「別にいいけど……勿体ないよ?シャワーより絶対気持ちいいし……」
男「それに人間になった今なら溺れることは無いと思うよ?俺も傍にいるんだし」
白「で、でも……い、嫌っ!それでも嫌っ!」
白「怖いもんっ!あんな思い二度としたくないっ!」
白「お願いっ!ね?私、シャワーがいいっ!」
男「……うーん」
男(ここまで嫌がるなんてなぁ……相当来てるみたいだ)
男(こんなに嫌がってるのに無理に入らせるのもな……でもせっかく人間になってこの気持ちよさを知らないのはもったいないし……)
男(……よし)
男「じゃあさ、俺が白を抱っこして入るってのはどう?」
白「……お、男に抱っこっ?」
男「うん。それなら絶対に溺れること無いし、入った時に駄目だったらすぐ俺が抱えて出ることも出来るし」
男「ちょっと恥ずかしいかもしれないけど、これ一回きりだから」
男「どう?やってみない?」
白「……」
白(お、男に抱っこされるのは凄く嬉しいけどっ!そ、それでも……)
白(そ、それにいま、私こんな……は、裸だし……)
白(抱っこされたら、ま、また男に触られて……それにいま、男、裸……)
白(か、考えただけでか、顔が……)
男「白?」
白「っ!」ビク
男「あー……それでも嫌?」
白「あ、ちょ、ちょっと待ってっ」
男「え?う、うん」
白(は、恥ずかしくて……恥ずかしすぎるけどっ!)
白(で、でも……)
白(抱っこされたいって……気持ちも、ある……)
白(さっき、ここまで抱っこしてくれた時、凄く嬉しくて……気持ち、良くて……)
白(特に男の肌に直に触られたとこが、凄く……)
白(……裸の今、抱っこされたら……)
白(……)
男「ええと……白?」
白「お、男っ!」
男「な、なに?」
白「い……いい、よ?」
男「いいの?」
白「そっ!……そのかわり……」
白「ちゃんと抱っこ……してね……?」
男「うん。もちろん」
男「……ほんとにいいの?」
白「い、いいからっ!」
白「はやく抱っこ……してよ……」
男「わかった。じゃあ、こっち向いて」
白「うん……」
男「それじゃあ……」
男(背中に片手まわして……もう片方をお尻に……わ、柔らかい……)
白「ひえっ!」
白(手、手が尻尾の付け根に……!)
男「ど、どうかした?痛かった?」
白「う、ううんっ!なんでもない……」
男「そ、そう?でも痛かったり嫌だったら言ってね」
白「う、うん……」
男「じゃあ行くよ。しっかり捕まっててね……よっと」
白「わ……ぁ」
白(は、恥ずかしいけど……やっぱり気持ちいい……!)
白(男の手とか……胸とか……)
男(この抱っこなかなか難しいな……)
男(それにしても女の子の体ってこんなに柔らかいのか……)
男(……いや、これは白が小さいからか。女の子だからって訳じゃないか)
男「よし。じゃあこれからお風呂入るけど……駄目だったらすぐに言ってね。すぐに出るから」
白「……」
男「白?聞いてる?」
白「え、あ、うんっ!聞いてたよっ」
男「……そう?なら良いけど……」
白(そ、そっか。ぼーっとしてる場合じゃないよね。今からお風呂入るんだもん」
白「き、緊張してきた……」
男「きっと大丈夫。……入るよ」
白「っ!う、うんっ!」
ざぶ
白「……ひっ」ギュッ
男「……どう?」
白「……」
白「……こ、これがお風呂……?」
男「うん。そうだよ。……大丈夫?」
白「……」
白「……うん」
男「無理してない?無理して頷く事なんか……」
白「だ、大丈夫!ちょっと怖いけど……平気」
男「そう?」
白「うん……」
白「前みたいに口に水入ってこないし……足が着くし……」
白「それに、凄く……気持ちいい」
男「そっか。よかった」
白「……うんっ!」
男「……それじゃあそろそろ少し首に抱きつくの緩めて貰っていい?」
男「ちょっと苦しいから」
白「あ……!」
白(わ、私、今ぴったり男の裸に……!)
白「ひゃあっ!」バッ
男「ちょっ!」
ギュッ
白「っ!」
男「いきなり放したら危ないよ。……また前みたいになっちゃう」
白「う……ん……」
男「ゆっくりゆっくりね」
白「うん……」
男「よし。それじゃあこの恰好じゃゆっくり出来ないし、後ろから抱っこさせて貰っていい?」
白「……」ぽー
男「白?大丈夫?やっぱり怖い?」
白「っ!ううんっ!そんな、こと……」
男「そう?でも無理は……」
白「大丈夫!だいじょうぶ、だから……」
男「うん。わかった……じゃあ、……よっと」
ギュッ
白「あ……」
男「やっと落ち着いた」
白「う、うん……」
男「ふー」
白「……」
白(いつもと同じ大好きな抱っこなのに……凄くドキドキする)
白(でも……それ以上に凄く気持ちいい)
白(周りの暖かいお湯も、お腹にまわされた手も、背中に感じる男の体も……)
白(これはお風呂だから?それとも……二人とも、裸、だから?)
白(よく、わからないけど……)
白(……凄く、幸せ)
白「……ね。男」
男「うん?」
白「今ね、凄く……凄く幸せ」
男「そうなの?……お風呂に入ってるから?」
白「よくわからないけど……。多分、違うと思う」
男「じゃあどうして?」
白「……わかんない」
白「でもね?多分……多分ね?」
男「うん」
白「男に……こうやって、抱っこして貰ってるからだと思うの」
白「男の手も、体も、触れてるだけで凄く気持ちよくて」
白「凄くドキドキして……なんだか落ち着かないけど」
白「昔の姿じゃ考えられない位」
白「凄く、気持ち良くて……幸せだよ」
男「……そっ、か。よかった」
白「うん。……ね、男。……ぎゅっとして?」
白「そうしたらもっと幸せになれると思うから」
男「……うん、わかった」
ギュッ
白「ん……ふふっ」
男「これでいい?」
白「うーん……んーん。もっと強くしてっ」
男「え?もっと?これ以上やったら苦しくなるよ?」
白「いーのっ!……さっき、私が離れそうになった時に抱きしめてくれたぐらい……強くして?」
男「わがままだな。白は」
白「ふふふっ!知ってるでしょ?」
男「……わかったよ」
男(お腹じゃ苦しいだろうから肩にしとくか……)
男(それにしても……白の様子がいつもと随分違う気がする)
男(やっぱ裸とお風呂の所為もあって変なテンションなのかな)
白「男?まだ?」
男「あ、ごめん。じゃあ……」
ギュッ
白「あ……」
白「んふ、んふふふっ」
白「すきだよぉ……おとこぉ……ふふっ」
男「俺も大好きだよー」
男(まぁ、お風呂気に入ってくれたみたいだし……よかったのかな)
――――
居間
白「あー気持ち良かったっ!」
男「白、皆寝てるから静かにね」
白「あ、はーい」
男「さ、寝よ……って、その前に髪の毛乾かさなきゃな」
白「え?別にいいよー」
白「それよりー……もう一回抱っこしてっ?」
男「駄目。そのまま寝ちゃうと髪の毛傷んじゃうよ?」
男「折角綺麗な髪の毛してるんだし勿体ない」
男「それにほっとくと風邪ひいちゃうかもしれないし」
白「んー……そっか」
白「……男は」
男「ん?」
白「男は、髪の毛綺麗な方が好き?」
男「え?あーうん。どっちかと言えば……」
白「じゃあ乾かすっ!どう乾かすの?」
男「うん、ええと……乾かすにはドライヤーが必要だから、ちょっと待ってて」
白「うん、わかったっ」
―――――
男「持ってきたよ」
白「……げ。それって」
男「そ、白を風呂入れた時に使ってた乾かす機械」
白「それ使うん……だよね?」
男「うん。嫌かもしれないけどちょっと我慢な」
白「……わかったっ。早くやり方教えてっ」
男(なんかやけに素直だな……まぁいいか)
男「わかった。やり方だけど、このスイッチを上に押せば……」
白「わ、暖かい風でた」
男「この風を髪に当てて、櫛でとかしながら乾かすんだ。白を乾かしてた時と同じだね」
男(……これでいいよな?これも一応調べとくか……)
白「ふーん……。やっぱりこの風苦手」
男「我慢我慢。それじゃあ最初は俺がやるから、やり方覚えてね」
白「はーい」
ブオ―ン
白「うー……」
男「我慢我慢」
男「……」
白「……」
男「白の髪ってボリュームあるよね」
白「そうなの?」
男「うん。それにさらさらしてるけど、フワフワしてる」
男「今はちょっと湿ってしっとりしてるけど」
白「ふーん……そっか」
白「私、この髪ちょっと邪魔なんだぁ」
男「なんで?動きづらいとか?」
白「うん。それに重いし……」
白「無くせないのかな……」
男「白は髪の毛いらないの?」
白「……どうなのかな?よくわかんない」
白「無かったらなんか寂しくなりそうだし……」
白「寒くなりそう」
男「え?寒く?」
白「うん。だって昔、毛があったから暖かかったから」
男「ああ、なるほどね」
男「そうだね……白はそのままの方が良いよ」
白「なんで?」
男「だって髪の毛があった方が絶対白は可愛いから」
白「か、可愛い?」
男「うん。長くてフワフワで、綺麗な白い髪の色が凄く似合ってると思うし」
男「毛が長くて白。って言うのがあるし……そうなったら落ち着かないよ」
白「そ、そっかぁ……」
白「男は……私の髪の毛好きなの?」
男「うん。好きだよ」
白「えへへ……そっかぁ」
白「じゃあ私このままでいいっ!」
男「あははっ。うん。そのほうがいいよ」
白「うんっ!」
男「……よし。ちょうど髪の毛乾かすのも終わったし、寝よっか?」
白「うんっ。……あ、ちょっと待ってっ」タタタ
男「……?」
白「じゃんっ!どう?」
男「……どうって?」
白「もー!髪の毛だよっ髪の毛っ!」
男「ああそっか。……うん。凄く可愛いよ」
白「えへへっ!」
寝室
茶「……くー……」
橙「くかー……」
黒「……すー……」
男(やっぱり黒は寝てるか……想像通りだ)
白「男、今日はここで寝るの?」
男「うん。そうだよ」
白「ふーん。……私、男の部屋で二人で寝たいなぁー」
男「今日は駄目。茶と一緒に起きる約束したから」
男「それに今日は結構わがまま聞いたでしょ?」
白「ちぇっ、わかったわよー」
「……そうだ。あまり我がままを言うなよ。白」
白「え?柴っ?」
男「あれ?柴、起きてたのっ?」
柴「……待ってると言ったろう。……ふあ」むくり
男「眠たいなら無理しなくても良かったのに……」
柴「いや。私は言った事は守る」
白「……寝てれば良かったのに」
柴「なんか言ったか」
白「いーえー」
男「皆寝てるから静かにね」
白「はーい」
柴「……全く」
男「それより……ごめんね柴。かなり待たせた」
柴「……いや。勝手に自分で決めて起きていただけだからな。ご主人が謝る事じゃない」
男「……ありがとう、柴。それと、お疲れ様」
柴「ふふふ……」
白「……むぅ」
ギュッ
男「白?」
白「男っ、早く一緒にねよっ?」
白「今日は男疲れたでしょ?だから、ねっ?」
男「ああうん、そうだね。明日も早いし」
白「うんっ」
柴「……」
白「……」ふふん
柴「……」ムカッ
男「じゃあ俺は茶と寝るから、白は好きなとこで寝てね」
白「えっ?い、一緒じゃないのっ」
男「さっき言ったでしょ?茶と起きる約束したって」
男「茶が起きた時に隣にいないと、約束破る事になる」
白「ええぇ……」
茶「……フッ」
白「……くぅう……!」
男「……?」
白「じゃ、じゃあ男の隣は?それなら……」
男「無理かな……ちょうど茶壁際だし、その隣が一人分空いてるだけで……ほら」
黒「……すー……」
男「そのスペースの隣も黒が寝てる」
白「そ、そんなぁ……」
男「今日は悪いけど……他のとこで我慢して?」
白「うぅ……わかったわよっ」
白「次は絶対一緒に寝るからねっ」
男「うん。わかった」
白「もう……。それじゃああいてる所探さなきゃ……」
柴「……」
白「……」キョロキョロ
柴「……」
白「な」
白「なんで柴の隣しか空いてないのよっ」
柴「私に聞くな」
男「じゃあ皆そろそろ寝るよ」
白「なんで私が柴と……」ぶー
柴「こっちのセリフだ」
男「あはは……。あ、そうだ」
男「明日、俺早くに起きないといけないから起きられるように目覚まし掛けたいんだけど……」
柴「あの朝になったら鳴るやかましい音の事か?」
男「そう。うるさいかもしれないけど、お願いして良いかな」
白「男のお願いなら私はいいよっ」
柴「いつものことだ。私も大丈夫」
男「ありがとう。あとは寝てる皆だけど……」
柴「黒と三毛は大丈夫だろう。いつもこの部屋で寝て、聞いてるからな」
男「そっか。なら大丈夫か。茶は……一緒に起きるって約束したから大丈夫かな」
男「ちょっと悪い気もするけど」
男「うん。俺からはこれだけ。……じゃあ寝よっか」
白「はーいっ」
柴「ああ」
男「おやすみ。二人とも」
白「おやすみっ、男っ」
柴「おやすみなさい」
男「……」
男(……つっかれた……)
男(今日はかなり濃密な一日だったな……)
男(白と買い物行ったり、怒ったり。皆にお風呂の入りかた教えたり)
男(いつもとは考えられないくらい忙しかった……)
男(……でも)
男(皆の可愛いところ見れたし、楽しかったから、いいかな)
男(……明日は起きたら朝昼晩三食分作らなきゃな)
男(明日も大変そうだ)
白「もうちょっとそっち行きなさいよっ」
柴「そっちこそ向こうに行け。私の後ろは壁で狭いんだ」」
白「私だってすぐ後ろに三毛が居るのよっ」
三毛「……にゅふふ……」
ギュッ
白「わ、み、三毛っ」
柴「好かれてるな」
白「ち、違うわよっ、あ、三毛変なとこ触らないでっ」
三毛「……あにき……んふふ……っす……」
男(あはは……)
男(……頑張らないとな。皆の為に)
区切りのいいとこで今日はここまで。
700まで来てやっと二日目終了です。やりたいことやりすぎた。
これからは少しテンポを上げていきたいです。
それではまた次回。
―――――目を覚ますと、そこはパソコン画面の目の前でした。
昨日寝落ちしてしまいました。また伸びてしまい申し訳ない……
一時頃投下します。
お・待・た・せ(はぁと)
投下します
翌日 早朝
黒「ん……う……?」
黒「あれ……?あかるい……?」ゴシゴシ
黒「……私、寝ちゃ」
男「……」
黒「っ!」
黒(お、男兄さん?な、なんで抱き……)
男「……ぐー……」
黒(……ね、寝てる……?)
黒(……で、でもどうしてこんな恰好に……)
男「……ん……」
ギュッ
黒「にゃっ!?」
黒(ど、どうしようどうしようっ!)
黒(男兄さんち、近すぎるよぉっ)
黒(ま、また私、か、顔が……)
黒(と、とにかく離れなきゃ……!)
黒「よ、いしょ……」
男「……んん……」
黒「……あ……」
黒(だ、駄目。これ以上動いたら男兄さん起こしちゃう)
黒(折角気持ち良さそうに寝てるのに……)
黒(で、でもこのままじゃ私、変、なままだし……)
黒(どうしよう……)
男「……ぐー……」
黒(気持ち良さそうに寝てる……)
黒(……我慢するしか、無いのかな……)
黒(……でも、このままじゃ落ち着かない気持ちは収まらないし……)
黒(そ、そうだっ、もう一回寝ようっ!そうしたらこの気持ちも収まるだろうしっ)
黒(ね、寝ればいいの、寝れば……)
黒(そ、それじゃあ……おやすみなさいっ)
黒「すー、すー」
男「……ぐー……」
黒「……すー、すー……う」
黒「すー……」
黒「すーっ、すーっ」
黒「……」
黒(寝れない……)
黒(そりゃそうだよね……こんなに落ち着かないのに寝れるわけ無いよ……)
黒(バカだなぁ……私)
黒(……こうなったらやっぱり我慢するしかない、かぁ)
黒(……)
男「……ぐー……」
黒(そういえば……男兄さんにこうやって抱っこされながら眠るの、久しぶりだなぁ……)
黒(私が小さい頃は良く男兄さんにベッドまで連れてって貰って、一緒に寝てたっけ)
黒(好きだったなぁ……抱っこしてくれた男兄さんの暖かさも、匂いも……)
黒(でも、茶ちゃんが来てからは全然……)
黒(それが不満だって訳じゃ無いけど……茶ちゃんも嬉しそうにしてたし)
黒(……でも)
黒(……ちょっとさびしかったのはある……かな)
黒(……)
黒(今日ぐらいは……いいよね?)
黒(……あの時とは違って……なんだかドキドキする……けど)
ぴた
黒(……)
黒(……そ、それにしても、どうしてこんなにドキドキするんだろう)
黒(男兄さんに裸……見られたわけでもないのに)
黒(恥ずかしい、と似てるけどなんだか違う……)
黒(落ち着かないけど、なんだかその……気持ち、良くて……)
黒(これも人間になったから感じるのかな……)
黒(……)
ギュッ
男「ん……」
黒「っ!」
ぱっ
黒(お、起こしちゃった……?)
男「……ぐー……」
黒(よかった……起こしてないみたい)
黒(でも、これ以上やったら起こしちゃうかな……)
黒(……)
黒(もっと……優しくやれば……)
きゅっ
黒(……)
男「……ぐー……」
黒(良かった……)
黒(……)
黒(こうやってくっつくのも……凄く久しぶりだなぁ……)
黒(すごくドキドキするけど……やっぱり気持ちいい)
黒(暖かさも……)
黒(匂いも……)すんすん
黒(……)
黒(……うん?)
黒(……)すんすん
黒(ちょっと……違う?)
黒(……)すんすん
黒(やっぱり違う……)
黒(何でだろう。男兄さんは男兄さんなのに……)
黒(昔嗅いだ匂いと……少し違う)
黒「……ん……」すんすん
黒(昔とほとんど同じなんだけど……なんていうか……)
黒(凄く、濃くて……)
黒(なんだかぼわってする……)
黒(……)すんすん
黒(なんだろう……すごく……)
黒(……)すんすん
黒(あ……こっちの方濃い……)
黒(……)すんすん
黒(でも……もうちょっとだけ……)
男「……」ぱっちり
黒「……」
男「……」
黒「……」
男「……おはよう」
黒「……」
男「……黒?」
黒「っ!」ボッ
男(あ、一気に真っ赤になった)
黒「ご、ごごごごごごめんなさいっ!私……!」
男「あー……黒?」
黒「朝起きたら抱っこされててビックリして暖かくてっそれで昔の事っむぐっ」
男「えーと……混乱してるとこ悪いんだけど、ちょっと静かにしてもらっていい?」
男「今ちょっと皆寝てるからさ」
黒「……」こく、り
男「よしよし。……っし、それじゃあ黒が起こしてくれた事だし、起きますか」
黒「ご、ごめんなさい……起こしちゃって……」
男「気にしなくていいよ。もうすぐ起きる時間だったし」
男「それに、起こしてくれたお陰で目覚ましで皆を起こすことにならなくて済んだしね」カチ
黒「そ、そうなんですか……?」
男「うん。だから黒は全然気にしなくていいよ」
黒「は、はい……」
男「それで、あとの問題は茶だけど……」
黒「一緒に起きる約束……ですか?」
男「うん。……仕方ない。今日は居間に連れて行くかな」
男「そこで起きたら一緒にいる事にするよ。……ぐっすり寝てるのを起こすのは気が引けるし」
男「……よっと」
茶「……んぐ」
男「……黒はどうする?まだ寝る?」
黒「い、いえっ。私も起きますっ」
男「いいの?まだ朝の4時だけど……」
黒「だ、大丈夫ですっ。その、もう全然眠くない、ですし……」
男「……そっか。じゃあ一緒に起きようか」
男「起きても特にやること無いけどね」
黒「い、いえ……」
男「よし、それじゃあそーっとね」
黒「は、はい……」
居間
男「それじゃあ茶も暖かくしてソファに寝かせたことだし、ご飯作るかな」
黒「あっ、あの……」
男「うん?」
黒「さ、さっきは起こしてしまって……ごめんなさい」
黒「あんなにぐっすり眠っていたのに……」
男「だから気にしなくていいって。さっき言った通り色々助かったんだし」
黒「で、でも……」
男「……黒。俺ってさ、目覚ましの音嫌いなんだ」
黒「え?」
男「結構でかい音なるから驚かされて起きるって事がほとんどで、あんまり起きて気分が良いってことないんだ」
男「でも今日はすごく気分が良い」
黒「いきなり私に起こされたのに、ですか?」
男「うーん……起こされたって言うか……今回は、優しく目を覚ましてくれたって言うかな」
男「なんていうか……自然に目が覚めた時と似てる」
男「だから今は凄く気分がいいんだ」
男「黒には凄く感謝してる」
黒「そ、そんな……私はただ……」
男「……ちょっと起こし方は変だったけどね」
黒「う……」
黒「やっぱり……変でしたか……?」
男「ちょっとだけね」
男(ほんとは大分変だけど)
黒「ご、ごめんなさい……」カァ
男「それは全然気にしてないけど……どうしてあんなことを?」
黒「っ!え、ええと……その……」
男(あ、これ、聞いちゃいけないことだったか)
男「あー……言いたくないなら」
黒「その、私、起きたら、男兄さんに抱っこされてて、それでビックリして……」
男「黒?言いたくないなら別に……」
黒「でもそこで昔良く一緒に寝てた事思いだして、凄くドキドキしたけど昔みたいにしたくて」
男「黒?黒ー」
黒「だから抱きついてやっぱり男兄さんは暖かくて匂いも同じだと思ったら嗅いでみたら違って」
男(恥ずかしさで暴走してるのかな?……止めた方が良いのか、これ)
黒「違いをちゃんと知りたくて匂い嗅いでたらなんだかくせになっちゃってもっと嗅ぎたくなっちゃって」
男(……でもこれ止まりそうにないなぁ)
黒「それで嗅いでたら匂いが濃いところが首筋だって解って変かなって思ったんですけど止められなくて結局匂い嗅いじゃって」
男(……黒は匂いフェチなんだろうか)
黒「そうしたらやっぱり首筋がすごく匂いが濃くてぼわってして止められなくてそれでお、男兄さんを起こしちゃったんで、ですっ」
男「そ、そっか……」
黒「あっ、ご、ごめんなさいっ!話、長くなってしまって……」
男「いや、いいよ。黒がどうしてそうしたのかってよくわかったし」
黒「は、はい……」
黒「あ、あの、男兄さん」
男「う、うん?」
黒「私、へ、変、ですか?」
黒「こんなことする私って、その……」
男「え、う、うーん……」
男(行為自体は変。だけどそうとも言えないしなぁ……)
男(……よし)
男「変じゃないよ」
黒「え?そう……なんですか?」
男「うん。黒が匂いを嗅いだのは昔の俺と違うから、その違いを確かめたかっただけなんだよね?」
黒「は、はい」
黒「初めは……」ボソ
男(聞かなかった事にしよう)
男「だったら何も変じゃないよ。あのころとは俺も大分大きくなってるし、匂いが変わってても何もおかしくない」
男「それを確かめようってなっても全然おかしくないよ」
黒「そう、でしょうか……」
男「うん。黒はもともとが猫だし、そう言うのが気になるって言うのもおかしくないだろうしね」
黒「は、はいっ!そ、そうですよねっ!」
黒「よかったぁ……」
男「俺も納得してくれてよかったよ」
男(ホントに)
男「さ、それじゃあそろそろ皆の三食分のご飯作るかな」
男「黒は暇かもしれないけど、少し待ってて貰っていい?」
男「なんだったら、時間もまだまだ掛かるし、もう一回寝ていいけど」
黒「い、いえ。私も起きてます」
黒「もう全然眠くないですし……それに私が起きてた方が茶ちゃん起きた時にすぐ知らせられると思いますし」
男「いいの?」
黒「はい。もちろんです」
男「そっか。ありがとね。黒」
黒「い、いえっ!このくらいはしませんと……」
黒「もう私は人間なんですから」
男「……黒?もしかして遠慮してる?」
黒「え?遠慮……ですか?」
男「今もそうだけど、いつも黒はチビ達や白と柴に遠慮したり気を使ったりしてさ、我慢すること多いでしょ?」
男「だからそうなのかなって思ってさ」
黒「……」
黒「お気づかいありがとうございます」ペコ
黒「やっぱり男兄さんは……やさしいです」
男「いや、なんとなく気になったていうか……まぁ、うん」
黒「ふふっ。……でも、これは自分が好きでやってる事ですから」
黒「私が譲って、その代わりに他の皆が喜んでくれるならその方が私は嬉しいんです」
黒「だから、私は大丈夫ですよ」
男「そっか……。わかった」
男「というか、それなら俺より黒の方がずっと優しいと思うよ」
黒「い、いえっ!私なんか……」
男「でもさ、あんまり遠慮ばっかだと寂しいからもうちょっとわがまま言ってくれてもいいからね」
男「その方が俺は嬉しい」
黒「そう……なんですか?」
男「うん。……あんまりわがままばっかりだと困るけどね」
黒「ふふふっ!」
男「あははっ」
男「それじゃあ作ってくるから。茶のことお願いな」
黒「はいっ」
スタスタ
黒「……」
黒(やっぱり男兄さんは優しいな。……私なんかより、ずっと)
黒(今は茶ちゃんを見てる事しか出来ないけど……もっと何か出来るようになってお返ししたいな)
茶「……んぅ……」
黒「……茶ちゃん?起こしちゃった?」
茶「……すー……」
黒「寝てる……良かった」
黒「……ふふ」ナデナデ
茶「……くふ……」
黒「……」
黒「わがまま、かぁ」
黒「……もう少し甘えてみても……いいのかな」
―――――――
黒「……」
黒(流石にやること無いと暇だなぁ……)
黒(テレビは……ちょっと私には合わないし)
茶「……すー……」
黒(茶ちゃんも起きる様子もないし……)
黒(よく猫の時こういうとき過ごせてたなぁ)
黒「……」
黒「……男兄さんになにか手伝えること、ないかな……」
黒「……ちょっと行ってみよう」
キッチン
男「よし、晩御飯完成っと」
男「あとは冷えたらラップ掛けて、柴か白か黒に電子レンジ教えればオッケーか」
男「次は昼御飯だけど……チャーハンでいいかな」
黒「……男兄さん?」
男「ん、黒?茶起きた?」
黒「い、いえ、そうじゃないんですが……」
黒「なにかお手伝いできることは無いかなって思いまして……」
男「手伝いか……うーん……今は特にない、かな」
男「結構危ないしね」
黒「そ、そうですか……」しゅん
男「……」
男「黒。……もしかして、暇?」
黒「あ、え、えーと、その」
黒「……ちょっとだけ」
男「あははっ。やっぱり」
男(黒テレビ苦手って言ってたしな……。そりゃ暇にもなるか)
男(手伝いか……火も包丁も使うから危ないんだよな……かといって他にすることもないし)
男(……俺が見てれば大丈夫かな。時間も余裕あるし……)
黒「そ、それじゃあ私、戻ってますねっ」
男「ちょっと待って」
黒「……え?」
男「やっぱりちょっと手伝って貰いたいことあるから、手伝って貰っていい?」
黒「え、い、いいんですかっ?」
男「うん。嫌なら無理にとは言わないけど」
黒「や、やりますっ!やらせてくださいっ」
男「あははっ。うん、じゃあお願いね」
黒「はいっ」
男「エプロンもしたし……準備はオッケー?」
黒「はいっ!」
男(なんか凄く生き生きしてるな。それだけ嬉しいのかな)
男「ん、それじゃあまずは包丁で肉を切って貰いたいんだけど」
黒「お肉、ですか?」
男「うん。でも黒は包丁の使い方知らないよね」
黒「は、はい……」
男「だから今日は俺がやり方教えながら手伝って貰うから」
黒「……それってお手伝いなるんですか?お手伝いになって無いような……」
男「手伝いだよ。そんなことより、はいこれ」
黒「は、はい……。……これは?」
男「包丁。歯の部分触ると指切って怪我するから絶対に触らないようにね」
黒「は、はいっ」
男「それじゃあ切り方だけど……」
―――――
男「よし。これで大体切り終わったね」
黒「……結構大変なんですね……。男兄さん、いつもこんなのをやってたんですか?」
男「んー……まぁね。慣れればどうってことなくなるよ」
男「それより黒凄いな!すぐやり方覚えちゃって自分の物にしちゃってたし」
男「黒は料理の才能あるかもね」
黒「い、いえ。見よう見まねです、あんなの……」
男「いやいや。だから凄いんだって。それであれだけできちゃうんだから」
男「自信持っていいって!」
黒「そ、そうですか?……えへへ……」
男「うん。こんなにできるなら近いうちに黒自分で料理できるかもね」
黒「そ、そんなっ、わ、私……え、えへへっ!」
男「それじゃあこの調子で火の使いかたも覚えちゃおうか」
黒「は、はいっ!」
男「それじゃあ火の使い方だけど……この突起を捻ってそのままにしたら火が出るんだ。……ほら」
ボッ
黒「ほ、ホントですね……。これが、火ですか?」
男「うん。料理をするときには欠かせないもので、とても便利なものなんだ」
黒「へぇ……。なんだか綺麗ですね」
男「うん。でもね、便利で綺麗だけどこれは凄く危ないものなんだ」
男「ちょっとだけ手を近づけてみて。……あ、絶対触っちゃ駄目だよ」
黒「は、はい……」
黒「……熱い、ですね」
男「うん。さわってもいないのにこんなに熱いでしょ?これが直に触れたら大変な事になるんだ」
男「包丁で指を切って怪我どころじゃない。もっと大変な事になる」
黒「……大変な事、ですか?」
男「大けがをするよ。それだけならまだ良いけど……」
男「……皆死んじゃうかもしれない」
男「柴も白も茶も三毛も、黒も、俺も。皆」
黒「……」
男「だから二つ約束して欲しい」
男「俺が近づけていいって言ったもの以外は絶対に近づけないで。それと、俺が良いって言う以外は絶対に火を使わないで」
男「お願いできる?」
黒「……わかりました」
男「ありがとう。……ちゃんと使えばそんなことにはならないからそんな顔しないで」
黒「あ、は、はい……」
男「それじゃ安全に使ってこう。使い方だけど、今日はフライパンっていうものを使って料理を作るから」
黒「は、はいっ!」
男「まずコンロにフライパンをおいて、火を掛ける。最初は強火が良いかな」
男「それで温まったら油をひいて、基本は火が通りづらそうなものから入れて行くんだ」
男「今日は肉を使うからまずそれを入れるけどね。それから――――」
――――――――
男「完成!」
黒「わぁ……」
男「美味しそうに出来たね」
黒「はいっ!」
男「どうだった?料理、楽しかった?」
黒「はいっ!とってもっ!」
黒「あのバラバラだった食材が一つになってこんな美味しそうなものが出来る……凄いですっ」
男「あははっ。そっか。……また今度もやってみたい?」
黒「はいっ!是非っ!」
男「じゃあまた明日も手伝い頼んでいい?黒が手伝ってくれると助かるから」
黒「はいっ!……あ、で、でもやっぱり教えて貰ってばっかりで……男兄さんの手間になっちゃってましたよね?」
黒「またお手数かけちゃんじゃ……」
男「全然。……最初はちょっと時間掛かっちゃうかなって思ってたんだけど」
黒「あ、や、やっぱりそうですか……」
男「でも黒覚えるの凄く早くて全然手間になったなんて思わなかったよ」
男「教えるのも楽しかったし、俺がまたお願いしたいくらいだよ」
男「これからもっと上手くなってくれればホントに助かるしね」
黒「ほ、ホントですか?」
男「うん」
黒「そ、それじゃあ……明日もお願いしますっ」
男「うん。こちらこそお願いします」
黒「はいっ!」
男「……そうだ。黒、さっき作ったやつ味見してみる?」
黒「え、い、いいんですか?」
男「うん。……はい、あーん」
黒「は、はいっ。あ、あーん……」
黒「んっ」
男「どう?美味しい?」
黒「……はいっ!とってもっ!」
―――――――
男「朝ごはんも出来たな。……といってもご飯と目玉焼きだけど」
黒「目玉焼き難しいです……」
男「黒ならすぐ出来るようになるよ」
男「っと、朝ごはんも出来て、そろそろ良い時間だしみんな起こすか」
男「俺は茶起こすから、黒は皆起こして来て貰っていい?」
黒「は、はい。行ってきます」
男「ありがとう、黒」
男「……大分茶放っておいてたけど大丈夫かな」
黒「……大丈夫だと、思いますよ。起きてないみたいですし……」
男「そうだね。それじゃあ起こしにいきますか。……ちょっと不安だけど」
黒「ふふ。はいっ」
居間
茶「……すー……」
男「よかった、まだ寝てる」
黒「そうですね。……よかったね。茶ちゃん」
男「それじゃあ、黒は皆の事……」
黒「はい。任せてくださいっ」
タタタ
男「さてと……茶?茶?起きて」ユサユサ
茶「……んー……?」
男「お、起きた?」
茶「………………」
茶「……すー」
男「ちょ、茶っ!おーいっ」ユサユサ
茶「…………おとこ……?」
男「うん。おはよう」
「……」
男「茶?」
茶「…………だっこ」
男「え?いきなり?」
茶「……だっこ」
男「……わかったよ」
ギュッ
男「これでいい?」
茶「……ん」
茶「……久しぶりに朝いっしょ」
茶「……んふふ……」
男「……よしよし」ナデナデ
男(そう言えば毎日一緒に寝てたとはいえさわられるのは嫌がってたな……茶)
男(今はさわらせてくれるけど……人間になってから何か変わったのかな)
男(こんど聞いてみよう。……まぁそれより今は朝ごはんだな)
男「茶?朝ごはん出来てるから、そろそろ行くよ?」
茶「……」
男「……茶?」
茶「……すー……」
男「……」
寝室
黒「……起こしに来たはいいけど」
柴「……くー……」
白「……すぅ……」
橙「……くかー……」
黒「皆ぐっすり寝てる……。昨日はよっぽど疲れてたんだなぁ」
黒「……でも、起こさなきゃ。男兄さんにお願いされてるし……」
黒「まずは白姉さんから……。白姉さん、白姉さんっ起きてくださいっ」ユサユサ
白「……うー……?」
黒「あ、起きました?おはようございます、白姉さん」
白「……おとこぉ……?」
黒「え?わ、私男兄さんじゃ……」
白「……んふふー……おとこぉ」むく
黒「だ、だから私は」
白「おはようのきーすぅっ」
がばっ
黒「にゃあああああああ!!!」
橙「んあ?」ぱち
柴「……朝から騒々しいな。どうし」
白「んううう~」ちゅー
黒「し、白姉さんちが、ちがいますからぁ!」
柴「朝からなにやってるんだ。お前ら……」
黒「あ、し、柴姉さん助け……」
白「男ぉ~」ギュウウ
柴「……」
橙「あー!しろねぇとくろねぇたのしそうっす!ぼくもまぜってくださいっすぅっ!」
ぴょーん
白「ぐえっ!」
黒「み、三毛ちゃ、あん!」
橙「あはははっ!」
柴「……全く。ほら、行くぞ」
ダイニング
柴「おはよう。ご主人」
橙「おはようっすあにきっ!」
白「おはよう……」
黒「……」
男「おはよう。……ていうかさっきどうしたの?凄い声したけど」
白「なんでもないわ……」
黒「なんでもないです……」
橙「すごく楽しかったっすっ!」
男「?」
柴「ご主人は気にしなくていい。それより茶は……起きてるのか?」
茶「……」ぼー
男「起きてるよ。ギリギリで」
柴「そうか……」
茶「…………ん」
男「それじゃあ皆揃った事だし……朝ご飯食べよっか」
白「ええ。そうね……」
黒「はい……」
男「……どうしたの二人とも?」
白「何もないから気にしないで……」
黒「あはは……」
男「ああ、うん……」
男「それじゃあ皆、いただきます」
柴「頂きます」
白「いただきまーす……」
黒「いただきます」
茶「…………ます」
橙「いただきまーすっす!」
男「食べ始めてさっそくだけど、ちょっと皆に話があるんだけどいい?」
白「どうしたの?」
茶「……?」
橙「はーいっすっ!」
黒「はい?」
柴「……」
男「話なんだけど、俺、今日は大学とバイトで家を離れなきゃいけないんだ」
男「だから皆には留守番をお願いしたいんだけど、いいかな?」
橙「えー!あにきどっかいっちゃうんすかっ!」
男「うん。行かなきゃいけないとこだからね。というか、皆が人間になる前に俺よく出かけてたでしょ?それだよ」
橙「……ああ!あれっすかっ!」
男「うん、だから留守番お願いしたいなって思って」
橙「ぼくはいいっすよっ!おるすばんしてるっす!」
男「ありがとう。三毛」
橙「えひひっ」
男「他の皆は大丈夫?」
白「私はいいわよ。昨日聞いてたしねっ」
黒「はい。私も大丈夫です」
柴「ああ。大丈夫だ」
茶「……」コクリ
男「ありがとう。それじゃあ皆よろしくね」
男「多分帰ってくるのは暗くなってからだと思うけど、なるべく早く帰ってくるから」
男「それと俺と黒がご飯が作ったのがあるから時間になったら電子レンジで暖めて食べて」
白「え?黒とって……黒って料理できたの?」
男「いや。出来なかったよ」
男「でも教えたらびっくりするぐらい上達してさ。この目玉焼きもほとんど黒が作ったんだ」
柴「これ黒が作ったのか。凄いな」
茶「……黒、すごい」
橙「おいしいっすっ!すごいっすっ!」
黒「か、形も悪いですし、仕上げとかは男兄さんにやってもらったんですけどね……」
男「でも初めてでこれだけ出来たんだから凄いよ。次には一人で目玉焼き作れるんじゃない?」
黒「い、いえ。そんな……」
白「……黒」
黒「は、はい?」
男「……白?」
白「……黒は男に教えて貰ったのよね。……二人っきりで」
黒「は、はい。そう、ですけど……」
白「……そう。なら……」
白「私もやる」
黒「え?」
白「私も男から教えて貰って料理できるようになるっ!」
白「いいでしょっ男っ!」
男「うん……白がやりたいなら別にいいけど……朝早いよ?」
白「頑張る!」
これは勝手に挑戦して指を落としたり顔をケロイドにしたりするフラグきたな
男「……うん。なら明日の朝、白も一緒に起こすよ」
白「やったぁっ!よろしくねっ男っ!黒っ!」
男「うん。よろしくね」
黒「あはは……。はい、白姉さん」
柴「毛玉にできるとは思えんがな」
白「そうですわね。長く眠らなきゃいけないレディには難しいかもしれないですわ」
白「ねぇ?朝の早いおばさま?」
柴「……この」
黒「また……。だ、駄目ですよ二人ともっ」
男「あはは……」
ミシ
黒「……?」
黒(なんだろう、今の感じ)
黒(あんまり気持ちのいいものじゃないような……?)
黒「……」
黒(……わかんないや)
―――――――
朝食後
男「それじゃあ行ってくるからお留守番よろしくね」
柴「ああ。いってらっしゃい」
白「うんっ!男っ早く帰ってきてねっ」」
黒「気をつけて行って来てくださいね」
茶「……いってらっしゃい」
橙「いってらっしゃーいっすっ!」
男「ありがとう。皆」
男「柴、皆の事よろしくね」
柴「ああ。任せてくれ」
男「あ、そうだ。柴、もし万が一の事があった時に俺に連絡して欲しいんだけど……」
柴「連絡?家にもいないでどうやってやるんだ?」
男「そこで電話を使うんだ」
柴「……電話?」
男「そう。……一応皆に教えておくか。皆ちょっと来て」
白「なになに?」
黒「なんですか?」
男「今から電話のやり方教えるから、ちょっと聞いてて」
橙「あにきっ!でんわってなんすか?」
男「電話って言うのはね、このボタンがいっぱいついてる機械の事だよ」
男「これを使えば俺が家にいなくても話す事が出来るんだ」
橙「……?」
男「あはは……まぁ三毛は解らなくていいよ」
柴「……こんなもので本当に話しが出来るのか?」
男「出来るよ。それじゃあやり方を教えるのも兼ねて、一回やってみようか」
男「やり方なんだけど、まず受話器っていうこの機械の上に乗ってるものを取るんだ」
茶「……伸びた」
橙「おおおっ!おもしろそうっすっ!」
男「これで遊んじゃ駄目だよ」
茶「……」
橙「えー……」
男「それで取ったらこのボタンを押して電話番号を入れるんだけど……。俺のは一発で繋がるようになってるからこのボタンを押せばいいんだ」
白「これ?」
男「うん、そう。これを押せば終わり」
男「それで俺が電話に出られればすぐに話せるから。……よっと」ポチ
男「柴。ちょっとこれを耳に当ててみて」
柴「ああ。……変な音がなってるぞ」
男「それは相手を呼びだしてる時に鳴る音。それで俺が電話に出れば……」ピッ
男『もしもし』
柴「うわぁっ!」
白「な、なによっ」
黒「ど、どうしたんですかっ」
柴「耳元でいきなり男の声が……」
橙「ほんとっすかっ!?犬っ!かしてくださいっすっ!」
柴「あ、ああ……」
橙「んー……」
男『三毛?』
橙「あっ!ホントっすっ!あにきの声がきこえるっすっ!」
白「ホント?ちょっと三毛かしてみてっ?」
茶「……茶も」
橙「まだぼくのばんっすよっ!じゅんばんっすっ!」
男『あははっ!まぁそう言う事だから。ちゃんとそっちで話せばこっちにも声届くからね』
橙「ほんとっすかっ!?『あにきっ!』」
男『聞こえてるよー』
橙「わぁ……!すごいっすねっ!」
白「ほんとにっ?三毛ちょっとでいいから、ね?」
茶「……茶もっ」
橙「あー!まだっすよーっ!」
ピッ
橙「あ、聞こえなくなったっす」
男「まぁキリがないからこの辺で」
白「えーっ!話したかったのにぃ……」
茶「……むー」
黒「ほんとに話せるんですね……」
男「うん。だから何かあったらこれを使って連絡して欲しいんだ」
男「出れるときはすぐに出るけど、出れなかったらすぐ時間作ってかけるから」
柴「ああ。わかった」
白「……はーい。……ん?」
男「これで電話の話は終わり。なにか他に聞きたい事ある?」
白「はいはーいっ!」
男「なに?白」
白「これ使えばつまりいつでも男と話せるって事でいいのよねっ」
男「うん……まぁ出られればね」
白「りょーかいっ!……んふふっ」
柴「……くだらない事に使うなよ」
白「わかってるわよ。くだらないことには使わないわよ」
白「くだらないことには、ねっ」
男「……?」
男「まぁいいや。他に皆聞きたいことは?」
柴「ないぞ」
黒「だ、大丈夫です」
白「ないわよんっ」
茶「……」ふるふる
橙「……どうやってつかうんすか?」
男「それは柴たちから聞いてね」
橙「はーいっすっ!」
男「それじゃ……あ、やば。時間が」
男「行ってくるっ!皆よろしくね」
柴「ああ。わかった」
白「任せてっ」
黒「わかりました」
茶「……ん」コクリ
橙「はーいっすっ!」
男「それじゃあ行ってきますっ!」
「「「「「いってらっしゃいっ」」」」」
――――――――
バス停
男「はぁ……はぁ……」
男「何とか間に合った……」
男「また俺一人……つくづく人少ないよな、ここ」
男「……まぁその分人を気にしなくていいから良いんだけど。……よっと」
男「やっと一息か……朝も大変だったな」
男「まぁ楽しかったから良いんだけどね」
男「……それより、皆大丈夫かな。元の姿だった時は何ともなかったけど……心配だ」
男「何もなきゃいいけどな……」
男「……ん」
男(あ、人来た。……てかまた独り言してた。昨日直さなきゃって思ったのに)
男(やっぱ癖ってなかなか抜けないよな……)
「やぁ」
男「……え?」
「おはよう。男先輩」
男「せ、先輩……?」
昨日も同じ事があったような……。そんな考えが頭をよぎる。
それもそのはず、バス停で突然見知らぬ女の人に話しかけられ、自分の名前を呼ばれる。昨日あった事と状況はほとんど同じだったからだ。
でも、俺が振り向いた先にいた人物は昨日の人物とは違っていた。
服装は白いワンピースで無く、火と昔のセーラー服。髪は短く切りそろえられ、年も女子高生ぐらいと言ったところか。
見た目は昨日の女の人と全く違うと言ってもいい。
でも俺は彼女と昨日で会ったような気がしていた。
「あれ?この恰好なら先輩って言うのが普通じゃないのかい?」
男「そんなことはない、と思うけど……」
「そうか。それは知らなかったよ」
男「はぁ……」
それは彼女の瞳の奥にある悪戯っぽく光る輝きと、金色のように眩い艶を放つ髪がそう思わせたのかもしれない。
くく。と彼女は笑みを漏らすと、俺の座るベンチに座り込み、興味津津と言った体で俺の顔を覗き込んだ。
……落ち着かない。
男「ええと……どこかで会った事あったっけ?」
「会ったことはないよ」
男「そ、そっか……」
「今の生活は楽しいかい?」
男「あーうん。まぁ……」
「そうか。大分慣れたかい?」
男(慣れた?どういうことだろう?)
男(……というか何でこんなこと聞かれてるんだ?俺)
男(適当に応えておくか……)
男「ずっと暮らしてるし……慣れてる、けど」
「ふーん。そうか」
男「……」
「……♪」
男(なんでこんなにニコニコしてるんだ……気まずい)
「なぁ、男先輩」
男「……な」
「ちらっ」チラッ
男「ぶへっ!」
男「い、いきなり何見せ……!」
「白は嫌いかい?」
男「そ、そうじゃなくてっ!」
「くくくっ!」
男(あ、遊ばれてる?)
男(なんでこんな見ず知らずの女の子にこんな……)
「ふーむ。あまり君はこの恰好は好きじゃないみたいだね」
男「……はい?」
「女子高生って男の憧れの的と聞いたんだが……ふむ」
「今度はもっと趣向を凝らすとしよう」
男「な、なに言って……」
「おや。バスが来たようだ」
男「ちょ、ちょっと」
「それじゃあきゃんぱすらいふとやらを楽しんで来てくれ」
「また会おう。男先輩」
男「また会おうって……というかバスは?」
「乗らないよ。ボクはバスが嫌いだからね」
「それじゃあね」
スタスタ
男「あ……」
男「……なんだったんだ?今の」
『お客さん。乗らないんですか?』
男「あ、乗りますっ!」
男「……まぁいいか」
男「ただの変な人だったんだろう」
男「……昨日もこんなこと言った気がするけど」
男「……」
男「なんかまた明日も変な人に会いそうだなぁ……」
区切りのいいとこで今日はここまで。
一週間と二日……本当に遅くなりました。申し訳ない。
次回は……もう言うのは止めましょう。
それではまた次回ー。
最初は「今更動物以外のヒロインでテコいれ?」とか思ったらそんなことはなかった
個人的にはその辺意識せず読んでたけど「動物が突然人間になった理由」って
一応設定としてはあるんだよな
自分の解釈は書き込むなよ
感想だけにしてくれ
>>866
解釈と感想の明確な線引きをして頂きたいものだが
それに俺としては「何気なく読んでたけど突然正体不明の人物出してきたし
これは核心に近付けてるつもりなんだろうなぁ」って『感想』のつもりだったわけだが?
./\___/ヽ
/ _ノ||||ヽ、_ \ みなさん……投下が遅くなって
/ o゚((●)) ((●))゚o \ ごめんなさいだお・・・・・
| 三 (__人__) 三 |
\ ` ⌒´ /
./\___/ヽ
/ _ノ||||ヽ、_ \ 今日の・・・・今日の夜11時には投下するから許してほしいんだお・・・・
/ o゚⌒ ⌒゚o \
| 三 (__人__) 三 | それでこれからはなるべく早くする約束するお・・・・
\ ` ⌒´ /
./\___/ヽ
/ ⌒ |||| ⌒ \
/ ( ○)三(○) \ ウソに決まってるお
| 三 ⌒(__人__)⌒三 | どんどん長引かせてエタってやるおwww
\ r┬-| /
`ー'´
/ ̄ ̄\
/ノ( _ノ \
| ⌒(( ●)(●) ぬん!
.| (__人__) /⌒l
| ` ⌒´ノ |`'''|
/ ⌒ヽ } | |
/ へ \ }__/ / / ̄ ̄\
/ / | ノ ノ / ●)) ((●\’, ・
( _ ノ | \´ _ ( (_人_)’∴ ), ’ブベラ
| \_,, -‐ ''"  ̄ ゙̄''―---└'´ ̄`ヽ て
.| ______ ノ (
ヽ _,, -‐ ''" ノ ヽ r'" ̄
\ , '´ し/.. >>@ | J
\ ( / |
\ \ し- '^`-J
ちょっと書くことが増えて投下が遅くなりそうです。多分1時くらいかと。
壁】・ω・`) <私は一時ころといったな。
一時間ほど遅れたがこうは考えられないだろうか。
一時間過ぎたとしても時計の太い針は一時のあたりを指している。つまりそれは一時ころという事とは言えないだろうか。
よって今投下する私は約束を守ったことになるのだ。
ごめんなさい。
自宅
黒「行っちゃいましたね……」
白「毎度のことながら家に誰もいないと寂しくなるわね」
黒「はい……」
柴「ご主人にはご主人でやることがある。その為に家を離れるのは仕方ない事だろう」
白「それはそうだけどさぁ……。柴は寂しくないの?」
柴「……ないな。小さいころからこうだったし、慣れてるからな」
白「ふーん……」
白「その割には誰か家に帰ってくると大喜びするわよね」ニヤリ
柴「お、大喜びなんかしてない!」
柴「あれは……出迎えの一環だ。喜んだ姿を見せないとご主人たちに失礼だろ」
白「へぇ~ほんとに?」
柴「ほ、本当だ!良いから居間に戻るぞ!」
白「はいはい。……素直じゃないわよねー。あんた」
柴「私は素直だ!」
スタスタ
黒「あはは……」
橙「くろねぇ。しろねぇと犬はけんかしてるっすか?」
黒「うーん……あれは喧嘩じゃないから大丈夫だと思うよ」
橙「そうなんすか?」
黒「うん。……多分ね」
黒「それじゃあ私たちも居間にもどろっか。三毛ちゃん、茶ちゃん」
橙「はーいっすっ!」
茶「……ん」コクリ
茶「……黒」
黒「どうかしたの?茶ちゃん」
茶「……男、早くかえってきて欲しい」
黒「うん、そうだね」
茶「……はやく帰らせる方法って……ない?」
黒「ふふ。それはないかなぁ……男兄さん、色々あるみたいだし……待つしかないよ」
黒「だから、男兄さんが帰ってくるまで、いい子に待ってよ?」
茶「……ん」
黒「……」
黒(男兄さん……今何してるんだろう)
黒(ほんとにはやく帰って来ないかなぁ……)
―――――――――――
大学
男「着いた。……やっぱ遠いよなぁ。一時間もかかるってのは」
男「まぁもうどうこう言ってもしょうがないけど」
男「あ、そうだ携帯……」
男「……よし、あの子たちからの連絡は無いな」
男「柴がいるから大丈夫だと思いたいけど……やっぱ心配だなぁ」
男「大丈夫かな……皆」
「おーいっ!男っ!」
男「この声は……友1?」
友1「よう男!おはようさん!」
友2「おはよう」
男「おお、おはよう。二人とも」
友1「あっはっはっ!相変わらずしけた面してんなぁ!」
男「そういう友1は相変わらず派手だな」
友1「ああ!それが俺のアイデンティティだからな!」
友1「良いだろ~」
男「いや、別に」
友2「というかお前、アイデンティティなんて言葉知ってたのな」
友1「んなこと位しっとるわ!どんだけ馬鹿してんだお前は!」
友2「だってお前アホじゃん」
友1「アホじゃねーよ!」
友2「じゃあアイデンティティって英語のつづりで掛けるのか?」
友1「書けません!」
友2「アホだな」
男「アホだね」
友1「いや、今は書けないけどな?やる気になればきっと……」
男「いつやる気出すの?」
友1「ん?それはな……」
友2「明日からだろ?」
友1「よく解ったな友2……さすが俺の幼馴染!」
友2「お前みたいな幼馴染を持って俺は恥ずかしいよ」
友1「俺もお前みたいな幼馴染を持って恥ずかしいよ!」
友2「なんでだよ?」
友1「知らん!言いたかっただけだ!」
友2「きめぇな」
友1「ひでぇ!俺キモくないよな!男っ!」
男「え?キモいよ?」
友1「あー超傷ついたわー水たまりより深く傷ついたわーもうこれ立ち直れないわー」
男「友2、教室いこっか」
友2「おう」
友1「ちょっ!置いてくなってのっ!」
教室
友1「着いた着いたっとっ!男、友2いつもの席にすわろーぜー」
友2「おう」
男「うん」
友1「さてさて!今日は真面目に勉強しなきゃなー単位が掛かってるしっ」
友2「そう言ってお前すぐ寝るんだろ?」
友1「寝ねーよ!今日の俺はいつもと違うってことを見せてやんよ!」
男「寝るね」
友2「寝るな」
友1「あー?寝ねぇっつうの!お前ら俺を舐めすぎ!」
友2「じゃあ今日はマジで寝ないんだな?」
友1「おう!掛けてもいいぜ!」
友2「じゃあお前が寝たら昼飯おごれよ」
友1「良いぜぇ、その代わり起きてたら二人とも俺に昼飯奢れよな」
友2「良いぞ。出来るもんならな」
男「俺も良いよ」
友1「おっしっ!決定な!ふっふっふ……昼飯は貰ったぜぇ~」
友2「その言葉そのままお前に返すわ」
男「昼飯代が浮いて助かるよ」
友1「良い自信だなお前ら……見てろよ」
友2「ああ。お前の汚い寝顔を見てやるよ」
友1「汚なっ!?」
男「あははっ」
ブルブル
男(っ!携帯……柴っ?)
男(……なんだ。メルマガか……)
友1「んー?どした男?そんな勢い良く携帯開いて」
男「ああ、いや……」
友1「あ、そうかそうか。遂にお前にも彼女が出来たかー」
男「そんなんじゃないって。……まぁちょっとね」
友1「ほーん?」
友2「おい。教授来たぞ」
友1「お、ホントだ。じゃあ昼飯の為に頑張るとしますかねー」
友2「昼飯の為かよ」
男「あははっ」
男「……」
男(やっぱ心配だ……何してるのかな。皆)
男(後で電話掛けてみようかな……)
―――――――
2講の後半
友1「ぐー」
男「……」パカッ
男(来てないか……)
男(……心配で授業どころじゃないよ)
友2「男」ヒソヒソ
男「ん、ん?何?」
友2「どうした?なんか朝からずっと滅茶苦茶携帯気にしてるけど」
友2「なんかあったか?」
男「え?そんな気にしてる?」
友2「ああ。さっきから5分おきに位に携帯開いてるぞ」
男「マジで?」
友2「ああ」
男「あー……そっか。うん」
友1「彼女か!」
男「わっ」
友2「うおっ、お前起きてたのか。てかうるせぇ」
友1「今起きた」
友2「ああそう。てかお前彼女に拘るな」
友1「そりゃそうだってのっ!男に彼女ができたんだからなっ」
男「だから彼女なんかじゃないって……」
友1「マジで?彼女だったらその友達紹介して貰おうと思ったのによー」
友2「お前彼女いるだろ」
友1「彼女が一人じゃなきゃ駄目なんか誰が決めた!」
友2「世間様だよ」
友1「世間を気にしてたら愛は貫けないぜ……」
友2「それ、お前の彼女にチクっとくわ」
友1「やめてくださいしんでしまいます」
友2「あとお前寝たから昼飯奢れよ」
友1「えっ……?」
男「あははっ」
ブルブルブル
男(携帯……っ、自宅!?)
男「皆……!」
友1「は?」
友2「ん?」
男「ごめん、俺ちょっと出てくる」
友1「え?お、おいっ男?」
男「すいません。ちょっと退室します」
タタタ
友1「どうしたんだ?あいつ……」
友2「……なんか大変な事じゃなければいいけどな」
友1「……」
友1「……」ハッ
友1「彼女か!」
友2「ちょっと黙ってろ」
廊下
ピッ
男「もしもしっ!どうしたっ?」
『あ、ほんとに繋がったー。男?やっほー」
男「その声……白かっ?」
白『うん。白だよっ!」
男「どうしたの?何かあったっ?」
白『え?いや、なにもないよ?』
男「……へ?」
白『これ使えば男とお話しできるって言ってたでしょ?だから男と話したくて電話したのっ』
男「そ、それだけ?」
白『うん。そうだよっ』
男「……ああ、そう……」フラ
白『男?どうしたの?」
男「いや、なんでもないよ……」
男「白、俺何かあったら電話しろって言わなかったっけ?」
白『うん。言ってたよ」
白『だから、私が話したくなったっていうことがあったから電話したのっ』
男「いや、そういうことじゃなくてね」
白『え?違うの?』
白『あ、もしかして……電話しちゃ駄目だった?』
男「いや、そんなことないけど……」
白『そう?良かったっ♪』
男(何かあったらって危ないことがあったらって事だったんだけど……)
男(まぁいいか。白達から用も無く電話しちゃいけないってことはないしな)
白『男は今何してるの?』
男「俺?俺は今……講義受けてたよ」
白『コウギ?』
男「簡単に言えば勉強する事だよ」
白『ふーん……それって面白いの?』
男「うん。面白いものは面白いよ」
白『そっかぁ。私も受けたら受けたら楽しいかな?』
男「うーん……どうだろう。白が受けても楽しくないかも」
白『そうなの?』
男「ちょっと難しいからね」
男「そうだ。皆は今どうしてる?」
白『……皆~?』
男「……し、白は何してた?」
白『ふふっ!冗談だよ』
白『皆は今……特に何もしてないかな』
男「え?なにも?」
白『何もしてないって言うか……何したらいいか解らないから何もしてないって感じかな』
白『ちなみに私も何もしてなかったよ』
男「そっか……そりゃそうだよね。まだ遊びらしい遊び教えてないもんな」
男「そこまで考えてなかったな……ごめん」
白『い、いいよ。謝らなくったって。仕方ないよ』
男「帰ったら色々遊びとか教えるよ」
白『うんっ』
白『あ、そうだ。その代わりと言ったらなんだけど、ね?』
男「うん?」
白『また男と話したくなったら電話していい?』
白『私、男と話してる時が一番楽しいからっ』
男「……うん。いいよ」
白『やったっ!ありがとう男っ!』
男「この位ならね。でも……なるべく電話は少なくして欲しいな」
白『えっ?なんでっ?』
男「俺が皆に電話のやり方を教えたのは、なにか危ないことがあった時とか誰かが怪我したとかそういうときに電話して欲しくて教えたんだ」
男「その時どうしたらいいかとか教える為にね」
白『う、ん……』
男「こういう風にたまになら良いけど……そう何度も電話がかかってくると本当に大変な事が起こった時に俺がいつもの会話だろうって思って、電話を取らなくなっちゃう事があるかもしれないから」
男「もちろんそんな事が無いようにはするけど……万が一ってことがあるから」
男「それに、俺は電話はなにかあったから掛かってくるって思ってるから電話が掛かってくると凄くビックリするんだ」
男「皆に何かがあったんじゃないかって」
白『うん……』
男「だから俺は電話はなるべく少なくして欲しいんだ」
白『そっか……わかった』
白『……もしかして……』
男「……ん?」
白『もしかしてこの電話も……迷惑だったりした?』
男「いや、全然迷惑なんかじゃないよ。……ちょっとびっくりしたけど」
白『……ごめんなさい』
男「謝らなくたっていいよ。ビックリはしたけど、皆がちゃんとしてるって解ったし、白とも話せたしね」
男「それだけで俺は凄く嬉しいよ」
白『ホント?』
男『うん。だから気にしないで』
白『……うんっ」
白『あ、それなら……電話はしない方が良いの?』
男「いや。そうではないけど……そうだな……」
男「そうだ。電話する時間を決めよう。定時連絡ってやつだよ」
白『定時連絡?』
男「うん。その時間になったらお互いに連絡するって言うやつ」
男「その時間になったらそっちから好きに連絡して良いし、俺からも連絡するから」
男「それならちゃんと白とも皆とも話せるからさ。どう?」
白『うんっ!いいねっ、大歓迎だよっ!』
白『……あ』
男「ん?どうかした?」
白『時間を決めるのは良いけど……私たち時間わからないよ?』
男「あ」
白『どうするの?』
男「うーん……。じゃあ今度時間も教えるよ。それで連絡できるようにしよう」
男「教えるまでは俺から定期的に連絡するから」
白『うんっ!わかったっ』
男「それ以外にもどうしても話したくなったら電話して来ていいから」
白『え?いいのっ!?迷惑じゃないのっ?』
男「留守番頼んでるのはこっちだし、それぐらいはね。皆と話せるのは嬉しいし」
男「皆にも伝えておいて」
白『……』
男「白?」
白『……はーいっ!わかったっ』
男「……ホントに解ってる?電話一人占めにしようとしてない?」
白『そ、そんな事思ってないよっ!思うわけ無いじゃんっ』
男(やっぱり……)
男「まぁ白からも伝えておいて。俺も帰ってから伝えるから」
白『い、いいってばっ!ちゃんと私から伝えておくからっ』
男「だーめ。俺からも伝える」
白『えぇ……』
男「あははっ」
白『けちっ!』
男「ケチじゃないよー」
白『もー……。あ、男。まだ話しできる時間ある?』
男「ん……えーと」
男(ホントは教室戻らなきゃいけないけど……もう終わりかけだし戻っても意味無いか)
男(出席は始まる前に取ったし大丈夫だろう)
男「大丈夫だよ」
白『ほんとっ?じゃあもっとお話ししよっ?』
男「うん。いいよ」
白『えーっと、なに話そうかなっ色々あって迷うっ』
男「そうなの?」
白『うんっ!えーと……そうだっ男は』
『何か今がうるさいと思ったら……何してるんだ、白』
白『げっ!柴っ!』
『くだらないことで使うなって言っただろうっ』
白『く、くだらないことじゃないもんっ!……わよっ!』
『ご主人は何かあったら電話しろって言っただろう。それなのに勝手に電話して……』
白『だ、だって男と話したかったんだもん……。そ、それに話したいっていうのはなにかあったらっていう』
『屁理屈こねるな!没収だっ』
白『あ、ちょ、ちょっとぉっ!』
柴『あ、あー……ご主人?』
男「柴?」
柴『うわあっ!』
『ガタンっ!』
男「し、柴?柴ー?」
柴『す、すまない。ご主人の声にびっくりして落としてしまった』
男「あはは……そっか。電話は柴は苦手?」
柴『い、いや。そんなことはないぞ。ちょっと慣れないだけだ。……わ、笑うな白っ!』
男「あははっ!」
柴『ご、ご主人まで……全く』
男「ごめん」
柴『……いい。別に』
柴『そ、それより……すまないな。勝手に白に電話させてしまって』
男「いや。白と話せて嬉しかったし全然よかったよ」
柴『そ、そうか?いきなり電話が掛かってきて驚かなかったか?』
男「……いや。大丈夫だったよ」
柴『そうか……それなら良かった』
柴『でもこれからは何か無い限り電話させないように白にはきつく言っておく。……うるさいちょっと黙ってろ』
男「いや、言わなくていいよ」
柴『え?いいのか?』
男「うん。どうしても話したくなったら電話して良いって決めたから」
柴『でもそれだとご主人に……』
男「……さっき白に聞いたけど、今皆特にやること無くて困ってるんでしょ?」
柴『ん……まぁ、な』
男「だから、留守番もしてくれてるし、それくらいはしてもいいかなって思ったからさ。お詫びに電話して良いってことにしたんだ」
男「特に遊ぶことも教えなかったしね」
柴『……なるほど』
男「だから柴もどうしても話したくなったら電話してくれていいから」
柴『そ、そうか。わかった』
男「うん。そういうことだから。……そうだ。今皆はどう?」
柴『何事もないぞ。さっきまで茶と三毛がじゃれ合ってて疲れて寝た位だ』
柴『当然二人に怪我もない』
男「そっか。それならよかった」
柴『……』
男「柴?」
柴『その……ご主人は今、何してるんだ?」
男「今?今は……講義受けてたよ」
柴『そ、そうか。講義って言うのは人間の勉強のことか?』
男「そんなところだね」
柴『それっていうのは――――』
―――――――
自宅
柴「うん、うん……ふふっ!そうなのか?」
柴「ふふふっ!なんだそれはっ」
柴「うん。ああ、そっか。……ふふっ」
白「いつまで話してんのよーいい加減代わってよぉー」グイグイ
トタトタ
黒「あのー……そろそろご飯の時間にしませんか?茶ちゃんも三毛ちゃんもお腹すいったって言ってますし……あれ?」
橙「あー!犬でんわしてるっすっ!」
茶「……おなかすいた」
白「げっ、皆来ちゃった」
柴「ん、ご主人ちょっと待ってくれ」
柴「そうだな。そろそろ飯にしようか」
黒「柴姉さん……男兄さんとお電話ですか?」
柴「ああ、この毛玉が勝手に電話しててな。そこで代わって貰ったんだ」
白「取り上げたんじゃないのよっ」
柴「うるさい」
黒「そうだったんですか……」
橙「あにきとでんわしてるっすかっ?ぼくもしたいっすっ!」
柴「ああ。良いぞ。……ご主人、三毛が話したいっていってるから代わるぞ」
白「ちょっ!私はっ?」
柴「お前はさっき散々話してだろう。今は三毛だ。……ほら」
白「そんなぁ……」
橙「やったっすっ!あにきっ?あにきー?……あにきの声きこえないっす」
黒「三毛ちゃん。多分それ耳付ける方逆……」
橙「あっ!……よいしょ……あにきっ?……あー!あにきっすっ!」
橙「はいっすっ!三毛っすっ!ごきげんっすっ!」
橙「あにきはげんきっすかっ!ぼくはげんきっすっ!それから……」
柴「ふふ。嬉しそうだな」
黒「はい。とっても」
白「私も話したいよー」
茶「……茶も」
柴「茶は三毛の後でな」
茶「……ん」
白「私は?」
柴「お前はもうない」
白「ええぇー……」
橙「はいっすっ!はいっすっ!ちゃんと犬と黒ねぇの言う事聞いて待ってるっすっ!」
橙「え?茶ねぇ?わかったっすっ!」
橙「茶ねぇ!あにきが話したいってっ!」
柴「ほら。来たぞ」
茶「……んっ!」コクリ
橙「はいっ!」
黒「茶ちゃん、向きに気をつけてね」
茶「……ん」
茶「……」
茶「……」
茶「……」コクリ
柴「首振ってもご主人は解らないぞ」
茶「……あ」
茶「……茶」
茶「……元気」
茶「……今柴に教えて貰った」
茶「……ん」
黒「……なんだか長くなりそうですし……私、今の内にご飯の用意してきますね」
柴「なにか手伝うか?」
黒「あ、ええと……それなら暖めたものを運ぶ手伝いをして貰っていいですか?」
柴「ああ、わかった」
橙「ぼくも手伝うっすっ!」
黒「ありがとう。それじゃあ三毛ちゃんはスプーンを持ってってくれる?」
橙「はいっすっ!」
白「それじゃあ私は茶が終わった後の電話の引き継ぎを……」
柴「お前は電話が終わったら黒を呼べ。次は黒の番だからな」
白「やっぱりそうだよねー……」
黒「あ、い、いいですよ?白姉さんに代わって貰って……」
白「え?いいのっ!?」
黒「私、皆のご飯暖めないといけませんし……白姉さんどうぞ」
柴「いいのか?」
黒「はい。……今すぐ話したいっていうわけではありませんし、今は話す事もあまりないですから」
白「そう……?でも話したくなったらすぐ言ってよ?代わるから」
黒「はいっ。ありがとうございますっ」
大学
茶『……いつ帰ってくるの?』
男「そうだな……早くても暗くなってからかな」
茶『……今帰ってこれない?』
男「あはは……それは流石に無理だよ」
茶『……そっか』
茶『……寂しい』
男「ごめんね。でも早めには帰るようにはするから、それまで柴と黒の言う事聞いて待ってて?」
茶「……ん」
男(あ、マズイな。そろそろ次の講義が始まる……)
友1「おーい男、いつまで話してんだー?そろそろ次の講義はじまんぞー」
男「わかってる。今行くよ」
茶『……行く?』
男「こっちの話。……ごめんね茶。そろそろ電話切らないと」
茶『……お話、お終い?』
男「うん。そろそろ次の講義始まるから」
茶『……わかった』
茶『……あ』
男「ん?」
茶『……次、白が話したいって言ってる」
男「白か。白には我慢してって言って?後で電話するって言うのも」
茶『……わかった』
男「あと、黒には話し出来なくてごめんって言っておいて」
茶『……ん』
男「それじゃあまたね。茶」
茶『……バイバイ』
プツッ
男「黒には申し訳ないことしたけど……次は出席に厳しいからな。こればっかりは……」
男「ごめんな。黒」
友1「男?先行くぞー?」
男「ごめん、今行くっ!」
自宅
茶「……」
白「茶?どうしたの?」
茶「……男の声、きこえなくなった」
白「え?それって……」
茶「……話し止めないといけないって言ってた」
茶「……それと、白は話すのがまんしてって」
白「あ、そっか。なるほどね」
白「一言位挨拶したかったなぁ……」
茶「……それと」
白「ん?まだあるの?」
茶「……黒、話せなくてごめん、って」
白「……そっか。優しいね。男は」
茶「……ん」
白「それじゃあご飯と、黒に伝えにいこっか?」
茶「……ん」
白「……」
白「……一言くらい黒と話せばいいのに」
白「でも男には男の理由があるのかな……」
区切りのいいところ?で今日はここまで。
時間ができそうなので次回は多分早く投下でき……。
それではまた次回。
壁】・ω・`)
壁】・ω・`) ……
壁】)ゴソゴソ
壁】^ω^)おっ
そろそろ投下宣言の時のネタが切れてきたというのは内緒。
明日の夜11時ぐらいに投下予定です。
予定です。
久しぶりに宣言通り。なんだか嬉しいような情けないような……。
それでは投下。
黒「あ……」
白「……やっ」
黒「お、お話し終わったんですか?結構短かったですねっ」
白「んー。なんか男が電話切らなくちゃいけなくなったみたいでね。急いで切っちゃったって」
黒「そ、そうですか……」
白「それと……」
黒「は、はい?」
白「黒と話せなくてごめんって」
黒「……」
白「黒?」
黒「あ、あはははっ、お、男兄さんもこの位の事で気にしなくたっていいのにっ。もう……」
白「……」
茶「……あ」
黒「ん、ん?茶ちゃんどうしたの?」
茶「……男、後でもう一回、電話するって」
茶「……言い忘れてた」
黒「……」
白「良かったじゃない。黒」
白「後でまた話せるわよ」
黒「……あ、で、でも、私、その……」
柴「何だ?本当に黒はご主人と話したくなかったのか?」
黒「そ、そんなことっ!」
柴「なら、素直に喜んだらいいじゃないか」
白「そうそうっ!あんまり素直にならないと柴みたいになっちゃうわよっ」
柴「……白。なんだ私みたいとは」
白「言わなくても自分が一番わかってるんではなくて?おばさまっ♪」
柴「……この……」
黒「……ふふっ」
柴「ん……」
白「黒?」
黒「あ、ご、ごめんなさい。つい……」
白「別にいーわよ。くだらない事してるんだから」
柴「……くだらなくは無いが、笑う位構わんさ」
白「え?くだらなく無いの?」
柴「お前は……はぁ。もういい」
黒「……ふふ」
黒「そう、ですね。お二人の言うとおり……素直になろうと思います」
黒「だって今、すごく、凄く嬉しいですから」
柴「ああ」
白「……さっ、ご飯食べましょっ。お腹すいちゃった」
黒「あっ、は、はいっ。今日のご飯はチャーハンですよっ」
白「チャーハンって?」
柴「チャーハンっていうのはご飯に味付けをして、いろんな具を入れたものだ」
柴「……そうだろう?黒?」
黒「はいっ、そうですっ!」
黒「あ、もう皆の分は暖めてあるので今すぐに―――」
橙「……」
茶「……」
橙「もうしゃべっていいすかね?茶ねぇ」
茶「……いいと思う」
橙「しゃべっちゃいけないような気がしてしゃべってなかったすけど……結局くろねぇはどうしたんすか?」
茶「…………さぁ」
茶「……でも、黒には大事な事」
橙「そうなんすか?」
茶「……な気がする」
橙「はー……」
柴「何二人でこそこそ話してるんだ。ご飯だぞ」
茶「……ん」
橙「はーいっすっ!」
――――――――――
昼食からしばらく後
白「暇ね」
黒「暇……ですね」
柴「……」
白「男が居ないとこんなに暇だとは思わなかったわ……」
黒「そうですね……私たちだけで出来る事なんか限られてますし……」
白「男に電話って手もあるけど……」
柴「駄目だ」
白「わかってるわよー。男もあんまり何回もして欲しくないって言ってたしね」
白「あーあ。猫の時は何もしなくてもどんどん時間が流れて、こんなことを思うことなんか無かったのになぁ」
黒「はい……。よく何もしなくて過ごせてたと思います」
白「ホントにね。不思議だわ」
柴「……三毛と茶はどうしてる?」
黒「二人なら……ほら、あそこのソファーにいますよ」
橙「くー……」
茶「……すー……」
黒「ご飯食べたあと、少し二人で遊んだら寝ちゃいました」
柴「そうか。ふふ、やはりまだまだ子供だな」
黒「ふふっ。はい」
白「……遊び、かぁ」
白「ねっ、黒。あの二人の遊びって何してたの?」
黒「え?あ、遊びですか?」
黒「えと……遊びと言っても、ただじゃれ合ってただけですよ?」
白「……なーんだ。……まぁ、考えてみたらそうだよね」
黒「?」
柴「……で?私たちをここに集めた理由というのはなんだ?」
柴「ただこうして暇暇言い合うだけに集めたわけではないんだろう?」
白「もちろんよっ!暇っていうだけなら一人でも出来るわっ!」
白「まぁ集まって貰った理由は暇って言うのは本当だけどねー」
柴「もったいぶらないでさっさと話せ。お前の話は廻りくどいんだ」
白「……あらあら。おばさまはせっかち過ぎて困りますわ」
白「あまり急ぐと老体に響きますわよ?おばさま?」
柴「……口だけは達者だな。毛玉」
黒「ま、まぁまぁ。そ、それより白姉さんが暇で私たちを集めた理由はなんなんですか?」
白「そうね。こんなことしてる場合じゃないわ」
柴「……全く」
白「二人に集まって貰った理由って言うのはね……」
柴「……」
黒「……」
白「それはね……」
柴「……」
黒「……」
白「なんと……」
柴「いいから早く話せ」
白「もう、わかったわよー冗談が解らない奴ね」
白「その理由って言うのは」
白「どう暇を潰すか!三人で案を出し合おうと思ったからなのよ!」
柴「……全くもったいぶって話す事じゃなかったな」
黒「あはは……」
白「いいじゃない。これも暇つぶしの一つよっ」
柴「……全く」
白「それで暇つぶしの案だけど、二人とも何かない?」
柴「案と言われても……各々好きな事をやっていればいいだろう」
白「好きな事をやるにも今は昔と違うんだし、今は出来ないじゃない」
白「出来たとしても、今の姿じゃ面白くないし、新しい事をやるにも人間の姿で出来る事がまだわからないからこうやって集まって貰ったのよっ!」
柴「一人で考えるより、皆で集まった方がいい案が出せる、からか」
白「そういうことっ!」
白「ていうかそれくらい解りなさいよ。一番年上のくせに」
白「あら?それとも年を取り過ぎてそう言う事に頭が回らなくってしまれましたか?おばさま?」
柴「……そんなくだらない事に頭を回す必要なんか無いと思ったからな。何処かの気楽な毛玉と違って」
黒「だ、だから駄目ですってばっ!」
白「ふんっ」
柴「……ふん」
黒「もう……」
黒「それで……暇を潰す案、ですか?」
白「そうよ。黒、あんたは何かある?」
黒「ええと……いきなりの事なのでまだ……」
白「そ。でも出たら遠慮なく言っていいわよっ」
黒「は、はい」
白「柴。あんたは何かあるの?」
柴「いきなりそんな事言われて案なんか出るわけないだろう」
白「……はぁ……」
柴「おい。なんでそんな黒と態度が違うんだ」
白「べっつにー他意はありませんの事ですよー」
柴「この……」
柴「じゃあお前は何か案があるのかっ」
白「……」
白「ないわっ!」
柴「胸張って言う事じゃないだろう……」
白「だって、あったらこうやって集まって貰ってないわよ」
柴「はぁ……」
黒「白姉さん……」
白「……ごめん」
白「じゃあちょっと考えてみないっ?」
白「考えて、案が出次第言って、皆でやりましょっ」
柴「……まぁ、特にやることもないしな。いいぞ」
黒「私もいいですよ」
白「おっけー。なら案が出次第発表ねっ!」
柴「ああ」
黒「はいっ」
白「それじゃあ開始っ!」
黒「うーん……」
白「んー……」
柴「あ」
黒「えっ?柴姉さんもう思いついたんですか?」
白「はやっ!」
柴「いや、思いついたというか……ご主人は良く本を読んでいたなと思ってな」
柴「人間になった今なら私たちでも読めるんじゃないかと」
白「ホン?」
柴「ご主人がたまに四角い紙の束を見ていただろう。あれの事だ」
黒「なるほど……。よく思いつきましたねっ!凄いですっ、柴姉さん」
白「むー……先に柴に案を出されるなんて」
柴「……ふふふ。まあ、お前の一番上だからな。これくらいはして見せるさ」
白「うざぁー」
柴「……う、うざ!?」ガーン
白「ていうか、私あんたを上って認めた覚えはないわよ」
黒「し、白姉さんっ!」
白「あんたと私は対等。それ以上でもそれ以下でもないわ」
柴「む……」
黒「……え、えと……」オロオロ
白「……それじゃあ本読みましょっ!場所はどうするの?柴?」
柴「……場所は……ご主人の所でいいだろう。ご主人の部屋なら置いてある場所知ってるしな」
白「おっけー。なら早速行きましょっ」
柴「指図するんじゃない。毛玉の分際で」スタスタ
白「そう急ぐと老化も急いでしまいますわよ、おばさまっ」スタスタ
黒「……大丈夫だったのかな?」
黒「いつも以上に危ない雰囲気だったからどうなるかと思ったんだけど……」
白「黒ー、何してるの早く来なさ―いっ!」
黒「あ、はーいっ!」
黒「……大丈夫なら、それで良いよね」
タタタ
男の部屋
柴「……相変わらず臭い部屋だな」
白「そう?私は臭いなんて思わないけどなー。むしろ好きっ」
黒「……」すんすん
白「アンタいっつもそれ言ってるけど、苦手な匂いなの?」
柴「苦手というか……濃いんだ。それが臭く感じて嫌だ」
白「ふーん……。よくわかんないけど、まぁそれでいいわよー」
白「男の匂いの良さを知ってるのは私だけでいいわっ!」
柴「……好きにしてくれ」
白「ふふん。黒はどうなの?あんたも苦手な感じ?」
黒「……」すんすん
白「黒?」
黒「えっ、あ、な、なんですか?」
白「だからぁ黒は男の匂いはどうなのって。苦手?」
黒「わ、私は……その……」
白「……ん?」
黒「え、えーと……き、嫌いじゃないですよっ!あ、あはは……」
白「ふーん……」
白「黒」
黒「な、なんですか?」
白「男の匂いは渡さないわよ」
黒「へ?」
柴「お前は何を言ってるんだ」
白「まぁこの話はここまでにして……今は本探しよっ!」
柴「と言っても目の前の棚にあるけどな」
黒「結構色々ありますね……どれを選んだらいいんでしょうか?」
白「なんでもいいんじゃないっ?私はこの絵がついてるのにしよーっとっ」
柴「それじゃあ私はこの小さい本で」
黒「も、もう決めちゃったんですかっ?。……私はどうしようかなぁ……」
白「早く決めちゃいなさいよー。んじゃっ私は男のベッドで読もーっとっ♪」
黒「あっ」
白「ん?どうしたの?黒?」
黒「い、いえっ、なんでもないです……」
白「……?」
柴「私は椅子に座らせてもらうぞ」
柴(ご主人が見てる本とはどういうものなんだろうな……)ワクワク
黒「私も早く決めちゃわないと……」
黒(……と、いうか……)
黒(置いてある本の縁に書いてあるものから読めないんだけど……姉さんたちは大丈夫なのかな?)
白「……」
柴「……」
黒(二人とも真剣に見てる……読めてるんだ。すごいなぁ)
黒(とりあえず私も読めそうなもの探さないと……)ゴソゴソ
黒「……ん?」
黒(なんだろうこれ?大きな本が入る位の箱の中に本が詰まってる……)
黒「んーっ」グググ
ポン
黒(あ、取れた。ええと……)
黒(文字は読めないけど……下着姿の女の人が映ってる?)
黒(なんなんだろうこのほ……)ペラ
黒「んっ!?」
黒(に、人間の女の人の裸っ?な、なんでっ?)
黒(なんでこんなのが本にっ!?)
黒「……っ!」キョロキョロ
白「……」
柴「……」
黒(ふ、二人ともこっち見てない……)
黒(……)ドキドキ
ペラ
黒「……!」
黒(な、なにこれ……)ドキドキ
ペラ
黒(よ、よくわからないけど、凄くいけないことをしてる気がする……)
黒(それになんだか凄く、顔が……)ドキドキ
ペラ
黒(に、人間の男の人だ……それに、はだか……)
黒(……)
ペラ
白「……柴」
柴「……なんだ」
白「読めないんだけど……」
柴「……そ、そうか」
白「駄目じゃないっ!」
柴「……私に言われても困る」
柴「というか、わ、私は読めるがな。それはお前が悪いんじゃないのか?」
白「え?柴あんた読めるの?」
柴「あ、ああっ!読めるともさっ!こっ、ここれ位読めて当然だっ」
白「……へぇ~……ホントに読めてるの?」
柴「ほっ、本当だっ!私が嘘を吐くわけがないだろうっ!」
白「じゃあ読んで見せてっ♪」
白「読めるんだから、口にも出せる筈よねっ」
柴「……い」
柴「いいぞ。読んでやる」
白「うんっ、お願い」
柴「それじゃあ……行くぞ?」
白「はやくはやくっ」
柴「んん……えー……」
柴「『彼は人として生きていた。彼の者も自ら人の名を名乗り生きていたし、周囲の者もそんな彼を人としてみなし、生きていた』」
柴「『だが、私は、私だけは彼の者を人とみなすことは出来なかった。』」
柴「『彼の者がこの街に来て、初めて私と目を合わせた時から。』
柴「『それは何故か。それは彼の者が持つ、瞳の奥に輝かせる、人の物とは思えない妖しい光が私の瞳を射ぬいたからだ』」
柴「……と、こ、こんなところでいいだろう?これで私が読めることが分かった筈だ」
白「へぇ……本当に読めるのね。凄いじゃない」
柴「ま、まぁな。ふ、ふふふふ」
柴(ホントは読めなくて即行で作ったとは言えない……)
白「でも、そう言う事が書いてあるなら私は読めなくてもいいかな」
柴「ん、どうしてだ?」
白「だって、その話つまらなそうだもの」
柴「んなっ」
白「?」
柴「いや……なんでもない……」
白「黒は?黒は本読めるの?」
黒「……」
白「……黒?」
柴「ま、まさか、黒、……も、読めるのか?」
白「よ、読めないのって私だけっ?そんなぁ……」
白「黒っ?黒っ!!」ポン
黒「んにゃあっ!」ビクッ
白「わっ!ど、どうしたのよ……」
黒「な、なんですかっ?何かありましたっ?」
白「それはこっちのセリフよ……。びっくりした」
柴「ええと、なんだ。黒は……本が読めるのか?それで夢中になってたのか?」
黒「い、いえっ!そういうことではなくてっ!」
白「じゃあなんであんなに集中して本見てたの?ていうかなんの本見てたの?」
黒「そ、そんな大したものじゃな、ないですからっ」サッ
柴「? どうして隠すんだ?」
黒「え、ええと……それは……」モジモジ
柴「それは本だろう?見せられないようなものじゃないだろう?」
白「なーんかあやしいわね……」
黒「お、お二人がみ、見る程のものじゃないですからっ!だから……その……」
白「黒。見せなさい」
黒「だ、駄目ですっ!これは……」
白「くーろーっ!」
黒「だ、ダメっ、ダメですっ!」
柴「……白。黒が嫌がってるんだからもう止めておけ」
白「やーだっ!やめないっ!」
白「隠されれば隠されるほど、そう言うものって見たくなるじゃないっ」
白「さ、黒……みっせろーっ!」ガバッ
黒「あっ!だ、だめっ!ダメですってばぁ!」
柴「おい、白いい加減に……」
白「ふふふ……いつまでもつかしらねっ!」グイグイ
黒「うううううっ!」
柴「白。止めろって言ってるだろうっ」
白「案外粘るわね……これでどうだっ」
こちょこちょ
黒「ひっ!」
白「堪らないでしょ?さぁはやく出してっ!」
黒「あっ!やっ、やっ!ダメ、あは、あ、ああっ!」
スポン
白 黒 柴「あ」
バサッ
柴「こ……」
白「これって……」
黒「あああああ……」
白「なるほど。これ読んでたのね」
柴「……白、これがある事、知ってたのか?」
白「ええ。男が読んでるのを見たことあるわ」
白「そのほかにも色々とねっ♪」
柴「いろいろ……?」
柴「まぁそれはそうと……」ペラ
柴「……」
柴「黒……お前……」
黒「ち、違うんですっ!た、たまたま……たまたまなんですっ!」
黒「どれがなにを書いてあるからわからなくてっ!なにか読めそうなのは無いかと思って探してたら箱の中に本が詰まっててなんだろうって思って引っ張り出したらその本で開いたら人間の女の人の裸があって」
黒「それでみている内にどきどきして目が離せなくなってページを進めるとどんどんそのあのど、どきどきしてやめられなく」
柴「あー……わかった。私が悪かった。もういい」
白「黒のえっち」
黒「え、えっち?」
白「そういう本に興味がある人の事よっ♪」
白「だから黒はえっち、なのっ」
黒「う、うううううう……」カァ
柴「白っ!」
白「わかってるってば。もうやめるわよー」
白「それで、結局黒も本に書いてある文字は読めなかったのよね?」
黒「は、はい……」
白「じゃあ本は私と一緒でダメってことかぁ」
白「他の暇つぶしを探さなきゃね」
黒「そう、ですね……」ぐったり
白「柴はどうするの?」
柴「わ、私か?」
白「だって柴は本読めるんでしょ?もう暇つぶし探しに参加しなくてもいいじゃない」
柴「そう、だな。うん」
柴「私はここでほ、本を読んでる事にする」
白「わかったわ。……黒、大丈夫?」
黒「だ、大丈夫……です」
白「ごめんね。ちょっと面白くてからかっちゃった」
黒「い、いえ……。気にしないでください……」
白「うーん……それじゃあ、居間で話しましょ。その方がゆっくり出来ると思うし」
黒「はい……」
白「それじゃあね。柴」
柴「あ、ああ」
黒「あ、その前に本、片付けなきゃ……」
柴「いや。私がやっておく。黒は下でゆっくりしてこい」
黒「で、でも……」
柴「いいから行け。それとも私に逆らうのか?」
白「……」
黒「い、いえ……それじゃあ……お願いしてもいいですか?」
柴「ああ。任せておけ」
黒「ありがとうございます。柴姉さん」ペコ
柴「ん」
白「……それじゃあ行きましょ」
黒「はい……」
スタスタ
柴「……行ったか」
柴「全く。黒も私に頼る位すればいいのにな」
柴「……さて、片付けるか」
柴「片付けても読めない本が待ってるだけだけどな。はは……」
柴「……見栄張らなきゃよかった」
柴「まぁいい。まずはこの本を片付けよう」
柴「……」
柴「……」キョロキョロ
ペラ
柴「……っ!」
柴「だ、ダメだダメだっ!こんなものっ!」
柴「はやく片付けない、と……」
柴「……」
柴「……」ペラ
区切りのいいところで今日はここまで。
もうすぐスレが消費されますね……。もう新しいスレを建てたほうがいいんでしょうか?
というか一スレ消費して全く話が進んでないってどうなんだろう……。
それと加藤家っていうのちょっとkwskしてくれると嬉しいです。ググってもよくわからなかったので……。
それではまた。
加藤家だったら茶のフルネームが
加藤茶になるってことじゃないの?
とりあえず乙
>>973
なるほど。言われてみれば……。気付けないとはお恥ずかしいww
それに気付かないで加藤家ってなんだろうってググってみたら大家族の加藤家が出てきて、訳が解らなくなったのは内緒です。
他の方も指摘感謝です。ちょっと恥ずかしいですがww
それといつも感想、支援レス感謝です。励みになってます。お陰様で一スレ消費することが出来ました。
それではレス数も980を突破したので、次スレを建ててこようと思います。
不定期投下の上、投下の遅延も多く、話がなかなか進まないSSですが次スレも見て頂けると嬉しいです。
後で、誘導URL貼っておきます。それではまた。
次スレ
∧,,∧
( ´・ω・) ヘ⌒ヽフ⌒γ
/ o (・ω・ ) ) <次スレを貼っておいたぞ
しー-J しー し─J
それはいいけどいつこのSS終わるの?
∨
∧,,∧
( ´・ω・) ヘ⌒ヽフ⌒γ
/ o (・ω・ ) )
しー-J しー し─J
∧,,∧
( ´・ω・) ヘ⌒ヽフ⌒γ
/ o (・ω・ ) ) <知らん
しー-J しー し─J
∧,,∧
( ・ω・ ) ヘ⌒ヽフ⌒γ
/ o つ づ く ( ・ω・ ) )
しー-J しー し─J
このSSまとめへのコメント
ニヤニヤが止まりませんw
続きはよ♪